JP2004508041A - 組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)をパッケージングする親細胞、それらの生成方法、およびその使用 - Google Patents

組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)をパッケージングする親細胞、それらの生成方法、およびその使用 Download PDF

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Abstract

この発明は、組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)をパッケージングする親細胞に関するものである。上記細胞は、少なくとも1つのAAVレップタンパク質を発現するための第1補助コンストラクトの少なくとも1つのコピー、および少なくともひとつのAAVキャップタンパク質を発現するための他の補助コンストラクトの少なくとも1つのコピーを含んでいる。この発明はまた、親細胞における少なくとも1つのAAVレップタンパク質および1つのAAVキャップタンパク質を発現するための補助コンストラクト、AAVに関して非相同的である少なくとも1つの核酸を含むベクターコンストラクト、組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)をパッケージングする親細胞を生成する方法、およびrAAVを生成する親細胞の使用に関するものである。

Description

この発明は、組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)をパッケージングする親細胞に関するものであり、少なくとも1つのAAVレップタンパク質の安定な発現のための第1ヘルパーコンストラクトの少なくとも1つのコピーおよび少なくとも1つのAAVキャップタンパク質の安定な発現のための他のヘルパーコンストラクトの少なくとも1つのコピーを含む。この発明は、さらに、親細胞における少なくとも1つのAAVレップタンパク質およびAAVキャップタンパク質の安定な発現のためのヘルパーコンストラクト、AAVに非相同的である1つ以上の核酸を含むベクターコンストラクト、および組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)をパッケージングする親細胞を生成する方法、ならびにrAAVを生成する親細胞の使用に関するものである。
【0001】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、パルボウイルスファミリーに属する。このウイルスファミリーは、約5kbの線状のかつ一本鎖のDNA(デオキシリボ核酸)を含む、約18−30nmの直径の、正二十面体の、外被に覆われていないキャプシドを特徴とする。AAVの、特に欠陥パルボウイルス(デペンドウイルス)のサブグループの効率的な複製には、親細胞がヘルパーウイルスに、たとえばアデノウイルス、ヘルペスウイルスまたはワクシニアウイルスに同時感染することが必要である。適当なヘルパーウイルスの非存在下で、AAVは、潜伏状態になり、ウイルスゲノムは、親細胞のゲノムへの永久の(安定な)組込みが可能である。この特性があるため、AAVは、哺乳類細胞のための形質導入ベクターとして特に興味深くなる。2つのほぼ145bpの長さの逆方向末端反復(ITR)は、一般にベクターの機能には十分である。それらは、親細胞ゲノムへの複製、パッケージングおよび組込みに必要な信号を宿している。組換え型AAV粒子(rAAV粒子)へのパッケージングとしては、非構造性ウイルスタンパク質(レップタンパク質)のためのおよび構造性タンパク質(キャップタンパク質)のための遺伝子を宿しているヘルパープラスミド、およびAAVのITRによってフランキング(隣接)された、パッケージングされるべき遺伝子を宿しているベクタープラスミドは、パッケージングに適する細胞、たとえばHeLaまたは293の細胞へ形質移入され、それらは、次に適当なヘルパーウイルスに感染される。rAAV粒子を含むライセート(可溶化液)が、数日後に得られる。
【0002】
アデノ随伴ウイルスのキャプシドは、本来1:1:10の割合で、3つのタンパク質VP1、VP2およびVP3で構成される。AAVキャプシド遺伝子は、AAVゲノムの右端に位置決めされ、かつ異なる開始コドンおよびその発現のための1つのスプライスドナー(供与体)および2つのスプライス受容部位を用いて同じ翻訳領域内で配列を重複することによってコード化される。VP1遺伝子は、VP2遺伝子配列全体を含み、VP2遺伝子配列は、今度は特異性N末端領域を持つVP3配列全体を含む。重複している翻訳領域が、3つのAAVキャプシドタンパク質の全てをコードする(遺伝情報に指定する)という事実は、異なる割合ではあるが、キャプシドタンパク質全てが必ず発現する原因である。
【0003】
様々なAAV血清型が公知であり、そのうちヒトAAV血清型2(AAV2)は最もよく分析されてきた。すべての血清型は、体細胞遺伝子治療にとって有利な特性を備えたウイルスベクターである。絶対必要な利点は、より大きなレップタンパク質Rep68およびRep78の存在下でのウイルスDNAの細胞ゲノムへの安定な組込み、細胞分裂を起こしていない細胞(休止細胞)を感染させる能力、高い力価(mlにつき1013―1014の粒子)までの精製を可能にするウイルスキャプシドの安定性、低い病原性、および組換え型AAVベクターにウイルス遺伝子および遺伝子産物が全くないことである。生体内での応用において、いかなるAAV特異性遺伝子産物への細胞の免疫応答も観察されない理由を説明するのは、正確にいえば最後に述べた局面であり、それゆえAAVと共に移入された治療遺伝子の長期発現(一年より長い)が可能である。これは、AAVベクターが、特定的には遺伝子治療において用いるのに非常に適する理由である。そのような使用のために、一般に複製欠陥ウイルスが発生されてきたが、それらのウイルスは、所望の標的細胞を感染させかつそれら内でコード化された核酸を細胞へ移入させることはできるが、もはやそれら自体この細胞内では複製しない。これは、たとえば、遺伝子コード化構造性タンパク質等のウイルス複製に重要である遺伝子を欠失させることによって、かつ適当な場合に、移入されるべき外来性核酸をそれらのもとの場所に組み入れることによって達成される。遺伝子治療において使用するのに適するより大量の複製できないウイルスを生成するためには、細胞においてもはや複製することができないウイルスの欠陥を代償するために、欠失された遺伝子が「輸送」中のいわゆるヘルパー遺伝子として提供される必要がある。
【0004】
AAVをウイルス形質導入ベクターとして用いるためには、一般により大量の組換え型AAV粒子を有する必要がある。これらの大量のrAAV粒子を生成するのに適している方法は、真核生物細胞に2つの組換え型AAVプラスミドを同時形質移入すること、および引き続いてヘルパーウイルスに感染することである(Chiorini(チオリーニ)J.A.他(1995)Human GeneTherapy(ヒト遺伝子治療)6、1531)。第1rAAVプラスミド(=ベクターコンストラクト)は、移入されるべきであり、かつ2つのITR領域によって結合される、すなわちフランキングされる外来性核酸を含む。第2組換え型AAVプラスミド(=ヘルパープラスミド)は、粒子(レップおよびキャップ遺伝子)を生成するのに必要なAAV遺伝子を含む。ヘルパーコンストラクトにITR領域がないことは、AAV粒子にレップおよびキャップ遺伝子をパッケージングしかつそれゆえ望ましくない野生型AAVが発生するのを防ぐことを意図している。許容的な、すなわち利用できる適当な細胞は、いずれも組換え型AAVコンストラクトのためのおよび適当なヘルパーウイルスのためのものであるが、引き続いて2つのAAVコンストラクトを形質移入される。形質移入された細胞(=産生株細胞)が、たとえば適当なヘルパーウイルスとしてのアデノウイルスに感染することに続いて、AAV遺伝子の発現、移入された外来性核酸の複製およびパッケージング、ならびに組換え型AAV粒子の組み立てが行なわれる。rAAV粒子は、ITR領域によって両側でフランキングされる外来性核酸を、1本鎖DNAの形で含む。同時に、ヘルパーウイルスは、これらの細胞内で複製し、それは、ヘルパーウイルスとしてのアデノウイルスの場合には、数日後、溶解(=破壊)および、それに関連して、感染された細胞死で終了する。結果として生じるrAAV粒子、およびヘルパーウイルスは、この場合、細胞培養の上澄みへ部分的に放出されるか、あるいは溶解した細胞の構造に付着されたままになる。哺乳類細胞のための一般的な形質導入ベクターとしてのAAVの使用は、たとえばMuzyczka(ムージカ)N.(1992)細菌学および免疫学における現在のトピック、158、97で概説されている。
【0005】
rAAV粒子の生成における重大な欠点は、複製適格野生型AAV(rcAAV)が同時発生すること、およびヘルパーウイルス、たとえばアデノウイルスの存在である。しかしながら、たとえば遺伝子治療における組換え型AAV粒子の使用についての安全性の目的のために、標本にヘルパーウイルスおよび野生型AAVが本来ないことが必要であるのは、たとえばヘルパーウイルスとしてのアデノウイルスは、感染された細胞を溶解し、かつさらにアデノウイルスタンパク質との細胞免疫応答を生じるからである。しかも、アデノウイルスは、ヒトには病原性であり、非特異性コリーザ(鼻感冒)の症状を生じる。野生型AAVは、ヘルパーウイルスの存在下では、体内で複製しかつ広がってもよい。しかも、そのような条件下では、レップおよびキャップ遺伝子が発現されるだろうし、そのレップおよびキャップ遺伝子は、今度は同じ細胞内でrAAVゲノムを増幅し、かつ新たなrAAV粒子となるだろう。これによって、体中にrAAVゲノムが広がることになるかもしれない。
【0006】
遺伝子治療の助けを借りて、遺伝子欠陥を補正するのみならず、治療の一部として正常なまたは病気になった細胞へ新規の機能を伝達することもできる。したがって、多数の細胞型に外来性核酸を導入するために、今まで、さまざまなベクター系が開発されてきた。それらのウイルス系の中で、AAVは、最も有望なベクター系であると理解されているのは、それは広い親細胞の向性を有し、かつ優先的に染色体19へ配列特異性で組み込まれるからである(Kotin(コーチン)(1994)Human Gene Therapy(ヒト遺伝子治療)5、793−801)。このように最近は、生体内では、rAAVを投与することによって、うまく形質導入された細胞内で特異性免疫応答または炎症反応を生じることなく、長いAAV媒介遺伝子が発現されることになるということを種々の動物モデル系を用いて示すことができるようになってきた(Daly(ダリー)他(1999)Human Gene Therapy(ヒト遺伝子治療)10、85−94;Herzog(エルゾーク)他(1999)Nature Medicine(自然医学)5、56−63;Lo(ロー)他(1999)Human Gene Therapy(ヒト遺伝子治療)10、201−213;Snyder(スナイダー)他(1999)Nature Medicine(自然医学)5、64−70)。
【0007】
説明した動物実験の成功に促進されて、フランキングIRTなしのAAVゲノム全体のコピーを含み、かつ自然ウイルスプロモーターの制御下でレップおよびキャップ遺伝子を有するHeLaベースパッケージング細胞系が発生されてきた。ウイルスプロモーターp5、p19およびp40は、ヘルパーウイルス感染の非存在下で不活性である(Inoue(井上)およびRussell(ラッセル)(1998)J.Virol.(Journal of Virology ウイルス学ジャーナル)72、7024−7031;Gao(高)他(1998)Human Gene Therapy(ヒト遺伝子治療)9、2353−2362)。ヘルパーウイルス感染後、AAV遺伝子の発現は、これらの安定して形質移入されたHeLa細胞内で誘発される。これらの細胞系の利点は、rAAV粒子を、大規模にかつ複製できるように生成することができるということであり、それは特に商業生産工程には必要である(Allen(アレン)他(1997)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)71、6816−6822;Wang(ワング)他(1998)J.Viorol.(ウイルス学ジャーナル)72、5472−5480)。
【0008】
これらの細胞系の使用の1つの欠点は、野生型AAVが発生するのにベクターゲノムに関する組換え事象が1つだけ必要であるという事実であるが、それはそのような細胞系が、非常に大きな危険のため遺伝子治療での使用に適さない理由である。
【0009】
よって、この発明は、パッケージングの形の親細胞、および産生株細胞、ならびにrAAVを生成するのに適しかつrAAVを大規模に生成することを可能にするヘルパーおよびベクターコンストラクトを提供する目的に基づいているが、同時に野生型AAVの発生が本来妨げられる。
【0010】
驚いたことに、rAAV粒子の高収率は、AAVのレップおよびキャップ遺伝子が機能上分離しており、かつキャップ遺伝子が、相同プロモーターP5、P19およびP40の制御下にあるHeLaベースのパッケージング細胞系の助けを借りて、ただしrcAAV粒子が同時に形成されることなく達成することができることがわかってきた。この点については、機能上分離しているレップおよびキャップ遺伝子が、一過性に、言い換えれば、エピゾーム(遺伝子副体)で存在し、形質移入され、かつ細胞ゲノムの同じ部位で、たとえばコンカテマー(鎖状体)として、または細胞ゲノムの異なる部位で一体化することが可能である。利点は、各々の場合、少なくとも2つの独立した組換え事象が、rcAAV粒子の再構成に必要であるということである。
【0011】
行なわれてきた実験中、とりわけキャップ遺伝子発現コンストラクトが使用されたが、それはキャップ遺伝子の発現に絶対的に必要であるプロモーターP40とは別に、さらにプロモーターP5およびP19の制御配列を含む。この点については、キャップタンパク質の強い発現が、プロモーターP40の制御下ではもっぱらキャップ遺伝子のクローニングを経て達成されるが、この発現はもはや調節されることができず(恒常的であり)、かつそれゆえヘルパーウイルスのいずれかによってもはや誘発されることができないということを立証することが可能であった。P40のプロモーター領域のみで構成されるが、P5よびP19で構成されないそのようなキャップ発現コンストラクトは、親細胞に安定して組み込まれなかった。この現象は、恒常的に発現されるキャップタンパク質の親細胞に対する毒性によって説明される。
【0012】
したがって、この発明の目的のために生成されかつ使用されたキャップタンパク質のための発現コンストラクトは、そのプロモータ機能は、転写の開始に関連して無傷のままであったが、これらのコンストラクトはいかなるレップタンパク質も発現することができなかったというように、突然変異誘発によって改変されるプロモーターP5、P19およびP40の領域を有する。このように、第2源から(=輸送中に)2つの大きなレップタンパク質Rep68およびRep78を提供することが、プロモータP40のアデノウイルス誘発性のトランス活性化に必要だった。それからキャップ発現コンストラクトの助けを借りて、親細胞のゲノムへの安定な組込みを達成することが可能であった。したがって、これらのコンストラクトには、ヘルパーウイルスの非存在下で、いかなる毒性量のキャップタンパク質も発現されず、かつそれにもかかわらず、ヘルパーウイルスによって誘発できる非常に強いキャップタンパク質の発現が保証されるという利点がある。
【0013】
よって、この発明の一局面は、第一には、組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)をパッケージングする親細胞であって、少なくとも1つのAAVレップタンパク質の発現のための第1ヘルパーコンストラクトの少なくとも1つのコピー、および少なくとも1つのAAVキャップタンパク質の発現のためのさらなるヘルパーコンストラクトの少なくとも1つのコピーを含む。この場合、レップタンパク質およびキャップタンパク質をコードする核酸は、機能上互いに分離しており、かつ自然AAV制御配列に操作結合される。これらは、特定的には自然AAVプロモーターである。
【0014】
第1の好ましい実施例では、親細胞は、ベクターコンストラクトの少なくとも1つのコピーをさらに含む。そのような親細胞を、以下産生株細胞とも呼ぶ。
【0015】
さらに好ましい実施例では、親細胞は、さらに、ヘルパーウイルスの少なくとも1つの遺伝子産物のための核酸コンストラクトのおよび/またはrAAVを生成するのに必要である細胞遺伝子の少なくとも1つのコピーを含むことを特徴とする。
【0016】
この発明は、ヘルパーウイルス非依存性のrAAV産生株細胞をさらに含む。これは、産生株細胞に加えて、ヘルパーウイルスの、rAAVを生成するのに必要な遺伝子および/または調節された細胞ヘルパー遺伝子を含み、それゆえこれらの細胞は、rAAVを生成するためにヘルパーウイルスに感染される必要がない。
【0017】
レップタンパク質およびキャップタンパク質をコードする核酸の、3つの自然AAV制御配列との、特に自然AAVプロモーターとの操作結合の結果、大量のrAAVが得られるが、同時に野生型AAVの発生が本来妨げられる。
【0018】
好ましい実施例では、アデノ随伴ウイルス(AAV)は、血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5および/またはAAV6から選択される。この発明によって同様に含まれるのは、これらの血清型のキャプシド突然変異体である。キャプシド突然変異体は、この発明の目的のために、AAV粒子が突然変異したキャプシドを含んでもよいということを意味している。これは、1つ以上のアミノ酸の突然変異、1つ以上の欠失および/または挿入を含んでもよい。対応する例は、次の参考文献から、熟練した研究者に公知である:WO 99/67393、Grifman(グリフマン)M.他(2001)Mol Ther.(Molecular Therapy 分子治療)3(6):964−75、Wu(ウー)P.他(2000)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)74(18):8635−47、Chandler(チャンドラー)LA他(2000)Mol Ther.(分子治療)2(2):153−60、Hirate(平手)RKおよびRussell(ラッセル)DW(2000)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)74(10):4612−20、Girod(ジロ)A他(1999)Nat Med.(Nature Medicine 自然医学)5(12):1438、Girod(ジロ)A他(1999)Nat Med.(自然医学)5(9):1052−6またはBartlett(バートレット)JS他(1999)Nat Biotechnol.(Nature Biotechnology 自然生物工学)17(2):181−6. 用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、この発明の目的のために、同意語として用いられており、かつある長さのアミノ酸の重合体に関するものである。これらの用語は、同様に、たとえばグリコシル化、アセチル化またはリン酸化等の翻訳後の改変ステップを経てきたタンパク質も含む。
【0019】
用語「核酸」、「DNA」および「ポリヌクレオチド」は、この発明の目的のために、ある長さのヌクレオチドの重合体形を意味し、その用語は、分子の一次構成にのみ関するものである。したがって、この用語は、改変されたポリヌクレオチド、たとえばメチル化されたまたは保護された(=キャップされた)ポリヌクレオチドとちょうど同じ量の一本鎖および二重鎖DNA分子を包含している。
【0020】
用語「遺伝子」および「遺伝子配列」は、少なくとも1つの翻訳領域を含み、かつ転写および翻訳によって特定のタンパク質を生成する能力を有するポリヌクレオチドに関連している。
【0021】
用語「制御配列」は、ゲノム領域を意味し、それが結合される遺伝子の転写を調節する。この発明で説明したような転写的な制御配列は、少なくとも1つの転写的な活性プロモーターを含むが、転写の1つ以上のエンハンサーおよび/またはターミネーターを含んでもよい。
【0022】
用語「操作結合される」は、2つ以上の構成成分の配置に関連している。構成成分は互いに接続されるので、それらは、それらの機能を協調して果たすことができるようになっている。たとえば、転写的な制御配列またはプロモーターは、もし転写的な制御配列またはプロモーターが、それぞれコード配列の転写を調節するかまたは開始するなら、コード配列に操作結合される。転写されるべき遺伝子に操作結合されるプロモーターは、一般的にはコード配列へのシスエレメントと呼ばれるが、転写されるべき遺伝子のすぐ近傍に必ずしも位置する必要はない。
【0023】
「機能上独立した単位」または「機能上分離している」という表現は、2つ以上の遺伝子が重複していないことを意味し、用語「遺伝子」はコード配列のみならず対応するプロモーターも包含している。特定的には、これは、レップおよびキャップ遺伝子についてはそれについて野生型AAVゲノムでは、レップ遺伝子のコード配列が、キャップ遺伝子のコード配列およびキャッププロモーター(P40)と重複しているが−その2つの遺伝子はもはや重複していないことを意味している。これは、たとえば共同で用いられるコード配列の両方の部分によって達成され、かつp40プロモーターは複製される(たとえば1A図を参照されたい)。これはゲノムにおける遺伝子の異なる配置を意味してもよい。1つの可能性は、遺伝子が、異なる部位でゲノムへ組み込まれようと、異なるプラスミドまたはそれらの混合物上に位置しようと、ゲノムの異なる場所に位置しているということである。第2の可能性は、遺伝子はまた、各遺伝子がそれ自体のプロモーターによって制御されているが、同じDNA分子、たとえば染色体またはプラスミド上に並んで位置しているということである。この型の配置は、たとえば異なるDNA分子上の2つの遺伝子が一緒に形質移入されるとき起こりうる。その形質移入中、これらの分子はコンカテマー(鎖状体)を形成してもよく、そのコンカテマーは、次にゲノムに1つの部位で組み込まれるが、まだ機能上独立した単位を形成している。
【0024】
この発明の目的のために使用されているような表現「組換え型」は、自然に求められる単位と比較して、改変される遺伝子単位のことをいう。この用語のアデノ随伴ウイルスへの応用は、そのウイルスが、クローニング、制限および/または結合ステップの組み合わせによって発生されてきた、かつアデノ随伴ウイルスにおいて自然に生じていない1つ以上の核酸を宿していることを意味している。
【0025】
この発明のために使用されているような用語「自然プロモーター」および「相同プロモーター」は、プロモーターのまたは制御配列の遺伝子単位が、それが比較される単位の残りとして同じ生物体に由来していることを意味している。逆に、「非相同プロモーター」または「不自然プロモーター」は、プロモーターが、その自然コード配列から分離されてきたこと、および他のコード配列に操作結合されてきたことを意味している。
【0026】
細胞におけるタンパク質の「安定な発現」は、タンパク質をコードするDNAが、親細胞のゲノムに組み込まれ、かつそれゆえ細胞分裂上で娘細胞に安定して伝達されることを意味している。「安定な発現」はまた、DNAがエピゾームで存在しており、かつ独立した複製によって安定したままであることを意味してもよい。これは、たとえば、開始タンパク質(たとえば、SV40ラージT抗原、EBNA1)および複製基点(たとえば、SV40ori、EBV(エプスタイン・バーウイルス)oriP)で構成される公知の、特にウイルスの複製系によって達成される。たとえばプラスミド等のエピゾームは、ある条件下では、次の世代に伝えられてもよいが、親細胞においてエピゾームで存在する遺伝子材料は、染色体性に組み込まれた材料より早く失われる。たとえば、興味のあるヌクレオチドのすぐ近傍に選択可能マーカーを組み込むことを経て、興味のある遺伝子材料の維持および伝達を組み込むことが可能であり、それゆえヌクレオチドを宿している親細胞を淘汰圧下で保つことができる。
【0027】
用語「ペルパーコンストラクト」は、この発明の目的のために、AAVレップ遺伝子および/またはAAVキャップ遺伝子のいずれかを含む組換え型AAVプラスミドを意味している。
【0028】
用語「ベクターコンストラクト」は、この発明によれば、ITR領域によって結合される外来性DNA(=導入遺伝子)を宿している組換え型AAVプラスミドを意味している。
【0029】
用語「パッケージング細胞」は、この発明の目的のために、1つ以上のヘルパーコンストラクトを含むが、ベクターコンストラクトを含まない親細胞を意味している。
【0030】
用語「産生株細胞」は、この発明の目的のために、1つ以上のヘルパーコンストラクトおよび1つ以上のベクターコンストラクトの両方を含む親細胞を意味している。この産生株細胞は、それがヘルパーウイルスに感染することが、rAAVの生成に必要であるなら、ヘルパーウイルス依存性であってもよい。しかしながら、産生株細は、もしその細胞が、たとえば1つ以上の誘発性プロモーターの制御下で、rAAV生成を誘発するのに必要な遺伝子を宿しているなら、ヘルパー非依存性であってもよいし、かつそれゆえrAAVの生成のためのヘルパーウイルスに感染される必要がない。
【0031】
用語「ベクター細胞」は、この発明の目的のために、1つ以上のベクターコンストラクトを含むが、ヘルパーコンストラクトを含まない親細胞を意味している。
【0032】
組換え型アデノ随伴ウイルスをパッケージングするこの発明の親細胞を生成するのに用いられる1種のヘルパーコンストラクトは、少なくとも1つのレップタンパク質をコードする核酸配列を含み、そこでレップタンパク質は、タンパク質Rep78、Rep68、Rep52およびRep40、特にRep68、Rep52およびRep40、特定的にはRep68およびRep52を意味している。他のヘルパーコンストラクトは、核酸配列を含み、それは公知のキャップタンパク質の少なくとも1つをコードし、そこでキャップタンパク質は、タンパク質VP1、VP2およびVP3である。これらのタンパク質のための遺伝子、およびそれらのITR配列を、クローンの形で一般に入手可能である野生型AAVから単離することができる。このように、たとえば、クローンpSM620は、Samulski(サミュルスキー)他(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 米国国立科学アカデミー予稿集)79、2077によって説明されている;クローンpAV1は、Laughlen(ローレン)他(1983)Gene(遺伝子)23、65によって説明されており、かつクローンsub201は、Samulski(サミュルスキー)(1987)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)61、3096によって説明されている。
【0033】
この発明の好ましい実施例では、レップタンパク質およびキャップタンパク質の発現のためのヘルパーコンストラクトは、機能上独立した単位として、親細胞のゲノムに組み込まれる。このことが野生型AAV(rcAAV)の形成を効果的に防ぐのは、野生型ウイルスを形成するためには、全くまれではあるが、各細胞分裂で10−7、言い換えると合計10−14 の周波数を持つ2つの組換え事象が必要となるであろうからである。事実、2×1010のゲノム粒子を含む組換え型ウイルス標本においては、いかなるrcAAVも検出可能ではない。
【0034】
さらなる好ましい実施例では、レップタンパク質の発現は、自然AAVプロモーターP5によって制御され、かつキャップタンパク質の発現は、自然AAVプロモーターP40によって、特定的には自然AAVプロモーターP19およびP40によって、特に自然AAVプロモーターP5、P19およびP40によって制御される。
【0035】
上記の実験から、レップ発現のための非相同プロモーターの使用では、rAAVの高収率が適切に調節されなかったことがわかった(Hoelscher(ヘンシェル)C.他(1994)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)68、7169−7177;Yang(ヤング)Q.他(1994)J.Viol.(ウイルス学ジャーナル)68、4847−4856)。この発明の最も好ましい実施例では、キャップ発現プラスミドが、ヘルパーウイルス感染またはヘルパーウイルス遺伝子産物とレップタンパク質発現との両方に依存する調節された発現を可能にするために、AAVプロモーターP5、P19およびP40を含むのは、この配置は、自然溶解性のAAV生活環が最もよく反映されたものであるからである。この配置は、厳密に調節されるキャップタンパク質の発現に非常に適していることがわかった。大量のキャップタンパク質を発現する非相同プロモーターを用いる数多くの研究が、この発明の目的のために、今まで文献で発表されてきた(Gao(高)他(1998)上記参照、Grimm(グリム)D.(1998)Human Gene Therapy(ヒト遺伝子治療)9、2745−2760)が、自然プロモーターP5、P19およびP40が、キャップタンパク質発現のために使用されたのは、P40プロモーターがもはや他のプロモーターP5およびP19の自然環境にないとき、それは恒常的なプロモーターとして働くということがわかってきたからである。自然AAV制御配列の使用は、キャップ遺伝子の調節された発現に必要な転写因子は、それらの調節機能を発揮するために、自然プロモーター領域に全ての結合部位を見つけ出すことを保証することを可能にした。
【0036】
更なる好ましい実施例では、親細胞におけるレップタンパク質およびキャップタンパク質の発現は、互いに依存して調節される。このアプローチは、第1の場所では、弱いキャップの発現が、安定な細胞系にrAAVを効率的にパッケージングするのに必要であることがわかったので選択されたが、さもなければ、大量のキャップは、細胞に対して毒性効果を持つからである。比較すると、強いキャップの発現は、パッケージング時に起こらなければならない。恒常的な非相同プロモーターは、同時にこれらの2つの判定基準に従うことはできない。これは誘発性非相同プロモーターを用いることによって改良されうるが、実施においては、そのようなプロモーターによる正確な時間的調整およびキャップ発現力を実現するのは非常に困難である。自然相同プロモータを使用することで、ヘルパーウイルス遺伝子産物および/または細胞ヘルパー遺伝子ならびにRepによって、キャップの発現が活性化に結び付けられ、かつそれゆえ野生型の状況におけるように正確に時間的制御を提供する。レップタンパク質およびキャップタンパク質をコードする核酸の転写は、自然制御配列によって、特定的には自然AAVポリA信号によってとりわけ有利に終了される。AAVキャップおよびレップ遺伝子の転写を終了させる相同配列の使用は、転写の開始と同じようにして、AAVベクター系によって生成されるrAAV粒子の量を増加させる。
【0037】
親細胞として、哺乳類細胞、特定的にはヒト子宮頚癌細胞、特にHeLa細胞を用いるのが適当である。HeLa細胞は、AAVのP5プロモーターがHeLa細胞において実質的に不活性であるのでとりわけ有利であるということがわかってきており、かつそれゆえ、AAVレップタンパク質のための発現カセットが、それらのゲノムに、自然調節エレメントの制御下で安定して組み込まれることが可能であり、それゆえレップタンパク質は、これらの細胞においていかなる毒性効果ももたない(Clarke(クラーク)他(1995)Human Gene Therapy(ヒト遺伝子治療)6、1229−1341;Tamayose(玉寄)他(1995)Human Gene Therapy(ヒト遺伝子治療)7、507−513;Inoue(井上)&Russell(ラッセル)(1998)上記参照、Gao(高)他(1998)上記参照)。
【0038】
この発明の更なる局面は、親細胞における少なくとも1つのAAVレップタンパク質の安定な発現のための第1ヘルパーコンストラクトに関するものであり、レップタンパク質をコードする核酸は、AAVの自然制御配列に、特に自然AAVプロモーターP5に操作結合され、かつ親細胞における少なくとも1つのAAVキャップタンパク質の安定な発現のための第2ヘルパーコンストラクトに関するものであり、キャップタンパク質をコードする核酸は、AAVの自然制御配列に、好ましくは自然AAVプロモーターP40に、特定的には自然AAVプロモーターP19およびP40に、特に自然AAVプロモーターP5、P19およびP40に操作結合される。
【0039】
レップおよびキャップを異なる発現単位に分離する利点は、キャップ遺伝子またはキャップ発現単位の代わりに、異なるAAV血清型のキャップ遺伝子またはキャップ発現単位を用いることによって、異なる血清型のAAV粒子を生成することが可能であるということであり、同じレップ遺伝子または同じレップ発現単位、および同じベクターコンストラクトを使用することが可能である。したがって、このことは、同じベクターコンストラクトの異なるAAV血清型を使用することがさまざまな理由のために意図されているなら、努力を最小にする。
【0040】
この発明の更なる局面は、ヘルパーコンストラクトを含み、少なくとも1つのレップタンパク質をコードする核酸配列であり、レップタンパク質は、Rep68、Rep52および/またはRep40であるが、Rep78でない。というのは、驚いたことに、Rep52、Rep40および3つのキャップタンパク質VP1、VP2およびVP3とは別に、AAVベクターのパッケージングには、Rep68のさらなる発現のみで十分であることを立証するのが可能になってきたからである。これらのRep78欠損ヘルパーコンストラクトの利点は、パッケージング細胞に対して通常毒性がある最も大きいレップタンパク質が全然発現されないということである。レップタンパク質の中では、Rep78が、細胞工程、たとえば転写等に対して最も大きい抑制活性を有することがさらにわかってきた。したがって、このヘルパーコンストラクトを使用すると、Rep78がないために、パッケージング効率を増加させることが可能である。Rep68およびRep78の両方とも、自然系においてはp5プロモーターによって発現される。Rep78欠損ヘルパーコンストラクトの使用が有利であるさらなる理由は、Rep68は、Rep78と比較して、アデノウイルス感染細胞におけるAAVプロモーターP19およびP40のより強いトランス活性化因子を表しているからである(Hoerer(ヘーラー)他(1995)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)69、5485−5496;Weger(ウエガー)他(1997)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)71、8437−8447)。したがって、このRep78欠損ヘルパーコンストラクトの使用によって、より小さいRepタンパク質Rep40およびRep52のおよびキャプシドタンパク質の発現が強まり、かつそれゆえ所望のより高いパッケージング効率がもたらされる。
【0041】
Rep78欠損ヘルパーコンストラクトpUC“Rep68,52,40Cap”(RBS)Δ37(図12を参照)は、介在配列(イントロン配列)の欠失を含めて、ヌクレオチド201からヌクレオチド4497まで、およびヌクレオチド658からヌクレオチド4460までのAAV配列を、細菌性発現プラスミドUC19へクローニングすることによって生成され、pUC19配列におけるレップタンパク質のための結合部位は欠失された(図6を参照されたい)。この方策の使用を経て、2つのレップ遺伝子および少なくとも2つのキャップ遺伝子は、各々が転写を終了するためのそれ自体のポリA配列を持つが、継続的に配置されている。第1部位(AAV配列ヌクレオチド201からヌクレオチド4497まで)から始まって、レップタンパク質Rep68およびRep40、ならびにキャップタンパク質VP2およびVP3を発現することが可能であり、一方第2部位(AAV配列ヌクレオチド658からヌクレオチド4460)から始まって、レップタンパク質Rep52およびRep40、ならびにキャップタンパク質VP1、VP2およびVP3が発現される。したがって、全体的に見て、Rep78を除いて、AAV−2タンパク質の全てがコード化される。
【0042】
同様にRep78欠損ヘルパーコンストラクトpUC“ΔRep78Cap”(RBS)Δ37(図13を参照)は、上記AAV配列(介在配列の欠失を含むnt201−2310;nt658−4460)を、細菌性発現プラスミドPUC19へ同様にクローニングすることによって生成された(図6を参照されたい)。もう1度、pUC19配列におけるRepタンパク質のための結合部位は欠失された。レップ遺伝子は、このようにして部分的に複製された。このようにして生成されたヘルパーコンストラクトは、ポリA配列を1つだけ含み、それゆえ全てのmRNA(伝令RNA(リボ核酸))転写物は、同じ3’端部を有する。第1部位(AAV配列ヌクレオチド201からヌクレオチド2310まで)から始まって、レップタンパク質Rep68およびRep40を発現することが可能であり、一方第2部位(AAV配列ヌクレオチド658からヌクレオチド4460)から始まって、レップタンパク質Rep52およびRep40、ならびにキャップタンパク質VP1、VP2およびVP3が発現される。したがって、全体的に見て、Rep78を除いて、AAV−2タンパク質の全ても、このベクターコンストラクトによってコード化される。
【0043】
レップタンパク質Rep68、Rep52およびRep40を発現するためのヘルパーコンストラクトpUC“ΔRep78Cap”(RBS)Δ37は、ヘルパーコンストラクトpUC“ΔRep78Cap”(RBS)Δ37のキャップ遺伝子(ヌクレオチド2203から4410)からAAVヌクレオチド2945から4046を欠失させることによって生成される。機能キャップタンパク質を、この欠失のためにもはや発現することはできない。
【0044】
この発明の更なる局面は、AAVに非相同的でありかつITR配列によってフランキングされる1つ以上の核酸を含むベクターコンストラクトであり、5’に位置するITR配列は、Cパリンドローム(回文構造)の領域に結失を有する。
【0045】
ベクターコンストラクトは、AAV配列1−60/83−191(左ITRとしてΔCアームITR−その説明については下記参照)および4498ないし4671(右ITRとして)を含む。
【0046】
AAV−2のITR配列は、145塩基対の長さであるが、大きなパリンドローム(A)および2つのより小さなパリンドローム(BおよびC)で構成されることが公知である。T形ヘアピン構造についてのITR配列の第1の125塩基(たとえば、Muzyczka(ムジカ)N.(1992)上記を参照されたい)。この場合には、末端配列が、2つの構成の一方にあることが可能である。「フリップ」とも呼ばれているこの第1の構成では、Bパリンドロームは、3’端部により近く、かつ「フロップ」とも呼ばれている第2の構成では、Cパリンドロームは、3’端部により近い(Svivstava(スヴィブスタバ)A.他(1983)V.Virol.(ウイルス学ジャーナル)45(2)、555も参照されたい)。この2つの構成は、組換え事象を経てそれらの構成を頻繁に変化させるが、それは、対応するベクターコンストラクトの不安定化をもたらす。
【0047】
驚いたことに、5’フランキングITR配列内での欠失は、ヌクレオチド61から82までの領域において、好ましい実施例では80ヌクレオチド、特定的には40ヌクレオチド、特に22ヌクレオチドを含むが、これらのベクターコンストラクトの安定性をもたらすことが今ではわかってきているのは、フリップフロップ配向間の構成の変化はもはや可能ではないからである(図8を参照されたい)。
【0048】
驚いたことに、5’ITR配列のCパリンドロームにそのような欠失を有するベクターコンストラクトを、無傷のITR配列を持つベクターコンストラクトとちょうど同じくらい効率的にパッケージングすることができることがさらにわかってきている。
【0049】
したがって、この発明は、さらに、AAVに非相同的でありかつITR配列によってフランキングされる1つ以上の核酸を含むベクターコンストラクトに関するものであり、5’に位置するITR配列は、Cパリンドロームの領域に結失を有する。
【0050】
この発明のさらなる局面は、さらに、5’に位置するITR配列がCパリンドロームの領域に結失を有するベクターコンストラクトを含むベクター細胞である。
【0051】
この発明のさらなる局面は、AAVに非相同的である1つ以上の核酸、特定的にはサイトカイン、特定的にはIL2、IL4、IL12および/またはGM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)および/または同時刺激分子から選択されるタンパク質、特定的にはB7、特にB7.1および/またはB7.2をコードする核酸を含むベクターコンストラクトに関するものである。しかしながら、この発明によれば、非相同的な核酸配列として、いかなる翻訳または他に非翻訳核酸配列を使用することも可能である。好ましくは、1つ以上の非相同的な核酸配列は、熟練した研究者に公知の従来のクローニング技術(Sambrook(サムブロック)他(1989)Molecular Cloning(分子クローニング):研究室マニュアル、Cold Spring Harbor Laboratory(コールドスプリングハーバー研究室)、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク)によって複製欠損ベクターコンストラクトに導入される。さらに、適当な核酸配列は、lymphotactine(リンホタクティン)等のケモカイン(炎症性細胞遊走因子)、ランテス(好酸球走化性物質)、MCP−1またはMip1α、IL12、IL17、IL18、IL2、GM−CSF、IL1、IL6,インターフェロンγまたはIL−10等のサイトカイン、または、たとえばICOSに対して、またICOSレセプター(受容体)に対して作られた抗体、抗体断片または一本鎖抗体、CD40、CD40リガンド(結合基)、VEGF(血管内皮増殖因子)、IL−1、たとえばHer−2/new等の腫瘍抗原に対して作られたTNF(腫瘍壊死因子)−α、ウイルス抗原またはIgEに対して;さらにICOS FC等の可溶性のレセプター形に対して作られたGD3またはCA125、ICOS−リガンドFC、CD40L FC、BCL−Xファミリーのタンパク質等アポトーシス誘発分子に対して作られたTNF−αレセプターFC、BAX、BADまたはカスパーゼ、パーフォリン等のネクローシス(懐死)誘発ペプチド、たとえば細菌に由来する毒素、HPV E6またはHPV E7等のウイルス腫瘍抗原、Bリンパ腫特異性のイデオタイプ抗体等の非ウイルス腫瘍抗原、BCRA−1、CA−125、α―フェクトプロテイン(胎児タンパク質)、CEA、p53、および因子VIIIまたは因子IX等の凝固因子のためのコード(翻訳)配列である。
【0052】
非翻訳配列は、さらにリボザイムまたはアンチセンスRNAとしての使用に適する。
【0053】
W0 98/06746は、GM−CSFを発現する遺伝操作されたメラノーマ(黒色腫)をワクチンとして用いることができるということを開示している。W0 94/16716は、少なくとも1つのサイトカイン、たとえばGM−CSFまたはB7および/または1つの腫瘍関連抗原を用いる癌治療における組換えウイルスの使用を開示している。B7遺伝子は、この場合には、いわゆるB7.1遺伝子のことをいう。W0 94/04196は、サイトカインを、かつさらにB7.1をも意味しているB7をコードする腫瘍症を治療するDNAコンストラクトを開示している。W0 92/00092は、B7.1をコードする核酸配列を開示しており、W0 94/03408およびW0 95/06738は、B7.2をコードする核酸配列を開示しており、かつEP−B1−0 188 479は、GM−CSFをコードする核酸配列を開示している。
【0054】
ベクターコンストラクトに関連してB7.2を使用することがとりわけ有利であったのは、生体外では、インターフェロンγまたはIL12と対照的に、B7.1に関連して、B7.2タンパク質はTリンパ球の活性化に対して抑制効果があることが調査によりわかってきたからである(Rudy(ルディ)他(1997)Int.Immunol.(International Immunology 国際免疫学)9、853)。GM−CSFをコードする第2核酸の存在下で、B7分子の腫瘍退縮性効果を上げることは可能である(ここではB7.1またはB7.2を使用することが可能である)。
【0055】
したがって、この発明のさらなる局面は、AAVに非相同的である1つ以上の核酸、特定的にはサイトカイン、特定的にはIL2、IL4、IL12および/またはGM−CSFおよび/または同時刺激分子から選択されるタンパク質、特定的にはB7、特にB7.1および/またはB7.2をコードする核酸を含むベクターコンストラクトに関するものである。取り扱いが比較的容易なため、GM−CSFをコードする核酸配列およびB7をコードする核酸配列の両方を含むいわゆる二重ベクターを特に優先する(図7を参照されたい)。二重ベクターの使用は、特定的にはパッケージング動作の数を減じる。驚いたことに、この発明の二重ベクターは、2つの個々のベクターとの同時感染がそうであるように、2つの外来性核酸の比較的効率的な発現を可能にする(同様に図7を参照されたい)。特定的には、非相同的な核酸は、AAVのITR配列によってフランキングされ、かつその発現は、AAVに非相同的なプロモーターおよび/またはエンハンサーによって、特定的にはサイトメガロウイルス(CMV)の主な前初期エンハンサー/プロモーター(MIEP)によって調節される。適当なプロモーターは、AAVに非相同的であり、かつ真核生物細胞、好ましくは哺乳類細胞において活性である全てのプロモーターである。その例は、SV40プロモーターである(Samulski(サミュルスキー)他(1989)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)63、3822)、上述したCMVエンハンサー/プロモーター(Vincent(ビンセント)他(1990)Vaccine(ワクチン)90、353)またはレトロウイルスのLTRプロモーター(Lipkowski(リプコフスキー)他(1988)Mol.Cell.Biol.(Molecular and Cellular Biology 分子および細胞生物学)18、3988)。しかしながら、CMV MIEPは、その非常に強い発現のために特に好ましく、それは最小の変動しか受けない。
【0056】
この発明の更なる局面は、組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)のパッケージングおよび/または生成のための親細胞を作成する方法であって、次のステップを含む:
(a)レップヘルパーコンストラクトおよびキャップヘルパーコンストラクトの生成、
(b)親細胞へのレップヘルパーコンストラクトの導入、
(c)レップヘルパーコンストラクトを含む親細胞の選択、
(d)選択された親細胞への、キャップヘルパーコンストラクトの導入、および
(e)レップヘルパーコンストラクトおよびキャップヘルパーコンストラクトを含むパッケージング細胞の選択。
【0057】
レップヘルパーコンストラクトおよびキャップヘルパーコンストラクトの導入の配列もまた、逆にすることができる。同様に、レップヘルパーコンストラクトのおよびキャップヘルパーコンストラクトの導入が、本来同時に起こることが可能である。
【0058】
さらなる可能性は、rAAVのヘルパーウイルス非依存性のパッケージング細胞を生成することであり、次の更なるステップを含む:
(e/d) 産生株細胞への、ヘルパーウイルスの少なくとも1つのヘルパー遺伝子および/または1つの調節された細胞ヘルパー遺伝子の導入、および
(f/e) 1つ以上のヘルパー遺伝子を含むベクター細胞の選択。
【0059】
この種類の細胞には、ヘルパーウイルス感染がrAAV生成に必要であるという利点がある;それどころか、rAAV生成を、たとえばヘルパー遺伝子のプロモーターを誘発することによって開始することができるだろう。ヘルパー遺伝子は、この点については、AAVのヘルパーウイルスの遺伝子および/または細胞遺伝子であり、それらの遺伝子産物は、AAV複製に必要であるか、または後者を促進する。たとえばアデノウイルスにおいては、ヘルパー遺伝子は、E1B、E4、E2AおよびVAである。E1Aは、AAVのp5プロモーターのトランス活性化に必要である。E1BおよびE4遺伝子産物は、この点については、AAVのmRNAの蓄積を高めるのに役立つ。E2AおよびVA遺伝子産物は、AAVのmRNAスプライシングおよび翻訳を強めるのに役立つ。この発明によれば、ヘルパー遺伝子として含まれるのは、また単純ヘルペスウイルス(HSV)ヘルパー遺伝子である。好ましい実施例では、これらは7つの複製遺伝子UL5、UL8、UL9、UL29、UL30、UL42およびUL52であり、8および52はHSVヘリカーゼープライマーゼ複合体を形成し、UL29は一本鎖DNA結合タンパク質をコードし、UL42は、二重鎖DNA結合タンパク質をコードし、UL30は、HSV DNAポリメラーゼをコードし、かつ最後にUL9は、HSVの複製開始点を結合させるタンパク質をコードする(Weindler(ヴァィンドラー)FWおよびHeilbronn(ハイルブロン)R(1991)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)65.(5):2476−83)。個々のヘルパー遺伝子、たとえばアデノウイルス型5(Ad5)の代わりに、ヘルパーウイルスを使用することがとりわけ有利であるのは、このことは、ヘルパーウイルスの存在下でAAV複製の自然状況に最も近づくからであり、かつそれゆえrAAV粒子のパッケージングは非常に効率的である。他のヘルパーウイルスの例は、ヘルパーウイルスまたはワクシニアウイルスである。
【0060】
この発明の1つの構成成分は、rAAVベクター細胞の生成であり、次のステップを含む:
(a)ベクターコンストラクトの生成、
(b)親細胞へのベクターコンストラクトの導入、および
(c)ベクターコンストラクトを含むベクター細胞の次の選択。
【0061】
さらなる可能性は、ヘルパーウイルス非依存性rAAVベクター細胞を生成することであり、次のさらなるステップを含む:
(d)産生株細胞への、ヘルパーウイルスの少なくとも1つのヘルパー遺伝子および/または1つの調節された細胞ヘルパー遺伝子の導入、および
(e)1つ以上のヘルパー遺伝子を含むベクター細胞の選択。
【0062】
このヘルパーウイルス非依存性のベクター細胞の利点は、ヘルパーウイルス非依存性のパッケージング細胞の利点に対応する。
【0063】
この発明のさらなる局面は、rAAV産生株を生成する方法に関するものであり、次のステップを含む:
(a)上述したような、パッケージング細胞の生成、
(b)パッケージング細胞への、少なくとも1つのベクターコンストラクトの導入、および
(c)1つ以上のベクターコンストラクトを含む産生株細胞の選択。
【0064】
産生株を生成するさらなる可能性は、次のステップから成る:
(a)上述したような、ベクター細胞の生成、
(b)ベクター細胞への、上述した少なくとも1つのヘルパーコンストラクトの導入;複数のヘルパーコンストラクトに関しては、これは一緒にまたは経時的に起こりうる、および
(c)1つ以上のヘルパーコンストラクトを含む産生株の選択。
【0065】
この発明のさらなる局面は、ヘルパーウイルス非依存性のrAAV産生株細胞の生成に関するものであり、次のさらなるステップを含む:
(d)産生株細胞への、ヘルパーウイルスの少なくとも1つのヘルパー遺伝子および/または1つの調節された細胞ヘルパー遺伝子の導入、および
(e)1つ以上のヘルパー遺伝子を含む産生株細胞の選択。
【0066】
このヘルパーウイルス非依存性の産生株細胞の利点は、ヘルパーウイルス非依存性のパッケージング細胞の利点に対応する。
【0067】
コンストラクトの導入は、一般的に、この発明の目的のための形質移入を意味する。しかも、コンストラクトが、親細胞のゲノムへ永久に組み込まれない可能性があり、このことは、一般的に、一過性形質移入と呼ばれる。しかしながら、これに代わるものとして、コンストラクト、特定的にはベクターコンストラクトは、親細胞のゲノムへ安定して組み込まれることもでき、または(たとえばSV40ラージT抗原/SV40oriまたはEBNA1/EBVoriPからの複製系を用いて)安定なエピゾームコピーとして保持されることもできる。そのような組み込まれたコンストラクトは、親細胞ゲノムのDNA複製に従って複製され、かつ引き続いて娘細胞に伝えられる。
【0068】
この発明の方法の特定の実施例においては、1つ以上のコンストラクトの、特定的には1つ以上のベクターコンストラクトの導入は、ウイルスに感染することによって起こる。この点については、組換え型ウイルスが優先され、たとえばrAAV、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスおよび/またはファージ、特にバクテリオファージを使用することが可能である。
【0069】
組込み事象を用いる細胞についての事前選択は、さらに、安定して組み込まれたコンストラクトを持つ細胞を選択するためのパッケージング、ベクターおよび/または産生株細胞を生成する上記方法に適している。たとえば、形質移入されるべきレップまたはキャップヘルパーコンストラクトを、10:1の比でレポーターコンストラクトと混合することができ、かつ親細胞へ共同で導入し、たとえば同時形質移入することができる。これに続いて、レポーターについて選択が行なわれるのは、レポーターコンストラクトが組み込まれた細胞はまた、高い確率で、それぞれのヘルパーコンストラクトを組み込んだと想定することができるからである。
【0070】
適当な細胞を、各々の場合に、タンパク質発現の検出によって、たとえばウエスタンブロッティングによって選択することができる。細胞におけるコンストラクト特異性核酸の定量検出は、たとえば定量ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、またはサザンまたはノーザンブロッティングによって、同様に適当であろう。
【0071】
適当な細胞を検出する好ましいやり方はまた、パッケージングについて欠けているコンストラクトを特定の細胞へ導入することによって、かつヘルパーウイルスに感染することでパッケージングを開始することによって、rAAVのこれらの細胞へのパッケージングを直接検出することである。
【0072】
レップまたはキャップヘルパーコンストラクトを含むパッケージング細胞にとっては、各々の場合に、他のヘルパーコンストラクトのための、およびたとえばGFP(緑色蛍光タンパク質)などのカラーマーカーを導入遺伝子として有するベクターコンストラクトのための必要性がある。比較すると、レップおよびキャップヘルパーコンストラクトを有するパッケージング細胞にはベクターコンストラクトのみが必要である。レップおよびキャップヘルパーコンストラクトは、ベクター細胞に必要である。ヘルパーコンストラクトもベクターコンストラクトもどちらも、産生株細胞には必要でない。これらの細胞は、引き続いて誘発されて、ウイルスヘルパー遺伝子の導入によって、特定的にはヘルパーウイルスに感染することによってrAAVを生成することができる。これと対照的に、ヘルパーウイルス非依存性のパッケージング、ベクトルまたは産生株細胞は、それらが必要なヘルパー遺伝子の全てを既に含んでいる限りヘルパー遺伝子の導入を必要としないか、あるいはわずかなヘルパー遺伝子の導入のみを必要としている。これらの細胞には、rAAV生成を開始するために、単にヘルパー遺伝子を誘発する必要があるにすぎない。
【0073】
引き続いて、AAVの力価は、従来の方法によって決定されることができ、それから最適なキャップまたはキャップ/レップの発現の手段として役立つ。この手順は、適当な細胞の選択において、発現される絶対量についてのみならず、キャップ発現のレップ発現との最適な比について選択がなされるという利点がある。しかも、この方法には、この場合、無傷のレップおよびキャップ遺伝子についてさらに選択がなされるという利点があるのは、rAAVのパッケージングにはもはや適さないタンパク質をまだ生成しているレップおよび/またはキャップの突然変異体は、上述の他の検出方法では同定されないであろうからである。
【0074】
この発明のさらなる局面は、rAAVを生成するための、レップヘルパーコンストラクトおよび/またはキャップヘルパーコンストラクトのおよび/またはベクターコンストラクトの、および/またはパッケージング細胞の、ベクター細胞のまたは産生株細胞の、特定的にはヘルパーウイルス非依存性の産生株細胞の使用に関するものである。
【0075】
rAAVベクターコンストラクトは、AAVに非相同的である1つ以上の核酸を含む。既に上述したように、GN−CSFおよびB7.1および/またはB7.2が、非相同的な核酸として用いられる場合には、パッケージング動作から生じ、かつ2つの免疫賦活性遺伝子を宿しているrAAV粒子を、種々の腫瘍症、たとえばメラノーマまたは卵巣癌の治療にとって効率的な形質導入ベクターとして用いることができる。
【0076】
以下の図面および説明は、この発明をより詳細に説明することを意図しているが、それを制限するものではない。
【0077】
図の説明
図1Aは、野生型AAVと比較したこの発明のいくつかのヘルパーコンストラクトの図式による表示を示している。自然AAVプロモーターP5、P19およびP40は、AAVゲノムの主なイントロン(“I”)およびAAVゲノムの自然ポリA(アデニル酸)信号(“pA”)のように示されている。コード配列は、AAVのレップ遺伝子およびキャップ遺伝子についても示されている。
【0078】
図1Bは、3つの異なるベクターコンストラクトの図式による表示を示しており、左および右フランキング(側方)端部でのITRを示している。名称「CMV」は、サイトメガロウイルスの主な初期プロモーターを表している。名称「I」は、プロメガ社のpCIプラスミドに存在するイントロンを示している。名称「pA」は、サルウイルス40(SV40)のポリA信号を示している。略語「GFP」は、緑色蛍光タンパク質を表し、「B7.2」は、免疫同時刺激タンパク質B7.2を表し、「GM−CSF」は、顆粒球/マイクロファージコロニー刺激因子を表し、かつ「nLacZ」は、酵素β―ガラクトシダーゼの核局在形を表している。
【0079】
図2は、ウエスタンブロッティング実験によって、安定なレップ細胞系の同定を示している。HeLa細胞には、レップヘルパーコンストラクト(P5 Rep)を形質移入されたが、Repの発現は、自然AAVプロモーターP5およびP19によって制御された。ハイグロマイシン選択マーカーは、図示したレップヘルパーコンストラクトへ1:19の比で形質移入されたが、示していない。引き続いて、いくつかの耐ハイグロマイシン細胞クローンを取り上げ、かつレップ発現を、アデノウイルスをヘルパーウイルスとして誘発した(レーン1−8)。細胞タンパク質の全量を、特異性レップ抗血清を用いて、ウエスタンブロッティングによって単離しかつ分析した。番号78/68/52/40は、レップタンパク質Rep78、Rep68、Rep52およびRep40のことをいう。「M」は、分子量基準を表し、「+」は、ポジティブコントロール(正の対照)を表し、かつ「−」は、ネガティブコントロール(負の対照)を表す。
【0080】
図3は、種々のコンストラクトから始まるキャップ遺伝子の誘発性発現を示している。低いゾーンに示されたキャップヘルパーコンストラクトを用いて、レップ発現細胞系R84を形質移入した。細胞を、引き続いてアデノウイルス(MOI5)に感染させた(レーン1ないし4および「+」で標識されているwt)か、または制御として感染させなかった(レーン1ないし4および「−」で標識されているwt)。72時間後、細胞タンパク質全体の含有量を、キャップタンパク質VP1、VP2およびVP3の発現のためのウエスタンブロッティング分析によって調査した。
【0081】
図4は、アデノウイルス感染後、安定なパッケージング細胞系C97におけるレップおよびキャップタンパク質の誘発性発現を示している。C97細胞またはHeLa制御細胞を、アデノウイルス(MOI5)に感染させるかあるいは制御として感染させなかった。感染の72時間の後、細胞タンパク質全体を、それに特異的な抗体を用いて、キャップおよびレップタンパク質の存在について、ウエスタンブロッキングによって抽出しかつ分析した。アデノウイルス感染の後、パッケージング細胞系C97において、4つのレップタンパク質Rep78、Rep68、Rep52およびRep40がはっきりわかり、かつより小さい程度までキャップタンパク質VP1およびVP2が、かつより大きい程度までキャップタンパク質VP3がはっきりわかった。
【0082】
図5は、C97細胞における組換え型AAV(rAAV)の複製を示しており、rAAV複製中間体は、あらかじめrAAVおよびアデノウイルス(MOI5)に感染されるC97細胞から単離される低分子量DNAとして検出されている。典型的には、感染の72時間後、完全な細胞変性効果を観察することが可能であり、かつ細胞をこのとき集めた。細胞構成成分を除去するために、細胞の半分を、低分子量DNAを単離するために用い(第1増幅ラウンド)、かつ細胞の他の半分を、また3回凍結しかつ解凍し、それから遠心分離した。それから上澄みは、無傷のヘルパーウイルスを失活させるために、30分間56度で処理した。引き続いて、上澄みを用いて、新たなヘルパーウイルス(MOI5)と共に、新鮮なC97細胞を感染させた。明瞭な細胞変性効果は、再度観察可能であり、かつ低分子量DNAが単離された(第2増幅ラウンド)。元のAAV系統の感染価を得るために、第1および第2増幅ラウンドから単離したDNAを、AAVゲノムの複製中間体の存在について、この発明のベクターコンストラクトをプローブとして用いて、サザンブロッテリングによって分析した。
【0083】
図6は、さらなるヘルパーコンストラクトを図示しており、その全ては、クローニングベクターpUC19に由来する。
【0084】
図7は、単一および二重発現ベクターを図示している。
図8は、「Δ(Cアーム)」と呼ばれるCパリンドロームの構成フリップ、フロップおよび欠失を有するAAVベクターコンストラクトの5’に位置するITR配列を図示している。
【0085】
図9は、図8からの種々の構成の5’に位置するITR配列のヌクレオチド配列を図示している。
【0086】
図10は、欠失があるおよび欠失のない5’に位置するITR配列の、および3’に位置するITR配列のヌクレオチド配列を示している。
【0087】
図11は、フリップ配向構成に5’に位置するITR配列[pAAV(B7.2+GM−CSF)]を持つベクターコンストラクトと比較して、欠失した5’に位置するITR配列[pAAV−(B2.7free+GM−CSF)]を持つベクターコンストラクトの等しく効率的なパッケージングを図示している。
【0088】
図12は、pUC“Rep68,52,40Cap”(RBS)Δ37と呼ばれるレップ78欠損ヘルパープラスミドを図示している。
【0089】
図13は、pUC“ΔRep78Cap”(RBS)Δ37と呼ばれるさらなるレップ78欠損ヘルパープラスミドを図示している。
【0090】

1.プラスミド構成
この発明の目的のために用いられるプラスミド(ベクターコンストラクト、ヘルパーコンストラクト)を、上記のサムブロック他(1998)で参照することができる標準クローニング技術を応用して生成した。これらのプラスミドの機能的に関連している部位を、図1ないし3、6、7、12および13に図式による表示で示す。プラスミドP5Rep(図1A)を、AAVゲノムのヌクレオチド2300−4170で構成されるDNA断片を欠失させることによって生成した。(Ruffing(ラフィング)他(1994)J.Gen.Virol.(Journal of General Virology 一般ウイルス学ジャーナル)75、3385−3392(遺伝子バンク目録No.AF 043303)。P5RepΔ37を、P5RepからAAV塩基4461−4497を欠失させることによって得た。プラスミドP5P19P40Cap(図1A)を、ヌクレオチド350ないし650および1045ないし1700間のDNA部位を欠失させることによって得た。P5P19P40CapΔ37を、P5P19P40CapからAAV塩基4461−4497を欠失させることによって得た。図3に示されるプラスミド1−4は、AAVゲノムの種々の欠失を含んでいる。プラスミド1は、AAVゲノムのBc1I切断部位とHindIII切断部位との間の配列を欠いている。プラスミド2は、NruI切断部位とBstEII切断部位との間の配列を欠いており、プラスミド3は、BamHI切断部位とBstEII切断部位との間の配列を欠いている。プラスミド4は、第1図から、プラスミドP5P19P40Capに対応する。rAAV−B7.2−GM−CSF(コロニー刺激因子)およびrAAV―GFPを、Promega(プロメガ)社(ドイツ)のpCIプラスミドを用いて作成し、それからITR配列を有するpUS19ベースのプラスミドへ伝達する(PCT/EP00/01090を参照されたい)。同様に制御として使用したベクターコンストラクトnLacZは、参照文献(Bertran(ベルトラン)他(1996)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)70、6759−6766)において既に説明されている。
【0091】
2.種々のベクターコンストラクトのパッケージング
特定のベクトルコンストラクトの5’に位置するITRにおけるCパリンドロームの欠失の、外来性DNA(=導入遺伝子)の発現に対する影響、およびこれらのベクターコンストラクトのrAAVへのパッケージングを調査するために、形質移入およびパッケージングの比較実験を行なった。この目的のために、ベクターコンストラクトのいくつかのクローンには、無傷の5’−ITR(たとえばpAAV−(B7.2/GM−CSF)−図11を参照)、および5’−ITR(ΔCアーム−たとえばpAAV−(B7.2free/GM−CSF))−図9および11を参照)のCパリンドロームに欠失があるベクターコンストラクトのクローンを、HeLa−t細胞へ、各々の場合、4×10 のHeLa−t細胞毎に6μgのプラスミドを用いて形質移入した。その形質移入の40時間後、B7.2発現細胞の比率を、FACS(蛍光表示式細胞分取器)分析によって求め、かつ細胞培養上澄み内のGM−CSFの発現を、ELISA(酵素結合免疫吸着決定法)技術によって見出した。表に示される値は、各々の場合、同じプラスミド型の4つの異なるクローンの複製の平均値を表す。第1実験では、未知の理由のため、達成された形質移入率は、第2実験の効率の約100倍未満にすぎなかった。このことは、実験1で細胞培養上澄み内のGM−CSFについて求めた値が、実験2におけるより低い2つの対数単位であった理由を説明している。したがって、実験1における細胞の約40%のみ形質移入することが可能であったが、一方実験2における細胞のほとんど全ては、タンパク質B7.2を発現した。
【0092】
【表1】
Figure 2004508041
【0093】
表1から明らかなように、2つのベクタープラスミドに関して達成された形質移入効率は、等しく良好で、それゆえ5’に位置するITRのCパリンドロームでの欠失は、ITR間でクローン化された、導入遺伝子のための発現カセットの発現強度にマイナスの効果を及ぼす。
【0094】
引き続いて、同じベクタープラスミドを使用して、rAAVへのパッケージングについての実験を行なった。この目的のため、各々の場合、4μgのベクタープラスミドには、12μgのヘルパープラスミド(pUC“rep/cap”(RBS)Δ37−図6を参照)を、10 HeLa−t細胞へ形質移入した。同様に、この場合、既に上述したように、形質移入効率は、2つの対数単位によって変わることが観察された。2日後、その細胞を、Ad−5(MOI2)に感染させた。感染の3日後、その細胞は、繰り返し凍結および解凍することによって、3mlの細胞培養液内で分裂され、細胞成分は、遠心分離によって小球形にされ、かつrAAVライセート(可溶化液)は、10分間60度でインキュベート(保温)されて、ヘルパーウイルスを失活させた。実験1における500μlのライセート(低い形質移入率)および実験2における5μlおよび25μlのライセートを用いて、3×10 の照射された(100Gy)HeLa―t細胞を感染させた。感染の40時間後、B7.2発現細胞の割合を、いずれもFACS分析によって求め、かつ細胞培養上澄み内のGM−CSFの発現を、ELISA技術によって見出した。以下の表2に示される値は、各々の場合、同じプラスミド型の4つの異なるクローンの複製からの平均値を示している。
【0095】
【表2】
Figure 2004508041
【0096】
表2から明らかであるように、非常に大量のrAAVは、両方のベクタープラスミドを用いて得られ、かつ5’に位置するITRのCパリンドロームに欠失があるベクタープラスミドを用いて得られたrAAVの量は、ベクタープラスドB7.2/GM−CSFを用いて得られた量よりさらに大きい。
【0097】
3.ヘルパーコンストラクトの生成
AAV塩基190ないし1060を、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応法)によって、野生型AAVのDNAから増幅した。このための5’プライマーを、独自のXbaI切断部位が位置199へ導入されるように選択した。それからPCR断片を、XbaIおよびBamHIで切断し、かつ同じようにして切断したベクターpUC19へクローン化した。全ての重要なP5プロモーターエレメントがヘルパーコンストラクトに存在することを保証するために、AAVゲノムにおける位置199を選択した。配列決定検査の後、野生型AAVのDNAをBamHIおよびSnaBIで切断し、かつ挿入断片を、引き続き、中間体のBamHIおよびSmaI位置へクローン化した。基本のヘルパーコンストラクトpUC“rep/cap”を、このようにして得た(図6)。このヘルパーコンストラクトは、AAV配列201ないし4497を含み、一方ベクターコンストラクトは、AAV配列1ないし191および1−60/83−191(左ITR)および4498ないし4671(右ITR)を宿している(図7を参照されたい)。いかなる相同AAV配列の重複もプラスミド上に存在しないことがこのようにして保証された。次に,AAVレップおよびキャップ遺伝子の最適な発現には必要ではないΔ37塩基を、pUC“rep/cap”におけるAAVゲノムの3’端部から欠失した。結果として生じるヘルパーコンストラクトは、pUC“rep/cap”Δ37と呼ばれ、かつ位置201から4460までの最小にされたAAV配列を含む(図6)。
【0098】
それからpUC19のベクター背骨におけるレップ結合部位(RBS)(配列:5’−CTCTTCCGCTTCCTCGCTCACTGAC−3を含めた位置684ないし708)を、この位置での非相同組換えを避けるために欠失させた。コンストラクトは、pUC“rep/cap”(RBS)Δ37と名付けられる(図6を参照されたい)。いくつかのプラスミドでは、レップ遺伝子(P5およびP19プロモーター)における3つのRBSが、個々にかつ種々の組み合わせで、レップタンパク質のアミノ酸配列を変化させることなく、さらに突然変異された(図6)。
【0099】
さらなるヘルパーコンストラクトにおいては、638の塩基対の長さのいわゆる機能分離配列(fs)を、レップ遺伝子とキャップ遺伝子との間に挿入した。この目的のために、最初に、AAV配列1691ないし2328は、それはレップC末端およびP40に不可欠なキャップ配列および全ての制御配列を含むAAVのP40プロモーターを含むが、スプライスされたレップバージョン(位置2329)のための終止コドンの後ろで二重化されかつクローン化された。この結果、AAVのP40プロモーターが生じ、それはキャップ遺伝子を制御し、レップ遺伝子の後ろで二重にされかつ挿入された。それからP40プロモーターを、レップアミノ酸配列を変化させることなく、レップ遺伝子において破壊した。このことは、P40TATAボックスの突然変異によって保証された。必要なクローニングステップについての全変化は、次のAAVヌクレオチドにあったが、それによってレップおよびキャップのアミノ酸配列を変化させることはなかった:1693(T→A)、1694(T→G)、2330(G→C)、2331(G→T)、2332(G→A)、1625(C→T)、1628(A→G)、1826(A→C)、1827(A→T)および1828(G→C)。結果として生じるヘルパーコンストラクトは、pUC“rep/fs/cap”Δ37と呼ばれる(図6)。
【0100】
さらなる配列を、同じようにpUC“rep/cap”(RBS)Δ37へ挿入し、結果としてpUC“rep/fs/cap”(RBS)Δ37と呼ばれるヘルパーコンストラクトが生じた。
【0101】
さらなるレップ78欠損ヘルパーコンストラクトを、AAVヌクレオチド1907ないし2227を欠失させることによって生成したが、それらのヌクレオチドは、二重鎖突然変異誘発によって、ヘルパーコンストラクトpUC“rep/cap”(RBS)Δ37(図6を参照)におけるレップイントロン(介在配列)に対応し、その結果中間物としてプラスミドpUCAAVスプライスが生じた。プラスミドpUCAAVスプライスを、制限酵素NdeIで直線化し、エキソヌクレアーゼ(ポリヌクレオチド末端加水分解酵素)、たとえばリョクトウヌクレアーゼ(核酸分解酵素)(Boehringer(ベーリンガー)マンハイム社、ドイツ)で処理し、次に制限酵素SphIと混合した。このようにして得られた4222bpの長さの断片は、ベクター断片との結合によって接続されて、レップ78欠損ヘルパーコンストラクトpUC“Rep68,52,40Cap”(RBS)Δ37(10657bp)(図12を参照)を与えた。このベクター断片を、制限酵素NruIおよびSphIで処理した後に、たとえば、6435bpの長さで得られるpUC“rep/cap”(RBS)Δ37(図6を参照)を用いて得ることができる。
【0102】
同じベクター断片を、さらなる78欠損ヘルパーコンストラクトpUC“ΔRep78Cap”(RBS)Δ37(図13を参照)を生成するためにさらに使用することができる。この目的のために、中間pUCAAスプライスを、制限酵素AseI、BsrBIおよびSphIで処理した。1808bpの長さのBsrBI−SphI断片は、6435bpの長さのベクター断片との結合によって接続されて、8243bpの合計長さの上記ヘルパーコンストラクトpUC“ΔRep78Cap”(RBS)Δ37を与えた。このクローニング方策を経て、両方のレップ78欠損ヘルパーコンストラクトにおけるレップ遺伝子が、部分的に複製された。したがって両方のレップ遺伝子によるレップタンパク質Rep68、Rep52およびRep40の増強された発現が可能となる。最後に、AAVのDNA部位2946−4049を、Apa1による消化および再結合によって、このコンストラクトから欠失させることができ、その結果レップ発現プラスミドpUC“ΔRep78Cap”(RBS)Δ37が生じ、それはRep68、Rep52およびRep40をもっぱらコード化する。上述のかつ図6に図式的に示したヘルパープラスミドは全て、ほぼ匹敵するパッケージング能力を有する。
【0103】
【表3】
Figure 2004508041
【0104】
Rep78欠損ヘルパーコンストラクトは、ヘルパーコンストラクトおよびベクターコンストラクトを逐次形質移入(下の表4に示されている実験1および3、ならびに表5のさらなる実験)すると、Rep78コード化ヘルパーコンストラクトと比較して、ほぼ等しく良好なパッケージング効率を示している。実験2では、同時形質移入が行なわれたため、他の実験条件が選択され、かつそれゆえ実験2は、いずれのパッケージング効率に関しても、実験1および3と比較することができない。
【0105】
【表4】
Figure 2004508041
【0106】
この発明のレップヘルパーコンストラクトp5RepΔ37(4つのレップタンパク質全てをコード化するが、キャップタンパク質はコード化しない)およびpUC“ΔRep78ΔCap”(RBS)Δ37(レップタンパク質Rep68、52および40をもっぱらコードする)を、キャップコンストラクトp5p19p40CapΔ37と共に、1:1の比で、適当なパッケージング細胞へ同時形質移入することで、引き続いてベクターコンストラクトを逐次または同時形質移入しかつアデノウイルスに重感染すると、レップとキャップ両方をコードする単一ヘルパーコンストラクトが細胞(pUC“rep/cap”(RBS)Δ37、pUC“Rep68,52,40Cap”(RBS)Δ37、pUC“Rep78Cap”(RBS)Δ37)へ形質移入されるときのように、匹敵するrAAV力価を再度達成することができるようになっている。これについてのデータを表5に示す。驚いたことに、今までは、このようにして生成されたrAAVライセートにはすこしもrcAAV汚染物質が見つけられなかった。
【0107】
【表5】
Figure 2004508041
【0108】
形質移入実験の目的のため、4μgのベクターコンストラクト(pAAV−GFP)には、12μgのヘルパーコンストラクトを、1×10 HeLa−t細胞へ同時形質移入した。(seq)によって指定される実験の場合においてのみ、最初16μgのヘルパーコンストラクトがあり、1日後には逐次形質移入された16μgのベクターコンストラクトがあった。レップおよびキャップが、別々のヘルパー遺伝子(p5RepΔ37、pUC“ΔRep78ΔCap”(RBS)Δ37およびp5p19p40CapΔ37)として形質移入されるパッケージング混合物では、レップおよびキャップは、1:1の比で同時形質移入される(言い換えれば、8μgのレップと8μgのキャップ)。(第1)形質移入の2日後、細胞は、Ad−5(MOI(感染効率)2)に感染された。3日後、細胞は、凍結/解凍溶解によって培養液内で分裂され、細胞成分は小球状にされ、かつrAAVライセートは、10分間60度で熱失活された。ライセートの種々の希釈を用いて、3×10 の照射されたHeLa−t細胞(100Gy)を感染させた。細胞をrAAVに感染させた40分後、それらの細胞を、FACSのフローにおいてGFP発現について分析し(以下参照)、かつrAAV未精製ライセートの伝達力価を、それから求めた。各ヘルパーコンストラクトを、少なくとも5つの独立した実験で検査した。
【0109】
4.三重の形質移入および逐次形質移入に最適なレップ/キャップ比
別々のレップおよびキャップ発現プラスミドを使用して、1:1のレップ/キャップ比を選択することは絶対的には必要ないので、次のプラスミドの組み合わせについて、最適なレップ:キャップ比を求めた。
【0110】
p5RepΔ37のp5p19p40CapΔ37との組み合わせ、およびpUC“ΔRep78ΔCap”(RBS)Δ37のp5p19p40CapΔ37との組み合わせを、各々の場合、ベクタープラスミドpAAV(B7.2free/GM−CSF)を用いて検査した。第一に、三重形質移入(3つのプラスミド全てを同時に形質移入すること)において、および第二に、逐次形質移入(最初2つのAAVヘルパープラスミドを、かつ1日後そのベクタープラスミドを形質移入する)において、これを調査した。
【0111】
3つのプラスミド全ての3重形質移入の場合には、ヘルパープラスミドとベクタープラスミドとの最適比を、常に4:1として選択した。それから最適なレップ:キャップ比を、ヘルパープラスミドについて決定した。12:1から1:12までのレップ:キャップ比を、4つの組み合わせ全てに対して検査した。表6に編集したレップ:キャップ比は、最終的に最適だとわかった(約10の個々の実験の平均値)。
【0112】
【表6】
Figure 2004508041
【0113】
それから各々の場合、最適なレップ:キャップ比(表6を参照)での種々のプラスミドの組み合わせを、それらのパッケージング効率の点で互いに比較した。ヘルパープラスミドpUC“rep/cap”(RBS)Δ37に同じベクタープラスミドを逐次形質移入することは、参照パッケージング(=100%)として役立った。その結果を、10の個々の実験の平均値として表7に編集する。
【0114】
【表7】
Figure 2004508041
【0115】
別々のレップーキャップヘルパープラスミドを用いて、参照プラスミドpUC“rep/cap”(RBS)Δ37(1.3ないし1.6倍に等しい132ないし162%)を用いるよりより高いパッケージング効率を達成することができることは表7から明らかである。ベクタープラスミドを逐次形質移入することにおけるpUC“ΔRep78ΔCap”(RBS)Δ37のp5p19p40CapΔ37との組み合わせのみ、粒子の生成の著しい減少を示している(70%パッケージング効率)。
【0116】
別々のヘルパープラスミドとの4つの混合物のいずれにおいてもwtAAVが検出可能でないことも重要であるが、一方参照プラスミドは、rAAVの力価と比較して、0.01%の領域で大量のrcAAVをまだ生成している。
【0117】
このように、この発明のヘルパープラスミドを用いて、より高いパッケージング効率を達成することもrcAAVの形成を妨げることもいずれも可能であった。
【0118】
5.細胞培養
HeLa開始細胞およびそれから由来する全てのパッケージング細胞系を、10%のウシ胎児血清を含んでいるダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)における単層細胞培養として維持してきた。さらに、種々の選択試薬を用いて、形質移入された細胞から安定な細胞系を得た。この点については、ハイグロマイシンBを500μg/mlの濃度で使用し、ネオマイシンを800μg/mlの濃度で使用し、かつ/またはピューロマイシンを1μg/mgの濃度で使用した。細胞を5%Co 雰囲気において37度で培養した。形質移入を、従来のリン酸カルシウム沈殿技術(Ca (PO )、およびQiagen(キアゲン)社(ヒルデン、ドイツ)のキットを用いて得たエンドトキシンを含まないプラスミドDNAの助けを借りて行なった。組み込まれるべきプラスミドおよび抵抗性プラスミドの同時形質移入の後安定な細胞系を得るために、2つのプラスミドについて20:1の混合比を選択した。
【0119】
6.安定なレップ発現細胞系の生成
レップコード化プラスミドを、ITR配列をもたないが他のAAV調節エレメントの全てを持つAAV2のゲノムから、キャップコード化配列の欠失によって生成した(図1)。引き続いて、HeLa細胞には、レップ発現コンストラクトを形質移入し、かつアデノウイルス感染後レップタンパク質を発現した細胞クローンを、第2図に示されるように、ウエスタンブロッティングによって同定した。単一クローンを選択し、かつヘルパーウイルスの存在下で挿入されたrAAVゲノムを複製するその能力を、詳細に特徴づけた。レップ細胞系の同定およびレップタンパク質の機能性の証明の後、この細胞系を用いて、キャップヘルパーコンストラクトをその細胞系へ挿入した。
【0120】
7.安定なキャップ細胞系を生成するの適しているヘルパーコンストラクトの同定
キャップタンパク質の発現が、自然AAV調節エレメントによって制御されるいくつかのプラスミドを作成した。第一に、P5プロモーターの制御下でキャップ遺伝子を構成するプラスミドを作成した。このプラスミドによって、ヘルパーウイルスがアデノウイルスに感染した後のみ、キャップタンパク質の発現が検出可能となるが、検出可能な量のタンパク質は比較的少ない。したがって、P5プロモーターとP19プロモーターとの間のDNA配列が欠失された第2プラスミドを作成した。このプラスミドは、キャップタンパク質のみならず、P19レップタンパク質もまた発現した。このキャップ発現プラスミドを用いて、非常に少ない量のキャップタンパク質のみが、ヘルパーウイルス感染後検出可能であった。引き続いて、第3図に図式的に示している一連のキャッププラスミド全体を作成した。これらのプラスミド全てによって、著しくキャップタンパク質が発現され、かつ達成したタンパク質の量は、ITR配列を除外すると(図3の「wt」参照)、AAVゲノム全体を含んでいるプラスミドからのタンパク質の量と匹敵した。第1図に示されるようなプラスミドP5P19P40Capを、次の実験全てについて使用したのは、それは、さまざまな実験で、他のキャップコンストラクト(図3を参照せよ)よりわずかに多い量のキャップタンパク質を常に提供したからである。
【0121】
8.レップおよびキャップタンパク質を発現する安定な細胞系の生成
レップタンパク質を安定して発現しかつ例5で説明した細胞系には、引き続いてプラスミドP5P19P40Capを形質移入した。アデノウイルス感染後、それから発現された大量のレップおよびキャップの両方を同定した(図4を参照されたい)。それから選択した細胞系におけるレップタンパク質とキャップタンパク質の機能性を、増幅2ラウンドに関して、感染性の実験で調査した。第5図の実験結果からは、レップタンパク質とキャップタンパク質はいずれも、選択した細胞系において機能的であり、かつ感染性rAAVはこれらの細胞に形成されることが明らかである。これらのデータからは、この細胞系を、rAAV系統についての感染価を得るために用いることができるということがさらにわかる。ゲノムのDNAに関してのサザンブロッティング実験からは、レップおよびキャップ発現カセットが、2つの異なる染色体部位で完全に一体化されることがわかった。
【0122】
9.このパッケージング細胞系を用いるrAAVの一過性生成
ベクターコンストラクトが一過性形質移入実験で提供されると、この発明のこのパッケージング細胞系に関して、rAAVのどれくらい高い割合が達成されるかについての決定を引き続いて行った。したがって、GFPかB7.2−GM−CSF(図1B)のいずれかをコードするベクターコンストラクトを、安定な細胞系へ形質移入した。24ないし48時間後、アデノウイルスを、5の感染効率(MOI5)で加えた。ウイルスライセートを、72時間後に得てかつ精製し、かつHeLa細胞を伝達するために用いた。ベクタープラスミドおよびアデノウイルスヘルパー機能が存在するとき、C97細胞は実際rAAVを生成することができるということを、9つの独立した実験で示すことが可能であった。その結果を表8にまとめる。
【0123】
【表8】
Figure 2004508041
【0124】
この発明の細胞系の重大な利点は、いかなる野生型AAV(rcAAV)も期待することができないというということである。rcAAVの混入を検出しようとする数多くの試みがなされてきたが、今まで、これらの細胞系から生成されたウイルス系統にはいかなるrcAAV粒子も検出することができなかった。これには、mlにつき約5×10 の伝達粒子を持つ1−2mlのウイルスを検査する必要があった。
【0125】
10.安定な産生株細胞系の生成
この発明は、次のステップでは、rAAVを生成する安定な細胞系を生成することであり、それらはrAAVの生成のためのベクターコンストラクトの形質移入をもはや必要とせず、そういうわけでrAAVを大規模に生成することができる。この目的のために、複数の独立した形質移入ステップで、ベクターコンストラクトをC97細胞に形質移入した。rAAVゲノムに存在している外来性DNAの発現後、最初にクローンをスクリーニング(選別)した。第二に、レップおよびキャップの発現によるウイルス収率に関しても、クローン間で選択をした。スクリーニング後、ベクターコンストラクトGFPについて、72のクローンを同定し、ベクターコンストラクトB7.2−GM−CSFについて31のクローンを、ベクターコンストラクトnLacZについて34のクローンを同定したが、それらのクローンは、アデノウイルスの感染後のみ種々のオーダーでrAAVを形成することができた。その結果を表9に示す。
【0126】
【表9】
Figure 2004508041
【0127】
11.さらなるパッケージング細胞系の生成
(4つのレップタンパク質の全てをコードする)ヘルパープラスミドp5RepΔ37および上述したpUC“ΔRep78ΔCap”(RBS)Δ37(Rep78欠損)を、各々の場合、(3つのキャプシドタンパク質をコードする)p5p19p40CapΔ37および下記のネオマイシン抵抗性遺伝子プラスミドと組み合わせて用いて、AAV−2ベクターについてさらなるパッケージング細胞系を生成した。
【0128】
HeLa−t細胞には、約10%の集密で、レップ、キャップおよび抵抗性遺伝子プラスミドの各々1つを同時形質移入し(10:10:1の比で)、かつその細胞を、それらがほぼ100%の集密に達するまでさらに培養した。形質移入の48時間後、抗菌選択G418を開始した。100%の細胞の集密に達した後、細胞を、トリプシン処理し、かつ各々が10%の集密の10の細胞プール(貯蔵所)に播いた。これらの細胞プールを、第1パッケージング実験を始める前に、(100%の集密に達した後その都度細胞を継代して)さらに約4週間培養した。
【0129】
各プールから複製を生成した。さらに、1つの複製を培養し、かつ関連した複製には、10%の集密で、AV−GFPベクタープラスミドを形質移入し、かつ24時間後、その複製をAdVに感染させた。72時間後、そのrAAVベクターを、番号12および13の例「rAAVの生成」および「ウイルス滴定」で説明するように、収集しかつ滴定した。rAAVベクターのパッケージングに関して、10のプールの最も効率的なものをこのようにして同定した。
【0130】
2つの新たなパッケージング細胞系(Rep78遺伝子があるものおよびないもの)の各々について1つのプールを、さらに引き続いてクローン化した。最初に、100−1000細胞の約250のプールを、パッケージング実験でスクリーニング(選別)した。また最もよかったプールをさらにクローン化し、次のステップで(細胞系につき)10の細胞の約1000のプールを分析した。その最良のプールを、最終的に単細胞クローン化した。パッケージング細胞系につき約100の単細胞クローンを分析した。最後に、Rep78コード化細胞系(SHと名付けた)の3つの単細胞クローン、およびRep78欠損パッケージング細胞系(DJ)の4つの単細胞クローンの結晶を取り出した。G418の非存在下でかつそれゆえさらなる淘汰圧なしに、これらのクローンを40の継代について培養した。予め説明したように、約2週間毎に、7つのクローンを用いてパッケージング実験を行なった。使用したベクタープラスミドは、pAAV−GFPまたはpAAV−(B7.2/GM−CSF)であった。この一連の実験では、ヘルパーウイルスとしてAdVのみを使用した。このことから、7つのクローン全てが、それらのパッケージング効率を、培養時間中ずっと保持しており、かつそれゆえAAV遺伝子の安定な組込みがあると想定することができるということが明らかになった。7つのクローンの全ては、アデノウイルスをヘルパーとしての使用して、1×10 tP/mlの領域でほぼ匹敵するパッケージング効率を達成した。
【0131】
12.rAAVの生成
rAAVを生成するために、パッケージング細胞には、ベクタープラスミドを形質移入し、かつ48時間後、その細胞をアデノウイルスに感染させた(MOI5)。産生株細胞系をアデノウイルスのみに感染させた。アデノウイルス感染の72時間後、細胞および上澄みを収集したが、細胞は5分間1500rpmでの遠心分離によって遠心沈殿され、かつ上澄みの一部には、mlにつき約10の細胞が再縣濁された。上澄みの残りの部分を、30分間56度で処理し、それから使用されるまで凍結した。細胞縣濁を、3回「凍結/解凍」周期にさらしたが、凍結動作は−80度で起こり、かつ解凍動作は37度で起こった。それから細胞のかけらを、5分間、微量遠心管での遠心分離によって全力で除去した。残りのアデノウイルスを、30分間56度で、インキュベーション(保温)によって失活させた。このことから結果として生じる上澄みを、さらなる精製のためのウイルス系統として、この発明の目的のために使用した。
【0132】
13.ウイルス滴定
ウイルス系統は、形質導入に機能上適している力価に常に達した。HeLa細胞を、リン酸緩衝食塩水内で、StratalinkerTM(ドイツ、Sragene(ストラジーン)社から通常購入することができる)内での紫外光(35J/m )で処理した。照射後すぐに、細胞をrAAV縣濁にさらした。異なる比例した量の形質導入された細胞を得るために、所与の標本の異なる量を常に使用した。それから公知の標的細胞の数から始めて、形質導入単位の数を計算によって求めた。形質導入された細胞の割合は、高い形質導入率ではもはや線状挙動を示していなかったが、10%以下の形質導入率が選択されたときには、ほぼ線状だった。12穴の板で滴定を行ない、1穴につき2×10 のHeLa細胞を感染させた。これらの感染を、500μlの緩衝液内で行なった。
【0133】
さらに、この発明の目的のために用いられるいくつかのウイルス系統を、特別な感染検査を用いて滴定したが、2つのパッケージング細胞増幅ラウンドを、標本の感染価を求めるために行なった。この検査の詳細を、たとえば、Clark(クラーク)他(1996)Gene Therapy(遺伝子治療)3、1124−1232で参照することができる。この目的のために、ウイルス系統を無血清の培養液内で連続的に希釈し、それから定量のアデノウイルス(MOI5)と共に、公知の量の初期ウイルス系統を含んでいる部分を、この発明の目的のために、パッケージング細胞系C97を形質導入するのに使用した。72時間後、細胞および上澄みを、収集し、3回「凍結/解凍」周期にさらし、細胞の一部を除去するために遠心沈殿させ、アデノウイルスを失活させるために56度で処理し、それから新鮮なアデノウイルスと共に、新鮮なC97細胞が入った細胞培養皿上に置いた。更に3日後、それらの細胞を収集し、かつそれらのDNAを、標準プロトコルを用いてハート溶解によって単離した(Hirt(ハート)(1967)J.Mol.Biol.(Journal of Molecular Biology 分子生物学ジャーナル)26、365−369)。レップおよびキャップを含んでいる感染性粒子を同定するために、DNAを、アガロースゲル内で、その大きさに従って分角し、ブロットし、かつrAAV複製形状の同定のためのベクターコンストラクトの一部か野生型AAVゲノムの一部のいずれかを含んでいるプローブ(探針)と共にインキュベートした。
【0134】
ベクター標本のさらなる滴定を行って、ゲノムの力価を決定した。結果として生じるウイルス縣濁を、デオキシリボヌクレアーゼ(DNA分解酵素)Iで処理し、それから30分間68度で、5mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を添加してインキュベートし、かつキャプシドに捕捉されているDNAを、0.5%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)内のプロテイナーゼ(タンパク質分解酵素)K(0.5mg/ml)との次のインキュベーションによって遊離した。それからDNAを、フェノール/クロロフォルム抽出によって精製し、引き続いてエタノール沈殿し、かつドットブロット装置を用いて、ナイロン膜上にブロットし、それからrAAVまたは野生型AAVにとって特異的であるプローブとハイブリッド形成した。ゲノム粒子と感染性粒子との比は、各々の場合、調査した標本に依存して、100ないし1000:1であった。
【0135】
ヘルパーウイルスアデノウイルス型5は、この発明の目的のために使用されたが、プラーク精製によって得られた。HeLa細胞での複製および二重CsCl勾配遠心分離による精製後、mlにつき必要な数のプラーク形成単位(PFU)(PFU/ml)を得るために、アデノウイルスをHeLa細胞上で再度滴定した。使用前、結果として生じたウイルス系統の小さい部分を、野生型AAVの存在に対して検査したが、これは常に「ノー」であった。
【0136】
14.タンパク質およびDNA分析
低分子量DNAおよびゲノムDNAを、標準単離方法(Sambrook(サムブロック)他(1989)上記参照;Hirt(ハート)(1967)上記参照)を用いて単離した。ゲノムDNAのサザンブロッティング分析のために、15μgのDNAを、必要な制限酵素と混合し、それからその混合物を、アガロースゲル内で分角し、かつDNAを、真空ブロッター(ドイツ エルランゲン、ファルマシア(Pharmacia)社)を用いて、ナイロン膜へ伝達した。ハート溶解によって得られたDNAを用いたとき、10 の細胞に対応する量を各レーンに負荷した。AAVゲノムのために使用したプローブは、1.5kbのHincIIキャップ特異性の断片または655bpのBamHI−BstEIIレップ特異性の断片であった。この発明の目的のために用いられるrAAVゲノムのために使用したプローブは、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーターに対応する試料であった。プローブは、ドイツのマンハイムのBoehringer(ベーリンガー)社のキットとして通常得ることができるジゴキシゲニンで標識されていて、かつ製造説明書に従って使用された。アルカリホスファターゼ抱合型の抗ジゴキシゲニン抗体を、検出のために使用し、それに引き続いて基板CDP StarTMとのインキュベーションおよびオートラジオグラフィーを行なった。ドットブロット実験のために、試料を、上記真空ブロッターを用いて、0.4NのNaOHの最終濃度に調整し、かつ膜へ伝達した。
【0137】
タンパク質の分析のために、試料を、100mMのDTT(ジチオスレイトール)を含むLaemli(レムリ)試料緩衝液内で再縣濁し、それからSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)で分析される前に15分間煮沸した。それからタンパク質を、液体伝達系(ドイツ、Sigma(シグマ)社)か半乾燥系(ドイツ、Hofer(ホーファー)社)のいずれかを用いてブロットした。検出は、レップ特異性抗体303.9を用いておよびキャップ特異性抗体B1を用いて行なわれた(Wistuba(ウィストゥバ)他(1997)J.Virol.(ウイルス学ジャーナル)71、1341−1353)。
【0138】
15.FACS分析
B7.2に対して作られた商業的に入手可能なFITC(フルオレッセインイソチオシアネート)抱合型抗体(米国、Pharmingen(ファルミンゲン)インターナショナル社)を用いて、B7.2発現を調査した。非特異性の染色を防止するために、B7・2抗体を持つニセ形質導入された細胞のアイソタイプ制御抗体染色を行なった。細胞を、30分間氷上の抗体と共にインキュベートし、それからそれらを分析する前にリン酸緩衝食塩水内で2回インキュベートした。その抗体染色を、D10緩衝液内で行ない、かつその細胞を、D10緩衝液内で洗浄ステップ後再縣濁し、かつFACS分析した。蛍光を、488nmの消光波長および530±15nmの発光波長で、Beckton Dickinson(ベクトンデッキンソン)社のFACSバンテージフローサイトメーター(流動細胞計測器)を用いて行なった。陽性細胞の特性は、蛍光輝度が制御細胞の99%より大きい部分として規定された。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
野生型AAVと比較したこの発明のいくつかのヘルパーコンストラクトの図式による表示を示している。
【図1B】
3つの異なるベクターコンストラクトの図式による表示を示しており、左および右フランキング(側方)端部でのITRを示している。
【図2】
ウエスタンブロッティング実験によって、安定なレップ細胞系の同定を示している。
【図3】
種々のコンストラクトから始まるキャップ遺伝子の誘発性発現を示している。
【図4】
アデノウイルス感染後、安定なパッケージング細胞系C97におけるレップおよびキャップタンパク質の誘発性発現を示している。
【図5】
C97細胞における組換え型AAV(rAAV)の複製を示しており、rAAV複製中間体は、あらかじめrAAVおよびアデノウイルス(MOI5)に感染されるC97細胞から単離される低分子量DNAとして検出されている。
【図6】
さらなるヘルパーコンストラクトを図示しており、その全ては、クローニングベクターpUC19に由来する。
【図7】
単一および二重発現ベクターを図示している。
【図8】
「Δ(Cアーム)」と呼ばれるCパリンドロームの構成フリップ、フロップおよび欠失を有するAAVベクターコンストラクトの5’に位置するITR配列を図示している。
【図9】
図8からの種々の構成の5’に位置するITR配列のヌクレオチド配列を図示している。
【図10】
欠失があるおよび欠失のない5’に位置するITR配列の、および3’に位置するITR配列のヌクレオチド配列を示している。
【図11】
フリップ配向構成に5’に位置するITR配列[pAAV(B7.2+GM−CSF)]を持つベクターコンストラクトと比較して、欠失した5’に位置するITR配列[pAAV−(B2.7free+GM−CSF)]を持つベクターコンストラクトの等しく効率的なパッケージングを図示している。
【図12】
pUC“Rep68,52,40Cap”(RBS)Δ37と呼ばれるレップ78欠損ヘルパープラスミドを図示している。
【図13】
pUC“ΔRep78Cap”(RBS)Δ37と呼ばれるさらなるレップ78欠損ヘルパープラスミドを図示している。

Claims (29)

  1. 少なくとも1つのAAVレップタンパク質および少なくとも1つのAAVキャップタンパク質の発現のためのヘルパーコンストラクトの少なくとも1つのコピーを含む組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)をパッケージングする親細胞において、レップタンパク質およびキャップタンパク質をコードする(遺伝情報に指定する)核酸は、機能上分離しており、かつ自然AAV制御配列、特定的には自然AAVプロモーターに操作結合されることを特徴とする親細胞。
  2. 組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)は、血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6からおよび/またはAAVのキャプシド突然変異体から選択されることを特徴とする請求項1に記載の親細胞。
  3. ベクターコンストラクト(産生株細胞)の少なくとも1つのコピーをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の親細胞。
  4. ヘルパーウイルスの少なくとも1つの遺伝子産物のための核酸コンストラクトのおよび/またはrAAVの生成に必要である細胞遺伝子の少なくとも1つのコピーを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の親細胞。
  5. レップタンパク質およびキャップタンパク質をコードする核酸は、2つの異なるヘルパーコンストラクト上に位置することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の親細胞。
  6. レップタンパク質のおよびキャップタンパク質の発現のためのヘルパーコンストラクトは、2つの異なる部位で、親細胞のゲノムに組み込まれることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の親細胞。
  7. レップタンパク質の発現は、自然AAVプロモーターP5によって制御されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の親細胞。
  8. キャップタンパク質の発現は、自然AAVプロモーターP40によって、特定的には自然AAVプロモーターP19およびP40によって、特に自然AAVプロモーターP5、P19およびP40によって制御されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の親細胞。
  9. 親細胞におけるレップタンパク質およびキャップタンパク質の発現は、互いに依存して調節されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の親細胞。
  10. レップタンパク質およびキャップタンパク質をコードする核酸の転写の終了は、自然制御配列によって、特定的には自然AAVポリA信号によって制御されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の親細胞。
  11. 親細胞は、哺乳類細胞、特定的にはヒト子宮頚癌細胞、特にHeLa細胞であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の親細胞。
  12. 親細胞における少なくとも1つのAAVレップタンパク質の発現のためのヘルパーコンストラクトにおいて、レップタンパク質をコードする核酸は、AAVの自然制御配列に、特定的には自然AAVプロモーターP5に操作結合されることを特徴とするヘルパーコンストラクト。
  13. レップタンパク質は、レップ68、レップ52および/またはレップ40であって、レップ78ではないことを特徴とする、少なくとも1つのレップタンパク質をコードする核酸配列を含む請求項12に記載のヘルパーコンストラクト。
  14. 親細胞における少なくとも1つのAAVキャップタンパク質の発現のためのヘルパーコンストラクトにおいて、キャップタンパク質をコードする核酸は、AAVの自然制御配列に、好ましくは自然AAVプロモーターP40に、特定的には自然AAVプロモーターP19およびP40に、特に自然AAVプロモーターP5、P19およびP40に操作結合されることを特徴とするヘルパーコンストラクト。
  15. AAVに非相同的でありかつITR配列によってフランキング(隣接)される1つ以上の核酸を含むベクターコンストラクトにおいて、5’に位置するITR配列はCパリンドローム(回文構造)の領域に結失を有することを特徴とするベクターコンストラクト。
  16. 5’に位置するITR配列の欠失は、Cパリンドロームの150ヌクレオチド、好ましくは80ヌクレオチド、特定的には40ヌクレオチド、特に22ヌクレオチドに達することを特徴とする請求項15に記載のベクターコンストラクト。
  17. AAVに非相同的な1つ以上の核酸、特定的にはサイトカイン、特定的にはIL2、IL4、IL12および/またはGM−CSF(コロニー刺激因子)および/または同時刺激分子から選択されるタンパク質、特定的にはB7、特にB7.1および/またはB7.2をコードする核酸を含むベクターコンストラクトであって、それらの核酸は、特定的にはAAVのITR配列によってフランキングされ、かつ非相同的な核酸の発現は、AAVに非相同的であるプロモーターによっておよび/またはエンハンサーによって、特定的にはCMV(サイトメガロウイルス)MIEPによって制御されるベクターコンストラクト。
  18. 組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)のパッケージングおよび/または生成のための親細胞を作成する方法であって、次のステップを含む:
    (a)請求項11または12に記載のレップヘルパーコンストラクトおよび請求項13に記載のキャップヘルパーコンストラクトの生成、
    (b)親細胞へのレップヘルパーコンストラクトの導入、
    (c)レップヘルパーコンストラクトを含む親細胞の選択、
    (d)ステップ(c)から選択された親細胞への、キャップヘルパーコンストラクトの導入、および
    (e)レップヘルパーコンストラクトおよびキャップヘルパーコンストラクトを含む親細胞の選択。
  19. キャップヘルパーコンストラクトは、レップヘルパーコンストラクトの前に親細胞へ導入されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. レップヘルパーコンストラクトおよびキャップヘルパーコンストラクトは、実質上同じ時間に親細胞へ導入されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  21. 少なくとも1つのキャップヘルパーコンストラクト、少なくとも1つのレップヘルパーコンストラクト、少なくとも1つのベクターコンストラクトおよび/または少なくとも1つのヘルパー遺伝子は、親細胞へ導入されることを特徴とする請求項18ないし20のいずれかに記載の方法。
  22. コンストラクトおよび/または遺伝子は、形質移入され、特定的には安定して形質移入されることを特徴とする請求項18ないし21に記載の方法。
  23. コンストラクトおよび/または遺伝子は、ウイルス、特定的には組換え型ウイルス、特にrAAV、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、ファージおよび/またはバクテリオファージと共に、親細胞へ導入されることを特徴とする請求項18ないし21のいずれかに記載の方法。
  24. 組込み事象を用いる細胞についての事前選択は、特定的には、コンストラクトおよび/または遺伝子の1つを持つレポーターコンストラクトの親細胞への共同導入、ならびにレポーターについての次の選択によって行なわれることを特徴とする請求項18ないし23のいずれかに記載の方法。
  25. コンストラクトおよび/または遺伝子を含んでいる親細胞の選択は、タンパク質の発現の検出によって、特定的にはウエスタンブロッティングによって起こることを特徴とする請求項18ないし24のいずれかに記載の方法。
  26. コンストラクトおよび/または遺伝子を含んでいる親細胞の選択は、特異性核酸の検出によって、特定的にはサザンブロッティング、ノーザンブロッティングおよび/または定量PCR(ポリメラーゼ連鎖反応法)によって起こることを特徴とする請求項18ないし24のいずれかに記載の方法。
  27. コンストラクトおよび/または遺伝子を含んでいる親細胞の選択は、rAAV粒子形成の検出によって起こり、rAAV粒子形成にとって欠けているコンストラクトは、親細胞へ導入されかつ/またはヘルパーウイルスに感染されることを特徴とする請求項18ないし24のいずれかに記載の方法。
  28. 請求項1ないし11のいずれかに記載の親細胞のおよび/または請求項12または13に記載の少なくとも1つのレップヘルパーコンストラクトの、および請求項14に記載の少なくとも1つのキャップヘルパーコンストラクトのおよび/または請求項15ないし17のいずれかに記載のベクターコンストラクトのrAAVを生成するための使用。
  29. 細胞、特定的には免疫賦活性遺伝子、特にGN−CSF(コロニー刺激因子)、B7.1および/またはB7.2へ遺伝子を移入するための、請求項28に記載のrAAVの使用。
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