JP2004506086A5 - - Google Patents

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JP2004506086A5
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造[II]:
【化1】
Figure 2004506086
〔Rは水素、β−D−Glc(1→4)、またはPCho→6)−β−D−Glc(1→4)であり;
はリン酸基(P)またはピロホスホエタノールアミン(P−PEtn)であり;
は水素、β−D−Glcまたはβ−D−Galであり、Rが水素またはβ−D−Glc(1→4)である場合には、Rはさらに、
β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc
α−D−Gal−(1→4)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc
β−D−GalNAc−(1→3)−α−D−Gal−(1→4)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc、または
α−NeuAc(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc−(1→3)
であってもよく、RはHepIIIのO−3位またはO−2位に結合しており;
Kdoは3−デオキシ−D−マンノ−2−オクツロソン酸であり;
リピドAは解毒されている〕
を有するトリヘプトシル内部コア部分から本質的になる、単離されたリポ多糖部分。
【請求項2】
請求項1に記載のリポ多糖部分を、医薬上許容される担体とともに含んでなる、組成物。
【請求項3】
医薬上許容される担体が免疫原性である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のリポ多糖部分に特異的に結合する、抗体。
【請求項5】
保存されたトリヘプトシル内部コア部分に結合するモノクローナル抗体である、請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
インフルエンザ菌の感染に起因する疾病を治療する方法であって、このような治療を必要とする被験体に、請求項2に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
【請求項7】
インフルエンザ菌が非定型インフルエンザ菌である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記疾病が、中耳炎、髄膜炎、肺炎および気道感染症からなる群から選択されるものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
受託番号IDAC250801−1として寄託されている、インフルエンザ菌Rd lic1 lpsA株。
【請求項10】
受託番号IDAC250801−2として寄託されている、インフルエンザ菌1003 lic1 lpsA株。
【請求項11】
以下の構造[II]:
【化2】
Figure 2004506086
〔Rは水素、β−D−Glc(1→4)、またはPCho→6)−β−D−Glc(1→4)であり;
はリン酸基(P)またはピロホスホエタノールアミン(P−PEtn)であり;
は水素、β−D−Glc、β−D−Gal、β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc、またはα−D−Gal−(1→4)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glcであり、Rが水素またはβ−D−Glc(1→4)である場合には、Rはさらに、
β−D−GalNAc−(1→3)−α−D−Gal−(1→4)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc、または
α−NeuAc(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc−(1→3)
であってもよく、RはHepIIIのO−3位またはO−2位に結合しており;
Kdoは3−デオキシ−D−マンノ−2−オクツロソン酸である〕
を有する保存されたトリヘプトシル内部コア部分から本質的になるリポ多糖部分を製造する方法であって、
−lpsA、lic1、lic2、lic2A、lic2orf3、lic2B、lic3A、lgtC、lgtDおよびlgtFからなる群から選択される1以上の不活性化された遺伝子で、インフルエンザ菌株を形質転換すること;
−形質転換されたインフルエンザ菌株を、前記リポ多糖部分の発現に適した条件下で培養すること;
−前記リポ多糖部分を単離すること;ならびに
−前記リポ多糖部分のリピドA部分を解毒すること
を含んでなる、方法。
【請求項12】
インフルエンザ菌が非定型インフルエンザ菌である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
lpsA、lic1、lic2、lic2A、lic2orf3、lic2B、lic3A、lgtC、lgtD、lgtF、rfaFおよびorfHからなる群から選択される1以上の遺伝子の不活性化の後に発現したエピトープに特異的なモノクローナル抗体に、前記リポ多糖部分を接触させることにより、前記リポ多糖部分を同定することをさらに含んでなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モノクローナル抗体が、請求項1に記載の保存されたトリヘプトシル内部コア部分に結合するものである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載のリポ多糖部分、および該リポ多糖部分に架橋した免疫原性担体を含んでなる、糖結合体。
【請求項16】
前記リポ多糖部分と前記免疫原性担体がリンカー分子で架橋されている、請求項15に記載の糖結合体。
【請求項17】
前記リンカー分子が、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、ε−アミノヘキサン酸、クロロヘキサノールジメチルアセタール、D−グルクロノラクトンおよびp−ニトロフェニルアミンからなる群から選択されるものである、請求項16に記載の糖結合体。
【請求項18】
前記担体が、破傷風トキソイド(TT)または非定型インフルエンザ菌高分子量タンパク質(NTHi HMP)である、請求項15に記載の糖結合体。
【請求項19】
請求項15に記載の1以上の糖結合体およびアジュバントを含んでなる、被験体において非定型インフルエンザ菌感染に対する免疫応答を引き起こすための免疫原組成物。
【請求項20】
リポソームとして製剤化されている、請求項19に記載の免疫原組成物。
他の態様によれば、本発明により、以下の構造[I]:
Figure 2004506086
〔Rは水素またはホスホエタノールアミンであり、GlcはD−グルコピラノースであり、Kdoは3−デオキシ−D−マンノ−2−オクツロソン酸である〕
を有するインフルエンザ菌リポ多糖のトリヘプトシル内部コア部分を含んでなるリポ多糖部分が提供される。
他の態様によれば、本発明により、以下の構造[II]:
Figure 2004506086
〔Rは水素、β−D−Glc(1→4)、またはPCho→6)−β−D−Glc(1→4)であり;
はリン酸基(P)またはピロホスホエタノールアミン(P−PEtn)であり;
は水素、β−D−Glcまたはβ−D−Galであり、Rが水素またはβ−D−Glc(1→4)である場合には、Rはさらに、
β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc
α−D−Gal−(1→4)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc
β−D−GalNAc−(1→3)−α−D−Gal−(1→4)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc、または
α−NeuAc(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc−(1→3)
であってもよく、RはHepIIIのO−3位またはO−2位に結合しており;
Kdoは3−デオキシ−D−マンノ−2−オクツロソン酸であり;
リピドAは解毒されている〕
を有するインフルエンザ菌リポ多糖のトリヘプトシル内部コア部分から本質的になる単離されたリポ多糖部分が提供される。
他の態様によれば、本発明により、本明細書に記載のいずれかのリポ多糖部分を含んでなる、動物宿主においてインフルエンザ菌により引き起こされる疾病に対する防御を与えるための免疫原組成物が提供される。
他の態様によれば、本発明により、本明細書に記載のいずれかのリポ多糖部分、および該リポ多糖部分に架橋した免疫原性担体を含んでなる、糖結合体が提供される。
他の態様によれば、本発明により、本明細書に記載のいずれかのリポ多糖部分を含んでなるインフルエンザ菌株を得るための、インフルエンザ菌においてリポ多糖を産生する生合成経路中の少なくとも一つの遺伝子の使用が提供される。
他の態様によれば、本発明により、以下の構造[II]:
Figure 2004506086
〔Rは水素、β−D−Glc(1→4)、またはPCho→6)−β−D−Glc(1→4)であり;
はリン酸基(P)またはピロホスホエタノールアミン(P−PEtn)であり;
は水素、β−D−Glc、β−D−Gal、β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc、またはα−D−Gal−(1→4)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glcであり、Rが水素またはβ−D−Glc(1→4)である場合には、Rはさらに、
β−D−GalNAc−(1→3)−α−D−Gal−(1→4)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc、または
α−NeuAc(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−β−D−Glc−(1→3)
であってもよく、RはHepIIIのO−3位またはO−2位に結合しており;
Kdoは3−デオキシ−D−マンノ−2−オクツロソン酸である〕
を有する保存されたトリヘプトシル内部コア部分から本質的になるリポ多糖部分を製造する方法が提供され、該方法は、
−lpsA、lic1、lic2、lic2A、lic2orf3、lic2B、lic3A、lgtC、lgtDおよびlgtFからなる群から選択される1以上の不活性化された遺伝子で、インフルエンザ菌株を形質転換すること;
−形質転換されたインフルエンザ菌株を、前記リポ多糖部分の発現に適した条件下で培養すること;
−前記リポ多糖部分を単離すること;ならびに
−前記リポ多糖部分のリピドA部分を解毒すること
を含んでなる。
他の態様によれば、本発明により、インフルエンザ菌に対する機能性交差反応性抗体を誘導するための、本明細書に記載のいずれかのリポ多糖部分を含んでなる少なくとも一つの免疫原性エピトープの使用が提供される。
他の態様によれば、本発明により、インフルエンザ菌との交差反応性を有し、かつ本明細書に記載のいずれかのリポ多糖部分によって誘導される機能性抗体が提供される。
他の態様によれば、本発明により、インフルエンザ菌に対する機能性交差反応性抗体を製造する方法であって、(a)上記のいずれかのリポ多糖部分に対する抗体を作製し、(b)複数のインフルエンザ菌株に対して前記抗体を試験し、そして(c)交差反応性を有する抗体を選択することを含んでなる方法が提供される。
他の態様によれば、本発明により、インフルエンザ菌の感染に起因する疾病に対して宿主を免疫化する方法であって、免疫上有効量の上記免疫原組成物を宿主に投与することを含んでなる方法が提供される。
インフルエンザLPS分子の炭水化物領域は、宿主免疫応答により認識される標的となる。特定のオリゴ糖エピトープの発現は、インフルエンザ菌感染の病因に関与することが分かっている。インフルエンザ菌LPSの生物学的性質および細菌毒性におけるその役割を理解するには、構造の決定が重要である。インフルエンザ菌LPSは、可変オリゴ糖部分と膜固定リピドA成分からなる異種分子混合物を含んでなる(Zamze, S.E., and Moxon, E.R. (1987) J. Gen. Microbiol. 133, 1433-1451)。本明細書に記載の実験をもとに、リン酸化されたケトデオキシオクトン酸残基を介してリピドA成分と結合している保存されたトリヘプトシル内部コア部分からなるインフルエンザ菌LPSの構造モデルを作成した。本発明者らがこれまでに検討した総ての株において、このトリヘプトシル部分は以下の構造要素:
L−α−D−Hep−(12)−L−α−D−Hep−[β−D−Glc−(14)]−(13)−L−α−D−Hep−(15)−Kdo
から構成されていた。さらに、本発明者らがこれまでに検討した総ての株では、この1,2−結合したヘプトース残基(HepII)は、6位においてホスホエタノールアミン部分で置換されている。
内部コア領域内のヘプトース残基の各々は、ヘキソース含有オリゴ糖鎖の伸長または非炭水化物置換基の結合のための部位となりうる。公表されているデータ(Masoud et al., Biochem. 36: 2091-2103, 1997; Risberg et al-, Eur. J. Biochem. 261: 171-180, 1999)によれば、この保存された内部コア部分の末端のヘプトース残基(HepIII)がO−2位でβ−D−Glc残基またはβ−D−Gal残基により置換されうることが示されている。また、HepIIも置換されることがあり、特に、その3位においてα−D−グルコース残基または置換されたα−D−グルコース残基によって置換されることがある。隣接ヘプトース残基(HepI)と1,4−結合しているβ−D−グルコース残基は、それ自体、β−D−グルコース、β−D−ガラクトース、ヘプトース(例えば、L−グリセロ−D−マンノ−ヘプトースおよびD−グリセロ−D−マンノ−ヘプトースなど)またはこれらのオリゴ糖により、さらに置換されることがある。これらの糖残基の他、オリゴ糖鎖伸長部はβ−D−ガラクトース、β−D−グルコサミン、β−D−ガラクトサミン、および−N−アセチルノイライミン酸(acetlyneuraminic acid)(シアル酸)を含むこともある。
b型RM7004株の所定の変異体(Schweda, E.K.M., Hegedus, O.E., Borrelli, S., Lindberg, A.A., Weiser, J.W., Maskell, D.J., and Moxon, E.R. (1993) Carbohydr. Res. 246, 319-330; Schweda, E.K.H., Jansson, P.-E., Moxon, E.R., and Lindberg, A.A. (1995) Carbohydr. Res. 272, 213-224)では、b型RM118株由来の形質転換変異体(Risberg, A-., Schweda, E.K.H., and Jansson, P.-E. (1997) Eur. J. Biochem. 243, 701-707; Risberg, A., Alvelius, G., and Schweda, E.K.H. (1999) Eur. J. Biochem. 265, 1067-1074), およびb型A2株のトランスポゾン変異体(Phillips, N.J., McLaughlin, R., Miller, T.J., Apicella, M.A., and Gibson, B.W. (1996) Biochem. 35, 5937-5947) 、に由来するLPSの詳細な構造研究により、インフルエンザ菌LPSに共通するヘプトース含有三糖内部コア部分が存在するというさらなる証拠が提示されている。本発明者ら(Risberg et al., Eur. J. Biochem. 261:171-180, 1999)は、インフルエンザ菌株RM118(Risberg, A.,Masoud,.H.,.Martin,..'A.';..Richards, J.C., Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H. (1999) Eur. J. Biochem. 261,171-180)、完全なゲノム配列が決定されている株(Rd)(Fleischmann, R.D., Adams,. M.D., White, O., Clayton, R.A., Kirkness, E.F., Kerlavage, A.R., Butt, C.J, -Tomb, J-F., Dougherty, B.A., Merrick, J.M., McKenney, K., Sutton, G., FitzHugh, W., Fields, C., Gocayne, J.D., Scott, J.,Shirley, R., Liu, L- I., Glodek, A., Kelley, J.M., Weidman, J.F., Phillips, C.A., Sprigs, T., Hedblom, E., Cotton, M.D., Utterback, T.R., Hanna, M.C., Nguyen, D.T., Saudek, D.M., Brandon, R.C., Fine, L.D., Fritchman, J.L., Fuhrmann, J.L., Geoghagen, N.S.M., Gnehm, C.L., McDonald, L.A., Small, K.V., Fraser, C.M., Smith, H.O., and Venter, J.G. (1995) Science 269, 496-512)に由来する、グロボテトラオース(β−D−GalNAc−(13)−α−D−Gal−(14)−β−D−Gal−(14)−β−D−Glc)含有LPSの構造を報告している。この研究では、3つの主要なLPSグリコフォーム集団が同定され、これらは総てKdo部分と結合しているHep(HepI)のPCho6)−β−D−Glc基を含んでいたが、内部コア成分の末端Hep(HepIII)のオリゴ糖鎖の長さは異なっていた。組立の完全なグロボテトラオース側鎖を発現するLPSのグリコフォームの他、グロボシド(α−D−Gal−(14)−β−D−Gal−(14)−β−D−Glc)およびラクトース(β−D−Gal−(14)−β−D−Glc)を含む、順次末端切断されたグリコフォームも同定された(Risberg, A., Masoud, H., Martin, A., Richards, J.C., Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H. (1999) Eur. J. Biochem. 261, 171-180)。
実施例に記載のように、本発明者らは、構造フィンガープリント法を用い、インフルエンザ菌株RM118のLPS生合成遺伝子の一連の規定された変異体から得られたLPSの構造を決定し、比較した(RM118株についての説明はRisberg et al., 1999, 上記を参照)。特定の遺伝子を不活性化した株に由来するLPSを調べることにより、本発明者らは、LPS分子の内部コア領域の生合成に関与するグリコシルトランスフェラーゼの同定につながる決定的な証拠を提示する。本発明者らはまた、さらに後述するように、シアリル化ラクトース側鎖の構築に関与する遺伝子も同定した。さらにまた、それぞれグロボトリオース構造およびグロボテトラオース構造を与えるためのα−2,3−結合Neu5Ac(lic3A)、α−1,4−結合Gal(lgtC)およびβ−1,3−結合GalNAc(lgtD)の付加に関与する遺伝子のトランスフェラーゼ機能を、合成アクセプターを用いた酵素アッセイにより明確に決定した。これはインフルエンザ菌株のLPSオリゴ糖部分の生合成に関する遺伝的青写真を特定するはじめての研究である。
これらの結果は、lpsA遺伝子の産物がHepIIIからのオリゴ糖鎖伸長の制御において一定の役割を果たしていることを示す。lpsA遺伝子の突然変異により、HepIIIのオリゴ糖鎖伸長部を欠いている末端切断型LPSがもたらされる。RM118lpsAに由来するO−脱アシル化LPSのESI−MS分析では、主なLPS種(構造2)としての単一のヘキソース残基を含むPcho含有グリコフォームを示し、これにより、HepIは、HepIIIからのヘキソース伸長がなくとも置換可能であることが確認された。機能的lpsA遺伝子を含むlic2A、lgcCおよびlgcD変異体は、β−D−Glcp残基を1,2−結合で付加してHepIIIからの鎖の伸長を開始させることができる(表4)。lpsAは、パスツレラ・ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)のグリコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の相同体であり(Potter, M.D. and Lo, R.Y. (1995) FEMS Microbiol. Lett. 129, 75-81)、このタンパク質はそれぞれヘモフィルス属およびナイセリア属のLic2AおよびLgtBに分類されるガラクトシルトランスフェラーゼ群と相同性を有する。RM153株では、lpsA変異体由来のLPSが第三のヘプトースからの鎖の伸長を欠いていることも分かった(Hood, D.W., Deadman, M.E., Allen, T., Masoud, H., Martin, A., Brisson, J.R., Fleischmann, R., Venter, J.C., Richards, J.C., and Moxon, E.R. (1996) Mol. Microbiol. 22, 951-965)。さらに、本発明者らは、数種のNTHi株におけるLpsA変異体がHepIIIからの鎖の伸長を欠いていることを確認した。このように、LpsAはインフルエンザ菌LPSの生合成においてHepIIIに最初の糖を付加するためのトランスフェラーゼである。
RM118lic2A変異体は主要なLPS種としてのPcho含有Hex2グリコフォーム(構造4;表1)を示し、機能的lic2A遺伝子を含むRM118lgtCはHepIIIにラクトース側鎖を含むLPS(構造5;表1)を合成する。このことは、HepIIIに結合している末端β−D−Glcp残基へβ−D−Galp単位を1,4結合で付加することに対するlic2A遺伝子の関与と一致する。b型株、RM153およびRM7004のlic2A相同体は、ジガラクトシド含有Pエピトープ(構造α−D−Gal−(14)−β−D−Gal−(14)−β−D−Glcを有するグロボシド三糖)の発現に関与することが示されている。このエピトープの相変異発現におけるlic2Aの役割が既に実証されている(High, N.J., Deadman, M.E., and-Moxon, E.R. (1993) Mol. Microbiol. 9,1275-1282)。他のデータバンクの配列との相同性比較によれば、Lic2Aのβ−ガラクトシルトランスフェラーゼとしての機能が支持される。重要なことは、それがナイセリアのLgtBおよびLgtEタンパク質(いずれもガラクトシルトランスフェラーゼ)と有意な相同性を有するということである(Wakarshuk, W., Martin, A., Jennings, M.P., Moxon, E.R., and Richards, J.C. (1996) J.Biol. Chem.271, 19166-1917)。
lgtCに変異を有するRM118株由来のLPSの構造解析により、この遺伝子のα−ガラクトシルトランスフェラーゼ機能を裏付けるα−D−Galの欠損が確認された。髄膜炎菌(N. meningitidis)におけるこの遺伝子の相同体がα−ガラクトシルトランスフェラーゼであることが実証されている(Gotschlich, E.C. (1994) J. Exp. Hed. 180, 2181-2190; White, K.A., and Raetz, C.R.H. (1998) FASEB J. 12, L44; Wakarchuk, W.W., Cunningham, A.M., Watson, D.C., and. Young, N.M. 1998, Role of paired basic residues in the expression of active recombinant galactosyltransferases from the bacterial pathogen Neisseria meningitidis, Protein Eng. 11: 295-302; Wakarchuk et al.1998, Protein Engineering)。インフルエンザ菌のlgtCは、ちょうどリーディングフレーム(44)の5’末端内に会合したテトラヌクレオチドリピート(5’−GACA−3’)を有することから、RM118LPSにおけるオリゴ糖の変異表現型に関与している。これに対応して、機能的lgtC遺伝子を含むlgtD変異体およびその親株は、ラクトースエピトープの末端β−D−Galに1,4結合でα−D−Galを付加することができる(構造6;表1)。LgtCの機能は、組換え型LgtCタンパク質と合成FCHASE−Lacアクセプターを用いてα−ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を実証することにより確認されている。その結果、lgtC遺伝子は、RM118 Hex4 LPSグリコフォームのα−D−Gal−(14)−β−D−Gal合成の特異的α−ガラクトシルトランスフェラーゼをコードすることになる。
インフルエンザ菌lgtD遺伝子は、2つのナイセリア遺伝子、lgtAおよびlgtDの相同体であり、これらのナイセリア遺伝子は淋菌(N. gonorrhoeae)LPSにそれぞれGlcNAcおよびGalNAcを付加する(Gotschlich, E.C. (1994) J. Exp. Med. 180, 2181-2190)。lgtA遺伝子産物は髄膜炎菌のグリコシルトランスフェラーゼであることが実証されている(Wakarchuk, W., Martin, A., Jennings, M.P., Moxon, E.R., and Richards, J.C. (1996) J. Biol. Chem. 271, 19166-1917)。ナイセリアのlgtAとlgtD遺伝子間には有意な相同性があり、RM118 HI1578はデータベースにおいて淋菌のlgtD遺伝子と最良の一致を示す。RM118およびRM118lgtD変異体の抽出物を用いた酵素アッセイでは、β−D−GalNAcトランスフェラーゼ活性の存在が確認された。機能的lgtDを含む親株RM118は完全なグロボテトラオース単位を合成することができ、このことは末端β−D−GalNAcの付加におけるその役割を示している。このlgtD遺伝子はこれまでにも研究されているが(6ではlgtAと呼ばれる)、b型株RM153およびRM7004に存在するということは見出されていない。これに対応して、RM153株によって合成されるLPSはGalNAc部分を含まない(Masoud, H., Moxon, E.R., Martin, A., Krajcarski, D., and Richars, J.C. (1996) Biochem. 36, 2091-2103)。多くのNTHi株はLgtD遺伝子を含むことが分かっており、これらの株のLPSオリゴ糖側鎖はGalNAc部分を含むことが分かっている。
RM118LPS生合成の研究に利用できる最初の遺伝子セットおよび変異株を特定しても、HepIへのβ−D−Glc単位の付加を担う明らかな候補は得られなかった。他の生物のLPSにおいてヘプトース残基にヘキソース糖を付加する遺伝子との相同性の低い一致についても、Rd株ゲノム配列を検索することによりさらなる候補LPS遺伝子を調べた。検索配列は、ヘプトースへのヘキソース残基の付加に関与する遺伝子であるナイセリア属のrfaKおよびlgtF遺伝子(Kahler, C.M., Carlson, R.W., Rahman, M.M., Martin, L.E., and Stephens, D.S. (1996) J. Bacteriol. 178, 6677-6684)を含むものとした。RM118株でlgtF相同体が確認され、この遺伝子に変異を有する株由来のLPSの分析により、HepIからの鎖の伸長におけるLgtFの役割が示された。ESI−MSでは、HepIにおいてPcho6)−β−D−Glcを欠き、トリヘプトシル内部コア部分のHepIIIからの鎖伸長を有するグリコフォームの混合物に相当する分子イオンが示された(図6)。
lgtFおよびlpsA遺伝子はRM118LPSのヘプトース含有内部コア単位からのヘキソース伸長にとって重要なものであり、それぞれHepIおよびHepIIIへの最初のグリコースの付加を担うグリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードする。HepIおよびHepIIIからの鎖伸長のプロセスは、RM118株のLPSにおいて大きく独立したものであるようである。変異株RM118lpsAは、HepI由来のβ−D−Glc部分を含むLPSを産生する。RM118lgtF株は、ラクトースおよびグロボテトラオース鎖を含むHepIIIからのオリゴ糖伸長を含む不均質なLPSを産生する。RM153株では、lpsAは明らかに第三のヘプトースから単一の伸長部としてガラクトースの付加を担う若干異なる役割を果たす(Hood, D.W., Deadman, M.E., Allen, T., Masoud, H., Martin, A.,Brisson, J.R., Fleischmann, R., Venter, J.C., Richards, J.C., and Moxon, E.R. (1996) Mol. Microbiol. 22, 951-965)。驚くべきことに、ある種の非定型株ではlpsAはO−2位の代わりにO−3位でグルコースまたはガラクトースのいずれかを付加しうることが判明した。
インフルエンザ菌のLPS構造の不均質性は、部分的には、総ての分子が完全に合成されるわけではないという複雑な構造の生合成における固有の多様性によるものに違いない。しかし、認められた多様性の多くは、発現が変動しうる(相変異)特定のLPS生合成遺伝子によるものであると思われる。野生型および変異型RM118株由来のLPSの構造解析により、本発明者らは、はじめてインフルエンザ菌LPSジガラクトシドの重要な相変異型エピトープの合成に関与する遺伝子を確認することができた。RM118株では、Lic2AがHepIIIからのオリゴ糖伸長部分としてのジガラクトシド(α−D−Gal−(14)−β−D−Gal)へ隣接β−D−Galを、LgtCは末端α−D−Galを付加するが、b型RM153株ではこの同じエピトープが第二のヘプトースからの末端伸長として発現する(Masoud, H., Moxon, E.R., Martin, A., Krajcarski, D., and Richards, J.C. (1996) Biochem. 36, 2091-2103)。lic2AおよびlgtCはいずれも相変異性遺伝子であり、生物内および生物間で極めて変化に富んだエピトープを発現させる。ジガラクトシドエピトープは、本明細書に開示されるNTHi株の多くのLPSにおいて、また、ナイセリア属をはじめとする関連の細菌において発現する(Virji, M., Weiser, J.N., Lindberg, A.A., and Moxon, E.R. (1990) Microb. Pathogen. 9, 441-450)。このエピトープは、免疫優性である可能性があり、その存在は宿主構造の分子模倣の可能性を与え、実験系においてインフルエンザ菌の生存に影響を及ぼしうることから、病因論上興味深いことである(Weiser, J.N., and Pan, N. (1998) Mol. Microbiol. 30, 767-775; Hood, D.W., Deadman, M.E., Jennings, M.P., Bisceric, M., Fleischmann, R.D., Venter, J.C., and Moxon, E.R. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 9
3, 11121-11125)。
シアリル化されたオリゴ糖は哺乳類組織でよく見られることから、オリゴ糖のシアリル化はヒト組織構造の模倣性を高めるものと考えられている修飾の一つである。実施例に記載のように、本発明者らは、NTHi375株、486株およびRD株においてシアリル化されたLPSを確認し、LPS合成におけるlic3Aの役割を解明した(D.W. Hood et al., Mol. Microbiol. 39:341-350, 2001)。種の多様性の代表的なものとして25株のNTHiを調べたところ、一つを除いて総てがシアリル化されたLPSオリゴ糖鎖伸長と確認された。NTHi486などのいくつかのNTHi株におけるlic3Aの突然変異は、正常なヒト血清の殺菌作用への耐性に大きな影響を持つことが実証されている。NTHi486とそのlic3A変異体に由来するLPS構造の比較からはシアリル化グリコフォーム(シアリル−ラクトース)が親株にしか存在しないことが明らかとなり、このことは、この株における血清耐性にとってのLic3Aの重要性を示している。インフルエンザ菌におけるLPSへの荷電シアル酸残基の付加は、LPSエピトープの抗原模倣を調節するものと思われる。
図7は、同定されたインフルエンザ菌RdにおけるLPSの主要なグロボテトラオース含有オリゴ糖の生合成に関与する遺伝子をまとめたものである。本発明者らは、HepI(lgtF)およびHepIII(lpsA)からの鎖伸長を担う遺伝子を同定した。さらに、インフルエンザ菌のいくつかの株(例えば、EaganおよびRM7004)は、HepIIからの鎖伸長を示しうるLPSを合成する。本発明者らは、lic2遺伝子座にある遺伝子(orf3)がHepIIからの鎖伸長を開始させることを示した。これらの遺伝子の示差的な発現は、保存されたトリヘプトシル内部コア部分から発する多様な可変オリゴ糖エピトープをもたらしうる。これらの遺伝子の所定の突然変異によって、本発明者らは、特定のインフルエンザ菌株が表す複雑性の程度のみならず、結果として生じるLPSのコア領域で利用できるエピトープも制御することができる。このように、その生合成機構に所定の突然変異を有するインフルエンザ菌株のLPSにより、LPSを基にした広域ワクチンを開発するための好適な候補が提供された。本発明者らは、これまでにLPSの変異性を示してワクチン開発を阻んでいた非定型株を含む種々の病原インフルエンザ菌株に対して交差反応性をもたらすことから、この手法がワクチンの設計に有用であるものと判断した。
NTHi株コレクションからのLPSの遺伝解析および表現型解析に基づき、本発明者らははじめて、O−2の代わりにHepIIIのO−3から鎖が伸長しているもう一つの内部コア構造を有するLPSを発現するインフルエンザ菌株を確認した。相同なlpsA遺伝子は、株によって異なるが、HepIIIのO−2またはO−3位へのβ−D−Galまたはβ−D−Glcの特異的付加を媒介する。さらに、HepIIIがオリゴ糖鎖によって置換されていないLPSを発現するインフルエンザ菌株もいくつかある。これらの発見は実施例で詳細に示す。
実施例の結果により、NTHiに保存された内部コア成分が存在することが確認される。これらの結果はまた、新たな構造モチーフ、すなわちHepIII上の別の置換部位の証拠をはじめて提供するものである。HepIIIはO−2位のヘキソース残基により置換されていることは早くに分かっており、NTHi、例えば285株および1158株の場合にそうであることが分かっている。他のNTHi株、例えば176株および486株では、この置換パターンは見られていない。これに対し、HepIIIのO−3位において置換が見られる。驚くべきことに、lpsA遺伝子は、いくつかの株ではβ−D−Glcを(RD株、図9)、あるいは他の株では(−D−Galを(b型、例えばEagan株)、1,2−結合で付加してHepIIIから鎖伸長を開始させうることが示された。本発明者らは、lpsAの相同体が、HepIIIへのβ−D−Glc残基またはβ−D−Gal残基の1,3−結合での付加を担うことを見出した。
内部コア領域の他の有用な修飾は、PChoエピトープに関するものである。これはインフルエンザ菌をはじめとするヒト気道に存在する病原体の表面構造の一般的な特徴である。インフルエンザ菌Rd株では、PChoはHepIの末端β−D−Glc残基のO−6と結合している(PCho6)−β−D−Glc)。他のインフルエンザ菌株、例えばb型株Eaganでは、PChoはHepIIIの末端β−D−Gal残基のO−6と結合している(PCho6)−β−D−Gal)(E.K.H. Schweda et al. Eur. J. Biochem., 267 (2000) 3902-3913)。これらの置換パターンはいずれもNTHi株で見出されている。さらに、PChoは末端α−D−Glc残基でも見出された(PCho6)−α−D−Glc)。インフルエンザ菌LPSにおけるPChoエピトープの発現および相変異には、lic1遺伝子座の4つの遺伝子が必要である(J.N. Weiser et al. Infec. Immun., 65 (1997) 943-950)。これらの遺伝子は、検討した総てのNTHi株で認められた。本発明者らは、licD遺伝子の多形性がPChoが付加される部位に影響することを突きとめた。
トリヘプトシル内部コア部分に対する置換パターンの性質は、内部コアエピトープが免疫系に提示され、モノクローナル抗体によって認識される方法と関連がある。例えば、本発明者らは、ネズミIgG2aモノクローナル抗体(L6A9)がHepIIIのO−2にβ−D−Gal残基を含む株のLPS内部コアオリゴ糖エピトープを認識するが、β−D−Gal残基が存在しないか、あるいはO−3位に結合している場合には認識しないことを見出している。高分子量型の構造確認図は図1に示されている。
上述のように、インフルエンザ菌LPS発現に関与する重要な生合成遺伝子が同定された。これにより、本発明者らは、保存された内部コア部分を含むが、ヒト組織構造を模倣するオリゴ糖伸長部を含まないインフルエンザ菌変異株を構築することができるようになった。実施例はこの方法の結果を示している。
本発明者らは、当業者に公知の方法(Guの特許、上記)を用いて、例えばタンパク質結合体として製剤化することにより、インフルエンザ菌LPSの保存されたトリヘプトシル内部コア部分を含むオリゴ糖は免疫原性を示すことを見出した。例えば、本発明者らは、ウシ血清アルブミン(BSA)と結合させたHi株Rdlic1lpsAのO−脱アシル化LPSからなるオリゴ糖−タンパク質結合体をマウスに感作させると、遺伝的に多様なNTHi株のセットに由来するLPSサンプルの多数と交差反応性のある免疫血清が生じることを示した(表3)。LPSのO−脱アシル化は無水ヒドラジンを用いて達成される。これには、次のタンパク質とのコンジュゲーション反応のためにLPSオリゴ糖を可溶化する作用があり、リピドA成分の著しい解毒をもたらす(Guの特許、上記)。このO−脱アシル化LPSは、当業者に公知の方法(Guの特許、上記)に従い、Kdo部分のカルボキシル基を介して結合する。最後に、マウスにHi株1003lic1lpsAのO−脱アシル化LPSを腹腔内追加投与した(実施例参照)。この実験で得られたマウス免疫血清は、内部コアからの複数の鎖伸長を有するNTHi株由来のLPSと反応した。
Rdlic1lpsA LPSは、保存されたトリヘプトシル内部コア部分の典型となるLPSを生産し、ラクト−N−ネオテトラオース(LNnT)含有オリゴ糖鎖伸長を有する少量のグリコフォームを含む。このことは、LLA5との反応性から明らかである(表4)。Rdlic1lpsA O−脱アシル化LPS−BSA結合体はまた、Mab LLA5ならびに内部コアMab、LLA4との反応性も示した。NTHi株1003はLNnTを含むオリゴ糖鎖を有するLPSを合成しない。本発明者らは、構造解析、遺伝解析および免疫化学分析によってこのことを突きとめた。この株のLPSはLLA5とは反応せず、rfb遺伝子座を含まない。二重突然変異1003lic1lpsAは、鎖伸長のない保存された内部コア部分を有するLPSを発現する。これはMab LLA4によって認識される。
本発明による結合ワクチンは、可溶形態であっても微粒子形態であってもよく、あるいはリポソームなどのマイクロスフェアまたはマイクロ小胞中に配合してもよい。例えば、筋肉内、皮下、腹腔内および動脈内をはじめ、種々のワクチン投与経路が考えられるが、好ましい経路は筋肉内投与である。好ましい実施態様によれば、投与する結合体の用量は約10μg〜約50μgの範囲である。より好ましい実施態様によれば、投与する量は約20μg〜約40μgの間である。最も好ましい実施態様によれば、投与する量は約25μgである。体重をもとにそれ以上の用量を投与してもよい。厳密な用量は、当業者に公知の通常の用量/応答プロトコールによって決定することができる。
本発明によるワクチンは、いずれの齢の温血哺乳類に投与してもよく、幼哺乳類、特にヒトにおいてNTHiにより引き起こされる中耳炎および呼吸器感染症に対して能動免疫を誘導するように適合させてある。小児用ワクチンとしては、本結合体を約2〜4ヶ月齢で投与する。典型的には、最初の注射から約2ヶ月、さらに約13ヶ月後に約10μg〜約25μgの2回の追加注射を行う。あるいは、最初の注射から2ヶ月、4ヶ月および16ヶ月後に3回の追加注射を行う。
実施例はNTHi Rdlic1lpsAを用いた結合ワクチンについて記載している。他のNTHi株からのワクチンも本発明の範囲内にあり、同じ技術を用いて製造される。NTHi株Rdlic1lpsA。dLPS−担体結合ワクチンの製造のためのdLPSの供給源として考えられる他の臨床関連のNTHi株としては、9274、2019、1479、5675および7502株(それぞれIII型、II型、I型、IV型およびV型)、ならびに本明細書に記載のFinnish Collecitonからの株が挙げられる。これらの株ならびに2019株は、Campagnari et al. (Infect.,Immun., 55:882-887, 1987)およびPatrick et al. (Infect Immun., 55:2902-2911, 1987), and Hood et al. (Mol. Microbiol 33:679-692, 1999により報告されており、通常は研究機関から入手することができる。
陽イオン脂質もまた当技術分野で知られている。かかる脂質としては、DOTMA(N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)としても知られてるリポフェクチン(商標)、DOTAP(1,2−ビス(オレイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)、DDAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、DOGS(ジオクタデシルアミドログリシルスペルミン)、およびDC−Chol(3−β−(N−(N’,N’−ジメチルアミノメタン)−カルバモイル)コレステロール)などのコレステロール誘導体が挙げられる。これらの陽イオン脂質についての説明は、EP187,702、WO90/11092、米国特許第5,283,185号明細書、WO91/15501、WO95/26356および米国特許第5,527,928号明細書に見出される。
粘膜および非経口投与の双方に有用なアジュバントとしては、ポリホスファゼン(WO95/02415)、DC−Chol(3β−(N−(N’−N’−ジメチルアミノメタン)−カルバモイル)コレステロール(米国特許第5,283,185号明細書およびWO96/14831)およびQS−21(WO88/09336)が挙げられる。
リポ多糖を含有する本発明による医薬組成物または本発明による抗体はいずれも、常法にて製造される。特に、医薬上許容される希釈剤または担体、例えば、水またはリン酸緩衝生理食塩水などの生理食塩水を用いて製剤化する。一般に、希釈剤または担体は、投与様式および投与経路、ならびに標準的な製薬上の運用に基づいて選択される。好適な医薬担体または希釈剤、ならびに医薬製剤におけるそれらの使用に関する医薬上の必要条件は、この分野およびUSP/NF(National Formulary)における標準的な教本であるRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
実施例1
Hi LPS変異株
細菌株および培養条件
インフルエンザ菌Rd株は、もともと、HerriotによりAlexander and Leidy (Alexander, H.E., andLeidy, G. (1951) J. Exp. Med. 93, 345-359) から入手したものである。H.O. Smithがこれを譲り受け、KW−20と名付け、ゲノムシーケンシングプロジェクトに用いた(Fleischmann, R.D., Adams, M.D., White, O., Clayton, R.A., Kirkness, E,F., Kerlavage, A.R., Butt, C.J., Tomb, J-E., Dougherty, B.A., Merrick, J.M., McKenney, K., Sutton, G., FitzHugh, W., Fields, C., Gocayne, J.D., Scott, J., Shirley, R., Liu, L-I., Glodek, A., Kelley, J.M., Weidman, J.F., Phillips, C.A., Spriggs T., Hedblom, E., Cotton, M.D., Utterback, T.R., Hanna, M.C., Nguyen, D.T., Saudek, D.M., Brandon, R.C., Fine, L.D., Fritchman, J.L., Fuhrmann, J.L., Geoghagen, N.S.M., Gnehm, C.L., McDonald, L.A., Small, K.V., Fraser, C.M., Smith, H.O., and Venter, J.C., (1995) Science 269, 496-512)。Smith研究室から入手した同株を本発明者らが用いた(RM118)。この株から得られた変異体の遺伝子型は表2に示されている。インフルエンザ菌株は37℃にてヘミン10μg/mlおよびNAD2μg/mlを添加した。ブレイン・ハート・インフュージョン(BHI)ブロス中で増殖させた。形質転換後の選択に関してはカナマイシン10μg/mlをこの増殖培地に添加した。
大腸菌DH5α株を用いてクローンニングしたPCR産物および遺伝子構築物を増やし、37℃にて、必要に応じてアンピシリン100μg/mlまたはカナマイシン50μg/mlを添加したLuria-Bertani(LB)ブロス中で増殖させた(Sambrook, J., Fritsch, E.F., and Maniatis, T. (1989) Molecular coloning; A laboratory manual. 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)。
lgtFの他、推定されるインフルエンザ菌LPS生合成遺伝子をこれまでに報告されているようにクローニングして変異誘発した(Hood, D.W.,'Deadman, M. E., Allen, T., Masoud, H., Martin, A., Brisson, J.R., Fleischmann, R., Venter, J.C., Richards, J.C., and. Moxon, E.R. (1996) Mol. Microbiol. 22,951-965)。lgtF遺伝子については、Rd株のゲノム配列からオリゴヌクレオチドプライマーlgtFa(5’−TGGTGGTGGGCAAGACGC−3’)およびlgtFb(5’−AGCCTGAATTCGACAGCC−3’)を設計し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりHI0653を含む1461bpの断片を増幅した。PCR条件は、変性94℃1分、アニーリング50℃および重合72℃30分とした。PCR産物の1μlを50ngのプラスミドpT7Blue(Novagen)と連結し、大腸菌DH5株へ形質転換した。次に形質転換体から組換えプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化およびプラスミド特異的プライマーの配列決定により確認した(Hood, D.W., Deadman, M.E., Allen,T., Masoud, H., Martin, A., Brisson, J.R., Fleischmann, R., Venter, J.C., Richards, J.C., and Moxon, E.R. (1996) Mol. Microbiol. 22, 951-965)。lgtF遺伝子はカナマイシン耐性カセット(pUC4Kan, Pharmacia由来のEcoRIでの消化により遊離させる)をHI0653の5’末端から257bp内側のMunI制限部位へ挿入することで不活性し、プラスミドpDQ1を得た。
変異株の構築
変異型LPS生合成遺伝子を含む線状プラスミド2〜3μgを用い、MIV法(Herriot, R.M., Meyer,E.M., and Vogt, M.J. (1970) J. Bacteriol. 101, 517-524)によりインフルエンザ菌RM118株を形質転換し、形質転換体をカナマイシンで選択した。RM118lic1株を構築するため、対応するRM153変異体から単離した剪断染色体DNA5μgでRM118を形質転換した。RM118lic2A株は、RM153lic2Aから増幅した、lic2Aおよび隣接する遺伝子ksgAを含むPCR産物1μgでRM118を形質転換することで構築した。PCRでは上記のような条件下でプライマーL2A:5’−CTCCATATTACATAAT−3’およびL2D:5’−AAACACTTAGGCCATACG−3’を用いた。総ての形質転換体を適当なBHI/抗生物質プレートで再培養することで確認し、その後エンドヌクレアーゼ消化した染色体DNAのPCR増幅および/またはサザンブロッティング/ハイブリダイゼーション解析により変異体としての確認を行った。
リポ多糖の構造フィンガープリンティング
10Lのバッチ培養(1L10ロット)からの細胞を一晩増殖させた後に収穫し、ホットフェノール−水法(Westphal, O. and Jann, K. (1965) Meth. Carbohydr. Chem. 5, 83-91)の後に、Thibault, and Richards (Thibault, P. and Richards, J.C. (2000) ????)により記載されているようにエタノール沈殿させることによりLPSを抽出した。LPSを超遠心分離(105000g、4℃、2×5時間)を繰り返すことで精製し、サンプルをそれらのO−脱アシル化誘導体(LPS−OH)として分析した。O−脱アシル化はこれまでに記載のように(Holst, O., Broer, W., Thomas-Oates, J.E., Mamat, U., and Brade, H. (1993) Eur. J. Biochem. 214, 703-710)、37℃で1時間、LPS(1〜10mg)と無水ヒドラジン(0.2〜1.0ml)とを混合することにより行った。糖類はこれまでに記載のように(Jarosik, G.P., and Hansen, E.J. (1994) Infect. Immun. 62, 4861-4867)、ガス液体クロマトグラフィー−質量分析(GLC−MS)によりそれらの酢酸アルジトールとして同定した。結合分析は室温で24時間、無水酢酸(0.5ml)および4−ジメチルアミノピリジン(0.5mg)でオリゴ糖をアセチル化した後に行った。次にペルアセチル化材料をリチウムメチルスルフィニルメタニドの存在下でジメチルスルホキシド中ヨウ化メチルで処理してメチル化オリゴ糖を得、これをSepPak TM C18カートリッジを用いて回収し、糖分席を行った (Blakeney, A.B. and Stone, B.A. (1985) Coabohydr. Res. 140, 319-324)。糖およびメチル化分析で得られた種々の酢酸アルジトールと部分的メチル化酢酸アルジトールの相対的割合をGLC−MSの検出器の応答から測定し、補正は行わなかった。GLC−MSはNERMAG R10−10H TM 四極質量分析計またはVarian Inontrap TM システムを備えたDelsi Di200 TM クロマトグラフにて、DB−5融合シリカキャピラリーカラム(25m×0.25mm×0.25μm)および160℃1分、3℃/分にて250℃までの温度勾配を用いて行った。エレクトロスプレーイオン化−質量分析(ESI−MS)はVG Quattro TM 質量分析計(Micromass, Manchester, UK)の陰イオンモードで行った。サンプルを水に溶解した後、1%酢酸を含有する50%アセトニトリル水溶液と1:1の比率で混合した。サンプル溶液をシリンジポンプから流速5μL/分のHO:CHCN(1:1)の移動相にインジェクトした。1D H NMRスペクトルは、DOで数回凍結乾燥させた後、Bruker AMX500 TM 分光光度計にて、酸化ジューテリウム溶液について22℃、500MHzで記録した。スペクトル分解能を高めるため、DO溶液にペルジューテロ−EDTA(2mM)およびペルジューテロ−SDS(10mg/ml)を加えた(Risberg, A., Schweda, E.K.H., and Jansson, P.-E. (1997) Eur. J. Biochem. 243, 701-707)。内部アセトンのメチルプロトン共鳴(δ:2.225ppm)に対する化学シフトを調べた。
LgtCおよびLgtDからの酵素活性の分析
lgtDにコードされている酵素を、生成物の検出にキャピラリー電気泳動を用い、合成アクセプターFCHASE−Pでアッセイした。キャピラリー電気泳動は実質的にこれまでに記載のようにして行った(Wakarchuk, W., Martin, A., Jennings, M.P., Moxon, E.R., and Richards, J.C. (1996) J. Biol. Chem. 271,19166-1917)。FCHASE−Pはこれまでに記載のように(Wakarchuk, W.W., et al., Protein Eng. 11: 295-302, 1998)、髄膜炎菌LgtC酵素を用いてFCHASE−Lacから合成した。反応条件は0.5mMアクセプター、1mMUDP−GalNAc、50mM HEPES−NaOH pH7.0、10mM MgCl、10mM MnClとした。抽出は、細胞を音波処理した後、100,000×g30分間の遠心分離により膜画分を回収することで行った。RM118および変異体RM118:lgtDの双方を分析した。少量の生成物をこれまでに記載のように(Wakarchuk, W., Martin,. A., Jennings, M.P., Moxon, E.R., and Richards, J.C. (1996) J. Biol. Chem. 271, 19166-1917)、TLCにより単離した。生成物への変換が少ないことから、いくらかの出発材料もそれとともに単離された。回収した混合物を二等分した後、酵素供給者(NEB)が奨励するようにβ−ヘキソサミニダーゼで処理した。LgtDの産物はβ−ヘキソサミニダーゼ消化によりβ−アノマー特異性を有することが示された。
変異株の構築およびスクリーニング
上記のように作製した変異体セットを用い、完全なゲノム配列が得られている指標株であるインフルエンザ菌RM118株のLPDSのオリゴ糖部分の生合成の遺伝的基礎を詳細に調べた。表2は発明者らが調べた遺伝子の一覧である。これら遺伝子の大部分を変異させるために用いたDNA構築物はこれまでに報告されている(Hood,. D.W., Deadman, M.E., Allen, T., Masoud, H., Martin, A., Brisson,J.R., Fleischmann, R., Venter, J.C., Richards, J.C., and Moxon, E.R. (1996) Mol. Microbiol. 22, 951-965)。各構築物は推定LPS遺伝子が推定されるリーディングフレームの5’末端(1/3)内に挿入されたカナマイシン耐性遺伝子とともにクローニングされているプラスミドベクターからなった。最初のヘプトース(HepI)にグルコースを付加することを担う明らかな候補遺伝子は見られなかった。Rdゲノム配列データベースをナイセリア属由来のlgtF配列を用いて検索したことろリーディングフレームHI0653に対して一致が認められた(247個のアミノ酸にわたって31%の同一性)。lgtFはRM118およびRM153株の染色体DNAからPCRによって増幅した。RM118株由来のクローニング産物はカナマイシンカセットを挿入することで不活性化してプラスミドpDQ1を得、インフルエンザ菌株の形質転換に用いた。lic1およびlic2Aは相変異LPS生合成遺伝子座である(High, N.J., Deadman, M.E., and Moxon, E.R. (1993) Mol. Microbiol. 9,1275-1282; Weiser, J.N., Love, J.M., and Moxon, E.R. (1989) Cell 59, 657-665)。lic1はインフルエンザ菌LPSへのPCho基の付加に関与することが示されている(Weiser, J.N., Shchepetov, M., and Chong, S.T.H. (1997) Infect. Immun. 65,943-950)。各遺伝子座に関して、RM118株を変異させた遺伝子構築物(10〜10形質転換体/投入DNAμg)を用いて形質転換した。大部分の遺伝子座ではRM118はクローニングされたDNAの供給源であったが、いくつかの例ではRM153株由来のDNAをドナーとして用い、形質転換効率に違いはなかった。リピドAに付加された最初の糖Kdoの合成を担う遺伝子(kdsA、kdsB)およびKdoトランスフェラーゼ(kdtA)は遺伝子配列から同定した(Fleischmann, R.D., Adams, M.D., White, O., Clayton, R.A., Kirkness, E.F., Kerlavage, A.R., Butt, C.J., Tomb, J-F., Dougherty, B.A., Merrick, J.M., McKenney, K., Sutton, G., FitzHugh, W., Fields, C., Gocayne, J.D., Scott, J., Shirley, R., Liu, L-I., Glodek, A., Kelley, J.M., Weidman, J.F.,Phillips, C.A., Spriggs, T., Hedblom, E., Cotton, M.D., Utterback, T.R., Hanna, M.C., Nguyen, D.T., Saudek, D.M., Brandon, R.C., Fine, L.D., Fritchman, J.L., Fuhrmann, J.L., Geoghagen,N.S.M., Gnehm, C.L., McDonald, L.A., Small, K.V., Fraser, C.M., Smith, H.O., and Venter, J.C. (1995) Science 269, 496-512)。種々のプラスミド構築物を用いてkdtA遺伝子に変異を有する株を構築する試みからは形質転換体を作出することができなかった。これはb型株での知見と同様であり(Hood, D.W., Deadman, M.E., Allen, T., Masoud, H., Martin, A., Brisson, J.R., Fleischmann, R., Venter, J.C., Richards, J.C., and Moxon, E.R. (1996) Mol. Microbiol. 22, 951-965)、この変異体が不活性であるためと思われる。RM118および同型の変異株から単離したLPSをT−SDS−PAGEにより分析した(データは示されていない)。RM118オリゴ糖合成に関するグリコシルトランスフェラーゼをコードする可能性が最も高い遺伝子に変異を有し、T−SDS−PAGEにより野生型と比較した場合(図2)にLPSバンドに異なるパターンを示す株を、以下に記載のようにそれらのPLSの詳細な構造解析のために選択した。また、lic1遺伝子座が不活性化されている変異体についても検討した。
LPSの構造決定
T−SDS−PAGEによるRM118株のLPSの解析から、リピドAおよび結合している糖残基の数が異なるオリゴ糖成分からなる低分子量LPS集団の電気泳動移動度に相当するヘテロなバンドパターンを示した(図2)。本発明者らはこれまでに、同じ条件下で増殖させたRM118株が共通の内部コア要素に結合した3〜5個のグリコース残基を含むLPSの集団を発現することを示している(Risberg, A., Mascud, H., Martin, A., Richards, J.C., Moxon, E.R., and, Schweda, E.K.H. (1999) Eur J. Biochem. 261, 171-180)。lic1、lgtF、およびlgtDに突然変異を有する株のLPは同じような複雑なバンドパターンを示したが、lgtC、lic2A、lpsA、orfH、rfaFおよびopsXに突然変異を有する株のLPSは一連の糖欠損と一致する一貫して移動度の速いバンドを含む複雑でないパターンを示した。変異株由来のLPSサンプルにおける糖欠損の性質および位置の同定は比較構造解析によって行った。RM118株の同系変異体から液体培養で増殖させた後にLPSを抽出した。構造フィンガープリンティングは、無水ヒドラジン処理後に得られたO−脱アシル化LPS(LPS−OH)サンプルのESI−MSおよび1D H−NMR分析を用いて行った。さらにまた、グリコースおよび結合分析は無処理のLPSサンプルについて行った。特異的に不活性化された推定グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む変異株から得られたデータをグロボテトラオースを含有するRM118 LPSの構造モデル(Risberg, A., Masoud, H., Martin, A., Richards, J.C., Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H. (1999) Eur. J. Biochem. 261, 171-180) のものと比較したところ、変化したLPSグリコフォームの重要な構造的特徴が確定された。ESI−MSは低分子量LPSの構造組成を探査する有効な手段を提供する(Gibson, B.W., Melaugh, W., Phillips, N.J., Apicella, M.A., Campagnari, A.A.
, and Griffiss, J.M. (1993) J. Bacteriol. 175, 2702-2712; Masoud, H., Moxon, E.R., Martin, A., Krajcarski, D., and Richards, J.C. (1996) Biochem. 36, 2091-2103; Risberg, A., Masoud, H., Martin, A., Richards, J.C., Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H. (1999) Eur. J. Biochem. 261, 171-180; Risberg, A., Schweda, E.K.H., and Jansson P.-E. (1997) Eur. J. Biochem. 243, 701-707; Phillips, N.J., McLaughlin, R., Miller, T.J., Apicella, M.A., and Gibson, B.W. (1996) Biochem. 35, 5937-5947)。O−脱アシル化LPSサンプルについて陰イオンモードで得られたESI−MSデータは表5に示されている。変異株由来のLPS−OHサンプルでは、ヘプトース、ヘキソースおよびホスフェート含有置換基の数が異なる共通のO−脱アシル化リピドA部分にKdo−4−ホスフェートを介して結合しているオリゴ糖の存在と一致するデータが得られた(Phillips, N.J., Apicella, M.A., Griffiss, J.M., and Gibson, B.W. (1992) Biochem. 31, 4515-4526 Masoud, H., Moxon, E.R., Martin, A., Krajcarski, D., and Richards, J.C. (1996) Biochem. 36, 2091-2103; Risberg, A., Masoud, H., Martin, A., Richards, J.C., Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H.(1999) Eur. J. Biochem. 261, 171-180; Schweda, E.K.M., Hegedus, O.E., Borrel
li, S., Lindberg, A.A., Weiser, J.W., Maskell, D.J., and Moxon, E.R. (1993). Carbohydr. Res. 246, 319-330; Schweda, E.K.H., Jansson, P.-E., Moxon, E.R., and Lindberg, A.A. (1995) Carbohydr. Res. 272, 213-224; Risberg, A., Schweda, E.K.H., and Jansson, P.-E. (1997) Eur. J. Biochem. 243, 701-707; Phillips, N.J., McLaughlin, R., Miller, T.J., Apicella, M.A., and Gibson, B.W. (1996) Biochm.35, 5937-5947)。
opsX変異体 opsを不活性化すると、ヘプトースまたはヘキソース残基を欠き、リピドA部分と結合したリン酸化Kdoしか含有しない凹凸の深いLPSが生じた(表5)。発明者らはこれまでに、インフルエンザ菌b型RM153株のopsX遺伝子が突然変異した結果、HepIとKdoの間でLPSが切断されることを示している(Hood, D.W., Deadman, M.E., Allen, T., Masoud, H., Martin, A., Brisson, J.R., Fleischmann,. R., Venter, J.C., Richards, J.C., and Moxon, E.R., (1996) Mol. microbiol. 22, 951-965)。二価分子イオンの低エネルギー衝突活性によるLPS−OHサンプルのMS−MS分析(m/z625)では、Kdo−β−D−グルコサミンバンドの切断によって生じるm/z951における主要なフラグメントイオン(リピドA−OH)が得られた(データは示されていない)。このフラグメントイオンの質量はインフルエンザ菌リピドA−OHの期待値と一致する(Helander, I.M., Lindner, B., Brade, H., Altmann, K., Lindberg, K.K., Rietschel, E.T., and Zahringer, U. (1988) Eur. J. Biochem. 177, 483-492)。RM118およびRM153opsX変異体は、これまでに同定されているRdisn(I69)変異株由来のものと同じLPSを発現することが明らかである(Helander, I.M, Lindner, B., Brade, H.,Altmann;K., Lindberg, K.K., Rietschel, E.T., and Zahringer, U. (1988) Eur. J. Biochem. 177, 483-492; Preston, A., Maskell, D., Johnson, A., and Moxon, E.R. (1996) J. Bacteriol. 178, 396-402)。I69 LPS表現型はヘプトース生合成遺伝子gmhAの突然変異により生じたものであり(Brook, J.S., and Valvan M.A. (1996) J. Bacteriol. 178, 3339-3341)、これによりこの変異株はそのLPSにヘプトースを付加できなくなる。
rfaF変異体 リピドAのα−結合型グルコサミン残基からのH共鳴期待値の他、RM118rfaF由来のLPS−OHのH NMR分析も一つのヘプトース単位由来の低電場領域でのアノマープロトン共鳴(〜5.19ppm)を示した。糖分析によれば、このHep残基がL−グリセロ−D−マンノヘプトース であることが確認された。これに応じて、ESI−MSスペクトルは構造Hep1−Kdo−リピドA−OHに一致するm/z721.6における単一の豊富な二価イオンによって占められていた(表5)。
orfH変異体 orfH遺伝子が不活性化されている生物は、ESI−MSデータから明らかなように、各々2つのHep残基を含有するLPSグリコフォームの混合物を生じた(表5)。RM118rfaF LPSに比べ、付加的なHep残基、すなわちHep・PEtn0−2・Kdo−リピドA−OHを含有する主なグリコフォーム集団に加え、Hex−PCho単位を含有する種であった。糖分析によれば、D−グルコースおよびPChoメチルプロトンの存在がH NMR 3.24ppmに強いシグナルを与えることが示された。期待されたように、この株由来のLPSは免疫ブロット実験においてPCho特異的モノクローナル抗体(Mab)であるTEPC−15(Weiser, J.N., Shchepetov,M., and Chong, S.T.H. (1997) Infect. Immun. 65, 943-950)と反応した。結合分析では、末端Hep、3−置換Hepおよび3,4−二置換Hep残基の存在が明らかになった(表6)。親株の構造を基にすれば、このデータは2つの主要なグリコフォーム構造1および2を発現するLPSを合成する能力を有するRM118orfHと一致する(なお、PEtnは部分置換を示す)。
Figure 2004506086
構造1:R=H
構造2:R=PCho6)−β−D−Glc
T−SDS−PAGEにより分析した際のRM118orfHのLPSでの2つのバンドの存在(図2)はこの結果に一致する。
lpsA変異体 RM118lpsA由来のLPS−OHのESI−MS分析によれば、RM118orfHと比較した場合、付加的なHep残基を有するグリコフォームを含むことが示され(表5)、Hex1グリコフォームを含有するホスホコリンが主要なLPS種である(図3)。結合分析は構造2の末端Hepへのヘプトースの一連の付加と一致していた(表6)。これに応じ、このO−脱アシル化LPSサンプルのH NMRスペクトルはインフルエンザ菌のLPSトリヘプトース内部コア要素の低電場領域(5.0〜6.0ppm)において特徴的なパターン(HepII,5.76ppm;HepI/HepIII,5.16/5.15ppm)を示した(図4)(Risberg, A., Masoud, H., Martin, A.,Richards,'J.C., Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H. (1999) Eur. J. Biochem. 261, 171-180)。このデータは構造3を有するRM118lpsA由来LPSに一致している(図3表1)。
lic2A変異体 RM118lic2A株由来のO−脱アシル化LPSのESI−MS分析から、主要なLPS種としてのHex2グリコフォームの存在が明らかになった(表5)。RM118lic2A LPSの組成分析では、唯一の中性ヘキソースとしてD−グルコースが存在することが示され、結合分析ではそれが末端残基であることが示された(表6)。結合分析ではまた、相当な割合の2−結合ヘプトース残基が明らかになった。lpsA変異体由来のLPSサンプルでは2−置換ヘプトース残基は、その残基がその結合分析法で用いられる加水分解条件下では容易に切断されないPEtn基(図3中の構造3参照)で置換されているために検出されなかったということは注目に値する。これらの発見によれば、lic2A変異体由来のLPSはlpsA変異体のものとは、構造4に示されているように(表1)HepIIIの2位にグルコース残基を有する点で異なっているものと結論付けることができる。4.65ppmに付加的なH NMRシグナルが存在することは、この末端D−Glcpが、非置換類似体の場合と比べてHepII共鳴値がアップフィールド側にシフトした(5.58ppm)β構造を有することを示し、5.76ppmはHepIIIへの1,2−結合(構造4;表1)を示す(Masoud, H., Moxon, E.R.,Martin, A., Krajcarski, D., and Richards, J.C. (1996) Biochem. 36, 2091-2103; Schweda, E.K.M., Hegedus,,O.E., Borrelli, S., Lindberg, A.A., Weiser, J.W., Maskell, D.J., and Moxon, E.R.(1993) Carbohydr. Res. 246, 319-330; Schweda, E.K.H., Jansson, P.-E., Moxon, E.R., and Lindberg, A.A. (1995) Carbohydr. Res. 272, 213-224)。
lgtC変異体 RM118lgtC変異体では、O−脱アシル化LPSサンプルのESI−MS分析からHex3グリコフォームの存在が明らかになった。糖分析ではlgtC変異体由来のLPSがD−ガラクトースを含むことが示され、結合分析によればこれは末端残基として存在することが分かった(表6)。結合分析ではまた、4−結合D−Glcp残基はHepIIIのラクトース部分により置換されている(構造5;表1)主要なHex3グリコフォーム(表6)と一致する。LPS−OHのH NMRスペクトルは発明者らがこれまでに親株に存在しているラクトース含有Hex3 LPSグリコフォームに関して報告しているものと同じである(Risberg, A., Masoud, H., Martin, A., Richards, J.C., Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H. (1999) Eur. J. Biochem. 261, 171-180)。髄膜炎菌において、lgtC遺伝子は1,4−α−ガラクトシルトランスフェラーゼをコードしていることが示されている(Wakarchuk, W.W., Cunningham, A.M., Watson, D.C., and Young, N.M. 1998)。RM118由来のlgtCに関して同様の機能が、組換え酵素のトランスフェラーゼ活性を調べることで、またRM118lgtC変異体由来のLPSの分析によって示されている。
lgtD変異体 lgtD遺伝子が不活性かされているインフルエンザ菌RM118株ではHex3とHex4 LPSグリコフォームの混合物が合成された(表5)。それに応じてLPSのT−SDS−PAGE分析では2つのバンドが確認され、lgtC変異体由来のものの電気泳動移動度に相当するものとそれより遅く移動するバンドであった(図2)。この変異株由来のLPSは末端および4−結合D−Galp残基を含んでいた(表6)。親株とそのlgtc変異体の1D H NMRスペクトルを比較したところ、Hex4グリコフォームにα−D−Galp−(14)−β−D−Galp単位が存在することが示され、5.01ppmにおけるシグナルは末端(−D−Galp残基(構造6;表1)を示す。このlgtD遺伝子産物を合成アクセプターFCHASE−Pによるグリコシルトランスフェラーゼ活性に関して調べた。CEアッセイにおいて親株RM118とlgtD変異株を比較したところ、変異株でβ−GalpNAcトランスフェラーゼ活性が欠損していることが示されされた(図5)。
lgtF変異体 インフルエンザ菌におけるlgtF遺伝子の突然変異によりLPSがMab TEPC−15とも反応しないし(データは示されていない)、それらのH NMRにおいて特徴的なPChoメチルプロトンシグナル(3.24ppm)も示さない株が生じた。結合分析では、このLPSが末端β−D−Glcp残基を欠き、モノ−3−置換HepI残基だけを含むことが示された(表6)。lgtF変異体由来のLPS−OHではそのESI−MSにおいて、親株のLPSで見られるものと同じ、HepIIIからのオリゴ糖の長さが異なるグリコフォームの分布が見られた(表5)。HepIIIからのグロボテトラオース単位の完全な伸長はHepIにβ−D−Glcp残基が存在しても存在しなくとも起こるということは注目に値する(図6)。本発明者らは親株がLPSグリコフォームの混合集団を合成することができ、そこではグロボテトラオース単位β−D−GalpNAc−(13)−α−D−Galp−(14)−β−D−Galp−(14)−β−D−Glcpを与える末端β−D−GalpNAc残基を付加することでガラビオース単位が伸長することを示した(Risberg, A., Masoud, H., Martin, A., Richards, J.C, Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H. (1999) Eur. J. Biochem. 261, 171-180)。
lic1変異体 lic1変異体由来のO−脱アシル化LPSのESI−MS分析では、PCho置換が存在しないこと以外は親株に見られるもの(Risberg, A.,Masoud, H., Martin, A., Richards, J.C.,Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H. (1999). Eur. J. Biochem. 261, 171-180)と同じヘテロなグリコフォーム混合物(表5)が示された。RM118においてlic1遺伝子座は、3,4−二置換ヘプトース(HepI)に結合したβ−D−Glcp6位におけるPCho置換基の発現を担う遺伝子を含むことが示されている(Risberg, A., Masoud, H., Martin, A., Richards, J.C., Moxon, E.R., and Schweda, E.K.H. (1999) Eur. J. Biochem. 261, 171-180; Weiser, J.N., Shchepetov, M., and Chong, S.T.H. (1997) Infect. Immun. 65, 943-950)。RM118lic1 O−脱アシル化LPSのH NMRスペクトルを調べたところ、3.24ppmにおいて特徴的なPChoメチルプロトンシグナルが存在しないことが明らかになった。さらにこのlic1変異体由来のLPSは予測されたように(34)Mab TEPC−15とは反応しなかった(データは示されていない)。
実施例2
内部コア部分の置換および修飾
NTHi2019株では、HepIがラクトースで置換されている(Rβ−D−Galp−(14)−β−D−Glcp;R/R=H)(N.J. Phillips et al. Biochemistry, 31 (1992) 4515-4526)。NTHi375株では、HepIIIが小数のグリコフォーム集団でシアリル化ラクトースで置換されている(Rβ−D−Galp、R=H、R=Neu5Ac−β−D−Galp−(14)−β−D−Glcp−(12))(D.W. Hood et al. Mol. Micro., 33 (1999) 679-692)。本実施例では、メチル化分析、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)およびNMPを用いることで4つのNTHi株由来のLPSの構造研究の結果をまとめる。
インフルエンザ菌非定型株486、176、285および1159はEskola教授の株コレクションからFinnish otitis media cohort studyの一環として入手し(Hood, 上記参照)、内耳からの単離物も得た。細菌は37℃にてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)2μg/mL、ヘミン10μg/mL、およびノイラミン酸(NeuAc)50μg/mLを含有するブレイン・ハート・インフュージョン(BHI)ブロス(Difco TM )3.7%W/V中で増殖させた。LPSは凍結乾燥菌から、フェノール−クロロホルム−石油エーテル法の後、超遠心分離を行うことで得た(A. Risberg et al. Eur. J. Biochem., 261 (1999) 171-180)。無水ヒドラジンでのO−脱アシル化(37℃、1時間)または薄い酢酸水溶液でのKdoケトシド結合の切断(100℃、2時間)のいずれかによってLPSサンプルから得たオリゴ糖サンプルに対してMSに基づく方法および高電場NMR法を用いて詳細な構造研究を行った。
LPS−OHサンプルのESI−MSでは、総ての株でヘテロなグリコフォーム混合物が示された。NTHi486由来のLPS−OHのESI−MSスペクトルの部分が図10に示されている。これらのNTHi株の主要LPSグリコフォームの提案される組成は表7に示されている。総てのグリコフォームは、推定されるO−脱アシル化リピドA(リピドA−OH)とリン酸化Kdoリンカーを介して結合した保存されたPEtn置換トリヘプトシル内部コア部分を含む。
LPSサンプルのメチル化分析が表8に示されている。176および486株ではこれまでに発表されているインフルエンザ菌構造の必須成分である2−置換Hepの痕跡だけが検出できたことは注目に値する。その代わりに相当量の3−置換Hepが検出されたが、これはインフルエンザ菌LPSの共通のL−α−D−Hepp−(12)−L−α−D−Hepp−(13)−[β−D−Glcp−(14)−]−L−(−D−Hepp−(15)−α−Kdop内部コア要素の新しい置換パターンを示すものである。176および486株における主要グリコフォームの完全構造をNMRにより決定したが、その結果を図11にまとめる。285株のメチル化分析ではとりわけ3,4−二置換Hepの他、多量の末端L、D−Hepが明らかになったが、これはトリヘプトシル内部コア部分のHepIIおよびHepIIIに置換が存在しない(すなわち、RおよびR=H)ことを示すものであった。この株のHex1グリコフォームの完全な構造(図12)をLPS−OHに対するNMRにより求めた(データは示されていない)。1158株のメチル化分析ではとりわけ、NMRによって明らかな(データは示されていない)構造要素D−α−D−Hepp−(16)−β−D−Glcp−(14)−L−α−D−Heppと結合可能な6−置換D−Glcおよび末端D,D−Hepが示された。主要なLPSグリコフォームはHepII(α−D−Glcp)およびHepIII(PCho6)−β−D−Glcp)において置換されていることが分かった。NTHi1158の主要なグリコフォームの仮の構造が図13に示されている。
NTHi176の詳細構造 薄い酢酸でLPSを部分酸加水分解したところ、可溶性リピドAとコアオリゴ糖画分が得られ、コアオリゴ糖画分をGPCで分離すると(図14)、フラクション1、フラクション2およびフラクション3が得られた。これらのフラクションのメチル化分析データは表8に示されている。フラクション1における3−および6−置換Galおよび4−置換GlcNの存在はこのオリゴ糖について新規な構造特徴が存在することを示している。フラクション1についてのCE−ESI−MSではとりわけm/z1214.0における主要な二価イオンが明らかになり、これはフラクション2およびフラクション3で見られるものよりもこのフラクションでかなり高い分子量のグリコフォーム(HMG)を示す。NTHi285についても同様の結果が得られた(下記参照)。フラクション2に関するESI−MSスペクトル(データは示されていない)からは、主要なグリコフォームが組成PCho・Hex・Hep・PEtn・AnKdo−olおよびPCho・Hex・Hep・PEtn・AnKdo−olを有することが示された。フラクション3に関するESI−MS(データは示されていない)からは、それぞれ組成Hex・Hep・PEtn・AnKdo−olおよびHex・Hep・PEtn・AnKdo−olを有するグリコフォームが示された。
フラクション2のHex3グリコフォームの構造は詳細なH NMR分析により決定することができた。フラクション2のH NMRスペクトルは図11aに示されている。PChoのメチル基に特徴的なシグナルはδ3.24に見られた。HepI−HepIIIのアノマー共鳴はそれぞれ5.03−5.13、5.83および5.26で確認された。GlcI、GlcIIおよびGalに相当するスペクトルはそれぞれδ4.56、4.62および4.64における2D COSYおよびTOCSYスペクトルで確認された。化学シフトデータもメチル化分析と一致してGlcIIとGalが末端残基であることを示す。δ4.3においてGlcIのH−6,6’の値がダウンフィールド側にシフトしていることは、この残基がこの位置でPChoで置換されていることを示す。プロトン対GlcII H−1/Glc I H−4、Glc I H−1/Hep I H−4,6間の内部残基NOEの連結性(図15)により、二糖単位の配列およびそのHepIとの結合点をβ−D−Glcp−(1→4)−[PCho6]−β−D−Glcp−(1→4)−L−α−D−Hepp−(1→として確定された。GalのH−1とHepIIIのH−3/H−2の間の内部残基NEOは、β−D−Galp−(1→3)−L−α−D−Hepp−(1→単位の証拠となった。これらのデータを考え合わせると、PCho置換Hex3グリコフォームは構造2を有するものと結論付けることができた。フラクション2のメチル化分析では相当量の末端Hepが示され、ESI−MSスペクトルで見られたPCho置換Hex2グリコフォームは構造3を有するものと結論付けることができた。
フラクション3のH NMRスペクトルは図11bに示されている。ESI−MSデータと一致して、PChoのメチルプロトンのシグナル強度は低いことから、フラクション2についてはPChoは高い程度では発現しないのは明らかである。HepIIIのアノマープロトンのシグナルはほぼフラクション2の対応するものと同じ化学シフトで共鳴する。δ5.26においてα結合の末端Glc残基(GlcIII)のアノマー共鳴が見られた。β結合ヘキソースのアノマー領域はフラクション2よりもよりヘテロなものであった。2Dスペクトルでは末端Glc残基のスピン系がδ4.50および4.45で見られた。4−置換Glcおよび2つの末端Gal残基はδ4.56、4.61および4.54で確認された。NOEデータからは、構造要素Glcp−(1→4)−β−D−Glcp−(1→4)−L−α−D−Hepp−(1→・・・ならびにHepIIIに結合したGalが確認された。さらにNOE結合性から、α結合GlcがHepIIの3位に結合していることが確認された。これらの証拠を考え合わせると構造4に示されているようなHex4グリコフォームの構造が得られる。2−置換Hepおよび末端Hepを示すメチル化分析に一致して、Hex3グリコフォームは構造5および6を有するものと結論付けられる。
NTHi486の詳細構造 弱い酸加水分解の後に得られたLPS−OHおよびオリゴ糖材料(OS−1)に対してESI−MS、NMRおよびメチル化分析を集中的に使用した後、グリコフォームNTHi486の主要なLPSの構造が確立された(図17)。176株については、HepIIIはO−3位で置換されているが、この場合にはグルコース残基による置換である。NTHi486LPSはラクトース部分の末端β−ガラクトースと結合したNeu5Acで著しくシアリル化されている。
LPS−OHのH NMRスペクトルでは、δ5.8と5.0の間のほぼ同じ領域に5つの別個のシグナルが見られた。これらのシグナルのうち3つが内部コア領域の3つのヘプトース残基(HepI−HepIII)のH−1シグナルに相当していた。α結合グルコース残基(GlcI)のアノマーシグナルはδ5.28(J3.8Hz)に確認され、β結合ヘキソースに相当するアノマーシグナルはδ4.52と4.42の間に確認された。OS−1のH NMRスペクトルでは、ヘプトースのアノマー共鳴ならびに一つのアセチル化部位がδ5.83−5.75(1H、分離していない)およびδ5.14−5.04(3H、分離していない)で見られた。一つのO−アセチル基のメチルプロトンに相当する強いシグナルがδ2.17で見られ、これはHSQCスペクトルのδ21.0における13Cシグナルに相当するものであった。内部コア領域内のグリコースの配列は、隣接する残基上のアノマープロトンおよびアグリコンプロトンを結びつけるトランスグリコシドのNOE結合性から確定した。PChoのメチルプロトンのシグナルはδ3.21(LPS−OH)およびδ3.23(OS−1)で見られ、この結果から、またPEtnからのエチレンプロトンのスピン系は以前に得られたものと同じであった(A. Risberg et al. Eur. J. Biochem., 261 (1999) 171-180)。LPS−OHおよびOS−1のH−31p NMR相関研究では、PChoおよびPEtnがそれぞれGlcIおよびHepII残基と結合していることが示された。シアル酸のH−3メチレンプロトン由来の特徴的なシグナルはLPS−OHのH NMRスペクトルにおけるδ1.79(H−3ax,J3ax,3eq=12.3Hz)およびδ2.73(H−3eq,J3eq,4=4.3Hz)に見られた。Neu5AcのH−3axとGal残基のH−3の間の内部残基NOEにより、メチル化分析によって示されているように、シアル酸がガラクトースと2,3−結合していることが確認されたα−D−Neu5Ac−(2→3)−β−D−Galp−(1→。OS−1のHepIIIにおける核の数に関するいくつかの化学シフト値はLPS−OHにおける対応する化学シフトとはかなり異なっていた。ダウンフィールドシフトはOS−1におけるHepIIIのH−2(+0.99ppm)、H−1(+0.03ppm)、H−3(+0.22ppm)、およびC−2(+1.2ppm)で見られ、一方、C−1(−3.3ppm)およびC−3(−2.5ppm)はアップフィールド側へシフトした。よって、HepIIIはO−2位でアセチル化していることが示された。このアセチル化部位はHMBC実験でもさらに支持され、カルボニル炭素(δ174.0)とHepIIのH−2の間で相関性が見られた。さらにまた、カルボニル炭素とO−アセチル基のメチルプロトンの間でもクロスピークが見られ、これにより置換基の存在が確認された。
NTHi486のlpsA変異体由来のLPSのESI−MSおよびメチル化分析ではHepIIIから鎖が伸長していないことが示された。O−脱アシル化材料のメチル化分析では、末端Glc、末端Hep、3,4−二置換Hep、2,3−二置換Hepおよび6−置換GlcNが相対比34:39:20:3:4で示された。LPS−OHのESI−MSスペクトルでは、m/z812.9/853.9で2つの主要な三価イオンが見られ、PChoHex Hep PEtn1−2 Kdo リピドA−OHに相当した。
NTHi176および285における高分子量グリコフォーム NTHi285由来のLPSに対して弱い酸加水分解を行った後にゲル濾過を行ったところ、図12に示されているグリコフォームを含んだ主要画分とともにそれより大きな分子量をのグリコフォームを含有する少量の画分が示された。この高分子量(HMW)画分の糖分析ではD−Glc、D−Gal、D−GlcNAcおよびL,D−Hepが示され、メチル化分析では末端Gal、3−置換Gal、6−置換Gal、4−置換GlcNAc、末端Hep、および3,4−二置換Hepを示した。CE−ESI−MSではとりわけm/z1052に主要な二価イオンが示された。このイオンに対するMS/MSによれば、NTHi176のHMW(上記参照)で見られたm/z1214と同様のフラグメンテーションパターンを示した。特に娘イオンがm/z692に見られ、組成物PchoHex−Hex−HexNAcに相当した。
間接的ELISA 培養上清および腹水を96ウェルNunc Maxisorp EIAプレートで精製LPSに対してアッセイした。37℃で3時間、0.02M MgClを含有する0.05M炭酸バッファー(pH9.8)100μL中1.0μgのLPSでウェルを被覆した後、室温にて1時間、1%BSA−PBS 200μLでブロッキングした。PBS−T(0.05%Tween20)で洗浄した後、培養上清および腹水のサンプルを1%BSA−PBSで連続希釈したものを加え、室温で1〜3時間インキュベートした。次にこれらのプレートを洗浄し、アルカリ性ホスファターゼ標識ヤギ抗マウスIgG(Cedarlane Laboratories, Hornby, ON)を1%BSA−PBS中に1:3000希釈したものを室温にて1時間加えた。これらのプレートをp−NPPリン酸基質系(Kirkegaard & Perry Laboratories, Gaitherberg, MD)で顕色させた。30〜60分後、Dynatech EIAプレートリーダー410nmにてプレートを走査した。
実施例4
Hi Rdlic1lpsALPS−OH−BSA結合体の作製
これまでに記載されている手順に従い、インフルエンザ菌二重変異株Rdlic1lpsA由来のLPSを単離し、フェノール−水抽出プロトコールにより精製し、無水ヒドラジン処理によりO−脱アシル化した。糖分析では、LPS−OHのオリゴ糖部分がL−グリセロ−D−マンノ−ヘプトースおよび唯一検出可能なアルドースとしてのグルコースを含んでいることが示された。LPS−OHのESI−MSによれば、分子量2114.9Daに相当するm/z1056.5に二価イオンが見られ、これはGlc(HepIIIPEtnKdoP−リピドA−OH(1)の予測組成と一致するものである。H NMRは明らかにRdlpsA単一変異体で見られたLPS−OHのものと同じ保存されたトリヘプトシル部分に関する、5.16(HepI)、5.15(HepIII)および5.76(HepII)おけるヘプトース残基の十分定義されるアノマーシグナルを示した。Pchoメチル共鳴によるシグナル(Risberg et al., Eur. J. Biochem. 261:171-180, 1999)はこのH NMRでは検出されなかった。
実施例5
炭水化物(CHO)−BSA結合体、その後の非結合CHOでの感作
これまでの例からのLPS−OHはGu et al., Infect. Immun. 64:4047-4053, 1996に記載の方法に従ってBSAを結合させることができる。あるいは図8に記載のようにカナダのNAtional Research CouncilのWei Zouが開発した手法に従い、Kdoカルボキシル基を介してBSAをMH(4(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン1−カルボキシルヒドラジド1/2ジオキサンと結合させることもできる。要するに、上記スキームに示されているリンカー戦略を用い、LPS−OHはEDCによるKdoカルボキシル基の選択的活性化を介してBSAと結合させたのである。
6〜8週齢の雌BALB/cマウスにRd lic1lpsA odA LPS−BSA結合体を腹腔内感作させた。各マウスには一回の注射当たり0.2ml Ribis完全アジュバント(Cadarlane Laboratories Ltd, Hornby, ON)中2μgの炭水化物を与えた。21日目と42日目に同量の結合ワクチンでマウスに追加抗原投与を行った。137日目にマウスに、Ribi中に10μgの1003 lic1lpsA odA LPSを含有する最後の腹腔内注射を行い、147日目に血清を採取した。
LLA4は同種株に存在する内部コアエピトープを認識することが分かった。ELISA試験では、LLA5は遺伝的に多様な培養コレクションの多数の株から精製したLPS(25種のうち14の非定型株LPS)と交差反応を示した(表3)。Mab LLA5によって認識されるエピトープはRdlpsA単一変異体に、また、HepIII残基を欠いたさらに末端切断されたRdlic1lpsA二重変異体に存在した(表4)。LLA5エピトープは単一変異体RdlgtFのLPSには存在しない。上で述べたように、lgtF遺伝子はHepIの4位にβ−D−Glc残基を付加するのに必要とされる。
この25株由来のLPSを当技術分野で公知の構造解析技術によって比較したところ、驚くべきことに、Mab LLA5が内部コア部分のHepI単位から鎖伸長を生じるラクト−N−ネオテトラオース(LNnT)含有オリゴ糖エピトープを検出していた。Mab LLA5によっては認識されない株はLNnTを含む鎖の伸長がないことを特徴とした。LNnTを含む鎖伸長を発現するインフルエンザ菌株は標準的な実験室増殖条件下では低い程度でしかそれを発現しない。それはこれまでには発現レベルが低いためにRd株では同定されていない(Risberg et al., Eur. J. Biochem.,261:717-180, 1999)。これが今般、図14と同様に、当業者に公知の手法である弱い酸加水分解およびバイオゲルP−4でのゲル浸透クロマトグラフィーによる分離によってRd株(RM118)のLPSから各オリゴ糖を遊離させることにより単離および同定された。このLNnT含有コアオリゴ糖画分は少量の高分子量成分で標識された「HMW画分」として溶出する。これはRd株で同定されている主要なグリコフォーム(Risberg et al., 1999, 上記)からなる大きなピーク(400を中心とする)と比べると少量成分である。Rd株由来のHMWコアオリゴ糖はタンデム質量分析(MS/MS)技術(Thibault and Richards, In methods in Molecular Biology, Vol 145,: Bacterial toxins: Methods and Protocols(Holst, O., ed.) pp 327-344, Human a Press, 1999 およびその中の参照文献)によりHepIからLNnT含有鎖の伸長を有するものとして特徴付けられた。ESI−MS/MSにおけるフラグメンテーションパターンは配列Gal−GlcNAc−Gal−Glcを有し、末端糖単位Petn−GalNAcでキャップされたLNnTオリゴ糖鎖伸長が存在することを示した(図1)。
Rd株をシアル酸を含有する培地で増殖させると、シアリル化オリゴ糖を含有するLPSグリコフォームが発現する。本発明者らはHepIIIからのオリゴ糖伸長として結合している構造α−Neu5Ac(23)−β−D−Galp−(14)−β−D−Glcを有するシアラリルラクトースを見出した。さらにまた、このオリゴ糖伸長はいくつかのNTHi株でも確認された。相変異遺伝子lic3AはラクトースアクセプターにCMP−Neu5Acを付加するシアリルトランスフェラーゼをコードしている。Rd株を記載の条件下で増殖させた場合、この生物のLPSでLNnT鎖伸長部のシアリル化類似体が検出される。構造α−Neu5Ac(23)−β−D−Glcp−(14)−β−D−GlcpNAc−(13)−、β−D−Galp−(14)−、β−D−Galpを有する内部コアLPSからのシアリル化LNnTオリゴ糖鎖伸長はO−脱アシル化LPSのES−MSによりRdlgtClic3A二重変異体で容易に検出される。発明者らはMS/MS技術、高電界核磁気共鳴技術、およびメチル化分析(いずれも当業者に公知の構造解析法)を用い、保存された内部コアにおけるLPSの構造がシアリル化LNnT含有鎖の伸長を有することを確認した。発明者らはインフルエンザ菌がrfb遺伝子座の遺伝子を含む、LNnT含有オリゴ糖鎖伸長部を付加するための一連の機構を用いていることを見出した。検討した総てのHi株で、rfb遺伝子の存在とLNnTの形成の間には絶対的な相関がある。
また、Mab LLA5と反応性があるNTHi株由来のLPSは弱い酸加水分解の後のゲル浸透クロマトグラフィーで高分子量(HMW)画分を示す。例えばNTHi285株のLPSは、図1に示したのと同様に、LNnTを含有し、また、Petn−GalNAc単位によってキャップされている鎖伸長の存在がMS/MSフラグメンテーションパターンから同定される少量のHMW画分を示す。このLNnT含有オリゴ糖鎖伸長はMS/MS/MS実験からさらに確認された。LIA5反応性のない株、例えばNTHi1247株の弱い酸加水分解では検出可能なHMW画分は見られない。
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【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、高分子量型RM118の構造確認図である。
【図2】
図2は、RM118野生型および推定されるグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子に変異を有する株から精製したLPSのT−SDS−PAGE後の電気泳動移動パターンである。RM118は野生型のLPSに相当し、同系変異体は関連のLPS遺伝子で示されている。
【図3】
図3は、主要なHex1グリコフォーム(表1、構造3)由来の二価および三価イオンを示す、インフルエンザ菌RM118株のlpsA変異体由来のO−脱アシル化LPSの陰イオンESI−MSである。
【図4】
図4は、5.0と6.0ppmの間にα−アノマープロトン領域を示す、インフルエンザ菌RM118株のlpsA変異体由来のO−脱アシル化LPSのH NMRスペクトルである。3,4−二置換Hep(HepI)、6−PEtn置換Hep(HepII)、末端Hep(HepIII)およびリピドA領域のリン酸化α−GlcNに相当するアノマー共鳴が示されている。
【図5】
図5は、インフルエンザ菌RM118株のLgtD活性のキャピラリー電気泳動分析である。パネルA/トレース1は音波処理物の100,000xgペレットを酵素源として用いた完全反応混合物であり;トレース2はUDP−GalNAcを除いたこと以外は1の反応混合物と同じであり;トレース3は変異体RM118:lgtDからの完全反応混合物であり;トレース4はUDP−GalNAcを除いたこと以外はトレース3と同じである。ピークAはFCHASE−P製剤中の不純物であり、ピークbはFCHASE−グロボテトラオースであり、ピークcはFCHASE−Pである。パネルB/トレース1はパネルAトレース1で記載した反応から得られたTCL精製産物である。トレース2はβ−ヘキソサミニダーゼで処理したこと以外はトレース1と同じ材料である。
【図6】
図6は、インフルエンザ菌RM118株のlgtF変異体由来のO−脱アシル化LPSの三価分子イオン領域の陰イオンESI−MSである。Hex2(β−D−Galp−(1→4)−β−D−Glcp)、Hex3(α−D−Galp−(1→4)−β−D−Galp−(1→4)−β−D−Glcp)およびHex3・HexNAc(β−D−GalpNAc−(1→3)−α−D−Galp−(1→4)−β−D−Galp−(1→4)−β−D−Glcp)から生じたピークが示されている。
【図7】
図7は、Risberg et al., (16)の分析の結果に基づいたインフルエンザ菌RM118株由来のLPSの構造の模式図である。この実験で同定された遺伝子座のLPS生合成において提案される作用部位を示し、関連の糖結合に矢印で結ばれている。相変異遺伝子座は下線で示されている。LPS構造においては、KDOは2−ケト−3−デオキシオクツロソン酸を、HepはL−グリセロ−D−マンノ−ヘプトースを、GlcはD−グルコースを、GalはD−ガラクトースを、GalNAcはN−アセチルガラクトサミンを、PEtnはホスホエタノールアミンを、Pはリン酸を、Pchoはホスホコリンを表す。ヘプトース残基については上から下に、ヘプトースI、ヘプトースII、次にヘプトースIIIである。
【図8】
図8は、インフルエンザ菌Rd lic1 lpsA株LPS−OHと担体タンパク質(この例ではBSA)とのコンジュゲーションのスキームである。
【図9】
図9は、インフルエンザ菌Rd株のLPS内部コアからの鎖伸張に関与する遺伝子を示す図である。b型株ではlic2遺伝子座の遺伝子orf3およびlic2bがHepIIからの鎖の伸長を制御する。これらの遺伝子はRd 株には存在しない。lic1はPChoの組み込みを制御する。
【図10】
図10は、NTHi486株由来のO−脱アシル化LPSの陰イオンESI−MSスペクトルの一部を示す図である。主要なグリコフォームの提案される組成が示されている。ナトリウム化付加物がアステリスク( )で示されている。
【図11】
図11は、NTHi176由来のフラクション2(a)およびフラクション3(b)の270MHz H NMRスペクトルを示す図である。
【図12】
図12は、NTHi285で見られた主要なHex1 LPSグリコフォームの構造を示す図である。
【図13】
図13は、NTHi1158の主要なLPSグリコフォームの仮構造を示す図である。
【図14】
図14は、弱い酸加水分解後のNTHi176のLPS(100mg)のバイオゲルP−4クロマトグラムを示す図である。
【図15】
図15は、NTHi176のフラクション2の500MHz2D NOESYスペクトルの一部を示す図である。
【図16】
図16は、NTHi176LPS由来のオリゴ糖の構造を示す図である。
【図17】
図17は、NTHi486の主要なNeuAc含有LPSグリコフォームの構造を示す図である。
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