JP2004521065A - 緑内障を処置するためのr−エリプロディル - Google Patents
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Abstract
R−エリプロディルを単独で用いて、および緑内障を処置するための他の薬剤と組み合わせて用いて緑内障を治療するための方法を開示する。この薬剤は、β遮断剤、カルボニックアンヒドラーゼインヒビター、α1アンタゴニスト、α2アゴニスト、縮瞳剤、プロスタグランジンアナログ、「降圧脂質」、および他の神経保護剤からなる群から選択され得る。R−エリプロディルは、全身的または局所的に送達され得る。R−エリプロディルは、1日あたり0.1〜500mg投薬され得る。
Description
【0001】
本発明は、緑内障を処置するためのR−α−(4−クロロフェニル)−4−(4−フルオロフェニルメチル)−1−ピペリジンエタノール(R−α−(4−chlorophenyl)−4−(4−fluorophenylmethyl)−1−peperidineethanol)またはその塩(明細書中以下、R−エリプロディル)の使用に関する。
【0002】
(発明の背景)
エリプロディル(ラセミ化合物)は、全身に活性な神経保護剤である。その構造および合成は、米国特許第4,690,931号に開示されている。エリプロディルはまた、緑内障を患う人々における視野の保護のために有用であり(米国特許第5,710,165号を参照のこと)、かつ眼および視神経乳頭の虚血性障害を処置するために有用である(米国特許第6,020,352号を参照のこと)。また、糖尿病性網膜症を有する人々の処置におけるその有用性は公知である(WO99/25350を参照のこと)。これらの特許は、いずれも眼の状態の処置のためのエリプロディルのR−異性体の使用を認識していない。
【0003】
現在、緑内障の処置のために認可された神経保護剤は存在しない。緑内障は、内網膜および/または視神経乳頭の病理と付随する視野欠損の発生によって特徴付けられる。虚血または外傷は、興奮毒性と呼ばれるプロセスに少なくとも部分的には起因してこれらの網膜の神経障害と結びついたニューロン細胞の死において、役割を果たし得る。
【0004】
興奮毒性は、緑内障を含む網膜の障害に広範囲に関係している。緑内障において、視神経乳頭の病理学的変化(杯形成、陥凹、神経縁部が薄くなること)は、グルタメートによって引き起こされ得る毒性である、網膜神経節細胞の損失と結び付いている。今までに、多数の一連の証拠によって、外因的に投与されたグルタメートに対する培養された網膜神経節細胞の感度、種々の興奮性アミノ酸(EAA)アゴニストの適用後の単離されたまたはインタクトの網膜組織の摂動、および興奮毒の硝子体内の注射に従う網膜組織の明確な病理が実証された。Dreyerおよび共同研究者は、開放角緑内障を有する患者または圧迫誘発性による視覚神経障害を有する非ヒト霊長類が、より高濃度のグルタメートを硝子体内に有することが実証されたことに基づいて、緑内障の原因となる要因としてグルタメートの役割を議論している(Elevated glutamate levels in the vitreous body of humans and monkeys with glaucoma.Dreyerら,Arch.Ophthalmology,14巻:299−300,1996)。
【0005】
特定のEAAレセプターの遮断が、虚血、外傷または他の代謝障害に直面して、ニューロン組織の損傷に対する耐性を与え得ることは十分に証明されている。多数の研究は、選択的EAAアンタゴニスト(特にN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)レセプターを標的とする選択的EAAアンタゴニスト)による網膜組織の保護を示している。従って、NMDAレセプターのアンタゴニストは、神経保護性である。Scattonら,Drugs of the Future,19巻(10):905−909,(1994)において、強力なNMDAアンタゴニスト活性を有する化合物であるラセミ体のエリプロディルは、大脳虚血および脳の外傷を含む、脳内の種々の神経変性疾患モデルにおいて、神経保護性であることが示された。Malavasiら,Journal of Chromatography A,729巻:323−333,(1996)において、エリプロディルおよびその鏡像体の両方が、匹敵する神経保護活性を有することが述べられた。しかし、インビボでのラットの巣状大脳虚血モデルにおいて、R−鏡像体は、エリプロディルのS−鏡像体と比較して、ラセミ体のエリプロディルのインビボでの生物活性に対して顕著に寄与することが示された(DiFabioら,Biorganic and Medicinal Chemistry Letters,5巻(6):551−554,(1995))。この研究は、鏡像体間の神経保護活性における差異を実証するけれども、それは緑内障モデルではなく、NMDA活性を評価するためのモデルでもない。なぜなら、種々の細胞の機構が、観察された大脳の病理に関して引用されているからである。多種多様に分散されたEAAレセプターの全てのアンタゴニストが、種々の理由によって、内網膜の神経保護剤としての使用に適切であるわけではないことが注目されるべきである。例えば、MK801は、精神異常作用特性を有するため、有用でない。
【0006】
副作用は、薬物の開発に対する重要な障壁をいつも示す。このような副作用の1つは、心臓の再分極の妨害を含む。多くの薬理学的薬剤は、心筋細胞の膜カリウムチャネルを阻害することによって、心臓の再分極を長引かせるように作用する。さらに、一部の個体は、これらの膜カリウムチャネルの遺伝的欠損を有し、薬物非存在下ですら心臓の再分極の延長を生じる。再分極の延長は、QT間隔として公知のパラメータを使用する心電図の分析によって、検出および/または定量化され得る。このパラメータは、心臓の再分極の開始(QRS波によって示される)から心臓の再分極の終点(T波の終点によって示される)までの持続時間を記述する。QT間隔の正常範囲は、約0.30〜0.50秒である。QT間隔を心拍数について補正するのが一般的であり(QTcとして同定され、60bpm心拍数に正規化される)、0.38〜0.45秒の値の正常範囲が得られる。
【0007】
心臓の再分極の延長(QTc延長)が開始される原因にかかわらず、この現象は不整脈およびおそらく心室細動を生じ得、これらは突然死につながる。不整脈の独特の型は、しばしばトルサード・ド・ポワントと呼ばれるQTc延長に伴ってみられ、これは心電図を用いて容易に同定される。突然死の可能性は、臨床的使用の前のQTc延長に関する傾向を特徴付けることの重要性を明確に強調する。薬物の組み合わせまたは遺伝的に感受性の人による単一の薬物の使用は、特別の関心事であることに注目すべきである。
【0008】
エリプロディル(ラセミ体)は、ヒト内に何回か投薬した後に無症候のQTc延長を引き起こすことが公知である(Drugs of the Future,1994,19巻(10):905−909)。
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、緑内障を患う個体を処置するためのR−エリプロディルの使用に関する。本発明は、緑内障を処置するための追加の薬剤との組み合わせてR−エリプロディルを用いる緑内障の処置を含む。
【0010】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
驚くべきことに、エリプロディルのR−鏡像体が、S−鏡像体よりも網膜神経節細胞を損傷から保護することにおいて効果的であり、従って緑内障を患う人を処置するために有用であることを本発明者らは見い出した。さらに、R−鏡像体は、S−鏡像体またはラセミ体よりもQTcを延長する傾向がより少なく、従ってヒトへの長期使用に関してより安全である。
【0011】
エリプロディル(NMDAレセプターのポリアミン結合部位(NR2Bサブユニット)で作用する神経保護剤)は、種々のCNS外傷および虚血モデルにおいて強力に神経保護性であり、そして多くの他のNMDAアンタゴニストとは異なり、CNS副作用を欠くことが示されている。NMDA部位での活性に加えて、エリプロディルおよびその鏡像体は、ラットの脳内でシグマレセプターに対して強力に結合することが公知である(米国特許第5,023,266号)。R−鏡像体とS−鏡像体とラセミ体とについて等しい効力は、神経栄養効果に関して観察されている(米国特許第5,547,963号)。
【0012】
本発明者らはまた、エリプロディルが、L型、N型およびP型の電化作動型カルシウムチャネルならびにナトリウムチャネルで拮抗作用を示すことを知り、これを本明細書中で開示する。結合の研究はまた、エリプロディルとヒスタミンHl結合部位、β3−アドレナリン作用性結合部位、5−HT取り込み結合部位、5−HT2A結合部位、5−HT1A結合部位、ヒスタミンH2結合部位、αl−アドレナリン作用性結合部位、および5−HT7結合部位とのμM未満の親和性を実証する。これらの薬理学的活性の神経保護的効力における役割は、この薬物については確立されていない。
【0013】
本発明者らはまた、エリプロディルおよびその鏡像体(S(+)およびR(−))が網膜を含むCNS中の外傷性モデル、虚血性モデル、および興奮毒性モデルにおいて神経保護的であることを知り、これを本明細書中で開示する。ラセミ体/鏡像体のインビトロで測定された効力は、適用された傷害に関連するように、個々の鏡像体の薬理学に依存する。例えば、電気生理学およびリガンド置換研究は、ラセミ体およびR(−)−鏡像体がNMDAレセプターでS(+)−鏡像体よりも顕著に大きな活性を有することを示している(R−エリプロディルおよびS−エリプロディルに関するNMDAレセプターでのKi(nM)はそれぞれ200および10,000であった)。実施例1に示されるように、NMDA障害に対する著しい神経保護活性が、S−エリプロディルによっては実証されなかったが、R−エリプロディルおよびラセミ体のエリプロディルによって実証された。同様に、ラセミ体のエリプロディルまたはR(−)−鏡像体は、インビボで前庭神経外側核のNMDA誘発燃焼速度を強力に阻害することが見い出された。一方、S(+)−鏡像体は、試験された最も高い用量でほとんど不活性であった。実施例2に示されるように、R−エリプロディルは、海馬のスライス調製物において低酸素後に興奮性シナプスの後電位の実質的な回復を提供した。匹敵する用量で、RS−エリプロディルおよびS−エリプロディルは効果がより低かった。エリプロディルまたはR(−)−鏡像体が興奮性アミノ酸媒介性変化を阻害する能力は重要である。なぜなら、興奮毒性は緑内障の根源的な病因に関係付けられているからである。鏡像体もラセミ体も、大脳虚血のインビボモデル(すなわち、ラットでの中大脳動脈閉塞モデル)で試験された場合、R(−)−鏡像体およびS(+)−鏡像体は薬理学的差異はあるが、著しい神経保護的長所を示さなかった。この知見は、その差異が大脳病因に関与する種々の機構および実験的モデルにおける差異を表し得るというDiFabioらの発見とは対照的である。それとは関係なく、興奮毒性以外の機構または、興奮毒性に加えての機構は、おそらくこの虚血性誘発によるニューロン変性に関与する。網膜変性に関すると以前に記載された神経栄養性効果の重要性は、公知でない。
【0014】
多くの薬理学的結合部位での顕著な親和性にもかかわらず、ラセミ体のエリプロディルは、心血管系以外の主な器官系に対して顕著な不都合な影響を示さない。エリプロディルおよびその鏡像体を、心臓の電気的活性に対するそれらの用量関連効果を決定することによって、QTcを延長するそれらの可能性を評価した。2種の異なる実験的モデルを、これらの研究に利用した:(1)心臓由来の子ブタプルキンエ線維内の活動電位持続期間および(2)ペントバルビタール麻酔下のネコにおける心電図パラメーター。以下に記載されるこの結果は、R(−)エリプロディルがS(+)エリプロディルまたはラセミ体のエリプロディルのいずれよりも心臓の再分極を延長する傾向が低いことを実証する。
【0015】
エリプロディルおよびその2種の鏡像体は、子ブタプルキンエ線維中の活動電位の持続期間の濃度依存性延長を、特に0.25Hz周波数で誘発した。90%再分極での活動電位持続期間(APD90)に基づいて、R(−)エリプロディルは100nM以上の濃度で、しかしS(+)エリプロディルは30nM以上の濃度で、統計上有意な延長が明らかであった。高濃度では、APD90は両化合物で減少した。全ての濃度に関して、R(−)エリプロディルを用いて観察された最大効果は、S(+)エリプロディルを用いて見られる効果より低かった。ラセミ体のエリプロディルは、低濃度では2種の鏡像体間の中間の効果を生じ、そして高濃度でS(+)エリプロディルの効果と同等の最大効果を達成した。
【0016】
エリプロディルおよびその2種の鏡像体をまた、ペントバルビタール麻酔下のネコにおける血流力学パラメーターおよび心電図パラメーターについて評価した。3種全ての化合物は、低血圧、徐脈、およびQTc延長を誘発したが、その用量応答関係は、化合物間で異なっていた。化合物を、20分ごとに5分間静脈内注入として0.01〜3mg/kgの漸増用量で投与した。各パラメーターについての閾値用量を、表1に表す。ネコにおいて、QTc変化は、低血圧または除脈のいずれよりも低い用量の各化合物で明らかであった。このプロトコルでのR(−)エリプロディルの0.1mg/kg用量と関わりのある血漿レベルは、34.9±2.8ng/mlであった。
【0017】
【表1】
(実施例1:グルタメート誘発ラット網膜神経節細胞死に対するエリプロディルおよびその鏡像体の神経保護効果)
網膜の神経節細胞を、緑内障において変性する網膜細胞を表すものとして選択した。MK−801を、基準NMDAアンタゴニストとして選択した。
【0018】
ラット網膜神経節細胞の単離ならびにグルタメートの非存在下および存在下での生存率の評価は、Pangら、「Protection by Eliprodil Against Excitotoxicity in Cultured Rat Retinal Ganglion Cells」、Investigative Ophthalmology & Visual Science、40巻(6)、1170−1176頁、1999年5月に記載された。手短に言えば、単離され培養されたラット網膜神経節細胞を、ラセミ体の(R/S)エリプロディル(10nM)、R−エリプロディル(10nM)、またはS−エリプロディル(10nM)を用いて30分間処理し、続いて100μMグルタメートを添加した。生存を3日間のインキュベーション期間後に生存細胞を数えることによって決定した。ビヒクルのみを用いた生存を100%と定義する。図1に示すように、R−エリプロディルは、ラセミ体のエリプロディルと同等に保護剤として有効であった。S−エリプロディルは、効果がなかった。
【0019】
(実施例2:海馬スライスにおけるインビトロでの15分間の低酸素の後にシナプス伝達の回復を改善する能力に関する、ラセミ体の(R/S)−エリプロディル(白丸)、R−エリプロディル(黒丸)およびメマンチン(黒菱形)の効果を比較する用量応答関係(図2))
メマンチンを臨床的に使用するNMDAアンタゴニストとして選択した。
【0020】
低酸素の海馬スライス調製物の調製は、Reyesら、「Eliprodil,a non−competitive,NR2B−selective NMDA antagonist, protects pyramidal neurons in hippocampal slices from hypoxic/ischemic damage」,Brain Research,782巻,212−218頁,1998によって報告された。手短に言えば、海馬スライスは、実験と同じ日に急性的に調製され、そして各化合物は15分の低酸素傷害の送達の30分間前に浴で適用された。誘発された興奮性シナプス後電位(epsp)の回復を、初期の、低酸素前epsp最大勾配のパーセントとして表現し、この回復パーセントを、再酸素負荷の60分後に評価した。各点は、8つのスライスの各用量での平均±S.E.M.であり、そしてEC50を、単一活性部位Lineweaver−Burke線形あてはめから計算した。R−エリプロディルは、ラセミ体のエリプロディルあるいはメマンチンのいずれよりも統計的に有意に強力であった(p<0.05,ステューデントのt検定)。匹敵する用量で、R−エリプロディルは、ラセミ体エリプロディルまたはS−エリプロディルのいずれよりも効果的である。
【0021】
R−エリプロディルは、全身または局所的のいずれかで投与され得、その目的は網膜または視神経乳頭において0.01〜100μM(好ましくは1〜20μM)のR−エリプロディル濃度を提供することである。全身投与は、経口、経皮、皮下(subdermal)、腹腔内、皮下(subcutaneous)、経鼻、舌下、または直腸を意味し、好ましくは、経口または経皮である。局所的投与は、局所的な眼球、硝子体内、眼周囲、経強膜(transcleral)、眼球後、トノン下(sub−Tenon)または眼内デバイスを介してを意味し、好ましくはトノン下または眼球後または眼内デバイスを介してを意味する。0.1〜500mg/日の経口送達、好ましくは5〜100mg/日の経口送達が所望の網膜濃度を達成する。投与の方法にかかわらず、患者の血漿レベルを25ng/ml未満のレベルに維持することが重要である。このことにより標的集団の大部分における不都合なQTc効果が最小であることを確実にする。
【0022】
熟練した臨床医の裁量で、R−エリプロディルを緑内障を処置するための1以上の他の試薬と組み合わせて投与することは有利である。このような薬剤としてβ遮断剤(例えば、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、プロプラノロール)、カルボニックアンヒドラーゼインヒビター(例えば、ブリンゾールアミド(brinzolamide)およびドルゾールアミド(dorzolamide))、α1アンタゴニスト(例えば、ニプラドロール(nipradolol))、α2アゴニスト(例えば、イオピジン(iopidine)およびブリモニジン(brimonidine))、縮瞳剤(例えば、ピロカルピンおよびエピネフリン)、プロスタグランジンアナログ(例えば、ラタノプロスト(latanoprost)、トラバプロスト(travaprost)、ウノプロストン(unoprostone)、ビマトプラスト(bimatoprost)および米国特許第5,889,052号;同第5,296,504号;同第5,422,368号;同第5,688,819号;および同第5,151,444号に示される化合物)、「降圧脂質」(例えば、同第5,352,708号に示される化合物)、および他の神経保護剤(例えば、WO94/13275からの適切な化合物、例えば、メマンチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
(実施例3)
以下のカプセルは、当業者に公知の手順に従って作製し得る。
【0024】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、培養された網膜神経節細胞におけるR−エリプロディル、S−エリプロディル、およびそのラセミ体(RS)の保護効果を示す。
【図2】
図2は、RS−エリプロディル、R−エリプロディル、およびメマンチンが低酸素期間の後にシナプス伝達の回復を改善する能力を比較する。
本発明は、緑内障を処置するためのR−α−(4−クロロフェニル)−4−(4−フルオロフェニルメチル)−1−ピペリジンエタノール(R−α−(4−chlorophenyl)−4−(4−fluorophenylmethyl)−1−peperidineethanol)またはその塩(明細書中以下、R−エリプロディル)の使用に関する。
【0002】
(発明の背景)
エリプロディル(ラセミ化合物)は、全身に活性な神経保護剤である。その構造および合成は、米国特許第4,690,931号に開示されている。エリプロディルはまた、緑内障を患う人々における視野の保護のために有用であり(米国特許第5,710,165号を参照のこと)、かつ眼および視神経乳頭の虚血性障害を処置するために有用である(米国特許第6,020,352号を参照のこと)。また、糖尿病性網膜症を有する人々の処置におけるその有用性は公知である(WO99/25350を参照のこと)。これらの特許は、いずれも眼の状態の処置のためのエリプロディルのR−異性体の使用を認識していない。
【0003】
現在、緑内障の処置のために認可された神経保護剤は存在しない。緑内障は、内網膜および/または視神経乳頭の病理と付随する視野欠損の発生によって特徴付けられる。虚血または外傷は、興奮毒性と呼ばれるプロセスに少なくとも部分的には起因してこれらの網膜の神経障害と結びついたニューロン細胞の死において、役割を果たし得る。
【0004】
興奮毒性は、緑内障を含む網膜の障害に広範囲に関係している。緑内障において、視神経乳頭の病理学的変化(杯形成、陥凹、神経縁部が薄くなること)は、グルタメートによって引き起こされ得る毒性である、網膜神経節細胞の損失と結び付いている。今までに、多数の一連の証拠によって、外因的に投与されたグルタメートに対する培養された網膜神経節細胞の感度、種々の興奮性アミノ酸(EAA)アゴニストの適用後の単離されたまたはインタクトの網膜組織の摂動、および興奮毒の硝子体内の注射に従う網膜組織の明確な病理が実証された。Dreyerおよび共同研究者は、開放角緑内障を有する患者または圧迫誘発性による視覚神経障害を有する非ヒト霊長類が、より高濃度のグルタメートを硝子体内に有することが実証されたことに基づいて、緑内障の原因となる要因としてグルタメートの役割を議論している(Elevated glutamate levels in the vitreous body of humans and monkeys with glaucoma.Dreyerら,Arch.Ophthalmology,14巻:299−300,1996)。
【0005】
特定のEAAレセプターの遮断が、虚血、外傷または他の代謝障害に直面して、ニューロン組織の損傷に対する耐性を与え得ることは十分に証明されている。多数の研究は、選択的EAAアンタゴニスト(特にN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)レセプターを標的とする選択的EAAアンタゴニスト)による網膜組織の保護を示している。従って、NMDAレセプターのアンタゴニストは、神経保護性である。Scattonら,Drugs of the Future,19巻(10):905−909,(1994)において、強力なNMDAアンタゴニスト活性を有する化合物であるラセミ体のエリプロディルは、大脳虚血および脳の外傷を含む、脳内の種々の神経変性疾患モデルにおいて、神経保護性であることが示された。Malavasiら,Journal of Chromatography A,729巻:323−333,(1996)において、エリプロディルおよびその鏡像体の両方が、匹敵する神経保護活性を有することが述べられた。しかし、インビボでのラットの巣状大脳虚血モデルにおいて、R−鏡像体は、エリプロディルのS−鏡像体と比較して、ラセミ体のエリプロディルのインビボでの生物活性に対して顕著に寄与することが示された(DiFabioら,Biorganic and Medicinal Chemistry Letters,5巻(6):551−554,(1995))。この研究は、鏡像体間の神経保護活性における差異を実証するけれども、それは緑内障モデルではなく、NMDA活性を評価するためのモデルでもない。なぜなら、種々の細胞の機構が、観察された大脳の病理に関して引用されているからである。多種多様に分散されたEAAレセプターの全てのアンタゴニストが、種々の理由によって、内網膜の神経保護剤としての使用に適切であるわけではないことが注目されるべきである。例えば、MK801は、精神異常作用特性を有するため、有用でない。
【0006】
副作用は、薬物の開発に対する重要な障壁をいつも示す。このような副作用の1つは、心臓の再分極の妨害を含む。多くの薬理学的薬剤は、心筋細胞の膜カリウムチャネルを阻害することによって、心臓の再分極を長引かせるように作用する。さらに、一部の個体は、これらの膜カリウムチャネルの遺伝的欠損を有し、薬物非存在下ですら心臓の再分極の延長を生じる。再分極の延長は、QT間隔として公知のパラメータを使用する心電図の分析によって、検出および/または定量化され得る。このパラメータは、心臓の再分極の開始(QRS波によって示される)から心臓の再分極の終点(T波の終点によって示される)までの持続時間を記述する。QT間隔の正常範囲は、約0.30〜0.50秒である。QT間隔を心拍数について補正するのが一般的であり(QTcとして同定され、60bpm心拍数に正規化される)、0.38〜0.45秒の値の正常範囲が得られる。
【0007】
心臓の再分極の延長(QTc延長)が開始される原因にかかわらず、この現象は不整脈およびおそらく心室細動を生じ得、これらは突然死につながる。不整脈の独特の型は、しばしばトルサード・ド・ポワントと呼ばれるQTc延長に伴ってみられ、これは心電図を用いて容易に同定される。突然死の可能性は、臨床的使用の前のQTc延長に関する傾向を特徴付けることの重要性を明確に強調する。薬物の組み合わせまたは遺伝的に感受性の人による単一の薬物の使用は、特別の関心事であることに注目すべきである。
【0008】
エリプロディル(ラセミ体)は、ヒト内に何回か投薬した後に無症候のQTc延長を引き起こすことが公知である(Drugs of the Future,1994,19巻(10):905−909)。
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、緑内障を患う個体を処置するためのR−エリプロディルの使用に関する。本発明は、緑内障を処置するための追加の薬剤との組み合わせてR−エリプロディルを用いる緑内障の処置を含む。
【0010】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
驚くべきことに、エリプロディルのR−鏡像体が、S−鏡像体よりも網膜神経節細胞を損傷から保護することにおいて効果的であり、従って緑内障を患う人を処置するために有用であることを本発明者らは見い出した。さらに、R−鏡像体は、S−鏡像体またはラセミ体よりもQTcを延長する傾向がより少なく、従ってヒトへの長期使用に関してより安全である。
【0011】
エリプロディル(NMDAレセプターのポリアミン結合部位(NR2Bサブユニット)で作用する神経保護剤)は、種々のCNS外傷および虚血モデルにおいて強力に神経保護性であり、そして多くの他のNMDAアンタゴニストとは異なり、CNS副作用を欠くことが示されている。NMDA部位での活性に加えて、エリプロディルおよびその鏡像体は、ラットの脳内でシグマレセプターに対して強力に結合することが公知である(米国特許第5,023,266号)。R−鏡像体とS−鏡像体とラセミ体とについて等しい効力は、神経栄養効果に関して観察されている(米国特許第5,547,963号)。
【0012】
本発明者らはまた、エリプロディルが、L型、N型およびP型の電化作動型カルシウムチャネルならびにナトリウムチャネルで拮抗作用を示すことを知り、これを本明細書中で開示する。結合の研究はまた、エリプロディルとヒスタミンHl結合部位、β3−アドレナリン作用性結合部位、5−HT取り込み結合部位、5−HT2A結合部位、5−HT1A結合部位、ヒスタミンH2結合部位、αl−アドレナリン作用性結合部位、および5−HT7結合部位とのμM未満の親和性を実証する。これらの薬理学的活性の神経保護的効力における役割は、この薬物については確立されていない。
【0013】
本発明者らはまた、エリプロディルおよびその鏡像体(S(+)およびR(−))が網膜を含むCNS中の外傷性モデル、虚血性モデル、および興奮毒性モデルにおいて神経保護的であることを知り、これを本明細書中で開示する。ラセミ体/鏡像体のインビトロで測定された効力は、適用された傷害に関連するように、個々の鏡像体の薬理学に依存する。例えば、電気生理学およびリガンド置換研究は、ラセミ体およびR(−)−鏡像体がNMDAレセプターでS(+)−鏡像体よりも顕著に大きな活性を有することを示している(R−エリプロディルおよびS−エリプロディルに関するNMDAレセプターでのKi(nM)はそれぞれ200および10,000であった)。実施例1に示されるように、NMDA障害に対する著しい神経保護活性が、S−エリプロディルによっては実証されなかったが、R−エリプロディルおよびラセミ体のエリプロディルによって実証された。同様に、ラセミ体のエリプロディルまたはR(−)−鏡像体は、インビボで前庭神経外側核のNMDA誘発燃焼速度を強力に阻害することが見い出された。一方、S(+)−鏡像体は、試験された最も高い用量でほとんど不活性であった。実施例2に示されるように、R−エリプロディルは、海馬のスライス調製物において低酸素後に興奮性シナプスの後電位の実質的な回復を提供した。匹敵する用量で、RS−エリプロディルおよびS−エリプロディルは効果がより低かった。エリプロディルまたはR(−)−鏡像体が興奮性アミノ酸媒介性変化を阻害する能力は重要である。なぜなら、興奮毒性は緑内障の根源的な病因に関係付けられているからである。鏡像体もラセミ体も、大脳虚血のインビボモデル(すなわち、ラットでの中大脳動脈閉塞モデル)で試験された場合、R(−)−鏡像体およびS(+)−鏡像体は薬理学的差異はあるが、著しい神経保護的長所を示さなかった。この知見は、その差異が大脳病因に関与する種々の機構および実験的モデルにおける差異を表し得るというDiFabioらの発見とは対照的である。それとは関係なく、興奮毒性以外の機構または、興奮毒性に加えての機構は、おそらくこの虚血性誘発によるニューロン変性に関与する。網膜変性に関すると以前に記載された神経栄養性効果の重要性は、公知でない。
【0014】
多くの薬理学的結合部位での顕著な親和性にもかかわらず、ラセミ体のエリプロディルは、心血管系以外の主な器官系に対して顕著な不都合な影響を示さない。エリプロディルおよびその鏡像体を、心臓の電気的活性に対するそれらの用量関連効果を決定することによって、QTcを延長するそれらの可能性を評価した。2種の異なる実験的モデルを、これらの研究に利用した:(1)心臓由来の子ブタプルキンエ線維内の活動電位持続期間および(2)ペントバルビタール麻酔下のネコにおける心電図パラメーター。以下に記載されるこの結果は、R(−)エリプロディルがS(+)エリプロディルまたはラセミ体のエリプロディルのいずれよりも心臓の再分極を延長する傾向が低いことを実証する。
【0015】
エリプロディルおよびその2種の鏡像体は、子ブタプルキンエ線維中の活動電位の持続期間の濃度依存性延長を、特に0.25Hz周波数で誘発した。90%再分極での活動電位持続期間(APD90)に基づいて、R(−)エリプロディルは100nM以上の濃度で、しかしS(+)エリプロディルは30nM以上の濃度で、統計上有意な延長が明らかであった。高濃度では、APD90は両化合物で減少した。全ての濃度に関して、R(−)エリプロディルを用いて観察された最大効果は、S(+)エリプロディルを用いて見られる効果より低かった。ラセミ体のエリプロディルは、低濃度では2種の鏡像体間の中間の効果を生じ、そして高濃度でS(+)エリプロディルの効果と同等の最大効果を達成した。
【0016】
エリプロディルおよびその2種の鏡像体をまた、ペントバルビタール麻酔下のネコにおける血流力学パラメーターおよび心電図パラメーターについて評価した。3種全ての化合物は、低血圧、徐脈、およびQTc延長を誘発したが、その用量応答関係は、化合物間で異なっていた。化合物を、20分ごとに5分間静脈内注入として0.01〜3mg/kgの漸増用量で投与した。各パラメーターについての閾値用量を、表1に表す。ネコにおいて、QTc変化は、低血圧または除脈のいずれよりも低い用量の各化合物で明らかであった。このプロトコルでのR(−)エリプロディルの0.1mg/kg用量と関わりのある血漿レベルは、34.9±2.8ng/mlであった。
【0017】
【表1】
(実施例1:グルタメート誘発ラット網膜神経節細胞死に対するエリプロディルおよびその鏡像体の神経保護効果)
網膜の神経節細胞を、緑内障において変性する網膜細胞を表すものとして選択した。MK−801を、基準NMDAアンタゴニストとして選択した。
【0018】
ラット網膜神経節細胞の単離ならびにグルタメートの非存在下および存在下での生存率の評価は、Pangら、「Protection by Eliprodil Against Excitotoxicity in Cultured Rat Retinal Ganglion Cells」、Investigative Ophthalmology & Visual Science、40巻(6)、1170−1176頁、1999年5月に記載された。手短に言えば、単離され培養されたラット網膜神経節細胞を、ラセミ体の(R/S)エリプロディル(10nM)、R−エリプロディル(10nM)、またはS−エリプロディル(10nM)を用いて30分間処理し、続いて100μMグルタメートを添加した。生存を3日間のインキュベーション期間後に生存細胞を数えることによって決定した。ビヒクルのみを用いた生存を100%と定義する。図1に示すように、R−エリプロディルは、ラセミ体のエリプロディルと同等に保護剤として有効であった。S−エリプロディルは、効果がなかった。
【0019】
(実施例2:海馬スライスにおけるインビトロでの15分間の低酸素の後にシナプス伝達の回復を改善する能力に関する、ラセミ体の(R/S)−エリプロディル(白丸)、R−エリプロディル(黒丸)およびメマンチン(黒菱形)の効果を比較する用量応答関係(図2))
メマンチンを臨床的に使用するNMDAアンタゴニストとして選択した。
【0020】
低酸素の海馬スライス調製物の調製は、Reyesら、「Eliprodil,a non−competitive,NR2B−selective NMDA antagonist, protects pyramidal neurons in hippocampal slices from hypoxic/ischemic damage」,Brain Research,782巻,212−218頁,1998によって報告された。手短に言えば、海馬スライスは、実験と同じ日に急性的に調製され、そして各化合物は15分の低酸素傷害の送達の30分間前に浴で適用された。誘発された興奮性シナプス後電位(epsp)の回復を、初期の、低酸素前epsp最大勾配のパーセントとして表現し、この回復パーセントを、再酸素負荷の60分後に評価した。各点は、8つのスライスの各用量での平均±S.E.M.であり、そしてEC50を、単一活性部位Lineweaver−Burke線形あてはめから計算した。R−エリプロディルは、ラセミ体のエリプロディルあるいはメマンチンのいずれよりも統計的に有意に強力であった(p<0.05,ステューデントのt検定)。匹敵する用量で、R−エリプロディルは、ラセミ体エリプロディルまたはS−エリプロディルのいずれよりも効果的である。
【0021】
R−エリプロディルは、全身または局所的のいずれかで投与され得、その目的は網膜または視神経乳頭において0.01〜100μM(好ましくは1〜20μM)のR−エリプロディル濃度を提供することである。全身投与は、経口、経皮、皮下(subdermal)、腹腔内、皮下(subcutaneous)、経鼻、舌下、または直腸を意味し、好ましくは、経口または経皮である。局所的投与は、局所的な眼球、硝子体内、眼周囲、経強膜(transcleral)、眼球後、トノン下(sub−Tenon)または眼内デバイスを介してを意味し、好ましくはトノン下または眼球後または眼内デバイスを介してを意味する。0.1〜500mg/日の経口送達、好ましくは5〜100mg/日の経口送達が所望の網膜濃度を達成する。投与の方法にかかわらず、患者の血漿レベルを25ng/ml未満のレベルに維持することが重要である。このことにより標的集団の大部分における不都合なQTc効果が最小であることを確実にする。
【0022】
熟練した臨床医の裁量で、R−エリプロディルを緑内障を処置するための1以上の他の試薬と組み合わせて投与することは有利である。このような薬剤としてβ遮断剤(例えば、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、プロプラノロール)、カルボニックアンヒドラーゼインヒビター(例えば、ブリンゾールアミド(brinzolamide)およびドルゾールアミド(dorzolamide))、α1アンタゴニスト(例えば、ニプラドロール(nipradolol))、α2アゴニスト(例えば、イオピジン(iopidine)およびブリモニジン(brimonidine))、縮瞳剤(例えば、ピロカルピンおよびエピネフリン)、プロスタグランジンアナログ(例えば、ラタノプロスト(latanoprost)、トラバプロスト(travaprost)、ウノプロストン(unoprostone)、ビマトプラスト(bimatoprost)および米国特許第5,889,052号;同第5,296,504号;同第5,422,368号;同第5,688,819号;および同第5,151,444号に示される化合物)、「降圧脂質」(例えば、同第5,352,708号に示される化合物)、および他の神経保護剤(例えば、WO94/13275からの適切な化合物、例えば、メマンチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
(実施例3)
以下のカプセルは、当業者に公知の手順に従って作製し得る。
【0024】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、培養された網膜神経節細胞におけるR−エリプロディル、S−エリプロディル、およびそのラセミ体(RS)の保護効果を示す。
【図2】
図2は、RS−エリプロディル、R−エリプロディル、およびメマンチンが低酸素期間の後にシナプス伝達の回復を改善する能力を比較する。
Claims (16)
- 緑内障を処置するための方法であって、薬学的に有効量のR−エリプロディルを含む組成物を投与する工程を包含する方法。
- 前記R−エリプロディルが全身に送達される、請求項1に記載の方法。
- 前記R−エリプロディルが局所的に送達される、請求項1に記載の方法。
- 投与経路が経口である、請求項2に記載の方法。
- 前記R−エリプロディルが1日あたり0.1mg〜500mg投薬される、請求項4に記載の方法。
- 前記R−エリプロディルが1日あたり5mg〜100mg投薬される、請求項5に記載の方法。
- 投与経路が経皮である、請求項2に記載の方法。
- 緑内障を処置するための少なくとも1つの追加の薬剤を投与する工程をも包含する、請求項1に記載の方法。
- 前記追加の薬剤が、β遮断剤、カルボニックアンヒドラーゼインヒビター、α1アンタゴニスト、α2アゴニスト、縮瞳剤、プロスタグランジンアナログ、「降圧脂質」、および他の神経保護剤からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
- 前記追加の薬剤が、β遮断剤、カルボニックアンヒドラーゼインヒビター、α1アンタゴニスト、α2アゴニスト、縮瞳剤、プロスタグランジンアナログ、および「降圧脂質」からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
- 前記追加の薬剤が、β遮断剤である、請求項10に記載の方法。
- 前記追加の薬剤が、カルボニックアンヒドラーゼインヒビターである、請求項10に記載の方法。
- 前記追加の薬剤が、α2アゴニストである、請求項10に記載の方法。
- 前記追加の薬剤が、プロスタグランジンアナログである、請求項10に記載の方法。
- 前記追加の薬剤が、降圧脂質である、請求項10に記載の方法。
- 前記追加の薬剤が、α1アゴニストである、請求項10に記載の方法。
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