JP2004525025A - 液圧式パワーステアリングシステム用のダンパ弁 - Google Patents

液圧式パワーステアリングシステム用のダンパ弁 Download PDF

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Abstract

【解決手段】液圧式パワーステアリングシステム(10)内に配置されているダンパ弁(70)は、軸線方向の互いに反対側に位置する第1及び第2端部(76、78)と、両者の間に位置する中間部分(80)とを有するハウジング(72)を備えている。第1端部(76)は制御弁(18)と連通しており、第2端部(78)はパワーステアリングモーター(22)と連通している。流量制限要素(114)は、流体の流れによって、中間部分(80)を含むハウジング(72)の各部を通って移動できるようになっている。付勢要素(106)が、流量制限要素(114)の、ハウジング(72)の第1端部(76)に向かう運動を抑制する。流量制限要素(114)とハウジング(72)の間に形成されるオリフィス(116)は、所定量を上回る流量の流体が、ハウジング(72)を通って第2端部(78)から第1端部(76)に向かって流れるのを制限する。
【選択図】図2

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧式パワーステアリングシステム用の(例えば、油圧式パワーステアリングシステム用の)ダンパ弁に関し、特に、液圧式の(例えば油圧式の)パワーステアリングシステムにおいて制御弁とパワーステアリングモーターの間に配置されているダンパ弁に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧式パワーステアリングシステムにおいて制御弁とパワーステアリングモーターの間にダンパ弁を配置することは知られている。一般的に、ダンパ弁には、制御弁をパワーステアリングモーターに接続する各油圧導管が配設されている。
【0003】
米国特許第6,003,427号は、油圧式パワーステアリングシステムに用いるダンパ弁を開示している。ダンパ弁は、ばね板で覆われた複数の軸線方向のボアすなわち内孔を含んでいる。凹部によって、流体が各軸線方向の内孔に近づけるようになっており、各軸線方向内孔内の流体圧が増大すると、凹部に面しているばね板が撓み、流体がダンパ弁を通って流れることができるようになっている。ダンパ弁は、更に、軸線方向導管を備えたボルトを含んでいる。軸線方向導管は、流体のバイパスとして働き、流体が、軸線方向内孔を通過することなくダンパ弁を通って流れることができるようにしている。調整可能なスクリューが、ボルトの軸線方向導管内に部分的に延びており、流体のバイパスの流れを制限している。調整可能なスクリューによって、軸線方向導管を通って流れるバイパス流を較正できるようになっている。
【参考文献1】
【0004】
米国特許第6,003,427号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、液圧式の(例えば、油圧式の)パワーステアリングシステムの制御弁とパワーステアリングモーターの間に配置されているダンパ弁に関する。ダンパ弁は、ハウジングを備えている。
ハウジングは、軸線方向の互いに反対側にある第1端部及び第2端部と、第1端部と第2端部との間に介在する中間部分とを有する。第1端部は、制御弁と流体連通するためのものであり、第2端部は、パワーステアリングモーターと流体連通するためのものである。ハウジング内には、流量制限要素が配置されている。流量制限要素は、ハウジングを通る流体の流れによって、中間部分を含むハウジングの各部分を通って移動することができるようになっている。ダンパ弁は、更に、流量制限要素の、ハウジングの第1端部に向かう運動を抑制するための付勢要素を含んでいる。流量制限要素とハウジングの間には、第2端部から第1端部に向かってハウジングを通って流れる、所定量を上回る流体の流れ(すなわち、流体流量)を制限するための、オリフィスが形成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の上記及びその他の特徴は、図面を参照しながら以下の説明を読めば、本発明に関わる当業者には明確に理解頂けるであろう。
図1に示すように、液圧式パワーステアリングシステム10、例えば、油圧式パワーステアリングシステム10は、ポンプ12を含んでいる。ポンプ12には、リザーバ14から流体が供給される。導管16は、ポンプ12の出口と制御弁18の間を流体連通状態にする。導管20は、制御弁18とリザーバ14の間を流体連通状態にする。
【0007】
制御弁18は、ポンプ12から受け取った流体をパワーステアリングモーター22へ向かわせる。制御弁18は、ハウジング19と、バルブコア24と、バルブスリーブ26とを含んでいる。バルブコアとバルブスリーブは、共にハウジング19内に配置されている。制御弁18のバルブコア24は、車両の入力軸28に回転可能に接続されている。ステアリングホイール(図示せず)が、入力軸28の一方の端部に連結されている。ステアリングホイールが回されると、バルブコア24は、バルブスリーブ26に対して相対的に回転して、流体をパワーステアリングモーター22に送る。
【0008】
ピニオンギア32は、トーションバー30によって、入力軸28のステアリングホイールとは反対側の端部に接続されている。ピニオンギア32は、複数の歯を備えている。ステアリングホイールを回すと、ピニオンギア32は回転する。
【0009】
パワーステアリングモーター22は、外側表面38と内側表面40を有する円筒形ハウジング36を含んでいる。パワーステアリングモーターハウジング36の内側表面40は、ハウジング36内に円筒形の内側チャンバ42を画定している。
【0010】
円筒形のラックバー44が、パワーステアリングモーターハウジング36の内側チャンバ42を貫通して延びている。ラックバー44は、タイロッド46を介して車両の操舵車輪(図示せず)に接続されており、各タイロッド46は、ボールジョイント48によってラックバー44の各端部に接続されている。ラックバー44は、ハウジング36の内側チャンバ42を通って直線状に動き、車両の操舵車輪を回転させる。
【0011】
円柱状の又は円筒形のピストン50が、ラックバー44に固定状態に接続されている。ピストン50は、ラックバー44から、パワーステアリングモーターハウジング36の内側表面40に向かって、半径方向外向きに延びている。環状のシールリング(図示せず)が、ピストン50の周縁回りに延びて、ピストン50をハウジング36の内側表面40に対してシールしている。ピストン50は、内側チャンバ42を、2つの可変容積チャンバ部分52及び54に分割する。パワーステアリングモーター22の各チャンバ部分52及び54の容積は、ピストン50がパワーステアリングモーターハウジング36内を直線状に動くにつれて変化する。
【0012】
導管56は、チャンバ部分52を制御弁18に液圧(例えば油圧)で作動できるように接続し、導管58は、チャンバ部分54を制御弁18に液圧(例えば油圧)で作動できるように接続している。制御弁18は、流体を各導管56及び58へ向かわせ、従って各チャンバ部分52及び54へ送り込む。
【0013】
制御弁18は、当業者には既知のように機能する。バルブコア24がバルブスリーブ26に対して回転すると、パワーステアリングモーター22の2つのチャンバ部分52と54の間に差圧が生じる。2つのチャンバ部分52と54の間に差圧が生じると、ピストン50は、ハウジング36内を直線的に動く。ピストン50は、各チャンバ部分52及び54内の圧力が等しくなるまでハウジング36内を直線的に動く。例えば、チャンバ部分52の流体圧がチャンバ部分54の流体圧より高いとすると、チャンバ部分52の高い圧力がピストン50に作用し、ピストン50を(図1では右方向へ)動かす。ピストン50は、2つのチャンバ部分52と54の間の差圧がなくなるまで直線的に動くことになる。ピストン50が直線的に動くにつれ、チャンバ部分54の容積は減少する。チャンバ部分54の容積が減少するにつれ、チャンバ部分54内の作動油の一部は、チャンバ部分54から押し出される。容積が減少しているチャンバ部分54から押し出された作動液(例えば作動油)は、導管58を通って制御弁18に戻る。制御弁18は、流体を導管20へ向かわせ、導管20は流体をリザーバ14へ送る。
【0014】
パワーステアリングモーター22は、更に、少なくとも2つのシール60及び62を含んでいる。シール60はチャンバ部分52の外側壁を画定し、シール62はチャンバ部分54の外側壁を画定している。シール60及び62は、ラックバー44がハウジング36を通って直線的に動く際に、流体がパワーステアリングモーター22から漏れないようにする。
【0015】
ピニオンギア32は、パワーステアリングモーター22のハウジング36内に延びている。ピニオンギア32の歯34は、ラックバー44のラック歯64と噛み合い係合している。
【0016】
パワーステアリングモーターハウジング36は、更に、2つのポート66及び68を有している。ポート66は、ハウジング36の外側表面38からハウジング36の内側表面40へ延びて、チャンバ部分52と流体連通している。ポート68は、ハウジング36の外側表面38からハウジング36の内側表面40へ延びて、チャンバ部分54と流体連通している。
【0017】
システム10は、更に、2つのダンパ弁70を含んでいる。各ダンパ弁70は、制御弁18と、パワーステアリングモーター22の各チャンバ部分52及び54とに流体連通している。好適な実施形態では、一方のダンパ弁70が、制御弁ハウジング19のポート71に挿入されており、他方のダンパ弁が、制御弁ハウジング19のポート73に挿入されている。導管56は、ポート71のダンパ弁70を、パワーステアリングモーター22のポート66に相互接続している。導管58は、ポート73のダンパ弁を、パワーステアリングモーター22のポート68に相互接続している。
【0018】
図2に示すように、各ダンパ弁70は管状ハウジング72を含んでおり、チャネル(すなわち、流路)74が、軸線Aに対して軸線方向に延びて、ハウジング72を貫通している。ハウジング72は、軸線方向に対して互いに反対に位置する第1端部76と第2端部78を有している。第1端部76と第2端部78の間に、中間部分80が介在している。
【0019】
各ダンパ弁ハウジング72の第1端部76は、制御弁18と流体連通している。第1端部76は、ダンパ弁70の軸線方向長さの略60パーセントに亘って、軸線方向に延びている。第1端部76は、軸線A上に中心決めされた円筒形の区画82を含んでいる。第1端部76の円筒形の区画82は、終端部86を含んでいる。終端部86は、ハウジング72のチャネル74内へと折り畳まれた環状リップ88を含んでいる。環状のリップ88は、ダンパ弁ハウジング72の第1端部76に開口部90を形成している。開口部90は、ダンパ弁70のチャネル74へと繋がっている。
【0020】
ハウジング72の第1端部76は、更に、テーパ区画84を含んでいる。テーパ区画84は、終端部86の反対側にある。テーパ区画84は、截頭円錐形をしており、ダンパ弁ハウジング72の第1端部76の終端部86から離れる方向で軸線方向に延びるにつれ、半径方向内向きに延びている。
【0021】
ダンパ弁ハウジング72の中間部分80は、第1端部76のテーパ区画84に続いている。中間部分80は円筒形であり、軸線A上に中心決めされている。中間部分80のうち流体が通る部分の横断面の面積(すなわち、中間部分80の流れ断面積)は、ダンパ弁ハウジング72の第1端部76の円筒形区画82の流れ断面積より小さい。中間部分80は、ダンパ弁70の軸線方向長さの約20パーセントをに亘って、軸線方向に延びている。
【0022】
ダンパ弁ハウジング72の第2端部78は、中間部分80に続いており、ダンパ弁ハウジング72の第1端部76と軸線方向反対側にある。第2端部78は、パワーステアリングモーター22と流体連通しており、ダンパ弁70の軸線方向長さの略20パーセントに亘って、軸線方向に延びている。第2端部78は、テーパ区画92と、円筒形区画94と、端壁区画96とを含んでいる。
【0023】
第2端部分78のテーパ区画92は、截頭円錐形であり、ダンパ弁ハウジング72の中間部分80から軸線方向に離れて延びるにつれ、半径方向外向きに延びている。第2端部78のテーパ区画92は、第1端部76のテーパ区画84の鏡像である。テーパ区画92の最大幅の端部が、第2端部78の円筒形区画94に隣接している。
【0024】
ダンパ弁ハウジング72の第2端部78の円筒形区画94は、軸線A上に中心決めされている。円筒形区画94は、ダンパ弁ハウジング72の第1端部76の円筒形区画82の流れ断面積と等しい流れ断面積を有している。第2端部78の円筒形区画94は、第2端部78の端壁区画96に隣接している。
【0025】
截頭円錐形の端壁98が、第2端部78の端壁区画96を形成している。端壁98は、軸線A上に中心決めされており、ダンパ弁ハウジング72の中間部分80から軸線方向に離れて延びるにつれ、半径方向内向きに延びている。端壁98は、軸線Aに中心決めされた中央開口部100で終端しており、ダンパ弁70のチャネルへ74への入り口を形成している。端壁98は、図3に示すように、軸線Aの回りに間隔をおいて環状に配列されている6つの窓状部102(図3)を含んでいる。リブ104が、環状に配列されている各窓状部102の間に延び、隣接する窓状部102の間を隔てている。結果的に、端壁98は6つのリブ104を含んでいる。各窓状部102は、ダンパ弁70のチャネル74へと通じている。6つの窓状部102及び中央開口部100の合計流れ面積は、ダンパ弁ハウジング72の第1端部76の開口部90の流れ面積よりも大きい。6つの窓状部102及び中央開口部100の流れ面積が開口部90の流れ面積よりも大きい理由は、この説明の残りを参照すると、当業者には明らかになるであろう。
【0026】
ダンパ弁70は、更に、ハウジング72のチャネル74の一部を通って延びる付勢要素を含んでいる。付勢要素は、図2に示すようにコイルばね106であるのが望ましい。コイルばね106は、截頭円錐形の形状をしており、軸線A上に中心決めされている。コイルばね106は、幅広端部108と幅狭端部110とを有している。コイルばね106の幅広端部108は、ハウジング72の第1端部76に取り付けられている。ハウジング72の第1端部76の終端86のリップ88が、コイルばね106の幅広端部108を、ハウジング72の第1端部の内側表面にクランプ固定しているのが望ましい。当業者には、コイルばね106をハウジング72に取り付けるのに別の方法を用いてもよいことを、理解できるであろう。
【0027】
コイルばね106は、非圧縮状態では、ハウジング72の第1端部76の軸線方向長さを貫通し、また、ハウジング72の中間部分80の略半分を貫通して延びている。コイルばね106の幅狭端部110は、流量制限要素と係合可能な座112を形成している。
【0028】
球体ボール114であるのが望ましい流量制限要素は、ハウジング72のチャネル74内であって、コイルばね106の幅狭端部110とハウジング72の第2端部78の端壁98との間に配置されている。本説明の残りを参照すれば当業者には理解頂けるように、ボール114は、ハウジング72の各部分76、78及び80を通って移動することができる。
【0029】
好適な実施形態では、ダンパ弁70は、ハウジング72のチャネル74を、第2端部78から第1端部76に向かって流れる流体の流れ(すなわち、流体流量)を制限しており、また、ハウジング72のチャネル74を、第1端部76から第2端部78に向かって流れる流体の流れ(すなわち、流体流量)を制限していない。流体の流れの制限は、ダンパ弁70を通る流量が所定量の流体に制限されることを意味している。流体の流量が所定量より少しでも多ければ、ダンパ弁70の供給側の圧力増加に繋がる。
【0030】
流体が、ダンパ弁70を通って第1端部76から第2端部78へ向かって流れる間に、流体は、ボール114と接触して、ボール114を、軸線方向にハウジング72の第2端部78へ動かし、そして、
ボール114を、ハウジング72の第2端部78の端壁98に押圧する。ボール114を通り越す流体の流れが、ボール114をハウジング72の第2端部78に維持する。ダンパ弁70の第2端部78内の6つの窓状部102の面積は、ボールがハウジング72の第2端部78にあるときに、流体が、制限されずに(すなわち、自由に)ダンパ弁70を通って流れることができるような大きさでなくてはならない。
【0031】
流体が、ダンパ弁70を通って第2端部78から第1端部76へ向かって流れる間に、流体は、ボール114を、コイルばね106の幅狭端部110によって形成されている座112に向かって動かし、ボール114を座112に押圧する。ボール114がコイルばね106の幅狭端部110上に着座しているときには、所定量を超える流体が、ダンパ弁70を通って流れるのが制限される。ボール114がハウジング72の中間部分80にあるときは、ボール114と中間部分80の内側表面との間の環状オリフィス116が、流体を流すことのできる唯一の領域である。当業者には理解頂けるように、ボール114がダンパ弁を通る流体の流れを制限するには、環状オリフィス116の流れ面積が、ダンパ弁70の第2端部78の6つの窓状部102と中央開口部100の流れ面積より小さくなければならないし、また、ダンパ弁70の第1端部76の開口部90の流れ面積のより小さくなければならない。ダンパ弁70の第2端部78と第1端部76の間に差圧が生じる前は、オリフィス116によって、所定量の流体が、ボール114とダンパ弁70の中間部分80の内側表面との間を通過できるようになっている。流体の流れが所定量を超えると、流体の流れが制限され、ボール114の第2端部78側の流体圧が、ボール114の第1端部76側の圧力に比べて高くなる。
【0032】
ダンパ弁70の第2端部78とダンパ弁70の第1端部76の間の圧力差が大きくなると、流体圧によりボール114に及ぼす力が、コイルばね106を圧縮する。コイルばね106は、所定の圧縮率を有している。差圧が第2の所定量にまで増えると、コイルばね106は、ボール114がハウジング72の第1端部76内に到るほどの距離だけ圧縮される。ボール114がハウジング72の第1端部76に入ると、オリフィス116の流れ面積が増すので、流体の流れが増す。ダンパ弁70前後の差圧が第2所定量以下に下がると、コイルばね106は延び、ボール114はハウジング72の中間部分80へ戻る。
【0033】
液圧式パワーステアリングシステム10において、ダンパ弁70を、制御弁18と、パワーステアリングモーター22の各チャンバ部分52又は54との間に用いると、ダンパ弁70は、パワーステアリングモーター22を出て制御弁18へ向かう流体の流れに抵抗することになる。従って、車両の操舵車輪が道路のでこぼこ部分にぶつかった場合、ダンパ弁70が、各チャンバ部分52又は54から流体が流れ出るのに抵抗し、パワーステアリングモーター22内のピストン50の運動に抵抗することになる。結果として、車両の操舵車輪が、でこぼこ道路によって操舵方向に回され難くなる。
【0034】
ダンパ弁70は、運転者からの操舵入力に対するパワーステアリングモーター22の応答を低下させることはない。運転者がステアリングホイール(すなわち、ハンドル、操舵輪)を回すと、制御弁18は、流体を、パワーステアリングモーター22の各チャンバ部分52又は54へ向かわせる。その結果、パワーステアリングモーター22の2つのチャンバ部分52と54の間に圧力差が生じる。この圧力差は、2つのチャンバ部分52及び54内の流体圧が等しくなるまで、ピストン50を動かして、一方のチャンバ部分52又は54の容積を増やし、他方のチャンバ部分52又は54の容積を減らす。ピストン50が動いてチャンバ部分52又は54の容積を減らすと、そのチャンバ部分52又は54内の圧力が上がり、流体がそのチャンバ部分52又は54から圧送される又は押し出される。
【0035】
容積が減るチャンバ部分52又は54から押し出された流体は、ダンパ弁70の前後に差圧を作り出す。パワーステアリングモーター22の正常な作動によって生じる差圧が、ボール114をダンパ弁70の第1端部76内へと動かすほどの距離だけばね106を圧縮するように、ばね106を選択するのが望ましい。ボール114がダンパ弁ハウジング72の第1端部76に入る様にばね106が圧縮されるとき、ダンパ弁70を通って第2端部78から第1端部76へ向かう流体流量は、パワーステアリングモーター22の容積が減るチャンバ部分52又は54から出る流体の流れを処理できるほどでなければならない。
【0036】
当業者には理解頂けるように、コイルばね106の圧縮率と、ボール114とハウジング72の中間部分80の内側表面との間の環状オリフィス116の大きさを変更することによって、本発明のダンパ弁70の流量特性を調節することができる。
【0037】
図4は、本発明によって構築されたダンパ弁70の第2実施形態を示している。図4のダンパ弁70が、ボール114の、ハウジング72の第2端部へ向かう運動を制限するための付勢要素も含んでいることを除けば、図4のダンパ弁70は、図2及び図3に示したダンパ弁70と同じである。図4の構成要素で、図2及び図3に示す構成要素と同じものは、同じ参照番号を付している。
【0038】
ボール114の、ハウジング72の第2端部へ向かう運動を制限するための付勢要素は、コイルばね118であるのが望ましい。コイルばね118は、ダンパ弁70の第2端部78の端壁98とボール114の間を延び、ボール114の、ダンパ弁ハウジング72の第2端部78へ向かう運動を制限する。コイルばね118は、既知の圧縮率を有している。従って、図4のダンパ弁70は、ダンパ弁70を通る流体の流れ(流体流量)を両方向で制限する。
【0039】
ハウジング72の第2端部にコイルばね118を使用すると、ダンパ弁70は、第1端部76から第2端部78へ向かう流体の流れを制限できるようになる。ボール114とダンパ弁70の中間部分80の内側表面との間の環状オリフィス116は、所定量を上回る流体流量を制限する。その結果、流体流量が所定量を超えると、ダンパ弁70の第1端部76と第2端部78の間に差圧が生じる。差圧が増大するにつれ、コイルばね118が圧縮され、ボール114はダンパ弁70の第2端部78へと移動する。ボール114がダンパ弁70の第2端部78内に移動すると、流体流量が増大する。差圧が下がると、コイルばね118が伸び、ボール114は、ダンパ弁70の中間部分80へ戻る。
【0040】
本発明の上記説明から、当業者であれば、改良、変更及び修正を理解できるであろう。当該技術の範囲内におけるそのような改良、変更及び修正は、特許請求の範囲に網羅されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明によって構築されたダンパ弁を含む車両の液圧式パワーステアリングシステム(例えば、油圧式パワーステアリングシステム)の概略断面図である。
【図2】図2は、図1のシステムに用いられているダンパ弁の断面図である。
【図3】図3は、図2の3−3線に沿う断面図である。
【図4】図4は、本発明によって構築されたダンパ弁の第2実施形態の図である。

Claims (10)

  1. 液圧式パワーステアリングシステムの、制御弁とパワーステアリングモーターとの間に配置されているダンパ弁であって、
    前記ダンパ弁はハウジングを備えており、
    前記ハウジングは、ハウジング軸線方向において互いに反対側に位置している第1端部及び第2端部と、前記第1端部と前記第2端部との間に介在している中間部分とを有しており、
    前記ハウジングの前記第1端部は、前記制御弁と流体連通しており、前記ハウジングの前記第2端部は、前記パワーステアリングモーターと流体連通しており、
    また、前記ダンパ弁は、
    前記ハウジング内に配置された流量制限要素であって、前記ハウジングを通る流体の流れによって、前記中間部分を含む前記ハウジングの各部分を通って移動できるようになっている流量制限要素と、
    前記ハウジングの前記第1端部へ向かう前記流量制限要素の運動を抑制するための付勢要素と、
    前記流量制限要素と前記ハウジングの間に形成され、前記ハウジングを通って前記第2端部から前記第1端部に向かう、所定量を上回る流体の流れを制限するためのオリフィスと、を備えているダンパ弁。
  2. 請求項1に記載のダンパ弁において、
    前記ハウジングの前記第1端部には、前記ハウジング内のチャネルに出入りするための少なくとも1つの開口部が設けられており、
    前記ハウジングの前記第2端部は、前記流量制限要素を前記ハウジング内に保持するための端壁を有しており、前記端壁には、前記ハウジングの前記チャネルに出入りするための複数の窓状部が設けられている、ダンパ弁。
  3. 請求項2に記載のダンパ弁において、
    前記第1端部から前記第2端部へ向かう流体の流れによって、前記流量制限要素が、前記ハウジングの前記第2端部へと移動する、ダンパ弁。
  4. 請求項2に記載のダンパ弁において、
    前記第2端部から前記第1端部へ向かう流体の流れによって、前記流量制限要素が、前記付勢要素に抗して移動する、ダンパ弁。
  5. 請求項4に記載のダンパ弁において、
    前記付勢要素は所定の圧縮率を有しており、
    前記流量制限要素は、前記ハウジングの前記第2端部内の流体圧力が、前記ハウジングの前記第1端部内の流体圧力に比べ相対的に増すにつれ、前記付勢要素を圧縮する、ダンパ弁。
  6. 請求項1に記載のダンパ弁において、
    前記ハウジングの前記第1端部は、前記付勢要素の第1端を保持するための終端部を有しており、
    前記第1端部の前記終端部は、前記ハウジング内へと内向きに折り曲げられ、前記付勢要素の前記第1端を前記ハウジングにクランプ固定している、ダンパ弁。
  7. 請求項6に記載のダンパ弁において、
    前記付勢要素は、更に第2端を有しており、
    前記付勢要素の前記第2端は、前記第1端から軸線方向に離れて配置されており、前記付勢要素の前記第2端は、流体が前記ハウジングの前記第2端部から前記ハウジングの前記第1端部に向け流れる際に、前記流量制限要素を保持するための座を形成している、ダンパ弁。
  8. 請求項7に記載のダンパ弁において、
    前記付勢要素は、コイル巻きされたばねであり、
    前記流量制限要素は、球状のボールである、ダンパ弁。
  9. 請求項8に記載のダンパ弁において、
    前記コイル巻きされたばねは、截頭円錐形をしており、前記第1端の直径は、前記第2端の直径よりも大きい、ダンパ弁。
  10. 請求項1に記載のダンパ弁において、
    前記流量制限要素の、前記ハウジングの前記第2端部に向かう運動を抑制するめの付勢要素を更に含んでいる、ダンパ弁。
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