JP2004507570A - 放射線不透過性ポリマー組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明はポリマー又はモノマーを含む放射線不透過性組成物を提供し、前記ポリマー又はモノマーは非浸出性放射線不透過性部分を有する。非浸出性放射線不透過性部分は前記ポリマー又はモノマーに共有結合的に結合している。
Description
【0001】
発明の背景
本発明は、ポリマー性、セラミック性及び金属性の物体の被覆組成物として使用できる放射線不透過性ポリマー組成物に関する。更に、本発明は放射線不透過性の物体及び物体を放射線不透過性にする方法に関する。
物体を放射線不透過性にできることは幾つかの分野において重要である。特に医療分野では重要である。例えば、放射線不透過性である医療装置は、医療行為中及び手術後のフォローアップにおいてそのような装置を放射線中に置くことを容易にする。工業的分野では、物体をX線から区別またはシールドするために装置を放射線不透過性にすることが重要とされる多数の適用がある。
【0002】
物体を放射線不透過性にする最近の方法は、硫酸バリウム(BaSO4)のような物質を物体に混合すること、または銀または金を物体上にメッキ/イオンスパッタリングすることを含む。また多くの医療装置ポリマーでは、バリウムまたはビスマス放射線不透過性化合物により充填することも従来行われていた。最近、組成物中に物理的に硫酸バリウムや銀粉末をトラップした放射線不透過性ペイント及びインクが提案された。鉛もまた、非医療的適用、典型的にはメッキ形態またはセラミック中への混合において使用される。
【0003】
最近の物体を放射線不透過性にする方法には幾つかの欠点がある。特に、最近の方法により処理された医療装置は低い生体適合性を示し、また組織に毒性である場合がある。さらに、イオン蒸着をステント上に使用した場合には、再狭窄の可能性が上昇する。医療分野及び工業分野における最近の方法の他の欠点として、毒性、電気化学的腐食、高コスト、装置の物理的及び電磁気的性質における望ましくない変化、及び装置製造における煩わしいプロセスが挙げられる。更に、X線から物体をシールドする最近の方法は非実用的であり高価である。
従って、本発明の目的の一つは、特に、従来技術で見られる欠点を有さない、物体を放射線不透過性にする被覆及びプライマーを提供することである。
【0004】
発明の要約
本発明は、非浸出性放射線不透過性部分を有するポリマー又はモノマーを含む放射線不透過性組成物を提供する。非浸出性放射線不透過性部分はポリマー又はモノマーに共有結合的に結合している。
放射線不透過性部分の例としては、結合した反応性官能基を有するハロゲン化芳香族化合物が挙げられる。ハロゲン化芳香族化合物の例としては、芳香族三ヨウ化物、芳香族三臭化物、芳香族三フッ化物及び芳香族三塩化物が挙げられる。結合した反応性官能基の例としては、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、アミド、カルボニル、チオール、アリル、ビニルまたは無水物の各基が挙げられる。
【0005】
放射線不透過性部分の更なる例としては、アミドトリゾエート、イオタラメート、イオヘキソール、イオパミドール、イオプロミド、イオキサグル酸、イオパデート(iopadate)、イオトロキセート、またはイオキサグレートが挙げられる。放射線不透過性部分の更なる例としては、イオベングアン、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド(Iodipamide)、イオジキサノール、ヨード化油、ヨードアルフィオン酸、p−ヨードアニリン、o−ヨード安息香酸、ヨードクロロヒドロキシキン(Iodochlorhydroxyquin)、o−ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、ヨードフタレインナトリウム、ヨードプシン(Iodopsin)、ヨードピラセット(Iodopyracet)、ヨードピロール、ヨードキノール、イオフェタミン、123I、イオグリカム酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、イオフェンジラート、イオフェノ酸、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、またはイオポダートが挙げられる。
【0006】
ポリマー又はモノマーは好ましくは少なくとも一つの反応性官能基を有する。反応性官能基の例としては、イソシアネート、イソチオシアネート、エステル、アルデヒド、N−ヒドロキシサクシンイミドエステル、エポキシド、カルボン酸エステル、トレシレート(tresylate)、無水物、アルキルハライド、カルボン酸、ハロケトン、アルケン、アルキンまたはアシルクロリドが挙げられる。
一つの実施態様において、ポリマーは合成ポリマーである。合成ポリマーは、ポリマーブレンド、アロイ、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーであることができる。ポリマーブレンド、アロイ、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブタレート)(poly(hydroxybutarates))、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(テレフタレート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(ウレタン)、シリコーン弾性体またはこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーは前記ポリマーのホモポリマーであることができる。
【0007】
他の態様において、ポリマーは天然ポリマーである。天然ポリマーの例としては、セルロース、キトサン、キチン、澱粉、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ザンタン(zanthan)、グアールガム;またはこれらのエーテル若しくはエステル誘導体;またはこれらのブロック、グラフト若しくはランダムコポリマー;またはこれらのブレンドが挙げられる。
本発明のモノマーの例としては、アクリレート、アリル化合物、アミド、アミン、無水物、エポキシド、イソシアネート、メタクリレート、シリル、チオール化合物、チオイソシアネート、ビニル化合物、エステル、酸クロリド、アクロレインまたはアクリロイルクロリドが挙げられる。
放射線不透過性部分とポリマー又はモノマー間の共有結合鎖の例としては、アルキル、アミン、アミド、無水物、アジド、カーバメート、カーボネート、カルボキシル、エーテル、エステル、イミド、チオール、チオカーバメート、チオイソシアネート、ウレアまたは他の共有結合鎖が挙げられる。
【0008】
一つの実施態様として、放射線不透過性部分はポリマー又はモノマーに熱、紫外線照射、ガンマ線照射、酸開始剤、塩基開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、またはアゾ開始剤の使用により共有結合的に結合することができる。
一つの実施態様において、本発明の組成物は更に少なくとも一つの添加成分を含むことができ、この添加成分は組成物から放出性または非放出性である。一つの実施態様において、添加成分は生物学的に活性な物質である。生物学的に活性な物質の例としては、生物静力学的薬剤、細胞増殖抑制剤、放射線エミッター、生体分子、抗炎症剤、免疫抑制剤または殺菌剤が挙げられる。生物学的に活性な物質として抗生物質及び抗血栓剤が好ましい。
【0009】
一つの実施態様において、組成物は、水分または水分含有物質で湿らせた場合に低い摩擦係数を有する。この実施態様において組成物はポリビニルピロリドン−ポリウレタン複合体を含むことができる。
一つの実施態様において、組成物はさらに溶媒を含むことができる。ポリマー又はモノマーと放射線不透過性部分の間の共有結合鎖は、溶媒を除去して形成することができる。または、共有結合鎖を組成物の調剤中に形成することができる。
一つの実施態様において、組成物は被覆組成物である。被覆組成物の例としては、コーティング及びプライマーが挙げられる。本発明のプライマーは同じモノマーまたはモノマーブレンドから製造することができる。プライマーとしては、共有結合鎖により物体に共有結合的に結合するモノマーを含むことができ、または物体に接着するモノマーを含むことができる。
【0010】
本発明は放射線不透過性物体を含む。一つの実施態様において、放射線不透過性物体を形成する材料は本発明の組成物を含む。他の実施態様において、物体は組成物により被覆されている。物体は医療用装置であることができる。医療用装置の例としては、カテーテル、ガイドワイヤ、シャント、スクリュー、ピン、プロステーシス、プレート、フィルム、スポンジ、縫糸、チューブ、カニューレ、バルーン、針、マーカーまたは探り針が挙げられる。好ましい医療用装置としてはステントが挙げられる。
【0011】
本発明は物体を放射線不透過性にする方法を含む。一つの実施態様において、前記方法は、ポリマー又はモノマーを含む被覆組成物を物体へ塗布することを含む。前記ポリマー又はモノマーは非浸出性放射線不透過性部分を含む。前記方法は更に、被覆組成物を溶媒中に置き、溶媒中の被覆組成物を物体に塗布し、溶媒を蒸発させることを含む。被覆組成物の塗布法の例としては、スプレー、浸漬、プラスマ蒸着、フローコーティング、刷毛塗りまたはダビング(dabbing)が挙げられる。
本発明は、物体を放射線不透過性にする最近の方法の欠点を回避する、放射線不透過性組成物及び物体を提供する。特に、低い生体適合性を示し、組織へ毒性を示し得る最近の方法により処理される医療装置とは異なり、本発明は生体適合性の組成物を提供する。更に本発明は、ステントのイオン蒸着を行う最近の方法に伴う上昇した再狭窄の可能性を回避する。本発明はまた、医療及び工業分野における最近の方法に伴う、毒性、電気化学的腐食、高コスト、装置の物理的及び電磁気的特性における望ましくない変化、及び装置を製造する際の煩雑なプロセスという問題を回避する。本発明のこれら及び他の利点は、本明細書に述べる詳細な説明及び実施例から明らかになるであろう。詳細な説明及び実施例は、発明の理解を高めるものであり、発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0012】
好適実施態様の詳細な説明
本発明は放射線不透過性組成物を提供する。放射線不透過性組成物は、少なくとも一つの放射線不透過性部分を有するモノマーまたはポリマーを含む。放射線不透過性部分はモノマーまたはポリマーに共有結合的に結合しており、また非浸出性(すなわち、放射線不透過性部分の周囲の媒体への浸出(溶脱)は抑制される)である。
【0013】
本発明の放射線不透過性部分は、放射線不透過性を与え、かつモノマー又はポリマーに結合し得るいずれの化合物または分子であってもよい。例えば、放射線不透過性部分は、少なくとも一つの結合した反応性官能基を有するハロゲン化芳香族化合物であることができる。ハロゲン化芳香族化合物の例としては、以下に制限されないが、芳香族三ヨウ化物、芳香族三臭化物、芳香族三塩化物、及び芳香族三フッ化物が挙げられる。結合する反応性官能基は、放射線不透過性部分を本発明のモノマー又はポリマーに結合させることができるいずれの官能基でもよい。結合する反応性官能基の例としては、以下に限定されないが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、アミド、カルボニル、チオール、アリル、ビニルまたは無水物の各基が挙げられる。本発明において使用される放射線不透過性部分の好ましい例としては、以下に制限されないが、アミドトリゾエート、イオタラメート、イオヘキソール、イオパミドール、イオプロミド、イオキサグル酸、イオパデート(iopadate)、イオトロキセート、またはイオキサグレートが挙げられる。
【0014】
本発明において使用される放射線不透過性部分の好ましい例は、例えば、メルクインデックス第12版(メルク & Co., Whitehouse Station, NJ, pages 859−869)に記載されており、例えば、イオベングアン、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド(Iodipamide)、イオジキサノール、ヨード化油、ヨードアルフィオン酸、p−ヨードアニリン、o−ヨード安息香酸、ヨードクロロヒドロキシキン(Iodochlorhydroxyquin)、o−ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、ヨードフタレインナトリウム、ヨードプシン(Iodopsin)、ヨードピラセット(Iodopyracet)、ヨードピロール、ヨードキノール、イオフェタミン、123I、イオグリカム酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、イオフェンジラート、イオフェノ酸、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、及びイオポダートが挙げられる。
【0015】
本発明のポリマー及びモノマーは、少なくとも一つの非浸出性放射線透過性部分が結合し得るものであり、また少なくとも一つの反応性官能基を有するモノマー又はポリマーである。本発明において使用される好ましい反応性官能基は、以下に制限されないが、イソシアネート類、イソチオシアネート類、エステル類、アルデヒド類、N−ヒドロキシサクシンイミドエステル類、エポキシド類、カルボン酸エステル類、トレシレート(tresylate)類、無水物類、アルキルハライド類、カルボン酸類、ハロケトン類、アルケン類、アルキン類またはアシルクロリド類が挙げられる。特に好ましいものは少なくとも一つの反応性イソシアネート基を有するポリマー及びモノマーである。
本発明のポリマーは合成または天然のものであることができる。
【0016】
本発明において使用される好ましい合成ポリマーとしては、以下に制限されないが、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブタレート)、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(テレフタレート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(ウレタン)、及びシリコーン弾性体が挙げられる。上述したポリマーはホモポリマーの形態であることができる。更に、上述したポリマーは、ポリマーブレンド、アロイ、及びコポリマーの形態であることができる。ポリマーブレンド、アロイ、及びコポリマーは上述したポリマーの組み合わせ及び混合物を含むことができる。コポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーを含むことができる。ポリ(ウレタン)及びポリ(ビニルピロリドン)は本発明において使用される最も好ましいポリマーである。
【0017】
本発明において使用される天然ポリマーは、以下に制限されないが、セルロース、キトサン、キチン、澱粉、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ザンタン(zanthan)、グアールガム等及びこれらの天然ポリマーのエーテル及びエステル誘導体が挙げられる。更に、上述したポリマーはポリマーブレンドまたはコポリマーの形態であることができる。コポリマーは、上述したポリマーの組み合わせ及び混合物を含むことができる。コポリマーはランダム、ブロック及びグラフトコポリマーを含むことができる。
本発明の好ましいモノマーは、以下に制限されないが、アクリレート類、アリル化合物類、アミド類、アミン類、無水物類、エポキシド類、イソシアネート類、メタクリレート類、シリル類、チオール化合物類、ビニル化合物類、エステル類、酸クロリド類、アクロレイン類、アクリロイルクロリド類及びチオイソシアネート類が挙げられる。
【0018】
本発明の一実施態様において、ポリマーが予め形成されており、これに少なくとも一つの放射線不透過性部分が共有結合的に結合している。他の実施態様において、放射線不透過性部分がモノマーまたはコポリマーに共有結合的に結合しており、このモノマー又はコポリマーからポリマーが形成される。ポリマーは、一つの型のモノマー又はコポリマーの重合化により形成することができ、または二以上の異なる型のモノマー又はコポリマーのブレンドの重合化により形成することができる。他の実施態様において、放射線不透過性部分を有するモノマー又はコポリマーを、予め形成したポリマーと反応させることができる。
【0019】
例えば、第1工程として放射線不透過性部分へジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のようなモノマーをアミン鎖により反応させ、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)のようなポリマーを用いてMDI上の第二の反応性部位の誘導化により、または他のイソシアネートと反応させることにより、ポリウレタンを形成する。他の例として、モノメタクリレートまたはポリメタクリレートを紫外線存在下、放射線不透過性部分の反応部位と架橋することができ、更にPVP、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)または他のアクリレートモノマーまたはポリマーのような親水性ドメインと架橋させることができる。同様の結合パターンがエポキシドまたは他の反応性基に使用される。
【0020】
放射線不透過性部分へのポリマー又はモノマーの共有結合は、いずれの型の共有結合鎖を通じてもよい。好ましい共有結合鎖の例としては、以下に制限されないが、アルキル、アミン、アミド、無水物、アジド、カーバメート、カーボネート、カルボキシル、エーテル、エステル、イミド、チオール、チオカーバメート、チオイソシアネート、またはウレアの各鎖が挙げられる。共有結合的付着は、化学または非化学的開始剤により惹起されることができる。好ましい開始剤の例としては、熱、紫外線照射、ガンマ線照射、酸開始剤、塩基開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、またはアゾ開始剤の使用が挙げられる。更に、グラフト反応により、共有結合鎖をポリマー又はモノマー及び放射線不透過性部分の間に形成することができる。
【0021】
ポリマーに結合する放射線不透過性部分の量は、放射線不透過性組成物の適用により変化する。この量は、ポリマーの一つのモノマーへ結合した放射線不透過性部分の一分子から、ポリマーの各モノマーへ結合した放射線不透過性部分の範囲で変化することができる。
本発明の組成物は、組成物から放出性または非放出性である少なくとも一つの添加成分を更に含むことができる。
添加成分は組成物中に溶解または懸濁することにより混入することができる。もし成分を溶液に懸濁する場合には、平均粒子サイズが0.1〜100ミクロンの範囲の微粒子として分散するべきである。
放出性である成分は、乾燥ポリマー中に典型的には吸着または物理的にトラップさせる。この成分は次に膨潤により放出される。更に、放出性成分をPVPまたは他の荷電したポリマーにイオン的に結合させることができる。
組成物から非放出性である成分は、典型的には組成物に共有結合的に結合した成分である。または、この非放出性成分は、成分の放出を妨げるポリマーマトリックスに埋め込まれている。
【0022】
これらの成分は生物学的に活性な物質である。生物学的に活性な物質はいずれかの生体影響剤または生体処理剤である。
一般に、本発明において使用される生物学的に活性な物質は、以下に制限されないが、例えば、抗菌剤及び抗微生物剤類、抗凝血剤及び抗血栓剤類、血小板剤類、抗炎症剤類、酵素類、触媒類、ホルモン類、成長因子類、薬剤、ビタミン類、抗体類、抗原類、核酸類、色素類(生物学的リガンドとして作用するもの)、DNA及びRNAセグメント類、生物静力学的薬剤類、細胞増殖抑制剤類、放射線エミッター類、生体分子類、免疫抑制剤類、殺菌剤類、並びに蛋白質及びペプチド類が挙げられる。更なる例として、ヘパリン、プロスタグランジンE1、チクロピジン、プラスミン、ウロキナーゼ、オリゴヌクレオチド類、TPA、ポリエチレンオキシド(PEO)、及びFUT−175が挙げられる。好ましい生物学的に活性な物質としては、抗生物質及び抗血栓剤が挙げられる。生物学的に活性な物質は、合成的に誘導されたものまたは天然に生じたものであることができる。生物学的に活性な物質としては、上述した物質の一つの分子または二以上の分子を含むことができる。
【0023】
生物学的に活性な物質の濃度または添加量は、目的の治療効果により変えることができる。また、生物学的に活性な物質のポリマーまたはモノマーに対する比に関する添加量は、生物学的に活性な物質のそれ自身への固定におけるポリマー又はモノマーの効力及び被覆が生物学的に活性な物質を体組織に放出する速度に依存する。一般に、ポリマーは0.01〜90質量%、好ましくは1.0〜45質量%及び最も好ましくは2.5〜25質量%の生物学的に活性な物質を含むことができる。
【0024】
本発明は、水または水含有物質により湿潤した時に低摩擦係数を有する組成物を含む。有効な親水性度を示すポリマー及びモノマーブレンドはまた、湿潤した時に顕著に低下した摩擦係数を示す。そのようなブレンドは、例えば、十分量のポリ(N−ビニルラクタム)またはHECを含む。例えば、本発明の組成物は更にポリビニルピロリドン−ポリウレタン複合体を含むことができる。この複合体は、組成物と反応または組成物中にアロイ化させることができる。従来、ポリウレタンをポリビニルピロリドンとの複合体とすることが知られている。複合体の正確な性質は知られていないが、いずれにしてもポリビニルピロリドンは本技術分野で複合体と称される形態で、ポリウレタンに結合される(この特定の複合体をインターポリマー(interpolymer)と呼ぶ場合もある)。これらの複合体及びその製造方法は、例えば、米国特許第4,100,309号、4,769,013号、6,054,504号及び4,642,267号に見られるように周知である。これらの特許を本明細書に参考文献として組み入れるものとする。ポリビニルピロリドン−ポリウレタン複合体は更に生物学的に活性な物質を含むことができる。
【0025】
典型的なポリビニルピロリドン−ポリウレタン複合体は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール−イソホロンジイソシアネート、ポリ(1,4−オキシブチレン)グリコール−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリ(1,4−オキシブチレン)グリコール−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリ(1,4−オキシブチレン)グリコール−イソホロンジイソシアネート、ポリエチレングリコール−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリエチレングリコール−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリエチレングリコール−イソホロンジイソシアネート、ポリプロピレングリコール−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリプロピレングリコール−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリプロピレングリコール−イソホロンジイソシアネート、ポリカプロラクトン−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリカプロラクトン−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリカプロラクトン−イソホロンジイソシアネート、ポリエチレンアジペート−ジフェニルメタン(MDI)、ポリエチレンアジペート−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリエチレンアジペート−イソホロンジイソシアネート、ポリエチレンアジペート−ジフェニルメタン(MDI)、ポリテトラメチレンアジペート−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリテトラメチレンアジペート−イソホロンジイソシアネート、ポリエチレン−プロピレンアジペート−ジフェニルメタン(MDI)、ポリエチレン−プロピレンアジペート−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリエチレン−プロピレンアジペート−イソホロンジイソシアネート ポリウレタン類である。
【0026】
本発明は、例えば以下に記載されるいずれのコーティング組成物及びコーティング方法も含む;Fan, et al., [Polymer News, 1992, 17, 70−74], Ikada, Y., and Uyama, Y., in ”Lubricating Polymer Surfaces”, Technomic Lancaster, PA, 1993 and LaPorte, R., ”Hydrophilic Polymer Coatings For Medical Devices”, Technomic, Lancaster, PA, 1997。これらの文献は本発明に全て組み入れるものとする。
一実施態様において、組成物は更に溶媒を含む。適する溶媒は、組成物を溶液に溶解し得るものであるが、組成物中で使用される生物学的に活性な物質の治療特性を変化させたりまたは悪影響を与えるものではない。更に、溶媒自身は、反応性のアミノ、ヒドロキシル及びカルボキシル基を含むべきではない。好ましい溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、アセトン、乳酸エチル、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、トリクロロエチレン、モノ及びジエチレングリコールエーテル類、N−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、メチルクロリド及び酢酸エチルが挙げられる。乳酸エチルのヒドロキシルは有害であるほど十分に反応性ではない。溶媒は反応性基を含まないことが好ましいが、水、水性アルコール混合物及びアルコール類等の溶媒は特定のモノマー及びポリマーに関して本発明の実施に適する。
【0027】
本発明の組成物は放射線−不透過性物体を提供するために使用することが出来る。本発明の目的における物体としては、以下に制限されないが、医療または工業分野において使用される装置及び物質が挙げられる。一実施態様において、放射線不透過性物体を形成する物質は、本発明の組成物を含む。他の実施態様としては、本発明の組成物を物体の被覆組成物として使用できる。これらの被覆組成物は、コーティング及びプライマーを含む。本発明はまた、物体を放射線不透過性にする方法及び放射線不透過性物体を提供する。
【0028】
コーティングの好ましい実施態様としては、放射線不透過性部分が、上述したようなポリマーに共有結合的に結合している。本発明のコーティングは、単一型のポリマーを含むことができる。またはコーティングはブレンドポリマーを含むことができる。適するブレンドポリマーはコーティングの特定の適用に適合させることができる。例えば、医療分野では、ブレンドは特定の生物学的に活性な物質に適合させて目的の効果を生じさせることができる。コーティング中の放射線不透過性部分の量は、コーティングを塗布する物体を十分に放射線不透過性にするのに必要な量である。そのような量は、物体の材料、評価技術及び環境に基づいて変化させることができる。
【0029】
プライマーの好ましい実施態様において、放射線不透過性部分は、上述したようなモノマーに共有結合的に結合している。本発明のプライマーは、単一型のモノマーを含む。または、プライマーはモノマーブレンドを含む。適するモノマーブレンドは、プライマーの特定の適用に適合させることができる。例えば、医療分野では、ブレンドは特定の生物学的に活性な物質に適合させて目的の効果を生じさせることができる。各モノマーは、共有結合的に結合した放射線不透過性部分を有することができる。または、放射線不透過性部分は、プライマーを塗布する基体を放射線不透過性にするのに必要な量において、プライマーを形成するモノマーの幾つかにのみ共有結合的に結合することができる。
【0030】
一実施態様において、プライマーのモノマーを、プライマーを塗布する物体の表面に直接反応させるか若しくは結合させることができる。その物体が反応性官能基を有する材料からなる場合に、物体の表面への反応または結合が起こることができる。例えば、ポリウレタンからなる物体の場合、プライマーはその物体に共有結合的に架橋することが出来る。他の実施態様において、モノマーはプライマーが塗布される物体の表面に接着する。接着は、例えば、取り込み(entrapment)、絡み合い(entanglement)、水素結合、ファンデルワールス力または他の力等の物理的結合である。例えば、スチールからなる物体の場合において、プライマーを形成するモノマーはポリウレタンを形成し、スチールに接着する。
本発明はプライマーを物体に塗布した後、コーティングを更に塗布する態様を含む。プライマーは、プラスチック、セラミックまたは金属物体上に恒久的にかつ丈夫に接着したコーティングを与える。
【0031】
被覆組成物は上述した添加成分を含むことができる。医療装置に使用される好ましい添加成分としては、抗血栓剤及び抗生物質が挙げられる。被覆組成物はまた、上述したように組成物の摩擦係数を低下させる成分を含むことができる。
一実施態様において、被覆組成物は上述したような溶媒を含むことができる。本発明の方法は、溶媒中の被覆組成物を被覆すべき物体表面に塗布し、次に溶媒を除去することを含む。溶媒は好ましくは蒸発により除去される。
モノマー又はポリマーと放射線不透過性部分との間の共有結合鎖を、溶媒を除去して形成することが出来る。または、共有結合鎖を被覆組成物を調製する間に形成することができる。
【0032】
本発明の一実施態様は、非浸出性放射線不透過性部分を有するポリマー又はモノマーを含む被覆により修飾された物体である。本発明の方法により修飾することができる物体は、多数の様々な材料から製造することが出来る。これらの材料としては、以下に制限されないが、チタニウム/チタニウム合金類、TiNi(形状記憶/超弾性)、酸化アルミニウム、プラチナ/プラチナ合金類、ステンレススチール類、MP35N、エルギロイ(elgiloy)、ヘイネス(haynes)25、ステライト、熱分解性炭素、銀、ガラス状炭素、タンタル、ニッケル−クローム、コバルト−クロミウム等の金属;ポリウレタン類、ポリカーボネート類、シリコーン弾性体類、ポリオレフィン類(ポリエチレン類またはポリプロピレン類を含む)、ポリビニルクロリド類、ポリエーテル類、ポリエステル類、ナイロン類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリレート類、及びポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリメタクリレート類、n−ブチルシアノアクリレート、ポリビニルアルコール類、ポリイソプレン類、ゴム、セルロース誘導体類、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(p−フェニレンテレフタラミド)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、アクリロニトリルブタジエンエチレン、ポリアミド、ポリイミド、スチレンアクリロニトリル等のポリマー類;ヒドロキシアパタイト等の無機物類またはセラミックス類;骨、皮膚、歯、コラーゲン、ラミニン、エラスチンまたはフィブリン等のヒトまたは動物の蛋白質又は組織;木、セルロース、または圧搾炭素等の有機物質;及びガラス等の他の物質、などが挙げられる。更に、物体は、例えばトリクロサン(triclosan)、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシデン(hexidene)、クロロヘキシデン等の生物学的に活性な物質から作製されることができる。
【0033】
本発明の物体は、工業又は医療分野で使用されるいずれの装置または材料を含むことができる。
本発明の被覆組成物を使用し得る工業分野で使用される装置の例としては、以下に制限されないが、コンピューターCRT及び製造過程の反応用プローブが挙げられる。例えば、本発明の被覆組成物によりナノチップを被覆することによりナノチップを核及びバイオリアクター中で追跡することができる。更に、本発明の放射線不透過性装置は、例えば、反応ブロスからの触媒の除去を放射線不透過性触媒をモニターすることにより追跡できるバイオリアクター中の追跡可能な触媒量の装置として;例えば動物モニターにおいて使用される追跡可能な電子装置として;爆発性及び他の危険な物質のX線不透過性追跡システム、特に空港の安全スキャナーとして;及び、特にフイルム化画像が使用される、高エネルギー電磁気放射線感受性モニター装置の使用を必要とする他の工業的適用に使用することが出来る。
【0034】
医療用装置は、組織、血液または他の体液にその操作において接触し、その流体が次に生体において使用される、表面を有するいずれかの物体である。本発明の生体適合性組成物を組み入れることができる医療用装置は、以下に制限されないが、外科移植、プロステーシス、及び生体の一部を置換または増強するか若しくは体液、特に血液と接触する人工部分または装置を含む。物体は、管状、シート、ロッド及び独特の形状の物品を含むいずれの形状または形態であってもよい。本発明において使用可能な様々な医療装置及び器具は本分野で既知である。装置の例としては、カテーテル、縫合材料、管系、及び繊維膜が挙げられる。カテーテルの例としては、中心静脈カテーテル、胸部ドレインカテーテル、血管形成バルーンカテーテルが挙げられる。管系の例としては、全血酸素送り込み装置のような、体外回路網に使用される管系が挙げられる。膜の例としては、ポリカーボネート膜、血液透析膜、診断またはバイオセンサー装置において使用される膜が挙げられる。また、診断に使用される装置、並びにポリエチレンリボンのようなポリエステル紡糸縫合材料及びポリプロピレン中空繊維膜も含む。
【0035】
医療用装置の更なる例として以下のものが挙げられる:自己輸血装置、血液フィルター、血液ガス交換装置、血液ポンプ、血液温度モニター、骨成長刺激装置、呼吸循環連結器、ブルドッグクランプ、カニューレ、移植片、移植可能なポンプ、インポテンツ及び失禁移植片、眼内レンズ、リード、リードアダプター、リードコネクター、鼻ボタン、眼窩移植片、心臓絶縁パッド、心臓ジャケット、クリップ、カバー、拡張器(dialators)、透析装置、使い捨て温度プローブ、ドーム、廃液製品、ドレープ、耳の芯(ear wicks)、電極、塞栓装置、食道聴診器、骨折固定装置、グローブ、ガイドワイヤ、血液濾過装置、ハブ、動脈内血液ガスセンサー、心臓内吸引装置、子宮内圧装置、鼻スペタル副木(nasal spetal splints)、鼻止血栓、針、眼用装置、酸素処理装置(シート状及び管状の双方の膜酸素処理装置を含む)、PAPブラシ、歯周部繊維接着剤、ペッサリー、ピン、保持加圧帯、スクリュー、敷布(sheeting)、スポンジ、ステープル、胃の出入り口(stomach port)、手術器具、トランスデューサープロテクター、尿管ステント、膣避妊薬、バルブ、導管ループ、水及び塩水バブル、アクタブラー(achtabular)カップ、輪状形成術用リング、大動脈/冠状動脈位置探索装置、人工膵臓、バルーン、バッテリー、骨用セメント、乳房移植片、心臓用材料、例えばファブリック、フェルト、フィルム、マーカー、メッシュ、パッチ、セメントスペーサー、蝸牛移植片、細動除去器、発生装置、整形移植片、ペースメーカー、膝蓋骨ボタン、陰茎移植片、ガーゼ、プラグ、プレート、ポート、補綴心臓バルブ、シーティング、シャント、探り針、臍帯テープ、バルブ調節コンジット、及び管アクセス装置。
【0036】
本発明の方法は特にステントに適用可能である。本明細書の目的において、ステントは、カテーテルにより搬送することができる装置である。ステントは、バルーン拡張可能なステント及び自己拡張ステントを含む。バルーン拡張可能なステントは金属コイル及び穴空き管状デザインを含む。
本発明において使用される好ましいステントは、カナダ特許(CA)第2201001(Plante)(この特許は本明細書に組み込まれるものとする)に記載されている。このステントは、可塑的に変形可能な金属合金からなる長軸方向にフレキシブルな耐久性の血管内プロステーシスであり、体の管腔への移植用であり、収縮状態から拡張状態に拡張可能である。このステントは、放射方向に各々拡張可能な複数の近接したリングを有しており、近接リング間に連結要素を有している。このステントは二種類のリングを含み、各々は複数の六辺形または反転した(inverted)六辺形のいずれかにより形成されている。二種類のリングはステントの長軸方向に一列に交互に配置されている。二つの連結要素は近接するリングを接合させるために使用され、横軸方向の(traverse axis)0°及び180°に位置し、一平面中で二つのリングの間のフレキシビリティを与えており;次の連結要素ペアは、前記のものから90°シフトしており、次の結合したリングの垂直方向におけるフレキシビリティを与えている。ステントは、バルーンカテーテルに取り付けられ、クリンピングされ、動脈等の体の管腔内に収縮した状態で送達され、膨らむバルーンカテーテル上で放射状の力により受動的に拡張する。
【0037】
他の適するステントしては、ステント枠組み(フレームワーク)として有用な変形可能な金属ワイヤステントが挙げられ、例えば米国特許第4,886,062号(Wiktor)にワイヤステントの好ましい製造方法が記載されている。他の有用な金属製ステントしては、米国特許第4,733,655号(Palmaz)及び4,800,882号(Gianturco)に記載されるものが挙げられる。他の適するステントとしては、パルマ−シャッツ(Palmaz−Schatz)冠状ステント(Johnson & Johnson Interventional, Warren, N.J.)及び商品名CARDIOCOIL(Medtronic, Eden Prairie, Minn.,)の下に入手可能なもの及び米国特許第5,372,600号に記載のものを含む自己拡張ニチノールステントのような形状記憶金属からなるステントが挙げられる。本発明における使用において好ましいステントは、挿入時にナビゲートする管腔に従って曲げやすく、生体適合性で、かつ確実に拡張して管腔壁に埋め込まれなければならない。
【0038】
ステントは本発明の被覆組成物により処理される。ステントは管腔壁接触表面及び管腔拡張表面を含む。通常、ステントが管状構造(不連続管または環状構造を含む)に形成される場合、管腔壁接触表面は管の外側表面であり、管腔拡張表面は管の内側表面である。適切な場合には、外側表面は管腔壁の一部と接触しており、内側表面は血液と接触している。典型的には、管腔壁接触表面及び管腔拡張表面は被覆組成物によりコートされているが、ステントを形成するのに使用される材料によっては、管腔拡張表面のみ必要である。
本発明は物体を放射線不透過性にする方法を提供する。この方法は、本発明の被覆組成物を物体に塗布することを含む。被覆組成物は物体に溶媒を用いて、または用いないで塗布することができる。もし被覆組成物を溶媒中で塗布する場合には、溶媒を蒸発させる。被覆組成物は、スプレー、浸漬、プラズマ蒸着、フローコーティング、刷毛塗りまたはダビングにより塗布することができる。
【0039】
更に、被覆組成物を溶融押し出しにより塗布することもできる。この態様では、組成物は熱可塑性又は熱硬化性であり、溶媒を用いない。例えば、ワイヤ上に被覆が形成されるようにワイヤをそのような被覆組成物中に通すことができる。
物体が個々の適用に対して十分に放射線不透過性となるような厚さまで、被覆組成物を物体上に塗布する。コーティング厚さは約0.1ミクロン以上である
プラズマ蒸着では、コーティング組成物を物体にアルゴン等の不活性ガス雰囲気下に塗布する。この技術は非電気的装置を使用することができるが、プラズマを電気的に発生させることが好ましい。この方法は通常スパッタリングとして知られている。本明細書の目的においてプラズマはターゲットから基板へ原子をスパッタリングする目的で直流(d.c.)または無線周波数(交流、a.c.)の場において生じるイオン化ガスを意味する。本明細書において蒸気は、熱による蒸発又は電子銃により低圧雰囲気下で形成される原子粒子雲を意味し、蒸気は基体の表面上に濃縮される。従って、“プラズマ蒸気”とは、スパッタリングまたは蒸発により形成される粒子雲を意味する。
【0040】
被覆組成物を物体上にスプレーする場合には、スプレーサイクル数を調節することにより容易に、コーティングの異なる厚さを達成することができる。典型的には、Badger Model 150のようなエアブラシ(圧搾空気源と共に供給される)を使用できる。もし、表面面積のかなりの面積をコートする場合には、回転する取付具に物体を据えて行うことが好ましく、物体表面の被覆を容易に行い得る。例えば、血管のステント表面を全てコートするには、装置の端を、わに口クリップのような弾力性の固定装置により回転取り付け具に固く取り付ける。ステントは軸周囲のほぼ水平面を回転する。典型的にはエアブラシのスプレーノズルは装置から2〜4インチの位置に取り付ける。
被覆組成物の厚さは、スプレーノズルの回転速度及び流速により調節することができる。回転速度は通常約30〜50rpmに調節され、典型的には約40rpmである。スプレーノズルの流速は1分につき4〜10mlコーティングの範囲であるが、これも調節してもよい。通常多数のスプレーコートが目的の被覆厚さを達成するのに必要である。もし、浸漬等の非スプレープロセスを使用する場合には、一回コーティングでも十分であり得る。
【0041】
実施例
以下の実施例は本発明の実施を示す目的であり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。全てのパーセンテージは特に示さない限り、質量/容積である。
実施例1 反応性ポリマーを用いたコーティング中への放射線不透過性部分の組み込み
ポリ(ウレタン)ステントは、イソプロピルアルコールにより清浄化し、オーブン中で60℃にて乾燥した。浸漬溶液を、ヨードパノ酸(iodopanoic acid)をジメチルアセトアミド中に予備分散して10%溶液を得ることにより作製した。予備分散液を20%レベルで、32%ポリ(カプロラクトン)/トルエンジイソシアナートポリウレタンの酢酸エチル溶液(Lord Chemical製、Flock−Lok7000)と40%付加トリメチロールプロパンジフェニルメタンジイソシアネートのメチルエチルケトン溶液(Lord Chemical製、Flock−Lok7200)の同質量を2%含むメチルエチルケトン溶液へ添加した。
ステントを1時間以上その溶液へ浸漬し、数分間空気乾燥し、次に同様に再浸漬した。このプロセスを数回繰り返し、しっかりしたコーティングを確実にした。処理したステントを次に予め酢酸エチルに溶解したポリ(ビニルピロリドン)(Mw約1,200,000)の4%溶液に浸漬した。このようにコートしたステントを除去し、数分間空気乾燥し、65℃で6時間、オーブンで硬化させた。得られたステントを、ブタ試験被検体を通じて蛍光透視鏡により観察したところ、非被覆ステントと比較して改良された視覚化性能を示した。
【0042】
実施例2 反応性イソシアネートモノマーを通じた放射線不透過性部分の反応
14Fr間欠性尿カテーテルの全体をイソプロピルアルコールを用いて清浄化し、60℃で5分間オーブン乾燥した。10%予備分散液を、ヨードパノ酸及びジメチルアセトアミドを用いて作製した。第二混合物を下記表1に示す成分を混合することにより作製した。
【0043】
表1
【0044】
カテーテルを上記コーティング混合物に9秒間浸漬し、15分間乾燥し、次に80℃で30分間オーブン乾燥した。得られたチューブを、蛍光透視鏡で検査したところ、放射線不透過性部分を有さずに同様にコートされたカテーテルと比較して優れた放射線不透過性を示した。
【0045】
実施例3 反応性モノマーと放射線不透過性部分との反応及びカテーテル上のコーティング
12Frラテックスカテーテルを実施例2で述べたように清浄化した。20%ヨードパノ酸/ジメチルアセトアミド予備分散液を上述したように製造した。予備分散液へ4,4−ジフェニルメチルジイソシアネート(Mondur M, Bayer Corp)を、表2に示された処方を用いて、反応性イソシアネートの放射線不透過性部分への比が1:1より大きくなるように添加した。
得られた放射線不透過性コートしたカテーテルは、反応性放射線不透過性モノマーと反応させない他は同様に製造したカテーテルと比較して優れた視覚化性能を示した。
【0046】
実施例4 放射線不透過性の平滑なカテーテルコーティングの製造
実施例3で述べたものと同様のカテーテル上に、同様に上記反応性モノマー組成物をコートした。コートされた、乾燥カテーテルを次に2.5%ポリ(ビニルピロリドン)(Kollidon K−90, BASF)/酢酸エチル溶液中に浸漬した。カテーテルをこの混合物に15分間浸漬し、除去して3分間空気乾燥した。カテーテルを強制通風オーブン中で60℃で30分間乾燥した。得られた放射線不透過性コートをしたカテーテルは、実施例3の反応性放射線不透過性モノマーと反応させなかった同様に製造されたカテーテルと比較して、優れた視覚化を示した。更に、このカテーテルを、実施例3のカテーテルと比較して優れた湿潤潤滑性を示した。
【0047】
実施例5 反応性モノマー及びセルロース誘導体を用いた放射線不透過性コーティングの製造
14Frポリウレタン透析カテーテルを実施例3で述べたように清浄化した。表3に示した成分を混合することにより処方を行った。反応性放射線不透過性モノマー予備分散液を実施例3で述べたように15%活性固形物で製造した。
【0048】
表3
【0049】
カテーテルを上記混合物に15分間浸漬し、3分間空気乾燥し、60℃で30分間強制通風オーブン中でオーブン乾燥した。得られたカテーテルは、放射線不透過性モノマーを含まない同様に製造されたカテーテルと比較して、優れたX線視覚化性能を示した。
【0050】
実施例6 放射線不透過性モノマーとUV−硬化性平滑コーティングの反応
14Frポリ(ウレタン)カテーテルを実施例2で述べたように洗浄した。20%ヨードパノ酸及び4,4−ジフェニルメチルジイソシアネート/ジメチルアセトアミド分散液を実施例3で述べたように製造した。10.0gのN−ビニルピロリドン、10gのトリメチロールプロパンモノアクリレート、4.0gのPVP及び0.75gのUV感受性光開始剤(Darocur 1116,Merck)の混合物を製造した。この混合物に、2.0グラムの反応性放射線不透過性予備分散液を添加した。カテーテルを反応性混合物中に浸漬し、被覆したカテーテルを80WUVランプを用いてUV光で45分間照射した。同様に、カテーテルを暴露温度が60℃であるような赤外ランプにより照射した。カテーテルを更に30分間IR照射した。得られたコートされたカテーテルは、放射線不透過性モノマーを用いずに同様にコートされたカテーテルと比較して、優れた放射線不透過性を有することが見出された。
【0051】
実施例7 ポリ(エチレンオキシド)/ポリアクリレートコーティングを用いたプラズマ調製カテーテルと放射線不透過性モノマーとの反応
14FrPEBAXカテーテル(Atochem)を、VM&Pナフサで清浄化し、60℃で5分間オーブン乾燥した。得られたカテーテルを、10−3Torrのアンモニア雰囲気を含むプラズマチャンバーにいれ、表面を15分間プラズマエッチした。ジメチルアセトアミド中の放射線不透過性モノマーの10%予備分散液を実施例3で述べたように調製した。ポリアクリレート(BF Goodrich)及び600Mwポリ(エチレンオキシド)(ユニオンカーバイド)のブレンド(アクリレート対PEO比が2:1)を用いて2.5%の水性コーティング溶液を調製した。このコーティング組成物に、25%の放射線不透過性モノマー予備分散液を添加し、全体の混合物を1化学量論当量のアジリジン(エチレンイミン)と混合した。カテーテルを10秒間コーティング溶液中に浸漬し、15分間乾燥し、次に80℃で30分間強制通風オーブン中でオーブン乾燥した。得られたカテーテルは、放射線不透過性モノマーを含まずに同様に製造されたカテーテルと比較して、優れた性能を示した。
【0052】
実施例8 グリシジルメタクリレートコーティングと放射線不透過性モノマーとの反応
8Frポリウレタンカテーテル管を実施例2で記載したように清浄化した。放射線不透過性モノマーの20%予備分散液を実施例3で述べたように製造した。ジメチルアクリルアミド及びグリシジルメタクリレートのブロックコポリマーを、ポリパーオキシド開始剤を用いてこれらの二つのモノマーを共に反応させることにより製造した。重合化を80℃で2時間行った。得られたコポリマーの2%溶液をメチルエチルケトン中で製造し、25%放射線不透過性モノマー分散液をこのポリマー混合物に添加した。カテーテル管を上記コーティング処方中に10秒間置き、15分間空気乾燥し、80℃で30分間オーブン乾燥した。得られたチューブは、放射線不透過性モノマーを含まない同様の処方から製造されたチューブと比較して、優れたX線視覚化性能を示した。
発明の背景
本発明は、ポリマー性、セラミック性及び金属性の物体の被覆組成物として使用できる放射線不透過性ポリマー組成物に関する。更に、本発明は放射線不透過性の物体及び物体を放射線不透過性にする方法に関する。
物体を放射線不透過性にできることは幾つかの分野において重要である。特に医療分野では重要である。例えば、放射線不透過性である医療装置は、医療行為中及び手術後のフォローアップにおいてそのような装置を放射線中に置くことを容易にする。工業的分野では、物体をX線から区別またはシールドするために装置を放射線不透過性にすることが重要とされる多数の適用がある。
【0002】
物体を放射線不透過性にする最近の方法は、硫酸バリウム(BaSO4)のような物質を物体に混合すること、または銀または金を物体上にメッキ/イオンスパッタリングすることを含む。また多くの医療装置ポリマーでは、バリウムまたはビスマス放射線不透過性化合物により充填することも従来行われていた。最近、組成物中に物理的に硫酸バリウムや銀粉末をトラップした放射線不透過性ペイント及びインクが提案された。鉛もまた、非医療的適用、典型的にはメッキ形態またはセラミック中への混合において使用される。
【0003】
最近の物体を放射線不透過性にする方法には幾つかの欠点がある。特に、最近の方法により処理された医療装置は低い生体適合性を示し、また組織に毒性である場合がある。さらに、イオン蒸着をステント上に使用した場合には、再狭窄の可能性が上昇する。医療分野及び工業分野における最近の方法の他の欠点として、毒性、電気化学的腐食、高コスト、装置の物理的及び電磁気的性質における望ましくない変化、及び装置製造における煩わしいプロセスが挙げられる。更に、X線から物体をシールドする最近の方法は非実用的であり高価である。
従って、本発明の目的の一つは、特に、従来技術で見られる欠点を有さない、物体を放射線不透過性にする被覆及びプライマーを提供することである。
【0004】
発明の要約
本発明は、非浸出性放射線不透過性部分を有するポリマー又はモノマーを含む放射線不透過性組成物を提供する。非浸出性放射線不透過性部分はポリマー又はモノマーに共有結合的に結合している。
放射線不透過性部分の例としては、結合した反応性官能基を有するハロゲン化芳香族化合物が挙げられる。ハロゲン化芳香族化合物の例としては、芳香族三ヨウ化物、芳香族三臭化物、芳香族三フッ化物及び芳香族三塩化物が挙げられる。結合した反応性官能基の例としては、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、アミド、カルボニル、チオール、アリル、ビニルまたは無水物の各基が挙げられる。
【0005】
放射線不透過性部分の更なる例としては、アミドトリゾエート、イオタラメート、イオヘキソール、イオパミドール、イオプロミド、イオキサグル酸、イオパデート(iopadate)、イオトロキセート、またはイオキサグレートが挙げられる。放射線不透過性部分の更なる例としては、イオベングアン、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド(Iodipamide)、イオジキサノール、ヨード化油、ヨードアルフィオン酸、p−ヨードアニリン、o−ヨード安息香酸、ヨードクロロヒドロキシキン(Iodochlorhydroxyquin)、o−ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、ヨードフタレインナトリウム、ヨードプシン(Iodopsin)、ヨードピラセット(Iodopyracet)、ヨードピロール、ヨードキノール、イオフェタミン、123I、イオグリカム酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、イオフェンジラート、イオフェノ酸、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、またはイオポダートが挙げられる。
【0006】
ポリマー又はモノマーは好ましくは少なくとも一つの反応性官能基を有する。反応性官能基の例としては、イソシアネート、イソチオシアネート、エステル、アルデヒド、N−ヒドロキシサクシンイミドエステル、エポキシド、カルボン酸エステル、トレシレート(tresylate)、無水物、アルキルハライド、カルボン酸、ハロケトン、アルケン、アルキンまたはアシルクロリドが挙げられる。
一つの実施態様において、ポリマーは合成ポリマーである。合成ポリマーは、ポリマーブレンド、アロイ、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーであることができる。ポリマーブレンド、アロイ、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブタレート)(poly(hydroxybutarates))、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(テレフタレート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(ウレタン)、シリコーン弾性体またはこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーは前記ポリマーのホモポリマーであることができる。
【0007】
他の態様において、ポリマーは天然ポリマーである。天然ポリマーの例としては、セルロース、キトサン、キチン、澱粉、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ザンタン(zanthan)、グアールガム;またはこれらのエーテル若しくはエステル誘導体;またはこれらのブロック、グラフト若しくはランダムコポリマー;またはこれらのブレンドが挙げられる。
本発明のモノマーの例としては、アクリレート、アリル化合物、アミド、アミン、無水物、エポキシド、イソシアネート、メタクリレート、シリル、チオール化合物、チオイソシアネート、ビニル化合物、エステル、酸クロリド、アクロレインまたはアクリロイルクロリドが挙げられる。
放射線不透過性部分とポリマー又はモノマー間の共有結合鎖の例としては、アルキル、アミン、アミド、無水物、アジド、カーバメート、カーボネート、カルボキシル、エーテル、エステル、イミド、チオール、チオカーバメート、チオイソシアネート、ウレアまたは他の共有結合鎖が挙げられる。
【0008】
一つの実施態様として、放射線不透過性部分はポリマー又はモノマーに熱、紫外線照射、ガンマ線照射、酸開始剤、塩基開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、またはアゾ開始剤の使用により共有結合的に結合することができる。
一つの実施態様において、本発明の組成物は更に少なくとも一つの添加成分を含むことができ、この添加成分は組成物から放出性または非放出性である。一つの実施態様において、添加成分は生物学的に活性な物質である。生物学的に活性な物質の例としては、生物静力学的薬剤、細胞増殖抑制剤、放射線エミッター、生体分子、抗炎症剤、免疫抑制剤または殺菌剤が挙げられる。生物学的に活性な物質として抗生物質及び抗血栓剤が好ましい。
【0009】
一つの実施態様において、組成物は、水分または水分含有物質で湿らせた場合に低い摩擦係数を有する。この実施態様において組成物はポリビニルピロリドン−ポリウレタン複合体を含むことができる。
一つの実施態様において、組成物はさらに溶媒を含むことができる。ポリマー又はモノマーと放射線不透過性部分の間の共有結合鎖は、溶媒を除去して形成することができる。または、共有結合鎖を組成物の調剤中に形成することができる。
一つの実施態様において、組成物は被覆組成物である。被覆組成物の例としては、コーティング及びプライマーが挙げられる。本発明のプライマーは同じモノマーまたはモノマーブレンドから製造することができる。プライマーとしては、共有結合鎖により物体に共有結合的に結合するモノマーを含むことができ、または物体に接着するモノマーを含むことができる。
【0010】
本発明は放射線不透過性物体を含む。一つの実施態様において、放射線不透過性物体を形成する材料は本発明の組成物を含む。他の実施態様において、物体は組成物により被覆されている。物体は医療用装置であることができる。医療用装置の例としては、カテーテル、ガイドワイヤ、シャント、スクリュー、ピン、プロステーシス、プレート、フィルム、スポンジ、縫糸、チューブ、カニューレ、バルーン、針、マーカーまたは探り針が挙げられる。好ましい医療用装置としてはステントが挙げられる。
【0011】
本発明は物体を放射線不透過性にする方法を含む。一つの実施態様において、前記方法は、ポリマー又はモノマーを含む被覆組成物を物体へ塗布することを含む。前記ポリマー又はモノマーは非浸出性放射線不透過性部分を含む。前記方法は更に、被覆組成物を溶媒中に置き、溶媒中の被覆組成物を物体に塗布し、溶媒を蒸発させることを含む。被覆組成物の塗布法の例としては、スプレー、浸漬、プラスマ蒸着、フローコーティング、刷毛塗りまたはダビング(dabbing)が挙げられる。
本発明は、物体を放射線不透過性にする最近の方法の欠点を回避する、放射線不透過性組成物及び物体を提供する。特に、低い生体適合性を示し、組織へ毒性を示し得る最近の方法により処理される医療装置とは異なり、本発明は生体適合性の組成物を提供する。更に本発明は、ステントのイオン蒸着を行う最近の方法に伴う上昇した再狭窄の可能性を回避する。本発明はまた、医療及び工業分野における最近の方法に伴う、毒性、電気化学的腐食、高コスト、装置の物理的及び電磁気的特性における望ましくない変化、及び装置を製造する際の煩雑なプロセスという問題を回避する。本発明のこれら及び他の利点は、本明細書に述べる詳細な説明及び実施例から明らかになるであろう。詳細な説明及び実施例は、発明の理解を高めるものであり、発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0012】
好適実施態様の詳細な説明
本発明は放射線不透過性組成物を提供する。放射線不透過性組成物は、少なくとも一つの放射線不透過性部分を有するモノマーまたはポリマーを含む。放射線不透過性部分はモノマーまたはポリマーに共有結合的に結合しており、また非浸出性(すなわち、放射線不透過性部分の周囲の媒体への浸出(溶脱)は抑制される)である。
【0013】
本発明の放射線不透過性部分は、放射線不透過性を与え、かつモノマー又はポリマーに結合し得るいずれの化合物または分子であってもよい。例えば、放射線不透過性部分は、少なくとも一つの結合した反応性官能基を有するハロゲン化芳香族化合物であることができる。ハロゲン化芳香族化合物の例としては、以下に制限されないが、芳香族三ヨウ化物、芳香族三臭化物、芳香族三塩化物、及び芳香族三フッ化物が挙げられる。結合する反応性官能基は、放射線不透過性部分を本発明のモノマー又はポリマーに結合させることができるいずれの官能基でもよい。結合する反応性官能基の例としては、以下に限定されないが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、アミド、カルボニル、チオール、アリル、ビニルまたは無水物の各基が挙げられる。本発明において使用される放射線不透過性部分の好ましい例としては、以下に制限されないが、アミドトリゾエート、イオタラメート、イオヘキソール、イオパミドール、イオプロミド、イオキサグル酸、イオパデート(iopadate)、イオトロキセート、またはイオキサグレートが挙げられる。
【0014】
本発明において使用される放射線不透過性部分の好ましい例は、例えば、メルクインデックス第12版(メルク & Co., Whitehouse Station, NJ, pages 859−869)に記載されており、例えば、イオベングアン、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド(Iodipamide)、イオジキサノール、ヨード化油、ヨードアルフィオン酸、p−ヨードアニリン、o−ヨード安息香酸、ヨードクロロヒドロキシキン(Iodochlorhydroxyquin)、o−ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、ヨードフタレインナトリウム、ヨードプシン(Iodopsin)、ヨードピラセット(Iodopyracet)、ヨードピロール、ヨードキノール、イオフェタミン、123I、イオグリカム酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、イオフェンジラート、イオフェノ酸、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、及びイオポダートが挙げられる。
【0015】
本発明のポリマー及びモノマーは、少なくとも一つの非浸出性放射線透過性部分が結合し得るものであり、また少なくとも一つの反応性官能基を有するモノマー又はポリマーである。本発明において使用される好ましい反応性官能基は、以下に制限されないが、イソシアネート類、イソチオシアネート類、エステル類、アルデヒド類、N−ヒドロキシサクシンイミドエステル類、エポキシド類、カルボン酸エステル類、トレシレート(tresylate)類、無水物類、アルキルハライド類、カルボン酸類、ハロケトン類、アルケン類、アルキン類またはアシルクロリド類が挙げられる。特に好ましいものは少なくとも一つの反応性イソシアネート基を有するポリマー及びモノマーである。
本発明のポリマーは合成または天然のものであることができる。
【0016】
本発明において使用される好ましい合成ポリマーとしては、以下に制限されないが、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブタレート)、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(テレフタレート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(ウレタン)、及びシリコーン弾性体が挙げられる。上述したポリマーはホモポリマーの形態であることができる。更に、上述したポリマーは、ポリマーブレンド、アロイ、及びコポリマーの形態であることができる。ポリマーブレンド、アロイ、及びコポリマーは上述したポリマーの組み合わせ及び混合物を含むことができる。コポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーを含むことができる。ポリ(ウレタン)及びポリ(ビニルピロリドン)は本発明において使用される最も好ましいポリマーである。
【0017】
本発明において使用される天然ポリマーは、以下に制限されないが、セルロース、キトサン、キチン、澱粉、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ザンタン(zanthan)、グアールガム等及びこれらの天然ポリマーのエーテル及びエステル誘導体が挙げられる。更に、上述したポリマーはポリマーブレンドまたはコポリマーの形態であることができる。コポリマーは、上述したポリマーの組み合わせ及び混合物を含むことができる。コポリマーはランダム、ブロック及びグラフトコポリマーを含むことができる。
本発明の好ましいモノマーは、以下に制限されないが、アクリレート類、アリル化合物類、アミド類、アミン類、無水物類、エポキシド類、イソシアネート類、メタクリレート類、シリル類、チオール化合物類、ビニル化合物類、エステル類、酸クロリド類、アクロレイン類、アクリロイルクロリド類及びチオイソシアネート類が挙げられる。
【0018】
本発明の一実施態様において、ポリマーが予め形成されており、これに少なくとも一つの放射線不透過性部分が共有結合的に結合している。他の実施態様において、放射線不透過性部分がモノマーまたはコポリマーに共有結合的に結合しており、このモノマー又はコポリマーからポリマーが形成される。ポリマーは、一つの型のモノマー又はコポリマーの重合化により形成することができ、または二以上の異なる型のモノマー又はコポリマーのブレンドの重合化により形成することができる。他の実施態様において、放射線不透過性部分を有するモノマー又はコポリマーを、予め形成したポリマーと反応させることができる。
【0019】
例えば、第1工程として放射線不透過性部分へジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のようなモノマーをアミン鎖により反応させ、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)のようなポリマーを用いてMDI上の第二の反応性部位の誘導化により、または他のイソシアネートと反応させることにより、ポリウレタンを形成する。他の例として、モノメタクリレートまたはポリメタクリレートを紫外線存在下、放射線不透過性部分の反応部位と架橋することができ、更にPVP、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)または他のアクリレートモノマーまたはポリマーのような親水性ドメインと架橋させることができる。同様の結合パターンがエポキシドまたは他の反応性基に使用される。
【0020】
放射線不透過性部分へのポリマー又はモノマーの共有結合は、いずれの型の共有結合鎖を通じてもよい。好ましい共有結合鎖の例としては、以下に制限されないが、アルキル、アミン、アミド、無水物、アジド、カーバメート、カーボネート、カルボキシル、エーテル、エステル、イミド、チオール、チオカーバメート、チオイソシアネート、またはウレアの各鎖が挙げられる。共有結合的付着は、化学または非化学的開始剤により惹起されることができる。好ましい開始剤の例としては、熱、紫外線照射、ガンマ線照射、酸開始剤、塩基開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、またはアゾ開始剤の使用が挙げられる。更に、グラフト反応により、共有結合鎖をポリマー又はモノマー及び放射線不透過性部分の間に形成することができる。
【0021】
ポリマーに結合する放射線不透過性部分の量は、放射線不透過性組成物の適用により変化する。この量は、ポリマーの一つのモノマーへ結合した放射線不透過性部分の一分子から、ポリマーの各モノマーへ結合した放射線不透過性部分の範囲で変化することができる。
本発明の組成物は、組成物から放出性または非放出性である少なくとも一つの添加成分を更に含むことができる。
添加成分は組成物中に溶解または懸濁することにより混入することができる。もし成分を溶液に懸濁する場合には、平均粒子サイズが0.1〜100ミクロンの範囲の微粒子として分散するべきである。
放出性である成分は、乾燥ポリマー中に典型的には吸着または物理的にトラップさせる。この成分は次に膨潤により放出される。更に、放出性成分をPVPまたは他の荷電したポリマーにイオン的に結合させることができる。
組成物から非放出性である成分は、典型的には組成物に共有結合的に結合した成分である。または、この非放出性成分は、成分の放出を妨げるポリマーマトリックスに埋め込まれている。
【0022】
これらの成分は生物学的に活性な物質である。生物学的に活性な物質はいずれかの生体影響剤または生体処理剤である。
一般に、本発明において使用される生物学的に活性な物質は、以下に制限されないが、例えば、抗菌剤及び抗微生物剤類、抗凝血剤及び抗血栓剤類、血小板剤類、抗炎症剤類、酵素類、触媒類、ホルモン類、成長因子類、薬剤、ビタミン類、抗体類、抗原類、核酸類、色素類(生物学的リガンドとして作用するもの)、DNA及びRNAセグメント類、生物静力学的薬剤類、細胞増殖抑制剤類、放射線エミッター類、生体分子類、免疫抑制剤類、殺菌剤類、並びに蛋白質及びペプチド類が挙げられる。更なる例として、ヘパリン、プロスタグランジンE1、チクロピジン、プラスミン、ウロキナーゼ、オリゴヌクレオチド類、TPA、ポリエチレンオキシド(PEO)、及びFUT−175が挙げられる。好ましい生物学的に活性な物質としては、抗生物質及び抗血栓剤が挙げられる。生物学的に活性な物質は、合成的に誘導されたものまたは天然に生じたものであることができる。生物学的に活性な物質としては、上述した物質の一つの分子または二以上の分子を含むことができる。
【0023】
生物学的に活性な物質の濃度または添加量は、目的の治療効果により変えることができる。また、生物学的に活性な物質のポリマーまたはモノマーに対する比に関する添加量は、生物学的に活性な物質のそれ自身への固定におけるポリマー又はモノマーの効力及び被覆が生物学的に活性な物質を体組織に放出する速度に依存する。一般に、ポリマーは0.01〜90質量%、好ましくは1.0〜45質量%及び最も好ましくは2.5〜25質量%の生物学的に活性な物質を含むことができる。
【0024】
本発明は、水または水含有物質により湿潤した時に低摩擦係数を有する組成物を含む。有効な親水性度を示すポリマー及びモノマーブレンドはまた、湿潤した時に顕著に低下した摩擦係数を示す。そのようなブレンドは、例えば、十分量のポリ(N−ビニルラクタム)またはHECを含む。例えば、本発明の組成物は更にポリビニルピロリドン−ポリウレタン複合体を含むことができる。この複合体は、組成物と反応または組成物中にアロイ化させることができる。従来、ポリウレタンをポリビニルピロリドンとの複合体とすることが知られている。複合体の正確な性質は知られていないが、いずれにしてもポリビニルピロリドンは本技術分野で複合体と称される形態で、ポリウレタンに結合される(この特定の複合体をインターポリマー(interpolymer)と呼ぶ場合もある)。これらの複合体及びその製造方法は、例えば、米国特許第4,100,309号、4,769,013号、6,054,504号及び4,642,267号に見られるように周知である。これらの特許を本明細書に参考文献として組み入れるものとする。ポリビニルピロリドン−ポリウレタン複合体は更に生物学的に活性な物質を含むことができる。
【0025】
典型的なポリビニルピロリドン−ポリウレタン複合体は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール−イソホロンジイソシアネート、ポリ(1,4−オキシブチレン)グリコール−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリ(1,4−オキシブチレン)グリコール−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリ(1,4−オキシブチレン)グリコール−イソホロンジイソシアネート、ポリエチレングリコール−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリエチレングリコール−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリエチレングリコール−イソホロンジイソシアネート、ポリプロピレングリコール−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリプロピレングリコール−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリプロピレングリコール−イソホロンジイソシアネート、ポリカプロラクトン−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリカプロラクトン−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリカプロラクトン−イソホロンジイソシアネート、ポリエチレンアジペート−ジフェニルメタン(MDI)、ポリエチレンアジペート−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリエチレンアジペート−イソホロンジイソシアネート、ポリエチレンアジペート−ジフェニルメタン(MDI)、ポリテトラメチレンアジペート−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリテトラメチレンアジペート−イソホロンジイソシアネート、ポリエチレン−プロピレンアジペート−ジフェニルメタン(MDI)、ポリエチレン−プロピレンアジペート−トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリエチレン−プロピレンアジペート−イソホロンジイソシアネート ポリウレタン類である。
【0026】
本発明は、例えば以下に記載されるいずれのコーティング組成物及びコーティング方法も含む;Fan, et al., [Polymer News, 1992, 17, 70−74], Ikada, Y., and Uyama, Y., in ”Lubricating Polymer Surfaces”, Technomic Lancaster, PA, 1993 and LaPorte, R., ”Hydrophilic Polymer Coatings For Medical Devices”, Technomic, Lancaster, PA, 1997。これらの文献は本発明に全て組み入れるものとする。
一実施態様において、組成物は更に溶媒を含む。適する溶媒は、組成物を溶液に溶解し得るものであるが、組成物中で使用される生物学的に活性な物質の治療特性を変化させたりまたは悪影響を与えるものではない。更に、溶媒自身は、反応性のアミノ、ヒドロキシル及びカルボキシル基を含むべきではない。好ましい溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、アセトン、乳酸エチル、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、トリクロロエチレン、モノ及びジエチレングリコールエーテル類、N−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、メチルクロリド及び酢酸エチルが挙げられる。乳酸エチルのヒドロキシルは有害であるほど十分に反応性ではない。溶媒は反応性基を含まないことが好ましいが、水、水性アルコール混合物及びアルコール類等の溶媒は特定のモノマー及びポリマーに関して本発明の実施に適する。
【0027】
本発明の組成物は放射線−不透過性物体を提供するために使用することが出来る。本発明の目的における物体としては、以下に制限されないが、医療または工業分野において使用される装置及び物質が挙げられる。一実施態様において、放射線不透過性物体を形成する物質は、本発明の組成物を含む。他の実施態様としては、本発明の組成物を物体の被覆組成物として使用できる。これらの被覆組成物は、コーティング及びプライマーを含む。本発明はまた、物体を放射線不透過性にする方法及び放射線不透過性物体を提供する。
【0028】
コーティングの好ましい実施態様としては、放射線不透過性部分が、上述したようなポリマーに共有結合的に結合している。本発明のコーティングは、単一型のポリマーを含むことができる。またはコーティングはブレンドポリマーを含むことができる。適するブレンドポリマーはコーティングの特定の適用に適合させることができる。例えば、医療分野では、ブレンドは特定の生物学的に活性な物質に適合させて目的の効果を生じさせることができる。コーティング中の放射線不透過性部分の量は、コーティングを塗布する物体を十分に放射線不透過性にするのに必要な量である。そのような量は、物体の材料、評価技術及び環境に基づいて変化させることができる。
【0029】
プライマーの好ましい実施態様において、放射線不透過性部分は、上述したようなモノマーに共有結合的に結合している。本発明のプライマーは、単一型のモノマーを含む。または、プライマーはモノマーブレンドを含む。適するモノマーブレンドは、プライマーの特定の適用に適合させることができる。例えば、医療分野では、ブレンドは特定の生物学的に活性な物質に適合させて目的の効果を生じさせることができる。各モノマーは、共有結合的に結合した放射線不透過性部分を有することができる。または、放射線不透過性部分は、プライマーを塗布する基体を放射線不透過性にするのに必要な量において、プライマーを形成するモノマーの幾つかにのみ共有結合的に結合することができる。
【0030】
一実施態様において、プライマーのモノマーを、プライマーを塗布する物体の表面に直接反応させるか若しくは結合させることができる。その物体が反応性官能基を有する材料からなる場合に、物体の表面への反応または結合が起こることができる。例えば、ポリウレタンからなる物体の場合、プライマーはその物体に共有結合的に架橋することが出来る。他の実施態様において、モノマーはプライマーが塗布される物体の表面に接着する。接着は、例えば、取り込み(entrapment)、絡み合い(entanglement)、水素結合、ファンデルワールス力または他の力等の物理的結合である。例えば、スチールからなる物体の場合において、プライマーを形成するモノマーはポリウレタンを形成し、スチールに接着する。
本発明はプライマーを物体に塗布した後、コーティングを更に塗布する態様を含む。プライマーは、プラスチック、セラミックまたは金属物体上に恒久的にかつ丈夫に接着したコーティングを与える。
【0031】
被覆組成物は上述した添加成分を含むことができる。医療装置に使用される好ましい添加成分としては、抗血栓剤及び抗生物質が挙げられる。被覆組成物はまた、上述したように組成物の摩擦係数を低下させる成分を含むことができる。
一実施態様において、被覆組成物は上述したような溶媒を含むことができる。本発明の方法は、溶媒中の被覆組成物を被覆すべき物体表面に塗布し、次に溶媒を除去することを含む。溶媒は好ましくは蒸発により除去される。
モノマー又はポリマーと放射線不透過性部分との間の共有結合鎖を、溶媒を除去して形成することが出来る。または、共有結合鎖を被覆組成物を調製する間に形成することができる。
【0032】
本発明の一実施態様は、非浸出性放射線不透過性部分を有するポリマー又はモノマーを含む被覆により修飾された物体である。本発明の方法により修飾することができる物体は、多数の様々な材料から製造することが出来る。これらの材料としては、以下に制限されないが、チタニウム/チタニウム合金類、TiNi(形状記憶/超弾性)、酸化アルミニウム、プラチナ/プラチナ合金類、ステンレススチール類、MP35N、エルギロイ(elgiloy)、ヘイネス(haynes)25、ステライト、熱分解性炭素、銀、ガラス状炭素、タンタル、ニッケル−クローム、コバルト−クロミウム等の金属;ポリウレタン類、ポリカーボネート類、シリコーン弾性体類、ポリオレフィン類(ポリエチレン類またはポリプロピレン類を含む)、ポリビニルクロリド類、ポリエーテル類、ポリエステル類、ナイロン類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリレート類、及びポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリメタクリレート類、n−ブチルシアノアクリレート、ポリビニルアルコール類、ポリイソプレン類、ゴム、セルロース誘導体類、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(p−フェニレンテレフタラミド)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、アクリロニトリルブタジエンエチレン、ポリアミド、ポリイミド、スチレンアクリロニトリル等のポリマー類;ヒドロキシアパタイト等の無機物類またはセラミックス類;骨、皮膚、歯、コラーゲン、ラミニン、エラスチンまたはフィブリン等のヒトまたは動物の蛋白質又は組織;木、セルロース、または圧搾炭素等の有機物質;及びガラス等の他の物質、などが挙げられる。更に、物体は、例えばトリクロサン(triclosan)、セチルピリジニウムクロリド、ヘキシデン(hexidene)、クロロヘキシデン等の生物学的に活性な物質から作製されることができる。
【0033】
本発明の物体は、工業又は医療分野で使用されるいずれの装置または材料を含むことができる。
本発明の被覆組成物を使用し得る工業分野で使用される装置の例としては、以下に制限されないが、コンピューターCRT及び製造過程の反応用プローブが挙げられる。例えば、本発明の被覆組成物によりナノチップを被覆することによりナノチップを核及びバイオリアクター中で追跡することができる。更に、本発明の放射線不透過性装置は、例えば、反応ブロスからの触媒の除去を放射線不透過性触媒をモニターすることにより追跡できるバイオリアクター中の追跡可能な触媒量の装置として;例えば動物モニターにおいて使用される追跡可能な電子装置として;爆発性及び他の危険な物質のX線不透過性追跡システム、特に空港の安全スキャナーとして;及び、特にフイルム化画像が使用される、高エネルギー電磁気放射線感受性モニター装置の使用を必要とする他の工業的適用に使用することが出来る。
【0034】
医療用装置は、組織、血液または他の体液にその操作において接触し、その流体が次に生体において使用される、表面を有するいずれかの物体である。本発明の生体適合性組成物を組み入れることができる医療用装置は、以下に制限されないが、外科移植、プロステーシス、及び生体の一部を置換または増強するか若しくは体液、特に血液と接触する人工部分または装置を含む。物体は、管状、シート、ロッド及び独特の形状の物品を含むいずれの形状または形態であってもよい。本発明において使用可能な様々な医療装置及び器具は本分野で既知である。装置の例としては、カテーテル、縫合材料、管系、及び繊維膜が挙げられる。カテーテルの例としては、中心静脈カテーテル、胸部ドレインカテーテル、血管形成バルーンカテーテルが挙げられる。管系の例としては、全血酸素送り込み装置のような、体外回路網に使用される管系が挙げられる。膜の例としては、ポリカーボネート膜、血液透析膜、診断またはバイオセンサー装置において使用される膜が挙げられる。また、診断に使用される装置、並びにポリエチレンリボンのようなポリエステル紡糸縫合材料及びポリプロピレン中空繊維膜も含む。
【0035】
医療用装置の更なる例として以下のものが挙げられる:自己輸血装置、血液フィルター、血液ガス交換装置、血液ポンプ、血液温度モニター、骨成長刺激装置、呼吸循環連結器、ブルドッグクランプ、カニューレ、移植片、移植可能なポンプ、インポテンツ及び失禁移植片、眼内レンズ、リード、リードアダプター、リードコネクター、鼻ボタン、眼窩移植片、心臓絶縁パッド、心臓ジャケット、クリップ、カバー、拡張器(dialators)、透析装置、使い捨て温度プローブ、ドーム、廃液製品、ドレープ、耳の芯(ear wicks)、電極、塞栓装置、食道聴診器、骨折固定装置、グローブ、ガイドワイヤ、血液濾過装置、ハブ、動脈内血液ガスセンサー、心臓内吸引装置、子宮内圧装置、鼻スペタル副木(nasal spetal splints)、鼻止血栓、針、眼用装置、酸素処理装置(シート状及び管状の双方の膜酸素処理装置を含む)、PAPブラシ、歯周部繊維接着剤、ペッサリー、ピン、保持加圧帯、スクリュー、敷布(sheeting)、スポンジ、ステープル、胃の出入り口(stomach port)、手術器具、トランスデューサープロテクター、尿管ステント、膣避妊薬、バルブ、導管ループ、水及び塩水バブル、アクタブラー(achtabular)カップ、輪状形成術用リング、大動脈/冠状動脈位置探索装置、人工膵臓、バルーン、バッテリー、骨用セメント、乳房移植片、心臓用材料、例えばファブリック、フェルト、フィルム、マーカー、メッシュ、パッチ、セメントスペーサー、蝸牛移植片、細動除去器、発生装置、整形移植片、ペースメーカー、膝蓋骨ボタン、陰茎移植片、ガーゼ、プラグ、プレート、ポート、補綴心臓バルブ、シーティング、シャント、探り針、臍帯テープ、バルブ調節コンジット、及び管アクセス装置。
【0036】
本発明の方法は特にステントに適用可能である。本明細書の目的において、ステントは、カテーテルにより搬送することができる装置である。ステントは、バルーン拡張可能なステント及び自己拡張ステントを含む。バルーン拡張可能なステントは金属コイル及び穴空き管状デザインを含む。
本発明において使用される好ましいステントは、カナダ特許(CA)第2201001(Plante)(この特許は本明細書に組み込まれるものとする)に記載されている。このステントは、可塑的に変形可能な金属合金からなる長軸方向にフレキシブルな耐久性の血管内プロステーシスであり、体の管腔への移植用であり、収縮状態から拡張状態に拡張可能である。このステントは、放射方向に各々拡張可能な複数の近接したリングを有しており、近接リング間に連結要素を有している。このステントは二種類のリングを含み、各々は複数の六辺形または反転した(inverted)六辺形のいずれかにより形成されている。二種類のリングはステントの長軸方向に一列に交互に配置されている。二つの連結要素は近接するリングを接合させるために使用され、横軸方向の(traverse axis)0°及び180°に位置し、一平面中で二つのリングの間のフレキシビリティを与えており;次の連結要素ペアは、前記のものから90°シフトしており、次の結合したリングの垂直方向におけるフレキシビリティを与えている。ステントは、バルーンカテーテルに取り付けられ、クリンピングされ、動脈等の体の管腔内に収縮した状態で送達され、膨らむバルーンカテーテル上で放射状の力により受動的に拡張する。
【0037】
他の適するステントしては、ステント枠組み(フレームワーク)として有用な変形可能な金属ワイヤステントが挙げられ、例えば米国特許第4,886,062号(Wiktor)にワイヤステントの好ましい製造方法が記載されている。他の有用な金属製ステントしては、米国特許第4,733,655号(Palmaz)及び4,800,882号(Gianturco)に記載されるものが挙げられる。他の適するステントとしては、パルマ−シャッツ(Palmaz−Schatz)冠状ステント(Johnson & Johnson Interventional, Warren, N.J.)及び商品名CARDIOCOIL(Medtronic, Eden Prairie, Minn.,)の下に入手可能なもの及び米国特許第5,372,600号に記載のものを含む自己拡張ニチノールステントのような形状記憶金属からなるステントが挙げられる。本発明における使用において好ましいステントは、挿入時にナビゲートする管腔に従って曲げやすく、生体適合性で、かつ確実に拡張して管腔壁に埋め込まれなければならない。
【0038】
ステントは本発明の被覆組成物により処理される。ステントは管腔壁接触表面及び管腔拡張表面を含む。通常、ステントが管状構造(不連続管または環状構造を含む)に形成される場合、管腔壁接触表面は管の外側表面であり、管腔拡張表面は管の内側表面である。適切な場合には、外側表面は管腔壁の一部と接触しており、内側表面は血液と接触している。典型的には、管腔壁接触表面及び管腔拡張表面は被覆組成物によりコートされているが、ステントを形成するのに使用される材料によっては、管腔拡張表面のみ必要である。
本発明は物体を放射線不透過性にする方法を提供する。この方法は、本発明の被覆組成物を物体に塗布することを含む。被覆組成物は物体に溶媒を用いて、または用いないで塗布することができる。もし被覆組成物を溶媒中で塗布する場合には、溶媒を蒸発させる。被覆組成物は、スプレー、浸漬、プラズマ蒸着、フローコーティング、刷毛塗りまたはダビングにより塗布することができる。
【0039】
更に、被覆組成物を溶融押し出しにより塗布することもできる。この態様では、組成物は熱可塑性又は熱硬化性であり、溶媒を用いない。例えば、ワイヤ上に被覆が形成されるようにワイヤをそのような被覆組成物中に通すことができる。
物体が個々の適用に対して十分に放射線不透過性となるような厚さまで、被覆組成物を物体上に塗布する。コーティング厚さは約0.1ミクロン以上である
プラズマ蒸着では、コーティング組成物を物体にアルゴン等の不活性ガス雰囲気下に塗布する。この技術は非電気的装置を使用することができるが、プラズマを電気的に発生させることが好ましい。この方法は通常スパッタリングとして知られている。本明細書の目的においてプラズマはターゲットから基板へ原子をスパッタリングする目的で直流(d.c.)または無線周波数(交流、a.c.)の場において生じるイオン化ガスを意味する。本明細書において蒸気は、熱による蒸発又は電子銃により低圧雰囲気下で形成される原子粒子雲を意味し、蒸気は基体の表面上に濃縮される。従って、“プラズマ蒸気”とは、スパッタリングまたは蒸発により形成される粒子雲を意味する。
【0040】
被覆組成物を物体上にスプレーする場合には、スプレーサイクル数を調節することにより容易に、コーティングの異なる厚さを達成することができる。典型的には、Badger Model 150のようなエアブラシ(圧搾空気源と共に供給される)を使用できる。もし、表面面積のかなりの面積をコートする場合には、回転する取付具に物体を据えて行うことが好ましく、物体表面の被覆を容易に行い得る。例えば、血管のステント表面を全てコートするには、装置の端を、わに口クリップのような弾力性の固定装置により回転取り付け具に固く取り付ける。ステントは軸周囲のほぼ水平面を回転する。典型的にはエアブラシのスプレーノズルは装置から2〜4インチの位置に取り付ける。
被覆組成物の厚さは、スプレーノズルの回転速度及び流速により調節することができる。回転速度は通常約30〜50rpmに調節され、典型的には約40rpmである。スプレーノズルの流速は1分につき4〜10mlコーティングの範囲であるが、これも調節してもよい。通常多数のスプレーコートが目的の被覆厚さを達成するのに必要である。もし、浸漬等の非スプレープロセスを使用する場合には、一回コーティングでも十分であり得る。
【0041】
実施例
以下の実施例は本発明の実施を示す目的であり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。全てのパーセンテージは特に示さない限り、質量/容積である。
実施例1 反応性ポリマーを用いたコーティング中への放射線不透過性部分の組み込み
ポリ(ウレタン)ステントは、イソプロピルアルコールにより清浄化し、オーブン中で60℃にて乾燥した。浸漬溶液を、ヨードパノ酸(iodopanoic acid)をジメチルアセトアミド中に予備分散して10%溶液を得ることにより作製した。予備分散液を20%レベルで、32%ポリ(カプロラクトン)/トルエンジイソシアナートポリウレタンの酢酸エチル溶液(Lord Chemical製、Flock−Lok7000)と40%付加トリメチロールプロパンジフェニルメタンジイソシアネートのメチルエチルケトン溶液(Lord Chemical製、Flock−Lok7200)の同質量を2%含むメチルエチルケトン溶液へ添加した。
ステントを1時間以上その溶液へ浸漬し、数分間空気乾燥し、次に同様に再浸漬した。このプロセスを数回繰り返し、しっかりしたコーティングを確実にした。処理したステントを次に予め酢酸エチルに溶解したポリ(ビニルピロリドン)(Mw約1,200,000)の4%溶液に浸漬した。このようにコートしたステントを除去し、数分間空気乾燥し、65℃で6時間、オーブンで硬化させた。得られたステントを、ブタ試験被検体を通じて蛍光透視鏡により観察したところ、非被覆ステントと比較して改良された視覚化性能を示した。
【0042】
実施例2 反応性イソシアネートモノマーを通じた放射線不透過性部分の反応
14Fr間欠性尿カテーテルの全体をイソプロピルアルコールを用いて清浄化し、60℃で5分間オーブン乾燥した。10%予備分散液を、ヨードパノ酸及びジメチルアセトアミドを用いて作製した。第二混合物を下記表1に示す成分を混合することにより作製した。
【0043】
表1
【0044】
カテーテルを上記コーティング混合物に9秒間浸漬し、15分間乾燥し、次に80℃で30分間オーブン乾燥した。得られたチューブを、蛍光透視鏡で検査したところ、放射線不透過性部分を有さずに同様にコートされたカテーテルと比較して優れた放射線不透過性を示した。
【0045】
実施例3 反応性モノマーと放射線不透過性部分との反応及びカテーテル上のコーティング
12Frラテックスカテーテルを実施例2で述べたように清浄化した。20%ヨードパノ酸/ジメチルアセトアミド予備分散液を上述したように製造した。予備分散液へ4,4−ジフェニルメチルジイソシアネート(Mondur M, Bayer Corp)を、表2に示された処方を用いて、反応性イソシアネートの放射線不透過性部分への比が1:1より大きくなるように添加した。
得られた放射線不透過性コートしたカテーテルは、反応性放射線不透過性モノマーと反応させない他は同様に製造したカテーテルと比較して優れた視覚化性能を示した。
【0046】
実施例4 放射線不透過性の平滑なカテーテルコーティングの製造
実施例3で述べたものと同様のカテーテル上に、同様に上記反応性モノマー組成物をコートした。コートされた、乾燥カテーテルを次に2.5%ポリ(ビニルピロリドン)(Kollidon K−90, BASF)/酢酸エチル溶液中に浸漬した。カテーテルをこの混合物に15分間浸漬し、除去して3分間空気乾燥した。カテーテルを強制通風オーブン中で60℃で30分間乾燥した。得られた放射線不透過性コートをしたカテーテルは、実施例3の反応性放射線不透過性モノマーと反応させなかった同様に製造されたカテーテルと比較して、優れた視覚化を示した。更に、このカテーテルを、実施例3のカテーテルと比較して優れた湿潤潤滑性を示した。
【0047】
実施例5 反応性モノマー及びセルロース誘導体を用いた放射線不透過性コーティングの製造
14Frポリウレタン透析カテーテルを実施例3で述べたように清浄化した。表3に示した成分を混合することにより処方を行った。反応性放射線不透過性モノマー予備分散液を実施例3で述べたように15%活性固形物で製造した。
【0048】
表3
【0049】
カテーテルを上記混合物に15分間浸漬し、3分間空気乾燥し、60℃で30分間強制通風オーブン中でオーブン乾燥した。得られたカテーテルは、放射線不透過性モノマーを含まない同様に製造されたカテーテルと比較して、優れたX線視覚化性能を示した。
【0050】
実施例6 放射線不透過性モノマーとUV−硬化性平滑コーティングの反応
14Frポリ(ウレタン)カテーテルを実施例2で述べたように洗浄した。20%ヨードパノ酸及び4,4−ジフェニルメチルジイソシアネート/ジメチルアセトアミド分散液を実施例3で述べたように製造した。10.0gのN−ビニルピロリドン、10gのトリメチロールプロパンモノアクリレート、4.0gのPVP及び0.75gのUV感受性光開始剤(Darocur 1116,Merck)の混合物を製造した。この混合物に、2.0グラムの反応性放射線不透過性予備分散液を添加した。カテーテルを反応性混合物中に浸漬し、被覆したカテーテルを80WUVランプを用いてUV光で45分間照射した。同様に、カテーテルを暴露温度が60℃であるような赤外ランプにより照射した。カテーテルを更に30分間IR照射した。得られたコートされたカテーテルは、放射線不透過性モノマーを用いずに同様にコートされたカテーテルと比較して、優れた放射線不透過性を有することが見出された。
【0051】
実施例7 ポリ(エチレンオキシド)/ポリアクリレートコーティングを用いたプラズマ調製カテーテルと放射線不透過性モノマーとの反応
14FrPEBAXカテーテル(Atochem)を、VM&Pナフサで清浄化し、60℃で5分間オーブン乾燥した。得られたカテーテルを、10−3Torrのアンモニア雰囲気を含むプラズマチャンバーにいれ、表面を15分間プラズマエッチした。ジメチルアセトアミド中の放射線不透過性モノマーの10%予備分散液を実施例3で述べたように調製した。ポリアクリレート(BF Goodrich)及び600Mwポリ(エチレンオキシド)(ユニオンカーバイド)のブレンド(アクリレート対PEO比が2:1)を用いて2.5%の水性コーティング溶液を調製した。このコーティング組成物に、25%の放射線不透過性モノマー予備分散液を添加し、全体の混合物を1化学量論当量のアジリジン(エチレンイミン)と混合した。カテーテルを10秒間コーティング溶液中に浸漬し、15分間乾燥し、次に80℃で30分間強制通風オーブン中でオーブン乾燥した。得られたカテーテルは、放射線不透過性モノマーを含まずに同様に製造されたカテーテルと比較して、優れた性能を示した。
【0052】
実施例8 グリシジルメタクリレートコーティングと放射線不透過性モノマーとの反応
8Frポリウレタンカテーテル管を実施例2で記載したように清浄化した。放射線不透過性モノマーの20%予備分散液を実施例3で述べたように製造した。ジメチルアクリルアミド及びグリシジルメタクリレートのブロックコポリマーを、ポリパーオキシド開始剤を用いてこれらの二つのモノマーを共に反応させることにより製造した。重合化を80℃で2時間行った。得られたコポリマーの2%溶液をメチルエチルケトン中で製造し、25%放射線不透過性モノマー分散液をこのポリマー混合物に添加した。カテーテル管を上記コーティング処方中に10秒間置き、15分間空気乾燥し、80℃で30分間オーブン乾燥した。得られたチューブは、放射線不透過性モノマーを含まない同様の処方から製造されたチューブと比較して、優れたX線視覚化性能を示した。
Claims (42)
- 非浸出性放射線不透過性部分を有するポリマー又はモノマーを含有する、放射線不透過性組成物。
- 該非浸出性放射線不透過性部分が、該ポリマー又はモノマーに共有結合的に結合している、請求項1に記載の組成物。
- 該放射線不透過性部分が、結合した反応性官能基を有するハロゲン化芳香族化合物である、請求項2に記載の組成物。
- 該ハロゲン化芳香族化合物が芳香族三ヨウ化物、芳香族三臭化物、芳香族三フッ化物または芳香族三塩化物である、請求項3に記載の組成物。
- 該結合反応性官能基が、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、アミド、カルボニル、チオール、アリル、ビニルまたは無水物である、請求項3に記載の組成物。
- 該放射線不透過性部分が、アミドトリゾエート、イオタラメート、イオヘキソール、イオパミドール、イオプロミド、イオキサグル酸、イオパデート(iopadate)、イオトロキセート、またはイオキサグレートである、請求項3に記載の組成物。
- 該放射線不透過性部分が、イオベングアン、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド(Iodipamide)、イオジキサノール、ヨード化油、ヨードアルフィオン酸、p−ヨードアニリン、o−ヨード安息香酸、ヨードクロロヒドロキシキン(Iodochlorhydroxyquin)、o−ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、ヨードフタレインナトリウム、ヨードプシン(Iodopsin)、ヨードピラセット(Iodopyracet)、ヨードピロール、ヨードキノール、イオフェタミン、123Iイオグリカム酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、イオフェンジラート、イオフェノ酸、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、またはイオポダートである、請求項6に記載の組成物。
- 該ポリマーまたはモノマーが少なくとも一つの反応性官能基を有する、請求項1に記載の組成物。
- 該反応性官能基が、イソシアネート、イソチオシアネート、エステル、アルデヒド、N−ヒドロキシサクシンイミドエステル、エポキシド、カルボン酸エステル、トレシレート(tresylate)、無水物、アルキルハライド、カルボン酸、ハロケトン、アルケン、アルキンまたはアシルクロリドである、請求項8に記載の組成物。
- 該ポリマーが合成ポリマーである、請求項8に記載の組成物。
- 該合成ポリマーが、ポリマーブレンド、アロイ、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーである、請求項10に記載の組成物。
- 該ポリマーブレンド、アロイ、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブタレート)(poly(hydroxybutarates))、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(テレフタレート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(ウレタン)、シリコーン弾性体またはこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の組成物。
- 該ホモポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブタレート)、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(テレフタレート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン)、ポリ(ウレタン)、またはシリコーン弾性体を含む、請求項11に記載の組成物。
- 該ポリマーが天然ポリマーである、請求項8に記載の組成物。
- 該天然ポリマーがセルロース、キトサン、キチン、澱粉、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ザンタン(zanthan)、グアールガム;またはこれらのエーテル若しくはエステル誘導体;またはこれらのブロック、グラフト若しくはランダムコポリマー;またはこれらのブレンドである、請求項14に記載の組成物。
- 該モノマーが、アクリレート、アリル化合物、アミド、アミン、無水物、エポキシド、イソシアネート、メタクリレート、シリル、チオール化合物、チオイソシアネート、ビニル化合物、エステル、酸クロリド、アクロレインまたはアクリロイルクロリドである、請求項8に記載の組成物。
- 該放射線不透過性部分が、該ポリマー又は該モノマーに、アルキル、アミン、アミド、無水物、アジド、カーバメート、カーボネート、カルボキシル、エーテル、エステル、イミド、チオール、チオカーバメート、チオイソシアネート、ウレアまたは他の共有結合鎖を通じて、共有結合的に結合している、請求項2に記載の組成物。
- 該放射線不透過性部分が、該ポリマーまたは該モノマーに、熱、紫外線照射、ガンマ線照射、酸開始剤、塩基開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、またはアゾ開始剤の使用により共有結合的に結合している、請求項17に記載の組成物。
- 少なくとも一つの、組成物から放出性または非放出性である添加成分を更に含む、請求項2に記載の組成物。
- 該添加成分が生物学的に活性な物質である、請求項19に記載の組成物。
- 該生物学的に活性な物質が、生物静力学的薬剤、細胞増殖抑制剤、放射線エミッター、生体分子、抗炎症剤、免疫抑制剤または殺菌剤である、請求項20に記載の組成物。
- 該生物学的に活性な物質が抗生物質である、請求項20に記載の組成物。
- 該生物学的に活性な物質が抗血栓剤である、請求項20に記載の組成物。
- 該組成物が、水分または水分含有物質で湿らせた場合に低い摩擦係数を有する、請求項2に記載の組成物。
- ポリビニルピロリドン−ポリウレタン複合体を含む、請求項24に記載の組成物。
- 更に溶媒を含む、請求項2に記載の組成物。
- 該溶媒を除去して該共有結合鎖が形成される、請求項26に記載の組成物。
- 該組成物の調剤中に該共有結合鎖が形成される、請求項2に記載の組成物。
- 該組成物が被覆組成物である、請求項9に記載の組成物。
- 被覆組成物がコーティングである、請求項29に記載の被覆組成物。
- 被覆組成物がプライマーである、請求項29に記載の被覆組成物。
- 該プライマーが該モノマーのブレンドである、請求項31に記載の組成物。
- 該モノマーが共有結合鎖により、共有結合的に物体に結合している、請求項31に記載の組成物。
- 該モノマーが物体に接着している、請求項31に記載の組成物。
- ポリマー又はモノマーを含む組成物により被覆された物体であって、前記ポリマーまたは前記モノマーが非浸出性放射線不透過性部分を有する物体。
- 該物体が医療用装置である、請求項35に記載の物体。
- 該医療用装置が、カテーテル、ガイドワイヤ、シャント、スクリュー、ピン、プロステーシス、プレート、フィルム、スポンジ、縫糸、チューブ、カニューレ、バルーン、針、マーカーまたは探り針である、請求項36に記載の物体。
- 該医療用装置がステントである、請求項36に記載の物体。
- ポリマーまたはモノマーを含む組成物を含む物体であって、前記ポリマー又は前記モノマーが非浸出性放射線不透過性部分を有する上記物体。
- 物体を放射線不透過性にする方法であって、前記物体に、非浸出性放射線不透過性部分を有するポリマーまたはモノマーを含む被覆組成物を塗布することを含む上記方法。
- 該被覆組成物を溶媒中に置き、該溶媒中の該被覆組成物を該物体に塗布し、該溶媒を蒸発させることを更に含む、請求項40に記載の方法。
- 該被覆組成物を、スプレー、浸漬、プラスマ蒸着、フローコーティング、刷毛塗りまたはダビング(dabbing)により塗布する、請求項40に記載の方法。
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