JP2004523194A - 永久磁石によって磁界が与えられる、高速電動機のためのローターを製造する方法 - Google Patents

永久磁石によって磁界が与えられる、高速電動機のためのローターを製造する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、永久磁石によって磁界が与えられる、高速電動機のためのローターを製造する方法であって、支持スリーブ(1)がローター本体(2)のまわりに元張力によって取り付けられる方法において、前記スリーブが、凝固する液体であってかつローターの運転温度において固体になる液体によって膨張させられ、前記液体が、圧力下でスリーブとローター本体との間に注入され、凝固中、圧力下に保たれる、ことを特徴とする方法に関する。

Description

【0001】
本発明は、永久磁石によって磁界が与えられる、高速電動機のためのローターを製造する方法であって、支持スリーブがローター本体のまわりに元張力(pre−tension)によって取り付けられる方法に関する。
【0002】
ここで“高速”電動機というのは、ローターの破壊,より詳しく言えば、非常に小さな引張強さしか有しない磁石の破壊を避けるために、支持スリーブを必要とする最大速度を有する電動機のことである。
【0003】
実際には、磁石は、大部分の場合、50〜70kPaの力に耐えることができるが、高速電動機の場合、最大速度においては、100kPaよりも大きな引張り力が加わりうる。
【0004】
永久磁石高速ローターの場合、磁石がローターにしっかり取り付けられた状態に保たれ、ローターのすべての運転速度と温度とにおいて、磁石が圧縮力の下に維持されるようにするために、支持スリーブも必要である。
【0005】
そのような状態を実現するためには、支持スリーブを指定される最小締め代でローターに取り付けなければならず、これは通常スリーブの熱膨張を利用して実行される。
【0006】
スリーブとローターとの間の遊びが大きすぎるか、またはスリーブ材料が、たとえばカーボンファイバーのように、小さすぎる熱膨張率または負の熱膨張率を有する場合には、そのスリーブは十分な元張力をローターに及ぼすことができない。
【0007】
熱的方法と機械的方法を組み合わせた方法が、US 5,568,681号明細書に開示されている。カプセル管(capsule tube)が焼きばめによってローター本体に取り付けられる。このカプセル管によって形成される二つの部分の一つとローター本体とがまず対向支持体(counter support)に垂直な方向に取り付けられ、もう一つの部分が前記部分の上方の位置から離されて、該もう一つの部分が、重力の影響下で、取り付けられている第一の部分内に落下するようにされる。
【0008】
もう一つの公知の方法は、液体たとえば油の圧力によってスリーブを膨張させ、スリーブが膨張している間に、ローターをスリーブに挿入してから、圧力を解除する、というものである。
【0009】
これは一般にスリーブとローターに対する厳しい機械的許容差を要求するものであり、またローターはスリーブよりもかなり剛性が高くなければならない。
【0010】
スリーブの弾性率の許容差も重要である。また、磁石は、スリーブが取り付けられたとき動かないようにローターに取り付けなければならず、そうしないと、磁石が回転時に動いて、ローター内での質量の再分布をもたらしうることになり、それがローターのバランスに大きな影響を与えうる。
【0011】
ローターが中心軸を有しない場合、あるいは機械的に一体のものとして作れない場合にも、面倒な問題が発生する。
【0012】
本発明の目的は、前記欠点を避けることであり、また前記欠点を示さず、迅速かつ簡単な製造を可能とし、磁石に対して前記のものほど厳しい条件を課することを必要とせず、しかもより良い特性を有し特により大きな回転速度を可能にするローターを与える、永久磁石によって磁界が与えられるローターを製造する方法を提供することである。
【0013】
この目的は、凝固する液体であって、ローターの運転温度では固体になる液体、たとえば熱硬化性プラスチックより具体的にはエポキシ樹脂、または適当な融点を有する合金(metal alloy)、によってスリーブを膨張させ、前記液体が圧力下でスリーブとローター本体との間に注入され、凝固中、圧力下に保たれる、ことを含む方法によって実現される。
【0014】
二つのエンドピースを有するローター本体が使用でき、スリーブが部分的にこれらのエンドピースのまわりに取り付けられ、液体が好ましくはこれらのエンドピースの少なくとも一つを貫通して注入される。
【0015】
注入中、好ましくは、スリーブの両端は、二つのエンドピースに対して、半径方向にクランプされる。
【0016】
随意に、エンドピースを結合するシャフトを有するローター本体を使用することができる。
【0017】
永久磁石を有するローター本体を使用することができ、スリーブがこれらの磁石とエンドピースの少なくとも一部分とを包囲するようにすることができる。
【0018】
本発明の方法は、あらかじめ作ってある磁石を有しないローター本体を使用するが、磁石が、凝固する液体と磁性粉末との混合物を注入することによってその場で製造される実施形態を可能にする。
【0019】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明を実施形態によって説明する。
【0020】
高速電動機用の、永久磁石によって磁界が与えられるローターが、支持スリーブ1を、元張力により、永久磁石3を有するローター本体2のまわりに取り付けることによって、製造される。
【0021】
図1〜4に示すように、ローター本体2は、二つのエンドピース4と5、およびこれらのエンドピースを連結するシャフト6を有する基本構造から成り、前記シャフトは磁石3によって包囲されている。
【0022】
Oリングシール7が、エンドピース4と5に取り付けてある。
【0023】
永久磁石3のリングがシャフト6のまわりに配置されており、永久磁石3は、二極モーターの場合、二つの半円リングセグメントの形に、四極モーターの場合、四つの四分円リングセグメントの形に作られている。
【0024】
カーボンファイバー製のスリーブ1が、ローター本体2にはめられる。
【0025】
スリーブ1によって包囲されているローター本体2は、次に、図1に示すように、クランプおよび注入装置8にクランプされる。
【0026】
ローター本体2は端リング9によって軸方向にクランプされ、端リング9は肩10を有し、該肩は、対応する、エンドピース4と5の外向き突出肩11に接触する。
【0027】
端リング9は、リング対(two ring halves)14と15の周囲配置セグメント13の仲介により、ボルト12によって、互いに向かって引っ張られる。
【0028】
リング対14と15の各々は、端リング9の肩17に接触する肩16を有する。
【0029】
ボルト12を締めることにより、調節可能なクランプ力が、リング対14と15によって端リング9に及ぼされ、またこれらの端リング9によってエンドピース4と5に及ぼされる。
【0030】
このクランプにより、シャフト6が十分に強くない場合に、エンドピース4と5がスリーブ1から押し出されるのが防がれる。
【0031】
スリーブ1の両端は、リング対14と15のセグメント13と、これらのセグメント13とスリーブ1の各端との間にある力伝達リング18との仲介により、シール7に対抗して、エンドピース4と5に対してクランプされる。
【0032】
分割されたリング対すなわちリング対14と15は、その外周に、直径が増大し、減少する部分19、すなわち二つの反対向きの円錐面20と21を有する部分19を有する。
【0033】
各部分19のこれらの面20と21のそれぞれは、対応する円錐形内側面を有する二つのリング22と23によって包囲されている。これら二つのリング22と23は、ねじ付きピンと両端にねじ込まれたナットとを有する、締め付けボルト24によって、お互いに近づく向きに押し付けることができる。
【0034】
スリーブ1の端の半径方向クランプは、クランプおよび注入装置8の対応する端のボルト24を締め付けることによって、実行され、この締め付けにより、リング22と23がお互いに近づく向きに動かされ、セグメント13の間の間隙25が小さくなるため、分割されたリング対14または15の直径の減少がもたらされる。
【0035】
この半径方向のクランプにより、スリーブ1はその両端で広がるのが防がれる。シール7が対応する端で広がるのも防がれる。このシールは標準的なOリングシールとすることができ、それのための溝の外側に押し付けられる。
【0036】
この半径方向クランプは、また、クランプおよび注入装置8内でのローター全体の心合せを保証する。
【0037】
ローター本体2とスリーブ1をクランプしたあと、スリーブ1とローター本体2との間にエポキシ樹脂を注入する。
【0038】
そのため、エンドピース4には、注入導路26と27が備えてある。導路26は軸方向を向いており、いくつかの半径方向導路27に連絡している。
【0039】
エポキシ樹脂は、外部機構または内蔵機構により、たとえば、図1に示すように、取り付けられたピストン28によって供給することができる。このとき、エンドピース4がシリンダーを形成し、したがってピストン28のための内腔29を備えている。この内腔29は導路26−27に連絡している。
【0040】
ピストン28が、たとえばプレスによって、エポキシ樹脂の満たされた内腔29内を押されると、エポキシ樹脂が内腔29から押し出されて、注入導路26−27を通って注入される。注入されたエポキシは、磁石3の間、および磁石3、ローター本体2、スリーブ1の間のすべてのからの空間を満たす。
【0041】
圧力は、エポキシ樹脂が硬化し、重合時のエポキシ樹脂の可能な収縮(crimp)に対する補正がなされるまで、維持される。
【0042】
この樹脂には、重合開始のために、触媒を加えることができる。
【0043】
Oリングシール7と、エンドピース4と5に対するスリーブ1のクランプとにより、エポキシ樹脂の漏れが防がれる。二つの力伝達リング18の間では、スリーブ1はやや膨張しうる。
【0044】
クランプおよび注入装置8を取りはずしたあと、ローター本体2、永久磁石3、および支持スリーブ1から成るローターを、エポキシ樹脂の後硬化のためにオーブンで加熱することができる。好ましくは、完全な重合は、ローターの将来の運転温度よりも高い温度で実施する。
【0045】
注入するエポキシ樹脂の量と加える圧力とに関しては、この後硬化によって起こりうる後収縮を考慮しなければならない。
【0046】
最後に、ローターをその最終寸法に機械加工し、バランスを調節する。
【0047】
スリーブ1の元応力は、主としてエポキシ注入圧力によって決定され、スリーブ1とローター本体2との間の締め代によっては決定されない。
【0048】
スリーブ1とエポキシ樹脂とにより、ローター使用中の応力による磁石3の破壊が防止される。割合に柔らかい磁石たとえばプラスチック結合磁石が使用できる。
【0049】
このローターの全体的剛性は非常に大きく、したがってローターの大きな限界速度が得られる。ローターが運転速度に達するとき、磁石3は相対的な位置関係を変えない。
【0050】
磁石3の表面に厳しい許容差の機械加工を行う必要はない。スリーブ1、ローター本体2、および磁石3の機械加工許容差をゆるくすることができる。スリーブ1の弾性率の許容差は、このスリーブ1の元応力のレベルの場合、臨界的ではない。スリーブ1は、カーボンファイバーで作ることができ、小さな熱膨張率を有することができる。
【0051】
ローター本体2は、円柱形とすることができ、前記先行技術のあるもの(US−A−5,568,681)におけるような円錐形とする必要はない。
【0052】
シャフト6は、必要ではなく、実施形態によっては、省くことができる。たとえば、磁石3が単一円柱(円筒)形磁石の二つ以上のセグメントで置き換えられる場合、スリーブ1が磁石セグメントおよびエンドピース4と5を結合保持する。
【0053】
永久磁石3は必ずしもリングである必要はない。シャフトがない場合、これらの磁石はディスクとすることができ、または注入流体と混合した磁性粉末とすることさえできる。
【0054】
本発明の別の実施形態においては、やり方は前記のようであるが、ローター本体2が磁石3なしで製造され、スリーブ1がシャフト6とエンドピース4および5の部分とのまわりに取り付けられ、磁性粉末が注入エポキシ樹脂に混合される。エポキシ樹脂の量はもちろん前記実施形態の場合に比してずっと大きい。
【0055】
この場合、永久磁石3はその場で注入樹脂によって作られる。
【0056】
どちらの実施形態においても、両方のエンドピースに注入導路を備えることができ、エポキシの注入を外から外部ピストン機構によって実施することができる。
【0057】
注入流体は必ずしもエポキシ樹脂である必要はない。重合前には割合に小さな粘度を有するその他の熱硬化性樹脂またはプラスチックを使用することができ、または適当な融点を有する合金を使用することさえも可能である。
【0058】
重要なことは、この物質が凝固する液体であり、したがって液体の形で注入することができて、ローターの運転時の温度においては固体である、ということである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による方法を使用している装置の断面図である。
【図2】
図1の線II−IIに沿う断面図である。
【図3】
本発明による方法の実施完了後のローターの断面図である。
【図4】
図3にF4で示す部分の拡大図である。
【符号の説明】
1 支持スリーブ
2 ローター本体
3 永久磁石
4 エンドピース
5 エンドピース
6 シャフト
7 Oリングシール
8 クランプおよび注入装置
9 端リング
10 肩
11 肩
12 ボルト
13 周囲配置セグメント
14、15 リング対
16 肩
17 肩
18 力伝達リング
19 直径が増大し、減少する部分
20、21 円錐面
22、23 リング
24 締め付けボルト
25 間隙
26 注入導路
27 半径方向導路
28 ピストン
29 内腔

Claims (10)

  1. 永久磁石によって磁界が与えられる、高速電動機のためのローターを製造する方法であって、支持スリーブ(1)がローター本体(2)のまわりに元張力によって取り付けられる方法において、
    前記スリーブが、凝固する液体であってかつローターの運転温度において固体になる液体によって膨張させられ、
    前記液体が、圧力下でスリーブとローター本体との間に注入され、凝固中、圧力下に保たれる、
    ことを特徴とする方法。
  2. 二つのエンドピース(4、5)を有するローター本体(2)が使用され、スリーブ(1)が部分的にこれらのエンドピースのまわりに取り付けられ、液体が好ましくはこれらのエンドピース(4,5)の少なくとも一つを貫通して注入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 注入中、スリーブ(1)の両端が、二つのエンドピース(4,5)に対して、半径方向にクランプされていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 注入中、エンドピース(4,5)を保持するために、ローター本体(2)が軸方向にクランプされることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
  5. エンドピース(4,5)を結合するシャフト(6)を有するローター本体(2)が使用されることを特徴とする請求項2から4の中のいずれか1つに記載の方法。
  6. 永久磁石(3)を有するローター本体(2)を使用し、スリーブ(1)がこれらの磁石(3)とエンドピース(4,5)の少なくとも一部分とを包囲することを特徴とする請求項2から5の中のいずれか1つに記載の方法。
  7. あらかじめ作ってある磁石を有しないローター本体(2)が使用され、磁石が、凝固する液体と磁性粉末との混合物を注入することによってその場で製造されることを特徴とする請求項1から5の中のいずれか1つに記載の方法。
  8. カーボンファイバーのスリーブ(1)がローター本体(2)のまわりに取り付けられることを特徴とする請求項1から7の中のいずれか1つに記載の方法。
  9. 凝固し、かつローターの運転温度で固体である注入液体が、熱硬化性プラスチックと適当な融点を有する合金とから成るグループから選択されることを特徴とする請求項1から8の中のいずれか1つに記載の方法。
  10. 凝固する液体として、エポキシ樹脂が注入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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