JP2004509135A - GnRH−IおよびGnRH−IIの識別 - Google Patents

GnRH−IおよびGnRH−IIの識別 Download PDF

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Abstract

適切な投与量のペプチドによるワクチン接種後に本質的に検出不可能なテストステロンレベルを可能にし、かつ/またはGnRH−IとGnRH−IIとを効果的に識別し得る免疫原性のある応答を可能にする、修飾されたGnRHデカペプチド配列を含むペプチド、およびブタの免疫去勢方法。

Description

【0001】
本発明は、GnRHのイソ型に関する。
GnRH−I(文字通りGnRHと通常表される。)は、視床下部からの10個のアミノ酸からなるペプチド(デカペプチド)である。GnRH−Iのアミノ酸配列(SEQID NO:1)は、下記の3文字コードによって、表されることができる。
Figure 2004509135
【0002】
これに対して、pEがピログルタミン酸で、♯がアミドである、1文字コードにおいては、次のように表されることができる。
Figure 2004509135
【0003】
GnRH−Iは、下垂体において、生物活性の血中の濾胞刺激ホルモン(FSH)および黄体形成ホルモン(LH)の放出増加を引起すよう作用し、次には成長期雄動物の精巣の発達、および雄性ステロイドの合成を促す。成長期雌動物においては、卵巣内の濾胞の発達、雌性ステロイドの合成、および排卵のような、卵巣の発達が促される。
【0004】
GnRH−Iは、担体タンパク質と結合した場合には、動物のワクチン接種に用いられ得ることで知られている。このようなワクチン接種は様々な理由で行われるが、これらの理由のすべてはGnRH−I本来の機能に関連する。知られているように、血中のLHおよび/またはFSHの急激な低下は、雄の精巣中での雄性ステロイドまたはアンドロゲン、および精子の産生を抑制し、雌の卵巣中での雌性ステロイドまたはプロゲスターゲン、およびエストロゲンの形成、ならびに濾胞成熟を抑制する。このように、血中のアンドロゲン、プロゲスターゲンおよびエストロゲン量の、去勢による精巣または卵巣の除去によって得られるレベルに匹敵する程度までの減少は、GnRH−Iに対する効果的な免疫を動物に受けさせることによって達成され得る。その後多くの場合、雄動物においては、精巣は、アンドロゲン(雄性ステロイドホルモン)の合成および精子の形成がないことによって、ゆっくりと成長するか、または全く成長しないようである。雌の動物においては、卵巣の活性は、エストロゲンおよびプロゲスターゲン(雌性ステロイドホルモン)の合成がないことによって、かつ濾胞成熟および排卵の抑制によって弱まるようである。
【0005】
近年、GnRHの第2の型(GnRH−II)が霊長類の脳内に存在すること(Lescheid et al. 138(1997)5618−5629)、およびこの第2GnRH分子に関する遺伝子がヒトゲノムライブラリーからクローン化されたことが報告された(GnRH−II(SEQID No:2))(White et al. PNAS USA 95(1998)305−309)。哺乳類のGnRH−I(SEQID No:1)は、ほとんど脳外で発現されない。この点で少しの例外が知られている。GnRH−Iは、月経周期とともに女性の子宮内膜に存在し(Casan et al. Fertil. Steril. 1998, 70, 102−106)、妊娠中にはヒト胎盤で発現する(Kelly et al. DNA cell Biol. 1991, 10, 411−421)。GnRHのmRNAは、ラットの卵巣、精巣、胸腺、胎盤および視床下部において発見された(Oikawa et al., Endocrinology, 1990, 127, 2350−2356)。GnRHの発現は、ブタの免疫組織(脾臓、胸腺およびリンパ球)で検出された(Weesner et al., Life Sci, 1997, 61, 1643−1649)。
【0006】
GnRH−IIは、脳外の多くの組織で発現され、腎臓、骨髄および前立腺において特に高濃度で発見される。脳以外の様々な組織でのGnRH−IIの存在は、GnRH−IIが複数の機能を有し得ることを示唆する。さらに、様々な脊椎動物種を通してGnRH−IIペプチドの完全保存された構造は、この神経ペプチドが生命維持に必要な生物活性を保有することを示唆する。しかしながら、今日まで、GnRH−IIの機能は、実際に知られていなかった。Tリンパ球およびBリンパ球のような、分類されたリンパ球のいくつかの類型、ならびに肥満細胞は、GnRHおよびGnRH様ペプチドを産生する。後者の細胞類型の大多数は、腎臓、骨髄および前立腺において存在し、おそらくこれらの組織での数多いGnRHの発現に寄与している。GnRH−IIは、GnRH−Iと比較して、繁殖に関わらないようである。性腺機能が低下した、GnRH−I遺伝子を欠いたマウスにおいて、GnRH−II産生細胞は通常のマウスと同じ分布で存在するけれども、このことは、これらのマウスに通常の性腺発達を生じさせるには不十分である(Chen et al. FEBS Letters 435 (1998)199−203)。しかしながら、月経周期の黄体期でのマカクは、GnRH−IIの静脈内投与後に、血漿黄体形成ホルモン濃度の著しい上昇を示した一方で、この上昇は、濾胞期中期に生じなかった(
Lescheid et al. Endocrinol. 138(1997)5618−5629)。
【0007】
本発明は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)とも呼ばれるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の型に対する免疫応答を引出すのに適したペプチドを提供するものである。本発明はまた、このようなペプチドに基づく、免疫原性のある組成物およびワクチンと、薬品と、他の調合薬剤とを提供する。本発明はさらに、哺乳動物の繁殖特性または行動特性に影響を与えるためのGnRHに対する哺乳類免疫方法、およびブタの肉質を向上する方法で、このようなワクチンまたは調合薬剤の使用を提供する。本発明はまた、GnRH−IまたはGnRH−IIに対して、選択的な免疫原性のある応答を引出すのに適したペプチドを提供する。さらに、本発明は、GnRH−Iおよび/またはGnRH‐IIに対する抗体、これらの抗体を含む組成物、および医薬組成物における、または前立腺癌治療用薬剤の調製におけるペプチドの使用方法を提供する。
【0008】
本発明は、以下において、GnRHの異なる型を識別可能なペプチド配列を提供することによって、より適切かつ効果的に、GnRHの異なる型に対する免疫応答の変異または差異が利用され得るという見識を提供する。さらに特に、本発明は、GnRH−Iに対するワクチンの有効性および選択性の向上が達成され得るという見識を提供する。GnRH−Iに対する免疫は、GnRH−Iを中和させるのに効果的であり、ゴナドトロピンレベルの低減、および性腺ステロイド合成の阻止をもたらす。しかしながら、GnRH−IIの機能に与える、GnRH−Iに対する抗体の生理的影響については、全く知られていない。GnRH−IIは主として腎臓内で合成かつ分泌されるので、GnRH−IIと交差反応する、GnRH−Iに対する抗体は、腎臓機能に影響を与え得る。腎臓機能におけるGnRH−I免疫の起こり得る副作用を未然に防止するために、免疫去勢ワクチンの抗原応答を特異的にGnRH−Iに導くこと、および性腺に関わらないGnRH−IIの中和が原因で起こり得る有害な副作用を回避することが望ましい。
【0009】
性行動をしばしば随伴する、種の繁殖能力だけを無効にする必要があるならば、GnRH−Iを特異的に中和する免疫去勢ワクチンを目標とすることが好ましい。したがって、ゴナドトロピン放出ホルモンに対する、好ましくはGnRH−Iに対して選択的な、選択的免疫にすることが望まれる。
【0010】
獣医薬において、100%の効果を有するGnRH−Iに対する免疫は、去勢や卵巣切除などの抜本的な外科的措置による代わりに、簡易にワクチン接種によって、たとえば雌雄のネコやイヌなどの小家畜動物の不妊化、または雄イヌおよび雄ウシの攻撃性処置のために使用され得る。GnRH−Iに対する免疫に関して考え得るその他の理由は、イヌ、ネコおよび雌ウシなどの雌動物の発情、ならびに屠殺用に肥育された雄動物の情動不安を防止することである。
【0011】
ヒトの健康管理において、GnRH−Iおよび/またはGnRH−IIに対する免疫は、前立腺癌および乳癌の治療に、必要に応じて下垂体癌治療のいくつかの形態にも用いられ得る。前立腺癌の場合、GnRH−IIは前立腺組織において高度に発現するので、GnRH−IおよびGnRH−IIの両方を中和させることがより望ましい。
【0012】
GnRH−Iに対するワクチンの別の使用は、畜産の分野、とりわけ屠殺用のブタの肥育においてなされる。性成熟した雄ブタの肉は、特有の臭気、いわゆる雄ブタ腐臭(boar taint)または雄ブタ臭(boar odor)を有する。性成熟したブタの精巣において、動物の脂肪組織に蓄積される、多くのC19Δ16ステロイドが形成される(Patterson, J. Sci. Food Agric. 19, 31−38(1968); Brooks en Pearson, J. Anim. Sci. 62, 632−645(1986); Claus, Zeitschrift.
Tierzuchtg. Zuchtungsbiol. 93, 38−47(1976); Claus, Acta Endocrinol. (
Copenh.) 91, Suppl. 225, 432−483(1979) )。これらのステロイドは、主として、肉が加熱されたときに不快な尿様の臭気を形成する原因である(Fuchs,
Swedish J. Agric. Res. , 233−287(1971); Bonneau, Livest. Prod. Sci. , 687−705(1982) )。この不快な臭気のために、性成熟した雄ブタの肉は一般的に消費に適さず、輸出に不向きである。屠殺される雄ブタの約10%は屠殺前にすでに性成熟しているので、これは養豚産業に潜在的に多大な損失を負わせている。
【0013】
これらの損失を抑制かつ防止するために、ほとんどすべての雄の子ブタが、いずれの形態の麻酔なしに一般的に実行される外科的処置によって、幼年時に去勢される。このような去勢の動物に友好的でない側面の他に、去勢は、感染症と、成長阻害と、未処置の動物に比べて、少なくともこの未処置動物が雄ブタ臭を未だ発していない限り劣る、最終的な肉質とをもたらす(Walstra, Livest. Prod. Sci. , 187−96(1974) )。
【0014】
動物に友好的な代替策は、GnRH−Iに対する免疫、いわゆる免疫去勢による、ブタ下垂体内のGnRH−I濃度の減少にある。このGnRH−Iレベルの減少は、生物活性FSHおよびLHの濃度の減少を導き、次には成長中の動物の精巣発達を抑制し、かつアンドロステロン、テストステロンおよびエストロゲンを含む精巣ステロイドの合成を抑制するだろう。アンドロステロンのレベルが低い、または検出不可能なレベルまで低減されるので、この方法は、屠殺時の雄ブタにおける雄ブタ臭の発生を防止し、かつ去勢手術を不必要にする(Oonk et al., 1995, Livestock production Science 42, 63−71)。
【0015】
雄ブタ臭に対する好ましいワクチンへの厳格な要件は、ほとんどのブタにおいて精巣の発達が、雄ブタ臭が屠殺時に発生しないような程度まで遅くされること、およびワクチンが動物の精巣発達を低減させない場合に、このことが、うまく免疫去勢されたブタと比べて非常に大きい精巣寸法によって容易に検出され得ることである。
【0016】
GnRH−Iに対するワクチンの抗繁殖力特性に関する既存の文献および先の特許出願において、ワクチン接種の結果は、様々なようである。これらの研究のほとんどにおいては、ほんの一部のワクチン接種を受けた動物がこのワクチン接種に応答しないこと、または、大量のワクチン、複数のワクチン接種もしくは商業上受入れ難いアジュバントが所望の効果を生じさせるために必要とされること、のいずれかが記載されている(Hoskinson et al., 1990, Austr. J. Biotech. 4, 166−170; Falvo et al., (1986) J. Anim. Sci.68:986−994; Clarke et al., 1998, Endocrinology 139, 2007−2014; Adams T.E. and B.M. Adams, Feedlot performance of steers and bulls active immunized against Gonadotropine−Releasing Hormone, J. Anim. Sci. 1992, 70:1691−1698; Brown et al.,
Immunization of sheep against GnRH−I early in life: effects of
reproductive function and hormones in rams, Journal of rep roduction and Fertility (1994) 101, 15−21; Ferro et al., Immunological castration
using a Gonadotropine−releasing Hormone analogue conjugated to PPD, Food and agricultural immunology, 1995, 7, 259−272; U.S.patent 4,608,251;
Int. patent appl. WO 88/05308)。
【0017】
いくつかの研究はGnRH−Iに対するワクチンの100%の有効性を示唆する一方で、このワクチンは多数の動物に試されなかった(Ladd et al. (1994), Development of an antifertility vaccine for pets based on active
immunization against Luteinizing Hormone releasing hormone, Biology of Reproduction 51, 1076−1083; J.G.Manns and S.R.Robbins (1997), Prevention of boar taint with a recombinant based GnRH vaccine, In: Boar taint in entire male pigs, Proceedings of a meeting of the EAAP working group
゛Production and Utilisation of Meat from Entire Male Pigs”, EAAP
Publication No.92, 137−140; )。その他の研究は、個体値が免疫された対照と処置を受けていない対照との間で明らかな相違を示さなかったので、処置された動物の平均値としてこのワクチンの有効性を報告している(Bonneau et al., J. Anim. Sci. 72, 14−20 (1994); Hennesy et al., 1997. Elimination of boar taint: a commercial boar taint vaccine for male pigs. In: Bonneau, M., Lundstrom, K. and Malmfors, B. (Eds.), Boar taint in entire male pigs. Wageningen Pers, Wageningen, EAAP Publication No.92., 141−145)。
【0018】
このタイプのワクチンを調製する困難性は、耐性現象を原因とする。ホルモンのような自己物質は、異物と認識されない一方で、むしろ免疫システムに容認される。通常、抗体は、自己物質に対して引出されない。ワクチンが効を奏するために、ワクチンは十分に異物でなければならない。免疫システムが容認しない程度にワクチンが異物である場合にのみ、抗体の産生を生じさせるだろう。しかしながら、逆に、抗体はホルモンをなお認識可能でなければならず、したがってワクチンは異物すぎるに越したことはない。
【0019】
これらの条件が相互に両立し難いようなので、仮に、このような物質が調製され得るとしても、近年まで確実でなかった。GnRH様ペプチドワクチンを産生する1つの試みは、右旋性アミノ酸による、GnRH−Iデカペプチド6位におけるグリシンの置換で構成された(D−Tryp; Chaffaux et al., Recueil de
Medicine Veterinaire 161(2), 133−145, 1985)。しかしながら、この修飾されたGnRHペプチドを含むワクチン製剤が通常のGnRH−Iデカペプチドよりもさらに好ましく機能しないことが実証された(欧州特許出願第464124A号)。
【0020】
近年、我々はGnRH−Iに対するワクチン接種を受けたすべての個体において、効果的な抗体応答を引出すことが可能であることを決定的に示した(Meloen et al., Vaccine 12, 741−746 (1994))。これらの実験において、ブタは、古典的類型のGnRH−Iワクチン(フロイント(Freund)のアジュバント中で担体タンパク質と結合したGnRH−I)から逸脱するGnRH−Iワクチン、すなわち2個直列状に並ぶ(タンデム)GnRH−Iのワクチンによって、2度ワクチン接種を受けた(欧州特許第0464124号)。この刊行物において、ペプチドは、次の一般式に従った、少なくとも2個直列状に並ぶ(タンデム)GnRH−I配列(SEQID No:3)を有することを特徴とすると記載されている。
Figure 2004509135
【0021】
この式においてアミノ酸は3文字コードに従って示され、TrpおよびTrpは、トリプトファン(Trp)またはホルミル化されたトリプトファン(N(インドール)−ホルミル−トリプトファン)であり、nは、少なくとも1の値を有する番号であり、Xは、アミノ酸GlyとGluとの間の直接結合またはスペーサー基のいずれかであり、Z−Glxは、pGlu(ピログルタミン酸)または1個以上の追加のアミノ酸を含む尾部を付着したGluのいずれかであり、Gly−Zは、Gly−NH、または1個以上の追加のアミノ酸を含む尾部を付着したGlyのいずれかである。この一般式において、Xはアミノ酸グリシンとグルタミンとの間で直接結合になることができ、すなわちこれらのアミノ酸は中間リンク(標準のペプチド結合を介すること)なしに直接に連結する。タンデムGnRH−Iワクチンの発明は、これらのGnRH−I配列がスペーサーを介して結合されるペプチドを含む。スペーサー基の性質は、1つ以上のアミノ酸から、相対的に短いまたは長い炭化水素鎖および他の化合物基または分子まで、多様に変化し得る。上記一般式において、Z−Glxは、好ましくはpGlu(ピログルタミン酸)を表す一方で、たとえばペプチドと担体タンパク質との結合に使用されるために、1個以上の追加のアミノ酸を含む尾部を付着したGlnも表し得る。上記一般式において、Gly−Zは、たとえばGly−NHを表し、またはたとえばペプチドと担体タンパク質との結合に使用されるために、1個以上の追加のアミノ酸を含む尾部を付着したGlyを表す。好ましくは、Gly−Zは、Gly−Cys−NHを表し、C末端システインはペプチドと担体タンパク質との起こり得る結合のために付加される。
【0022】
国際特許出願第96/40755号からは、GnRH−Iの変異型に適用されたタンデム二量体原理が、いくつかの低刺激性のアジュバント、すなわちSpecolおよび二重油性エマルション中で極めて効果的な、かつ少量でも効果的なワクチンを生じさせたことが判る。この場合、GnRH−I分子の変異型は、右旋性(D−)アミノ酸、D−Lysによる、デカペプチド6位のアミノ酸、Glyの置換で形成され、続いて、その結果生じるペプチドは、二量化され、かつ一般的な担体化合物、オボアルブミンに結合された。したがって、D−アミノ酸による当初かつ単一のGnRH−Iデカペプチド6位GlyのD−アミノ酸置換を用いるワクチンが、当初のGnRH−I配列と比べて免疫原性を弱めたのに対して(Chaffaux et al., Recueil de Medicine Veterinaire 161(2), 133−145, 1985)、タンデム二量体GnRH−Iワクチンに適用されたD−アミノ酸によるこのような置換は、さらに免疫原性のあるGnRH−Iワクチン製剤を産生することができた。それにもかかわらず、このワクチン接種方法は、完全な効果を目的として、ワクチンの反復投与を必要とした。本質的に100%効果のある、GnRH−Iに対する哺乳類のワクチンの達成を目的とする追加投与の必要性は、既知のペプチドの不都合である。我々は特定の場合に、(D−Lys)GnRH−Iタンデム二量体(すなわち、D−Lys置換による、および置換無しのGnRHタンデム二量体)の使用は、非常に低いがなお測定可能な量のテストステロンをもたらすことも発見し、これは望ましくなく、かつ(D−Lys)GnRH−Iタンデム二量体の不都合である。
【0023】
本発明は、ペプチド配列であって、ワクチンに用いられたときに免疫去勢に効果的なワクチンとなる、タンデムD−LysGnRH−Iの代替物となるペプチド配列を提供する。
【0024】
本発明の特徴は、タンデムGnRH−I配列中のアミノ酸が変更され得るとともに、その結果置換されたタンデムGnRH−Iが、免疫去勢に十分な、GnRH−Iに対する免疫原性のある応答をなお産生可能である範囲の決定である。したがって、本発明は、量、活性ともに十分競合的な、GnRH−Iに対する抗体の産生を生じさせ得るペプチド配列の産生を提供する。本発明は、タンデムペプチド自体に限定されず、類似の識別応答が、単一のデカペプチドの変異で引出されることができ、または、切取られた、もしくは特定のアミノ酸が除去された、または、他の方法によって、たとえば非自然的発生のアミノ酸またはD−アミノ酸の追加によって、特にGnRH−IまたはGnRH−IIとの類似度減少をもたらす一方でその免疫原性を高めるこれらの修飾によって、修飾または誘導されたGnRH配列で引出されることができる、と理解されるべきである。
【0025】
本発明のさらなる特徴は、GnRH−Iに対する抗体の産生を選択的に生じさせる一方で、GnRH−IIに対してほとんどまたは全く免疫応答を生じさせないペプチド配列を提供することである。このペプチド配列の好適な実施形態は、GnRH−Iに対する抗体の産生を選択的に生じさせるだけでなく、免疫去勢に効果的でもあり、その上GnRH−IIに対する免疫応答が減少するか、または存在しないペプチド配列である。
【0026】
本発明は、タンデムGnRH−Iペプチド配列中で、様々なアミノ酸が置換されることができ、結果として自己ホルモンとの類似度減少をもたらすと同時に、GnRH−I結合抗体を引出すペプチドの能力を維持または増大することを見出した。また、GnRH−Iペプチド配列中のアミノ酸の正確な置換は、GnRH−Iに対する選択的免疫応答、およびGnRH−IIに対する免疫応答の減少または不存在をもたらす。
【0027】
本発明の特徴において、正確に修飾されたタンデムGnRH−Iペプチド配列は、雄動物の精巣成長を弱める能力だけでなく、テストステロンレベルを、従来の技術で測定不可能な程度まで本質的に低減する能力をも有するワクチンを提供する。
【0028】
さらに、これらのペプチド配列から調製されたワクチンは、ほとんどの場合において、従来のD−LysタンデムGnRH−Iのような、本質的に100%の活性を達成するために第2の追加免疫を与える必要性を除去した活性を発現する。本発明の用語での100%の活性または有効性は、単回のワクチン接種後に従来の技術で本質的に検出不可能なテストステロンレベル、と定義される。
【0029】
本発明の最も顕著な特徴の1つは、これらの代替的GnRHワクチンによる抗体がGnRH−IとGnRH−IIとを識別することである。したがって、本発明に従ったペプチドは、GnRH−Iに対する活性の増加または維持を表し、同時にGnRH−IIに対する免疫応答の減少または不存在が見出される。これは逆の効果を示すペプチドの産生を可能にし、すなわち、これらはGnRH−Iに対する免疫応答の減少または不存在を表すと同時に、GnRH−IIに対する活性の増加または維持を表す。このようなGnRH−IIに特異的な応答は、妊娠を全くまたはほとんど望まない哺乳類の胚の着床抑制を補助するために使用されるだろう。さらに、このようなGnRH−IIに特異的な応答を使用して、FSHレベルが抑制されることができ、全体的な繁殖力の低減に導く。
【0030】
本発明の1つの特徴は、修飾されたタンデムGnRH−Iデカペプチド配列を含むペプチドに関連し、これによって適切な投与量のペプチドによるワクチン接種が、本質的に検出不可能なテストステロンレベルを可能にする。
【0031】
本発明はまた、少なくとも2個以上の、結合された、任意にスペーサーによって結合されたGnRH−Iデカペプチド配列を含むペプチドに関し、GnRH−IとGnRH−IIとを効果的に識別し得る免疫原性のある応答を可能にする。
【0032】
本発明に従ったペプチドは、十分にホルモン様であるが、同時に免疫システムにとって異物であって、このホルモンに対する抗体の産生を生じさせる能力を高める。
【0033】
本発明の特徴は、個別のタンデムユニットが、ペプチドまたはペプチド組成物と担体化合物タンパク質とを結合する能力を失わずに、免疫原性をさらに高めるように二量化され得ることである。
【0034】
国際公開公報第96/40755号に記載された技術と類似した、二量化、およびタンデムと担体との結合に関する技術が用いられることができる。また、GnRH−IまたはIIのペプチド配列の一部のみを含むペプチドが本発明で用いられ得ることも想定される。その例は、ノナペプチドおよびウンデカペプチドである。
【0035】
本発明に従ったペプチドに用いるリンカーは、本願中に記載されたリンカー、SMCCリンカーのようなリンカー、または本技術分野において知られている他のリンカーから選択され得る。
【0036】
これらのリンカーは、2個以上の二量化されたペプチド配列を結合するために使用される。タンデムペプチド配列中のアミノ酸の置換に使用されるアミノ酸は、好ましくはアラニンのような相対的に簡易なアミノ酸である。そのために、好適な実施形態において、異なるアミノ酸はアラニンである。その他のアミノ酸もまた、タンデムデカペプチド配列中のアミノ酸の置換に使用され得る。好ましくは、同類置換のみが行われる。同類置換は、たとえばかさ高のアミノ酸はかさ高のアミノ酸によって、芳香族アミノ酸は芳香族アミノ酸によって置換されるアミノ酸置換である。これらの概念はこれらの当業者に広く知られている。
【0037】
スペーサーは本発明に従ったペプチドの間に配置され得る。これは多量体を構成可能である。適切なスペーサーは本技術分野において知られている。
【0038】
本発明の特徴において、本発明に従ったペプチドは(SEQID NO:4)によって、または次の1文字コードによって与えられた一般式を有する。
Figure 2004509135
【0039】
この一般式において、QはGlnを表し、Xに先行され、ここでXはスペーサーを表す。これらのアミノ酸のうちいくつかは、他のアミノ酸と置換された。この式において、置換位置は太字およびアンダーラインで示される。大文字は左旋性アミノ酸を表し、小文字は右旋性アミノ酸を表し、たとえばKはL−Lys、kはD−Lysを表す。続いてこれらの免疫原性のある応答は、担体、一般にはオボアルブミンと結合されるときに決定され、他の担体、たとえばKLH、BSAが使用され得る。
【0040】
GnRH−IIペプチドの配列(SEQID NO:2)は、これらのアミノ酸うちいずれのアミノ酸が、免疫応答に基づく効果的な識別が2つの配列GnRH−IおよびGnRH−IIの間でなお可能な方法で置換され得るかを決定することが明らかであろう。
【0041】
本発明に従ったGnRHワクチンによって引起された抗体がGnRH−IとGnRH−IIとを識別したかどうかを決定するために、GnRH抗体結合検定法は、GnRH−Iタンデム二量体ペプチドまたはそのアラニン置換類似物に対する抗体が、GnRH−IIと結合するか、または結合しないかを決定するために実行された。血清希釈液は、GnRH−I、GnRH−II、対照ペプチド、またはペプチドなしのいずれかとともにプレインキュベーションされた。次にヨウ化GnRH−Iは、抗体との結合のために、プレインキュベーションされたペプチドと競合するように加えられた。
【0042】
この手順は、抗体の特異性が追加免疫後に高まるので、追加免疫の前後に採集された血清に関して実行された。
【0043】
本発明に従ったペプチドがオボアルブミンとの複合体として使用され(OVA複合体)、対照と比較されたとき、すべてが若い雄ブタの免疫去勢で有効性を示した。既知のG6k−GnRHタンデム二量体のOVA複合体との比較は(表1参照)、本発明に従ったペプチドが、自己ホルモンとの類似性が減少したにもかかわらず同等または類似の有効性を表すことを示した。本発明に従ったペプチドは、GnRH−IとGnRH−IIとの効果的な識別を可能とする、免疫原性のある応答を提供する。これらのペプチドは、小さい精巣および低いテストステロンレベルを生じさせる。より詳細には、軽い精巣重量および低いテストステロンレベルを示すペプチドは、R8A、G10AおよびS4Aである。GnRH−IとGnRH−IIとの免疫選択性に基づいて好適なペプチドは、S4AおよびpE1Aである。
【0044】
好適な実施形態において、ペプチドは、次式からなるグループから選択される。
Figure 2004509135
【0045】
本発明に従ったペプチドにおいて、タンデムユニットの二量化は、たとえばカルボキシ末端またはアミノ末端を介して行われ得る。2つのタンデムユニットは、たとえばジスルフィド架橋またはチオエーテル架橋によって二量化され得る。タンデム配列を二量化するために、21位のCysを用いることができ、またはCysを1位のグルタミン酸の前に合成することができる。GnRHタンデムユニットを二量化または多量化するためのその他の方法は、先行技術において発見され得る。もし、21位のCysが二量化に関与することによって結合に用いられることができないなら、結合され得るタンデムの別のアミノ酸を同様に使用することができる。二量化または多量化が、担体化合物が複合され得る、利用可能な部位の損失を招く場合、置換するアミノ酸の選択を、適切な側鎖を有するアミノ酸に限定するのは十分可能である。このような置換するアミノ酸は、たとえばL−LysもしくはD−Lys、L−GluもしくはD−Glu、または担体化合物に結合可能な側鎖を含む別のアミノ酸になり得る。L−置換およびD−置換は両者ともに同一の効果を有することが検査かつ発見された。
【0046】
さらに特に、本発明に従ったこのような好適なペプチドの例は、次式に従ったD−LysタンデムGnRH二量体(SEQID NO:8)である。
Figure 2004509135
【0047】
この本発明の実施形態の例において、タンデム二量体のアミノ酸の1つを別のアミノ酸に置換することが可能である。
【0048】
アミノ酸置換を含む、その他のペプチド、ペプチド配列、または、単量化、二量化もしくは多量化されたGnRHタンデムユニットが存在する結合されたペプチド配列もまた、本発明の一部である。
【0049】
本発明はさらに免疫原性のある形態にされたペプチドを含む組成物を提供する。当業者が知っているように、それ自身免疫原性のない物質の免疫原性のある形態を産生する種々の方法が存在する。1つの可能性は、本発明に従ったペプチドを適切な担体タンパク質に結合することである。適切な担体タンパク質とは、オボアルブミン、KLH、またはBSAである。タンデムのペプチドにおいて、システインまたはC末端が化学結合に適切に使用され得る。タンデム二量体ペプチドにおいて、結合はまた、(D−)リシン、(D−)グルタミン、またはペプチド配列中のアミノ酸を置換する他の修飾されたアミノ酸の、修飾されていない側鎖、または修飾された側鎖によって行われ得る。適切な結合方法および担体タンパク質は当業者によく知られている。
【0050】
本発明に従えば、オボアルブミンのようなタンパク質とペプチドまたはペプチド組成物との免疫原性のある複合体を含むことを特徴とする好適な組成物が存在する。
【0051】
本発明に従った組成物はワクチンの形態で使用されることができる。この目的のために、この組成物は投与に適した形態で産生され得る。本発明に従ったワクチンの投与によって、GnRHに対する免疫原性のある応答、好ましくはGnRH−Iに対する免疫原性のある応答が生じる。
【0052】
したがって、本発明はまた、本発明に従ったワクチンによる哺乳類のワクチン接種を通じて、GnRH−Iに対する哺乳類の免疫方法を提供する。好適な実施形態において、本発明は、本発明に従ったワクチンによる、GnRH−Iに対する哺乳類の選択的免疫方法を提供する。
【0053】
もちろん、本発明に従ったワクチン製剤は、少なくとも1つの免疫アジュバントと組合わされることができる。適切な免疫アジュバントは当業者に知られている。本発明に従った好適なアジュバントはSpecolまたは二重油性エマルションとすることができる一方、全くまたは低刺激にしか副作用を引出さない他のアジュバントも同様に使用され得る。本発明は、脊椎動物の広範囲、特に哺乳類から選択された個体のGnRH−Iに対する免疫方法に使用され得る。本発明の好適な実施形態において、ワクチンは単回投与で投与されることができ、2回投与の形態で投与されなければならない現在知られているワクチンと同一の有効性を有する。好ましくは選択的な、GnRH−Iに対する免疫は、たとえば、雄雌のネコやイヌのような小家畜動物などの不妊化、または雄イヌおよび雄ウシの攻撃性処置に使用され得る。その他の本発明によるGnRH−Iに対する免疫の考え得る理由は、イヌ、ネコおよび雌ウシのような雌動物の発情を防止すること、および屠殺用に肥育された雄動物における情動不安を防止または処置することである。ヒトの健康管理において、好ましくはGnRH−IまたはGnRH−IIのいずれかに対して選択的な、GnRHに対する免疫は、前立腺癌および乳癌の治療に、必要に応じて下垂体癌治療のいくつかの形態にも使用され得る。
【0054】
好適な実施形態は、ブタの肉質を向上する方法であって、ブタは、本発明に従ったワクチン製剤によってワクチン接種を受ける。本発明は、以下の実験部において示される。
【0055】
I.ブタの免疫去勢
(材料および方法)
材料
アセトニトリル(ACN)は、HPLC−Sグラジエントグレードであって、N−メチルピロリドン(NMP)、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリフルオロ酢酸(TFA)およびピペリジンは、ペプチド合成グレードであり、Biosolve(Valkenswaard, NL)からすべて取得された。N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、および2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)は、Richelieu Biotechnologies Inc.(
Hamon, Canada)から取得された。ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBOP)は、
Novabiochem(Laufelfingen, Switserland)から取得された。チオアニソール(TA)、エタンジチオール(EDT)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ペンタンおよびジメチルアミノピリジン(DMAP)は、プロアナルシス(pro−
analysis)グレードであり、Merck(Darmstad, Germany)から取得された。ジエチルエーテルは、使用前に活性化した塩基性酸化アルミニウムのカラムで精製された。アミノ酸誘導体および樹脂は、Bachem Feinchemicalien AG(Bubendorf, Switzerland)から取得された。
【0056】
多重ペプチド合成
Hamilton Microlab 2200は、ペプチド合成のために30mmolの樹脂を含有する洗浄溶媒および試薬を、フィルタを有する40の個別の4mLカラムを備えたラックに供給するようにプログラムされた。これらのカラムを、真空吸引によって各ステップ後にドレン排出した。この結合サイクルは、二重結合ステップを使用するFmoc化学反応に基づいた。
【0057】
1.NMP洗浄(1mL)
2.30%(v/v)ピペリジン/NMP(3分、0.5mL)
3.30%(v/v)ピペリジン/NMP(17分、0.5mL)
4.NMP洗浄(5×1mL)
5.二重結合(2×30分)
6.NMP洗浄(2×1mL)
【0058】
結合ステップ:NMP中のFmocアミノ酸(0.4M、0.25mL)、DMF中の(0.45M、0.22mL)HBTU/HOBt、およびNMP中のDIEA(2M、0.2mL)を、反応槽に搬送し、30〜50分間反応に置いた。この反応混合物をドレン排出し、結合手順を一度反復した。
【0059】
最終のアミノ酸を結合した後、Fmoc基を、30%のピペリジン/NMPで開裂し、これらのペプチドを、洗浄し、NMP/無水酢酸/DIEA(10/1/0.2)を用いて30分アセチル化し、再度洗浄し、乾燥した。これらのペプチドを、保護を除去して、1.5mLのTFA/フェノール/TA/水/EDT(10/0.75/0.5/0.5/0.25)(試薬K)の混合液中において2時間開裂した。この開裂混合物を濾過し、樹脂を0.5mLのTFAで洗浄し、ペプチドを13mLのペンタン/ジエチルエーテル(1/1)を加えて沈殿させた。遠心分離の後、この沈殿物を再度ペンタン/ジエチルエーテルによって抽出した。この沈殿物を乾燥し、ACN/水(1/1)中において溶解し、凍結乾燥した。この手順は、分子量によって異なる25〜70mgのペプチドが得られる。
【0060】
1文字アミノ酸コードにおける、合成されたペプチドの配列は表1に要約される。
【0061】
【表1】
Figure 2004509135
【0062】
分析用HPLC
ペプチドの分析のために、2台のウォーターズ(Waters)社ポンプ510、ウォーターズ社グラジエントコントローラ680、ウォーターズ社WISP712オートインジェクタ、およびウォーターズ社991フォトダイオードアレイ検出器からなる、LC−MS(電気スプレー)システムを使用した。質量分光計は、陽イオンモードで使用される、Mictomass Quattro II sqであった。産生物を、215nmで1mL/minのウォーターズ社Delta Pak C18−100a(3.9×150mm,5mm)カラムにおいて、30分で、0.05%のTFAを有する10%のACN/水から0.05%のTFAを有する70%のACN/水まで、直線的な勾配で分析した。すべての産生物は、ピーク領域によると40〜70%の純度であった。
【0063】
二量化
粗産生物を、水中20%のDMSO中でこれらの産生物を溶解することで二量化した。そのpHは、1%のNHHCOによって、純粋な溶液を維持する5〜6に調節された。pHの修正は1%の酢酸によってなされた。室温で少なくとも5時間攪拌した後、これらの産生物を精製まで−20℃で保存した。
【0064】
調製用HPLC
ペプチド精製を、Delta−Pak C18−100A(15mm)材料で満たされた保護カートリッジ(40×210mmまたは25×210mm)を付加した2つのPrepPakカートリッジを有するウォーターズ社RCMモジュールを備えた、ウォーターズ社Prep4000液体クロマトグラフを使用して実行した。一般に、精製は、分析用HPLCと同一の溶離剤を使用して行われたが、0.5%ACN/分の勾配速度、および40または100mL/分の流量で行われた。ペプチドを、調製用細胞を有するウォーターズ社486分光光度計を使用して215〜230nmで検出した。これらのペプチドを、凍結乾燥し、純度は少なくとも90%になるように測定された。
【0065】
複合体調製
N−エチル−N=(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(“EDC”)を介する、ニワトリ卵アルブミン(“OVA”)との複合のために、同質量のペプチドおよび担体タンパク質を、ミリQ水中で個別に溶解し、両溶液をよく混合した。次に、相当質量の10倍過剰のEDCを、ミリQ水中で溶解した。続いて、この溶液を連続攪拌の下でペプチド/OVAの溶液にゆっくりと加えたが、この最終溶液のpHは5である。少なくとも6時間ゆっくりと振盪した後、この産生物を、2日間、300倍過剰のミリQ水に対して透析(MWカットオフ10,000)した。水を1日に2度清新にした。負荷を、複合体および担体タンパク質の比較アミノ酸分析から算定した。アミノ酸分析を、1時間150℃での、6N HCLを使用するPico−Tagワークステーションにおける加水分解、およびイソチオシアン酸フェニルによる誘導体化の後、ウォーターズ社Pico−Tagシステムによって実行した。
【0066】
このアミノ酸分析によると、この複合体は、担体タンパク質1mgあたり0.3mg〜0.5mgのペプチドを含有し、例外的に、P9A−G6k−GnRHタンデム二量体の複合体は、オボアルブミン1mgあたり0.16mgのペプチドしか含有しなかった。
【0067】
G6k−GnRHタンデム二量体のOVA複合体は、G6k−TDによって略記される。アラニン置換による複合体は、置換される原GnRH配列中のアミノ酸と、その位置と、アラニン置換に関するAとによって略記される。たとえばpE1A−G6k−GnRHタンデム二量体のOVA複合体はpE1Aである。
【0068】
エマルション調製
薄い鉱油中で2つのデタージェントからなるSpecol(Special Oil
Phase, ID−DLO, Lelystad, The Netherlands)を、油相として使用した(Bokhout et al.,1981)。油中水(WIO)エマルションを、攪拌棒を備えたUltra Turrax(Janke and Kunkel, Staufen, Germany)を使用して調製した。油相Specol(5容量部)を、25mLガラス容器に移動し、ミリQ水中の複合体からなる水相(4容量部)を、エマルションを攪拌しながらゆっくりと加えた。この水相を加えた後、エマルションを同じ回転速度(15000rpm)で30秒間攪拌した。エマルションを、安定性を検査するために4℃で夜通し保存し、次の日動物に投与した。
【0069】
動物
約10週齢の雄の子ブタを、この実験に関与させた。雑種の子ブタを、半分の小割板で作られた囲いに収容し、任意に飼料および水への通路を与えた。
【0070】
免疫
これらの小ブタを、不規則に処置に割当て、1つの処置につき6頭または7頭であった。すべての動物に、二量化されたタンデムGnRHの複合体(すなわち62μgペプチド)を含むエマルション、または抗原なしのエマルションを2mL注射した。注射は、実験開始時(0日)および7週間後(7wpv)に首に投与された。最初の免疫から13週間後(13wpv)、すべての動物を屠殺した。
【0071】
測定および血液サンプル採取
動物を、0日と、7wpvおよび13wpvとに体重測定した。精巣寸法を、0日と、7週間、10週間および13週間後とに、バーニアカリパスで精巣の長さを測定することで決定した。精巣寸法は、両方の精巣の平均で記録された。
【0072】
血液サンプルを、精巣寸法が測定された同日に、また、最初の免疫から4週間後に、頚静脈の穿刺を介して採取した。血液サンプルは、4℃で夜通し維持され、次の日、血清が遠心分離(1500g、15分)によって得られた。血清サンプルを、検査まで−20℃で保存した。
【0073】
屠殺後の評価
屠殺後、精巣を除去し、精巣上体を切除し、測量された。精巣重量は両方の精巣の平均で記録された。
【0074】
ペプチド抗体
免疫に使用されたペプチドに対する抗体をELISAで測定した。ペプチドを、グルタルジアルデヒド(GDA)を使用してマイクロタイタープレートのウェル内で被覆した。GDAは、室温で4時間0.1Mのリン酸緩衝液(pH5)中で0.2%のGDAをインキュベーションすることによって、ウェルの表面に被覆された。プレートを、10分間に3回、0.1Mのリン酸緩衝液(pH8)によって洗浄処理した。37℃で3時間インキュベーションすることによって、100mLのリン酸緩衝液(0.1M、pH8)中の1μgのペプチドをウェル毎に被覆した。プレートを、使用されるまで−20℃で保存した。解凍済みのプレートを、1Lの水あたり、8.2gのNaClと、1.15gのNaHPO.2HOと、0.20gのNaHPO.2HOと、5mLの10%Tween 80水溶液とを含有するミリQ水で、10分間に3回洗浄処理した。
【0075】
抗ペプチド血清の連続血清希釈液は、25℃で1時間、被覆されたペプチドと反応することを許された。10分間3回の洗浄処理の後、ホースラディッシュペルオキシダーゼと結合されたgoat−anti−pig IgG(Dako,
Glastrup, Denmark)を、1時間第2抗体として導入し、ABTS(
Boehringer, Mannheim, Germany)(20mLのH(3%溶液)に対して10mLの基質緩衝液中での250mL(2g/100mL))を基質として使用した。吸収値は405nmで測定された。
【0076】
GnRH抗体
GnRHに対する抗体を、Meloenらの記載のように決定した(Vaccine 12,741−746(1994))。ブタの抗血清の連続希釈液は、125I−GnRHとの結合を許された。力価は、所定の血清希釈液における125I−GnRHの結合割合として表される。
【0077】
テストステロン
血清中のテストステロンレベルを、DPC laboratories(Los Angeles, CA)から購入されたCoat−a−Countキットを使用して測定した。
【0078】
(結果)
精巣寸法および精巣重量
第1免疫から7週間後、免疫去勢効果は、精巣寸法を測定することですでに観察されることができた。3つの処置(R8A、G10AおよびG6k−TD)は、追加免疫時に平均精巣寸法の増加(<10mm)をほとんど示さなかった。これらの処置は、屠殺時に70g以下の精巣重量で成功した。軽い精巣重量の点で効果的だったその他の処置は、pE1AおよびS4Aである一方で、Y5A、L7AおよびP9Aのグループにおいては、それぞれ2頭、1頭および1頭の動物が免疫に反応しなかった(表2)。免疫去勢された動物の個別の精巣重量は70gを超えず、免疫去勢された動物と免疫去勢されなかった動物との間で明らかな相違をもたらした。
【0079】
【表2】
Figure 2004509135
【0080】
抗体応答
免疫に使用されたペプチドに対する平均抗体力価は表3に示される。H2AおよびP9Aによって処置されたブタの平均抗体力価は、その他の処置のペプチド抗体力価よりも低い。
【0081】
異なるペプチドに対する個体動物の抗体力価は2〜4の範囲だった。免疫去勢されなかった処置動物の中では、最も低い抗ペプチド力価が示された。H2AおよびW3Aで処置された動物は免疫去勢されなかったけれども、著しい抗ペプチド力価が存在した。
【0082】
2000分の1の血清希釈液におけるGnRH抗体結合割合は、H2AおよびW3Aのグループにおいて、検出されないか、または低かった。しかしながら、200分の1の血清希釈液において、抗体は、グループH2Aのすべての動物、およびグループW3Aの3頭の動物の血清中で検出可能だった。
【0083】
低い平均GnRH抗体力価を有する動物は、免疫去勢されなかった。高い抗体力価は、去勢が成功した動物を常にもたらした。中間の抗体力価を有する動物の精巣重量は15〜300gと様々だった。
【0084】
処置毎の平均GnRH抗体力価は、処置毎の精巣重量(中央値)と明らかな関係を示した(表3)。
【0085】
テストステロン
処置が成功したすべての動物のテストステロンレベルは低く、第2免疫後に低減された。しかしながら、大部分の動物は、早くも最初の免疫から4週間後に、検出不可能なテストステロンレベルを示すことによって去勢効果を示した。これらの動物の精巣重量は、8〜36gと様々だった。
こうして大部分の動物は、単回投与後に効果的に免疫された。
【0086】
屠殺時のテストステロンレベルはすべての免疫去勢された動物に関して低かったけれども、65および70gの精巣重量を有する2頭の動物は、それぞれ3.80および1.18pmol/mLの著しい血清テストステロンレベルを有した。
【0087】
検出不可能なテストステロンと相俟って軽い精巣重量を生じさせたペプチドは、ブタの免疫去勢に関して最も効果的なペプチドとみなされる。これらのペプチドは、S4A、R8AおよびG10Aである。
【0088】
免疫去勢されなかったブタの屠殺時のテストステロンレベルは、0.46〜48.91pmol/mLと様々だった。
【0089】
【表3】
Figure 2004509135
【0090】
II.L−アミノ酸によるD−アミノ酸の置換
タンデム二量体の6位、16位、27位および37位におけるD−リシン(k)を、L−リシンによって置換し、その結果生じたペプチドを検査した(表4)。
【0091】
【表4】
Figure 2004509135
L−リシンによるD−リシンの置換はワクチン抗原の有効性を変じない。
【0092】
III.GnRH−IおよびGnRH−IIの識別
GnRH抗体結合競合的ラジオイムノアッセイを、G6k−GnRHタンデム(SEQ ID NO:9)二量体ペプチドまたはそのアラニン置換類似物に対する抗体がGnRH−IIに結合しているか、GnRH−IIに結合していないかを決定するために実行した。血清希釈液を、GnRH−I、GnRH−II、対照ペプチド、またはペプチドなしのいずれかとともにプレインキュベーションした。次に、ヨウ化GnRH−Iを、抗体と結合するために、プレインキュベーションされたペプチドと競合するように加えた。
【0093】
この手順は、抗体の特異性が抗体成熟に起因して追加免疫後に高まり得るので、追加免疫の前後に収集された血清に関して実行された。
【0094】
(材料および方法)
7wpvの血清サンプル、および10wpv(追加免疫3週間後)出血による血清サンプルを、0.4%BSA(希釈緩衝液)によってPBS中で100分の1〜10000分の1に希釈した。50μLの血清希釈液をマイクロウェルプレートに入れ、25μLのペプチド溶液(1ウェルあたり希釈緩衝液中、0.25、2.5または25pmolのペプチド)を加えた。この混合液を、4℃で24時間インキュベーションした。次の日25μLのヨウ化GnRH(約13000cpm)を加え、夜通しの保存(4℃)後、結合されていないペプチドを、チャコールによって結合ペプチドと分離した。遠心分離の後、浮遊物を分離、計数し、抗体と結合されたヨウ化GnRHの割合を算定した。
【0095】
(結果)
ヨウ化GnRH−Iの抗体結合を、7wpvで得られたH2AおよびW3A血清を除いたすべての処置の血清に関して実証した。GnRH−Iとの競合は、ヨウ化GnRH−Iの結合の劇的な減少をもたらし(図1参照)、その反面GnRH−IIによるヨウ化GnRH−Iの置換はかなり可変であった。予想されたとおり、どの抗血清も対照ペプチドと結合しなかった。10wpvの血清に関して、ほとんどすべての処置の血清において、ヨウ化GnRH−Iは、80%以上についてGnRH−Iによって置換された(図2A)。ヨウ化GnRH−Iと結合する抗体に関する、GnRH−IIによる競合は、R8A、R9A、G10AおよびG6k−TDの処置のほとんどすべての血清と、Y5AおよびL7Aの処置の半分の血清とにおいて、ヨウ化GnRH−Iの全体または部分置換を生じさせた(図2B)。しかしながら、pE1A、H2A、W3AおよびS4Aグループの実質的にすべての動物の抗体が、GnRH−IIと完全に結合しておらず、したがってGnRH−Iに特異的であった。追加免疫前(7wpv)血清の置換観察の結果は、10wpv血清と異なった。さらに、すべての処置(低い抗体力価を原因とするH2AおよびW3Aを除く。)の血清は、GnRH−Iによるヨウ化GnRH−Iの置換によって決定されたように、GnRH−Iを認識した(図3A)。しかしながら、10wpvの血清(図2)とは対照的に、pE1AおよびS4Aを含む、すべての処置の血清の大部分は、GnRH−IIを認識した(図3B)。したがってaE1AおよびS4Aの7wpv血清はGnRH−Iに特異的ではないけれども、GnRH−IIに特異的でないGnRH−Iに関する特異性は、追加免疫3週間後(10wpv)に完全に確立される。
【0096】
追加免疫前の血清によって得られた抗体結合の結果は、10wpvの血清と異なった。pE1AおよびS4Aの処置の抗血清を、GnRH−IまたはGnRH−IIを認識する能力に関して検査した(図3参照)。両ペプチドに関して、7頭のうち6頭の動物からの10wpvの血清は、GnRH−IIと結合しなかった。追加免疫前に得られたpE1Aの血清は、7頭のうち4頭の動物がGnRH−IIとの結合を示した。2つの血清はGnRH−IIを認識せず、1つの血清はヨウ化GnRHとの結合を示さなかった。S4Aの追加免疫前血清の結果は、10wpvの結果に矛盾している。S4Aグループのすべての動物の追加免疫前血清は、GnRH−IおよびGnRH−IIの両方に類似するヨウ化GnRHの結合能力の抑制によって、GnRH−IIを認識した。
【0097】
IV.GnRHタンデム二量体の複合体によるブタの免疫去勢
実験例Iに記載されたアラニンスキャンと同様に、GnRHタンデムペプチドのアラニン置換ペプチドを合成した(表5)。ペプチドを、二量化し、精製し、かつ前述したOVAと複合した。
【0098】
【表5】
Figure 2004509135
【0099】
グループあたり4頭または5頭のブタを、Specolアジュバント中の前記複合体の62μgペプチド相当物で免疫した。この複合体の免疫去勢効果は図4に示される。免疫に使用された、ペプチドに対する抗体力価は、pE1A、H2AおよびR8Aで処置されたブタに関して低く、その反面抗ペプチド抗体が、W3A、S4A、Y5AおよびG10Aグループに関して高く評価された。GnRH−Iに対する抗体力価は、W3Aで処置されたブタの抗体力価を除いて、抗ペプチド抗体力価と一致した。W3Aで処置されたブタに関して、高い抗ペプチド抗体をこれらの動物において決定したけれども、ヨウ化GnRH−Iに対する抗体の結合能力が低いことを発見した。
【0100】
V.GnRHタンデム二量体の抗血清のGnRH−IとGnRH−IIとの識別
ラジオイムノアッセイにおけるヨウ化GnRH−Iの抗体結合を、アラニン置換によるGnRHタンデム二量体のペプチドで処置された、すべての動物の10wpvの血清(100分の1〜10000分の1に希釈)に関して観察した。GnRH−Iとの競合は、ヨウ化GnRH−Iの結合の劇的な減少を生じさせた。ほとんどすべての動物の血清において、ヨウ化GnRH−Iは、80%以上についてGnRH−Iによって置換された(図5A)。GnRH−IIによるヨウ化GnRH−Iの置換は、グループの中でもかなり可変であった。それはY5A、L7A、R8A、P9AおよびTDの処置のほとんどすべての血清において、ヨウ化GnRH−Iの全体または部分置換を生じさせ、その反面、残りの処置の多くの血清については、GnRH−IIによるヨウ化GnRH−Iの部分置換のみが決定されるか、または全く置換されなかった。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】
抗血清とヨウ化GnRHのGnRH(白丸)、GnRH−II(黒丸)、対照ペプチド(黒角)およびペプチドなし(星印)との結合に関する比較。血清は10,000分の1に希釈し、添加するペプチド濃度を上昇させていった(ウェルあたり0.25,2.5,25pmol)。グラフA〜Cにおいて、GnRH−IIに関して結合能力が増加している血清が示されている。横軸:ペプチド量(pmol/well)縦軸:結合能力(数/分)
【図2】
棒の各束の下に示された、アラニン置換したG6k−GnRHタンデム二量体ペプチドによる免疫後の、個別の動物(各棒は1頭の動物を表す。)の血清に関する、GnRH−1(図2A)およびGnRH−II(図2B)によって置換されたヨウ化GnRH−Iの割合。追加免疫3週間後(10wpv)に得られた抗血清を、1対100〜1対10000に希釈した。置換用のGnRH−IおよびGnRH−IIを、1mLあたり250pmolの濃度で加えた。
図2A 横軸:免疫に使用されたペプチド 縦軸:GnRH−Iによるヨウ化GnRH−Iの置換の割合
図2B 横軸:免疫に使用されたペプチド 縦軸:GnRH−IIによるヨウ化GnRH−Iの置換の割合
【図3】
棒の各束の下に示された、アラニン置換したG6k−GnRHタンデム二量体ペプチドによる免疫後の、個別の動物(各棒は1頭の動物を示す。)の血清に関する、GnRH−I(図3A)およびGnRH−II(図3B)によって置換されたヨウ化GnRH−Iの割合。抗血清を、追加免疫時に得(7wpv)、1対100〜1対10,000に希釈した。置換用のGnRH−IおよびGnRH−IIを、1mLあたり250pmolの濃度で加えた。H2AおよびW3A血清のデータは、抗体力価が低すぎて置換を測定できなかったため、含まれていない。
図3A 横軸:免疫に使用されたペプチド 縦軸:GnRH−Iによるヨウ化GnRH−Iの置換の割合
図3B 横軸:免疫に使用されたペプチド 縦軸:GnRH−IIによるヨウ化GnRH−Iの置換の割合
【図4】
オボアルブミンおよびアジュバントとして使用されるSpecolに結合されたGnRHタンデム二量体のペプチド(62μg)で免疫されたブタのいくつかのグループの免疫去勢有効性スコア。最初のペプチドは、GnRHタンデム(Cys−OH)二量体(略記Cys−OH)であった。このペプチドについて、すべてのアラニンスキャンされたペプチドを免疫に使用した。免疫有効性を4段階で評価した(1=免疫去勢が生じなかった、2=少数のブタが免疫去勢された、3=多数のブタが免疫去勢された、4=すべてのブタが免疫去勢された)。
【図5】
棒の各束の下に示された、アラニン置換したGnRHタンデム二量体ペプチドによる免疫後の、個別の動物(各棒は1頭の動物を表す。)の血清に関する、GnRH−1(図5A)およびGnRH−II(図5B)によって置換されたヨウ化GnRH−Iの割合。追加免疫3週間後(10wpv)に得られた抗血清を、1対100〜1対10000に希釈した。置換用のGnRH−IおよびGnRH−IIを、1mLあたり250pmolの濃度で加えた。
図5A 横軸:免疫のために使用されるペプチド 縦軸:GnRH−Iによるヨウ化GnRH−Iの置換の割合
図5B 横軸:免疫のために使用されるペプチド 縦軸:GnRH−IIによるヨウ化GnRH−Iの置換の割合

Claims (25)

  1. GnRHの異なるタイプ間の識別、好ましくはGnRH−IとGnRH−IIとの間の識別を可能にする免疫応答を可能にする、修飾されたGnRHデカペプチド配列を含むことを特徴とするペプチド。
  2. 適切な投与量のペプチドによるワクチン接種後において、本質的に検出不可能なテストステロンレベルを可能にする、修飾されたGnRHデカペプチド配列を含むことを特徴とするペプチド。
  3. 少なくとも2個以上の、結合されたGnRHデカペプチド配列であって、スペーサーを介して結合されてもよいGnRHデカペプチド配列を含み、アミノ酸のうちの少なくとも1つが、異なるアミノ酸によって置換されることを特徴とする請求項1または2記載のペプチド。
  4. 異なるアミノ酸はAlaであることを特徴とする請求項1、2または3記載のペプチド。
  5. pEHWYkLRPGQHWYkLRPGC#と、
    pEHWSYkLPGQHWSYkLPGC#と、
    pEHWSYkLRPQHWSYkLRPC#とからなるグループから選択され、
    好ましくは、
    pEHWSYkLPGQHWSYkLPGC#と、
    pEHWSYkLRPQHWSYkLRPC#とからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1〜4記載のペプチド。
  6. タンデムペプチドであることを特徴とする請求項1〜5記載のペプチド。
  7. 二量化または多量化されることを特徴とする請求項1〜6記載のペプチド。
  8. 担体化合物と複合されることを特徴とする請求項7記載のペプチド。
  9. 担体化合物はタンパク質であることを特徴とする請求項7または8記載のペプチド。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のペプチドを有するワクチン。
  11. アジュバントをさらに有することを特徴とする請求項10記載のワクチン。
  12. アジュバントは、油中水エマルションの油相または二重油性エマルションであることを特徴とする請求項11記載のワクチン。
  13. 請求項10〜12記載のワクチンによる、GnRHに対する哺乳類ワクチン接種方法。
  14. ワクチンは、GnRH−Iに対するワクチン接種に選択的なワクチンであることを特徴とする請求項13記載の哺乳類ワクチン接種方法。
  15. ワクチンは、単回投与されることを特徴とする請求項13または14記載の哺乳類ワクチン接種方法。
  16. ブタの本質的な免疫去勢のための単回投与に十分な活性を有することを特徴とする請求項10〜12記載のワクチン。
  17. 哺乳類の1つまたはそれ以上の繁殖特性または行動特性をもたらす方法であって、請求項13〜15に従って哺乳類がワクチン接種されることを特徴とする方法。
  18. 請求項16記載のワクチンによって哺乳類にワクチン接種することを含むことを特徴とするGnRH、好ましくはGnRH−Iに対する哺乳類の免疫方法。
  19. 請求項17または18に従ってブタにワクチン接種することを特徴とするブタ免疫去勢方法。
  20. 免疫応答が請求項1〜9記載のペプチドに引出されるステップを含む方法によって得られることを特徴とするGnRH−IIに対する抗体。
  21. 請求項1〜9記載のペプチドを含むことを特徴とするGnRH−IIに対するワクチン。
  22. 請求項1〜9記載のペプチドを含むことを特徴とする前立腺癌治療用組成物。
  23. 医薬組成物の調製における、請求項1〜9記載のペプチドの使用方法。
  24. 前立腺癌治療用薬剤の調製のための、請求項1〜9で定義されたペプチドの使用方法。
  25. GnRH−IIに対する少なくとも免疫原性のある応答を引出すペプチドを含む組成物の適量の投与を含むことを特徴とする前立腺癌治療方法。
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