JP2004508339A - 微生物病原体ワクチン - Google Patents
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Abstract
本発明は、微生物病原体がストレス誘発刺激を受けている、微生物病原体を含有するワクチンを提供する。ストレス誘発刺激とは、熱ストレスまたは浸透圧ストレスでよく、微生物病原体は、熱ショック蛋白質遺伝子の少なくても一つのリプレッサ遺伝子を不活性化され、それにより熱ショック蛋白質の構成的発現を可能にするように遺伝的に改変されていることが好ましい。特に、熱ショック蛋白質リプレッサ突然変異細菌が、本発明のワクチンに含有される場合、その使用は免疫の誘発に効果的であると思われる。本発明はさらに、ストレスを受け誘発された微生物病原体を含むワクチンの製造方法、さらには異種抗原断片の発現をもまた可能にするワクチン・ベクターとして、熱ショック蛋白質リプレッサ欠失突然変異微生物の使用を提供する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワクチンおよびワクチンの製造方法に関する。より具体的には微生物病原体を含有するワクチンおよびその製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
あらゆるヒト免疫反応の重要な構成要素の一つは、マクロファージ、B細胞または樹状細胞など抗原提示細胞(APC)によるT細胞への抗原の提示である。主要組織適合性複合体(MHC)分子と協調して、CD4およびCD8分子などのヘルパー分子と関連して、外来抗原のペプチド断片が、マクロファージの表面上に提示される。このようにして提示されたこれらの抗原ペプチド断片は、T細胞のT細胞レセプターにより認識される。抗原ペプチド断片とT細胞レセプターの相互作用により、抗原特異性T細胞が増殖し、T細胞からリンホカインが分泌される。APCにより提示された抗原ペプチド断片の性質は、免疫を確立にする際に重要である。
【0003】
熱ショック蛋白質(hsp)は、植物界および動物界を通して広く分布する高度に保存された蛋白質のファミリを形成する。hspは、その分子量を基準として、異なる6種のファミリ、小(hsp20−30ka)、hsp40、hsp60、hsp70、hsp90およびhsp100にグループ分けされる。hspは、本来熱ストレスを受けた細胞中に同定されたが、他の多くの形式のストレス、例えば感染と関連してhspは見つかっており、従って一般的にストレス蛋白質(SP)とも呼ばれる。
【0004】
哺乳動物hsp90ファミリの構成員には、サイトゾルhsp90(hsp83)と小胞体対応物hsp90(hsp83)、hsp87、Grp94(Erp99)およびgp97が含まれる。例えば、Gething等(1992)Nature355:33−45を参照されたい。hsp70ファミリの構成員には、サイトゾルhsp70(p73)およびhsp70(p72)、小胞体の対応物BiP(Grp78)と、ミトコンドリアの対応物hsp70(Grp75)が含まれる。哺乳動物hsp60ファミリの構成員は、ミトコンドリア中でのみ同定されている。
【0005】
ストレス蛋白質は、細胞内に偏在して発現される。ストレス蛋白質の役目の一つは、免疫システムのための細胞表面提示のために、ペプチドを細胞の一つの区画から別の区画へ運搬し、ペプチドをMHC分子に渡す。
細胞が病気の場合には、ストレス蛋白質はまた、ウイルスまたは腫瘍に関連するペプチドを細胞表面へ運搬する。LiおよびSirivastave(1994)Behring Inst.Mitt、94:37−47および、Suzueら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA94:13146−51を参照されたい。
【0006】
ストレス蛋白質のシャペロン機能は、ATP依存性反応であり、ストレス蛋白質と抗原ペプチド断片との間で、ならびにストレス蛋白質とウイルスもしくは腫瘍に関連するペプチド断片との間で、複合体を形成することにより達成される。ストレス蛋白質と複合体を形成したペプチド断片は、APCにより補足され抗原ペプチド断片を提供する抗原複合体(hspC)を形成する。
【0007】
ストレス蛋白質とペプチド断片の複合体会合は、正常な組織中でも観察され、従って腫瘍特異の現象ではない。Srivastava(1994)Experimentia50:1054−60を参照されたい。grp96を含むhsp70ファミリの構成員の免疫原性は、プレゼントソーム(presentosome)中での、その構成員の正常な役割を反映していると考えられる。プレゼントソームとは、それらの細胞表面での発現に必要なMHCクラスI分子の積み込みにおいて機能する仮想の細胞内オルガネラである。この工程は、抗原特異T細胞による、それら構成員のMHC限定認識に不可欠である。Srivastavaら(1998)Immunity、Singh−Jasujaら、J.Exp.Med(2000)191,1957を参照されたい。
【0008】
病原体由来hspが、抗原およびアジュバンドとして広く使用されているという事実にも関わらず、近年まで、病原体由来の内在性hspペプチド複合体(hspC)をワクチンとして使用することは提案されていない。PCT出願第GB00/03228号には、病原体由来内在性hspC、特にストレスに誘発されるhspCの使用が開示され、ワクチン接種をした動物に良好な保護性免疫を与えている。
【0009】
微生物hspファミリの構成員には、Dna JおよびDna Kファミリと、Gro−ELおよびGro−ESファミリが含まれる。原核生物では、これらのファミリはオペロン中にコードされ、このオペロンの最初の遺伝子は、オペロン内に含まれるhsp遺伝子の発現を抑制する制御遺伝子であると思われる。
ストレプトマイセス属およびヘリコバクター属では、hspR遺伝子の発現によって、Dna JおよびDna Kの発現が抑制される。したがってhspR遺伝子を除去することにより、構成的にhspを発現する遺伝子改変微生物が得られる。Buccaら(1997)Mol.Microbiol、15:633−45を参照されたい。近年シーケンスされた幾つかの微生物、例えば他のストレプトマイセス属株およびヒト型結核菌株、ならびに通常使用される関連するワクチン株BCG中で、相同なオペロンが同定されている。
【0010】
他のリプレッサ遺伝子もまた、hsp遺伝子ファミリの構成員の発現を制御することができ、さらにこれらを遺伝子的に組換えて、ワクチンおよびワクチン・ベクターの生産に利用することができるhspCを構成的に発現する改変微生物を得ることができる。これらのリプレッサ遺伝子には、限定しないが転写調節遺伝子σおよびρ、ならびにストレス遺伝子調節蛋白質遺伝子MerRおよびHmrRが含まれる。また構成的hspCを含む改変微生物は、hspCの単離のためにワクチンとして、または資源として、直接使用できれば尚好ましい。さらに、これらの微生物内で他の病原体に由来する異種遺伝子を発現させることは、これらの病原体に対するhspCベースのワクチンを簡略化して生産するために、ワクチン・ベクターとして、その利用を可能とするはずである。
【0011】
熱に誘発される内在性微生物hspペプチド複合体の使用を判断しながら、抽出したhspペプチド複合体を、ストレスに誘発された微生物自体のワクチンとしての使用と比較した。驚くべきことに、ワクチンとして微生物を使用することにより、単離したhspペプチド複合体を使用するより、ワクチン接種した動物には著しく良好な免疫が得られた。構成的にhspが産生された遺伝子改変微生物を使用して、同様の結果が得られた。これは、微生物中で組換え体蛋白質として発現された異種遺伝子を含む、内在性微生物ポリペプチドを用いて、hspCがin situで形成されたことを示す。また、サブユニットおよびマルチ・サブユニット・ワクチンに使用するhspCを単離するための効率的な資源としても、遺伝子改変微生物は使用できるはずである。
【0012】
【発明の開示】
本発明によれば、微生物病原体が予めストレス誘発刺激を受けており、免疫原性決定要因として微生物病原体を含有するワクチンが提供される。
ストレス誘発刺激により、微生物は熱ショック蛋白質を発現させることが好ましい。
【0013】
ストレス誘発刺激は、熱ショックまたは浸透圧ショックが好ましい。
ストレス誘発刺激は、熱ショック蛋白質遺伝子の少なくとも一つのリプレッサ遺伝子を不活性化し、それにより熱ショック蛋白質遺伝子の発現が可能になるような微生物病原体の遺伝子改変であることがより好ましい。
微生物病原体は、伝染病を誘発することが可能なあらゆる病原体であることが好ましい。
【0014】
微生物病原体は、細菌、原生動物、菌類または寄生生物であることが好ましい。
遺伝子改変により、hspRリプレッサ遺伝子が不活性化されることが好ましい。
あるいは、遺伝子改変により、ストレス遺伝子調節蛋白質遺伝子MerRもしくはHmrRリプレッサ遺伝子、または転写調節遺伝子σおよびρが不活性化される。
【0015】
微生物病原体は、マイコバクテリア、サルモネラ属、ビブリオ属、ストレプトマイセス属、ヘリコバクター属、ラクトコッカス属およびリステリア属からなる群から選択されることが好ましい。
微生物病原体は、弱毒化されていることが好ましい。
ワクチンは、さらにアジュバントを含むことが好ましい。
【0016】
アジュバントは、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ISCOM社製(免疫刺激複合体)Quil AおよびDetoxおよびスクアレンからなる群から選択されることが好ましい。
ワクチンは、注射による投与が適当であることが好ましい。
あるいはワクチンは、経口投与が適当である。
【0017】
ワクチンは、無針送達形式による送達が適当であることが好ましい。
本発明の他の態様により、動物にワクチン接種する方法が提供され、前記方法は、その動物に免疫反応を引き出すのに十分な、薬学的に許容可能な量の本発明のワクチン組成物を投与することを含むことを特徴とする。
ワクチンは、予防ワクチンとして投与されることが好ましい。
【0018】
あるいはワクチンは、治療ワクチンとして投与される。
ワクチン組成物は、注射により投与されることが好ましい。
あるいはワクチン組成物は、無針送達によって投与される。
あるいはワクチン組成物は、経皮的に、肺送達により、または経口的に、投与される。
【0019】
さらに本発明の別の態様により、免疫原性決定要因を含むワクチン組成物の製造方法が提供され、前記方法は、微生物病原体にストレス誘発刺激を受けさせる工程と、ワクチン組成物を調製する際にストレスを受けた微生物を前記免疫原性決定要因として使用する工程と、を含むことを特徴とする。
ストレス誘発刺激は、熱ショックまたは浸透圧ショックであることが好ましい。
【0020】
ストレス誘発刺激は、熱ショック遺伝子の発現を抑制する遺伝子を不活性化することがより好ましい。
抑制される遺伝子は、hspR遺伝子であることが好ましい。
あるいは抑制される遺伝子は、ストレス遺伝子調節蛋白質遺伝子MerRもしくはHmrR、または転写調節遺伝子σおよびρである。
【0021】
微生物病原体細胞は、不活化させた後、前記ワクチンで使用することが好ましい。
あるいは微生物病原体細胞は、乾燥させた後、前記ワクチンで使用する。
ワクチン組成物は、水溶性組成物であることが好ましい。
あるいはワクチン組成物は、乾燥組成物または凍結乾燥された組成物中にある。
【0022】
本発明によりさらに、熱ショック蛋白質の少なくとも一つのリプレッサ遺伝子を、不活性化し、それにより熱ショック蛋白質の構成的発現が可能になるように、遺伝的に予め改変された病原性微生物を、さらに異種抗原の発現を可能にするワクチン・ベクターとして使用することが提供される。
病原性微生物は、ワクチン・ベクターとしての使用に適当である原核生物であることが好ましい。
【0023】
原核生物はBCGであり、異種抗原断片は破傷風トキソイド断片Cであることが好ましい。
あるいは原核生物は、ワクチンが経口的に投与できるようなサルモネラ属またはラクトコッカス属である。
本発明によりさらに、熱ショック蛋白質の少なくとも一つのリプレッサ遺伝子を不活性化し、それにより熱ショック蛋白質の構成的発現が可能になるように、予め遺伝的に改変した病原性微生物の、サブユニットおよびマルチ・サブユニット・ワクチン中で使用する、熱ショック蛋白質ペプチド複合体の資源としての使用が提供される。
【0024】
「微生物病原体」とは、特に細菌性生物、原生動物、真菌性生物または寄生生物を含む、動物に伝染病を誘発することが可能なあらゆる病原体を意味する。
「ストレス誘発刺激」とは、熱ストレスまたは浸透圧ストレス含む、微生物病原体にSP、特にhspの産生を誘発するあらゆる刺激を意味する。このようなストレス誘発刺激には、微生物病原体にストレス蛋白質、特にhspの構成的な発現を与えるように設計された遺伝子変化も含まれる。これらの遺伝子変化には、ストレス蛋白質の抑制、特に熱ショック蛋白質を発現する遺伝子の抑制に機能するリプレッサ(サプレッサ)遺伝子の不活性化が含まれる。これには、特にhspRサプレッサ遺伝子、ストレス遺伝子調節蛋白質遺伝子MerRおよびHmrR、または転写調節遺伝子σおよびρの不活性化が含まれる。
【0025】
このような遺伝子変化には、分子的遺伝的手段により容易に達成され、ファージ・ベクターまたはトランスポゾン・ベクターを使用する挿入突然変異誘発が含まれることが好ましい。例えばBuccaらMol.Microbiol.(1997)17:633を参照されたい。また微生物病原体中のオペロンの遺伝子、サプレッサ遺伝子ならびに、SPおよびhspの存在が、組換えDNA技術により簡単に確立できることが好ましい。Current Techniques in Molecular Biology、(1999)Wiley Pressを参照されたい。
【0026】
したがって本発明によるワクチンを提供するために、これらの遺伝子を発現するいかなる微生物も、遺伝的に改変され得ることが好ましいはずである。
これらの微生物には、生ワクチンまたは不活化ワクチンとして使用される既存の微生物、例えばマイコバクテリア、サルモネラ属、ビブリオ属およびリステリア属、特に弱毒化されたこれらの様々な病原体が含まれる。特に、熱ショック蛋白質リプレッサ遺伝子を除去するために、遺伝的に予め改変したマイコバクテリア突然変異体は、結核に対するワクチンに使用できるはずであり、他方熱ショック蛋白質リプレッサ遺伝子を除去するために、遺伝的に予め改変したサルモネラ属突然変異体は、腸チフスに対するワクチンに使用できるはずである。異種遺伝子を発現させるためのワクチン・ベクターとして、このような生物の使用が、本発明によりさらに提供される。
【0027】
本明細書に使用される語「ワクチン」は、免疫システムがその後の感染により良好に反応できるように免疫システムを刺激する、免疫原性決定要因を含む、あらゆる組成物を意味する。ワクチンは、通常免疫原性決定要因とアジュバントを含むことが好ましく、アジュバントは、その免疫原性決定要因に対して免疫反応を非特異的に高める働きをする。
【0028】
適当なアジュバンドには、当業者には容易に明らかであり、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ISCOM社製(免疫刺激複合体)Quil AおよびDetoxまたはスクアレンが含まれる。
しかし、本発明のワクチンは、アジュバントが無くても効果を発揮し得ることが好ましい。
【0029】
SPの非遺伝的誘発として、SPを誘発するための最適条件は、動物でのin vivo試験などの従来の技術を使用して、または例えば『Current Protocols in Immunology』Wiley Interscience誌1997年に記載される他の技術により、評価される刺激変化の効果を利用する単純な試行錯誤により容易に決定され得る。このような条件は他に、PCT出願第GB00/03228号および、その中に述べられる引用に記載されている。
【0030】
本発明はまた、動物に免疫反応を引き出すのに十分な、薬学的に許容可能な量の本発明のワクチンを、任意選択でアジュバントと組み合わせて、投与することにより、その動物を本発明のワクチンへ曝露する方法を提供する。
その動物は、典型的にはヒトである。しかし本発明は、他の哺乳類、例えばウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジまたはブタの治療に、および鳥類とりわけ家禽類、例えばニワトリまたはシチメンチョウの治療にも使用できる。本発明の特定のワクチンでの使用に選択される微生物病原体は、ワクチンが投与される動物種、または密接に関与する種に、疾病または感染を引き起こすことが好ましい。本発明のワクチンは、予防ワクチンとしても、または治療ワクチンとしても使用できるが、それらの生産の経済性により、予防ワクチンとして特に有用であることが好ましい。
【0031】
本発明のワクチン組成物は、例えば経口的に、吸入により、経皮的に、または注射などあらゆる適当な手段より、あらゆる適当なキャリア培地で投与することができる。しかし、適当ないずれの針を使用しての注射または無針の手法により、水溶性組成物としてワクチンを投与することが好ましい。
本発明のワクチンは、初期治療に続き、1種または2種以上のその後の「支援」治療にも同様に、または各治療の間に1週間から26週間の間隔をあけて異なる投与量率で使用して、病原体に対し長期の免疫性を得られることが好ましい。
【0032】
【実施例】
本発明を、添付の図面を参照しながら実施例により説明する。図1は、結核菌のhspR遺伝子のヌクレオチド配列を示す。図2は、hspRと相同性を有する、同定したサプレッサ遺伝子の一覧を示す。
[実施例1] 熱誘発性微生物の調製
M.ヴァケー系(Mycobacterium vaccae)NCTC11659を増殖させソートン(Sauton)培地中で飽和させ、新鮮培地で希釈し一晩増殖させると、対数増殖期の培養物が得られた。次いで、この培養物に42°Cで3時間または、39°Cで5時間熱ショックを加え一晩培養した。次いで、細胞を培地で洗い、続いて生理食塩水で洗い、個々のワクチンの部分サンプル内で凍結乾燥しまたは、試験動物に免疫を与えるために直接使用した。
【0033】
比較のために、単離した内在性SPペプチド複合体を、PCT出願第GB00/03228号に記載される通りに調製した。基本的に、洗浄したストレスが誘発された細胞を次いで、ホモジナイズ用緩衝液、例えば0.5%Tween(登録商標)を添加したPBSで再懸濁化した後、細胞を凍結融解サイクルにより、または細胞破砕装置、例えばビーズ・ビーター、フレンチプレス(商標登録)を使用して破砕する。次いで、細胞ライセートを、核および細胞破片を除去するために、典型的には3〜5000gを5分間の遠心沈澱により処理した後、典型的には100,000gを15〜30分間のハイ・スピード遠心沈澱工程により処理する。このようにして得られた上清を加工し、ワクチンでの使用に適当なSP/抗原ペプチド断片複合体を得る。これは、20〜70%の硫安カットを使用する硫酸アンモニウム沈殿により容易に行うことができる。具体的には、20%(w/w)硫酸アンモニウムを4℃で添加し、沈殿物を廃棄し、次にさらに硫酸アンモニウムを添加して濃度を70%w/wにする。蛋白質沈殿物を遠心沈澱により回収し、次いで適当な生理学的に注入可能な緩衝剤、例えば生理食塩水中へ透析して、使用前に硫酸アンモニウムを除去する。SP複合体をいずれの適当な濃度で使用して、ワクチン組成物中の免疫原性決定要因を得ることができる。
【0034】
誘発されるストレス蛋白質ペプチド複合体の量は、動物の体重kg当たり10〜600μgの範囲が好ましく、より好ましくは10〜100μg、最も好ましくは25μgである。
SP複合体の免疫原性を判定するために、T細胞増殖アッセイを利用することができる。
【0035】
適当なアッセイには、トリチウム化チミジン摂取によりアッセイされる混合リンパ球反応(MLR)、および目的細胞からの5lCrの放出を測定するための細胞毒性アッセイが含まれる。『Current Protocols in Immunology』Wiley Interscience誌1997年を参照されたい。
【0036】
マイコバクテリアには、サイトカインの産生、例えばインターフェロンγの産生の誘発用に、市販のキット(CSL Ltd)を使用してMLRをアッセイすることもできる。あるいは、抗体産生を、標準的イムノアッセイもしくはプラーク溶菌アッセイを使用して検査することができ、または胎児の子宮内保護により評価することができる。『Current Protocols in Immunology』を参照されたい。
【0037】
主要なまたは支援のワクチン接種において、いかなるアジュバントも添加してないリン酸緩衝生理食塩水に、熱ストレス受けた生物または、熱ストレスを受けた生物から単離された内在性SPペプチド複合体のいずれかを用いて、マウスに免疫性を与えた。
ストレスを誘発された生物全体、特に凍結乾燥された生物を用いる免疫化によって、単離した内在性SPペプチド複合体により誘発された免疫化に比べ、IFN−γの増加および抗体産生を含めて著しく高い免疫力が得られた。
【0038】
[実施例2] 構成的hsp突然変異体の調製および使用
構成的hspを産生する微生物を、転写調節因子サプレッサ遺伝子、例えばhspR、MerR(水銀耐性オペロン調節蛋白質)、HmrR(重金属調節蛋白質)および、それらの相同物または、転写調節遺伝子ρおよびσのノックアウトを通じて構築することができる。このような遺伝子は、一般的な試験配列を用いるゲノム配列データベースのスクリーニングにより容易に同定される。このような典型的な試験配列の一例は、結核菌のhspR遺伝子である(図1に示す)。hspR遺伝子と相同な、同定されたサプレッサの一覧の例を図2に示す。
【0039】
hspR遺伝子欠失突然変異体を得るために、構成的にhspCを産生するウシ結核菌株(M.bovis)を、ウシ結核菌株BCGを遺伝子組換えして構築した。大きなhspR遺伝子断片およびカナマイシン選択マーカーを組み込んでいる自殺ベクターを使用して、相同組換えによりhspR遺伝子を除去した。図1に示す結核菌hspR配列に由来するプライマーを使用して、BCGゲノムのDNAからPCRにより、hspR遺伝子断片をクローンした。このような手法は、適切なサプレッサ遺伝子を組み込んでいるあらゆる原核生物に由来する類似の突然変異体の産生のために、広く適用できるはずである。
【0040】
BCGのhspR欠失突然変異体を使用してhspCを産生した。これらより得られた蛋白質の収量は、熱ショックを受けた野生種株由来から得られた蛋白質の収量に匹敵した。このような手法は、適切なサプレッサ遺伝子を組み込んでいる、あらゆる原核生物に由来するhspCの産生にも広く適用可能なはずである。これらによってhspCベースのワクチンを製造するための貴重な資源が得られるはずである。従ってBCGのhspR欠失突然変異体から産生されたhspCにより、結核菌によるエアロゾル攻撃に対し保護性免疫が誘発され、この保護性免疫は、熱ショックを受けた野生種BCG株から得たhspCにより誘発された保護性免疫に匹敵した。
【0041】
異種抗原を発現するためのワクチン・ベクターとして、BCGのhspR欠失突然変異体を使用することもできる。
例えば、破傷風トキソイド(TT)断片Cを発現するBCGのhspR欠失突然変異体を使用して免疫性を与えられたマウスは、ウェスタン・ブロッティングにより検出されるような反TT抗体の産生を示した。ワクチン・ベクターとしての使用に適当なあらゆる原核生物に由来する突然変異体を使用して、異種ワクチン抗原を発現させるための、類似のベクターの製造に、このような手法は広く適用できるはずである。例えば、サルモネラ属またはラクトコッカス属の突然変異体の使用により、ワクチンの粘膜送達を標的としたベクターの製造が可能となるはずである。この原則で開発されたワクチンは、経口的に投与できるという点で特に有利なはずである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
結核菌のhspR遺伝子を示した図。
【図2】
hspR遺伝子と相同な、同定されたサプレッサの一覧の例。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワクチンおよびワクチンの製造方法に関する。より具体的には微生物病原体を含有するワクチンおよびその製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
あらゆるヒト免疫反応の重要な構成要素の一つは、マクロファージ、B細胞または樹状細胞など抗原提示細胞(APC)によるT細胞への抗原の提示である。主要組織適合性複合体(MHC)分子と協調して、CD4およびCD8分子などのヘルパー分子と関連して、外来抗原のペプチド断片が、マクロファージの表面上に提示される。このようにして提示されたこれらの抗原ペプチド断片は、T細胞のT細胞レセプターにより認識される。抗原ペプチド断片とT細胞レセプターの相互作用により、抗原特異性T細胞が増殖し、T細胞からリンホカインが分泌される。APCにより提示された抗原ペプチド断片の性質は、免疫を確立にする際に重要である。
【0003】
熱ショック蛋白質(hsp)は、植物界および動物界を通して広く分布する高度に保存された蛋白質のファミリを形成する。hspは、その分子量を基準として、異なる6種のファミリ、小(hsp20−30ka)、hsp40、hsp60、hsp70、hsp90およびhsp100にグループ分けされる。hspは、本来熱ストレスを受けた細胞中に同定されたが、他の多くの形式のストレス、例えば感染と関連してhspは見つかっており、従って一般的にストレス蛋白質(SP)とも呼ばれる。
【0004】
哺乳動物hsp90ファミリの構成員には、サイトゾルhsp90(hsp83)と小胞体対応物hsp90(hsp83)、hsp87、Grp94(Erp99)およびgp97が含まれる。例えば、Gething等(1992)Nature355:33−45を参照されたい。hsp70ファミリの構成員には、サイトゾルhsp70(p73)およびhsp70(p72)、小胞体の対応物BiP(Grp78)と、ミトコンドリアの対応物hsp70(Grp75)が含まれる。哺乳動物hsp60ファミリの構成員は、ミトコンドリア中でのみ同定されている。
【0005】
ストレス蛋白質は、細胞内に偏在して発現される。ストレス蛋白質の役目の一つは、免疫システムのための細胞表面提示のために、ペプチドを細胞の一つの区画から別の区画へ運搬し、ペプチドをMHC分子に渡す。
細胞が病気の場合には、ストレス蛋白質はまた、ウイルスまたは腫瘍に関連するペプチドを細胞表面へ運搬する。LiおよびSirivastave(1994)Behring Inst.Mitt、94:37−47および、Suzueら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA94:13146−51を参照されたい。
【0006】
ストレス蛋白質のシャペロン機能は、ATP依存性反応であり、ストレス蛋白質と抗原ペプチド断片との間で、ならびにストレス蛋白質とウイルスもしくは腫瘍に関連するペプチド断片との間で、複合体を形成することにより達成される。ストレス蛋白質と複合体を形成したペプチド断片は、APCにより補足され抗原ペプチド断片を提供する抗原複合体(hspC)を形成する。
【0007】
ストレス蛋白質とペプチド断片の複合体会合は、正常な組織中でも観察され、従って腫瘍特異の現象ではない。Srivastava(1994)Experimentia50:1054−60を参照されたい。grp96を含むhsp70ファミリの構成員の免疫原性は、プレゼントソーム(presentosome)中での、その構成員の正常な役割を反映していると考えられる。プレゼントソームとは、それらの細胞表面での発現に必要なMHCクラスI分子の積み込みにおいて機能する仮想の細胞内オルガネラである。この工程は、抗原特異T細胞による、それら構成員のMHC限定認識に不可欠である。Srivastavaら(1998)Immunity、Singh−Jasujaら、J.Exp.Med(2000)191,1957を参照されたい。
【0008】
病原体由来hspが、抗原およびアジュバンドとして広く使用されているという事実にも関わらず、近年まで、病原体由来の内在性hspペプチド複合体(hspC)をワクチンとして使用することは提案されていない。PCT出願第GB00/03228号には、病原体由来内在性hspC、特にストレスに誘発されるhspCの使用が開示され、ワクチン接種をした動物に良好な保護性免疫を与えている。
【0009】
微生物hspファミリの構成員には、Dna JおよびDna Kファミリと、Gro−ELおよびGro−ESファミリが含まれる。原核生物では、これらのファミリはオペロン中にコードされ、このオペロンの最初の遺伝子は、オペロン内に含まれるhsp遺伝子の発現を抑制する制御遺伝子であると思われる。
ストレプトマイセス属およびヘリコバクター属では、hspR遺伝子の発現によって、Dna JおよびDna Kの発現が抑制される。したがってhspR遺伝子を除去することにより、構成的にhspを発現する遺伝子改変微生物が得られる。Buccaら(1997)Mol.Microbiol、15:633−45を参照されたい。近年シーケンスされた幾つかの微生物、例えば他のストレプトマイセス属株およびヒト型結核菌株、ならびに通常使用される関連するワクチン株BCG中で、相同なオペロンが同定されている。
【0010】
他のリプレッサ遺伝子もまた、hsp遺伝子ファミリの構成員の発現を制御することができ、さらにこれらを遺伝子的に組換えて、ワクチンおよびワクチン・ベクターの生産に利用することができるhspCを構成的に発現する改変微生物を得ることができる。これらのリプレッサ遺伝子には、限定しないが転写調節遺伝子σおよびρ、ならびにストレス遺伝子調節蛋白質遺伝子MerRおよびHmrRが含まれる。また構成的hspCを含む改変微生物は、hspCの単離のためにワクチンとして、または資源として、直接使用できれば尚好ましい。さらに、これらの微生物内で他の病原体に由来する異種遺伝子を発現させることは、これらの病原体に対するhspCベースのワクチンを簡略化して生産するために、ワクチン・ベクターとして、その利用を可能とするはずである。
【0011】
熱に誘発される内在性微生物hspペプチド複合体の使用を判断しながら、抽出したhspペプチド複合体を、ストレスに誘発された微生物自体のワクチンとしての使用と比較した。驚くべきことに、ワクチンとして微生物を使用することにより、単離したhspペプチド複合体を使用するより、ワクチン接種した動物には著しく良好な免疫が得られた。構成的にhspが産生された遺伝子改変微生物を使用して、同様の結果が得られた。これは、微生物中で組換え体蛋白質として発現された異種遺伝子を含む、内在性微生物ポリペプチドを用いて、hspCがin situで形成されたことを示す。また、サブユニットおよびマルチ・サブユニット・ワクチンに使用するhspCを単離するための効率的な資源としても、遺伝子改変微生物は使用できるはずである。
【0012】
【発明の開示】
本発明によれば、微生物病原体が予めストレス誘発刺激を受けており、免疫原性決定要因として微生物病原体を含有するワクチンが提供される。
ストレス誘発刺激により、微生物は熱ショック蛋白質を発現させることが好ましい。
【0013】
ストレス誘発刺激は、熱ショックまたは浸透圧ショックが好ましい。
ストレス誘発刺激は、熱ショック蛋白質遺伝子の少なくとも一つのリプレッサ遺伝子を不活性化し、それにより熱ショック蛋白質遺伝子の発現が可能になるような微生物病原体の遺伝子改変であることがより好ましい。
微生物病原体は、伝染病を誘発することが可能なあらゆる病原体であることが好ましい。
【0014】
微生物病原体は、細菌、原生動物、菌類または寄生生物であることが好ましい。
遺伝子改変により、hspRリプレッサ遺伝子が不活性化されることが好ましい。
あるいは、遺伝子改変により、ストレス遺伝子調節蛋白質遺伝子MerRもしくはHmrRリプレッサ遺伝子、または転写調節遺伝子σおよびρが不活性化される。
【0015】
微生物病原体は、マイコバクテリア、サルモネラ属、ビブリオ属、ストレプトマイセス属、ヘリコバクター属、ラクトコッカス属およびリステリア属からなる群から選択されることが好ましい。
微生物病原体は、弱毒化されていることが好ましい。
ワクチンは、さらにアジュバントを含むことが好ましい。
【0016】
アジュバントは、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ISCOM社製(免疫刺激複合体)Quil AおよびDetoxおよびスクアレンからなる群から選択されることが好ましい。
ワクチンは、注射による投与が適当であることが好ましい。
あるいはワクチンは、経口投与が適当である。
【0017】
ワクチンは、無針送達形式による送達が適当であることが好ましい。
本発明の他の態様により、動物にワクチン接種する方法が提供され、前記方法は、その動物に免疫反応を引き出すのに十分な、薬学的に許容可能な量の本発明のワクチン組成物を投与することを含むことを特徴とする。
ワクチンは、予防ワクチンとして投与されることが好ましい。
【0018】
あるいはワクチンは、治療ワクチンとして投与される。
ワクチン組成物は、注射により投与されることが好ましい。
あるいはワクチン組成物は、無針送達によって投与される。
あるいはワクチン組成物は、経皮的に、肺送達により、または経口的に、投与される。
【0019】
さらに本発明の別の態様により、免疫原性決定要因を含むワクチン組成物の製造方法が提供され、前記方法は、微生物病原体にストレス誘発刺激を受けさせる工程と、ワクチン組成物を調製する際にストレスを受けた微生物を前記免疫原性決定要因として使用する工程と、を含むことを特徴とする。
ストレス誘発刺激は、熱ショックまたは浸透圧ショックであることが好ましい。
【0020】
ストレス誘発刺激は、熱ショック遺伝子の発現を抑制する遺伝子を不活性化することがより好ましい。
抑制される遺伝子は、hspR遺伝子であることが好ましい。
あるいは抑制される遺伝子は、ストレス遺伝子調節蛋白質遺伝子MerRもしくはHmrR、または転写調節遺伝子σおよびρである。
【0021】
微生物病原体細胞は、不活化させた後、前記ワクチンで使用することが好ましい。
あるいは微生物病原体細胞は、乾燥させた後、前記ワクチンで使用する。
ワクチン組成物は、水溶性組成物であることが好ましい。
あるいはワクチン組成物は、乾燥組成物または凍結乾燥された組成物中にある。
【0022】
本発明によりさらに、熱ショック蛋白質の少なくとも一つのリプレッサ遺伝子を、不活性化し、それにより熱ショック蛋白質の構成的発現が可能になるように、遺伝的に予め改変された病原性微生物を、さらに異種抗原の発現を可能にするワクチン・ベクターとして使用することが提供される。
病原性微生物は、ワクチン・ベクターとしての使用に適当である原核生物であることが好ましい。
【0023】
原核生物はBCGであり、異種抗原断片は破傷風トキソイド断片Cであることが好ましい。
あるいは原核生物は、ワクチンが経口的に投与できるようなサルモネラ属またはラクトコッカス属である。
本発明によりさらに、熱ショック蛋白質の少なくとも一つのリプレッサ遺伝子を不活性化し、それにより熱ショック蛋白質の構成的発現が可能になるように、予め遺伝的に改変した病原性微生物の、サブユニットおよびマルチ・サブユニット・ワクチン中で使用する、熱ショック蛋白質ペプチド複合体の資源としての使用が提供される。
【0024】
「微生物病原体」とは、特に細菌性生物、原生動物、真菌性生物または寄生生物を含む、動物に伝染病を誘発することが可能なあらゆる病原体を意味する。
「ストレス誘発刺激」とは、熱ストレスまたは浸透圧ストレス含む、微生物病原体にSP、特にhspの産生を誘発するあらゆる刺激を意味する。このようなストレス誘発刺激には、微生物病原体にストレス蛋白質、特にhspの構成的な発現を与えるように設計された遺伝子変化も含まれる。これらの遺伝子変化には、ストレス蛋白質の抑制、特に熱ショック蛋白質を発現する遺伝子の抑制に機能するリプレッサ(サプレッサ)遺伝子の不活性化が含まれる。これには、特にhspRサプレッサ遺伝子、ストレス遺伝子調節蛋白質遺伝子MerRおよびHmrR、または転写調節遺伝子σおよびρの不活性化が含まれる。
【0025】
このような遺伝子変化には、分子的遺伝的手段により容易に達成され、ファージ・ベクターまたはトランスポゾン・ベクターを使用する挿入突然変異誘発が含まれることが好ましい。例えばBuccaらMol.Microbiol.(1997)17:633を参照されたい。また微生物病原体中のオペロンの遺伝子、サプレッサ遺伝子ならびに、SPおよびhspの存在が、組換えDNA技術により簡単に確立できることが好ましい。Current Techniques in Molecular Biology、(1999)Wiley Pressを参照されたい。
【0026】
したがって本発明によるワクチンを提供するために、これらの遺伝子を発現するいかなる微生物も、遺伝的に改変され得ることが好ましいはずである。
これらの微生物には、生ワクチンまたは不活化ワクチンとして使用される既存の微生物、例えばマイコバクテリア、サルモネラ属、ビブリオ属およびリステリア属、特に弱毒化されたこれらの様々な病原体が含まれる。特に、熱ショック蛋白質リプレッサ遺伝子を除去するために、遺伝的に予め改変したマイコバクテリア突然変異体は、結核に対するワクチンに使用できるはずであり、他方熱ショック蛋白質リプレッサ遺伝子を除去するために、遺伝的に予め改変したサルモネラ属突然変異体は、腸チフスに対するワクチンに使用できるはずである。異種遺伝子を発現させるためのワクチン・ベクターとして、このような生物の使用が、本発明によりさらに提供される。
【0027】
本明細書に使用される語「ワクチン」は、免疫システムがその後の感染により良好に反応できるように免疫システムを刺激する、免疫原性決定要因を含む、あらゆる組成物を意味する。ワクチンは、通常免疫原性決定要因とアジュバントを含むことが好ましく、アジュバントは、その免疫原性決定要因に対して免疫反応を非特異的に高める働きをする。
【0028】
適当なアジュバンドには、当業者には容易に明らかであり、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ISCOM社製(免疫刺激複合体)Quil AおよびDetoxまたはスクアレンが含まれる。
しかし、本発明のワクチンは、アジュバントが無くても効果を発揮し得ることが好ましい。
【0029】
SPの非遺伝的誘発として、SPを誘発するための最適条件は、動物でのin vivo試験などの従来の技術を使用して、または例えば『Current Protocols in Immunology』Wiley Interscience誌1997年に記載される他の技術により、評価される刺激変化の効果を利用する単純な試行錯誤により容易に決定され得る。このような条件は他に、PCT出願第GB00/03228号および、その中に述べられる引用に記載されている。
【0030】
本発明はまた、動物に免疫反応を引き出すのに十分な、薬学的に許容可能な量の本発明のワクチンを、任意選択でアジュバントと組み合わせて、投与することにより、その動物を本発明のワクチンへ曝露する方法を提供する。
その動物は、典型的にはヒトである。しかし本発明は、他の哺乳類、例えばウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジまたはブタの治療に、および鳥類とりわけ家禽類、例えばニワトリまたはシチメンチョウの治療にも使用できる。本発明の特定のワクチンでの使用に選択される微生物病原体は、ワクチンが投与される動物種、または密接に関与する種に、疾病または感染を引き起こすことが好ましい。本発明のワクチンは、予防ワクチンとしても、または治療ワクチンとしても使用できるが、それらの生産の経済性により、予防ワクチンとして特に有用であることが好ましい。
【0031】
本発明のワクチン組成物は、例えば経口的に、吸入により、経皮的に、または注射などあらゆる適当な手段より、あらゆる適当なキャリア培地で投与することができる。しかし、適当ないずれの針を使用しての注射または無針の手法により、水溶性組成物としてワクチンを投与することが好ましい。
本発明のワクチンは、初期治療に続き、1種または2種以上のその後の「支援」治療にも同様に、または各治療の間に1週間から26週間の間隔をあけて異なる投与量率で使用して、病原体に対し長期の免疫性を得られることが好ましい。
【0032】
【実施例】
本発明を、添付の図面を参照しながら実施例により説明する。図1は、結核菌のhspR遺伝子のヌクレオチド配列を示す。図2は、hspRと相同性を有する、同定したサプレッサ遺伝子の一覧を示す。
[実施例1] 熱誘発性微生物の調製
M.ヴァケー系(Mycobacterium vaccae)NCTC11659を増殖させソートン(Sauton)培地中で飽和させ、新鮮培地で希釈し一晩増殖させると、対数増殖期の培養物が得られた。次いで、この培養物に42°Cで3時間または、39°Cで5時間熱ショックを加え一晩培養した。次いで、細胞を培地で洗い、続いて生理食塩水で洗い、個々のワクチンの部分サンプル内で凍結乾燥しまたは、試験動物に免疫を与えるために直接使用した。
【0033】
比較のために、単離した内在性SPペプチド複合体を、PCT出願第GB00/03228号に記載される通りに調製した。基本的に、洗浄したストレスが誘発された細胞を次いで、ホモジナイズ用緩衝液、例えば0.5%Tween(登録商標)を添加したPBSで再懸濁化した後、細胞を凍結融解サイクルにより、または細胞破砕装置、例えばビーズ・ビーター、フレンチプレス(商標登録)を使用して破砕する。次いで、細胞ライセートを、核および細胞破片を除去するために、典型的には3〜5000gを5分間の遠心沈澱により処理した後、典型的には100,000gを15〜30分間のハイ・スピード遠心沈澱工程により処理する。このようにして得られた上清を加工し、ワクチンでの使用に適当なSP/抗原ペプチド断片複合体を得る。これは、20〜70%の硫安カットを使用する硫酸アンモニウム沈殿により容易に行うことができる。具体的には、20%(w/w)硫酸アンモニウムを4℃で添加し、沈殿物を廃棄し、次にさらに硫酸アンモニウムを添加して濃度を70%w/wにする。蛋白質沈殿物を遠心沈澱により回収し、次いで適当な生理学的に注入可能な緩衝剤、例えば生理食塩水中へ透析して、使用前に硫酸アンモニウムを除去する。SP複合体をいずれの適当な濃度で使用して、ワクチン組成物中の免疫原性決定要因を得ることができる。
【0034】
誘発されるストレス蛋白質ペプチド複合体の量は、動物の体重kg当たり10〜600μgの範囲が好ましく、より好ましくは10〜100μg、最も好ましくは25μgである。
SP複合体の免疫原性を判定するために、T細胞増殖アッセイを利用することができる。
【0035】
適当なアッセイには、トリチウム化チミジン摂取によりアッセイされる混合リンパ球反応(MLR)、および目的細胞からの5lCrの放出を測定するための細胞毒性アッセイが含まれる。『Current Protocols in Immunology』Wiley Interscience誌1997年を参照されたい。
【0036】
マイコバクテリアには、サイトカインの産生、例えばインターフェロンγの産生の誘発用に、市販のキット(CSL Ltd)を使用してMLRをアッセイすることもできる。あるいは、抗体産生を、標準的イムノアッセイもしくはプラーク溶菌アッセイを使用して検査することができ、または胎児の子宮内保護により評価することができる。『Current Protocols in Immunology』を参照されたい。
【0037】
主要なまたは支援のワクチン接種において、いかなるアジュバントも添加してないリン酸緩衝生理食塩水に、熱ストレス受けた生物または、熱ストレスを受けた生物から単離された内在性SPペプチド複合体のいずれかを用いて、マウスに免疫性を与えた。
ストレスを誘発された生物全体、特に凍結乾燥された生物を用いる免疫化によって、単離した内在性SPペプチド複合体により誘発された免疫化に比べ、IFN−γの増加および抗体産生を含めて著しく高い免疫力が得られた。
【0038】
[実施例2] 構成的hsp突然変異体の調製および使用
構成的hspを産生する微生物を、転写調節因子サプレッサ遺伝子、例えばhspR、MerR(水銀耐性オペロン調節蛋白質)、HmrR(重金属調節蛋白質)および、それらの相同物または、転写調節遺伝子ρおよびσのノックアウトを通じて構築することができる。このような遺伝子は、一般的な試験配列を用いるゲノム配列データベースのスクリーニングにより容易に同定される。このような典型的な試験配列の一例は、結核菌のhspR遺伝子である(図1に示す)。hspR遺伝子と相同な、同定されたサプレッサの一覧の例を図2に示す。
【0039】
hspR遺伝子欠失突然変異体を得るために、構成的にhspCを産生するウシ結核菌株(M.bovis)を、ウシ結核菌株BCGを遺伝子組換えして構築した。大きなhspR遺伝子断片およびカナマイシン選択マーカーを組み込んでいる自殺ベクターを使用して、相同組換えによりhspR遺伝子を除去した。図1に示す結核菌hspR配列に由来するプライマーを使用して、BCGゲノムのDNAからPCRにより、hspR遺伝子断片をクローンした。このような手法は、適切なサプレッサ遺伝子を組み込んでいるあらゆる原核生物に由来する類似の突然変異体の産生のために、広く適用できるはずである。
【0040】
BCGのhspR欠失突然変異体を使用してhspCを産生した。これらより得られた蛋白質の収量は、熱ショックを受けた野生種株由来から得られた蛋白質の収量に匹敵した。このような手法は、適切なサプレッサ遺伝子を組み込んでいる、あらゆる原核生物に由来するhspCの産生にも広く適用可能なはずである。これらによってhspCベースのワクチンを製造するための貴重な資源が得られるはずである。従ってBCGのhspR欠失突然変異体から産生されたhspCにより、結核菌によるエアロゾル攻撃に対し保護性免疫が誘発され、この保護性免疫は、熱ショックを受けた野生種BCG株から得たhspCにより誘発された保護性免疫に匹敵した。
【0041】
異種抗原を発現するためのワクチン・ベクターとして、BCGのhspR欠失突然変異体を使用することもできる。
例えば、破傷風トキソイド(TT)断片Cを発現するBCGのhspR欠失突然変異体を使用して免疫性を与えられたマウスは、ウェスタン・ブロッティングにより検出されるような反TT抗体の産生を示した。ワクチン・ベクターとしての使用に適当なあらゆる原核生物に由来する突然変異体を使用して、異種ワクチン抗原を発現させるための、類似のベクターの製造に、このような手法は広く適用できるはずである。例えば、サルモネラ属またはラクトコッカス属の突然変異体の使用により、ワクチンの粘膜送達を標的としたベクターの製造が可能となるはずである。この原則で開発されたワクチンは、経口的に投与できるという点で特に有利なはずである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
結核菌のhspR遺伝子を示した図。
【図2】
hspR遺伝子と相同な、同定されたサプレッサの一覧の例。
Claims (39)
- 免疫原性決定要因として微生物病原体を含有し、
前記微生物病原体が予めストレス誘発刺激を受けている、ワクチン。 - 前記ストレス誘発刺激が、微生物によって熱ショック蛋白質を発現する、請求項1に記載のワクチン。
- 前記ストレス誘発刺激が、熱ショックまたは浸透圧ショックである、請求項1または請求項2に記載のワクチン。
- 前記ストレス誘発刺激は、熱ショック蛋白質の少なくとも一つのリプレッサ遺伝子を不活性化し、それにより熱ショック蛋白質遺伝子の発現を可能にするような、微生物病原体の遺伝子改変である、請求項1〜3の何れかに記載のワクチン。
- 前記微生物病原体は、伝染病を誘発することが可能なあらゆる病原体である、請求項1〜4の何れかに記載のワクチン。
- 前記微生物病原体は、細菌、原生動物、菌類または寄生生物である、請求項1〜5の何れかに記載のワクチン。
- 前記遺伝子改変によりhspRリプレッサ遺伝子が不活性化される、請求項4〜6の何れかに記載のワクチン。
- 前記遺伝子改変により、ストレス遺伝子調節蛋白質遺伝子MerRもしくはHmrRが不活性化される、請求項4〜6の何れかに記載のワクチン。
- 前記遺伝子改変により、転写制御遺伝子ρまたはσが不活性化される、請求項4〜6の何れかに記載のワクチン。
- 前記微生物病原体は、マイコバクテリア、サルモネラ属、ビブリオ属、リステリア属、ストレプトマイセス属、ヘリコバクター属およびラクトコッカス属からなる群から選択されるワクチンである、請求項1〜9の何れかに記載のワクチン。
- 前記微生物病原体は弱毒化されている、請求項1〜10の何れかに記載のワクチン。
- アジュバントをさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載のワクチン。
- 前記アジュバントは、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ISCOM社製(免疫刺激複合体)Quil AおよびDetoxならびにスクアレンからなる群から選択される、請求項12に記載のワクチン。
- 前記ワクチンは注射による投与が適当である、請求項1〜13の何れかに記載のワクチン。
- 前記ワクチンは経口投与が適当である、請求項1〜13の何れかに記載のワクチン。
- 前記ワクチンは無針送達形式による送達が適当である、請求項14に記載のワクチン。
- 請求項1〜13の何れかに記載のワクチン組成物を、動物に免疫反応を引き出すのに十分な薬学的に許容可能な量を投与することを含む、動物にワクチンを接種する方法。
- 前記ワクチンは予防ワクチンとして投与される、請求項17に記載の方法。
- 前記ワクチンは治療ワクチンとして投与される、請求項17に記載の方法。
- 前記ワクチン組成物は注射により投与される、請求項17に記載の方法。
- 前記ワクチン組成物は無針送達により投与される、請求項17に記載の方法。
- 前記ワクチン組成物は経皮的に投与される、請求項17に記載の方法。
- 前記ワクチン組成物は肺送達により投与される、請求項17に記載の方法。
- 前記ワクチン組成物は経口的に投与される、請求項17に記載の方法。
- ストレス誘発刺激を微生物病原体に与える工程と、免疫原性決定要因として前記ストレスを与えられた微生物をワクチン組成物の調製に使用する工程とを含む、免疫原性決定要因を含むワクチン組成物の製造方法。
- ストレス誘発刺激は、熱ショックまたは浸透圧ショックである、請求項24に記載の方法。
- ストレス誘発刺激は、熱ショック遺伝子の発現を抑制する遺伝子の不活性化である、請求項25に記載の方法。
- リプレッサ遺伝子がhspR遺伝子である、請求項25に記載の方法。
- リプレッサ遺伝子がMerRもしくはHmrRである、請求項25に記載の方法。
- 前記微生物病原体細胞が前記ワクチンに使用する前に不活化されている、請求項1〜29の何れかに記載の方法。
- 前記微生物病原体細胞は前記ワクチンに使用する前に乾燥させてある、請求項1〜30の何れかに記載の方法。
- 前記組成物が水溶性組成物である、請求項25〜31の何れかに記載のワクチン組成物。
- 前記組成物は乾燥組成物である、請求項25〜31の何れかに記載のワクチン組成物。
- 前記組成物は凍結乾燥された組成物である、請求項25〜31の何れかに記載のワクチン組成物。
- 熱ショック蛋白質の少なくとも一つのリプレッサ遺伝子を不活性化し、それにより熱ショック蛋白質の構成的発現が可能になるように、予め遺伝的に改変した異種抗原の発現をさらに可能にする、病原性微生物のワクチン・ベクターとしての使用。
- 前記病原性微生物は、ワクチン・ベクターとしての使用に適当である原核生物である、請求項34に記載の病原性微生物の使用。
- 前記原核生物はBCGであり、異種抗原断片は、破傷風トキソイド断片Cである、請求項35に記載の病原性微生物の使用。
- 前記原核生物は、サルモネラ属またはラクトコッカス属であり、ワクチンは経口的に投与できる、請求項34に記載の病原性微生物の使用。
- 熱ショック蛋白質の少なくとも一つのリプレッサ遺伝子を不活性化し、それにより熱ショック蛋白質の構成的発現が可能になるように、予め遺伝的に改変した病原性微生物の、サブユニットおよびマルチ・サブユニット・ワクチン中で使用する、熱ショック蛋白質ペプチド複合体の資源としての使用。
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