JP2004528316A - 癌治療のための、レチノイド受容体リガンドおよび選択される細胞毒性剤の相乗的な組み合わせ - Google Patents
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Abstract
癌の治療および選択される細胞毒性剤の有効な細胞毒性量を低下するのに有用な、選択される細胞毒性剤およびRARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストの化学療法剤の組み合わせが提供される。
Description
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国仮出願(第60/277,754号,2001年3月22日出願)の35章119(e)条に基づく優先権の利益を要求するものである。
【0002】
(技術分野)
本発明は、レチノイン酸受容体(RAR)リガンド、特にα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストがタキサンのようなチュブリン重合剤と組み合わせて投与される、癌治療の化学療法的戦略に関する。本明細書に示したように、RARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストはまた効果的な抗癌剤であり、RARγおよび天然のレチノイドを活性化するRAR panアゴニスト(例えば、RARγおよびRXRを活性化するすべてのトランスレチノイン酸)と比較して、毒性の低下を示す。さらに、RARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストは、チュブリン重合剤、特にタキサンと相乗的に作用し、腫瘍細胞系の広範囲な細胞毒性を引き起こすのに要求されるタキサンの有効量を劇的に低下させる。RARα/β選択的アゴニストとの相乗効果は、JNKおよびAP1の活性と同様に、Bcl−2発現/リン酸化の効果に一部関連すると信じられている。従って、RARα/β選択的アゴニストとの同様の相乗効果もまた、Bcl−2のリン酸化を増大する他の薬剤と共に期待されている。
【0003】
(背景技術)
レチノイド化合物は、胎児期および成人期の両方の間、広範囲な生理的機能を媒介するビタミンAの生物学的な活性誘導体である(Vitamin A in Health and Disease. Ed. Blomhoff, Institute for Nutrition Research, University of Oslo, Oslo Norway, 1994; Kastner et al. Cell 1995 83: 859-869; Giguere et al. Ann. N. Y. Acad. Sci. 1996 785: 12-22)。天然のレチノイド化合物はまず、すべてのトランスレチノイン酸(ATRA)および9−シスレチノイン酸からなり、不可逆的な酸化によってビタミンAから生ずる(Vitamin A in Health and Disease. Ed. Blomhoff, Institute for Nutrition Research, University of Oslo, Oslo Norway, 1994; Napli, J. L. Faseb J. 1996 10: 993-1001)。さらに、多重合成のリガンドが、天然のリガンドの多くの生物学的な特性を保持してデザインされてきている。
【0004】
細胞レベルにおいて、レチノイドリガンドは、広範囲な正常および悪性細胞の両方の細胞増殖、分化およびアポトーシスを調節し得る(Vitamin A in Health and Disease. Ed. Blomhoff, Institute for Nutrition Research, University of Oslo, Oslo Norway, 1994; Lotan, R. Sem. in Cancer Biol. 1991 2: 197-208 ; Love, J. M. and Gudas, L. J. Curr. Opinion in Cell Biol. 1994 6: 825-831; Lotan, R. Faseb J. 1996 10: 1031-1039; and Fitzgerald et al. Cancer Res. 1997 57: 2642-2650)。レチノイド化合物の生物活性は、核受容体、レチノイン酸受容体(RAR)およびレチノイドX受容体(RXR)の2つの分類で媒介される。RARおよびRXRの両方の分類は、別々の遺伝子でエンコードされるα、βおよびγで示す3つのイソタイプからなる(Chambon, P. Sem. in Cell Biol. 1994 5: 115-125 ; Chambon, P. Faseb J. 1996 10: 940-954)。RARおよびRXRは、核ホルモン受容体(NHR)スーパーファミリーの一員であり、リガンド依存性転写因子として作用し、それらはRAR/RXRヘテロ二量体錯体として、特定のレチノイド応答成分(RARE)DNA配列[それらは、共通配列PuG(G/A)(T/A)CA(n)1−5PuG(G/T)TCAの直接の繰り返しからなる]に結合することで標的遺伝子発現を調節できる(Gronemeyer, H., and Moras, D. Nature 1995 375: 190-191)。RAR/RXRヘテロ二量体の活性は、抑圧的または刺激的であり得、それぞれアポ−(非リガンド性)またはホロ−(リガンド結合性)構造に依存する。RAR/RXRヘテロ二量体のアポ構造は、タンパク質相互作用干渉を許容して、凝縮・転写に不活性な構造においてクロマチンを共に維持して、標的遺伝子発現を抑制するNCORおよびヒストンデアセチラーゼの補充を含む大きな補抑制物質多タンパク質複合体形成を惹起する許容的な構造である(Xu et al. Curr. Opinion in Genetic and Development 1999 9: 140-147; Hu, X. and Lazar, M. A. Trends in Endocrin. and Metab. 2000 11: 6-10; Robyr et al. Mol. Endocrin. 2000 14: 329-347)。対照的に、アゴニストリガンドのRARへの結合は、ドメイン(LBD ; Renaud et al. Nature 1995 378: 681-689)に結合するリガンドの構造的な転移に関係し、p160タンパク質ファミリー、CBP/p300および多タンパク質複合体TRAP/DRIP/ARCを含む補抑制物質複合体および活性化補助因子の類似の補充の不安定化の結果となる。これらのファクターのいくつかは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を含み、ホロ−RAR/RXRヘテロ二量体を基礎転写複合体で後に結合することが要求されるクロマチンの脱凝縮を許容して、標的遺伝子発現を惹起する(Xu et al. Curr. Opinion in Genetic and Development 1999 9: 140-147; Robyr et al. Mol. Endocrin. 2000 14: 329-347)。
【0005】
ATRAおよび合成レチノイド受容体リガンドは、多くの発癌動物モデルにおける腫瘍の緩解を促進することが示され、急性前骨髄球性白血病を患っている患者に効力を示している(Chomienne et al. Faseb J 1996 10: 1025-1030; Fenaux et al. Leukemia 2000 14: 1371-1377)。13−シス−レチノイン酸のパクリタキセルまたはシスプラチンおよび/またはインターフェロンαとの組み合わせは、頭部および頚部扁平上皮癌、非小細胞肺癌および前立腺癌の治療のためのフェーズI/II試験に入っている(Gravis et al. Anticancer Drugs 1999 10: 369-374; DiPaola et al. J. Clin. Oncol. 1999 17: 2213-2218)。RARアゴニスト、ALRT1550、AP1の強力な阻害剤もまた、非小細胞肺、甲状腺、腎臓、子宮平滑筋肉腫、前立腺およびアデノイド嚢胞性癌を含む進行癌の15人の患者の不均一な集団におけるフェーズI/II試験に含まれている(Soignet et al. Proc. Annu. Meet. Am. Soc. Clin. Oncol. 1998 17: A826)。
【0006】
パクリタキセルおよびATRAとを組み合わせたシトシンアラビノシドもまた、急性骨髄芽球性白血病の組み合わせ化学療法として提案された。ごく最近、ATRAが乳癌細胞系をパクリタキセルおよびアドリアマイシンの細胞死滅効果に対して過敏にすることが明らかにされている(Wang et al. Cancer Res. 2000 60: 2040-2048)。
【0007】
ATRA、13−シス−レチノイン酸、およびALRT1550はすべて、RAR pan アゴニストであり、それらがα、β、およびγRARイソタイプを標的とし、活性化することを意味する。さらにATRAは、イン シトゥーでpan RARおよびRXRアゴニストである9−シス−RAに変換される。
【0008】
3つのRARイソタイプのRARβ−2イソタイプは、レチノイド化合物の腫瘍抑制効果に関連している。RARβ−2は、RARβ遺伝子プロモーターP2の別のプロモーター用途から生じ(Chambon, P. Sem. In Cell Biol. 1994 5: 115-125)、RARβ発現がレチノイン酸より上方制御され、レチノイン酸の成長抑制効果の根底にある潜在的な標的遺伝子としてRARβ2を置くことを示唆する強いRAREを含む。細胞成長を調節する役割に一致して、F9奇形癌腫細胞におけるRARβ遺伝子不活性化は、レチノイン酸依存性成長停止がなくなる結果となるが(Faria et al. J. Biol. Chem. 1999 274 : 26783-26788)、乳癌細胞におけるPARβの発現を媒介するレトロウイルスは、成長阻害およびアポトーシスの誘発に関してレチノイン酸応答性の強い亢進に関連する(Seewaldt et al. Cell Growth and Differentiation 1995 6: 1077-1088)。これらの知見はレチノイド活性の重要な媒介物としてRARβを強調し、その調節は腫瘍細胞の成長を低下する効果があり得ることを暗示する。
【0009】
しかしながら、乳房および肺の腫瘍を含む癌の開発の早期フェーズ中のRARβ2発現の消失は、報告されている(Widschwendter et al. Cancer Res. 1997 57: 4158-4161)。この消失は、メチル化および/または脱アセチル化によって引き起こされるクロマチンの抑制状態から生じ、遺伝的な変化よりむしろRARβ2プロモーターを不活性化すると信じられている(Arapshian et al. Oncogene 2000 19: 4066-4070)。純粋なRARβアゴニストは細胞増殖に効果がない。
【0010】
対照的に、RARαの発現およびRXRαと同様の−γの発現は、悪性組織においてほとんど変化しない。しかしながら、レチノイド化合物によって引き起こされる主要な毒性として考えられ治療剤としての使用が制限されるレチノイドの粘膜皮膚毒性効果は、RARγ活性と関連している。
【0011】
(発明の概要)
本発明の目的は、癌治療に用いられる相乗的な化学療法剤の組み合わせを提供することである。本発明の1つの態様において、相乗的な組み合わせは、RARα/β選択的アゴニストおよびチュブリン重合剤、好ましくはタキサンのようなBcl−2のリン酸化を増大させる二次的な薬剤からなる。本発明の別の態様において、相乗的な組み合わせは、RAR panアンタゴニストおよびチュブリン重合剤、好ましくはタキサンからなる。
【0012】
本発明の別の目的は、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストと組み合わせて選択される細胞毒性剤を投与することで、腫瘍細胞における細胞毒性を引き起こすことが要求される選択される細胞毒性剤の有効量を低下させることである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、これらの相乗的な化学療法剤の組み合わせで患者の癌を治療する方法を提供することである。一つの態様において、患者にRARα/β選択的アゴニストを、チュブリン重合剤、好ましくはタキサンのようなBcl−2のリン酸化を増大する二次的な剤と組み合わせて投与する。別の態様において、患者にRAR panアンタゴニストを、チュブリン重合剤、好ましくはタキサンと組み合わせて投与する。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、RARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストおよび選択された細胞毒性剤に対して腫瘍細胞の感受性を相乗的に高めることのこれらの使用に関する。
【0015】
本発明の目的のために、用語「RARα/β選択的アゴニスト」は、レチノイン酸受容体のαおよびβイソタイプを活性化する化合物を意味するが、それはγイソタイプの活性化をほとんどまたは全く示さず、または実際には阻害する。本発明に有用な具体的なRARα/β選択的アゴニストは一般的に、式I:
【化1】
[式中、R1は水素またはメチルであり、およびRはシス−CH=CH−C(CH3)3またはシス−CH=CH−C(CH3)2CH2CH3である]
に表される。より特に具体的なRARα/β選択的アゴニストは、式Iaおよび式Ibに表されている:
【化2】
【化3】
式Iaおよびその合成は、WO 00/17147に詳細に記載されており、その技術は本明細書にそのまま引用され、皮膚病の治療において用いられ、抗腫瘍剤として用いられる。この開示を読んで当該技術の当業者に理解されるように、ここで特に例示されているものより他のRARα/β選択的アゴニストもまた、本発明に用いられ得る。例えば、RARαおよびRARβへの選択性を示す別の例示の化合物は、WO 97/48672に記載されている。γイソタイプはほとんどまたは全く活性化を示さないが、レチノイン酸受容体のαおよびβイソタイプを活性化する化合物の能力は、WO 97/48672およびゲヒンらの文献[Gehin et al. Chemistry and Biology 1999 6: 519-529]に記載のような方法に従って、ルーチンで決定され得る。
【0016】
用語「RAR panアンタゴニスト」は、レチノイン酸受容体のα、β、およびγイソタイプを阻害する化合物を意味する。具体的に例示されるRAR panアンタゴニストは、式II:
【化4】
に表されている。この化合物はよく知られた方法に従い、当該技術分野の当業者によってルーチンで合成され得る。この化合物の具体的に例示される合成方法は、実施例2に示されている。さらに、この開示を読んで当該技術分野の当業者に理解されるように、RAR pan拮抗活性を示す他の化合物もまた、用いられ得る。RAR panアンタゴニストの別の例が、WO 97/48672に開示されている。この活性を有する他の化合物はまた、WO 97/48672に記載されているような方法に従い、ルーチンで当該技術分野の当業者に明らかにされている。
【0017】
フリーな酸の形状の他に、式I、Ia、IbおよびIIの化合物の医薬的に許容される塩は、本発明の方法および組成物に有用である。かかる医薬的に許容される塩には、これらに限らないが、ナトリウム、カリウムおよびリチウムのようなアルカリ金属;カルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属;ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジンなどのような有機塩基;およびアルギニン、リジンなどのようなアミノ酸が含まれる。
【0018】
「RAR panアゴニスト」は、レチノイン酸受容体のα、βおよびγイソタイプを活性化する化合物を意味する。RAR panアゴニストの例には、これに限らないが、ATRA、13−シス−レチノイン酸、およびALRT1550が含まれる。RAR panアゴニストは腫瘍の進行を阻害することが報告されているが、これらの治療は、粘膜皮膚毒性効果、頭痛、催奇形、筋骨格毒性、異脂肪血症、皮膚刺激および肝毒性を含む(ただしこれらに限らない)望まない毒性によって制限される。RAR panアゴニストの粘膜皮膚毒性効果は、これらの化合物によって誘発される主要な毒性として考えられており、治療剤としての用途に制限があり、そしてRARγ活性と関連がある。さらに、天然のレチノイドATRAは、イン シトゥーでpan RARおよびRXRアゴニストである9−シス−RAに変換される。ATRA投与に続くRXRの活性化はまた、望まない副作用に関連する。
【0019】
「選択される細胞毒性剤」とは、タキサン、またはタキサンに同様の機構で作用する他の剤を意味する。従って、この用語は、他のチュブリン重合剤を含むことを意味する。また、RARα/β選択的アゴニストからなる相乗的な組成物にとって、この用語はBcl−2リン酸化を増大する他の剤を含むことを意味する。好ましい態様としては、該選択される細胞毒性剤は、パクリタキセルまたはドセタキセルである。
【0020】
本明細書で示されているように、RARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストは、選択される細胞毒性剤と相乗的に作用して、腫瘍細胞の細胞毒性を引き起こすのに要求される選択される細胞毒性剤の有効量を低下する。本発明の1つの態様において、該相乗的な組み合わせは、チュブリン重合剤、好ましくはタキサンのようなBcl−2のリン酸化を増大させる二次的な剤と組み合わせたRARα/β選択的アゴニストからなる。本発明の別の態様において、該相乗的な組み合わせは、RAR panアンタゴニストおよびチュブリン重合剤、好ましくはタキサンからなる。
【0021】
これらの相乗的な組み合わせは、癌治療、および組み合わせの選択される細胞毒性剤に関連する毒性の副作用の低減に効果があると信じられている。さらに、本発明の組み合わせにおけるRARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストの使用は、RAR panアゴニストおよびATRAの投与に続くRARγおよびRXRの活性化に関連する毒性の副作用を除去し、または低減する。従って、本発明はまた、選択される細胞毒性剤と組み合わせて、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストを患者に投与して癌を治療する方法にも関係する。これらの方法において、好ましくはRARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストが、チュブリン重合剤と、最も好ましくはタキサンと組み合わせて投与されることである。あるいは、RARα/β選択的アゴニストには、選択される細胞毒性剤が、Bcl−2のリン酸化を増大させる剤からもなり得る。
【0022】
「癌」は、腫瘍、異常増殖、およびいずれかの他の悪性組織または細胞を含むことを意味する。
【0023】
本発明はまた、選択される細胞毒性剤およびRARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストからなる医薬組成物にも関連する。好ましい態様においては、選択される細胞毒性剤は、チュブリン重合剤、最も好ましくはタキサンからなる。あるいは、RARα/β選択的アゴニストからなる組成物には、選択される細胞毒性剤がBcl−2のリン酸化を増大する剤からもなり得る。
【0024】
本発明の組成物は、単一の医薬的に許容される製剤中の両成分からなり得る。あるいは、該成分は別に製剤化して、互いに組み合わせて投与され得る。当該技術分野の当業者によく知られている医薬的に許容される様々な製剤は、本発明に用いられ得る。本発明に用いられる適当な製剤の選択は、投与の様式および組成物の成分の溶解特性に基づく技術の当業者によって、ルーチンに実施され得る。
【0025】
本発明の目的のため、「組み合わせ」とは、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストが、選択される細胞毒性剤の投与の前に、同時に、または後に投与されることを意味する。好ましい態様において、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストは、選択される細胞毒性剤の前にまたは同時に患者に投与される。本明細書で用いられる用語「同時」または「同時に」とは、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストおよび選択される細胞毒性剤が互いに24時間以内、好ましくは12時間以内、より好ましくは6時間以内および最も好ましくは3時間以内にまたはより少ない時間に投与することを意味する。
【0026】
現存する化学療法剤との組み合わせで投与される場合、細胞成長に相加的なまたは相乗的な結果をもたらすRARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストの能力は、3つの異なるヒト腫瘍細胞系においてまず評価された。細胞成長の阻害は、RAR panアゴニスト(式III参照)、式IaのRARα/β選択的アゴニスト、RARαアゴニスト(式IV参照)、RARβアゴニスト(式V参照)、RARγアゴニスト(式VI参照)、式IIのRAR panアンタゴニストおよびRXR panアゴニスト(式VII参照)のいずれかとパクリタキセルとの共処置した細胞で比較した。式IIIから式VIIの構造は以下に表す。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0027】
表1に示すように、式IaのRARα/β選択的アゴニストは、細胞毒性を引き起こすのに要求されるパクリタキセルの有効量を劇的に低下させた。式Iaの存在下、パクリタキセルのIC50は、MCF7、OVCAR3およびSQCC−Y1細胞においてそれぞれ、8、15および32倍に減少した。これらの値は、式IIIのRAR panアゴニストとのパクリタキセルの組み合わせで得られる値と酷似しており、従ってレチノイドの腫瘍抑制活性におけるRARα/βイソタイプの主要な役割であることを支持した。式IIのRAR panアンタゴニストもまた、細胞毒性を引き起こすのに要求されるパクリタキセルの有効量を低下させた。対照的に、純粋なRARαアゴニスト(式IV)は、パクリタキセルのIC50における2から4倍の減少だけに関連し(表1)、式Iaと比べてRARαに対して低い親和性で一致した。RARβの純粋なアゴニスト(式V)、RAR−γ−選択的アゴニスト(式VI)、または純粋なRXRアゴニスト(式VII)のいずれも、2から3倍以上のパクリタキセル細胞毒性の効果は得られず、従ってパクリタキセルとのRARα/βリガンドの相乗効果が主にRARαによって媒介されるよう示唆された(表1)。しかしながら、1つの例外が、パクリタキセルのIC50を8倍低下させるOVCAR3細胞におけるγ−選択的アゴニストによって表される。
【表1】
【表2】
【0028】
この表において、効力はDMSOと比較した百分率(%)阻害として定義される。すべてのIC50はナノモル値で表される。結果は2〜5個の実験の平均値である。IC50と関連する標準偏差は、10および20%の間で変動する。
【0029】
追加の実験が、選択的なRARα/βアゴニスト、RAR panアンタゴニストまたはATRAの存在下、コロニーを形成するMCF7細胞の能力を比較するために行われた。式Iaの選択的なRARα/βアゴニストの存在下成長したコロニーは、レチノイドの識別効果をはっきりと示した。ビークルであるDMSO処理した細胞は、非常に小さなコロニーを形成し、該細胞は非常に限定された細胞質を示し、コロニーのほとんどは、非常によく描写されるように現れた。対照的に、式IaのRARα/βアゴニストとのMCF7細胞の処置は、コロニーおよび細胞の両方の形態の劇的な変化を生じた。現れたコロニーは分散し、細胞は量が増加し、細胞質を示し、上皮様の構造に組織化される傾向にあった。式IIのRAR panアンタゴニストとのMCF7細胞の処置もまた、コロニー形成に強く障害を与えた。コロニーは2つのはっきりとした細胞の集団で小さなままであり、血漿伸長を示しながら、1つはアポトーシスの、一つは分化の過程であった。さらに、RAR panアンタゴニストのよる3日間のこれらの細胞の前処置で、パクリタキセルへの細胞の感受性が十分に高められた。ATRAもまた、コロニー形成に障害を与えた。しかしながら、RARα/β選択的アゴニストとは対照的に、ATRA処置したコロニーは、イン シトゥーでATRAの9−シス−RAへの転換へのRXR一連の活性を反映すると信じられている高レベルのアポトーシスを示した。
【0030】
これらの剤に共通する単一の伝達の経路において、パクリタキセルおよびRARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストの両方の効果が分析された。これらの実験において、抗アポトーシスタンパク質、Bcl−2、「レチノイドおよびパクリタキセル両方の情報伝達に関係しているタンパク質」の発現レベルおよびリン酸化状態におけるパクリタキセル/レチノイドの共処置の効果は、最初に試験した。パクリタキセルで処置したMCF7細胞は、Bcl−2のリン酸化において用量依存性の増加を示した。選択的α/βアゴニストの該細胞への添加によって、Bcl−2タンパク質レベルの下方制御の結果となり、一方RAR panアンタゴニスト単独ではBcl−2レベルまたはリン酸化における効果はなかった。パクリタキセルの選択的RARアゴニストとの組み合わせで、Bcl−2レベルの下方制御およびリン酸化状態の増大の結果となった。対照的に、パクリタキセルのRAR panアンタゴニストとの組み合わせは、そのレベルを調節することなく、Bcl−2のリン酸化の増大にだけ関与した。これらの結果は、パクリタキセルおよびRARα/β選択的アゴニストの相乗効果が一部、アポトーシス促進性Bax活性の放出、ミトコンドリア膜透過処理およびアポトーシスの誘発を起因するBcl−2の下方制御およびリン酸化のレベルにおける相加効果のためでありうることを示唆するものである。このように、パクリタキセルと類似の方法で、Bcl−2リン酸化を増大する他の剤が、RARα/β選択的アゴニストと共に類似の相乗的活性を示すと信じられている。
【0031】
対照的に、RAR panアンタゴニストは、Bcl−2タンパク質レベルまたはBcl−2のパクリタキセルで引き起こされるリン酸化をもたらさず、従ってチュブリン重合剤(例えば、パクリタキセルおよびレチノイドアンタゴニスト)の間での相乗作用が異なる経路をとりうることが示唆された。
【0032】
チュブリン重合におけるパクリタキセルおよびRARα/βアゴニストまたはRAR panアンタゴニストの組み合わせ効果も分析された。可溶な非重合のチュブリンの貯蔵は、不溶な重合チュブリン貯蔵から分離され、抗αチュブリン抗体を用いてウェスタンブロッティングで分析した。パクリタキセルで引き起こされるチュブリンの用量依存の重合化が観察された。しかしながら、選択的なRARアゴニストまたはアンタゴニストには効果はなかった。さらに、パクリタキセルのいずれかのレチノイド化合物との組み合わせは、パクリタキセル単独の効果を高めなかった。このように、レチノイド化合物は、細胞毒性を引き起こす細胞骨格においてパクリタキセルとの相乗効果は現れない。
【0033】
いくつかの最近の報告に、タキソールで引き起こされるJun−N末端キナーゼ(JNK)活性の刺激について記載されており、c−Junリン酸化の増大を導き、AP1転写複合体の活性の増大に関与している(Lee et al. J. Biol. Chem. 1998 273: 98253-98260; Wang et al. J. Biol. Chem. 1998 273: 4928-2936)。レチノイドもまた、AP1転写活性を調節し、阻害することを示した(Chen et al. EMBO J. 1995 14: 1187-1197)。この状況において、MCF7細胞中のJNKキナーゼ活性およびAP1転写活性におけるパクリタキセルおよびレチノイドの組み合わせ効果が分析された。免疫沈降されたJNKによるc-Junのリン酸化で、パクリタキセルによるMCF7細胞の処置がJNK活性において平均2.5倍の増大を生じ、一方レチノイド化合物単独ではJNK活性には何ら効果を有さないことが示された。対照的に、パクリタキセルのα/β選択的アゴニストとの組み合わせは、酵素活性において最大4倍の増加を生じるパクリタキセルによって引き起こされるJNK活性をわずかに強くした。JNKにおけるこれらの効果はさらに、AP1受容体遺伝子、(AP1)5x−tk−Lucを安定に発現する安定なMCF7細胞系の使用により、転写複合体活性のレベルで分析された。MCF7細胞においてホルボールエステル(PMA)により引き起こされるこのレポーター構成の強い活性は、選択的RARα/βアゴニスト(式Ia)によって用量依存的に阻害され、該レチノイド50nMで最大30〜45%に達した。対照的に、パクリタキセルは、単独での剤として加えられた場合、さらに20%PMAで引き起こされるAP1転写活性で高められた。パクリタキセルのレチノイド化合物との組み合わせは、PMAで引き起こされるコラゲナーゼプロモーター活性におけるパクリタキセル効果を妨げ、パクリタキセルおよびPMAの組み合わせに応じて、AP1転写因子活性の30〜50%阻害の結果となった。このように、パクリタキセルのRARα/β選択的アゴニストとの組み合わせがJun−N末端キナーゼ活性におけるパクリタキセル効果を高めるが、続いて起こるAP1転写活性化から、レチノイド化合物によって引き起こされるAP1の負の交差制御(negative cross-regulation)のために、分離されるようになる。これらの観察は、Bcl−2における効果と共に、これらの剤の強い相乗的細胞毒性効果を基礎とし得る。パクリタキセルの式IIのRAR panアンタゴニストとの組み合わせは、パクリタキセルによって引き起こされるJNK活性を変化させなかった。しかしながら、この組み合わせはパクリタキセル/PMAまたはAP1活性の効果を高めた。
【0034】
以下の実施例(但しこれらに限らない)が、本発明をさらに記述するのに提供される。
【0035】
実施例
実施例1:実験材料
T47D、HT−3、UMSCC−25、MCF−7、OVCAR3、HCT−1 16、およびN−87を含むこれらの実験に用いられる細胞系は、ATCCから得られ、ATCCによって推奨される培地および血清濃度に維持した。H3396細胞系は、ガリグスらの示した方法(Garrigues et al.,Am. J. Pathol. 1993 142: 607-622)に従い入手し、10% FBS(Gibco−BRL)で補充したRPMI中維持した。MDA−PCA.2BおよびSQCC−YIは、アンダーソン癌センター(ヒューストン,テキサス)から入手した。A2780Sおよびそれのp27遺伝子組み換えバリアントA2780p27、HCT−116TYPK(タキソール耐性)およびHCTVM46、SAN−1、M109およびそれのタキソール耐性バリアントM109TX、および薬物耐性に設計されたPAT−7(タキソール耐性)細胞系もまた用いた。すべての細胞毒性剤およびフォルボール12−ミリスチン酸13−酢酸(PNIA)は、シグマ−アルドリッチから購入した。これらの実験に用いられるマウス抗αBcl−2、抗α−チュブリン、および抗ヒトJNK抗体は、バイオソース・インターナショナル・シグマ−アルドリッチおよびBD−ファーミンゲンからそれぞれ購入した。c−jun(1−169)−GST融合タンパク質は、アップステート・バイオテクノロジーから入手した。
【0036】
実施例2:合成RARリガンド
これらの実験で用いられるRARα/β選択的アゴニストおよびRARの合成経路および構造は、図1に概要を表す。ジヒドロナフタレニル化合物である式Ia、式Ibおよび式IIIの合成には、目的のエノールトリフレート1aまたは1bの様々なアセチレンとのソノガシラカップリングが含まれる。化合物2aおよび2bは、3,3−ジメチル−ブチン、ジイソプロピルアミン、ヨウ化銅(I)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドの存在下生成された。同様に、3,3−ジメチル−ペント−1−イン(Van Boom et al. Rec. Trav. Chim. 1965 84:31)は、化合物2cの製造に用いられた。2aおよび2cにおける三重結合は、硫酸バリウム上の10%パラジウムを用いて水素化し、続いてメチルエステル部分でけん化して目的のシス−エチレン誘導体式Iaおよび式Ibを生成した。同様に、式IIIのRAR panアゴニストは、アセチレン化合物2bのけん化によって合成した。
【0037】
式IIのRAR panアンタゴニストである、4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−6−オキソ−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)安息香酸は、図2に概要を示したおよび以下に記載した合成に従って製造した。
【0038】
4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−6−オキソ−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)−安息香酸メチル
4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)−安息香酸メチル(0.181 g, 0.418 mmol)のジオキサン(6 mL)攪拌溶液を、二酸化セレン(0.186 g, 1.672 mmol)で処理し、該混合物を5時間還流した。反応混合物を次いで酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィを用いて、残渣を精製して、表題物質を得た(0.155 g, 83%)。
1H NMR 400 MHZ C6D6δ ppm : 1.69 (6H, s, 2x-CH3), 2.14 (3H, s, -CH3) 6.38 (1H, s, H-7'), 7.03-7.19 (3H, m, 芳香族H), 7.33 (2H, J=8.4 Hz, H-3およびH-5), 7.48-7.49 (2H, m, 芳香族H), 7.59 (1H, d, J=9.1 Hz, 芳香族H), 7.78 (1H, s, 芳香族H), 7.89 (1H, s, 芳香族H), 8.24 (2H, d, J=8.4 Hz, H-2およびH-6)
【0039】
4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−5−オキソ−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)−安息香酸
4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−6−オキソ−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)−安息香酸メチル(0.015 g, 0.034 mmol)のエタノール(2 mL)およびテトラヒドロフラン(2 mL)攪拌溶液を、水酸化ナトリウム水溶液(5N, 0.5 mL)で処理し、混合物を室温で終夜攪拌した。溶媒を次いで蒸発させ、残渣を酢酸エチル(4 mL)で希釈し、1N塩酸水で酸性にした。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。
1H NMR 400 MHZ DMSO-d6δ ppm : 1.59 (6H, s, 2x-CH3), 2.43 (3H, s, -CH3), 6.12 (1H, s, H-7'), 7.35-7.39, 7.46-7.50 (3Hおよび1H, mが3セット, 芳香族H), 7.91 (1H, s, 芳香族H), 7.96-8.04 (5H, m, 芳香族H), 8.09 (1H, d, J=8.6 Hz, 芳香族H), 8.25および8.34 (1Hおよび1H, 2s, 芳香族H)
【0040】
実施例3:分裂促進アッセイ
細胞増殖は、[3H]チミジン取り込みを用いて定量した。細胞は10%ウシ胎児血清(FBS)を含んだ培地の96ウェルプレートにプレートし、終夜接着させた。細胞培地は後日移動し、示された化合物を、10%チャコールストリップした(charcoal stripped)FBS(HyClone)で補充した新鮮な培地に加えた。化合物を含んだ培地は3日間の暴露の後、新しくした。6日間の処理後、4μCi/mlの[3H]チミジン(NENライフ・サイエンス・プロダクツ)を2〜4時間各ウェルに加えた。該細胞は次いで、GF/Bガラスファイバーフィルター上でトリプシン処理および収穫をした。該DNAに組み込まれた[3H]チミジンは、シンチレーショントップカウントカウンター(パッカード)中測定した。結果は、DMSOビークルに対する阻害百分率として表した。IC50は、50%阻害を引き起こす化合物の濃度として定義し、その効力は化合物に応答して得られそしてDMSOと比較される最大阻害に対応した。結果は2〜5の個々の実験の平均値である。
【0041】
実施例4:付着依存性コロニー形成アッセイ
付着依存性コロニーのサイズ、数および形態におけるRAR アゴニストの効果を決定するために、MCF7細胞は、10% FBSで補充したDMEM中6ウェルプレートにプレートし(500細胞/ウェル)、5日間成長させた。該培地は次いで除去し、該化合物を5%チャコールストリップしたFBS(HyClone)で補充した培地に加えた。培地を含んだ化合物は3日後新しくし、培養液をさらに3日間成長させた。6日間化合物に暴露後、コロニーはクリスタルバイオレットで染色した。コロニー面積および数を定量するため、コロニーを数え、コロニーサイズおよび形態の効果を評価するため光学顕微鏡で撮影した。本結果は2つの独立した実験を表している。免疫ブロットするMCF−7細胞可溶化液を、サムブルックらの記述した方法(Sambrook et al. MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y. (1989))に従い、ウェスタンブロッティング用に調製した。細胞可溶化液は、6ウェルプレートの各ウェルにプロテアーゼ阻害剤混合液(ロッシュ)を含んだ溶解緩衝液(200μl,トリス−HCl,pH 6.8,20 mM,EDTA 1mM,NP−40 0.5%)を加えて調製した。該可溶化液は次いで、10,000 rpm,4℃で5分間遠心分離して澄明にし、上清液をラエムリ(Laemmli)サンプル緩衝液で調整し、10または15% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)でプロセシングし、続いてニトロセルロースメンブラン(バイオラド)に移動した。メンブランを標準的な方法でプロセシングし、一次抗体と共に室温で1時間または4℃で終夜インキュベートした。結合抗体は、HRPと共役したヤギ抗IgG二次抗体および化学発光検出システム(ECL,アメルシャム・ファーマシア・バイオテック)を用いて明視化した。
【0042】
実施例5:チュブリン重合化アッセイ
フリーなおよび重合化したチュブリンレベルでレチノイドおよびパクリタキセル暴露の効果は、ギアンナカコウらの記載の方法(Giannakakou et al. J. Biol. Chem. 1997 272 : 17118-17125)に従い決定した。MCF7細胞は、10% FBSで補充したDMEMの6ウェルプレートにプレートし、終夜接着した。細胞培地は後日除去し、示された化合物を、5%のチャコールストリップされたFBS(HyClone)で補充された新鮮な培地に加えた。該細胞をレチノイド化合物に存在下3日間成長させ、次いでパクリタキセルを1時間加えた。可溶なおよび重合したチュブリンは抽出され、各レベルは抗αチュブリン抗体を用いて上述したようにウェスタンブロッティングにより評価した(n=2)。
【0043】
実施例6:AP1レポーターアッセイ
AP1転写活性は、(AP1)5x−tk−Lucレポーター遺伝子(IGBMC,フランス)により安定にトランスフェクションされるMCF7細胞中評価された。(AP1)5xは、直列に5回の繰り返えされたコラゲナーゼ遺伝子AP1応答要素に対応し、tkは最小のチミジンキナーゼプロモーターであり、Lucはルシフェラーゼ遺伝子のコードする一連である。MCF7細胞は、10% FBSで補充されたDMEM中、12ウェルプレートにウェルあたり400,000細胞の容量でプレートし、終夜接着した。翌日、培地を除去し、該細胞をPBSで洗浄し、0.5%のチャコールストリップしたFBS(HyClone)を含むDMEM培地で補充した。24時間後、ATRA、式Iまたは式IIIのRAR pan アゴニスト(0.1,1および50 nMからの範囲の濃度)のない場合または存在下、 パクリタキセル(1μM)と組み合わせる場合または組み合わせない場合で、該細胞を6時間PMA(10 nM)で処置した。ルシフェラーゼ活性は、製造者の推奨に従って、パッカードからのLuc−liteシステムを用いて測定した。結果は、100%活性として評価されるPMA(10 nM)と比較した活性の百分率として表わす。本データは、3つの独立した実験の平均値±sem(平均の標準誤差)である。
【0044】
実施例7:Jun−N末端キナーゼアッセイ
JNKの活性は、小さな修正を加えたコソらの記載の方法(Coso et al. Cell 1995 81 : 1137-1146)に従い測定した。MCF−7細胞を、10% FBSで補充されたDMEM中、6ウェルプレートに、プレートし、終夜接着した。翌日、該細胞は0.5%のチャコールストリップしたFBS(HyClone)で補充したDMEMに切り替え、100 nMの示されたレチノイドまたは0.1% DMSOを24時間細胞に加え、次いでさらに2〜3時間、1μMのパクリタキセルの存在下インキュベートした。細胞可溶化液は、記載されたように各ウェルから調製し、遠心分離機によって澄明にした。JNKは、4℃で終夜、1μgの抗hJNK(ファーミンゲン)および予め溶解緩衝液で洗浄した25μlのGタンパク質アガロースビーズ(Gibco−BRL)と共に、インキュベートして、各可溶化液から免疫沈降された。免疫複合体は、4℃、10,000 rpmで2分間遠心沈降することでペレットにし、1%のNP40および2 mMのNa3VO4を含むPBSで3回、100 mMのトリス−HCl(pH 7.5)、0.5 mMのLiClで1回、キナーゼ反応緩衝液(KRB:12.5 mM MOPS pH7.5,12.5 mM β−グリセロールホスフェート, 7.5 mM MgCl2, 0.5 mM EGTA, 0.5 mM NaF, 0.5 mM Na3VO4)で1回洗浄した。キナーゼアッセイは、5μCi[ガンマ−33P]ATP(NENライフ・サイエンス・プロダクツ)、10μMコールドATP、3.3 mM DTTおよび2μgのGST−c−Jun(1−169)融合タンパク質を含む30μlのKRB中のビーズを再懸濁して、30℃で30分間行った。キナーゼ反応は、オートラジオグラフィーにより明視化したおよびデンシトメトリーにより定量した10% SDS−PAGEおよびリン酸化したGST−c−Junによって分割した10μlのラエムリ(Laemmli)サンプル緩衝液を加えて終結した。結果は平均値±3つの個々の実験のsemを表す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明において有用な具体的に例示されるRARα/β選択的アゴニストの合成反応式を提供する。
【図2】図2は、本発明において有用な具体的に例示されるRAR panアンタゴニストの合成反応式を提供する。
(関連出願)
本出願は、米国仮出願(第60/277,754号,2001年3月22日出願)の35章119(e)条に基づく優先権の利益を要求するものである。
【0002】
(技術分野)
本発明は、レチノイン酸受容体(RAR)リガンド、特にα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストがタキサンのようなチュブリン重合剤と組み合わせて投与される、癌治療の化学療法的戦略に関する。本明細書に示したように、RARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストはまた効果的な抗癌剤であり、RARγおよび天然のレチノイドを活性化するRAR panアゴニスト(例えば、RARγおよびRXRを活性化するすべてのトランスレチノイン酸)と比較して、毒性の低下を示す。さらに、RARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストは、チュブリン重合剤、特にタキサンと相乗的に作用し、腫瘍細胞系の広範囲な細胞毒性を引き起こすのに要求されるタキサンの有効量を劇的に低下させる。RARα/β選択的アゴニストとの相乗効果は、JNKおよびAP1の活性と同様に、Bcl−2発現/リン酸化の効果に一部関連すると信じられている。従って、RARα/β選択的アゴニストとの同様の相乗効果もまた、Bcl−2のリン酸化を増大する他の薬剤と共に期待されている。
【0003】
(背景技術)
レチノイド化合物は、胎児期および成人期の両方の間、広範囲な生理的機能を媒介するビタミンAの生物学的な活性誘導体である(Vitamin A in Health and Disease. Ed. Blomhoff, Institute for Nutrition Research, University of Oslo, Oslo Norway, 1994; Kastner et al. Cell 1995 83: 859-869; Giguere et al. Ann. N. Y. Acad. Sci. 1996 785: 12-22)。天然のレチノイド化合物はまず、すべてのトランスレチノイン酸(ATRA)および9−シスレチノイン酸からなり、不可逆的な酸化によってビタミンAから生ずる(Vitamin A in Health and Disease. Ed. Blomhoff, Institute for Nutrition Research, University of Oslo, Oslo Norway, 1994; Napli, J. L. Faseb J. 1996 10: 993-1001)。さらに、多重合成のリガンドが、天然のリガンドの多くの生物学的な特性を保持してデザインされてきている。
【0004】
細胞レベルにおいて、レチノイドリガンドは、広範囲な正常および悪性細胞の両方の細胞増殖、分化およびアポトーシスを調節し得る(Vitamin A in Health and Disease. Ed. Blomhoff, Institute for Nutrition Research, University of Oslo, Oslo Norway, 1994; Lotan, R. Sem. in Cancer Biol. 1991 2: 197-208 ; Love, J. M. and Gudas, L. J. Curr. Opinion in Cell Biol. 1994 6: 825-831; Lotan, R. Faseb J. 1996 10: 1031-1039; and Fitzgerald et al. Cancer Res. 1997 57: 2642-2650)。レチノイド化合物の生物活性は、核受容体、レチノイン酸受容体(RAR)およびレチノイドX受容体(RXR)の2つの分類で媒介される。RARおよびRXRの両方の分類は、別々の遺伝子でエンコードされるα、βおよびγで示す3つのイソタイプからなる(Chambon, P. Sem. in Cell Biol. 1994 5: 115-125 ; Chambon, P. Faseb J. 1996 10: 940-954)。RARおよびRXRは、核ホルモン受容体(NHR)スーパーファミリーの一員であり、リガンド依存性転写因子として作用し、それらはRAR/RXRヘテロ二量体錯体として、特定のレチノイド応答成分(RARE)DNA配列[それらは、共通配列PuG(G/A)(T/A)CA(n)1−5PuG(G/T)TCAの直接の繰り返しからなる]に結合することで標的遺伝子発現を調節できる(Gronemeyer, H., and Moras, D. Nature 1995 375: 190-191)。RAR/RXRヘテロ二量体の活性は、抑圧的または刺激的であり得、それぞれアポ−(非リガンド性)またはホロ−(リガンド結合性)構造に依存する。RAR/RXRヘテロ二量体のアポ構造は、タンパク質相互作用干渉を許容して、凝縮・転写に不活性な構造においてクロマチンを共に維持して、標的遺伝子発現を抑制するNCORおよびヒストンデアセチラーゼの補充を含む大きな補抑制物質多タンパク質複合体形成を惹起する許容的な構造である(Xu et al. Curr. Opinion in Genetic and Development 1999 9: 140-147; Hu, X. and Lazar, M. A. Trends in Endocrin. and Metab. 2000 11: 6-10; Robyr et al. Mol. Endocrin. 2000 14: 329-347)。対照的に、アゴニストリガンドのRARへの結合は、ドメイン(LBD ; Renaud et al. Nature 1995 378: 681-689)に結合するリガンドの構造的な転移に関係し、p160タンパク質ファミリー、CBP/p300および多タンパク質複合体TRAP/DRIP/ARCを含む補抑制物質複合体および活性化補助因子の類似の補充の不安定化の結果となる。これらのファクターのいくつかは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を含み、ホロ−RAR/RXRヘテロ二量体を基礎転写複合体で後に結合することが要求されるクロマチンの脱凝縮を許容して、標的遺伝子発現を惹起する(Xu et al. Curr. Opinion in Genetic and Development 1999 9: 140-147; Robyr et al. Mol. Endocrin. 2000 14: 329-347)。
【0005】
ATRAおよび合成レチノイド受容体リガンドは、多くの発癌動物モデルにおける腫瘍の緩解を促進することが示され、急性前骨髄球性白血病を患っている患者に効力を示している(Chomienne et al. Faseb J 1996 10: 1025-1030; Fenaux et al. Leukemia 2000 14: 1371-1377)。13−シス−レチノイン酸のパクリタキセルまたはシスプラチンおよび/またはインターフェロンαとの組み合わせは、頭部および頚部扁平上皮癌、非小細胞肺癌および前立腺癌の治療のためのフェーズI/II試験に入っている(Gravis et al. Anticancer Drugs 1999 10: 369-374; DiPaola et al. J. Clin. Oncol. 1999 17: 2213-2218)。RARアゴニスト、ALRT1550、AP1の強力な阻害剤もまた、非小細胞肺、甲状腺、腎臓、子宮平滑筋肉腫、前立腺およびアデノイド嚢胞性癌を含む進行癌の15人の患者の不均一な集団におけるフェーズI/II試験に含まれている(Soignet et al. Proc. Annu. Meet. Am. Soc. Clin. Oncol. 1998 17: A826)。
【0006】
パクリタキセルおよびATRAとを組み合わせたシトシンアラビノシドもまた、急性骨髄芽球性白血病の組み合わせ化学療法として提案された。ごく最近、ATRAが乳癌細胞系をパクリタキセルおよびアドリアマイシンの細胞死滅効果に対して過敏にすることが明らかにされている(Wang et al. Cancer Res. 2000 60: 2040-2048)。
【0007】
ATRA、13−シス−レチノイン酸、およびALRT1550はすべて、RAR pan アゴニストであり、それらがα、β、およびγRARイソタイプを標的とし、活性化することを意味する。さらにATRAは、イン シトゥーでpan RARおよびRXRアゴニストである9−シス−RAに変換される。
【0008】
3つのRARイソタイプのRARβ−2イソタイプは、レチノイド化合物の腫瘍抑制効果に関連している。RARβ−2は、RARβ遺伝子プロモーターP2の別のプロモーター用途から生じ(Chambon, P. Sem. In Cell Biol. 1994 5: 115-125)、RARβ発現がレチノイン酸より上方制御され、レチノイン酸の成長抑制効果の根底にある潜在的な標的遺伝子としてRARβ2を置くことを示唆する強いRAREを含む。細胞成長を調節する役割に一致して、F9奇形癌腫細胞におけるRARβ遺伝子不活性化は、レチノイン酸依存性成長停止がなくなる結果となるが(Faria et al. J. Biol. Chem. 1999 274 : 26783-26788)、乳癌細胞におけるPARβの発現を媒介するレトロウイルスは、成長阻害およびアポトーシスの誘発に関してレチノイン酸応答性の強い亢進に関連する(Seewaldt et al. Cell Growth and Differentiation 1995 6: 1077-1088)。これらの知見はレチノイド活性の重要な媒介物としてRARβを強調し、その調節は腫瘍細胞の成長を低下する効果があり得ることを暗示する。
【0009】
しかしながら、乳房および肺の腫瘍を含む癌の開発の早期フェーズ中のRARβ2発現の消失は、報告されている(Widschwendter et al. Cancer Res. 1997 57: 4158-4161)。この消失は、メチル化および/または脱アセチル化によって引き起こされるクロマチンの抑制状態から生じ、遺伝的な変化よりむしろRARβ2プロモーターを不活性化すると信じられている(Arapshian et al. Oncogene 2000 19: 4066-4070)。純粋なRARβアゴニストは細胞増殖に効果がない。
【0010】
対照的に、RARαの発現およびRXRαと同様の−γの発現は、悪性組織においてほとんど変化しない。しかしながら、レチノイド化合物によって引き起こされる主要な毒性として考えられ治療剤としての使用が制限されるレチノイドの粘膜皮膚毒性効果は、RARγ活性と関連している。
【0011】
(発明の概要)
本発明の目的は、癌治療に用いられる相乗的な化学療法剤の組み合わせを提供することである。本発明の1つの態様において、相乗的な組み合わせは、RARα/β選択的アゴニストおよびチュブリン重合剤、好ましくはタキサンのようなBcl−2のリン酸化を増大させる二次的な薬剤からなる。本発明の別の態様において、相乗的な組み合わせは、RAR panアンタゴニストおよびチュブリン重合剤、好ましくはタキサンからなる。
【0012】
本発明の別の目的は、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストと組み合わせて選択される細胞毒性剤を投与することで、腫瘍細胞における細胞毒性を引き起こすことが要求される選択される細胞毒性剤の有効量を低下させることである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、これらの相乗的な化学療法剤の組み合わせで患者の癌を治療する方法を提供することである。一つの態様において、患者にRARα/β選択的アゴニストを、チュブリン重合剤、好ましくはタキサンのようなBcl−2のリン酸化を増大する二次的な剤と組み合わせて投与する。別の態様において、患者にRAR panアンタゴニストを、チュブリン重合剤、好ましくはタキサンと組み合わせて投与する。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、RARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストおよび選択された細胞毒性剤に対して腫瘍細胞の感受性を相乗的に高めることのこれらの使用に関する。
【0015】
本発明の目的のために、用語「RARα/β選択的アゴニスト」は、レチノイン酸受容体のαおよびβイソタイプを活性化する化合物を意味するが、それはγイソタイプの活性化をほとんどまたは全く示さず、または実際には阻害する。本発明に有用な具体的なRARα/β選択的アゴニストは一般的に、式I:
【化1】
[式中、R1は水素またはメチルであり、およびRはシス−CH=CH−C(CH3)3またはシス−CH=CH−C(CH3)2CH2CH3である]
に表される。より特に具体的なRARα/β選択的アゴニストは、式Iaおよび式Ibに表されている:
【化2】
【化3】
式Iaおよびその合成は、WO 00/17147に詳細に記載されており、その技術は本明細書にそのまま引用され、皮膚病の治療において用いられ、抗腫瘍剤として用いられる。この開示を読んで当該技術の当業者に理解されるように、ここで特に例示されているものより他のRARα/β選択的アゴニストもまた、本発明に用いられ得る。例えば、RARαおよびRARβへの選択性を示す別の例示の化合物は、WO 97/48672に記載されている。γイソタイプはほとんどまたは全く活性化を示さないが、レチノイン酸受容体のαおよびβイソタイプを活性化する化合物の能力は、WO 97/48672およびゲヒンらの文献[Gehin et al. Chemistry and Biology 1999 6: 519-529]に記載のような方法に従って、ルーチンで決定され得る。
【0016】
用語「RAR panアンタゴニスト」は、レチノイン酸受容体のα、β、およびγイソタイプを阻害する化合物を意味する。具体的に例示されるRAR panアンタゴニストは、式II:
【化4】
に表されている。この化合物はよく知られた方法に従い、当該技術分野の当業者によってルーチンで合成され得る。この化合物の具体的に例示される合成方法は、実施例2に示されている。さらに、この開示を読んで当該技術分野の当業者に理解されるように、RAR pan拮抗活性を示す他の化合物もまた、用いられ得る。RAR panアンタゴニストの別の例が、WO 97/48672に開示されている。この活性を有する他の化合物はまた、WO 97/48672に記載されているような方法に従い、ルーチンで当該技術分野の当業者に明らかにされている。
【0017】
フリーな酸の形状の他に、式I、Ia、IbおよびIIの化合物の医薬的に許容される塩は、本発明の方法および組成物に有用である。かかる医薬的に許容される塩には、これらに限らないが、ナトリウム、カリウムおよびリチウムのようなアルカリ金属;カルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属;ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジンなどのような有機塩基;およびアルギニン、リジンなどのようなアミノ酸が含まれる。
【0018】
「RAR panアゴニスト」は、レチノイン酸受容体のα、βおよびγイソタイプを活性化する化合物を意味する。RAR panアゴニストの例には、これに限らないが、ATRA、13−シス−レチノイン酸、およびALRT1550が含まれる。RAR panアゴニストは腫瘍の進行を阻害することが報告されているが、これらの治療は、粘膜皮膚毒性効果、頭痛、催奇形、筋骨格毒性、異脂肪血症、皮膚刺激および肝毒性を含む(ただしこれらに限らない)望まない毒性によって制限される。RAR panアゴニストの粘膜皮膚毒性効果は、これらの化合物によって誘発される主要な毒性として考えられており、治療剤としての用途に制限があり、そしてRARγ活性と関連がある。さらに、天然のレチノイドATRAは、イン シトゥーでpan RARおよびRXRアゴニストである9−シス−RAに変換される。ATRA投与に続くRXRの活性化はまた、望まない副作用に関連する。
【0019】
「選択される細胞毒性剤」とは、タキサン、またはタキサンに同様の機構で作用する他の剤を意味する。従って、この用語は、他のチュブリン重合剤を含むことを意味する。また、RARα/β選択的アゴニストからなる相乗的な組成物にとって、この用語はBcl−2リン酸化を増大する他の剤を含むことを意味する。好ましい態様としては、該選択される細胞毒性剤は、パクリタキセルまたはドセタキセルである。
【0020】
本明細書で示されているように、RARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストは、選択される細胞毒性剤と相乗的に作用して、腫瘍細胞の細胞毒性を引き起こすのに要求される選択される細胞毒性剤の有効量を低下する。本発明の1つの態様において、該相乗的な組み合わせは、チュブリン重合剤、好ましくはタキサンのようなBcl−2のリン酸化を増大させる二次的な剤と組み合わせたRARα/β選択的アゴニストからなる。本発明の別の態様において、該相乗的な組み合わせは、RAR panアンタゴニストおよびチュブリン重合剤、好ましくはタキサンからなる。
【0021】
これらの相乗的な組み合わせは、癌治療、および組み合わせの選択される細胞毒性剤に関連する毒性の副作用の低減に効果があると信じられている。さらに、本発明の組み合わせにおけるRARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストの使用は、RAR panアゴニストおよびATRAの投与に続くRARγおよびRXRの活性化に関連する毒性の副作用を除去し、または低減する。従って、本発明はまた、選択される細胞毒性剤と組み合わせて、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストを患者に投与して癌を治療する方法にも関係する。これらの方法において、好ましくはRARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストが、チュブリン重合剤と、最も好ましくはタキサンと組み合わせて投与されることである。あるいは、RARα/β選択的アゴニストには、選択される細胞毒性剤が、Bcl−2のリン酸化を増大させる剤からもなり得る。
【0022】
「癌」は、腫瘍、異常増殖、およびいずれかの他の悪性組織または細胞を含むことを意味する。
【0023】
本発明はまた、選択される細胞毒性剤およびRARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストからなる医薬組成物にも関連する。好ましい態様においては、選択される細胞毒性剤は、チュブリン重合剤、最も好ましくはタキサンからなる。あるいは、RARα/β選択的アゴニストからなる組成物には、選択される細胞毒性剤がBcl−2のリン酸化を増大する剤からもなり得る。
【0024】
本発明の組成物は、単一の医薬的に許容される製剤中の両成分からなり得る。あるいは、該成分は別に製剤化して、互いに組み合わせて投与され得る。当該技術分野の当業者によく知られている医薬的に許容される様々な製剤は、本発明に用いられ得る。本発明に用いられる適当な製剤の選択は、投与の様式および組成物の成分の溶解特性に基づく技術の当業者によって、ルーチンに実施され得る。
【0025】
本発明の目的のため、「組み合わせ」とは、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストが、選択される細胞毒性剤の投与の前に、同時に、または後に投与されることを意味する。好ましい態様において、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストは、選択される細胞毒性剤の前にまたは同時に患者に投与される。本明細書で用いられる用語「同時」または「同時に」とは、RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストおよび選択される細胞毒性剤が互いに24時間以内、好ましくは12時間以内、より好ましくは6時間以内および最も好ましくは3時間以内にまたはより少ない時間に投与することを意味する。
【0026】
現存する化学療法剤との組み合わせで投与される場合、細胞成長に相加的なまたは相乗的な結果をもたらすRARα/β選択的アゴニストおよびRAR panアンタゴニストの能力は、3つの異なるヒト腫瘍細胞系においてまず評価された。細胞成長の阻害は、RAR panアゴニスト(式III参照)、式IaのRARα/β選択的アゴニスト、RARαアゴニスト(式IV参照)、RARβアゴニスト(式V参照)、RARγアゴニスト(式VI参照)、式IIのRAR panアンタゴニストおよびRXR panアゴニスト(式VII参照)のいずれかとパクリタキセルとの共処置した細胞で比較した。式IIIから式VIIの構造は以下に表す。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0027】
表1に示すように、式IaのRARα/β選択的アゴニストは、細胞毒性を引き起こすのに要求されるパクリタキセルの有効量を劇的に低下させた。式Iaの存在下、パクリタキセルのIC50は、MCF7、OVCAR3およびSQCC−Y1細胞においてそれぞれ、8、15および32倍に減少した。これらの値は、式IIIのRAR panアゴニストとのパクリタキセルの組み合わせで得られる値と酷似しており、従ってレチノイドの腫瘍抑制活性におけるRARα/βイソタイプの主要な役割であることを支持した。式IIのRAR panアンタゴニストもまた、細胞毒性を引き起こすのに要求されるパクリタキセルの有効量を低下させた。対照的に、純粋なRARαアゴニスト(式IV)は、パクリタキセルのIC50における2から4倍の減少だけに関連し(表1)、式Iaと比べてRARαに対して低い親和性で一致した。RARβの純粋なアゴニスト(式V)、RAR−γ−選択的アゴニスト(式VI)、または純粋なRXRアゴニスト(式VII)のいずれも、2から3倍以上のパクリタキセル細胞毒性の効果は得られず、従ってパクリタキセルとのRARα/βリガンドの相乗効果が主にRARαによって媒介されるよう示唆された(表1)。しかしながら、1つの例外が、パクリタキセルのIC50を8倍低下させるOVCAR3細胞におけるγ−選択的アゴニストによって表される。
【表1】
【表2】
【0028】
この表において、効力はDMSOと比較した百分率(%)阻害として定義される。すべてのIC50はナノモル値で表される。結果は2〜5個の実験の平均値である。IC50と関連する標準偏差は、10および20%の間で変動する。
【0029】
追加の実験が、選択的なRARα/βアゴニスト、RAR panアンタゴニストまたはATRAの存在下、コロニーを形成するMCF7細胞の能力を比較するために行われた。式Iaの選択的なRARα/βアゴニストの存在下成長したコロニーは、レチノイドの識別効果をはっきりと示した。ビークルであるDMSO処理した細胞は、非常に小さなコロニーを形成し、該細胞は非常に限定された細胞質を示し、コロニーのほとんどは、非常によく描写されるように現れた。対照的に、式IaのRARα/βアゴニストとのMCF7細胞の処置は、コロニーおよび細胞の両方の形態の劇的な変化を生じた。現れたコロニーは分散し、細胞は量が増加し、細胞質を示し、上皮様の構造に組織化される傾向にあった。式IIのRAR panアンタゴニストとのMCF7細胞の処置もまた、コロニー形成に強く障害を与えた。コロニーは2つのはっきりとした細胞の集団で小さなままであり、血漿伸長を示しながら、1つはアポトーシスの、一つは分化の過程であった。さらに、RAR panアンタゴニストのよる3日間のこれらの細胞の前処置で、パクリタキセルへの細胞の感受性が十分に高められた。ATRAもまた、コロニー形成に障害を与えた。しかしながら、RARα/β選択的アゴニストとは対照的に、ATRA処置したコロニーは、イン シトゥーでATRAの9−シス−RAへの転換へのRXR一連の活性を反映すると信じられている高レベルのアポトーシスを示した。
【0030】
これらの剤に共通する単一の伝達の経路において、パクリタキセルおよびRARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストの両方の効果が分析された。これらの実験において、抗アポトーシスタンパク質、Bcl−2、「レチノイドおよびパクリタキセル両方の情報伝達に関係しているタンパク質」の発現レベルおよびリン酸化状態におけるパクリタキセル/レチノイドの共処置の効果は、最初に試験した。パクリタキセルで処置したMCF7細胞は、Bcl−2のリン酸化において用量依存性の増加を示した。選択的α/βアゴニストの該細胞への添加によって、Bcl−2タンパク質レベルの下方制御の結果となり、一方RAR panアンタゴニスト単独ではBcl−2レベルまたはリン酸化における効果はなかった。パクリタキセルの選択的RARアゴニストとの組み合わせで、Bcl−2レベルの下方制御およびリン酸化状態の増大の結果となった。対照的に、パクリタキセルのRAR panアンタゴニストとの組み合わせは、そのレベルを調節することなく、Bcl−2のリン酸化の増大にだけ関与した。これらの結果は、パクリタキセルおよびRARα/β選択的アゴニストの相乗効果が一部、アポトーシス促進性Bax活性の放出、ミトコンドリア膜透過処理およびアポトーシスの誘発を起因するBcl−2の下方制御およびリン酸化のレベルにおける相加効果のためでありうることを示唆するものである。このように、パクリタキセルと類似の方法で、Bcl−2リン酸化を増大する他の剤が、RARα/β選択的アゴニストと共に類似の相乗的活性を示すと信じられている。
【0031】
対照的に、RAR panアンタゴニストは、Bcl−2タンパク質レベルまたはBcl−2のパクリタキセルで引き起こされるリン酸化をもたらさず、従ってチュブリン重合剤(例えば、パクリタキセルおよびレチノイドアンタゴニスト)の間での相乗作用が異なる経路をとりうることが示唆された。
【0032】
チュブリン重合におけるパクリタキセルおよびRARα/βアゴニストまたはRAR panアンタゴニストの組み合わせ効果も分析された。可溶な非重合のチュブリンの貯蔵は、不溶な重合チュブリン貯蔵から分離され、抗αチュブリン抗体を用いてウェスタンブロッティングで分析した。パクリタキセルで引き起こされるチュブリンの用量依存の重合化が観察された。しかしながら、選択的なRARアゴニストまたはアンタゴニストには効果はなかった。さらに、パクリタキセルのいずれかのレチノイド化合物との組み合わせは、パクリタキセル単独の効果を高めなかった。このように、レチノイド化合物は、細胞毒性を引き起こす細胞骨格においてパクリタキセルとの相乗効果は現れない。
【0033】
いくつかの最近の報告に、タキソールで引き起こされるJun−N末端キナーゼ(JNK)活性の刺激について記載されており、c−Junリン酸化の増大を導き、AP1転写複合体の活性の増大に関与している(Lee et al. J. Biol. Chem. 1998 273: 98253-98260; Wang et al. J. Biol. Chem. 1998 273: 4928-2936)。レチノイドもまた、AP1転写活性を調節し、阻害することを示した(Chen et al. EMBO J. 1995 14: 1187-1197)。この状況において、MCF7細胞中のJNKキナーゼ活性およびAP1転写活性におけるパクリタキセルおよびレチノイドの組み合わせ効果が分析された。免疫沈降されたJNKによるc-Junのリン酸化で、パクリタキセルによるMCF7細胞の処置がJNK活性において平均2.5倍の増大を生じ、一方レチノイド化合物単独ではJNK活性には何ら効果を有さないことが示された。対照的に、パクリタキセルのα/β選択的アゴニストとの組み合わせは、酵素活性において最大4倍の増加を生じるパクリタキセルによって引き起こされるJNK活性をわずかに強くした。JNKにおけるこれらの効果はさらに、AP1受容体遺伝子、(AP1)5x−tk−Lucを安定に発現する安定なMCF7細胞系の使用により、転写複合体活性のレベルで分析された。MCF7細胞においてホルボールエステル(PMA)により引き起こされるこのレポーター構成の強い活性は、選択的RARα/βアゴニスト(式Ia)によって用量依存的に阻害され、該レチノイド50nMで最大30〜45%に達した。対照的に、パクリタキセルは、単独での剤として加えられた場合、さらに20%PMAで引き起こされるAP1転写活性で高められた。パクリタキセルのレチノイド化合物との組み合わせは、PMAで引き起こされるコラゲナーゼプロモーター活性におけるパクリタキセル効果を妨げ、パクリタキセルおよびPMAの組み合わせに応じて、AP1転写因子活性の30〜50%阻害の結果となった。このように、パクリタキセルのRARα/β選択的アゴニストとの組み合わせがJun−N末端キナーゼ活性におけるパクリタキセル効果を高めるが、続いて起こるAP1転写活性化から、レチノイド化合物によって引き起こされるAP1の負の交差制御(negative cross-regulation)のために、分離されるようになる。これらの観察は、Bcl−2における効果と共に、これらの剤の強い相乗的細胞毒性効果を基礎とし得る。パクリタキセルの式IIのRAR panアンタゴニストとの組み合わせは、パクリタキセルによって引き起こされるJNK活性を変化させなかった。しかしながら、この組み合わせはパクリタキセル/PMAまたはAP1活性の効果を高めた。
【0034】
以下の実施例(但しこれらに限らない)が、本発明をさらに記述するのに提供される。
【0035】
実施例
実施例1:実験材料
T47D、HT−3、UMSCC−25、MCF−7、OVCAR3、HCT−1 16、およびN−87を含むこれらの実験に用いられる細胞系は、ATCCから得られ、ATCCによって推奨される培地および血清濃度に維持した。H3396細胞系は、ガリグスらの示した方法(Garrigues et al.,Am. J. Pathol. 1993 142: 607-622)に従い入手し、10% FBS(Gibco−BRL)で補充したRPMI中維持した。MDA−PCA.2BおよびSQCC−YIは、アンダーソン癌センター(ヒューストン,テキサス)から入手した。A2780Sおよびそれのp27遺伝子組み換えバリアントA2780p27、HCT−116TYPK(タキソール耐性)およびHCTVM46、SAN−1、M109およびそれのタキソール耐性バリアントM109TX、および薬物耐性に設計されたPAT−7(タキソール耐性)細胞系もまた用いた。すべての細胞毒性剤およびフォルボール12−ミリスチン酸13−酢酸(PNIA)は、シグマ−アルドリッチから購入した。これらの実験に用いられるマウス抗αBcl−2、抗α−チュブリン、および抗ヒトJNK抗体は、バイオソース・インターナショナル・シグマ−アルドリッチおよびBD−ファーミンゲンからそれぞれ購入した。c−jun(1−169)−GST融合タンパク質は、アップステート・バイオテクノロジーから入手した。
【0036】
実施例2:合成RARリガンド
これらの実験で用いられるRARα/β選択的アゴニストおよびRARの合成経路および構造は、図1に概要を表す。ジヒドロナフタレニル化合物である式Ia、式Ibおよび式IIIの合成には、目的のエノールトリフレート1aまたは1bの様々なアセチレンとのソノガシラカップリングが含まれる。化合物2aおよび2bは、3,3−ジメチル−ブチン、ジイソプロピルアミン、ヨウ化銅(I)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドの存在下生成された。同様に、3,3−ジメチル−ペント−1−イン(Van Boom et al. Rec. Trav. Chim. 1965 84:31)は、化合物2cの製造に用いられた。2aおよび2cにおける三重結合は、硫酸バリウム上の10%パラジウムを用いて水素化し、続いてメチルエステル部分でけん化して目的のシス−エチレン誘導体式Iaおよび式Ibを生成した。同様に、式IIIのRAR panアゴニストは、アセチレン化合物2bのけん化によって合成した。
【0037】
式IIのRAR panアンタゴニストである、4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−6−オキソ−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)安息香酸は、図2に概要を示したおよび以下に記載した合成に従って製造した。
【0038】
4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−6−オキソ−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)−安息香酸メチル
4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)−安息香酸メチル(0.181 g, 0.418 mmol)のジオキサン(6 mL)攪拌溶液を、二酸化セレン(0.186 g, 1.672 mmol)で処理し、該混合物を5時間還流した。反応混合物を次いで酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィを用いて、残渣を精製して、表題物質を得た(0.155 g, 83%)。
1H NMR 400 MHZ C6D6δ ppm : 1.69 (6H, s, 2x-CH3), 2.14 (3H, s, -CH3) 6.38 (1H, s, H-7'), 7.03-7.19 (3H, m, 芳香族H), 7.33 (2H, J=8.4 Hz, H-3およびH-5), 7.48-7.49 (2H, m, 芳香族H), 7.59 (1H, d, J=9.1 Hz, 芳香族H), 7.78 (1H, s, 芳香族H), 7.89 (1H, s, 芳香族H), 8.24 (2H, d, J=8.4 Hz, H-2およびH-6)
【0039】
4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−5−オキソ−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)−安息香酸
4−(5,6−ジヒドロ−5,5−ジメチル−6−オキソ−8−(3−メチル−フェニル)−アントラセン−2−イル)−安息香酸メチル(0.015 g, 0.034 mmol)のエタノール(2 mL)およびテトラヒドロフラン(2 mL)攪拌溶液を、水酸化ナトリウム水溶液(5N, 0.5 mL)で処理し、混合物を室温で終夜攪拌した。溶媒を次いで蒸発させ、残渣を酢酸エチル(4 mL)で希釈し、1N塩酸水で酸性にした。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。
1H NMR 400 MHZ DMSO-d6δ ppm : 1.59 (6H, s, 2x-CH3), 2.43 (3H, s, -CH3), 6.12 (1H, s, H-7'), 7.35-7.39, 7.46-7.50 (3Hおよび1H, mが3セット, 芳香族H), 7.91 (1H, s, 芳香族H), 7.96-8.04 (5H, m, 芳香族H), 8.09 (1H, d, J=8.6 Hz, 芳香族H), 8.25および8.34 (1Hおよび1H, 2s, 芳香族H)
【0040】
実施例3:分裂促進アッセイ
細胞増殖は、[3H]チミジン取り込みを用いて定量した。細胞は10%ウシ胎児血清(FBS)を含んだ培地の96ウェルプレートにプレートし、終夜接着させた。細胞培地は後日移動し、示された化合物を、10%チャコールストリップした(charcoal stripped)FBS(HyClone)で補充した新鮮な培地に加えた。化合物を含んだ培地は3日間の暴露の後、新しくした。6日間の処理後、4μCi/mlの[3H]チミジン(NENライフ・サイエンス・プロダクツ)を2〜4時間各ウェルに加えた。該細胞は次いで、GF/Bガラスファイバーフィルター上でトリプシン処理および収穫をした。該DNAに組み込まれた[3H]チミジンは、シンチレーショントップカウントカウンター(パッカード)中測定した。結果は、DMSOビークルに対する阻害百分率として表した。IC50は、50%阻害を引き起こす化合物の濃度として定義し、その効力は化合物に応答して得られそしてDMSOと比較される最大阻害に対応した。結果は2〜5の個々の実験の平均値である。
【0041】
実施例4:付着依存性コロニー形成アッセイ
付着依存性コロニーのサイズ、数および形態におけるRAR アゴニストの効果を決定するために、MCF7細胞は、10% FBSで補充したDMEM中6ウェルプレートにプレートし(500細胞/ウェル)、5日間成長させた。該培地は次いで除去し、該化合物を5%チャコールストリップしたFBS(HyClone)で補充した培地に加えた。培地を含んだ化合物は3日後新しくし、培養液をさらに3日間成長させた。6日間化合物に暴露後、コロニーはクリスタルバイオレットで染色した。コロニー面積および数を定量するため、コロニーを数え、コロニーサイズおよび形態の効果を評価するため光学顕微鏡で撮影した。本結果は2つの独立した実験を表している。免疫ブロットするMCF−7細胞可溶化液を、サムブルックらの記述した方法(Sambrook et al. MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y. (1989))に従い、ウェスタンブロッティング用に調製した。細胞可溶化液は、6ウェルプレートの各ウェルにプロテアーゼ阻害剤混合液(ロッシュ)を含んだ溶解緩衝液(200μl,トリス−HCl,pH 6.8,20 mM,EDTA 1mM,NP−40 0.5%)を加えて調製した。該可溶化液は次いで、10,000 rpm,4℃で5分間遠心分離して澄明にし、上清液をラエムリ(Laemmli)サンプル緩衝液で調整し、10または15% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)でプロセシングし、続いてニトロセルロースメンブラン(バイオラド)に移動した。メンブランを標準的な方法でプロセシングし、一次抗体と共に室温で1時間または4℃で終夜インキュベートした。結合抗体は、HRPと共役したヤギ抗IgG二次抗体および化学発光検出システム(ECL,アメルシャム・ファーマシア・バイオテック)を用いて明視化した。
【0042】
実施例5:チュブリン重合化アッセイ
フリーなおよび重合化したチュブリンレベルでレチノイドおよびパクリタキセル暴露の効果は、ギアンナカコウらの記載の方法(Giannakakou et al. J. Biol. Chem. 1997 272 : 17118-17125)に従い決定した。MCF7細胞は、10% FBSで補充したDMEMの6ウェルプレートにプレートし、終夜接着した。細胞培地は後日除去し、示された化合物を、5%のチャコールストリップされたFBS(HyClone)で補充された新鮮な培地に加えた。該細胞をレチノイド化合物に存在下3日間成長させ、次いでパクリタキセルを1時間加えた。可溶なおよび重合したチュブリンは抽出され、各レベルは抗αチュブリン抗体を用いて上述したようにウェスタンブロッティングにより評価した(n=2)。
【0043】
実施例6:AP1レポーターアッセイ
AP1転写活性は、(AP1)5x−tk−Lucレポーター遺伝子(IGBMC,フランス)により安定にトランスフェクションされるMCF7細胞中評価された。(AP1)5xは、直列に5回の繰り返えされたコラゲナーゼ遺伝子AP1応答要素に対応し、tkは最小のチミジンキナーゼプロモーターであり、Lucはルシフェラーゼ遺伝子のコードする一連である。MCF7細胞は、10% FBSで補充されたDMEM中、12ウェルプレートにウェルあたり400,000細胞の容量でプレートし、終夜接着した。翌日、培地を除去し、該細胞をPBSで洗浄し、0.5%のチャコールストリップしたFBS(HyClone)を含むDMEM培地で補充した。24時間後、ATRA、式Iまたは式IIIのRAR pan アゴニスト(0.1,1および50 nMからの範囲の濃度)のない場合または存在下、 パクリタキセル(1μM)と組み合わせる場合または組み合わせない場合で、該細胞を6時間PMA(10 nM)で処置した。ルシフェラーゼ活性は、製造者の推奨に従って、パッカードからのLuc−liteシステムを用いて測定した。結果は、100%活性として評価されるPMA(10 nM)と比較した活性の百分率として表わす。本データは、3つの独立した実験の平均値±sem(平均の標準誤差)である。
【0044】
実施例7:Jun−N末端キナーゼアッセイ
JNKの活性は、小さな修正を加えたコソらの記載の方法(Coso et al. Cell 1995 81 : 1137-1146)に従い測定した。MCF−7細胞を、10% FBSで補充されたDMEM中、6ウェルプレートに、プレートし、終夜接着した。翌日、該細胞は0.5%のチャコールストリップしたFBS(HyClone)で補充したDMEMに切り替え、100 nMの示されたレチノイドまたは0.1% DMSOを24時間細胞に加え、次いでさらに2〜3時間、1μMのパクリタキセルの存在下インキュベートした。細胞可溶化液は、記載されたように各ウェルから調製し、遠心分離機によって澄明にした。JNKは、4℃で終夜、1μgの抗hJNK(ファーミンゲン)および予め溶解緩衝液で洗浄した25μlのGタンパク質アガロースビーズ(Gibco−BRL)と共に、インキュベートして、各可溶化液から免疫沈降された。免疫複合体は、4℃、10,000 rpmで2分間遠心沈降することでペレットにし、1%のNP40および2 mMのNa3VO4を含むPBSで3回、100 mMのトリス−HCl(pH 7.5)、0.5 mMのLiClで1回、キナーゼ反応緩衝液(KRB:12.5 mM MOPS pH7.5,12.5 mM β−グリセロールホスフェート, 7.5 mM MgCl2, 0.5 mM EGTA, 0.5 mM NaF, 0.5 mM Na3VO4)で1回洗浄した。キナーゼアッセイは、5μCi[ガンマ−33P]ATP(NENライフ・サイエンス・プロダクツ)、10μMコールドATP、3.3 mM DTTおよび2μgのGST−c−Jun(1−169)融合タンパク質を含む30μlのKRB中のビーズを再懸濁して、30℃で30分間行った。キナーゼ反応は、オートラジオグラフィーにより明視化したおよびデンシトメトリーにより定量した10% SDS−PAGEおよびリン酸化したGST−c−Junによって分割した10μlのラエムリ(Laemmli)サンプル緩衝液を加えて終結した。結果は平均値±3つの個々の実験のsemを表す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明において有用な具体的に例示されるRARα/β選択的アゴニストの合成反応式を提供する。
【図2】図2は、本発明において有用な具体的に例示されるRAR panアンタゴニストの合成反応式を提供する。
Claims (20)
- a)選択される細胞毒性剤;およびb)RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストを、治療が必要な患者に投与することからなる患者における癌の治療方法。
- 選択される細胞毒性剤がチュブリン重合剤である、請求項1の方法。
- 選択される細胞毒性剤がタキサンである、請求項1の方法。
- 選択される細胞毒性剤がパクリタキセルである、請求項1の方法。
- RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストが選択される細胞毒性剤の前にまたは同時に患者に投与される、請求項1の方法。
- a)Bcl−2のリン酸化を増大するのに選択される細胞毒性剤;およびb)RARα/β選択的アゴニストを投与することからなる、請求項1の方法。
- RARα/β選択的アゴニストが式Iaおよび式Ib並びにその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1の方法。
- RAR panアンタゴニストが式IIおよびその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1の方法。
- a)選択される細胞毒性剤;およびb)RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストを腫瘍細胞に投与することからなる、腫瘍細胞における細胞毒性を引き起こすのに要求される選択される細胞毒性剤の有効量を低下させる方法。
- 選択される細胞毒性剤がチュブリン重合剤である、請求項9の方法。
- 選択される細胞毒性剤がタキサンである、請求項9の方法。
- 選択される細胞毒性剤がパクリタキセルである、請求項9の方法。
- RARα/β選択的アゴニストが式Iaおよび式Ib並びにその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項9の方法。
- RAR panアンタゴニストが式IIおよびその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項9の方法。
- a)Bcl−2のリン酸化を増大するのに選択される細胞毒性剤;およびb)RARα/β選択的アゴニストを投与することからなる、請求項9の方法。
- a)選択される細胞毒性剤;およびb)RARα/β選択的アゴニストまたはRAR panアンタゴニストからなる医薬組成物。
- 選択される細胞毒性剤がチュブリン重合剤である、請求項16の医薬組成物。
- 選択される細胞毒性剤がタキサンである、請求項16の医薬組成物。
- a)Bcl−2のリン酸化を増大するのに選択される細胞毒性剤;およびb)RARα/β選択的アゴニストからなる、請求項16の医薬組成物。
- 式IIの化合物またはその医薬的に許容される塩。
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