JP2004527240A - 癌細胞の増殖を調節するのに有用なポリヌクレオチド - Google Patents

癌細胞の増殖を調節するのに有用なポリヌクレオチド Download PDF

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Abstract

本発明は、癌細胞の増殖を調節する新規なタンパク質に関する。本発明のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質は、異常な細胞増殖の悪性の程度を決定できる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、癌細胞の増殖を調節する新規タンパク質に関する。以下に記載の配列番号4、配列番号5又は配列番号9の配列をもつポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質によって、異常増殖細胞の悪性度を測定できる。
【背景技術】
【0002】
癌は、世界中で主要な健康問題である。癌の発見及び治療においてこの数年間に著しい進歩がなされているが、現在、癌の予防及び治療のためのワクチンもその他の普遍的治療方法も存在しない。病気の管理は、できるだけ早い診断と積極的な治療、例えば外科手術、放射線療法、化学療法又はホルモン療法などの種々の基本原理の組み合わせを必要とする。ある一定の癌についての治療の展開
(evolution)は、腫瘍特異マーカーの分析からなる予後のパラメーターを基にして選択される場合が多い。しかし、確証されたマーカーの使用は、多数の癌患者に認められ続けている解釈困難な結果及び増大した死亡率を招く場合が多い。
【0003】
乳癌及び前立腺癌は、最も頻繁に生じる悪性腫瘍である。米国では毎年400,000件もの新規症例が診断され、その病気で毎年約100,000人の男女が亡くなっている〔Harris et al.,New Eng. J. Med., (1992),327, 319, 390 and 473〕。
【0004】
これらの病気は、おそらくは10個以下の限定された数の遺伝子の突然変異を伴う多数の因子のプロセス中に生じることが認められる。これらの遺伝子の突然変異は、変化及び組織の細胞の成長の変化と増殖の調節の変化を引き起こし、細胞が正常な細胞制御とは関係なく成長し、転移を形成し且つ免疫監視機構から逃れることを可能にする。乳癌及び前立腺癌に関与する遺伝子群は、これらの種類の腫瘍に極めて特異的であり得る。特に、ホルモン反応(response)(エストロゲン、プロゲステロン又はテストステロンのクラスの受容体及びリガンド)に関係する遺伝子の突然変異が特に重要である。なぜならば、突然変異は、おそらく細胞をこれらのホルモンの抗腫瘍効果に対して抵抗性にすることによって細胞の増殖を促進するからである。
【0005】
また、成長因子、シグナル伝達分子及び転写因子をコードする遺伝子の変化が頻繁に関与し、しかもそれ自体が腫瘍の発育及び進行に関与する変化を有する〔King,Nature Genetics(1992),2.125〕。
【0006】
今日まで、解決されていない問題は、ヒトの腫瘍細胞において細胞の分化をもたらす不可逆的な方法で生じる遺伝子発現の変化の本質である。それにもかかわらず、この情報は、分子レベルで、ヒトの前立腺癌及び乳癌細胞の成長及び分化に関わる遺伝子発現の調節の概略(diagram)の定義するのに極めて重要である。従って、最終分化の不可逆的ランデブー(rendezvous)に関わる遺伝子配列の同定について差し迫った必要性が存在する。
【0007】
つい最近、本出願人は以前に以下に記載の発明を所有した際に、配列番号4の配列を、この配列によってコードされ得るタンパク質の活性について示すことなく、Genbankのデータベースにアクセス番号AK000755及び識別番号7021039として開示した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、配列番号5のポリヌクレオチド配列を有する単離ポリヌクレオチドを目的とする。また、本発明は、配列番号5のポリヌクレオチド配列を有する前記の単離ポリヌクレオチドの配列に相補的な配列を有するアンチセンスポリヌクレオチドを目的とする。
【0009】
また、本発明は、配列番号5のポリヌクレオチド配列の断片の少なくとも一つを有する単離ポリヌクレオチドであって、該単離ポリヌクレオチドが細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有するポリペプチドをコードするようなものである単離ポリヌクレオチドに関する。特に、本発明は、配列番号9のヌクレオチド配列をもつ単離ポリヌクレオチド又は配列番号9のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列をもつ単離ポリヌクレオチドに関する。
【0010】
さらにまた、本発明は、配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドであって、細胞増殖の調節に関係したタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ペプチドを目的とする。前記の単離ペプチドは、細胞増殖の調節に関係したタンパク質に特有の免疫活性をもつ断片を有することが好ましい。
【0011】
特に、本発明は、位置420の塩基(メチオニンをコードする開始コドンATG)と位置861の塩基(停止コドンUAA)の間に含まれる配列番号5のポリヌクレオチド配列をもつポリヌクレオチド断片、すなわち配列番号9のポリヌクレオチド配列(以下に記載する)によってコードされる配列番号8の配列(以下に記載する)をもつタンパク質に関する。
【0012】
本発明はまた、配列番号5のポリヌクレオチド配列の断片又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列の断片の少なくとも一つを有する単離ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターであって、前記の単離ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有するものである発現ベクターに関する。同様に、本発明は前記の発現ベクターを用いて形質転換又は移入された宿主細胞に関する。
【0013】
また、本発明は、前記のような単離ペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片、特に配列番号8の配列をもつタンパク質を特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0014】
さらにまた、本発明は、医薬としての単離ポリペプチドであって、配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドに関する。特に、前記断片は、配列番号9のヌクレオチド配列をもつポリヌクレオチドによってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる断片、すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質であることができる。同様に、本発明は、医薬としての単離ポリペプチドであって、配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドに関する。
【0015】
また、本発明は、医薬としてのモノクロナール抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号4又は配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるかあるいは配列番号4又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0016】
特に、本発明は、医薬としてのモノクロナール抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号9のヌクレオチド配列をもつポリヌクレオチドによってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチド(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質)を特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0017】
さらにまた、本発明は医薬組成物であって、
− 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
− 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片
を含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドを含有し、さらに製薬学的に許容し得る賦形剤を含有してなる医薬組成物に関する。
【0018】
特に、本発明は、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質)と、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤とを含有してなる医薬組成物を目的とする。
【0019】
あるいは、本発明の医薬組成物は、配列番号4又は配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるかあるいは配列番号4又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片を含有する。該組成物はさらに1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤を含有する。
【0020】
特に、発明は、モノクロナール抗体又はその抗原結合断片を含有してなる医薬組成物であって、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質)を特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片と、製薬学的に許容し得る賦形剤とを含有してなる医薬組成物に関する。
【0021】
好ましい態様によれば、前記の医薬組成物はまた免疫応答活性化剤(それは補助剤であり得る)を含有してなる。
【0022】
本発明の別の目的は、増殖性の病気を治療する医薬を調製するための単離ポリペプチドの使用であって、
− 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
− 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片
を含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドの使用である。
【0023】
特に、本発明は、増殖性の病気を治療する医薬を調製するための単離ポリペプチドの使用であって、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチド(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質)と、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤との使用に関する。
【0024】
本発明の別の目的は、増殖性の病気を治療する医薬を調製するための単離ポリヌクレオチドの使用であって、
− 配列番号5のポリヌクレオチド配列、又は
− 配列番号4のポリヌクレオチド配列、又は
− 配列番号9のポリヌクレオチド配列、
を含有する単離ポリヌクレオチドの使用である。
【0025】
使用する前記の単離ポリヌクレオチドは、配列番号4、配列番号5又は配列番号9のポリヌクレオチド配列をもつポリヌクレオチドからなることが好ましい。
【0026】
使用する前記の単離ポリヌクレオチドは、ウイルスベクター中に存在させることが好ましく、前記ウイルスベクターは例えばアデノウイルス、複合(combined)アデノウイルス、レトロウイルス及びポックスウイルスからなる群から選択される。
【0027】
また、本発明によれば、モノクロナール抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号4又は配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるかあるいは配列番号4又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片は、増殖性の病気を治療する医薬を製造するのに使用できる。
【0028】
特に、モノクロナール抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号9のポリヌクレオチドによってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質を特異的に結合するモノクロナール抗体又はその抗原結合断片)は、増殖性の病気を治療する医薬を製造するのに使用できる。
【0029】
前記の使用の好ましい態様によれば、前記のポリペプチド又はポリヌクレオチドで治療すべき増殖性の病気は癌である。さらに好ましい態様によれば、癌は前立腺癌、乳癌、肺癌及び大腸癌からなる群から選択される。
【0030】
また、本発明は、患者の腫瘍が悪性であるか否かを調べる方法であって、患者から得られた腫瘍試料において、少なくとも、
− 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
− 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片
を含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドの濃度を測定することからなる患者の腫瘍が悪性であるか否かを調べる方法を提供する。
【0031】
特に、前記の患者の腫瘍が悪性であるか否かを調べる方法は、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチドの濃度(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質の濃度)を対象とすることができる。
【0032】
前記の方法の好ましい態様によれば、前記の方法は、前記の腫瘍試料を、前記の単離ペプチド〔特に、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチド(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質の濃度)〕を特異的に認識するモノクロナール抗体と接触させることからなる。
【0033】
また、本発明は、患者の腫瘍が悪性であるか否かを測定する方法であって、患者から得られた生物学的試料において、少なくとも、
− 配列番号5 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列をもつポリヌクレオチド、あるいは、
− ポリヌクレオチドであってそのヌクレオチド配列が配列番号5又は配列番号4の断片であり且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドをコードする断片であるポリヌクレオチド
の濃度を測定することからなる患者の腫瘍が悪性であるか否かを測定する方法に関する。
【0034】
特に、前記の方法は、患者から得られた生物学的試料において、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチドの濃度(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質の濃度)を測定することからなる。
【0035】
この最後の方法の好ましい態様によれば、前記の方法は、
(a) 腫瘍試料のRNA分子からcDNA分子を調製し、次いで、
(b)前記ポリペプチドの少なくとも一部分をコードすることができるcDNA分子を特異的に増幅する
ことからなる。
【0036】
また、本発明は、癌に冒された患者における病気の進行又は退縮を監視する方法であって、次の工程:すなわち、
(a) 患者から得られた生物学的試料において、少なくとも:
− 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
− 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片
を含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドの濃度を、ある一定の時間にわたって選択される時間間隔で反復して測定し、且つ
(b) ある一定の時間にわたって上記の(a)で測定された濃度を比較する
ことからなる癌に冒された患者における病気の進行又は退縮を監視する方法を提供する。
【0037】
特に、前記の癌に冒された患者における病気の進行又は退行を監視する方法は、その工程(a)においては、患者から得られた生物学的試料において、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチドの濃度(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質の濃度)をある一定の時間にわたって選択される時間間隔で反復して測定することからなる。
【0038】
前記の方法の工程(a)は、前記の生物学的試料の一部を前記のポリペプチド(特に配列番号8の配列をもつタンパク質)を特異的に認識するモノクロナー抗体と接触させることが好ましい。また、前記の方法の好ましい態様によれば、患者から得られる生物学的試料は腫瘍の一部である。
【0039】
さらにまた、本発明によれば、癌に冒された患者における病気の進行又は退行を監視する別の方法は、次の工程:すなわち、
(a) 患者から得られた生物学的試料において、少なくとも:
− 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
− 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片
を含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドをコードするRNAの濃度を、ある一定の時間にわたって選択される時間間隔で反復して測定し、且つ
(b) ある一定の時間にわたって上記の(a)で測定された濃度を比較する
ことからなる。
【0040】
特に、前記の癌に冒された患者における病気の進行又は退行を監視する方法は、その工程(a)に、患者から得られた生物学的試料において、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチドをコードするRNAの濃度
(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質をコードするRNAの濃度)をある一定の時間にわたって選択される時間間隔で反復して測定することを含む。
【0041】
前記の監視方法の好ましい態様によれば、工程(a)は、
(i) 前記の生物学的中のRNA分子からcDNA分子を調製し、次いで、
(ii)前記ポリペプチドの少なくとも一部分をコードすることができるcDNA分子を特異的に増幅することからなることが好ましい。
【0042】
前記の測定方法及び/又は監視方法は全て、医者が得られた結果を分析した後に、関係する患者の腫瘍の重さ及び/又は進行又は退縮について診断を正確に表すことを可能にするツールである。
【0043】
さらにまた、本発明は、増殖性の病気の診断用キットであって、
(1) 配列番号5又は配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるかあるいは配列番号5又は配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを含有する単離ポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体、
(2) 上記の(1)に記載のモノクロナール抗体又は上記の(1)に記載の単離ポリペプチドに結合する第二のモノクロナール抗体又はその断片(但し、前記の第二のモノクロナール抗体は標識部分を結合しているものである)
から構成される増殖性の病気の診断用キットを目的とする。
【0044】
前記の増殖性の病気の診断用キットは、配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の断片が配列番号9のポリヌクレオチド配列によって エラー! リンクが正しくありません。か又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチド(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質)であるように選択される。
【0045】
前記の診断キットの標識部分は、放射性同位元素、蛍光性基、発光性基、酵素、ビオチン及び染色性粒子からなる群の中から選択することが好ましい。
【0046】
さらにまた、本発明は、配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号5のポリヌクレオチド配列の相補的配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドの製造方法であって、次の連続する工程:すなわち、
(a) 前記のポリペプチドの発現を得るのに適した条件下で、配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを用いて形質転換又は移入された宿主細胞を培養し、次いで、
(b) 得られた宿主細胞の培養物から前記ポリペプチドを単離する
ことからなる前記単離ポリペプチドの製造方法を提供する。
【0047】
特に、前記の方法は、配列番号9のポリヌクレオチド配列によって エラー! リンクが正しくありません。か又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチドの製造(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質の製造)を目的とする。
【0048】
本発明はまた、細胞の成長及び/又は分化を調節できる化合物の同定方法であって、次の連続する工程:すなわち、
(a) それぞれの候補化合物を、少なくとも、
− 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
− 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、
を含有し且つ細胞の成長及び/又は分化の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドと、前記の候補化合物が前記ポリプチドを結合するのに十分な条件及び時間で接触させ、次いで、
(b) それぞれの候補化合物と前記ポリペプチドの結合を検出し且つ前記の候補化合物の中から細胞の成長及び/又は分化を調節できる化合物を同定する
ことからなる細胞の成長及び/又は分化を調節できる化合物の同定方法を提供する。
【0049】
特に、前記の細胞の成長及び/又は分化を調節できる化合物の同定方法は、その工程(a)において、それぞれの候補化合物を、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9の配列の相補的配列によってコードされる単離ポリペプチド(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質)と、前記の候補化合物が前記ポリプチドを結合するのに十分な条件及び時間で接触させることからなる。
【0050】
細胞の成長及び/又は分化を調節できる化合物の別の同定方法は、次の連続する工程:すなわち、
(a) それぞれの候補化合物を、少なくとも、
− 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
− 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、
を含有し且つ細胞の成長及び/又は分化の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドを発現できる細胞と、前記の候補化合物と前記細胞とが相互作用するのに十分な条件及び時間で接触させ、次いで、
(b) それぞれの候補化合物の前記ポリペプチドの細胞濃度に対する影響を測定し且つ前記の候補化合物の中から細胞の成長及び/又は分化を調節できる化合物を同定する、ことからなる。
【0051】
特に、前記の別の方法は、その工程(a)において、それぞれの候補化合物を、配列番号9のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号9の配列の相補的配列によってコードされる単離ポリペプチドを発現できる細胞(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質を発現できる細胞)と、前記の候補化合物と前記細胞が相互作用するのに十分な条件及び時間で、接触させることからなる。
【0052】
前記の細胞の成長及び/又は分化を調節できる化合物の同定方法の好ましい態様によれば、候補化合物はコンビナトリアルケミストリープログラムに由来する小さな分子のライブラリーによってもたらされる。
【0053】
また、本発明は、内因性プロモーター又は分化に関連するタンパク質の調節要素を含有するポリヌクレオチドであって、前記タンパク質が配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる配列を含有するものであるポリヌクレオチドに関する。
【0054】
さらにまた、本発明は、内因性プロモーター又は分化に関連するタンパク質の調節要素の制御下にある標識遺伝子を含有するポリヌクレオチドであって、前記タンパク質が配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる配列を含有するものであるポリヌクレオチドに関する。同様に、本発明は、この最後のポリヌクレオチドを用いて形質転換又は移入された細胞に関する。
【0055】
さらにまた、本発明は、細胞増殖の調節に関連するタンパク質の発現を調節できる化合物の同定方法であって、次の連続する工程:すなわち、
(a) それぞれの候補化合物を、細胞増殖の調節に関連するタンパク質の内因性プロモーター又は調節要素の制御下にある標識遺伝子を含有するポリヌクレオチドであって前記タンパク質が配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる配列を含有するものであるポリヌクレオチドを用いて形質転換又は移入された細胞と、それぞれの候補化合物がそのプロモーター又は調節要素と相互作用するのに十分な条件及び時間で接触させ、次いで、
(b) 前記の細胞によって産生された標識タンパク質の濃度に対するそれぞれの化合物の効果を測定し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質の発現を調節できる化合物を同定する
ことからなる細胞増殖の調節に関連するタンパク質の発現を調節できる化合物の同定方法に関する。
【0056】
前記の細胞増殖の調節に関連するタンパク質の発現を調節できる化合物の同定方法の好ましい態様によれば、候補化合物はコンビナトリアルケミストリープログラムに由来する小さな分子のライブラリーによってもたらされる。
【0057】
本発明のポリヌクレオチド 及び ポリペプチドについて得られた製薬学的性質は、前記ポリヌクレオチド及びポリペプチドを医薬用途に適したものにする。実際、前記の単離ポリペプチドは、少なくとも、
− 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
− 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、
を含有しする単離ポリペプチドであって、細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチド及び該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明に従って癌患者に投与して、その腫瘍の発育を遅らせるか又は前記腫瘍を退縮させることができる。
【0058】
前記の方法において、細胞の増殖又は分化の調節に関連するタンパク質、特に配列番号9のポリヌクレオチド配列によって エラー! リンクが正しくありません。か又は配列番号9のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされる単離ポリペプチド(すなわち、配列番号8の配列をもつタンパク質)であり得る。
【0059】
前記の種々の要素は、本発明の種々の態様についての詳細な説明を読むと、当業者には明らかになるであろう。
【0060】
本発明の種々の態様についての詳細な説明
前記のように、本発明は、一般的には細胞の成長を調節し且つ癌を治療する物質(product)及び方法に関する。本発明は、部分的には、細胞増殖の調節に関連するポリペプチド及びポリヌクレオチド配列である“細胞増殖の調節に関連する配列”の同定に基づく。細胞の分化に関連するmRNAは、対応する未分化細胞よりも分化細胞においてより高い濃度(level)で存在する(すなわち、mRNAの濃度は少なくとも2倍高い)mRNAである。細胞の分化に関連するcDNA分子は、細胞の分化に関連するmRNAに対応する配列(及び/又は相補的配列)である。
【0061】
かかるcDNA分子は、RNA又はmRNAの調製物から逆転写法などの標準的な方法を使用して調製できる。同様に、細胞の分化に関連するタンパク質又はポリペプチドは、細胞の分化に関連するmRNAによってコードされる配列を含有する。
【0062】
本明細書に記載の医薬組成物は、ポリペプチド、核酸配列及び/又は抗体の1種又はそれ以上を含有することができる。本発明のポリペプチドとしては、細胞増殖の調節に関連するタンパク質又はその変異体の少なくとも一部が挙げられる。る。本発明の核酸配列としては、かかるポリペプチドの一部を少なくともコードするか又はかかるコード配列に相補的なDNA又はRNA配列が挙げられる。
【0063】
前記の抗体は、免疫系のタンパク質又はその抗原結合断片であり、これらは前記のポリプチドの一部分を結合できるものである。
【0064】
また、組成物は、細胞増殖の調節に関連する遺伝子の発現を調節する薬剤の1種又はそれ以上を含有することができる。
【0065】
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド及びタンパク質
特に、本発明は、配列番号4、配列番号5又は配列番号9の配列をもつポリヌクレオチド及び配列番号8の配列ををもつポリペプチド又はタンパク質を目的とする。
【0066】
本発明はまた、前記のポリヌクレオチド配列、特に配列番号4、配列番号5及び配列番号9の配列に対して少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%場合によっては95%の相同性をもつポリヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドからなる。これはまた、必要な変更を加えて、本発明の一部をなすその他のポリヌクレオチド、ポリペプチド及びタンパク質、特に配列番号8の配列をもつタンパク質に適用される。
【0067】
本発明は、単離ポリヌクレオチド又はポリペプチドを目的とする。ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、その起源の環境から取り出された場合に“単離された”という。特に、ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、天然系に共存する生物学的材料から分離された場合に単離される。
【0068】
本発明によれば、本発明のポリペプチド又はタンパク質、及びこれらのポリペプチド又はタンパク質の断片又は融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、適当な宿主細胞中で、これらのポリペプチド又はタンパク質、あるいはこれらの部分の発現を制御する組換えDNAの分子を生成させるのに使用できる。また、本発明のポリヌクレオチド配列の種々の部分とハイブリダイズするポリヌクレオチドは、核酸ハイブリダイゼーション試験、サザンブロット、ノーザンブロットなどにも使用できる。
【0069】
遺伝暗号の縮重により、本発明のポリペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列を実質的にコードする他のDNA配列あh、前記のポリペプチド又はタンパク質のクローニング及び発現に使用できる。かかるDNA配列としては、幾つかの方法で調整できるある種のストリンジェンシー条件下で、本発明のリヌクレオチドのポリヌクレオチド配列をハイブリダイズできるDNA配列が挙げられる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)中に、プライマーがマトリックスにハイブリダイズする温度又は反応緩衝液中のMgCl2の濃度は、調整することができる。放射線標識DNAの断片、又は膜をプローブするためのオリゴヌクレオチドの使用中に、前記のストリンジェンシーは、洗浄液のイオン強度を変化させることによって又は洗浄温度を注意深く制御することによって調節することができる。
【0070】
本発明は、特に、配列番号4、配列番号5及び配列番号9のポリヌクレオチドと少なくとも75%の相同性を示すポリヌクレオチドからなる。%で表示される相同性の程度は次のようにして算出される:
100 − 100 × (N´/N)
但し、N´は配列番号4、配列番号5又は配列番号9の配列について修飾されたヌクレオチドの個数を表し且つNは配列番号4、配列番号5又は配列番号9のヌクレオチドの個数を表す。
【0071】
かかる相同性のヌクレオチド配列は、ストリンジェントな条件下で配列番号4、配列番号5又は配列番号9の配列に相補的な配列と特異的にハイブリダイズする。ストリンジェンシー条件を規定するパラメーターは、対合鎖の50%が分離する温度(Tm)に依存する。
【0072】
30個を越える塩基からなる配列について及びSambrookら(Molecular cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, NY, 1989)によれば、Tmは下記の関係式によって定義される:
Tm=81.5+0.41×(G+Cの%)+16.6×log[カチオン]−0.63×(ホルムアミド%)−(600/塩基の個数)
本発明に関して、ストリンジェンシー条件は、Tmよりも10℃低いハイブリダイゼーション温度 及び 溶液6×SSC(0.9M塩化ナトリウム及び0.09Mクエン酸ナトリウム)を含有するハイブリダイゼーション緩衝液を使用した場合に“強い”と呼ばれる。かかる条件下で、非特異的ポリヌクレオチド配列は、配列番号4、配列番号5又は配列番号9の配列に相補的な配列とハイブリダイズしない。
【0073】
本発明に従って使用できる改変されたDNA配列は、遺伝子又は均等の機能をもつ同じ遺伝子産物をコードする配列をもたらす種々のヌクレオチド残基の欠失、付加又は置換を含む。前記の遺伝子産物はまた、本発明のタンパク質の配列のアミノ酸残基の欠失、付加又は置換を含むことができ、従って均等の機能をもつポリペプチド及びタンパク質を生成するサイレントと呼ばれる変化をもたらす。
【0074】
かかるアミノ酸の置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性に基づいて行われる。
【0075】
例えば、負荷電アミノ酸としてはアスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ、正荷電アミノ酸としてはリシン及びアルギニンが挙げられ、近似する疎水性値をもつ極性基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、バリン;グリシン、アラニン;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;フェニルアラニン、チロシンが挙げられる。
【0076】
本発明のDNA配列は、限定されない方法での改変であって遺伝子産物のプロセス及び発現を部分変更する改変を含めた多くの理由から、本発明のポリヌクレオチド配列を改変するために修飾できる。例えば、突然変異は、当業者に周知の方法、例えば方向付けられた突然変異誘発、新規な制限部位の挿入、グリコシル化、リン酸化の改変などを使用して誘導できる。
【0077】
特に、酵母などのある種の発現系では、宿主細胞は、遺伝子産物を過剰グリコシル化できる。かかる系においては、前記のポリヌクレオチド配列を改変してグリコシル化部位を除去することが好ましい。本発明の開示の範囲内で、融合タンパク質をコードするための異種配列に連結された部分変性ポリヌクレオチド配列もまた図に示す。前記の融合タンパク質は修飾されて、本発明のタンパク質の配列(例えば、配列番号8の配列)と前記の異種タンパク質の配列との間に配置された切断部位を、本発明のタンパク質の配列が前記の異種部分から切断され得るように含有すことができる。
【0078】
細胞増殖の調節に関連するポリヌクレオチド
本明細書に記載の細胞増殖に関連するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドあるいはその部分又は変異体は、本発明によって保護される。かかるポリヌクレオチドは、一本鎖(コーディング又はアンチセンス)又は二本鎖であり得るし、またDNA(ゲノムDNA、cDNA又は合成DNA)分子又はRNA分子であり得る。
【0079】
分化に関連するポリヌクレオチドは、当業者が利用できる方法を使用して調製できる。例えば、かかるポリヌクレオチドは、ヒトの細胞又は組織から調製されるcDNAからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅できる。このアプローチについては、特異的プライマーを設計できるし、また取り寄せ又は合成できる:これらのプライマーは前記のポリヌクレオチドの配列に基づいている。次いで、増幅された部分を使用して、どんな種類の細胞か又はどんな種類の組織か、それが正常か、腫瘍か又は分化しているかにかかわらずヒトゲノムDNAバンクから又はcDNAバンクから完全な遺伝子を、当業者に周知の方法及び以下に簡単に記載した方法により単離できる。別法として、完全な遺伝子は、数種のPCR断片から組み立てることができる。分化に関連するタンパク質をコードするcDNA分子又はその部分は、例えば細胞又は組織のmRNAから得られるcDNAバンクをスクリーニングすることによって調製することもできる。かかるライブラリーは、商業的に入手できるし又は標準方法を使用して調製できる(Sambrook et al.,Molecular cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, NY, 1989 参照)。
【0080】
別法として、当業者に周知の別のスクリーニング方法を使用できる。
【0081】
分化に関連するcDNA分子は、標準的な酵素法、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、Sequenase X (US Biochemical Corp.製、米国オハイオ州クリーブランド所在)、Taqポリメラーゼ (Perkin Elmer製、米国カリフォルニア州Foster City所在)、熱安定性ポリメラーゼT7 (Amersham製、米国イリノイ州シカゴ所在)又は複数の組換えポリメラーゼの組み合わせ、及び再読み取り(rereading)活性をもつエキソヌクレアーゼ、例えばElongase 増幅系(Gibco BRL製、米国メリーランド州Gaithersburg所在)を使用することによって配列決定できる。自動配列決定装置は、Perkin Elmer及びPharmaciaなどの商業供給業者から入手できる装置を用いて使用できる。
【0082】
cDNAの部分配列を使用して、当業者に周知の標準方法を使用することにより、細胞増殖の調節に関連する完全なタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を同定できる。これらの標準方法の中で、cDNAライブラリーはRecA (ClonCapture cDNA Selection Kit、Clontech Laboratories製、米国)の組換え特性を利用して1種又はそれ以上のポリヌクレオチドプローブを使用することによって選別される。
【0083】
ハイブリダイゼーション法については、部分配列は、標準方法を使用して(例えば、ニックトランスレーションによるか又は32P又は33Pを使用する末端の標識により)放射線標識できる。次いで、細菌又はバクテリオファージのライブラリーは、変性した細菌コロニーを含有する濾紙(又はファージプラークを含有するプリント)上で標識プローブを用いてハイブリダイゼーションによって選別する
(Sambrook et al.. Molecular cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor. NY, 1989 参照)。次いで、陽性コロニー又はプラークを選択し、増幅し、次いで今後の分析のためにDNAを単離する。
【0084】
次いで、完全な配列は、標準方法を使用して決定できる。次いで、重複する配列を単一の連続した配列に組み立てる。標準方法を使用することによって対象の断片の連結によって完全なcDNAの分子がを作成できる。
【0085】
別法として、cDNAの部分配列から完全なコード配列を得るための増幅に基づく多数の方法が存在する。これらの方法の中で、増幅は一般的にPCRによって行われる。商業的に入手できるキットは全て、前記の増幅工程に使用できる。プライマーは、例えば当業者に周知のソフトウエアを使用することによって設計できる。前記のヌクレオチドプライマーは、少なくとも50%のグアニン及びシトシン含有率をもつヌクレオチド20〜30個の分子であり且つ50〜72℃の温度で標的配列とハイブリダイズする分子であることが好ましい。増幅された領域は、前記のようにして配列決定することができ且つ重複する配列は一つの連続した配列に組み立てられる。
【0086】
別の種々のアプローチの中で、前記の部分配列に隣り合った配列は、結合配列のプライマー及び既知の領域に特異的なプライマーを用いて増幅することによって見出すことができる。次いで、増幅された配列は第二の増幅サイクルに供される。
【0087】
さらに別の方法としては、capture PCR〔Lagerstrom et al.,PCR Methods Applic. (1991),1, 111-19〕及びprogressive PCR〔Parker et al.,Nucl. Acids. Res.(1991),19, 3055-60〕が挙げられる。増幅を使用する他の方法もまた完全なcDNA配列を得るために使用できる。
【0088】
GenBankから利用できる公共データベース“Expressed Sequence Tags”(ESTs)に寄託された配列を分析することによって完全なcDNA配列を得ることができる。
【0089】
ESTを網羅する調査は、当業者に周知のコンピュータープログラム(例えば、NCBI BLAST)を使用して行うことができ、かかるESTは一つの連続した完全な配列を作成するのに使用できる。
【0090】
前記のポリヌクレオチド配列(特に、配列番号4、配列番号5及び配列番号9の配列)の変異体もまた本発明の領域に含まれる。前記のポリヌクレオチド変異体は、1つ又はそれ以上の置換、欠失又は挿入を含むことができる(前記の「本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド及びタンパク質」という表題部分の記載参照)。
【0091】
前記のコード配列に相補的な配列(すなわち、アンチセンスポリヌクレオチド)の一部分もまたプローブとして又は遺伝子発現のモジュレーターとして使用できる。アンチセンスRNAに転写されることができるcDNA組み立て体は、細胞又は組織に導入してアンチセンスRNAの生成を促進できる。アンチセンスポリヌクレオチドは、本明細書に記載のようにして、細胞増殖の調節に関連する遺伝子の発現を抑制するのに使用できる。アンチセンス技術は、三重らせんを形成することによって遺伝子の発現を制御するのに使用でき、ポリメラーゼ、転写因子又は調節分子を結合するのに十分に開放することができる二重らせんの能力を妥協させる〔Gee et al., in Huber and Can,Molecular and Immunologic Approaches(1994), Futura Publishing Co., Mt. Kisco, NY 参照〕。また、アンチセンス分子は、遺伝子の制御領域(例えば、プロモーター又は転写開始部位)とハイブリダイズさせるのに使用でき、しかも遺伝子の転写を妨害する使用できるし又はリボソームと転写物との結合を阻害することによって翻訳を妨害するのに使用できる。
【0092】
前記ポリヌクレオチドは、この場合その生体内安定をを高めることによって修飾できる。可能な修飾としては、5´及び/又は3´末端への配列の付加;骨格中にホスホジエステラーゼ結合よりもむしろホスホロチオネート又は2´O-メチルの使用;及び/又はイノシン、キューオシン及びワイブトシンなどの塩基、同様にアセチルアデニン、メチルチオアデニンなどの塩基並びにアデニン、シチジン、グアニン、チミン及びウリジンのその他の修飾体の導入が挙げられる。
【0093】
また、本発明のポリヌクレオチドのその他の変異体は、前記の「本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド及びタンパク質」という表題部分の記載すでに記載されている。
【0094】
本発明において記載のヌクレオチドの配列は、確立された組換えDNA技術を使用することによって別のヌクレオチド配列に結合することができる。例えば、ポリヌクレオチドを、発現ベクター、例えばプラスミド、ファージミド、λファージ誘導体及びコスミドの大きなパネル(panel)にクローン化できる。特に重要なベクターとしては発現ベクター、複製ベクター及び配列決定ベクターが挙げられる。一般的に、ベクターは、少なくとも1種の生物体の機能複製起点、適当なエンドヌクレアーゼ制限部位及び1種又はそれ以上の選択マーカーを含有する。他の要素の存在は、当業者によって必要とされる特定の用途に左右されるであろう。当業者は、当業者の要求及び利用できる方法に応じて発現ベクターの特徴を選択するであろう。
【0095】
前記のポリヌクレオチドは、細胞中に入れ、対応するポリペプチドを発現させるために配合することがきる。かかる配合物は、以下に記載するような医薬において特に有用である。
【0096】
当業者には、標的細胞中でポリヌクレオチドを発現させるために幾つかの手段が存在すること及び適した方法を使用できることは理解されるであろう。例えば、ポリヌクレオチドは、アデノウイルス又はレトロウイルスなどのウイルスベクターに (他のベクターにも)組み込むことができる。かかるベクターにDNAを組み込む方法は、当業者には周知である。レトロウイルスベクターは、選別標識及び/又は標的エンティティー(entity)用の遺伝子を、標的細胞の特異受容体をコードする遺伝子として伝達又は組み込み、ベクターを標的特異性にすることができる。
【0097】
ポリヌクレオチドのための別の配合物としては、コロイド分散系、例えば巨大分子複合体、ナノカプセル、微小球、ビーズ、及び脂質の使用に基づく系、例えば油/水エマルジョン、ミセル、混成ミセル及びリポソームが挙げられる。生体外及び生体内産物を送達するのに使用される好ましいコロイド系はリポソーム(すなわち、人工小胞膜)である。
【0098】
細胞増殖の調節に関連するポリペプチド
本明細書の記載の範囲内で、本発明のポリペプチドは、細胞増殖の調節に関連するタンパク質又はその変異体の少なくとも一つの部分を含有し、前記の部分は免疫学的に及び/又は生物学的に活性である。かかるポリペプチドは、任意の長さをもち得る、例えば完全タンパク質、オリゴペプチド(すなわち、ペプチド結合によって連結された比較的限定された個数のアミノ酸、例えば8〜10個の残基からなるオリゴペプチド)又は中間サイズのペプチドであり得る。ポリペプチドはまたさらに配列を含有することができる。
【0099】
ポリペプチドは、本発明に照らしてB細胞及び/又はT細胞の表面受容体によって認識される場合には、免疫学的に活性である。免疫活性は、PaulによってFundamental Immunology, 3rded., 243-247 (Raven Press, 1993)に要約されたような標準的な方法を使用することによって試験できる。かかる方法としては、抗原特異抗血清及び/又はT細胞系あるいは標準的方法に従って調製できるクローンと反応することができる能力を測定するために未変性ポリペプチドから誘導されるポリペプチドのスクリーニングが挙げられる。細胞増殖の調節に関連するタンパク質の免疫活性部分は、かかる抗血清及び/又はT細胞と反応し且つ完全なポリペプチドの反応性よりも著しく弱くはない(例えば、ELISA試験及び/又はT細胞反応性試験において)。かかるスクリーニングは、一般に当業者に周知の方法、例えばHarlow and Lane, Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988 に記載の方法を使用して行われる。
【0100】
B細胞及びT細胞のエピトープはまた、コンピューター法を使用することによって予測できる。
【0101】
別法として、免疫原性部分は、応答を導き出す可能性を有するペプチド単位を調べるプログラムTsites(登録商標)などのコンピューター分析によって同定できる〔Rothbard and Taylor,EMBO J., (1988),7, 93-100; Deavin et al.,Mol. Immunol., (1996),33, 145-155〕。ネズミ又はヒトのクラスI又はIIの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に結合させるのに適したペプチド単位は、BIMAS方法〔Parker et al., J. Immunol., (1994), 152:163, 1994〕に従って同定できる。免疫原性を確認するために、ペプチドは、HLA A2 トランスジェニックマウスを使用することによって及び/又は樹状細胞、線維芽細胞又は末梢血細胞を使用する生体外刺激試験を使用することによって試験することができる。
【0102】
同様に、ポリペプチドは、 細胞増殖の調節に関連する未変性タンパク質由来の構造機能、調節機能及び/又は生化学的機能の一つ又はそれ以上を有する場合には、“生物学的に活性"である。生物活性の有無は当業者に周知の方法に従って決定できる。
【0103】
例えば、配列の比較研究により、タンパク質の特定の生物活性を示すことができる。この場合、前記の活性の評価をもたらす試験は、当該技術において既に知られている試験に基づいて使用できる。かかるタンパク質のある一定の部分及び他の変異体はも、生体外又は生体内試験に従ってこの性質を示すであろう。
【0104】
既に述べられているように、本発明のポリペプチドは、その部分が免疫学的に及び/又は生物学的に活性である(すなわち、その部分が完全なタンパク質の抗原特性、免疫原特性及び/又は生物学的特性の一つ又はそれ以上を有する)内因性タンパク質の変異体の一つ又はそれ以上の部分を含有することができる。かかる部分は、かかる特性の検出を可能にする試験中に完全なタンパク質と同様に少なくとも活性であることが好ましい。ポリペプチド“変異体”は、アミノ酸の置換、挿入、欠失及び/又は修飾によって未変性タンパク質と異なっているポリペプチドである。ある種の変異体は同類置換を含んでいる。“同類置換”は、アミノ酸が同一の性質、例えばポリペプチドの二次構造及び親水性において変化がないことを期待する当業者によって決定されるような性質をもつ別のアミノ酸で置換される置換である。アミノ酸の置換は、一般的に残基の極性、帯電、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性の類似性に基づいて行われる。 例えば、負荷電アミノ酸としてはアスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ;正荷電アミノ酸としてはリシン及びアルギニンが挙げられ;且つ類似した疎水性値をもつ極性非荷電アミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン及びバリン;グリシン及びアラニン;アスパラギン及びグルタミン;セリン、トレオニン、フェニルアラニン及びチロシンが挙げられる。同類(conservative)変化を示すことができるアミノ酸の別の群は、特に下記のもの:(1) Ala、Pro、Gly.Glu、Asp、Gin、Asn、Ser、Thr;(2) Cys、Ser、Tyr、Thr;(3) Val、He、Leu、Met、Ala、Phe;(4) Lys、Arg、His;及び(5) Phe、Tyr、Trp、Hisである。変異体も同様に又は代わりに非同類変化を含むことができる。
【0105】
また、本発明の一部を形成する変異体も、未変性タンパク質の一次構造が他のポリペプチドとの共有又は非共有複合体の形成によって又は化学構造、例えば脂質性基(lipidic group)又はグリコシル基又はリン酸アセチル基によって部分的に変性されるポリペプチドを包含する。
【0106】
また、本発明は、グリコシル化単位を有するか又は有していないポリぺプチドを包含する。酵母発現系又は哺乳動物細胞において発現されるポリペプチドは、分子量及びグリコシル化様式に関して、使用した発現系に従って未変性分子に類似しているか又は若干異なるものであり得る。
【0107】
大腸菌などの細菌中でのDNAの発現は、グリコシル化されていない分子をもたらす。真核生物のタンパク質のN-グリコシル化部位は、アミノ酸のトリプレット Asn-A1-Z (式中、A1はPro以外のアミノ酸であり且つZはセリン又はトレオニンである)に特徴がある。
【0108】
また、本発明には細胞増殖の調節に関連するタンパク質のアレレ(allele)も含まれる。前記のアレレは、改変されたRNAをもたらす1回又はそれ以上の突然変異から生じる未変性タンパク質の別の形である(抑制、付加又は置換されたアミノ酸であることができる)。アレリック(allelic)タンパク質は配列が異なるが、全体の構造及び機能は実質的に似ている。細胞増殖の調節に関連するタンパク質、その変異体及び部分は、一般に所望のポリペプチドをコードする核酸から標準方法を使用して調製できる。内在性タンパク質の調製については、単離されたcDNAを使用できる。
【0109】
さらにまた、本発明のポリペプチド及びタンパク質の別の態様は、前記の「本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド及びタンパク質」という表題部分の記載すでに記載されている。
【0110】
ポリペプチド変異体の調製については、標準の突然変異誘発法、例えば部位特異的(directed)オリゴヌクレオチドを使用する部位特異的突然変異誘発を使用できる。
【0111】
一般的に、当業者に知られている発現ベクターを本発明の組換えポリペプチドを発現させるのに使用できる。この発現は、組換えポリペプチドをコードするDNA配列を含有する発現ベクターを用いて形質転換又は移入されている適当な宿主細胞中で得ることができる。適当な宿主細胞としては、原核細胞、高級真核細胞又は酵母細胞が挙げられる。使用する宿主細胞は、大腸菌、酵母細胞又は哺乳動物哺乳動物細胞、例えばCOS、CHO、MCF7(乳癌から単離されたヒト腫瘍細胞)又はDU 145 (前立腺癌から単離されたヒト腫瘍細胞)である。
【0112】
発現後に、培地中で組換えタンパク質又はポリペプチドを分泌する宿主/ベクター系の上清は、先ずアルコール沈殿法又は商業的に入手できるフィルターを用いる濾過法などの標準的な方法を使用することによって濃縮することができる。濃縮工程の後に、得られた生成物は、親和性マトリックス又はイオン交換樹脂などの適当な精製マトリックスに加えることができる。1回又はそれ以上のHPLC工程をポリペプチドの精製を監視するのに使用できる。
【0113】
ある一定の部分及び他の変異体もまた、当業者に周知の方法を使用する合成手段によって作成できる。例えば、500個未満のアミノ酸、好ましくは100個未満のアミノ酸、さらに好ましくは50個未満のアミノ酸を有する部分及び他の変異体は、化学合成ルートによって合成できる。前記ポリペプチドは、商業的に入手できる固相上での合成法、例えばアミノ酸が合成中にアミノ酸の連鎖に連続的に付加されるメリフィールド樹脂〔Merrifield,J. Am. Chem. Soc., (1963),85,2149-2146 参照〕上での合成法を使用することによって合成できる。固相上での別の多数の合成方法も利用できる〔例えば、Roberge et al.,Science(1995),269, 202-204 の方法〕。ポリペプチドの自動合成法用の装置は、Applied Biosystems, Inc.(米国カリフォルニア州Foster City所在)などの供給業者から商業的に入手できる;この場合、ポリペプチドの合成は製造業者の推奨に従って行うことができる。
【0114】
単離ポリヌクレオチド又はポリペプチド
一般的に、本発明に記載のポリペプチド及びポリヌクレオチドが単離される。“単離された”ポリペプチド又はポリヌクレオチドは、その起源環境から取り出されたポリヌクレオチド又はペプチドである。例えば、天然タンパク質は、天然系に共存する生物学的物質から分離される場合に単離される。ポリヌクレオチド は、例えば、自然環境の一部ではないベクター中でクローン化されるには、単離されたとみなされる。
【0115】
シグナル配列
タンパク質がシグナル配列であるか否かを予測する方法、同様に、この配列についての切断点を予測する方法が利用できる。例えば、McGeoch〔Virus Res.,(1985),3, 271-286〕の方法は、完全タンパク質(切断されていない)の非帯電領域の短いN末端帯電配列に関する情報を使用する。Von Heinje〔Nucleic Res., (1986),14, 4683-4690〕の方法は、切断部位を取り囲む残基に関する情報を使用する。これらの方法のそれぞれについての哺乳動物の公知の分泌タンパク質の切断点の予測の精度は75-80%である。しかし、上記の2つの方法は、所定のタンパク質について同一の切断部位を必ずしも予測しない。
【0116】
この場合、分泌されたポリペプチドの推定されるアミノ酸配列は、SignalPと呼ばれるコンピュータープログラム(the Genetic Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, WI 53705, USA から得られる配列分析ソフトウエアパッケージ)により分析した。このコンピュータープログラムは、アミノ酸配列に基づいてタンパク質の細胞の位置を予測する。
【0117】
ある場合には、分泌されたタンパク質のシグナル配列切断は均一ではなく、従って数個の分子種の形成をもたらすことも認められる。これらのポリペプチド及びこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明によって保護される。
【0118】
また、前記の分析によって同定されるシグナル配列は、天然のシグナル配列を予測できない。例えば、天然のシグナル配列は、予測された配列の上流又は下流に存在し得る。しかし、多分、前記のシグナル配列は分泌されたタンパク質を小胞体に指向させることができるであろう。これらのポリペプチド及びこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明によって保護される。
【0119】
切断部位は時折ある種(species)から別の種に変化し、確実に予測することはできない。
【0120】
前記のアミノ酸配列は、メチオニンを用いて開始して、ポリヌクレオチドによってコードされる決定された配列により同定されるが、これに対して別の読み取り枠は当業者に周知の分子生物学的方法によって容易に翻訳できる。
【0121】
これらの別の読み取り枠はによって産生されるポリペプチドもまた、本発明が意図するところである。
【0122】
抗体及びその断片:
本発明は、結合剤、例えば細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特異的に結合する抗体を提供する。かかる結合剤は、それが細胞増殖の調節に関連するタンパク質あるいはその部分又は変異体と検出可能なレベルで(例えば、ELISA試験により)反応し且つその他のタンパク質と検出可能なように反応しない場合に、細胞増殖を調節するタンパク質に“特異的に結合する”といわれる。上記の“結合”とは、2つの別々の分子の間で複合体が形成されるような非共有結合をいう。結合能は、例えば、複合体の形成について結合定数を測定することによって評価される。上記の結合定数は、複合体の濃度の値を成分の濃度の結果(product)で割った場合に得られる値である。一般的に、2の成分は、結合定数が103 1/モルに達した際に“結合された”といわれる。結合定数は当業者に周知の方法を使用することによって測定できる。
【0123】
上記の基準を満たすことができる薬剤は結合剤とみなすことができる。
【0124】
本発明では、結合剤は抗体又はその断片であることが好ましい。抗体は当業者が利用できる方法で調製できる(Harlow and Lane,Antibodies. A laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988 参照)。一般的に、抗体は、モノクロナール抗体の生成を含む細胞培養法によってあるいは細菌又は哺乳動物の宿主細胞への抗体遺伝子のトランスフェクションにより製造して組換え抗体を得ることがきる。
【0125】
他の方法の中で、以下に記載の方法を使用することが好ましい。ポリペプチドを含有する免疫原を哺乳動物群(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ又はヤギ)に注射する。この段階では、本発明のポリペプチドは修飾(modification)なしに免疫原として役立ち得る。別法として及び特に小さなペプチドについては、ポリペプチドが輸送タンパク質、例えばウシ血清アルブミン又はカサガイ(limpet)ヘモシアニンに結合されると、優れた免疫応答を誘導し得る。免疫原を、宿主動物に好ましくは所定のスケジュールに従って注射し、この動物から定期的に採血する。このようにして、前記ポリペプチドに特異的なポリクロナール抗体は、かかる抗血清から、例えば、適当な固体支持体に連結されたペプチドを使用して親和性クロマトグラフィーにより精製することができる。
融合タンパク質
融合遺伝子は、本発明のタンパク質の細胞下の配置、特に配列番号8の配列をもつタンパク質の細胞下の配置を分析するために、作成され得る。多数のプラスミド組立て体、例えばタンパク質 グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、又は蛍光タンパク質 例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)及び消耗しない方法でポリヒスチジン標識が、商業的に入手できる。
【0126】
ヒト真核宿主細胞(例えば、HEK-293)を、細胞の正常な代謝及びよりよりトランスフェクション効率を可能にするトランスフェクションの前に、24時間継代培養した。標識タンパク質(GFP、GST又は標識ヒスチジン)を含有する高められた濃度ベクター単独、あるいは標識タンパク質と融合させた配列番号4の配列をもつポリヌクレオチド、配列番号5の配列をもつポリヌクレオチド又は配列番号9の配列をもつポリヌクレオチドを含有するベクターであって高めれらた濃度(1.5及び10μg)をもつベクターが、Effectene(登録商標)試薬を使用して製造業者の推奨(Qiagen)に従って生成された。
【0127】
次いで、細胞を例えば前記タンパク質の配置を検出するために、共焦点顕微鏡で分析した。タンパク質が分泌されていると疑われる場合には、例えば、上清を回収し、凍結乾燥し、アクリルアミドゲルに加え、次いで標識タンパク質を指向する抗体を使用してウエスタンブロット法により分析した。
【0128】
医薬組成物:
本発明のある要旨によれば、ポリペプチド、抗体及び/又は核酸などの物質
(product)を医薬組成物又はワクチンに配合できる。医薬組成物は、これらの物質の1種又はそれ以上と、製薬学的に許容し得る賦形剤(輸送体)の1種又はそれ以上とを含有する。場合によってはワクチンとして使用できるある種の医薬組成物は、1種又はそれ以上のポリペプチドと、免疫応答活性化剤、例えばアジュバント剤又はリポソーム(その中に前記化合物が混和される)とを含有することができる。また、前記の医薬組成物s及びワクチンは、生分解性微小球などの投与系を含有する。また、本発明の開示の範囲内の医薬組成物及びワクチンは、生物学的に活性又は不活性であり得る他の化合物を含有し得る。
【0129】
医薬組成物又はワクチン、前記ポリペプチドがその場で生成されるように。前記のポリペプチドの1種又はそれ以上をコードするDNAを含有することができる。先に述べたように、DNAは当業者に知られている投与形態で、例えば核酸、細菌又はウイルスの発現系で存在し得る。適当な核酸発現系は、患者において発現に必要なDNA配列を含有することができる。
【0130】
細菌に基づく投与系は、ポリペプチドの免疫原性部分をその表面で発現する細菌(例えばカルメット-ゲラン桿菌)の投与を伴う。DNAは、非病原性(欠損)薬剤の使用を伴うウイルス発現系(例えば、ポックスウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルス)を使用することによって導入し得る。
【0131】
当業者に知られている適当な輸送体(transporter)を本発明の医薬組成物に使用できるが、輸送体の種類は選択される投与方法に従って変化するであろう。本発明の組成物は、適切な投与法、例えば局所、鼻内、静脈内、頭蓋内、腹腔内、皮下及び筋肉内経路用に配合し得る。
【0132】
皮下注射などの非経口投与用には、前記の輸送体は、水、塩、アルコール、脂質、パラフィン又は緩衝液を含有することが好ましい。経口投与用には、前記の輸送体又は固体輸送体、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース及び炭酸マグネシウムが使用できる。生分解性微小球もまた、本発明の医薬組成物用の輸送体として使用できる。ある種の局所用途については、クリーム又はローションなどの製剤が好ましい。
【0133】
かかる医薬組成物はまた、緩衝液(例えば、中性又はリン酸緩衝食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド又はグリシンなどのアミノ酸、酸化防止剤、
EDTA又はグルタチオンなどのキレート化剤、アジュバント(例えば、水酸かアルミニウム)及び/又は保護剤を含有することができる。また、本発明の組成物は、凍結乾燥物の形態で提供し得る。製品はまた標準方法を使用してリポソームにカプセル化し得る。
【0134】
本発明に従って、種々のアジュバントのそれぞれは、免疫応答を誘導するためのワクチンに使用できる。アジュバントの大部分は、迅速な異化作用から抗原を保護する物質、例えば水酸化アルミニウム又は鉱油及び免疫応答刺激物質、例えばリピドA、百日咳菌(Bordetellapertusis)又は結核菌(Mycobacteriumtuberculosis)から誘導されるタンパク質を含有する。適当なアジュバント、例えば:フロイントアジュバント及び完全アジュバント〔Difco Laboratories,Detroit, MIY, USA; Merck Adjuvant 65 (Merck and Company, Inc., Rahway, NJ, USA)〕、生分解性微小球;モノホスホリル リピドA;及びサイトカイニン類、例えばGM-CSF又はインターロイキン-2、 -7又は-12が商業的に入手できる。
【0135】
また、前記の組成物は、遅延型製剤(すなわち、投与後に化合物を徐々に放出することを誘発するカプセル又はスポンジなどの製剤)の形態で投与することができる。かかる製剤は、一般に当業者に周知の方法を使用することによって調製でき且つ例えば、経口、直腸経路により又は皮下埋め込みにより又は所望の標的部位に埋め込むことによって投与できる。遅延型製剤は、輸送体マトリックス中に分散させた及び/又は拡散膜によって保護されたリザーバー(reservoir)中に入れたポリペプチド、ポリヌクレオチド又は抗体を含有することができる。かかる製剤を使用するための輸送体は、生体適合性であり、しかもまた生分解性でなければならない。この製剤は比較的一定した有効成分放出レベルを提供することが好ましい。遅延型製剤中に含有される活性化合物の量は、埋め込みの部位に左右される。
【0136】
抗癌療法
本発明の別の要旨によれば、前記の化合物は抗癌療法に使用できる。特に、細胞増殖の調節に関連するポリヌクレオチド及びポリペプチドは、特定の乳房又は前立腺の腫瘍における細胞の成長を抑制し且つ増殖の調節を誘導するのに使用できる。
【0137】
かかるポリペプチド又はポリヌクレオチドはまた、多数の癌、例えばメラノーマ、多形性神経膠芽腫、肺癌及び大腸癌の治療に使用できる。かかるポリペプチド又はポリヌクレオチドの発現を活性化する薬剤もまた、これらの療法の構成の範囲内で使用できる。
【0138】
本発明のこれらの要旨によれば、前記の化合物(ポリペプチド又は核酸であり得る)は、前記の医薬組成物に配合されることが好ましい。
【0139】
前記の療法に適した患者は、全ての温血動物、好ましくはヒトである。本発明の療法を受ける資格がある患者は、癌をもっていると診断されていてもよいし又は診断されていなくてもいよい。すなわち、前記の医薬組成物は、従って、病気の種々の段階で(癌の発生を防止するか又は癌に冒された患者を治療することを目的として)癌の進行を抑制するのに使用できる.
本発明の医薬組成物は、治療すべき特定の癌それぞれに適した方法で投与される。
【0140】
投与の経路、期間及び頻度は、患者の状態、病気の種類及び重症度、並びに投与方法に基づいて決定されるであろう。投与の経路及び頻度は、ある個体及び個人から別の個体及び個人まで変えることができる。一般的に、医薬組成物及びワクチンは、注射により(例えば、皮内、筋肉内、静脈内又は皮下経路により)、鼻内経路により(例えば、吸入により)又は経口経路により投与できる。1〜10 用量(dose)を52週の期間にわたって投与できることが好ましい。別のプロトコールがそれぞれの患者について適切であり得る。
【0141】
一般的に、適切な用量及び治療計画は、治療及び/又は予防の恩恵(benefit)提供するのに十分な量で活性化合物を含有する。かかる応答は、さらに少ない用量を用いて治療されなかった患者又は治療された患者と比べて、治療した患者の向上した臨床結果(例えば、より頻繁な寛解傾向、完全に、部分的に又はより長く病気がない状態での生存)の確立が続き得る。
【0142】
本発明の別の要旨によれば、ポリペプチドは100μg〜5mgの間の用量を投与できる。かかるポリペプチドをコードするDNA分子は、一般に、相当するポリペプチド濃度(level)を生じさせるに十分な量で投与し得る。適切な用量は、一般に実験モデル及び/又は臨床試験を使用することによって決定し得る。一般的に、効果的な治療を提供するのに十分な最小用量の使用が好ましい。患者は、一般に、当業者がよく知っていると思われる治療又は予防条件に適した試験を使用して治療の有効性について観察し得る。
【0143】
癌の検出及び監視の方法
本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド及び抗体は、患者において癌を検出するために種々様々な方法で使用できる。細胞増殖の調節に関連するポリペプチド及び/又はポリヌクレオチド、例えば本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドを宿主細胞中に存在させると、分化及び細胞の成長停止を示す。従って、前記の細胞増殖の調節に関連する配列は、正常細胞と悪性細胞の間の識別のマーカーとして使用できる(且つその結果を解釈する医師が、例えば、前立腺癌、乳癌、肺癌及び大腸癌を診断することを可能にする)。前記の細胞増殖の調節に関連する配列はまた、治療を監視するためのマーカーとしても使用できる。
【0144】
抗体を使用することからなる方法は、調査する人が入手し得る生物学的試料中に本発明のポリペプチドの有無を検出することを可能にし得る。入手し得る生物学的試料としては、腫瘍組織及び健常組織の生検材料、患者から得られるかかる組織のホモジネート又は抽出物が挙げられる。試料中のポリペプチドマーカーのを検出するための抗体の使用について当業者に知られている多数の種類の試験がある(例えば、Harlow and Lane, Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。
【0145】
例えば、試験はウエスタンブロット法に従って行うことができ、この方法ではタンパク質調製物を電気泳動ゲルのかけ、適当な膜上に移し、次いで抗体との反応に供する。次いで、上記の膜上の抗体の存在は、以下に記載のようにして適当な検出試薬を使用することによって検出できる。
【0146】
本発明の別の態様に従って、ポリペプチドに結合された固体支持体上に固定された抗体を使用することからなる試験を行うことができる。結合されたポリペプチドは、標識部分を有する第二の抗体又は別の試薬を使用して検出できる。また、競争試験を使用でき、この試験ではポリペプチドを、標識部分を用いて標識し、抗体と試料とをインキュベートした後に固定された抗体に結合させる。前記試料の諸成分が、標識ポリペプチドの抗体に対する結合を阻止できることは、試料の固定化抗体との反応性を示し、従って試料中のポリペプチド濃度を示す。
【0147】
固体支持体は、当業者に知られている物質であってその表面に抗体を結合できる物質であり得る。例えば、該固体支持体は、マイクロタイタープレートの試験ウエル又はニトロセルロース製濾紙又はその他の適当な膜であり得る。また、固体支持体は、ビーズ、ガラス、プラスチック材料又はラテックス、例えばポリスチレン又はポリ塩化ビニルであり得る。また、該支持体は磁性粒子でもあり得る。
【0148】
前記抗体は、当業者に知られており且つ学科文献に幅広く記載されている種々様々な方法を使用して固体上に固定化できる。本発明の明細書の記載中、“固定化”という用語は、吸着などのような非共有結合及び共有結合(これは、抗原と支持体上の官能基との間の直接結合又は結合剤を使用することによって生じる結合であり得る)の両方をいう。マイクロタイタープレートのウエル又は膜に対する吸着による固定化が好ましい。この場合、吸着は、抗体を適当な緩衝液中に固体支持体の存在下に適当な時間置くことによって達成し得る。この接触時間は温度に応じて変化させるが、典型的には1時間〜1日である。一般的に、抗体量1pg〜 10 ng、好ましくは100〜200 ngの存在下にプラスチック(例えばポリスチレン又はポリ塩化ビニル)製のマイクロタイタープレートのウエルを置くことが、適当量のポリペプチドを固定化するのに十分である。
【0149】
抗体と固体支持体との共有結合は、抗体上の官能基、例えばヒドロキシル基又はアミノ基及び固体支持体と反応する2官能価の試薬と固体支持体とを反応させることによって作成することもできる。例えば、抗体は適当なポリマーで被覆された支持体に、ベンゾキノンを使用することによって又は支持体上のアルデヒド基を反応相手上のアミン及び活性化水素と標準方法に従って縮合反応させることによって共有様式で結合する結合することができる。
【0150】
ある場合には、試料中のポリペプチドを検出するための試験は、二重抗体 “サンドイッチ”試験である。この試験は、固体支持体上に固定された抗体を、マイクロタイタープレートウエルと一緒に、生物学的試料の存在下に試料中のポリペプチドが固定化抗体を結合できるように置くことによって行うことができる。非固定化生成物は得られたポリペプチド−抗体複合体から除去され、前記ポリペプチドの種々の部位に結合できる第二抗体(標識部分を有する)が加えられる。次いで、固体支持体に結合されたままで残る第二抗体の量を、前記標識部分に特異的な適当な方法を使用して測定する。
【0151】
さらに詳しくは、抗体が前記の支持体上に固定されると、典型的にはタンパク質結合部位がブロックされる。当業者に知られているブロッキング剤、例えばウシ血清アルブミン又はTween 20(登録商標)(Sigma Chemical Co,製、米国ミズリー州セントルイス)を使用できる。次いで、固定された抗体を、試料と共にインキュベートし、前記ポリペプチドは上記抗体を結合できる。試料は、インキュベーションの前に適当な希釈剤、例えばリン酸緩衝食塩(PBS)溶液に稀釈できる。
【0152】
一般的に、適当な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、個体から得られた試料内のポリペプチドを検出するのに十分な時間である。このようにして定義される接触時間は、結合されたペプチドと結合されないペプチドとの間の平衡によって到達した結合レベルの少なくとも95%の結合レベルに達するのに十分な時間であることが好ましい。当業者は、平衡に到達するのに必要な時間はある一定の時間にわたって結合のレベルを測定することによって決定しなければならないことを知っているであろう。周囲温度で、30分のインキュベーション時間が一般に十分な時間である。この場合、結合されない化合物は、個体支持体を適当な緩衝液、例えばTween 20(登録商標)を20%含有するリン酸緩衝食塩溶液で洗浄することによって除去できる。この場合、標識部分を有する第二抗体を固体支持体に加えることができる。
【0153】
前記の標識部分としては、好ましくは酵素(例えば、ペルオキシダーゼ)、補助因子基質、染色阻害剤、発光性基、蛍光性基及びビオチンが挙げられる。抗体と上記標識部分との複合化は、当業者に知られている標準方法を使用することによて達成できる。
【0154】
次いで、第二抗体は、抗体−ポリペプチド固定化複合体と共に結合されたポリペプチドの検出を可能にするのに十分な時間インキュベートされる。
【0155】
適当な時間は、一般に、一定の時間にわたって結合のレベルを測定することによって決定することができる。次いで、結合されない第二抗体を除去し、結合された第二抗体は標識部分を使用して検出する。この標識部分の検出に使用する方法は、該標識部分の性質に左右される。放射性基ついては、シンチレーション又は自動ラジオグラフカウント法が一般に適当である。分光分析法を、染色剤、蛍光性基又は発光性基を検出するのに使用できる。ビオチンは、標識部分に連結されるアビジンを(放射性又は蛍光性基あるいは酵素と一緒に)使用して検出できる。酵素標識部分は、一般に、基質を加え(一般に適当な時間にわたって)、次いで生成した反応生成物を分光(又はその他の)分析によって検出できる。
【0156】
癌の有無を調べるために、固体支持体に結合された標識部分により検出される 信号を、一般的に、非腫瘍組織からの確定された値に対応する信号と比較する。限界値は、固定化された抗体を癌をもたない患者から得られた試料と一緒にインキュベートした際に得られる平均信号であることが好ましい。一般的に、所定の限界値の標準偏差よりも3倍大きい又は3倍小さい信号に対応する信号を発生する試料を指標とみなす。
【0157】
さらに詳しくは、当業者には下記の刊行物が参照されるであろう:Sackett et al.,Clinical Epidemiology. A basic Science for Clinical Medicine, p.106-107 (Little Brown and Co., 1985)。
【0158】
患者における癌の有無はまた、所定の限界値に対する生物学的試料(例えば、生検材料)中の本発明のポリペプチドをコードするmRNAの量を評価することによっても調べることができる。
【0159】
かかる評価は、当業者に知られている多数の方法、例えばin situハイブリダイゼーション法及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅法を使用することによって行うことができる。かかる方法に使用されるプローブ及びプライマーは、一般的に実施例で挙げた配列から又は別の個人において同定された同様の配列から作成できる。プローブは標準ハイブリダイゼーション法で使用でき、しかも検出剤を用いて標識してプローブの検出を促進できる。かかる試薬としては、放射線核種、蛍光染色剤及び検出可能な生成物の形成を触媒することができる酵素が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0160】
プライマーは、一般的にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、例えばPCRを逆転写と共に使用するRT-PCを含む検出方法で使用できる。典型的には、RNAは試料組織から抽出され、cDNA分子の生成について逆の方法で転写される。特定のプライマーを使用するPCR増幅は、細胞増殖の調節に関連するcDNA分子を生成し、例えば電気泳動ゲルを使用して分離し視覚化できる。この増幅は、典型的には同一の個体から得た腫瘍組織及び非腫瘍組織の対から得られた試料又は異なる個体から得た腫瘍組織及び非腫瘍組織の対から得られた試料について行われる。増幅反応は、cDNAの2倍連続稀釈物について行うことができる。非腫瘍試料の同一の稀釈物と比較した腫瘍試料の稀釈物中の2以上の因子によるモディフィケーション(modification)が典型的に指標とみなされる。
【0161】
また、診断の確立を目的としたある種の試験を腫瘍について直接に行うことができる。
【0162】
かかる試験は、腫瘍細胞と、細胞増殖の調節に関連するタンパク質を結合する抗体又はその断片との接触を必要とする。結合された抗体又はその断片は、標識部分により直接的に又は間接的に検出できる。かかる抗体は組織学的用途にも使用できる。また、かかる用途にはアンチセンスポリヌクレオチドを使用できる。
【0163】
本発明の別の要旨によれば、癌の進行及び/又は治療に対する応答をある一定の期間にわたって前記の試験を行い、応答レベル(すなわち、検出されたポリペプチド又はmRNAの量)の変化を評価することによって監視できる。例えば、この試験は1〜2年間にわたって毎月行うことができる。一般的に、癌は、応答レベルがある一定の時間にわたって小さくなる患者においては進行する。これとは逆に、癌は、検出される信号がある一定の時間にわたった一定であるか又は増大する場合には、進行しない。
【0164】
本発明はまた、前記の診断の方法全てについて使用するためのキットを提供する。かかるキットは、かかる試験を行うために必要な2つ(又はそれ以上)の要素を含む。かかる要素は、産生物(product)、試薬及び/又は容器あるいは装置であり得る。例えば、キット内部の容器は、細胞増殖の調節に関連するポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体又はその断片を入れることができる。かかる抗体又は断片は、前記のような支持体材料に結合されて提供され得る。1個又はそれ以上の追加の容器は、試験で使用すべき要素、例えば試薬又は緩衝液を入れることができる。また、かかるキットは、結合された抗体の直接又は間接検出に適した標識部分を有する検出試薬(例えば、抗体)を含有できる。
【0165】
結合又は調節剤の同定方法
また、本発明は、細胞増殖の調節に関連するタンパク質を結合する及び/又は細胞増殖の調節に関連するタンパク質の発現を調節する物質(product)の同定方法を提供する。かかる物質は、一般に本発明で提供されるポリペプチドを候補物質/薬剤(agent)と、ポリペプチド及び/又はそのエフェクター(例えば、その受容体)との相互作用を可能にする条件及び時間で接触させる場合に同定できる。当業者に周知の結合試験のそれぞれをこのようにして行って、候補物質のポリペプチド及び/又はそのエフェクター(例えば、その受容体)との結合能力を試験することができる。
【0166】
別の試験では、前記の薬剤を、細胞増殖の調節に関連する遺伝子の発現の増進を有すると知られている細胞を使用して選別できる。かかる細胞は、候補薬剤と接触させることができ且つ細胞増殖の調節に関連する遺伝子の発現を候補薬剤の不存在下で認められる発現について評価した。
【0167】
また、候補物質は細胞増殖の調節に関連するタンパク質の発現(例えば、転写)を調節することができる能力について選別され得る。細胞増殖の調節に関連するタンパク質の発現の効果を評価するために、プロモーター又はその制御要素を前記の標識遺伝子に結合できる。かかる組立て体を適当な宿主細胞に移入し、次いで候補薬剤と接触させる。
【0168】
前記の宿主細胞は、コンビナトリアルケミストリープログラムから得られる小さい分子のライブラリーのスクリーニングに使用されることが好ましい。この好ましい態様によれば、細胞は前記ライブラリーと共にインキュベートされ;次いで細胞は溶解され、その上清が 標識遺伝子の活性について標準プロトコールに従って分析される。
【0169】
前記の標識遺伝子の活性を増大する物質は、細胞増殖の調節に関連する遺伝子の転写のインデュサーであり、このようにして癌の進行を抑制するのに使用できる。
【0170】
特に明記しない限りは、本明細書で使用した技術用語及び科学用語は全て、本発明が属する分野の通常の専門家によって通常的に理解される意味と同じ意味をもつ。同様に、本明細書で挙げた全ての刊行物、特許出願明細書、全ての特許明細書及び全てのその他の参考文献は、参考文献として参照される。
【実施例】
【0171】
下記の実施例は、前記の手順を例証する目的で示すものであり、本発明の範囲限定するものとみなされるべきではない。
【0172】
実施例:
実施例1:配列番号4及び配列番号5のcDNA断片の単離及び特定
ESTを含む公共データベースに存在する配列番号1のDNA配列を採用し(Genbank、アクセス番号 AA 176076)且つその配列を下記に示す:
Figure 2004527240
【0173】
この配列から、配列番号2及び配列番号3のそれぞれの配列(下記に示す)のプライマー4´Fwd1及び 3´Rev1の1組を合成して、対応する遺伝子をコードする完全な読み取り枠を含有する完全cDNAのクローニングを可能にするプローブを得た。
前記の配列番号2及び配列番号3の配列は次の通りである:
− 配列番号2: 5´-CTG ACC TTT CAG TTT TCC ATA GC-3´
− 配列番号3: 5´-ATC TAT TTC TGC CAA ACA AGA A-3´
【0174】
最初の工程は、一連の商業的に入手できるcDNAバンクについて配列番号2及び配列番号3の配列をもつプライマーを使用することによってポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。反応条件としては、最終容量50μl中に0.5μMのFwd1(配列番号2)及びRev1(配列番号3)、200μMのデオキシヌクレオチド三リン酸(すなわちdNTP類:dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)、10 mM Tris-HCl(pH8.3)、50mM KCl、
1.5mM MgCl2及び0.5U Taq DNAポリメラーゼが挙げられる。熱サイクルパラメーターとしては、94℃で30秒間の変性、60℃で1分間のプライマーのハイブリダイゼーション及び72℃で30秒間の鎖の重合延長(最後の鎖延長5分を伴う)が挙げられる。
【0175】
PCRにより得られた生成物を1%アガロースゲル上で分離し、臭化エチジウム染色を使用して可視化した。得られた結果は、ヒトの大脳、脳下垂体、肺、腎臓及び腸(一定量)由来のcDNAバンクにおいて245塩基対のバンドを示し且つヒトの乳房及び前立腺由来のcDNAバンクにおいて290塩基対のバンドを示した。これらの結果を図1に示す。
【0176】
このようにしてPCRにより得られた生成物は、電気溶出により精製し、cDNAクローニングキットClonCapture(Clontech製)の使用のための製造業者の推奨書を使用して完全な読み取り枠を含んでいるcDNAのクローニング用プローブとして使用した。
【0177】
陽性クローンの核酸配列を、自動配列決定装置を使用して調べた。これらの配列は下記に示す配列番号4及び配列番号5の配列であった:
− 配列番号4:
Figure 2004527240
Figure 2004527240
【0178】
− 配列番号5:
Figure 2004527240
Figure 2004527240
【0179】
実施例2:配列番号4及び配列番号5の発現ベクター中でのクローニング
配列番号4及び配列番号5の核酸配列は、配列番号6及び配列番号7のそれぞれの配列(下記に示す)の新規なプライマー 5´F1及び3´R1の合成を生じた。これらの配列それぞれはHindIII及びEcoRI制限部位を含んでいた。
前記の配列番号6及び配列番号7の配列は次の通りである:
− 配列番号6: 5´- GCA AGC TTG CGG GGG AGG AGG AGG G -3´
− 配列番号7: 5´- CGG AAT TCC CGG GGG GAA TCG CAG -3´
PCR反応は、配列番号6及び配列番号7の配列をもつプライマーを用いて実施例1に記載の反応条件と同じ反応条件を使用して行った。前記のPCR反応により得られた生成物は、発現ベクターpCDNA3.1(InVitrogen製)型の発現ベクターに非限定的な方法で直接に挿入できる。PCR増幅工程の後に、得られた生成物をHindIII及びEcoRI加水分解に供して前記の配列を有する末端を解離させ、次いでアガロースゲルから電気溶出により精製した。
次いで、配列番号4及び配列番号5の配列を例えばpCDNA3.1(InVitrogen製)などの発現ベクターに挿入した。前記の発現ベクターを受け入れている種々の細菌クローンの適当な制限酵素での消化による分析は、新規な“発現ベクター/配列番号4”又は“発現ベクター/配列番号5”組立て体を含有する細菌クローンを単離することを可能にした。
多量のこれらのプラスミド組立て体の調製は、プラスミドDNA精製キット
(Qiagen製)を使用して行った。
【0180】
配列番号4及び配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドの特性
配列番号4及び配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドのヒト腫瘍組織における発現
細胞培養物及び腫瘍組織からの RNA の調製
培養物又は腫瘍の細胞を、全RNAの抽出工程の前に−80℃で保持した。全RNAの抽出は、試薬Trizol (Gibco/BRL製)を使用する科学文献〔Chomczynski and Sacchi,Anal. Biochem., (1987),162, 156〕に記載の方法に基づく。このようにして抽出されたRNAの品質を1%アガロースゲル上で臭化エチジウムの存在下に分析した。
【0181】
RNA からの逆転写
全RNAを、プライマーOligo(dT)を用いて製造業者(Gibco/BRL)のマニュアルに示されているようにして逆転写酵素Superscript(登録商標)を使用することによって逆転写した。
【0182】
逆転写により得られた生成物のポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)
配列番号4又は配列番号5の配列の発現の分析は、前記の逆転写生成物について、配列番号2及び配列番号3のそれぞれの配列のプライマー 5´Fwd1 及び
3´Rev1を使用することによってポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により行った。この反応条件としては、最終容量50μl中に0.5μMのFwd1及び Rev1、200μMのdNTP類、10mM Tris-HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2及び0.5U Taq DNAポリメラーゼが挙げられる。熱サイクルパラメーターとしては、94℃で30秒間の変性、60℃で1分間のプライマーのハイブリダイゼーション及び72℃で30秒間の鎖の重合延長(最後の鎖延長5分を伴う)が挙げられる。
PCRにより得られた生成物を1%アガロースゲル上で分離し、臭化エチジウム染色を使用して可視化した◎
ある場合には、ナイロン膜上でハイブリダイゼーション分析を、αP32-dCTPで標識した配列番号4の配列をプローブとして使用し、無作為標識キット
(Pharmacia製)を使用して行った。次いで、ナイロン膜を低ストリンジェンシーの条件下で(2 XSSC、0.1%SDS、60℃)で洗浄し、次いで高ストリンジェンシーの条件下で(0.1 XSSC、0.1%SDS、65℃)で洗浄した。次いでその膜をKodak製XARフィルムに焼き付けた。
【0183】
乳房腫瘍試料中の配列番号4又は配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドの発現の分析
配列番号4又は配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドの発現の分析を、乳房腫瘍をもつ患者から外科手術により取り出した腫瘍試料15個について行った。
【0184】
前記のプロトコールに従って得られたcDNAを、安定な方法で発現させた標識
G3PDH(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ)を使用して標準化して、試料同士の間のRNA又はcDNAの量の変化を調節した。次いで、PCR反応生成物をナイロン膜上で前記のプロトコールに従ってハイブリダイズさせた。
得られた結果を図に2に示す。結果は、このアプローチによって、配列番号4又は配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドの存在が乳癌から得た腫瘍試料において可視化されたことを示す。
【0185】
配列番号4又は配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドによる細胞増殖の抑制
前立腺腫瘍細胞DU 145(Code ATCC)を、100U/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシン硫酸塩を含有し且つ10%ウシ胎児血清を補足されたDMEM培地
(Dulbeccoの変性Eagle培地)中で培養した。細胞を、細胞の正常な代謝とより良いトランスフェクション効率を可能にするトランスフェクションプロトコールの前に24時間継培養した。ベクター単独(pCDNA3.1)又は配列番号4の配列をもつポリヌクレオチド(1.5及び10μg)又は配列番号5の配列をもつポリヌクレオチド(1.5及び 10μg)を含有するベクターの濃度上昇(1.5及び10μg)が、試薬Effectene(登録商標)を使用して製造業者の推奨書(Qiagen)に従って達成された。
【0186】
細胞をトリプシン処理によるトランスフェクションの48時間後に回収し、次イ計数した。同じ時間で、細胞を5000 rpmで遠心分離し、次いで前記のようにして RNAの抽出のために−80℃で凍結させた(前記の表題「細胞培養物及び腫瘍組織からのRNAの調製」参照)。
【0187】
得られた結果を図3(配列番号4の配列をもつポリヌクレオチド)及び図4(配列番号5の配列をもつポリヌクレオチド)に示す。これらの結果は、配列番号4の配列をもつポリヌクレオチドをコードするcDNA又は配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドをコードするcDNAが、配列番号4の配列をもつポリヌクレオチド又は配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの量に比例して発現することを示す(図のA)。また、得られた結果は、細胞の成長は、10μgのベクターだけを用いて移入された細胞の成長に比べて、配列番号4の配列をもつポリヌクレオチド又は配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの濃度上昇の存在下で著しく阻害されることを示す(図のB)。腫瘍細胞の成長の阻害と、配列番号4の配列をもつポリヌクレオチド又は配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドを含有する移入されたベクターの量との間の相関関係は1又は0.96それぞれに相当する。
【0188】
配列番号5の配列をもつ断片からコードされるポリペプチド
配列番号5の配列において、読み取り枠が、位置420に開始メチオニンをコードする開始コドン(ATG)の存在と、位置861に停止コドン(UAA)との存在と共に認められた。このようにして翻訳されたポリヌクレオチドに対応するアミノ酸147個からなる配列番号8の配列をもつタンパク質を以下に示す:
Figure 2004527240
【0189】
配列番号8の配列をもつタンパク質が対応するポリヌクレオチドは、下記に示す配列番号9のヌクレオチド配列を有する:
Figure 2004527240
【0190】
【図面の簡単な説明】
【0191】
図の説明
【図1】は、1%アガロースゲル上で分離し、臭化エチジウム染色して可視化した後にPCRによって得られた結果を表す。
【図2】は、乳癌の15個の試料(S1〜S15と命名する)についてサザンブロットによって得られた結果を表す。
【図3】は、そのA部分にはDU 145(前立腺腫瘍)細胞における配列番号4の配列をもつポリヌクレオチドをコードするcDNAの発現を表し、そのB部分には配列番号4の配列をもつポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの濃度上昇の存在下での細胞の成長の阻害を表す。
【図4】は最後に、そのA部分にはDU 145(前立腺腫瘍)細胞における配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドをコードするcDNAの発現を表し、そのB部分には配列番号5の配列をもつポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの濃度上昇の存在下での細胞の成長の阻害を表す。
【0192】
■配列表■
Figure 2004527240
Figure 2004527240
Figure 2004527240
Figure 2004527240
Figure 2004527240

Claims (14)

  1. 配列番号5のポリヌクレオチド配列を有する単離ポリヌクレオチド。
  2. 請求項1に記載のポリヌクレオチドの配列に相補的な配列を有するアンチセンスポリヌクレオチド。
  3. 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドであって、細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチド。
  4. 配列番号8の配列を有するものであることを特徴とする請求項3に記載の単離ポリペプチド。
  5. 請求項3又は4に記載の単離ポリペプチドを特異的に結合するモノクロナール抗体、又はその抗原結合断片。
  6. 配列番号5のポリヌクレオチド配列の断片又は配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列の断片の少なくとも一つを有する単離ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターであって、前記の単離ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有するものである発現ベクター。
  7. 請求項6に記載の発現ベクターを用いて形質転換又は移入された宿主細胞。
  8. 医薬としての、請求項3に記載の単離ポリペプチド、又は配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか又は配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片の少なくとも一つを含有する単離ポリペプチドであって、細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチド。
  9. 配列番号8の配列をもつポリペプチドであることを特徴とする請求項9に記載の医薬。
  10. 医薬組成物であって、
    − 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
    − 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片
    を含有する単離ポリペプチドであって細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドを含有し、さらに製薬学的に許容し得る1種又はそれ以上の賦形剤を含有してなる医薬組成物。
  11. 単離ポリペプチドが配列番号8の配列をもつポリペプチドであることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 増殖性の病気を治療する医薬を調製するための単離ポリペプチドの使用であって、
    − 配列番号5のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号5のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片、又は
    − 配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるか 又は 配列番号4のポリヌクレオチド配列に相補的な配列によってコードされるタンパク質の断片
    を含有し且つ細胞増殖の調節に関連するタンパク質に特有の免疫活性及び/又は生物活性の少なくとも一つを有する単離ポリペプチドの使用。
  13. 単離ペプチドが配列番号8の配列をもつポリペプチドであることを特徴とする請求項12に記載の使用。
  14. 増殖性の病気が癌であることを特徴とする請求項12又は13に記載の使用。
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