JP2004520425A - 新規なタキソイドおよびそれを含有する医薬組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
バッカチンおよびβ−ラクタムから式(XXXIV)のメチルチオメチルオキシタキソイドを製造する方法が提供される。これらの新規なタキソイドは顕著な抗腫瘍および抗白血病特性を示す。
Description
【発明の開示】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本PCT出願は2001年3月5日出願の米国特許出願第09/797,845号、および2001年12月31日出願の米国特許出願第10/029954号の優先権の利益を主張するものである。米国特許出願第10/029954号は米国特許出願第09/797,845号の一部継続出願であり、これは2000年3月17日出願の米国特許出願第09/528,448号の一部継続出願であり、これは1999年3月17日出願の米国特許出願第09/271,300号、現米国特許第6,040,466号の一部継続出願であり、これは1997年9月26日出願の米国特許出願第08/913,972号、現米国特許第5,889,043号の一部継続出願であり、1996年3月25日出願のPCT/FR96/00441の継続出願である。
【0002】
次に、2000年3月17日出願の米国特許第出願第09/528,448号はまた、2000年2月29日出願の米国特許出願第09/516,019号、現米国特許第6,218,553号の一部継続出願であり、これは1995年6月7日出願の第08/481,205号、現米国特許第6,187,916号の分割出願であり、これは1995年2月2日出願の第08/383,610号、現出願放棄の継続出願であり、これは1993年2月1日出願の第08/011,922号、現出願放棄の継続出願である。これらの特許および出願は引用することによりその全内容が本明細書に組み入れられる。
【0003】
本発明は一般式:
【化1】
で示される新規なタキソイドの製造法に関する
[ここで、
Zは水素原子または一般式:
【化2】
で示される基を表し
{ここで、
R1はベンゾイル基であって、
所望によりハロゲン原子および1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基またはトリフルオロメチル基、テノイルもしくはフロイル基またはR2−O−C(=O)−
(ここで、R2は1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、2〜8個の炭素原子を含むアルケニル基、3〜8個の炭素原子を含むアルキニル基、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基、4〜6個の炭素原子を含むシクロアルケニル基、フェニル基(非置換であるか、またはハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、および1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基から選択される1以上の原子または基で置換されている)、シアノ基、カルボキシル基、およびアルキル部分が1〜4個の炭素原子を含むアルコキシカルボニル基を表す)、
フェニルまたはαもしくはβ−ナフチル基(非置換型であるか、またはハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基、および5員芳香族複素環基から選択される1以上の原子または基で置換されている)
から選択される1以上の同じまたは異なる原子または基で置換されていてもよいベンゾイル基を表し;
R3はフェニル基を表す}、
R4は、アルカノイルオキシ基を表し、そのアルカノイル部分がその非分枝鎖または分枝鎖に2〜6個の炭素原子を含み、このアルカノイルオキシ基は非置換型であるか、または1以上のハロゲン原子もしくは1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基で置換されており、あるいはR4は、シクロアルカノイル部分が4〜8個の炭素原子を含むシクロアルカノイルオキシ基を表すか、あるいはまた、R4はベンゾイルオキシ基を表し、かつ
R5は非分枝鎖または分枝鎖に1〜4個の炭素原子を含み、1〜4個の炭素原子を含むアルキルチオ基によって置換されているアルコキシ基を表す]。
【0004】
好ましくは、R4基は、アルカノイル部分が2〜6個の炭素原子を含むアルカノイルオキシ基、またはシクロアルカノイ部分が4〜8個の炭素原子を含むシクロアルカノイルオキシ基を表す。
【0005】
より具体的には、本発明は、Zが水素原子または一般式(II)で示される基を表す一般式(I)の化合物に関する
{ここで一般式(II)において、
R1はベンゾイル基またはR2−O−C(=O)−基
(ここで、R2はtert−ブチル基を表す)
を表し、かつ、
R3はフェニル基を表し、かつ、
R4は、アルカノイル部分が2〜4個の炭素原子を含むアルカノイルオキシ基を表し、かつ、
R5はメチルチオ基により置換された1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基を表す}。
【0006】
さらに具体的には、本発明は、Zが水素原子または一般式(II){式中、R1はベンゾイル基またはR2−O−C(=O)−基(ここで、R2はtert−ブチル基を表す)を表し、かつ、R3はフェニル基を表し、R4はアセトキシ基またはメトキシアセトキシ基を表し、かつ、R5はメチルチオメトキシ基を表す}で示される基を表す式(I)の生成物に関する。
【0007】
Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は有用な抗腫瘍特性および抗白血病特性を示す。
【0008】
本発明によれば、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の新規な生成物は一般式:
【化3】
(式中、R4およびR5は上記定義の通り)
の生成物を、一般式:
【化4】
(式中、R1およびR3は上記定義の通りであり、R6が水素原子を表してR7がヒドロキシル官能基保護基を表すか、またはR6とR7はともに5員もしくは6員の飽和複素環を形成するかのいずれかである)
の酸によって、あるいはこの酸の誘導体によってエステル化して一般式:
【化5】
{式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は上記定義の通り)
のエステルを得た後、R7および/またはR6およびR7で示される保護基を水素原子により置換することで得られる。
【0009】
一般式(XII):
R’4−X1 (XII)
{式中、R’4はR’4−O−が上記のように定義されるR4と同じとなるが水素原子または水酸基を表すことのないものであり、X1は水酸基を表す}
で示される生成物によるエステル化は、−10〜90℃の間の温度で有機溶媒(エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)中、縮合剤(カルボジイミド、反応性カーボネート)および活性化剤(アミノピリジン)の存在下にて行える。
【0010】
このエステル化はまた、0〜90℃の間の温度で有機溶媒(エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)中、活性化剤(アミノピリジン)の存在下で働く、X1がR4−O−基を表す一般式(XII)の生成物を用いて行ってもよい。
【0011】
このエステル化はまた、塩基(第三級脂肪族アミン)の存在下、0〜80℃の間の温度で有機溶媒(エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)中で働く、X1がハロゲン原子を表す一般式(XII)の生成物を用いて行ってもよい。
【0012】
好ましくは、R6が水素原子を表してR7がヒドロキシル官能基保護基を表すか、またはR6とR7はともに5員もしくは6員の飽和複素環を形成する。
【0013】
R6が水素原子を表す場合、R7は好ましくはメトキシメチル、1−エトキシエチル、ベンジルオキシメチル、リメチルシリル、トリエチルシリル、β−トリメチルシリルエトキシメチル、ベンジルオキシカルボニルまたはテトラヒドロピラニル基を表す。
【0014】
R6およびR7がともに複素環を形成する場合、それは好ましくは所望により2位で一置換またはgem−二置換しているオキサゾリジン環である。
【0015】
保護基R7および/またはR6およびR7の水素原子による置換はそれらの性質に応じて次のようにして行える。
【0016】
1)R6が水素原子を表し、R7がヒドロキシル官能基保護基を表す場合、この保護基の水素原子による置換は無機酸(塩酸、硫酸、フッ化水素酸)または有機酸(酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)を単独または混合して用い、−10〜60℃の間の温度で、アルコール、エーテル、エステル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素またはニトリルから選択される有機溶媒中で作用させて行う。
【0017】
2)R6およびR7がともに5員または6員の飽和複素環、より具体的には一般式:
【化6】
{式中、R1は上記定義の通りであり、R8およびR9は同一であっても異なっていてもとよく、水素原子、または1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、またはアルキル部分が1〜4個の炭素原子を含み、アリール部分が好ましくは1〜4個の炭素原子を含む1以上のアルコキシ基で所望により置換されているフェニル基を表すアリールアルキル基、または好ましくは1〜4個の炭素原子を含む1以上のアルコキシ基で所望により置換されていてもよいフェニル基を表すアリール基を表すか、あるいはまたR8が1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基、またはトリクロロメチルなどのトリハロメチル基、またはトリクロロメチルなどのトリハロメチル基で置換されたフェニル基を表し、R9が水素原子を表すか、あるいはまたR8およびR9はそれらが結合している炭素原子ととも4員または7員環を形成する}
で示されるオキサゾリジン環を表す場合、R6およびR7によって形成される保護基の水素原子による置換はR1、R8およびR9の意味するものに応じて次のようして行える。
【0018】
a)R1がtert−ブトキシカルボニル基を表し、R8およびR9が同一で合っても異なっていてもよいが、アルキル基またはアリールアルキル(ベンジル)またはアリール(フェニル)基を表すか、あるいはまたR8がトリハロメチル基またはトリハロメチル基で置換されたフェニル基を表し、R9が水素原子をを表すか、あるいはまたR8およびR9がともに4員〜7員環を形成する場合には、適当であればアルコールなどの有機溶媒中で一般式(V)のエステルを無機酸または有機酸で処理することで一般式(VII):
【化7】
(式中、R3、R4およびR5は上記定義の通り)
の生成物を得、これを、フェニル環が所望により置換されていてもよい塩化ベンジルにより、または塩化フロイル、塩化テノイル、または一般式(VIII)生成物:
R2−O−C(=O)−X (VIII)
{式中、R2は上記定義の通りであり、Xはハロゲン原子(フッ素、塩素)または−O−R2または−O−C(=O)−O−R2基を表す}
によってアシル化して、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)。
【0019】
好ましくは一般式(V)の生成物は約20℃の温度で蟻酸と反応させて一般式(VII)の生成物を得る。
【0020】
好ましくは、フェニル基が所望により置換されていてもよい塩化ベンジルによる、または塩化フロイル、塩化テノイル、または一般式(VIII)の生成物による一般式(VII)の生成物のアシル化は、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたは酢酸n−ブチルなどのエステル、およびジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素から選択される不活性有機溶媒中、重炭酸ナトリウムなどの無機塩基またはトリエチルアミンなどの有機塩基の存在下で行う。この反応は0〜50℃、好ましくは約20℃の温度で行う。
【0021】
b)R1が、所望により置換されていてもよいベンゾイル基、テノイルもしくはフロイル基、またはR2O−C(=O)−基(ここで、R2は上記定義の通り)を表し、R8が水素原子、または1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基、または1〜4個の炭素原子を含む1以上のアルコキシ基で置換されたフェニル基を表し、かつ、R9が水素原子を表す場合には、R6およびR7のよって形成される保護基の、水素原子による置換は、−10〜60℃の間、好ましくは15〜30℃の間の温度でアルコール、エーテル、エステル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素から選択される有機溶媒中で働く無機酸(塩酸、硫酸)または有機酸(酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)の存在下(化学量または触媒量で単独で、または混合して用いる)で行う。
【0022】
本発明によれば、一般式(III)の生成物、すなわちZが水素原子を表し、かつ、R4およびR5が上記定義の通りである一般式(I)の生成物は式(IX):
【化8】
の10−デアセチル−バッカチンIIIから得られる。
【0023】
選択的に7位および13位のヒドロキシル官能基を、例えば一般式(X):
(R)3−Si−Hal (X)
{式中、記号Rは同一であっても異なっていてもよく、所望によりフェニル基で置換されていてもよい1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、またはフェニル基を表す}
のシリルハリドを10−デアセチル−バッカチンIIIに作用させることにより得られるシリルジエーテルの形態で保護して一般式(XI):
【化9】
(式中、Rは上記定義の通り)
の生成物を得た後、一般式(XII):
R’4−X1 (XII)
{式中、R’4はR’4−O−が上記のように定義されるR4と同じとなるが水素原子または水酸基を表すことのないものであり、X1はハロゲン原子を表す}
の生成物を作用させて一般式(XIII):
【化10】
(式中、RおよびR4は上記定義の通り)
の生成物を得、このシリル保護基を水素原子により置換して一般式(XIV):
【化11】
(式中、R4は上記定義の通り)
の生成物を得、これを、一般式:
R’5−X2 (XV)
{R’5はR’5−O−が上記のように定義されるR5と同じとなるものであり、X2はハロゲン原子または硫酸もしくはスルホン酸エステル基を表す}
の生成物を作用させることにより7位において選択的にエーテル化して一般式(III)の生成物を得るのが有利である。
【0024】
一般に、10−デアセチル−バッカチンIIIに対する一般式(X)のシリル誘導体の作用はピリジンまたはトリエチルアミン中、適当であれば、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、またはキシレンなどの有機溶媒の存在下、0℃〜その反応混合物の還流温度の間の温度で行う。
【0025】
一般に、一般式(XI)の生成物に対する一般式(XII)の生成物の作用は、0〜50℃の間の温度でジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランなどの有機溶媒中で働く水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、リチウムアミドなどのアルカリ金属アミド、またはブチルリチウムなどのアルカリ金属アルキリドによって10位のヒドロキシル官能基をメターレーションした後に行う。
【0026】
一般に、一般式(XIII)の生成物のシリル保護基の、水素原子による置換は、0〜80℃の間の温度で、1〜4個の炭素原子を含む1以上のアルキル基で所望により置換されていてもよい、トリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下(ここで、この塩基は所望によりニトリル、例えばアセトニトリル、またはジクロロメタンのようなハロゲン化脂肪族炭化水素などの不活性有機溶媒と組み合わせてもよい)、フッ化水素酸またはトリフルオロ酢酸などの酸により行う。
【0027】
一般に、一般式(XIV)の生成物に対する一般式(XV)の作用は、一般式(XI)の生成物に対する一般式(XII)の生成物の作用に関して上記で示した条件下で行う。
【0028】
本発明によれば、Zが一般式(II)の基を表し、かつ、R4およびR5が上記定義の通りである一般式(I)の生成物は、一般式(XVI):
【化12】
(式中、R1、R3、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物から、一般式(X)の生成物により7位をシリル化して一般式(XVII):
【化13】
(式中、R1、R3、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物を得、これを、一般式(XII)の生成物により10位で官能基化して一般式(XVIII):
【化14】
(式中、R、R1、R3、R4、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物を得、このシリル保護基を水素原子により置換して一般式(XIX):
【化15】
の生成物を得、一般式(XV)の生成物を作用させることで一般式(V)の生成物を得、この保護基を水素原子により置換して、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物を得ることにより得られる。
【0029】
シリル化、官能基化および水素原子による保護基の置換に用いる反応は上記のものと同様の条件下で行われる。
【0030】
一般式(XVI)の生成物は欧州特許EP0336841および国際出願PCT WO92/09589およびWO94/07878に記載の条件下で得られるし、または一般式(XX):
【化16】
(式中、R1およびR3は上記定義の通り)
の生成物から、その分子の残りの部分に作用せずに側鎖のヒドロキシル官能基を保護する公知の方法に従って得ることができる。
【0031】
本発明によれば、Zが水素原子または一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は、1〜3個の炭素原子を含む脂肪アルコールの存在下で一般式(XXI):
【化17】
{式中、R4は上記定義の通りであり、かつ、R’およびR”は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または1〜6個の炭素原子を含むアルキル基、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルケニル基を表すか、あるいはまたR’およびR”はそれらが結合している炭素原子とともに、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基または4〜6個の炭素原子を含むシクロアルケニル基を表し、かつ、Z1は水素原子または一般式(XXII):
【化18】
(式中、R1およびR3は上記定義の通りであり、かつ、R6が水素原子を表してR7がヒドロキシル官能基保護基を表すか、またはR6とR7はともに5員もしくは6員の飽和複素環を形成するかのいずれかであり、かつ、R4は上記定義の通りである)
の基を表す}
の生成物に活性化ラネイニッケル(Raney nickel)を作用させて一般式(XXIII):
【化19】
(式中、R1、R3、R4、R5、R6、およびR7は上記定義の通り)
の生成物を得た後、Z1が一般式(XXII)の基を表す場合、すなわち、一般式(XXIII)の生成物が一般式(V)の生成物と同一である場合には、上記の条件下で、R6および/またはR6およびR7で示される保護基を水素原子により置換することによって得られる。
【0032】
一般に、脂肪アルコールの存在下での活性化ラネイニッケルの作用は−10〜60℃の間の温度で行われる。
【0033】
本発明によれば、Z1およびR4が上記定義の通りである一般式(XXI)の生成物は、一般式(XXIV):
【化20】
(式中、R’およびR”は上記定義の通り)
のジアルキルスルホキシドを一般式(XIX)の生成物に作用させることによって得られる。
【0034】
一般に、一般式(XXIV)のスルホキシド、好ましくはジメチルスルホキシドと一般式(XIX)の生成物との反応は酢酸と無水酢酸またはハロ酢酸などの酢酸誘導体の混合物の存在下、0〜50℃の間、好ましくは約25℃の温度で行う。
【0035】
本発明によれば、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は、一般式(XI)の生成物に対する一般式(XII)の生成物の作用に関して記載した条件下で働く、一般式(XXV):
【化21】
(式中、R1、R3、R6、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物に対する一般式(XII)の生成物の作用、その後の、上記条件下での、R7、またはR6およびR7で示される保護基の水素原子による置換によって得られる。
【0036】
一般式(XXV)の生成物は、一般式(XXVI):
【化22】
(式中、R1、R3、R6、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物にヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛またはヒドラジンを作用させることによって得られる。
【0037】
一般に、この反応は、0℃〜50℃の間の温度で、メタノールまたはエタノールなど、1〜4個の炭素原子を含む脂肪アルコール中で作用させて行う。
【0038】
一般式(XXVI)の生成物は、一般式(XXI)の生成物からの一般式(I)の生成物の製造に関して上記に示された条件下で働く、1〜3個の炭素原子を含む脂肪アルコールの存在下での、一般式(XXVII):
【化23】
(式中、R1、R3、R6、R7、R’およびR”は上記定義の通り)
の生成物に対する活性化ラネイニッケルの作用によって得られる。
【0039】
一般式(XXVII)の生成物は、一般式(XIX)の生成物に対する一般式(XXIV)のスルホキシドの作用に関して上記で示された条件下で働く、一般式(XXVII):
【化24】
(式中、R1、R3、R6およびR7は上記定義の通り)
に生成物に対する一般式(XXIV)のスルホキシドの作用によって得られる。
【0040】
一般式(XXVIII)の生成物は、一般式(XXIX):
【化25】
(式中、R1、R3、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物から、一般式(XIII)の生成物のシリル基の、水素原子による置換に関して上記で示された条件下で働かせて得られる。
【0041】
一般式(XXIX)の生成物は国際出願PCT WO95/11241に記載の条件下で製造できる。
【0042】
本発明の工程を行うことで得られる一般式(I)の新規な生成物は結晶化またはクロマトグラフィーなどの公知の方法よって精製することができる。
【0043】
Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は著しい生物特異性を示す。
【0044】
in vitroにおける生物活性の測定は、M. L. Shelanski et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 70, 765-768 (1973)の方法によってブタ脳から抽出されたチューブリンに対して行った。微小管からチューブリンへの脱重合の研究は、G. Chauviere et al., C. R. Acad. Sci., 293 (7): series II, 501-503 (1981)の方法に従って行った。この研究では、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は少なくともタキソール(TAXOL)(登録商標)(パクリタキセル)およびタキソテール(TAXOTERE)(登録商標)(ドセタキセル)と同程度活性を有することが示された。
【0045】
in vivoにおいて、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は、他の液性または固形腫瘍と同様、B16メラノーマを移植したマウスで、1〜10mg/kgの用量の腹腔内投与で活性であったことが示された。
【0046】
これら新規な生成物は抗腫瘍特性を有し、さらに特にはタキソール(登録商標)(パクリタキセル)またはタキソテール(登録商標)(ドセタキセル)に耐性のある腫瘍に対して活性を有する。このような腫瘍としては、mdr1遺伝子(多剤薬剤耐性遺伝子)の発現が高い結腸腫瘍が挙げられる。多剤薬剤耐性は種々の構造および作用機構を有する種々の生成物に対する腫瘍の耐性に関する通例の用語である。タキソイドは、mdr1を発現するドキソルビシン(DOX)に対するその耐性について選択された細胞系統P388/DOXなどの実験的腫瘍によって強く認識されることが分かっている。
【0047】
以下、実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0048】
実施例1
243mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(3−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを、水1%を含有する塩酸の0.1Nエタノール溶液4.5cm3に溶解した。これによって得られた溶液を約20℃の温度で3時間攪拌した後、25cm3のジクロロメタンを加えた。静置した後、有機相を分離し、10cm3の炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回連続洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。290mgの白色泡沫を得、プレートに被覆したシリカゲル上でのクロマトグラフィー(ゲルの厚さ1mm、20×20cmプレート、溶離剤:ジクロロメタン/メタノール体積比95:5)により80mgずつ(4プレート)精製した。吸着された目的生成物に対応する領域を紫外線で限局化した後、この領域を掻き取り、回収したシリカを焼結ガラス上で10cm3の酢酸エチルで10回洗浄した。濾液を合し、20℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた白色泡沫が得られ、これを同じ方法により精製した(2プレート:20×20×1mm;溶離剤:ジクロロメタン/メタノール体積比95:5)。これによって132mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(3−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートが白色泡沫の形態で得られ、その特性は以下の通りである。
【0049】
旋光度:[α]=−34(c=0.5;メタノール)。
【0050】
1H NMR spectrum (300 MHZ; CDCl3: 化学シフト δ (ppm); 結合定数 J (Hz): 1.30 (s, 3H: -CH3 at position 16 または 17); 1.35 (s, 12H: -C (CH3) 3 および-CH3 at position 16 または 170; 1.75 (s, 3H: -CH3); 1.82 および 2.77 (2 mts, 各1H: -CH2-at position 6); 1.97 (s, 3H: -CH3); 2.35 (d, J = 9, 2H: -CH3-at position 14); 2.39 (s, 3H: -COCH3); 3.38 (d, J = 5, 1H: -OH at position 2'); 3.42 (s, 3H: -OCH3); 3.88 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 3); 3.96 (dd, J = 11 および 7.5, 1H: -H at position 7); 4.18 および 4.32 (2d, J = 8.5, 各1H: -CH2-at position 20); 4.64 (mt, 1H: -H at position 2'); 4.98 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 5); 5.28 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 3'); 5.39 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.70 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 2); 6.22 (ブロード t, J = 9, 1H: -H at position 13); 6.69 (s, 1H: -H at position 10); 7.25〜7.45 (mt, 5H: -C6H5 at position 3'); 7.44 [(dd, J = 8.5 および 6, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 5)]; 7.50 [(dd, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 3 および H at position 5)]; 7.62 [(t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H at position 4)]; 8.12 [(d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 2 および-H at position 6)]; 8.35 [(dt, J = 8.5 および 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 4)]; 8.82 (dd, J = 6 および 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 6)]; 9.32 (d, J = 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 2)].
【0051】
4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(3−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0052】
290mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレート、18.5mgの4−(ジメチルアミノ)−ピリジン、0.5gの4Åモレキュラーシーブおよび112mgのN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを、25cm3の無水酢酸エチル中46mgの3−ピリジンカルボン酸の溶液にアルゴン雰囲気下で攪拌しながら約20℃の温度で加えた。この反応混合物を約20℃の温度で16時間攪拌した後、46mgの2−ピリジンカルボン酸、18.5mgの4−(ジメチルアミノ)ピリジン、0.5gの4Åモレキュラーシーブおよび112mgのN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、混合物を再び24時間攪拌し、このサイクルを2回以上繰り返した。この反応混合物をセライトを裏打ちした焼結ガラスで濾過した。この焼結ガラスを50cm3の酢酸エチルで2回洗浄し、濾液を合し、10cm3の炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回、20cm3の蒸留水で6回連続洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって298mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(3−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0053】
4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0054】
0.263cm3のヒドラジン一水和物を、4cm3の無水エタノール中150mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液にアルゴン雰囲気下で攪拌しながら約20℃の温度で滴下した。この反応媒体を約20℃の温度で1時間攪拌した後、100cm3の酢酸エチルおよび50cm3の蒸留水の混合物中へ注いだ。静置した後に有機相を分離し、水相を50cm3の酢酸エチルで2回再抽出した。有機相を合し、50cm3の蒸留水で4回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。180mgの白色泡沫が得られ、これをプレートに被覆したシリカゲル上でのクロマトグラフィー[(ゲルの厚さ1mm、20×20cm、溶離剤:ジクロロメタン/メタノール(体積比90:10)]により90mgずつ(2プレート)精製した。吸着された目的生成物に対応する領域を紫外線で限局化した後、この領域を掻き取り、回収したシリカを焼結ガラス上で10cm3の酢酸エチルで10回洗浄した。濾液を合し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって113mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0055】
4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0056】
ラネイ法によって調製した活性化ニッケルのエタノール懸濁液100cm3(約50%の市販の水性懸濁液80cm3から、100cm3の蒸留水で15回、さらに150cm3のエタノールで4回、pH約7まで連続洗浄することにより得た)を、100cm3の無水エタノール中1.041gの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液に、アルゴン雰囲気で攪拌しながら約20℃の温度で加えた。この混合物を約20℃の温度で7日間攪拌し、焼結ガラスで濾過した。この焼結ガラスを100cm3のエタノールで3回洗浄し、濾液を合し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。821mgの白色泡沫が得られ、これを、75gのシリカ(0.063〜0.2mm)を充填した2.5cm径のカラムでのクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン/酢酸エチル体積比90:10)により精製し、5cm3画分を回収した。目的生成物だけを含む画分をプールし、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって228mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0057】
4α−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0058】
3.35cm3の酢酸および11.5cm3の無水酢酸を、165cm3の無水ジメチルスルホキシド中、5gの4α−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,7β−ジヒドロキシル−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液に、アルゴン雰囲気下で攪拌しながら約20℃の温度で加えた。この反応混合物を約20℃の温度で3日間攪拌した後、500cm3のジクロロメタン中に注いだ。次に、100cm3の炭酸カリウム飽和水溶液を効果的に攪拌しながらpH約7まで加えた。10分間攪拌した後、静置した後に有機相を分離し、水相を250cm3のジクロロメタンで2回再抽出した。有機相を合し、100cm3の蒸留水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。9.5gの淡黄色オイルが得られ、これを、250gのシリカ(0.063〜0.4mm)を充填した3cm径のカラムでのクロマトグラフィー[溶離剤:ジクロロメタン/メタノール(体積比99:1)]により精製し、50cm3画分を回収した。目的生成物だけを含む画分をプールし、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって3.01gの4−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0059】
4α−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,7β−ジヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0060】
220cm3のトリエチルアミン/フッ化水素酸(モル比1:3)複合体を、200cm3の無水ジクロロメタン中、20gの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−7β−トリエチルシリルオキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液に、アルゴン雰囲気下で攪拌しながら約0℃の温度で滴下して加えた。次にこの反応混合物を約20℃の温度まで温め、この温度で3時間維持し、4リットルの炭酸水素ナトリウム飽和水溶液中に注いだ。このようにしてこの反応媒体のpHを7前後とする。10分間攪拌した後、静置した後に有機相を分離し、水相を100cm3のジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合し、100cm3の蒸留水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって17.4gの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,7β−ジヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0061】
4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−7β−トリエチルシリルオキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートは国際出願PCT WO95/11241に記載の条件下で製造した。
【0062】
実施例2:
210mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(2−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、145mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(2−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを白色泡沫として得た。この特性は以下の通りである。
【0063】
旋光度:[α]D 20=−52(c=0.5;メタノール)。
【0064】
1H NMR spectrum (400 MHZ: CDCl3); 化学シフト δ (ppm); 結合定数 J (Hz)): 1.31 (s, 3H: -CH3 at position 16 または 17); 1.37 [(s, 12H: -C (CH3) 3 および -CH3 at position 16 または 17); 1.74 (s, 1H: -OH at position 1); 1.78 (s, 3H: -CH3); 1.82 および 2.78 (2 mts, 各1H: -CH2-at position 6); 1.97 (s, 3H: -CH3); 2.35 (d, J = 9, 2H: -CH2-at position 14); 2.40 (s, 3H: -COCH3); 3.40 (d, J = 4.5, 1H: -OH at position 2'); 3.43 (s, 3H: -OCH3); 3.92 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 3); 3.98 (dd, J = 11 および 7, 1H: -H at position 7); 4.20 および 4.32 (2 d, J = 8.5, 各1H: -CH3 -at position 20); 4.64 (mt, 1H: -H at position 2'); 5.00 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 5); 5.28 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 3'); 5.43 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.73 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 2); 6.22 (ブロード t, J = 9, 1H: -H at 13); 6.67 (s, 1H: -H at position 10);7.25〜7.45 (mt, 5H: -C6H5 at position 3'); 7.51 [(mt, 3H: -OCOC6H5 (-H at position 3 および H at position 5) および -OCOC5H4N (-H at position 5)); 7.61 [(t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H at position 4)]; 7.88 [(split t, J = 8 および 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 4)]; 8.12 [(d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 2 および-H at position 6)); 8.20 (ブロード d, J = 8, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 3)]; 8.82 (ブロード dd J = 5 および 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 6)].
【0065】
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、230mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(2−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを白色泡沫の形態で得た。
【0066】
実施例3:
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロペンチルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、96mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロペンチルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを白色泡沫の形態で得た。この特性は以下の通りである。
【0067】
旋光度:[α]D 20=−66(c=0.5;メタノール)。
【0068】
1H NMR spectrum (400 MHZ; CDCl3; 化学シフト δ (ppm); 結合定数 J(Hz) ); 1.25 (s, 6H: -CH 3 at positions 16 および 17); 1.39 [s, 9H; -C(CH 3) 3]; 1.55 〜1.80 および1.90〜2.10 (2 mts, 各4H: シクロペンチルの-CH 2-); 1.71 (s, 1H: -OH at position 1); 1.75 (s, 3H: -CH 3); 1.82 および 2.75 (2 mts, 各1H: -CH 2-at position 6); 1.93 (s, 3H: -CH 3); 2.33 (d, J = 9 Hz, 2H: -CH 2-at position 14); 2.39 (s, 3H: -COCH 3); 2.95 (mt, 1H:シクロペンチルの=CH-); 3.38 (s, 3H: -OCH 3); 3.40 (d, J = 5, 1H: -OH at position 2'); 3.88 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 3); 3.91 (dd, J = 11 および 7.5, 1H: -H at position 7); 4.19 および 4.32 (2 d, J = 8.5, 各1H: -CH 2 at position 20); 4.65 (mt, 1H: -H at position 2'); 4.98 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 5); 5.28 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 3'); 5.41 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.68 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 2); 6.21 (ブロード t, J = 9, 1H: -H at position 13); 6.45 (s, 1H: -H at position 10);7.25〜7.45 (mt, 5H: -C6 H 5 at position 3'); 7.51 [t, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 3 および H at position 5); 7.63 (t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H at position 4)); 8.12 (d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 2 および -H at position 6)).
【0069】
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、410mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロペンチルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを白色泡沫の形態で得た。
【0070】
実施例4:
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロプロピル−カルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、130mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロプロピルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを白色泡沫の形態で得た。この特性は以下の通りである。
【0071】
旋光度:[a]D 20=−71(c=0.5;メタノール)。
【0072】
1H NMR spectrum (400 MHZ; CDCl3, 化学シフト δ (ppm); 結合定数 J(Hz) ): 1.00 および 1.19 (2 mts, 各2H: シクロプロピルの-CH 2-); 1.25 (s, 3H: -CH 3 at position 16 または 17); 1.27 (s, 3H: -CH 3 at position 16 または 17); 1.39 [s, 9H: -C (CH 3) 3]; 1.71 (s, 1H: -OH at position 1); 1.75 (s, 3H: -CH 3);1.70〜1.90 (mt, 1H: シクロプロピルの=CH-); 1.82 および 2.75 (2 mts, 各1H: -CH 2-at position 6); 1.93 (s, 3H: -CH 3); 2.33 (d, J = 9, 2H: -CH 2-at position 14); 2.40 (s, 3H: -COCH 3); 3.35 (s, 3H: -OCH 3); 3.40 (d, J = 5, 1H: -OH at position 2'); 3.88 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 3); 3.89 (dd, J = 11 および 7.5, 1H: -H at position 7); 4.19 および 4.32 (2 d, J = 8.5, 各1H: -CH 2-at position 20); 4.65 (mt, 1H: -H at position 2'); 5.00 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 5); 5.28 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 3'); 5.42 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.68 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 2); 6.21 (ブロード t, J = 9, 1H: -H at position 13); 6.48 (s, 1H: -H at position 10);7.25〜7.45 (mt, 5H: -C6 H 5 at position 3'); 7.52 (t, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 3 および H at position 5)); 7.64 (t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H at position 4)); 8.12 (d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 2 および -H at position 6)).
【0073】
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、435mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロプロピルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを白色泡沫の形態で得た。
【0074】
実施例5:
430mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、164mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを白色泡沫の形態で得た。この特性は以下の通りである。
【0075】
旋光度:[α]D 20=−48(c=0.5;メタノール)
1H NMR spectrum (300 MHZ: CDCl3; δ (ppm); 結合定数 (Hz)): 1.17 (s, 3H: -H 3); 1.22 (s, 3H: -CH 3); 1.35 (s, 9H: -C (CH 3)3; 1.75 (s, 3H: -CH3) 1.80 および 2.75 (2 mts, 各1H: -CH 3-6); 1.90 (s, 3H: -CH 3); 2.30 (d, J = 9, 2H: -CH 2-14); 2.37 (s, 3H: -COCH 3); 3.35 および 3.55 (2 s, 各3H: -OCH 3); 3.40 (d, J = 5, 1H: -OH 2'); 3.85 (d, J = 7, 1H: -H 3); 3.88 (dd, J = 11 および 7, 1H: -H 7); 4.17 および 4.32 (2 d, J = 8.5, 各1H: -CH 2-20); 4.19 および 4.27 (2 d, J = 15, 各1H: -OCOCH 20CH 3); 4.65 (mt, 1H: -H 2'); 4.97 (ブロード d, J = 10, 1H: -H 5); 5.25 (ブロード d, J = 10, 1H: -H 3'); 5.42 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.66 (d, J = 7, 1H: -H 2); 6.18 (ブロード t, J = 9, 1H: -H 13); 6.52 (s, 1H: -H 10); 7.30〜7.50 (mt, 5H: -C6 H 5 3'); 7.51 ((t, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H 3 および H 5)); 7.63 ((t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H 4)); 8.12 (d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H 2 および H 6)).
【0076】
実施例6:
4α−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシル−10β−メトキシアセトキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、98mgの、下記の構造:
【化26】
の4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−10β−メトキシアセトキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを得た。
【0077】
NMR spectrum: 1H (400 MHZ, CDCl3, δ ppm): 1.25 (s: 6H); 1.38 (s: 9H); 1.71 (s: 1H); 1.78 (s: 3H); 1.88 (mt: 1H); 2.03 (s: 3H); 2.16 (s: 3H); 2.34 (d, J = 9 Hz: 2H); 2.42 (s: 3H); 2.85 (mt: 1H); 3.38 (d, J = 5 Hz: 1H); 3.53 (s: 3H); 3.89 (d, J = 7.5 Hz: 1H); 4.15 (d, J = 16 Hz: 1H); 4.20 (d, J = 8.5 Hz: 1H); 4.27 (d, J = 16 Hz: 1H);4.30〜4.40 (mt: 1H); 4.32 (d, J = 8.5 Hz: 1H); 4.65 (mt: 1H); 4.71 (AB パターン, J=12 Hz: 2H); 4.98 (d ラージ, J = 10 Hz: 1H); 5.28 (d ラージ, J=10Hz: 1H); 5.40 (d, J = 10 Hz: 1H); 5.72 (d, J = 7.5 Hz: 1H); 6.22 (t ラージ, J = 9 Hz: 1H); 6.67 (s: 1H);7.25〜7.45 (mt: 5H); 7.52 (t, J = 7.5 Hz: 2H); 7.64 (t, J = 7.5 Hz: 1H); 8.12 (d, J=7.5Hz: 2H).
【0078】
実施例7:
中間体
【化27】
は、実施例1の方法によりHCl/EtOHで処理した場合、4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1βヒドロキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−10β−アセチル−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを生成することができる。
【0079】
実施例8:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:タキセンとフェニルオキサゾリジンカルボン酸のカップリング(図1)
850mlの酢酸エチル中、52gの4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−トリエチルシロキシ−9−オキソ−タクス−11−エン(SIBAC(XXX)):
【化28】
の溶液を圧力70mmHg下、360mLの蒸留物が得られるまで蒸留することにより脱水した。得られた溶液を0℃まで冷却した。この溶液に44.6gの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボン酸(XXXa):
【化29】
を加えた後、20mLの酢酸エチルですすいだ。次に、22.4gのジシクロヘキシルカルボジイミドおよび1.77gの4−ジメチルアミノピリジンをこの溶液に連続的に加えた後、30mLの酢酸エチルでさらにすすいだ。この反応媒体を5℃で約4時間維持したところで、生じたDCU(ジシクロヘキシル尿素)を濾別した。このDCUを3回洗浄(各270mLの酢酸エチル)し、洗液有機相と濾液を再び合し、室温で各815mLの5%重炭酸ナトリウム溶液で2回洗浄した。次に、有機相を136gのMgSO4で乾燥させ、35℃、減圧下で蒸発乾固させた。この抽出液を200mLのメタノールにとり、その後、再び蒸発乾固させた。この乾燥抽出物を約350mLのメタノール中、約30℃で結晶化させた。得られた懸濁液を2時間にわたって0℃まで冷却した後、この温度で30分間維持した。次に、この生成物を濾過し、3回洗浄(各40mLの氷結メタノール)した後、室温にて圧力5mmHg下で乾燥させた。75.5gのカップリングエステル(XXXI)
【化30】
4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−トリエチルシロキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレートが得られた。
【0080】
脱シリル化生成物( XXXII )の製造
360mlの塩化メチレン中、4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−トリエチルシロキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレート72gの溶液から出発し、74.8gの3HF.TEA(フッ化水素酸トリエチルアミン)を室温で15分間にわたって加えた。その後、これを約16.5時間振盪下に置いた。5.4mLの3HF.TEAを加え、3時間さらに振盪して反応を完了させ、反応混合物を300mLの水で洗浄し、水相を325mLの塩化メチレンで向流抽出(counter-extract)した。有機相を再び合した後、360mLの水、360mLの水中15gの重炭酸ナトリウムの溶液。次いで360mLの水で連続洗浄した。次に、有機相を40℃の減圧下で濃縮乾固させ、30℃、圧力5mmHg下で生成物を乾燥させた。収量:66.6gの4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,7β,13α−トリヒドロキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレート。
【化31】
【0081】
Pummerer反応によるメチルチオメチル−パクリタキセル誘導体( XXXIII )の製造
1,500mLのDMSO(予めモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中、4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,7β,13α−トリヒドロキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液60gから出発し、1,200mlの酢酸を30分間にわたって、次に321mLの無水酢酸を10分間にわたって注いだ。その後、この反応混合物を室温で約21時間、振盪下に置いた。3,600mLの酢酸エチルを加えた後、有機相を28リットルの水中2,335gの重炭酸ナトリウム(操作中、800mLの酢酸エチルを加えた)、次に各1,800mlの水で2回、次に900mLの水でもう一度洗浄した。その後、有機相を40℃の減圧下で濃縮乾固させた。収量:84gのオイル形態の4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−メチルチオメチルオキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレート。
【化32】
この生成物をさらなる操作のため154gの酢酸エチルにとった。
【0082】
最終生成物( XXXIV )の獲得
230gの上記溶液に80gの酢酸エチルおよび4.5mLのHClを加えた。室温で30分間振盪した後、有機相を各140mLの17%塩化ナトリウム水溶液で4回洗浄し、その後、50gのMgSO4で乾燥させ、35℃の減圧下で濃縮乾固させた。70.8gの粗生成物が得られ、これを70gの酢酸エチルに溶解した。この生成物を酢酸エチル/シクロヘキサン(45/55 v/v)を用い、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。このようにして92gの溶液から、画分を濃縮乾固させ、この乾燥抽出物を室温、圧力5mmHg下でさらに乾燥させた後に30gの純粋な、4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−メチルチオメチルオキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,3S)−3−ベンゾイルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネート
【化33】
が得られた。
【0083】
一般実験法:
実施例9および10では以下の一般法を用いた。1Hおよび13C NMRスペクトルは内部標準としてテトラメチルシランを用いてバリアン(Varian)300NMR分光光度計で測定した。薄層クロマトグラフィー(TLC)はKieselgel 60F-254を用いたMerck DC-alufolienにて行い、カラムクロマトグラフィーはシリカゲル60(Merck;230〜400メッシュASTM)にて行った。化学薬品はAldrich Co.およびSigmaから購入し、使用前に標準的な方法で精製した。テトラヒドロフランはナトリウム金属およびベンゾフェノンから新たに蒸留したものである。ジクロロメタンもまた、使用直前に窒素下で水素化カルシウムから蒸留した。10−デアセチル−バッカチンIII(10−DAB)Indena, SpA, Italyから寄贈されたものである。
【0084】
実施例9:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:アルキルチオアルキルバッカチン III 誘導体とβ−ラクタムとのカップリング(図2)
式(XXXIV)の化合物をβ−ラクタム合成法を用いて製造した。本発明は、アルコキシチオアルキル−パクリタキセルの合成においてβ−ラクタムのカップリングを達成する新たな方法を開発した。
【0085】
本実施例では、β−ラクタムは下式:
【化34】
{式中、
Yは酸素であり;
G1はエトキシエチル(「EE」)などのヒドロキシル保護基であり;
R2”はフェニルであり;かつ、
R3”はフェニルである}
のβ−ラクタムを含む。
【0086】
このβ−ラクタムを以下に記載のように少なくとも1つのバッカチンIIIとカップリングさせた。
【0087】
概していえば、SIBAC(7−TES−バッカチンIII)を製造するために10−デアセチル−バッカチンIII(10−DAB)にトリエチルシリルおよびアセチルで一連の保護を行った。この7位のトリエチルシリル基は例えば3HF.TEA(フッ化水素酸トリエチルアミン)の溶液を用いて除去すればよい。
【0088】
または、10−DABはHolton et al. (Tetrahedron Lett. 39: 2883-2886 (1998)の方法に従い、CeCl3を含むTHF中の無水酢酸で直接アセチル化した。この手順により、収率93%でバッカチンIIIが得られた。
【0089】
得られたフリーの7位の水酸基をPummerer反応で反応させ、7−メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体を製造した。これらの条件下で13位を酸化してカルボニル基を形成した。当業者ならば、次にこの位置を標準的な方法を用いて還元し、13位の水酸基を再生することができることが分かるであろう。
【0090】
7−メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体およびβ−ラクタムのカップリング反応は、C−13水酸基における7−メチルチオメチルーバッカチンIIIのアルカリ金属またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシドを用いても行うことができる。対応するアルコキシドは、7−メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体と、ナトリウムヘキサメチル−ジシラジド(NaHMDS)、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)、カリウムジイソプロピルアミド(KDA)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、水素化ナトリウム(NaH)、水素化カリウム(KH)、水素化リチウム(LiH)、水素化カルシウム(CaH2)、水素化マグネシウム(MgH2)、またはn−ブチルLiなどの所望のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基とを、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタン(DME)、ダイグライム(diglyme)、ジメチルホルムアミド(DMF)、これら溶媒とヘキサン、トルエン、およびキシレンの混合物などの乾燥非プロトン性有機溶媒中、好ましくは約−100℃〜約50℃の温度範囲、より好ましくは約−78℃〜約25℃で、反応させることによって容易に生じる。
【0091】
この反応は所望により窒素および/またはアルゴンなどの不活性雰囲気下で行ってもよい。反応に用いる塩基の量は、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどの可溶性塩基を用いる場合には、所望により7−メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体の量とおよそ同じであってもよい。やや過剰量の塩基を用いても反応に悪影響はない。異種の塩基を用いる場合は、5〜10当量の塩基(7−メチルチオメチル−バッカチンIIIの量に対して)を用いるのが好ましい。
【0092】
このようにして生成された7−メチルチオメチル−バッカチンIIIの金属アルコキシドとβ−ラクタムのカップリング反応は典型的には上記で例示した乾燥有機溶媒中のβ−ラクタムの溶液を、好ましくは約−100℃から約50℃の温度範囲でより好ましくは約−35℃〜約25℃で加えることにより行う。この反応混合物を15分から24時間攪拌し、反応の進行および完了を例えば薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングする。限定反応物が完全に消費されたら、反応をブラインを添加することでクエンチする。
【0093】
この粗反応混合物を一般に当業者に公知の標準的な単離方法を用いて後処理して対応する保護タキソイドを得る。β−ラクタムと保護バッカチンIIIの割合は経済性および効率化の目的では2:1〜1:2の範囲、より好ましくは1:1であるが、この比率はこの反応にとって決定的なものではない。
【0094】
得られた金属化バッカチン誘導体と保護β−ラクタムとの上記のようなカップリングの結果、β−ラクタムシントン法(Ojima, I. et al., Tetrahedron, 48: 6985-7012 (1992); Ojima, I. et al., Tetrahedron Letters, 34 (26): 4149-4152 (1993))に従って保護された13位側鎖を有する所望の7−チオアルコキシタキサンが得られた。
【0095】
β−ラクタムの好適な保護基としては、当技術分野で公知の標準的なヒドロキシル保護基、例えばメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、f−MOC、TROCなどが挙げられる。この保護基は、当業者に一般に公知の標準的な手法を用いて除去し、所望のタキソイド誘導体が得られる(T. W. Green, Protective Groups in Organic Synthesis, Chapter 2, pages 10-69 (1981))。
【0096】
例えば、エトキシエトキシ(EE)およびトリエチルシリル基は、室温で36時間0.5N HClを用いて除去することができ、Troc基は60℃で1時間、メタノール中の亜鉛および酢酸を用いて、他の官能基やタキソイドの骨格を損なうことなく除去することができる。この保護タキソイドは所望によりさらに精製し、かつ/または必要であれば結晶化させてもよい。詳細な実験プロトコールは以下の通りである。
【0097】
バッカチン III 、選択肢A:
EtOH中0.1NのHCl 1mL中のSIBAC(XXX)(103mg,0.147mmol)の溶液を0℃で2時間攪拌した後、飽和NaHCO3で処理し、EtOAcで抽出した。
【0098】
合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:3)に付し、79mg(92%)のバッカチンIIIを無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 1.13 (s, 6H), 1.70 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 2.31 (s, 3H), 2.78 (m, 1H), 3.90 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.18 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.50 (m, 1H), 4.91 (m, 1H), 5.01 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.65 (d, J = 6.9 Hz, 1H); 6.35 (s, 1H), 7.51 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.64 (m, 1H), 8.13 (d, J = 7.5 Hz, 2H).
【0099】
バッカチン III 、選択肢B:
2mLのTHF中、10−デアセチル−バッカチンIII(100mg,0.184mmol)の溶液に、AC2O(0.02mL.0.2mmol)および7mgのCeCl3・7H2Oを加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌し、飽和NaHCO3で処理し、EtOAcで抽出した。
【0100】
合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて白色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:3)に付し、100mg(93%)のバッカチンIIIを無色の固体として得た。
【0101】
7−メチルチオメチル−13−オキソ−バッカチン III :
1mLのDMSO中、バッカチンIII(90mg,0.154mmol)の溶液に、0.40mLのAc2Oおよび0.11mLのAcOHを加えた。得られた混合物を50℃にて一晩加熱した後、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3および水で洗浄した。
【0102】
有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:2)に付し、8mgの脱シリル化タキソイドと67.5mg(変換率を基にすれば75%)の7−メチルチオメチル−13−オキソ−バッカチンを無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 1.23 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.77 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 2.71 (d, J = 19.8 Hz, 1 H), 2.84 (m, 1H), 2.99 (d, J = 19.8 Hz, 1H), 4.01 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.17 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.39 (m, 2H), 4.69 (m, 2H), 4.99 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 5.73 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 6.75 (s, 1H), 7.53 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.68 (m, 1H), 8.11 (d, J = 7.2 Hz, 2H).
【0103】
7−メチルチオメチル−バッカチン III :
0℃下、3mLのEtOH中、7−メチルチオメチル−13−オキソ−バッカチン(67mg,0.10mmol)の溶液に130mgのNaBH4を加えた。30分後、飽和NH4Clを加え、この水溶液をEtOAcで抽出した。合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:2)に付し、29mgの出発物質と34mg(変換率を基にすれば88%)のメチルチオメチル−バッカチンIII誘導体を無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 1.09 (s, 3H), 1.23 (s, 3H), 1.79 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.23 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 2.33 (s, 3H), 2.86 (m, 1H), 3.98 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.19 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.37 (m, 2H), 4.72 (m, 2H), 4.89 (m, 1H), 5.01 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.67 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 6.61 (s, 1H), 7.52 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.65 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 7.2 Hz, 2H).
【0104】
2’−(1−エトキシエチル)−7−メチルチオメチル−パクリタキセル:
1mL乾燥THF中、メチルチオメチルエーテルバッカチン誘導体(17mg,0.026mmol)およびEE保護β−ラクタム(20mg,0.058mmol)の溶液に、THF中1.0MのLiHMDS(0.10mL,0.10mmol)を−40℃で滴下し、この溶液を−40℃で2時間攪拌した。この反応を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、水相をCH2Cl2で抽出した。次に、合した抽出液をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。
【0105】
1H NMR (CDCl3) 1.05-1.12 (m, 3H), 1.26 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 2.83 (m, 1H), 3.07-3.52 (m, 2H), 3.92 (m, 1H), 4.25 (m, 1H), 4.34 (m, 2H), [4.60 (q, J = 5.4 Hz), 4.84 (q, J = 5.4 Hz)] (1H), 4.69 (m, 3H), 5.00 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 5.77 (m, 2H), 6.28 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 6.59 (s, 1H), 7.16 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.36-7.49 (m, 7H), 7.52-7.58 (m, 3H), 7.63-7.70 (m, 1H), 7.83 (m, 2H), 8.15 (m, 2H).
【0106】
7−メチルチオメチル−パクリタキセル:
EtOH中0.2NのHCl 1mL中、保護メチルチオメチルエーテル−バッカチン誘導体(15mg,0.015mmol)の溶液を0℃で1時間攪拌した後、飽和NaHCO3で処理し、EtOAcで抽出した。合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)に付し、12.5mg(90%)の目的化合物を無色の固体として得た。
【0107】
目的物のプロトンNMRは以下の通りであった:1H NMR (CDCl3) 1.22 (s, 3H), 1.26 (s, 3H), 1.80 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.23 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 2.85 (m, 1H), 3.90 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.23 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.34 (m, 2H), 4.71 (m, 2H), 4.84 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.98 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 5.73 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 5.84 (dd, J = 2.4 Hz, 9.0 Hz, 1H), 6.23 (m, 1H), 6.56 (s, 1H), 7.09 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.37-7.49 (m, 5H), 7.52-7.57 (m, 5H), 7.63-7.68 (m, 1H), 7.80 (m, 2H), 8.16 (m, 2H).
【0108】
実施例10:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:Pummerer反応に従うバッカチンとβ−ラクタムのカップリング(図3)
SIBAC(7−TES−バッカチンIII)を製造するために、一般に、トリエチルシリルおよびアセチルで10−DABの一連の保護を行った。下記のように、SIBACを金属化して13位でアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を形成させた。この金属化は、例えば、ナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)、KHMDS、LiHMDS、LDA、n−ブチルLi、またはNaHの少なくとも一つによって達成できる。
【0109】
得られた金属化バッカチンと保護β−ラクタムのカップリングの結果、β−ラクタムシントン法(Ojima, I. et al., Tetrahedron, 48: 6985-7012 (1992); Ojima, I. et al., Tetrahedron Letters, 34 (26): 4149-4152 (1993))に従って保護された13位側鎖を有する7−チオアルキルシリル−パクリタキセルが得られた。
【0110】
この7位のトリアルキルシリル基は、例えば3HF.TEA(フッ化水素酸トリエチルアミン)の溶液を用いて除去すればよく、生じたフリーの7位ヒドロキシルをPummerer反応で反応させると、所望のように保護された2’−ヒドロキシルを有する7−メチルチオ−メチル−パクリタキセルが生じる。当業者ならば、反応条件に応じて、保護基がPummerer反応条件によって除去されることも除去されないこともあることが分かるであろう。
【0111】
必要であれば、2’保護基を標準的な方法によって任意に除去する。この脱保護パクリタキセルは所望によりさらに精製し、かつ/または必要に応じて結晶化させた。詳細な実験プロトコールは以下の通りである。
【0112】
7−トリエチルシリル−10−デアセチル−バッカチン III :
0℃にて、14mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中、10−デアセチル−バッカチンIII(300mg,0.555mmol)およびイミダゾール(150mg,2.22mmol)の溶液にクロロトリエチルシラン(0.37ml,2.21mmol)をシリンジで滴下し、反応混合物を0℃で2時間攪拌し、EtOAcで希釈した。次に、この混合物を水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。
【0113】
粗生成物をクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)に付して、347mg(95%)の7−トリエチルシリル−10−デアセチル−バッカチンIIIを白色固体として得た。1H NMR (CDCl3) δ 0.56 (m, 6 H), 0.94 (m, 9H), 1.08 (s, '6H), 1.59 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 1.73 (s, 3H), 1.90 (m, 1H), 2.05 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.08 (s, 3H), 2.24 (s, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.48 (m, 1 H), 3.95 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 4.16 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.25 (s, 1H), 4.31 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.40 (dd, J = 6.4, 10.5 Hz, 1H), 4.85 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 4.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.17 (s, 1H), 5.60 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.60 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 7.3 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3) 5.1, 6.7, 9.9, 15.1, 19.5, 22.6, 26.8, 37.2, 38.6, 42.7, 47.0, 57.9, 67.9, 72.9, 74.6, 74.8, 76.5, 78.8, 80.7, 84.2, 87.6, 128.6, 129.4, 130.0, 133.6, 135.1, 141.8, 167.0, 170.7, 210.3.
【0114】
7−トリエチルシリル−バッカチン III :
−40℃にて、30mLの乾燥THF中、7−TES−10−DABIII(345.0mg,0.524mmol)の溶液に、THF中1.0MのLiHMDS(0.53mL,0.530mmol)をシリンジで滴下した。この混合物を−40℃で5分間攪拌した後、塩化アセチル(65μL,0.706mmol)を滴下した。90分後、反応を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、CH2Cl2で抽出し、合した抽出液をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。
【0115】
粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン:EtOAc=7:3〜1:1)で精製し、355mg(93%)のSIBAC(XXX)を白色固体として得た。1H NMR (CDCl3) 0.55 (m, 6 H), 0.90 (m, 9 H), 1.03 (s, 3 H), 1.10 (s, 3H), 1.71 (s, 3H), 2.21 (s, 3 H), 2.32 (s, 3H), 3.90 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.16 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.51 (dd, J = 6.9, 10.5 Hz, 1H), 4.86 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 4.98 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.66 (d, J = 6.9 Hz, 1 H) (H2), 6.49 (s, 1H), 7.53 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.66 (m, 1 H), 8.13 (d, J = 7.2 Hz, 2H).
【0116】
2’−(1−エトキシエチル)−7−トリエチルシリル−パクリタキセル:
−40℃にて、1mLの乾燥THF中、7−TES−バッカチンIII(SIBAC XXX)(20mg,0.028mmol)およびエトキシエチル保護β−ラクタム(20mg,0.058mmol)の溶液に、THF中1.0MのLiHMDS(0.10mL,0.10mmol)を滴下し、この混合物を−40℃で2時間攪拌した。反応を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、水層をCH2Cl2で抽出した。合した抽出液をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。
【0117】
残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=4:1)に付し、5mgのSIBACと17mgの2’−(1−エトキシエチル)−7−トリエチルシリル−パクリタキセル(変換率を基にすれば77%)を無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 0.55 (m, 6 H), 0.90 (m, 9 H), 1.70 (s, 3 H), 2.05 (s, 3 H), 2.21 (s, 3H), 3.08-3.44 (m, 2H), 3.86 (m, 1 H), 4.23 (dd, J = 5.7 Hz, 8.7 Hz, 1H), 4.36 (m, 1 H), 4.50 (m, 1H), [4.58 (q, J = 5.4 Hz), 4.84 (q, J = 5.4 Hz)] (1H), [4.68 (d, J = 2.4 Hz), 4.84 (d, J = 3.6 Hz)] (1H), 5.76 (m, 2H), 6.28 (m, 1H), 6.48 (s, 1H), 7.14 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.31-7.55 (m, 10H), 7.64 (m, 1H), 7.82 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 8.16 (m, 2 H).
【0118】
2’−(1−エトキシエチル)−パクリタキセル:
0℃にて、0.5mLピリジンおよび0.1mLのCH3CN中、2’−(1−エトキシエチル)−7−トリエチルシリル−パクリタキセル(9mg,0.009mmol)の溶液に0.1mLのHF/ピリジン溶液を加えた。得られた混合物を室温まで温め、一晩攪拌した後、飽和NaHCO3溶液で希釈した。水層をEtOAcで抽出し、合した有機層を飽和CuSO4および水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得た。
【0119】
残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:3)に付し、6mg(67%)の脱シリル化タキソイドを無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 0.55 (m, 6H), 0.90 (m, 9H), 1.70 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 3.08-3.44 (m, 2H), 3.86 (m, 1H), 4.23 (dd, J = 5.7 Hz, 8.7 Hz, 1H), 4.36 (m, 1 H), 4.50 (m, 1H), [4.58 (q, J = 5.4 Hz), 4.84 (q, J = 5.4 Hz)] (1H), [4.68 (d, J = 2.4 Hz), 4.84 (d, J = 3.6 Hz)] (1H), 5.76 (m, 2H), 6.28 (m, 1H), 6.48 (s, 1H), 7.14 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.31-7.55 (m, 10H), 7.64 (m, 1H), 7.82 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 8.16 (m, 2 H).
【0120】
2’−(1−エトキシエチル)−7−メチルチオメチル−パクリタキセル(保護メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体):
0.05mLのDMSO中、この脱シリル化タキソイド(5mg,0.005mmol)の溶液に、0.02mLのAc2Oおよび5μLのAcOHを加えた。得られた混合物を50℃で5時間加熱した後、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3および水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得た。
【0121】
残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:2)に付し、4mg(80%)の保護7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を無色の固体として得た。
【0122】
1H NMR (CDCl3) 1.05-1.12 (m, 3H), 1.26 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 2.83 (m, 1H), 3.07-3.52 (m, 2H), 3.92 (m, 1H), 4.25 (m, 1H), 4.34 (m, 2H), [4.60 (q, J = 5.4 Hz), 4.84 (q, J = 5.4 Hz)] (1H), 4.69 (m, 3H), 5.00 (t, J= 7.5 Hz, 1H), 5.77 (m, 2H), 6.28 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 6.59 (s, 1H), 7.16 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.36-7.49 (m, 7H), 7.52-7.58 (m, 3H), 7.63-7.70 (m, 1H), 7.83 (m, 2H), 8.15 (m, 2H).
【0123】
実施例9に記載のものと同様の方法で2’−(エトキシエチル)−7−メチルチオメチル−パクリタキセルを脱保護することによって7−メチルチオメチル−パクリタキセルを得た。
【0124】
実施例11:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:アルキルチオアルキル−バッカチンとβ−ラクタムのカップリング
Pummerer反応で10−アセチル−バッカチン誘導体を反応させる代わりに硫化メチルおよび過酸化ベンゾイルのいずれかを用いてフリーの7位ヒドロキシをメチルチオメチルに変換することにより10−アセチル−バッカチン誘導体を反応させること以外は実施例9の工程に従う。例示的な手順が例えばMedina, J. C., and Kyler, K. S., Tetrahedron Letters, 29(31): 3773-3776 (1988)に記載されている。
【0125】
実施例12:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:バッカチンとβ−ラクタムとのカップリング、その後のアルコールの変換
Pummerer反応を硫化メチルおよび過酸化ベンゾイルのいずれかを用いてそのアルコールをメチルチオメチルエーテルへ変換することに置き換えること以外は実施例10の工程に従う。この手順は例えばMedina, J. C., and Kyler, K. S., Tetrahedron Letters, 29(31): 3773-3776 (1988)に記載されている。
【0126】
生物活性:
Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の新規な生成物および本明細書に開示されるその他の発明化合物は異常な細胞増殖に対して著しい阻害活性を表し、異常な細胞増殖に関連する病状を有する患者の治療を可能とする治療特性を有する。
【0127】
このような病状としては、限定されるものではないが、筋肉、骨または関節組織、皮膚、脳、肺、生殖器官、リンパ系または腎臓系、乳房または血液細胞、肝臓、消化器官、膵臓、および甲状腺または副腎をはじめとする種々の組織および/または器官の悪性または非悪性細胞の異常な細胞増殖を含む。
【0128】
これらの病状はまた、乾癬、固形腫瘍、卵巣癌、乳癌、脳癌、前立腺癌、結腸癌、胃癌、腎臓癌または精巣癌、カポジ肉腫、胆管癌、絨毛癌、神経芽腫、ウィルム腫、ホジキン病、黒色腫、多発性黒色腫、慢性リンパ性白血病、および急性または慢性顆粒球リンパ腫を含み得る。
【0129】
本発明の新規な生成物は卵巣癌の治療に特に有用である。本発明の生成物はこれら病状の発症または再発を予防または遅延するため、あるいはこれらの病状の治療に用い得る。
【0130】
本発明の生成物は選択された投与経路(好ましくは非経口経路)に適した種々の投与形に従って患者に投与し得る。非経口投与としては静脈、腹腔内、筋肉内または皮下投与が挙げられる。腹腔内または静脈投与が特に好ましい。
【0131】
本発明はまた、一般式(I)の少なくとも一種の化合物を、ヒト医療または獣医療に用いるのに好適な十分量で含有する医薬組成物を製造することを含む。これらの組成物の製造は1以上の医薬上許容されるアジュバント、ビヒクルまたは賦形剤を用い、常法に従って達成できる。好適なビヒクルとしては希釈剤、滅菌水性媒体および種々の無毒な溶媒が挙げられる。好ましくはこれらの組成物は水溶液または水性懸濁液、注射液の形態をとり、乳化剤、着色剤、保存剤または安定剤を含み得る。しかし、これらの組成物はまた、経口投与可能な錠剤、丸剤、散剤または顆粒剤の形態をとってもよい。
【0132】
アジュバントまたは賦形剤の選択は生成物の溶解度および化学特性、特定の投与様式および医薬品実践規範によって決定できる。
【0133】
非経口投与としては、滅菌、水性または非水性溶液または懸濁液を用いる。非水性溶液または懸濁液の調製については、オリーブ油、ゴマ油または液体石油などの天然植物油、またはオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを用いてよい。滅菌水溶液は水に溶解した医薬上許容される塩の溶液からなる。これらの水溶液は、pHを適宜調節し、例えば十分な量の塩化ナトリウムまたはグルコースで溶液を等張にすれば静脈投与に適切なものとなる。安定化は、加熱またはその組成物に悪影響を及ぼさないその他のいずれかの手段によって行うことができる。
【0134】
本発明の組成物に配合する生成物は全て純粋かつ使用する量で無毒でなければならないことが容易に分かる。
【0135】
これらの組成物は少なくとも0.01%の治療上有効な生成物を含み得る。組成物中の有効生成物の量は好適な適用量が処方できるようなものとする。好ましくはこれらの組成物は、一回量が非経口投与ではおよそ0.01〜100mgの有効生成物を含むように調製する。
【0136】
治療処置は、抗腫瘍薬、モノクローナル抗体、免疫療法または放射線療法または生物応答改質剤をはじめとするその他の治療処置と同時に行ってもよい。これらの応答改質剤としては、限定されるものではないが、リンホカインおよびインターロイキンなどのサイトカイン、インターフェロン(α、βまたはδ)およびTNFが挙げられる。
【0137】
異常な細胞増殖による疾患の治療に有用なその他の化学療法薬としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、メルファランおよびクロラムブシルなどの窒素マスタード、ブスルファンなどのスルホン酸アルキル、カルムスチン、ロムスチン、セムスチンおよびストレプトゾシンなどのニトロソ尿素;ダカルバジンなどのトリアゼン類;葉酸類似体(例えばメトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシルおよびシタラビンなど)、プリン類似体(メルカプトプリンおよびチオグアニンなど)などの代謝拮抗物質;天然産物、例えばビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンなどのビンカアルカロイド、エトポシドおよびテニポシドなどのエピポドフィロトキシン;ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシンおよびマイトマイシンなどの抗生物質;L−アスパラギナーゼなどの酵素;白金の配位錯体、例えばシスプラチン、ヒドロキシ尿素などの置換尿素、プロカルバジンなどのメチルヒドラジン誘導体、マイトタンおよびアミノグルテスイミドなどの副腎皮質抑制剤、プレドニゾンなどの副腎皮質ステロイド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メトキシプロゲステロンおよび酢酸メゲストロール、ジエチルスチルボエストロールおよびエチニルエストラジオールなどのエストロゲン類、タモキシフェンなどの抗エストロゲン類、ならびにプロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロンなどのアンドロゲン類などのホルモンおよびアンタゴニストといった種々の薬剤が挙げられる。
【0138】
本発明の方法を行うのに用いられる用量は予防処置または最大の治療応答を可能とするものである。用量は投与形態、選択された特定の生成物および治療される患者に特有の特徴によって異なる。
【0139】
一般に、用量は異常な細胞増殖による疾患の治療に治療上有効なものである。本発明の生成物は所望の治療効果を得るに必要な頻度で投与すればよい。
【0140】
比較的高用量または低用量に速やかに応答する患者もおり、そうであれば低用量またはゼロの維持用量しか必要としない。一般に、治療の開始時には低用量を用い、必要であれば最適な効果が得られるまで漸増量を投与する。他の患者では、問題となる患者の生理要求に応じて一日に1〜8回、好ましくは1〜4回維持用量を投与する必要がある。また、患者によっては一日1〜2回だけの投与を用いる必要しかない場合もあり得る。
【0141】
成人では用量は一般に0.01〜200mg/kgの間である。腹腔内投与では、用量は一般に0.1〜100mg/kg、好ましくは0.5〜50mg/kg、いっそう具体的には1〜10mg/kgである。静脈投与では、用量は一般に0.1〜50mg/kg、好ましくは0.1〜5mg/kg、いっそう具体的には1〜2mg/kgである。最も適切な用量を選択するには投与経路、患者の体重、全身の健康状態および年齢、ならびに治療効力を左右し得るあらゆる因子を考慮しなければならない。
【0142】
以下、実施例で本発明の組成物を説明する。
【0143】
薬理学的実施例
実施例1で得られた生成物40mgを1cm3のEMULPHOR(登録商標)EL620(Stepan Canada, Inc.)および1cm3のエタノールに溶解した後、この溶液を18cm3の生理食塩水で希釈する。
【0144】
この組成物を生理学的溶液に導入することで1時間にわたって灌流投与する。
【0145】
本発明はその精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態に具体化し得る。記載の具体例は全ての点において単に例示であって、これに限定されるものではない。
【0146】
よって、本発明の範囲は上記の説明よりも添付のクレームにより示される。クレームと同等の意味および範囲内の変更はいずれもそれらの範囲内に含めるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】オキサゾリジンカップリング法によるメチルチオメチルタキソイドの合成法を示す。
【図2】β−ラクタムシントン法によるメチルチオメチル−パクリタキセル誘導体の合成法を示す。
【図3】β−ラクタムシントン法によるメチルチオメチル−パクリタキセル誘導体のもう一つの合成法を示す。
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本PCT出願は2001年3月5日出願の米国特許出願第09/797,845号、および2001年12月31日出願の米国特許出願第10/029954号の優先権の利益を主張するものである。米国特許出願第10/029954号は米国特許出願第09/797,845号の一部継続出願であり、これは2000年3月17日出願の米国特許出願第09/528,448号の一部継続出願であり、これは1999年3月17日出願の米国特許出願第09/271,300号、現米国特許第6,040,466号の一部継続出願であり、これは1997年9月26日出願の米国特許出願第08/913,972号、現米国特許第5,889,043号の一部継続出願であり、1996年3月25日出願のPCT/FR96/00441の継続出願である。
【0002】
次に、2000年3月17日出願の米国特許第出願第09/528,448号はまた、2000年2月29日出願の米国特許出願第09/516,019号、現米国特許第6,218,553号の一部継続出願であり、これは1995年6月7日出願の第08/481,205号、現米国特許第6,187,916号の分割出願であり、これは1995年2月2日出願の第08/383,610号、現出願放棄の継続出願であり、これは1993年2月1日出願の第08/011,922号、現出願放棄の継続出願である。これらの特許および出願は引用することによりその全内容が本明細書に組み入れられる。
【0003】
本発明は一般式:
【化1】
で示される新規なタキソイドの製造法に関する
[ここで、
Zは水素原子または一般式:
【化2】
で示される基を表し
{ここで、
R1はベンゾイル基であって、
所望によりハロゲン原子および1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基またはトリフルオロメチル基、テノイルもしくはフロイル基またはR2−O−C(=O)−
(ここで、R2は1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、2〜8個の炭素原子を含むアルケニル基、3〜8個の炭素原子を含むアルキニル基、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基、4〜6個の炭素原子を含むシクロアルケニル基、フェニル基(非置換であるか、またはハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、および1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基から選択される1以上の原子または基で置換されている)、シアノ基、カルボキシル基、およびアルキル部分が1〜4個の炭素原子を含むアルコキシカルボニル基を表す)、
フェニルまたはαもしくはβ−ナフチル基(非置換型であるか、またはハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基、および5員芳香族複素環基から選択される1以上の原子または基で置換されている)
から選択される1以上の同じまたは異なる原子または基で置換されていてもよいベンゾイル基を表し;
R3はフェニル基を表す}、
R4は、アルカノイルオキシ基を表し、そのアルカノイル部分がその非分枝鎖または分枝鎖に2〜6個の炭素原子を含み、このアルカノイルオキシ基は非置換型であるか、または1以上のハロゲン原子もしくは1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基で置換されており、あるいはR4は、シクロアルカノイル部分が4〜8個の炭素原子を含むシクロアルカノイルオキシ基を表すか、あるいはまた、R4はベンゾイルオキシ基を表し、かつ
R5は非分枝鎖または分枝鎖に1〜4個の炭素原子を含み、1〜4個の炭素原子を含むアルキルチオ基によって置換されているアルコキシ基を表す]。
【0004】
好ましくは、R4基は、アルカノイル部分が2〜6個の炭素原子を含むアルカノイルオキシ基、またはシクロアルカノイ部分が4〜8個の炭素原子を含むシクロアルカノイルオキシ基を表す。
【0005】
より具体的には、本発明は、Zが水素原子または一般式(II)で示される基を表す一般式(I)の化合物に関する
{ここで一般式(II)において、
R1はベンゾイル基またはR2−O−C(=O)−基
(ここで、R2はtert−ブチル基を表す)
を表し、かつ、
R3はフェニル基を表し、かつ、
R4は、アルカノイル部分が2〜4個の炭素原子を含むアルカノイルオキシ基を表し、かつ、
R5はメチルチオ基により置換された1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基を表す}。
【0006】
さらに具体的には、本発明は、Zが水素原子または一般式(II){式中、R1はベンゾイル基またはR2−O−C(=O)−基(ここで、R2はtert−ブチル基を表す)を表し、かつ、R3はフェニル基を表し、R4はアセトキシ基またはメトキシアセトキシ基を表し、かつ、R5はメチルチオメトキシ基を表す}で示される基を表す式(I)の生成物に関する。
【0007】
Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は有用な抗腫瘍特性および抗白血病特性を示す。
【0008】
本発明によれば、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の新規な生成物は一般式:
【化3】
(式中、R4およびR5は上記定義の通り)
の生成物を、一般式:
【化4】
(式中、R1およびR3は上記定義の通りであり、R6が水素原子を表してR7がヒドロキシル官能基保護基を表すか、またはR6とR7はともに5員もしくは6員の飽和複素環を形成するかのいずれかである)
の酸によって、あるいはこの酸の誘導体によってエステル化して一般式:
【化5】
{式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は上記定義の通り)
のエステルを得た後、R7および/またはR6およびR7で示される保護基を水素原子により置換することで得られる。
【0009】
一般式(XII):
R’4−X1 (XII)
{式中、R’4はR’4−O−が上記のように定義されるR4と同じとなるが水素原子または水酸基を表すことのないものであり、X1は水酸基を表す}
で示される生成物によるエステル化は、−10〜90℃の間の温度で有機溶媒(エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)中、縮合剤(カルボジイミド、反応性カーボネート)および活性化剤(アミノピリジン)の存在下にて行える。
【0010】
このエステル化はまた、0〜90℃の間の温度で有機溶媒(エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)中、活性化剤(アミノピリジン)の存在下で働く、X1がR4−O−基を表す一般式(XII)の生成物を用いて行ってもよい。
【0011】
このエステル化はまた、塩基(第三級脂肪族アミン)の存在下、0〜80℃の間の温度で有機溶媒(エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)中で働く、X1がハロゲン原子を表す一般式(XII)の生成物を用いて行ってもよい。
【0012】
好ましくは、R6が水素原子を表してR7がヒドロキシル官能基保護基を表すか、またはR6とR7はともに5員もしくは6員の飽和複素環を形成する。
【0013】
R6が水素原子を表す場合、R7は好ましくはメトキシメチル、1−エトキシエチル、ベンジルオキシメチル、リメチルシリル、トリエチルシリル、β−トリメチルシリルエトキシメチル、ベンジルオキシカルボニルまたはテトラヒドロピラニル基を表す。
【0014】
R6およびR7がともに複素環を形成する場合、それは好ましくは所望により2位で一置換またはgem−二置換しているオキサゾリジン環である。
【0015】
保護基R7および/またはR6およびR7の水素原子による置換はそれらの性質に応じて次のようにして行える。
【0016】
1)R6が水素原子を表し、R7がヒドロキシル官能基保護基を表す場合、この保護基の水素原子による置換は無機酸(塩酸、硫酸、フッ化水素酸)または有機酸(酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)を単独または混合して用い、−10〜60℃の間の温度で、アルコール、エーテル、エステル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素またはニトリルから選択される有機溶媒中で作用させて行う。
【0017】
2)R6およびR7がともに5員または6員の飽和複素環、より具体的には一般式:
【化6】
{式中、R1は上記定義の通りであり、R8およびR9は同一であっても異なっていてもとよく、水素原子、または1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、またはアルキル部分が1〜4個の炭素原子を含み、アリール部分が好ましくは1〜4個の炭素原子を含む1以上のアルコキシ基で所望により置換されているフェニル基を表すアリールアルキル基、または好ましくは1〜4個の炭素原子を含む1以上のアルコキシ基で所望により置換されていてもよいフェニル基を表すアリール基を表すか、あるいはまたR8が1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基、またはトリクロロメチルなどのトリハロメチル基、またはトリクロロメチルなどのトリハロメチル基で置換されたフェニル基を表し、R9が水素原子を表すか、あるいはまたR8およびR9はそれらが結合している炭素原子ととも4員または7員環を形成する}
で示されるオキサゾリジン環を表す場合、R6およびR7によって形成される保護基の水素原子による置換はR1、R8およびR9の意味するものに応じて次のようして行える。
【0018】
a)R1がtert−ブトキシカルボニル基を表し、R8およびR9が同一で合っても異なっていてもよいが、アルキル基またはアリールアルキル(ベンジル)またはアリール(フェニル)基を表すか、あるいはまたR8がトリハロメチル基またはトリハロメチル基で置換されたフェニル基を表し、R9が水素原子をを表すか、あるいはまたR8およびR9がともに4員〜7員環を形成する場合には、適当であればアルコールなどの有機溶媒中で一般式(V)のエステルを無機酸または有機酸で処理することで一般式(VII):
【化7】
(式中、R3、R4およびR5は上記定義の通り)
の生成物を得、これを、フェニル環が所望により置換されていてもよい塩化ベンジルにより、または塩化フロイル、塩化テノイル、または一般式(VIII)生成物:
R2−O−C(=O)−X (VIII)
{式中、R2は上記定義の通りであり、Xはハロゲン原子(フッ素、塩素)または−O−R2または−O−C(=O)−O−R2基を表す}
によってアシル化して、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)。
【0019】
好ましくは一般式(V)の生成物は約20℃の温度で蟻酸と反応させて一般式(VII)の生成物を得る。
【0020】
好ましくは、フェニル基が所望により置換されていてもよい塩化ベンジルによる、または塩化フロイル、塩化テノイル、または一般式(VIII)の生成物による一般式(VII)の生成物のアシル化は、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたは酢酸n−ブチルなどのエステル、およびジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素から選択される不活性有機溶媒中、重炭酸ナトリウムなどの無機塩基またはトリエチルアミンなどの有機塩基の存在下で行う。この反応は0〜50℃、好ましくは約20℃の温度で行う。
【0021】
b)R1が、所望により置換されていてもよいベンゾイル基、テノイルもしくはフロイル基、またはR2O−C(=O)−基(ここで、R2は上記定義の通り)を表し、R8が水素原子、または1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基、または1〜4個の炭素原子を含む1以上のアルコキシ基で置換されたフェニル基を表し、かつ、R9が水素原子を表す場合には、R6およびR7のよって形成される保護基の、水素原子による置換は、−10〜60℃の間、好ましくは15〜30℃の間の温度でアルコール、エーテル、エステル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素から選択される有機溶媒中で働く無機酸(塩酸、硫酸)または有機酸(酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)の存在下(化学量または触媒量で単独で、または混合して用いる)で行う。
【0022】
本発明によれば、一般式(III)の生成物、すなわちZが水素原子を表し、かつ、R4およびR5が上記定義の通りである一般式(I)の生成物は式(IX):
【化8】
の10−デアセチル−バッカチンIIIから得られる。
【0023】
選択的に7位および13位のヒドロキシル官能基を、例えば一般式(X):
(R)3−Si−Hal (X)
{式中、記号Rは同一であっても異なっていてもよく、所望によりフェニル基で置換されていてもよい1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、またはフェニル基を表す}
のシリルハリドを10−デアセチル−バッカチンIIIに作用させることにより得られるシリルジエーテルの形態で保護して一般式(XI):
【化9】
(式中、Rは上記定義の通り)
の生成物を得た後、一般式(XII):
R’4−X1 (XII)
{式中、R’4はR’4−O−が上記のように定義されるR4と同じとなるが水素原子または水酸基を表すことのないものであり、X1はハロゲン原子を表す}
の生成物を作用させて一般式(XIII):
【化10】
(式中、RおよびR4は上記定義の通り)
の生成物を得、このシリル保護基を水素原子により置換して一般式(XIV):
【化11】
(式中、R4は上記定義の通り)
の生成物を得、これを、一般式:
R’5−X2 (XV)
{R’5はR’5−O−が上記のように定義されるR5と同じとなるものであり、X2はハロゲン原子または硫酸もしくはスルホン酸エステル基を表す}
の生成物を作用させることにより7位において選択的にエーテル化して一般式(III)の生成物を得るのが有利である。
【0024】
一般に、10−デアセチル−バッカチンIIIに対する一般式(X)のシリル誘導体の作用はピリジンまたはトリエチルアミン中、適当であれば、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、またはキシレンなどの有機溶媒の存在下、0℃〜その反応混合物の還流温度の間の温度で行う。
【0025】
一般に、一般式(XI)の生成物に対する一般式(XII)の生成物の作用は、0〜50℃の間の温度でジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランなどの有機溶媒中で働く水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、リチウムアミドなどのアルカリ金属アミド、またはブチルリチウムなどのアルカリ金属アルキリドによって10位のヒドロキシル官能基をメターレーションした後に行う。
【0026】
一般に、一般式(XIII)の生成物のシリル保護基の、水素原子による置換は、0〜80℃の間の温度で、1〜4個の炭素原子を含む1以上のアルキル基で所望により置換されていてもよい、トリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下(ここで、この塩基は所望によりニトリル、例えばアセトニトリル、またはジクロロメタンのようなハロゲン化脂肪族炭化水素などの不活性有機溶媒と組み合わせてもよい)、フッ化水素酸またはトリフルオロ酢酸などの酸により行う。
【0027】
一般に、一般式(XIV)の生成物に対する一般式(XV)の作用は、一般式(XI)の生成物に対する一般式(XII)の生成物の作用に関して上記で示した条件下で行う。
【0028】
本発明によれば、Zが一般式(II)の基を表し、かつ、R4およびR5が上記定義の通りである一般式(I)の生成物は、一般式(XVI):
【化12】
(式中、R1、R3、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物から、一般式(X)の生成物により7位をシリル化して一般式(XVII):
【化13】
(式中、R1、R3、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物を得、これを、一般式(XII)の生成物により10位で官能基化して一般式(XVIII):
【化14】
(式中、R、R1、R3、R4、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物を得、このシリル保護基を水素原子により置換して一般式(XIX):
【化15】
の生成物を得、一般式(XV)の生成物を作用させることで一般式(V)の生成物を得、この保護基を水素原子により置換して、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物を得ることにより得られる。
【0029】
シリル化、官能基化および水素原子による保護基の置換に用いる反応は上記のものと同様の条件下で行われる。
【0030】
一般式(XVI)の生成物は欧州特許EP0336841および国際出願PCT WO92/09589およびWO94/07878に記載の条件下で得られるし、または一般式(XX):
【化16】
(式中、R1およびR3は上記定義の通り)
の生成物から、その分子の残りの部分に作用せずに側鎖のヒドロキシル官能基を保護する公知の方法に従って得ることができる。
【0031】
本発明によれば、Zが水素原子または一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は、1〜3個の炭素原子を含む脂肪アルコールの存在下で一般式(XXI):
【化17】
{式中、R4は上記定義の通りであり、かつ、R’およびR”は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または1〜6個の炭素原子を含むアルキル基、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基または3〜6個の炭素原子を含むシクロアルケニル基を表すか、あるいはまたR’およびR”はそれらが結合している炭素原子とともに、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル基または4〜6個の炭素原子を含むシクロアルケニル基を表し、かつ、Z1は水素原子または一般式(XXII):
【化18】
(式中、R1およびR3は上記定義の通りであり、かつ、R6が水素原子を表してR7がヒドロキシル官能基保護基を表すか、またはR6とR7はともに5員もしくは6員の飽和複素環を形成するかのいずれかであり、かつ、R4は上記定義の通りである)
の基を表す}
の生成物に活性化ラネイニッケル(Raney nickel)を作用させて一般式(XXIII):
【化19】
(式中、R1、R3、R4、R5、R6、およびR7は上記定義の通り)
の生成物を得た後、Z1が一般式(XXII)の基を表す場合、すなわち、一般式(XXIII)の生成物が一般式(V)の生成物と同一である場合には、上記の条件下で、R6および/またはR6およびR7で示される保護基を水素原子により置換することによって得られる。
【0032】
一般に、脂肪アルコールの存在下での活性化ラネイニッケルの作用は−10〜60℃の間の温度で行われる。
【0033】
本発明によれば、Z1およびR4が上記定義の通りである一般式(XXI)の生成物は、一般式(XXIV):
【化20】
(式中、R’およびR”は上記定義の通り)
のジアルキルスルホキシドを一般式(XIX)の生成物に作用させることによって得られる。
【0034】
一般に、一般式(XXIV)のスルホキシド、好ましくはジメチルスルホキシドと一般式(XIX)の生成物との反応は酢酸と無水酢酸またはハロ酢酸などの酢酸誘導体の混合物の存在下、0〜50℃の間、好ましくは約25℃の温度で行う。
【0035】
本発明によれば、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は、一般式(XI)の生成物に対する一般式(XII)の生成物の作用に関して記載した条件下で働く、一般式(XXV):
【化21】
(式中、R1、R3、R6、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物に対する一般式(XII)の生成物の作用、その後の、上記条件下での、R7、またはR6およびR7で示される保護基の水素原子による置換によって得られる。
【0036】
一般式(XXV)の生成物は、一般式(XXVI):
【化22】
(式中、R1、R3、R6、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物にヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛またはヒドラジンを作用させることによって得られる。
【0037】
一般に、この反応は、0℃〜50℃の間の温度で、メタノールまたはエタノールなど、1〜4個の炭素原子を含む脂肪アルコール中で作用させて行う。
【0038】
一般式(XXVI)の生成物は、一般式(XXI)の生成物からの一般式(I)の生成物の製造に関して上記に示された条件下で働く、1〜3個の炭素原子を含む脂肪アルコールの存在下での、一般式(XXVII):
【化23】
(式中、R1、R3、R6、R7、R’およびR”は上記定義の通り)
の生成物に対する活性化ラネイニッケルの作用によって得られる。
【0039】
一般式(XXVII)の生成物は、一般式(XIX)の生成物に対する一般式(XXIV)のスルホキシドの作用に関して上記で示された条件下で働く、一般式(XXVII):
【化24】
(式中、R1、R3、R6およびR7は上記定義の通り)
に生成物に対する一般式(XXIV)のスルホキシドの作用によって得られる。
【0040】
一般式(XXVIII)の生成物は、一般式(XXIX):
【化25】
(式中、R1、R3、R6およびR7は上記定義の通り)
の生成物から、一般式(XIII)の生成物のシリル基の、水素原子による置換に関して上記で示された条件下で働かせて得られる。
【0041】
一般式(XXIX)の生成物は国際出願PCT WO95/11241に記載の条件下で製造できる。
【0042】
本発明の工程を行うことで得られる一般式(I)の新規な生成物は結晶化またはクロマトグラフィーなどの公知の方法よって精製することができる。
【0043】
Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は著しい生物特異性を示す。
【0044】
in vitroにおける生物活性の測定は、M. L. Shelanski et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 70, 765-768 (1973)の方法によってブタ脳から抽出されたチューブリンに対して行った。微小管からチューブリンへの脱重合の研究は、G. Chauviere et al., C. R. Acad. Sci., 293 (7): series II, 501-503 (1981)の方法に従って行った。この研究では、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は少なくともタキソール(TAXOL)(登録商標)(パクリタキセル)およびタキソテール(TAXOTERE)(登録商標)(ドセタキセル)と同程度活性を有することが示された。
【0045】
in vivoにおいて、Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の生成物は、他の液性または固形腫瘍と同様、B16メラノーマを移植したマウスで、1〜10mg/kgの用量の腹腔内投与で活性であったことが示された。
【0046】
これら新規な生成物は抗腫瘍特性を有し、さらに特にはタキソール(登録商標)(パクリタキセル)またはタキソテール(登録商標)(ドセタキセル)に耐性のある腫瘍に対して活性を有する。このような腫瘍としては、mdr1遺伝子(多剤薬剤耐性遺伝子)の発現が高い結腸腫瘍が挙げられる。多剤薬剤耐性は種々の構造および作用機構を有する種々の生成物に対する腫瘍の耐性に関する通例の用語である。タキソイドは、mdr1を発現するドキソルビシン(DOX)に対するその耐性について選択された細胞系統P388/DOXなどの実験的腫瘍によって強く認識されることが分かっている。
【0047】
以下、実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0048】
実施例1
243mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(3−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを、水1%を含有する塩酸の0.1Nエタノール溶液4.5cm3に溶解した。これによって得られた溶液を約20℃の温度で3時間攪拌した後、25cm3のジクロロメタンを加えた。静置した後、有機相を分離し、10cm3の炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回連続洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。290mgの白色泡沫を得、プレートに被覆したシリカゲル上でのクロマトグラフィー(ゲルの厚さ1mm、20×20cmプレート、溶離剤:ジクロロメタン/メタノール体積比95:5)により80mgずつ(4プレート)精製した。吸着された目的生成物に対応する領域を紫外線で限局化した後、この領域を掻き取り、回収したシリカを焼結ガラス上で10cm3の酢酸エチルで10回洗浄した。濾液を合し、20℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた白色泡沫が得られ、これを同じ方法により精製した(2プレート:20×20×1mm;溶離剤:ジクロロメタン/メタノール体積比95:5)。これによって132mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(3−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートが白色泡沫の形態で得られ、その特性は以下の通りである。
【0049】
旋光度:[α]=−34(c=0.5;メタノール)。
【0050】
1H NMR spectrum (300 MHZ; CDCl3: 化学シフト δ (ppm); 結合定数 J (Hz): 1.30 (s, 3H: -CH3 at position 16 または 17); 1.35 (s, 12H: -C (CH3) 3 および-CH3 at position 16 または 170; 1.75 (s, 3H: -CH3); 1.82 および 2.77 (2 mts, 各1H: -CH2-at position 6); 1.97 (s, 3H: -CH3); 2.35 (d, J = 9, 2H: -CH3-at position 14); 2.39 (s, 3H: -COCH3); 3.38 (d, J = 5, 1H: -OH at position 2'); 3.42 (s, 3H: -OCH3); 3.88 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 3); 3.96 (dd, J = 11 および 7.5, 1H: -H at position 7); 4.18 および 4.32 (2d, J = 8.5, 各1H: -CH2-at position 20); 4.64 (mt, 1H: -H at position 2'); 4.98 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 5); 5.28 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 3'); 5.39 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.70 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 2); 6.22 (ブロード t, J = 9, 1H: -H at position 13); 6.69 (s, 1H: -H at position 10); 7.25〜7.45 (mt, 5H: -C6H5 at position 3'); 7.44 [(dd, J = 8.5 および 6, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 5)]; 7.50 [(dd, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 3 および H at position 5)]; 7.62 [(t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H at position 4)]; 8.12 [(d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 2 および-H at position 6)]; 8.35 [(dt, J = 8.5 および 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 4)]; 8.82 (dd, J = 6 および 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 6)]; 9.32 (d, J = 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 2)].
【0051】
4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(3−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0052】
290mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレート、18.5mgの4−(ジメチルアミノ)−ピリジン、0.5gの4Åモレキュラーシーブおよび112mgのN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを、25cm3の無水酢酸エチル中46mgの3−ピリジンカルボン酸の溶液にアルゴン雰囲気下で攪拌しながら約20℃の温度で加えた。この反応混合物を約20℃の温度で16時間攪拌した後、46mgの2−ピリジンカルボン酸、18.5mgの4−(ジメチルアミノ)ピリジン、0.5gの4Åモレキュラーシーブおよび112mgのN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、混合物を再び24時間攪拌し、このサイクルを2回以上繰り返した。この反応混合物をセライトを裏打ちした焼結ガラスで濾過した。この焼結ガラスを50cm3の酢酸エチルで2回洗浄し、濾液を合し、10cm3の炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回、20cm3の蒸留水で6回連続洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって298mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(3−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0053】
4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0054】
0.263cm3のヒドラジン一水和物を、4cm3の無水エタノール中150mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液にアルゴン雰囲気下で攪拌しながら約20℃の温度で滴下した。この反応媒体を約20℃の温度で1時間攪拌した後、100cm3の酢酸エチルおよび50cm3の蒸留水の混合物中へ注いだ。静置した後に有機相を分離し、水相を50cm3の酢酸エチルで2回再抽出した。有機相を合し、50cm3の蒸留水で4回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。180mgの白色泡沫が得られ、これをプレートに被覆したシリカゲル上でのクロマトグラフィー[(ゲルの厚さ1mm、20×20cm、溶離剤:ジクロロメタン/メタノール(体積比90:10)]により90mgずつ(2プレート)精製した。吸着された目的生成物に対応する領域を紫外線で限局化した後、この領域を掻き取り、回収したシリカを焼結ガラス上で10cm3の酢酸エチルで10回洗浄した。濾液を合し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって113mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0055】
4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0056】
ラネイ法によって調製した活性化ニッケルのエタノール懸濁液100cm3(約50%の市販の水性懸濁液80cm3から、100cm3の蒸留水で15回、さらに150cm3のエタノールで4回、pH約7まで連続洗浄することにより得た)を、100cm3の無水エタノール中1.041gの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液に、アルゴン雰囲気で攪拌しながら約20℃の温度で加えた。この混合物を約20℃の温度で7日間攪拌し、焼結ガラスで濾過した。この焼結ガラスを100cm3のエタノールで3回洗浄し、濾液を合し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。821mgの白色泡沫が得られ、これを、75gのシリカ(0.063〜0.2mm)を充填した2.5cm径のカラムでのクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン/酢酸エチル体積比90:10)により精製し、5cm3画分を回収した。目的生成物だけを含む画分をプールし、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって228mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0057】
4α−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0058】
3.35cm3の酢酸および11.5cm3の無水酢酸を、165cm3の無水ジメチルスルホキシド中、5gの4α−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,7β−ジヒドロキシル−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液に、アルゴン雰囲気下で攪拌しながら約20℃の温度で加えた。この反応混合物を約20℃の温度で3日間攪拌した後、500cm3のジクロロメタン中に注いだ。次に、100cm3の炭酸カリウム飽和水溶液を効果的に攪拌しながらpH約7まで加えた。10分間攪拌した後、静置した後に有機相を分離し、水相を250cm3のジクロロメタンで2回再抽出した。有機相を合し、100cm3の蒸留水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。9.5gの淡黄色オイルが得られ、これを、250gのシリカ(0.063〜0.4mm)を充填した3cm径のカラムでのクロマトグラフィー[溶離剤:ジクロロメタン/メタノール(体積比99:1)]により精製し、50cm3画分を回収した。目的生成物だけを含む画分をプールし、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって3.01gの4−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0059】
4α−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,7β−ジヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを以下の方法で製造した。
【0060】
220cm3のトリエチルアミン/フッ化水素酸(モル比1:3)複合体を、200cm3の無水ジクロロメタン中、20gの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−7β−トリエチルシリルオキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液に、アルゴン雰囲気下で攪拌しながら約0℃の温度で滴下して加えた。次にこの反応混合物を約20℃の温度まで温め、この温度で3時間維持し、4リットルの炭酸水素ナトリウム飽和水溶液中に注いだ。このようにしてこの反応媒体のpHを7前後とする。10分間攪拌した後、静置した後に有機相を分離し、水相を100cm3のジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合し、100cm3の蒸留水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、40℃の減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固させた。これによって17.4gの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,7β−ジヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが白色泡沫の形態で得られた。
【0061】
4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−7β−トリエチルシリルオキシ−1β−ヒドロキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートは国際出願PCT WO95/11241に記載の条件下で製造した。
【0062】
実施例2:
210mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(2−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、145mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(2−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを白色泡沫として得た。この特性は以下の通りである。
【0063】
旋光度:[α]D 20=−52(c=0.5;メタノール)。
【0064】
1H NMR spectrum (400 MHZ: CDCl3); 化学シフト δ (ppm); 結合定数 J (Hz)): 1.31 (s, 3H: -CH3 at position 16 または 17); 1.37 [(s, 12H: -C (CH3) 3 および -CH3 at position 16 または 17); 1.74 (s, 1H: -OH at position 1); 1.78 (s, 3H: -CH3); 1.82 および 2.78 (2 mts, 各1H: -CH2-at position 6); 1.97 (s, 3H: -CH3); 2.35 (d, J = 9, 2H: -CH2-at position 14); 2.40 (s, 3H: -COCH3); 3.40 (d, J = 4.5, 1H: -OH at position 2'); 3.43 (s, 3H: -OCH3); 3.92 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 3); 3.98 (dd, J = 11 および 7, 1H: -H at position 7); 4.20 および 4.32 (2 d, J = 8.5, 各1H: -CH3 -at position 20); 4.64 (mt, 1H: -H at position 2'); 5.00 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 5); 5.28 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 3'); 5.43 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.73 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 2); 6.22 (ブロード t, J = 9, 1H: -H at 13); 6.67 (s, 1H: -H at position 10);7.25〜7.45 (mt, 5H: -C6H5 at position 3'); 7.51 [(mt, 3H: -OCOC6H5 (-H at position 3 および H at position 5) および -OCOC5H4N (-H at position 5)); 7.61 [(t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H at position 4)]; 7.88 [(split t, J = 8 および 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 4)]; 8.12 [(d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 2 および-H at position 6)); 8.20 (ブロード d, J = 8, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 3)]; 8.82 (ブロード dd J = 5 および 1, 1H: -OCOC5H4N (-H at position 6)].
【0065】
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、230mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−10β−(2−ピリジルカルボニル)オキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを白色泡沫の形態で得た。
【0066】
実施例3:
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロペンチルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、96mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロペンチルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを白色泡沫の形態で得た。この特性は以下の通りである。
【0067】
旋光度:[α]D 20=−66(c=0.5;メタノール)。
【0068】
1H NMR spectrum (400 MHZ; CDCl3; 化学シフト δ (ppm); 結合定数 J(Hz) ); 1.25 (s, 6H: -CH 3 at positions 16 および 17); 1.39 [s, 9H; -C(CH 3) 3]; 1.55 〜1.80 および1.90〜2.10 (2 mts, 各4H: シクロペンチルの-CH 2-); 1.71 (s, 1H: -OH at position 1); 1.75 (s, 3H: -CH 3); 1.82 および 2.75 (2 mts, 各1H: -CH 2-at position 6); 1.93 (s, 3H: -CH 3); 2.33 (d, J = 9 Hz, 2H: -CH 2-at position 14); 2.39 (s, 3H: -COCH 3); 2.95 (mt, 1H:シクロペンチルの=CH-); 3.38 (s, 3H: -OCH 3); 3.40 (d, J = 5, 1H: -OH at position 2'); 3.88 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 3); 3.91 (dd, J = 11 および 7.5, 1H: -H at position 7); 4.19 および 4.32 (2 d, J = 8.5, 各1H: -CH 2 at position 20); 4.65 (mt, 1H: -H at position 2'); 4.98 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 5); 5.28 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 3'); 5.41 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.68 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 2); 6.21 (ブロード t, J = 9, 1H: -H at position 13); 6.45 (s, 1H: -H at position 10);7.25〜7.45 (mt, 5H: -C6 H 5 at position 3'); 7.51 [t, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 3 および H at position 5); 7.63 (t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H at position 4)); 8.12 (d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 2 および -H at position 6)).
【0069】
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10β−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、410mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロペンチルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを白色泡沫の形態で得た。
【0070】
実施例4:
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロプロピル−カルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、130mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロプロピルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを白色泡沫の形態で得た。この特性は以下の通りである。
【0071】
旋光度:[a]D 20=−71(c=0.5;メタノール)。
【0072】
1H NMR spectrum (400 MHZ; CDCl3, 化学シフト δ (ppm); 結合定数 J(Hz) ): 1.00 および 1.19 (2 mts, 各2H: シクロプロピルの-CH 2-); 1.25 (s, 3H: -CH 3 at position 16 または 17); 1.27 (s, 3H: -CH 3 at position 16 または 17); 1.39 [s, 9H: -C (CH 3) 3]; 1.71 (s, 1H: -OH at position 1); 1.75 (s, 3H: -CH 3);1.70〜1.90 (mt, 1H: シクロプロピルの=CH-); 1.82 および 2.75 (2 mts, 各1H: -CH 2-at position 6); 1.93 (s, 3H: -CH 3); 2.33 (d, J = 9, 2H: -CH 2-at position 14); 2.40 (s, 3H: -COCH 3); 3.35 (s, 3H: -OCH 3); 3.40 (d, J = 5, 1H: -OH at position 2'); 3.88 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 3); 3.89 (dd, J = 11 および 7.5, 1H: -H at position 7); 4.19 および 4.32 (2 d, J = 8.5, 各1H: -CH 2-at position 20); 4.65 (mt, 1H: -H at position 2'); 5.00 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 5); 5.28 (ブロード d, J = 10, 1H: -H at position 3'); 5.42 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.68 (d, J = 7.5, 1H: -H at position 2); 6.21 (ブロード t, J = 9, 1H: -H at position 13); 6.48 (s, 1H: -H at position 10);7.25〜7.45 (mt, 5H: -C6 H 5 at position 3'); 7.52 (t, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 3 および H at position 5)); 7.64 (t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H at position 4)); 8.12 (d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H at position 2 および -H at position 6)).
【0073】
300mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β,10−ジヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、435mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−10β−シクロプロピルカルボニルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートを白色泡沫の形態で得た。
【0074】
実施例5:
430mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、164mgの4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メトキシ−10β−メトキシアセトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを白色泡沫の形態で得た。この特性は以下の通りである。
【0075】
旋光度:[α]D 20=−48(c=0.5;メタノール)
1H NMR spectrum (300 MHZ: CDCl3; δ (ppm); 結合定数 (Hz)): 1.17 (s, 3H: -H 3); 1.22 (s, 3H: -CH 3); 1.35 (s, 9H: -C (CH 3)3; 1.75 (s, 3H: -CH3) 1.80 および 2.75 (2 mts, 各1H: -CH 3-6); 1.90 (s, 3H: -CH 3); 2.30 (d, J = 9, 2H: -CH 2-14); 2.37 (s, 3H: -COCH 3); 3.35 および 3.55 (2 s, 各3H: -OCH 3); 3.40 (d, J = 5, 1H: -OH 2'); 3.85 (d, J = 7, 1H: -H 3); 3.88 (dd, J = 11 および 7, 1H: -H 7); 4.17 および 4.32 (2 d, J = 8.5, 各1H: -CH 2-20); 4.19 および 4.27 (2 d, J = 15, 各1H: -OCOCH 20CH 3); 4.65 (mt, 1H: -H 2'); 4.97 (ブロード d, J = 10, 1H: -H 5); 5.25 (ブロード d, J = 10, 1H: -H 3'); 5.42 (d, J = 10, 1H: -CONH-); 5.66 (d, J = 7, 1H: -H 2); 6.18 (ブロード t, J = 9, 1H: -H 13); 6.52 (s, 1H: -H 10); 7.30〜7.50 (mt, 5H: -C6 H 5 3'); 7.51 ((t, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H 3 および H 5)); 7.63 ((t, J = 7.5, 1H: -OCOC6H5 (-H 4)); 8.12 (d, J = 7.5, 2H: -OCOC6H5 (-H 2 および H 6)).
【0076】
実施例6:
4α−アセトキシ−2β−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシル−10β−メトキシアセトキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−11−タキセン−13α−イル(2R,4S,5R)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートから出発したこと以外は実施例1と同様に操作して、98mgの、下記の構造:
【化26】
の4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1β−ヒドロキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−10β−メトキシアセトキシ−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを得た。
【0077】
NMR spectrum: 1H (400 MHZ, CDCl3, δ ppm): 1.25 (s: 6H); 1.38 (s: 9H); 1.71 (s: 1H); 1.78 (s: 3H); 1.88 (mt: 1H); 2.03 (s: 3H); 2.16 (s: 3H); 2.34 (d, J = 9 Hz: 2H); 2.42 (s: 3H); 2.85 (mt: 1H); 3.38 (d, J = 5 Hz: 1H); 3.53 (s: 3H); 3.89 (d, J = 7.5 Hz: 1H); 4.15 (d, J = 16 Hz: 1H); 4.20 (d, J = 8.5 Hz: 1H); 4.27 (d, J = 16 Hz: 1H);4.30〜4.40 (mt: 1H); 4.32 (d, J = 8.5 Hz: 1H); 4.65 (mt: 1H); 4.71 (AB パターン, J=12 Hz: 2H); 4.98 (d ラージ, J = 10 Hz: 1H); 5.28 (d ラージ, J=10Hz: 1H); 5.40 (d, J = 10 Hz: 1H); 5.72 (d, J = 7.5 Hz: 1H); 6.22 (t ラージ, J = 9 Hz: 1H); 6.67 (s: 1H);7.25〜7.45 (mt: 5H); 7.52 (t, J = 7.5 Hz: 2H); 7.64 (t, J = 7.5 Hz: 1H); 8.12 (d, J=7.5Hz: 2H).
【0078】
実施例7:
中間体
【化27】
は、実施例1の方法によりHCl/EtOHで処理した場合、4α−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1βヒドロキシ−7β−メチルチオメトキシ−9−オキソ−10β−アセチル−11−タキセン−13α−イル(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートを生成することができる。
【0079】
実施例8:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:タキセンとフェニルオキサゾリジンカルボン酸のカップリング(図1)
850mlの酢酸エチル中、52gの4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−トリエチルシロキシ−9−オキソ−タクス−11−エン(SIBAC(XXX)):
【化28】
の溶液を圧力70mmHg下、360mLの蒸留物が得られるまで蒸留することにより脱水した。得られた溶液を0℃まで冷却した。この溶液に44.6gの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボン酸(XXXa):
【化29】
を加えた後、20mLの酢酸エチルですすいだ。次に、22.4gのジシクロヘキシルカルボジイミドおよび1.77gの4−ジメチルアミノピリジンをこの溶液に連続的に加えた後、30mLの酢酸エチルでさらにすすいだ。この反応媒体を5℃で約4時間維持したところで、生じたDCU(ジシクロヘキシル尿素)を濾別した。このDCUを3回洗浄(各270mLの酢酸エチル)し、洗液有機相と濾液を再び合し、室温で各815mLの5%重炭酸ナトリウム溶液で2回洗浄した。次に、有機相を136gのMgSO4で乾燥させ、35℃、減圧下で蒸発乾固させた。この抽出液を200mLのメタノールにとり、その後、再び蒸発乾固させた。この乾燥抽出物を約350mLのメタノール中、約30℃で結晶化させた。得られた懸濁液を2時間にわたって0℃まで冷却した後、この温度で30分間維持した。次に、この生成物を濾過し、3回洗浄(各40mLの氷結メタノール)した後、室温にて圧力5mmHg下で乾燥させた。75.5gのカップリングエステル(XXXI)
【化30】
4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−トリエチルシロキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレートが得られた。
【0080】
脱シリル化生成物( XXXII )の製造
360mlの塩化メチレン中、4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−トリエチルシロキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレート72gの溶液から出発し、74.8gの3HF.TEA(フッ化水素酸トリエチルアミン)を室温で15分間にわたって加えた。その後、これを約16.5時間振盪下に置いた。5.4mLの3HF.TEAを加え、3時間さらに振盪して反応を完了させ、反応混合物を300mLの水で洗浄し、水相を325mLの塩化メチレンで向流抽出(counter-extract)した。有機相を再び合した後、360mLの水、360mLの水中15gの重炭酸ナトリウムの溶液。次いで360mLの水で連続洗浄した。次に、有機相を40℃の減圧下で濃縮乾固させ、30℃、圧力5mmHg下で生成物を乾燥させた。収量:66.6gの4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,7β,13α−トリヒドロキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレート。
【化31】
【0081】
Pummerer反応によるメチルチオメチル−パクリタキセル誘導体( XXXIII )の製造
1,500mLのDMSO(予めモレキュラーシーブで乾燥させたもの)中、4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,7β,13α−トリヒドロキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレートの溶液60gから出発し、1,200mlの酢酸を30分間にわたって、次に321mLの無水酢酸を10分間にわたって注いだ。その後、この反応混合物を室温で約21時間、振盪下に置いた。3,600mLの酢酸エチルを加えた後、有機相を28リットルの水中2,335gの重炭酸ナトリウム(操作中、800mLの酢酸エチルを加えた)、次に各1,800mlの水で2回、次に900mLの水でもう一度洗浄した。その後、有機相を40℃の減圧下で濃縮乾固させた。収量:84gのオイル形態の4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−メチルチオメチルオキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボキシレート。
【化32】
この生成物をさらなる操作のため154gの酢酸エチルにとった。
【0082】
最終生成物( XXXIV )の獲得
230gの上記溶液に80gの酢酸エチルおよび4.5mLのHClを加えた。室温で30分間振盪した後、有機相を各140mLの17%塩化ナトリウム水溶液で4回洗浄し、その後、50gのMgSO4で乾燥させ、35℃の減圧下で濃縮乾固させた。70.8gの粗生成物が得られ、これを70gの酢酸エチルに溶解した。この生成物を酢酸エチル/シクロヘキサン(45/55 v/v)を用い、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。このようにして92gの溶液から、画分を濃縮乾固させ、この乾燥抽出物を室温、圧力5mmHg下でさらに乾燥させた後に30gの純粋な、4,10β−ジアセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5β,20−エポキシ−1,13α−ジヒドロキシ−7β−メチルチオメチルオキシ−9−オキソ−タクス−11−エンの(2R,3S)−3−ベンゾイルアミノ−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオネート
【化33】
が得られた。
【0083】
一般実験法:
実施例9および10では以下の一般法を用いた。1Hおよび13C NMRスペクトルは内部標準としてテトラメチルシランを用いてバリアン(Varian)300NMR分光光度計で測定した。薄層クロマトグラフィー(TLC)はKieselgel 60F-254を用いたMerck DC-alufolienにて行い、カラムクロマトグラフィーはシリカゲル60(Merck;230〜400メッシュASTM)にて行った。化学薬品はAldrich Co.およびSigmaから購入し、使用前に標準的な方法で精製した。テトラヒドロフランはナトリウム金属およびベンゾフェノンから新たに蒸留したものである。ジクロロメタンもまた、使用直前に窒素下で水素化カルシウムから蒸留した。10−デアセチル−バッカチンIII(10−DAB)Indena, SpA, Italyから寄贈されたものである。
【0084】
実施例9:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:アルキルチオアルキルバッカチン III 誘導体とβ−ラクタムとのカップリング(図2)
式(XXXIV)の化合物をβ−ラクタム合成法を用いて製造した。本発明は、アルコキシチオアルキル−パクリタキセルの合成においてβ−ラクタムのカップリングを達成する新たな方法を開発した。
【0085】
本実施例では、β−ラクタムは下式:
【化34】
{式中、
Yは酸素であり;
G1はエトキシエチル(「EE」)などのヒドロキシル保護基であり;
R2”はフェニルであり;かつ、
R3”はフェニルである}
のβ−ラクタムを含む。
【0086】
このβ−ラクタムを以下に記載のように少なくとも1つのバッカチンIIIとカップリングさせた。
【0087】
概していえば、SIBAC(7−TES−バッカチンIII)を製造するために10−デアセチル−バッカチンIII(10−DAB)にトリエチルシリルおよびアセチルで一連の保護を行った。この7位のトリエチルシリル基は例えば3HF.TEA(フッ化水素酸トリエチルアミン)の溶液を用いて除去すればよい。
【0088】
または、10−DABはHolton et al. (Tetrahedron Lett. 39: 2883-2886 (1998)の方法に従い、CeCl3を含むTHF中の無水酢酸で直接アセチル化した。この手順により、収率93%でバッカチンIIIが得られた。
【0089】
得られたフリーの7位の水酸基をPummerer反応で反応させ、7−メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体を製造した。これらの条件下で13位を酸化してカルボニル基を形成した。当業者ならば、次にこの位置を標準的な方法を用いて還元し、13位の水酸基を再生することができることが分かるであろう。
【0090】
7−メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体およびβ−ラクタムのカップリング反応は、C−13水酸基における7−メチルチオメチルーバッカチンIIIのアルカリ金属またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシドを用いても行うことができる。対応するアルコキシドは、7−メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体と、ナトリウムヘキサメチル−ジシラジド(NaHMDS)、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)、カリウムジイソプロピルアミド(KDA)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、水素化ナトリウム(NaH)、水素化カリウム(KH)、水素化リチウム(LiH)、水素化カルシウム(CaH2)、水素化マグネシウム(MgH2)、またはn−ブチルLiなどの所望のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基とを、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタン(DME)、ダイグライム(diglyme)、ジメチルホルムアミド(DMF)、これら溶媒とヘキサン、トルエン、およびキシレンの混合物などの乾燥非プロトン性有機溶媒中、好ましくは約−100℃〜約50℃の温度範囲、より好ましくは約−78℃〜約25℃で、反応させることによって容易に生じる。
【0091】
この反応は所望により窒素および/またはアルゴンなどの不活性雰囲気下で行ってもよい。反応に用いる塩基の量は、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどの可溶性塩基を用いる場合には、所望により7−メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体の量とおよそ同じであってもよい。やや過剰量の塩基を用いても反応に悪影響はない。異種の塩基を用いる場合は、5〜10当量の塩基(7−メチルチオメチル−バッカチンIIIの量に対して)を用いるのが好ましい。
【0092】
このようにして生成された7−メチルチオメチル−バッカチンIIIの金属アルコキシドとβ−ラクタムのカップリング反応は典型的には上記で例示した乾燥有機溶媒中のβ−ラクタムの溶液を、好ましくは約−100℃から約50℃の温度範囲でより好ましくは約−35℃〜約25℃で加えることにより行う。この反応混合物を15分から24時間攪拌し、反応の進行および完了を例えば薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングする。限定反応物が完全に消費されたら、反応をブラインを添加することでクエンチする。
【0093】
この粗反応混合物を一般に当業者に公知の標準的な単離方法を用いて後処理して対応する保護タキソイドを得る。β−ラクタムと保護バッカチンIIIの割合は経済性および効率化の目的では2:1〜1:2の範囲、より好ましくは1:1であるが、この比率はこの反応にとって決定的なものではない。
【0094】
得られた金属化バッカチン誘導体と保護β−ラクタムとの上記のようなカップリングの結果、β−ラクタムシントン法(Ojima, I. et al., Tetrahedron, 48: 6985-7012 (1992); Ojima, I. et al., Tetrahedron Letters, 34 (26): 4149-4152 (1993))に従って保護された13位側鎖を有する所望の7−チオアルコキシタキサンが得られた。
【0095】
β−ラクタムの好適な保護基としては、当技術分野で公知の標準的なヒドロキシル保護基、例えばメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、f−MOC、TROCなどが挙げられる。この保護基は、当業者に一般に公知の標準的な手法を用いて除去し、所望のタキソイド誘導体が得られる(T. W. Green, Protective Groups in Organic Synthesis, Chapter 2, pages 10-69 (1981))。
【0096】
例えば、エトキシエトキシ(EE)およびトリエチルシリル基は、室温で36時間0.5N HClを用いて除去することができ、Troc基は60℃で1時間、メタノール中の亜鉛および酢酸を用いて、他の官能基やタキソイドの骨格を損なうことなく除去することができる。この保護タキソイドは所望によりさらに精製し、かつ/または必要であれば結晶化させてもよい。詳細な実験プロトコールは以下の通りである。
【0097】
バッカチン III 、選択肢A:
EtOH中0.1NのHCl 1mL中のSIBAC(XXX)(103mg,0.147mmol)の溶液を0℃で2時間攪拌した後、飽和NaHCO3で処理し、EtOAcで抽出した。
【0098】
合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:3)に付し、79mg(92%)のバッカチンIIIを無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 1.13 (s, 6H), 1.70 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 2.31 (s, 3H), 2.78 (m, 1H), 3.90 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.18 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.50 (m, 1H), 4.91 (m, 1H), 5.01 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.65 (d, J = 6.9 Hz, 1H); 6.35 (s, 1H), 7.51 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.64 (m, 1H), 8.13 (d, J = 7.5 Hz, 2H).
【0099】
バッカチン III 、選択肢B:
2mLのTHF中、10−デアセチル−バッカチンIII(100mg,0.184mmol)の溶液に、AC2O(0.02mL.0.2mmol)および7mgのCeCl3・7H2Oを加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌し、飽和NaHCO3で処理し、EtOAcで抽出した。
【0100】
合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて白色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:3)に付し、100mg(93%)のバッカチンIIIを無色の固体として得た。
【0101】
7−メチルチオメチル−13−オキソ−バッカチン III :
1mLのDMSO中、バッカチンIII(90mg,0.154mmol)の溶液に、0.40mLのAc2Oおよび0.11mLのAcOHを加えた。得られた混合物を50℃にて一晩加熱した後、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3および水で洗浄した。
【0102】
有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:2)に付し、8mgの脱シリル化タキソイドと67.5mg(変換率を基にすれば75%)の7−メチルチオメチル−13−オキソ−バッカチンを無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 1.23 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.77 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 2.71 (d, J = 19.8 Hz, 1 H), 2.84 (m, 1H), 2.99 (d, J = 19.8 Hz, 1H), 4.01 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.17 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.39 (m, 2H), 4.69 (m, 2H), 4.99 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 5.73 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 6.75 (s, 1H), 7.53 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.68 (m, 1H), 8.11 (d, J = 7.2 Hz, 2H).
【0103】
7−メチルチオメチル−バッカチン III :
0℃下、3mLのEtOH中、7−メチルチオメチル−13−オキソ−バッカチン(67mg,0.10mmol)の溶液に130mgのNaBH4を加えた。30分後、飽和NH4Clを加え、この水溶液をEtOAcで抽出した。合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:2)に付し、29mgの出発物質と34mg(変換率を基にすれば88%)のメチルチオメチル−バッカチンIII誘導体を無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 1.09 (s, 3H), 1.23 (s, 3H), 1.79 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.23 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 2.33 (s, 3H), 2.86 (m, 1H), 3.98 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.19 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.37 (m, 2H), 4.72 (m, 2H), 4.89 (m, 1H), 5.01 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.67 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 6.61 (s, 1H), 7.52 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.65 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 7.2 Hz, 2H).
【0104】
2’−(1−エトキシエチル)−7−メチルチオメチル−パクリタキセル:
1mL乾燥THF中、メチルチオメチルエーテルバッカチン誘導体(17mg,0.026mmol)およびEE保護β−ラクタム(20mg,0.058mmol)の溶液に、THF中1.0MのLiHMDS(0.10mL,0.10mmol)を−40℃で滴下し、この溶液を−40℃で2時間攪拌した。この反応を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、水相をCH2Cl2で抽出した。次に、合した抽出液をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。
【0105】
1H NMR (CDCl3) 1.05-1.12 (m, 3H), 1.26 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 2.83 (m, 1H), 3.07-3.52 (m, 2H), 3.92 (m, 1H), 4.25 (m, 1H), 4.34 (m, 2H), [4.60 (q, J = 5.4 Hz), 4.84 (q, J = 5.4 Hz)] (1H), 4.69 (m, 3H), 5.00 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 5.77 (m, 2H), 6.28 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 6.59 (s, 1H), 7.16 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.36-7.49 (m, 7H), 7.52-7.58 (m, 3H), 7.63-7.70 (m, 1H), 7.83 (m, 2H), 8.15 (m, 2H).
【0106】
7−メチルチオメチル−パクリタキセル:
EtOH中0.2NのHCl 1mL中、保護メチルチオメチルエーテル−バッカチン誘導体(15mg,0.015mmol)の溶液を0℃で1時間攪拌した後、飽和NaHCO3で処理し、EtOAcで抽出した。合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)に付し、12.5mg(90%)の目的化合物を無色の固体として得た。
【0107】
目的物のプロトンNMRは以下の通りであった:1H NMR (CDCl3) 1.22 (s, 3H), 1.26 (s, 3H), 1.80 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.23 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 2.85 (m, 1H), 3.90 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.23 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.34 (m, 2H), 4.71 (m, 2H), 4.84 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.98 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 5.73 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 5.84 (dd, J = 2.4 Hz, 9.0 Hz, 1H), 6.23 (m, 1H), 6.56 (s, 1H), 7.09 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.37-7.49 (m, 5H), 7.52-7.57 (m, 5H), 7.63-7.68 (m, 1H), 7.80 (m, 2H), 8.16 (m, 2H).
【0108】
実施例10:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:Pummerer反応に従うバッカチンとβ−ラクタムのカップリング(図3)
SIBAC(7−TES−バッカチンIII)を製造するために、一般に、トリエチルシリルおよびアセチルで10−DABの一連の保護を行った。下記のように、SIBACを金属化して13位でアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を形成させた。この金属化は、例えば、ナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)、KHMDS、LiHMDS、LDA、n−ブチルLi、またはNaHの少なくとも一つによって達成できる。
【0109】
得られた金属化バッカチンと保護β−ラクタムのカップリングの結果、β−ラクタムシントン法(Ojima, I. et al., Tetrahedron, 48: 6985-7012 (1992); Ojima, I. et al., Tetrahedron Letters, 34 (26): 4149-4152 (1993))に従って保護された13位側鎖を有する7−チオアルキルシリル−パクリタキセルが得られた。
【0110】
この7位のトリアルキルシリル基は、例えば3HF.TEA(フッ化水素酸トリエチルアミン)の溶液を用いて除去すればよく、生じたフリーの7位ヒドロキシルをPummerer反応で反応させると、所望のように保護された2’−ヒドロキシルを有する7−メチルチオ−メチル−パクリタキセルが生じる。当業者ならば、反応条件に応じて、保護基がPummerer反応条件によって除去されることも除去されないこともあることが分かるであろう。
【0111】
必要であれば、2’保護基を標準的な方法によって任意に除去する。この脱保護パクリタキセルは所望によりさらに精製し、かつ/または必要に応じて結晶化させた。詳細な実験プロトコールは以下の通りである。
【0112】
7−トリエチルシリル−10−デアセチル−バッカチン III :
0℃にて、14mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中、10−デアセチル−バッカチンIII(300mg,0.555mmol)およびイミダゾール(150mg,2.22mmol)の溶液にクロロトリエチルシラン(0.37ml,2.21mmol)をシリンジで滴下し、反応混合物を0℃で2時間攪拌し、EtOAcで希釈した。次に、この混合物を水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。
【0113】
粗生成物をクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)に付して、347mg(95%)の7−トリエチルシリル−10−デアセチル−バッカチンIIIを白色固体として得た。1H NMR (CDCl3) δ 0.56 (m, 6 H), 0.94 (m, 9H), 1.08 (s, '6H), 1.59 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 1.73 (s, 3H), 1.90 (m, 1H), 2.05 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.08 (s, 3H), 2.24 (s, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.48 (m, 1 H), 3.95 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 4.16 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.25 (s, 1H), 4.31 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.40 (dd, J = 6.4, 10.5 Hz, 1H), 4.85 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 4.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.17 (s, 1H), 5.60 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.60 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 7.3 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3) 5.1, 6.7, 9.9, 15.1, 19.5, 22.6, 26.8, 37.2, 38.6, 42.7, 47.0, 57.9, 67.9, 72.9, 74.6, 74.8, 76.5, 78.8, 80.7, 84.2, 87.6, 128.6, 129.4, 130.0, 133.6, 135.1, 141.8, 167.0, 170.7, 210.3.
【0114】
7−トリエチルシリル−バッカチン III :
−40℃にて、30mLの乾燥THF中、7−TES−10−DABIII(345.0mg,0.524mmol)の溶液に、THF中1.0MのLiHMDS(0.53mL,0.530mmol)をシリンジで滴下した。この混合物を−40℃で5分間攪拌した後、塩化アセチル(65μL,0.706mmol)を滴下した。90分後、反応を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、CH2Cl2で抽出し、合した抽出液をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。
【0115】
粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン:EtOAc=7:3〜1:1)で精製し、355mg(93%)のSIBAC(XXX)を白色固体として得た。1H NMR (CDCl3) 0.55 (m, 6 H), 0.90 (m, 9 H), 1.03 (s, 3 H), 1.10 (s, 3H), 1.71 (s, 3H), 2.21 (s, 3 H), 2.32 (s, 3H), 3.90 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.16 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.51 (dd, J = 6.9, 10.5 Hz, 1H), 4.86 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 4.98 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.66 (d, J = 6.9 Hz, 1 H) (H2), 6.49 (s, 1H), 7.53 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.66 (m, 1 H), 8.13 (d, J = 7.2 Hz, 2H).
【0116】
2’−(1−エトキシエチル)−7−トリエチルシリル−パクリタキセル:
−40℃にて、1mLの乾燥THF中、7−TES−バッカチンIII(SIBAC XXX)(20mg,0.028mmol)およびエトキシエチル保護β−ラクタム(20mg,0.058mmol)の溶液に、THF中1.0MのLiHMDS(0.10mL,0.10mmol)を滴下し、この混合物を−40℃で2時間攪拌した。反応を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、水層をCH2Cl2で抽出した。合した抽出液をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。
【0117】
残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=4:1)に付し、5mgのSIBACと17mgの2’−(1−エトキシエチル)−7−トリエチルシリル−パクリタキセル(変換率を基にすれば77%)を無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 0.55 (m, 6 H), 0.90 (m, 9 H), 1.70 (s, 3 H), 2.05 (s, 3 H), 2.21 (s, 3H), 3.08-3.44 (m, 2H), 3.86 (m, 1 H), 4.23 (dd, J = 5.7 Hz, 8.7 Hz, 1H), 4.36 (m, 1 H), 4.50 (m, 1H), [4.58 (q, J = 5.4 Hz), 4.84 (q, J = 5.4 Hz)] (1H), [4.68 (d, J = 2.4 Hz), 4.84 (d, J = 3.6 Hz)] (1H), 5.76 (m, 2H), 6.28 (m, 1H), 6.48 (s, 1H), 7.14 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.31-7.55 (m, 10H), 7.64 (m, 1H), 7.82 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 8.16 (m, 2 H).
【0118】
2’−(1−エトキシエチル)−パクリタキセル:
0℃にて、0.5mLピリジンおよび0.1mLのCH3CN中、2’−(1−エトキシエチル)−7−トリエチルシリル−パクリタキセル(9mg,0.009mmol)の溶液に0.1mLのHF/ピリジン溶液を加えた。得られた混合物を室温まで温め、一晩攪拌した後、飽和NaHCO3溶液で希釈した。水層をEtOAcで抽出し、合した有機層を飽和CuSO4および水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得た。
【0119】
残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:3)に付し、6mg(67%)の脱シリル化タキソイドを無色の固体として得た。1H NMR (CDCl3) 0.55 (m, 6H), 0.90 (m, 9H), 1.70 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 3.08-3.44 (m, 2H), 3.86 (m, 1H), 4.23 (dd, J = 5.7 Hz, 8.7 Hz, 1H), 4.36 (m, 1 H), 4.50 (m, 1H), [4.58 (q, J = 5.4 Hz), 4.84 (q, J = 5.4 Hz)] (1H), [4.68 (d, J = 2.4 Hz), 4.84 (d, J = 3.6 Hz)] (1H), 5.76 (m, 2H), 6.28 (m, 1H), 6.48 (s, 1H), 7.14 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.31-7.55 (m, 10H), 7.64 (m, 1H), 7.82 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 8.16 (m, 2 H).
【0120】
2’−(1−エトキシエチル)−7−メチルチオメチル−パクリタキセル(保護メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体):
0.05mLのDMSO中、この脱シリル化タキソイド(5mg,0.005mmol)の溶液に、0.02mLのAc2Oおよび5μLのAcOHを加えた。得られた混合物を50℃で5時間加熱した後、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3および水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色残渣を得た。
【0121】
残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:2)に付し、4mg(80%)の保護7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を無色の固体として得た。
【0122】
1H NMR (CDCl3) 1.05-1.12 (m, 3H), 1.26 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 2.83 (m, 1H), 3.07-3.52 (m, 2H), 3.92 (m, 1H), 4.25 (m, 1H), 4.34 (m, 2H), [4.60 (q, J = 5.4 Hz), 4.84 (q, J = 5.4 Hz)] (1H), 4.69 (m, 3H), 5.00 (t, J= 7.5 Hz, 1H), 5.77 (m, 2H), 6.28 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 6.59 (s, 1H), 7.16 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.36-7.49 (m, 7H), 7.52-7.58 (m, 3H), 7.63-7.70 (m, 1H), 7.83 (m, 2H), 8.15 (m, 2H).
【0123】
実施例9に記載のものと同様の方法で2’−(エトキシエチル)−7−メチルチオメチル−パクリタキセルを脱保護することによって7−メチルチオメチル−パクリタキセルを得た。
【0124】
実施例11:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:アルキルチオアルキル−バッカチンとβ−ラクタムのカップリング
Pummerer反応で10−アセチル−バッカチン誘導体を反応させる代わりに硫化メチルおよび過酸化ベンゾイルのいずれかを用いてフリーの7位ヒドロキシをメチルチオメチルに変換することにより10−アセチル−バッカチン誘導体を反応させること以外は実施例9の工程に従う。例示的な手順が例えばMedina, J. C., and Kyler, K. S., Tetrahedron Letters, 29(31): 3773-3776 (1988)に記載されている。
【0125】
実施例12:
7−アルキルチオアルキル−パクリタキセル誘導体の製造工程:バッカチンとβ−ラクタムとのカップリング、その後のアルコールの変換
Pummerer反応を硫化メチルおよび過酸化ベンゾイルのいずれかを用いてそのアルコールをメチルチオメチルエーテルへ変換することに置き換えること以外は実施例10の工程に従う。この手順は例えばMedina, J. C., and Kyler, K. S., Tetrahedron Letters, 29(31): 3773-3776 (1988)に記載されている。
【0126】
生物活性:
Zが一般式(II)の基を表す一般式(I)の新規な生成物および本明細書に開示されるその他の発明化合物は異常な細胞増殖に対して著しい阻害活性を表し、異常な細胞増殖に関連する病状を有する患者の治療を可能とする治療特性を有する。
【0127】
このような病状としては、限定されるものではないが、筋肉、骨または関節組織、皮膚、脳、肺、生殖器官、リンパ系または腎臓系、乳房または血液細胞、肝臓、消化器官、膵臓、および甲状腺または副腎をはじめとする種々の組織および/または器官の悪性または非悪性細胞の異常な細胞増殖を含む。
【0128】
これらの病状はまた、乾癬、固形腫瘍、卵巣癌、乳癌、脳癌、前立腺癌、結腸癌、胃癌、腎臓癌または精巣癌、カポジ肉腫、胆管癌、絨毛癌、神経芽腫、ウィルム腫、ホジキン病、黒色腫、多発性黒色腫、慢性リンパ性白血病、および急性または慢性顆粒球リンパ腫を含み得る。
【0129】
本発明の新規な生成物は卵巣癌の治療に特に有用である。本発明の生成物はこれら病状の発症または再発を予防または遅延するため、あるいはこれらの病状の治療に用い得る。
【0130】
本発明の生成物は選択された投与経路(好ましくは非経口経路)に適した種々の投与形に従って患者に投与し得る。非経口投与としては静脈、腹腔内、筋肉内または皮下投与が挙げられる。腹腔内または静脈投与が特に好ましい。
【0131】
本発明はまた、一般式(I)の少なくとも一種の化合物を、ヒト医療または獣医療に用いるのに好適な十分量で含有する医薬組成物を製造することを含む。これらの組成物の製造は1以上の医薬上許容されるアジュバント、ビヒクルまたは賦形剤を用い、常法に従って達成できる。好適なビヒクルとしては希釈剤、滅菌水性媒体および種々の無毒な溶媒が挙げられる。好ましくはこれらの組成物は水溶液または水性懸濁液、注射液の形態をとり、乳化剤、着色剤、保存剤または安定剤を含み得る。しかし、これらの組成物はまた、経口投与可能な錠剤、丸剤、散剤または顆粒剤の形態をとってもよい。
【0132】
アジュバントまたは賦形剤の選択は生成物の溶解度および化学特性、特定の投与様式および医薬品実践規範によって決定できる。
【0133】
非経口投与としては、滅菌、水性または非水性溶液または懸濁液を用いる。非水性溶液または懸濁液の調製については、オリーブ油、ゴマ油または液体石油などの天然植物油、またはオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを用いてよい。滅菌水溶液は水に溶解した医薬上許容される塩の溶液からなる。これらの水溶液は、pHを適宜調節し、例えば十分な量の塩化ナトリウムまたはグルコースで溶液を等張にすれば静脈投与に適切なものとなる。安定化は、加熱またはその組成物に悪影響を及ぼさないその他のいずれかの手段によって行うことができる。
【0134】
本発明の組成物に配合する生成物は全て純粋かつ使用する量で無毒でなければならないことが容易に分かる。
【0135】
これらの組成物は少なくとも0.01%の治療上有効な生成物を含み得る。組成物中の有効生成物の量は好適な適用量が処方できるようなものとする。好ましくはこれらの組成物は、一回量が非経口投与ではおよそ0.01〜100mgの有効生成物を含むように調製する。
【0136】
治療処置は、抗腫瘍薬、モノクローナル抗体、免疫療法または放射線療法または生物応答改質剤をはじめとするその他の治療処置と同時に行ってもよい。これらの応答改質剤としては、限定されるものではないが、リンホカインおよびインターロイキンなどのサイトカイン、インターフェロン(α、βまたはδ)およびTNFが挙げられる。
【0137】
異常な細胞増殖による疾患の治療に有用なその他の化学療法薬としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、メルファランおよびクロラムブシルなどの窒素マスタード、ブスルファンなどのスルホン酸アルキル、カルムスチン、ロムスチン、セムスチンおよびストレプトゾシンなどのニトロソ尿素;ダカルバジンなどのトリアゼン類;葉酸類似体(例えばメトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシルおよびシタラビンなど)、プリン類似体(メルカプトプリンおよびチオグアニンなど)などの代謝拮抗物質;天然産物、例えばビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンなどのビンカアルカロイド、エトポシドおよびテニポシドなどのエピポドフィロトキシン;ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシンおよびマイトマイシンなどの抗生物質;L−アスパラギナーゼなどの酵素;白金の配位錯体、例えばシスプラチン、ヒドロキシ尿素などの置換尿素、プロカルバジンなどのメチルヒドラジン誘導体、マイトタンおよびアミノグルテスイミドなどの副腎皮質抑制剤、プレドニゾンなどの副腎皮質ステロイド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メトキシプロゲステロンおよび酢酸メゲストロール、ジエチルスチルボエストロールおよびエチニルエストラジオールなどのエストロゲン類、タモキシフェンなどの抗エストロゲン類、ならびにプロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロンなどのアンドロゲン類などのホルモンおよびアンタゴニストといった種々の薬剤が挙げられる。
【0138】
本発明の方法を行うのに用いられる用量は予防処置または最大の治療応答を可能とするものである。用量は投与形態、選択された特定の生成物および治療される患者に特有の特徴によって異なる。
【0139】
一般に、用量は異常な細胞増殖による疾患の治療に治療上有効なものである。本発明の生成物は所望の治療効果を得るに必要な頻度で投与すればよい。
【0140】
比較的高用量または低用量に速やかに応答する患者もおり、そうであれば低用量またはゼロの維持用量しか必要としない。一般に、治療の開始時には低用量を用い、必要であれば最適な効果が得られるまで漸増量を投与する。他の患者では、問題となる患者の生理要求に応じて一日に1〜8回、好ましくは1〜4回維持用量を投与する必要がある。また、患者によっては一日1〜2回だけの投与を用いる必要しかない場合もあり得る。
【0141】
成人では用量は一般に0.01〜200mg/kgの間である。腹腔内投与では、用量は一般に0.1〜100mg/kg、好ましくは0.5〜50mg/kg、いっそう具体的には1〜10mg/kgである。静脈投与では、用量は一般に0.1〜50mg/kg、好ましくは0.1〜5mg/kg、いっそう具体的には1〜2mg/kgである。最も適切な用量を選択するには投与経路、患者の体重、全身の健康状態および年齢、ならびに治療効力を左右し得るあらゆる因子を考慮しなければならない。
【0142】
以下、実施例で本発明の組成物を説明する。
【0143】
薬理学的実施例
実施例1で得られた生成物40mgを1cm3のEMULPHOR(登録商標)EL620(Stepan Canada, Inc.)および1cm3のエタノールに溶解した後、この溶液を18cm3の生理食塩水で希釈する。
【0144】
この組成物を生理学的溶液に導入することで1時間にわたって灌流投与する。
【0145】
本発明はその精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態に具体化し得る。記載の具体例は全ての点において単に例示であって、これに限定されるものではない。
【0146】
よって、本発明の範囲は上記の説明よりも添付のクレームにより示される。クレームと同等の意味および範囲内の変更はいずれもそれらの範囲内に含めるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】オキサゾリジンカップリング法によるメチルチオメチルタキソイドの合成法を示す。
【図2】β−ラクタムシントン法によるメチルチオメチル−パクリタキセル誘導体の合成法を示す。
【図3】β−ラクタムシントン法によるメチルチオメチル−パクリタキセル誘導体のもう一つの合成法を示す。
Claims (41)
- 式(XXXIV):
式(IX):
前記シリル化バッカチンをアセチル化して式(XXX):
該シリル基を除去して7−水酸基を有するバッカチンIIIを得る
または、式(IX)のバッカチンを直接アセチル化して7−水酸基を有するバッカチンIIIを得て、
7−水酸基を有する前記バッカチンIIIを反応させ(ここで、該反応は任意の還元反応を含む1以上の反応工程を含みうる)て式(A):
の化合物を生成し、
アルカリ金属塩基またはアルカリ土類金属塩基で前記式(A)の化合物のメタレーションを行って式(A)の金属化メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体(ここで、Rはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である)を生成し、
前記式(A)の金属化メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体を保護されたβ−ラクタムとカップリングさせ{ここで、前記β−ラクタムは式:
Yは酸素であり、
G1はヒドロキシル保護基であり、
R2”はフェニルであり、かつ、
R3”はフェニルである)のβ−ラクタムを含んでなる}、2’−保護7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体:
さらに、前記2’−保護7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を、G1を除去することにより脱保護して式(XXXIV)の化合物を生成する
ことを含んでなる、方法。 - 7−水酸基を有する前記バッカチンIIIをPummerer反応条件下に置いて前記式(A)の化合物を得る、請求項1に記載の方法。
- 7−水酸基を有する前記バッカチンIIIを硫化ジメチルおよび過酸化ベンゾイルと反応させて前記式(A)の化合物を得る、請求項1に記載の方法。
- アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基がナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)、カリウムジイソプロピルアミド(KDA)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、水素化ナトリウム(NaH)、水素化カリウム(KH)、水素化リチウム(LiH)、水素化カルシウム(CaH2)、水素化マグネシウム(MgH2)、およびn−ブチルLiから選択される少なくとも一つの化合物である、請求項2に記載の方法。
- 前記の少なくとも一つの化合物がヘキサメチルジシラジドである、請求項4に記載の方法。
- 前記ヘキサメチルジシラジドがナトリウムヘキサメチルジシラジドであり、かつ、RがNaである、請求項5に記載の方法。
- G1がメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、TIPSO、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、F−MOCおよびTROCから選択される、請求項6に記載の方法。
- G1がエトキシエチルである、請求項7に記載の方法。
- 前記ヘキサメチルジシラジドがリチウムヘキサメチルジシラジドであり、かつ、RがLiである、請求項5に記載の方法。
- G1がメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、F−MOCおよびTROCから選択される、請求項9に記載の方法。
- G1がエトキシエチルである、請求項10に記載の方法。
- アルカリ金属塩基またはアルカリ土類金属塩基がナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)、カリウムジイソプロピルアミド(KDA)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、水素化ナトリウム(NaH)、水素化カリウム(KH)、水素化リチウム(LiH)、水素化カルシウム(CaH2)、水素化マグネシウム(MgH2)、およびn−ブチルLiから選択される少なくとも一つの化合物である、請求項3に記載の方法。
- 前記の少なくとも一つの化合物がヘキサメチルジシラジドである、請求項12に記載の方法。
- 前記ヘキサメチルジシラジドがナトリウムヘキサメチルジシラジドであり、かつ、RがNaである、請求項13に記載の方法。
- G1がメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、F−MOCおよびTROCから選択される、請求項14に記載の方法。
- G1がエトキシエチルである、請求項15に記載の方法。
- 前記ヘキサメチルジシラジドがリチウムヘキサメチルジシラジドであり、かつ、RがLiである、請求項13に記載の方法。
- G1がメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、F−MOCおよびTROCから選択される、請求項17に記載の方法。
- G1がエトキシエチルである、請求項18に記載の方法。
- 式(XXXIV):
式(IX):
前記シリル化デアセチルバッカチンIII誘導体をアセチル化して式(XXX):
アルカリ金属塩基またはアルカリ土類金属塩基で前記式(XXX)のシリル化バッカチンIIIのメタレーションを行って金属化シリル化バッカチンIII誘導体を生成し、ここで、13−ヒドロキシは13−RO(Rはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である)であり、
前記の金属化シリル化バッカチンIII誘導体をβ−ラクタムとカップリングさせ、{ここで、前記β−ラクタムは式:
Yは酸素であり、
G1はヒドロキシル保護基であり、
R2”はフェニルであり、かつ、
R3”はフェニルである)
のラクタムを含んでなる}、
2’−保護7−シリル化パクリタキセル誘導体を生成し、
7−シリル基を除去して、7−水酸基を有する2’保護パクリタキセル誘導体を得;
7−水酸基を有する前記2’保護パクリタキセル誘導体を反応させて7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体(ここで、G1は所望によりHで置換されている)を得て、さらに
所望により、前記7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を、G1基を除去することにより脱保護して式(XXXIV)の化合物を生成すること
を含んでなる、方法。 - 7−水酸基を有する前記2’保護パクリタキセル誘導体をPummerer反応条件下に置いて前記7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を得る、請求項20に記載の方法。
- 7−水酸基を有する前記2’保護パクリタキセル誘導体を硫化ジメチルおよび過酸化ベンゾイルと反応させて前記7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を得る、請求項20に記載の方法。
- アルカリ金属塩基またはアルカリ土類金属塩基がナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)、カリウムジイソプロピルアミド(KDA)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、水素化ナトリウム(NaH)、水素化カリウム(KH)、水素化リチウム(LiH)、水素化カルシウム(CaH2)、水素化マグネシウム(MgH2)、およびn−ブチルLiから選択される少なくとも一つの化合物である、請求項20に記載の方法。
- 前記の少なくとも一つの化合物がヘキサメチルジシラジドである、請求項23に記載の方法。
- 前記ヘキサメチルジシラジドがナトリウムヘキサメチルジシラジドであり、かつ、RがNaである、請求項24に記載の方法。
- G1がメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、F−MOCおよびTROCから選択される、請求項20に記載の方法。
- G1がエトキシエチルである、請求項26に記載の方法。
- 前記ヘキサメチルジシラジドがリチウムヘキサメチルジシラジドであり、かつ、RがLiである、請求項24に記載の方法。
- G1がメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、F−MOCおよびTROCから選択される、請求項28に記載の方法。
- G1がエトキシエチルである、請求項29に記載の方法。
- アルカリ金属塩基またはアルカリ土類金属塩基がナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)、カリウムジイソプロピルアミド(KDA)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、水素化ナトリウム(NaH)、水素化カリウム(KH)、水素化リチウム(LiH)、水素化カルシウム(CaH2)、水素化マグネシウム(MgH2)、およびn−ブチルLiから選択される少なくとも一つの化合物である、請求項21に記載の方法。
- 前記の少なくとも一つの化合物がヘキサメチルジシラジドである、請求項31に記載の方法。
- 前記ヘキサメチルジシラジドがナトリウムヘキサメチルジシラジドであり、かつ、RがNaである、請求項32に記載の方法。
- G1がメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、F−MOC、およびTROCから選択される、請求項33に記載の方法。
- G1がエトキシエチルである、請求項34に記載の方法。
- 前記ヘキサメチルジシラジドがリチウムヘキサメチルジシラジドであり、かつ、RがLiである、請求項32に記載の方法。
- G1がメトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、トリアルキルシリル、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、エトキシエチル(EE)、F−MOC、およびTROCから選択される、請求項36に記載の方法。
- G1がエトキシエチルである、請求項37に記載の方法。
- 7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を製造する方法であって、
アルカリ金属塩基またはアルカリ土類金属塩基で7−メチルチオメチルオキシ−バッカチンIII誘導体のメタレーションを行って式(A):
の金属化メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体を生成し、
前記式(A)の金属化メチルチオメチル−バッカチンIII誘導体をβ−ラクタムとカップリングさせ{ここで、前記β−ラクタムは式:
Yは酸素であり、
G1はヒドロキシル保護基であり、
R2”はフェニルであり、かつ、
R3”はフェニルである)
のラクタムを含んでなる}
2’保護7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を生成し、
さらに、所望により前記2’保護7メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を脱保護して7−メチルチオメチル−パクリタキセル誘導体を生成する
を含んでなる、方法。
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