JP2004515525A - 水溶液中への蒸発沈降を用いた薬剤粒子の調製 - Google Patents
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Abstract
低水溶性の薬剤粒子の調製方法が開示される。この方法は、薬剤を少なくとも一種の有機溶媒に溶解させて薬剤/有機混合物を形成すること、当該薬剤/有機混合物を水溶液中にスプレーすること及び同時に当該水溶液の存在下で当該有機溶媒を蒸発させて薬剤粒子の水性分散液を形成することを含んでなる。その結果生じた薬剤粒子はナノメートルないしマイクロメートルのサイズの範囲にあり、処理されない薬剤と比べた場合に向上した溶出速度と減少した結晶性を示す。
Description
【0001】
本発明は薬剤粒子およびその調製方法に関する。より詳しくは、本発明は水溶液中への蒸発沈降(evaporative precipitation into aqueous solutions)を利用する薬剤粒子の調製に関する。
【0002】
バイオアベイラビリティ(bioavailability:生物学的利用能)は、薬剤が体に投与された後に標的組織に対して利用可能となる程度を意味する用語である。バイオアベイラビリティの不良は、医薬組成物、特に水中で溶解性が低い有効成分を含有する医薬組成物の開発において遭遇する重大な問題である。低水溶性薬剤は血液循環に吸収される前に胃腸管から排除される傾向にある。
【0003】
特定の薬剤の溶出速度(rate of dissolution)は、表面積の増大すなわち粒子サイズの減少に伴って増大することができる。医薬組成物において薬剤粒子のサイズおよびサイズ範囲を制御すべく尽力されてきた。例えば、米国特許第5,145,684号に記載されるような湿式粉砕(wet milling)法が使用されている。しかしながら、かかる湿式粉砕法は粉砕媒体からの異物混入(contamination)に伴う問題を示す。湿式粉砕法と粉砕用固体を用いて高度に均一なサブミクロン粒子を生成することは困難であり、また取扱いに時間がかかる。さらに、薬剤原料(drug substance)を長時間にわたる高温または機械的剪断に曝すことは、薬剤がその活性を失うことを生じ得る。
【0004】
蒸気中への噴霧乾燥(spray drying)はミクロンサイズの薬剤粒子を形成するために使用される別の方法である。噴霧乾燥法は乾燥医薬粉末を形成するために一般に使用されている。大抵の場合、水溶液中の親水性薬剤または有機溶液中の低水溶性薬剤がスプレーされるが、このアプローチは低水溶性薬剤と水溶性賦形剤を同時にスプレーするための手段を提供していない。
【0005】
米国特許第5,985,248号は、親水性賦形剤または安定化剤と疎水性薬剤とを水:エタノールなどの共溶媒系に溶解させ、当該系を蒸気中に噴霧乾燥(spray drying)することを教示している。米国特許第6,001,336号は、疎水性薬剤を、親水性安定化剤を含有する水溶液中に懸濁させ、その懸濁液を蒸気中に噴霧乾燥することを教示している。米国特許第6,077,543号およびWO98/29096は、有機溶液と水溶液を一緒に蒸気中に噴霧することを教示している。これらの教示の全てにおいて、ミクロンサイズの範囲の薬剤粒子が形成される。溶媒蒸発時の薬剤粒子の成長に起因して、これらの方法によってサブミクロン粒子を生成することは困難である。水が蒸発するにつれて水は親水性安定化剤を溶媒和しなくなる。この安定化剤の溶媒和は、それが薬剤粒子の成長を防止できるためには必要である。その結果、安定化剤によっては薬剤粒子の成長が阻害されなくなり、その粒子サイズは通常1ミクロンよりも大きくなる。さらに、これらの教示の全てにおいて、界面活性剤および安定化剤の沈降が同軸ノズル中で同時に起こるため、粒子の形態を制御することが遥かに困難となる。さらにまた、これらの教示の全てにおいて、有用な賦形剤は糖類、塩類、ペクチンおよびクエン酸であるが、これらはスプレー工程時に粒子の成長を防止するための安定化剤としては良好でない。
【0006】
米国特許第5,795,594号および同第5,851,453号は、ミクロンサイズの範囲の薬剤粒子を形成するための圧縮流体の抗溶媒(antisolvents)の使用を教示している。この方法は、圧縮された抗溶媒を用いた沈降(Precipitation using Compressed Antisolvents :PCA)、固体の溶液増強分散(Solution−Enhanced Dispersion of Solids:SEDS)、超臨界抗溶媒法(Supercritical AntiSolvent process :SAS)と呼ばれている。大抵の場合、この方法では圧縮二酸化炭素中での水の低溶解性に起因して水を利用せず、従って、この方法で水溶性賦形剤を使用することは困難である。ただし、場合によっては、薬剤有機溶液、水溶液およびエタノールなどの第二有機溶液を圧縮二酸化炭素に流すことによって、この方法で水を用いることは可能である。このエタノールは水をCO2 相に抽出するために必要とされる。この方法ではジェットにおける3つの流れの混合の複雑さに起因して粒子サイズを制御することは困難である。また、高圧容器から粒子を回収しなければならず、高いCO2 /薬剤の比が必要である。さらに、水がCO2 と接触する際に水のpHが3に達し、これは薬剤の安定性および賦形剤との相互作用にとって有害となり得る。
【0007】
ヤング(Young)ら、Rapid Expansion from Supercritical to Aqueous Solution to Produce Submicron Suspensions of Water−Insoluble Drugs(超臨界から水溶液への急速膨張による水不溶性薬剤懸濁液の生成), Biotechnol. Prog. 2000, 16, 402−407 は、超臨界流体溶液の水への急速膨張による低水溶性薬剤粒子の形成を教示している。この超臨界流体は臨界温度よりも高い温度の二酸化炭素である。二酸化炭素およびエタン、プロパン等の他の超臨界流体中での薬剤の溶解性は通常は非常に低い。CO2 中での水の低溶解性に起因して噴霧抗溶媒法(PCA、SASまたはSEDS)において水溶性の安定化剤および賦形剤を二酸化炭素中に添加することは困難である。レバーチョン.E(Reverchon E.)、Supercritical Antisolvent Precipitation of Micro− and Nano−particles(ミクロおよびナノ粒子の超臨界抗溶媒沈降), J.Supercrit. Fluid., 1999, 15, 1−21 。これらの抗溶媒法は大きな二酸化炭素/薬剤比ならびに生成物回収のための高圧容器の使用を必要とする。この方法は、同軸ノズルを通じて水溶液および二種類の有機溶液をスプレーする場合であっても、同軸ノズルを通じての有機相および水相の噴霧乾燥について上述した制限の多くを受ける。水がエタノール−二酸化炭素混合物中に溶解するにつれて、水は安定化剤を溶媒和しなくなり粒子成長を防止することができなくなる。このため、この方法は比較的少数の薬剤に制限されている。
【0008】
薬剤粒子の調製の技術分野において、粒子サイズおよび形態(morphology)の容易な制御を可能にするとともに広範囲の薬剤原料に適用可能な方法を提供することが、有利であろう。
【0009】
一つの面において、本発明は、薬剤を少なくとも一種の有機溶媒に溶解させて薬剤/有機混合物を形成する工程;当該薬剤/有機混合物を水溶液中にスプレーする工程;および同時に当該水溶液の存在下で当該有機溶媒を蒸発させて薬剤粒子の水性分散液を形成する工程を含んでなる低水溶性の薬剤粒子の調製方法である。
【0010】
第二の面において、本発明は、薬剤を少なくとも一種の有機溶媒に溶解させて薬剤/有機混合物を形成する工程;当該薬剤/有機混合物を水溶液中にスプレーする工程;および同時に当該水溶液の存在下で当該有機溶媒を蒸発させて薬剤粒子の水性分散液を形成する工程を含んでなる方法により調製された、50ナノメートルないし20ミクロンの平均粒径を有する低水溶性の薬剤粒子である。
【0011】
本発明は、比較的大きな粒子に比べて増大したバイオアベイラビリティを生じさせるサブミクロンサイズの薬剤粒子を形成するために、水溶液中への蒸発沈降(evaporative precipitation into aqueous solutions:EPAS)を利用するものである。本発明の方法は、薬剤を溶解させるために数種類の溶媒を選択し得るので、広範囲の薬剤原料に対する適用可能性を有する。また、低水溶性の薬剤および水溶性の安定化剤/賦形剤を利用できる能力によって、水性媒体中で高い溶出速度を有するサブミクロン粒子を形成できる能力が与えられる。また本発明は、上記の先行技術に記載された技法に比べて、その結果生じる粒子サイズおよび形態を良好に制御する能力も与える。さらに本発明は、処理されないバルクの薬剤と比べて、多くの場合に、減少した結晶性を有する粒子を生成し、溶出を向上させる。
【0012】
図1は本発明の方法に有用な装置の一実施形態を例示する模式図である。図示されるように、タンク11は薬剤/有機混合物を収容する。この薬剤/有機混合物は薬剤を少なくとも一種の有機溶媒に溶解させることによって生成する。その結果生じる薬剤/有機混合物は、溶液、エマルジョンまたはミクロエマルジョンとなることができる。
【0013】
本発明の方法において使用できる薬剤は任意の低水溶性薬剤であってよい。適当な薬剤原料(drug substance)は、多様な公知の薬剤の分類(class)から選択することができ、例えば、鎮痛薬、抗炎症剤、駆虫薬、抗狭心症剤、抗不整脈剤、抗生物質(ペニシリンを含む)、抗凝血薬、抗鬱(うつ)剤、抗糖尿病薬、抗癲癇薬、抗ゴナドトロピン剤、抗ヒスタミン剤、抗過敏症剤、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリウム剤、抗腫瘍剤、免疫抑制剤、抗甲状腺剤、抗ウイルス剤、抗不安剤、鎮静剤(催眠剤および神経弛緩剤)、収斂剤、β−アドレナリン受容体遮断薬、血液製剤および置換剤、心不全薬、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳剤(去痰薬および粘液溶解薬)、診断剤、画像診断剤、利尿剤、ドーパミン作動薬(抗パーキンソン剤)、止血剤、免疫抑制性環状オリゴペプチド、免疫学的増強剤、脂質調節剤、筋肉弛緩剤、副交感神経興奮剤、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート類、プロスタグランジン類、放射性医薬、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー剤、興奮薬および食欲抑制薬、交感神経興奮剤、甲状腺剤、血管拡張剤(vasidilator)およびキサンチン類が含まれる。好適な薬剤原料としては、経口投与および静脈内投与を対象とするものが含まれる。これらの薬の分類の記述および各分類内の種(species)のリストは、Martindale, The Extra Pharmacopoeia, Twenty−ninth Edition, The Pharmaceutical Press, London, 1989 に見出すことができる。本発明の実施に有用な薬剤原料のより具体的な例としては、ダナゾール、シクロスポリン、ニフェジピン、カルバマゼピン、ナプロキセン、トリアムシノロンおよびその塩、ヒドロコルチゾンおよびその塩、プレドニゾンおよびその塩、フェニルブタゾン、ベタメタゾンおよびその塩、デキサメタゾンおよびその塩、17−βエストラジオール、ケトプロフェン、ベラパミル、ケトコナゾール、メフェナム酸、およびメトロニダゾールが含まれる。
【0014】
薬剤を溶解させる有機溶媒は、当該薬剤を十分なレベルまで溶解させる任意の有機溶媒であってよい。有機溶媒は薬剤を0.1重量%以上のレベルまで溶解させるのが好ましく、1.0重量%以上のレベルまで溶解させるのがさらに好ましい。有機溶媒は水と不混和性であるのが有利である。適当な有機溶媒としては、ジエチルエーテル、塩化メチレン、酢酸エチル、ジメチルエーテル、ペルフルオロアルカンおよびその異性体、官能基を有するか又は有しない部分的にフッ素化された溶媒、および沸点がほぼ70℃よりも低い他の有機溶媒、およびこれらの組合せが含まれる。
【0015】
一つの実施形態において、薬剤/有機混合物はさらに粒子安定化剤を含む。安定化(stabilization)は、本願明細書において、その結果生じる粒子が実質的に成長せず、また過度に結晶化しないことを意味するものと定義される。この点で粒子安定化剤(particle stabilizer)は、本願明細書において、薬剤粒子の粒子成長を実質的に阻害し結晶化を実質的に阻害することを意味するものと定義される。粒子安定化剤は、水溶性または有機溶解性のいずれでもよいが、粒子安定化剤が水溶性であればバイオアベイラビリティは一層大きな程度まで向上し得る。粒子安定化剤は薬剤粒子のバイオアベイラビリティを増大させるための吸収向上剤としても作用する。
【0016】
有機相に存在する粒子安定化剤は、水相の粒子の安定化に寄与することができる。粒子安定化剤の例としては、リン脂質、界面活性剤、低分子量または高分子量のベシクル、ポリマー(コポリマーおよびホモポリマーおよび生体高分子を含む)および/または分散助剤が含まれる。粒子安定化剤は、ノニオン性、アニオン性、カチオン性または両イオン性であってよい。適当な界面活性剤としては、ゼラチン、カゼイン、レシチン、(ホスファチド)、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール1000、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、市販されているトゥウィーン(Tweens)、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのコポリマー、ポリオキシエチレンステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート類、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、胆汁酸塩が含まれる。
【0017】
図1を再び参照すると、薬剤/有機混合物は、フィードライン12を通じてスプレイヤー(スプレー装置)に送られ、そこでタンク13に収容された水溶液中にスプレーされる。薬剤/有機混合物は、タンク13内の水溶液の液面に又は液面より下にスプレーされる。
【0018】
本発明の一つの代替的な実施形態において、水溶液の一部を薬剤/有機混合物と共に水溶液の残りの部分にスプレーすることができる。かかる実施形態において、2つの流れを同時にスプレーすることができるようにノズルを設計すべきである。かかる実施形態において、タンク13内の水溶液の液面を、例えばオーバーフロー(溢れ出し)等により制御して、連続的な粒子のスラリーが生じるようにすることができる。この粒子のスラリーは次に更なる処理を受けて最終薬剤粒子を生じることができる。
【0019】
図2は水溶液13を収容するタンク13の断面図である。好適な実施形態において、水溶液21は少なくとも一種の粒子安定化剤を含有する。適当な粒子安定化剤としては、薬剤/有機混合物に含まれるものとして上記に掲載したものが含まれる。水溶液21中に使用するために選択される特定の粒子安定化剤または複数の粒子安定化剤は、薬剤/有機混合物中の粒子安定化剤と同一であっても又は異なってもよい。薬剤/全粒子安定化剤の重量比は0.01:1ないし10:1、好ましくは0.05:1ないし7:1、より好ましくは0.1:1ないし4:1である。
【0020】
薬剤/有機混合物は、アトマイザー(微細化装置)22によりタンク内の液面に又は液面より下にスプレーされて、小滴(droplets)23を含んでなるジェットを形成する。このジェットが薬剤/有機混合物の小滴と水溶液との間で強烈な混合を生じさせる。かくして、薬剤/有機混合物がアトマイザー22によりスプレーされる際に、有機溶媒が同時に水溶液21中に蒸発して薬剤粒子の水性分散液を形成する。このようにして、当該スプレーおよび水溶液中の賦形剤による薬剤粒子の安定化とともに、有機溶媒の蒸発が急速に起こる。有機溶媒の蒸発は水溶液の表面より下で起こる。
【0021】
アトマイザー(微細化装置)22は、バルクの液を小滴に微細化することができる任意の装置であってよい。アトマイザーとして有用な適当な装置としては、圧力ノズル、ベンチュリノズル、振動オリフィス、超音波スプレーノズル、回転カップもしくはディスク、バブルキャップもしくはグリッドまたは多孔板が含まれる。
【0022】
水中で有機溶液を微小滴に蒸発させるアトマイゼーション(微細化)およびスプレーの強さが、成長しつつある薬剤粒子と水溶性の安定化剤および賦形剤との間で強烈な混合を生じさせる。また、有機溶媒の急速な蒸発が、薬剤の多量の過飽和および急速な沈降を生じさせる。この薬剤の急速な沈降は、その時間経過が非常に短くて結晶化できないため、結晶性粒子の代わりに非晶性粒子を生じさせる潜在能力を有する。親水性の安定化剤は、有機溶媒が蒸発する間、水によって溶媒和されたままの状態にある。したがって、安定化剤は成長しつつある薬剤粒子を覆い、成長を阻害する。その結果生ずる粒子の形態および粒子サイズは、流量、ノズルの形状寸法、薬剤と安定化剤の濃度、安定化剤の性質を変えることによって制御できる。
【0023】
薬剤/有機混合物の温度は、当該有機溶媒の急速な蒸発を可能とするレベルにある。この温度は典型的には、当該有機溶媒の通常の沸点よりも低い50℃以上ないし当該有機溶媒の通常の沸点よりも高い80℃である。薬剤/有機混合物の温度がその通常の沸点であるか又は通常の沸点よりも高い場合には、液相を維持するためにフィードライン12が十分な圧力にある必要がある。
【0024】
水相の温度は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは50℃以上であり、さらに好ましくは70℃以上である。水相の温度の上限は操作圧力に依存するが、薬剤を分解しないようにするために十分に低い一方、過度の量の水を蒸発させずに有機溶媒を蒸発させるために十分に高い温度であることが好ましい。好適な実施形態において、この温度は120℃よりも低く、より好ましくは95℃よりも低く、さらに好ましくは85℃よりも低い。水溶液の圧力は、大気圧であっても、又は蒸発を促進すべく大気圧よりも低い圧力であっても、又は大気圧よりも高い圧力であってもよい。
【0025】
本発明においては、薬剤粒子は、気相ではなく水性の液相において生成する。このため、沈降しない水性の安定化剤によって粒子の成長が阻害される。水溶性の安定化剤でコートされた薬剤粒子の溶出速度は、その分散液が水相から生じることから、高いことが期待できる。本発明において、粒子形成段階は、水溶液が乾燥される段階とは別異のものである。このため、本発明は粒子サイズの優れた制御を与えることができる。
【0026】
水性分散液中の粒子の平均粒径は50ナノメートルないし20ミクロン、より好ましくは100ナノメートルないし5ミクロン、さらに好ましくは200ナノメートルないし1ミクロンである。薬剤粒子は必ずしも球状ではない。平均粒径は、沈降フィールド・フロー・フラクション、光子相関分光法、ディスク遠心分離またはダイナミック光散乱などの当業者に公知の任意の方法を用いて測定することができる。
【0027】
本発明の利点は、狭小な多分散度(polydispersity)(粒度分布ともいう)が生じることである。この粒度分布は、典型的には、狭い粒度範囲をもったモノモーダル(単モード)である。
【0028】
追加的な利点として、本発明によって調製される薬剤粒子は、処理されないバルクの薬剤と比べて減少した結晶性を示すことができると考えられる。かかる減少した結晶性は、増大した溶出速度およびバイオアベイラビリティを生じさせることができる。
【0029】
本発明の方法は、薬剤粒子を回収する工程をさらに含むことが望ましい。一つの実施形態において、薬剤粒子の回収は、当該粒子から水を除去することを含む。水の除去は、噴霧乾燥(spray drying)、噴霧凍結乾燥(spray freeze drying)、ポリマー・マトリックス内での粒子のゲル化として定義されるゲル化(gellation)、凍結乾燥(lyophilization)、冷気を用いた乾燥、および濾過を含め、当業者に公知の任意の方法を用いて行うことができる。
【0030】
賦形剤は、薬剤粒子が適当な投与のため均一に混合されることを可能とするために、薬剤粒子が形成される前または形成された後に、薬剤/有機混合物または水溶液に添加できることが有利である。適当な賦形剤としては、ポリマー、吸収向上剤、溶解性向上剤、溶出速度向上剤、安定性向上剤、生体接着剤、放出制御剤(徐放剤)、流動助剤および加工助剤が含まれる。より詳細には、適当な賦形剤としては、セルロースエーテル、アクリル酸ポリマーおよび胆汁酸塩が含まれる。他の適当な賦形剤が、1986年、Pharmaceutical Pressより、米国医薬協会および英国医薬協会によって共同で出版されたHandbook of Pharmaceutical Excipients(医薬賦形剤のハンドブック)に詳細に記載されている。このような賦形剤は、市販されているか、及び/又は当該技術分野において公知の方法により調製することができる。
【0031】
以下の実施例は、例示する目的だけのものであって特許請求される発明の範囲を限定することを意図するものではない。パーセントは特に明記しない限り重量パーセントである。
【0032】
実施例
以下の実施例について、図1に示す装置を使用する。薬剤/有機混合物を、コンスタメトリック(Constametric)3200HPLCポンプにより、予備加熱コイルを通じて、必要量の水溶液を収容する30mLの受取用タンクに送った。スプレーのために使用されるノズルは、端部に楕円錐形状を形成するように1/16”(インチ)ステンレス鋼管を切断することによって製作した。望ましい流量を得るために管の端部を研磨した。気泡が形成される場合にそれを粉砕するために、窒素を下向きに連続的に流した。全ての実施例について、粒子サイズは、スプレーから4時間以内にダイナミック光散乱法により測定した。
【0033】
以下の実施例についての溶出試験は、USP Apparatus IIパドル法(paddle method)に従うヴァンケル(Vankel)溶出装置を用いて行った。全ての溶出試験の間シンク条件を確保するために、薬剤の飽和溶解度の10〜30%のみを当該溶出装置に加えた。適当な量の最終薬剤調製物を秤量して900mlの蒸留水に加えた。パドル型撹拌機を用いて各サンプルを50rpmで撹拌した。当該溶出装置は実験を通じて37℃に維持した。5mlの量のサンプルを自動的に10分、20分、30分および60分の間隔で自動的に抜き取った。これらのサンプルを0.45μmフィルター(Gelman GHP Acrodisc 0.45μm、VWR)を用いて濾過した。HPLC分析時に沈降がいっさい起こらないことを確保するために、0.5mlの有機溶媒を3mlの濾過済みサンプルに加えた。この有機溶媒は移動相の有機成分(アセトニトリル)であることが好ましい。これらを、ボルテックスミキサーを用いてほぼ10秒間高速で混合し、次に0.45μmフィルターを用いて再濾過して分析用HPLCバイアルに移した。HPLC分析は各薬剤毎に相違し、正確な方法はジョージ・ラン(George Lunn)およびノーマン・アール・シュマフ(Norman R. Schmuff)による「医薬分析用HPLC法」(HPLC methods for pharmaceutical analysis), John Wiley & Sons, NY, 1997に示唆されている方法を変更したものである。
【0034】
実施例1〜8
薬剤はシクロスポリンであり、有機溶媒はジエチルエーテルであり、薬剤/有機混合物の濃度はジエチルエーテル中で5.0重量%シクロスポリンであった。水溶液については、トゥウィーン(Tween)80、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ACROS)が、粒子安定化剤として使用した界面活性剤であった。薬剤/有機混合物を1ml/分の速度で10mLの水溶液中にスプレーした。表Aは処理パラメータおよびその結果生じた粒子サイズを掲載したものである。
【表1】
【0035】
実施例9〜13
薬剤はシクロスポリンであり、有機溶媒はジエチルエーテルであり、薬剤/有機混合物の濃度は表Bに示す通りであった。水溶液については、ホスファチジルコリン(10重量%)、シグマ(Sigma)の卵レシチン(60%純度)が、粒子安定化剤として使用した界面活性剤であった。薬剤/有機混合物を1ml/分の速度で10mLの水溶液中にスプレーした。水溶液の温度は75℃であり、薬剤/有機混合物は75℃の温度で水溶液中にスプレーされた。表Bは幾つかの処理パラメータおよびその結果生じた粒子サイズを掲載したものである。
【表2】
【0036】
実施例14〜16
薬剤はシクロスポリン(5重量%)であり、有機溶媒は下の表Cに掲載されるものであった。水溶液については、ルトロール(Lutrol)F127としても知られているポロキサマー(Poloxamer)407(1重量%)、73%のポリエチレングリコールと27%のポリプロピレングリコールから成る平均分子量12,000のポリ(エチレン)−ポリ(プロピレン)ブロックポリマー(BASF)が、粒子安定化剤として使用した界面活性剤であった。薬剤/有機混合物を1ml/分の速度で25mLの水溶液中にスプレーした。水溶液および薬剤/有機混合物の温度は75℃であった。表Cは幾つかの処理パラメータおよびその結果生じた粒子サイズを掲載したものである。
【表3】
【0037】
実施例17〜21
薬剤はダナゾールであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。水溶液中の粒子安定化剤は下の表Dに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は1重量%であった。薬剤/有機混合物(2重量%薬剤)を2ml/分の速度で5分間、水溶液中にスプレーした。水溶液および薬剤/有機混合物の両方の温度は75℃であった。薬剤/界面活性剤の比は1.06であった。
【表4】
【0038】
実施例22〜26
薬剤はカルバマゼピンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。有機溶液中の薬剤の濃度は2重量%であった。水溶液中の粒子安定化剤は下の表Eに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は1重量%であった。薬剤/有機混合物を2.5ml/分の速度で水溶液中にスプレーした。水溶液および薬剤/有機混合物の両方の温度は75℃であった。薬剤/界面活性剤の比は1:30であった。
【表5】
【0039】
実施例27〜29
薬剤はトリアムシノロンアセトニド(本願明細書中でTAAとも称する)であり、有機溶媒は塩化メチレンであった。有機溶液中の薬剤の濃度は0.5重量%であった。水溶液および有機溶液中の粒子安定化剤は下の表Fに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は1重量%であり、有機溶液中の粒子安定化剤の濃度は0.5重量%であった。水溶液の体積は15mlであった。全ての場合において、その結果生じた水性の薬剤懸濁液をヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)(グレードE−5)に注ぎ、これを手で入念に混合し、ガラス結晶化皿に注いで、30インチHgの減圧度で40〜60℃の範囲の温度にて少なくとも10時間、減圧乾燥した。その結果生じた固体を機械的に粉砕して粉末にし、これらの粉末について溶出研究を行った。これらの溶出試験の結果をバルクのTAAのものと比較した。図3に示す結果は本発明に従って処理したTAAの増大した溶出速度を示す。
【表6】
【0040】
実施例30〜32
薬剤はカルバマゼピンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。薬剤/有機混合物およびその受取りをする水溶液の温度は87℃であった。有機溶液中の薬剤の濃度は1.0重量%であった。水溶液中の粒子安定化剤は下の表Gに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は2重量%であり、有機溶液は薬剤に加えて0.5重量%のポロキサマー407を含有する。水溶液の体積は20mlであった。全ての場合において、その結果生じた水性の薬剤懸濁液を液体窒素中にスプレーし、その凍結した粒子を次に24時間凍結乾燥した。その結果生じた粉末を入念に混合し、これらの粉末について溶出研究を行った。これらの溶出試験の結果をバルクのカルバマゼピンのものと比較した。図4に示す結果は、処理されないバルクのカルバマゼピンと比べて、本発明に従って処理したカルバマゼピンの増大した溶出速度を明確に示す。これらの粉末の結晶性についても研究したところ、その結果はバルクの薬剤に比べて結晶性の減少を示した。
【表7】
【0041】
実施例33
薬剤はカルバマゼピンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。薬剤/有機混合物およびその受取りをする水溶液の温度は87℃であった。有機溶液中の薬剤の濃度は1.0重量%であった。水溶液中の粒子安定化剤は2重量%のデオキシコール酸であり、有機溶液中の粒子安定化剤は0.5重量%のポロキサマー407であった。この有機溶液を、2ml/分の速度で27分間、50mlのデオキシコール酸水溶液中にスプレーした。この懸濁液を直ちに、入口温度145〜150℃および出口温度90〜95℃が維持されたブッチ(Buchi)190スプレードライヤー中で噴霧乾燥した。その結果生じた乾燥粉末を集めた。この粉末のSEM顕微鏡写真を図5に示す。この図は結晶性の粒子が無いことを示し、EPASを用いて生成した薬剤が非晶性のものであることを示す。
【0042】
実施例34〜37
薬剤はニフェジピンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。有機溶液中の薬剤の濃度は1.0重量%であった。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤はポリ(ビニルアルコール)(PVA)であった。水溶液の体積は20mlであった。表HはこのPVAに加えて水溶液に添加された賦形剤を掲載するものである。全ての場合において、その結果生じた水性の薬剤懸濁液を、液体窒素中にそのサンプル容器を浸すことによって急速に凍結し、次に24時間凍結乾燥した。その結果生じた粉末を入念に混合し、これらの粉末について溶出研究を行った。これらの溶出試験の結果をバルクのニフェジピンのものと比較した。図6に示す結果は、処理されないバルクのニフェジピンと比べて、EPAS処理したニフェジピンの増大した溶出速度を明確に示す。これらの粉末の結晶性についてもX線回折パターンを用いて研究したところ、その結果はバルクの薬剤に比べて本発明に従って処理した薬剤の結晶性の減少を示した。
【表8】
【0043】
実施例38〜39
薬剤はケトプロフェンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。スプレーされる薬剤/有機混合物およびその受取りをする水溶液の温度は87℃であった。有機溶液中の薬剤の濃度は1.0重量%であった。水溶液中の粒子安定化剤は表Jに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は2重量%であり、有機溶液は薬剤に加えて0.5重量%のポロキサマー407を含有する。水溶液の体積は20mlであった。全ての場合において、その結果生じた水性の薬剤懸濁液を液体窒素中にそのサンプル容器を浸すことによって急速に凍結し、次に24時間凍結乾燥した。これらの粉末の結晶性についてX線回折パターンを用いて結晶性研究を行い、バルクのケトプロフェンのものと比較したところ、バルクの薬剤と異なり本発明に従って処理した薬剤は非晶性を示した。
【表9】
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る方法の一実施形態を例示する模式図である。
【図2】
本発明に係る方法に有用な容器の断面図である。
【図3】
本発明に係る粒子の改善された溶出速度を示すグラフである。
【図4】
本発明に係る粒子の改善された溶出速度を示すグラフである。
【図5】
本発明に係る粒子の減少した結晶性を示すSEMである。
【図6】
本発明に係る粒子の改善された溶出速度を示すグラフである。
本発明は薬剤粒子およびその調製方法に関する。より詳しくは、本発明は水溶液中への蒸発沈降(evaporative precipitation into aqueous solutions)を利用する薬剤粒子の調製に関する。
【0002】
バイオアベイラビリティ(bioavailability:生物学的利用能)は、薬剤が体に投与された後に標的組織に対して利用可能となる程度を意味する用語である。バイオアベイラビリティの不良は、医薬組成物、特に水中で溶解性が低い有効成分を含有する医薬組成物の開発において遭遇する重大な問題である。低水溶性薬剤は血液循環に吸収される前に胃腸管から排除される傾向にある。
【0003】
特定の薬剤の溶出速度(rate of dissolution)は、表面積の増大すなわち粒子サイズの減少に伴って増大することができる。医薬組成物において薬剤粒子のサイズおよびサイズ範囲を制御すべく尽力されてきた。例えば、米国特許第5,145,684号に記載されるような湿式粉砕(wet milling)法が使用されている。しかしながら、かかる湿式粉砕法は粉砕媒体からの異物混入(contamination)に伴う問題を示す。湿式粉砕法と粉砕用固体を用いて高度に均一なサブミクロン粒子を生成することは困難であり、また取扱いに時間がかかる。さらに、薬剤原料(drug substance)を長時間にわたる高温または機械的剪断に曝すことは、薬剤がその活性を失うことを生じ得る。
【0004】
蒸気中への噴霧乾燥(spray drying)はミクロンサイズの薬剤粒子を形成するために使用される別の方法である。噴霧乾燥法は乾燥医薬粉末を形成するために一般に使用されている。大抵の場合、水溶液中の親水性薬剤または有機溶液中の低水溶性薬剤がスプレーされるが、このアプローチは低水溶性薬剤と水溶性賦形剤を同時にスプレーするための手段を提供していない。
【0005】
米国特許第5,985,248号は、親水性賦形剤または安定化剤と疎水性薬剤とを水:エタノールなどの共溶媒系に溶解させ、当該系を蒸気中に噴霧乾燥(spray drying)することを教示している。米国特許第6,001,336号は、疎水性薬剤を、親水性安定化剤を含有する水溶液中に懸濁させ、その懸濁液を蒸気中に噴霧乾燥することを教示している。米国特許第6,077,543号およびWO98/29096は、有機溶液と水溶液を一緒に蒸気中に噴霧することを教示している。これらの教示の全てにおいて、ミクロンサイズの範囲の薬剤粒子が形成される。溶媒蒸発時の薬剤粒子の成長に起因して、これらの方法によってサブミクロン粒子を生成することは困難である。水が蒸発するにつれて水は親水性安定化剤を溶媒和しなくなる。この安定化剤の溶媒和は、それが薬剤粒子の成長を防止できるためには必要である。その結果、安定化剤によっては薬剤粒子の成長が阻害されなくなり、その粒子サイズは通常1ミクロンよりも大きくなる。さらに、これらの教示の全てにおいて、界面活性剤および安定化剤の沈降が同軸ノズル中で同時に起こるため、粒子の形態を制御することが遥かに困難となる。さらにまた、これらの教示の全てにおいて、有用な賦形剤は糖類、塩類、ペクチンおよびクエン酸であるが、これらはスプレー工程時に粒子の成長を防止するための安定化剤としては良好でない。
【0006】
米国特許第5,795,594号および同第5,851,453号は、ミクロンサイズの範囲の薬剤粒子を形成するための圧縮流体の抗溶媒(antisolvents)の使用を教示している。この方法は、圧縮された抗溶媒を用いた沈降(Precipitation using Compressed Antisolvents :PCA)、固体の溶液増強分散(Solution−Enhanced Dispersion of Solids:SEDS)、超臨界抗溶媒法(Supercritical AntiSolvent process :SAS)と呼ばれている。大抵の場合、この方法では圧縮二酸化炭素中での水の低溶解性に起因して水を利用せず、従って、この方法で水溶性賦形剤を使用することは困難である。ただし、場合によっては、薬剤有機溶液、水溶液およびエタノールなどの第二有機溶液を圧縮二酸化炭素に流すことによって、この方法で水を用いることは可能である。このエタノールは水をCO2 相に抽出するために必要とされる。この方法ではジェットにおける3つの流れの混合の複雑さに起因して粒子サイズを制御することは困難である。また、高圧容器から粒子を回収しなければならず、高いCO2 /薬剤の比が必要である。さらに、水がCO2 と接触する際に水のpHが3に達し、これは薬剤の安定性および賦形剤との相互作用にとって有害となり得る。
【0007】
ヤング(Young)ら、Rapid Expansion from Supercritical to Aqueous Solution to Produce Submicron Suspensions of Water−Insoluble Drugs(超臨界から水溶液への急速膨張による水不溶性薬剤懸濁液の生成), Biotechnol. Prog. 2000, 16, 402−407 は、超臨界流体溶液の水への急速膨張による低水溶性薬剤粒子の形成を教示している。この超臨界流体は臨界温度よりも高い温度の二酸化炭素である。二酸化炭素およびエタン、プロパン等の他の超臨界流体中での薬剤の溶解性は通常は非常に低い。CO2 中での水の低溶解性に起因して噴霧抗溶媒法(PCA、SASまたはSEDS)において水溶性の安定化剤および賦形剤を二酸化炭素中に添加することは困難である。レバーチョン.E(Reverchon E.)、Supercritical Antisolvent Precipitation of Micro− and Nano−particles(ミクロおよびナノ粒子の超臨界抗溶媒沈降), J.Supercrit. Fluid., 1999, 15, 1−21 。これらの抗溶媒法は大きな二酸化炭素/薬剤比ならびに生成物回収のための高圧容器の使用を必要とする。この方法は、同軸ノズルを通じて水溶液および二種類の有機溶液をスプレーする場合であっても、同軸ノズルを通じての有機相および水相の噴霧乾燥について上述した制限の多くを受ける。水がエタノール−二酸化炭素混合物中に溶解するにつれて、水は安定化剤を溶媒和しなくなり粒子成長を防止することができなくなる。このため、この方法は比較的少数の薬剤に制限されている。
【0008】
薬剤粒子の調製の技術分野において、粒子サイズおよび形態(morphology)の容易な制御を可能にするとともに広範囲の薬剤原料に適用可能な方法を提供することが、有利であろう。
【0009】
一つの面において、本発明は、薬剤を少なくとも一種の有機溶媒に溶解させて薬剤/有機混合物を形成する工程;当該薬剤/有機混合物を水溶液中にスプレーする工程;および同時に当該水溶液の存在下で当該有機溶媒を蒸発させて薬剤粒子の水性分散液を形成する工程を含んでなる低水溶性の薬剤粒子の調製方法である。
【0010】
第二の面において、本発明は、薬剤を少なくとも一種の有機溶媒に溶解させて薬剤/有機混合物を形成する工程;当該薬剤/有機混合物を水溶液中にスプレーする工程;および同時に当該水溶液の存在下で当該有機溶媒を蒸発させて薬剤粒子の水性分散液を形成する工程を含んでなる方法により調製された、50ナノメートルないし20ミクロンの平均粒径を有する低水溶性の薬剤粒子である。
【0011】
本発明は、比較的大きな粒子に比べて増大したバイオアベイラビリティを生じさせるサブミクロンサイズの薬剤粒子を形成するために、水溶液中への蒸発沈降(evaporative precipitation into aqueous solutions:EPAS)を利用するものである。本発明の方法は、薬剤を溶解させるために数種類の溶媒を選択し得るので、広範囲の薬剤原料に対する適用可能性を有する。また、低水溶性の薬剤および水溶性の安定化剤/賦形剤を利用できる能力によって、水性媒体中で高い溶出速度を有するサブミクロン粒子を形成できる能力が与えられる。また本発明は、上記の先行技術に記載された技法に比べて、その結果生じる粒子サイズおよび形態を良好に制御する能力も与える。さらに本発明は、処理されないバルクの薬剤と比べて、多くの場合に、減少した結晶性を有する粒子を生成し、溶出を向上させる。
【0012】
図1は本発明の方法に有用な装置の一実施形態を例示する模式図である。図示されるように、タンク11は薬剤/有機混合物を収容する。この薬剤/有機混合物は薬剤を少なくとも一種の有機溶媒に溶解させることによって生成する。その結果生じる薬剤/有機混合物は、溶液、エマルジョンまたはミクロエマルジョンとなることができる。
【0013】
本発明の方法において使用できる薬剤は任意の低水溶性薬剤であってよい。適当な薬剤原料(drug substance)は、多様な公知の薬剤の分類(class)から選択することができ、例えば、鎮痛薬、抗炎症剤、駆虫薬、抗狭心症剤、抗不整脈剤、抗生物質(ペニシリンを含む)、抗凝血薬、抗鬱(うつ)剤、抗糖尿病薬、抗癲癇薬、抗ゴナドトロピン剤、抗ヒスタミン剤、抗過敏症剤、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリウム剤、抗腫瘍剤、免疫抑制剤、抗甲状腺剤、抗ウイルス剤、抗不安剤、鎮静剤(催眠剤および神経弛緩剤)、収斂剤、β−アドレナリン受容体遮断薬、血液製剤および置換剤、心不全薬、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳剤(去痰薬および粘液溶解薬)、診断剤、画像診断剤、利尿剤、ドーパミン作動薬(抗パーキンソン剤)、止血剤、免疫抑制性環状オリゴペプチド、免疫学的増強剤、脂質調節剤、筋肉弛緩剤、副交感神経興奮剤、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート類、プロスタグランジン類、放射性医薬、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー剤、興奮薬および食欲抑制薬、交感神経興奮剤、甲状腺剤、血管拡張剤(vasidilator)およびキサンチン類が含まれる。好適な薬剤原料としては、経口投与および静脈内投与を対象とするものが含まれる。これらの薬の分類の記述および各分類内の種(species)のリストは、Martindale, The Extra Pharmacopoeia, Twenty−ninth Edition, The Pharmaceutical Press, London, 1989 に見出すことができる。本発明の実施に有用な薬剤原料のより具体的な例としては、ダナゾール、シクロスポリン、ニフェジピン、カルバマゼピン、ナプロキセン、トリアムシノロンおよびその塩、ヒドロコルチゾンおよびその塩、プレドニゾンおよびその塩、フェニルブタゾン、ベタメタゾンおよびその塩、デキサメタゾンおよびその塩、17−βエストラジオール、ケトプロフェン、ベラパミル、ケトコナゾール、メフェナム酸、およびメトロニダゾールが含まれる。
【0014】
薬剤を溶解させる有機溶媒は、当該薬剤を十分なレベルまで溶解させる任意の有機溶媒であってよい。有機溶媒は薬剤を0.1重量%以上のレベルまで溶解させるのが好ましく、1.0重量%以上のレベルまで溶解させるのがさらに好ましい。有機溶媒は水と不混和性であるのが有利である。適当な有機溶媒としては、ジエチルエーテル、塩化メチレン、酢酸エチル、ジメチルエーテル、ペルフルオロアルカンおよびその異性体、官能基を有するか又は有しない部分的にフッ素化された溶媒、および沸点がほぼ70℃よりも低い他の有機溶媒、およびこれらの組合せが含まれる。
【0015】
一つの実施形態において、薬剤/有機混合物はさらに粒子安定化剤を含む。安定化(stabilization)は、本願明細書において、その結果生じる粒子が実質的に成長せず、また過度に結晶化しないことを意味するものと定義される。この点で粒子安定化剤(particle stabilizer)は、本願明細書において、薬剤粒子の粒子成長を実質的に阻害し結晶化を実質的に阻害することを意味するものと定義される。粒子安定化剤は、水溶性または有機溶解性のいずれでもよいが、粒子安定化剤が水溶性であればバイオアベイラビリティは一層大きな程度まで向上し得る。粒子安定化剤は薬剤粒子のバイオアベイラビリティを増大させるための吸収向上剤としても作用する。
【0016】
有機相に存在する粒子安定化剤は、水相の粒子の安定化に寄与することができる。粒子安定化剤の例としては、リン脂質、界面活性剤、低分子量または高分子量のベシクル、ポリマー(コポリマーおよびホモポリマーおよび生体高分子を含む)および/または分散助剤が含まれる。粒子安定化剤は、ノニオン性、アニオン性、カチオン性または両イオン性であってよい。適当な界面活性剤としては、ゼラチン、カゼイン、レシチン、(ホスファチド)、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール1000、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、市販されているトゥウィーン(Tweens)、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのコポリマー、ポリオキシエチレンステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート類、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、胆汁酸塩が含まれる。
【0017】
図1を再び参照すると、薬剤/有機混合物は、フィードライン12を通じてスプレイヤー(スプレー装置)に送られ、そこでタンク13に収容された水溶液中にスプレーされる。薬剤/有機混合物は、タンク13内の水溶液の液面に又は液面より下にスプレーされる。
【0018】
本発明の一つの代替的な実施形態において、水溶液の一部を薬剤/有機混合物と共に水溶液の残りの部分にスプレーすることができる。かかる実施形態において、2つの流れを同時にスプレーすることができるようにノズルを設計すべきである。かかる実施形態において、タンク13内の水溶液の液面を、例えばオーバーフロー(溢れ出し)等により制御して、連続的な粒子のスラリーが生じるようにすることができる。この粒子のスラリーは次に更なる処理を受けて最終薬剤粒子を生じることができる。
【0019】
図2は水溶液13を収容するタンク13の断面図である。好適な実施形態において、水溶液21は少なくとも一種の粒子安定化剤を含有する。適当な粒子安定化剤としては、薬剤/有機混合物に含まれるものとして上記に掲載したものが含まれる。水溶液21中に使用するために選択される特定の粒子安定化剤または複数の粒子安定化剤は、薬剤/有機混合物中の粒子安定化剤と同一であっても又は異なってもよい。薬剤/全粒子安定化剤の重量比は0.01:1ないし10:1、好ましくは0.05:1ないし7:1、より好ましくは0.1:1ないし4:1である。
【0020】
薬剤/有機混合物は、アトマイザー(微細化装置)22によりタンク内の液面に又は液面より下にスプレーされて、小滴(droplets)23を含んでなるジェットを形成する。このジェットが薬剤/有機混合物の小滴と水溶液との間で強烈な混合を生じさせる。かくして、薬剤/有機混合物がアトマイザー22によりスプレーされる際に、有機溶媒が同時に水溶液21中に蒸発して薬剤粒子の水性分散液を形成する。このようにして、当該スプレーおよび水溶液中の賦形剤による薬剤粒子の安定化とともに、有機溶媒の蒸発が急速に起こる。有機溶媒の蒸発は水溶液の表面より下で起こる。
【0021】
アトマイザー(微細化装置)22は、バルクの液を小滴に微細化することができる任意の装置であってよい。アトマイザーとして有用な適当な装置としては、圧力ノズル、ベンチュリノズル、振動オリフィス、超音波スプレーノズル、回転カップもしくはディスク、バブルキャップもしくはグリッドまたは多孔板が含まれる。
【0022】
水中で有機溶液を微小滴に蒸発させるアトマイゼーション(微細化)およびスプレーの強さが、成長しつつある薬剤粒子と水溶性の安定化剤および賦形剤との間で強烈な混合を生じさせる。また、有機溶媒の急速な蒸発が、薬剤の多量の過飽和および急速な沈降を生じさせる。この薬剤の急速な沈降は、その時間経過が非常に短くて結晶化できないため、結晶性粒子の代わりに非晶性粒子を生じさせる潜在能力を有する。親水性の安定化剤は、有機溶媒が蒸発する間、水によって溶媒和されたままの状態にある。したがって、安定化剤は成長しつつある薬剤粒子を覆い、成長を阻害する。その結果生ずる粒子の形態および粒子サイズは、流量、ノズルの形状寸法、薬剤と安定化剤の濃度、安定化剤の性質を変えることによって制御できる。
【0023】
薬剤/有機混合物の温度は、当該有機溶媒の急速な蒸発を可能とするレベルにある。この温度は典型的には、当該有機溶媒の通常の沸点よりも低い50℃以上ないし当該有機溶媒の通常の沸点よりも高い80℃である。薬剤/有機混合物の温度がその通常の沸点であるか又は通常の沸点よりも高い場合には、液相を維持するためにフィードライン12が十分な圧力にある必要がある。
【0024】
水相の温度は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは50℃以上であり、さらに好ましくは70℃以上である。水相の温度の上限は操作圧力に依存するが、薬剤を分解しないようにするために十分に低い一方、過度の量の水を蒸発させずに有機溶媒を蒸発させるために十分に高い温度であることが好ましい。好適な実施形態において、この温度は120℃よりも低く、より好ましくは95℃よりも低く、さらに好ましくは85℃よりも低い。水溶液の圧力は、大気圧であっても、又は蒸発を促進すべく大気圧よりも低い圧力であっても、又は大気圧よりも高い圧力であってもよい。
【0025】
本発明においては、薬剤粒子は、気相ではなく水性の液相において生成する。このため、沈降しない水性の安定化剤によって粒子の成長が阻害される。水溶性の安定化剤でコートされた薬剤粒子の溶出速度は、その分散液が水相から生じることから、高いことが期待できる。本発明において、粒子形成段階は、水溶液が乾燥される段階とは別異のものである。このため、本発明は粒子サイズの優れた制御を与えることができる。
【0026】
水性分散液中の粒子の平均粒径は50ナノメートルないし20ミクロン、より好ましくは100ナノメートルないし5ミクロン、さらに好ましくは200ナノメートルないし1ミクロンである。薬剤粒子は必ずしも球状ではない。平均粒径は、沈降フィールド・フロー・フラクション、光子相関分光法、ディスク遠心分離またはダイナミック光散乱などの当業者に公知の任意の方法を用いて測定することができる。
【0027】
本発明の利点は、狭小な多分散度(polydispersity)(粒度分布ともいう)が生じることである。この粒度分布は、典型的には、狭い粒度範囲をもったモノモーダル(単モード)である。
【0028】
追加的な利点として、本発明によって調製される薬剤粒子は、処理されないバルクの薬剤と比べて減少した結晶性を示すことができると考えられる。かかる減少した結晶性は、増大した溶出速度およびバイオアベイラビリティを生じさせることができる。
【0029】
本発明の方法は、薬剤粒子を回収する工程をさらに含むことが望ましい。一つの実施形態において、薬剤粒子の回収は、当該粒子から水を除去することを含む。水の除去は、噴霧乾燥(spray drying)、噴霧凍結乾燥(spray freeze drying)、ポリマー・マトリックス内での粒子のゲル化として定義されるゲル化(gellation)、凍結乾燥(lyophilization)、冷気を用いた乾燥、および濾過を含め、当業者に公知の任意の方法を用いて行うことができる。
【0030】
賦形剤は、薬剤粒子が適当な投与のため均一に混合されることを可能とするために、薬剤粒子が形成される前または形成された後に、薬剤/有機混合物または水溶液に添加できることが有利である。適当な賦形剤としては、ポリマー、吸収向上剤、溶解性向上剤、溶出速度向上剤、安定性向上剤、生体接着剤、放出制御剤(徐放剤)、流動助剤および加工助剤が含まれる。より詳細には、適当な賦形剤としては、セルロースエーテル、アクリル酸ポリマーおよび胆汁酸塩が含まれる。他の適当な賦形剤が、1986年、Pharmaceutical Pressより、米国医薬協会および英国医薬協会によって共同で出版されたHandbook of Pharmaceutical Excipients(医薬賦形剤のハンドブック)に詳細に記載されている。このような賦形剤は、市販されているか、及び/又は当該技術分野において公知の方法により調製することができる。
【0031】
以下の実施例は、例示する目的だけのものであって特許請求される発明の範囲を限定することを意図するものではない。パーセントは特に明記しない限り重量パーセントである。
【0032】
実施例
以下の実施例について、図1に示す装置を使用する。薬剤/有機混合物を、コンスタメトリック(Constametric)3200HPLCポンプにより、予備加熱コイルを通じて、必要量の水溶液を収容する30mLの受取用タンクに送った。スプレーのために使用されるノズルは、端部に楕円錐形状を形成するように1/16”(インチ)ステンレス鋼管を切断することによって製作した。望ましい流量を得るために管の端部を研磨した。気泡が形成される場合にそれを粉砕するために、窒素を下向きに連続的に流した。全ての実施例について、粒子サイズは、スプレーから4時間以内にダイナミック光散乱法により測定した。
【0033】
以下の実施例についての溶出試験は、USP Apparatus IIパドル法(paddle method)に従うヴァンケル(Vankel)溶出装置を用いて行った。全ての溶出試験の間シンク条件を確保するために、薬剤の飽和溶解度の10〜30%のみを当該溶出装置に加えた。適当な量の最終薬剤調製物を秤量して900mlの蒸留水に加えた。パドル型撹拌機を用いて各サンプルを50rpmで撹拌した。当該溶出装置は実験を通じて37℃に維持した。5mlの量のサンプルを自動的に10分、20分、30分および60分の間隔で自動的に抜き取った。これらのサンプルを0.45μmフィルター(Gelman GHP Acrodisc 0.45μm、VWR)を用いて濾過した。HPLC分析時に沈降がいっさい起こらないことを確保するために、0.5mlの有機溶媒を3mlの濾過済みサンプルに加えた。この有機溶媒は移動相の有機成分(アセトニトリル)であることが好ましい。これらを、ボルテックスミキサーを用いてほぼ10秒間高速で混合し、次に0.45μmフィルターを用いて再濾過して分析用HPLCバイアルに移した。HPLC分析は各薬剤毎に相違し、正確な方法はジョージ・ラン(George Lunn)およびノーマン・アール・シュマフ(Norman R. Schmuff)による「医薬分析用HPLC法」(HPLC methods for pharmaceutical analysis), John Wiley & Sons, NY, 1997に示唆されている方法を変更したものである。
【0034】
実施例1〜8
薬剤はシクロスポリンであり、有機溶媒はジエチルエーテルであり、薬剤/有機混合物の濃度はジエチルエーテル中で5.0重量%シクロスポリンであった。水溶液については、トゥウィーン(Tween)80、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ACROS)が、粒子安定化剤として使用した界面活性剤であった。薬剤/有機混合物を1ml/分の速度で10mLの水溶液中にスプレーした。表Aは処理パラメータおよびその結果生じた粒子サイズを掲載したものである。
【表1】
【0035】
実施例9〜13
薬剤はシクロスポリンであり、有機溶媒はジエチルエーテルであり、薬剤/有機混合物の濃度は表Bに示す通りであった。水溶液については、ホスファチジルコリン(10重量%)、シグマ(Sigma)の卵レシチン(60%純度)が、粒子安定化剤として使用した界面活性剤であった。薬剤/有機混合物を1ml/分の速度で10mLの水溶液中にスプレーした。水溶液の温度は75℃であり、薬剤/有機混合物は75℃の温度で水溶液中にスプレーされた。表Bは幾つかの処理パラメータおよびその結果生じた粒子サイズを掲載したものである。
【表2】
【0036】
実施例14〜16
薬剤はシクロスポリン(5重量%)であり、有機溶媒は下の表Cに掲載されるものであった。水溶液については、ルトロール(Lutrol)F127としても知られているポロキサマー(Poloxamer)407(1重量%)、73%のポリエチレングリコールと27%のポリプロピレングリコールから成る平均分子量12,000のポリ(エチレン)−ポリ(プロピレン)ブロックポリマー(BASF)が、粒子安定化剤として使用した界面活性剤であった。薬剤/有機混合物を1ml/分の速度で25mLの水溶液中にスプレーした。水溶液および薬剤/有機混合物の温度は75℃であった。表Cは幾つかの処理パラメータおよびその結果生じた粒子サイズを掲載したものである。
【表3】
【0037】
実施例17〜21
薬剤はダナゾールであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。水溶液中の粒子安定化剤は下の表Dに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は1重量%であった。薬剤/有機混合物(2重量%薬剤)を2ml/分の速度で5分間、水溶液中にスプレーした。水溶液および薬剤/有機混合物の両方の温度は75℃であった。薬剤/界面活性剤の比は1.06であった。
【表4】
【0038】
実施例22〜26
薬剤はカルバマゼピンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。有機溶液中の薬剤の濃度は2重量%であった。水溶液中の粒子安定化剤は下の表Eに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は1重量%であった。薬剤/有機混合物を2.5ml/分の速度で水溶液中にスプレーした。水溶液および薬剤/有機混合物の両方の温度は75℃であった。薬剤/界面活性剤の比は1:30であった。
【表5】
【0039】
実施例27〜29
薬剤はトリアムシノロンアセトニド(本願明細書中でTAAとも称する)であり、有機溶媒は塩化メチレンであった。有機溶液中の薬剤の濃度は0.5重量%であった。水溶液および有機溶液中の粒子安定化剤は下の表Fに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は1重量%であり、有機溶液中の粒子安定化剤の濃度は0.5重量%であった。水溶液の体積は15mlであった。全ての場合において、その結果生じた水性の薬剤懸濁液をヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)(グレードE−5)に注ぎ、これを手で入念に混合し、ガラス結晶化皿に注いで、30インチHgの減圧度で40〜60℃の範囲の温度にて少なくとも10時間、減圧乾燥した。その結果生じた固体を機械的に粉砕して粉末にし、これらの粉末について溶出研究を行った。これらの溶出試験の結果をバルクのTAAのものと比較した。図3に示す結果は本発明に従って処理したTAAの増大した溶出速度を示す。
【表6】
【0040】
実施例30〜32
薬剤はカルバマゼピンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。薬剤/有機混合物およびその受取りをする水溶液の温度は87℃であった。有機溶液中の薬剤の濃度は1.0重量%であった。水溶液中の粒子安定化剤は下の表Gに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は2重量%であり、有機溶液は薬剤に加えて0.5重量%のポロキサマー407を含有する。水溶液の体積は20mlであった。全ての場合において、その結果生じた水性の薬剤懸濁液を液体窒素中にスプレーし、その凍結した粒子を次に24時間凍結乾燥した。その結果生じた粉末を入念に混合し、これらの粉末について溶出研究を行った。これらの溶出試験の結果をバルクのカルバマゼピンのものと比較した。図4に示す結果は、処理されないバルクのカルバマゼピンと比べて、本発明に従って処理したカルバマゼピンの増大した溶出速度を明確に示す。これらの粉末の結晶性についても研究したところ、その結果はバルクの薬剤に比べて結晶性の減少を示した。
【表7】
【0041】
実施例33
薬剤はカルバマゼピンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。薬剤/有機混合物およびその受取りをする水溶液の温度は87℃であった。有機溶液中の薬剤の濃度は1.0重量%であった。水溶液中の粒子安定化剤は2重量%のデオキシコール酸であり、有機溶液中の粒子安定化剤は0.5重量%のポロキサマー407であった。この有機溶液を、2ml/分の速度で27分間、50mlのデオキシコール酸水溶液中にスプレーした。この懸濁液を直ちに、入口温度145〜150℃および出口温度90〜95℃が維持されたブッチ(Buchi)190スプレードライヤー中で噴霧乾燥した。その結果生じた乾燥粉末を集めた。この粉末のSEM顕微鏡写真を図5に示す。この図は結晶性の粒子が無いことを示し、EPASを用いて生成した薬剤が非晶性のものであることを示す。
【0042】
実施例34〜37
薬剤はニフェジピンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。有機溶液中の薬剤の濃度は1.0重量%であった。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤はポリ(ビニルアルコール)(PVA)であった。水溶液の体積は20mlであった。表HはこのPVAに加えて水溶液に添加された賦形剤を掲載するものである。全ての場合において、その結果生じた水性の薬剤懸濁液を、液体窒素中にそのサンプル容器を浸すことによって急速に凍結し、次に24時間凍結乾燥した。その結果生じた粉末を入念に混合し、これらの粉末について溶出研究を行った。これらの溶出試験の結果をバルクのニフェジピンのものと比較した。図6に示す結果は、処理されないバルクのニフェジピンと比べて、EPAS処理したニフェジピンの増大した溶出速度を明確に示す。これらの粉末の結晶性についてもX線回折パターンを用いて研究したところ、その結果はバルクの薬剤に比べて本発明に従って処理した薬剤の結晶性の減少を示した。
【表8】
【0043】
実施例38〜39
薬剤はケトプロフェンであり、有機溶媒は塩化メチレンであった。スプレーされる薬剤/有機混合物およびその受取りをする水溶液の温度は87℃であった。有機溶液中の薬剤の濃度は1.0重量%であった。水溶液中の粒子安定化剤は表Jに掲載されるものである。全ての場合において、水溶液中の粒子安定化剤の濃度は2重量%であり、有機溶液は薬剤に加えて0.5重量%のポロキサマー407を含有する。水溶液の体積は20mlであった。全ての場合において、その結果生じた水性の薬剤懸濁液を液体窒素中にそのサンプル容器を浸すことによって急速に凍結し、次に24時間凍結乾燥した。これらの粉末の結晶性についてX線回折パターンを用いて結晶性研究を行い、バルクのケトプロフェンのものと比較したところ、バルクの薬剤と異なり本発明に従って処理した薬剤は非晶性を示した。
【表9】
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る方法の一実施形態を例示する模式図である。
【図2】
本発明に係る方法に有用な容器の断面図である。
【図3】
本発明に係る粒子の改善された溶出速度を示すグラフである。
【図4】
本発明に係る粒子の改善された溶出速度を示すグラフである。
【図5】
本発明に係る粒子の減少した結晶性を示すSEMである。
【図6】
本発明に係る粒子の改善された溶出速度を示すグラフである。
Claims (27)
- 薬剤を少なくとも一種の有機溶媒に溶解させて薬剤/有機混合物を形成する工程;当該薬剤/有機混合物をアトマイザー装置により水溶液中にスプレーする工程;および同時に当該水溶液の存在下で当該有機溶媒を蒸発させて薬剤粒子の水性分散液を形成する工程を含んでなる低水溶性の薬剤粒子の調製方法。
- 前記薬剤粒子を少なくとも一種の粒子安定化剤で安定化させる工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも一種の粒子安定化剤が前記水溶液、前記薬剤/有機混合物またはその両方に初めから存在している請求項2に記載の方法。
- 前記粒子安定化剤が界面活性剤、ポリマーまたは分散助剤である請求項2に記載の方法。
- 前記粒子安定化剤がバイオアベイラビリティのための吸収向上剤である請求項4に記載の方法。
- 前記水溶液中の粒子安定化剤が前記薬剤/有機混合物中の粒子安定化剤と異なる請求項4に記載の方法。
- 前記水溶液中の粒子安定化剤が前記薬剤/有機混合物中の粒子安定化剤と同じである請求項4に記載の方法。
- 薬剤/粒子安定化剤の重量比が0.1:1ないし10:1である請求項3に記載の方法。
- 前記粒子安定化剤が、界面活性剤、リン脂質、コポリマーおよびホモポリマーから成る群より選択されたものである請求項2に記載の方法。
- 前記粒子安定化剤がノニオン性、アニオン性、カチオン性または両イオン性である請求項9に記載の方法。
- 一種以上の賦形剤を添加する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
- 前記賦形剤が前記水溶液、前記薬剤/有機混合物またはその両方に初めから存在している請求項11に記載の方法。
- 前記賦形剤が、薬剤粒子が形成された後に前記水性分散液に添加される請求項11に記載の方法。
- 前記賦形剤が、ポリマー、吸収向上剤、溶解性向上剤、溶出速度向上剤、安定性向上剤、生体接着剤、放出制御剤、流動助剤および加工助剤から成る群より選択されたものである請求項11に記載の方法。
- 前記薬剤/有機混合物が溶液、エマルジョンまたはミクロエマルジョンである請求項1に記載の方法。
- 前記薬剤/有機混合物の温度が、前記溶媒の急速な蒸発を可能とするレベルにある請求項1に記載の方法。
- 水相の温度が10℃ないし120℃である請求項1に記載の方法。
- 前記水溶液の一部が前記薬剤/有機混合物と共に前記水溶液の残りの部分にスプレーされる請求項1に記載の方法。
- 前記粒子を回収する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
- 前記粒子の回収が、当該粒子から水を除去することを含む請求項19に記載の方法。
- 前記水の除去が、噴霧乾燥、噴霧凍結、ゲル化、凍結乾燥、冷気を用いた乾燥、または濾過である請求項20に記載の方法。
- 前記水性分散液における粒子の平均粒径が50ナノメートルないし20ミクロンである請求項1に記載の方法。
- 前記スプレーがノズルを通じて行われる請求項1に記載の方法。
- 前記ノズルが微小滴を含んでなるジェットを生じさせる請求項23に記載の方法。
- 前記ジェットが前記薬剤/有機混合物の小滴と前記水溶液との間で強烈な混合を生じさせる請求項24に記載の方法。
- 請求項1の方法によって調製された薬剤粒子。
- 薬剤を少なくとも一種の有機溶媒に溶解させて薬剤/有機混合物を形成する工程;当該薬剤/有機混合物を水溶液中にスプレーする工程;および同時に当該水溶液の存在下で当該有機溶媒を蒸発させて薬剤粒子の水性分散液を形成する工程を含んでなる方法により調製された、50ナノメートルないし20ミクロンの平均粒径を有する低水溶性の薬剤粒子。
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