JP2004526429A - ヒト前立腺から単離したヒト遺伝子および遺伝子発現産物 - Google Patents

ヒト前立腺から単離したヒト遺伝子および遺伝子発現産物 Download PDF

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    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/158Expression markers

Abstract

本発明は、新規なヒトポリヌクレオチドおよびそれらの改変体、それらのコードされるポリペプチドおよびそれらの改変体に関し、これらのポリヌクレオチドに対応する遺伝子に関し、そしてこれらの遺伝子によって発現されるタンパク質に関する。本発明はまた、プローブ、アンチセンスヌクレオチド、および抗体を含む、このような新規なヒトポリヌクレオチド、それらの対応する遺伝子または遺伝子産物を含む診断剤および治療剤に関する。本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1〜1477のうちの少なくとも1つの配列情報を含むポリヌクレオチドに対応する。本発明のポリペプチドは、配列番号1478〜1568のうちの少なくとも1つのアミノ酸配列情報を含むポリペプチドに対応する。

Description

【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2000年12月11日に出願された先願の米国仮出願番号第60/254,648号および2001年3月13日に出願された先願の米国仮出願番号第60/275,688号の利益を主張するものであり、これらの出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ヒト起源、特にヒト前立腺起源のポリヌクレオチドおよびコードされた遺伝子産物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
新規のポリヌクレオチド、特に、発現された遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドの同定は、薬物送達、診断技術、ならびに癌のような複雑な疾患の進行および性質の理解の進歩において重要である。疾患の状態または疾患の段階、発生段階、種々の環境因子への曝露、起源の組織、組織を単離した種などが異なる供給源から単離された異なる細胞型で発現された遺伝子の同定は、種々の差異に関連する表現型を担う遺伝因子を同定するための鍵となる。
【0004】
本発明は、新規のヒトポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド、およびこれらの新規のポリヌクレオチドに対応する遺伝子およびタンパク質を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、新規のヒトポリヌクレオチドおよびそれらの改変体、それらのコードされたポリペプチドおよびそれらの改変体、これらのポリヌクレオチドに対応する遺伝子、ならびにこの遺伝子により発現されたタンパク質に関する。本発明はまた、このような新規のヒトポリヌクレオチド、それらに対応する遺伝子または遺伝子産物(プローブ、アンチセンスヌクレオチド、および抗体を含む)を含む、診断剤および治療剤に関する。本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1〜1477の少なくとも1つの配列情報を含むポリヌクレオチドに対応する。本発明のポリペプチドは、配列番号1478〜1568の少なくとも1つのアミノ酸配列情報を含むポリペプチドに対応する。
【0006】
本発明の種々の局面および実施形態は、本明細書中で提供された記載を読む際に、当業者にとって容易に明白になる。
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明を記載する前に、本発明が記載された特定の実施形態(それ自体もちろん変わり得る)に限定されないことが理解されるべきである。本明細書中で使用される用語法は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、制限することを意図しないこともまた理解されるべきである。
【0008】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載されたものと類似または等しい任意の方法および物質が、本発明の実行または試験で使用され得るが、好ましい方法および物質を、ここに記載する。
【0009】
各個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に参考として援用されることが示されるかのように、本明細書中で引用された全ての刊行物および特許出願は、参考として本明細書中で援用される。任意の刊行物の引用は、出願日より前の開示についてであり、そして本発明が、先願発明によりこのような刊行物の日付を早める権利を与えられないことの承認として解釈されるべきではない。
【0010】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈が他に明確に示さない限り、単数形「a」、「and」および「the」は、複数の言及を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「ポリヌクレオチド(a polynucleotide)」に対する言及は、複数のこのようなポリヌクレオチドを含み、そして「大腸癌細胞(the colon cancer cell)」に対する言及は、1つ以上の細胞および当業者に公知のそれらの対応物などに対する言及を含む。
【0011】
本明細書中で論じられた刊行物および出願は、本出願の出願日より前の開示に対してのみ提供される。本明細書中では、本発明が先願発明によりこのような刊行物の日付を早める権利を与えられないことの承認として解釈されることはない。さらに提供された刊行物の日付は、独立して確かめられる必要があり得る事実上の刊行日とは異なり得る。
【0012】
(定義)
本明細書中で交換可能に使用される用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、任意の長さのリボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドの重合体形態をいう。したがって、これらの用語には、以下のものが挙げられるがこれらには限らない:一本鎖DNAまたは一本鎖RNA、二本鎖DNAまたは二本鎖RNA、あるいは複数鎖DNAまたは複数鎖RNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA−RNAハイブリッド、分枝核酸(例えば、米国特許第5,124,246号;同第5,710,264号;および同第5,849,481号を参照のこと)、あるいはプリン塩基およびピリミジン塩基または他の天然のヌクレオチド塩基、化学的または生化学的に修飾された非天然または誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマー。これらの用語にはさらに、以下のものが挙げられるがこれらには限らない:イントロン配列を含むmRNAまたはcDNA(例えば、Niwaら(1999)Cell 99(7):691−702を参照のこと)。ポリヌクレオチドの骨格は、糖およびリン酸基(代表的に、RNAまたはDNAで見出され得るような)、あるいは修飾されるかまたは置換された糖およびリン酸基を含み得る。あるいは、ポリヌクレオチドの骨格は、合成サブユニット(例えば、ホスホラミダイト)のポリマーを含み得、従って、オリゴデオキシヌクレオシドホスホラミダイトオリゴマーまたは混合されたホスホラミダイト−リン酸ジエステルオリゴマーであり得る。Peyrottesら(1996)Nucl.Acids Res.24:1841−1848;Chaturvediら(1996)Nucl.Acids Res.24:2318−2323。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド(例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ、ウラシル、他の糖、および連結基(例えば、フルオロリボースおよびチオエート)、およびヌクレオチド分枝を含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断され得る。ポリヌクレオチドは、例えば標識成分との結合体化によって、重合後にさらに修飾され得る。この定義に含まれる他の型の修飾は、キャップ、アナログによる1つ以上の天然に存在するヌクレオチドの置換、およびタンパク質、金属イオン、標識成分、他のポリヌクレオチド、または固体支持体にポリヌクレオチドを付着する手段の導入である。
【0013】
本明細書中で交換可能に使用される用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、コードされたアミノ酸およびコードされないアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されたアミノ酸あるいは化学的または生化学的に誘導体化されたアミノ酸、および修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含み得る任意の長さのアミノ酸の重合体形態をいう。この用語は融合タンパク質を含み、以下のものが挙げられるがこれらには限らない:異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N−末端メチオニン残基を含むかまたは含まない、異種リーダー配列および相同リーダー配列を有する融合物;免疫学的に標識化されたタンパク質;など。
【0014】
本明細書中で使用される場合、「診断」には、一般的に、疾患または障害に対する被験体の感受性の決定、被験体が現在疾患または障害に罹患しているかどうかについての決定、疾患または障害により罹患した被験体の予後(例えば、前転移性または転移性癌の状態、癌の段階、または治療に対する癌の応答性の同定)、および治療測定規準(therametrics)(例えば、治療の効果または効力についての情報を提供する被験体の状態のモニタリング)が挙げられる。
【0015】
本明細書中で使用される場合、「サンプル」または「生物学的なサンプル」は、種々のサンプル型を包含し、そして一般的に、生物学的な体液または組織のサンプル、特に組織から得られたサンプル、特に診断的適用が設計される疾患または状態に関連する型の細胞から得られたサンプル(例えば、腺管腺癌)、などをいうことを意味する。「サンプル」または「生物学的サンプル」は、血液および生物学的起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル(例えば、生検標本もしくは組織培養物またはそれらに由来する細胞およびそれらの子孫)を包含することを意味する。これらの用語は、サンプルの獲得後に多少なりとも操作されたサンプルならびにサンプルの誘導体および画分を包含し、ここでサンプルは、例えば、試薬を用いた処置、可溶化、または特定の成分についての富化により操作され得る。この用語はまた、臨床的なサンプルを包含し、そしてまた細胞培養物、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的体液、および組織サンプルにおける細胞を含む。サンプルが固体組織である場合、組織の細胞は分離され得るか、または組織断片は分析され得る。
【0016】
用語「処置」、「処置すること」、「処置する」などは、本明細書中で使用され、所望の薬理学的効果および/または生理学的効果を得ることを一般的にいう。この効果は、それらの疾患または症状を完全または部分的に予防するという点で予防的であり得、そして/あるいは疾患および/もしくは疾患に帰する有害な効果についての部分的あるいは完全な安定化または治療という点で治療的であり得る。本明細書中で使用される場合、「処置」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の処置を包含し、そしてこの処置は以下に挙げられる:(a)疾患または症状を有するとしてまだ診断されていないが、症状または疾患にかかりやすくあり得る被験体に、疾患または症状を生じさせないこと;(b)疾患症状を阻害すること(すなわち、その発症を阻止すること);または疾患症状を軽減すること(すなわち、疾患または症状の退行を引き起こすこと)。
【0017】
用語「個体」、「被験体」、「宿主」および「患者」は、本明細書中で交換可能に使用され、そして診断、処置または治療が望ましい任意の哺乳動物被験体、特にヒトをいう。他の被験体には、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマなどが挙げられ得る。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体または宿主細胞が天然に存在する環境とは異なる環境下にあるポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体または宿主細胞をいう。一般的に、単離されたポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体または宿主細胞は、実質的に精製される。本明細書中で使用される場合、用語「実質的に精製された」は、その天然の環境から取り出された化合物(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたは抗体のいずれか)をいい、そして天然に関連する他の化合物を少なくとも60%含まず、好ましくは75%含まず、そして最も好ましくは90%含まない。したがって、例えば、組成物中の総A+Bの重量で少なくとも85%がAである場合、Aを含む組成物は、Bを「実質的に含まない」。好ましくは、Aは、組成物中の総A+Bの重量で少なくとも約90%、さらに好ましくは重量で少なくとも約95%を含むか、または重量で99%までをも含む。
【0019】
本明細書中で使用される場合「宿主細胞」は、組換えベクターもしくは他の転移ポリヌクレオチドのレシピエントとして使用され得るかまたは使用されてきた単細胞の実体として培養された、微生物または真核の生物細胞または細胞株をいい、そしてトランスフェクトされた元の細胞の子孫を含む。単細胞の子孫は、自然変異、偶発変異、故意の変異に起因して、形態学的またはゲノムもしくは総DNAの相補体において、必ずしも元の親と完全に同一でなくてもよいことが理解されている。
【0020】
用語「癌」、「新生物」、「腫瘍」および「癌腫」は、本明細書中で交換可能に使用され、比較的自律的な増殖を示す細胞をいい、その結果、これらは、細胞増殖の制御の有意な喪失により特徴付けられる異常な成長表現型を示す。一般的に、本出願における検出または処置についての目的の細胞には、前癌細胞(例えば、良性細胞)、悪性細胞、転移性細胞、および非転移性細胞が挙げられる。癌細胞の検出は、特に目的の検出である。
【0021】
10e−3で見られるような「e」の使用は、「e」の左側の数が、「e」の右側の数に累乗されることを示す(したがって、10e−3は、10−3である)。
【0022】
例えば、異種核酸配列または異種アミノ酸配列、異種ポリペプチド、または異種核酸の文脈において本明細書中で使用される場合、用語「異種」は、連結されるかまたは結合された供給源とは異なる供給源が起源である物質をいうことを意味する。例えば、配列が異なる遺伝子または異なる種由来である場合、2つのDNA配列は、互いに異種である。宿主細胞に対して異種である配列を含む組換え宿主細胞は、例えば、ヒトポリペプチドをコードする配列を含む細菌細胞であり得る。
【0023】
本発明は、開示されたヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、これらの配列およびこれらの縮重改変体に対応する全長cDNA、mRNA、ゲノム配列、および遺伝子、ならびに本発明のポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドおよびポリペプチド改変体に関する。以下の詳細な説明は、本発明により包含されるポリヌクレオチド組成物、全長遺伝子産物をコードするcDNAまたはゲノムDNAを得る方法、これらのポリヌクレオチドおよび遺伝子の発現、ポリヌクレオチドおよび遺伝子の構造モチーフの同定、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子によりコードされた遺伝子産物の機能の同定、プローブとしての、ならびにマッピングおよび組織プロファイリングにおける、提供されたポリヌクレオチドの使用、抗体を惹起するための対応するポリペプチドおよび他の遺伝子産物の使用、そして治療目的および診断目的のためのポリヌクレオチドおよびこれらがコードする遺伝子産物の使用を記載する。
【0024】
(ポリヌクレオチド組成物)
ポリヌクレオチド組成物に関する本発明の範囲には、以下のものが含まれるがこれらには限らない:配列番号1〜1477のいずれかひとつに示される配列を有するポリヌクレオチド;ストリンジェントな条件下(特に高いストリンジェンシーの条件)でのハイブリダイゼーションにより本明細書中で記載された生物学的物質または他の生物学的供給源(特にヒトの供給源)から得られたポリヌクレオチド;提供されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子;提供されたポリヌクレオチドの改変体およびこれらの対応する遺伝子の改変体、特に、コードされた遺伝子産物の生物学的活性(例えば、タンパク質ファミリーに対する遺伝子産物の割り当ておよび/または遺伝子産物に存在する機能的なドメインの存在の同定の結果として、提供されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子産物に基づいた生物学的活性)を保持するこれらの改変体。本発明の範囲により企図された他の核酸組成物および本発明の範囲内で企図された他の核酸組成物は、本明細書の開示と共に提供された場合、当業者に容易に明白である。組成物の核酸への言及に関して本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、特に示さない限り、核酸の長さまたは構造に関して限定することを意図しない。
【0025】
本発明は、ヒト組織(特にヒトの大腸、前立腺、胸部、肺および/または内皮組織)で発現したポリヌクレオチドを特徴とする。特定の目的の本発明の新規の核酸組成物は、配列番号1〜1477のいずれかひとつに示される配列またはこれらの同定配列を含む。「同定配列」は、ポリヌクレオチド配列を独自に同定する、少なくとも約10nt長〜約20nt長、通常は少なくとも約50nt長〜約100nt長の残基の連続配列である(例えば、約20ntより大きな任意の連続ヌクレオチド配列に対する、90%未満、通常は約80%〜85%未満の配列同一性を示す)。したがって、目的の新規な核酸組成物には、配列番号1〜1477のいずれかひとつ由来の連続ヌクレオチドの同定配列を包含する全長cDNAまたはmRNAが含まれる。
【0026】
本発明のポリヌクレオチドはまた、配列類似性または配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。配列類似性を有する核酸は、低いストリンジェンシー条件下(例えば、50℃および10×SSC(0.9M生理食塩水/0.09Mクエン酸ナトリウム))で、ハイブリダイゼーションにより検出され、そして55℃で1×SSC内での洗浄に供される場合、結合を保持する。配列同一性は、ストリンジェントな条件下(例えば、50℃以上、および0.1×SSC(9mM生理食塩水/0.9mMクエン酸ナトリウム))で、ハイブリダイゼーションにより決定され得る。ハイブリダイゼーション方法およびハイブリダイゼーション条件は、当該分野で周知である(例えば、米国特許第5,707,829号を参照のこと)。提供されたポリヌクレオチド配列(例えば、対立遺伝子改変体、遺伝的に変えられたバージョンの遺伝子など)に実質的に同一である核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、提供されたポリヌクレオチド配列(配列番号1〜1477)に結合する。プローブ、特にDNA配列の標識されたプローブの使用により、相同遺伝子または関連した遺伝子を単離し得る。相同な遺伝子の供給源は、任意の種(例えば、霊長類、特にヒト;げっ歯類(例えば、ラットおよびマウス);イヌ;ネコ;ウシ、ヒツジ、ウマ、酵母、線虫など)であり得る。
【0027】
好ましくは、ハイブリダイゼーションは、配列番号1〜1477の少なくともひとつの少なくとも15連続ヌクレオチド(nt)を使用して、実施される。すなわち、開示された配列番号のひとつの少なくとも15連続ntが、プローブとして使用される場合、このプローブは、選択されたプローブに独自にハイブリダイズする核酸の同定および検索を可能にする、相補的配列を含む核酸と優先的にハイブリダイズする。1つより多い配列番号由来のプローブは、これらが由来したcDNAが1つのmRNAに対応する場合、同じ核酸とハイブリダイズし得る。15ntより長いプローブ(例えば、約18ntから約100ntまでのプローブ)が使用され得るが、15ntは独自の同定のために十分な配列を示す。
【0028】
本発明のポリヌクレオチドはまた、ヌクレオチド配列の天然に存在する改変体を含む(例えば、縮重改変体、対立遺伝子改変体など)。本発明のポリヌクレオチドの改変体は、本明細書中で開示されたヌクレオチド配列を有する推定改変体のハイブリダイゼーションにより、好ましくはストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションにより、同定される。例えば、適切な洗浄条件の使用により、本発明のポリヌクレオチドの改変体は、同定され得、ここで対立遺伝子改変体は、選択されたポリヌクレオチドプローブに対して、最大で約25〜30%の塩基対(bp)の不一致を示す。一般的に、対立遺伝子改変体は15〜25%bpの不一致を含み、そして5〜15%、または2〜5%、または1〜2%bp程度の少ない不一致ならびに単一bpの不一致を含み得る。
【0029】
本発明はまた、配列番号1〜1477のポリヌクレオチドに対応するホモログを包含し、ここで、相同遺伝子の供給源は、任意の哺乳動物種(例えば、霊長類、特にヒト;げっ歯類(例えば、ラット);イヌ;ネコ;ウシ、ヒツジ、ウマ、酵母、線虫など)であり得る。哺乳動物種の間(例えば、ヒトとマウスとの間で)で、ホモログは一般的に、実質的な配列類似性を有する(例えば、ヌクレオチド配列の間で、少なくとも75%、通常は少なくとも90%、さらに通常では少なくとも95%の配列同一性)。配列類似性は、より大きな配列(例えば、保存モチーフ、コード領域、隣接領域など)のサブセットであり得る参照配列に基づいて計算される。参照配列は、通常では少なくとも約18連続nt長、さらに通常では少なくとも約30nt長であり、そして比較される完全な配列まで伸長し得る。配列分析についてのアルゴリズムは、当該分野で公知である(例えば、Altschulら、Nucleic Acid Res.(1997)25:3389−3402で記載されたギャップトBRASTまたはTimeLogic Corp.(Crystal Bay,Nevada)から入手可能なTeraBLAST)。
【0030】
一般的に、本発明の改変体は、少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約85%より高い配列同一性を有し、そしてMPSRCHプログラム(Oxford Molecular)で実施されるようなSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定されるように、少なくとも約90%以上より高くなり得る。本発明の目的について、同一性の%を計算する好ましい方法は、以下を使用するSmith−Watermanアルゴリズムである。全体的なDNA配列の同一性は、以下の検索パラメーター(ギャップオープンペナルティ、12;およびギャップ伸長ペナルティー、1)と共にアフィンギャップ検索を使用してMPSRCHプログラム(Oxford Molecular)で実施されるようなSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定されるように、65%より高くならなければならない。
【0031】
目的の核酸は、cDNAまたはゲノムDNA、ならびにこれらのフラグメント、特に生物学的に活性な遺伝子産物をコードするフラグメントであり得、そして/あるいは本明細書中で開示された方法において有用である(例えば、目的の差示的に発現される遺伝子の独自の識別子などとして、診断において)。本明細書中で使用される場合、用語「cDNA」は、天然の成熟mRNA種で見出される配列エレメントの配列を共有する全ての核酸を含むことを意図し、ここで配列エレメントは、エキソンならびに3’および5’の非コード領域である。正常なmRNA種は、連続エキソンを有し、介在するイントロンは、存在する場合、核のRNAスプライシングにより取り除かれ、本発明のポリペプチドをコードする連続オープンリーディングフレームを作成する。
【0032】
目的のゲノム配列は、天然の染色体に通常存在するイントロンの全てを含む、列挙された配列で定義されるように、開始コドンと終止コドンとの間に核酸の存在を含む。それは、成熟mRNAで見出される3’および5’の非翻訳領域をさらに含み得る。それは、転写領域の5’および3’末端のいずれかに隣接ゲノムDNAの約1kb(しかしおそらくそれ以上)を含む、特異的な転写調節配列および翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)をさらに含み得る。ゲノムDNAは、100kbp以下のフラグメントとして単離され得る;そして実質的に隣接染色体配列を含まない。ゲノムDNA隣接コード領域(イントロンで時々見出されるような3’および5’調節配列または内部調節配列のいずれか)は、適切な組織での発現、段階特異的な発現、または疾患段階特異的発現について必要とされる配列を含む。
【0033】
本発明の核酸組成物は、目的のポリペプチドの全てまたは1部分をコードし得る。二本鎖フラグメントまたは一本鎖フラグメントは、従来の方法に従って化学的にオリゴヌクレオチドを合成すること、制限酵素消化、PCR増幅などによりDNA配列から得られ得る。本発明の単離されたポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドフラグメントは、配列番号1〜1477に示されるようなポリヌクレオチド配列から選択される、少なくとも約10、約15、約20、約35、約50、約100、約150〜約200、約250〜約300または約350連続するntを含む。ほとんどの部分について、フラグメントは、少なくとも15nt長、通常は少なくとも18nt長または25nt長、および少なくとも約50までの連続nt長以上である。好ましい実施形態において、ポリヌクレオチド分子は、配列番号1〜1477で示されたポリヌクレオチドからなる群から選択される少なくとも12ntの連続配列を含む。
【0034】
本発明のポリヌクレオチドに特異的なプローブは、配列番号1〜1477で開示されたポリヌクレオチド配列を使用して生成され得る。プローブは、好ましくは、配列番号1〜1477の対応する連続配列の、少なくとも約12、15、16、18、20、22、24または25ntのフラグメントであり、10、5、2、1、0.5、0.1または0.05kb長未満であり得る。このプローブは、化学的に合成され得るか、または制限酵素を使用して、より長いポリヌクレオチドから生成され得る。このプローブは標識され得る(例えば、放射活性、ビオチン化、または蛍光タグを用いて)。好ましくは、プローブは、配列番号1〜1477のひとつのポリヌクレオチドの同定配列に基づいて設計される。さらに好ましくは、プローブは、配列に対して低い複雑性をマスキングするためのマスキングプログラム(例えば、XBLAST、RepeatMasker、など)の適用後にマスキングされないままである目的のポリヌクレオチドのひとつの連続配列に基づいて設計される(すなわち、マスキングプログラムにより産生されたマスキングされた配列のポリ−nストレッチの外側のポリヌクレオチドにより示されるような、マスキングされない領域を選択する)。
【0035】
本発明のポリヌクレオチドは、一般的に、インタクトな染色体以外として、実質的に純粋に単離され、そして得られる。通常は、DNAまたはRNAのいずれかの、他の天然に存在する核酸配列を実質的に含まないポリヌクレオチドが得られ、一般的に少なくとも約50%、通常は少なくとも約90%純粋であり、そして代表的に「組換え体」(例えば、天然に存在する染色体に通常は関連しない、ひとつ以上のヌクレオチドにより隣接されたもの)である。
【0036】
本発明のポリヌクレオチドは、線状分子としてまたは環状分子内に提供され得、そして自己複製分子(ベクター)内または複製配列を含まない分子内に提供され得る。ポリヌクレオチドの発現は、それら自身または当該分野で公知の他の調節配列により調節され得る。本発明のポリヌクレオチドは、当該分野で利用可能な種々の技術(例えば、トランスフェリンポリカチオン媒介DNA転移、裸の核酸またはカプセル化された核酸を用いたトランスフェクション、リポソーム媒介DNA転移、DNAをコートしたラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、遺伝子銃、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションなど)を使用して、適切な宿主細胞に導入され得る。
【0037】
目的の核酸組成物は、例えば、ポリペプチドを産生するため、ポリヌクレオチドのさらなるコピーを生成するために生物学的なサンプル(例えば、ヒト細胞の抽出物)における本発明のmRNAの検出のためのプローブとして、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを生成するため、および一本鎖DNAプローブとしてまたは3本鎖形成オリゴヌクレオチドとして使用され得る。本明細書中に記載されたプローブは、例えば、サンプル中の、配列番号1〜1477に示されるようなポリヌクレオチド配列またはこれらの改変体の存在または欠失の決定のために使用され得る。これらの使用および他の使用は、以下にさらに詳細に記載される。
【0038】
(全長cDNA、遺伝子、およびプロモーター領域を得るためのポリヌクレオチドの使用)
ひとつの実施形態において、ポリヌクレオチドは、より大きい分子を構築するための出発物質として有用である。ひとつの例において、本発明のポリヌクレオチドを、より大きいポリペプチド(例えば、全長のネイティブポリペプチドならびにネイティブポリペプチドの全てまたは1部分を含む融合タンパク質まで)をコードするポリヌクレオチドを構築するために使用するか、またはポリペプチドのハプテン(例えば、抗体を産生するのに有用なポリペプチド)を産生するために使用し得る。
【0039】
ひとつの特定の例において、本発明のポリヌクレオチドを、天然に存在するポリペプチドの全てまたは部分をコードするcDNA分子を作製または単離するために使用する。開示されたポリヌクレオチドを含む全長cDNA分子を、以下のようにして得る。配列番号1〜1477のひとつの配列を有するポリヌクレオチド、または少なくとも12、15、18、または20ntを含むこれらの一部分を、プローブ設計方法、クローニング方法、およびクローン選択技術(例えば、米国特許第5,654,173号で記載された方法)を使用して、cDNAライブラリーのハイブリダイズするメンバーを検出するためにハイブリダイゼーションプローブとして使用する。cDNAのライブラリーを、選択された組織(例えば、正常な組織または腫瘍組織)または例えば、薬学的因子を用いて処置された哺乳動物の組織から作成する。好ましくは、本明細書中で記載されるポリヌクレオチドとcDNAの両方が、発現した遺伝子を表わす場合、この組織は、本発明のポリヌクレオチドが単離された組織と同じである。最も好ましくは、cDNAライブラリーを、実施例で本明細書中に記載された生物学的な物質から作成する。ライブラリー構築のための細胞型の選択は、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子によりコードされたタンパク質の身元が公知になる後に、なされ得る。これは、関連した遺伝子を発現しそうな組織および細胞型を示しており、したがってcDNAを生成するためのmRNAに適した供給源を表わす。提供されたポリヌクレオチドが、cDNAライブラリーから単離される場合、このライブラリーは、ヒト前立腺細胞、さらに好ましくは、ヒト前立腺癌細胞のmRNAから調製される。
【0040】
核酸配列のライブラリーを産生およびプローブする技術は、例えば、Sambrookらにおける、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NYで記載されている。cDNAは、配列番号1〜1477の配列を含むポリヌクレオチドに基づくプライマーを使用することにより調製され得る。ひとつの実施形態において、cDNAライブラリーは、ポリアデニル化mRNAのみから作成され得る。したがって、ポリ−Tプライマーは、mRNAからcDNAを調製するために使用され得る。
【0041】
提供されたポリヌクレオチドより長いライブラリーのメンバー、および好ましくは天然のメッセンジャーの完全なコード配列を包含するライブラリーのメンバーが、得られる。全体のcDNAが得られたことを確認するために、RNA保護実験を、以下のように実施する。mRNAに対する全長cDNAのハイブリダイゼーションは、RNase分解からRNAを保護する。cDNAが全長でない場合、ハイブリダイズされないmRNAの部分は、RNase分解に供される。これは、ポリアクリルアミドゲル上での電気泳動移動度における変化により、または放出されたモノリボヌクレオチドの検出により、当該分野で公知であるように、アッセイされる。Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY。部分的なcDNAの末端に対して5’側のさらなる配列を得るために、5’RACE(PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,(1990)Academic Press、Inc.)が、実施され得る。
【0042】
ゲノムDNAは、全長cDNAの単離に類似する様式で、提供されたポリヌクレオチドを使用して単離される。簡潔には、提供されたポリヌクレオチド、またはこれらの部分は、ゲノムDNAのライブラリーに対するプローブとして使用される。好ましくは、ライブラリーは、本発明のポリヌクレオチドを生成するために使用された細胞型から得られるが、これは必須ではない。最も好ましくは、ゲノムDNAは、実施例で本明細書中に記載された生物学的物質から得られる。このようなライブラリーは、ゲノムのより大きなセグメント(例えば、Sambookら、上出9.4〜9.30で詳細に記載されるような、P1またはYAC)を保有するのに適したベクター内に存在し得る。さらに、ゲノム配列は、ヒトBACライブラリーから単離され得、このライブラリーは、例えば、Research Genetics,Inc.,Huntsville,Alabama,USAから市販されている。さらなる5’または3’配列を得るために、染色体歩行は、Sambrookらで記載されたように実施される、その結果、ゲノムDNAの隣接するフラグメントおよび重複するフラグメントが単離される。これらは、制限消化酵素およびDNAリガーゼを使用して、当該分野で公知のように、マッピングされかつ一緒につなぎあわされる。
【0043】
本発明のポリヌクレオチド配列を使用し、対応する全長遺伝子は、cDNAライブラリーを構築およびプローブするために古典的な方法とPCR法の両方を使用して、単離され得る。いずれかの方法を使用して、好ましくは、ノーザンブロット法は、細胞株が最も高いレベルで目的の遺伝子を発現することを決定するために多数の細胞型に対して実施される。cDNAライブラリーを構築する古典的な方法は、Sambookら、上出に教示じされる。これらの方法に関して、cDNAは、mRNAから産生され得、そしてウイルスベクターまたは発現ベクター内に挿入され得る。代表的に、ポリ(A)テイルを含むmRNAのライブラリーは、ポリ(T)プライマーを用いて産生され得る。同様に、cDNAライブラリーは、プライマーとして即席の配列を使用して産生され得る。
【0044】
PCR法は、所望の挿入を含むcDNAライブラリーのメンバーを増幅するために使用される。この場合、所望の挿入は、即席ポリヌクレオチドに対応する全長cDNA由来の配列を含む。このようなPCR法には、遺伝子トラッピングおよびRACE法が挙げられる。遺伝子トラッピングは、ベクターにcDNAライブラリーのメンバーを挿入することを必要とする。次いで、ベクターは、変性され、一本鎖の分子を産生する。次に、基材結合プローブ(例えば、ビオチン化オリゴ)は、目的のcDNA挿入をトラップするために使用される。ビオチン化プローブは、アビジン結合固体基材に連結され得る、PCR法は、トラップされたcDNAを増幅するために使用され得る。全長遺伝子に対応する配列をトラップするために、標識化プローブ配列は、本発明のポリヌクレオチド配列に基づく。ランダムプライマーまたはライブラリベクターに特異的なプライマーは、トラップされたcDNAを増幅するために使用され得る。このような遺伝子トラッピング技術は、Gruberら、WO95/04745およびGruberら、米国特許第5,500,356号で記載されている。キットは、例えば、Life Technologies,Gaithersburg,Maryland,USAから遺伝子トラッピング実験を実施するために市販されている。
【0045】
「cDNA末端の迅速な増幅」すなわちRACEは、多数の異なるRNAからcDNAを増幅するPCR法である。cDNAは、オリゴヌクレオチドリンカーに連結され、そして2つのプライマーを使用するPCRにより増幅される。ひとつのプライマーは、全長配列が所望される即席のポリヌクレオチド由来の配列に基づいており、そして第2のプライマーは、cDNAを増幅するためにオリゴヌクレオチドリンカーにハイブリダイズする配列を含む。この方法の詳細は、WO97/19100で報告されている。RACEの好ましい実施形態において、共通のプライマーは、cDNA末端に連結された任意のアダプター配列にアニールするように設計される(ApteおよびSiebert,Biotechniques(1993)15:890−893;Edwardsら、Nuc.Acids Res.(1991)19:5227−5232)。ひとつの遺伝子特異的RACEプライマーが、共通のプライマーと対形成する場合、ひとつの遺伝子特異的プライマーと共通のプライマーの間に配列の優先的な増幅が生じる。RACEでの使用のために改変された市販のcDNAプールは、入手可能である。
【0046】
別のPCRに基づく方法は、cDNA配列の特定の知識を必要とすることなく固着された末端を有する全長cDNAライブラリーを生成する。この方法は、ロックドッキング(lock−docking)プライマー(I−VI)を使用し、ここでひとつのプライマーであるポリTV(I−III)は、真核生物のmRNAのポリA末端に関してロックして、第一鎖合成を生じ、そして第2のプライマーであるポリGH(IV−VI)は、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)により付加されたポリCテイル上にロックする(例えば、WO96/40998を参照のこと)。
【0047】
遺伝子のプロモーター領域は、一般的にRNAポリメラーゼIIのための開始部位に対して5’側に位置する。数百のプロモーター領域は、例えば、TATTAまたはTATAAのような配列である、「TATA」ボックスを含み、これは突然変異に感受性である。プロモーター領域は、遺伝子のコード領域由来のプライマーを使用して、5’RACEを実施することにより得られ得る。あるいは、cDNAは、ゲノム配列に対するプローブとして使用され得、そしてコード領域に対して5’側の領域は、「ウォーキングアップ(Walking up)」により同定される。遺伝子が高く発現するかまたは差示的に発現する場合、遺伝子由来のプロモーターは、異種遺伝子のための調節構築物において使用されるものであり得る。
【0048】
一旦全長cDNAまたは遺伝子が得られると、改変体をコードするDNAは、Sambrookら、15.3〜15.63で詳細に記載された部位特異的変異誘発により調製され得る。置換されるべきコドンまたはヌクレオチドの選択は、変えられたタンパク質の構造および/または機能を達成するためのアミノ酸における最適な変化についての本明細書中の開示に基づき得る。
【0049】
生物学的な材料からDNAまたはRNAを得る代替の方法として、本発明の1つ以上のポリヌクレオチドの配列を有するヌクレオチドを含む核酸が、合成され得る。従って、本発明は、核酸分子の1つ以上の生物学的な操作(複製および発現を含む)に適切な15nt長(配列番号1〜1477の1つの少なくとも15連続するntに対応する)から最大長までの範囲である核酸分子を包含する。本発明には以下のものが含まれるがこれらには限らない:(a)全遺伝子のサイズを有し、配列番号1〜1477の少なくとも1つを含む核酸;(b)融合タンパク質の発現を可能にするように作動可能に連結された、少なくとも1つのさらなる遺伝子もまた含む(a)の核酸;(c)(a)または(b)を含む発現ベクター;(d)(a)または(b)を含むプラスミド;および(e)(a)または(b)を含む組換えウイルス粒子。いったん本明細書中で開示されたポリヌクレオチドが提供されると、(a)〜(e)の構築物または調製物は、当業者に周知となる。
【0050】
配列番号1〜1477の少なくともいずれか1つの少なくとも15連続ntを含む核酸の配列、好ましくは配列番号1〜1477の少なくともいずれか1つの全体の配列は、制限されず、そしてA、T、Gおよび/またはC(DNAについて)ならびにA、U、Gおよび/またはC(RNAに対して)あるいはイノシンおよびプソイドウリジンを含む、それらの改変された塩基の任意の配列であり得る。配列の選択は、所望の機能に依存し、そして所望されるコード領域、所望されるイントロン様領域、および所望される調節領域により指示され得る。配列番号1〜1477のいずれかひとつの全体の配列が、核酸の範囲内である場合、得られた核酸は、配列番号1〜1477のいずれかひとつの配列を含むポリヌクレオチドと、本明細書中でいわれる。
【0051】
(全長cDNAまたは全長遺伝子によりコードされたポリペプチドの発現)
cDNAに対応する提供されたポリヌクレオチド(例えば、配列番号1〜1477のひとつの配列を有するポリヌクレオチド)または全長遺伝子は、部分的または完全な遺伝子産物を発現するために使用される。配列番号1〜1477の配列を有するポリヌクレオチドの構築物はまた、合成的に生成され得る。あるいは、多数のオリゴデオキシリボヌクレオチドからの遺伝子および全体のプラスミドの単一工程アセンブリは、例えば、Stemmerら、Gene(Amsterdam)(1995)164(1):49〜53により記載されている。この方法において、アセンブリPCR(多数のオリゴデオキシリボヌクレオチド(オリゴ)からの長いDNA配列の合成)は、記載されている。この方法は、DNAシャッフリング(Stemmer、Nature(1994)370:389〜391)由来であり、そしてDNAリガーゼに頼らないが、代わりにアセンブリプロセスの間、ますますより長いDNAフラグメントを組み立てるためにDNAポリメラーゼに頼る。
【0052】
適切なポリヌクレオチド構築物は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版(1989)Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NYで記載されるような標準的な組換えDNA技術を使用するか、またはUnited States Dept.of HHS,National Institute of Health(NIH)Guidelines for Recombinant DNA Researchで記載されるような現在の規制下で精製される。本発明のポリヌクレオチドによりコードされた遺伝子産物は、例えば、細菌系、酵母系、昆虫系、両生類系および哺乳動物系を含む任意の発現系で発現される。同様な発現を得るためのベクター、宿主細胞および方法は、当該分野で周知である。適切なベクターおよび宿主細胞は、米国特許第5,654,173号で記載されている。
【0053】
本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子は、一般的にベクター内に分子を配置することにより増殖される。ウイルスおよび非ウイルスベクターは、使用され、これはプラスミドを含む。プラスミドの選択は、増殖が所望される細胞の型および増殖の目的に依存する。特定のベクターは、大量の所望のDNA配列を増幅および作製するために有用である。他のベクターは、培地中の細胞における発現に適している。さらに他のべクターは、動物またはヒト全体において細胞での移入および発現に適している。適切なベクターの選択は、当業者には周知である。多数のこのようなベクターは、市販されている。所望の配列を含むベクターの調製方法は、当該分野で周知である。
【0054】
配列番号1〜1477で示されるポリヌクレオチドまたはこれらの対応する全長ポリヌクレオチドは、所望の発現性質を得るのに適切であるような調節配列に連結される。これらには、プロモーター(センス鎖の5’末端またはアンチセンス鎖の3’末端のいずれかにおいて付着される)、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、リプレッサー、およびインデューサーが挙げられ得る。このプロモーターは、調節され得るかまたは構成的であり得る。いくつかの状況において、活性プロモーター(例えば、組織特異的プロモーターまたは発育段階特異的プロモーター)を条件的に使用することが所望であり得る。これらは、ベクターへの連結について上記で記載される技術を使用して、所望のヌクレオチド配列に連結される。当該分野で公知である任意の技術が、使用され得る。
【0055】
上記宿主細胞のいずれか、または他の適切な宿主または生物が、本発明のポリヌクレオチドまたは核酸を複製および/または発現するために使用される場合、生じる複製された核酸、RNA、発現されたタンパク質またはポリペプチドは、宿主細胞または生物体の産物として本発明の範囲内である。この産物は、当該分野で公知な任意の適切な手段により回収される。
【0056】
一旦、選択されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子が同定されると、その発現は、遺伝子が天然である細胞内で調節され得る。例えば、細胞の内因性遺伝子は、米国特許第5,641,670号で記載されるような外因性調節配列により調節され得る。
【0057】
(機能的モチーフおよび構造的モチーフの同定)
提供されたポリヌクレオチド、cDNAまたは全長遺伝子のヌクレオチド配列の翻訳は、個々の公知の配列と整列され得る。個々の配列の類似性は、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性を決定するために使用され得る。また、ひとつより多い個々の配列との類似性を示す配列は、個々の配列のいずれかまたは両方の特徴である活性を示し得る。
【0058】
例えば、BLASTに基づく検索を介して同定されるような隣接するポリヌクレオチド配列の全長配列およびフラグメントは、提供されたポリヌクレオチドに対応する全長配列を同定および単離するためにプローブおよびプライマーとして使用され得る。この隣接部は、提供されたポリヌクレオチドに対応する全長配列についてのライブラリーを構築するために使用されるべき組織または細胞型を示し得る。
【0059】
代表的に、選択されたポリヌクレオチドは、6つのフレーム全てにおいて翻訳され、個々の配列との最もよい整列を決定する。配列表で本明細書中に開示される配列は、5’から3’の配向であり、そして3つのフレームでの翻訳が、十分であり得る(実施例で記載されるような少数の特定の例外がある)。これらのアミノ酸配列は、一般的に問い合わせ配列とよばれ、これは個々の配列と整列される。個々の配列に関するデータベースは、「Computer Method for Macromolecular Sequence Analysis」Methods in Enzymology(1996)266,Doolittle,Academic Press,Inc.,Harcourt Brace&Co.の一部門,San Diego,California,USAに記載される。データベースには、GenBank、EMBLおよびDNA Database of Japan(DDBJ)が挙げられる。
【0060】
問い合わせおよび個々の配列は、上記で記載される方法およびコンピュータープログラムを使用して整列され得、そしてNational Center for Biotechnology Informationにより支持されるサイトでのワールドワイドウェブで利用可能なBLAST2.0(これは、National Library of MedicineおよびNational Institutes of Healthにより支持される)またはTimeLogic Corp.(Crystal Bay Nevada)から利用可能なTeraBLASTを含む。Altschulら、Nucleic Acids Res.(1997)25:3389−3402を参照のこと。別のアライメントアルゴリズムは、Oxford Molecular Group、Inc.の完全所有の子会社である、Genetics Computing Group(GCG)package,Mdiosn,Wisconsin,USAで利用可能なFastaである。アライメントのための他の技術は、Doolittle、上出で記載されている。好ましくは、配列中のギャップを許容するアライメントプログラムは、配列を整列するために使用される。Smith−Watermanは、配列のアライメント中のギャップを許容するアルゴリズムのひとつの型である。Meth.Mol.Biol.(1997)70:173〜187.を参照のこと。また、NeedlemanおよびWunschのアライメント方法を使用するGAPプログラムは、配列を整列させるために使用され得る。代替の検索ストラテジーは、MPSRCHソフトウェアを使用し、これはMASPARコンピューター上で作動する。MPSRCHは、Smith−Watermanアルゴリズムを使用して、大規模並列処理コンピューターで配列をスコアする。このアプローチは、遠くに関連する一致がある配列を同定する能力を改良し、そして小さなギャップおよびヌクレオチド配列の誤差に特に許容性である。提供されたポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列は、タンパク質およびDNAのデータベースの両方を検索するために使用され得る。特許データベース(例えば、GeneSeq)を含む、DNA配列データベースまたはタンパク質配列データベースのいずれかにより、本願の出願日までに公表された全ての配列が本明細書中で参考として援用される。本願の出願日後まで公表されていないが、本願の出願日の時点においてこれらのデータベースに提示された配列もまた、参考として援用される。
【0061】
個々の配列と問い合わせ配列とのアライメントの結果は、以下の3つのカテゴリーに分割され得る:高い類似性、弱い類似性、および類似性なし。高い類似性から弱い類似性までの範囲である個々のアライメントの結果は、ポリペプチドの活性および/または構造を決定するための基礎を提供する。カテゴリー化される個々の結果に対するパラメーターには、以下が挙げられる:最も強いアライメントで見出されるアライメント領域長の%、配列同一性%、およびp値。アライメント領域長の%は、最も強いアライメントの領域(例えば、整列された問い合わせ配列の対応する領域の残基に同一な、最も多数の残基を含む個々の配列の連続領域)で見出された個々の配列の残基の数を数えることにより算出される。この数を、%を算出するために、問い合わせ配列の総残基長により除算される。例えば、20アミノ酸残基の問い合わせ配列は、個々の配列の20アミノ酸の領域と整列され得る。個々の配列は、問い合わせ配列のアミノ酸残基5、9〜15および17〜19に同一であり得る。したがって、最も強いアライメントの領域は、11アミノ酸のストレッチである、残基9〜19にわたる領域である。アライメント領域長の%は:(問い合わせ配列長)20により除算された11(最も強いアライメントの領域の長さ)、すなわち55%である。
【0062】
配列同一性%は、問い合わせと個々の配列との間のアミノ酸の一致の数を数えること、および最も強いアライメントの領域で見出される個々の配列の残基の数により一致の総数を除算することにより算出される。したがって、上記の例における同一性の%は、11アミノ酸により除算された10の一致、すなわちおよそ90.9%である。
【0063】
P値は、このアライメントが、偶然により生成される確率である。ひとつのアライメントについて、このP値は、Karlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1990)87:2264およびKarlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1993)90に従い算出され得る。同じ問い合わせ配列を使用する多数のアライメントのp値は、Altschulら、Nat.Genet(1994)6:119に記載される発見的アプローチを使用して算出され得る。アライメントプログラム(例えば、BLASTまたはTeraBLAST)は、p値を算出し得る。Altschulら、Nucleic Acids Res.(1997)25:3389−3402もまた参照のこと。
【0064】
同一性または類似性を決定するために考慮する別の因子は、類似性または同一性の局在である。強い局所的アライメントは、アライメントの長さが、短い場合でさえも類似性を示し得る。問い合わせ配列の長さの全体に渡って分散された配列の同一性はまた、問い合わせ配列とプロファイル配列との間の類似性を示し得る。この配列が整列する領域の境界は、Doolittle、上出;BLAST2.0(例えば、Altschulら、Nucleic Acids Res.(1997)25:3389−3402を参照のこと)、TeraBLAST(TimeLogic Corp.,Crystal Bay,Nevadaから入手可能)、またはFASTプログラムに従い決定され得るか;または配列の同一性が最も高い領域を決定することにより決定され得る。
【0065】
(高い類似性)
一般的に、高い類似性となるように考慮されたアライメントの結果において、アライメント領域長の%は、代表的に、問い合わせ配列の全長の少なくとも約55%;さらに代表的には、少なくとも約58%;さらにより代表的には;問い合わせ配列の全残基長の少なくとも約60%である。通常は、アライメント領域長の%は、約62%程度;さらに通常では、約64%程度;さらに通常でも、約66%程度であり得る。さらに、高い類似性について、アライメントの領域は、代表的に、少なくとも約75%の配列の同一性;さらに代表的には、少なくとも約78%の配列の同一性;さらにより代表的には、少なくとも約80%の配列同一性を示す。通常は、配列同一性の%は、約82%程度であり、さらに通常では、約84%程度であり、さらにより通常では、約86%程度である。
【0066】
p値は、これらの方法と共に使用される。高い類似性が見出される場合、この問い合わせ配列は、p値が約10e−2以下;さらに通常では;約10e−3以下;さらにより通常では;約10e−4以下である場合、プロファイル配列に関する高い類似性を有するとみなされる。さらに代表的には、高い類似性とみなされるべき問い合わせ配列に対して、p値は約10e−5以下であり;さらに代表的には;約10e−10以下であり;さらに代表的でも;約10e−15以下である。
【0067】
(弱い類似性)
概して、アライメントの結果が弱い親和性であると考えられる場合、アライメント領域の最小パーセント長もアライメントの最小長のいずれも存在しない。弱い類似性のよりよい表示は、アライメント領域が、代表的には少なくとも約15アミノ酸残基長;より代表的には少なくとも約20アミノ酸残基長;なおより代表的には少なくとも約25アミノ酸残基長である場合に考慮される。アライメント領域の長さは、通常には約30アミノ酸残基であり得;より通常には約40アミノ酸残基であり得;なおより通常には約60アミノ酸残基程度であり得る。さらに、弱い親和性に対して、アライメント領域は、代表的には少なくとも約35%の配列同一性;より代表的には少なくとも約40%の配列同一性;なおより代表的には少なくとも約45%の配列同一性を示す。配列同一性パーセントは、通常には約50%程度であり得;より通常には約55%程度であり得;なおより通常には約60%程度であり得る。
【0068】
低い類似性が発見された場合、p値が、通常には約10e−2以下;より通常には約10e−3以下;なおより通常には約10e−4以下である場合、問い合わせ配列は、プロフィール配列と弱い類似性を有するとみなされる。より代表的には、このp値は、弱い親和性とみなされる問い合わせ配列に対して、約10e−5未満であり;より通常には、約10e−10以下であり;さらにより通常には、約10e−15以下である。
【0069】
(配列同一性単独で決定された類似性)
配列同一性は単独で、問い合わせ配列の個々の配列に対する類似性を決定するために使用され得、そしてその配列の活性を示し得る。好ましくは、このようなアライメントは、ギャップが配列と整列するのを許容する。問い合わせ配列全体にわたる配列同一性が、代表的には少なくとも約15%;より代表的には少なくとも約20%;なお代表的には少なくとも約25%;さらにより代表的には少なくとも約50%である場合、この問い合わせ配列が、プロフィール配列に関する。類似性の指標としての単独での配列同一性は、この問い合わせ配列が通常少なくとも80%アミノ酸残基長;より通常には少なくとも90%アミノ酸残基長;さらにより通常には少なくとも95%アミノ酸残基長である場合、最も有用である。より代表的には、類似性は、問い合わせ配列は、好ましくは100アミノ酸残基長;より好ましくは120アミノ酸残基長;さらに好ましくは150アミノ酸残基長である場合に、配列同一性のみに基づいて結論付けられ得る。
【0070】
(プロフィール配列および多重整列配列とのアライメント)
提供されたポリヌクレオチドの翻訳産物は、タンパク質ファミリーか共通のモチーフのいずれかを規定する、アミノ酸プロフィールと整列され得る。また、提供されたポリヌクレオチドの翻訳産物は、タンパク質ファミリーまたはモチーフのメンバーのポリペプチド配列を含む多重配列アライメント(MSA)に整列され得る。プロフィール配列またはMSAとの類似性または同一性は、提供されたポリヌクレオチドまたは対応するcDNAもしくは遺伝子によってコードされる遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)の活性を決定するために使用され得る。例えば、ケモカインプロフィールまたはMSAとの同一性または類似性を示す配列が、ケモカイン活性を示し得る。
【0071】
プロフィールは、(1)このファミリーに属するメンバーのアミノ酸配列のアライメントである、MSAを作製することによって、そして(2)このアライメントの統計的表示を構築することによって手動で設計され得る。そのような方法は、例えば、Birneyら、Nucl.Acid Res.(1996)24(14):2730−2739に記載される。いくつかのタンパク質ファミリーおよびモチーフのMSAは、公に入手可能である。例えば、Washington University School of MedicineのGenome Sequencing Centerは、MSAの547の異なるファミリーおよびモチーフを提供する、ウェブセット(Pfam)を提供する。これらMSAは、Sonnhammerら、Proteins(1997)28:405−420にもまた記載される。WWW(ワールドワイドウェブ)上の他の供給源は、ドイツ、ハイデルベルグのEuropean Molecular Biology Laboratoriesによって後援されるサイトを含む。これらMSAの簡単は記述は、Pascarellaら、Prot.Eng.(1996)9(3):249−251で報告される。MSAからのプロフィールを構築する技術は、Sonnhammerら、(上述);Birneyら、(上述);および「Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis」、Methods in Enzymology(1996)266,Doolittle,Academic Press,Inc.,San Diego,California,USAに記載される。
【0072】
問い合わせ配列とタンパク質のファミリーまたはモチーフとの間の類似性は、(a)問い合わせ配列をプロフィールと比較することによって、および/または(b)この問い合わせ配列をそのファミリーまたはモチーフのメンバーと整列させることによって、決定され得る。代表的には、Searchwiseのようなプログラムが、問い合わせ配列を多重アライメントの統計的表示(プロフィールとしても知られる)と比較するために使用される(Birneyら、(上述)を参照のこと)。配列およびプロフィールを比較するための他の技術は、Sonnhammerら、(上述)およびDoolittle、(上述)に記載される。
【0073】
次に、Fengら、J.Mol.Evol.(1987)25:351およびHigginsら、CABIOS(1989)5:151によって記載される方法が、問い合わせ配列を、MSAとしても知られるファミリーまたはモチーフのメンバーと整列させるために使用され得る。配列アライメントは、種々のソフトウェアツールの任意のものを使用して生成され得る。例として、多重配列アライメントを作製するPileUpが挙げられ、Fengら、J.Mol.Evol.(1987)25:351に記載される。別の方法、GAPは、Needlemanら、J.Mol.Biol.(1970)48:443のアライメント方法を使用する。GAPは、配列の全体的なアライメントに対して最も適切である。第3の方法、BestFitは、ギャップを挿入することによって、Smithら、Adv.Appl.Math.(1981)2:482の局所的相同性アルゴリズムを使用して、一致の数を最大化するように機能する。概して、以下の因子が、問い合わせ配列とプロフィールまたはMSAとの類似性が存在するかどうかを決定するために使用される:(1)問い合わせ配列中に見られる保存された残基の数、(2)問い合わせ配列中に見られる保存された残基のパーセンテージ、(3)フレームシフトの数、および(4)保存された残基間の間隔。
【0074】
配列を翻訳し、整列させるいくつかのアライメントプログラムは、ヌクレオチド配列を最良のアライメントを生成するよう翻訳する場合、任意の数のフレームシフトを生成し得る。アライメントを生成するために必要なフレームシフトが少なければ少ないほど、クエリとプロフィールまたはMSAとの間の類似性または同一性は強い。例えば、フレームシフトゼロから得られる弱い類似性は、2つのフレームシフトから得られる強い類似性よりも、問い合わせ配列の活性または構造のより良い指標であり得る。好ましくは3個以下のフレームシフトが、アライメント中に見られる;より好ましくは2個以下のフレームシフト;さらにより好ましくは1以下のフレームシフト;さらにより好ましくは0個のフレームシフトが、クエリとプロフィールまたはMSAのアライメント中に見られる。
【0075】
保存された残基は、ファミリーまたはモチーフのメンバーの全てまたはいくつかにおいて特定の位置で見られるアミノ酸である。あるいは、特定のクラスのアミノ酸のみが、ファミリーのメンバーの全てまたはいくつかにおいて特定の位置で見られる場合、位置は保存されていると考えられる。例えば、N末端位置は、リジン、アルギニン、またはヒスチジンのような、正に荷電したアミノ酸を含み得る。
【0076】
ポリペプチドの残基は、アミノ酸のクラスまたは単一のアミノ酸が、全てのクラスのメンバーの中の、代表的には少なくとも約40%;より代表的には少なくとも約50%;なおより代表的には少なくとも約60%において特定の位置で見られる場合に保存されている。ある残基は、クラスまたは単一のアミノ酸が、ファミリーまたはモチーフのメンバーの中の、通常には少なくとも約70%;より通常には少なくとも約80%;なおより通常には少なくとも約90%;なおより通常には少なくとも約95%において見られる場合に保存されている。
【0077】
残基は、3つの無関係なアミノ酸;より通常には2つの無関係なアミノ酸が、メンバーのいくつかまたは全てにおいて特定の位置で見られる場合、保存されていると考えられる。これらの残基は、無関係なアミノ酸が、全てのクラスのメンバーの少なくとも約40%;より代表的には少なくとも約50%;なおより代表的には少なくとも約60%において特定の位置で見られる場合に保存されている。残基は、あるクラスのアミノ酸または単一のアミノ酸が、ファミリーまたはモチーフのメンバーの中の、通常には少なくとも約70%;より通常には少なくとも約80%;なおより通常には少なくとも約90%;なおより通常には少なくとも約95%において特定の位置で見られる場合に保存されている。
【0078】
ある問い合わせ配列は、問い合わせ配列がプロフィールまたはMSAの保存された残基の少なくとも約25%を;より通常には少なくとも約30%を;なおより通常には少なくとも約40%を含む場合、プロフィールまたはMSAと類似性を有する。問い合わせ配列は、問い合わせ配列がプロフィールまたはMSAの保存された残基の、代表的には少なくとも約45%を;より代表的には少なくとも約50%を;なおより代表的には少なくとも約55%を含む場合、プロフィール配列またはMSAと強い類似性を有する。
【0079】
(分泌ポリペプチドおよび膜結合ポリペプチドの同定)
本発明の分泌ポリペプチドおよび膜結合ポリペプチドの両方が、特に興味深い。例えば、分泌ポリペプチドのレベルは、血液、血漿、血清、ならびに他の体液(例えば、尿、前立腺液および精液)のような、便利な体液中でアッセイされ得る。膜結合ポリペプチドは、ワクチン抗原の構築または免疫応答の誘導に対して有用である。そのような抗原は、膜結合ポリペプチドの全てまたは一部の細胞外領域を含む。分泌ポリペプチドおよび膜結合ポリペプチドの両方が、連続的な疎水性アミノ酸のフラグメントを含むので、疎水性予想アルゴリズムを、そのようなポリペプチドの同定に使用し得る。
【0080】
シグナル配列は、ポリペプチドを細胞の表面に指向するために、分泌ポリペプチド遺伝子および膜結合ポリペプチド遺伝子の両方によって、通常コードされる。シグナル配列は、通常疎水性残基のストレッチを含む。そのようなシグナル配列は、ヘリックス構造に折りたたみ得る。膜結合ポリペプチドは、代表的には、膜を横断し得る疎水性アミノ酸のストレッチを有する、少なくとも1つの膜貫通領域を含む。いくつかの膜貫通領域はまた、ヘリックス構造を示す。ポリペプチド内の疎水性フラグメントは、コンピューターアルゴリズムを使用することによって、同定され得る。そのようなアルゴリズムは、Hopp&Woods,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1981)78:3824−3828;Kyte&Doolittle,J.Mol.Biol.(1982)157:105−132;およびRAOAR algorithm,Degli Espostiら、Eur.J.Biochem.(1990)190:207−219を含む。
【0081】
分泌ポリペプチドおよび膜結合ポリペプチドを同定する別の方法は、6フレーム全てで、本発明のポリヌクレオチドを翻訳し、そして、少なくとも8個の連続した疎水性アミノ酸が存在するかどうかを決定することである。少なくとも8個;より代表的には10個;さらにより代表的には12個の連続した疎水性アミノ酸を有する、これらの翻訳されたアミノ酸は、推定される分泌ポリペプチドまたは推定される膜結合ポリペプチドのいずれかであると考えられる。疎水性アミノ酸としては、アラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンが挙げられる。
【0082】
(全長遺伝子の発現産物の機能の同定)
リボザイム、アンチセンス構築物、およびドミナントネガティブ変異体は、本明細書中で提供されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の、発現産物の機能を決定するために使用され得る。これらの方法および組成物は、提供される新規のポリヌクレオチドが、既知の機能の遺伝子をコードする配列に、有意なまたは実質的な相同性を示さない場合、特に有用である。アンチセンス分子およびリボザイムは、合成ポリヌクレオチドからの構築され得る。代表的には、オリゴヌクレオチド合成のホスホルアミダイト方法を使用する。Beaucageら、Tet.Lett.(1981)22:1859および米国特許第4,668,777号を参照のこと。合成のための自動化されたデバイスは、この化学を使用してオリゴヌクレオチドを作製するために使用可能である。そのようなデバイスの例としては、Perkin−Elmer Corp.の一部門であるApplied Biosystems(Foster City,California,USA)による、Biosearch 8600、Model 392および394、ならびにPerceptive Biosystems,Framingham,Massachusetts,USAによるExpediteが挙げられる。合成RNA、リン酸アナログオリゴヌクレオチド、および化学的に誘導体化されたオリゴヌクレオチドはまた生成され得、他の分子に共有結合的に結合され得る。RNAオリゴヌクレオチドは、例えば、RNAホスホルアミダイトを使用して、合成され得る。この方法は、Applied Biosystems,Models 392および394(Foster City,California,USA)のような、自動化された合成機で実行され得る。
【0083】
ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを、アンチセンス構築物についてもまた合成し得る。アセトニトリル中の二硫化テトラエチルチウラム(TETD)のような、硫化試薬を、ヌクレオチド間亜リン酸シアノエチルを、室温で15分以内に、ホスホロチオエートトリエステルに転換するために使用し得る。TETDをヨウ素試薬に置換する一方で、標準的なホスホルアミダイト化学に使用される他の全ての試薬は、同一のままである。そのような合成方法は、例えば、Applied BiosystemsによるModels 392および394を使用して自動化され得る。
【0084】
200ntまで、より代表的には、100nt;より代表的には50nt;なおより代表的には30〜40ntのオリゴヌクレオチドを、合成し得る。これらの合成フラグメントは、アニール化され、一緒に結合してより大きなフラグメントを構築する。例えば、Sambrookら(上述)を参照のこと。トランス切断する触媒RNA(リボザイム)は、エンドリボヌクレアーゼ活性を有するRNA分子である。リボザイムは、特定の標的に対して詳細に設計され、標的メッセージは、特定のヌクレオチド配列を含まなければならない。これらは、細胞RNAのバックグラウンドにおいて、部位特異的に任意のRNA種を切断するように遺伝子操作され得る。断片化事象は、mRNAを不安定化し、そしてタンパク質発現を阻害する。重要なことに、リボザイムは、表現型の影響を検出することによって、インビボ背景またはインビトロ背景において、その機能を決定する目的のために、未知の機能の遺伝子の発現を阻害するために使用され得る。一般的に使用されるリボザイムモチーフは、基質配列要求性が最小であるために、ハンマーヘッドである。ハンマーヘッドリボザイムの設計およびリボザイムの治療的使用は、Usmanら、Current Opin.Struct.Biol.(1996)6:527において開示される。ヘアピン構造リボザイムフラグメントを含む、リボザイムの生成のための方法、およびリボザイム特異性を増大する方法などは、技術分野で公知である。
【0085】
リボザイムのハイブリダイズ領域は、改変され得るか、またはHornおよびUrdea,Nucleic Acids Res.(1989)17:6959に記載されるように、分枝構造として調製され得るかいずれかである。リボザイムの基本的な構造はまた、当業者が精通する方法で化学的に改変され得、そして化学的に合成されたリボザイムは、単量体単位で改変された合成オリゴヌクレオチド誘導体として投与され得る。治療の背景において、リボザイムのリポソーム媒介送達は、Birikhら、Eur.J.Biochem.(1997)245:1に記載されるように細胞の取り込みを改善する。
【0086】
アンチセンス核酸は、RNAに特異的に結合するように設計され、DNA複製、逆転写またはメッセンジャーRNA翻訳の停止を伴うRNA−DNAハイブリッドまたはRNA−RNAハイブリッドの形成を得る。選択されるポリヌクレオチド配列に基づく、アンチセンスポリヌクレオチドは、対応する遺伝子の発現を妨害し得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、代表的には、転写された鎖としてのアンチセンス鎖を含むアンチセンス構築物からの発現によって、細胞内で生成される。開示されたポリヌクレオチドに基づくアンチセンスポリヌクレオチドは、アンチセンスポリヌクレオチドに相補的な配列を含むmRNAに結合し、そして/またはその翻訳を妨害する。コントロール細胞およびアンチセンス構築物で処理された細胞の発現産物は、アンチセンス構築物が基礎とするポリヌクレオチドに対応する遺伝子のタンパク質生成物を検出するために比較される。このタンパク質は、慣用的な生化学的方法を使用して、単離され、同定される。
【0087】
広範な背景の文献およびアンチセンス療法における臨床経験が与えられると、当業者は、さらなる潜在的な治療法として、本発明の選択されたポリヌクレオチドを使用し得る。ポリヌクレオチドの選択は、それらが癌細胞のゲノムの「ホットスポット」領域に結合することについて、最初に試験することによって、狭められ得る。ポリヌクレオチドが、「ホットスポット」に結合するとして同定された場合、対応する癌細胞におけるアンチセンス化合物として、ポリヌクレオチドを試験することが、保証される。
【0088】
本明細書中で開示されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の機能を同定するための代替的な方法として、ドミナントネガティブ変異体が、ホモ多量体として活性である対応するタンパク質に対して迅速に生成される。変異体ポリペプチドは、(他の対立遺伝子から産生される)野生型ポリペプチドと相互作用し、そして非機能的多量体を形成する。従って、変異は、基質結合ドメイン、触媒ドメイン、または細胞局在化ドメインに存在する。好ましくは、変異ポリペプチドが、過剰発現される。そのような変異を有する点変異体が、作製される。さらに、種々の長さの異なるポリペプチドのタンパク質の末端への融合により、ドミナントネガティブ変異体が産生され得る。一般的な戦略は、ドミナントネガティブ変異体を作製するために利用可能である(例えば、Herskowitz,Nature(1987)329:219を参照のこと)。そのような技術は、機能変異体の損失を作製するために使用し得、このような変異体は、タンパク質融合体を決定するために有用である。
【0089】
(ポリペプチドおよびその改変体)
本発明のポリペプチドは、開示されたポリヌクレオチド、および遺伝的コードの縮重によって、開示されたポリヌクレオチドと配列が同一でない核酸によってコードされるポリペプチドを含む。従って、本発明は、その範囲内に、配列番号1〜1477の任意の1つの配列またはその改変体を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。配列番号1478〜1568のアミノ酸配列を含むポリペプチドもまた、本発明中に含まれる。
【0090】
一般的に、本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、列挙されるポリヌクレオチドによってコードされる全長ポリペプチド、列挙されるポリヌクレオチドによって示される遺伝子によってコードされるポリペプチド、およびその一部またはフラグメントの両方をいう。「ポリペプチド」はまた、天然に存在するタンパク質の改変体を含み、ここで、そのような改変体は、天然に存在するタンパク質に相同または実質的に類似する。そして、このポリペプチドは、天然に存在するタンパク質と同一種または異種(例えば、ヒト、マウス、または列挙されるポリペプチドを天然で発現する、通常、哺乳動物種である、他のいくつかの種)の起源のポリペプチドであり得る。一般的に、改変体ポリペプチドは、本発明の差別的に発現されるポリペプチドと、(上に記載されるパラメーターを使用するBLAST2.0またはTeraBLASTによって測定される値として)少なくとも約80%、通常には少なくとも約90%、より通常には少なくとも約98%の配列同一性を有する。改変体ポリペプチドは、天然または非天然にグリコシル化される。すなわち、このポリペプチドは、対応する天然に存在するタンパク質で見られるグリコシル化パターンと異なるグリコシル化パターンを有する。
【0091】
本発明はまた、ホモログが他の種(すなわち、他の動物種または植物種のそのようなホモログ、通常、哺乳動物種(例えば、齧歯類(例えば、マウス、ラット);家畜(例えば、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ));およびヒト)から単離される、開示されるポリペプチド(またはそのフラグメント)のホモログを含む。「ホモログ」によって、上で同定された、特定の別個に発現されるタンパク質と、少なくとも35%、通常には少なくとも40%、より通常には少なくとも60%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドが意味され、ここで、配列同一性は、上記のパラメーターを用いて、BLAST2.0またはTeraBLASTを使用して決定される。
【0092】
一般的に、本発明のポリペプチドは、例えば、天然に存在する環境から隔離された、天然に存在しない環境で、提供される。特定の実施形態において、本発明のタンパク質は、コントロールと比較されるタンパク質に対して濃縮された組成物に存在する。精製されたポリペプチドは、それ自体、提供され、ここで、精製される、によって、タンパク質が、非差示的に発現されるポリペプチドを実質的に含まない組成物中に存在することが意味され、そして、ここで、実質的に含まない、によって、組成物の少なくとも90%、通常には少なくとも60%、およびより通常には少なくとも50%が、非差示的に発現されるポリペプチドからなることが意味される。
【0093】
改変体もまた本発明の範囲内にあり、ポリペプチドの改変体は、変異体、フラグメント、および融合体を含む。変異体はまた、アミノ酸置換、付加または欠失を含む。アミノ酸置換は、保存的なアミノ酸置換または非必須アミノ酸を除去するための置換であり、グリコシル化部位、リン酸化部位またはアセチル化部位を改変するため、または機能に必要でない1つ以上のシステイン残基の置換または除去によるミスフォールディングを最小化するためのような置換であり得る。保存的なアミノ酸置換とは、置換されたアミノ酸の全電荷、疎水性度/親水性度、および/または立体化学的容積を保存するアミノ酸置換である。改変体は、タンパク質の特定の領域の生物学的活性を保持または強化するように、設計され得る(例えば、機能的ドメインおよび/またはポリペプチドがタンパク質ファミリーのメンバーである場合、コンセンサス配列に関連する領域)。改変体を作製するためのアミノ酸改変の選択は、アミノ酸の接近可能性(内部対外部)(例えば、Goら、Int.J.Peptide Protein Res.(1980)15:211を参照のこと)、改変体ペプチドの熱安定性(例えば、Querolら、Prot.Eng.(1996)9:265を参照のこと)、所望のグリコシル化部位(例えば、OlsenおよびThomsen,J.Gen.Microbiol.(1991)137:579を参照のこと)、所望のジスルフィド架橋(例えば、Clarkeら、Biochemistry(1993)32:4322;およびWakarchukら、Protein Eng.(1994)7:1379を参照のこと)、所望の金属結合部位(例えば、Tomaら、Biochemistry(1991)30:97,およびHaezerbrouckら、Protein Eng.(1993)6:643を参照のこと)、およびプロリンループ内の所望の置換(例えば、Masulら、Appl.Env.Microbiol.(1994)60:3579を参照のこと)に基づき得る。システイン欠乏ムテインは、米国特許第4,959,314号に記載されるように作製され得る。
【0094】
改変体はまた、本明細書中で開示されるポリペプチドのフラグメント(特に、ハプテン、生物学的に活性なフラグメント、および/または機能的ドメインに対応するフラグメント)もまた含む。目的のフラグメントは、代表的には、少なくとも約10アミノ酸長〜少なくとも約15アミノ酸長、通常には、少なくとも約50アミノ酸長であり、300アミノ酸長以上であり得るが、通常には、約1000アミノ酸長を超えない。ここで、このフラグメントは、配列番号1〜1477の任意の配列を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、配列番号1478〜1568の少なくとも1つの配列を含むポリペプチド、またはそのホモログと同一のアミノ酸のストレッチを有する。本明細書に記載されるタンパク質改変体は、本発明の範囲内にあるポリヌクレオチドによってコードされる。遺伝的コードは、適切なコドンを選択するために使用され、対応する改変体を構築し得る。
【0095】
(コンピューター関連実施形態)
一般的に、ポリヌクレオチドのライブラリーは、配列情報のコレクションであり、この情報は、生化学的形態(例えば、ポリヌクレオチド分子のコレクションとして)または電子化形態(例えば、コンピューターシステムおよび/またはコンピュータープログラムの一部のような、コンピューター読み取り可能な形態で保存されたポリヌクレオチド配列のコレクションとして)のいずれかとして提供される。ポリヌクレオチドのこの配列情報は、例えば、遺伝子発見の供給源として、選択された細胞型(例えば、細胞型マーカー)において発現された配列の提示として、および/または所定の疾患状態または障害状態のマーカーとして、種々の方法で使用され得る。一般的に、疾患マーカーは、正常な細胞(例えば、疾患によって実質的に影響されない、同一形態または類似形態の細胞)と比較して上昇したレベルまたは減少したレベルいずれかでの疾患によって影響される、全ての細胞に存在する遺伝子産物の提示である。例えば、ライブラリー中のポリヌクレオチド配列は、mRNA、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドによってコードされる他の遺伝子産物を示すポリヌクレオチドであり得、このポリヌクレオチドは、正常な(すなわち、疾患に罹患していない)乳細胞に比べて、癌によって影響を受けた乳管細胞において、過剰発現されているかまたは過少発現されている。
【0096】
ライブラリーのヌクレオチド配列情報は、任意の適切な形態(例えば、電子化形態または生化学的形態)において実施され得る。例えば、電子化形態で実施された配列情報のライブラリーは、例えば、以下の細胞間のように、示差的に発現(例えば、過剰発現または過少発現)される遺伝子の代表的なヌクレオチド配列を含む、アクセス可能なコンピューターデータファイル(または、生化学的形態における、核酸分子のコレクション)を含む:i)癌細胞と正常細胞;ii)癌細胞と形成異常細胞;iii)癌細胞と疾患もしくは癌以外の状態によって影響を受けた細胞;iv)転移性癌細胞と正常細胞および/もしくは非転移性癌細胞;v)悪性癌細胞および非悪性癌細胞(もしくは正常細胞)ならびに/またはvi)正常細胞に対する形成異常の細胞。種々の疾患または種々の疾患の状態によって影響を受けた細胞の他の組合せおよび細胞の他の比較は、当業者に容易に明らかになる。ライブラリーの生化学的な実施形態は、ライブラリーにおける遺伝子の配列を有する核酸のコレクションを含み、ここで、この核酸は、以下のより詳細に記載されるように、ライブラリー中の遺伝子全体またはそのフラグメントに対応し得る。
【0097】
本発明のポリヌクレオチドライブラリーは、一般的に複数のポリヌクレオチド配列の配列情報を含み、ここで少なくとも1つのポリヌクレオチドは、配列番号1〜1477の任意の配列を有する。複数によって、少なくとも2、通常には3が意味され、配列番号1〜1477の全てまでを含み得る。ライブラリーにおいて、ポリヌクレオチドの長さおよび数は、例えば、ライブラリーが、オリゴヌクレオチドアレイ、cDNAアレイ、配列情報のコンピューターデータベースなどである場合、ライブラリーの特性と共に変化する。
【0098】
ライブラリーが、電子化ライブラリーである場合、核酸配列情報は、種々の媒体中に存在し得る。「媒体」は、本発明の配列情報を含む、単離された核酸分子以外の製品をいう。そのような製品は、核酸中に存在するような配列を直接適用しない手段によって試験され得る形態における、ゲノム配列またはそのサブセットを提供する。例えば、本発明の核酸配列(例えば、配列番号1〜1477の任意のポリヌクレオチドの核酸配列)は、コンピューター読み取り可能な媒体(例えば、コンピューターによって読まれ得かつ直接アクセスされ得る任意の媒体)に保存され得る。そのような媒体としては、磁気記憶媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープ);光学記憶媒体(例えば、CD−ROM);電子記憶媒体(例えば、RAMおよびROM);ならびにカテゴリーのハイブリッド(例えば、磁気/光学記憶媒体)が挙げられるが、それらに限定されない。当業者は、任意の、現在公知のコンピューター読み取り可能な媒体が、本発明の配列情報の記録を含む製品の製造に、どのように使用され得るかを容易に理解する。「記録された」は、技術分野で公知の任意の方法を使用して、コンピューター読み取り可能な媒体に情報を保存するためのプロセスをいう。任意の便利なデータ保存構造は、保存された情報にアクセスするために使用される手段に基づいて、選択され得る。種々のデータプロセッサープログラムおよびフォーマット(例えば、ワードプロセシングテキストファイル、データベースフォーマットなど)が、保存のために使用され得る。この配列情報に加えて、本発明のライブラリーの電子化バージョンは、他のコンピューター読み取り可能な情報および/または他の型のコンピューター読み取り可能なファイルと共に提供され得る検索可能なファイル、実行可能なファイルなど(例えば、(例えば、検索プログラムソフトウェアなどが挙げられるがそれに限定されない))。
【0099】
コンピューター読み取り可能な形態において、核酸配列を提供することによって、情報は、種々の目的についてアクセスされ得る。配列情報にアクセスするためのコンピューターソフトウェアは、公に入手可能である。例えば、gapped BLAST(Altschulら、Nucleic Acids Res.(1997)25:3389−3402)およびSybaseシステムにおけるBLAZE(Brutlagら、Comp.Chem.(1993)17:203)検索アルゴリズム、またはTimeLogicから入手可能な特別なコンピュータープラットフォームで必要に応じて作動するTeraBLAST(TimeLogic,Crystal Bay,Nevada)プログラムは、他の生物体由来のORFに対する相同性を含むゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)を同定するために使用され得る。
【0100】
本明細書で使用される場合、「コンピューターベースのシステム」は、本発明のヌクレオチド配列情報を分析するために使用される、ハードウェア手段、ソフトウェア手段、およびデータ保存手段をいう。本発明のコンピューターベースのシステムの最小のハードウェアは、中央演算処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、およびデータ保存手段を含む。当業者は、現在入手可能なコンピューターベースのシステムの任意の1つが、本発明での使用に適切であることを容易に理解する。このデータ保存手段は、上に記載されるように本発明の配列情報の記録を含む任意の製品、またはそのような製品にアクセス可能なメモリーアクセス手段を含み得る。
【0101】
「検索手段」は、標的配列もしくは標的構造モチーフ、またはサンプル中のポリヌクレオチドの発現レベルを保存された配列情報と比較するための、コンピューターベースのシステム上で実行される1つ以上のプログラムをいう。検索手段は、特定の標的配列または標的モチーフに一致するゲノムのフラグメントまたは領域を同定するために使用され得る。種々の公知のアルゴリズムは、公に知られており市販されている(例えば、MacPattern(EMBL),BLASTNおよびBLASTX(NCBI),TeraBLAST(TimeLogic,Crystal Bay,Nevada)。「標的配列」は、6以上の連続的なヌクレオチドまたは2以上のアミノ酸、好ましくは、約10〜100アミノ酸または約30〜300ntの任意のポリヌクレオチドまたはアミノ酸であり得る。種々の比較手段は、データ保存手段を用いてサンプルからの配列情報の比較を達成するために(例えば、標的配列、標的モチーフ、または相対発現レベルを分析するために)使用され得る。当業者は、任意の公に入手可能な相同性検索プログラムが、標的配列および標的モチーフの比較を達成するために、本発明のコンピューターベースのシステムの検索手段として使用され得ることを容易に理解する。サンプルおよびコントロール中の発現レベルを分析するためのコンピュータープログラムもまた当該分野で公知である。
【0102】
「標的構造モチーフ」または「標的モチーフ」は、合理的に選択された任意の配列または配列の組合せをいい、ここで、配列は、標的モチーフの折りたたみに基づいて形成される三次元的配置、または調節部位もしくは活性部位のコンセンサス配列に基づいて選択される。種々の標的配列が当該分野で公知である。タンパク質標的モチーフとしては、酵素活性部位およびシグナル配列が挙げられるが、これらに限定されない。核酸標的モチーフとしては、ヘアピン構造、プロモーター配列および転写因子の結合部位のような他の発現要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
入力手段および出力手段に関する種々の構造フォーマットは、本発明のコンピューターベースのシステムにおいて、情報を入力および出力するために使用され得る。出力手段の1つのフォーマットは、異なるポリヌクレオチドの相対的発現レベルをランク付けする。そのような表示は、当業者に遺伝子発現プロフィールを決定するための相対的発現レベルのランキングを提供する。
【0104】
上に議論されるように、本発明の「ライブラリー」は、配列番号1〜1477のポリヌクレオチドの生化学的ライブラリー(例えば、提供されたポリヌクレオチドを示す核酸のコレクション)もまた含む。生化学的ライブラリーは、種々の形態(例えば、cDNAの溶液、固相支持体の表面に安定に結合されたプローブ核酸のパターンなど(すなわち、アレイ))をとりえる。配列番号1〜1477のうちの1つ以上が、アレイ上に示される核酸アレイが、特に興味深い。アレイによって、その表面の1つに少なくとも2つの核酸標的を伴う少なくとも1つの基材を有する製品が意味され、ここで、異なる核酸の数は、かなり高くあり得、代表的には少なくとも10、通常には少なくとも20、頻繁には、少なくとも25の異なる核酸分子であり得る。種々の異なるアレイのフォーマットが開発され、それは当業者に公知である。本発明のアレイは、上に列挙された例示的な特許文書において開示されるように、遺伝子発現分析、薬物スクリーニング、変異分析などを含む、種々の適用における使用を見出す。
【0105】
上の核酸ライブラリーに加えて、ポリヌクレオチドのアナログライブラリーもまた提供され、ここで、ライブラリーのポリペプチドは、配列番号1〜1477の1つ以上に対応する遺伝子によってコードされるポリペプチドの少なくとも一部を示す。
【0106】
(有用性)
本発明のポリヌクレオチドは、種々の適用において有用である。本発明のポリペプチドの有用性の例は、以下に記載される。
【0107】
(より大きな分子の構築物:組換えDNAおよび核酸マルチマー)
特に興味深い1つの実施形態において、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドは、大きな分子に対するビルディングブロックとして有用である。1つの例において、ポリヌクレオチドは、宿主細胞(例えば、細菌宿主細胞または真核生物(例えば、酵母または哺乳動物)宿主細胞)における発現に順に適合され得るより大きなcDNA分子の成分である。cDNAは、出発物質のポリヌクレオチド(すなわち、本明細書に記載されるポリヌクレオチド)によりコードされるポリペプチドに加えて、本明細書に記載されるポリヌクレオチド(例えば、融合タンパク質をコードする配列内のような)によってコードされるポリペプチドに相同なアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドは、記載されるポリヌクレオチドが対応する遺伝子の全てまたは一部を合成するための出発物質ポリヌクレオチドとして使用される。例えば、全長ヒトポリペプチドをコードするDNA分子は、出発物質として本明細書中に記載されるポリヌクレオチドを使用して、構築され得る。
【0108】
別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、核酸マルチマーとして使用される。核酸マルチマーは、同一の反復する一本鎖オリゴヌクレオチド単位または別個の一本鎖オリゴヌクレオチド単位の、直鎖ポリマーまたは分枝鎖ポリマーであり得る。分子が分枝している場合、マルチマーは、一般的に,[フォーク」構造または「コーム」構造のいずれかとして記載される。マルチマーのオリゴヌクレオチド単位は、RNA、DNA、改変ヌクレオチドまたはその組合せで構成され得る。単位の少なくとも1つは、目的の第1の一本鎖ヌクレオチド配列(代表的には、検体、または検体に結合するオリゴヌクレオチド)に特異的に結合することを可能にする配列、長さ、および組成を有する。そのような特異性および安定性を達成するために、この単位は、通常には、15〜50nt長、好ましくは、15〜30nt長であり、40%〜60%のGC含量を有する。そのような単位に加えて、このマルチマーは、目的の第2の一本鎖ヌクレオチド(代表的には、標識されたオリゴヌクレオチドまたは別のマルチマー)に、特異的にかつ安定にハイブリダイズし得る複数の単位を含む。これらの単位はまた、通常には、15〜50nt長、好ましくは、15〜30nt長であり、40%〜60%のGC含量を有する。マルチマーが、別のマルチマーにハイブリダイズするように設計される場合、第1および第2のオリゴヌクレオチド単位は、異種(異なる)である。本明細書に記載される1つ以上のポリヌクレオチドまたは本明細書に記載されるポリヌクレオチドの一部分は、そのような核酸マルチマーの反復単位として使用され得る。
【0109】
マルチマーにおけるオリゴヌクレオチド単位の総数は、通常には3〜50の範囲、より通常には10〜20の範囲である。目的のヌクレオチド配列にハイブリダイズする単位が、標識されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする単位と異なるマルチマーにおいて、後者の前者に対する比は、通常には2:1〜30:1、より通常には5:1〜20:1、および好ましくは10:1〜15:1である。
【0110】
マルチマーのオリゴヌクレオチド単位は、ホスホジエステル結合、または介入架橋薬剤(例えば、核酸、アミノ酸、炭化水素もしくはポリオール架橋)、あるいは核酸または改変核酸鎖を架橋し得る他の架橋薬剤を通して、互いに直接共有結合され得る。連結の部位は、単位の末端(通常の3、−5’方向またはランダムな方向のいずれかにおいて)および/または鎖上の1つ以上内部ヌクレオチドにあり得る。直鎖状マルチマーにおいて、個々の単位は、直鎖状ポリマーを形成するように、末端対末端で結合する。分枝マルチマーの1つの型は、3以上のオリゴヌクレオチド単位が、起点から出て、分枝構造を形成する。起点は、別のオリゴヌクレオチド単位または多機能分子であり得、これに対して少なくとも3つの単位が共有結合し得る。別の型において、1つ以上のペンダントオリゴヌクレオチド単位を有するオリゴヌクレオチド単位骨格が存在する。これらの後者の型のマルチマーは、構造が、「フォーク型」、「コーム型」または「フォーク様」および「コーム様」の組合せである。ペンダント単位は、通常には、改変ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが結合され得るかそうでなければ付着され得る適切な機能部分を有する他の有機部分から垂れ下がる。マルチマーは、全体として直線であるか、全体として分枝しているか、または直線部分および分枝部分の組合せであり得る。好ましくは、マルチマーにおける少なくとも2個、より好ましくは、少なくとも3個、好ましくは、5〜10個の分枝点が存在する。マルチマーは、二重鎖配列の1つ以上のセグメントを含み得る。
【0111】
多量体の核酸分子は、1つのマルチマー分子の第1の配列の標的配列へのハイブリダイゼーションから生じるシグナルの増幅に有用である。増幅は、第2のセグメントの繰り返しの数に理論的に比例する。
【0112】
理論に拘束されることなく、約8より多い分枝を有するフォーク構造は、標識化プローブのマルチマーへの結合を阻害する立体障害を示す。一方で、コーム構造は、立体的な問題をほとんどまたは全く示さず、従って、この構造は、分枝マルチマーの好ましい型である。フォーク型およびコーム型両方の分枝核酸マルチマーならびに使用および合成の方法の記載については、例えば、米国特許第5,124,246号(フォーク型構造);同第5,710,264号(コーム構造の合成);および同第5,849,481号を参照のこと。
【0113】
(マッピングおよび組織プロファイリングにおけるポリヌクレオチドプローブの使用)
配列表に列挙されるように、一般的に、少なくとも12連続ntのポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドプローブは、ポリヌクレオチドの染色体マッピングおよび転写レベルの検出のような、種々の目的に対して使用される。開示されたポリヌクレオチドの好ましい領域についてのさらなる開示は、実施例において見出される。本明細書中に開示されたポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするプローブは、他の関連しない配列によって提供されるバックグラウンドハイブリダイゼーションより少なくとも5、10、または20倍高い検出シグナルを提供するはずである。
【0114】
(発現レベルの検出)
ヌクレオチドプローブは、提供されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現を検出するために使用される。ノーザンブロットにおいて、mRNAは、電気泳動的に分離され、プローブと接触される。プローブは、特定の大きさのmRNA種にハイブリダイズする場合に検出される。ハイブリダイゼーションの量は、例えば、特定の条件下で、発現の相対量を決定するために定量される。プローブは、発現を検出するための細胞へのインサイチュハイブリダイゼーションのために使用される。プローブはまた、ハイブリダイズする配列の診断的検出のためにインビボで使用され得る。プローブは、代表的に、放射性同位体で標識される。発色団、蛍光団、および酵素のような、他の型の検出可能な標識が、使用され得る。ヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイの他の例は、W092/02526号および米国特許第5,124,246号に記載される。
【0115】
あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、少量の標的核酸を検出するための別の手段である(例えば、Mullisら、Meth.Enzymol.(1987)155:335;米国特許第4,683,195号;および同第4,683,202号を参照のこと)。標的核酸とハイブリダイズする2つのプライマーポリヌクレオチドヌクレオチドが、反応を開始するために使用される。プライマーは、配列表のポリヌクレオチド内の配列またはその3’および5’側の配列で構成され得る。あるいは、プライマーがこれらのポリヌクレオチドの3’および5’側である場合、これらプライマーは、ポリヌクレオチドまたはその相補体にハイブリダイズする必要はない。熱安定性ポリメラーゼを使用した標的の増幅の後、増幅された核酸配列は、例えば、サザンブロットのような技術分野で公知の方法によって検出され得る。mRNAまたはcDNAはまた、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(New York,Cold Spring Harbor Laboratory,1989)(例えば、PCR増幅を使用しない)に記載される従来のブロッティング技術(例えば、サザンブロット、ノーザンブロットなど)によって検出され得る。一般的に、ポリメラーゼ酵素を使用してmRNAから生成されるmRNAまたはcDNAは、ゲル電気泳動を使用して精製および分離され得、ニトロセルロースのような固相支持体に移され得る。固相支持体は、標識化されたプローブに曝され、ハイブリダイズしていない任意のプローブを除去するために洗浄され、そして、標識化されたプローブを含む二重鎖が検出される。
【0116】
(マッピング)
本発明のポリヌクレオチドは、対応遺伝子が存在する染色体を同定するために使用され得る。そのようなマッピングは、既知の機能を有する他の遺伝子の近似性によって、このポリヌクレオチドに関連する遺伝子の機能を同定するために使用され得る。機能はまた、特定の症候群または疾患を同じ染色体にマップする場合、このポリヌクレオチドに関連する遺伝子として指定される。例えば、核酸配列異常の同定および定量におけるポリヌクレオチドプローブの使用は、米国特許第5,783,387号に記載される。例示的なマッピング方法は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)であり、この方法は、DNA配列の相対コピー数における変化の全ゲノム評価を可能にする比較ゲノムハイブリダイゼーションを容易にする(例えば、Valdesら、Methods in Molecular Biology(1997)68:1を参照のこと)。ポリヌクレオチドはまた、例えば、放射性ハイブリッドまたは染色体特異的ハイブリッドパネルを使用して特定の染色体にマップされ得る。Leachら、Advances in Genetics,(1995)33:63−99;Walterら、Nature Genetics(1994)7:22;WalterおよびGoodfellow,Trends in Genetics(1992)9:352を参照のこと。放射性ハイブリッドマッピングに対するパネルは、Research Genetics,Inc.,Huntsville,Alabama, USAから入手可能である。種々のパネルを使用したマーカーのデータベースは、Stanford Human Genome Center(Stanford University)およびthe Whitehead Institute for Biomedical Research/MIT Center for Genome Researchに後援されるウェブサイトを介して入手可能である。統計プログラムRHMAPは、1つの順番と別の順番の相対的見込みの基準を有する、放射ハイブリダイゼーションからのデータに基づくマップを構築するために使用され得る。RHMAPは、ミシガン大学によって後援されるウェブサイトを介して入手可能である。さらに、市販のプログラムは、癌のような疾患に一般的に関連する染色体の領域を同定するために利用可能である。
【0117】
(組織分類または組織プロファイリング)
提供されるポリヌクレオチドに対応する特定のmRNAの発現は、異なる細胞型で変化し得、組織特異的であり得る。異なる細胞型におけるmRNAレベルのこの変化は、核酸プローブアッセイにより利用され得、組織型を決定する。例えば、PCR、分枝DNAプローブアッセイ、または配列表に列挙されるポリヌクレオチドに実質的に同一または相補的な核酸プローブを利用するブロッティング技術は、対応するcDNAまたはmRNAの存在または非存在を決定し得る。
【0118】
組織分類は、その器官または組織の特定のマーカーの発現を同定することによって、転移性損傷の発達性の器官供給源または発達性の組織供給源を同定するために使用され得る。ポリヌクレオチドが、特定の組織型においてのみ発現され、そして転移性損傷がそのポリヌクレオチドを発現することが見出された場合、損傷の発達性供給源は、同定される。特定のポリヌクレオチドの発現は、対応するmRNAまたはタンパク質産物のいずれかの検出によってアッセイされ得る。任意の法医学者に即座に明らかなように、本明細書中に開示された配列は、非ヒト組織からヒト組織を区別する際に有用である。特に、これらの配列は、例えば、鳥類組織、爬虫類組織、および両生類組織からヒト組織を区別するのに有用である。
【0119】
(多型の使用)
本発明のポリヌクレオチドは、法的応用、遺伝的分析応用、マッピング応用、および診断的応用において有用であり得、ここで、遺伝子の対応する領域は、ヒト集団において多型である。タンパク質多型改変体の電気泳動、制限酵素切断に対する異なる感受性、および対立遺伝子特異的プローブへのハイブリダイゼーションが挙げられるが、これらに限定されない遺伝子における多型を検出するための任意の方法が、使用され得る。
【0120】
(抗体産出)
本発明はさらに、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド(例えば、配列番号1−1477に対応する配列によってコードされるポリペプチド、配列番号1478−1568のアミノ酸配列を含むポリペプチド)に特異的である抗体を提供し、それは単離された抗体であり得る。抗体は、抗体ならびに緩衝液および/または薬学的に受容可能な賦形剤を含む組成物において提供され得る。前立腺癌に関連するポリペプチドに対して特異的な抗体は、本明細書において、詳細に記載されるように、種々の診断的方法および治療的方法において有用である。
【0121】
本発明のポリヌクレオチドの発現産物および対応するmRNA、cDNA、または完全遺伝子が、調製され得、実験目的、診断的目的、および治療的目的で抗体を惹起するために使用され得る。対応する遺伝子が指示されていないポリヌクレオチドに対して、これにより、対応する遺伝子を同定するさらなる方法が提供される。ポリヌクレオチドまたは関連するcDNAは、上に記載されるように発現され、抗体が調製される。これらの抗体は、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド上のエピトープに特異的で、細胞もしくは組織調製物またはインビトロ発現系の無細胞抽出物において、対応するネイティブのタンパク質を沈殿させるかまたはそれに結合し得る。
【0122】
選択された抗原を特異的に結合する抗体を産出するための方法は、当該分野で公知である。抗体を惹起するための免疫原は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドをアジュバントと混合することによって、および/またはより大きな免疫原タンパク質との融合タンパク質を作製することによって調製され得る。ポリペプチドはまた、キーホールリンペットヘモシアニンのような、他のより大きな免疫原タンパク質と共有結合され得る。免疫原は、代表的には、ウサギ、ヒツジ、およびマウスのような実験動物に、経皮的に、皮下的に、または筋肉的に投与され、抗体を産生する。モノクローナル抗体は、脾臓細胞を単離し、ミエローマ細胞と融合してハイブリドーマを形成することによって、生成され得る。あるいは、選択されるポリヌクレオチドは、例えば筋肉内注射によって、直接投与され、インビボで発現される。発現されたタンパク質は、タンパク質の投与に匹敵する、抗体産生を含む種々のタンパク質特異的免疫応答を生じる。
【0123】
選択されたポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに対して特異的なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製は、当該分野で公知の標準的な方法を使用して作製され得る。この抗体は、配列表に開示されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに存在するエピトープに、特異的に結合する。代表的には、少なくとも6、8、10、または12の連続するアミノ酸が、エピトープを形成するために要求される。非連続的なアミノ酸を含むエピトープは、例えば、少なくとも15、25、または50アミノ酸の、より長いポリペプチドを要求し得る。提供されるポリペプチドによってコードされるヒトポリペプチドに特異的に結合する抗体は、ウェスタンブロットまたは他の免疫化学的アッセイにおいて使用される場合、他のタンパク質によって提供される検出シグナルより少なくとも5、10、または20倍高い検出シグナルを提供するはずである。好ましくは、本発明によって企図されるポリペプチドに特異的に結合する抗体は、検出可能なレベルでの免疫化学的アッセイにおける他のタンパク質に結合しないが、溶液から特異的なポリペプチドを免疫沈降し得る。
【0124】
本発明はまた、本発明のポリペプチドに対して特異的な、天然に存在する抗体を企図する。例えば、ヒト集団における、本発明のポリペプチドに対する血清抗体は、対応する選択されたポリペプチドまたは融合タンパク質が結合するカラムにわたって、抗血清を通過させることによるような、当該分野で公知の方法によって精製され得る。次いで、結合抗体は、例えば、高塩濃度を有する緩衝液を使用して、カラムから溶出され得る。
【0125】
上に記載される抗体に加えて、本発明はまた、当該分野で周知の方法に従って、遺伝子操作された抗体(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、トランスジェニック動物(例えば、XenomousTMのようなトランスジェニックマウス)によって産生されるヒト抗体、抗体誘導体(例えば、単鎖抗体、抗体フラグメント(例えば、Fabなど)))を企図する。
【0126】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに特異的に結合し得る他の分子を企図する。そのような分子の例としては、単鎖結合タンパク質(例えば、一価および多価単鎖抗原結合タンパク質(例えば、米国特許第4,704,692号;同第4,946,778号;同第4,946,778号;同第6,027,725号;同第6,121,424号を参照のこと))、オリゴヌクレオチドベースの合成抗体(例えば、オリゴ体(oligobody)(例えば、Radrizzaniら、Medicina(B Aires)(1999)59:753−8;Radrizzaniら、Medicina(B Aires)(2000)60(補遺2):55−60を参照のこと))、アプタマー(例えば、Geningら、Biotechniques(2001)3:828,830,832,834;CoxおよびEllington,Bioorg.Med.Chem.(2001)9:2525−31を参照のこと)などが挙げられるがそれらに限定されない。
【0127】
(診断のためのポリヌクレオチドまたはアレイ)
ポリヌクレオチドアレイは、サンプル中の多数のポリヌクレオチドをアッセイし得るハイスループット技術を提供する。この技術は、差示的な発現について試験するための(例えば、コードタンパク質の機能を決定するための)診断指標および手段として使用され得る。アレイを生成する種々の方法、およびこれらの方法の変更は、当該分野において公知であり、そして本発明における使用について企図される。例えば、アレイは、二次元マトリクスまたは結合プローブを有するアレイ中の基板(例えば、ガラス、ニトロセルロースなど)上にポリヌクレオチドプローブをスポットすることにより作製され得る。このプローブは、共有結合によるか、または非特異的な相互作用(例えば、疎水性相互作用)によるかのいずれかで基板に対して結合され得る。ポリヌクレオチドのサンプルは、検出可能に標識化(例えば、放射活性標識または蛍光標識を用いて)され得、次いでプローブにハイブリダイズされ得る。プローブポリヌクレオチドに結合した標識化したサンプルポリヌクレオチドを含有する、二本鎖のポリヌクレオチドは、このサンプルの未結合の部分が洗い流されるとすぐに検出され得る。代替的に、この試験サンプルのポリヌクレオチドは、アレイ上に固定化され得、そしてこのプローブは、検出可能に標識化される。アレイを構築するための技術およびこれらのアレイを使用する方法は、例えば、Schenaら、(1996)Proc Natl Acad Sci USA.93(20):10614−9;Schenaら、(1995)Science 270(5235):467−70;Shalonら、(1996)Genome Res.6(7):639−45、米国特許第5,807,522号、EP799 897;WO97/29212;WO97/27317;EP785 280;WO97/02357;米国特許第5,593,839号;米国特許第5,578,832号;EP728 520;米国特許第5,599,695号;EP721 016;米国特許第5,556,752号;WO95/22058;および米国特許第5,631,734号に記載される。
【0128】
アレイは、例えば、遺伝子の差示的な発現を試験するために使用され得、そして遺伝子機能を決定するために使用され得る。例えば、アレイは、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の差示的な発現を検出するために使用され得、ここで、発現は、試験細胞とコントロール細胞(例えば、癌細胞と正常細胞)との間で比較される。例えば、対応する正常細胞において観察されない、癌細胞における特定のメッセージ(message)の高い発現は、癌特異的な遺伝子産物を示し得る。アレイの例示的な使用は、さらに、例えば、Pappalaradoら、Sem.Radiation Oncol.(1998)8:217;およびRamsay Nature Biotechnol.(1998)16:40に記載される。さらに、アレイを使用する検出の方法に関する多数の変更は、当該分野において周知であり、そして本発明の範囲に包含される。例えば、固体支持体にプローブを固定化するのではなく、試験サンプルは、固体支持体上に固定化され得、次いでこれはプローブと接触される。
【0129】
(診断における差示的発現)
本発明のポリヌクレオチドはまた、(例えば、ヒトにおける異常または疾患の組織を同定するための方法のように)2つの細胞の間の発現レベルにおける差を検出するために使用され得る。タンパク質ファミリーのプロフィールに対応するポリヌクレオチドについて、組織の選択は、推定の生物学的機能に従って選択され得る。一般には、特定のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現は、疾患であると疑われる第一の組織と第二のヒトの正常組織との間で比較される。異常または疾患であると疑われる組織は、ヒトの異なる組織型から誘導され得るが、好ましくは、同一の組織型から誘導され;例えば、腸管ポリープまたは他の異常増殖は、正常な腸管組織と比較されるべきである。正常な組織は、試験サンプルの組織と同じ組織か、患者の任意の正常組織、特に、目的のポリヌクレオチド関連遺伝子を発現する組織(例えば、脳、胸腺、精巣、心臓、前立腺、胎盤、脾臓、小腸、骨格筋、膵臓、および結腸の粘膜管壁)であり得る。比較される2つの組織におけるポリヌクレオチド関連遺伝子、mRNA、またはタンパク質の間の、例えば、分子量、アミノ酸もしくはヌクレオチドの配列、または相対量における差は、疾患であると疑われるヒトの組織における、遺伝子、またはそれを調節する遺伝子の変化を示す。差示的な発現の検出および癌の診断におけるその使用の例は、米国特許第5,688,641号および同第5,677,125号に記載される。
【0130】
ヒトにおける疾患に対する遺伝的素因はまた、胎児組織における本発明のポリヌクレオチドに対応するmRNAまたはタンパク質の発現レベルを、正常な胎児組織に関するレベルと比較することにより検出され得る。この目的のために使用される胎児組織としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:羊水、絨毛膜絨毛、血液およびインビトロで受精された胚の割球。比較可能な正常ポリヌクレオチド関連遺伝子は、任意の組織から入手される。mRNAまたはタンパク質は、ポリヌクレオチド関連遺伝子が発現される、ヒトの正常組織から入手される。胎児ポリヌクレオチド関連遺伝子もしくはmRNAのヌクレオチド配列もしくは大きさにおける変更、または胎児タンパク質の分子量、アミノ酸配列、もしくは相対量における変更のような差は、胎児のポリヌクレオチド関連遺伝子における生殖系列の変異を示し得、これは、疾患に対する遺伝的素因を示す。一般的には、差示的発現に基づく、本発明の診断、予後、および他の方法は、疾患(例えば、乳癌、肺癌、結腸癌および/またはそれらの転移性形態)を有するか、またはそれらに対して感受性であると疑われる患者から入手した試験サンプル中の、遺伝子産物、(特に、差示的に発現した遺伝子産物)のレベルまたは量の検出に関し、そして正常な細胞(例えば、癌を実質的に患っていない細胞)および/または他のコントロール細胞(例えば、異形成を患う細胞由来の癌性細胞を分化させること)で見出されるそれらのレベルに対する検出されたレベルを比較することに関する。さらに、疾患の重症度は、差示的に発現した遺伝子産物の検出されたレベルを、疾患の重症度の変動した程度に関する差示的に発現した遺伝子産物のレベルを示すサンプル中で検出されたそれらのレベルと比較することによって評価され得る。本明細書における用語「診断の」の使用は、必ずしも「予後の」または「予後」を排除するための意味ではなく、むしろ便宜上の問題として使用される。
【0131】
用語「差示的に発現された遺伝子」とは、一般には、例えば、遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)をコードするオープンリーディングフレーム、ならびに/またはコード領域を越える約20kbまでだが、いずれかの方向にさらに可能な、発現の調節に関わる、このような遺伝子および隣接する5’および3’の非コードヌクレオチド配列のイントロンを含み得る、ポリヌクレオチドを包含することが意図される。遺伝子は、染色体外の維持のためか、または宿主ゲノム中への組込みのための適切なベクター中に導入され得る。一般には、少なくとも約25%、通常には少なくとも約50〜約75%、より通常には少なくとも90%以上の発現レベルの減少に関連する発現レベルにおける差は、差示的に発現された目的の遺伝子(すなわち、コントロールサンプルと比較して試験サンプル中で過少発現またはダウンレギュレーションされた遺伝子)を示す。さらに、少なくとも約25%、通常には少なくとも約50〜約75%、より通常には少なくとも約90%の発現の増加に関連し、そしてコントロールサンプルと比較して少なくとも約1.5倍、通常には少なくとも約2倍〜約10倍および約100倍〜約1,000倍増加され得る発現レベルにおける差は、差示的に発現された目的の遺伝子(すなわち、過剰発現またはアップレギュレーションされた遺伝子)を示す。
【0132】
本明細書中で使用される場合、「差示的に発現されたポリヌクレオチド」とは、核酸分子(RNAまたはDNA)を意味し、差示的に発現される遺伝子(例えば、配列(遺伝子産物をコードするオープンリーディング)を含有する差示的に発現されるポリヌクレオチド)を示す配列を含み、これは、サンプル中で差示的に発現されるポリヌクレオチドの検出がサンプル中に差示的に発現される遺伝子の存在と相関するように、差示的に発現される遺伝子を一義的に同定する。「差示的に発現されたポリヌクレオチド」はまた、本開示のポリヌクレオチド(例えば、生物学的活性を保持するフラグメント、および本開示のポリヌクレオチドに対して実質的に類似かまたは実質的に同一(例えば、約90%の配列同一性を有する)な核酸ホモログ)のフラグメントを含むことを意味する。
【0133】
診断または予後において有用な本発明の方法は、典型的には、目的のサンプル中に選択された差示的に発現した遺伝子産物の量を、コントロールの量と比較して、遺伝子産物の発現における任意の相対的な差を決定することを包含し、ここでこの差は、定性的および/または定量的に測定され得る。定量化は、例えば、サンプル中に検出される発現産物のレベルを、標準曲線に存在する産物の量と比較することによって達成され得る。比較は、コンピューター化された補助があるかなしかのデンシトメトリーのような技術の使用;試験サンプルから単離されたmRNAのcDNAクローンの代表的なライブラリーの作成、同じ遺伝子産物に対応するcDNAクローンの数を決定するためのライブラリー中のクローンの配列決定、およびコントロールサンプル中の同じ遺伝子産物のクローンの数に関連する、同じ遺伝子産物に対応するクローンの数の分析;または選択した配列もしくは配列のセットへのハイブリダイゼーションの相対的なレベルを検出するためのアレイの使用、およびこのハイブリダイゼーションパターンとコントロールのハイブリダイゼーションパターンとの比較、によって視覚的になされ得る。次いで、発現における差は、異常な発現パターンの存在か非存在かで関連付けられる。サンプル中の核酸量を決定するための種々の異なる方法は、当業者に公知である(例えば、WO97/27317を参照のこと)。
【0134】
一般的には、本発明の診断アッセイは、配列番号:1〜1477の配列に対応するポリヌクレオチド配列(例えば、mRNAまたはポリペプチド)の遺伝子産物の検出を含む。サンプルが入手される患者は、明らかに健康であり得、疾患に感受性であり得(例えば、家族暦または特定の環境因子への曝露によって決定されるような)、または既に、本発明の遺伝子産物の変更された発現が関係付けられる状態を有するとして同定され得る。
【0135】
診断は、配列番号:1〜1477に記載される配列を有するポリヌクレオチドの、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ以上、少なくとも3つ以上、または少なくとも4つ以上によってコードされる遺伝子産物の検出された遺伝子産物発現レベルに基づいて決定され得、そして全ての配列番号:1〜1477に対応する遺伝子、ならびに/またはさらなる診断マーカーおよび/もしくは参照配列として役立ち得るさらなる配列の発現の検出を含み得る。診断方法が、癌の存在または患者の癌に対する感受性を決定するために設計される場合、このアッセイは、好ましくは、癌において差示的に発現されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子によってコードされる遺伝子産物の検出を含む。このような差示的に発現したポリヌクレオチドの例は、以下の実施例において記載される。本明細書中に提供されるポリヌクレオチドおよび提供されるそれらの相対発現レベルに関する情報が与えられると、このようなポリヌクレオチドを使用するアッセイならびに診断および予後におけるそれらの発現レベルの検出は、当業者に容易に明らかである。
【0136】
任意の種々の検出可能な標識は、本発明の診断方法の種々の実施形態と関連して使用され得る。適切な検出可能な標識としては、以下が挙げられる:蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリスリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)またはN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA))、放射活性標識(例えば、32P、35S、3Hなど)など。検出可能な標識は、2段階システム(例えば、ビオチン−アビジン、ハプテン−抗ハプテン抗体など)を含み得る。
【0137】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに特異的な試薬(例えば、抗体およびヌクレオチドプローブ)は、生物学的サンプルにおける発現産物の存在を検出するためのキットに供給され得る。このキットはまた、緩衝液または標識成分、ならびに生物学的サンプルにおける発現産物を検出および定量化するための試薬を用いるための説明書を含み得る。本発明の診断方法の例示的な実施形態は、以下により詳細に記載される。
【0138】
(診断におけるポリペプチドの検出) 1つの実施形態において、試験サンプルは、差示的に発現されたポリペプチド(例えば、配列番号:1〜1477に対応する遺伝子のポリペプチドおよび/または配列番号:1478〜1568の配列を含有するポリペプチド)のレベルについてアッセイされる。診断は、試験サンプル中の差示的に発現されたポリペプチドの不在または存在または変更された量を決定するための多数の方法のいずれかを用いて達成され得る。例えば、検出は、標識化抗体での細胞または組織学的切片の染色に利用し得、慣用的な方法に従って実施される。細胞は、細胞質分子を染色するために透過され得る。一般的には、本発明の差示的に発現したポリペプチドに特異的に結合する抗体は、サンプルに添加され、そしてエピトープに結合させるために十分な期間(通常、少なくとも約10分間)インキュベートされる。この抗体は、直接的な検出(例えば、放射性同位体、酵素、蛍光剤、化学発光剤など)のために検出可能に標識化され得るか、または結合を検出するための第二期(second stage)抗体もしくは試薬(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合体化アビジンを有するビオチン、蛍光化合物(例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッドなど)に結合体化した二次抗体)とともに使用され得る。抗体結合がないかあるかは、解離細胞のフローサイトメトリー、顕微鏡法、ラジオグラフィー、シンチレーション計数法などを含む、種々の方法によって決定され得る。差示的に発現したポリペプチドのレベルまたは量の定性的または定量的な検出の任意の適切な代替的な方法としては、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、免疫沈降、ラジオイムノアッセイなどが使用され得る。
【0139】
(mRNAの検出) 本発明の診断方法はまた、または代替的に本発明の差示的に発現したポリヌクレオチドに対応する遺伝子によりコードされるmRNAの検出に関する。特定のmRNAを検出するために、当該分野において公知の任意の適切な定性的または定量的な方法が、使用され得る。mRNAは、例えば、組織切片におけるインサイチュハイブリダイゼーション、逆転写酵素−PCR、またはpolyA+mRNAを含むノザンブロットによって検出され得る。当業者は、2つのサンプル間でmRNA転写物の大きさまたは量における差を決定するためのこれらの方法を容易に使用し得る。サンプルにおけるmRNAの発現レベルはまた、サンプル由来の発現配列タグ(EST)のライブラリーの生成によって決定され得、ここでESTライブラリーは、このサンプル中に存在する配列を代表する(Adamsら、(1991)Science 252:1651)。ライブラリー中のESTの相対的表示の計数は、開始サンプル内の遺伝子転写物の相対的表示を近似するために使用され得る。次いで、試験サンプルのEST分析の結果は、選択されたポリヌクレオチド、特に、本明細書中に記載される1つ以上の差示的に発現される遺伝子に対応するポリヌクレオチドの相対発現レベルを決定するための参照サンプルのEST分析と比較され得る。代替的に、試験サンプル中の遺伝子発現は、遺伝子発現の連続分析(SAGE)方法論(例えば、Velculescuら、Science(1995)270:484)または差示的ディスプレイ(DD)方法論(例えば、米国特許第5,776,683号および米国特許第5,807,680号を参照のこと)を使用して実施され得る。
【0140】
あるいは、遺伝子発現は、ハイブリダイゼーション分析を用いて分析され得る。オリゴヌクレオチドまたはcDNAは、特異的な配列組成物のDNAまたはRNAを選択的に同定または捕捉するために使用され得、そして既知の捕捉配列にハイブリダイズしたRNAまたはcDNAの量は、定性的または定量的に決定されて、サンプル中の細胞性メッセージのプール内の特定のメッセージの相対的表示についての情報を提供し得る。ハイブリダイゼーション分析は、例えば、フィルター、顕微鏡スライド、もしくはマイクロチップを備える高密度形式を有するアレイベースの技術、または分光学的な分析(例えば、質量分析法)を使用する溶液ベースの技術の使用によって、数百から数千の遺伝子の相対発現の同時配列決定を可能にするように設計され得る。本発明の診断方法におけるアレイの1つの例示的な使用は、以下により詳細に記載される。
【0141】
(診断適用における単一遺伝子の使用) 本発明の診断方法は、単一の差示的に発現した遺伝子の発現に焦点を合わせ得る。例えば、この診断方法は、疾患に関連する、差示的に発現した遺伝子、またはこのような遺伝子の多型性(例えば、コード領域またはコントロール領域における多型)の検出を含み得る。疾患関連多型は、遺伝子の欠失または切断、発現レベルを変更する変異および/またはコードタンパク質の活性に影響する変異などを含み得る。
【0142】
特定の遺伝子(例えば、疾患関連多型)の存在について核酸を分析するための多数の方法が、利用可能である。大量のDNAが利用可能な場合、ゲノムDNAは、直接的に使用される。代替的に、目的の領域が、適切なベクター中にクローン化され、そして分析のために十分な量で増殖される。差示的に発現した遺伝子を発現する細胞は、mRNAの供給源として使用され得、これは、分析のために、直接的にアッセイされ得るか、またはcDNA中に逆転写され得る。核酸は、慣用的な技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))により増幅されて、分析について十分な量を提供し得、そして検出可能な標識は、増幅反応(例えば、検出可能に標的化されたプライマー、検出可能に標識化されたオリゴヌクレオチドを用いる)に含まれて、検出を容易にし得る。代替的に、種々の方法はまた当該分野において公知であり、これらは、多型を検出するための手段としてオリゴヌクレオチドの連結を利用する(例えば、Rileyら、Nucl.Acids Res(1990)18:2887;およびDelahuntyら、Am.J.Hum.Genet.(1996)58:1239を参照のこと)。
【0143】
増幅またはクローン化されたサンプル核酸は、当該分野に公知の多数の方法の1つによって分析され得る。核酸は、ジデオキシ法または他の方法によって配列決定され得、そして塩基の配列は、選択された配列(例えば、野生型配列)と比較される。多型または改変体配列とのハイブリダイゼーションはまた、サンプルにおけるその存在を決定するために(例えば、サザンブロット、ドットブロットなどによって)使用され得る。米国特許第5,445,934号またはWO95/35505に記載されるように、固体支持体上に固定化されたオリゴヌクレオチドプローブのアレイへの、多型または改変体配列およびコントロール配列のハイブリダイゼーションパターンはまた、疾患に関連する多型または改変体配列を同定する手段として使用され得る。ゲルマトリクスにおける一本鎖配座多型(SSCP)分析、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、およびヘテロ二重鎖分析は、電気泳動度における変更としてDNA配列の改変によって引き起こされる配座の変化を検出するために使用される。あるいは、多型が、制限エンドヌクレアーゼについての認識部位を生成または破壊する場合、このサンプルは、そのエンドヌクレアーゼで消化され、そしてその産物の大きさは、そのフラグメントが消化されたか否かを決定するために分画化される。分画化は、ゲル電気泳動またはキャピラリー電気泳動、特にアクリルアミドゲルまたはアガロースゲルによって実施される。
【0144】
(遺伝子における変異についてのスクリーニングは、そのタンパク質の機能的特性または抗原性特性に基づき得る) タンパク質切断アッセイは、タンパク質の生物学的活性に影響し得る欠失を検出するのに有用である。タンパク質における多型を検出するために設計された種々のイムノアッセイが、スクリーニングにおいて使用され得る。ここで、多種多様な遺伝的変異が、特定の疾患の表現型を導く場合、機能性タンパク質アッセイは、有効なスクリーニング手段であることが証明されている。コードされたタンパク質の活性は、野生型タンパク質との比較によって決定され得る。
【0145】
(治療(治療剤)の診断、予後、評価、および癌の処置)
本発明のポリヌクレオチドおよびそれらの遺伝子産物は、発癌経路に沿った初期変化の検出および/もしくは種々の治療的処置および予後的処置の有効性をモニターするための遺伝的マーカーまたは生化学的マーカー(例えば、血液または組織中)として特に興味深い。例えば、特定のポリヌクレオチドの発現のレベルは、より乏しい予後を示し得、従って患者に対する、より積極的な化学治療または放射線治療を保証し、逆のことも同様である。患者における処置および結果に応答する新たな代替的な腫瘍特異的な特徴の関係は、腫瘍の分子プロフィールに基づく変更された治療の設計を可能にする予後的指示薬を規定し得る。これらの治療は、抗体標的化、アンタゴニスト(例えば、低分子)および遺伝子治療を含む。特定のポリヌクレオチドの発現の決定、ならびに正常組織および疾患の改変体における公知の発現を用いる患者のプロフィールの比較は、処置の特異性の面および患者の快適度の面の両方で、患者に対して最良の可能な処置の決定を可能にする。代替的な腫瘍マーカー(例えば、ポリヌクレオチドの発現)はまた、よりよい分類をするために使用されて、従って癌の異なる形態および疾患状態を診断および処置し得る。本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現レベルの同定から利益が得られ、腫瘍学において広範に使用される2つの分類は、癌性障害の病期分類、および癌性組織の性質の類別である。
【0146】
差示的に発現した遺伝子、およびそれらがコードされた遺伝子産物に対応するポリヌクレオチドは、それらが全体の形態学的なレベルで検出可能となる前に、分子レベルで潜在的に悪性の事象を検出するために、癌を有するかまたは癌に感受性の患者をモニターするのに有用であり得る。さらに、本発明のポリヌクレオチド、およびこのようなポリヌクレオチドに対応する遺伝子は、例えば、ポリヌクレオチド、またはそれらのコードされた遺伝子産物を使用することによる治療の有効性を評価するため、例えば、治療前、治療中、および治療後の患者における腫瘍の荷重を評価するための、治療学(therametrics)として有用であり得る。
【0147】
さらに、癌の1つの型において、差示的に発現され、従って重要である遺伝子に対応するとして同定されたポリヌクレオチドはまた、例えば、ポリヌクレオチドが、種々の癌の型にわたって差示的に発現される遺伝子を示す場合、他の型の癌の発生または発生の危険性についての関連を有し得る。従って、例えば、転移性結腸癌についての臨床的関連を有する遺伝子に対応するポリヌクレオチドの発現はまた、胃癌または子宮内膜癌についての臨床的関連を有し得る。
【0148】
(病期分類) 病期分類は、癌性状態が患者においてどの程度進行したかを記載するような、医師により用いられるプロセスである。病期分類は、予後の決定、処置の計画、およびこのような処置の結果の評価の際に医師を助ける。病期分類システムは、癌の型で異なるが、一般には、以下の「TNM」システムを含む:Tにより示される腫瘍の型;Nにより示される、癌がリンパ節近傍に転移したかどうか;そしてMにより示される、癌が身体のより離れた部分に転移したかどうか。一般的には、癌が、任意のリンパ節にまで広がることなしに一次病巣の領域においてのみ検出可能である場合、それはステージ(stage)Iと呼ばれる。癌が、最も近いリンパ節にのみ広がった場合、それはステージIIと呼ばれる。ステージIIIにおいて、癌は、一般的には、一次病巣の部位に対して近い近傍におけるリンパ節にまで広がっている。身体の離れた部分(例えば、肝臓、骨、脳または他の部位)にまで広がった癌は、最も進行した段階のステージIVである。
【0149】
本発明のポリヌクレオチドは、癌の攻撃力(例えば、転移の可能性)、および身体の異なる領域においての存在についてのマーカーの同定による病期分類のプロセスの微調整を容易にし得る。従って、高い転移可能性の癌を示すポリヌクレオチドを有するステージIIの癌は、ステージIIの腫瘍からステージIIIの腫瘍へと境界を変更して、より積極的な治療を正当化するために使用され得る。逆に、低い転移可能性を示すポリヌクレオチドの存在は、より控えめな腫瘍の病期分類を可能にする。
【0150】
(癌の類別(grade)) 類別は、腫瘍が、その同じ型の正常組織にどの程度近い共通点があるかを説明するために使用される用語である。腫瘍の顕微鏡的な外見は、細胞形態学、細胞性組織化、および他の分化のマーカーのようなパラメーターに基づく腫瘍類別を同定するために使用される。一般的な基準として、腫瘍の類別は、その増殖速度または攻撃性に対応し、未分化または高い類別の腫瘍は、十分に分化したかまたは低い類別の腫瘍よりもより攻撃的である。以下の指針が、一般的に、腫瘍の類別のために使用される:1)GX(類別が評価され得ない);2)G1(十分に分化した);3)G2(中程度に十分に分化した);4)G3(不十分に分化した);5)G4(未分化)。本発明のポリヌクレオチドは、それらが、腫瘍細胞の分化状態の決定に役立ち得るだけでなく、腫瘍の攻撃性(例えば、転移可能性)の決定に価値のある分化以外の因子を同定し得るので、腫瘍の類別の決定において特に有益であり得る。
【0151】
前立腺癌について、グリーソンのグレード/スコアシステムは、最も一般的に使用される。前立腺生検組織サンプルは、顕微鏡下で試験され、そして類別は、1)細胞の外見、および2)細胞の配列に基づいて組織に割り当てられる。それぞれのパラメーターは、1(細胞がほとんど正常である)〜5(異常)までの尺度で評価され、そして個々のグリーソングレードは、「+」の符号によって分離して示される。あるいは、2つの類別は、組合わされて、2〜10のグリーソンスコアを与える。従って、それぞれのパラメーターについて3の類別を受けた組織サンプルについて、グリーソングレードは、3+3であり、グリーソンスコアは、6である。より低いグリーソンスコアは、十分に分化した腫瘍を示し、一方、より高いグリーソンスコアは、より広がりそうな不十分に分化した癌を示す。生検の大多数は、一般的には、グリーソンスコア5、6および7である。
【0152】
【化1】
Figure 2004526429
配列表のポリヌクレオチド、ならびにそれらの対応する遺伝子および遺伝子産物は、それらが、腫瘍細胞の分化状態の決定に役立ち得るだけでなく、腫瘍の攻撃性(例えば、転移可能性)の決定に価値のある分化以外の因子を同定し得るので、腫瘍の類別の決定において特に有益であり得る。
【0153】
(結腸癌の検出) 適切な発現パターンを示す遺伝子に対応するポリヌクレオチドは、被験体における結腸癌を検出するために使用され得る。結腸直腸癌は、ヒトにおいて最も一般的な新生物の1つであり、そしておそらく遺伝性新生物の最も頻繁な形態である。予防および早期発見は、結腸直腸癌を制御および治療する際に重要な因子である。結腸直腸癌は、ポリープとして始まり、ポリープは、小さく、結腸の内層上に形成する細胞の良性の増殖である。数年の期間にわたって、これらのポリープのいくつかは、さらなる変異を蓄積して、そして癌性になる。複数の家族性の結腸直腸癌障害が、同定され、これらは、以下のようにまとめられる:1)家族性腺腫様ポリープ(FAP);2)ガードナー症候群;3)遺伝性非ポリープ性結腸癌(HNPCC);および4)Ashkenaziユダヤ人(Jew)における家族性結腸直腸癌。本発明の適切なポリヌクレオチドの発現は、結腸直腸癌の診断、予後および処置において使用され得る。結腸癌の検出は、いずれかのこれらの配列単独の発現レベルまたは発現レベルの組合わせを用いて決定され得る。結腸癌の攻撃的な性質および/または転移可能性の決定は、本発明の1つ以上のポリヌクレオチドのレベルの比較、および癌性組織において変化することが知られる別の配列(例えば、p53、DCC ras、lor FAPの発現(例えば、Fearon ERら、Cell(1990)61(5):759;Hamilton SRら、Cancer(1993)72:957;Bodmer W.ら、Nat Genet.(1994)4(3):217;Fearon ER、Ann N Y Acad Sci.(1995)768:101を参照のこと))の全体のレベルの比較によって決定され得る。例えば、結腸癌の発生は、癌遺伝子(例えば、ras)または腫瘍抑制遺伝子(例えば、FAPまたはp53)のレベルに対する本発明のポリヌクレオチドのいずれかの割合を、試験することによって検出され得る。従って、特定のマーカーポリヌクレオチドの発現は、正常結腸組織と癌性結腸組織との間を区別するため、異なる細胞起源を有する結腸癌の間の区別のため、異なる潜在的転移速度を有する結腸癌の間を区別するためなどに使用され得る。癌のマーカーの総説については、例えば、Hanahanら、(2000)Cell 100:57−70を参照のこと。
【0154】
(前立腺癌の検出) 適切な差示的な発現パターンを示すポリヌクレオチドならびにそれらに対応する遺伝子および遺伝子産物は、被験体における前立腺癌を検出するために使用され得る。前立腺癌は、ヒトにおいて非常に一般的であり、生涯で全ての男性6人のうち1人が前立腺癌についての危険性を有し、そして比較的無害または非常に攻撃的であり得る。いくつかの前立腺腫瘍は、遅い増殖であり、ほとんど臨床症状を引き起こさないが、攻撃的な腫瘍は、リンパ節、他の器官および特に骨に急速に広がる。原発性前立腺癌の95%以上は、腺癌である。徴候および症状は、特に夜の頻尿;排尿困難;排尿の開始もしくは制御(hold back)の障害;弱いもしくは断続性の尿流量;および背下部、臀部もしくは大腿上部における頻繁な痛みまたは凝りを含み得る。
【0155】
前立腺は、3つ全てを取り囲む組織の層と共に、末梢(peripheral)帯、移行(transition)帯、および中心(central)帯3つの領域に分類される。大部分の前立腺腫瘍は、末梢帯(より大きく、器官の腺性部分)において形成する。前立腺癌はまた、中心帯の組織において形成し得る。前立腺の周囲は、前立腺被膜(capsule)(残りの身体から前立腺を分離する組織)である。前立腺癌が前立腺被膜の内側にとどまる場合、前立腺癌は、局在化し、そして手術で処置可能であると考えられる。一旦、癌が被膜を穿刺し、そして外側に広がると、処置の選択肢は、より限定される。予防および早期発見は、前立腺癌を制御および治療する重要な因子である。
【0156】
前立腺癌のグリーソンのグレードまたはスコアは、前立腺癌の適切な処置を決定するのに有用な情報を提供し得るが、前立腺癌の大部分は、予想不可能な挙動を示すグリーソンスコア5、6、および7である。これらの癌は、低い危険性の低い類別の癌のようにか、または非常に危険な高い類別の癌のように挙動し得る。結果として、中程度の類別の前立腺癌と共に生存する患者は、高い類別の癌が発生する一定の危険にある。
【0157】
適切なポリヌクレオチドの発現は、前立腺癌の診断、予後および処置において使用され得る。前立腺癌の検出は、いずれかのこれらの配列単独の発現レベルまたは任意の他のヌクレオチド配列の発現レベルの組合わせを用いて決定され得る。前立腺癌の攻撃的な性質および/または前立腺癌の転移可能性の決定は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の1つ以上の遺伝子産物のレベルの比較、および癌性組織において変化することが知られる別の配列(例えば、p53、DCC、ras、FAPの発現(例えば、Fearon ERら、Cell(1990)61(5):759;Hamilton SRら、Cancer(1993)72:957;Bodmer W.ら、Nat Genet.(1994)4(3):217;Fearon ER、Ann N Y Acad Sci.(1995)768:101を参照のこと))の全体のレベルの比較によって決定され得る。
【0158】
例えば、前立腺癌の発生は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現のレベルを、癌遺伝子(例えば、ras)または腫瘍抑制遺伝子(例えば、FAPまたはp53)のレベルに対して試験することによって検出され得る。従って、特定のマーカーポリヌクレオチドの発現は、正常前立腺組織と癌性前立腺組織との間を区別するため、異なる細胞起源を有する前立腺癌の間の区別のため、異なる潜在的転移速度を有する前立腺癌の間を区別するためなどに使用され得る。癌のマーカーの総説については、例えば、Hanahanら、(2000)Cell 100:57−70を参照のこと。
【0159】
さらに、前立腺癌の多数の徴候および症状は、種々の他の非癌性状態により引き起こされ得る。例えば、これらの徴候および症状の多くについて1つの共通の原因は、良性前立腺肥大症、すなわちBPHと呼ばれる状態である。BPHにおいて、前立腺は、より大きくなり、そして尿の流れを阻害するかまたは性的機能を妨害し得る。本発明の方法および組成物は、前立腺癌とこのような非癌性状態との間を区別するために使用され得る。本発明の方法は、診断の慣用的な方法(例えば、デジタル直腸診および/または前立腺特異的抗原(PSA)(前立腺により生成および分泌される物質)のレベルの検出)と組合わせて使用され得る。
【0160】
(乳癌の検出) 乳癌の大多数は、腺癌サブタイプであり、これは、以下のようにまとめられ得る:1)コメド癌を含むインサイチュでの腺管癌(DCIS);2)潤滑性(または浸潤性)腺管癌(IDC);3)上皮内小葉癌(LCIS);4)潤滑性(または浸潤性)小葉癌(ILC);5)炎症性乳癌;6)髄様癌;7)粘液性癌腫;8)乳頭のパジェット病;9)葉状腫瘍;および10)管状腺癌。
【0161】
本発明のポリヌクレオチドの発現は、乳癌の診断および処置、ならびに乳癌の型の間を区別するために使用され得る。乳癌の検出は、単独または組合わせのいずれかで、本発明のいずれかの適切なポリヌクレオチドの発現レベルを用いて決定され得る。乳癌の攻撃的性質および/または転移可能性の決定はまた、本発明の1つ以上のポリヌクレオチドのレベルの比較および癌性組織において変化することが知られる別の配列のレベルの比較(例えば、ER発現)によって決定され得る。さらに、乳癌の発生は、ステロイドホルモン(例えば、テストステロンまたはエストロゲン)または他のホルモン(例えば、増殖ホルモン、インスリン)のレベルに対する、差示的に発現したポリヌクレオチドの発現の割合を試験することにより検出され得る。従って、特定のマーカーポリヌクレオチドの発現は、正常胸部組織と癌性胸部組織との間を区別するため、異なる細胞起源を有する乳癌の間を区別するため、異なる潜在的転移速度を有する乳癌の間を区別するためなどに使用され得る。
【0162】
(肺癌の検出) 本発明のポリヌクレオチドは、被験体における肺癌を検出するために使用され得る。12種類よりも多い異なる肺癌が存在するが、肺癌の2つの主要な型は、全ての肺癌の症例の約90%を包含する、小細胞および非小細胞である。小細胞癌(燕麦細胞癌とも呼ばれる)は、通常、より大きな気管支の1つにおいて発生し、かなり急激に増殖し、そして診断の時期により大きくなり得る。非小細胞肺癌(NSCLC)は、肺癌の一般的な3つのサブタイプから構成されている。類表皮癌(扁平上皮癌とも呼ばれる)は、通常、より大きな気管支の1つにおいて発生し、そして比較的ゆっくりと増殖する。これらの腫瘍の大きさは、非常に小さなものからかなり大きいものまでの範囲であり得る。腺癌は、肺の外側表面近傍で増殖し、そして大きさおよび増殖速度の両方において変動し得る。いくつかのゆっくりと増殖する腺癌は、肺胞細胞癌として記載される。大細胞癌は、肺の表面近傍で発生し、急速に増殖し、そしてこの増殖は、通常、診断した場合にかなり大きい。他の一般的でない肺癌の形態は、カルチノイド、円柱腫、粘膜表皮、および悪性中皮腫である。
【0163】
本発明のポリヌクレオチド(例えば、癌性肺細胞(例えば、高いまたは低い転移可能性の腫瘍細胞)に対して正常細胞において差示的に発現したポリヌクレオチド、または癌性肺細胞の型(例えば、低い転移性に対する高い転移性)の間で差示的に発現したポリヌクレオチド)は、肺癌の型の区別、ならびに特定の患者の癌に特異的な特徴の同定および適切な治療の選択のために使用され得る。例えば、患者の生検が、低い転移可能性に関連するポリヌクレオチドを発現する場合、このことは、手術で患者の肺のより大きな部分を残して病巣を除去することを正当化し得る。あるいは、高い転移可能性に関連するポリヌクレオチドの発現を有するより小さな病巣は、たとえ転移が病理学的試験を介して同定され得なくても、肺組織および/または周囲のリンパ節のより根治的な除去を正当化し得る。
【0164】
(治療的標的および抗癌治療剤の同定)
本発明はまた、癌(特に、前立腺癌)の処置のための治療的標的として、差示的に発現した遺伝子産物の活性を調節する能力を有する薬剤の同定についての方法、および差示的に発現した遺伝子産物を同定するための方法を包含する。
【0165】
(候補薬剤)
差示的に発現した遺伝子産物の活性を調節する化合物の同定は、任意の種々の薬物スクリーニング技術を使用して達成され得る。このような薬剤は、癌治療の開発についての候補である。特に興味深いのは、正常な非癌性ヒト細胞に対して許容される毒性を有する薬剤についてのスクリーニングアッセイである。本発明のスクリーニングアッセイは、一般的には、差示的に発現した遺伝子産物の活性を調節するか、および/または癌に関連する現象(例えば、細胞増殖、コロニー形成、細胞周期停止、転移など)を阻害もしくは抑制する薬剤の能力に基づく。
【0166】
本明細書中に使用される場合、用語「薬剤」とは、任意の分子(例えば、差示的に発現した遺伝子の遺伝子産物の生物学的活性を調節し得る、タンパク質または医薬品)を記載する。一般的に、複数のアッセイ混合物は、種々の濃度に対して差示的な応答を得るために異なる薬剤濃度で並行して実行される。典型的に、これらの濃度の1つは、ネガティブコントロール、すなわち、ゼロ濃度または検出レベル以下として役立つ。
【0167】
候補薬剤は、典型的に、それらが、有機分子、好ましくは、50ダルトンより大きくそして約2,500ダルトンよりも小さい分子量を有する小さな有機化合物であるが、多数の化学的分類を包含する。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に、水素結合のために必要な官能基を含有し、そして典型的には、少なくとも、アミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基、好ましくは、少なくとも2つの機能的化学基を含む。候補薬剤は、しばしば、1つ以上の上記官能基で置換された環状の炭素構造もしくは複素環式構造および/または芳香族構造もしくは多芳香族(polyaromatic)構造を含む。候補薬剤はまた、生体分子の中で見出され、これらは、ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的アナログまたはそれらの組合わせを含むがこれらに限定されない。
【0168】
候補薬剤は、合成化合物または天然化合物のライブラリーを含む多種多様な供給源から入手される。例えば、多数の手段は、ランダム化されたオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む、多種多様な有機化合物および生体分子のランダムおよび直接的な合成に利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物および動物の抽出物(差示的に発現した遺伝子産物に影響する内因性因子を同定するためのヒト組織由来の抽出物を含む)の形態における天然化合物のライブラリーは、入手可能かまたは容易に生成される。さらに、天然または合成的に生成したライブラリーおよび化合物は、慣用的な化学的手段、物理的手段および生化学的手段を介して容易に修飾され、そしてコンビナトリアルライブラリーを生成するために使用され得る。既知の薬理学的な薬剤は、直接的またはランダムな化学修飾(例えば、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidificationなど))に供され、構造的アナログを生成し得る。
【0169】
特定の目的の例示的な候補薬剤としては、アンチセンスポリヌクレオチド、および抗体、可溶性レセプターなどが挙げられるが、これらに限定されない。抗体および可溶性レセプターは、標的の差示的に発現した遺伝子産物が、細胞表面に分泌または到達可能である場合(例えば、細胞膜外側に安定に結合したレセプターおよび他の分子)、候補薬剤として特に興味深い。
【0170】
(候補薬剤のスクリーニング)
スクリーニングアッセイは、当業者に容易に利用可能でかつ公知な任意の種々の技術に基づき得る。一般的に、スクリーニングアッセイは、癌性細胞(好ましくは、癌性前立腺細胞)を、候補薬剤と接触させて、そして差示的に発現した遺伝子産物の生物学的活性に対する効果を評価することを含む。生物学的活性に対する効果は、例えば、差示的に発現した遺伝子の遺伝子産物の発現の検出により決定され得る(例えば、mRNAまたはポリペプチドのレベルにおける減少は、言い換えると、その遺伝子産物の生物学的活性における減少を引き起こす)。あるいはまたはさらに、候補薬剤の効果は、機能的アッセイにおける候補薬剤の効果を試験することによって評価され得る。例えば、差示的に発現した遺伝子産物が酵素である場合、生物学的活性に対する効果は、差示的に発現した遺伝子産物に関連する酵素活性のレベルを検出することによって評価され得る。この機能的アッセイは、差示的に発現した遺伝子産物に従って選択される。一般的には、差示的に発現した遺伝子が、癌性細胞における発現を増加させる場合、目的の薬剤は、差示的に発現した遺伝子産物の活性を減少させる薬剤である。
【0171】
以下に記載されるアッセイは、本発明のスクリーニングアッセイの実施形態において容易に適応され得る。候補薬剤のスクリーニングにおいて有用な例示的なアッセイとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ハイブリダイゼーションベースのアッセイ(例えば、発現レベルを評価するための核酸プローブまたはプライマーの使用)、抗体ベースのアッセイ(例えば、ポリペプチド遺伝子産物のレベルを評価すること)、結合アッセイ(例えば、候補薬剤と差示的に発現したポリペプチドとの相互作用を検出し、このアッセイは、ポリペプチドに対して天然または合成的なリガンドが利用可能である場合、競合アッセイであり得る)など。さらなる例示的なアッセイとしては、以下が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない:細胞増殖アッセイ、アンチセンスノックアウトアッセイ、細胞周期の阻害を検出するためのアッセイ、細胞死/アポトーシスの誘導のアッセイなど。一般的にこのようなアッセイは、インビトロで実施されるが、多くのアッセイは、インビボでの分析(例えば、癌の動物モデルにおいて)について適応され得る。
【0172】
(治療的標的の同定)
別の実施形態において、本発明は、治療的標的として、差示的に発現した遺伝子および遺伝子産物の同定を企図する。いくつかの点において、これは、差示的に発現した遺伝子産物の活性を調節する(例えば、減少または増加させる)活性を有する薬剤の同定についての上記に記載されるアッセイの逆である。
【0173】
この実施形態において、治療的標的は、癌性表現型を調節することが示され得るか、または示されている(例えば、癌性表現型の発生を阻害または抑制または予防する)薬剤の効果を試験することによって同定される。このような薬剤は、一般的に、本明細書中において「抗癌剤」として言及され、この薬剤は、化学療法剤を包含する。例えば、この薬剤は、選択された遺伝子転写物に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書中に記載される差示的に発現される遺伝子の配列(例えば、配列番号:1〜2164の1つの配列)に対応する配列を有し得る。
【0174】
治療的標的の同定のためのアッセイは、当業者に周知である方法を使用する種々の方法で実施され得る。例えば、差示的に発現した遺伝子を発現または過剰発現する試験癌性細胞は、抗癌剤と接触され、癌性表現型および候補遺伝子産物の生物学的活性に対する効果を評価される。候補遺伝子産物の生物学的活性は、例えば、候補遺伝子産物をコードする遺伝子の発現の調節(例えば、転写レベルもしくはポリペプチドレベルの増加または減少によって検出されるような)、または遺伝子産物の酵素的活性もしくは他の活性の調節を試験してアッセイされ得る。癌性表現型は、例えば、細胞性増殖、増殖の接触阻害の損失(例えば、コロニー形成)、腫瘍増殖(インビトロまたはインビボ)などであり得る。あるいはまたはさらに、細胞死/アポトーシスまたは細胞周期調節に対する候補標的遺伝子の生物学的活性の調節の効果が、評価され得る。
【0175】
候補遺伝子産物の生物学的活性の調節の結果として、癌性表現型の阻害もしくは抑制、または細胞死/アポトーシスにおける増加は、その候補遺伝子産物が、癌治療について適切な標的であることを示す。以下に記載されるアッセイは、治療的標的の同定のためのアッセイにおいて容易に適応され得る。一般的には、このようなアッセイは、インビトロで実施されるが、多数のアッセイが、インビトロでの分析(例えば、適切な癌の分野で受容可能な動物モデルにおいて)に適応され得る。
【0176】
(ペプチドアナログおよびアンタゴニストについてのスクリーニングのためのポリヌクレオチドの使用)
インスタント(instant)ポリヌクレオチドおよび対応する全長遺伝子によってコードされるポリペプチドは、結合パートナー(例えば、コードされるペプチドの中からのレセプター)を同定するためにペプチドライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。ペプチドライブラリーは、当該分野に公知の方法に従って合成され得る(例えば、米国特許第5,010,175号、およびWO91/17823を参照のこと)。
【0177】
本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストは、当該分野において利用可能な任意の方法(例えば、シグナル伝達、抗体結合、レセプター結合、マイトジェニックアッセイ、化学走性アッセイなど)を使用してスクリーニングされ得る。アッセイ条件は、理想的には、ネイティブな活性がインビボで示す条件、すなわち、生理学的なpH、温度、およびイオン強度の条件に類似しているべきである。適切なアゴニストまたはアンタゴニストは、被験体において毒性の副作用を引き起こさない濃度でネイティブな活性の強い阻害または増強を示す。ネイティブなポリペプチドへの結合について競合するアゴニストまたはアンタゴニストは、ネイティブな濃度と等しいかまたはそれよりも高い濃度を必要とし得るが、ポリペプチドに対して不可逆的に結合し得るインヒビターは、ネイティブな濃度のオーダーの濃度で添加され得る。
【0178】
このようなスクリーニングおよび実験は、新規のポリペプチドの結合パートナー(例えば、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子またはcDNAによってコードされるレセプター)、およびこの新規の結合パートナーの少なくとも1つのペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストの同定をもたらし得る。このようなアゴニストおよびアンタゴニストは、レセプターがネイティブである細胞においてか、または遺伝子工学の結果としてこのレセプターを保有する細胞において、レセプター機能を調節、増強、または阻害するために使用され得る。さらに、この新規のレセプターが、既知のレセプターと生物学的に重要な特徴を共有する場合、アゴニスト/アンタゴニストの結合についての情報は、既知のレセプターの改善されたアゴニスト/アンタゴニストの開発を容易にし得る。
【0179】
(ワクチンおよび使用)
差示的に発現された核酸および本発明の核酸によって生成されたポリペプチドはまた、癌を予防するかまたは処置するために、1次免疫応答を調節することに使用され得る。あらゆる免疫応答は、様々な細胞型に関する、入り組んだ、複雑に調節された一連の事象である。この免疫応答は、抗原が体に入りそして細胞の特定のクラス(抗原提示細胞(APC)と呼ばれる)に遭遇したときに引き起こされる。これらのAPCは、微量の抗原を獲得し、そして抗原特異的ヘルパーTリンパ球によって認識され得る形態において抗原を表示する。ヘルパー(Th)細胞は活性化され、結果として、他のクラスのリンパ球(例えば、B細胞または細胞傷害性T細胞)の活性化を促進する。次いで、活性化リンパ球は増殖し、そして、それらの特定のエフェクター機能(多くの場合、抗原を効果的に活性化するかまたは除去する)を行なう。従って、癌細胞に関連する特定の抗原への免疫応答を活性化することは、癌の発達から患者を保護し得るか、または、その抗原を発現する癌細胞を排除するリンパ球を生じ得る。
【0180】
遺伝子産物(ポリペプチド、mRNAを(特に明瞭な二次構造および/または三次構造を有するmRNA)、cDNAまたは完璧な遺伝子を含む)は、調製され得、そして、高増殖障害および癌の処置または予防のためのワクチン中で使用され得る。核酸およびポリペプチドは、免疫応答を高めるため、腫瘍進行を防ぐため、高増殖細胞の増殖を防ぐためなどに利用され得る。免疫応答を高め得る核酸およびポリペプチドを選択する方法は、当該分野で公知である。好ましくは、ワクチンでの使用のための遺伝子産物は、細胞の表面上に存在し、そしてリンパ球および抗体により認識可能な遺伝子産物である。
【0181】
遺伝子産物は、当該分野で公知である方法によって、薬学的に受容可能なキャリアを用いて薬学的組成物へ処方され得る。この組成物は、癌を予防するかまたは処置するためのワクチンとして有用である。この組成物はさらに、少なくとも1種の共免疫活性化(co−immunostimulatory)分子(1つ以上の主要組織適合複合体(MHC)分子(例えば、クラスIまたはクラスII分子、好ましくは、クラスI分子)が挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。この組成物はさらに、以下を含む他の刺激因子分子を含み得る:B7.1、B7.2、ICAM−1、ICAM−2、LFA−1、LFA−3,CD72など、免疫刺激ポリヌクレオチド(5’−CG−3’を含み、ここで、システインはメチル化されていない)、および、免疫増強のためのIL−1〜IL−15,TNF−α、IFN−γ、RANTES、G−CSF、M−CSF、IFN−α、CTAP III、ENA−78、GRO、I−309、PF−4、IP−10、LD−78、MGSA,MIP−Iα、MIP−1β、またはこれらの組合せなどが挙げられるがこれらに限定されないサイトカイン。1つの実施形態において、特に興味深い免疫増強物質は、Th1免疫応答を促進する免疫増強物質である。
【0182】
遺伝子産物はまた、体からの迅速な排泄に対して遺伝子産物を保護するキャリア(例えば、制御放出処方物(移植物およびマイクロカプセル化された送達システムを含む))を用いて調製され得る。生物分解性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグルコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、など)は、使用され得る。このような処方物の調製方法は、当該分野で公知である。
【0183】
癌を予防するかまたは処置する方法において、遺伝子産物は以下が挙げられるがこれらに限定されない種々の経路の1つを介して投与されられ得る:経皮的、経粘膜、静脈内、筋内、皮下、皮内、腹腔内、鞘内、胸腔内、子宮内、直腸、膣、局所的、腫瘍内など。経粘膜または経皮的な投与のために、浸透されるバリアに適切な浸透剤が処方物中で使用される。このような浸透剤は、一般に当該分野で公知であり、そして、例えば投与胆汁酸塩およびフンジン酸誘導体を含む。さらに、界面活性剤が浸透を容易するために使用され得る。経粘膜投与は、スプレー式点鼻薬または坐剤によるものであり得る。経口投与のために、遺伝子産物は従来の経口投与形態(例えば、カプセル、錠剤および有害物質)へ処方される。
【0184】
遺伝子産物は、癌を予防するかまたは処置するための有効量で患者に投与される。一般に、レシピエントのkg体重あたり少なくとも約1pg、好ましくはkg体重あたり少なくとも約1ng、より好ましくは体重1kgあたり少なくとも約1μg以上の遺伝子産物の用量を患者に投与することが望ましい。より少ない用量またはより多い用量が投与され得るが、Kg体重あたり約1ng〜Kg体重あたり約100mgの範囲が好ましい。用量は、抗原特異的Tリンパ球、好ましくは細胞傷害性Tリンパ球のクローン増殖をプライムするため、刺激するため、そして/または引き起こすため(結果として、レシピエントの癌を予防するかまたは処置し得る)に有効である。用量は少なくとも一度投与され、そして、ボーラス投与または連続的投与として提供され得る。数週間〜数ヶ月の期間にわたる用量の複数投与が好まれ得る。引き続く用量は、示されるように投与されられ得る。
【0185】
処置の別の方法において、自己移植した細胞傷害性リンパ球または腫瘍が侵入するリンパ球は、癌を有する患者から取得さられ得る。リンパ球は培養で増殖して、そして、抗原特異的リンパ球は、特定の遺伝子産物単独の存在、またはサイトカインを有する少なくとも1種の協免疫活性化分子との組合せの存在下で培養することによって、増大される。次いで、抗原特異的リンパ球は、患者中の腫瘍を減少するかまたは排除するための有効量で患者に注入されて戻される。癌ワクチンおよびそれらの使用はさらに、米国特許第5,961,978号;同第5,993,829号;同第6,132,980号;およびWO 00/38706中に記載される。
【0186】
(薬学的組成物および使用)
薬学的組成物は、治療有効量のポリペプチド、本発明で特許請求された差示的に発現される遺伝子によって生成されるポリペプチドに特異的に結合するレセプター(例えば、抗体またはポリヌクレオチド(アンチセンスヌクレオチドおよびリボザイムを含む)を含み得る。この組成物は原発腫瘍ならびに原発腫瘍の転移を処置するために使用され得る。さらに、薬学的組成物は癌処置の従来の方法(例えば、放射線療法または従来の化学療法に対して腫瘍を敏感にすること)と合わせて使用され得る。
【0187】
薬学的組成物が、差示的に発現される遺伝子によってコードされた遺伝子産物に特異的に結合するレセプター(例えば、抗体)を含む場合、このレセプターは処置部位への送達のための薬物に結合される得か、または結腸癌細胞を含む部位の画像化を容易にするための検出可能なラベルに結合され得る。薬物および検出可能なラベルに抗体を結合する方法は、検出可能なラベルを使用する画像化の方法と同様に、当該分野で周知である。
【0188】
本明細書中で使用する場合、用語「治療有効量」は、所望の疾患または状態を処置するか、改善するか、もしくは予防するため、または検出可能な治療効果もしくは予防効果を示すための治療因子の量をいう。この効果は、例えば化学的マーカーまたは抗原レベルによって検出され得る。治療効果としてはまた、物理的な症状(例えば、体温の低下)における減少を含む。
【0189】
被検体のための正確な有効量は、被検体の大きさおよび健康、状態の性質および状態の重篤度、ならびに投与のために選択された治療薬または治療薬の組合せに依存する。従って、前もって正確な有効量を特定することは有用でない。しかし、所定の状況のための有効量は、慣用的な実験によって決定されて、臨床医の判断の範囲内にある。本発明の目的のために、有効用量は、一般に、投与される個体中のDNA構成物の約0.01mg/kg〜50mg/kgまたは0.05mg/kg〜約10mg/kgである。
【0190】
薬学的組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、治療因子(例えば、抗体またはポリペプチド、遺伝子、および他の治療因子)の投与のためのキャリアをいう。この用語は、その組成物を受ける個人に有害な抗体の生成をそれ自体が誘発しない任意の薬学的キャリアをいい、過度の毒性なしで投与され得る。適当なキャリアは、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体のアミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活発なウイルス粒子のような大きくて、ゆっくり代謝される高分子であり得る。このようなキャリアは、当業者に周知である。治療組成物中の薬学的に受容可能なキャリアはとしては、水、生理食塩液、グリセロール、およびエタノールのような液体が挙げられ得る。補助物質(湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質など)はまた、このようなビヒクル中に存在し得る。
【0191】
典型的に、治療組成物は、液体の溶液か懸濁液のいずれかとしての注入可能物質として調製される;注入前の液体ビヒクル中の溶液または懸濁液に適した固体形態としてもまた、調製され得る。リポソームは、薬学的に受容可能なキャリアの定義の範囲内に含まれる。薬学的に受容可能な塩はまた、薬学的組成物中に存在し得る(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などのような鉱酸塩;および、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸塩)。薬学的に受容可能な賦形剤についての完璧な論議が、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.,N.J.1991)中で利用可能である。
【0192】
(送達方法)
いったん処方されると、本発明の組成物は、(1)被検体に直接投与され得る(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとして);または(2)被検体由来の細胞に、エキソビボで送達され得る(例えば、エキソビボ遺伝子治療におけるように)。組成物の直接送達は、一般に、例えば以下の非経口注入によって達成される:(例えば、皮下、腹膜内、静脈内もしくは筋内、腫瘍内、または組織の間質スペースに)。投与の他の方式としては、経口投与および肺投与、坐剤、および経皮適用、針、ならびに遺伝子銃または皮下噴射が挙げられる。投薬処置は、単一の用量スケジュールまたは複数の用量スケジュールであり得る。
【0193】
エキソビボ送達の方法、および被検体への形質転換細胞の再移植の方法が、当該分野に公知であり、そして、例えば、WO 93/14778中に記載される。エキソビボ適用に役立つ細胞の例としては、例えば、幹細胞(特に造血細胞)、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞、または腫瘍細胞が挙げられる。一般に、エキソビボおよびインビボでの両方の適用のための核酸の送達は、例えば以下によって達成され得る:デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソームへのポリヌクレオチド(単数または複数)のカプセル化、および核へのDNAの直接極微注射(全て当該分野で周知である)。
【0194】
いったん、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の差示的な発現が、増殖障害(例えば、新生組織形成、異形成および過形成)と関連することが見出されると、この障害は、提供されたポリヌクレオチド、対応するポリペプチド、または他の対応する分子(例えば、アンチセンス、リボザイムなど)に基づく治療因子の投与による処置の影響を受けやすくなり得る。他の実施形態において、この障害は、例えば、正常細胞に対して癌細胞で発現が増大する遺伝子にコードされた遺伝子産物の機能のインヒビター(アンタゴニスト)として、または癌細胞において発現が減少する遺伝子産物のアゴニストとして(例えば、腫瘍抑制因子として作用する遺伝子産物の活性を促進するように)役立つ、低分子薬物の投与による処置の影響を受けやすくなり得る。
【0195】
本発明の薬学的組成物の用量および投与法は、治療組成物の特定の性質、患者の状態、年齢、および体重、疾患の進行、ならびに他の関連した因子に基づいて決定される。例えば、本発明のポリヌクレオチド治療組成物因子の投与としては、以下が挙げられる:局部投与もしくは全身投与(注射、経口投与、粒子銃を含む)、またはカテーテルを挿入された投与、および局所投与。好ましくは、治療ポリヌクレオチド組成物は、本発明のポリヌクレオチドの少なくとも12、22、25、30または35の隣接しているヌクレオチドのポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含有する発現構成物を含む。様々な方法が、治療組成物を直接的に体の特定の部位に投与するために使用され得る。例えば、小さい転移性病巣の位置が確認され、そして治療組成物は、腫瘍の本体内の数箇所の異なる位置に、数回注入される。あるいは、腫瘍に供給する動脈が確認されて、そして腫瘍に組成物を直接送達するために、治療組成物はこのような動脈に注入される。壊死的な中核を有する腫瘍が吸引され、この組成物は、今や空の腫瘍の中核に直接注入される。アンチセンス組成物は、例えば、組成物の局所適用によって腫瘍の表面に直接投与される。X線画像化が特定の上記の送達方法を介助するために使用される。
【0196】
特定の組織への治療組成物(アンチセンスポリヌクレオチド、サブゲノムポリヌクレオチド、または抗体を含む)の標的化送達もまた、使用され得る。レセプター媒介DNA送達技術は、例えば以下に記載される:Findeisら、Trends Biotechnol.(1993)11:202、Chiouら、Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff編)(1994);Wuら、J.Biol.Chem.(1988)263:621;Wuら、J.Biol.Chem.(1994)269:542;Zenkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1990)87:3655;Wuら、J.Biol.Chem.(1991)266:338。ポリヌクレオチドを含む治療組成物は、遺伝子治療プロトコルにおける局所投与のために、約100ng〜約200mgのDNAの範囲で投与される。約500ng〜約50mg、約1μg〜2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgの濃度範囲のDNAもまた、遺伝子治療プロコルの間で使用され得る。作用方法(例えば、コードされた遺伝子産物のレベルを高めるかまたは抑えることのため)、ならびに形質転換および発現の効能のような因子は、アンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドの最終的な効能に必要とされる投薬量に影響する考慮すべき事である。
【0197】
より高い発現が組織のより大きな領域で所望される場合、例えば、腫瘍部位に隣接するかまたは近位のことなる組織部分に、連続する投与プロトコルまたは数回の投与において投与されるより多量のアンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドまたは同量のアンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドは、ポジティブな治療結果を成し遂げるために必要とされ得る。全ての場合において、臨床試験の慣用的な実験は、最適な治療効果のための特定の範囲を決定する。抗炎症活性を有するポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子に関するポリヌクレオチドについて、適切な使用、用量、および投与が、米国特許第5,654,173号に記載される。
【0198】
本発明の治療ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達され得る。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルス起源または非ウイルス起源であり得る(一般に、Jolly,Cancer Gene Therapy(1994)1:51;Kimura,Human Gene Therapy(1994)5:845;Connelly,Human Gene Therapy(1995)1:185;およびKaplitt,Nature Genetics(1994)6:148を参照のこと)。このようなコード配列の発現は、内因性哺乳動物または異種のプロモーターを使用して誘導され得る。このコード配列の発現は、構成的であるかまたは調節されるかのいずれかであり得る。
【0199】
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞における発現のためのウイルスに基づくベクターは、当該分野で周知である。例示的なウイルスに基づくビヒクルとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない:組換えレトロウイルス(例えば、WO 90/07936;WO 94/03622;WO 93/25698;WO 93/25234;米国特許第5,219,740号;WO 93/11230;WO 93/10218;米国特許第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;欧州特許第0 345 242号;およびWO 91/02805を参照のこと)、アルファウイルスに基づくベクター(例えば、Sindbisウイルスベクター、Semliki森林熱ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247),Ross Riverウイルス (ATCC VR−373;ATCC VR−1246)およびVenezuelanウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR 1249;ATCC VR−532),およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、WO 94/12649、WO 93/03769;WO 93/19191;WO 94/28938;WO 95/11984およびWO 95/00655を参照のこと)。死滅アデノウイルス連結されたDNAの投与(Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147中に記載されるように)もまた使用される。
【0200】
非ウイルス性の送達ビヒクルおよび方法はまた、以下が挙げられるがこれらに限定されないものを使用し得る:死滅アデノウイルス単独に連結されるかまたは連結されないポリカチオン性濃縮DNA(例えば、Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147を参照のこと);リガンド連結DNA(例えば、Wu,J.Biol.Chem.(1989)264:16985を参照のこと);真核細胞送達ビヒクル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;WO 95/07994;WO 96/17072;WO 95/30763;およびWO 97/42338を参照のこと)および核荷電の中性化または細胞膜との融合。裸のDNAもまた使用され得る。例示的な裸のDNA導入法は、WO 90/11092および米国特許第5,580,859号中に記載される。遺伝子送達ビヒクルとして作用し得るリポソームは、以下中に記載される:米国特許第5,422,120号;WO 95/13796;WO 94/23697;WO 91/14445;および欧州特許第0524968号。さらなるアプローチが、以下に記載される:Philip,Mol.Cell Biol.(1994)14:2411およびWoffendin,Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:1581。
【0201】
使用に適するさらなる非ウイルス性送達としては、以下に記載されるアプローチのような機械的送達系が挙げられる:Woffendinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91(24):11581。さらに、コード配列およびその発現の産物は、光重合(photopolymerize)されたヒドロゲル物質の蒸着または電離放射線を介して送達され得る(例えば、米国特許第5,206,152号およびWO 92/11033を参照のこと)。コード配列の送達のために使用され得る遺伝子送達の他の従来の方法としては、例えば、以下が挙げられる:手持ち式の遺伝子移動粒子銃の使用(例えば、米国特許第5,149,655号を参照のこと);移動される遺伝子の活性化のための電離放射線の使用(例えば、米国特許第5,206,152号およびWO 92/11033を参照のこと)。
【0202】
本発明はここで、特に有利な実施形態を記載する以下の実施例を参照して、説明される。しかし、これらの実施形態は具体例であり、いかなる方法でも発明に制限することとして解釈されないことは、注意されるべきである。
【実施例】
【0203】
(実施例)
以下の実施例を、当業者に完全な開示および本発明の作製方法および使用方法の説明を提供するために提案し、そして、本発明者らが、本発明者らの発明と見なす範囲を限定することも、以下の実験が全てかまたは実施された実験のみを表示することも企図しない。本発明の処方、投薬、投与方法および他のパラメーターはさらに、本発明の意図および範囲から逸脱することなく種々の方法で改変または置換され得るということは、当業者に容易に明白である。使用する数(例えば、量、温度など)に関しての正確さを確実にするために努力がなされたが、いくらかの実験的誤差および偏差値が考慮されるべきである。他に示さない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は、摂氏温度であり、そして、圧力は、大気圧であるかまたはそれに近い。
【0204】
(実施例1:生物学的物質の供給源および生物学的物質によって発現された新規ポリヌクレオチドの概要)
新規ポリヌクレオチドを示し得る候補ポリヌクレオチドを、選択された細胞株および患者の組織から生成したcDNAライブラリーより取得した。候補ポリヌクレオチドを取得するために、mRNAを、種々の選択された細胞株および患者組織から単離し、そして、cDNAライブラリーを構築するために使用した。これらのcDNAライブラリーのための供給源として機能する細胞および組織を、以下の表1に要約する。
【0205】
ヒト結腸癌細胞株Km12L4−A(Morikawaら、Cancer Research(1988)48:6863)は、KM12C細胞株由来である。転位性に乏しい(低転位性の)KM12C細胞株(Morikawaら、Cancer Res.(1988)48:1943〜1948)を、Dukes’stage B2外科用検体由来の培養物において樹立した(Morikawaら、Cancer Res.(1988)48:6863)。このKM12L4−Aは、KM12C由来の高転位性のサブラインである(Yeatmanら、Nucl.Acids.Res.(1995)23:4007;Bao−Lingら、Proc.Annu.Meet.Am.Assoc.Cancer.Res.(1995)21:3269)。このKM12CおよびKM12C由来細胞株(例えば、KM12L4、KM12L4−Aなど)は、結腸癌の研究のためのモデル細胞株として当該分野において充分に認識されている(例えば、Moriakawaら、前出;Radinskyら、Clin.Cancer Res.(1995)1:19;Yeatmanら、(1995)前出;Yeatmanら、Clin.Exp.Metastasis(1996)14:246を参照のこと)。
【0206】
MDA−MB−231細胞株(Brinkleyら、Cancer Res.(1980)40:3118〜3129)は、最初は胸膜の浸出液から単離された(Cailleau,J.Natl.Cancer.Inst.(1974)53:661)。これは転移性能力が高く、そして乳癌に一致するヌードマウスにおけるわずかに分化した第二段階の腺癌を形成する。このMCF7細胞株は、乳房腺癌の胸膜浸出液に由来しており、そして非転移性である。このMV−522細胞株は、ヒト肺癌腫に由来し、そして転移能力が高い。このUCP−3細胞株は、低い転移性のヒト肺癌腫細胞株である;MV−522はUCP−3の高い転移性改変体である。これらの細胞株は、ヒトの乳癌および肺癌の研究のためのモデルとして当該分野で広く認知されている(例えば、以下を参照のこと:Chandrasekaranら、Cancer Res.(1979)39:870(MDA−MB−231およびMCF−7);Gastparら、J Med Chem(1998)41:4965(MDA−MB−231およびMCF−7);Ransonら、Br J Cancer(1998)77:1586(MDA−MB−231およびMCF−7);Kuangら、Nucleic Acids Res(1998)26:1116(MDA−MB−231およびMCF−7);Varkiら,Int J Cancer(1987)40:46(UCP−3);Varkiら、Tumour Biol.(1990)11:327;(MV−522およびUCP−3);Varkiら、Anticancer Res.(1990)10:637;(MV−522);Kelnerら、Anticancer Res(1995)15:867(MV−522);およびZhangら、Anticancer Drugs(1997)8:696(MV522))。
【0207】
ライブラリー15〜20のサンプルは、2人の異なる患者(UC#2およびUC#3)に由来する。bFGF処置HMVECを、10ng/mlで2時間、bFGFとインキュベーションすることで調製した;VEGF処置HMVECを、20ng/mlのVEGFと2時間インキュベーションすることで調製した。各増殖因子を用いたインキュベーションに続いて、細胞を洗浄し、そして、溶解緩衝液をRNA調製のために添加した。
【0208】
GRRpzは、正常前立腺上皮由来である。WOca細胞株は、Gleason Grade4細胞株である。
【0209】
ライブラリー25および26の正常化前立腺ライブラリーを生成するための原料物質は、Gleasonグレード3+3腺癌を有する患者由来の、凍結保存された前立腺腫瘍組織であり、そして、医療的監視下で危険な状態にある被験体のプール由来の正常前立腺生検と一致した。ライブラリー30および31の正常化前立腺ライブラリーを生成するための原料物質は、Gleasonグレード4+4腺癌を有する患者由来の凍結保存された前立腺腫瘍組織であり、そして、医療的監視下で危険な状態にある被験体のプール由来の正常前立腺生検と一致した。
【0210】
ライブラリー27、28および29の正常化胸部ライブラリーを生成するための原料物質は、一次胸部腫瘍(浸潤腺管癌)(ライブラリー28)、リンパ節転移(ライブラリ29)由来の凍結保存された胸部組織であるか、または医療的監視下で危険な状態にある被験体のプール由来の正常胸部生検と一致した。各場合において、前立腺上皮または胸部上皮を、レーザー捕獲顕微分解(LCM、Arcturus Enginering Inc.,Mountain View,CA)によって組織の凍結切片から直接的に収集し、当該分野で周知の方法(Simoneら、Am J Pathol.156(2):445〜52(2000)を参照のこと)に従って実施し、実質的に均質な細胞サンプルを提供した。
【0211】
【表1】
Figure 2004526429
Figure 2004526429
(ライブラリー中の配列の特徴付け)
最高の質の配列を有するポリヌクレオチドを選択するためにソフトウェアプログラムPhred(ver.0.000925.c、GreenおよびWeing、(C)1993〜2000)を使用した後、このポリヌクレオチドを、公開データベースに対して比較し、任意の相同配列を同定した。単離されたポリヌクレオチドの配列を、最初にマスクし、RepeatMaskerマスキングプログラム(University of Washingtonにより支援されるウェブサイトを介して一般に利用可能である(Smit,A.F.AおよびGreen,P(出版されていない結果)もまた参照のこと))を使用して、低度の複雑配列を削除した。一般に、マスキングは、それらの低い複雑性に起因して比較的に目的でない配列を削除すること、および複数の配列に共通の各領域(例えば、Aluリピート)への類似性に基づいて複数の「該当」を削除することを除いては、最後の検索結果に影響しない。
【0212】
次いで、残った配列を、TeraBLASTプログラム(TimeLogic,Crystal Bay,Nevada)を使用するGenBankデータベースのホモロジー検索において、使用した。TeraBLASTは、National Center for Biotechnologyにより開発された、一般に利用可能なBLAST検索アルゴリズムの1バージョンであり、加速された速さで、特殊化されたコンピューターハードウェアプラットフォームに対して増加した感度で操作するように改変された。このプログラムを、TimeLogicによって推奨されたデフォルトパラメーターを用いて実行し、DNAおよびタンパク質配列を検索するために、最高の感度およびスピードを提供した。70%よりも高い重複、99%の同一性、および1×10−40よりも低いp値を示す配列を、破棄した。この検索からの配列をまた、包括的なパラメーターを満足させるが、この配列がリボソーム由来またはベクター由来である場合は、切り捨てた。
【0213】
前述の検索により得られた配列は、3つのグループ(以下に示す、1、2および3)に分類され、そしてTeraBLASTX vs.NRP(非縮重タンパク質)データベース検索によって検索された:(1)不明(GenBank検索による該当無し)、(2)弱い類似性(同一性は、45%より大きく、そしてp値は、1×10−5未満である)、および(3)高い類似性(60%より大きい重複、80%より大きい同一性、および1×10−5未満のp値)。70%より大きい重複、99%より大きい同一性、および1×10−40未満のp値を有する配列を破棄した。
【0214】
残った配列は、不明(該当無し)、弱い類似性、および高い類似性(上述のパラメータ)に分類された。2つの検索がこれらの配列において実行された。初めに、TeraBLAST vs.ESTデータベース検索を行い、99%より大きい重複、99%より大きい類似性、および1×10−40未満のp値を有する配列を破棄した。ヒト起源のデータベース配列と比較した場合、1×10−65未満のp値を示す配列もまた破棄した。第2にTeraBLASTN vs.Patent GeneSeqデータベースを実施し、99%より大きい同一性、1×10−40未満のp値および99%より大きい重複を有する配列を破棄した。
【0215】
残っている配列は、他の方法およびデータセットにおける重複性を用いてスクリーニングに供した。ヒト起源のデータベース配列との関係における1×10−111未満のp値を有する配列が、特に排除された。最終的に結果は、添付した配列表の配列番号1〜1267として記載の配列を提供し、そして、表2(請求項の前に挿入された)中に要約した。同定されたそれぞれのポリヌクレオチドは、少なくとも一部のmRNA転写産物からの配列を示す。
【0216】
(本発明のポリヌクレオチドの概要)
表2(請求項の前に挿入する)は、記載したように単離したポリヌクレオチドの概要を提供する。特に、表2は、1)本明細書中で使用するために各配列に割り当てられた配列番号(「配列番号」);2)クラスター同定番号(「クラスター」);3)各配列に割り当てられた配列名;3)この配列の内部識別子として使用される配列名(「配列名」);4)配列の方向(「方向」)(順方向(F)または逆方向(R)のいずれか);5)配列が単離されたクローンに割り当てられた名称(「クローン番号」);および6)配列が単離されたライブラリーの名称(「ライブラリー」)、を提供する。少なくともいくつかの提供されたポリヌクレオチドは、部分的mRNAの転写産物を表すので、2つ以上のポリヌクレオチドは、同一のmRNA転写産物および同一の遺伝子の異なる領域を表し得、そして/または同一のクローン内に含まれ得る。従って、例えば、2つ以上の配列番号を同一のクローンに属すると同定する場合、いずれかの配列を使用し得、全長mRNAもしくは遺伝子を取得し得る。本明細書中で記載する配列を含むクローンは、以下に示す表中に記載のように、寄託された(「寄託情報」の表題の実施例を参照のこと)。
【0217】
(実施例2:コンティング(conting)の構築)
本発明中で提供されるポリヌクレオチドの配列を使用して、ポリヌクレオチドが対応する遺伝子(例えば、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドの配列を有する遺伝子、またはその遺伝子によってコードされたmRNA)の配列情報を拡大し得る。この拡大された配列情報を同様に使用し、さらに対応する遺伝子の特徴付けをし得、これは、同様に、遺伝子産物の性質についてのさらなる情報(例えば、遺伝子産物の正常な機能)を提供する。さらなる情報は、治療標的としての遺伝子産物の有用性のさらなる証明を提供し、そして、その活性を調節し得る型の因子に関する手引書をさらに提供するために、役立ち得る。
【0218】
例えば、コンティングを、本明細書中に記載するポリヌクレオチドの配列を使用して構築した。「コンティング」は、重複する(例えば、共有するかまたは実質的に類似の)配列情報を有する核酸配列から構築されるヌクレオチドの隣接した配列である。公開されて利用可能なEST(発現配列タグ)の配列および種々の上記したポリヌクレオチドの配列を、コンティング構築において使用した。コンティングを、ソフトウェアプログラムSequecherバージョン4.05を使用して、製造者の説明書に従って、構築した。次いで、コンティング構築中で取得した配列情報を使用して、Sequencherプログラムを使用するコンティングから誘導されるコンセンサス配列を取得した。生じたコンセンサス配列を使用して、公開されたデータベースならびに出願人に対して内部的なデータベースの両方を検索し、相同性データおよび/または異なる遺伝子発現データにコンセンサスポリヌクレオチドを一致させた。
【0219】
最終的な結果は、添付の配列表中の配列番号1268〜1385として列挙し、そして、表3(請求項の前に挿入した)中に要約した配列を示す。表3は、記載されたように構築したコンセンサス配列の要約を提供する。特に、表3は、:1)本明細書中での使用のための各配列に割り当てられた配列番号(「配列番号」);2)この配列の内部識別子として使用されるコンセンサス配列名(「コンセンサス配列名」);および3)そのコンセンサス配列の構築で使用される配列番号1〜1267のポリヌクレオチドの配列名(「ポリヌクレオチド配列名」)を提供する。
【0220】
(実施例3:さらなる遺伝子特徴付け)
配列番号1〜1267のポリヌクレオチドの配列を、DoubleTwist Human Genome Sequence Database(DoubleTwist,Inc,.Oakland,CA)のTeraBLASTN検索(ヒトゲノムの隣接モデルへ構築された全てのヒトゲノム配列を含む)において、問い合わせ配列(query sequence)として使用した。本発明のポリヌクレオチドが予想全長遺伝子配列と相同であるような、予想cDNA配列およびタンパク質配列を取得した。あるいは、本明細書中に記載したコンティング配列またはコンセンサス配列を、DoubleTwist Human Genome Sequence DatabaseのTeraBLASTN検索において、問い合わせ配列として、直接的に使用し得た。
【0221】
検索の最終的な結果は、添付の配列表中に配列番号1386〜1477として列挙し、そして、表4(請求項の前に挿入した)中に要約した予想cDNA配列を提供し、そして、添付の配列表中の配列番号1478〜1568として列挙し、そして、表5(請求項の前に挿入した)中に要約した予想タンパク質配列を提供する。特に、表4は、:1)本明細書中での使用のための各cDNA配列に割り当てられた配列番号(「配列番号」);2)この配列の内部識別子として使用されるcDNA配列名(「cDNA配列名」);3)cDNAをマッピングする配列番号1〜1267のポリヌクレオチドの配列名(「ポリヌクレオチド配列名」);4)DoubleTwist予想遺伝子の遺伝子番号(遺伝子);5)cDNA配列に対応する遺伝子を含む染色体(「染色体」);を提供し、表5は:1)本明細書中での使用のための各タンパク質配列に割り当てられた配列番号(「配列番号」);2)この配列の内部識別子として使用されるタンパク質配列名(「タンパク質配列名」);3)タンパク質をマッピングする配列番号1〜1267のポリヌクレオチドの配列名(「ポリヌクレオチド配列名」);4)DoubleTwist予想遺伝子の遺伝子番号(遺伝子);5)cDNA配列に対応する遺伝子を含む染色体(「染色体」);を提供する。
【0222】
上記したような問い合わせ配列として使用するポリヌクレオチドと、対応する予想cDNA配列およびタンパク質配列との間の相関を、表6に示す。特に、表6は:1)cDNAの配列番号(「cDNA配列番号」);2)この配列の内部識別子として使用されるcDNA配列名(「cDNA配列名」);3)このcDNA配列によってコードされるタンパク質の配列番号(「タンパク質配列番号」);4)このcDNA配列によってコードされるタンパク質の配列名(「タンパク質配列名」);5)このcDNAおよびタンパク質をマッピングする配列番号1〜1267のポリヌクレオチドの配列番号(「ポリヌクレオチド配列番号」);および6)このcDNAおよびタンパク質をマッピングする配列番号1〜1267のポリヌクレオチドの配列名(「ポリヌクレオチド配列名」)を提供する。
【0223】
接近配列およびコンセンサス配列の構築およびホモロジー検索ソフトウェアプログラムの使用を介して、本明細書中で提供した配列情報を容易に拡大し、本発明中に記載したポリヌクレオチドの配列を有する遺伝子または予想遺伝子を確認し得る。さらに、取得した情報を使用し、本明細書中に記載したポリヌクレオチドに対応する遺伝子の遺伝子産物の機能を同定し得る。本発明の実施に必要ではないが、対応する遺伝子の機能の同定は、その活性を調節し、そして、癌性の表現型を調節する(例えば、転移、増殖などの阻害)ような遺伝子を標的化する治療剤の設計において、手引きを提供する。
【0224】
(実施例4:遺伝子産物の機能を同定するための公開データベース検索の結果)
配列番号1〜1477を全3つのリーディングフレームを翻訳し、そして、ヌクレオチド配列および翻訳アミノ酸配列を、GenBank(ヌクレオチド配列)データベース中の相同配列について検索するための問い合わせ配列として使用した。問い合わせ配列および個々の配列を、TeraBLASTプログラム(TimeLogic,Crystal Bay,Nevadaから利用可能)を使用して整列した。この配列を種々の程度までマスクし、上記のような低複雑性をマスクするためのRepeatMaskerマスキングプログラムを使用して、反復配列またはポリ−A配列の検索を防止した。
【0225】
表7(請求項の前に挿入した)は、本発明の配列と示された公開データベースの配列との間の実質的な類似性を示す、1×10−2以下のp値を有するアラインメント概要を提供する。特に、表7は:1)問い合わせ配列の配列番号(「配列番号」);2)この問い合わせ配列の内部識別子として使用される配列名(「配列名」);3)相同配列のGenBankデータベース登録の登録番号(「登録」);4)GenBank配列の説明(「GENBANKの説明」);および5)ポリヌクレオチド配列およびGenBank配列の類似性のスコア(「GENBANKスコア」)を提供する。表7中に提供されるアラインメントは、本明細書の提出の直前時に、DNA配列に対してもっとも利用可能なアラインメントである。表6中に列挙された配列およびそれらに関する配列に関して、全ての公開利用可能な情報はまた、参考として援用される。アラインメントならびにp値の算出のために使用する検索プログラムおよびデータベースをまた、示す。ポリヌクレオチド配列の全長配列またはフラグメントを、プローブおよびプライマーとして使用し得、対応するポリヌクレオチドの全長配列を同定し、そして単離する。
【0226】
(実施例5:タンパク質ファミリーのメンバー)
配列番号1〜1477を使用して、上記の明細書中に記載したようなプロフィール検索を実施した。本発明の種々のポリヌクレオチドが、既知のタンパク質ファミリーに属する(従って、これらのタンパク質ファミリーの一員を表す)か、および/または既知の機能的ドメインを含むポリペプチドの特徴を有するポリペプチドをコードすることを見出した。表8(請求項の前に挿入した)は、:1)問い合わせポリヌクレオチド配列の配列番号(「配列番号」);2)この問い合わせ配列の内部識別子として使用される配列名(「配列名」);3)タンパク質ファミリープロフィールヒットの登録番号(「PFAM番号」);4)このプロフィールヒットの簡単な説明(「PFAMの説明」);5)このプロフィールヒットのスコア(「スコア」);6)このプロフィールヒットの開始ヌクレオチド(「開始」);および7)このプロフィールヒットの終結ヌクレオチド(「終結」)を提供する。
【0227】
さらに、配列番号1478〜1568をまた使用して、上記のようなプロフィール検索を実施した。本発明の種々のポリペプチドが、既知のタンパク質ファミリーに属する(従って、これらのタンパク質ファミリーの一員を代表する)か、および/または既知の機能的ドメインを含むポリペプチドの特徴を有することを見出した。表9(請求項の前に挿入した)は、:1)問い合わせタンパク質配列の配列番号(「配列番号」);2)この問い合わせ配列の内部識別子として使用される配列名(「タンパク質配列名」);3)タンパク質ファミリープロフィールヒットの登録番号(「PFAM番号」);4)このプロフィールヒットの簡単な説明(「PFAMの説明」);5)このプロフィールヒットのスコア(「スコア」);6)このプロフィールヒットの開始残基(「開始」);および7)このプロフィールヒットの終結残基(「終結」)を提供する。
【0228】
いくつかの配列番号は、問い合わせ配列が重複したプロフィール領域を含み、そして/またはこの配列が2つの異なる機能的ドメインを含むような、複数のプロフィールヒット示した。表8および表9の各々のプロフィールヒットを、以下にさらに詳細に記載する。このプロフィールのためのアクロニム(括弧中に提供される)は、Pfam、PrositeおよびInterProデータベース中のプロフィールを同定するために使用される、アクロニムである。Pfamデータベースを、Washington University School of MedicineのGenome Sequencing CenterまたはHeidelberg,GermanyのEuropean Molecular Biology Laboratoriesによって支援されるウェブサイトを介して、アクセスし得る。Prositeデータベースを、インターネット上のExPASy Molecular Biology Serverでアクセスし得る。InterProデータベースを、EMBL European Bioinformatics Instituteによって支援されるウェブサイトでアクセスし得る。種々のプロフィールに関するPfam PrositeおよびInterProデータベースで利用可能な公開情報(種々のタンパク質ファミリーおよびタンパク質ドメインの活性、機能およびコンセンサス配列が挙げられるが、これらに限定されない)は、本明細書中で参考として援用される。
【0229】
(Ankリピート(ANK:Pfam登録番号PF0023))配列番号482,818,914,1216,1484,1537および1564は、Ankリピート含有タンパク質を代表する。アンキリンモチーフは、24タンデムの33アミノ酸モチーフを有するタンパク質アンキリンにちなんで命名された33アミノ酸配列である。Ankリピートは、当初、細胞周期制御タンパク質cdc10において同定された(Breedenら、Nature(1987)329:651)。アンキリンリピートを含むタンパク質としては、アンキリン、ミオトロピン、I−κBタンパク質、細胞周期タンパク質cdc10、Notchレセプター(Matsunoら、Development(1997)124(21):4265);主要組織適合性複合体のクラスIII領域のG9a(またはBAT8)(Biochem J.(1993)290:811〜818);FABP、GABP、53BP2、Lin12、glp−1、SW14およびSW16が挙げられる。アンキリンリピートの機能は、タンパク質−タンパク質相互作用における役割と適合性である(Bork,Proteins(1993)17(4):363;LambertおよびBennet,Eur.J.Biochem.(1993)211:1;Kerrら、Current Op.Cell Biol.(1992)4:496;Bennetら、J.Biol.Chem.(1980)255:6424)。
【0230】
(上皮細胞増殖因子(EGF;Pfam登録番号PF00008))配列番号967は、EGFファミリーのタンパク質のメンバーをコードするポリヌクレオチドを代表する。このファミリーの顕著な特徴は、上皮細胞増殖因子(EGF)において見出された約30〜40のアミノ酸残基の配列の存在であり、これは、多少は保存的形態で、他の多くのタンパク質中に存在することが示された(Davis,New Biol.(1990)2:410〜419;Blomquistら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A(1984)81:7363〜7367;Barkertら、Protein Nucl.Acid Enz.(1986)29:54〜86;Doolittleら、Nature.(1984)307:558〜560;Appellaら、FEBS Lett.(1988)231:1〜4;CampbellおよびBork,Curr.Opin.Struct.Biol.(1993)3:385〜392)。このドメインの通常の特徴は、保存されたパターンが、一般に、膜結合タンパク質の細胞外ドメイン、または分泌されることが知られているタンパク質中に見出されるということである。EGFドメインは、ジスルフィド結合に関することが示されている6つのシステイン残基を含む。この主要な構造は、2本鎖βシートに続くC末端短型2本鎖シートへのループである。保存システイン間のサブドメインは、その長さが非常に変化する。これらのコンセンサスパターンを使用して、このファミリー:C−x−C−x(5)−G−x(2)−CおよびC−x−C−x(s)−[GP]−[FYW]−x(4,8)−Cのメンバーを同定する。
【0231】
(ジンクフィンガー、C2H2型(Zincfing C2H2;Pfam登録番号PF00096))配列番号521は、C2H2型ジンクフィンガータンパク質ファミリーのメンバーをコードするポリヌクレオチドと一致し、これは、核酸結合を促進するジンクフィンガードメインを有する(Klugら、Trends Biochem.Sci.(1987)12:464;Evansら、Cell(1988)52:1;Payreら、FEBS Lett.(1988)234:245;Millerら、EMBO J.(1985)4:1609およびBerg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85:99)。保存ジンクリガンド残基に加えて、多数の他の位置もまた、C2H2ジンクフィンガーの構造的完全性にために重要である(Rosenfeldら、J.Biomol.Struct.Dyn.(1993)11:557)。最も良く保存された位置(一般に、芳香族残基または脂肪族残基である)は、2番目のシステインの4つ後の残基に位置する。C2H2ジンクフィンガーについてのコンセンサスパターンは、:C−x(2,4)−C−x(3)−[LIVMFYWC]−x(8)−H−x(3,5)−Hである。この2つのCおよび2つのHが、ジンクリガンドである。
【0232】
(PDZドメイン(PDZ;Pfam登録番号PF00595号))配列番号527、1523および1551は、PDZドメイン(DHRまたはGLGFドメインとしてもまた知られる)を含む遺伝子と一致する。PDZドメインは、80〜100残基のリピートを含み、このうちの数個は、イオンチャンネルおよび/またはレセプターのC末端テトラペプチドモチーフX−Ser/Thr−X−Val−COO−と相互作用し、そして、哺乳動物のタンパク質ならびに細菌、酵母および植物中で見出される(Pontingら、Protein Sci(1997)6(2):464〜8)。1つ以上のPDZドメインを含むタンパク質は、多様な膜関連タンパク質(MAGUKファミリーのメンバーのグアニル化キナーゼホモログ、様々なタンパク質ホスファターゼおよびキナーゼ、ニューロンの一酸化窒素シンターゼを含む)、および種々のディストロフィン関連タンパク質(正確にはシントロフィンとして知られる)中で見出される(Pontingら、Bioessays(1997)19(6):469〜79)。多くのPDZドメイン含有タンパク質は、高度に特殊化した亜膜性部位に局在化し、これは、細胞接合形成、レセプターまたはチャンネル集団化、および細胞内シグナル伝達事象への関与を示唆する。例えば、種々のMAGUKのPDZドメインは、NMDAレセプターサブユニットの一部のC末端ポリペプチドと、および/またはShaker−型Kチャンネルと相互作用する。他のPDZドメインは、他の膜貫通レセプターの類似したリガンドに結合することが示された。細胞間結合関連タンパク質において、PDZは、膜イオンチャンネルのC末端に結合することによって、この膜イオンチャンネルのクラスター形成を媒介する。PDZドメインを含むいくつかのタンパク質のX腺結晶構造を解析した(例えば、Doyleら、Cell(1996)85(7):1067〜76を参照のこと)。
【0233】
(ジンクナックル、CCHC型(Zf−CCHC;Pfam登録番号PF00098))配列番号543および1069は、CCHCジンクフィンガーのファミリーのメンバーをコードする遺伝子と一致する。プロトタイプのCCHC型ジンクフィンガー構造は、HIVタンパク質由来なので、このドメインはまた、レトロウイルス型ジンクフィンガードメインと称される。このファミリーはまた、真核生物遺伝子調節に関するタンパク質(例えば、C.elegans GLH−1)を含む。この構造は、18残基のジンクフィンガーであり;アライメント中にモデル(indel)例はない。CCHC型ジンクフィンガードメインを定義するこのモチーフは:C−X2−C−X4−H−X4−Cである(Summers J Cell Biochem 1991 Jan;45(1):41〜8)。このドメインは、例えば、HIV−1ヌクレオカプシドタンパク質、モロニーマウス白血病ウイルスヌクレオカプシドタンパク質NCp10(De Rocquignyら、Nucleic Acids Res.(1993)21:823〜9)およびミエリン転写因子1(Myt1)(Kimら、J.Neurosci.Res.(1997)50:272〜90)において見出される。
【0234】
(RNA認識モチーフ(rrm;Pfam登録番号PF00076))配列番号514および910は、RNA認識モチーフをコードする配列と一致し、また、RRMドメイン、RBDドメインまたはRNPドメインとして知られる。このドメイン(約90アミノ酸長)は、1本鎖RNAに結合する真核生物タンパク質に含まれる(Bandziulisら、Genes Dev.(1989)3:431〜437;Dreyfussら、Trends Biochem.Sci.(1988)13:86〜91)。RNA結合ドメインの2つの領域は、高度に保存されている:1番目は、6つの残基の疎水性セグメント(RNP−2モチーフと呼ばれる)で、2番目は、オクタペプチドモチーフ(RNP−1またはRNP−CSと呼ばれる)である。このコンセンサスパターンは、:[RK]−G−{EDRKHPCG}−[AGSCI]−[FY]−[LIVA]−x−[FYLM]である。
【0235】
(メタロチオネイン(メタルチオネイン;Pfam 登録番号 PF00131)) 配列番号335は、チオレート結合を介して重金属(例えば、亜鉛、銅、カドミウム、ニッケルなど)に結合する小タンパク質である、メタロチオネイン(MT)タンパク質ファミリーのメンバーをコードするポリヌクレオチドに対応する(Hamer Annu.Rev.Biochem.(1986)55:913〜951;およびKagiら、Biochemistry(1988)27:8509〜8515)。MTは、動物界全体にわたって存在し、そして高等植物、真菌類およびいくつかの原核生物においてもまた見出される。構造的関係に基づいて、MTは、3つのクラスに細分化される。クラスIは、哺乳動物のMTならびに甲殻類および軟体動物由来のMTだが、明らかに始源的構造と関係づけられるMTを含む。クラスIIは、クラスIのMTと離れない一致を示すかほんのわずかに離れた一致を示す種々の種(例えば、ウニ、真菌、昆虫およびシアノバクテリア)由来のMTと一緒に分類する。クラスIIIのMTは、γ−グルタミルシステニルユニットを含む異常なポリペプチドである。このタンパク質ファミリーについてのコンセンサスパターンは:C−x−C−[GSTAP]−x(2)−C−x−C−x(2)−C−x−C−x(2)−C−x−Kである。
【0236】
(トリプシン(トリプシン;Pfam 登録番号 PF00089)) 配列番号422および1558は、トリプシンファミリーの新規セリンプロテアーゼに対応する。トリプシンファミリー由来のセリンプロテアーゼの触媒活性は、それ自体がセリンに水素結合されるヒスチジンに水素結合したアスパラギン酸残基を含む荷電中継方式(charge relay system)によって提供される。活性部位のセリン残基およびヒスチジン残基の近傍における配列は、このファミリーのプロテアーゼに良好に保存される(Brenner S.,Nature(1988)334:528)。このトリプシンタンパク質ファミリーについてのコンセンサスパターンは、以下である:1)[LIVM]−[ST]−A−[STAG]−H−C(ここで、Hは活性部位残基である);および2)[DNSTAGC]−[GSTAPIMVQH]−x(2)−G−[DE]−S−G−[GS]−[SAPHV]−[LIVMFYWH]−[LIVMFYSTANQH](ここで、Sは活性部位残基である)である。このファミリーに属することが公知の全ての配列が、第1に保存されたグリシンを損失している18の異なるプロテアーゼを除いて、上記のコンセンサス配列によって検出される。タンパク質が、セリン活性部位の特徴およびヒスチジン活性部位の特徴の両方を含む場合、これがトリプシンファミリーのセリンプロテアーゼである可能性は、100%である。
【0237】
(HSP70タンパク質(HSP70;Pfam 登録番号 PF00012)) 配列番号952および1482は、70kDの平均分子量を有するATP結合熱ショックタンパク質のファミリーのメンバーに対応する(Pelham,Cell(1986)46:959〜961;Pelham,Nature(1988)332:776〜77;Craig,BioEssays(1989)11:48〜52)。ほとんどの種において、hsp70ファミリーに属する多くのタンパク質があり、これらのうちいくつかは、ストレスのない条件下で発現される。Hsp70タンパク質は、核、細胞質ゾル、ミトコンドリア、小胞体などを含む、異なる細胞区分中に見出され得る。種々の機能が、hsp70タンパク質について仮定されている。いくつかは、膜を横切るタンパク質の輸送において重要な役割を果たし(Deshaiesら、Trends Biochem.Sci.(1988)13:384〜388)、その一方で他は、タンパク質の折り畳み、およびタンパク質複合体の構築/分解に関する(CraigおよびGross、Trends Biochem.Sci.(1991)16:135〜140)。
【0238】
hsp70ファミリーのタンパク質について3つの特徴的パターンがある。第1は、これらのタンパク質のN末端区分において見出される保存されたペンタペプチド上に集められ、そして保存領域にある他の2つは、この配列の中心部分に配置される。このコンセンサスパターンは、以下である:1)[IV]−D−L−G−T−[ST]−x−[SC];2)[LIVMF]−[LIVMFY]−[DN]−[LIVMFS]−G−[GSH]−[GS]−[AST]−x(3)−[ST]−[LIVM]−[LIVMFC];および3)[LIVMY]−x−[LIVMF]−x−G−G−x−[ST]−x−[LIVM]−P−x−[LIVM]−x−[DEQKRSTA]。
【0239】
(WDドメイン(WD40)、G−β繰り返し(WDドメイン;Pfam 登録番号 PF00400)) 配列番号1510および1536は、WDドメイン/G−β繰り返しファミリーのメンバーを表す。β−トランスデューシン(G−β)は、膜貫通レセプターによって生成されるシグナルの変換における媒介として作用する、グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)の3つのサブユニット(α、βおよびγ)の1つである(Gilman,Annu.Rev.Biochem.(1987)56:615)。αサブユニットは、GTPに結合し、そしてGTPを加水分解し;βおよびγサブユニットは、GTPによるGDPの置換、ならびに膜固着およびレセプター認識のために必要とされる。高等真核生物において、G−βは、約340アミノ酸残基の高度に保存されたタンパク質の小さい多重遺伝子ファミリーとして存在する。構造上、G−βは、約40残基の8つの直列の繰り返しを有し、それぞれ中心のTrp−Aspモチーフ(この型の繰り返しは、時々WD−40繰り返しと呼ばれる)を含む。WDドメイン/G−β繰り返しファミリーについてのコンセンサスパターンは、以下である:[LIVMSTAC]−[LIVMFYWSTAGC]−[LIMSTAG]−[LIVMSTAGC]−x(2)−[DN]−x(2)−[LIVMWSTAC]−x−[LIVMFSTAG]−W−[DEN]−[LIVMFSTAGCN]。
【0240】
(プロテインキナーゼ(プロテインキナーゼ;Pfam 登録番号 PF00069) 配列番号1540は、プロテインキナーゼを表す。プロテインキナーゼは、種々の経路におけるタンパク質のリン酸化を触媒し、そして癌に関係づけられる。真核生物のプロテインキナーゼ(Hanks S.K.ら、FASEB J.(1995)9:576;Hunter T.,Meth.Enzymol.(1991)200:3;Hanks S.K.ら、Meth.Enzymol.(1991)200:38;Hanks S.K.,Curr.Opin.Struct.Biol.(1991)1:369;Hanks S.K.ら、Science(1988)241:42)は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼおよびチロシンプロテインキナーゼの両方に共通の保存された触媒核を共有する、非常に広範なファミリーのタンパク質に属する酵素である。プロテインキナーゼの触媒ドメインにおいて、多数の保存領域がある。触媒ドメインのN終末末端に配置される、第1の領域は、リジン残基の近傍における残基のグリシンリッチストレッチの残基であり、これは、ATP結合に関することが示されている。触媒ドメインの中心部分に配置される、第2の領域は、酵素の触媒活性のために重要である、保存されたアスパラギン酸残基を含む(Knighton D.R.ら、Science(1991)253:407)。このプロテインキナーゼのプロフィールは、この第2の領域について2つの特徴的パターンを含み;1つは、セリン/スレオニンキナーゼについて特異的であり、そして他方は、チロシンキナーゼについて特異的である。第3のプロフィールは、整列に基づき(Hanks S.K.ら、FASEB J.(1995)9:576)そして触媒ドメイン全体を覆う。
【0241】
このコンセンサスパターンは以下のとおりである:1)[LIV]−G−{P}−G−{P}−[FYWMGSTNH]−[SGA]−{PW}−[LIVCAT]−{PD}−x−[GSTACLIVMFY]−x(5,18)−[LIVMFYWCSTAR]−[AIVP]−[LIVMFAGCKR]−K(ここでKはATPに結合する);2)[LIVMFYC]−x−[HY]−x−D−[LIVMFY]−K−x(2)−N−[LIVMFYCT](3)(ここで、Dは、活性部位残基である);および3)[LIVMFYC]−x−[HY]−x−D−[LIVMFY]−[RSTAC]−x(2)−N−[LIVMFYC](ここで、Dは活性部位残基である)。
【0242】
分析されたタンパク質が、2つの上記プロテインキナーゼの特徴を含む場合、これがプロテインキナーゼである可能性は、100%に近い。真核生物型のプロテインキナーゼもまた、原核生物(例えば、Myxococcus xanthus(Munoz−Dorado J.ら、Cell(1991)67:995)およびYersinia pseudotuberculosisにおいて見出されている。上記に示されるパターンは、その公開(Bairoch A.ら、Nature(1988)331:22)から更新されている。
【0243】
(C2ドメイン(C2;Pfam 登録番号 PF00168)) 配列番号1550は、C2ドメインに対応し、これは、カルシウム依存性リン脂質結合(Davletov J.Biol.Chem.(1993)268:26386〜26390)またはカルシウムに結合しないタンパク質に関し、このドメインは、イノシトール−1,2,3,4,5−四リン酸への結合を容易にし得る(Fukudaら、J.Biol.Chem.(1994)269:29206〜29211;Suttonら、Cell(1995)80:929〜938)。このコンセンサス配列は、以下である:[ACG]−x(2)−L−x(2,3)−D−x(1,2)−[NGSTLIF]−[GTMR]−x−[STAP]−D−[PA]−[FY]。
【0244】
(ミオシンヘッド(モータードメイン)(ミオシンヘッド;Pfam 登録番号 PF00063) 配列番号189、1548および1557は、代表的にβ鎖とαヘリックスとの間に可撓性ループを形成するグリシンリッチ領域である、ミオシンヘッドドメインに対応する。このループは、ヌクレオチドへのタンパク質の結合において、ATPまたはGTPのリン酸基の1つと相互作用する。このミオシンヘッド配列モチーフは、一般に、「A」コンセンサス配列(Walkerら、EMBO J.(1982)1:945〜951)または「Pループ」(Sarasteら、Trends Biochem.Sci.(1990)15:430〜434)といわれる。このコンセンサス配列は:[AG]−x(4)−G−K−[ST]である。
【0245】
(糖(および他の)トランスポーター(糖トランスポーター;Pfam 登録番号 PF00083) 配列番号334、1244および1512は、糖(および他の)トランスポーターファミリーのメンバーを表す。哺乳動物細胞において、グルコースの取込みは、グルコーストランスポーターと呼ばれる密接に関連する輸送タンパク質のファミリーによって媒介される(Silverman,Annu.Rev.Biochem.(1991)60:757〜794;GouldおよびBell,Trends Biochem.Sci.(1990)15:18〜23;Baldwin,Biochim.Biophys.Acta(1993)1154:17〜49)。これらのトランスポーターの少なくとも7つが、存在することが現在公知であり、そしてヒトにおいて、GLUT1〜GLUT7遺伝子によってコードされる。これらの必須の膜タンパク質は、12の膜架橋ドメインを含み、そして多数の他の糖輸送タンパク質または代謝物輸送タンパク質と配列類似性を示すと予想される(Maidenら、Nature(1987)325:641〜643;Henderson,Curr.Opin.Struct.Biol.(1991)1:590〜601)。
【0246】
2つのパターンが、このファミリーのタンパク質を検出するために開発されている。第1のパターンは、G−R−[KR]モチーフに基づくが;このモチーフは、非常に短くてこのファミリーのタンパク質に特異的であり得ないため、第2のパターンが、このモチーフの第2のコピーに集められたより大きな領域から誘導されている。第2のパターンは、第4の膜貫通セグメントの末端、および第4のセグメントと第5のセグメントとの間の短いループ領域に位置する多数の保存された残基に基づく。この2つのコンセンサス配列は、以下である:1)[LIVMSTAG]−[LIVMFSAG]−x(2)−[LIVMSA]−[DE]−x−[LIVMFYWA]−G−R−[RK]−x(4,6)−[GSTA];および2)[LIVMF]−x−G−[LIVMFA]−x(2)−G−x(8)−[LIFY]−x(2)−[EQ]−x(6)−[RK]。
【0247】
(HSP90タンパク質(Pfam 登録番号 PF00183) 配列番号1538は、Hsp90タンパク質ファミリーメンバーのコンセンサス配列を有するポリペプチドを表す。Hsp90タンパク質は、熱ショックタンパク質(hsp)として集団で公知のタンパク質の合成の誘導によって、熱ショックまたは他の環境ストレスに応答する、約90kDaの平均分子量のタンパク質である(Lindquistら、Annu.Rev.Genet.22:631〜677(1988))。このファミリーに属することが公知のタンパク質としては、脊椎動物hsp 90−α(hsp86)およびhsp 90−β(hsp 84);ショウジョウバエhsp 82(hsp 83);および小胞体タンパク質「エンドプラズミン(endoplasmin)」(マウスにおけるErp99、ハムスターにおけるGRP94、およびニワトリにおけるhsp 108としてもまた公知である)が挙げられる。Hsp90タンパク質は、ステロイドホルモンレセプター、様々なレトロウイルスのチロシンキナーゼオンコジーン産物、eIF2αキナーゼ、ならびにアクチンおよびチューブリンと関連することが見出されている。理論に固執せず、Hsp90タンパク質は、おそらくATPase活性を有するシャペロニンである(Nadeauら、J.Biol.Chem.268:1479〜1487(1993);Jakobら、Trends Biochem Sci 19:205〜211(1994))。Hsp90ファミリータンパク質は、以下の特徴的パターンを有し、これらは、これらのたんぱく質のN末端部分において見出される高度に保存された領域を表す:Y−x−[NQH]−K−[DE]−[IVA]−F−[LM]−R−[ED]。
【0248】
(KOWモチーフ(リボソームタンパク質L24特徴;Pfam 登録番号 PF00467) 配列番号1553は、大きなリボソームのサブユニット由来のタンパク質の1つであるKOWモチーフ(例えば、リボソームタンパク質L24において見出されるような)を有するポリペプチドを表す。L24は、リボソームタンパク質のファミリーに属する。これらの成熟形態において、これらのタンパク質は、103〜150アミノ酸残基を有する。特徴的パターンとして、このコンセンサス配列は、N末端区分において20残基の保存ストレッチに基づく:[GDEN]−D−x−[IV]−x−[IV]−[LIVMA]−x−G−x(2)−[KRA]−[GNQ]−x(2,3)−[GA]−x−[IV]。
【0249】
(TPRドメイン(Pfam 登録番号 PF00515)) 配列番号1532は、少なくとも1つ以上のテトラトリコペプチド繰り返し(TPR)ドメインを有するポリペプチドを表す。TPRは、3〜16モチーフの直列アレイに存在する、広く多様なタンパク質において同定された縮重34アミノ酸配列であり、これは、タンパク質−タンパク質相互作用を媒介する骨格、およびしばしば多タンパク質複合体のアセンブリを形成する。TPR含有タンパク質としては、分裂後期促進複合体(APC)サブユニットcdc16、cdc23およびcdc27、NADPHオキシダーゼサブユニットp67 phox,hsp90結合イムノフィリン、転写因子、PKRプロテインキナーゼインヒビター、ならびにペルオキシソーム輸入タンパク質およびミトコンドリア輸入タンパク質が挙げられる(例えば、Dasら、EMBO J;17(5):1192〜9(1998);およびLamb Trends Biochem Sci 20:257〜259(1995)を参照のこと)。
【0250】
(tRNAシンテターゼクラスII核ドメイン(G、H、P、SおよびT)(Pfam 登録番号 PF00587)) 配列番号1481は、tRNAシンテターゼクラスII核ドメインを有するポリペプチドを表す。アミノアシル−tRNAシンテターゼ(EC6.1.1.−)(Schimmel Annu.Rev.Biochem.56:125〜158(1987))は、アミノ酸を活性化し、そしてタンパク質生合成の第1工程として、これらを特定のtRNA分子に移す酵素の群である。原核生物において、少なくとも20の異なる型のアミノアシル−tRNAシンテターゼがあり、互いに異なるアミノ酸である、真核生物において、一般に、互いに異なるアミノ酸の2つのアミノアシル−tRNAシンテターゼがあり:1つは細胞質ゾル形態およびミトコンドリア形態である。これら全ての酵素が、共通の機能を有する一方で、これらは、サブユニットサイズおよび4次元構造の点で広く多様性である。
【0251】
アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、リジン、フェニルアラニン、プロリン、セリンおよびスレオニンに特異的なシンテターゼは、クラスIIシンテターゼといわれ、そしておそらくATPおよびアミノ酸の結合のためのこれらの触媒ドメインにおいて共通の折り畳みパターンを有し、これは、クラスIシンテターゼについて観察されるロスマンフォールドとは異なる。クラスII tRNAシンテターゼは、高程度の類似性を共有しないが、少なくとも3つの保存領域が存在する(Delarueら、BioEssays 15:675〜687(1993);Cusackら、Nucleic Acids Res.19:3489〜3498(1991);Levequeら、Nucleic Acids Res.18:305〜312(1990))。このコンセンサス配列は、以下の3つの領域に由来する:[FYH]−R−x−[DE]−x(4,12)−[RH]−x(3)−F−x(3)−[DE](アラニン、グリシンおよび細菌のヒスチジンに特異的なものを除く、クラスII tRNAシンテターゼの大部分において見出される);ならびに[GSTALVF]−{DENQHRKP}−[GSTA]−[LIVMF]−[DE]−R−[LIVMF]−x−[LIVMSTAG]−[LIVMFY](セリンおよびプロリンに特異的なものを除く、クラスIIのtRNAシンテターゼの大部分において見出される)。
【0252】
(IQカルモジュリン結合モチーフ(Pfam 登録番号 PF00612)) 配列番号189および1548は、IQカルモジュリン結合モチーフを有するポリペプチドを表す。IQモチーフは、約23のアミノ酸の非常に基本的なユニットであり、これらの保存された核は、通常、コンセンサスA−x(3)−I−Q−x(2)−F−R−x(4)−K−Kに適合する。1つ以上のコピーで存在し得るIQモチーフは、必須のミオシン軽鎖および調節ミオシン軽鎖、カルモジュリン(CaM)、およびCaM様タンパク質を含む異なるEF−ハンドタンパク質についての結合部位として役立つ(例えば、Cheneyら、Curr.Opin.Cell Biol.4:27〜35(1992);およびRhoadsら、FASEB J.11:331〜340(1997)を参照のこと)。多くのIQモチーフは、プロテインキナーゼC(PKC)リン酸化部位である(Baudierら、J.Biol.Chem.266:229〜237(1991);およびChenら、Biochemistry 32:1032〜1039(1993))。ホタテガイミオシンの3D構造の分解能は、IQモチーフが、塩基性両親媒性ヘリックスを形成することを示している(Xieら、Nature 368:306−312(1994))。IQモチーフを含む例示的なタンパク質としては、ニューロモジュリン(GAP−43)、ニューログラニン(NG/p17)、精子表面タンパク質Sp17、およびRas GTPase活性様タンパク質IQGAP1が挙げられる。IQGAP1は、4つのIQモチーフを含む。
【0253】
(ホスホチロシン相互作用ドメイン(PTB/PID)(Pfam 登録番号 PF00640)) 配列番号1523は、ホスホチロシン相互作用ドメイン(PIDドメインまたはPIドメイン)を有するポリペプチドを表す。PIDは、形質転換タンパク質Shcにおいて見出される第2のホスホチロシン結合ドメインである(Kavanaughら、Science 266:1862〜1865(1994);Blaikieら、J.Biol.Chem.269:32031〜32034(1994);およびBorkら、Cell 80:693〜694(1995))。Shcは、哺乳動物細胞の増殖を調節するシグナル伝達経路に対する活性化増殖因子レセプターと結合し、そしてこれは、オンコジーンのチロシンキナーゼの形質転換活性に関係する。ShcのPIDは、増殖因子レセプターを含む多くのチロシンリン酸化タンパク質において見出されるAsn−Pro−Xaa−Tyr(P)モチーフに特異的に結合する。PIDはまた、例えば、ヒトShc関連タンパク質Sck、神経系において顕著に発現される哺乳動物タンパク質X11、ラットFE65、肝臓において優先的に発現される転写因子活性化因子、哺乳動物のGタンパク質シグナル伝達12(RGS12)の調節因子、およびN末端インスリン型ドメインにおいて見出される。PIDは、約160アミノ酸の平均長を有する。これは、おそらく逆平行βシートを有する球状ドメインである。このドメインの機能は、ホスホチロシン結合であり得る。これは、調節のタンパク質/タンパク質結合に関することが、少なくとも予想される(Borkら、Cell 80:693〜694(1995))。
【0254】
(シンタキシン(Pfam 登録番号 PF00804) 配列番号1039および1496は、シンタキシンタンパク質ファミリーに類似の配列を有するポリペプチドを表す。シンタキシンファミリーのタンパク質のメンバーとしては、例えば、エピモルヒネ(またはシンタキシン2)、上皮形態形成において必須の役割を果たす哺乳動物の間葉タンパク質;シナプス前活性帯でのシナプスの小胞のドッキングに関するシナプスのタンパク質である、シンタキシン1A、シンタキシン1B、およびシンタキシン4;シンタキシン3;ゴルジ体への小胞体の輸送を媒介する、シンタキシン5;ならびに細胞内の小胞輸送に関する、シンタキシン6が挙げられる(Bennettら、Cell 74:863〜873(1993);Springら、Trends Biochem.Sci.18:124〜125(1993);Pelhamら、Cell 73:425〜426(1993))。各サイズの範囲が30Kd〜40Kdのシンタキシンファミリーのタンパク質は、高い疎水性のC終末末端を有し、そしてタンパク質を膜(コイルドコイル高次構造で存在し得る、中心の良好に保存された領域)に固定することに関する。このファミリーに特異的なパターンは、コイルドコイルドメインの最も保存された領域に基づく:[RQ]−x(3)−[LIVMA]−x(2)−[LIVM]−[ESH]−x(2)−[LIVMT]−x−[DEVM]−[LIVM]−x(2)−[LIVM]−[FS]−x(2)−[LIVM]−x(3)−[LIVT]−x(2)−Q−[GADEQ]−x(2)−[LIVM]−[DNQT]−x−[LIVMF]−[DESV]−x(2)−[LIVM]。
【0255】
(リボソームL10(Pfam 登録番号 PF00826) 配列番号759、1207および1566は、リボソームL10タンパク質ファミリーに類似の配列を有するポリペプチドを表す(例えば、Chanら、Biochem.Biophys.Res.Commun.225:952〜956(1996)を参照のこと)。このファミリーのメンバーは、一般に174〜232アミノ酸残基を有し、そして以下の特徴的パターン(タンパク質の中心区分に配置される保存領域に基づく)を含む:A−D−R−x(3)−G−M−R−x−[SAP]−[FYW]−G−[KRVT]−[PA]−x−[GS]−x(2)−A−[KRLV]−[LIV]。
【0256】
(GTP1/OBGファミリー(Pfam 登録番号 PF01018) 配列番号126、721および1518は、GTP結合タンパク質の広範なファミリーである、GTP1/OBGファミリーのメンバーに類似性を有するポリペプチドを表す(Sazukaら、Biochem.Biophys.Res.Commun.189:363〜370(1992);Hudsonら、Gene 125:191〜193(1993))。このファミリーとしては、例えば、タンパク質DRG(マウス、ヒトおよびゼノパスにおいて見出される)、核分裂酵母タンパク質gtp1、およびBacillus subtilisタンパク質obg(GTPに結合する)が挙げられる。ファミリーメンバーは、一般に約40Kd〜48Kdであり、そしてGTP結合タンパク質に特有の5つの小さい配列エレメントを含む(Bourneら、Nature 349:117〜127(1991))。この特徴的パターンは、ATP/GTP Bモチーフ(GTP結合タンパク質においてG−3ともまた呼ばれる)に対応する:D−[LIVM]−P−G−[LIVM](2)−[DEY]−[GN]−A−x(2)−G−x−G。
【0257】
(KRABボックス(Pfam 登録番号 PF01352)) 配列番号1556および349は、Krueppel関連ボックス(KRAB)を有するポリペプチドを表す。KRABボックスは、約3分の1の真核生物のKruppel型C2H2ジンクフィンガータンパク質(ZFP)のN末端部分において見出される約75のアミノ酸のドメインである。これは、荷電されたアミノ酸中で富化され、そして小領域AおよびBに分配され得、これらは、2つの両親媒性αヘリックスに折りたたまれると予想される。このKRAB AボックスおよびKRAB Bボックスは、可変性スペーサーセグメントによって分離され得、そして多くのKRABタンパク質は、Aボックスのみを含む。
【0258】
このKRABドメインは、DNA結合ドメインによってテンプレートDNAに束縛される場合、転写リプレッサーとして機能する。KRAB Aサブドメインにおける45アミノ酸の配列は、転写抑制のために必要であり、そして十分であることが示されている。Bボックスは、それ自体によって抑制しないが、KRAB Aサブドメインによって及ぼされる抑制を可能にする。遺伝子サイレンシングは、KRABドメインが、KAP−1/TIF1−βコリプレッサーのRING−Bボックスコイルドコイル(RBCC)ドメインに結合することを必要とする。KAP−1が、ヘテロクロマチンタンパク質HP1に結合する場合、KRAB−ZFP結合標的遺伝子が、ヘテロクロマチンに対する補填に続いてサイレンシングされ得ることが提唱されている。
【0259】
KRAB−ZFPは、ヒトゲノム内の単一の最も大きなクラスの転写因子の1つを構築し、そして細胞分化および細胞増殖の間に重要な役割を果たすことを表す。KRABドメインは、一般に2つのエキソンによってコードされる、2つのエキソンによってコードされる領域は、KRAB−AおよびKRAB−Bとして公知である。
【0260】
(小リボヌクレオタンパク質(Smタンパク質:Pfam 登録番号 PF01423) 配列番号1495は、小リボヌクレオタンパク質(Smタンパク質)に類似の配列を有するポリペプチドを表す。前mRNAスプライシングに関するU1、U2、U4/U6およびU5小核リボヌクレオタンパク質粒子(snRNP)は、共通して7つのSmタンパク質(B/B’、D1、D2、D3、E、FおよびG)を含み、これらは、4つの主要なスプライセオソームの小核RNAに存在するSm部位の周りに構築する(Hermannら、EMBO J.14:2076〜2088(1995))。Smタンパク質は、前mRNAスプライシングに必須であり、そして安定で、生化学的に活性なsnRNP構造体の形成に関する。
【0261】
(カチオン流出ファミリー(Pfam 登録番号 PF01545) 配列番号563、766および1545は、カチオン流出ファミリーのメンバーに類似の配列を有するポリペプチドを表す。このファミリーのメンバーは、二価の金属イオン(例えば、カドミウム、亜鉛およびコバルト)に対する耐性を増加する、内在膜タンパク質である。これらのタンパク質は、細胞からこれらのイオンを除く流出ポンプである(Xiongら、J.Bacteriol.180:4024〜4029(1998);Kunitoら、Biosci.Biotechnol.Biochem.60:699〜704(1996))。
【0262】
(FG−GAP繰り返し(Pfam 登録番号 PF01839) 配列番号1486は、FG−GAP繰り返しを有するポリペプチドを表す。このファミリーは、αインテグリン中に7つまでのコピーで見出される細胞外繰り返しを含む。この繰り返しは、βプロペラ構造に折り畳まれると予測されている(Springerら、Proc Natl Acad Sci U S A 1997;94:65〜72)。この繰り返しは、繰り返しにおける2つの保存モチーフの後のFG−GAP繰り返しと呼ばれる(Spring,同書)。このFG−GAP繰り返しは、リガンド結合のために重要であることが示されている領域である、インテグリンα鎖のN末端に見出される(Loftusら、J.Biol Chem 1994;269:25235〜25238)。推定のCa2+結合モチーフが、いくつかの繰り返しにおいて見出される。
【0263】
(希釈(DIL)ドメイン(Pfam 登録番号 PF01843) 配列番号1548は、DILドメインを有するポリペプチドを表す。希釈は、尾部、またはII型(αヘリックスコイルドコイル)およびI型(非コイルドコイル)ミオシン重鎖の両方の要素を有する領域であるC末端を有する、ミオシン重鎖の型をコードする。このDIL非αヘリックスドメインは、希釈ミオシン重鎖タンパク質および他のミオシンにおいて見出される。マウスにおいて、希釈タンパク質は、メラノサイトおよびニューロンの細胞内プロセスの同化、維持、または機能において役割を果たす(Mercerら、Nature 349(6311):709〜713(1991))。Saccharomyces cerevisiaeのDIL含有MYO2タンパク質は、ベクターの小胞輸送に関連し、そして事実上その全長にわたって希釈タンパク質と相同性である(Johnstonら、J.Cell Biol.113(3):539〜551(1991))。
【0264】
(ユビキノール−シトクロムCレダクターゼ複合体14kDサブユニット(Pfam 登録番号 PF022771) 配列番号419および1519は、ユビキノール−シトクロムCレダクターゼ複合体14kDサブユニットに類似の配列を有するポリペプチドを表す。シトクロムbd型末端オキシダーゼは、キノール依存性、Na+非依存性酸素取り込みを触媒する。このファミリーのメンバーは、必須の膜タンパク質であり、そしてプロトヘム(protoheame)IX中心B558を含む。シトクロムbdは、腸内細菌Klebsiella pneumoniaeにおける微好気性窒素固定において役割を果たし、ここで、これは、ジアゾ栄養性を容認にする全ての条件下で発現される。複合体の14kD(またはVI)サブユニットは、直接電子伝達に関連しないが、複合体の構築における役割を有する(Braunら、Plant Physiol.107(4):1217〜1223(1995))。
【0265】
(シチジルトランスフェラーゼ(Pfam 登録番号 PF02348) 配列番号109、394、569、1128および1535は、シチジルトランスフェラーゼファミリーのタンパク質に類似の配列を有するポリペプチドを表し、これらは、リポ多糖の生合成に関する。このファミリーは、2つの主要なシチジルトランスフェラーゼ活性体:1)反応:−CTP+3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソン酸塩←→二リン酸+CMP−3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソン酸塩、を触媒する3−デオキシ−マンノ−オクツロン酸シチジルトランスフェラーゼ(Strohmaierら、J Bacteriol 1995;177:4488〜4500)EC:2.7.7.38;および2)反応:−CTP+N−アシルノイラミン酸塩←→二リン酸+CMP−N−アシルノイラミン酸N−アセチルノイラミン酸、を触媒するアシルノイラミン酸シチジルトランスフェラーゼ EC:2.7.7.43(Munsterら、Proc Natl Acad Sci U S A 1998;95:9140〜9145;Tulliusら、J.Biol Chem 1996;271:15373〜15380)からなり、シチジルトランスフェラーゼ(EC 2.7.7.43)(CMP−NeuAcシンテターゼ)は、CTPおよびNeuAcの反応を触媒してCMP−NeuAcを形成し、これはシアルトランスフェラーゼによって使用されるヌクレオチド糖ドナーである。いくつかの微生物の外膜リポ多糖は、N−アセチルラクトサミンに結合した末端シアル酸を含み;故に、この改変は、病原体において重要であり得る。
【0266】
(ラミニンGドメイン(Pfam 登録番号 PF00054)) 配列番号1521は、ラミニンの長腕球状ドメインにおいて、最初に記載された相同ドメインであるラミニン−Gドメインを有するポリペプチドを表す(Vuolteenahoら、J.Biol.Chem.265:15611〜15616(1990))。類似の配列がまた、多数の細胞外タンパク質に存在する。ラミニンは、ヘパリンに結合する(Yurchencoら、J.Biol.Chem.268(11):8356〜8365(1993);Sungら、Eur.J.Biochem.250(1):138〜143(1997))。ラミニン−Gドメインの構造は、ペントラキシンの構造に似ていると予想されている(Beckmannら、J.Mol.Biol.275:725〜730(1998))。ラミニンGドメインを有する例示的なタンパク質としては、ラミニン、メロシン、アグリン、ニューレキシン、ビタミンK依存性タンパク質S、および性ステロイド結合タンパク質SBP/SHBGが挙げられる。
【0267】
(4Fe−4S鉄硫黄クラスター結合タンパク質、NifH/frxCファミリー(Pfam 登録番号 PF00142)) 配列番号1100は、4Fe−4S鉄硫黄クラスター結合タンパク質、NifH/frxCファミリーに類似の配列を有するポリペプチドを表す。窒素固定細菌は、2つの成分を含むニトロゲナーゼ酵素複合体(EC 1.18.6.1)を有し、これは分子窒素のアンモニアへの還元を触媒し:成分I(ニトロゲナーゼMoFeタンパク質またはジニトロゲナーゼ)は、2つそれぞれが非同一のサブユニットである2つの分子を含み;成分II(ニトロゲナーゼFeタンパク質またはジニトロゲナーゼレダクターゼ)は、一量体がnifH遺伝子によってコードされるホモ二量体である。成分IIは、1つのホモ二量体当たり、2つのATP結合ドメインおよび1つの4Fe−4Sクラスターを有し:これはATP加水分解によってエネルギーを供給し、そして分子窒素をアンモニアに還元するために、電子を、還元されたフェレドキシンまたはフラボドキシンから成分Iに伝達する。これらのタンパク質の配列中には、多数の保存領域があり:N末端区分中に、1つのATP結合部位モチーフ「A」(P−ループ)があり、そして中心区分中に、nifHにおいて4Fe−4Sクラスターのリガンドであると示されている、2つの保存されたシステインがある。
【0268】
(サイクロフィリン型ペプチジルプロリルシス−トランスイソメラーゼ(Pfam 登録番号 PF00160)) 配列番号134、259、363、1101、および1267は、シクロフィリン型ペプチジル−プロリルシス−トランスイソメラーゼタンパク質ファミリーに類似の配列を有するポリペプチドを表す。シクロフィリン(Stamnesら、Trends Cell Biol.2:272〜276(1992))は、免疫抑制薬シクロスポリンA(CSA)のための脊椎動物における主要な高親和性結合タンパク質であるが、他の生物においてもまた見出される。これは、ペプチジル−プロリルシス−トランスイソメラーゼ活性(EC 5.2.1.8)(PPIaseまたはロタマーゼ(rotamase))を示す。PPIaseは、オリゴペプチドにおけるプロリンイミドペプチド結合のシス−トランス異性化を触媒することによってタンパク質の折り畳みを加速する酵素である(Fischerら、Biochemistry 29:2205〜2212(1990))。おそらくCSAは、PPIaseに対する阻害作用を介していくつかのその効果を媒介する。シクロフィリンAは、細胞質ゾルであり、そして非常に豊富なタンパク質である。このタンパク質は、アイソザイムのファミリーに属し、シクロフィリンBおよびシクロフィリンC、ならびにナチュラルキラー細胞シクロフィリン関連タンパク質を含む(Trandinhら、FASEB J.6:3410〜3420(1992);Galat Eur.J.Biochem.216:689〜707(1993);Hackerら、Mol.Microbiol.10:445〜456(1993))。主要なイソ型が、ERを含む細胞を全体にわたって見出されており、そしていくつかは分泌さえされる。シクロフィリン型PPIaseの異なる形態の配列が、良好に保存される。
【0269】
(ユビキチン結合酵素(Pfam 登録番号 PF00179)) 配列番号7は、ユビキチン結合酵素に類似の配列を有するポリペプチドを表す。ユビキチン結合酵素(EC 6.3.2.19)(UBCまたはE2酵素)(Jentschら、Biochim.Biophys.Acta 1089:127〜139(1991);Jentschら、Trends Biochem.Sci.15:195〜198(1990);Hershkoら、Trends Biochem.Sci.16:265〜268(1991))は、標的タンパク質へのユビキチンの共有結合を触媒する。活性化ユビキチン部分は、ユビキチン活性化酵素(E1)からE2へ移され、これは後にユビキチンを、「N末端」認識タンパク質(E3)の助けを用いてまたは助けなしで基質タンパク質に直接結合する。システイン残基が、ユビキチンチオエステル形成のために必要とされる。UBC中に単一の保存されたシステインがあり、そしてこの残基のまわりの領域が、公知のUBCアイオソザイムの配列中に保存される。しかし、例外があり、乳ガン遺伝子産物TSG101は、この活性部位システインを欠くいくつかのUBCホモログの1つである(Pontingら、J.Mol.Med.75:467〜469(1997);Kooninら、Nat.Genet.16:330〜331(1997))。ほとんどの種において、多様な細胞機能に関する多くの形態のUBCがある。
【0270】
(NADHユビキノン/プラストキノンオキシドレダクターゼ鎖6(Pfam 登録番号 PF00499)) 配列番号507および1002は、NADH−ユビキノン/プラストキノンオキシドレダクターゼ鎖6タンパク質ファミリーと配列類似性を有するポリペプチドを表す。細菌において、プロトン転移NADH−キノンオキシドレダクターゼ(NDH−1)は、14の異なるサブユニットからなる。このファミリーに属する鎖は、複合体の膜セクターを構築するサブユニットである。これは、NADHを利用してユビキノンをユビキノールに還元する。植物において、葉緑体NADH−プラストキノンオキシドレダクターゼは、プラストキノンをプラストキノールに還元する。種々の供給源からのミトコンドリアNADH−ユビキノンオキシドレダクターゼは、ユビキノンをユビキノールに還元する。
【0271】
(APエンドヌクレアーゼファミリー1(Pfam 登録番号 PF00895)) 配列番号10および1107は、APエンドヌクレアーゼファミリー1のメンバーに類似の配列を有するポリペプチドを表す。DNA損傷因子(例えば、抗腫瘍薬ブレオマイシンおよびネオカルチノスタチン、または活性酸素ラジカルを生成する因子)は、DNAにおいて種々の損傷を生成する。これらのほとんどは、塩基を損失し、アプリン/アピリミジン(AP)部位または異常な3’末端での鎖の切断を形成する。AP部位でのDNA修復は、ホスホジエステル骨格の特異的エンドヌクレアーゼ切断によって開始される。このようなエンドヌクレアーゼはまた、一般にDNA鎖切断の3’末端からブロック基を除き得る。
【0272】
APエンドヌクレアーゼは、配列類似性に基づいて2つのファミリーに分類され得る。このファミリーは、APエンドヌクレアーゼファミリー1のメンバーを含む。Rrp1およびarpを除いて、これらの酵素は、約300アミノ酸残基のタンパク質である。Rrp1およびarpの両方は、そのN末端部分(Rrp1について約400残基およびarpについて約270残基)においてさらなる配列および関連しない配列を含む。このタンパク質はグルタミン酸塩を含み、Escherichia coliにおいて酵素が二価の金属イオン(例えば、マグネシウムまたはマンガン)に結合することが示されている(Molら、Nature 374:381〜386(1995))。
【0273】
(後期発現因子2(lef−2;Pfam 登録番号 PF03041)) 配列番号405は、後期発現因子2ファミリーのポリペプチドのメンバーをコードするポリヌクレオチドを表す。バキュロウイルス由来のlef−2遺伝子は、後期遺伝子の発現のために必要とされ、そしてvp39およびpolhプロモーターからの発現に特に必要とされることが示されている(PassarelliおよびMiller,J.Virol.(1993)Apr;67(4):2149〜58)。Lef−2は、Lymantria dispar多カプシド核多核体病ウイルス(LdMNPV)およびOrgyia pseudotsugata多カプシド多核体病ウイルス(OpMNPV)の両方において見出されている。
【0274】
(パピローマウイルスE5(パピローマ E5;Pfam 登録番号 PF03025)) 配列番号1051は、パピローマウイルスE5ファミリーのポリペプチドのメンバーをコードするポリヌクレオチドに対応する。パピローマウイルス由来のE5タンパク質は、約80アミノ酸長であり、そして膜貫通αヘリックスであると予想されている3つの領域を含む。
【0275】
(雄性不妊タンパク質(不妊;Pfam 登録番号 PF03015)) 配列番号391は、雄性不妊タンパク質ファミリーのメンバーをコードする。このファミリーは、多数の生物における雄性不妊タンパク質のC末端領域を表す。このファアミリーの1員である、Arabidopsis thaliana雄性不妊2(MS2)タンパク質は、雄の生殖子発生に関連する。MS2タンパク質は、伸長/縮合複合体におけるレダクターゼ(例えば、ろう状脂肪酸を脂肪アルコールに転換するアシルCoAレダクターゼであるホホバタンパク質(またこの群のメンバー))に類似の配列を示す。MS2タンパク質は、花粉壁基質の形成に関する脂肪アシルレダクターゼであり得る(Aartsら、Plant.J.(1997)Sep;12(3):615〜23)。
【0276】
(チトクロムCオキシダーゼサブユニットII、膜貫通ドメイン(COX2 TM;Pfam 登録番号 PF02790)) 配列番号1183は、チトクロムCオキシダーゼサブユニットII膜貫通ドメイン(COX2_TM)を含む遺伝子に対応する。チトクロムCオキシダーゼは、呼吸鎖の成分であるオリゴマーの酵素複合体であり、そしてチトクロムCから酸素への電子の伝達に関する(Capaldiら、Biochim.Biophys.Acta(1983)726:135〜148;Garcia−Horsmanら、J.Bacteriol.(1994)176:5587〜5600)。真核生物において、この酵素複合体は、ミトコンドリアの内膜に配置され;好気性原核生物において、これは原形質膜において見出される。この酵素複合体は、3〜4のサブユニット(原核生物)から13のポリペプチドまで(哺乳動物)からなる。
【0277】
チトクロムCオキシダーゼ(COX2_TM)のサブユニット2は、電子を、チトクロムCから触媒サブユニット1に伝達する。これは、そのN末端における2つの隣接する膜貫通領域を含み、そしてこのタンパク質の主要な部分が、それぞれペリプラズムまたはミトコンドリアの内膜空間に曝露される。COX2_TMは、基質結合部位を提供し、そしておそらくチトクロムCオキシダーゼの主な受容体である、Cu(A)と呼ばれる銅中心を含む。いくつかの細菌のCOX2_TMは、共有結合ヘムcを含むC末端伸長を有する。このコンセンサスパターンは、以下である:V−x−H−x(33,40)−C−x(3)−C−x(3)−H−x(2)−M、ここで2つのCおよび2つのHは、銅リガンドである。
【0278】
(特徴付けされていないACR、YggUファミリーCOG1872(DUF167;Pfam 登録番号 PF02594)) 配列番号46、813、935および1225は、E.coliの特徴付けされていないACR、YggUファミリーCOG1872のタンパク質のメンバーをコードするポリヌクレオチドに対応する。E.coliにおけるこのタンパク質は、GSHB−ANSB遺伝子間領域における仮定の10.5kDaタンパク質である。
【0279】
(フォスデューシン(フォスデューシン;Pfam 登録番号 PF02114)) 配列番号267および771は、フォスデューシンモチーフをコードする配列に対応する。脊椎動物の棒状光受容体細胞の外側セグメントおよび内側セグメントはフォスデューシン、GTP結合タンパク質のβ/γサブユニットと複合体化する可溶性ホスホタンパク質、トランスデューシンを含む(Leeら、J.Biol.Chem.(1990)265:15867〜15873)。環式ヌクレオチドレベルにおける光誘導変化は、プロテインキナーゼAによってフォスデューシンのリン酸化を調節する(Leeら、J.Biol.Chem.(1990)265:15867〜15873)。このタンパク質は、可視の光伝達の調節または光レセプター代謝の統合に関係すると考えられる。類似のタンパク質が、松果体から単離されており(Abeら、Gene(1990)91:209〜215):この33kDaのタンパク質は、同じ配列および同じリン酸化部位を有し、タンパク質の機能的役割が、網膜および松果体の両方において同じであることを示唆する。
【0280】
フォスデューシンモチーフは、フォスデューシンについての特徴を提供する8要素のフィンガープリントである。このフィンガープリントは、7つの配列の最初の整列から誘導され、ここでこのモチーフは、実質的に整列の全長を架橋する保存領域から得られる。この8つの要素の配列は以下のとおりである:
【0281】
【化2】
Figure 2004526429
(実施例6:アレイおよび患者組織サンプルの供給源を用いる差示的発現の検出)
患者から得られたガンおよび正常な胸部、結腸、および前立腺組織サンプルから単離したmRNAを、分析してガン細胞および正常細胞において差示的に発現される遺伝子を同定した。正常組織およびガン組織を、当該分野において周知の技術である、レーザー捕獲顕微解剖(LCM)技術を用いて患者から収集した(例えば、Ohyamaら、(2000)Biotechniques 29:530〜6;Curranら、(2000)Mol.Pathol.53:64〜8;Suarez−Quianら、(1999)Biotechniques 26:328〜35;Simoneら(1998)Trends Genet 14:272〜6;Coniaら、(1997)J.Clin.Lab.Anal.11:28〜38;Emmert−Buckら、(1996)Science274:998〜1001を参照のこと)。
【0282】
表10(特許請求の範囲の前に挿入される)は、結腸組織サンプルを単離した各患者についての情報を提供し、以下を含む:患者ID(「PT ID」)および病状報告ID(「病状ID」)、これは、識別の目的のために患者および病状報告に割り当てられた番号であり;患者が割り当てられている群(「群」);腫瘍の解剖学的位置(「解剖学的位置」);最初の腫瘍サイズ(「サイズ」);最初の腫瘍の分類(「分類」);組織病理学的分類の識別(「組織病理学的分類」);腫瘍が浸潤した局部の記載(「局部浸潤」);リンパ節転移の存在(リンパ節転移);リンパ節転移の発生率(試験されたリンパ節の数にわたる転移について陽性のリンパ節の数として提供される)(「リンパ節転移発生率」);局部のリンパ節分類(「局部のリンパ節分類」);腫瘍およびその位置に遠い部位への転移の同定または検出(「遠隔転移および位置」);遠隔転移の分類(「遠隔転移分類」)ならびに患者または腫瘍についての一般の所見(「所見」)。腫瘍を発生した全ての最初の腫瘍の組織分類学は、患者ID番号130(これに対して何の情報も提供されていない)、392(ここで、細胞の50%以上が粘液性癌腫)、および784(腺扁平上皮癌)を除いて腺癌であった。結節外延長を、3人の患者、患者ID番号784、789、および791に記載した。リンパ管浸潤を、患者ID番号128、278、517、534、784、786、789、791、890および892において記載した。クローン様浸潤を、7人の患者、患者ID番号52、264、268、392、393、784および791に記載した。
【0283】
表11は、以下に前立腺組織サンプルを単離した各患者についての情報を提供し、以下を含む:1)「患者ID」、これは識別の目的のために患者に割り当てられた番号であり;2)「組織型」;および3)腫瘍の「グレーソンの分類」。腫瘍を示す全ての腫瘍の組織病理学は、腺癌であった。
【0284】
【表11】
Figure 2004526429
表12は、胸部組織サンプルを単離した各患者についての情報を提供し、以下を含む:1)「患者番号」、識別の目的のために患者に割り当てられた番号;2)「組織病理学」、これは、腫瘍が腺管内癌(IDC)またはインサイチュでの腺管癌(DCIS)として特徴づけられるか否かを示し;3)患者において試験された総数からの転移に対する陽性のリンパ節の数として表される、リンパ節転移の発生率(LMF);4)「腫瘍サイズ」;5)「TNM段階」、これは、腫瘍の分類(T#)を提供し、ここで、数は分類を示し、そして「p」は、腫瘍の分類が、病理学的分類であることを示す;局部的リンパ節転移(N#)、ここで「0」は、リンパ節の転移が見出されなかったことを示し、「1」は、リンパ節転移が見出されたことを示し、そして「X」は、情報が有効でないことを意味し、そして;遠隔転移がないことを示す「X」を用いて、腫瘍およびその位置(M#)に遠い部位への転移の同定または検出を報告し;そして腫瘍の段階(「段階分類」)「nr」は、「報告がいない」ことを示す。
【0285】
【表12】
Figure 2004526429
(差示的発現される遺伝子の同定)
cDNAプローブを、上記の患者細胞から単離した総RNAから調製した。LCMが、実質的に相同な細胞サンプルを提供する特定の細胞型の単離を提供するため、これは同様に純粋なRNAサンプルを提供する。
【0286】
総RNAを、第1に、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むプライマーを用いてcDNAに逆転写し、続いて第2に鎖DNAを合成した。次いで、cDNAを、インビトロで転写し、T7プロモーター媒介発現を用いてアンチセンスRNAを生成し(例えば、Luoら(1999)Nature Med5:117〜122を参照のこと)、次いでアンチセンスRNAをcDNAに転換した。第2セットのcDNAを、T7プロモーターを用いて再度インビトロで転写し、アンチセンスRNAを提供した。必要に応じて、RNAを再度cDNAに転換し、3回までT7媒介増幅を許容してより多くのアンチセンスRNAを生成した。従って、2回または3回のインビトロでの転写を提供して蛍光標識のために使用される最終RNAを生成した。
【0287】
蛍光プローブを、第1にアンチセンスRNA混合物にコントロールRNAを添加することによって生成し、そしてRNA開始材料から蛍光標識cDNAを作製した。腫瘍RNAサンプルから調製した蛍光標識cDNAを、正常細胞RNAサンプルから調整した蛍光標識cDNAと比較した。例えば、正常細胞由来のcDNAプローブを、Cy3蛍光色素(緑)を用いて標識し、そして腫瘍細胞から調製したcDNAプローブを、Cy5蛍光色素(赤)を用いて標識し、そしてその逆でも標識した。
【0288】
使用された各アレイは、同一の空間配置およびコントロールスポットセットを有していた。各マイクロアレイを2つの領域に分け、各領域の各半分に、各アレイ上の総数約9,216スポットについて、12の分類の32×12スポットを有していた。この2つの領域を、アレイ当たり少なくとも2つの各クローンの複写を提供するように同一にスポットする。
【0289】
アレイにおける使用のためのポリヌクレオチドを、公的に使用可能な供給源ならびに選択された細胞株および患者組織から作製されたcDNAライブラリーの両方から得た。これらの供給源から増幅された約0.5kb〜2.0kbのPCR産物を、製造者の推薦に従ってMolecular Dynamics GenIII spotterを用いてアレイ上にスポットした。アレイ上の24の領域のそれぞれの第1列は、約32のコントロールスポットを有し、4つの陰性コントロールスポットおよび8つの試験ヌクレオチドを含んでいた。この試験ポリヌクレオチドを、2〜600pg/スライドおよび1:1の比の濃度範囲で標識反応する前に、各サンプル中に入れた。各アレイ設計について、2つのスライドを、標識反応において逆標識されるサンプルとハイブリダイズした。これは、各クローンについて約4つの複製測定値、各サンプルについて2つのうち1つは色でそして2つはその他であるものを提供した。
【0290】
差示発現アッセイを、同じ患者の腫瘍細胞および正常細胞由来の等量のプローブを混合することによって、実行した。アレイを、5×SSC/0.2%SDS/1mM EDTA中で60℃で約2時間プレハイブリダイズし、次いで水中で3回およびイソプロパノール中で2回洗浄した。アレイのプレハイブリダイゼーションに続いて、次いでプローブ混合物を、高いストリンジェンシー(50%ホルムアミド、5×SSC、および0.2%SDS中で42℃で一晩)の条件下でハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、アレイを以下のように55℃で3回洗浄した:1)第1に1×SSC/0.2%SDS中で洗浄し;2)第2に0.1×SSC/0.2%SDS中で洗浄し;そして3)第3に0.1×SSC中で洗浄した。
【0291】
次いで、このアレイを、Molecular Dynamics Generation III 二重色レーザー走査器/検出器を用いて緑および赤の蛍光について走査した。この画像を、BioDiscovery Autogeneソフトウェアを用いて処理し、そして各走査セットからのデータを、標準化して正常なものと比較した発現の比を提供した。マイクロアレイ実験からのデータを、E.J.Moler,M.A.BoyleおよびF.M.Randazzoによって2000年11月20日に提出し、そして「Precision and accuracy in cDNA microarray data」と題された、米国特許出願番号60/252,358に記載されたアルゴリズムに従って分析した。この出願は、特に本明細書中で参考として援用される。
【0292】
実験を繰り返した(このとき、両方の「色方向」でアッセイを実行するために、2つのプローブを反対の色で標識した)。各実験を、ときどき、さらに2つのスライド(各色方向のスライド)で繰り返した。アレイ上の各配列についての蛍光レベルを、8複製スポット/4つのアレイからの遺伝子、または4複製スポット/2つのアレイからの遺伝子、またはいくつかの他の組み合わせの幾何平均の比として表した。データは、各2連の領域に存在するスパイクした(spiked)ポジティブコントロールを用いて正規化し、そしてこの正規化の精度を各差異の有意さの最終的な決定に含めた。各スポットの蛍光強度もまた、各2連の領域においてネガティブコントロールに対して比較し、どのスポットが各サンプルにおいて有意な発現レベルを検出したかを決定した。
【0293】
蛍光強度の統計学的な分析を2連スポットの各セットに適用し、各異なる測定の正確さおよび有意さを評価し、各患者の腫瘍サンプルと正常サンプルとの間の発現レベルに差異が存在しないという拘束力のない仮説を試験するp値を得る。マイクロアレイの最初の分析の間に、p>10−3という仮説を受け入れ、そして差異の比は、これらのスポットに対して1,000に設定した。全ての他のスポットが、腫瘍サンプルと正常サンプルとの間で発現に有意な差異を有する。腫瘍サンプルが検出可能な発現を有し、そして正常サンプルがそうでない場合、この比は、1000で切り捨てられる。なぜなら、正常サンプルにおける発現についての値が0であり、そしてこの比は数理的に有用な値ではないからである(例えば、無限大)。正常サンプルが検出可能な発現を有し、そして腫瘍サンプルがそうでない場合、この比は、0.001まで切り捨てられる。なぜなら、腫瘍サンプルにおける発現についての値が0であり、そしてこの比は数理的に有用な値ではないからである。これらの後者の2つの状況を、本明細書中において「オン/オフ(on/off)」と称する。データベースの表は、95%の信頼水準を使用して構成させた(p>0.05)。
【0294】
表13(以下に挿入する)は、試験される患者の少なくとも20%において、正常な組織サンプルと比較して、癌性前立腺組織サンプル、癌性結腸組織サンプル、または癌性胸部組織サンプル中で少なくとも2倍以上遺伝子産物が発現されるという結果を提供する。表12は、1)本明細書における使用のための各配列に割当てられた配列番号(「配列ID」);2)クラスター同定番号(「CLUSTER」);3)遺伝子の発現レベル(例えば、メッセージレベルとして)が適合する正常組織と比較して癌性乳房組織において少なくとも2倍大きかった試験患者のパーセンテージ(「乳房患者>=2x」);4)遺伝子の発現レベル(例えば、メッセージレベルとして)が適合する正常乳房細胞における発現レベルの1/2以下であった試験患者のパーセンテージ(「乳房患者<=halfx」);5)遺伝子の発現レベル(例えば、メッセージレベルとして)が適合する正常組織と比較して癌性結腸組織において少なくとも2倍大きかった試験患者のパーセンテージ(「結腸患者>=2x」);6)遺伝子の発現レベル(例えば、メッセージレベルとして)が適合する正常結腸細胞における発現レベルの1/2以下であった試験患者のパーセンテージ(「結腸患者<=halfx」);7)遺伝子の発現レベル(例えば、メッセージレベルとして)が適合する正常組織と比較して癌性前立腺組織において少なくとも2倍大きかった試験患者のパーセンテージ(「前立腺患者>=2x」)および;8)遺伝子の発現レベル(例えば、メッセージレベルとして)が適合する正常前立腺細胞における発現レベルの1/2以下であった試験患者のパーセンテージ(「前立腺患者<=halfx」)を含む。
【0295】
これらのデータは、示された配列を有するポリヌクレオチドによって表される遺伝子が、正常な非癌性胸部組織と比較して乳癌において差示的に発現されること、正常な非癌性結腸組織と比較して結腸癌において差示的に発現されること、正常な非癌性前立腺組織と比較して前立腺癌において差示的に発現されることの証拠を提供する。
【0296】
(実施例7:遺伝子発現のアンチセンス調節)
癌性細胞においてこれらのポリヌクレオチドによって表される差示的に発現される遺伝子の発現を、アンチセンスノックアウト技術を用いてさらに分析し、腫瘍形成(例えば、転移表現型の促進)における遺伝子産物の役割および機能を確認し得る。
【0297】
アンチセンス技術を用いる分析のための方法は、当該分野で周知である。例えば、本明細書中で同定された差示的に発現される遺伝子によって生成されるmRNAに相補的な多数の異なるオリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして設計され得、そしてそれらの遺伝子の発現を抑制するそれらの能力について試験され得る。各候補標的に特異的なアンチセンスオリゴマーのセットを、差示的に発現される遺伝子に対応するポリヌクレオチドの配列およびソフトウェアプログラムHYBsimulator Version 4(Windows(登録商標)95/Windows(登録商標)NTに対して利用可能であるか、またはPower Macintoshに対して利用可能である、RNAture,Inc.1003 Health Sciences Road.West,Irvine,CA 92612 USA)を用いて設計する。アンチセンスオリゴヌクレオチドを設計する場合に考慮する因子としては、以下が挙げられる:1)癌性細胞においてこれらのポリヌクレオチドによって表される差示的に発現される遺伝子の発現が、アンチセンスノックアウト技術を用いてさらに分析され、腫瘍形成(例えば、転移表現型の促進)における遺伝子産物の役割および機能を確認し得る。
【0298】
本明細書中で同定された差示的に発現される遺伝子によって生成されるmRNAに相補的な多数の異なるオリゴヌクレオチドが、可能性のあるアンチセンスオリゴヌクレオチドとして設計され得、そしてそれらの遺伝子の発現を抑制するそれらの能力について試験され得る。各候補標的に特異的なアンチセンスオリゴマーのセットを、差示的に発現される遺伝子に対応するポリヌクレオチドの配列およびソフトウェアプログラムHYBsimulator Version 4(Windows(登録商標)95/Windows(登録商標)NTに対して利用可能であるか、またはPower Macintoshに対して利用可能である、RNAture,Inc.1003 Health Sciences Road.West,Irvine,CA 92612 USA)を用いて設計する。アンチセンスオリゴヌクレオチドを設計する場合に考慮する因子としては、以下が挙げられる:1)オリゴヌクレオチドの二次構造;2)標的遺伝子の二次構造;3)他の発現される遺伝子に対して皆無または最小の交差ハイブリダイゼーションを伴なう、特異性;4)安定性;5)長さ、および6)末端GC含量。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、高いストリンジェンシーの条件下で生理学的温度(例えば、細胞におけるハイブリダイゼーションを提供するための培養物中での細胞に対して最適な温度(例えば、約37℃))においてその標的配列にハイブリダイズするが、ホモダイマーは最小限に形成するように、設計される。
【0299】
これらのオリゴマーセットおよびHYBsimulatorプログラムを用いて、3〜10個のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびこれらの逆コントロールを、各候補mRNA転写物について設計し、そして合成した(この転写物は、目的の標的ポリヌクレオチド配列に対応する遺伝子から得られる)。一旦合成し、そして定量すれば、これらのオリゴマーを、癌細胞株のパネルにおいて転写物ノックアウトの効率についてスクリーニングする。ノックアウトの効率は、光サイクラー(lightcycler)定量を用いてmRNAレベルを分析することによって決定する。最も高いレベルの転写ノックアウトを生じるオリゴマー(ここで、このレベルは、少なくとも約50%、好ましくは約80〜90%、95%まで、またはさらに検出不可能なメッセージまで)を、細胞に基づく増殖アッセイ、足場非依存性増殖アッセイ、およびアポトーシスアッセイにおいて使用するために選択する。
【0300】
遺伝子発現を阻害するように各々設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力を、LNCaP、PC3、22Rv1、MDA−PCA−2b、またはDU145前立腺癌腫細胞へのトランスフェクションを介して試験する。各トランスフェクション混合物において、キャリア分子(例えば、脂質、脂質誘導体、脂質様分子、コレステロール、コレステロール誘導体、またはコレステロール様分子)を、水中で0.5mMの作動濃度に調製し、均一な溶液を得るために超音波処理し、そして0.45μm PVDF膜を通して濾過する。次いで、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはコントロールオリゴヌクレオチドを、滅菌Millipore水中で100μMの作動濃度に調整する。このオリゴヌクレオチドをさらに、微量遠心管においてOptiMEMTM(Gibco/BRL)中に2μMまで希釈するか、または約20μg オリゴ/OptiMEMTM mlに希釈する。別の微量遠心管において、キャリア分子(代表的に、1.5〜2nmolキャリア/μg アンチセンスオリゴヌクレオチドの量である)を、オリゴヌクレオチドを希釈するために使用するOptiMEMTMの同じ容量に希釈する。この希釈したアンチセンスオリゴヌクレオチドを、希釈キャリアにすぐに添加し、そして上下にピペッティングすることによって混合する。オリゴヌクレオチドを、30nMの最終濃度まで細胞に添加する。
【0301】
トランスフェクトされた細胞における目的の標的遺伝子に対応する標的mRNAのレベルを、Roche LightCyclerTMリアルタイムPCR機器を用いて癌細胞株中で定量する。標的mRNAについての値を、内部コントロール(例えば、β−アクチン)に対して正規化する。各20μlの反応について、抽出したRNA(一般的に、総量0.2〜1μg)を、0.5mlまたは1.5mlの滅菌微量遠心チューブに配置し、そして水を総量12.5μlまで添加する。各チューブに対し、7.5μlの緩衝液/酵素混合液を添加し、この緩衝液/酵素混合液は、(列挙される順に)2.5μl HO、2.0μl 10×反応緩衝液、10μl オリゴdT(20pmol)、1.0μl dNTPmix(各10mM)、0.5μl RNAsin(登録商標)(20u)(Ambion,Inc.,Hialeah,FL)、および0.5μl MMLV逆転写酵素(50u)(Ambion,Inc.)を混合することによって調製する。内容物を上下にピペッティングすることによって混合し、そしてこの反応混合物を、42℃で1時間インキュベートする。各チューブの内容物を、増幅する前に遠心分離する。
【0302】
増幅混合物を、以下の順序で混合することによって調製する:1×PCR緩衝液II、3mM MgCl、140μM 各dNTP、0.175pmol 各オリゴ、1:50,000dilのSYBR(登録商標)Green、0.25mg/ml BSA、1単位のTaqポリメラーゼ、および20μlまでのHO。(PCR緩衝液IIは、10×濃縮物でPerkin−Elmer,Norwalk,CTから入手可能である)。1×濃縮物において、これは、10mM Tris(pH8.3)および50mM KClを含む。SYBR(登録商標)Green(Molecular Probes,Eugene,OR)は、二本鎖DNAに結合した場合に蛍光を発する色素である。二本鎖PCR産物が増幅の間に生成されるので、SYBR(登録商標)Greenからの蛍光は増大する。増幅混合物の各20μlアリコートに対して、2μlのテンプレートRTを添加し、そして増幅を、標準的なプロトコルに従って実行する。この結果は、トランスフェクトされていない細胞、ビヒクルのみがトランスフェクトされた(mockトランスフェクトされた)細胞、または逆コントロールオリゴヌクレオチドがトランスフェクトされた細胞に関する、対応する遺伝子産物の発現における低下のパーセントとして表す。
【0303】
(実施例8:増幅に対する発現の効果)
細胞増殖の阻害に対する遺伝子発現の効果を、転移乳癌細胞株(MDA−MB−231(「231」));SW620結腸直腸癌種細胞;SKOV3細胞(ヒト卵巣癌腫細胞株);またはLNCaP、PC3、22Rv1、MDA−PCA−2b、もしくはDU145前立腺癌腫細胞において評価し得る。
【0304】
細胞を、96ウェルプレートにおいて約60〜80%のコンフルエンスに播く。アンチセンスまたは逆コントロールオリゴヌクレオチドを、OptiMEMTM中で2μMに希釈する。次いで、このオリゴヌクレオチド−OptiMEMTMを、送達ビヒクルに添加し、この送達ビヒクルは、そのアッセイに使用される特定の細胞型に対して最適化されるように選択され得る。次いで、このオリゴ/送達ビヒクル混合物は、それらの細胞に対する血清を含む培地中にさらに希釈される。全ての実験に対してオリゴヌクレオチドの最終濃度は、約300nMであり得る。
【0305】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを、上記(実施例3を参照のこと)のように調製する。細胞を一晩37℃にてトランスフェクトし、そしてこのトランスフェクション混合物を翌朝に新しい培地で置換する。トランスフェクションを実施例8において、上記のように実行する。
【0306】
SW620細胞の増殖阻害を生じるこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、対応する遺伝子が癌性結腸細胞において癌性の表現性の生成または維持において機能することを示す。SKOV3において増殖を阻害するこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌性乳癌細胞において癌性の表現型の生成または維持において機能する遺伝子を示す。MDA−MB−231細胞の増殖の阻害を生じるこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、対応する遺伝子が、癌性卵巣細胞において癌性の表現型の生成または維持において機能することを示す。LNCaP、PC3、22Rv1、MDA−PCA−2b、またはDU145細胞において増殖を阻害するこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌性前立腺細胞における癌性の表現性の生成または維持において機能する遺伝子を表す。
【0307】
(実施例9:細胞移動に対する遺伝子発現の効果)
細胞移動の阻害における遺伝子発現の効果を、静的(static)内皮細胞結合アッセイ、非静的(non−static)内皮細胞結合アッセイ、および移行アッセイを用いて、LNCaP、PC3、22Rv1、MDA−PCA−2b、またはDU145前立腺癌細胞において評価し得る。
【0308】
静的内皮細胞結合アッセイについて、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、上記のように調製する(実施例8を参照のこと)。使用の2日前、前立腺癌細胞(CaP)を、プレートに播き、そして上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてトランスフェクションする(実施例3および4を参照のこと)。使用する前の日に、培地を新しい培地と置換し、使用する日に、その培地を2μM CallTracker green CMFDA(Molecular Probes,Inc.)を含む新しい培地と置換し、そして細胞を30分間インキュベートする。インキュベーション後、CaP培地を新しい培地(CMFDAを含まない)で置換し、そして細胞をさらに30〜60分間インキュベートする。CaP細胞をCMF PBS/2.5mM EDTAまたはトリプシンを用いて剥がし、スピンし、そしてDMEM/1% BSA/10mM HEPES(pH7.0)中に再懸濁する。最後に、CaP細胞を計数し、そして1×10細胞/mlの濃度で再懸濁する。
【0309】
内皮細胞(EC)を、使用する3日前に、40〜50%のコンフルエンスで96ウェルプレートに播く。使用する日に、ECをPBSを用いて1回洗浄し、そして50λ DMDM/1%BSA/10mM HEPES(pH7)を各ウェルに添加する。次いで、各ウェルに、DMEM/1% BSA/10mM HEPES(pH7)中の50K(50λ)CaP細胞を添加する。このプレートをさらに30分間インキュベートし、そしてCa++およびMg++を含むPBSを用いて5回洗浄する。最後の洗浄後、100μLのPBSを各ウェルに添加し、そして蛍光プレートリーダー(Ab492/Em 516nm)にて蛍光を読み取る。
【0310】
非静的内皮細胞結合アッセイについて、CaPを上記のように調製する。ECを使用する3日前に30〜40%のコンフルエンスで24ウェルプレートに播く。使用する日に、ECのサブセットをサイトカインで6時間処理し、次いで、PBSを用いて2回洗浄する。次いで、各ウェルに対して、DMEM/1% BSA/10mM HEPES(pH7)中の150−200K CaP細胞を添加する。プレートを回転シェーカー(70RPM)上に30分間置き、次いで、Ca++およびMg++を含むPBSを用いて3回洗浄する。最後の洗浄後、500μLのPBSを各ウェルに添加し、そして蛍光プレートリーダー(Ab492/Em 516nm)にて蛍光を読み取る。
【0311】
移動アッセイについて、CaPを、以下のように変更させながら上記のように調製する。使用する日に、CaP培地を5μM CellTracker green CMFDA(Molecular Probes,Inc.)を含む新しい培地で置換し、そして細胞を30分間インキュベートする。インキュベーション後、CaP培地を、新しい培地(CMFDAを含まない)で置換し、そして細胞をさらに30〜60分間インキュベートする。CaP細胞をCMF PBS/2.5mM EDTAまたはトリプシンを用いて剥がし、スピンし、そしてEGM−2−MV培地中に再懸濁する。最後に、CaP細胞を計数し、そして1×10細胞/mlの濃度に再懸濁する。
【0312】
ECを、使用する5〜7日前に30〜40%のコンフルエンスでFluorBlokトランスウェル(BD Biosciences)上に播く。培地を使用する3日前および使用する日に新しい培地で置換する。次いで、各トランスウェルに対して、50K標識CaPを添加する。最初の蛍光読み取りの30分前に、10μgのFITC−デキストラン(10K MW)をECプレートフィルターに添加する。次いで、蛍光プレートリーダー(Ab492/Em 516nm)にて複数の時点で蛍光を読み取る。
【0313】
内皮細胞に対するLNCaP、PC3、22Rv1、MDA−PCA−2b、またはDU145前立腺癌細胞の結合の阻害を生じるこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、その対応する遺伝子が、癌性前立腺細胞において癌性の表現型の生成または維持において機能することを示す。LNCaP、PC3、22Rv1、MDA−PCA−2b、またはDU145前立腺癌細胞による内皮細胞移動の阻害を生じるこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、対応する遺伝子が癌性前立腺細胞において癌性の表現型の生成または維持において機能することを示す。
【0314】
(実施例10:コロニー形成に対する遺伝子発現の効果)
SW620細胞、SKOV3細胞、MD−MBA−231細胞、LNCaP細胞、PC3細胞、22Rv1細胞、MDA−PCA−2b細胞、およびDU145細胞のコロニー形成に対する遺伝子発現の効果を、軟寒天アッセイにおいて試験し得る。軟寒天アッセイは、0.6%寒天を含む培地2mlの底部層を最初に確立し、細胞に対する層の形成は数時間以内にすぐにプレート(plated fresh)する。細胞層は、トランスフェクトした細胞を上記のように0.05% トリプシンを用いてプレートから除去し、そして培地中で2回洗浄することによって、下の層の上に形成する。細胞をCoulterカウンターにおいて計数し、そして培地中10/mlに再懸濁する。10μlのアリコートを、96ウェルプレートにおいて培地を用いて配置し(WST1での計数をチェックするために)、または軟寒天アッセイのためにさらに希釈する。800μlの0.4%寒天中の2000個の細胞を、上記の0.6%寒天底部層の上に2連のウェルで配置する。細胞層の寒天を固形化した後、2mlの培地を上に滴らせ、そしてアンチセンスまたは逆コントロールオリゴ(実施例8において上記のように生成する)を送達ビヒクル無しで添加する。新しい培地およびオリゴを3〜4日毎に添加する。コロニーが10日〜3週間で形成される。コロニーの広がりを目でカウントする。Wst−1代謝値を使用して、開始細胞数における小さな差異について補正し得る。大きい広がりを、差異の視覚的な記録についてスキャンし得る。
【0315】
SW620細胞のコロニー形成の阻害を生じるこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、その対応する遺伝子が癌性結腸細胞における癌性の表現型の生成または維持において機能することを示す。SKOV3細胞においてコロニー形成を阻害するこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌性乳房細胞における癌性表現性の生成または維持において機能する遺伝子を示す。MDA−MB−231細胞のコロニー形成の阻害を生じるこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、対応する遺伝子が癌性卵巣細胞における癌性表現型の生成または維持に機能することことを示す。LNCaP、PC3、22Rv1、MDA−PCA−2b、またはDU145細胞におけるコロニー形成を阻害するこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌性前立腺細胞における癌性表現型の生成または維持において機能する遺伝子を表す。
【0316】
(実施例11:mRNAの涸渇によるポリペプチドの涸渇に対する細胞死の誘導(アンチセンスノックアウト))
細胞死に対する標的メッセージの涸渇の効果を評価するために、LNCaP細胞、PC3細胞、22Rv1細胞、MDA−PCA−2b細胞、もしくはDU145細胞、または目的の癌由来の他の細胞を、増殖アッセイのためにトランスフェクトし得る。シスプラチン(cis)の存在下での細胞傷害性効果について、細胞を2μMの薬物の存在下に置いておく以外は、同じプロトコルに従う。各日に、膜損傷に起因して培地中に放出されるLDH酵素の量を測定することによって、細胞傷害性をモニターする。LDHの活性を、Roche Molecular Biochemicals製のCytotoxicity Detection Kitを用いて測定する。データを、培地中に放出されたLDH 対 同じ時点および処置におけるそのウェル中に存在する総LDHの比(rLDH/tLDH)として提供する。BCL2(既知の抗アポトーシス遺伝子)に対するアンチセンスおよび逆コントロールオリゴヌクレオチドを用いたポジティブコントロールを含ませ;BCL2に対するメッセージの損失は、コントロールオリゴヌクレオチドを用いた処理と比較した、細胞死の増加を導く(トランスフェクションに起因するバックグラウンドの細胞傷害性)。
【0317】
(実施例12:癌において差示的に発現される遺伝子産物の機能分析)
癌性細胞において差示的に発現される遺伝子配列の遺伝子産物をさらに、腫瘍形成(例えば、転移表現型の発達の促進または阻害)におけるその遺伝子産物の役割および機能を確認するために分析し得る。例えば、本明細書中に同定される遺伝子に対応する遺伝子産物の機能は、細胞中の遺伝子産物の機能をブロックすることによって評価され得る。例えば、遺伝子産物が分泌されるかまたは細胞表面膜と会合する場合、ブロッキング抗体を作製し、そしてこれを細胞に添加して、例えば、細胞の癌性(特に転移性)表現型へのトランスフォーメーションに関する細胞表現性に対する効果を調べ得る。抗体を作製するために、選択された遺伝子産物に対応するクローンを選択し、そして部分コード配列もしくは完全なコード配列を表す配列を得る。得られるクローンを発現させ、産生されるポリペプチドを単離し、そして抗体を作製する。次いでこの抗体を、細胞をあわせ、腫瘍形成に対するその効果を評価する。
【0318】
本明細書中で同定された差示的に発現される遺伝子の遺伝子産物が既知の機能のタンパク質(例えば、特定のキナーゼまたはプロテアーゼ)および/または既知の機能のタンパク質ファミリーに対する配列相同性を示す場合(例えば、プロテアーゼファミリーまたはキナーゼファミリー中に存在するドメインまたは他のコンセンサス配列を含む場合)、腫瘍形成における遺伝子産物の役割および遺伝子産物の活性を、その対応するタンパク質またはタンパク質ファミリーの機能を阻害または増強する低分子を用いて調べ得る。
【0319】
さらなる機能アッセイとしては、細胞周期および細胞移動に対する対応する遺伝子の発現の効果を分析するアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。このようなアッセイを実行するための方法は、当該分野で周知である。
【0320】
(実施例13:寄託情報)
以下に参照する表中の生物学的材料の寄託は、本出願の出願日または本出願の出願日前に、ブダペスト条約の規定の下、American Type Culrure Collection,10801 University Blvd.,Manasas,VA 20110−2209に行った。表示する登録番号は、好首尾な生存性試験の後に割当てられ、必要な費用は支払っている。これらの培養物に対するアクセスは、37C.F.R.の第1.14節および35U.S.C.の第122節などの下で与えられる委員会によって決定されるものに対して、本出願の係属中に入手可能である。公に対するこの培養物の入手可能性に対する全ての制限は、本出願に基づく特許の許可の際に取り消し不可能に取り外される。さらに、示された寄託は、寄託日から30年の期間にわたってか、または寄託についての最後の要求から5年間か;または米国特許の施行期間にわたってかの、いずれかより長い期間に維持される。培養物が生存不能になるかもしくは偶然に破壊された場合か、またはプラスミド含有株の場合にその株がプラスミドを失った、これは、同じ分類種の生存培養物で置換されなければならない。
【0321】
これらの寄託物は単に、当業者に対する便益として提供され、寄託が必要とされることを承認するわけではない。寄託された材料を作製、使用、または販売するためにはライセンスが必要であり得、そしてこのようなライセンスは、ここでは認められていない。以下の寄託は、本出願の出願日または本出願の出願日前にATCCによって受領された。
【0322】
(表14A.ATCCに寄託された細胞株)
【0323】
【表14A】
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さらに、選択されたクローンのプール、および特定のクローンを含むライブラリーを、「ES」番号(内部の参照番号)を割り当て、そしてATCCに寄託した。以下の表14は、ライブラリー名ES217として寄託されたクローンのATCC登録番号を提供する。この寄託は、2001年1月18日に行った。表15(以下に挿入する)は、ライブラリー名ES210−ES216として2000年7月25日に寄託されたクローンのATCC登録番号を提供する。
【0324】
(表14B.2001年1月18日以前にATCCにライブラリー番号ES217として寄託されたクローン)
【0325】
【表14B】
Figure 2004526429
(プールされたクローンの寄託物からの個々のクローンの回復)
ATCC寄託物がcDNAクローンのプールまたはcDNAクローンのライブラリーを含む場合、この寄託物を、各クローンをまず別々の細菌細胞にトランスフェクトすることによって調製した。次いで、プールまたはライブラリー中のクローンを、混成寄託物中の均等な混合物のプールとして配置した。特定のクローンを当該分野で周知の方法を用いて混成寄託物から獲得し得る。例えば、単一コロニーを単離し、そして標準的なコロニーハイブリダイゼーション技術を介してコロニー挿入物の配列に特異的にハイブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドプローブを用いて(例えば、示される配列番号を有するコードされるポリヌクレオチドのマスクされていない配列に基づく、プローブ)特定のクローンを含むコロニーを同定することによって、特定のクローンを含む細菌細胞を同定し得る。プローブは、約80℃のTを有するように設計されなければならない(各AまたはTについて2℃、そして各GまたはCに対して4℃と想定する)。次いで、ポジティブコロニーをピックアップし、培養物中で増殖させ得、そして組換えクローンを単離する。あるいは、この様式で設計されたプローブをPCRに使用して、当該分野で周知の方法に従って、例えば、寄託された培養プールからcDNAを精製し、そしてPCR反応においてプローブして使用して、対応する所望のポリヌクレオチド配列を有する増幅産物を生成することによって、プールされたクローンから核酸分子を単離し得る。
【0326】
本発明は理解の明確化のために例示および実施例によっていくらか詳細に記載されているが、本発明の教示を鑑みれば、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく本発明に対して特定の変更および改変がなされ得ることが、当業者に容易に明らかである。当業者は、せいぜい慣用的な実験を用いて、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認し得る。このような特定の実施形態および等価物は、上記の特許請求の範囲によって含まれるべきであることが意図される。
【0327】
【表2】
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【0328】
【表3】
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【0329】
【表4】
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【0330】
【表5】
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【0331】
【表6】
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【0332】
【表7】
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【0333】
【表8】
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【0334】
【表9】
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【0335】
【表10】
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【0336】
【表13】
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【0337】
【表15】
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Claims (26)

  1. 配列番号1〜1477からなる群から選択される配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、単離したポリヌクレオチド。
  2. 配列番号1〜1477、配列番号1〜1477の縮重改変体、配列番号1〜1477のアンチセンスおよび配列番号1〜1477の相補体からなる群より選択される配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列の、少なくとも15連続したヌクレオチドを含む、単離したポリヌクレオチド。
  3. 配列番号1〜1477、配列番号1〜1477の縮重改変体、配列番号1〜1477のアンチセンスおよび配列番号1〜1477の相補体からなる群より選択されるヌクレオチド配列の、少なくとも15連続したヌクレオチドを含む、単離したポリヌクレオチド。
  4. 前記ポリヌクレオチドが、前記ヌクレオチド配列の少なくとも100連続したヌクレオチドを含む、請求項3に記載の単離したポリヌクレオチド。
  5. 前記ポリヌクレオチドが、前記選択されるヌクレオチド配列の少なくとも200連続したヌクレオチドを含む、請求項3に記載の単離したポリヌクレオチド。
  6. 配列番号1〜1477、配列番号1〜1477の縮重改変体、配列番号1〜1477のアンチセンスおよび配列番号1〜1477の相補体からなる群より選択される配列に対して、少なくとも90%の配列同一性のヌクレオチド配列を含む、単離したポリヌクレオチド。
  7. 前記ポリヌクレオチドが、前記選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも95%配列同一性のヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の単離したポリヌクレオチド。
  8. 前記ポリヌクレオチドが、前記選択されるヌクレオチド配列に対して同一なヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の単離したポリヌクレオチド。
  9. ATCC受託番号PTA−2918として寄託されたクローンに含まれる挿入物のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
  10. 配列番号1〜1477からなる群より選択される配列の、少なくとも15連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを使用して、増幅プロセスによって獲得される、単離したcDNA。
  11. 前記ポリヌクレオチドが、選択されるヌクレオチド配列の少なくとも25連続したヌクレオチドを含む、請求項10に記載の単離したcDNA。
  12. 前記ポリヌクレオチドが、選択されるヌクレオチド配列の少なくとも100連続したヌクレオチドを含む、請求項10に記載の単離したcDNA。
  13. 増幅がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅である、請求項10、11または12に記載の単離したcDNA。
  14. 請求項1、2、3、6、9または10に記載のポリヌクレオチドを含む、単離した組換え宿主細胞。
  15. 請求項1、2、3、6、9または10に記載のポリヌクレオチドを含む、単離したベクター。
  16. ポリペプチドを生成する方法であって、該方法は以下の工程:
    請求項1、2、3、6、9または10に記載のポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞を培養する工程であって、該培養する工程が、コードされたポリペプチドの発現にとって適切な条件下にある、工程;および
    該宿主細胞培養物から該ポリペプチドを回収する工程、
    を包含する、方法。
  17. 請求項1、2、3、6、9または10に記載のポリヌクレオチドによってコードされる、単離したポリペプチド。
  18. 配列番号1478〜1568からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離したポリペプチド。
  19. 請求項17または18に記載のポリペプチドに特異的に結合する、抗体。
  20. 哺乳動物細胞の癌性状態に関連して、差示的に発現した遺伝子を検出する方法であって、該方法は以下の工程:
    癌性と推測される細胞に由来した試験サンプルにおいて、少なくとも1つの差示的に発現した遺伝子産物を検出する工程であって、ここで、該遺伝子産物が、配列番号1〜1477の少なくとも1つの同定配列を含む遺伝子によってコードされる、工程、
    を包含し、
    ここで、該差示的に発現した遺伝子産物の検出が、該試験サンプルが由来した細胞の癌性状態と関連する、方法。
  21. 哺乳動物細胞の癌性状態に関連して、差示的に発現した遺伝子を検出する方法であって、該方法が以下の工程:
    癌性と推測される細胞に由来した試験サンプルにおいて、少なくとも1つの差示的に発現した遺伝子産物を検出する工程であって、ここで、該遺伝子産物が、配列番号1478〜1568からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、工程、
    を包含し、
    ここで、該差示的に発現した遺伝子産物の検出が、該試験サンプルが由来した細胞の癌性状態と関連する、方法。
  22. ポリヌクレオチドの少なくとも1つが、請求項1、2、3、6、9または10に記載のポリヌクレオチドの配列情報を含む、ポリヌクレオチドライブラリー。
  23. 前記ライブラリーが核酸アレイで提供される、請求項22に記載のライブラリー。
  24. 前記ライブラリーがコンピューターで読み取り可能な形式において提供される、請求項22に記載のライブラリー。
  25. 遺伝子産物の発現を調節することにより腫瘍の増殖を阻害する方法であって、該遺伝子産物が、配列番号1〜1477からなる群より選択される配列により同定される遺伝子によってコードされる、方法。
  26. 遺伝子産物の発現を調節することにより腫瘍の増殖を阻害する方法であって、該遺伝子産物が、配列番号1478〜1568からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、方法。
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