JP2004510402A - 難溶性iia族錯体の酸性溶液 - Google Patents
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Abstract
難溶性のIIA族錯体(「AGIIS」)の酸性溶液、その調製と使用。AGIISは鉱酸(硫酸など)と、IIA族の水酸化体(水酸化カルシウムなどもしくは二塩基性酸のIIA族塩、またはこれら二つのIIA族化合物の混合物とを混合し、生じた固体を除去して調製される。各種の利用法には、洗浄、食料生産、脱汚染、バイオレメディエーション、農業への応用、医療への応用、及び複数の物質の無毒化が含まれる。
Description
【0001】
背景
この出願は、1999年2月19日に出願された出願第09/253,482号の一部継続出願であり、その全内容が参考として本願に組みこまれる。
【0002】
本発明は、難溶性のIIA族錯体(「AGIIS」)の酸性溶液、その調製、及びその使用に関する。
【0003】
80年代の後半、そして90年代の初めに、日本の研究者達が強イオン化水(「SIW」)を細菌剤として開発した。このSIWは、pH2.7もしくはそれ以下の水で、1000mV以上の酸化還元電位を示し、0.8ppm以上の塩素濃度を有するものとして設定された。SIWは、水の電解により調製される。
【0004】
水道水の電解は、「強酸水」および「強アルカリ水」を生成するためにも使用されており、両者は細菌特性を有すると主張されてきた。
【0005】
Wurzburgerらへの米国特許第5,830,838号は、金属表面を洗浄するための液を記載している。当該液は、水酸化カルシウムと水酸化カリウムを当量の硫酸と水中で混合し、次いでその溶液を10ミクロンのフィルターを通過させて調製される。得られた濃縮液は、処理すべき金属の表面酸化の程度に応じて希釈されうる。
【0006】
Overtonらへの米国特許第5,895,782号は、金属の表面、特に銅、黄銅、及び高強度アルミニウム合金のような非鉄合金の表面を洗浄するための溶液を記載している。当該液は、Ca(OH)2とKOHを当量の硫酸と水中で混合し、その溶液を10ミクロンのフィルターを通過させて調製する。得られた濃縮液は、処理すべき金属の表面酸化の程度に応じ、そのままの濃さで、又は希釈して、使用されうる。
【0007】
国際公開WO第94/09798号は、疾患、損傷、及びその他の障害を処置するための薬学的組成物を記載している。当該薬学的組成物は、カルシウムを含有する成分と、硫酸塩を含有する成分との複合体を、薬学的に許容される担体中に含む。この引例は、天然材料、例えば泥炭からその無機組成物の単離を教示している。この無機調製物は、アルカリ性、水性もしくは有機、又はそれらの混合物、を用いて泥炭を抽出した物から構成される。泥炭は、水溶液、有機溶媒溶液もしくは水と混和し得る有機溶媒を用いて、室温以下の温度から当該溶媒の沸点までの温度で抽出される。抽出媒は、pHが少なくとも9あるものが好ましい。分画された泥炭からの調製物の、生物学的に活性のある構成体は、X線粉末回折により、CaSO4・2H2O(石膏)、CaSO4・K2SO4・H2O(シンゲナイト、石膏の複塩とも称する)、及びK3Na(SO4)2(アフシタライト)、と同定された。この引例は、また、シンゲナイトの合成法についても記載している。
【0008】
化学者は、化学反応
HA+H2O → H3O++A−
において、ある物質がプロトン[H+]を供与する能力をpKaとして表記し算出する。
【0009】
ヒドロニウムイオンは、通常H+もしくはH3O+で表記されるが、真の化学式はまだ確定されていない。集合体はH5O2 +かもしれず、H7O3 +かもしれず、あるいはH9O4 +ですらあり得る。
【0010】
正に荷電した水は、プロトン[H+]を供与する能力を持つ。プロトンの供与は、通常、酸加水分解反応の中間段階である。酸は、通常、水性の溶液においてプロトンを供与するのに用いられる化学試薬である。水が[H+]の供与源となれれば、その反応から生ずる望ましくない副産物(毒性物)は減少し、その生成物の使用に伴う危険は低下するであろう。
【0011】
強い酸は、レンガやモルタルから石灰や生石灰を中和し除去するために、用いられる。強い酸、例えば塩酸はまた、シャワー室、窓、ガラス、洗面所、小便器、鏡、その他の表面につく硬水の汚点を洗浄するのにも用いられる。塩酸は、貯水塔及び熱交換器で缶石を除くことも、余剰廃液のpH調整にも用いられる。塩酸のような強い鉱酸は、多くの物質に対して極度の侵食性を示し、金属もその例外ではない。さらに、0.5程度の低いpHの塩酸は、ヒトの皮膚を数秒間で火傷させる。この酸は、また、粘膜を刺激する煙を放出するということで非常に有害である。漂白剤のような他の化学薬品の近くに放置されると、典型的なプラスチックの容器に入れておいても、塩酸はそれらと相互作用を起こすであろう。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、「酸性」すなわちH3O+の供給源を、これらの予期せぬ不利益なしに確保し、酸加水分解に伴う環境及び安全への危険を減少させることが望ましい。好ましくは、この「酸性」の供給源が、汚染を除くための作業に伴う再汚染を防止できること、バクテリアの抵抗性を誘発しないこと、処理された食品の味、色、又は匂いを変えないこと、臭気を発しないこと、水の中で広範囲の温度にわたって有効であること、過剰に使用しても危険が比較的少ないこと、使用後中和できること、ガン原性もしくは変異原性を示さないこと、毒性を有しないこと、水中また環境中でほぼ無害なこと、環境に友好的であること、そして長期にわたって保存しても分解せず危険な物質に変化しないこと、である。
【0013】
微生物の生長を制御することは、多くの実践的状況で必要であり、微生物学のこの分野での研究を介して、農業、医療、食物学において目覚しい進歩が成し遂げられた。「生長の制御」というのは、微生物の生育を防ぐことを意味する。この制御は、二つの基本的な方法、即ち(1)微生物を殺す;もしくは、(2)微生物の生長を阻止することによって行われる。生長の制御は、通常、微生物を殺すか生長を阻止するか、のいずれかを行なう、物理的もしくは化学的作用剤の使用を含む。細胞を殺す作用剤は、「殺作用」剤と呼ばれる。細胞の生長を阻止するが、殺さない作用剤は、「静作用」剤と称される。従って、用語「殺菌の」は菌を殺すことを意味し、「静菌の」は菌の生長を阻止することを意味する。「殺菌薬」はバクテリアを殺し、「殺菌剤」は真菌を殺す。「無菌化」は、「無菌化」される対象物の内部もしくは表面にあるあらゆる生物を完全に破壊または除去することである。対象物は無菌化されたか無菌化されていないかのいずれかであって、無菌化の程度はない。無菌化の処置は、熱、放射線、もしくは化学薬品の使用、または微生物の物理的な除去を包含する。
【0014】
微生物は、種々の表面においてコロニーを形成し複製を行ない、その結果、複数種の微生物が付着して集積した「バイオフィルム」と呼ばれるものを生ずる。バイオフィルムは、食料、飼料、またそれらを扱う器具類などの表面に生じる。バイオフィルム中の微生物には、バクテリア、真菌、ウイルス及び、原生動物などが含まれる。食料の安全性は国家的な優先案件であるから、食料生産に付随する多岐にわたる問題を解決するに役立つあらゆる製品が望ましい。危険な微生物の汚染を培うバイオフィルムを除去し制御することは、衛生上の目的として達成されるべきことである。汚染物が反応を示し微生物が生存できないレベルにまでpHを下げることにより、水及び栄養物の汚染を安全に除くことができることも望ましいことである。
【0015】
本明細書で使用する限りにおいては、「栄養物」という用語は、有機的生物に対し、養分となり、治癒せしめ、すなわち生育を促し、自然に生ずる消耗を修復する物を意味する。したがって、ヒトの食料、動物の飼料はすべて栄養物の例である。栄養物の他の例としては、飲料、食料添加物、飼料添加物、飲料添加物、食料補足物、飼料補足物、飲料補足物、調味料、スパイス、着香料、充填料、ドレッシング、薬物、生物学的産物等がある。栄養物には、植物由来のも、動物由来のもの、合成物がある。消毒剤、殺菌剤、殺虫剤の製品として現在市販されているものは、塩素、アンモニア、有機ヨウ素、金属塩及びその他の有害な残基を含んでいる。有害な化学薬品の存在なしで酸の加水分解を促進することにより、これらの残基を使用せずに済む方法があれば、望ましいことである。さらに、この方法は、危険な揮発性のガス類を生ずる恐れがほとんどない。重要なことは、微生物の生長を制御し、殺し、そして同時に当該微生物により産生され、もしくは伴って得られるトキシンのような産物を破壊し得る成分を所有することは高度に望ましい。
概要
【0016】
本発明は、難溶性のIIA族錯体(「AGIIS」)の酸性の、又は低pHの溶液、その調製法、及びその使用に関する。本発明の一つの実施態様は、IIA族の水酸化物もしくはIIA族の二塩基性酸の塩に、もしくはIIA族の水酸化物とIIA族の二塩基性酸の塩との組み合わせと、鉱酸を混合もしくは混和して調製した、高度に酸性の溶液に関する。本発明のさらに他の局面として、広範な範囲の物質につき、化学的生産、薬学的生産、洗浄、食料生産、汚染除去、バイオレメディエーション、農業への応用、医療への応用、毒物除去、ならびに汚染除去に際して、安全、清潔、環境に対し敏感な方法を促進するための異なった方法に関する。
詳細な説明
【0017】
本発明の1つの局面は、難溶性のIIA族錯体(「AGIIS」)の酸性、又は低pHの溶液に関する。当該溶液は、非常に微細な粒子の懸濁を有するかもしれない。「低pH」という用語は、pHが7以下で、酸性域にあることを意味する。ある酸規定度を有する本発明のAGIISは、硫酸カルシウムで飽和した硫酸液の等しい酸規定度のものが示すと同等の脱水挙動は示さない。言い換えれば、ある酸規定度を有する本発明のAGIISは、硫酸カルシウムで飽和した硫酸液の等しい酸規定度のものほどには、蔗糖を速やかに炭化させない。さらに、このAGIISは室温において非揮発性である。ヒトの皮膚に対して、硫酸カルシウムで飽和した硫酸液の等しい酸規定度のものほどの腐食性を示さない。理論によって束縛される意図はないが、AGIISの1つの実施態様は、準飽和、飽和、過飽和のカルシウム、硫酸アニオンもしくはその変種、及び/もしくはカルシウム、硫酸塩及び/もしくはそれらの諸変種を含む錯イオンから構成されると信じられる。
【0018】
「錯体」という用語は、本明細書で使用する限りにおいては、個々の構成体が会合している組成物を意味する。「会合」とは、諸構成体が相互に共有的もしくは非共有的に結合し、後者の場合は水素結合又はその他の分子間力の働いた結果として結合しているものである。構成体は、イオン体として、非イオン体として、水和体として、またはその他の形で、存在しうる。
【0019】
難溶性のIIA族錯体(AGIIS)は、いくつかのやり方で調製し得る。その方法のうちのいくつかはIA族の水酸化物を使用するが、合成法のあるものは、添加したIA族の水酸化物を何ら使用しない。ただし、少量のIA族の金属が「不純物」として存在する可能性はある。AGIISを製造する好ましいやり方では、IA族の水酸化物を混液に添加しないほうがより好ましい。その意味するところのものは、AGIISはpH2以下では高度に酸性であり、イオン性である。
【0020】
Wurzburgerらは、米国特許第5,830,838号において、「水酸化カルシウム/水酸化カリウム法」によって調製した酸性溶液を記載している。その溶液は、まず、濃硫酸(93%)の2モルを2リットルの脱イオン水に加えて生成される。別に、塩基の水溶液が、水酸化カルシウム(水和石灰)1モルと水酸化カリウム2モルを20リットルの脱イオン水に撹拌しながら加えて調製される。次いで酸の溶液が塩基の溶液と混合される。混合液は、次いで、硫酸カルシウムもしくは硫酸カリウムの粒子で11ミクロン以上のものを除去するため、10ミクロンのフィルターを通して濾過される。得られた濃縮液は、処理すべき金属表面に応じて、そのままの濃さで、もしくは水で希釈して、使用される。水酸化ナトリウムを水酸化カリウムの代りに用いてもよい。酸化カルシウム水和物を水酸化カルシウムの代りに用いてもよい。塩基の別の提供源は、金属カルシウムである。どちらの場合も、そしてこの出願の実施態様の一つにおいても、得られる溶液は高度に酸性の溶液である。この高度に酸性の溶液は、水で希釈してpHをより高い所望の値、つまり酸性度のより低いものに調整することができる。
【0021】
酸性溶液を調製する他のやり方は、「カルシウム−金属法」、すなわち、濃硫酸を金属カルシウムと反応させ、次いで濾過するものである。濃硫酸の1モルを40モルの脱イオン水で希釈した。次いで、金属カルシウムの削片1モルを、撹拌しながら硫酸の溶液にゆっくりと添加した。金属が基本的にすべて溶解するまで撹拌を続けた。得られた混合物は、およそ5時間から6時間放置してから上清を10ミクロンフィルターで濾過した。こうして得られた濃縮液は、およそ0.5のpH値を示した。このヒドロニウムイオンの濃縮液は、次いで所望のpH値、例えばおよそ1又はおよそ1.8へと脱イオン水で希釈された。
【0022】
さらに、「カルシウム−ヒドリド法」がある。これは、濃硫酸と水素化カルシウムを水中で反応させるものである。濃硫酸1モルを脱イオン水40モルで希釈した。振盪しながら、1モルの水素化カルシウムを緩やかに硫酸溶液に加えた。水素化カルシウムが基本的に全量溶解するまで振盪を続ける。溶解した後、混合物を約5〜6時間放置して沈降させ、それから上清を10ミクロンフィルターで濾過した。このようにして得られた濃厚液は、約0.1〜約0.2のpH値を示し、さらに希釈することができる。
【0023】
「カルシウム−金属法」もしくは「カルシウム−ヒドリド法」によって得られたある製品で、−0.2から−0.3のpH値を示し、酸規定度が1.4〜1.5であったものは、以下の分析結果を与えた:Ca、763ppm;SO4、84633ppm;Na、4.76ppm;K、3.33ppm;そしてMg、35.7ppm。
【0024】
この「カルシウム−金属法」及び「カルシウム−ヒドリド法」は、ある種の欠点を有する。いずれの方法においても、濃硫酸が金属カルシウムと水素化カルシウムのいずれかと反応する際に生ずる大量の熱のため、熱的な制御を達成するのが非常に困難である。反応の熱的制御が困難なため、反応を再現するのは困難で、制御しにくい。
【0025】
AGIISを調製する好ましい方法は、鉱酸を、IIA族の水酸化物と、もしくはIIA族の二塩基性酸の塩と、もしくは上記二種のIIA族物質の混合物と、混合することである。混合において、IIA族の塩も生ずる。好ましくは、出発時のIIA族物質もしくは選択された物質が、水に難溶性の単数又は複数のIIA族塩を導き形成することである。好ましい鉱酸は硫酸であり、好ましいIIA族水酸化物は水酸化カルシウムであり、好ましい二塩基性酸のIIA族塩は硫酸カルシウムである。その他のIIA族塩の例には、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、及び「重炭酸カルシウム」がある。
【0026】
したがって、AGIISは、例えば、以下のスキームの一つで与えられた出発材料を混合もしくは混和することにより、良好な再現性をもって調製することができる。
(1)H2SO4及びCa(OH)2;
(2)H2SO4、Ca(OH)2及びCaCO3;
(3)H2SO4、Ca(OH)2、CaCO3及びCO2(ガス);
(4)H2SO4及びCaCo3;
(5)H2SO4、CaCO3及びCa(OH)2;
(6)H2SO4、CaCO3及びCO2(ガス);
(7)H2SO4及びCaSO4;
(8)H2SO4、Ca(OH)2及びCaSO4;
(9)H2SO4、CaSO4及びCaCO3;
(10)H2SO4、CaSO4、CaCO3及びCa(OH)2;
(11)H2SO4、CaSO4、CaCO3及びCO2(ガス);及び
(12)H2SO4、CaSO4、CaCO3、Ca2(ガス)及びCa(OH)2;
【0027】
このように、AGIISは、水酸化カルシウムを濃硫酸と混合して調製し、その際、任意の二塩基性酸のIIA族塩(硫酸カルシウムのような)の添加が、あってもなくてもよい。任意の硫酸カルシウムは、水酸化カルシウムを混合液に導入するに先立って、濃硫酸に添加する。硫酸カルシウムを濃硫酸に添加すると、AGIISの調製に必要な水酸化カルシウムの量が減少するようである。その他の任意の反応物として、炭酸カルシウム及び、混合物中に通気する二酸化炭素ガスがある。いかなる任意の反応物を使用するかにかかわらず、水酸化カルシウムの使用が望ましいことが見出された。
【0028】
AGIISを調製する1つの好ましい方法を簡単に記載すると:反応槽中の冷水(8℃〜12℃)に濃硫酸を加え、撹拌下、硫酸カルシウムを冷水中の酸に加えて混合液とする。この過程では温度制御が主要である。この撹拌混合液に、次いで、水酸化カルシウムの水性スラリーを加える。混合液から形成される固体を除去する。この方法は、硫酸、硫酸カルシウム、及び水酸化カルシウムを使用するが、いくつかの予想外の利点を有する。第一に、この反応は激烈なものでなく、異常な発熱性をも示さない。制御を行ないやすく、再現もしやすいことに加えて、この反応で用いる原料は、いずれも、合衆国食品医薬品局(「U.S.FDA」)で既に概観してあり、「おおむね安全と認める」(「GRAS」)と認定されたものである。このようなものとして、これらの原料のそれぞれは、当然ある種の制限下はあるが、いずれも、食料に直接加えうるものである。適度な濃度では、これらの原料の各々は、食品加工の補助に、また食品に接触する利用法で、用いることができる。それらの利用は、製造物の適性と、適正製造基準(「GMP」)のみによって制限される。このように調製されたAGIISは、従って、動物による消費に関して安全であり、食品加工の補助に用いて安全であり、かつ食品に接触する利用法に関して安全である。さらに、AGIISは、微生物の生長を妨げ、殺すのみならず、微生物により形成され産生されるトキシンを破壊することによっても、生物学的な汚染を低減させる。形成されたAGIISは、また、消費可能な生産物を、それが植物であれ、動物であれ、薬学的なもしくは生物学的な生産物であれ、保存させ、もしくは貯蔵期間を延長させる。それはまた、飲み物、植物製品又は動物製品の、器官感覚受容性の品質を保持し、改善もする。それはまた、ある種の治癒的な及び治療的な特性を有する。
【0029】
使用される硫酸は、通常、FCC等級で、95〜98%(約35〜37N)である。濃硫酸の量は、約0.05M〜約18M(約0.1N〜約36N)の範囲に、好ましくは約1Mから約5Mの範囲でありうる。それは適用に特異的である。使用される「M」という語は、モル濃度、すなわちリットル当りのモル数である。
【0030】
普通、微細に粉砕された水酸化カルシウムを水中に懸濁したスラリー(W/Vで約50%)が、硫酸カルシウムの存在下もしくは不在下で、水酸化カルシウムを硫酸の撹拌液に少しずつ導入する際の好ましいやり方である。この反応は、通常は40℃以下で、好ましくは室温以下で、より好ましくは10℃以下で、実施される。水酸化カルシウムを添加する時間は、約1時間〜約4時間の範囲である。撹拌速度は約600rpm〜約700rpm、もしくはより速く変動する。混合したのち、混合物は5ミクロンのフィルターを通して濾過される。濾液は一夜放置し、微細な沈降物は傾斜法で除去される。
【0031】
使用される水酸化カルシウムは、通常約98%の純度を有するFCC等級である。硫酸のような濃い酸の1モル当りに使用される水酸化カルシウムは、適用に特有な量であり、モルで表わすと約0.1〜約1の範囲である。
【0032】
任意で用いる炭酸カルシウムは、通常約98%の純度を有するFCC等級である。上記のように水酸化カルシウムと共に用いる際には、硫酸のような濃い酸のモル当りの炭酸カルシウム使用量は、モルで約0.001〜約0.2の範囲であり、使用される水酸化カルシウムの量に依存する。
【0033】
任意で用いる二酸化炭素は、通常、水酸化カルシウムを含有するスラリー中に約1〜約3ポンド圧の速度で通気される。二酸化炭素はスラリー中に約1時間〜約3時間通気される。スラリーは、次いで、濃硫酸の入った反応槽に添加される。
【0034】
その他の任意の成分は硫酸カルシウムであり、二塩基性酸のIIA族塩である。普通、脱水化された硫酸カルシウムを用いる。この出願で使用する限りでは、「硫酸カルシウム」、もしくは式「CaSO4」は、硫酸カルシウム無水物か、硫酸カルシウム水和物のいずれかを意味する。使用される硫酸カルシウム(二水和物)の純度は、通常、95〜98%のFCC等級である。硫酸カルシウムの量は、濃硫酸1リットル当りのモル数で表わして、約0.005〜約0.15、好ましくは約0.007〜約0.07、そしてより好ましくは約0.007〜約0.04の範囲である。これは適用に特有のものである。
【0035】
実験データから、AGIISの所望の最終酸規定度を得るのに必要な、水酸化カルシウム対濃硫酸の比を示す勾配が与えられている。図1を参照のこと。
【0036】
図1の勾配は、一定量の酸を所望の最終酸規定度にまで滴定して得られるデータポイント2組から作成した。精度は化学的に決定された。最終生成物の最終の酸規定度は、約1.2〜約29の範囲である。1.2NのAGIISを1リットル生成するためには、濃硫酸1モルごとに、0.45モルのCa(OH)2が必要であると見出された。27NのAGIISを1リットル生成するためには、濃硫酸1モルごとに、0.12モルのCa(OH)2が必要であると見出された。これらのデータは、グラフにプロットされ、グラフでY軸は最終酸規定度を表わし、X軸は濃硫酸1モル当りのCa(OH)2のモル数を表わす。X1=0.45、X2=0.12、Y1=1.2、そしてY2=27である。直線の勾配は、等式(Y1−Y2)/(X1−X2)を用いて算出され、その値は−78.18であった。直線は等式Y = mX + bで表わされ、式中mは勾配であり、bはY切片である。最も高い酸規定度は36.65であったので、等式は
Y = −78.18X + 36.65
となる。
【0037】
この勾配は、所望の最終酸規定度を有するAGIIS溶液を調製するのに有用である。
【0038】
大まかに言って、所望の最終酸規定度を有するAGIISを調製する方法は、下記の複数の段階を伴う。計算は、AGIISの最終容積1リットルに基づいていて、酸(濃硫酸)の量と塩基(水酸化カルシウム)の量はモルで表わし、塩基対酸の比は、酸(濃硫酸)のモルごとに対する塩基(水酸化カルシウム)のモル数である。これらの段階は:
【0039】
(a)所望の最終酸規定度(「N」)を有するAGIISを生成するのに必要な鉱酸のモルでの量を、下記の等式:
E1=(N/2)+(N/2+B)
【0040】
ここで、E1は、純度補正もしくは純度調整をまだ行なう前のモルで表わした酸の所要量であり;Nは所望の最終酸規定度;そしてBは、IIA族水酸化物と、Nを有するAGIISを得るのに必要な鉱酸のモル比であり、Bは、所望の最終Nを得るための鉱酸とIIA族水酸化物との間の関係を示した曲線を、あらかじめプロットしておけば、それから求められる、
で与えられる関係を用いて決定し;
【0041】
(b)使用される鉱酸の純度調整を行なう。使用される純度に対する補正は、等式:
E2=E1/C
【0042】
ここで、E2は、使用される酸の純度に対する補正、すなわち純度調整を行なった後の酸の所要のモル量である;E1は上記で定義したとおりである;Cは、使用される酸に対する純度調整のための係数である。濃硫酸については、平均的な酸の強度は約96.5%であり、従ってCは0.965となる;
【0043】
(c)酸に加えるべき水の所要ミリリットルでの量を決定するが、この酸溶液が、反応終了後には、所望の最終酸規定度Nを与える。関係式は以下の通りである:
G=J−E2−I
【0044】
ここでGは、所望の最終酸規定度を得るべく鉱酸溶液に加えるべき水の所要量であり;Jは鉱酸の水溶液の最終容積であり;Iは必要なIIA族水酸化物の容積量であり(下記参照);E2は上記で定義したとおりである。
【0045】
(d)GをE2に添加して鉱酸の最終水溶液を得るが、ここでGおよびE2は上記で定義したとおりになっている。
【0046】
(e)所望の最終酸規定度Nを有するAGIISを生成するための反応に必要な塩基(水酸化カルシウムなど)のモルでの量を決定する。例えば、ある一定の最終酸規定度を達成するための濃H2SO4に対するCa(OH)2のモル比は、図1の直線から定められる。
【0047】
必要な塩基のモルでの量は:
F1=N/2×B
【0048】
ここで、F1は必要とされる塩基のモルでの量であり、NとBは上記で定義したとおりである。
【0049】
(f)使用される塩基の純度に対する補正は、下記の等式:
F2=F1/D
【0050】
ここで、F2は、使用される塩基の純度を補正、すなわち純度調整した後の、必要とされる塩基のモルでの量であり、Dは使用される塩基に対する純度調整係数である。
【0051】
水酸化ナトリウムの平均的な純度は約98%であり、従って、Dは、この場合では、0.98となる。
【0052】
(g)塩基のスラリーを作るのに要する水の量を、mlで、決定する。関係式は下記のとおりである:
H=F2×1.5
【0053】
ここで、Hは、塩基のスラリーを作るのに必要とされる水のmlでの量で、それは、その後所望の最終酸規定度Nを有するAGIISを与えるであろう。F2は上記で定義したとおりである。得られたHは、近似値であって、所要の最終重量・容積に調整する必要がある。したがって、例えば、使用されるスラリーが固体物と水の50:50の混合物であるので、50gの塩基は、最終容量100mlに調整する必要がある。
【0054】
(h)所望の最終酸規定度Nを有するAGIISを得るために、酸溶液に加えるべき、塩基のスラリーもしくは溶液の容積を、mlで、決定する。関係式は以下のように表わされる:
I=F2×2
【0055】
ここで、Iは酸溶液に加えられるべき塩基のスラリーもしくは溶液の容積をmlで表わしたものであり;F2は上記で定義したとおりである。
【0056】
(i)HをF2に加えて最終的な塩基の水性スラリーもしくは溶液を得る。H及びF2は上記で定義したとおりである。
【0057】
(j)(i)の最終的な塩基の水性スラリーもしくは溶液を、(d)の鉱酸の最終水溶液に加える。
【0058】
(k)(j)の最終的な塩基の水性スラリーもしくは溶液と、鉱酸の最終水溶液とを反応させる。そして、
【0059】
(l)(k)の反応から生じた固形分を除去する。
【0060】
反応にCaSO4を用いて、濃硫酸溶液にCaSO4を添加する場合には、CaSO4の量(最終容積のリットル当りのグラム数である)は、次に示すような関係を有する。
【0061】
AGIISの最終酸規定度N CaSO4の量(g/l)
1−5 5
6−10 4
11−15 3
16−20 2
21−36 1
【0062】
得られたAGIISは、約0.05〜約31の酸規定度であり、pHは0未満、沸点は約100℃〜約106℃、凝固点は約−8℃〜約0℃であろう。
【0063】
H2SO4/Ca(OH)2/CaSO4の反応を用いて得られたAGIISは、以下の分析値を示した(平均)。
【0064】
最終の酸規定度が1.2N、pHが−0.08のAGIIS
H3O+、2.22%;Ca、602ppm;SO4、73560ppm;K、1.36ppb;不純物、19.68ppm、そしてNaとMgはいずれも検出されなかった。
【0065】
最終の酸規定度が約29N、pHが−1.46のAGIIS
H3O+、30.68%;Ca、52.9ppm;SO4、7356000ppm;K、38.02ppb;そしてNaおよびMgは検出されなかった。
【0066】
濃硫酸以外にも、他の多塩基性酸、たとえばリン酸、亜リン酸、塩素酸、ヨウ素酸その他を用いることができる。
【0067】
同様に、他のアルカリ又は塩基の水溶液、例えば、IA族水酸化物の溶液もしくはスラリー、及びIIA族水酸化物の溶液もしくはスラリーも使用しうる。IA族及びIIA族とは、周期律表の二つの族を意味する。IIA族水酸化物の使用が好ましい。好ましくは、IIA族水酸化物を反応に使用することから生ずる塩は、水に難溶性である。塩基として、IA族水酸化物を添加せずにIIA族水酸化物のみを用いることも好ましい。
【0068】
反応後、得られる比較的pHの低い(典型的にはpH1以下)濃縮溶液は、脱イオン水で希釈して、所望のpH、たとえば約1又は約1.8pHにする。
【0069】
しかしながら、非常に濃縮されたAGIIS溶液を調製しないで、所望の酸規定度を有する液を得るためにその後それを順次希釈しないことが、時に望ましいことがある。本出願に記述された方法で所望の最終酸規定度を有するAGIIS溶液を調製することが望ましいことが多く、そのため使用前に多量の希釈が必要とされない。
【0070】
上で論じたように、AGIISは、等濃度の硫酸中のCaSO4飽和溶液と比較すると、脱水特性(例えば蔗糖の炭化)は相対的に弱い。さらに、本発明のAGIISの安定性と非腐食性は、ある人が、pH0.5未満のこの溶液に自分の手を差し入れても、その手が刺激を受けないで、損傷も受けないという事実により示される。その一方で、pHが0.5未満の硫酸溶液中に自身の手を浸した場合、相対的に短時間で刺激が生じるであろう。硫酸カルシウムで飽和された28Nの硫酸溶液は、ヒトの皮膚と数秒の接触により化学的火傷を惹き起こすであろう。対照的に、同一規定度のAGIISは、ヒトの皮膚に5分間接触させた後でも化学火傷を惹き起こさない。本発明のAGIISは、植物(表皮(クチクラ))もしくは動物(皮膚)の、環境から身を保護する被覆に接触しても、それを浸食する作用はないようである。AGIISは室温では非揮発性である。29Nといった濃縮された状態でも、AGIISは無臭であり、煙を空中に発することなく、ヒトが、この濃縮液の臭いを嗅いで見ても、鼻に刺激を与えることはない。
【0071】
「生物学的汚染物」とは、生物体、もしくはトキシンのような生物体の生産物、もしくはその両者で、すべて、環境及び有用な生産物を汚染するものである。この生物学的汚染物は、環境及び生産物を危険なものにする。
【0072】
生物学的汚染物は、たとえばバクテリア、真菌、カビ(mold)、白カビ(mildew)、胞子、ウイルスなどは、その細胞壁/細胞膜内に反応性物質を潜在的に有している。しかし、それらは細胞内に潜み隠れる(ウイルス及びある種のバクテリア)、かつ/又はバイオフィルムを分泌して(多くのバクテリア、真菌、カビ、および白カビ)自分を環境から保護する。
【0073】
バクテリアは、細胞内、もしくは細胞外にトキシンを形成・産生する。トキシンとは有害で毒性ある物質であり:(1)そのバクテリアに必須の構成部分であるか;(2)そのバクテリアが細胞外に産生した産物(エキソトキシン)であるか;もしくは(3)そのバクテリアの代謝と生育の間に形成・産生された、この二つの状態の組み合わせを示す物質である。トキシンは、一般的に、比較的複雑な抗原性ある分子で、化学的組成は、通常不明である。バクテリアの有害な効果は、バクテリア自身がもたらすだけでなく、バクテリアが産生するトキシンによってももたらされる。バクテリアの産生するトキシンは、産生物にとって、バクテリアそれ自体以上ではないにしろ、少なくとも同程度に危険なものである。四級アンモニウム化合物など通常の消毒剤は、バクテリアを殺すが、バクテリアのトキシン及びエンドトキシンには何の効果も示さない。事実、多くの消毒剤が、エンドトキシンをバクテリアから放出させてしまうという形で、エンドトキシン問題に貢献している。バクテリアのトキシンとエンドトキシンは、ヒト及び動物で重大な副作用を惹き起こし得る。エンドトキシンは、食品、医薬品製造、医療機器、及びその他の医学製品における汚染の主要原因である。したがって、バクテリアが群がる製品を「脱汚染」する際には、単にバクテリアを殺し、その数を減らすだけでは充分でない。安全で脱汚染された製品を得るには、バクテリアのトキシン及びエンドトキシンをも破壊しなければならない。実世界では、微生物を殺すことだけでは、トキシン類を破壊することだけのいずれも、充分とはいえない。有用であるためには、栄養物中もしくは装置内の生物学的汚染体を減少させるに際に、生物体の生育を制御し減少させ、それと同時に、生物体の生成物(トキシン類のような)をも除去し、及び/もしくは破壊しなければならないのである。
【0074】
外部の被覆、すなわち動物の表皮及び植物のクチクラは、上記の微生物が複雑な生物体の体内へ侵入し生長するのに抵抗する。植物及び動物が微生物の生長を防ぐ方法の一つは、表面のpHを維持するか、もしくは微生物の付着と増殖に不適合なコーティングを分泌するか、である。植物の産物が収穫され、あるいは動物の産物が加工された後では、これら産物は微生物の蔓延に抵抗する能力を緩和する。本発明の成分プラス定義された添加物を、果実、野菜、及び収穫後の全植物体にスプレーし、または動物の産物をこの成分を用いて洗浄もしくは包装することによって、これらの産物での微生物の生長と増殖は低減できる。植物及び動物の産物をこの組成物中に包装する際には、さらなる利点が現出する。すなわち、産物を加熱すると、この成分のpH、そしてそれに応じて当該産物のpHが低下し、この成分の能力を増強して、いかなる微生物、そのトキシン又はその他の有害な物質をも破壊するのである。
【0075】
本発明の組成物の性質は、「保存薬」であることが見出された。この組成物は腐食性ではない;しかし、破壊的な微生物が生育し増殖できない環境を作り出すことができるため、製品の貯蔵期限を延長させるのである。この保存方法の利点は、この混合物の元来の低いpH自体が保存力を有するため、保存するべき食物あるいは他の物質などにさらなる化学薬品を添加する必要がないことである。保存用の化学薬品を食物に添加する必要がないため、風味は向上し、残渣も避けられる。新鮮な状態で保存された食物及び、既に保存されていた多数の食物を感覚器の刺激検査にかけた結果、明らかになったのは、本成分の添加により風味が向上し、保存剤の香りが除かれたことであった。「感覚器を刺激する」というのは、ある器官の感覚、もしくは全体の器官の感覚に対して印象を及ぼすことを言う。別の使用例において、この組成物を種々の食用ドレッシング、新鮮なジュース、および発酵飲料(ワイン)に添加した。得られた風味は、当初のもの、もしくは対照のものに較べて優れているという評価が全員一致であった。この組成物を保存剤及び風味増進剤として食物及び飲料に使用すれば、より安全でより望ましい製品が得られるであろう。さらに、この組成物は、生物学的製剤、調合薬、またその他の保存に対し敏感な製品に添加してそれらの安全性と貯蔵期間を増加させられる。これは、製品のpHを調節するための成分としても用い得る。
【0076】
生物薬学的、そしてワクチンの装置の従来の洗浄法は、いつも多くの問題を抱えている。遺伝学的に変容を受けた酵母やバクテリアが生物薬学的産物を生産しているバイオリアクター槽は、洗浄過程の間、残留物に非常に敏感である。本発明のアダクトもしくは組成物は、生産終了直後にこれらの槽を第一次洗浄するのに、また、反応槽で培養を再開する直前に、最終の洗浄を行ない浸漬しておくにも極度に有用である。残渣を完全に除去する組成物の能力は、培養の成功を保証し、生物薬学的なワクチン産物中への汚染の可能性を取り除く。
【0077】
洗浄が厳しいものであるような製造の別の分野として、プラスチック及び複合材料を精密注入成型して医療装置等の工業製品の部品を製作する場合がある。本発明の組成物は、注入用金型を工程の間に速やか、かつ効率よく洗浄し、金型を損傷せず、製品に欠陥をもたらす残渣を残すこともない。さらに、この組成物は、過剰な材料を部品および酸食刻から除去して部品を洗浄するのに、もしくは組み立て及び溶接に先立って部品を洗浄するのにも用いられる。本発明の成分は、化学的に、もしくは熱を用いて、もしくは超音波を用いて接着する非金属性部品の表面を洗浄するのに有用である。装置が縫合用品などのウェットパッケージであれば、この組成物は包装用保存剤として用いられる。
【0078】
この組成物の農業への応用は、特に興味深い。植物水耕栽培用の水のpHを操作する能力は、果実の生産及び疾患の制御に影響するであろう。収穫のタイミングを揃え、収穫を完全にするのをこの組成物は援助できる。オリーブ、ナッツ及びある種の果樹は、機械による振動で収穫できる。この振動操作は数回加えなければならない、というのは、果実と幹とがいつも同時に成熟するとは限らないからである。収穫作業に先立って本組成物を果樹に散布すると、幹及び産物の成熟を早めることが出来る。振動作業を1〜2回行なうだけで、産物を完全に収穫することができて、収穫作業の費用と果樹への損傷を軽減できる。
【0079】
バクテリア、真菌、酵母、及びカビ類は植物の生産量を減少させ、または、穀物の質に収穫の直前、収穫時、収穫後にわたって影響を及ぼす。本発明の組成物は、生産された穀物が濡れた状況に置かれたとき、カビ、白カビを防ぐのに有用である。これは特にコーン、メイズ、及びその他のモロコシ類の生産に当てはまる。レーズン製造用に当てられたブドウは、収穫後、ブドウ畑の中で、紙または防水布の上に置いたまま放置乾燥される。雨天が続けば、レーズンは、乾燥過程中にカビを生じて、製品として使えなくなる。本組成物を用いて、収穫前にブドウに散布、収穫時に房を浸漬、防水布を処理、乾燥した房に散布、または包装前にレーズンを洗浄することにより、カビのないレーズンが得られる。同じ方法を用いて、ワイン製造中に、ブドウの均一性を保証することができる。本発明の成分は、ワインその他の発酵飲料のpHを制御し、風味を調節するのに用いられる。
【0080】
本発明の成分の同様な利用が、穀物の貯蔵に対してなされ得る。貯蔵穀物に青カビ、カビ、その他の真菌が蔓延すると、マイコトキシンが産生される。これらのマイコトキシンは、汚染された穀物を消費する動物に対し、非常に有害である。マイコトキシン中毒は、器官の損傷、生産の減少、もしくは死亡をもたらす。作付け用の種子を保存するためには、水銀とヨウ素を含む化学薬品が使用されているが、食料もしくは飼料に向けられる穀物に対しての保存剤で、有害な残渣を残さないものは知られていない。収穫時の、加工中のもしくは貯蔵中の穀物を本組成物に暴露すれば、添加物の有無にかかわらず、これらの微生物が穀物ないし貯蔵倉庫内に生育しない環境を作り出すことが出来るはずである。
【0081】
軍隊における利用のための野外特定用の応用法は数多い。第一の応用は、飲料水の脱汚染である。現在行なわれている個人用飲料水の脱汚染法は、ヨウ素錠剤を水筒の水に入れて一定時間待つ。本発明の組成物の少量をその水に加えれば、消毒のためにかかる時間は短縮され、そしてヨウ素錠剤は不要になる。野外生活のためのその他の応用法は、野外でのごみの脱汚染、衛生状態の疑わしい食物源のための調理用液、創傷及び汚染時の救急洗浄、有毒なもしくは有害な物質の漏出時に希釈し払拭すること、そして装備の洗浄及び脱汚染がある。これは、熱湯を用いた洗浄がいつでも可能とは限らない野外の条件で、食事の提供に当り、特に重要である。
【0082】
以下の実施例は、本発明及びそれを実行する際の方法をさらに説明するために提示する。しかし、実施例中に示される具体的な詳細は、説明の目的でのみ選ばれたものであって、本発明に限定を加えるものと解釈されるべきではない。他に定義されない限り、本発明の成分もしくは構成分のそれぞれの量は、最終組成物中の重量パーセントに基づく。
【0083】
実施例1
1.2−1.5NのAGIIS(H 2 SO 4 /Ca(OH) 2 ))の調製
濃硫酸(FCC級、純度95〜98%)1055ml(19.2モル、純度調整後で、塩基により中和される酸の量を考慮に入れてある)を、撹拌下、緩やかに反応フラスコa、b、c、e、及びfのそれぞれに分注してある16.868LのRO/DI水に加える。水の量は、酸及び水酸化カルシウムスラリーの容量を考慮して補正した。それぞれのフラスコ中の混合物を充分混合した。反応フラスコはいずれも氷浴で冷却し、混合物の温度は約8〜12℃であった。混合物は約700rpmの速度で連続的に撹拌された。
【0084】
別に、4kgの水酸化カルシウム(FCC等級、純度98%)にRO/DI水を加えて最終容積8Lのスラリーを作った。水酸化カルシウムの濃硫酸に対するモル比は、図1から0.45〜1と定めた。スラリーは、水酸化カルシウムと水の50%(W/V)混合物であった。スラリーは、高剪断力のミキサーで均一になるまでよく混合した。次いでスラリーを氷浴中で約8〜12℃に冷却し、約700rpmで連続的に撹拌した。
【0085】
反応フラスコのそれぞれに、150mlの水酸化カルシウムスラリーを20分ごとに添加し、これは、各反応槽に1.276L(つまり乾燥重量638g、8.61モルの水酸化カルシウム)のスラリーが添加されるまで行なった。添加は、約700rpmでよく撹拌しつつ実施した。
【0086】
各反応槽において、反応混合物への水酸化カルシウムの添加が完了した後、混合物を5ミクロンフィルターで濾過した。
【0087】
濾液は12時間放置し、形成した沈降物を傾斜法で透明な液から除いた。得られた生成物は、1.2〜1.5の酸規定度を有するAGIISであった。
【0088】
実施例2
2NのAGIIS(H 2 SO 4 /Ca(OH) 2 )/CaSO 4 )の調製
2NのAGIISを1L調製するため、濃硫酸(FCC等級、純度95〜98%)79.54ml(1.44モル、純度調整後で、塩基により中和される酸の量を考慮に入れてある)を、2Lの反応フラスコに入れてある853.93mlのRO/DI水に、撹拌しつつ緩やかに加えた。硫酸カルシウム(FCC等級、純度95%)5グラムを、緩やかに反応槽に、撹拌しつつ加えた。混合物を充分混合した。この時点において、混合物は通常、2.88の酸規定度を示した。反応フラスコは氷浴で冷却してあり、反応フラスコ中の混合物の温度は約8〜12℃であった。混合物は約700rpmの速度で連続的に撹拌された。
【0089】
別に、33.26g(0.44モル、純度調整後)の水酸化カルシウム(FCC等級、純度98%)に49.89mlのRO/DI水を加えて最終容積66.53mlのスラリーを作った。水酸化カルシウムの濃硫酸に対するモル比は、図1から、0.44〜1と定めた。スラリーは、高剪断力のミキサーでよく混合し、均一になるようにした。次いでスラリーを氷浴中で約8〜12℃に冷却し、約700rpmで連続的に撹拌した。
【0090】
スラリーを、2〜3時間にわたり、混合物にゆっくりと添加し、氷浴中で冷却し、約700rpmで撹拌した。
【0091】
混合物へのスラリーの添加が完了した後、生成物を5ミクロンフィルターで濾過した。溶液を塩が保持し、その塩を除去するため容積の20%のロスが生じるのが常に観察された。
【0092】
濾液は12時間放置し、形成した沈降物を傾斜法で透明な液から除いた。生成物は、酸規定度2を示すAGIISであった。
【0093】
実施例3
12NのAGIIS(H 2 SO 4 /Ca(OH) 2 )/CaSO 4 )の調製
12NのAGIISを1L調製するため、濃硫酸(FCC級、純度95〜98%)434.17ml(7.86モル、純度調整後で、塩基により中和される酸の量を考慮に入れてある)を、2Lの反応フラスコ中の284.60mlのRO/DI水に、撹拌しつつ緩やかに加えた。次いで、硫酸カルシウム(FCC等級、純度95%)3グラムを、緩やかに撹拌しつつ反応フラスコに加えた。混合物を充分混合した。反応フラスコは氷浴で冷却してあり、反応フラスコ中の混合物の温度は約8〜12℃であった。混合物は約700rpmの速度で連続的に撹拌された。
【0094】
別に、140.61g(1.86モル、純度調整後)の水酸化カルシウム(FCC級、純度98%)に210.92mlのRO/DI水を加えて、スラリーを作り、最終容積を281.23mlとした。水酸化カルシウムの濃硫酸に対するモル比は、図1から、0.31と定めた。スラリーは、高剪断力のミキサーで均一になるまでよく混合した。次いでスラリーを氷浴中で約8〜12℃に冷却し、約700rpmで連続的に撹拌した。
【0095】
スラリーを、2〜3時間にわたり、混合物に緩やかに添加し、引き続き氷浴中で冷却し、約700rpmで撹拌していた。
【0096】
混液へのスラリーの添加が完了した後、生成物を5ミクロンフィルターで濾過した。溶液を塩が保持し、その塩を除去するため、容積にして20%のロスが生じるのが常に観察された。
【0097】
濾液は12時間放置し、形成した沈降物を傾斜法で透明な液から除いた。得られた生成物は、酸規定度12を示すAGIISであった。
【0098】
実施例4.
AGIISの口辺ヘルペス(cold sores)に及ぼす効果
45歳の白人男性が、上唇に口辺ヘルペスがあるのに気付いた(第1日)。彼は4NのAGIIS(pHが−0.6、pH1.8)を脱脂綿球に沁みこませ、第1日と第2日は、およそ1分間ほどを2回、ヘルペスを「浸し」た。第3日は、いろいろな時間に4回、AGIISを適用した。
【0099】
口辺ヘルペスのもたらす、かすかな痛みは、AGIISをヘルペスに適用すると、ほぼ即座に激減した。適用3日目の終りには、口辺ヘルペスは、事実上なくなっていた。通常、医者からの投薬では、患者の口辺ヘルペスは治癒に7日を要する。
【0100】
AGIISは、単純疱疹による口辺ヘルペスに対して有用な処置方法であり得る。
【0101】
実施例5〜実施例30で用いられるAGIIS溶液は、濃硫酸を水素化カルシウムもしくは金属カルシウムと混合して調製された。
【0102】
実施例5
剃刀による切傷に対するAGIISの効果
45歳の白人男子が、ひげ剃りの刃を使用して、顔に3箇所の傷を受けた。彼はpH1.8のAGIISを脱脂綿球に沁みこませて、傷に直接適用した。
【0103】
切傷からの出血は20秒以内に止まり、痛みはほぼ即座に止まった。
【0104】
AGIISは、皮膚における凝血剤として有用であり得る。
【0105】
実施例6
携帯用の水の脱汚染
携帯用の水が、大腸菌でないタイプの生物体を含んでいた。pH1.8のAGIISをこの水に加えてpHを2.0にした。この水を培養したところ、生育は認められず、この水は消費しても不利な作用はなかった。
【0106】
AGIISのプラ−ク及びバクテリアに及ぼす効果
歯列矯正器具を装着した45歳の白人男子が、彼の口と歯を37日間AGIISで清浄した。日に1〜2回、pH1.8のAGIISをおよそ10ml用いた。彼は朝に清浄し、時には就寝前にもゆすいだ。彼は1日に2回歯を磨き、磨いた後、OTCの口洗い剤を使用した。
【0107】
この患者は、AGIISを使用する前に経験していたのと違って、歯の表面が薄い膜で覆われていないのに気付いた。彼の口の清新な感じが以前よりも長い間続くようだったと述べた。また、彼は、彼の歯が以前よりも白くかつ輝きを増したのに気付いた。彼は37日目に歯の洗浄を受けた。衛生士が彼の歯の一般状態を評価するため一連のテストを行なった。衛生士は彼の歯に色素を塗って歯に存在するプラ−ク及び/もしくはバクテリアを調べた。衛生士はビデオカメラをコンピュータに接続し、彼の歯の状態を観察し記録した。その結果、彼の歯の上部3分の2には、プラ−クもバクテリアも実質的に見当たらなかった。歯肉域に触れる下部3分の1には、少量のプラ−クとバクテリアが認められた。歯肉の状態は優秀だと判定された。被験者は口洗い剤を使うのと少なくとも同頻度以上、AGIISで口をゆすぎ、それも歯肉周辺に集中するのがいい、と衛生士は提案した。衛生士はその後の進展を観察する予定である。衛生士は、AGIISが歯のエナメル質を除去しているかどうかを計るため、薬剤と紫外線ランプを用いた。AGIISがエナメル質を除去していることはない、と示唆された。
【0108】
AGIISは、被験者の歯と口からプラークとバクテリアを除去するのを助け、歯を白くし、彼の口を平生よりも長い間清新に維持し、しかも歯のエナメル質を除去することはなかった。
【0109】
実施例8
腫瘍に対するAGIISの効果
多数の類表皮嚢胞を有する50歳の男性が、pH1のAGIISで局所の処置を受けた。腫瘍の部位2箇所を選んで処置されたが、3日後に効果はなかった。次いで、0.1mlのpH1のAGIISを、ツベルクリン用の注射筒につけた27ゲージの針を介して腫瘍内に注射した。24時間以内に、集塊は失せ、集塊が皮膚に付着していた部位には小さなカサブタだけが残存していた。副作用は何もなく、注射時に刺すような痛みが僅かに伴っただけであった。腫瘍の部位にあったカサブタは、7日後に消失した。
【0110】
実施例9
ヘパリンを投与したイヌの組織に対するAGIISの効果
15kgの雄性ビーグル犬1頭から肝臓を採取して、イヌ初代ヘパトサイトを入手し、組織培養による毒性スクリーニングを計画した。イヌは、実験の24時間前に食餌を絶って準備した。2mlのペントタールナトリウムで麻酔し、1000単位/mLのヘパリンを5mL、静脈内に注射してヘパリン化した。肝臓の採取が終了し、種々の器官と皮膚の断片が、pH1のAGIIS水溶液に暴露された。AGIISに暴露された組織に対する不利な作用は認められなかった。ヘパリン化された血液は、AGIISに触れると色と粘度が変化して、褐色の顆粒になった。ヘパリン化したイヌにおける凝血時間への効果は認められなかった。
【0111】
実施例10
ウサギにおける外科的創傷に及ぼす効果
雄性ウサギ1羽にケタミン3mLを筋肉内投与して麻酔し、腹部を剃毛した。腹部の両側に色落ちしない青色のマーカーで以下の順序で数字をつけた:1、2、3、4、5、C。ただし、1はpH1、2はpH2、3はpH3、4は灌漑水「WFI」、5は空気対照、Cは凝血時間対照であった。pH1、2、3は、AGIISの水溶液でpHがそれぞれ1、2、3のものに対応している。これらは「pH1AGIIS処置」、もしくは「pH1処置」と略称する。幅1cmの切開を、2回に分けて6箇所に行なった。切開の名称に対応する各種の液体を、対応する傷に導入し、少なくとも20分間結果を観察した。凝血時間は、毛管フィブリン法で定量したが、正常値であった。空気対照傷は、約2.5分ほどで凝血した。灌漑水で処置した傷は、凝血時間がおよそ3〜4分間に延長したようであった。pH3のAGIIS水溶液で処置した傷は、WFI処置の傷と比較して差が有意ではなかった。pH2のAGIIS水溶液で処置した傷は、2分未満で凝血した。pH1のAGIIS水溶液で処置した傷は、30秒以内に凝血し、凝血塊は傷の周辺に黒褐色のカサをなした。5分以内でこの傷は完全に乾いたが、その他の傷はすべて、血清/リンパ液が滲み出ていた。すべての傷を10分及び20分の時点で観察した。これらの観察時刻には、対照2種、WFI、及びpH3のAGIISで処置した傷の間には差は認められなかった。20分では、pH2処置の傷が湿っていたが、横幅を計ると10mm縮んでいた。pH1処置の傷は、乾いて周辺に褐色の凝血塊が付いていた。この傷は25mm縮み、皮下の組織は明るい褐色であった。この色素は、AGIISに接触した血球から生じた鉄沈殿物であるヘモシデリンであると思われた。凝血塊も興味深く、外側は褐色であるが内側は赤色で通常の外見であった。すべての傷を、Vicryl(登録商標)の3−0マットレス縫合糸を用いて縫合した。pH1のAGIISで処置した傷においては、縫合糸を結紮すると皮膚の切り口が付着し、皮膚の生着がより容易であった。
【0112】
次の日に、切開部位を検査し、撮影した。pH1のAGIISで処置した切開部は、他の切開部位より炎症があったが、しかし完全に閉じていた。他の部位では僅かに引いただけで傷口が開いたが、pH1のAGIISで処置した切開部は、同程度に、そしてさらに力を増して引いても、傷口が開くことはなかった。この知見は予想外であった。組織の接合部は、乾いて接着していた。このウサギに麻酔なしの検査を行なったが、不当な不快感を示すことはなかった。合成の縫合材Vicryl(登録商標)に何らかの影響を及ぼしたとは思われなかった。
【0113】
実施例11
ウサギの眼の組織に対するAGIISの効果
ニュージーランド種の白色ウサギ1羽の左眼と右眼にpH1のAGIISとpH2のAGIISをそれぞれ点眼した。10分後の観察では、両眼とも、正常よりも赤味が増したようであった;しかし、ウサギが不快感を示すことはなかった。20分後の観察では、赤味がさらに増していたが、眼は正常であった。1時間後の観察では、眼は正常よりも僅かに赤かったが、ウサギは涙を出しておらず、不快そうでもなかった。ウサギはケージに帰された。
【0114】
上述のニュージーランド種の白色ウサギを、処置のおよそ24時間後に検査した。眼を検査したが正常に見えた。角膜の潰瘍、白濁、あるいは剥離は認められなかった。
【0115】
実施例12
外科的処置間のAGIISの使用とその効果
体重47ポンドの雑種の雌性ブルドッグに、卵巣子宮全摘術を施した。このイヌを、50mg/mLのペンタバルバトールナトリウムを10mL与えて麻酔し、挿管した。切開部位は、アルコール及びベタジンで擦って浄化した。切開には#10の鋼鉄製外科用メスを用いた。大きな血管は止血鉗子で制御した。pH1のAGIIS水溶液を、皮膚の出血している小血管に注射器から滴下した。出血はすぐには止まらなかったが、血管周辺の組織は収縮して出血中の血管を露出し、機械的に鋏み止め易くなった。ごく小さな血管は、ウサギの時と同様、即座に凝血し、組織液が施術域に浸出するのが押さえられた。卵巣と子宮角が切除された。2滴から4滴のAGIIS水溶液(pH1)を、子宮の切除痕と卵巣柄に滴下した。組織の色は僅かに褐色味を帯びたが、組織にはその他の効果を及ぼさなかった。pH1のAGIISは、腹部諸器官の腹腔面もしくは漿膜面に何の効果も及ぼさないようであった。切開部の皮膚端は、縫合前にpH1のAGIISで処置した。2−0Vicryl(登録商標)による縫合は、常法どおりであった。24時間後にイヌの状態を検査したが、回復状況と切開部の様子は正常であった。皮膚の縫合端には副作用は認められず、傷は癒着していた。皮膚の縫合部は美容整形を行なったように見えた。pH1のAGIISの使用は、外科的に露出された組織に対して不利な効果を与えたようではなかった。その使用は、リンパ管及び外径1mm未満の血管からの出血を制御するのに有効であると思われた。さらに、AGIIS製品は、外科手術器具から血痕を速やかに除去した。
【0116】
実施例13
ガラス表面からpH1.4のAGIISを用いてエンドトキシンを除去する調査 ガラス試験管をBSAで被覆し、オートクレーブにかけた。試験管の内容物を除き、培地と、E.coli O157:H7生物体を試験管内に添加した。培養後、試験管をオートクレーブにかけ、この操作を繰返して、試験管をエンドトキシンで覆った。
【0117】
試験管を2つのグループに分けた:グループ1の試験管は、エンドトキシンを含まないLAL水で満たした。グループIIの試験管は、pH1.4のAGIIS溶液で満たした。次いで、すべての試験管を20分間沸騰させた。沸騰後、エンドトキシンを含まないLAL水を試験管内に加え、激しく回転させた。各試験管内のエンドトキシン量をLALのテストキットを用いて測定した。
【0118】
pH1.4のAGIIS溶液による処理では、付着したエンドトキシンのレベルを22.66EU/mLから検出限界(<0.03EU/mL)に減少させた。LAL試薬水のみによる処理では、ガラス試験管に付着したエンドトキシンのレベルを減少させなかった。
【0119】
実施例14
プラスチックの医療用品からpH1.4のAGIISを用いてエンドトキシンを 除去する調査
牛肉懸濁液にE.coli O157:H7を懸濁して繰り返し培養し、繰り返しごとにオートクレーブして、プラスチックの試験管をエンドトキシンで覆った。試験管を2つのグループに分けた。グループ1の試験管は、エンドトキシンを含まないLAL水を加えて沸騰させた。グループIIの試験管は室温に置いた。グループ3の試験管は、pH1.4のAGIIS溶液で満たして沸騰させた。pH1.4のAGIIS溶液による処理では、試験管に付着したエンドトキシンのレベルを、約45EU/mLから検出限界(<0.03EU/mL)もしくはおよそ256分の1に減少させた。
【0120】
実施例15
ステンレス鋼の表面からpH1.4のAGIISを用いてエンドトキシンを除去する調査
E.coli O157:H7を繰り返し培養し、繰り返しごとにオートクレーブして、ステンレス鋼のスラブ(SSS)をエンドトキシンで覆った。SSSを2つのグループに分けた。グループ1のスラブは、エンドトキシンのLAL水を加えて沸騰させた。グループIIは、pH1.4のAGIIS溶液を加えて沸騰させた。
【0121】
pH1.4のAGIIS溶液による処理では、SSSに付着したエンドトキシンのレベルを、4EU/mLから検出限界(<0.03EU/mL)に減少させた。LAL試薬水での処理は、SSSに付着したエンドトキシンのレベルを減少させなかった。
【0122】
実施例16
AGIIS処理の抗トキシン効果
等容量のpH0.5AGIIS溶液をE.coli O157:H7の培養液に加えた。得られたpHは−1.0であった。培養液を5NのNaOHでpH7.0にまで滴定した。処理した培養液と未処理の培養液につき、Morningstar Diagnostic,Inc.のSLT−II テストを用いて、Shiga Like Toxin IIの有無を検査した。未処理の培養液はSLT−II陽性であったが、AGIISで処理した培養液はSLT−II陰性であった。
【0123】
すべての抗原を単に破壊しているのではないことを示すため、未処理の培養液から得た試料と、AGIISで処理した培養液からのものとにつき、O157抗原を検査した。未処理のものも、AGIISで処理した培養液も、共にO157の抗原について陽性であった。したがって、AGIISによる処理は、トキシンを破壊するか、それとも非抗原的な形に解離させるか、のいずれかにより、トキシンを不活性化していることになる。
【0124】
実施例17
AGIIS溶液のpHの違いでバナナの酸化に及ぼす効果に差があるか否かの研究
バナナの皮を剥き、溶液のpHが、それぞれ、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0である、AGIIS溶液に5分間浸漬した。
【0125】
バナナの酸化は、pH1.2〜1.6のAGIIS溶液で処理すると明らかに抑制された。pH1.2と1.4のAGIISで処理したバナナ片は、24時間後、大部分が酸化されていなかった。従って、バナナ果実片の酸化防止には、低pHのAGIISのほうがより効果的である。
【0126】
実施例18
リンゴの酸化防止におけるpH1.2AGIISの研究
リンゴを半分に切り、pH1.2のAGIIS溶液中、及び水中に浸漬した。処理後、リンゴの半片を取り出し、周囲の室温でインキュベートした。処置後4時間たって、AGIIS溶液で処理したリンゴの半片は白く、一方水で処理したリンゴの半片は酸化して褐色になった。この違いは、24時間後でも依然として明らかだった。
【0127】
実施例19
pH0.56のAGIISで黄銅金属から酸化を除去する研究
黄銅の器具類をAGIIS溶液に浸し、取り除き難かった酸化が、ステンレス鋼のパッドで擦って取り除かれた。20年間にわたって蓄積した酸化が、僅かな努力で除去できた。
【0128】
実施例20
pH0.56のAGIIS液で硫酸溶液のpHを減少させる研究
硫酸を、脱イオン水(約700mL)を用いてpH2.3に希釈した。AGIIS液を1mLのアリコートで添加した。pHは2.3から1.56へ順次下降した。従って、pH0.56のAGIIS液は、硫酸溶液の酸度を増加させるために用い得る。
【0129】
実施例21
pH0.45のAGIIS溶液の濃度を定める研究
AGIIS(50mL)を三角フラスコにとり、既知の濃度のKOHもしくはNaOH(通常は1NのNaOH)を加えてAGIISの「酸性」濃度を定めた。滴定により1.84Nの値が得られた。塩基を加えると、pHは0.45から0.35へ減少し、それから着実に上昇して中性になった。ヒドロニウム錯体が塩基の存在下で解離して、さらなるヒドロニウムイオンが得られた。
【0130】
実施例22
AGIISの添加がワインの感覚器を刺激する特性に及ぼす効果の評価法の研究 30mLのワインをいくつかのコップに満した。100マイクロ力価のAGIIS(pH0.3)をカップの半数に加え、残りの半数に100マイクロ力価の脱イオン水を加えた。盲検のテスターがワインを評価した。
【0131】
感覚器を刺激する特性が認められた。とりわけ、すべてのテスターが、AGIISを補ったワインは苦味が少ない、と一致した意見であった。ワインの色調とpHは変化がなかった。
【0132】
実施例23
AGIISのコンクリートとタイル表面への効果を定める研究
AGIISを、周囲温度で、もしくはより高温にして、コンクリートに適用すると、汚れを除き、コンクリートが石の間でより白く目立った。加熱したAGIISは、周囲温度のものより有効だった。
【0133】
藻で覆われたコンクリートにAGIISを適用すると、藻を殺し、除去した。
【0134】
水泳プールのタイルに沈着した炭酸カルシウムは、AGIISを適用すると溶解した。
【0135】
AGIISは、コンクリートの表面を洗浄するのに有効な作用体で、しかも海酸の侵食性は持たない。
【0136】
実施例24
AGIISがフスマに結合するかを定める研究
100mLのコップ4個に小麦のフスマを満たした。そのうちの2つはpH0.8のAGIISで満たし、あとの2つは脱イオン水で満たした。フスマに水を1時間吸わせ、次いですべてのコップを−84℃のフリーザーに保管した。凍結したコップは、次いで凍結乾燥機に24時間かけられた。
【0137】
凍結乾燥後、それぞれのコップの内容は500mLのビーカーに移された。pH7の脱イオン水150mLを各ビーカーに加え、凍結乾燥したフスマに再度水分を吸収させた。
【0138】
AGIISで処理したフスマは、容易に水分を吸収するか、及び/もしくは溶解した。他方、水で処理したフスマは、物理的に砕かなければ溶解しなかった。
【0139】
標本がすべて水分を再吸収したところで、それぞれのpHを測定した。水で処理したフスマの平均pHは5.8、AGIISで処理したフスマの方は2.84であった。従って、AGIIS処理は、処理されたフスマのpHを下げ、フスマの再水和の際の特性を変えた。
【0140】
実施例25
アボカドの酸化に対するAGIISの効果
アボカドは皮を剥き、いくつかにスライスした。スライス片を、pHがそれぞれ1.2、1.4、1.6、1.8、2.0のAGIIS溶液に10分間浸漬した。開放された棚に周囲の室温で8時間インキュベートすると、pH1.4〜2.0の液で処理したスライスは明らかに強く酸化されていた。しかし、pH1.2のAGIIS液で処理したものは、酸化も受けず、切ったばかりのように見えた。
【0141】
実施例26
AGIISの添加がケチャップの風味に及ぼす効果の研究
100mLのいくつかのコップの中に80mLのケチャップを入れる。その半数に脱イオン水を5mL加える。残りの半数にはAGIIS(pH約0.5)を5mL加える。
【0142】
コップの内容物を充分混合し、盲検のテスターに、風味についての意見と選択を訊ねた。
【0143】
AGIISで処理したケチャップは、濃厚なコンシステンシーを維持し、そして色も鮮やかな赤色のままであった。さらに、風味が増している、というのも明白であった。水で処理したケチャップは、コンシステンシーを失い、色は薄れ、風味は良くない、と判定された。
【0144】
実施例27
薬物源となる植物に及ぼすAGIISの効果の研究
新しく収穫したアロエ・ヴェラの葉を切断して、葉の中央部の粘質ゲルを露呈させた。切片2つをpH2のAGIISで処理して、観察皿に置いた。他の切片2つは水で処理し、同様な観察皿に置いた。室温で10分間放置すると、水で処理したアロエゲルは脱色し褐色になった。AGIIS処理のアロエゲルは、切断時の外観を保っていた。室温で20分間経過後、差異はさらに目立ってきた。水で処理したアロエゲルは液化しはじめ、AGIIS処理のアロエゲルはその形を保っていた。室温で4時間経過すると、その違いはさらに顕著になり、AGIIS処理のゲルは依然として切ったばかりの様子であった。
【0145】
実施例28
汚染された水に及ぼすAGIISの効果
水道水500mL中に存在するバクテリアを、5000×gで20分間遠心分離して濃縮した。別に水道水500mLを取り、pH0.5のAGIISを用いてpH2になるよう滴定した。この処理を受けた水道水から、5000×gで20分間の遠心分離でバクテリアを濃縮した。それぞれの標本から得たバクテリアを1.5mLのAGIISもしくは水に懸濁して、標本中の生菌数を測定すべく培養した。pH2のAGIIS溶液で処理すると、水中の生菌数は減少した。
【0146】
実施例29
路上の溜り水に対するAGIISの効果
研究室の建物の正面に向って隅の水溜りから採水した。この水のpHは7.4であった。この水とpH2のAGIIS溶液もしくは無菌の食塩水を1:1に混合し、周囲の室温で処理した。処理後、AGIIS処理もしくは食塩水処理した水のアリコートを取って順次希釈し、生菌数を測定した。AGIIS処理は食塩水対照との関連において、効果的に生菌数を減少させた。
【0147】
実施例30
レタス玉の生菌数に対するAGIISの効果
レタス玉からレタス葉を剥ぎ取り、2つのグループに分けた。グループIのレタス葉は、pH2のAGIIS溶液で3分間処理し、次いで無菌の食塩水中で食用に供した。グループIIの葉は、食塩水で3分間処理してから食用に供した。各グループからそのアリコートを取り、順次希釈してそれぞれの希釈分につき、処理後に存在する生菌数を測定した。pH2のAGIIS溶液に関連する生菌数は、対照のそれに比較して減少していた。
【0148】
実施例31
ニワトリ用飼料の加水分解に対するAGIISの効果
AGIISは、ニワトリ用飼料中の炭水化物複合体を、炭水化物複合体よりも胃で消化しやすい単糖類に変換することが見出された。ニワトリ用飼料は、商用ブロイラー生産者から入手した。この生育用飼料は、26%のタンパク質を含み、黄色トウモロコシを基材にしていた。このニワトリ用飼料を、2NのAGIISを用いて、85℃で、様々な長さの時間、消化処理した。用いたAGIISは、H2SO4/Ca(OH)2/CaSO4法で調製した。反応中に生じた還元糖の量を測定するには、フェ−リング変法を用いた。脱イオン水を使用した対照を並行して実施した。以下に示す結果から、AGIISで処理したニワトリ用飼料は、ニワトリが炭水化物複合体よりも消化しやすい還元糖をより大量含んでいたことが判る。
【0149】
【表1】
【0150】
実施例32
種々の作用体による蔗糖の炭化
濃度が19Nもしくはそれ以上の硫酸は、蔗糖を炭化、または「脱水」する。この反応は見て判定でき、測定の補助手段として使用することが出来た。19N未満の硫酸を用いた場合は、反応の終了まで長いため、結果の解釈が難しくなった。おおまかに言って、炭化反応は三つの段階に分けることが出来た。
【0151】
第一段階は、最初の色の変化であった。これは、通常、室温においては反応開始後2分間以内に生じた。第一段階の特徴は、蔗糖における色の変化であった。すなわち、蔗糖の白色が明るい黄色に変化した。この実験において用いられた酸性の試薬の大部分は、接触後の最初の2分以内に、蔗糖の色を明るい黄色に変化させた。
【0152】
第二段階は、蔗糖の黒化であった。
【0153】
第三段階は、炭化即ち蔗糖の完全な「燃焼」であった。この段階では、熱が発生し、蒸気が出た。酸の濃度によっては、反応は激烈で、軽度に爆発的なものになり得た。
【0154】
以下に示すのは、(1)AGIIS;(2)H2SO4;(3)H2SO4*CaSO4;の溶液を比較して行なった炭化実験の結果を要約した表である。AGIIS溶液は、硫酸カルシウムを添加してある硫酸を水酸化カルシウムと反応させて調製した。溶液(3)、即ちH2SO4*CaSO4は、硫酸カルシウムで飽和させた硫酸の溶液である。データは、室温で実施した諸実験から編集した。
【0155】
【表2】
【0156】
AGIISは、適正に調製されていれば、蔗糖の色はしばらく黄色いままであり、続く7もしくは8分のうちに緩やかに黒ずんでいくのであった。27と29Nの間の酸規定度を有するAGIISでは、適正に調製されていない場合には、蔗糖の色はほぼ5分と経たずに黒ずむのであった。さらに、適切に調製されたAGIISによる蔗糖の炭化は、29Nの酸規定度を有するものにおいても、室温で24時間より長くおいても検出されなかった。
【0157】
これに対し、表に示したごとく、硫酸にしても硫酸カルシウム飽和の硫酸にしても、同一の酸規定度においては、AGIISよりもさらにより速やかに室温で蔗糖を炭化するのであった。
【0158】
実施例33
AGIISの非揮発性と非侵食性
調製したAGIISは、室温では非揮発性であった。29Nの濃度でも、AGIISは臭気を帯びず、空中に煙を放出せず、濃縮溶液を嗅いでもヒトの鼻に刺激性を示さなかった。濃厚なAGIISを水で希釈すると、ほんの微量の熱が放出された。一方、濃硫酸の水での希釈時には、大量の熱が放出された、すなわち非常に発熱性であった。
【0159】
硫酸カルシウムで飽和させた28Nの硫酸溶液を接触させると、ヒトの皮膚は非常に熱くなるのであった。この溶液は皮膚に対し数分以内で強い刺激を与えた。続いて化学火傷が生ずるのであった。28Nの硫酸は、ヒトの皮膚を1分未満で化学的に焼くのであった。
【0160】
これと対照的に、28Nの酸規定度を有するAGIISの溶液は、ヒトの皮膚に接触しても、中程度の暖かさの感覚を惹き起こすだけであった。強い刺激を与える効果はなく、溶液は室温で5分以上皮膚に触れていても、化学火傷を惹き起こすことはなかった。
【0161】
【図面の簡単な説明】
【図1】
AGIISの望みの最終酸規定度と、水酸化カルシウムの硫酸に対するモル比(硫酸のモル数に対する水酸化カルシウムのモル数で与えてある)との関係を示す。
背景
この出願は、1999年2月19日に出願された出願第09/253,482号の一部継続出願であり、その全内容が参考として本願に組みこまれる。
【0002】
本発明は、難溶性のIIA族錯体(「AGIIS」)の酸性溶液、その調製、及びその使用に関する。
【0003】
80年代の後半、そして90年代の初めに、日本の研究者達が強イオン化水(「SIW」)を細菌剤として開発した。このSIWは、pH2.7もしくはそれ以下の水で、1000mV以上の酸化還元電位を示し、0.8ppm以上の塩素濃度を有するものとして設定された。SIWは、水の電解により調製される。
【0004】
水道水の電解は、「強酸水」および「強アルカリ水」を生成するためにも使用されており、両者は細菌特性を有すると主張されてきた。
【0005】
Wurzburgerらへの米国特許第5,830,838号は、金属表面を洗浄するための液を記載している。当該液は、水酸化カルシウムと水酸化カリウムを当量の硫酸と水中で混合し、次いでその溶液を10ミクロンのフィルターを通過させて調製される。得られた濃縮液は、処理すべき金属の表面酸化の程度に応じて希釈されうる。
【0006】
Overtonらへの米国特許第5,895,782号は、金属の表面、特に銅、黄銅、及び高強度アルミニウム合金のような非鉄合金の表面を洗浄するための溶液を記載している。当該液は、Ca(OH)2とKOHを当量の硫酸と水中で混合し、その溶液を10ミクロンのフィルターを通過させて調製する。得られた濃縮液は、処理すべき金属の表面酸化の程度に応じ、そのままの濃さで、又は希釈して、使用されうる。
【0007】
国際公開WO第94/09798号は、疾患、損傷、及びその他の障害を処置するための薬学的組成物を記載している。当該薬学的組成物は、カルシウムを含有する成分と、硫酸塩を含有する成分との複合体を、薬学的に許容される担体中に含む。この引例は、天然材料、例えば泥炭からその無機組成物の単離を教示している。この無機調製物は、アルカリ性、水性もしくは有機、又はそれらの混合物、を用いて泥炭を抽出した物から構成される。泥炭は、水溶液、有機溶媒溶液もしくは水と混和し得る有機溶媒を用いて、室温以下の温度から当該溶媒の沸点までの温度で抽出される。抽出媒は、pHが少なくとも9あるものが好ましい。分画された泥炭からの調製物の、生物学的に活性のある構成体は、X線粉末回折により、CaSO4・2H2O(石膏)、CaSO4・K2SO4・H2O(シンゲナイト、石膏の複塩とも称する)、及びK3Na(SO4)2(アフシタライト)、と同定された。この引例は、また、シンゲナイトの合成法についても記載している。
【0008】
化学者は、化学反応
HA+H2O → H3O++A−
において、ある物質がプロトン[H+]を供与する能力をpKaとして表記し算出する。
【0009】
ヒドロニウムイオンは、通常H+もしくはH3O+で表記されるが、真の化学式はまだ確定されていない。集合体はH5O2 +かもしれず、H7O3 +かもしれず、あるいはH9O4 +ですらあり得る。
【0010】
正に荷電した水は、プロトン[H+]を供与する能力を持つ。プロトンの供与は、通常、酸加水分解反応の中間段階である。酸は、通常、水性の溶液においてプロトンを供与するのに用いられる化学試薬である。水が[H+]の供与源となれれば、その反応から生ずる望ましくない副産物(毒性物)は減少し、その生成物の使用に伴う危険は低下するであろう。
【0011】
強い酸は、レンガやモルタルから石灰や生石灰を中和し除去するために、用いられる。強い酸、例えば塩酸はまた、シャワー室、窓、ガラス、洗面所、小便器、鏡、その他の表面につく硬水の汚点を洗浄するのにも用いられる。塩酸は、貯水塔及び熱交換器で缶石を除くことも、余剰廃液のpH調整にも用いられる。塩酸のような強い鉱酸は、多くの物質に対して極度の侵食性を示し、金属もその例外ではない。さらに、0.5程度の低いpHの塩酸は、ヒトの皮膚を数秒間で火傷させる。この酸は、また、粘膜を刺激する煙を放出するということで非常に有害である。漂白剤のような他の化学薬品の近くに放置されると、典型的なプラスチックの容器に入れておいても、塩酸はそれらと相互作用を起こすであろう。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、「酸性」すなわちH3O+の供給源を、これらの予期せぬ不利益なしに確保し、酸加水分解に伴う環境及び安全への危険を減少させることが望ましい。好ましくは、この「酸性」の供給源が、汚染を除くための作業に伴う再汚染を防止できること、バクテリアの抵抗性を誘発しないこと、処理された食品の味、色、又は匂いを変えないこと、臭気を発しないこと、水の中で広範囲の温度にわたって有効であること、過剰に使用しても危険が比較的少ないこと、使用後中和できること、ガン原性もしくは変異原性を示さないこと、毒性を有しないこと、水中また環境中でほぼ無害なこと、環境に友好的であること、そして長期にわたって保存しても分解せず危険な物質に変化しないこと、である。
【0013】
微生物の生長を制御することは、多くの実践的状況で必要であり、微生物学のこの分野での研究を介して、農業、医療、食物学において目覚しい進歩が成し遂げられた。「生長の制御」というのは、微生物の生育を防ぐことを意味する。この制御は、二つの基本的な方法、即ち(1)微生物を殺す;もしくは、(2)微生物の生長を阻止することによって行われる。生長の制御は、通常、微生物を殺すか生長を阻止するか、のいずれかを行なう、物理的もしくは化学的作用剤の使用を含む。細胞を殺す作用剤は、「殺作用」剤と呼ばれる。細胞の生長を阻止するが、殺さない作用剤は、「静作用」剤と称される。従って、用語「殺菌の」は菌を殺すことを意味し、「静菌の」は菌の生長を阻止することを意味する。「殺菌薬」はバクテリアを殺し、「殺菌剤」は真菌を殺す。「無菌化」は、「無菌化」される対象物の内部もしくは表面にあるあらゆる生物を完全に破壊または除去することである。対象物は無菌化されたか無菌化されていないかのいずれかであって、無菌化の程度はない。無菌化の処置は、熱、放射線、もしくは化学薬品の使用、または微生物の物理的な除去を包含する。
【0014】
微生物は、種々の表面においてコロニーを形成し複製を行ない、その結果、複数種の微生物が付着して集積した「バイオフィルム」と呼ばれるものを生ずる。バイオフィルムは、食料、飼料、またそれらを扱う器具類などの表面に生じる。バイオフィルム中の微生物には、バクテリア、真菌、ウイルス及び、原生動物などが含まれる。食料の安全性は国家的な優先案件であるから、食料生産に付随する多岐にわたる問題を解決するに役立つあらゆる製品が望ましい。危険な微生物の汚染を培うバイオフィルムを除去し制御することは、衛生上の目的として達成されるべきことである。汚染物が反応を示し微生物が生存できないレベルにまでpHを下げることにより、水及び栄養物の汚染を安全に除くことができることも望ましいことである。
【0015】
本明細書で使用する限りにおいては、「栄養物」という用語は、有機的生物に対し、養分となり、治癒せしめ、すなわち生育を促し、自然に生ずる消耗を修復する物を意味する。したがって、ヒトの食料、動物の飼料はすべて栄養物の例である。栄養物の他の例としては、飲料、食料添加物、飼料添加物、飲料添加物、食料補足物、飼料補足物、飲料補足物、調味料、スパイス、着香料、充填料、ドレッシング、薬物、生物学的産物等がある。栄養物には、植物由来のも、動物由来のもの、合成物がある。消毒剤、殺菌剤、殺虫剤の製品として現在市販されているものは、塩素、アンモニア、有機ヨウ素、金属塩及びその他の有害な残基を含んでいる。有害な化学薬品の存在なしで酸の加水分解を促進することにより、これらの残基を使用せずに済む方法があれば、望ましいことである。さらに、この方法は、危険な揮発性のガス類を生ずる恐れがほとんどない。重要なことは、微生物の生長を制御し、殺し、そして同時に当該微生物により産生され、もしくは伴って得られるトキシンのような産物を破壊し得る成分を所有することは高度に望ましい。
概要
【0016】
本発明は、難溶性のIIA族錯体(「AGIIS」)の酸性の、又は低pHの溶液、その調製法、及びその使用に関する。本発明の一つの実施態様は、IIA族の水酸化物もしくはIIA族の二塩基性酸の塩に、もしくはIIA族の水酸化物とIIA族の二塩基性酸の塩との組み合わせと、鉱酸を混合もしくは混和して調製した、高度に酸性の溶液に関する。本発明のさらに他の局面として、広範な範囲の物質につき、化学的生産、薬学的生産、洗浄、食料生産、汚染除去、バイオレメディエーション、農業への応用、医療への応用、毒物除去、ならびに汚染除去に際して、安全、清潔、環境に対し敏感な方法を促進するための異なった方法に関する。
詳細な説明
【0017】
本発明の1つの局面は、難溶性のIIA族錯体(「AGIIS」)の酸性、又は低pHの溶液に関する。当該溶液は、非常に微細な粒子の懸濁を有するかもしれない。「低pH」という用語は、pHが7以下で、酸性域にあることを意味する。ある酸規定度を有する本発明のAGIISは、硫酸カルシウムで飽和した硫酸液の等しい酸規定度のものが示すと同等の脱水挙動は示さない。言い換えれば、ある酸規定度を有する本発明のAGIISは、硫酸カルシウムで飽和した硫酸液の等しい酸規定度のものほどには、蔗糖を速やかに炭化させない。さらに、このAGIISは室温において非揮発性である。ヒトの皮膚に対して、硫酸カルシウムで飽和した硫酸液の等しい酸規定度のものほどの腐食性を示さない。理論によって束縛される意図はないが、AGIISの1つの実施態様は、準飽和、飽和、過飽和のカルシウム、硫酸アニオンもしくはその変種、及び/もしくはカルシウム、硫酸塩及び/もしくはそれらの諸変種を含む錯イオンから構成されると信じられる。
【0018】
「錯体」という用語は、本明細書で使用する限りにおいては、個々の構成体が会合している組成物を意味する。「会合」とは、諸構成体が相互に共有的もしくは非共有的に結合し、後者の場合は水素結合又はその他の分子間力の働いた結果として結合しているものである。構成体は、イオン体として、非イオン体として、水和体として、またはその他の形で、存在しうる。
【0019】
難溶性のIIA族錯体(AGIIS)は、いくつかのやり方で調製し得る。その方法のうちのいくつかはIA族の水酸化物を使用するが、合成法のあるものは、添加したIA族の水酸化物を何ら使用しない。ただし、少量のIA族の金属が「不純物」として存在する可能性はある。AGIISを製造する好ましいやり方では、IA族の水酸化物を混液に添加しないほうがより好ましい。その意味するところのものは、AGIISはpH2以下では高度に酸性であり、イオン性である。
【0020】
Wurzburgerらは、米国特許第5,830,838号において、「水酸化カルシウム/水酸化カリウム法」によって調製した酸性溶液を記載している。その溶液は、まず、濃硫酸(93%)の2モルを2リットルの脱イオン水に加えて生成される。別に、塩基の水溶液が、水酸化カルシウム(水和石灰)1モルと水酸化カリウム2モルを20リットルの脱イオン水に撹拌しながら加えて調製される。次いで酸の溶液が塩基の溶液と混合される。混合液は、次いで、硫酸カルシウムもしくは硫酸カリウムの粒子で11ミクロン以上のものを除去するため、10ミクロンのフィルターを通して濾過される。得られた濃縮液は、処理すべき金属表面に応じて、そのままの濃さで、もしくは水で希釈して、使用される。水酸化ナトリウムを水酸化カリウムの代りに用いてもよい。酸化カルシウム水和物を水酸化カルシウムの代りに用いてもよい。塩基の別の提供源は、金属カルシウムである。どちらの場合も、そしてこの出願の実施態様の一つにおいても、得られる溶液は高度に酸性の溶液である。この高度に酸性の溶液は、水で希釈してpHをより高い所望の値、つまり酸性度のより低いものに調整することができる。
【0021】
酸性溶液を調製する他のやり方は、「カルシウム−金属法」、すなわち、濃硫酸を金属カルシウムと反応させ、次いで濾過するものである。濃硫酸の1モルを40モルの脱イオン水で希釈した。次いで、金属カルシウムの削片1モルを、撹拌しながら硫酸の溶液にゆっくりと添加した。金属が基本的にすべて溶解するまで撹拌を続けた。得られた混合物は、およそ5時間から6時間放置してから上清を10ミクロンフィルターで濾過した。こうして得られた濃縮液は、およそ0.5のpH値を示した。このヒドロニウムイオンの濃縮液は、次いで所望のpH値、例えばおよそ1又はおよそ1.8へと脱イオン水で希釈された。
【0022】
さらに、「カルシウム−ヒドリド法」がある。これは、濃硫酸と水素化カルシウムを水中で反応させるものである。濃硫酸1モルを脱イオン水40モルで希釈した。振盪しながら、1モルの水素化カルシウムを緩やかに硫酸溶液に加えた。水素化カルシウムが基本的に全量溶解するまで振盪を続ける。溶解した後、混合物を約5〜6時間放置して沈降させ、それから上清を10ミクロンフィルターで濾過した。このようにして得られた濃厚液は、約0.1〜約0.2のpH値を示し、さらに希釈することができる。
【0023】
「カルシウム−金属法」もしくは「カルシウム−ヒドリド法」によって得られたある製品で、−0.2から−0.3のpH値を示し、酸規定度が1.4〜1.5であったものは、以下の分析結果を与えた:Ca、763ppm;SO4、84633ppm;Na、4.76ppm;K、3.33ppm;そしてMg、35.7ppm。
【0024】
この「カルシウム−金属法」及び「カルシウム−ヒドリド法」は、ある種の欠点を有する。いずれの方法においても、濃硫酸が金属カルシウムと水素化カルシウムのいずれかと反応する際に生ずる大量の熱のため、熱的な制御を達成するのが非常に困難である。反応の熱的制御が困難なため、反応を再現するのは困難で、制御しにくい。
【0025】
AGIISを調製する好ましい方法は、鉱酸を、IIA族の水酸化物と、もしくはIIA族の二塩基性酸の塩と、もしくは上記二種のIIA族物質の混合物と、混合することである。混合において、IIA族の塩も生ずる。好ましくは、出発時のIIA族物質もしくは選択された物質が、水に難溶性の単数又は複数のIIA族塩を導き形成することである。好ましい鉱酸は硫酸であり、好ましいIIA族水酸化物は水酸化カルシウムであり、好ましい二塩基性酸のIIA族塩は硫酸カルシウムである。その他のIIA族塩の例には、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、及び「重炭酸カルシウム」がある。
【0026】
したがって、AGIISは、例えば、以下のスキームの一つで与えられた出発材料を混合もしくは混和することにより、良好な再現性をもって調製することができる。
(1)H2SO4及びCa(OH)2;
(2)H2SO4、Ca(OH)2及びCaCO3;
(3)H2SO4、Ca(OH)2、CaCO3及びCO2(ガス);
(4)H2SO4及びCaCo3;
(5)H2SO4、CaCO3及びCa(OH)2;
(6)H2SO4、CaCO3及びCO2(ガス);
(7)H2SO4及びCaSO4;
(8)H2SO4、Ca(OH)2及びCaSO4;
(9)H2SO4、CaSO4及びCaCO3;
(10)H2SO4、CaSO4、CaCO3及びCa(OH)2;
(11)H2SO4、CaSO4、CaCO3及びCO2(ガス);及び
(12)H2SO4、CaSO4、CaCO3、Ca2(ガス)及びCa(OH)2;
【0027】
このように、AGIISは、水酸化カルシウムを濃硫酸と混合して調製し、その際、任意の二塩基性酸のIIA族塩(硫酸カルシウムのような)の添加が、あってもなくてもよい。任意の硫酸カルシウムは、水酸化カルシウムを混合液に導入するに先立って、濃硫酸に添加する。硫酸カルシウムを濃硫酸に添加すると、AGIISの調製に必要な水酸化カルシウムの量が減少するようである。その他の任意の反応物として、炭酸カルシウム及び、混合物中に通気する二酸化炭素ガスがある。いかなる任意の反応物を使用するかにかかわらず、水酸化カルシウムの使用が望ましいことが見出された。
【0028】
AGIISを調製する1つの好ましい方法を簡単に記載すると:反応槽中の冷水(8℃〜12℃)に濃硫酸を加え、撹拌下、硫酸カルシウムを冷水中の酸に加えて混合液とする。この過程では温度制御が主要である。この撹拌混合液に、次いで、水酸化カルシウムの水性スラリーを加える。混合液から形成される固体を除去する。この方法は、硫酸、硫酸カルシウム、及び水酸化カルシウムを使用するが、いくつかの予想外の利点を有する。第一に、この反応は激烈なものでなく、異常な発熱性をも示さない。制御を行ないやすく、再現もしやすいことに加えて、この反応で用いる原料は、いずれも、合衆国食品医薬品局(「U.S.FDA」)で既に概観してあり、「おおむね安全と認める」(「GRAS」)と認定されたものである。このようなものとして、これらの原料のそれぞれは、当然ある種の制限下はあるが、いずれも、食料に直接加えうるものである。適度な濃度では、これらの原料の各々は、食品加工の補助に、また食品に接触する利用法で、用いることができる。それらの利用は、製造物の適性と、適正製造基準(「GMP」)のみによって制限される。このように調製されたAGIISは、従って、動物による消費に関して安全であり、食品加工の補助に用いて安全であり、かつ食品に接触する利用法に関して安全である。さらに、AGIISは、微生物の生長を妨げ、殺すのみならず、微生物により形成され産生されるトキシンを破壊することによっても、生物学的な汚染を低減させる。形成されたAGIISは、また、消費可能な生産物を、それが植物であれ、動物であれ、薬学的なもしくは生物学的な生産物であれ、保存させ、もしくは貯蔵期間を延長させる。それはまた、飲み物、植物製品又は動物製品の、器官感覚受容性の品質を保持し、改善もする。それはまた、ある種の治癒的な及び治療的な特性を有する。
【0029】
使用される硫酸は、通常、FCC等級で、95〜98%(約35〜37N)である。濃硫酸の量は、約0.05M〜約18M(約0.1N〜約36N)の範囲に、好ましくは約1Mから約5Mの範囲でありうる。それは適用に特異的である。使用される「M」という語は、モル濃度、すなわちリットル当りのモル数である。
【0030】
普通、微細に粉砕された水酸化カルシウムを水中に懸濁したスラリー(W/Vで約50%)が、硫酸カルシウムの存在下もしくは不在下で、水酸化カルシウムを硫酸の撹拌液に少しずつ導入する際の好ましいやり方である。この反応は、通常は40℃以下で、好ましくは室温以下で、より好ましくは10℃以下で、実施される。水酸化カルシウムを添加する時間は、約1時間〜約4時間の範囲である。撹拌速度は約600rpm〜約700rpm、もしくはより速く変動する。混合したのち、混合物は5ミクロンのフィルターを通して濾過される。濾液は一夜放置し、微細な沈降物は傾斜法で除去される。
【0031】
使用される水酸化カルシウムは、通常約98%の純度を有するFCC等級である。硫酸のような濃い酸の1モル当りに使用される水酸化カルシウムは、適用に特有な量であり、モルで表わすと約0.1〜約1の範囲である。
【0032】
任意で用いる炭酸カルシウムは、通常約98%の純度を有するFCC等級である。上記のように水酸化カルシウムと共に用いる際には、硫酸のような濃い酸のモル当りの炭酸カルシウム使用量は、モルで約0.001〜約0.2の範囲であり、使用される水酸化カルシウムの量に依存する。
【0033】
任意で用いる二酸化炭素は、通常、水酸化カルシウムを含有するスラリー中に約1〜約3ポンド圧の速度で通気される。二酸化炭素はスラリー中に約1時間〜約3時間通気される。スラリーは、次いで、濃硫酸の入った反応槽に添加される。
【0034】
その他の任意の成分は硫酸カルシウムであり、二塩基性酸のIIA族塩である。普通、脱水化された硫酸カルシウムを用いる。この出願で使用する限りでは、「硫酸カルシウム」、もしくは式「CaSO4」は、硫酸カルシウム無水物か、硫酸カルシウム水和物のいずれかを意味する。使用される硫酸カルシウム(二水和物)の純度は、通常、95〜98%のFCC等級である。硫酸カルシウムの量は、濃硫酸1リットル当りのモル数で表わして、約0.005〜約0.15、好ましくは約0.007〜約0.07、そしてより好ましくは約0.007〜約0.04の範囲である。これは適用に特有のものである。
【0035】
実験データから、AGIISの所望の最終酸規定度を得るのに必要な、水酸化カルシウム対濃硫酸の比を示す勾配が与えられている。図1を参照のこと。
【0036】
図1の勾配は、一定量の酸を所望の最終酸規定度にまで滴定して得られるデータポイント2組から作成した。精度は化学的に決定された。最終生成物の最終の酸規定度は、約1.2〜約29の範囲である。1.2NのAGIISを1リットル生成するためには、濃硫酸1モルごとに、0.45モルのCa(OH)2が必要であると見出された。27NのAGIISを1リットル生成するためには、濃硫酸1モルごとに、0.12モルのCa(OH)2が必要であると見出された。これらのデータは、グラフにプロットされ、グラフでY軸は最終酸規定度を表わし、X軸は濃硫酸1モル当りのCa(OH)2のモル数を表わす。X1=0.45、X2=0.12、Y1=1.2、そしてY2=27である。直線の勾配は、等式(Y1−Y2)/(X1−X2)を用いて算出され、その値は−78.18であった。直線は等式Y = mX + bで表わされ、式中mは勾配であり、bはY切片である。最も高い酸規定度は36.65であったので、等式は
Y = −78.18X + 36.65
となる。
【0037】
この勾配は、所望の最終酸規定度を有するAGIIS溶液を調製するのに有用である。
【0038】
大まかに言って、所望の最終酸規定度を有するAGIISを調製する方法は、下記の複数の段階を伴う。計算は、AGIISの最終容積1リットルに基づいていて、酸(濃硫酸)の量と塩基(水酸化カルシウム)の量はモルで表わし、塩基対酸の比は、酸(濃硫酸)のモルごとに対する塩基(水酸化カルシウム)のモル数である。これらの段階は:
【0039】
(a)所望の最終酸規定度(「N」)を有するAGIISを生成するのに必要な鉱酸のモルでの量を、下記の等式:
E1=(N/2)+(N/2+B)
【0040】
ここで、E1は、純度補正もしくは純度調整をまだ行なう前のモルで表わした酸の所要量であり;Nは所望の最終酸規定度;そしてBは、IIA族水酸化物と、Nを有するAGIISを得るのに必要な鉱酸のモル比であり、Bは、所望の最終Nを得るための鉱酸とIIA族水酸化物との間の関係を示した曲線を、あらかじめプロットしておけば、それから求められる、
で与えられる関係を用いて決定し;
【0041】
(b)使用される鉱酸の純度調整を行なう。使用される純度に対する補正は、等式:
E2=E1/C
【0042】
ここで、E2は、使用される酸の純度に対する補正、すなわち純度調整を行なった後の酸の所要のモル量である;E1は上記で定義したとおりである;Cは、使用される酸に対する純度調整のための係数である。濃硫酸については、平均的な酸の強度は約96.5%であり、従ってCは0.965となる;
【0043】
(c)酸に加えるべき水の所要ミリリットルでの量を決定するが、この酸溶液が、反応終了後には、所望の最終酸規定度Nを与える。関係式は以下の通りである:
G=J−E2−I
【0044】
ここでGは、所望の最終酸規定度を得るべく鉱酸溶液に加えるべき水の所要量であり;Jは鉱酸の水溶液の最終容積であり;Iは必要なIIA族水酸化物の容積量であり(下記参照);E2は上記で定義したとおりである。
【0045】
(d)GをE2に添加して鉱酸の最終水溶液を得るが、ここでGおよびE2は上記で定義したとおりになっている。
【0046】
(e)所望の最終酸規定度Nを有するAGIISを生成するための反応に必要な塩基(水酸化カルシウムなど)のモルでの量を決定する。例えば、ある一定の最終酸規定度を達成するための濃H2SO4に対するCa(OH)2のモル比は、図1の直線から定められる。
【0047】
必要な塩基のモルでの量は:
F1=N/2×B
【0048】
ここで、F1は必要とされる塩基のモルでの量であり、NとBは上記で定義したとおりである。
【0049】
(f)使用される塩基の純度に対する補正は、下記の等式:
F2=F1/D
【0050】
ここで、F2は、使用される塩基の純度を補正、すなわち純度調整した後の、必要とされる塩基のモルでの量であり、Dは使用される塩基に対する純度調整係数である。
【0051】
水酸化ナトリウムの平均的な純度は約98%であり、従って、Dは、この場合では、0.98となる。
【0052】
(g)塩基のスラリーを作るのに要する水の量を、mlで、決定する。関係式は下記のとおりである:
H=F2×1.5
【0053】
ここで、Hは、塩基のスラリーを作るのに必要とされる水のmlでの量で、それは、その後所望の最終酸規定度Nを有するAGIISを与えるであろう。F2は上記で定義したとおりである。得られたHは、近似値であって、所要の最終重量・容積に調整する必要がある。したがって、例えば、使用されるスラリーが固体物と水の50:50の混合物であるので、50gの塩基は、最終容量100mlに調整する必要がある。
【0054】
(h)所望の最終酸規定度Nを有するAGIISを得るために、酸溶液に加えるべき、塩基のスラリーもしくは溶液の容積を、mlで、決定する。関係式は以下のように表わされる:
I=F2×2
【0055】
ここで、Iは酸溶液に加えられるべき塩基のスラリーもしくは溶液の容積をmlで表わしたものであり;F2は上記で定義したとおりである。
【0056】
(i)HをF2に加えて最終的な塩基の水性スラリーもしくは溶液を得る。H及びF2は上記で定義したとおりである。
【0057】
(j)(i)の最終的な塩基の水性スラリーもしくは溶液を、(d)の鉱酸の最終水溶液に加える。
【0058】
(k)(j)の最終的な塩基の水性スラリーもしくは溶液と、鉱酸の最終水溶液とを反応させる。そして、
【0059】
(l)(k)の反応から生じた固形分を除去する。
【0060】
反応にCaSO4を用いて、濃硫酸溶液にCaSO4を添加する場合には、CaSO4の量(最終容積のリットル当りのグラム数である)は、次に示すような関係を有する。
【0061】
AGIISの最終酸規定度N CaSO4の量(g/l)
1−5 5
6−10 4
11−15 3
16−20 2
21−36 1
【0062】
得られたAGIISは、約0.05〜約31の酸規定度であり、pHは0未満、沸点は約100℃〜約106℃、凝固点は約−8℃〜約0℃であろう。
【0063】
H2SO4/Ca(OH)2/CaSO4の反応を用いて得られたAGIISは、以下の分析値を示した(平均)。
【0064】
最終の酸規定度が1.2N、pHが−0.08のAGIIS
H3O+、2.22%;Ca、602ppm;SO4、73560ppm;K、1.36ppb;不純物、19.68ppm、そしてNaとMgはいずれも検出されなかった。
【0065】
最終の酸規定度が約29N、pHが−1.46のAGIIS
H3O+、30.68%;Ca、52.9ppm;SO4、7356000ppm;K、38.02ppb;そしてNaおよびMgは検出されなかった。
【0066】
濃硫酸以外にも、他の多塩基性酸、たとえばリン酸、亜リン酸、塩素酸、ヨウ素酸その他を用いることができる。
【0067】
同様に、他のアルカリ又は塩基の水溶液、例えば、IA族水酸化物の溶液もしくはスラリー、及びIIA族水酸化物の溶液もしくはスラリーも使用しうる。IA族及びIIA族とは、周期律表の二つの族を意味する。IIA族水酸化物の使用が好ましい。好ましくは、IIA族水酸化物を反応に使用することから生ずる塩は、水に難溶性である。塩基として、IA族水酸化物を添加せずにIIA族水酸化物のみを用いることも好ましい。
【0068】
反応後、得られる比較的pHの低い(典型的にはpH1以下)濃縮溶液は、脱イオン水で希釈して、所望のpH、たとえば約1又は約1.8pHにする。
【0069】
しかしながら、非常に濃縮されたAGIIS溶液を調製しないで、所望の酸規定度を有する液を得るためにその後それを順次希釈しないことが、時に望ましいことがある。本出願に記述された方法で所望の最終酸規定度を有するAGIIS溶液を調製することが望ましいことが多く、そのため使用前に多量の希釈が必要とされない。
【0070】
上で論じたように、AGIISは、等濃度の硫酸中のCaSO4飽和溶液と比較すると、脱水特性(例えば蔗糖の炭化)は相対的に弱い。さらに、本発明のAGIISの安定性と非腐食性は、ある人が、pH0.5未満のこの溶液に自分の手を差し入れても、その手が刺激を受けないで、損傷も受けないという事実により示される。その一方で、pHが0.5未満の硫酸溶液中に自身の手を浸した場合、相対的に短時間で刺激が生じるであろう。硫酸カルシウムで飽和された28Nの硫酸溶液は、ヒトの皮膚と数秒の接触により化学的火傷を惹き起こすであろう。対照的に、同一規定度のAGIISは、ヒトの皮膚に5分間接触させた後でも化学火傷を惹き起こさない。本発明のAGIISは、植物(表皮(クチクラ))もしくは動物(皮膚)の、環境から身を保護する被覆に接触しても、それを浸食する作用はないようである。AGIISは室温では非揮発性である。29Nといった濃縮された状態でも、AGIISは無臭であり、煙を空中に発することなく、ヒトが、この濃縮液の臭いを嗅いで見ても、鼻に刺激を与えることはない。
【0071】
「生物学的汚染物」とは、生物体、もしくはトキシンのような生物体の生産物、もしくはその両者で、すべて、環境及び有用な生産物を汚染するものである。この生物学的汚染物は、環境及び生産物を危険なものにする。
【0072】
生物学的汚染物は、たとえばバクテリア、真菌、カビ(mold)、白カビ(mildew)、胞子、ウイルスなどは、その細胞壁/細胞膜内に反応性物質を潜在的に有している。しかし、それらは細胞内に潜み隠れる(ウイルス及びある種のバクテリア)、かつ/又はバイオフィルムを分泌して(多くのバクテリア、真菌、カビ、および白カビ)自分を環境から保護する。
【0073】
バクテリアは、細胞内、もしくは細胞外にトキシンを形成・産生する。トキシンとは有害で毒性ある物質であり:(1)そのバクテリアに必須の構成部分であるか;(2)そのバクテリアが細胞外に産生した産物(エキソトキシン)であるか;もしくは(3)そのバクテリアの代謝と生育の間に形成・産生された、この二つの状態の組み合わせを示す物質である。トキシンは、一般的に、比較的複雑な抗原性ある分子で、化学的組成は、通常不明である。バクテリアの有害な効果は、バクテリア自身がもたらすだけでなく、バクテリアが産生するトキシンによってももたらされる。バクテリアの産生するトキシンは、産生物にとって、バクテリアそれ自体以上ではないにしろ、少なくとも同程度に危険なものである。四級アンモニウム化合物など通常の消毒剤は、バクテリアを殺すが、バクテリアのトキシン及びエンドトキシンには何の効果も示さない。事実、多くの消毒剤が、エンドトキシンをバクテリアから放出させてしまうという形で、エンドトキシン問題に貢献している。バクテリアのトキシンとエンドトキシンは、ヒト及び動物で重大な副作用を惹き起こし得る。エンドトキシンは、食品、医薬品製造、医療機器、及びその他の医学製品における汚染の主要原因である。したがって、バクテリアが群がる製品を「脱汚染」する際には、単にバクテリアを殺し、その数を減らすだけでは充分でない。安全で脱汚染された製品を得るには、バクテリアのトキシン及びエンドトキシンをも破壊しなければならない。実世界では、微生物を殺すことだけでは、トキシン類を破壊することだけのいずれも、充分とはいえない。有用であるためには、栄養物中もしくは装置内の生物学的汚染体を減少させるに際に、生物体の生育を制御し減少させ、それと同時に、生物体の生成物(トキシン類のような)をも除去し、及び/もしくは破壊しなければならないのである。
【0074】
外部の被覆、すなわち動物の表皮及び植物のクチクラは、上記の微生物が複雑な生物体の体内へ侵入し生長するのに抵抗する。植物及び動物が微生物の生長を防ぐ方法の一つは、表面のpHを維持するか、もしくは微生物の付着と増殖に不適合なコーティングを分泌するか、である。植物の産物が収穫され、あるいは動物の産物が加工された後では、これら産物は微生物の蔓延に抵抗する能力を緩和する。本発明の成分プラス定義された添加物を、果実、野菜、及び収穫後の全植物体にスプレーし、または動物の産物をこの成分を用いて洗浄もしくは包装することによって、これらの産物での微生物の生長と増殖は低減できる。植物及び動物の産物をこの組成物中に包装する際には、さらなる利点が現出する。すなわち、産物を加熱すると、この成分のpH、そしてそれに応じて当該産物のpHが低下し、この成分の能力を増強して、いかなる微生物、そのトキシン又はその他の有害な物質をも破壊するのである。
【0075】
本発明の組成物の性質は、「保存薬」であることが見出された。この組成物は腐食性ではない;しかし、破壊的な微生物が生育し増殖できない環境を作り出すことができるため、製品の貯蔵期限を延長させるのである。この保存方法の利点は、この混合物の元来の低いpH自体が保存力を有するため、保存するべき食物あるいは他の物質などにさらなる化学薬品を添加する必要がないことである。保存用の化学薬品を食物に添加する必要がないため、風味は向上し、残渣も避けられる。新鮮な状態で保存された食物及び、既に保存されていた多数の食物を感覚器の刺激検査にかけた結果、明らかになったのは、本成分の添加により風味が向上し、保存剤の香りが除かれたことであった。「感覚器を刺激する」というのは、ある器官の感覚、もしくは全体の器官の感覚に対して印象を及ぼすことを言う。別の使用例において、この組成物を種々の食用ドレッシング、新鮮なジュース、および発酵飲料(ワイン)に添加した。得られた風味は、当初のもの、もしくは対照のものに較べて優れているという評価が全員一致であった。この組成物を保存剤及び風味増進剤として食物及び飲料に使用すれば、より安全でより望ましい製品が得られるであろう。さらに、この組成物は、生物学的製剤、調合薬、またその他の保存に対し敏感な製品に添加してそれらの安全性と貯蔵期間を増加させられる。これは、製品のpHを調節するための成分としても用い得る。
【0076】
生物薬学的、そしてワクチンの装置の従来の洗浄法は、いつも多くの問題を抱えている。遺伝学的に変容を受けた酵母やバクテリアが生物薬学的産物を生産しているバイオリアクター槽は、洗浄過程の間、残留物に非常に敏感である。本発明のアダクトもしくは組成物は、生産終了直後にこれらの槽を第一次洗浄するのに、また、反応槽で培養を再開する直前に、最終の洗浄を行ない浸漬しておくにも極度に有用である。残渣を完全に除去する組成物の能力は、培養の成功を保証し、生物薬学的なワクチン産物中への汚染の可能性を取り除く。
【0077】
洗浄が厳しいものであるような製造の別の分野として、プラスチック及び複合材料を精密注入成型して医療装置等の工業製品の部品を製作する場合がある。本発明の組成物は、注入用金型を工程の間に速やか、かつ効率よく洗浄し、金型を損傷せず、製品に欠陥をもたらす残渣を残すこともない。さらに、この組成物は、過剰な材料を部品および酸食刻から除去して部品を洗浄するのに、もしくは組み立て及び溶接に先立って部品を洗浄するのにも用いられる。本発明の成分は、化学的に、もしくは熱を用いて、もしくは超音波を用いて接着する非金属性部品の表面を洗浄するのに有用である。装置が縫合用品などのウェットパッケージであれば、この組成物は包装用保存剤として用いられる。
【0078】
この組成物の農業への応用は、特に興味深い。植物水耕栽培用の水のpHを操作する能力は、果実の生産及び疾患の制御に影響するであろう。収穫のタイミングを揃え、収穫を完全にするのをこの組成物は援助できる。オリーブ、ナッツ及びある種の果樹は、機械による振動で収穫できる。この振動操作は数回加えなければならない、というのは、果実と幹とがいつも同時に成熟するとは限らないからである。収穫作業に先立って本組成物を果樹に散布すると、幹及び産物の成熟を早めることが出来る。振動作業を1〜2回行なうだけで、産物を完全に収穫することができて、収穫作業の費用と果樹への損傷を軽減できる。
【0079】
バクテリア、真菌、酵母、及びカビ類は植物の生産量を減少させ、または、穀物の質に収穫の直前、収穫時、収穫後にわたって影響を及ぼす。本発明の組成物は、生産された穀物が濡れた状況に置かれたとき、カビ、白カビを防ぐのに有用である。これは特にコーン、メイズ、及びその他のモロコシ類の生産に当てはまる。レーズン製造用に当てられたブドウは、収穫後、ブドウ畑の中で、紙または防水布の上に置いたまま放置乾燥される。雨天が続けば、レーズンは、乾燥過程中にカビを生じて、製品として使えなくなる。本組成物を用いて、収穫前にブドウに散布、収穫時に房を浸漬、防水布を処理、乾燥した房に散布、または包装前にレーズンを洗浄することにより、カビのないレーズンが得られる。同じ方法を用いて、ワイン製造中に、ブドウの均一性を保証することができる。本発明の成分は、ワインその他の発酵飲料のpHを制御し、風味を調節するのに用いられる。
【0080】
本発明の成分の同様な利用が、穀物の貯蔵に対してなされ得る。貯蔵穀物に青カビ、カビ、その他の真菌が蔓延すると、マイコトキシンが産生される。これらのマイコトキシンは、汚染された穀物を消費する動物に対し、非常に有害である。マイコトキシン中毒は、器官の損傷、生産の減少、もしくは死亡をもたらす。作付け用の種子を保存するためには、水銀とヨウ素を含む化学薬品が使用されているが、食料もしくは飼料に向けられる穀物に対しての保存剤で、有害な残渣を残さないものは知られていない。収穫時の、加工中のもしくは貯蔵中の穀物を本組成物に暴露すれば、添加物の有無にかかわらず、これらの微生物が穀物ないし貯蔵倉庫内に生育しない環境を作り出すことが出来るはずである。
【0081】
軍隊における利用のための野外特定用の応用法は数多い。第一の応用は、飲料水の脱汚染である。現在行なわれている個人用飲料水の脱汚染法は、ヨウ素錠剤を水筒の水に入れて一定時間待つ。本発明の組成物の少量をその水に加えれば、消毒のためにかかる時間は短縮され、そしてヨウ素錠剤は不要になる。野外生活のためのその他の応用法は、野外でのごみの脱汚染、衛生状態の疑わしい食物源のための調理用液、創傷及び汚染時の救急洗浄、有毒なもしくは有害な物質の漏出時に希釈し払拭すること、そして装備の洗浄及び脱汚染がある。これは、熱湯を用いた洗浄がいつでも可能とは限らない野外の条件で、食事の提供に当り、特に重要である。
【0082】
以下の実施例は、本発明及びそれを実行する際の方法をさらに説明するために提示する。しかし、実施例中に示される具体的な詳細は、説明の目的でのみ選ばれたものであって、本発明に限定を加えるものと解釈されるべきではない。他に定義されない限り、本発明の成分もしくは構成分のそれぞれの量は、最終組成物中の重量パーセントに基づく。
【0083】
実施例1
1.2−1.5NのAGIIS(H 2 SO 4 /Ca(OH) 2 ))の調製
濃硫酸(FCC級、純度95〜98%)1055ml(19.2モル、純度調整後で、塩基により中和される酸の量を考慮に入れてある)を、撹拌下、緩やかに反応フラスコa、b、c、e、及びfのそれぞれに分注してある16.868LのRO/DI水に加える。水の量は、酸及び水酸化カルシウムスラリーの容量を考慮して補正した。それぞれのフラスコ中の混合物を充分混合した。反応フラスコはいずれも氷浴で冷却し、混合物の温度は約8〜12℃であった。混合物は約700rpmの速度で連続的に撹拌された。
【0084】
別に、4kgの水酸化カルシウム(FCC等級、純度98%)にRO/DI水を加えて最終容積8Lのスラリーを作った。水酸化カルシウムの濃硫酸に対するモル比は、図1から0.45〜1と定めた。スラリーは、水酸化カルシウムと水の50%(W/V)混合物であった。スラリーは、高剪断力のミキサーで均一になるまでよく混合した。次いでスラリーを氷浴中で約8〜12℃に冷却し、約700rpmで連続的に撹拌した。
【0085】
反応フラスコのそれぞれに、150mlの水酸化カルシウムスラリーを20分ごとに添加し、これは、各反応槽に1.276L(つまり乾燥重量638g、8.61モルの水酸化カルシウム)のスラリーが添加されるまで行なった。添加は、約700rpmでよく撹拌しつつ実施した。
【0086】
各反応槽において、反応混合物への水酸化カルシウムの添加が完了した後、混合物を5ミクロンフィルターで濾過した。
【0087】
濾液は12時間放置し、形成した沈降物を傾斜法で透明な液から除いた。得られた生成物は、1.2〜1.5の酸規定度を有するAGIISであった。
【0088】
実施例2
2NのAGIIS(H 2 SO 4 /Ca(OH) 2 )/CaSO 4 )の調製
2NのAGIISを1L調製するため、濃硫酸(FCC等級、純度95〜98%)79.54ml(1.44モル、純度調整後で、塩基により中和される酸の量を考慮に入れてある)を、2Lの反応フラスコに入れてある853.93mlのRO/DI水に、撹拌しつつ緩やかに加えた。硫酸カルシウム(FCC等級、純度95%)5グラムを、緩やかに反応槽に、撹拌しつつ加えた。混合物を充分混合した。この時点において、混合物は通常、2.88の酸規定度を示した。反応フラスコは氷浴で冷却してあり、反応フラスコ中の混合物の温度は約8〜12℃であった。混合物は約700rpmの速度で連続的に撹拌された。
【0089】
別に、33.26g(0.44モル、純度調整後)の水酸化カルシウム(FCC等級、純度98%)に49.89mlのRO/DI水を加えて最終容積66.53mlのスラリーを作った。水酸化カルシウムの濃硫酸に対するモル比は、図1から、0.44〜1と定めた。スラリーは、高剪断力のミキサーでよく混合し、均一になるようにした。次いでスラリーを氷浴中で約8〜12℃に冷却し、約700rpmで連続的に撹拌した。
【0090】
スラリーを、2〜3時間にわたり、混合物にゆっくりと添加し、氷浴中で冷却し、約700rpmで撹拌した。
【0091】
混合物へのスラリーの添加が完了した後、生成物を5ミクロンフィルターで濾過した。溶液を塩が保持し、その塩を除去するため容積の20%のロスが生じるのが常に観察された。
【0092】
濾液は12時間放置し、形成した沈降物を傾斜法で透明な液から除いた。生成物は、酸規定度2を示すAGIISであった。
【0093】
実施例3
12NのAGIIS(H 2 SO 4 /Ca(OH) 2 )/CaSO 4 )の調製
12NのAGIISを1L調製するため、濃硫酸(FCC級、純度95〜98%)434.17ml(7.86モル、純度調整後で、塩基により中和される酸の量を考慮に入れてある)を、2Lの反応フラスコ中の284.60mlのRO/DI水に、撹拌しつつ緩やかに加えた。次いで、硫酸カルシウム(FCC等級、純度95%)3グラムを、緩やかに撹拌しつつ反応フラスコに加えた。混合物を充分混合した。反応フラスコは氷浴で冷却してあり、反応フラスコ中の混合物の温度は約8〜12℃であった。混合物は約700rpmの速度で連続的に撹拌された。
【0094】
別に、140.61g(1.86モル、純度調整後)の水酸化カルシウム(FCC級、純度98%)に210.92mlのRO/DI水を加えて、スラリーを作り、最終容積を281.23mlとした。水酸化カルシウムの濃硫酸に対するモル比は、図1から、0.31と定めた。スラリーは、高剪断力のミキサーで均一になるまでよく混合した。次いでスラリーを氷浴中で約8〜12℃に冷却し、約700rpmで連続的に撹拌した。
【0095】
スラリーを、2〜3時間にわたり、混合物に緩やかに添加し、引き続き氷浴中で冷却し、約700rpmで撹拌していた。
【0096】
混液へのスラリーの添加が完了した後、生成物を5ミクロンフィルターで濾過した。溶液を塩が保持し、その塩を除去するため、容積にして20%のロスが生じるのが常に観察された。
【0097】
濾液は12時間放置し、形成した沈降物を傾斜法で透明な液から除いた。得られた生成物は、酸規定度12を示すAGIISであった。
【0098】
実施例4.
AGIISの口辺ヘルペス(cold sores)に及ぼす効果
45歳の白人男性が、上唇に口辺ヘルペスがあるのに気付いた(第1日)。彼は4NのAGIIS(pHが−0.6、pH1.8)を脱脂綿球に沁みこませ、第1日と第2日は、およそ1分間ほどを2回、ヘルペスを「浸し」た。第3日は、いろいろな時間に4回、AGIISを適用した。
【0099】
口辺ヘルペスのもたらす、かすかな痛みは、AGIISをヘルペスに適用すると、ほぼ即座に激減した。適用3日目の終りには、口辺ヘルペスは、事実上なくなっていた。通常、医者からの投薬では、患者の口辺ヘルペスは治癒に7日を要する。
【0100】
AGIISは、単純疱疹による口辺ヘルペスに対して有用な処置方法であり得る。
【0101】
実施例5〜実施例30で用いられるAGIIS溶液は、濃硫酸を水素化カルシウムもしくは金属カルシウムと混合して調製された。
【0102】
実施例5
剃刀による切傷に対するAGIISの効果
45歳の白人男子が、ひげ剃りの刃を使用して、顔に3箇所の傷を受けた。彼はpH1.8のAGIISを脱脂綿球に沁みこませて、傷に直接適用した。
【0103】
切傷からの出血は20秒以内に止まり、痛みはほぼ即座に止まった。
【0104】
AGIISは、皮膚における凝血剤として有用であり得る。
【0105】
実施例6
携帯用の水の脱汚染
携帯用の水が、大腸菌でないタイプの生物体を含んでいた。pH1.8のAGIISをこの水に加えてpHを2.0にした。この水を培養したところ、生育は認められず、この水は消費しても不利な作用はなかった。
【0106】
AGIISのプラ−ク及びバクテリアに及ぼす効果
歯列矯正器具を装着した45歳の白人男子が、彼の口と歯を37日間AGIISで清浄した。日に1〜2回、pH1.8のAGIISをおよそ10ml用いた。彼は朝に清浄し、時には就寝前にもゆすいだ。彼は1日に2回歯を磨き、磨いた後、OTCの口洗い剤を使用した。
【0107】
この患者は、AGIISを使用する前に経験していたのと違って、歯の表面が薄い膜で覆われていないのに気付いた。彼の口の清新な感じが以前よりも長い間続くようだったと述べた。また、彼は、彼の歯が以前よりも白くかつ輝きを増したのに気付いた。彼は37日目に歯の洗浄を受けた。衛生士が彼の歯の一般状態を評価するため一連のテストを行なった。衛生士は彼の歯に色素を塗って歯に存在するプラ−ク及び/もしくはバクテリアを調べた。衛生士はビデオカメラをコンピュータに接続し、彼の歯の状態を観察し記録した。その結果、彼の歯の上部3分の2には、プラ−クもバクテリアも実質的に見当たらなかった。歯肉域に触れる下部3分の1には、少量のプラ−クとバクテリアが認められた。歯肉の状態は優秀だと判定された。被験者は口洗い剤を使うのと少なくとも同頻度以上、AGIISで口をゆすぎ、それも歯肉周辺に集中するのがいい、と衛生士は提案した。衛生士はその後の進展を観察する予定である。衛生士は、AGIISが歯のエナメル質を除去しているかどうかを計るため、薬剤と紫外線ランプを用いた。AGIISがエナメル質を除去していることはない、と示唆された。
【0108】
AGIISは、被験者の歯と口からプラークとバクテリアを除去するのを助け、歯を白くし、彼の口を平生よりも長い間清新に維持し、しかも歯のエナメル質を除去することはなかった。
【0109】
実施例8
腫瘍に対するAGIISの効果
多数の類表皮嚢胞を有する50歳の男性が、pH1のAGIISで局所の処置を受けた。腫瘍の部位2箇所を選んで処置されたが、3日後に効果はなかった。次いで、0.1mlのpH1のAGIISを、ツベルクリン用の注射筒につけた27ゲージの針を介して腫瘍内に注射した。24時間以内に、集塊は失せ、集塊が皮膚に付着していた部位には小さなカサブタだけが残存していた。副作用は何もなく、注射時に刺すような痛みが僅かに伴っただけであった。腫瘍の部位にあったカサブタは、7日後に消失した。
【0110】
実施例9
ヘパリンを投与したイヌの組織に対するAGIISの効果
15kgの雄性ビーグル犬1頭から肝臓を採取して、イヌ初代ヘパトサイトを入手し、組織培養による毒性スクリーニングを計画した。イヌは、実験の24時間前に食餌を絶って準備した。2mlのペントタールナトリウムで麻酔し、1000単位/mLのヘパリンを5mL、静脈内に注射してヘパリン化した。肝臓の採取が終了し、種々の器官と皮膚の断片が、pH1のAGIIS水溶液に暴露された。AGIISに暴露された組織に対する不利な作用は認められなかった。ヘパリン化された血液は、AGIISに触れると色と粘度が変化して、褐色の顆粒になった。ヘパリン化したイヌにおける凝血時間への効果は認められなかった。
【0111】
実施例10
ウサギにおける外科的創傷に及ぼす効果
雄性ウサギ1羽にケタミン3mLを筋肉内投与して麻酔し、腹部を剃毛した。腹部の両側に色落ちしない青色のマーカーで以下の順序で数字をつけた:1、2、3、4、5、C。ただし、1はpH1、2はpH2、3はpH3、4は灌漑水「WFI」、5は空気対照、Cは凝血時間対照であった。pH1、2、3は、AGIISの水溶液でpHがそれぞれ1、2、3のものに対応している。これらは「pH1AGIIS処置」、もしくは「pH1処置」と略称する。幅1cmの切開を、2回に分けて6箇所に行なった。切開の名称に対応する各種の液体を、対応する傷に導入し、少なくとも20分間結果を観察した。凝血時間は、毛管フィブリン法で定量したが、正常値であった。空気対照傷は、約2.5分ほどで凝血した。灌漑水で処置した傷は、凝血時間がおよそ3〜4分間に延長したようであった。pH3のAGIIS水溶液で処置した傷は、WFI処置の傷と比較して差が有意ではなかった。pH2のAGIIS水溶液で処置した傷は、2分未満で凝血した。pH1のAGIIS水溶液で処置した傷は、30秒以内に凝血し、凝血塊は傷の周辺に黒褐色のカサをなした。5分以内でこの傷は完全に乾いたが、その他の傷はすべて、血清/リンパ液が滲み出ていた。すべての傷を10分及び20分の時点で観察した。これらの観察時刻には、対照2種、WFI、及びpH3のAGIISで処置した傷の間には差は認められなかった。20分では、pH2処置の傷が湿っていたが、横幅を計ると10mm縮んでいた。pH1処置の傷は、乾いて周辺に褐色の凝血塊が付いていた。この傷は25mm縮み、皮下の組織は明るい褐色であった。この色素は、AGIISに接触した血球から生じた鉄沈殿物であるヘモシデリンであると思われた。凝血塊も興味深く、外側は褐色であるが内側は赤色で通常の外見であった。すべての傷を、Vicryl(登録商標)の3−0マットレス縫合糸を用いて縫合した。pH1のAGIISで処置した傷においては、縫合糸を結紮すると皮膚の切り口が付着し、皮膚の生着がより容易であった。
【0112】
次の日に、切開部位を検査し、撮影した。pH1のAGIISで処置した切開部は、他の切開部位より炎症があったが、しかし完全に閉じていた。他の部位では僅かに引いただけで傷口が開いたが、pH1のAGIISで処置した切開部は、同程度に、そしてさらに力を増して引いても、傷口が開くことはなかった。この知見は予想外であった。組織の接合部は、乾いて接着していた。このウサギに麻酔なしの検査を行なったが、不当な不快感を示すことはなかった。合成の縫合材Vicryl(登録商標)に何らかの影響を及ぼしたとは思われなかった。
【0113】
実施例11
ウサギの眼の組織に対するAGIISの効果
ニュージーランド種の白色ウサギ1羽の左眼と右眼にpH1のAGIISとpH2のAGIISをそれぞれ点眼した。10分後の観察では、両眼とも、正常よりも赤味が増したようであった;しかし、ウサギが不快感を示すことはなかった。20分後の観察では、赤味がさらに増していたが、眼は正常であった。1時間後の観察では、眼は正常よりも僅かに赤かったが、ウサギは涙を出しておらず、不快そうでもなかった。ウサギはケージに帰された。
【0114】
上述のニュージーランド種の白色ウサギを、処置のおよそ24時間後に検査した。眼を検査したが正常に見えた。角膜の潰瘍、白濁、あるいは剥離は認められなかった。
【0115】
実施例12
外科的処置間のAGIISの使用とその効果
体重47ポンドの雑種の雌性ブルドッグに、卵巣子宮全摘術を施した。このイヌを、50mg/mLのペンタバルバトールナトリウムを10mL与えて麻酔し、挿管した。切開部位は、アルコール及びベタジンで擦って浄化した。切開には#10の鋼鉄製外科用メスを用いた。大きな血管は止血鉗子で制御した。pH1のAGIIS水溶液を、皮膚の出血している小血管に注射器から滴下した。出血はすぐには止まらなかったが、血管周辺の組織は収縮して出血中の血管を露出し、機械的に鋏み止め易くなった。ごく小さな血管は、ウサギの時と同様、即座に凝血し、組織液が施術域に浸出するのが押さえられた。卵巣と子宮角が切除された。2滴から4滴のAGIIS水溶液(pH1)を、子宮の切除痕と卵巣柄に滴下した。組織の色は僅かに褐色味を帯びたが、組織にはその他の効果を及ぼさなかった。pH1のAGIISは、腹部諸器官の腹腔面もしくは漿膜面に何の効果も及ぼさないようであった。切開部の皮膚端は、縫合前にpH1のAGIISで処置した。2−0Vicryl(登録商標)による縫合は、常法どおりであった。24時間後にイヌの状態を検査したが、回復状況と切開部の様子は正常であった。皮膚の縫合端には副作用は認められず、傷は癒着していた。皮膚の縫合部は美容整形を行なったように見えた。pH1のAGIISの使用は、外科的に露出された組織に対して不利な効果を与えたようではなかった。その使用は、リンパ管及び外径1mm未満の血管からの出血を制御するのに有効であると思われた。さらに、AGIIS製品は、外科手術器具から血痕を速やかに除去した。
【0116】
実施例13
ガラス表面からpH1.4のAGIISを用いてエンドトキシンを除去する調査 ガラス試験管をBSAで被覆し、オートクレーブにかけた。試験管の内容物を除き、培地と、E.coli O157:H7生物体を試験管内に添加した。培養後、試験管をオートクレーブにかけ、この操作を繰返して、試験管をエンドトキシンで覆った。
【0117】
試験管を2つのグループに分けた:グループ1の試験管は、エンドトキシンを含まないLAL水で満たした。グループIIの試験管は、pH1.4のAGIIS溶液で満たした。次いで、すべての試験管を20分間沸騰させた。沸騰後、エンドトキシンを含まないLAL水を試験管内に加え、激しく回転させた。各試験管内のエンドトキシン量をLALのテストキットを用いて測定した。
【0118】
pH1.4のAGIIS溶液による処理では、付着したエンドトキシンのレベルを22.66EU/mLから検出限界(<0.03EU/mL)に減少させた。LAL試薬水のみによる処理では、ガラス試験管に付着したエンドトキシンのレベルを減少させなかった。
【0119】
実施例14
プラスチックの医療用品からpH1.4のAGIISを用いてエンドトキシンを 除去する調査
牛肉懸濁液にE.coli O157:H7を懸濁して繰り返し培養し、繰り返しごとにオートクレーブして、プラスチックの試験管をエンドトキシンで覆った。試験管を2つのグループに分けた。グループ1の試験管は、エンドトキシンを含まないLAL水を加えて沸騰させた。グループIIの試験管は室温に置いた。グループ3の試験管は、pH1.4のAGIIS溶液で満たして沸騰させた。pH1.4のAGIIS溶液による処理では、試験管に付着したエンドトキシンのレベルを、約45EU/mLから検出限界(<0.03EU/mL)もしくはおよそ256分の1に減少させた。
【0120】
実施例15
ステンレス鋼の表面からpH1.4のAGIISを用いてエンドトキシンを除去する調査
E.coli O157:H7を繰り返し培養し、繰り返しごとにオートクレーブして、ステンレス鋼のスラブ(SSS)をエンドトキシンで覆った。SSSを2つのグループに分けた。グループ1のスラブは、エンドトキシンのLAL水を加えて沸騰させた。グループIIは、pH1.4のAGIIS溶液を加えて沸騰させた。
【0121】
pH1.4のAGIIS溶液による処理では、SSSに付着したエンドトキシンのレベルを、4EU/mLから検出限界(<0.03EU/mL)に減少させた。LAL試薬水での処理は、SSSに付着したエンドトキシンのレベルを減少させなかった。
【0122】
実施例16
AGIIS処理の抗トキシン効果
等容量のpH0.5AGIIS溶液をE.coli O157:H7の培養液に加えた。得られたpHは−1.0であった。培養液を5NのNaOHでpH7.0にまで滴定した。処理した培養液と未処理の培養液につき、Morningstar Diagnostic,Inc.のSLT−II テストを用いて、Shiga Like Toxin IIの有無を検査した。未処理の培養液はSLT−II陽性であったが、AGIISで処理した培養液はSLT−II陰性であった。
【0123】
すべての抗原を単に破壊しているのではないことを示すため、未処理の培養液から得た試料と、AGIISで処理した培養液からのものとにつき、O157抗原を検査した。未処理のものも、AGIISで処理した培養液も、共にO157の抗原について陽性であった。したがって、AGIISによる処理は、トキシンを破壊するか、それとも非抗原的な形に解離させるか、のいずれかにより、トキシンを不活性化していることになる。
【0124】
実施例17
AGIIS溶液のpHの違いでバナナの酸化に及ぼす効果に差があるか否かの研究
バナナの皮を剥き、溶液のpHが、それぞれ、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0である、AGIIS溶液に5分間浸漬した。
【0125】
バナナの酸化は、pH1.2〜1.6のAGIIS溶液で処理すると明らかに抑制された。pH1.2と1.4のAGIISで処理したバナナ片は、24時間後、大部分が酸化されていなかった。従って、バナナ果実片の酸化防止には、低pHのAGIISのほうがより効果的である。
【0126】
実施例18
リンゴの酸化防止におけるpH1.2AGIISの研究
リンゴを半分に切り、pH1.2のAGIIS溶液中、及び水中に浸漬した。処理後、リンゴの半片を取り出し、周囲の室温でインキュベートした。処置後4時間たって、AGIIS溶液で処理したリンゴの半片は白く、一方水で処理したリンゴの半片は酸化して褐色になった。この違いは、24時間後でも依然として明らかだった。
【0127】
実施例19
pH0.56のAGIISで黄銅金属から酸化を除去する研究
黄銅の器具類をAGIIS溶液に浸し、取り除き難かった酸化が、ステンレス鋼のパッドで擦って取り除かれた。20年間にわたって蓄積した酸化が、僅かな努力で除去できた。
【0128】
実施例20
pH0.56のAGIIS液で硫酸溶液のpHを減少させる研究
硫酸を、脱イオン水(約700mL)を用いてpH2.3に希釈した。AGIIS液を1mLのアリコートで添加した。pHは2.3から1.56へ順次下降した。従って、pH0.56のAGIIS液は、硫酸溶液の酸度を増加させるために用い得る。
【0129】
実施例21
pH0.45のAGIIS溶液の濃度を定める研究
AGIIS(50mL)を三角フラスコにとり、既知の濃度のKOHもしくはNaOH(通常は1NのNaOH)を加えてAGIISの「酸性」濃度を定めた。滴定により1.84Nの値が得られた。塩基を加えると、pHは0.45から0.35へ減少し、それから着実に上昇して中性になった。ヒドロニウム錯体が塩基の存在下で解離して、さらなるヒドロニウムイオンが得られた。
【0130】
実施例22
AGIISの添加がワインの感覚器を刺激する特性に及ぼす効果の評価法の研究 30mLのワインをいくつかのコップに満した。100マイクロ力価のAGIIS(pH0.3)をカップの半数に加え、残りの半数に100マイクロ力価の脱イオン水を加えた。盲検のテスターがワインを評価した。
【0131】
感覚器を刺激する特性が認められた。とりわけ、すべてのテスターが、AGIISを補ったワインは苦味が少ない、と一致した意見であった。ワインの色調とpHは変化がなかった。
【0132】
実施例23
AGIISのコンクリートとタイル表面への効果を定める研究
AGIISを、周囲温度で、もしくはより高温にして、コンクリートに適用すると、汚れを除き、コンクリートが石の間でより白く目立った。加熱したAGIISは、周囲温度のものより有効だった。
【0133】
藻で覆われたコンクリートにAGIISを適用すると、藻を殺し、除去した。
【0134】
水泳プールのタイルに沈着した炭酸カルシウムは、AGIISを適用すると溶解した。
【0135】
AGIISは、コンクリートの表面を洗浄するのに有効な作用体で、しかも海酸の侵食性は持たない。
【0136】
実施例24
AGIISがフスマに結合するかを定める研究
100mLのコップ4個に小麦のフスマを満たした。そのうちの2つはpH0.8のAGIISで満たし、あとの2つは脱イオン水で満たした。フスマに水を1時間吸わせ、次いですべてのコップを−84℃のフリーザーに保管した。凍結したコップは、次いで凍結乾燥機に24時間かけられた。
【0137】
凍結乾燥後、それぞれのコップの内容は500mLのビーカーに移された。pH7の脱イオン水150mLを各ビーカーに加え、凍結乾燥したフスマに再度水分を吸収させた。
【0138】
AGIISで処理したフスマは、容易に水分を吸収するか、及び/もしくは溶解した。他方、水で処理したフスマは、物理的に砕かなければ溶解しなかった。
【0139】
標本がすべて水分を再吸収したところで、それぞれのpHを測定した。水で処理したフスマの平均pHは5.8、AGIISで処理したフスマの方は2.84であった。従って、AGIIS処理は、処理されたフスマのpHを下げ、フスマの再水和の際の特性を変えた。
【0140】
実施例25
アボカドの酸化に対するAGIISの効果
アボカドは皮を剥き、いくつかにスライスした。スライス片を、pHがそれぞれ1.2、1.4、1.6、1.8、2.0のAGIIS溶液に10分間浸漬した。開放された棚に周囲の室温で8時間インキュベートすると、pH1.4〜2.0の液で処理したスライスは明らかに強く酸化されていた。しかし、pH1.2のAGIIS液で処理したものは、酸化も受けず、切ったばかりのように見えた。
【0141】
実施例26
AGIISの添加がケチャップの風味に及ぼす効果の研究
100mLのいくつかのコップの中に80mLのケチャップを入れる。その半数に脱イオン水を5mL加える。残りの半数にはAGIIS(pH約0.5)を5mL加える。
【0142】
コップの内容物を充分混合し、盲検のテスターに、風味についての意見と選択を訊ねた。
【0143】
AGIISで処理したケチャップは、濃厚なコンシステンシーを維持し、そして色も鮮やかな赤色のままであった。さらに、風味が増している、というのも明白であった。水で処理したケチャップは、コンシステンシーを失い、色は薄れ、風味は良くない、と判定された。
【0144】
実施例27
薬物源となる植物に及ぼすAGIISの効果の研究
新しく収穫したアロエ・ヴェラの葉を切断して、葉の中央部の粘質ゲルを露呈させた。切片2つをpH2のAGIISで処理して、観察皿に置いた。他の切片2つは水で処理し、同様な観察皿に置いた。室温で10分間放置すると、水で処理したアロエゲルは脱色し褐色になった。AGIIS処理のアロエゲルは、切断時の外観を保っていた。室温で20分間経過後、差異はさらに目立ってきた。水で処理したアロエゲルは液化しはじめ、AGIIS処理のアロエゲルはその形を保っていた。室温で4時間経過すると、その違いはさらに顕著になり、AGIIS処理のゲルは依然として切ったばかりの様子であった。
【0145】
実施例28
汚染された水に及ぼすAGIISの効果
水道水500mL中に存在するバクテリアを、5000×gで20分間遠心分離して濃縮した。別に水道水500mLを取り、pH0.5のAGIISを用いてpH2になるよう滴定した。この処理を受けた水道水から、5000×gで20分間の遠心分離でバクテリアを濃縮した。それぞれの標本から得たバクテリアを1.5mLのAGIISもしくは水に懸濁して、標本中の生菌数を測定すべく培養した。pH2のAGIIS溶液で処理すると、水中の生菌数は減少した。
【0146】
実施例29
路上の溜り水に対するAGIISの効果
研究室の建物の正面に向って隅の水溜りから採水した。この水のpHは7.4であった。この水とpH2のAGIIS溶液もしくは無菌の食塩水を1:1に混合し、周囲の室温で処理した。処理後、AGIIS処理もしくは食塩水処理した水のアリコートを取って順次希釈し、生菌数を測定した。AGIIS処理は食塩水対照との関連において、効果的に生菌数を減少させた。
【0147】
実施例30
レタス玉の生菌数に対するAGIISの効果
レタス玉からレタス葉を剥ぎ取り、2つのグループに分けた。グループIのレタス葉は、pH2のAGIIS溶液で3分間処理し、次いで無菌の食塩水中で食用に供した。グループIIの葉は、食塩水で3分間処理してから食用に供した。各グループからそのアリコートを取り、順次希釈してそれぞれの希釈分につき、処理後に存在する生菌数を測定した。pH2のAGIIS溶液に関連する生菌数は、対照のそれに比較して減少していた。
【0148】
実施例31
ニワトリ用飼料の加水分解に対するAGIISの効果
AGIISは、ニワトリ用飼料中の炭水化物複合体を、炭水化物複合体よりも胃で消化しやすい単糖類に変換することが見出された。ニワトリ用飼料は、商用ブロイラー生産者から入手した。この生育用飼料は、26%のタンパク質を含み、黄色トウモロコシを基材にしていた。このニワトリ用飼料を、2NのAGIISを用いて、85℃で、様々な長さの時間、消化処理した。用いたAGIISは、H2SO4/Ca(OH)2/CaSO4法で調製した。反応中に生じた還元糖の量を測定するには、フェ−リング変法を用いた。脱イオン水を使用した対照を並行して実施した。以下に示す結果から、AGIISで処理したニワトリ用飼料は、ニワトリが炭水化物複合体よりも消化しやすい還元糖をより大量含んでいたことが判る。
【0149】
【表1】
【0150】
実施例32
種々の作用体による蔗糖の炭化
濃度が19Nもしくはそれ以上の硫酸は、蔗糖を炭化、または「脱水」する。この反応は見て判定でき、測定の補助手段として使用することが出来た。19N未満の硫酸を用いた場合は、反応の終了まで長いため、結果の解釈が難しくなった。おおまかに言って、炭化反応は三つの段階に分けることが出来た。
【0151】
第一段階は、最初の色の変化であった。これは、通常、室温においては反応開始後2分間以内に生じた。第一段階の特徴は、蔗糖における色の変化であった。すなわち、蔗糖の白色が明るい黄色に変化した。この実験において用いられた酸性の試薬の大部分は、接触後の最初の2分以内に、蔗糖の色を明るい黄色に変化させた。
【0152】
第二段階は、蔗糖の黒化であった。
【0153】
第三段階は、炭化即ち蔗糖の完全な「燃焼」であった。この段階では、熱が発生し、蒸気が出た。酸の濃度によっては、反応は激烈で、軽度に爆発的なものになり得た。
【0154】
以下に示すのは、(1)AGIIS;(2)H2SO4;(3)H2SO4*CaSO4;の溶液を比較して行なった炭化実験の結果を要約した表である。AGIIS溶液は、硫酸カルシウムを添加してある硫酸を水酸化カルシウムと反応させて調製した。溶液(3)、即ちH2SO4*CaSO4は、硫酸カルシウムで飽和させた硫酸の溶液である。データは、室温で実施した諸実験から編集した。
【0155】
【表2】
【0156】
AGIISは、適正に調製されていれば、蔗糖の色はしばらく黄色いままであり、続く7もしくは8分のうちに緩やかに黒ずんでいくのであった。27と29Nの間の酸規定度を有するAGIISでは、適正に調製されていない場合には、蔗糖の色はほぼ5分と経たずに黒ずむのであった。さらに、適切に調製されたAGIISによる蔗糖の炭化は、29Nの酸規定度を有するものにおいても、室温で24時間より長くおいても検出されなかった。
【0157】
これに対し、表に示したごとく、硫酸にしても硫酸カルシウム飽和の硫酸にしても、同一の酸規定度においては、AGIISよりもさらにより速やかに室温で蔗糖を炭化するのであった。
【0158】
実施例33
AGIISの非揮発性と非侵食性
調製したAGIISは、室温では非揮発性であった。29Nの濃度でも、AGIISは臭気を帯びず、空中に煙を放出せず、濃縮溶液を嗅いでもヒトの鼻に刺激性を示さなかった。濃厚なAGIISを水で希釈すると、ほんの微量の熱が放出された。一方、濃硫酸の水での希釈時には、大量の熱が放出された、すなわち非常に発熱性であった。
【0159】
硫酸カルシウムで飽和させた28Nの硫酸溶液を接触させると、ヒトの皮膚は非常に熱くなるのであった。この溶液は皮膚に対し数分以内で強い刺激を与えた。続いて化学火傷が生ずるのであった。28Nの硫酸は、ヒトの皮膚を1分未満で化学的に焼くのであった。
【0160】
これと対照的に、28Nの酸規定度を有するAGIISの溶液は、ヒトの皮膚に接触しても、中程度の暖かさの感覚を惹き起こすだけであった。強い刺激を与える効果はなく、溶液は室温で5分以上皮膚に触れていても、化学火傷を惹き起こすことはなかった。
【0161】
【図面の簡単な説明】
【図1】
AGIISの望みの最終酸規定度と、水酸化カルシウムの硫酸に対するモル比(硫酸のモル数に対する水酸化カルシウムのモル数で与えてある)との関係を示す。
Claims (78)
- 栄養物材料;及び
酸性の難溶性IIA族錯体(AGIIS)、
を含む調製された栄養物。 - AGIISが、鉱酸と、IIA族の水酸化物もしくは二塩基性酸のIIA族塩またはその両者の混合物とを含む混合液から単離されている、請求項1記載の調製された栄養物。
- IIA族の水酸化物が水酸化カルシウムであり、鉱酸が硫酸であり、二塩基性酸のIIA族塩が硫酸カルシウムである、請求項2記載の調製された栄養物。
- ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項3記載の調製された栄養物。
- AGIISが、調製された栄養物の全重量に対して、約0.01%〜約99.99%の範囲である、請求項1記載の調製された栄養物。
- 栄養物の材料が、食料、飼料、飲料、食料補足物、飼料補足物、飲料補足物、食品ドレッシング、医薬品、生物学的産物、調味料、スパイス、香料、もしくは充填料である、請求項1記載の調製された栄養物。
- 栄養物の材料;及び
水酸化カルシウムと硫酸とを、硫酸カルシウムの添加があるか、もしくは添加なしで、混合して調製されたAGIISを含む、
調製された栄養物。 - 硫酸が所定の量の硫酸カルシウムを含有する、請求項7記載の調製された栄養物。
- ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液に比較して、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項7記載の調製された栄養物。
- 使用された硫酸のモル当りの水酸化カルシウム量が、約0.1モル〜約0.5モルの範囲である、請求項7記載の調製された栄養物。
- 栄養物の材料が、食料、飼料、飲料、食料補足物、飼料補足物、飲料補足物、食品ドレッシング、医薬品、生物学的産物、調味料、スパイス、香料、もしくは充填料である、請求項7記載の調製された栄養物。
- 栄養物の材料にAGIISを接触させることを含む、調製された栄養物を製造するための方法。
- AGIISをキャリアーに接触させて構成されたキャリアーを得て、そして
構成されたキャリアーを栄養物の材料と混合すること、を含む、
調製された栄養物を製造するための方法。 - 環境にAGIISを散布することを含む、環境中において有機物性の臭気を消失させる方法。
- 飲み物、植物製品、もしくは動物製品をAGIISと接触させることを含む、飲み物、植物製品、もしくは動物製品の、器官に刺激を与える風味を保持しもしくは改善する方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱く、かつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項15記載の方法。
- AGIISのpHを減少させる方法であって、その方法が
AGIISを加熱することを含む方法。 - AGIISが、食料、飼料、飲料、食料補足物、飼料補足物、飲料補足物、食品ドレッシング、医薬品、生物学的産物、調味料、スパイス、香料、もしくは充填料に混合される、請求項17記載の方法。
- 栄養物中の生物学的汚染体を減少させる方法であって、
栄養物をAGIISと接触させることを含む方法。 - AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項19記載の方法。
- 栄養物が、新鮮な果実、果実の製品、野菜、野菜の製品、肉、肉の製品、魚、魚の製品、食品ドレッシング、または飲み物である、請求項20記載の方法。
- 栄養物のpHを減少させる方法であって、
栄養物をAGIISに接触させることを含む方法。 - AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項22記載の方法。
- 装置内の生物学的汚染体を減少させる方法であって、
装置にAGIISを接触させることを含む方法。 - AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項23記載の方法。
- 装置が、食料加工装置、飼料加工装置、飲料加工装置、医薬用装置、建設用装置、もしくはマイクロ電子工学装置である、請求項24記載の方法。
- 消費用製品をAGIISに接触させることを含む、消費用製品を保存する方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項27記載の方法。
- 消費用製品が、植物製品、動物製品、医薬製品、生物学的製品、もしくは医療装置製品である、請求項27記載の方法。
- 媒体にAGIISを接触させることを含む、媒体中の生物学的トキシンの量を減少させる方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項30記載の方法。
- 媒体が、食料、飼料、医薬品、装置、包装材、飲料、生物学的産物、水、もしくは土壌である、請求項30記載の方法。
- トキシンが、動物のトキシン、バクテリアのトキシン、ボツリヌスのトキシン、コレラトキシン、連鎖球菌発赤毒、渦鞭毛虫のトキシン、ジフテリアトキシン、発赤毒、細胞外トキシン、疲労性トキシン、細胞内トキシン、猩紅熱発赤毒、もしくはトウニンクリフ(Tunnicliff)トキシンである、請求項30記載の方法。
- トキシンがエンドトキシンを含む、請求項30記載の方法。
- トキシンがマイコトキシンを含む、請求項35記載の方法。
- 栄養物にAGIISを添加することを含む、栄養物中の栄養素の生物学的利用能を増大させる方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項36記載の方法。
- 栄養素が、炭水化物、タンパク質、酵素、もしくは酸に安定なビタミンである、請求項36記載の方法。
- AGIISを適切なキャリアーに添加して、あらかじめ混合してある製品を得て、そして
あらかじめ混合してある製品を乾燥した栄養物に混和すること、を含む、AGIISを乾燥した栄養物に取り込ませる方法。 - AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項39記載の方法。
- 適切なキャリアーが、メチルセルロース、車前子、フスマ、籾殻、もしくはコーン・グルテンである、請求項39記載の方法。
- 皮膚の異型をAGIISで処置することを含む、動物における皮膚の異型を処置する方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項42記載の方法。
- 皮膚の異型が、創傷または火傷である、請求項42記載の方法。
- 創傷が、器物による創傷、自発性の潰瘍、皮膚の炎症、もしくは発疹である、請求項44記載の方法。
- 火傷が、化学的火傷または熱による火傷である、請求項44記載の方法。
- 出血している組織にAGIISを接触させることを含む、動物の出血している組織において凝血を誘発する方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項47記載の方法。
- 出血している組織が、外在器官、内在器官、結合組織、もしくは神経組織である、請求項47記載の方法。
- AGIISを第一の組織、もしくは第一の組織及び第二の組織の両者に接触させ、そして、
第一の組織を第二の組織に合体させることを含む、
第一の組織が第二の組織へ接着するのを増強させる方法。 - AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項50記載の方法。
- 第一の組織と第二の組織とが、動物の組織または植物の組織である、請求項50記載の方法。
- 組織をAGIISに接触させることを含む、組織を消毒する方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項53記載の方法。
- 組織が、動物の組織または植物の組織である、請求項53記載の方法。
- 製品をAGIISに接触させることを含む、製品を洗浄する方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項56記載の方法。
- 製品が、組織、マイクロ電子工学製品、もしくは建築製品である、請求項56記載の方法。
- 建築製品が新品もしくは再使用品である、請求項58記載の方法。
- 植物所要部分をAGIISと接触させることを含む、植物の所要部分の収穫を同調させるための方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、もの請求項60記載の方法。
- 植物所要部分をAGIISと接触させることを含む、植物の所要部分の、器官に刺激を与える風味を保持しもしくは改善する方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項62記載の方法。
- 植物所要部分との接触が、収穫に先立って、または収穫中に、または処理中に、または収穫後に、行なわれる、請求項62記載の方法。
- 生物学的汚染体を減少させるため、充分な量のAGIISを水に添加することを含む、水中の生物学的汚染体を減少させる方法。
- AGIISが水酸化カルシウムを硫酸に、硫酸カルシウムの添加により、もしくは添加なしで、混合して調製され、かつ、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性である、請求項65記載の方法。
- 水が、携帯用の水、雨水渠の水、もしくは下水渠の水である、請求項65記載の方法。
- AGIISを調製する方法であって、
鉱酸の水溶液を調製すること;
IIA族の水酸化物もしくはIIA族の塩の水溶液もしくはスラリーを調製すること;
鉱酸の水溶液を、IIA族の水酸化物もしくはIIA族の塩の水溶液もしくはスラリーと混合すること;
形成した固形分を除去してAGIISを単離すること、かつ、AGIISが、ある一定の酸規定度を有するそのAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性であること、
を含む方法。 - AGIISを調製する方法であって、
鉱酸の水溶液をIIA族の水酸化物と混合し、その結果生じたある一定の酸規定度を有するそのAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性であること、
を含む方法。 - 鉱酸が硫酸でありIIA族水酸化物が水酸化カルシウムである、請求項69記載の方法。
- 使用された硫酸のモル当りの水酸化カルシウム量が、約0.1モル〜約0.5モルの範囲である、請求項70記載の方法。
- AGIISを調製する方法であって、
あらかじめ定められた量の硫酸カルシウムを濃硫酸の水溶液に混合して混合物を得ること;
混合物に計算量の水酸化カルシウム水性スラリーを添加して反応混合物を得ること;
反応混合物内に形成した固形分を除去してAGIISを得ること;そして、ある一定の酸規定度を有するAGIISが、同じ酸規定度を有する硫酸カルシウム飽和の硫酸溶液よりも、蔗糖の炭化において効力が弱くかつ動物皮膚の腐食性が少なく、そしてAGIISが室温と常圧において非揮発性であること、
を含む方法。 - 硫酸カルシウムと水酸化カルシウムを含有する硫酸の混液に気体状の二酸化炭素を導入することを、さらに含む、請求項72記載の方法。
- 使用された硫酸のモル当りの水酸化カルシウム量が、約0.1モル〜約0.5モルの範囲である、請求項70記載の方法。
- 所定の最終酸規定度を有するAGIISを調製する方法であって、
(a)必要な鉱酸の量を次の等式に従って定めること:
E1=(N/2)+(N/2+B)
(式中、E1はモルで表わした鉱酸の所要量で、純度調整を行なう前の値であり;Nは所期の最終酸規定度であり;そしてBは、IIA族水酸化物と、Nを有するAGIISを得るのに必要な鉱酸のモル比であり;ここで、Bは、所期のNを得るための鉱酸とIIA族水酸化物との間の関係を示す曲線(あらかじめプロットしておく)から求められる)、
(b)使用する鉱酸の純度調整を次の等式によって行なうこと:
E2=E1/C
(式中、E2は、純度調整後の鉱酸の所要モル量であり;E1は上記のとおりであり;Cは、使用する鉱酸に対する純度調整のための係数である)、
(c)鉱酸に加える水の所要ミリリットル数を次の式に基づいて定めること: G=J−E2−I
(式中、Gは鉱酸に加えるべき水の所要ミリリットル量であり;Jは鉱酸水溶液の最終容積であり;Iは必要なIIA族水酸化物の容積量で、以下に与え;E2は上記で定義したとおりである)、
(d)GをE2に添加して鉱酸の最終水溶液を得ること:
(ここで、GおよびE2は上で定義したとおりである)、
(e)反応に要するIIA族水酸化物のモル量を次の式から定めること:
F1=N/2×B
(式中、F1は必要なIIA族水酸化物の純度調整前のモル数であり;BとNとは上記に定義したとおりである)、
(f)使用するIIA族水酸化物の純度調整を次の式に従って行なうこと:
F2=F1/D
(式中、F2はIIA族水酸化物の純度調整後の所要モル数であり;F1は上記に定義したとおりであり;DはIIA族水酸化物に対する純度調整係数である)、
(g)IIA族水酸化物の溶液またはスラリーを作るのに要する水のミリリットル量を、次の式に従って定めること:
H=F2×1.5
(式中、HはIIA族水酸化物の溶液またはスラリーを作るのに要する水のミリリットル量であり;F2は上記のとおりである)、
(h)所期の最終酸規定度Nを有するAGIISを得るために、鉱酸の水溶液に加えるべきIIA族水酸化物の水性溶液もしくはスラリーの容積を、次の式に従い、ミリリットルで、定めること:
I=F2×2
(式中、Iは、IIA族水酸化物の溶液もしくはスラリーの必要な容積をミリリットルで表わしたものであり;F2は上記に定義したとおりである)、
(i)HをF2に加えて最終的なIIA族水酸化物の水性溶液もしくはスラリーを得ること(ここで、H及びF2は上記に定義したとおりである);
(j)(i)で得た最終的なIIA族水酸化物の水性溶液もしくはスラリーを、(d)で得た鉱酸の最終水溶液に加えること;
(k)(i)で得た、最終的なIIA族水酸化物の水性溶液もしくはスラリーと、鉱酸の最終水溶液とを、反応させること;そして、
(l)(k)の反応から形成した固形分を除去すること、
を含む方法。 - d)で得られた鉱酸の最終水溶液に、二塩基性酸のIIA族塩を添加することをさらに含む、請求項75記載の方法。
- 鉱酸が硫酸であり、IIA族水酸化物が水酸化カルシウムであり、そして二塩基性酸のIIA族塩が硫酸カルシウムである、請求項76記載の方法。
- 請求項75記載の方法によって調製される、所定の最終酸規定度を有するAGIIS。
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