JP2004518717A - 標的化された抗腫瘍剤送達系 - Google Patents
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Abstract
増殖性疾患処置を必要とする患者(例えば、哺乳動物(例えばヒト))における増殖性疾患(特に乳癌)を処理するための方法であって、(1)治療的に有効な量のチポソームのアントラサイクリン組成物を(2)治療的に有効な量の増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体および(3)治療的に有効な量のさらなる抗腫瘍剤と一緒に投与する工程を包含する、方法が開示される。本発明の方法は、特に種々の癌、特に上皮癌(例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、結腸直腸癌、および膵臓癌)の処置のために特に有用である。
Description
【技術分野】
【0001】
(関連する出願の参照)
本願は、2001年、2月9日に出願された米国仮出願番号60/267,807の有先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、増殖性疾患に罹患した被験体を処置する方法を記載し、(1)リポソームアントラサイクリン組成物、(2)増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体、および必要に応じて(3)さらなる抗腫瘍剤の使用の組合せを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(発明の背景)
乳癌は、女性の間で最も一般的な悪性新生物であり、欧州において年間135,000件の新しい診断が明らかとなり、そして米国において182,000件の新しい症例が明らかとなっている。これは、世界中で年間約300,000人の死が報告される、深刻な国際的な健康の問題である。10%程の女性患者が、診断時に転移性疾患を示し、そして40%に近い患者が、腋窩節に広がった疾患の証拠を有する。局部結節併発を有する女性、および初めに局部の疾患と診断された女性の大半は、最終的に遠隔転移を患う。治療の選択肢は改善されたが、進行した乳癌を有する患者の予後は、転移性疾患の最初の診断から18〜24ヶ月のみのわずかな生存期間の中央値のままである。従って、新しい抗癌剤またはこの患者集団における改善された効力および安全性を有する組合せ治療の同定は、主用な乳癌研究の優先事項である。
【0004】
HER2/neu遺伝子(c−erbB−2としてもまた公知である)が、染色体17q21上に位置し、そして185−kdの膜貫通タンパク質をコードし、これは上皮増殖因子レセプターに構造的および機能的に類似する。HER2の過剰発現が、乳癌を有する患者の3分の1までに見出される。HER2遺伝子の機能は、未だなお完全に解明されていないが、過剰発現が、転移の可能性を増強し、そして化学的治療剤に対する耐性を与えることが明らかである。より短い疾患に冒されていない生存期間、および結節陽性の初期乳癌および結節陰性の初期乳癌の両方における全体的な生存期間の独立した予測指標としてHER2過剰発現を支持する多数の報告がある。
【0005】
現在、アントラサイクリンは、乳癌の処置において使用される化学治療剤の最も活性なクラスの1つを表す。このクラス内で、ドキソルビシンは、最も広範に使用される薬剤である。Cobleigh MAら;Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.(17):A376;1998は、Herceptin(登録商標)として公知の組換えヒト化モノクローナル抗体を開示し、これは単独治療または他の化学治療剤と組合せて与えられる場合、種々の乳癌動物モデルにおいて効力が示されている。Herceptin(登録商標)は、HER2レセプターの細胞外ドメインに結合する。米国特許第6,165,464号を参照のこと。
【0006】
Slamon,D.ら,Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.,(17):A377;1998は、ドキソルビシンとシクロホスファミド、ならびに他の第1系統の化学療法剤と組み合わせたHerceptinTMの使用を開示する。この試験においてアントラサイクリン含有レジメンは、有意な効力を有するが、ドキソルビシンが、HerceptinTMと組み合わせて投与された場合、臨床的に有意な心臓毒性の受容不可能なレベルに起因して、PalitaxelとHerceptinTMレジメンの選択がなされた。心臓毒性についての危険性は、特に先在の心臓疾患を有する患者、または事前の心臓毒性治療(例えば、アントラサイクリンまたは胸部放射線照射)後の患者において高い。この危険性は、HerceptinTMとアントラサイクリンとの同時治療を受ける患者において最も高く示された。
【0007】
アントラサイクリンとの組合せのHerceptinTMの使用と関連する心臓毒性の観点において、アントラサイクリンとHerceptinTM治療レジメンの代替が必要とされ、これはなぜならば、この組合せが、進行性の乳癌およびこの組合せが使用され得る他の悪性腫瘍において有意な実証可能な生存率を有するからである。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、患者に治療的に有効な量の(1)リポソームアントラサイクリン組成物を治療的に有効な量の(2)増殖因子インヒビターと一緒に投与する工程を包含する、増殖性疾患処置を必要とする患者(例えば、哺乳動物(例えばヒト))における増殖性疾患を処置する方法に関する。
【0009】
好ましい実施形態において、増殖因子レセプターインヒビターは、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体であり、そして患者は、増殖性疾患および/または少なくとも1つの心臓の危険因子を有する治療経験のある患者、および/または以前にアントラサイクリンの治療を受けた治療経験のある患者である。
【0010】
好ましい実施形態の1つの局面において、リポソームアントラサイクリン組成物は、ペグ化リポソームのドキソルビシンであり、これは、
a)ドキソルビシン HCl;
b)N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩;
c)完全に水素化された大豆ホスファチジルコリン;
d)コレステロール;
ヒスチジン、塩酸および/または水酸化ナトリウム、硫酸アンモニウム、およびスクロースを含み、ここでa:b:c:dの重量パーセントの比は、それぞれ約1.0:1.60:4.80:1.60mg/mLである。
【0011】
好ましい実施形態の別の局面において、増殖性疾患の処置を必要とする患者における増殖性疾患を処置する方法は、さらなる抗腫瘍剤をこの患者に投与する工程をさらに包含する。
【0012】
好ましいリポソームアントラサイクリン組成物は、ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物である。増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される好ましい抗体は、ヒト悪性腫瘍癌細胞の表面上で発現されるerbB−2チロシンキナーゼレセプターの細胞外ドメインに対して指向される組換えヒト化抗HER2モノクローナル抗体である。
【0013】
なお、別の実施形態において、本発明は、増殖性疾患の処置を必要とする患者における増殖性疾患の処置方法を提供し、この方法は、治療的に有効な量の(1)ペグ化リポソームのドキソルビシン組成物と(2)トラスツズサム(trastuzusamab)と、((3)さらなる抗腫瘍剤との組合せを、この患者に投与する工程を包含し、ここで、この患者は、増殖性疾患および/または少なくとも1つの心臓危険因子を有する治療経験のある患者および/または以前にアントラサイクリンの治療を受けた治療経験のある患者である。
【0014】
本発明の方法は、特に種々の癌、特に上皮癌(例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、結腸直腸癌、および膵臓癌)の処置のために特に有用である。
【0015】
本発明の方法は、特に以下のサブセットの患者に対する投与について有用である:(1)少なくとも1つの心臓危険因子の存在を有する患者、(2)以前にアントラサイクリン治療を受けた患者、または(3)両方の判定基準を満たす患者(すなわち、少なくとも1つの心臓の危険因子の存在を有し、そして以前にアントラサイクリンの治療を受けた患者)。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で使用される場合、用語「リポソームアントラサイクリン」は、アントラサイクリン化合物を含むリポソームの構造を有する化合物のクラスを意味する。処方物(すなわち、脂質ベースのキャリアビヒクル)は、治療の活性を向上し、そして都合よい薬剤送達系を提供する(米国特許第5,192,549号を参照のこと)。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物」は、ビヒクル形成脂質およびアントラサイクリン化合物を含むポリエチレングリコールから誘導された両親媒性のビヒクル形成脂質を有する化合物を意味する。
【0018】
本明細書中で、増殖因子レセプターインヒビター(増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体)およびシクロホスファミドとのリポソームアントラサイクリン組成物の組合せ治療の投与に対する参考として使用される場合、用語「〜と共に」は、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体およびシクロホスファミドが、リポソームアントラサイクリン組成物の投与前、投与と同時に、または投与後に投与されることを意味する。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語「同時に」は、(1)時間内に同時に、または共通の処置スケジュールのコースの間で異なる時間を意味する;そして
本明細書中で使用される場合、用語「連続的に」は、(1)方法の1つの成分(リポソームアントラサイクリン組成物または増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体)の投与に続く(2)他の成分の投与を意味し;1つの成分の投与後、第2の成分が、第1の成分の実質的に直後に速やかに投与され得るか、または第2の成分が、第1の成分の後に有効な時間点の後に投与され得;この有効な時間点は、第1の成分の投与から有効な最大限の認識について与えられる時間の量である。
【0020】
本明細書中で使用される用語「抗腫瘍剤」は、癌に対して有効な化学療法剤を意味する。
【0021】
用語「治療経験のある患者」は、現在の処置の前に薬剤を用いて疾患を処置された患者をいう。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「測定可能な疾患」は、少なくとも1つの測定可能な病変の存在を意味する。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「測定可能な病変」は、従来技術を用いて20mm以上の最も長い直径を有するか、またはスパイラルCTスキャンによって測定される場合、10mm以上である少なくとも1次元で正確に測定され得る病変を意味する。臨床的病変は、それらが表面(例えば、皮膚小節および触知可能なリンパ節)である場合でのみ、測定可能であると考えられる。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「測定不可能な病変は、全てのほかの病変を意味し、これは、測定可能な病変として分類されない、十分なサイズでない小病変(すなわち、骨病変、軟膜疾患、腹水、胸水または心内膜液浸出、炎症性の胸部疾患)を含む。
【0025】
本発明における使用のための適切な抗腫瘍剤としては、アントラサイクリンが挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、ドキソルビシンは、本発明の方法において使用されるアントラサイクリンである。本発明の好ましいリポソームアントラサイクリン組成物は、リポソームの表面(Stealth(登録商標)リポソーム技術)に組み込まれるポリエチレングリコール(PEG)の存在によって立体的に安定化されるドキソルビシンのリポソーム処方物である。米国特許第5,013,556号、同第5,213,804号、および欧州特許第0496835号は、抗腫瘍剤のリポソーム処方物、その調製および使用方法を開示する。Symon Z.ら,Cancer,86(1)72〜78頁 1999は、ドキソルビシンのStealthリポソームのカプセル化が、正常な組織への非特異的な薬剤送達を減少し、そして本発明者らが、考える高いピークの血漿レベルの遊離薬剤が上記の心臓毒性を担うことを報告する。この処方物はまた、向上された特異性で、腫瘍へドキソルビシンを送達し得、かつ等量の投薬量で、従来のドキソルビシンよりも高い腫瘍内濃度を生じ得る。Papahadjopoulous,D.ら,PNAS,(88)11460〜11464頁,1991は、ペグ化アントラサイクリン組成物(CAELYXTM)は、その新規処方物によって、網内皮細胞系によって容易には取込まれず、そしてこれによって、従来のドキソルビシンと比較して著しく異なる薬物動態学のプロフィールを有することを開示する。Northfelt D.ら,Proc.Natl.Am.Soc.Onc.,(12)p51,1993およびSymon Z.ら,(上記を参照のこと)は、カポージ肉腫および乳癌の両方の処置についてCAELYXTMの臨床的研究を記載し、ここで薬剤の濃度は、正常な組織の40倍高く、そして従来のドキソルビシンを用いて得られるよりも5〜10倍高いことが見出された。StealthTM処方物は、これによって、向上された組織標的の特異性で腫瘍組織へのドキソルビシンの送達を増強する。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、リポソームアントラサイクリン組成物は、ペグ化リポソームのドキソルビシンである(Doxil(登録商標)またはCAELYX(登録商標)、米国特許第5,213,804号を参照のこと)。
【0027】
Doxil(登録商標)は、10−mLまたは30−mLのガラスの単回使用のバイアル中の滅菌、半透明、赤色のリポソーム分散物として提供される。Doxil(登録商標)の各バイアルは、ドキソルビシン HCLおよびSTEALTH(登録商標)リポソームキャリアを含む。各バイアルは、2mg/mLの濃度および6.5のpHで、20mgまたは50mgのドキソルビシン HClを含む。STEALTH(登録商標)リポソームキャリアは、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩(MPEG−DSPE)、3.19mg/mL;完全に水素化された大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、9.58mg/mL;およびコレステロール、3.19mg/mLからなる。各mLはまた、硫酸アンモニウム、約2mg;緩衝液としてヒスチジン;pHコントロールのための塩酸および/または水酸化ナトリウム;ならびに等張性維持するスクロースを含む。これらの化合物、ドキソルビシン HCL、(MPEG−DSPE)、(HSPC)、およびコレステロールは、それぞれ約1.0:1.60:4.80:1.60mg/mLの重量%比で存在する。薬剤の90%より多くは、STEALTH(登録商標)リポソーム中にカプセル化される。
【0028】
別の好ましい実施形態において、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体は、ヒト悪性癌細胞の表面上で発現されるerbB−2チロシンキナーゼレセプターの細胞外ドメインを標的化するモノクローナル抗体であり、好ましくは、この抗体は、トラスツズマブ(Trastuzumab)(HERCEPTIN(登録商標))である。
【0029】
なお別の好ましい実施形態において、本発明の方法は、治療的に有効な量のさらなる高腫瘍剤(リポソームアントラサイクリン組成物および増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体に加えて)を投与する工程をさらに包含する。さらなる化学治療剤(抗腫瘍剤)として使用され得る組成物のクラスとしては以下が挙げられる:アルキル化剤、抗代謝拮抗物質、天然産物およびその誘導体、ホルモンおよびステロイド(合成のアナログを含む)、ならびに合成物。
【0030】
アルキル化剤(窒素マスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレアおよびトリアゼンを含む):ウラシルマスタード、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、およびテモゾロミド。抗代謝拮抗物質(葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよびアデノシンデアミナーゼインヒビターを含む):5−フルオロウラシル、フルダラビンホスフェート、およびゲムシタビン。
【0031】
天然産物およびその誘導体(ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカインおよびエピポドフィロトキシンを含む):パクリタキセル(パクリタキセルは、Taxol(登録商標)、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、インターフェロン(特にIFN−a)およびエトポシドとして市販される)。
【0032】
ホルモンおよびステロイド(合成アナログを含む):タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびトレミフェン。
【0033】
合成物(無機錯体(例えば、白金配位錯体)):シスプラチン、カルボプラチン、ナベルベン(Navelbene)、CPT−11、アナストラゾール、レトラゾールおよびカペシタビン。
【0034】
好ましくは、本発明の方法における使用のためのさらなる抗腫瘍剤は、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))である。
【0035】
これらの化学治療剤の大半の有効な投与のための方法は、当業者に公知である。さらに、その投与は、標準的な文献に記載される。例えば、多くの化学治療剤の投与は、「Physician’s Desk Reference」(PDR)、例えば、1996版(Medical Economics Company,Montvale,NJ 07645−1742,USA)に記載され;この開示は、本明細書中でこれらに対する参考として援用される。
【0036】
処置され得る腫瘍の例としては、上皮癌、例えば、前立腺癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、膵臓癌(例えば、膵腺癌(例えば、外分泌腺癌、膵臓腺癌)、乳がん、結腸癌(例えば、結腸直腸癌(例えば、結腸腺癌、および結腸腫瘍)、卵巣癌、および膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない。処置される他の癌としては、黒色腫、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病)、肉腫、甲状腺濾胞癌、および骨髄成形異常症候群が挙げられる。
【0037】
(臨床的研究設計)
以下の臨床的研究設計は、本発明の方法に従って、増殖性疾患の処置を必要とする患者における増殖性疾患を処置するために使用され得る。この臨床的研究設計プロトコルの多くの変更は、当業者に公知であり、そして以下の研究設計は、上記の特許請求の範囲によって定義される本発明の方法の範囲を限定するとして解釈されるべきでない。
【0038】
この研究は、6ヶ月間にわたって100人の患者を登録する。疾患が進行するまで、またはプロトコルが規定する理由のためこの研究が撤回されるまで、患者は処置される。全ての無作為化された患者は、疾患の進行後または研究の撤回後、または全ての生存および長期心臓毒性状態について追跡される。
【0039】
研究集団は、これらが、以下の内標準および外標準をみたす場合の患者を含む。
【0040】
(被験体の内標準)
18歳以上の年齢。
胸部の腺癌の組織学的診断。
適切な放射線画像化技術(x線、超音波、CTスキャンまたはMRI)によって定量された記録された測定可能な疾患を有する段階IVの転移性乳癌。評価可能な疾患を有する患者はまた、封入に適切な測定可能な疾患の少なくとも1つの部位を有さなければならない。
保存されたか、または最近採取した乳がん組織は、以下のパラメータによって定義されるようなHER2過剰発現の証拠を示すべきである;
FDA検証アッセイ(例えば、Herceptest(DAKO))を用いる免疫組織化学的染色による3+ポジティブHER2過剰発現
免疫組織化学的染色による2+ポジティブHER2過剰発現、および蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)によるHER2過剰発現の証拠
蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)単独によるHER2の過剰発現。
転移性の乳癌または進行性の乳癌についての事前の化学療法なし。
事前のホルモン治療は可能であり、
アジュバントの設定における事前のアントラサイクリン治療が可能である。
最大限の可能な事前のアントラサイクリン用量:
300mg/m2のドキソルビシン
540mg/m2のエピルビシン
75mg/m2のミトキサントロン。
12ヶ月よりも長い間隔のアジュバント化学療法がない期間
2以下のWHO実行状態
6ヶ月よりも長い生存の期待
MUGAスキャンによって決定されたような50%以上のベースラインでの左心室の駆出率。
10.以下のように定義された正常な器官の機能;
組織学的機能:1.5×109/L以上の好中球、100×109/L以上の血小板、9gm/dL以上のヘモグロビン
腎臓の機能:正常範囲の上限の1.5倍以下のクレアチニン
肝臓の機能:肝臓への転移の二番目である場合、正常範囲の上限の2倍以下のブリルビンおよびALT/AST、または正常な上限の5倍まで上昇したビリルビン/ALT/AST。
【0041】
11.子供を出産する年齢および可能性のある女性は、適切な避妊をしなければならない。
【0042】
12.記載されたインフォームドコンセントを理解し得、そして与え得る。
【0043】
13.女性。
【0044】
14.研究の参加の時点でビスホスホネートの使用が許可される。
【0045】
(被験体排除基準)
1.転移性疾患または進行性疾患のための先行の化学療法
2.300mg/m2を超える累積ドキソルビシン用量または540mg/m2を超える累積エピルビシン用量または75mg/m2を超える累積マイトキサントロン用量での、先行のアジュバントアントラサイクリン療法
3.研究処置の開始4週間以内の測定可能な疾患領域への照射
4.無作為化の3年以内の先行の悪性疾患(頸部のCISまたは皮膚の基底細胞癌を除く)
5.症候性CNS乳癌転移病変
6.インフォームドコンセントを受けることもプロトコル指示に従うことも出来なかった患者
7.研究スポンサーの事前承認のない、無作為化の4週間以内での任意の研究薬物への曝露
8.妊娠または授乳期
9.6ヶ月より短い期待の寿命
10.HerceptinTMへの事前の曝露
11.うっ血性心不全を伴うNew York Heart Association Class II以上の、心疾患の病歴(付録を参照)
12.悪性疾患に起因する休息時の呼吸困難を有する患者、または支持酸素療法を必要とする患者
13.B型肝炎、C型肝炎、肝硬変、または転移性乳癌に無関係な他の肝臓疾患に二次的な、臨床的に有意な肝臓疾患
14.制御されない細菌感染、ウイルス感染または真菌感染を有する患者
15.錯乱または失見当を示す患者
16.十分な経過観察を妨げる任意の状態(医学的、社会的、心理学的または地理的)
17.静脈内免疫グロブリンまたは他の血液産物(濃縮赤血球および血小板を含む)の使用後に処置を必要とする、先行のアナフィラキシー反応
(被験体中止基準)
健康または快適な生活が本研究の継続によって脅かされ得る任意の被験体の処置を中止することは、研究者の権利および義務である。このような被験体は、修正レジメン下で継続されることなく、研究から撤退されるべきである。
【0046】
以下の理由のいずれかのために、患者は、研究を中止され得る:
a)疾患の進行(すなわち、本明細書中以下に定義されるような進行性の疾患)
b)用量の減少にも拘わらず受容可能でない毒性が生じること。これには、よりゆっくりとした注入時間でも前投薬(ステロイドを含む)の使用によっても制御されない、注入反応が含まれる
c)以下のいずれかに規定される、用量制限的心臓毒性
・ベースラインから20駆出率ポイントを超える、安静時駆出率における減少(たとえ、駆出率が正常範囲(≧50%)に維持しているとしても)
・駆出率が異常である場合(研究について正常な下限より50%以上低い)に、10より高い駆出率ポイントの安静時駆出率における減少
・患者が、ベースライン〜正常の下限より低い値(研究について正常な下限より50%以上低い)からの左心室駆出率における10%以上の降下に関連して、うっ血性心不全の臨床的な徴候および症状(呼吸困難、起座呼吸、S3奔馬調律、頻拍、吸入時ラ音)を発症する
d)患者が、主研究員によって決定される臨床的に有意な有害な事象を有する
e)患者が、研究からの撤退を要求する
f)患者が、研究評価/来診のための要件に従わない
g)研究評価/来診を妨げる状況
h)研究者の判断での、研究から撤退することが患者の最良の利益である、他の状態
i)患者が、適格性の要件を満たさない。
【0047】
(腫瘍応答についての基準)
(標的病変の評価)
完全応答(CR):全ての標的病変の消失
部分応答(PR):最も長い直径のベースライン合計(ベースライン合計LD)を参照とした、標的病変の最も長い直径の合計における少なくとも30%の減少
進行性の疾患(PD):処置の開始または1以上の新しい病変の出現から記録された最も小さい合計LDを参照とした、標的病変のLDの合計における少なくとも20%の増加
安定性の疾患(SD):処置を開始してからの最も小さい合計LDを参照として、PRとみなすのに十分な減少も、PDとみなすのに十分な増加も見られない。
【0048】
(非標的病変の評価)
完全応答(CR):全ての非標的病変の消失
不完全応答/安定性の疾患(SD):1以上の非標的病変の残留
進行性の疾患(PD):1以上の新しい病変の出現および/または既存の非標的病変の明確な進行。処置医の意見が勝って、そしてその進行状態が、独立した調査パネルまたはスポンサーのいずれかによって、研究の終了時に確認されるような状況では、「非標的」病変のみの明確な進行は、例外的であることが認識される。
【0049】
(全体的な腫瘍応答)
全体的な応答は、処置を開始してから記録した最も小さい測定値を、PD(進行性の疾患)についての参照として、処置の開始時から疾患が進行/退行するまでに記録した、最良の応答である。
【0050】
全体的な腫瘍応答の決定は、以下の表に従って行われる。
【0051】
【表1】
研究(集団を処置することを意図する)に含まれる全ての患者は、たとえ、大きいプロトコル処置違反が存在するとしても、または彼らが不適格であるとしても、処置に対する応答を評価されなければならない。研究に含まれる全ての患者は、以下のカテゴリーのうちの1つが割り当てられる:
1.完全応答(CR)
2.部分応答(PR)
3.安定性の疾患(SD)
4.進行性の疾患(PD)
5.悪性疾患からの早期の死亡
6.毒性からの早期の死亡
7.他の要因からの早期の死亡
8.未知(評価不可能であるかまたはデータが不十分である)。
【0052】
(投薬/処置レジメン)
(ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物(CAELYX))
ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物を、所定の3〜4週間毎に約45〜約90分間の期間にわたって、約20〜約50mg/m2の量で;または3〜4週間毎に約60〜約90分間の期間にわたって、約25〜約50mg/m2の量で;または3〜4週間毎に約45〜約60分間の期間にわたって、約30〜約50mg/m2の量で;または所定の3週間毎に約60分間の期間にわたって、約30mg/m2の量で、静脈内投与する。
【0053】
(シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)))
シクロホスファミドを、所定の2〜4週間毎に約30〜約60分間の期間にわたって、約400〜約600mg/m2の量で;または所定の3〜4週間毎に約20〜約30分間の期間にわたって、約400〜約600mg/m2の量で;または所定の3週間毎に約30分間の期間にわたって、約600mg/m2の量で、静脈内投与する。
【0054】
(トラスツズマブ(Herceptin(登録商標)))
トラスツズマブを、所定の1〜4週間毎に約60〜約240分間の期間にわたって、約2〜約8mg/kgの量で;または1週間毎に、約2mg/kgの量で;または2週間毎に、約4mg/kgの量で;または3週間毎に、約6mg/kgの量で;または所定の4週間毎に、約8mg/kgの量で、静脈内投与するか;あるいはトラスツズマブを、1週間に1回または2〜4週間毎に、所定の約60〜90分間の期間にわたって約2〜約6mg/kgの量で静脈内に最初に投与し、その後、1週間に1回または2〜4週間毎に、約60〜90分間の期間にわたって約2〜約6mg/kgの量で投与し得る。
【0055】
好ましくは、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))の1回目の用量は、2mg/kgであり、90分間にわたって静脈内投与される。次いで、患者は、少なくとも6時間観察されなければならない。非常に稀な場合、患者は、Herceptin(登録商標)注入の開始後6時間を越えて、注入症状または肺の症状の発症を生じた。第2用量およびその後の全ての用量は、6mg/kgであり、90分間にわたって静脈内投与される。2回目以降の用量では、観察時間は、先行用量が十分に許容された場合、2時間までに減少され得る。Herceptin(登録商標)は、疾患の進行まで、このスケジュールに従って与えられ続けるべきである。
【0056】
このプロトコルの全3つの薬物は、同じ日に投与されるので、ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物(CAELYXTM)が、最初に投与され、次いで、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、そして次いで、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))が投与されることが、好ましい。用量の遅延が化学療法に関連する毒性(CAELYXTMまたはシクロホスファミド関連)に必要とされる場合、Herceptin(登録商標)処置もまた、化学療法が再開されるまで遅らされなければならない。
【0057】
好ましくは、以下の評価を、12週間スケジュールで行う。
【0058】
(腫瘍応答評価)
全ての標的病変の客観的な腫瘍応答評価(測定)および全ての非標的病変の評価を、疾患が進行するまで、12週(±7日)毎に行わなければならない。ベースラインで示された、全ての標的病変および非標的病変を、これらの応答評価に含めなければならず、そしてベースライン評価でのこれらの病変の検証に使用された同じ画像化様式を利用しなければならない。
【0059】
全体的な応答が、CRまたはPRのいずれかであると決定される場合、この状態は、少なくとも4週間後に再評価によって確かめなければならない。2つの評価は、CRまたはPRのいずれかの「確認された」全体的な最良の処置応答に患者を割り当てるために必要である。一方のみの応答の評価を行う場合、全体的な最良の応答は、「未確認」として示される。
【0060】
(分析一次終点および二次終点)
(一次終点)
本研究の一次終点は、連続MUGAスキャンおよび臨床評価での心臓の左心室駆出率を評価することによって、HER2を過剰発現する進行性の乳癌に罹患している女性における、Herceptin(登録商標)およびシクロホスファミドと組み合わせたCAELYXTMの心臓安全性を評価することである。
【0061】
(二次終点)
二次終点は、この処置レジメンを受けている患者における、進行無しの生存性、全体的な応答率および全体的な生存性である。
【0062】
(応答の定義)
患者を、各処置サイクルの前の臨床評価(身体試験)によって、および12週間±7日毎の診断スキャン(CTまたはMRIおよび骨スキャン)によって、全体的な腫瘍応答について評価する。進行性の疾患の決定は、最も小さい測定値を有する先のスキャンに対する比較に基づく。応答(完全または部分的)を検証する場合、全ての腫瘍部位を評価するための画像化研究は、全体的な応答(完全または部分的)が最初に決定された日から、少なくとも4週間繰り返さなければならない。全ての応答している患者(完全または部分的)の画像化研究が、達成されなければならず、そしてスポンサーからの要求時のその後の中間評価に利用可能でなければならない。
【0063】
同じ画像化技術または身体試験が、腫瘍評価の一貫性を維持するために本研究を通して使用されなければならない。
【0064】
(「標的」病変および非標的病変のベースライン検証)
最大で1つの器官あたり5個の病変および全部で10個の病変までの全ての測定可能な病変(全ての関与する器官を代表する)を、標的病変として識別し、そしてベースラインで記録および測定するべきである。
【0065】
標的病変は、それらのサイズ(最も長い直径を有する病変)および正確な繰り返しの測定(画像化技術または臨床試験のいずれかによる)に対するそれらの適合性に基づいて、選択されなければならない。
【0066】
全ての標的病変の最も長い直径(LD)の合計を計算し、ベースライン合計LDとして記録する。ベースライン合計LDを、客観的腫瘍応答を特徴付けるための参照として使用する。
【0067】
疾患の他の全ての病変または部位は、非標的病変として識別されるべきであり、そしてベースラインで記録されるべきである。これらの病変の測定は、必要ではないが、各々の存在または非存在は、各腫瘍評価時点で、研究経過中に記されるべきである。
【0068】
(心臓毒性の定義)
患者は、以下のパラメーターの1以上の存在として規定される心臓毒性について、研究を中止される;
a)ベースラインから20駆出率ポイントを超える、安静時駆出率における減少(たとえ、駆出率が正常範囲(≧50%)を維持しているとしても)
b)駆出率が異常である場合(50%未満)に、10より高い駆出率ポイントの安静時駆出率における減少
c)研究者の判断によって本研究の参加の継続を防止される、うっ血性心不全(CHF)の臨床的徴候。身体試験時に、患者は、検証されたCHFの臨床的な徴候(例えば、足水腫の増加、ラ音および/または心臓肥大;ならびに/あるいは新たなS3)および症状(例えば、起座呼吸および/または呼吸困難)を有するはずであり、これらは、その基礎となる乳癌の進行に起因しないものとして研究者によって評価される。CHFの徴候および症状は、CHF診断を確かめるための駆出率の減少を伴うべきである。
【0069】
(心臓機能についてのモニタリング)
マルチゲート放射性核種血管造影法(MUGA)による左心室駆出率(LVEF)の機能的評価を、研究開始前4週間以内、および患者が処置を受けている間に3サイクル毎(9週間毎)に、行う。研究中止後、心臓毒性を除く、任意の理由について、心臓機能は12週間ごとにMUGAによってモニターされなければならない。MUGAスキャンは、各測定で、同じ容易さで、かつ同じ装置で繰り返されるべきである。
【0070】
(LVEFの無症候減少)
患者が、10〜15%ポイント(例えば、65〜50%)のLVEFの絶対的な降下を生じ、弁が、研究の正常下限よりなお高い場合、患者は、6週間毎に(すなわち、2サイクル毎に)MUGAによってLVEFモニタリングを受けるべきである。
【0071】
研究患者についてのMUGA評価からのデータは、集中化した中央施設にてデジタル化される。心臓画像データをデジタル的に管理することにより、研究現場間のより高い質でより一貫した心臓モニタリングが得られる。デジタル化MUGAスキャンからの左心室駆出率の決定は、患者の処置状態について盲目的な独立した心臓調査によって確かめられる。厳密な心臓モニタリングのこのストラテジーは、心臓機能評価の品質管理を保証し、そしてアントラサイクリン心臓毒性の発症についての危険性のある患者を正確に予測する。
【0072】
全体的な応答の持続期間は、応答の最初の観察からの間隔として規定され、これは、最初に記録され、再発またはPDが客観的に確かめられた最初の日または任意の原因に起因する死亡までの、CRまたはPRを意味する。
【0073】
(薬学的組成物)
本明細書中に記載される、リポソームアントラサイクリン組成物、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体、およびさらなる抗腫瘍薬剤の薬学的組成物を調製するために使用される、不活性な、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体調製物としては、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤および坐剤が挙げられる。粉末および錠剤は、約5〜約70%の活性成分を含み得る。適切な固体キャリアは、当該分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖および/またはラクトースである。錠剤、粉末、カシェ剤およびカプセルは、経口投与に適切な固体投薬形態として使用され得る。例えば、米国特許第5,213,804号を参照のこと。
【0074】
坐剤を調製するために、低融点ろう(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物またはココアバター)が最初に融解され、そして活性成分が、攪拌などによって、その中に均一に分散される。次いで、融解された均質な混合物を、従来のサイズ化した型に注ぎ、冷却し、それによって、硬化する。
【0075】
液体調製物としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。例として、非経口注射のための水または水−プロピレングリコール溶液が挙げられ得る。液体調製物としてはまた、鼻内投与のための溶液が挙げられ得る。
【0076】
吸入に適切なエアロゾル調製物は、溶液および粉末形態の固体を含み得、これらが、不活性圧縮ガスのような、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされ得る。
【0077】
経口投与または非経口投与のいずれかのための液体調製物へと、使用前に、手短に変換されることが意図される、固体調製物もまた、包含される。このような液体形態としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。
【0078】
本明細書中に記載される治療剤はまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/またはエマルジョンの形態を取り得、そしてこの目的のために当該分野で慣用的な、マトリクス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0079】
組成物は、非経口的に投与され得、好ましくは、皮下、IVまたはIM注射によって投与され得る。最も好ましくは、組成物は、静脈内に投与される。
【0080】
好ましくは、薬学的調製物は、単位投薬形態である。このような形態では、調製物は、適切な量(例えば、所望の効果を達成するための有効量)の活性成分を含有する単位用量に細分されている。
【0081】
組み合わせ治療の一部として投与されるペグ化リポソームアントラサイクリンが、ペグ化リポソームドキソルビシンである場合、本発明に従う処置中に投与されるペグ化リポソームドキソルビシンの治療的有効投薬量は、本明細書中上記の「臨床設計」の節の投薬レジメンに記載されるとおりである。
【0082】
組み合わせ治療の一部として投与される抗体が、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体である場合、本発明に従う処置中に投与される増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体の治療的有効投薬量は、本明細書中上記の「臨床設計」の節の投薬レジメンに記載されるとおりである。
【0083】
組み合わせ治療の一部として投与されるさらなる抗腫瘍薬剤が、シクロホスファミドである場合、本発明に従う処置中に投与されるシクロホスファミドの治療的有効投薬量は、本明細書中上記の「臨床設計」の節の投薬レジメンに記載されるとおりである。
【0084】
使用される実際の投薬量は、患者の要件および処置される状態の重篤度に依存して変化され得る。特定の状況についての適切な投薬量の決定は、当業者の範囲内にある。一般に、処置は、その化合物の最適用量未満である、少ない投薬量で開始される。その後、投薬量は、その状況下での最適な効果に達するまで、少量ずつ増加される。簡便さのために、所望の場合、1日の全投薬量は、分割され得、そして1日を通して部分的に投与され得る。
【0085】
治療薬剤の量および投与頻度は、担当臨床家(医師)の判断に従って、患者の年齢、状態および大きさ、ならびに処置される疾患の重篤度のような因子を考慮して、調節される。適切な投薬レジメンは、以下である:
(a)リポソームアントラサイクリン組成物は、例えば、3〜4週間毎に約45〜約90分間の期間にわたって、約20〜約50mg/m2の量で投与される;
(b)トラスツズマブ(HerceptinTM)は、1〜4週間毎に、約60〜90分間の期間にわたって約2〜約8mg/kgの量で最初に投与され、その後、約60〜90分間の期間にわたって約2〜約8mg/kgの量で投与される;
(c)さらなる抗腫瘍剤シクロホスファミドは、2〜4週間毎に約20〜約60分間の期間にわたって、約400〜約600mg/m2の量で投与される。
【0086】
この抗体およびさらなる抗腫瘍剤は、当該分野で周知の治療プロトコルに従って投与され得る。治療剤の投与が、処置される疾患およびその疾患に対するその投与される治療剤の既知の効果に依存して変化され得ることが、当業者に明らかである。また、当業者の知見に従って、治療プロトコル(例えば、投薬量および投与時間)は、患者に対するその投与される治療剤の観察された効果を考慮して、そしてその投与された治療剤に対する観察された疾患応答を考慮して、変化され得る。
【0087】
乳癌の処置における組み合わせ治療の好ましい例において、リポソームアントラサイクリン組成物は、本明細書中上記のCAELYXTMであり、これは、3週間毎に30mg/m2の1時間注入として投与される。
【0088】
本発明の方法において、リポソームアントラサイクリン組成物は、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体および/またはさらなる抗腫瘍薬剤と共に、同時にかまたは連続的に投与される。従って、例えば、リポソームアントラサイクリン組成物ならびに増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体および/またはさらなる抗腫瘍薬剤は、同時または実質的に同時に投与される必要はない。同時または実質的に同時の投与の利点は、十分に当業者の裁量の範囲内にある。
【0089】
また、一般に、リポソームアントラサイクリン組成物ならびに増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体および/またはさらなる抗腫瘍薬剤は、同じ薬学的組成物において投与される必要はなく、そして異なる物理的特性および化学的特性に起因して、異なる経路で投与されるべきであり得る。例えば、リポソームアントラサイクリン組成物は、経口的に投与されて、その良好な血中レベルを生成および維持し得、一方、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体および/またはシクロホスファミドは、静脈内に投与され得る。同じ薬学的組成物(可能な場合)での投与形態および投与の適否の決定は、十分に、当業者の知見の範囲内にある。初回投与は、当該分野で公知の確立されたプロトコルに従ってなされ得、次いで、観察された効果に基づいて、投薬量、投与形態および投与回数が、当業者によって変更され得る。
【0090】
従って、経験および知識に従って、主治医は、処置を進める場合に、個々の患者の要求に従って、処置の成分治療剤の投与についての各プロトコルを変更し得る。
【0091】
処置が投与された投薬量で効果的であるか否かの判断において、担当医は、患者の一般的な健康状態ならびにより限定された徴候(例えば、疾患に関連する症状の軽減、腫瘍増殖の阻害、実際の腫瘍の収縮、または転移の阻害)を考慮する。腫瘍のサイズは、放射線検出研究(例えば、CATまたはMRIスキャン)のような標準的な方法によって測定され得、そして首尾よい測定を用いて、腫瘍の増殖が遅延またはさらには逆転されたか否かを判断し得る。疾患に関連する症状(例えば、痛み)の軽減、および全体的な状態における改善もまた、処置の有効性の判断を補助するために使用され得る。
【0092】
(研究医薬品)
Herceptin(登録商標)は、非経口投与に使用される440mg量の複数回用量のバイアル中の凍結乾燥調製物として、Genentech,South San Francisco CAから入手可能である。Herceptin(登録商標)は、2〜8℃で保存されるべきである。各440mgバイアルは、20mlの滅菌注射用水(USP)で再構成されるべきであり、これは、22mg/mlのHerceptin(登録商標)の溶液を生じる。再構成されたHerceptin(登録商標)は、250mlの0.9%塩化ナトリウム注射溶液(USP)に添加される。この処方物は、防腐剤を含まず、そして単回のみの使用に適切である。この処方物は、再構成の8時間以内に注入されなければならない。
【0093】
CAELYXTM(Stealth(登録商標)liposome technology;米国特許第5,213,804号)は、ドキソルビシンのリポソーム処方物であり、これは、Liposome Technology,Inc.,Menlo Park,CAから入手可能なリポソーム表面に組み込まれたポリエチレングリコール(PEG)の存在によって立体的に安定化される。
【0094】
Cytoxan(登録商標)−(シクロホスファミド)は、Bristol Myers Squibb,Princeton,NJから入手可能である。
【0001】
(関連する出願の参照)
本願は、2001年、2月9日に出願された米国仮出願番号60/267,807の有先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、増殖性疾患に罹患した被験体を処置する方法を記載し、(1)リポソームアントラサイクリン組成物、(2)増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体、および必要に応じて(3)さらなる抗腫瘍剤の使用の組合せを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(発明の背景)
乳癌は、女性の間で最も一般的な悪性新生物であり、欧州において年間135,000件の新しい診断が明らかとなり、そして米国において182,000件の新しい症例が明らかとなっている。これは、世界中で年間約300,000人の死が報告される、深刻な国際的な健康の問題である。10%程の女性患者が、診断時に転移性疾患を示し、そして40%に近い患者が、腋窩節に広がった疾患の証拠を有する。局部結節併発を有する女性、および初めに局部の疾患と診断された女性の大半は、最終的に遠隔転移を患う。治療の選択肢は改善されたが、進行した乳癌を有する患者の予後は、転移性疾患の最初の診断から18〜24ヶ月のみのわずかな生存期間の中央値のままである。従って、新しい抗癌剤またはこの患者集団における改善された効力および安全性を有する組合せ治療の同定は、主用な乳癌研究の優先事項である。
【0004】
HER2/neu遺伝子(c−erbB−2としてもまた公知である)が、染色体17q21上に位置し、そして185−kdの膜貫通タンパク質をコードし、これは上皮増殖因子レセプターに構造的および機能的に類似する。HER2の過剰発現が、乳癌を有する患者の3分の1までに見出される。HER2遺伝子の機能は、未だなお完全に解明されていないが、過剰発現が、転移の可能性を増強し、そして化学的治療剤に対する耐性を与えることが明らかである。より短い疾患に冒されていない生存期間、および結節陽性の初期乳癌および結節陰性の初期乳癌の両方における全体的な生存期間の独立した予測指標としてHER2過剰発現を支持する多数の報告がある。
【0005】
現在、アントラサイクリンは、乳癌の処置において使用される化学治療剤の最も活性なクラスの1つを表す。このクラス内で、ドキソルビシンは、最も広範に使用される薬剤である。Cobleigh MAら;Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.(17):A376;1998は、Herceptin(登録商標)として公知の組換えヒト化モノクローナル抗体を開示し、これは単独治療または他の化学治療剤と組合せて与えられる場合、種々の乳癌動物モデルにおいて効力が示されている。Herceptin(登録商標)は、HER2レセプターの細胞外ドメインに結合する。米国特許第6,165,464号を参照のこと。
【0006】
Slamon,D.ら,Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.,(17):A377;1998は、ドキソルビシンとシクロホスファミド、ならびに他の第1系統の化学療法剤と組み合わせたHerceptinTMの使用を開示する。この試験においてアントラサイクリン含有レジメンは、有意な効力を有するが、ドキソルビシンが、HerceptinTMと組み合わせて投与された場合、臨床的に有意な心臓毒性の受容不可能なレベルに起因して、PalitaxelとHerceptinTMレジメンの選択がなされた。心臓毒性についての危険性は、特に先在の心臓疾患を有する患者、または事前の心臓毒性治療(例えば、アントラサイクリンまたは胸部放射線照射)後の患者において高い。この危険性は、HerceptinTMとアントラサイクリンとの同時治療を受ける患者において最も高く示された。
【0007】
アントラサイクリンとの組合せのHerceptinTMの使用と関連する心臓毒性の観点において、アントラサイクリンとHerceptinTM治療レジメンの代替が必要とされ、これはなぜならば、この組合せが、進行性の乳癌およびこの組合せが使用され得る他の悪性腫瘍において有意な実証可能な生存率を有するからである。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、患者に治療的に有効な量の(1)リポソームアントラサイクリン組成物を治療的に有効な量の(2)増殖因子インヒビターと一緒に投与する工程を包含する、増殖性疾患処置を必要とする患者(例えば、哺乳動物(例えばヒト))における増殖性疾患を処置する方法に関する。
【0009】
好ましい実施形態において、増殖因子レセプターインヒビターは、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体であり、そして患者は、増殖性疾患および/または少なくとも1つの心臓の危険因子を有する治療経験のある患者、および/または以前にアントラサイクリンの治療を受けた治療経験のある患者である。
【0010】
好ましい実施形態の1つの局面において、リポソームアントラサイクリン組成物は、ペグ化リポソームのドキソルビシンであり、これは、
a)ドキソルビシン HCl;
b)N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩;
c)完全に水素化された大豆ホスファチジルコリン;
d)コレステロール;
ヒスチジン、塩酸および/または水酸化ナトリウム、硫酸アンモニウム、およびスクロースを含み、ここでa:b:c:dの重量パーセントの比は、それぞれ約1.0:1.60:4.80:1.60mg/mLである。
【0011】
好ましい実施形態の別の局面において、増殖性疾患の処置を必要とする患者における増殖性疾患を処置する方法は、さらなる抗腫瘍剤をこの患者に投与する工程をさらに包含する。
【0012】
好ましいリポソームアントラサイクリン組成物は、ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物である。増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される好ましい抗体は、ヒト悪性腫瘍癌細胞の表面上で発現されるerbB−2チロシンキナーゼレセプターの細胞外ドメインに対して指向される組換えヒト化抗HER2モノクローナル抗体である。
【0013】
なお、別の実施形態において、本発明は、増殖性疾患の処置を必要とする患者における増殖性疾患の処置方法を提供し、この方法は、治療的に有効な量の(1)ペグ化リポソームのドキソルビシン組成物と(2)トラスツズサム(trastuzusamab)と、((3)さらなる抗腫瘍剤との組合せを、この患者に投与する工程を包含し、ここで、この患者は、増殖性疾患および/または少なくとも1つの心臓危険因子を有する治療経験のある患者および/または以前にアントラサイクリンの治療を受けた治療経験のある患者である。
【0014】
本発明の方法は、特に種々の癌、特に上皮癌(例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、結腸直腸癌、および膵臓癌)の処置のために特に有用である。
【0015】
本発明の方法は、特に以下のサブセットの患者に対する投与について有用である:(1)少なくとも1つの心臓危険因子の存在を有する患者、(2)以前にアントラサイクリン治療を受けた患者、または(3)両方の判定基準を満たす患者(すなわち、少なくとも1つの心臓の危険因子の存在を有し、そして以前にアントラサイクリンの治療を受けた患者)。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で使用される場合、用語「リポソームアントラサイクリン」は、アントラサイクリン化合物を含むリポソームの構造を有する化合物のクラスを意味する。処方物(すなわち、脂質ベースのキャリアビヒクル)は、治療の活性を向上し、そして都合よい薬剤送達系を提供する(米国特許第5,192,549号を参照のこと)。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物」は、ビヒクル形成脂質およびアントラサイクリン化合物を含むポリエチレングリコールから誘導された両親媒性のビヒクル形成脂質を有する化合物を意味する。
【0018】
本明細書中で、増殖因子レセプターインヒビター(増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体)およびシクロホスファミドとのリポソームアントラサイクリン組成物の組合せ治療の投与に対する参考として使用される場合、用語「〜と共に」は、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体およびシクロホスファミドが、リポソームアントラサイクリン組成物の投与前、投与と同時に、または投与後に投与されることを意味する。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語「同時に」は、(1)時間内に同時に、または共通の処置スケジュールのコースの間で異なる時間を意味する;そして
本明細書中で使用される場合、用語「連続的に」は、(1)方法の1つの成分(リポソームアントラサイクリン組成物または増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体)の投与に続く(2)他の成分の投与を意味し;1つの成分の投与後、第2の成分が、第1の成分の実質的に直後に速やかに投与され得るか、または第2の成分が、第1の成分の後に有効な時間点の後に投与され得;この有効な時間点は、第1の成分の投与から有効な最大限の認識について与えられる時間の量である。
【0020】
本明細書中で使用される用語「抗腫瘍剤」は、癌に対して有効な化学療法剤を意味する。
【0021】
用語「治療経験のある患者」は、現在の処置の前に薬剤を用いて疾患を処置された患者をいう。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「測定可能な疾患」は、少なくとも1つの測定可能な病変の存在を意味する。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「測定可能な病変」は、従来技術を用いて20mm以上の最も長い直径を有するか、またはスパイラルCTスキャンによって測定される場合、10mm以上である少なくとも1次元で正確に測定され得る病変を意味する。臨床的病変は、それらが表面(例えば、皮膚小節および触知可能なリンパ節)である場合でのみ、測定可能であると考えられる。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「測定不可能な病変は、全てのほかの病変を意味し、これは、測定可能な病変として分類されない、十分なサイズでない小病変(すなわち、骨病変、軟膜疾患、腹水、胸水または心内膜液浸出、炎症性の胸部疾患)を含む。
【0025】
本発明における使用のための適切な抗腫瘍剤としては、アントラサイクリンが挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、ドキソルビシンは、本発明の方法において使用されるアントラサイクリンである。本発明の好ましいリポソームアントラサイクリン組成物は、リポソームの表面(Stealth(登録商標)リポソーム技術)に組み込まれるポリエチレングリコール(PEG)の存在によって立体的に安定化されるドキソルビシンのリポソーム処方物である。米国特許第5,013,556号、同第5,213,804号、および欧州特許第0496835号は、抗腫瘍剤のリポソーム処方物、その調製および使用方法を開示する。Symon Z.ら,Cancer,86(1)72〜78頁 1999は、ドキソルビシンのStealthリポソームのカプセル化が、正常な組織への非特異的な薬剤送達を減少し、そして本発明者らが、考える高いピークの血漿レベルの遊離薬剤が上記の心臓毒性を担うことを報告する。この処方物はまた、向上された特異性で、腫瘍へドキソルビシンを送達し得、かつ等量の投薬量で、従来のドキソルビシンよりも高い腫瘍内濃度を生じ得る。Papahadjopoulous,D.ら,PNAS,(88)11460〜11464頁,1991は、ペグ化アントラサイクリン組成物(CAELYXTM)は、その新規処方物によって、網内皮細胞系によって容易には取込まれず、そしてこれによって、従来のドキソルビシンと比較して著しく異なる薬物動態学のプロフィールを有することを開示する。Northfelt D.ら,Proc.Natl.Am.Soc.Onc.,(12)p51,1993およびSymon Z.ら,(上記を参照のこと)は、カポージ肉腫および乳癌の両方の処置についてCAELYXTMの臨床的研究を記載し、ここで薬剤の濃度は、正常な組織の40倍高く、そして従来のドキソルビシンを用いて得られるよりも5〜10倍高いことが見出された。StealthTM処方物は、これによって、向上された組織標的の特異性で腫瘍組織へのドキソルビシンの送達を増強する。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、リポソームアントラサイクリン組成物は、ペグ化リポソームのドキソルビシンである(Doxil(登録商標)またはCAELYX(登録商標)、米国特許第5,213,804号を参照のこと)。
【0027】
Doxil(登録商標)は、10−mLまたは30−mLのガラスの単回使用のバイアル中の滅菌、半透明、赤色のリポソーム分散物として提供される。Doxil(登録商標)の各バイアルは、ドキソルビシン HCLおよびSTEALTH(登録商標)リポソームキャリアを含む。各バイアルは、2mg/mLの濃度および6.5のpHで、20mgまたは50mgのドキソルビシン HClを含む。STEALTH(登録商標)リポソームキャリアは、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩(MPEG−DSPE)、3.19mg/mL;完全に水素化された大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、9.58mg/mL;およびコレステロール、3.19mg/mLからなる。各mLはまた、硫酸アンモニウム、約2mg;緩衝液としてヒスチジン;pHコントロールのための塩酸および/または水酸化ナトリウム;ならびに等張性維持するスクロースを含む。これらの化合物、ドキソルビシン HCL、(MPEG−DSPE)、(HSPC)、およびコレステロールは、それぞれ約1.0:1.60:4.80:1.60mg/mLの重量%比で存在する。薬剤の90%より多くは、STEALTH(登録商標)リポソーム中にカプセル化される。
【0028】
別の好ましい実施形態において、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体は、ヒト悪性癌細胞の表面上で発現されるerbB−2チロシンキナーゼレセプターの細胞外ドメインを標的化するモノクローナル抗体であり、好ましくは、この抗体は、トラスツズマブ(Trastuzumab)(HERCEPTIN(登録商標))である。
【0029】
なお別の好ましい実施形態において、本発明の方法は、治療的に有効な量のさらなる高腫瘍剤(リポソームアントラサイクリン組成物および増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体に加えて)を投与する工程をさらに包含する。さらなる化学治療剤(抗腫瘍剤)として使用され得る組成物のクラスとしては以下が挙げられる:アルキル化剤、抗代謝拮抗物質、天然産物およびその誘導体、ホルモンおよびステロイド(合成のアナログを含む)、ならびに合成物。
【0030】
アルキル化剤(窒素マスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレアおよびトリアゼンを含む):ウラシルマスタード、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、およびテモゾロミド。抗代謝拮抗物質(葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよびアデノシンデアミナーゼインヒビターを含む):5−フルオロウラシル、フルダラビンホスフェート、およびゲムシタビン。
【0031】
天然産物およびその誘導体(ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカインおよびエピポドフィロトキシンを含む):パクリタキセル(パクリタキセルは、Taxol(登録商標)、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、インターフェロン(特にIFN−a)およびエトポシドとして市販される)。
【0032】
ホルモンおよびステロイド(合成アナログを含む):タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびトレミフェン。
【0033】
合成物(無機錯体(例えば、白金配位錯体)):シスプラチン、カルボプラチン、ナベルベン(Navelbene)、CPT−11、アナストラゾール、レトラゾールおよびカペシタビン。
【0034】
好ましくは、本発明の方法における使用のためのさらなる抗腫瘍剤は、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))である。
【0035】
これらの化学治療剤の大半の有効な投与のための方法は、当業者に公知である。さらに、その投与は、標準的な文献に記載される。例えば、多くの化学治療剤の投与は、「Physician’s Desk Reference」(PDR)、例えば、1996版(Medical Economics Company,Montvale,NJ 07645−1742,USA)に記載され;この開示は、本明細書中でこれらに対する参考として援用される。
【0036】
処置され得る腫瘍の例としては、上皮癌、例えば、前立腺癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、膵臓癌(例えば、膵腺癌(例えば、外分泌腺癌、膵臓腺癌)、乳がん、結腸癌(例えば、結腸直腸癌(例えば、結腸腺癌、および結腸腫瘍)、卵巣癌、および膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない。処置される他の癌としては、黒色腫、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病)、肉腫、甲状腺濾胞癌、および骨髄成形異常症候群が挙げられる。
【0037】
(臨床的研究設計)
以下の臨床的研究設計は、本発明の方法に従って、増殖性疾患の処置を必要とする患者における増殖性疾患を処置するために使用され得る。この臨床的研究設計プロトコルの多くの変更は、当業者に公知であり、そして以下の研究設計は、上記の特許請求の範囲によって定義される本発明の方法の範囲を限定するとして解釈されるべきでない。
【0038】
この研究は、6ヶ月間にわたって100人の患者を登録する。疾患が進行するまで、またはプロトコルが規定する理由のためこの研究が撤回されるまで、患者は処置される。全ての無作為化された患者は、疾患の進行後または研究の撤回後、または全ての生存および長期心臓毒性状態について追跡される。
【0039】
研究集団は、これらが、以下の内標準および外標準をみたす場合の患者を含む。
【0040】
(被験体の内標準)
18歳以上の年齢。
胸部の腺癌の組織学的診断。
適切な放射線画像化技術(x線、超音波、CTスキャンまたはMRI)によって定量された記録された測定可能な疾患を有する段階IVの転移性乳癌。評価可能な疾患を有する患者はまた、封入に適切な測定可能な疾患の少なくとも1つの部位を有さなければならない。
保存されたか、または最近採取した乳がん組織は、以下のパラメータによって定義されるようなHER2過剰発現の証拠を示すべきである;
FDA検証アッセイ(例えば、Herceptest(DAKO))を用いる免疫組織化学的染色による3+ポジティブHER2過剰発現
免疫組織化学的染色による2+ポジティブHER2過剰発現、および蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)によるHER2過剰発現の証拠
蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)単独によるHER2の過剰発現。
転移性の乳癌または進行性の乳癌についての事前の化学療法なし。
事前のホルモン治療は可能であり、
アジュバントの設定における事前のアントラサイクリン治療が可能である。
最大限の可能な事前のアントラサイクリン用量:
300mg/m2のドキソルビシン
540mg/m2のエピルビシン
75mg/m2のミトキサントロン。
12ヶ月よりも長い間隔のアジュバント化学療法がない期間
2以下のWHO実行状態
6ヶ月よりも長い生存の期待
MUGAスキャンによって決定されたような50%以上のベースラインでの左心室の駆出率。
10.以下のように定義された正常な器官の機能;
組織学的機能:1.5×109/L以上の好中球、100×109/L以上の血小板、9gm/dL以上のヘモグロビン
腎臓の機能:正常範囲の上限の1.5倍以下のクレアチニン
肝臓の機能:肝臓への転移の二番目である場合、正常範囲の上限の2倍以下のブリルビンおよびALT/AST、または正常な上限の5倍まで上昇したビリルビン/ALT/AST。
【0041】
11.子供を出産する年齢および可能性のある女性は、適切な避妊をしなければならない。
【0042】
12.記載されたインフォームドコンセントを理解し得、そして与え得る。
【0043】
13.女性。
【0044】
14.研究の参加の時点でビスホスホネートの使用が許可される。
【0045】
(被験体排除基準)
1.転移性疾患または進行性疾患のための先行の化学療法
2.300mg/m2を超える累積ドキソルビシン用量または540mg/m2を超える累積エピルビシン用量または75mg/m2を超える累積マイトキサントロン用量での、先行のアジュバントアントラサイクリン療法
3.研究処置の開始4週間以内の測定可能な疾患領域への照射
4.無作為化の3年以内の先行の悪性疾患(頸部のCISまたは皮膚の基底細胞癌を除く)
5.症候性CNS乳癌転移病変
6.インフォームドコンセントを受けることもプロトコル指示に従うことも出来なかった患者
7.研究スポンサーの事前承認のない、無作為化の4週間以内での任意の研究薬物への曝露
8.妊娠または授乳期
9.6ヶ月より短い期待の寿命
10.HerceptinTMへの事前の曝露
11.うっ血性心不全を伴うNew York Heart Association Class II以上の、心疾患の病歴(付録を参照)
12.悪性疾患に起因する休息時の呼吸困難を有する患者、または支持酸素療法を必要とする患者
13.B型肝炎、C型肝炎、肝硬変、または転移性乳癌に無関係な他の肝臓疾患に二次的な、臨床的に有意な肝臓疾患
14.制御されない細菌感染、ウイルス感染または真菌感染を有する患者
15.錯乱または失見当を示す患者
16.十分な経過観察を妨げる任意の状態(医学的、社会的、心理学的または地理的)
17.静脈内免疫グロブリンまたは他の血液産物(濃縮赤血球および血小板を含む)の使用後に処置を必要とする、先行のアナフィラキシー反応
(被験体中止基準)
健康または快適な生活が本研究の継続によって脅かされ得る任意の被験体の処置を中止することは、研究者の権利および義務である。このような被験体は、修正レジメン下で継続されることなく、研究から撤退されるべきである。
【0046】
以下の理由のいずれかのために、患者は、研究を中止され得る:
a)疾患の進行(すなわち、本明細書中以下に定義されるような進行性の疾患)
b)用量の減少にも拘わらず受容可能でない毒性が生じること。これには、よりゆっくりとした注入時間でも前投薬(ステロイドを含む)の使用によっても制御されない、注入反応が含まれる
c)以下のいずれかに規定される、用量制限的心臓毒性
・ベースラインから20駆出率ポイントを超える、安静時駆出率における減少(たとえ、駆出率が正常範囲(≧50%)に維持しているとしても)
・駆出率が異常である場合(研究について正常な下限より50%以上低い)に、10より高い駆出率ポイントの安静時駆出率における減少
・患者が、ベースライン〜正常の下限より低い値(研究について正常な下限より50%以上低い)からの左心室駆出率における10%以上の降下に関連して、うっ血性心不全の臨床的な徴候および症状(呼吸困難、起座呼吸、S3奔馬調律、頻拍、吸入時ラ音)を発症する
d)患者が、主研究員によって決定される臨床的に有意な有害な事象を有する
e)患者が、研究からの撤退を要求する
f)患者が、研究評価/来診のための要件に従わない
g)研究評価/来診を妨げる状況
h)研究者の判断での、研究から撤退することが患者の最良の利益である、他の状態
i)患者が、適格性の要件を満たさない。
【0047】
(腫瘍応答についての基準)
(標的病変の評価)
完全応答(CR):全ての標的病変の消失
部分応答(PR):最も長い直径のベースライン合計(ベースライン合計LD)を参照とした、標的病変の最も長い直径の合計における少なくとも30%の減少
進行性の疾患(PD):処置の開始または1以上の新しい病変の出現から記録された最も小さい合計LDを参照とした、標的病変のLDの合計における少なくとも20%の増加
安定性の疾患(SD):処置を開始してからの最も小さい合計LDを参照として、PRとみなすのに十分な減少も、PDとみなすのに十分な増加も見られない。
【0048】
(非標的病変の評価)
完全応答(CR):全ての非標的病変の消失
不完全応答/安定性の疾患(SD):1以上の非標的病変の残留
進行性の疾患(PD):1以上の新しい病変の出現および/または既存の非標的病変の明確な進行。処置医の意見が勝って、そしてその進行状態が、独立した調査パネルまたはスポンサーのいずれかによって、研究の終了時に確認されるような状況では、「非標的」病変のみの明確な進行は、例外的であることが認識される。
【0049】
(全体的な腫瘍応答)
全体的な応答は、処置を開始してから記録した最も小さい測定値を、PD(進行性の疾患)についての参照として、処置の開始時から疾患が進行/退行するまでに記録した、最良の応答である。
【0050】
全体的な腫瘍応答の決定は、以下の表に従って行われる。
【0051】
【表1】
研究(集団を処置することを意図する)に含まれる全ての患者は、たとえ、大きいプロトコル処置違反が存在するとしても、または彼らが不適格であるとしても、処置に対する応答を評価されなければならない。研究に含まれる全ての患者は、以下のカテゴリーのうちの1つが割り当てられる:
1.完全応答(CR)
2.部分応答(PR)
3.安定性の疾患(SD)
4.進行性の疾患(PD)
5.悪性疾患からの早期の死亡
6.毒性からの早期の死亡
7.他の要因からの早期の死亡
8.未知(評価不可能であるかまたはデータが不十分である)。
【0052】
(投薬/処置レジメン)
(ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物(CAELYX))
ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物を、所定の3〜4週間毎に約45〜約90分間の期間にわたって、約20〜約50mg/m2の量で;または3〜4週間毎に約60〜約90分間の期間にわたって、約25〜約50mg/m2の量で;または3〜4週間毎に約45〜約60分間の期間にわたって、約30〜約50mg/m2の量で;または所定の3週間毎に約60分間の期間にわたって、約30mg/m2の量で、静脈内投与する。
【0053】
(シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)))
シクロホスファミドを、所定の2〜4週間毎に約30〜約60分間の期間にわたって、約400〜約600mg/m2の量で;または所定の3〜4週間毎に約20〜約30分間の期間にわたって、約400〜約600mg/m2の量で;または所定の3週間毎に約30分間の期間にわたって、約600mg/m2の量で、静脈内投与する。
【0054】
(トラスツズマブ(Herceptin(登録商標)))
トラスツズマブを、所定の1〜4週間毎に約60〜約240分間の期間にわたって、約2〜約8mg/kgの量で;または1週間毎に、約2mg/kgの量で;または2週間毎に、約4mg/kgの量で;または3週間毎に、約6mg/kgの量で;または所定の4週間毎に、約8mg/kgの量で、静脈内投与するか;あるいはトラスツズマブを、1週間に1回または2〜4週間毎に、所定の約60〜90分間の期間にわたって約2〜約6mg/kgの量で静脈内に最初に投与し、その後、1週間に1回または2〜4週間毎に、約60〜90分間の期間にわたって約2〜約6mg/kgの量で投与し得る。
【0055】
好ましくは、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))の1回目の用量は、2mg/kgであり、90分間にわたって静脈内投与される。次いで、患者は、少なくとも6時間観察されなければならない。非常に稀な場合、患者は、Herceptin(登録商標)注入の開始後6時間を越えて、注入症状または肺の症状の発症を生じた。第2用量およびその後の全ての用量は、6mg/kgであり、90分間にわたって静脈内投与される。2回目以降の用量では、観察時間は、先行用量が十分に許容された場合、2時間までに減少され得る。Herceptin(登録商標)は、疾患の進行まで、このスケジュールに従って与えられ続けるべきである。
【0056】
このプロトコルの全3つの薬物は、同じ日に投与されるので、ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物(CAELYXTM)が、最初に投与され、次いで、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、そして次いで、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))が投与されることが、好ましい。用量の遅延が化学療法に関連する毒性(CAELYXTMまたはシクロホスファミド関連)に必要とされる場合、Herceptin(登録商標)処置もまた、化学療法が再開されるまで遅らされなければならない。
【0057】
好ましくは、以下の評価を、12週間スケジュールで行う。
【0058】
(腫瘍応答評価)
全ての標的病変の客観的な腫瘍応答評価(測定)および全ての非標的病変の評価を、疾患が進行するまで、12週(±7日)毎に行わなければならない。ベースラインで示された、全ての標的病変および非標的病変を、これらの応答評価に含めなければならず、そしてベースライン評価でのこれらの病変の検証に使用された同じ画像化様式を利用しなければならない。
【0059】
全体的な応答が、CRまたはPRのいずれかであると決定される場合、この状態は、少なくとも4週間後に再評価によって確かめなければならない。2つの評価は、CRまたはPRのいずれかの「確認された」全体的な最良の処置応答に患者を割り当てるために必要である。一方のみの応答の評価を行う場合、全体的な最良の応答は、「未確認」として示される。
【0060】
(分析一次終点および二次終点)
(一次終点)
本研究の一次終点は、連続MUGAスキャンおよび臨床評価での心臓の左心室駆出率を評価することによって、HER2を過剰発現する進行性の乳癌に罹患している女性における、Herceptin(登録商標)およびシクロホスファミドと組み合わせたCAELYXTMの心臓安全性を評価することである。
【0061】
(二次終点)
二次終点は、この処置レジメンを受けている患者における、進行無しの生存性、全体的な応答率および全体的な生存性である。
【0062】
(応答の定義)
患者を、各処置サイクルの前の臨床評価(身体試験)によって、および12週間±7日毎の診断スキャン(CTまたはMRIおよび骨スキャン)によって、全体的な腫瘍応答について評価する。進行性の疾患の決定は、最も小さい測定値を有する先のスキャンに対する比較に基づく。応答(完全または部分的)を検証する場合、全ての腫瘍部位を評価するための画像化研究は、全体的な応答(完全または部分的)が最初に決定された日から、少なくとも4週間繰り返さなければならない。全ての応答している患者(完全または部分的)の画像化研究が、達成されなければならず、そしてスポンサーからの要求時のその後の中間評価に利用可能でなければならない。
【0063】
同じ画像化技術または身体試験が、腫瘍評価の一貫性を維持するために本研究を通して使用されなければならない。
【0064】
(「標的」病変および非標的病変のベースライン検証)
最大で1つの器官あたり5個の病変および全部で10個の病変までの全ての測定可能な病変(全ての関与する器官を代表する)を、標的病変として識別し、そしてベースラインで記録および測定するべきである。
【0065】
標的病変は、それらのサイズ(最も長い直径を有する病変)および正確な繰り返しの測定(画像化技術または臨床試験のいずれかによる)に対するそれらの適合性に基づいて、選択されなければならない。
【0066】
全ての標的病変の最も長い直径(LD)の合計を計算し、ベースライン合計LDとして記録する。ベースライン合計LDを、客観的腫瘍応答を特徴付けるための参照として使用する。
【0067】
疾患の他の全ての病変または部位は、非標的病変として識別されるべきであり、そしてベースラインで記録されるべきである。これらの病変の測定は、必要ではないが、各々の存在または非存在は、各腫瘍評価時点で、研究経過中に記されるべきである。
【0068】
(心臓毒性の定義)
患者は、以下のパラメーターの1以上の存在として規定される心臓毒性について、研究を中止される;
a)ベースラインから20駆出率ポイントを超える、安静時駆出率における減少(たとえ、駆出率が正常範囲(≧50%)を維持しているとしても)
b)駆出率が異常である場合(50%未満)に、10より高い駆出率ポイントの安静時駆出率における減少
c)研究者の判断によって本研究の参加の継続を防止される、うっ血性心不全(CHF)の臨床的徴候。身体試験時に、患者は、検証されたCHFの臨床的な徴候(例えば、足水腫の増加、ラ音および/または心臓肥大;ならびに/あるいは新たなS3)および症状(例えば、起座呼吸および/または呼吸困難)を有するはずであり、これらは、その基礎となる乳癌の進行に起因しないものとして研究者によって評価される。CHFの徴候および症状は、CHF診断を確かめるための駆出率の減少を伴うべきである。
【0069】
(心臓機能についてのモニタリング)
マルチゲート放射性核種血管造影法(MUGA)による左心室駆出率(LVEF)の機能的評価を、研究開始前4週間以内、および患者が処置を受けている間に3サイクル毎(9週間毎)に、行う。研究中止後、心臓毒性を除く、任意の理由について、心臓機能は12週間ごとにMUGAによってモニターされなければならない。MUGAスキャンは、各測定で、同じ容易さで、かつ同じ装置で繰り返されるべきである。
【0070】
(LVEFの無症候減少)
患者が、10〜15%ポイント(例えば、65〜50%)のLVEFの絶対的な降下を生じ、弁が、研究の正常下限よりなお高い場合、患者は、6週間毎に(すなわち、2サイクル毎に)MUGAによってLVEFモニタリングを受けるべきである。
【0071】
研究患者についてのMUGA評価からのデータは、集中化した中央施設にてデジタル化される。心臓画像データをデジタル的に管理することにより、研究現場間のより高い質でより一貫した心臓モニタリングが得られる。デジタル化MUGAスキャンからの左心室駆出率の決定は、患者の処置状態について盲目的な独立した心臓調査によって確かめられる。厳密な心臓モニタリングのこのストラテジーは、心臓機能評価の品質管理を保証し、そしてアントラサイクリン心臓毒性の発症についての危険性のある患者を正確に予測する。
【0072】
全体的な応答の持続期間は、応答の最初の観察からの間隔として規定され、これは、最初に記録され、再発またはPDが客観的に確かめられた最初の日または任意の原因に起因する死亡までの、CRまたはPRを意味する。
【0073】
(薬学的組成物)
本明細書中に記載される、リポソームアントラサイクリン組成物、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体、およびさらなる抗腫瘍薬剤の薬学的組成物を調製するために使用される、不活性な、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体調製物としては、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤および坐剤が挙げられる。粉末および錠剤は、約5〜約70%の活性成分を含み得る。適切な固体キャリアは、当該分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖および/またはラクトースである。錠剤、粉末、カシェ剤およびカプセルは、経口投与に適切な固体投薬形態として使用され得る。例えば、米国特許第5,213,804号を参照のこと。
【0074】
坐剤を調製するために、低融点ろう(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物またはココアバター)が最初に融解され、そして活性成分が、攪拌などによって、その中に均一に分散される。次いで、融解された均質な混合物を、従来のサイズ化した型に注ぎ、冷却し、それによって、硬化する。
【0075】
液体調製物としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。例として、非経口注射のための水または水−プロピレングリコール溶液が挙げられ得る。液体調製物としてはまた、鼻内投与のための溶液が挙げられ得る。
【0076】
吸入に適切なエアロゾル調製物は、溶液および粉末形態の固体を含み得、これらが、不活性圧縮ガスのような、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされ得る。
【0077】
経口投与または非経口投与のいずれかのための液体調製物へと、使用前に、手短に変換されることが意図される、固体調製物もまた、包含される。このような液体形態としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。
【0078】
本明細書中に記載される治療剤はまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/またはエマルジョンの形態を取り得、そしてこの目的のために当該分野で慣用的な、マトリクス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0079】
組成物は、非経口的に投与され得、好ましくは、皮下、IVまたはIM注射によって投与され得る。最も好ましくは、組成物は、静脈内に投与される。
【0080】
好ましくは、薬学的調製物は、単位投薬形態である。このような形態では、調製物は、適切な量(例えば、所望の効果を達成するための有効量)の活性成分を含有する単位用量に細分されている。
【0081】
組み合わせ治療の一部として投与されるペグ化リポソームアントラサイクリンが、ペグ化リポソームドキソルビシンである場合、本発明に従う処置中に投与されるペグ化リポソームドキソルビシンの治療的有効投薬量は、本明細書中上記の「臨床設計」の節の投薬レジメンに記載されるとおりである。
【0082】
組み合わせ治療の一部として投与される抗体が、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体である場合、本発明に従う処置中に投与される増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体の治療的有効投薬量は、本明細書中上記の「臨床設計」の節の投薬レジメンに記載されるとおりである。
【0083】
組み合わせ治療の一部として投与されるさらなる抗腫瘍薬剤が、シクロホスファミドである場合、本発明に従う処置中に投与されるシクロホスファミドの治療的有効投薬量は、本明細書中上記の「臨床設計」の節の投薬レジメンに記載されるとおりである。
【0084】
使用される実際の投薬量は、患者の要件および処置される状態の重篤度に依存して変化され得る。特定の状況についての適切な投薬量の決定は、当業者の範囲内にある。一般に、処置は、その化合物の最適用量未満である、少ない投薬量で開始される。その後、投薬量は、その状況下での最適な効果に達するまで、少量ずつ増加される。簡便さのために、所望の場合、1日の全投薬量は、分割され得、そして1日を通して部分的に投与され得る。
【0085】
治療薬剤の量および投与頻度は、担当臨床家(医師)の判断に従って、患者の年齢、状態および大きさ、ならびに処置される疾患の重篤度のような因子を考慮して、調節される。適切な投薬レジメンは、以下である:
(a)リポソームアントラサイクリン組成物は、例えば、3〜4週間毎に約45〜約90分間の期間にわたって、約20〜約50mg/m2の量で投与される;
(b)トラスツズマブ(HerceptinTM)は、1〜4週間毎に、約60〜90分間の期間にわたって約2〜約8mg/kgの量で最初に投与され、その後、約60〜90分間の期間にわたって約2〜約8mg/kgの量で投与される;
(c)さらなる抗腫瘍剤シクロホスファミドは、2〜4週間毎に約20〜約60分間の期間にわたって、約400〜約600mg/m2の量で投与される。
【0086】
この抗体およびさらなる抗腫瘍剤は、当該分野で周知の治療プロトコルに従って投与され得る。治療剤の投与が、処置される疾患およびその疾患に対するその投与される治療剤の既知の効果に依存して変化され得ることが、当業者に明らかである。また、当業者の知見に従って、治療プロトコル(例えば、投薬量および投与時間)は、患者に対するその投与される治療剤の観察された効果を考慮して、そしてその投与された治療剤に対する観察された疾患応答を考慮して、変化され得る。
【0087】
乳癌の処置における組み合わせ治療の好ましい例において、リポソームアントラサイクリン組成物は、本明細書中上記のCAELYXTMであり、これは、3週間毎に30mg/m2の1時間注入として投与される。
【0088】
本発明の方法において、リポソームアントラサイクリン組成物は、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体および/またはさらなる抗腫瘍薬剤と共に、同時にかまたは連続的に投与される。従って、例えば、リポソームアントラサイクリン組成物ならびに増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体および/またはさらなる抗腫瘍薬剤は、同時または実質的に同時に投与される必要はない。同時または実質的に同時の投与の利点は、十分に当業者の裁量の範囲内にある。
【0089】
また、一般に、リポソームアントラサイクリン組成物ならびに増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体および/またはさらなる抗腫瘍薬剤は、同じ薬学的組成物において投与される必要はなく、そして異なる物理的特性および化学的特性に起因して、異なる経路で投与されるべきであり得る。例えば、リポソームアントラサイクリン組成物は、経口的に投与されて、その良好な血中レベルを生成および維持し得、一方、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体および/またはシクロホスファミドは、静脈内に投与され得る。同じ薬学的組成物(可能な場合)での投与形態および投与の適否の決定は、十分に、当業者の知見の範囲内にある。初回投与は、当該分野で公知の確立されたプロトコルに従ってなされ得、次いで、観察された効果に基づいて、投薬量、投与形態および投与回数が、当業者によって変更され得る。
【0090】
従って、経験および知識に従って、主治医は、処置を進める場合に、個々の患者の要求に従って、処置の成分治療剤の投与についての各プロトコルを変更し得る。
【0091】
処置が投与された投薬量で効果的であるか否かの判断において、担当医は、患者の一般的な健康状態ならびにより限定された徴候(例えば、疾患に関連する症状の軽減、腫瘍増殖の阻害、実際の腫瘍の収縮、または転移の阻害)を考慮する。腫瘍のサイズは、放射線検出研究(例えば、CATまたはMRIスキャン)のような標準的な方法によって測定され得、そして首尾よい測定を用いて、腫瘍の増殖が遅延またはさらには逆転されたか否かを判断し得る。疾患に関連する症状(例えば、痛み)の軽減、および全体的な状態における改善もまた、処置の有効性の判断を補助するために使用され得る。
【0092】
(研究医薬品)
Herceptin(登録商標)は、非経口投与に使用される440mg量の複数回用量のバイアル中の凍結乾燥調製物として、Genentech,South San Francisco CAから入手可能である。Herceptin(登録商標)は、2〜8℃で保存されるべきである。各440mgバイアルは、20mlの滅菌注射用水(USP)で再構成されるべきであり、これは、22mg/mlのHerceptin(登録商標)の溶液を生じる。再構成されたHerceptin(登録商標)は、250mlの0.9%塩化ナトリウム注射溶液(USP)に添加される。この処方物は、防腐剤を含まず、そして単回のみの使用に適切である。この処方物は、再構成の8時間以内に注入されなければならない。
【0093】
CAELYXTM(Stealth(登録商標)liposome technology;米国特許第5,213,804号)は、ドキソルビシンのリポソーム処方物であり、これは、Liposome Technology,Inc.,Menlo Park,CAから入手可能なリポソーム表面に組み込まれたポリエチレングリコール(PEG)の存在によって立体的に安定化される。
【0094】
Cytoxan(登録商標)−(シクロホスファミド)は、Bristol Myers Squibb,Princeton,NJから入手可能である。
Claims (25)
- 増殖性疾患の処置を必要とする患者において増殖性疾患を処置する方法であって、治療的に有効な量の(1)リポソームアントラサイクリン組成物と(2)増殖因子レセプターインヒビターとの組合せを、該患者に投与する工程を包含する、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記増殖因子レセプターインヒビターが、増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対する抗体であり、そして前記患者が、増殖性疾患を有する治療経験のある患者であり、そして/または少なくとも1つの心臓の危険因子を有し、そして/または事前にアントラサイクリン治療を受けている、方法。
- さらなる抗腫瘍剤をさらに含む、請求項2に記載の方法。
- 請求項2に記載の方法であって、ここで、前記リポソームアントラサイクリン組成物が、以下;
a)ドキソルビシン HCl;
b)N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩;
c)完全に水素化された大豆ホスファチジルコリン;
d)コレステロール;
ヒスチジン、塩酸および/または水酸化ナトリウム、硫酸アンモニウム、およびスクロースを含むペグ化リポソームのドキソルビシンであって;ここで、a:b:c:dの重量パーセントの比が、それぞれ約1.0:1.60:4.80:1.60mg/mLである、方法。 - 請求項3に記載の方法であって、ここで前記リポソームアントラサイクリン組成物が、以下:
a)ドキソルビシン HCl;
b)N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩;
c)完全に水素化された大豆ホスファチジルコリン;
d)コレステロール;
ヒスチジン、塩酸および/または水酸化ナトリウム、硫酸アンモニウム、およびスクロースを含むペグ化リポソームのドキソルビシンであって;ここで、a:b:c:dの重量パーセントの比が、それぞれ約1.0:1.60:4.80:1.60mg/mLである、方法。 - 請求項4に記載の方法であって、ここで前記抗体が、ヒト悪性癌細胞の表面上に発現されるerbB−2チロシンキナーゼレセプターの細胞外ドメインに対して指向されるモノクローナル抗体である、方法。
- モノクローナル抗体が、トラスツズマブである、請求項6に記載の方法。
- 請求項6に記載の方法であって、ここで、前記ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物および前記増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体が、連続的に投与される、方法。
- 前記ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物が、最初に投与される、請求項6に記載の方法。
- 前記増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体が、最初に投与される、請求項6に記載の方法。
- 前記抗体が、トラスツズサムである、請求項3に記載の方法。
- 請求項6に記載の方法であって、ここで、前記増殖性疾患が、乳癌、肺癌、膵臓癌、結腸癌、骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺濾胞腺癌、膀胱癌、グリオーマ、脊髄形成異常症候群、卵巣癌、または前立腺癌である、方法。
- 請求項11に記載の方法であって、ここで、前記増殖性疾患が、乳癌、肺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、骨髄性白血病、黒色腫、甲状腺濾胞腺癌、膀胱癌、グリオーマ、脊髄形成異常症候群、卵巣癌、または前立腺癌である、方法。
- 請求項11に記載の方法であって、ここで、前記さらなる抗腫瘍剤が、ウラシルマスタード、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、テモゾロミド、5−フルオロウラシル、フルダラビンホスフェート、ゲムシタビン、パクリタキセル、ドセタキセル、インターフェロン、エトポシド、タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、シスプラチン、カルボプラスチン、ナベルベン、CPT−11、アナストラゾール、レトラゾール、およびカペシタビンからなる群から選択される、方法。
- 請求項11に記載の方法であって、ここで、(1)前記ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物、(2)前記増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体、および(3)前記さらなる抗腫瘍剤が、連続的に投与される、方法。
- 前記さらなる抗腫瘍剤が、シクロホスファミドである、請求項11に記載の方法。
- 請求項15に記載の方法であって、ここで、前記増殖性疾患が、肺癌、膵臓癌、結腸癌、骨髄性白血病、黒色腫、グリオーマ、甲状腺濾胞腺癌、膀胱癌、脊髄形成異常症候群、乳癌、卵巣癌、または前立腺癌である、方法。
- 前記増殖性疾患が上皮癌である、請求項4に記載の方法。
- 請求項4に記載の方法であって、ここで、前記ペグ化リポソームアントラサイクリン組成物が、3〜4週間ごとに、所定の約45〜90分間の時間にわたって、約20〜約50mg/m2の量で投与される、方法。
- 請求項4に記載の方法であて、ここで、前記増殖因子レセプターの細胞外ドメインに対して指向される抗体が、所定の約60〜90分間の時間にわたって1回、約2〜6mg/kgの量で最初に投与され、続いて1〜4週間毎に、所定の約60〜90分間の時間にわたって、約2〜6mg/kgの量で投与される、方法。
- 請求項5に記載の方法であって、ここで、前記さらなる抗腫瘍剤が、2〜4週間毎に所定の約20〜約60分間の時間にわたって、約400〜約600mg/m2の量で投与される、方法。
- 前記抗体が、トラスツズマブである、請求項5に記載の方法。
- 前記さらなる抗腫瘍剤が、シクロホスファミドである、請求項5に記載の方法。
- 請求項11に記載の方法であって、ここで、
a)前記ペグ化リポソームのドキソルビシン組成物が、3〜4週間毎に所定の約45〜約90分間の時間にわたって約20〜約50mg/m2の量で投与され;
b)トラスツズマブが、所定の約60〜約90分間の時間にわたって、約2〜約8mg/kgの量で最初に投与され、続いて1〜4週間毎に所定の60〜90分間の時間にわたって約2〜約8mg/kgの量で投与され:
c)前記さらなる抗腫瘍剤がシクロホスファミドであり、そしてこれが、2〜4週間毎に所定の約20〜約60分間の時間にわたって、約400〜約600mg/m2の量で投与される、方法。 - 請求項24に記載の方法であって、ここで(1)前記ペグ化リポソームのドキソルビシン組成物が最初に投与され、続いて(2)シクロホスファミドが投与され、次いで(3)トラスツズマブが投与される、方法。
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