JP2004523054A - データ記憶 - Google Patents

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Abstract

本発明は、三次元光学データ記憶能を有する材料および該材料を含む装置に関し、ならびに光学データを記憶し、読み出し、および消去するための方法および装置に関する。特に本発明は、ポリマーマトリックスとネマチック液晶ドロップレットとを含み、ポリマーマトリックスがネマチック液晶ドロップレットに分散されてなるデータ記憶材料を含む三次元光学データ記憶装置に関する。本発明はまた、データ記憶材料内のゾーンに、データ記憶材料内のネマチック液晶ドロップレットの光照射されたゾーンにおける配向子を整列させるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな赤外偏光を感光させることを含む光学データを記憶する方法に関するとともに、記憶された光学データを有するデータ記憶材料に、データ記憶材料内のネマチック液晶ドロップレットの配向子が整列したゾーンから、配向子が非整列なゾーンと比較して検知可能な程度に大きい強度の蛍光を生じさせるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな赤外偏光を感光させ、配向子が整列したゾーンからの蛍光を検知することを含む三次元光学データ記憶装置から光学データを読み出す方法に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元光学データ記憶能を有する材料および該材料を含む装置に関し、ならびに光学データを記憶し、読み出し、および消去するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の企業および技術の領域は、情報技術(IT)システムに大きく依存している。これらのITシステムは現在のデータ記憶装置の容量に大きな需要を示している。このように、三次元光学データ記憶の分野では膨大な量の研究が行われている。三次元(3−D)光学データ記憶システムは、コンパクトディスク(CD)およびデジタル多目的ディスク(DVD)などの従来の二次元(2−D)データ記憶システムの100〜1000倍のオーダーのデータ密度を達成することができる。
【0003】
3−D光学データ記憶システムにおける現在の研究に使用される材料は3つの広いカテゴリーに分けられ;これらは、光電変換(フォトリフラクティブ)結晶(LiNbO3など)(非特許文献1)、種々のタイプのガラス(非特許文献2)、およびポリマーベース材料である。
【0004】
3−D光学データ記憶に使用される公知のポリマーベース材料は、フォトブリーチング、フォトクロミックおよびフォトリフラクティブタイプに分類される。フォトブリーチング材料は高データ密度を達成することが可能であるが、消去(または上書き)できない。トランス−シス異性化に依存したフォトクロミック材料(非特許文献3、4)は消去および上書きする能力を有しているが、データの寿命が相対的に短い。焦点内の領域における屈折率の空間変調に依存するフォトフラクティブ材料(非特許文献5、6)もまた、消去可能でありかつ上書き可能であり、高い分解能を与える。紫外線(UV)照射によって消去されることが可能なフォトリフラクティブ材料によって示される屈折率の局所的変化のために、これらは光学データ記憶への使用が期待されている。
【0005】
これらのタイプのフォトリフラクティブポリマーの1つの欠点は、所望のフォトリフラクティブ効果(非特許文献7)を引き起こすために適用することが必要な高電場である。また、電場による分子の再配向を引き起こす別の方法は、液晶などのように誘電異方性を有する材料の使用を伴う。光学データ記憶との関連で、ポリマー分散液晶(PDLC)を利用することによって、フォトリフラクティブポリマーの高分解能と、液晶と関連した高屈折率変化とを組み合わせることが可能となる。
【0006】
PDLCはポリマーマトリックスに分散した液晶の微小マイクロドロップレットからなる。これらの材料は、消去と上書きが可能であり、大きな屈折率変化(Δn=2×10-3)を与える。焦点に集められた照射(書き込み)光の電場は、2光子励起によってネマチック液晶の配向子の再配向を引き起こす。非感光ゾーンでは、液晶配向子の配列はランダムであるが、感光ゾーンでは配向子は整列する。与えられた電場に対する応答は、液晶の誘電異方性の符号に依存する。例えば、誘電異方性が正の場合では、配向子は照射光の電場に沿って整列する。これは、他のフォトフラクティブポリマーと同様なフォトフラクティブ効果を生じさせる。
【0007】
驚くべきことに、PDLC材料が、液晶配向子が読み出しビームの偏光状態に対して整列しているか否かに蛍光変化の特性が依存するというような、電場誘起偏光効果を示すことが本発明者らによって明らかになった。整列ゾーンでは、蛍光は、読み出し照射光の偏光状態に応じて変化する。これに対して、非整列領域では(ここでは配向子の配列はランダムである)、かかる偏光依存性は示されない。この効果は、ビットデータの記憶に利用されるときに有用となる。書き込まれたゾーン(整列された配向子)は、書き込まれていないゾーンより強く蛍光を発し、記憶データを読み出すためのメカニズムを提供する。偏光依存性は、データビットの偏光多重化を可能とする。書き込みビームの偏光状態が変化するならば、材料がデータを記憶する能力に、他の次元が追加されることになる。これは、それぞれのデータビットに追加情報がエンコードされることを可能とし、読み出しビームの偏光状態の向きに依存して、論理状態は、単に1と0ではなく、0,1,2・・・とすることができる。
【非特許文献1】
Y. Kawata et al, Opt. Lett 23, 256 (1998)
【非特許文献2】
P.M. Lundquist et al, Science 274, 1182 (1996)
【非特許文献3】
A Toriumi et al, Opt Lett 22, 555 (1997)
【非特許文献4】
A Toriumi et al, Opt Lett 24, 1924 (1997)
【非特許文献5】
D. Day et al, Opt Lett 24, 948 (1999)
【非特許文献6】
K. Meerholtzet al, Nature 371, 497 (1994)
【非特許文献7】
A. Golemme, Opt Lett 22, 1226 (1997)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、以下の成分:
(a)ポリマーマトリックス;および
(b)ネマチック液晶ドロップレット
を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなるデータ記憶材料を含む三次元光学データ記憶装置が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、三次元光学データ記憶装置におけるデータ記憶材料が、以下の成分:
(a)ポリマーマトリックス;および
(b)ネマチック液晶ドロップレット
を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなり、
前記データ記憶材料内のゾーンに、前記データ記憶材料内の前記ネマチック液晶ドロップレットの光照射されたゾーンにおける配向子を整列させるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光を感光させ、
前記コヒーレントな偏光が、記憶させるためのデータをエンコードすることを含む光学データを記憶する方法が提供される。
【0010】
本発明のさらに他の態様によれば、三次元光学データ記憶装置におけるデータ記憶材料が、以下の成分:
(a)ポリマーマトリックス;および
(b)ネマチック液晶ドロップレット
を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなり、
記憶された光学データを有する前記データ記憶材料に、前記データ記憶材料内のネマチック液晶ドロップレットの配向子が整列したゾーンから、配向子が非整列なゾーンと比較して検知可能な程度に大きい強度の蛍光を生じさせるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光を感光させ、
前記配向子が整列したゾーンからの蛍光を検知することを含む三次元光学データ記憶装置から光学データを読み出す方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の態様によれば、三次元光学データ記憶装置におけるデータ記憶材料が、以下の成分:
(a)ポリマーマトリックス;および
(b)ネマチック液晶ドロップレット
を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなり、
前記データ記憶材料に、非コヒーレントであり非偏光な紫外光を感光させることを含む、三次元光学データ記憶装置に記憶されたバルク光学データを消去する方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の態様によれば、三次元光学データ記憶装置におけるデータ記憶材料が、以下の成分:
(c)ポリマーマトリックス;および
(d)ネマチック液晶ドロップレット
を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなり、
前記データ記憶材料内におけるビットデータが記憶されたゾーンに、
前記ビットデータを記憶するために使用したコヒーレントな偏光の方向に対して約30〜約150度の角度で回転され、前記データ記憶材料内の光照射されたゾーンにおける前記ネマチック液晶ドロップレットの、光照射されたゾーンの配向子を再整列するために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光を感光させ、
この回転された光が、以前に書き込まれていた前記ビットデータを消去することを含む、三次元光学データ記憶装置からビット光学データを消去して新しいデータを上書きする方法が提供される。
【0013】
本発明のさらに他の態様によれば、(i)データ記憶装置を保持し、位置させる手段と、
(ii)前記データ記憶装置のデータ記憶材料内のネマチック液晶ドロップレットにおける光照射されたゾーンの配向子を整列させるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光の光源と、
(iii)前記ネマチック液晶ドロップレットの配向子が整列したゾーンから、配向子が非
整列なゾーンと比較して検知可能な程度に大きい強度の蛍光を生じさせるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光の光源と、
(iv)前記配向子が整列したゾーンからの蛍光を検知する手段と、
を含む、データ記憶装置に光学データを記憶し、当該データ記憶装置から光学データを読み出す装置が提供される。
【0014】
本発明の好ましい態様において、三次元光学データ記憶装置は、ポリマーマトリックスに分散された感光材料をさらに含む。
【0015】
本発明の好ましい態様において、三次元光学データ記憶装置は、ポリマーマトリックスに分散された可塑剤をさらに含む。
【0016】
本発明の他の好ましい態様では、データ記憶材料は、重合開始剤をさらに含む。
【0017】
好ましくは、データ記憶材料は、約10〜約70重量%のポリマーマトリックスと、
約20〜約90重量%のネマチック液晶ドロップレットと、
約5重量%以下の感光材料とを含み、さらに必要に応じて、約40重量%以下の可塑剤と、約0.1重量%以下の重合開始剤とを含む。
【0018】
好ましくは、データ記憶材料の厚さは、約10〜約2000μmである。
【0019】
本発明の好ましい態様において、ポリマーマトリックスは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルカルバゾール(PVK)またはポリビニルアルコール(PVA)である。
【0020】
本発明の他の好ましい態様では、ネマチック液晶ドロップレットが、E49、E44およびE7から選ばれ、これらはMerck Pty Ltdから入手可能である。
【0021】
本発明の他の好ましい態様では、感光材料が、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン(TNF)または、バックミンスターフラーレン(バッキーボール)としても知られるC60のような他のフルオレノンから選ばれる。
【0022】
本発明の他の好ましい態様では、可塑剤が、N−エチルカルバゾール、蟻酸イソブチルおよびイソブチル酸メチルから選ばれる。
【0023】
本発明のさらに好ましい態様では、重合開始剤は過酸化ベンゾイルである。
【0024】
本発明のさらに他の態様では、光学データ記憶装置は二次元内でのデータ記憶のためだけに使用される。
【0025】
本発明の他の態様では、データ記憶装置が、その上にまたはそれについて前記データ記憶材料が位置する基材をさらに含む。
【0026】
本発明の他の態様では、前記基材がデータ記憶材料を保護するように囲むとともに、該基材の少なくとも一部が、前記データ記憶材料への紫外、可視および赤外放射および該データ記憶材料からの紫外、可視および赤外放射を透過する。
【0027】
好ましくは、上記で言及された装置において、データ記憶装置を保持し、位置させる手段(i)は、データ記憶装置を三次元方向へ制御して移動するために適合している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本明細書および特許請求の範囲において、特にことわりのない限り、用語「含む」は、完全物、段階、または完全物もしくは段階の集合が包含されることを示し、他の完全物、段階、または完全物もしくは段階の集合が除外されるものではない。
【0029】
本明細書における従来技術への参照は、その従来技術がオーストラリアにおける共通の一般常識の一部を形成するということを確認または示唆するものではなく、そのように理解されるべきではない。
【0030】
本明細書において参照される全ての参考文献の開示は、参照のために全体としてここに組み入れられる。
【0031】
その最も広い特色において、本発明は三次元光学データ記憶装置に関する。“三次元”という用語は、該記憶装置に含まれるか、あるいはそれ自身で該記憶装置を構成するデータ記憶材料が、光学データを空間に渡り三次元で記憶する能力があることを意味することを意図している。もちろん、本発明の装置は二次元データの記憶にも適用されるが、これは好ましいものではない。本発明の装置に記憶されるデータは、例えば、電気信号から記憶するための光学信号に変換された二進数またはビットデータである。読み出し光学信号はその後、逆に電気信号に変換される。電気信号を光学信号に変換する方法および、反対に光学信号を電気信号に変換する方法は、従来からよく認知されている。
【0032】
本発明の一つの特色において、記憶装置は、単に、ポリマー分散液晶(PDLC)の形をとるデータ記憶材料自身から構成される。しかし、本発明の他の態様において、三次元光学データ記憶装置は、PDLCが位置する基材を含む。この基材は、例えば、ガラス、セラミック、プラスチック、または他の適切な、好ましくは不活性の材料からなる。好ましくは、基材は、PDLCデータ記憶材料を囲むかあるいはこれを含む保護コーティングを構成する。基材がデータ記憶材料を囲むかあるいはこれを含む場合には、基材の少なくとも一部が電磁波、特に紫外、可視および赤外光を透過することが好ましい。本発明のデータ記憶装置は、コンピュータ、コンピュータで操作する装置、ハイファイ装置、またはビデオ装置などの情報技術用装置に便利に挿入されるカードまたはディスクを構成してもよい。このような装置には、それを通して該装置へデータを記憶し(書き込み)あるいは該装置からデータを回復する(読み出す)ことができるカバー内に、透明な窓が設けられる。例えば、本発明の装置は、従来のコンピューターディスク、CDまたはDVDの形状もしくは配置としてもよい。これらの可能性は、あくまでも例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0033】
本発明のデータ記憶材料における重要な特徴点は、ポリマーマトリックスとネマチック液晶ドロップレットとを最低限含むPDLC材料から構成されるデータ記憶材料自身にある。好ましくは、データ記憶材料は感光材料を含む。ポリマーマトリックスは、300〜1080nmの波長範囲における電磁波吸収が少なく、耐久性、安定性などとともに、マトリックスを適当な形状かつ十分な強度で形成し得る能力のような適切な物理的性質を有するポリマーから構成される。適切なポリマーマトリックスとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルカルバゾール(PVK)またはポリビニルアルコール(PVA)が挙げられる。好ましくは、データ記憶材料は、約10〜約70重量%のポリマーマトリックスを含む。好ましいポリマーマトリックスはPMMAである。
【0034】
本発明に使用されるネマチック液晶ドロップレットは、データ記憶材料の形成に採用される合成アプローチの結果として、ポリマーマトリックスに分散される。ドロップレット中の液晶は誘電異方性を示すため、液晶の配向子は、電磁波放射、好ましくは赤外放射による偏光且つコヒーレントな照射から生じる電場を感光させることによって再配向する。用語「コヒーレント」は、放射の位相が揃っていることを示すことを意図している。適切なネマチック液晶材料としては、例えば、Merck Pty Ltdから商業的に入手可能なE49、E44およびE7タイプのネマチック液晶が挙げられる。好ましくは、液晶はデータ記憶材料中に約20〜約90重量%の量で存在する。
【0035】
必須ではないが、データ記憶材料は、紫外から可視領域までの電磁スペクトルにおける放射を吸収する感光材料を含むことが好ましい。適切な感光材料としては、例えば、C60(バックミンスターフラーレンまたはバッキーボールとしても知られる。その構造を下記に示す)のようなフラーレンが挙げられ、特に、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン(TNF)が挙げられる。
【0036】
【化1】
Figure 2004523054
【0037】
データ記憶材料は、用いるポリマーマトリックスとともに使用できる可塑剤を含むこと
が好ましい。適当な可塑剤が従来技術において知られているが、PMMAとともに使用する際に適切な可塑剤としては、例えば、N−エチルカルバゾール、蟻酸イソブチルおよびイソブチル酸メチルが挙げられる。可塑剤は、データ記憶材料中に、例えば40重量%以下の量で存在する。可塑剤は、データ記憶材料のガラス転移温度を低下させる傾向がある。
【0038】
データ記憶材料中には、過酸化ベンゾイルのような重合開始剤を含むことが好ましい。使用可能な他の重合開始剤は、従来技術においてよく知られている。本発明のデータ記憶材料は、高分子化学の分野において常用される他の成分をさらに含んでもよい。
【0039】
データ記憶材料に、該記憶材料内のネマチック液晶ドロップレットの照射ゾーンにおける配向子を整列させるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光を感光させることによって、光学データをデータ記憶材料に記憶させることができる。入射光は、例えば、データ記憶材料の特定のゾーンに焦点合わせされた、2光子励起を行うために十分な光子密度を有するコヒーレントな偏光である。以下においてデータの記憶または書き込みのために参照されるこの2光子励起過程には、500〜1080nmの波長範囲が使用される。このデータ記憶過程においては、約2〜約180mWの光学出力が採用される。好ましくは、書き込み照射の波長は約800〜約1000nm、より好ましくは約850〜約950nm、特に好ましくは900nmのオーダーである。書き込み照射に使用される光学出力は、好ましくは約30〜約100mW、より好ましくは約40〜約80mW、特に好ましくは約50mWまたは約60mWのオーダーである。照射光をデータ記憶材料の所望のゾーンへ焦点合わせするために、対物レンズ(例えばULWD MSPlan 100−IR NA 0.80)が使用される。上記において参照したような対物レンズは、Olympus and Carl Zeiss, Inc.から商業的に入手可能である。照射光は、好ましくは、超短パルスレーザ(例えば、Spectra Physics Tsunami(TI−sapphire) femtosecond pulsed laser)によって与えられる。パルス幅としては、約5〜約500fs、好ましくは約20〜約200fs、特に好ましくは約60〜約100fs、最も好ましくは約80fsのオーダーが使用され、繰り返し速度としては、約10〜約200MHz、好ましくは約40〜約100MHz、特に好ましくは約70〜約90MHz、最も好ましくは約82MHzが使用される。連続波(CW)2光子照射も使用可能である。
【0040】
すでにデータ記憶材料に記憶されているデータを読み出すために、光学データが記憶されたデータ記憶材料は、データ記憶材料内のネマチック液晶ドロップレットの配向子が整列したゾーンから、配向子が非整列なゾーンと比較して検知可能な程度に大きい強度の蛍光を生じさせるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光で感光される。読み出し照射に使用される条件は、読み出し照射がやや低い出力、例えば約10〜約100mW、好ましくは約20〜約60mW、特に好ましくは約30mWで行われることが最も好ましいこと以外は、書き込みもしくは記憶照射に関して上記において概略した条件と同様である。読み出し照射に続いて、整列した配向子のゾーンからの蛍光を検知することが必要である。この検知は、例えば光電子増倍管(PMT)またはCCDカメラのような蛍光検知システムを使用して行うことができる。CCDカメラは、Apogee Instruments Inc.、PULNiX、Polaroid and JVCなどの多数の会社から直ちに購入可能である。蛍光は、フォトダイオードまたは分割フォトダイオード検知器を使用して検知してもよい。これらのデバイスは、蛍光を検知回路のための電気信号に変換する。
【0041】
データ記憶材料に、300〜1080nmの波長範囲の非コヒーレントな非偏光を感光させることによって、データ記憶材料に記憶されたバルクデータを消去することが可能である。ここで、「バルク」消去とは、消去用の光源からの光で感光された、データ記憶材料の全ての領域から、無差別にデータが消去されることを意味する。好ましくは、データ記憶材料に記憶されたデータを消去するために使用される光は紫外光であり、例えば水銀ランプによって発生される。この種の紫外(UV)光は、ドロップレット内の液晶の配向子を再分布させ、これによって記憶データを効果的に削除する。さらに、円偏光のコヒーレントな光を使用して記憶データを消去することも可能である。このようにして、データ記憶材料における部分的な消去、すなわち、該材料における選択されたゾーンの消去が可能である。
【0042】
ビットデータを消去することも可能である。すなわち、記憶データを、バルク消去よりも差別的な仕方で、データが記憶された特別なゾーンから消去することが可能である。この消去は、新しいデータ信号によって、記憶されているビットデータを上書きすることにより行われる。実際には、書き込み照射ビームを、元のデータビットを記憶させた書き込みビームの偏光角に対して約30〜約150度だけ回転させることによって行われる。偏光の回転角は、好ましくは元の書き込み照射における偏光角に対して約90度である。記憶されているビットデータを上書きするために使用される照射は、好ましくは約50〜約100mW、より好ましくは約60〜約80mWの出力で行われる。結果として、この上書きビットが、低出力で90度における読み出し照射によって読み出された際に、その相対的な蛍光強度は、元のビットと同じ条件下で書き込まれた他のデータビットと比較して減少する。
【0043】
また、本発明には、データをデータ記憶材料へ記憶し、データ記憶材料からデータを読み出すために使用されるとともに、さらに任意でデータ記憶材料に記憶されたデータを消去するために使用される装置が含まれる。このような装置の概略例を図4に示すとともに、これについては後述する実施例3でさらに論じられる。本発明の特に好ましい態様において、この装置は、データ記憶装置を保持し、位置させる手段と、データ記憶材料中のネマチック液晶ドロップレットの照射ゾーンにおける配向子を整列させるために十分な波長および出力を有するコヒーレント光の光源と、前記ネマチック液晶ドロップレットの配向子が整列したゾーンから、配向子が非整列なゾーンと比較して検知可能な程度に大きい強度の蛍光を生じさせるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光の光源と、整列した配向子のゾーンからの蛍光を検知する手段とを少なくとも備えている。上記したように、データの書き込みと読み出しの双方に使用される光源は、照射光をデータ記憶材料の特定のゾーンに焦点合わせする対物レンズとともに使用されるパルスレーザで構成される。書き込み照射は、例えば、連続波(CW)2光子励起照射によって行ってもよい。装置の各要素は、レーザ照射、シャッタースピード、およびデータ記憶材料中における照射光の焦点を調整するためにコンピュータで操作される。照射光の焦点は、例えば、対物レンズを移動させることによって行われ、より好ましくは、データ記憶装置を、二次元か、好ましくは三次元内を制御して移動させることができる、データ記憶装置を保持し、位置させるための手段を上記の装置内に設置することによって行われる。データ記憶装置を、照射光に関連させて調整する仕方で移動させることによって、データ記憶材料内における照射のための焦点ゾーンを選択することができる。一つの態様において、データ記憶装置を保持し、位置させるための手段は、データ記憶装置を回転させ、同時に入射光軸を通過するように上方または下方に移動させる。
【0044】
上記の装置は、好ましくは、データ記憶材料に記憶されたデータを消去するために使用される紫外光源を含む。この紫外光源としては、例えば、非偏光の水銀光源、または円偏光が挙げられる。図4には、本発明に使用される光学装置の一例が示されている。この装置は、コンピュータ16により制御される機械シャッター2を通して光を発するパルスレーザ1を含む。該装置は、レンズ3、4と、ピンホールアパーチャ5とともに、1/4波長板6、Gran−Thomson偏光子7、アパーチャ8、ダイクロイックビームスプリッタ9、ショートパスフィルタ10、レンズ11および対物レンズ12を含み、これらとともに、コンピュータにより制御され、蛍光を検知するPMT/CCDカメラ15を含む。データ記憶材料13は、移動ステージ14上に載置され、本発明の一実施例では、Mellers Griot nanomover micro positioning systemが、コンピュータによる制御下に構築される。
【0045】
本発明の重要な特色は、例えば論理状態が1と0であるような二進数データの単純な記憶とは対照的に、書き込みビームの偏光状態の変化によって、読み出し時にデータ記憶材料の各照射ゾーンからの増加していく(デジタル)蛍光強度を持たせることが可能であることである。このことは、論理状態の数が増加し、その結果として、データ記憶材料の記憶容量が劇的に増加する可能性へと導く。例えば、それぞれの照射ゾーンについて、2個、3個、4個、5個、6個または、さらにそれ以上の論理状態を得ることができる。
【0046】
本発明は、あくまでも例示によってのみ記述され、ここにおける開示に基づいて当業者に直ちに明らかとなる変更および/または置換は、本発明の範囲および精神に含まれるとみなされることが認められるべきである。
【0047】
以下、実施例を参照して本発明をさらに記述するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0048】
PDLC材料により誘起された2光子偏光の感光性
図1(a)の画像は、PMMA、E49、ECZおよびTNFの各成分を、重量%換算で45:33:21:1の比率で含むPDLC材料への読み出し照射によって生じた2つの明るい点を示す。これらの明るい点は、液晶配向子が整列している場所を示す。暗い領域は、書き込み光によって照射されなかった領域である。この画像は850nmの読み出し波長で2光子(2−p)励起下で照射された際の蛍光を示す。図1(b)の画像は、この効果を図解したものである。
【実施例2】
【0049】
PDLC材料およびその調製
完成したPDLC材料は、ネマチック液晶ドロップレット、感光材料、可塑剤およびポリマー基材の混合物である。ポリマーマトリックスにはポリメタクリル酸メチル(PMMA)を使用した(図2(a))。PMMAは、その物理的および光学的特性が十分に証明されている。
【0050】
2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン(TNF)は、UVから可視領域におけるスペクトルを吸収する感光材料である(図2(b))。N−エチルカルバゾール(ECZ)は、可塑剤として含有され(図2(c))、ポリマーのガラス転移温度を低下させる。使用した液晶は、Merck Pty Ltdから購入したもの(製品番号:E49)であり、4−ペンチル−4−シアノビフェニル(図2(d))としても知られている。これらの3成分は、PMMAにドープされた。サンプル中における各成分の濃度は、PMMA:E49:ECZ:TNF=45:33:21:1(質量%)であった。
【0051】
PDLCの製造には、相分離法が用いられた。各サンプルは、2種の異なる相分離法、すなわち、重合誘起相分離および溶媒誘起相分離によって製造された。他に、熱誘起相分離を用いて製造してもよく、プレポリマーの光重合によって製造してもよい。
【0052】
重合誘起相分離は、最初にモノマーからの禁止剤の除去(蒸留による)を必要とした。次いで、モノマーを、過酸化ベンゾイル0.5%とともに、90℃で8分間(窒素環境下)攪拌しながら加熱した後、室温まで冷却した。次いで、可塑剤(ECZ)、TNFおよびE49をシロップに含ませ(比率は上記のとおりである)、均一な混合物が得られるまで攪拌した。得られた混合物を、テフロン(登録商標)バイアルに注ぎ入れ、40℃のオーブン内に14時間載置した。これによって、PDLC材料の厚いサンプルが得られた。
【0053】
溶媒誘起相分離は、最初にモノマーの完全な重合を必要とした(禁止剤の除去後)。テフロン(登録商標)バイアル中で、完全に重合したPMMAをクロロホルムに溶解し、40℃で穏やかに加熱した。次いで、ECZ、TNFおよびE49を添加し、継続的に攪拌した。溶媒の蒸発に伴い、混合物は粘性をもつようになった。この液体をガラススライド上に注ぎ、室温まで冷却した。時間が立つと全ての溶媒がサンプルから蒸発し、平らで均一なPDLC材料のフィルムが残った。溶媒の蒸発速度は液晶ドロップレットのサイズに影響し、溶媒の除去速度が減少する程、ドロップレットのサイズが増加する。
【0054】
いずれの相分離法によっても、液晶は、ポリマーマトリックス中に固定されたミクロドロップレットを形成した。以下の試験におけるサンプルは、溶媒誘起相分離法によって製造された。この方法は、厚いサンプル(90μm、130μmおよび320μm)を製造するために使用することができる。これらのサンプルの使用のために、追加の準備は必要としなかった。溶媒誘起相分離法によって製造されたサンプルの吸収スペクトルを図3に示す。この吸収スペクトルはキセノン放電ランプを使用したUV−VIS分光光度計を用いて記録されたものである。
【実施例3】
【0055】
データの書き込みおよび読み出しのための試験装置
吸収スペクトルからわかるように、900nmの波長では、この新規な材料(実施例2により調製された)による吸収はごく僅かである。このため、900nmの赤外波長のレーザが、450nmにおける2光子(2−p)励起を引き起こす書き込み過程に使用可能である。例えば、850nmまたは900nmの読み出し波長が2−p蛍光イメージングに使用可能である。
【0056】
2−p励起に使用される光学システムの例を図4に示す。PDLCサンプルに、Spectra−Physics Tsunami(Ti−Sapphire)超短パルスレーザが焦点合わせされた。このレーザは、パルス幅80fsおよび繰り返し速度82MHzの超短パルスビームを生成する。
【0057】
機械シャッタおよびコンピュータが二進数データビットの記録を制御する。サンプルは、10nmの分解能と100nmの繰り返し能を有するx−y−z移動ステージ上に載置される。この3−D移動ステージは、Melles Griot namomover micropositioning systemである。使用した対物レンズは、開口数0.80のULWD MSPlan 100−IRであり、ピンホールのサイズは50μmであった。
【0058】
2−p過程に固有の区分特性により、十分な識別が可能であり、このため、ポリマー内部においてデータを書き込み、読み出すことが可能となっている。書き込みビームおよび読み出しビームの偏光状態は、1/4波長板およびGlan−Thomson偏光子で制御される。
【実施例4】
【0059】
偏光依存性の研究
図5は、蛍光強度の読み出しビームの偏光状態に対する依存性を示す。オフビットまたは非書き込み領域では偏光依存性を示さなかった。すなわち、読み出し光の偏光状態が変更されても強度に変化がなかった。書き込まれたゾーンにおける蛍光強度は、読み出し偏光が変化するとともに大きく変化する。これは、蛍光強度がある角度においてより大きくなり、ピークが180度離れていることを示している。
【0060】
図1によれば、液晶配向子は、焦点合わせされた書き込みビームの電場によって整列する。書き込み光の光源が偏光しているならば、焦点スポットにおいて液晶配向子の整列が引き起こされ、この整列は、照射光を消しても維持される。読み出しビームがこの書き込まれた領域に照射されると、読み出しビームの偏光の方向が整列された配向子に対して垂直である場合に効率的に蛍光が発せられる。図5では、この偏光感受性をグラフで証明している。書き込み領域における蛍光は、特定の偏光角、すなわち、電場が整列した配向子に対して垂直である場合(図5では90度および270度)に、効率よく引き起こされる。他の角度(0度および180度)では蛍光がほとんど生じない。これは、電場が、書き込まれた領域における配向子の配列と平行であるためである。
【実施例5】
【0061】
蛍光飽和の研究
図6のプロットは、整列した液晶配向子の蛍光強度を、2種類の状況下において、書き込み出力の関数として表したものである。第1の場合では、ビットが書き込みビームから0度の偏光シフトで読み出され、第2の場合では、読み出し照射光が書き込みビームに対して90度の角度で偏光シフトしている。読み出しビームが書き込みビームから90度の角度で偏光シフトしている場合に蛍光の極大が見られる。この効果は、記憶データのシングルビット消去に利用することができる。また、この効果は、偏光多重化および、それぞれの記憶されたデータビットの位置における追加データのエンコーディングに使用される。
【実施例6】
【0062】
多層記録の研究
図7は3層のデータを示す。最初の層は文字“C”を示す。この文字は、24×24データビットのグリッドから構成される。ポリマー内部の2μmの深さにおいて、文字“M”が書き込まれ、さらに2μm深い位置で文字“P”が書き込まれた。x−y平面におけるスポット間隔は1.56μmであり、軸分解能は2μmである。これにより204.8Gbits/cm3のデータ密度が与えられる。これは300ギガバイトのデータを有す
るコンパクトディスクのデータ密度に等しい。
【0063】
スポットサイズを最小化することによりx、yおよびz方向でのビット濃度を増加させるための幾つかの技術が使用可能である。データビットのサイズは記録対象の焦点スポットのサイズに直接関連する。このため、屈折率の不適当な組み合わせに関連した収差を減少する技術が探求されるであろう。感光出力および感光時間もデータビットのサイズと関係がある。
【0064】
2.92μmのビット間隔と6μmの層間隔を有する4つの層をポリマー内に書き込むことができた。
【実施例7】
【0065】
記憶データのバルク消去
バルクで記録された情報を消去するために、関心のあるデータブロックを水銀ランプからの均一なUV光で照射した。この均一な、非偏光な光はドロップレット中の液晶配向子を再分布させ、データビットは削除された。
【0066】
図8(a)は、点間隔2.9μmのデータの24×24ブロックを示す。図8(b)は、以前に書き込まれたデータビットの配置を示す同一領域の画像である。ポリマー中の欠陥に注目されたい(2つの白い輪で強調されている)。これらは、各画像が同じ位置および同じ深さであることを示す。図8(c)は、ポリマー材料の上記と同じ層を示しているが、図8(b)の消去データビットに代わり文字Cが書き込まれている。
【実施例8】
【0067】
記憶データのビット消去
図5で示したように、整列した液晶からの蛍光には、読み出しビームの偏光状態に対する依存性がある。この特性は、図9に示したように、個々のビットデータを削除するために利用することができる。個々のデータビットを消去するために、書き込みビームは90度回転され、データビットが上書きされる。これにより液晶配向子は再整列し、このため、強い蛍光を生じる整列した配向子と、再分布した消去ビットの配向子との間でコントラストを生じさせる。
【0068】
この実施例では、文字“L”が偏光シフト0度でポリマー材料に書き込まれた。次いで、関心のある領域が90度で読み出され、図9(a)に示したように、文字“L”を構成する蛍光性データビットを示した。このビットを消去するため、ビームの偏光状態は元の書き込みビームに対して90度の角度で回転され、高出力(60〜80mW)で上書きされた。これによって、図9(b)に示したように、低出力(30mW)で、再び90度の偏光シフトで読み出された際に、関与する特定ビットからの相対蛍光が減少した。なお、再書き込みしたデータビットは、図9(a)および図9(b)内の四角で強調されている。
【実施例9】
【0069】
記憶データの安定性
PDLCに記憶されたデータは、定常的に読み出された後においてもほとんど劣化しない。以下の画像は3つのデータビットを示す。最初の画像(図10(a))は、300回読み出された後の各点を示す。2番目の画像(図10(b))は、さらに500回の読み出しサイクルを追加した後でもほとんど劣化しないことを示している。
【0070】
強度プロファイルに見られるように、信号/ノイズ比は43:1であり、これは0.91のコントラストに相当する。
【実施例10】
【0071】
読み出し波長に対する蛍光強度の依存性
読み出し過程において励起波長を変化させると、蛍光も変化する。図11には、種々の励起波長下における蛍光の変化が示されている。説明されている波長は2−p蛍光についてのものである。
【実施例11】
【0072】
2光子励起と記憶データの多重化
2光子(2−p)励起は、三次元内の全てに渡り焦点スポットを空間的に制限することができる。2−p過程はレーザ強度に対して2次の依存性を示す。図12に示したように、プロットの傾きは1.98である。これは、この過程が実際に2−p励起過程であることを示している。プロット上端の傾きの減少は、飽和状態となったことを示している。
【0073】
PDLCにおける2−p偏光から生じるデータ多重化の可能性を証明するために、さらに研究を行った。データ記憶ポリマー材料の偏光依存性を利用して、読み出しビームを90度に渡って回転させることにより蛍光のピークを変化させることができる。この変化を、例えば、0、1、2、3、4などのデータ値を表すように規定することができる。このようにして、二進数の0または1のデータ点を記憶するのではなく、より多い値を記憶させることが可能である。
【0074】
図13は、液晶配向子の初期配列に依存する蛍光の変化を示している。この場合では、それぞれのデータビットは、その位置で記憶される0、1、2または3の値をもつことができる。この値は、液晶配向子の最初に書き込む配列で表される。0度における蛍光ピークは“0”を表し、30度における蛍光ピークは“1”を表し、60度における蛍光ピークは“2”の値を表し、最後に90度における蛍光ピークは“3”を表す。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1(a)は、2光子励起下において850nmの波長で光照射した際のPDLC材料の画像である。白い点は、予め光照射したことにより液晶配向子が整列した領域を示し、暗領域は、予め光照射されなかった領域を示す。 図1(b)は、図1(a)に示した効果に寄与する液晶配向子の配列を図解したものである。
【図2】図2は、PDLC材料の各種の成分に関する化学構造を示す。図2(a)は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を、図2(b)は、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン(TNF)を、図2(c)は、N−エチルカルバゾール(ECZ)を、図2(d)は、4−ペンチル−4−シアノビフェニル(E49)をそれぞれ示す。
【図3】図3は、PMMA、E49、ECZおよびTNFの各成分を、重量換算で45:33:21:1の比率で含むPDLC材料の光波長に対する吸収のプロット(任意単位)を示す。
【図4】図4は、本発明のデータ記憶材料へ光学データを記憶し、該データ記憶材料から光学データを読み出すために準備された実験装置を図解したものである。
【図5】図5は、PMMA、E49、ECZおよびTNFの各成分を、重量換算で45:33:21:1の比率で含むPDLCサンプルの領域に照射した読み出しビームの偏光角に対する蛍光強度(任意単位)のプロットを示す。偏光角は、書き込みレーザビームの偏光方向と読み出しレーザビームの偏光方向との間の角度である。データ記憶材料中におけるデータが記憶されなかった領域に対して照射した読み出しビームの変化に伴う蛍光強度の変化はない。すなわち、これらの領域における蛍光強度は任意単位で0である。
【図6】図6は、2つの場合における、書き込み出力の関数としての整列した液晶配向子の蛍光強度を示す。書き込み照射は、900nmの波長で、プロットに示したように種々の出力で行われた。読み出し照射は、900nmの波長において30mWの出力で行われた。双方の場合ともに、対物レンズにはULWD MSPlan 100−IR NA0.80を用いた。第1の場合では、データビットは書き込みビームから0度の偏光シフトで読み出され、第2の場合では、データビットは書き込みビームから90度の偏光シフトで読み出された。
【図7】図7は、データ記憶材料の3つの異なる層に、波長900nmおよび出力60mWの書き込み照射光を60ms感光させた後の(対物レンズ:ULWD MSPlan 100−IR NA0.80)、波長900nmおよび出力30mWの読み出し照射に続いて生じた蛍光を示す(対物レンズ:ULWD MSPlan 100−IR NA0.80)。図7(a)に示す層(文字C)は、PDLC材料の表面付近であり、図7(b)に示す層(文字M)は、ポリマー内部の2μmの深さに位置する。図7(c)に示す層(文字P)は、ポリマー内部の4μmの深さに位置する。それぞれの画像は、1.56μmの点間隔を有するデータの24×24ブロックである。
【図8】図8は、波長900nmおよび出力40mWの読み出し照射に続いて生じた蛍光を示す(対物レンズ:ULWD MSPlan 100−IR NA0.80)。図8(a)(文字B)は、波長900nmおよび出力60mWの書き込み照射光を80ms感光させた後の(対物レンズ:ULWD MSPlan 100−IR NA0.80)、2.9μmの点間隔を有するデータの24×24ブロックを示す。図8(b)に示す層は、図8(a)に示す層と同じ層であるが、液晶の配向子を再分布させる水銀ランプからのUV光を感光させることによりデータを消去した後のものである。図8(c)(文字C)に示す層は、同じ層においてデータを消去した後に、図8(a)で適用した条件と同じ条件を使用して再書き込みされたデータを示す。画像中の円はポリマー欠陥を示し、これらの画像がポリマー材料の同じ層で、同じ深さから得られたことが確認される。
【図9】図9は、個々のデータビットが消去されることを証明する画像を示す。同図において、書き込み照射は波長900nmおよび出力60mWで、80msの感光時間で行われ、読み出し照射も光波長は900nmであるが、出力は30mWで行われた。双方の場合ともに、対物レンズはULWD MSPlan 100−IR NA0.80であった。図9(a)において、文字「L」は、書き込みビームの偏光シフト0度を使用してポリマー材料中に書き込まれた。次いで、関心のある領域を、文字「L」の蛍光を発するデータビットを示す90度で読み出した。図9(b)には、ポリマー材料内部において個々のビットにさらに書き込み光を感光させた後の、読み出しビームから生じた蛍光の画像が示されている。書き込み光の偏光角は90度回転され、高出力(60〜80mW)で書き込まれた。これは、低出力(30mW)で90度の偏光シフトで読み出された際に、関係する個々のビットの相対的な蛍光強度を減少させる効果があった。
【図10】図10(a)は、900nmおよび50mWで50ms記憶照射(書き込み)を行い(対物レンズ:ULWD MSPlan 100−IR NA0.80)、材料に読み出し光を300回感光させた後に、850nmおよび40mWの照射(読み出し)を行って生じた蛍光を示す(対物レンズ:ULWD MSPlan 100−IR NA0.80)。図10(b)は読み出し光をさらに500回感光させた後の同材料を示す。
【図11】図11は、900nmおよび40mWで50ms書き込み照射した後の(対物レンズ:ULWD MSPlan 100−IR NA0.80)、10mWの各種波長を有する偏光角90度の読み出し照射光を使用した(対物レンズ:ULWD MSPlan 100−IR NA0.80)際における、PMMA、E49、ECZおよびTNFの各成分を重量換算で45:33:21:1の比率で含むPDLC材料への励起波長に対する蛍光強度(任意単位)のプロットを示す。
【図12】図12は、ポリマー材料に記憶されたデータビット内における2光子(2−p)励起の2次の依存性のプロットを得るための、mW単位で測定した入射光の出力の対数に対する、任意単位で測定した蛍光強度の対数のプロットを示す。プロットの傾きは1.98であり、2−p励起を示唆している。プロット上端の傾きの減少は、飽和状態となったことを示している。
【図13】図13は、読み出しビームの偏光角が、書き込み照射光に対して(a)0度、(b)30度、(c)60度および(d)90度である際の蛍光に対する任意単位での蛍光強度のプロットを示す。これらのプロットは、90度に渡る読み出しビームの回転により蛍光のピークがどのように変化するかを示す。この特性は、単純な二進数データの記憶以上のものを達成するために使用することができる。この場合では、それぞれのビットデータ点において4つのデータ値を記憶することができる。
【符号の説明】
【0076】
1:パルスレーザ
2:機械シャッター
3:レンズ
4:レンズ
5:ピンホールアパーチャ
6:1/4波長板
7:Gran−Thomson偏光子
8:アパーチャ
9:ダイクロイックビームスプリッタ
10:ショートパスフィルタ
11:レンズ
12:対物レンズ
13:データ記憶材料
14:移動ステージ
15:PMT/CCDカメラ
16:コンピュータ

Claims (96)

  1. 以下の成分:
    (a)ポリマーマトリックス;および
    (b)ネマチック液晶ドロップレット
    を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなるデータ記憶材料を含むことを特徴とする三次元光学データ記憶装置。
  2. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された感光材料をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の三次元光学データ記憶装置。
  3. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された可塑剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の三次元光学データ記憶装置。
  4. ポリマーマトリックスが、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニルまたはポリビニルカルバゾールを含むことを特徴とする請求項1に記載の三次元光学データ記憶装置。
  5. ネマチック液晶ドロップレットが、E49、E44およびE7から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の三次元光学データ記憶装置。
  6. 感光材料が、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンおよびバックミンスターフラーレンから選ばれることを特徴とする請求項2に記載の三次元光学データ記憶装置。
  7. 可塑剤が、N−エチルカルバゾール、蟻酸イソブチルおよびイソブチル酸メチルから選ばれることを特徴とする請求項3に記載の三次元光学データ記憶装置。
  8. 重合開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の三次元光学データ記憶装置。
  9. 重合開始剤が過酸化ベンゾイルを含むことを特徴とする請求項8に記載の三次元光学データ記憶装置。
  10. 約10〜約70重量%のポリマーマトリックスと、
    約20〜約90重量%のネマチック液晶ドロップレットと、
    約5重量%以下の感光材料とを含むことを特徴とする請求項2に記載の三次元光学データ記憶装置。
  11. 約40重量%以下の可塑剤と、約0.1重量%以下の重合開始剤とをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の三次元光学データ記憶装置。
  12. 前記データ記憶装置が、その上にまたはそれについて前記データ記憶材料が位置する基材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の三次元光学データ記憶装置。
  13. 前記データ記憶材料の厚さが約10〜約2000μmであることを特徴とする請求項12に記載の三次元光学データ記憶装置。
  14. 前記基材が前記データ記憶材料を保護するように囲むとともに、該基材の少なくとも一部が、前記データ記憶材料への可視および赤外放射および該データ記憶材料からの可視および赤外放射を透過することを特徴とする請求項12に記載の三次元光学データ記憶装置。
  15. 前記基材の少なくとも一部が、前記データ記憶材料への紫外放射および該データ記憶材料
    からの紫外放射を透過することを特徴とする請求項12に記載の三次元光学データ記憶装置。
  16. 三次元光学データ記憶装置におけるデータ記憶材料が、以下の成分:
    (a)ポリマーマトリックス;および
    (b)ネマチック液晶ドロップレット
    を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなり、
    前記データ記憶材料内のゾーンに、前記データ記憶材料内の前記ネマチック液晶ドロップレットの光照射されたゾーンにおける配向子を整列させるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光を感光させ、
    前記コヒーレントな偏光が、記憶させるためのデータをエンコードすることを特徴とする光学データを記憶する方法。
  17. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された感光材料をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された可塑剤をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  19. ポリマーマトリックスが、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニルまたはポリビニルカルバゾールを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  20. ネマチック液晶ドロップレットが、E49、E44およびE7から選ばれることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  21. 感光材料が、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンおよびバックミンスターフラーレンから選ばれることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  22. 可塑剤が、N−エチルカルバゾール、蟻酸イソブチルおよびイソブチル酸メチルから選ばれることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  23. 前記データ記憶材料が、重合開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  24. 重合開始剤が過酸化ベンゾイルを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 前記データ記憶材料が、約10〜約70重量%のポリマーマトリックスと、
    約20〜約90重量%のネマチック液晶ドロップレットと、
    約5重量%以下の感光材料とを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  26. 前記データ記憶材料が、約40重量%以下の可塑剤と、約0.1重量%以下の重合開始剤とをさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 前記データ記憶装置が、その上にまたはそれについて前記データ記憶材料が位置する基材をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  28. 前記基材が前記データ記憶材料を保護するように囲むとともに、該基材の少なくとも一部が、前記データ記憶材料への紫外、可視および赤外放射および該データ記憶材料からの紫外、可視および赤外放射を透過することを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. 前記偏光の波長が約500〜約1000nmであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  30. 前記偏光の波長が約850〜約950nmであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  31. 前記偏光の波長が約900nmであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  32. 前記偏光の出力が約30〜約100mWであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  33. 前記偏光の出力が約40〜約80mWであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  34. 前記偏光の出力が約60mWであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  35. 前記偏光が超短パルスレーザにより与えられることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  36. 三次元光学データ記憶装置におけるデータ記憶材料が、以下の成分:
    (a)ポリマーマトリックス;および
    (b)ネマチック液晶ドロップレット
    を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなり、
    記憶された光学データを有する前記データ記憶材料に、前記データ記憶材料内のネマチック液晶ドロップレットの配向子が整列したゾーンから、配向子が非整列なゾーンと比較して検知可能な程度に大きい強度の蛍光を生じさせるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光を感光させ、
    前記配向子が整列したゾーンからの蛍光を検知することを特徴とする三次元光学データ記憶装置から光学データを読み出す方法。
  37. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された感光材料をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
  38. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された可塑剤をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
  39. ポリマーマトリックスが、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニルまたはポリビニルカルバゾールを含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
  40. ネマチック液晶ドロップレットが、E49、E44およびE7から選ばれることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  41. 感光材料が、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンおよびバックミンスターフラーレンから選ばれることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  42. 可塑剤が、N−エチルカルバゾール、蟻酸イソブチルおよびイソブチル酸メチルから選ばれることを特徴とする請求項38に記載の方法。
  43. 前記データ記憶材料が、重合開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
  44. 重合開始剤が過酸化ベンゾイルを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
  45. 前記データ記憶材料が、約10〜約70重量%のポリマーマトリックスと、
    約20〜約90重量%のネマチック液晶ドロップレットと、
    約5重量%以下の感光材料とを含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
  46. 前記データ記憶材料が、約40重量%以下の可塑剤と、約0.1重量%以下の重合開始剤とをさらに含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
  47. 前記データ記憶装置が、その上にまたはそれについて前記データ記憶材料が位置する基材をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
  48. 前記基材が前記データ記憶材料を保護するように囲むとともに、該基材の少なくとも一部が、前記データ記憶材料への紫外、可視および赤外放射および該データ記憶材料からの紫外、可視および赤外放射を透過することを特徴とする請求項47に記載の方法。
  49. 前記偏光の波長が約500〜約1000nmであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  50. 前記偏光の波長が約500〜約950nmであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  51. 前記偏光の波長が約900nmであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  52. 前記偏光の出力が約10〜約100mWであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  53. 前記偏光の出力が約20〜約60mWであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  54. 前記偏光の出力が約30mWであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  55. 前記偏光が超短パルスレーザにより与えられることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  56. 前記蛍光を光電子増倍管、CCDカメラ、フォトダイオードまたは分割フォトダイオード検知器で検知することを特徴とする請求項36に記載の方法。
  57. 三次元光学データ記憶装置におけるデータ記憶材料が、以下の成分:
    (a)ポリマーマトリックス;および
    (b)ネマチック液晶ドロップレット
    を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなり、
    前記データ記憶材料に、非コヒーレントであり非偏光な紫外光を感光させることを特徴とする三次元光学データ記憶装置に記憶されたバルク光学データを消去する方法。
  58. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された感光材料をさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
  59. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された可塑剤をさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
  60. ポリマーマトリックスが、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニルまたはポリビニルカルバゾールを含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
  61. ネマチック液晶ドロップレットが、E49、E44およびE7から選ばれることを特徴とする請求項57に記載の方法。
  62. 感光材料が、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンおよびバックミンスターフラーレンから選ばれることを特徴とする請求項58に記載の方法。
  63. 可塑剤が、N−エチルカルバゾール、蟻酸イソブチルおよびイソブチル酸メチルから選ばれることを特徴とする請求項59に記載の方法。
  64. 前記データ記憶材料が、重合開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
  65. 前記重合開始剤が過酸化ベンゾイルを含むことを特徴とする請求項64に記載の方法。
  66. 前記データ記憶材料が、約10〜約70重量%のポリマーマトリックスと、
    約20〜約90重量%のネマチック液晶ドロップレットと、
    約5重量%以下の感光材料とを含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
  67. 前記データ記憶材料が、約40重量%以下の可塑剤と、約0.1重量%以下の重合開始剤とをさらに含むことを特徴とする請求項66に記載の方法。
  68. 前記データ記憶装置が、その上にまたはそれについて前記データ記憶材料が位置する基材をさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
  69. 前記基材が前記データ記憶材料を保護するように囲むとともに、該基材の少なくとも一部が、前記データ記憶材料への赤外放射および該データ記憶材料からの赤外放射を透過することを特徴とする請求項68に記載の方法。
  70. 前記紫外光は水銀ランプによって生成されることを特徴とする請求項57に記載の方法。
  71. 三次元光学データ記憶装置におけるデータ記憶材料が、以下の成分:
    (c)ポリマーマトリックス;および
    (d)ネマチック液晶ドロップレット
    を含むとともに成分(b)が前記ポリマーマトリックスに分散されてなり、
    前記データ記憶材料内におけるビットデータが記憶されたゾーンに、
    前記ビットデータを記憶するために使用したコヒーレントな偏光の方向に対して約30〜約150度の角度で回転され、前記データ記憶材料内の光照射されたゾーンにおける前記ネマチック液晶ドロップレットの、光照射されたゾーンの配向子を再整列するために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光を感光させ、
    この回転された光が、以前に書き込まれていた前記ビットデータを消去することを特徴とする三次元光学データ記憶装置からビット光学データを消去して新しいデータを上書きする方法。
  72. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された感光材料をさらに含むことを特徴とする請求項71に記載の方法。
  73. 前記データ記憶材料が、前記ポリマーマトリックスに分散された可塑剤をさらに含むこと
    を特徴とする請求項71に記載の方法。
  74. ポリマーマトリックスが、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニルまたはポリビニルカルバゾールを含むことを特徴とする請求項71に記載の方法。
  75. ネマチック液晶ドロップレットが、E49、E44およびE7から選ばれることを特徴とする請求項71に記載の方法。
  76. 感光材料が、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンおよびバックミンスターフラーレンから選ばれることを特徴とする請求項72に記載の方法。
  77. 可塑剤が、N−エチルカルバゾール、蟻酸イソブチルおよびイソブチル酸メチルから選ばれることを特徴とする請求項73に記載の方法。
  78. 前記データ記憶材料が、重合開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項71に記載の方法。
  79. 重合開始剤が過酸化ベンゾイルを含むことを特徴とする請求項78に記載の方法。
  80. 前記データ記憶材料が、約10〜約70重量%のポリマーマトリックスと、
    約20〜約90重量%のネマチック液晶ドロップレットと、
    約5重量%以下の感光材料とを含むことを特徴とする請求項71に記載の方法。
  81. 前記データ記憶材料が、約40重量%以下の可塑剤と、約0.1重量%以下の重合開始剤とをさらに含むことを特徴とする請求項80に記載の方法。
  82. 前記データ記憶装置が、その上にまたはそれについて前記データ記憶材料が位置する基材をさらに含むことを特徴とする請求項71に記載の方法。
  83. 前記基材が前記データ記憶材料を保護するように囲むとともに、該基材の少なくとも一部が、前記データ記憶材料への紫外、可視および赤外放射および該データ記憶材料からの紫外、可視および赤外放射を透過することを特徴とする請求項82に記載の方法。
  84. 前記回転された光の波長が約800〜約1000nmであることを特徴とする請求項71に記載の方法。
  85. 前記回転された光の波長が約850〜約950nmであることを特徴とする請求項71に記載の方法。
  86. 前記回転された光の波長が約900nmであることを特徴とする請求項71に記載の方法。
  87. 前記回転された光の出力が約10〜約100mWであることを特徴とする請求項71に記載の方法。
  88. 前記回転された光の出力が約20〜約60mWであることを特徴とする請求項71に記載の方法。
  89. 前記回転された光の出力が約30mWであることを特徴とする請求項71に記載の方法。
  90. 前記偏光が超短パルスレーザにより与えられることを特徴とする請求項71に記載の方法。
  91. (i)データ記憶装置を保持し、位置させる手段と、
    (ii)前記データ記憶装置のデータ記憶材料内のネマチック液晶ドロップレットにおける光照射されたゾーンの配向子を整列させるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光の光源と、
    (iii)前記ネマチック液晶ドロップレットの配向子が整列したゾーンから、配向子が非
    整列なゾーンと比較して検知可能な程度に大きい強度の蛍光を生じさせるために十分な波長および出力を有するコヒーレントな偏光の光源と、
    (iv)前記配向子が整列したゾーンからの蛍光を検知する手段と、
    を含むことを特徴とする、データ記憶装置に光学データを記憶し、当該データ記憶装置から光学データを読み出す装置。
  92. 非コヒーレントであり非偏光な紫外光の光源をさらに含むことを特徴とする請求項91に記載の装置。
  93. 前記データ記憶装置を保持し、位置させる手段(i)が、前記データ記憶装置を三次元方
    向へ制御して移動するために適合していることを特徴とする請求項91に記載の装置。
  94. それぞれの前記コヒーレントな偏光が、超短パルスレーザにより与えられることを特徴とする請求項91に記載の装置。
  95. 前記配向子が整列したゾーンからの蛍光を検知する手段(iv)が、光電子増倍管、CCDカメラ、フォトダイオードまたは分割フォトダイオード検知器であることを特徴とする請求項91に記載の装置。
  96. 前記非コヒーレントであり非偏光な紫外光の光源が水銀ランプであることを特徴とする請求項92に記載の装置。
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