JP2004528568A - 低コストデジタルポケット線量計 - Google Patents

低コストデジタルポケット線量計 Download PDF

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Abstract

本発明は、特定のエネルギ範囲の電離放射線の入射によって生じる検出器内の電離を電気インパルスに変換する検出器と、検出器からの電気パルスを検出可能な振幅に増幅する低電力パルス増幅器と、電離放射線によって生じたもの以外を起源とするパルスを除去するために使用される弁別器回路と、線量計を校正するためのプログラマブルディバイダ回路と、電子計数回路と、6桁LCDディスプレイとから成るポケットタイプデジタル放射線量計に関する。該線量計の感度は1μSv(マイクロシーベルト)当たり1カウントであり、精度は60keVから1.25MeVのXまたはガンマ放射線で±15%以内である。60keVから1.25MeVまで±15%以内の一様な応答を提供するために、金属エネルギ補償フィルタおよび弁別器しきい値変調回路を使用する。該デジタルディスプレイはいつでも、線量計のスイッチを入れたときから線量計が受けたXまたはガンマ放射線の全線量をμSv単位で示す。線量計は非常に低い電力消費量を達成するように設計されており、2個のコイン型Li電池(CR2320型)によって電力を供給される。それは、電池の交換を要するまでに、500時間以上の連続動作が可能である。点滅LEDは、電池の寿命がまだ8時間残っているときに、バッテリの低残量状態を示す。回路機構全体および電池ホルダは、単一の印刷回線板上に実装される。装置をコンパクトにするために、表面実装コンポーネントを使用する。該線量計はコンパクト(長さ110mm×幅30mm×高さH(クリップを含まず))かつ軽量(60g)である。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、X線およびガンマ線放射環境で作業する個人が受ける累積放射線量を監視するために使用される、能動型のコンパクトなポケットタイプの装置に関する。本発明は特に、一般的に作業員監視放射線量計として知られるそのような装置に関し、さらに詳しくは固体半導体検出器を組み込んだ線量計に関する。
【背景技術】
【0002】
個人監視は常に、写真フィルムまたは熱ルミネセンス線量計のいずれかを組み込んだ受動型線量計を用いて実行される。しかし、これらの線量計は、高線量率領域で警報装置として使用するための電子装置によって補足される。電子線量計は通常、小型GM計数器または固体半導体検出器のいずれかを組み込み、60KeVから1.25MeVの範囲の光子の深部線量当量を測定するように設計される。積算線量はデジタル表示され、一部のポケット線量計には視覚/音声事前設定線量警報も装備される。高度データ収集および格納能力を備えた、マイクロプロセッサをベースとするバージョンの電子線量計も市販されている(Delacroix, D., Guelin, M., Lyron, C. and Feraud, J.P. “Dosicard:on−site evaluation of a new individual dosimetry system”, Radia. Prot. Dosim. 58(3), 193−199 (1995)およびToshikazu, Yoshiyuki Nagase, Takeshi Ishikura, Eisuke Okamoto, and Yoshiteru Yoshida, “A high reliability Personal Alarm Dosemeter with a semiconductor detector”, Fuji Electric Co. Ltd. Tokyo 191, Japan参照)。
【0003】
米国特許第4,996,429号(1991年)は、個人に作用する電離放射線を測定するための計器を記載している。この計器は衣服のポケットに入れて携帯することができる。また広角の電離放射線を被曝する放射線検出器、および計器が受けた放射線を示す表示装置を有する。該計器は再充電可能な電池で作動し、高い電力消費量を有し、かさばるものである。
【0004】
米国特許第4,430,569号(1984年)は、ポケットタイプの放射線量計およびその作動のために使用される電池を再充電するための充電用回路を記載している。それはコンパクトかつ軽量で、素人が使用可能であるが、線量計自体は当時の従来設計のものである。充電回路は、シェイク型静電発電機、発電機の1つの極性の出力電圧を積算するための電圧ダブラと、外部永久磁石によって作動するスイッチとを含む。このタイプの線量計は、電離箱放射線検出器および石英ファイバ電位計に基づく。該線量計は、非線形目盛上の石英ファイバの位置を、アイピースを介して観察することによって読み取られる。しかし、それは分解能が低く(>10μSV)、範囲が限定され、振動、衝撃、および湿度に非常に影響されやすい。さらに、それは読み取りにくいデジタル表示装置を持つ。
【0005】
米国特許第4,857,739号(1989年)は、「チャーパ」タイプのポケット個人放射線モニタを記載している。電池式の高電圧電源を使用して高電圧バイアスを生成し、G−M管放射線センサに印加する。電離放射線イベントの検出によって生成されるセンサの電流パルスが高電圧バイアスをDC+450Vまで放電したときに、高電圧バイアスがDC+500Vまで再充電されるように、フィードバック信号を生成して高電圧電源を制御する低損失検知ネットワークによって高電圧は監視される。高電圧再充電期間中に、音声トランスデューサが作動して可聴「チャープ」を生成する。「チャープ」率は高電圧バイアスが再充電される率によって制御され、それはセンサが被曝する放射線場の強さに比例する。「チャープ」率感度は約1.5(チャープ/分/mR/時)に設定される。GM管センサは、装置が高い放射線場で麻痺しないように、電流検知モードで使用される。この計器はGM計数器を検出器として使用しており、それはチャープを通して放射線量の定量的標識を提供することができるだけであり、累積線量のデジタル表示も無く、ペンタイプでもなく、電力消費量も高く、かさばる。
【0006】
米国特許第5,132,543号(1992年)は、GM管センサに基づく電子ポケット線量計を記載している。
【0007】
米国特許第4,608,655号(1986年)は、高価なCdTe(テルル化カドミウム)に基づく腕時計型線量計を記載している。
【0008】
米国特許第5,567,946号(1996年)はポケット線量計を記載しているが、それはデジタルタイプではない。
【0009】
欧州特許第581,422号(1994年)は、中性子、陽子、電子、および光子による当量放射線量の測定用のダイオードを備えた粒子線量計に関するものであり、したがって本発明には関係ない。
【0010】
様々な用途のために放射性同位元素の広範囲の使用および原子エネルギ計画が世界規模で急速に成長したことにより、便利な読出し装置を備えた、精度が高くかつ低コストのポケットタイプ線量計が必要になってきた。そのような線量計が多数、市販されている。これらの線量計は検出器としてのガイガー=ミュラー(GM)計数器または特別製造P−I−N Si半導体、および検出器からの放射線誘導信号を処理するための何らかのASIC(特定用途向け集積回路)使用しており、一般に高価である。本発明の目的は、検出器を含めて容易に入手可能なコンポーネントを使用した、低コストのポケット線量計を開発することである。
【0011】
現在この分野には様々なタイプの線量計がある。これらの各々は、特定の独自の機能を有している。それらの中には次のようなものがある。
(i)検出器としてのガイガー=ミュラー(GM)計数器または特別製造P−I−N Si半導体ダイオード、および検出器からの放射線誘導信号を処理するための何らかのASIC(特定用途向け集積回路)
(ii)低キャパシタンス型プレーナ拡散型SiフォトダイオードまたはSiヘテロ接合ダイオードの使用
(iii)検出器が充分な感度を得るために数十ボルトの逆バイアスの使用
(iv)精巧なゼロ抑制回路を使用して、受入れ可能な背景レベルカウントを達成する
(v)0.5Sv/時の最大放射線量率まで使用可能(Svは放射線量当量の単位である)
【0012】
本発明の線量計に関連する市場に出ている幾つかのモデルとして次のようなものがある。
(a)エレクトロニクス・コーポレーション・オブ・インディア・リミテッド(Electronics Corporation of India Ltd.)ECIL社製ポケット線量計PD4506型は検出器としてGM管を使用し、1カウント当たり10μSvの感度を有し(1カウント当たり1μSvの本願請求と比較)、かさばり(160mm×65mm×25mm)、重く(160g)、最大線量範囲はわずか10mSv(本願請求の>1Svと比較)である。(“Digital Dosimetry System”, Electronics Corporation of India Ltd. ECIL P.O., Hyderabad, 500762を参照されたい)。
(b)パルスエコー・システムズ・プライベート・リミテッド(Pulsecho Systems Pvt. Ltd.)の「Dosirad」型はGM管放射線検出器を基礎にしており、かさばり(125mm×50mm×25mm)、重い(175g)。(“Dosirad”, Pulsecho Systems (Bombay) Pvt. Ltd., Unit 110, Nirmal Industrial Estate, Near Sion Fort, Sion(E), Bombay 400 022)。
(c)PLAエレクトロ・アプライアンシズ・プライベート・リミテッド、PDM103型およびPDM221L型はGM管放射線検出器を基礎にしており、最高100mSvまでの線量範囲しかなく、かさばり(120mm×65mm×23mm)、重い。(“Pocket Dosemeter” models PDM221L & PDM 103, PLA Electro Appliances Pvt. Ltd., Thakor Estate, Kurla Kirol Road, Vidyavihar (W), Mumbai 400 086)。
(d)「個人用デジタル線量計885型」、ビクトリーン・インコーポレーテッド(Victoreen, Inc.)(オハイオ州クリーブランド、1989年)
(e)「警報ポケット線量計(APD)」、パナソニック、松下電器トレーディング・カンパニー・リミテッド(日本国大阪)
(f)個人用電子線量計DMC2000XB等、MGPインスツルメンツ・インコーポレーテッド、ジョージア州30082、スマーナ、ハイランズ・パークウェイ5000番地スイート150
(g)電子ポケット線量計、MyDOSEミニ、PDM−102型、日本国181−8622東京都三鷹市牟礼6−22−1、アロカ社
【0013】
先行技術の主な欠点は、現在市販されている線量計が、高価な放射線検出器およびASIC/マイクロプロセッサを利用しているので、非常に高価であることである。デジタルディスプレイを備えた先行技術のタイプは全て、60kevないし1.25Mevのエネルギ範囲のX線およびガンマ線に±25%ないし±30%以内で応答する。理想的にはエネルギ範囲全体で均等な応答が望ましい。
【0014】
先行技術のタイプは特定の線量率を超えると線形性が限定されるが、用途によってはずっと高い線量率レベルまでの線形性が望ましい。
【0015】
ほとんどのポケット線量計は、一日中個人が屋内外で携帯するには重い。別の欠点は、これらのポケット線量計の一部のサイズが、それらを個人が通常の衣服のポケットに入れておくには非常に不便なことである。
【0016】
一部の線量計は電力消費量が高く、少なくとも300時間の連続的作動を提供する、かさばる電池、または一晩かけて電池を外部充電する必要があり、12〜24時間の連続的作動を促進する、再充電可能な電池のいずれかが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の主たる目的は、60keVないし1.25Mevのエネルギ範囲内のX線およびガンマ線に対して±15%以内の均等な応答を有する個人用の線量計を作成し、かつ、安価で、小型で軽量の、着用に便利な線量計を開発することである。
【0018】
本発明の別の目的は、それを低レベルの放射線に適切に感応させ、かつ同時に、事故の状況で起きるかもしれない高い放射線照射線量率に線形的に応答させることである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は、60KeVを超えるエネルギの電離Xおよびガンマ放射線からの放射線量を測定するための低コストのデジタルポケット線量計であって、
i)前記電離放射線を電気インパルスに変換するための手段と、
ii)前記電気インパルスを低電圧および0.4mW未満の電力消費量で増幅するための手段と、
iii)前記電気インパルスから望ましくない電気ノイズインパルスを除去する手段と、
iv)1μSv当たり1個のインパルスの校正を達成する手段と、
v)60keVないし1.25Mevのエネルギ範囲のX線およびガンマ線に対して±15%以内の均等な応答を達成する手段と、
vi)最高で線量率5Sv/時まで線形応答を達成する手段と、
vii)前記除去されないインパルスを計数する手段と、
viii)前記計数を累積的に表示する手段と、
ix)コンパクトな電源と
を備えた線量計に関する。
【0020】
本発明の線量計は、a)電荷パルスの形で電離放射線を検出する手段と、b)これらの電気パルスを増幅する増幅器と、c)周囲のXおよびガンマ放射線から生じたものではないノイズまたは外来のパルスを弁別し(弁別器)、除去する手段と、d)累積照射線量を計数し、表示するための手段と、e)然るべきときに電池交換を警告するための手段とを備え、これらの部品が全て軽量かつ低体積の安価な構成要素から作成され、全てが個人のポケットに入れて維持するのに適した矩形断面の管内に組み立てられる。
【0021】
本発明特有の特徴の幾つかを以下で説明する。
a)電離放射線を電荷パルスの形で検出するための手段として、60keVないし1.25Mevのエネルギ範囲のXおよびガンマ放射線に対する感度を有する、低コストの市販のシリコンpn接合高電圧整流ダイオードを放射線検出器として使用する。このSiダイオードは電子回路の高電圧整流器用として容易に入手できる。
先行技術のタイプの線量計では、放射線検出器として特別製造の、したがって高価なp−n接合デバイス、または放射線検出器としてGM管が記載されている。GM管放射線検出器は通常ガスが充填されたガラスまたは金属の管であり、450Vまたはそれ以上の電圧で作動し、電離放射線の入射によって生じた検出器内の電離を電気パルスに変換する。
【0022】
b)回路が4V±0.2Vの低い逆バイアスでSiダイオード検出器を作動させて、低電力、低ノイズで安定した動作を達成するように設計されている。この回路のさらなる特徴は以下の通りである。
市販の低ドロップアウト線形レギュレータを使用する調整電圧源は、安定した逆バイアス(アノードがカソードに対して負の電位を与えられる)を前記検出器に印加するのに役立つ。この調整器は、入力電圧が出力電圧より少なくとも数mV(一般的には50mV)大きい限り、定出力電圧を生じる電気回路である。
この特徴の直接の利点は低電力消費および低ノイズ動作である。したがって、より高い電圧逆バイアスを検出器に印加しなければならない先行技術の計器で必要とされる、電力を消費するノイズの多いステップアップDC−DCコンバータが無いため、電力消費量が低減される。全ての関連先行技術のタイプは、DC−DC変換器または余分の電池を用いることによって検出器が充分な感度を得るために、数十ボルトの逆バイアスを使用する。
本発明のこの特徴の別の利点はその安定な動作であり、電圧調整器を用いて得られる印加供給電圧の安定度のため、様々な回路要素の特徴の安定性がもたらされる。
【0023】
c)4Vで作動し電力消費量が0.4mW未満の低コストCMOS(相補型金属酸化物半導体)電荷感度パルス増幅器を、前記電気インパルスを増幅するための手段として使用する。電荷感度パルス増幅器電子回路は、増幅器の入力のパルスの全電荷内容を、増幅器の利得と呼ばれる固定率だけ高くなった出力の振幅パルスに増幅する。利得は、計器が低エネルギ放射線(>60keV)を感知し、かつ同時に、増幅器の出力のノイズパルス(Xおよびガンマ放射線照射以外の原因によって生じた、増幅器の出力に存在するパルス)が低エネルギ放射線の照射によって生じるパルスの振幅に比較して低い振幅となるように調整される。さらに、CMOSインバータを増幅器として適応させるので、電力消費量は非常に低い。
【0024】
d)単純な低電力の弁別器回路により、望ましくない電気ノイズパルスを検出器から除去する。
この弁別器電気回路は、弁別器の設定しきい(これは調整できる)電圧より大きい振幅の電気(電圧)パルスに応答し、これらのパルスを出力で定振幅のパルスに整形する。この回路は、関心のある電離放射線以外の要因によって生じた、検出器からの増幅パルスの一部を形成するノイズパルスをカットすることによって、背景カウントを除去する。先行技術タイプの計器は精巧なゼロ抑制回路を使用して、受入れ可能な背景レベルカウントを達成する。
【0025】
e)放射線検出器は、「c」に記載した必要な特性の増幅器と共に、0.8mm厚さの銅のエネルギ補償フィルタ箱に封包される。該箱はまた、敏感な検知器/増幅器回路を漂遊電磁界から遮断する。
検出器の材料(シリコン)は、100KeV未満の低エネルギ範囲のXおよびガンマ放射線に自然の高い応答を有する。0.8mmの銅フィルタは、この範囲の高い応答を補償するために必要な入射放射線の減衰をもたらす。検出器がパルスモードで使用されるとき、低エネルギ光子と高エネルギ光子は(前記放射線を校正する特徴的なエネルギの粒子)は同一荷重を与えられる。測定された量(シーベルト)は吸収された全エネルギに比例するので、この定荷重パルス計数の結果、低エネルギから高エネルギに向けて連続的に減少する応答が生じる。これは機械的減衰方法では補償することができないので、単純な電子補償回路を使用する。
この回路では、波形の各期間中に低エネルギのパルスが弁別器を通過する時間部分が漸減するように、ノイズ弁別レベルを超える弁別器しきい値が、検出器のノイズ除去しきい値より数mV上から1000mVまで線形ランプを近似して、周期的(500Hz)波形によって変調される。
60keVないし1.25MeVのエネルギ範囲のX線およびガンマ線に対して±15%以内の均等な応答がこうして達成される。
【0026】
f)当該線量計は1μSv/時から5Sv/時までの使用可能な放射線量率を有する。
当該線量計は、±20%内で指定範囲まで放射線を受ける放射線量率に線形的に応答する。
先行技術の計器では、この使用可能な放射線量率の範囲は、指定された精度で1μSv/時から0.5Sv/時またはそれ以下である。
【0027】
g)当該線量計は、CMOS集積回路CD4024、MAX972、MAX8864等、容易に入手可能な従来の電子コンポーネントから作製される。
これらのコンポーネントは、多数の電子回路適用分野用に市販されている。この側面は、本発明のコストを低減する観点から重要である。先行技術の匹敵するサイズの計器は、検出器からの放射線誘導信号を処理するためにだけ設計された、高価なASIC(特定用途向け集積回路)を使用する。
2進除算器CD4024を用いて弁別器の出力からのパルスを分割して1μSv当たり1個のパルスの校正を達成するプログラマブルディバイダ回路。これは、繰返し率「f」のパルスを入力で受け入れ、繰返し率f/Nの出力パルスを生成する電子回路である。ここで「N」は整数の変数である。「N」は5方向DIP(デュアルインラインパッケージ)スイッチを用いて1から31まで可変である。
999999μSvまでの整数の放射線量を格納して示す7セグメントの6桁LCD表示装置を備えた電子放射線量計数器モジュール。この計数器は、その入力で1単位(1μSv)の放射線量に対応する予め定められた高さおよび幅の各パルスを計数するデジタル電子回路である。
【0028】
h)本発明の別の実施形態では、LED(発光ダイオード)による電池電力低下表示/警告を提供する。別の実施形態では、電池電圧が低下すると、LEDが点滅する。点滅は、約8時間の電池寿命がまだ利用可能であるときに、4秒に1回の点滅の低い周波数で始まる。
【0029】
i)厚さ0.8mm、幅25mm、および長さ80mmの高価なASICを使用した先行技術のタイプに匹敵するサイズの表面実装パッケージの全ての必要な回路コンポーネントから成る小型印刷配線板の達成。該PCBは、図2に示すように両端がプラスチックの蓋で閉じられた長さ73mm、高さ12mm、および幅30mmの長方形のアルミニウム管内に収容される。
【0030】
j)小型で軽量(サイズ:長さ110mm×幅30mm×高さ14mm(クリップを含まず)、重量:60g)
【0031】
k)低コスト:1個当たり$100
【発明の効果】
【0032】
本発明の低コスト放射線量計は、シリコン半導体ダイオード検出器の開発に基づいている。それは電力消費量が低く、電池の充電を必要とせずに500時間を超える動作が可能である。先行技術の石英ファイバ電位計に基づく電離箱線量計に比較して、本発明はより頑健かつ精度が高く、また簡単に読取り可能なデジタル表示装置を有する。先行技術のGM計数器検出器に基づくポケット線量計とは異なり、本発明は軽量であり、シャツのポケットに入れて携帯することが容易である。容易に入手できる既成の電子部品を使用するため、特別製作の半導体検出器および特定用途向け集積回路(ASIC)に基づく同様の市販線量計より、コストがずっと低い。
【実施例】
【0033】
プロトタイプの製作を以下で述べる。
【0034】
本発明を今から、製作されるプロトタイプによって説明する。以下で挙げるプロトタイプの詳細な説明、仕様、特徴、および図面(図1から6)は単なる例証であって、発明の範囲を制限するものではない。
【0035】
本発明の全ての特徴を有する計器のプロトタイプが達成された。プロトタイプの構成を図1から6に記載し、その仕様を以下で示す。
【0036】
高価なASICを使用した先行技術のタイプに匹敵するサイズの表面実装パッケージの全ての必要な回路コンポーネントから成る小型印刷配線板。それは、電子回路機構全体を含む、厚さ0.8mm、幅25mm、および長さ80mmの単一印刷配線板である。
ii) PCBの一端にはんだ付けされ、2個のコイン型Li電池CR2320を収容するためにプラスチックホルダによって所定位置に保持される2部品クロムめっき電池クランプ。
iii) PCBは、図2に示すように両端がプラスチックの蓋で閉じられた長さ73mm、高さ14mm、および幅30mmの長方形のアルミニウム管内に収容される。
iv) 計器の重量を保持することのできる、アルミニウム管の後側に固定された特殊設計のプラスチッククリップ。
v) このプロトタイプは小さいサイズおよび重量を持つ(サイズ:長さ110mm×幅30mm×高さ14mm(クリップを含まず)、重量:60g)。
vi) 同等の先行技術の計器が1個当たり$200を超えるとき、この計器の比較コストは1個当たり約$100である。
【0037】
プロトタイプの仕様は次の通りである。
検出される放射線: Xおよびガンマ放射線(>40KeV)
使用する検出器: PN接合Si半導体
測定範囲: 1μSv〜99999μSv
エネルギ依存性: 60KeVから1.25MeVまで±15%内
読出し精度: 137Csの場合、最高0.5Sv/時まで±15%内
線量率範囲: ±10%内(0.5Sv/時)
±20%内(5Sv/時)
動作環境: 0〜45℃、90%RH(非結露)
電池: コイン型リチウム電池(CR2320×2)
電池寿命: (約)300時間の連続使用
感度: 1μSv当たり1カウント
表示: 6桁LCD
寸法: 30(幅)×110(長)×14(奥)mm(クリップを含まず)
重量: 約60g
オーバフロー表示: 第6桁によって表示
電池低残量指示: 電池が低残量のときに電池低残量LEDが点滅する。点滅周波数は電池の状態を示す。点滅は、(約)8時間の電池寿命がまだ残っているときに0.2ppsの低い周波数で始まる。点滅周波数が約1ppsまたはそれ以上のとき、線量計の示度は信頼できない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明を今から、本発明に係る線量計に関するプロトタイプの図面を参照しながら説明する。図面は単なる例証であって、決して本発明の範囲を制限するものではない。
【0039】
本発明すなわちデジタルポケット放射線量計では、検出器1を使用して、電離放射線を電圧または電荷パルスの形の電気信号に変換する。これらのパルスはパルス増幅器6によって受入れ可能なレベルに増幅され、それはこれらのパルスのさらなる処理を可能にする。弁別器9と呼ばれる電子装置を用いて、検出器からの増幅パルスのうち、関心のある電離放射線以外の要因によって生じた部分を除去する。弁別後、パルスはプログラマブル電子ディバイダ10によって分割され、電子放射線量計数器11に送られる。該ディバイダは、放射線計数器の1カウントが1μSvに相当するようにプログラムされる。線量放射線計数器に接続された表示装置12は、放射線計数器に格納された整数線量の瞬時値を示すために使用される。
【0040】
本発明は、その目的、特徴、および利点と共に、図面に関連する製品についての以下の詳細な説明からいっそう充分に理解することができるであろう。
【0041】
(図1 線量計のブロック図)
これは、本発明を具現するデジタルポケット線量計のブロック図である。1μSvの放射線量は、検出器1によって送出される電気ノイズパルス以外の約20パルスに対応する。検出器は抵抗器5を介して逆バイアスを印加される(検出器は2つの電極、アノードおよびカソードを有する。逆バイアスとは、カソードに対して負の電位がアノードに与えられることを意味する)。検出器からのパルスはパルス増幅器6によって増幅され、弁別器9に送られる。該弁別器は、それに印加されるしきい電圧を超える高さのパルスだけをその出力に渡す。しきい電圧は、ノイズパルスを遮断するために、抵抗器7および電位差計8を介して調整される。波形発生器回路8Aは、500Hzの繰返し率で高さ1Vのほぼ線形のランプを生成する。該ランプは、コンデンサ8Bを介して弁別器しきい値に重ね合わされる。弁別器の出力のパルスは、プログラマブルディバイダ10に供給される。プログラマブルディバイダは、1カウントがプログラマブルディバイダの出力の1μSvに対応するようにするように、入力の20パルス毎に出力の1パルスが生成されるように調整することができる。これらのパルスは次いで、1パルスずつ増分される6桁電子計数器11に供給され、任意の瞬間の時まで計数器が受けたパルスの総数が計数器に格納されて維持される。計数器の内容は、7セグメント6桁LCDディスプレイである表示装置12によって表示される。回路機構全体が6Vリチウム電池3によって電力を供給される。電池の電圧は電圧調整器3Bによって4Vに調整され、回路機構に印加される。電池の状態は、電池低残量指示回路4によって監視される。電池電圧が受入れ可能な限度以下に低下すると、LED2は点滅し始める。スイッチ3Aは、線量計の「オン」および「オフ」を切り換える手段を提供する。
【0042】
PCBの検出器−送信器部分はエネルギ補償フィルタを備えており、それは、電磁シールドとして二重化されてもおり、かつ振動による回路機構の誤動作を防止するために、ポリウレタンポッティング剤を用いて注封される。線量計の電力消費量は、1mSv/時の放射線場にさらされたとき、約0.3mAである。回路全体は、計器をコンパクトにするために、表面実装コンポーネントに基づいている。計器のサイズは長さ110mm×幅30mm×高さ14mmである。
【0043】
(図2:図1に示した線量計の線図)
これは、本発明に係る完全なポケット線量計を示す。線量計回路機構は、プラスチックの蓋13を両側に備えている、粉体塗装された長方形のアルミニウム管14に封入されている。線量計は、使用しないときに装置のスイッチを切るためのオン−オフスイッチ15A、電池低残量指示器15B、およびディスプレイ15Cを備えている。
【0044】
(図3:図1に示した線量計の検出器−増幅器モジュールの線図)
これは、回路機構の検出器および増幅器部分である。検出器16は、カソードをVCC(図1に示した電圧調整器を用いて得た調整電圧)に、アノードを、抵抗器17を介して回路コモンに接続することによって逆バイアスされる。検出器からのパルスは、CMOS増幅器20A、入力コンデンサ18、フィードバックコンデンサ19、および抵抗器21から成る電荷感度パルス増幅器に供給される。パルスは、抵抗器21、23、25および27、ならびにCMOS増幅器20B、20Cおよび20Dから成る、さらなる3段の増幅器によって増幅される。
【0045】
(図4:図1に示した線量計の計数器の弁別器およびプログラマブルディバイダの線図)
図4は、回路の弁別器およびプログラマブルディバイダ部である。増幅器出力からのパルスは、コンデンサ28および抵抗器29を介して、比較器32(MAX972)から成る弁別器に供給される。抵抗器30および31のネットワークは、弁別器のしきい値を提供する。しきい値は可変抵抗器(電位差計)31を用いて調整される。弁別器の出力からのパルスは、CMOS8ビット2進計数器CD4024、33、DIPスイッチ34、ダイオード35、36、37、38および39、ならびに抵抗器40から成るプログラマブルディバイダに供給される。該ダイオード35から39は抵抗器40と共に、5入力「AND」ゲートを構成する。このANDゲートの入力は、DIPスイッチ33を介して計数器33の最初の5つの2進出力に選択的に接続することができる。ANDゲートの出力は2進除算器のリセット入力に接続される。こうして、DIPスイッチの位置を選択することによって、5つの出力Q1からQ5の任意の組合せをANDゲートの入力に接続することができ、その結果1から31までの任意の要求されたパルス数の後に計数器がリセットされる。こうして、1から31までの分割が得られるようにディバイダ回路の出力をプログラムすることができる。
【0046】
(図5:図1に示した線量計の低ドロップアウト電圧レギュレータ回路)
図5は低ドロップアウト電圧レギュレータ回路である。該回路はコンデンサ42および45、抵抗器46および47、ならびに集積回路44Max8864から成る。リチウム電池41からの6V入力は、調整器の出力で4V(VCC)に調整される。43は、装置のオンとオフを切り換えるために使用されるオン−オフスイッチである。出力電圧VCCは、電池電圧が4.1Vに消耗するまで、4Vに維持される。
【0047】
(図6:図1に示した線量計の電池低残量警告回路)
これは電池低残量指示回路である。それは低電力比較器57(Max972)、抵抗器48、49、50、51、53および56、ダイオード54、コンデンサ52、ならびにLED55から成る。抵抗器50および51を介して調整電圧VCCから導出される固定しきい電圧は、比較器57の正の入力に印加される。抵抗器48および49を介して導出される電池電圧のサンプルが、比較器の負の入力に入力される。通常、電池電圧サンプルは比較器のしきい電圧より高く、したがって比較器の出力は高レベルに維持される。LED55はオフに維持される。電池電圧がしきい電圧より下がると、比較器の出力は低レベルになり、LEDが点灯する。今、コンデンサ52は抵抗器53、ダイオード54および比較器の出力を介して放電される。抵抗器50および51の接合部の電圧はしきい電圧より低下し、したがって比較出力は高レベルになる。LEDは消灯する。今、ダイオード54は逆バイアスされ、放電は停止する。コンデンサは抵抗器50を介して初期レベルまで充電され、LEDが点灯する。このサイクルが繰り返され、LEDは点滅する。点滅の周波数は、約8時間の電池寿命が残っている状態で、点滅速度が3秒当たり1回の点滅となり、電池の寿命が尽きると、点滅速度が1秒当たり2〜3回の点滅となるように調整される。こうして、点滅の速度により電池の状態を示すこととは別に、電池低残量指示の点滅LEDの方法は結果的に、指示の初期警報段階中にバッテリからの電流の消耗を著しく軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の線量計のブロック図である。
【図2】図1に示した線量計の線図である。
【図3】図1に示した線量計の検出器−増幅器モジュールの線図である。
【図4】図1に示した弁別器およびプログラマブルディバイダの線図である。
【図5】図1に示した低ドロップアウト電圧レギュレータ回路の図である。
【図6】図1に示した線量計用の電池低残量警告回路の図である。

Claims (16)

  1. 60KeVより大きいエネルギの電離Xおよびガンマ放射線からの放射線量を測定するためのデジタルポケット線量計であって、
    i)前記電離放射線を電気インパルスに変換するための手段と、
    ii)前記電気インパルスを低電圧および0.4mW未満の電力消費量で増幅するための手段と、
    iii)前記電気インパルスから望ましくない電気ノイズインパルスを除去する手段と、
    iv)1μSv当たり1個のインパルスの校正を達成する手段と、
    v)60keVないし1.25Mevエネルギ範囲のX線およびガンマ線に対して±15%以内の均等な応答を達成する手段と、
    vi)最高で線量率5Sv/時までの線形応答を達成する手段と、
    vii)前記除去されないインパルスを計数する手段と、
    viii)前記計数を累積的に表示する手段と、
    ix)コンパクトな電源電池と
    を備えたデジタルポケット線量計。
  2. 表面実装コンポーネントを実装するための手段を持つ、単一の印刷配線板を収容する動作回路機構を備えた、請求項1に記載のデジタルポケット線量計。
  3. 前記電源が電池の状態を示す手段を有する1対の6Vリチウム電池を含む、請求項1または2のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  4. 前記動作回路機構およびコンポーネントがポケットサイズの管状/筒形ハウジング内に収容される、請求項1から3のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  5. 前記電離放射線を電気インパルスに変換するための前記手段が、60KeVないし1.25MeVのエネルギ範囲のXまたはガンマ放射線に対する感度を有するシリコンpn接合高電圧整流ダイオードを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  6. 前記電気インパルスを低電圧および0.4mW未満の電力消費量で増幅するための手段が、CMOSインバータに基づく低コストCMOS電荷感度パルス増幅器を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  7. 前記電気インパルスから望ましくない電気ノイズインパルスを除去する手段が、設定されたしきい電圧より大きい振幅の電圧パルスに応答しかつこれらのパルスを出力で定振幅のパルスに整形する、単純な低電力弁別器電子回路を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  8. 1μSvに対して1個のインパルスの校正を達成するための手段が、2進除算器を用いて前記弁別器の出力からのパルスを分割するプログラマブル除算器回路である、請求項1から7のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  9. 最高で5Sv/時まで±20%より優れた応答の線形性を達成するための手段が高速応答増幅器を含む、請求項1から8に記載のデジタルポケット線量計。
  10. 前記除去されないインパルスを計数するための手段が、最高で999999μSvまでの積算放射線量を格納しかつ示す電子放射線量カウンタモジュールを含む、請求項1から9に記載のデジタルポケット線量計。
  11. 電池の状態を示す手段が、LEDの点滅の周波数を変化させるための手段を含む、請求項3から10のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  12. 4±0.2Vの安定した低い逆バイアスで作動するように適応された、請求項1から11のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  13. 60KeVないし1.25MeVまで±15%以内の均等な応答を提供するように前記検出器に適応されたエネルギ補償フィルタおよび弁別器しきい値変調回路を備えた、請求項1から12のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  14. 電池電圧が動作電圧より少なくとも50mV高い間、前記インパルス増幅器の動作電圧を一定に維持するように適応された低ドロップアウト電圧レギュレータを備えた、請求項1から13のいずれか1項に記載のデジタルポケット線量計。
  15. 前記放射線に対して最大感度が得られるように最適化された利得で前記インパルス増幅器の所用動作電圧を維持するための手段を備えた、請求項1ないし14のいずれかに記載のデジタルポケット線量計。
  16. 実質的に明細書に記載し、添付の例および図面に関連して説明したデジタルポケット線量計。
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