JP2004510185A - 金属化テーパ導波路付き表示スクリーン - Google Patents

Abstract

【解決手段】液晶表示装置等の表示装置の視野角を拡大する表示スクリーンは金属性のテーパ導波路（４３）を有する。
【選択図】図４

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置の分野に関し、詳細には、特に、液晶表示装置（ＬＣＤ）用の、視野角（ｖｉｅｗｉｎｇ ａｎｇｌｅ）を拡大するスクリーンに関する。
【０００２】
【従来の技術】
表示装置、例えば、プロジェクション表示装置、スクリーン外表示装置や直視型表示装置は既に知られている。例えば、ジンママン（Ｚｉｍｍｅｒｍａｎ）等（米国特許第５４８１３８５号）に記載される。この種の表示装置は、コンピュータ端末、飛行機のコックピット表示装置、自動車計器パネル、テレビジョンや、テキスト、グラフィクス又はビデオ情報を表示するその他の装置を含む、広範な用途で使用される。例えば液晶表示装置のような、普通の直視型表示装置には幾つかの固有の欠点がある。例えば、広い視野角（表示装置の面に垂直な方向からの角度が大きい）において、この種の表示装置は視野角が変化するにつれ低いコントラストになり、色度に変化が生じる。
【０００３】
ほとんどの表示装置にとって、オペレータが様々な軸外角度から表示を見ることができることが重要である。例えば、左右のクルー席（操縦士／副操縦士）の飛行機において、操縦士はコックピット越しに副操縦士の表示装置を見る必要がある。この場合、広い（＞６０度）軸外視野角が望ましい。ある種の表示装置（例えばＬＣＤ）は外部からの補償がなければ、軸外視野角は制限される（＜２０度）。
【０００４】
ジンママンの、１９９６年１月２日発行の米国特許第５４８１３８５号には、表示用スクリーンが液晶表示装置（ＬＣＤ）と表示装置を見る人との間に置かれる。画像を得るため、平行光をＬＣＤ表示装置より通すことが技術的に望ましい。この種の平行光はかなり低い拡散角（約５から１０度）を持つので表示装置の軸外からよく見ることができない。ジンママンの表示用スクリーンは見る人の側に複数の錐状の光導波路を備えており、これを図１に示す。表示用スクリーンは、ガラスのような、透明な平面基板１２上に配置される複数のテーパ導波路１１で構成される。各テーパ導波路は基板１２側の光入力表面１３（図１からは見えない）、光出力表面１４及びテーパ側壁１５から成る。これらの光導波路は例えばアクリルのような光重合性材料（ｐｈｏｔｏｐｏｌｙｍｅｒｉｃ ｍａｔｅｒｉａｌ）から形成される。
【０００５】
図２はこの種の光導波路における内部の光反射（すなわち、光路）を示したものである。光線１０はテーパ導波路１１の光入力表面１３に入力し、テーパ側壁で反射を繰り返しながらテーパ導波路１１を伝播する。最初の反射で光線の拡散角はＡからＡ＋Ｂ（ここにＢは側壁のテーパ角である）に増加する。２回目の反射２２で拡散角はＡ＋２Ｂに増える。一般に、テーパ導波路１１から出力される光出力の拡散角は、光線１０１がテーパ導波路１１から出るまでにテーパ側壁で反射した回数をｎとすると、Ａ＋（ｎ＊Ｂ）で表される。ここに各光線１０１について入射角と反射角は等しい。
【０００６】
ジンママンに示されるような、透明導波路は光ファイバーケーブルと同様に全反射（ＴＩＲ）により光を伝播する。ＴＩＲは光の入射角が光媒体（例えばアクリル）の材質により決まる臨界角より小さいことを要する。図３に、ジンママンに従い、テーパ導波路を伝播して出力広がり角３１となる複数の光線１０１を示す。限られた回数の反射後、光線１０１の散乱角が光導波路媒体の臨界入射角を超えると、光線はテーパ表面１５から反射せず、テーパ導波路１１の側面３２から出力される。ジンママンによれば、導波路間の隙間領域に、ランプブラックのような、光吸収材を詰めることにより導波路１１から逃げる光を吸収することが望ましい。
【０００７】
代表的に、テーパ錐状導波路はガラスのような光媒体、あるいはアクリルのような光ポリマー材料から構成される。ジンママンによれば、テーパ錐状導波路の製造に特に適した、水銀（Ｈｇ）又はキセノン（Ｘｅ）光源からの紫外（ＵＶ）線を用いた、光重合プロセスが示される。エクスポージャーサンドウィッチ（ｅｘｐｏｓｕｒｅ ｓａｎｄｗｉｃｈ）はマスク／メタノール／ＰＥＴ／透明ガラス上プレート（ｍａｓｋ／ｍｅｔｈａｎｏｌ／ＰＥＴ／ｃｌｅａｒ ｇｌａｓｓ ｔｏｐ ｐｌａｔｅ）を用いた。エクスポージャーサンドウィッチを形成した後にＵＶで固く焼き上げる。５０ミクロンの穴と５ミクロンのラインを形成したマスクにより高さが２００ミクロンで、先端（光出力領域）が２０ミクロン幅の、テーパ錐が形成される。錐は、代表的に、深さ１６０ミクロンで互いに融合され、１２度の側壁テーパが付く。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
光線１０１はテーパ錐状導波路１１の光入力表面１３に入り光出力表面１４から出力する。光線１０２が光媒体１２を伝播する際、側壁１５で反射する。入力広がり角の左右の限界における、光線１０１の幾何が図示される。何回かの反射後、光線の入射角が光媒体の屈折率を超えると３２で示すように導波路から逃げる。この結果、出力光の広がり角３１が制限される。
【０００９】
ジンママンに対する一定の改良は知られており、それは導波路１１間の隙間領域に導波路の屈折率より低い屈折率の光媒体を詰めることである。しかしながら、この方法は見る人に外部光の反射が見えてしまう問題がある。航空電子工学表示装置にとって望ましい特徴は、高い周囲光反射、高い透過率及び表示装置の法線回りの非対称出力輝度分布を含む。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明は表示装置の表示側に軸外視野角を拡大するテーパ錐のアレーを設ける。本発明によれば、金属性の反射性コーティングがテーパ光導波路の外面に設けられる。更に、導波路から逸れる金属性錐の表面を処理して見る人と面する黒の光吸収領域を形成する。この黒領域は見る人から見える反射を減らすのに有効である。
【００１１】
本発明の代表的使用例は普通の液晶表示装置（ＬＣＤ）と共に使用される視野角拡大スクリーンである。代表的にこれらのＬＣＤ表示装置は（約５度で広がる）平行光を出力する。
【００１２】
非対称テーパ光導波路は広い水平対縦の視野分布（ｖｉｅｗｉｎｇ ｄｉｓｔｒｉｂｕｔｉｏｎ）を促進する。斜錐は１つの軸（縦）について非対称の視野を提供する。金属性のコーティングされた錐は広い視野角を提供する。
【００１３】
中空の金属性錐は以前のコンセプトにおいて感光性樹脂を除去した変形である。好ましくは、内部の金属性の表面に腐食／酸化を防止するためのコーティングを形成する。
【００１４】
本発明の直視型表示装置は既知の装置に比べ幾つかの利点を有する。例えば、本発明の装置は非対称の視野角を提供し、これは液晶表示装置の特性に応じて飛行機におけるコックピット越しの直視要件を満たすように調整することができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してなされる本発明の詳細な説明を通じ、本発明は十分に理解されると共に更に利点が明らかとなる。
【００１６】
先ず図４において、本発明に基づく、テーパ錐導波路４０が示される。利点として、本発明は追加として金属性の層４３を導波路４０の外面に、特に、入射光の広がり角が光媒体１２の屈折率を超えるようになる、上部錐領域に形成する。金属性のコーティングは例えば化学気相堆積（ＣＶＤ）により錐の外面に形成される。光線１０１が金属層４３で反射する際、反射点４２で示すように、導波路４０から抜け出ることが防止される。本発明に基づく利点として、金属性のテーパ錐導波路４０は、従来技術について述べた、図３に示すような金属なしのテーパ錐導波路では得ることのできない広い出力光広がり角４１を提供する。
【００１７】
本発明の更なる実施の形態を図５に示す。この好ましい実施の形態において、ジンママンに示されるような光ポリマーは、例えば酸洗いにより、除去される。得られた錐の内面は例えばポリエチレンのような保護層でコーティングする。光線１０１は金属性のテーパの付いた中空の錐導波路５０の底部に入る。この底部は図１に示す透明基板上に設けられる。光線１０１は中空錐５０の底部からテーパ金属性壁５３で反射しながら中空錐の先端に伝播する。錐に入る光線１０１の入力広がり角は小さく（約５度）、光線の出力拡散角は、図４の金属性テーパ錐と同様に、十分に増大する。
【００１８】
次に図６を参照すると、金属錐のアレー６０の一部が示される。各金属性錐５０の内面は例えばポリエチレンのような保護透明膜６１でコーティングされる。各金属性錐の外面は例えばフラット・エポキシ塗料又は化学膜のような黒の隙間層６２でコーティングされる。もう１つの実施形態では、錐５０間に残る隙間の空間６３に例えばランプブラックのような光吸収材を詰める。
【００１９】
更に本発明の実施の形態は、テーパ錐導波路４０の底部あるいはより好ましいのは先端（出力）に非対称の拡散を設けることにより、非対称の輝度分布を提供することができる。この非対称拡散は例えばフィジカルオプティックス社（Ｐｈｙｓｉｃａｌ Ｏｐｔｉｃｓ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ）から提供されるような表面レリーフホログラムにより達成される。利点として、非対称拡散は（約５０％の）バルク拡散に比べ高い光透過（約９０％）を提供する。図６に示す金属性層の黒い外面６２又は錐間の隙間領域に設けられるその他の黒い材料を、先端側に設けるだけで高い周囲光阻止が達成される。
【００２０】
本発明の更なる実施形態は非対称に視野角（光広がり角）を調整し、例えば水平方向の視野角を縦方向の視野角より広くできる。視野角の非対称性は様々な金属性テーパ導波路形状を使用することにより調整され、形状としては限定する意味でないが、底面が円形又は長円形の直円錐（傾いていない円錐）又は底面が正方形、長方形、６角形、あるいは８角形の直角錐（傾いていない角錐）を含む。その他の実施形態は上記のような底面を有する斜円錐や斜角錐の形状をした金属性テーパ導波路を備える。
【００２１】
図７を参照すると、本発明の実施の形態として飛行機の航空電子工学表示装置７１が示される。利点として、様々なテーパ角を有する金属性錐が表示領域上に配置され、例えば、警告や注意のテキストを示す、航空電子工学表示装置の中間部分は大きな仰角視野角（ｖｅｒｔｉｃａｌ−ｕｐ ｖｉｅｗｉｎｇ ａｎｇｌｅ）が与えられ、光は操縦士の暗視ゴーグル（ＮＶＧ）の下方を向く。飛行機用表示装置７１は操縦士のデザイン眼７２との位置関係で図示される。飛行機のコックピットを設計する際、俯角（ｌｏｏｋ ｄｏｗｎ ａｎｇｌｅ）７３は操縦士が飛行機の機首越しに十分な視程を得られるように決められる。本発明は操縦士が飛行機の外から眼をそらす必要のない、限られた縦方向の視野角を有する、通常の優先情報の表示領域７４と共に、拡大した、縦方向の視野角を有し確実に操縦士の注意を向けることができる、高優先情報の表示領域７５を提供する。
【００２２】
本発明の範囲は本書に記載した実施の形態には限定されないと解すべきである。当業者にとって本書を考慮し、発明を実施する上で、明らかな追加的利点及び変形形態は特許請求の範囲に係る趣旨と範囲内にあると意図される。
【図面の簡単な説明】
【図１】見る人に面する側に複数のテーパ導波路を備える、表示装置用の従来の表示スクリーンを示す。
【図２】図１の表示スクリーンにおいてテーパ導波路の側面から反射する光の幾何を示す。
【図３】図１の表示スクリーンにおいてテーパポリマー導波路を通る光の伝播を示す。
【図４】本発明に基づく、金属性の反射層を有するテーパポリマー導波路を示す。
【図５】本発明の実施の形態に基づく、テーパ金属性錐導波路を示す。
【図６】本発明の実施の形態に基づく、金属性錐のアレーの一部を示す。
【図７】本発明の実施の形態に基づく、飛行機の航空電子工学表示装置を示す。

Claims (11)

1. 光出力を発生する画像表示手段と、
   上記画像表示手段の前面に配置され、上記画像表示手段に面する第１の表面とこの第１の表面とは反対側にある第２の表面とを有する透明基板と、
   上記透明基板の上記第２の表面上に配置される複数のテーパ光導波路であって、各テーパ光導波路が、
   上記透明基板の上記第２の表面に隣接する光入力表面と、
   上記光入力表面から離れた端にあり、上記光入力表面より小さな表面積を有する光出力表面と、
   上記光入力表面と上記光出力表面間に接続され両者の間に閉表面を形成し、かつ下部と上記光出力表面に近接する上部を有するテーパの付いたテーパ側部とを有し、
   上記導波路の上記光出力表面から出力される光の角度分布は上記導波路の上記光入力表面に入力される光の角度分布より大きく、
   各上記導波路の各上記テーパ側部の上部が金属性の反射層でコーティングされている、ことを特徴とする直視型表示装置用の視野角拡大スクリーン。
2. 上記テーパ光導波路の上記光入力表面又は上記光出力表面のいずれかに設けられる非対称拡散手段を更に備える、請求項１記載の視野角拡大スクリーン。
3. 上記テーパ導波路はほぼ直円錐又は直角錐の形状に形成され、
   上記テーパ導波路の上記光入力表面及び上記光出力表面は円形、長円形、正方形、長方形、６角形及び８角形のグループから選択される形状にほぼ形成されることを特徴とする、請求項１記載の視野角拡大スクリーン。
4. 上記テーパ導波路はほぼ斜円錐又は斜角錐の形状に形成され、
   上記テーパ導波路の上記光入力表面及び上記光出力表面は円形、長円形、正方形、長方形、６角形及び８角形のグループから選択される形状にほぼ形成されることを特徴とする、請求項１記載の視野角拡大スクリーン。
5. 光出力を発生する画像表示手段と、
   上記画像表示手段の前面に配置され、上記画像表示手段に面する第１の表面とこの第１の表面とは反対側にある第２の表面とを有する透明基板と、
   上記透明基板の上記第２の表面上に配置される複数の中空の金属性テーパ導波路であって、各中空の金属性テーパ導波路が、
   上記透明基板の上記第２の表面に隣接する開口底面と、
   上記開口底面から離れ、上記開口底面より小さな表面積を有する開口先端と、
   上記開口底面と上記開口先端間に接続され両者の間に内側閉表面と外側閉表面を形成する金属性で反射性の、テーパの付いた側部と
   を有し、
   上記導波路の上記開口先端から出力される光の角度分布は上記導波路の上記開口底面に入力される光の角度分布より大きいことを特徴とする、直視型表示装置用の視野角拡大スクリーン。
6. 上記中空の金属性テーパ導波路の上記内側閉表面上に形成される、保護用の透明コーティングと、
   上記中空の金属性テーパ導波路の上記外側閉表面上に形成される、黒くされた光吸収性のコーティングとを更に有する、請求項５記載の視野角拡大スクリーン。
7. 上記中空の金属性テーパ導波路はほぼ直円錐又は直角錐の形状に形成され、
   上記中空の金属性テーパ導波路の上記光入力表面及び上記光出力表面は円形、長円形、正方形、長方形、６角形及び８角形のグループから選択される形状にほぼ形成される、ことを特徴とする請求項５記載の視野角拡大スクリーン。
8. （ａ）直視式光出力表面を有する表示装置と、
   （ｂ）上記表示装置上の、上記光出力表面の前面に設けられ、上記表示装置の上記高優先情報表示領域に対応する高優先表面領域と上記表示装置面の上記低優先情報に対応する低優先表面領域を有する視野角拡大スクリーンと、
   （ｃ）上記視野角拡大スクリーンの上記高優先表面領域上と上記視野角拡大スクリーンの上記低優先表面領域上に配置される、種々の側壁テーパ角を有する複数のテーパ導波路とを備え、
   （ｄ）上記視野角拡大スクリーンの上記高優先表面領域上に配置される上記テーパ導波路の側壁テーパ角は上記視野角拡大スクリーンの上記低優先表面領域上に配置される上記テーパ導波路の側壁テーパ角と異なることを特徴とする、
   高い優先情報のための所定表示領域と通常の優先情報のための所定表示領域を有する飛行機用航空電子工学表示装置。
9. 上記テーパ導波路は金属性のテーパ導波路であることを特徴とする、請求項８項記載の飛行機用航空電子工学表示装置。
10. 上記テーパ導波路は中空の金属性のテーパ導波路であることを特徴とする、請求項８項記載の飛行機用航空電子工学表示装置。
11. 上記視野角拡大スクリーンの上記高優先表面領域上に配置される上記テーパ導波路の側壁テーパ角は高優先情報のためにより広い縦方向の視野角を提供することを特徴とする、請求項８項記載の飛行機用航空電子工学表示装置。

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