JP2004507220A - 味覚受容細胞に発現する一過性受容体電位チャネル、trp8 - Google Patents

味覚受容細胞に発現する一過性受容体電位チャネル、trp8 Download PDF

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Abstract

本発明は、味覚受容細胞に発現し、苦味および甘味の知覚に関連する、本明細書でTRP8と称する一過性受容体電位チャネルの発見、同定、および特性決定に関する。本発明は、TRP8ヌクレオチド、宿主細胞発現系、TRP8タンパク質、融合タンパク質、ポリペプチドおよびペプチド、TRP8タンパク質に対する抗体、TRP8トランスジーンを発現するトランスジェニック動物、ならびにTRP8を発現しない組換え「ノックアウト」動物を包含する。本発明はさらに、TRP8媒介味覚応答のモジュレーターを同定する方法、および苦味または甘味の知覚を阻害または促進するためのそのようなモジュレーターの使用に関する。このTRP8活性のモジュレーターは、食品、飲料、および医薬品の風味強化剤として用いることができる。

Description

【0001】
(1.緒言)
本発明は、味覚受容細胞に発現し、苦味および甘味の知覚に関連する、本明細書でTRP8と称する一過性受容体電位チャネルの発見、同定、および特性決定に関する。本発明は、TRP8ヌクレオチド、宿主細胞発現系、TRP8タンパク質、融合タンパク質、ポリペプチドおよびペプチド、TRP8タンパク質に対する抗体、TRP8トランスジーンを発現するトランスジェニック動物、ならびにTRP8を発現しない組換え「ノックアウト」動物を包含する。本発明はさらに、TRP8媒介味覚応答のモジュレーターを同定する方法、および苦味または甘味の知覚を阻害または促進するためのそのようなモジュレーターの使用に関する。このTRP8活性のモジュレーターは、食品、飲料、および医薬品の風味強化剤として用いることができる。
【0002】
(2.発明の背景)
哺乳動物は一般に5つの基本的な味覚のカテゴリー、塩味、酸味、甘味、苦味、および旨味(グルタミン酸ナトリウム)を有すると考えられている(概説として、Lindemann、1996、Physiological Reviews、76:719〜766、HernessおよびGilbertson、1999、Annu Rev.Physiol.、61:873〜900を参照のこと)。味覚シグナルは、味蕾に組織される特殊化された味覚受容細胞(TRC)によって感知される。それぞれの味蕾は、直径20から40ミクロンのクラスタに集合した約50から100個の細胞を含む。神経線維が味蕾の基底から入り、いくつかの味覚受容細胞上にシナプスを形成している。典型的に、単一のTRCはいくつかの知覚神経線維に接しており、各知覚神経線維は同一味蕾内のいくつかのTRCに神経を分布している(前述のLindemann)。
【0003】
すべてではないとしても、たいていの脊椎動物種のTRCは、ニューロンのチャネルと類似の特性を備えた電位型ナトリウム、カリウム、およびカルシウムイオンチャネルを有する(Kinnamon,S.C.およびMargolskee,R.F.、1996、Curr.Opin.Neurobiol.6:506〜513)。異なる類型の一次味覚は異なる類型の変換機構を用いると思われ、ある類型の味覚は、種のなかでの多様な栄養必須物を反映しうる複数の機構を用いる可能性がある(前述のKinnamonおよびMargolskee)。
【0004】
苦味および甘味の味覚変換には、cAMPおよびIPが関係していると考えられている(前述のKinnamonおよびMargolskee)。苦味物質デナトニウムは、ラットのTRCからカルシウムイオンを放出し、齧歯動物味覚組織においてIPレベルの急激な上昇をもたらす(同上の論文に引用されたBernhardt,SJ.等、1996、J.Physiol.(London)490:325〜336、およびAkabas,M.H.等、1988、Science242:1047〜1050)。デナトニウムは細胞膜を通過することができないので、Gタンパク質結合受容体を活性化し、それによってαおよび/またはβγGタンパク質サブユニットがホスホリパーゼCを活性化して、IPの産生、およびカルシウムイオンの放出をもたらす可能性があると考えられてきた(前述のKinnamonおよびMargolskee)。
【0005】
近年、網膜Gタンパク質のトランスデューシンと相同性のある「ガストデューシン」と呼ばれる味覚特異Gタンパク質がクローン化され、特性決定された(同上の論文に引用されたMcLaughlin,S.等、1992、Nature(London)357:563〜569)。ガストデューシンは、苦味および甘味両方の変換において直接的な役割を果たしていると考えられている。たとえば、ガストデューシンおよびサブユニット(α−ガストデューシン)消失(ノックアウト)マウスは、苦味化合物に対する嫌悪性が低減した。意外なことに、このマウスはまた甘味化合物に対して嗜好性を示し、ガストデューシンが甘味変換に関係していることを示した。
【0006】
最近の生化学の実験は、味覚受容体製剤がデナトニウムおよび他の苦味化合物に応答してトランスデューシンおよびガストデューシンを活性化することを実証した(Ming等、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA95:8933〜8938)。
【0007】
味覚感覚の基礎をなす分子機構を完全に理解するために、味覚シグナル変換経路における各分子成分を同定することが重要である。本発明は、味覚変換に関係すると考えられており、苦味知覚に関わる細胞内カルシウムイオンの変化に関係する可能性のあるイオンチャネル、TRP8(一過性受容体電位チャネル8)のクローニングに関する。
【0008】
(3.発明の概要)
本発明は、味覚シグナル変換経路に関係する、以下でTRP8と称する一過性受容体電位(TRP)チャネルの発見、同定、および特性決定に関する。TRP8は、一過性受容体電位チャネルとして知られるカルシウムチャネルタンパク質のファミリーと構造上、高い類似性を有するチャネルタンパク質である。ノーザンブロット分析によって実証されたように、TRP8トランスクリプトの発現は厳しく調整されており、味覚組織においてもっとも高いレベルの遺伝子発現が見出され、胃および小腸においては中程度の発現、子宮および精巣においては非常に低いレベルの発現が見出されている。in situのハイブリッド形成は、有郭乳頭および葉状乳頭におけるTRP8の発現を示したが、周辺の非味覚上皮では発現を示さなかった。さらに、TRP8発現の一般的なパターンは、α−ガストデューシンのパターンに類似するものであったが、α−ガストデューシンのシグナルは多少強度が高かった。
【0009】
本発明は、TRP8ヌクレオチド、そのようなヌクレオチドを発現する宿主、およびそのようなヌクレオチドの発現産物を包含する。本発明は、TRP8タンパク質、TRP8融合タンパク質、TRP8チャネルタンパク質に対する抗体、およびTRP8トランスジーンを発現するトランスジェニック動物、またはTRP8タンパク質を発現しない組換え「ノックアウト」動物を包含する。
【0010】
さらに本発明はまた、TRP8活性および/または発現をモジュレートする、すなわちアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する化合物を同定の標的として、TRP8遺伝子および/またはTRP8遺伝子産物を用いるスクリーニング方法に関する。苦味物質に類似の味覚応答を刺激する化合物は、所望の嫌悪応答を引き起こす、たとえば小児または動物にそれらの化合物を含有する組成物の消費を思いとどまらせる添加剤として用いることができる。TRP8チャネルの活性を阻害する化合物は、苦味の知覚を阻止するために用いることができる。TRP8阻害剤は、苦味の知覚を減少または除去することによって、食品、飲料、または医薬品における風味強化剤として用いることができる。
【0011】
本発明は部分的に、味覚受容細胞において高レベルに発現するチャネルタンパク質の発見に基づいている。味覚変換において、苦味化合物は、ガストデューシンなどのGタンパク質を経て作用し、次いでセカンドメッセンジャー系を調節すると考えられている。味覚受容細胞の1つのサブセットに対するα−ガストデューシン、γ−ガストデューシン、ホスホリパーゼCβ(PLCβ)、およびTRP8の共局在は、それらが同一の変換経路で機能する可能性のあることを示している。TRP8はイノシトール三リン酸(IP)/ジアシルグリセロール(DAG)の産生を誘発する味覚物質に応答し、細胞外カルシウムで味覚細胞を充填し、カルシウム依存下流メッセンジャーを活性化することによって伝達物質のシナプスへの放出、および求心性味覚神経の活性化をもたらすと考えられている。
【0012】
3.1.定義
本明細書では、イタリック化されていないTRP8によって示されるコードタンパク質生成物とは対照的に、TRP8のイタリック体はTRP8遺伝子を示すものとする。たとえば、「TRP8」はTRP8遺伝子を示し、「TRP8」はTRP8遺伝子のタンパク質産物を示す。
【0013】
(5.発明の詳細な説明)
TRP8は、受容体媒介味覚シグナル変換に関係し、一過性受容体電位チャネルとして知られるカルシウムチャネルタンパク質のファミリーに属するチャネルタンパク質である(Montell C.、1997、Mol.Pharmacol.52:755〜763)。本発明は、TRP8ヌクレオチド、TRP8タンパク質およびペプチド、ならびにTRP8タンパク質に対する抗体を包含する。本発明はまた、TRP8チャネルを発現するために、または動物の内因性TRP8の発現を阻害もしくは「ノックアウト」するために遺伝子的に操作された宿主細胞、または動物に関する。
【0014】
本発明はさらに、TRP8活性のモジュレーター、たとえばアゴニストおよびアンタゴニストなどを同定するために設計されたスクリーニングアッセイを提供する。TRP8を自然に発現する宿主細胞、または遺伝子操作された宿主細胞および/または動物の使用は、そのような系がTRP8タンパク質によって変換されたシグナルに影響を及ぼす化合物を同定することを可能にするという利点を提供する。
【0015】
本発明の様々な態様を、以下の項目に詳しく記載する。
【0016】
5.1.TRP8遺伝子
マウスTRP8のcDNA配列および推定アミノ酸配列を、図1、および図2にそれぞれ示す。ヒトTRP8のcDNA配列および推定アミノ酸配列を、図3、および図4にそれぞれ示す。
【0017】
本発明のTRP8ヌクレオチド配列には、(a)図1または3に示したDNA配列、あるいは米国菌株保存機関(American Type Culture Collection)に寄託された(ATCC受入れ番号 )大腸菌株XL10Gold内のcDNAクローンpMR24に含有されるDNA配列、(b)図2または4に示したアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、あるいはATCCに寄託されたcDNAクローンpMR24によってコードされたTRP8アミノ酸配列、(c)(i)厳格な条件下で(a)または(b)に示したヌクレオチド配列にハイブリッド形成する、たとえば0.5MのNaHPO、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMのEDTA中、65℃でフィルタ結合DNAにハイブリッド形成し、0.1×SSC/0.1%SDS中、68℃で洗浄する(Ausubel F.M.等編、1989、Current Protocols in Molecular Biology、第1巻、Green Publishing Associates,Inc.、およびJohn Wiley & sons,Inc.、New York、p2.10.3)、および(ii)機能的に同等な遺伝子生成物をコードする任意のヌクレオチド配列、ならびに(d)図1または3に示したアミノ酸配列をコードするDNA配列、またはATCCに寄託されたcDNAクローンpMR24に含有される配列に、厳格さの低い条件下、たとえば0.2×SSC/0.1%SDS中、42℃で洗浄するといった適度に厳格な条件下などで(前述のAusubel等、1989)ハイブリッド形成し、さらに機能的に同等なTRP8遺伝子生成物をコードする任意のヌクレオチド配列が含まれる。TRP8タンパク質の機能的同等物には、マウスおよびヒト以外の種に存在する天然TRP8が含まれる。本発明はさらに、配列(a)から(d)の配列の同義性変異型を含む。本発明はさらに、たとえばTRP8遺伝子調節に有用な(TRP8遺伝子核酸配列の増幅反応におけるアンチセンスプライマーのために、および/またはプライマーとして)、TRP8アンチセンス分子をコードすることのできる、あるいはTRP8アンチセンス分子として作用することのできる核酸分子を含む。
【0018】
上述のTRP8ヌクレオチド配列に加えて、他の種に存在するTRP8遺伝子の相同体も、当分野でよく知られる分子生物学の技法によって、過度の実験を行うことなく同定し、容易に単離することができる。たとえば、対象の生体から得られたcDNAライブラリー、またはゲノムDNAライブラリーは、ハイブリッド形成または増幅プローブとして本明細書に記載のヌクレオチドを用いてハイブリッド形成することによってスクリーニングできる。
【0019】
本発明はさらに、突然変異TRP8、TRP8のペプチド断片、切断TRP8、およびTRP8融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を包含する。これらには、TRP8のTM(膜貫通)および/またはCD(細胞質)領域、またはそれらの領域の部分に対応するポリペプチドまたはペプチドをコードするヌクレオチド配列、領域の1つまたは2つを欠いた切断TRP8、たとえばCD領域のすべて、または一部分を欠いた機能TRP8含むが、これに限定するものではない。これらの切断または突然変異TRP8タンパク質のいくつかは、自然TRP8タンパク質の優性−ネガティブ阻害剤として作用することができる。融合タンパク質コードヌクレオチドには、これに限定されるものではないが、完全長TRP8、切断TRP8、またはマーカとして用いることのできる、たとえば酵素、蛍光タンパク質、ルミネセンスタンパク質などの関連のないタンパク質またはペプチドに融合したTRP8のペプチド断片を含むことができる。
【0020】
TRP8ヌクレオチド配列は、当分野の技術者に知られる多様な方法を用いて単離することができる。たとえば、TRP8を発現することが知られる組織由来のRNAを用いて構築されたcDNAライブラリーは、標識TRP8プローブを用いてスクリーニングすることができる。あるいは、ゲノムライブラリーは、TRP8チャネルタンパク質をコードする核酸分子を誘導するためにスクリーニングすることができる。さらに、TRP8核酸配列は、本明細書に開示のTRP8ヌクレオチド配列に基づいて設計された2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行うことによって誘導することができる。この反応の鋳型は、TRP8を発現することが知られている細胞系、または組織から調製されたmRNAの逆転写によって得られるcDNAであってよい。
【0021】
本発明はさらに、(a)前述の任意のTRP8配列および/またはそれらの補体(すなわち、アンチセンス)を含有するDNAベクター、(b)配列をコードするTRP8の発現を対象とする調節因子に効力的に関連する前述の任意のTRP8配列を含有するDNA発現ベクター、(c)宿主細胞の配列をコードするTRP8の発現を対象とする調節因子に効力的に関連する任意の前述のTRP8配列を含有する遺伝子操作宿主細胞、および(d)任意の前述のTRP8配列を含有するトランスジェニックマウスまたは他の生物を包含する。本明細書では、調節因子にはこれに限定されるものではないが、誘導または非誘導プロモーター、エンハンサ、オペレータ、および発現を駆動および調節する当分野の技術者に知られている他の因子が含まれる。
【0022】
5.2.TRP8タンパク質およびポリペプチド
TRP8タンパク質、ポリペプチドおよびペプチド断片、TRP8の突然変異、切断、または欠失形態および/またはTRP8融合タンパク質は、多様な使用目的のために調製することができ、これに限定されるものではないが、抗体の産生、TRP8媒介の味覚知覚の調節に関わる他の細胞遺伝子生成物の同定、ならびに苦味遮断剤、食味改質剤など味覚知覚を調節するために用いることのできる化合物のスクリーニングが含まれる。
【0023】
図2および4は、マウスおよびヒトTRP8タンパク質の推定アミノ酸配列をそれぞれ示す。本発明のTRP8アミノ酸配列には、図2または図4に示したアミノ酸配列、またはATCCに寄託されたcDNAクローンpMR24によってコードされたアミノ酸配列が含まれる。さらに、他の種のTRP8も本発明によって包含される。実際、5.1.項に記載のTRP8ヌクレオチド配列によってコードされた任意のTRP8タンパク質が本発明の範囲内である。
【0024】
本発明はさらに、これに限定されるものではないが、苦味物質が細胞外カルシウム貯蔵体から前記タンパク質を発現する味覚受容細胞へのカルシウム流入を開始し、味覚受容細胞からシナプスに伝達物質を放出し、求心性神経を活性化する能力を含むいくつかの基準から判断される、5.1.項に記載のヌクレオチド配列によってコードされたTRP8に機能的に同等であるタンパク質を包含する。そのような機能的に同等なTRP8タンパク質には、これに限定されるものではないが、上の5.1.項に記載のTRP8ヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列内にアミノ酸残基の添加または置換を有するタンパク質が含まれるが、しかしながらこれはサイレント変化をもたらし、機能的に同等な遺伝子生成物を生成する。
【0025】
ならびにTRP8の1つまたは複数の領域(たとえば、膜貫通(TM)または細胞領域(CD))に対応するペプチド、切断または欠失TRP8(たとえば、TMおよび/またはCDが欠けたTRP8)、完全長TRP8、TRP8ペプチド、または切断TRP8が関連のないタンパク質に融合している融合タンパク質も本発明の範囲内であり、本明細書に開示したTRP8ヌクレオチドおよびTRP8アミノ酸配列に基づいて設計することができる。そのような融合タンパク質には、マーカ機能を提供する酵素、蛍光タンパク質、またはルミネセンスタンパク質の融合物が含まれる。
【0026】
TRP8ポリペプチドおよびペプチドは化学的に合成することができるが(たとえば、Creighton、1983、Proteins:Structures and Molecular Principles、W.H.Freeman & Co.、N.Y.を参照)、TRP8由来の大きなポリペプチドおよび完全長TRP8自体を、TRP8遺伝子配列および/またはコード配列を含有する核酸を発現するための当分野でよく知られる技法を用いて組換えDNA技術によって有利に生成することができる。そのような方法は、5.1.項に記載のTRP8ヌクレオチド配列、ならびに適切な転写および翻訳対照シグナルを含有する発現ベクターを構築するために用いることができる。これらの方法には、たとえばin vitro組換えDNA技法、合成技法、およびin vivo遺伝子組換えが含まれる(たとえば、前述のSambrook等、1989、および前述のAusubel等、1989に記載の技法を参照)。
【0027】
本発明のTRP8ヌクレオチド配列を発現させるために、多様な宿主発現ベクター系を用いることができる。TRP8ペプチドまたはポリペプチドが可溶性誘導体として発現し(たとえば、TMおよび/またはCDに対応するペプチド)、分泌されない場合、そのペプチドまたはポリペプチドは宿主細胞から回収することができる。あるいは、TRP8ペプチドまたはポリペプチドが分泌される場合、そのペプチドまたはポリペプチドは培地から回収することができる。しかしながら、この発現系はさらに、細胞膜に固定されたTRP8または機能的同等物を発現する操作宿主細胞を含む。そのような発現系からのTRP8の精製または濃縮は、適切な洗浄剤および脂質ミセルを用い、当分野の技術者によく知られている方法を用いて行うことができる。そのような操作宿主細胞自体を、TRP8の構造的および機能的特性を保持するだけでなく、生物活性を評価する、すなわち薬剤スクリーニングアッセイにおいて評価することが重要であるような状態において用いることができる。
【0028】
本発明の目的のために用いることのできる発現系には、これに限定されるものではないが、微生物、たとえばTRP8ヌクレオチド配列を含有する組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで転換された細菌、TRP8ヌクレオチド配列を含有する組換え酵母発現ベクターで転換された酵母、哺乳動物細胞のゲノムまたは哺乳動物ウイルス由来のプロモーターを含有する組換え発現構成体を持つ哺乳動物細胞系などが含まれる。
【0029】
適切な発現系は、正しい修飾、プロセシング、TRP8チャネルタンパク質の細胞内局在が確実に起こるように選択することができる。この目的のためには、TRP8チャネルタンパク質を適切に修飾およびプロセシングできる能力を有する真核生物宿主細胞が好ましい。たとえばスクリーニング用の細胞系統を生じるために望まれるような、長期、高収率の組換えTRP8チャネルタンパク質を生成するために、安定な発現が好ましい。複製起点を含有する発現ベクターを用いるのではなく、宿主細胞は選択可能なマーカ遺伝子、すなわちいくつか名前を挙げるとtk、hgprt、dhfr、neo、およびhygro遺伝子、ならびに適切な発現制御因子によって制御されたDNAで転換することができる。異種DNAの導入に続いて、操作細胞は富化培地で1〜2日間成長させ、その後、選択培地に切り替えることができる。そのような操作細胞系統は、TRP8遺伝子生成物の内因性活性を調節する化合物をスクリーニングおよび評価するのに特に有用である可能性がある。
【0030】
5.3.トランスジェニック動物
TRP8遺伝子生成物はトランスジェニック動物に発現することもできる。これに限定するものではないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、小型ブタ、ヤギ、ならびに非ヒト霊長類、たとえばヒヒ、サル、およびチンパンジーを含む任意の種の動物を、TRP8トランスジェニック動物を産生するために用いることができる。
【0031】
TRP8トランスジーンを動物に導入して、トランスジェニック動物の初代系を生成するために、当分野で知られている任意の技法を用いることができる。そのような技法には、これに限定するものではないが、前核微量注入(Hoppe,P.C.およびWagner,T.E.、1989、米国特許第4873191号)、生殖細胞系へのレトロウイルス媒介遺伝子転移(Van der Putten等、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:6148〜6152)、胚性幹細胞における遺伝子ターゲッティング(Thompson等、1989、Cell、56:313〜321)、胚の電気穿孔法(Lo、1983、Mol Cell.Biol.3:1803〜1814)、および精子媒介遺伝子転移(Lavitrano等、1989、Cell57:717〜723)などが含まれる。そのような技法の概説としては、その全体を参照により本明細書の一部とする、Gordon、1989、Transgenic Animals、Intl.Rev.Cytol.115:171〜229を参照されたい。
【0032】
本発明は、そのすべての細胞においてTRP8トランスジーンを有するトランスジェニック動物、ならびにすべてではなく、一部の細胞においてトランスジーンを有する動物、すなわちモザイク動物を提供する。このトランスジーンは、たとえばLasko等の教示に従って(Lasko,M.等、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:6232〜6236)、選択的に導入し、特定の細胞型で活性化することもできる。そのような細胞型特異活性化に必要とされる調節配列は、対象となる特定の細胞型に応じて異なり、当分野の技術者に明白であろう。TRP8トランスジーンを内因性TRP8遺伝子の染色体部位に組み込むことが望まれるときには、遺伝子ターゲッティングが好ましい。簡単に言うと、そのような技法を用いるとき、内因性TRP8遺伝子に相同性のいくつかのヌクレオチド配列を含有するベクターは、染色体配列による相同組換えを経て組み込まれ、内因性TRP8遺伝子のヌクレオチド配列の機能を崩壊する目的で設計される。
【0033】
ひとたびトランスジェニック動物が産生されたら、組換えTRP8遺伝子の発現は標準的な技法を用いて検定することができる。初回スクリーニングは、サザンブロット分析またはPCR技法によって動物組織を分析し、トランスジーンの組み込みが行われたかどうか検定することによって達成することができる。トランスジェニック動物の組織におけるトランスジーンのmRNA発現のレベルもまた、これに限定されるものではないが、動物から得られた組織サンプルのノーザンブロット分析、in situハイブリッド形成分析、およびRT−PCRを含む技法を用いて評価することができる。TRP8遺伝子発現組織のサンプルはまた、TRP8トランスジーン生成物に特異的な抗体を用いて免疫細胞化学的に評価することができる。
【0034】
5.4.TRP8タンパク質の抗体
1つまたは複数のTRP8のエピトープ、またはTRP8の保存変異型のエピトープ、あるいはTRP8のペプチド断片もまた本発明に包含される。そのような抗体には、これに限定されるものではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによって生成された断片、抗イディオタイプ(anti−Id)抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合断片が含まれる。
【0035】
本発明の抗体は、以下の5.5.項に記載の化合物スクリーニングスキームと共に、TRP8遺伝子生成物の発現および/または活性に関する試験化合物の効果を評価するために用いることができる。
【0036】
抗体を生成するために、TRP8タンパク質、またはTRP8ペプチドを注入することによって様々な宿主動物を免疫化することができる。そのような宿主動物には、これに限定されるものではないが、いくつか名前を挙げるとウサギ、マウス、およびラットが含まれる。免疫反応を高めるために、宿主の種に応じて様々なアジュバントを用いることができ、これに限定されるものではないが、フロイントアジュバント(完全および不完全)、鉱物ゲル、たとえば水酸化アルミニウムなど、界面活性物質、たとえばリゾレシチンなど、プルロニックポリオール、多価アニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリムペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメット−ゲラン杆菌)およびCorynebacterium parvum(挫瘡プロピオンバクテリウム)などの潜在的に有用なヒトアジュバントが含まれる。
【0037】
抗体分子のヘテロ個体集団を含むポリクローナル抗体は、免疫化動物の血清から得ることができる。モノクローナル抗体は、培養の連続細胞系によって抗体分子を生成する任意の技法によって得ることができる。その技法には、KohlerおよびMilsteinのハイブリドーマ技法(1975、Nature256:495〜497、および米国特許第4376110号)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kosbor等、1983、Immunology Today4:72、Cole等、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA80:2026〜2030)、およびEBVハイブリドーマ技法(Cole等、1985、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Alan R.Liss,Inc.、77〜96頁)が含まれるが、これに限定されるものではない。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含む任意の免疫グロブリンクラス、およびそれらの任意のサブクラスであることができる。本発明のmAbを生成するハイブリドーマは、in vitroまたはin vivoで培養することができる。in vivoにおける高力価でのMabの生成により、これは現時点で好ましい生成方法となっている。
【0038】
さらに、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子の遺伝子を適切な生物活性を有するヒト抗体分子の遺伝子と共にスプライシングする、「キメラ抗体」を生成するために開発された技法を用いることができる(Morrison等、1984、Proc.Nat’l.Acad.Sci.、81:6851〜6855、Neuberger等、1984、Nature、312:604〜608、Takeda等、1985、Nature314:452〜454)。あるいは、ヒト化抗体(米国特許第5585089号)、または一本鎖抗体(米国特許第4946778号、Bird、1988、Science242:423〜426、Huston等、1988、Proc.Nat’l.Acad.Sci USA、85:5879〜5883、およびWard等、1989、Nature334:544〜546)を生成するために開発された技法を、TRP8の1つまたは複数のエピトープを特異的に認識する抗体を生成するために用いることができる。
【0039】
5.5.味知覚の調節に有用な薬剤および他の化合物のスクリーニングアッセイ
本発明は、TRP8活性またはTRP8遺伝子発現をモジュレートし、したがって、苦味知覚のモジュレーションに有用な可能性のある化合物または組成物を同定するために設計されたスクリーニングアッセイ系に関する。
【0040】
本発明により、細胞に基づくアッセイ系はTRP8の活性をモジュレートし、それによって苦味知覚をモジュレートする化合物をスクリーニングするために用いることができる。この目的のために、内因的にTRP8を発現する細胞を、化合物のスクリーニングに用いることができる。あるいは、TRP8を発現するように遺伝子操作された細胞系、たとえば293細胞、COS細胞、CHO細胞、線維芽細胞などを、スクリーニングの目的のために用いることができる。好ましくは、機能TRP8を発現するように遺伝子操作された宿主細胞は、苦味物質による活性化に応答するものであり、たとえば味覚応答細胞などである。さらに、TRP8チャネルタンパク質を発現するように操作された卵母細胞またはリポソームを、TRP8活性のモジュレーターを同定するアッセイに用いることができる。
【0041】
本発明は、(i)TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞を試験化合物に接触させ、TRP8の活性化レベルを測定する段階、(ii)別の実験において、(i)と本質的に同じ条件で、TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞を対照媒体に接触させ、TRP8の活性化レベルを測定する段階、次いで(iii)(i)で測定したTRP8活性化レベルを(ii)のTRP8活性化レベルと比較する段階を含み、試験化合物の存在下における活性化TRP8レベルの増加は、試験化合物がTRP8活性化剤であることを示す、苦味の知覚を誘発する化合物(「苦味活性化剤」)を同定する方法を提供する。
【0042】
本発明はまた、(i)TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞を、苦味物質の存在下で試験化合物に接触させ、TRP8の活性化レベルを測定する段階、(ii)別の実験において、(i)と本質的に同じ条件で、TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞を苦味物質に接触させ、TRP8の活性化レベルを測定する段階、次いで(iii)(i)で測定したTRP8活性化レベルを(ii)のTRP8活性化レベルと比較する段階を含み、試験化合物の存在下における活性化TRP8レベルの減少は、試験化合物がTRP8阻害剤であることを示す、苦味の知覚を阻害する化合物(「苦味阻害剤」)を同定する方法を提供する。
【0043】
本明細書において「苦味物質」とは、対象において苦味の知覚を誘発する化合物または分子複合体である。特に、苦味物質は、TRP8チャネルタンパク質の活性化を引き起こし、細胞へのCa2+の流入をもたらす物質である。苦味物質の例には、これに限定されるものではないが、安息香酸デナトニウム(「デナトニウム」;「DEN」とも称する)、塩酸キニーネ(「キニーネ」;「QUI」とも称する)、塩酸ストリキニン(「ストリキニン」;「STR」とも称する)、ヘミ硫酸ニコチン(「ニコチン」;「NIC」とも称する)、塩酸アトロピン(「アトロピン」;「ATR」とも称する)、スパルテイン、ナリンギン、コーヒー酸(「カフェイン」;「CAF」とも称する)、キナクリン、およびエピカテキンが含まれる。参照により本明細書の一部とするMing等、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA96:9903〜9908を参照されたい。
【0044】
そのような細胞系の利用において、TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞は、試験化合物、または対照媒体(たとえば、プラシーボ)に暴露される。暴露後、その細胞を検定して、TRP8遺伝子のシグナル変換経路成分の発現および/または活性を測定することができ、あるいはシグナル変換経路自体の活性を検定することができる。
【0045】
TRP8の活性をモジュレートする試験分子の能力は、標準的な生化学および生理学の技法を用いて測定することができる。触媒活性の活性化または抑制、TRP8および/または他のタンパク質のリン酸化または脱リン酸、セカンドメッセンジャー生成物の活性化またはモジュレーション、細胞イオンレベルの変化、シグナル分子の会合、解離、または転位、あるいは特定の遺伝子の転写または翻訳などの反応をモニターすることができる。本発明の非限定的な実施形態において、細胞内Ca2+レベルの変化は、indo、furaなどの指示色素の蛍光によってモニターすることができる。TRP8シグナル変換をモジュレートする化合物を同定するために、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼの活性化に加えて、アデニレートシクラーゼ、ホスホリパーゼ、ATPアーゼ、および神経伝達物質のCa2+感受性放出を測定することができる。さらに、TRP8チャネルタンパク質のモジュレーションにより生じる膜電位の変化は、電位固定、またはパッチ記録法を用いて測定することができる。
【0046】
たとえば、試験化合物への暴露後、細胞溶解産物は、Ca2+の細胞内レベルの上昇、およびホスホジエステラーゼ、ホスホリパーゼ、ATPアーゼ、またはcAMPなどの下流メッセンジャー依存カルシウムの活性化に関して検定することができる。対照媒体で処理した細胞に見出されるレベルと比較して、試験化合物がCa2+の細胞内レベルを上昇させる能力、およびホスホジエステラーゼを活性化する、またはcAMPのレベルを低減する能力は、その試験化合物がアゴニストとして作用し(すなわち、TRP8活性化剤である)、宿主細胞により発現したTRP8媒介のシグナル変換を誘発することを示す。対照媒体の場合に見出されるレベルと比較して、試験化合物が苦味物質の誘発するカルシウム流入を阻害する能力、およびホスホジエステラーゼを阻害する、またはcAMPのレベルを上昇させる能力は、その試験化合物がアンタゴニストとして作用し(すなわち、TRP8阻害剤である)、TRP8媒介のシグナル変換を阻害することを示す。
【0047】
本発明の特定の実施形態において、cAMPのレベルは、多様な異なるレポーター遺伝子のいずれかに結合したcAMPを含有する構成体を用いて測定することができる。そのようなレポーター遺伝子には、これに限定されるものではないが、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、β−グルクロニダーゼ(GUS)、成長ホルモン、または胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)を含むことができる。そのような構成体を、TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞に導入し、それによってTRP8活性のモジュレーターを同定するために設計されたスクリーニングアッセイに有用な組換え細胞を提供する。
【0048】
細胞の試験化合物への暴露に続いて、TRP8活性を調節する試験化合物の能力を判定するために、レポーター遺伝子発現のレベルを定量することができる。アルカリホスファターゼは細胞から分泌されるので、アルカリホスファターゼ検定は、本発明の実施において特に有用である。したがって、組織培養の上澄みを、分泌アルカリホスファターゼに関して検定することができる。さらに、アルカリホスファターゼ活性は、Bronstein,I.等(1994、Biotechniques17:172〜177)に記載されているような、熱量計、生物発光、または化学発光検定によって測定することができる。そのようなアッセイは、医薬品のスクリーニングに関して、簡単で高感度な容易に自動化可能な検出システムを提供する。
【0049】
さらに、細胞内cAMPの濃度を求めるために、シンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いることができる(SPAキットはAmersham Life Sciences、Illinoisから提供される)。このアッセイは、125I標識cAMP、抗cAMP抗体、および二次抗体で被覆されたシンチラント組込み微小球を用いる。標識cAMP−抗体複合体を通して微小球に近接すると、125Iはシンチラントを励起して光を放射する。細胞から抽出された非標識cAMPは、抗体との結合に関して125I標識cAMPと競合し、それによってシンチレーションを減少する。このアッセイは高処理量のスクリーニングを可能にするために、96ウェルプレートで行うことができ、読み出しのために、Wallac、またはPackardで製造されたもののような96ウェルベースのシンチレーション計数装置を用いることができる。
【0050】
本発明の他の実施形態において、細胞内Ca2+のレベルは、KomuroおよびRakic、1998のThe Neuron in Tissue Culture、L.W.Haymes編、Wiley、New Yorkに記載されているような方法を用い、たとえばFluo−3およびFura−RedなどのCa2+指示色素を用いてモニターすることができる。
【0051】
上述の任意の方法によって同定された、TRP8の活性を活性化する試験活性化剤は、苦味知覚を誘発する能力を確認するために、さらなる試験に供することができる。上述の任意の方法によって同定された、苦味物質によってTRP8の活性化を阻害する試験阻害剤は、その阻害活性を確認するために、さらなる試験に供することができる。TRP8受容体の活性をモジュレートする試験化合物の能力は、行動学的方法、生理学的方法、またはin vitro法によって評価することができる。
【0052】
たとえば、行動学的研究は、TRP8阻害剤と推定されるものを含む組成物、およびその化合物を含まない同一の組成物を消費する選択を試験動物が与えられている状態で行うことができる。たとえば、より多い消費によって示される試験化合物を含む組成物に対する嗜好は、TRP8阻害活性と正の相関を有するものであろう。さらに、試験動物によるTRP8の推定活性化剤を含む食品の忌避は、苦味活性化剤の同定と正の相関を有するものであろう。
【0053】
TRP8と相互に作用する、たとえば結合する化合物を同定するために、細胞に基づくアッセイに加えて、細胞に基づかないアッセイ系を用いることができる。そのような化合物は、TRP8活性のアンタゴニストまたはアゴニストとして作用する可能性があり、苦味知覚を調節するために用いることができる。
【0054】
この目的のために、可溶性TRP8を組換えにより発現させ、TRP8と結合する化合物を同定するために、細胞に基づかないアッセイにおいて用いることができる。以下の5.2.項に記載のとおり調製された、1つまたは複数のTRP8領域を含有する組換え発現TRP8ポリペプチドまたは融合タンパク質を、細胞に基づかないスクリーニングアッセイに用いることができる。たとえば、TRP8の1つまたは複数の細胞質または膜貫通領域に対応するペプチド、またはTRP8の1つまたは複数の細胞質または膜貫通領域を含有する融合タンパク質は、TRP8の細胞質部分に結合する化合物を同定するために用いることができ、そのような化合物は、TRP8のシグナル変換経路をモジュレートするのに有用である可能性がある。細胞に基づかないアッセイにおいて、組換え発現TRP8は、当分野の技術者によく知られている方法によって、試験管、マイクロタイターウェル、またはカラムなどの固体支持層に付着させることができる(上述のAusubel等を参照のこと)。次いでこの試験化合物を、TRP8に結合する能力に関して検定する。
【0055】
TRP8チャネルタンパク質は、他の分子から完全に、または部分的に単離されたものであることができ、あるいは粗抽出物または半精製抽出物の一部として存在することができる。非限定的な例として、TRP8チャネルタンパク質は、味覚受容細胞膜の試料に存在することができる。本発明の特定の実施形態において、そのような味覚受容細胞膜は、参照により本明細書の一部とするMing,D.等、1998、Proc.Natl.Sci.USA95:8933〜8938に記載のとおり調製することができる。詳細には、ウシの有郭乳頭(味覚受容細胞を含む「味覚組織」)を用手的に切開し、液体窒素中で凍結、使用まで−80℃で貯蔵することができる。集めた組織は、次いでPolytronホモジナイザー(25000RPM、各20秒の3サイクル)を用いて、pH7.5、10mMのTris、10%v/vグリセロール、1mMのEDTA、1mMのDTT、10μg/μlペプスタチンA、10μg/μlロイペプチン、10μg/μlアプロチニン、および100μMの4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩を含有する緩衝液で均質化することができる。1500×g、10分間の遠心分離によって微粒子を除去した後、味覚膜を45000×g、60分間の遠心分離によって集めることができる。次いで、ペレット化した膜を2度洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含まない均質化緩衝液に再懸濁し、25ゲージの針中に20回通すことによってさらに均質化することができる。その後、アリコートを瞬間凍結するか、あるいは使用まで氷上で保存することができる。他の非限定的な例として、味覚受容体は組換えクローンから得ることができる(Hoon,M.R.等、1999、Cell96:541〜551を参照のこと)。
【0056】
転写または翻訳レベルでTRP8発現を調節する化合物をスクリーニングするように、アッセイを設計することもできる。一実施形態において、TRP8遺伝子の発現をモジュレートする化合物を同定するために、レポーター分子をコードするDNAをTRP8遺伝子の調節因子に結合させ、適切な完全細胞、細胞抽出物、または溶解産物中で用いることができる。適切な細胞または細胞抽出物は、通常TRP8遺伝子を発現し、それによってその細胞抽出物がin vitroまたはin vivoの転写に必要とされる転写因子を含有することを確実にするような任意の細胞型から調製される。このスクリーニングは、レポーター構成体の発現をモジュレートする化合物を同定するために用いることができる。そのようなスクリーニングにおいて、レポーター遺伝子の発現レベルは試験化合物の存在下で求められ、試験化合物非存在下での発現レベルと比較される。
【0057】
TRP8の翻訳を調節する化合物を同定するために、TRP8mRNAの翻訳をモジュレートする能力に関して、TRP8トランスクリプトを含有する細胞またはin vitro細胞溶解産物を試験することができる。TRP8翻訳の阻害剤を検定するために、in vitroにおいてTRP8mRNAの翻訳をモジュレートする能力に関して、試験化合物を検定する。
【0058】
さらに、TRP8活性を調節する化合物は、動物モデルを用いて同定することができる。TRP8の活性化が起こっているかどうかを判定するために、行動学的、生理学的、または生化学的方法を用いることができる。行動学的方法、および生理学的方法は、in vivoで実施することができる。行動学的測定の一例として、試験阻害剤の存在下、または非存在下で、試験動物が苦味物質を含む組成物を自発的に消費する傾向を測定することができる。動物体内で苦味物質がTRP8を活性化する場合、その動物は苦味を体験することが予測され、それによって動物はその組成物をさらに消費することを思いとどまるであろう。苦味物質のみを含有する組成物(活性化TRP8を伴う)か、あるいは苦味阻害剤と共に苦味物質を含有する組成物(低レベルの活性化TRP8)を消費する選択が動物に与えられている場合、苦味阻害剤を含有する組成物の消費を好むことが予測される。したがって、動物によって実証された相対的な嗜好は、TRP8チャネルの活性化と逆相関する。
【0059】
生理学的方法には神経応答の研究が含まれ、この研究は味覚受容細胞を含有する組織と機能可能に連結している神経を用いて、in vivoまたはin vitroで実施することができる。TRP8の活性化を起こす苦味物質への暴露によって味覚受容細胞に活動電位がもたらされ、次いでそれが末梢神経を通じて伝えられるので、苦味物質に対する神経応答を測定することは、特にTRP8活性化の間接的な測定となる。舌咽神経を用いて実施された神経応答の研究の一例は、Ninomiya,Y等、1997、Am.J.Physiol.(London)272:R1002〜R1006に記載されている。
【0060】
上に記載したアッセイによって、TRP8活性をモジュレートする化合物を同定することができる。たとえば、TRP8活性に影響を及ぼす化合物には、これに限定されるものではないが、TRP8に結合し、シグナル変換を活性化するか(アゴニスト)、あるいは活性化を阻止する(アンタゴニスト)化合物が含まれる。TRP8遺伝子の活性に影響を及ぼす化合物も(TRP8遺伝子の発現に影響を及ぼすことによるものであって、分子、たとえばタンパク質、または有機小分子を含み、それらが転写に影響を及ぼすか、あるいはスプライシングを妨げることによって、TRP8の完全長または切断形態の発現をモジュレートすることができる)、本発明のスクリーニングを用いて同定することができる。しかしながら、記載のアッセイはさらに、TRP8シグナル変換をモジュレートする化合物も同定できることに留意されたい(たとえば、下流のシグナル化に影響を及ぼす化合物であって、たとえばそれらの受容体に結合する味覚物質によって活性化されたシグナルの変換に関わる、Gタンパク質活性の阻害剤または強化剤である)。TRP8の下流のシグナル化に影響を及ぼし、それによって味知覚へのTRP8の作用をモジュレートする、そのような化合物の同定および使用は、本発明の範囲内である。
【0061】
本発明によってスクリーニングすることのできる化合物には、これに限定されるものではないが、TRP8に結合して、天然味覚物質リガンドによって引き起こされた活性を模倣するか(すなわち、アゴニスト)、あるいは天然リガンドによって引き起こされた活性を阻害する(すなわち、アンタゴニスト)有機または無機小化合物、ペプチド、抗体、およびそれらの断片、ならびに他の有機化合物(たとえば、ペプチド類似作用物質)が含まれる。
【0062】
化合物には、これに限定されるものではないが、ペプチド、たとえばこれに限定されるものではないがランダムペプチドライブラリーの構成体を含む可溶性ペプチドなど(たとえば、Lam,K.S.等、Nature354:82〜84、Houghten,R.等、1991、Nature354:84〜86を参照)、D−および/またはL−配置のアミノ酸によるコンビナトリアルケミストリ由来分子ライブラリー、ホスホペプチド(これに限定するものではないが、ランダムまたは部分変性定方向ホスホペプチドライブラリーの構成体を含む)(Songyang,Z等、1993、Cell72:767〜778)、抗体(これに限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、抗イディオタイプ、キメラ、または一本鎖抗体、ならびにFAb、F(ab’)、およびFAb発現ライブラリー断片、ならびにそれらのエピトープ結合断片を含む)、および有機または無機小分子が含まれる。
【0063】
本発明によってスクリーニングすることのできる他の化合物には、これに限定されるものではないが、TRP8のシグナル変換経路に関わるTRP8遺伝子または他の一部の遺伝子の発現に影響を及ぼす有機小分子(たとえば、遺伝子発現に関わる転写因子または調節領域と相互に作用することによる)、TRP8の活性に影響を及ぼすか、あるいはたとえばTRP8関連Gタンパク質など、TRP8シグナル変換経路に関わる他の一部の細胞内因子の活性に影響を及ぼすような化合物が含まれる。
【0064】
5.6.TRP8のモジュレーターを含有する組成物およびその使用
本発明は、有効量のTRP8阻害剤、たとえば上の5.5.項に記載したようにTRP8の活性化を測定することによって同定されたTRP8阻害剤などを対象に投与することを含む、対象の味覚組織に苦味物質が接触することによって生じる苦味を阻害する方法を提供する。本発明はまた、有効量のTRP8阻害剤を組成物に配合することを含む、組成物の苦味を阻害する方法を提供する。TRP8阻害剤の「有効量」とは、苦味の知覚を主観的に減少させる、かつ/または上述のアッセイの1つによって測定されるTRP8活性化の検出可能な減少を伴う量である。
【0065】
本発明はさらに、上の5.5.項に記載したとおりに同定された苦味活性化剤などの、TRP8活性を活性化する化合物を含む組成物を対象に投与することを含む、対象による苦味の知覚を生じさせる方法を提供する。この組成物は、対象によって苦味として認識される味覚を生じるのに有効な量の活性化剤を含むことができる。
【0066】
したがって本発明は、苦味活性化剤、および苦味阻害剤を含む組成物を提供する。そのような組成物は、対象の味覚組織に接触する可能性のある任意の物質を含み、これに限定されるものではないが、食品、飲料、医薬品、歯科製品、化粧品、ならびに封筒および切手に用いられる湿潤接着剤が含まれる。
【0067】
一連の実施形態において、共存する苦味物質に関連する苦味の知覚を中和するために、苦味阻害剤が用いられる。これらの実施形態において、本発明の組成物は、苦味物質、および苦味阻害剤を含み、苦味阻害剤は苦味の知覚を阻害する濃度で存在する。たとえば、組成物中の苦味物質の濃度、および組成物中の苦味組成物の濃度を上の5.1.項に記載のアッセイに供するとき、苦味阻害剤は苦味物質によるTRP8の活性化を阻害する。
【0068】
本発明は、苦味物質の嫌悪効果を低減または除去することによって食品の味覚を向上させるために用いることができる。苦味物質が食品保存剤である場合、本発明のTRP8阻害剤は、食品への保存剤の配合を可能、あるいは容易にし、それによって食品の安全性を向上させる。栄養補助剤として投与される食品の場合、本発明のTRP8阻害剤の配合は、消費を促進し、それによってこれらの組成物が栄養または熱量を対象に供給する効果を高めることができる。
【0069】
本発明のTRP8阻害剤は、医療および/または歯科用組成物に配合することができる。診断処置に用いられるある種の組成物は、造影剤、および口腔局所麻酔薬など、不快な味を有するものがある。組成物の味を改善することによって、そのような処置を受ける対象の快適性を向上させるために、本発明のTRP8阻害剤を用いることができる。さらに、本発明のTRP8阻害剤は、風味を改善し、患者のコンプライアンスを向上させるために(特に患者が子供、または非ヒト動物である場合)、錠剤および液体を含む薬剤組成物に配合することができる。
【0070】
本発明のTRP8阻害剤は、味の特徴を改善するために、化粧品に含有させることができる。たとえば、これに限定されるものではないが、本発明のTRP8阻害剤は、顔用クリーム、および口紅に配合することができる。さらに、本発明のTRP8阻害剤は、慣例的な食品、飲料、医薬品、または化粧品ではないが、味覚膜に接触する可能性のある組成物に配合することができる。これに限定されるものではないが、その例には、石鹸、シャンプー、練り歯磨き、義歯接着剤、切手および封筒表面の接着剤、ならびに害虫防除に用いられる毒性組成物(たとえば、ネズミ、またはゴキブリ用毒薬)が含まれる。
【0071】
6.実施例:TRP8遺伝子のクローニングおよび特性決定
以下の項は、TRP8と称する一過性受容体タンパク質チャネルの単離、および特性決定を記載する。TRP8の推定アミノ酸配列は、他のTRPタンパク質との相同性を示している。ノーザンブロット分析は、味覚受容細胞におけるTRP8RNAの高レベルの発現を示す。
【0072】
6.1.材料および方法
6.1.1.TRP8遺伝子のクローニング
Gタンパク質ガストデューシンの発現にポジティブである、味覚受容細胞のサブセットに特異的または選択的に発現する遺伝子をクローニングするために、単一細胞逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、およびディフェレンシャルスクリーニングを用いた。個々のガストデューシンポジティブ細胞を、マウスの有郭乳頭から単離した(Huang等、1999、Nature Neuroscience2:1055〜1062)。個々の細胞由来のmRNAをcDNAに逆転写し、次いでPCR増幅した。増幅cDNAをバクテリオファージベクターにサブクローニングすることによって、単一味覚受容細胞からの複数のcDNAライブラリーを構築した。このcDNAライブラリーを、自己プローブ(同一細胞のP32標識増幅cDNA)および非自己プローブ(他の味覚細胞のP32標識増幅cDNA)を用いて、ディフェレンシャルスクリーニングによって分析した。1%ウシ血清アルブミン、および4%SDSを含有する0.5Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)中、65℃、20時間、ハイブリッド形成を行った。膜を0.1%SDS、0、5×SSC中、65℃で20分間、2回洗浄し、0.1%SDS、0、1×SSC中、65℃で15分間、1回洗浄した。増感スクリーンを用い、膜を−80℃で3日間、X線フィルムに暴露した。非自己プローブより自己プローブに強くハイブリッド形成したクローンを単離し、その挿入部を配列決定した。
【0073】
このクローンをプローブとして用い(LQSEQ91)、上記と同じハイブリッド形成条件で、マウス味覚組織cDNAライブラリーを完全長クローンに関してスクリーニングした。最長の挿入物を含有するクローンの配列決定によって、一過性受容体電位(TRP)チャネルとして知られるカルシウムチャネルタンパク質のファミリーに最大の類似性を有する完全長クローンを生成した。
【0074】
以下のマウス組織から、チオシアン酸グアニジウム/フェノール/クロロホルム抽出によって、トータルRNA25μgを単離した(P.ChromczynskiおよびN.Sacchi、1987、Anal.Biochem.162:156)。上皮富化味蕾、非味覚舌上皮、脳、網膜、嗅上皮、胃、小腸、肝臓、脾臓、腎臓、肺、心臓、胸腺、子宮、精巣、および骨格筋である。RNAを、6.7%ホルムアルデヒドを含有する1.5%アガロースゲルで電気泳動し、UV照射によってナイロン膜に移行、固定した。このブロットを、(α−32P)−dCTPの存在下、Exo(−)Klenowポリメラーゼを用いてランダムプライミングによって、マウスTRP8cDNAの3’末端から産生した放射性標識1.7kb断片でハイブリッド形成した。ハイブリッド形成は、7%SDSを含有する0.25Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中、65℃で24時間、攪拌しながら行った。膜を、5%SDSを含有する20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中、65℃で40分間、2回洗浄し、1%SDSを含有する同じ緩衝液中、65℃で40分間、2回洗浄した。このブロットを、増感スクリーンを用い、−80℃で5日間、X線フィルムに暴露した。
【0075】
ヒト高処理量DNA配列およびゲノム配列のBLAST検索を、参照としてマウスTRP8配列を用いて行った。この検索によって、BACクローンは完全なヒトTRP8遺伝子を含有することが同定された。次いでGenscanプログラムを用いて、ヒトTRP8遺伝子の予測されたタンパク質コードエキソンを同定した。この領域をマウスTRP8cDNAと整列させ、予測されたヒトTRP8コード領域の全体を推定した。
【0076】
6.1.2.ノーザンハイブリッド形成
いくつかのマウス組織から、Trizol試薬を用いてトータルRNAを単離し、RNA各25μgを、6.7%ホルムアルデヒドを含有する1.5%アガロースゲル上のレーンごとに電気泳動した。このサンプルを、UV照射を用いてナイロン膜に移行、固定した。このブロットを、7%SDS、および40μg/mlのニシン精子DNAを含有する0.25Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中、65℃で5時間、攪拌しながら前ハイブリッド形成を行い、同じ溶液中、32P放射性標識マウスTRP8プローブを用いて20時間ハイブリッド形成を行った。膜を、5%SDSを含有する20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中、65℃で40分間、2回洗浄し、1%SDSを含有する同じ緩衝液中、65℃で40分間、2回洗浄、さらに0.1×SSCおよび0.1%SDS中、70℃で30分間、1回洗浄した。このブロットを、増感スクリーンを用い、−80℃で3日間、X線フィルムに暴露した。32P標識TRP8プローブは、(α−32P)−dCTPの存在下、Exo(−)Klenowポリメラーゼを用い、3’−UTRに対応するTRP8の.48kbcDNAのランダムノナマープライミングによって産生した。
【0077】
6.1.3.in situハイブリッド形成
33P標識RNAプローブ[TRP8(1.7kb)およびα−ガストデューシン(1kb)]を、マウス舌組織の凍結切片(10μm)のin situハイブリッド形成に用いた。ハイブリッド形成および洗浄は、(Asano、Miyoshi等、2000、Neurosci Lett283:61〜64)に記載のとおりに行った。スライドはKodak NTB−2核トラック乳剤で被覆し、4℃で3週間暴露、その後、展開、固定した。
【0078】
6.1.4.免疫細胞学
キーホールリンペットヘモシアニン複合TRP8ペプチド(aa1028〜1049)に対するポリクローナル抗血清を、ウサギ内で生育した。このPLCβ2抗体は、Santa−Cruz Biotechnologiesから得た。抗α−ガストデューシンおよび抗Gγ13抗体は、(Ruiz−Avila等、1995、Nature376:80〜85、Huang等、1999、Nat Neurosci2:1055〜62)に記載のとおりであった。マウス舌組織の厚さ10ミクロンの凍結切片(あらかじめ4%のパラホルムアルデヒドに固定、20%スクロース中で凍結保護)を、PBS中の3%BSA、0.3%TritonX−100、2%ヤギ精子、および0.1%Naアジド中、室温で1時間阻止し、その後、α−ガストデューシンに対する精製抗体、またはTRP8に対する抗血清を用い(1:800)、4℃で8時間インキュベートした。二次抗体は、Cy3−対TRP8抗ウサギIgヤギ抗体コンジュゲート、およびフルオレセイン−対PLCβ2抗ウサギIgヤギ抗体コンジュゲート、α−ガストデューシン、またはGγ13であった。TRP8の免疫反応性は、免疫化ペプチド20μMを用いた抗血清の前保温によって阻止された。前免疫血清は、どのような免疫反応性も示さなかった。切片は、TRP8と、以下の抗体、抗PLCβ2、抗α−ガストデューシン、または抗Gγ13の1種とによって二重免疫染色した。切片は連続的に、各ステップの間に断続洗浄をして、TRP8抗血清、抗ウサギIg−Cy3コンジュゲート、通常の抗ウサギIg、抗PLCβ2(あるいは抗α−ガストデューシン、または抗Gγ13)抗体、および最後に抗ウサギIg−FITCコンジュゲートでインキュベートした。抗PLCβ2(あるいは抗α−ガストデューシン、または抗Gγ13)抗体を除く上記のすべての抗体を用いてインキュベートしたコントロール切片は、グリーンチャネルで蛍光を示さなかった。
【0079】
6.1.5.遺伝子発現プロファイルの作成
単一味覚受容細胞RT−PCR生成物(5μl)を、1.6%アガロースゲル上でサイズによって分別し、ナイロン膜上に移行した。単離細胞の発現パターンは、マウスTRP8、α−ガストデューシン、Gβ3、Gγ13、PLCβ2、およびG3PDHに関して3’末端cDNAプローブを用いて、サザンハイブリッド形成によって求めた。ブロットは、5時間、−80℃で暴露した。単一有郭乳頭、および類似したサイズの非味覚上皮片由来のトータルRNAも単離し、逆転写、増幅して、個々の細胞に関して分析した。
【0080】
6.1.6.異種発現
卵母細胞に、50ngのTRP8cRNAを注入した。注入から48時間後、卵母細胞をタプシガーギン(2μM)、およびX−Rhod−1−AM(Ca++検出色素)中、室温で3時間インキュベートした。
【0081】
6.2.結果
6.2.1.味覚細胞における新規なTRPチャネルの同定
単一細胞逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応を用いてクローンを単離したが、これはガストデューシンポジティブの細胞に発現し、ガストデューシンネガティブの細胞には存在しない。発現配列タグ(EST)dbestデータベースの検索によってマッチ部分は見出されず、これは発現したクローンのパターンが、味覚組織など、ESTデータベースに通常は見出されない組織に非常に限定的なものであることを示唆している。
【0082】
このクローンをプローブとして用いて、マウス味覚組織cDNAライブラリーを、完全長に関してスクリーニングした。最長の挿入部を含有するクローンの配列は、図1に示した配列を有する完全長のクローンを生成した。cDNAクローンの推定アミノ酸配列を図2に示す。
【0083】
単離されたcDNAは、一過性受容体電位(TRP)チャネルとして知られるカルシウムチャネルタンパク質のファミリーに対して最大の類似性を示した。このタンパク質ファミリーに対する単離クローンの類似性は、TRPチャネルが同定されたことを示した。現在のところ、7種のTRPチャネルの存在が知られているので、このクローンは8番目の構成体となり、慣例によりTRP8と称する。マウスTRP8(TRP8)は、TRP7と40%のアミノ酸レベルが一致しており、TRP7ともっとも密接に関連している。細胞膜に挿入されたTRP8チャネルの予測トポグラフィを図6A〜Cに示す。
【0084】
マウスクローンと、BACクローンに含有されるヒト染色体11p15.5の領域(遺伝子バンク#AC003693)との相同性に基づいて、ヒトTRP8オーソログが同定された。ヒトTRP8遺伝子のヌクレオチド配列、ならびに推定アミノ酸配列を、それぞれ図3A〜B、および図4に記載する。マウスとヒトのTRP8タンパク質の比較を図5に示す。ヒト染色体11p15.5領域は、マウス染色体7の末端領域とシンテニーを示す。いずれの場合も、TRP8およびhTRP8は、Kvlqt1およびTSSC4の遺伝子の間に位置を決定する。
【0085】
6.2.2.TRP8は味覚組織に選択的に発現する
TRP8はα−ガストデューシンポジティブ(+)TRC対α−ガストデューシン(−)TRCのディフェレンシャルスクリーニングにおいて同定されたが、他の味覚細胞および/または組織に、より広範囲にTRP8が発現する可能性も考えられた。TRP8mRNAの組織分布を求めるために、複数のマウス組織を用いてノーザンブロットを行った。TRP8の3’−UTRプローブは、味覚組織の4.5kbトランスクリプトに主としてハイブリッド形成し、コントロールの非味覚組織に検出可能な発現はなかった。胃、および小腸において中程度の発現が検出され、子宮、および精巣に弱い発現が認められた(図7A)。これは、Enklaar等(2000、Genomics67:179〜187)の結果と対照的である。TRP8’コード領域の3’部分を増幅するように設計されたRT−PCR生成プローブを用いて、Enklaar等は、肝臓においてもっとも高い発現を検出し、他の周辺組織(たとえば、心臓、脳、腎臓、および精巣)において低いレベルの発現を検出した。Enklaar等のRT−PCRプローブは、他のTRP8mRNA、または本発明の3’−UTRプローブに存在するものとは異なる3’末端を有するスプライシングされたmRNAのクロスハイブリッド形成による検出の可能性がある。TRP8の発現の独立した測定として、本出願人等は、抗TRP8抗体を用いてウエスタンブロットを行った(図7B)。予測された分子量(〜130kDa)のTRP8タンパク質が、胃、および小腸で検出された。予測分子量より大きい種が、肝臓、および腎臓で同定され、TRP8関連タンパク質、またはスプライシングされたメッセージ由来のTRP8生成物を表す可能性がある。
【0086】
6.2.3.TRP8は特に味覚受容細胞のサブセットに発現する
マウスTRCにおけるTRP8発現の細胞パターンを求めるために、in situハイブリッド形成を用いた。有郭乳頭および葉状乳頭のTRCにおいてTRP8mRNAが認められたが、周囲の非味覚上皮では認められなかった(図8)。TRP8TRCは味蕾の大部分に存在したが、すべてのTRCがポジティブというわけではなく、これはTRCサブセットへの限定された発現を示唆している。TRP8発現の一般的なパターンは、α−ガストデューシンのパターンに類似していたが、α−ガストデューシンのシグナルのほうがいくぶん強力であった(図8D)。センスプローブ用いたコントロールは、TRP8プローブ(図8B)またはα−ガストデューシンプローブ(図8E)を用いた場合の、味覚組織への最少の非特異的ハイブリッド形成を示した。
【0087】
TRP8がTRCにおいて、その活性化に関わる可能性のあるシグナル変換因子と共発現するかどうかを判定するために、本出願人等は、組織部分を含有するTRCの一重および二重免疫組織化学法を行った。TRP8タンパク質は、絶対的に、Gγ13(図9ABC)およびPLCβ2(図9GHI)と共発現し、これらの3種の分子が共通のシグナル変換経路の一部である可能性を示唆した。TRP8は、絶対的にではないが、主として、α−ガストデューシン(図9DEF)と共発現した。TRP8TRCのサブセットは、α−ガストデューシンに関してネガティブであったが、α−gusTRCはすべて、TRP8に関してポジティブであった。α−gusTRCは、Gγ13、Gβ1、PLCβ2、およびIPR3に関してポジティブなTRCサブセットを構成するという本出願人等の所見に、このパターンは一致する(Huang等、1999)。異なる分子間の細胞レベルの分布におけるわずかな相違は、各タンパク質の示す異なるトポロジーによって説明できる。TRP8は内在性膜タンパク質であり、一方、α−ガストデューシンおよびPLCβ2は膜結合タンパク質である。ヒト茸状味蕾におけるヒトTRP8(hTRP8)の発現も確認された。
【0088】
TRP8のTRCにおける上述のシグナル変換因子、ならびにGβ1およびGβ3との共発現を個別にモニターするために、単一細胞発現プロファイルの作成を行った(Huang等、1999、Nat Neurosci2:1055〜62)。α−ガストデューシン、Gβ1、Gβ3、Gγ13、PLCβ2、およびTRP8の発現は、味覚組織に限定されており(図10、左図)、一連の24個のTRCにおいて、TRP8は絶対的にα−ガストデューシン、Gβ3、Gγ13、PLCβ2と共発現し(図10、右図)、さらにTRP8の発現は大部分がGβ1の発現と重複している(TRP8細胞の19個のうち15個はさらにGβ1であった)ことが、この方法において求められた。これらの様々なシグナル変換分子のTRP8との同時発現は、ヘテロ三量体ガストデューシン(すなわち、α−ガストデューシン/β3/γ13)または他のGα/β1、β3/γ13含有ヘテロ三量体に結合したGPCRがβγを放出して、PLCβ2を活性化する可能性のあるシグナル経路によって生成されたIP(IP受容体の活性化)またはDAG(TRP8の直接活性化)によるTRP8の活性化に関して物理的機会を提供することができる。TRCにおいてIP受容体サブタイプIII(IPR3)が最近同定されたこと、ならびにIPR3は主としてα−ガストデューシン、Gγ13、およびPLCβ2と共局在することの実証も、これと矛盾しない。
【0089】
6.2.4.他のTRPファミリー構成体は味覚組織において検出可能な発現をしない
天然のTRPチャネルは、ホモおよびヘテロ多量体を形成すると考えられている。TRCにおけるTRP8の潜在的なパートナーを同定するために、PCRを用いて、マウスTRPチャネル1〜6(TRP1〜6)が味覚組織で発現されるかどうかを判定した(脳組織が正の対照を提供した)。脳cDNAを鋳型として用いたとき(図11、下図)、TRP1〜6に特異的なプライマー対を用いるPCRによる増幅によって、6種すべてのTRPファミリー構成体に関して正しいサイズの生成物が同定され、これらの生成物のDNA配列決定によって6種すべてのTRPファミリー構成体の増幅が確認された。TRP8は、脳cDNAが鋳型であるとき増幅されなかったが(図11、下図)、味覚cDNAが鋳型を提供したときには増幅された(図11、上図)(TRP8の増幅はDNA配列決定によって確認された)。他の6種のTRPファミリー構成体は、味覚組織cDNAを鋳型して用いたときいずれも増幅されず(図11、上図)、TRCにおいて発現するにしても、高度には発現しないことを示唆した。TRP7に特異的なプライマーを用いる別の実験において、TRP7は脳cDNAにおいてPCRによって検出されたが、味覚cDNAでは検出されなかった。これらの7種の構成体以外の新規なTRPチャネルがTRCで発現する可能性があるが、現在のところ、TRP8が、味覚組織において高度に発現し、上に示したようにTRCにおいて高度に発現する唯一の既知のTRPであると思われる。
【0090】
6.2.5.発現TRP8は貯蔵体作動性チャネルとして作用する
TRP8がカルシウムチャネルとして機能できるかどうかを判定するために、TRP8をアフリカツメガエルの卵母細胞に発現した。この卵母細胞は、TRPファミリーに属する貯蔵体作動性Ca++チャネルの活性化によるCa++流入をモニターするために用いることのできる内因性カルシウム活性化クロライド電流(IClCa)を有する。in vitroでの転写によって得られたTRP8RNAを、アフリカツメガエルの卵母細胞に注入し、2日後に二極電圧固定記録法を行った。内部Ca++貯蔵体の枯渇を誘発するために、記録前に、2μMのタプシガーギン(TPN)、筋小胞体(sarco(endo)plasmic reticulum)Ca++−ATPアーゼ(SERCA)の不可逆性阻害剤中で、卵母細胞を2時間インキュベートした。
【0091】
TRP8RNAを注入し、TPNで処理した卵母細胞の代表的な記録トレースは、外部浴にCa++を添加することによって誘発された強く明瞭な内向き電流を実証した(図12A)。これらのトレースは、水を注入した対照卵母細胞のトレース(図12B)と劇的に異なり、これによって、内部Ca++貯蔵体の充填状態にその活性化が依存し(図12のAとBを比較のこと)、その機能が外部Ca++の入手可能性に依存する機能性Ca++チャネルをTRP8がコードすることが示された。対照卵母細胞は、TPN処理によって活性化することのできる、内因性TRPチャネル(XTrp)を発現する(Bobanovic等、1999、Biochem J.340:593〜539)(図12B)。細胞外媒質にCa++が存在する条件下で発生した総内向き電流の分析は(図12D)、TRP8発現の効果を明らかに実証した。TRP8タンパク質が実際に卵母細胞に発現したことを確認するために、本出願人等は抗TRP8抗体を用いて、TRP8RNA注入卵母細胞由来の膜タンパク質のウエスタンブロットを行い、予期されたサイズの130kDaのタンパク質が検出された。
【0092】
本発明は、本明細書に記載した特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。さらに、本明細書に記載されたものに加えて様々な本発明の変更が、上述の説明および添付の図面から当分野の技術者に明らかとなるであろう。そのような変更は、添付の請求の範囲内である。本明細書には様々な参照文献が挙げられており、その開示の全体を参照により本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウスTRP8コードマウスTRP8cDNAのヌクレオチド配列を示す図である。
【図2】マウスTRP8一過性受容体電位チャネルの推定アミノ酸配列を示す図である。
【図3A〜B】ヒトTRP8コードヒトTRP8cDNAのヌクレオチド配列を示す図である。
【図4】ヒトTRP8タンパク質一過性受容体電位チャネルの推定アミノ酸配列を示す図である。
【図5】マウスTRP8(上段)対ヒトTRP8(下段)のアミノ酸配列を示す図である。段の各対は、予測されるマウス/ヒトのエクソンに相当する。
【図6A〜C】膜におけるTRP8タンパク質一過性受容体電位チャネルの予測トポグラフィを示す図である。
【図7】マウス組織におけるTRP8mRNAおよびタンパク質の分布を示す図である。(a)TRP8cDNAプローブを用いてハイブリッド形成したノーザンブロットのオートラジオグラフ。各レーンは、以下のマウス組織から単離したトータルRNA25μgを含有していた。有郭乳頭および葉状乳頭富化味覚組織(味覚組織)、味蕾を欠いた舌組織(非味覚)、脳、網膜、嗅上皮(Olf.Epi)、胃、小腸(Small Int.)、胸腺、心臓、肺、脾臓、骨格筋(Skele.Mus.)、肝臓、腎臓、子宮、および精巣である。4.5kbのトランスクリプトが味覚組織、胃、および小腸において検出され、子宮、および精巣では、はるかに少量で検出された。mRNA量を制御するために、同一のブロットをストリップし、β−アクチンcDNAプローブで再プローブした(下図)。RNAマーカのキロベース(kb)の大きさを右側に示す。(b)抗TRP8抗体を用いてプローブしたウエスタンブロットのオートジオグラフ。記載のマウス組織から調製したタンパク質抽出物(50μg)を電気泳動し、ニトロセルロース膜に移し、次いでブロットをTRP8のカルボキシル末端に対する抗体でインキュベートした。TRP8の予測分子量である〜130kDの免疫反応性タンパク質が胃、および小腸で検出され、より大きい分子量種が肝臓、および腎臓で確認された。分子量マーカはキロダルトンで示す。
【図8】味覚受容細胞に発現するTRP8mRNAを示す図である。有郭乳頭および葉状乳頭を含有するマウス舌上皮部を、TRP8(a、c)、およびα−ガストデューシン(d)に関して33P標識アンチセンスRNAプローブを用いてハイブリッド形成し、オートラジオグラフィにかけた。アンチセンスTRP8プローブにハイブリッド形成した有郭乳頭(a)および葉状乳頭(b)の顕微鏡写真は、TRCのサブセットにおけるTRP8の発現を実証する。(d)は葉状乳頭に対するα−ガストデューシンアンチセンスプローブのハイブリッド形成を示す。センスプローブを用いたハイブリッド形成対照は、TRP8プローブ(b)、またはα−ガストデューシンプローブ(e)の非特異的結合がないことを示した。
【図9】TRP8、および他のシグナル変換因子のTRCにおける共局在を示す図である。マウス味覚乳頭部の同一縦断面におけるGγ13(a)およびTRP8(b)の免疫蛍光検査であり、(c)はaおよびbを重ねたものである。同一部におけるTRP8(d)およびα−ガストデューシン(e)の免疫蛍光検査であり、(f)はdおよびeを重ねたものである。同一部におけるPLCβ2(g)およびTRP8(h)の免疫蛍光検査であり、(i)はgおよびhを重ねたものである。
【図10】味覚組織および味覚細胞におけるTRP8、α−ガストデューシン、Gβ1、Gβ3、Gγ13、およびPLCβ2の発現パターンのプロファイルの作成を示す図である。左図は、マウス味覚組織(T)、および対照非味覚舌組織(N)由来のRT−PCR生成物に対するサザンハイブリッド形成である。TRP8、α−ガストデューシン(Gust)、Gβ1、Gβ3、Gγ13、PLCβ2、およびグリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)の3’位プローブを、ブロットをプローブするために用いた。TRP8、α−ガストデューシン、Gβ1、Gβ3、Gγ13、およびPLCβ2はすべて味覚組織に発現したが、非味覚組織には発現しなかったことに留意されたい。右図は、ガストデューシンプロモーターの緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するトランスジェニックマウス由来の、個々に増幅された24の味覚受容細胞のRT−PCR生成物に対するサザンハイブリッド形成である。19個の細胞がGFPポジティブ(+)であり、5個の細胞がGFPネガティブ(−)であった。TRP8、α−ガストデューシン、Gβ3、Gγ13、およびPLCβ2の発現は、完全に一致していた。19のGFP8ポジティブ細胞のうち15は、Gβ1に対してもポジティブであった。G3PDHは正の対照としての役割を果たし、生成物の増幅が成功したことを実証した。
【図11】味覚組織において、PCRによってTRP8が検出され、mTrp1〜7が検出されないことを示す図である。TRP8およびmTrp1〜7のPCR増幅は、各Trpファミリー構成体に特異的な非同義性プライマーを用いて行った。味覚cDNA(上図)および脳cDNA(下図)は増幅の鋳型を提供した。増幅された材料を、1.2%アガロースゲルに溶解した。予測される分子量のバンドを配列して、増幅されたTrpチャネルを同定した。正(G3PDHプライマー)および負(プライマーなし)の対照を示す(右図)。
【図12】TRP8の異種発現を示す図である。アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞に、TRP8cRNA(a)50ng、または水(b)50nlを注入した。注入から2日後、卵母細胞をタプシガーギン(thapsigargin)(2μM)で処理し、次いで示したとおり(矢印)Ca++(10mM)またはEGTAを添加した。このトレースは負の膜電位において誘発された電流を表す(コマンド電位−80mV)。(c)TRP8cRNAまたは水を注入した卵母細胞のI−V曲線は、内因性カルシウム活性化塩素イオンコンダクタンス(IClCa)のCa++活性化に一致する逆転電位を実証する。(d)TRP8cRNAまたは水を注入した卵母細胞に関して、浴媒質に存在する外部Ca++に誘発された最大内向き電流である(対照)。
【図13】Ca++チャネルとしてのTRP8機能を示す図である。アフリカツメガエル卵母細胞に、TRP8cRNA(右図)50ng、または水(左図)50nlを注入した。注入から2日後、卵母細胞をタプシガーギン(2μM)で処理し、次いでCa++(10mM)を添加した。
【図14】TRP8を用いる、TRCにおける電位シグナル変換経路を示す図である。デナトニウムなどの苦味化合物に対する応答は、T2R/TBRファミリーの1つまたは複数のガストデューシン結合受容体への結合によって開始される。ガストデューシンへテロ三量体の活性化によって、PLCβ2を誘発するそのβγ部分(たとえばGβ3/Gγ13)が放出され、IPおよびDAGが生成される。IPはたとえばIPR3などの受容体に結合して、細胞内貯蔵体からのCa++の放出をもたらし、TRP8チャネルの活性化を起こし、最終的にはTRP8チャネルを経るCa++の流入に至る。DAGはTRP8に直接作用し、Ca++の流入に至る可能性がある。人口甘味料は類似の変換経路に依存する可能性があるが、甘味応答受容体、たとえばT1R3がガストデューシンまたは他のGタンパク質と結合することにより、IPおよびDAGの生成、およびTRP8の刺激に至るシグナルを開始する。

Claims (23)

  1. 図2に示したアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子。
  2. 図1のDNA配列を含む請求項1に記載の単離核酸分子。
  3. 図3のDNA配列を含む単離核酸分子。
  4. 図4に示したアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む請求項3に記載の単離核酸分子。
  5. ストリンジェント(stringent)な条件下で請求項1または3に記載のヌクレオチド配列にハイブリッド形成し、機能的に同等な遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子。
  6. 適度にストリンジェントな条件下で請求項1または3に記載の核酸にハイブリッド形成し、機能的に同等なTRP8遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子。
  7. TRP8アンチセンス分子である単離核酸分子。
  8. 図2のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
  9. 図4のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
  10. ストリンジェントな条件下で請求項1または3に記載のヌクレオチド配列にハイブリッド形成し、機能的に同等な遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
  11. 適度にストリンジェントな条件下で請求項1または3に記載のヌクレオチド配列にハイブリッド形成し、機能的に同等な遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
  12. 膜貫通領域、および細胞質領域からなるグループから選択されたTRP8タンパク質の領域を含むTRP8タンパク質の精製断片。
  13. 共有結合を経て第2のタンパク質のアミノ酸配列に融合した少なくとも6つのアミノ酸からなるTRP8タンパク質断片を含み、その第2のタンパク質がTRP8タンパク質ではないキメラタンパク質。
  14. TRP8タンパク質を結合することのできる抗体。
  15. 請求項5または6に記載の核酸を含有する組換え細胞。
  16. コードされたTRP8タンパク質がその細胞によって発現されるように請求項5または6に記載の核酸を含有する組換え細胞を生育する段階、および発現したTRP8タンパク質を回収する段階を含むTRP8を生成する方法。
  17. 苦味の知覚を誘発する化合物を同定する方法であって、
    (i)TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞を試験化合物に接触させ、TRP8の活性化レベルを測定する段階、
    (ii)別の実験において、(i)と本質的に同じ条件で、TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞を対照媒体に接触させ、TRP8の活性化レベルを測定する段階、および
    (iii)(i)で測定したTRP8活性化レベルを(ii)のTRP8活性化レベルと比較する段階
    を含み、試験化合物の存在下における活性化TRP8レベルの増加は、試験化合物がTRP8誘発剤であることを示す方法。
  18. 苦味の知覚を阻害する、かつ/または甘味の知覚を促進する化合物を同定する方法であって、
    (i)TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞を、苦味物質の存在下で試験化合物に接触させ、TRP8の活性化レベルを測定する段階、
    (ii)別の実験において、(i)と本質的に同じ条件で、TRP8チャネルタンパク質を発現する細胞を苦味物質に接触させ、TRP8の活性化のレベルを測定する段階、および
    (iii)(i)で測定したTRP8活性化レベルを(ii)のTRP8活性化レベルと比較する段階
    を含み、試験化合物の存在下におけるTRP8の活性化レベルの減少は、試験化合物がTRP8阻害剤であることを示す方法。
  19. in vivoにおいて苦味阻害剤を同定する方法であって、
    (i)試験動物に(a)苦味物質を含む組成物、または(b)苦味物質ならびに試験阻害剤を含む組成物を消費する選択を提供する段階、および
    (ii)(a)または(b)の組成物の消費量を比較する段階
    を含み、(b)による組成物がより多く消費されることと、味覚物質に関連する苦味の知覚を阻害する試験阻害剤の能力とが正の相関を有する方法。
  20. in vivoにおいて苦味活性化剤を同定する方法であって、
    (i)試験動物に(a)対照組成物、または(b)試験活性化剤を含む組成物を消費する選択を提供する段階、および
    (ii)(a)または(b)の組成物の消費量を比較する段階
    を含み、(a)による組成物がより多く消費されることと、苦味の知覚を活性化する試験活性化剤の能力とが正の相関を有する方法。
  21. 被験体の味覚組織に苦味物質を接触させることによって生じる苦味を阻害する方法であって、有効量の苦味阻害剤を被験体に投与することを含む方法。
  22. 被験体による甘味の知覚を生じさせる方法であって、甘味を誘発することに加えて、苦味阻害剤として作用する化合物を含む組成物を被験体に投与することを含む方法。
  23. 被験体による苦味の知覚を生じさせる方法であって、苦味活性化剤として作用する化合物を含む組成物を被験体に投与することを含む方法。
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