JP2004518780A - カチオン触媒系 - Google Patents
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Abstract
Description
技術分野
本発明は、好ましくは+3の酸化状態の遷移金属を有する中性多中心(ポリハプテイト)(polyhaptate)配位子及び係留(tethered)若しくはバルクアニオン配位子を含む特定の遷移金属化合物に関連し、並びにこれらの化合物を含有する触媒系に関連する。さらに任意でアルモキサン、修飾アルモキサン若しくは非配位性アニオン活性剤、ルイス酸、または活性触媒種を形成する類似体、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン及び高分子量のエチレンとプロピレンとのα−オレフィンコポリマーのようなポリオレフィンを生成するためのカチオンを含有する触媒系に関連するものである。
【0002】
発明の背景
シクロペンタジエニルアニオンの多中心性(polyhaptate nature)は、それに由来する重合触媒に、配位子の損失や変化に対する安定性及び中心金属上のいくつかの配位部位の占有(例えばCpCr(CO)3の疑8面体配位環境(environment)中の3つ)のような独特の性質を与え、従ってその配位環境が制御され、明確に定義されることは当業界に公知である。このことにより、狭い分子量分布及びコモノマー分布並びに多中心配位子の多様性による触媒性能の“調整可能性(tunability)” のようなシングルサイトの性質のすべての利点を与えて、例えばチーグラー−ナッタTiCl4/アルミニウムアルキル基系と関連のある触媒系のより多くのシングルサイト挙動を結果として生じる。この分野における本発明の記載の目的において、“多中心(polyhaptate)”とは、多中心配位子が形式電荷を有すか中性であるかに関わらず、1つより多くの原子を通して結合相互作用することで中心金属に接触する配位子を意味するものとする。従って、“中性多中心配位子”は、シクロペンタジエニドにおける場合と同様に、局在する負電荷または原子間の非局在負電荷を有さないと考えられる少なくとも2つの原子を通して遷移金属に接触する。同様に、“係留(tethered)またはバルクモノアニオン配位子”は多中心であってもよく、負電荷を有する。さらに、第2シクロペンタジエニル配位子または係留アニオン配位子を添加して、ビスシクロペンタジエニル錯体または例えばジメチルシリル架橋シクロペンタジエニルアミド(いわゆる、“幾何拘束型(constrained geometry)” )錯体を形成させることにより、CpZrCl3、CpZr(OR)3、若しくはCpTiCl3及び低活性であるだけでなくマルチサイト特性に関連した一般的により広い範囲のコモノマー及び分子量分布を示すその類似体のような、より立体的に開放され、より固定されていない錯体に関連し、結果として性能が改善されるということは公知である。従って、好ましい“明確に定義された配位子セット(well defined ligand sets)”は架橋単一中心(モノハプテイト)(monohaptate)配位子または任意で第2の架橋多中心配位子を含む多中心配位子を包含する。通常、当業界で好ましい“明確に定義された”触媒系に以下を使用する:ビスシクロペンタジエニルまたは架橋シクロペンタジエニルアミドのような多中心ジアニオン配位子セット;第4族金属、特にジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)を使用する;最も高い酸化状態にある金属であり、連鎖成長のために、1つのアルキルまたはポリマー配位子のカチオンを受け取り或いは挿入に先立ってまたは同時に起こる、オレフィン配位のための1つの空配位部位を形成する金属;例えば金属上に残る塩化物、アルコキシド、カルボン酸塩のようなその他の反応活性配位子(labile ligands)は存在しない;及び、弱または“非”配位性アニオンが電荷を平衡させる。いくつかのニッケル基系は、中性状態において効果的であると考えられることが、DupontのJohnsonとCaltechのGrubbsの双方によって最近報告されている。好ましい多中心ジアニオン配位子セットの配位環境を維持するために、4族以外の遷移金属を使用する際、アニオンシクロペンタジエニル(Cp)または等電子のジアニオン類似体におけるアミノ配位子の1つまたは両方を置換することが多い。従って、ジアニオン・ボロール(borrole)(C4H4BR2−)における1つのCpのBazan’s置換は、できるだけ多くの好ましい“明確に定義された配位子セット”系の特性を保存する際に、最も高い酸化状態における5族錯体の合成を可能とする。同様に、ジアニオンイミド配位子における2つのCpのGibson’s置換は、最も高い酸化状態でクロム触媒を生成する。中性の場合は第4族以上から作成することができるが、この方法は第5族以上からのカチオン触媒の調製に限って可能である。ましてや、Cpのような1つの多中心アニオン配位子を維持したり、“明確に定義された”配位子セットを作成するための係留中性配位子(tethered neutral ligand)を使用する方法は一般的ではない。このやり方は3族類似体及び+3以下の酸化状態の任意の族から得られる触媒の調製を可能にする。
【0003】
多中心中性配位子及びアニオン配位子を有するCpのような多中心アニオン配位子を置換する方法の使用はこれまで知られていない。“明確に定義された”、すなわち比較的安定な配位子セットを提供するために前記多中心中性配位子及び前記アニオン配位子を有するCpはいずれも選択される。これは、アニオン成長ポリマー鎖を相殺させる価数にする及び必要に応じて空配位部に正電荷を生成させる価数とすることを可能とするのに有利である。多くの多中心配位子は、アミンとホルムアルデヒドの縮合物から得られるヘキサヒドロトリアジンのような例えば置換Cpよりも、はるかに構造の多様性を与え、合成を容易にする。これにより、例えばSc、Y、La、ランタニド及びアクチニド、V、Nb、Cr、Co等のような+3の酸化状態になりやすい任意の遷移金属の使用が可能となり得る。そして、この概念が本発明を具現化するものである。中性錯体または低酸化状態が触媒に有用であることが証明され得ること、または活性種における正確な性質は、それが例えば低酸化状態の開始物質から生じたものである場合、証明することが難しいであろうことが当業者は理解できるので、活性種がカチオンまたは+3の酸化状態でなければならないことは予想できないことである。さらに、本発明の触媒は、少なくとも中性多中心配位子及びアニオン配位子を含む点において区別される。ここで、前記アニオン配位子は、多中心配位子に架橋されているか若しくはその置換に対してある程度立体構造を維持できる大きさである。
【0004】
2つの1価配位子または二座、2価配位子を有する中性スカンジウム組成物は、Shapiroら,Organometallics,vol.9,pp.867−869(1990);Piersら,J.Am.Chem.Soc.,vol.112,pp.9406−9407(1990);Shapiroら,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,pp.4623−4640(1994);Hajelaら,Organometallics,vol.13,pp.1147−1154(1994);及びYasudaらの米国特許第5,563,219号から公知である。同様にイットリウム、ランタン及びセリウム錯体は、Booijら,Journal of Organometallic Chemistry,vol.364,pp.79−86(1989)及びCoughlinら,J.Am.Chem.Soc.,vol.114,pp.7606−7607(1992)に開示されている。非イオン化助触媒を用いた二座配位子、2価の配位子を有するスカンジウム金属錯体との重合は、Pattonらの米国特許第5,464,906号から公知である。
【0005】
第3〜10族メタロサイクリック(metallocyclic)触媒錯体は、米国特許第5,312,881号及び第5,455,317号(いずれもMarksら)、Stevensらの米国特許第5,064,802号及び欧州特許第0 765 888 A2に記載されている。
【0006】
オレフィンとカチオン4族金属錯体の重合は、国際公開第WO96/13529号及び第WO97/42228号に示されている。第3〜5族金属のボラタベンゼン錯体は、国際公開第WO97/23493号に開示されている。
【0007】
第3〜6族金属のアミジナト(Amidinato)錯体は、Schlundらの米国特許第5,707,913号に開示されている。第4族ビスアミノ触媒は、Canich らの米国特許第5,318,935号に開示されており、関連する多座ビスアリールアミド触媒は、D.H.McConvilleらによってMacromolecules 1996,29,5241−5243に開示されている。
【0008】
触媒に使用するモノアニオン及び多中心配位子
金属同一性または反応活性配位子の数を“等電荷”状態を維持するために調整する場合、Cp−配位子をジアニオンの形式6電子供与体で置換して、活性触媒が得られることは公知であるが、6電子中性供与体配位子を用いることは実務ではほとんど注目されていなかった。中性多中心供与体によって定義付けられ、任意でモノアニオン供与体に架橋した配位子セットは、適当な活性剤を用いて重合活性を促進させるように、塩化物のような2つの反応活性配位子とともに配位するランタニド、アクチニド及び第3族金属、TiIII、VIII、CrIII、FeIII及びCoIIIの安定に適していると考えられる。このことは、以下に表される:
(L)T(E)MQxL’y
(ここで、T=任意の架橋、L=多中心中性供与体配位子、E=モノアニオン配位子、M=金属、好ましくは+3価の酸化状態、Q=塩化物、メチル等の反応活性配位子、L’=エーテル、ホスフィン、アミン、LiCl、オレフィン、シクロオクタジエンのような、中性供与体配位子)。FeII等に単一のQ配位子を使用するバージョンは、容易に想像できるだろう。
【0009】
発明の概要
本発明は、オレフィン重合のための触媒系に関する。該触媒系は中性6電子供与体及び任意で多座中性配位子に架橋したモノアニオン供与体により安定化された形式電荷+3価のカチオン中心金属を含有する。前記金属は+3価のアクチニド、ランタニド、または第3、4、5、6、7、8、9族遷移金属、または3価の主な金属のいずれであってもよい。
【0010】
1つの実施形態において、多座配位子、Aは、式LTEを有する。ここで、Lはバルク中性π供与体配位子であって、好ましくは少なくとも2つの第15〜16族原子を含み、最も好ましくは少なくとも3つ含む。Tは第13、14、または15族元素を含む共有結合架橋基である。Eは第14〜16族元素を含むアニオン配位子であり、π供与ヒドロカルビル及びヘテロヒドロカルビル配位子、置換アミドまたはホスフィド配位子、酸素または硫黄、またはTに共有結合するその他の配位子若しくは原子が挙げられる。あるいは、EはJR’zであり、ここでJは第15または16族由来元素を表す。Jが第15族元素である場合z=2であり、Jが第16族元素である場合z=1である。最後に、それぞれのR’は下記に明示する適当な有機配位子から独立して選択する。
【0011】
他の実施形態において、オレフィンの重合または共重合のような本発明に従う重合プロセスは(重合プロセスの発明)、+3価の金属成分を励起(イオン化)させてカチオン(触媒)にするステップ及び適当な供給原料にそのカチオンを接触させるステップを含む。これらの供給原料は、単独重合のための1種のモノマーを優位を占めて含む;これらは共重合のためのモノマー混合物を含んでいる。好ましい供給原料は、エチレン、C3−C20のαオレフィン、C5−C20のジオレフィン、アセチレン系不飽和モノマーまたはその他の不飽和モノマーを含む任意の適当な混合物から構成される。前記触媒は、適当な液体または気体重合希釈剤中において、任意に溶解、懸濁または流動化させたりすることができる。該触媒は、アルモキサン、修飾アルモキサン、非配位性アニオン活性剤、ルイス酸またはその類似物(単独または組合わせて)を用いて活性化し、アルミニウム対非配位性アニオンまたはルイス酸対遷移金属のモル比は、約1:10〜約20,000:1またはそれを超えてもよい。前記触媒は、1つまたは複数の前記モノマーと約−100℃〜約300℃、約1秒間〜約10時間反応し、ポリオレフィンを生成する。該ポリオレフィンの重量平均分子量は約1000〜約5,000,000またはそれより小さくても大きくてもよく、及び分子量分布は約1.5〜約15またはそれ以上であってもよい。
【0012】
さらに別の実施形態において、モノアニオン性配位子は、6電子中性供与体配位子に対する全炭素架橋によって結合した置換フェノールである。従って、H2C(Me2tacn)(tBu2C6H2O)ScCl2(1,Me2tacn=ジメチルトリアザシクロノナン、下記の図を参照)は、MAOと一緒に処理した場合、エチレンを重合させる。
【0013】
中性3族メタロセン(RCp2MX)は、二量化する傾向にあり、カチオン性4族類似体(例えば、Cp2ZrMe+NCA−、NCA=対アニオン)よりも一般的に低い活性を示す。CpにおけるMe3tacnのような中性配位子の置換は、より二量化しにくい傾向にある等電荷第3族カチオン種(例えば、Cp(Me3tacn)jYMe+NCA−)の安定を可能にし、従ってより大きな活性を示すはずである。“固い(hard)”供与体配位子を持つ多中心構造は、より強固に結合することが予想され、トリアルキルアルミニウムスカベンジャー、メチルアルモキサン及びB(C6F5)3のようなルイス酸によって取除かれる傾向がほとんどないであろうから、好ましい。
【0014】
モノアニオン性供与体配位子Eは、中性供与体配位子と架橋されないことが必要であり、あるいは単一中心であってはならない。中性供与体と架橋していない場合、好ましい構造は、該アニオン供与体が反応活性配位子と同様に取除かれることを防止させるための立体バルクを含む構造である。好ましい例は、2,6−iPr2ArO−、アミジン配位子及び2基置換アミドである。
【0015】
中性多中心配位子Lは、周期表第15〜17族、オレフィン、アルキンまたは中性カルベン基由来の“ヘテロ原子”供与体を含むことができる。該中性供与体は二座、三座、四座であってもよく、またはさらに高い配座数を有していてもよい。該供与体基は、tacn(トリアザシクロノナン)誘導体のような環状、鎖状、中心原子に対して、またはそれらを組合わせた状態で結合することができる。好ましい構造は、トリアザシクロノナン(9員環)、及びヘキサヒドロトリアジン(6員環)である。金属及びアニオン供与配位子が異なれば、最適な環サイズも異なると予想される。ヘテロ原子または中性炭素供与体間のそれぞれのリンカーは同じ組成または長さである必要はない。
【0016】
当業者に公知である通常のイオン化活性剤は、本発明で使用することができ、またはそのような化合物は追加の活性剤なしで使用することができる。アルミン酸及びホウ酸パーフルオロアリールを含有する非配位性アニオンは、ボランや中性アルミニウムアルキルのようにルイス酸のような方法で、多中心配位子の中性供与体原子と結合できないであろうから、好ましい活性剤である。
【0017】
従って、広範囲の分子量の可能性、コモノマー結合、立体規則性制御、せん断シンニング(shear thinning)、溶解強度、フィルム引裂き値(film tear values)、及びその他の多くの性質が、触媒構造の変化や処理条件によって制御できるということが明らかである。所定の工程を用いてあらゆる性質の望ましい調和を達成する目的のために、触媒挙動の多様な選択性は不可欠なものである。本発明の触媒は、これらの目標を達成するためにさらなる手段を提供するものである。
【0018】
定義
触媒系は、触媒前駆体/活性化剤のペアを包含する。触媒系は、このようなペアが活性化の前に使用されていることが記載されている場合、非活性化触媒が活性化剤と一緒に使用されていることを意味する。触媒系は、このようなペアが活性化の後に使用されていることが記載されている場合、活性化触媒及びNCAまたはその他の電荷平衡成分を意味する。
【0019】
Cpまたはシクロペンタジエニルは、炭素原子5つ、平面芳香族シクロペンタジエニドイオンである、全置換及び非置換配位子を包含する。このことは、5炭素環が他の5員環と溶融している、及び6員環以上と溶融している溶融環系を厳密に言うと含む。また、環状炭素原子が複素環系から得られるヘテロ原子で置換された配位子を厳密に言うと含む。シクロペンタジエニル配位子の5員、実質的に平面環は、Mに面して配位するために用いられるπ電子を含んで(複素環または同素環に)保たれるべきである。Cpまたはシクロペンタジエニルのいくつかの例としては、フルオレニル、インデニル、及びシクロペンタジエン自身のモノアニオンがある。
【0020】
供給原料は、エチレン、C3−C20のαオレフィン、C4−C20のジオレフィン、アセチレン系不飽和モノマーまたはその他の不飽和モノマーの任意の適当な混合物である。これらの供給原料は、単独重合のための1種のモノマーを優位を占めて含む;これらは共重合反応のためのモノマー混合物を含んでいる。
【0021】
L’は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウムまたはその類似物のような、中心金属に配位する中性ルイス塩基であり、また、適切なXと共に、任意に1つのまたは両方のXに結合する。さらに、L’は、ニ量体触媒または触媒前駆体を与える中心金属と同じ型の第2の遷移金属であってもよく、この場合、両方の該遷移金属は同じであるか、これらの遷移金属が異なる場合にはバイメタル触媒または触媒前駆体である。
【0022】
単座配位子とは、実質的に明確な、実質的に1つの配位原子の結合によって、原子が配位する配位子を意味し、当業界で認識される意味と同一範囲であることを意図する。
【0023】
二座配位子とは、実質的に明確な、実質的に2つの配位原子の結合によって、原子が配位する配位子を意味する。この二座配位子の定義は、当業界で認識される意味と同一範囲であることを意図する。
【0024】
多座配位子とは、実質的に明確な2つ以上の配位原子の結合によって、原子が実質的に配位する配位子を意味し、当業界で認識される意味と同一範囲であることを意図する。
【0025】
非配位性アニオン(NCA)は、金属カチオンに配位しない、またはオレフィン系若しくはアセチレン系不飽和モノマーのような中性ルイス塩基が置換できるような十分に弱い配位であるときのみ金属カチオンに配位する場合のいずれかであるアニオンを意味するものと当業界に認識されている。適合性を有し、弱いまたは無視できる程度にごく少量の配位錯体を形成し得る任意の金属または半金属は、使用することができ、または非配位性アニオン中に含めることができる。適当な金属としては、限定されないが、アルミニウム、金及び白金が挙げられる。適当な半金属としては、限定されないが、ホウ素、リン及びケイ素が挙げられる。上段の引用文献中における非配位性アニオン及びそれらの前駆体の記載は、米国特許実務の目的に沿って引例として組み込まれる。
【0026】
重合とは、単独重合及び共重合のようないずれの重合反応も包含する。また、例えばC3−C20のオレフィン、C4−C20のジオレフィン、C4−C20の環状オレフィン若しくはC8−C20のスチレン系オレフィンのような、その他のαオレフィン、αオレフィン系ジオレフィンまたは非共役ジオレフィンモノマーを有するホモポリマー及びコポリマーの両方を含んだポリマー生成を包含する。その他のオレフィン系不飽和モノマーは、上記に具体的に記載したもののほかに、本発明の触媒を用いて重合させてもよい。本発明の触媒としては、例えば、スチレン、アルキル基置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン及びシクロペンテン、ノルボルネン及びアルキル基置換ノルボルネンのようなその他の環状オレフィンを含むその他のオレフィン系不飽和モノマーがある。さらに、共重合は、1000個までのα−オレフィンマクロモノマーもしくはそれ以上のモノマー単位を組み込むこともできる。
【0027】
Qは、引抜き配位子(abstractable ligands)または脱離基、及び中心金属に結合したオレフィン挿入配位子である。通常、活性化は1つ以上のQが金属から取り除かれたときに起こる。さらに、1つ以上のQが残ると、重合処理の一部として、オレフィンモノマーは中心金属−Q結合に挿入される。従って、中心金属上に残ったQは、オレフィン挿入配位子として知られる。Qは、限定されないが、ヒドリド、ヒドロカルビル、アルコキシド、アリールオキサイド、アミドまたはリンラジカルから選択されるモノアニオン性配位子を独立して含む。さらに、2つのQを一緒に用いるときは、アルキリデン、シクロメタラートヒドロカルビル(cyclometallated hydrocarbyl)、またはその他の任意の2価アニオン性キレート配位子であってもよく、またはQはジエンであってもよい。式中における典型的なQは、ジエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、セチル、2−エチルヘキシル、フェニル、ベンジル、トリメチルシリルメチル、トリエチルシリルメチル及びその類似体であり、好ましくはトリメチルシリルメチルである。Qのハロゲン原子の典型的な例は、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、好ましくは塩素である。Qのアルコキシド及びアリールオキサイドの典型的な例は、メトキシド、フェノキシド及び4−メチルフェノキシドのような置換フェノキシドである。Qのアミドの典型的な例は、ジメチルアミド、ジエチルアミド、メチルエチルアミド、ジ−t−ブチルアミド、ジイソプロピルアミド及びその類似体である。典型的なアリールアミドはジフェニルアミド及びその他の置換フェニルアミドである。Qの典型的なホスフィドは、ジフェニルホスフィド、ジシクロヘキシルホスフィド、ジエチルホスフィド、ジメチルホスフィド及びその類似体である。2つのQを一緒に用いるときの典型的なアルキリデンラジカルの例は、メチリデン、エチリデン及びプロピリデンである。2つのQを一緒に用いるときのシクロメタラートヒドロカルビルラジカルの典型的な例は、プロピレン及びブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレンの異性体である。2つのQを一緒に用いるときのジエンの典型的な例は、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,4−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン及び2,4−ヘキサジエンである。Qはさらに、少なくとも1つのトリアルキルシリル基で置換した単純なアルキル配位子であってもよい。最も好ましいQはCH2SiMe3である。
【0028】
R、R’及びR”は以下を包含する:
(i) C1−C20ヒドロカルビルラジカル;
(ii) C1−C20置換ヒドロカルビルラジカルであって、ハロゲン原子、アミド、ホスフィド、アルコキシまたはアリールオキシ基、またはルイス酸若しくは塩基性官能基を含むその他のラジカルが、1つ以上の水素原子を置換したものであり、直鎖及び分岐アルキルラジカル、環状炭化水素ラジカル、アルキル置換環状炭化水素ラジカル、芳香族ラジカル、アルキル置換芳香族ラジカルを含むラジカルで、トリフルオロメチル、ジメチルアミノメチル、ジフェニルホスフィノメチル、メトキシメチル、フェノキシエチル、トリメチルシリルメチル及びその類似体等を含むもの;及び
(iii) C1−C20ヒドロカルビル置換半金属ラジカルであって、該半金属はトリメチルシリル、トリエチルシリル、エチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、トリフェニルゲルミル及びその類似体のような13〜14元素である。
【0029】
さらに、いずれのR、またはR”も、1つ以上のR、またはR”と結合して、環状構造を形成することができる。それとは別に、R”は水素ラジカルであってもよい。
【0030】
TACNは、1,4,7−トリアザシクロノナンである。
【0031】
TANは、1,5,9−トリアザノナンである。
【0032】
TACHは、1,3,5−トリアザシクロヘキサンである。
【0033】
DACNは、1,4−ジアザシクロノナンである。
【0034】
TACDDは、1,5,9−トリアザシクロドデカンである。
【0035】
TNNCNは、1,2,6−トリアザシクロノナンである。
【0036】
TNNCHは、1,2,5−トリアザシクロヘプタンである。
【0037】
TAHは、1,4,7−トリアザヘプタンである。
【0038】
発明の詳細な説明
本発明における遷移金属錯体の触媒系は、下記の式によって表される:
(L)T(E)MQxL’y
Mは金属であり、好ましくは+3の酸化状態である。
【0039】
L、任意でT及びEは、多中心中性供与体配位子、任意の架橋及びアニオン性配位子を含み;Q(x=0〜3)は、ハロゲン化物、水素化物、ヒドロカルビル、アルコキシド、アリールオキサイド、アミドまたはホスフィドラジカルから選択される独立したモノアニオン性配位子である。Qが2以上のとき、2つのQを一緒にして、アルキリデンまたはシクロメタラートヒドロカルビル若しくはその他の2価アニオン性キレート配位子、またはジエンとしてもよく、しかし置換または無置換シクロペンタジエニルラジカルであってはならない。L’(y=0〜3)は、供与体配位子である。Qの数字は、錯体が有する負電荷の数であってもよく(すなわち、(LTE)ScCl3 −Li+のような“ate”錯体)、依然として本発明の使用に適している数字であると予想される。
【0040】
Lは、多中心配位子であり、周期表第15〜17族、オレフィン、アルキン、B−Nのpi結合、または中性カルベン基由来の供与体“ヘテロ原子”を含んでもよく、そのようなMに結合する原子は、実質的な負電荷を有しない。該中性供与体は、二座、三座、四座、またはさらに高い座数のものであってもよい。供与体基は、tacn(トリアザシクロノナン)誘導体と環状に結合することができ、鎖状、中心金属に対しての結合、またはそれらの組合わせの結合であってもよい。好ましい構造は、トリアザシクロノナン(9員環)及びヘキサヒドロトリアジン(6員環)である。金属及びアニオン供与体配位子が異なれば、最適な環サイズも異なると予想される。ヘテロ原子または中性炭素供与体間のそれぞれのリンカーは同じ組成または長さである必要はない。Lは少なくとも4電子をMに供与できる。好ましくは、Lは2以上、好ましくは3つの第15または16族原子を含む。好ましい実施形態としては、これらの原子は窒素である。好ましいLの幾何学的配置は、η5、シクロペンタジエニル方向の配位を想起させる、第15族原子の非共有電子対電子を通じて金属に配位するようなものである。
【0041】
Tは、少なくとも1つの第13〜16族原子を含む任意的な共有架橋基である。Tが存在する場合には、多中心配位子(マルチハプテイト)(multihaptate ligand)、L、とアニオン性配位子、Eを結合し、メタロサイクル断片、M(LTE)を完成させる。T鎖の長さはメタロサイクル断片の幾何学的配置に影響を与える。Tの例としては、限定されないが、ジアルキル、アルキルアリールまたはジアリール、ケイ素またはゲルマニウムラジカル、アルキルまたはアリール、ホスフィンまたはアミンラジカル、またはメチレン、エチレン及びイソプロピレンのようなヒドロカルビルラジカルが挙げられる。好ましい実施形態としては、モノアニオン性配位子に結合する多中心配位子が、多中心中性基に対する全炭素架橋を通して結合する置換フェノールである。
【0042】
Eは少なくとも1つの第14〜16元素を含むアニオン性配位子であり、置換または無置換のシクロペンタジエニル、アリル、またはその他の非局在化piアニオン、アミド、ホスファイミド若しくはホスフィドのような15族配位子、またはアリールオキサイド若しくはチオラートのような16族配位子であってもよい。
【0043】
好ましくは、EがLに架橋していない場合、Mに結合する原子上または隣接する(β)原子上で枝分れし、または多中心結合基の一部であるか、そうでなければ置換に対して立体的に込み入った形で保護されているのがよい。Eの例としては、N(SiMe3)2、ジイソプロピルフェニル、−N=PR3及び置換アミジナートが挙げられる。
【0044】
Eが置換シクロペンタジエニル配位子である場合、置換は、C5員環の形を保って環上で(環上置換(on−ring substitution))、またはヘテロ環化合物を生成して環状に(環状置換(in−ring substitution))起こり得る。環上置換は、単純な単一の置換から多数の水素原子と多座配位子との置換にまで及び、環状若しくは環上置換、または無置換のフルオレニル若しくはインデニル配位子のような溶融環系を形成する。シクロペンタジエニル配位子の重要な特徴は、5員環、実質的には平面環が保存され(ヘテロ環または同素環)、π電子を含んだものが、Mに面して配位されたことである。
【0045】
Qは、ハロゲン化物、水素化物、ヒドロカルビル、アルコキシド、アリールオキサイド、架橋オキソまたは架橋硫化物、アミドまたはホスフィドラジカルから選択される、独立したモノアニオン性配位子である。Qが2以上のとき、2つのQを一緒にして、アルキリデンまたはシクロメタラートヒドロカルビル若しくはその他の2価アニオン性キレート配位子、=NH、オキソ若しくは硫化物、またはジエンにしてもよく、しかし、置換または無置換シクロペンタジエニルラジカルであってはならない。
【0046】
L’は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、シクロオクテン、シクロオクタジエンまたはその類似物のような中性ルイス塩基であり、任意で1つまたは2つのXと共有結合する。さらに、L’は、同じ型の第2の遷移金属であってもよい。すなわち、遷移金属成分は、両遷移金属が同じ、または異なるときにはバイメタルである場合には、二成分を含んでもよい。
【0047】
好ましい実施形態としては、本発明の触媒系における遷移金属錯体は、カチオン性であると考えられ、以下の式によって表すことができる:
[(L)T(E)MQxL’y]+[NCA]−
Mは金属であって、好ましくは+3の酸化状態である。
【0048】
組成物L、T、E、M、Q、L’、x及びyは、トリアルキルアルミニウム、アルキル亜鉛、メチアルモキサン、トリアルキルホウ素及びその類似体のようなアルキル錯体の主要なグループの存在下で、触媒が使用されない場合には、好ましいQがハロゲン化物、アルコキシドまたはアミドであってはならない点を除いては、上記の中性遷移金属触媒と基本的に同じである。NCAは、遷移金属触媒錯体上の正電荷を調整する、弱または非配位性アニオンである。アルミン酸及びホウ酸パーフルオロアリールを含む非配位性アニオンは、好ましい活性剤である。これらは、ルイス酸のような方法では、多中心配位子の中性供与体原子を結合することができないものと考えられる。
【0049】
さらに、他の実施形態としては、オレフィンの重合または共重合のような、本発明に従った重合プロセスは(重合プロセスの発明)、触媒系の遷移金属錯体と活性剤を任意に接触させるステップ、該錯体とスカベンジャーを任意に接触させるステップ及び該遷移金属錯体と好ましい供給原料を接触させるステップを含む。
【0050】
好ましい実施形態としては、オレフィンの重合または共重合のような、本発明に従った重合プロセスは(重合プロセスの発明)、3族またはランタニド金属成分を活性化(イオン化)させてカチオン(触媒)にするステップ、及びそれを好ましい供給原料に接触させるステップを含む。
【0051】
前記触媒系における遷移金属錯体のいくつかの形態は活性剤を必要としないであろうことは、当業者に公知であろう。例えば、特定のカチオン性組成物または中性組成物は、直接オレフィン重合をさせることができる。さらに、低酸化状態(例えば+3より小さい)の触媒系の遷移金属錯体における特定の組成物は、活性剤またはスカベンジャーとの接触により、オレフィン重合が可能となるであろうことが知られる。例えば、L’またはQが形式的に中性またはジアニオン配位子であると考えられるジエンである場合、重合活性はオレフィンとの接触により、または活性剤及び/またはスカベンジャーとの処理後において直接観察できるであろうことが、当業者に理解されるであろう。同様に、L’がシクロオクテンまたはシクロオクタジエンである場合、結合オレフィンのプロトン化は、結果としてカチオン性金属−アルキル錯体を生じ、その前駆体錯体よりも形式的に酸化状態が2高く、十分に重合を行うことができる。
【0052】
これらの供給原料は、単独重合のための1種のモノマーを優位を占めて含む;これらは共重合反応のためのモノマー混合物を含んでいる。好ましい供給原料は、エチレン、C3−C20のαオレフィン、C5−C20のジオレフィン、アセチレン系不飽和モノマーまたはその他の不飽和モノマーの任意の適当な混合物から作られる。触媒は、適当な液体または気体重合希釈剤中において、任意に溶解、懸濁または流動化させたりすることができる。該触媒は、アルモキサン、修飾アルモキサン、非配位性アニオン活性剤、ルイス酸またはその類似体(単独または組合わせて)を用いて活性化し、アルミニウム対非配位性アニオンまたはルイス酸対遷移金属のモル比は、約1:10〜約20,000:1またはそれを超えてもよい。該触媒は、1つまたは複数の前記モノマーと約−100℃〜約300℃、約1秒間〜約10時間において反応し、約1000〜約5,000,000の重量平均分子量またはそれより小さくても大きくてもよい、及び約1.5〜約15またはそれ以上の分子量分布を有するポリオレフィンを生成する。
【0053】
さらに、別の実施形態においては、金属錯体は以下の式によって表される:
【0054】
【化1】
【0055】
Mは+3の酸化状態の金属である。
【0056】
LTEは多座配位子である;Qは、ハロゲン化物、水素化物、ヒドロカルビル、アルコキシド、アリールオキサイド、アミドまたはホスフィドラジカルから選択される独立したモノアニオン性配位子である。2つのQを組合わせて、アルキリデンまたはシクロメタラートヒドロカルビル若しくはその他の2価アニオン性キレート配位子、またはジエンであってもよく、しかし置換または無置換シクロペンタジエニルラジカルであってはならない。
【0057】
Lは、少なくとも2つ、好ましくは3つの15族または16族原子を含むバルク、中性多座配位子である。好ましい実施形態においては、これらの原子は窒素である。Lの幾何学的配置は、第15族原子の非共有電子対電子を通じて金属に配位するような配置である。配位子構造は、非共有電子対電子を、金属の境界部分であるd軌道と重なり、η5、シクロペンタジエニル方向への配位を想起させるように適応させる。
【0058】
Tは、少なくとも1つの第13〜16族原子を含む任意的な共有架橋基である。Tが存在する場合には、多座配位子、L、とアニオン性配位子、Eを結合し、メタロサイクル断片、M(LTE)を完成させる。T鎖の長さはメタロサイクル断片の幾何学的配置に影響を与える。Tの例としては、限定されないが、ジアルキル、アルキルアリールまたはジアリール、ケイ素またはゲルマニウムラジカル、アルキルまたはアリール、ホスフィンまたはアミンラジカル、またはメチレン、エチレン及びイソプロピレンのようなヒドロカルビルラジカルが挙げられる。
【0059】
Eは少なくとも1つの第14〜16元素を含むアニオン性配位子であり、置換または無置換のシクロペンタジエニル、窒素若しくはリンのような15族配位子、または酸素若しくは硫黄のような16族元素であってもよい。
【0060】
Eが置換シクロペンタジエニル配位子である場合、置換は、C5員環の形を保って環上に(環上置換)、またはヘテロ環化合物を生成して環状に(環状置換)起こり得る。環上置換は、単純な単一の置換から多数の水素原子と多座配位子との置換にまで及び、環状若しくは環上置換、または無置換のフルオレニル若しくはインデニル配位子のような溶融環系を形成する。シクロペンタジエニル配位子の重要な特徴は、5員環、実質的には平面環が保存され(ヘテロ環または同素環)、π電子を含んだものが、Mに面して配位されたことである。
【0061】
L’は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、またはその類似体のような中性ルイス塩基であり、任意で1つまたは2つのXと共有結合する。さらに、L’は、同じ型の第2の遷移金属であってもよい。すなわち、遷移金属成分は、両遷移金属が同じであるか、これらが異なるときにはバイメタルである場合には、二成分を含んでもよい。
【0062】
オレフィン重合を活性化させるカチオンの形態では、遷移金属錯体は、以下の式で表されると考えられる:
【0063】
【化2】
【0064】
M、T、E、L、Q及びL’は上記に定義される通りであり、NCAは、カチオン性錯体の電荷を調整する弱配位性または非配位性アニオンである。
【0065】
さらに、別の実施形態においては、該触媒系の遷移金属成分は以下の式を有する:
【0066】
【化3】
【0067】
【化4】
【0068】
M、T、E、L、Q及びC’は上記に定義される通りである。
【0069】
あるいは、JR’zはD、Eに示すような構造である。Jは、15または16族元素である;Jが15族元素である場合、zは2であり、Jが16族元素である場合、zは1である。R、R’及びR”は以下に定義する。
【0070】
【化5】
【0071】
【化6】
【0072】
さらに、他の実施形態においては、多座配位子は、配位子の多座中性部分に対する全炭素架橋を形成する置換フェノール結合を通してモノアニオン性配位子に結合する。図6を参照されたい。
【0073】
以下に示す構造は、本発明の範囲内である配位子及び/または触媒前駆体の例を表す。このリストは本発明の全範囲を定めるものではなく、むしろ典型例を示しただけである。
【0074】
【化7】
【0075】
本発明に従う金属錯体は、種々の従来方法によって調整することができる。
【0076】
本発明に従う金属錯体(触媒前駆体)は、メタロセン技術において公知の方法によって活性化させる場合、重合に適している。適当な活性剤としては、アルモキサン化合物、修飾アルモキサン化合物が挙げられ、及び金属錯体カチオンを生成し、電荷調整非配位性または弱配位性アニオンを提供するσ結合金属配位子であって、反応性のものを引抜くイオン化アニオン前駆体化合物が一般的に挙げられる。
【0077】
アルキルアルモキサン及び修飾アルキルアルモキサンは、触媒活性剤として好適であり、特に引抜き配位子(abstractable ligand)がハロゲン化物であるときに適している。触媒活性剤として有用なアルモキサン成分は、その他の構造変異体も存在するが、一般式(R2−Al−O)m、(環式)またはR3(R4−Al−O)mAlR5(鎖式)で表される、通常、オリゴマーアルミニウム成分である。一般的なアルモキサン式において、各R2〜R5はそれぞれ独立したC1〜C20のヒドロカルビルラジカルであり、例えば、メチル、エチル、及びプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル若しくはイコシルの異性体である。また、mは1〜約50の整数である。最も好ましくは、R2〜R5はメチルであり、mが少なくとも4である。ハロゲン化アルキルアルミニウムがアルモキサン調製物中で使用される場合、R2〜R5はハロゲン化物であってもよい。アルモキサンは当業者に公知の種々の方法で調製できる。例えば、アルミニウムアルキルは不活性有機溶媒の水溶液を用いて処理してもよく、または不活性有機溶媒中に懸濁させた硫酸銅水和物のような水和塩に接触させて、アルモキサンを得てもよい。一般的に、どのように調製しても、アルミニウムアルキルと限定量の水とを反応させると、鎖式及び環式アルモキサンの混合物を生成する。修飾及び非修飾メチルアルモキサンは好ましい。さらに、異なるアルモキサン及び修飾アルモキサンの混合物も使用できる。詳細は、米国特許第4,665,208号、4,952,540号、5,041,584号、5,091,352号、5,206,199号、5,204,419号、4,874,734号、4,924,018号、4,908,463号、4,968,827号、5,329,032号、5,248,801号、5,235,081号、5,157,137号、5,103,031号及び欧州特許第0 561 476号A1、欧州特許第0 279 586号B1、欧州特許第0 516 476号A、欧州特許第0 594 218号A1及び国際公開第WO94/10180号を参照されたい。
【0078】
活性剤がアルモキサンである場合、金属錯体対活性剤の最小のモル比は等比〜約1:5000であり、好ましくは約1:500、及び最も好ましくは約1:100である。金属錯体対活性剤の最大のモル比は約1:1、及び最も好ましくは約1:10である。
【0079】
“非配位性アニオン”の語は、金属カチオンに配位しない、またはオレフィン系若しくはアセチレン系不飽和モノマーのような中性ルイス塩基が置換できるような十分に弱い配位であるときのみ金属カチオンに配位する場合のいずれかであるアニオンを意味するものと認識され、上述の通りNCAの記号で表される。
【0080】
遷移金属カチオン錯体及び非配位性アニオンと共に用いるイオン触媒の詳細は、米国特許第5,064,802号、5,132,380号、5,198,401号、5,278,119号、5,321,106号、5,347,024号、5,408,017号、5,599,671号及び国際公開第WO92/00333号及び第WO93/14132号に適当な重合が示されている。これらは、メタロセンが非配位性アニオン前駆体によってプロトン化される好適な調製方法を教示し、例えばアルキルまたはヒドリド基は、非配位性アニオンによってカチオン及び電荷平衡の両方の状態になって遷移金属化合物から引抜かれる。類似の配位子が本発明の金属化合物中に存在できるので、類似の重合触媒活性化方法も生じ得る。ベンジルは好ましい引抜きヒドロカルビルラジカルである。
【0081】
さらに、活性プロトンが不足しているが、活性金属カチオン錯体及び非配位性アニオンの両方を生成できるイオン化合物の使用が可能である。欧州特許第0 426 637号A、欧州特許第0 573 403号A及び米国特許第5,387,568号のイオン化合物を例として参照されたい。イオン化合物の反応性カチオンは、ブレンステッド酸の他に、フェロセニウム、銀、トロピリウム、トリフェニルカルベニウム及びトリエチルシリリウム並びにナトリウム、マグネシウム若しくはリチウムカチオンのようなアルカリ及びアルカリ土類金属カチオンが挙げられる。さらに、適当な非配位性アニオン前駆体の種類としては、上記のアルカリ及びアルカリ土類金属カチオン及び非配位性アニオンを含有する水和塩がある。水和塩は金属カチオン非配位性アニオン塩と水を反応させることによって作られ、例えば[Li(H2O)x]+[B(pfp)4]−を生成する市販の加水分解物または容易に合成する [Li]+[B(pfp)4]−がある:pfpは、ペンタフルオロフェニルまたはパーフルオロフェニルである。
【0082】
適合性で、弱または無視できる程度の微量の配位性錯体を形成できる任意の金属または半金属は、非配位性アニオン中で使用または含むことができる。適当な金属としては、限定されないが、アルミニウム、金及び白金が挙げられる。適当な半金属としては、限定されないが、ホウ素、リン及びケイ素が挙げられる。上段の引用文献中における非配位性アニオン及びそれらの前駆体の記載は、米国特許実務の目的に沿って参考として組み込まれる。
【0083】
本発明の活性重合触媒を生成する別の方法は、最初は中性ルイス酸であるが、カチオン金属錯体及び非配位性アニオンを生成する、または本発明の化合物と反応して両性イオン錯体を生成するイオン化アニオン前駆体を用いる。例えば、ヒドロカルビルまたは水素配位子を引抜いて、本発明のカチオン金属錯体及び安定性非配位性アニオンを生成するトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素またはアルミニウム挙動があり、4族メタロセン類縁化合物を示した欧州特許第0 427 697号A及び欧州特許第0 520 732号Aを参照されたい。また、欧州特許第0 495 375号Aの方法及び化合物も参照されたい。4族メタロセン類縁化合物を用いた両性イオン錯体の構造は、米国特許第5,624,878号、第5,486,632号及び第5,527,929号を参照されたい。これらの文献中における非配位性アニオン及びそれらの前駆体の記載は、米国特許実務の目的に沿って参考として組み込まれる。
【0084】
非配位性アニオン前駆体のカチオンが、プロトン若しくはプロトン化ルイス塩基(水を除く)のようなブレンステッド酸、またはフェロセニウム若しくは銀カチオンのような還元性ルイス酸、またはナトリウム、マグネシウム若しくはリチウムのようなアルカリ若しくはアルカリ土類金属カチオンである場合、遷移金属対活性剤のモル比は任意の比でよい。該モル比はいずれの値も取り得るが、その最小値は好ましくは約1:10であり、より好ましくは約1:5、さらに好ましくは約1:12である。遷移金属対活性剤の遷移金属が最大となるモル比は、好ましくは約10:1であり、より好ましくは約5:1、さらに好ましくは1.2:1である。最も好ましくは遷移金属対活性剤のモル比は1:1である。また、記載されている活性剤化合物の組合わせも活性化に使用できる。例えば、トリス(パーフルオロフェニル)ホウ素はメチルアルモキサンと併せて使用できる。
【0085】
本発明の触媒錯体は、従来メタロセン触媒化や、溶融重合、スラリー重合、気相重合及び高圧重合のような配位重合が行われてきたことが知られる不飽和モノマーの重合に有用である。これらの触媒は担持されていてもよく、それらは単流、直列または並列の反応器で処理される固定層、移動層、流動層、スラリー若しくは溶解処理の方法において特に有用であることが公知である。
【0086】
一般的に、本発明の触媒を使用するとき、特に担持して固定したときには、完全な触媒系はさらに1つ以上のスカベンジャー化合物を含有する。ここで、“スカベンジャー化合物”の語は反応環境から極性不純物を取り除く化合物を意味する。不純物は、任意の重合反応化合物、特に溶媒、モノマー及び触媒原料とともに何らかの事情で取り込まれ得る。
【0087】
これらの不純物は触媒活性及び安定性に不利に作用する。特にイオン化アニオン前駆体が触媒系を活性化する際に、触媒活性を減少または失わせる。極性不純物または触媒毒は、水、酸素、金属不純物等が挙げられる。好ましくは、精製ステップは反応容器に反応化合物を取り込む前に行うのがよい。このようなステップとして、種々成分の合成若しくは調製の間または後に行う化学処理または慎重に行う分離が挙げられる。しかし、このようなステップにおいて、スカベンジャー化合物の使用がなければほとんど重合は可能とならない。通常は、重合プロセスではどんなに少量であっても依然としてスカベンジャー化合物を使用する。
【0088】
一般的に、スカベンジャー化合物は、米国特許第5,153,157号、第5,241,025号及び国際公開第WO91/09882号A、第WO94/03506号A、WOWO93/14132号A及びWO95/07941号の第13族有機金属化合物のような有機金属化合物である。典型的な化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリイソブチルアルミニウム、メチルアルモキサン、イソブチルアルミニウムモキサン及びトリ−n−オクチルアルミニウムが挙げられる。金属または半金属中心に共有結合したバルクまたはC6−C20の鎖式ヒドロカルビル置換を有するこれらのスカベンジャー化合物は、活性触媒の不利な相互作用を最小限に抑えるので好ましい。実施例はトリエチルアルミニウムを含むが、より好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、トリイソフェニルアルミニウムのようなバルク化合物及びトリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム若しくはトリ−n−ドデシルアルミニウムのような長直鎖状アルキル置換アルミニウム化合物である。アルモキサンが活性剤として使用される場合、活性に必要な量を超えたいずれの超過分も不純物を除去するであろうから、追加のスカベンジャー化合物は必要ではない。さらに、アルモキサンは、例えばメチルアルモキサン、[Me2HNPh]+[B(pfp)4]−若しくはB(pfp)3のようなその他の活性剤と共に不純物を除去する量として加えてもよい。本発明においては、活性を高めるために十分量のスカベンジャー剤のみ使用される:十分に純粋な原料は、スカベンジャー剤を完全に無効にする。
【0089】
本発明の触媒は、気相、バルク、若しくはスラリー重合用途または別の方法で必要に応じて担体とすることができる。触媒のための多数の担持方法がオレフィン共重合の分野、特にアルモキサン−活性触媒で公知である;いずれにおいても本発明の最も広範な実施に適している。例えば、米国特許第5,057,475号及び第5,227,440号を参照されたい。担持イオン触媒の例は、國際公開第WO94/03056号に表されている。米国特許第5,643,847号及び國際公開第WO96/04319号Aには、特に効果的な方法が記載されている。本発明のアルモキサンで活性化された担持金属錯体を用いたバルクまたはスラリープロセスは、米国特許第5,001,205号及び5,229,478号に記載されているように、エチレンプロピレンゴムに使用できる。さらに、これらのプロセスは本発明の触媒系に適している。ポリマー及び無機酸化物の両方は、当業界で知られるように、担体として働くことができる。米国特許第5,422,325号、第5,427,991号、第5,498,582号及び第5,466,649号及び国際公開公報第WO93/11172号及びWO94/07928号を参照されたい。これらすべての文献は米国特許実務の目的に沿って引例として組み込まれる。
【0090】
好ましい実施形態は、液相中(溶液、スラリー、懸濁液、バルク相または適当な組合わせ)、高圧、液体若しくは超臨界流体相中、または気相中で、該触媒系を使用する。それぞれ、単流、並列または直列反応器において使用できる。液体プロセスは、上記の触媒系とオレフィンモノマーの接触を含む。反応は、適当な希釈剤または溶媒中、本発明のコポリマーを生成するのに十分な時間で行う。脂肪族及び芳香族ヒドロカルビル溶媒はいずれも適している;ヘキサン及びトルエンは好ましい。一般的に、バルク及びスラリープロセス中、液体モノマースラリーは担持触媒に接触する。気相プロセスは一般的に、担持触媒を使用し、エチレン単独または共重合に適した任意の方法で行われる。米国特許第4,543,399号、第4,588,790号、第5,028,670号、第5,382,638号、第5,352,749号、第5,436,304号、第5,453,471号及び第5,463,999号及び国際公開第WO95/07942号に例が示されている。各々は米国特許実務の目的に沿って引例として組み込まれる。
【0091】
重合反応温度は様々な値を取り得る。最小の反応温度は約−50℃;好ましくは最小で約−20℃である。最大温度は約250℃、好ましくは約220℃以下である。最も好ましくは、反応温度は約200℃以下である。
【0092】
高及び超高分子量ポリエチレンなどの鎖式ポリエチレンは、エチレン及び任意で1つ以上のその他のモノマーを加えることによって、本発明の触媒とともに反応槽で生成される。該ポリマーは、ホモポリマー及びその他のα−オレフィン、α−オレフィン系ジオレフィン若しくは非共役ジオレフィンモノマー、例えばC3−C20オレフィン、C4−C20ジオレフィン、C4−C20環状オレフィンまたはC8−C20スチレン系オレフィンとのコポリマーが挙げられる。本発明の触媒は、まずヘキサンやトルエンのような溶媒でスラリーまたは溶解させる。ほとんどの場合、冷却により重合熱を除去する。気相重合は例えば、連続的に、流動層中、気相反応器を約200〜3000kPa及び約60〜160℃の間で操作し、反応調整剤として水素を用いて(100〜200ppm)、C4−C8コモノマー原料流出(0.5〜12mol%)、及びC2原料流出(25〜35mol%)で行うことができる。米国特許第4,543,399号;4,588,790号;5,028,670号;5,405,922号及び5,462,999号を参照されたい。これらは、米国特許実務の目的に従って引例として組み込まれる。
【0093】
高分子量及び低結晶化度のエチレン−α−オレフィン(エチレン環状オレフィン及びエチレン−α−オレフィンジオレフィンなど)エラストマーは、従来の溶液重合条件下または重合希釈剤及び触媒のスラリーにエチレンガスを取り込むことによって、本発明の触媒を用いて調製できる。重合希釈剤は、αオレフィンモノマー、環状オレフィンモノマーまたはそれらの混合物をその他の重合可能な及び重合可能でないモノマーとともに含有する。この場合、重合反応圧力もやはり様々な値を取り得る。最小圧力は約0.0013barであり、少なくとも約0.1barの圧力であることがより好ましい。最も好ましくは、反応圧力は、少なくとも約1.0barである。最大圧力は、約2500barであり、大きくとも約1600barがより好ましい。最も好ましい最大圧力は約500barである。一般的なエチレンの圧力は、10〜1000psig(69〜6895kPa)の間であり、重合希釈温度は一般的には、−10〜160℃の間である。該プロセスは攪拌層反応器、または直列若しくは並列に処理される2つ以上の反応器を用いることができる。米国特許第5,001,205号の全体的な記載を参照されたい。また、この中の重合プロセス、イオン活性剤及び有用なスカベンジャー化合物の記載は引例として組み込まれる。
【0094】
スラリーまたは気相反応プロセスは、さらに、ポリマー粒子形態性を制御するために本発明の担持触媒のプレ重合を用いることができ、当業者に周知である。例えば、そのような反応は、C2−C6αオレフィンを制限時間内でプレ重合させることによって達成できる。エチレンは−15℃〜30℃の間で担持触媒に接触し、エチレンの圧力が約250psig(1724kPa)以下、75分間で該担体をポリエチレンで被覆したものが得られる(分子量30,000〜150,000)。上記の重合プロセスは、その後、プレ重合触媒を用いることができる。さらに、ポリマー樹脂は、一般的に溶解ポリスチレン樹脂または類似物質中に担体を懸濁して、次に分離、乾燥させることにより担体被覆として用いることができる。
【0095】
具体的に上記したもののほかに、その他のオレフィン系不飽和モノマーは、本発明の触媒を用いて重合できる。例えば、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセンや、シクロペンテン、ノルボルネン及びアルキル置換ノルボルネンのようなその他の環状オレフィンを含むその他のオレフィン系不飽和モノマーである。さらに、共重合はモノマー単位1000までのαオレフィンマクロモノマーを組み込むこともでき、またはそれより多いモノマー単位であってもよい。
【0096】
本発明の触媒組成物は、上述の通り、単独で用いることができ、またはその他の公知の重合触媒を混合してポリマーブレンドを調製してもよい。モノマー及び触媒選択により、個々の触媒を使用したときと類似の条件下でポリマーブレンド調製が可能となる。従って、改良されたプロセスのために用いられる増加したMWD(分子量分布)を有するポリマーが達成され、及び混合触媒系を用いて生成したポリマーから得られるその他の従来の有用な利点を得ることが達成される。
【0097】
実施例
以下の実施例は上述の議論を説明する。該実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示すが、いずれの具体的方法においても本発明を限定するものではない。これらの実施例において、記載の容易のため、いくつかの略称を使用する。これらは、元素の標準的な化学的略語及び一般的に受け入れられている特定の略称が挙げられる。例えば、Me=メチル、Et=エチル、Bu=ブチル、Ph=フェニル、MAO=メチルアルモキサン、及びTHF=テトラヒドロフランである。
【0098】
すべての割合、比率及びパーセントは、特に示さない限り重量による。すべての分子量は、特に記さない限り重量平均分子量とする。分子量(重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn))は、特に記さない限り、示差屈折率検出器を備えたウォーターズ150ゲル浸透クロマトグラフィーを用いてゲル浸透クロマトグラフィーによって測定し、ポリスチレン標準試料により較正した。試料は、3つのShodex GPC AT−80M/Sカラムを直列に用いて、試料の溶解度によりTHF(45℃)または1,2,4−トリクロロベンゼン(145℃)のいずれかに流した。この一般的技術は“Liquid Chromatography of Polymers and Related Materials III”J.Cazes Ed.,Marcel Decker,1981,207頁に議論されており、米国の特許実務に従い引例により本明細書に組み込まれる。カラムの拡散に対する補正は行っていない。しかし、一般に認められている標準データ、(例えば米国規格基準局のポリエチレン1475)により、溶出時間から算出したMw/Mnは0.1単位の精度であることが証明された。ウォーターズ株式会社(Waters Corporation)の市販のソフトウェアExpert Ease(登録商標)を用いて数値解析を行った。“psid”の語は、モノマー追加の結果生じた差圧を示す。
【0099】
すべての調製は、特に示さない限り、不活性な窒素雰囲気下、標準的なシュレンクまたはグローブボックス技術を用いて行った。乾燥溶媒は、無水、空気を含まない状態でアルドリッチ社から購入し、使用する前に脱ガス及びナトリウム/ベンゾフェノン(THF、ジエチルエーテル)五酸化リン(塩化メチレン)またはCaH2(ペンタン)から真空移動させた。もしこれらの追加ステップを行わない場合、いくつかの化合物が溶液処理中わずかなppt濃度の不溶物として観察されることがある。重合実験中用いるトルエン(高純度品、エクソンモービル・ケミカル社)は、担持還元銅スカベンジャーと分子ふるい(Oxyclear)カラム及び活性アルミナ(基準、Brockmann 1)カラムを通過させた。エチレン(高純度品、エクソンモービル・ケミカル社)も同様に精製した。無水及び空気を含まない状態で入手したヘキセンを、さらに窒素を用いて散布した。重水素を含む溶媒を、使用する前に脱ガスし、ナトリウム/ベンゾフェノン(THF)またはCaH2(ベンゼン、トルエン、C6D5Br、塩化メチレン)から真空移動させた。Y(CH2SiMe3)3(THF)n(n〜2.3)はLappertとPearceの方法(J.C.S.Chem.Comm.(1973)126)に従って調製できるが、ScCl3はアルドリッチ社から、YCl3はストレム社(Strem)から購入した。配位子R2tacn−6−CH2−Ar−1−OH(L2R=Me、Ar=2,4−tBu2;L3R=iPr、Ar=2,4−Me2)は外部の供給業者から購入したが、Tolmanらの方法(J.Am.Chem.Soc.,119(1997)8217)に従って作成することができる。トリエチルヘキサヒドロトリアジン、Et3htz(1,3,5−トリエチル−[1,3,5]トリアザシクロヘキサン)はアルドリッチ社から購入した(CaH2で乾燥させ、ろ過したもの)。親核となるトリアザシクロノナン、トリアザ[1,4,7]シクロノナンはアルドリッチ社またはマクロサイクリックス社(Macrocyclics)から購入した。トリメチル誘導体1,4,7−トリメチル−トリアザ[1,4,7]シクロノナンは、Wiegahardt et al.(Inorg.Chem,21(1982)3086)に記載されているように、親核となるマクロサイクルと蟻酸中のホルムアルデヒドを処理することによって作られる。2,6−ジイソプロピルフェノール(2,6−1Pr2C6H3OK)のカリウム塩は、フェノールと過剰なTHF中のKHとを処理することによって作られる。
【0100】
実施例 配位子1:
L2K(Me2tacn−6−CH2−2,4−tBu2−C6H3−1−OK)の合成。
【0101】
Me2tacn−6−CH2−2,4−tBu2−C6H3−1−OHを0.208g含有する25mLのTHFに、気体発生を引き起こす0.029gのKHをゆっくりと加えた。約0.060gの追加のKHを同様にして加えた。一晩中攪拌した後、オレンジブラウンの溶液をセライトでろ過し、THFで洗浄した。また、溶媒は真空状態で除去した。残留物は剥離したペンタンと一緒に攪拌した。−35℃において再結晶化を試み、数ppt濃度を産出したが結晶ではなかった。従って、溶媒を剥ぎ取り、lH−NMR解析により所望の生成物であることが同定された0.177g(77%収量)のオレンジブラウンの物質を産出した。
【0102】
実施例 触媒1:
L2ScCl2((Me2tacn−6−CH2−2,4−tBu2−C6H3−1−O)ScCl2)の合成。
【0103】
ScCl3、0.066gを約25分還流させた還流THF50mLに加え、熱を除去した。約1mLのTHF−d8に溶解させた前述の実施例から得たL2Kの全試料を約20mLのTHFで希釈し、ゆっくりと一滴ずつScCl3溶液にかき混ぜながら加えた。次の日に、部分標本をlH−NMR解析のために取り除き、残留物を真空状態で剥離した。残留物は塩化メチレンを用いて抽出、媒体フリット上でろ過し、レッドブラウンの固体を取り除いた。そして、ろ液を乾燥して揮散させると0.142g(70%収量)の軽い固体を生じ、そのlH−NMRは所望の構造と一致した。
【0104】
実施例 触媒2:
Me3tacn(ArO)ScCl2(Ar=2,6−lPr2Ph)の合成。
【0105】
ScCl3、0.350gを約25分還流させた還流THF50mLに加え、熱を除去した。冷却後、0.410gのMe3tacnを、一過性の薄紫着色を引き起こす0.502gの固体2,6−lPr2PhOKに続いて加えた。一晩中攪拌した後、白色の線状沈殿が観察された。溶媒は真空状態で取り除き、固体は真空状態で取り除いた塩化メチレンと一緒に粉砕した。該固体は真空状態で取り除いたTHFと意図せずに一緒に粉砕したので、塩化メチレンとの粉砕を再度行った。その後残留物を抽出して、塩化メチレンに加えた。そして該混合物は、中多孔質フリット(medium porosity frit)でろ過、塩化メチレンで洗浄し、また、該ろ液は真空状態で乾燥減量させ、黄白色の粉末0.784g(73%収量)を得た。そして、その1H−NMRは所望の構造と一致した。
【0106】
実施例 触媒3:
Et3htz(ArO)ScCl2(Ar=2,6−1Pr2Ph)の合成。
【0107】
ScCl3、0.350gを約25分還流させた還流THF50mLに加え、熱を除去した。冷却後、0.412gのEt3htz(トリエチルヘキサヒドロトリアジン)を0.509gの固体2,6−1Pr2PhOKを加えた後に加えた。攪拌後、溶液は乳白色となった。溶媒は真空下で除去し、該固体を真空下で除去した塩化メチレンと一緒に粉砕した。その後残留物を抽出して、塩化メチレンに加えた。そして該混合物は、中多孔質フリットでろ過、塩化メチレンで洗浄し、また、該ろ液は真空状態で乾燥減量させ、白色の粉末0.780g(73%収量)を得た。そして、その1H−NMRは所望の構造と一致した。
【0108】
実施例 触媒4:
L1Y(CH2SiMe3)2((iPr2tacn−6−CH2−2,4−tBu2−C6H3−1−O)Y(CH2SiMe3)2)の合成。
【0109】
トルエン5〜10mL中L1Hを0.204g含む−35℃の溶液を、トルエン5〜10mL中Y(CH2SiMe3)3(THF)2.3を0.239gを含む−35℃の溶液に一滴ずつ加えた。2時間温めた後、溶媒を真空下で取り除いた。固体を数mLのペンタンと一緒に粉砕し、−35℃まで冷却した。沈殿物をろ過により収集し、真空下で乾燥することで白色固体0.223g(69%収量)を得た。その1H−NMRは所望の構造と一致した。
【0110】
実施例 重合1:
L2ScCl2を用いたガラス瓶重合。
【0111】
ガラス瓶を用いた重合試験において、20mlのガラス瓶を0.002gの(1)、トルエン10mL、30wt%アルベマール社製MAO1.58gで攪拌棒を用いて満たした。ガラス瓶の上端部に隔膜を取り付け、1atmエチレンを上部隙間から追い出した。攪拌後、固体が生じた。45分後、該溶液をメタノールで急冷し、その後25mLの1N HClと一緒にかき混ぜ、さらに酸化アルミニウムを溶解させるために12mLの4N HClとかき混ぜた。試料をろ過し、水で洗浄してから真空下、80℃で一晩中乾燥させた。ろ紙から回収した量は、0.007gであった。
【0112】
実施例 重合2:
実施例 触媒1(L2ScCl2)を用いたオートクレーブ(加圧減菌)重合。
【0113】
2Lのジッパークレーブ(Zipperclave)反応容器を、800mLトルエン及び1mLアルベマール社製10wt%MAOで満たし、60℃まで温めた。次に、1を0.0050g計って分け、2mLのアルベマール社製10wt%MAOと一緒にかき混ぜた。この溶液を反応容器に入れ、その後75psidのエチレンで加圧及び800〜1000rpmで攪拌した。60分後、反応容器を開けて、該物質をイソプロパノールに注ぎ、酸性メタノールで処理し、及び溶媒は空気を流して乾燥させた。この物質を新しい酸性メタノールと一緒に攪拌、ろ過してから水で洗浄し、真空下80℃で一晩中乾燥させて、白色ポリエチレン0.306gを得た。
【0114】
実施例 重合3:
物質及び配合量を変えた重合を実施例重合2の手順に従って行った。物質及び配合量は表1に示す。遷移金属錯体またはメチルアルモキサンのいずれも反応容器に加えていない空実験を行い有意な重合反応にとって両成分の存在が必要であることを示した。
【0115】
【表1】
【0116】
実施例 重合9:
実施例触媒4(L1Y(CH2SiMe3)2)を用いたオートクレーブ(加圧減菌)重合。
【0117】
重合開始を、5mLトルエンに5mgの触媒4を加えたものを2mLの10wt%MAOを含んだ反応容器に加え、約0.2g以下のポリマーを生成させた以外は実施例重合2の条件で試みた。同様に、6mgの触媒4及び7mgのジメチルアニリニウム・テトラキスペンタフルオロフェニルボラートを含む12mLトルエンから作った5mL溶液を、反応容器に0.050mLのトリイソブチルアルミニウム(25wt%トルエン溶液)と一緒に加えて、ごく微量のポリマーを得た。イットリウム上のアルキル基置換は小さい方が、重合性能を向上させると考えられる。
Claims (64)
- 以下を含有する重合触媒前駆体:
(a)金属;
(b)少なくとも2つの第15族成分を含有し、そのうちの少なくとも1つの第15族成分が前記金属に結合する、中性、多座配位子;
(c)前記金属に結合するモノアニオン;
(d)前記モノアニオンと前記多座配位子を架橋する架橋;
(e)引抜き配位子(abstractable ligand);及び
(f)オレフィン挿入配位子 - さらに、前記モノアニオンと前記多座配位子を架橋する架橋を含む、請求項1に記載の触媒前駆体。
- 多座配位子が、少なくとも3つの第15族成分を含有する、請求項2に記載の触媒前駆体。
- 少なくとも1つの第15族成分が、置換または無置換の有機基に結合する、請求項3に記載の触媒前駆体。
- さらに、少なくとも2つの第15族成分間に結合する少なくとも1つの第14族成分を含有する、請求項4に記載の触媒前駆体。
- 少なくとも1つの第15族成分が、置換または無置換の有機基に結合する、請求項1に記載の触媒前駆体。
- 多座配位子が、少なくとも2つの第15族成分を含む環を含有する、請求項6に記載の触媒前駆体。
- 前記環が少なくとも3つの第15族成分を含む、請求項7に記載の触媒前駆体。
- 前記環がさらに、少なくとも2つの第15族成分間に結合する少なくとも1つの第14族成分を含む、請求項8に記載の触媒前駆体。
- 前記架橋が少なくとも1つの第13〜16族元素を含む、請求項2に記載の触媒前駆体。
- 前記金属が第3、4、5、6、7、8、9または10族から選択される、請求項10に記載の触媒前駆体。
- 前記金属が第3族遷移金属である、請求項10に記載の触媒前駆体。
- 前記金属が第4族遷移金属である、請求項10に記載の触媒前駆体。
- 前記金属が第5族遷移金属である、請求項10に記載の触媒前駆体。
- 前記金属が第6族遷移金属である、請求項10に記載の触媒前駆体。
- 前記金属が第7族遷移金属である、請求項10に記載の触媒前駆体。
- 前記金属が第8族遷移金属である、請求項10に記載の触媒前駆体。
- 前記金属が第9族遷移金属である、請求項10に記載の触媒前駆体。
- 前記金属が第10族遷移金属である、請求項10に記載の触媒前駆体。
- 以下を含有する重合触媒前駆体:
(a)+3の酸化状態の金属;
(b)以下を含む多座配位子:
(i)少なくとも2つの第15族成分を含む環であって、それぞれ少なくとも1つの第14族成分を通してお互いに架橋し、該環は前記金属に結合し、それぞれの第15族成分は任意で置換または無置換の有機基に結合する環;
(ii)前記金属に結合するモノアニオン;及び
(iii)該モノアニオンと該環を結合する架橋。 - 以下の工程を含むオレフィン重合方法:
(a)モノマーを提供する工程;
(b)以下を含有する重合触媒を提供する工程:
(i)+3の酸化状態の金属;
(ii)以下を含む多座配位子:
(iii)少なくとも2つの第15族成分を含んだ置換部分であって、それぞれが少なくとも1つの第14族成分を通してお互いに架橋し、該置換部分は前記金属に結合し、各第15族成分は任意に置換または無置換の有機基に結合するもの;
(iv)前記金属に結合するモノアニオン;及び
(v)前記モノアニオンと前記置換部分を結合する架橋。
(c)適当な重合条件下、前記モノマーを前記触媒と接触させる工程。 - 多座配位子が少なくとも3つの第15族成分を含む、請求項14に記載の方法。
- 置換部分が少なくとも2つの第15族成分を含んだ環を含有する、請求項14に記載の方法。
- 多座配位子が少なくとも3つの第15族成分を含んだ環を含有する、請求項16に記載の方法。
- 架橋が少なくとも1つの第13〜16元素を含有する、請求項14に記載の方法。
- 以下の工程を含むオレフィン重合方法:
(a) モノマーを提供する工程であって、
(i)以下を含有する重合触媒前駆体を提供する工程:
(ii)+3の酸化状態の金属;
(iii)多座配位子であって、置換部分は少なくとも2つの第15族成分を含み、それぞれが少なくとも1つの第14族成分を通してお互いに架橋し、該置換部分は前記金属に結合し、各第15族成分は任意に置換または無置換の有機基に結合するもの。さらに、該多座配位子は前記金属に結合するモノアニオンを含み、及び該モノアニオンが前記置換部分に結合する架橋を含む。
(b) 活性剤を提供する工程;
(c) 活性剤を用いて触媒前駆体を活性化させる工程;及び
(d) 適当な重合条件下で、前記モノマーと活性触媒を接触させる工程。 - 以下を含有する、適当なモノマーと触媒前駆体を接触させることにより調製されるポリマー:
(a) +3の酸化状態の金属;
(i)少なくとも2つの第15族成分を含み、そのうちの少なくとも1つの第15族成分が前記金属に結合する、中性、多座配位子
(ii)前記金属に結合するモノアニオンを含有する。 - モノアニオンと多座配位子を結合する架橋をさらに含有する、請求項20に記載のポリマー。
- 多座配位子が少なくとも3つの第15族成分を含有する、請求項21に記載のポリマー。
- 少なくとも1つの第15族成分が置換または無置換の有機基に結合する、請求項22に記載のポリマー。
- 少なくとも2つの第15族成分間に結合する少なくとも1つの第14族成分をさらに含有する、請求項23に記載のポリマー。
- 少なくとも1つの第15族成分が置換または無置換の有機基に結合する、請求項1から31のいずれか1つに記載のポリマー。
- 多座配位子が少なくとも2つの第15族成分を含んだ環を含有する、請求項21に記載のポリマー。
- 環が少なくとも3つの第15族成分を含有する、請求項27に記載のポリマー。
- 環が、少なくとも2つの第15族成分間に結合する少なくとも1つの第14族成分をさらに含有する、請求項28に記載のポリマー。
- 架橋が少なくとも1つの第13〜16元素を含有する、請求項29に記載のポリマー。
- 金属が第3、4、5、6、7、8、9または10族から選択される、請求項30に記載の触媒前駆体。
- 金属が第3族遷移金属である、請求項30に記載の触媒前駆体。
- 金属が第4族遷移金属である、請求項30に記載の触媒前駆体。
- 金属が第5族遷移金属である、請求項30に記載の触媒前駆体。
- 金属が第6族遷移金属である、請求項30に記載の触媒前駆体。
- 金属が第7族遷移金属である、請求項30に記載の触媒前駆体。
- 金属が第8族遷移金属である、請求項30に記載の触媒前駆体。
- 金属が第9族遷移金属である、請求項30に記載の触媒前駆体。
- 金属が第10族遷移金属である、請求項30に記載の触媒前駆体。
- 以下を含有する、適当なモノマーと触媒前駆体を接触させることにより調製されるポリマー:
(a)+3の酸化状態の金属;
(i)以下を含有する多座配位子:
(ii)少なくとも2つの第15族成分を含む環であって、それぞれ少なくとも1つの第14族成分を通してお互いに架橋し、該環は前記金属に結合し、それぞれの第15族成分は任意で置換または無置換の有機基に結合する環;
(iii)前記金属に結合するモノアニオン;及び
(iv)該モノアニオンと該環を結合する架橋 - 以下の工程を含む方法から生成されるポリマー:
(a)モノマーを提供する工程;
(i)以下を含有する重合触媒を提供する工程:
(ii)+3の酸化状態の金属;
(iii)多座配位子であって、置換部分は少なくとも2つの第15族成分を含み、それぞれが少なくとも1つの第14族成分を通してお互いに架橋し、該置換部分は前記金属に結合し、各第15族成分は任意に置換または無置換の有機基に結合するもの;さらに、該多座配位子は前記金属に結合するモノアニオンを含み、及び該モノアニオンが前記置換部分に結合する架橋を含む。
(b)適当な重合条件下で、前記モノマーと触媒を接触させる工程。 - 以下を含有する、適当なモノマーと触媒前駆体を接触させることにより調製されるポリマー:
(a)+3の酸化状態の金属;
(b)多座配位子であって、以下を含むもの:
(i)少なくとも2つの第15族成分を含む環であって、それぞれ少なくとも1つの第14族成分を通してお互いに架橋し、該環は前記金属に結合し、それぞれの第15族成分は任意で置換または無置換の有機基に結合する環;
(ii)前記金属に結合するモノアニオン;及び
(iii)該モノアニオンと該環を結合する架橋。 - 以下の式を有する金属錯体を含有する触媒前駆体。
M(LTE)(Q)nL’q
ここで、(a)Mは+3の酸化状態の金属;
(b)LTEは多座配位子であって、Lは多座配位部分、Eはアニオン及びTはLとE間の共有結合基;
(c)Qはモノアニオン単座配位またはジアニオン二座配位子;
(d)nはQとして記載されるアニオン性配位子の数;
(e)L’は任意的なルイス塩基;及び
(f)qはルイス塩基の数を表すものである。 - LがC6H14−xPn3Rxである、請求項36に記載の触媒前駆体。
(a)Rは、以下から独立して選択される;
(i)ハロゲン化物;
(ii)C1−C20のヒドロカルビルラジカル;
(iii)少なくとも1つの水素基を有するC1−C20の置換ヒドロカルビルラジカルであって、該少なくとも1つの水素基の1つがハロゲン、アミド、ホスフィド、アルコキシまたはアリールオキシ基によって置換されたもの;及び
(iv)C1−C20のヒドロカルビル置換第13〜14族半金属ラジカル、
(b)Pnはピニクチド(pnictide);及び
(c)xは環−R原子置換の数である。 - Pnがリンまたは窒素から選択される、請求項37に記載の触媒前駆体。
- Tが少なくとも1つの第14または15族元素を含有する、請求項37に記載の触媒前駆体。
- Eが少なくとも1つの第14〜16族元素を含有する、請求項38に記載の触媒前駆体。
- Eが、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、置換アミド、置換ホスフィド、酸素、硫黄またはセレニウム成分から選択される、請求項40に記載の触媒前駆体。
- xが2である、請求項38に記載の触媒前駆体。
- 活性剤及び金属錯体を含有する触媒であって、金属錯体は以下の式を有する。
(C6H12N3R2TNR’)MX2L’
ここで、(a)Mは+3の酸化状態の金属;
(b)Xは引抜き配位子;
(c)Rは、以下から独立して選択される
(i)ハロゲン化物;
(ii)C1−C20のヒドロカルビルラジカル;
(iii)少なくとも1つの水素基を有するC1−C20の置換ヒドロカルビルラジカルであって、該少なくとも1つの水素基の1つがハロゲン、アミド、ホスフィド、アルコキシまたはアリールオキシ基によって置換されたもの;及び
(iv)C1−C20のヒドロカルビル置換第13〜14族半金属ラジカル;
(d)Tは少なくとも1つの第14または15族原子を含有する共有結合基;
(e)R’はRから選択され、Rは以下から独立して選択される
(v)ハロゲン化物;
(vi)C1−C20のヒドロカルビルラジカル;
(vii)少なくとも1つの水素基を有するC1−C20の置換ヒドロカルビルラジカルであって、該少なくとも1つの水素基の1つがハロゲン、アミド、ホスフィド、アルコキシまたはアリールオキシ基によって置換されたもの;及び
(viii)C1−C20のヒドロカルビル置換第13〜14族半金属ラジカル;
(f)Qはモノアニオン単座配位子またはジアニオン二座配位子;
(g)L’は5以下の任意的なルイス塩基配位子。 - 活性剤及び以下の式で表される金属錯体を含有する触媒。
(C6H12N3R2TCp)MX2L’
ここで、(a)Mは+3の酸化状態の金属;
(b)Xは引抜き配位子;
(c)R及びR’は、以下から独立して選択される
(i)ハロゲン化物;
(ii)C1−C20のヒドロカルビルラジカル;
(iii)少なくとも1つの水素基を有するC1−C20の置換ヒドロカルビルラジカルであって、該少なくとも1つの水素基の1つがハロゲン、アミド、ホスフィド、アルコキシまたはアリールオキシ基によって置換されたもの;及び
(iv)C1−C20のヒドロカルビル置換第13〜14族半金属ラジカル;
(d)Tは少なくとも1つの第14または15族原子を含有する共有結合基;
(e)Qはモノアニオン単座配位子またはジアニオン二座配位子;
(f)L’は5以下の任意的なルイス塩基配位子;及び
(g)Cpはシクロペンタジエニル配位子。 - 金属錯体を含有する触媒前駆体を用いて生成されるポリマーであって、金属錯体は以下の式で表される。
M(LTE)(Q)nL’q
ここで、(a)Mは+3の酸化状態の金属;
(i)LTEは多座配位子であって、Lは多座配位部分、Eはアニオン及びTはLとE間の共有結合基;
(b)Qはモノアニオン単座配位子またはジアニオン二座配位子;
(c)nはQとして記載されるアニオン性配位子の数;
(d)L’は任意的なルイス塩基;及び
(e)qはルイス塩基の数を表すものである。 - LがC6H14−xPn3Rxである、請求項45に記載のポリマー。
(a)Rは、以下から独立して選択される
(i)ハロゲン化物;
(ii)C1−C20のヒドロカルビルラジカル;
(iii)少なくとも1つの水素基を有するC1−C20の置換ヒドロカルビルラジカルであって、該少なくとも1つの水素基の1つがハロゲン、アミド、ホスフィド、アルコキシまたはアリールオキシ基によって置換されたもの;及び
(iv)C1−C20のヒドロカルビル置換第13〜14族半金属ラジカル、;
(b)Pnはピニクチド;及び
(c)xは環−R原子置換の数である。 - Pnがリンまたは窒素から選択される、請求項46に記載のポリマー。
- Tが少なくとも1つの第14または15族元素を含有する、請求項46に記載のポリマー。
- Eが少なくとも1つの第14〜16族元素を含有する、請求項46に記載のポリマー。
- 活性剤及び以下の式で表される金属錯体を含有する触媒を用いて生成されるポリマー
(C6H12N3R2TNR’)MX2L’
ここで、(a)Mは+3の酸化状態の金属;
(b)Xは引抜き配位子;
(c)Rは、以下から独立して選択される
(i)ハロゲン化物;
(ii)C1−C20のヒドロカルビルラジカル;
(iii)少なくとも1つの水素基を有するC1−C20の置換ヒドロカルビルラジカルであって、該少なくとも1つの水素基の1つがハロゲン、アミド、ホスフィド、アルコキシまたはアリールオキシ基によって置換されたもの;及び
(iv)C1−C20のヒドロカルビル置換第13〜14族半金属ラジカル;
(d)Tは少なくとも1つの第14または15族原子を含有する共有結合基;
(e)R’はRから選択され、Rは以下から独立して選択される
(i)ハロゲン化物;
(ii)C1−C20のヒドロカルビルラジカル;
(iii)少なくとも1つの水素基を有するC1−C20の置換ヒドロカルビルラジカルであって、該少なくとも1つの水素基の1つがハロゲン、アミド、ホスフィド、アルコキシまたはアリールオキシ基によって置換されたもの;及び
(iv)C1−C20のヒドロカルビル置換第13〜14族半金属ラジカル;
(f)Qはモノアニオン単座配位子またはジアニオン二座配位子;
(g)L’は5以下の任意的なルイス塩基配位子。 - 活性剤及び以下の式で表される金属錯体を含有する触媒を用いて生成されるポリマー
(C6H12N3R2TCp)MX2L’
ここで、(a)Mは+3の酸化状態の金属;
(b)Xは引抜き配位子;
(c)R及びR’は、以下から独立して選択される
(i)少なくとも1つの水素基を有するC1−C20の置換ヒドロカルビルラジカルであって、該少なくとも1つの水素基の1つがハロゲン、アミド、ホスフィド、アルコキシまたはアリールオキシ基によって置換されたもの;及び
(ii)C1−C20のヒドロカルビル置換第13〜14族半金属ラジカル;
(d)Tは少なくとも1つの第14または15族原子を含有する共有結合基;
(e)Qはモノアニオン単座配位子またはジアニオン二座配位子;
(f)L’は5以下の任意的なルイス塩基配位子;及び
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