JP2004512335A - キナゾリン誘導体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、式(I)(式中、m、R1、n、R2およびR3は各々、明細書中に定義のいずれかの意味を有する)のキナゾリン誘導体;それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物、および充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置で抗浸潤薬として用いるための薬剤の製造におけるそれらの使用に関する。
【化1】
【化1】
Description
【0001】
本発明は、抗腫瘍活性を有し、したがって、ヒトまたは動物体の処置方法において有用なある新規なキナゾリン誘導体またはそれらの薬学的に許容しうる塩に関する。本発明は、更に、これらキナゾリン誘導体の製造方法、それらを含有する医薬組成物、および治療的方法における、例えば、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍疾患の予防または処置で用いるための薬剤の製造におけるそれらの使用に関する。
【0002】
乾癬および癌のような細胞増殖疾患のための現行の処置方式の多くは、DNA合成を阻害する化合物を利用している。このような化合物は、概して、細胞に毒性であるが、腫瘍細胞のような急速に分裂している細胞へのそれら毒性作用は有益でありうる。DNA合成の阻害とは別の機構によって作用する抗腫瘍薬への代替アプローチには、増大した作用選択性を示す可能性がある。
【0003】
近年、細胞は、そのDNAの一部分が癌遺伝子、すなわち、活性化して悪性腫瘍細胞の形成をもたらす遺伝子中に形質転換することによって癌になりうるということが発見されている(Bradshaw, Mutagenesis, 1986, 1, 91)。いくつかのこのような癌遺伝子は、増殖因子の受容体であるペプチドの生産を引き起こす。増殖因子受容体複合体の活性化は、引き続き、細胞増殖の増加をもたらす。例えば、いくつかの癌遺伝子はチロシンキナーゼ酵素をエンコードしているということおよび若干の増殖因子受容体はチロシンキナーゼ酵素でもあるということが知られている(Yarden et al., Ann. Rev. Biochem., 1988, 57, 443; Larsen et al., Ann. Reports in Med. Chem., 1989, Chpt. 13)。識別されるチロシンキナーゼの第一群は、このようなウイルス癌遺伝子、例えば、pp60v−Srcチロシンキナーゼ(それ以外の場合、v−Srcとして知られる)および正常細胞中の該当するチロシンキナーゼ、例えば、pp60c−Srcチロシンキナーゼ(それ以外の場合、c−Srcとして知られる)に由来した。
【0004】
受容体チロシンキナーゼは、細胞複製を開始する生化学的シグナルの伝達において重要である。それらは、細胞膜に広がる大型酵素であり、上皮増殖因子(EGF)のような増殖因子の細胞外結合ドメインと、タンパク質中のチロシンアミノ酸をリン酸化し、したがって細胞増殖に影響を与えるキナーゼとして機能する細胞内部分とを有する。様々なクラスの受容体チロシンキナーゼが、異なった受容体チロシンキナーゼに結合する増殖因子のファミリーに基づいて知られている(Wilks, Advances in Cancer Research, 1993, 60, 4373)。その分類には、EGF、TGFα、NeuおよびerbB受容体のようなEGFファミリーの受容体チロシンキナーゼを含むクラスI受容体チロシンキナーゼ;インスリンおよびIGFI受容体およびインスリン関連受容体(IRR)のようなインスリンファミリーの受容体チロシンキナーゼを含むクラスII受容体チロシンキナーゼ;および血小板由来増殖因子(PDGF)ファミリーの受容体チロシンキナーゼを含む、PDGFα、PDGFβおよびコロニー刺激因子1(CSF1)受容体のようなクラスIII受容体チロシンキナーゼが含まれる。
【0005】
若干のチロシンキナーゼは、腫瘍細胞の運動性(motility)、播種(dissemination)および浸潤性(invasiveness)に、そして引き続き転移性腫瘍成長に影響を与えるものなどの、細胞内にあり且つ生化学的シグナル伝達に関与している非受容体チロシンキナーゼのクラスに属するということも知られている(Ullrich et al., Cell, 1990, 61, 203−212, Bolen et al., FASEB J., 1992, 6, 3403−3409, Brickell et al., Critical Reviews in Oncogenesis, 1992, 3, 401−406, Bohlen et al., Oncogene, 1993, 8, 2025−2031, Courtneidge et al., Semin. Cancer Biol., 1994, 5, 239−246, Lauffenburger et al., Cell, 1996, 84, 359−369, Hanks et al., BioEssays, 1996, 19, 137−145, Parsons et al., Current Opinion in Cell Biology, 1997, 9, 187−192, Brown et al., Biochimica et Biophysica Acta, 1996, 1287, 121−149 and Schlaepfer et al., Progress in Biophysics 及び Molecular Biology, 1999, 71, 435−478)。様々なクラスの非受容体チロシンキナーゼが知られており、Src、Lyn、FynおよびYesチロシンキナーゼのようなSrcファミリー;AblおよびArgのようなAblファミリー;およびJak1およびTyk2のようなJakファミリーが含まれる。
【0006】
非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリーは、正常細胞中で高度に調節され、そして細胞外刺激物質の不存在下では、不活性コンホメーションで維持されるということが知られている。しかしながら、若干のSrcファミリーメンバー、例えば、c−Srcチロシンキナーゼは、しばしば、胃腸癌、例えば、結腸癌、直腸癌および胃癌(Cartwright et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1990, 87, 558−562 and Mao et al., Oncogene, 1997, 15, 3083−3090)、および乳癌(Muthuswamy et al., Oncogene, 1995, 11, 1801−1810)のような一般的なヒト癌において(正常細胞レベルと比較された場合)有意に活性化される。非受容体チロシンキナーゼのこのSrcファミリーは、肺の腺癌および扁平上皮細胞癌(Mazurenko et al., European Journal of Cancer, 1992, 28, 372−7)を含めた非小細胞性肺癌(NSCLC)、膀胱癌(Fanning et al., Cancer Research, 1992, 52, 1457−62)、食道癌(Jankowski et al., Gut, 1992, 33, 1033−8)、前立腺癌、卵巣癌(Wiener et al., Clin. Cancer Research, 1999, 5, 2164−70)および膵臓癌(Lutz et al., Biochem. and Biophys. Res. Comm., 1998, 243, 503−8)のような他の一般的なヒト癌においても認められている。更に別のヒト腫瘍組織が、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリーについて調べられるにつれて、その広範囲の有病率が確証されるであろうと考えられる。
【0007】
更に、c−Src非受容体チロシンキナーゼの優先的な役割は、フォーカルアドヒージョン複合体の組立を、例えば、フォーカルアドヒージョンキナーゼおよびパキシリンを含めた多数の細胞質タンパク質との相互作用によって調節することであるということが知られている。更に、c−Srcは、細胞運動性を促すアクチン細胞骨格を調節するシグナリング経路に共役している。同様に、重要な役割は、c−Src、c−Yesおよびc−Fyn非受容体チロシンキナーゼによって、インテグリンに媒介されるシグナリングにおいておよびカドヘリン依存性細胞−細胞接合を破壊する場合に果たされる(Owens et al., Molecular Biology of the Cell, 2000, 11, 51−64 および Klinghoffer et al., EMBO Journal, 1999, 18, 2459−2471)。細胞運動性は、限局性腫瘍が、血流中への播種、他の組織の浸潤および転移性腫瘍成長の開始の段階によって進行するのに必ず必要である。例えば、限局性から播種性、浸潤性(invasion)への転移性疾患への結腸腫瘍進行は、c−Src非受容体チロシンキナーゼ活性と相関している(Brunton et al., Oncogene, 1997, 14, 283−293, Fincham et al., EMBO J, 1998, 17, 81−92 and Verbeek et al., Exp. Cell Research, 1999, 248, 531−537)。
【0008】
したがって、このような非受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、腫瘍細胞の運動性の選択的阻害剤としておよび哺乳動物癌細胞の播種および浸潤性の選択的阻害剤として価値があり、転移性腫瘍成長の阻害をもたらすはずであると理解されている。具体的には、このような非受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置において用いるための抗浸潤薬(anti−invasive agent)として価値があるはずである。
【0009】
本発明者は、ここで、驚くべきことに、あるキナゾリン誘導体が強力な抗腫瘍活性を有するということを発見した。本発明において開示される化合物が、単一の生物学的過程への作用によってのみ薬理活性を有すると暗示したくはないが、これら化合物は、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与している一つまたはそれを超える非受容体チロシン特異的プロテインキナーゼの阻害によって抗腫瘍作用を与えると考えられる。具体的には、本発明の化合物は、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリーの阻害によって、例えば、c−Src、c−Yesおよびc−Fynの内の一つまたはそれを超えるものの阻害によって抗腫瘍作用を与えると考えられる。
【0010】
c−Src非受容体チロシンキナーゼ酵素は、破骨細胞作動性骨吸収の制御に関与しているということも知られている(Soriano et al., Cell, 1991, 64, 693−702; Boyce et al., J. Clin. Invest., 1992, 90, 1622−1627; Yoneda et al., J. Clin. Invest., 1993, 91, 2791−2795 および Missbach et al., Bone, 1999, 24 , 437−49)。したがって、c−Src非受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、骨粗鬆症、パジェット病、骨の転移性疾患および腫瘍誘発性高カルシウム血症のような骨疾患の予防および処置において価値がある。
【0011】
本発明の化合物は、炎症性疾患(例えば、慢性関節リウマチおよび炎症性腸疾患)、線維性疾患(例えば、肝硬変および肺線維症)、糸球体腎炎、多発性硬化症、乾癬、皮膚の過敏反応、血管病(例えば、アテローム性動脈硬化症および再狭窄)、アレルギー性喘息、インスリン依存性糖尿病、糖尿病性網膜症および糖尿病性腎症のような種々の非悪性疾患に由来する未制御細胞増殖を阻害する場合にも有用である。
【0012】
概して、本発明の化合物は、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリーに対して、例えば、c−Srcおよび/またはc−Yesの阻害によって強力な阻害活性を有するが、受容体チロシンキナーゼ、例えば、EGF受容体チロシンキナーゼおよび/またはVEGF受容体チロシンキナーゼのような他のチロシンキナーゼ酵素に対しては、あまり強力な阻害活性を持たない。更に、本発明の若干の化合物は、VEGF受容体チロシンキナーゼに対するよりも、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリー、例えば、c−Srcおよび/またはc−Yesに対して実質的に十分な効力を有する。このような化合物は、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリー、例えば、c−Srcおよび/またはc−Yesに対して、それらを、例えば、c−Srcおよび/またはc−Yesを阻害するのに充分な量で用いることができる充分な効力を有するが、VEGF受容体チロシンキナーゼに対してほとんど活性を示さない。
【0013】
本発明の一つの側面により、式I
【0014】
【化5】
【0015】
[式中、mは、0、1、2または3であり;
基R1は各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、イソシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、ホルミル、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、(3−6C)アルケノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノ、(3−6C)アルキノイルアミノ、
N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノより、または式
Q1−X1−
(式中、X1は、直接結合であり、またはO、S、SO、SO2、N(R4)、CO、CH(OR4)、CON(R4)、N(R4)CO、SO2N(R4)、N(R4)SO2、OC(R4)2、SC(R4)2およびN(R4)C(R4)2より選択され、ここにおいて、
R4は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q1は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルキル、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルケニル、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択され、または
(R1)mは(1−3C)アルキレンジオキシであり、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖中でも、隣接した炭素原子は、O、S、SO、SO2、N(R5)、CO、CH(OR5)、CON(R5)、N(R5)CO、SO2N(R5)、N(R5)SO2、CH=CHおよびC≡Cより選択される基のこの鎖中への挿入によって隔てられていてよく、ここにおいて、
R5は、水素または(1−6C)アルキルであり、または挿入される基がN(R5)である場合、R5は(2−6C)アルカノイルであってもよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2=CH−基またはHC≡C−基も、末端のCH2=またはHC≡の位置に、ハロゲノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルおよびジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルより、または式
Q2−X2−
(式中、X2は、直接結合であり、またはCOおよびN(R6)COより選択され、ここにおいて、
R6は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q2は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、各々のこのCH2基またはCH3基上に、1個またはそれを超えるハロゲノまたは(1−6C)アルキル置換基、またはヒドロキシ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルコキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノより、または式
−X3−Q3
(式中、X3は、直接結合であり、またはO、S、SO、SO2、N(R7)、CO、CH(OR7)、CON(R7)、N(R7)CO、SO2N(R7)、N(R7)SO2、C(R7)2O、C(R7)2SおよびN(R7)C(R7)2より選択され、ここにおいて、
R7は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q3は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルキル、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルケニル、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個、2個または3個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノより、または式
−X4−R8
(式中、X4は、直接結合であり、またはOおよびN(R9)より選択され、ここにおいて、
R9は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
R8は、ハロゲノ−(1−6C)アルキル、ヒドロキシ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキル、シアノ−(1−6C)アルキル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキル、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキル、(2−6C)アルカノイルアミノ−(1−6C)アルキルまたは(1−6C)アルコキシカルボニルアミノ−(1−6C)アルキルである)
を有する基より、または式
−X5−Q4
(式中、X5は、直接結合であり、またはO、N(R10)およびCOより選択され、ここにおいて、
R10は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q4は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルであって、ハロゲノ、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニルおよび(1−6C)アルコキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基またはチオキソ置換基を有していてよく;
R2は、水素または(1−6C)アルキルであり;
nは、0、1、2または3であり;そして
R3は、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、(3−6C)アルケノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノ、(3−6C)アルキノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノである、または式
−X6−R11
(式中、X6は、直接結合であり、またはOおよびN(R12)より選択され、ここにおいて、
R12は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
R11は、ハロゲノ−(1−6C)アルキル、ヒドロキシ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキル、シアノ−(1−6C)アルキル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルまたはジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルである)
を有する基による、または式
−X7−Q5
(式中、X7は、直接結合であり、またはO、S、SO、SO2、N(R13)、CO、CH(OR13)、CON(R13)、N(R13)CO、SO2N(R13)、N(R13)SO2、C(R13)2O、C(R13)2SおよびN(R13)C(R13)2より選択され、ここにおいて、
R13は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q5は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルであって、ハロゲノ、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニルおよび(1−6C)アルコキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものであり、そしてQ5中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基またはチオキソ置換基を有していてよい)
を有する基による]
を有するキナゾリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0016】
本明細書中において、「アルキル」という包括的用語には、プロピル、イソプロピルおよび tert−ブチルのような直鎖および分岐状鎖両方のアルキル基、およびシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルのような(3−7C)シクロアルキル基も含まれる。しかしながら、「プロピル」のような個々のアルキル基の意味は、直鎖型だけを特定し、「イソプロピル」のような個々の分岐状鎖アルキル基の意味は、分岐状鎖型だけを特定し、そして「シクロペンチル」のような個々のシクロアルキル基の意味は、その5員環だけを特定する。類似の慣例が他の包括的用語に当てはまり、例えば、(1−6C)アルコキシには、メトキシ、エトキシ、シクロプロピルオキシおよびシクロペンチルオキシが含まれ、(1−6C)アルキルアミノには、メチルアミノ、エチルアミノ、シクロブチルアミノおよびシクロヘキシルアミノが含まれ、そしてジ−[(1−6C)アルキル]アミノには、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−シクロブチル−N−メチルアミノおよびN−シクロヘキシル−N−エチルアミノが含まれる。
【0017】
上に定義の式Iの化合物のいくつかが、1個またはそれを超える不斉炭素原子によって光学活性体またはラセミ体で存在しうる限りにおいて、本発明が、その定義中に、上述の活性を有するいずれのこのような光学活性体またはラセミ体も包含するということは理解されるはずである。光学活性体の合成は、当該技術分野において周知の有機化学の標準的な技法によって、例えば、光学活性な出発物質からの合成によってまたはラセミ体の分割によって行うことができる。同様に、上述の活性は、以下に論及される標準的な実験室技法を用いて評価することができる。
【0018】
上に論及された包括的な基の適当な意味(value)には、下記のものが含まれる。
【0019】
基「Q」(Q1〜Q5)のいずれか一つがアリールである場合のそれのまたは基「Q」中のアリール基の適当な意味は、例えば、フェニルまたはナフチル、好ましくは、フェニルである。
【0020】
基「Q」(Q1またはQ3)のいずれか一つが(3−7C)シクロアルキルである場合のそれのまたは基「Q」中の(3−7C)シクロアルキル基の適当な意味は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはビシクロ[2.2.1]ヘプチルであり、そして基「Q」(Q1またはQ3)のいずれか一つが(3−7C)シクロアルケニルである場合のそれのまたは基「Q」中の(3−7C)シクロアルケニル基の適当な意味は、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルまたはシクロヘプテニルである。
【0021】
基「Q」(Q1〜Q5)のいずれか一つがヘテロアリールである場合のそれのまたは基「Q」中のヘテロアリール基の適当な意味は、例えば、芳香族5員または6員単環式環、または酸素、窒素および硫黄より選択される5個までの環ヘテロ原子を有する9員または10員二環式環、例えば、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアゼニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、ベンゾフラザニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニルまたはナフチリジニルである。
【0022】
基「Q」(Q1〜Q5)のいずれか一つがヘテロシクリルである場合のそれのまたは基「Q」中のヘテロシクリル基の適当な意味は、例えば、酸素、窒素および硫黄より選択される5個までのヘテロ原子を有する非芳香族の飽和または部分飽和3〜10員単環式または二環式環、例えば、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセパニル、ピロリニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロ−1,4−チアジニル、1,1−ジオキソテトラヒドロ−1,4−チアジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニルまたはテトラヒドロピリミジニル、好ましくは、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルである。1個または2個のオキソまたはチオキソ置換基を有するこのような基の適当な意味は、例えば、2−オキソピロリジニル、2−チオキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−チオキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニルまたは2,6−ジオキソピペリジニルである。
【0023】
基「Q」がヘテロアリール−(1−6C)アルキルである場合のその適当な意味は、例えば、ヘテロアリールメチル、2−ヘテロアリールエチルおよび3−ヘテロアリールプロピルである。本発明は、例えば、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル基よりもむしろ、アリール−(1−6C)アルキル基、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル基、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル基またはヘテロシクリル−(1−6C)アルキル基が存在する場合の基「Q」の該当する適当な意味を含む。
【0024】
構造式Iにおいて、キナゾリン環上の2位および5位には各々水素原子が存在する。それによって、置換基R1は、キナゾリン環の6位、7位または8位に存在しうるだけであること、すなわち、2位および5位は未置換のままであることが理解されるはずである。更に、構造式I中のインドリル基上に存在しうる基R3は、そのインドリル基中のフェニル環上にまたはピロリル環基の炭素原子または窒素原子上に位置していてよい。
【0025】
基「R」(R1〜R13)のいずれかの、または置換基R1またはR3中のいろいろな基の適当な意味には、次が含まれる。
【0026】
ハロゲノについて:フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード;
(1−6C)アルキルについて:メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよび tert−ブチル;
(2−8C)アルケニルについて:ビニル、イソプロペニル、アリルおよびブト−2−エニル;
(2−8C)アルキニルについて:エチニル、2−プロピニルおよびブト−2−イニル;
(1−6C)アルコキシについて:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシ;
(2−6C)アルケニルオキシについて:ビニルオキシおよびアリルオキシ;
(2−6C)アルキニルオキシについて:エチニルオキシおよび2−プロピニルオキシ;
(1−6C)アルキルチオについて:メチルチオ、エチルチオおよびプロピルチオ;
(1−6C)アルキルスルフィニルについて:メチルスルフィニルおよびエチルスルフィニル;
(1−6C)アルキルスルホニルについて:メチルスルホニルおよびエチルスルホニル;
(1−6C)アルキルアミノについて:メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノおよびブチルアミノ;
ジ−[(1−6C)アルキル]アミノについて:ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノおよびジイソプロピルアミノ;
(1−6C)アルコキシカルボニルについて:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルおよび tert−ブトキシカルボニル;
N−(1−6C)アルキルカルバモイルについて:N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイルおよびN−プロピルカルバモイル;
N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイルについて:N,N−ジメチルカルバモイル、N−エチル−N−メチルカルバモイルおよびN,N−ジエチルカルバモイル;
(2−6C)アルカノイルについて:アセチルおよびプロピオニル;
(2−6C)アルカノイルオキシについて:アセトキシおよびプロピオニルオキシ;
(2−6C)アルカノイルアミノについて:アセトアミドおよびプロピオンアミド;
N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノについて:N−メチルアセトアミドおよびN−メチルプロピオンアミド;
N−(1−6C)アルキルスルファモイルについて:N−メチルスルファモイルおよびN−エチルスルファモイル;
N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイルについて:N,N−ジメチルスルファモイル;
N−(1−6C)アルカンスルホニルアミノについて:メタンスルホニルアミノおよびエタンスルホニルアミノ;
N−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノについて:N−メチルメタンスルホニルアミノおよびN−メチルエタンスルホニルアミノ;
(3−6C)アルケノイルアミノについて:アクリルアミド、メタクリルアミドおよびクロトンアミド;
N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノについて:N−メチルアクリルアミドおよびN−メチルクロトンアミド;
(3−6C)アルキノイルアミノについて:プロピオルアミド;
N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノについて:N−メチルプロピオルアミド;
アミノ−(1−6C)アルキルについて:アミノメチル、2−アミノエチル、1−アミノエチルおよび3−アミノプロピル;
(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルについて:メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、1−メチルアミノエチル、2−メチルアミノエチル、2−エチルアミノエチルおよび3−メチルアミノプロピル;
ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルについて:ジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、1−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチルおよび3−ジメチルアミノプロピル;
ハロゲノ−(1−6C)アルキルについて:クロロメチル、2−クロロエチル、1−クロロエチルおよび3−クロロプロピル;
ヒドロキシ−(1−6C)アルキルについて:ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチルおよび3−ヒドロキシプロピル;
(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキルについて:メトキシメチル、エトキシメチル、1−メトキシエチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチルおよび3−メトキシプロピル;
シアノ−(1−6C)アルキルについて:シアノメチル、2−シアノエチル、1−シアノエチルおよび3−シアノプロピル;
(2−6C)アルカノイルアミノ−(1−6C)アルキルについて:アセトアミドメチル、プロピオンアミドメチルおよび2−アセトアミドエチル;および
(1−6C)アルコキシカルボニルアミノ−(1−6C)アルキルについて:メトキシカルボニルアミノメチル、エトキシカルボニルアミノメチル、tert−ブトキシカルボニルアミノメチルおよび2−メトキシカルボニルアミノエチル。
【0027】
(R1)mが(1−3C)アルキレンジオキシ基である場合のその適当な意味は、例えば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシであり、その酸素原子は、隣接した環位置にある。
【0028】
本明細書中の前に定義のように、基R1が式Q1−X1−の基を形成し、そして例えば、X1が連結基OC(R4)2である場合、それは、キナゾリン環に結合している連結基OC(R4)2の炭素原子であって酸素原子ではなく、その酸素原子は基Q1に結合している。同様に、例えば、置換基R1中のCH3基が式−X3−Q3の基を有し、そして例えば、X3が連結基C(R7)2Oである場合、それは、そのCH3基に結合している連結基C(R7)2Oの炭素原子であって酸素原子ではなく、その酸素原子は基Q3に連結している。同様の慣例が、式Q2−X2−および−X7−Q5の基の結合に当てはまる。
【0029】
本明細書中の前に定義のように、置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖においても、隣接した炭素原子は、O、CON(R5)またはC≡Cのような基の鎖中への挿入によって隔てられていてもよい。例えば、2−モルホリノエトキシ基中のエチレン鎖中へのC≡C基の挿入は、4−モルホリノブト−2−イニルオキシ基を生じ、そして例えば、3−メトキシプロポキシ基中のエチレン鎖中へのCONH基の挿入は、例えば、2−(2−メトキシアセトアミド)エトキシ基を生じる。
【0030】
本明細書中の前に定義のように、置換基R1中のいずれのCH2=CH−基またはHC≡C−基も、末端のCH2=またはHC≡位置に、式Q2−X2−(式中、X2は、例えば、NHCOであり、そしてQ2はヘテロシクリル−(1−6C)アルキル基である)を有する基のような置換基を有していてよい場合、そのように形成される適当な置換基R1には、例えば、N−(2−ピロリジン−1−イルエチル)カルバモイルビニルのようなN−[ヘテロシクリル−(1−6C)アルキル]カルバモイルビニル基、またはN−(2−ピロリジン−1−イルエチル)カルバモイルエチニルのようなN−[ヘテロシクリル−(1−6C)アルキル]カルバモイルエチニル基が含まれる。
【0031】
本明細書中の前に定義のように、置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に1個またはそれを超えるハロゲノまたは(1−6C)アルキル置換基を有していてよい場合、その各々のCH2基上には、適当に1個または2個のハロゲノまたは(1−6C)アルキル置換基が存在し、そしてその各々のCH3基上には、適当に1個、2個または3個のこのような置換基が存在する。
【0032】
本明細書中の前に定義のように、置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、本明細書中の前に定義の置換基を有していてよい場合、そのように形成される適当な置換基R1には、例えば、2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロポキシおよび2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシのようなヒドロキシ置換ヘテロシクリル−(1−6C)アルコキシ基;3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシのようなヒドロキシ置換アミノ−(2−6C)アルコキシ基;2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロポキシのようなヒドロキシ置換(1−6C)アルキルアミノ−(2−6C)アルコキシ基;3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシのようなヒドロキシ置換ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(2−6C)アルコキシ基;2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロピルアミノおよび2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロピルアミノのようなヒドロキシ置換ヘテロシクリル−(1−6C)アルキルアミノ基;3−アミノ−2−ヒドロキシプロピルアミノのようなヒドロキシ置換アミノ−(2−6C)アルキルアミノ基;2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピルアミノのようなヒドロキシ置換(1−6C)アルキルアミノ−(2−6C)アルキルアミノ基;3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアミノのようなヒドロキシ置換ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(2−6C)アルキルアミノ基;2−ヒドロキシエトキシのようなヒドロキシ置換(1−6C)アルコキシ基;2−メトキシエトキシおよび3−エトキシプロポキシのような(1−6C)アルコキシ置換(1−6C)アルコキシ基;2−メチルスルホニルエトキシのような(1−6C)アルキルスルホニル置換(1−6C)アルコキシ基;および2−モルホリノエチルアミノメチル、2−ピペラジン−1−イルエチルアミノメチルおよび3−モルホリノプロピルアミノメチルのようなヘテロシクリル置換(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキル基が含まれる。
【0033】
式Iの化合物の適当な薬学的に許容しうる塩は、例えば、式Iの化合物の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸のような無機酸または有機酸との酸付加塩;または例えば、充分に酸性である式Iの化合物の塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩、またはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンのような有機塩基との塩である。
【0034】
本発明の具体的な新規な化合物には、例えば、特に断らない限り、m、R1、R2、nおよびR3の各々が、本明細書中の前に定義のまたは以下の(a)〜(h)の項のいずれかの意味を有する式Iのキナゾリン誘導体またはそれらの薬学的に許容しうる塩が含まれる。
【0035】
(a)mは1または2であり、そして
基R1は各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、ハロゲノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、(3−6C)アルケノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノ、(3−6C)アルキノイルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノより、または式
Q1−X1−
(式中、X1は、直接結合であり、またはO、N(R4)、CON(R4)、N(R4)COおよびOC(R4)2より選択され、ここにおいて、
R4は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q1は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、シクロアルキル−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖中でも、隣接した炭素原子は、O、N(R5)、CON(R5)、N(R5)CO、CH=CHおよびC≡Cより選択される基のこの鎖中への挿入によって隔てられていてよく、ここにおいて、
R5は、水素または(1−6C)アルキルであり、または挿入される基がN(R5)である場合、R5は(2−6C)アルカノイルであってもよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2=CH−基またはHC≡C−基も、末端のCH2=またはHC≡の位置に、カルバモイル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルおよびジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルより、または式
Q2−X2−
(式中、X2は、直接結合であり、またはCOまたはN(R6)COであり、ここにおいて、
R6は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q2は、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、(1−6C)アルコキシ、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノより、または式
−X3−Q3
(式中、X3は、直接結合であり、またはO、N(R6)、CON(R7)、N(R7)COおよびC(R7)2Oより選択され、ここにおいて、
R7は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q3は、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個、2個または3個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、ハロゲノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ、N−(1−6C)アルキルカルバモイルおよびN,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイルより選択される置換基を有していてよいし、または式
−X4−R8
(式中、X4は、直接結合であり、またはOおよびN(R9)より選択され、ここにおいて、
R9は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
R8は、ヒドロキシ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキル、シアノ−(1−6C)アルキル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキル、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキル、(2−6C)アルカノイルアミノ−(1−6C)アルキルまたは(1−6C)アルコキシカルボニルアミノ−(1−6C)アルキルである)
を有する基より、および式
−X5−Q4
(式中、X5は、直接結合であり、またはO、N(R10)およびCOより選択され、ここにおいて、
R10は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q4は、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルであって、ハロゲノ、(1−6C)アルキルおよび(1−6C)アルコキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものである)
を有する基より選択される1個の置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよい;
(b)mは1または2であり、そして
基R1は各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、アセトアミド、プロピオンアミド、アクリルアミドおよびプロピオルアミドより、または式
Q1−X1−
(式中、X1は、直接結合であり、またはO、NH、CONH、NHCOおよびOCH2より選択され、そして
Q1は、フェニル、ベンジル、シクロプロピルメチル、2−チエニル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、2−、3−または4−ピリジル、2−イミダゾール−1−イルエチル、3−イミダゾール−1−イルプロピル、2−(1,2,3−トリアゾリル)エチル、3−(1,2,3−トリアゾリル)プロピル、2−(1,2,4−トリアゾリル)エチル、3−(1,2,4−トリアゾリル)プロピル、2−、3−または4−ピリジルメチル、2−(2−、3−または4−ピリジル)エチル、3−(2−、3−または4−ピリジル)プロピル、1−、2−または3−ピロリジニル、モルホリノ、1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル、ピペリジノ、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、1−、3−または4−ホモピペリジニル、ピペラジン−1−イル、ホモピペラジン−1−イル、1−、2−または3−ピロリジニルメチル、モルホリノメチル、ピペリジノメチル、3−または4−ピペリジニルメチル、1−、3−または4−ホモピペリジニルメチル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−2−イルプロピル、ピロリジン−2−イルメチル、2−ピロリジン−2−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、4−ピロリジン−1−イルブチル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、4−モルホリノブチル、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エチル、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロピル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、4−ピペリジノブチル、2−ピペリジン−3−イルエチル、3−ピペリジン−3−イルプロピル、2−ピペリジン−4−イルエチル、3−ピペリジン−4−イルプロピル、2−ホモピペリジン−1−イルエチル、3−ホモピペリジン−1−イルプロピル、2−ピペラジン−1−イルエチル、3−ピペラジン−1−イルプロピル、4−ピペラジン−1−イルブチル、2−ホモピペラジン−1−イルエチルまたは3−ホモピペラジン−1−イルプロピルである)
を有する基より選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖においても、隣接した炭素原子は、O、NH、CONH、NHCO、CH=CHおよびC≡Cより選択される基の鎖中への挿入によって隔てられていてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2=CH−基またはHC≡C−基も、末端のCH2=またはHC≡位置に、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、メチルアミノメチル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、ジメチルアミノメチル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピルまたは4−ジメチルアミノブチルより、または式
Q2−X2−
(式中、X2は、直接結合であり、またはCO、NHCOまたはN(Me)COであり、そして
Q2は、ピリジル、ピリジルメチル、2−ピリジルエチル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、モルホリノ、ピペリジノ、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イルメチル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、4−ピロリジン−1−イルブチル、ピロリジン−2−イルメチル、2−ピロリジン−2−イルエチル、3−ピロリジン−2−イルプロピル、モルホリノメチル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、4−モルホリノブチル、ピペリジノメチル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、4−ピペリジノブチル、ピペリジン−3−イルメチル、2−ピペリジン−3−イルエチル、ピペリジン−4−イルメチル、2−ピペリジン−4−イルエチル、ピペラジン−1−イルメチル、2−ピペラジン−1−イルエチル、3−ピペラジン−1−イルプロピルまたは4−ピペラジン−1−ブチルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルスルホニル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−プロピルアミノ、アセトキシ、アセトアミドおよびN−メチルアセトアミドより、または式
−X3−Q3
(式中、X3は、直接結合であり、またはO、NH、CONH、NHCOおよびCH2Oより選択され、そして
Q3は、ピリジル、ピリジルメチル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、モルホリノ、ピペリジノ、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、ピロリジン−2−イルメチル、2−ピロリジン−2−イルエチル、3−ピロリジン−2−イルプロピル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、ピペリジン−3−イルメチル、2−ピペリジン−3−イルエチル、ピペリジン−4−イルメチル、2−ピペリジン−4−イルエチル、2−ピペラジン−1−イルエチルまたは3−ピペラジン−1−イルプロピルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個、2個または3個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、メチル、エチル、メトキシ、N−メチルカルバモイルおよびN,N−ジメチルカルバモイルより選択される置換基を有していてよいし、または式
−X4−R8
(式中、X4は、直接結合であり、またはOおよびNHより選択され、そして
R8は、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、シアノメチル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、メチルアミノメチル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、2−エチルアミノエチル、3−エチルアミノプロピル、ジメチルアミノメチル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピル、アセトアミドメチル、メトキシカルボニルアミノメチル、エトキシカルボニルアミノメチルまたは tert−ブトキシカルボニルアミノメチルである)
を有する基より、および式
−X5−Q4
(式中、X5は、直接結合であり、またはO、NHおよびCOより選択され、そして
Q4は、ピロリジン−1−イルメチル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、モルホリノメチル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、ピペリジノメチル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、ピペラジン−1−イルメチル、2−ピペラジン−1−イルエチルまたは3−ピペラジン−1−イルプロピルであって、各々、フルオロ、クロロ、メチルおよびメトキシより選択される同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものである)
を有する基より選択される1個の置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよい;
(c)mは1または2であり、そして
基R1は各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、6位および/または7位に位置し、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセトアミド、プロピオンアミド、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、シクロプロピルメトキシ、2−イミダゾール−1−イルエトキシ、3−イミダゾール−1−イルプロポキシ、2−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ、3−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロポキシ、2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)エトキシ、3−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロポキシ、ピリド−2−イルメトキシ、ピリド−3−イルメトキシ、ピリド−4−イルメトキシ、2−ピリド−2−イルエトキシ、2−ピリド−3−イルエトキシ、2−ピリド−4−イルエトキシ、3−ピリド−2−イルプロポキシ、3−ピリド−3−イルプロポキシ、3−ピリド−4−イルプロポキシ、ピロリジン−1−イル、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジン−1−イル、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、4−ピロリジン−1−イルブトキシ、ピロリジン−3−イルオキシ、ピロリジン−2−イルメトキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、ピペリジン−3−イルオキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、2−ホモピペリジン−1−イルエトキシ、3−ホモピペリジン−1−イルプロポキシ、2−ピペラジン−1−イルエトキシ、3−ピペラジン−1−イルプロポキシ、4−ピペラジン−1−イルブトキシ、2−ホモピペラジン−1−イルエトキシ、3−ホモピペラジン−1−イルプロポキシ、2−ピロリジン−1−イルエチルアミノ、3−ピロリジン−1−イルプロピルアミノ、4−ピロリジン−1−イルブチルアミノ、ピロリジン−3−イルアミノ、ピロリジン−2−イルメチルアミノ、2−ピロリジン−2−イルエチルアミノ、3−ピロリジン−2−イルプロピルアミノ、2−モルホリノエチルアミノ、3−モルホリノプロピルアミノ、4−モルホリノブチルアミノ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エチルアミノ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロピルアミノ、2−ピペリジノエチルアミノ、3−ピペリジノプロピルアミノ、4−ピペリジノブチルアミノ、ピペリジン−3−イルアミノ、ピペリジン−4−イルアミノ、ピペリジン−3−イルメチルアミノ、2−ピペリジン−3−イルエチルアミノ、ピペリジン−4−イルメチルアミノ、2−ピペリジン−4−イルエチルアミノ、2−ホモピペリジン−1−イルエチルアミノ、3−ホモピペリジン−1−イルプロピルアミノ、2−ピペラジン−1−イルエチルアミノ、3−ピペラジン−1−イルプロピルアミノ、4−ピペラジン−1−イルブチルアミノ、2−ホモピペラジン−1−イルエチルアミノまたは3−ホモピペラジン−1−イルプロピルアミノより選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖においても、隣接した炭素原子は、O、NH、CH=CHおよびC≡Cより選択される基の鎖中への挿入によって隔てられていてよく、そしてここにおいて、
R1がビニル基またはエチニル基である場合、置換基R1は、末端のCH2=またはHC≡位置に、N−(2−ジメチルアミノエチル)カルバモイル、N−(3−ジメチルアミノプロピル)カルバモイル、メチルアミノメチル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、ジメチルアミノメチル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピルおよび4−ジメチルアミノブチルより、または式
Q2−X2−
(式中、X2は、直接結合であり、またはNHCOまたはN(Me)COであり、そして
Q2は、イミダゾリルメチル、2−イミダゾリルエチル、3−イミダゾリルプロピル、ピリジルメチル、2−ピリジルエチル、3−ピリジルプロピル、ピロリジン−1−イルメチル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、4−ピロリジン−1−イルブチル、ピロリジン−2−イルメチル、2−ピロリジン−2−イルエチル、3−ピロリジン−2−イルプロピル、モルホリノメチル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、4−モルホリノブチル、ピペリジノメチル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、4−ピペリジノブチル、ピペリジン−3−イルメチル、2−ピペリジン−3−イルエチル、ピペリジン−4−イルメチル、2−ピペリジン−4−イルエチル、ピペラジン−1−イルメチル、2−ピペラジン−1−イルエチル、3−ピペラジン−1−イルプロピルまたは4−ピペラジン−1−イルブチルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの基CH2またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルスルホニル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−プロピルアミノ、アセトキシ、アセトアミドおよびN−メチルアセトアミドより選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのフェニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基またはヘテロシクリル基も、1個または2個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、メチル、エチル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイルおよびメトキシより選択される置換基を有していてよく、そして置換基R1中のピロリジン−2−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピペリジン−4−イル基、ピペラジン−1−イル基またはホモピペラジン−1−イル基は、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、シアノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、2−ピペラジン−1−イルエチルまたは3−ピペラジン−1−イルプロピルでN−置換されていてよいが、但し、この最後の8置換基は各々、フルオロ、クロロ、メチルおよびメトキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよい;
(d)mは1であり、そして
基R1は、6位または7位に位置し、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンジルオキシ、2−イミダゾール−1−イルエトキシ、2−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ、2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)エトキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、4−ピロリジン−1−イルブトキシ、ピロリジン−3−イルオキシ、ピロリジン−2−イルメトキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、ピペリジン−3−イルオキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、2−ホモピペリジン−1−イルエトキシ、3−ホモピペリジン−1−イルプロポキシ、2−ピペラジン−1−イルエトキシ、3−ピペラジン−1−イルプロポキシ、2−ホモピペラジン−1−イルエトキシまたは3−ホモピペラジン−1−イルプロポキシより選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖においても、隣接した炭素原子は、O、NH、CH=CHおよびC≡Cより選択される基の鎖中への挿入によって隔てられていてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルスルホニル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノおよびアセトキシより選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個または2個の置換基であって、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチルおよびメトキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよい;
(e)R2は水素である;
(f)nは1または2であり、そして
基R3は、同じであってよいしまたは異なっていてよく、インドール環の3位、5位および/または6位に位置し、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニルおよび(1−6C)アルコキシより選択される;
(g)nは1または2であり、そして
基R3は、同じであってよいしまたは異なっていてよく、インドール環の2位、3位、5位および/または6位に位置し、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メチル、エチル、ビニル、アリル、イソプロペニル、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、メトキシおよびエトキシより選択される;および
(h)nは0である。
【0036】
本発明の好ましい化合物は、
mが1または2であり、
基R1が各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、6位および/または7位に位置し、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセトアミド、プロピオンアミド、2−イミダゾール−1−イルエトキシ、2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)エトキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、4−ピロリジン−1−イルブトキシ、ピロリジン−3−イルオキシ、ピロリジン−2−イルメトキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、ピペリジン−3−イルオキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、2−ホモピペリジン−1−イルエトキシ、3−ホモピペリジン−1−イルプロポキシ、2−ピペラジン−1−イルエトキシ、3−ピペラジン−1−イルプロポキシ、4−ピペラジン−1−イルブトキシ、2−ホモピペラジン−1−イルエトキシおよび3−ホモピペラジン−1−イルプロポキシより選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖中でも、隣接した炭素原子は、O、NH、CH=CHおよびC≡Cより選択される基のこの鎖中への挿入によって隔てられていてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルスルホニル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−プロピルアミノおよびアセトキシより選択される置換基を有していてよく;そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個または2個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、メチル、エチル、メトキシ、N−メチルカルバモイルおよびN,N−ジメチルカルバモイルより選択される置換基を有していてよく、そして置換基R1中のピロリジン−2−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピペリジン−4−イル基、ピペラジン−1−イル基またはホモピペラジン−1−イル基は、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、シアノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、2−ピペラジン−1−イルエチルまたは3−ピペラジン−1−イルプロピルでN−置換されていてよいが、但し、この最後の8置換基は各々、フルオロ、クロロ、メチルおよびメトキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよく;
R2が水素であり;
nが、0、1または2であり、そして
基R3が、存在する場合、インドール環の2位、3位、5位または6位に位置し、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メチル、エチル、ビニル、アリル、エチニル、メトキシおよびエトキシより選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0037】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が、6位に位置し、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシおよびプロポキシより選択され、そして
第二R1基が、7位に位置し、2−ジメチルアミノエトキシ、3−ジメチルアミノプロポキシ、4−ジメチルアミノブトキシ、2−ジエチルアミノエトキシ、3−ジエチルアミノプロポキシ、4−ジエチルアミノブトキシ、2−ジイソプロピルアミノエトキシ、3−ジイソプロピルアミノプロポキシ、4−ジイソプロピルアミノブトキシ、2−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、4−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)ブトキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、4−ピロリジン−1−イルブトキシ、ピロリジン−3−イルオキシ、N−メチルピロリジン−3−イルオキシ、ピロリジン−2−イルメトキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、ピペリジン−3−イルオキシ、N−メチルピペリジン−3−イルオキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、N−メチルピペリジン−4−イルオキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−3−イル)エトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−3−イル)プロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−4−イル)エトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−4−イル)プロポキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブトキシ、2−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、4−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)ブトキシ、2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]エトキシ、2−メチルスルホニルエトキシおよび3−メチルスルホニルプロポキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基またはアセトキシ基を有していてよく、そしてここにおいて、
第二R1基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0、1または2であり、そして
基R3が、インドール環の2位、3位、5位または6位に位置し、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、シアノ、メチル、エチル、エチニル、メトキシおよびエトキシより選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0038】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が、6位に位置し、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシおよびプロポキシより選択され、そして
第二R1基が、7位に位置し、2−ジメチルアミノエトキシ、3−ジメチルアミノプロポキシ、2−ジエチルアミノエトキシ、3−ジエチルアミノプロポキシ、2−ジイソプロピルアミノエトキシ、3−ジイソプロピルアミノプロポキシ、2−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、2−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)プロポキシ、2−(N−アリル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−アリル−N−メチルアミノ)プロポキシ、2−(N−アリル−N−シクロペンチルアミノ)エトキシ、3−(N−アリル−N−シクロペンチルアミノ)プロポキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−3−イル)エトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−3−イル)プロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−4−イル)エトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−4−イル)プロポキシ、3−ホモピペリジノプロポキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、2−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)エトキシおよび3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基またはアセトキシ基を有していてよく、
R2が水素であり;そして
nが0であり、またはnが1または2であり、そして
基R3が、存在する場合、インドール環の3位、5位または6位に位置し、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、シアノ、メチル、エチル、エチニル、メトキシおよびエトキシより選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0039】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が6−メトキシ基であり、そして
第二R1基が、7位に位置し、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−(N−アリル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−(N−アリル−N−シクロペンチルアミノ)プロポキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、3−モルホリノプロポキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、3−ピペリジノプロポキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、3−ホモピペリジノプロポキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシおよび3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基またはアセトキシ基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0であり、またはnが1であり、そして
基R3が、インドール環の3位または6位に位置し、フルオロおよびクロロより選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0040】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が6−メトキシ基であり、そして
第二R1基が、7位に位置し、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、3−モルホリノプロポキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、3−ピペリジノプロポキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシおよび2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]エトキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0であり、または
nが1であり、R3がクロロ基であり、または
nが2であり、R3が各々メチル基である式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0041】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が6−メトキシ基であり、そして
第二R1基が、7位に位置し、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、3−モルホリノプロポキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、3−ピペリジノプロポキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシおよび2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]エトキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0であり、または
nが1であり、R3が、3位に位置するクロロ基であり、または
nが2であり、R3が各々メチル基である式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0042】
本発明の具体的な好ましい化合物は、例えば、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(2,3−ジメチルインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
7−[3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ]−4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)キナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]キナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−ピペリジノプロポキシ)キナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン、
7−(2−アセトキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−[2−アセトキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−[2−アセトキシ−3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−(2−アセトキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[2−ヒドロキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシプロポキシ]−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−6−メトキシキナゾリンおよび
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン
より選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0043】
式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩は、化学的に関連した化合物の製造に応用可能であることが知られているいずれの方法によっても製造することができる。このような方法は、式Iのキナゾリン誘導体を製造するのに用いられる場合、本発明のもう一つの特徴として提供され、次の代表的な方法変形によって詳しく説明されるが、ここにおいて、特に断らない限り、m、R1、R2、nおよびR3は、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する。必要な出発物質は、有機化学の標準法によって得ることができる。このような出発物質の製造は、次の代表的な方法変形と一緒に、添付の実施例中に記載される。或いは、必要な出発物質は、有機化学者の技術の範囲内である詳しく説明されたのと同様の手順によって入手可能である。
【0044】
(a)式II
【0045】
【化6】
【0046】
(式中、Lは置換可能な基であり、mおよびR1は、いずれの官能基も、必要ならば保護されていることを除いて、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する)
を有するキナゾリンと、式III
【0047】
【化7】
【0048】
(式中、R2、nおよびR3は、いずれの官能基も、必要ならば保護されていることを除いて、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する)
を有するアニリンとの反応後、存在する保護基を全て、慣用的な手段によって除去する。
【0049】
この反応は、好都合には、適当な酸の存在下または適当な塩基の存在下で行うことができる。例えば、適当な酸は、例えば、塩化水素または臭化水素のような無機酸である。例えば、適当な塩基は、例えば、ピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリンまたはジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンのような有機アミン;または例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または水酸化物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム;または例えば、アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムである。
【0050】
適当な置換可能な基Lは、例えば、ハロゲノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはスルホニルオキシ基、例えば、クロロ基、ブロモ基、メトキシ基、フェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、メタンスルホニルオキシ基またはトルエン−4−スルホニルオキシ基である。この反応は、好都合には、適当な不活性溶媒または希釈剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたは酢酸エチルのようなアルコールまたはエステル;塩化メチレン、クロロホルムまたは四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒;テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンのようなエーテル;トルエンのような芳香族溶媒;またはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジン−2−オンまたはジメチルスルホキシドのような双極性非プロトン性溶媒の存在下で行われる。反応は、好都合には、例えば、10〜250℃の範囲内、好ましくは、40〜120℃の範囲内の温度で行われる。
【0051】
典型的には、式IIのキナゾリンを、式IIIのアニリンと、イソプロパノールのようなプロトン性溶媒の存在下で、好都合には、酸、例えば、ジエチルエーテル中の塩化水素ガス、または塩酸の存在下、そして例えば、25〜150℃の範囲内の温度、好ましくは、反応溶媒の還流温度またはその付近の温度で反応させてよい。
【0052】
式Iのキナゾリン誘導体は、この工程から遊離塩基の形で得ることができるし、または代わりに、式H−L(式中、Lは本明細書中の前に定義の意味を有する)を有する酸との塩の形で得ることができる。その塩から遊離塩基を得ることが望まれる場合、その塩を、例えば、適当な塩基、例えば、ピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリンまたはジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンのような有機アミン塩基、または例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または水酸化物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムで処理することができる。
【0053】
保護基は、概して、問題の基の保護について適宜、参考文献に記載のまたは熟練した化学者に知られているいずれかの基から選択することができるし、慣用法によって導入することができる。保護基は、問題の保護基の除去について適宜、参考文献に記載のまたは熟練した化学者に知られているいずれの好都合な方法によっても除去することができ、このような方法は、分子中のどこか他の基の妨害を最小限にして保護基の除去を行うように選択される。
【0054】
保護基の具体的な例を、便宜上、下に与えるが、ここにおいて、例えば、低級アルキルの場合のような“低級”とは、それが用いられている基が、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するということを意味する。これら例が全てではないということは理解されるであろう。保護基の除去方法の具体的な例が下に与えられている場合、同様に、これらが全てではない。具体的に述べられていない保護基の使用および脱保護方法は、当然ながら、本発明の範囲内である。
【0055】
カルボキシ保護基は、エステル形成性の脂肪族または芳香脂肪族アルコールの、またはエステル形成性シラノール(好ましくは、1〜20個の炭素原子を含有するこのアルコールまたはシラノール)の残基であってよい。カルボキシ保護基の例には、直鎖または分岐状鎖の(1−12C)アルキル基(例えば、イソプロピルおよび tert−ブチル);低級アルコキシ−低級アルキル基(例えば、メトキシメチル、エトキシメチルおよびイソブトキシメチル);低級アシルオキシ−低級アルキル基(例えば、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチルおよびピバロイルオキシメチル);低級アルコキシカルボニルオキシ−低級アルキル基(例えば、1−メトキシカルボニルオキシエチルおよび1−エトキシカルボニルオキシエチル);アリール−低級アルキル基(例えば、ベンジル、4−メトキシベンジル、2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、ベンズヒドリルおよびフタリジル);トリ(低級アルキル)シリル基(例えば、トリメチルシリルおよび tert−ブチルジメチルシリル);トリ(低級アルキル)シリル−低級アルキル基(例えば、トリメチルシリルエチル);および(2−6C)アルケニル基(例えば、アリル)が含まれる。カルボキシル保護基の除去に特に適した方法には、例えば、酸、塩基、金属または酵素に触媒される開裂が含まれる。
【0056】
ヒドロキシ保護基の例には、低級アルキル基(例えば、tert−ブチル);低級アルケニル基(例えば、アリル);低級アルカノイル基(例えば、アセチル);低級アルコキシカルボニル基(例えば、tert−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル基(例えば、アリルオキシカルボニル);アリール−低級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニルおよび4−ニトロベンジルオキシカルボニル);トリ(低級アルキル)シリル(例えば、トリメチルシリルおよび tert−ブチルジメチルシリル)およびアリール−低級アルキル(例えば、ベンジル)基が含まれる。
【0057】
アミノ保護基の例には、ホルミル、アリール−低級アルキル基(例えば、ベンジルおよび置換ベンジル、4−メトキシベンジル、2−ニトロベンジルおよび2,4−ジメトキシベンジル、およびトリフェニルメチル);ジ−4−アニシルメチル基およびフリルメチル基;低級アルコキシカルボニル(例えば、tert−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル(例えば、アリルオキシカルボニル);アリール−低級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニルおよび4−ニトロベンジルオキシカルボニル);トリアルキルシリル(例えば、トリメチルシリルおよび tert−ブチルジメチルシリル);アルキリデン(例えば、メチリデン)およびベンジリデンおよび置換ベンジリデン基が含まれる。
【0058】
ヒドロキシ保護基およびアミノ保護基の除去に適した方法には、例えば、2−ニトロベンジルオキシカルボニルのような基についての酸、塩基、金属または酵素に触媒される加水分解;ベンジルのような基についての水素化;および2−ニトロベンジルオキシカルボニルのような基についての光分解法が含まれる。
【0059】
読者は、反応条件および試薬に関する一般的な指針については、John Wiley & Sons 1992 発行の Advanced Organic Chemistry, 4th Edition, by J. March を、そして保護基に関する一般的な指針についても、John Wiley & Son 発行の Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd Edition, by T. Green et al. を参照する。
【0060】
式IIのキナゾリン出発物質は、慣用法によって得ることができる。例えば、式IV
【0061】
【化8】
【0062】
(式中、mおよびR1は、いずれの官能基も、必要ならば保護されていることを除いて、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する)
を有する3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、塩化チオニル、塩化ホスホリル、または四塩化炭素およびトリフェニルホスフィンの混合物のようなハロゲン化剤と反応させてよく、その後、存在する保護基を全て、慣用的な手段によって除去する。
【0063】
そのようにして得られる4−クロロキナゾリンは、必要ならば、炭酸カリウムのような適当な塩基の存在下およびN,N−ジメチルホルムアミドのような適当な溶媒の存在下におけるペンタフルオロフェノールとの反応により、4−ペンタフルオロフェノキシキナゾリンに変換することができる。
【0064】
式IIIの7−アミノインドール出発物質は、実施例に詳しく説明される慣用法によって得ることができる。
【0065】
(b)少なくとも1個の基R1が、式
Q1−X1−
(式中、Q1は、アリール−(1−6C)アルキル基、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル基、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル基、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル基またはヘテロシクリル−(1−6C)アルキル基であり、そしてX1は酸素原子である)
を有する基である式Iの化合物の製造について、式V
【0066】
【化9】
【0067】
(式中、m、R1、R2、nおよびR3は、いずれの官能基も、必要ならば保護されていることを除いて、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する)
を有するキナゾリンと、いずれの官能基も、必要ならば保護されている適当なアルコールとの、好都合には、適当な脱水剤の存在下でのカップリング後、存在する保護基を全て、慣用的な手段によって除去する。
【0068】
適当な脱水剤は、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドのようなカルボジイミド試薬、またはアゾジカルボン酸ジエチルまたはアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチルのようなアゾ化合物およびトリフェニルホスフィンのようなホスフィンの混合物である。
【0069】
この反応は、好都合には、適当な不活性溶媒または希釈剤、例えば、塩化メチレン、クロロホルムまたは四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒の存在下、および例えば、10〜150℃の範囲内の温度、好ましくは、周囲温度またはその付近の温度で行われる。
【0070】
(c)基R1が、第一級または第二級アミノ基を含有する式Iの化合物の製造について、基R1が、保護された第一級または第二級アミノ基を含有する式Iの該当する化合物の開裂(cleavage)。
【0071】
アミノ基に適当な保護基は、例えば、アミノ基について本明細書中の前に開示されたいずれかの保護基である。このようなアミノ保護基に適当な開裂方法も、本明細書中の前に開示されている。具体的には、適当な保護基は、酸に触媒される加水分解下、例えば、トリフルオロ酢酸の存在下のような慣用的な反応条件下で開裂されうる tert−ブトキシカルボニル基のような低級アルコキシカルボニル基である。
【0072】
(d)基R1が、(1−6C)アルコキシ基または置換(1−6C)アルコキシ基、または(1−6C)アルキルアミノ基または置換(1−6C)アルキルアミノ基を含有する式Iの化合物の製造について、基R1が、適宜、ヒドロキシ基または第一級若しくは第二級アミノ基を含有する式Iのキナゾリン誘導体の、好都合には、本明細書中の前に定義の適当な塩基の存在下でのアルキル化。
【0073】
適当なアルキル化剤は、例えば、ヒドロキシのアルコキシまたは置換アルコキシへのアルキル化について、またはアミノのアルキルアミノまたは置換アルキルアミノへのアルキル化について当該技術分野において知られているいずれかの物質、例えば、好都合には、本明細書中の前に定義の適当な塩基の存在下、本明細書中の前に定義の適当な不活性溶媒または希釈剤中、そして例えば、10〜140℃の範囲内の温度、好都合には、周囲温度またはその付近の温度での、アルキルハライドまたは置換アルキルハライド、例えば、(1−6C)アルキルクロリド、(1−6C)アルキルブロミドまたは(1−6C)アルキルヨージド、または置換(1−6C)アルキルクロリド、置換(1−6C)アルキルブロミドまたは置換(1−6C)アルキルヨージドである。
【0074】
好都合には、R1が(1−6C)アルキルアミノまたは置換(1−6C)アルキルアミノ基を含有する式Iの化合物の製造について、還元的アミノ化反応を用いることができる。例えば、R1がN−メチル基を含有する式Iの化合物の製造について、N−H基を含有する該当する化合物を、適当な還元剤の存在下でホルムアルデヒドと反応させることができる。適当な還元剤は、例えば、水素化物還元剤、例えば、水素化アルミニウムリチウムのようなアルカリ金属アルミニウム水素化物、または好ましくは、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ素ナトリウムおよび水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムのようなアルカリ金属ホウ水素化物である。この反応は、好都合には、適当な不活性溶媒または希釈剤、例えば、水素化アルミニウムリチウムのようなより強力な還元剤については、テトラヒドロフランおよびジエチルエーテル、そして例えば、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムおよび水素化シアノホウ素ナトリウムのようなあまり強力でない還元剤については、メタノールおよびエタノールのようなプロトン性溶媒または塩化メチレン中で行われる。反応は、例えば、10〜80℃の範囲内の温度、好都合には、周囲温度またはその付近の温度で行われる。
【0075】
(e)R1がアミノ−ヒドロキシ二置換(1−6C)アルコキシ基(2−ヒドロキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシまたは3−[N−アリル−N−メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロポキシ)である式Iの化合物の製造について、基R1がエポキシ置換(1−6C)アルコキシ基を含有する式Iの化合物と、ヘテロシクリル化合物または適当なアミンとの反応。
【0076】
この反応は、好都合には、本明細書中の前に定義の適当な不活性希釈剤または担体の存在下および例えば、10〜150℃の範囲内の温度、好ましくは、周囲温度またはその付近の温度で行われる。
【0077】
(f)基R1がヒドロキシ基を含有する式Iの化合物の製造について、基R1が、保護されたヒドロキシ基を含有する式Iの該当する化合物の開裂。
【0078】
ヒドロキシ基に適当な保護基は、例えば、本明細書中の前に開示されたいずれかの保護基である。このようなヒドロキシ保護基に適当な開裂方法も、本明細書中の前に開示されている。具体的には、適当な保護基は、塩基に触媒される条件下、例えば、アンモニアの存在下のような慣用的な反応条件下で開列されうるアセチル基のような低級アルカノイル基である。
【0079】
式Iのキナゾリン誘導体の薬学的に許容しうる塩、例えば、酸付加塩が必要とされる場合、それは、例えば、このキナゾリン誘導体と適当な酸との反応により、慣用法を用いて得ることができる。
【0080】
バイオアッセイ
次の検定を用いて、c−Srcチロシンキナーゼ阻害剤としての、c−Srcでトランスフェクションされた線維芽細胞の増殖の in vitro 阻害剤としての、A549ヒト肺腫瘍細胞の移動の in vitro 阻害剤としての、およびA549組織の異種移植片のヌードマウス中での成長の in vivo 阻害剤としての本発明の化合物の作用を測定することができる。
【0081】
(a)in vitro 酵素検定
酵素c−Srcキナーゼによるチロシン含有ポリペプチド基質のリン酸化を阻害する試験化合物の能力を、慣用的なエリザ(Elisa)検定を用いて評価した。
【0082】
基質溶液[0.2mg/mlのアジ化ナトリウムを含有するリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中に20μg/mlのポリアミノ酸Poly(Glu,Tyr)4:1溶液(Sigma Catalogue No. P0275)100μl]を、多数の Nunc 96ウェルイムノプレート(Catalogue No. 439454)の各ウェルに加え、これらプレートを密封し、4℃で16時間貯蔵した。過剰の基質溶液を棄て、ウシ血清アルブミンのアリコート(BSA;PBS中5%溶液150μl)を、基質で被覆された各検定ウェル中に入れ、周囲温度で1時間インキュベートして、非特異的結合をブロックした。これら検定プレートウェルを、順次、0.05%v/v Tween 20含有PBS(PBST)でおよび Hepes pH7.4緩衝液(50mM,300μl/ウェル)で洗浄後、吸取乾燥させた。
【0083】
各々の試験化合物を、ジメチルスルホキシド中に溶解させ、蒸留水で希釈して一連の希釈(100μM〜0.001μM)を生じた。試験化合物の各希釈からの一部分(25μl)を、それら洗浄された検定プレート中のウェルに入れた。「全(total)」対照ウェルには、化合物の代わりに希釈されたDMSOを入れた。アデノシン−5’−三リン酸(ATP;40μM)を含有する塩化マグネシウム水溶液(80mM)のアリコート(25μl)を、ATP不含の塩化マグネシウムが入った「ブランク」対照ウェルを除く全ての試験ウェルに加えた。
【0084】
活性ヒトc−Srcキナーゼ(Sf9昆虫細胞中で発現された組換え酵素;Upstate Biotechnology Inc. より入手される製品14−117)を、使用直前に、100mM Hepes pH7.4緩衝液、0.2mMオルトバナジン酸ナトリウム、2mMジチオトレイトールおよび0.02%BSAを含む酵素希釈剤で1:10,000の倍率まで希釈した。反応を開始するために、新たに希釈された酵素のアリコート(50μl)を各ウェルに加え、これらプレートを周囲温度で20分間インキュベートした。各ウェル中の上澄み液を棄て、これらウェルをPBSTで2回洗浄した。マウスIgG抗ホスホチロシン抗体(Upstate Biotechnology Inc. 製品05−321;100μl)を、0.5%w/vBSAを含有するPBSTで1:6000の倍率まで希釈し、各ウェルに加えた。これらプレートを周囲温度で1時間インキュベートした。上澄み液を棄て、各々のウェルをPBST(x4)で洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヒツジ抗マウスIg抗体(Amersham Catalogue No. NXA931;100μl)を、0.5%w/vBSAを含有するPBSTで1:500の倍率まで希釈し、各ウェルに加えた。これらプレートを周囲温度で1時間インキュベートした。上澄み液を棄て、これらウェルをPBST(x4)で洗浄した。
【0085】
PCSBカプセル(Sigma Catalogue No. P4922)を、蒸留水(100ml)中に溶解させて、0.03%過ホウ酸ナトリウムを含有するリン酸クエン酸pH5緩衝液(50mM)を与えた。この緩衝液のアリコート(50ml)を、50mg錠剤の2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS;Boehringer Catalogue No. 1204521)と混合した。得られた溶液のアリコート(100μl)を各ウェルに加えた。これらプレートを、プレート読み取り用分光光度計を用いて405nmで測定される「全」対照ウェルの光学濃度値が約1.0になるまで、周囲温度で20〜60分間インキュベートした。「ブランク」(ATP不含)および「全」(化合物不含)対照の値を用いて、酵素活性の50%阻害を与える試験化合物の希釈範囲を決定した。
【0086】
(b)c−SrcでトランスフェクションされたNIH3T3(c−src 3T3)線維芽細胞の in vitro 増殖検定
この検定で、ヒトc−Srcの活性化突然変異体(Y530F)で安定してトランスフェクションされた National Institute of Health(NIH)マウス3T3線維芽細胞の増殖を阻害する試験化合物の能力を決定した。
【0087】
Shalloway et al., Cell, 1987, 49, 65−73 によって記載されたのと同様の手順を用いて、NIH3T3細胞を、ヒトc−Srcの活性化突然変異体(Y530F)でトランスフェクションした。得られたc−Src3T3細胞を、典型的には、0.9%塩化ナトリウム水溶液中にダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM;Sigma)+0.5%ウシ胎児血清(FCS)、2mMグルタミン、100単位/mlペニシリンおよび0.1mg/mlストレプトマイシンを含む検定培地が各々入っている96ウェル組織培養処理済み透明検定プレート(Costar)中に、細胞1.5x104個/ウェルで播種した。これらプレートを、給湿(7.5%CO2:95%空気)インキュベーター中において37℃で一晩インキュベートした。
【0088】
試験化合物をDMSO中に溶解させて、10mM原液を形成した。この原液のアリコートを、上記のDMEM培地で希釈し、適当なウェルに加えた。連続希釈を行って、一定範囲の試験濃度を与えた。試験化合物が加えられていない対照ウェルを、各々のプレートに含めた。これらプレートを、給湿(7.5%CO2:95%空気)インキュベーター中において37℃で一晩インキュベートした。
【0089】
BrdU標識用試薬(Boehringer Mannheim Catalogue No. 647229)を、0.5%FCSを含有するDMEM培地中で1:100の倍率まで希釈し、アリコート(20μl)を各ウェルに加えて、10μMの最終濃度にした。これらプレートを37℃で2時間インキュベートした。培地を傾瀉した。変性用溶液(FixDenat 溶液,Boehringer Mannheim Catalogue No. 647229;50μl)を各ウェルに加え、これらプレートを、プレート振とう機上に周囲温度で45分間置いた。上澄みを傾瀉し、これらウェルをPBS(200μl/ウェル)で洗浄した。抗BrdU−ペルオキシダーゼ溶液(Boehringer Mannheim Catalogue No. 647229)を、1%BSAおよび0.025%乾燥脱脂乳(Marvel(登録商標), Premier Beverages, Stafford, GB)を含有するPBS中で1:100の倍率まで希釈し、得られた溶液のアリコート(100μl)を各ウェルに加えた。これらプレートを、プレート振とう機上に周囲温度で90分間置いた。これらウェルをPBS(x5)で洗浄して、非結合抗体複合体を確実に除去した。プレートを吸取乾燥させ、テトラメチルベンジジン基質溶液(Boehringer Mannheim Catalogue No. 647229;100μl)を各ウェルに加えた。これらプレートをプレート振とう機上で静かに撹拌したが、この10〜20分間の間に発色した。これらウェルの吸光度を、690nmで測定した。各試験化合物の一定範囲の濃度での細胞増殖の阻害の程度を決定し、抗増殖IC50値を導いた。
【0090】
(c)in vitro 微小滴移動検定(In Vitro Microdroplet Migration Assay)
この検定で、付着性哺乳動物細胞系、例えば、ヒト腫瘍細胞系A549の移動を阻害する試験化合物の能力を決定した。
【0091】
10%FCS、1%L−グルタミンおよび0.3%アガロース(Difco Catalogue No. 0142−01)を含有するRPMI培地(Sigma)を、水浴中で37℃に加温した。2%水性寒天原液をオートクレーブ処理し、42℃で貯蔵した。この寒天溶液のアリコート(1.5ml)を、使用直前にRPMI培地(10ml)に加えた。A549細胞(受託番号ATCC CCL185)を、その培地中に2x107個/mlの細胞濃度で懸濁させ、37℃の温度で維持した。
【0092】
この細胞/アガロース混合物の小滴(2μl)を、組織培養処理されていない多数の96ウェル平底微量滴定プレート(Bibby Sterilin Catalogue No. 642000)の各ウェルの中央にピペットで入れた。これらプレートを氷上に短時間置いて、アガロース含有小滴のゲル化を速めた。4℃まで冷却された培地のアリコート(90μl)を、それら微小滴を乱さないように注意して各ウェル中に入れた。試験化合物を、DMSO中の10mM原液から、上記のようなRPMI培地を用いて希釈した。希釈された試験化合物のアリコート(10μl)を、再度微小滴を乱さないように注意してこれらウェルに入れた。これらプレートを、給湿(7.5%CO2:95%空気)インキュベーター中において37℃で約48時間インキュベートした。
【0093】
移動を目視評価し、そして移動距離を寒天小滴の縁に戻って測定した。移動阻害IC50は、平均移動測定値を試験化合物濃度に対してプロットすることによって導いた。
【0094】
(d)in vivo A549異種移植片成長検定(In Vivo A549 Xenograft Growth Assay)
この試験は、無胸腺ヌードマウス(Alderley Park nu/nu系統)において腫瘍として成長するA549ヒト癌腫の成長を阻害する化合物の能力を測定する。マトリゲル(Beckton Dickinson Catalogue No. 40234)中の合計約5x106個のA549細胞を、各々の試験マウスの左側腹部に皮下注射し、得られた腫瘍を約14日間成長させた。腫瘍サイズを週に2回、カリパスを用いて測定し、理論上の体積を計算した。被験動物は、ほぼ等しい平均腫瘍体積の対照群および処置群を与えるように選択した。試験化合物を、1%ポリソルベートビヒクル中のボールミル粉砕懸濁液として調製し、1日1回約28日間経口投与した。腫瘍成長への作用を評価した。
【0095】
式Iの化合物の薬理学的性質は、予想される構造的変化とともに異なるが、概して、式Iの化合物が有する活性は、上の試験(a)、(b)、(c)および(d)の一つまたはそれを超える試験において次の濃度または用量で示すことができる。
【0096】
試験(a):例えば、0.001〜10μMの範囲内のIC50;
試験(b):例えば、0.01〜20μMの範囲内のIC50;
試験(c):例えば、0.1〜25μMの範囲内の活性;
試験(d):例えば、1〜200mg/kg/日の範囲内の活性。
【0097】
生理学的に許容し得ない毒性は、試験(d)において、本発明の試験された化合物の有効量では認められなかった。したがって、本明細書中の前に定義の式Iの化合物またはその薬学的に許容しうる塩を、以下に明記される投薬量範囲で投与する場合、不都合な毒物学的作用は考えられない。
【0098】
本発明のもう一つの側面により、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を、薬学的に許容しうる希釈剤または担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0099】
本発明の組成物は、経口使用に(例えば、錠剤、口中錠、硬または軟カプセル剤、水性または油状懸濁剤、乳剤、分散性散剤または顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤として)、局所使用に(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、または水性または油状の液剤または懸濁剤として)、吸入による投与に(例えば、微粉散剤または液体エアゾル剤として)、吹入による投与に(例えば、微粉散剤として)、または非経口投与に(例えば、静脈内、皮下、筋肉内または筋肉内投与用の滅菌水性または油状液剤として、または直腸投与用の坐剤として)適した形であってよい。
【0100】
本発明の組成物は、当該技術分野において周知の慣用的な医薬賦形剤を用いて慣用法によって得ることができる。したがって、経口使用を予定する組成物は、例えば、1種類またはそれを超える着色剤、甘味剤、着香剤および/または保存剤を含有してよい。
【0101】
1種類またはそれを超える賦形剤と組み合わされて単一剤形を生じる活性成分の量は、処置される宿主および具体的な投与経路に依って必然的に異なるであろう。例えば、ヒトへの経口投与を予定する製剤は、概して、全組成物の約5〜約98重量%であってよい適当且つ好都合な量の賦形剤と配合される、例えば、0.5mg〜0.5g(より適当には、0.5〜100mg、例えば、1〜30mg)の活性剤を含有するであろう。
【0102】
式Iの化合物の治療目的または予防目的の用量サイズは、当然ながら、周知の医薬慣例にしたがって、状態の性状および重症度、動物または患者の齢および性別、および投与経路によって異なるであろう。
【0103】
式Iの化合物を治療目的または予防目的に用いる場合、それは、概して、必要ならば分割用量で与えられる、例えば、0.1mg/kg〜75mg/kg(体重)の範囲内の1日用量が与えられるように投与されるであろう。概して、非経口経路を用いる場合、より低い用量が投与されるであろう。したがって、例えば、静脈内投与には、例えば、0.1mg/kg〜30mg/kg(体重)の範囲内の用量が一般的に用いられるであろう。同様に、吸入による投与には、例えば、0.05mg/kg〜25mg/kg(体重)の範囲内の用量が用いられるであろう。しかしながら、特に、錠剤の形での経口投与が好適である。典型的には、単位剤形は、0.5mg〜0.5gの本発明の化合物を含有するであろう。
【0104】
本発明のもう一つの側面により、ヒトまたは動物体の療法による処置方法で用いるための、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0105】
上述のように、c−Src非受容体チロシンキナーゼの優先的な役割は、限局性腫瘍が、血流中への播種、他の組織の浸潤および転移性腫瘍成長の開始の段階によって進行するのに必ず必要とされる細胞運動性を調節することである。本発明者は、本発明のキナゾリン誘導体が強力な抗腫瘍活性を有するということを発見したが、これは、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与しているc−Srcキナーゼのような、一つまたはそれを超える非受容体チロシン特異的プロテインキナーゼの阻害によって得られると考えられる。
【0106】
したがって、本発明のキナゾリン誘導体は、抗腫瘍薬として、詳しくは、転移性腫瘍成長の阻害をもたらす哺乳動物癌細胞の運動性、播種および浸潤性の選択的阻害剤として価値がある。特に、本発明のキナゾリン誘導体は、充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置における抗浸潤薬として価値がある。特に、本発明の化合物は、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与しているc−Srcキナーゼのような、一つまたはそれを超える多重非受容体チロシンキナーゼの阻害に感受性である腫瘍の予防または処置において有用であると考えられる。更に、本発明の化合物は、酵素c−Srcの阻害によって単独でまたは一部分媒介される腫瘍の予防または処置において有用であると考えられる、すなわち、これら化合物は、このような処置を必要としている温血動物においてc−Src酵素阻害作用を生じるのに用いることができる。具体的には、本発明の化合物は、充実性腫瘍疾患の予防または処置において有用であると考えられる。
【0107】
したがって、本発明のこの側面により、充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置において抗浸潤薬として用いるための薬剤の製造における、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0108】
本発明のこの側面のもう一つの特徴により、充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置によって抗浸潤作用を生じる処置を必要としているヒトなどの温血動物において充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置によって抗浸潤作用を生じる方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法を提供する。
【0109】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍疾患の予防または処置で用いるための薬剤の製造における、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0110】
本発明のこの側面のもう一つの特徴により、充実性腫瘍疾患の処置を必要としているヒトなどの温血動物における充実性腫瘍疾患の予防または処置の方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法を提供する。
【0111】
本発明のもう一つの側面により、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与しているc−Srcキナーゼのような非受容体チロシンキナーゼの阻害に感受性であるそれら腫瘍の予防または処置で用いるための薬剤の製造における、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0112】
本発明のこの側面のもう一つの特徴により、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与しているc−Srcキナーゼのような非受容体チロシンキナーゼの阻害に感受性であるそれら腫瘍の予防または処置の方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法を提供する。
【0113】
本発明のもう一つの側面により、c−Srcキナーゼ阻害作用を提供する場合に用いるための薬剤の製造における、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0114】
本発明のこの側面のもう一つの特徴により、c−Srcキナーゼ阻害作用を提供する方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法を提供する。
【0115】
本明細書中の前に定義の抗浸潤処置は、単独療法として用いてよいし、または本発明のキナゾリン誘導体に加えて、慣用的な外科手術または放射線療法または化学療法を伴ってよい。このような化学療法には、次のカテゴリーの一つまたはそれを超える抗腫瘍薬が含まれうる。
【0116】
(i)他の抗浸潤薬(例えば、マリマスタト(marimastat)のようなメタロプロテイナーゼ阻害剤およびウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤);
(ii)医学腫瘍学において用いられる抗増殖/抗新生物薬およびそれらの組合せであって、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびニトロソ尿素);代謝拮抗物質(例えば、5−フルオロウラシルおよびテガフルのようなフルオロピリミジン類、ラルチトレキセド(raltitrexed)、メトトレキサート、シトシンアラビノシドおよびヒドロキシ尿素などの葉酸拮抗剤、または例えば、(2S)−2−{o−フルオロ−p−[N−{2,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−イルメチル)−N−(プロプ−2−イニル)アミノ]ベンズアミド}−4−(テトラゾール−5−イル)酪酸などの欧州特許出願第562734号に開示された好ましい代謝拮抗物質の一つ;抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン(idarubicin)、マイトマイシンC、ダクチノマイシンおよびミトラマイシンのようなアントラサイクリン類);抗有糸分裂薬(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンのようなビンカアルカロイド類、およびタキソールおよびタキソテールのようなタキソイド類);およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン(topotecan)およびカンプトテシンのようなもの;
(iii)細胞増殖抑制薬であって、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、トレミフェン(toremifene)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)およびヨードキシフェン(iodoxyfene))、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、ロイプロレリン(leuprorelin)およびブセレリン(buserelin))、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール(anastrozole)、レトラゾール(letrazole)、ボラゾール(vorazole)およびエクセメスタン(exemestane))、およびフィナステリドなどの5α−レダクターゼの阻害剤のようなもの;
(iv)増殖因子機能の阻害剤、例えば、このような増殖因子には、増殖因子抗体、増殖因子受容体抗体、チロシンキナーゼ阻害剤およびセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、例えば、上皮増殖因子ファミリーの阻害剤(例えば、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(CP358774)および6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI1033))、例えば、血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤および例えば、肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤が含まれる;および
(v)抗血管新生薬であって、国際特許出願WO97/22596号、WO97/30035号、WO97/32856号およびWO98/13354号に開示された化合物などの血管上皮増殖因子を阻害するもの、および他の機構によって作用するもの(例えば、リノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンギオスタチン(angiostatin))のようなもの。
【0117】
このような共同処置は、この処置の個々の成分の同時の、逐次的なまたは個別の投与によって達成することができる。このような組合せ製品は、本明細書中の前に記載の投薬量範囲内の本発明の化合物および他の認可された投薬量範囲内の薬学的に活性な物質を用いる。
【0118】
本発明のこの側面により、癌の共同処置のための、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体および本明細書中の前に定義の追加の抗腫瘍薬を含む医薬製品を提供する。
【0119】
式Iの化合物は、主に、(ヒトを含めた)温血動物で用いるための治療薬として価値があるが、それらは、c−Srcの作用を阻害することが必要とされる時も常に有用である。したがって、それらは、新しい生物学的試験の開発および新しい薬理物質の探求において用いるための薬理標準として有用である。
【0120】
本発明をここで、次の実施例で詳しく説明するが、ここにおいて、概して、
(i)作業は、特に断らない限り、周囲温度で、すなわち、17〜25℃の範囲内でおよびアルゴンのような不活性ガスの雰囲気下で行った;
(ii)蒸発は、真空中のロータリーエバポレーションによって行い、処理手順(work−up procedures)は、濾過による残留固体の除去後に行った;
(iii)カラムクロマトグラフィー(フラッシュ法による)および中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)は、E. Merck, Darmstadt, Germany より入手される Merck Kieselgel シリカ(製品9385)または Merck Lichroprep RP−18(製品9303)逆相シリカ上で行ったし、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、C18逆相シリカ上で、例えば、Dynamax C−18 60Å分離用逆相カラム上で行った;
(iv)収率は、与えられている場合、必ずしも達成しうる最大値ではない;
(v)概して、式Iの最終生成物は、納得のいく微量分析を有するが、それらの構造は、核磁気共鳴(NMR)および/または質量スペクトル技術によって確認された;高速原子衝撃法(FAB)質量スペクトルデータは、Platform 分光計を用いて得られたが、適当な場合、陽イオンデータかまたは陰イオンデータを集めた;NMR化学シフト値は、δスケールで測定した[プロトン磁気共鳴スペクトルは、400MHzの磁場強さで操作する Jeol JNM EX400分光計、300MHzの磁場強さで操作する Varian Gemini 2000分光計、または300MHzの磁場強さで操作する Bruker AM300分光計を用いて決定した];次の略語、すなわち、s,一重線;d,二重線;t,三重線;q,四重線;m,多重線;br,幅広を用いている;
(vi)中間体は、概して、充分に特性決定されなかったが、純度は、薄層クロマトグラフィー、HPLC、赤外(IR)および/またはNMR分析によって評価した;
(vii)融点は補正されていないが、Mettler SP62自動融点装置または油浴装置を用いて決定した;式Iの最終生成物の融点は、エタノール、メタノール、アセトン、エーテルまたはヘキサンなどの単独または混合物での慣用的な有機溶媒からの結晶化後に決定した;
(viii)次の略語を用いている。
【0121】
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
実施例1
4−(2,3−ジメチルインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン
4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(0.15g)、7−アミノ−2,3−ジメチルインドール(0.089g)、イソプロパノール(5ml)、および塩化水素のイソプロパノール中溶液(5M,0.2ml)の混合物を撹拌し、80℃まで2時間加熱した。得られた混合物を周囲温度に冷却し、沈殿を濾過によって単離し、そして順次、ジエチルエーテルおよびイソプロパノールの1:1混合物でおよびジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させた。このようにして、標題化合物(0.216g)を二塩酸塩として得た。
【0122】
【化10】
【0123】
出発物質として用いられる7−アミノ−2,3−ジメチルインドールは、次のように製造した。
【0124】
ヒドラジン水和物(0.65ml)を、2,3−ジメチル−7−ニトロインドール(0.5g)、ラネー・ニッケル(0.1g)およびメタノール(5ml)の55℃に加温された撹拌混合物に滴加した。得られた混合物を加熱して30分間還流させた。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンを溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−アミノ−2,3−ジメチルインドール(0.3g)を固体として得た。
【0125】
【化11】
【0126】
出発物質として用いられる4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンは、次のように製造した。
【0127】
2−アミノ−4−ベンジルオキシ−5−メトキシベンズアミド(J. Med. Chem.,1977,20,146−149;10g)、(3−ジメチルアミノ−2−アザプロプ−2−エン−1−イリデン)ジメチルアンモニウムクロリド(Gold’s 試薬,7.4g)およびジオキサン(100ml)の混合物を、撹拌し、加熱して24時間還流させた。酢酸ナトリウム(3.02g)および酢酸(1.65ml)を加え、反応混合物を更に3時間加熱した。混合物を蒸発させ、その残留物に水を加えた。得られた固体を濾過によって集め、水で洗浄し、乾燥させた。その物質を酢酸から再結晶させて、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(8.7g)を生じた。
【0128】
そのように記載の反応を反復後、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(35g)、塩化チオニル(440ml)およびDMF(1.75ml)の混合物を加熱して4時間還流させた。塩化チオニルを真空下で蒸発させ、残留物をトルエンと一緒に3回共沸させた。残留物を、N−メチルピロリジン−2−オン(250ml)中に溶解させて、7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンの溶液を生じた。
【0129】
フェノール(29.05g)を、N−メチルピロリジン−2−オン(210ml)中に溶解させ、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液;11.025g)を少量ずつ冷却しながら加えた。得られた混合物を周囲温度で3時間撹拌した。得られた粘稠懸濁液を、N−メチルピロリジン−2−オン(180ml)で希釈し、一晩撹拌した。上述の7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン溶液を加え、得られた懸濁液を撹拌し、100℃まで2.5時間加熱した。その混合物を周囲温度に冷却させ、水(1.5L)中に激しく撹拌しながら注いだ。沈殿を濾過によって集め、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。そのようにして得られた物質を塩化メチレン中に溶解させ、その溶液をブラインで洗浄し、相分離用紙を介して濾過した。その溶液を真空下で蒸発させ、得られた残留物をジエチルエーテル下で研和した。このようにして、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−4−フェノキシキナゾリン(87.8g)を得た。
【0130】
【化12】
【0131】
そのようにして得られた物質の一部分(36.95g)およびトリフルオロ酢酸(420ml)の混合物を、加熱して3時間還流させた。反応混合物を冷却させ、真空下で蒸発させた。残留物を水の下で機械的に撹拌し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加によって塩基性にし、一晩撹拌した。水を傾瀉し、残留する固体をアセトン中に懸濁させた。撹拌後、白色固体を濾過によって集め、アセトンで洗浄し、乾燥させて、7−ヒドロキシ−6−メトキシ−4−フェノキシキナゾリン(26.61g)を生じた。
【0132】
【化13】
【0133】
7−ヒドロキシ−6−メトキシ−4−フェノキシキナゾリン(25.27g)、3−モルホリノプロピルクロリド(18.48g)、炭酸カリウム(39.1g)およびDMF(750ml)の混合物を撹拌し、90℃まで3時間加熱した。その混合物を周囲温度に冷却させ、濾過した。濾液を蒸発させ、残留物を酢酸エチル下で研和した。このようにして、6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)−4−フェノキシキナゾリン(31.4g)を得た。
【0134】
【化14】
【0135】
そのようにして得られた物質および6N塩酸水溶液(800ml)の混合物を撹拌し、加熱して1.5時間還流させた。反応混合物を傾瀉し、濃縮して250mlの容量にした。その混合物を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加によってpH9まで塩基性にし、塩化メチレン(4x400ml)で抽出した。合わせた抽出物を、相分離用紙を介して濾過し、濾液を蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル下で研和して、6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(23.9g)を生じた。
【0136】
【化15】
【0137】
そのようにして得られた物質、塩化チオニル(210ml)およびDMF(1.8ml)の混合物を、加熱して1.5時間還流させた。塩化チオニルを真空下の蒸発によって除去し、残留物をトルエンと一緒に3回共沸させた。残留物を水中に取り、飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加によってpH8まで塩基性にした。得られた水性層を、塩化メチレン(4x400ml)で抽出した。合わせた抽出物を、水でおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。その溶液を濾過し、蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル下で研和して、4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(17.39g)を生じた。
【0138】
【化16】
【0139】
試薬として用いられる3−モルホリノプロピルクロリドは、次のように得た。
モルホリン(52.2ml)、1−ブロモ−3−クロロプロパン(30ml)およびトルエン(180ml)の混合物を、70℃まで3時間加熱した。固体を濾過によって除去し、濾液を真空下で蒸発させた。得られた油状物を、析出した追加の固体から傾瀉し、その油状物を真空蒸留によって精製して、3−モルホリノプロピルクロリド(37.91g)を生じた。
【0140】
【化17】
【0141】
実施例2
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン
実施例1に記載されたのに類似した手順を用いて、1,4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンを、7−アミノインドールと反応させて、標題化合物を84%収率で二塩酸塩として生じた。
【0142】
【化18】
【0143】
出発物質として用いられる7−アミノインドールは、次のように製造した。
ヒドラジン水和物(0.38ml)を、7−ニトロインドール(0.5g)、ラネー・ニッケル(0.1g)およびメタノール(10ml)の55℃に加温された撹拌混合物に滴加した。得られた混合物を加熱して30分間還流させた。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させ、残留物を塩化メチレンと水とに分配した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、ジエチルエーテルを溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−アミノインドール(0.15g)を固体として得た。
【0144】
【化19】
【0145】
実施例3
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン
実施例1に記載されたのに類似した手順を用いて、1,4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンを、7−アミノ−3−クロロインドールと反応させて、標題化合物を77%収率で二塩酸塩として生じた。
【0146】
【化20】
【0147】
出発物質として用いられる7−アミノインドールは、J. Med. Chem.,1999,42,3789 に記載の手順にしたがって製造した。
【0148】
実施例4
7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン
実施例1に記載されたのに類似した手順を用いて、1,7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを、7−アミノ−3−クロロインドールと反応させて、標題化合物を82%収率で二塩酸塩として生じた。
【0149】
質量スペクトル:M+H+ 526。
出発物質として用いられる7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0150】
水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液;1.44g)を、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(国際特許出願WO97/22596号、その実施例1;8.46g)のDMF(70ml)中溶液に20分間にわたって少量ずつ加えた。その混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。ピバル酸クロロメチル(5.65g)を滴加し、混合物を周囲温度で2時間撹拌した。その混合物を酢酸エチル(100ml)で希釈し、そして2N水性塩酸(4ml)を含有する氷および水の混合物(400ml)上に注いだ。有機層を分離し、水性層を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、ジエチルエーテルおよび石油エーテル(b.p.60〜80℃)の混合物下で研和し、得られた固体を集め、真空下で乾燥させた。このようにして、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(10g)を得た。
【0151】
【化21】
【0152】
そのようにして得られた物質の一部分(7g)、木炭上10%パラジウム触媒(0.7g)、DMF(50ml)、メタノール(50ml)、酢酸(0.7ml)および酢酸エチル(250ml)の混合物を、水素雰囲気下で40分間撹拌した。触媒を濾過によって除去し、溶媒を蒸発させた。残留物をジエチルエーテル下で研和し、得られた固体を集め、真空下で乾燥させた。このようにして、7−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(4.36g)を得た。
【0153】
【化22】
【0154】
7−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(40g)、2,3−エポキシプロピルブロミド(16.8ml)、炭酸カリウム(36g)およびDMF(400ml)の混合物を撹拌し、70℃まで1.5時間加熱した。その混合物を、氷水混合物(1.5L)中に注ぎ、得られた沈殿を単離し、順次、水でおよびジエチルエーテルで洗浄し、真空下において五酸化リン上で乾燥させた。このようにして、7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(46.7g)を得た。
【0155】
そのようにして得られた物質の一部分(8g)、モルホリン(5.8ml)およびクロロホルム(120ml)の混合物を、加熱して16時間還流させた。その混合物を蒸発させ、残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよびメタノールの19:1混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを泡状物(8.2g)として得た。
【0156】
【化23】
【0157】
そのようにして得られた物質および飽和メタノール性アンモニア溶液の混合物を、周囲温度で24時間撹拌した。その混合物を蒸発させ、得られた固体を、ジエチルエーテル、およびジエチルエーテルおよび塩化メチレンの19:1混合物で洗浄した。このようにして、7−(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(6.34g)を得た。
【0158】
【化24】
【0159】
そのようにして得られた物質の一部分(5.2g)、無水酢酸(20ml)およびピリジン(1ml)の混合物を、周囲温度で30分間撹拌した。得られた混合物を氷水混合物中に注ぎ、30分間撹拌した。次に、混合物を氷浴中で冷却し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を徐々に加えて、pHを9に調整した。混合物を塩化メチレンで抽出し、有機相を水でおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよびメタノールの93:7混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを固体(5g)として得た。
【0160】
【化25】
【0161】
そのようにして得られた物質、塩化チオニル(60ml)およびDMF(0.5ml)の混合物を、加熱して1時間還流させた。その混合物を蒸発させ、トルエンを加え、その混合物を蒸発させた。氷および水の混合物を残留物に加え、その混合物を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加によってpH8.5まで塩基性にした。混合物を塩化メチレンで抽出した。有機相を水でおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよびメタノールの97:3混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン(4.56g)を得た。
【0162】
【化26】
【0163】
実施例5
実施例1に記載されたのに類似した手順を用いて、適当な4−クロロキナゾリンを3−クロロ−7−アミノインドールと反応させて、表Iに記載の化合物を生じた。特に断らない限り、表Iに記載の化合物は各々、二塩酸塩として得た。
【0164】
【表1】
【0165】
注記
[1]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0166】
質量スペクトル:M+H+ 512。
出発物質として用いられる7−[2−アセトキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0167】
7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した手順を用いて、N−イソプロピル−N−メチルアミンと反応させた。このようにして、7−[2−ヒドロキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを得た。
【0168】
そのようにして得られた物質を、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した反応順序によって処理した。このようにして、7−[2−アセトキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを得た。
【0169】
【化27】
【0170】
[2]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
質量スペクトル:M+H+ 564。
【0171】
出発物質として用いられる7−[2−アセトキシ−3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0172】
7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した手順を用いて、1−シアノメチルピペラジンと反応させた。このようにして、7−[3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシプロポキシ]−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを得た。
【0173】
そのようにして得られた物質を、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した反応順序によって処理した。このようにして、7−[2−アセトキシ−3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを得た。
【0174】
【化28】
【0175】
出発物質として用いられる1−シアノメチルピペラジンは、次のように製造した。
【0176】
1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン(5g)、2−クロロアセトニトリル(1.9ml)、炭酸カリウム(4g)およびDMF(20ml)の混合物を、周囲温度で16時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、ジエチルエーテルを溶離剤として用いて精製した。このようにして、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−シアノメチルピペラジンを固体(5.7g)として得た。
【0177】
【化29】
【0178】
そのようにして得られた物質、トリフルオロ酢酸(20ml)および塩化メチレン(25ml)の混合物を、周囲温度で4時間撹拌した。混合物を蒸発させ、トルエンを加え、その混合物を再度蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよびメタノールの9:1混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、1−シアノメチルピペラジントリフルオロ酢酸塩を得、これを、塩化メチレン、酢酸エチルおよびメタノールの混合物中において固体重炭酸ナトリウムで処理して、遊離塩基の形(2.9g)を生じた。
【0179】
【化30】
【0180】
[3]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
質量スペクトル:M+H+ 510。
【0181】
出発物質として用いられる7−[2−アセトキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0182】
7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した手順を用いて、ピロリジンと反応させた。このようにして、7−(2−ヒドロキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを得た。
【0183】
そのようにして得られた物質を、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した反応順序によって処理した。このようにして、7−(2−アセトキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを得た。
【0184】
【化31】
【0185】
[4]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
質量スペクトル:M+H+ 524。
【0186】
出発物質として用いられる7−(2−アセトキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0187】
7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した手順を用いて、ピペリジンと反応させた。このようにして、7−(2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを得た。
【0188】
そのようにして得られた物質を、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した反応順序によって処理した。このようにして、7−(2−アセトキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを得た。
【0189】
【化32】
【0190】
実施例6
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン
7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン二塩酸塩(0.185g)および飽和メタノール性アンモニア溶液(5ml)の混合物を、周囲温度で3日間撹拌した。溶媒を蒸発によって除去し、残留物を、5gのNH2−シリカ(International Sorbent Technology Ltd, からの Isolute 吸着剤,商品番号9470−0100)を含有するプレパックカラムおよび溶離剤としての塩化メチレンおよびメタノールの19:1混合物を用いて精製した。そのようにして得られた物質を、塩化メチレン(4ml)中に溶解させ、イソプロパノール中の6M塩化水素溶液(0.1ml)を撹拌しながら加えた。ジエチルエーテル(2ml)を加え、得られた沈殿を濾過によって集め、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。このようにして、標題化合物(0.052g)を二塩酸塩として得た。
【0191】
【化33】
【0192】
実施例7
実施例6に記載されたのに類似した手順を用いて、適当な7−(2−アセトキシプロポキシ)キナゾリンを飽和メタノール性アンモニア溶液と反応させて、表IIに記載の化合物を生じた。特に断らない限り、表IIに記載の化合物は各々、二塩酸塩として得た。
【0193】
【表2】
【0194】
注記
[1]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0195】
【化34】
【0196】
[2]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0197】
【化35】
【0198】
[3]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0199】
【化36】
【0200】
[4]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0201】
【化37】
【0202】
実施例8
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロポキシ]−6−メトキシキナゾリン
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[(2R)−2,3−エポキシプロポキシ]−6−メトキシキナゾリン(0.1g)、ピペリジン(2.5モル当量)、クロロホルム(2.5ml)およびエタノール(2.5ml)の混合物を、40℃まで8時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させた。塩化メチレン(5ml)を加えた後、ポリスチレンイソシアネート樹脂(0.3g;負荷:1mmol/g;J. Amer. Chem. Soc.,1997,119,4882 にしたがって調製される)を加え、その混合物を周囲温度で1.5時間振とうした。樹脂を濾過によって取り出し、塩化メチレンで洗浄した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよび飽和メタノール性アンモニア溶液の漸増極性混合物を溶離剤として用いて精製した。そのようにして得られた物質を、塩化メチレンおよびメタノールの9:1混合物(3ml)中に溶解させ、ジエチルエーテル中の2.2M塩化水素溶液(1ml)を加えた。得られた沈殿を濾過によって集め、真空下で乾燥させて、標題化合物を二塩酸塩(0.09g)として生じた。
【0203】
【化38】
【0204】
出発物質として用いられる4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[(2R)−2,3−エポキシプロポキシ]−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0205】
2−アミノ−4−ベンジルオキシ−5−メトキシベンズアミド(J. Med. Chem.,1977,20,146−149;10g)、(3−ジメチルアミノ−2−アザプロプ−2−エン−1−イリデン)ジメチルアンモニウムクロリド(Gold’s 試薬,7.4g)およびジオキサン(100ml)の混合物を撹拌し、加熱して24時間還流させた。酢酸ナトリウム(3.02g)および酢酸(1.65ml)を加え、反応混合物を更に3時間加熱した。混合物を蒸発させ、その残留物に水を加えた。得られた固体を濾過によって集め、水で洗浄し、乾燥させた。その物質を酢酸から再結晶させて、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(8.7g)を生じた。
【0206】
そのように記載の反応を反復後、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(2.82g)、塩化チオニル(40ml)およびDMF(0.28ml)の混合物を加熱して1時間還流させた。塩化チオニルを真空下で蒸発させ、残留物をトルエンと一緒に3回共沸させて、7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン塩酸塩(3.45g)を生じた。そのようにして得られた物質を、塩化メチレンと飽和重炭酸ナトリウム水溶液とに分配した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させて、遊離塩基を生じた。
【0207】
7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン(6g)、7−アミノ−3−クロロインドール(J. Med. Chem. 1999,42,3789 にしたがって調製される;4.47g)およびイソプロパノール(150ml)の混合物を、80℃まで1時間加熱した。その混合物を周囲温度に冷却し、沈殿を集め、ジエチルエーテルで洗浄した。このようにして、7−ベンジルオキシ−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン(8.5g)を得た。
【0208】
【化39】
【0209】
反応混合物を水浴中で冷却しながら、1,4−シクロヘキサジエン(14ml)を、7−ベンジルオキシ−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン(6.5g)、炭素上10%パラジウム(3g)およびDMF(65ml)の混合物に加え、得られた混合物を1時間撹拌した。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させた。得られた固体を、塩化メチレンおよびジエチルエーテルの混合物下で研和した。このようにして、4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(約20%の7−ヒドロキシ−4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシキナゾリンを含有した5.1g)を得た。
【0210】
【化40】
【0211】
そのようにして得られた混合物の一部分(4.9g)、2(R)−(−)グリシジルトシラート(3.94g)、炭酸カリウム(9.93g)およびDMF(75ml)の混合物を撹拌し、60℃まで5.3時間加熱した。混合物を周囲温度に冷却し、塩化メチレンと水とに分配した。有機相を、水でおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。その生成物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレン、酢酸エチルおよびメタノールの漸増極性溶媒混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、所望の出発物質(約10%の7−[(2R)−2,3−エポキシプロポキシ]−4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシキナゾリンを含有した1.7g)を得た。
【0212】
【化41】
【0213】
実施例9
実施例8に記載されたのに類似した手順を用いて、適当なアミンを4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[(2R)−2,3−エポキシプロポキシ]−6−メトキシキナゾリンと反応させて、表IIIに記載の化合物を生じた。特に断らない限り、表IIIに記載の化合物は各々、二塩酸塩として得た。
【0214】
【表3】
【0215】
注記
[1]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0216】
【化42】
【0217】
[2]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0218】
【化43】
【0219】
[3]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0220】
【化44】
【0221】
[4]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0222】
【化45】
【0223】
[5]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0224】
【化46】
【0225】
[6]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0226】
【化47】
【0227】
[7]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0228】
【化48】
本発明は、抗腫瘍活性を有し、したがって、ヒトまたは動物体の処置方法において有用なある新規なキナゾリン誘導体またはそれらの薬学的に許容しうる塩に関する。本発明は、更に、これらキナゾリン誘導体の製造方法、それらを含有する医薬組成物、および治療的方法における、例えば、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍疾患の予防または処置で用いるための薬剤の製造におけるそれらの使用に関する。
【0002】
乾癬および癌のような細胞増殖疾患のための現行の処置方式の多くは、DNA合成を阻害する化合物を利用している。このような化合物は、概して、細胞に毒性であるが、腫瘍細胞のような急速に分裂している細胞へのそれら毒性作用は有益でありうる。DNA合成の阻害とは別の機構によって作用する抗腫瘍薬への代替アプローチには、増大した作用選択性を示す可能性がある。
【0003】
近年、細胞は、そのDNAの一部分が癌遺伝子、すなわち、活性化して悪性腫瘍細胞の形成をもたらす遺伝子中に形質転換することによって癌になりうるということが発見されている(Bradshaw, Mutagenesis, 1986, 1, 91)。いくつかのこのような癌遺伝子は、増殖因子の受容体であるペプチドの生産を引き起こす。増殖因子受容体複合体の活性化は、引き続き、細胞増殖の増加をもたらす。例えば、いくつかの癌遺伝子はチロシンキナーゼ酵素をエンコードしているということおよび若干の増殖因子受容体はチロシンキナーゼ酵素でもあるということが知られている(Yarden et al., Ann. Rev. Biochem., 1988, 57, 443; Larsen et al., Ann. Reports in Med. Chem., 1989, Chpt. 13)。識別されるチロシンキナーゼの第一群は、このようなウイルス癌遺伝子、例えば、pp60v−Srcチロシンキナーゼ(それ以外の場合、v−Srcとして知られる)および正常細胞中の該当するチロシンキナーゼ、例えば、pp60c−Srcチロシンキナーゼ(それ以外の場合、c−Srcとして知られる)に由来した。
【0004】
受容体チロシンキナーゼは、細胞複製を開始する生化学的シグナルの伝達において重要である。それらは、細胞膜に広がる大型酵素であり、上皮増殖因子(EGF)のような増殖因子の細胞外結合ドメインと、タンパク質中のチロシンアミノ酸をリン酸化し、したがって細胞増殖に影響を与えるキナーゼとして機能する細胞内部分とを有する。様々なクラスの受容体チロシンキナーゼが、異なった受容体チロシンキナーゼに結合する増殖因子のファミリーに基づいて知られている(Wilks, Advances in Cancer Research, 1993, 60, 4373)。その分類には、EGF、TGFα、NeuおよびerbB受容体のようなEGFファミリーの受容体チロシンキナーゼを含むクラスI受容体チロシンキナーゼ;インスリンおよびIGFI受容体およびインスリン関連受容体(IRR)のようなインスリンファミリーの受容体チロシンキナーゼを含むクラスII受容体チロシンキナーゼ;および血小板由来増殖因子(PDGF)ファミリーの受容体チロシンキナーゼを含む、PDGFα、PDGFβおよびコロニー刺激因子1(CSF1)受容体のようなクラスIII受容体チロシンキナーゼが含まれる。
【0005】
若干のチロシンキナーゼは、腫瘍細胞の運動性(motility)、播種(dissemination)および浸潤性(invasiveness)に、そして引き続き転移性腫瘍成長に影響を与えるものなどの、細胞内にあり且つ生化学的シグナル伝達に関与している非受容体チロシンキナーゼのクラスに属するということも知られている(Ullrich et al., Cell, 1990, 61, 203−212, Bolen et al., FASEB J., 1992, 6, 3403−3409, Brickell et al., Critical Reviews in Oncogenesis, 1992, 3, 401−406, Bohlen et al., Oncogene, 1993, 8, 2025−2031, Courtneidge et al., Semin. Cancer Biol., 1994, 5, 239−246, Lauffenburger et al., Cell, 1996, 84, 359−369, Hanks et al., BioEssays, 1996, 19, 137−145, Parsons et al., Current Opinion in Cell Biology, 1997, 9, 187−192, Brown et al., Biochimica et Biophysica Acta, 1996, 1287, 121−149 and Schlaepfer et al., Progress in Biophysics 及び Molecular Biology, 1999, 71, 435−478)。様々なクラスの非受容体チロシンキナーゼが知られており、Src、Lyn、FynおよびYesチロシンキナーゼのようなSrcファミリー;AblおよびArgのようなAblファミリー;およびJak1およびTyk2のようなJakファミリーが含まれる。
【0006】
非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリーは、正常細胞中で高度に調節され、そして細胞外刺激物質の不存在下では、不活性コンホメーションで維持されるということが知られている。しかしながら、若干のSrcファミリーメンバー、例えば、c−Srcチロシンキナーゼは、しばしば、胃腸癌、例えば、結腸癌、直腸癌および胃癌(Cartwright et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1990, 87, 558−562 and Mao et al., Oncogene, 1997, 15, 3083−3090)、および乳癌(Muthuswamy et al., Oncogene, 1995, 11, 1801−1810)のような一般的なヒト癌において(正常細胞レベルと比較された場合)有意に活性化される。非受容体チロシンキナーゼのこのSrcファミリーは、肺の腺癌および扁平上皮細胞癌(Mazurenko et al., European Journal of Cancer, 1992, 28, 372−7)を含めた非小細胞性肺癌(NSCLC)、膀胱癌(Fanning et al., Cancer Research, 1992, 52, 1457−62)、食道癌(Jankowski et al., Gut, 1992, 33, 1033−8)、前立腺癌、卵巣癌(Wiener et al., Clin. Cancer Research, 1999, 5, 2164−70)および膵臓癌(Lutz et al., Biochem. and Biophys. Res. Comm., 1998, 243, 503−8)のような他の一般的なヒト癌においても認められている。更に別のヒト腫瘍組織が、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリーについて調べられるにつれて、その広範囲の有病率が確証されるであろうと考えられる。
【0007】
更に、c−Src非受容体チロシンキナーゼの優先的な役割は、フォーカルアドヒージョン複合体の組立を、例えば、フォーカルアドヒージョンキナーゼおよびパキシリンを含めた多数の細胞質タンパク質との相互作用によって調節することであるということが知られている。更に、c−Srcは、細胞運動性を促すアクチン細胞骨格を調節するシグナリング経路に共役している。同様に、重要な役割は、c−Src、c−Yesおよびc−Fyn非受容体チロシンキナーゼによって、インテグリンに媒介されるシグナリングにおいておよびカドヘリン依存性細胞−細胞接合を破壊する場合に果たされる(Owens et al., Molecular Biology of the Cell, 2000, 11, 51−64 および Klinghoffer et al., EMBO Journal, 1999, 18, 2459−2471)。細胞運動性は、限局性腫瘍が、血流中への播種、他の組織の浸潤および転移性腫瘍成長の開始の段階によって進行するのに必ず必要である。例えば、限局性から播種性、浸潤性(invasion)への転移性疾患への結腸腫瘍進行は、c−Src非受容体チロシンキナーゼ活性と相関している(Brunton et al., Oncogene, 1997, 14, 283−293, Fincham et al., EMBO J, 1998, 17, 81−92 and Verbeek et al., Exp. Cell Research, 1999, 248, 531−537)。
【0008】
したがって、このような非受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、腫瘍細胞の運動性の選択的阻害剤としておよび哺乳動物癌細胞の播種および浸潤性の選択的阻害剤として価値があり、転移性腫瘍成長の阻害をもたらすはずであると理解されている。具体的には、このような非受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置において用いるための抗浸潤薬(anti−invasive agent)として価値があるはずである。
【0009】
本発明者は、ここで、驚くべきことに、あるキナゾリン誘導体が強力な抗腫瘍活性を有するということを発見した。本発明において開示される化合物が、単一の生物学的過程への作用によってのみ薬理活性を有すると暗示したくはないが、これら化合物は、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与している一つまたはそれを超える非受容体チロシン特異的プロテインキナーゼの阻害によって抗腫瘍作用を与えると考えられる。具体的には、本発明の化合物は、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリーの阻害によって、例えば、c−Src、c−Yesおよびc−Fynの内の一つまたはそれを超えるものの阻害によって抗腫瘍作用を与えると考えられる。
【0010】
c−Src非受容体チロシンキナーゼ酵素は、破骨細胞作動性骨吸収の制御に関与しているということも知られている(Soriano et al., Cell, 1991, 64, 693−702; Boyce et al., J. Clin. Invest., 1992, 90, 1622−1627; Yoneda et al., J. Clin. Invest., 1993, 91, 2791−2795 および Missbach et al., Bone, 1999, 24 , 437−49)。したがって、c−Src非受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、骨粗鬆症、パジェット病、骨の転移性疾患および腫瘍誘発性高カルシウム血症のような骨疾患の予防および処置において価値がある。
【0011】
本発明の化合物は、炎症性疾患(例えば、慢性関節リウマチおよび炎症性腸疾患)、線維性疾患(例えば、肝硬変および肺線維症)、糸球体腎炎、多発性硬化症、乾癬、皮膚の過敏反応、血管病(例えば、アテローム性動脈硬化症および再狭窄)、アレルギー性喘息、インスリン依存性糖尿病、糖尿病性網膜症および糖尿病性腎症のような種々の非悪性疾患に由来する未制御細胞増殖を阻害する場合にも有用である。
【0012】
概して、本発明の化合物は、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリーに対して、例えば、c−Srcおよび/またはc−Yesの阻害によって強力な阻害活性を有するが、受容体チロシンキナーゼ、例えば、EGF受容体チロシンキナーゼおよび/またはVEGF受容体チロシンキナーゼのような他のチロシンキナーゼ酵素に対しては、あまり強力な阻害活性を持たない。更に、本発明の若干の化合物は、VEGF受容体チロシンキナーゼに対するよりも、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリー、例えば、c−Srcおよび/またはc−Yesに対して実質的に十分な効力を有する。このような化合物は、非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリー、例えば、c−Srcおよび/またはc−Yesに対して、それらを、例えば、c−Srcおよび/またはc−Yesを阻害するのに充分な量で用いることができる充分な効力を有するが、VEGF受容体チロシンキナーゼに対してほとんど活性を示さない。
【0013】
本発明の一つの側面により、式I
【0014】
【化5】
【0015】
[式中、mは、0、1、2または3であり;
基R1は各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、イソシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、ホルミル、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、(3−6C)アルケノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノ、(3−6C)アルキノイルアミノ、
N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノより、または式
Q1−X1−
(式中、X1は、直接結合であり、またはO、S、SO、SO2、N(R4)、CO、CH(OR4)、CON(R4)、N(R4)CO、SO2N(R4)、N(R4)SO2、OC(R4)2、SC(R4)2およびN(R4)C(R4)2より選択され、ここにおいて、
R4は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q1は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルキル、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルケニル、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択され、または
(R1)mは(1−3C)アルキレンジオキシであり、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖中でも、隣接した炭素原子は、O、S、SO、SO2、N(R5)、CO、CH(OR5)、CON(R5)、N(R5)CO、SO2N(R5)、N(R5)SO2、CH=CHおよびC≡Cより選択される基のこの鎖中への挿入によって隔てられていてよく、ここにおいて、
R5は、水素または(1−6C)アルキルであり、または挿入される基がN(R5)である場合、R5は(2−6C)アルカノイルであってもよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2=CH−基またはHC≡C−基も、末端のCH2=またはHC≡の位置に、ハロゲノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルおよびジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルより、または式
Q2−X2−
(式中、X2は、直接結合であり、またはCOおよびN(R6)COより選択され、ここにおいて、
R6は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q2は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、各々のこのCH2基またはCH3基上に、1個またはそれを超えるハロゲノまたは(1−6C)アルキル置換基、またはヒドロキシ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルコキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノより、または式
−X3−Q3
(式中、X3は、直接結合であり、またはO、S、SO、SO2、N(R7)、CO、CH(OR7)、CON(R7)、N(R7)CO、SO2N(R7)、N(R7)SO2、C(R7)2O、C(R7)2SおよびN(R7)C(R7)2より選択され、ここにおいて、
R7は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q3は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルキル、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルケニル、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個、2個または3個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノより、または式
−X4−R8
(式中、X4は、直接結合であり、またはOおよびN(R9)より選択され、ここにおいて、
R9は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
R8は、ハロゲノ−(1−6C)アルキル、ヒドロキシ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキル、シアノ−(1−6C)アルキル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキル、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキル、(2−6C)アルカノイルアミノ−(1−6C)アルキルまたは(1−6C)アルコキシカルボニルアミノ−(1−6C)アルキルである)
を有する基より、または式
−X5−Q4
(式中、X5は、直接結合であり、またはO、N(R10)およびCOより選択され、ここにおいて、
R10は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q4は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルであって、ハロゲノ、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニルおよび(1−6C)アルコキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基またはチオキソ置換基を有していてよく;
R2は、水素または(1−6C)アルキルであり;
nは、0、1、2または3であり;そして
R3は、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、(3−6C)アルケノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノ、(3−6C)アルキノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノである、または式
−X6−R11
(式中、X6は、直接結合であり、またはOおよびN(R12)より選択され、ここにおいて、
R12は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
R11は、ハロゲノ−(1−6C)アルキル、ヒドロキシ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキル、シアノ−(1−6C)アルキル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルまたはジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルである)
を有する基による、または式
−X7−Q5
(式中、X7は、直接結合であり、またはO、S、SO、SO2、N(R13)、CO、CH(OR13)、CON(R13)、N(R13)CO、SO2N(R13)、N(R13)SO2、C(R13)2O、C(R13)2SおよびN(R13)C(R13)2より選択され、ここにおいて、
R13は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q5は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルであって、ハロゲノ、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニルおよび(1−6C)アルコキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものであり、そしてQ5中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基またはチオキソ置換基を有していてよい)
を有する基による]
を有するキナゾリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0016】
本明細書中において、「アルキル」という包括的用語には、プロピル、イソプロピルおよび tert−ブチルのような直鎖および分岐状鎖両方のアルキル基、およびシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルのような(3−7C)シクロアルキル基も含まれる。しかしながら、「プロピル」のような個々のアルキル基の意味は、直鎖型だけを特定し、「イソプロピル」のような個々の分岐状鎖アルキル基の意味は、分岐状鎖型だけを特定し、そして「シクロペンチル」のような個々のシクロアルキル基の意味は、その5員環だけを特定する。類似の慣例が他の包括的用語に当てはまり、例えば、(1−6C)アルコキシには、メトキシ、エトキシ、シクロプロピルオキシおよびシクロペンチルオキシが含まれ、(1−6C)アルキルアミノには、メチルアミノ、エチルアミノ、シクロブチルアミノおよびシクロヘキシルアミノが含まれ、そしてジ−[(1−6C)アルキル]アミノには、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−シクロブチル−N−メチルアミノおよびN−シクロヘキシル−N−エチルアミノが含まれる。
【0017】
上に定義の式Iの化合物のいくつかが、1個またはそれを超える不斉炭素原子によって光学活性体またはラセミ体で存在しうる限りにおいて、本発明が、その定義中に、上述の活性を有するいずれのこのような光学活性体またはラセミ体も包含するということは理解されるはずである。光学活性体の合成は、当該技術分野において周知の有機化学の標準的な技法によって、例えば、光学活性な出発物質からの合成によってまたはラセミ体の分割によって行うことができる。同様に、上述の活性は、以下に論及される標準的な実験室技法を用いて評価することができる。
【0018】
上に論及された包括的な基の適当な意味(value)には、下記のものが含まれる。
【0019】
基「Q」(Q1〜Q5)のいずれか一つがアリールである場合のそれのまたは基「Q」中のアリール基の適当な意味は、例えば、フェニルまたはナフチル、好ましくは、フェニルである。
【0020】
基「Q」(Q1またはQ3)のいずれか一つが(3−7C)シクロアルキルである場合のそれのまたは基「Q」中の(3−7C)シクロアルキル基の適当な意味は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはビシクロ[2.2.1]ヘプチルであり、そして基「Q」(Q1またはQ3)のいずれか一つが(3−7C)シクロアルケニルである場合のそれのまたは基「Q」中の(3−7C)シクロアルケニル基の適当な意味は、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルまたはシクロヘプテニルである。
【0021】
基「Q」(Q1〜Q5)のいずれか一つがヘテロアリールである場合のそれのまたは基「Q」中のヘテロアリール基の適当な意味は、例えば、芳香族5員または6員単環式環、または酸素、窒素および硫黄より選択される5個までの環ヘテロ原子を有する9員または10員二環式環、例えば、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアゼニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、ベンゾフラザニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニルまたはナフチリジニルである。
【0022】
基「Q」(Q1〜Q5)のいずれか一つがヘテロシクリルである場合のそれのまたは基「Q」中のヘテロシクリル基の適当な意味は、例えば、酸素、窒素および硫黄より選択される5個までのヘテロ原子を有する非芳香族の飽和または部分飽和3〜10員単環式または二環式環、例えば、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセパニル、ピロリニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロ−1,4−チアジニル、1,1−ジオキソテトラヒドロ−1,4−チアジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニルまたはテトラヒドロピリミジニル、好ましくは、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルである。1個または2個のオキソまたはチオキソ置換基を有するこのような基の適当な意味は、例えば、2−オキソピロリジニル、2−チオキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−チオキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニルまたは2,6−ジオキソピペリジニルである。
【0023】
基「Q」がヘテロアリール−(1−6C)アルキルである場合のその適当な意味は、例えば、ヘテロアリールメチル、2−ヘテロアリールエチルおよび3−ヘテロアリールプロピルである。本発明は、例えば、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル基よりもむしろ、アリール−(1−6C)アルキル基、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル基、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル基またはヘテロシクリル−(1−6C)アルキル基が存在する場合の基「Q」の該当する適当な意味を含む。
【0024】
構造式Iにおいて、キナゾリン環上の2位および5位には各々水素原子が存在する。それによって、置換基R1は、キナゾリン環の6位、7位または8位に存在しうるだけであること、すなわち、2位および5位は未置換のままであることが理解されるはずである。更に、構造式I中のインドリル基上に存在しうる基R3は、そのインドリル基中のフェニル環上にまたはピロリル環基の炭素原子または窒素原子上に位置していてよい。
【0025】
基「R」(R1〜R13)のいずれかの、または置換基R1またはR3中のいろいろな基の適当な意味には、次が含まれる。
【0026】
ハロゲノについて:フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード;
(1−6C)アルキルについて:メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよび tert−ブチル;
(2−8C)アルケニルについて:ビニル、イソプロペニル、アリルおよびブト−2−エニル;
(2−8C)アルキニルについて:エチニル、2−プロピニルおよびブト−2−イニル;
(1−6C)アルコキシについて:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシ;
(2−6C)アルケニルオキシについて:ビニルオキシおよびアリルオキシ;
(2−6C)アルキニルオキシについて:エチニルオキシおよび2−プロピニルオキシ;
(1−6C)アルキルチオについて:メチルチオ、エチルチオおよびプロピルチオ;
(1−6C)アルキルスルフィニルについて:メチルスルフィニルおよびエチルスルフィニル;
(1−6C)アルキルスルホニルについて:メチルスルホニルおよびエチルスルホニル;
(1−6C)アルキルアミノについて:メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノおよびブチルアミノ;
ジ−[(1−6C)アルキル]アミノについて:ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノおよびジイソプロピルアミノ;
(1−6C)アルコキシカルボニルについて:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルおよび tert−ブトキシカルボニル;
N−(1−6C)アルキルカルバモイルについて:N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイルおよびN−プロピルカルバモイル;
N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイルについて:N,N−ジメチルカルバモイル、N−エチル−N−メチルカルバモイルおよびN,N−ジエチルカルバモイル;
(2−6C)アルカノイルについて:アセチルおよびプロピオニル;
(2−6C)アルカノイルオキシについて:アセトキシおよびプロピオニルオキシ;
(2−6C)アルカノイルアミノについて:アセトアミドおよびプロピオンアミド;
N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノについて:N−メチルアセトアミドおよびN−メチルプロピオンアミド;
N−(1−6C)アルキルスルファモイルについて:N−メチルスルファモイルおよびN−エチルスルファモイル;
N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイルについて:N,N−ジメチルスルファモイル;
N−(1−6C)アルカンスルホニルアミノについて:メタンスルホニルアミノおよびエタンスルホニルアミノ;
N−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノについて:N−メチルメタンスルホニルアミノおよびN−メチルエタンスルホニルアミノ;
(3−6C)アルケノイルアミノについて:アクリルアミド、メタクリルアミドおよびクロトンアミド;
N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノについて:N−メチルアクリルアミドおよびN−メチルクロトンアミド;
(3−6C)アルキノイルアミノについて:プロピオルアミド;
N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノについて:N−メチルプロピオルアミド;
アミノ−(1−6C)アルキルについて:アミノメチル、2−アミノエチル、1−アミノエチルおよび3−アミノプロピル;
(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルについて:メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、1−メチルアミノエチル、2−メチルアミノエチル、2−エチルアミノエチルおよび3−メチルアミノプロピル;
ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルについて:ジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、1−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチルおよび3−ジメチルアミノプロピル;
ハロゲノ−(1−6C)アルキルについて:クロロメチル、2−クロロエチル、1−クロロエチルおよび3−クロロプロピル;
ヒドロキシ−(1−6C)アルキルについて:ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチルおよび3−ヒドロキシプロピル;
(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキルについて:メトキシメチル、エトキシメチル、1−メトキシエチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチルおよび3−メトキシプロピル;
シアノ−(1−6C)アルキルについて:シアノメチル、2−シアノエチル、1−シアノエチルおよび3−シアノプロピル;
(2−6C)アルカノイルアミノ−(1−6C)アルキルについて:アセトアミドメチル、プロピオンアミドメチルおよび2−アセトアミドエチル;および
(1−6C)アルコキシカルボニルアミノ−(1−6C)アルキルについて:メトキシカルボニルアミノメチル、エトキシカルボニルアミノメチル、tert−ブトキシカルボニルアミノメチルおよび2−メトキシカルボニルアミノエチル。
【0027】
(R1)mが(1−3C)アルキレンジオキシ基である場合のその適当な意味は、例えば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシであり、その酸素原子は、隣接した環位置にある。
【0028】
本明細書中の前に定義のように、基R1が式Q1−X1−の基を形成し、そして例えば、X1が連結基OC(R4)2である場合、それは、キナゾリン環に結合している連結基OC(R4)2の炭素原子であって酸素原子ではなく、その酸素原子は基Q1に結合している。同様に、例えば、置換基R1中のCH3基が式−X3−Q3の基を有し、そして例えば、X3が連結基C(R7)2Oである場合、それは、そのCH3基に結合している連結基C(R7)2Oの炭素原子であって酸素原子ではなく、その酸素原子は基Q3に連結している。同様の慣例が、式Q2−X2−および−X7−Q5の基の結合に当てはまる。
【0029】
本明細書中の前に定義のように、置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖においても、隣接した炭素原子は、O、CON(R5)またはC≡Cのような基の鎖中への挿入によって隔てられていてもよい。例えば、2−モルホリノエトキシ基中のエチレン鎖中へのC≡C基の挿入は、4−モルホリノブト−2−イニルオキシ基を生じ、そして例えば、3−メトキシプロポキシ基中のエチレン鎖中へのCONH基の挿入は、例えば、2−(2−メトキシアセトアミド)エトキシ基を生じる。
【0030】
本明細書中の前に定義のように、置換基R1中のいずれのCH2=CH−基またはHC≡C−基も、末端のCH2=またはHC≡位置に、式Q2−X2−(式中、X2は、例えば、NHCOであり、そしてQ2はヘテロシクリル−(1−6C)アルキル基である)を有する基のような置換基を有していてよい場合、そのように形成される適当な置換基R1には、例えば、N−(2−ピロリジン−1−イルエチル)カルバモイルビニルのようなN−[ヘテロシクリル−(1−6C)アルキル]カルバモイルビニル基、またはN−(2−ピロリジン−1−イルエチル)カルバモイルエチニルのようなN−[ヘテロシクリル−(1−6C)アルキル]カルバモイルエチニル基が含まれる。
【0031】
本明細書中の前に定義のように、置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に1個またはそれを超えるハロゲノまたは(1−6C)アルキル置換基を有していてよい場合、その各々のCH2基上には、適当に1個または2個のハロゲノまたは(1−6C)アルキル置換基が存在し、そしてその各々のCH3基上には、適当に1個、2個または3個のこのような置換基が存在する。
【0032】
本明細書中の前に定義のように、置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、本明細書中の前に定義の置換基を有していてよい場合、そのように形成される適当な置換基R1には、例えば、2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロポキシおよび2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシのようなヒドロキシ置換ヘテロシクリル−(1−6C)アルコキシ基;3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシのようなヒドロキシ置換アミノ−(2−6C)アルコキシ基;2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロポキシのようなヒドロキシ置換(1−6C)アルキルアミノ−(2−6C)アルコキシ基;3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシのようなヒドロキシ置換ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(2−6C)アルコキシ基;2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロピルアミノおよび2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロピルアミノのようなヒドロキシ置換ヘテロシクリル−(1−6C)アルキルアミノ基;3−アミノ−2−ヒドロキシプロピルアミノのようなヒドロキシ置換アミノ−(2−6C)アルキルアミノ基;2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピルアミノのようなヒドロキシ置換(1−6C)アルキルアミノ−(2−6C)アルキルアミノ基;3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアミノのようなヒドロキシ置換ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(2−6C)アルキルアミノ基;2−ヒドロキシエトキシのようなヒドロキシ置換(1−6C)アルコキシ基;2−メトキシエトキシおよび3−エトキシプロポキシのような(1−6C)アルコキシ置換(1−6C)アルコキシ基;2−メチルスルホニルエトキシのような(1−6C)アルキルスルホニル置換(1−6C)アルコキシ基;および2−モルホリノエチルアミノメチル、2−ピペラジン−1−イルエチルアミノメチルおよび3−モルホリノプロピルアミノメチルのようなヘテロシクリル置換(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキル基が含まれる。
【0033】
式Iの化合物の適当な薬学的に許容しうる塩は、例えば、式Iの化合物の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸のような無機酸または有機酸との酸付加塩;または例えば、充分に酸性である式Iの化合物の塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩、またはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンのような有機塩基との塩である。
【0034】
本発明の具体的な新規な化合物には、例えば、特に断らない限り、m、R1、R2、nおよびR3の各々が、本明細書中の前に定義のまたは以下の(a)〜(h)の項のいずれかの意味を有する式Iのキナゾリン誘導体またはそれらの薬学的に許容しうる塩が含まれる。
【0035】
(a)mは1または2であり、そして
基R1は各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、ハロゲノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、(3−6C)アルケノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノ、(3−6C)アルキノイルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノより、または式
Q1−X1−
(式中、X1は、直接結合であり、またはO、N(R4)、CON(R4)、N(R4)COおよびOC(R4)2より選択され、ここにおいて、
R4は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q1は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、シクロアルキル−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖中でも、隣接した炭素原子は、O、N(R5)、CON(R5)、N(R5)CO、CH=CHおよびC≡Cより選択される基のこの鎖中への挿入によって隔てられていてよく、ここにおいて、
R5は、水素または(1−6C)アルキルであり、または挿入される基がN(R5)である場合、R5は(2−6C)アルカノイルであってもよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2=CH−基またはHC≡C−基も、末端のCH2=またはHC≡の位置に、カルバモイル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルおよびジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルより、または式
Q2−X2−
(式中、X2は、直接結合であり、またはCOまたはN(R6)COであり、ここにおいて、
R6は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q2は、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、(1−6C)アルコキシ、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノより、または式
−X3−Q3
(式中、X3は、直接結合であり、またはO、N(R6)、CON(R7)、N(R7)COおよびC(R7)2Oより選択され、ここにおいて、
R7は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q3は、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個、2個または3個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、ハロゲノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ、N−(1−6C)アルキルカルバモイルおよびN,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイルより選択される置換基を有していてよいし、または式
−X4−R8
(式中、X4は、直接結合であり、またはOおよびN(R9)より選択され、ここにおいて、
R9は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
R8は、ヒドロキシ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキル、シアノ−(1−6C)アルキル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキル、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキル、(2−6C)アルカノイルアミノ−(1−6C)アルキルまたは(1−6C)アルコキシカルボニルアミノ−(1−6C)アルキルである)
を有する基より、および式
−X5−Q4
(式中、X5は、直接結合であり、またはO、N(R10)およびCOより選択され、ここにおいて、
R10は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q4は、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルであって、ハロゲノ、(1−6C)アルキルおよび(1−6C)アルコキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものである)
を有する基より選択される1個の置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよい;
(b)mは1または2であり、そして
基R1は各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、アセトアミド、プロピオンアミド、アクリルアミドおよびプロピオルアミドより、または式
Q1−X1−
(式中、X1は、直接結合であり、またはO、NH、CONH、NHCOおよびOCH2より選択され、そして
Q1は、フェニル、ベンジル、シクロプロピルメチル、2−チエニル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、2−、3−または4−ピリジル、2−イミダゾール−1−イルエチル、3−イミダゾール−1−イルプロピル、2−(1,2,3−トリアゾリル)エチル、3−(1,2,3−トリアゾリル)プロピル、2−(1,2,4−トリアゾリル)エチル、3−(1,2,4−トリアゾリル)プロピル、2−、3−または4−ピリジルメチル、2−(2−、3−または4−ピリジル)エチル、3−(2−、3−または4−ピリジル)プロピル、1−、2−または3−ピロリジニル、モルホリノ、1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル、ピペリジノ、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、1−、3−または4−ホモピペリジニル、ピペラジン−1−イル、ホモピペラジン−1−イル、1−、2−または3−ピロリジニルメチル、モルホリノメチル、ピペリジノメチル、3−または4−ピペリジニルメチル、1−、3−または4−ホモピペリジニルメチル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−2−イルプロピル、ピロリジン−2−イルメチル、2−ピロリジン−2−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、4−ピロリジン−1−イルブチル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、4−モルホリノブチル、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エチル、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロピル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、4−ピペリジノブチル、2−ピペリジン−3−イルエチル、3−ピペリジン−3−イルプロピル、2−ピペリジン−4−イルエチル、3−ピペリジン−4−イルプロピル、2−ホモピペリジン−1−イルエチル、3−ホモピペリジン−1−イルプロピル、2−ピペラジン−1−イルエチル、3−ピペラジン−1−イルプロピル、4−ピペラジン−1−イルブチル、2−ホモピペラジン−1−イルエチルまたは3−ホモピペラジン−1−イルプロピルである)
を有する基より選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖においても、隣接した炭素原子は、O、NH、CONH、NHCO、CH=CHおよびC≡Cより選択される基の鎖中への挿入によって隔てられていてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2=CH−基またはHC≡C−基も、末端のCH2=またはHC≡位置に、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、メチルアミノメチル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、ジメチルアミノメチル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピルまたは4−ジメチルアミノブチルより、または式
Q2−X2−
(式中、X2は、直接結合であり、またはCO、NHCOまたはN(Me)COであり、そして
Q2は、ピリジル、ピリジルメチル、2−ピリジルエチル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、モルホリノ、ピペリジノ、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イルメチル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、4−ピロリジン−1−イルブチル、ピロリジン−2−イルメチル、2−ピロリジン−2−イルエチル、3−ピロリジン−2−イルプロピル、モルホリノメチル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、4−モルホリノブチル、ピペリジノメチル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、4−ピペリジノブチル、ピペリジン−3−イルメチル、2−ピペリジン−3−イルエチル、ピペリジン−4−イルメチル、2−ピペリジン−4−イルエチル、ピペラジン−1−イルメチル、2−ピペラジン−1−イルエチル、3−ピペラジン−1−イルプロピルまたは4−ピペラジン−1−ブチルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルスルホニル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−プロピルアミノ、アセトキシ、アセトアミドおよびN−メチルアセトアミドより、または式
−X3−Q3
(式中、X3は、直接結合であり、またはO、NH、CONH、NHCOおよびCH2Oより選択され、そして
Q3は、ピリジル、ピリジルメチル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、モルホリノ、ピペリジノ、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、ピロリジン−2−イルメチル、2−ピロリジン−2−イルエチル、3−ピロリジン−2−イルプロピル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、ピペリジン−3−イルメチル、2−ピペリジン−3−イルエチル、ピペリジン−4−イルメチル、2−ピペリジン−4−イルエチル、2−ピペラジン−1−イルエチルまたは3−ピペラジン−1−イルプロピルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個、2個または3個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、メチル、エチル、メトキシ、N−メチルカルバモイルおよびN,N−ジメチルカルバモイルより選択される置換基を有していてよいし、または式
−X4−R8
(式中、X4は、直接結合であり、またはOおよびNHより選択され、そして
R8は、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、シアノメチル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、メチルアミノメチル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、2−エチルアミノエチル、3−エチルアミノプロピル、ジメチルアミノメチル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピル、アセトアミドメチル、メトキシカルボニルアミノメチル、エトキシカルボニルアミノメチルまたは tert−ブトキシカルボニルアミノメチルである)
を有する基より、および式
−X5−Q4
(式中、X5は、直接結合であり、またはO、NHおよびCOより選択され、そして
Q4は、ピロリジン−1−イルメチル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、モルホリノメチル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、ピペリジノメチル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、ピペラジン−1−イルメチル、2−ピペラジン−1−イルエチルまたは3−ピペラジン−1−イルプロピルであって、各々、フルオロ、クロロ、メチルおよびメトキシより選択される同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものである)
を有する基より選択される1個の置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよい;
(c)mは1または2であり、そして
基R1は各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、6位および/または7位に位置し、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセトアミド、プロピオンアミド、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、シクロプロピルメトキシ、2−イミダゾール−1−イルエトキシ、3−イミダゾール−1−イルプロポキシ、2−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ、3−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロポキシ、2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)エトキシ、3−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロポキシ、ピリド−2−イルメトキシ、ピリド−3−イルメトキシ、ピリド−4−イルメトキシ、2−ピリド−2−イルエトキシ、2−ピリド−3−イルエトキシ、2−ピリド−4−イルエトキシ、3−ピリド−2−イルプロポキシ、3−ピリド−3−イルプロポキシ、3−ピリド−4−イルプロポキシ、ピロリジン−1−イル、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジン−1−イル、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、4−ピロリジン−1−イルブトキシ、ピロリジン−3−イルオキシ、ピロリジン−2−イルメトキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、ピペリジン−3−イルオキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、2−ホモピペリジン−1−イルエトキシ、3−ホモピペリジン−1−イルプロポキシ、2−ピペラジン−1−イルエトキシ、3−ピペラジン−1−イルプロポキシ、4−ピペラジン−1−イルブトキシ、2−ホモピペラジン−1−イルエトキシ、3−ホモピペラジン−1−イルプロポキシ、2−ピロリジン−1−イルエチルアミノ、3−ピロリジン−1−イルプロピルアミノ、4−ピロリジン−1−イルブチルアミノ、ピロリジン−3−イルアミノ、ピロリジン−2−イルメチルアミノ、2−ピロリジン−2−イルエチルアミノ、3−ピロリジン−2−イルプロピルアミノ、2−モルホリノエチルアミノ、3−モルホリノプロピルアミノ、4−モルホリノブチルアミノ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エチルアミノ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロピルアミノ、2−ピペリジノエチルアミノ、3−ピペリジノプロピルアミノ、4−ピペリジノブチルアミノ、ピペリジン−3−イルアミノ、ピペリジン−4−イルアミノ、ピペリジン−3−イルメチルアミノ、2−ピペリジン−3−イルエチルアミノ、ピペリジン−4−イルメチルアミノ、2−ピペリジン−4−イルエチルアミノ、2−ホモピペリジン−1−イルエチルアミノ、3−ホモピペリジン−1−イルプロピルアミノ、2−ピペラジン−1−イルエチルアミノ、3−ピペラジン−1−イルプロピルアミノ、4−ピペラジン−1−イルブチルアミノ、2−ホモピペラジン−1−イルエチルアミノまたは3−ホモピペラジン−1−イルプロピルアミノより選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖においても、隣接した炭素原子は、O、NH、CH=CHおよびC≡Cより選択される基の鎖中への挿入によって隔てられていてよく、そしてここにおいて、
R1がビニル基またはエチニル基である場合、置換基R1は、末端のCH2=またはHC≡位置に、N−(2−ジメチルアミノエチル)カルバモイル、N−(3−ジメチルアミノプロピル)カルバモイル、メチルアミノメチル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、ジメチルアミノメチル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピルおよび4−ジメチルアミノブチルより、または式
Q2−X2−
(式中、X2は、直接結合であり、またはNHCOまたはN(Me)COであり、そして
Q2は、イミダゾリルメチル、2−イミダゾリルエチル、3−イミダゾリルプロピル、ピリジルメチル、2−ピリジルエチル、3−ピリジルプロピル、ピロリジン−1−イルメチル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、4−ピロリジン−1−イルブチル、ピロリジン−2−イルメチル、2−ピロリジン−2−イルエチル、3−ピロリジン−2−イルプロピル、モルホリノメチル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、4−モルホリノブチル、ピペリジノメチル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、4−ピペリジノブチル、ピペリジン−3−イルメチル、2−ピペリジン−3−イルエチル、ピペリジン−4−イルメチル、2−ピペリジン−4−イルエチル、ピペラジン−1−イルメチル、2−ピペラジン−1−イルエチル、3−ピペラジン−1−イルプロピルまたは4−ピペラジン−1−イルブチルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの基CH2またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルスルホニル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−プロピルアミノ、アセトキシ、アセトアミドおよびN−メチルアセトアミドより選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのフェニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基またはヘテロシクリル基も、1個または2個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、メチル、エチル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイルおよびメトキシより選択される置換基を有していてよく、そして置換基R1中のピロリジン−2−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピペリジン−4−イル基、ピペラジン−1−イル基またはホモピペラジン−1−イル基は、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、シアノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、2−ピペラジン−1−イルエチルまたは3−ピペラジン−1−イルプロピルでN−置換されていてよいが、但し、この最後の8置換基は各々、フルオロ、クロロ、メチルおよびメトキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよい;
(d)mは1であり、そして
基R1は、6位または7位に位置し、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンジルオキシ、2−イミダゾール−1−イルエトキシ、2−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ、2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)エトキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、4−ピロリジン−1−イルブトキシ、ピロリジン−3−イルオキシ、ピロリジン−2−イルメトキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、ピペリジン−3−イルオキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、2−ホモピペリジン−1−イルエトキシ、3−ホモピペリジン−1−イルプロポキシ、2−ピペラジン−1−イルエトキシ、3−ピペラジン−1−イルプロポキシ、2−ホモピペラジン−1−イルエトキシまたは3−ホモピペラジン−1−イルプロポキシより選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖においても、隣接した炭素原子は、O、NH、CH=CHおよびC≡Cより選択される基の鎖中への挿入によって隔てられていてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルスルホニル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノおよびアセトキシより選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個または2個の置換基であって、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチルおよびメトキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよい;
(e)R2は水素である;
(f)nは1または2であり、そして
基R3は、同じであってよいしまたは異なっていてよく、インドール環の3位、5位および/または6位に位置し、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニルおよび(1−6C)アルコキシより選択される;
(g)nは1または2であり、そして
基R3は、同じであってよいしまたは異なっていてよく、インドール環の2位、3位、5位および/または6位に位置し、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メチル、エチル、ビニル、アリル、イソプロペニル、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、メトキシおよびエトキシより選択される;および
(h)nは0である。
【0036】
本発明の好ましい化合物は、
mが1または2であり、
基R1が各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、6位および/または7位に位置し、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセトアミド、プロピオンアミド、2−イミダゾール−1−イルエトキシ、2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)エトキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、4−ピロリジン−1−イルブトキシ、ピロリジン−3−イルオキシ、ピロリジン−2−イルメトキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、ピペリジン−3−イルオキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、2−ホモピペリジン−1−イルエトキシ、3−ホモピペリジン−1−イルプロポキシ、2−ピペラジン−1−イルエトキシ、3−ピペラジン−1−イルプロポキシ、4−ピペラジン−1−イルブトキシ、2−ホモピペラジン−1−イルエトキシおよび3−ホモピペラジン−1−イルプロポキシより選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖中でも、隣接した炭素原子は、O、NH、CH=CHおよびC≡Cより選択される基のこの鎖中への挿入によって隔てられていてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、その各々のCH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルスルホニル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−プロピルアミノおよびアセトキシより選択される置換基を有していてよく;そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個または2個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、メチル、エチル、メトキシ、N−メチルカルバモイルおよびN,N−ジメチルカルバモイルより選択される置換基を有していてよく、そして置換基R1中のピロリジン−2−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピペリジン−4−イル基、ピペラジン−1−イル基またはホモピペラジン−1−イル基は、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、シアノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、2−ピペラジン−1−イルエチルまたは3−ピペラジン−1−イルプロピルでN−置換されていてよいが、但し、この最後の8置換基は各々、フルオロ、クロロ、メチルおよびメトキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよく;
R2が水素であり;
nが、0、1または2であり、そして
基R3が、存在する場合、インドール環の2位、3位、5位または6位に位置し、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メチル、エチル、ビニル、アリル、エチニル、メトキシおよびエトキシより選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0037】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が、6位に位置し、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシおよびプロポキシより選択され、そして
第二R1基が、7位に位置し、2−ジメチルアミノエトキシ、3−ジメチルアミノプロポキシ、4−ジメチルアミノブトキシ、2−ジエチルアミノエトキシ、3−ジエチルアミノプロポキシ、4−ジエチルアミノブトキシ、2−ジイソプロピルアミノエトキシ、3−ジイソプロピルアミノプロポキシ、4−ジイソプロピルアミノブトキシ、2−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、4−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)ブトキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、4−ピロリジン−1−イルブトキシ、ピロリジン−3−イルオキシ、N−メチルピロリジン−3−イルオキシ、ピロリジン−2−イルメトキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、ピペリジン−3−イルオキシ、N−メチルピペリジン−3−イルオキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、N−メチルピペリジン−4−イルオキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−3−イル)エトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−3−イル)プロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−4−イル)エトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−4−イル)プロポキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブトキシ、2−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、4−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)ブトキシ、2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]エトキシ、2−メチルスルホニルエトキシおよび3−メチルスルホニルプロポキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基またはアセトキシ基を有していてよく、そしてここにおいて、
第二R1基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0、1または2であり、そして
基R3が、インドール環の2位、3位、5位または6位に位置し、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、シアノ、メチル、エチル、エチニル、メトキシおよびエトキシより選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0038】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が、6位に位置し、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシおよびプロポキシより選択され、そして
第二R1基が、7位に位置し、2−ジメチルアミノエトキシ、3−ジメチルアミノプロポキシ、2−ジエチルアミノエトキシ、3−ジエチルアミノプロポキシ、2−ジイソプロピルアミノエトキシ、3−ジイソプロピルアミノプロポキシ、2−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、2−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)プロポキシ、2−(N−アリル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−アリル−N−メチルアミノ)プロポキシ、2−(N−アリル−N−シクロペンチルアミノ)エトキシ、3−(N−アリル−N−シクロペンチルアミノ)プロポキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−3−イル)エトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−3−イル)プロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−4−イル)エトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−4−イル)プロポキシ、3−ホモピペリジノプロポキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、2−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)エトキシおよび3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基またはアセトキシ基を有していてよく、
R2が水素であり;そして
nが0であり、またはnが1または2であり、そして
基R3が、存在する場合、インドール環の3位、5位または6位に位置し、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、シアノ、メチル、エチル、エチニル、メトキシおよびエトキシより選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0039】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が6−メトキシ基であり、そして
第二R1基が、7位に位置し、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−(N−アリル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−(N−アリル−N−シクロペンチルアミノ)プロポキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、3−モルホリノプロポキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、3−ピペリジノプロポキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、3−ホモピペリジノプロポキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシおよび3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基またはアセトキシ基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0であり、またはnが1であり、そして
基R3が、インドール環の3位または6位に位置し、フルオロおよびクロロより選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0040】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が6−メトキシ基であり、そして
第二R1基が、7位に位置し、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、3−モルホリノプロポキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、3−ピペリジノプロポキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシおよび2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]エトキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0であり、または
nが1であり、R3がクロロ基であり、または
nが2であり、R3が各々メチル基である式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0041】
本発明の更に好ましい化合物は、
mが2であり、
第一R1基が6−メトキシ基であり、そして
第二R1基が、7位に位置し、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、3−モルホリノプロポキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、3−ピペリジノプロポキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシおよび2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]エトキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、そのCH2基上にヒドロキシ基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0であり、または
nが1であり、R3が、3位に位置するクロロ基であり、または
nが2であり、R3が各々メチル基である式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0042】
本発明の具体的な好ましい化合物は、例えば、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(2,3−ジメチルインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
7−[3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ]−4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)キナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]キナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−ピペリジノプロポキシ)キナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン、
7−(2−アセトキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−[2−アセトキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−[2−アセトキシ−3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−(2−アセトキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[2−ヒドロキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシプロポキシ]−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−6−メトキシキナゾリンおよび
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン
より選択される式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩である。
【0043】
式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩は、化学的に関連した化合物の製造に応用可能であることが知られているいずれの方法によっても製造することができる。このような方法は、式Iのキナゾリン誘導体を製造するのに用いられる場合、本発明のもう一つの特徴として提供され、次の代表的な方法変形によって詳しく説明されるが、ここにおいて、特に断らない限り、m、R1、R2、nおよびR3は、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する。必要な出発物質は、有機化学の標準法によって得ることができる。このような出発物質の製造は、次の代表的な方法変形と一緒に、添付の実施例中に記載される。或いは、必要な出発物質は、有機化学者の技術の範囲内である詳しく説明されたのと同様の手順によって入手可能である。
【0044】
(a)式II
【0045】
【化6】
【0046】
(式中、Lは置換可能な基であり、mおよびR1は、いずれの官能基も、必要ならば保護されていることを除いて、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する)
を有するキナゾリンと、式III
【0047】
【化7】
【0048】
(式中、R2、nおよびR3は、いずれの官能基も、必要ならば保護されていることを除いて、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する)
を有するアニリンとの反応後、存在する保護基を全て、慣用的な手段によって除去する。
【0049】
この反応は、好都合には、適当な酸の存在下または適当な塩基の存在下で行うことができる。例えば、適当な酸は、例えば、塩化水素または臭化水素のような無機酸である。例えば、適当な塩基は、例えば、ピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリンまたはジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンのような有機アミン;または例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または水酸化物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム;または例えば、アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムである。
【0050】
適当な置換可能な基Lは、例えば、ハロゲノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはスルホニルオキシ基、例えば、クロロ基、ブロモ基、メトキシ基、フェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、メタンスルホニルオキシ基またはトルエン−4−スルホニルオキシ基である。この反応は、好都合には、適当な不活性溶媒または希釈剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたは酢酸エチルのようなアルコールまたはエステル;塩化メチレン、クロロホルムまたは四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒;テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンのようなエーテル;トルエンのような芳香族溶媒;またはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジン−2−オンまたはジメチルスルホキシドのような双極性非プロトン性溶媒の存在下で行われる。反応は、好都合には、例えば、10〜250℃の範囲内、好ましくは、40〜120℃の範囲内の温度で行われる。
【0051】
典型的には、式IIのキナゾリンを、式IIIのアニリンと、イソプロパノールのようなプロトン性溶媒の存在下で、好都合には、酸、例えば、ジエチルエーテル中の塩化水素ガス、または塩酸の存在下、そして例えば、25〜150℃の範囲内の温度、好ましくは、反応溶媒の還流温度またはその付近の温度で反応させてよい。
【0052】
式Iのキナゾリン誘導体は、この工程から遊離塩基の形で得ることができるし、または代わりに、式H−L(式中、Lは本明細書中の前に定義の意味を有する)を有する酸との塩の形で得ることができる。その塩から遊離塩基を得ることが望まれる場合、その塩を、例えば、適当な塩基、例えば、ピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリンまたはジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンのような有機アミン塩基、または例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または水酸化物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムで処理することができる。
【0053】
保護基は、概して、問題の基の保護について適宜、参考文献に記載のまたは熟練した化学者に知られているいずれかの基から選択することができるし、慣用法によって導入することができる。保護基は、問題の保護基の除去について適宜、参考文献に記載のまたは熟練した化学者に知られているいずれの好都合な方法によっても除去することができ、このような方法は、分子中のどこか他の基の妨害を最小限にして保護基の除去を行うように選択される。
【0054】
保護基の具体的な例を、便宜上、下に与えるが、ここにおいて、例えば、低級アルキルの場合のような“低級”とは、それが用いられている基が、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するということを意味する。これら例が全てではないということは理解されるであろう。保護基の除去方法の具体的な例が下に与えられている場合、同様に、これらが全てではない。具体的に述べられていない保護基の使用および脱保護方法は、当然ながら、本発明の範囲内である。
【0055】
カルボキシ保護基は、エステル形成性の脂肪族または芳香脂肪族アルコールの、またはエステル形成性シラノール(好ましくは、1〜20個の炭素原子を含有するこのアルコールまたはシラノール)の残基であってよい。カルボキシ保護基の例には、直鎖または分岐状鎖の(1−12C)アルキル基(例えば、イソプロピルおよび tert−ブチル);低級アルコキシ−低級アルキル基(例えば、メトキシメチル、エトキシメチルおよびイソブトキシメチル);低級アシルオキシ−低級アルキル基(例えば、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチルおよびピバロイルオキシメチル);低級アルコキシカルボニルオキシ−低級アルキル基(例えば、1−メトキシカルボニルオキシエチルおよび1−エトキシカルボニルオキシエチル);アリール−低級アルキル基(例えば、ベンジル、4−メトキシベンジル、2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、ベンズヒドリルおよびフタリジル);トリ(低級アルキル)シリル基(例えば、トリメチルシリルおよび tert−ブチルジメチルシリル);トリ(低級アルキル)シリル−低級アルキル基(例えば、トリメチルシリルエチル);および(2−6C)アルケニル基(例えば、アリル)が含まれる。カルボキシル保護基の除去に特に適した方法には、例えば、酸、塩基、金属または酵素に触媒される開裂が含まれる。
【0056】
ヒドロキシ保護基の例には、低級アルキル基(例えば、tert−ブチル);低級アルケニル基(例えば、アリル);低級アルカノイル基(例えば、アセチル);低級アルコキシカルボニル基(例えば、tert−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル基(例えば、アリルオキシカルボニル);アリール−低級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニルおよび4−ニトロベンジルオキシカルボニル);トリ(低級アルキル)シリル(例えば、トリメチルシリルおよび tert−ブチルジメチルシリル)およびアリール−低級アルキル(例えば、ベンジル)基が含まれる。
【0057】
アミノ保護基の例には、ホルミル、アリール−低級アルキル基(例えば、ベンジルおよび置換ベンジル、4−メトキシベンジル、2−ニトロベンジルおよび2,4−ジメトキシベンジル、およびトリフェニルメチル);ジ−4−アニシルメチル基およびフリルメチル基;低級アルコキシカルボニル(例えば、tert−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル(例えば、アリルオキシカルボニル);アリール−低級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニルおよび4−ニトロベンジルオキシカルボニル);トリアルキルシリル(例えば、トリメチルシリルおよび tert−ブチルジメチルシリル);アルキリデン(例えば、メチリデン)およびベンジリデンおよび置換ベンジリデン基が含まれる。
【0058】
ヒドロキシ保護基およびアミノ保護基の除去に適した方法には、例えば、2−ニトロベンジルオキシカルボニルのような基についての酸、塩基、金属または酵素に触媒される加水分解;ベンジルのような基についての水素化;および2−ニトロベンジルオキシカルボニルのような基についての光分解法が含まれる。
【0059】
読者は、反応条件および試薬に関する一般的な指針については、John Wiley & Sons 1992 発行の Advanced Organic Chemistry, 4th Edition, by J. March を、そして保護基に関する一般的な指針についても、John Wiley & Son 発行の Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd Edition, by T. Green et al. を参照する。
【0060】
式IIのキナゾリン出発物質は、慣用法によって得ることができる。例えば、式IV
【0061】
【化8】
【0062】
(式中、mおよびR1は、いずれの官能基も、必要ならば保護されていることを除いて、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する)
を有する3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、塩化チオニル、塩化ホスホリル、または四塩化炭素およびトリフェニルホスフィンの混合物のようなハロゲン化剤と反応させてよく、その後、存在する保護基を全て、慣用的な手段によって除去する。
【0063】
そのようにして得られる4−クロロキナゾリンは、必要ならば、炭酸カリウムのような適当な塩基の存在下およびN,N−ジメチルホルムアミドのような適当な溶媒の存在下におけるペンタフルオロフェノールとの反応により、4−ペンタフルオロフェノキシキナゾリンに変換することができる。
【0064】
式IIIの7−アミノインドール出発物質は、実施例に詳しく説明される慣用法によって得ることができる。
【0065】
(b)少なくとも1個の基R1が、式
Q1−X1−
(式中、Q1は、アリール−(1−6C)アルキル基、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル基、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル基、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル基またはヘテロシクリル−(1−6C)アルキル基であり、そしてX1は酸素原子である)
を有する基である式Iの化合物の製造について、式V
【0066】
【化9】
【0067】
(式中、m、R1、R2、nおよびR3は、いずれの官能基も、必要ならば保護されていることを除いて、本明細書中の前に定義のいずれかの意味を有する)
を有するキナゾリンと、いずれの官能基も、必要ならば保護されている適当なアルコールとの、好都合には、適当な脱水剤の存在下でのカップリング後、存在する保護基を全て、慣用的な手段によって除去する。
【0068】
適当な脱水剤は、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドのようなカルボジイミド試薬、またはアゾジカルボン酸ジエチルまたはアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチルのようなアゾ化合物およびトリフェニルホスフィンのようなホスフィンの混合物である。
【0069】
この反応は、好都合には、適当な不活性溶媒または希釈剤、例えば、塩化メチレン、クロロホルムまたは四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒の存在下、および例えば、10〜150℃の範囲内の温度、好ましくは、周囲温度またはその付近の温度で行われる。
【0070】
(c)基R1が、第一級または第二級アミノ基を含有する式Iの化合物の製造について、基R1が、保護された第一級または第二級アミノ基を含有する式Iの該当する化合物の開裂(cleavage)。
【0071】
アミノ基に適当な保護基は、例えば、アミノ基について本明細書中の前に開示されたいずれかの保護基である。このようなアミノ保護基に適当な開裂方法も、本明細書中の前に開示されている。具体的には、適当な保護基は、酸に触媒される加水分解下、例えば、トリフルオロ酢酸の存在下のような慣用的な反応条件下で開裂されうる tert−ブトキシカルボニル基のような低級アルコキシカルボニル基である。
【0072】
(d)基R1が、(1−6C)アルコキシ基または置換(1−6C)アルコキシ基、または(1−6C)アルキルアミノ基または置換(1−6C)アルキルアミノ基を含有する式Iの化合物の製造について、基R1が、適宜、ヒドロキシ基または第一級若しくは第二級アミノ基を含有する式Iのキナゾリン誘導体の、好都合には、本明細書中の前に定義の適当な塩基の存在下でのアルキル化。
【0073】
適当なアルキル化剤は、例えば、ヒドロキシのアルコキシまたは置換アルコキシへのアルキル化について、またはアミノのアルキルアミノまたは置換アルキルアミノへのアルキル化について当該技術分野において知られているいずれかの物質、例えば、好都合には、本明細書中の前に定義の適当な塩基の存在下、本明細書中の前に定義の適当な不活性溶媒または希釈剤中、そして例えば、10〜140℃の範囲内の温度、好都合には、周囲温度またはその付近の温度での、アルキルハライドまたは置換アルキルハライド、例えば、(1−6C)アルキルクロリド、(1−6C)アルキルブロミドまたは(1−6C)アルキルヨージド、または置換(1−6C)アルキルクロリド、置換(1−6C)アルキルブロミドまたは置換(1−6C)アルキルヨージドである。
【0074】
好都合には、R1が(1−6C)アルキルアミノまたは置換(1−6C)アルキルアミノ基を含有する式Iの化合物の製造について、還元的アミノ化反応を用いることができる。例えば、R1がN−メチル基を含有する式Iの化合物の製造について、N−H基を含有する該当する化合物を、適当な還元剤の存在下でホルムアルデヒドと反応させることができる。適当な還元剤は、例えば、水素化物還元剤、例えば、水素化アルミニウムリチウムのようなアルカリ金属アルミニウム水素化物、または好ましくは、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ素ナトリウムおよび水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムのようなアルカリ金属ホウ水素化物である。この反応は、好都合には、適当な不活性溶媒または希釈剤、例えば、水素化アルミニウムリチウムのようなより強力な還元剤については、テトラヒドロフランおよびジエチルエーテル、そして例えば、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムおよび水素化シアノホウ素ナトリウムのようなあまり強力でない還元剤については、メタノールおよびエタノールのようなプロトン性溶媒または塩化メチレン中で行われる。反応は、例えば、10〜80℃の範囲内の温度、好都合には、周囲温度またはその付近の温度で行われる。
【0075】
(e)R1がアミノ−ヒドロキシ二置換(1−6C)アルコキシ基(2−ヒドロキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシまたは3−[N−アリル−N−メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロポキシ)である式Iの化合物の製造について、基R1がエポキシ置換(1−6C)アルコキシ基を含有する式Iの化合物と、ヘテロシクリル化合物または適当なアミンとの反応。
【0076】
この反応は、好都合には、本明細書中の前に定義の適当な不活性希釈剤または担体の存在下および例えば、10〜150℃の範囲内の温度、好ましくは、周囲温度またはその付近の温度で行われる。
【0077】
(f)基R1がヒドロキシ基を含有する式Iの化合物の製造について、基R1が、保護されたヒドロキシ基を含有する式Iの該当する化合物の開裂。
【0078】
ヒドロキシ基に適当な保護基は、例えば、本明細書中の前に開示されたいずれかの保護基である。このようなヒドロキシ保護基に適当な開裂方法も、本明細書中の前に開示されている。具体的には、適当な保護基は、塩基に触媒される条件下、例えば、アンモニアの存在下のような慣用的な反応条件下で開列されうるアセチル基のような低級アルカノイル基である。
【0079】
式Iのキナゾリン誘導体の薬学的に許容しうる塩、例えば、酸付加塩が必要とされる場合、それは、例えば、このキナゾリン誘導体と適当な酸との反応により、慣用法を用いて得ることができる。
【0080】
バイオアッセイ
次の検定を用いて、c−Srcチロシンキナーゼ阻害剤としての、c−Srcでトランスフェクションされた線維芽細胞の増殖の in vitro 阻害剤としての、A549ヒト肺腫瘍細胞の移動の in vitro 阻害剤としての、およびA549組織の異種移植片のヌードマウス中での成長の in vivo 阻害剤としての本発明の化合物の作用を測定することができる。
【0081】
(a)in vitro 酵素検定
酵素c−Srcキナーゼによるチロシン含有ポリペプチド基質のリン酸化を阻害する試験化合物の能力を、慣用的なエリザ(Elisa)検定を用いて評価した。
【0082】
基質溶液[0.2mg/mlのアジ化ナトリウムを含有するリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中に20μg/mlのポリアミノ酸Poly(Glu,Tyr)4:1溶液(Sigma Catalogue No. P0275)100μl]を、多数の Nunc 96ウェルイムノプレート(Catalogue No. 439454)の各ウェルに加え、これらプレートを密封し、4℃で16時間貯蔵した。過剰の基質溶液を棄て、ウシ血清アルブミンのアリコート(BSA;PBS中5%溶液150μl)を、基質で被覆された各検定ウェル中に入れ、周囲温度で1時間インキュベートして、非特異的結合をブロックした。これら検定プレートウェルを、順次、0.05%v/v Tween 20含有PBS(PBST)でおよび Hepes pH7.4緩衝液(50mM,300μl/ウェル)で洗浄後、吸取乾燥させた。
【0083】
各々の試験化合物を、ジメチルスルホキシド中に溶解させ、蒸留水で希釈して一連の希釈(100μM〜0.001μM)を生じた。試験化合物の各希釈からの一部分(25μl)を、それら洗浄された検定プレート中のウェルに入れた。「全(total)」対照ウェルには、化合物の代わりに希釈されたDMSOを入れた。アデノシン−5’−三リン酸(ATP;40μM)を含有する塩化マグネシウム水溶液(80mM)のアリコート(25μl)を、ATP不含の塩化マグネシウムが入った「ブランク」対照ウェルを除く全ての試験ウェルに加えた。
【0084】
活性ヒトc−Srcキナーゼ(Sf9昆虫細胞中で発現された組換え酵素;Upstate Biotechnology Inc. より入手される製品14−117)を、使用直前に、100mM Hepes pH7.4緩衝液、0.2mMオルトバナジン酸ナトリウム、2mMジチオトレイトールおよび0.02%BSAを含む酵素希釈剤で1:10,000の倍率まで希釈した。反応を開始するために、新たに希釈された酵素のアリコート(50μl)を各ウェルに加え、これらプレートを周囲温度で20分間インキュベートした。各ウェル中の上澄み液を棄て、これらウェルをPBSTで2回洗浄した。マウスIgG抗ホスホチロシン抗体(Upstate Biotechnology Inc. 製品05−321;100μl)を、0.5%w/vBSAを含有するPBSTで1:6000の倍率まで希釈し、各ウェルに加えた。これらプレートを周囲温度で1時間インキュベートした。上澄み液を棄て、各々のウェルをPBST(x4)で洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヒツジ抗マウスIg抗体(Amersham Catalogue No. NXA931;100μl)を、0.5%w/vBSAを含有するPBSTで1:500の倍率まで希釈し、各ウェルに加えた。これらプレートを周囲温度で1時間インキュベートした。上澄み液を棄て、これらウェルをPBST(x4)で洗浄した。
【0085】
PCSBカプセル(Sigma Catalogue No. P4922)を、蒸留水(100ml)中に溶解させて、0.03%過ホウ酸ナトリウムを含有するリン酸クエン酸pH5緩衝液(50mM)を与えた。この緩衝液のアリコート(50ml)を、50mg錠剤の2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS;Boehringer Catalogue No. 1204521)と混合した。得られた溶液のアリコート(100μl)を各ウェルに加えた。これらプレートを、プレート読み取り用分光光度計を用いて405nmで測定される「全」対照ウェルの光学濃度値が約1.0になるまで、周囲温度で20〜60分間インキュベートした。「ブランク」(ATP不含)および「全」(化合物不含)対照の値を用いて、酵素活性の50%阻害を与える試験化合物の希釈範囲を決定した。
【0086】
(b)c−SrcでトランスフェクションされたNIH3T3(c−src 3T3)線維芽細胞の in vitro 増殖検定
この検定で、ヒトc−Srcの活性化突然変異体(Y530F)で安定してトランスフェクションされた National Institute of Health(NIH)マウス3T3線維芽細胞の増殖を阻害する試験化合物の能力を決定した。
【0087】
Shalloway et al., Cell, 1987, 49, 65−73 によって記載されたのと同様の手順を用いて、NIH3T3細胞を、ヒトc−Srcの活性化突然変異体(Y530F)でトランスフェクションした。得られたc−Src3T3細胞を、典型的には、0.9%塩化ナトリウム水溶液中にダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM;Sigma)+0.5%ウシ胎児血清(FCS)、2mMグルタミン、100単位/mlペニシリンおよび0.1mg/mlストレプトマイシンを含む検定培地が各々入っている96ウェル組織培養処理済み透明検定プレート(Costar)中に、細胞1.5x104個/ウェルで播種した。これらプレートを、給湿(7.5%CO2:95%空気)インキュベーター中において37℃で一晩インキュベートした。
【0088】
試験化合物をDMSO中に溶解させて、10mM原液を形成した。この原液のアリコートを、上記のDMEM培地で希釈し、適当なウェルに加えた。連続希釈を行って、一定範囲の試験濃度を与えた。試験化合物が加えられていない対照ウェルを、各々のプレートに含めた。これらプレートを、給湿(7.5%CO2:95%空気)インキュベーター中において37℃で一晩インキュベートした。
【0089】
BrdU標識用試薬(Boehringer Mannheim Catalogue No. 647229)を、0.5%FCSを含有するDMEM培地中で1:100の倍率まで希釈し、アリコート(20μl)を各ウェルに加えて、10μMの最終濃度にした。これらプレートを37℃で2時間インキュベートした。培地を傾瀉した。変性用溶液(FixDenat 溶液,Boehringer Mannheim Catalogue No. 647229;50μl)を各ウェルに加え、これらプレートを、プレート振とう機上に周囲温度で45分間置いた。上澄みを傾瀉し、これらウェルをPBS(200μl/ウェル)で洗浄した。抗BrdU−ペルオキシダーゼ溶液(Boehringer Mannheim Catalogue No. 647229)を、1%BSAおよび0.025%乾燥脱脂乳(Marvel(登録商標), Premier Beverages, Stafford, GB)を含有するPBS中で1:100の倍率まで希釈し、得られた溶液のアリコート(100μl)を各ウェルに加えた。これらプレートを、プレート振とう機上に周囲温度で90分間置いた。これらウェルをPBS(x5)で洗浄して、非結合抗体複合体を確実に除去した。プレートを吸取乾燥させ、テトラメチルベンジジン基質溶液(Boehringer Mannheim Catalogue No. 647229;100μl)を各ウェルに加えた。これらプレートをプレート振とう機上で静かに撹拌したが、この10〜20分間の間に発色した。これらウェルの吸光度を、690nmで測定した。各試験化合物の一定範囲の濃度での細胞増殖の阻害の程度を決定し、抗増殖IC50値を導いた。
【0090】
(c)in vitro 微小滴移動検定(In Vitro Microdroplet Migration Assay)
この検定で、付着性哺乳動物細胞系、例えば、ヒト腫瘍細胞系A549の移動を阻害する試験化合物の能力を決定した。
【0091】
10%FCS、1%L−グルタミンおよび0.3%アガロース(Difco Catalogue No. 0142−01)を含有するRPMI培地(Sigma)を、水浴中で37℃に加温した。2%水性寒天原液をオートクレーブ処理し、42℃で貯蔵した。この寒天溶液のアリコート(1.5ml)を、使用直前にRPMI培地(10ml)に加えた。A549細胞(受託番号ATCC CCL185)を、その培地中に2x107個/mlの細胞濃度で懸濁させ、37℃の温度で維持した。
【0092】
この細胞/アガロース混合物の小滴(2μl)を、組織培養処理されていない多数の96ウェル平底微量滴定プレート(Bibby Sterilin Catalogue No. 642000)の各ウェルの中央にピペットで入れた。これらプレートを氷上に短時間置いて、アガロース含有小滴のゲル化を速めた。4℃まで冷却された培地のアリコート(90μl)を、それら微小滴を乱さないように注意して各ウェル中に入れた。試験化合物を、DMSO中の10mM原液から、上記のようなRPMI培地を用いて希釈した。希釈された試験化合物のアリコート(10μl)を、再度微小滴を乱さないように注意してこれらウェルに入れた。これらプレートを、給湿(7.5%CO2:95%空気)インキュベーター中において37℃で約48時間インキュベートした。
【0093】
移動を目視評価し、そして移動距離を寒天小滴の縁に戻って測定した。移動阻害IC50は、平均移動測定値を試験化合物濃度に対してプロットすることによって導いた。
【0094】
(d)in vivo A549異種移植片成長検定(In Vivo A549 Xenograft Growth Assay)
この試験は、無胸腺ヌードマウス(Alderley Park nu/nu系統)において腫瘍として成長するA549ヒト癌腫の成長を阻害する化合物の能力を測定する。マトリゲル(Beckton Dickinson Catalogue No. 40234)中の合計約5x106個のA549細胞を、各々の試験マウスの左側腹部に皮下注射し、得られた腫瘍を約14日間成長させた。腫瘍サイズを週に2回、カリパスを用いて測定し、理論上の体積を計算した。被験動物は、ほぼ等しい平均腫瘍体積の対照群および処置群を与えるように選択した。試験化合物を、1%ポリソルベートビヒクル中のボールミル粉砕懸濁液として調製し、1日1回約28日間経口投与した。腫瘍成長への作用を評価した。
【0095】
式Iの化合物の薬理学的性質は、予想される構造的変化とともに異なるが、概して、式Iの化合物が有する活性は、上の試験(a)、(b)、(c)および(d)の一つまたはそれを超える試験において次の濃度または用量で示すことができる。
【0096】
試験(a):例えば、0.001〜10μMの範囲内のIC50;
試験(b):例えば、0.01〜20μMの範囲内のIC50;
試験(c):例えば、0.1〜25μMの範囲内の活性;
試験(d):例えば、1〜200mg/kg/日の範囲内の活性。
【0097】
生理学的に許容し得ない毒性は、試験(d)において、本発明の試験された化合物の有効量では認められなかった。したがって、本明細書中の前に定義の式Iの化合物またはその薬学的に許容しうる塩を、以下に明記される投薬量範囲で投与する場合、不都合な毒物学的作用は考えられない。
【0098】
本発明のもう一つの側面により、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を、薬学的に許容しうる希釈剤または担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0099】
本発明の組成物は、経口使用に(例えば、錠剤、口中錠、硬または軟カプセル剤、水性または油状懸濁剤、乳剤、分散性散剤または顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤として)、局所使用に(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、または水性または油状の液剤または懸濁剤として)、吸入による投与に(例えば、微粉散剤または液体エアゾル剤として)、吹入による投与に(例えば、微粉散剤として)、または非経口投与に(例えば、静脈内、皮下、筋肉内または筋肉内投与用の滅菌水性または油状液剤として、または直腸投与用の坐剤として)適した形であってよい。
【0100】
本発明の組成物は、当該技術分野において周知の慣用的な医薬賦形剤を用いて慣用法によって得ることができる。したがって、経口使用を予定する組成物は、例えば、1種類またはそれを超える着色剤、甘味剤、着香剤および/または保存剤を含有してよい。
【0101】
1種類またはそれを超える賦形剤と組み合わされて単一剤形を生じる活性成分の量は、処置される宿主および具体的な投与経路に依って必然的に異なるであろう。例えば、ヒトへの経口投与を予定する製剤は、概して、全組成物の約5〜約98重量%であってよい適当且つ好都合な量の賦形剤と配合される、例えば、0.5mg〜0.5g(より適当には、0.5〜100mg、例えば、1〜30mg)の活性剤を含有するであろう。
【0102】
式Iの化合物の治療目的または予防目的の用量サイズは、当然ながら、周知の医薬慣例にしたがって、状態の性状および重症度、動物または患者の齢および性別、および投与経路によって異なるであろう。
【0103】
式Iの化合物を治療目的または予防目的に用いる場合、それは、概して、必要ならば分割用量で与えられる、例えば、0.1mg/kg〜75mg/kg(体重)の範囲内の1日用量が与えられるように投与されるであろう。概して、非経口経路を用いる場合、より低い用量が投与されるであろう。したがって、例えば、静脈内投与には、例えば、0.1mg/kg〜30mg/kg(体重)の範囲内の用量が一般的に用いられるであろう。同様に、吸入による投与には、例えば、0.05mg/kg〜25mg/kg(体重)の範囲内の用量が用いられるであろう。しかしながら、特に、錠剤の形での経口投与が好適である。典型的には、単位剤形は、0.5mg〜0.5gの本発明の化合物を含有するであろう。
【0104】
本発明のもう一つの側面により、ヒトまたは動物体の療法による処置方法で用いるための、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0105】
上述のように、c−Src非受容体チロシンキナーゼの優先的な役割は、限局性腫瘍が、血流中への播種、他の組織の浸潤および転移性腫瘍成長の開始の段階によって進行するのに必ず必要とされる細胞運動性を調節することである。本発明者は、本発明のキナゾリン誘導体が強力な抗腫瘍活性を有するということを発見したが、これは、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与しているc−Srcキナーゼのような、一つまたはそれを超える非受容体チロシン特異的プロテインキナーゼの阻害によって得られると考えられる。
【0106】
したがって、本発明のキナゾリン誘導体は、抗腫瘍薬として、詳しくは、転移性腫瘍成長の阻害をもたらす哺乳動物癌細胞の運動性、播種および浸潤性の選択的阻害剤として価値がある。特に、本発明のキナゾリン誘導体は、充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置における抗浸潤薬として価値がある。特に、本発明の化合物は、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与しているc−Srcキナーゼのような、一つまたはそれを超える多重非受容体チロシンキナーゼの阻害に感受性である腫瘍の予防または処置において有用であると考えられる。更に、本発明の化合物は、酵素c−Srcの阻害によって単独でまたは一部分媒介される腫瘍の予防または処置において有用であると考えられる、すなわち、これら化合物は、このような処置を必要としている温血動物においてc−Src酵素阻害作用を生じるのに用いることができる。具体的には、本発明の化合物は、充実性腫瘍疾患の予防または処置において有用であると考えられる。
【0107】
したがって、本発明のこの側面により、充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置において抗浸潤薬として用いるための薬剤の製造における、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0108】
本発明のこの側面のもう一つの特徴により、充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置によって抗浸潤作用を生じる処置を必要としているヒトなどの温血動物において充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置によって抗浸潤作用を生じる方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法を提供する。
【0109】
本発明のもう一つの側面により、ヒトなどの温血動物の充実性腫瘍疾患の予防または処置で用いるための薬剤の製造における、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0110】
本発明のこの側面のもう一つの特徴により、充実性腫瘍疾患の処置を必要としているヒトなどの温血動物における充実性腫瘍疾患の予防または処置の方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法を提供する。
【0111】
本発明のもう一つの側面により、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与しているc−Srcキナーゼのような非受容体チロシンキナーゼの阻害に感受性であるそれら腫瘍の予防または処置で用いるための薬剤の製造における、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0112】
本発明のこの側面のもう一つの特徴により、転移する腫瘍細胞の浸潤性および移動能力をもたらすシグナル伝達段階に関与しているc−Srcキナーゼのような非受容体チロシンキナーゼの阻害に感受性であるそれら腫瘍の予防または処置の方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法を提供する。
【0113】
本発明のもう一つの側面により、c−Srcキナーゼ阻害作用を提供する場合に用いるための薬剤の製造における、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0114】
本発明のこの側面のもう一つの特徴により、c−Srcキナーゼ阻害作用を提供する方法であって、この動物に、有効量の本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法を提供する。
【0115】
本明細書中の前に定義の抗浸潤処置は、単独療法として用いてよいし、または本発明のキナゾリン誘導体に加えて、慣用的な外科手術または放射線療法または化学療法を伴ってよい。このような化学療法には、次のカテゴリーの一つまたはそれを超える抗腫瘍薬が含まれうる。
【0116】
(i)他の抗浸潤薬(例えば、マリマスタト(marimastat)のようなメタロプロテイナーゼ阻害剤およびウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤);
(ii)医学腫瘍学において用いられる抗増殖/抗新生物薬およびそれらの組合せであって、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびニトロソ尿素);代謝拮抗物質(例えば、5−フルオロウラシルおよびテガフルのようなフルオロピリミジン類、ラルチトレキセド(raltitrexed)、メトトレキサート、シトシンアラビノシドおよびヒドロキシ尿素などの葉酸拮抗剤、または例えば、(2S)−2−{o−フルオロ−p−[N−{2,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−イルメチル)−N−(プロプ−2−イニル)アミノ]ベンズアミド}−4−(テトラゾール−5−イル)酪酸などの欧州特許出願第562734号に開示された好ましい代謝拮抗物質の一つ;抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン(idarubicin)、マイトマイシンC、ダクチノマイシンおよびミトラマイシンのようなアントラサイクリン類);抗有糸分裂薬(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンのようなビンカアルカロイド類、およびタキソールおよびタキソテールのようなタキソイド類);およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン(topotecan)およびカンプトテシンのようなもの;
(iii)細胞増殖抑制薬であって、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、トレミフェン(toremifene)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)およびヨードキシフェン(iodoxyfene))、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、ロイプロレリン(leuprorelin)およびブセレリン(buserelin))、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール(anastrozole)、レトラゾール(letrazole)、ボラゾール(vorazole)およびエクセメスタン(exemestane))、およびフィナステリドなどの5α−レダクターゼの阻害剤のようなもの;
(iv)増殖因子機能の阻害剤、例えば、このような増殖因子には、増殖因子抗体、増殖因子受容体抗体、チロシンキナーゼ阻害剤およびセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、例えば、上皮増殖因子ファミリーの阻害剤(例えば、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(CP358774)および6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI1033))、例えば、血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤および例えば、肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤が含まれる;および
(v)抗血管新生薬であって、国際特許出願WO97/22596号、WO97/30035号、WO97/32856号およびWO98/13354号に開示された化合物などの血管上皮増殖因子を阻害するもの、および他の機構によって作用するもの(例えば、リノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンギオスタチン(angiostatin))のようなもの。
【0117】
このような共同処置は、この処置の個々の成分の同時の、逐次的なまたは個別の投与によって達成することができる。このような組合せ製品は、本明細書中の前に記載の投薬量範囲内の本発明の化合物および他の認可された投薬量範囲内の薬学的に活性な物質を用いる。
【0118】
本発明のこの側面により、癌の共同処置のための、本明細書中の前に定義の式Iのキナゾリン誘導体および本明細書中の前に定義の追加の抗腫瘍薬を含む医薬製品を提供する。
【0119】
式Iの化合物は、主に、(ヒトを含めた)温血動物で用いるための治療薬として価値があるが、それらは、c−Srcの作用を阻害することが必要とされる時も常に有用である。したがって、それらは、新しい生物学的試験の開発および新しい薬理物質の探求において用いるための薬理標準として有用である。
【0120】
本発明をここで、次の実施例で詳しく説明するが、ここにおいて、概して、
(i)作業は、特に断らない限り、周囲温度で、すなわち、17〜25℃の範囲内でおよびアルゴンのような不活性ガスの雰囲気下で行った;
(ii)蒸発は、真空中のロータリーエバポレーションによって行い、処理手順(work−up procedures)は、濾過による残留固体の除去後に行った;
(iii)カラムクロマトグラフィー(フラッシュ法による)および中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)は、E. Merck, Darmstadt, Germany より入手される Merck Kieselgel シリカ(製品9385)または Merck Lichroprep RP−18(製品9303)逆相シリカ上で行ったし、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、C18逆相シリカ上で、例えば、Dynamax C−18 60Å分離用逆相カラム上で行った;
(iv)収率は、与えられている場合、必ずしも達成しうる最大値ではない;
(v)概して、式Iの最終生成物は、納得のいく微量分析を有するが、それらの構造は、核磁気共鳴(NMR)および/または質量スペクトル技術によって確認された;高速原子衝撃法(FAB)質量スペクトルデータは、Platform 分光計を用いて得られたが、適当な場合、陽イオンデータかまたは陰イオンデータを集めた;NMR化学シフト値は、δスケールで測定した[プロトン磁気共鳴スペクトルは、400MHzの磁場強さで操作する Jeol JNM EX400分光計、300MHzの磁場強さで操作する Varian Gemini 2000分光計、または300MHzの磁場強さで操作する Bruker AM300分光計を用いて決定した];次の略語、すなわち、s,一重線;d,二重線;t,三重線;q,四重線;m,多重線;br,幅広を用いている;
(vi)中間体は、概して、充分に特性決定されなかったが、純度は、薄層クロマトグラフィー、HPLC、赤外(IR)および/またはNMR分析によって評価した;
(vii)融点は補正されていないが、Mettler SP62自動融点装置または油浴装置を用いて決定した;式Iの最終生成物の融点は、エタノール、メタノール、アセトン、エーテルまたはヘキサンなどの単独または混合物での慣用的な有機溶媒からの結晶化後に決定した;
(viii)次の略語を用いている。
【0121】
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
実施例1
4−(2,3−ジメチルインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン
4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(0.15g)、7−アミノ−2,3−ジメチルインドール(0.089g)、イソプロパノール(5ml)、および塩化水素のイソプロパノール中溶液(5M,0.2ml)の混合物を撹拌し、80℃まで2時間加熱した。得られた混合物を周囲温度に冷却し、沈殿を濾過によって単離し、そして順次、ジエチルエーテルおよびイソプロパノールの1:1混合物でおよびジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させた。このようにして、標題化合物(0.216g)を二塩酸塩として得た。
【0122】
【化10】
【0123】
出発物質として用いられる7−アミノ−2,3−ジメチルインドールは、次のように製造した。
【0124】
ヒドラジン水和物(0.65ml)を、2,3−ジメチル−7−ニトロインドール(0.5g)、ラネー・ニッケル(0.1g)およびメタノール(5ml)の55℃に加温された撹拌混合物に滴加した。得られた混合物を加熱して30分間還流させた。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンを溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−アミノ−2,3−ジメチルインドール(0.3g)を固体として得た。
【0125】
【化11】
【0126】
出発物質として用いられる4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンは、次のように製造した。
【0127】
2−アミノ−4−ベンジルオキシ−5−メトキシベンズアミド(J. Med. Chem.,1977,20,146−149;10g)、(3−ジメチルアミノ−2−アザプロプ−2−エン−1−イリデン)ジメチルアンモニウムクロリド(Gold’s 試薬,7.4g)およびジオキサン(100ml)の混合物を、撹拌し、加熱して24時間還流させた。酢酸ナトリウム(3.02g)および酢酸(1.65ml)を加え、反応混合物を更に3時間加熱した。混合物を蒸発させ、その残留物に水を加えた。得られた固体を濾過によって集め、水で洗浄し、乾燥させた。その物質を酢酸から再結晶させて、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(8.7g)を生じた。
【0128】
そのように記載の反応を反復後、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(35g)、塩化チオニル(440ml)およびDMF(1.75ml)の混合物を加熱して4時間還流させた。塩化チオニルを真空下で蒸発させ、残留物をトルエンと一緒に3回共沸させた。残留物を、N−メチルピロリジン−2−オン(250ml)中に溶解させて、7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンの溶液を生じた。
【0129】
フェノール(29.05g)を、N−メチルピロリジン−2−オン(210ml)中に溶解させ、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液;11.025g)を少量ずつ冷却しながら加えた。得られた混合物を周囲温度で3時間撹拌した。得られた粘稠懸濁液を、N−メチルピロリジン−2−オン(180ml)で希釈し、一晩撹拌した。上述の7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン溶液を加え、得られた懸濁液を撹拌し、100℃まで2.5時間加熱した。その混合物を周囲温度に冷却させ、水(1.5L)中に激しく撹拌しながら注いだ。沈殿を濾過によって集め、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。そのようにして得られた物質を塩化メチレン中に溶解させ、その溶液をブラインで洗浄し、相分離用紙を介して濾過した。その溶液を真空下で蒸発させ、得られた残留物をジエチルエーテル下で研和した。このようにして、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−4−フェノキシキナゾリン(87.8g)を得た。
【0130】
【化12】
【0131】
そのようにして得られた物質の一部分(36.95g)およびトリフルオロ酢酸(420ml)の混合物を、加熱して3時間還流させた。反応混合物を冷却させ、真空下で蒸発させた。残留物を水の下で機械的に撹拌し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加によって塩基性にし、一晩撹拌した。水を傾瀉し、残留する固体をアセトン中に懸濁させた。撹拌後、白色固体を濾過によって集め、アセトンで洗浄し、乾燥させて、7−ヒドロキシ−6−メトキシ−4−フェノキシキナゾリン(26.61g)を生じた。
【0132】
【化13】
【0133】
7−ヒドロキシ−6−メトキシ−4−フェノキシキナゾリン(25.27g)、3−モルホリノプロピルクロリド(18.48g)、炭酸カリウム(39.1g)およびDMF(750ml)の混合物を撹拌し、90℃まで3時間加熱した。その混合物を周囲温度に冷却させ、濾過した。濾液を蒸発させ、残留物を酢酸エチル下で研和した。このようにして、6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)−4−フェノキシキナゾリン(31.4g)を得た。
【0134】
【化14】
【0135】
そのようにして得られた物質および6N塩酸水溶液(800ml)の混合物を撹拌し、加熱して1.5時間還流させた。反応混合物を傾瀉し、濃縮して250mlの容量にした。その混合物を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加によってpH9まで塩基性にし、塩化メチレン(4x400ml)で抽出した。合わせた抽出物を、相分離用紙を介して濾過し、濾液を蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル下で研和して、6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(23.9g)を生じた。
【0136】
【化15】
【0137】
そのようにして得られた物質、塩化チオニル(210ml)およびDMF(1.8ml)の混合物を、加熱して1.5時間還流させた。塩化チオニルを真空下の蒸発によって除去し、残留物をトルエンと一緒に3回共沸させた。残留物を水中に取り、飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加によってpH8まで塩基性にした。得られた水性層を、塩化メチレン(4x400ml)で抽出した。合わせた抽出物を、水でおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。その溶液を濾過し、蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル下で研和して、4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(17.39g)を生じた。
【0138】
【化16】
【0139】
試薬として用いられる3−モルホリノプロピルクロリドは、次のように得た。
モルホリン(52.2ml)、1−ブロモ−3−クロロプロパン(30ml)およびトルエン(180ml)の混合物を、70℃まで3時間加熱した。固体を濾過によって除去し、濾液を真空下で蒸発させた。得られた油状物を、析出した追加の固体から傾瀉し、その油状物を真空蒸留によって精製して、3−モルホリノプロピルクロリド(37.91g)を生じた。
【0140】
【化17】
【0141】
実施例2
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン
実施例1に記載されたのに類似した手順を用いて、1,4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンを、7−アミノインドールと反応させて、標題化合物を84%収率で二塩酸塩として生じた。
【0142】
【化18】
【0143】
出発物質として用いられる7−アミノインドールは、次のように製造した。
ヒドラジン水和物(0.38ml)を、7−ニトロインドール(0.5g)、ラネー・ニッケル(0.1g)およびメタノール(10ml)の55℃に加温された撹拌混合物に滴加した。得られた混合物を加熱して30分間還流させた。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させ、残留物を塩化メチレンと水とに分配した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、ジエチルエーテルを溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−アミノインドール(0.15g)を固体として得た。
【0144】
【化19】
【0145】
実施例3
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン
実施例1に記載されたのに類似した手順を用いて、1,4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンを、7−アミノ−3−クロロインドールと反応させて、標題化合物を77%収率で二塩酸塩として生じた。
【0146】
【化20】
【0147】
出発物質として用いられる7−アミノインドールは、J. Med. Chem.,1999,42,3789 に記載の手順にしたがって製造した。
【0148】
実施例4
7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン
実施例1に記載されたのに類似した手順を用いて、1,7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを、7−アミノ−3−クロロインドールと反応させて、標題化合物を82%収率で二塩酸塩として生じた。
【0149】
質量スペクトル:M+H+ 526。
出発物質として用いられる7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0150】
水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液;1.44g)を、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(国際特許出願WO97/22596号、その実施例1;8.46g)のDMF(70ml)中溶液に20分間にわたって少量ずつ加えた。その混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。ピバル酸クロロメチル(5.65g)を滴加し、混合物を周囲温度で2時間撹拌した。その混合物を酢酸エチル(100ml)で希釈し、そして2N水性塩酸(4ml)を含有する氷および水の混合物(400ml)上に注いだ。有機層を分離し、水性層を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、ジエチルエーテルおよび石油エーテル(b.p.60〜80℃)の混合物下で研和し、得られた固体を集め、真空下で乾燥させた。このようにして、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(10g)を得た。
【0151】
【化21】
【0152】
そのようにして得られた物質の一部分(7g)、木炭上10%パラジウム触媒(0.7g)、DMF(50ml)、メタノール(50ml)、酢酸(0.7ml)および酢酸エチル(250ml)の混合物を、水素雰囲気下で40分間撹拌した。触媒を濾過によって除去し、溶媒を蒸発させた。残留物をジエチルエーテル下で研和し、得られた固体を集め、真空下で乾燥させた。このようにして、7−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(4.36g)を得た。
【0153】
【化22】
【0154】
7−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(40g)、2,3−エポキシプロピルブロミド(16.8ml)、炭酸カリウム(36g)およびDMF(400ml)の混合物を撹拌し、70℃まで1.5時間加熱した。その混合物を、氷水混合物(1.5L)中に注ぎ、得られた沈殿を単離し、順次、水でおよびジエチルエーテルで洗浄し、真空下において五酸化リン上で乾燥させた。このようにして、7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(46.7g)を得た。
【0155】
そのようにして得られた物質の一部分(8g)、モルホリン(5.8ml)およびクロロホルム(120ml)の混合物を、加熱して16時間還流させた。その混合物を蒸発させ、残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよびメタノールの19:1混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを泡状物(8.2g)として得た。
【0156】
【化23】
【0157】
そのようにして得られた物質および飽和メタノール性アンモニア溶液の混合物を、周囲温度で24時間撹拌した。その混合物を蒸発させ、得られた固体を、ジエチルエーテル、およびジエチルエーテルおよび塩化メチレンの19:1混合物で洗浄した。このようにして、7−(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(6.34g)を得た。
【0158】
【化24】
【0159】
そのようにして得られた物質の一部分(5.2g)、無水酢酸(20ml)およびピリジン(1ml)の混合物を、周囲温度で30分間撹拌した。得られた混合物を氷水混合物中に注ぎ、30分間撹拌した。次に、混合物を氷浴中で冷却し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を徐々に加えて、pHを9に調整した。混合物を塩化メチレンで抽出し、有機相を水でおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよびメタノールの93:7混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを固体(5g)として得た。
【0160】
【化25】
【0161】
そのようにして得られた物質、塩化チオニル(60ml)およびDMF(0.5ml)の混合物を、加熱して1時間還流させた。その混合物を蒸発させ、トルエンを加え、その混合物を蒸発させた。氷および水の混合物を残留物に加え、その混合物を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加によってpH8.5まで塩基性にした。混合物を塩化メチレンで抽出した。有機相を水でおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよびメタノールの97:3混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン(4.56g)を得た。
【0162】
【化26】
【0163】
実施例5
実施例1に記載されたのに類似した手順を用いて、適当な4−クロロキナゾリンを3−クロロ−7−アミノインドールと反応させて、表Iに記載の化合物を生じた。特に断らない限り、表Iに記載の化合物は各々、二塩酸塩として得た。
【0164】
【表1】
【0165】
注記
[1]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0166】
質量スペクトル:M+H+ 512。
出発物質として用いられる7−[2−アセトキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0167】
7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した手順を用いて、N−イソプロピル−N−メチルアミンと反応させた。このようにして、7−[2−ヒドロキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを得た。
【0168】
そのようにして得られた物質を、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した反応順序によって処理した。このようにして、7−[2−アセトキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを得た。
【0169】
【化27】
【0170】
[2]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
質量スペクトル:M+H+ 564。
【0171】
出発物質として用いられる7−[2−アセトキシ−3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0172】
7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した手順を用いて、1−シアノメチルピペラジンと反応させた。このようにして、7−[3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシプロポキシ]−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを得た。
【0173】
そのようにして得られた物質を、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した反応順序によって処理した。このようにして、7−[2−アセトキシ−3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを得た。
【0174】
【化28】
【0175】
出発物質として用いられる1−シアノメチルピペラジンは、次のように製造した。
【0176】
1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン(5g)、2−クロロアセトニトリル(1.9ml)、炭酸カリウム(4g)およびDMF(20ml)の混合物を、周囲温度で16時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、ジエチルエーテルを溶離剤として用いて精製した。このようにして、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−シアノメチルピペラジンを固体(5.7g)として得た。
【0177】
【化29】
【0178】
そのようにして得られた物質、トリフルオロ酢酸(20ml)および塩化メチレン(25ml)の混合物を、周囲温度で4時間撹拌した。混合物を蒸発させ、トルエンを加え、その混合物を再度蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよびメタノールの9:1混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、1−シアノメチルピペラジントリフルオロ酢酸塩を得、これを、塩化メチレン、酢酸エチルおよびメタノールの混合物中において固体重炭酸ナトリウムで処理して、遊離塩基の形(2.9g)を生じた。
【0179】
【化30】
【0180】
[3]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
質量スペクトル:M+H+ 510。
【0181】
出発物質として用いられる7−[2−アセトキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ]−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0182】
7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した手順を用いて、ピロリジンと反応させた。このようにして、7−(2−ヒドロキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを得た。
【0183】
そのようにして得られた物質を、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した反応順序によって処理した。このようにして、7−(2−アセトキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを得た。
【0184】
【化31】
【0185】
[4]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
質量スペクトル:M+H+ 524。
【0186】
出発物質として用いられる7−(2−アセトキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0187】
7−(2,3−エポキシプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した手順を用いて、ピペリジンと反応させた。このようにして、7−(2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−6−メトキシ−3−ピバロイルオキシメチル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オンを得た。
【0188】
そのようにして得られた物質を、出発物質の製造に関する、すぐ上の実施例4に記載されたのに類似した反応順序によって処理した。このようにして、7−(2−アセトキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンを得た。
【0189】
【化32】
【0190】
実施例6
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン
7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン二塩酸塩(0.185g)および飽和メタノール性アンモニア溶液(5ml)の混合物を、周囲温度で3日間撹拌した。溶媒を蒸発によって除去し、残留物を、5gのNH2−シリカ(International Sorbent Technology Ltd, からの Isolute 吸着剤,商品番号9470−0100)を含有するプレパックカラムおよび溶離剤としての塩化メチレンおよびメタノールの19:1混合物を用いて精製した。そのようにして得られた物質を、塩化メチレン(4ml)中に溶解させ、イソプロパノール中の6M塩化水素溶液(0.1ml)を撹拌しながら加えた。ジエチルエーテル(2ml)を加え、得られた沈殿を濾過によって集め、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。このようにして、標題化合物(0.052g)を二塩酸塩として得た。
【0191】
【化33】
【0192】
実施例7
実施例6に記載されたのに類似した手順を用いて、適当な7−(2−アセトキシプロポキシ)キナゾリンを飽和メタノール性アンモニア溶液と反応させて、表IIに記載の化合物を生じた。特に断らない限り、表IIに記載の化合物は各々、二塩酸塩として得た。
【0193】
【表2】
【0194】
注記
[1]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0195】
【化34】
【0196】
[2]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0197】
【化35】
【0198】
[3]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0199】
【化36】
【0200】
[4]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0201】
【化37】
【0202】
実施例8
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロポキシ]−6−メトキシキナゾリン
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[(2R)−2,3−エポキシプロポキシ]−6−メトキシキナゾリン(0.1g)、ピペリジン(2.5モル当量)、クロロホルム(2.5ml)およびエタノール(2.5ml)の混合物を、40℃まで8時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させた。塩化メチレン(5ml)を加えた後、ポリスチレンイソシアネート樹脂(0.3g;負荷:1mmol/g;J. Amer. Chem. Soc.,1997,119,4882 にしたがって調製される)を加え、その混合物を周囲温度で1.5時間振とうした。樹脂を濾過によって取り出し、塩化メチレンで洗浄した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンおよび飽和メタノール性アンモニア溶液の漸増極性混合物を溶離剤として用いて精製した。そのようにして得られた物質を、塩化メチレンおよびメタノールの9:1混合物(3ml)中に溶解させ、ジエチルエーテル中の2.2M塩化水素溶液(1ml)を加えた。得られた沈殿を濾過によって集め、真空下で乾燥させて、標題化合物を二塩酸塩(0.09g)として生じた。
【0203】
【化38】
【0204】
出発物質として用いられる4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[(2R)−2,3−エポキシプロポキシ]−6−メトキシキナゾリンは、次のように製造した。
【0205】
2−アミノ−4−ベンジルオキシ−5−メトキシベンズアミド(J. Med. Chem.,1977,20,146−149;10g)、(3−ジメチルアミノ−2−アザプロプ−2−エン−1−イリデン)ジメチルアンモニウムクロリド(Gold’s 試薬,7.4g)およびジオキサン(100ml)の混合物を撹拌し、加熱して24時間還流させた。酢酸ナトリウム(3.02g)および酢酸(1.65ml)を加え、反応混合物を更に3時間加熱した。混合物を蒸発させ、その残留物に水を加えた。得られた固体を濾過によって集め、水で洗浄し、乾燥させた。その物質を酢酸から再結晶させて、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(8.7g)を生じた。
【0206】
そのように記載の反応を反復後、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(2.82g)、塩化チオニル(40ml)およびDMF(0.28ml)の混合物を加熱して1時間還流させた。塩化チオニルを真空下で蒸発させ、残留物をトルエンと一緒に3回共沸させて、7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン塩酸塩(3.45g)を生じた。そのようにして得られた物質を、塩化メチレンと飽和重炭酸ナトリウム水溶液とに分配した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させて、遊離塩基を生じた。
【0207】
7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン(6g)、7−アミノ−3−クロロインドール(J. Med. Chem. 1999,42,3789 にしたがって調製される;4.47g)およびイソプロパノール(150ml)の混合物を、80℃まで1時間加熱した。その混合物を周囲温度に冷却し、沈殿を集め、ジエチルエーテルで洗浄した。このようにして、7−ベンジルオキシ−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン(8.5g)を得た。
【0208】
【化39】
【0209】
反応混合物を水浴中で冷却しながら、1,4−シクロヘキサジエン(14ml)を、7−ベンジルオキシ−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン(6.5g)、炭素上10%パラジウム(3g)およびDMF(65ml)の混合物に加え、得られた混合物を1時間撹拌した。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させた。得られた固体を、塩化メチレンおよびジエチルエーテルの混合物下で研和した。このようにして、4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(約20%の7−ヒドロキシ−4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシキナゾリンを含有した5.1g)を得た。
【0210】
【化40】
【0211】
そのようにして得られた混合物の一部分(4.9g)、2(R)−(−)グリシジルトシラート(3.94g)、炭酸カリウム(9.93g)およびDMF(75ml)の混合物を撹拌し、60℃まで5.3時間加熱した。混合物を周囲温度に冷却し、塩化メチレンと水とに分配した。有機相を、水でおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。その生成物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレン、酢酸エチルおよびメタノールの漸増極性溶媒混合物を溶離剤として用いて精製した。このようにして、所望の出発物質(約10%の7−[(2R)−2,3−エポキシプロポキシ]−4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシキナゾリンを含有した1.7g)を得た。
【0212】
【化41】
【0213】
実施例9
実施例8に記載されたのに類似した手順を用いて、適当なアミンを4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[(2R)−2,3−エポキシプロポキシ]−6−メトキシキナゾリンと反応させて、表IIIに記載の化合物を生じた。特に断らない限り、表IIIに記載の化合物は各々、二塩酸塩として得た。
【0214】
【表3】
【0215】
注記
[1]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0216】
【化42】
【0217】
[2]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0218】
【化43】
【0219】
[3]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0220】
【化44】
【0221】
[4]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0222】
【化45】
【0223】
[5]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0224】
【化46】
【0225】
[6]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0226】
【化47】
【0227】
[7]この生成物は、次の特性表示データを生じた。
【0228】
【化48】
Claims (10)
- 式I
基R1は各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、イソシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、ホルミル、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、(3−6C)アルケノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノ、(3−6C)アルキノイルアミノ、
N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノより、または式
Q1−X1−
(式中、X1は、直接結合であり、またはO、S、SO、SO2、N(R4)、CO、CH(OR4)、CON(R4)、N(R4)CO、SO2N(R4)、N(R4)SO2、OC(R4)2、SC(R4)2およびN(R4)C(R4)2より選択され、ここにおいて、
R4は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q1は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルキル、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルケニル、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択され、または
(R1)mは(1−3C)アルキレンジオキシであり、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖中でも、隣接した炭素原子は、O、S、SO、SO2、N(R5)、CO、CH(OR5)、CON(R5)、N(R5)CO、SO2N(R5)、N(R5)SO2、CH=CHおよびC≡Cより選択される基の該鎖中への挿入によって隔てられていてよく、ここにおいて、
R5は、水素または(1−6C)アルキルであり、または挿入される基がN(R5)である場合、R5は(2−6C)アルカノイルであってもよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2=CH−基またはHC≡C−基も、末端のCH2=またはHC≡の位置に、ハロゲノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルおよびジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルより、または式
Q2−X2−
(式中、X2は、直接結合であり、またはCOおよびN(R6)COより選択され、ここにおいて、
R6は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q2は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、各々の該CH2基またはCH3基上に、1個またはそれを超えるハロゲノまたは(1−6C)アルキル置換基、またはヒドロキシ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルコキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノより、または式
−X3−Q3
(式中、X3は、直接結合であり、またはO、S、SO、SO2、N(R7)、CO、CH(OR7)、CON(R7)、N(R7)CO、SO2N(R7)、N(R7)SO2、C(R7)2O、C(R7)2SおよびN(R7)C(R7)2より選択され、ここにおいて、
R7は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q3は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルキル、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルケニル、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個、2個または3個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノより、または式
−X4−R8
(式中、X4は、直接結合であり、またはOおよびN(R9)より選択され、ここにおいて、
R9は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
R8は、ハロゲノ−(1−6C)アルキル、ヒドロキシ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキル、シアノ−(1−6C)アルキル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキル、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキル、(2−6C)アルカノイルアミノ−(1−6C)アルキルまたは(1−6C)アルコキシカルボニルアミノ−(1−6C)アルキルである)
を有する基より、または式
−X5−Q4
(式中、X5は、直接結合であり、またはO、N(R10)およびCOより選択され、ここにおいて、
R10は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q4は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルであって、ハロゲノ、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニルおよび(1−6C)アルコキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものである)
を有する基より選択される置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基またはチオキソ置換基を有していてよく;
R2は、水素または(1−6C)アルキルであり;
nは、0、1、2または3であり;そして
R3は、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(1−6C)アルコキシ、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、(1−6C)アルコキシカルボニル、N−(1−6C)アルキルカルバモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]カルバモイル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、(2−6C)アルカノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(2−6C)アルカノイルアミノ、(3−6C)アルケノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルケノイルアミノ、(3−6C)アルキノイルアミノ、N−(1−6C)アルキル−(3−6C)アルキノイルアミノ、N−(1−6C)アルキルスルファモイル、N,N−ジ−[(1−6C)アルキル]スルファモイル、(1−6C)アルカンスルホニルアミノおよびN−(1−6C)アルキル−(1−6C)アルカンスルホニルアミノである、または式
−X6−R11
(式中、X6は、直接結合であり、またはOおよびN(R12)より選択され、ここにおいて、
R12は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
R11は、ハロゲノ−(1−6C)アルキル、ヒドロキシ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルコキシ−(1−6C)アルキル、シアノ−(1−6C)アルキル、アミノ−(1−6C)アルキル、(1−6C)アルキルアミノ−(1−6C)アルキルまたはジ−[(1−6C)アルキル]アミノ−(1−6C)アルキルである)
を有する基による、または式
−X7−Q5
(式中、X7は、直接結合であり、またはO、S、SO、SO2、N(R13)、CO、CH(OR13)、CON(R13)、N(R13)CO、SO2N(R13)、N(R13)SO2、C(R13)2O、C(R13)2SおよびN(R13)C(R13)2より選択され、ここにおいて、
R13は、水素または(1−6C)アルキルであり、そして
Q5は、アリール、アリール−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(1−6C)アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルであって、ハロゲノ、(1−6C)アルキル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニルおよび(1−6C)アルコキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよいものであり、そしてQ5中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基またはチオキソ置換基を有していてよい)
を有する基による]
を有するキナゾリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩。 - mが1または2であり、
基R1が各々、同じであってよいしまたは異なっていてよく、6位および/または7位に位置し、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセトアミド、プロピオンアミド、2−イミダゾール−1−イルエトキシ、2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)エトキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、4−ピロリジン−1−イルブトキシ、ピロリジン−3−イルオキシ、ピロリジン−2−イルメトキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、ピペリジン−3−イルオキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、2−ホモピペリジン−1−イルエトキシ、3−ホモピペリジン−1−イルプロポキシ、2−ピペラジン−1−イルエトキシ、3−ピペラジン−1−イルプロポキシ、4−ピペラジン−1−イルブトキシ、2−ホモピペラジン−1−イルエトキシおよび3−ホモピペラジン−1−イルプロポキシより選択され、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれの(2−6C)アルキレン鎖中でも、隣接した炭素原子は、O、NH、CH=CHおよびC≡Cより選択される基の該鎖中への挿入によって隔てられていてよく、そしてここにおいて、
置換基R1中のいずれのCH2基またはCH3基も、各々の該CH2基またはCH3基上に、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルスルホニル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−プロピルアミノおよびアセトキシより選択される置換基を有していてよく;そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロアリール基またはヘテロシクリル基も、1個または2個の置換基であって、同じであってよいしまたは異なっていてよい、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、カルバモイル、メチル、エチル、メトキシ、N−メチルカルバモイルおよびN,N−ジメチルカルバモイルより選択される置換基を有していてよく、そして置換基R1中のピロリジン−2−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピペリジン−4−イル基、ピペラジン−1−イル基またはホモピペラジン−1−イル基は、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、シアノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピル、2−ピロリジン−1−イルエチル、3−ピロリジン−1−イルプロピル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、2−ピペラジン−1−イルエチルまたは3−ピペラジン−1−イルプロピルでN−置換されていてよいが、但し、この最後の8置換基は各々、フルオロ、クロロ、メチルおよびメトキシより選択される、同じであってよいしまたは異なっていてよい1個または2個の置換基を有していてよく、そしてここにおいて、
R1上の置換基中のいずれのヘテロシクリル基も、1個または2個のオキソ置換基を有していてよく;
R2が水素であり;
nが、0、1または2であり、そして
基R3が、存在する場合、インドール環の2位、3位、5位または6位に位置し、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メチル、エチル、ビニル、アリル、エチニル、メトキシおよびエトキシより選択される、請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩。 - mが2であり、
第一R1基が、6位に位置し、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシおよびプロポキシより選択され、そして
第二R1基が、7位に位置し、2−ジメチルアミノエトキシ、3−ジメチルアミノプロポキシ、2−ジエチルアミノエトキシ、3−ジエチルアミノプロポキシ、2−ジイソプロピルアミノエトキシ、3−ジイソプロピルアミノプロポキシ、2−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、2−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)プロポキシ、2−(N−アリル−N−メチルアミノ)エトキシ、3−(N−アリル−N−メチルアミノ)プロポキシ、2−(N−アリル−N−シクロペンチルアミノ)エトキシ、3−(N−アリル−N−シクロペンチルアミノ)プロポキシ、2−ピロリジン−1−イルエトキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、2−ピロリジン−2−イルエトキシ、3−ピロリジン−2−イルプロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、2−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)エトキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、ピペリジン−3−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−3−イルメトキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−ピペリジン−3−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−3−イル)エトキシ、3−ピペリジン−3−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−3−イル)プロポキシ、2−ピペリジン−4−イルエトキシ、2−(N−メチルピペリジン−4−イル)エトキシ、3−ピペリジン−4−イルプロポキシ、3−(N−メチルピペリジン−4−イル)プロポキシ、3−ホモピペリジノプロポキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、2−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)エトキシおよび3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、該CH2基上にヒドロキシ基またはアセトキシ基を有していてよく、
R2が水素であり;そして
nが0であり、またはnが1または2であり、そして
基R3が、存在する場合、インドール環の3位、5位または6位に位置し、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、シアノ、メチル、エチル、エチニル、メトキシおよびエトキシより選択される、請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩。 - mが2であり、
第一R1基が6−メトキシ基であり、そして
第二R1基が、7位に位置し、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−(N−アリル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−(N−アリル−N−シクロペンチルアミノ)プロポキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、3−モルホリノプロポキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、3−ピペリジノプロポキシ、ピペリジン−4−イルメトキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、3−ホモピペリジノプロポキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシおよび3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、該CH2基上にヒドロキシ基またはアセトキシ基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0であり、またはnが1であり、そして
基R3が、インドール環の3位または6位に位置し、フルオロおよびクロロより選択される、請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩。 - mが2であり、
第一R1基が6−メトキシ基であり、そして
第二R1基が、7位に位置し、3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ、3−ピロリジン−1−イルプロポキシ、3−モルホリノプロポキシ、3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ、3−ピペリジノプロポキシ、N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ、3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシおよび2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]エトキシより選択され、そしてここにおいて、
2個の炭素原子に結合している第二R1基中のいずれのCH2基も、該CH2基上にヒドロキシ基を有していてよく;
R2が水素であり;そして
nが0であり、または
nが1であり、R3がクロロ基であり、または
nが2であり、R3が各々メチル基である、請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩。 - 4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(2,3−ジメチルインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
7−[3−(1,1−ジオキソテトラヒドロ−4H−1,4−チアジン−4−イル)プロポキシ]−4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)キナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]キナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−ピペリジノプロポキシ)キナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(7−インドリルアミノ)−6−メトキシ−7−(N−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン、
7−(2−アセトキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−[2−アセトキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−[2−アセトキシ−3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−(2−アセトキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
7−(2−アセトキシ−3−モルホリノプロポキシ)−4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[2−ヒドロキシ−3−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)プロポキシ]−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−[3−(4−シアノメチルピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシプロポキシ]−6−メトキシキナゾリン、
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−ピペリジノプロポキシ)−6−メトキシキナゾリンおよび
4−(3−クロロインドール−7−イルアミノ)−7−(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン
より選択される、請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体;またはその薬学的に許容しうる酸付加塩。 - 請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の製造方法であって、
(a)式II
を有するアニリンとの反応後、存在する保護基を全て、慣用的な手段によって除去すること;
(b)少なくとも1個の基R1が、式
Q1−X1−
(式中、Q1は、アリール−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルキル−(1−6C)アルキル、(3−7C)シクロアルケニル−(1−6C)アルキル、ヘテロアリール−(1−6C)アルキルまたはヘテロシクリル−(1−6C)アルキルであり、そしてX1は酸素原子である)
を有する基である式Iの化合物の製造について、式V
を有するキナゾリンと、いずれの官能基も、必要ならば保護されている適当なアルコールとのカップリング後、存在する保護基を全て、慣用的な手段によって除去すること;
(c)基R1が、第一級または第二級アミノ基を含有する式Iの化合物の製造について、基R1が、保護された第一級または第二級アミノ基を含有する式Iの該当する化合物の開裂;
(d)基R1が、(1−6C)アルコキシ基または置換(1−6C)アルコキシ基、または(1−6C)アルキルアミノ基または置換(1−6C)アルキルアミノ基を含有する式Iの化合物の製造について、基R1が、適宜、ヒドロキシ基または第一級若しくは第二級アミノ基を含有する式Iのキナゾリン誘導体のアルキル化;
(e)R1がアミノ−ヒドロキシ二置換(1−6C)アルコキシ基である式Iの化合物の製造について、基R1がエポキシ置換(1−6C)アルコキシ基を含有する式Iの化合物と、ヘテロシクリル化合物または適当なアミンとの反応;または
(f)基R1がヒドロキシ基を含有する式Iの化合物の製造について、基R1が、保護されたヒドロキシ基を含有する式Iの該当する化合物の開裂
を含み;そして
式Iのキナゾリン誘導体の薬学的に許容しうる塩を必要とする場合、慣用法を用いてそれを入手することができる方法。 - 請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩を、薬学的に許容しうる希釈剤または担体と一緒に含む医薬組成物。
- ヒトまたは動物体の療法による処置方法で用いるための、請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩。
- 充実性腫瘍疾患の封じ込めおよび/または処置で抗浸潤薬として用いるための薬剤の製造における、請求項1に記載の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬学的に許容しうる塩の使用。
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