JP2004526949A - その場x線回折による結晶識別のための装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】in−situ結晶成長環境において結晶物質の存在を検出するための装置を提供する。
【解決手段】対向する第1の面および第2の面を有する結晶成長定温器を具備してなる。更に、X線システムを有し、これは結晶成長定温器の第1の面近傍に配置されたX線源と、結晶成長定温器の第2の面近傍に配置されたX線検出器とを具備している。X線源は結晶成長定温器中で成長した結晶物質を照射するように構成され;X線検出器は結晶成長定温器中にて成長した結晶物質からの回折されたX線の存在を検出するよう構成されている。この装置は好ましくは更に、結晶成長定温器とX線システムとを相互に位置決めするための位置決め装置を有する。上記装置を使用してin−situ成長環境において結晶物質を選別するための方法も提供される。
【解決手段】対向する第1の面および第2の面を有する結晶成長定温器を具備してなる。更に、X線システムを有し、これは結晶成長定温器の第1の面近傍に配置されたX線源と、結晶成長定温器の第2の面近傍に配置されたX線検出器とを具備している。X線源は結晶成長定温器中で成長した結晶物質を照射するように構成され;X線検出器は結晶成長定温器中にて成長した結晶物質からの回折されたX線の存在を検出するよう構成されている。この装置は好ましくは更に、結晶成長定温器とX線システムとを相互に位置決めするための位置決め装置を有する。上記装置を使用してin−situ成長環境において結晶物質を選別するための方法も提供される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大略的に結晶学に関し、特に、in−situ(その場)結晶成長環境における結晶の高処理量分析のための自動化装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線回折は分子構造を判定するための強力な技法である。X線回折の一般的な考察については“X−ray Diffraction”、B.E. Warren、Dover (1990)又はCantor and Schimmel,“Techniques for the Study of Biological Structure and Function”、W.H. Freeman (1980)を参照することができる。一般に、分子の三次元構造は、その分子の結晶形からのX線の高輝度光の回折を観察することにより判定することができる。典型的には、X線光を分子の結晶形を透過させ、ついで、その結晶の特異な回折パターンからデータが集められる。その分子の1以上の結晶形からの回折データを用いてその分子の三次元構造が計算される。X線回折の質、すなわちその三次元構造の質はその分子の結晶形の質に依存することになる。高規則性で、安定な結晶は傾向として高品質のX線回折データを発生させる。
【0003】
残念ながら、分子の結晶化は些細な仕事とは言えない。結晶成長に要求される条件(結晶化条件)は多くの変数、例えばpH、緩衝剤のタイプ、緩衝剤の濃度、沈殿剤、沈殿剤の濃度、イオン強度、結晶化されるべき分子の濃度、温度などに依存する。これらの結晶化条件は分子毎に変化し、しばしば試行錯誤により実験的に決定しなければならなかった。このような場合、分子結晶のたった1つの候補を観察できるまでに、数百、数千の条件を調査しなければならない。たんぱく質などの巨大分子については、巨大分子の濃縮高純度溶液を得る事が困難なため、その結晶化は極端に困難となる。そのような濃縮高純度溶液を得る事ができたとしても、その溶液は安定性に乏しいものであることが多い。
【0004】
分子の第1の結晶形が得られたとしても、この分子の結晶形が高解像度の構造情報を得るのに十分な程度にX線を回折させるという保証はない。これらの結晶は、X線を適度に回折させるほど十分に大きいものでなかったり、規則性が十分でなかったりすることが多い。典型的には、研究者はX線の高解像度回折のための十分に良好な質を有する結晶に到達するまでに、結晶化条件を最適化するための多大の苦労を強いられる。残念ながら、結晶化条件の最適化は現在のところ、第1の結晶化条件の発見に用いられたものと同様の試行錯誤により行われている。
【0005】
このような方法を更に複雑化するものではあるが、X線回折の改善に必然的につながるパラメータによって結晶化条件が必ずしも最適化されるものでないという事実がある。典型的には、結晶化条件は、より大きいサイズ、より良好な外観の結晶が得られるように最適化される。しかし、残念ながら、結晶のサイズおよび外観は、X線の高解像度回折とは高い相関関係にはない。言い換えれば、より大きい結晶は、より小さい結晶と比較して、必ずしもX線をより高い解像度で回折させるわけではない。同様に、外観がすぐれた結晶は、外観に劣る結晶と比較して、必ずしもX線をより高い解像度で回折させるわけではない。
【0006】
更に、初期の結晶化実験では、識別が困難な外観又は形態の分子の小さな凝集体が生じることが多かった。これらの粒子は規則性に乏しい、又は不定形の析出物であって、更なる構造的実験には有用でないものと思われる。他方、これらの粒子は、X線を十分に回折することができる微小結晶である場合がある。このような微小結晶は初期の結晶化条件を示すもので、これを最適化しX線回折およびデータ収集に適した結晶を得るようにすることができる。しかし、現在の結晶化技術、例えば結晶の肉眼検査は、光学顕微鏡の助けを以ってしても、非晶質析出と、有用な微小結晶との間の区別を行うことができない。
【0007】
従来から、候補とされる結晶の実際の回折の質を検査するために面倒な方法が使用されている。その1つの典型的方法では、候補となる結晶が結晶化溶液から最初に取り除かれる。このデリケートな結晶は、次いで通常、人手により毛細管に、或いは低温溶液および低温ループに移され、X線ビーム内に置かれ、その結晶の回折の質について観察される。この再移動により脆弱な結晶が容易に損傷を受ける可能性がある。その上、そのような方法は一度に数個の候補となる結晶を観察する場合のみに使用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、結晶学の分野において、理想的な結晶化条件の系統的発見および最適化のための改良された技術についての必要性が存在する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、in−situでの結晶、すなわち、その結晶化溶液での結晶の識別および最適化のための方法および装置を提供するものである。従って、この装置および方法は、結晶の外観検査に依存することなく、かつ、結晶をそのin−situ成長環境から取り出すことなく、結晶化条件を評価するのに使用することができる。潜在的結晶(potential crystal)をそのin−situ成長環境から取り出す必要がないから、結晶成長期間において結晶化条件を回折物質について数回検査することができる。更に、異なる結晶化条件の下で成長させた結晶を高処理量様式で逐次検査することができる。事実、この方法は自動化することができ、従って、多数の結晶化条件を最小の費用で試験することができる。更に、この装置および方法は、結晶のサイズおよび外観の最適化に加えて、結晶のX線回折の質を最適化するのに容易に使用することができる。
【0010】
本発明の方法によれば、典型的結晶化実験として、結晶化小滴にX線光を透過させ、検知器を使用して、この小滴中の結晶がX線を回折するか否かを評価することにより、結晶成長について分析が行われる。この回折は結晶が成功裏に成長したことを示すものである。もし、回折が観察されない場合は、結晶の生育が更に続行されるか、或いは実験は失敗と判定される。更に、回折パターンの質が評価され、それにより結晶の質が判定され、それにより結晶化条件が最適化される。
【0011】
小結晶又は微小結晶についても、本発明の方法および装置は結晶の回折特性の示唆、更に理想的には結晶限界分解能の示唆を提供することができる。更に、本発明の方法および装置は不定形析出物を微小結晶から区別するのに使用することができ、この場合、サンプルによるX線光の粉末回折パターンは規則正しい微小結晶を示唆するものである。事実、本発明の方法および装置により得られる粉末回折パターンは微小結晶の回折の質を評価するのにも使用することができる。
【0012】
本発明の方法および装置は更に、たんぱく質結晶と、非たんぱく質結晶、例えば塩結晶とを区別するのにも使用することができる。この区別は例えば、結晶格子のサイズを分析することにより行うことができる。
【0013】
その結果、本発明の方法および装置は、回折パターンの質を観察する能力によって、結晶が成長しているか否かの判定のみならず、最良の結晶化条件を識別することを意図して幾つかの異なる結晶化実験を互いに比較することを可能にする。
【0014】
本発明の方法および装置は、当業者にとって公知の殆ど全ての結晶化法に使用することができる。例えば、特に限定はないが、ハンギングドロップ(hanging drop)、シッティングドロップ(sitting drop)、マイクロバッチ(microbatch)、透析、ゲル結晶化などに使用することができる。更に、この方法は容易に自動化することができ、ユーザーによる入力を最小に抑えつつ最良の結晶化条件の発見を高処理量で行うことを可能にする。
【0015】
従って、本発明はin−situ結晶成長環境において結晶の存在を検出するための装置を提供するものである。この装置は、対向する第1の面および第2の面を有する結晶成長定温器を具備している。この装置は更に、X線システムを具備し、該システムは結晶成長定温器の第1の面近傍に配置されたX線源と、結晶成長定温器の第2の面近傍に配置されたX線検出器とを具備してなる。このX線源は結晶成長定温器中にて成長した結晶を照射するよう構成されており、X線検出器は結晶成長定温器中にて成長した結晶から回折されたX線の存在を検出するよう構成されている。好ましくは、この装置は更に、結晶成長定温器とX線システムとを相対的に位置決めするための位置決め装置を有している。画像化システム、例えば光学的画像化システムを結晶成長定温器に隣接して配置することが好ましく、それにより結晶成長定温器内で成長した潜在的結晶の存在および位置を最初に検出するようにする。
【0016】
更に、in−situ結晶成長環境における結晶の選別方法が提供される。結晶成長定温器において潜在的結晶が一旦成長すると、この結晶成長定温器は好ましくは位置決め装置と接続される。好ましくは、結晶成長定温器における潜在的結晶の存在/位置がついで、この画像化システムにより光学的に判定される。その位置が適宜、記憶され、この潜在的結晶の位置に基づいて結晶成長定温器とX線システムとが正確に相互に整合され、X線源からのX線光がこの潜在的結晶に対し正確に向けられるようにする。ついで、X線光がこの潜在的結晶に対し照射される。この潜在的結晶からの回折パターンの存在がX線検出器により検出されたとき、それにより結晶が識別され、更に選別され、ついで適宜、回折の質のための最適化が行われる。このようにして、結晶成長定温器内で成長した潜在的結晶がX線システムにより、その適性について選別され、それにより十分な結晶成長実験の再現性を容易に向上させることができる。
【0017】
更に、本発明の方法および装置は種々の環境、例えば地上、宇宙空間、例えば宇宙ステーション、宇宙船などの環境でも使用することができる。本発明を宇宙で使用することによる利点は、結晶成長を遠隔的にモニターすることができることである。更に、結晶成長の遠隔モニタリングは、例えば、毒性たんぱく質、例えばウイルス粒子又はバクテリア毒素をモニターする上で有利である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面を参照して説明するがこれら図中、対応する部分は同一の参照符号を付す。
本発明によれば、結晶の結晶化溶液、すなわち結晶成長環境から、結晶を混乱させることなく、結晶又は候補とされる結晶の回折の質を効果的に評価することができる。従って、結晶化溶液をin−situで選別し、結晶の成長が行われた否かを判定することができる。結晶化溶液がその結晶化環境から混乱されない場合、その結晶化溶液は最初の選別の後、更に結晶を生育させ、後に再び選別に供することができる。この結晶化溶液は多数回、選別に供することができる。更に、多数の結晶化溶液を結晶生育のために急速かつ逐次的に選別するのを、高処理量で行うことができる。
【0019】
この選別は1以上の結晶化溶液中の結晶材料の識別を含む。選別は更に、多数の結晶化溶液中の多数の結晶の回折の質の比較を含む。このような比較は、例えば、多数の結晶化溶液を検査することにより結晶の回折の質を最適化するのに使用することができる。本発明の或る具体例においては、この選別は結晶の識別並びに回折の質の比較又は最適化の双方を含むこともある。
【0020】
本発明の方法および装置はあらゆるタイプの分子の結晶を選別するのに使用することができる。例えば、本発明の方法および装置は小さい分子又は巨大分子の結晶、又は当業者に公知の他の分子の結晶について選別するのに使用することができる。本発明の方法および装置において、適当な小分子の例としては、例えば、小さな有機質分子、薬剤、治療物質分子、抗生物質分子、抗ウイルス分子、ペプチド、アミノ酸、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、糖、その他、公知の小分子などを挙げることができる。適当な巨大分子の例としては、例えば、たんぱく質、ポリペプチド、抗体、酵素、核酸結合たんぱく質、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、炭水化物、その他、公知の巨大分子などを挙げることができる。
【0021】
本発明の方法および装置は、当業者に公知の任意の結晶成長法により成長された結晶を選別するのにも使用することができる。例えば、気相拡散法、ハンギングドロップ法、シッティングドロップ法、透析法、マイクロバッチ法、ゲル結晶成長法などにも使用することができる。例えば、天然結晶の成長を、その分子を析出させるのに必要なものより若干低い濃度で沈殿剤を含有する結晶化溶液中に実質的に純粋なその分子を溶解させることにより行うことができる。析出条件を作り出すため、制御された蒸発により結晶化溶液から水分を除去することができ、この条件は結晶成長が終了するまで維持される。
【0022】
一例として、ハンギングドロップ法において気相拡散により天然結晶を成長することができる(McPherson, 1982, Preparation and Analysis of Protein Crystals, John Wiley, ニューヨーク;McPherson, 1990, Eur. J. Biochem. 189:1−23.)。この方法において、分子および結晶化溶液が密閉容器内にて平衡になるようにする。ここで、この容器は結晶を生じさせるのに最適な濃度の沈殿剤を含有する沈殿溶液を収容した大きい液溜めを備えたものである。この結晶化溶液は上記液溜めの上面に封止されたガラスカバーの下に小滴として浮遊される。この封止された容器は結晶が成長するまで静置される。
【0023】
ついで、X線ビームを結晶化溶液に透過させ、この溶液が結晶物質を含有するか否かを判定し、および/又はこの溶液内の結晶物質の回折の質を判定する。例えば、もし、この溶液が単一で、規則性の良好な結晶、又は数個の良好な結晶を含有する場合は、X線回折スポットのパターンを検出することができる。もし、この溶液がランダムに配向した微小結晶を含有する場合は、粉末回折パターンが検出されるかもしれない。本発明のin−situ方法および装置により発生したこのような粉末回折パターンも微小結晶物質の回折の質を特徴づけるのに使用することができる。回折パターン又は粉末回折パターンは微小結晶からなる分子構造に相互に関連する。もし、X線ビームが非結晶物質を透過するとき、又はX線ビームが非晶質析出物を透過するとき、回折は観察されない。
【0024】
従って、本発明の方法において、結晶又は微小結晶を含有する小滴はX線ビームにより走査することができる。当業者にとって自明なように、このような方法により、粉末回折パターンが微小結晶又は結晶の存在を示唆するものとなる。
【0025】
図1は本発明の1具体例による、結晶についての選別のための装置100の模式的側面図を示している。この装置100は基本的に定温器102(説明の便宜上、一部切欠して示す)と、X線システムとを具備してなり、このX線システムはX線源114と、X線検出器116とを有する。このX線システムは1.5Å〜5Åを解像し得るものであることが好ましい。
【0026】
ここで使用される定温器102は結晶108が成長し得るものであれば如何なる装置であってもよい。例えば、定温器102は結晶化トレイ又はプレートであってもよい。従って、この定温器は結晶108のためのin−situ結晶成長環境を提供するものである。説明上、図1に示した定温器102はハンギングドロップ128およびシッティングドロップ130の双方の構成を用いて結晶を成長させるのに使用することができる。しかし、使用に際して、一般には1つの定温器102に対して1つのタイプの構成のみが使用される。結晶を成長させるための任意の適当な定温器102を使用することができよう。例えば、米国特許、No.5,096,676,McPherson; No.5,130,105,Carterら、に開示されているものを使用することができる(これらの文献は参照により本明細書中に組み込まれるものとする)。定温器102は、好ましくは少なくとも下面又は第1の面110と、反対側の上面又は第2の面112とを有する。好ましくは、この定温器102は、気相拡散のための沈殿溶液106を保持するよう構成された多数の液溜め122を有する。ハンギングドロップ構造128において、結晶化溶液の小滴104はガラスカバースリップ(好ましくは第2の面112と一致する)に適用され、各液溜め122の上面に逆さにして置かれる。これらの条件により、小滴104中に過飽和が生じ、析出が開始され、結晶108が形成される。
【0027】
シッティングドロップ構造130において、結晶化溶液の小滴132は直立カラム126の頂部に置かれた容器内に載せられ、その条件下で、小滴128中に過飽和が生じ、析出が開始され、結晶108が形成される。
【0028】
X線源114は定温器102の第1の面110の近傍に配置することが好ましく、X線検出器116は定温器102の第2の面112の近傍に配置することが好ましい。若しくは、X線源114およびX線検出器116の位置を切り替え、X線検出器116を第1の面110の近傍に配置し、X線源114を第2の面112の近傍に配置してもよい。
【0029】
X線源114は、銅(Cu)ターゲット・マイクロ‐焦点X線管であって、少なくとも5×108光子/s/mm2のX線束を発生させるものからなることが好ましい。このX線束は、結晶108が結晶化実験内でのin−situ成長環境内に位置されている間において、結晶108からの回折パターンを記録するために必要なものである。
【0030】
好ましい具体例において、X線ビーム120は定温器102に対し、上方に向け、かつ、垂直に向けて放出される。X線源114から放出されるX線ビーム120はCuKα線からなる単色光であることが好ましい。このX線ビーム120は任意の波長のものであってもよいが、約0.5Å〜約2.0Åの範囲の波長のものが好ましい。更に、X線ビーム120は、好ましくは厳密に焦点を合わせられ、視準され、それにより装置100から反射されるX線の結果として生じるX線の散乱を抑制することが好ましい。厳密に焦点が合わせられたX線ビーム120を形成するため、1以上のミラーおよび/又はコリメーター118を設けてもよい。このコリメーター118は円盤状のもので、中央に円形の透孔が設けられたものが好ましい。結晶108からの回折されたX線の正確な収集を更に助けるため、X線ビーム120は、照射されている結晶108のサイズと同一あるいはそれよりも小さいことが好ましい。慣例のX線構造判定のために成長される結晶の最も大きなものでも一般に0.5mmよりも小さいサイズのものであり、最も日常的にはほぼ100ないし200ミクロンであるから、X線ビーム120は焦点サイズが200ミクロン以下であることが好ましい。
【0031】
1例として、X線源114として、BEDE MICRO−FOCUS (又はMICROSOURCE) X−RAY GENERATOR (BEDE SCIENTIFIC INSTRUMENTS LIMITED社製) が用いられる。BEDE又はREFLEX社によるマイクロ‐ミラーX線光学装置も好ましく用いることができる。その他、好ましいX線源114として、標準回転陽極X線発生装置(RIGAKU INTERNATIONAL CORP社製)を用いることができる。
【0032】
その他、他の低コストの装置例として、マイクロ‐フォーカスX線管、例えばKEVEX又はFEINFOCUS社製のものに、X−RAY OPTICAL SYSTEMS社製の毛管光学装置又はOSMIC社又はRIGAKU社製の多層光学装置を用いたConfocal MaxFlux多重レンズシステムを組み合わせたものを使用することができる。この毛管光学装置は線源スポットからX線をより大きい立体角で集めることができる。上記Confocal MaxFluxは波長の選択および最終視準を提供するものである。更にコスト節減のため、多重焦点システムの代わりに単一焦点システムを用いることもできる。
【0033】
更に他の例として、より多くの光束を得るために(非回転陽極)ミニ‐フォーカスX線管を使用することができる。このミニ‐フォーカスX線管は200ワットで、BEDE社による25ワットマイクロ‐フォーカスのものの8倍の光束の大きいスポットを与えることができる。更に他の例として、ビームのサイズは約50ミクロンであることが好ましく、ビームのスポットは直径が約40ミクロンであることが好ましい。更に他の例として、サイクロトロンビームを用いることもできる。
【0034】
入射X線ビーム120は散乱X線の如何なるものよりも浸透力が大きく、従って、気相拡散の場合、X線ビーム120が定温器102の底面又は第1の面110、更に液溜め122中の沈殿溶液106を透過するように装置100をセットアップすることが好ましい。X線ビーム120はついで、その通路において任意の結晶108により回折される。この実施例の場合、結晶108からの回折X線124は定温器102の上面又は第2の面112を透過し、更にエアギャップを透過し、実質的に妨害されることなくX線検出器116に到達する。事実、このX線ビームは1.5mm厚までのポリスチレンおよび/又は5mm厚までのオイルを透過できるものであることが好ましい。
【0035】
ハンギングドロップ構成128において、定温器102の上面又は第2の面112は通常、ガラスカバースリップ又はマイラーテープからなる。オイルを用いたマイクロバッチにおいて、定温器102に対するX線ビームの配向については、特に制限はない。このマイクロバッチの例においてX線検出器は定温器102の第2の面112の近傍、又は定温器102の上に配置され、X線ビームはオイル被覆層を透過し、定温器102の第1の面110近傍、すなわち定温器下方に配置されたX線検出器116により検出される。
【0036】
X線検出器116は、その感度および速度によって選択され、好ましくは2次元検出器が選択される。この2次元検出器は平面を透過し候補とされる結晶から回折されたX線に対し敏感である。サンプルが粉末回折パターンを発生させるような微小結晶を有する場合、この検出器は候補とされる結晶からの回折X線の位置および強度を記録し得る一次元検出器又は二次元検出器であってもよい。理想的なX線検出器116として、蛍光板の高い感度と、CCDカメラの迅速な読出しとを組み合わせたものが好ましい。
【0037】
他の結晶学的X線検出器と異なり、このX線検出器116は、個々の回折ビームを解像する必要がないから、大きくある必要はなく、むしろ、回折の解像限界を観察し得ることが必要である。従って、CCDカメラは、現在、X線源に対し使用されているCCD検出器で必要とされているマクロ化ガラステーパー(demagnification glass taper)を必要としない。更に、回折の解像限界、特に粉末パターンの解像限界を検出するには、1個の寸法検出器でよい。
【0038】
X線検出器の適当なものとしては、現在市販の画像化プレートシステムと少なくとも同様の感度を有する必要があり、例えば、FUJIFILM MEDICAL SYSTEMS U.S.A., INC (例えばBAS 2500 NDT)製の蛍光板を用いることができ、これは現在入手可能な最も感度の高いX線検出器の範疇に該当する。
【0039】
しかし、好ましい例として、X線検出器116は冷却電荷結合素子(CCD)カメラを挙げることができる。これは現在入手可能な画像化プレートシステムのものよりも感度が若干劣るが、読出し時間が非常に迅速である。このようなCCD検出器は、仮想中心が結晶上にあり回転する揺れ軸上に装着されることが好ましく、それにより検出器の入力フェースプレートがX線ビームに対し垂直となるようにし、かつ、この垂直から約50度の角度まで揺動できるようにする。このCCD検出器は、光学繊維テーパー状先端を伴う又は伴うことなしに選択された蛍光スクリーンを含むことが好ましい。この蛍光スクリーンは1ミリ当り4〜8本のライン対を達成し得るものであることが好ましい。好ましい例として、このCCD検出器は結晶から約80mmの位置に配置される。
【0040】
好ましい例として、ビームストップ126が定温器102とX線検出器116との間に設けられていて、中央の非回折X線ビームを阻止し、検出器が損傷されないようにしたり、検出結果に悪影響が生じないようにしたりしている。この検出器(又はビームストップ)におけるX線ビーム120のスポットサイズは、直径が約40〜50ミクロンで、発散の弧度が30秒以下であることが好ましい。較正結晶をX線ビームに挿入するための手段を設けて装置100を較正することも好ましい。
【0041】
図2は、本発明の1実施例に係わる画像化システムの側面を模式的に示しており、ここで定温器は説明上、一部断面で示されている。X線ビーム120の厳密な焦点のサイズ(図1)のため、X線ビームと結晶108(図1)とは正確に整合させる必要があり、結晶がX線ビームを正確に回折させるようにしなければならない。ハンギングドロップ構成128(図1)において、約2μLの結晶化小滴が直径約1−2mmのハンギングドロップを形成する。上述のように、X線ビームは好ましくは200ミクロン以下の焦点サイズを有する。この小滴の中の或る場所に潜在的結晶が見出されるものとして、厳密に焦点を合わせたX線ビーム120がこの潜在的結晶を照射するように正確に整合させなければならない。小滴212を各液溜め122の中心を通る中心軸214に沿って配置させるセットアップ手法の間に細心の注意を必要とするが、照射前の或る時点において、中心からずれた位置208へこの小滴が移動することがある。その上、多くの小滴が十分な結晶を生じることなく、単に非晶質析出物210のみを生じさせる。X線ビームが結晶と整合するのを助けるため、本発明では好ましくは画像化システム202が採用されている。この画像化システム202は、結晶が特定の液溜め122に存在するか否かを判定し、存在する場合は、結晶を後にX線ビームと整合させるため、結晶の正確な位置を判定し、記憶する。
【0042】
好ましい例として、X線システム114および116(図1)はこの画像化システム202と結合される。この画像化システム202は、潜在的結晶のための結晶化溶液104(図1)の迅速な走査を可能にし、それにより夫々の潜在的結晶を識別し、その位置が後のX線ビーム120との整合のため記憶される(図1)。この画像化システム202の使用は結晶化小滴のX線への露光を減少させる。なぜならば、結晶化小滴は潜在的結晶が位置付けられるまでX線ビームに露光させる必要がないからである。更に、この画像化システム202は結晶化溶液をX線ビームに露光させるのに必要な時間を可なり減少させ、それによりスループット(処理量)を全体的に増加させることができる。このことは特に有利である。なぜならば、多くの分子、例えばたんぱく質および他の巨大分子はX線ビームによる照射に敏感であり、或るものはX線ビームで変性することもあるからである。
【0043】
結晶とX線ビームとを整合させる前に、定温器中の各結晶の存在および/又はその位置が最初に画像化システム202により判定される。ついで、この結晶の存在および/又は位置が記憶される。各々の結晶の記憶された位置が次に位置決め装置(図3Aおよび3B)により使用され、結晶とX線ビームとが相互に整合させる。好ましい例として、この画像化システムはビデオ画像化システムからなり、ここで、画像捕捉時間は各液溜め122について1秒以下のオーダーとなる。これはX線回折の場合、数分を要することがあるのと対照される。
【0044】
このX線システムおよび結晶は相互との関係で移動され、X線ビームと結晶との整合を確実にする。好ましい例として、定温器102のみをこのX線システムとの関係で移動させてもよい。その他の例として、このX線システムのみ、又はX線システムおよび定温器102の双方を相互の関係で移動させ結晶とX線ビームとの整合を行うようにしてもよい。この相互移動は位置決め装置により行われるが、これについては図3Aおよび3Bを参照して以下に詳述する。
【0045】
図3Aは本発明の1実施例に係わる位置決め装置300の上面を示している。図3Bは図3Aに示した位置決め装置300の側面図であり、ここで、説明の関係上、その一部が断面で示されている。定温器102が位置決め装置300上に配置されていて、定温器102が3つの軸、x,y,zに沿って移動されるようになっている。ブシュ(套管) 302のセットにより定温器102が、x軸に沿って定温器102を移動させる平行シャフト304に沿って摺動されるようになっている。同様に、ブシュ306により定温器102が、y軸に沿って定温器102を移動させる平行シャフト308に沿って摺動されるようになっており、ブシュ320により定温器102が、z軸に沿って定温器102を移動させる平行シャフト312に沿って摺動されるようになっている。この多重軸の任意の1つに沿って定温器102を移動させ得る任意の適当な機構を、図3Aおよび図3Bに示した位置決め装置300に代えて用いることも当然可能である。例えば、位置決め装置は上述の直線的に移動させるものに代えて定温器を軸の周りに回転させるものであってもよい。更に、画像化システムにより検出された結晶を正確に照射させるため、位置決め装置300は数ミクロン以内で正確に制御される必要がある。
【0046】
図4は本発明の1実施例に係わる結晶の選別方法のフロー図を示すものである。定温器102(図1)は好ましくは、最初に位置決め装置300(図3)上に配置される(工程402)。この定温器102は公知の“ピック・アンド・プレース”ロボットを適宜、用いて配置させてもよい。ついで、好ましくは画像化システム202(図2)が稼動され(工程404)、定温器上に移動される。その他、位置決め装置により定温器を画像化システムとの関係で移動させてもよい。画像化システムの稼動(工程404)は各液溜め122の走査を伴い、潜在的結晶の存在および/又は位置(工程416)の判定(工程418)が行われる。従って、画像化システム202は、単結晶および微小結晶のような潜在的結晶物質のための定温器の各液溜めの走査を行うものである。視覚的に十分な潜在的結晶の夫々の位置が好ましくは画像化システムにより記憶される(工程406)。ついで、画像化システムは定温器に隣接する走査位置から後退することになる。各潜在的結晶の記憶された位置を利用して、位置決め装置により定温器102又はX線検出器116が移動され、各潜在的結晶を照射されたX線ビームと線上に合致させるよう整合又は位置決めされる(工程408)。配置された各潜在的結晶はついで、X線源114(図1)からのX線ビーム120(図1)により照射される(工程410)。X線検出器116(図1)は照射された結晶からの回折を検出し(工程412)、その後、検出された回折パターンが記憶され、および/又は分析される。位置決め装置は適宜、次の潜在的結晶を位置決めし(工程414)、その後、検出された全ての結晶が照射され、回折パターンが記憶され、および/又は分析されるまで上記プロセスが適宜、繰り返される。ここで、回折パターンは1以上の規則性の良好な結晶の存在を示唆するものである。単結晶の回折の質を評価する総時間は約5分間である。
【0047】
更に、微小結晶析出物からの回折は粉末パターンを形成するのに対して、非晶質析出物からの回折は拡散、散乱のみを形成する。十分な粉末パターンの形成は、微小結晶の形成が成功したのことを示唆するものである。従って、このシステムは、検出された回折パターン又は粉末パターンに基づいて適当な結晶について選別を行う(工程420)。ここで、十分な結晶成長は理想的な成長条件を示唆するものであり、更なる結晶成長実験を洗練するのに利用することができる。
【0048】
図5は本発明の実験で使用された他の具体例500の斜視図を示している。ここで、1536穴プレート506がx−y並進装置502の2つの装着アームに取着されている。このプレート506は利点として任意の角度で位置付けすることができ、従って、このプレートはX線ビーム504に対し垂直な面で任意の適当な装置と共に並進させることができる。このx−y並進装置502はX線ビーム504および検出器510との関係でプレート506を位置決めするのに使用することができる。このプレート506はX線ビーム504との関連で配向させることができ、従って、穴512およびX線ビーム504が透過される穴512内の潜在的結晶を識別することができる。回折されたX線は検出器510により検出される。
【0049】
実施例1
本実施例では、図5の具体例500を用い、in−situでたんぱく質結晶からのX線回折を観察した例について説明する。図6は図5に示す本発明の具体例を用いて1つのサンプルから得たX線回折陽画画像600を示している。マイクロバッチ法によりプレート506の穴512内でリソチームの結晶成長が行われ、プレート506中の結晶をX線ビーム504に露光させることにより、1.8Åの解像度のX線回折が観察された。
【0050】
グライネル(Greiner)1536穴プレート506の1つの隅部の穴512内にパラフィンオイル(HAMPTON RESEARCH社製)を満たした。次に、各穴に、60mg/Mlリソチーム水溶液(SIGMA CHEMICALCORP社製)と、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液に溶かした6−10%NaCl (Sigma)溶液との1:1混合溶液(pH=4.8)400nlを注入した。このプレート506を静かに回転させ、上記1:1混合溶液の水性小滴を各穴512の底部に落ち着かせた(coax)。室温(約20℃)で数日間放置したところ、プレート506の2つの穴512に結晶を観察することができた。
【0051】
X線ビーム504に対するプレート506の配向を、最初に肉眼で整合させることにより行い、次いで関係領域を画定するためにプレート506上に配置させたリードテープ(lead tape)からのX線回折により行った。1秒間のX線露光を関係する各穴512について0.5mmの間隔で行った。この実験においては、3つの穴を試験した。各穴は4回、つまり穴の各隅で1回、露光させた。3つの穴の1つから回折スポットが観察され、穴内に結晶質たんぱく質が存在することを示唆した。
【0052】
全ての露光が回折パターンに導かれ、この回折パターンは4Å〜5Å解像度を中心とした拡散散乱602(図6)の帯域を有していた。この4−5Å帯域はおそらくパラフィンオイルからの回折によるものと思われた。全てではないが、幾つかの露光において、8Åを中心とした第2の散乱リングが現れた。この第2の帯域は、プレートの約2.5mm移動に相当する露光で現れたから、このリングはおそらく、2.25mmで離間するプレートの穴の壁部からの散乱によるものと思われた。サンプルの幾つかはX線回折を全く生じさせなかったが、これはX線ビームが結晶質物質を透過しなかったことを示唆するものである。しかし、X線ビームがリソチームのサンプルの幾つかを透過したとき、強い回折パターンが観察され、これはサンプル中の規則正しい結晶の存在を示唆するものであった。更なる露光の結果、in−situでリソチーム結晶からの1.8Åに至る回折を観察することができた。結晶の回折の例が参照番号606で示されている。画像の中心604では回折が全く観察されず、これはビームストップ126(図1)の配置によるものである。
【0053】
種々の統計的指標を用い、サンプル中に回折を示す結晶又は微小結晶が存在するか否かを判定することができよう。この回折データは広く分析することができるが、より好ましくは、簡単な統計的分析、例えば画像内の標準偏差の検出などで十分であろう.当業者であれば、過度の実験を行うことなく、結晶又は微小結晶の存在を示すのに適当と思われる標準偏差の閾値を判定することができよう。
【0054】
このように、本発明の方法および装置はin−situで分子の結晶形の存在を検出するのに使用することができる。特に、検出された結晶質物質がたんぱく質の結晶又は塩の結晶か否かを判定するのに使用することができる。更に、結晶質物質の回折の解像度を定量的に判定することができる。
【0055】
更に、この装置および方法は種々の環境、例えば地上又は宇宙、例えば宇宙ステーション、宇宙船などで使用することができる。この実施例において、回折パターンに関連する情報を遠隔地に伝達させる通信装置を設けることもできる。この通信装置は任意の適当な通信手段であってもよく、例えば、無線、衛星、マイクロ波などを利用することができる。本発明を宇宙で使用することの利点は、結晶成長を遠隔的にモニターすることができることである。
【0056】
以上の記載、図面および実施例は本発明の好ましい例を示すものであるが、種々の付加、変更、置換も本発明の趣旨、請求項に記載された範囲から逸脱することなく可能であることを理解されるべきである。特に、当業者であれば、本発明をその趣旨、基本的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態、構造、配置、割合などに具体化したり、他の要素、物質および部材を用いて具体化したりすることが可能であろう。ここに記載した具体例は、従って、あらゆる点で単に説明のためのもので、制限を意図するものでないことを理解されるべきであり、本発明の範囲は併記した請求項により示唆されるものであり、上記説明により制限されるべきものではない。ここに記載した全ての特許および文献はその全てを参照として、本明細書中に組み込まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一具体例に係わる結晶選別のための装置であって、一部を説明上断面で示す模式的側面図である。
【図2】
本発明の他の具体例に係わる画像化システムであって、一部を説明上断面で示す模式的側面図である。
【図3】
図3Aは本発明の一具体例に係わる位置決め装置の平面図である。
図3Bは、図3Aに示す位置決め装置の側面図であって、一部を説明上断面で示す図である。
【図4】
本発明の1具体例に係わるたんぱく質結晶についての選別方法を説明するフロー図である。
【図5】
本発明に係わる実験で使用される他の装置例の斜視図である。
【図6】
図5に示す本発明の装置例を使用して得られたX線回折図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、大略的に結晶学に関し、特に、in−situ(その場)結晶成長環境における結晶の高処理量分析のための自動化装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線回折は分子構造を判定するための強力な技法である。X線回折の一般的な考察については“X−ray Diffraction”、B.E. Warren、Dover (1990)又はCantor and Schimmel,“Techniques for the Study of Biological Structure and Function”、W.H. Freeman (1980)を参照することができる。一般に、分子の三次元構造は、その分子の結晶形からのX線の高輝度光の回折を観察することにより判定することができる。典型的には、X線光を分子の結晶形を透過させ、ついで、その結晶の特異な回折パターンからデータが集められる。その分子の1以上の結晶形からの回折データを用いてその分子の三次元構造が計算される。X線回折の質、すなわちその三次元構造の質はその分子の結晶形の質に依存することになる。高規則性で、安定な結晶は傾向として高品質のX線回折データを発生させる。
【0003】
残念ながら、分子の結晶化は些細な仕事とは言えない。結晶成長に要求される条件(結晶化条件)は多くの変数、例えばpH、緩衝剤のタイプ、緩衝剤の濃度、沈殿剤、沈殿剤の濃度、イオン強度、結晶化されるべき分子の濃度、温度などに依存する。これらの結晶化条件は分子毎に変化し、しばしば試行錯誤により実験的に決定しなければならなかった。このような場合、分子結晶のたった1つの候補を観察できるまでに、数百、数千の条件を調査しなければならない。たんぱく質などの巨大分子については、巨大分子の濃縮高純度溶液を得る事が困難なため、その結晶化は極端に困難となる。そのような濃縮高純度溶液を得る事ができたとしても、その溶液は安定性に乏しいものであることが多い。
【0004】
分子の第1の結晶形が得られたとしても、この分子の結晶形が高解像度の構造情報を得るのに十分な程度にX線を回折させるという保証はない。これらの結晶は、X線を適度に回折させるほど十分に大きいものでなかったり、規則性が十分でなかったりすることが多い。典型的には、研究者はX線の高解像度回折のための十分に良好な質を有する結晶に到達するまでに、結晶化条件を最適化するための多大の苦労を強いられる。残念ながら、結晶化条件の最適化は現在のところ、第1の結晶化条件の発見に用いられたものと同様の試行錯誤により行われている。
【0005】
このような方法を更に複雑化するものではあるが、X線回折の改善に必然的につながるパラメータによって結晶化条件が必ずしも最適化されるものでないという事実がある。典型的には、結晶化条件は、より大きいサイズ、より良好な外観の結晶が得られるように最適化される。しかし、残念ながら、結晶のサイズおよび外観は、X線の高解像度回折とは高い相関関係にはない。言い換えれば、より大きい結晶は、より小さい結晶と比較して、必ずしもX線をより高い解像度で回折させるわけではない。同様に、外観がすぐれた結晶は、外観に劣る結晶と比較して、必ずしもX線をより高い解像度で回折させるわけではない。
【0006】
更に、初期の結晶化実験では、識別が困難な外観又は形態の分子の小さな凝集体が生じることが多かった。これらの粒子は規則性に乏しい、又は不定形の析出物であって、更なる構造的実験には有用でないものと思われる。他方、これらの粒子は、X線を十分に回折することができる微小結晶である場合がある。このような微小結晶は初期の結晶化条件を示すもので、これを最適化しX線回折およびデータ収集に適した結晶を得るようにすることができる。しかし、現在の結晶化技術、例えば結晶の肉眼検査は、光学顕微鏡の助けを以ってしても、非晶質析出と、有用な微小結晶との間の区別を行うことができない。
【0007】
従来から、候補とされる結晶の実際の回折の質を検査するために面倒な方法が使用されている。その1つの典型的方法では、候補となる結晶が結晶化溶液から最初に取り除かれる。このデリケートな結晶は、次いで通常、人手により毛細管に、或いは低温溶液および低温ループに移され、X線ビーム内に置かれ、その結晶の回折の質について観察される。この再移動により脆弱な結晶が容易に損傷を受ける可能性がある。その上、そのような方法は一度に数個の候補となる結晶を観察する場合のみに使用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、結晶学の分野において、理想的な結晶化条件の系統的発見および最適化のための改良された技術についての必要性が存在する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、in−situでの結晶、すなわち、その結晶化溶液での結晶の識別および最適化のための方法および装置を提供するものである。従って、この装置および方法は、結晶の外観検査に依存することなく、かつ、結晶をそのin−situ成長環境から取り出すことなく、結晶化条件を評価するのに使用することができる。潜在的結晶(potential crystal)をそのin−situ成長環境から取り出す必要がないから、結晶成長期間において結晶化条件を回折物質について数回検査することができる。更に、異なる結晶化条件の下で成長させた結晶を高処理量様式で逐次検査することができる。事実、この方法は自動化することができ、従って、多数の結晶化条件を最小の費用で試験することができる。更に、この装置および方法は、結晶のサイズおよび外観の最適化に加えて、結晶のX線回折の質を最適化するのに容易に使用することができる。
【0010】
本発明の方法によれば、典型的結晶化実験として、結晶化小滴にX線光を透過させ、検知器を使用して、この小滴中の結晶がX線を回折するか否かを評価することにより、結晶成長について分析が行われる。この回折は結晶が成功裏に成長したことを示すものである。もし、回折が観察されない場合は、結晶の生育が更に続行されるか、或いは実験は失敗と判定される。更に、回折パターンの質が評価され、それにより結晶の質が判定され、それにより結晶化条件が最適化される。
【0011】
小結晶又は微小結晶についても、本発明の方法および装置は結晶の回折特性の示唆、更に理想的には結晶限界分解能の示唆を提供することができる。更に、本発明の方法および装置は不定形析出物を微小結晶から区別するのに使用することができ、この場合、サンプルによるX線光の粉末回折パターンは規則正しい微小結晶を示唆するものである。事実、本発明の方法および装置により得られる粉末回折パターンは微小結晶の回折の質を評価するのにも使用することができる。
【0012】
本発明の方法および装置は更に、たんぱく質結晶と、非たんぱく質結晶、例えば塩結晶とを区別するのにも使用することができる。この区別は例えば、結晶格子のサイズを分析することにより行うことができる。
【0013】
その結果、本発明の方法および装置は、回折パターンの質を観察する能力によって、結晶が成長しているか否かの判定のみならず、最良の結晶化条件を識別することを意図して幾つかの異なる結晶化実験を互いに比較することを可能にする。
【0014】
本発明の方法および装置は、当業者にとって公知の殆ど全ての結晶化法に使用することができる。例えば、特に限定はないが、ハンギングドロップ(hanging drop)、シッティングドロップ(sitting drop)、マイクロバッチ(microbatch)、透析、ゲル結晶化などに使用することができる。更に、この方法は容易に自動化することができ、ユーザーによる入力を最小に抑えつつ最良の結晶化条件の発見を高処理量で行うことを可能にする。
【0015】
従って、本発明はin−situ結晶成長環境において結晶の存在を検出するための装置を提供するものである。この装置は、対向する第1の面および第2の面を有する結晶成長定温器を具備している。この装置は更に、X線システムを具備し、該システムは結晶成長定温器の第1の面近傍に配置されたX線源と、結晶成長定温器の第2の面近傍に配置されたX線検出器とを具備してなる。このX線源は結晶成長定温器中にて成長した結晶を照射するよう構成されており、X線検出器は結晶成長定温器中にて成長した結晶から回折されたX線の存在を検出するよう構成されている。好ましくは、この装置は更に、結晶成長定温器とX線システムとを相対的に位置決めするための位置決め装置を有している。画像化システム、例えば光学的画像化システムを結晶成長定温器に隣接して配置することが好ましく、それにより結晶成長定温器内で成長した潜在的結晶の存在および位置を最初に検出するようにする。
【0016】
更に、in−situ結晶成長環境における結晶の選別方法が提供される。結晶成長定温器において潜在的結晶が一旦成長すると、この結晶成長定温器は好ましくは位置決め装置と接続される。好ましくは、結晶成長定温器における潜在的結晶の存在/位置がついで、この画像化システムにより光学的に判定される。その位置が適宜、記憶され、この潜在的結晶の位置に基づいて結晶成長定温器とX線システムとが正確に相互に整合され、X線源からのX線光がこの潜在的結晶に対し正確に向けられるようにする。ついで、X線光がこの潜在的結晶に対し照射される。この潜在的結晶からの回折パターンの存在がX線検出器により検出されたとき、それにより結晶が識別され、更に選別され、ついで適宜、回折の質のための最適化が行われる。このようにして、結晶成長定温器内で成長した潜在的結晶がX線システムにより、その適性について選別され、それにより十分な結晶成長実験の再現性を容易に向上させることができる。
【0017】
更に、本発明の方法および装置は種々の環境、例えば地上、宇宙空間、例えば宇宙ステーション、宇宙船などの環境でも使用することができる。本発明を宇宙で使用することによる利点は、結晶成長を遠隔的にモニターすることができることである。更に、結晶成長の遠隔モニタリングは、例えば、毒性たんぱく質、例えばウイルス粒子又はバクテリア毒素をモニターする上で有利である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面を参照して説明するがこれら図中、対応する部分は同一の参照符号を付す。
本発明によれば、結晶の結晶化溶液、すなわち結晶成長環境から、結晶を混乱させることなく、結晶又は候補とされる結晶の回折の質を効果的に評価することができる。従って、結晶化溶液をin−situで選別し、結晶の成長が行われた否かを判定することができる。結晶化溶液がその結晶化環境から混乱されない場合、その結晶化溶液は最初の選別の後、更に結晶を生育させ、後に再び選別に供することができる。この結晶化溶液は多数回、選別に供することができる。更に、多数の結晶化溶液を結晶生育のために急速かつ逐次的に選別するのを、高処理量で行うことができる。
【0019】
この選別は1以上の結晶化溶液中の結晶材料の識別を含む。選別は更に、多数の結晶化溶液中の多数の結晶の回折の質の比較を含む。このような比較は、例えば、多数の結晶化溶液を検査することにより結晶の回折の質を最適化するのに使用することができる。本発明の或る具体例においては、この選別は結晶の識別並びに回折の質の比較又は最適化の双方を含むこともある。
【0020】
本発明の方法および装置はあらゆるタイプの分子の結晶を選別するのに使用することができる。例えば、本発明の方法および装置は小さい分子又は巨大分子の結晶、又は当業者に公知の他の分子の結晶について選別するのに使用することができる。本発明の方法および装置において、適当な小分子の例としては、例えば、小さな有機質分子、薬剤、治療物質分子、抗生物質分子、抗ウイルス分子、ペプチド、アミノ酸、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、糖、その他、公知の小分子などを挙げることができる。適当な巨大分子の例としては、例えば、たんぱく質、ポリペプチド、抗体、酵素、核酸結合たんぱく質、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、炭水化物、その他、公知の巨大分子などを挙げることができる。
【0021】
本発明の方法および装置は、当業者に公知の任意の結晶成長法により成長された結晶を選別するのにも使用することができる。例えば、気相拡散法、ハンギングドロップ法、シッティングドロップ法、透析法、マイクロバッチ法、ゲル結晶成長法などにも使用することができる。例えば、天然結晶の成長を、その分子を析出させるのに必要なものより若干低い濃度で沈殿剤を含有する結晶化溶液中に実質的に純粋なその分子を溶解させることにより行うことができる。析出条件を作り出すため、制御された蒸発により結晶化溶液から水分を除去することができ、この条件は結晶成長が終了するまで維持される。
【0022】
一例として、ハンギングドロップ法において気相拡散により天然結晶を成長することができる(McPherson, 1982, Preparation and Analysis of Protein Crystals, John Wiley, ニューヨーク;McPherson, 1990, Eur. J. Biochem. 189:1−23.)。この方法において、分子および結晶化溶液が密閉容器内にて平衡になるようにする。ここで、この容器は結晶を生じさせるのに最適な濃度の沈殿剤を含有する沈殿溶液を収容した大きい液溜めを備えたものである。この結晶化溶液は上記液溜めの上面に封止されたガラスカバーの下に小滴として浮遊される。この封止された容器は結晶が成長するまで静置される。
【0023】
ついで、X線ビームを結晶化溶液に透過させ、この溶液が結晶物質を含有するか否かを判定し、および/又はこの溶液内の結晶物質の回折の質を判定する。例えば、もし、この溶液が単一で、規則性の良好な結晶、又は数個の良好な結晶を含有する場合は、X線回折スポットのパターンを検出することができる。もし、この溶液がランダムに配向した微小結晶を含有する場合は、粉末回折パターンが検出されるかもしれない。本発明のin−situ方法および装置により発生したこのような粉末回折パターンも微小結晶物質の回折の質を特徴づけるのに使用することができる。回折パターン又は粉末回折パターンは微小結晶からなる分子構造に相互に関連する。もし、X線ビームが非結晶物質を透過するとき、又はX線ビームが非晶質析出物を透過するとき、回折は観察されない。
【0024】
従って、本発明の方法において、結晶又は微小結晶を含有する小滴はX線ビームにより走査することができる。当業者にとって自明なように、このような方法により、粉末回折パターンが微小結晶又は結晶の存在を示唆するものとなる。
【0025】
図1は本発明の1具体例による、結晶についての選別のための装置100の模式的側面図を示している。この装置100は基本的に定温器102(説明の便宜上、一部切欠して示す)と、X線システムとを具備してなり、このX線システムはX線源114と、X線検出器116とを有する。このX線システムは1.5Å〜5Åを解像し得るものであることが好ましい。
【0026】
ここで使用される定温器102は結晶108が成長し得るものであれば如何なる装置であってもよい。例えば、定温器102は結晶化トレイ又はプレートであってもよい。従って、この定温器は結晶108のためのin−situ結晶成長環境を提供するものである。説明上、図1に示した定温器102はハンギングドロップ128およびシッティングドロップ130の双方の構成を用いて結晶を成長させるのに使用することができる。しかし、使用に際して、一般には1つの定温器102に対して1つのタイプの構成のみが使用される。結晶を成長させるための任意の適当な定温器102を使用することができよう。例えば、米国特許、No.5,096,676,McPherson; No.5,130,105,Carterら、に開示されているものを使用することができる(これらの文献は参照により本明細書中に組み込まれるものとする)。定温器102は、好ましくは少なくとも下面又は第1の面110と、反対側の上面又は第2の面112とを有する。好ましくは、この定温器102は、気相拡散のための沈殿溶液106を保持するよう構成された多数の液溜め122を有する。ハンギングドロップ構造128において、結晶化溶液の小滴104はガラスカバースリップ(好ましくは第2の面112と一致する)に適用され、各液溜め122の上面に逆さにして置かれる。これらの条件により、小滴104中に過飽和が生じ、析出が開始され、結晶108が形成される。
【0027】
シッティングドロップ構造130において、結晶化溶液の小滴132は直立カラム126の頂部に置かれた容器内に載せられ、その条件下で、小滴128中に過飽和が生じ、析出が開始され、結晶108が形成される。
【0028】
X線源114は定温器102の第1の面110の近傍に配置することが好ましく、X線検出器116は定温器102の第2の面112の近傍に配置することが好ましい。若しくは、X線源114およびX線検出器116の位置を切り替え、X線検出器116を第1の面110の近傍に配置し、X線源114を第2の面112の近傍に配置してもよい。
【0029】
X線源114は、銅(Cu)ターゲット・マイクロ‐焦点X線管であって、少なくとも5×108光子/s/mm2のX線束を発生させるものからなることが好ましい。このX線束は、結晶108が結晶化実験内でのin−situ成長環境内に位置されている間において、結晶108からの回折パターンを記録するために必要なものである。
【0030】
好ましい具体例において、X線ビーム120は定温器102に対し、上方に向け、かつ、垂直に向けて放出される。X線源114から放出されるX線ビーム120はCuKα線からなる単色光であることが好ましい。このX線ビーム120は任意の波長のものであってもよいが、約0.5Å〜約2.0Åの範囲の波長のものが好ましい。更に、X線ビーム120は、好ましくは厳密に焦点を合わせられ、視準され、それにより装置100から反射されるX線の結果として生じるX線の散乱を抑制することが好ましい。厳密に焦点が合わせられたX線ビーム120を形成するため、1以上のミラーおよび/又はコリメーター118を設けてもよい。このコリメーター118は円盤状のもので、中央に円形の透孔が設けられたものが好ましい。結晶108からの回折されたX線の正確な収集を更に助けるため、X線ビーム120は、照射されている結晶108のサイズと同一あるいはそれよりも小さいことが好ましい。慣例のX線構造判定のために成長される結晶の最も大きなものでも一般に0.5mmよりも小さいサイズのものであり、最も日常的にはほぼ100ないし200ミクロンであるから、X線ビーム120は焦点サイズが200ミクロン以下であることが好ましい。
【0031】
1例として、X線源114として、BEDE MICRO−FOCUS (又はMICROSOURCE) X−RAY GENERATOR (BEDE SCIENTIFIC INSTRUMENTS LIMITED社製) が用いられる。BEDE又はREFLEX社によるマイクロ‐ミラーX線光学装置も好ましく用いることができる。その他、好ましいX線源114として、標準回転陽極X線発生装置(RIGAKU INTERNATIONAL CORP社製)を用いることができる。
【0032】
その他、他の低コストの装置例として、マイクロ‐フォーカスX線管、例えばKEVEX又はFEINFOCUS社製のものに、X−RAY OPTICAL SYSTEMS社製の毛管光学装置又はOSMIC社又はRIGAKU社製の多層光学装置を用いたConfocal MaxFlux多重レンズシステムを組み合わせたものを使用することができる。この毛管光学装置は線源スポットからX線をより大きい立体角で集めることができる。上記Confocal MaxFluxは波長の選択および最終視準を提供するものである。更にコスト節減のため、多重焦点システムの代わりに単一焦点システムを用いることもできる。
【0033】
更に他の例として、より多くの光束を得るために(非回転陽極)ミニ‐フォーカスX線管を使用することができる。このミニ‐フォーカスX線管は200ワットで、BEDE社による25ワットマイクロ‐フォーカスのものの8倍の光束の大きいスポットを与えることができる。更に他の例として、ビームのサイズは約50ミクロンであることが好ましく、ビームのスポットは直径が約40ミクロンであることが好ましい。更に他の例として、サイクロトロンビームを用いることもできる。
【0034】
入射X線ビーム120は散乱X線の如何なるものよりも浸透力が大きく、従って、気相拡散の場合、X線ビーム120が定温器102の底面又は第1の面110、更に液溜め122中の沈殿溶液106を透過するように装置100をセットアップすることが好ましい。X線ビーム120はついで、その通路において任意の結晶108により回折される。この実施例の場合、結晶108からの回折X線124は定温器102の上面又は第2の面112を透過し、更にエアギャップを透過し、実質的に妨害されることなくX線検出器116に到達する。事実、このX線ビームは1.5mm厚までのポリスチレンおよび/又は5mm厚までのオイルを透過できるものであることが好ましい。
【0035】
ハンギングドロップ構成128において、定温器102の上面又は第2の面112は通常、ガラスカバースリップ又はマイラーテープからなる。オイルを用いたマイクロバッチにおいて、定温器102に対するX線ビームの配向については、特に制限はない。このマイクロバッチの例においてX線検出器は定温器102の第2の面112の近傍、又は定温器102の上に配置され、X線ビームはオイル被覆層を透過し、定温器102の第1の面110近傍、すなわち定温器下方に配置されたX線検出器116により検出される。
【0036】
X線検出器116は、その感度および速度によって選択され、好ましくは2次元検出器が選択される。この2次元検出器は平面を透過し候補とされる結晶から回折されたX線に対し敏感である。サンプルが粉末回折パターンを発生させるような微小結晶を有する場合、この検出器は候補とされる結晶からの回折X線の位置および強度を記録し得る一次元検出器又は二次元検出器であってもよい。理想的なX線検出器116として、蛍光板の高い感度と、CCDカメラの迅速な読出しとを組み合わせたものが好ましい。
【0037】
他の結晶学的X線検出器と異なり、このX線検出器116は、個々の回折ビームを解像する必要がないから、大きくある必要はなく、むしろ、回折の解像限界を観察し得ることが必要である。従って、CCDカメラは、現在、X線源に対し使用されているCCD検出器で必要とされているマクロ化ガラステーパー(demagnification glass taper)を必要としない。更に、回折の解像限界、特に粉末パターンの解像限界を検出するには、1個の寸法検出器でよい。
【0038】
X線検出器の適当なものとしては、現在市販の画像化プレートシステムと少なくとも同様の感度を有する必要があり、例えば、FUJIFILM MEDICAL SYSTEMS U.S.A., INC (例えばBAS 2500 NDT)製の蛍光板を用いることができ、これは現在入手可能な最も感度の高いX線検出器の範疇に該当する。
【0039】
しかし、好ましい例として、X線検出器116は冷却電荷結合素子(CCD)カメラを挙げることができる。これは現在入手可能な画像化プレートシステムのものよりも感度が若干劣るが、読出し時間が非常に迅速である。このようなCCD検出器は、仮想中心が結晶上にあり回転する揺れ軸上に装着されることが好ましく、それにより検出器の入力フェースプレートがX線ビームに対し垂直となるようにし、かつ、この垂直から約50度の角度まで揺動できるようにする。このCCD検出器は、光学繊維テーパー状先端を伴う又は伴うことなしに選択された蛍光スクリーンを含むことが好ましい。この蛍光スクリーンは1ミリ当り4〜8本のライン対を達成し得るものであることが好ましい。好ましい例として、このCCD検出器は結晶から約80mmの位置に配置される。
【0040】
好ましい例として、ビームストップ126が定温器102とX線検出器116との間に設けられていて、中央の非回折X線ビームを阻止し、検出器が損傷されないようにしたり、検出結果に悪影響が生じないようにしたりしている。この検出器(又はビームストップ)におけるX線ビーム120のスポットサイズは、直径が約40〜50ミクロンで、発散の弧度が30秒以下であることが好ましい。較正結晶をX線ビームに挿入するための手段を設けて装置100を較正することも好ましい。
【0041】
図2は、本発明の1実施例に係わる画像化システムの側面を模式的に示しており、ここで定温器は説明上、一部断面で示されている。X線ビーム120の厳密な焦点のサイズ(図1)のため、X線ビームと結晶108(図1)とは正確に整合させる必要があり、結晶がX線ビームを正確に回折させるようにしなければならない。ハンギングドロップ構成128(図1)において、約2μLの結晶化小滴が直径約1−2mmのハンギングドロップを形成する。上述のように、X線ビームは好ましくは200ミクロン以下の焦点サイズを有する。この小滴の中の或る場所に潜在的結晶が見出されるものとして、厳密に焦点を合わせたX線ビーム120がこの潜在的結晶を照射するように正確に整合させなければならない。小滴212を各液溜め122の中心を通る中心軸214に沿って配置させるセットアップ手法の間に細心の注意を必要とするが、照射前の或る時点において、中心からずれた位置208へこの小滴が移動することがある。その上、多くの小滴が十分な結晶を生じることなく、単に非晶質析出物210のみを生じさせる。X線ビームが結晶と整合するのを助けるため、本発明では好ましくは画像化システム202が採用されている。この画像化システム202は、結晶が特定の液溜め122に存在するか否かを判定し、存在する場合は、結晶を後にX線ビームと整合させるため、結晶の正確な位置を判定し、記憶する。
【0042】
好ましい例として、X線システム114および116(図1)はこの画像化システム202と結合される。この画像化システム202は、潜在的結晶のための結晶化溶液104(図1)の迅速な走査を可能にし、それにより夫々の潜在的結晶を識別し、その位置が後のX線ビーム120との整合のため記憶される(図1)。この画像化システム202の使用は結晶化小滴のX線への露光を減少させる。なぜならば、結晶化小滴は潜在的結晶が位置付けられるまでX線ビームに露光させる必要がないからである。更に、この画像化システム202は結晶化溶液をX線ビームに露光させるのに必要な時間を可なり減少させ、それによりスループット(処理量)を全体的に増加させることができる。このことは特に有利である。なぜならば、多くの分子、例えばたんぱく質および他の巨大分子はX線ビームによる照射に敏感であり、或るものはX線ビームで変性することもあるからである。
【0043】
結晶とX線ビームとを整合させる前に、定温器中の各結晶の存在および/又はその位置が最初に画像化システム202により判定される。ついで、この結晶の存在および/又は位置が記憶される。各々の結晶の記憶された位置が次に位置決め装置(図3Aおよび3B)により使用され、結晶とX線ビームとが相互に整合させる。好ましい例として、この画像化システムはビデオ画像化システムからなり、ここで、画像捕捉時間は各液溜め122について1秒以下のオーダーとなる。これはX線回折の場合、数分を要することがあるのと対照される。
【0044】
このX線システムおよび結晶は相互との関係で移動され、X線ビームと結晶との整合を確実にする。好ましい例として、定温器102のみをこのX線システムとの関係で移動させてもよい。その他の例として、このX線システムのみ、又はX線システムおよび定温器102の双方を相互の関係で移動させ結晶とX線ビームとの整合を行うようにしてもよい。この相互移動は位置決め装置により行われるが、これについては図3Aおよび3Bを参照して以下に詳述する。
【0045】
図3Aは本発明の1実施例に係わる位置決め装置300の上面を示している。図3Bは図3Aに示した位置決め装置300の側面図であり、ここで、説明の関係上、その一部が断面で示されている。定温器102が位置決め装置300上に配置されていて、定温器102が3つの軸、x,y,zに沿って移動されるようになっている。ブシュ(套管) 302のセットにより定温器102が、x軸に沿って定温器102を移動させる平行シャフト304に沿って摺動されるようになっている。同様に、ブシュ306により定温器102が、y軸に沿って定温器102を移動させる平行シャフト308に沿って摺動されるようになっており、ブシュ320により定温器102が、z軸に沿って定温器102を移動させる平行シャフト312に沿って摺動されるようになっている。この多重軸の任意の1つに沿って定温器102を移動させ得る任意の適当な機構を、図3Aおよび図3Bに示した位置決め装置300に代えて用いることも当然可能である。例えば、位置決め装置は上述の直線的に移動させるものに代えて定温器を軸の周りに回転させるものであってもよい。更に、画像化システムにより検出された結晶を正確に照射させるため、位置決め装置300は数ミクロン以内で正確に制御される必要がある。
【0046】
図4は本発明の1実施例に係わる結晶の選別方法のフロー図を示すものである。定温器102(図1)は好ましくは、最初に位置決め装置300(図3)上に配置される(工程402)。この定温器102は公知の“ピック・アンド・プレース”ロボットを適宜、用いて配置させてもよい。ついで、好ましくは画像化システム202(図2)が稼動され(工程404)、定温器上に移動される。その他、位置決め装置により定温器を画像化システムとの関係で移動させてもよい。画像化システムの稼動(工程404)は各液溜め122の走査を伴い、潜在的結晶の存在および/又は位置(工程416)の判定(工程418)が行われる。従って、画像化システム202は、単結晶および微小結晶のような潜在的結晶物質のための定温器の各液溜めの走査を行うものである。視覚的に十分な潜在的結晶の夫々の位置が好ましくは画像化システムにより記憶される(工程406)。ついで、画像化システムは定温器に隣接する走査位置から後退することになる。各潜在的結晶の記憶された位置を利用して、位置決め装置により定温器102又はX線検出器116が移動され、各潜在的結晶を照射されたX線ビームと線上に合致させるよう整合又は位置決めされる(工程408)。配置された各潜在的結晶はついで、X線源114(図1)からのX線ビーム120(図1)により照射される(工程410)。X線検出器116(図1)は照射された結晶からの回折を検出し(工程412)、その後、検出された回折パターンが記憶され、および/又は分析される。位置決め装置は適宜、次の潜在的結晶を位置決めし(工程414)、その後、検出された全ての結晶が照射され、回折パターンが記憶され、および/又は分析されるまで上記プロセスが適宜、繰り返される。ここで、回折パターンは1以上の規則性の良好な結晶の存在を示唆するものである。単結晶の回折の質を評価する総時間は約5分間である。
【0047】
更に、微小結晶析出物からの回折は粉末パターンを形成するのに対して、非晶質析出物からの回折は拡散、散乱のみを形成する。十分な粉末パターンの形成は、微小結晶の形成が成功したのことを示唆するものである。従って、このシステムは、検出された回折パターン又は粉末パターンに基づいて適当な結晶について選別を行う(工程420)。ここで、十分な結晶成長は理想的な成長条件を示唆するものであり、更なる結晶成長実験を洗練するのに利用することができる。
【0048】
図5は本発明の実験で使用された他の具体例500の斜視図を示している。ここで、1536穴プレート506がx−y並進装置502の2つの装着アームに取着されている。このプレート506は利点として任意の角度で位置付けすることができ、従って、このプレートはX線ビーム504に対し垂直な面で任意の適当な装置と共に並進させることができる。このx−y並進装置502はX線ビーム504および検出器510との関係でプレート506を位置決めするのに使用することができる。このプレート506はX線ビーム504との関連で配向させることができ、従って、穴512およびX線ビーム504が透過される穴512内の潜在的結晶を識別することができる。回折されたX線は検出器510により検出される。
【0049】
実施例1
本実施例では、図5の具体例500を用い、in−situでたんぱく質結晶からのX線回折を観察した例について説明する。図6は図5に示す本発明の具体例を用いて1つのサンプルから得たX線回折陽画画像600を示している。マイクロバッチ法によりプレート506の穴512内でリソチームの結晶成長が行われ、プレート506中の結晶をX線ビーム504に露光させることにより、1.8Åの解像度のX線回折が観察された。
【0050】
グライネル(Greiner)1536穴プレート506の1つの隅部の穴512内にパラフィンオイル(HAMPTON RESEARCH社製)を満たした。次に、各穴に、60mg/Mlリソチーム水溶液(SIGMA CHEMICALCORP社製)と、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液に溶かした6−10%NaCl (Sigma)溶液との1:1混合溶液(pH=4.8)400nlを注入した。このプレート506を静かに回転させ、上記1:1混合溶液の水性小滴を各穴512の底部に落ち着かせた(coax)。室温(約20℃)で数日間放置したところ、プレート506の2つの穴512に結晶を観察することができた。
【0051】
X線ビーム504に対するプレート506の配向を、最初に肉眼で整合させることにより行い、次いで関係領域を画定するためにプレート506上に配置させたリードテープ(lead tape)からのX線回折により行った。1秒間のX線露光を関係する各穴512について0.5mmの間隔で行った。この実験においては、3つの穴を試験した。各穴は4回、つまり穴の各隅で1回、露光させた。3つの穴の1つから回折スポットが観察され、穴内に結晶質たんぱく質が存在することを示唆した。
【0052】
全ての露光が回折パターンに導かれ、この回折パターンは4Å〜5Å解像度を中心とした拡散散乱602(図6)の帯域を有していた。この4−5Å帯域はおそらくパラフィンオイルからの回折によるものと思われた。全てではないが、幾つかの露光において、8Åを中心とした第2の散乱リングが現れた。この第2の帯域は、プレートの約2.5mm移動に相当する露光で現れたから、このリングはおそらく、2.25mmで離間するプレートの穴の壁部からの散乱によるものと思われた。サンプルの幾つかはX線回折を全く生じさせなかったが、これはX線ビームが結晶質物質を透過しなかったことを示唆するものである。しかし、X線ビームがリソチームのサンプルの幾つかを透過したとき、強い回折パターンが観察され、これはサンプル中の規則正しい結晶の存在を示唆するものであった。更なる露光の結果、in−situでリソチーム結晶からの1.8Åに至る回折を観察することができた。結晶の回折の例が参照番号606で示されている。画像の中心604では回折が全く観察されず、これはビームストップ126(図1)の配置によるものである。
【0053】
種々の統計的指標を用い、サンプル中に回折を示す結晶又は微小結晶が存在するか否かを判定することができよう。この回折データは広く分析することができるが、より好ましくは、簡単な統計的分析、例えば画像内の標準偏差の検出などで十分であろう.当業者であれば、過度の実験を行うことなく、結晶又は微小結晶の存在を示すのに適当と思われる標準偏差の閾値を判定することができよう。
【0054】
このように、本発明の方法および装置はin−situで分子の結晶形の存在を検出するのに使用することができる。特に、検出された結晶質物質がたんぱく質の結晶又は塩の結晶か否かを判定するのに使用することができる。更に、結晶質物質の回折の解像度を定量的に判定することができる。
【0055】
更に、この装置および方法は種々の環境、例えば地上又は宇宙、例えば宇宙ステーション、宇宙船などで使用することができる。この実施例において、回折パターンに関連する情報を遠隔地に伝達させる通信装置を設けることもできる。この通信装置は任意の適当な通信手段であってもよく、例えば、無線、衛星、マイクロ波などを利用することができる。本発明を宇宙で使用することの利点は、結晶成長を遠隔的にモニターすることができることである。
【0056】
以上の記載、図面および実施例は本発明の好ましい例を示すものであるが、種々の付加、変更、置換も本発明の趣旨、請求項に記載された範囲から逸脱することなく可能であることを理解されるべきである。特に、当業者であれば、本発明をその趣旨、基本的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態、構造、配置、割合などに具体化したり、他の要素、物質および部材を用いて具体化したりすることが可能であろう。ここに記載した具体例は、従って、あらゆる点で単に説明のためのもので、制限を意図するものでないことを理解されるべきであり、本発明の範囲は併記した請求項により示唆されるものであり、上記説明により制限されるべきものではない。ここに記載した全ての特許および文献はその全てを参照として、本明細書中に組み込まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一具体例に係わる結晶選別のための装置であって、一部を説明上断面で示す模式的側面図である。
【図2】
本発明の他の具体例に係わる画像化システムであって、一部を説明上断面で示す模式的側面図である。
【図3】
図3Aは本発明の一具体例に係わる位置決め装置の平面図である。
図3Bは、図3Aに示す位置決め装置の側面図であって、一部を説明上断面で示す図である。
【図4】
本発明の1具体例に係わるたんぱく質結晶についての選別方法を説明するフロー図である。
【図5】
本発明に係わる実験で使用される他の装置例の斜視図である。
【図6】
図5に示す本発明の装置例を使用して得られたX線回折図である。
Claims (31)
- その場結晶成長環境において結晶物質の存在を検出するための装置であって、
対向する第1の面および第2の面を有する結晶成長定温器と、
X線システムとを備え、
該X線システムが:
前記結晶成長定温器の第1の面近傍に配置され、前記結晶成長定温器中で成長した結晶物質を照射するように構成されたX線源と;
前記結晶成長定温器の第2の面近傍に配置され、前記結晶成長定温器中にて成長した結晶物質からの回折されたX線の存在を検出するよう構成されたX線検出器と;を備えており、
使用において、前記X線システムにより、前記結晶成長定温器内で成長した潜在的結晶をその適性によって選別することにより、十分な結晶成長実験の再現性の向上を図る装置。 - 前記装置がさらに、結晶成長定温器とX線システムとを相対的に位置決めするための位置決め装置を有していることを特徴とする請求項1記載の装置。
- 前記結晶成長定温器が、その中で結晶を成長させるように構成されたサンプル保持トレイであることを特徴とする請求項1記載の装置。
- 前記結晶成長定温器に隣接して配置された画像化システムをさらに備え、該画像化システムにより結晶成長定温器内で成長した結晶の存在および位置を検出するようにし、使用時において、前記X線源から発生するX線ビームが前記画像化システムにより検出された結晶と正確に整合するようにしたことを特徴とする請求項1記載の装置。
- 前記X線検出器が、電荷結合素子(CCD)カメラおよび画像化プレートシステムからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1記載の装置。
- 前記画像化プレートシステムが蛍光プレート画像化システムであることを特徴とする請求項5記載の装置。
- 前記X線検出器が、高感度および急速読み取りを提供する検出器を備えていることを特徴とする請求項1記載の装置。
- 前記X線源が、CuKα線からなるX線の単色光を発生させるものであることを特徴とする請求項1記載の装置。
- 前記X線源が、200ミクロン以下の焦点寸法を有するX線ビームを発生させるものであることを特徴とする請求項1記載の装置。
- 回折パターンと関連する情報を遠隔地に送信させる送信機をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の装置。
- その場結晶成長環境において結晶物質について選別を行う方法であって、
その場結晶成長環境にて結晶物質に対しX線ビームを照射する工程と;
前記結晶物質からの回折パターンを検出する工程と;
前記回折パターンに基づいて前記結晶物質をその適合性について選別する工程と;
を含んでいる方法。 - 前記結晶物質が、結晶質粉末、微小結晶、単結晶および複数の単結晶からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 前記回折パターンが、粉末回折パターンおよびX線回折スポットのパターンからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 前記照射する工程の前に、前記結晶物質とX線ビームとを相対的に位置決めし、前記X線ビームが前記結晶物質と正確に整合するようにする工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項11記載の結晶物質について選別を行う方法。
- 前記照射する工程の前に、前記その場結晶成長環境における前記結晶物質の存在を判定する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項11記載の結晶物質について選別を行う方法。
- その場結晶成長環境における前記結晶物質の位置を確認する工程を更に含んでいることを特徴とする請求項15記載の結晶物質について選別を行う方法。
- 前記結晶物質の位置を記憶する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項16記載の結晶物質について選別を行う方法。
- 前記結晶物質の位置に基づいて、前記結晶物質と前記X線ビームとを相対的に位置決めし、前記X線ビームが前記結晶物質と正確に整合するようにする工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項17記載の結晶物質について選別を行う方法。
- 前記照射する工程の前に、前記結晶物質と前記X線ビームとを相対的に位置決めし、前記X線ビームが前記結晶物質を正確に照射するようにする工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項11記載の結晶物質について選別を行う方法。
- 成長環境において、結晶物質を成長させる最初の工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項11記載の結晶物質について選別を行う方法。
- 前記成長させる工程が、気相拡散法、ハンギングドロップ法、シッティングドロップ法、透析法、マイクロバッチ法およびゲル結晶成長法からなる群から選択される方法により、前記成長環境において結晶物質を生成させる工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項20記載の結晶物質について選別を行う方法。
- 前記方法が宇宙で行われるものであることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 前記結晶物質がたんぱく質結晶であるか否かを判定する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 前記結晶物質が塩結晶であるか否かを判定する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項11記載の方法。
- その場結晶成長環境において結晶物質について選別を行う方法であって、
結晶成長定温器にて結晶物質を成長させる工程と;
前記結晶成長定温器を位置決め装置内に配置させる工程と;
前記結晶成長定温器における前記結晶物質の存在を判定する工程と;
前記結晶成長定温器における前記結晶物質の位置を確認する工程と;
前記結晶物質の位置を記憶する工程と;
前記結晶物質の位置に基づいて、前記結晶成長定温器と前記X線源とを相対的に位置決めし、前記X線源からのX線ビームが前記結晶物質と正確に整合するようにする工程と;
前記結晶物質をX線ビームで照射する工程と;
前記結晶物質からの回折パターンをX線検出器により検出する工程と;
前記回折パターンに基づいて前記結晶物質をその適合性について選別する工程と;
を含んでいる方法。 - 前記結晶物質が、結晶質粉末、微小結晶、単結晶および複数の単結晶からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項25記載の方法。
- 前記回折パターンが、粉末回折パターンおよびX線回折スポットのパターンからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項25記載の方法。
- X線ビームを静止させた状態で、前記結晶物質をX線ビームとの関連で位置変更させることを特徴とする請求項25記載の方法。
- 前記方法が宇宙で行われるものであることを特徴とする請求項25記載の方法。
- 前記結晶物質がたんぱく質結晶であるか否かを判定する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項25記載の方法。
- 前記結晶物質が塩結晶であるか否かを判定する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項25記載の方法。
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