JP2004522912A - リニアテンショナ - Google Patents

Abstract

ベース（２）と、ベース（２）に連結されたバネ（１）を有するテンショナは、プーリ（７）を有するプレート（４）をベルトの方に付勢する。摩擦ブロック（９，１０）はバネ（１）の中心線に沿って互い違いにベース（２）上に配置される。プレート（４）はブロック（９，１０）の間の直線的な経路において摺動して移動する。ブロック（９，１０）はプレート（４）の経路を拘束し、バネ（１）の軸に平行な単一の軸のみにおける移動を許容する。プーリ（７）上を走行するベルトからのハブ負荷はプレート（４）に作用するバネ（１）の力と組み合わされ、摩擦ブロック（９，１０）を介して、プレート（４）に作用する偶力を生じる。プレート（４）とブロック（９，１０）の間の係合面は、所定の摩擦係数を有し、プーリ（７）とプレート（４）がブロック（９，１０）上の直線的な経路を移動するときに減衰力を生じる。

Description

【０００１】
（発明の分野）
本発明はテンショナに関し、特に、リニア支持機構によるプーリ動作のダンピングを有するリニアテンショナに関する。
【０００２】
（発明の背景）
自動車等に用いられるほとんどのエンジンは、車両の適当な操作に必要な多数のベルト駆動アクセサリシステムを備える。アクセサリシステムはオルタネータ空調コンプレッサおよびパワーステアリングポンプを含む。
【０００３】
アクセサリシステムは一般に、エンジンのフロント面に設けられる。各アクセサリは、種々の形態のベルト駆動から動力を受けるために、シャフトに設けられたプーリを有する。従来のシステムでは、各アクセサリはアクセサリとクランクシャフトの間を走行する別部材であるベルトにより駆動される。ベルト技術の改良により、単一のサーペタインベルトがほとんどのアプリケーションに現在一般的に用いられている。種々のアクセサリコンポーネントの間を走行する単一のサーペタインベルトはアクセサリを駆動する。エンジンクランクシャフトはサーペタインベルトを駆動する。
【０００４】
サーペタインベルトがすべてのアクセサリで経由しなければならないので、それは以前のものよりも一般的に長くなっている。適切な作動のために、ベルトは所定の張力が付与される。ベルトが作動されるとき、ベルトその長さにわたって少し伸張する。これはベルト張力の減少を引き起こし、これはベルトのスリップの原因となる。したがって、ベルトが使用の間に伸びるので、ベルトテンショナが適切なベルト張力を維持するために使用される。
【０００５】
ベルトテンショナが作動するとき、走行するベルトはテンショナバネにおいて振動を引き起こす。これらの振動は、ベルトおよびテンショナの磨耗を早めるので好ましくない。したがって、減衰機構がテンショナに付加され、動作振動を減衰させる。
【０００６】
種々の減衰機構が開発されている。それらは粘性流体ダンパ、相互に摺接あるいは作用する摩擦面に基づく機構、および一連の相互作用バネを使用した減衰機構を含む。
【０００７】
この技術の代表は、ベースの角度付き面に係合するカムブロックを有するテンショナを開示した、スプロール（Ｓｐｒｏｕｌ）に付与された米国特許第４，３６２，５２５号（１９８２年）明細書である。テンショナアームが動作するとき、カムブロックは摩擦係数を有する角度付き面に対して移動し、これによりアームに減衰力を付与する。
【０００８】
従来技術のテンショナは複雑であり、いくつかのコンポーネントを必要とする。これらはまた、ベルトと摩擦要素の間の機械的な関係を利用するために要素を配置することにより、設計の自由度を有しない。従来技術のテンショナはまた一般に、プーリ中心に正確な動作を与える。結局、従来技術のテンショナはリニア減衰支持機構を使用しない。
【０００９】
必要なものはリニア支持機構を有するテンショナである。必要なものは減衰リニア支持機構を有するテンショナである。必要なものは、プーリプレートの直線的な運動に応じて減衰を発揮する摩擦ブロックを有するテンショナである。必要なものはプーリプレートに係合する摩擦ブロックに作用する偶力によって決定される減衰力を有するテンショナである。本発明はこれらのニーズに合致する。
【００１０】
（発明の概要）
本発明の第１の特徴はリニア支持機構を有するテンショナを提供することである。
【００１１】
本発明の他の特徴は減衰リニア支持機構を有するテンショナを提供することである。
【００１２】
本発明の他の特徴は、プーリプレートの直線的な運動に応じて減衰を付与する摩擦ブロックを有するテンショナを提供することである。
【００１３】
本発明の他の特徴は、プーリプレートに係合する摩擦ブロックに作用する偶力によって決定される減衰力を有するテンショナを提供することである。
【００１４】
本発明の他の特徴は本発明の次の記述と添付した図面によって明らかになるであろう。
【００１５】
本発明はベースを有するテンショナを備える。ベースに連結されたバネは、プーリを有するプレートをベルトの方に付勢する。摩擦ブロックはバネの中心線に沿って互い違いにベースに配置される。プレートはブロックの間の直線的な経路において摺動して移動する。ブロックはプレートの移動経路を拘束し、バネの軸にほぼ平行な単一軸のみにおける移動を許容する。プーリ上を走行するベルトからのハブ負荷はプレートに作用するバネ力と組み合わされ、摩擦ブロックを介して、プレートに作用する偶力を生じる。プレートとブロックの間の係合面は、所定の摩擦係数を有し、プーリとプレートがブロック上の直線的な経路を移動するときに減衰力を生じる。
【００１６】
明細書に組み込まれて明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、記述とともに、本発明の原理を説明するために役立つ。
【００１７】
（好ましい実施形態の詳細な説明）
図１は本発明の上方から見た斜視図である。付勢部材すなわちバネ１はベース２とタング３に取り付けられている。タング３はプレート３０（図示せず）に取り付けられている。プレート３０はスライドプレート４（図示せず）に設けられている。軸５はプレート３０に取り付けられている。プーリ軸受６は軸５に取り付けられている。プーリ７は軸受６に取り付けられている。ベルトＢはプーリ７の周りに架け回されている。好ましい実施形態においてバネ１はらせんコイルバネを備えるが、例えば空気圧あるいは流体圧ピストンのように従来技術で知られているような適当な付勢要素を備えてもよい。
【００１８】
図２は本発明の上方から見た一部分の斜視図である。テンショナはプーリ７を除去されて図示されている。軸５およびタング３はプレート３０に設けられている。プレート４は図示されていない。
【００１９】
図３は本発明の上方から見た一部分の斜視図である。プレート３０は、ベース２に摺動自在に取り付けられたプレート４を示すために省略されている。固定具Ｆはテンショナを使用のために適当な面に取り付ける。
【００２０】
図４は本発明の上方から見た一部分の斜視図である。軸５、軸受６、プーリ７およびプレート３０はそれぞれ、ベース２に摺動自在に取り付けられたプレート４を示すために省略されている。
【００２１】
図５は本発明の端部の立面図である。プレート４はブロック９およびブロック１０に係合されている。摩擦部材としても参照されるブロック９、１０はベース２に固定して取り付けられている。ブロック９、１０はバネ軸Ａ−Ａの反対側の面に配置される。ブロック９は、摩擦部材係合面２１、２２の間に角度α１を形成する。プレート４上のプレート係合面２３、２７は、摩擦部材係合面２１、２２にそれぞれ摺動自在に係合している。ブロック１０は、摩擦部材係合面２４、２５の間に角度α２を形成する。プレート４上のプレート係合面２６、２８は、摩擦部材係合面２５、２４にそれぞれ摺動自在に係合している。
【００２２】
面２１、２２、２３、２４、２５、２６、２７および２８は、従来技術で知られているさまざまな摩擦部材を備えていてもよく、これらはナイロンまたはＰＴＦＥを含むが、これらに限定されず、所定の摩擦係数を有する。好ましい実施形態において、角度α１および角度α２は等しいが、しかしユーザのニーズによって異なってもよい。
【００２３】
図６は本発明の部分的な平面図である。この図は、ブロック９、１０およびバネ１の間の関係を示すためにプレート４が省略されていることを除いて、図４に示されるテンショナを示している。ブロック９とブロック１０は互い違いに置かれ、バネ軸Ａ−Ａに沿ってバネ１から異なった距離にある。ブロックはまた、バネ軸Ａ−Ａを横切る距離ｂだけ相互に離れている。プーリ中心Ｐｃは距離ａだけバネ軸Ａ−Ａから垂直にずれおり、そして距離ｃだけブロック９の縁からずれている。距離ａは、ブロック９の摩擦係合面のバネ軸Ａ−Ａからの距離よりも長い。
【００２４】
動作中、張力を有するベルトは、Ｐｃにおいて作用するハブ荷重Ｆ_Ｌを生じるプーリ７の周りに架け回され、ハブ荷重は軸５に作用して、プレート４に作用する。バネ力のベクトルＦ_Ｓは作用してハブ荷重Ｆ_Ｌに対抗し、これは反発力Ｆ_Ｒ９とＦ_Ｒ１０を発生させ、これらはブロック９、１０に作用する。プレート４は拘束され、ブロック９、１０の間のバネ軸Ａ−Ａに平行な固定経路に沿って直線的に動く。力Ｆ_Ｒ９とＦ_Ｒ１０はＦ_Ｒとして参照される。
【００２５】
テンショナは解析のために静的平衡にあると仮定されるので、ベクトルが加算されてブロック９、１０に作用する反発力のベクトルＦ_Ｒ９とＦ_Ｒ１０を与える。
Ｆ_Ｓ＋Ｆ_Ｌ＝Ｆ_Ｒ９＋Ｆ_Ｒ１０ （１）
【００２６】
Ｆ_Ｒ９とＦ_Ｒ１０はブロック９、１０に作用する偶力として変換される。プレート４の協働面に係合するブロック９、１０の側面が所定の摩擦係数をするので、摩擦力がブロックに対する偶力Ｆ_Ｒ９とＦ_Ｒ１０の作用によって発生する。さらに、ブロックは角度α１とα２を有する摩擦部材係合面を有するので、プレート４も、プレート係合面が係合面２２と２５に係合するのでカム効果を示す。これは、Ｆ_Ｒがプレート４の面で各ブロックに対して垂直な力であると仮定すると、摩擦力に対しｓｉｎ（α）の要素を与える。そして摩擦力はダンピング効果ζを決定するつまり：
ζ＝ｓｉｎα（Ｆ_Ｒμ） （２）
ここでμは摩擦部材係合面とプレート係合面それぞれの摩擦係数である。
【００２７】
当業者は、ベクトルＦ_Ｒの大きさと方向を変化させることは各係合面の摩擦係数と同様に減衰効果を変化させることを容易に理解するであろう。これはまた、バネ軸Ａ−Ａとプーリ中心Ｐｃの間の距離ａ、ブロック９，１０の間の距離ｂ、ブロック９とプーリ中心の間の距離ｃのような関連した変数を変化させることによって達成されることもある。各変数の適切な選択により、ユーザは与えられた作動パラメータと要求に基づいて動作するようにテンショナを設計することができる。
【００２８】
付勢部材の軸Ａ−Ａは摩擦部材係合面の面から僅かに垂直方向にずれていてもよく、これにより、ここに記載された減衰効果が変化する。
【００２９】
本発明のひとつの形態が説明されたが、ここに記載された本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、構成と関連した部分に種々の変形が施されることは当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【図１】
本発明の上方から見た斜視図である。
【図２】
本発明の上方から見た一部分の斜視図である。
【図３】
本発明の上方から見た一部分の斜視図である。
【図４】
本発明の上方から見た一部分の斜視図である。
【図５】
本発明の端部の立面図である。
【図６】
本発明の部分的な平面図である。

Claims (12)

1. ベースと、
   ベースに取り付けられ、摩擦部材係合面を有する摩擦部材と、
   対応する摩擦部材係合面に摺動自在に係合するプレート係合面を有するプレートと、
   前記プレートを力に対抗させるために、前記ベースと前記プレートの間を付勢する付勢部材と、
   前記プレートに枢支されたプーリ中心を有するプーリと
   を備えるテンショナ。
2. 前記付勢部材が軸を有し、
   前記付勢部材の軸の両側にあって前記付勢部材の軸に実質的に整合する、摩擦部材係合面および対応するプレート係合面により、前記プレートの直線的な移動を許容する
   請求項１に記載のテンショナ。
3. 前記プーリが回転軸を有し、
   前記回転軸が前記付勢部材の軸から垂直に距離を置かれて配置される
   請求項２に記載のテンショナ。
4. 各摩擦部材係合面および対応するプレート係合面が、他の摩擦部材係合面および対応するプレート係合面から、前記付勢部材の軸の反対側に垂直に距離を置かれて配置される
   請求項３に記載のテンショナ。
5. 各摩擦部材係合面および対応するプレート係合面が、他の摩擦部材係合面および対応するプレート係合面から、前記付勢部材の軸に沿って相互に軸方向に離れて配置される
   請求項４に記載のテンショナ。
6. 各摩擦部材係合面および対応するプレート係合面が、実質的に平らである
   請求項５に記載のテンショナ。
7. 前記プーリ中心が前記付勢部材の軸に垂直なオフセット距離“ａ”だけずれており、
   前記オフセット距離“ａ”が前記付勢部材の軸から摩擦部材係合面までの距離よりも大きい
   請求項６に記載のテンショナ。
8. 各摩擦部材係合面および対応するプレート係合面が、付勢部材取り付け点から前記付勢部材の軸に沿って異なる距離にある
   請求項７に記載のテンショナ。
9. 各摩擦部材係合面および対応するプレート係合面がさらに、
   相互に角度を形成し、かつ頂点を有する一対の面と、
   前記付勢部材の軸の反対側にあり、前記付勢部材の軸から離れた方向を向く頂点と
   を備える請求項８に記載のテンショナ。
10. 摩擦係合面および対応するプレート係合面が、所定の摩擦係数を備える請求項９に記載のテンショナ。
11. 付勢部材がバネを備える請求項１０に記載のテンショナ。
12. 前記付勢部材が空気圧ピストンを備える請求項１１に記載のテンショナ。