JP2004523219A - タンパク質ポリマーの製造方法および前記ポリマーの使用 - Google Patents

タンパク質ポリマーの製造方法および前記ポリマーの使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2004523219A
JP2004523219A JP2002546685A JP2002546685A JP2004523219A JP 2004523219 A JP2004523219 A JP 2004523219A JP 2002546685 A JP2002546685 A JP 2002546685A JP 2002546685 A JP2002546685 A JP 2002546685A JP 2004523219 A JP2004523219 A JP 2004523219A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sequence
seq
nucleic acid
nos
polypeptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002546685A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004523219A5 (ja
Inventor
ジェイ ショート
エリック ジェイ マチュー
ダブリュー マイケル ラファーティー
ネルソン バートン
ケビン チョウ
Original Assignee
ディヴァーサ コーポレイション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ディヴァーサ コーポレイション filed Critical ディヴァーサ コーポレイション
Publication of JP2004523219A publication Critical patent/JP2004523219A/ja
Publication of JP2004523219A5 publication Critical patent/JP2004523219A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes
    • A61K9/1274Non-vesicle bilayer structures, e.g. liquid crystals, tubules, cubic phases, cochleates; Sponge phases
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0087Galenical forms not covered by A61K9/02 - A61K9/7023
    • A61K9/0092Hollow drug-filled fibres, tubes of the core-shell type, coated fibres, coated rods, microtubules or nanotubes

Abstract

多数のモノマーポリペプチドユニットの自己集合によってポリマーが製造される。前記ポリマーはナノチューブを形成する傾向を有し、さらに特定の薬剤分子を被包化することができる。本発明のポリマー内にいったん被包化されたら、前記薬剤分子はヒトの身体の特定の場所に輸送することができ、効果的に疾患を治癒させ、または症状を治療することができる。一般に、本発明のモノマーポリペプチドユニットは、ピロジクチウム・アビッシー(Pyrodictium abyssi)(中空のタンパク質の管を有する細胞外ネットワークを産生する微生物)で見出される配列、または前記と実質的に同一の配列を有する。前記モノマーポリペプチドは、リコンビナントバイオテクノロジーを用いて大量生産し、さらに重合させて本発明のポリマーを形成させることができる。1つまたは2つ以上の追加の向標的ベクターをモノマーポリペプチドユニットまたはポリマーに結合させて、ポリマー内に保持される薬剤分子の標的への誘導を促進することができる。モノマーポリペプチドユニット内に含まれる配列は、遺伝子位置飽和突然変異誘発およびジーンリアッセンブリー(登録商標)から選択される1つまたは2つ以上の技術を用いてさらに最適化させることができる。

Description

【0001】
本発明は、ポリペプチドモノマーユニットの自己集合によるタンパク質ポリマーの製造分野および前記自己集合タンパク質ポリマーに種々の使用に関する。
【0002】
従来技術
ナノテクノロジーは、次世代高速演算ツールおよび医療装置構築のために中心的な位置を占めつつある。分子の構造を再編成する能力は製品の製造態様に重大な影響を与えるであろう。しかしながら、例えば炭素および珪素のような物質から構築される合成極小構造物の欠点の1つは、そのような成分を自己集合させることが困難であるということであった。
ナノバイオテクノロジーは、例えばバイオチップ、ドラッグデリバリー、データ保存および極小機械装置に応用するためにバイオ分子で構成された構造物の開発および使用に関連する。自然は、人類がこれまでに知得した通常の製造技術で構築したどのようなものよりも優れた性能を発揮する分子機械装置を生産する。
【0003】
ナノバイオテクノロジーの応用の1つは誘導ドラッグデリバリーである。誘導ドラッグデリバリーの主要な目標は、治療薬剤を目的とする作用部位で局所蓄積させて生体利用性を高め、それによって所望の反応を誘引するために必要な薬剤投与量を削減することである。前記の作用部位には、病原性細菌およびウイルス、癌細胞、並びに炎症または他の組織損傷領域が含まれる。これまでに開発されてきた種々の誘導ドラッグデリバリーシステムが存在し、前記には以下が含まれる:リポソーム、可溶性ポリマー担体、脂質とポリマーのゲル、および種々の極小懸濁物(Torchilin, ”Drug Targeting”, Eur. J. Pharmaceutical Scienses, 11: S81−S91 (2000); Gerasimov, Boomer, Qualls, Thompson, ”Cytosolic drug delivery using pH− and light−sensitive liposomes”, Adv. Drug Deliv. Reviews, 38:317−338 (1999); Hafez, Cullis, ”Roles of lipid polymorphism in intracellular delivery”, Adv. Drug Deliv. Reviews, 47:139−148(2001); Hashida, Akamatsu, Nishikawa, Fumiyoshi, Takakura, ”Design of polymeric prodrugs of prostaglandin E1 having galactose residue for hepatocyte targeting”, J. Controlled Release, 62:253−262(1999); Shah, Sadhale, Chilukuri, ”Cubic phase gels as drug delivery systems”, Adv. Drug Deliv. Reviews, 47:229−250(2001); Meuller, Jacobs, Kayaser, ”Nanosuspensions as particulate drug formulations in therapy:Rationale for development and what we can expect for the future”, Adv. Drug Delivery reviews, 47:3−19(2001))。
【0004】
被包化を利用する誘導ドラッグデリバリーシステムは、以下の理由で高い関心を得ている :1)前記系は非誘導性の生体内等分配分方法よりも必要とされる治療薬投与量が少ない;2)前記治療薬はデリバリーまで一箇所に集中、単離されて維持され、したがって防護されてあるので健康な組織で望ましくない副作用をひき起こす可能性が少ない;3)被包化担体に結合させたわずかの向標的ベクターを用いて作用部位に多数の治療用分子を輸送することができる。
ナノテクノロジー分野の最近の進展の1つでは、構造的骨組みとして真核細胞微小管アッセンブリーが利用される。真核細胞微小管は自己集合して中空棒状物を形成し、この特性のために、微小管は、種々のナノテクノロージー応用のための有望な構造成分の候補物質になっている(Jelinski, ”Biologically relatede aspects of nanoparticles, nanostructured materials, and nanodevices”, In Nanostructure Science and Technology, A WTEC Panel Report prepared under the guidance of the Interagency Working Group on Nanoscience, Engineering and Technology (1999); Fritzsche, Kohler, Bohm, Unger, Wagner, Kirsch, Mertig and Pompe, ”Wiring of metalized microtubules by electron beam−induced structuring”, Nanotechnology, 10:331−335(1999))。
【0005】
しかしながら、微小管の使用は以下を含む多くの難問を提起する:微小管サブユニットタンパク質の不安定性、微小管のアッセンブリーにGTPが要求されること、および37℃以下またはカルシウムの存在下で脱ポリマー化反応を防止するためにタキソールのような微小管安定化剤が必要なこと。さらに、真核細胞微小管の主要な欠点は、大腸菌で微小管サブユニットを機能的な形態で過剰発現させることができず、したがって微小管タンパク質は天然の供給源(もっとも一般的にはウシの脳)から単離しなければならないということである(Lewis, Tian, Cowan, ”The α− and β−tubulin folding pathways”, Trends in Cell Biology, 7:479−484(1997); Shah, Xu, Vickers, Williams, ”Properties of microtubules assembled from mammalian tubulin synthesized in Eschericia coli”, Biochemistry, 40:4844−4852(2001); Williams and Lee, ”Preparation of Tubulin from Brain”, Methods in Enzymology (Academic Press),85(pt.B):376−385 (1982))。
【0006】
さらに、合成反応のためのバイオ触媒輸送用土台物質が要求される。そのような土台物質は、より多くの触媒部位を提供する三次元構造を有し、結果として自己集合ポリマーから前記土台物質を開発するのが有利であろう。さらにまた、三次元構造を有するポリマー構造物は、他の応用、例えば分離工程またはスクリーニング方法でも有用であろう。
したがって、本発明のある実施態様では、自己集合を利用するタンパク質ポリマー製造方法を提供することを目的とする。
本発明のある実施態様では、誘導ドラッグデリバリーのためのナノスケールドラッグデリバリー担体を生成することを目的とする。
本発明のある実施態様では、自己集合タンパク質ポリマーから製造される繊維を提供することを目的とする。
本発明のさらにある実施態様では、自己集合タンパク質ポリマーから製造される三次元アレーを提供することを目的とする。
本発明のさらに別の実施態様では、自己集合タンパク質ポリマーをベースにしたバイオ触媒用媒体を提供することを目的とする。
本発明の前記目的および他の目的は下記の詳細な記述から明らかとなろう。
【0007】
発明が解決しようとする課題
第一の特徴で、本発明は、以下の工程を含む自己集合タンパク質ポリマーの製造方法を提供する:配列番号:2、4、6、8および10から成るB群アミノ酸配列(以下では“B群アミノ酸配列”)および前記と実質的に同一の配列、並びに配列番号:1、3、5、7および9から成るA群核酸配列(以下ではA群核酸配列)、前記と実質的に同一の配列および前記と相補的な配列から選択される配列を有する核酸によってコードされるアミノ酸配列から選択される配列を有する多数のポリペプチドを提供し;さらに前記多数のポリペプチドの自己集合を誘発してポリマーを生成する。
第二の特徴では、本発明は以下の工程を含む、物質を被包化する方法を提供する:配列番号:2、4、6、8および10、および前記と実質的に同一の配列;並びに配列番号:1、3、5、7および9、前記と実質的に同一の配列および前記と相補的な配列によってコードされるアミノ酸配列から成る群から選択される配列を有する多数のポリペプチド並びに前記物質を溶液中で溶解させ;さらに前記多数のポリペプチドを前記物質の存在下で溶液中で重合させてポリマーを生成し、それによって前記ポリマー中に前記物質を被包化する。
【0008】
第三の特徴では、本発明は、自己集合タンパク質ポリマー中に被包化された少なくとも1つの薬剤を含むドラッグデリバリーシステムを提供する。前記自己集合タンパク質ポリマーは、配列番号:2、4、6、8および10、および前記と実質的に同一の配列;並びに配列番号:1、3、5、7および9、前記と実質的に同一の配列および前記と相補的な配列によってコードされるアミノ酸配列から成る群から選択される配列を有する多数のポリペプチドから製造される。
第四の特徴では、本発明は、以下の工程を含む変種を生成する方法を提供する:配列番号:1、3、5、7および9、前記と実質的に同一の配列、前記と相補的な配列、配列番号:1、3、5、7および9の少なくとも30個の連続するヌクレオチドを有するフラグメント、並びに、配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列の少なくとも30個の連続するヌクレオチドを有するフラグメントを入手し;さらに前記配列の1つまたは2つ以上を別のヌクレオチドに改変し、前記配列の1つまたは2つ以上を欠失させ、または前記配列に1つまたは2つ以上のヌクレオチドを付加して変種を生成する。
【0009】
第五の特徴では、配列番号:1、3、5、7および9並びに前記と実質的に同一の配列のフラグメントによってコードされる機能的なポリペプチドフラグメントまたは変種を特定するアッセイを提供する。前記機能的ポリペプチドフラグメントは、配列番号:2、4、6、8および10、並びに前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチドの酵素機能を保持する。前記アッセイは以下の工程を含む:配列番号:2、4、6、8および10、並びに前記と実質的に同一の配列を有する多数のポリペプチド、または配列番号:1、3、5、7および9、前記と実質的に同一の配列並びに前記と実質的に相補的な配列によってコードされるポリペプチドフラグメントもしくは変種を鋳型およびアルカリ土類金属イオンを含む溶液に溶解させ;さらに、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)および光散乱から選択される方法を用いて前記溶液を分析することによって、前記溶液中のポリマーの存在を検出する。
六番目の特徴で、本発明は以下を含むポリペプチドを提供する:配列番号:2、4、6、8、10、前記と実質的に同一の配列、並びに、配列番号:1、3、5、7、9、前記と実質的に同一の配列および前記と相補的な配列によってコードされるアミノ酸配列から成る群から選択される配列、および前記配列に共有結合した官能基。前記ポリペプチドでは、前記側鎖基は、抗体、オリゴ糖、ポリヌクレオチド、ポリエチレングリコールおよび荷電基から成る群から選択される構造を含む。
【0010】
課題を解決する手段
定義
本出願では、“核酸”または“核酸配列”という語句は、ここで用いられているようにオリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチドまたは前記のいずれかのフラグメントを指し、ゲノムに由来するかもしくは合成起源のDNAまたはRNAを指し(前記は一本鎖でも二本鎖でもよく、センス鎖であってもアンチセンス鎖であってもよい)、ペプチド核酸(PNA)、任意のDNA様もしくはRNA様物質(その由来が天然または合成)を指す。ある実施態様では、本発明の“核酸配列”には、例えばB群アミノ酸配列で示されるポリペプチドをコードする配列およびその変種が含まれる。別の実施態様では、本発明の“核酸配列”には、例えばA群核酸配列に示される配列、前記と相補的な配列、前述の配列のフラグメントおよび前記の変種が含まれる。
【0011】
“コード配列”または個々のポリペプチドまたはタンパク質を“コードするヌクレオチド配列”は、適切な調節配列の制御下に置かれたとき、転写されポリペプチドまたはタンパク質に翻訳される核酸配列である。
“遺伝子”という用語は、ポリペプチド鎖の生成に必要なDNAセグメントを指し、前記には、コード領域の前後の領域(リーダーおよびトレーラー)が、該当する場合には個々のコードセグメント(エクソン)の間の介在配列(イントロン)と同様に含まれる。
【0012】
本明細書で用いられるように、“アミノ酸”または“アミノ酸配列”とは、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質配列、または前記のいずれかのフラグメント、部分もしくはサブユニットを指し、天然に存在する分子または合成分子を指す。ある実施態様では、本発明の“アミノ酸配列”または“ポリペプチド配列”には、例えばB群アミノ酸配列に示される配列、前述の配列のフラグメントおよびその変種が含まれる。別の実施態様では、本発明の“アミノ酸配列”には、例えばA群核酸配列に示される配列を有するポリヌクレオチド、前記と相補的な配列、前述の配列のフラグメントおよびその変種によってコードされる配列が含まれる。
【0013】
本明細書で用いられる“ポリペプチド”という用語は、互いにペプチド結合または改変ペプチド結合(すなわちペプチド同配体)によって結合したアミノ酸を指し、20個の遺伝子コードアミノ酸以外の改変アミノ酸も含むことができる。ポリペプチドは天然のプロセス(例えば翻訳後プロセッシング)または当技術分野で周知の化学的改変技術によって改変されてあってもよい。改変はポリペプチドのいずれの場所(ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含む)にあってもよい。あるペプチドでは同タイプの改変がいくつかの部位で同程度または異なる程度に存在しえることは理解されよう。さらにまた、あるペプチドでは多くのタイプの改変が存在するであろう。
【0014】
改変には以下が含まれる:アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合による結合、ヘム成分の共有結合による結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合による結合、脂質または脂質誘導体の共有結合による結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合による結合、架橋環状化、ジスルフィド結合の生成、ジメチル化、共有結合架橋の生成、システインの生成、ピログルタメートの生成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、糖化、GPIアンカー生成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、PEG化、タンパク分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、およびタンパク質へのtRNA仲介アミノ酸付加(例えばアルギニル化)。(例えば以下の文献を参照されたい:Proteins: Structure and Molecular Properties 2nd Ed., T.E. Creighton, W.H. Freeman and Company, New York (1993); Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B.C. Johnson, Ed., Academic Press, New York, pp.1−12 (1983))。
【0015】
本明細書で用いられるように、“単離”という用語は、物質がその本来の環境(例えば、それが天然に存在する場合は天然の環境)から取り出されることを意味する。例えば、生きた動物に存在する天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、前記天然の系で一緒に存在する物質のいくつかまたは全てから分離されてある同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されている。そのようなポリヌクレオチドはベクターの一部分であっても、および/またはそのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部分であってもよい。そのようなベクターまたは組成物はその天然の環境の一部分ではないという点において、前記は単離されてある。
【0016】
本明細書で用いられるように、“精製された”という用語は絶対的に純粋であることを必要とせず、相対的定義として用いられる。ライブラリーから得られた個々の核酸は電気泳動で均一となるまで慣習的に精製された。これらのクローンから得られた配列は、ライブラリーからもヒトの全DNAからも直接入手することはできなかった。本発明の精製核酸は、ゲノムDNAの残余から少なくとも10から10倍精製されてあった。しかしながら、“精製された”という用語はまた、ゲノムDNAの残余から、またはライブラリーの他の配列から、または他の環境から、少なくとも10倍、典型的には10または10、より典型的には10または10精製された核酸を含む。
【0017】
本明細書で用いられるように、“リコンビナント”とは、核酸がその天然の環境ではそれが隣接していない“骨格“核酸に隣接することを意味する。さらに、“濃縮されてある”ためには、核酸は、核酸骨格分子集団中で核酸挿入物の数の5%またはそれ以上を占めるであろう。本発明の骨格分子には、核酸、例えば発現ベクター、自己複製核酸、ウイルス、組込み用核酸および他のベクターまたは核酸であって問題の核酸挿入物の維持または操作に用いられるものが含まれる。典型的には、濃縮されてある核酸は、リコンビナント骨格分子集団中で核酸挿入物の数の15%またはそれ以上を占める。より典型的には、濃縮された核酸は、リコンビナント骨格分子集団中で核酸挿入物の数の50%またはそれ以上を占める。ある実施態様では、濃縮された核酸は、リコンビナント骨格分子集団中で核酸挿入物の数の90%またはそれ以上を占める。
【0018】
“リコンビナント”ポリペプチドまたはタンパク質とは、リコンビナントDNA技術で生成された、すなわち、所望のポリペプチドまたはタンパク質をコードする外因性DNA構築物によって形質転換された細胞から生成されたポリペプチドまたはタンパク質を指す。“合成”ポリペプチドまたはタンパク質は化学合成によって調製されたものである。固相ペプチド合成法もまた本発明のポリペプチドまたはフラグメントの合成に用いることができる。前記の方法は1960年代初期より当技術分野で公知で(J. Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149− 2154 (1963); Stewart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed., Pierce Chemical Co., Rockford, Ill., 11−12)、さらに最近は市場で入手可能な実験室用ペプチドデザイン合成キット(Cambridge Research Biochemicals)が利用されている。そのような市販の実験室用キットは、一般的にはGeysenらの開示(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 81:3998(1984))を利用し、多数の“棒状物”または“ピン”(前記はいずれも1枚のプレートに連結されている)で構成されたチップ上でのペプチドの合成を提供する。前記のシステムを利用する場合は、前記棒状物またはピンを有するプレートは反転され、一致するウェルまたは液溜めを有する第二のプレートに挿入される。前記ウェルまたは液溜めは、前記ピンチップまたは棒状物チップに適切なアミノ酸を結合または付着させるための溶液を含んでいる。前記のような処理工程を繰り返すことによって(すなわち、反転させて棒状物チップおよびピンチップを適切な溶液に挿入することによって)、アミノ酸は所望のペプチドに構築される。さらに、多数のFMOCペプチド合成系が利用可能である。例えば、ポリペプチドまたはフラグメントの構築は、アプライド・バイオシステム社(Applied Biosystems, Inc.)のモデル431A自動ペプチド合成装置を用いて固相で実施できる。前記の装置によって、本発明のペプチドは、直接合成によるか、または一連のフラグメント(前記は他の公知の技術により結合させることができる)の合成により容易に入手できる。
【0019】
プロモーター配列は、RNAポリメラーゼ(前記プロモーターで転写を開始する)がコード配列をmRNAに転写するとき、コード配列に“機能的に連結されて”ある。
“プラスミド”は、大文字および/または数字に先行する、および/または前記大文字および/または数字に続く小文字pによって示される。本明細書の原料のプラスミドは市場で入手可能であるか、基本的に制限なく公的に入手可能であるか、または入手可能なプラスミドから公開されている方法にしたがって構築することができる。さらに、本明細書に記載したものと同等なプラスミドは当技術分野で公知であるか、または当業者には明白であろう。
【0020】
DNAの“消化”とは、DNAの一定の配列でのみ作用する制限酵素によるDNAの触媒的切断を指す。本明細書で用いられる種々の制限酵素が市場で入手可能であり、前記酵素の反応条件、補助因子および他の要件は当業者に公知の態様で用いられる。分析目的の場合、典型的には1μgのプラスミドまたはDNAフラグメントを、約20μLの緩衝溶液中で約2単位の酵素とともに用いる。プラスミド構築用DNAフラグメントの単離目的の場合、典型的には、5から50μgのDNAを、より大容量中で20から250単位の酵素で消化する。製造元が、個々の制限酵素に適切な緩衝液および基質量を特定している。37℃で約1時間のインキュベーション時間が通常用いられるが、供給元の推奨にしたがって変動させることができる。消化の後、ゲル電気泳動を実施して所望のフラグメントを単離することができる。
【0021】
“オリゴヌクレオチド”とは、一本鎖ポリデオキシヌクレオチドまたは2本の相補的なポリデオキシヌクレオチド鎖のどちらかを指し、前記は化学的に合成できる。前記の合成オリゴヌクレオチドは5’リン酸をもたず、したがって、キナーゼの存在下でATPを用いてリン酸基を添加しない場合、別のオリゴヌクレオチドは連結されない。合成オリゴヌクレオチドは、脱リン酸されていないフラグメントに連結されるであろう。
【0022】
2つの核酸配列またはポリペプチドの関係で“実質的に同一”という語句は、公知の配列比較アルゴリズムの1つを用いるかまたは目測によって最大に一致するように比較およびアラインメントを実施したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって少なくとも50ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性を有する2つ以上の配列を指す。実質的に同一である核酸配列は、少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有し、前記同一性はまた、前記核酸配列もしくはポリペプチドの少なくとも約150から200残基にわたって、そのコード領域の全長にわたって、または前記核酸配列もしくはポリペプチドの全長にわたって拡大させることができる。好ましくは、第一の核酸配列(A群核酸配列から選択される)と第二の核酸配列との関係において“実質的に同一”とは、公知の配列比較アルゴリズムの1つを用いるかまたは目測によって最大に一致するように比較およびアラインメントを実施したとき、少なくとも約100残基にわたって少なくとも50%のヌクレオチド残基同一性を有する第一および第二の配列を指す。好ましくは、第一のアミノ酸配列(B群アミノ酸配列から選択される)と第二のアミノ酸配列との関係において“実質的に同一”とは、公知の配列比較アルゴリズムの1つを用いるかまたは目測によって最大に一致するように比較およびアラインメントを実施したとき、少なくとも約100残基にわたって少なくとも50%のアミノ酸残基同一性を有する第一および第二のアミノ酸配列を指す。
【0023】
さらに、“実質的に同一”であるアミノ酸配列は、1つまたは2つ以上の保存的もしくは非保存的アミノ酸置換、欠失または挿入によってリファレンス配列と異なる配列であるが、特に前記置換が当該分子の活性部位ではない部位で生じ、さらに当該ポリペプチドがその機能的特性を本質的に維持していることを条件とする。保存的アミノ酸置換は、例えば1つのアミノ酸を同じ種類の別のアミノ酸で代用するものである(例えば1つの疎水性アミノ酸、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンと別のアミノ酸との置換、または1つの極性アミノ酸と別のアミノ酸との置換、例えばリジンをアルギニンで、アスパラギン酸をグルタミン酸で、またはアスパラギンをグルタミンで置換する)。1つまたは2つ以上のアミノ酸を、例えばハロアルカンデハロゲナーゼポリペプチドから欠失させ、その生物学的活性または特性を顕著に変化させることなく前記ポリペプチドの構造を改変することができる。例えば、ハロアルカンデハロゲナーゼの生物学的活性に必要でないアミノ末端またはカルボキシル末端のアミノ酸を取り除くことができる。本発明の改変ポリペプチド配列は、多数の任意の方法によってハロアルカンデハロゲナーゼの生物学的活性についてアッセイすることができる。前記方法は、前記改変ポリペプチド配列をハロアルカンデハロゲナーゼ基質と接触させ、前記改変ポリペプチドが前記アッセイで特異的基質の量を減少させるか否か、または前記基質との機能的ハロアルカンデハロゲナーゼポリペプチドの酵素反応生成物を増加させるか否かを決定することを含む。
【0024】
本明細書で用いられるように“フラグメント”は、天然に存在するかまたはリコンビナントタンパク質の一部分であり、前記は少なくとも2つの異なる構成で存在することができる。フラグメントは天然に存在するタンパク質と同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有することができる。“実質的に同じ”とは、アミノ酸配列ほとんど同じであり(しかし完全に同じではない)、前記配列が関連を有する配列の少なくとも1つの機能的活性を保持していることを意味する。一般に、2つのアミノ酸配列は、それらが少なくとも約70%、より典型的には約85%またはそれ以上同一である場合、“実質的に同じ”または“実質的に相同”である。フラグメント(前記は天然に存在するタンパク質とは異なる三次元構造を有する)もまた前記に含まれる。この例は“前駆型(pro−form)”分子、例えば低活性のプロ酵素であり、プロ酵素は、切断によって改変され顕著に高い活性を有する成熟酵素を生成することができる。
【0025】
“ハイブリダイゼーション”とは、核酸鎖が塩基対形成を介して相補鎖と結合するプロセスを指す。ハイブリダイゼーション反応は鋭敏で選択性を有し、その結果、問題の固有の配列が低濃度で存在するサンプルにおいても、前記固有配列を特定することができる。適切にストリンジェントな条件は、例えば予備ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション溶液における塩またはホルムアミドの濃度によって、またはハイブリダイゼーション温度によって規定することができ、それらは当技術分野で周知である。特に、ストリンジェンシーは、塩濃度の低下、ホルムアミド濃度の増加、またはハイブリダイゼーション温度の上昇によって高めることができる。
【0026】
例えば、高ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは約37℃から42℃で約50%のホルムアミドで実施できる。低ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは約30℃から35℃で約35%から25%のホルムアミドで実施できる。特に、高ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは、42℃で50%ホルムアミド、5×SSPE、0.3%SDSおよび200ng/mLのせん断変性サケ精子DNA中で実施できる。低ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは、35℃の低温で35%のホルムアミド以外は上記の通り実施できる。個々のストリンジェンシーレベルに対応する温度範囲は、問題の核酸のプリン対ピリミジン比を計算し、それに応じて温度を調節することによってさらに範囲を限定することができる。上記の温度範囲および条件についての変型は当技術分野で周知である。
【0027】
“変種”という用語は、(それぞれ)1つまたは2つ以上の塩基対、コドン、イントロン、エキソンまたはアミノ酸残基において改変された本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドであって、なお本発明の少なくとも1つの有益な特性(例えば自己集合)を維持するものを指す。変種は、例えばエラー多発PCR、シャッフリング、オリゴヌクレオチド誘導突然変異誘発、アッセンブリーPCR、セクシュアルPCR突然変異誘発、in vivo突然変異誘発、カセット突然変異誘発、反復(recursive)アンサンブル突然変異誘発、指数関数的アンサンブル突然変異誘発、位置特異的突然変異誘発、遺伝子再アッセンブリー、GSSMおよび前記の任意の組み合わせのような方法を含む多数の任意の方法によって生成できる。
【0028】
“ナノスケール”は、サイズがナノメートル範囲である装置、1つの構造を含む物質または他のものを指す。より好ましくは、装置、物質または構造は、それらが1nmから100nmの範囲の容積サイズを有する場合“ナノスケール”と称される。
“ナノスケールデリバリー担体”とは、少なくとも1個の分子を被包し、ヒトまたは動物の身体の特定場所に移動し、前記特定の場所で前記分子を放出することができる超分子ナノスケール構造を指す。ナノスケールデリバリー担体には多くの例があり、それらは例えばJelinskiが記載した中空棒状物である:Biologically related aspects of nanoparticles, nanostructured materials, and nanodevices, In Nanostructure Science and Technology, A WTEC Panel Report prepared under the guidance of Interagency Working Group on Nanoscience, Engineering anf Technology (1999)。時には、前記タイプのナノスケールデリバリー担体はまた、“ナノカプセル”、“ナノチューブ”、“ナノ粒子”、“ナノケージ”、“ミセル”または他の類似の名称で呼ばれる。
【0029】
“ポリマー”という用語は、多数の繰返し単位またはモノマーを含む大型の分子を指す。前記繰返し単位またはモノマー間の連結は共有結合でも、水素結合でも、ファンデルワールス力でも、または他の非共有結合性相互作用でもよい。前記ポリマーは、鋳型分子の存在下または非存在下で担体の自己集合によって生成されるであろう。また別に、前記ポリマーは、連鎖重合反応または逐次重合反応によって生成することもできる。好ましくは、“ポリマー”は、5000ダルトンより大きい分子量を有する分子を指す。より好ましくは、“ポリマー”は、10000ダルトンより大きい分子量を有する分子を指す。
【0030】
“重合化”という用語は、モノマーからポリマーを生成するプロセスを指す。前記モノマーは、鋳型分子の存在下、非存在下で自己集合能力を有するポリペプチド、脂質または両親媒性分子であろう。前記のような事例では、“重合化”は本質的に自己集合プロセスを指す。また別に、前記モノマーは、連鎖重合反応または共重合反応を進行させることができる不飽和分子、または逐次重合反応または共重合反応を進行させることができる少なくとも2つの反応性官能基を有する分子であろう。不飽和分子は、例えばビニル基をもつ分子、メタクリレートもしくはアクリレート基をもつ分子、マレイン酸成分を有する分子、および他の同様な不飽和分子である。前記のような事例では、“重合化”は、連鎖重合または共重合反応プロセスを指す。少なくとも2つの反応性官能基を有する分子は例えば、二酸、ジアミン、ジオール、ジメルカプタン、アミノ酸、モノマー核酸、糖類、および前記の誘導体である。
【0031】
“薬剤”または“薬剤分子”という用語は、前記がヒトまたは動物の身体に投与されたとき前記ヒトまたは動物の身体に有益な作用を有する物質を含む治療剤を指す。好ましくは、前記治療剤には、ヒトもしくは動物の身体における1つまたは2つ以上の症状、疾患もしくは異常な状態を治療し、治癒または軽快させるか、またはヒトもしくは動物の身体の健康を増進することができる物質が含まれる。
【0032】
“ヒトまたは動物の身体の特定場所に薬剤をデリバーする”という用語は、薬剤(ナノスケールデリバリー担体で被包化されてあってもよい)が、体内の消化器系、血液循環系、体液循環系を介して、または対外の移送手段(例えば注射、輸液)を介してヒトまたは動物の身体の器官、体液または器官成分を通って移動するプロセスを指す。前記薬剤は、誘導手段(例えば薬剤の特定の場所に対する親和性、デリバリー担体の特定の場所に対する親和性、デリバリー担体の特定の場所での放出傾向、外部刺激の適用により特定の場所でデリバリー担体によって制御される薬剤の放出、前記の組み合わせ、および前記の同等物)にしたがって身体の特定の場所に到達する。外部刺激は、照射、化学的刺激、温度刺激、または物理的刺激であろう。好ましくは、外部刺激は最大の効果を得るために身体の特定の場所に誘導される。
【0033】
ポリペプチドモノマーの調製
ある実施態様では、ポリペプチドモノマーの調製プロセスは前記ポリペプチドをコードする核酸を適切なベクターに結合させる工程から開始する。前記核酸は、天然の生物、例えばピロジクチウム・アビッシー(Pyrodictium abyssi)から前記核酸を単離することによって入手できる。また別に、前記核酸は、天然の核酸としてPCRによって入手するか、または合成方法によって入手してもよい。前記核酸はまた、下記で考察する方法、または配列を開発もしくは改変する他の公知の方法の1つまたは2つ以上を用いて核酸を改変して生成することができる。
【0034】
好ましくは、前記核酸はA群核酸配列に示す配列を有するか、または前記核酸は、A群核酸配列に示す配列または前記と実質的に同一の配列を下記に述べる方法を用いて改変して生成することができる。A群核酸配列およびB群アミノ酸(前記はA群核酸によってコードされる)は実質的に相同である。一般的な生物情報アルゴリズムまたは上記で述べたアルゴリズムを用いた対応するA群核酸とB群アミノ酸のアラインメントは下記に示す。下記のアラインメントで、CanAおよびCanA_pepは、核酸配列番号:1およびそれに対応するアミノ酸配列番号:2をそれぞれ表し;CanBおよびCanB_pepは、核酸配列番号:3およびそれに対応するアミノ酸配列番号:4をそれぞれ表し;CanCおよびCanC_pepは、核酸配列番号:5およびそれに対応するアミノ酸配列番号:6をそれぞれ表し;CanDおよびCanD_pepは、核酸配列番号:7およびそれに対応するアミノ酸配列番号:8をそれぞれ表し;さらにCanEおよびCanE_pepは、核酸配列番号:9およびそれに対応するアミノ酸配列番号:10をそれぞれ表す。
【0035】
Figure 2004523219
【0036】
Figure 2004523219
【0037】
Figure 2004523219
【0038】
この改変工程で用いられるベクターは多くの公知のベクターから選択することができる。前記は例えば以下に含まれるものである:プラスミドpEX−CAN−A(前記プラスミドはB. Maiらの文献に詳細に記載されている:Mai, Frey, Swanson, Mathur, Stetter, ”Molecular Cloning and Functional Expression of Protein−Serine/Threonine Phosphatese from the hyperthermophilic Archaeon Archaeon abyssi TAG11.” J. Bacteriol. (1998)印刷中)、pBluescript(登録商標)II ファージミドKS(−)、pET17bおよび適切なウイルス。より好ましくは、本発明で用いられるベクターは表1に挙げたベクターから選択される。
表1:大腸菌(E. coli)でのクローニングと発現に用いられるプラスミド
Figure 2004523219
【0039】
本プロセスの第二の工程では、予め定めた核酸が結合されてあるベクターは、当業者に公知のいずれかの方法を用いてホスト細胞に挿入または移植される。ホスト細胞は、大腸菌細胞、真菌細胞、癌細胞、ピロジクチウム・アビッシー細胞、ハイパーテルムス・ブチィリクス(Hyperthermus butylicus)細胞、シュードモナスまたは他の任意の適切な原核もしくは真核細胞であろう。より好ましくは、本発明で用いられるホスト細胞は表2に挙げた生物から選択される。もっとも好ましくはホスト細胞は大腸菌BL21(DE3)である。
表2:DNA単離または形質転換のために培養される生物
Figure 2004523219
また別には、本発明で用いられるホスト細胞は、植物が前記核酸を過剰発現し本発明のモノマーペプチドを過剰産生できるように植物細胞であってもよい。
【0040】
本プロセスの第三の工程では、予め定めた核酸によって表される遺伝子が、適切な条件下で、例えば適切な培養または培養基を用いることによってホスト細胞で発現される。この第三の工程の間にホスト細胞はそれ自体複製して、同じベクターをその中に含むさらに新たなホスト細胞を産生することができる。ピロジクチウム・アビッシーの発現に適した培養基および適切な条件は下記に記す。
ピロジクチウム・アビッシーのための培地(pH5.5−6.0)
Figure 2004523219
前記培地は加圧滅菌した。培養温度は102℃であった。ホスト細胞は静置してインキュベートした。“SME”は合成海水(Synthetic Sea Water)を表し、前記は典型的には実施例1に記載した方法を用いて調製される。
【0041】
ハイパーテルムス・ブチリクスの発現に適した培地および適切な条件は下記に記す。
ハイパーテルムス・ブチリクスのための培養基(pH7.0)
Figure 2004523219
前記培地は加熱蒸発させた。接種前に、加圧滅菌ストック溶液(10%、w/v)の形でトリプトンを添加した(6g/L)。培養温度は100℃であった。
【0042】
典型的な大腸菌用培地は以下の通りである。大腸菌株は、LB培地(下記参照)で激しく振盪(250rpm)しながら37℃で好気的に通常のように培養した。プラスミド保有またはベクター保有抗生物質耐性株は対応する抗生物質(アンピシリン、100μg/mL;クロラムフェにコール、34μg/mL)の存在下で培養した。
大腸菌DH5αおよびBL21(DE3)のためのLB培養基(pH7.0)
Figure 2004523219
大腸菌Y1090のためのLB培養基(pH7.0)
Figure 2004523219
大腸菌Y1090のためのNZYM培養基(pH7.0)
Figure 2004523219
【0043】
平板の準備のために、培地1リットルにつき15gの寒天を用いた。トップアーガー(Top Agar)に添加したのは培地1リットルにつき7.5gアガロースであった。本発明で用いられる核酸によってコードされる遺伝子を発現させる典型的な条件は以下を含む:発酵装置で培養基を好気的に37℃で維持し、大腸菌細胞を含む前記培養基を攪拌し、IPTGの添加によって遺伝子の過剰発現を誘発する。
好ましい実施態様では、本発明のモノマーポリペプチドまたはポリペプチド単位を製造するプロセスはさらに、培養または培養基から産生されたポリペプチドを単離する第四の工程を含む。前記モノマーポリペプチドの単離工程は、溶液の大腸菌細胞塊をフレンチプレスで処理し、遠心分離により溶液から粒子を除去し、前記溶液を熱処理して不要な易熱性タンパク質を沈澱させ、前記熱処理溶液を遠心分離して清澄な溶液を得て、前記清澄溶液から硫安を用いてモノマーポリペプチドを沈澱させ、さらに前記モノマーポリペプチドを透析して溶液のイオン強度を減少させることによって実施することができる。
【0044】
ある実施態様では、調製されたモノマーポリペプチドは21kDaの分子量を有する。この実施態様のモノマーポリペプチドは二価陽イオンの存在下で自己集合して中空ポリマー棒状物を生成する。前記棒状物は外径が約25nmで内径が約20nmであり、したがって大きさは分子規模であり、真核細胞の微小管と類似する全体的形状を示す。さらに、前記モノマーポリペプチドは、100℃までの熱に長時間にわたって安定である。
本発明のモノマーポリペプチドをコードする核酸は、改変ポリペプチドモノマーの製造に用いることができるように、下記に記載した方法または当業者に公知の方法の1つまたは2つ以上を用いて改変することができる。本発明で用いる核酸はまた、例えば以下の遺伝子進化技術の1つまたは2つ以上を用いて改変することができる:遺伝子位置飽和突然変異誘発[Gene Site Saturation Mutagenesis(GSSM(登録商標))]および遺伝子再アッセンブリー(GeneReassembly(登録商標))(前記はそれぞれ米国特許第6,171,820号および5,965,408号に記載されている:前記文献は遺伝子進化技術の説明のために参照により本明細書に含まれる)。
【0045】
方法
核酸シャッフリングは、短小ポリヌクレオチドプールでのin vitroまたはin vivo相同組換えによりポリヌクレオチドを生成する方法である。関連する核酸配列またはポリヌクレオチドの混合物をセクシュアルPCRに付して、ランダムポリヌクレオチドを提供し、さらに再アッセンブリーによりライブラリーまたはリコンビナントハイブリッド核酸分子またはポリヌクレオチドの混合集団を得る。
選択した100の異なる抗体配列を含むプールから得られるCDRは、異なる1006通りまでの並べかえが可能である。この多数の並べ換えはただ1つのDNA配列ライブラリーでは提示できない。したがって、多くのDNAシャッフリングと選別サイクルが、所望される配列の長さおよび配列の多様性に応じて必要とされることが考えられよう。
【0046】
エラー多発PCRもまた用いることができる。前記は同じ関連配列に選択した全てのCDRを保持し、はるかに小さな変異体集団を生じるのでいくつかの環境下では好ましいであろう。本発明の方法で用いることができる鋳型ポリヌクレオチドはDNAでもRNAでもよい。前記鋳型ポリヌクレオチドは、組換えまたは再アッセンブリーを実施されるべき遺伝子または短小ポリヌクレオチドのサイズにしたがって長さは様々であろう。好ましくは、鋳型ポリヌクレオチドは50bpから50kbである。問題のタンパク質をコードする核酸を含む完全なベクターを本発明の方法で用いることができ、実際その使用結果は良好であった。
【0047】
鋳型ポリヌクレオチドは、PCR反応(米国特許第4,683,202号および4,683,195号)または他の増幅方法もしくはクローニング方法を用いて増幅させることによって得ることができる。しかしながら、PCR生成物とセクシュアルPCRとのプールに前記PCR生成物を加える前に、それら生成物から遊離プライマーを除去することによってより効率的な結果を得ることができる。セクシュアルPCRの前に最初のプールからプライマーを適切に除去しなかった場合、交差頻度の低いクローンが生じる。
鋳型ポリヌクレオチドはしばしば二本鎖であろう。二本鎖核酸分子は、生成される一本鎖ポリヌクレオチド領域が互いに相補的であり、したがってハイブリダイズして二本鎖分子を生成することが担保できるので推奨される。
【0048】
鋳型ポリヌクレオチドに対して同一領域および鋳型ポリヌクレオチドに対して異種領域を有する一本鎖または二本鎖核酸ポリヌクレオチドをこの工程で鋳型ポリヌクレオチドに添加できることは考えられよう。さらにまた、相違を有するが関連する2つのポリヌクレオチド鋳型をこの工程で混合できることも考えられよう。
二本鎖ポリヌクレオチド鋳型および任意の二本鎖または一本鎖の添加ポリヌクレオチドをセクシュアルPCRに付す(セクシュアルPCRは速度を落とすかまたは休止させて、約5bpから5kbまたはそれ以上の混合物を提供することを含む)。好ましくは、ランダムポリヌクレオチドのサイズは約10bpから1000bpであり、より好ましくは前記ポリヌクレオチドのサイズは約20bpから500bpである。
【0049】
また別には、多数のニックを有する二本鎖核酸を本発明の方法で用いることができることも考えられよう。ニックとは二本鎖核酸の一方の鎖の裂け目である。前記のニック間の距離は好ましくは5bpから5kb、より好ましくは10bpから1000bpである。これによって自己プライミング領域が提供され、例えばランダムプライマーから生じるポリヌクレオチドと一緒に含まれる短小ポリヌクレオチドが生成される。
それぞれ別個のポリヌクレオチドの濃度はいずれも、全ポリヌクレオチドの1重量%を越えないであろう。より好ましくは、それぞれ別個の核酸配列の濃度はいずれも、全ポリヌクレオチドの0.1重量%を越えないであろう。混合物中のそれぞれ別個のポリヌクレオチドの数は少なくとも約100、好ましくは少なくとも約500、より好ましくは少なくとも約1000である。
この工程で、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチド(合成であれ天然であれ)を前記ランダム二本鎖短小ポリヌクレオチドに添加し、ポリヌクレオチド混合物の不均一性を高めることができる。
【0050】
二本鎖のランダムな裂け目を有するポリヌクレオチド集団を、この工程でセクシュアルPCRプロセスから得られたポリヌクレオチドと混合またはプールし、場合によって1つまたは2つ以上の追加のセクシュアルPCRサイクルに付すことができることは考えられよう。
鋳型ポリヌクレオチドに変異を挿入することを所望する場合は、前記鋳型ポリヌクレオチドに対して同一領域および前記鋳型ポリヌクレオチドに対して異種領域を有する一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドを、全核酸に対して重量で20倍過剰に添加してもよい。より好ましくは、前記一本鎖ポリヌクレオチドは、全核酸に対して重量で10倍過剰で添加できる。
【0051】
相違を有するが関連する鋳型ポリヌクレオチドの混合物が所望される場合、鋳型の各々のポリヌクレオチド集団は約1:100未満の割合で混合することができ、より好ましくは前記の割合は約1:40未満である。例えば、野生型ポリヌクレオチドと変異ポリヌクレオチド集団との戻し交配は、中立突然変異を排除するために望ましいであろう(中立突然変異は例えば選択された表現型の特性に実質的な変化を生じない変異である)。前記の例では、ランダムに提供されるセクシュアルPCRサイクルのハイブリッドポリヌクレオチドに対して添加することができるランダムに提供される野生型ポリヌクレオチドの割合は、約1:1から約100:1、より好ましくは1:1から40:1である。
【0052】
ランダムポリヌクレオチドの混合集団を変性させて一本鎖ポリヌクレオチドを生成し、続いて再びアニールさせる。他の一本鎖ポリヌクレオチドと相同な領域を有する一本鎖ポリヌクレオチドのみが再びアニールされる。
前記ランダムポリヌクレオチドは熱によって変性させることができる。当業者は前記二本鎖核酸を完全に変性させるために必要な条件を決定できよう。好ましくは温度は80℃から100℃、より好ましくは温度は90℃から96℃である。ポリヌクレオチドの変性に用いることができる他の方法には圧およびpHが含まれる。
【0053】
前記ポリヌクレオチドは冷却することによって再びアニールすることができる。好ましくは、前記温度は20℃から75℃、より好ましくは前記温度は40℃から65℃である。平均して4個だけの連続塩基の相同性を基にして高頻度の交差が要求される場合は、低アニーリング温度を用いることにより組換えを強制することができる。ただし前記プロセスはより難しくなる。生じる再生の度合いは一本鎖ポリヌクレオチド集団の間の相同性の度合いに左右されるであろう。
再生はポリエチレングリコール(“PEG”)または塩の添加によって促進することができる。前記塩濃度は好ましくは0mMから200mMで、より好ましくは塩濃度は10mMから100mMである。前記塩はKClまたはNaClであろう。PEG濃度は好ましくは0%から20%で、より好ましくは5%から10%である。
【0054】
次に、前記アニールさせたポリヌクレオチドを核酸ポリメラーゼおよびdNTP(すなわち、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)の存在下でインキュベートする。核酸ポリメラーゼはクレノーフラグメント、Taqポリメラーゼまたは当技術分野で公知の他のいずれかのDNAポリメラーゼであろう。
アッセンブリーに用いられるアプローチは、なお交差をもたらす最小限度の相同性に左右される。同一性領域が大きい場合、Taqポリメラーゼが45から65℃のアニーリング温度とともに用いることができる。同一性領域が小さい場合、クレノーポリメラーゼを20から30℃のアニーリング温度とともに用いることができる。当業者はアニーリング温度を変動させて達成される交差の数を増加させることができよう。
【0055】
前記ポリメラーゼは、アニーリングの前、アニーリングと同時に、またはアニーリングの後でランダムポリヌクレオチドに添加できる。
変性、再生およびポリメラーゼ存在下でのインキュベーションのサイクルは、本明細書では核酸のシャッフリングまたは再アッセンブリーと称される。このサイクルは所望の回数で繰り返される。好ましくは、前記サイクルは2から50回、より好ましくは前記連続反応は10から40回繰り返される。
生成される核酸は約50bpから約100kbの大型の二本鎖ポリヌクレオチドであり、好ましくは前記大型ポリヌクレオチドは500bpから50kbである。
この大型ポリヌクレオチドは、鋳型ポリヌクレオチドと同じサイズのポリヌクレオチドのコピーを縦並びに多数含むことができる。続いて、このコンカテマーポリヌクレオチドを鋳型ポリヌクレオチドの単一コピーに変性させる。その結果は鋳型ポリヌクレオチドとほぼ同じサイズのポリヌクレオチド集団であろう。前記集団は、同一領域と異種領域を有する一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドがシャッフリング前の鋳型ポリヌクレオチドに加えられている混合集団であろう。
【0056】
続いてこれらのポリヌクレオチドを適切なベクターでクローン化し、前記連結混合物を用いて細菌を形質転換する。
前記コンカテマーを消化するのではなくPCR(米国特許第4,683,195号および4,683,202号)を含む多様な方法でクローニングの前に前記単一ポリヌクレオチドを増幅させることによって、前記大型コンカテマーポリヌクレオチドから単一ポリヌクレオチドを入手できることは推測されよう。
クローニングに用いられるベクターは、前記ベクターが所望のサイズのポリヌクレオチドを収容することを条件に重要な問題ではない。個々のポリヌクレオチドの発現が所望される場合は、クローニング担体はさらに、前記ポリヌクレオチドの挿入部位の隣に転写および翻訳シグナルを含み、ホスト細胞での前記ポリヌクレオチドの発現を可能にするべきである。好ましいベクターにはpUCシリーズおよびpBRシリーズのプラスミドが含まれる。
【0057】
生成された細菌集団は、ランダム変異を有する多数のリコンビナントポリヌクレオチドを含むであろう。この混合集団を調べて所望のリコンビナントポリヌクレオチドを特定することができる。選別方法は所望のポリヌクレオチドによって異なる。
例えば、リガンドへの結合効率が増強されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドが所望される場合、前記集団またはライブラリー中のポリヌクレオチド部分の各々によって発現されるタンパク質は、当技術分野で公知の方法(すなわち、選別クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー)によりリガンドとの結合能力について検査することができる。薬剤耐性が増強されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドが所望される場合は、前記集団またはライブラリー中の各ポリヌクレオチドによって発現されたタンパク質の、ホスト生物に薬剤耐性を付与する能力についてテストすることができる。所望するタンパク質の情報が提供された場合、当業者は、前記タンパク質に所望の特性を付与するポリヌクレオチドを特定するために前記集団を容易に検査することができる。
【0058】
当業者は、前記タンパク質のフラグメントをファージ表面に融合タンパク質として発現させるファージディスプレー系(Pharmacia, Milwaukee, WI)を用いることができることは予想されよう。リコンビナントDNA分子はファージDNAの1つの部位でクローン化されて、その一部分がリコンビナントDNA分子によってコードされる融合タンパク質の転写をもたらす。リコンビナント核酸分子を含有するファージは、細胞内で複製および転写を実行される。融合タンパク質のリーダー配列はファージ粒子の先端への前記融合タンパク質の輸送を誘導する。したがって、融合タンパク質(部分的にリコンビナントDNA分子によってコードされる)は、上記の方法によって検出および選別のためにファージ粒子上でディスプレーされる。
【0059】
さらに、多数の核酸シャッフリングサイクルを第一の集団の亜集団(所望のリコンビナントタンパク質をコードするDNAを含む)に由来するポリヌクレオチドとともに実施できることは予想されよう。このようにして、より高い結合親和性または酵素活性すら有するタンパク質を得ることができよう。
さらにまた、第一のまたはその後の核酸シャッフリングラウンドに由来する亜集団核酸と野生型ポリヌクレオチドの混合物を用いて多数の核酸シャッフリングサイクルを実施し、前記亜集団から一切のサイレント変異を除去できることもまた推測されよう。
精製された形態にあるいずれの核酸供給源も原料核酸として利用することができる。したがって、本プロセスはDNAまたはRNA(mRNAを含む)を用いることができ、前記DNAまたはRNAは一本鎖でも二本鎖でもよい。さらに、DNA−RNAハイブリッド(各々の一方の鎖を含む)を用いてもよい。前記核酸配列は、変異を誘発される核酸配列のサイズに従って種々の長さを有することができる。好ましくは個別の核酸配列は50から50000塩基対である。問題のタンパク質をコードする核酸を含む完全なベクターを本発明の方法で用いることができることは予想されよう。
【0060】
前記核酸は任意の供給源、例えば、プラスミド(例えばpBR322)、クローン化DNAもしくはRNA、または、細菌、酵母、ウイルスおよび高等生物(例えば植物または動物)を含む任意の供給源から得られる天然のDNAもしくはRNAから得ることができる。DNAまたはRNAは血液または組織材料から抽出できる。鋳型ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド連鎖反応(PCR、米国特許第4,683,202号および4,683,195号を参照されたい)を用いて増幅により得ることができる。また別に、ポリヌクレオチドは細胞内に存在するベクター中にあってもよい。十分な核酸は、前記細胞を培養し、前記細胞から核酸を当技術分野で公知の方法によって抽出して入手することができる。
任意の個別の核酸配列を用いて本方法によってハイブリッド集団を製造することができる。必要なことは、前記個別の核酸配列の小さなハイブリッド集団が本方法の実施前に存在するかまたは前記集団を作製することだけである。
【0061】
変異を有する前記個別の核酸配列の最初の小集団は多い種々の方法によって作製することができる。変異はエラー多発PCRによって作製することができる。エラー多発PCRは正確性の低い重合条件を用い、長い配列にわたって低レベルの点変異をランダムに導入する。また別に、変異はオリゴヌクレオチド誘導突然変異誘発によって鋳型ポリヌクレオチドに導入してもよい。オリゴヌクレオチド誘導突然変異誘発では、ポリヌクレオチドの短い配列が、制限酵素消化を用いてポリヌクレオチドから除去され、本来の配列と種々の塩基が異なる合成ポリヌクレオチドで置換される。前記ポリヌクレオチド配列はまた、化学的突然変異誘発によって変化させることができる。化学的変異原には、例えば重亜硫酸ナトリウム、亜硝酸、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンまたはギ酸、ヌクレオチド前駆体の類似体である他の薬剤(ニトロソグアニジン、5−ブロモウラシル、2−アミノプリンまたはアクリジンを含む)が含まれる。一般的には、これらの薬剤はヌクレオチド前駆体の代わりにPCR反応に添加され、それによって配列の突然変を誘発する。インターカレーション試薬、例えばプロフラビン、アクリフラビン、キナクリンなどもまた用いることができる。ポリヌクレオチド配列のランダム突然変異誘発はまたX線または紫外光の照射によって達成できる。一般的には、前記のように突然変異を誘発したプラスミドポリヌクレオチドを大腸菌に導入し、ハイブリッドプラスミドプールまたはライブラリーとして増殖させる、
【0062】
また別に、個別の核酸の混合小集団を自然界で見つけ出してもよい(前記小集団では、前記個別の核酸は同じ遺伝子の異なる対立遺伝子から成るか、または種々の関連する種の同じ遺伝子(すなわち同族遺伝子)から成るであろう)。また別に、前記核酸は1つの種で見出される関連DNA配列(例えば免疫グロブリン遺伝子)であってもよい。
いったん個別の核酸の混合集団が生成されたら、前記ポリヌクレオチドを直接用いるか、または当技術分野で周知の技術を用いて適切なクローニングベクターに挿入できる。
【0063】
ベクターの選択は、前記ポリヌクレオチド配列のサイズおよび本発明の方法で使用されるホスト細胞に依存する。本発明の鋳型はプラスミド、ファージ、コスミド、ファージミド、ウイルス(例えばレトロウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、レオウイルス、パラミクソウイルスなど)または前記の選択された部分(例えばコートタンパク質、スパイク糖タンパク質、カプシドタンパク質)であろう。例えば、変異させるべき前記個別の核酸配列が大型である場合、コスミドおよびファージミドが好ましい。なぜならば、前記ベクターは大きなポリヌクレオチドを安定的に増殖させることができるからである。
前記個別の核酸配列の混合集団をベクターでクローン化する場合、各ベクターをホスト細胞に挿入し、前記ホスト細胞に前記ベクターを増幅させることによって、前記核酸配列をクローンとして増幅させることができる。前記はクローン増幅と称される。なぜならば、核酸配列の絶対数が増加している間、ハイブリッドの数は増加しないからである。有用性は発現ポリペプチドのスクリーニングによって容易に決定できる。
【0064】
本発明のDNAシャッフリング法は未知の配列プールを基にして手探りで実施することができる。再アッセンブリー混合物にオリゴヌクレオチド(再アッセンブリーを実施される配列と相同な末端を有する)を添加することによって、任意の配列混合物を別の配列混合物のいずれの特定した場所にも取り込ませることができる。したがって、合成オリゴヌクレオチド混合物、PCRポリヌクレオチドまたは完全な遺伝子すら別の配列ライブラリーの限定された場所に混合することができることは予想されよう。1つの配列(混合物)の挿入は鋳型の別の部分への配列の挿入とは無関係である。したがって、組換えの度合い、要求される相同性およびライブラリーの多様性は、それぞれ別個にかつ同時に再アッセンブリーが実施されるDNAの長さにしたがって変化させることができる。
【0065】
2つの遺伝子を混合するこのアプローチはネズミのハイブリドーマから得られる抗体のヒト化に有用であろう。2つの遺伝子を混合するか、または、別の配列を遺伝子に挿入する前記のアプローチは、治療に用いられるタンパク質のいずれ(例えばインターロイキンI、抗体、tPAおよび成長ホルモン)にも有用であろう。前記アプローチはまた、いずれの核酸(例えばプロモーターもしくはイントロン、または遺伝子の非翻訳領域または翻訳領域)にも有用で、タンパク質の発現を増加させ、またはタンパク質の発現の特異性を変化させることができるであろう。前記アプローチはまたリボザイムまたはアプタマーの変異誘発に用いることができる。
【0066】
シャッフリングは多様性領域を隔てる相同領域の存在を必要とする。スカッホールド(scaffold)に類似するタンパク質構造はシャッフリングに特に適切であろう。保存されたスカッホールド構造は自己結合によって全体的な折り畳みを決定し、一方、特異的結合を仲介する比較的制限されないループを提示する。そのようなスカッホールド構造の例は、免疫グロブリンβ−バレル、および当技術分野で周知の4らせん束である。本シャッフリングは、結合のための変異配列の種々の組合せを有するスカッホールド様タンパク質の生成に用いることができる。
【0067】
飽和突然変異誘発
ある特徴では、本発明は、ポリヌクレオチドに点変異を導入するために独占権を有するコドンプライマー(縮退N,N,G/T配列を含む)の使用を提供し、それによって、アミノ酸のそれぞれの位置で単一アミノ酸が最大範囲まで置換されてある一群の子孫ポリペプチドを生成する。用いられるオリゴは、第一の相同配列、縮退N,N,G/T配列、および必然的ではないが好ましくは第二の相同配列を連続して含む。前記のようなオリゴの使用による得られる下流の子孫の翻訳生成物は、N,N,G/T配列の縮退性が20個のアミノ酸全てのコドンを含むので、前記ポリペプチド上の各アミノ酸部位で可能な全てのアミノ酸変化を含む。
【0068】
ある特徴では、前記の縮退オリゴ(1つの縮退N,N,G/Tカセットを含む)の1つを用いて、親のポリヌクレオチド鋳型に存在する本来のコドンの各々が最大範囲のコドン置換に付される。別の特徴では、(同じオリゴまたは別個のオリゴ中に存在する)少なくとも2つの縮退N,N,G/Tカセットを用いて、親のポリヌクレオチド鋳型中の少なくとも2つの本来のコドンが最大範囲のコドン置換に付される。したがって、2つ以上のN,N,G/T配列が1つのオリゴ中に含ませて、2つ以上の部位にアミノ酸変異を導入することができる。この複数のN,N,G/T配列は直かに隣接してあってもよく、また、1つまたは2つ以上のさらに別のヌクレオチド配列によって分けられてあってもよい。また別の特徴では、付加および欠失を導入するために機能するオリゴは単独で用いるか、またはN,N,G/T配列を含むコドンと組み合わせて用いて、アミノ酸付加、欠失および/または置換の任意の組み合わせまたは変更を導入することができる。
具体的な例を示せば、連続するN,N,G/Tトリプレット(すなわち縮退(N,N,G/T)配列)を含むオリゴを用いて、2つまたは3つ以上の連続するアミノ酸部位で同時に変異を誘発することができる。
【0069】
別の特徴では、本発明は、N,N,G/T配列よりも縮退性が小さい縮退カセットの使用を提供する。例えば、いくつかの事例では、ただ1つだけNを含む(前記Nはトリプレットの第一、第二または第三の位置に存在できる)縮退トリプレット配列(例えばオリゴ中に存在する)を使用するのが望ましいであろう。任意の組合わせおよび変更を含む他のいずれの塩基も前記トリプレットの残りの2つの位置に用いることができる。また別にいくつかの事例では、縮退N,N,Nトリプレット配列、またはN,N,G/Cトリプレット配列(例えばオリゴ中に存在する)を用いるのが望ましいであろう。
【0070】
しかしながら、本発明で開示する縮退トリプレット(例えばN,N,G/TまたはN,N,G/Cトリプレット配列)の使用はいくつかの理由から有利であることは理解されよう。ある特徴では、本発明は、ポリペプチド中のそれぞれ全てのアミノ酸の位置で最大範囲の可能なアミノ酸置換(20個のアミノ酸の全てについて)を系統的にかつかなり容易に創出する手段を提供する。したがって、100個のアミノ酸のポリペプチドでは、本発明は、2000個(すなわち各位置につき20個の可能なアミノ酸×100個のアミノ酸の位置)の異なる種を系統的にかつかなり容易に創出する方法を提供する。N,N,G/TまたはN,N,G/Cトリプレット縮退配列を含むオリゴの使用によって、20個の可能なアミノ酸をコードする32個の個々の配列が提供されることは理解されよう。したがって、親ポリヌクレオチド配列が前記のようなオリゴを用いて飽和突然変異誘発に付される反応容器中では、20個の異なるポリペプチドをコードする32個のそれぞれ別個の子孫ポリヌクレオチドが生成される。対照的に、位置特異的突然変異誘発で非縮退オリゴを使用する場合、反応容器につきただ1つの子孫ポリペプチド生成物が得られるだけである。
【0071】
本発明はまた、開示の縮退プライマーと場合によって組み合わせて用いることができる非縮退オリゴの使用も提供する。いくつかの状況では、対象のポリヌクレオチドに特定の点変異を創出するために非縮退オリゴを用いるのが有利であることは理解されよう。これは特定のサイレント点変異を創出する手段を提供し、前記点変異は、対応するアミノ酸変化、並びに終止コドンの生成を惹起する点変異および対応するポリペプチドフラグメントの発現をもたらす。
【0072】
したがって、本発明の好ましい実施態様では、各飽和突然変異誘発反応容器は、親のポリヌクレオチドで変異を誘発されたコドンの位置に一致する特定のアミノ酸の位置に20個の全てのアミノ酸が表現される少なくとも20個の子孫ポリヌクレオチド分子を含む。各飽和突然変異誘発反応容器から生成される32倍の縮退子孫ポリペプチドをクローン増幅に付し(例えば発現ベクターを用いて適切な大腸菌ホストでクローニングする)、さらに発現スクリーニングに付すことができる。(親のポリペプチドと比較して)好ましい特性変化を示すか否かをスクリーニングすることによって、個々の子孫ポリペプチドが特定されたとき、前記子孫ポリペプチドの配列を決定して、前記ポリペプチドに含まれる対応する好ましいアミノ酸置換を特定できる。
【0073】
ここに開示するように飽和突然変異誘発を用いて親のポリペプチドでそれぞれ全てのアミノ酸の位置で変異を誘発するとき、2つ以上のアミノ酸の位置で好ましいアミノ酸変化が特定できることは理解されよう。これら好ましいアミノ酸置換の全てまたは一部の組合せを含む1つまたは2つ以上の新規な子孫分子を創出することができる。例えば、2つの好ましい個別のアミノ酸変化がポリペプチドの3つのアミノ酸の各位置で特定された場合、前記変更には、各位置で3つの可能性(本来のアミノ酸に変化がない場合+2つの好ましい変化の各々)+3つの場所が含まれる。したがって、可能性の合計は3×3×3または27であり、前記には以前に調べられた7つ(6つの点変異(すなわち3つの位置のおのおのについて2つ)およびいずれの位置にも変化がない場合)が含まれる。
【0074】
また別の特徴では、スクリーニングと一緒に、位置飽和突然変異誘発をシャッフリング、キメラ化、組換えおよび他の変異誘発プロセスと併用することができる。本発明は、飽和突然変異誘発を含む任意の突然変異誘発プロセスの反復態様での使用を提供する。ある例では、スクリーニングと一緒に任意の突然変異誘発プロセスが反復して用いられる。
したがって非限定的に例示すれば、本発明は、さらに別の突然変異誘発プロセスと併用される飽和突然変異誘発の使用を提供する。前記プロセスは、例えば2つまたは3つ以上の関連するポリヌクレオチドを適切なホスト細胞に導入し、その結果ハイブリッドポリヌクレオチドが組換えおよび復元再組合せによって生成されるものである。
【0075】
遺伝子の完全な配列にそって突然変異誘発を実施することに加えて、本発明では、ポリヌクレオチド配列中の全ての塩基の各々を置換するために用いることができる突然変異誘発を提供する。この場合、変異を誘発される塩基の数は好ましくは15から100000の間の全ての整数である。したがって、分子上の全ての位置で突然変異を誘発する代わりに、それぞれ別々の数の塩基(好ましくは合計が15から100000のサブセット)を突然変異誘発に付すことができる。好ましくは、ポリヌクレオチド配列上の各位置または各位置群で突然変異を誘発するために別個のヌクレオチドが用いられる。変異を誘発される3つの位置を含む1つの群はコドンであってもよい。変異は好ましくは変異原プライマーを用いて導入される。前記プライマーは変異原カセットとも称される異種カセットを含む。好ましいカセットは1から500塩基を含むことができる。前記異種カセットの各ヌクレオチドの位置は、N、A、C、G、T、A/C、A/G、A/T、C/G、C/T、G/T、C/G/T、A/G/T、A/C/T、A/C/G、またはEであろう。ここでEはA、C、GまたはTではない任意の塩基である(Eはデザイナーオリゴと呼ぶことができる)。下記の表は典型的な3−ヌクレオチドカセットを示す(N,N,G/TおよびN,N,NおよびN,N,A/Cの他に3000を越える可能性が存在する)。
【0076】
一般的な意味では、飽和突然変異誘発は、変異を誘発されるべき一定範囲のポリヌクレオチド(前記変異を誘発されるべき配列は、長さが好ましくは15から100000塩基である)中の変異原カセットの完全な一式で変異を誘発することを含む。したがって、一群の変異(1から100個の変異)が変異を誘発されるべき各カセットに導入される。1つのカセットに導入されるべき変異の集団は、飽和変異誘発が一巡する間、第二のカセットに導入されるべき第二の変異の集団と異なっていても同じであってもよい。前記の集団の例は、欠失、付加、特定のコドンの集団および特定のヌクレオチドカセットの集団である。
【0077】
変異を誘発される範囲特定配列には、好ましくは全遺伝子、経路、cDNA、完全な開放読み枠(ORF)、および完全なプロモーター、エンハンサー、リプレッサー/トランスアクチベーター、複製起点、イントロン、オペレーター、または任意のポリヌクレオチド機能団が含まれる。一般的に、前記目的のために好ましい“範囲特定配列”は、15塩基ポリヌクレオチド配列である任意のポリヌクレオチド、および長さが15塩基から15000塩基(本発明は間の全整数を指定する)のポリヌクレオチド配列であろう。コドンの集団を選択する際に考慮されることには、縮退変異原カセットによってコードされるアミノ酸タイプが含まれる。
変異原カセットに導入することができる変異集団の特に好ましい例では、本発明は特に、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20アミノ酸を各位置でコードする縮退コドン置換を(縮退オリゴを用いて)提供し、さらにそれらによってコードされるポリペプチドライブラリーを提供する。
【0078】
キメラ化
in vitro シャッフリング
いくつかの標準的な遺伝的交配に匹敵するものをin vitroシャッフリングによって実施することができる。例えば、“分子戻し交配”は、ハイブリッド核酸を野生型核酸と繰返し混合すると同時に問題の変異体を選別することによって実施することができる。伝統的育種の場合のように、前記アプローチを用いて、多様な起源の表現型を一まとめにし選択のためのバックグラウンドを形成することができる。それは、例えば、選別されない特性(すなわち免疫原性)に影響を及ぼす中立突然変異の除去のために有用である。したがって、タンパク質中のどの突然変異が生物学的活性の強化に必要で、どの突然変異がそうでないか、エラー多発突然変異誘発またはカセット突然変異誘発法によって達成できない利点を決定することは有用であろう。
大型で機能を有する遺伝子を小型のランダムポリヌクレオチドの混合物から正確にアッセンブリーさせることができる。この反応は、高度に破片化された化石のDNAから遺伝子を再アッセンブリーする場合に有用であろう。さらに、化石のランダムな核酸フラグメントを関連する種の類似の遺伝子に由来するポリヌクレオチドと合体させることができる。
【0079】
本発明の方法は、種々の研究および診断に必要とされる単細胞に由来する完全なゲノムをin vitroで増幅させるために用いることができることもまた推測されよう。PCRによるDNAの増幅は実際には約40kbの長さに限定される。完全なゲノム、例えば大腸菌のそれ(5000kb)のPCRによる増幅には約250個のプライマーが要求され、125個の40kbポリヌクレオチドが生成される。このアプローチは十分な配列データが入手不能であるために実際的ではない。他方、セクシュアルPCRサイクルとそれに続く小型ポリヌクレオチドのゲル精製による、ゲノムを構成するポリヌクレオチドのランダム生成は多数の可能なプライマーを提供する。PCR反応のプライマーとして前記の小型ランダムポリヌクレオチド混合物を単独でまたは鋳型として完全なゲノムとともに使用することによって、前記ゲノムの多いコピーを含む単一コンカテマーの理論的終点を含む逆連鎖反応が得られるはずである。
【0080】
ただ1つのランダムポリヌクレオチドを用いたときに、コピー数では100倍増幅および平均ポリヌクレオチドサイズでは50kb以上を得ることができるであろう。多数のより小型のポリヌクレオチドのオーバーラップによってより大きなコンカテマーが生成されると考えられる。合成プライマーを用いて得られる特異的PCR生成物の品質は、非増幅DNAから得られた生成物とは区別できないであろう。このアプローチはゲノムのマッピングに有用であろうと期待される。
シャッフルされるべきポリヌクレオチドは、実施者の判断でランダムまたは非ランダムポリヌクレオチドとして生成することができる。さらにまた、本発明は、広範囲のポリヌクレオチドサイズおよびタイプに応用可能なシャッフリングの方法を提供する。前記方法は、大型のポリヌクレオチドの再アッセンブリーで構築ブロックとして用いられるポリヌクレオチドモノマーを生成する工程を含む。例えば、前記構築ブロックは遺伝子のフラグメントであってもよく、またはそれらは完全な遺伝子もしくは遺伝子経路、または前記の組合せを構成するものであってもよい。
【0081】
エキソヌクレアーゼ仲介シャッフリング
特にある実施態様では、本発明は、少なくとも2つのポリヌクレオチドのシャッフリング、アッセンブリー、再アッセンブリー、組換え、および/またはコンカテマー形成を実施して子孫ポリヌクレオチド(例えば、発現されてポリペプチドまたは遺伝子経路を生成することができるキメラ子孫ポリヌクレオチド)を生成する方法を提供する。特にある実施態様では、二本鎖ポリヌクレオチド(例えばハイブリダイゼーションパートナーとして互いにハイブリダイズした2本の一本鎖配列)の末端をエキソヌクレアーゼで処理し、2本鎖の一方からヌクレオチドを遊離させて残りの鎖をその本来のパートナーから遊離させ、所望の場合は、前記残りの鎖を用いて別のパートナーとハイブリダイズさせる。
【0082】
特にある特徴では、二本鎖ポリヌクレオチド末端(ポリヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド配列の部分であっても、または前記と連結されてあってもよい)はエキソヌクレアーゼ活性源で処理される。有用なエキソヌクレアーゼ活性源は、3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素、5’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素、3’エキソヌクレアーゼ活性および5’エキソヌクレアーゼ活性の両方を有する酵素、および前記の任意の組合せであろう。エキソヌクレアーゼを用いて、直鎖状二本鎖ポリヌクレオチドの一端または両端から、および3つ以上の末端を有する1つの分枝ポリヌクレオチドの全ての末端からヌクレオチドを遊離させることができる。この遊離作用のメカニズムは、末端ヌクレオチドの酵素触媒による加水分解を含むと考えられ、時間依存態様で進行することを可能にし、酵素反応プロセスの進行の実験的制御を可能にする。
【0083】
対照的に、非酵素的工程を用いて、ポリヌクレオチド構築ブロックをシャッフリングし、アッセンブリー、再アッセンブリー、組換えを実施し、および/またはコンカテマーを生成することができる。前記は、対象のサンプルを変性(または“溶融”)条件に付して(例えば温度、pHおよび/または塩分条件を変えることによって)、対象の二本鎖ポリヌクレオチドセットを一本鎖ポリヌクレオチドに溶融させることを含む。シャッフリングの場合、ポリヌクレオチド一本鎖は異なるハイブリダイゼーションパートナーとある程度アニーリングに与ることが所望される(すなわち、変性工程の前に以前のパートナーであったものとの完全な再アニーリングの単なる再現ではない)。しかしながら、反応容器中に以前のハイブリダイゼーションパートナーが存在することにより、一本鎖ポリヌクレオチドと以前のパートナーとが最初の二本鎖ポリヌクレオチドを再び形成することは妨害されない(時には促進さえする)。
【0084】
この非酵素的シャッフリング工程(二本鎖ポリヌクレオチドの構築ブロックを変性させ、続いてアニーリングすることを含む)とは対照的に、本発明は、さらにエキソヌクレアーゼによるアプローチを提供する。本アプローチでは、変性は要求されず、むしろ変性条件を回避し、二本鎖ポリヌクレオチド基質をアニールされた(すなわち非変性)状態で維持することがエキソヌクレアーゼ作用に必要な要件である(例えばエキソヌクレアーゼIIIおよびレッドアルファ遺伝子生成物)。さらに対比されることは、他の一本鎖ポリヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができる一本鎖ポリヌクレオチドの生成は、ハイブリダイゼーションパートナーの一方における共有結合切断の結果(したがって配列の破壊)である。例えば、エキソヌクレアーゼIIIを用いて一方のハイブリダイゼーション鎖の3’末端ヌクレオチドを酵素反応により遊離させ(該当ポリヌクレオチド鎖の共有結合の加水分解を実施することができる)、これによって残りの一本鎖が新しいパートナーとハイブリダイズするのを促進する(なぜならば以前のパートナーは共有結合切断に付されたからである)。
【0085】
更なる説明として特定のエキソヌクレアーゼ(すなわちエキソヌクレアーゼIII)が3’エキソヌクレアーゼの例としてここで提供されるが、他のエキソヌクレアーゼもまた用いることができる。それらには、5’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素および3’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素が含まれるが、さらに未だ発見されていない酵素および未だ開発されていない酵素も含まれる。より最適な速度および/またはより高い比活性および/または望ましくない活性が極端に少ない酵素を見つけることも、最適化することも(例えば進化を誘導することによって操作して)、さらにそのような酵素を見つけて特にここで開示したアプローチのために最適化させることも可能であることは特に評価されよう。実際に、本発明はそのようなデザイナー酵素の発見および/または開発を促進すると期待される。総合すれば、本発明は、現在利用されている種々のエキソヌクレアーゼ酵素だけでなく未だ発見されていない酵素および未だ開発されていない酵素を用いて実施することができる。
【0086】
エキソヌクレアーゼIIIのエキソヌクレアーゼ活性は、平滑端であるかまたは5’の張り出しを有する、対象二本鎖ポリヌクレオチド末端を必要とする。前記エキソヌクレアーゼ作用は、酵素作用により3’末端ヌクレオチドを遊離させ、一本鎖の5’末端を残し、この5’末端はエキソヌクレアーゼ作用が進行するにしたがいさらに長くなる。前記のアプローチにより生成された5’の張出しはいずれも、ハイブリダイゼーションを許容する十分な相同性を共有する別の一本鎖ポリヌクレオチド配列とのハイブリダイゼーションに用いられる(前記別のポリヌクレオチド配列もまた一本鎖ポリヌクレオチド、または部分的二本鎖ポリヌクレオチドの末端の張出しである)。これらエキソヌクレアーゼIIIによって生成された一本鎖配列(例えば5’の張出しに存在する)が他の一本鎖配列とハイブリダイズする能力によって、2つまたは3つ以上のポリヌクレオチドのシャッフリング、アッセンブリー、再アッセンブリーおよび/またはコンカテマー形成が可能になる。
【0087】
さらにまた、当業者は二本鎖ポリヌクレオチドの末端を保護するか、または前記末端を必要に応じて有用なエキソヌクレアーゼの消耗の酵素作用に対して感受性にさせることができることは理解されよう。例えば、3’張出しを有する二本鎖ポリヌクレオチド末端は、エキソヌクレアーゼIIIのエキソヌクレアーゼ作用に対して感受性をもたない。しかしながら、下記のような種々の手段によって前記末端をエキソヌクレアーゼIIIのエキソヌクレアーゼ作用に対して感受性にさせることができる:例えば、前記末端をポリメラーゼで処理して平滑にするか、切断して平滑端または5’の張り出しを提供するか、別の二本鎖ポリヌクレオチドと結合させて(連結またはハイブリダイズさせて)平滑端または5’の張り出しを提供するか、一本鎖ポリヌクレオチドとハイブリダイズさせて平滑端または5’の張り出しを提供するか、または多様な手段のいずれかによって改変する。
【0088】
ある特徴では、エキソヌクレアーゼは、直鎖状二本鎖ポリヌクレオチドの一端または両端に作用させて作用を完了するまで進行させるか、ほぼ完了させるか、または部分的に完了させることができる。エキソヌクレアーゼ作用を完了させた場合の結果は、各5’の張り出しの距離は、“ランデブー地点”(ポリヌクレオチドの中央点近くのどこかであろう)と考えられるものに向かって、前記ポリヌクレオチドの中央領域方向に長く伸びているであろう。最終的には、各々が最初の二本鎖ポリヌクレオチドの約半分の長さである一本鎖ポリヌクレオチド(分離させることができる)が生成される。また別には、エキソヌクレアーゼ仲介反応は、完了する前に停止させることもできる。
【0089】
したがって、エキソヌクレアーゼ仲介アプローチは、ポリヌクレオチド構築ブロックのシャッフリング、アッセンブリー、および/または再アッセンブリー、組換え、コンカテマー形成に有用である。前記ポリヌクレオチド構築ブロックの長さは、10塩基、または数十塩基、または数百塩基、または数千塩基、または数万塩基または数十万塩基、または数百万塩基でもまたはそれ以上でも可能である。
このエキソヌクレアーゼ仲介アプローチは、大腸菌のエキソヌクレアーゼIIIの二本鎖DNA特異的エキソデオキシリボヌクレアーゼ活性の作用を拠りどころにしている。エキソヌクレアーゼIIIの基質は、二本鎖ポリヌクレオチドをフラグメント化させることによって生成することができる。フラグメント化は、機械的手段によって(例えばせん断、超音波処理など)、酵素的手段によって(例えば制限酵素を用いて)、さらに前記の任意の組合せによって達成できる。大型のポリヌクレオチドのフラグメントもまたポリメラーゼ仲介合成によって生成できる。
【0090】
エキソヌクレアーゼIIIは28Kのモノマー酵素であり、大腸菌のxthA遺伝子生成物で以下の公知の4つの活性を有する:エキソデオキシリボヌクレアーゼ(本明細書ではまた別にエキソヌクレアーゼと称される)、リボヌクレアーゼH、DNA−3’ホスファターゼおよびAPエンドヌクレアーゼ。エキソデオキシリボヌクレアーゼ活性は二本鎖DNAに特異的である。作用メカニズムは、3’末端から5’方向に進行するDNAの酵素による加水分解とヌクレオシド5’ホスフェートおよび残留する一本鎖の生成を含むと考えられている。前記酵素は、一本鎖DNA、一本鎖RNAまたは二本鎖RNAでは効率的な加水分解を示さないが、DNA−RNAハイブリッドのRNAを分解しヌクレオシド5’ホスフェートを遊離させる。前記酵素はまた、DNAの3’ホスホモノエステル基から特異的に無機ホスフェートを遊離させるが、RNAまたは短いオリゴヌクレオチドでは遊離は生じない。これらの基の除去によって前記末端はDNAポリメラーゼ作用のためのプライマーに変換される。
【0091】
エキソヌクレアーゼ活性を有するまた別の例には、レッド−アルファおよび蛇毒ホスホジエステラーゼが含まれる。レッドアルファ(redα)遺伝子生成物(ラムダエキソヌクレアーゼとも称される)は、バクテリオファージλに由来する。redα遺伝子は左側のプロモーターから転写され、その生成物(24kD)は組換えに必要である。レッドアルファ遺伝子生成物は5’リン酸化末端に進行的に作用して、二重体DNAからモノヌクレオチドを遊離させる(Takahashi & Kobayashi, 1990)。蛇毒ホスホジエステラーゼ(Laskowski, 1980)は、スーパーコイルDNAを迅速に開裂させることができる。
【0092】
合成連結再アッセンブリー
ある特徴では、本発明は、合成連結再アッセンブリー(SLR)と称される非確率的方法を提供する。前記方法では、核酸構築ブロックはランダムにシャッフリング、コンカテマー生成、またはキメラ化されずに、むしろ非確率的にアッセンブリーが実施されるという点を除いて確率的シャッフリングにいくぶん合致する。
特に歴然とした相違は、本SLR法は、シャッフリングされるポリヌクレオチド間に高度な相同性が存在することを要しないということである。対照的に、従来方法、特に従来の確率的シャッフリング方法は、シャッフリングされるポリヌクレオチド間で、特に結合部位に高度な相同性が存在することを要求する。これら従来の方法は、元の親分子の再生を促進し、多数の新規な子孫キメラ、特に完全長の子孫キメラの生成には完全に最適であるとはいえない。他方、本発明を用いて、非確率的に10100個の別個のキメラを含む子孫分子ライブラリーを生成することができる。おそらく、SLRを用いて101000個を越える(予想される上限はない)別個の子孫キメラを含むライブラリーの生成さえ可能である。
【0093】
したがってある特徴では、本発明は、意図的に選択される全体的アッセンブリー順序を有する一連の最終的なキメラ核酸分子を生成する非確率的方法を提供する。前記方法は、相互に適合する有用な連結可能末端を有する多数の固有の核酸構築ブロックを意図的に生成し、さらにこれら核酸構築ブロックをアッセンブリーさせて意図された全体的アッセンブリー順序を達成する工程を含む。
アッセンブリーされる前記核酸構築ブロックの相互に適合する連結可能な末端は、それらが構築ブロックを予め定めた順序で結合させることができる場合、順序にしたがってアッセンブリングされるこのタイプにとって“有用”であると考えられる。したがって、ある特徴では、核酸構築ブロックを結合することができる全体的アッセンブリーの順序は連結可能な末端のデザインによって固有で、2つ以上のアッセンブリー工程を使用できる場合は、核酸構築ブロックを結合させることができる全体的アッセンブリーの順序もまた、アッセンブリー工程の一連の順序に固有である。典型的なアッセンブリープロセスは2つの連続する工程を含み、5つの核酸構築ブロックについて意図的な(非確率的な)全体的アッセンブリーの順序を完成させる。本発明の好ましい実施態様では、アニールされた構築ピースは酵素(例えばリガーゼ、例えばT4DNAリガーゼ)で処理され、前記構築ピースの共有結合が完成される。
【0094】
好ましい実施態様では、核酸構築ブロックのデザインは、最終的なキメラ核酸分子の子孫セットを生成するために土台として機能する親の核酸鋳型セットの配列を分析して得られる。したがって、これらの親核酸鋳型は、変異を誘発される(すなわちキメラ化またはシャッフリングされる)核酸構築ブロックのデザインで役立つ配列情報の供給源として機能する。
ある実施態様では、本発明は関連遺伝子ファミリーおよびそれらのコードされる関連生成物ファミリーのキメラ化を提供する。
【0095】
したがって本発明のある特徴にしたがえば、多数の親核酸鋳型配列でアラインメントを実施して、1つまたは2つ以上の境界設定点が選択される。前記境界設定点は相同性領域に位置し、1つまたは2つ以上のヌクレオチドを含み、さらに前記境界設定点は少なくとも2つの親鋳型によって共有される。前記境界設定点は、生成される核酸構築ブロックの境界を正確に示すために用いることができる。したがって、親分子で特定され選択された前記境界設定点は、子孫分子のアッセンブリーにおいて潜在的なキメラ化点として機能する。
【0096】
好ましくは、有用な境界設定点は、少なくとも2つの親鋳型によって共有される相同性領域(少なくとも1つの相同なヌクレオチド塩基を含む)である。より好ましくは、有用な境界設定点は、親鋳型の少なくとも半分によって共有される相同性領域である。さらに好ましくは、有用な境界設定点は、親鋳型の少なくとも2/3によって共有される相同性領域である。さらに好ましくは、有用な境界設定点は、親鋳型の少なくとも3/4によって共有される相同性領域である。さらに好ましくは、有用な境界設定点は、ほとんど全ての親鋳型によって共有される相同性領域である。なお好ましくは、有用な境界設定点は、全ての親鋳型によって共有される相同性領域である。
【0097】
アッセンブリングされる核酸構築ブロックをデザインするプロセスおよび前記核酸構築ブロックの相互に適合する連結可能末端をデザインするプロセスは、いくつかの天然に存在する境界設定点を示している親鋳型セットのアラインメントおよびこれら鋳型が共有する境界設定点の特定を含む。前記は、子孫キメラ分子の生成に用いられる生成されるべき構築ブロックの非確率的な決定に役立つ。
本発明の好ましい実施態様では、連結再アッセンブリープロセスは包括的ライブラリーを生成するために徹底的に実施される。換言すれば、全ての可能な順序での核酸構築ブロックの組合せが最終的な核酸分子セットで出現する。同時に、特に好ましい実施態様では、各組合わせにおけるアッセンブリーの順序(すなわち、それぞれ最終的なキメラ核酸の5’から3’方向の配列における各構築ブロックのアッセンブリングの順序)は意図的である(非確率的である)。本発明の非確率的な特性のために、望ましくない副生成物の可能性ははなはだしく減少する。
【0098】
本発明の別の好ましい実施態様では、連結再アッセンブリープロセスは、例えば系統的に区分化されたライブラリー(系統的に、例えば1つずつスクリーニングできる区分を有する)を生成するために系統的に実施される。換言すれば、本発明は、特定の核酸構築ブロックを選択的におよび熟慮しながら使用し、さらに連続的な逐次アッセンブリー反応を選択的におよび熟慮しながら使用することによって、特定の子孫生成物がいくつかの反応容器で生成される実験デザインの達成を提供する。これによって、系統的な調査およびスクリーニング方法の実施が可能になる。したがって、潜在的に非常に多くの子孫分子をより小さなグループで系統的に調べることが可能になる。
【0099】
高度に融通性がありしかも包括的および系統的な態様でキメラ化を実施できるその性能のために、特に親分子に低い相同性レベルしか存在しないときに、本発明は多数の子孫分子を含むライブラリー(またはセット)の生成を提供する。本発明の連結再アッセンブリーの非確率的性質のために、生成された子孫分子は、好ましくは意図的に選択された全体的なアッセンブリー順序を有する最終的なキメラ核酸分子のライブラリーを構成する。本発明の特に好ましい実施態様では、そのように生成されたライブラリーは、好ましくは10より多い別個の子孫分子種、より好ましくは10より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは1010より多い別個の子孫分子種、なお好ましくは1015より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは1020より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは1030より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは1040より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは1050より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは1060より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは1070より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは1080より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10100より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10110より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10120より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10130より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10140より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10150より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10175より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10200より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10300より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10400より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは10500より多い別個の子孫分子種、さらに好ましくは101000より多い別個の子孫分子種を含む。
【0100】
ある特徴では、記載のように生成した最終的キメラ核酸分子セットは1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。ある好ましい実施態様にしたがえば、このポリヌクレオチドは遺伝子であり、前記遺伝子は人工遺伝子である。別の好ましい実施態様にしたがえば、このポリヌクレオチドは遺伝子経路であり、前記は人工遺伝子経路である。本発明では、本発明によって生成された1つまたは2つ以上の人工遺伝子を人工遺伝子経路(例えば植物を含む真核生物で機能できる経路)に取り込ませることができる。
【0101】
本発明では、境界設定点、核酸構築ブロックのサイズおよび数、並びにカップリングされたものサイズおよびデザインの選択に関して選択および制御の自由が大きいので、本発明の能力は並外れていることは理解されよう。さらにまた、分子間相同性の要件は本発明の操作性に対して大きく緩和されている。実際、境界設定点は、ほとんどまたは全く分子間相同性が存在しない領域においてすら選択可能である。例えば、コドンのゆらぎ(すなわちコドンの縮退)のために、該当する親鋳型でコードされる本来のアミノ酸を変更することなく、ヌクレオチド置換を核酸構築ブロックに導入することができる。また別に、最初のアミノ酸コードを変更してコドンを変更させることもできる。本発明では、分子間で相同な境界設定点の傾向を高め、したがって構築ブロック間で達成される結合数を増加させるために、したがって結果として生成される子孫キメラ分子の数を増加させるために、前記のような置換を核酸構築ブロックに導入することができる。
【0102】
別の例では、構築ブロックが作製される工程の合成的な性質によって、ヌクレオチド(例えば1つまたは2つ以上のヌクレオチド、前記は例えばコドンでもイントロンでもまたは調節配列でもよい)のデザインおよび導入が可能になる。前記ヌクレオチドは、in vitroプロセスで(例えば突然変異誘発によって)またはin vivoプロセスで(例えばホスト生物の遺伝子スプライシング能力を利用することによって)、場合によって後で除去することができる。多くの事例で、これらヌクレオチドの導入はまた、有用な境界設定点を創出することの潜在的利益以外にも他の多くの理由のために所望されることは理解されよう。
【0103】
したがって、別の実施態様にしたがえば、本発明では、核酸構築ブロックを用いてイントロンを導入できる。したがって、本発明では、機能的イントロンを本発明の人工遺伝子に導入することができる。本発明ではまた、機能的イントロンを本発明の人工遺伝子経路に導入することができる。したがって、本発明は、1つ(または2つ以上)の人工的に導入されたイントロンを含む人工遺伝子であるキメラポリヌクレオチドの生成を提供する。
したがって、本発明はまた、1つ(または2つ以上)の人工的に導入されたイントロンを含む人工遺伝子経路であるキメラポリヌクレオチドの生成を提供する。好ましくは、前記人工的に導入されたイントロンは、天然に存在するイントロンが遺伝子スプライシングで機能的に作用する態様で1つまたは2つ以上のホスト細胞で大いに機能を有する。本発明は、組換えおよび/またはスプライシングのためにホスト生物に導入される人工イントロン含有ポリヌクレオチドを製造するプロセスを提供する。
【0104】
親分子間で相同性がほとんどまたはまったく存在しない領域で(ここで述べたような結合を用いて)キメラ化を達成するその能力は、新規な遺伝子経路のアッセンブリーのために特に有用であり、実際極めて重要である。本発明は、したがって合成連結再アッセンブリーを用いて新規な人工遺伝子経路の生成を提供する。ある特徴では、前記は、目的のホストで作働することができる調節配列(例えばプロモーター)を導入し、目的のホスト細胞に前記が導入されたとき新規な遺伝子経路に作動性を付与することによって達成される。ある例では、本発明は、多数の目的のホストで(例えば植物細胞だけでなく微生物で)作働できる新規な人工遺伝子経路の作製を提供する。
【0105】
前記は、例えば複数の調節因子(第一の目的のホストで作働できる調節配列および第二の目的のホストで作働できる調節配列で構成される)を導入することによって達成できる。同様なプロセスを実施して、第三の目的のホストで遺伝子経路の作働性を達成させることができる。目的とされるホストの種の数は、1から10の各整数また別には10を越えることができる。また別に、複数の目的ホストでの遺伝子経路の作働性は、複数の目的のホストで固有の作働性を有する調節配列の導入によって達成できる。
【0106】
したがって、ある実施態様にしたがえば、本発明では、核酸構築ブロックを用いて、調節配列、特に遺伝子発現の調節配列を導入することができる。好ましい調節配列には、人工調節配列、並びに古細菌、細菌、真核生物(ミトコンドリアを含む)、ウイルス、プリオンまたはプリオン様生物で見出される調節配列が含まれるが、ただしこれらに限定されない。好ましい調節配列には、プロモーター、オペレーターおよびアクチベーター結合部位が含まれるが、ただしこれらに限定されない。したがって、本発明では、機能的調節配列を本発明の人工遺伝子に導入することができる。本発明ではまた、機能的調節配列を本発明の人工遺伝子経路に導入することができる。
【0107】
したがって、本発明は、1つ(または2つ以上の)人工的に導入された調節配列を含む人工遺伝子であるキメラポリヌクレオチドの作製を提供する。したがって、本発明はまた、1つ(または2つ以上の)人工的に導入された調節配列を含む人工遺伝子経路であるキメラポリヌクレオチドの作製を提供する。好ましくは、人工的に導入される調節配列は、人工ポリヌクレオチド中の1つまたは2つ以上の遺伝子に機能的に連結され、さらに1つまたは2つ以上のホスト細胞で機能を有する。
【0108】
本発明で有用な好ましい細菌性プロモーターには、lacI、lacZ、T3、gpt、ラムダP、Pおよびtrpが含まれる。有用な真核細胞性プロモーターには、CMV極初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルスのLTR、およびマウスのメタロチオネイン−Iが含まれる。植物の調節配列には特に植物での転写誘導で活性を有するプロモーターが含まれるが、前記は植物または植物の部分の使用に応じて構成的、またはステージおよび/または組織特異的のいずれかである。これらのプロモーターには、構成的発現を示すプロモーター、例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター(Guilley et al., 1982)、葉特異的発現のためのプロモーター、例えばリブロースビスホスフェートカルボキシラーゼの小型サブユニット遺伝子のプロモーター(Coruzzi et al., 1984)、根特異的発現のためのプロモーター、例えばグルタミンシンターゼ遺伝子のプロモーター(Tingey et al., 1987)、種子特異的発現のためのプロモーター、例えばブラシカ・ナプス(Brassica napus)のクルシフェリンAプロモーター(Ryan et al., 1989)、塊茎特異的発現のためのプロモーター、例えばジャガイモのクラス−Iパパチンプロモーター(Rocha−Sasa et al., 1989; Wenzler et al., 1989)または果実特異的発現のためのプロモーター、例えばトマトのポリガラクツロナーゼ(PG)プロモーター(Bird et al., 1988)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0109】
本発明で好ましい他の調節配列には、ターミネーター配列およびポリアデニル化シグナルおよび植物で機能する任意の配列が含まれ、それらの選択は当業者の水準内にある。そのような配列の例は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のノパリンシンターゼ(nos)遺伝子の3’フランキング領域である。前記調節配列にはまたエンハンサー配列、例えばCaMVの35Sプロモーターで見出される配列、およびmRNA安定化配列、例えばアルファルファモザイクウイルス(AlMV)のリーダー配列、RNA4(Brederode et al., 1980)、または同様な態様で機能する他の任意の配列が含まれるであろう。
【0110】
本発明を用いて製造される人工遺伝子はまた、別の核酸との組換えのための基質として機能することができる。同様に、本発明を用いて製造される人工遺伝子経路もまた別の核酸との組換えのための基質として機能することができる。好ましい例では、組換えは、人工イントロン含有遺伝子と組換えパートナーとして機能する核酸との間の相同性領域によって促進されるか、または前記領域で発生する。特に好ましい例では、前記組換えパートナーはまた本発明によって生成される核酸であり、前記には人工遺伝子または人工遺伝子経路が含まれるであろう。組換えは、前記人工遺伝子の1つ(または2つ以上)の人工的に導入されたイントロンに存在する相同領域によって促進されるであろう。
【0111】
本発明の合成連結再アッセンブリーは多数の核酸構築ブロックを利用し、その各々は2つの連結可能末端を有する。各核酸構築ブロックの2つの連結可能末端は2つの平滑末端(すなわち各々がヌクレオチド0個の張出しを有する)を有し、また好ましくは、1つは平滑端であり1つは張出しを有し、またより好ましくは2つの張出しを有する。
前記目的のために有用な張出しは3’張出しまたは5’張出しであろう。したがって、核酸構築ブロックは、3’張出し、また別には5’張出し、また別には2つの3’張出し、また別には2つの5’張出しを有するであろう。核酸構築ブロックをアッセンブリーして最終的なキメラ核酸分子を生成する全体的な順序は意図的な実験デザインによって決定され、ランダムではない。
ある好ましい実施態様にしたがえば、核酸構築ブロックは、2つの一本鎖核酸(一本鎖オリゴとも称される)を化学的に合成し、さらにそれらを接触させてアニールさせ二本鎖核酸構築ブロックを生成することによって作製される。
【0112】
二本鎖核酸構築ブロックは種々のサイズを有することができる。これら構築ブロックのサイズは実験者の選択にしたがい小さくても大きくてもよい。構築ブロックの好ましいサイズは、1塩基対(張出しを一切含まない)から100000塩基対(張出しを一切含まない)の範囲である。他の好ましいサイズ範囲もまた提供され、それらは1bpから10000bp(間の全ての整数値を含む)の下限および2bpから100000bp(間の全ての整数値を含む)の上限を有する。
従来のポリメラーゼ使用増幅方法を用いて、高い正確さを有する長さが(数万塩基対でないとしても)数千塩基対までの二本鎖核酸を生成することができることは理解されよう。化学合成(例えばホスホルアミダイトによる)を用いて、高い正確さを有する数百までのヌクレオチドの核酸を生成することができるが、これらは、例えば張出しまたは粘着末端を用いてアッセンブリングさせて、所望する場合は長さが(数万塩基対でないとしても)数千までの塩基対の二本鎖核酸を生成することができる。
【0113】
複数の方法の組合せ(例えばホスホルアミダイトによる化学合成とPCR)もまた本発明にしたがって用いることができる。したがって、種々の方法によって製造された核酸構築ブロックをまた組み合わせて用いて本発明の子孫分子を生成することができる。
核酸構築ブロックの生成に化学合成を使用することは本発明で特に好ましく、さらに他の理由(方法の安全性および容易さを含む)についても同様に有利である。クローニングも採集もどのような生物学的サンプルの実際的取り扱いも一切要求されない。核酸構築ブロックのデザインは理論的に達成できる。したがって、本発明は、リコンビナント技術において方法上の安全性の進歩を提供する。
【0114】
にもかかわらず、ある好ましい実施態様にしたがえば、本発明の二本鎖核酸構築ブロックはまた、ポリヌクレオチド鋳型のポリメラーゼによる増幅によって生成することができる。非限定的に例示すれば、第一のプライマーセットFおよびRを用いる第一のポリメラーゼ使用増幅反応を用いて平滑端をもつ生成物を生成する(反応1、生成物1)(前記は本質的に生成物Aと同一である)。第二のプライマーセットFおよびRを用いる第二のポリメラーゼ使用増幅反応を用いて平滑端をもつ生成物を生成する(反応2、生成物2)(前記は本質的に生成物Bと同一である)。前記2つの生成物を混合し、溶融させさらにアニールさせて、2つの張出しを有する潜在的に有用な二本鎖核酸構築ブロックを生成する。実施例では、3’に作用するエキソヌクレアーゼ(例えばエキソヌクレアーゼIII)を用いて他の3つの生成物をヌクレアーゼで分解して、3’張出しを有する生成物(生成物C)が選択される。5’に作用するエキソヌクレアーゼ(例えばレッドアルファ)を用いて、代わりに例えば生成物Dを選択できることもまた理解されよう。他の選別手段(ハイブリダイゼーションによる手段を含む)もまた用いることができることは理解されよう。さらにこれら手段に別の手段を取り込み(例えば磁性ビーズ使用手段)、所望の生成物の分離を促進できることもまた理解されよう。
【0115】
本発明で有用な、二本鎖核酸構築ブロックを生成することができる多くの方法があり、これら方法は当技術分野で公知で、当業者は容易に実施できる。
特に好ましい実施態様にしたがえば、本発明で有用な二本鎖核酸構築ブロックは、最初に2つの一本鎖核酸を生成し、さらにこれらをアニールさせて二本鎖核酸構築ブロックを形成することによって生成される。二本鎖核酸構築ブロックの2つの鎖は、張出しを形成するものはさておき、全てのヌクレオチドで相補的であり、したがって張出し以外はミスマッチを含まないであろう。別の実施態様にしたがえば、二本鎖核酸構築ブロックの2つの鎖は、張出しを形成するものは別として、全ヌクレオチドより少ない数のヌクレオチドで相補的である。したがって、この実施態様にしたがえば、二本鎖核酸構築ブロックを用いてコドン縮退を導入することができる。好ましくは前記コドン縮退は、1つまたは2つ以上のN,N,G/Tカセットを用い、また別にはN,N,Nカセットを用いてここで述べた位置飽和突然変異誘発により導入される。
【0116】
本発明の順序にしたがったアッセンブリーを実施するための典型的な実験デザインには以下の工程が含まれる:
1)それぞれ固有の核酸構築ブロックのデザイン
2)各核酸構築ブロックのそれぞれ固有の連結可能末端のデザイン
3)核酸構築ブロックのそれぞれ固有のアッセンブリー順序のデザイン
【0117】
張出しは3’張出しでも5’張出しでもよい。張出しはまた末端リン酸基を有することができる。張出しはまた末端リン酸基を欠いていてもよい(例えばヒドロキシル基を代わりに有する)。張出しは任意の数のヌクレオチドを含むことができる。好ましくは、張出しは0ヌクレオチド(平滑端の場合)から10000ヌクレオチドを含む。したがって、広範囲のサイズの張出しが有用であろう。したがって、下限は1から200の各整数で、上限は2から10000の各整数であろう。具体的な例にしたがえば、張出しは1ヌクレオチドから200ヌクレオチド(間の全ての整数値を含む)のいずれかから成るであろう。
【0118】
最終的なキメラ核酸分子は、指定された構築ブロックの全てのアッセンブリングが終了するまで2つまたは3つ以上の構築ブロックを連続的にアッセンブリングして生成することができる。対象のサンプルは場合によって、2つのアッセンブリー工程を実施する間にサイズ選別プロセスまたは精製プロセスまたは他の選別もしくは濃縮プロセスに付すことができる。また別には、最終的キメラ核酸分子は一工程で同時に全ての指定された構築ブロックをアッセンブリングして生成することができる。
【0119】
in vivo シャッフリング
in vivoシャッフリングの実施態様では、個別の核酸配列の混合集団が細菌または真核細胞に、少なくとも2つの異なる核酸配列が各ホスト細胞に存在することができる条件下で導入される。前記ポリヌクレオチドは種々の異なる方法でホスト細胞に導入することができる。ホスト細胞は、当技術分野で公知の方法を用いて(例えば塩化カルシウムで処理して)、小型のポリヌクレオチドで形質転換できる。ポリヌクレオチドをファージゲノムに挿入する場合、ホスト細胞は個別の核酸配列を含むリコンビナントファージゲノムでトランスフェクトすることができる。また別に、前記核酸配列は、電気穿孔、トランスフェクション、リポフェクション、粒子衝撃、接合などを用いてホスト細胞に導入できる。
【0120】
一般に本実施態様では、前記個別の核酸配列はベクター中に存在するであろう。前記ベクターはホスト細胞中で前記配列を安定的に複製させることができる。さらに、ベクターを含むホスト細胞を選別できるようにベクターはマーカー遺伝子をコードすることは予想されよう。これによって変異個別核酸配列をホスト細胞導入後に確実に回収できる。しかしながら、個別核酸配列の完全な混合集団がベクター配列に存在する必要がないことは予想されよう。むしろ十分な数の配列がベクター中にクローン化されてあることが必要であって、それによってポリヌクレオチドのホスト細胞への導入後に各ホスト細胞が、少なくとも1つの個別核酸配列をその中に含むベクターを1つ含むことが担保される。さらにまた、個別核酸配列集団のサブセットをベクター中にクローン化させるよりはむしろ、このサブセットをホスト細胞に既に安定的に組み込ませることができることは予想されよう。
【0121】
2つのポリヌクレオチド(これらは同一領域を有する)がホスト細胞に挿入されるとき、相同組換えが2つのポリヌクレオチド間で生じることが見出された。2つの変異個別核酸配列間での前記のような組換えはいくつかの状況下で二重または三重のハイブリッドを生成させるであろう。
さらにまた、変異個別核酸配列のいくつかが直鎖状核酸分子に存在する場合、組換え頻度は増加することが見出された。したがって、好ましい実施態様では、個別核酸配列のいくつかは直鎖状ポリヌクレオチドに存在する。
【0122】
形質転換後、形質転換ホスト細胞を選別下に置きこれら形質転換細胞を特定する(前記細胞は所望の特性を有する変異個別核酸配列を含む)。例えば、特定の薬剤に対する耐性の増加が所望される場合、形質転換ホスト細胞は濃度を高めた特定薬剤にさらされ、薬剤耐性の増加を付与できる変異を有するタンパク質を産生する形質転換体が選別されるであろう。個々のタンパク質のレセプター結合能の強化を所望する場合は、形質転換体から前記タンパク質の発現を誘発し、得られたタンパク質を当業者に公知の方法によりリガンド結合アッセイで分析し、リガンド結合能の強化を示す変異集団サブセットを特定することができる。また別に、タンパク質を別の系で発現させ、適切なプロセッシングを確認することができる。
【0123】
所望の特性を有する、組換えが生じた第一の個別核酸配列(娘配列)のサブセットがいったん特定されたら、続いてそれらを第二回目の組換えに付す。第二回目の組換えでは、組換えを生じた個別核酸配列を最初の変異個別核酸配列(親配列)と混合し、上記のように組換えサイクルを繰り返す。このようにして、強化特性を有するか、または強化特性をもつタンパク質をコードする、組換えを生じた第二の個別核酸配列セットを特定することができる。このサイクルは、所望に応じて何度も繰り返すことができる。
第二回またはそれに続く組換えサイクルで、戻し交配が生じることもまた予想されよう。分子の戻し交配は、少なくとも1つの野生型核酸配列と変異を有する1つの核酸配列とが形質転換後に同じホスト細胞に存在することができるように、所望の個別の配列を多数の野生型配列と混合することによって実施することができる。野生型の個別核酸配列との組換えは、選別されない特性(例えば免疫原性)に影響を及ぼすが選別できる特性には影響を与えない中立突然変異を排除するであろう。
【0124】
本発明の別の実施態様では、第一回目の最中にPCR増幅の速度を遅くするかまたは停止させることによって、より小さなポリヌクレオチドとして個別核酸配列のサブセットを生成することが意図される。前記ポリヌクレオチドのサイズは、他の配列との相同組換えのために前記他の配列と同一領域をいくつか含むことができるように十分に大きくなければならない。前記ポリヌクレオチドのサイズは0.03kbから100kb、より好ましくは0.2kbから10kbの範囲であろう。さらにまた、その後のサイクルで、以前のサイクルで選別された配列以外の全ての個別核酸配列を用いて、ホスト細胞導入前にPCRポリヌクレオチドを生成することも意図される。
前記のより短いポリヌクレオチド配列は一本鎖でも二本鎖でもよい。前記配列が最初は一本鎖であって、さらに二本鎖になった場合は、それらを熱、化学物質または酵素によりホスト細胞挿入前に変性させることができる。前記核酸の鎖の分離に適切な反応条件は当技術分野で周知である。
【0125】
本プロセスの前記工程を無制限に繰り返すことが可能で、達成できる可能なハイブリッド数によってのみ制限される。一定数のサイクル後には、全ての可能なハイブリッドは達成されてあり、その後のサイクルは余分である。
ある実施態様では、同じ変異鋳型核酸が繰り返し組換えに用いられ、得られたリコンビナントを所望の特性について選別する。したがって、変異鋳型核酸の最初のプールまたは集団を細菌(例えば大腸菌)で複製することができるベクターでクローニングする。大腸菌で自律的に複製することができるかぎり具体的なベクターは問題ではない。好ましい実施態様では、ベクターは、それに連結されている変異個別核酸によってコードされる任意のタンパク質の発現および産生を可能にするようにデザインされる。前記ベクターが選別可能マーカーをコードする遺伝子を含むこともまた好ましい。
【0126】
変異核酸配列プールを含むベクター集団を大腸菌ホスト細胞に導入する。前記ベクターの核酸配列は、形質転換、トランスフェクションまたはファージの場合には感染によって導入することができる。細菌の形質転換に用いられるベクターの濃度は、多数のベクターが各細胞に導入される濃度である。いったん細胞内に入れば、相同組換え効率は、相同組換えが種々のベクター間で生じる効率である。これは、最初の変異を有する親配列とは異なる変異の組合せを有するハイブリッド(娘配列)の生成をもたらす。
続いてホスト細胞をクローンとして複製し、ベクターに存在するマーカー遺伝子について選別する。プラスミドを含む細胞のみが選別下で増殖するであろう。
【0127】
続いて、ベクターを含むホスト細胞を好ましい変異の存在について検査する。前記の検査は、例えば選別されるべき遺伝子が改善された薬剤耐性遺伝子であるならば、細胞を選別強制下に置くことから成るであろう。ベクターが、変異核酸配列によってコードされるタンパク質の発現を可能にする場合は、前記選別は以下を可能にする工程を含むことができる:そのようにコードされたタンパク質の発現、前記タンパク質の単離および、例えば前記タンパク質が問題のリガンドと増強された効率で結合するか否かを決定することを目的とする前記タンパク質のテスト。
いったん所望の特性を付与する個々の変異核酸娘配列が特定されたら、前記核酸(既にベクターに連結されてあるかまたはベクターから分離されている)を単離する。続いてこの核酸を第一の核酸集団または親核酸集団と混合し、前記サイクルを繰り返す。この方法によって所望の強化特性を有する核酸配列が選別できることが示された。
【0128】
また別の実施態様では、第一のハイブリッド世代を細胞内に保持し、親の変異配列を再び細胞に添加する。したがって、実施態様Iの第一のサイクルが上記のように実施される。しかしながら、娘核酸配列が特定された後、これら配列を含むホスト細胞が保持される。
変異を有する親の個別核酸集団(ポリヌクレオチドとしてまたは同じベクターでクローニングされたものとして)を既に娘核酸を含むホスト細胞に導入する。
組換えを細胞内で惹起させ、次の世代のリコンビナントまたは孫核酸を上記で述べた方法によって選別する。
所望の特性を有する核酸またはペプチドが得られるまで、前記サイクルを何度も繰り返すことができる。その後のサイクルで、変異配列の集団(これらは好ましいハイブリッドに添加される)は親のハイブリッドから得てもまたはその後の任意の世代から得てもよいことは推測されよう。
【0129】
また別の実施態様では、本発明は、得られたリコンビナントの個別核酸の“分子の”戻し交配を実施して一切の中立変異を排除する方法を提供する。中立変異とは、核酸またはペプチドに所望の特性を付与しない変異である。そのような変異はしかしながら核酸またはペプチドに望ましくない特徴を付与するであろう。したがって、そのような中立変異を排除することは望ましい。本発明の方法は、前記を実施する手段を提供する。この実施態様では、所望の特性を有するハイブリッド核酸が本実施態様の方法によって得られた後、前記核酸、前記核酸を有するベクターまたは前記ベクターおよび核酸を含むホスト細胞が単離される。
【0130】
続いて、前記核酸またはベクターを大過剰の野生型核酸とともにホスト細胞に導入する。ハイブリッド核酸と野生型配列核酸で組換えを実施する。得られたリコンビナントをハイブリッド核酸と同じ選別下に置く。所望の特性を保持するリコンビナントのみが選別されるであろう。いずれのサイレント変異(所望の特性を提供しない)も野生型DNAとの組換えを通して失われるであろう。このサイクルは、サイレント変異の全てが排除されるまで何度も繰り返すことができる。したがって、本発明の方法は分子の戻し交配で用いられ、不要なまたはサイレント変異を排除することができる。
【0131】
有用性
本発明のin vivo組換え法は、個別のポリヌクレオチドまたは配列の未知のハイブリッドまたは対立遺伝子プールで全くの手探りで実施することができる。しかしながら、前記個別ポリヌクレオチドの実際のDNAまたはRNA配列を知ることは必要ではない。
遺伝子の混合集団内の組換えを用いる本アプローチは有用なタンパク質の生成に有用である。このアプローチを用いて特異性または活性が変化したタンパク質を生成することができる。前記アプローチはまた、ハイブリッド核酸配列、例えばプロモーター領域、イントロン、エキソン、エンハンサー配列、非翻訳領域または遺伝子の非翻訳領域の生成にも有用である。したがって、本アプローチを用いて、発現速度が高められた遺伝子を生成することができる。本発明アプローチはまた反復DNA配列の研究にも有用である。最後に、本アプローチはリボザイムまたはアプタマーの変異誘発に有用であろう。
【0132】
タンパク質の多様性領域を分けるスカッホールド様領域は本発明の方法に特に適しているであろう。保存されたスカッホールドは自己結合によって全体的な折り畳みを決定し、一方で特異的結合を仲介する比較的非制限的なループを提示する。そのようなスカッホールドの例は、免疫グロブリンのベータバレルおよび4らせん束である。本発明の方法を用いて、結合のための多様な変異配列の組合せを有するスカッホールド様タンパク質を創出することができる。
いくつかの標準的な遺伝子交配に匹敵するものを本発明の方法によって実施することができる。例えば、“分子の”戻し交配は、ハイブリッド核酸を野生型核酸と繰返し混合し、一方で問題の突然変異について選別することによって実施することができる。伝統的な育種の場合のように、本アプローチを用いて異なる供給源に由来する表現型を一まとめにして選択のバックグラウンドを形成することができる。本アプローチは、例えば、選別されない特性(すなわち免疫原性)に影響を与える中立突然変異の除去に有用である。したがって、本アプローチは、タンパク質中のどの突然変異が生物学的活性の強化に必要であるか、どの変異が必要でないかを決定するために有用である。
【0133】
ペプチドディスプレー方法
本発明の方法を用いて、開示した方法のいずれかによるin vitroおよび/またはin vivo組換えおよび前記の任意の組合せによって、ペプチドディスプレー方法によって選別されたポリヌクレオチド配列をシャッフリングすることができる(この場合結合するポリヌクレオチドはディスプレーされたペプチドをコードし、前記ペプチドは表現型(例えば予め定めたレセプター(リガンド)に対する親和性)についてスクリーニングされる)。
分子生物学でその重要性が増している部分は、生物学的巨大分子と相互作用するペプチドまたはペプチド摸倣体のペプチド構造(一次アミノ酸配列を含む)の特定である。所望の構造または機能的特性(例えば予め定めた生物学的巨大分子(例えばレセプター)との結合)を有するペプチドを特定する方法の1つは、ペプチドのアミノ酸配列によって付与される所望の構造または機能的特性を有する個々のライブラリーメンバーについて、大きなペプチドライブラリーをスクリーニングすることを含む。
【0134】
ペプチドライブラリーを作製するために化学的合成方法を実施する以外に、いくつかのリコンビナントDNA法も報告されている。あるタイプでは、ペプチド配列、抗体または他のタンパク質をバクテリオファージまたは細胞の表面にディスプレーすることを必要とする。これらの方法では一般的に、各バクテリオファージ粒子または細胞は、天然のバクテリオファージまたは細胞のタンパク質配列の他にただ1つのディスプレーペプチド種をディスプレーする個々のライブラリーメンバーとして機能する。各バクテリオファージまたは細胞は、個々のディスプレーペプチド配列をコードするヌクレオチド配列情報を含み、したがって前記ディスプレーペプチド配列は、単離したライブラリーメンバーのヌクレオチド配列決定によって確認することができる。
【0135】
周知のペプチドディスプレー方法は、繊維状バクテリオファージの表面にペプチド配列を、典型的にはバクテリオファージのコートタンパク質との融合物として提示することを含む。前記バクテリオファージライブラリーを予め定めた固定巨大分子または小型分子(例えばレセプター)とともにインキュベートし、それによって、前記固定巨大分子と結合するペプチド配列を提示するバクテリオファージ粒子が、前記予め定めた巨大分子と結合するペプチド配列を提示していないファージと弁別的に区別される。続いて、前記固定巨大分子と結合した前記バクテリオファージ粒子(すなわちライブラリーメンバー)を回収して複製し、その後のアフィニティー濃縮とファージ複製の過程のために前記選別バクテリオファージサブ集団を増幅させる。数回のアフィニティー濃縮とファージ複製過程の後で、前記ようにして選別したバクテリオファージライブラリーメンバーを単離し、ディスプレーペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を決定し、それによって前記予め定めた巨大分子(例えばレセプター)と結合するペプチド配列を特定する。前記のような方法は、PCT特許公報WO91/17271、WO91/18980、WO91/19818およびWO93/08278にさらに記述されている。
【0136】
後者のPCT公報には、融合タンパク質ライブラリーの製造を含む、ペプチドリガンドのディスプレーのためのリコンビナントDNA法が記載されている。前記融合タンパク質の各々は第一のポリペプチド部分(典型的には種々の配列を含み、予め定めた巨大分子との潜在的結合に利用することができる)、およびDNA(例えば個々の融合タンパク質をコードするDNAベクター)と結合する第二のポリペプチド部分を含む。形質転換ホスト細胞を前記融合タンパク質の発現を許容する条件下で培養したとき、前記融合タンパク質はそれをコードするDNAベクターと結合する。ホスト細胞を溶解させたとき、前記融合タンパク質/ベクターDNA複合体を予め定めた巨大分子について、バクテリオファージ粒子をファージ使用ディスプレー系でスクリーニングした方法とほとんど同じ方法でスクリーニングし、それとともに選別融合タンパク質/ベクターDNA複合体の複製および配列決定を実施することができる(前記は選別したライブラリーペプチド配列の特定のための基礎として役立つ)。
【0137】
ペプチドおよび類似のポリマーのライブラリーを作製する他の系は、リコンビナント法およびin vitro化学合成法の両方の面を有する。これらのハイブリッド方法では、細胞を含まない酵素機構を用いてライブラリーメンバー(すなわちペプチドまたはポリペプチド)のin vitro合成が達成される。あるタイプの方法では、予め定めたタンパク質と結合するか、または予め定めた染料分子と結合する能力を有するRNA分子が、選別とPCR増幅を交互に繰り返すことによって選別された(Tuerk & Gold, 1990; Ellington & Szostak, 1990)。同様な技術を用いて、予め定めたヒトの転写因子と結合するDNA配列が特定された(Thiesen & Bach, 1990; Beaudry & Joyce, 1992; PCT特許公報WO92/05258およびWO92/14843)。同様な態様でin vitro翻訳技術を用いて問題のタンパク質が合成され、大型のペプチドライブラリーの作製方法が提唱された。In vitro翻訳を根幹とするこれらの方法は、一般に安定化されたポリゾーム複合体を含み、以下の文献でさらに説明されている(PCT特許公報WO88/08453; WO90/05785; WO90/07003; WO91/02076; WO91/05058; WO92/02536)。出願人らは、ライブラリーメンバーが、DNA結合活性を有する第一のポリペプチド部分およびライブラリーメンバーに固有のペプチド配列を有する第二のポリペプチド部分を含む方法を報告した。前記方法は細胞を含まないin vitro選別形式での使用にとりわけ適している。
【0138】
ディスプレーされるペプチド配列は種々の長さが可能であり、典型的には3−5000アミノ酸またはそれ以上、しばしば5−100アミノ酸またはそれ以上、さらに頻繁には約8−15アミノ酸の長さである。ライブラリーは、ディスプレーされるペプチド配列の長さが種々であるライブラリーメンバーを含むことができるが、また一定の長さのディスプレーペプチド配列を有するライブラリーメンバーを含んでいてもよい。ディスプレーペプチド配列の一部または全てはランダムでも、擬似ランダムでも、限定セットカーネル(defined set kernal)でも、固定されてあってもよい。本発明のディスプレー方法には、単鎖抗体のin vitroおよびin vivoディスプレー(例えばポリゾーム上の発生期scFv、またはファージでディスプレーされるscfv)のための方法が含まれる。前記は、極めて多様性を有する可変領域配列および結合特異性を有するscfvの大規模スクリーニングを可能にする。
【0139】
本発明はまた、ランダム、擬似ランダム、および限定配列フレームワークのペプチドライブラリー、並びにそれらライブラリーを作製する方法、およびレセプター分子もしくは問題のエピトープまたは所望の態様でペプチドもしくはRNAを改変する遺伝子生成物と結合する有用な化合物(例えば単鎖抗体を含むペプチド)を特定するためにそれらをスクリーニングする方法を提供する。ランダム、擬似ランダム、および限定配列フレームワークペプチドは、ディスプレーペプチドまたはポリヌクレオチド鋳型(前記鋳型からディスプレーペプチドが合成された)に結合させたディスプレー単鎖抗体を含むペプチドライブラリーメンバーのライブラリーから製造される。前記結合態様は、選択した本発明のそれぞれ個別の実施態様にしたがって変動し、ファージ粒子中への被包化および細胞内への取込みが含まれる。
【0140】
アフィニティー濃縮法は、ペプチドおよび単鎖抗体ライブラリー、並びに所望のペプチドまたは単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドの非常に大きなライブラリーのスクリーニングを可能にする。前記ポリヌクレオチドを続いて単離しシャッフリングして、選択したペプチド(または予め定めた前記の部分)または単鎖抗体(または単なるVHI、VLIまたはそのCDR部分)のアミノ酸配列を組合わせにより組換えることができる。これらの方法を用いて、ある分子に対して所望の親和性を有するペプチドまたは単鎖抗体を特定し、さらにシャッフリングして迅速に所望の高親和性ペプチドまたはscfvに変換するプロセスを開発することができる。続いて、任意の適切な使用のために(例えば治療薬または診断薬として)前記ペプチドまたは抗体を通常の手段によりバルクとして合成することができる。
【0141】
本発明の顕著な利点は、求められるリガンドの構造に関する事前の情報が問題のペプチドリガンドまたは抗体の単離に要求されないということである。特定されるペプチドは生物学的活性を有し、前記活性は少なくとも選択したレセプター分子に対する特異的な結合親和性を含み、さらにいくつかの事例では、他の化合物の結合を阻止、代謝経路を刺激または抑制し、シグナルまたはメッセンジャーとして作用し、細胞性活性を刺激または抑制する能力を含むことが意図される。
【0142】
本発明はまた、予め定めたレセプターまたはエピトープと結合する結合するライブラリーメンバーについて、発生期ペプチド(単鎖抗体を含む)をディスプレーするポリゾームライブラリーをアフィニティースクリーニングすることによって選別されるポリヌクレオチド配列プールをシャッフリングする方法を提供する。前記予め定めたレセプターは、例えば哺乳類タンパク質性レセプター、例えばペプチド作動性ホルモンレセプター、細胞表面レセプター、他のタンパク質と結合して細胞内タンパク質複合体(例えば異種二量体など)を生成する細胞内タンパク質であり、前記エピトープは、例えば固定タンパク質、糖タンパク質、オリゴ糖などである。
【0143】
前記方法のいずれかによって(典型的にレセプター(例えばリガンド)との結合についてのアフィニティー選別によって)第一の選別ラウンドで選別されたポリヌクレオチドをプールし、前記プールをin vitroおよび/またはin vivo組換えによってシャッフリングして、組換えが実施された選別ポリヌクレオチド配列集団を含むシャッフリングプールを生成する。前記組換え選別ポリヌクレオチド配列をその後に続く少なくとも1回の選別ラウンドに付す。前記の後続の選別ラウンドで選別されたポリヌクレオチド配列を直接用いて、配列決定し、および/または1回または2回以上のシャッフリングと後続選別との追加のラウンドに付すことができる。選別された配列はまた、例えば野生型または選別された配列と実質的に同一の天然に存在する配列との戻し交配によって、中立配列(すなわち結合に対して低い機能的作用を有する配列)をコードするポリヌクレオチド配列と戻し交配して、天然のものに類似する機能性ペプチド(免疫原性が少ないであろう)を生成することができる。一般的には、戻し交配中に後続の選別が実施され、予め定めたレセプター(リガンド)に対する結合特性が保持される。
【0144】
選別配列のシャッフリング前に、またはシャッフリングと同時に前記配列に突然変異を誘発することができる。ある実施態様では、選別されたライブラリーメンバーは、原核細胞ベクター(例えばプラスミド、ファージミドまたはバクテリオファージ)でクローニングされる。前記の場合には、それぞれ別々のライブラリーメンバーを表す個々のコロニー(またはプラーク)が生成される。続いて、個々の選別ライブラリーメンバーを(例えば位置特異的突然変異誘発、カセット突然変異誘発、化学物質による突然変異誘発、PCR突然変異誘発などによって)操作して、選別ライブラリーメンバーの配列に対して配列多様性カーネルを示すライブラリーメンバーの集合物を生成することができる。個々の選別ライブラリーメンバーまたはプールの配列を操作して、ランダム変異、擬似ランダム変異、限定カーネル変異(すなわち、変種残基および不変残基位置を含み、および/またはアミノ酸残基の限定サブセットから選択される残基を含むことができる変種残基位置を含む)、コドン使用変異などを、セグメント中に、または個々の選別ライブラリーメンバー配列の全長にわたって取り込ませることができる。ここに開示したように続いて、前記変異を誘発した選別ライブラリーメンバーでin vitroおよび/またはin vivo組換えシャッフリングを実施する。
【0145】
本発明はまた、以下のような本発明の多数の個々のライブラリーメンバーを含むペプチドライブラリーを提供する:(1)前記多数の個々のライブラリーメンバーの各々は選別配列プールをシャッフリングすることによって生成された配列を含み、さらに(2)個々のライブラリーメンバーの各々は可変ペプチドセグメント配列または単鎖抗体セグメント配列を含み、前記配列は、前記多数の他の個々のライブラリーメンバーの可変ペプチドセグメント配列または単鎖抗体配列と異なっている(ただしいくつかのライブラリーメンバーでは、不均一な増幅、確率などのためにライブラリー当たり2つ以上のコピーが存在する)。
【0146】
本発明はまた、予め定めた結合特異性を有する(または結合特性を有するペプチドをコードする)選別ポリヌクレオチドが以下のプロセスによって生成される生成物製造方法を提供する:(1)ディスプレーペプチドまたはディスプレー単鎖抗体ライブラリーを予め定めたレセプター(例えばリガンド)、またはエピトープ(例えば抗原巨大分子)についてスクリーニングし、さらに予め定めたレセプターまたはエピトープと結合するライブラリーメンバーを特定および/または濃縮して、選別ライブラリーメンバーを生成し、(2)予め定めたエピトープと結合し、その結合によってライブラリーから単離されおよび/または濃縮された前記選別ライブラリーメンバー(またはその増幅またはクローン化コピー)を組換えによりシャッフリングすることによってシャッフリング実施ライブラリーを生成し、(3)前記シャッフリング実施ライブラリーを予め定めたレセプター(例えばリガンド)またはエピトープ(例えば抗原巨大分子)についてスクリーニングし、さらに予め定めたレセプターまたはエピトープと結合する前記シャッフリング実施ライブラリーメンバーを特定および/または濃縮して選別されたシャッフリング実施ライブラリーメンバーのプールを生成する。
【0147】
抗体のディスプレーおよびスクリーニング方法
本発明を用い、開示の方法のいずれかまたは任意の組合せでin vitroおよび/またはin vivo組換えを実施することによって、抗体ディスプレー方法により選別されるポリヌクレオチド配列をシャッフリングすることができる。ここで、結合ポリヌクレオチドは、表現型(例えば予め定めた抗原(リガンド)に対する親和性)についてスクリーニングされるディスプレー抗体をコードする。
【0148】
多様な分子遺伝学的アプローチが、きわめて多数の別個の可変領域(免疫グロブリン鎖に存在する)によって表される膨大な免疫学的レパートリーを捕捉するために考案されてきた。天然に存在する生殖細胞系列の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子は、多様性セグメント遺伝子の縦列アレーの上流に位置するそれぞれ別個の可変セグメント遺伝子の縦列アレーで構成され、前記多様性セグメント遺伝子はそれ自体結合(i)領域遺伝子の縦列アレーの上流に位置し、前記結合領域遺伝子は定常領域遺伝子の上流に位置する。Bリンパ球の発生時に、V−D−J再アレンジメントが生じ、このとき重鎖可変領域遺伝子(VH)が再アレンジメントにより形成されて、融合Dセグメントが形成され、続いてVセグメントとの再アレンジメントによってV−D−Jが結合した遺伝子が生成され、前記遺伝子は生産的に再アレンジされる場合には機能的な重鎖の可変領域(VH)をコードする。同様に、軽鎖対立遺伝子はいくつかのVセグメントの1つといくつかのJセグメントの1つを再アレンジして、軽鎖の可変領域(VL)をコードする遺伝子を生成する。
【0149】
免疫グロブリンにおいて可能な可変領域の膨大なレパートリーは、B細胞発生時の再アレンジメントの間に生じるVおよびiセグメント(および重鎖対立遺伝子の場合はDセグメント)を結合させる多数の組合せの可能性から部分的には由来する。重鎖可変領域のさらに追加される配列の多様性は、V−D−J結合時のDセグメント不均一再アレンジメントにより、およびN領域の付加により生じる。さらにまた、特定のB細胞クローンの抗原選別は、非生殖細胞系列の変異を重鎖および軽鎖の可変領域の一方または両方に有するより高い親和性をもつ変種を選別する(“アフィニティー成熟”または“アフィニティー増進”と称される現象)。典型的にはこれら“アフィニティー増進”変異は可変領域の特定の領域、もっとも一般的には相補性決定領域(CDR)でクラスターを形成している。
【0150】
抗原によって刺激されるβ細胞の発生(すなわち免疫)による高親和性免疫グロブリンの産生および特定における多くの制限を克服するために、組合せ抗体ライブラリーの生成を操作することができる種々の原核細胞発現系が開発されてきた。前記抗体ライブラリーは特異的抗原に対する高親和性抗体についてスクリーニングすることができる。大腸菌とバクテリオファージ系の抗体発現における最近の進歩(下記の“また別のペプチドディスプレー方法”を参照されたい)は、実質的に任意の特異性が、性状を明らかにされたハイブリドーマ由来の抗体遺伝子をクローニングするか、または抗体遺伝子ライブラリー(例えばIgcDNA)を用いたde novo選別によって得られる可能性を示した。
【0151】
抗体の組合せライブラリーがバクテリオファージラムダ発現系で作製された。前記はバクテリオファージプラークとして、または溶原コロニーとしてスクリーニングできる(Huse et al., 1989; Caton & Koprowski, 1990; Mullinax et al., 1990; Persson et al., 1991)。バクテリオファージ抗体ディスプレーライブラリーおよびラムダファージ発現ライブラリーの多様な実施態様が報告された(Kang et al., 1991; Clackson et al., 1991; McCafferty et al., 1990; Burton et al., 1991; Hoogenboom et al., 1991; Chang et al., 1991; Breitling et al., 1991; Marks et al., 1991, p.581; Barbas et al., 1992; Hawkins and Winter, 1992; Hawkins and Winter, 1992; Marks et al., 1992, p.779; Marks et al., 1992, p.16007; Lowman et al., 1991; Lerner et al., 1992(前記文献は全て参照により本明細書に含まれる))。典型的には、バクテリオファージ抗体ディスプレーライブラリーは、(例えばアフィニティークロマトグラフィーによる反応性ファージを濃縮するためにクロマトグラフィー樹脂に共有結合させることによって)固定したレセプターおよび/または(プラークまたはコロニーリフトのスクリーニングのために)標識したレセプターを用いてスクリーニングされる。前記レセプターは例えばポリペプチド、炭水化物、糖タンパク質、核酸である。
【0152】
特に優れたアプローチの1つは、いわゆる単鎖フラグメント可変(scfv)ライブラリーの使用であった(Marks et al., 1992, p.779; Winter & Milstein, 1991; Clackson et al., 1991; Marks et al., 1991, p.581; Chaudhary et al., 1990; Chiswell et al., 1992; McCafferty et al., 1990; Huston et al., 1988)。バクテリオファージコートタンパク質上でディスプレーされたscFvライブラリーの多様な実施態様が報告された。
1988年の初めに、Fvフラグメントの単鎖類似体およびそれらの融合タンパク質が抗体工学的方法によって確実な態様で生成された。一般的には第一の工程は、所望の結合特性を有するVHおよびVLドメインをコードする遺伝子を得ることを必要とする。前記V遺伝子は特定のハイブリドーマ細胞株から単離するか、組合せV遺伝子ライブラリーから選別するか、またはV遺伝子合成によって生成することができる。単鎖Fvは、適切にデザインしたリンカーペプチド、例えば(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)3または同等なリンカーペプチドをコードするオリゴヌクレオチドとV遺伝子成分を連結することにより形成される。前記リンカーは第一のV領域のC末端と第二のもののN末端を、VH−リンカー−VLまたはVL−リンカー−VH´のいずれかの順序で架橋する。原則として、scfv結合部位は、親抗体の結合部位の親和性と特異性の両方を忠実に複製することができる。
【0153】
したがって、scfvフラグメントは、単一ポリペプチド鎖に可撓性リンカーペプチドで連結されたVHおよびVLを含む。scfv遺伝子をアッセンブリーさせた後、それらをファージミドでクローニングし、M13ファージ(または同様な繊維状バクテリオファージ)の先端でバクテリオファージPIII(遺伝子3)コートタンパク質との融合タンパク質として発現させる。問題の抗体を発現するファージの濃縮は、予め定めたエピトープ(例えば標的抗原、レセプター)との結合についてscfv集団をディスプレーするリコンビナントファージを選別することによって達成される。
【0154】
ライブラリーメンバーの連結ポリヌクレオチドは、スクリーニングまたは選別工程後のライブラリーメンバーの複製の基礎を提供し、さらにまたヌクレオチド配列決定によるディスプレーペプチド配列またはVHおよびVLアミノ酸配列の特定の基礎を提供する。ディスプレーペプチドまたは単鎖抗体(例えばscfv)および/またはそのVHおよびVLドメインまたはそれらのCDRをクローニングし、適切な発現系で発現させることができる。単離したVHおよびVLドメインをコードするポリヌクレオチドはしばしば、定常領域(CHおよびCL)をコードするポリヌクレオチドに連結され、完全な抗体(例えばキメラ抗体または完全ヒト抗体)、抗体フラグメント、その他をコードするポリヌクレオチドが生成される。単離CDRをコードするポリヌクレオチドは、しばしば適切な可変領域のフレームワーク(および場合によって定常領域)に移植されて、完全な抗体(例えばヒト化抗体または完全ヒト抗体)、抗体フラグメント、その他をコードするポリヌクレオチドが生成される。抗体は、調製量の抗原をイムノアフィニティークロマトグラフィーによって単離するために用いることができる。前記抗体の他の多様な用途は、診断および/または病期の決定(例えば新形成の)、並びに疾患(例えば新形成、自己免疫疾患、エイズ、心脈管系疾患、感染症など)を治療する治療的な利用である。
【0155】
scfvライブラリーの組合せの多様性を高めて結合種のレパートリー(イディオタイプスペクトル)を拡大させる種々の方法が報告されている。PCRの使用は、特異的ハイブリドーマ供給源または無免疫細胞の遺伝子ライブラリーから可変領域の迅速なクローンニングを可能にし、VHおよびVLカセット(これらは一体化させることができる)の集合物で組合せの多様性をもたらす。さらにまた、VHおよびVLカセットはそれ自体で、例えばランダム変異、擬似変異または直接変異によって多様化させることができる。典型的には、VHおよびVLカセットは、相補性決定領域(CDR)で、またはCDRの近くで(しばしば第三CDR(CDR3))多様化させられる。酵素的逆PCR突然変異誘発は、scfv位置特異的ハイブリッドの比較的大きなライブラリーの構築に簡単で確実な方法であることが示され(Stemmer et al., 1993)、エラー多発PCRおよび化学的突然変異誘発も同様であった(Deng et al., 1994)。Reichmannら(1993)は、縮退オリゴヌクレオチドPCRによる位置特異的ランダム化およびそれに続く生成scfvハイブリッドのファージディスプレーを用いたscfv抗体フラグメントの半論理的デザインを示した。Barbasら(1992)は、偏った可変領域配列を用いることにより生じるレパートリーサイズの限界の問題を、ヒト破傷風毒素結合Fabの合成CDR領域の配列をランダム化することによって克服しようとした。
【0156】
CDRランダム化は、重鎖CDR3単独でほぼ1×1020個のCDRを、さらに重鎖CDR1およびCDR2並びに軽鎖CDRl−3でほぼ同じ数の変種を生成する潜在能力を有する。個別的にもまたは総合的にも、重鎖および/または軽鎖のCDRランダム化による組合せの可能性は、途方もない数のバクテリオファージクローンを作製し、全ての可能な組合せを表示するクローンライブラリーを生成することを必要とする(前記可能な組合せの大半は非結合性であろう)。現在の形質転換技術およびバクテリオファージディスプレー系ではそのような大量の初回形質転換体を作製することは不可能である。例えば、Barbasら(1992)は5×10の形質転換体を生成したが、それは完全にランダム化されたCDRライブラリーの潜在的多様性の極めてわずかな部分にすぎない。
【0157】
より広い抗体多様性を有し、通常のCDR突然変異誘発およびランダム化方法(前記は潜在的な配列組合せの極めてわずかな部分をカバーできるだけである)の限界を克服するscfvライブラリーを生成することができたら、治療および診断での使用に適切なscfv抗体の数および質ははなはだしく改善されるであろう。これを調べるために、本発明のin vitroおよびin vivoシャッフリング方法を用いてCDRの組換えを実施する(CDRは選別したディスプレー抗体から得た核酸から入手した)。前記ディスプレー抗体は、細胞上、バクテリオファージ粒子上、ポリソーム、または任意の適切な抗体ディスプレー系(抗体はそのコード核酸と結合している)でディスプレーすることができる。変型例では、前記CDRは、先ず初めに抗体産生細胞由来のmRNA(またはcDNA)から得られる。前記抗体産生細胞は、例えば形質細胞;免疫された野生型マウス、ヒトまたはヒト抗体生成できる遺伝子導入マウス(WO92/03918; WO93/12227; WO94/25585)の脾細胞で、前記に由来するハイブリドーマを含む。第一の選別ラウンドで前記方法のいずれかによってディスプレー抗体の抗原(例えばリガンド)との結合について(典型的にはアフィニティー選別によって)選別されたポリヌクレオチド配列をプールし、前記プールをin vitroおよび/またはin vivo組換えによって、特にCDRのシャッフリングによって(典型的には重鎖CDRを他の重鎖CDRと、さらに軽鎖CDRを他の軽鎖CDRとシャッフリングする)シャッフリングを実施して、組換えられた選別ポリヌクレオチド配列集団を含むシャッフリング実施プールを生成する。前記組換えを実施した選別ポリヌクレオチド配列をディスプレー抗体としての選別形式で発現させ、さらに少なくとも1回の後続選別ラウンドに付す。後続の選別ラウンドで選別されたポリヌクレオチド配列を直接用いて配列決定し、および/または1回または2回以上の追加のシャッフリングとそれに続く選別に付し、所望の結合親和性を有する抗体を得る。選別配列はまた、中立抗体のフレームワーク配列(すなわち抗原結合に対する機能的影響がほとんどない配列)をコードするポリヌクレオチド配列と戻し交配を実施してもよい。例えば、ヒトの可変領域フレームワークと戻し交配を実施することによってヒト様配列抗体を生成することができる。一般的には、戻し交配の最中に後続の選別を実施して、予め定めた抗原との結合特性を保持する。
【0158】
また別の選択肢として、または記載の変型例と組み合わせて、標的エピトープの価数を変更して、選別scfvライブラリーメンバーの平均結合親和性をコントロールすることができる。標的エピトープは、例えば競合エピトープを混合することによって、希釈することによって、または当業者の公知の他の方法によって、種々の密度で表面または土台に結合させることができる。高密度(高価数)の予め定めたエピトープを用いて、比較的親和性が低いscfvライブラリーメンバーを濃縮することができ、一方、低密度(低価数)は好ましくはより高い親和性のscfvライブラリーメンバーを濃縮することができる。
【0159】
多様な可変セグメントを生成するために、ペプチド配列のランダムセット、擬似ランダムセット、または限定配列カーネルセットをコードする合成オリゴヌクレオチド集合物をライゲーションにより予め定めた部位(例えばCDR)に挿入することができる。同様に、単鎖抗体カセットの1つまたは2つ以上のCDRの配列多様性は、位置特異的突然変異誘発、CDR置換などを用いてCDRに変異を誘導することによって拡大することができる。生成されたDNA分子は、シャッフリングの前にクローニングおよび増幅のためにホストで増殖させるか、または直接用いて(ホスト細胞で増殖に際して発生する多様性の消失を避けることができる)選別ライブラリーメンバーを引き続いてシャッフリングしてもよい。
【0160】
ディスプレーされたペプチド/ポリヌクレオチド複合体(ライブラリーメンバー)(前記は問題の可変セグメントペプチド配列または問題の単鎖抗体をコードする)をアフィニティー濃縮技術によってライブラリーから選別する。前記は、問題のペプチド配列に特異的な固定巨大分子またはエピトープ、例えばレセプター、他の巨大分子、または他のエピトープ種を用いて達成される。前記の親和性選別方法を繰り返すことによって、所望の配列をコードするライブラリーメンバーが濃縮される。続いて前記濃縮ライブラリーメンバーを単離して、採集およびシャッフリング、配列決定を実施し、および/またはさらに増殖させてアフィニティー濃縮を実施する。
【0161】
所望の特異性をもたないライブラリーメンバーは洗浄して除去する。要求される洗浄の程度およびストリンジェンシーは、問題のペプチド配列または単鎖抗体および固定された予め定めた巨大分子またはエピトープの各々について決定されるであろう。結合インキュベーションおよびその後の洗浄条件を調節することによって、回収される発生期のペプチド/DNA複合体の結合特性に対して一定の制御が得られるであろう。温度、pH、イオン強度、二価陽イオン濃度および洗浄容積および時間が、固定巨大分子に対する個々の親和性範囲内で発生期ペプチド/DNA複合体について選択されるであろう。緩徐な分離速度(通常高親和性の前兆である)を基準にする選別がしばしばもっとも実際的な手段である。前記は、予め定めた巨大分子の飽和遊離量の存在下で持続的にインキュベーションすることによって、または洗浄容積、回数および時間を増すことによって達成できる。各事例において、分離した発生期ペプチド/DNAまたはペプチド/RNA複合体の再結合は防止され、時間が増すにつれ、ますます高い親和性を有する発生期ペプチド/DNAまたはペプチド/RNA複合体が回収される。
【0162】
結合および洗浄方法のさらに別の改変を適用し、特別な性状を有するペプチドを見つけることができる。いくつかのペプチドの親和性はイオン強度または陽イオン濃度に左右される。前記は、ペプチドからタンパク質を除去するために穏やかな条件が要求される場合に、種々のタンパク質のアフィニティー精製で使用されるペプチドにとって有用な特性である。
【0163】
異なる結合特異性を有する多数のscfvについて同時にscfvライブラリーをスクリーニングすることができるように、ある変型例は多数の結合標的(多数のエピトープ種、多数のレセプター種)の使用を含む。scfvライブラリーのサイズが潜在的なscfv配列の多様性をしばしば制限する場合、典型的には、可能な限り大きいサイズのscfvライブラリーを用いることが所望される。多数の非常に大きいポリソームscfvディスプレーライブラリーを生成する場合の時間的および経済的対価は法外なものになろう。この現実的な問題を回避するために、多数の予め定めたエピトープ種(レセプター種)を単一ライブラリーで同時にスクリーニングするか、または多数のエピトープ種に対する連続的スクリーニングを用いることができる。ある変型例では、多数の標的エピトープ種(各々はそれぞれ別個のビーズ(またはビーズのサブセット)上でコードされている)を混合し、適切な結合条件下でポリソームディスプレーscfvライブラリーとともにインキュベートすることができる。続いてビーズの集合物(多数のエピトープ種を含む)を用いてアフィニティー選別によってscfvライブラリーメンバーを単離することができる。一般には、後続のアフィニティースクリーニングラウンドは、同じビーズ(そのサブセット)混合物または1つもしくは2つの個々のエピトープ種を含有するビーズが含むことができる。前記アプローチによって、十分なスクリーニングが可能になり、前記アプローチは、実験室での自動化、バッチ処理、および高処理スクリーニング方法に適合する。
【0164】
本発明では多様な技術を用いて、ペプチドライブラリーまたは単鎖ライブラリーを多様化することができ、また、予め定めた巨大分子またはエピトープに対して十分な結合活性を有することが初期の選別ラウンドで見出された可変セグメントペプチド付近をシャッフリングの前またはシャッフリングと同時に多様化させることができる。あるアプローチでは、明白な選別ペプチド/ポリヌクレオチド複合体(アフィニティー濃縮の初期ラウンドで特定されたもの)を配列決定して、活性を有するペプチドを特定する。続いて、各工程で取り込まれる低レベルの全塩基を用いて、前記活性を有するペプチドの配列を基準にしてオリゴヌクレオチドを合成し、最初のオリゴヌクレオチド配列とわずかに異なる配列を生成する。続いて、(微弱)縮退オリゴヌクレオチドの前記混合物を可変セグメント配列の適切な位置でクローニングする。前記方法によって、出発のペプチド配列の系統的で制御された変型種が生成され、続いてこれをシャッフリングする。しかしながら、個々の陽性の発生期ペプチド/ポリヌクレオチド複合体は変異誘発前に配列決定することが要求され、したがって、少数の回収複合体の多様性の拡張、およびより高い結合親和性および/またはより高い結合特異性を有する変種の選別に有用である。ある変型例で、陽性の選別ペプチド/ポリヌクレオチド複合体(特に可変領域配列の複合体)の突然変異誘発PCR増幅では、その増幅生成物がin vitroおよび/またはin vivoでシャッフリングされ、さらに1回または2回以上のスクリーニングラウンドが配列決定の前に実施される。同じ一般的なアプローチを単鎖抗体と一緒に用いて多様性を拡張し、さらに、シャッフリングの前またはシャッフリングと同時に典型的にはCDRまたは隣接フレームワーク領域を多様化させることによって結合親和性/特異性を強化する。所望の場合は、選別ライブラリーメンバーとのin vitro組換え能力を有する変異原性オリゴヌクレオチドを用いてスパイク(spike)することができるシャッフリング反応を含むことができる。したがって、合成オリゴヌクレオチドとPCR生成ポリヌクレオチド(エラー多発方法または高忠実性方法によって合成)の混合物をin vitroシャッフリング混合物に添加し、生成シャッフリングライブラリーメンバー(シャッフラント)に取り込ませることができる。
【0165】
本発明のシャッフリングは、CDR変種単鎖抗体の巨大ライブラリーの生成を可能にする。そのような抗体を生成する方法の1つは、合成CDRの単鎖抗体へへの挿入、および/またはシャッフリングの前またはシャッフリングと同時にCDRをランダム化するものである。合成CDRカセットの配列は、ヒトCDRの公知配列データを参照して選択し、さらに以下のガイドラインにしたがって実施者が熟慮して選択する:合成CDRは少なくとも40パーセントの配置で公知のCDR配列と配列同一性を有し、好ましくは少なくとも50から70パーセントの配置で公知のCDR配列と配列同一性を有するであろう。例えば、合成CDR配列の集合物は、Kabatら(1991)が挙げた天然に存在するヒトCDR配列を基順にしてオリゴヌクレオチド配列集合物を合成し;少なくとも1つの公知の天然に存在するヒトCDR配列と少なくとも40%の配列同一性を有するCDRペプチド配列をコードするように合成CDR配列プールを作製する。また別に、天然に存在するCDR配列の集合物を比較してコンセンサス配列を生成し、それによって残基位置で頻繁に(すなわち公知のCDR配列の少なくとも5%で)用いられるアミノ酸を合成CDRの対応する位置に取り込ませる。典型的には、いくつか(例えば3から約50)の公知のCDR配列を比較し、公知のCDR間で観察される天然の配列変動を一覧表にし、観察された天然の配列変動の全てまたは大半の変更を包含するCDRペプチド配列をコードするオリゴヌクレオチド集合物を合成する。例えば(ただしこのようなものに限定されないが)、ヒトVHCDR配列集合物が、Tyr、Val、Phe、またはAspのいずれかのカルボキシ末端アミノ酸を有する場合、合成CDRオリゴヌクレオチド配列プールは、前記カルボキシ末端CDR残基が前記アミノ酸のいずれかであることができるようにデザインされる。いくつかの実施態様では、CDR配列集合物の残基の位置で天然に生じる残基以外の残基が取り込まれる。すなわち、保存的アミノ酸残基がしばしば取り込まれ、さらに、公知の天然に存在するCDR配列と比較して、5残基までの位置を非保存的アミノ酸置換の取込みのために変化させることができる。そのようなCDR配列を一次ライブラリーメンバー(第一のスクリーニングの前)で用いてもよいし、および/またはそれらを用いて選別ライブラリーメンバー配列のin vitroシャッフリング反応をスパイクしてもよい。限定配列および/または縮退配列のそのようなプールの構築を当業者は容易に達成できよう。
【0166】
合成CDR配列集合物は、天然に存在するCDR配列であることが判明していない少なくとも1つのメンバーを含む。重鎖CDR中のN領域付加物に対応するランダムまたは擬似ランダム配列の一部を包含するかまたは包含させないかは実施者の選択範囲内である(N領域配列は1ヌクレオチドから約4ヌクレオチドの範囲で、V−DおよびD−J結合部に存在する)。合成重鎖CDR配列集合物は、少なくとも約100の固有CDR配列、典型的には少なくとも約1000の固有CDR配列、好ましくは少なくとも約10000の固有CDR配列、しばしば50000以上の固有CDR配列を含むが、通常は約1×10未満の固有CDR配列が前記集合物に含まれる。ただし、特に天然に存在するヒトCDR中の位置で保存的アミノ酸置換が存在しないかまたは稀な(すなわち0.1%未満)位置で保存的アミノ酸置換が許容される場合は、時には1×10から1×10の固有CDR配列が存在する。一般的には、ライブラリーに含まれる固有CDR配列数は、ライブラリー中の一次形質転換体の予想される数の10倍(a factor of 10)を越えるべきではない。そのような単鎖抗体は、一般的には、少なくとも約1×10M−1の親和性で、好ましくは少なくとも約5×10−1の親和性で、より好ましくは少なくとも約1×10−1から1×10−1またはそれ以上の親和性で、時には1×1010−1またはそれ以上の親和性で結合する。しばしば、予め定めた抗原はヒトのタンパク質で、例えばヒトの細胞表面抗原(例えばCD4、CD8、IL−2レセプター、EGFレセプター、PDGFレセプター)、他のヒト生物学的巨大分子(例えばスロンボモデュリン、プロテインC、炭水化物抗原、シアリルルイス抗原、Lセレクチン)、または非ヒト疾患付随巨大分子(例えば細菌のLPS、ビリオンキャプシドタンパク質またはエンベロープ糖タンパク質)などである。
【0167】
所望の特異性を有する高親和性単鎖抗体を巧妙に操作して作製し、多様な系で発現させることができる。さらにまた、完全な抗体または多様なそのフラグメントを構築するための土台として単鎖抗体を用いることができる(Kettleborough et al., 1994)。可変領域のコード配列を単離し(例えばPCR増幅またはサブクローニングによって)、さらにスプライスして、所望のヒト定常領域をコードする配列を得て、ヒトの治療薬としてより適切な(免疫原性が好ましくは最小限になっている)ヒト系抗体をコードさせることができる。生成された完全なヒトコード配列を有するポリヌクレオチドはホスト細胞で(例えば哺乳類細胞中で発現ベクターから)発現させ、さらに医薬製剤用に精製することができる。
【0168】
典型的には、DNA発現構築物は、コード配列に機能的に連結された発現コントロールDNA配列を含み、前記には天然に付随するかまたは異種のプロモーター領域が含まれる。好ましくは、発現コントロール配列は、真核細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができるベクターに存在する真核細胞プロモーター系であろう。いったんベクターが適切なホストに取り込まれたら前記ヌクレオチド配列の高レベル発現、並びに前記“巧妙に操作された”変異抗体の採集および精製に適した条件下で前記ホスト細胞を維持する。
【0169】
上記に記載したように、前記DNA配列は、前記配列を発現コントロール配列に機能的に連結(すなわち構造遺伝子の転写および翻訳を担保するように配置)した後でホストで発現されるであろう。これらの発現ベクターは、典型的にはエピソームとして、またはホスト染色体DNAの必須の部分としてホスト細胞中で複製させることができる。一般的には、発現ベクターは、選別マーカー(例えばテトラサイクリンまたはネオマイシン)を含み、所望のDNA配列で形質転換された細胞の検出を可能にするであろう(例えば米国特許第4,704,362号を参照されたい、前記文献は参照により本明細書に含まれる)。
【0170】
真核微生物(例えば酵母)の他に、哺乳類組織細胞培養もまた本発明のポリペプチドの製造に用いることができる(“Winnacker(1987)”を参照されたい:前記文献は参照により本明細書に含まれる)。完全な免疫グロブリンを分泌することができる多数の適切なホスト細胞株が当技術分野で開発されているので、真核細胞が実際には好ましい。前記には、CHO細胞株、種々のCOS細胞株、HeLa細胞株およびミエローマ細胞株が含まれるが、好ましくは形質転換B細胞またはハイブリドーマである。これら細胞の発現ベクターは発現制御配列、例えば複製起点、プロモーター、エンハンサー(Queen et al., 1986)および必要なプロセッシング情報部位(例えばリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位)および転写ターミネーター配列を含むことができる。好ましい発現制御配列は、免疫グロブリン遺伝子、サイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピロ−マウイルスなどに由来するプロモーターである。
【0171】
エンハンサー配列をベクターに挿入することによって、真核細胞DNA転写を促進することができる。エンハンサーは、プロモーターによる転写を促進する10から300bpのシス作動性配列である。エンハンサーは、転写ユニットに対して5’または3’側にあるとき転写を効率的に促進することができる。エンハンサーはまた、イントロン内またはコード配列内にそれ自体が配置されている場合にも有効である。典型的には、ウイルスのエンハンサーが用いられ、前記にはSV40エンハンサー、サイトメガロウイルスエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。哺乳類系に由来するエンハンサー配列もまた一般的に用いられ、例えばマウス免疫グロブリン重鎖エンハンサーである。
【0172】
哺乳類の発現ベクター系は典型的にはまた選別可能なマーカー遺伝子を含むであろう。適切なマーカーの例には、ジヒドロホレートレダクターゼ遺伝子(DHFR)、チミジンキナーゼ遺伝子(TK)、または薬剤耐性を付与する原核細胞遺伝子が含まれる。最初の2つのマーカー遺伝子では、増殖培養基にチミジンが添加されない場合に増殖する能力を欠く変異細胞株の使用が所望される。形質転換細胞は、非補充培養基で増殖する能力によって特定することができる。マーカーとして有用な原核細胞の薬剤耐性遺伝子の例には、G418、ミコフェノール酸およびヒグロマイシンに対する耐性を付与する遺伝子が含まれる。
問題のDNAセグメントを含むベクターは、細胞ホストのタイプに応じて周知の方法によりホスト細胞に移すことができる。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは原核細胞に一般的に用いられ、一方、リン酸カルシウムトランスフェクション処理、リポフェクションまたは電気穿孔は他の細胞ホストに用いることができる。哺乳類細胞を形質転換するために用いられる他の方法には、ポリブレンの使用、プロトプラスト融合、リポソーム、電気穿孔およびマイクロインジェクションが含まれる(概括的には以下の文献を参照されたい:Sambrook et al., 1982および1989)。
【0173】
いったん発現されたら、本発明の抗体、個々の変異免疫グロブリン鎖、変異抗体フラグメントおよび他の免疫グロブリンポリペプチドを当技術分野で標準的な方法にしたがって精製することができる。前記方法には、硫安沈澱、分画カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などが含まれる(例えば概括的には“Scores,1982”を参照されたい)。いったん(所望にしたがい部分的または均質に)精製したら、続いて前記ポリペプチドを治療に用いるか、またはアッセイ方法の開発および実施に、免疫蛍光染色などに用いることができる(概括的には以下の文献を参照されたい:Lefkovits & Pernis, 1979および1981; Lefkovits, 1997)。
本発明の方法によって生成された抗体は診断および治療に用いることができる。限定としてではなく例示として示せば、前記抗体は、癌、自己免疫疾患、またはウイルス感染の治療に用いることができる。癌の治療の場合、前記抗体を典型的には癌細胞上で優先的に発現される抗原と結合させる。前記抗原は、例えばerbB−2、CEA、CD33で、さらに他の多くの抗原および結合メンバーは当業者には周知である。
【0174】
末端選別
本発明は、出発のポリヌクレオチドセットからあるポリヌクレオチドセットを選別する方法を提供する。前記方法は、対象のポリヌクレオチドのいずれかの場所に存在する1つまたは2つ以上の選別可能特性(または選別マーカー)を識別し、それによって各選別可能ポリヌクレオチドの選別(正の選別)を可能にするかまたは各選別可能ポリヌクレオチドを排除する選別(負の選別)を可能にする能力を拠りどころとする。好ましい特徴では、末端選別と称される方法が提供される。前記方法は、選別可能なポリヌクレオチドの末端領域に部分的にまたは全体が位置する選別マーカーを使用することを基本とし、前記選別マーカーは“末端選別マーカー”と称される。
【0175】
末端選別は、天然に存在する配列の検出または実験的に導入された配列(本明細書に記載した突然変異誘発方法および本明細書に記載されていない突然変異誘発方法の一切によって導入されたものを含む)の検出またはその両方の検出(前記は同じポリヌクレオチド内にあってもよい)を基本とすることができる。末端選別マーカーは構造的選別マーカーでも機能的選別マーカーでもまたは構造的および機能的選別マーカーの両方であってもよい。末端選別マーカーは、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列または任意の化学構造または任意の生物学的もしくは生化学的タグ(放射能活性、酵素活性、蛍光、磁性特性(例えば磁性ビーズを使用する)、免疫反応性およびハイブリダイゼーションの検出による方法を用いて選別することができるマーカーを含む)を含むことができる。
【0176】
末端選別は、突然変異誘発の実施に有用な任意の方法と組み合わせて用いることができる。そのような突然変異誘発方法には本明細書に記載された方法(上記および下記に)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。非限定的に例示すれば、前記方法には、以下の用語のいずれかによって本明細書および他の文献で言及された任意の方法が含まれる:“飽和突然変異誘発”、“シャッフリング”、“組換え”、“再アッセンブリー”、“エラー多発PCR”、“アッセンブリーPCR”、“セクシュアルPCR”、“交差PCR”、“オリゴヌクレオチドプライマー誘導突然変異誘発”、“反復(および/または指数関数的)アンサンブル突然変異誘発”(Arkin & Youvan, 1992)、“カセット突然変異誘発”、“in vitro突然変異誘発”、および“in vivo突然変異誘発”。さらにまた、末端選別は、任意の突然変異誘発および/または増幅方法によって生成された分子で実施することができ(例えば以下の文献を参照されたい:Arnold, 1993; Caldwell & Joyce, 1992; Stemmer, 1994)、前記の方法の後で所望の子孫分子について選別(前記子孫分子の存在についてのスクリーニングを含む)を実施することがのぞましい。
【0177】
さらに、末端選別は、突然変異誘発の方法が何であれポリヌクレオチドに適用することができる。好ましい実施態様では、本発明で提供される末端選別は、クローニング工程、例えば別のポリヌクレオチドとのライゲーション工程(ベクターとのライゲーションを含む)を促進するために用いることができる。本発明はしたがって、一般的にライブラリーの構築、所望のポリヌクレオチドの選別および/または濃縮並びにクローニングを促進する有用な手段を提供する。
特に好ましい実施態様では、末端選別の基本は、あるポリヌクレオチドを求める(正の)選別であろう。また別に末端選別の基本はあるポリヌクレオチドを排除する(負の)選別であろう。さらに別の末端選別の基本はあるポリヌクレオチドに対する(正の)選別と(負の)選別の両方であろう。末端選別は、他の選別および/またはスクリーニングのための方法と併用して反復態様で実施することができる。類似または非類似の選別および/またはスクリーニング方法および有用な突然変異誘発方法と任意に組合せることができるが、それらのいずれも反復態様で、さらに任意の順序、組合せおよび入れ換えにより実施することができる。
【0178】
本発明のある実施態様にしたがえば、末端選別はまた以下のポリヌクレオチドを選別するために用いることができる:少なくとも部分的に、環状(例えばプラスミドまたは他の任意の環状ベクターまたは部分的に環状である他の任意のポリヌクレオチド)、および/または分枝、および/またはいずれかの化学基または成分で改変または置換されてあるもの。本実施態様にしたがえば、ポリヌクレオチドは中間または中央領域を含む環状分子で、前記領域は5’フランキング領域(末端選別の目的のために、前記は非環状ポリヌクレオチドの5’末端領域と同様な態様で機能する)と5’側で接し、さらに3’末端領域(末端選別の目的のために、前記は非環状ポリヌクレオチドの3’末端領域と同様な態様で機能する)と3’側で接する。この非限定的具体例で用いられているように、任意の2つの領域間にまたは3つの領域の全ての間にもオーバーラップ配列が存在することができる。
【0179】
本発明の非限定的なある特徴では、直鎖状ポリヌクレオチドの末端選別は、ポリヌクレオチドの終部または末端(5’端でも3’端でもよい)に、またはその近くに存在する少なくとも1つの末端選別マーカーの存在をもとにして一般的アプローチを用いて実施される。ある非限定的具体例では、末端選別は、末端または末端近くに存在する特定の配列(例えばポリヌクレオチド配列を認識する酵素によって認識される配列)の選別をもとに行われる。ポリヌクレオチドの化学的改変を認識および触媒する酵素は、本明細書ではポリヌクレオチド作動性酵素と称される。好ましい実施態様では、有用なポリヌクレオチド作動性酵素を非限定的に例示すれば、ポリヌクレオチド切断活性を有する酵素、ポリヌクレオチドメチル化活性を有する酵素、ポリヌクレオチドライゲーション活性を有する酵素、区別可能な複数の酵素活性を有する酵素(非限定的な例としてポリヌクレオチド切断活性とポリヌクレオチドライゲーション活性の両方を有するものが含まれる)である。
【0180】
関連するポリヌクレオチド作動性酵素にはしたがってまた、市場で入手可能なまたは市場で入手できない任意のポリヌクレオチドエンドヌクレアーゼおよびそれらの対のメチラーゼが含まれ、それらは、ウェブサイト(http://www.neb.com/rebase)のカタログに記載されたものおよび右記の引用文献(Roberts & Macelis,1996)に記載されたものを含む。好ましいポリヌクレオチドエンドヌクレアーゼにはタイプII制限酵素(タイプIISを含む)が含まれるがただしこれに限定されない。さらに、二本鎖ポリヌクレオチドの両鎖を切断する酵素(例えばNotI、これは5’...GC/GGCCGC...3’で両鎖を切断する)および二本鎖ポリヌクレオチドの一方の鎖を切断する酵素、すなわちポリヌクレオチドニッキング活性を有する酵素(例えばN.BstNBI、これは5’...GAGTCNNNN/N...3’で一方の鎖のみを切断する)を含む。関連するポリヌクレオチド作動性酵素にはまたタイプIII制限酵素が含まれる。関連するポリヌクレオチド作動性酵素にはまた、現在はまだ利用することはできないが、将来において開発される、ポリヌクレオチド中にライゲーションに適合する末端(好ましくは粘着末端)を生成するために有用な酵素が含まれることは理解されよう。
【0181】
ある好ましい例では、有用な選別マーカーはポリヌクレオチド内の制限部位である。前記部位は、対応するタイプII(またはタイプIIS)制限酵素が前記ポリヌクレオチドの末端を切断し、それによって、ポリヌクレオチド内の必要とされる内部配列を破壊するような態様でポリヌクレオチド内部を切断することなくのぞましいライゲーション反応に有用な、ライゲーション可能な末端(平滑端また別には粘着末端(少なくとも1塩基の張出しを有する)を含む)を提供することを可能にする。したがって、該当する制限酵素の使用が対象のポリヌクレオチドの内部を切断することを意図しない場合は、関連する制限部位の中で、個別の対象ポリヌクレオチドの内部に存在しない部位(すなわち末端から離れて存在しない部位)が好ましい。これによって、対象のポリヌクレオチドで望ましくない内部切断を生じることなく、制限消化反応を完了までまたは完了近くまで実施することが可能になる。
【0182】
好ましい特徴では、したがって、末端選別に付すべきポリヌクレオチドの内部に含まれない、また別には内部に含まれることが予想されない、また別には内部に含まれることがおそらくありえない(例えば対象のポリヌクレオチドに関する配列情報が不完全である場合)制限部位を使用することが好ましい。この特徴にしたがえば、比較的頻繁には存在しない制限部位が、より頻繁に存在する部位よりも通常は好ましいことは理解されよう。他方、ポリペプチドの内部切断が望ましい場合もあることもまた理解されよう(例えば組換えまたは末端選別と併用される他の突然変異誘発方法を達成するために)。
【0183】
本発明にしたがって、望ましくない内部制限部位を除く方法(例えば突然変異誘発方法)を用いることができることはまた理解されよう。部分的消化反応(すなわち部分的完了まで進行させた消化反応)を用いて、末端領域の認識部位の消化を達成し、一方、ポリヌクレオチドの内部に存在し、同じ酵素によって認識される感受性を有する制限部位を傷つけないでおくことができることもまた理解されよう。ある特徴では、部分的消化が有用である。なぜならば、ある種の酵素は、認識配列が存在する場所および環境にしたがって同じ認識配列を優先的に切断することが知られているからである。例えば、ラムダDNAは5つのEcoRI部位を有するが、右端に最も近い部位の切断は、前記分子の中央の部位よりも10倍の速度で生じることが報告された。さらにまた、例えば、SacIIはラムダDNAに4つの部位を有するが、ラムダの中央に集合している3つは末端に近い(ヌクレオチド40386)残りの部位よりも50倍速く切断される。手短に言えば、部位の優位性は多くの研究者が種々の酵素について報告している(いくつかを挙げれば以下のとおりである:Thomas & Davis, 1975; Forsblum et al., 1976; Nath & Azzolina, 1981; Brown & Smith, 1977; Gingeras & Brooks, 1983; Kreuger et al, 1988; Conrad & Topal, 1989; Oller et al., 1991; Topal, 1991; Pein, 1991)。任意の有用なポリヌクレオチド作動性酵素による部位優位性が経験的に観察されるものはいずれも、前記が機構的に理解されているものと同様に、現在利用可能であるか将来入手されるかにかかわらず、本発明の末端選別に有用であることは理解されよう。
【0184】
そうしなければ特定の制限部位(例えば内部部位)の存在に反応して対象のポリペプチドを切断してしまう酵素による所望しない消化から選択的に前記のような部位を保護するために、保護方法を用いることができることは理解されよう。さらに前記のような保護方法には、望ましくない酵素活性を抑制する、例えばメチル化および塩基置換(例えばTに代わってU)のような改変が含まれることは理解されよう。利用可能な制限酵素は数に制限があり、十分に大きい(例えばメガ塩基の長さの)制限フラグメントを生成するためにその数は十分に希少であり(例えば非常に長い認識配列を有する)、保護のためのアプローチは酵素切断部位の希少性を高めるために有用であることは理解されよう。NotIの見かけの希少性をほぼ2倍に高めるためにM.FnuII(mCGCG)を使用することは、多くの事例の中の一例である(Quiang et al., 1990; Nelson et al., 1984; Maxam & Gilbert, 1980; Raleigh & Wilson, 1986)。
【0185】
本発明の好ましい特徴にしたがえば、一般的に希少な制限部位を使用することが好ましい。一般的に、制限部位の出現頻度は、その中に含まれる塩基要件のあいまいさと同様にその中に含まれるヌクレオチドの数によって決定されることは理解されよう。したがって、非限定的な例として、一般的に例えば8個の特異的ヌクレオチド(例えばNotI部位またはGC/GGCCGCの相対的出現率は4に1回、すなわち65536に1回のランダムな8量体と概算される)は、例えば6個のヌクレオチド(例えばSmaI部位またはCCC/GGGの相対的出現率は4に1回、すなわち4096に1回のランダムな6量体と概算される)で構成されるものよりも相対的に頻度は低く、続いて前記は、例えば4ヌクレオチド(例えばMspI部位またはC/CGGの相対的出現率は4に1回、すなわち256に1回のランダムな4量体と概算される)で構成されるものよりも相対的に頻度は低いことは理解されよう。
【0186】
さらにまた、別の非限定的な例として、一般に、あいまいではない(もっぱら特異的である)塩基要件をもつ制限部位(例えばFinI部位またはGTCCCの相対的出現率は4に1回、すなわち65536に1回のランダムな8量体と概算される)は、あいまいなW(W=AまたはT)の塩基要件をもつもの(例えばAvaII部位またはG/GWCCの相対的出現率は4×4×2×4×4に1回、すなわち512に1回のランダムな5量体と概算される)よりも相対的に頻度は低く、続いて前記は、あいまいなN(N=AまたはCまたはGまたはT)の塩基要件をもつもの(例えばAsuI部位またはG/GNCCの相対的出現率は4×4×1×4×4に1回、すなわち256に1回のランダムな5量体と概算される)よりも相対的に頻度は低いことは理解されよう。これらの相対的出現率は、特定のヌクレオチド塩基(特定のヌクレオチド配列ではなく)は個別のポリヌクレオチドで、個別の生物種で、さらに個別の生物種群で異なる頻度で生じると考えられるので、実際のポリヌクレオチドについておおよその概数と考えられる。例えば、異なる生物種のG+C含有%はしばしば非常に大きな相違があり広い範囲に及ぶことは理解されよう。
【0187】
相対的に頻度の低い制限部位の選別マーカーとしての使用には、非限定的な例として例えば以下が含まれる:好ましくは少なくとも4ヌクレオチド配列を含む部位、より好ましくは少なくとも5ヌクレオチド配列を含む部位、より好ましくは少なくとも6ヌクレオチドを含む部位(例えばBamHI部位またはG/GATCC、BglII部位またはA/GATCT、PstI部位またはCTGCA/G、XbaI部位またはT/CTAGA)、より好ましくは少なくとも7ヌクレオチド配列を含む部位、より好ましくは少なくとも8ヌクレオチド配列を含む部位(例えばAscI部位またはGG/CGCGCC、NotI部位またはGC/GGCCGC、PacI部位またはTTAAT/TAA、PmeI部位またはGTTT/AAAC、SrfI部位またはGCCC/GGGC、Sse838I部位またはCCTGCA/GG、およびSwaI部位またはATTT/AAAT)、より好ましくは少なくとも9ヌクレオチド配列を含む部位、さらにより好ましくは少なくとも10ヌクレオチド配列を含む部位(例えばBspGI部位またはCG/CGCTGGAC)が含まれる。さらに、いくつかの制限部位(例えばIIS酵素類の場合)は、比較的高い特異性を有する部分(すなわち制限部位の出現頻度の主要な決定要素を含む部分)および比較的低い特異性を有する部分を含み、さらに、切断部位は比較的低い特異性を有する部分内に含まれる場合も、含まれない場合もあることは理解されよう。例えば、Eco57I部位またはCTGAAG(16/14)には、比較的高い特異性を有する部分(すなわちCTGAAG部分)および、切断部位を含む比較的低い特異性を有する部分が存在する。
【0188】
本発明の別の好ましい実施態様では、有用な末端選別マーカーは、特定のポリヌクレオチド配列を認識するポリヌクレオチド作動性酵素によって認識される末端配列である。本発明の好ましい特徴では、有用なポリヌクレオチド作動性酵素にはまた古典的タイプII制限酵素のほかに他の酵素が含まれる。本発明のこの好ましい特徴にしたがえば、有用なポリヌクレオチド作動性酵素にはまたジラーゼ、ヘリカーゼ、リコンビナーゼ、リラキサーゼおよびそれらに関連する任意の酵素が含まれる。
【0189】
好ましい実施例は、トポイソメラーゼ(前記は幾人かの研究者によってジラーゼのサブセットとして分類された)、およびポリヌクレオチド切断活性(好ましくはポリヌクレオチドニッキング活性を含む)および/またはポリヌクレオチドライゲーション活性を有する他の任意の酵素である。好ましいトポイソメラーゼ酵素はトポイソメラーゼI酵素であり、前記は多くの市場供給源から(Epicentre Technologies, Madison, WI; Invitrogen, Carlsbad, CA; Life Technologies, Gathersburg, MD)、およびおそらくさらに多くの私的供給源から入手できる。本明細書で提供される末端選別に有用な類似の酵素が将来開発されるであろうということは理解されよう。特に好ましいトポイソメラーゼI酵素は、ワクシニアウイルス由来のトポイソメラーゼI酵素で、前記は固有の認識配列(例えば5’...AAGGG...3’)を有し、さらにポリヌクレオチドニッキング活性およびポリヌクレオチドライゲーション活性の両方を有する。前記酵素の固有のニッキング活性(一方の鎖を切断)のために、内部の認識部位は、切れ目が入った末端部位の変性をひき起こす温度ではニッキング活性から生じるポリヌクレオチドの破壊を生じにくい(むしろアニールされたままである)。したがって末端選別で使用する場合には、トポイソメラーゼによる末端選別のためのニッキング部位は、末端から100ヌクレオチド越えない、より好ましくは末端から50ヌクレオチドを越えない、さらに好ましくは末端から25ヌクレオチドを越えない、さらに好ましくは末端から20ヌクレオチドを越えない、さらに好ましくは末端から15ヌクレオチドを越えない、さらに好ましくは末端から10ヌクレオチドを越えない、なお好ましくは末端から8ヌクレオチドを越えない、さらに好ましくは末端から6ヌクレオチドを越えない、さらに好ましくは末端から4ヌクレオチドを越えないことが好ましい。
【0190】
特に好ましい非限定的な具体例では、トポイソメラーゼによる末端選別のためのニッキング部位が末端から4ヌクレオチドである場合、ニッキングは(末端領域に)4塩基の一本鎖オリゴを生じ、これは末端選別可能なポリヌクレオチド中でその相補鎖から変性させることができ、これは、その後のライゲーション反応に有用な粘着末端(4塩基で構成される)をポリヌクレオチド中に提供することは理解されよう。クローニングベクター(好ましくは発現ベクター)へのライゲーションを達成するために、適合する粘着末端をクローニングベクター中に任意の手段(制限酵素による手段を含む)によって作製することができる。したがって、末端選別可能なポリヌクレオチド末端内のこの末端ポリヌクレオチド(この個別の例では末端の4塩基で構成される)は、前記ポリヌクレオチドとのライゲーションを実施されるクローニングベクター内に形成される粘着末端との適合性を提供するように意図的に選択される。
【0191】
他方、末端選別可能ポリヌクレオチドの内部ニッキング(例えば末端から500塩基はなれている)は500塩基の一本鎖オリゴを生じるが、前記はその相補鎖から容易には変性して分離することはなく、むしろ(例えばニックを生じた同じトポイソメラーゼによる)修復に役立つ。
本発明はしたがって対象のポリヌクレオチドに粘着末端を作製するための方法を提供し、前記は、例えばワクシニアトポイソメラーゼによる、および/またはタイプII(IIS)制限エンドヌクレアーゼによる、および/またはタイプIII制限エンドヌクレアーゼによる、および/またはニッキング酵素による(例えばN.BstNBI)ものであり、前記末端はライゲーションに適合し、さらに前記は少なくとも1塩基の張出しを含むことができる。好ましくはそのような粘着末端は少なくとも2塩基の張出しを含み、より好ましくはそのような粘着末端は少なくとも3塩基の張出しを含み、より好ましくはそのような粘着末端は少なくとも4塩基の張出しを含み、より好ましくはそのような粘着末端は少なくとも5塩基の張出しを含み、より好ましくはそのような粘着末端は少なくとも6塩基の張出しを含む。そのような粘着末端はまた少なくとも7塩基の張出しを含み、または少なくとも8塩基の張出しを含み、または少なくとも9塩基の張出しを含み、または少なくとも10塩基の張出しを含み、または少なくとも15塩基の張出しを含み、または少なくとも20塩基の張出しを含み、または少なくとも25塩基の張出しを含み、または少なくとも30塩基の張出しを含む。前記の張出しはA、C、GまたTを含む任意の塩基を含むことができる。
【0192】
トポイソメラーゼまたはニッキング酵素(例えばN.BSTNBIを用いて)導入された粘着末端の張出しはライゲーション環境下で固有であるようにデザインして、望ましくないフラグメントの再アッセンブリー(例えば自家二量体形成および他の望ましくないコンカテマー形成)を防止することができることは理解されよう。
本発明のある特徴にしたがえば、ポリメラーゼによる反応でオリゴを用いることによって末端選別可能なポリヌクレオチドの末端領域に、複数の配列(前記は必ずしもオーバーラップする必要はない)を導入することができる。非限定的な関連する例では、そのようなオリゴを用いて、トポイソメラーゼIによる末端選別に有用な好ましい5’末端領域を提供することができる。前記オリゴは1から10塩基の配列を含み、前記配列は、粘着末端に(好ましくはワクシニアトポイソメラーゼによって変換できる)、リボソーム結合部位に(すなわち“RBS”、前記は好ましくは発現クローニングに有用である)、および場合によってリンカー配列に(前記リンカー配列の後にAGT開始部位および0から100塩基の鋳型特異的配列(ポリメラーゼ使用反応で鋳型とのアニーリングを促進するために)が続く)に変換することができる。したがって、この実施例にしたがえば、有用なオリゴ(前進プライマーと称される)は以下の配列を有することができる:5’[末端配列=(N)1−10][トポイソメラーゼI部位およびRBS=AAGGGAGGAG][リンカー=(N)1−100][開始コドンおよび鋳型特異的配列=ATG(N)0−100]3’。
【0193】
同様に、非限定的な関連する例では、オリゴを用いて、トポイソメラーゼIによる末端選別に有用な好ましい3’末端領域が提供される。前記オリゴは1から10塩基の配列を含み、前記配列は、粘着末端に(好ましくはワクシニアトポイソメラーゼによって変換できる)、および場合によってリンカー配列に(前記リンカー配列の後に0から100塩基の鋳型特異的配列(ポリメラーゼ使用反応で鋳型とのアニーリングを促進するために)が続く)に変換することができる。したがって、この実施例にしたがえば、有用なオリゴ(逆方向プライマーと称される)は以下の配列を有することができる:5’[末端配列=(N)1−10][トポイソメラーゼI部位=AAGGG][リンカー=(N)1−100][鋳型特異的配列=(N)0−100]3’。
【0194】
末端選別を用いて、(例えば突然変異誘発によって生成された)子孫分子から(例えば突然変異誘発に付されるべき)親の鋳型分子を区別しさらに分離することができることは理解されよう。例えば、第一のプライマーセット(トポイソメラーゼI認識部位を欠く)を用いて、(例えばポリメラーゼによる増幅で)親分子の末端領域を改変することができる。続いて、異なる第二のプライマーセット(例えばトポイソメラーゼI認識部位を有する)を用いて、(例えば任意のポリヌクレオチドキメラ生成方法(例えば中断合成、鋳型切替えポリメラーゼ使用増幅または中断合成)を用いて、または飽和突然変異誘発を用いて、または本明細書に開示するトポイソメラーゼ認識部位を変異子孫分子に導入するための他の任意の方法を用いて)増幅鋳型分子から変異子孫分子を生成することができる。トポイソメラーゼIによる末端選別の使用によって、所望の子孫分子の識別が促進されるだけでなく、所望の子孫分子のトポイソメラーゼIによる選択的ライゲーションが促進される。
【0195】
第二のプライマーセットと前記のようにして増幅された親分子とのアニーリングは、第一のプライマーセットの配列(すなわち親分子セットを増幅させるために用いたプライマー)を混合することによって促進される(前記配列はトポイソメラーゼI認識部位と類似し、しかも機能的トポイソメラーゼI酵素の認識を防止するために十分相違を有する)。例えば、AAGGGで1塩基から5塩基全てののいずれかが多様化した配列を、(突然変異誘発に付す前に親鋳型の増幅に用いられるべき)第一のプライマーセットに含ませることができる。非限定的な具体例では、親分子は以下の非限定的で典型的な前進および逆方向プライマーセットを用いて増幅することができる:
前進プライマー: 5’CTAGAAGAGAGGAGAAAACCATG(N)10−1003’、および
逆方向プライマー:5’GATCAAAGGCGCGGGTGCAGG(N)10−1003’
【0196】
第一のプライマーセットの本具体例にしたがえば、(N)10−100は、好ましくは10から100ヌクレオチドの長さの鋳型特異的配列、より好ましくは10から50ヌクレオチドの長さの鋳型特異的配列、さらに好ましくは10から30ヌクレオチドの長さの鋳型特異的配列、さらに好ましくは15から25ヌクレオチドの長さの鋳型特異的配列である。
非限定的な具体例にしたがえば、(真のトポイソメラーゼI認識部位を欠く第一の開示プライマーセットを用いた)この増幅の後で、続いて増幅された親分子は、真のトポイソメラーゼI認識部位をもつ前進方向および逆方向プライマーの1つまたは2つ以上のセットを用いて突然変異誘発に付すことができる。具体的な非限定的特徴にしたがえば、親分子は変異子孫分子生成のための鋳型として用いられ、以下の典型的であるが非限定的な第二の前進および逆方向プライマーセットが用いられる:
前進プライマー: 5’CTAGAAGGGAGGAGAAAACCATG3’
逆方向プライマー:5’GATCAAAGGCGCGCCTGCAGG3’ (AscI認識配列を含む)
【0197】
具体的に記載されなかった種々のいずれのプライマーも、本発明と一致する末端選別のための第一、第二またはその後のプライマーセットとして用いることができることは理解されよう。タイプIIの制限酵素部位(例えば上記の例のAscI部位)を取り込むことができることに留意されたい。記載した他の配列のほかに、実験者は1つまたは2つ以上のN,N,G/Tトリプレットを有用なプライマーに取り込み、対象のポリヌクレオチドを飽和突然変異誘発に付すことができる。手短に言えば、第二および/またはその後のプライマーセットを使用することによって、トポイソメラーゼI部位の導入および子孫ポリヌクレオチドの変異誘発という二重のゴールを達成できる。
【0198】
したがって、提供されるある使用にしたがえば、有用な末端選別マーカーは、酵素がポリヌクレオチドを特定の位置で切断し(切れ目を入れることを含む)、生成された一本鎖オリゴの変性に際してライゲーション適合末端を生成することができる酵素認識部位である。続いて、生成されたポリヌクレオチド末端のライゲーションが、同じ酵素によって(例えばワクシニアウイルストポイソメラーゼIの場合)、また別には異なる酵素を使用して達成される。本発明のある特徴にしたがえば、任意の有用な末端選別マーカーは、それらが類似しているか(例えば2つのワクシニアウイルストポイソメラーゼI認識部位)または非類似であるか(例えばクラスII制限酵素認識部位とワクシニアウイルストポイソメラーゼI認識部位)に関係なくポリヌクレオチドの選別に併用して用いることができる。各選別可能ポリヌクレオチドは、したがって1つまたは2つ以上の末端選別マーカーをもつことができ、それらは類似または非類似末端選別マーカーであることができる。ある特徴では、多数の末端選別マーカーがポリヌクレオチドの一方の端に位置し、互いにオーバーラップする配列を有することができる。
【0199】
いずれの酵素も(現在存在しているものであろうとこれから開発されるものであろうと)本発明の末端選別で有用であることを強調することは重要であろう。例えば、本発明のある特徴では、ニッキング酵素(例えばN.BstNBI、これは一方の鎖のみを5’...GAGTCNNNN/N...3’で切断する)をポリヌクレオチドライゲーション活性の供給源と併用して用いて末端選別を達成することができる。本実施態様にしたがえば、(末端選別が突然変異誘発子孫分子の選別に用いられようと、末端選別がいずれかの突然変異誘発方法とはまた別に用いられようと関係なく)、N.BstNBIの認識部位を、トポイソメラーゼIの認識部位の代わりに末端選別可能ポリヌクレオチドに取り込むことができる。
【0200】
トポイソメラーゼによるニッキングおよびライゲーションを用いる本発明の末端選別アプローチは、従来の利用可能な選別方法に対していくつかの利点を有する。要するに、本アプローチは、管理クローニング(発現クローニングを含む)の実施を可能にする。特に本アプローチは以下を実施するために用いることができる:直接ライゲーション(すなわち古典的な制限−精製−ライゲーション反応に付す必要がない、前記古典的反応は最初の制限反応からT4DNAリガーゼの使用に依存するライゲーション反応まで多数の潜在的な問題の影響を受け易い);最初の鋳型分子から子孫分子の分離(最初の鋳型分子は、突然変異誘発後まで導入されないトポイソメラーゼI部位を欠く);サイズ分離工程の必要がない(例えばゲルクロマトグラフィー、または他の電気泳動的手段、またはサイズ排除メンブレンによる分離工程);内部配列の保存(トポイソメラーゼI部位が存在しているときでさえ);ライゲーション反応の不成功の懸念がない(例えばT4DNAリガーゼボ使用に依存するもの、特に望ましくない残留制限酵素活性の存在下のもの);および発現クローニングの容易さ(フレームシフトの懸念が不要であることを含む)。トポイソメラーゼによるニッキングおよびライゲーションを用いる本発明の末端選別アプローチによって、対象のポリヌクレオチドの潜在的破壊部位である、特に内部制限部位(しばしば望まないスター活性の予期できない部位)の望まない制限酵素による切断の懸念を排除することができる。
ポリペプチドをコードする核酸を改変することによる前記モノマーペプチドの改変の他に、本発明のモノマーペプチドは下記に述べる1つまたは複数の方法を用いて改変することができる。
【0201】
モノマーポリペプチドのプロテアーゼ耐性を改善する改変
モノマーポリペプチドのプロテアーゼ耐性を改善する目的の1つは、前記モノマーポリペプチドを含むポリマーがナノスケールドラッグデリバリー担体またはドラッグカプセルで使用されたとき、薬剤の標的到達および薬剤の標的での放出に利用可能な時間を延長させることである。プロテアーゼ耐性の改善はいくつかの方法によって達成できる。これらの方法には以下が含まれる:通常の突然変異誘発による感受性を有する切断部位の除去;糖化による改変によるモノマーポリペプチドのアミノ酸骨格の保護;およびポリ(エチレングリコール)(PEG)の導入による、タンパク分解から保護されたPEG化モノマーポリペプチドの生成。PEGのモノマーポリペプチドへの結合は、固有のPEGカップリングに用いることができる表面露出システインの導入により達成できる。糖化パターンおよびPEG化の度合いの改変はまた、下記で考察するように両改変はさらに別の利益も有するので他の考慮事由にも左右される。
【0202】
モノマーポリペプチドの免疫原性を減少させる改変
これら改変の目的の1つは、モノマーポリペプチドの抗原決定基を減少させ、または覆い隠して潜在的アレルギー反応を最小限にすることである。モノマーポリペプチドの改変方法は以下の工程を含む:潜在的アレルギードメインを分析し、さらにPEG化隠蔽法で使用することができるシステイン挿入部位を特定する(以下の文献を参照されたい:Kozlowski, Harris, ”Improvements in protein PEGylation: PeGylated interferons for treatment of hepatitis C”, J. Controlled Release, 72:217−224(2001))。本方法はまたコンピュータモデリングを含む。前記モデリングによって、抗原性を示すおそれがあるモノマーポリペプチド上の潜在的なアミノ酸ドメインを特定し、続いてこれら部位を本発明で述べた突然変異誘発方法により改変する。さらにまた、本発明のモノマーポリペプチドの糖化パターンを改変して、外来物として認識されるおそれが少ない分子を生成することができる。
【0203】
モノマーポリペプチドに向標的ベクターを結合させる改変
本発明のナノスケールドラッグデリバリー担体またはポリマーを動物の身体の所望される特定の場所により良好に誘導するために、向標的ベクターを本発明のポリマーまたはモノマーポリペプチドに結合させることができる。本発明で有用な向標的ベクターには抗体、オリゴ糖およびモルファタイド(Morphatides(登録商標))が含まれる。これらの向標的ベクターはいずれもモノマーポリペプチドの表面に通常の化学的手段を用いて容易に結合させることができる。抗体はもっとも一般的な向標的ベクターであるが、オリゴ糖もまた効果的な向標的成分として機能することが示された(例えば以下の文献を参照されたい:Wu, ”Evidence for targeted gene delivery to HepG2 hepatoma cells in vitro”, 27(3):88892 (1988); Hashida, Akamatsu, Nishikawa, Fumiyoshi, Takakura, ”Design of polymeric prodrugs of prostaglandin E1 having galactose residue for hepatocyte targeting”, J. Controlled Release, 62:253−262(1999))。モノマーポリペプチド中の多数の潜在的N−連結糖化部位の存在は、糖化型誘導を重要なアプローチにさせる。さらに、モルファタイド(登録商標)は通常の合成方法を用いてモノマーポリペプチドに結合させることができる。モルファタイド(登録商標)は誘導ヌクレオチド複合体で、特定の抗原に結合するように繰返しin vitro進化により最適化させることができる。
【0204】
モルファタイド(登録商標)は進化させることができる合成分子で、分子選別および結合に寄与する可逆性を有するモディファイアと結合したポリヌクレオチドスカッフォールドから成る。モルファタイド(登録商標)は、アプタマーの選択的進化能(Osborne, Ellington, ”Nucleic Acid Selection and the Challenge of Combinatorial Chemistry”, Chemical reviews, 97:349−370(1997))、および例えば抗体によって示されるようなタンパク質の顕著な結合特性の両方を兼備する。モルファタイド(登録商標)は、標的分子に対する反復選別サイクルによって進化させることができる。前記ポリヌクレオチドのスカッホールドの分子改変が可逆性であることにより、モルファタイド(登録商標)の進化性が部分的に可能になった。この可逆性はこれらデザインの要素である。なぜならば、選択した標的に対するアフィニティー選別ラウンドの間に、ポリヌクレオチドスカッホールドがPCRによる増幅に付されるからである。モルファタイド(登録商標)中の増幅スカッホールドのさらに付加される特性は、どの部位が改変されたかというモルファタイド(登録商標)の“記憶”であり、それによって前記部位を次の選別/成熟ラウンドのために再改変することができる。改変、選択標的に対する選別、改変の除去および選別分子のPCR増幅の反復サイクルはしたがって、選別標的との堅固な結合を効果的にひき起こす分子の濃縮をもたらす。いったんモルファタイド(登録商標)が選択標的に対して良好な進化を示したら、所望の特性を有する最終的なモルファタイド(登録商標)は可逆的化学反応を必要としないで製造することができる。最終的なモルファタイド(登録商標)生成物は、合成抗体の特性を有する安定で合成性であるコスト効率のよい分子である。
【0205】
別の特徴ではまた、A群核酸配列の単離核酸、前記と実質的に同一の配列、相補的配列、または前述の配列の1つの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400または500の連続する塩基を含むフラグメントをプローブとして用いて、生物学的サンプル(例えば土壌サンプル)が本発明の核酸配列を有する生物または前記核酸が得られた生物を含むか否かを決定することができる。好ましくは配列番号7および9の単離核酸、前記と実質的に同一の配列、相補的配列、または前述の配列の1つの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400または500の連続する塩基を含むフラグメントがまたプローブとして用いられる。前記の方法では、前記核酸が単離された生物を潜在的に保持している可能性がある生物学的サンプルを得て、前記サンプルから核酸が入手される。プローブがそこに存在する一切の相補的配列と特異的にハイブリダイズすることができる条件下で、前記核酸をプローブと接触させる。
【0206】
必要な場合には、プローブが相補的配列と特異的にハイブリダイズすることができる条件は、相補的配列を含むことが判明しているサンプルから得た相補的配列と相補的配列を含まないコントロール配列をプローブと接触させて決定することができる。ハイブリダイゼーション条件、例えばハイブリダイゼーション緩衝液の塩濃度、ハイブリダイゼーション緩衝液のホルムアミド濃度、またはハイブリダイゼーション温度を変動させて、プローブが相補的核酸と特異的にハイブリダイズすることができる条件を特定することができる。
サンプルが前記核酸を単離した生物を含む場合、前記プローブの特異的なハイブリダイゼーションが検出される。ハイブリダイゼーションは、検出可能な薬剤(例えば放射性同位元素、蛍光染料、または検出可能な生成物の形成を触媒することができる酵素)でプローブを標識することによって検出することができる。
【0207】
標識プローブを用いてサンプル中の相補的核酸を検出する多くの方法が当業者には知られている。これらの方法には、サザンブロット、ノザンブロット、コロニーハイブリダイゼーション法、およびドットブロットが含まれる。前記の方法の各々についてのプロトコルは下記文献に提供されている:Ausubel et al. Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc.(1997); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1989)(前記文献は参照により本明細書に含まれる)。
【0208】
また別に、2つ以上のプローブ(そのうちの少なくとも1つは、核酸サンプル中に存在する一切の相補的配列と特異的にハイブリダイズすることができる)を増幅反応で用いて、前記サンプルが本発明の核酸配列を含む生物(例えば前記核酸が単離された生物)を含むか否かを決定することができる。典型的にはプローブはオリゴヌクレオチドを含む。ある実施態様では、増幅反応はPCR反応を含むことができる。PCR反応は上掲書(AusubelおよびSambrook)に記載されている。また別には、増幅反応はリガーゼ連鎖反応、3SR、または鎖置換反応を含むことができる(以下の文献を参照されたい:Barany, ”The Ligase Chain Reaction in a PCR World”, PCR Methods and Applications 1:5−16(1991); Fahy, ”Self−sustained Sequence Replication (3SR): An Isothermal Transcription −based Amplification Sysytem Alternative to PCR” PCR Methods and Applications, 1:25−33(1991); Walker et al., ”Strand Displacement Amplifica tion−an Isothermal in vitro DNA Amplification Technique”, Nucleic Acid Research, 20:1691−1696(1992)(前記文献は参照により本明細書に含まれる))。
前記の方法では、サンプル中の核酸をプローブと接触させ、増幅反応を実施し、さらに得られた一切の増幅生成物を検出する。前記増幅生成物は、前記生成物でゲル電気泳動を実施し、インターカレート剤(例えば臭化エチジウム)でゲルを染色して検出することができる。また別に、1つまたは2つ以上のプローブを放射性同位元素で標識し、放射能増幅生成物をゲル電気泳動の後でオートラジオグラフィーによって検出してもよい。
【0209】
A群核酸配列で示された配列および前記と実質的に同一の配列の末端近くの配列に由来するプローブもまた染色体散策法(chromosome walking procedure)で用いて、上記に示された核酸配列に隣接して位置するゲノム配列を含むクローンを特定することができる。前記のような方法は、付加タンパク質をコードする遺伝子をホスト生物から単離することを可能にする。
A群核酸配列で示された単離核酸配列、前記と実質的に同一の配列、前記と相補的な配列、または前述の配列の1つの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400または500の連続する塩基を含むフラグメントをまたプローブとして用いて、関連核酸を特定または単離することができる。いくつかの実施態様では、前記関連する核酸は、前記核酸が単離された生物以外の生物に由来するcDNAまたはゲノムDNAであろう。例えば、前記他の生物は関係を有する生物であろう。前記の方法では、核酸サンプルを、プローブが関連する配列と特異的にハイブリダイズすることができる条件下で前記プローブと接触させる。続いて、上記で述べた方法のいずれかを用いて、関連する生物に由来する核酸とプローブとのハイブリダイゼーションを検出する。
【0210】
核酸のハイブリダイゼーション反応では、個々のストリンジェンシーレベルを達成するために用いられる条件は、ハイブリダイズされる核酸の性質にしたがって変動するであろう。例えば、前記核酸のハイブリダイズ領域の相補性の長さと程度、ヌクレオチド配列の組成(例えばGC対AT含量)および核酸のタイプ(例えばRNAかDNAか)をハイブリダイゼーション条件の選択に考慮することができる。さらにまた別に考慮されるべきことは、前記核酸の1つが例えばフィルターに固定されているか否かということである。
【0211】
ハイブリダイゼーションは、低ストリンジェンシー、中等度ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシー条件下で実施できる。核酸ハイブリダイゼーションの例としては、固定された変性核酸を含むポリマーメンブレンを以下から成る溶液中で45℃で30分先ず予備ハイブリダイズする:0.9MのNaCl、50mMのNaHPO(pH7.0)、5.0mMのNaEDTA、0.5%のSDS、10倍のデンハルト液および0.5mg/mLのポリリボアデニル酸。続いて、32P−末端標識オリゴヌクレオチドプローブの約2×10cpm(比活性4−9×10cpm/μg)を前記溶液に添加する。12から16時間インキュベートした後、0.5%SDSを含む1×SET(150mMのNaCl、20mMトリス塩酸(pH7.8)、1mMのNaEDTA)で室温で30分、前記メンブレンを洗浄し、続いて、新しい1×SETで30分、オリゴヌクレオチドプローブのためのTm−10℃で洗浄する。続いて、ハイブリダイゼーションシグナルを検出するためにメンブレンでオートラジオグラフフィルムを感光させる。
【0212】
核酸(例えばcDNAまたはゲノムDNA、これらは検出可能なプローブとハイブリダイズする)の特定に用いられるハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変化させることによって、前記プローブに対して種々のレベルの相同性を有する核酸を特定しさらに単離することができる。ストリンジェンシーはプローブの溶融温度より低い種々の温度でハイブリダイゼーションを実施することによって変動させることができる。溶融温度(Tm)は、(特定のイオン強度およびpHで)標的配列の50%が完全に相補的なプローブとハイブリダイズする温度である。非常にストリンジェントな条件は、個々のプローブのTmと同じかまたはそれより約5℃低くなるように選択される。プローブの溶融温度は以下の式を用いて計算される:
長さが14から70ヌクレオチドのプローブの場合、溶融温度(Tm)は以下の式を用いて計算される:
Tm=81.5+16.6(log[Na])+0.41(G+Cの分画)−
(600/N)
式中、Nはプローブの長さである。
【0213】
ハイブリダイゼーションがホルムアミドを含む溶液中で実施される場合、溶融温度は以下の等式を用いて計算することができる:
Tm=81.5+16.6(log[Na])+0.41(G+Cの分画)−
(0.63%ホルムアミド)−(600/N)
式中、Nはプローブの長さである。
予備ハイブリダイゼーションは、6×SSC、5×デンハルト試薬、0.5%のSDS、100μgの変性分断化サケ精子DNA、または6×SSC、5×デンハルト試薬、0.5%のSDS、100μgの変性分断化サケ精子DNA、50%のホルムアミド中で実施できる。SSCとデンハルト溶液の成分式は上掲書(Sambrook et al.)に挙げられている。
【0214】
ハイブリダイゼーションは、検出可能なプローブを上記に挙げた予備ハイブリダイゼーション溶液に添加して実施される。プローブが二本鎖DNAを含む場合、ハイブリダイゼーション溶液に添加する前に変性させる。フィルターをハイブリダイゼーション溶液と十分な時間接触させて、前記プローブと相補的または相同な配列を含むcDNAまたはゲノムDNAとプローブをハイブリダイズさせる。長さが200ヌクレオチドを越えるプローブの場合、ハイブリダイゼーションはTmよりも15から25℃低い温度で実施することができる。より短いプローブ(例えばオリゴヌクレオチドプローブ)の場合、ハイブリダイゼーションはTmより5から10℃低い温度で実施することができる。典型的には、6×SSCでのハイブリダイゼーションの場合、前記ハイブリダイゼーションは約68℃で実施される。通常、50%ホルムアミド含有溶液でのハイブリダイゼーションの場合、前記ハイブリダイゼーションは約42℃で実施される。
前述のハイブリダイゼーションのいずれも高ストリンジェンシー条件と考えられよう。
【0215】
ハイブリダイゼーションに続いて、フィルターを洗浄し、非特異的に結合した一切の検出可能プローブを除去する。フィルター洗浄に用いられるストリンジェンシーもまた、ハイブリダイズされる核酸の性質、ハイブリダイズされる核酸の長さ、相補性の程度、ヌクレオチド配列の組成(例えばGC対AT含量)および核酸のタイプ(例えばRNAかDNAか)に応じて変動させることができる。段々と高くなるストリンジェンシー条件での洗浄の例は以下のとおりである:2×SSC、0.1%SDSで室温15分(低ストリンジェンシー);0.1×SSC、0.5%SDSで室温30分から1時間(中等度ストリンジェンシー);0.1×SSC、0.5%SDSで15分から30分、ハイブリダイゼーション温度から68℃の間の温度(高ストリンジェンシー);および0.15MのNaClで15分、72℃(非常に高ストリンジェンシー)。最後の低ストリンジェンシー洗浄は0.1×SSCで室温で実施できる。上記の例は、フィルターの洗浄に用いることができる条件一式の単なる例示である。種々のストリンジェンシーの洗浄レシピーが多数存在することは当業者には公知であろう。他のいくつかの例は下記で示す。
プローブにハイブリダイズした核酸はオートラジオグラフィーまたは他の通常の技術によって特定される。
【0216】
上記の方法を改変して、プローブ配列に対して相同性レベルの低い核酸配列を特定することができる。例えば、検出可能プローブに対する相同性が低い核酸を得るためには、低いストリンジェンシー条件を用いることができる。例えば、ハイブリダイゼーション温度は、約1MのNa濃度を含むハイブリダイゼーション緩衝液中で68℃から42℃まで5℃ずつ下げることができる。ハイブリダイゼーションの後、フィルターは2×SSC、0.5%SDSでハイブリダイゼーションの温度で洗浄できる。前記の条件は、50℃以上では“中等度”の条件、50℃以下では“低ストリンジェンシー”条件と考えられる。“中等度の”ハイブリダイゼーション条件の具体的な例は、上記のハイブリダイゼーションが55℃で実施される場合である。“低ストリンジェンシー”ハイブリダイゼーション条件の具体的な例は、上記のハイブリダイゼーションが45℃で実施される場合である。
【0217】
また別に、前記ハイブリダイゼーションは、緩衝液(例えば6×SSC)にホルムアミドを含有するもので42℃の温度で実施することができる。この場合には、ハイブリダイゼーション緩衝液中のホルムアミドの濃度は50%から0%まで5%ずつ減少させ、プローブと相同性レベルが低いクローンを特定することができる。ハイブリダイゼーションの後、フィルターは、6×SSC、0.5%SDSで50℃で洗浄することができる。これらの条件は25%以上のホルムアミドでは“中等度” の条件、25%以下のホルムアミドでは“低ストリンジェンシー”条件と考えられる。“中等度の”ハイブリダイゼーション条件の具体的な例は、上記のハイブリダイゼーションが30%のホルムアミドで実施される場合である。“低ストリンジェンシー”ハイブリダイゼーション条件の具体的な例は、上記のハイブリダイゼーションが10%のホルムアミドで実施される場合である。
【0218】
例えば、先行の方法を用いて、A群核酸配列に示す核酸配列、前記と実質的に同一の配列、または前記の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400または500の連続する塩基を含むフラグメント、および前述の配列のいずれかと相補的な配列に対して少なくとも約97%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%または少なくとも50%の相同性を有する配列を含む核酸を単離することができる。相同性はアラインメントアルゴリズムを用いて測定できる。例えば、相同なポリヌクレオチドは、本明細書に記載したコード配列の1つの、天然に存在する対立遺伝子変種であるコード配列を有することができる。そのような対立変種は、A群核酸配列に示す核酸配列または前記と相補的な配列と比較したとき1つまたは2つ以上のヌクレオチドの置換、欠失または付加を有することができる。
【0219】
さらにまた、上記の方法を用いて、B群アミノ酸配列に示す配列を有するポリペプチド、前記と実質的に同一の配列、または前記の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントに対して、配列アラインメントアルゴリズム(例えばFASTAバージョン3.0t78デフォルトパラメータ付きアルゴリズム)を用いて決定したとき、少なくとも約99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%または少なくとも50%の相同性を有するポリペプチドをコードするアミノ酸を単離することができる。
【0220】
モノマーポリペプチドの内部表面のアミノ酸側鎖の疎水性増強のための改変
本改変の目的の1つは、モノマーポリペプチドが重合してナノスケールドラッグカプセルまたはデリバリー担体を形成したとき水に難溶である被包化小分子薬剤の可溶性を強化することである。難溶性は、多くの小分子薬剤でしばしば認められる欠点である(Meuller, Jacobs, Kayser, ”Nanosuspensions as particulate drug formulations in therapy: Rationale for development and what we can expect for the future”, Adv. Drug Delivery Reviews, 47:3−19(2001))。モノマーポリペプチドを改変して、その内側表面上の疎水性小薬剤分子に有利な環境を維持しながらその親水性外側表面のゆえに水性環境に容易に移行できるナノスケールドラッグ被包化デバイスを製造することができる。
【0221】
薬剤結合親和性を変化させる改変
多数のモノマーポリペプチドユニットを含むナノスケールドラッグカプセルの電荷環境は薬剤放出速度に影響を与えるであろう。電荷環境を改変して、ナノスケールドラッグカプセル内部と被包化薬剤間の相互作用の親和性を操作することができる。モノマーポリペプチドの薬剤親和性を高める内部の変化は拡散速度を遅くし、結果として薬剤放出速度を遅くする。逆に、モノマーポリペプチドの薬剤親和性を低下させる内部の変化は薬剤放出速度を高める。
【0222】
抗原ドメインを包含する改変
ハイブリダイゼーション、3、5、7および9から選択されるポリヌクレオチド配列並びに前記と実質的に同一または相補的な配列、並びに前記のフラグメントを、適切な遺伝子改変方法(例えばリコンビナントDNAまたは上記に記載した方法)を用いて、1つまたは2つ以上の抗原をコードする1つまたは2つ以上の配列をその中に取り込ませることによってさらに改変することができる。本方法では、ポリヌクレオチド配列が発現されてポリペプチドを生成するとき、前記抗原または抗原ドメインが前記発現されたポリペプチドの表面に露出されるように、1つまたは2つ以上の抗原をコードする1つまたは2つ以上の配列がポリヌクレオチド配列に挿入される。より好ましい実施態様では、発現ポリペプチドが集合または自己集合して本発明のポリマーを形成するとき、前記抗原または抗原ドメインは前記ポリマーの表面に露出される。
モノマーポリペプチドに対するこれらの改変は、特定の標的部位でその内容物を制御しながら放出することができ、循環寿命が延びた改善されたドラッグデリバリー担体を提供する。
【0223】
別の特徴では、本発明は、多数の本発明のモノマーペプチドを含むポリマーを製造する方法を提供する。本発明のポリマーを製造する方法では、多数のモノマーポリペプチドユニットが適切な条件下で重合されてポリマーを生成する。好ましくは、前記モノマーポリペプチドユニットは鋳型分子の存在下で重合される。より好ましくは、モノマーポリペプチドユニットは、少なくとも1つの二価陽イオンの存在下で自己集合プロセスを介して重合する。好ましい実施態様では、前記少なくとも1つの二価陽イオンは、Ca2+、Mg2+、Cu2+、Zn2+、Sr2+、Ni2+、Mn2+およびFe2+から成る群から選択できる。より好ましい実施態様では、前記少なくとも1つの二価陽イオンはCa2+を含む。もっとも好ましい実施態様では、前記少なくとも1つの二価陽イオンはCa2+とMg2+の両方を含む。もっとも好ましくは、ポリマー製造方法は以下を含む:モノマーポリペプチドを水溶液に溶解し、モノマーポリペプチドを含む水溶液を少なくとも1つの鋳型分子を有する容器に加え、さらにCa2+およびMg2+の溶液を前記容器に加えて前記モノマーポリペプチドを重合させてポリマーを形成する。
【0224】
本発明で用いられる鋳型分子はポリマーの所望の特性にしたがって選択することができる。好ましい実施態様では、鋳型分子は、本発明のポリマー懸濁液のフレンチプレスせん断によって調製される。
好ましい実施態様では、本発明のポリマーは、B群アミノ酸配列に示す配列および前記と実質的に同一の配列から成る群から選択される配列を有する多数のモノマーポリペプチドを含む。より好ましい実施態様では、本発明のポリマーは、配列番号2および前記と実質的に同一の配列から成る群から選択される配列を有する多数のモノマーポリペプチドを含む。もっとも好ましい実施態様では、本発明のポリマーは、配列番号2および前記と実質的に同一の配列から成る群から選択される配列を有する多数のモノマーポリペプチド、並びに配列番号4、6、8および10、並びに前記と実質的に同一の配列から成る群から選択される配列を有する多数のモノマーポリペプチドを含む。
【0225】
ある実施態様では、本発明のポリマーは、約25nmの外径および20nmの内径を有する中空管である。本発明のポリマーは好ましくはまげ計数が5±2Gpaである。適切な条件では、本発明のポリマーは互いに相互作用して対合形成、束形成、絡み合い(体積排除相互作用)および静電気架橋(二価陽イオンによる架橋)を示して、一対の棒状物から互いに連結したネットワークにまで変化する構造を形成する。本発明のポリマーの一実施態様における透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。
さらに別の特徴では、本発明は、薬剤分子をヒトまたは動物の体の個々の場所へデリバーする方法に関する。本発明にしたがえば、ヒトまたは動物の体の個々の場所へ薬剤をデリバーする方法は、薬剤分子を本発明のポリマーで被包化し、さらにヒトまたは動物の体に前記被包化薬剤分子を投与することを含む。
【0226】
本方法では、前記被包化工程は、薬剤分子の存在下でポリマーを形成することによって実施することができる。また別に、前記被包化工程は、薬剤分子を部分的に形成されたポリマーに添加し、さらに適切なキャッピングユニット、例えば本発明の別のモノマーポリペプチドユニットを用い前記の部分的に形成されたポリマーをキャップすることによって実施することができる。別の実施態様では、前記被包化工程は、薬剤分子がポリマーの内部に浸透することができるようにポリマーと薬剤分子を溶液中で一緒に混合することによって実施することができる。さらに、被包化工程の最中または被包化工程完了後に薬剤搭載ポリマーまたはナノチューブに向標的分子またはベクターを結合させることができる。図2はこのプロセスの説明図を示す。図2(A)では、薬剤分子40およびモンマーポリペプチド42が溶液に溶解される。図2(B)では、モノマーポリペプチド40は自己集合して、薬剤分子40をその中に被包化したナノスケールポリマー44が形成される。図2(C)では、向標的ベクター46がナノスケールポリマー44に結合させられる。
【0227】
1つまたは2つ以上の薬剤を被包化する別の実施態様では、モノマーポリペプチドユニットの他に、脂質または脂質分子を用いて薬剤分子を被包化する。本実施態様では、薬剤分子およびモノマーポリペプチドユニットの両者の存在下で(好ましくは溶液中で)、Akasjiらの記載にしたがって二価陽イオンの存在下で(例えばミリモル濃度のカルシウムおよびマグネシウムとして)、リポソームが脂質から誘発形成される(Akasji et al., ”Formation of giant liposomes promoted by divalent cations: critical role of electrostatic repulsion”, Biophys. J. 74:2973 −2982)。前記形成されたリポソームは1つまたは2つ以上の薬剤分子およびモノマーペプチドユニットをその中に被包化する。リポソームの形成後、リポソームを含む混合物または溶液の条件を変化させ、例えばより高い温度に変化させてモノマーポリペプチドユニットの集合を誘発してポリマーまたはナノチューブを形成させ、1つまたは2つ以上の薬剤分子が脂質のコーティングを有するポリマーまたはナノチューブ中に被包化された複合体を製造する、
【0228】
図3A、3Bおよび3Cはさらに前記プロセスの図解である。図3Aは、多数の脂質31、モノマーポリペプチドユニット32および薬剤分子33を含むことができる混合物を示している(実際にはただ1つの脂質、モノマーポリペプチドユニットおよび薬剤分子が示されている)。前記混合物は、図3Bに示すように適切な時間の後で複合体35を形成する。複合体35はモノマーポリペプチドユニット32および薬剤分子33を含む。図3Bの複合体35はさらに、適切な時間インキュベートされた後、図3Cに示すように被包化薬剤組成物37に変換される。被包化薬剤組成物37は、薬剤分子33、モノマーポリペプチドユニット32から生成されたポリマー38、および脂質コーティング39を含む。
【0229】
被包化薬剤分子は、ヒトまたは動物に経口的、非経口的に、吸入により、または移植貯留装置を介して投与することができる。本明細書で用いられる“非経口的”という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、包膜内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または輸液術を含む。好ましくは、前記組成物は経口的に腹腔内にまたは静脈内に投与される。
薬剤分子は、現在存在している薬剤および将来の潜在的薬剤から選択することができる。好ましくは、薬剤分子は、身体のいくつかの器官に有害であって、したがって好ましくは身体の特定の場所にのみ輸送されるべき薬剤から選択することができる。前記特定の場所は、病害が定着している場所、感染が存在する場所、腫瘍が存在する場所、損傷場所、前記の組合せ、または前記と同等なものであろう。
【0230】
被包化薬剤分子を投与した後、ポリマー内の被包化薬剤は、体液循環、消化および同様な生理学的作用により体内の前記特定場所に移動することができる。被包化薬剤分子の移動は、本発明のナノスケールポリマーまたはポリマーの表面に存在する1つまたは2つ以上の向標的ベクターによってさらに制御または誘導されるであろう。前記移動はさらに、1つまたは2つ以上の外部手段(例えば前記の場所の照射、レセプターの移植または注射)によって調節することができる。所望の場所に到達した後、前記薬剤分子は、前記特定の場所の条件、またはポリマーと前記特定の場所の成分との間の相互反応にしたがって放出されるであろう。ポリマーから放出される薬剤は、前記特定の場所の成分または外部刺激(例えば照射)に反応するポリマー上の制御ベクターによって制御されるであろう。
【0231】
本発明にしたがえば、ナノチューブの可能性と単純なタンパク質構造の物理的化学的操作性を兼ね備えたポリマーには多数の用途が存在するであろう。前記ポリマーのモジュラス、長さ、分枝、コアの径、コアの容積、コアおよび表面の極性、熱および溶媒に対する耐性はいずれも突然変異誘発および誘導タンパク質進化の手段によって変化させることができる。さらにまた、コアおよび外部溶媒に面しているアミノ酸側鎖は、化学基の制御的付加のための反応基として利用することができる。さらに、前記ポリマーによって提供される基本的らせん対称をとり入れた光活性またはレドックス活性基の整列配置は光伝導性または電子伝導性であろう。
【0232】
本発明のポリマーはまたいわゆるバイオチップアプリケーションにも用いることができる。前記ポリマーはシリコンまたはアルミニウムウェハー上にその末端を支点として整列配置されて、タンパク質−タンパク質相互作用のスクリーニング用アプリケーションのために高密度三次元様式でタンパク質を固定する足場として使用される。そのような整列配置されたポリマーは、新規な薬剤標的分子を特定および立証する研究で有用であろう。公知のプローブを用いるいくつかのバイオチップアプリケーションは米国特許第6,174,683号および第6,242,246号に開示されている(前記文献は参照により本明細書に含まれる)。
【0233】
好ましい実施態様では、バイオチップ製造に有用な三次元ゲルマトリックスを提供するために、ゲルマトリックス生成用に選択されるポリマーは多数の所望される特性をもたなければならない。前記特性には以下が含まれる:1)マトリックスの内外への分子の拡散を可能にする適切なポアサイズおよび高い水分含有量;2)土台(例えばガラス)表面との結合能;3)蛍光タグとの光学的干渉を減少させるために、完全な重合化状態で十分な透過性を有すること;および4)使用時に受ける外力に耐えるために完全に重合したときに十分な構造的完全性を有すること。さらにまた、選択されたゲルは好ましくは製造し易くさらに使用が容易である。
【0234】
ヒドロゲルは前記の基準を満たすポリマーの種類である。ヒドロゲルは親水性ネットワークポリマーであり、脱水状態ではガラス状で、水の存在下で膨潤して弾性ゲルを形成する。Ershovらが記載したポリアクリルアミドゲルマトリックスは、平衡状態で約95%から97%の水分含有量を有するヒドロゲルで、標的分子(例えばDNA)に対して好ましい拡散能力を提供する。例えば以下を参照されたい:米国特許第5,741,700号、5,770,721号、5,756,050号(Ershov et al.それぞれ1998年4月21日、1998年6月23日、1998年5月26日)および米国特許第5,552,270号(Khrapko et al. 1996年9月3日)(前記文献は参照により本明細書に含まれる)。
【0235】
Ershovらのポリアクリルアミドゲル系の他に、ポリウレタン系ヒドロゲルポリマーが周知で、吸収性素材(例えば手術着、オムツ、ベッド用敷物、月経用品など)で広く用いられてきた。前記素材で用いられるポリウレタン系ヒドロゲルは大量の水分を比較的均質な態様でよく吸収し、それによってゲル素材の基本的な全体的形状は維持される。さらにまた、前記素材によって吸収された水分は、加圧下でさえも前記吸収性素材中に保持される。そのようなポリウレタン系ヒドロゲルは例えば以下に記載されている:米国特許第3,939,123号(Mathews et al. 1976年2月17日)、第4,110,286号(Vandegaer et al. 1978年8月29日)(前記文献は参照により本明細書に含まれる)。
【0236】
好ましい実施態様では、本発明のバイオチップは、本発明の自己集合ポリマーによるヒドロゲルを使用する。また別に、ヒドロゲルはポリエチレンオキシドのプレポリマーまたはポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのコポリマーをベースにし、水中で活性を有するジイソシアネートでキャップされ、さらにポリオールで軽度に架橋され、その結果イソシアネートの存在量は例えば多くても約0.8meq/gと予想することができる。頻繁に用いられるジイソシアネートには芳香族系ジイソシアネート(例えばトルエンジイソシアネートまたはメチレンジフェニルイソシアネート)および脂肪族ジイソシアネート(例えばイソフォロンジイソシアネート)が含まれる。プレポリマー(前記は水に混和性の溶媒中で予め調合することができる)の重合反応は水を添加することにより簡単に生じる。水で活性化される重合および/または本発明の自己集合重合方法の利点は、重合反応の前または重合反応と同時に適切な生物分子プローブでプレポリマーを誘導することができるということである。
また別の実施態様では、本発明の自己集合ポリマーをヒドロゲルに結合させて、例えばバイオチップ用の三次元構造ネットワークを提供できる。ヒドロゲルへの結合はまた他の目的、例えばチップの複雑な成分の自己集合のために用いることができ、構造的完全性などが提供される。
【0237】
別の実施態様では、重合反応の前にヒドロゲルは、生物分子(例えば本発明のプローブ)で上記に記載したように誘導される。前記誘導は、前記プローブ(好ましくはペプチドまたは核酸で、前記は先にアミンで誘導されてある)とプレポリマーのイソシアネートとの間の単純な2から3分の反応を用いて有機溶媒中で実施される。本実施態様ではヒドロゲルの不十分な重合反応を防止するために、前記誘導反応は、水に混和できる非プロトン性溶媒(ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、アセトン、アセトニトリル、またはその他のもの)中で実施される。したがって、ヒドロゲルの膨潤またはヒドロゲルの土台への分注の前に、生物分子プローブをポリウレタン系プレポリマーゲルに共有結合させる。前記のように誘導した後、水の添加によって重合が開始され、生物分子誘導ヒドロゲル、例えばPNA誘導ヒドロゲルが生成される。
【0238】
本実施態様では、ヒドロゲルの誘導で非プロトン性溶媒の使用および存在は少なくとも4つの目的を有する。第一に均質なプレポリマー水溶液が生成される。第二にそれは誘導反応工程を重合工程から分離するために機能し、それによってほぼ定量的な収量で生物分子のヒドロゲルへの誘導反応が達成できる。第三に、それは、重合工程の最中に二酸化炭素の生成を遅らせ、さらに重合混合物の粘性を低下させることによって二酸化炭素を効率的に気泡として放出するために機能する。本発明で好ましいポリウレタン系ヒドロゲルの重合反応で、二酸化炭素は、水とヒドロゲルのプレポリマーのイソシアネート基との反応によって生成される。二酸化炭素の生成の制御およびゲルの二酸化炭素排出は、有効で有用なバイオチップの提供に必須である。重合があまりに迅速にかつ高い粘性混合物中で発生する場合、それによって生成された二酸化炭素は放出されずにゲル内に捕捉され、別個に分離した泡のマトリックスを生じる。ポリウレタン系ヒドロゲルがオムツ、ベッド用敷物または同様な公知の用途で用いられるときは前記は問題ではないが、一方、ゲルマトリックス連続体は、バイオチップで前記を使用する場合には、ハイブリダイゼーションの達成を表示する蛍光の正確で効率のよい検出を可能にするために必須である。
【0239】
本実施態様でヒドロゲルを誘導するために非プロトン性溶媒を使用する四番目の、さらに最後の利点は、前記溶媒の存在はポリマーの沈澱を低下させることによってヒドロゲルの光学的透過性を強化させるということである。非プロトン性溶媒対水の比率は約0.25よりも高くなければならない。それによって、十分に遅いゲルの重合反応が可能で、したがってCOの生成が遅く、連続的で透明なゲルマトリックスが本発明のように生成される。ヒドロゲルの誘導反応および重合に必要な全時間はもっとも好ましくは約30分である。これは、ポリアクリルアミド系バイオチップの調製に必要な24から48時間とは完全に対照的である。さらにまた、例えばプレポリマーに結合する生物分子(例えばプローブ)の量は、樹脂に添加される生物分子の量を単に変化させることによって容易に調節することができ(例えば、プローブがゲルに結合させられる生物分子である場合、約10fmolから約1pmolまでのプローブを用いることができる)、それによって各ヒドロゲルの微量滴内の捕捉プローブの濃度をより十分に制御することができる。
【0240】
この好ましい実施態様では、ヒドロゲルはプローブを用いて誘導され、その重合の開始後から完了前に固形の土台上に沈積される。前記は一般的な方法のいずれによっても、例えばミクロスポット機を用いて達成できる。ゲルは好ましくは沈積させて微量滴アレーが生成される。土台表面は一般にはヒドロゲル添加前に誘導されなければならないことは当業者には理解されよう。好ましい実施態様では(ガラスが土台として用いられる場合)、ガラスは、重合中のヒドロゲルがその表面に沈積される前にアミンで誘導される。したがって、重合中のヒドロゲル(生物分子捕捉プローブ(例えばDNA)で誘導される)は、誘導ガラス土台に沈積されるとき、ガラス表面に存在するアミンとプレポリマー内の活性なイソシアネート基との反応を介して前記土台と結合することができ、それによってヒドロゲルと前記土台との共有結合が提供される。極めて有利なことには、この系に含まれる全ての反応、すなわち(1)ヒドロゲルプレポリマーの生物分子プローブによる誘導、(2)ヒドロゲルの重合反応、(3)誘導ヒドロゲルの土台表面との結合が、強力な尿素結合の生成を伴なう。これらは、機械的な完全性を微量滴アレーに提供し、従来技術で記載されたポリアクリルアミド系のバイオチップと比較してバイオチップの半減期を顕著に延長する。
【0241】
本明細書に記載した好ましい実施態様では、ヒドロゲル滴は土台上でいったん重合すると少なくとも約30μmの厚さ、より好ましくは少なくとも約50μmの厚さ、もっとも好ましくは約50μmから100μmの間の厚さである。さらに、前記ゲル滴は形状が一般に長円形で、これまでに知られた四角のゲルセルとは反対である。本発明のより大きなゲル滴(またはセル)はそれに固定される生物分子プローブの量を顕著に増加させ、それによってバイオチップの感度を高め、さらにその使用を促進することは容易に理解されよう。
【0242】
本発明で意図されるまた別の実施態様では、水溶性生物分子(例えば本発明のプローブ、DNAまたは他のオリゴヌクレオチド)は、以前に記載された有機溶媒溶解性生物分子の代わりにヒドロゲルに結合される。これらの実施態様では、最初にヒドロゲルプレポリマーを誘導し、続いて重合反応を開始することはできない。しかしながら、ポリウレタン系ヒドロゲルは一反応で誘導および重合を実施することができ、さらに、そのような反応は適切に制御され、比較的予想可能な量の水溶性生物分子プローブがそれに結合した誘導ヒドロゲルを提供することができる。特に、これらの実施態様では、ヒドロゲルプレポリマーは先ず有機溶媒に溶解される。続いて、ヒドロゲルの生物分子プローブによる誘導および重合の両方が可能になる量および条件下で、緩衝水溶液中のDNAまたは他の水溶性生物分子をプレポリマーに添加する。ヒドロゲルが重合しているとき、さらに重合が完了する前に、ヒドロゲルを上記に記載したように適切な土台の上にミクロスポットすることができる。
【0243】
また別に、上記で述べたものと同様な態様で本発明のポリマーアレーを形成することができるが、しかし分子篩として作用させることを目的とする。この実施態様では、アレー形成ポリマーを用いて、核酸がアレー形成ポリマーマトリックスを通過するとき核酸サンプルを分離することができる。そのようなアレー形成ポリマーを高処理DNA配列決定またはSNP分析で用いることができる。
本発明のポリマーを、生物医学的利用を含む多用途ナノロボットのための分子機械成分(例えばシャフトまたはギア)として用いることができる。さらに、本発明のポリマーは、種々の構造のための支柱として、または高度に複雑な手術時に組織を結合させるためのナノスコープ用ネジとして用いることができる。例えば、本発明のポリマーのサイズは重合条件を介して制御することができ、したがって棒状ポリマーの長さを適切に制御して所望の長さを得ることができる。ポリマー(棒状物)の末端ユニットは、種々の末端キャップユニットを用いることにより変化させることができる。そのような個々の注文に応じてデザインされたポリマーを分子機械またはナノマシーンの成分として用いることができる。
【0244】
1つまたは2つ以上の酵素(経路で合成を触媒する)を本発明のポリマーの1つまたは2つ以上のモノマーポリペプチドユニットと結合させることによって、高価な化学物質および医薬のための高密度の固定された安定で経済的な生物触媒を提供することができる。このタイプの固定生物触媒は、単純な化学的または酵素的タンパク質分解を用い制御された方法で、除去およびリサイクルまたは破壊することができる。
【0245】
さらに、本ポリマーは、ポリマーに含まれる基本的なL−キラルモノマーポリペプチドユニットによるD−異性体およびL−異性体の異なる相互作用の原理により万能キラル分離剤として用いることができる。例えば、本発明のポリマーは、キラルHPLCカラムとして用いることができるHPLCカラムに充填、または充填剤とともに共同充填することができる。また別には、本発明のポリマーを土台(例えば架橋ポリスチレン土台)に固定し、それによって固定ポリマーをキラル分離媒体として用いることができる。ポリマーの重合度および生成される分子サイズに応じて、種々のろ過特性を有するDNA/RNA/タンパク質精製樹脂を製造することができる。好ましい実施態様では、本ポリマーは、高価な医薬化合物のための分離薬剤として用いることができる(前記の高価な医薬化合物は高い化学的純度を必要とするだけでなく、また高いエナンチオマー純度(例えばもっぱら1つのエナンチオマーを含む)も必要とする)。
【0246】
本発明にしたがって分離薬剤として本ポリマーを用いる方法に関する好ましい実施態様では、本ポリマーは、一般的な合成方法(例えばスチレン置換グリコシドを用いる糖化反応)を用いて、不飽和側鎖(例えばスチレン成分)を導入することにより改変することができる。その後、乳化重合または懸濁重合を用いて前記改変ポリマーをスチレンおよびジビニルベンゼンと共重合させ、樹脂に共有結合したポリマーを有する万能キラル分離樹脂を生成することができる。また別に、本発明の非改変ポリマーの存在下でスチレンおよびジビニルベンゼンを共重合させて、ポリマーが非共有結合により結合した樹脂を生成することができる。続いて前記樹脂をHPLCカラムに充填し、前記充填カラムを医薬化合物の分離に用いるHPLC系にとり付ける。
【0247】
さらにまた、本発明のポリマーはその高い耐熱性のために潤滑剤として用いることができる。例えば、本発明のポリマーは、単独でまたは公知の潤滑剤と混合して潤滑剤として用いることができる。このタイプの潤滑剤は改善された潤滑効果およびより広い使用温度範囲を達成できる。典型的な潤滑剤は、比較的狭い使用温度範囲を有する。なぜならば、高温では典型的潤滑剤の粘性は良好な潤滑効果を得るためには低くなりすぎるからである。他方、低温では典型的潤滑剤は粘性が高すぎて良好な潤滑効果が得られない。しかしながら、本発明のポリマーは固有の分子形状(棒状)を有し、したがってその粘性対温度分析図は典型的な炭化水素潤滑剤よりもはるかに平坦である。好ましい実施態様では、本発明のポリマーは、水または他の適切な溶媒に溶解して潤滑剤を生成することができる。ポリマーの濃度は、所望の使用温度およびポリマーの分子量によって最適化することができる。
【0248】
本発明のポリマーはまた、その一定構造のために塗料の均質なコーティングで用いることができる。一般的なコーティングは、通常美装および耐久性の両目的のために例えばTiOのような填料を必要とする。最近ではコーティングはプラスチック填料と一緒にすでに製剤化されてある。しかしながら、填料はある共通した問題をもつ傾向がある。前記はそれらの不規則な形態であり、それは前記製剤化済みコーティングの流動性の制御を困難にする。対照的に、本発明のポリマーは厳格に規定され制御された形状およびサイズを有することができる。したがって、本発明のポリマーはコーティング製剤の填料として用いることができる。さらに、本発明のポリマーは、発酵のようなバイオテクノロジーのプロセスを用いて製造することができる。好ましい実施態様では、本発明のコーティング組成物は、液性媒体中に分散させた1つまたは2つ以上の均一なポリマー性結合剤の混合物を含むことができる。前記液性媒体は本質的に水および有機溶媒および填料から成る群から選択される少なくとも1つの成分からなる。この場合、填料は多数のポリペプチドの自己集合によって生成されたポリマーを構成し、前記多数のポリペプチドの各々は、配列番号2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも50%の相同性を有する。
【0249】
別の特徴では、本発明のポリマーは、石油化学物質から製造された通常のポリマーに代わって繊維、プラスチックおよび樹脂の製造に用いることができる。本発明のポリマーは前記のポリマーに対して多くの利点を有する。例えば、本発明のポリマーは規則正しい構造を有し、したがって、前記の規則的な構造を制御することによって最終生成物の特性を好みに合わせて作りあげることができる。さらにまた、本発明のポリマーは再生資源から製造することができる。さらに、その規則的な構造のために、本発明のポリマーはいくつかの特性、例えば液晶形成を有し、前記はポリマーの強度を劇的に高めることができる。
【0250】
荷電基を本発明のポリマーの一方の端に取り込ませることによって、本ポリマーを電場に対して整列させることができる。そのような整列配置ポリマーは光を偏光させることができよう。前記整列配置ポリマーに適用されている電場を変更することによって、光スイッチを製作することができる。そのような光スイッチには多くの用途、例えば“空間光調節装置(Spatial Light Modulator)”、“液晶”型ディスプレー、および通信用光スイッチがある。本発明のポリマーを用いて液晶を形成する方法は当業者には公知である。さらに、本発明のポリマーは光導波管に用いることができる。本発明の光線加工用光導波管は、その中に1つまたは2つ以上の液晶を含む光伝達媒体の細長い本体を含む。前記本体は、第一および第二の側面、並びに前記第一および第二の側面の間を伸長する入口末端面および出口末端面、並びに前記本体の第一および第二の側面上に第一の電極および第二の電極(これら電極は本体の第一および第二の側面間にそれぞれ電場を作りあげる)を有する。光線は前記入口末端面から本体に進入し、入口末端面と出口末端面の間の通路を通って本体の中を移動した後、前記出口末端面から本体を出る。前記1つまたは2つ以上の液晶は、多数のポリペプチドの自己集合によって生成された本発明のポリマーを含み、ここで多数のポリペプチドの各々は、B群アミノ酸配列から選択される配列および前記と実質的に同一の配列を有する。
【0251】
別の特徴では、本発明は、耐熱性酵素の製造方法を提供する。本方法では、第一の公知の酵素を、B群アミノ酸配列、および前記と実質的に同一の配列から選択される第二のアミノ酸配列と融合または連結して、第一の公知の酵素そのものと比較して改善された耐熱性を有する第三のタンパク質またはポリペプチドを生成することができる。前記生成された第三のタンパク質またはポリペプチドは、一般に、第一の公知の酵素のアミノ酸配列並びにB群アミノ酸配列および前記と実質的に同一の配列から選択された第二のアミノ酸配列の両方を含み、さらに第一の公知の酵素の酵素活性を少なくとも部分的に保持することができる。前記生成された第三のタンパク質またはポリペプチドをさらに重合させて、複数の前記生成された第三のタンパク質またはポリペプチドを含み、さらになお第一の公知の酵素の酵素活性を部分的に保持するポリマーを生成することができる。第一の公知の酵素と第二のアミノ酸配列との融合または連結は、化学的方法を用いて、例えば分子のN−末端を別の分子のC−末端と反応させて実施できる。好ましくは、融合は、標準的な分子クローニング技術を用いて、第一の酵素をコードする遺伝子を第二のアミノ酸配列をコードする遺伝子と一緒に融合させ、両者をコードする第三の遺伝子を生成することによって実施できる。
【0252】
続いて第三の遺伝子を適切な過剰発現ベクターでクローニングし、適切なホスト細胞またはホスト生物で発現させて第三のタンパク質またはポリペプチドを製造する。いったん発現されたら、ホスト細胞に含まれる易熱性ホストたんぱく質を熱処理によって変性させることによって、前記第三のタンパク質またはポリペプチドをホスト細胞、ホスト生物またはホストタンパク質から精製することができる。典型的な変性条件は、80℃から100℃で2から20分である。耐熱性の第三のタンパク質またはポリペプチドは、通常のイオン交換クロマトグラフィーによって他の夾雑タンパク質からさらに精製される。前記精製された第三のタンパク質またはポリペプチドは、前記第三のタンパク質またはポリペプチドを含む溶液をミリモル濃度のカルシウムおよびマグネシウム陽イオンの存在下で80℃に加熱することによって、さらに重合させてポリマーを形成することができる。
【0253】
前記生成されたポリマーは30000gで30分遠心沈澱させて単離することができる。前記の方法はさらに図4に示されている。アミノ酸配列41は、B群アミノ酸配列および前記と実質的に同一の配列から選択された配列である。酵素43は、特定の酵素活性を有する酵素であり、さらに易熱性であろう。アミノ酸配列41と酵素43を適切な方法を用いて融合させてタンパク質45を生成する。前記は、前記特定の酵素活性の少なくともいくらかを保持するだけでなく、酵素43よりも耐熱性である。
前記融合酵素またはタンパク質は一般に典型的な通常の酵素よりも耐熱性で、したがって高い操作温度を必要とする用途で用いることができる。前記融合酵素またはタンパク質およびポリマーは自己集合し、最初の未融合酵素の1つまたは2つ以上の酵素活性を保持することができる。
本発明を以下の実施例を参照しながらさらに説明するが、本発明はそのような実施例に限定されないことは理解されよう。
【0254】
実施例
表3:下記実施例で使用される化学物質
Figure 2004523219
Figure 2004523219
Figure 2004523219
他の全ての化学物質はメルク(Merck, Darmstadt)から入手した。特に記載がないかぎり、全ての物質は純度p.Aであった。
【0255】
表4:下記実施例で使用される酵素
Figure 2004523219
【0256】
表5:下記実施例で使用される生物
Figure 2004523219
古細菌の他の代表例(カニューレ遺伝子の遺伝子増殖実験に使用)はレーゲンスブルグ古細菌センター(Regensburg Archaeal Center)の培養コレクションから入手した。
【0257】
【表1】
Figure 2004523219
【0258】
さらに、配列番号1を有する核酸配列および配列番号2を有するアミノ酸配列はCanAとも称される(なぜならば両配列はカニューレAと呼ばれるタンパク質をコードするからである)。同じ理由から、配列番号3および4はCanBと、配列番号5および6はCanCと、配列番号7および8はCanDと、配列番号9および10はCanEと称される。
表7:下記実施例で使用されるプラスミド
Figure 2004523219
【0259】
実施例1:培養基および生物の培養
a)血清フラスコ中での超好熱細菌の嫌気性培養
i)合成海水の調製(“SME”とも称する):
NaCl(27.70g);MgSO×7H2O(7.00g);MgCl×6HO(5.50g);KCl(0.65g);NaBr(0.10g);HBO(0.03g);CaCl×2HO(0.75g);SrCl×6HO(15.00mg);およびKJ(0.50mg)をショットフラスコに加えた。このショットフラスコに、ショットフラスコ中の混合物の総体積が1000mLに達するまで2回蒸留したHOを添加した。前記化学物質が完全に溶解した後、混合物に窒素ガスを20分間供給した(最大1バール(10パスカル)、窒素のインジケーター、レサズリンの色は青紫色から赤に変化)。還元する場合は、2.5%(w/v)の嫌気的なNaS溶液の20mLを1リットルの培養液に注入した。培養液が完全に脱色されたら、pH値を25%(v/v)の嫌気的HSOを用いて所望のように設定した。
【0260】
血清フラスコ(ガラスタイプIII;Bormioli, Italy)を2度蒸留した水で2回フラッシュ洗浄し、100℃で2時間乾燥させた。続いて、N/H(95/5;v/v)雰囲気下の嫌気性チャンバー(Coy−Lab Products; Ann Arbor, Michigan, USA)内で、各フラスコに20mLの上記培養液を満たし、ゴム栓で栓をし、さらに前記ゴム栓をアルミニウムキャップ(”alminium seal stopper”; Belco Glass; New Jersey, USA)で堅く閉じた。使用前に、ゴム栓は0.2%HCl中で1回、さらに2度蒸留した水で2回それぞれ1時間沸騰させた。加圧滅菌(培養基にチオ硫酸塩がある場合;121℃、20分、2バール)または加熱蒸発(培養基に硫黄がある場合;100℃、1時間)した後、血清フラスコの各々をガスステーションで交互に3回ガスを抜き取り、さらにH/CO(80/20,v/v,2バール)を無菌的に供給した。
【0261】
ii.ピロジクチウム・アビッシー用培養基(pH5.5−6.0):
培養基は以下を含んでいた:SME(500.00mL);KHPO(0.50g);酵母抽出物(0.50g);Na(1.00g);レサズリン(1%)(0.30mL);および培養基の総体積を1000mLにするために十分な2度蒸留水。前記培養基は加圧滅菌した。培養温度は102℃であった。ピロジクチウム・アビッシーのインキュベーションは静置しながら実施した。
iii.ハイパーテルムス用培養基(pH7.0):
培養基は以下を含んでいた:SME(500.00mL);KHPO(0.50g);NHCl(0.50g);硫黄(5.00g);KJ(2.50mg)NiSO×6HO(2.00mg);レサズリン(1%)(0.30mL);および培養基の総体積が1000mLにするために十分な2度蒸留水。前記培養基は加熱蒸発させた。接種前に、加圧滅菌ストック溶液(10%、w/v)の形で6gのトリプトンを添加した。培養温度は100℃であった。ハイパーテルムスのインキュベーションは静置しながら実施した。
【0262】
b)大腸菌用培養基および培養条件
種々の大腸菌株は、好気的にLB培養基(下記を参照されたい)で37℃で激しく振盪しながら(250rpm)日常的に培養した。抗生物質に耐性を有するプラスミド保有株は対応する抗生物質(100μg/mLのアンピシリン;34μg/mLのクロラムフェニコール)の存在下で培養した。
i.大腸菌DN5αおよびBL21(DE3)用LB培養基(pH7.0):
培養基は以下を含んでいた:トリプトン(10.00g);酵母抽出物(5.00g);NaCl(10.00g);および培養基の総体積を1000mLにするために十分な2度蒸留水。
ii.大腸菌Y1090用LB培養基(pH7.0):
培養基は以下を含んでいた:トリプトン(10.00g);酵母抽出物(10.00g);NaCl(5.00g);および培養基の総体積を1000mLにするために十分な2度蒸留水。
iii.大腸菌Y1090用NZYM培養基(pH7.0):
培養基は以下を含んでいた:NZアミン(10.00g);NaCl(5.00g);酵母抽出物(5.00g);MgSO×7HO(2.00g);および培養基の総体積を1000mLにするために十分な2度蒸留水。
平板調製のためには、1リットルの培養基につき15gの寒天を用いた。1リットルの培養基につき7.5gのアガロースをトップアーガーに加えた。
【0263】
実施例2:コンピテント細胞の調製
DH5αおよびBL21(DE3)細胞は、プラスミドDNAを培養基から取り込ませるために塩化ルビジウムを用いてコンピテントにした。以下に挙げた物質を用いた:
SOB
Figure 2004523219
グルコース溶液(50×)
Figure 2004523219
SOC培養基:98mLのSOB+2mLの50×グルコース溶液
Figure 2004523219
【0264】
TFIの場合、pH値は酢酸(15%)で調節した。TFIIの場合、pH値は水酸化ナトリウム(5M)を用いて調節した。形質転換緩衝液およびグルコース溶液はろ過によって滅菌した。SOB培養基は加圧滅菌した。
最初に、10mLのSOC培養基に所望の大腸菌株の単一コロニーを接種し、37℃で一晩振盪した。前記一晩培養の1mLを100mLSOC培養基のための接種物として用い、37℃で振盪しながらインキュベートした。OD600が0.4のとき、前記培養を3つの予め冷却した遠心機ビーカー(JA20ローター)に分配した。氷上で15分間静置した後、細胞を採集した(JA20ローター、5分、7000rpm、4℃)。各ビーカーの細胞ペレットを11.4mLの氷冷TFIに吸収させ、氷上に15分置き再び遠心沈澱によって採集した(JA20ローター、5分、7000rpm、4℃)。続いて、各ペレットを注意深く2.9mLの氷冷TFIIに再分散させ、50μLずつ配分して液体窒素で瞬間凍結した。前記コンピテント細胞は−80℃で保存した。
【0265】
実施例3:細胞溶解緩衝液(pH8.0)
細胞溶解緩衝液は以下を含む:
Figure 2004523219
実施例4:機械的細胞溶解
本細胞溶解法は、メタノピルス・カンドレリ(Methanopyrus kandleri)、メタノテルムス・フェルビドゥス(Methanothermus fervidus)、ピロバクルム・エロフィルム(Pyrobaculum aerophilum)に用いた。
予め冷却した乳鉢に、約0.5gの凍結細胞を液体窒素下で微細な粉末に磨り潰した。1から2mLの溶解緩衝液を添加し(実施例8を参照されたい)、室温で溶融させた後、懸濁液をエッペンドルフ反応容器に導入した。続いて、実施例10に記載した方法と同じ方法にしたがった。
【0266】
実施例5:ズブチリシンを用いる細胞溶解
実施例9の前述の生物を除いて、DNA単離用の全ての生物は以下のように溶解させた:0.05から0.1gの細胞を500μLの溶解緩衝液(実施例8を参照)とともに懸濁した。ズブチリシン(最終濃度:40ng/μL)および2μLのリボヌクレアーゼ(デオキシリボヌクレアーゼ非含有)とともに、前記懸濁物を37℃30分水浴中でインキュベートした。続いて、実施例11で述べた方法と同じ方法にしたがった。
【0267】
実施例6:フェノール/クロロホルム抽出
このDNA精製方法は、そのDNAがカニューレ遺伝子の増殖実験に用いられる全ての生物に対して採用された。DNA溶液は、せん断力を強力に回避するために先端を切断したピペットで操作した。
500μLの細胞溶解物(実施例9および10)を500μLの緩衝液飽和フェノールで処理し、さらにエッペンドルフ反応容器(ERV)中で慎重に混合した。相分離のために、混合物をエッペンドルフ遠心分離機で1300rpm、5分遠心分離した。遠心分離後、DNA含有溶液(上部層)を清浄なERVに移し、さらに205μLのフェノールで処理した。慎重に回転させた後、250μLのクロロホルム/イソアミルアルコール(24/1)を添加し、相を再び混合した。相を分離させた後、2つの相の間にタンパク質の白い層がなくなるまで最後の工程を繰返した。最後にDNA懸濁物を500μLのクロロホルム/イソアミルアルコール(24/1,v/v)で処理し、最後の遠心分離を実施して水相を清浄なERVに移した。
【0268】
フェノール基を除去し濃縮するために、DNAをエタノールで沈澱させた。同時に、1/10容の3M酢酸ナトリウムおよび2.5容の無水エタノール(−20℃)を添加し、DNAは−80℃で30分沈澱させ、卓上遠心分離機で遠心分離して採集した(12000rpm、4℃、30分)ペレットを200μLの70%エタノール(−20℃)で洗浄し、4℃で15分遠心分離し、デシケーターで15分乾燥させた。続いて、100μLの水をDNAに吸収させ、リボヌクレアーゼ(デオキシリボヌクレアーゼ非含有)(2μL)で処理し、37℃で30分インキュベートした。続いてDNA溶液を4℃で保存した。
【0269】
実施例7:CsClグラディエント平衡遠心分離
ピロジクチウム・アビッシーの単離株TAG11のDNAはCsClグラディエント中で平衡遠心分離によって精製した。1つの例外は、カニューレ遺伝子の遺伝子増殖試験であった。同じプロトコルを上記のように実施した。0.5gのピロジクチウム細胞のDNAを1mLの2度蒸留水に再懸濁させた。
【0270】
実施例8:大腸菌からプラスミドDNAの単離
a)本実施例に用いられる緩衝液および溶液
Figure 2004523219
前記洗浄緩衝液は使用前に無水エタノールで1:1に希釈した。
【0271】
b)ミニスケールでの調製
LB培養基の大腸菌一晩培養の10mLのうち4mLをERVで遠心分離して採集した(卓上遠心機で12000rpm、3分)。ペレットを100μLのS1緩衝液に再懸濁し、1μLのリボヌクレアーゼ(デオキシリボヌクレアーゼ非含有)(0.5mg/mL)で処理した。溶解は200μLのS2緩衝液をRTで5分添加して実施した。200μLのS3緩衝液で中和した後、前記バッチを氷上に5から10分置いた。続いて染色体DNA、細胞群および沈澱DKSをペレットにした(卓上遠心機で12000rpm、5分)。上清を1mLの結合溶液と混合し、RTで少なくとも20分インキュベートした。その間に沈澱した結合マトリックスを数回攪拌した。続いて、遠心分離により(卓上遠心機で12000rpm、2分)採集し、上清を廃棄した。各々1.5mLの洗浄緩衝液で2回洗浄した後、ペレットをデシケーターで15分乾燥させ、さらに120μLの2度蒸留水に再懸濁した。DNAの定量的溶出のために、前記懸濁物を60℃で10分インキュベートした。ゆっくりと冷却した後、前記結合マトリックスを沈澱させ(卓上遠心機で12000rpm、5分)、プラスミド含有上清を新しいERVに移した。
【0272】
実施例9:DNAの分析と精製
a)濃度測定
i.測光的決定:
溶解DNAの濃度は、260nmでの光学密度(OD)を測定して決定した。1:20希釈のDNAを用いた。続いて前記測定値から未希釈DNA溶液の濃度を決定した: 1:20希釈のOD260nm−>μg/μL[DNA(未希釈)]
ii.臭化エチジウムプレート:
非常に低濃度または絶対量のDNAしか存在しない場合は、それらは標準濃度と比較することによって概算した。
臭化エチジウムプレート:
Figure 2004523219
アガロースは沸騰により水に溶解させた。約60℃に冷却した後、残りの成分を添加した。溶液をペトリ皿(Sarstedt, Ulm)に注ぎいれた。固化させた後、未知濃度のDNA溶液の各々1μLを、DNA標準物(10−100ng/μL)と並べて前記プレートにピペットで添加した。約5分後に、標準物およびサンプルのUV光下での蛍光の強さを比較し、未知の濃度を概算した。完成プレートは4℃で数週間遮光下で保存できる。
【0273】
b)アガロースゲル電気泳動
i.緩衝液および溶液
Figure 2004523219
ii.プロトコル
PCR生成物、プラスミドおよびゲノムDNAの分析のために、0.8から2.5%のアガロースゲルを用いた。ゲルから引き続き溶出させる場合には(実施例14.bを参照)、低温溶融アガロースを用いた。電気泳動で分離した後、DNAをメンブレン上にブロットするときは、シーケム(Sea−Kem)アガロースを用いた(実施例19.dを参照)。
アガロースは沸騰により水に溶解させた。流水下で冷却し、さらに1/10容の10×TAEおよび1/10000容の臭化エチジウム(10mg/mL)を添加した後、ゲル溶液を水平ゲルチャンバー(30mL:7×10cm、または200mL:20×22cm)に注ぎ入れた。サンプルは適用前に1/5容のアプリケーション緩衝液で処理した。ゲルの泳動は、1×TAE中で80から120Vで30から90分実施した。分離はUV蛍光スクリーン上で管理し、イージーイメージ分析システム(EASY image analysis sysytem; Herolab, Heidelberg)で評価し、実証した。
【0274】
c)アガロースゲルからDNAの単離
単一の制限フラグメントを単離するために、特別な低温溶融アガロースによるアガロースゲル(1%)を用いてバッチを分離した。所望のバンドをUV光の下で切り出し、寒天ブロックの重さを測定した(1mg、約1μL)。
2度蒸留水を9/10の反応容積まで加え、さらに1/10容の10×アガラーゼ緩衝液を添加した後、前記寒天ブロックを、頻繁に激しく振盪しながら65℃で10分溶融させた。40℃で5分間予備インキュベーションした後、1μLのβ−アガラーゼ(1ユニット)を前記溶融寒天ブロックに添加し、混合物を作製した。この混合物をさらにもう1時間40℃でインキュベートし、その間頻繁に混合した。この混合物を氷上に10分置き、続いて卓上遠心機で遠心分離により(12000rpm,RT,10分)採集した。DNAをエタノールにより上清から沈澱させた(実施例11参照)。
【0275】
実施例10:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
反応は0.2mLの反応容器で実施した(Stratagene, Heidelberg)。反応の開始時に、反応物を氷上に維持し、DNAポリメラーゼは常に最後に添加した。バッチは同じ容積のチルアウト(Chill−out)14(登録商標)液体ワックス(MJ Research, Inc., Nalgene)で被覆し、反応時の蒸発を抑えた(サーモサイクラーに加熱可能カバーを供給した後は前記被覆はもはや必要ではない)。増幅は、ロボサイクラー(グラディエント96、Stratagene)で実施した。PCR生成物は、ベーリンガーのハイピュアPCR精製キットで精製し、アガロースゲル電気泳動で分析した(実施例14.bを参照)。
【0276】
a)標準PCR
染色体DNAの特定のセグメントを増幅し、さらにプラスミドに対して挿入物のサイズおよび向きを知るために、精製DNAをマトリックスとして用いた。
反応バッチ:
Figure 2004523219
TaqPCR緩衝液(10×):
Figure 2004523219
プログラム:95℃3分、32×(95℃1分、55℃1分、72℃1.5分)、72℃10分。
長さが1500bpよりも大きいPCR生成物を得るためには、1000bp当たりの重合時間(72℃)を1分だけ延長した。
染色体DNAを添加する場合、50ngをマトリックスとして用いた。
【0277】
b)PCRスクリーニング
この方法を用いてPCRによって多様なクローンの挿入物のサイズをチェックした。使用したプライマー対は、M13lacZ(逆方向および前進方向、Perkin Elmer)であった。前記はKS(−)ベクターのマルチクローニングのフランキング領域と結合する。5から10ngの精製プラスミドDNAまたは完全プラスミド含有細胞をマトリックスとして添加した(この最後に、コロニーを滅菌したつま楊枝でLB平板から釣り上げた)。
【0278】
c)PCRによる制限部位の導入
発現プラスミドを構築するために、発現ベクター(pET17b)の正確に限定された読み枠内にDNAフラグメントを挿入する必要があった。したがって、タンパク質コードDNAセグメントの5’および3’末端に新しい制限部位を挿入しなければならなかった。このために、2つのプライマーを用いて遺伝子を増幅させた(前記プライマーはそれぞれ対応する場所に制限部位を含んでいた)。翻訳開始部位(ATG)にNdeI部位(CATATG)を挿入し、翻訳終止部位(TAA)にNotI部位(CGCCGGCG)を挿入した。続いて得られたPCR生成物を新規に作製した制限部位により発現ベクターに挿入することができた。DNA合成においてエラーの確率を最小限にするために、pfu−DNAポリメラーゼをここでは用いた。前記は3’から5’方向のエキソヌクレアーゼ活性(校正能力)を含み、それによって合成されたDNA鎖の3’末端に不正確に取り込まれたヌクレオチドを取り去ることができる。
【0279】
バッチ:
Figure 2004523219
プログラム:
CanA:95℃3分、32×(95℃1分、65℃1分20秒、72℃1分25秒)、72℃10分。
CanB:95℃3分、32×(95℃1分、63℃1分20秒、72℃1分15秒)、72℃10分。
CanC:95℃3分、32×(95℃1分、55℃1分20秒、72℃1分15秒)、72℃10分。
【0280】
Figure 2004523219
【0281】
挿入された制限部位には下線が施されている。
【0282】
d)RTPCR
RTPCRは、特定のRNA分子の有無の決定、または遺伝子発現の強さの定量でもっとも鋭敏な方法の1つである。通常のPCRとは対照的に、RTPCRプロセスでは、RNAはマトリックスとして用いられ、前記は逆転写酵素(RT)によって翻訳されてDNAに戻る。RTPCRプロセスの次の工程は“通常の”PCRであり、この場合は新規に合成されたDNAが鋳型として用いられ、さらに増幅される。
本実験では、タイタン(登録商標)ワンチューブRTPCRシステム(Boehringer, Mannheim)を用いた。RTPCRプロセスの第一の工程では、AMV逆転写酵素を第一鎖の合成に用いた。エクスパンド(登録商標)ハイフェデリティーエンザイムミックス(TaqDNAポリメラーゼおよびPwoDNAポリメラーゼ)を本RTPCRプロセスの“通常の”PCR工程で用いた。その後のバッチは標準にしたがって製造された:
マスターミックス1:
4μLのdNTP(それぞれ2.5mM)、4μLのプライマー1(5pM/μL)、4μLのプライマー2(5pM/μL)、2.5μLのDTT(100mM)、6μLのリボヌクレアーゼインヒビター(1U/μL)、1μLのmRNA(1pg−1μg)、25μLまでのDEPC−HO。
マスターミックス2:
10μLの5×RT緩衝液(Mg2+を含む)、1μLの酵素ミックス、25μLまでのDEPC−H
2つのマスターミックスを一緒にし、混合して遠心分離し、予備加温した(60℃)サーモサイクラーのブロック内に加えた。
プログラム:60℃30分、94℃2分、10×(94℃1分、55℃1分、68℃1分15秒)、20×(94℃1分、55℃1分、68℃1分35秒)、72℃5分。
【0283】
実施例11:DNAフラグメントのクローニング
a)制限加水分解
二本鎖DNAを制限酵素で少なくとも2時間37℃で水浴中で切断した。
b)DNAフラグメントの脱リン酸化
直線化ベクターの再ライゲーションを抑制するために、5’末端部位をウシ腸のアルカリ性ホスファターゼ(CIP)で脱リン酸した。この反応の終わりに、標準にしたがって前記制限バッチに45μLまでの水を加え、続いてフェノール/クロロホルム処理およびDNA沈澱を実施した(実施例11参照)。5μLの10×リン酸緩衝液(0.5Mトリス/HCl(9.10)、10mMのMgCl、1mMのZnCl、10mMのスペルミジン)および1μLのCIP(1U/μL)を添加し、37℃で1時間インキュベートした。第二のCIP(1μL)の添加後、さらに1時間インキュベーションを継続した。続いてこのバッチをフェノールで抽出しエタノールで沈澱させた(実施例11参照)。
【0284】
c)張出し末端の充填
PCR生成物または制限フラグメントの末端はT7ポリメラーゼで充填した。例えば、50μLの精製制限バッチを5μLの水、7μLの制限緩衝液(Boehringer Mannheim)、6μLのdNTP(それぞれ2.5mM)、および2μLのT7ポリメラーゼで処理し、37℃で1時間、水浴中でインキュベートした。ポリメラーゼを不活化した後(65℃20分)、バッチをハイピュアPCR精製キット(Boehringer, Mannheim)で精製した。
【0285】
d)Tベクターの作製
PCR生成物のクローニングのために、いわゆるTベクターを作製した。例えば、ベクターpBluescript KS(−)をEcoRVで直鎖状にし(実施例16参照)、続いて2mMのdTTPの存在下でTaqポリメラーゼ(1U/μgベクター)とともに70℃2時間インキュベートした。反応は標準的緩衝液条件(50mMのKCl、10mMのトリス(pH8.3)、1.5mMのMgClおよび200μg/mLのBSA)下で実施した。反応容積は20μLであった。フェノール処理およびエタノール沈澱(実施例11参照)の後で、TベクターをTE緩衝液(10mMトリス/HCl(pH8.0)、1mMのEDTA)に再懸濁し、濃度を60ng/μLに設定した。
e)DNAフラグメントのライゲーション
100−120×10−15モルのフラグメントおよび30−40×10−15モルの消化ベクターDNAを10μL容器に移した。結合は、1UのT4DNAリガーゼを用いて製造元の供給した緩衝液中で16℃で一晩実施した。
【0286】
f)形質転換
50μLのコンピテント細胞を氷上で溶融させ、2μLの2−メルカプトエタノール(0.5M)および3μLのライゲーションバッチ(実施例16参照)を前記コンピテント細胞に添加し、ピペットの先端で慎重に攪拌した。続いてこの混合物を氷上で30分インキュベートした。42℃で30秒経過後に、混合物を再び氷上に1から2分静置した。450μLの新しいSOC培養基(実施例7を参照されたい)を添加した後、混合物の温度を迅速な温度構成のために水浴中で1から2分37℃で制御した。この形質転換混合物を37℃で60分振盪し、続いてLB平板(100μLアンピシリン(10mg/mL)、100μLのX−gal(ホルムアミド中で20mg/mL)および10μLのIPTG(0.1M)で処理)当たり200μLを繰返し播種した。前記平板は37℃で一晩インキュベートした。X−galおよびIPTGによる予備処理によって形質転換体の青色/白色スクリーニングが可能になった。取り込まれたベクター中に挿入物を含む形質転換体のコロニーは外見が白色で、挿入物のないものは青色であった。
g)グリセロール培養
長期培養(グリセロール培養とも称される)を形質転換大腸菌株から調製した。例えば2mLの一晩培養ペレットを遠心沈澱によって採集し、前記ペレットを140μLの新しいLB(実施例6.b参照)に再懸濁し、200μLの滅菌グリセロール(87%)と完全に混合し、−80℃で急速冷凍した。
【0287】
実施例12:配列決定
a)プラスミド
配列決定反応はシークェナーゼクイックディネーチャー(登録商標)プラスミドシークェンシングキット(USB)を用いて実施した。製造元の推奨したターミネーション反応温度とは異なり、本ターミネーション反応は45℃(サーモブロック)で実施した。放射能マーキングは35S−dATPで実施した。
b)PCR生成物
シークェンシング反応はアンプリサイクル(AmpliCycle)(登録商標)シークェンシングキット(Perkin Elmer)を用いてサーモサイクラーで実施した。放射能マーキングは33P−dCTPで実施した。
アニーリングミックス:
Figure 2004523219
サイクリングマスターミックス:
Figure 2004523219
【0288】
各ターミネーションミックスの2μLを氷上の0.2mLのPCR反応管に移した。アニーリングミックスおよびサイクリングマスターミックスを一緒にし、混合して混合物を作る。前記混合物の6μLをPCR反応管のターミネーションミックスの各々に氷上でピペットで移す。続いて前記PCR反応管を予め加温したサーモサイクラーに移し、プログラムを開始した。プログラムの終了時に、4μLの停止溶液を添加し、PCR反応管のサンプルをゲル適用まで凍結した。
プログラム:94℃2分、32×(94℃1分、55−65℃75秒、72℃65秒)、72℃5分。アニーリングの温度は用いられるオリゴヌクレオチドの機能にしたがって変動させた。
【0289】
c)ファージDNA
ファージDNAの配列決定のために、実施例17.bに記載したものと同じプロトコルにしたがった。しかしながら、100ngのPCR生成物の代わりに、1μgのファージDNAをアニーリングミックスに添加した。
プログラム:94℃2分、32×(94℃1分、50℃75秒、72℃65秒)、72℃5分。
d)ポリアクリルアミド尿素ゲル電気泳動
シークェンシング反応後の一本鎖DNAの電気泳動による分離は、6%のポリアクリルアミド尿素ゲルで変性条件下で実施した。正確な組成および方法は既にB. Maiが記載している(”Genetic Characterization and Expression of the Large Thermosome Subumit from Pyrodictium Occultum in E. Coli and Molecular Biological Syudies on the Extracellular Network from Pyrodictium abyssi Isolate TAG11”(University of Regensburg (Department of Microbiology)の学位論文(1995))。
【0290】
実施例13:バクテリオファージ:溶解物およびDNA調製
a)ファージ溶解物の力価測定
溶解物1mL当たりのファージ数(プラーク形成単位、pfu)を決定するために、SM緩衝液(50mMトリス/HCl(pH7.5)、100mMのNaCl、10mMのMgSO)での連続希釈(10−2から10−8)を前記溶解物から調製した。下記のように一度に100μLを播種した。希釈物を100μLのホスト細胞培養(大腸菌Y1090、OD600=1.0(10mMのMgSO中で))と混合し、37℃で30分インキュベートし、全バッチを3mLのNZYトップアーガー(実施例6を参照されたい;100℃で溶融48℃に冷却)に添加した。迅速に混合した後、前記トップアーガーを予め加温したNZY平板に直ちに均質に注ぎ入れた。細菌は増殖してプラークが37℃で一晩で形成された。溶解物中のファージ力価は、数を数え、さらに希釈率を考慮して決定することができる。
【0291】
b)ファージプラークの単離
所望のDNA配列をもつバクテリオファージを他のものから分離するために、ファージを先ずNZY平板(直径9cm)につき200から400pfuで播種(10.1)することによって単離した。所望のプラークを無菌的なガラスのパスツールピペットで釣り上げ、100から200μLのファージ緩衝液(20mMトリス/HCl(pH7.4)、100mMのNaCl、20mMのMgSO)に移した。ファージを37℃で1時間、または4℃で一晩前記寒天から拡散させた。4℃でより長時間保存する場合は、無菌状態を維持するためにクロロホルムを1滴添加した。
【0292】
c)λファージの調製(液体培養法)
大腸菌のホスト株から得た500μLの新しい一晩培養(10mLのLB(0.2%マルトースおよび10mMのMgSOを含む)中の単一コロニー)を20μLのファージ溶液(10.2、約10pfu)と迅速にかつ完全に混合し、水浴中で37℃で20分インキュベートした。
続いて前記感染細胞(ファージを有する大腸菌ホスト株)を含む混合物を100mLの予め加温したLB(1mMのMgSOおよび10mgのアンピシリンを含む、37℃)に添加し、37℃で強く振盪した。5から7時間後に、細胞溶解を実施した。インキュベーション中に定期的にOD600を測定した。培養を清澄にする(=細胞溶解)ために、500μLのクロロホルムを添加し、さらに15分振盪した。細胞フラグメントを遠心分離(JA10ローター、7000rpm、10分)によって除去し、ファージ含有上清を滅菌容器に移し、4℃で保存した。
d)ファージDNAの単離
ファージDNAは10mLの溶解物(10.3)からウィザード(Wizard)(登録商標)ラムダプレップ(Lambda Preps)DNA精製システム(Promega, Mannheim)を用いて単離した。
【0293】
実施例14:所望のDNA配列の特定
a)DIGマーク付加プローブの調製
DIG−11−dUTP(ジゴキシゲニンまたはDIG)は、大腸菌DNAポリメラーゼ、T4DNAポリメラーゼ、TaqDNAポリメラーゼおよび逆転写酵素のための基質である。前記は“ニックトランスレーション”反応で、さらに“ランダムプライミングDNA標識”法でDNAのマーク付加にdTTPの代わりに用いることができる(DIG−11−dUTP:dTTP=35%:65%)。続いて以下の方法を用いてDIGマーク付加DNAを特定することができる。
i.PCR生成物へのDIG−11−dUTPの取込み
標準的PCR(実施例15参照)で、2μLのDIG−11−dUTP(1mM)をバッチに添加した。
【0294】
ii.“ランダムプライミングDNA標識”反応
最終PCR生成物にベーリンガー(Mannheim)の提供する指示にしたがってマーク付加を実施した。例えば、ランダムプライマーから出発して、種々のサイズのDNAセグメントをクレノーポリメラーゼを用いて合成し、それによってDIG−11−dUTPを取り込ませる。DIGマーク付加DNAフラグメントのサイズは(前記フラグメントは“ランダムプライミング”DNAマーク付加法で得ることができる)、マトリックスDNAの量と長さにより左右される。新しく合成されるDNAの20番目から25番目までのヌクレオチドはいずれもDIG−11−dUTPである。
【0295】
15μLの精製PCR生成物(1.5μg、実施例15で製造)を水浴中で10分煮沸し、続いて氷とNaClの混合物中で急冷した(なぜならば、完全な変性は効果的なマーク付加に特に重要であることが判明したからである)。2μLのヘキサヌクレオチド混合物(10×)、2μLのDIGDNA標識ミックス(10×)および1μLのクレノー酵素(2U)を添加し、前記混合物を37℃で2時間インキュベートした。続いて、2μLのEDTA(0.2M、pH8.0)および2.5μLのLiCl(4M)を添加して反応を停止させた。マーク付加DNAをエタノールで沈澱させ、50μLのTE緩衝液(10mMトリス/HCl(pH8.0)、1mMのEDTA)中で37℃(30分)で溶解させた。
【0296】
b)大腸菌形質転換体での検出
i.コロニートランスファー(“コロニーリフト”)
形質転換(実施例16.f参照)後に陽性コロニーを検出するために、100個までの形質転換体を2つのLBスキャン用平板(適切な抗生物質が添加されている)に接種し、一晩37℃でインキュベートした。前記プレートを4℃で4時間保存した後、乾燥ナイロンメンブレン(ハイボンド(Hybond)(登録商標)−N、Amersham, Braunschweig)を成長したコロニー上にRTで3分置いた。続いて、このメンブレンをNaOH−飽和(0.5M)ワットマン3MMペーパー上にコロニー面を上にして5分置き、続いて乾燥ワットマンペーパー上に2分、さらにもう一度NaOH飽和ワットマン3MMペーパー上に5分置いた。最後にこのアルカリ変性DNAをメンブレン上に固定した(120℃、45分)。前記メンブレンのDNAプローブとのハイブリダイゼーション(実施例19.a参照)および化学発光によるDIGの検出(実施例19.f参照)をもとに、所望のDNA配列を有する形質転換体が前記スキャン用平板で特定することができ、さらに第二の平板に接種することができた。
【0297】
ii.プラスミドおよびファージDNA
単離されたプラスミドおよびファージのDNAを以下のようにチェックした。予め定めた濃度のDNA(1pgから100ngまでのプラスミドDNA、1ngから10μgまでのファージDNA)を乾燥ナイロンメンブレン(Boehringer, Mannheim)に添加した。比較のために、適切なコントロール(例えば挿入物を含まないベクター)を同時に使用した。実施例19.b.iで述べるように、適用DNAをアルカリで変性させ、さらに固定した。続いてメンブレン上のDNAを適切なプローブで一晩ハイブリダイズさせ(実施例19.e参照)、DIGマーク付加DNAを検出した(実施例19.f参照)。
【0298】
c)バクテリオファージでの特定
i.ファージ混合物(“プラークリフト”)
所望のDNA配列が種々のファージを含む溶解物で特定されたら(例えば遺伝子バンクで)、NZYトップアーガーの200から400pfuをNZY平板に播種する(実施例6参照)。細菌コロニーについて記載されているように(実施例19.b.i参照)、ファージをナイロンメンブレンに移し、NaOHでDNAを遊離させ、変性させて熱で固定した。DIG特定は比色計により直接メンブレン上で実施し(実施例19.f)、これによってシグナルとプラークの位置の決定を容易にした。続いて特定したプラークを平板から単離した(実施例18.b参照)。
ii.ミニ溶解物
9μLの溶解物を1μLのNaOH(2M)およびEDTA(2mM)で処理し、RTで10分インキュベートした。続いて、バッチ当たり2μLをピペットで乾燥ナイロンメンブレン(Boehringer, Mannheim)に添加した。120℃で30分後、前記メンブレンを対応するプローブとハイブリダイズさせた。DIGは化学発光により特定した(実施例19.f参照)。
【0299】
d)制限消化DNAにおける特定(サザンブロット)
Figure 2004523219
先ず初めに、制限消化DNA(実施例16.a参照)を1%シーケムアガロースでTAE緩衝液中で分離し(実施例16.b参照)、(目盛りとして物差しと一緒に)写真撮影する。ゲルを0.25MのHCl中で8分インキュベートし、続いて変性緩衝液中で20分、最後に中和緩衝液中で20分インキュベートした。その間に、ナイロンメンブレン(Boehringer, Mannhaim)および2枚のワットマンろ紙(3MM)(ろ紙は10×SSCに使用直前に浸漬する)をゲルのサイズに合わせて切る。
【0300】
続いて、ポジブロット(Posi Blot)10−30(Stratagene,Heidelberg)が明確にロードされたナイロンメンブレンにDNAフラグメントを移した。湿らしたワットマンペーパーおよび濡らしたメンブレンをブロット装置の粗い方の面に置いた。この上にプラスチックの鋳型を載せた(鋳型の端はほぼ0.5cmゲルよりも小さい)。サンプル適用ウェルがプラスチックの上に有り、鋳型の開口部が完全に覆われるように、前記予め処理したゲルを前記鋳型の上に置いた。別のワットマンペーパーをゲルの上に載せた。最後に濡らしたスポンジ(10×SSC)を一番上に置いた。過剰な圧(約9331−10664Pa(70−80mmHg))をスポンジ上に1時間適用した。
続いてゲルの跡および開始ラインをメンブレン上に目印を付け、さらに移したDNAを120℃30分固定した。ハイブリダイゼーション(実施例19.e参照)およびDIG検出(実施例19.f参照)に続いて、所望のDNA配列を有するフラグメントを明確に特定(分割したプラスミドまたはファージDNAで)、または少なくとも固有のサイズ範囲(染色体DNAに場合)に割り当てることができた。
【0301】
e)DIGプローブによるハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーション緩衝液DIGイージーハイブ(Easy Hyb, Boehringer mannheim)中で、プローブ濃度を20ng/mLに設定した。DIGマーク付加プローブを100℃で5分変性させ、氷上で冷却した。前記ハイブリダイゼーション溶液を何回も用いた。個々のハイブリダイゼーションの合間に、ハイブリダイゼーション溶液を−10℃で保存し、再使用の前に68℃で15分変性させた。DIGイージーハイブはホルムアミドを含んでいない。しかしながら、ハイブリダイゼーション温度はホルムアミド含有ハイブリダイゼーション溶液(50%)と同様に計算した。典型的には、43−50℃の範囲のハイブリダイゼーション温度をポリジクチウムプローブ用に定めた。プローブと相同な遺伝子を決定するために、ハイブリダイゼーション温度を低下させた(ピロジクチウムDNA:42℃;他の生物のDNA:34℃)。30分予備ハイブリダイゼーション(プローブ無し)を実施した後、バッチを一晩ハイブリダイズさせ、続いて2×5分、2×SSC(0.1%(v/v)SDS含有)中で室温で洗浄した。最後に、メンブレンを2×15分、0.1×SSC(0.1%(v/v)SDS含有)中で、68℃(ピロジクチウムDNA)または60℃(他の生物のDNA)で洗浄した。
【0302】
f)DIGマーク付加DNAの検出
Figure 2004523219
メンブレンは、先ず初めに洗浄緩衝液中で2から5分振盪した。続いてメンブレン上の自由な結合部位を緩衝液2で30分飽和させた。その後、抗DIGアルカリホスファターゼ共役物を緩衝液2で希釈した(1:10000)。続いて希釈した抗DIGアルカリホスファターゼ共役物とメンブレンを30分インキュベートした。未結合抗体共役物を2×15分洗浄緩衝液中で振盪して除去した。続いて前記メンブレンを緩衝液3で3分間平衡化させた。
【0303】
比色検出:
90μLのNBTおよび70μLのBCIP溶液を20mLの緩衝液に添加して混合物を作製した。メンブレンを前記混合物で被覆し、暗所に静置してインキュベートした(30−120分)。反応は(紫−褐色の着色)はメンブレンを水に入れることによって停止させた。
化学発光検出:
CDP−スター(CDP−Star)(登録商標)化学発光基質を緩衝液3で1:10に希釈し、メンブレンと一緒にプラスチックシート中に挿入した。DIGマーク付加DNAをX線フィルム(Biomax MR1, Kodak)(3分から12時間適用)により可視化した。
【0304】
実施例15:大腸菌でのリコンビナントタンパク質の発現
a)使用発現系
大腸菌株BL21(DE3)で外来タンパク質を発現させるために、ベクターpET17bを用いた。発現株BL21(DE3)pLysSは溶原ファージDE3を収容し、前記はlacUV5プロモーター制御下のT7RNAポリメラーゼ遺伝子を示す。IPTGによる前記プロモーターの誘発はT7RNAポリメラーゼの合成をもたらし、前記ポリメラーゼは、この段階でpET17bのT7ポリメラーゼから出発して取り込まれた遺伝子の転写をひき起こす。プラスミドpLysS(これもまた発現株に含まれている)は、クロラムフェニコール耐性遺伝子だけでなくT7リゾチーム(T7RNAポリメラーゼのインヒビター)の遺伝子もまた保有する。もちろん、リゾチーム遺伝子は極弱く発現し(したがってポリメラーゼを抑制し)、非誘発細胞で少量発現される。この抑制効果はポリメラーゼの誘発により容易に克服することができる。したがって、pLysSは実際には外来遺伝子の基礎発現は抑制するが、誘発後の発現に対しては負の作用をもたない。
【0305】
b)プロトコル
先ず初めに、ベクターpET17bをNdeIおよびNotIで直鎖状化し(実施例16.a参照)、CIPで脱リン酸化した(実施例16.b参照)。続いてNdeIおよびNotI部位をPCRによって発現されるべき遺伝子に付加した(実施例15.c参照)。生成されたPCR生成物をNdeIおよびNotIで切断し(実施例16.a参照)、アガロースゲルで分離して単離した(実施例14.c参照)。前記のようにして調製したフラグメント(ベクターおよび挿入物)をライゲーションにより連結し、DH5α細胞を形質転換した(実施例16.f参照)。形質転換体をその挿入物のサイズについてチェックした(実施例15.b参照)。得られたプラスミド(例えばpEX−CAN−A)を適切な形質転換体から調製し(実施例13参照)、コントロールのためにベクターから挿入物までのトランジション部位の配列を決定した(実施例17.a参照)。続いてBL21(DE3)の形質転換を実施した(実施例16.f参照)。
【0306】
カニューレ遺伝子(例えばCanA、CanB、CanC、CanD、CanE、または前記と実質的に同一の配列)を発現させるために、以下の方法を実施した:
形質転換体の予備培養(アンピシリン含有2.5mLのLB)をOD600=1.0まで37℃で振盪し、4℃で一晩保存した。前記予備培養を次の日遠心分離(ERVで12000rpm、30秒)により取り出した。ペレットを2mLの新しいLBに再懸濁させた。このようにして50mLのLB培養基(+アンピシリン)に接種した。前記培養基を振盪しながら37℃でインキュベートした。増殖は日常的なOD測定でモニターした。OD600=0.6で、80μLを取り出した。続いてIPTG(最終濃度0.3mM)を添加し、T7RNAポリメラーゼを誘発した。30から45分毎にOD600を測定し、40μLのサンプルを取り出した。前記細胞サンプルは遠心分離により取り出し、10μLの適用緩衝液(実施例22a.i)に再懸濁し、SDSポリアクリルアミドゲルに適用(実施例23.a)するまで−20℃で保存した。コントロールとして、BL21(DE3)の平行バッチにpET17b(挿入物を含まない)を接種し、同様に調製した。細胞の採集(JAローター、9000rpm、4℃10分)は誘発から3.5時間後に実施した。
【0307】
実施例16:リコンビナントタンパク質を大腸菌から単離
Figure 2004523219
a)CanAおよびCanB
特定の配列(例えばCanAまたはCanB)が発現されているリコンビナント大腸菌1グラムを4mLの低塩緩衝液中で水を吸収させた。細胞溶解はフレンチプレスで実施した(約1.379×10Pa(20000psi)で2回、American Instrument Co., Silver Spring, USA)。細胞フラグメントをペレットにした後(エッペンドルフ遠心機、13000rpm、RT5分)、タンパク質溶液を80℃で20分インキュベートした。続いて変性タンパク質を遠心分離(上記と同様)により取り出した。上清を1mL/分でQセファロースカラム(1×12cm=9.4mL,Pharmacia, Freiburg)に通した。CanAおよびCanBを含む溶離液を採集した。前記最終溶離液をロイペプチン(1μg/μL)で処理し、マクロセップ(Macrosep)(登録商標)遠心分離濃縮装置(Pall Filtron, Dreieich)(排除限界5kDa)で4−8時間で10から10倍(体積を基準にして)に濃縮した。タンパク質濃度をBCA検査(実施例22.b.i参照)で決定した後、精製タンパク質を100−200μLの部分標本として液体窒素で瞬間冷凍し、−80℃で保存した。各操作工程でサンプルを採取し、SDSポリアクリルアミドゲルで分析した(実施例22.a参照)。
【0308】
b)CanC
CanC単離の第一の工程はCanAおよびCanBのそれと同じである(実施例21.a参照)。しかしながら、第二の工程の最中に、CanCはQセファロースに保持された。カラムを低塩緩衝液でフラッシュ洗浄した後、CanCを塩グラディエント(60mLで80−750mM)でカラムから溶出させ、分画により採集した(各々1mL)。個々の分画をSDSアクリルアミドゲルで分析(実施例22.a参照)した後、CanC含有分画を一緒にし、低塩緩衝液に対して4℃で一晩透析した。最後に、タンパク質溶液を1mLのリソースQカラム(Pharmacia, Freiburg)から1mL/分で溶出させた。続いて、塩グラディエント(60mLで80−750mM)に適用し、0.5mLの分画を採集した。SDSポリアクリルアミドゲルで同様に分析(実施例22.a参照)した後、CanC含有分画を再度一緒にし、低塩緩衝液に対して一晩透析した。ロイペプチン(1μg/μL)を添加した後、マイクロセップ(登録商標)遠心分離濃縮装置(Pall Filton, Dreieich)(排除限界5kDa)で6時間10倍(体積を基準にして)に濃縮した。その後のプロトコルは実施例21.aに記載したものと同じである。
【0309】
実施例17:タンパク質溶液の分析
a)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(Laemmli, 1970)
i.使用溶液
泳動緩衝液(×5):
Figure 2004523219
アプリケーション緩衝液(1×):
Figure 2004523219
ゲル溶液(μL中の容積):
Figure 2004523219
【0310】
ii.プロトコル
サイズにしたがって変性タンパク質を分離するために、SDSポリアクリルアミドゲルを用いた。5から25%の範囲のアクリルアミド直線グラディエントを有する分離ゲル(8.5cm×6.5cm、厚さ0.75mm)を注ぎ入れた。1時間重合させた後、3%の採集ゲルを分離ゲルの上に重層した。10個の適用ウェルを有する櫛を挿入した。サンプルを10μLのアプリケーション緩衝液に吸収させ、沸騰水浴中で4分加熱し、細長く伸ばしたピペットチップを用いて適用した。
電気泳動は20mA/ゲル強度の定電流で実施した(Mighty Small SE250; Hoefer, San Francisco, USA)。ブロモフェノールブルーの先頭がゲルの最下端に達したら直ちにゲルの泳動を停止させた。
【0311】
b)SDSゲルのクーマシ−染色
染色溶液:
Figure 2004523219
脱染溶液:
Figure 2004523219
ゲルを染色溶液で覆い、50℃で30分穏やかに振盪しながら染色し、続いて同じ条件下で脱染した。脱染溶液は数回交換した(脱染溶液は活性炭でろ過して再生できる)。所望の脱染が達成されたとき、ゲルを水洗し、写真撮影し(“簡便”評価プログラム付きCCDビデオカメラおよびサーモプリンター、Herolab)、2枚のシート(deti, Meckesheim)の間で80℃で真空乾燥させた。
【0312】
c)タンパク質濃度測定
i.比色測定
精製タンパク質のタンパク質濃度は記載のようにOD280で測定した(C.M. Stoscheck, 1990)。これに関して以下の式が有効である:
タンパク質濃度(mg/mL)=OD280×MW/ε
式中、MWは分子量を指し、εは分子吸光系数を指す。
本実験の研究対象のタンパク質の場合、タンパク質依存増倍比率P=MW/εは、以下のとおりである:
CanA=19930.38/22900=0.87
CanB=15606.44/7680=2.03
CanC=16699.81/15990=1.04
【0313】
ii.重シンコニン酸テスト(BCA)
本テストは製造元の手引き(Sigma, Deisenhofen)にしたがって実施した。テストの最後に、タンパク質サンプルの部分標本(CanA,B,C)および既知のBSA希釈物を50倍の容積の新しいBCA/CuSO(50:1)溶液と混合し、60℃で30分インキュベートし、RTに冷却した後562nmで分光計で測定した。タンパク質濃度はBSA検量線を用いて測定した。
iii.アミドブラックテスト(Heil & Zillig, 1970)
1−5μLのタンパク質溶液(Py−PP1)および0.5−10μgの標準物(BSA)を酢酸セルロースシート(CA251/0,Schleicher & Schuell, Dassel)に移した。乾燥後、シートを0.25%(w/v)のアミドブラック、45%(v/v)のメタノール、10%(v/v)の氷酢酸中で10分染色し、続いて45%(v/v)のメタノールおよび10%(v/v)の氷酢酸で脱染した。前記シートを再度乾燥させ、タンパク質スポットを打ち抜き、それぞれ800μLのTCA(10%、w/v)、80%(v/v)のギ酸、10%(v/v)の氷酢酸に溶解した。最後にOD623を測定し、サンプル中のタンパク質量をBSA検量線と比較して決定した。
【0314】
実施例18:DNAおよびタンパク質配列の評価
得られたDNAおよびタンパク質配列の分析、相同性の計算および遺伝子バンクの関連配列の検索はUWGCG(University of Wisconsin Genetics Computer Group)のプログラムパッケージを用いて実施した。相同なDNAまたはタンパク質配列の検索のために、EBIデータベース(Hinxton Hall, UK; http://www.ebi.ac.uk/ebi_home.html)を用いた。例えば、検索プログラム“FASTA3”、“Blast2”および“Blitz”を用いた。
【0315】
実施例19:再構成実験
a)プロトコル
精製リコンビナントカニューレサブユニットを用いる再構成実験を1.5mLのERVで実施した。バッチ容積は50μLであった。新しく溶融した精製タンパク質の部分標本(CanA:1.3mg/mL;CanB:1.1mg/mL;CanC:2.0mg/mL)を用いた。種々の塩濃度を適切な塩化物の1Mストック溶液を添加することによって調節した。通常は20mMの塩を添加した。それぞれのpH値はHClまたはNaOHを用いて調節した。続いてpH値をpHインジケーター棒(Merck, Darmstadt)を用いて概算した。
4℃から100℃の間の多様な温度下での実験を実施した。バッチが未成熟なままに蒸発するのを防ぐために、鉱物油でバッチを覆った。再構成バッチは2時間から14日間インキュベートし、電子顕微鏡でリコンビナントカニューレについて毎日チェックした。標準的なインキュベーション時間は2日であった。
30℃のスタンダードバッチ(pH6.0):
Figure 2004523219
【0316】
b)評価
再構成バッチの各々から8μLをピペットでカーボンシート(400メッシュ、Taab, Berkshire, UK)付き雲母被覆銅ネット(Plasma Cleaner PDC−3XG, Harrick Sci. Co., Ossinining, N.Y., USA)に移した。15秒の吸収時間経過後に、前記分散液を底からろ紙で吸い取った。二度蒸留水の1滴で洗浄した後、前記グリッドを3%酢酸ウラニル溶液の1滴で被覆した。さらに45秒たってから、コントラスト剤の酢酸ウラニルをろ紙で除去した。続いて前記調製物を透過型電子顕微鏡(Philips CM12, Philips, Eindhoven, NL)で調べた。
【0317】
c)安定性実験
CanAの重合カニューレを耐熱性について種々の条件下で調べた。リコンビナントカニューレの安定性実験は、SME1/2または標準的重合緩衝液中で実施した。圧依存性を調べるために、5バールの過剰圧を、記載がある場合には室温でNで調節した。バッチは、グリセロール浴(F6−B5モデル、Haake, Karlsruhe)に沈めるか、または高温空気インキュベーター(Heraeus, Hanau)でインキュベートした。
使用緩衝液:
以下の溶液をリコンビナントサブユニットの重合後の実験のために確立した。
−標準重合緩衝液:50mMトリス/HCl(pH6.0)、80mMのNaCl、9%グリセロール、20mMのCaCl、20mMのMgCl
−SME1/2:標準重合緩衝液で1:100に希釈したSME培養基(実施例6参照)。
【0318】
インキュベーションの後、希釈バッチを遠心分離(20000rpm、JA21ローター、15分)によって採集した。ペレットに10μLの標準重合緩衝液を吸収させ、これで銅ネットを覆った(実施例24.b参照)。
インキュベーション容器:
−非加圧インキュベーション時は、パッキングリングの付いた1.5mLのねじぶたエッペンドルフ反応容器。
−加圧インキュベーション(RT:5バールN)時は、ゴム栓をしさらにアルミキャップで堅く閉じた、端を丸めたガラス容器。
ERV中のバッチを高温(100−130℃)のグリセロールに直接浸漬し(60分)、続いて氷上で冷却した。端が丸められた容器中のバッチは高温空気インキュベータ(90−140℃、75または95分)にじかに置いた。高温グリセロールに浸漬(60分)する場合は、バッチは100℃で1分予備インキュベート(グリセロール)した。
【0319】
実施例20:本発明のポリマーの製造
a)リコンビナント大腸菌の300Lファーメンター培養
発現プラスミドpEX−CAN−A(実施例20に記載した方法を用いて配列番号1と実質的に同一の配列をベクターpET17bに結合させて作製)を保有するリコンビナント大腸菌BL21(DE3)の300L培養を、HTE−ファーメンター(Bioengineering, Wald, Switzerland)で37℃で好気的に(165L空気/分)攪拌しながら(400rpm)、約40分のダブリングタイムで増殖させた。OD(600nm)が0.80のときに、CanAタンパク質の産生を30グラムのIPTGを添加して誘発した。誘発後3時間でさらに4℃に冷却した後で細胞を採集した。細胞収量:1610グラム(湿潤重量)。
【0320】
b)ポリマーの製造
i.フレンチプレス
リコンビナント大腸菌の250g凍結細胞塊(−60℃で保存)を600mLの緩衝液(トリス−HCl50mM(pH7.5)、80mMNaClおよび9%(v/v)グリセロールを含む)に懸濁させた。最終容積:900mL。細胞をフレンチプレス(Amico)で破壊した(約1.4×10Pa(20000psi)で2回)。ウルトラターラックス(Ultraturrax)ブレンダーを用いてDNAをせん断し、さらに400mLの新たな緩衝液を添加することによって溶液の粘度を下げた。
ii.遠心分離
遠心分離(Sorvall SS34ローター;1900rpm、15分)によって粒子を除去し、清澄な上清を得た(“粗抽出物”と称する)。
【0321】
iii.加熱沈澱
易熱性タンパク質を沈殿させるために、前記粗抽出物を100℃で1分加熱した。例えば、100℃の熱水−グリセロール浴(水:グリセロール=1:1)に浸漬させた75cmの長さのプラスチックホース(内径5mm)を通して粗抽出物(1200mL)をポンプで押出した(4.75mL/分)。前記プラスチックホースの出口末端は氷浴を通過し、ホース内の溶液が最終的にエーレンマイヤーフラスコを用いて採集される前に前記溶液を冷却した。
iv遠心分離
熱処理した粗抽出物をソーバル(Sorvall)ローターGSAで9000rpmで25分遠心分離した。
【0322】
v.硫安沈澱
清澄な上清(840mL)に100%飽和の硫酸アンモニウム溶液(452mL)を4℃で添加した(最終硫酸アンモニウム濃度:35%飽和)。4℃で2時間後、遠心分離(SorvallローターGSA;13000rpm、1時間)で沈殿物を採集した。続いて前記沈殿物を緩衝溶液で可溶化させ(最終体積171mL;12.35mgタンパク質/mL;総タンパク質2112mg)、タンパク質溶液を形成した。最後に、前記タンパク質溶液を別の緩衝溶液に対してラピッドダイアリーシス(Rapid Dialysis)によって、その伝導率が前記緩衝液のそれと同じになるまで透析した(3時間)。
【0323】
vi.重合
前記透析タンパク質溶液を緩衝液の添加によって、最終タンパク質濃度6.5mg/mL(最終体積325mL)に希釈した。続いて、1Lのエーレンマイヤーフラスコ中で100℃(水浴中)で振盪しながら、前記希釈タンパク質溶液を80℃に迅速に加熱し、直ちに500mLのねじぶた保存ビンに移した。前記保存ビンは3.32mL(21.58mgのタンパク質)の“ポリマープライマー”を含んでいた(“ポリマープライマー”は、予め作製したポリマー懸濁物に4回フレンチプレスせん断を実施して以前に調製しておいた)。続いて、CaClおよびMgClを前記混合物に添加し(各々最終濃度20mM)、ふたを閉めたビンを60℃の水浴中に保存した。前記の塩を添加した後、溶液は直ちに濁り、タンパク質単位の急速な重合を示唆した。10分間重合させた後、溶液にウルトラターラックス処理(ultraturraxing)を20秒実施して、形成されたポリマー繊維をせん断し、さらに新たなポリマープライマーを生成させて重合を加速させた。微量のシリコーン発泡防止剤をウルトラターラックス処理の前に添加して発泡を減少させた。典型的には、80℃で重合10分後に、ポリマーまたはポリマー繊維が電子顕微鏡下で観察することができた。1時間から2時間の重合後に、タンパク質ポリマーは遠心分離(SorvallローターSS34;20000rpm、15分)によって溶液から完全に除去することができ、完全な重合を示唆した。
ポリマー収量:250グラム(湿潤重量)の大腸菌から2.1グラム(タンパク質)(約1gのポリマー(乾燥重量)/119gの大腸菌)。
【0324】
vii.保存
湿潤:10mMのアジ化ナトリウム含有緩衝液中で4℃で。
乾燥:ポリマーを1/10希釈の緩衝液で洗浄し、続いて遠心分離した後、ポリマーを凍結乾燥する。
c)ポリマー繊維のタンパク質
ポリマーは短繊維の形状を有するであろう。したがってポリマーは“ポリマー繊維”と称される。ポリマー繊維はモノマータンパク質ユニットから形成される(例えばCanA:182アミノ酸:MW=19830ダルトン、配列番号2の配列を有する)。前記タンパク質の二次構造は主にβ−シートであろう。
【0325】
ポリマーのタンパク質サブユニットは右回りまたは左回りの2本鎖らせんとして配置されている。時に、3本の手をもつらせんから形成されたポリマー繊維を観察することがあるだろう。ポリマーの周期性(1つのらせんの回転から次のらせんまでの距離)は4.4nmである。ポリマーは固有の四次構造を有する。今日まで類似のタンパク質複合体は原核細胞および真核細胞で知られていない。ポリマー繊維は外径25nmおよび内径21nm(懸濁液で)を有する。電子顕微鏡下では、乾燥した陰性染色ポリマー繊維は、崩壊のために32nmの外径を示した。ポリマー繊維の長さはほとんど3から5マイクロメートルである。ポリマー繊維のいくつかは10から25マイクロメートルの長さに達することがある。
ポリマー繊維は数十または数百のポリマー繊維の束を形成することができ、全体の径は100から500nmを有するであろう。時には、繊維の束は全体の径が4000nmに達することがある。ポリマー繊維は少なくとも128℃までは安定である。
【0326】
実施例21:脂質被覆ドラッグデリバリー複合体の調製
3mg/mLのモノマータンパク質ユニット(例えばCanA:182アミノ酸:MW=19830ダルトン、配列番号2の配列を有する)を含む溶液に、所望量の薬剤分子および十分量の電気的に中性の脂質、ミリモル濃度のカルシウムおよびマグネシウム陽イオンを添加して混合物を形成する。前記混合物をリポソームが形成されるまで十分な時間周囲条件下で保持する。その後、ゲルろ過クロマトグラフィーを前記混合物について実施し、混合物中に含まれるリポソームをサイズ分画する。続いて所望のリポソーム分画をミリモル濃度のカルシウムおよびマグネシウム陽イオンの存在下で50℃に加熱し、各リポソーム内のモノマーポリペプチドユニットの重合を開始させる。前記重合反応はリポソームの激しい変形をもたらし、薬剤分子を含む堅く閉じた脂質微小管を生成する。
前述の実施例は例示および説明のために提供され、いかなる意味でも本発明の制限と解してはならない。本発明の範囲は添付の請求の範囲によって決定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明で有用な自己集合タンパク質ポリマーの実施態様の1つの透過型電子顕微鏡写真を示す。
【図2】
図2は、本発明のナノスケールデリバリー担体に薬剤を被包化する方法の実施態様の1つを示す略図である。
【図3】
図3Aは、本発明の脂質、モノマーポリペプチドユニットおよび薬剤分子を含む溶液を示す略図である。
図3Bは、本発明のモノマーポリペプチドユニットおよび薬剤分子を被包化したリポソームを示す略図である。
図3Cは、本発明の被包化された薬剤組成物を示す略図である。
【図4】
図4は、本発明の耐熱性ポリペプチドを酵素と融合させて本発明の耐熱性酵素を生成する方法を示す略図である。

Claims (112)

  1. 多数のポリペプチドの自己集合によって生成されるポリマー性被包化媒体および前記ポリマー性被包化媒体中に被包化された少なくとも1つの薬剤を含むドラッグデリバリーシステム。
  2. さらに向標的ベクターを含む請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
  3. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも50%の相同性を有する請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
  4. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも60%の相同性を有する請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
  5. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも70%の相同性を有する請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
  6. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも80%の相同性を有する請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
  7. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも90%の相同性を有する請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
  8. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも95%の相同性を有する請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
  9. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドの少なくとも10個の連続したアミノ酸を含む請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
  10. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも50%の相同性を有する請求項9に記載のドラッグデリバリーシステム。
  11. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも60%の相同性を有する請求項9に記載のドラッグデリバリーシステム。
  12. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも70%の相同性を有する請求項9に記載のドラッグデリバリーシステム。
  13. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも80%の相同性を有する請求項9に記載のドラッグデリバリーシステム。
  14. 前記多数のポリペプチドの各々が、配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも90%の相同性を有する請求項9に記載のドラッグデリバリーシステム。
  15. 前記多数のポリペプチドの各々が以下から成る群から選択される配列を含む核酸によってコードされる請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム:
    配列番号:1、3、5、7および9;
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種;
    配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列;
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列;並びに
    低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸。
  16. 前記多数のポリペプチドの各々が、第二の核酸と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする第一の核酸によってコードされる請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  17. 前記多数のポリペプチドの各々が、第二の核酸と中等度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする第一の核酸によってコードされる請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  18. 前記多数のポリペプチドの各々が、第二の核酸と低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする第一の核酸によってコードされる請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  19. 前記変種が、配列番号:1、3、5、7および9の少なくとも1つと少なくとも約200残基の領域にわたって少なくとも約50%の相同性を有する請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  20. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7および9の少なくとも1つとその全配列にわたって少なくとも50%の相同性を有する配列を含む請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  21. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7および9の少なくとも1つとその全配列にわたって少なくとも60%の相同性を有する配列を含む請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  22. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7および9の少なくとも1つとその全配列にわたって少なくとも70%の相同性を有する配列を含む請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  23. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7および9の少なくとも1つとその全配列にわたって少なくとも80%の相同性を有する配列を含む請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  24. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7および9の少なくとも1つとその全配列にわたって少なくとも90%の相同性を有する配列を含む請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  25. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7、9から成る群から選択される配列を含む請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
  26. 前記核酸が、以下から成る群から選択される配列の少なくとも10個の連続した塩基を含む請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム:
    配列番号:1、3、5、7および9;
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種;
    配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列;
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列;並びに
    低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸。
  27. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7および9から成る群から選択される配列を含む核酸と少なくとも60%の相同性を有する配列を含む請求項26に記載のドラッグデリバリーシステム。
  28. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7および9から成る群から選択される配列を含む核酸と少なくとも70%の相同性を有する配列を含む請求項26に記載のドラッグデリバリーシステム。
  29. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7および9から成る群から選択される配列を含む核酸と少なくとも80%の相同性を有する配列を含む請求項26に記載のドラッグデリバリーシステム。
  30. 前記核酸が、配列番号:1、3、5、7および9から成る群から選択される配列を含む核酸と少なくとも90%の相同性を有する配列を含む請求項26に記載のドラッグデリバリーシステム。
  31. 以下の工程を含む自己集合によってポリペプチドポリマーを製造する方法:
    二価陽イオンの存在下で自己集合することができる多数のポリペプチドを提供し;さらに
    前記ポリペプチドを二価陽イオンおよび鋳型分子の存在下で重合させる。
  32. 前記ポリペプチドが以下から成る群から選択される配列を有する請求項31に記載の方法:
    配列番号:2、4、6、8および10、並びに
    配列番号:2、4、6、8および10から選択される配列と配列比較アルゴリズムまたは目測による分析によって決定したとき少なくとも50%の相同性を有する配列。
  33. 前記ポリペプチドが以下から成る群から選択される配列を含む核酸によってコードされる請求項31に記載の方法:
    配列番号:1、3、5、7および9;
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種;
    配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列;
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列;並びに
    低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸。
  34. 多数のポリペプチドを提供する前記工程がさらに以下の工程を含む請求項31に記載の方法:
    前記ポリペプチドをコードする核酸を結合させたベクターを調製し;
    前記ベクターをホスト細胞に挿入し;
    適切な培養で前記ホスト細胞を増殖させて核酸を発現させ、前記ポリペプチドを生成し;さらに
    前記生成されたポリペプチドを前記ホスト細胞から単離する。
  35. 前記ポリペプチドを重合させる工程がさらに、前記多数のポリペプチドを溶液中に溶解させ;さらに鋳型分子およびアルカリ土類金属イオンを前記溶液に加えることを含む請求項31に記載の方法。
  36. 前記ベクターがプラスミドpEX−CAN−Aを含む請求項34に記載の方法。
  37. 前記ホスト細胞が、大腸菌(E. coli)BL21(DE3)およびシュードモナスから成る群から選択されるホスト細胞を含む請求項36に記載の方法。
  38. ヒトまたは動物の身体に請求項1に記載のドラッグデリバリーシステムを投与する工程を含む、ヒトまたは動物の身体のある場所に薬剤を輸送する方法。
  39. さらに、ヒトまたは動物の身体の前記場所で前記デリバリー系から薬剤を放出する工程を含む請求項38に記載の方法。
  40. さらに以下の工程を含む請求項38に記載の方法:
    前記多数のポリペプチドおよび薬剤を溶液に溶解させ;さらに
    前記薬剤の存在下で前記多数のポリペプチドを重合させてポリマー中に前記薬剤を被包化し、ドラッグデリバリーシステムを生成する。
  41. 以下の工程を含む分子を被包化する方法:
    配列番号:2、4、6、8および10、並びに配列番号:2、4、6、8および10から選択される配列と配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも50%の相同性を有する配列から成る群から選択される配列を有する多数のポリペプチドの溶液を提供し;さらに
    前記分子の存在下で前記多数のポリペプチドを重合させて前記分子を前記ポリマー内に被包化する。
  42. 前記ポリペプチドの少なくとも1つが向標的ベクターを含む請求項41に記載の方法。
  43. 以下の工程を含む分子を被包化する方法:
    多数のポリペプチドの溶液を提供し、ここで各ポリペプチドは以下から成る群から選択される配列を含む核酸によってコードされ、
    配列番号:1、3、5、7および9、
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種、
    配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列、
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列、並びに
    低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸;さらに、
    前記分子の存在下で前記多数のポリペプチドを重合させて前記分子を前記ポリマー中に被包化する。
  44. 前記ポリペプチドの少なくとも1つが向標的ベクターを含む請求項43に記載の方法。
  45. 以下の工程を含む変種を生成する方法:
    以下から成る群から選択される配列を含む核酸を入手し、
    配列番号:1、3、5、7および9、
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種、
    配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列、
    配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列、
    低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸、並びに
    前述の配列のいずれかの少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含むフラグメント;さらに、
    前記配列中の1つまたは2つ以上のヌクレオチドの別のヌクレオチドへの改変、前記配列中の1つまたは2つ以上のヌクレオチドの欠失、および1つまたは2つ以上のヌクレオチドの前記配列への付加から成る群から選択される1つまたは2つ以上の工程によって前記配列を改変する。
  46. 前記改変が、エラー多発PCR、シャッフリング、オリゴヌクレオチド誘導突然変異誘発、アッセンブリーPCR、セクシュアルPCR突然変異誘発、in vivo突然変異誘発、カセット突然変異誘発、反復アンサンブル突然変異誘発、指数関数的アンサンブル突然変異誘発、位置特異的突然変異誘発、遺伝子再アッセンブリー、遺伝子位置飽和突然変異誘発および前記の任意の組み合わせから成る群から選択される方法によって導入される請求項45の方法。
  47. 前記改変がエラー多発PCRによって導入される請求項46の方法。
  48. 前記改変がシャッフリングによって導入される請求項46の方法。
  49. 前記改変がオリゴヌクレオチド誘導突然変異誘発によって導入される請求項46の方法。
  50. 前記改変がアッセンブリーPCRによって導入される請求項46の方法。
  51. 前記改変がセクシュアルPCR突然変異誘発によって導入される請求項46の方法。
  52. 前記改変がin vivo突然変異誘発によって導入される請求項46の方法。
  53. 前記改変がカセット突然変異誘発によって導入される請求項46の方法。
  54. 前記改変が反復アンサンブル突然変異誘発によって導入される請求項46の方法。
  55. 前記改変が指数関数的アンサンブル突然変異誘発によって導入される請求項46の方法。
  56. 前記改変が位置特異的突然変異誘発によって導入される請求項46の方法。
  57. 前記改変が遺伝子再アッセンブリーによって導入される請求項46の方法。
  58. 前記改変が遺伝子位置飽和突然変異誘発によって導入される請求項46の方法。
  59. 少なくとも1つの改変が前記ポリヌクレオチドのコドンに実施される請求項46の方法。
  60. 配列番号:1、3、5、7および9、並びに、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する配列のフラグメントによってコードされる機能的ポリペプチドフラグメントまたは変種であって、前記フラグメントまたは変種が、配列番号:2,4,6,8および10、並びに配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:2、4、6、8および10と少なくとも約50%の相同性を有する配列のポリペプチドの少なくとも1つの特性を保持する前記機能的ポリペプチドフラグメントまたは変種を特定する以下の工程を含むアッセイ:
    配列番号:2、4、6、8および10;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:2、4、6、8および10と少なくとも約50%の相同性を有する配列;配列番号:1、3、5、7および9、配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する配列、前述の配列のいずれかと相補的な配列によってコードされるポリペプチドフラグメントまたは変種から成る群から選択される配列を有する多数のポリペプチドの溶液を、鋳型分子およびアルカリ土類金属イオンを含む溶液中で提供し:さらに
    前記溶液中のポリマーの存在を検出する。
  61. 前記溶液でポリマーの存在を検出する前記工程が、HPLC、GPC、および光散乱から選択される方法を用いて溶液を分析することによって実施される請求項60に記載のアッセイ。
  62. 以下を含むポリペプチド:
    配列番号:2、4、6、8および10、並びに配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき配列番号:2、4、6、8および10から選択される配列と少なくとも50%の相同性を有する配列から成る群から選択される配列;および
    抗体、オリゴ糖、ポリヌクレオチドおよびポリエチレングリコールから成る群から選択される少なくとも1つの官能基。
  63. 前記少なくとも1つの官能基がポリヌクレオチドを含む請求項62に記載のポリペプチド。
  64. 前記側鎖基がポリエチレングリコールを含む請求項62に記載のポリペプチド。
  65. 前記少なくとも1つの官能基がオリゴ糖を含む請求項62に記載のポリペプチド。
  66. 前記側鎖基が抗体を含む請求項62に記載のポリペプチド。
  67. 以下を含むポリペプチド:
    配列番号:1、3、5、7および9;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種;配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列;並びに低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸から成る群から選択される配列によってコードされるアミノ酸配列;並びに
    抗体、オリゴ糖、ポリヌクレオチドおよびポリエチレングリコールから成る群から選択される少なくとも1つの官能基。
  68. 前記少なくとも1つの官能基がポリヌクレオチドを含む請求項67に記載のポリペプチド。
  69. 前記少なくとも1つの官能基がポリエチレングリコールを含む請求項67に記載のポリペプチド。
  70. 前記少なくとも1つの官能基がオリゴ糖を含む請求項67に記載のポリペプチド。
  71. 前記少なくとも1つの官能基が抗体を含む請求項67に記載のポリペプチド。
  72. 長さが約10から50ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを含み、さらに配列番号:1、3、5、7および9から成る群から選択される核酸配列の核酸標的領域と少なくとも50%相補性である少なくとも10個の連続したヌクレオチドのセグメントを有する核酸プローブであって、中等度から高度にストリンジェントな条件下で前記核酸標的領域とハイブリダイズして検出可能な標的:プローブデュープレックスを生成する前記核酸プローブ。
  73. 前記オリゴヌクレオチドがDNAである請求項72のプローブ。
  74. 前記核酸標的領域と少なくとも60%相補性である請求項73のプローブ。
  75. 前記核酸標的領域と少なくとも70%相補性である請求項72のプローブ。
  76. 前記核酸標的領域と少なくとも80%相補性である請求項72のプローブ。
  77. 前記核酸標的領域と少なくとも90%相補性である請求項72のプローブ。
  78. 前記核酸標的領域と完全に相補性である請求項72のプローブ。
  79. 前記オリゴヌクレオチドが15から50塩基の長さである請求項72のプローブ。
  80. 前記プローブがさらに検出可能な同位元素標識を含む請求項72のプローブ。
  81. 前記プローブが、蛍光分子、化学発光分子、酵素、補助因子、酵素基質およびハプテンから成る群から選択される検出可能な非同位元素標識をさらに含む請求項72のプローブ。
  82. 長さが約15から50ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを含み、さらに配列番号:1、3、5、7および9から成る群から選択される核酸配列の核酸標的領域と少なくとも90%相補性である少なくとも15個の連続したヌクレオチドのセグメントを有する核酸プローブであって、中等度から高度にストリンジェントな条件下で前記核酸標的領域とハイブリダイズして検出可能な標的:プローブデュープレックスを生成する前記核酸プローブ。
  83. 前記オリゴヌクレオチドが、前記核酸配列の核酸標的領域と少なくとも95%相補性である請求項82に記載の核酸プローブ。
  84. 前記オリゴヌクレオチドが、前記核酸配列の核酸標的領域と少なくとも97%相補性である請求項82に記載の核酸プローブ。
  85. その各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき少なくとも50%の相同性を有する、多数のポリペプチドの自己集合によって生成されるポリマーを含む分離剤。
  86. 前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも60%の相同性を有する請求項85に記載の分離剤。
  87. 前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも70%の相同性を有する請求項85に記載の分離剤。
  88. 前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも80%の相同性を有する請求項85に記載の分離剤。
  89. 前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有する請求項85に記載の分離剤。
  90. 前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドである請求項85に記載の分離剤。
  91. 以下の工程を含む混合物からキラル化合物を単離する方法:
    請求項85に記載のポリマー性分離剤を提供し;さらに
    キラル化合物を含む混合物を前記樹脂を通して溶出させ、前記キラル化合物を前記混合物中の残りの物質から分離させる。
  92. 多数のポリペプチドの自己集合によって生成されるポリマーを含む繊維。
  93. 前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも50%の相同性を有する請求項92に記載の繊維。
  94. 多数のポリペプチドの自己集合によって生成されるポリマーを含む滑沢剤であって、前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも50%の相同性を有する前記滑沢剤。
  95. 多数のポリペプチドの自己集合によって生成されるポリマーを含むコーティング組成物であって、前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも50%の相同性を有する前記コーティング組成物。
  96. 多数のポリペプチドの自己集合によって生成されるポリマーを含むバイオチップであって、前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも50%の相同性を有する前記バイオチップ。
  97. 多数のポリペプチドの自己集合によって生成されるポリマーを含む極小機械成分であって、前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも50%の相同性を有する前記極小機械成分。
  98. 多数のポリペプチドの自己集合によって生成されるポリマーを含む光スイッチであって、前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも60%の相同性を有する前記光スイッチ。
  99. 多数のポリペプチドの自己集合によって生成されるポリマーを含む光導波管であって、前記多数のポリペプチドの各々が配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列を有するポリペプチドと少なくとも50%の相同性を有する前記光導波管。
  100. 以下から成る群から選択される核酸配列が保存されてあるコンピュータ読出し可能媒体:
    配列番号:1、3、5、7および9;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種;配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列;並びに低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸。
  101. プロセッサおよびデータ保存装置を含むコンピュータシステムであって、前記データ保存装置に以下から成る群から選択される核酸配列が保存されてある前記コンピュータシステム:
    配列番号:1、3、5、7および9;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種;配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列;並びに低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸。
  102. さらに配列比較アルゴリズムおよび、少なくとも1つのリファレンス配列が保存されてあるデータ保存装置を含む請求項101のコンピュータシステム。
  103. 前記配列比較アルゴリズムが多形性を表示するコンピュータプログラムを含む請求項101のコンピュータシステム。
  104. さらに前記配列中の1つまたは2つ以上の特色を識別する識別子を含む請求項101のコンピュータシステム。
  105. 以下の工程を含む第一の配列と第二の配列を比較する方法:
    配列比較コンピュータプログラムを使用して前記第一の配列および第二の配列を読み取り;さらに
    前記第一の配列と前記第二の配列との間の相違を前記コンピュータプログラムを用いて決定するが、
    ここで前記第一の配列は、配列番号:1、3、5、7および9;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種;配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列;並びに低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸から成る群から選択される核酸配列である。
  106. 前記第一の配列と第二の配列間の相違を決定する工程が、さらに多形性を識別する工程を含む請求項105の方法。
  107. 以下の工程を含む個々の配列の特色を識別する方法:
    配列内の1つまたは2つ以上の特色を識別するコンピュータプログラムを使用して前記個々の配列を読み取り;さらに
    前記個々の配列の1つまたは2つ以上の特色を前記コンピュータプログラムを用いて識別するが、
    ここで前記個々の配列は、配列番号:1、3、5、7および9;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種;配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列;並びに低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸から成る群から選択される。
  108. 配列番号:2、4、6、8および10;配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列と配列比較アルゴリズムによる分析で決定したとき少なくとも約50%の相同性を有する配列;並びに配列番号:2、4、6、8および10から成る群から選択される配列の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を有する配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むタンパク質調製物。
  109. 配列番号:1、3、5、7および9;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種;配列番号:1、3、5、7および9と相補的な配列;配列比較アルゴリズムまたは目測による分析で決定したとき、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号:1、3、5、7および9と少なくとも約50%の相同性を有する変種と相補的な配列;並びに低、中等度および高ストリンジェンシー条件下で前述の配列のいずれかを有する核酸とハイブリダイズする単離核酸から成る群から選択される配列を有するポリヌクレオチドを含む、ホスト細胞で複製することができる発現ベクター。
  110. 前記ベクターが、ウイルスベクター、プラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミド、フォスミド、バクテリオファージ、人造染色体、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびアデノ付随ウイルスベクターから成る群から選択される請求項109に記載の発現ベクター。
  111. 請求項109に記載の発現ベクターを含むホスト細胞。
  112. 前記ホストが、原核細胞、真核細胞、真菌、酵母菌、植物および代謝機能が高いホストから成る群から選択される請求項111に記載のホスト細胞。
JP2002546685A 2000-11-30 2001-11-30 タンパク質ポリマーの製造方法および前記ポリマーの使用 Pending JP2004523219A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US25042600P 2000-11-30 2000-11-30
PCT/US2001/045001 WO2002044336A2 (en) 2000-11-30 2001-11-30 Method of making a protein polymer and uses of the polymer

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004523219A true JP2004523219A (ja) 2004-08-05
JP2004523219A5 JP2004523219A5 (ja) 2005-12-22

Family

ID=22947694

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002546685A Pending JP2004523219A (ja) 2000-11-30 2001-11-30 タンパク質ポリマーの製造方法および前記ポリマーの使用

Country Status (6)

Country Link
US (2) US7459172B2 (ja)
EP (1) EP1347770A4 (ja)
JP (1) JP2004523219A (ja)
AU (1) AU2002227064A1 (ja)
CA (1) CA2430559A1 (ja)
WO (1) WO2002044336A2 (ja)

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7168605B2 (en) * 2001-09-18 2007-01-30 Boston Scientific Scimed, Inc. Microtubes for therapeutic delivery
EP1492879A4 (en) * 2002-02-15 2005-10-19 Diversa Corp CHIMERIC CANNULAE PROTEINS, THESE CODING NUCLEIC ACIDS, AND METHOD FOR THE PRODUCTION AND USE THEREOF
FR2853657B1 (fr) 2003-04-10 2005-06-24 Centre Nat Rech Scient Macromolecules auto assemblees et photopolymerisees autour de nanotubes de carbone, un procede pour leur preparation, et leurs applications
WO2005003319A2 (en) 2003-07-02 2005-01-13 Diversa Corporation Glucanases, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
WO2005021714A2 (en) 2003-08-11 2005-03-10 Diversa Corporation Laccases, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
WO2005094543A2 (en) * 2004-03-24 2005-10-13 Diversa Corporation Chimeric cannulae proteins, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
BRPI0510939A (pt) 2004-06-16 2007-07-17 Diversa Corp composições e métodos para descoloração enzimática de clorofila
US20080070291A1 (en) 2004-06-16 2008-03-20 David Lam Compositions and Methods for Enzymatic Decolorization of Chlorophyll
EP2886658A1 (en) 2005-03-10 2015-06-24 BASF Enzymes LLC Lyase enzymes, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
EP1861506B1 (en) 2005-03-15 2015-04-15 BP Corporation North America Inc. Cellulases, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
US20060286047A1 (en) * 2005-06-21 2006-12-21 Lowe David J Methods for determining the sequence of a peptide motif having affinity for a substrate
US20070191766A1 (en) * 2006-02-10 2007-08-16 Boston Scientific Scimed, Inc. Balloon catheter having nanotubes
AU2006338208B2 (en) 2006-02-10 2013-10-24 Bp Corporation North America Inc. Cellulolytic enzymes, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
EP2548955A1 (en) 2006-02-14 2013-01-23 Verenium Corporation Xylanases, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
AU2007223086B2 (en) 2006-03-07 2013-09-26 Basf Enzymes Llc Aldolases, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
JP5441417B2 (ja) 2006-03-07 2014-03-12 カーギル・インコーポレイテッド アルドース、それをコードする核酸、ならびにそれを生成および使用する方法
WO2009020459A2 (en) 2006-08-04 2009-02-12 Verenium Corporation Glucanases, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
CA2674721C (en) 2007-01-30 2018-04-03 Verenium Corporation Enzymes for the treatment of lignocellulosics, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
NZ601191A (en) 2007-10-03 2014-01-31 Verenium Corp Xylanases, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
CN101965397B (zh) 2008-01-03 2016-09-28 巴斯夫酶有限责任公司 转移酶和氧化还原酶、编码它们的核酸以及其制备和应用方法
CN111229188B (zh) * 2018-11-28 2022-03-29 天津大学 糖肽类抗生素功能化磁性复合材料及其制备方法和应用
CN111450411B (zh) * 2020-04-09 2023-07-25 国家纳米科学中心 一种复合神经电极及其制备方法
CN113456896B (zh) * 2021-05-20 2022-11-11 宁波市医疗中心李惠利医院 一种掺杂硒元素的二氧化钛纳米管阵列骨科抗肿瘤植入物

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5712366A (en) * 1993-05-25 1998-01-27 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Army Fabrication of nanoscale materials using self-assembling proteins
US5955343A (en) * 1992-12-28 1999-09-21 Massachusetts Institute Of Technology Stable macroscopic membranes formed by self-assembly of amphiphilic peptides and uses therefor
WO2000040962A1 (en) * 1998-12-30 2000-07-13 Kosak Ken M Cyclodextrin polymers for use as drug carriers

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5629020A (en) * 1994-04-22 1997-05-13 Emisphere Technologies, Inc. Modified amino acids for drug delivery
CA2188647A1 (en) * 1994-05-02 1995-11-09 Stewart Anthony Cederholm-Williams Recombinant fibrin chains, fibrin and fibrin-homologs
US5851536A (en) * 1995-11-22 1998-12-22 University Of Washington Therapeutic delivery using compounds self-assembled into high axial ratio microstructures
CN1245960C (zh) * 2000-05-26 2006-03-22 高田宽治 具有3层结构的非口服用制剂

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5955343A (en) * 1992-12-28 1999-09-21 Massachusetts Institute Of Technology Stable macroscopic membranes formed by self-assembly of amphiphilic peptides and uses therefor
US5712366A (en) * 1993-05-25 1998-01-27 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Army Fabrication of nanoscale materials using self-assembling proteins
WO2000040962A1 (en) * 1998-12-30 2000-07-13 Kosak Ken M Cyclodextrin polymers for use as drug carriers

Also Published As

Publication number Publication date
WO2002044336A2 (en) 2002-06-06
CA2430559A1 (en) 2002-06-06
US20030198681A1 (en) 2003-10-23
AU2002227064A1 (en) 2002-06-11
WO2002044336B1 (en) 2003-10-23
US20100172968A1 (en) 2010-07-08
EP1347770A2 (en) 2003-10-01
EP1347770A4 (en) 2005-10-19
US7459172B2 (en) 2008-12-02
WO2002044336A3 (en) 2003-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100172968A1 (en) Chimeric cannulae proteins and methods for making and using them
JP4699662B2 (ja) 定方向進化における合成ライゲーション再集合
US6794127B1 (en) Capillary array-based sample screening
RU2157851C2 (ru) Мутагенез днк за счет неупорядоченной фрагментации и вторичной сборки
CA2329122A1 (en) Exonuclease-mediated nucleic acid reassembly in directed evolution
JP2004532038A (ja) 新規抗原結合分子の治療、診断、予防、酵素、産業ならびに農業各分野への応用とそのための新規抗原結合分子の作製とスクリーニングの方法
JP2004187694A (ja) 反復的選択および組換えにより所望の特徴を有するポリヌクレオチドを作製する方法
JP2002537836A (ja) 定方向進化におけるエンドセレクション
WO2002072152A1 (fr) Supports de gene mettant en oeuvre un polysaccharide et leur procede de production
US20010041333A1 (en) High throughput screening for a bioactivity or biomolecule
AU1796101A (en) Capillary array-based sample screening
AU782529C (en) Sequence based screening
AU2008201182A1 (en) Method of making a protein polymer and uses of the polymer
US20030077620A1 (en) High throughput screening for sequences of interest
JP2004524811A (ja) 有機体の混合集団の組み合わせスクリーニング
Pandey Dual Functional Carbon Quantum Dots: Novel Tools for DNA Delivery in Bacterial Transformation and as Antimicrobial Agents Against Gram-Negative Bacteria
Enlund Viral block co-capsid coating for DNA origami
Isbilir Structural Characterization of Higher Order Complex Formation in Conjugative Transposition of an Antibiotic Resistance Carrying Mobile Genetic Element
Hürtgen Towards Synthetic Life: Establishing a Minimal Segrosome for the Rational Design of Biomimetic Systems
KR20130075324A (ko) 유전적으로 변형된 박테리오파아지를 이용한 파아지 자가 조립 구성물, 그 형성 방법 및 그 구성물을 활용한 신소재
Sagredo de Pedro Relaxase engineering for multiprotein assembly on DNA nanostructures
Class et al. Patent application title: SYNTHETIC LIGATION REASSEMBLY IN DIRECTED EVOLUTION Inventors: Jay M. Short (Del Mar, CA, US)
Marner II Design, production, and characterization of artificial protein-and silica-based biomaterials
Holtzman et al. Check for updates
Powell METHODS FOR THE CLONING OF THE

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041130

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080623

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080924

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20081001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091112

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100428