JP2004511224A - 緑色植物中でのパラヒドロキシ安息香酸の高レベル生産 - Google Patents

緑色植物中でのパラヒドロキシ安息香酸の高レベル生産 Download PDF

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Abstract

本発明は、ユニークな発現カセットを用いた緑色植物中でのpHBAの高レベル生産に関する。このカセットは高等植物中でタンパク質発現を促進できる、適したプロモーターに作動可能に結合したコリスメートピルベートリアーゼ(CPL)コード配列を含む。さらにこのCPLカセットは葉緑体トランジットペプチド、その天然の開裂部位、およびCPLのN−末端に融合するトランジットペプチドドナータンパク質の小部分をコードする配列を含む。葉緑体標的配列はこの外来タンパク質を葉緑体コンパートメントへと向かわせ、この細胞器官内への取り込みを助ける。開裂部位はトランジットペプチドに対してユニークなもので、カセットによりコードされたキメラタンパク質のこの部位での開裂により、成熟CPL酵素とトランジットペプチドドナーの小部分とを含み、完全な酵素活性を有する新規のポリペプチドが遊離する。

Description

【0001】
本発明は、2000年6月2日に出願した米国仮出願第60/209,854号の恩恵を請求する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は植物遺伝子の発現および分子生物学ならびに微生物学分野に関する。さらに詳しくは、特定の葉緑体標的配列へと作動可能に結合されているコリスメートピルベートリアーゼコード遺伝子を含有するユニークな発現カセットを発現させることに基づいて、緑色植物中でp−ヒドロキシ安息香酸(pHBA)を生産する方法を提示するものである。
【0003】
(発明の背景)
p−ヒドロキシ安息香酸(pHBA)は液晶ポリマー(LCP)であるZenite(商標)の主たるモノマー成分(65重量パーセント弱)である。LCPは高い強度/剛性、低溶融粘度、優れた環境耐性、高温での物性維持、そして低ガス透過性など、従来の樹脂とくらべて優れた性質を有する。しかし、現在のpHBA合成方法(Kolbe−Schmitt反応(Kolbe and Lautemann、Ann.113:125(1869))は極めて高コストのため、液晶モノマーを得る低コストのルートが見つかれば自動車や電気業界をはじめとし、その他の産業においても多数の新規用途が見出されることであろう。生物による生産はpHBAをより安価に生産する一つの可能性を提示するものである。
【0004】
pHBAは微生物系で生産されている。例えば日本国特許第06078780号は安息香酸をpHBAへと酸化する微生物(好ましくはアスペルギルス属)の存在下で安息香酸を培養することによってpHBAを生産する方法を教示している。さらに、p−クレゾールをpHBAへと変換する能力を有するエンテロバクター属の株が土壌から分離されている(日本国特許第05328981号)。また日本国特許第05336980号と日本国特許第05336979号はp−クレゾールからpHBAを産生する能力を有するシュードモナス‐プチダ株の分離を開示している。同様に共同で所有しているWO9856920号ではパラヒドロキシ安息香酸水酸化酵素(pHBH)を発現する能力を欠いた、シュードモナス‐メンドシナの突然変異体を用いてトルエンからpHBAを生産する方法が教示されている。最後に米国特許第6030819号は、コリスメートピルベートリアーゼ(CPL)遺伝子を発現する遺伝子操作された大腸菌中でのpHBAの生産方法を教示している。
【0005】
これらの成功にも関わらず、商業的に有用な量のpHBAを微生物プラットフォームで生産する能力は有毒な出発物質と限られたバイオマスの使用によって妨げられている。これらの問題を解決するpHBA生産方法が必要とされている。
【0006】
はからずもpHBAはほとんどすべての植物、動物および微生物中で天然に産出しているのであるが、その量は極めて少量である。多くの細菌中でpHBAの生成は、フェニルアラニン、チロシン、p−アミノ安息香酸、およびユビキノンを初めとする多数の芳香族化合物の合成において重要な分岐点中間体である、コリスメート経由で行われている。大腸菌においてコリスメート自身は5つの異なる酵素反応を経て5つの異なる生成物を生じるが、pHBAの合成を最終的に行う酵素がCPLと呼ばれる、コリスメートピルベートリアーゼである。後者は大腸菌ubiC遺伝子の生成物であり、これは二つの異なるグループにより独立してクローン化された(Siebert et al.,FEBS Lett307:347−350(1992);Nichlols et al.,J.Bacteriol 174:5309−5316(1992))。この酵素は19キロダルトンの単量体タンパク質で、補助因子やエネルギー要求量などは知られていない。その唯一の基質から、Cエノールピルビル側鎖を除去することにより、CPLはコリスメート1モルから1モルのピルベートと1モルのpHBAへの直接変換を触媒する。組み換えCPLは大腸菌において過度に発現され、精製により均一にされ、その一部は生化学的また動態的に特性付けが行われている(Siebert et al.,Microbiology 140:897−904;Nichlols et al.,J Bacteriol 174:5309−5316(1992))。さらにCPL酵素反応については詳細なメカニズムが提言されている(Walsh et al.,Chem Rev.90:1105−1129)。
【0007】
植物ではpHBAはニンジンの組織(Schnitzler et al., Planta、188、594、(1992))ならびに種々の草類および作物(Lydon et al.,(J.Agric.Food.Chem.,36、813、(1988)、およびポピュラーな木々(Terashima et al.,Phytochemistry、14、1991、(1972);さらに多数のその他の植物の組織(Billek et al.,Oesterr.Chenu.,67、401、(1966)中で見い出されている。植物にはpHBAを合成するのに必要なすべての酵素機構が含有されているため、植物がこのモノマーを製造するのに有用なプラットフォームとなりうることが示唆される。例えば、植物プラットフォームは回復可能な資源であり、石油化学的あるいは微生物的方法のいずれよりも物質およびエネルギー消費が遥かに少なくなるであろう。同様に、植物プラットフォームはモノマーの生産にとって微生物系よりもはるかに多量に入手できるバイオマスを意味する。最後にpHBAが植物中に天然に存在することからこの化合物の過剰生産の結果としての宿主に対する有害性が問題とならないであろうことが示唆される。だが、pHBA生産手段として植物を使用するこれらの明らかな利点にも関わらず、同モノマーの高レベル生産はこれまでわかっていなかった。
【0008】
乗り越えなくてはならない一つの壁は、植物組織中のコリスメートの生体内運命にある。実際高等植物はCPLと機能的に同義である酵素を持たないため、コリスメートからのpHBAの生産は微生物においてよりもはるかにより複雑なのである。例えば、Lithospermum erythrorhizonにおいてpHBAにいたる生合成経路は10個以下の連続した反応からなり(Loscher and Heide、 Plant Physiol.106:271−279(1992))、おそらくすべて異なる酵素が触媒していると考えられている。さらにこれらの反応を触媒する酵素のほとんどは今だ同定されておらず、その遺伝子もまだクローン化されていない。他の植物種におけるpHBAの合成に関しては入手可能な情報はさらに少ない。問題をさらに複雑にしているのは、これら植物中でpHBA生産に関与しているということが知られている酵素が異なる細胞コンパートメントに位置し、調節も異なる二つの異なる経路にわたっているということである。したがってコリスメートは、葉緑体およびその他のプラスチド類に主に限定されているシキメート経路の中間体であるが(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996)) Sommer et al.,Plant Cell Physiol.39(11):1240−1244(1998))、一方フェニルアラニンより下流のすべての中間体は細胞質ゾルと小胞体の両方で行われるフェニルプロパノイド経路に属しているのである。
【0009】
通常植物がpHBAをどのように合成しているのかについて、またこのプロセスに関与している酵素については理解できていないものの、野生型の植物よりも有意に高いレベルでpHBAを蓄積する形質転換植物体については記載されている。例えばKazufumi Yazaki(Baiosaiensu to Indasutori(1998)、56(9)、621−622)は虫抵抗性を与えるに十分な量でpHBAを産生するためにCPLコード遺伝子をタバコに導入することについて述べている。同様に、Siebertら(Plant Physiol.112:811−819(1996))は構成的に発現させた葉緑体標的バージョンの大腸菌CPL(「TP−UbiC」と呼ぶ)で形質転換したタバコ植物(Nicotiana tabacum)がpHBAのレベルを野生型植物の少なくとも1000倍の大きさに引き上げたことを示した(WO96/00788、DE4423022として特許付与されている)。興味深いことに、この遺伝子修飾したタバコ植物には遊離pHBAはごくわずかにしか含まれていなかった。その代わり、実質的にすべてのこの化合物(98%弱)が二つのグルコース付加体、フェノールグルコシドとエステルグルコシド、に転換され、これらは約3:1で存在していた(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996);Li et al.,Plant Cell Physiol. 38(7):844−850(1997))。これらのグルコース付加体はともに単一のグルコース残基がpHBAのヒドロキシルまたはカルボキシル基と共有結合で結合している1−β−D−グルコシドであった。この研究で明らかにされた最良の遺伝子導入植物では、葉の組織を分析したところ全pHBAグルコシド含量が乾燥重量の0.52%弱であった。結合したグルコース残基分の補正を行うと、実際に遺伝子導入タバコ植物で生産されたpHBAの量はこの値の約半分に過ぎなかった。
【0010】
さらに近年の研究では同じ人工融合タンパク質が構成的プロモーター(Sommer et al.,Plant Cell Physiol.39(11):1240−1244(1998))と誘導可能なプロモーター(Sommer et al.,Plant Cell Reports17:891−896(1998))の両方を用いて形質転換したタバコ細胞培養物中で発現されている。pHBAグルコシドの蓄積は全植物体での当初の研究よりもやや高いものの、どちらの場合でもそのレベルは乾燥重量の0.7%を超えなかった。対照的にLithospermum erythrorhizonの毛状根培養物のTP−UbiCを調べると、形質転換していない対照培養物中の固有レベルを補正した後のpHBAグルコシド含量は乾燥重量の0.8%にも達した。
【0011】
これらの研究により高等植物中のpHBAのレベルを引き上げるために遺伝子工学を使用できることが示されたものの、上述のTP−UbiC人工融合タンパク質は商業的に有用な量でこの化合物を生成することが不可能である。このような努力には栽培学的に適した植物のpHBA含量を、先の報告の10から20倍に引き上げることが必要となるであろう。したがってこのようなレベルを達成するには、現在のシステムにおいて一つまたはそれ以上の修正が必要である。CPLの基質であるコリスメートがプラスチド中で合成されるため、改良の可能性のある領域として一つには問題の細胞コンパートメント中でより高レベルの酵素活性を得るために、より優れた葉緑体標的配列の設計を行うことがあげられるかもしれない。実際、CPL酵素活性とpHBAグルコシドの蓄積との間には正の相関があることが上記の研究のうちいくつかで明らかになってる(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996); Sommer et al.,Plant Cell Physiol.39 (11):1240−1244(1998);Sommer et al Plant Cell Reports17:891−896(1998))。さらに、これらの研究のどれにおいても系がTP−UbiC人工融合タンパク質を用いたCPL酵素活性で飽和されていたことを示唆する証拠はない。
【0012】
ほとんどの天然に産生する葉緑体タンパク質は、核コードされており、トランジットペプチドと呼ばれる開裂可能なN末端ポリペプチド延長部を有するかなり大きな分子量の前駆体として合成されていることが周知である。このトランジットペプチドが葉緑体中への転位に必要な情報のすべてを含有していることもまた一般に認められていることである。タンパク質輸入の機構的な詳細はまだはっきり解明されていないが、いくつかの重要な事実が明らかになっている;(a)前駆体の取り込みは翻訳後に起こり(Chua and Schmidt、Proc Natl.Acad. Sci.75:6110−6114(1978);Highfield and Ellis、Nature271:420−424(1978))、そしてこれは葉緑体エンベロープ膜中に存在するタンパク質様受容体により媒介される(Cline et al.,J.Biol.Chem.260:3691−3696(1985)));(b)ATP−加水分解は転流の唯一の推進力である(Grossman et al.,Nature285:625−628(1980);Cline et al.,J.Biol.Chem.260:3691−3696(1985));(c)トランジットペプチドの異種タンパク質への融合は、いつもではないが、時には生体内でも(Van den Broeck et al.,Nature313:358−362(1985));Schreier et al.,EMBO J.4:25−32(1985))また生体外でも(Wasmann et al.,Mol.Gen.Genet.205:446−453(1986))葉緑体内への摂取を誘発するのに十分である;そして最後に(d)葉緑体輸入に続き、トランジットペプチドは前駆体タンパク質からタンパク質分解により除去され「成熟した」ポリペプチドが生じる。何千ものトランジットペプチドの完全な配列が現在知られているものの、最良の標的化と植物の葉緑体コンパートメント中での異種タンパク質の発現を達成するためにこれらの配列を操作するのは依然として試行錯誤の段階である。しかし、トランジットペプチドを異種タンパク質に単に結合するだけでは葉緑体により効率的に摂取され、正しい処理が行われるのを必ずしも保証するとは言えないということは明らかである。同じ標的配列を異なるタンパク質に融合したとしても、その結果は全く予測不能であり(Lubben et al.,The Plant Cell 1:1223−1230(1989))、異なるパッセンジャータンパク質が異なる効率で移送される。この理由は明らかではないが、葉緑体摂取とトランジットペプチドの除去とが対になっており、ある種の人工融合タンパク質は処理されないかまたは処理効率が悪いということが示唆されている。例えば、ルビスコ小サブユニット前駆体の天然開裂部位の近くにおける極めて微少な変化でさえも異常処理を引き起こすことがあり(Robinson and Ellis、Eur.J.Biochem.142:342−346(1984);Robinson and Ellis、Eur.J.Biochem.152:67−73(1985))葉緑体摂取を減少させた(Wasmann et al.,J.Biol.Chem.263:617−619(1988))ことが示されている。
【0013】
この分野では、トランジットペプチドと開裂部位のみならず、トランジットペプチドドナーの成熟N−末端を少量葉緑体標的配列に加えることにより、ある程度の改良がなされている。実際このアプローチはもう一つの微生物タンパク質、すなわちネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NPT−II)に対しては生体内および生体外の両方で効果をあげている((Van den Broeck et al.,Nature313:358−362(1985);Schreier et al.,EMBO J.4:25−32(1985);Wasmann et al.,Mol.Gen.Genet.205:446−453(1986);Herrera−Estrella et al.,EP0189707;U.S.5、728、925;U.S.5、717、084)。したがって、ルビスコ小サブユニット前駆体のトランジットペプチドとNPT−IIのN−末端へ融合する成熟ルビスコの最初の22残基とからなるキメラタンパク質はトランジットペプチドと開裂部位のみを含有した同様の構成物より遥かに葉緑体による摂取が良い。しかしこの戦略は絶対確実なものではなく、このパッセンジャータンパク質にとは切っても切れない関係にある高度の予測不能性を伴っている。このことはCPLを葉緑体へ向けようと試みている文献中に容易に見て取ることができる。例えばSommerら(Plant Cell Physiol.39(11):1240−1244(1998))はトランジットペプチドにそのN−末端で融合するCPL遺伝子生成物とルビスコ小サブユニットの最初の21アミノ酸残基を含有する類似の人工融合タンパク質(例えば「TP21UbiC」)について述べている。この修飾が葉緑体摂取と処理の向上をもたらすものと予想されたが、当初の構成物、TP−UbiC、を含有していた細胞の方がCPL酵素活性とpHBAグルコシドの両方においてより高いレベルを示した。したがってWasmannら(Mol.Gen.Genet.205:446−453(1986))の教示を適用しても別のタンパク質では逆効果であった。
【0014】
したがって解決すべき問題は、微生物タンパク質CPLにより触媒される化学反応を利用した、商業的に有用なレベルでpHBAを植物中で生産する方法を提供することである。これは上に記載したさまざまな厄介な問題に加えて、文献によれば大腸菌ではある種のN−末端修飾により酵素活性が大きく減少することがあることがわかっている(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996)ため、とりわけ野心的な目標である。その結果、効率良く葉緑体中へ輸入されるのみならず、タンパク質分解により、未修飾CPLまたは酵素活性を妨げないN−末端延長部を有するCPL変異株のいずれかを生むような人工融合タンパク質を同定することが重要となる。この問題に対する解決策は当該分野では知られていない。本出願人はこの問題を葉緑体中で十分に高レベルのCPl酵素活性を発現することができ、商業的に有用なレベルのpHBAを蓄積することのできる新規人工融合タンパク質を生成することによって解決した。
【0015】
(発明の概要)
本発明は、緑色植物中でpHBAを生産する方法であって、
a)コリスメートの内在性供給源を有し、および下記の構造を有するコリスメートピルベートリアーゼ発現カセットを含む緑色植物を提供する工程
P−T−C−D−CPL
(式中、
Pはコリスメートピルベートリアーゼ遺伝子の発現をドライブするのに適するプロモーターであり、
Tはルビスコ葉緑体トランジットペプチドをコードする核酸分子であり、
Cはルビスコ葉緑体トランジットペプチド開裂部位をコードする核酸分子であり、
Dはルビスコ葉緑体トランジットペプチドドナーポリペプチドのN−末端部の約4個から約20個の連続アミノ酸をコードする核酸分子であり、および
CPLは成熟コリスメートピルベートリアーゼタンパク質をコードする核酸分子であり、
ここでP、T、C、DおよびCPLはそれぞれ、該カセットの発現によって、成熟コリスメートピルベートリアーゼタンパク質のN−末端に融合する葉緑体標的配列を含むキメラタンパク質の翻訳が生じるように、作動可能に結合する。)、
b)前記キメラタンパク質が発現し、葉緑体に転流して、コリスメートがパラヒドロキシ安息香酸グルコシドとパラヒドロキシ安息香酸誘導体へと変換するような条件のもとで前記植物を栽培する工程、
c)パラヒドロキシ安息香酸とパラヒドロキシ安息香酸誘導体を前記植物から回収する工程、ならびに
d)前記パラヒドロキシ安息香酸グルコシドとパラヒドロキシ安息香酸誘導体を処理して遊離パラヒドロキシ安息香酸にする工程
を含む方法を提供する。
【0016】
特に詳しくは、本発明の方法は植物バイオマスの乾燥重量の2%を超える濃度、好ましくは10%を超える濃度でパラヒドロキシ安息香酸グルコシドを植物中で生産する。
【0017】
さらに本発明は、配列番号4に示すアミノ酸配列を有するコリスメートピルベートリアーゼ酵素をコードする核酸分子に作動可能に結合する、配列番号15に示すアミノ酸配列を有するリブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ小サブユニット由来葉緑体標的配列をコードする核酸分子を有するキメラ遺伝子を含む、コリスメートピルベートリアーゼ発現カセットを提供する。
【0018】
本発明は本出願の一部である、下記の詳細な説明と添付の配列説明により、さらに完全に理解されるであろう。
【0019】
本出願人は37C.F.R.1.821−1.825(「ヌクレオチド配列および/またアミノ酸配列開示を有する特許出願書類の要件−配列規則」)に適合し、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)ならびにEPOとPCTの配列リスト要件(ルール5.2および49.5(a−bis)およびセクション208と実施細則の付属C)に準拠した16の配列を提供した。ヌクレオチドとアミノ酸配列データに使用した記号と形式は37C.F.R§1.822に記載のものに従っている。
【0020】
配列番号1はGenbank受け入れ番号M96268を有する大腸菌CPLを大腸菌発現ベクター、pET−24a(+)(Novagen)に導入するのに有用な5’プライマーである。
【0021】
配列番号2はGenbank受け入れ番号M96268を有する大腸菌CPLを大腸菌発現ベクター、pET−24a(+)(Novagen)に導入するのに有用な3’−プライマーである。
【0022】
配列番号3は大腸菌発現ベクター、pET−24a(+)(Novagen)中のGenbank受け入れ番号M96268を有する大腸菌CPLのORFのヌクレオチド配列である。
【0023】
配列番号4は大腸菌発現ベクター、pET−24a(+)(Novagen)中のGenbank受け入れ番号M96268を有する大腸菌CPLのORFの一次アミノ酸配列である。
【0024】
配列番号5は大腸菌中でTP−CPLを発現するためのトマトルビスコ小サブユニット前駆体の葉緑体標的配列の増幅に有用な5’プライマーである。
【0025】
配列番号6は大腸菌中でTP−CPLを発現するためのトマトルビスコ小サブユニット前駆体の葉緑体標的配列の増幅に有用な3’プライマーである。
【0026】
配列番号7は大腸菌発現ベクター、pET−24a(+)(Novagen)中の葉緑体標的CPL融合タンパク質(TP−CPL)のORFのヌクレオチド配列である。
【0027】
配列番号8は大腸菌発現ベクター、pET−24a(+)(Novagen)中の葉緑体標的CPL融合タンパク質(TP−CPL)のORFの一次アミノ酸配列である。
【0028】
配列番号9はTP−CPLの予測された葉緑体開裂生成物(ΔTP−CPL)の増幅と大腸菌発現ベクター、pET−24d(+)(Novagen)中へのその挿入に有用な5’プライマーである。
【0029】
配列番号10はTP−CPLの予測された葉緑体開裂生成物(ΔTP−CPL)の増幅と大腸菌発現ベクター、pET−24d(+)(Novagen)中へのその挿入に有用な3’プライマーである。
【0030】
配列番号11はインビトロ転写/翻訳ベクター、pCITE4a(+)(Novagen)への挿入のためにTP−CPLを一次アミノ酸配列を変更せずに増幅、修飾するのに有用な5’プライマーである。
【0031】
配列番号12はインビトロ転写/翻訳ベクター、pCITE4a(+)(Novagen)への挿入のためにTP−CPLを一次アミノ酸配列を変更せずに増幅、修飾するのに有用な3’プライマーである。
【0032】
配列番号13はプラスミドpMH40をテンプレートとして使用して3’NOSターミネーター配列の切り詰められたバージョンを増幅するのに有用な5’プライマーである。
【0033】
配列番号14はプラスミドpMH40をテンプレートとして使用して3’NOSターミネーター配列の切り詰められたバージョンを増幅するのに有用な3’プライマーである。
【0034】
配列番号15はトマトリブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ小サブユニット由来の葉緑体標的配列である。
【0035】
配列番号16は処理された葉緑体標的化CPL融合タンパク質(TP−CPL)である。
【0036】
(発明の詳細な説明)
本発明は、緑色植物中において商業的に有用なレベルで、パラヒドロキシ安息香酸(pHBA)を高レベルの生産のための方法を提供する。pHBAは自動車、電気および他の産業で用いられている液晶ポリマーにおいてモノマーとして有用である。
【0037】
本方法は、1モルのコリスメートからの1モルのピルベートと1モルのpHBAへの直接変換を触媒する酵素であるコリスメートピルベートリアーゼ(CPL)を修飾したバージョンをコードする遺伝子の効率の良い発現に基づくものである。CPL変異株は植物中でタンパク質の発現をドライブする能力のある、適したプロモーターに作動可能に結合されたCPLコード配列を含む、発現カセットの形で緑色植物へと導入される。さらに、この発現カセットはCPLコード配列のすぐ上流に隣接する位置に、葉緑体トランジットペプチド、その天然開裂部位、およびトランジットペプチドドナーポリペプチドの小部分をコードするDNA断片を含有している。このトランジットペプチドは発現カセットによりコードされているキメラタンパク質を葉緑体に対して向かわせ、CPLの基質でありpHBAへと転換されるコリスメートの合成を行っているこの細胞器官内へ摂取させるように作用する。開裂部位はもとのトランジットペプチドドナーにユニークなもので、このカセットによりコードされた人工タンパク質のこの部位での開裂によりトランジットペプチドドナーの小部分をそのN−末端に含有する成熟CPL酵素を含む新規のポリペプチドが遊離する。
【0038】
この開示において、多数の用語と略語が用いられている。下記の定義を提供する。
【0039】
「ポリメラーゼ連鎖反応」はPCRと略記する。
【0040】
「コリスメートピルベートリアーゼ」はCPLと略記し、これはコリスメートからのピルベートおよびpHBAへの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子を指す。
【0041】
「パラヒドロキシ安息香酸」または「P−ヒドロキシ安息香酸」はpHBAと略記する。
【0042】
「P−ヒドロキシ安息香酸グルコシド」または「pHBAグルコシド」はpHBAとグルコース分子を含む付加体を指す。
【0043】
「pHBA誘導体」はpHBAの付加体であって、CPL酵素の触媒活性の結果として植物中に生成されるものを指す。
【0044】
「トランジットペプチド」または「葉緑体トランジットペプチド」は「TP」と略記され、葉緑体前駆体タンパク質のN−末端部分を指し、葉緑体前駆体タンパク質を葉緑体へと誘導し、そののち葉緑体処理プロテアーゼによって分割されるものを指す。
【0045】
「葉緑体標的配列」とは葉緑体への転流のために異種タンパク質のN−末端に結合しているポリペプチド延長部を指す。天然に産出する葉緑体前駆体タンパク質の場合、最適摂取とタンパク質分解処理は部分的には「成熟」葉緑体タンパク質に依存しているかもしれないが、このトランジットペプチドが葉緑体標的配列であると考えられている。
【0046】
「トランジットペプチドドナー配列」とは葉緑体前駆体タンパク質の「成熟」部分から派生する葉緑体標的配列の部分を指す。トランジットペプチドドナー配列は、常にトランジットペプチド開裂部位のすぐ下流の隣接する位置にあるが、この部位でトランジットペプチドは成熟葉緑体タンパク質から分離される。
【0047】
「葉緑体処理プロテアーゼ」とはトランジットペプチドと成熟葉緑体タンパク質間の開裂部位を分割することのできるプロテアーゼ酵素を指す。
【0048】
「トランジットペプチド開裂部位」とは葉緑体処理プロテアーゼが作用する葉緑体標的配列中の2つのアミノ酸間の部位を指す。
【0049】
ここで用いる「分離された核酸断片」とは一本鎖または二本鎖の、合成された、非天然のまたは改造されたヌクレオチド塩基を含有していてもよい、RNAまたはDNAのポリマーを指す。DNAのポリマーの形で分離された核酸部分は一つ以上のcDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAからなっていてもよい。
【0050】
「遺伝子」とは特定のタンパク質を発現する核酸断片を指すが、コード配列に先立つ調節配列(5’非コード配列)とコード配列後の調節配列(3’非コード配列)も含有する。「天然遺伝子」とは自身の調節配列と共に天然に見られる遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」とは天然には一緒に見られない調節配列とコード配列とを含有する天然遺伝子ではない遺伝子を指す。したがってキメラ遺伝子は異なるソースから得られる調節配列とコード配列を含むもの、または同じソースから得られる調節配列とコード配列ではあるが天然に見られるものとは異なる配置であるものである。「内在的遺伝子」とは生体のゲノム中で天然の位置にある天然遺伝子をさす。「外来性遺伝子」とは宿主生物中に通常は見られず、遺伝子移入により宿主生物中に導入されたものを指す。外来性遺伝子には天然遺伝子を本来の生体ではない生体中に挿入したもの、またはキメラ遺伝子が含まれる。「導入遺伝子」とは形質転換操作によってゲノムに導入された遺伝子である。
【0051】
「合成遺伝子」は当業者に知られた手順によって化学的に合成されたオリゴヌクレオチド形成ブロックから組み立てることができる。これらの形成ブロックは連結とアニーリングにより遺伝子セグメントを形成し、これらが酵素により組み立てられて完全な遺伝子を構築する。「化学的に合成された」とは、DNAの配列に関連し、成分ヌクレオチドが生体外で組み立てられたことを意味する。DNAの手作業による化学的合成はすでにしっかりと確立された手順を用いて行うことができ、または多数の市販の装置の一つを用いて自動化された化学合成を行うこともできる。したがって、宿主細胞のコドンバイアスを反映するようにヌクレオチド配列の最適化に基づいた最適遺伝子発現のために遺伝子を調整することができる。当業者には、コドンの使用が宿主に好まれるコドンに偏っていれば遺伝子発現の成功確率が高まることがおわかりになるであろう。好ましいコドンの判断は配列情報の入手可能な宿主細胞から得られる遺伝子の調査に基づいて行われる。
【0052】
「コード配列」とは特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「適した調節配列」とはコード配列の上流(5’非コード配列)、その中、または下流(3’非コード配列)に位置し、関連するコード配列の翻訳、転写、RNAプロセシングや安定性に影響をおよぼす配列である。調節配列にはプロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位およびステム−ループ構造が含まれる。
【0053】
「プロモーター」とはコード配列または機能性RNAの発現を調節することのできるヌクレオチド配列を指す。一般に、コード配列はプロモーター配列に対し3’の位置にある。プロモーター配列は近位とより遠位の上流にある要素からなっており、後者はしばしばエンハンサーと呼ばれる。したがって「エンハンサー」とはプロモーター活性を刺激することができるヌクレオチド配列であり、プロモーター内生の要素であってよく、あるいはプロモーターの組織特異性やレベルを強化するために挿入された異種の要素であってもよい。プロモーターは天然遺伝子からその全体を得たものであってもよく、または天然に産出する異なるプロモーターから得られた異なる要素からなっていてもよく、あるいは合成ヌクレオチドセグメントからなるものであってもよい。当業者には異なるプロモーターは異なる組織または細胞系において、または発達の異なる段階で、または異なる環境的条件に応答して、遺伝子の発現を誘導できることが理解できるであろう。ほとんどの時期において、ほとんどの細胞系の中で核酸断片を発現させるプロモーターを通常「構成的プロモーター」と呼ぶ。植物細胞中で様々な型の新規のプロモーターが常に発見されている;多数の例をOkamuroとGoldbergの編纂による(1989)Biochemistry of Plants 15:1−82に見ることができる。さらにほとんどの場合において、調節配列の厳密な境界が完全に定義されてないので、異なる長さの核酸断片が全く同一のプロモーター活性を有することもあることを認識することが必要である。
【0054】
「3’非コード配列」とは、コード配列の下流に位置するDNA配列を指し、ポリアデニル化認識配列およびmRNAプロセッシングまたは遺伝子発現に影響をおよぼしうる調節信号をコードするその他の配列を含有する。このポリアデニル化信号は通常mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸鎖付加に影響を与えることによって特徴付けられる。
【0055】
「作動可能に結合されている」という用語は単一の核酸断片上で核酸配列が、一方の機能が他方によって影響を受けるように会合していることを指す。例えばプロモーターがコード配列の発現に影響をおよぼすことができるとき(すなわちコード配列がプロモーターの転写調節を受けているとき)、プロモーターは作動可能にコード配列に結合している。コード配列はセンスあるいはアンチセンスのオリエンテーションにおいて調節配列に作動可能に結合させることができる。
【0056】
「発現」という用語はここでは本発明の核酸断片から得られたセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積を指す。発現はmRNAのポリペプチド内ヘの翻訳を指すこともできる。
【0057】
「成熟した」タンパク質とは、翻訳後、プロセッシングが行われたポリペプチドを指す。すなわち初期の翻訳生成物中に存在するプレ−およびプロペプチドが除かれたものである。「前駆体」タンパク質とはmRNAの初期の翻訳生成物を指し、すなわちプレ−およびプロペプチドがまだ存在している。プレ−およびプロペプチドは細胞内局在化シグナルであってもよいが、これに限定されるわけではない。
【0058】
「形質転換」とは核酸断片を宿主生体のゲノム内へ移入し、その結果遺伝的に安定な遺伝形質が得られることを指す。形質転換された核酸断片を含有する宿主生体は「遺伝子導入」、「組み換え」または「形質転換」生物と呼ばれる。
【0059】
「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」という用語はしばしば遺伝子を有する染色体外遺伝要素であって、細胞の中心的物質代謝の一部ではなく、通常環状の二重らせんDNA分子の形で存在するものを指す。このような要素は自律複製する配列、ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列、直線状または環状のあるいは、一本鎖、二本鎖DNAまたはRNAであってよく、どのような供給源から得たものであってもよく、適切な3’非翻訳配列にそって、選択された遺伝子生成物のためのプロモーター断片およびDNA配列を細胞中へ導入することのできる、多数のヌクレオチド配列が一つのユニークな構成体にまとめられ、あるいは再び結合されたものである。「形質転換カセット」とは異種遺伝子を含有し、異種遺伝子に加えてある特定の宿主細胞の形質転換を促進する要素を有する特定のベクターを指す。「発現カセット」とは異種遺伝子を含有し、異種遺伝子に加えて、異種宿主中でこの遺伝子の強化発現を行わせる要素を有する特定のベクターを指す。
【0060】
ここで用いた標準的な組換えDNAおよび分子クローン化技術は当該分野では良く知られており、Sambrook、J.,Fritsch、E.F.およびManiatis、T.,による記載がMolecular Cloning: A Laboratory Manual、 Second Edition、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、 Cold Spring Harbor、NY(1989)(以降「Maniatis」と呼ぶ)にあり;またSilhavy T.J.,Bennan、M. L.およびEnquist、L.W.による記載が、Experiments with Gene Fusions、Cold Spring Harbor Laboratory Cold Press Spring Harbor、 NY(1984)にあり;さらにAusubel、F.M.らによる記載がCurrent Protocols in Molecular Biology、 (Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience(1987)出版)にある。
【0061】
CPL発現カセット
本発明は完全な活性を持ち、修飾されたバージョンのコリスメートピルベートリアーゼ(CPL)の発現およびこのポリペプチドを宿主植物の葉緑体へと向かわせるのに有用な発現カセットを提供する。通常この発現カセットは(1)5’と3’調節配列の転写調節下にあるクローン化したCPL遺伝子と(2)優性選択マーカーとを含有するであろう。本発明の発現カセットはまたプロモーター調節領域(例えば誘導可能なまたは構成的な、環境的にあるいは発達的に調節された、または細胞、あるいは組織特異性/選択的発現を行わせるもの)、転写開始部位、リボソーム結合部位、RNAプロセッシングシグナル、転写終了部位、および/またはポリアデニル化シグナルを含有してもよい。好ましい実施態様において、本発明のカセットはさらにトランジットペプチドをコードする配列ならびに宿主植物細胞葉緑体プロセッシングプロテアーゼの作用を受ける、トランジットペプチド開裂部位を含む、トランジットペプチドドナーの一部をコードする配列と、トランジットペプチドをコードする配列をも含有する。本カセットはまたCPL発現を促進するため、一つ以上のイントロンを含有してもよい。
【0062】
CPL遺伝子はコリスメート1モルをピルベート1モルとpHBA1モルに変換する酵素をコードする。もっともよく特徴付けがなされているCPL遺伝子は大腸菌から分離されたGenBank受け入れ番号M96268のものである。
【0063】
本CPL遺伝子を駆動するのに有用なプロモーターは数多く、当該分野でよく知られている。プロモーターとしては、植物中で作用し、かつ一般にCPL発現カセットが存在する植物宿主から得られるものが適している。CPL遺伝子の発現を誘導することのできるプロモーターとターミネータの組み合わせであればいかなる組み合わせも本カセットで使用することができる。いくつかの適したプロモーターとターミネータの組み合わせとしては、ノパリンシンターゼ(nos)、オクトピンシンターゼ(ocs)およびカリフラワーモザイクウィルス(CaMV)遺伝子があげられる。使用することのできる効率のよい植物プロモーターの一つの型は高レベル植物プロモーターである。本発明の遺伝子配列と作動可能に結合させたこのようなプロモーターは本遺伝子生成物の発現を促進することができるはずである。本発明で使用することのできる、高レベル植物プロモーターには例えばダイズ由来のリブロース−1、5−ビスリン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(ss)のプロモーター(Berry−Lowe et al.,J.Molecular and App.Gen.,1:483−498 1982))、およびクロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーターがある。これらの二つのプロモーターは植物細胞中で光誘導されることがわかっている(例えばGenetic Engineering of Plants、an Agricultural Perspective、 A.Cashmore、Plenum、New York(1983)、pages29−38;Coruzzi、G. et al.,The Journal of BiologicalChemistry、258:1399(1983)、およびDunsmuir、P. et al.,Journal of Molecular and Applied Genetics、2:285(1983)参照のこと)。
【0064】
ポリペプチド発現が求められる本発明の場合、一般にCPLコード領域の3’−末端にポリアデニル化領域を含有することが望ましい。ポリアデニル化領域はさまざまな植物遺伝子あるいはT−DNAから得ることができる。添付する3’末端配列は例えばノパリンシンターゼあるいはオクトピンシンターゼ遺伝子から得ることができ、あるいは別法として別の植物遺伝子から、または好ましさの度合いは下がるがその他の真核生物の遺伝子から得ることもできる。
【0065】
5’非翻訳領域、または部分コード配列のコード配列にイントロン配列を添付し、細胞質ゾル中に蓄積する成熟メッセージの量を増加させることができる。スプライス可能なイントロンを植物および動物発現構成体の転写ユニット中に含有させることにより、mRNAとタンパク質レベルでの遺伝子発現が1000倍にまで引き上げられることが示されている。Buchman and Berg、 Mol.Cell Biol.8:4395−4405(1988);Callis et al.,Genes Dev.1:1183−1200(1987)。このような遺伝子発現のイントロンによる増大は転写ユニットの5’末端の近くに置かれた時に通常最大となる。トウモロコシイントロンAdhl−Sイントロン1、2、および6、Bronze−1イントロンが当該分野で知られている。一般にはThe Maize Handbook、Chapter116、Freeing and Walbot、Eds.,Springer、New York(1994)を参照のこと。
【0066】
好ましい実施態様においてCPLタンパク質を葉緑体およびその他のプラスチドへと導くことは有用であろう。典型的にはこれは発現されたタンパク質をプラスチド向かわせ、その細胞器官中への転流を促進する、葉緑体トランジットペプチドの導入によって実施される。多数の葉緑体トランジットペプチドが知られており、本発明の発現カセット中で作動可能である。例をあげるとこれに限るわけではないがPisum(Esutorera et al.,JP1986224990;E00977)、ニンジン(Luo et al、Plant Mol. Biol.,33(4)、709−722(1997;Z33383)、Nicotiana(Bowler et al., EP0359617;A09029)、Oryza(de Pater et al., Plant Mol.Biol.,15(3)、399−406(1990);X51911、およびHerrera−Estrella et al.,EP0189707;U. S.5、728、925;U.S.5、717、084(A10396およびA10398)に記載されているような合成配列などがある。本発明においては、いずれの植物から分離されたものでもよいが、リブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ(ルビスコ)小サブユニット前駆体タンパク質の葉緑体トランジットペプチドが好ましい。このルビスコ小サブユニットは様々な植物から得たものが十分に特徴付けされており、これらのトランジットペプチドはいずれも本発明での使用に適しているであろう。例えばPhyscomitrella(Quatrano et al.,AW599738);Lotus(Poulsen et al.,AW428760);Citrullus(J.S.Shin、AI563240);Nicotiana(Appleby et al.,Heredity(1997)、79(6)、557−563);アルファルファ(Khoudi et al.,Gene(1997)、197(1/2)、343−351);ジャガイモおよびトマト(Fritz et al.,Gene(1993)、137(2)、271−4);小麦(Galili et al.,Theor.Appl.Genet.(1991)、81(1)、98−104);および米(Xie et al.,Sci.Sin.,Ser.B(Engl.Ed.) (1987)、30(7)、706−19)を参照のこと。例えばトランジットペプチドはこれに限るわけではないが、ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、オートムギ、モロコシ、コメ、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、テンサイ、サトウキビ、キャノーラ、キビ、マメ、エンドウマメ、ライムギ、アマ、および飼草などの植物から分離したルビスコ小サブユニットから得ることができる。本発明での使用に好ましいのはトマトルビスコ小サブユニット前駆体タンパク質である。
【0067】
葉緑体標的配列は所望のタンパク質を葉緑体へと向かわせるのみならずその細胞内器官中への転流を促進する。これには成熟したポリペプチドまたはタンパク質からの葉緑体にもともと存在する葉緑体プロセシングプロテアーゼによる適切なトランジットペプチド開裂部位でのトランジットペプチドの開裂が伴なう。したがって、本発明の葉緑体標的配列は、葉緑体中に含有される活性成熟ポリペプチドへとプレタンパク質が正しくプロセシングされるための適切な開裂部位を含有する。本発明において好ましいのは、天然に存在するCysとMet残基の間にこのトランジットペプチドを成熟ポリペプチドから分離する開裂部位を有する、トマトルビスコ小サブユニット前駆体タンパク質の葉緑体標的配列である。
【0068】
機能的CPL発現カセットを用いてCPLの発現と葉緑体中でのpHBAグルコシドの生産に適した植物宿主を形質転換する。事実上CPL遺伝子の発現をサポートすることのできる植物宿主であればいずれも適しているが、収穫の容易さとバイオマスの大きさから、作物植物が好ましい。適した植物宿主の例をあげるとこれに限るわけではないが、単子葉および双子葉植物のいずれでもよく、ダイズ、ナタネ、(Bzassica napus、B.campestris)、ヒマワリ(Helianthus annus)、ワタ(Gossypium hirsutum)、トウモロコシ、タバコ(Nicotiana tabacum)、アルファルファ(Medicago sativa)、コムギ(Triticum sp)、オオムギ(Hordeum vulgare)、燕麦(Avena sativa、L)、ソルガム(Sorghum bicolor)、コメ(Oryza sativa)、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、テンサイ、サトウキビ、キャノーラ、キビ、マメ、エンドウマメ、ライムギ、アマ、および飼草などがあげられる。
【0069】
植物細胞宿主に構成体を導入するための様々な技法が利用可能であり当業者に知られている。これらの技法にはA.tumefaciensやA.rhizogenesを形質転換剤として用いたDNA形質転換、エレクトロポレーション、粒子加速法などがある[例えばEP295959およびEP138341を参照のこと]。一つの適した方法ではAgrobacterium sppのTiとRiプラスミドのバイナリー型のベクターが使用されている。Ti誘導ベクターはダイズ、ワタ、ナタネ、タバコおよびコメなどの単子葉植物および双子葉植物を初めとする広範囲に渡る高等植物の形質転換を行う[Pacciotti et al.(1985)Bio/Technology3:241;Byrne et al.,(1987)Plant Cell、Tissue and Organ Culture8:3;Sukhapinda et al.,(1987)Plant Mol.Biol.8:209−216;Lorz et al.,(1985)Mol.Gen.Genet.199:178;Potrykus(1985)Mol.Gen.Genet.199:183;Park et al.,J. Plant Biol.(1995)、38(4)、365−71;Hiei et al.,Plant J.(1994)、6:271−282]。T−DNAを植物細胞の形質転換へ使用することは大々的に研究されており、多くの記載がある[EP 120516;Hoekema、In: The Binary Plant Vector System、Offset−drukkerij Kanters B.V.;Alblasserdam(1985)、Chapter V、Knauf、et al.,Genetic Analysis of Host Range Expression by Agrobacterium In:Molecular Genetics of the Bacteria−Plant Interaction、Puhler、 A.ed.,Springer−Verlag、New York、1983、p. 245;およびAn、et al.,EMBO J.(1985)4:277−284]。植物体に導入するために、本発明のキメラ遺伝子は実施例に記載するようにバイナリーベクター内に挿入することができる。
【0070】
その他の形質転換法も当業者は使用することができる。例えば異種DNA構成体の直接摂取[EP 295959参照]、エレクトロポレーション法[Fromm et al.(1986)Nature(London)319:791参照] あるいは核酸構成体で被覆した金属粒子を用いた高速弾動衝撃法[Kline et al.(1987)Nature(London)327:70、そして米国特許第4、945、050号参照]。ひとたび形質転換が行われれば、当業者は細胞の再生を行うことができる。特に適しているのは、外来の遺伝子を商業的に重要な作物内に転換する、最近発表された方法である、例えば菜種[De Block et al.,(1989)Plant Physiol.91:694−701参照]、ヒマワリ[Everett et al.,(1987)Bio/Technology5:1201]、ダイズ[McCabe et al., (1988)Bio/Technology6:923;Hinchee et al.,(1988)Bio/Technology6:915;Chee et al.,(1989)Plant Physiol. 91:1212−1218; Christou et al.,(1989)Proc. Natl. Acad. Sci USA 86:7500−7504;EP 301749]米[Hiei et al.,Plant J.(1994)、6:271−282]、そしてトウモロコシ[Gordon−Kamm et al.,(1990)Plant Cell 2:603−618;Fromm et al.,(1990)Biotechnology8:833839]などがある。
【0071】
形質転換植物細胞はその後適当な選択培地に置かれ形質転換細胞の選択を行い、この細胞をついでカルスへと育てる。カルスからシュートが、シュートから発根媒体中で栽培することにより幼植物が形成される。さまざまな構成体は通常植物細胞中での選択のためマーカーと結合される。このマーカーは殺生物剤(特にカナマイシン、G418、ブレオマイシン、ハイグロマイシン、クロラムフェニコール、除草剤などの抗生物質)に対して抵抗性のあるものが好都合である。この特定のマーカーを使用することにより、導入DNAを持たない細胞と比較して形質転換された細胞を選択することができる。本発明の転写カセットをはじめとするDNA構成体の成分は、宿主の生来の(内在性)および外来の(外来性)配列から調製することができる。「外来」とはこの構成体を導入する野生型の宿主にはこの配列が含まれていないことを指す。異種の構成体には、転写開始領域を取り出すべき、この遺伝子には生来備わっていない少なくとも一つの領域が含有される。遺伝子導入細胞および植物中での導入遺伝子の存在を確認するには、当業者に知られた技法を用いてサザーンブロット分析を行うことができる。
【0072】
CPLの葉緑体への転流とそれに続くプロセシング
本発明はCPL遺伝子生成物を葉緑体中に商業的に有用な量のpHBAを生じるに十分な酵素活性をもって転流を行わせるための葉緑体標的配列の新規の操作法に基づくものである。本出願人らは本発明の基幹となる様相がトランジットペプチドのみならず天然に存在する葉緑体開裂部位およびトランジットペプチドドナーの成熟N−末端の小部分をも含有させることにあることを見い出した。その原理はコリスメートのpHBAへの変換が高率で行われるように、葉緑体摂取と外来タンパク質のプロセシングを向上することにある。しかし、細胞内器官への摂取に続き、トランジットペプチドはタンパク質分解により葉緑体プロセシング酵素によって除去され、N−末端に小さいポリペプチド延長部を有するCPL変異体を生じる。予期しなかったことに、これらの追加のアミノ酸残基はCPL酵素活性を妨げず、形質転換植物は先に報告されたものよりも有意に多量のpHBA誘導体を蓄積する本キメラタンパク質を発現する。pHBAの産生に関してはこのタイプの特異性に対する必要は当該分野においてまだ認められていなかった。
【0073】
CPLを生植物体の葉緑体中で発現させる試みとして唯一報告されている例はSiebertらのPlant Physiol.112:811819(1996)である。しかし本キメラタンパク質(例えばTP−CPL)とSiebertら(上記)が述べる大腸菌CPL(例えばTP−UbiC)の葉緑体標的化バージョンとの間には多くの重要な相違が存在する。例えば、本キメラには、トランジットペプチドを効率よく除去するためのしっかりと定義された開裂部位を有する、葉緑体標的配列が含まれる。さらにこの特定の部位でトランジットペプチドを除去することにより成熟CPLポリペプチドのN−末端領域に5つの追加アミノ酸の付加がおこる。これと対照的にSiebertら(上記)が述べるTP−UbiCにはきちんと定義された開裂部位がなく、さらに推定的トランジットペプチド開裂部位と大腸菌CPLのイニシエータメチオニン残基との間に挿入された9個のアミノ酸伸長部分が含まれている。これらの相違点はさらに図1で説明する。
【0074】
図1はそのトランジットペプチド完備したトマトルビスコ小サブユニット前駆体(1行目)、TP−CPL(2行目)、TP−UbiC(3行目)および大腸菌CPL(1行目)のアミノ酸配列を示す。本キメラタンパク質(2行目)はトマトルビスコ小サブユニット前駆体の葉緑体トランジットペプチド(緑残基)と「成熟」ルビスコの最初の4つのアミノ酸残基が大腸菌CPLのイニシエータMet残基に結合しているものからなっている。したがって、TP−CPLは全トランジットペプチドのみならず通常トランジットペプチドの除去が行われる高度に保存された開裂部位(例えば矢印で示す、CysとMet残基の間)も含有する。葉緑体中でTP−CPLがやはりこの部位で開裂すると考えると、得られるタンパク質は5個のアミノ酸残基をN末端に有するCPL変異体となろう。本出願人は予測されたTP−CPLの葉緑体開裂生成物を大腸菌中で発現させ、それを精製して均一にし、さらにこれが酵素活性的に完全に機能性を有していることを示した。本出願人はまた「成熟」ポリペプチドを本キメラタンパク質を発現する形質転換タバコ植物から精製し、そのN−末端をエドマン分解法に付すことによって、タンパク質分解処理がCys−Met結合で生じることを示した。
【0075】
これと対照的に、図1の3行目に示すように、TP−UbiC(Siebertら、上記)はトランジットペプチド除去がルビスコ小サブユニット前駆体、または成熟ルビスコポリペプチドに属するアミノ酸残基のどれかで通常生じる開裂部位を含有しない(Mazur et al.,Nuc Acids Res. 13:2373−2386(1985);Berry−Lowe et al.,J.Mol.and Appl.Gen.1、483−498(1982))。実際ほとんどの植物種において高度に保存されている開裂部位の一部を形成しているこのMet残基は、葉緑体プロセシング酵素によって認識されるかもしれないが認識されないかもしれないAla残基により置換されている。さらにTP−UbiCは9個のアミノ酸残基(黒字で示す)の伸長部分を含有し、これは推定開裂部位のCys残基と大腸菌CPlのイニシエータMet残基間に並置されている(図1)。これらの追加のアミノ酸はTP−Ubic人工融合タンパク質(Siebertら、上記)の構築中にクローン化アーティファクトとして導入されたもので、それらが葉緑体輸入および/またはタンパク質分解処理に対して及ぼす恐れのある悪影響については探究されていなかった。いずれにせよ、トランジットペプチドの開裂が示唆通りCys−Ala結合でおこるのであったとしても、得られた「成熟」タンパク質には9個の余分なアミノ酸残基がそのN−末端に含有され、それがCPL酵素活性に対し悪影響を及ぼす恐れがある(参照、表I、(Siebertら(上記)の2行目および4行目)。
【0076】
(実施例)
本発明をさらに下記の実施例により詳しく述べる。これらの実施例は本発明の好ましい実施態様を示すものであるが、説明のためだけに提示するものである。上記の解説およびこれらの実施例から当業者は本発明の本質的な特徴を確かめることができ、その範囲と精神から逸脱することなく、本発明にさまざまな変更と修正を行い種々の用途ならびに条件へと本発明を適合させることができるであろう。
【0077】
(一般的方法)
本実施例中で用いた標準的な組換えDNAおよび分子的クローニング技法は当該分野においてよく知られており、Sambrook、J.,Fritsch、 E. F.and Maniatis、T.Molecular Cloning: A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor、(1989)(Maniatis)およびT.J.Silhavy、M.L.Bennan、L.W.Enquist、Experiments with Gene Fusions、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1984)さらにAusubel、F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscience (1987)発行)に記載されている。
【0078】
微生物の培養物の維持と増殖のための材料および方法は当該分野でよく知られている。下記の実施例で使用するのに適した技法はManual of Methods for General Bacteriology(Phillipp Gerhardt、R.G.E.Murray、Ralph N.Costilow、Eugene W.Nester、Willis A.Wood、Noel R.Krieg and G.Briggs Phillips、eds)、American Society for Microbiology、Washington、DC(1994))またはThomas D.Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology、Second Edition、Sinauer Associates、Inc.,Sunderland、MA(1989)に記載のようなものである。微生物細胞の増殖および維持に使用したすべての試薬、制限酵素および材料は、特に明記しない限りAldrich Chemicals(Milwaukee、WI)、DIFCO Laboratories(Detroit、MI)、GIBCO/BRL(Gaithersburg、MD)、またはSigma Chemical Company(St.Louis、MO)から入手した。
【0079】
遺伝子配列の操作はGenetics Computer Group Inc.(Wisconsin Package Version 9.0、Genetics Computer Group (GCG)、Madison、WI)から入手可能な一式のプログラムを用いて行った。GCGプログラム「Pileup」を用いた場合はギャップクリエーションデフォルト値には12を、ギャップイクステンションデフォルト値には4を用いた。CGC「Gap」または「Bestfit」プログラムを用いた場合、デフォルトギャップクリエーションペナルティーには50、デフォルトギャップエクステンションペナルティーには3を使用した。いずれの場合にもGCGプログラムパラメータ用のプロンプトの指示がない場合、これらおよびその他のGCGプログラムではデフォルト値を使用した。
【0080】
略語の意味は下記の通りである。「h」は時間、「min」は分、「sec」は秒、「d」は日、「mL」はミリリットル、「L」はリットルを示す。
【0081】
(実施例1)
大腸菌CPLのPCR−クローニング
ゲノムDNAからの大腸菌ubiC遺伝子を増幅するために二つのPCRプライマーを使用したが、後に高コピー数プラスミドへと連結するために、ユニークな制限部位をその隣接領域に添付した。この遺伝子が、以後CPLと呼ぶ、コリスメートピルベートリアーゼをコードする。この目的のために用いたプライマーは大腸菌ubiC遺伝子(GenBank受け入れ番号M96268)の公表されているDNA配列に基づく、下記のヌクレオチドからなっていた。
プライマー1−(配列番号1)
5’−CTA CTC ATT Tca tat gTC ACA CCC CGC GTT AA−3’
プライマー2−(配列番号2)
5’−CAT CTT ACT aga tct TTA GTA CAA CGG TGA CGC C−3’
【0082】
下線を付した塩基はターゲット遺伝子とハイブリッドを形成し、一方小文字はPCRプライマーの末端に添付した制限部位(NdeIまたはBglII)を示す。
【0083】
大腸菌ubiC遺伝子の増幅はプライマー1および2と大腸菌株W3110(Campbell et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.75:22762284(1978))からのゲノムDNAを用いて行った。プライマー1は遺伝子の始めの部分でハイブリッドを形成し、NdeI部位をタンパク質の開始コドンに導入する、一方プライマー2は他端でハイブリッドを形成し、終止コドンのすぐ後にBg1II部位を設ける。100μlのPCR反応液には100ng弱のゲノムDNAと両プライマーを最終濃度が0.5μMとなるように含有させた。他の反応成分は製造者のプロトコルに従い、GeneAmp PCR Reagent Kit(Perkin Elmer)により提供された。増幅はDNA Thermocycler 480(Perkin Elmer)中でそれぞれ94℃で1分、55℃で1分、さらに72℃で1分のサイクルを22回おこなった。最後のサイクルの後、72℃で7分の延長期間を設けた。
【0084】
PCR生成物をNdeIとBglIIで切断し、得られた断片をNdeIとBamHIで消化した大腸菌発現ベクター、pET−24a(+)(Novagen)に連結した。この連結反応混合物を用いて大腸菌DH10Bエレクトロコンピテント細胞(GibcoBRL)の形質転換をBTX Transfector 100(Biotechnologies and Experimental Research Inc.)を用いて製造者のプロトコルに従い行ない、カナマイシン(50μg/ml)を含有するLB培地上で生成物を選択した。プライマー1、プライマー2、および各再懸濁コロニーをテンプレート源として用いたPCR反応により、CPLの挿入されたプラスミドを含有した形質転換細胞を同定した。これ以降この技法は単に「コロニーPCR」と呼ぶ。プラスミドDNAを正しいサイズのPCR生成物を生じた代表的コロニーから分離し、CPLに相当する全挿入部分の全配列を調べてPCRのエラーをチェックした。エラーは一つも見つからなかった。今後の操作のために選択したプラスミドを以降「pET24a−CPL」と呼ぶ。pET24a大腸菌発現構成体中のCPLのORFヌクレオチド配列およびその予測された1次アミノ酸配列を配列番号3および配列番号4にそれぞれ示す。コード領域はGenBank受け入れ番号M96268で示されるORFと全く同一であることに注意して頂きたい。
【0085】
(実施例2)
組み換え大腸菌CPLの過発現、精製および特徴付け
酵素の特徴付けおよび抗体製造のために十分な量のCPLを製造するため、pET24a−CPLを大腸菌BL21(DE3)中に導入した。これはBTX Transfector 100(Biotechnologies and Experimental Research Inc.)を製造者のプロトコルに従って用いたエレクトロポレーションにより行った。カナマイシン(50μg/ml)を含有するLB培地上で生成物を選択し、その後の操作のために一つのコロニーを選択した。組み換えタンパク質の製造のために、プラスミド所有株を上記の培地を用いて液体培地により30℃で増殖し、0.15mMのIPTGを用いて0.8弱のA600nmで細胞を誘導した。同じ増殖条件のもとで4.5時間誘導を行った後、細胞を遠心分離により集め、その後の使用のために−80℃で保存した。続く工程は0から4℃で行った。
【0086】
約3倍量の0.1MのTris−HCl(pH7.7)、5mMのMgSO4、1mMのジチオスレイトール、0.03mg/mlのデオキシリボヌクレアーゼI、0.5mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物に凍結細胞ペレットを再度懸濁し20,000psiでフレンチプレス細胞破砕機に2回かけた。デブリを遠心分離(43,0000x g、1時間)で除き、30mg弱のタンパク質を1mL中に含有する無細胞抽出物にグリセロール(5%)を補いその後の使用のために−80℃で保存した。タンパク質濃度をBSAを標準液としたLowry et al.(Lowry et al.,Biol Chem.193:265−275(1951))の方法により求めた。無細胞抽出液をSDS−PAGE分析した結果、上記の増殖条件の下で大腸菌BL21(DE3)中で組み換えタンパク質は全可溶性タンパク質の15%を上回るレベルでよく発現していたことが分かった。しかしフレンチプレス細胞破砕機抽出液の可溶画分には組み換えタンパク質の約25%しか回収されなかった。この材料は下記に示す精製に用いた。
【0087】
精製の最初には陰イオン交換クロマトグラフィーを必要とした。組み換えCPLを含有する大腸菌の無細胞抽出液の一定量(1.0mL)を手早く室温に戻し、脱イオン水で1:1に希釈し、0.2μmのAcrodiscフィルター(Gelman Sciences、Cat.No.4192)でろ過した。全サンプルをMonoQ HR5/5カラム(Pharmacia Biotech Inc)に付しこれを25℃で流量1ml/minのバッファーQ(Tris−HCl50mM、pH7.7、亜硫酸ナトリウム10mM、EDTA1mM)を用いて展開させた。これらの条件のもとでは組み換えCPLは陰イオン交換樹脂に吸着せず、カラムから最初の数分間で均一濃度で溶出する。カラム流出物を一本の管に集め、5%(w/v)のグリセロールを補い、最終体積が450μLとなるまでCentricon−10(Amicon Inc.)中4℃で濃縮した。この簡単な手順の後の組み換えタンパク質はSDS−PAGE(Laemmli U.,Nature227:680−685(1970))とクーマシーブルー染色により調べたところ〜90%の純度を示した。次の工程では、20μLの濃縮サンプルを0.3MのNaClを含有するバッファーQであらかじめ平衡化した7.5x600mmのTSK G3000SWゲルろ過カラム(TOSOH Corp.)に付した。このカラムを流量1.0mL/min(25℃)で展開すると、高度に精製された組換えCPLが19.7−21分の間に溶出した。残りの半量のサンプルを全く同じ方法で処理している間、この精製組換CPLを氷上に保った。この二つのゲルろ過カラムからのピーク画分をプールし、グリセロール(5%)を補って、タンパク質の濃度が12mg/mL弱となるよう濃縮した後、その後の使用に備えて80℃で保存した。精製したタンパク質の収量は3.7mg弱で無細胞抽出液中に含まれる全タンパク質量の約12%に相当する。目視により過負荷クーマシー染色ゲルを目視したところ、組換えタンパク質の最終調製物は98%を超える純度を有することがわかった。
【0088】
精製組み換えCPLをエドマン分解に付したところ、このタンパク質のイニシエータMet残基が大腸菌中で除去されていることがわかった。このマイナーな翻訳後修飾の他にも、組換えCPLの始めの13個のアミノ酸が配列番号4に示すタンパク質の2から14の残基(例えば真正大腸菌タンパク質のORF)と全く同一であった。精製した組換えCPLのプロモーター分子量はエレクトロスプレーイオン化質量分析により求めたところ18644.6ダルトンであった。この値はイニシエータMet残基が含有されていないとしたDNA配列から予測される分子量(18645.49ダルトン)と極めてよく一致している。これらの観察に基づき、イニシエータMet残基が野生型の大腸菌タンパク質からも切断により失われているという結論を導くことが妥当である。なぜなら後者のヌクレオチド配列は組換えCPLと全く同一であるからである。
【0089】
精製された組換えタンパク質の酵素活性を評価するために、連続的な分光分析の技法を開発した。このアッセイはコリスメートのpHBAへの変換により、後者の芳香環が形成される結果、246nmにおける吸光度が増加するということに基づくものである。初期の生成物形成速度を25℃で90mMのTris−HCl(pH7.6)、0.2MのNaCl、100μMのコリスミ酸バリウム(Sigma)、および量を様々に変えた精製組み換えCPLを入れた石英キュベット中で測定した。反応は酵素により開始させた。生成物の形成は246nmでの吸光度の変化から11,220M−1のpHBAの吸光係数を用いて計算した。後者は全く同一の条件のもとでpHBAの濃度を5μMから100μMへと変化させて求めた。光の吸収はpHBA濃度に正比例していた。上記のアッセイに基づいた、精製組み換えCPLの25℃での代謝回転数は36min−1弱であった。同一の組換えタンパク質を拡大規模で精製して得たさらに二つの調製物からは、同条件の下でやや高い代謝回転数(例えば41min−1と42min−1)が得られた。文献中でこの酵素に関して得られる唯一の値は49min−1である(Nichols et al.,J.Bacteriol.174:53095316(1992))が、このアッセイは37℃で行われていた。CPL酵素反応のQ10(温度係数)が少なくとも2で特徴付けられていると考えると、これらの観察から、上に記載した精製組換えタンパク質は完全に活性であることがわかる。
【0090】
(実施例3)
葉緑体に標的化したバージョンのCPL:TP−CPLの構築
CPLの生理的基質であるコリスメートはフェニルアラニンおよびチロシンといったアミノ酸を始めとする数多くの芳香族化合物合成の分岐点となる重要な中間体である。植物中でコリスメートは葉緑体およびその他の型のプラスチド中に局在するシキミ酸経路中で形成される(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996))。したがって外来タンパク質をコリスメート生産部位である葉緑体へと効率的に向かわせるN−末端葉緑体標的配列を有するCPLを提供することが極めて重要である。これはCPLのイニシエータMet残基に融合するトマトルビスコ小サブユニット前駆体タンパク質から得られた葉緑体標的配列からなるキメラタンパク質を構築することによって行われる。得られる融合タンパク質は以降「TP−CPL」と呼ぶ。ルビスコ小サブユニットのトランジットペプチドと「成熟」ルビスコの始めの4個のアミノ酸残基に対応するDNA断片を作るにはPCRを用いた。増幅のための標的はプラスミドpTSS1−91−(#2)−IBI(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996))であり、これはrbcS2用トマトルビスコ小サブユニット前駆体の全長cDNAクローンを含有している(Sugita et al.,Mol Gen Genet.209:247−256(1987);Siebert et al.,Plant Physiol.112:811819(1996))。下記のプライマーをこの反応において使用した。
プライマー3
5’−CTA CTC ACT TAG ATC Tcc atg gCT TCC TCT GTC ATT TCT−3’(配列番号5)
プライマー4
5’−CAT CTT ACT cat atg CCA CAC CTG CAT GCA GC−3’   (配列番号6)
【0091】
プライマー3の下線部分はルビスコ小サブユニット前駆体の始めの21個のヌクレオチドとハイブリッドを形成し、NcoI部位(小文字部分)を葉緑体標的配列の始めのイニシエータMet残基に導入する。示してあるようにこのプライマーはまたBg1II部位(太字部分)をNcoI部位のすぐ上流の5’端に含有している。プライマー4は葉緑体標的配列のもう一方の端でルビスコ小サブユニット前駆体のORFの167−184のヌクレオチドとハイブリッドを形成する。ユニークなNdeI部位がこのプライマー中に設計されており(小文字部分)、葉緑体標的配列を含有するPCR断片をpET−24a発現構成体中のCPlの開始コドンに位置しているNdeI部位へ添付できるようになっている。100μlのPCR反応物には75ng弱のpTSS1−91−(#2)−IBIとそれぞれ最終濃度が0.9μM弱であるプライマー3および4が含まれていた。増幅はDNA Thermocycler 480(Perkin Elmer)中で94℃で1分、55℃で1分さらに72℃で1分のサイクルを25回くり返し、最後のサイクルの後は72℃で7分の延長時間を設けた。PCR生成物はBglIIとNdeIで消化し、T7プロモーターを含むベクター配列のみを含有する小DNA断片(106bp)を除去するために同じ制限酵素で開裂したpET24aCPLに連結した。この連結反応混合物を、エレクトロポレーションを用いて大腸菌DH10Bヘと導入し生成物はカナマイシン(50μg/ml)を含有するLB培地上で選択した。挿入した葉緑体標的配列を有するプラスミドを含む形質転換物をプライマー2と3を用いたコロニーPCRにより同定した。正しい大きさのPCR生成物を生じている代表的なプラスミドを今後の操作のために選択した。このプラスミドを以降「pET24a−TP−CPL」と呼ぶ。PCRエラーがなかったことを確認するために、増幅した葉緑体標的配列に相当するプラスミドの領域をカスタム設計したプライマーを用いて完全に配列決定した。TP−CPLのORFのヌクレオチド配列とその予測された一次アミノ酸配列をそれぞれ配列番号7および配列番号8に示す。
【0092】
(実施例4)
予測されたTP−CPLの葉緑体開裂生成物は完全活性を有する
予測されたTP−CPLの葉緑体開裂生成物のアミノ酸配列に相当するDNA断片(例えばMQVWH−CPL)をプラスミド挿入物pet24a−TP−CPLをテンプレートとしてPCRを用いて生成した。下記のプライマーをこの反応において使用した。
プライマー5
5’−CTA CTC ATT Tga aga cTG CAT GCA GGT GTG GCA T−3’   (配列番号9):
プライマー6
5’−CAT CTT ACT gtc gac TTT AGT ACA ACG GTG ACG C−3’   (配列番号10)
【0093】
プライマー5の下線部分はTP−CPL遺伝子挿入部分の5’端に結合し、ユニークなBBSI部位(小文字部分)を予測葉緑体開裂生成物(以降「ΔTP−CPL」と呼ぶ)の開始Met残基のすぐ上流に導入する。プライマー6は遺伝子挿入物の他端でハイブリッドを形成し、ユニークなSaII部位(小文字部分)を終止コドンのすぐ向こう側に設ける。PCR生成物をBBSI(NcoI適合性の「粘着性末端」を残す)とSa1Iで切断し、得られた断片をNcoIとSa1Iで消化した大腸菌発現ベクター、pET−24d(+)(Novagen)に連結した。この連結反応混合物をBTX Transfector 100(Biotechnologies and Experimental Research Inc.)を製造者のプロトコルにしたがって使用して大腸菌DH10Bエレクトロコンピテント細胞(GibcoBRL)を形質転換した。生成物はカナマイシン(50μg/ml)を含有するLB培地上で選択した。ΔTP−CPL挿入部を有するプラスミドを含有する形質転換物を適当なプライマーを使用してコロニーPCRにより同定した。正しい大きさのPCR生成物を生じた代表的なプラスミド(例えばpET24a−ΔTP−CPL)をコロニーから分離し、ΔTP−CPLに対応する挿入部をPCRエラーがなかったことを確認するために完全に配列決定した。
【0094】
精製および反応速度分析のための組換えタンパク質を発現するために、pET24a−ΔTP−CPLを大腸菌BL21(DE3)の中にエレクトロポレーションを用いて導入した。形質転換細胞をカナマイシン(50μg/ml)を含有するLB培地で培養し、代表的コロニーをさらなる操作のために選択した。300 mlの培養物を上記の培地中30℃で培養し、IPTGを0.8弱のA600nmで最終濃度が0.15mMとなるよう加えた。同じ条件のもとで4.5時間の誘導期を設けたのち、細胞を遠心分離により集め、−80℃で保存した。その後の工程は特に明記しない限り0から4℃で行った。
【0095】
0.1MのTris−HCl(pH7.7)、5mMのMgSO4、1mMのジチオスレイトール、0.03mg/mlのデオキシリボヌクレアーゼI、0.5mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物を含有する2.5mlの溶液に凍結細胞ペレットを再度懸濁し、20,000psiでフレンチプレス細胞破砕機に2回かけた。無細胞抽出液を遠心分離(43,0000x g、25分)にかけ、上清(4.5ml)を注意深く取り除き、5%のグリセロールを加えその後の使用のために−80℃で保存した。ΔTP−CPL用精製プロトコルは未修飾の組換え大腸菌CPL用に記載したものと本質的に同一のものであった。手短かに言えば、上記の全サンプルを解凍し最終体積が2.5mLとなるまでCentriprep−10(Amicon Inc.)を用いて濃縮した。サンプルを製造者のプロトコルに従い、バッファーQであらかじめ平衡化したPD−10ゲルろ過カラム(Pharmacia Biotech Inc)を用いてバッファーQに交換した。Centriprep−10中で体積を2mlに減少させ、全サンプルをMonoQ HR10/10カラム(Pharmacia Biotech Inc)に入れ流量4ml/min(25℃)のバッファーQを用いて展開した。2分から3分の間に溶出した物質を集め、グリセロールを最終濃度が5%(w/v)となるように加えた。サンプルをCentricon−10(Amicon Inc.)中で200μlになるまで濃縮し、7.5x600mmのTSK G3000SWゲルろ過カラム(TOSOH Corp.)に付した。このカラムは0.3MのNaCl(25℃)を含有するバッファーQで流量1.0ml/min(25℃)で展開させたもので、組換えΔTP−CPLは20.7分から22分の間に溶出した。精製組換えタンパク質を含有する画分は5%のグリセロールを補って、タンパク質の濃度が1mlあたり0.7mg弱となるよう濃縮した後、その後の使用に備えて80℃で保存した。
【0096】
精製された組換えΔTP−CPLの酵素活性を25℃で実施例2に記載の分光分析アッセイを用いて求めた。これらの条件において代謝回転数は40.7min1であった。この値はN−末端延長部を持たない精製組み換え大腸菌CPLから得たもの(例えば36から42min−1)と実質的に同一であった。この観察からはっきりとΔTP−CPLのN−末端に融合する5つの追加のアミノ酸残基が酵素活性を犠牲にしていないことがわかる。さらにTP−CPLの予測葉緑体開裂生成物がおそらく完全に活性をもつものであることが示唆される。
【0097】
(実施例5)
インビトロのタンパク質輸入:TP−CPLが分離葉緑体中に輸入される
TP−CPLを高等植物中に導入する前に、葉緑体により摂取されうることを示すことが重要である。これはこの人工融合タンパク質の放射性バージョンを合成し、それを古典的な葉緑体タンパク質輸入実験に付すことによって行った。第一の工程は輸送実験のために[35S]メチオニンを用いてタンパク質に放射性ラベルを付すために用いることのできるDNA構成体を形成することであった。これを行うため、TP−CPLをコードする配列をインビトロ転写/翻訳ベクター、pCITE4a(+)(Novagen)のMscIとBg1II部位へと挿入するために、プライマー7と8、およびプラスミド中の挿入部分、pet24A−TP−CPL、をPCR増幅のテンプレートとして用いてTP−CPLコード配列の修飾を行った。
プライマー7
5’−CTA CTC ATT tgg cca GCT CTG TCA TTT CTT CAG CAG C−3’   (配列番号11)
プライマー8
5’−CAT CTT ACT aga tct TTA GTA CAA CGG TGA C−3’   (配列番号12)
【0098】
プライマー7はTP−CPLの開始コドン(下線部分)のすぐ後でヌクレオチドの伸長部分とハイブリッドを形成し、ユニークなMscI部位(小文字で示す)をイニシエータMet残基の位置に導入する。プライマー8は遺伝子挿入物の他端に結合し、ユニークなBg1II部位を終止コドンのすぐ向こう側に導入する。どちらのプライマーもこの人工融合タンパク質にアミノ酸変化を導入しない。得られたPCR断片をMscIとBg1IIで消化し、MscIとBamHIで切断したpCITE4a(+)に連結した。Bg1IIとBamHIは適合性のある「粘着性末端」を形成する。この連結反応混合物を大腸菌DH10Bにエレクトロポレーションを用いて導入し、形質転換細胞をアンピシリン(100μg/ml)を含有するLB培地上で培養した。正しい挿入部を有するプラスミド(適切なプライマーを用いてコロニーPCRにより同定した)を有する代表的なコロニーを今後の操作の為に選択した。プラスミドDNAを完全に配列決定したところPCRエラーがなかったことが確認された。
【0099】
ついで上述のプラスミド構成体を[35S]メチオニンと「Single Tube Protein System 2、T7」キット(Novagen)を製造者のプロトコルに従って用いてインビトロ転写/翻訳に付した。反応は60mMの未標識メチオニン含有2Xインポートバッファー(Viitanen et al.,J.Biol.Chem.263:15000−15007(1988))で終端させた。葉緑体をエンドウ(Pisum sativum)の14日苗から単離し、放射標識したTP−CPLを用いてインビトロ輸入アッセイ(Viitanen et al.,J.Biol.Chem.263:1500015007(1988))に付した。プロテアーゼ後処理を用いて結合ポリペプチドと輸入ポリペプチドとを識別した(Cline et al.,J.Biol.Chem.260:3691−3696(1985))。無損傷のプラスチドをパーコールクッションをもちいて遠心分離することにより再精製し、2Xゲルサンプルバッファ150μl中に再度懸濁し、先に記載されているように(Viitanen et al.,J.Biol.Chem.263:15000−15007(1988))SDS−PAGE/フルオログラフィーにて分析した。
【0100】
TP−CPLのインビトロ転写/翻訳から25kDa弱(SDS−PAGE(Laemmli、U.K.,Nature227:680−685(1970))中泳動に基づく)の、そのDNA配列から予測される値(25188Da)と一致する見かけ分子量を有する放射活性ポリペプチドが合成された。ATPの存在下では、このポリペプチドは葉緑体により取り込まれ処理されて大きさが小さくなったが、これはクーマシー染色された精製組換えΔTP−CPL(例えばTP−CPLの予測された葉緑体開裂生成物)と共泳動するように見えた。古典的プロテアーゼ保護実験により輸入アッセイ後無損傷葉緑体と共に回収された放射性ポリペプチドが実際に内部移行していたことが明らかになった。
【0101】
対照的に葉緑体がタンパク質輸入を支持する条件(例えば暗所でATPの不在下)のもとで培養されると、TP−CPLの摂取とプロセシングは観察されなかった。非活性化条件のもとで、無損傷のプラスチドと共に回収された放射性バンドは唯一全長融合タンパク質、TP−CPLのものだけであった。さらに、後者に対応する放射性バンドはプロテアーゼによる処理の後、完全に消失し、これが輸入されたものではなく外部葉緑体膜に単に結合していたに過ぎないことが示された。これらの両結果から、TP−CPLのN−末端に付着した葉緑体標的配列は人工融合タンパク質を葉緑体へと向かわせることができ、その細胞器官内への取り込みの後、タンパク質分解処理が予測された方法で行われることが明らかに示されている。
【0102】
(実施例6)
タバコおよびシロイヌナズナ形質転換に用いる発現プラスミドの構築
TP−CPLが葉緑体により効率的に摂取され(実施例5)、高CPL活性を有する新規のタンパク質へと分割される(実施例4)ことが明らかになったので、これを植物体へと導入することにした。タバコおよびシロイヌナズナ中で構成的発現を行うのに用いることのできる構成体を形成するために、全長TP−CPL融合タンパク質に対応するDNA断片を修正バージョンのプラスミドpML63内にサブクローンした。プラスミドpML63は下記の遺伝要素を含有するpML40から得たものであった。すなわち、CaMV35Sプロモーター、cabリーダー配列、uidAコード領域、およびNOSポリアデニル化信号配列である。簡単に言えば、CaMV35Sプロモーターは転写開始部位の先に8塩基対が延長されている1.3kbのDNA断片である(Odell et al.,(1985)Nature303:810−812)。その3’端に作動可能に結合しているのがcabリーダー配列であって、これは60bpの非翻訳二重鎖DNA部分であり、クロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子22L(Harpster et al.(1988)Mol.Gen.Genet.212:182190)から得られた。このcabリーダーの3’端に結合しているのがuidA遺伝子(Jefferson et al.(1987)EMBO J.6:3901)で、これはタンパク質β−グルクロニダーゼ(例えば「GUS」)をコードする。最後にGUS遺伝子の3’端に結合しているのがノパリンシンターゼ(例えば「NOS」)遺伝子からのポリアデニル化信号配列を含有する800bpのDNA断片である(Depicker et al.(1982)J.Mol.Appl.Genet.1:561−564)。これらのDNA断片は合わせて35S−GUSキメラ遺伝子を形成し、標準クローン化技法によってベクターpGEM9Zf(−)(Promega;Madison WI)に挿入されプラスミドpMH40を生じる。
【0103】
プラスミドpML63は基本的にはpMH40と同じであるが3’NOSターミネーター配列が切り詰められたバージョンであって、下記の方法で生成された。まずpMH40をSa1Iで消化し、得られた4.03kbと2.9kbの二つのDNA断片を再連結して35Sプロモーター/cab22リーダー/GUS遺伝子/3’NOSターミネータカセットを逆順に有するプラスミドを得た。得られた構成体をついでAsp718IとHindIIIにより消化し、3’NOSターミネーター配列を有する770bp断片を取り外した。後者は捨て、pMH40をテンプレートとし、プライマー9と10を使用したPCRにより精製したより短いバージョンと置き換えた。
プライマー9
5’−CCC GGG GGT ACC TAA AGA AGG AGT GCG TCG AAG−3’   (配列番号13)
プライマー10
5’−GAT ATC AAG CTT TCT AGA GTC GAC ATC GAT CTA GTA   ACA TAG ATG A  3’   (配列番号14)
【0104】
PCR生成物をHindIIIとAsp18Iにより消化し、公表された配列(Depicker et al.,J.Mol Appl Genet(1982) 1:561574)のヌクレオチド1277(TAA終止コドン)から始まりヌクレオチド1556で終わる279bpの3’NOSターミネーター配列を含有する298bpの断片を得た。このPCR断片をpML3に連結しプラスミドpML63を得た。
【0105】
上に示すように、pML63には35Sプロモーターと切り詰められたバージョンの3’NOSターミネータの制御下にGUSlコード領域が含有される。したがってこれには植物中でGUSの構成的発現に必要なすべての転写情報が含有されている。TP−CPLの類似の構成体を形成するために、プラスミドpML63をNcoIとEcoRIで消化した。この操作はGUS遺伝子挿入部分のみを切り離し、隣接調節配列とベクターの残りは無傷で残す。プラスミド、pet24a−TP−CPLをTP−CPL融合タンパク質の全コード領域を遊離するNcoIとEcoRIで処理した。全コード領域に対応する小DNA断片(693bp)をアガロースゲル電気泳動により精製し、NcoIとEcoRIによりpML63を切断することによって得た大ベクター断片(4.63bp)を用いて標準連結反応に付した。連結反応混合物をエレクトロポレーションを用いて大腸菌DH10Bへと導入し、生成物をアンピシリン(100μg/ml)を含有するLB培地上で選択した。挿入TP−CPLコード配列を有するプラスミドを含有する形質転換物をプライマー2とプライマー3を用いたコロニーPCRで同定した。正しい大きさのPCR生成物を生じた代表的なプラスミドを今後の操作のために選択した。最終構成体、以後「TP−CPL−pML63」とよぶ、を図で表したものを図2に示す。
【0106】
アグロバクテリウム媒介タバコリーフディスク形質転換用に用いたバイナリーベクターはATCCに1997年6月24日に預託され、受け入れ番号209128を有する、プラスミドpZBL1であった。PZBL1にはpBR322からの複製起原、nptIカナマイシン耐性細菌遺伝子、Pseudomonas aeruginosaプラスミドpVS1の複製および安定領域(Itoh et al、 1984)、van den Elzen et al., 1985が記載しているTDNA境界(ここで右の境界断片の一部であるOCSエンハンサー(OCSプロモーターの320から116に渡る((Greve et al.,1983、J.Mol.Appl.Genet.1:499−511))が除去されている)、そしてNOS/P−nptII−OCS3’遺伝子がカナマイシン耐性植物選択マーカーとして作用するべく含まれている。TP−CPLの発現に際し、プラスミドpZBL1を外来遺伝子の挿入と植物ゲノムへの安定な取り込みに理想的な位置にある左右の境界間のユニークな部位で切断するSalIで消化した。挿入なく再連結が行われる可能性を最小にするために、仔ウシ腸管アルカリホスファターゼ(GibcoBRL)を製造者の推奨に従って用い、切断ベクターの脱リン酸化を行った。バイナリーベクター中に挿入されるべき断片を得るために、プラスミドTP−CPL−pML63をSalIで消化した。この処理によりTP−CPL融合遺伝子のための全転写ユニット(例えば35Sプロモーター/cab22リーダー/TP−CPL/3’NOSターミネータ)が2.4kbのDNA断片として放出される。このDNA断片はアガロースゲル電気泳動により精製され、上記のようにpZBL1から得られた脱リン酸化した11.0kbの断片を用いて標準連結反応に付す。この連結反応混合物をエレクトロポレーションを用いて大腸菌DH10Bに導入し、生成物をカナマイシン(50μg/ml)を含有するLB培地上で選択した。TP−CPL融合遺伝子を含むプラスミドを含有する形質転換物をコロニーPCRによりプライマー2と3により同定し、挿入部分の向きをKpnIを用いた制限消化分析によって求めた。今後の操作のために選択したプラスミド、以降「TP−CPL−pZBL1」と呼ぶ、中では図3に図示するように、TP−CPLの開始コドンがT−DNAの右境界断片と隣接している。下記に記載するように、本発現構成体はpHBAの過剰生産用にタバコとシロイヌナズナの形質転換を行うのに使用した。
【0107】
(実施例7)
遺伝子導入タバコ植物の生成
プラスミドTP−CPL−pZBL1を凍結融解形質転換法(Holsters et al、Mol.Gen.Genet.163:181−187)を用いてアグロバクテリウム‐ツメファシエンス株LBA4404(Hoekema et al.,Nature303:179−180(1983)内に導入した。細胞を28℃でカナマイシン(1000μg/ml)とリファンピシン(20μg/ml)を含有するYEP培地(1リットルあたりトリプトン10g、酵母エキス10g、NaClを5g含有)で平板培養した。バイナリー構成体を有するコロニーを適切なプライマーを用いたPCRにより同定した。
【0108】
リーフディスク感染用の鉢植えのタバコ植物(Nicotiana tabacum cv.Xanthi)を昼21℃14時間、夜18℃10時間のサイクル、およそ80%の相対湿度、冷白蛍光灯と白熱灯の混合照明により栽培室の中で育てた。アグロバクテリウム媒介、リーフディスク形質転換を、下記の変更を除き本質的にDe Blaere et al.,Meth.Enzymol.153:277−292)の記載通りに行った。直径8mmのリーフディスクを殺菌した紙穿孔機を用いて4から6週の植物体の全葉から調製した。リーフディスクはTP−CPL−pZBL1を有するアグロバクテリウムのMurashige Minamal Organics Medium中でOD600がほぼZとなるよう再懸濁した濃縮溶液に30分間浸して接種した。接種したリーフディスクを1リットル中に30gのショ糖、1mgの6−ベンジルアアミノプリン(BAP)、0.1mgのナフタレン酢酸、8gの寒天、およびGibcoBRL(cat.#23118−029)から入手したMurashige’s Minimal Organics Mediumを1パックを含有する培地上に直接置いた。3日間28℃で光りの下で培養した後、形質転換したタバコ細胞の生成物を選択し、残留するアグロバクテリウムを除去するためにリーフディスクを同じ組成でカナマイシン(300μg/ml)とセフォタキシム(500μg/ml)を含有する新しい培地へと移した。リーフディスクは上記の増殖条件の下で3週間培養し、ついで根の誘導のために最適なシュートの大きさが得られるまで3週間ごとに新しい培地に移した。シュートは1リットル中にMurashige’s Minimal Organics Mediumを1パック、寒天8g、ショ糖10gを含有する培地に発根させた。約4週間後、植物を土壌へ移し上記の条件の下生育室の中で栽培し成熟させた。
【0109】
(実施例8)
pHBAグルコシド標準物質の化学合成
pHBAエステルグルコシドを合成するために、1Lのベンゼン中で110mmolの4−ヒドロキシ安息香酸と55mmolのビス(トリブチルスズ)オキサイドとを混合した。混合物を適切な共沸混合物容器を用いて、窒素雰囲気の下で16時間加熱環流した。減圧下でベンゼンを除去し、ほとんどが4−ヒドロキシ安息香酸トリブチルスズエステルからなる透明な油を得た(Ogawa et al.,(1982)Tetrahedron36:2641−2648)。次に25mmolのアセトブロモ−a−D−グルコースを1,2Lの1、2−ジクロロエタンに溶かしたものを25mmolの4−ヒドロキシ安息香酸トリブチルスズエステル中間体に加え、これに12.5mmolのテトラブチルアンモニウムブロマイドを加えた。混合物を窒素雰囲気で3時間加熱環流し、反応の進行を硫酸で炭化することによる検出を用いてTLCによりモニターした。溶媒を減圧下で除去し、アセチル保護pHBAエステルグルコシドを酢酸エチルとヘキサンの1:1混合物を用いた溶出により、シリカゲル上で精製した。その後10%のメタノール水溶液中で1当量の炭酸カリウムを用いてアセチル保護基を3時間選択的に鹸化した。溶媒を減圧下で除去し、pHBAエステルグルコシドをメタノールできれいにすりつぶした。メタノールをろ過により除去したところ得られた白色粉体は融点が209から210℃であった。pHBAエステルグルコシドの化学構造をHNMRを用いて確認した。
【0110】
pHBAアシルグルコシドの合成用に16.4mmolの4−ヒドロキシ安息香酸メチルと14.6mmolのアセトブロモ−a−D−グルコースを7.0mlの無水ピリジン中に溶解し、これに23.3mmolの99.99%酸化銀を加えた。窒素雰囲気の下、室温で3時間反応物を攪拌した。不溶性の銀塩をろ過して取り出し、ピリジンで洗浄した。ろ液と洗浄液は集めて減圧下に濃縮し、氷水中に注いだ。暗褐色の固体を回収し、水ですすぎ、1:1のクロロホルムと塩化メチレン混合液に溶解し、ついで炭酸ナトリウムを乾燥剤として用いて乾燥した。この溶液をセライトでろ過し、溶媒を減圧下に除去した。このヒドロキシ結合安息香酸メチル、アセチル保護グリコシド(Durkee et al.,(1979)Carbohydrate Research 77:252−254)をシリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製した。カラムは酢酸エチルとヘキサンの1:2混合物で溶出した。精製化合物を40mlのメタノールに溶解し、ナトリウムメトキシド1.5mmolを加えた。4.5時間後、溶液が黄色に変色したので、溶媒を減圧下に除去し、得られた残渣を25mlの水に溶解した。溶液を5ml弱に濃縮し、結晶化させてヒドロキシ結合安息香酸メチルグリコシドを得た。結晶を回収し、高真空下で乾燥した。メチルエステル基を選択的に鹸化するために、2.5mmolのヒドロキシ結合安息香酸メチルグリコシドを25mlの水に溶解し、2.5mlの1MのNaOHを加えた。室温で一晩攪拌した後、溶液を中和し、5ml弱に濃縮して結晶化させ所望のpHBAアシルグリコシドを得た。この化合物の融点は108から110℃であり、化学構造は1HNMRで確認した。
【0111】
(実施例9)
pHBAグルコシドの分析用タバコリーフサンプルの調製
健康な葉(中央葉脈沿いの長さがおよそ15cmであるもの)をタバコ植物の茎の上部三分の一のところから選びとった。葉の先端から三分の一の部分から組織(生重量100mg)を鋏で手早く切り取り、セラミックビーズを入れたBiopulverizer H Tube(cat.no.6570−201または6540−401、セラミックビーズと共にBIO 101(Joshua Way、Vista、CA)から入手)の中に入れた。1mlのメタノールを加えて、このチューブに蓋をし、5m/sの速度でSavant FastPrep FP120組織破砕機を40秒間運転し、機械的攪拌を行った。次にチューブをロータリーシェーカーに置き、400rpmで1時間、室温で激しく攪拌した。抽出物は通常の卓上遠心機による遠心(10,000xg、10分)で清澄化し、二つのpHBAグルコシドを含有する上清を注意深く空のチューブへと取り出した。残りの不溶なリーフ物質は0.5mlのメタノールを用い室温で30分上記の条件下でロータリーシェーカーを用いて再抽出した。この第二の抽出から得た上清を第一のものと合わせ、サンプルをその後の処理のために−20℃で保存した。リーフ物質の各サンプルに加えたメタノールの量と抽出・遠心分離後に回収した最終体積とを分析秤とメタノールの密度を用いて質量を体積に変換することによって決定した。
【0112】
HPLC分析用のサンプルは下記のように処理した。特に明記しない限り、すべての工程は室温において行った。メタノール抽出物の一定量を遠心機チューブに移し、上記のようにして正確な体積を求めた。溶媒をヒートセットをオンにしたSpeed−Vac(Savant Instruments)中、真空下で除去し、サンプルを完全に乾燥させた。乾燥残渣を100μlの0.2NHClに溶解し0.7mLの水で飽和したジエチルエーテルを加えた。激しい渦巻き攪拌と遠心分離を行った後、エーテル層を注意深く除去して捨て、サンプルを上記に記載のようにエーテルを用いて再抽出した。残りの水層(50μl)を0.22umセルロースアセテートフィルター(Costar EZ−spin)でろ過し、90%バッファーA(0.1%ギ酸水溶液)と10%バッファーB(メタノール)を1ml/minで用いて予め平衡化したVydac218TP54 PROTEIN AND PEPTIDE C18カラムに注入した。サンプルの注入後、20分かけてバッファーBの最終濃度が50%となるようにこのカラムを線形勾配で展開した。流速は1ml/minであった。フェノールとエステルのpHBAグルコシドの溶出を254nmで分光光度法的にモニターした。図4にTP−CPL発現タバコ植物(形質転換体#5)と野生型植物の代表的なHPLCチャートを示す。
【0113】
真正なpHBAグルコシド標準物質(上記参照)を用いてHPLCの保持時間の較正を行い、両化合物の吸光係数を、使用HPLC条件のもとで正確に求めた。ピーク領域をH/P Chemstation添付のソフトウエアを用いて積分し、既知量の適切な標準物質から得た値を用いて注入ごとのpHBAグルコシドの量をマイクログラムで求めた。注入したオリジナルのメタノール抽出物の割合と希釈分とを加味した上で、分析したリーフサンプルからの全収量を反映するように数字を訂正した。これを分析した植物組織の乾燥重量の個々の測定値と合わせて(例えば同じ日に同じ植物から得たものなど)、pHBA−グルコシドを乾燥重量パーセントとして表した。
【0114】
(実施例10)
自己交配F1世代におけるカナマイシン耐性の分離
自己交配によって得た初代タバコ形質転換体#34からの種を、0.1%のSDSを含有する10%の漂白溶液[Clorox(商標)、5.25%のNa(OCl)を含有]に室温で30分浸漬し、ゆるやかに攪拌して表面を殺菌した。抗生物質の選択を行わなかった時の200個の種の発芽度数は97.5%であった。対照的にカナマイシン(300μg/ml)を含有した発芽培地上で培養した500個の種のうちおよそ20%が劣勢の表現型(例えばカナマイシン感受性の種のカナマイシン耐性種の割合が1:4であった)を示した。形質転換体#34の分離比が単一遺伝子優性形質の理論比である1:3に極めて近い(たとえば複座イベントの特徴である1:16という割合とは異なる)ため、選択可能なマーカーとTP−CPL遺伝子発現構成体が単座でゲノムに安定的に取り込まれたのだという結論を得ることができるだろう。
【0115】
(実施例11)
タバコリーフ抽出物中のCPL酵素活性の定量
野生型と遺伝子導入タバコ植物からのリーフ組織抽出物を調製し、わずかな修正を加えた他は先の記載のように分析して((Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996))CPL酵素活性を求めた。リーフサンプル(湿重量2g)を氷で冷した乳ばち中、50mMのTris−HCl(pH7.5)、0.1%のβ−メルカプトエタノール、1mMのEDTA、1mMのフェニルメタンスルホニルフルオライドおよび75mg/mlのポリビニルポリピロリドンを含有する溶液2.6mlにより均質化した。特に明記しない限り以降の工程はすべて0から4℃で行った。低速で遠心分離にかけ、不溶な物質を除いたあと、サンプルをPD−10ゲルろ過カラム(Pharmacia Biotech Inc)を製造者の推奨通りに用いて、50mMのTris−HCL(pH8.0)、10mMのEDTA、および200mMのNaClを含有するバッファーへと交換した。タンパク質濃度をBio−Rad(Bradford)タンパク質アッセイを用いて求めた。
【0116】
CPL酵素アッセイを下記のように行った。基本となる反応混合物(最終体積500μl)は50mMのTris pH8.0(37℃)、10mMのEDTA、200mMのNaCl、および150μMの精製コリスミ酸バリウム(Siebert et al.Microbiology140:897−904 (1994))を含有していた。5分間37℃で培養した後、50μgのタンパク質を含むタバコリーフ抽出物により反応を開始した。37℃で2分反応させた後0.3mlの0.75M酢酸ナトリウム(pH4)で反応を終了させ、反応中に製造されたpHBAの量を求めた。生成物の回収をモニターするために各チューブには9,500dpmの[14C]で標識したpHBA(55mCi/mmol)を内部標準として加えた。混合物をHO飽和酢酸エチル1mlで抽出し、有機層を回収して乾燥した。pHBAの量を実施例9に記載のものと全く同じカラムと条件を用いて逆層HPLCにより定量した。pHBAに対応するピークを回収し、液体シンチレーション計数により放射活性量を求めた。下記に報告するCPL酵素活性値はタンパク質1mgあたりのpkatsで表してあり、内部標準と自然分解を通じてコリスメートから製造された(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996))少量のpHBAについては修正済みである。
【0117】
(実施例12)
遺伝子導入タバコ植物発現TP−CPLの分析
上に記載したように、TP−CPLをアグロバクテリウム媒介、リーフディスク形質転換を用いてタバコ(Nicotiana tabacum)に導入し、そのpHBAグルコシド蓄積に与える影響を定量した。この人工融合タンパク質がこれまでに植物中のpHBAレベルを引き上げるのに用いられてきた他の大腸菌CPLの葉緑体標的化バージョン(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996);Sommer et al.,Plant Cell Reports17:891−896(1998))より実際に優れているということが図5に示すデータから明らかである。この分析は異なる形質転換イベントより生じた15のタバコ植物(初代形質転換体)から得た葉の組織に対して行った。サンプルは植物が土壌に移されてから5週間後に採取されたことに注目して頂きたい。予測通り、初代の形質転換体は全乾燥重量に基づき、0から2.3%にわたるさまざまなpHBAグルコシドレベルを示した。このような変動は通常あらゆる植物形質転換実験において観察されるもので、おそらくいわゆる「位置」効果(例えば形質遺伝子がゲノムの異なる位置に安定に導入される)から生じる遺伝子発現レベルの差を反映しているのであろう。同様の現象が本研究においても生じたということは、精製組み換え大腸菌CPLに対する抗血清を用いたタバコ形質転換体のウェスタンブロット分析でも支持されている。例えば植物の大半(例えば14/15)が免疫学的に検出可能なレベルの外来タンパク質を有していたが、発現のレベルにはかなりの開きがあった。しかし一般的に言えば、ウェスタン信号の強度とpHBAグルコシドの蓄積の間には正の相関がありこれまでに観察されていること(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996));Sommer et al.,Plant Cell Physiol.39(11):1240−1244(1998);Sommer et al.,Plant Cell Reports 17:891−896(1998))と一致した。
【0118】
乾燥重量に基づく5週のタバコ植物の平均pHBAグルコシド含量は、1.12%(+/−0.186%)であり、ここで()の中の数字は平均の標準誤差である。さらに重要なのは、初代形質転換体のうち3体(#13、#19および#37)のみにおいてpHBAグルコシドのレベルがTP−UbiC人工融合タンパク質での同様の研究(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996))で得られた最高レベルである、0.52%を下回ったことである。さらに本研究における3つの最良の植物(#8、#34、および#39)は少なくとも乾燥重量の2%になるpHBAグルコシド含量を有していた。
【0119】
所望の表現系の安定性を調べるために、3体の遺伝子導入タバコ植物(#4、#5、および#34)を種子形成の段階まで、長期に渡りモニターした。植物が発育を続けるにつれpHBAグルコシドのレベルをそのように高く維持することはできない可能性があった。しかし、図6に示すように、そうではなかった。植物が成長するにつれ、その葉のpHBAグルコシド含量は急激に増加した。例えば土壌に植物を移した後1、5、11および13週後の時点での形質転換体#5の全pHBAグルコシドレベルは乾燥重量のそれぞれ0.5%、1.6%、7.2%および10%であった。13週の値はTP−UbiCで得られた値のほぼ20倍の増加を表しており、附随したグルコース分子の質量を補正した後、4.5%弱のpHBA含量に相当する。これらの極めて高いレベルの2次代謝生成物にもかかわらず、遺伝子導入タバコ植物は完全に正常のようであるし、また形態学的には野生型植物と区別がつかない。
【0120】
外来遺伝子とpHBA蓄積の関連表現型の次世代へ運命をたどるため、形質転換体#34をさらなる分析のために選択した。13週の初代形質転換体として、この植物のpHBAグルコシド含量は全乾燥重量の8%(図6)であった。実施例10に記載のように、自己交配により得た種子をカナマイシンの存在下で発芽させ、抗生物質耐性表現系の分離のために調べたところ、観察された比率は1(感受性)対4(耐性)であった。これは選択可能なマーカーとTP−CPLの取り込みがゲノム中の単座でおこり、二座イベントではない(その場合カナマイシン耐性の分離比は1:15となるであろう)ことを示唆している。理論的に、カナマイシン耐性植物は二つの集団、2:1の割合で存在する異型接合体と同型接合体からなる。共抑制がないとすると、同型接合体植物はCPL酵素活性が異型接合体のものよりも2倍多くなることが予想され、おそらくpHBAグルコシドの蓄積レベルもより高いことであろう。この問題に当たるため、カナマイシン耐性の幼苗5本(下記では#34A−#34Eとする)を成熟植物まで育成しCPL酵素活性とpHBAグルコシドについて分析した。サンプルを採取した時の植物は15週齢であった。この研究の結果を下記の表Iに示す。
【0121】
表I
植物34         CPL酵素活性     全pHBAグルコシド
兄弟苗       (pkat/タンパク質mg)  量(乾燥重量%)
34A            927          4.8
34B            991          5.9
34C           1048          5.0
34D            784          5.0
34E            356          3.2
【0122】
予測通り、カナマイシン耐性のすべての幼苗はまたCPL酵素活性と蓄積pHBAグルコシドを示した。したがってこの人工融合タンパク用の遺伝子、TP−CPLは安定に次世代へと伝えられていたのであった。調べた植物の数は少ないが二つの異なる集団があるように思われた。子孫のうち4つ(例えば#34A−34D)のCPL酵素活性は極めて類似しておりタンパク質1mgあたり784からから1、048pkatsであった。このグループの平均CPL活性(例えば938pkat/mg)は生きているタバコ植物を検査した時にTP−UbiCで得られたもっともよい値(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996))の約4.5倍以上の数字であることに注意して頂きたい。おなじ4つの子孫はpHBAグルコシドに関しても同等レベルを示した。平均値は乾燥重量の5.2%弱であり、数字は極めて似通ったものであった(例えば4.8%−5.9%)。
【0123】
これとは対照的に、植物のうち一本(例えば#34E)はCPL酵素活性とp4グルコシドのレベルが遥かに低かった。この子孫が異型接合体であり、他の4つが同型接合体であるという推測を行いたくなるが、この結論を引き出すのはまだ時期尚早である。第一にカナマイシン耐性表現型に対して得た分離パターンに基づくと植物の三分の一のみが同型接合体であると思われ、観察された80%ではないのである。第二に2倍の数の形質遺伝子を有する同型接合状態は共抑制へと導かれ、逆説的に低レベルのCPl酵素活性とpHBAグルコシドを生じることが考えられる。この問題を解決すべく現在実験を行っているところである。にもかかわらず、pHBAグルコシドの第二世代の植物中の蓄積が初代形質転換体におけるほど高くなかったことに注目することは興味深い。
【0124】
(実施例13)
TP−CPLのタンパク質分解処理が生体内で予測された開裂部位において生じる
図7に示すように、人工融合タンパク質、TP−CPLを発現する遺伝子導入タバコ植物の全葉抽出物は、抗精製組み換え大腸菌CPL抗血清と交叉反応するたった一つのポリペプチドのみを含有する。さらにこの野生型植物には存在しない交叉反応性ポリペプチドの大きさは、SDS−PAGEにより調べるとタバコに導入された元々の融合タンパク質よりもはるかに小さい。実際これはTP−CPLの予測された葉緑体開裂生成物(実施例4)である精製組み換えΔTP−CPLと、またインビトロ葉緑体輸入実験(実施例5)の後観察される放射性バンドと厳密に共泳動するように見える。しかし人工融合タンパク質からの葉緑体標的配列の除去は生体内で予測された開裂部位で生じることを異論の余地なく示すために、このタンパク質をタバコ形質転換体#34から得た葉の組織から精製し、そのN−末端アミノ酸残基をエドマン分解によって決定した。
【0125】
葉の組織(湿重量6.9g)を乳ばちと乳棒により50mMのTris−HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、0.1%のβ−メルカプトエタノール、1mMのフェニルメタンスルホニルフルオライド、そして75mg/mlのポリビニルポリピロリドンを含有する氷冷溶液(グラインドバッファー)で均質化した。特に明記しないかぎり以降の工程は0から4℃で行った。葉抽出液を30分遠心分離(40,000xg)して不溶な物質を除去し、得られた上清に固体(NHSOを補って最終濃度を80%(w/v)とした。この溶液を30分緩やかに攪拌し、10分間20,000xgで遠心分離してタンパク質の大半を沈澱させた。上清を捨て、得られたペレットを2.0mlのポリビニルポリピロリドンを含有せず、8%(v/v)のグリセロールを補ったグラインドバッファー中にタンパク質濃度が1ml中14.3mg(Bio−Rad(Bradford)タンパク質アッセイにより求めた)となるように再懸濁した。
【0126】
上記サンプルの一定量(0.5ml)をPD−10ゲルろ過カラム(Pharmacia Biotech Inc)を用いてバッファーQ(実施例2)中に交換した。サンプルが完全に樹脂中に入った後、カラムを2.2mlのバッファーQで洗浄し溶出液を捨てた。同じバッファーをさらに1.1ml加えた後、空隙容量中に溶出してくる物質を回収した。全サンプルを室温でバッファーQで平衡化しておいたMonoQHR5/5に付した。カラムを同バッファーを流量1.0ml/minで用いて展開し、画分(それぞれ1.0ml)をサンプル注入時から回収した。TP−CPLの葉緑体開裂生成物を含有する画分を抗精製組み換え大腸菌CPL抗血清を用いてウェスタンブロット分析により同定した。実質的にすべての交叉反応性物質は画分#3と#4に溶出し、前と同様抗血清により検出された唯一の種は精製組み換えΔTP−CPLと共泳動した。カラム画分#3と#4をプールし、7.5%のグリセロール、0.3MのNaClと0.01%のTween20(Bio−Rad cat.#170−6531)で補い、最終的に体積が約200μlとなるまでCentricon10(Amicon)を用いて濃縮した。全サンプルを予め室温で50mMのTris−HCL (pH7.2)、0.3MのNaCl、そして0.01%のTweenで平衡化しておいた207.5x600mmのTSK G3000SWゲルろ過カラム(TOSOH Corp.)に付した。カラムを1.0ml/min(25℃)で、同バッファーにより展開し、真正TP−CPL葉緑体開裂生成物を含有していた、21.5から23分の間に溶出した画分をプールし最終的に体積が55μlとなるまでMicrocon10(Amicon)を用いて濃縮した。濃縮した物質をサンプルバッファーで1:1に希釈し、SDS−PAGEにより分析し精製度を評価した。多数の他のバンドもクーマシーブルーで染色したゲル中に見られたが、TP−CPL葉緑体開裂生成物が主たるタンパク質であり、他の不純物からよく分離されていた。このバンドに対応するポリペプチドのN−末端分析(ポリビニリデンジフルオライド膜への電気泳動移入と、6サイクルのエドマン分解後)を行ったところ、この人工融合タンパク質のタンパク分解処理が予測された開裂部位、すなわち図1に示すCys−Met結合、において生じていたことが確認された。この観察と実施例4に示した酵素活性データから、TP−CPLを発現するタバコ植物の葉緑体中でコリスメートのpHBAへの変換を担当するポリペプチドはそのN−末端に5個の追加のアミノ酸残基が結合した完全に活性のあるCPL変異株であるという結論を導くことができるであろう。
【0127】
(実施例14)
TP−CPL発現遺伝子導入シロイヌナズナ植物の生成と分析
人工融合タンパク質であるTP−CPLをシロイヌナズナに導入しpHBAグルコシドレベルを求めた。CaMV35S−CPL発現カセット(例えばTP−CPL−pZBL1)を有するバイナリーベクターを武装解除Ti(ビルレンス)プラスミドpMP90(Koncz、C. and Schell、J.(1986)Mol.Gen.Genet.204:383−396)を有するアグロバクテリウム‐ツメファシエンス株C58C1Rif(GV3101株としても知られている)中に利用可能なプロトコルを用いたエレクトロポレーション(Meyer et al.(1994)Science264:1452−1455) により形質転換した。CPL発現構成体を有するバイナリーベクターを有するMP90株を野生型、fah1−2(Chapple et al.,Plant Cell 4:1413−1424(1992))、sng1−1(Lorenzen et al.,Plant Physiology112:1625−1630(1996))遺伝的背景を有する、生態型コロンビアのシロイヌナズナ植物の形質転換を公開されている真空浸透技法(Clough S.J.,Bent A. F.(1998)Plant J.16(6):735−43)を用いて行った。遺伝子導入幼植物体は無菌状態のもと標準植物増殖培地上で選抜用にカナマイシン(50μg/ml)を用いて同定した。カナマイシン耐性幼植物体を土壌に移し、土/パーライト混合物で12時間明/12時間暗の光周期、100Em−2s−、18℃(暗)および21℃(明)で育成した。この手順を通じ301個の初代の形質転換体が独立した形質転換イベントから生成された。土壌に移して6週間後に形質転換したシロイヌナズナ植物体のpHBAグルコシドを下記に記載するように逆層HPLCを用いて分析した。
【0128】
切り取った新鮮な葉を50%のMeOH中で均質化(湿重量mgあたり5μl)し、得られた抽出物を低速遠心分離によって清澄化した。葉抽出物の一定量を1.5%のリン酸含有アセトニトリルの勾配(6%−48%)を用いてNova−Pak C18Lカラム(孔径60オングストローム、粒径4μm)に付した。pHBAフェノールおよびエステルグルコシドを254nmにおけるUV吸収により検出し、真正化学表純物質(実施例8を参照)から得た吸光係数を用いて定量した。分析した272体の遺伝子導入シロイヌナズナ植物体のうち、239(すなわちほぼ88%近く)に検出可能レベルの両グルコース接合体が含まれており、これらはほぼ同量存在した。最も良く過剰生産を行った株の全pHBAグルコシド含量は乾燥重量の10.73%であり、これは同じ構成体を用いてタバコで行った時に観察された最高レベルに極めて近い値であった。遺伝子導入シロイヌナズナ植物全集団の平均値は3.35%(+/−0.13%)であった。()に入れた数字は平均の標準誤差である。
【0129】
これらの両結果から、本キメラタンパク質、TP−CPL、はタバコのみならずその他の植物種においてもpHBAグルコシドを高レベルで産生することができることがはっきり示されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1はCPLの二つの異なる葉緑体標的バージョンの一次アミノ酸配列を示す。両方とも人工融合タンパク質である。3行目のものは先の研究(Siebert et al.,Plant Physiol.112:811−819(1996)Sommer et al.,Plant Cell Physiol.39(11):1240−1244(1998);Sommer et al.,Plant Cell Reports 17:891−896(1998)Sommer et al.,Plant Molecular Biology 39:683−693(1999))、に用いられたものでTP−UbiCに対応し、一方2行目のものは本研究で形成したTP−CPLに対応する。大腸菌CPL(4行目)とrbcS2用のトマトルビスコ小サブユニット前駆体(1行目)もまた配列に含められている。「成熟」ルビスコ小サブユニットに対応するアミノ酸残基は太字で示した。ルビスコ小サブユニット前駆体のN−末端葉緑体トランジットペプチドはふつうの文字で示してある。大腸菌CPLの一次アミノ酸配列は斜体で示してある。矢印は高度に保存されているCys−Met接合 (Mazur et al., Nuc Acids Res. 13:2373−2386 (1985); Berry−Lowe et al., J. Mol. and Appl. Gen. 1、 483−498 (1982))を示し、ここでトランジットペプチドは通常開裂し、成熟ルビスコ小サブユニットを生じる。
【図2】
図2は中間体プラスミド「TP−CPL−pML63」と関連制限部位を図(環状のダイアグラム)で示す。
【図3】
図3はアグロバクテリウムに導入してからタバコとシロイヌナズナの形質転換に用いたバイナリーベクター植物発現構成体「TP−CPL−pZBL1」を図(環状のダイアグラム)で示す。
【図4】
図4はTP−CPL(形質転換体#5)を発現する遺伝子導入タバコ植物から調製した葉の組織の抽出物の代表的なHPLCのチャートを野生型のものと比較したものである。
【図5】
図5はTP−CPLを発現した15の異なる遺伝子導入タバコ植物の全pHBAグルコシド含量を示す。この分析は初代の形質転換体を土壌に移してから5週間後に得た新鮮な葉に対して行った。
【図6】
図6はTP−CPLを発現した形質転換タバコ植物中の全pHBAグルコシドの蓄積が植物体の齢に依存することを示す。この分析は異なる成長の段階で初代形質転換体から採取した葉組織に対して行った。全pHBAグルコシド量は乾燥重量のパーセントで表した。
【図7】
図7は野生型(レーン9)とTP−CPLを発現した遺伝子導入タバコ植物(レーン1から7)に対して行ったウェスタンブロットである。この分析は5週齢の初代形質転換体から得た葉組織に対して行った。レーン8は20ngの精製組み換えΔTP−CPL(例えば、予測されたTP−CPLの葉緑体開裂生成物)を含有している。SDS−PAGEに続き、タンパク質はニトロセルロースへと移し抗CPL抗血清で1:200に希釈したもので検査した。

Claims (19)

  1. 緑色植物中でパラヒドロキシ安息香酸を生産する方法であって、
    a)コリスメートの内在性供給源を有し、および下記の構造を有するコリスメートピルベートリアーゼ発現カセットを含む緑色植物を提供する工程
    P−T−C−D−CPL
    (式中、
    Pはコリスメートピルベートリアーゼ遺伝子の発現をドライブするのに適するプロモーターであり、
    Tはルビスコ葉緑体トランジットペプチドをコードする核酸分子であり、
    Cはルビスコ葉緑体トランジットペプチド開裂部位をコードする核酸分子であり、
    Dはルビスコ葉緑体トランジットペプチドドナーポリペプチドのN−末端部の約4個から約20個の連続アミノ酸をコードする核酸分子であり、および
    CPLは成熟コリスメートピルベートリアーゼタンパク質をコードする核酸分子であり、
    ここでP、T、C、DおよびCPLはそれぞれ、該カセットの発現によって、成熟コリスメートピルベートリアーゼタンパク質のN−末端に融合する葉緑体標的配列を含むキメラタンパク質の翻訳が生じるように、作動可能に結合する。)、
    b)前記キメラタンパク質が発現し、葉緑体に転流して、コリスメートがパラヒドロキシ安息香酸グルコシドとパラヒドロキシ安息香酸誘導体へと変換するような条件のもとで前記植物を栽培する工程、
    c)パラヒドロキシ安息香酸とパラヒドロキシ安息香酸誘導体を前記植物体から回収する工程、ならびに
    d)前記パラヒドロキシ安息香酸グルコシドとパラヒドロキシ安息香酸誘導体を処理して遊離パラヒドロキシ安息香酸にする工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記ルビスコトランジットペプチドが、ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、オートムギ、モロコシ、コメ、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、テンサイ、サトウキビ、キャノーラ、キビ、マメ、エンドウマメ、ライムギ、アマ、および飼草からなる群から選択される植物に由来することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プロモーターが、35Sプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、オクトピンシンターゼプロモーター、カリフラワーモザイクウイルスプロモーター、リブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼプロモーターおよびクロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーターからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記コリスメートピルベートリアーゼ酵素が配列番号3に示す核酸配列によってコードされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記成熟コリスメートピルベートリアーゼタンパク質のN−末端に融合する葉緑体標的配列を含む前記キメラタンパク質が、配列番号8に示すアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記成熟コリスメートピルベートリアーゼタンパク質のN−末端に融合する葉緑体標的配列を含む前記キメラタンパク質が処理されて、配列番号16に示すアミノ酸配列となることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 植物バイオマスの乾燥重量当たり少なくとも2%の濃度のパラヒドロキシ安息香酸グルコシドで前記pHBAグルコシドを生産することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 植物バイオマスの乾燥重量当たり少なくとも10%の濃度のパラヒドロキシ安息香酸グルコシドで前記パラヒドロキシ安息香酸グルコシドを生産することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. コリスメートピルベートリアーゼ発現カセットを含む前記緑色植物が、ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、オートムギ、モロコシ、コメ、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、テンサイ、サトウキビ、キャノーラ、キビ、マメ、エンドウマメ、ライムギ、アマ、および飼草からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  10. 植物バイオマスの乾燥重量当たり4.5%を超える濃度のpHBAで前記パラヒドロキシ安息香酸を生産することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. 配列番号4に示すアミノ酸配列を有するコリスメートピルベートリアーゼ酵素をコードする核酸分子に作動可能に結合する、配列番号15に示すアミノ酸配列を有するリブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ小サブユニット葉緑体標的配列をコードする核酸分子を有するキメラ遺伝子を含むことを特徴とする、コリスメートピルベートリアーゼ発現カセット。
  12. 前記キメラ遺伝子が配列番号8に示すポリペプチドをコードすることを特徴とする、請求項11に記載のコリスメートピルベートリアーゼ発現カセット。
  13. 請求項11に記載のCPL発現カセットを含むことを特徴とする植物。
  14. ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、オートムギ、モロコシ、コメ、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、テンサイ、サトウキビ、キャノーラ、キビ、マメ、エンドウマメ、ライムギ、アマ、および飼草からなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の植物。
  15. 配列番号8に示すアミノ酸配列を有する成熟コリスメートピルベートリアーゼタンパク質のN−末端に融合する葉緑体標的配列を含むことを特徴とするキメラタンパク質。
  16. 配列番号15に示すアミノ酸配列を有する成熟CPLタンパク質のN−末端に融合する葉緑体標的配列を含むキメラタンパク質をコードすることを特徴とする、分離された核酸断片。
  17. 配列番号7に示す前記配列を有することを特徴とする、請求項16に記載の分離された核酸断片。
  18. 配列番号16に示すアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項15に記載の葉緑体開裂生成物。
  19. 請求項18に記載の処理されるタンパク質をコードすることを特徴とする、核酸断片。
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