JP2004524066A - 医薬ディスペンサー - Google Patents
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Abstract
流体推進剤中の医薬を投与するためのディスペンサーであって、その医薬を収納する貯留部および薬剤投与機構部を有するディスペンサーが提供される。薬剤投与機構部は、完全または実質的に金属製のバルブであり得る。貯留部および/またはバルブの金属表面は、電気研磨によって仕上げ加工しておく。貯留部および/またはバルブの仕上げ表面によって、薬剤がそれに付着する傾向が低減される。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に医薬を投薬するための吸入装置に関する。より詳細には本発明は、処方用量の医薬を常に一定の量で投薬するための計量式吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器障害および鼻腔障害の治療用の薬剤は、口や鼻を介したエアロゾル製剤で投与される場合が非常に多い。そのようなエアロゾル医薬製剤を投薬するのに非常に広く使用される方法では、液化ガス推進剤中の懸濁液または溶液として薬剤を製剤する。懸濁液/溶液は、推進剤を液体として維持するのに必要な圧力に耐えることができる密閉された貯留部もしくはキャニスター[缶部]に収容される。懸濁液/溶液は、キャニスターに取り付けられたバルブ、場合により計量バルブの形態のバルブを起動することで分散放出される。
【0003】
呼吸器障害を治療するための医薬は、口または鼻から乾燥粉末製剤としても投与される。乾燥粉末吸入(DPI)装置すなわち吸入器が、これらの薬剤の投与に用いられ、患者が吸入することで、鼻または口から所定用量の医薬が取り込まれる。薬剤は吸入器本体にある貯留部に入った乾燥粉末として貯蔵され、計量チャンバー[室部分]を用いて所定用量の医薬が投与される。あるいは、より精巧な吸入装置では規定用量の粉末薬剤が入った個別のカプセルまたはブリスターパック/ストリップ[帯片]などの医薬キャリアが用いられる。
【0004】
計量バルブには通常、指定の容量を有し、正確な所定用量の医薬を起動ごとに投与するよう設計された計量チャンバーがある。計量バルブは、乾燥粉末、エアロゾルおよび液体製剤の薬剤を投与する吸入装置で使用される。一般に計量バルブは、下記でエアロゾル系薬剤ディスペンサーに関して説明するように、これら各装置で同様に動作する。
【0005】
推進剤の高蒸気圧によって用量計量バルブを介してキャニスターから強制的に懸濁液/溶液が放出されると、推進剤は急速に気化して、高速で移動する非常に微細な医薬製剤粒子雲があとに残る。その粒子雲は、円筒や開放端円錐などのチャネリング[誘導]装置によって患者の鼻や口の中に向かう。エアロゾル用量計量バルブの起動と同時に、患者は薬剤粒子を肺や鼻腔に吸入する。このように薬剤を投薬するシステムは、「計量式吸入器」(MDI)と称される(この形態の治療法に関する背景技術については、Peter Byron, Respiratory Drug Delivery, CRC Press, Boca Raton, FL (1990)参照)。
【0006】
患者は、身体を衰弱させたり、場合によっては生命を脅かす呼吸器障害を迅速に治療するのに吸入装置により投与される薬剤に依存する場合が多い。従って、患者に投与される処方用量の医薬が、製造者が謳う仕様を常に一貫して満足し、FDAその他の規制当局の要求事項に適合することが必須である。すなわち、キャニスターにおける全ての用量が、同一の狭い許容範囲内で投与可能でなければならない。
【0007】
従来のエアロゾル/MDI、DPIおよび/または液体ディスペンサーなどの薬剤投与装置に存在し得る現象は、液体中の薬剤懸濁液からの、医薬または、粉末もしくは粒子の形態の固体成分の装置内部表面への堆積である。吸入装置のキャニスター内、計量チャンバー内およびバルブステム[軸部]上での化学的な堆積は、操作上の問題を生じる場合がある。
【0008】
吸入装置の計量チャンバーの内部表面への医薬、および/または製剤/推進剤添加剤の堆積によって生じ得る一つの問題は、その効率の低下およびその結果としての患者における治療効率の低下である。薬剤の堆積は、患者への投薬に使える活性医薬の量を減少させ、装置の寿命期間中に投薬される薬剤の均一性に大きく影響する。
【0009】
吸入装置で使用されるバルブ表面への医薬または製剤/推進剤添加剤の堆積によって生じ得るもう1つの問題は、起動サイクル時にバルブステムが粘着したり、停止したり、あるいは重くなる場合があるというものである。そのような粘着の結果、摺動境界面上に化学堆積物が存在することで操作時の摩擦が大きくなるため、バルブステムの押し込みおよび開放を行うに連れて、使用者は「刻み目」があるように感じる。
【0010】
医薬および製剤/推進剤添加剤の堆積は、MDI装置のキャニスターなどの薬剤貯留部の内部表面でも起こり得る。やはりそれは、投与に利用可能な有効成分の量および投薬される用量の均一性の両方を低下させることで、装置の操作および有効寿命に悪影響を与え得る。
【0011】
ヒドロフルオロアルカン(HFA)推進剤134aおよび227に基づいて賦形剤なしのエアロゾル製剤を用いる場合に、従来のエアロゾルおよびMDIにおけるこの薬剤堆積の問題はさらに悪化する。エアロゾルの保存に伴って、特にエアロゾルを高温および/または高湿で保存する場合に、薬剤堆積が増加することも分った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一つの目的は、バルブ粘着の問題を改善し、均一用量の医薬を常に一定の量で投与する、操作の微細滑らかさが向上した吸入装置を提供することにある。
【0013】
吸入装置の内部表面への化学的堆積の程度を決定する重要な因子は、その内部表面、特にバルブの内部表面の微細形状である。顕微鏡レベルでは、これらの表面は滑らかではなく、実際には穴やギザギザがあって、薬剤の付着や堆積が起こり得る多くの必要のないエッジがある。
【0014】
そのようなギザギザや穴のある表面が存在することで、バルブの摩擦抵抗が上昇するというさらなる問題が生じうる。さらに、表面が平坦でないことは、バルブを摩擦低減用コーティングで被覆することを困難にする場合がある。従って例えば、バルブ表面へのフルオロポリマーなどの摩擦低減用コーティングの付着が、そのようなギザギザおよび穴のある表面が存在することで妨害される場合がある。
【0015】
一部の先行技術の装置では、堆積した粒子を除去するのには、ディスペンサーを振盪して、その中の製剤/推進剤および製品の混合物を撹拌することに依存している。しかしながら、一部ではこの改善方法は薬剤容器自体の本体内では有効となり得るが、計量バルブのようなディスペンサーの他の構成要素の内側表面に堆積した粒子には効果的ではない可能性がある。
【0016】
本出願人らは、上記の薬剤付着および用量均一性の問題は、表面(特に、内部表面)が実質的にステンレス鋼などの金属製である場合に、さらに大きくなり得ることを見出した。しかしながら本願人らは、装置の表面を電気研磨法によって処理することで、表面の穴形成およびギザギザ形成の問題が改善されることを見出した。それによって薬剤の堆積が減り、結果的に装置の寿命期間にわたって用量の均一性が高くなり、操作がより滑らかになる。さらに、表面の穴形成およびギザギザ形成の低減によって、計量バルブの摩擦抵抗が改善され、摩擦低減用コーティングでの被覆を行う上でより均一なコーティング用基礎が形成される。加えて、電気研磨をグリースやオイルなど、本製造工程による製作品の表面をクリーニングするのにも使うことができる
国際特許出願WO 99/55600では、吸入装置の表面、特に内部表面上への薬剤の付着および堆積の問題が扱われている。その特許出願には、吸入装置の計量バルブステムの側面にあるポート[引き込み口]上の表面ギザギザを減らす上での光輝焼なましの使用が記載されている。その特許出願ではまた、酸処理およびバレル研摩を用いたバルブステムの表面特性の改善も開示されている。光輝焼なましは、特別に設計された炉内での制御された化学的条件下(例:水素および/または窒素雰囲気)における非常に高い温度での処理を必要とする複雑な多段階法である。それとは対照的に、本発明に記載の電気研磨法は、より簡単で安価であり、制御がより容易な吸入装置表面の処理手段である。
【0017】
米国特許第44884708号には、金属製圧力容器の内部表面を電気化学研磨することによる収容ガス汚染の低減が記載されている。そのような容器の内側表面の粗さが、その容器内の収容ガスの純度および安定性を維持する上での直接の因子であることが知られている。電気化学研磨法によって、内側表面の活性領域または起伏が大幅に減ることで、この問題が改善される。
【0018】
米国特許第5326078号には、主として半導体製造装置の流体配管におけるバルブで使用されるダイヤフラム弁のケーシング床および弁座の多段階電気研磨の使用が開示されている。この技術は、ケーシング床の「デッドゾーン」内に残留し得る未排出流体の程度を低減するのに用いられる。この特許は、バルブのこれらの構成要素の電気研磨についてのみ記載している。
【0019】
米国特許第5740792号は吸入装置に関するものであり、電気研磨ステンレス鋼の薄板からなる貯留部栓が開示されている。電気研磨の目的は、装置内で投与用板とともに漏れのないシールを形成することができる非常に平坦で滑らかな剛質表面を提供することにある。吸入装置の表面への薬剤の付着および堆積に関連する問題およびそれらの問題に対処する上での電気研磨の使用については何ら言及されていない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の1態様によれば、製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーにおいて、前記医薬を収納するための貯留部;ならびに薬剤投与機構部を有し、前記貯留部および/または前記機構部の表面が電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなることを特徴とするディスペンサーが提供される。例えば、前記医薬製剤と接触することになる前記貯留部および前記機構部の表面、ならびに前記ディスペンサー内の他の表面と摩擦接触することになる前記機構部の表面が、電気研磨仕上部を有する。特に、前記貯留部および、前記機構部の表面構成要素(例:バルブステムなど)の内部表面に電気研磨仕上部を持たせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
電気化学研磨または電解研磨とも称される電気研磨は、当技術分野で知られているいずれの方法によっても行うことができる。一般に電気研磨では、その導電性の基材材料を電解質材料でコーティングする。この電解質材料は、基材の表面に分極薄膜を形成する。コーティングされた基材を電流に曝露することで、導電性基材が陽極的に溶解して、その結果導電性基材上の残留材料の「ハイスポット、ギザギザまたはエッジ」が除去され、導電性基材材料上に滑らかな表面が残る。
【0022】
電解質材料は、新たに形成される金属イオンと反応してそれらを溶解させる金属上の高度に分極した陽極膜を形成するのに好適であるいずれの固体、液体または気体材料であってよい。好適な電気研磨溶液の代表例には、リン酸溶液、硫酸溶液およびシアン化物溶液などがある。実際の電気研磨槽は、その状態を維持する電流密度で、溶解してくる金属の塩でほぼ飽和している陽極薄膜を提供する。
【0023】
導電性基材材料から除去される金属の量は、印加電流の量および時間に比例する。基材材料の幾何形状などの他の因子は、電流の分布に影響し、従って各局所領域で除去される金属の量に大きく関係する。
【0024】
金属除去の速度差の原理は、電気研磨によって得られる「平滑化」または「ギザギザ除去」の概念において重要である。微細なエッジまたはギザギザは、極高電流密度領域となり、その結果急速に溶解する。低電流密度領域では電流量が相対的に小さいため、金属除去が無視できる程度となる。
【0025】
電気研磨を行っている間は、研磨が行われ且つ同時に寸法精度が維持されるよう基材材料を巧みに操作して金属除去の量を注意深くコントロールする。電気研磨は文字どおり、高電流密度領域では急速な分解で、低電流密度領域ではそれより弱い分解で金属結晶を原子ごとにバラバラにするものである。その結果、表面起伏が全体的に低減して、同時に金属表面が平滑かつ高光沢となる。
【0026】
ステンレス鋼の合金の場合は、合金の各成分の除去速度の差により重要な効果が生じる。例えば、鉄原子およびニッケル原子は、クロム原子よりずっと容易に結晶格子から引き抜かれる。電気研磨法では鉄およびニッケルが優先的に除去され、耐腐食性の酸化クロムからなる改善された表面層が残る。この現象によって、電気研磨表面に「パッシベーション」という重要な特性が付与される。
【0027】
1つの態様では前記導電性材料は金属である。好ましくはその金属は、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、銅、スズ、クロム、ニッケルおよびそれらの合金からなる群から選択される。
【0028】
別の態様では前記半導電性材料はケイ素である。
【0029】
1つの態様では前記薬剤投与機構部および/または前記貯留部は、全体が金属製である。
【0030】
好ましくは前記薬剤投与機構部は、バルブを有する。より好ましくは、前記バルブは計量バルブである。好ましくは、前記医薬製剤と接触することになる前記計量チャンバーの内部表面とともに、前記バルブステムなどの前記計量バルブ内の摩擦接触に曝露される全ての表面が、電気研磨仕上部を有する。
【0031】
1つの態様では前記バルブの表面は、摩擦低減用コーティングを有する。好ましくは前記コーティングは、シリコンオイル、有機ポリマーオイルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
好ましくは前記コーティングは、ポリマー材料からなる。より好ましくは前記ポリマー材料は、フルオロポリマーならびに、フルオロポリマーともう1つのポリマーとのコポリマーから選択される。
【0033】
好適なフルオロポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などがある。フルオロカーボンポリマーは、テフロン(Teflon(登録商標))、テフゼル(Tefzel(登録商標))、ハラー(Halar(登録商標))およびホスタフロン(Hostaflon(登録商標))、ポリフロン(Polyflone(登録商標))およびネオフロン(Neoflon(登録商標))などの商標名で市販されている。ポリマーの銘柄には、FEPデュポン(DuPont)856-200、PFAデュポン857-200、PTFE-PESデュポン3200-100、PTFE-FEP-ポリアミドイミドデュポン856P23485、FEP粉末デュポン532およびPFAヘキスト(Hoechst)6900nなどがある。
【0034】
好適なコポリマーは、1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%のフッ素化ポリマーを含んでいる。好適なコポリマーには、テトラフルオロエチレン(TFE)とPFAのコポリマー、TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー(DYNEONからFEP 6107およびFEP 100として市販)、VDFとHFPとのコポリマー(バイトン(Viton)Aとして市販)、TFEとパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)とのコポリマー(DYNEONからPFA 6515Nとして市販)、TFE、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデンのブレンド(DYNEONからTHV 200Gとして市販)、5%PTFE/アセタールのブレンドであるHOSTAFORM X329(商標名)(ヘキスト)、20%PTFE/アセタールのブレンドであるHOSTAFORM C9021TF、PTFE/PBTのブレンド(例えばLNP WL4040)、ならびにPTFE/PBT/シリコーンのブレンド(例えば、LNP WL4540)などがある。
【0035】
他の好適なコーティング剤には、架橋フッ素化ポリマーがある。1つの態様では前記処理表面は、その上に配置された1以上の非フルオロカーボン系ポリマーと組み合わせられた1以上のフルオロカーボン系ポリマーを有する。もう1つの態様では前記処理表面は、その上に配置された直鎖で非架橋のポリマー化合物を有する。
【0036】
1つの態様では前記コーティング化合物は、コーティングする表面にその化合物を固定することができる官能基を有する。第1の例として前記化合物は、リン酸系パーフルオロエーテル誘導体などの有機リン酸化合物であってよい。第2の例として前記化合物は、1600〜1750の範囲の分子量を有するパーフルオロポリオキシアルカンのシラン誘導体などのパーフルオロポリオキシアルカンのシラン誘導体のような有機シラン誘導体であってもよい。
【0037】
代表的には前記化合物は、リン酸エステルである。
【0038】
1実施形態において、前記コーティング化合物は下記一般式を有する。
【化1】
【0039】
式中:R1は−(OCH2−CH2)z−OPO(OH)2を有し;x、yおよびzは、前記化合物の分子量が900〜2100となる値であり;vおよびwは独立に1または2を表す。
【0040】
1つの好ましい実施形態では、vとwはいずれも1である。第2の好ましい実施形態では、vとwはいずれも2である。
【0041】
式(I)の化合物は通常混合物として用いられ、その特性は本発明を利用するに当っての最適化の一部として変えることができる。
【0042】
式(I)の化合物の合成は、同様の化合物について記載しているEPO687533を参照することで容易に決めることができる。
【0043】
もう1つの実施形態では、コーティング化合物は下記一般式を有する。
【化2】
【0044】
式中:
R2はフルオロアルキル官能基を有し;
rおよびtは、前記化合物の分子量が350〜1000となるものであり;
R3はリン酸エステル官能基を有する。
【0045】
いずれの理論にも拘束されたくないが、式(I)および(II)の化合物の固定(例:リン酸)部分が、構成要素の表面と反応して、化合物を表面に固定すると考えられる。従って使用中は、化合物のパーフッ素化末端が医薬製剤側に来ることで、高度にフッ素化された表面が提供される。
【0046】
さらにもう1つの実施形態では、米国特許第4746550号(参照によって本明細書に組み込まれる)に開示のような−CONR4R5型[式中:R4およびR5は独立に、水素またはシリルエーテルエーテル(例えば、SiRm(OR)3−mであって、R=水素またはC1−8アルキルおよびm=0〜2である)から選択することができる]の官能基を有するパーフルオロポリエーテルが含まれる。上記のタイプのポリマー化合物の製造方法は、前記米国特許を参照することで容易に決めることができる。
【0047】
他の好適なコーティングにはジメチルシロキサンのようなシロキサン類があり、1つの態様ではそれはプラズマ重合法によって施される。
【0048】
フッ素含有ポリマーは、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびアミンホルムアルデヒド熱硬化性樹脂などの非フッ素化ポリマーとブレンドされて、ブレンド物コーティングをつくる。これらの添加されたポリマーは、バルブへのポリマーコーティングの付着をよくする。好ましいポリマーブレンドは、PTFE/FEP/ポリアミドイミド、PTFE/ポリエーテルスルホン(PES)およびFEP−ベンゾグアナミンである。
【0049】
特に好ましいコーティングは、PTFEとポリエーテルスルホン(PES)のブレンドである。
【0050】
バルブの表面は、金属のコーティングの技術分野で公知の手段によってコーティングすることができる。例えば、金属部品をコイルストックとして前コーティングし、硬化させてから、打ち抜き加工または引き抜き加工してバルブ形状とすることができる。
【0051】
他の好適なコーティング法には、適宜に硬化操作を伴う、本コーティングの処方物を静電乾燥粉末コーティングする方法、あるいは前形成されたバルブの内部に本コーティングの処方物を噴霧する方法がある。本バルブはまた、本コーティングの処方物に浸漬し、硬化させることで、バルブの内部および外部をコーティングすることもできる。さらに、本コーティングの処方物をバルブの内部に注ぎ次いで排液することで内部をコーティングすることもできる。本コーティングはまた、後述するプラズマ重合を用いて、バルブにin situで形成することもできる。
【0052】
コーティングの条件および適宜に行なわれる硬化の条件を変えて、特定のタイプのコーティングに合わすこともできる。コイルコーティングおよびスプレーコーティングには、ポリマーの融点を超える温度が必要とされるのが普通であり、例えば、融点より約50℃高い温度で、例えば約5〜10分間(例を挙げれば約8分間)あるいは必要なだけ、最長で約20分間行われる。上記で挙げた好ましいおよび特に好ましいポリマーブレンドには、約300℃〜約400℃の範囲の硬化温度(例:約350℃〜380℃)が適切である。
【0053】
フッ素含有コーティングを施与する1つの好適な方法はプラズマコーティングによるものであり、例えば、CF4もしくはフッ素イオンプラズマコーティング法による方法である。プラズマコーティングは、コーティング材料中の水素イオンをフッ素イオンと交換させることによってバルブ表面上の炭化水素含有前コーティングの重合または変性により、バルブの構成要素、好ましくはバルブのチャンバーの表面に配置されたフッ素化ポリマーからなる。そのコーティング方法は代表的には、室温で減圧下に行う。コーティングを施す構成要素を、排気されたチャンバー内に入れる。フッ素モノマーまたはフッ素源を、制御された速度でチャンバー内に導入する。チャンバー内でプラズマを発生させ、選択された電力設定で所定時間にわたって維持する。プラズマ重合の場合には代表的には、約20℃〜約100℃の範囲の温度を用いることができる。処理の終点で、プラズマを消し、チャンバーのフラッシングを行い、加工品を回収する。この重合法では、プラズマポリマーの薄い層がバルブに結合される。
【0054】
コーティング厚は約1μm〜約1mmの範囲である。好適にはコーティング厚は約1μm〜約100μmの範囲(例:1μm〜25μm)である。コーティングは、1以上のコート層で行うことができる。
【0055】
「計量式吸入器」または「MDI」という用語は、キャニスター[缶部]などの貯留部、前記貯留部の口部を覆う圧着キャップ、前記キャップ内に設置された薬剤計量バルブ、計量チャンバーおよびキャニスターが嵌合される適切なチャネリング装置を有するユニットを意味する。「薬剤計量バルブ」または「MDIバルブ」という用語は、各起動時にMDIから所定量の医薬製剤を送出するバルブおよびその関連する機構部を指す。上記チャネリング装置は例えば、バルブ用起動装置および、充填されたMDIキャニスターからMDIバルブを介して患者の鼻または口に医薬を送ることができる円筒形または円錐状流路を有していてよい(例:マウスピース起動装置)。代表的なMDIの構成要素間の関係については、米国特許第5261538号に示されている。
【0056】
好ましくは前記貯留部および/またはバルブは、ステンレス鋼またはアルミニウム製とする。金属製の薬剤計量バルブおよび貯留部/キャニスターを組み込むことの利点には、製造時の構成要素許容誤差に対してより厳重な制御を行うことができる点がある。加えて、研究の結果、規定の表面エネルギーを持つよう処理された導電性の部品の表面は用量の均一性を高めることが分った。従って、貯留部およびバルブが実質的に金属または合金製である場合、ほぼMDI全体が導電性であって、常に一定の投与量の維持に貢献することができる。
【0057】
適宜に、水分吸収手段を、本発明のディスペンサー内にそれの1構成要素として含めてもよい。あるいは、その水分吸収手段は、ディスペンサー内に入っている製剤の別の構成要素であってもよい。
【0058】
水分吸収手段は、例えばナイロンなどのポリアミドのような性質上乾燥剤であるプラスチック材料製である、貯留部/キャニスターもしくはバルブとともに用いられる構成要素または補助要素を有していてもよく、あるいはアセタールまたはPBTなどの他のプラスチック材料から成形され且つモレキュラーシーブおよびシリカゲルなどの乾燥剤を含んでいてもよい。あるいは、前記水分吸収手段は、内部ライニングまたはコーティングであってもよいし、前記手段に加えてこのような内部ライニングまたはコーティングをもっていてもよい。1つの実施形態において前記水分吸収手段は、薬剤堆積防止および/または用量均一性維持のために貯留部/キャニスターおよび/またはバルブに対する処理材またはコーティング材中に組み込まれる。
【0059】
他の蒸気または水分吸収性材料には、ゼオライトおよびアルミナなどの無機材料から構成される乾燥剤などがある。そのような無機材料は、高い水分吸収能力および好ましい水分吸収等温線形状を有する。そのような材料の水吸収能力は代表的には、20〜50重量%である。
【0060】
他の水分吸収性材料の例としては、アルミナ、ボーキサイト、無水硫酸カルシウム、水吸収性クレー、活性化ベントナイトクレー、モレキュラーシーブその他同様の材料などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
水分吸収特性の効率を増加/最適化するために、前記乾燥剤とともに、導路/チャネリング剤として作用するさらなる化合物を加えてもよい。そのような材料には、ポリエチレングリコールなどの化合物がある。
【0062】
好ましくは、上記水分を吸収する手段は、経時的な水分含量の上昇を低減させ、ないしは経時的な微粒子重量の低下を20〜100%、例えば40〜70%、例を挙げると45〜55%だけ低減するものである。
【0063】
代表的には前記構成要素または補助要素は、キャップおよび/またはシール材および/またはライニングの形態を取る。
【0064】
乾燥剤は、MDIのバルブ領域付近の水分増加を吸収するのに十分な量を存在させ、結果的に貯留部/キャニスターの内部での水分増加を軽減または実質的に防止するものでなければならない。
【0065】
代表的には、100μg〜5g、例を挙げると1mg〜1g、例えば100mg〜500mg、例として約100mg〜250mgの乾燥剤を含有させることができる。
【0066】
代表的には上記推進剤はハイドロフルオロアルカンであり、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA-134a)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)のうちの少なくとも1つであり、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA-134a)が本発明では好ましい推進剤である。
【0067】
代表的には前記薬剤投与バルブは計量バルブである。
【0068】
本発明における貯留部(キャニスターなど)は、圧着キャップ、および/またはコーティング、および/または処理材、および/またはライニング、および/または貯留部をシールするための他の補助要素の形態を取る水分吸収手段を有していてもよい。水分吸収手段は、性質上乾燥剤である材料または乾燥剤を含むプラスチック材料からつくられていてよい。
【0069】
代表的には貯留部は、医薬およびフルオロカーボン推進剤を含む医薬エアロゾル製剤を収容する。
【0070】
通常、MDIに用いられる貯留部/キャニスターおよびキャップは、アルミニウム製またはアルミニウムの合金製である。ただし、医薬製剤によって影響されない他の金属、例えばステンレススチール、銅の合金またはスズプレートを用いることもできる。MDI貯留部/キャニスターは、ガラスやプラスチックから作製することもできる、しかしながら好ましくは、本発明で用いられるMDI貯留部/キャニスターおよびキャップは、アルミニウムまたはそれの合金製である。
【0071】
本発明における貯留部およびキャップまたはチャネリング装置は、バルブのコーティングとして用いるものとして本明細書に記載されたコーティング材でコーティングしてもよい。
【0072】
貯留部は好ましくは、内部に計量バルブが配置されたアルミニウム製の金属バイアルからなる加圧容器とする。加圧容器は好ましくは計量バルブを有するが、他のバルブシステムも本発明の範囲を逸脱するものではない。他のバルブシステムには、ウエッジ仕切バルブシステム、二重ディスク仕切バルブシステム、グローブおよびアングルバルブシステム、スウィング逆止バルブシステム、エンドコックバルブシステムおよび他の同様のバルブシステムなどがあるが、これらに限定されるものではない。加圧容器は好ましくはMDIの一部であることから、バルブのデザインは代表的には、加圧容器中に入っている所定用量または所定量の薬剤を使用者へ提供するということによって決まるものである。
【0073】
バルブは代表的には、医薬エアロゾル製剤が入ってくる導入口、前記医薬エアロゾルが出ていく排出口、ならびに前記排出口を通過する流れを制御する開放/閉鎖機構部を有するバルブボディ[体]からなる。
【0074】
前記バルブは、前記開放/閉鎖機構部がシールリングおよび、このシールリングによって受けることができる投薬用通路を有するバルブステム[軸部]、からなるスライドバルブであってよく、前記バルブステムは前記リング内をバルブ閉鎖位置からバルブ開放位置までスライド式に移動可能であり、その開放位置ではバルブボディの内部が投薬用通路を介してバルブボディの外部と連通している。
【0075】
代表的には前記バルブは、計量バルブである。計量容量は代表的には、50〜100μLであり、例えば50μLまたは63μLである。好適には前記バルブボディは、医薬製剤の量を計量するための計量チャンバーならびに導入口を通って計量チャンバーに至る流れを制御することができる開放/閉鎖機構部を画定する。好ましくは前記バルブボディは、第2の導入口を介して計量チャンバーと連通しているサンプリングチャンバーを有しており、この第2の導入口は開放/閉鎖機構部によって制御可能となっており、これにより医薬製剤の計量チャンバーへの流れが調節される。
【0076】
前記バルブは、バルブボディが計量チャンバー、サンプリングチャンバーおよび、それらの間にあって中をステムがスライド移動可能である第2のシールリング、を有する計量バルブであってもよく、このバルブステムは、バルブ閉鎖位置では投薬用通路が計量チャンバーから隔絶され且つその計量チャンバーが上記移動用通路を介してサンプリングチャンバーと連通しており、バルブ開放位置では投薬用通路が計量チャンバーと連通し且つ移動用通路が計量チャンバーから隔絶されるようになっている移動用通路を有している。
【0077】
前記バルブはまた、チャンバーおよび、そのチャンバー中に延び且つ投薬位置と非投薬位置の間で前記チャンバーに対して移動可能なバルブステムを有している、「自由流動性エアロゾルバルブ」であってもよい。このバルブステムの形状および前記チャンバーの内部形状は、計量容量部がそれらの中間に画定され、非投薬位置と投薬位置との間の移動の際に、バルブステムが順次(i)エアロゾル製剤のチャンバー内への自由流動を可能とし、(ii)バルブステムの外部表面とチャンバーの内部表面との間で加圧エアロゾル製剤用の密閉計量容量部を画定し、(iii)前記計量容量部が排出用通路と連通して、加圧エアロゾル製剤の計量用量を投薬することが可能となるまで、密閉計量容量部の容量を低下させることなくチャンバー内を密閉計量容量部とともに移動する、ようなものとする。このタイプのバルブは米国特許第5772085号に記載されている。
【0078】
前記バルブは、欧州特許出願EP-A-870699およびPCT特許出願WO 99/36334に記載のエアロゾルバルブと同様の構造および作用を有していてもよい。
【0079】
前記シールリングは、好適な材料のシートからリングを切り取ることで形成することができる。あるいは前記シールリングは、射出成形、圧縮成形またはトランスファー成形法などの成形法によって形成することもできる。
【0080】
代表的には前記シールリングおよび/または第2のシールリングは、弾性材料からなる。リングは代表的には、弾性変形可能なものとする。
【0081】
前記弾性材料は、架橋されていてもよい熱可塑性エラストマー(TPE)または熱硬化性エラストマーであってよい。シールリングはまた、弾性材料が熱可塑性基材中に分散している熱可塑性エラストマーブレンドまたはアロイであってもよい。前記エラストマーは場合によってさらに、加工助剤、着色剤、粘着付与剤、潤滑剤、シリカ、タルクまたは、鉱油などの加工オイル、のような従来のポリマー添加剤を適切な量で含むことができる。
【0082】
好適な熱硬化性ゴムには、ブチルゴム、クロロ−ブチルゴム、ブロモ−ブチルゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、ポリスルフィドゴム、ポリプロピレンオキサイドゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブテンゴム、イソブチレンゴムまたはネオプレン(ポリクロロプレン)ゴムなどがある。
【0083】
好適な熱可塑性エラストマーは、当業界で知られるように、約80〜約95モル%のエチレンと、合計で約5〜約20モル%の、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択される1以上のコモノマーとのコポリマーである。2種類以上のそのようなコポリマーをブレンドして、熱可塑性ポリマーブレンドを形成してもよい。
【0084】
もう1つの好適な熱可塑性エラストマーのクラスは、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーである。このコポリマーはさらに、ポリオレフィン(例:ポリプロピレン)およびシロキサンを含んでいてもよい。
【0085】
熱可塑性エラストマー材料はまた、ポリエステルゴム、ポリウレタンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、スチレンブタジエンゴム、コポリエーテルエステルTPE、オレフィンTPE、ポリエステルアミドTPEおよびポリエーテルアミドTPEのうちの1以上から選択することもできる。
【0086】
他の好適なエラストマーには、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)がある。EPDMは単独で存在していてもよいし、あるいは例えば熱可塑性連続相基材(例:ポリプロピレンまたはポリエチレン)中に実質的に均一に分散している粒子の形態にある熱可塑性エラストマーブレンドまたはアロイの一部として存在していてもよい。市販されている熱可塑性エラストマーブレンドおよびアロイとしては、SANTOPRENE(商標名)エラストマーがある。他の好適な熱可塑性エラストマーブレンドには、ブチルポリエチレン(例えば、約2:3〜約3:2の範囲の比で)およびブチルポリプロピレンがある。
【0087】
代表的には上記シールリングおよび/または第2のシールリングはさらに、潤滑材料を含む。好適にはシールリングおよび/または第2のシールリングは、30%以下、好ましくは5〜20%の潤滑剤材料を含む。
【0088】
さらに前記ステムも潤滑剤材料を含んでいてよい。好適には前記バルブステムは、30%以下、好ましくは5〜20%の潤滑剤材料を含む。
【0089】
本明細書における「潤滑剤」という用語は、バルブステムとシール材との間の摩擦を低減する材料を意味する。好適な潤滑剤には、シリコーンオイルあるいはポリテトラフルオロエタン(PTFE)もしくはフルオロエチレンプロピレン(FEP)などのフルオロカーボンポリマーがある。
【0090】
潤滑剤は、射出法またはタンポン式注入法による等、コーティングおよび含浸などの好適な方法によって、ステム、シールリングまたは第2のシールリングに施すことができる。
【0091】
医学的使用において、本発明によるキャニスターには、医薬およびフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボン推進剤を含む医薬エアロゾル製剤が入っている。
【0092】
好適な推進剤には例えば、CH2ClF、CClF2CHClF、CF3CHClF、CHF2CClF2、CHClFCHF2、CF3CH2ClおよびCClF2CH3などのC1−4水素含有クロロフルオロカーボン;CHF2CHF2、CF3CH2F、CHF2CH3およびCF3CHFCF3などのC1−4水素含有フルオロカーボン;およびCF3CF3およびCF3CF2CF3などのパーフルオロカーボンなどがある。
【0093】
フルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンの混合物を用いる場合、それは上記で記載された化合物の混合物であってもよいし、あるいは、例えばCHClF2、CH2F2およびCF3CH3などの他のフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンとの混合物、好ましくは二元混合物であってもよい。好ましくは、単一のフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンを推進剤として用いる。推進剤として特に好ましいものとしては、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(CF3CH2F)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン(CF3CHFCF3)またはこれらの混合物などのC1−4水素含有フルオロカーボンがある。
【0094】
本発明のキャニスターで使用される医薬製剤は、成層圏オゾンの分解を誘発する成分を含まない。特に本製剤は、CCl3F、CCl2F2およびCF3CCl3などのクロロフルオロカーボンを実質的に含まない。
【0095】
前記推進剤はさらに、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタンおよびイソペンタンなどの飽和炭化水素または例えばジメチルエーテルなどのジアルキルエーテルのような揮発性補助剤を含んでいてもよい。通常、推進剤の50重量%以下が揮発性炭化水素であってよく、例えば1〜30重量%である。しかしながら、揮発性補助剤を含まないか実質的に含まない製剤が好ましい。場合によっては、推進剤の誘電特性を変える上で有利である適当な量の水を含有させることが望ましいこともある。
【0096】
本発明は、HFA-134aおよびHFA-227などの、P11、P114および/またはP12より吸湿性の高い推進剤(推進剤混合物を含む)を用いる場合に特に有用である。
【0097】
エタノール、イソプロパノールおよびプロピレングリコール(好ましくはエタノール)などのC2−6脂肪族アルコール類および多価アルコール類のような極性共溶媒を、唯一の賦形剤として、あるいは界面活性剤などの他の賦形剤にさらに追加して所望の量で医薬製剤中に含有させることで、製剤の分散性を高めることができる。好適には本医薬製剤は、推進剤基準で0.01〜5重量%の極性共溶媒(例えばエタノール)を含むことができ、好ましくは0.1〜5重量%、例えば約0.1〜1重量%を含むことができる。本発明の態様では、医薬成分の一部または全てを溶解させるだけの量で上記溶媒が加えられ、そのような製剤は一般に溶液製剤と称される。
【0098】
本エアロゾル製剤には、界面活性剤を用いることもできる。通常の界面活性剤の例が、EP-A-372777に開示されている。使用される界面活性剤の量は、医薬に対して0.0001重量%〜50重量%の範囲であるのが望ましく、特には0.05〜5重量%が望ましい。好ましい界面活性剤は、レシチン、オレイン酸およびトリオレイン酸ソルビタンである。しかしながら好ましい製剤は、界面活性剤を含まないか実質的に含まないものである。
【0099】
医薬製剤は、製剤の総重量に対して0.0001〜50重量%、好ましくは0.001〜20重量%、例えば0.001〜1%の糖を含むことができる。一般に医薬/糖の比は、1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.1〜1:10の範囲内である。本製剤で使用することができる代表的な糖には、例えばショ糖、乳糖およびブドウ糖(好ましくは乳糖)、ならびにマニトールおよびソルビトールなどの還元糖などがあり、微粉または粉砕形態であってよい。
【0100】
最終的なエアロゾル製剤は望ましくは、製剤の総重量に対して0.005〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量%、特に0.01〜1.0重量%の医薬を含む。
【0101】
1つの態様では前記ディスペンサーは、乾燥粉末製剤中の医薬を投与するのに好適である。
【0102】
もう1つの態様では前記ディスペンサーは、水性製剤中の医薬を投与するのに好適である。
【0103】
本発明のもう1つの態様では、製剤中の医薬を投与するディスペンサーで使用される薬剤投与バルブであって、前記バルブの表面が、電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなるバルブが提供される。
【0104】
1つの態様では、前記導電性材料は金属からなる。好ましくは前記金属は、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、銅、スズ、クロム、ニッケルおよびそれらの合金からなる群から選択される。
【0105】
もう1つの態様では、前記半導電性材料はケイ素からなる。
【0106】
好ましくは、前記バルブは全部金属製である。
【0107】
好ましくは、前記バルブは計量バルブである。
【0108】
1つの態様では、前記バルブの金属表面はさらに、摩擦低減用コーティングを有する。
【0109】
好ましくは前記コーティングは、シリコンオイルおよび有機ポリマーオイルまたはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0110】
もう1つの態様では、前記コーティングはポリマー材料からなる。好ましくは前記ポリマー材料は、フルオロポリマーならびにフルオロポリマーともう1つのポリマーとのコポリマーからなる群から選択される。
【0111】
1つの態様では前記フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)からなる群から選択される。
【0112】
もう1つの態様では前記コーティングは、フルオロポリマーと、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびアミンホルムアルデヒド熱硬化性樹脂からなる群から選択されるブレンド用材料とのブレンドからなる。
【0113】
さらなる態様では前記コーティングは、リン酸系パーフルオロエーテル誘導体からなる。
【0114】
1つの態様では前記コーティングは、パーフルオロポリオキシアルカンのシラン誘導体からなる。
【0115】
もう1つの態様では、前記コーティングはシロキサンポリマーからなる。
【0116】
本発明のもう1つの態様では、製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーで使用されるバルブ用のバルブステムであって、前記バルブステムの外表面が、電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなるバルブステムが提供される。
【0117】
本発明のさらにもう1つの態様では、製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーで使用されるバルブ用の計量チャンバーであって、前記計量チャンバーの表面が、電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなる計量チャンバーが提供される。
【0118】
本発明のさらにもう1つの態様では、本発明によるディスペンサーおよび医薬チャネリング装置を有する計量式吸入器が提供される。前記医薬チャネリング装置の表面は電気研磨仕上部を有することができる。
【0119】
本発明によってさらに、医薬を収納するためのキャニスターおよび/または製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーの薬剤投与機構部の表面の仕上げを行う方法であって、前記表面を電気研磨する段階を有する方法が提供される。
【0120】
1つの形態において、前記機構部は薬剤投与バルブである。
【0121】
もう1つの態様では、前記バルブは計量バルブである。
【0122】
他の形態の表面処理を用いて、粗表面の平滑化またはギザギザ除去を行うこともできる。それらには、電気化学的加工、電気化学的研摩ならびに化学的研磨および熱的ギザギザ除去がある。後者の方法では、被処理品を可燃性ガス雰囲気中に浸し、次に着火することで、被処理品の表面からギザギザを熱的に除去する。
【0123】
電気研磨法と同様に、これらのいずれの処理でも、さらなる機械的な処理を行って、表面に圧縮応力を導入し、耐疲労性を高める必要がある場合がある。電解/化学メッキなどの他の方法を用いて、被処理表面上に材料(例:ダイヤモンドまたは金属基材中のPTFE)を成膜して、耐摩耗性および/または摩擦抵抗を改善することができる。
【0124】
本エアロゾル処方で投与することができる医薬は、吸入療法で有用なあらゆる薬剤を含み得る。1つの態様では本発明のディスペンサーは、喘息および慢性閉塞性肺障害(COPD)のような肺および気管支道の障害などの呼吸器障害の治療用の医薬投薬に好適である。
【0125】
本発明の医薬ディスペンサーは、特には喘息および慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器障害の治療のための医薬を投与するのに好適である。従って適当な医薬は、例えばコデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニルまたはモルヒネなどの鎮痛薬;ジルチアゼムなどの狭心症薬;クロモグリク酸塩(例:ナトリウム塩として)、ケトチフェンまたはネドクロミル(例:ナトリウム塩として)などの抗アレルギー薬;セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリンおよびペンタミジンなどの抗感染薬;メタピリレンなどの抗ヒスタミン薬;ベクロメタゾン(例:ジプロピオン酸エステルとして)、フルチカゾン(例:プロピオン酸エステルとして)、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド、モメタゾン(例:フロン酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例:アセトニドとして)または6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イル)エステルなどの抗炎症剤;ノスカピンなどの鎮咳薬;アルブテロール(例:遊離塩基または硫酸塩として)、サルメテロール(例:シキナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例:臭化水素酸塩として)、ホルモテロール(例:フマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(例:酢酸塩として)、レプロテロール(例:塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例:硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロールまたは4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2(3H)−ベンゾチアゾロンなどの気管支拡張薬;2R,3R,4S,5R]−2−[6−アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾール−5−イル)−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール(例:マレイン酸塩として)などのアデノシン2a作働薬;(2S)−3−[4−({[4−(アミノカルボニル)−1−ピペリジニル]カルボニル}オキシ)フェニル]−2−[((2S)−4−メチル−2−{[2−(2−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノイル)アミノ]プロパン酸(例:遊離酸またはカリウム塩として)などのα4インテグリン阻害薬;アミロリドなどの利尿薬;イプラトロピウム(例:臭化物として)、チオトロピウム、アトロピンまたはオキシトロピウムなどの抗コリン作用薬;コルチゾン、ハイドロコルチゾンまたはプレドニゾロンなどのホルモン;アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リジンテオフィリネートまたはテオフィリンなどのキサンチン;インシュリンまたはグルカゴンなどの治療用タンパク質およびペプチド;ワクチン、診断薬ならびに遺伝子治療薬から選択することができる。適宜に医薬を、塩の形で(例:アルカリ金属塩またはアミン塩あるいは酸付加塩として)、またはエステルとして(例:低級アルキルエステル)、または溶媒和物として(例:水和物)用いて、その医薬の活性および/または安定性を至適化したり、ならびに/あるいは推進剤中での医薬の溶解度を最小限とすることは当業者には明らかなことである。好ましい医薬は、アルブテロール、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾンおよびジプロピオン酸ベクロメタゾンならびにそれらの塩または溶媒和物(例:アルブテロールの硫酸塩およびサルメテロールのキシナフォエート)から選択される。
【0126】
医薬はまた、組み合わせで投与することもできる。活性成分の組み合わせを含む好ましい製剤は、ベクロメタゾンエステル(例:ジプロピオン酸エステル)またはフルチカゾンエステル(例:プロピオン酸エステル)またはブデソニドなどの抗炎症性ステロイドとの組み合わせで、サルブタモール(例:遊離塩基または硫酸塩として)またはサルメテロール(例:キシナホ酸塩として)またはホルモテロール(例:フマル酸塩として)を含む。特に好ましい組み合わせは、プロピオン酸フルチカゾンとサルメテロール、またはそれの塩(特には、キシナホ酸塩)の組み合わせである。特に興味深いもう1つの組み合わせは、ブデソニドとホルモテロール(例:フマル酸塩として)である。
【0127】
本発明のキャニスターで使用される特に好ましい製剤は、医薬ならびに推進剤としてのC1−4ハイドロフルオロアルカン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1,1,2,3,3,3−n−ヘプタフルオロプロパンまたはそれらの混合物を含む。
【0128】
好ましい製剤は、製剤賦形剤を含まないか実質的に含まない。従って好ましい製剤は、上記医薬および上記選択された推進剤から実質的になる(あるいはそれらからなる)。
【0129】
医薬エアロゾル製造の当業者には周知の従来の大量製造方法および装置を、充填キャニスターの商業的生産のための大規模バッチ製造に用いることができる。従って例えば、1つのバルク製造方法では、計量バルブをアルミニウム缶上に圧着して、空のキャニスターを形成する。粒子状医薬を仕込み用容器に加え、その仕込み用容器を通過させて製造用容器の中に液化推進剤を加圧充填する。得られた薬剤懸濁液を混合してから、充填用装置に循環させ、それからこの薬剤懸濁液の小分け量を前記計量バルブを通してキャニスター内に充填する。代表的には、医薬用に製造されたバッチでは、各充填されたキャニスターについて重量検査し、バッチ番号を付番し、保管用トレーに詰めてから、出荷合否試験を行う。
【0130】
各充填キャニスターは、使用の前に適切なチャネリング装置にうまく嵌合させて、患者の肺または鼻腔への医薬投与用の計量式吸入器を形成する。好適なチャネリング装置は、例えばバルブアクチュエータおよび、本充填キャニスターから前記計量バルブを通って患者の鼻または口に医薬を送達する円筒状または円錐状の通路、を有する(例えばマウスピース型アクチュエータ)。計量式吸入器は、起動または「パフ(puff)」ごとに一定の単位用量、例えば1回のパフ当たり10〜5000μgの範囲で投与するよう設計されている。
【0131】
医薬の投与は、軽度、中等度または重度の急性もしくは慢性症状の治療または予防的処置のために指示され得る。正確な投与用量は、患者の年齢および健康状態、使用される特定の粒子状医薬および投与頻度によって決まり、最終的には担当医の裁量に委ねられることは理解されよう。医薬の組み合わせを用いる場合、その組み合わせの各成分の用量は通常、各成分を単独で用いる場合に使用されるものとする。代表的には投与は、1日1回以上、例えば1日1〜8回とすることができ、各回例えば1回、2回、3回または4回のパフを行う。各バルブ起動は例えば、5μg、50μg、100μg、200μgまたは250μgの医薬を投与するものとすることができる。代表的には、計量式吸入器で使用される各充填された貯留部またはキャニスターには、60、100、120または200個の計量された用量またはパプの医薬が入っている。各医薬の用量は、当業者には公知であるか、あるいは容易に確認することができる。
【0132】
本発明のさらにもう1つの態様は、例えば喘息などの呼吸器障害の治療方法からなり、その方法は、本明細書で説明されたように、本発明のディスペンサーから医薬製剤の有効量を吸入することで投与する段階を有する。
【0133】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0134】
本発明によるバルブを図1に示してあり、そのバルブは圧着によって口輪2にシールされたバルブボディ1を有し、その口輪自体は周知の方法でガスケット3を介在させて容器の頸部(不図示)上に設置されている。上側および下側のステムシール部9および12を除いてバルブのすべての部分はいずれもステンレス鋼などの金属からなる。
【0135】
バルブボディ1が、その下側部分を計量チャンバー4として、そしてその上側部分を、戻しバネ6用のハウジングとしての役割も果たすサンプリングチャンバー5として、形成されている。「上側」および「下側」という言葉は、容器が、図1に示されたバルブの方向に相当する、容器の頸部およびバルブを容器の下側端部にした使用方向にある場合のその容器に対して用いられる。バルブボディ1の内側にはバルブステム7が配置されており、その一部である8が、下側ステムシール部9および口輪2を通ってバルブ外に延びている。ステム部分8は、ステムの外側端部に内部軸方向または長手方向流路10の開口部を有して形成されており、半径方向通路11と連通している。
【0136】
ステム7の上側部分は、それが上側ステムシール部12にある開口部を通ってスライドすることができ且つその開口部の周囲に十分係合してシール部を提供するような直径を有する。上側ステムシール部12は、下側ステムシール部9と上側ステムシール部12との間で計量チャンバー4を画定するスリーブ14によって、前記下側部分と上側部分との間でバルブボディ1中に形成された階段部13に対向して所定位置に保持されている。バルブステム7は通路15を有し、それはステムが図示の非動作位置にある場合に、計量チャンバー4とサンプリングチャンバー5の間に連通を提供するものであり、そのサンプリングチャンバーはそれ自体、バルブボディ1の側面に形成されたオリフィス26を介して本容器の内部と連通している。
【0137】
バルブステム7は、戻しバネ6によって非動作位置に下方に偏らされており、下側ステムシール部9に当接しているショルダー部17を有する。図1に示した非動作位置において、ショルダー17が下側ステムシール部9に当接しており、半径方向通路11が下側ステムシール部9の下で開口しており、その結果計量チャンバー4は流路10から隔絶しており、内部の懸濁液は外に出ることができないようになっている。
【0138】
半径方向に広がる「U」字形状の断面を有するリング18が、オリフィス26の下でバルブボディの周囲に配置されていることで、バルブボディの周囲に谷部19を形成している。図1からわかるように、前記リングは、バルブボディ1の上側部分で摩擦嵌合するのに適切な直径の内側環状接触リムを有する別の構成要素として形成されており、そのリングはオリフィス26の下で階段部13に対して座っている。しかしながらリング18は別の形態として、バルブボディ1の一体成形部分として形成することもできる。
【0139】
本装置を使用するには、容器を最初に振盪して、容器内の懸濁液を均質とする。次に使用者は、バネ6の力に抗してバルブステム7を押す。バルブステムが押されると、通路15の両端が、計量チャンバー4から遠い上側ステムシール部12の側面に来る。バルブステムを続けて押し下げると、半径方向通路11を計量チャンバー4の中に移動させ、その一方で上側ステムシール部12がバルブステムのボディに対してシールを行う。その結果、計量用量を、半径方向通路11および排出流路10を通って放出することができる。
【0140】
バルブステムを放すと、バネ6の力によってそれは図示の位置に戻る。次に通路15が再度、計量チャンバー4とサンプリングチャンバー6の間を連通させる。従ってこの段階で、液体が加圧下に容器からオリフィス26を通り、通路15を通って、計量チャンバー4に流れ込んで、それを満たす。
【0141】
図2aおよび2bは、ステンレス鋼からなる図1のものなどの投薬バルブの内部表面130の模式的顕微鏡図である。図2aには、バルブの表面130の粗さおよび起伏性を示してあり、エッジもしくはギザギザ131および穴132があることがわかる。図2bには、電気研磨後の表面130が描いてあり、表面130上のエッジもしくはギザギザ131および穴132の数が大幅に減っていることが示されている。電気研磨後において、表面130の起伏は大幅に低減している。
【0142】
図3は、吸入装置の貯留部/キャニスターまたはバルブの内部表面の処理に好適な電気研磨槽250の模式図である。
【0143】
電気研磨によって仕上げを行うキャニスターまたはバルブの表面230について最初に、適当な溶媒によるスケール落としまたはグリース落としを行ってから、槽250に浸漬する。次に、表面230を電解溶液260中に沈めることで、その液に曝露し、DC電源装置240の陽極243に接続する。負端子244を適切な導電体245に接続し、その導電体も溶液260に沈める。電源装置240から直流電流を印加することで、溶液260内に完全な電気回路を形成する。印加電流の期間および量は、バルブの表面230から除去する予定の金属の量に応じて変わり得る。好適な電気量は、約10v電流〜約1000アンペア/m2であると考えられている。時間は、表面の性質および必要な研磨の量に応じて変えられる。次に、バルブを電気研磨槽250から取り出し、適切な液体(例:水道水)で、そのあと脱塩液(例:脱塩水)で洗浄し、そして乾燥させる。ステンレス鋼を用いる場合は、作業物品を素早く酸化剤に浸漬し、そのあとに脱塩水ですすぎ洗いしてから乾燥を行うのが好ましい。
【0144】
本開示内容は説明のみを目的としたものであり、本発明は、当業者の通常の技術の範囲内にあるそれに対する改変、変形および改良にも及ぶものであることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明におけるバルブの模式図である。
【図2】投薬バルブの内側表面の模式図である。
【図3】電気研磨装置の模式図である。
【0001】
本発明は、患者に医薬を投薬するための吸入装置に関する。より詳細には本発明は、処方用量の医薬を常に一定の量で投薬するための計量式吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器障害および鼻腔障害の治療用の薬剤は、口や鼻を介したエアロゾル製剤で投与される場合が非常に多い。そのようなエアロゾル医薬製剤を投薬するのに非常に広く使用される方法では、液化ガス推進剤中の懸濁液または溶液として薬剤を製剤する。懸濁液/溶液は、推進剤を液体として維持するのに必要な圧力に耐えることができる密閉された貯留部もしくはキャニスター[缶部]に収容される。懸濁液/溶液は、キャニスターに取り付けられたバルブ、場合により計量バルブの形態のバルブを起動することで分散放出される。
【0003】
呼吸器障害を治療するための医薬は、口または鼻から乾燥粉末製剤としても投与される。乾燥粉末吸入(DPI)装置すなわち吸入器が、これらの薬剤の投与に用いられ、患者が吸入することで、鼻または口から所定用量の医薬が取り込まれる。薬剤は吸入器本体にある貯留部に入った乾燥粉末として貯蔵され、計量チャンバー[室部分]を用いて所定用量の医薬が投与される。あるいは、より精巧な吸入装置では規定用量の粉末薬剤が入った個別のカプセルまたはブリスターパック/ストリップ[帯片]などの医薬キャリアが用いられる。
【0004】
計量バルブには通常、指定の容量を有し、正確な所定用量の医薬を起動ごとに投与するよう設計された計量チャンバーがある。計量バルブは、乾燥粉末、エアロゾルおよび液体製剤の薬剤を投与する吸入装置で使用される。一般に計量バルブは、下記でエアロゾル系薬剤ディスペンサーに関して説明するように、これら各装置で同様に動作する。
【0005】
推進剤の高蒸気圧によって用量計量バルブを介してキャニスターから強制的に懸濁液/溶液が放出されると、推進剤は急速に気化して、高速で移動する非常に微細な医薬製剤粒子雲があとに残る。その粒子雲は、円筒や開放端円錐などのチャネリング[誘導]装置によって患者の鼻や口の中に向かう。エアロゾル用量計量バルブの起動と同時に、患者は薬剤粒子を肺や鼻腔に吸入する。このように薬剤を投薬するシステムは、「計量式吸入器」(MDI)と称される(この形態の治療法に関する背景技術については、Peter Byron, Respiratory Drug Delivery, CRC Press, Boca Raton, FL (1990)参照)。
【0006】
患者は、身体を衰弱させたり、場合によっては生命を脅かす呼吸器障害を迅速に治療するのに吸入装置により投与される薬剤に依存する場合が多い。従って、患者に投与される処方用量の医薬が、製造者が謳う仕様を常に一貫して満足し、FDAその他の規制当局の要求事項に適合することが必須である。すなわち、キャニスターにおける全ての用量が、同一の狭い許容範囲内で投与可能でなければならない。
【0007】
従来のエアロゾル/MDI、DPIおよび/または液体ディスペンサーなどの薬剤投与装置に存在し得る現象は、液体中の薬剤懸濁液からの、医薬または、粉末もしくは粒子の形態の固体成分の装置内部表面への堆積である。吸入装置のキャニスター内、計量チャンバー内およびバルブステム[軸部]上での化学的な堆積は、操作上の問題を生じる場合がある。
【0008】
吸入装置の計量チャンバーの内部表面への医薬、および/または製剤/推進剤添加剤の堆積によって生じ得る一つの問題は、その効率の低下およびその結果としての患者における治療効率の低下である。薬剤の堆積は、患者への投薬に使える活性医薬の量を減少させ、装置の寿命期間中に投薬される薬剤の均一性に大きく影響する。
【0009】
吸入装置で使用されるバルブ表面への医薬または製剤/推進剤添加剤の堆積によって生じ得るもう1つの問題は、起動サイクル時にバルブステムが粘着したり、停止したり、あるいは重くなる場合があるというものである。そのような粘着の結果、摺動境界面上に化学堆積物が存在することで操作時の摩擦が大きくなるため、バルブステムの押し込みおよび開放を行うに連れて、使用者は「刻み目」があるように感じる。
【0010】
医薬および製剤/推進剤添加剤の堆積は、MDI装置のキャニスターなどの薬剤貯留部の内部表面でも起こり得る。やはりそれは、投与に利用可能な有効成分の量および投薬される用量の均一性の両方を低下させることで、装置の操作および有効寿命に悪影響を与え得る。
【0011】
ヒドロフルオロアルカン(HFA)推進剤134aおよび227に基づいて賦形剤なしのエアロゾル製剤を用いる場合に、従来のエアロゾルおよびMDIにおけるこの薬剤堆積の問題はさらに悪化する。エアロゾルの保存に伴って、特にエアロゾルを高温および/または高湿で保存する場合に、薬剤堆積が増加することも分った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一つの目的は、バルブ粘着の問題を改善し、均一用量の医薬を常に一定の量で投与する、操作の微細滑らかさが向上した吸入装置を提供することにある。
【0013】
吸入装置の内部表面への化学的堆積の程度を決定する重要な因子は、その内部表面、特にバルブの内部表面の微細形状である。顕微鏡レベルでは、これらの表面は滑らかではなく、実際には穴やギザギザがあって、薬剤の付着や堆積が起こり得る多くの必要のないエッジがある。
【0014】
そのようなギザギザや穴のある表面が存在することで、バルブの摩擦抵抗が上昇するというさらなる問題が生じうる。さらに、表面が平坦でないことは、バルブを摩擦低減用コーティングで被覆することを困難にする場合がある。従って例えば、バルブ表面へのフルオロポリマーなどの摩擦低減用コーティングの付着が、そのようなギザギザおよび穴のある表面が存在することで妨害される場合がある。
【0015】
一部の先行技術の装置では、堆積した粒子を除去するのには、ディスペンサーを振盪して、その中の製剤/推進剤および製品の混合物を撹拌することに依存している。しかしながら、一部ではこの改善方法は薬剤容器自体の本体内では有効となり得るが、計量バルブのようなディスペンサーの他の構成要素の内側表面に堆積した粒子には効果的ではない可能性がある。
【0016】
本出願人らは、上記の薬剤付着および用量均一性の問題は、表面(特に、内部表面)が実質的にステンレス鋼などの金属製である場合に、さらに大きくなり得ることを見出した。しかしながら本願人らは、装置の表面を電気研磨法によって処理することで、表面の穴形成およびギザギザ形成の問題が改善されることを見出した。それによって薬剤の堆積が減り、結果的に装置の寿命期間にわたって用量の均一性が高くなり、操作がより滑らかになる。さらに、表面の穴形成およびギザギザ形成の低減によって、計量バルブの摩擦抵抗が改善され、摩擦低減用コーティングでの被覆を行う上でより均一なコーティング用基礎が形成される。加えて、電気研磨をグリースやオイルなど、本製造工程による製作品の表面をクリーニングするのにも使うことができる
国際特許出願WO 99/55600では、吸入装置の表面、特に内部表面上への薬剤の付着および堆積の問題が扱われている。その特許出願には、吸入装置の計量バルブステムの側面にあるポート[引き込み口]上の表面ギザギザを減らす上での光輝焼なましの使用が記載されている。その特許出願ではまた、酸処理およびバレル研摩を用いたバルブステムの表面特性の改善も開示されている。光輝焼なましは、特別に設計された炉内での制御された化学的条件下(例:水素および/または窒素雰囲気)における非常に高い温度での処理を必要とする複雑な多段階法である。それとは対照的に、本発明に記載の電気研磨法は、より簡単で安価であり、制御がより容易な吸入装置表面の処理手段である。
【0017】
米国特許第44884708号には、金属製圧力容器の内部表面を電気化学研磨することによる収容ガス汚染の低減が記載されている。そのような容器の内側表面の粗さが、その容器内の収容ガスの純度および安定性を維持する上での直接の因子であることが知られている。電気化学研磨法によって、内側表面の活性領域または起伏が大幅に減ることで、この問題が改善される。
【0018】
米国特許第5326078号には、主として半導体製造装置の流体配管におけるバルブで使用されるダイヤフラム弁のケーシング床および弁座の多段階電気研磨の使用が開示されている。この技術は、ケーシング床の「デッドゾーン」内に残留し得る未排出流体の程度を低減するのに用いられる。この特許は、バルブのこれらの構成要素の電気研磨についてのみ記載している。
【0019】
米国特許第5740792号は吸入装置に関するものであり、電気研磨ステンレス鋼の薄板からなる貯留部栓が開示されている。電気研磨の目的は、装置内で投与用板とともに漏れのないシールを形成することができる非常に平坦で滑らかな剛質表面を提供することにある。吸入装置の表面への薬剤の付着および堆積に関連する問題およびそれらの問題に対処する上での電気研磨の使用については何ら言及されていない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の1態様によれば、製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーにおいて、前記医薬を収納するための貯留部;ならびに薬剤投与機構部を有し、前記貯留部および/または前記機構部の表面が電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなることを特徴とするディスペンサーが提供される。例えば、前記医薬製剤と接触することになる前記貯留部および前記機構部の表面、ならびに前記ディスペンサー内の他の表面と摩擦接触することになる前記機構部の表面が、電気研磨仕上部を有する。特に、前記貯留部および、前記機構部の表面構成要素(例:バルブステムなど)の内部表面に電気研磨仕上部を持たせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
電気化学研磨または電解研磨とも称される電気研磨は、当技術分野で知られているいずれの方法によっても行うことができる。一般に電気研磨では、その導電性の基材材料を電解質材料でコーティングする。この電解質材料は、基材の表面に分極薄膜を形成する。コーティングされた基材を電流に曝露することで、導電性基材が陽極的に溶解して、その結果導電性基材上の残留材料の「ハイスポット、ギザギザまたはエッジ」が除去され、導電性基材材料上に滑らかな表面が残る。
【0022】
電解質材料は、新たに形成される金属イオンと反応してそれらを溶解させる金属上の高度に分極した陽極膜を形成するのに好適であるいずれの固体、液体または気体材料であってよい。好適な電気研磨溶液の代表例には、リン酸溶液、硫酸溶液およびシアン化物溶液などがある。実際の電気研磨槽は、その状態を維持する電流密度で、溶解してくる金属の塩でほぼ飽和している陽極薄膜を提供する。
【0023】
導電性基材材料から除去される金属の量は、印加電流の量および時間に比例する。基材材料の幾何形状などの他の因子は、電流の分布に影響し、従って各局所領域で除去される金属の量に大きく関係する。
【0024】
金属除去の速度差の原理は、電気研磨によって得られる「平滑化」または「ギザギザ除去」の概念において重要である。微細なエッジまたはギザギザは、極高電流密度領域となり、その結果急速に溶解する。低電流密度領域では電流量が相対的に小さいため、金属除去が無視できる程度となる。
【0025】
電気研磨を行っている間は、研磨が行われ且つ同時に寸法精度が維持されるよう基材材料を巧みに操作して金属除去の量を注意深くコントロールする。電気研磨は文字どおり、高電流密度領域では急速な分解で、低電流密度領域ではそれより弱い分解で金属結晶を原子ごとにバラバラにするものである。その結果、表面起伏が全体的に低減して、同時に金属表面が平滑かつ高光沢となる。
【0026】
ステンレス鋼の合金の場合は、合金の各成分の除去速度の差により重要な効果が生じる。例えば、鉄原子およびニッケル原子は、クロム原子よりずっと容易に結晶格子から引き抜かれる。電気研磨法では鉄およびニッケルが優先的に除去され、耐腐食性の酸化クロムからなる改善された表面層が残る。この現象によって、電気研磨表面に「パッシベーション」という重要な特性が付与される。
【0027】
1つの態様では前記導電性材料は金属である。好ましくはその金属は、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、銅、スズ、クロム、ニッケルおよびそれらの合金からなる群から選択される。
【0028】
別の態様では前記半導電性材料はケイ素である。
【0029】
1つの態様では前記薬剤投与機構部および/または前記貯留部は、全体が金属製である。
【0030】
好ましくは前記薬剤投与機構部は、バルブを有する。より好ましくは、前記バルブは計量バルブである。好ましくは、前記医薬製剤と接触することになる前記計量チャンバーの内部表面とともに、前記バルブステムなどの前記計量バルブ内の摩擦接触に曝露される全ての表面が、電気研磨仕上部を有する。
【0031】
1つの態様では前記バルブの表面は、摩擦低減用コーティングを有する。好ましくは前記コーティングは、シリコンオイル、有機ポリマーオイルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
好ましくは前記コーティングは、ポリマー材料からなる。より好ましくは前記ポリマー材料は、フルオロポリマーならびに、フルオロポリマーともう1つのポリマーとのコポリマーから選択される。
【0033】
好適なフルオロポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などがある。フルオロカーボンポリマーは、テフロン(Teflon(登録商標))、テフゼル(Tefzel(登録商標))、ハラー(Halar(登録商標))およびホスタフロン(Hostaflon(登録商標))、ポリフロン(Polyflone(登録商標))およびネオフロン(Neoflon(登録商標))などの商標名で市販されている。ポリマーの銘柄には、FEPデュポン(DuPont)856-200、PFAデュポン857-200、PTFE-PESデュポン3200-100、PTFE-FEP-ポリアミドイミドデュポン856P23485、FEP粉末デュポン532およびPFAヘキスト(Hoechst)6900nなどがある。
【0034】
好適なコポリマーは、1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%のフッ素化ポリマーを含んでいる。好適なコポリマーには、テトラフルオロエチレン(TFE)とPFAのコポリマー、TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー(DYNEONからFEP 6107およびFEP 100として市販)、VDFとHFPとのコポリマー(バイトン(Viton)Aとして市販)、TFEとパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)とのコポリマー(DYNEONからPFA 6515Nとして市販)、TFE、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデンのブレンド(DYNEONからTHV 200Gとして市販)、5%PTFE/アセタールのブレンドであるHOSTAFORM X329(商標名)(ヘキスト)、20%PTFE/アセタールのブレンドであるHOSTAFORM C9021TF、PTFE/PBTのブレンド(例えばLNP WL4040)、ならびにPTFE/PBT/シリコーンのブレンド(例えば、LNP WL4540)などがある。
【0035】
他の好適なコーティング剤には、架橋フッ素化ポリマーがある。1つの態様では前記処理表面は、その上に配置された1以上の非フルオロカーボン系ポリマーと組み合わせられた1以上のフルオロカーボン系ポリマーを有する。もう1つの態様では前記処理表面は、その上に配置された直鎖で非架橋のポリマー化合物を有する。
【0036】
1つの態様では前記コーティング化合物は、コーティングする表面にその化合物を固定することができる官能基を有する。第1の例として前記化合物は、リン酸系パーフルオロエーテル誘導体などの有機リン酸化合物であってよい。第2の例として前記化合物は、1600〜1750の範囲の分子量を有するパーフルオロポリオキシアルカンのシラン誘導体などのパーフルオロポリオキシアルカンのシラン誘導体のような有機シラン誘導体であってもよい。
【0037】
代表的には前記化合物は、リン酸エステルである。
【0038】
1実施形態において、前記コーティング化合物は下記一般式を有する。
【化1】
【0039】
式中:R1は−(OCH2−CH2)z−OPO(OH)2を有し;x、yおよびzは、前記化合物の分子量が900〜2100となる値であり;vおよびwは独立に1または2を表す。
【0040】
1つの好ましい実施形態では、vとwはいずれも1である。第2の好ましい実施形態では、vとwはいずれも2である。
【0041】
式(I)の化合物は通常混合物として用いられ、その特性は本発明を利用するに当っての最適化の一部として変えることができる。
【0042】
式(I)の化合物の合成は、同様の化合物について記載しているEPO687533を参照することで容易に決めることができる。
【0043】
もう1つの実施形態では、コーティング化合物は下記一般式を有する。
【化2】
【0044】
式中:
R2はフルオロアルキル官能基を有し;
rおよびtは、前記化合物の分子量が350〜1000となるものであり;
R3はリン酸エステル官能基を有する。
【0045】
いずれの理論にも拘束されたくないが、式(I)および(II)の化合物の固定(例:リン酸)部分が、構成要素の表面と反応して、化合物を表面に固定すると考えられる。従って使用中は、化合物のパーフッ素化末端が医薬製剤側に来ることで、高度にフッ素化された表面が提供される。
【0046】
さらにもう1つの実施形態では、米国特許第4746550号(参照によって本明細書に組み込まれる)に開示のような−CONR4R5型[式中:R4およびR5は独立に、水素またはシリルエーテルエーテル(例えば、SiRm(OR)3−mであって、R=水素またはC1−8アルキルおよびm=0〜2である)から選択することができる]の官能基を有するパーフルオロポリエーテルが含まれる。上記のタイプのポリマー化合物の製造方法は、前記米国特許を参照することで容易に決めることができる。
【0047】
他の好適なコーティングにはジメチルシロキサンのようなシロキサン類があり、1つの態様ではそれはプラズマ重合法によって施される。
【0048】
フッ素含有ポリマーは、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびアミンホルムアルデヒド熱硬化性樹脂などの非フッ素化ポリマーとブレンドされて、ブレンド物コーティングをつくる。これらの添加されたポリマーは、バルブへのポリマーコーティングの付着をよくする。好ましいポリマーブレンドは、PTFE/FEP/ポリアミドイミド、PTFE/ポリエーテルスルホン(PES)およびFEP−ベンゾグアナミンである。
【0049】
特に好ましいコーティングは、PTFEとポリエーテルスルホン(PES)のブレンドである。
【0050】
バルブの表面は、金属のコーティングの技術分野で公知の手段によってコーティングすることができる。例えば、金属部品をコイルストックとして前コーティングし、硬化させてから、打ち抜き加工または引き抜き加工してバルブ形状とすることができる。
【0051】
他の好適なコーティング法には、適宜に硬化操作を伴う、本コーティングの処方物を静電乾燥粉末コーティングする方法、あるいは前形成されたバルブの内部に本コーティングの処方物を噴霧する方法がある。本バルブはまた、本コーティングの処方物に浸漬し、硬化させることで、バルブの内部および外部をコーティングすることもできる。さらに、本コーティングの処方物をバルブの内部に注ぎ次いで排液することで内部をコーティングすることもできる。本コーティングはまた、後述するプラズマ重合を用いて、バルブにin situで形成することもできる。
【0052】
コーティングの条件および適宜に行なわれる硬化の条件を変えて、特定のタイプのコーティングに合わすこともできる。コイルコーティングおよびスプレーコーティングには、ポリマーの融点を超える温度が必要とされるのが普通であり、例えば、融点より約50℃高い温度で、例えば約5〜10分間(例を挙げれば約8分間)あるいは必要なだけ、最長で約20分間行われる。上記で挙げた好ましいおよび特に好ましいポリマーブレンドには、約300℃〜約400℃の範囲の硬化温度(例:約350℃〜380℃)が適切である。
【0053】
フッ素含有コーティングを施与する1つの好適な方法はプラズマコーティングによるものであり、例えば、CF4もしくはフッ素イオンプラズマコーティング法による方法である。プラズマコーティングは、コーティング材料中の水素イオンをフッ素イオンと交換させることによってバルブ表面上の炭化水素含有前コーティングの重合または変性により、バルブの構成要素、好ましくはバルブのチャンバーの表面に配置されたフッ素化ポリマーからなる。そのコーティング方法は代表的には、室温で減圧下に行う。コーティングを施す構成要素を、排気されたチャンバー内に入れる。フッ素モノマーまたはフッ素源を、制御された速度でチャンバー内に導入する。チャンバー内でプラズマを発生させ、選択された電力設定で所定時間にわたって維持する。プラズマ重合の場合には代表的には、約20℃〜約100℃の範囲の温度を用いることができる。処理の終点で、プラズマを消し、チャンバーのフラッシングを行い、加工品を回収する。この重合法では、プラズマポリマーの薄い層がバルブに結合される。
【0054】
コーティング厚は約1μm〜約1mmの範囲である。好適にはコーティング厚は約1μm〜約100μmの範囲(例:1μm〜25μm)である。コーティングは、1以上のコート層で行うことができる。
【0055】
「計量式吸入器」または「MDI」という用語は、キャニスター[缶部]などの貯留部、前記貯留部の口部を覆う圧着キャップ、前記キャップ内に設置された薬剤計量バルブ、計量チャンバーおよびキャニスターが嵌合される適切なチャネリング装置を有するユニットを意味する。「薬剤計量バルブ」または「MDIバルブ」という用語は、各起動時にMDIから所定量の医薬製剤を送出するバルブおよびその関連する機構部を指す。上記チャネリング装置は例えば、バルブ用起動装置および、充填されたMDIキャニスターからMDIバルブを介して患者の鼻または口に医薬を送ることができる円筒形または円錐状流路を有していてよい(例:マウスピース起動装置)。代表的なMDIの構成要素間の関係については、米国特許第5261538号に示されている。
【0056】
好ましくは前記貯留部および/またはバルブは、ステンレス鋼またはアルミニウム製とする。金属製の薬剤計量バルブおよび貯留部/キャニスターを組み込むことの利点には、製造時の構成要素許容誤差に対してより厳重な制御を行うことができる点がある。加えて、研究の結果、規定の表面エネルギーを持つよう処理された導電性の部品の表面は用量の均一性を高めることが分った。従って、貯留部およびバルブが実質的に金属または合金製である場合、ほぼMDI全体が導電性であって、常に一定の投与量の維持に貢献することができる。
【0057】
適宜に、水分吸収手段を、本発明のディスペンサー内にそれの1構成要素として含めてもよい。あるいは、その水分吸収手段は、ディスペンサー内に入っている製剤の別の構成要素であってもよい。
【0058】
水分吸収手段は、例えばナイロンなどのポリアミドのような性質上乾燥剤であるプラスチック材料製である、貯留部/キャニスターもしくはバルブとともに用いられる構成要素または補助要素を有していてもよく、あるいはアセタールまたはPBTなどの他のプラスチック材料から成形され且つモレキュラーシーブおよびシリカゲルなどの乾燥剤を含んでいてもよい。あるいは、前記水分吸収手段は、内部ライニングまたはコーティングであってもよいし、前記手段に加えてこのような内部ライニングまたはコーティングをもっていてもよい。1つの実施形態において前記水分吸収手段は、薬剤堆積防止および/または用量均一性維持のために貯留部/キャニスターおよび/またはバルブに対する処理材またはコーティング材中に組み込まれる。
【0059】
他の蒸気または水分吸収性材料には、ゼオライトおよびアルミナなどの無機材料から構成される乾燥剤などがある。そのような無機材料は、高い水分吸収能力および好ましい水分吸収等温線形状を有する。そのような材料の水吸収能力は代表的には、20〜50重量%である。
【0060】
他の水分吸収性材料の例としては、アルミナ、ボーキサイト、無水硫酸カルシウム、水吸収性クレー、活性化ベントナイトクレー、モレキュラーシーブその他同様の材料などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
水分吸収特性の効率を増加/最適化するために、前記乾燥剤とともに、導路/チャネリング剤として作用するさらなる化合物を加えてもよい。そのような材料には、ポリエチレングリコールなどの化合物がある。
【0062】
好ましくは、上記水分を吸収する手段は、経時的な水分含量の上昇を低減させ、ないしは経時的な微粒子重量の低下を20〜100%、例えば40〜70%、例を挙げると45〜55%だけ低減するものである。
【0063】
代表的には前記構成要素または補助要素は、キャップおよび/またはシール材および/またはライニングの形態を取る。
【0064】
乾燥剤は、MDIのバルブ領域付近の水分増加を吸収するのに十分な量を存在させ、結果的に貯留部/キャニスターの内部での水分増加を軽減または実質的に防止するものでなければならない。
【0065】
代表的には、100μg〜5g、例を挙げると1mg〜1g、例えば100mg〜500mg、例として約100mg〜250mgの乾燥剤を含有させることができる。
【0066】
代表的には上記推進剤はハイドロフルオロアルカンであり、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA-134a)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)のうちの少なくとも1つであり、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA-134a)が本発明では好ましい推進剤である。
【0067】
代表的には前記薬剤投与バルブは計量バルブである。
【0068】
本発明における貯留部(キャニスターなど)は、圧着キャップ、および/またはコーティング、および/または処理材、および/またはライニング、および/または貯留部をシールするための他の補助要素の形態を取る水分吸収手段を有していてもよい。水分吸収手段は、性質上乾燥剤である材料または乾燥剤を含むプラスチック材料からつくられていてよい。
【0069】
代表的には貯留部は、医薬およびフルオロカーボン推進剤を含む医薬エアロゾル製剤を収容する。
【0070】
通常、MDIに用いられる貯留部/キャニスターおよびキャップは、アルミニウム製またはアルミニウムの合金製である。ただし、医薬製剤によって影響されない他の金属、例えばステンレススチール、銅の合金またはスズプレートを用いることもできる。MDI貯留部/キャニスターは、ガラスやプラスチックから作製することもできる、しかしながら好ましくは、本発明で用いられるMDI貯留部/キャニスターおよびキャップは、アルミニウムまたはそれの合金製である。
【0071】
本発明における貯留部およびキャップまたはチャネリング装置は、バルブのコーティングとして用いるものとして本明細書に記載されたコーティング材でコーティングしてもよい。
【0072】
貯留部は好ましくは、内部に計量バルブが配置されたアルミニウム製の金属バイアルからなる加圧容器とする。加圧容器は好ましくは計量バルブを有するが、他のバルブシステムも本発明の範囲を逸脱するものではない。他のバルブシステムには、ウエッジ仕切バルブシステム、二重ディスク仕切バルブシステム、グローブおよびアングルバルブシステム、スウィング逆止バルブシステム、エンドコックバルブシステムおよび他の同様のバルブシステムなどがあるが、これらに限定されるものではない。加圧容器は好ましくはMDIの一部であることから、バルブのデザインは代表的には、加圧容器中に入っている所定用量または所定量の薬剤を使用者へ提供するということによって決まるものである。
【0073】
バルブは代表的には、医薬エアロゾル製剤が入ってくる導入口、前記医薬エアロゾルが出ていく排出口、ならびに前記排出口を通過する流れを制御する開放/閉鎖機構部を有するバルブボディ[体]からなる。
【0074】
前記バルブは、前記開放/閉鎖機構部がシールリングおよび、このシールリングによって受けることができる投薬用通路を有するバルブステム[軸部]、からなるスライドバルブであってよく、前記バルブステムは前記リング内をバルブ閉鎖位置からバルブ開放位置までスライド式に移動可能であり、その開放位置ではバルブボディの内部が投薬用通路を介してバルブボディの外部と連通している。
【0075】
代表的には前記バルブは、計量バルブである。計量容量は代表的には、50〜100μLであり、例えば50μLまたは63μLである。好適には前記バルブボディは、医薬製剤の量を計量するための計量チャンバーならびに導入口を通って計量チャンバーに至る流れを制御することができる開放/閉鎖機構部を画定する。好ましくは前記バルブボディは、第2の導入口を介して計量チャンバーと連通しているサンプリングチャンバーを有しており、この第2の導入口は開放/閉鎖機構部によって制御可能となっており、これにより医薬製剤の計量チャンバーへの流れが調節される。
【0076】
前記バルブは、バルブボディが計量チャンバー、サンプリングチャンバーおよび、それらの間にあって中をステムがスライド移動可能である第2のシールリング、を有する計量バルブであってもよく、このバルブステムは、バルブ閉鎖位置では投薬用通路が計量チャンバーから隔絶され且つその計量チャンバーが上記移動用通路を介してサンプリングチャンバーと連通しており、バルブ開放位置では投薬用通路が計量チャンバーと連通し且つ移動用通路が計量チャンバーから隔絶されるようになっている移動用通路を有している。
【0077】
前記バルブはまた、チャンバーおよび、そのチャンバー中に延び且つ投薬位置と非投薬位置の間で前記チャンバーに対して移動可能なバルブステムを有している、「自由流動性エアロゾルバルブ」であってもよい。このバルブステムの形状および前記チャンバーの内部形状は、計量容量部がそれらの中間に画定され、非投薬位置と投薬位置との間の移動の際に、バルブステムが順次(i)エアロゾル製剤のチャンバー内への自由流動を可能とし、(ii)バルブステムの外部表面とチャンバーの内部表面との間で加圧エアロゾル製剤用の密閉計量容量部を画定し、(iii)前記計量容量部が排出用通路と連通して、加圧エアロゾル製剤の計量用量を投薬することが可能となるまで、密閉計量容量部の容量を低下させることなくチャンバー内を密閉計量容量部とともに移動する、ようなものとする。このタイプのバルブは米国特許第5772085号に記載されている。
【0078】
前記バルブは、欧州特許出願EP-A-870699およびPCT特許出願WO 99/36334に記載のエアロゾルバルブと同様の構造および作用を有していてもよい。
【0079】
前記シールリングは、好適な材料のシートからリングを切り取ることで形成することができる。あるいは前記シールリングは、射出成形、圧縮成形またはトランスファー成形法などの成形法によって形成することもできる。
【0080】
代表的には前記シールリングおよび/または第2のシールリングは、弾性材料からなる。リングは代表的には、弾性変形可能なものとする。
【0081】
前記弾性材料は、架橋されていてもよい熱可塑性エラストマー(TPE)または熱硬化性エラストマーであってよい。シールリングはまた、弾性材料が熱可塑性基材中に分散している熱可塑性エラストマーブレンドまたはアロイであってもよい。前記エラストマーは場合によってさらに、加工助剤、着色剤、粘着付与剤、潤滑剤、シリカ、タルクまたは、鉱油などの加工オイル、のような従来のポリマー添加剤を適切な量で含むことができる。
【0082】
好適な熱硬化性ゴムには、ブチルゴム、クロロ−ブチルゴム、ブロモ−ブチルゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、ポリスルフィドゴム、ポリプロピレンオキサイドゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブテンゴム、イソブチレンゴムまたはネオプレン(ポリクロロプレン)ゴムなどがある。
【0083】
好適な熱可塑性エラストマーは、当業界で知られるように、約80〜約95モル%のエチレンと、合計で約5〜約20モル%の、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択される1以上のコモノマーとのコポリマーである。2種類以上のそのようなコポリマーをブレンドして、熱可塑性ポリマーブレンドを形成してもよい。
【0084】
もう1つの好適な熱可塑性エラストマーのクラスは、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーである。このコポリマーはさらに、ポリオレフィン(例:ポリプロピレン)およびシロキサンを含んでいてもよい。
【0085】
熱可塑性エラストマー材料はまた、ポリエステルゴム、ポリウレタンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、スチレンブタジエンゴム、コポリエーテルエステルTPE、オレフィンTPE、ポリエステルアミドTPEおよびポリエーテルアミドTPEのうちの1以上から選択することもできる。
【0086】
他の好適なエラストマーには、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)がある。EPDMは単独で存在していてもよいし、あるいは例えば熱可塑性連続相基材(例:ポリプロピレンまたはポリエチレン)中に実質的に均一に分散している粒子の形態にある熱可塑性エラストマーブレンドまたはアロイの一部として存在していてもよい。市販されている熱可塑性エラストマーブレンドおよびアロイとしては、SANTOPRENE(商標名)エラストマーがある。他の好適な熱可塑性エラストマーブレンドには、ブチルポリエチレン(例えば、約2:3〜約3:2の範囲の比で)およびブチルポリプロピレンがある。
【0087】
代表的には上記シールリングおよび/または第2のシールリングはさらに、潤滑材料を含む。好適にはシールリングおよび/または第2のシールリングは、30%以下、好ましくは5〜20%の潤滑剤材料を含む。
【0088】
さらに前記ステムも潤滑剤材料を含んでいてよい。好適には前記バルブステムは、30%以下、好ましくは5〜20%の潤滑剤材料を含む。
【0089】
本明細書における「潤滑剤」という用語は、バルブステムとシール材との間の摩擦を低減する材料を意味する。好適な潤滑剤には、シリコーンオイルあるいはポリテトラフルオロエタン(PTFE)もしくはフルオロエチレンプロピレン(FEP)などのフルオロカーボンポリマーがある。
【0090】
潤滑剤は、射出法またはタンポン式注入法による等、コーティングおよび含浸などの好適な方法によって、ステム、シールリングまたは第2のシールリングに施すことができる。
【0091】
医学的使用において、本発明によるキャニスターには、医薬およびフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボン推進剤を含む医薬エアロゾル製剤が入っている。
【0092】
好適な推進剤には例えば、CH2ClF、CClF2CHClF、CF3CHClF、CHF2CClF2、CHClFCHF2、CF3CH2ClおよびCClF2CH3などのC1−4水素含有クロロフルオロカーボン;CHF2CHF2、CF3CH2F、CHF2CH3およびCF3CHFCF3などのC1−4水素含有フルオロカーボン;およびCF3CF3およびCF3CF2CF3などのパーフルオロカーボンなどがある。
【0093】
フルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンの混合物を用いる場合、それは上記で記載された化合物の混合物であってもよいし、あるいは、例えばCHClF2、CH2F2およびCF3CH3などの他のフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンとの混合物、好ましくは二元混合物であってもよい。好ましくは、単一のフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンを推進剤として用いる。推進剤として特に好ましいものとしては、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(CF3CH2F)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン(CF3CHFCF3)またはこれらの混合物などのC1−4水素含有フルオロカーボンがある。
【0094】
本発明のキャニスターで使用される医薬製剤は、成層圏オゾンの分解を誘発する成分を含まない。特に本製剤は、CCl3F、CCl2F2およびCF3CCl3などのクロロフルオロカーボンを実質的に含まない。
【0095】
前記推進剤はさらに、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタンおよびイソペンタンなどの飽和炭化水素または例えばジメチルエーテルなどのジアルキルエーテルのような揮発性補助剤を含んでいてもよい。通常、推進剤の50重量%以下が揮発性炭化水素であってよく、例えば1〜30重量%である。しかしながら、揮発性補助剤を含まないか実質的に含まない製剤が好ましい。場合によっては、推進剤の誘電特性を変える上で有利である適当な量の水を含有させることが望ましいこともある。
【0096】
本発明は、HFA-134aおよびHFA-227などの、P11、P114および/またはP12より吸湿性の高い推進剤(推進剤混合物を含む)を用いる場合に特に有用である。
【0097】
エタノール、イソプロパノールおよびプロピレングリコール(好ましくはエタノール)などのC2−6脂肪族アルコール類および多価アルコール類のような極性共溶媒を、唯一の賦形剤として、あるいは界面活性剤などの他の賦形剤にさらに追加して所望の量で医薬製剤中に含有させることで、製剤の分散性を高めることができる。好適には本医薬製剤は、推進剤基準で0.01〜5重量%の極性共溶媒(例えばエタノール)を含むことができ、好ましくは0.1〜5重量%、例えば約0.1〜1重量%を含むことができる。本発明の態様では、医薬成分の一部または全てを溶解させるだけの量で上記溶媒が加えられ、そのような製剤は一般に溶液製剤と称される。
【0098】
本エアロゾル製剤には、界面活性剤を用いることもできる。通常の界面活性剤の例が、EP-A-372777に開示されている。使用される界面活性剤の量は、医薬に対して0.0001重量%〜50重量%の範囲であるのが望ましく、特には0.05〜5重量%が望ましい。好ましい界面活性剤は、レシチン、オレイン酸およびトリオレイン酸ソルビタンである。しかしながら好ましい製剤は、界面活性剤を含まないか実質的に含まないものである。
【0099】
医薬製剤は、製剤の総重量に対して0.0001〜50重量%、好ましくは0.001〜20重量%、例えば0.001〜1%の糖を含むことができる。一般に医薬/糖の比は、1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.1〜1:10の範囲内である。本製剤で使用することができる代表的な糖には、例えばショ糖、乳糖およびブドウ糖(好ましくは乳糖)、ならびにマニトールおよびソルビトールなどの還元糖などがあり、微粉または粉砕形態であってよい。
【0100】
最終的なエアロゾル製剤は望ましくは、製剤の総重量に対して0.005〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量%、特に0.01〜1.0重量%の医薬を含む。
【0101】
1つの態様では前記ディスペンサーは、乾燥粉末製剤中の医薬を投与するのに好適である。
【0102】
もう1つの態様では前記ディスペンサーは、水性製剤中の医薬を投与するのに好適である。
【0103】
本発明のもう1つの態様では、製剤中の医薬を投与するディスペンサーで使用される薬剤投与バルブであって、前記バルブの表面が、電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなるバルブが提供される。
【0104】
1つの態様では、前記導電性材料は金属からなる。好ましくは前記金属は、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、銅、スズ、クロム、ニッケルおよびそれらの合金からなる群から選択される。
【0105】
もう1つの態様では、前記半導電性材料はケイ素からなる。
【0106】
好ましくは、前記バルブは全部金属製である。
【0107】
好ましくは、前記バルブは計量バルブである。
【0108】
1つの態様では、前記バルブの金属表面はさらに、摩擦低減用コーティングを有する。
【0109】
好ましくは前記コーティングは、シリコンオイルおよび有機ポリマーオイルまたはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0110】
もう1つの態様では、前記コーティングはポリマー材料からなる。好ましくは前記ポリマー材料は、フルオロポリマーならびにフルオロポリマーともう1つのポリマーとのコポリマーからなる群から選択される。
【0111】
1つの態様では前記フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)からなる群から選択される。
【0112】
もう1つの態様では前記コーティングは、フルオロポリマーと、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびアミンホルムアルデヒド熱硬化性樹脂からなる群から選択されるブレンド用材料とのブレンドからなる。
【0113】
さらなる態様では前記コーティングは、リン酸系パーフルオロエーテル誘導体からなる。
【0114】
1つの態様では前記コーティングは、パーフルオロポリオキシアルカンのシラン誘導体からなる。
【0115】
もう1つの態様では、前記コーティングはシロキサンポリマーからなる。
【0116】
本発明のもう1つの態様では、製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーで使用されるバルブ用のバルブステムであって、前記バルブステムの外表面が、電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなるバルブステムが提供される。
【0117】
本発明のさらにもう1つの態様では、製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーで使用されるバルブ用の計量チャンバーであって、前記計量チャンバーの表面が、電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなる計量チャンバーが提供される。
【0118】
本発明のさらにもう1つの態様では、本発明によるディスペンサーおよび医薬チャネリング装置を有する計量式吸入器が提供される。前記医薬チャネリング装置の表面は電気研磨仕上部を有することができる。
【0119】
本発明によってさらに、医薬を収納するためのキャニスターおよび/または製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーの薬剤投与機構部の表面の仕上げを行う方法であって、前記表面を電気研磨する段階を有する方法が提供される。
【0120】
1つの形態において、前記機構部は薬剤投与バルブである。
【0121】
もう1つの態様では、前記バルブは計量バルブである。
【0122】
他の形態の表面処理を用いて、粗表面の平滑化またはギザギザ除去を行うこともできる。それらには、電気化学的加工、電気化学的研摩ならびに化学的研磨および熱的ギザギザ除去がある。後者の方法では、被処理品を可燃性ガス雰囲気中に浸し、次に着火することで、被処理品の表面からギザギザを熱的に除去する。
【0123】
電気研磨法と同様に、これらのいずれの処理でも、さらなる機械的な処理を行って、表面に圧縮応力を導入し、耐疲労性を高める必要がある場合がある。電解/化学メッキなどの他の方法を用いて、被処理表面上に材料(例:ダイヤモンドまたは金属基材中のPTFE)を成膜して、耐摩耗性および/または摩擦抵抗を改善することができる。
【0124】
本エアロゾル処方で投与することができる医薬は、吸入療法で有用なあらゆる薬剤を含み得る。1つの態様では本発明のディスペンサーは、喘息および慢性閉塞性肺障害(COPD)のような肺および気管支道の障害などの呼吸器障害の治療用の医薬投薬に好適である。
【0125】
本発明の医薬ディスペンサーは、特には喘息および慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器障害の治療のための医薬を投与するのに好適である。従って適当な医薬は、例えばコデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニルまたはモルヒネなどの鎮痛薬;ジルチアゼムなどの狭心症薬;クロモグリク酸塩(例:ナトリウム塩として)、ケトチフェンまたはネドクロミル(例:ナトリウム塩として)などの抗アレルギー薬;セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリンおよびペンタミジンなどの抗感染薬;メタピリレンなどの抗ヒスタミン薬;ベクロメタゾン(例:ジプロピオン酸エステルとして)、フルチカゾン(例:プロピオン酸エステルとして)、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド、モメタゾン(例:フロン酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例:アセトニドとして)または6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イル)エステルなどの抗炎症剤;ノスカピンなどの鎮咳薬;アルブテロール(例:遊離塩基または硫酸塩として)、サルメテロール(例:シキナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例:臭化水素酸塩として)、ホルモテロール(例:フマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(例:酢酸塩として)、レプロテロール(例:塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例:硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロールまたは4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2(3H)−ベンゾチアゾロンなどの気管支拡張薬;2R,3R,4S,5R]−2−[6−アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾール−5−イル)−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール(例:マレイン酸塩として)などのアデノシン2a作働薬;(2S)−3−[4−({[4−(アミノカルボニル)−1−ピペリジニル]カルボニル}オキシ)フェニル]−2−[((2S)−4−メチル−2−{[2−(2−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノイル)アミノ]プロパン酸(例:遊離酸またはカリウム塩として)などのα4インテグリン阻害薬;アミロリドなどの利尿薬;イプラトロピウム(例:臭化物として)、チオトロピウム、アトロピンまたはオキシトロピウムなどの抗コリン作用薬;コルチゾン、ハイドロコルチゾンまたはプレドニゾロンなどのホルモン;アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リジンテオフィリネートまたはテオフィリンなどのキサンチン;インシュリンまたはグルカゴンなどの治療用タンパク質およびペプチド;ワクチン、診断薬ならびに遺伝子治療薬から選択することができる。適宜に医薬を、塩の形で(例:アルカリ金属塩またはアミン塩あるいは酸付加塩として)、またはエステルとして(例:低級アルキルエステル)、または溶媒和物として(例:水和物)用いて、その医薬の活性および/または安定性を至適化したり、ならびに/あるいは推進剤中での医薬の溶解度を最小限とすることは当業者には明らかなことである。好ましい医薬は、アルブテロール、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾンおよびジプロピオン酸ベクロメタゾンならびにそれらの塩または溶媒和物(例:アルブテロールの硫酸塩およびサルメテロールのキシナフォエート)から選択される。
【0126】
医薬はまた、組み合わせで投与することもできる。活性成分の組み合わせを含む好ましい製剤は、ベクロメタゾンエステル(例:ジプロピオン酸エステル)またはフルチカゾンエステル(例:プロピオン酸エステル)またはブデソニドなどの抗炎症性ステロイドとの組み合わせで、サルブタモール(例:遊離塩基または硫酸塩として)またはサルメテロール(例:キシナホ酸塩として)またはホルモテロール(例:フマル酸塩として)を含む。特に好ましい組み合わせは、プロピオン酸フルチカゾンとサルメテロール、またはそれの塩(特には、キシナホ酸塩)の組み合わせである。特に興味深いもう1つの組み合わせは、ブデソニドとホルモテロール(例:フマル酸塩として)である。
【0127】
本発明のキャニスターで使用される特に好ましい製剤は、医薬ならびに推進剤としてのC1−4ハイドロフルオロアルカン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1,1,2,3,3,3−n−ヘプタフルオロプロパンまたはそれらの混合物を含む。
【0128】
好ましい製剤は、製剤賦形剤を含まないか実質的に含まない。従って好ましい製剤は、上記医薬および上記選択された推進剤から実質的になる(あるいはそれらからなる)。
【0129】
医薬エアロゾル製造の当業者には周知の従来の大量製造方法および装置を、充填キャニスターの商業的生産のための大規模バッチ製造に用いることができる。従って例えば、1つのバルク製造方法では、計量バルブをアルミニウム缶上に圧着して、空のキャニスターを形成する。粒子状医薬を仕込み用容器に加え、その仕込み用容器を通過させて製造用容器の中に液化推進剤を加圧充填する。得られた薬剤懸濁液を混合してから、充填用装置に循環させ、それからこの薬剤懸濁液の小分け量を前記計量バルブを通してキャニスター内に充填する。代表的には、医薬用に製造されたバッチでは、各充填されたキャニスターについて重量検査し、バッチ番号を付番し、保管用トレーに詰めてから、出荷合否試験を行う。
【0130】
各充填キャニスターは、使用の前に適切なチャネリング装置にうまく嵌合させて、患者の肺または鼻腔への医薬投与用の計量式吸入器を形成する。好適なチャネリング装置は、例えばバルブアクチュエータおよび、本充填キャニスターから前記計量バルブを通って患者の鼻または口に医薬を送達する円筒状または円錐状の通路、を有する(例えばマウスピース型アクチュエータ)。計量式吸入器は、起動または「パフ(puff)」ごとに一定の単位用量、例えば1回のパフ当たり10〜5000μgの範囲で投与するよう設計されている。
【0131】
医薬の投与は、軽度、中等度または重度の急性もしくは慢性症状の治療または予防的処置のために指示され得る。正確な投与用量は、患者の年齢および健康状態、使用される特定の粒子状医薬および投与頻度によって決まり、最終的には担当医の裁量に委ねられることは理解されよう。医薬の組み合わせを用いる場合、その組み合わせの各成分の用量は通常、各成分を単独で用いる場合に使用されるものとする。代表的には投与は、1日1回以上、例えば1日1〜8回とすることができ、各回例えば1回、2回、3回または4回のパフを行う。各バルブ起動は例えば、5μg、50μg、100μg、200μgまたは250μgの医薬を投与するものとすることができる。代表的には、計量式吸入器で使用される各充填された貯留部またはキャニスターには、60、100、120または200個の計量された用量またはパプの医薬が入っている。各医薬の用量は、当業者には公知であるか、あるいは容易に確認することができる。
【0132】
本発明のさらにもう1つの態様は、例えば喘息などの呼吸器障害の治療方法からなり、その方法は、本明細書で説明されたように、本発明のディスペンサーから医薬製剤の有効量を吸入することで投与する段階を有する。
【0133】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0134】
本発明によるバルブを図1に示してあり、そのバルブは圧着によって口輪2にシールされたバルブボディ1を有し、その口輪自体は周知の方法でガスケット3を介在させて容器の頸部(不図示)上に設置されている。上側および下側のステムシール部9および12を除いてバルブのすべての部分はいずれもステンレス鋼などの金属からなる。
【0135】
バルブボディ1が、その下側部分を計量チャンバー4として、そしてその上側部分を、戻しバネ6用のハウジングとしての役割も果たすサンプリングチャンバー5として、形成されている。「上側」および「下側」という言葉は、容器が、図1に示されたバルブの方向に相当する、容器の頸部およびバルブを容器の下側端部にした使用方向にある場合のその容器に対して用いられる。バルブボディ1の内側にはバルブステム7が配置されており、その一部である8が、下側ステムシール部9および口輪2を通ってバルブ外に延びている。ステム部分8は、ステムの外側端部に内部軸方向または長手方向流路10の開口部を有して形成されており、半径方向通路11と連通している。
【0136】
ステム7の上側部分は、それが上側ステムシール部12にある開口部を通ってスライドすることができ且つその開口部の周囲に十分係合してシール部を提供するような直径を有する。上側ステムシール部12は、下側ステムシール部9と上側ステムシール部12との間で計量チャンバー4を画定するスリーブ14によって、前記下側部分と上側部分との間でバルブボディ1中に形成された階段部13に対向して所定位置に保持されている。バルブステム7は通路15を有し、それはステムが図示の非動作位置にある場合に、計量チャンバー4とサンプリングチャンバー5の間に連通を提供するものであり、そのサンプリングチャンバーはそれ自体、バルブボディ1の側面に形成されたオリフィス26を介して本容器の内部と連通している。
【0137】
バルブステム7は、戻しバネ6によって非動作位置に下方に偏らされており、下側ステムシール部9に当接しているショルダー部17を有する。図1に示した非動作位置において、ショルダー17が下側ステムシール部9に当接しており、半径方向通路11が下側ステムシール部9の下で開口しており、その結果計量チャンバー4は流路10から隔絶しており、内部の懸濁液は外に出ることができないようになっている。
【0138】
半径方向に広がる「U」字形状の断面を有するリング18が、オリフィス26の下でバルブボディの周囲に配置されていることで、バルブボディの周囲に谷部19を形成している。図1からわかるように、前記リングは、バルブボディ1の上側部分で摩擦嵌合するのに適切な直径の内側環状接触リムを有する別の構成要素として形成されており、そのリングはオリフィス26の下で階段部13に対して座っている。しかしながらリング18は別の形態として、バルブボディ1の一体成形部分として形成することもできる。
【0139】
本装置を使用するには、容器を最初に振盪して、容器内の懸濁液を均質とする。次に使用者は、バネ6の力に抗してバルブステム7を押す。バルブステムが押されると、通路15の両端が、計量チャンバー4から遠い上側ステムシール部12の側面に来る。バルブステムを続けて押し下げると、半径方向通路11を計量チャンバー4の中に移動させ、その一方で上側ステムシール部12がバルブステムのボディに対してシールを行う。その結果、計量用量を、半径方向通路11および排出流路10を通って放出することができる。
【0140】
バルブステムを放すと、バネ6の力によってそれは図示の位置に戻る。次に通路15が再度、計量チャンバー4とサンプリングチャンバー6の間を連通させる。従ってこの段階で、液体が加圧下に容器からオリフィス26を通り、通路15を通って、計量チャンバー4に流れ込んで、それを満たす。
【0141】
図2aおよび2bは、ステンレス鋼からなる図1のものなどの投薬バルブの内部表面130の模式的顕微鏡図である。図2aには、バルブの表面130の粗さおよび起伏性を示してあり、エッジもしくはギザギザ131および穴132があることがわかる。図2bには、電気研磨後の表面130が描いてあり、表面130上のエッジもしくはギザギザ131および穴132の数が大幅に減っていることが示されている。電気研磨後において、表面130の起伏は大幅に低減している。
【0142】
図3は、吸入装置の貯留部/キャニスターまたはバルブの内部表面の処理に好適な電気研磨槽250の模式図である。
【0143】
電気研磨によって仕上げを行うキャニスターまたはバルブの表面230について最初に、適当な溶媒によるスケール落としまたはグリース落としを行ってから、槽250に浸漬する。次に、表面230を電解溶液260中に沈めることで、その液に曝露し、DC電源装置240の陽極243に接続する。負端子244を適切な導電体245に接続し、その導電体も溶液260に沈める。電源装置240から直流電流を印加することで、溶液260内に完全な電気回路を形成する。印加電流の期間および量は、バルブの表面230から除去する予定の金属の量に応じて変わり得る。好適な電気量は、約10v電流〜約1000アンペア/m2であると考えられている。時間は、表面の性質および必要な研磨の量に応じて変えられる。次に、バルブを電気研磨槽250から取り出し、適切な液体(例:水道水)で、そのあと脱塩液(例:脱塩水)で洗浄し、そして乾燥させる。ステンレス鋼を用いる場合は、作業物品を素早く酸化剤に浸漬し、そのあとに脱塩水ですすぎ洗いしてから乾燥を行うのが好ましい。
【0144】
本開示内容は説明のみを目的としたものであり、本発明は、当業者の通常の技術の範囲内にあるそれに対する改変、変形および改良にも及ぶものであることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明におけるバルブの模式図である。
【図2】投薬バルブの内側表面の模式図である。
【図3】電気研磨装置の模式図である。
Claims (64)
- 製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーにおいて、
(a)前記医薬を収納するための貯留部、ならびに
(b)薬剤投与機構部
を有し;
前記貯留部および/または前記薬剤投与機構部の表面が電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなることを特徴とするディスペンサー。 - 前記貯留部および/または薬剤投与機構部の内部表面が電気研磨仕上部を有する請求項1に記載のディスペンサー。
- 前記電気研磨仕上部を、前記表面を電解質材料中でコーティングし、得られたコーティング表面を電流に曝露することで形成する請求項1または2に記載のディスペンサー。
- 前記電解質材料が、リン酸溶液、硫酸溶液およびシアン化物溶液からなる群から選択される請求項3に記載のディスペンサー。
- 前記導電性材料が金属である請求項1ないし4のいずれかに記載のディスペンサー。
- 前記金属が、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、銅、スズ、クロム、ニッケルおよびそれらの合金からなる群から選択される請求項5に記載のディスペンサー。
- 前記半導電性材料がケイ素である請求項1ないし4のいずれかに記載のディスペンサー。
- 前記薬剤投与機構部および/または前記貯留部が全部金属製である請求項1ないし6のいずれかに記載のディスペンサー。
- 前記薬剤投与機構部がバルブを有する請求項1ないし8のいずれかに記載のディスペンサー。
- 前記バルブが計量バルブである請求項9に記載のディスペンサー。
- 前記薬剤投与機構部の表面が摩擦低減用コーティングを有する請求項1ないし10のいずれかに記載のディスペンサー。
- 前記コーティングが、シリコンオイルおよび有機ポリマーオイルまたはそれらの混合物からなる群から選択される請求項11に記載のディスペンサー。
- 前記コーティングがポリマー材料を含む請求項11に記載のディスペンサー。
- 前記ポリマー材料がフルオロポリマーを含む請求項13に記載のディスペンサー。
- 前記ポリマー材料が、フルオロポリマーおよびフルオロポリマーともう1つのポリマーとのコポリマーからなる群から選択される請求項14に記載のディスペンサー。
- 前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)からなる群から選択される請求項14または15に記載のディスペンサー。
- 前記フルオロポリマーが、前記薬剤投与機構部の表面に前記フルオロポリマーを固定することができる官能基を有する請求項14に記載のディスペンサー。
- 前記フルオロポリマーがパーフルオロ有機リン酸化合物である請求項17に記載のディスペンサー。
- vとwがいずれも1である請求項19に記載のディスペンサー。
- vとwがいずれも2である請求項19に記載のディスペンサー。
- 前記フルオロポリマーが有機シラン誘導体である請求項17に記載のディスペンサー。
- 前記ポリマー材料がパーフルオロポリオキシアルカンのシラン誘導体を含む請求項13に記載のディスペンサー。
- 前記ポリマー材料がシロキサンポリマーを含む請求項13に記載のディスペンサー。
- 前記コーティングが、フルオロポリマーと、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびアミンホルムアルデヒド熱硬化性樹脂からなる群から選択されるブレンド用材料とのブレンドを含む請求項14または25のいずれかに記載のディスペンサー。
- 前記ポリマーブレンドが、PTFE/FEP/ポリアミドイミド、PTFE/ポリエーテルスルホンおよびFEP/ベンゾグアナミンからなる群から選択される請求項26に記載のディスペンサー。
- 流体推進剤中の医薬を含む請求項1ないし27のいずれかに記載のディスペンサーであって、前記流体推進剤がヒドロフルオロアルカンを含むディスペンサー。
- 前記ヒドロフルオロアルカンが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンおよびそれらのブレンドからなる群から選択される請求項28に記載のディスペンサー。
- 前記流体推進剤の0.01重量%〜5重量%のレベルで溶媒をさらに含む請求項28または29に記載のディスペンサー。
- 前記溶媒がエタノールである請求項30に記載のディスペンサー。
- 乾燥粉末製剤中の医薬を投与するのに好適な、請求項1ないし27のいずれかに記載のディスペンサー。
- 水性製剤中の医薬を投与するのに好適な、請求項1ないし27のいずれかに記載のディスペンサー。
- 流体推進剤中の医薬を投与するためのディスペンサーで使用されるバルブにおいて、前記バルブの表面が、電気研磨仕上部を有する導電性または半導電性材料からなることを特徴とするバルブ。
- 前記導電性材料が金属である請求項34に記載のバルブ。
- 前記金属が、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、銅、スズ、クロム、ニッケルおよびそれらの合金からなる群から選択される請求項35に記載のバルブ。
- 前記半導電性材料がケイ素である請求項34に記載のバルブ。
- 前記バルブが全部金属製である請求項34ないし37のいずれかに記載のバルブ。
- 前記バルブが計量バルブである請求項38に記載のバルブ。
- 前記表面が摩擦低減用コーティングを有する請求項34ないし39のいずれかに記載のバルブ。
- 前記コーティングが、シリコンオイルおよび有機ポリマーオイルまたはそれらの混合物からなる群から選択される請求項40に記載のバルブ。
- 前記コーティングがポリマー材料を含む請求項40に記載のバルブ。
- 前記ポリマー材料がフルオロポリマーを含む請求項42に記載のバルブ。
- 前記ポリマー材料が、フルオロポリマーおよびフルオロポリマーともう1つのポリマーとのコポリマーからなる群から選択される請求項42または43に記載のバルブ。
- 前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)からなる群から選択される請求項43または44に記載のバルブ。
- 前記フルオロポリマーが、前記バルブの表面に前記フルオロポリマーを固定することができる官能基を有する請求項43に記載のバルブ。
- 前記フルオロポリマーがパーフルオロ有機リン酸化合物である請求項46に記載のバルブ。
- vとwがいずれも1である請求項48に記載のディスペンサー。
- vとwがいずれも2である請求項48に記載のディスペンサー。
- 前記フルオロポリマーが有機シラン誘導体である請求項46に記載のディスペンサー。
- 前記ポリマー材料がパーフルオロポリオキシアルカンのシラン誘導体を含む請求項42に記載のディスペンサー。
- 前記ポリマー材料がシロキサンポリマーを含む請求項42に記載のディスペンサー。
- 前記コーティングが、フルオロポリマーと、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびアミンホルムアルデヒド熱硬化性樹脂からなる群から選択されるブレンド用材料とのブレンドを含む請求項43ないし54のいずれかに記載のバルブ。
- 前記ポリマーブレンドが、PTFE/FEP/ポリアミドイミド、PTFE/ポリエーテルスルホンおよびFEP/ベンゾグアナミンからなる群から選択される請求項55に記載のバルブ。
- 製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーで使用されるバルブ用のバルブステムであって、前記バルブステムの外表面が、電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなることを特徴とするバルブステム。
- 製剤中の医薬を投与するためのディスペンサーで使用されるバルブ用の計量チャンバーであって、前記計量チャンバーの表面が、電気研磨仕上部を有する導電性もしくは半導電性材料からなることを特徴とする計量チャンバー。
- 請求項1ないし33のいずれかに記載のディスペンサーおよび医薬チャネリング装置を有する計量式吸入器。
- 流体推進剤中の医薬を投与するためのディスペンサーの医薬を収納する貯留部および/または薬剤投与機構部の表面の仕上げを行う方法において、前記表面を電気研磨する段階を有することを特徴とする方法。
- 前記電気研磨が、電解質材料中で前記表面をコーティングする段階ならびに得られたコーティング表面を電流に曝露する段階を有する請求項60に記載の方法。
- 前記電解質材料が、リン酸溶液、硫酸溶液およびシアン化物溶液からなる群から選択される請求項61に記載の方法。
- 前記機構部がバルブである請求項60ないし62のいずれかに記載の方法。
- 前記バルブが計量バルブである請求項63に記載の方法。
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