JP2004514122A - 抗増殖性化合物をスクリーニングしかつ腫瘍増殖を阻害する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ヒトおよび家畜の患者における腫瘍形成を処置しもしくは予防するための組成物および方法、細胞増殖および/もしくは細胞分化を調節する薬理活性を有する薬剤のライブラリーをスクリーニングするための組成物および方法、インビトロで形質転換細胞の表現型の調整のための組成物および方法を、バイオプロセス制御においてかつ市販の臨床検査試薬としての使用を含めて、提供する。この発明はさらに、MetAPの阻害活性を有する化合物の抗増殖活性を評価する新規な方法に関する。
【0002】
全ての生物細胞において、タンパク質合成はAUGコドンで開始される。この開始AUGコドンはメチオニンを規定する。真核生物および原核生物の両方において、NH2−メチオニンは、もし末端前残基が小さくかつ非荷電、例えばAla、Cys、Gly、Pro、Ser、ThrおよびValであれば、メチオニンアミノペプチダ−ゼ(MetAP)で除去される。NH2−メチオニンの除去は、特定のタンパク質がインビボで正常に機能するために必須である。これらのタンパク質を少なくとも二つのグループに分類することができる。第一のグループにとっては、開始メチオニンの除去は、シグナル形質導入、特定のがん細胞増殖およびタンパク質の標的化を含む、それらの正常機能に必須であるところの、N−ミリスチル化のような、続いて起こるN−末端の修飾に必要である。第二のグループにとっては、開始メチオニンの除去は、他のN−末端残基が触媒作用におけるそれらの重大な役割において正常に機能するようにするために必要である。限られたMetAPが利用可能であるところの細菌もしくは他の生物中で過剰発現されるときには、幾らかのタンパク質は、それらのN−末端に結びついた、望ましくない開始メチオニンをなお所有し、かくして非機能的になるかもしれない。したがって、MetAPを調節することは、増殖性疾患、例えばがん、および他のヒトの疾患を処置する有用な方法であり得る。事実、例えばフマギリンによるMetAPの調節は、がんを処置するための有望な方法であると示されている。フマギリンは、二つの既知MetAPの一つ、即ちMetAP2を、その活性部位を不可逆的にブロックすることにより阻害するように見える。
【0003】
14−3−3タンパク質として知られているタンパク質のファミリーは、脳組織の非常に豊富な27〜30kD酸性タンパク質として、Moore, B. F. et al. (1967)、により最初に同定された(「神経組み込みの生理的および生化学的観点」、F. D. Carlson, Ed., Prentice−Hall, Englewood Cliffs, N.J., 1967)。それらの名称は元の研究者の命名を反映している。最近の研究は、細胞サイクル制御における14−3−3タンパク質の関与を示している(Ford, J. C. et al. (1994) Science 265:533)。(一般的な総説については、Morrison, D. (1994) Science 266:56−57 および Aitken, A. (1995) TIBS 20、を参照)。種々の機能が14−3−3タンパク質に帰されている。しかしながら、幾つかの系統の証拠により、それらがシグナル形質導入カスケードを細胞サイクルと関連していることが示唆されている。種々の14−3−3イソタイプが、細胞を形質転換するタンパク質、例えば、ポリオーマウィルスの中央T抗原であるBcr−Ab1およびPl3k、との、シグナル分子、例えば、c−Raf1、c−BcrおよびP13k、との、ならびに二つの細胞サイクル調節体、例えば、Cdc25AおよびCdcB、との複合体中に見出されている。
【0004】
MetAP活性を調節するところの限られた数の化合物が公知であるが、MetAP活性を調節するところのさらに別の活性化合物を同定する必要性が残っている。
【0005】
コード番号、一般名もしくは商標名によって本明細書で同定される活性薬剤の構造は、標準概説“The Merck Index”の現行版もしくはデータベース、例えば、Patent International(例えば、IMS World Publications)から取得され得る。対応するその内容は、出典明示により本明細書の一部とする。
【0006】
発明の概要
本発明は、MetAPの阻害活性を有する化合物の抗増殖活性を評価する新規な方法に関する。本発明は、腫瘍の増殖を阻害する化合物をスクリーニングする方法を提供する。これに加えて、本発明は、増殖性疾患を制御するための処置の進行をモニターする方法を提供する。一旦、高いレベルの抗増殖活性を有する化合物が同定されると、これらの化合物を、獣医学における動物を含む哺乳動物において、もしくはがん、ならびに他の増殖性疾患の処置を必要とするヒトにおいて、抗がん剤として使用することができる。
【0007】
14−3−3γイソ型、さらに具体的には改変14−3−3γイソ型、は、MetAP阻害剤もしくは調整剤の化合物を哺乳動物の細胞に適用するときに、誘導されて、そして誘導タンパク質を適用化合物の効力をモニターするマーカーとして使用することができることが見出されている。誘導タンパク質をMetAP阻害剤である新化合物をスクリーニングしかつ同定するための、ならびに選択された活性化合物の全身性効力をモニターするためのマーカーとして使用することができる。例えば、タンパク質マーカーを用いて、抗−血管新生もしくは抗−腫瘍活性を提供する化合物をスクリーニングすることができる。或る範囲の入手可能な細胞株を活性化合物で処置し、改変14−3−3γイソ型の発現の上昇を試験することができる。例えば、U20S細胞をベンガミド(bengamide)もしくはフマギリン(fumagillin)で処置するときには、この細胞は改変14−3−3γイソ型を発現する。
【0008】
これに加えて、タンパク質マーカーを使用して、活性化合物による対象の処置の進行をモニターすることができる。活性化合物を対象、例えば、ヒトの患者、に投与し、そして対象からの試料検体、例えば白血球細胞、の改変14−3−3γイソ型のレベルをタンパク質マーカーの改変レベルもしくは誘導を定期的にチェックする。望ましい作用(例えば、抗−血管新生活性)を有する活性化合物を対象に投与する場合、改変14−3−3γイソ型のレベルは対象のシステム中で上昇する。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、MetAPの酵素活性を阻害しもしくは調整する化合物をスクリーニングする方法を提供する。MetAPの酵素活性が妨げられるときに、改変14−3−3γイソ型が誘導されて、細胞中に蓄積することが見出されている。改変14−3−3γイソ型は、イソ型が、構成的14−3−3γイソ型のN−末端におけるアセチル基の代わりにN−末端メチオニンを有する、不完全にプロセスされた型であることを特徴とする。即ち、改変ヒト14−3−3γイソ型のN−末端は、構成的14−3−3γイソ型のアセチル−ValAspArgGluGlnLeuの代わりに、MetValAspArgGluGlnLeuの最後の7個のアミノ酸配列を有する。表示したアミノ酸配列の長さは一例として選択されていることに注意すべきである。
【0010】
改変14−3−3γイソ型(メチオニン14−3−3γ)の発現レベルを生化学的試料、例えば、細胞溶解液、組織溶解液もしくは白血球細胞溶解液、から、イムノアッセイおよび電気泳動アッセイを含む既知方法によりアッセイすることができる。例えば、イムノアッセイを用いて、生化学的試料中におけるメチオニン14−3−3γの誘導および蓄積を検出しもしくはモニターすることができる。メチオニン14−3−3γ−特異的ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体を任意の標準的イムノアッセイ方式で用いて、メチオニン14−3−3γのレベルを測定することができる。ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)型アッセイおよびモノクローナル抗体を用いる従来のウエスタンブロッティングアッセイは、マーカータンパク質の誘導と蓄積を直接測定するために利用することができるところのアッセイ例である。メチオニン14−3−3γに特異的な抗体を既知の免疫化法に従って生成することができる。例えば、メチオニン14−3−3γに対するモノクローナル抗体は、免疫原としてスカシガイ(keyhole limpet)のヘモシアニンに結合した、上記のヒト由来のアミノ末端ペプチド配列を用いる従来の技法により生成される。
【0011】
メチオニン14−3−3γレベルを測定するために使用できるもう一つの方法は二次元ゲル電気泳動である。二次元ゲル電気泳動は技術上公知であり、典型的には、一次元に沿った等電点電気泳動(IEF)に引き続く二次元に沿ったSDS−PAGE(硫酸ドデシルナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を伴う。ここで得られる電気泳動図を、例えば、抗体を用いるイムノブロット分析により分析する。適当な抗体を上で議論したようにもしくは市販の供給源から取得することができる。イムノブロッティング分析のためには、抗体はメチオニン14−3−3γに特異的である必要はなくて、それは一般的に14−3−3もしくは14−3−3γに反応性である抗体でよい、即ち、それは全てのイソタイプの14−3−3に反応性であるか、もしくは、アセチル化およびメチオニンN−末端をそれぞれ有する二つのイソ型の14−3−3γに特異的である。IEFを用いて、メチオニン14−3−3γおよび構成的アセチル化14−3−3γを容易に分離することができる。メチオニン末端残基を有する、誘導14−3−3γイソ型のメチオニンは中性のpHで正に荷電し、かくしてメチオニン14−3−3γイソ型は構成的アセチル14−3−3γイソ型よりさらに正に荷電して、二つのイソ型がplにより分離されることを可能にする。
【0012】
MetAPの酵素活性を阻害するかもしくは調整する種々の化合物(MetAP阻害剤)としては、フマギリン、オバリシン(ovalicin)、ベンガミドならびにそれらの特定の類似体および誘導体が挙げられる。フマギリン、オバリシンならびにそれらの類似体および誘導体は、MetAP2の酵素活性を阻害すると知られているが、一方ではベンガミドならびにその類似体および誘導体は、MetAP1およびMetAP2の両方を阻害すると信じられている。MetAP阻害剤は、腫瘍、例えばがん、を含む増殖性疾患を処置する細胞障害剤(cytotoxic agent)として高度に有用である。MetAP阻害剤は特に、種々のリンパ腫、肉腫、がん腫および骨髄腫の増殖を阻害するのに適している。加えて、MetAP阻害剤は、血管新生−依存性疾患、例えば、種々の眼性新生血管の疾患、を処置するのに適している。
【0013】
本発明を利用して、MetAP阻害活性を有する他の化合物を同定することができる。種々のインビトロおよびインビボ実験を使用して、潜在的化合物をスクリーニングすることができる。例えば、細胞培養物を化合物で処置し、培養し、それから培養物をアッセイして、メチオニン14−3−3γの発現レベルを測定する。細胞培養物中におけるメチオニン14−3−3γの誘導は、その化合物がMetAP阻害剤であることを示す。細胞中におけるメチオニン14−3−3γの蓄積は細胞サイクル依存性の出来事ではなくて、MetAP阻害剤により誘導されることが見出されている。ここでも、生物学的試料中のメチオニン14−3−3γの検出および定量化を、上で議論したように、種々の方法で実施することができる。
【0014】
本発明はまた、MetAP活性を阻害もしくは調節する、活性化合物の治療効力をモニターする方法を提供する。本発明を臨床マーカーとして用いて、それぞれの患者におけるMetAP阻害剤化合物の効力をモニターすることができる。MetAP阻害剤化合物を患者に治療的に投与するとき、メチオニン14−3−3γのレベルの上昇は、その化合物が患者の増殖性異常に対して有益な作用を有するときには該患者からの生物学的試料、例えば、特に標的細胞における、血液もしくは組織、の中で観測される。同様に、臨床マーカーを用いて、対象の生物学的試料中のメチオニン14−3−3γの誘導および蓄積をモニターすることにより、活性化合物の投与量およびレジメンを最適化することができる。したがって、本発明のスクリーニング方法を用いて、治療的に有効な化合物を見出し、そして/または選択した化合物について治療的に有効な量もしくはレジメンを見出して、それにより患者についての治療法を個別に選択しかつ最適化することができる。この文脈で考慮する要素としては、処置される特定の異常、処置される特定の哺乳動物、個別の患者の臨床的異常、活性化合物の送達部位、活性化合物の特定のタイプ、投与方法、投与スケジュールおよび医師に公知の他の要素が挙げられる。投与される活性化合物の治療的有効量は、そのような考慮により決定されるであろうし、そして疾患を予防し、改善しもしくは処置するために必要な最少量である。そのような量は、好ましくは、宿主に毒性的な量以下であるかもしくは宿主を感染に対して著しくさらに感受性にする。
【0015】
特に、本発明は、抗増殖適応症のための治療化合物をスクリーニングする方法であって、該化合物を哺乳動物の対象に投与しそして該哺乳動物の対象からの生物学的試料中のメチオニン14−3−3γを試験することを含む、方法を提供する。
【0016】
同様に、本発明は、生物学的試料中のメチオニン14−3−3γを試験することを含む、抗増殖適応症のための治療化合物をスクリーニングする方法を提供するが、該生物学的試料は該治療化合物を投与した哺乳動物の対象から得られている。
【0017】
本発明はまた、抗増殖適応症のための治療化合物をスクリーニングするために生物学的試料中のメチオニン14−3−3γを検出する試験の使用を提供するが、該生物学的試料は該治療化合物を投与した哺乳動物の対象から得られている。
【0018】
さらなる実施態様において、本発明は、細胞の増殖異常に対して治療作用を有する化合物をスクリーニングする方法であって、該化合物を細胞システムに加えそして該システム中のメチオニン14−3−3γの誘導を試験することを含む、方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、細胞の増殖異常に対して治療作用を有する化合物をスクリーニングするために細胞システム中のメチオニン14−3−3γの誘導を検出する試験の使用を提供するが、該化合物はメチオニン14−3−3γの検出の前に該細胞システムに加えられる。
【0020】
さらに別の実施態様において、本発明は、MetAP阻害活性を有する化合物をスクリーニングする方法であって、該化合物を細胞システムに加えそして該システム中の14−3−3γの改変発現を試験することを含む、方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、MetAP阻害活性を有する化合物をスクリーニングするために細胞システム中の14−3−3γの改変発現を検出する試験の使用を提供するが、該化合物は14−3−3γの検出の前に該細胞システムに加えられる。
【0022】
本発明はさらに、哺乳動物においてMetAP活性を阻害する方法であって、メチオニン14−3−3γを誘導する能力を有する化合物を該哺乳動物に投与することを含み、該化合物は哺乳動物中に該14−3−3γを誘導するために十分な量で投与される、方法を提供する。
【0023】
同様に、本発明は、哺乳動物において腫瘍組織もしくは末梢血リンパ球における細胞増殖を阻害する方法であって、メチオニン14−3−3γレベルを上昇させる能力を有する化合物を、該増殖組織もしくはリンパ球中に該メチオニン14−3−3γレベルを上昇させるために十分な量で投与することを含む、方法を提供する。
【0024】
本発明はさらに、
a)増殖細胞培養物を作成すること、
b)該細胞培養物を、細胞培養物中のメチオニン14−3−3γのレベルを増加させるための有効量でMetAP阻害活性を有する化合物と共に接種すること、および
c)該細胞培養物から細胞を単離しそして細胞培養物中に生成したメチオニン14−3−3γのレベルを測定する、
ステップを含む、MetAP阻害活性を有する化合物の抗増殖活性を同定する方法を提供する。
【0025】
好ましい実施態様において、本発明は、増殖細胞培養物が、小細胞肺がん腫、非−小細胞肺がん腫、骨肉種、ヒトの乳がん腫もしくは接触性阻害マウス線維芽細胞株である、先行の節の方法を提供する。
【0026】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、MetAP阻害活性を有する化合物が、LAF389およびTNP−470を含む、フマギリン、オバリシン、ベンガミドならびにカプロラクタムからなる群から選択される、先行の最後から二番目の節の方法を提供する。
【0027】
以下の実施例は本発明をさらに例示し、そして実施例は例示の目的で提供され、それらに対して本発明を限定しようとするものではない。
【0028】
実施例1
The American Type Culture Collection (Rockville, MD)、から入手される非−小細胞肺がん腫である、H1299、を10%ウシ胎児血清ならびにグルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびゲンタマイシンを補充したPRMI1640中で培養する。H1299細胞を約70%密集度まで増殖させてから、25μMベンガミドの有無をもって培養する。8、16、24および48時間目に細胞の試料を取る。培養期間の終末において、試料細胞をPBS(Sigma Chemicalから入手可能なリン酸緩衝溶液)で洗浄し、そしてかき取りおよび遠心分離により収集する。細胞ペレットを4倍量のRabilloud緩衝液中に溶解する。Rabilloud緩衝液は4%非イオン性洗剤のCHAPS、7M尿素、2Mチオ尿素、10mg/mLジチオトレイトールおよび1%ファルマライト(pH:3〜10)を含有したが、その緩衝液は、Electrophoresis, 1997 Mar−Apr., 18 (3−4): 307−16, Rabilloud et al.、「固定化pH勾配による二次元電気泳動におけるタンパク質の可溶化の改良」、に開示されている。細胞濃度は、2〜2.5E7/mlであった。
【0029】
固定化pH−勾配(IPG)ゲル(Immobiline[登録商標]、Amersham Pharmacia Biotech)をファルマライトの無いRabilloud緩衝液中で少なくとも4時間再膨潤させる。試料(細胞抽出液1μl)を、コームを用いて、ゲルの表面に陽極から約2cmの距離に添加する。焦点泳動を、200Vで2時間および1000もしくは3500Vで25000Vhが達成されるまで行う。温度を15℃に維持する。焦点泳動後に、ゲルを12%TCA−3.5%スルホサルチル酸中で1時間固定し、水中で1時間洗浄する。この洗浄ゲルを、ゲルを平坦な表面上に置いて、そして、イソプロパノール、水およびpH7.5における50nMトリス−HCl、4M塩化グアニジン、1mg/ml DTTを持つ塩化グアニジン溶液中に順次浸漬したPVDF−膜のシートでカバーすることにより、ブロットする。膜を塩化グアニジン溶液で浸漬した4層のろ紙のシートでカバーする。ポリエチレンフィルムをろ紙のシートを覆って置き、そして14cm×14cmの平坦な表面を有する3kgの重しをポリエチレンフィルムを覆って置いて、層間における良好な接触を確実にする。ゲル層を分散させないで一夜の間転移をさせてから、膜を水で洗浄し、PBS中の0.5%フォルムアルデヒド溶液で30分間処理する。膜を、pH7におけるPBS中の2%グリシンと共に30分間インキュベートする。
【0030】
それから、膜をPBS中の0.05%Tween20−1%脱脂粉乳粉で1時間ブロックする。14−3−3に対する市販の抗体(Santa Cruz)を阻止緩衝液中で4時間適用する。化学発光検出(ECLキット、Amersham Pharmacia Biotech)を、キットに付いている第二次抗体を用いて行う。
【0031】
IEF−イムノブロッティングは、ベンガミドと共に培養した細胞は、14−3−3γに特異的な抗体と反応しかつメチオニン14−3−3γのIEF位置に相当したタンパク質を48時間の培養期間にわたって徐々に蓄積するが、ベンガミド無しで培養した細胞は、48時間の期間にわたってもいかなる確認可能な量のメチオニン14−3−3γタンパク質を生成しないことを明らかに示す。IEF−イムノブロッティングの結果は、14−3−3γ抗体に反応性のタンパク質がベンガミドにより誘導されることを明らかに実証する。
【0032】
実施例2
次式
【化1】
を有するベンガミド類似体LAF389の200nMをベンガミドの代わりに使用することを除き、実施例1を繰り返す。
【0033】
IEF−イムノブロッティングの結果は実施例のそれと同様である。ベンガミド類似体と共に培養した細胞は、14−3−3γ抗体に反応性のタンパク質を誘導し蓄積するが、ベンガミド類似体無しで培養した細胞はメチオニン14−3−3γを誘導しない。
【0034】
実施例3
フマギリン化合物である既知のMetAP阻害剤で実施例1を繰り返す。フマギリン類似体のAGM−1470(TNP−470)をベンガミドの代わりに使用する。IEF−イムノブロッティング分析は、AGM−1470と共に培養した細胞は、メチオニン14−3−3γを誘導する一方で、未処置の細胞は認識可能な量の誘導性タンパク質を誘導しないことを実証する。
【0035】
実施例4
実施例2を、the American Type Culture Collection, Rockville, MD、から入手される以下の細胞株:MDA−MB435(哺乳動物がん腫)、A549(肺がん腫)およびU20S(骨肉腫)で繰り返す。IEF−イムノブロッティング分析は、全ての試験した細胞株が、MetAP阻害剤の投与後8時間以内にメチオニン14−3−3γを誘導することを実証する。
【0036】
実施例5
実験室ラットの一つのグループを、3mg/kgの投与量で一日間に三回、実施例2のベンガミド類似体LAF389で処置してから、7日間休止させる。次の日にこの投与量で三回、ラットに再び投薬する。それらを一日間休止させ、そして血液試料を採取する。末梢血をパーコール勾配遠心分離のプロトコールにより採取する。血小板を含む白血球細胞フラクションを回収し、そしてペレットをIEF試料緩衝液内で溶菌する。生体試料をIEF−イムノブロッティング分析で分析する。対照の生体試料は、ベンガミド類似体で処置されないグループのラットから得られる。
IEF−イムノブロッティングの結果は、MetAP阻害剤で処置したラットはメチオニン14−3−3γを誘導しかつ蓄積する一方で、対照のラットはマーカータンパク質を誘導しないことを実証し、明らかに哺乳動物におけるMetAP阻害剤のインビボ効力を実証する。
【0037】
実施例6
非−MetAP阻害剤であると知られる種々の抗腫瘍性化合物をH1299細胞に用いて、メチオニン14−3−3γの誘導を試験する。以下の化合物を細胞に加える:ベンガミド類似体LAF389の200nMと一緒に、5−フルオロウラシル(20μg/ml)、エポチロン(500nM)、ドキソルビシン(1μg/ml)およびスタウロスポリン(1μM)である。細胞を18時間インキュベートし、実施例1で概略した手順にしたがってメチオニン14−3−3γを試験する。
IEF−イムノブロッティング分析は、MetAP阻害剤のみが、メチオニン14−3−3γを誘導したことを示す。この結果は、MetAP阻害剤でない抗腫瘍性化合物はメチオニン14−3−3γを誘導しないことを実証する。
【0038】
実施例7
14−3−3γのアミノ末端に対するモノクローナル抗体(mAb)を、免疫原としてスカシガイのヘモシアニンに結合した、ヒトの14−3−3γのアミノ末端ペプチド配列を用いる従来の技法により育成する。二つの合成ペプチド配列を用いる:メチオニン14−3−3γのアミノ末端を表すMetValAspArgGluGlnLeu、および構成的14−3−3γを表すアセチル−ValAspArgGluGlnLeuである。mAbを既知の方法にしたがって単離する。mAbの特異性を免疫化に用いたペプチドに対してチェックする。mAbはELISAおよびウエスタンブロッティングを含む種々のアッセイに使用される。
Claims (8)
- 抗増殖適応症のための治療化合物をスクリーニングする方法であって、該化合物を哺乳動物の対象に投与しそして該哺乳動物の対象からの生物学的試料中のメチオニン14−3−3γを試験することを含む、方法。
- 細胞の増殖異常に対して治療作用を有する化合物をスクリーニングする方法であって、該化合物を細胞システムに加えそして該システム中のメチオニン14−3−3γの誘導を試験することを含む、方法。
- MetAP阻害活性を有する化合物をスクリーニングする方法であって、該化合物を細胞システムに加えそして該システム中の14−3−3γの改変発現を試験することを含む、方法。
- 哺乳動物においてMetAP活性を阻害する方法であって、メチオニン14−3−3γを誘導する能力を有する化合物を該哺乳動物に投与することを含み、該化合物は哺乳動物中に該14−3−3γを誘導するために十分な量で投与される、方法。
- 哺乳動物において腫瘍組織もしくは末梢血リンパ球における細胞増殖を阻害する方法であって、メチオニン14−3−3γレベルを上昇させる能力を有する化合物を、該増殖組織もしくはリンパ球中に該メチオニン14−3−3γレベルを上昇させるために十分な量で投与することを含む、方法。
- MetAP阻害活性を有する化合物の抗増殖活性を同定する方法であって、
a)増殖細胞培養物を作成すること、
b)該細胞培養物を、細胞培養物中のメチオニン14−3−3γのレベルを増加させるための有効量でMetAP阻害活性を有する化合物と共に接種すること、および
c)該細胞培養物から細胞を単離しそして細胞培養物中に生成したメチオニン14−3−3γのレベルを測定する、
ステップを含む、方法。 - 増殖細胞培養物が小細胞肺がん腫、非−小細胞肺がん腫、骨肉種、ヒトの乳がん腫もしくは接触性阻害マウス線維芽細胞株である、請求項6に記載の方法。
- MetAP阻害活性を有する化合物が、LAF389およびTNP−470を含む、フマギリン、オバリシン、ベンガミドならびにカプロラクタムからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
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