JP2004521818A - 低摩擦ローラヨークの設計のラック及びピニオンステアリング歯車 - Google Patents

低摩擦ローラヨークの設計のラック及びピニオンステアリング歯車 Download PDF

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Abstract

【課題】
【解決手段】ラック及びピニオンステアリング歯車10は、軸方向に伸びる通路14と、ハウジング12内で軸方向に伸びる通路14と交差するヨークボア18とを有するハウジング12を備えている。ピニオン歯車26はハウジング12内に回転可能に取り付けられている。ラックバー34は軸方向に伸びる通路14を貫通して伸び且つピニオン歯車26に対して可動である。ラックバー34は、ピニオン歯車26の歯30とかみ合い係合した歯を有する。ヨーク組立体54はラックバー34を少なくとも部分的に支持し且つピニオン歯車26に対するラックバー34の動きを案内し得るようにハウジング12のヨークボア18内に配置されている。ヨーク組立体54は、ラックバー34が動く間、ラックバー34に接触し且つ回転し得るように第一及び第二のローラ組立体154、156を有するヨーク56を備えている。第一のスピンドル112はヨーク56に対し固定され且つ第一のローラ組立体154を支持し、第二のスピンドル114はヨーク56に対し固定され且つ第二のローラ組立体156を支持する。
【選択図】図1

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、ラック及びピニオンステアリング歯車、より具体的には、低摩擦のヨーク組立体を有するラック及びピニオンステアリング歯車に関する。
【発明の背景】
【0002】
既知のラック及びピニオンステアリング歯車は、ハウジング内に回転可能に取り付けられ且つ、乗物のステアリングハンドルと接続されたピニオン歯車を有している。ラックバーは、ハウジングを貫通して軸方向に伸び、また、ステア可能な乗物の車輪と接続された両端部分を有している。ラックバーに形成された歯車の歯は、ピニオン歯車上の歯車の歯とかみ合い係合状態に配置されている。ヨーク及びばねを有するヨーク組立体は、ハウジングに対するラックバーの動きを支持し且つ案内するためハウジング内に配置されている。
【0003】
既知のラック及びピニオンステアリング歯車のヨーク210は、図6に図示されている。軸方向に伸びるキャビティ212は、ヨーク210を貫通して伸び且つ、ヨーク210の上面214と交差している。軸方向に伸びるキャビティ212は、直径上で対向した第一の支持壁216及び第二の支持壁218を形成する。第一及び第二の支持壁216、218は、ヨーク210の軸方向に伸びるキャビティ212を横断して伸びるスピンドル220を支持している。スピンドル220の長さは、ヨーク210の直径にほぼ等しい。スピンドル220は、軸方向に伸びるキャビティ212内で第一及び第二のローラ組立体222、224を支持している。第一のローラ組立体222は、第一の支持壁216付近にあり、また、第二のローラ組立体224は、第二の支持壁218の付近にある。第一及び第二のローラ組立体222、224の各々は、ブッシュ228に固定されたローラ226を有している。ローラ226の各々は、ラックバー232に接触し且つラックバー232を支持する凹型の軸受面230を有している。第一及び第二のローラ組立体222、224は、ラックバー232が軸方向に動く間、ヨーク210及びスピンドル220に対して回転する。
【0004】
この既知のラック及びピニオンステアリング歯車が作用する間、ヨーク組立体には、熱及び大きい荷重の双方が加わる可能性がある。ラックバー232がローラ226上を動くとき、全体として、ラックバー232とローラ226の軸受面230との間の摩擦によって熱が発生する。例えば、乗物が路面の深い穴に当たったとき、大きい荷重が生ずる可能性がある。深い穴による乗物のタイヤの衝撃荷重は乗物のタイロッドを通じてラックバー232に伝達される。一方、ラックバー232は、荷重の一部分をヨーク組立体に伝達する。ヨーク組立体に伝達された荷重は、ヨーク210をラックバー232に対して偏倚させるばねによって吸収しなければならない。しかし、既知のラックバー及びピニオンステアリング歯車のヨーク組立体において、ローラ226に作用するラックバー232の荷重によって、スピンドル220に顕著な曲げモーメントが生じる。その結果、荷重によって、スピンドル220は、ローラ組立体222、224間の位置にて曲がる。スピンドル220が曲がると、第一及び第二のローラ組立体222、224の回転は損われ、ラックバー232とヨーク組立体との間に増大した摩擦が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ラック及びピニオンステアリング歯車である。該ラック及びピニオンステアリング歯車は、軸方向に伸びる通路と、該軸方向に伸びる通路に対して垂直に伸び且つ、ハウジング内の軸方向に伸びる通路と接続するヨークボアとを有するハウジングを備えている。歯を有するピニオン歯車は、ハウジング内に回転可能に取り付けられている。ラックバーは、ハウジングの軸方向に伸びる通路を貫通して伸び且つ、ピニオン歯車に対し可動である。ラックバーは、ピニオン歯車の歯とかみ合い係合する歯を有している。ヨーク組立体は、ピニオン歯車に対するラックバーの軸方向への動きを少なくとも部分的に支持し且つ案内するためハウジングのヨークボア内に配置されている。ヨーク組立体は、ラックバーが軸方向に動く間、ラックバーに接触し且つ、回転し得るように、第一及び第二のローラ組立体を有するヨークを備えている。第一のスピンドルは、ヨークに対し固定され且つ、第一のローラ組立体を支持し、また、第二のスピンドルは、ヨークに対し固定され且つ、第二のローラ組立体を支持している。
【0006】
本発明の上記及びその他の特徴は、添付図面を参照しつつ以下の説明を読むことにより、本発明が関係する技術分野の当業者に明らかになるであろう。
【本発明の詳細な説明】
【0007】
本発明に従った構造とされたラック及びピニオンステアリング及び歯車10の断面図が図1に図示されている。該ラック及びピニオンステアリング歯車10はハウジング12を有している。好ましくは、ハウジング12は、鋳造金属で出来たものとする。ハウジング12は、図1の面に対して垂直に伸びる軸方向に伸びる通路14を有している。ピニオン通路16は、ハウジング12内に伸び且つ、軸方向に伸びる通路14と接するように交差する。ヨークボア18は、また、ハウジング12内に伸び且つ、軸方向に伸びる通路14と接続する。ヨークボア18は、軸方向に伸びる通路14に対し垂直な方向に伸びている。図1において、軸線Aは、ヨークボア18の中心軸線を表わす。軸線Aは、軸方向に伸びる通路14の軸線に対して垂直な方向に伸びる。図1に示すように、ヨークボア18は、ピニオン通路16と対向する軸方向に伸びる通路14の一側部に配置されている。ヨークボア18は、ねじ付き開口部20にて終わっている。ねじ付き外面24を有する円筒状栓22がヨークボア18のねじ付き開口部20内にねじ込まれて、ヨークボア18の端部を閉じる。
【0008】
ピニオン歯車26は、ハウジング12のピニオン通路16内に配置されている。2つの軸受組立体28、30がピニオン歯車26をハウジング12内で回転可能に支持する。第一の軸受組立体28は、ピニオン歯車26の一端に配置されている。第二の軸受組立体30がピニオン歯車26の他端に配置されている。複数の歯32がピニオン歯車26の外周の周りを伸びている。ピニオン歯車26は既知の仕方にて車のステアリングハンドル(図示せず)と接続されている。
【0009】
軸方向に伸びるラックバー34の一部分がハウジング12の軸方向に伸びる通路14を貫通して伸びている。ラックバー34は、タイロッド(図示せず)を通じて乗物のステア可能な車輪(図示せず)に接続された両端部分(図示せず)を有している。図示したラックバー34は一般に小型Yラックバーと称されている。小型Yラックバーであることが好ましいが、当該技術分野の当業者は本発明と共に任意の既知の型式のラックバーが使用可能であることが認識されよう。
【0010】
断面図で見たとき、ラックバー34は、全体として半円形の上側部分36を有している。ラックバー34の上側部分36の平坦化した上面38は複数の歯(図示せず)を有している。ラックバー34の歯はピニオン歯車26の歯32とかみ合い係合状態に配置されている。
【0011】
ラックバー34の下側部分40は、軸方向に伸びるローブ42を有している。該ローブ42の断面はそれぞれ平行な第一及び第二の側面44、46と、円弧状底面48とを有している。円弧状底面48はラックバー34の上側部分36の歯と対向する位置に配置されている。第一及び第二の側面44、46は、軸線Aに対し平行な方向に伸び且つローブ42の円弧状底面48をそれぞれ第一及び第二の接触面50、52に接続する。ローブ42は、半円形の上側部分36の直径の約45%にて第一及び第二の側面44、46の間の距離として画成された幅を有している。ローブ42は、ローブ42の幅の約2分の1にて第一の接触面50とローブ42の円弧状底面48との間の軸線Aに沿った距離として画成された深さを有している。ラックバー34の下側部分40の第一及び第二の接触面50、52は平坦である。第一の接触面50はローブ42の第一の側面44をラックバー34の上側部分36に接続する。第二の接触面52はローブ42の第二の側面46をラックバー34の上側部分36に接続する。第一及び第二の接触面50、52の双方は軸線Aに対し約45°の角度で伸びている。
【0012】
低摩擦のヨーク組立体54がハウジング12のヨークボア18内に配置されている。該ヨーク組立体54はハウジング12に対するラックバー34の動きを少なくとも部分的に支持し且つ案内する。
【0013】
ヨーク組立体54は、ヨーク56及びばね58を備えている。ヨーク56はスチールで出来ていることが好ましい。ヨーク56は、円筒状の主要本体部分60を有している。主要本体部分60は、円筒状側壁62(図3及び図4)と、対向した第一及び第二の端面64、66とをそれぞれ有している。ヨーク56の長さは、第一の端面64と第二の端面66との間の軸線Aに沿った距離として画成されている。
【0014】
第一の端面64は、図1に図示するように、組み立てたラック及びピニオンステアリング歯車10内でラックバー34に最も近い位置にある。中央チャネル部68(図3、図4及び図5)は、ヨーク56の主要本体部分60を貫通してラックバー34に対し平行に軸方向に伸び且つ第一の端面64と交差している。中央チャネル部68がそれぞれ中央部分70と、第一及び第二の外側部分72、74(図4)とを有している。中央チャネル部68の中央部分70は、ヨーク56の主要本体部分60の直径の約40%である、軸線Aに対し垂直な幅と、ヨーク56の長さの約60%である、軸線Aに沿った深さとを有している。中央チャネル部68の第一及び第二の外側部分72、74は、図4に図示するように第一の端面64から中央チャネル部68の中央部分70に向けて約45°の角度にて伸びている。中央チャネル部68の第一の外側部分72は、ヨーク56の第一の勾配面76(図5)を画成し、中央チャネル部68の第二の外側部分74は、ヨーク56の第二の勾配面78(図5)を画成する。
【0015】
第一の盲状ポケット部80はヨーク56の第一の勾配面76内に伸びている。図4に図示するように、第一の盲状ポケット部80は、ヨーク56の長さの約75%の深さを有している。図5に図示するように、第一の盲状ポケット部80は、ヨーク56の主要本体部分60の直径の約50%の軸方向への長さを有している。第一の盲状ポケット部80の幅は、第一の盲状ポケット部80の内側壁82と外側壁84との間の距離として画成されている。第一の盲状ポケット部80は、その長さの約25%の幅を有している。第一の盲状ポケット部80の内側壁82及び外側壁84の双方は、耐磨耗性で且つ低摩擦の被覆にて被覆されている。
【0016】
第一の盲状ポケット部80はヨーク56の主要本体部分60に第一の支持壁86及び第二の支持壁88を形成する。第一の支持壁86は、ヨーク56の主要本体部分60の円筒状側壁62と第一の盲状ポケット部80の外側壁84との間に画成されている。穴90(図3及び図4)は、第一の支持壁86を貫通して伸び且つ中央位置にて第一の盲状ポケット部80と交差している。
【0017】
第二の支持壁88は、第一の盲状ポケット部80の内側壁82と、中央チャネル部68の中央部分70との間に画成されている。穴92(図3及び図4)は、第二の支持壁88を貫通して伸び且つ、第一の盲状ポケット部80と交差する。第二の支持壁88の穴92は、第一の支持壁86の穴90と同軸状である。
【0018】
第二の盲状ポケット部94(図4及び図5)は、ヨーク56の第二の勾配面78内に伸びている。第二の盲状ポケット部94は、第一の盲状ポケット部80の寸法に等しい寸法を有している。図4及び図5に示すように、第二の盲状ポケット部94は、内側壁96及び外側壁98を有している。第二の盲状ポケット部94の内側壁96及び外側壁98の双方は、耐磨耗性で且つ低摩擦の被覆にて被覆されている。
【0019】
第二の盲状ポケット部94は、第三の支持壁100と、第四の支持壁102とを形成する。第三の支持壁100は、ヨーク56の主要本体部分60の円筒状側壁62と、第二の盲状ポケット部94の外側壁98との間に画成されている。穴104(図3及び図4)は、第三の支持壁100を貫通して伸び且つ、中央位置にて第二の盲状ポケット部94と交差している。
【0020】
第四の支持壁102は、第二の盲状ポケット部94の内側壁96と中央チャネル部68の中央部分70との間に画成される。穴106は、第四の支持壁102を貫通して伸び且つ、第二の盲状ポケット部94と交差している。第四の支持壁102の穴106(図4)は、第三の支持壁100の穴104と同軸状である。
【0021】
図4に示すように、ヨーク56の第二の端面66は中央に配置された環状ボア108を有している。該ボア108は、ヨーク56の主要本体部分の直径の約40%の外径と、ヨーク56の主要本体部分60の直径の約20%の内径とを有している。ボア108は、軸線Aに沿って、ヨーク56の第二の端面66に向けて伸びる円筒状突出部110を画成する。
【0022】
ヨーク56は、第一及び第二のスピンドル112、114(図4)をそれぞれ有している。第一及び第二のスピンドル112、114は、円筒状であり且つ、スチールで出来ていることが好ましい。第一及び第二のスピンドル112、114の各々は、第一の端部と、第二の端部との間に、ヨーク56の主要本体部分60の直径の約25%の長さを有している。第一のスピンドル112の第一の端部116(図4)は、第一の支持壁86の穴90内に挿入され、また、第一のスピンドル112の第二の端部118(図4)は、第二の支持壁88の穴92内に挿入される。このように、第一のスピンドル112は、第一の盲状ポケット部80を跨ぐ。
【0023】
第二のスピンドル114の第一の端部120(図4)は、第三の支持壁100の穴104内に挿入され、また、第二のスピンドル114の第二の端部122(図4)は、第四の支持壁102の穴106内に挿入される。このように、第二のスピンドル114は、第二の盲状ポケット部94を跨ぐ。第一及び第二のスピンドル112、114の双方がヨーク56に対し固定されている。
【0024】
第一のスピンドル112は、第一のブッシュ124(図2、図3及び図4)を回転可能に支持する。第一のブッシュ124は、環状であり且つ、第一のブッシュ124の第一の部分126(図2及び図3)により画成された内径を有している。第一のブッシュ124の第一の部分126は、第一のスピンドル112に対し平行に伸びている。第一の部分126は、第一の端末128にて終わっている(図3)。第一のブッシュ124は、また、第一のブッシュ124の外径を画成し得るように第一の部分126の外方に湾曲する第二の部分130も有している。第一のブッシュ124の第二の部分130は、第二の端末132にて終わっている(図3)。
【0025】
第二のスピンドル114は第二のブッシュ134を回転可能に支持する(図4)。第二のブッシュ134は、環状であり且つ、第二のブッシュ134の第一の部分136により画成される内径を有している。第二のブッシュ134の第一の部分136は、第二のスピンドル114に対し平行に伸びている。第一の部分136は、第一の端末138にて終わっている。第二のブッシュ134は、また、第二のブッシュ134の外径を画成し得るように第一の部分136の外方に湾曲する第二の部分140も有している。第二のブッシュ134の第二の部分140は、第二の端末142にて終わっている。
【0026】
第一のローラ144(図3及び図4)は、第一のブッシュ124に固定状態に取り付けられている。第一のローラ144は環状であり且つ、中央面146と、内面148と、外面150(図4及び図5)と、軸受面152とを有している。中央面146は、第一のローラ144の内径を画成する。中央面146は第一のブッシュ114の第一の部分126を受け入れ且つ該第一の部分126に対し固定されている。内面148は、ヨーク56の中央チャネル部68に最も近い位置に配置され、また、外面150は内面148と対向している。第一のブッシュ114の第二の部分130は、第一のローラ144の外面150の一部分と接触する。第一のローラ144の軸受面152は、内面148と外面150との間を伸びている。軸受面152は僅かに凸型であり、このため、平坦面と接触するとき、点接触が実現される。軸受面152は、第一のローラ144の外径を形成し且つ軸線Aに対し約45°の角度が付けられている。第一のローラ144の外径は第一の盲状ポケット部80の長さの約90%である。第一のローラ144及び第一のブッシュ124は、全体として第一のローラ組立体154を形成する。
【0027】
第二のローラ156(図4)は、第二のブッシュ134に固定状態に取り付けられている。第二のローラ156は環状であり且つ、中央面158と、内面160と、外面162と、軸受面164とを有している。中央面158は、第二のローラ156の内径を画成する。中央面158は、第二のブッシュ134の第一の部分136を受け入れ且つ該第一の部分136に対し固定されている。内面160はヨーク56の中央チャネル部68に最も近い位置に配置され、外面162は内面160と対向している。第二のブッシュ134の第二の部分140は、第二のローラ156の外面162の一部分と接触する。第二のローラ156の軸受面164は内面160と外面162との間を伸びている。軸受面164は、僅かに凸型であり、このため、平坦面と接触するとき、点接触が実現される。軸受面164は、第二のローラ156の外径を形成し且つ、軸線Aに対し約45°の角度が付けられている。第二のローラ156の外径は第二の盲状ポケット部94の長さの約90%である。第二のローラ156及び第二のブッシュ134は、全体として第二のローラ組立体166を形成する。
【0028】
ヨーク組立体54はばね58を更に有している(図1)。該ばね58は、ヨーク56の第二の端面66内に伸びる環状ボア108内に嵌まる寸法とされた直径を有するヘリカルばねであることが好ましい。組み立てたられたラック及びピニオンステアリング歯車10において、円筒状突出部110はヨーク56に対するばね58の位置を制御し得るようにばね58の一部分の中央を貫通して伸びることが好ましい。ヨーク56と栓22との間にばね58が配置される。ばね58は、ヨーク56をラックバー34に対して偏倚させる。ラックバー34に加わる荷重が変化するとき、ばね58は圧縮し又は拡張し、このため、ヨーク56は栓22に対し動くことができる。
【0029】
組み立てられたラック及びピニオンステアリング歯車10において、第一のローラ144の軸受面152は、ラックバー34の下側部分40にて第一の接触面50に接触し、第二のローラ156の軸受面164がラックバー34の下側部分40にて第二の接触面52に接触する。第一及び第二のローラ144、156の双方の軸受面152、164が僅かに凸型であるため、軸受面152、164の各々と、ラックバー34のそれぞれの接触面50、52との間に点接触のみが実現される。点接触は、ラックバー34とローラ144、156との間の摩擦及び摩擦に関連した熱を減少させる。
【0030】
第一及び第二のローラ144、156が第一及び第二の接触面50及び52に接触するとき、ラックバー34の下側部分40のローブ42は中央キャビティ68の中央部分70内に受け入れられる。その結果、ラックバー34が回転する少しの傾向も、中央キャビティ68の中央部分70を画成する面によって抵抗を受ける。
【0031】
図2には、ラックバー34の第一の接触面50と第一のローラ144の軸受面152との間の相互作用部の拡大図が図示されている。説明はしないが、ラックバー34の第二の接触面52と第二のローラ156の軸受面164との間の相互作用部は図2に関して説明したものの鏡像となろう。
【0032】
ラックバー34は第一のローラ144に荷重を加える。図2にFRBで示した荷重は、ラックバー34の下側部分40の第一の接触面50に対し直角である。このように、第一のローラ144に加わる荷重FRBは、軸線Aに対し平行な力ベクトルFAと、軸線Aに対し垂直であり且つヨーク56の第一の支持壁86に向けて軸線Aから半径方向外方に向けられた力ベクトルFBとに分割することができる。
【0033】
力ベクトルFAは、第一のローラ144、第一のブッシュ124及び第一のスピンドル112を通じてヨーク56の主要本体部分60に伝達される。第一のスピンドル112に対する第一及び第二の支持壁86、88は、第一のブッシュ124に極く近接する位置に配置されおり、第一のスピンドル112はヨーク56の主要本体部分60の直径に対し短く、力ベクトルFAの結果として第一のスピンドル112に加えられる曲げモーメントは小さく、従って、第一のスピンドル112を曲げることはない。このように、力ベクトルFAはヨーク56の主要本体部分60に完全に伝達される。その結果、ヨーク56によりばね58は圧縮され、ヨーク56は、ばね58が力ベクトルFAを吸収するのに必要な程度だけ栓22に向けて移動する。
【0034】
力ベクトルFBは、第一のローラ144を通じて第一のブッシュ124の第二の部分130に伝達される。力ベクトルFBによって、第一のブッシュ124は第一の盲状ポケット部80の外側壁84に向けて付勢される。第一の盲状ポケット部80の外側壁84に接触することにより、第一のブッシュ124は力ベクトルFBに抵抗するスラスト軸受として機能する。ラックバー34が軸方向に移動する間、第一のブッシュ124がヨーク56に対し回転するとき、第一のブッシュ124の第二の部分130は第一の盲状ポケット部80の外側壁84に当接し、力ベクトルFBに抵抗する。第一の盲状ポケット部80の外側壁84は、耐磨耗性で且つ低摩擦の被覆によって被覆されているから、第一のブッシュ124の第二の部分130と、第一の盲状ポケット部80の外側壁84とが接触する結果として、摩擦及び摩擦に関連した熱の発生は最小となる。
【0035】
本発明の上記の説明から、当該技術分野の当業者は、改良、変更及び改変例が認識されよう。当該技術の範囲内のかかる改良、変更及び改変例は、特許請求の範囲に包含することを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に従った構造とされたヨーク組立体を有するラック及びピニオンステアリング歯車の断面図である。
【図2】図1のラック及びピニオンステアリング歯車の一部分の拡大図である。
【図3】図1に示したヨーク組立体のヨークの第一のローラ組立体の分解図である。
【図4】図1のヨーク組立体の断面図である。
【図5】図4の線5−5に沿った断面図である。
【図6】従来技術のヨークの図である。

Claims (9)

  1. ラック及びピニオンステアリング(steering)歯車において、
    軸方向に伸びる通路と、該軸方向に伸びる通路に対し垂直に伸び且つハウジング内で軸方向に伸びる通路と接続するヨークとを有するハウジングと、
    ハウジング内で回転可能に取り付けられ、歯を有するピニオン歯車と、
    ハウジングの軸方向に伸びる通路を通って伸び且つ、ピニオン歯車に対して可動であるラックバーであって、ピニオン歯車の歯とかみ合い係合した歯を有する前記ラックバーと、
    ラックバーを少なくとも部分的に支持し且つピニオン歯車に対するラックバーの軸方向への動きを案内し得るようにハウジングのヨークボア内に配置されたヨーク組立体であって、
    ラックバーが軸方向に動く間、ラックバーに接触し且つ回転する第一及び第二のローラ組立体を有するヨークと、該ヨークに固定され且つ第一のローラ組立体を支持する第一のスピンドルと、ヨークに対して固定され且つ第二のローラ組立体を支持する第二のスピンドルとを有する前記ヨーク組立体とを備える、ラック及びピニオンステアリング歯車。
  2. 請求項1のラック及びピニオンステアリング歯車において、
    第一のスピンドルの両端がヨークによって支持され、第一のローラ組立体が第一のスピンドルの両端の間で支持され、
    第二のスピンドルの両端がヨークによって支持され、第二のローラ組立体が第二のスピンドルの両端の間で支持されるようにしたラック及びピニオンステアリング歯車。
  3. 請求項2のラック及びピニオンステアリング歯車において、
    第一のローラ組立体が、第一のブッシュと、第一のローラとを有し、
    第一のローラが、第一のブッシュに対して固定され、第一のブッシュが第一のスピンドルにより回転可能に支持されるようにし、
    第二のローラ組立体が、第二のブッシュと、第二のローラとを有し、
    第二のローラが、第二のブッシュに対して固定され、第二のブッシュが第二のスピンドルにより回転可能に支持されるようにしたラック及びピニオンステアリング歯車。
  4. 請求項3のラック及びピニオンステアリング歯車において、
    第一及び第二のローラの双方が、ラックバーに接触する軸受面を有し、
    ローラの各々の軸受面が凸型であり、ラックバーと点接触が実現されるようにしたラック及びピニオンステアリング歯車。
  5. 請求項4のラック及びピニオンステアリング歯車において、
    第一及び第二のブッシュの双方が、それぞれのスピンドルに接触する第一の部分と、それぞれのローラの外面の一部分と接触する第二の部分とを有するようにしたラック及びピニオンステアリング歯車。
  6. 請求項5のラック及びピニオンステアリング歯車において、
    ヨークが、第一及び第二の盲状ポケット部を有し、
    第一及び第二の盲状ポケット部が、それぞれのローラ組立体の軸方向幅よりも広い軸方向幅を有し、
    第一の盲状ポケット部が、第一のローラ組立体を受け入れ、
    第二の盲状ポケット部が、第二のローラ組立体を受け入れるようにしたラック及びピニオンステアリング歯車。
  7. 請求項6のラック及びピニオンステアリング歯車において、
    盲状ポケット部の各々が、内側壁及び外側壁を有し、
    ブッシュの各々の一部分が、それぞれの盲状ポケット部の外側壁に接触するようにしたラック及びピニオンステアリング歯車。
  8. 請求項7のラック及びピニオンステアリング歯車において、
    ヨークが、第一の盲状ポケット部と第二の盲状ポケット部との間に中心決めされた中央チャネル部を更に有し、
    該中央チャネル部が、ヨークを貫通して軸方向に伸び且つ、ラックバーがヨークに対して回転するのを防止し得るようにラックバーの一部分を受け入れるようにしたラック及びピニオンステアリング歯車。
  9. 請求項7のラック及びピニオンステアリング歯車において、
    盲状穴の各々の内面及び外面が、耐磨耗性、低摩擦の被覆にて被覆されるようにしたラック及びピニオンステアリング歯車。
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