JP2004505998A - ヘルペスウイルスまたはNeisseriagonorrhoeaeに感染した患者を処置する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、宿主細胞における、感染性ヘルペスウイルス粒子の形成、特に感染性単純疱疹ウイルス(HSV)粒子の形成を阻害する方法を提供する。本方法は、有効量のヒドロキシル化トラン(特にポリヒドロキシル化トラン)をヘルペスウイルスに感染した宿主細胞に投与する工程を包含する。本発明はまた、ヘルペスウイルス感染(特にHSV感染)を処置する方法を提供する。本発明は、治療有効量のヒドロキシル化トランを含む局所用組成物を、ヘルペスウイルス感染部位に投与する工程を包含する。本発明はまた、HSV感染、サイトメガロウイルス感染および水痘−帯状疱疹ウイルス感染から選択されるヘルペスウイルス感染を処置する局所用組成物に関する。本発明はまた、Neisseria gonorrhoeaeに感染した対象を処置する方法を提供する。
Description
【0001】
本願は、2000年8月15日に出願された米国仮特許出願番号60/225,609に対し優先権を主張する。
【0002】
(背景)
本発明は、ヘルペスウイルスおよびNeisseria gonorrhoeaeの複製を阻害する組成物に関し、この組成物を用いて、これらの微生物に感染した対象を処置する方法に関する。
【0003】
ヒトヘルペスウイルスは、実質的にヒトの身体の任意の器官における宿主細胞に感染し得る。ヘルペスウイルスの感染宿主細胞中での複製は、感染細胞の溶解および大量の感染性ウイルスの放出をもたらす。溶解した細胞から放出される感染性粒子は、最初に感染した部位またはその近傍にある他の細胞に感染し得、そしてそれらの細胞を破壊し得る。これらの感染性粒子はまた、感染していない個体に伝染し得る。ヒトヘルペスウイルスはまた、一生の間罹患した個体の他の細胞中に侵入し、そして潜伏(すなわち、非複製状態)を続ける。この長期感染は、罹患した個体中で、繰り返し感染するための感染性ウイルスの貯蔵庫の役割および無意識の接触に対する感染源の役割をする。
【0004】
少なくとも4つのヒトヘルペスウイルス(単純疱疹ウイルス1型(HSV−1)、単純疱疹ウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)および水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)を含む)が、特定の感染個体の眼に感染し、病変を引き起こすことが知られている。同時に、これらの4つのウイルスは、先進地域での感染性失明の主な原因である。
【0005】
HSV−1は、主に口腔に感染するが、HSV−2は主に生殖器部位に感染する。しかし、身体の任意の領域(眼、皮膚および脳を含む)は、いずれの型のHSVでも感染し得る。一般に、HSVは、感染した個体の感染部位に直接接触することによって、感染していない個体に伝染する。
【0006】
初回のHSV感染または繰り返しのHSV感染の初期症状としては、感染部位における刺痛、疼痛および/または感覚異常が挙げられる。これに感染部位(すなわち、口腔、眼、皮膚または生殖管(reproductive tract))における病変の形成が続く。典型的に、約10日から14日で治癒する。
【0007】
HSV感染に応答して生じる免疫応答は、免疫応答性個体の身体全体を通してをウイルスの蔓延を防ぐ。しかし、このような免疫応答は、全ての感染性HSV粒子を、感染した個体の身体から除去するわけではない。免疫応答により殺されなかったウイルス粒子は、神経経路に沿って感染した個体の神経節まで移動し、ここでウイルス粒子は、潜伏状態を維持する。種々の刺激(ストレス、環境因子、他の薬剤負荷、食品添加物または食材を含む)に応答して、感染性ウイルス粒子は、神経節から離れ、元の感染部位またはその近傍での繰り返しの感染を生じ得る。HSV感染した個体が、免疫抑制されているかまたは免疫系がよく発達していない(例えば、新生児)場合、感染部位からのウイルス粒子の蔓延もまた生じ得て、生命を脅かす合併症(脳炎を含む)をもたらし得る。
【0008】
呼吸器経路により伝染する、VZVは、水痘、および感染した個体の皮膚上の斑点状丘疹により特徴付けられる疾患の原因となる。臨床的な感染の解消としては、ウイルスは、神経節において潜伏状態に入り、一部の個体において、帯状疱疹、すなわち「帯状ヘルペス」として再発するだけである。再発した皮膚病変は、皮膚知覚帯に接近を維持し、感染した個体における激しい疼痛およびかゆみを生じる。
【0009】
CMVは、より遍在性であり、体液中で伝染し得る。CMVの正確な潜伏部位は、正確には同定されていないが、感染した宿主の白血球であると考えられている。CMVは、小水疱病変を生じないが、発疹を生じる。
【0010】
ヒトヘルペスウイルス感染に対する治療法(すなわち、感染した個体の身体からウイルスを除去する方法)は既知ではない。さらに、感染性ヘルペスウイルス粒子の形成をブロックし、それによりヘルペスウイルス誘導性の感染の頻度、重篤度または持続、および潜在的に感染した個体における感染の繰り返しの可能性を減じる方法は、ほとんど存在しない。従って、感染性ヘルペスウイルス粒子の形成を阻害するさらなる方法を有することが必要とされる。このような方法は、ヘルペスウイルス感染した個体における重篤度、およびヘルペスウイルス感染した個体から感染していない個体への伝染の可能性を制限するのに有用である。
【0011】
Neisseria gonorrhoeaeは、グラム陰性細菌であり、ヒトにおいて病原性である。この細菌は、ヒトからヒトへ、感染した分泌物に接触することによって(最も頻繁には、性的接触によって)伝播する。一旦この病原体が粘膜表面に沈着すると、分子の一連の複合的相互作用が生じ、粘膜の円柱状細胞の浸潤を生じる。疾患のスペクトルは、尿道、頸部、直腸および口腔咽頭部膜の局所的感染から、骨盤または精巣上体の浸潤、血流の浸潤までの範囲にわたり、例えば、心臓弁、関節および心膜などの離れた器官までの蔓延を伴っても伴わなくてもよい。この病原体はまた、結膜に感染し得る。淋菌性結膜炎は、感染した産道を通過する新生児に、最も頻繁に感染するが、成体にも感染し得る。
【0012】
淋菌ワクチンの探索は、長年にわたって行われてきているが、実質的に何の成果もない。従って、主な処置は、抗生物質の前曝露または後曝露による予防を含む。抗生物質の点眼に加え、硝酸銀もまた、新生児の淋菌性結膜炎を処置するのに使用されてきた。不幸なことに、この細菌は、最も一般的な抗生物質(例えば、ペニシリン)のいくつかに対して耐性を生じている。従って、この病原体の増殖を減ずるためのさらなる組成物が必要である。
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、宿主細胞において感染性の疱疹ウイルス粒子、特に感染性のHSV粒子の形成を阻害する新規の方法を提供する。この方法は、ヒドロキシル化トラン(特にジヒドロキシトランまたはトリヒドロキシトラン)を、疱疹ウイルス感染された宿主細胞に投与することを含む。このヒドロキシル化トランは、ウイルス感染された宿主細胞において、このウイルスの複製を阻害するのに十分な有効量で、宿主細胞に投与される。このような方法は、疱疹ウイルス感染の細胞病理的影響を減少させるために有用である。このような方法はまた、ウイルス感染された宿主細胞からウイルス感染されていない宿主細胞へと疱疹ウイルスが広がることを防ぐために有用である。このような方法はまた、疱疹ウイルスの複製期間に起こる分子事象を研究するため、および潜伏疱疹ウイルスの複製(特に潜伏性HSVの複製)を引き起こす因子の研究のためのモデル系を確立するために有用である。
【0014】
本発明はまた、疱疹ウイルス感染(特にHSV感染)を有する被験体またはその疑いのある被験体を処置する方法を提供する。この方法は、ヒドロキシル化トラン(特にジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トラン)の治療有効量を含む局所用組成物を、疱疹ウイルス感染された部位に投与する工程を包含する。本発明はまた、HSV感染、CMV感染、およびVZV感染からなる群から選択される疱疹ウイルス感染を処置するための局所用組成物に関連する。
【0015】
本発明はまた、グラム陰性細菌Neisseria gonorrheaの複製を阻害する方法を提供する。このような方法は、細菌とヒドロキシル化トラン(好ましくは、ジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トラン)を含む組成物とを接触させる工程を包含する。インビボにおいて、このような方法は、細菌と接触したことのある個体(例えば、キャリア)または細菌と接触することが予測される個体の処置にとって使用され得る。インビボにおいて、このような方法は、ヒドロキシル化トラン(特にトリヒドロキシル化トラン)の治療有効量を含む組成物を、被験体に投与する工程を包含する。
【0016】
(発明の詳細な説明)
1つの局面において、本発明は、宿主細胞において感染性の疱疹ウイルス粒子、特に感染性のHSV粒子の形成を阻害する方法を提供する。この方法は、ヒドロキシル化トランを、宿主細胞に投与する工程を包含する。ヒドロキシル化トランは、感染細胞内での疱疹ウイルスの複製を阻害するために十分な量または有効量を投与される。好ましくは、このヒドロキシル化トランは、宿主細胞のウイルス感染の前、または宿主細胞のウイルス感染後6時間以内のいずれかの宿主細胞に投与される。
【0017】
好ましくは、このヒドロキシル化トランは、宿主細胞をヒドロキシル化トランを含む組成物と接触させること、または宿主細胞をヒドロキシル化トランを含む組成物に暴露させることによってその宿主細胞に投与される。例えば、インビトロで、この方法は、疱疹ウイルス感染された宿主細胞の培養培地にヒドロキシル化トランを添加する工程を包含する。培養細胞の場合、このヒドロキシル化トランは、好ましくは、宿主細胞がこのウイルス感染する前、または宿主細胞がウイルス感染した後6時間以内に、培地に添加される。神経節において(神経節は、疱疹ウイルスの潜伏を研究(特に、HSVの潜伏を研究)するための組器官培養モデル系として機能する)、このヒドロキシル化トランは、神経節が潜在的に感染された宿主から摘出された後に培地に添加される。
【0018】
本発明の方法に従う培養細胞の処置は、細胞に対して毒性はなく、そしてこのヒト疱疹ウイルスの複製サイクルのいくつかの初期段階でHSVの複製をブロックすることが確定されている。HSV複製に対するポリヒドロキシル化トランの影響は可逆的であることもまた、確定されている。代表的な疱疹ウイルスであるHSVの複製は、同調して生じ、各期は、無事な完了に依存している。「最初期」は、感染の1〜3時間後に起こり、そして調節事象および合成事象に関連する。「初期」は、感染の3〜6時間後に起こり、これもまた、調節事象および合成事象(特に、ウイルスDNAの合成)に関連する。「後期」は、感染の6〜10時間後に起こり、そして最終の合成事象および感染ビリオン中のウイルス成分の集合に関連する。従って、全ての疱疹ウイルスは、同様の期および異なる期を通して推移する共通の複製スキームを有しているので、このような方法は、全ての疱疹ウイルスの複製期間に生じる分子事象を研究するためのモデル系を確立するために有用である。例えば、ヒドロキシル化トランの存在下および非存在下でインキュベートした哺乳動物細胞の培養物は、疱疹ウイルスの合成事象の調節に関連する細胞因子を同定するために使用され得る。このような細胞培養物はまた、感染性ウイルスの複製におけるHSV遺伝子産物(特に、現在、機能が未知であるこれらのタンパク質および因子)の役割を特徴付けるために使用され得る。
【0019】
このような方法はまた、疱疹ウイルスの潜伏、特に、神経節に潜伏しつづける疱疹ウイルス(例えば、HSVおよびVZV)の潜伏を研究するためのモデル系を確立するために有用である。このようなモデル系は、細胞外因子(例えば、ホルモンおよびサイトカイン)および細胞内因子ならびに潜伏性疱疹ウイルスの複製を引き起こす分子事象を特徴付けるために有用である。
【0020】
(疱疹ウイルス感染を有する被験体を処置するための方法および組成物)
別の局面において、本発明は、疱疹ウイルス感染を有する被験体を処置するための方法を提供する。この方法は、薬学的組成物、好ましくは局所用組成物(ヒドロキシル化トラン、好ましくはジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トランの治療有効量を含む)を感染部位に投与する工程を包含する。本明細書中で使用される「感染部位」は、疱疹ウイルス感染部位あるいは現在または以前の疱疹ウイルスで誘導された病変部位と接触することが予想される、以前感染されていない部位を意味する。このような方法は、特に、局所の疱疹ウイルス感染(例えば、HSVで誘導された皮膚病変、HSVで誘導された眼の感染、HSVで誘導された生殖管病変、CMVで誘導された眼の病変、およびVZVで誘導された眼の病変)を処置するために有用である。このような場合において、ヒドロキシル化トランが、感染部位に直接的に適用されることが好ましい。ヒドロキシル化トランが、水溶液の形態または膏薬形態で疱疹ウイルス感染部位に投与されることが好ましい。目の感染のために、ヒドロキシル化トランの水溶液が、点眼として投与されることが好ましい。疱疹ウイルス皮膚病変(例えば、HSVで誘導された皮膚病変、またはHSVで誘導された生殖管病変)のために、
この組成物が局所的に適用されることが好ましい。
【0021】
(Neisseria gonorrheaの増殖を阻害する方法)
別の局面において、本発明はNeisseria gonnorheaの増殖を阻害する方法を提供する。この方法は、ヒドロキシル化トラン、好ましくは、ジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トランを、生物体と接触したか、または接触し得た表面に投与する工程を包含する。インビボにおいて、ヒドロキシル化トランをヒト被験体の粘膜に投与する工程を包含する方法は、ヒト被験体における淋菌性疾患の症状を予防するかまたは低減させるために使用され得る。ヒドロキシル化トランは、薬学的組成物中に組み込まれ得る。これは、細菌のキャリアの粘膜またはキャリアと接触し得たヒトの粘膜に適用される。
【0022】
感染していない被験体への薬学的組成物の投与は、病原生物体に接触しているかまたは接触し得る部位への局所的投与を経由する。薬学的組成物は、標的化病原体に曝露される前、または感染していない被験体への病原生物体の曝露の好ましくは1〜24時間以内、より好ましくは1〜12時間後に適応されることが好ましい。Neisseria gonorrheaのキャリアへの薬学的組成物の投与は、生殖器、直腸、口腔咽頭への局所的投与を経由する。
【0023】
(ヒドロキシル化トラン)
本発明中で用いられる化合物(すなわち、ヒドロキシル化トラン)の構造骨格は、アセチレン架橋により連結される2つの芳香族環を含む。好ましくは、このヒドロキシル化トランは、ポリヒドロキシル化トランであり、より好ましくはジヒドロキシトランまたはトリヒドロキシトランであり、もっとも好ましくはトリヒドロキシトランである。ポリヒドロキシル化トランを調製するための一般的なスキームは、図2に示される。ヒドロキシル化トリフルオロメチルトランを調製するための一般的なスキームは、図3に示される。
【0024】
(局所用組成物)
この薬学的組成物は、ヒドロキシル化トラン、好ましくはポリヒドロキシル化トラン、より好ましくはジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トランの治療有効量、および薬学的に受容可能なキャリア、好ましくは局所用キャリアを含む。好ましくは、この組成物は、相対的に不活性な局所用キャリアを含む。多くのこのようなキャリアは、慣用的に使用され、そして薬学のテキストを参照することによって同定され得る。例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンコポリマー、およびいくつかの水溶性ゲルが挙げられる。これより後に「局所用組成物」と呼ばれるこのような組成物はまた、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤および当該分野で周知の他の薬学的に受容可能な材料を含む。用語「薬学的に受容可能」は、このヒドロキシル化トランの抗ウイルス活性または抗細菌活性の有効性を妨害することのない用量では非毒性材料であることを意味する。
【0025】
処置または使用のための本方法の実施において、ヒドロキシル化トランの治療有効量を含む薬学的組成物は、宿主細胞がウイルスまたは細菌に曝露される前、または後に、宿主被験体における感染部位に適用される。このような組成物は目、口腔および膣および口唇の境界領域ならびに直腸の感染の処置において特に効果的である。経口投与の場合、デントリフィックス(dentrifices)、うがい薬、練り歯磨きまたはゲルあるいは口腔スプレーが使用される。膣投与または直腸投与は、圧注器、泡沫、クリーム、軟膏剤、ゼリーおよび坐剤のような通常のキャリアで有り得、長時間持続する形態が好ましい。目への投与は、眼軟膏または溶液が好ましい。口唇の処置は、好ましくはゲルの形態である。
【0026】
局所用組成物は、ヒドロキシル化トランの活性またはその活性相補体の活性あるいはウイルス疾患または細菌疾患の処置における使用のいずれかを促進する他の薬剤をさらに含み得る。このようなさらなる因子および/または試薬は、ヒドロキシル化トランをともなって相乗効果を生み出すか、または副作用を最小限にする薬学的組成物に含まれ得る。局所用組成物はまた、ヒドロシキル化トランの取り込みを促進する薬剤を含み得る。
【0027】
好ましくは、局所用組成物は、ヒドロキシル化トランに対する溶媒(例えば、アルコール)を含む。液体キャリア(例えば、水、石油、動物または植物を供給源にする油(例えば、ピーナッツ油、ミネラル油、大豆油、またはゴマ油、コーン油あるいは合成油))が、添加され得る。薬学的組成物の液体形態は、生理的食塩水、デキトロースまたは他の糖類の溶液、あるいはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)をさらに含み得る。適切なpH、等張性、および安定性を有するこのような局所用組成物の調製は、当業者の範囲内である。
【0028】
本発明の局所用組成物は、リポソームの形態であり得、ここで、このヒドロキシル化トランは、両親媒性薬剤(例えば、ミセルのような集合形態で存在する脂質、不溶性単層、液晶、または水溶液における層状層)と結合される。リポソーム性処方物にとっての適切な脂質としては、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などが挙げられるが、これらに制限されない。このようなリポソーム性処方物の調製は、当業者のレベルの範囲内である。
【0029】
(投薬)
このヒドロキシル化トランは、治療有効量で宿主被験体における感染部位に投与される。本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」は、有意な利益(すなわち、処置、治癒、予防、改善、または疱疹ウイルス感染もしくは淋菌性感染の症状の低減あるいは治癒率の増加、このような感染の症状の改善または減少)を示すのに十分なヒドロキシル化トランの総量を意味する。
【0030】
「処置」とは、疱疹ウイルス感染もしくは淋菌性感染を治療または改善すること、あるいはこの感染の重症度を和らげることを意味する。予防とは、最初の病変の形成または感染した部位での病変の再発をブロックすることを意味する。このヒドロキシル化トラン(HSV感染、VZV感染、CMV感染または淋菌性感染を処置するかまたは予防し得る)の投薬は、本開示を考慮して、適切なコントロールを用いて、慣用的な試験を実行することにより、当業者によって決定され得る。コントロールに対する適切な処置群の比較は、特定の投薬が、制御されるチャレンジにおいて使用されるレベルで、感染を予防または処置するのに有効か否かを示す。
【0031】
本発明の方法を実施するために使用される種々の薬学的組成物は、約0.1μg〜約100mg/mlを含むべきであることが意図される。局所用組成物の単回適用は、疱疹ウイルスまたはNisseria gonorrheaの病理学的影響を改善するのに十分であるけれども、複数用量が好ましいことが予測される。
【0032】
(送達)
薬学的組成物の投与は、感染部位への局所投与を介する。初期病変を経験した個体において、感染の前駆症状段階(すなわち、疼痛、刺痛、感覚異常(parasthesia)の初期症状の間)に適用される局所用組成物が好ましい。好ましくは、組成物は、感染部位に定期的に適用され、より好ましくは3時間毎に適用される。本発明の薬学的組成物を用いる治療の継続期間は、処置される疾患の重篤度ならびに各個々の患者の状態および応答に依存して変化する。最後に、担当医が、本発明の薬学的組成物を用いる適切な継続期間を決定する。
【0033】
以下の実施例は、例示目的のためのみであり、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲を限定することを意図しない。本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が本明細書中に詳細に援用される。
【0034】
(実施例1:ポリ−ヒドロキシル化トランの合成)
(A.3,5−ジメトキシアニリンからの3,5−ジメトキシヨードベンゼンの合成)
温度計および機械スターラーを備え付けた500ml 3つ口丸底フラスコにおいて、添加用漏斗に、HCl(12M、100ml、1.2mol)および粉砕した氷(l00g)を配置した。このフラスコをドライアイス−Me2COで冷却した浴に浸け、3,5−ジメトキシアニリン(15.3g、100mmol)を攪拌しながら加えた。この冷却混合物に、40ml H2O中のNaNO2(8.4g、120mmol)を、反応混合物の温度を添加の間中−10〜−5℃の間に維持するような速度で滴下した。この反応混合物を0〜5℃で1時間攪拌した。ジアゾニウム塩の深赤色溶液を、十分に攪拌した200mlのKI(83g、500mmol)水溶液に室温で添加した。この混合物を2時間攪拌し、次いで一晩静置した。生じる溶液をエーテル(200ml×4)を用いて抽出した。プールした有機抽出物をブライン(200ml×2)で洗浄し、飽和したNa2S2O3水溶液(200ml×2)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、小容量に濃縮した。シリカゲルを添加し、この混合物を乾燥するまでエバポレートした。この予備充填したシリカゲルをシリカゲルのパッドに置き、石油を用いて溶出して、17.5g(66%)の無色固体の3,5−ジメトキシヨードベンセンを得た。1HNMR(CDCI3、300Mz):δppm:6.85(2H,d,J=2.3,Ar−H)、6.40(1H,t,J=2.3 Ar−H)、3.76(s,6H,2CH3O)。
【0035】
(B.エチルニルトリメチルシランおよびヨウ化アリールからのアリールエチニルトリメチルシランの合成)
(一般的な手順)
イソプロピルアミン(250ml)中のアリールメトキシ置換したヨウ化アリール(40mmol)の溶液に、Pd(PPh3)2Cl2(0.4mmol)およびCuI(0.8mmol)を添加し、次いで、トリメチルシリルアセチレン(44mmol)を添加した。この反応混合物をゆっくりとした窒素流の下で、周囲温度で2〜4時間攪拌した。反応混合物を濾過し、残渣を酢酸エチルで洗浄し、合わせた濾過液から溶媒をエバポレートした。粗生成物を溶離剤として石油/酢酸エチルを用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、メトキシ置換したアリールエチルイルトリメチルシランを得た。
【0036】
((1)2−(4−メトキシフェニル)−1−トリメチルシリル−エチン)
溶離剤として石油エーテルを用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、淡黄色のオイルとして2−(4−メトキシフェニル)−1−トリメチルシリル−エチン(96%収率)を得る。
【0037】
((2)2−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−トリメチルシリル−エチン)
溶離剤として石油エーテルを用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、2.2g(94%)の淡黄色の針状結晶体を得る。
【0038】
【化1】
(C.メトキシ置換したアリールアセチレンの合成)
メタノール(30ml)中のアリールエチニルトリメチルシラン(30mmol)の溶液に、フッ化カリウム(3.5g、60mmol)を添加した。この反応混合物を室温で2時間攪拌した。メタノールの除去後、生成物をエーテル(100ml×3)で抽出し、溶離剤として石油エーテルを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製し、純粋な生成物を得た。
【0039】
((1)p−メトキシルチルニルベンゼン(p−methoxyrthylnylbenzene))
淡黄色のオイルを92%収率で得た。
【0040】
【化2】
((2)3,5−メトキシルチルニルベンゼン(3,5−methoxyrthylnylbenzene))
淡黄色の針状結晶体を91%収率で得た。
【0041】
【化3】
(D.メトキシトランの合成)
(一般的な手順)
イソプロピルアミン(120ml)中のメトキシエチルニルベンゼン(20mmol)およびメトキシ置換したヨウ化アリール(22mmol)の溶液に、Pd(PPh3)2Cl2(0.2mmol)およびCuI(0.4mmol)を添加した。反応混合物を、ゆっくりとした窒素流の下で、周囲温度で6時間攪拌した。反応混合物を濾過し、残渣を酢酸エチルで洗浄し、合わせた濾過液から溶媒をエバポレートした。粗生成物を、溶離剤として石油エーテル/酢酸エチル(9:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、メトキシトランを得た。
【0042】
((1)3,4’,5−トリメトキシルトラン)
淡黄色のオイルを93%収率で得た。
【0043】
【化4】
((2)3,3’,5,5’−テトラメトキシトラン)
無色の針状結晶体結晶を85%収率で得た。
【0044】
【化5】
((3)4,4’−ジメトキシトラン)
無色の針状結晶体結晶を91%収率で得た。
【0045】
【化6】
(E.ヒドロキシトランの合成)
(一般的な手順)
乾燥した250mlの3つ口丸底フラスコ中に、N2下で無水塩化メチレン中のメトキシトラン(10mmol)の溶液を配置した。反応混合物を−20℃よりも下に冷却し、シリンジによってBBr3(20mmol×メトキシ基の数)を添加した。次いで、この反応混合物を室温に温め、24時間にわたって攪拌した。次いで、この反応物(赤茶けた澄んだ溶液)を氷水に注ぎ、攪拌した。十分な攪拌後、NaHCO3水溶液を添加して、この混合物のpHを7〜8に調整した。次いで、この反応混合物を酢酸エチルを用いて3〜4回抽出した。有機相をブラインを用いて洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。赤茶色の粗生成物を、溶離剤として石油/酢酸エチル(1:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヒドロキシトランを得た。
【0046】
((1)3,4’,5−トリヒドロキシトラン)
淡黄色の固体を82%収率で得た。
【0047】
【化7】
((2)3,3’,5,5’−テトラヒドロキシトラン)
淡赤色の固体を92%収率で得た。
【0048】
【化8】
((3)4,4’−ジヒドロキシトラン)
白色固体を93%収率で得た。
【0049】
【化9】
(実施例2)
(4−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトランの合成)
図3は、ヒドロキシトリフルオロメチルトランの調製のための合成スキームを示す。特定の反応工程の合成的な詳細を、以下に記載する。ほとんどの反応を高収率(90%以上)で達成した。全ての生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、GCおよび1HNMR分光法によって特徴付けた。
【0050】
(1.1−ヨード−4−テトラヒドロピラニルオキシベンゼン1)
氷浴で冷却したCH2Cl2(50ml)中の4−ヨードフェノール(11.0g、50mmol)の攪拌溶液に、ジヒドロピラン(5.0g、60mmol)を0〜5℃で10分間かけて滴下した。溶液が澄んだ後に、トルエンスルホン酸、TsOH(10mg)を添加した。この溶液を20℃で15分間攪拌した。次いで、これをNaHCO3(1g)および3滴の水の添加によってクエンチし、20℃で5分間攪拌した後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を、溶離剤として石油エーテルを用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色結晶として14.0g(92%)の1を得た。
【0051】
【化10】
(2.4−テトラヒドロピラニルオキシ−1−(トリメチルシリルエチニルベンゼン2)
窒素下でジイソプロピルアミン(180ml)中の化合物1(9.12g、30mmol)の脱気溶液に、Pd(PPh3)2Cl2(140mg、0.2mmol)およびCuI(78mg、0.4mmol)を添加した。次いで、トリメチルシリルアセチレン(3.3g、33mmol)をこの澄んだ溶液に滴下した。この反応混合物を、室温で2時間攪拌した。反応手順の間に形成された塩を濾過し、酢酸エチルを用いて十分に洗浄した。濾液を乾燥するまでエバポレートし、濃塩酸(5ml)、水(25ml)および破砕した氷(10g)を用いて加水分解し、次いで、酢酸エチルを用いて抽出した。合わせた有機ペーストをブラインを用いて洗浄し、MgSO4を用いて乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル−酢酸エチル=9:1)によって精製して、黄色オイルの2を得た。収率7.9g(96%)。
【0052】
【化11】
(3.4−テトラヒドロピラニルオキシフェニルアセチレン3)
KF(9.3g、160mmol)を、MeOH(150ml)中の2(22.6g、80mmol)の攪拌溶液に添加した。反応混合物を、室温で約4時間攪拌した。反応の完了(GCが出発材料が残っていないことを示す)後、溶媒をロタリーエバポレーターでの減圧下で除去した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル−酢酸エチル=9:1)によって精製して、淡黄色結晶の3を得た。収率15.7g(97%)。
【0053】
【化12】
(4.4−テトラヒドロピラニルオキシ−4’−トリフルオロメチルトラン4)
ジイソプロピルアミン(250ml)中の3(12.1g、60mmol)および4−ブロモベンゾフルオライド(14.85g、66mmol)の溶液を、窒素下で30℃に加熱し、溶液を脱気した。次いで、Pd(PPh3)2Cl2(210mg、0.3mmol)およびヨウ化銅(I)(114 mg、0.6mmol)をこの澄んだ溶液に添加した。この反応混合物を80℃で2時間攪拌し、次いで、室温に冷却した。反応手順の間に形成された塩を、濾過し、酢酸エチルを用いて十分に洗浄した。濾液を乾燥するまでエバポレートし、濃塩酸(10ml)、水(100ml)および破砕した氷(50g)を用いて加水分解し、次いで、酢酸エチルを用いて抽出した。合わせた有機ペースをブラインを用いて洗浄し、MgSO4を用いて乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル−酢酸エチル=9:1)によって精製して、淡黄色結晶の4を得た。収率16.6g(80%)。
【0054】
【化13】
(5.5−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトラン5)
化合物4(13.84g、40mmol)、CH2C12(75ml)およびMeOH(125ml)を250mlの丸底フラスコに配置し、次いで、TsOH(0.4g、0.4mmol)を添加した。反応混合物を30℃で1時間攪拌した。反応が完了したときに(TLCが出発材料が残っていないことを示す)、溶媒をロタリーエバポレーターによって除去し、残渣をEtOAcに溶解し、シリカゲルを通して濾過した。溶媒を除去し、酢酸エチルおよびヘキサン(1:5)の溶媒から固体を再結晶化させ、淡黄色結晶9.5g(90%)を得た。
【0055】
【化14】
(実施例3−ジヒドロキシル化トランを用いた処理による、感染性HSV−1粒子形成の阻害)
アフリカミドリザル腎臓細胞(Vero)(American Type Culture Collection,Rockville,MDから入手した)の培養物を、25cm2組織培養フラスコ中、5% ウシ胎仔血清、0.075% NaHCO3、および50μg/ml 硫酸ゲンタマイシンを補充した培地199中に、コンフルエントになるまで増殖させた。細胞を、1の感染多重度(moi)でHSV−1を用いて感染させ、室温で1時間インキュベートし、ウイルスを細胞に付着させ、そして侵入させた。これらの条件下、約半分の細胞がウイルスに感染した。この後、培養物を培地を用いて3回リンスし、0.2% ジメチルスルホキシド(DMSO)中に調製した50μMまたは75μMの4,4’−ジヒドロキシトランを含む培地中でインキュベートした。コントロールは、同じ処理をしたが、ジヒドロキシル化トランを用いずにインキュベートした。比較目的のために、HSV細胞をまた、52.5μM 4,4’−ジヒドロキシスチルベンの存在下で接種させた。スチルベンの高い細胞毒性に起因して、細胞を、75μM ジヒドロキシスチルベンの存在下ではインキュベートしなかった。
【0056】
培養物への培地の添加の際、およびその後の24時間の期間(すなわち、薬物添加の0時間後、24時間後、48時間後、および72時間後)に、細胞および培地を−70℃で凍結した。次いでサンプルを解凍し、超音波処理し、ベロ細胞で滴定して、各培養物によって生成されたウイルスのプラーク形成単位(pfu)の数を決定した。
【0057】
図4に示すように、1のmoiで感染させたコントロール培養物において生成されたpfuの数は、感染の約24時間後に生成のピークに達する。この時点で、この系は消耗され、すなわち、活性なウイルスが、インキュベーションの最初の1時間の間に感染した細胞のみならず、最初に感染した細胞によって放出されるウイルスによって感染されるようになる細胞までも感染し、そしてこれらを破壊する。処置の72時間目でのコントロール培養物において増加が観察されなかったことは、ウイルス産生がピークであり、このことは、再生する生存細胞が欠けているからであることを示す。
【0058】
図4に示すように、75μM 4,4’−ジヒドロキシトランを用いた細胞の処理は、24時間目において、HSV−1感染細胞における感染性ウイルス粒子の形成を99%よりも多く阻害した。72時間目までには、感染性HSV粒子は、75μM 4,4’−ジヒドロキシトランの存在下で連続的にインキュベートした培養物において実質的に検出不可能であった。50μM 4,4’−ジヒドロキシトランを用いた処理は、新規ウイルス産生を95%のみ低減した。対照的に、50μM 4,4’−ジヒドロキスチルベンを用いたHSV感染細胞の処理は、ウイルス産生に何の影響も与えなかった(データには示されない)。これらの結果はまた、ジヒドロキシル化トランによるウイルス複製の阻害が用量依存的であることを実証する。
【0059】
(実施例4−複製初期段階の前または複製初期段階の間にヒドロキシル化トランと細胞とを接触させることによる、感染性HSV−1粒子の形成阻害)
ベロ細胞を10moiでウイルスを用いて感染させた以外は実施例3に記載されるように、ベロ細胞培養物をHSV−1で感染させた。これらの条件下で、ほぼ全細胞がインキュベーション期間の最初の1時間の間にウイルスに感染する。付着していないウイルスの除去後、ウイルスに感染した培養物を、ヒドロキシル化トランを欠くコントロール培地中でインキュベートするか、あるいは、付着していないウイルスの除去の1時間後、3時間後、6時間後、または9時間後に105μM 4,4’−ジヒドトキシトランを添加する培地中でインキュベートした。感染の24時間後、未処理培養物およびヒドロキシル化トラン処理培養物の細胞および培地に存在するpfuの数を決定した。
【0060】
図5に示す結果は、ウイルス複製の初期段階にあるウイルス感染細胞に投与する場合、ヒドロキシル化トランが最も効果的であることを実証する。感染1時間後に105μM 4,4’−ジヒドロキシトランで処理した培養物では、ウイルス生成は、99%より大きく減少した。感染3時間後または感染6時間後に105μM 4,4’−ジヒドロキシトランで処理した培養物では、ウイルス生成は、およそ90%阻害された。感染9時間後にヒドロキシル化トランを添加した場合、感染性ウイルス粒子の形成は、阻害されなかった。
【0061】
ヒドロキシル化トランが、ウイルスを直接的に不活性化することにより感染性ウイルス粒子の形成をブロックするか否かを決定するために、HSV−1の標準接種物を、105μM 4,4’−ジヒドロキシトランを含有する培地、0.2% DMSOを含有する培地、または培地単独と混合し、室温に静置した。各々の個々の溶液をウイルスに添加した後1分、10分、30分および60分での残留pfuの存在数を、プラークアッセイにより決定した。この結果は、ヒドロキシル化トランが、HSVを直接的に不活性化しないことを実証した(データは示していない)。
【0062】
ヒドロキシル化トランが、HSV−1の細胞への接着を妨げないこともまた、研究により実証された(データは示していない)。
【0063】
(実施例5−HSV複製の阻害)
ベロ細胞をコンフルエンスになるまで増殖し、そして1のmoiにてHSV−1で感染し、次いで、ヒドロキシル化トランを含まない培地(コントロール培養)または105μM 4,4’−ジヒドロキシトランを含む培地中でインキュベートした。1セットの感染細胞を、72時間、ヒドロキシル化トラン中で維持した。別のセットの感染細胞において、24時間で、ヒドロキシトラン含有培地を、ヒドロキシル化トランを含まない培地と交換した。別のセットの細胞において、感染48時間後に、トラン含有培地を、ヒドロキシル化トランを含まない培地と交換した。各々のセットの感染細胞により産生された感染性HSV粒子の数を、プラークアッセイにより決定した。
【0064】
図6に示す結果は、ウイルス感染細胞におけるHSV複製に対する105μM 4,4’−ジヒドロキシトランの阻害効果は、可逆的であることが実証されるこを示す。従って、ヒドロキシル化トランによるHSV感染細胞の連続的な処理は、ウイルスを非感染性状態で維持する。ヒドロキシル化トランによる非連続的な処理は、ウイルスの複製が、通常の様式であるかの如く進行することを許容する。図6に示す結果はまた、ヒドロキシル化トラン処理細胞におけるHSV複製が、初期段階でブロックされた(すなわち、HSVの複製は、細胞が損傷を受け、このヘルペスウイルスの複製を支持することができなくなる段階を通過して進行しなかった)ことを示唆する。
【0065】
図6に示す結果はまた、長期間、哺乳動物細胞を105μM 4,4’−ジヒドロキシトランに曝すことにより、その細胞が死滅しないことを示唆する。細胞生存率の研究により、105μM 4,4’−ジヒドロキシトランによる24時間の非感染ベロ細胞の処理が毒性ではないことが確認された。
【0066】
(実施例6−ポリヒドロキシル化トランの存在下で生成されるウイルスタンパク質の特徴付け)
ICP−4およびICP−27は、HSV−1の最初期の調節タンパク質であり、このウイルスの効果的な複製に必要とされる。ICP−4またはICP−27の生成が、ヒドロキシル化トラン処理により変更されるか否かを決定するために、ベロ細胞の別々の培養物を、HSV−1で1のmoiにて感染させ、コントロール培地または105μM 4,4’−ジヒドロキシトランを含有する培地中で24時間インキュベートした。感染細胞をフラスコから掻き取り、遠心分離により収集し、そして冷やしたトリス緩衝化生理食塩水中で再懸濁し、遠心分離によりペレット状にし、そしてこの細胞ペレットを−70℃で凍結した。タンパク質を、解凍したペレットから抽出し、6〜15%SDS−PAGEにより分離し、そしてICP−4またはICP−27に対するマウスモノクローナル抗体(Goodwin Institute for Cancer Research Inc.,FL)と反応させることによりウェスタンブロットでアッセイした。
【0067】
図7および図8に示すように、ジヒドロキシトランによるHSV感染細胞の処理は、2つの主要な調節タンパク質であるICP−4およびICP−27の合成を有意に減少させた。これらの結果により、ヒドロキシル化トランによる処理は、複製スキームの初期段階でヘルペスウイルスの合成を阻害することが確認される。これらの結果はまた、ヒドロキシル化トランにより処理された培養細胞が、HSV複製の最初期段階および初期段階に生成されるヘルペスウイルス遺伝子産物を特徴付けするための有用なモデル系であることを示唆する。
【0068】
(実施例8−トランの細胞毒性)
トラン4,4’−ジヒドロキシトラン(「トラン−5」)、3,4’,5−ジヒドロキシトラン(「トラン−10」)、および4−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトラン(「トラン−11」)の細胞毒性を、MTTアッセイを用いて決定した。このアッセイにおいて、細胞を、MTT、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドに曝す。これは、細胞に取り込まれ、ミトコンドリアデヒドロゲナーゼにより、紫色ホルマザンに還元される。この紫色ホルマザンは、インタクトな細胞膜を通過できず、それによって健常な細胞内に蓄積される大きな分子である。MTTを還元する細胞の能力は、ミトコンドリアの完全性および活性の指標であり、生存率の測定として解釈され得る。細胞の可溶化は、分光光度法により容易に検出され得る生成物の遊離を引き起こす。
【0069】
種々の濃度のトラン−5、トラン−10、およびトラン−11を、ベロ細胞を播種した96ウェル組織培養プレートに添加した。次いで、このプレートを37℃、5% CO2/95%空気中で、24時間、48時間、および72時間インキュベートした。各々の時点の最後に、50μlのMTT(1mg/ml)を組織培養プレートに添加し。次いで、さらに4時間インキュベートした。その時点の細胞に、ジメチルスルホキシド(DMSO)を添加して、細胞およびホルマザンを溶解し、そしてこのプレートを、分光光度的に540nmで読み取った。このデータから、CD50、すなわち50%の細胞非生存を与えるのに必要とされる個々のトランの濃度を算出した。処置の24時間、48時間、および72時間でのトラン−5、トラン−10、およびトラン−11についての毒性結果を、以下の表1に示す。
【0070】
(表1.実施例1および2のヒドロキシル化トランについてのCD50:ベロ細胞において、48時間でのMTT比色アッセイを用いて毒性を測定し、毒性用量(μMのCD50、細胞生存における50%減少に基づく)として報告する)
【0071】
【表1】
表1に示すように、トラン−10は、ほとんど毒性を示さなかった。このトリヒドロキシトランについて該算されたCD50は、200μm未満である。ヒドロキシトリフルオロメチルトラン、トラン−11は、他のヒドロキシル化トランよりも大きな毒性であった。従って、トラン−11は、より好ましくない。
【0072】
(実施例9:インビトロでのHSV−1複製の阻害)
組織培養細胞を、HSV−1で感染させ、そしてトラン−5、トラン−10、およびトラン−11を含む溶液中でインキュベートした。用いられる濃度は、処理の48時間で個々のトランについて算出されたCD50の1/2〜3/4の範囲である。
【0073】
詳細には、ベロ細胞を、1時間に1の感染効率にて、HSV−1で感染させた。この期間の最後に、培養物を培地でリンスし、そして種々の濃度の個々のトランを含む新鮮な培地を添加した。感染させたコントロール培養物を、ヒドロキシル化トランを含まない培地中でインキュベートした。感染後1時間、24時間、48時間、および72時間で、サンプルを、新たなウイルス生成についてアッセイするまで−70℃で凍結させた。ウイルス生成を、感染の各時点についてのプラークアッセイにより定量した。この結果は、1ミリリットル当たりのプラーク形成ユニット(pfu/ml)として表わされる。
【0074】
図9A〜Cに示すように、トラン−5、トラン−10、およびトラン−11は全て、HSV−1生成を阻害したが、程度が異なった。トラン−5(図9A)は、50μmよりも75μmで、ウイルスに対してより阻害的だった。トラン−10(図9B)は、上は350μmから下は175μmの範囲の全ての濃度で等しくこのウイルスに対して効果的だった。トラン−11は48μm未満の濃度で、ほとんど全く効果を有さなかった。
【0075】
阻害が生じる場合、それは、アッセイした最も早い時点(感染後24時間)での全てのトランで見られた。一旦抑制されると、このウイルスは、ウイルス生成について細胞を試験した72時間の期間、回復しなかった。
【0076】
(実施例10:インビボでのHSVの阻害)
4〜5週齢の雌SKH−1無毛マウスを、軽く麻酔し、首の外側背面部におよそ2〜3mmの長さで0.25mmの深さの引っ掻き傷を作った。この引っ掻き傷を、106プラーク形成ユニットのHSV−1で感染させた。1時間後、感染した引っ掻き傷領域を、5%または10%のトラン−10を含むDMSO溶液を用いて処理した。この処理を、1日に3回、5日間繰り返した。各処理群に少なくとも6匹のマウスが存在した。未処理マウスおよびDMSOのみで処理したマウスを、コントロールとして用いた。
【0077】
この引っ掻き傷部位を、HSV感染の証拠について毎日試験し、そして以下のスケジュールに従ってスコア付けした。これを第1日目に開始して10〜11日間継続した。
【0078】
0 = 引っ掻き傷による皮膚に視覚的な変化がなかった
1+ = 引っ掻き傷の周囲に丘疹が存在した
2+ = 引っ掻き傷の周囲に丘疹が、かさぶたの形成を伴い潰瘍化した
3+ = 動物の側腹部への末梢神経に沿って潰瘍性帯状疱疹形態(ulcerative zosterform)が広がった
4+ = 潰瘍性外傷が側腹部で開いた
5+ = 死亡/屠殺した
このデータを、処理に従ってグループ分けし、そして有意性について統計的に分析した。
【0079】
図10および図11に示すように、5%および10%の濃度でのトラン−10は、未処理のコントロールまたはDMSOのみで処理した動物と比較した場合、HSV外傷の重篤度を有意に減少させた。この差異は、感染後3日目で明らかであった。優位な差異ではないが、10% トラン−10は、5% トラン−10よりもわずかに効果的であるようであった(特に、6〜10日目)。しかし、11日目に、この2つの処理群の間に差異は存在しなかった。
【0080】
生存性データを図11に示す。DMSOコントロール群および未処理群における動物の50%は、感染後11日以内に死亡し、5%または10%トランで処理した動物は、この期間中、1匹も死亡しなかった。
【0081】
(実施例11:トラン−10によるNeisseria gonorrheaの増殖阻害)
種々の濃度のトリヒドロキシトラン トラン−10を、標準的な手順を用いて調製したチョコレート寒天プレートに加えた。トリヒドロキリル化トランを、まずDMSOおよび培地に溶解し、次いで、液体チョコレート寒天に添加し、次いで、ペトリプレートに注いで固化させた。寒天中のDMSOの最も高い濃度は0.5%だった。チョコレート寒天およびDMSOを終濃度0.5%で含むコントロールプレートもまた調製した。
【0082】
Neisseria gonorrhea CDC98を、Difco Laboratoriesから入手した。この細菌の確実性(authenticity)を、標準的な同定技術を用いて確認した。この細菌の単離体の培養物を、固化したチョコレート寒天の新鮮なプレートに播種し、次いで24時間後、単離されたコロニーから懸濁物を作成した。
【0083】
この懸濁物の10μlのアリコートを、トランを含まない固化コントロールチョコレート寒天表面および終濃度1〜125μg/mlの範囲でトラン−10を含む固化チョコレート寒天の表面に均等に広げた。その後、この寒天プレートを、5%CO2の存在下または非存在下で、37℃にてインキュベートした。全てのプレートを、24時間後の細菌の増殖について視覚により試験し、増殖を50%阻害するトリヒドロキシル化トランの濃度(MIC50)およびいかなる可視的な増殖をも阻害する濃度(MIC100)を決定した。
【0084】
Escherichia coli、Staphylococcus aureus、Streptococcus pyogenes、Pseudomonas aeruginosa、Neisseria meningitidis、およびCandida albicansの増殖に対する同一濃度のトラン−10の効果もまた決定した。以下の表IIに示すように、トラン10は、Neisseria gonorrhoeaeを選択的に阻害した。24時間の処理でのトリヒドロキシル化トランのこの細菌に対するIC50値は、50μg/mlであり、IC100値は、100μg/mlであった。対照的に、試験した最も高い濃度のトラン10は、列挙される他の微生物に対する効果を有さなかった。
【0085】
(表2.細菌およびC.albicansに対するトラン−10のIC)
【0086】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、4,4’−ジヒドロキシトラン(「トラン−5」)、3,4’,5−トリヒドロキシトラン(「トラン−10」)および4−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトラン(「トラン−11」)の構造を示す。
【図2】図2は、ヒドロキシル化トランを作製するための合成スキームである。
【図3】図3は、ヒドロキシル化トリフルオロメチルトランを作製するための合成スキームである。
【図4】図4は、異なる濃度のジヒドロキシル化トランを用いて処理したウイルス感染細胞におけるHSV−1複製の程度を示すグラフである。
【図5】図5は、感染後異なる時間で4,4’−ジヒドロキシトランを用いて処理したウイルス感染細胞におけるHSV−1複製の程度を示すグラフである。
【図6】図6は、ウイルス感染細胞におけるHSV−1複製に対する4,4’−ジヒドロキシトランの阻害効果の可逆性を示すグラフである。
【図7】図7は、HSV−1感染細胞におけるICP−4の蓄積に対する4,4’−ジヒドロキシトランを用いる処置の影響を示すグラフである。
【図8】図8は、HSV−1感染細胞におけるICP−27の蓄積に対する4,4’−ジヒドロキシトランを用いる処置の影響を示すグラフである。
【図9】図9A、図9Bおよび図9Cは、感染細胞におけるHSV−1の複製に対する4,4’−ジヒドロキシトラン(「トラン−5」)、3,4’,5−トリヒドロキシトラン(「トラン−10」)および4−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトラン(「トラン−11」)のそれぞれの阻害効果を示すグラフである。
【図10】図10は、HSV−1に感染した動物において疱疹性病変の発症に対する5%トラン−10溶液の影響を示すグラフである。
【図11】図11は、HSV−1に感染した動物において疱疹性病変の発症に対する10%トラン−10溶液の影響を示すグラフである。
【図12】図12は、HSV−1の感染を生き延びたコントロール動物およびトラン処理した動物のパーセンテージを示すグラフである。
本願は、2000年8月15日に出願された米国仮特許出願番号60/225,609に対し優先権を主張する。
【0002】
(背景)
本発明は、ヘルペスウイルスおよびNeisseria gonorrhoeaeの複製を阻害する組成物に関し、この組成物を用いて、これらの微生物に感染した対象を処置する方法に関する。
【0003】
ヒトヘルペスウイルスは、実質的にヒトの身体の任意の器官における宿主細胞に感染し得る。ヘルペスウイルスの感染宿主細胞中での複製は、感染細胞の溶解および大量の感染性ウイルスの放出をもたらす。溶解した細胞から放出される感染性粒子は、最初に感染した部位またはその近傍にある他の細胞に感染し得、そしてそれらの細胞を破壊し得る。これらの感染性粒子はまた、感染していない個体に伝染し得る。ヒトヘルペスウイルスはまた、一生の間罹患した個体の他の細胞中に侵入し、そして潜伏(すなわち、非複製状態)を続ける。この長期感染は、罹患した個体中で、繰り返し感染するための感染性ウイルスの貯蔵庫の役割および無意識の接触に対する感染源の役割をする。
【0004】
少なくとも4つのヒトヘルペスウイルス(単純疱疹ウイルス1型(HSV−1)、単純疱疹ウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)および水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)を含む)が、特定の感染個体の眼に感染し、病変を引き起こすことが知られている。同時に、これらの4つのウイルスは、先進地域での感染性失明の主な原因である。
【0005】
HSV−1は、主に口腔に感染するが、HSV−2は主に生殖器部位に感染する。しかし、身体の任意の領域(眼、皮膚および脳を含む)は、いずれの型のHSVでも感染し得る。一般に、HSVは、感染した個体の感染部位に直接接触することによって、感染していない個体に伝染する。
【0006】
初回のHSV感染または繰り返しのHSV感染の初期症状としては、感染部位における刺痛、疼痛および/または感覚異常が挙げられる。これに感染部位(すなわち、口腔、眼、皮膚または生殖管(reproductive tract))における病変の形成が続く。典型的に、約10日から14日で治癒する。
【0007】
HSV感染に応答して生じる免疫応答は、免疫応答性個体の身体全体を通してをウイルスの蔓延を防ぐ。しかし、このような免疫応答は、全ての感染性HSV粒子を、感染した個体の身体から除去するわけではない。免疫応答により殺されなかったウイルス粒子は、神経経路に沿って感染した個体の神経節まで移動し、ここでウイルス粒子は、潜伏状態を維持する。種々の刺激(ストレス、環境因子、他の薬剤負荷、食品添加物または食材を含む)に応答して、感染性ウイルス粒子は、神経節から離れ、元の感染部位またはその近傍での繰り返しの感染を生じ得る。HSV感染した個体が、免疫抑制されているかまたは免疫系がよく発達していない(例えば、新生児)場合、感染部位からのウイルス粒子の蔓延もまた生じ得て、生命を脅かす合併症(脳炎を含む)をもたらし得る。
【0008】
呼吸器経路により伝染する、VZVは、水痘、および感染した個体の皮膚上の斑点状丘疹により特徴付けられる疾患の原因となる。臨床的な感染の解消としては、ウイルスは、神経節において潜伏状態に入り、一部の個体において、帯状疱疹、すなわち「帯状ヘルペス」として再発するだけである。再発した皮膚病変は、皮膚知覚帯に接近を維持し、感染した個体における激しい疼痛およびかゆみを生じる。
【0009】
CMVは、より遍在性であり、体液中で伝染し得る。CMVの正確な潜伏部位は、正確には同定されていないが、感染した宿主の白血球であると考えられている。CMVは、小水疱病変を生じないが、発疹を生じる。
【0010】
ヒトヘルペスウイルス感染に対する治療法(すなわち、感染した個体の身体からウイルスを除去する方法)は既知ではない。さらに、感染性ヘルペスウイルス粒子の形成をブロックし、それによりヘルペスウイルス誘導性の感染の頻度、重篤度または持続、および潜在的に感染した個体における感染の繰り返しの可能性を減じる方法は、ほとんど存在しない。従って、感染性ヘルペスウイルス粒子の形成を阻害するさらなる方法を有することが必要とされる。このような方法は、ヘルペスウイルス感染した個体における重篤度、およびヘルペスウイルス感染した個体から感染していない個体への伝染の可能性を制限するのに有用である。
【0011】
Neisseria gonorrhoeaeは、グラム陰性細菌であり、ヒトにおいて病原性である。この細菌は、ヒトからヒトへ、感染した分泌物に接触することによって(最も頻繁には、性的接触によって)伝播する。一旦この病原体が粘膜表面に沈着すると、分子の一連の複合的相互作用が生じ、粘膜の円柱状細胞の浸潤を生じる。疾患のスペクトルは、尿道、頸部、直腸および口腔咽頭部膜の局所的感染から、骨盤または精巣上体の浸潤、血流の浸潤までの範囲にわたり、例えば、心臓弁、関節および心膜などの離れた器官までの蔓延を伴っても伴わなくてもよい。この病原体はまた、結膜に感染し得る。淋菌性結膜炎は、感染した産道を通過する新生児に、最も頻繁に感染するが、成体にも感染し得る。
【0012】
淋菌ワクチンの探索は、長年にわたって行われてきているが、実質的に何の成果もない。従って、主な処置は、抗生物質の前曝露または後曝露による予防を含む。抗生物質の点眼に加え、硝酸銀もまた、新生児の淋菌性結膜炎を処置するのに使用されてきた。不幸なことに、この細菌は、最も一般的な抗生物質(例えば、ペニシリン)のいくつかに対して耐性を生じている。従って、この病原体の増殖を減ずるためのさらなる組成物が必要である。
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、宿主細胞において感染性の疱疹ウイルス粒子、特に感染性のHSV粒子の形成を阻害する新規の方法を提供する。この方法は、ヒドロキシル化トラン(特にジヒドロキシトランまたはトリヒドロキシトラン)を、疱疹ウイルス感染された宿主細胞に投与することを含む。このヒドロキシル化トランは、ウイルス感染された宿主細胞において、このウイルスの複製を阻害するのに十分な有効量で、宿主細胞に投与される。このような方法は、疱疹ウイルス感染の細胞病理的影響を減少させるために有用である。このような方法はまた、ウイルス感染された宿主細胞からウイルス感染されていない宿主細胞へと疱疹ウイルスが広がることを防ぐために有用である。このような方法はまた、疱疹ウイルスの複製期間に起こる分子事象を研究するため、および潜伏疱疹ウイルスの複製(特に潜伏性HSVの複製)を引き起こす因子の研究のためのモデル系を確立するために有用である。
【0014】
本発明はまた、疱疹ウイルス感染(特にHSV感染)を有する被験体またはその疑いのある被験体を処置する方法を提供する。この方法は、ヒドロキシル化トラン(特にジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トラン)の治療有効量を含む局所用組成物を、疱疹ウイルス感染された部位に投与する工程を包含する。本発明はまた、HSV感染、CMV感染、およびVZV感染からなる群から選択される疱疹ウイルス感染を処置するための局所用組成物に関連する。
【0015】
本発明はまた、グラム陰性細菌Neisseria gonorrheaの複製を阻害する方法を提供する。このような方法は、細菌とヒドロキシル化トラン(好ましくは、ジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トラン)を含む組成物とを接触させる工程を包含する。インビボにおいて、このような方法は、細菌と接触したことのある個体(例えば、キャリア)または細菌と接触することが予測される個体の処置にとって使用され得る。インビボにおいて、このような方法は、ヒドロキシル化トラン(特にトリヒドロキシル化トラン)の治療有効量を含む組成物を、被験体に投与する工程を包含する。
【0016】
(発明の詳細な説明)
1つの局面において、本発明は、宿主細胞において感染性の疱疹ウイルス粒子、特に感染性のHSV粒子の形成を阻害する方法を提供する。この方法は、ヒドロキシル化トランを、宿主細胞に投与する工程を包含する。ヒドロキシル化トランは、感染細胞内での疱疹ウイルスの複製を阻害するために十分な量または有効量を投与される。好ましくは、このヒドロキシル化トランは、宿主細胞のウイルス感染の前、または宿主細胞のウイルス感染後6時間以内のいずれかの宿主細胞に投与される。
【0017】
好ましくは、このヒドロキシル化トランは、宿主細胞をヒドロキシル化トランを含む組成物と接触させること、または宿主細胞をヒドロキシル化トランを含む組成物に暴露させることによってその宿主細胞に投与される。例えば、インビトロで、この方法は、疱疹ウイルス感染された宿主細胞の培養培地にヒドロキシル化トランを添加する工程を包含する。培養細胞の場合、このヒドロキシル化トランは、好ましくは、宿主細胞がこのウイルス感染する前、または宿主細胞がウイルス感染した後6時間以内に、培地に添加される。神経節において(神経節は、疱疹ウイルスの潜伏を研究(特に、HSVの潜伏を研究)するための組器官培養モデル系として機能する)、このヒドロキシル化トランは、神経節が潜在的に感染された宿主から摘出された後に培地に添加される。
【0018】
本発明の方法に従う培養細胞の処置は、細胞に対して毒性はなく、そしてこのヒト疱疹ウイルスの複製サイクルのいくつかの初期段階でHSVの複製をブロックすることが確定されている。HSV複製に対するポリヒドロキシル化トランの影響は可逆的であることもまた、確定されている。代表的な疱疹ウイルスであるHSVの複製は、同調して生じ、各期は、無事な完了に依存している。「最初期」は、感染の1〜3時間後に起こり、そして調節事象および合成事象に関連する。「初期」は、感染の3〜6時間後に起こり、これもまた、調節事象および合成事象(特に、ウイルスDNAの合成)に関連する。「後期」は、感染の6〜10時間後に起こり、そして最終の合成事象および感染ビリオン中のウイルス成分の集合に関連する。従って、全ての疱疹ウイルスは、同様の期および異なる期を通して推移する共通の複製スキームを有しているので、このような方法は、全ての疱疹ウイルスの複製期間に生じる分子事象を研究するためのモデル系を確立するために有用である。例えば、ヒドロキシル化トランの存在下および非存在下でインキュベートした哺乳動物細胞の培養物は、疱疹ウイルスの合成事象の調節に関連する細胞因子を同定するために使用され得る。このような細胞培養物はまた、感染性ウイルスの複製におけるHSV遺伝子産物(特に、現在、機能が未知であるこれらのタンパク質および因子)の役割を特徴付けるために使用され得る。
【0019】
このような方法はまた、疱疹ウイルスの潜伏、特に、神経節に潜伏しつづける疱疹ウイルス(例えば、HSVおよびVZV)の潜伏を研究するためのモデル系を確立するために有用である。このようなモデル系は、細胞外因子(例えば、ホルモンおよびサイトカイン)および細胞内因子ならびに潜伏性疱疹ウイルスの複製を引き起こす分子事象を特徴付けるために有用である。
【0020】
(疱疹ウイルス感染を有する被験体を処置するための方法および組成物)
別の局面において、本発明は、疱疹ウイルス感染を有する被験体を処置するための方法を提供する。この方法は、薬学的組成物、好ましくは局所用組成物(ヒドロキシル化トラン、好ましくはジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トランの治療有効量を含む)を感染部位に投与する工程を包含する。本明細書中で使用される「感染部位」は、疱疹ウイルス感染部位あるいは現在または以前の疱疹ウイルスで誘導された病変部位と接触することが予想される、以前感染されていない部位を意味する。このような方法は、特に、局所の疱疹ウイルス感染(例えば、HSVで誘導された皮膚病変、HSVで誘導された眼の感染、HSVで誘導された生殖管病変、CMVで誘導された眼の病変、およびVZVで誘導された眼の病変)を処置するために有用である。このような場合において、ヒドロキシル化トランが、感染部位に直接的に適用されることが好ましい。ヒドロキシル化トランが、水溶液の形態または膏薬形態で疱疹ウイルス感染部位に投与されることが好ましい。目の感染のために、ヒドロキシル化トランの水溶液が、点眼として投与されることが好ましい。疱疹ウイルス皮膚病変(例えば、HSVで誘導された皮膚病変、またはHSVで誘導された生殖管病変)のために、
この組成物が局所的に適用されることが好ましい。
【0021】
(Neisseria gonorrheaの増殖を阻害する方法)
別の局面において、本発明はNeisseria gonnorheaの増殖を阻害する方法を提供する。この方法は、ヒドロキシル化トラン、好ましくは、ジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トランを、生物体と接触したか、または接触し得た表面に投与する工程を包含する。インビボにおいて、ヒドロキシル化トランをヒト被験体の粘膜に投与する工程を包含する方法は、ヒト被験体における淋菌性疾患の症状を予防するかまたは低減させるために使用され得る。ヒドロキシル化トランは、薬学的組成物中に組み込まれ得る。これは、細菌のキャリアの粘膜またはキャリアと接触し得たヒトの粘膜に適用される。
【0022】
感染していない被験体への薬学的組成物の投与は、病原生物体に接触しているかまたは接触し得る部位への局所的投与を経由する。薬学的組成物は、標的化病原体に曝露される前、または感染していない被験体への病原生物体の曝露の好ましくは1〜24時間以内、より好ましくは1〜12時間後に適応されることが好ましい。Neisseria gonorrheaのキャリアへの薬学的組成物の投与は、生殖器、直腸、口腔咽頭への局所的投与を経由する。
【0023】
(ヒドロキシル化トラン)
本発明中で用いられる化合物(すなわち、ヒドロキシル化トラン)の構造骨格は、アセチレン架橋により連結される2つの芳香族環を含む。好ましくは、このヒドロキシル化トランは、ポリヒドロキシル化トランであり、より好ましくはジヒドロキシトランまたはトリヒドロキシトランであり、もっとも好ましくはトリヒドロキシトランである。ポリヒドロキシル化トランを調製するための一般的なスキームは、図2に示される。ヒドロキシル化トリフルオロメチルトランを調製するための一般的なスキームは、図3に示される。
【0024】
(局所用組成物)
この薬学的組成物は、ヒドロキシル化トラン、好ましくはポリヒドロキシル化トラン、より好ましくはジヒドロキシル化トランまたはトリヒドロキシル化トランの治療有効量、および薬学的に受容可能なキャリア、好ましくは局所用キャリアを含む。好ましくは、この組成物は、相対的に不活性な局所用キャリアを含む。多くのこのようなキャリアは、慣用的に使用され、そして薬学のテキストを参照することによって同定され得る。例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンコポリマー、およびいくつかの水溶性ゲルが挙げられる。これより後に「局所用組成物」と呼ばれるこのような組成物はまた、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤および当該分野で周知の他の薬学的に受容可能な材料を含む。用語「薬学的に受容可能」は、このヒドロキシル化トランの抗ウイルス活性または抗細菌活性の有効性を妨害することのない用量では非毒性材料であることを意味する。
【0025】
処置または使用のための本方法の実施において、ヒドロキシル化トランの治療有効量を含む薬学的組成物は、宿主細胞がウイルスまたは細菌に曝露される前、または後に、宿主被験体における感染部位に適用される。このような組成物は目、口腔および膣および口唇の境界領域ならびに直腸の感染の処置において特に効果的である。経口投与の場合、デントリフィックス(dentrifices)、うがい薬、練り歯磨きまたはゲルあるいは口腔スプレーが使用される。膣投与または直腸投与は、圧注器、泡沫、クリーム、軟膏剤、ゼリーおよび坐剤のような通常のキャリアで有り得、長時間持続する形態が好ましい。目への投与は、眼軟膏または溶液が好ましい。口唇の処置は、好ましくはゲルの形態である。
【0026】
局所用組成物は、ヒドロキシル化トランの活性またはその活性相補体の活性あるいはウイルス疾患または細菌疾患の処置における使用のいずれかを促進する他の薬剤をさらに含み得る。このようなさらなる因子および/または試薬は、ヒドロキシル化トランをともなって相乗効果を生み出すか、または副作用を最小限にする薬学的組成物に含まれ得る。局所用組成物はまた、ヒドロシキル化トランの取り込みを促進する薬剤を含み得る。
【0027】
好ましくは、局所用組成物は、ヒドロキシル化トランに対する溶媒(例えば、アルコール)を含む。液体キャリア(例えば、水、石油、動物または植物を供給源にする油(例えば、ピーナッツ油、ミネラル油、大豆油、またはゴマ油、コーン油あるいは合成油))が、添加され得る。薬学的組成物の液体形態は、生理的食塩水、デキトロースまたは他の糖類の溶液、あるいはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)をさらに含み得る。適切なpH、等張性、および安定性を有するこのような局所用組成物の調製は、当業者の範囲内である。
【0028】
本発明の局所用組成物は、リポソームの形態であり得、ここで、このヒドロキシル化トランは、両親媒性薬剤(例えば、ミセルのような集合形態で存在する脂質、不溶性単層、液晶、または水溶液における層状層)と結合される。リポソーム性処方物にとっての適切な脂質としては、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などが挙げられるが、これらに制限されない。このようなリポソーム性処方物の調製は、当業者のレベルの範囲内である。
【0029】
(投薬)
このヒドロキシル化トランは、治療有効量で宿主被験体における感染部位に投与される。本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」は、有意な利益(すなわち、処置、治癒、予防、改善、または疱疹ウイルス感染もしくは淋菌性感染の症状の低減あるいは治癒率の増加、このような感染の症状の改善または減少)を示すのに十分なヒドロキシル化トランの総量を意味する。
【0030】
「処置」とは、疱疹ウイルス感染もしくは淋菌性感染を治療または改善すること、あるいはこの感染の重症度を和らげることを意味する。予防とは、最初の病変の形成または感染した部位での病変の再発をブロックすることを意味する。このヒドロキシル化トラン(HSV感染、VZV感染、CMV感染または淋菌性感染を処置するかまたは予防し得る)の投薬は、本開示を考慮して、適切なコントロールを用いて、慣用的な試験を実行することにより、当業者によって決定され得る。コントロールに対する適切な処置群の比較は、特定の投薬が、制御されるチャレンジにおいて使用されるレベルで、感染を予防または処置するのに有効か否かを示す。
【0031】
本発明の方法を実施するために使用される種々の薬学的組成物は、約0.1μg〜約100mg/mlを含むべきであることが意図される。局所用組成物の単回適用は、疱疹ウイルスまたはNisseria gonorrheaの病理学的影響を改善するのに十分であるけれども、複数用量が好ましいことが予測される。
【0032】
(送達)
薬学的組成物の投与は、感染部位への局所投与を介する。初期病変を経験した個体において、感染の前駆症状段階(すなわち、疼痛、刺痛、感覚異常(parasthesia)の初期症状の間)に適用される局所用組成物が好ましい。好ましくは、組成物は、感染部位に定期的に適用され、より好ましくは3時間毎に適用される。本発明の薬学的組成物を用いる治療の継続期間は、処置される疾患の重篤度ならびに各個々の患者の状態および応答に依存して変化する。最後に、担当医が、本発明の薬学的組成物を用いる適切な継続期間を決定する。
【0033】
以下の実施例は、例示目的のためのみであり、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲を限定することを意図しない。本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が本明細書中に詳細に援用される。
【0034】
(実施例1:ポリ−ヒドロキシル化トランの合成)
(A.3,5−ジメトキシアニリンからの3,5−ジメトキシヨードベンゼンの合成)
温度計および機械スターラーを備え付けた500ml 3つ口丸底フラスコにおいて、添加用漏斗に、HCl(12M、100ml、1.2mol)および粉砕した氷(l00g)を配置した。このフラスコをドライアイス−Me2COで冷却した浴に浸け、3,5−ジメトキシアニリン(15.3g、100mmol)を攪拌しながら加えた。この冷却混合物に、40ml H2O中のNaNO2(8.4g、120mmol)を、反応混合物の温度を添加の間中−10〜−5℃の間に維持するような速度で滴下した。この反応混合物を0〜5℃で1時間攪拌した。ジアゾニウム塩の深赤色溶液を、十分に攪拌した200mlのKI(83g、500mmol)水溶液に室温で添加した。この混合物を2時間攪拌し、次いで一晩静置した。生じる溶液をエーテル(200ml×4)を用いて抽出した。プールした有機抽出物をブライン(200ml×2)で洗浄し、飽和したNa2S2O3水溶液(200ml×2)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、小容量に濃縮した。シリカゲルを添加し、この混合物を乾燥するまでエバポレートした。この予備充填したシリカゲルをシリカゲルのパッドに置き、石油を用いて溶出して、17.5g(66%)の無色固体の3,5−ジメトキシヨードベンセンを得た。1HNMR(CDCI3、300Mz):δppm:6.85(2H,d,J=2.3,Ar−H)、6.40(1H,t,J=2.3 Ar−H)、3.76(s,6H,2CH3O)。
【0035】
(B.エチルニルトリメチルシランおよびヨウ化アリールからのアリールエチニルトリメチルシランの合成)
(一般的な手順)
イソプロピルアミン(250ml)中のアリールメトキシ置換したヨウ化アリール(40mmol)の溶液に、Pd(PPh3)2Cl2(0.4mmol)およびCuI(0.8mmol)を添加し、次いで、トリメチルシリルアセチレン(44mmol)を添加した。この反応混合物をゆっくりとした窒素流の下で、周囲温度で2〜4時間攪拌した。反応混合物を濾過し、残渣を酢酸エチルで洗浄し、合わせた濾過液から溶媒をエバポレートした。粗生成物を溶離剤として石油/酢酸エチルを用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、メトキシ置換したアリールエチルイルトリメチルシランを得た。
【0036】
((1)2−(4−メトキシフェニル)−1−トリメチルシリル−エチン)
溶離剤として石油エーテルを用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、淡黄色のオイルとして2−(4−メトキシフェニル)−1−トリメチルシリル−エチン(96%収率)を得る。
【0037】
((2)2−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−トリメチルシリル−エチン)
溶離剤として石油エーテルを用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、2.2g(94%)の淡黄色の針状結晶体を得る。
【0038】
【化1】
(C.メトキシ置換したアリールアセチレンの合成)
メタノール(30ml)中のアリールエチニルトリメチルシラン(30mmol)の溶液に、フッ化カリウム(3.5g、60mmol)を添加した。この反応混合物を室温で2時間攪拌した。メタノールの除去後、生成物をエーテル(100ml×3)で抽出し、溶離剤として石油エーテルを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製し、純粋な生成物を得た。
【0039】
((1)p−メトキシルチルニルベンゼン(p−methoxyrthylnylbenzene))
淡黄色のオイルを92%収率で得た。
【0040】
【化2】
((2)3,5−メトキシルチルニルベンゼン(3,5−methoxyrthylnylbenzene))
淡黄色の針状結晶体を91%収率で得た。
【0041】
【化3】
(D.メトキシトランの合成)
(一般的な手順)
イソプロピルアミン(120ml)中のメトキシエチルニルベンゼン(20mmol)およびメトキシ置換したヨウ化アリール(22mmol)の溶液に、Pd(PPh3)2Cl2(0.2mmol)およびCuI(0.4mmol)を添加した。反応混合物を、ゆっくりとした窒素流の下で、周囲温度で6時間攪拌した。反応混合物を濾過し、残渣を酢酸エチルで洗浄し、合わせた濾過液から溶媒をエバポレートした。粗生成物を、溶離剤として石油エーテル/酢酸エチル(9:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、メトキシトランを得た。
【0042】
((1)3,4’,5−トリメトキシルトラン)
淡黄色のオイルを93%収率で得た。
【0043】
【化4】
((2)3,3’,5,5’−テトラメトキシトラン)
無色の針状結晶体結晶を85%収率で得た。
【0044】
【化5】
((3)4,4’−ジメトキシトラン)
無色の針状結晶体結晶を91%収率で得た。
【0045】
【化6】
(E.ヒドロキシトランの合成)
(一般的な手順)
乾燥した250mlの3つ口丸底フラスコ中に、N2下で無水塩化メチレン中のメトキシトラン(10mmol)の溶液を配置した。反応混合物を−20℃よりも下に冷却し、シリンジによってBBr3(20mmol×メトキシ基の数)を添加した。次いで、この反応混合物を室温に温め、24時間にわたって攪拌した。次いで、この反応物(赤茶けた澄んだ溶液)を氷水に注ぎ、攪拌した。十分な攪拌後、NaHCO3水溶液を添加して、この混合物のpHを7〜8に調整した。次いで、この反応混合物を酢酸エチルを用いて3〜4回抽出した。有機相をブラインを用いて洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。赤茶色の粗生成物を、溶離剤として石油/酢酸エチル(1:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヒドロキシトランを得た。
【0046】
((1)3,4’,5−トリヒドロキシトラン)
淡黄色の固体を82%収率で得た。
【0047】
【化7】
((2)3,3’,5,5’−テトラヒドロキシトラン)
淡赤色の固体を92%収率で得た。
【0048】
【化8】
((3)4,4’−ジヒドロキシトラン)
白色固体を93%収率で得た。
【0049】
【化9】
(実施例2)
(4−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトランの合成)
図3は、ヒドロキシトリフルオロメチルトランの調製のための合成スキームを示す。特定の反応工程の合成的な詳細を、以下に記載する。ほとんどの反応を高収率(90%以上)で達成した。全ての生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、GCおよび1HNMR分光法によって特徴付けた。
【0050】
(1.1−ヨード−4−テトラヒドロピラニルオキシベンゼン1)
氷浴で冷却したCH2Cl2(50ml)中の4−ヨードフェノール(11.0g、50mmol)の攪拌溶液に、ジヒドロピラン(5.0g、60mmol)を0〜5℃で10分間かけて滴下した。溶液が澄んだ後に、トルエンスルホン酸、TsOH(10mg)を添加した。この溶液を20℃で15分間攪拌した。次いで、これをNaHCO3(1g)および3滴の水の添加によってクエンチし、20℃で5分間攪拌した後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を、溶離剤として石油エーテルを用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色結晶として14.0g(92%)の1を得た。
【0051】
【化10】
(2.4−テトラヒドロピラニルオキシ−1−(トリメチルシリルエチニルベンゼン2)
窒素下でジイソプロピルアミン(180ml)中の化合物1(9.12g、30mmol)の脱気溶液に、Pd(PPh3)2Cl2(140mg、0.2mmol)およびCuI(78mg、0.4mmol)を添加した。次いで、トリメチルシリルアセチレン(3.3g、33mmol)をこの澄んだ溶液に滴下した。この反応混合物を、室温で2時間攪拌した。反応手順の間に形成された塩を濾過し、酢酸エチルを用いて十分に洗浄した。濾液を乾燥するまでエバポレートし、濃塩酸(5ml)、水(25ml)および破砕した氷(10g)を用いて加水分解し、次いで、酢酸エチルを用いて抽出した。合わせた有機ペーストをブラインを用いて洗浄し、MgSO4を用いて乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル−酢酸エチル=9:1)によって精製して、黄色オイルの2を得た。収率7.9g(96%)。
【0052】
【化11】
(3.4−テトラヒドロピラニルオキシフェニルアセチレン3)
KF(9.3g、160mmol)を、MeOH(150ml)中の2(22.6g、80mmol)の攪拌溶液に添加した。反応混合物を、室温で約4時間攪拌した。反応の完了(GCが出発材料が残っていないことを示す)後、溶媒をロタリーエバポレーターでの減圧下で除去した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル−酢酸エチル=9:1)によって精製して、淡黄色結晶の3を得た。収率15.7g(97%)。
【0053】
【化12】
(4.4−テトラヒドロピラニルオキシ−4’−トリフルオロメチルトラン4)
ジイソプロピルアミン(250ml)中の3(12.1g、60mmol)および4−ブロモベンゾフルオライド(14.85g、66mmol)の溶液を、窒素下で30℃に加熱し、溶液を脱気した。次いで、Pd(PPh3)2Cl2(210mg、0.3mmol)およびヨウ化銅(I)(114 mg、0.6mmol)をこの澄んだ溶液に添加した。この反応混合物を80℃で2時間攪拌し、次いで、室温に冷却した。反応手順の間に形成された塩を、濾過し、酢酸エチルを用いて十分に洗浄した。濾液を乾燥するまでエバポレートし、濃塩酸(10ml)、水(100ml)および破砕した氷(50g)を用いて加水分解し、次いで、酢酸エチルを用いて抽出した。合わせた有機ペースをブラインを用いて洗浄し、MgSO4を用いて乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル−酢酸エチル=9:1)によって精製して、淡黄色結晶の4を得た。収率16.6g(80%)。
【0054】
【化13】
(5.5−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトラン5)
化合物4(13.84g、40mmol)、CH2C12(75ml)およびMeOH(125ml)を250mlの丸底フラスコに配置し、次いで、TsOH(0.4g、0.4mmol)を添加した。反応混合物を30℃で1時間攪拌した。反応が完了したときに(TLCが出発材料が残っていないことを示す)、溶媒をロタリーエバポレーターによって除去し、残渣をEtOAcに溶解し、シリカゲルを通して濾過した。溶媒を除去し、酢酸エチルおよびヘキサン(1:5)の溶媒から固体を再結晶化させ、淡黄色結晶9.5g(90%)を得た。
【0055】
【化14】
(実施例3−ジヒドロキシル化トランを用いた処理による、感染性HSV−1粒子形成の阻害)
アフリカミドリザル腎臓細胞(Vero)(American Type Culture Collection,Rockville,MDから入手した)の培養物を、25cm2組織培養フラスコ中、5% ウシ胎仔血清、0.075% NaHCO3、および50μg/ml 硫酸ゲンタマイシンを補充した培地199中に、コンフルエントになるまで増殖させた。細胞を、1の感染多重度(moi)でHSV−1を用いて感染させ、室温で1時間インキュベートし、ウイルスを細胞に付着させ、そして侵入させた。これらの条件下、約半分の細胞がウイルスに感染した。この後、培養物を培地を用いて3回リンスし、0.2% ジメチルスルホキシド(DMSO)中に調製した50μMまたは75μMの4,4’−ジヒドロキシトランを含む培地中でインキュベートした。コントロールは、同じ処理をしたが、ジヒドロキシル化トランを用いずにインキュベートした。比較目的のために、HSV細胞をまた、52.5μM 4,4’−ジヒドロキシスチルベンの存在下で接種させた。スチルベンの高い細胞毒性に起因して、細胞を、75μM ジヒドロキシスチルベンの存在下ではインキュベートしなかった。
【0056】
培養物への培地の添加の際、およびその後の24時間の期間(すなわち、薬物添加の0時間後、24時間後、48時間後、および72時間後)に、細胞および培地を−70℃で凍結した。次いでサンプルを解凍し、超音波処理し、ベロ細胞で滴定して、各培養物によって生成されたウイルスのプラーク形成単位(pfu)の数を決定した。
【0057】
図4に示すように、1のmoiで感染させたコントロール培養物において生成されたpfuの数は、感染の約24時間後に生成のピークに達する。この時点で、この系は消耗され、すなわち、活性なウイルスが、インキュベーションの最初の1時間の間に感染した細胞のみならず、最初に感染した細胞によって放出されるウイルスによって感染されるようになる細胞までも感染し、そしてこれらを破壊する。処置の72時間目でのコントロール培養物において増加が観察されなかったことは、ウイルス産生がピークであり、このことは、再生する生存細胞が欠けているからであることを示す。
【0058】
図4に示すように、75μM 4,4’−ジヒドロキシトランを用いた細胞の処理は、24時間目において、HSV−1感染細胞における感染性ウイルス粒子の形成を99%よりも多く阻害した。72時間目までには、感染性HSV粒子は、75μM 4,4’−ジヒドロキシトランの存在下で連続的にインキュベートした培養物において実質的に検出不可能であった。50μM 4,4’−ジヒドロキシトランを用いた処理は、新規ウイルス産生を95%のみ低減した。対照的に、50μM 4,4’−ジヒドロキスチルベンを用いたHSV感染細胞の処理は、ウイルス産生に何の影響も与えなかった(データには示されない)。これらの結果はまた、ジヒドロキシル化トランによるウイルス複製の阻害が用量依存的であることを実証する。
【0059】
(実施例4−複製初期段階の前または複製初期段階の間にヒドロキシル化トランと細胞とを接触させることによる、感染性HSV−1粒子の形成阻害)
ベロ細胞を10moiでウイルスを用いて感染させた以外は実施例3に記載されるように、ベロ細胞培養物をHSV−1で感染させた。これらの条件下で、ほぼ全細胞がインキュベーション期間の最初の1時間の間にウイルスに感染する。付着していないウイルスの除去後、ウイルスに感染した培養物を、ヒドロキシル化トランを欠くコントロール培地中でインキュベートするか、あるいは、付着していないウイルスの除去の1時間後、3時間後、6時間後、または9時間後に105μM 4,4’−ジヒドトキシトランを添加する培地中でインキュベートした。感染の24時間後、未処理培養物およびヒドロキシル化トラン処理培養物の細胞および培地に存在するpfuの数を決定した。
【0060】
図5に示す結果は、ウイルス複製の初期段階にあるウイルス感染細胞に投与する場合、ヒドロキシル化トランが最も効果的であることを実証する。感染1時間後に105μM 4,4’−ジヒドロキシトランで処理した培養物では、ウイルス生成は、99%より大きく減少した。感染3時間後または感染6時間後に105μM 4,4’−ジヒドロキシトランで処理した培養物では、ウイルス生成は、およそ90%阻害された。感染9時間後にヒドロキシル化トランを添加した場合、感染性ウイルス粒子の形成は、阻害されなかった。
【0061】
ヒドロキシル化トランが、ウイルスを直接的に不活性化することにより感染性ウイルス粒子の形成をブロックするか否かを決定するために、HSV−1の標準接種物を、105μM 4,4’−ジヒドロキシトランを含有する培地、0.2% DMSOを含有する培地、または培地単独と混合し、室温に静置した。各々の個々の溶液をウイルスに添加した後1分、10分、30分および60分での残留pfuの存在数を、プラークアッセイにより決定した。この結果は、ヒドロキシル化トランが、HSVを直接的に不活性化しないことを実証した(データは示していない)。
【0062】
ヒドロキシル化トランが、HSV−1の細胞への接着を妨げないこともまた、研究により実証された(データは示していない)。
【0063】
(実施例5−HSV複製の阻害)
ベロ細胞をコンフルエンスになるまで増殖し、そして1のmoiにてHSV−1で感染し、次いで、ヒドロキシル化トランを含まない培地(コントロール培養)または105μM 4,4’−ジヒドロキシトランを含む培地中でインキュベートした。1セットの感染細胞を、72時間、ヒドロキシル化トラン中で維持した。別のセットの感染細胞において、24時間で、ヒドロキシトラン含有培地を、ヒドロキシル化トランを含まない培地と交換した。別のセットの細胞において、感染48時間後に、トラン含有培地を、ヒドロキシル化トランを含まない培地と交換した。各々のセットの感染細胞により産生された感染性HSV粒子の数を、プラークアッセイにより決定した。
【0064】
図6に示す結果は、ウイルス感染細胞におけるHSV複製に対する105μM 4,4’−ジヒドロキシトランの阻害効果は、可逆的であることが実証されるこを示す。従って、ヒドロキシル化トランによるHSV感染細胞の連続的な処理は、ウイルスを非感染性状態で維持する。ヒドロキシル化トランによる非連続的な処理は、ウイルスの複製が、通常の様式であるかの如く進行することを許容する。図6に示す結果はまた、ヒドロキシル化トラン処理細胞におけるHSV複製が、初期段階でブロックされた(すなわち、HSVの複製は、細胞が損傷を受け、このヘルペスウイルスの複製を支持することができなくなる段階を通過して進行しなかった)ことを示唆する。
【0065】
図6に示す結果はまた、長期間、哺乳動物細胞を105μM 4,4’−ジヒドロキシトランに曝すことにより、その細胞が死滅しないことを示唆する。細胞生存率の研究により、105μM 4,4’−ジヒドロキシトランによる24時間の非感染ベロ細胞の処理が毒性ではないことが確認された。
【0066】
(実施例6−ポリヒドロキシル化トランの存在下で生成されるウイルスタンパク質の特徴付け)
ICP−4およびICP−27は、HSV−1の最初期の調節タンパク質であり、このウイルスの効果的な複製に必要とされる。ICP−4またはICP−27の生成が、ヒドロキシル化トラン処理により変更されるか否かを決定するために、ベロ細胞の別々の培養物を、HSV−1で1のmoiにて感染させ、コントロール培地または105μM 4,4’−ジヒドロキシトランを含有する培地中で24時間インキュベートした。感染細胞をフラスコから掻き取り、遠心分離により収集し、そして冷やしたトリス緩衝化生理食塩水中で再懸濁し、遠心分離によりペレット状にし、そしてこの細胞ペレットを−70℃で凍結した。タンパク質を、解凍したペレットから抽出し、6〜15%SDS−PAGEにより分離し、そしてICP−4またはICP−27に対するマウスモノクローナル抗体(Goodwin Institute for Cancer Research Inc.,FL)と反応させることによりウェスタンブロットでアッセイした。
【0067】
図7および図8に示すように、ジヒドロキシトランによるHSV感染細胞の処理は、2つの主要な調節タンパク質であるICP−4およびICP−27の合成を有意に減少させた。これらの結果により、ヒドロキシル化トランによる処理は、複製スキームの初期段階でヘルペスウイルスの合成を阻害することが確認される。これらの結果はまた、ヒドロキシル化トランにより処理された培養細胞が、HSV複製の最初期段階および初期段階に生成されるヘルペスウイルス遺伝子産物を特徴付けするための有用なモデル系であることを示唆する。
【0068】
(実施例8−トランの細胞毒性)
トラン4,4’−ジヒドロキシトラン(「トラン−5」)、3,4’,5−ジヒドロキシトラン(「トラン−10」)、および4−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトラン(「トラン−11」)の細胞毒性を、MTTアッセイを用いて決定した。このアッセイにおいて、細胞を、MTT、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドに曝す。これは、細胞に取り込まれ、ミトコンドリアデヒドロゲナーゼにより、紫色ホルマザンに還元される。この紫色ホルマザンは、インタクトな細胞膜を通過できず、それによって健常な細胞内に蓄積される大きな分子である。MTTを還元する細胞の能力は、ミトコンドリアの完全性および活性の指標であり、生存率の測定として解釈され得る。細胞の可溶化は、分光光度法により容易に検出され得る生成物の遊離を引き起こす。
【0069】
種々の濃度のトラン−5、トラン−10、およびトラン−11を、ベロ細胞を播種した96ウェル組織培養プレートに添加した。次いで、このプレートを37℃、5% CO2/95%空気中で、24時間、48時間、および72時間インキュベートした。各々の時点の最後に、50μlのMTT(1mg/ml)を組織培養プレートに添加し。次いで、さらに4時間インキュベートした。その時点の細胞に、ジメチルスルホキシド(DMSO)を添加して、細胞およびホルマザンを溶解し、そしてこのプレートを、分光光度的に540nmで読み取った。このデータから、CD50、すなわち50%の細胞非生存を与えるのに必要とされる個々のトランの濃度を算出した。処置の24時間、48時間、および72時間でのトラン−5、トラン−10、およびトラン−11についての毒性結果を、以下の表1に示す。
【0070】
(表1.実施例1および2のヒドロキシル化トランについてのCD50:ベロ細胞において、48時間でのMTT比色アッセイを用いて毒性を測定し、毒性用量(μMのCD50、細胞生存における50%減少に基づく)として報告する)
【0071】
【表1】
表1に示すように、トラン−10は、ほとんど毒性を示さなかった。このトリヒドロキシトランについて該算されたCD50は、200μm未満である。ヒドロキシトリフルオロメチルトラン、トラン−11は、他のヒドロキシル化トランよりも大きな毒性であった。従って、トラン−11は、より好ましくない。
【0072】
(実施例9:インビトロでのHSV−1複製の阻害)
組織培養細胞を、HSV−1で感染させ、そしてトラン−5、トラン−10、およびトラン−11を含む溶液中でインキュベートした。用いられる濃度は、処理の48時間で個々のトランについて算出されたCD50の1/2〜3/4の範囲である。
【0073】
詳細には、ベロ細胞を、1時間に1の感染効率にて、HSV−1で感染させた。この期間の最後に、培養物を培地でリンスし、そして種々の濃度の個々のトランを含む新鮮な培地を添加した。感染させたコントロール培養物を、ヒドロキシル化トランを含まない培地中でインキュベートした。感染後1時間、24時間、48時間、および72時間で、サンプルを、新たなウイルス生成についてアッセイするまで−70℃で凍結させた。ウイルス生成を、感染の各時点についてのプラークアッセイにより定量した。この結果は、1ミリリットル当たりのプラーク形成ユニット(pfu/ml)として表わされる。
【0074】
図9A〜Cに示すように、トラン−5、トラン−10、およびトラン−11は全て、HSV−1生成を阻害したが、程度が異なった。トラン−5(図9A)は、50μmよりも75μmで、ウイルスに対してより阻害的だった。トラン−10(図9B)は、上は350μmから下は175μmの範囲の全ての濃度で等しくこのウイルスに対して効果的だった。トラン−11は48μm未満の濃度で、ほとんど全く効果を有さなかった。
【0075】
阻害が生じる場合、それは、アッセイした最も早い時点(感染後24時間)での全てのトランで見られた。一旦抑制されると、このウイルスは、ウイルス生成について細胞を試験した72時間の期間、回復しなかった。
【0076】
(実施例10:インビボでのHSVの阻害)
4〜5週齢の雌SKH−1無毛マウスを、軽く麻酔し、首の外側背面部におよそ2〜3mmの長さで0.25mmの深さの引っ掻き傷を作った。この引っ掻き傷を、106プラーク形成ユニットのHSV−1で感染させた。1時間後、感染した引っ掻き傷領域を、5%または10%のトラン−10を含むDMSO溶液を用いて処理した。この処理を、1日に3回、5日間繰り返した。各処理群に少なくとも6匹のマウスが存在した。未処理マウスおよびDMSOのみで処理したマウスを、コントロールとして用いた。
【0077】
この引っ掻き傷部位を、HSV感染の証拠について毎日試験し、そして以下のスケジュールに従ってスコア付けした。これを第1日目に開始して10〜11日間継続した。
【0078】
0 = 引っ掻き傷による皮膚に視覚的な変化がなかった
1+ = 引っ掻き傷の周囲に丘疹が存在した
2+ = 引っ掻き傷の周囲に丘疹が、かさぶたの形成を伴い潰瘍化した
3+ = 動物の側腹部への末梢神経に沿って潰瘍性帯状疱疹形態(ulcerative zosterform)が広がった
4+ = 潰瘍性外傷が側腹部で開いた
5+ = 死亡/屠殺した
このデータを、処理に従ってグループ分けし、そして有意性について統計的に分析した。
【0079】
図10および図11に示すように、5%および10%の濃度でのトラン−10は、未処理のコントロールまたはDMSOのみで処理した動物と比較した場合、HSV外傷の重篤度を有意に減少させた。この差異は、感染後3日目で明らかであった。優位な差異ではないが、10% トラン−10は、5% トラン−10よりもわずかに効果的であるようであった(特に、6〜10日目)。しかし、11日目に、この2つの処理群の間に差異は存在しなかった。
【0080】
生存性データを図11に示す。DMSOコントロール群および未処理群における動物の50%は、感染後11日以内に死亡し、5%または10%トランで処理した動物は、この期間中、1匹も死亡しなかった。
【0081】
(実施例11:トラン−10によるNeisseria gonorrheaの増殖阻害)
種々の濃度のトリヒドロキシトラン トラン−10を、標準的な手順を用いて調製したチョコレート寒天プレートに加えた。トリヒドロキリル化トランを、まずDMSOおよび培地に溶解し、次いで、液体チョコレート寒天に添加し、次いで、ペトリプレートに注いで固化させた。寒天中のDMSOの最も高い濃度は0.5%だった。チョコレート寒天およびDMSOを終濃度0.5%で含むコントロールプレートもまた調製した。
【0082】
Neisseria gonorrhea CDC98を、Difco Laboratoriesから入手した。この細菌の確実性(authenticity)を、標準的な同定技術を用いて確認した。この細菌の単離体の培養物を、固化したチョコレート寒天の新鮮なプレートに播種し、次いで24時間後、単離されたコロニーから懸濁物を作成した。
【0083】
この懸濁物の10μlのアリコートを、トランを含まない固化コントロールチョコレート寒天表面および終濃度1〜125μg/mlの範囲でトラン−10を含む固化チョコレート寒天の表面に均等に広げた。その後、この寒天プレートを、5%CO2の存在下または非存在下で、37℃にてインキュベートした。全てのプレートを、24時間後の細菌の増殖について視覚により試験し、増殖を50%阻害するトリヒドロキシル化トランの濃度(MIC50)およびいかなる可視的な増殖をも阻害する濃度(MIC100)を決定した。
【0084】
Escherichia coli、Staphylococcus aureus、Streptococcus pyogenes、Pseudomonas aeruginosa、Neisseria meningitidis、およびCandida albicansの増殖に対する同一濃度のトラン−10の効果もまた決定した。以下の表IIに示すように、トラン10は、Neisseria gonorrhoeaeを選択的に阻害した。24時間の処理でのトリヒドロキシル化トランのこの細菌に対するIC50値は、50μg/mlであり、IC100値は、100μg/mlであった。対照的に、試験した最も高い濃度のトラン10は、列挙される他の微生物に対する効果を有さなかった。
【0085】
(表2.細菌およびC.albicansに対するトラン−10のIC)
【0086】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、4,4’−ジヒドロキシトラン(「トラン−5」)、3,4’,5−トリヒドロキシトラン(「トラン−10」)および4−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトラン(「トラン−11」)の構造を示す。
【図2】図2は、ヒドロキシル化トランを作製するための合成スキームである。
【図3】図3は、ヒドロキシル化トリフルオロメチルトランを作製するための合成スキームである。
【図4】図4は、異なる濃度のジヒドロキシル化トランを用いて処理したウイルス感染細胞におけるHSV−1複製の程度を示すグラフである。
【図5】図5は、感染後異なる時間で4,4’−ジヒドロキシトランを用いて処理したウイルス感染細胞におけるHSV−1複製の程度を示すグラフである。
【図6】図6は、ウイルス感染細胞におけるHSV−1複製に対する4,4’−ジヒドロキシトランの阻害効果の可逆性を示すグラフである。
【図7】図7は、HSV−1感染細胞におけるICP−4の蓄積に対する4,4’−ジヒドロキシトランを用いる処置の影響を示すグラフである。
【図8】図8は、HSV−1感染細胞におけるICP−27の蓄積に対する4,4’−ジヒドロキシトランを用いる処置の影響を示すグラフである。
【図9】図9A、図9Bおよび図9Cは、感染細胞におけるHSV−1の複製に対する4,4’−ジヒドロキシトラン(「トラン−5」)、3,4’,5−トリヒドロキシトラン(「トラン−10」)および4−ヒドロキシ−4’−トリフルオロメチルトラン(「トラン−11」)のそれぞれの阻害効果を示すグラフである。
【図10】図10は、HSV−1に感染した動物において疱疹性病変の発症に対する5%トラン−10溶液の影響を示すグラフである。
【図11】図11は、HSV−1に感染した動物において疱疹性病変の発症に対する10%トラン−10溶液の影響を示すグラフである。
【図12】図12は、HSV−1の感染を生き延びたコントロール動物およびトラン処理した動物のパーセンテージを示すグラフである。
Claims (23)
- 感染性ヘルペスウイルス粒子の形成を、宿主細胞内で阻害する方法であって、ヒドロキシル化トランを該宿主細胞に投与する工程を包含する、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記ヒドロキシル化トランが、感染細胞中でのヘルペスウイルスの複製をブロックするのに有効な量で投与される、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記ヒドロキシル化トランが、前記宿主細胞が前記ヘルペスウイルスに感染する前または感染後6時間以内に投与される、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記ヒドロキシル化トランがポリヒドロキシル化トランであって、前記ヘルペスウイルスが、HSV−1、HSV−2、CMVおよびVZVからなる群から選択される、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記ヒドロキシル化トランがジヒドロキシル化トランまたはトリドロキシル化トランであって、前記ヘルペスウイルスがHSV−1およびHSV−2からなる群から選択される、方法。
- ヘルペスウイルスにより誘導された感染に罹患しているかまたは罹患していることが疑われる対象を処置する方法であって、ここで該ヘルペスウイルスが、HSV−1、HSV−2、CMVおよびVZVからなる群から選択され、ヒドロキシル化トランの治療有効量を含む薬学的組成物を該対象に投与する工程を包含する、方法。
- 前記ヒドロキシル化トランが、ポリヒドロキシル化トランである、請求項6に記載の方法。
- 前記ヒドロキシル化トランが、ジヒドロキシル化トランまたはトリドロキシル化トランである、請求項6に記載の方法。
- 請求項6に記載の方法であって、ここで前記薬学的組成物がさらに、局所的キャリアを含み、皮膚への局所的投与によって投与される、方法。
- 眼に投与する、請求項6に記載の方法。
- 口腔または唇に投与する、請求項6に記載の方法。
- 膣内挿入または肛門内挿入によって投与する、請求項6に記載の方法。
- 前記ヘルペスウイルス感染がHSV−1またはHSV−2によって生じる、請求項9に記載の方法。
- 請求項6に記載の方法であって、ここで前記薬学的組成物が、感染の前駆期の間に、感染部位に対して投与される、方法。
- 請求項6に記載の方法であって、ここで前記薬学的組成物が、感染したことがわかっている部位もしくは感染が疑われる部位か、またはそれらの近傍に適用される、方法。
- ヘルペスウイルス感染の症状を減じる局所用組成物であって、該ヘルペスウイルスが、HSV−1、HSV−2、VZVおよびCMVからなる群から選択され、該局所用組成物が、以下:
(a)治療有効量のヒドロキシル化トラン;および
(b)薬学的に受容可能なキャリア
を含む、組成物。 - 前記ヒドロキシル化トランがポリヒドロキシル化トランである、請求項16に記載の局所用組成物。
- 前記ヒドロキシル化トランが、ジヒドロキシル化トランまたはトリドロキシル化トランである、請求項16に記載の局所用組成物。
- 請求項16に記載の局所用組成物であって、ここで該局所用組成物が、投与の必要のある対象の皮膚、生殖管、口腔または眼に投与されるために処方される、局所用組成物。
- Neisseria gonorrhoeaeの増殖を阻害する方法であって、該Neisseria gonorrhoeaeをヒドロキシル化トランと接触させる工程を包含する、方法。
- 前記ヒドロキシル化トランが、ジヒドロキシル化トランまたはトリドロキシル化トランである、請求項20に記載の方法。
- 請求項20に記載の方法であって、ここで前記ヒドロキシル化トランが、ヒト対象に投与される薬学的組成物中に含まれる、方法。
- 請求項22に記載の方法であって、ここで前記薬学的組成物が、前記対象の眼、口腔咽頭部、生殖器または直腸に投与される、方法。
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