JP2004522009A - 情報機能を有する布地でできたフルファッション衣類 - Google Patents
情報機能を有する布地でできたフルファッション衣類 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004522009A JP2004522009A JP2003503031A JP2003503031A JP2004522009A JP 2004522009 A JP2004522009 A JP 2004522009A JP 2003503031 A JP2003503031 A JP 2003503031A JP 2003503031 A JP2003503031 A JP 2003503031A JP 2004522009 A JP2004522009 A JP 2004522009A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fabric
- garment
- panel
- edge
- piece
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A41—WEARING APPAREL
- A41H—APPLIANCES OR METHODS FOR MAKING CLOTHES, e.g. FOR DRESS-MAKING OR FOR TAILORING, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- A41H43/00—Other methods, machines or appliances
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Textile Engineering (AREA)
- Woven Fabrics (AREA)
- Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
Abstract
本発明は、最小限の縫い目及び/又は最小限の裁断を用いた、オーバーオール又は病院のガウンに類似した全身用の衣類に転換可能な、単一ピースの織物の衣類の製造するプロセスに関する。この衣類は、一片として作られる様々なパーツを有する二次元の布地から作られる。更に、この衣類は、情報機能を与えるための、情報の収集、処理、及び送受信のための統合インフラコンポーネントを含むことができる。
Description
【0001】
技術分野
本発明は、最小限の縫い目及び/又は最小限の裁断を用いた、オーバーオール又は病院のガウンに類似した全身用の衣類に転換可能な、単一ピースの織物の衣類(single−piece woven garment)を製造するプロセスに関する。この衣類は、単体として作られる様々なピースを有する単一の二次元の布地から製造される。更に、この衣類は、衣類に情報機能を設けるための、情報の収集、処理、及び送受信のための統合インフラコンポーネントを含むことができる。
【0002】
背景技術
衣類を仕立てるための従来の技術は、衣類のパーツを形成するためにパターンを用い、1着の衣類を作るために、これらのパターンピースを裁断及び縫製することを含む。従来の構成の衣類の縫い目は、着用者を拘束し、不快感及び不安感を生じる場合があった。本発明は、1着の衣類を作る際の作業数を減らす。更に、本発明は、伝統的な製織に見られるいかなる不連続部も生じずに、1つ以上の糸を布地全体に連続して挿入する手段を提供する。
【0003】
ジャヤラマンら(Jayaraman,et al.)の米国特許第6,145,551号は、アームホールを有する織物衣類を製造するためのフルファッション織りプロセスを開示している。この衣類は、不連続部や縫い目がない単一の一体構造であり、アームホールは、裁断や縫製ではなく製織プロセス自体で得られたものである。しかし、ジャヤラマンのプロセスによって製造された衣類は、袖や脚を含まず、その部分は単に開口部となっている。
【0004】
従って、衣類を成形するための布地パーツの裁断及び縫製の必要性を最小限にした、袖及び脚が付いたフルファッションでワンピース型の衣類の製造プロセスの必要性がある。本発明が主に関するのは、そのようなプロセス及び製品である。本発明の裁断及び縫製プロセスを用いれば、袖及び脚の側部の縫い目の裁断及び縫製工程が最小限になる。
【0005】
共にジャヤラマンらによる1999年3月19日に出願された係属出願の米国特許出願第09/273,175号及び米国特許第6,145,551号は、情報の収集、処理、及び送受信のための統合インフラコンポーネントを含む布地又は衣類を開示している。この布地は、「着用可能なマザーボード」として機能し、導電性繊維の相互接続を用いることにより、多くのスタンドアロンワイヤやケーブルを必要とせずに、多くのデータ収集センサを衣類に統合する。得られた情報は、単一の電子リード又はトランシーバを介して、複数のモニタ装置に送信されてもよい。
【0006】
本発明のプロセスと、ジャヤラマンの係属出願の導電性繊維、光学繊維、又はそれらの両方の相互接続とを用いると、情報の収集、処理、及び送受信のための統合インフラコンポーネントを組み込んだ、オーバーオールと類似した袖及び脚付きのワンピース型衣類の製造が可能になる。
【0007】
発明の概要
従って、本発明の目的は、織物、ニット、又は不織布の単一の一体化ピース及び縫い目のみで構成された、脚及び任意に袖が付いたワンピース型衣類の提供である。
【0008】
本発明の別の目的は、一体化された単一ピース及び縫い目のみで構成された、脚及び任意に袖が付いたワンピース型衣類の製造プロセスの提供である。
【0009】
本発明の更に別の目的は、1つ以上の身体的徴候及び/又は衣類の穿通を監視する機能等の情報機能を有することが可能な、脚及び任意に袖が付いたワンピース型衣類、並びにそのような衣類の製造プロセスの提供である。
【0010】
本発明のワンピース型衣類では、一片の布地が裁断され、最小限の縫い目を有する衣類として形成される。「ワンピース型」衣類を作るために、複数片の布地を縫い合わせる必要がある従来の布(織物、ニット又は不織布)製の衣類の構造とは異なり、本発明では、任意に袖が付いた「ワンピース型」衣類を形成するために、一片の布地が裁断され、折り曲げられて、縫製されてもよい。このプロセスの容易さにより、最小限の裁断及び縫製で、二次元の織物、ニット又は不織布から衣類を成形することができる。
【0011】
本発明は、一片の二次元の布地からワンピース型の衣類を製造するプロセスに関し、このプロセスは、(1)第1サイドエッジ及びその反対側の第2サイドエッジ、並びに第1エンドエッジ及びその反対側の第2エンドエッジを有する中央パネルと、(2)第2エンドエッジのほぼ中央部に取り付けられ且つ第1サイドエッジを超えて延びるエンドパネルと、(3)第1エンドエッジのほぼ中央部に取り付けられ且つ第2サイドエッジを超えて延びる第2エンドパネルとを有する形状に、布地を形成する工程を有する。次に、裁断された布地を、中央パネルの中央部に位置する第1の水平折り曲げ線に沿って折り曲げる工程と、中央パネルの第1の水平折り曲げ線のほぼ中央部で布地を裁断し、対象者の頭が入るのに十分な大きさの穴を得る工程と、裁断された布地を、第1エンドパネルの第1の垂直折り曲げ線であって、中央パネルの第2サイドエッジに位置する第1の垂直折り曲げ線に沿って折り曲げる工程と、裁断された布地を、第2エンドパネルの第2の垂直折り曲げ線であって、中央パネルの第1サイドエッジに位置する第2の垂直折り曲げ線に沿って折り曲げる工程と、得られた布地の合わさったエッジを固定する工程とにより、この布地がワンピース型衣類として形成される。
【0012】
本発明のプロセスでは、最小限の継ぎ目/縫い目を用いて、一片の布地を、トップ及び脚を有するオーバーオール又は病院のガウンに類似した他の全身用の衣類へと、容易に転換できる。本発明は、1片として製造される、オーバーオールの様々なパーツを有する二次元の布地で構成される。本発明のプロセスは、袖付きの衣類を製造するように変形することも可能である。
【0013】
別の実施形態では、本発明に従って製造されるワンピース型の衣類は、情報機能を有する衣類として成形されてもよい。この衣類には、血圧、心拍数及び体温等の、1つ以上の身体生命徴候を監視する手段と、衣類の穿通を監視する手段とを設けることができる。この袖付き又は袖無しで製造可能なワンピース構造は、患者の腕の下で生命徴候を監視することを含む、患者の生命徴候の監視を可能にする。
【0014】
この情報機能付きワンピース型衣類は、ベースの布地(「快適性コンポーネント」)と、情報インフラを構成する少なくとも1つの検出コンポーネントとで構成される。検出コンポーネントは、穿通検出材料コンポーネント、導電性材料コンポーネントのいずれか、又はそれらの両方であることが可能である。好ましい穿通検出コンポーネントは、プラスチック光学繊維(POF)である。好ましい導電性材料コンポーネントは、ポリエチレン、ナイロン又は他の絶縁性の外装を有するドーピングされた無機繊維、又は、ポリエチレンの外装を有する細いゲージの金属線である。任意に、布地は、必要性及び用途に応じて、スパンデックス(SPANDEX)繊維等の形状適応コンポーネントや、NEGA−STAT等の静電気放散コンポーネントを含むことも可能である。これらの各コンポーネントは、その全体を参照し本明細書に全てを上述するのと同様に援用する米国特許出願第09/157,607号及び米国特許第6,145,551号に開示されている、フルファッション織りプロセスに組み込むことができる。
【0015】
検出コンポーネントは、とりわけ、(i)発射体の穿通(projectile penetration)の検出を補助可能なこと、及び(ii)情報又はデータを、通信中の他の装置に又は他の装置から伝達するための「データバス」又は「マザーボード」として作用することの、2つの主要機能の一方又は両方の作用が可能である。これらの機能は、一緒に又は個々に用いることができる。導電性繊維は、(人間/動物の身体に取り付けられた又は布地の構造に組み込まれた)センサから、心拍数、呼吸数、声及び/又は他の任意の所望の身体的特性を監視するモニタ装置に情報を送るのを、補助することができる。このように、本発明は、着用者に関する情報を収集/処理する装置の「(プラグ式の)接続」を容易にする着用可能な情報インフラを有する、袖付き又は袖無しの柔軟なワンピース型の衣類を製造する。所望の最終用途に応じて、布地又は衣類には、POF及び導電性繊維の両方ではなく、POFは組み込まずに導電性繊維のみを組み込むことも、又はその逆も可能である。POFの数、長さ及びピッチ(糸の間隔)は、所望の最終用途の要件に合うように変更できる。同様に、導電性繊維の数、長さ及びピッチ(糸の間隔)も、所望の最終用途の要件に合うように変更できる。
【0016】
本発明の明細書の説明からわかるように、一片の二次元の布地から、必要な裁断及び縫製を最小限にして、袖付き又は袖無しのワンピース型の衣類を形成することができると共に、これにより、情報機能を有する衣類を作ることができる。本発明の上記及び他の長所は、添付の図面と共に、以下の明細及び特許請求の範囲を読めば明らかになる。
【0017】
例示的な実施形態の詳細説明
次に、図面を参照すると、複数の図面を通して、同一参照番号は同一要素を表し、本発明のフルファッション織りプロセス及び製品が詳細に示されている。
【0018】
A.本発明の衣類を成形する方法
図1に示されるように、ワンピース型衣類は、一片の二次元の布地から製造される。図示されるように、布地を折り曲げて裁断し、次に、示されている部分を固定することにより、「オーバーオール型」の衣類が得られる。本発明の方法は、衣類の複数のピースを作るためのパターンの数を削減し、それにより、裁断及び縫製を最小限にできる。
【0019】
本発明は、1片の布地からの衣類の製造に備えたものである。図1に示されるように、袖無しの衣類では、布地は3つの基本領域に区画される。第1区画、又は中央パネル区画は、一般的に最も大きく、衣類の前身ごろ(FB)及び後身ごろ(BB)になる部分を含む。前の区画と後の区画とは、中間点の水平の折り目で分けられ、この折り目は、頭部及び首用の穴に対応するために裁断される。中央パネル区画は、第1サイドエッジ、第2サイドエッジ、第1エンドエッジ及び第2エンドエッジを有する。主要区画からずれた位置には、衣類の右脚(RL)及び左脚(LL)を表す端部区画がある。サイドエッジを有する第1エンドパネルは、概ね中間点で中央パネルの第1エンドエッジに接続されており、中央パネルの第2サイドエッジを超えて延在している。サイドエッジを有する第2エンドパネルは、中央パネルの第2エンドエッジに接続されており、第1サイドエッジを超えて延在している。各エンドパネルは、各エンドパネルのサイドエッジが合うように、中央パネルのサイドエッジから延びる折り線に沿って垂直に折り曲げられる。サイドエッジは、縫い合わせ、接着剤、テーピング、スナップ及び面ファスナー(VELCRO)を含む任意の固定手段を用いて固定される。
【0020】
図1に示されるように、本発明の衣類が袖を含む場合には、中央部の水平の折り目に沿って中央パネルから延びる2つの付加的な区画(LS)及び(RS)が設けられる。中央パネルを水平に折り曲げたら、これらの付加的な区画は縫い合わされ、袖が形成される。
【0021】
本発明の衣類を仕立てるために、織物、不織布、及びニット生地を含む、任意のタイプの二次元の布地を用いてよい。本発明では、綿、毛、ポリエステル及び他の従来の布地、又はそれらの混紡が特に有用である。糸の材料の選択は、通常、布地の最終用途によって決定され、快適性、フィット感、布地の手触り、通気性、吸湿性及び糸の構造的特徴の検討に基づく。適切な糸としては、綿、ポリエステル/綿の混紡、マイクロデニールポリエステル/綿の混紡、及びメラクロン(MERAKLON)(ダウテックス・インダストリーズ(Dawtex Industries)社製)等のポリプロピレン繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
B.衣類の一体型のパーツを有する布地の製造方法
図2は、織機で単一の二次元の布地として製造される、衣類の様々なパーツのレイアウトを示している。図3は、図2に示されている構造の引通し図である。
【0023】
図2の布地の区画Aは、図4(区画Aとしても示されている)の経糸のリフトシーケンス(lifting sequence)によって作られる。従って、経糸の4つのブロック(図4ではグループ1、グループ2、グループ3及びグループ4として示す)が共に、図2の布地の区画Aを作る。これにより、図2に示されている衣類の左脚(LL)が作られる。図4の区画Bに示されているリフトシーケンスは、衣類の後身ごろ(BB)の一部分の製造に関与し、図4の区画Cとして示されているリフトシーケンスは、図2の、袖(LS及びRS)を伴う後身ごろ(BB)の残りの部分及び前身ごろ(FB)の一部となる。次に、図4の区画Dとして示されているリフトシーケンスは、図2の前身ごろ(FB)の残りの部分を作る。最後に、図4の区画Eとして示されているリフトシーケンスは、図4の右脚(RL)を作る。このように、図3の引通し図及び図4のリフトシーケンスの組み合わせを用いると、(この例では袖を有する)オーバーオール型の衣類を作るための一体型の衣類パーツを有する二次元の布地を、1台の織機で製造することができる。
【0024】
この製織プロセスから得られた布地の衣類の様々なパーツ(FB、BB、LL、RL、RS及びLS)を、図1に示されるように折り曲げ、縫い合わせ、スナップ、接着剤又は面ファスナーを含むがこれらに限定されない任意の固定手段で固定して、任意に袖が付いた衣類を作ることができる。
【0025】
1.織物
織物を用いる場合には、布地の基本構造は平織りであるのが好ましい(しかし、用途に応じて他の織り方を用いることもできる)。図4に示されるように、織機上の経糸のシーケンスは、所望のグループの糸を必要に応じてドロップさせることができるように、「ブロック織り」用に設定される。この設計の1つの特徴は、緯糸(filling)をいかなる途切れもなく連続挿入できることである。
【0026】
このような織物の衣類の製造を可能にする織機は、手動モード及び自動モードで操作可能な有杼(シャットル)織機であるAVLコンピュ・ドビー(Compu−Dobby)である。この織機は、設計ソフトウェアを用いて作られた設計を杼口制御機構に直接ダウンロードできるように、コンピュータとインタフェースで接続可能である。或いは、ジャカード織機を用いてもよい。ドビー織機を用いたので、このような織機での織布の製造を説明する。織物の衣類を製造するための織機の構成の1つを示す。
【表1】
【0027】
本発明に従った織物衣類の製造は、24個のハーネスを有する織機の使用に限定されないことは、当業者には明らかである。例えば、48個のハーネスを有する織機、又は400個のフックを有するジャカード織機を用いることもできる。
【0028】
2.ニット生地
本発明の衣類におけるニット生地の使用の一例として、次のパラメータを示す。
【表2】
【0029】
上の表は、本発明の、布地に情報インフラが統合されたニット生地の実施形態の製造に用いられるパラメータを示している。上の例では、ニット生地に、導電性繊維と共にプラスチック光学繊維が組み込まれる。
【0030】
C.本発明による情報機能
本発明の布地及びプロセスは、裁断及び縫製を最小限にする長所に加えて、図3〜図5に示されるように、情報機能を有する袖付き又は袖無し衣類の基礎を提供し得る。このように、衣類に、血圧、心拍数、脈拍数及び体温等の身体的徴候を監視する手段と、衣類の穿通を監視する手段とを設けることができる。このような情報機能を有する衣類は、布地のベース又は「快適性コンポーネント」と、情報インフラコンポーネントとで構成される。更に、所望に応じて、形状適応コンポーネント及び静電気放散コンポーネントを含んでもよい。
【0031】
情報インフラコンポーネントは、穿通検出コンポーネント、導電性コンポーネント、センサ類、プロセッサ類、又は無線送信装置の、任意のもの又は全てを、個々に又は任意の組み合わせで含むことが可能である。情報インフラコンポーネントは、対象者からの情報の取得、処理、及び、ローカル又は遠隔モニタユニットへの送信機能がある。
【0032】
衣類の検出コンポーネントは、衣類の穿通を検出する材料、又は1つ以上の身体的徴候を検出する材料、又はそれらの両方を含むことができる。これらの材料は、布地の快適性コンポーネントを織っている又は編んでいる間に織り込まれるか又は編み込まれる。衣類の成形の完了後、これらの材料をモニタ(「個人状態モニタ」又はPSMと呼ぶ)に接続することができる。詳細は後述するが、モニタは、検出材料からの読み取りを行い、読み取りデータをモニタし、読み取りデータ及び所望のモニタ設定に応じて警報を発する。
【0033】
穿通検出及び警報コンポーネント24を設けるのに適した材料としては、シリカ系光学繊維、プラスチック光学繊維及びシリコーンゴム光学繊維が挙げられる。適切な光学繊維は、送信される所望の信号及び必要なデータストリームをサポート可能な帯域幅を有する充填媒質を有するものを含む。シリカ系光学繊維は、高帯域幅の長距離用途で用いられるように設計されている。シリカ系光学繊維の非常に小さいシリカのコア及び低い開口数(NA)は、(500mhz*kmまでの)大きな帯域幅と、(0.5dB/kmほどの)低い減衰とを提供する。しかし、このような繊維は、設置の労賃が高いことと、繊維が裂ける危険性があることにより、好ましくない。
【0034】
プラスチック光学繊維(POF)24は、ガラス(シリカ系)繊維と同じ長所の多くを有するが、重量及びコストが低い。一部のセンサ及び医療用途のような特定の繊維の用途では、用いられる繊維の長さは(数メートル未満と)非常に短く、繊維損失及び繊維分散は問題ではない。その代わりに、良好な光学的透明性、適切な機械的強度及び柔軟性が特性として必要であり、プラスチック又はポリマー繊維が好ましい。更に、プラスチック光学繊維は、ガラス繊維のように裂けないので、ガラス繊維よりも安全にライナーに用いることができる。
【0035】
比較的短い長さでは、POFはガラス繊維を超える幾つかの固有の長所を有する。POFは、比較的高い開口数(NA)を示し、これは、より多くの電力を送る能力に寄与する。更に、NAが高いと、POFが、繊維の曲げ及び撓みによって生じる光損失の影響を受けにくくなる。可視波長領域における伝達は、他のスペクトルにおける伝達よりも比較的高い。医療用センサの大半では、光のスペクトルの可視領域の波長によってトランスデューサが作動されるので、これは長所である。その光の伝達の性質により、POFは、ガラス繊維と類似した高帯域幅の能力を提供すると共に、ガラス繊維と同様に電磁的な影響を受けない(electromagnetic immunity)。POFは、比較的安価であることに加え、過剰な繊維を溶かして光学品質の端部仕上げをするホットプレート手順を用いて端部処理できる。この簡単な端部処理を、従来の接続システムであってもよいPOF接続システムのスナップ固定設計と組み合わせると、1分以内でノードの端部処理ができる。これにより、設置コストが非常に低くなる。更に、POFは、比較的穏やかでない環境で示される、より荒っぽい機械的扱いにも耐えることができる。可視波長を短い距離にわたって伝えるために、安価且つ耐久性のある光学繊維が必要な用途では、現在、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はスチレン系ポリマーで作られたPOFが主に用いられている。
【0036】
第三種光学繊維であるシリコーンゴム光学繊維(SROF)は、優れた曲げ特性及び弾性回復を備える。しかし、これらは比較的厚く(5mm程度)、信号減衰の程度が高い。また、これらは高い湿度の影響を受けると共に、まだ市販されていない。よって、たとえ織物又はニット生地におけるこれらの繊維の使用が好ましくなくても、これらを用いることは可能である。これらの繊維は、テネシー州オークリッジ(Oak Ridge, Tennessee)に所在するオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Lab)から入手できる。
【0037】
織物又はニット生地に穿通検出コンポーネント材料を組み込むために、好ましくはプラスチック光学繊維(POF)24である材料は、フルファッションの織物又はニット生地製造プロセスの間に、螺旋状に構造と一体化される。POFは、布地の途中では終端せず、布地を通していかなる不連続部もなく連続している。これにより、単一の統合された布地が1つだけ生じ、POFに関する限り、継ぎ目もない。好ましいプラスチック光学繊維は、ニューヨーク(New York)に所在するトーレ・インダストリーズ(Toray Industries)の製品であり、特に、トーレ・インダストリーズの製品であるPGS−GB250光学繊維コードが好ましい。
【0038】
その代わりに、又はそれに加えて、検出コンポーネントは、導電性材料コンポーネント(ECC)25で構成されてもよい。導電性繊維は、約0.07×10−3〜10Kオーム/cmの抵抗を有するのが好ましい。ECC25を、身体上のセンサを介して、心拍数、脈拍数、体温及び血圧を含む1つ以上の身体生命徴候を監視するため、並びに、個人状態モニタ(PSM)にリンクするために用いることができる。適切な材料としては、後述する、第三種の真性導電性ポリマー、ドーピングされた無機繊維及び金属繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
導電性(無機)物質を添加しなくても電流を通すポリマーは、「真性導電性ポリマー」(ICP)として知られている。導電性ポリマーは、共役構造、即ち、炭素原子と主鎖との間の単結合と二重結合とが交互になった構造を有する。1970年代の後期に、高い導電性を有する形態のポリアセチレンを作ることが可能であり、化学的酸化によりその導電性を更に高められることが発見された。その後、例えばポリチオフェンやポリピロール等の、共役(交互になった単結合と二重結合)炭素主鎖を有する多くの他のポリマーが、同様の挙動を示している。当初は、従来のポリマーの加工性と、発見された導電性とを組み合わせることができると思われていた。しかし、導電性ポリマーは、空気中ではどちらかというと不安定であり、機械的特性が劣り、容易に加工できないことがわかった。また、全ての真性導電性ポリマーは、いかなる溶剤にも不溶であり、溶融点や他の軟化挙動を有さない。従って、これらを、通常の熱可塑性ポリマーと同様に加工することはできず、通常は、様々な分散方法を用いて加工される。これらの短所により、完全に導電性ポリマーで構成された、良好な機械的特性を有する繊維はまだ市販されておらず、よって、今のところ本発明で用いるには好ましくないが、それらを用いることは可能である。
【0040】
導電性繊維の更に別の種類は、無機粒子又は金属粒子がドーピングされたもので構成される。これらの繊維の導電性は、金属粒子が十分にドーピングされた場合にはかなり高いが、これにより繊維の柔軟性が低下する。このような繊維は、適切に絶縁されれば、センサからの情報をモニタユニットに伝えるために用いることができる。
【0041】
ポリエチレン又はポリ塩化ビニルで絶縁された銅やステンレス鋼等の金属繊維も、織物又はニット生地内の導電性繊維として使用可能である。銅及びステンレス鋼は、電流を伝える能力が非常に高く、ドーピングされたいかなるポリマー繊維よりも効率が高い。また、金属繊維は強度が高く、伸び、ネックダウン(neck−down)、クリープ、切れ目(nicks)及び破断に対する耐性が良好である。従って、非常に小径(0.1mm程度)の金属繊維は、センサからモニタユニットに情報を伝えるのに十分である。絶縁が施されていても、繊維の直径は0.3mm未満であるので、これらの繊維は非常に柔軟であり、織物又はニット生地に容易に組み込むことができる。また、金属繊維の設置及びPSMユニットへの接続は簡単であり、特別なコネクタ、工具、化合物及び手順は必要ない。
【0042】
この目的に適した高い導電性を有する糸の一例は、ベルギー国ウェッテレン(Wetteren Belgium)に所在するベキンテックス(Bekintex)NVの子会社であるジョージア州マリエッタ(Marietta, Georgia)に所在するベカート・コーポレーション(Bekaert Corporation)から入手可能なベキノックス(Bekinox)である。この糸はステンレス鋼繊維で構成されており、60オーム−メートルの抵抗を有する。この糸の曲げ剛性は、ポリアミド高抵抗糸に比肩するものであり、本発明のデータバスに容易に組み込むことができる。
【0043】
このように、本発明の衣類用の検出コンポーネントに好ましい導電性材料は、(i)ポリエチレン、ナイロン又は他の絶縁外装を有するドーピングされた無機繊維、(ii)絶縁されたステンレス鋼繊維、及び(iii)ポリエチレンの外装を有する細い銅線である。これらの繊維は全て、容易に衣類に組み込むことができると共に、後述する弾性プリント回路基板の要素として作用することが可能である。入手可能なドーピングされた無機繊維の一例は、サウスカロライナ州(South Carolina)に所在するソーコイト・インダストリーズ(Sauquoit Industries)のX−Staticがコーティングされたナイロン(T66)である。入手可能な細い銅線の一例は、ジョージア州アトランタ(Atlanta, Georgia)に所在するエイク・エレクトニクス(Ack Electronics)の24ゲージ絶縁銅線である。
【0044】
導電性コンポーネント繊維を、2つの方法で織物又はニット生地に組み込むことができる。即ち、(a)検出要素として作用する規則的な間隔で配置された糸、及び、(b)センサからPSMに信号を伝えるための正確に配置された糸である。これらを、織布の経糸及び緯糸方向に配分できる。
【0045】
形状適応コンポーネント(FFC)26は、所望に応じて、着用者に対する形状適応を提供する。より重要なのは、着用者が動いている間も、形状適応コンポーネントが、センサを着用者の身体上の適切な位置に保つことである。従って、選択される材料は、必要な形状適応を与えるために高い伸縮性を有すると同時に、衣類の他のコンポーネント用に選択された材料と適合すべきである。これらの要件を満たす任意の繊維が適している。好ましい形状適応コンポーネントは、ウレタン基を有するブロックポリマーであるスパンデックス(SPANDEX)繊維である。この繊維の破断時の伸びは500〜600%の範囲であるので、衣類に必要な形状適応を与えることができる。この繊維の弾性回復も非常に高く(2〜5%の伸びから99%の回復)、強度は0.6〜0.9グレイン/デニールの範囲である。この繊維は薬品に対して耐性があると共に、洗濯機による洗濯の繰り返し及び発汗の作用に対しても耐久性がある。この繊維は、様々な線密度のものが入手可能である。
【0046】
静電気放散コンポーネント(SDC)28の目的は、この情報機能付き衣類の使用中に蓄積したいかなる静電荷も迅速に放散することである。このようなコンポーネントは、常に必要というわけではないかもしれない。しかし、或る条件下では数千ボルトが生じる場合もあり、PSMユニットの高感度の電子コンポーネントが損傷することもあり得る。従って、選択された材料は、織物又はニット生地に適切な静電放電(ESD)保護を与えなければならない。
【0047】
デュポン(DuPont)によって製造されたバイコンポーネントファイバーであるNEGA−STATは、静電気放散コンポーネント(SDC)として好ましい材料である。この繊維は三裂状の導電性コアを有し、導電性コアはポリエステル又はナイロンで外装されている。この独特の三裂状導電性コアは、誘導によってベース材料の表面電荷を中和し、空気電離及び伝導によって電荷を放散する。NEGA−STAT繊維の非導電性のポリエステル又はナイロンの表面は、糸からの表面電荷の放出を制御し、特定の最終用途の要件に従って接地された又は接地されない用途において、材料の静電気を効果的に制御する。ポリエステル又はナイロンの外殻は、高頻度の洗濯及び摩耗に対する耐久性と、酸及び放射線に対する保護とを有する、効果的な耐摩耗寿命性能を確実にする。静電気を効果的に放散でき、且つ、着用可能で洗濯可能な衣類のコンポーネントとして機能できるものであれば、他の材料を用いてもよい。
【0048】
図5を参照すると、T型コネクタ(衣類に用いる「ボタンクリップ」と類似)等のコネクタを用いて、身体センサ32をPSMに向かう導線に接続できる。本発明の衣類の設計を(これらのコネクタを用いて)モジュール化することにより、センサを衣類から独立させることができる。これにより、異なる体型に対応する。コネクタは、導線へのセンサの取り付けを比較的容易にする。衣類からのセンサの分離の更に別の長所は、衣類を洗濯する際にセンサは洗濯される必要がなく、センサの損傷が最小限になることである。しかし、センサ32は、織布の構造に織り込まれていてもよいことを認識されたい。
【0049】
本発明の情報機能付き衣類の製造に用いるのに好ましい材料の仕様は、次の通りである。
【表3】
【0050】
上記の糸の番手は、一般的に下着に用いられる複数のサイズの糸を用いた初期実験に基づいて選択された。他の番手の糸を用いることもできる。この実施形態の布地の重量は、だいたい10オンス/平方ヤード以下である。上記の材料は、本衣類の製造に用いるのに好ましい材料であるが、この明細書を読めば、これらの好ましい材料の代わりに他の材料を用いてもよく、それでも、本発明による知覚的看護用衣類が提供されることが容易に認識されよう。
【0051】
D.衣類の情報機能
衣類アセンブリの穿通警報及び生命徴候監視機能を説明するために、衣類アセンブリの作用について述べる。
【0052】
穿通警報
1.正確にタイミングされたパルスが、衣類に統合されたPOFを通って送られる。
2.POFに破断がなければ、信号パルスがレシーバーに受け取られ、穿通が無いことを示す「通知」がPSMユニットに送られる。
3.穿通によりどこかで光学繊維が破断している場合は、信号パルスは、衝撃点、即ち破断箇所から1つ目の送信機にはね返る。送信機と信号パルスの通知との間で経過した時間は、信号が破断箇所に到達するまでに移動した長さを示すので、穿通の正確な箇所が識別される。
4.PSMユニットが、送信機を介して、穿通の位置を特定する穿通警報を送信する。
【0053】
身体的徴候の監視
1.センサからの信号が、衣類の導電性コンポーネント(ECC)を介してPSMユニットに送られる。
2.センサからの信号が通常範囲内であり、且つ、PSMユニットが穿通警報を受信していない場合は、PSMユニットによって、身体的徴候の示度が、後の処理のために記録される。
3.しかし、示度が通常から逸脱している場合、又は、PSMユニットが穿通警報を受信した場合は、身体的徴候の示度は、送信機を用いて送信される。
【0054】
このように、ここに提案された情報機能付き衣類は、展開が容易であると共に、身体的徴候及び/又は穿通を監視するための全ての機能的要件を満たす。POFの実際の穿通の位置の検出は、光学時間領域反射率計(Optical Time Domain Reflectometer)によって判定できる。
【0055】
本発明の好ましい形態を開示したが、当業者が、添付の特許請求の範囲で述べられる本発明及びその等価物の精神及び範囲から逸脱せずに、多くの変形、追加及び削除を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
二次元の布地から製造されるフルファッション衣類の構造を示す図である。
【図2】
任意に袖が付いたワンピース型衣類を構成する様々なパーツの、単一の二次元の布地におけるレイアウトを示す図である。
【図3】
図2の衣類用の引通し図を示す図である。
【図4】
図2の衣類用のリフトプランを示す図である。
【図5】
図2の衣類のセンサの相互接続を示す図である。
技術分野
本発明は、最小限の縫い目及び/又は最小限の裁断を用いた、オーバーオール又は病院のガウンに類似した全身用の衣類に転換可能な、単一ピースの織物の衣類(single−piece woven garment)を製造するプロセスに関する。この衣類は、単体として作られる様々なピースを有する単一の二次元の布地から製造される。更に、この衣類は、衣類に情報機能を設けるための、情報の収集、処理、及び送受信のための統合インフラコンポーネントを含むことができる。
【0002】
背景技術
衣類を仕立てるための従来の技術は、衣類のパーツを形成するためにパターンを用い、1着の衣類を作るために、これらのパターンピースを裁断及び縫製することを含む。従来の構成の衣類の縫い目は、着用者を拘束し、不快感及び不安感を生じる場合があった。本発明は、1着の衣類を作る際の作業数を減らす。更に、本発明は、伝統的な製織に見られるいかなる不連続部も生じずに、1つ以上の糸を布地全体に連続して挿入する手段を提供する。
【0003】
ジャヤラマンら(Jayaraman,et al.)の米国特許第6,145,551号は、アームホールを有する織物衣類を製造するためのフルファッション織りプロセスを開示している。この衣類は、不連続部や縫い目がない単一の一体構造であり、アームホールは、裁断や縫製ではなく製織プロセス自体で得られたものである。しかし、ジャヤラマンのプロセスによって製造された衣類は、袖や脚を含まず、その部分は単に開口部となっている。
【0004】
従って、衣類を成形するための布地パーツの裁断及び縫製の必要性を最小限にした、袖及び脚が付いたフルファッションでワンピース型の衣類の製造プロセスの必要性がある。本発明が主に関するのは、そのようなプロセス及び製品である。本発明の裁断及び縫製プロセスを用いれば、袖及び脚の側部の縫い目の裁断及び縫製工程が最小限になる。
【0005】
共にジャヤラマンらによる1999年3月19日に出願された係属出願の米国特許出願第09/273,175号及び米国特許第6,145,551号は、情報の収集、処理、及び送受信のための統合インフラコンポーネントを含む布地又は衣類を開示している。この布地は、「着用可能なマザーボード」として機能し、導電性繊維の相互接続を用いることにより、多くのスタンドアロンワイヤやケーブルを必要とせずに、多くのデータ収集センサを衣類に統合する。得られた情報は、単一の電子リード又はトランシーバを介して、複数のモニタ装置に送信されてもよい。
【0006】
本発明のプロセスと、ジャヤラマンの係属出願の導電性繊維、光学繊維、又はそれらの両方の相互接続とを用いると、情報の収集、処理、及び送受信のための統合インフラコンポーネントを組み込んだ、オーバーオールと類似した袖及び脚付きのワンピース型衣類の製造が可能になる。
【0007】
発明の概要
従って、本発明の目的は、織物、ニット、又は不織布の単一の一体化ピース及び縫い目のみで構成された、脚及び任意に袖が付いたワンピース型衣類の提供である。
【0008】
本発明の別の目的は、一体化された単一ピース及び縫い目のみで構成された、脚及び任意に袖が付いたワンピース型衣類の製造プロセスの提供である。
【0009】
本発明の更に別の目的は、1つ以上の身体的徴候及び/又は衣類の穿通を監視する機能等の情報機能を有することが可能な、脚及び任意に袖が付いたワンピース型衣類、並びにそのような衣類の製造プロセスの提供である。
【0010】
本発明のワンピース型衣類では、一片の布地が裁断され、最小限の縫い目を有する衣類として形成される。「ワンピース型」衣類を作るために、複数片の布地を縫い合わせる必要がある従来の布(織物、ニット又は不織布)製の衣類の構造とは異なり、本発明では、任意に袖が付いた「ワンピース型」衣類を形成するために、一片の布地が裁断され、折り曲げられて、縫製されてもよい。このプロセスの容易さにより、最小限の裁断及び縫製で、二次元の織物、ニット又は不織布から衣類を成形することができる。
【0011】
本発明は、一片の二次元の布地からワンピース型の衣類を製造するプロセスに関し、このプロセスは、(1)第1サイドエッジ及びその反対側の第2サイドエッジ、並びに第1エンドエッジ及びその反対側の第2エンドエッジを有する中央パネルと、(2)第2エンドエッジのほぼ中央部に取り付けられ且つ第1サイドエッジを超えて延びるエンドパネルと、(3)第1エンドエッジのほぼ中央部に取り付けられ且つ第2サイドエッジを超えて延びる第2エンドパネルとを有する形状に、布地を形成する工程を有する。次に、裁断された布地を、中央パネルの中央部に位置する第1の水平折り曲げ線に沿って折り曲げる工程と、中央パネルの第1の水平折り曲げ線のほぼ中央部で布地を裁断し、対象者の頭が入るのに十分な大きさの穴を得る工程と、裁断された布地を、第1エンドパネルの第1の垂直折り曲げ線であって、中央パネルの第2サイドエッジに位置する第1の垂直折り曲げ線に沿って折り曲げる工程と、裁断された布地を、第2エンドパネルの第2の垂直折り曲げ線であって、中央パネルの第1サイドエッジに位置する第2の垂直折り曲げ線に沿って折り曲げる工程と、得られた布地の合わさったエッジを固定する工程とにより、この布地がワンピース型衣類として形成される。
【0012】
本発明のプロセスでは、最小限の継ぎ目/縫い目を用いて、一片の布地を、トップ及び脚を有するオーバーオール又は病院のガウンに類似した他の全身用の衣類へと、容易に転換できる。本発明は、1片として製造される、オーバーオールの様々なパーツを有する二次元の布地で構成される。本発明のプロセスは、袖付きの衣類を製造するように変形することも可能である。
【0013】
別の実施形態では、本発明に従って製造されるワンピース型の衣類は、情報機能を有する衣類として成形されてもよい。この衣類には、血圧、心拍数及び体温等の、1つ以上の身体生命徴候を監視する手段と、衣類の穿通を監視する手段とを設けることができる。この袖付き又は袖無しで製造可能なワンピース構造は、患者の腕の下で生命徴候を監視することを含む、患者の生命徴候の監視を可能にする。
【0014】
この情報機能付きワンピース型衣類は、ベースの布地(「快適性コンポーネント」)と、情報インフラを構成する少なくとも1つの検出コンポーネントとで構成される。検出コンポーネントは、穿通検出材料コンポーネント、導電性材料コンポーネントのいずれか、又はそれらの両方であることが可能である。好ましい穿通検出コンポーネントは、プラスチック光学繊維(POF)である。好ましい導電性材料コンポーネントは、ポリエチレン、ナイロン又は他の絶縁性の外装を有するドーピングされた無機繊維、又は、ポリエチレンの外装を有する細いゲージの金属線である。任意に、布地は、必要性及び用途に応じて、スパンデックス(SPANDEX)繊維等の形状適応コンポーネントや、NEGA−STAT等の静電気放散コンポーネントを含むことも可能である。これらの各コンポーネントは、その全体を参照し本明細書に全てを上述するのと同様に援用する米国特許出願第09/157,607号及び米国特許第6,145,551号に開示されている、フルファッション織りプロセスに組み込むことができる。
【0015】
検出コンポーネントは、とりわけ、(i)発射体の穿通(projectile penetration)の検出を補助可能なこと、及び(ii)情報又はデータを、通信中の他の装置に又は他の装置から伝達するための「データバス」又は「マザーボード」として作用することの、2つの主要機能の一方又は両方の作用が可能である。これらの機能は、一緒に又は個々に用いることができる。導電性繊維は、(人間/動物の身体に取り付けられた又は布地の構造に組み込まれた)センサから、心拍数、呼吸数、声及び/又は他の任意の所望の身体的特性を監視するモニタ装置に情報を送るのを、補助することができる。このように、本発明は、着用者に関する情報を収集/処理する装置の「(プラグ式の)接続」を容易にする着用可能な情報インフラを有する、袖付き又は袖無しの柔軟なワンピース型の衣類を製造する。所望の最終用途に応じて、布地又は衣類には、POF及び導電性繊維の両方ではなく、POFは組み込まずに導電性繊維のみを組み込むことも、又はその逆も可能である。POFの数、長さ及びピッチ(糸の間隔)は、所望の最終用途の要件に合うように変更できる。同様に、導電性繊維の数、長さ及びピッチ(糸の間隔)も、所望の最終用途の要件に合うように変更できる。
【0016】
本発明の明細書の説明からわかるように、一片の二次元の布地から、必要な裁断及び縫製を最小限にして、袖付き又は袖無しのワンピース型の衣類を形成することができると共に、これにより、情報機能を有する衣類を作ることができる。本発明の上記及び他の長所は、添付の図面と共に、以下の明細及び特許請求の範囲を読めば明らかになる。
【0017】
例示的な実施形態の詳細説明
次に、図面を参照すると、複数の図面を通して、同一参照番号は同一要素を表し、本発明のフルファッション織りプロセス及び製品が詳細に示されている。
【0018】
A.本発明の衣類を成形する方法
図1に示されるように、ワンピース型衣類は、一片の二次元の布地から製造される。図示されるように、布地を折り曲げて裁断し、次に、示されている部分を固定することにより、「オーバーオール型」の衣類が得られる。本発明の方法は、衣類の複数のピースを作るためのパターンの数を削減し、それにより、裁断及び縫製を最小限にできる。
【0019】
本発明は、1片の布地からの衣類の製造に備えたものである。図1に示されるように、袖無しの衣類では、布地は3つの基本領域に区画される。第1区画、又は中央パネル区画は、一般的に最も大きく、衣類の前身ごろ(FB)及び後身ごろ(BB)になる部分を含む。前の区画と後の区画とは、中間点の水平の折り目で分けられ、この折り目は、頭部及び首用の穴に対応するために裁断される。中央パネル区画は、第1サイドエッジ、第2サイドエッジ、第1エンドエッジ及び第2エンドエッジを有する。主要区画からずれた位置には、衣類の右脚(RL)及び左脚(LL)を表す端部区画がある。サイドエッジを有する第1エンドパネルは、概ね中間点で中央パネルの第1エンドエッジに接続されており、中央パネルの第2サイドエッジを超えて延在している。サイドエッジを有する第2エンドパネルは、中央パネルの第2エンドエッジに接続されており、第1サイドエッジを超えて延在している。各エンドパネルは、各エンドパネルのサイドエッジが合うように、中央パネルのサイドエッジから延びる折り線に沿って垂直に折り曲げられる。サイドエッジは、縫い合わせ、接着剤、テーピング、スナップ及び面ファスナー(VELCRO)を含む任意の固定手段を用いて固定される。
【0020】
図1に示されるように、本発明の衣類が袖を含む場合には、中央部の水平の折り目に沿って中央パネルから延びる2つの付加的な区画(LS)及び(RS)が設けられる。中央パネルを水平に折り曲げたら、これらの付加的な区画は縫い合わされ、袖が形成される。
【0021】
本発明の衣類を仕立てるために、織物、不織布、及びニット生地を含む、任意のタイプの二次元の布地を用いてよい。本発明では、綿、毛、ポリエステル及び他の従来の布地、又はそれらの混紡が特に有用である。糸の材料の選択は、通常、布地の最終用途によって決定され、快適性、フィット感、布地の手触り、通気性、吸湿性及び糸の構造的特徴の検討に基づく。適切な糸としては、綿、ポリエステル/綿の混紡、マイクロデニールポリエステル/綿の混紡、及びメラクロン(MERAKLON)(ダウテックス・インダストリーズ(Dawtex Industries)社製)等のポリプロピレン繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
B.衣類の一体型のパーツを有する布地の製造方法
図2は、織機で単一の二次元の布地として製造される、衣類の様々なパーツのレイアウトを示している。図3は、図2に示されている構造の引通し図である。
【0023】
図2の布地の区画Aは、図4(区画Aとしても示されている)の経糸のリフトシーケンス(lifting sequence)によって作られる。従って、経糸の4つのブロック(図4ではグループ1、グループ2、グループ3及びグループ4として示す)が共に、図2の布地の区画Aを作る。これにより、図2に示されている衣類の左脚(LL)が作られる。図4の区画Bに示されているリフトシーケンスは、衣類の後身ごろ(BB)の一部分の製造に関与し、図4の区画Cとして示されているリフトシーケンスは、図2の、袖(LS及びRS)を伴う後身ごろ(BB)の残りの部分及び前身ごろ(FB)の一部となる。次に、図4の区画Dとして示されているリフトシーケンスは、図2の前身ごろ(FB)の残りの部分を作る。最後に、図4の区画Eとして示されているリフトシーケンスは、図4の右脚(RL)を作る。このように、図3の引通し図及び図4のリフトシーケンスの組み合わせを用いると、(この例では袖を有する)オーバーオール型の衣類を作るための一体型の衣類パーツを有する二次元の布地を、1台の織機で製造することができる。
【0024】
この製織プロセスから得られた布地の衣類の様々なパーツ(FB、BB、LL、RL、RS及びLS)を、図1に示されるように折り曲げ、縫い合わせ、スナップ、接着剤又は面ファスナーを含むがこれらに限定されない任意の固定手段で固定して、任意に袖が付いた衣類を作ることができる。
【0025】
1.織物
織物を用いる場合には、布地の基本構造は平織りであるのが好ましい(しかし、用途に応じて他の織り方を用いることもできる)。図4に示されるように、織機上の経糸のシーケンスは、所望のグループの糸を必要に応じてドロップさせることができるように、「ブロック織り」用に設定される。この設計の1つの特徴は、緯糸(filling)をいかなる途切れもなく連続挿入できることである。
【0026】
このような織物の衣類の製造を可能にする織機は、手動モード及び自動モードで操作可能な有杼(シャットル)織機であるAVLコンピュ・ドビー(Compu−Dobby)である。この織機は、設計ソフトウェアを用いて作られた設計を杼口制御機構に直接ダウンロードできるように、コンピュータとインタフェースで接続可能である。或いは、ジャカード織機を用いてもよい。ドビー織機を用いたので、このような織機での織布の製造を説明する。織物の衣類を製造するための織機の構成の1つを示す。
【表1】
【0027】
本発明に従った織物衣類の製造は、24個のハーネスを有する織機の使用に限定されないことは、当業者には明らかである。例えば、48個のハーネスを有する織機、又は400個のフックを有するジャカード織機を用いることもできる。
【0028】
2.ニット生地
本発明の衣類におけるニット生地の使用の一例として、次のパラメータを示す。
【表2】
【0029】
上の表は、本発明の、布地に情報インフラが統合されたニット生地の実施形態の製造に用いられるパラメータを示している。上の例では、ニット生地に、導電性繊維と共にプラスチック光学繊維が組み込まれる。
【0030】
C.本発明による情報機能
本発明の布地及びプロセスは、裁断及び縫製を最小限にする長所に加えて、図3〜図5に示されるように、情報機能を有する袖付き又は袖無し衣類の基礎を提供し得る。このように、衣類に、血圧、心拍数、脈拍数及び体温等の身体的徴候を監視する手段と、衣類の穿通を監視する手段とを設けることができる。このような情報機能を有する衣類は、布地のベース又は「快適性コンポーネント」と、情報インフラコンポーネントとで構成される。更に、所望に応じて、形状適応コンポーネント及び静電気放散コンポーネントを含んでもよい。
【0031】
情報インフラコンポーネントは、穿通検出コンポーネント、導電性コンポーネント、センサ類、プロセッサ類、又は無線送信装置の、任意のもの又は全てを、個々に又は任意の組み合わせで含むことが可能である。情報インフラコンポーネントは、対象者からの情報の取得、処理、及び、ローカル又は遠隔モニタユニットへの送信機能がある。
【0032】
衣類の検出コンポーネントは、衣類の穿通を検出する材料、又は1つ以上の身体的徴候を検出する材料、又はそれらの両方を含むことができる。これらの材料は、布地の快適性コンポーネントを織っている又は編んでいる間に織り込まれるか又は編み込まれる。衣類の成形の完了後、これらの材料をモニタ(「個人状態モニタ」又はPSMと呼ぶ)に接続することができる。詳細は後述するが、モニタは、検出材料からの読み取りを行い、読み取りデータをモニタし、読み取りデータ及び所望のモニタ設定に応じて警報を発する。
【0033】
穿通検出及び警報コンポーネント24を設けるのに適した材料としては、シリカ系光学繊維、プラスチック光学繊維及びシリコーンゴム光学繊維が挙げられる。適切な光学繊維は、送信される所望の信号及び必要なデータストリームをサポート可能な帯域幅を有する充填媒質を有するものを含む。シリカ系光学繊維は、高帯域幅の長距離用途で用いられるように設計されている。シリカ系光学繊維の非常に小さいシリカのコア及び低い開口数(NA)は、(500mhz*kmまでの)大きな帯域幅と、(0.5dB/kmほどの)低い減衰とを提供する。しかし、このような繊維は、設置の労賃が高いことと、繊維が裂ける危険性があることにより、好ましくない。
【0034】
プラスチック光学繊維(POF)24は、ガラス(シリカ系)繊維と同じ長所の多くを有するが、重量及びコストが低い。一部のセンサ及び医療用途のような特定の繊維の用途では、用いられる繊維の長さは(数メートル未満と)非常に短く、繊維損失及び繊維分散は問題ではない。その代わりに、良好な光学的透明性、適切な機械的強度及び柔軟性が特性として必要であり、プラスチック又はポリマー繊維が好ましい。更に、プラスチック光学繊維は、ガラス繊維のように裂けないので、ガラス繊維よりも安全にライナーに用いることができる。
【0035】
比較的短い長さでは、POFはガラス繊維を超える幾つかの固有の長所を有する。POFは、比較的高い開口数(NA)を示し、これは、より多くの電力を送る能力に寄与する。更に、NAが高いと、POFが、繊維の曲げ及び撓みによって生じる光損失の影響を受けにくくなる。可視波長領域における伝達は、他のスペクトルにおける伝達よりも比較的高い。医療用センサの大半では、光のスペクトルの可視領域の波長によってトランスデューサが作動されるので、これは長所である。その光の伝達の性質により、POFは、ガラス繊維と類似した高帯域幅の能力を提供すると共に、ガラス繊維と同様に電磁的な影響を受けない(electromagnetic immunity)。POFは、比較的安価であることに加え、過剰な繊維を溶かして光学品質の端部仕上げをするホットプレート手順を用いて端部処理できる。この簡単な端部処理を、従来の接続システムであってもよいPOF接続システムのスナップ固定設計と組み合わせると、1分以内でノードの端部処理ができる。これにより、設置コストが非常に低くなる。更に、POFは、比較的穏やかでない環境で示される、より荒っぽい機械的扱いにも耐えることができる。可視波長を短い距離にわたって伝えるために、安価且つ耐久性のある光学繊維が必要な用途では、現在、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はスチレン系ポリマーで作られたPOFが主に用いられている。
【0036】
第三種光学繊維であるシリコーンゴム光学繊維(SROF)は、優れた曲げ特性及び弾性回復を備える。しかし、これらは比較的厚く(5mm程度)、信号減衰の程度が高い。また、これらは高い湿度の影響を受けると共に、まだ市販されていない。よって、たとえ織物又はニット生地におけるこれらの繊維の使用が好ましくなくても、これらを用いることは可能である。これらの繊維は、テネシー州オークリッジ(Oak Ridge, Tennessee)に所在するオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Lab)から入手できる。
【0037】
織物又はニット生地に穿通検出コンポーネント材料を組み込むために、好ましくはプラスチック光学繊維(POF)24である材料は、フルファッションの織物又はニット生地製造プロセスの間に、螺旋状に構造と一体化される。POFは、布地の途中では終端せず、布地を通していかなる不連続部もなく連続している。これにより、単一の統合された布地が1つだけ生じ、POFに関する限り、継ぎ目もない。好ましいプラスチック光学繊維は、ニューヨーク(New York)に所在するトーレ・インダストリーズ(Toray Industries)の製品であり、特に、トーレ・インダストリーズの製品であるPGS−GB250光学繊維コードが好ましい。
【0038】
その代わりに、又はそれに加えて、検出コンポーネントは、導電性材料コンポーネント(ECC)25で構成されてもよい。導電性繊維は、約0.07×10−3〜10Kオーム/cmの抵抗を有するのが好ましい。ECC25を、身体上のセンサを介して、心拍数、脈拍数、体温及び血圧を含む1つ以上の身体生命徴候を監視するため、並びに、個人状態モニタ(PSM)にリンクするために用いることができる。適切な材料としては、後述する、第三種の真性導電性ポリマー、ドーピングされた無機繊維及び金属繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
導電性(無機)物質を添加しなくても電流を通すポリマーは、「真性導電性ポリマー」(ICP)として知られている。導電性ポリマーは、共役構造、即ち、炭素原子と主鎖との間の単結合と二重結合とが交互になった構造を有する。1970年代の後期に、高い導電性を有する形態のポリアセチレンを作ることが可能であり、化学的酸化によりその導電性を更に高められることが発見された。その後、例えばポリチオフェンやポリピロール等の、共役(交互になった単結合と二重結合)炭素主鎖を有する多くの他のポリマーが、同様の挙動を示している。当初は、従来のポリマーの加工性と、発見された導電性とを組み合わせることができると思われていた。しかし、導電性ポリマーは、空気中ではどちらかというと不安定であり、機械的特性が劣り、容易に加工できないことがわかった。また、全ての真性導電性ポリマーは、いかなる溶剤にも不溶であり、溶融点や他の軟化挙動を有さない。従って、これらを、通常の熱可塑性ポリマーと同様に加工することはできず、通常は、様々な分散方法を用いて加工される。これらの短所により、完全に導電性ポリマーで構成された、良好な機械的特性を有する繊維はまだ市販されておらず、よって、今のところ本発明で用いるには好ましくないが、それらを用いることは可能である。
【0040】
導電性繊維の更に別の種類は、無機粒子又は金属粒子がドーピングされたもので構成される。これらの繊維の導電性は、金属粒子が十分にドーピングされた場合にはかなり高いが、これにより繊維の柔軟性が低下する。このような繊維は、適切に絶縁されれば、センサからの情報をモニタユニットに伝えるために用いることができる。
【0041】
ポリエチレン又はポリ塩化ビニルで絶縁された銅やステンレス鋼等の金属繊維も、織物又はニット生地内の導電性繊維として使用可能である。銅及びステンレス鋼は、電流を伝える能力が非常に高く、ドーピングされたいかなるポリマー繊維よりも効率が高い。また、金属繊維は強度が高く、伸び、ネックダウン(neck−down)、クリープ、切れ目(nicks)及び破断に対する耐性が良好である。従って、非常に小径(0.1mm程度)の金属繊維は、センサからモニタユニットに情報を伝えるのに十分である。絶縁が施されていても、繊維の直径は0.3mm未満であるので、これらの繊維は非常に柔軟であり、織物又はニット生地に容易に組み込むことができる。また、金属繊維の設置及びPSMユニットへの接続は簡単であり、特別なコネクタ、工具、化合物及び手順は必要ない。
【0042】
この目的に適した高い導電性を有する糸の一例は、ベルギー国ウェッテレン(Wetteren Belgium)に所在するベキンテックス(Bekintex)NVの子会社であるジョージア州マリエッタ(Marietta, Georgia)に所在するベカート・コーポレーション(Bekaert Corporation)から入手可能なベキノックス(Bekinox)である。この糸はステンレス鋼繊維で構成されており、60オーム−メートルの抵抗を有する。この糸の曲げ剛性は、ポリアミド高抵抗糸に比肩するものであり、本発明のデータバスに容易に組み込むことができる。
【0043】
このように、本発明の衣類用の検出コンポーネントに好ましい導電性材料は、(i)ポリエチレン、ナイロン又は他の絶縁外装を有するドーピングされた無機繊維、(ii)絶縁されたステンレス鋼繊維、及び(iii)ポリエチレンの外装を有する細い銅線である。これらの繊維は全て、容易に衣類に組み込むことができると共に、後述する弾性プリント回路基板の要素として作用することが可能である。入手可能なドーピングされた無機繊維の一例は、サウスカロライナ州(South Carolina)に所在するソーコイト・インダストリーズ(Sauquoit Industries)のX−Staticがコーティングされたナイロン(T66)である。入手可能な細い銅線の一例は、ジョージア州アトランタ(Atlanta, Georgia)に所在するエイク・エレクトニクス(Ack Electronics)の24ゲージ絶縁銅線である。
【0044】
導電性コンポーネント繊維を、2つの方法で織物又はニット生地に組み込むことができる。即ち、(a)検出要素として作用する規則的な間隔で配置された糸、及び、(b)センサからPSMに信号を伝えるための正確に配置された糸である。これらを、織布の経糸及び緯糸方向に配分できる。
【0045】
形状適応コンポーネント(FFC)26は、所望に応じて、着用者に対する形状適応を提供する。より重要なのは、着用者が動いている間も、形状適応コンポーネントが、センサを着用者の身体上の適切な位置に保つことである。従って、選択される材料は、必要な形状適応を与えるために高い伸縮性を有すると同時に、衣類の他のコンポーネント用に選択された材料と適合すべきである。これらの要件を満たす任意の繊維が適している。好ましい形状適応コンポーネントは、ウレタン基を有するブロックポリマーであるスパンデックス(SPANDEX)繊維である。この繊維の破断時の伸びは500〜600%の範囲であるので、衣類に必要な形状適応を与えることができる。この繊維の弾性回復も非常に高く(2〜5%の伸びから99%の回復)、強度は0.6〜0.9グレイン/デニールの範囲である。この繊維は薬品に対して耐性があると共に、洗濯機による洗濯の繰り返し及び発汗の作用に対しても耐久性がある。この繊維は、様々な線密度のものが入手可能である。
【0046】
静電気放散コンポーネント(SDC)28の目的は、この情報機能付き衣類の使用中に蓄積したいかなる静電荷も迅速に放散することである。このようなコンポーネントは、常に必要というわけではないかもしれない。しかし、或る条件下では数千ボルトが生じる場合もあり、PSMユニットの高感度の電子コンポーネントが損傷することもあり得る。従って、選択された材料は、織物又はニット生地に適切な静電放電(ESD)保護を与えなければならない。
【0047】
デュポン(DuPont)によって製造されたバイコンポーネントファイバーであるNEGA−STATは、静電気放散コンポーネント(SDC)として好ましい材料である。この繊維は三裂状の導電性コアを有し、導電性コアはポリエステル又はナイロンで外装されている。この独特の三裂状導電性コアは、誘導によってベース材料の表面電荷を中和し、空気電離及び伝導によって電荷を放散する。NEGA−STAT繊維の非導電性のポリエステル又はナイロンの表面は、糸からの表面電荷の放出を制御し、特定の最終用途の要件に従って接地された又は接地されない用途において、材料の静電気を効果的に制御する。ポリエステル又はナイロンの外殻は、高頻度の洗濯及び摩耗に対する耐久性と、酸及び放射線に対する保護とを有する、効果的な耐摩耗寿命性能を確実にする。静電気を効果的に放散でき、且つ、着用可能で洗濯可能な衣類のコンポーネントとして機能できるものであれば、他の材料を用いてもよい。
【0048】
図5を参照すると、T型コネクタ(衣類に用いる「ボタンクリップ」と類似)等のコネクタを用いて、身体センサ32をPSMに向かう導線に接続できる。本発明の衣類の設計を(これらのコネクタを用いて)モジュール化することにより、センサを衣類から独立させることができる。これにより、異なる体型に対応する。コネクタは、導線へのセンサの取り付けを比較的容易にする。衣類からのセンサの分離の更に別の長所は、衣類を洗濯する際にセンサは洗濯される必要がなく、センサの損傷が最小限になることである。しかし、センサ32は、織布の構造に織り込まれていてもよいことを認識されたい。
【0049】
本発明の情報機能付き衣類の製造に用いるのに好ましい材料の仕様は、次の通りである。
【表3】
【0050】
上記の糸の番手は、一般的に下着に用いられる複数のサイズの糸を用いた初期実験に基づいて選択された。他の番手の糸を用いることもできる。この実施形態の布地の重量は、だいたい10オンス/平方ヤード以下である。上記の材料は、本衣類の製造に用いるのに好ましい材料であるが、この明細書を読めば、これらの好ましい材料の代わりに他の材料を用いてもよく、それでも、本発明による知覚的看護用衣類が提供されることが容易に認識されよう。
【0051】
D.衣類の情報機能
衣類アセンブリの穿通警報及び生命徴候監視機能を説明するために、衣類アセンブリの作用について述べる。
【0052】
穿通警報
1.正確にタイミングされたパルスが、衣類に統合されたPOFを通って送られる。
2.POFに破断がなければ、信号パルスがレシーバーに受け取られ、穿通が無いことを示す「通知」がPSMユニットに送られる。
3.穿通によりどこかで光学繊維が破断している場合は、信号パルスは、衝撃点、即ち破断箇所から1つ目の送信機にはね返る。送信機と信号パルスの通知との間で経過した時間は、信号が破断箇所に到達するまでに移動した長さを示すので、穿通の正確な箇所が識別される。
4.PSMユニットが、送信機を介して、穿通の位置を特定する穿通警報を送信する。
【0053】
身体的徴候の監視
1.センサからの信号が、衣類の導電性コンポーネント(ECC)を介してPSMユニットに送られる。
2.センサからの信号が通常範囲内であり、且つ、PSMユニットが穿通警報を受信していない場合は、PSMユニットによって、身体的徴候の示度が、後の処理のために記録される。
3.しかし、示度が通常から逸脱している場合、又は、PSMユニットが穿通警報を受信した場合は、身体的徴候の示度は、送信機を用いて送信される。
【0054】
このように、ここに提案された情報機能付き衣類は、展開が容易であると共に、身体的徴候及び/又は穿通を監視するための全ての機能的要件を満たす。POFの実際の穿通の位置の検出は、光学時間領域反射率計(Optical Time Domain Reflectometer)によって判定できる。
【0055】
本発明の好ましい形態を開示したが、当業者が、添付の特許請求の範囲で述べられる本発明及びその等価物の精神及び範囲から逸脱せずに、多くの変形、追加及び削除を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
二次元の布地から製造されるフルファッション衣類の構造を示す図である。
【図2】
任意に袖が付いたワンピース型衣類を構成する様々なパーツの、単一の二次元の布地におけるレイアウトを示す図である。
【図3】
図2の衣類用の引通し図を示す図である。
【図4】
図2の衣類用のリフトプランを示す図である。
【図5】
図2の衣類のセンサの相互接続を示す図である。
Claims (10)
- 一片の二次元の布地からワンピース型の衣類を製造するプロセスであって、
(a)(1)第1サイドエッジ及びその反対側の第2サイドエッジ、並びに第1エンドエッジ及びその反対側の第2エンドエッジを有する中央パネルと、(2)前記第2エンドエッジのほぼ中央部に取り付けられ且つ前記第1サイドエッジを超えて延びるエンドパネルと、(3)前記第1エンドエッジのほぼ中央部に取り付けられ且つ前記第2サイドエッジを超えて延びる第2エンドパネルとを有する形状に、布地を形成する工程と、
(b)裁断された前記布地を、前記中央パネルの中央部に位置する第1の水平折り曲げ線に沿って折り曲げる工程と、
(c)前記中央パネルの前記第1の水平折り曲げ線のほぼ中央部で前記布地を裁断し、対象者の頭が入るのに十分な大きさの穴を得る工程と、
(d)裁断された前記布地を、前記第1エンドパネルの第1の垂直折り曲げ線であって、前記中央パネルの前記第2サイドエッジに位置する前記第1の垂直折り曲げ線に沿って折り曲げる工程と、
(e)裁断された前記布地を、前記第2エンドパネルの第2の垂直折り曲げ線であって、前記中央パネルの前記第1サイドエッジに位置する前記第2の垂直折り曲げ線に沿って折り曲げる工程と、
(f)得られた布地の合わさったエッジを固定する工程と、
を有するプロセス。 - 前記布地の前記合わさったエッジが、縫い合わせ、スナップ、面ファスナー又は接着剤で固定される、請求項1に記載のプロセス。
- 前記第1サイドエッジのほぼ中央部で前記中央パネルに取り付けられた、上部エッジ及び底部エッジを有する第1サイドパネルと、前記第2サイドエッジのほぼ中央部で前記中央パネルに取り付けられた、上部エッジ及び底部エッジを有する第2サイドパネルとを更に有し、前記布地が前記第1の水平折り曲げ線に沿って折り曲げられると、前記第1サイドパネルの前記上部エッジが前記第1サイドパネルの前記底部エッジと合い、前記第2サイドパネルの前記上部エッジが前記第2サイドパネルの前記底部エッジと合い、前記合わさったエッジどうしが固定される、請求項1に記載のプロセス。
- 前記合わさったエッジが、縫い合わせ、スナップ、面ファスナー又は接着剤で固定される、請求項3に記載のプロセス。
- 請求項1に記載のプロセスによって製造される衣類。
- 請求項3に記載のプロセスによって製造される衣類。
- 前記布地が、(a)快適性コンポーネントと、(b)個々の又は任意の組み合わせの穿通検出コンポーネント、導電性コンポーネント、センサ、プロセッサ及び無線通信装置から成る群から選択される統合情報インフラコンポーネントとを含む、請求項5に記載の衣類。
- 前記布地が、(a)快適性コンポーネントと、(b)個々の又は任意の組み合わせの穿通検出コンポーネント、導電性コンポーネント、センサ、プロセッサ及び無線通信装置から成る群から選択される統合情報インフラコンポーネントとを含む、請求項6に記載の衣類。
- 一片の二次元の布地から、脚及び任意に袖が付いたワンピース型の衣類を製造するプロセスであって、
前記衣類を構成する様々なパーツを前記布地の一体パーツとして織る工程と、
前記布地に織り込まれない経糸を切断する工程と、
前記衣類の適切な区画を作るために、前記布地における前記衣類の前記様々なパーツを折り曲げる工程と、
前記パーツを固定する工程と、
を有するプロセス。 - 前記布地が、(a)快適性コンポーネントと、(b)個々の又は任意の組み合わせの穿通検出コンポーネント、導電性コンポーネント、センサ、プロセッサ及び無線通信装置から成る群から選択される統合情報インフラコンポーネントとを含む、請求項9に記載のプロセス。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/713,160 US6474367B1 (en) | 1998-09-21 | 2000-11-14 | Full-fashioned garment in a fabric and optionally having intelligence capability |
PCT/US2001/043542 WO2002100200A2 (en) | 1998-09-21 | 2001-11-14 | Full-fashioned garment in fabric having intelligence capability |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004522009A true JP2004522009A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=24865006
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003503031A Withdrawn JP2004522009A (ja) | 2000-11-14 | 2001-11-14 | 情報機能を有する布地でできたフルファッション衣類 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP1355546A4 (ja) |
JP (1) | JP2004522009A (ja) |
KR (1) | KR20030094218A (ja) |
CN (1) | CN1486145A (ja) |
CA (1) | CA2428881A1 (ja) |
MX (1) | MXPA03004272A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2005063065A1 (ja) * | 2003-12-25 | 2007-07-19 | 株式会社セフト研究所 | 空調衣服 |
JP2008502512A (ja) * | 2004-06-18 | 2008-01-31 | テクストロニクス, インク. | 機能性弾性織物構造 |
JPWO2018123034A1 (ja) * | 2016-12-28 | 2019-11-21 | 株式会社Xenoma | ウェアラブルデバイス及び型紙 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100598834B1 (ko) * | 2006-02-14 | 2006-07-11 | 재단법인 대한불교조계종유지재단 | 가사 및 그 제작방법 |
CN101403721B (zh) * | 2008-11-03 | 2013-05-08 | 东华大学 | 一种用于军服的柔性穿透传感器 |
CN103564875A (zh) * | 2012-08-08 | 2014-02-12 | 江南大学 | 一种可检测婴儿健康生理指标的服装 |
KR102611031B1 (ko) * | 2021-06-21 | 2023-12-12 | 주식회사 터치포굿 | 방호복 만들기 용품 및 이를 이용한 방호복 제작방법 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4382303A (en) * | 1977-01-17 | 1983-05-10 | Lunt Audrey T | Non-woven polyester wearing apparel |
FR2590126B2 (fr) * | 1985-11-18 | 1993-07-23 | Douez Francoise | Vetement unique notamment pour enfants comportant des moyens evitant l'enfilage |
US5274852A (en) * | 1991-12-13 | 1994-01-04 | Beth Israel Hospital Assoc. Inc. | One piece, open seam wrapping garment for covering and uncovering the human body on-demand |
JP3773554B2 (ja) * | 1994-05-20 | 2006-05-10 | 詳子 佐藤 | 衣類 |
-
2001
- 2001-11-14 EP EP01274177A patent/EP1355546A4/en not_active Withdrawn
- 2001-11-14 KR KR10-2003-7006464A patent/KR20030094218A/ko not_active Application Discontinuation
- 2001-11-14 MX MXPA03004272A patent/MXPA03004272A/es unknown
- 2001-11-14 CA CA002428881A patent/CA2428881A1/en not_active Abandoned
- 2001-11-14 JP JP2003503031A patent/JP2004522009A/ja not_active Withdrawn
- 2001-11-14 CN CNA018220002A patent/CN1486145A/zh active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2005063065A1 (ja) * | 2003-12-25 | 2007-07-19 | 株式会社セフト研究所 | 空調衣服 |
JP2008502512A (ja) * | 2004-06-18 | 2008-01-31 | テクストロニクス, インク. | 機能性弾性織物構造 |
JP2008502511A (ja) * | 2004-06-18 | 2008-01-31 | テクストロニクス, インク. | 孔空けされた機能性織物構造 |
JP4672012B2 (ja) * | 2004-06-18 | 2011-04-20 | テクストロニクス, インク. | 孔空けされた機能性織物構造 |
JP4672013B2 (ja) * | 2004-06-18 | 2011-04-20 | テクストロニクス, インク. | 機能性弾性織物構造 |
JPWO2018123034A1 (ja) * | 2016-12-28 | 2019-11-21 | 株式会社Xenoma | ウェアラブルデバイス及び型紙 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CA2428881A1 (en) | 2002-12-19 |
CN1486145A (zh) | 2004-03-31 |
KR20030094218A (ko) | 2003-12-11 |
MXPA03004272A (es) | 2004-12-03 |
EP1355546A4 (en) | 2005-01-19 |
EP1355546A2 (en) | 2003-10-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6474367B1 (en) | Full-fashioned garment in a fabric and optionally having intelligence capability | |
AU750158B2 (en) | Fabric or garment with integrated flexible information infrastructure | |
JP4136310B2 (ja) | 情報処理能力を有する織物衣服を製造するためのフルファッションの製織方法 | |
JP2004514068A (ja) | 情報機能を有する袖付きフルファッション衣類 | |
EP1198197B1 (en) | Garment for monitoring vital signs of infants | |
US6687523B1 (en) | Fabric or garment with integrated flexible information infrastructure for monitoring vital signs of infants | |
MXPA03004169A (es) | Una tela novedosa basada en un sensor para el monitoreo de signos vitales. | |
JP2004522009A (ja) | 情報機能を有する布地でできたフルファッション衣類 | |
AU2001297893A1 (en) | Full-fashioned garment in fabric having intelligence capability | |
MXPA00002870A (en) | Full-fashioned weaving process for production of a woven garment with intelligence capability |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050201 |