JP2004505738A - 乗車して落下する娯楽用装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、乗車して落下する娯楽用装置を提供する。装置は、放出点を有するトラック10を備え、放出点下への落下を成す。スリルを求める乗客は、最初に、放出点20へとトラック10に沿って推進されることによりドライブを体感し、水平な運動成分をもって放出点から放出される。その後、乗客は、自由落下を体感する。第1の固定端と乗客に対して直接的に或は間接的に接続される第2の自由端とを有する弾性紐70は、自由落下と乗客に与えられる水平な運動成分とを制限し、自由落下の終了時期に、乗客を跳ね返し及び揺動させる。乗客は、乗車および落下の終端で、安全に解放される。したがって、本発明は、バンジージャンプと同様のスリルを高揚をもって与える。好ましい実施形態において、乗客は、車両34に取り外し自在に装着された乗車体上もしくは乗車体内に乗る。車両34がトラックに沿って推進され、放出点20において、略水平な減速成分が車両34に与えられ、これにより、乗車体42および乗客を車両34から放出させてそれ自身の軌跡を辿らせることができる。この実施形態において、弾性紐70の固定端は、トラック10から離脱しない車両34に対して取り付けられても良い。また、自由端は、乗客または乗車体42に取り付けられても良い。後者の場合、乗客は乗車体42に固定される。
Description
【0001】
【発明の分野】
本発明は、乗車して落下する娯楽用装置を提供する。装置は、放出点を有するトラックを備えている。放出点は、トラックの端部にあっても良い。トラックは、落下を与えるように、好ましくは、放出点下で十分な落下を与えるように位置されている。装置の使用時、スリルを求める乗客は、最初に、トラックに沿って放出点に向けて推進されることにより乗物走行を体感する。乗客は、水平方向の運動成分をもって、トラックの放出点から放出される。その後、乗客は、自由落下を体感する。第1の固定端と乗客に対して直接的に或は間接的に接続される第2の自由端とを有する弾性紐は、自由落下および乗客に与えられる水平方向の運動成分を制限し、自由落下の終端のある時間、乗客を跳ね返らせて揺動させる。乗物走行および自由落下の終端で、乗客は安全に開放される。したがって、本発明は、高揚をもってバンジージャンプのスリルと同様のスリルを与える。
【0002】
【背景技術】
バンジージャンプは、良く知られた運動活動である。一般的なバンジージャンプ装置は、高架プラットフォームと、弾性バンジーコードとを備えている。バンジーコードの一端または一端側は、プラットフォームに取り付けられている。バンジーコードの自由端は、通常、ジャンパーの足首の上に固定されるカラーにより、ジャンパーに取り付けられる。プラットフォームに対するバンジーコードの取り付け部とバンジーコードの自由端との間のバンジーコードの長さは、バンジーコードの特性、プラットフォーム下の落下距離、ジャンパーの体重にしたがって選択される。ジャンパーは、プラットフォームからステップ、ジャンプまたはダイビングし、バンジーコードの作用によって最初の自由落下が終わるまで自由落下する。これにより、ジャンパーは、逆さまにひっくり返った姿勢で所定時間上下に跳ね返る。そして、その終端で、通常、バンジーコードをプラットフォームから繰り出して、ジャンパーが解放される地面へとジャンパーを徐々に下降させる。バンジージャンプ装置の例は、米国特許第5,094,448号に記載されている。
【0003】
プラットフォームからのジャンパーの自由落下は、殆どの場合、垂直な落下である。落下においては、水平方向の運動成分によるものが殆どない。水平方向の運動成分は、通常、落下の開始点でプラットフォームから外側にジャンプし或は飛び込むジャンパーによって与えられる。最初の自由落下において水平方向の運動成分が含まれている場合には、その後、ジャンパーは、落下の終端で跳ね返りを体感する他、揺動動作も体感する。現在のバンジージャンプ装置では、ジャンパーが体感できる揺動動作の度合いは比較的小さい。
【0004】
バンジーコードは、スリルを求める他のタイプの娯楽装置で使用される。米国特許第5,421,783号は人間パチンコ(human slingshot)装置を開示している。この装置は、2つの高架タワーと、タワー間に設けられたキャリアと、2つのバンジーコードとから成る。各バンジーコードは、キャリアを各タワーの上端に接続する。キャリアが地面に固定され且つバンジーコードがテンション機構を用いて引き伸ばされている時に、乗客は、キャリア内に入ってストラップで縛られる。キャリアが解放されると、キャリアは、その中で縛られた乗客と共に、空中に飛び上げられ、その後、数回上下に跳ね返った後、乗客を解放するために地面へと下降される。同様の装置が米国特許第5,810,671号に記載されている。ただし、装置がガイドレールを有している点が異なる。ガイドレールは、キャリアまたは椅子アセンブリと協働することにより、椅子アセンブリがその解放位置から解放される時に、ガイドレールから空中に投げ上げられる前の少なくとも短い時間だけ椅子アセンブリを所定の経路に沿って案内する。
【0005】
米国特許第5,649,866号は、乗客のための椅子アセンブリと、互いに離間して三角形を成した状態で地面に取り付けられた3つのタワーとを有する娯楽乗物システムを開示している。バンジーコードは、椅子アセンブリから第1および第2のタワーに向けて延びている。バンジーコードを伸長姿勢まで伸ばしてテンションをかける手段が設けられている。牽引ケーブルは、第3のタワーの上端から、椅子アセンブリの後部に着脱自在に接続される。
【0006】
バンジーコードが伸長されると、椅子アセンブリが地面から持ち上げられ、牽引ケーブルは、第3のタワーの上端に隣接する位置へと椅子アセンブリを牽引する。牽引ケーブルの解放時、バンジーコードは、第3のタワーから延び且つ第1のタワーと第2のタワーとの間を通る略水平な経路に沿って、椅子アセンブリを投げる。したがって、乗客は、殆どの場合、前後の水平運動を体感する。
【0007】
また、米国特許第5,522,321号に記載された娯楽乗物において、バンジーコードは、基本的に水平な動作を与えるために使用される。一対の並行するトラックアセンブリが設けられ、各トラックアセンブリは、乗客用の車輪付きの車を有している。その車は、ドラッグレース用自動車をまねており、トラックに沿って移動できるように装着されている。バンジーコードは、各車をそのトラックに沿って加速するために使用される。トラックの他端において、バンジーコードは、車を減速するためにも使用され、また、車を加速させてトラックの第1の端部へと戻すために使用されても良い。
【0008】
米国特許第5,853,331号は、上方に曲がった発射部を有する傾斜したトラックを降下するようになっている乗客用の車輪付き車を備えた娯楽乗物を開示している。前記発射部からは、スキージャンパーの軌道と類似した軌道で、一時的に空中に車が発射される。車は、ロープにより、一対の支持ワイヤにローリング可能に接続されている。支持ワイヤは、トラックの両側に位置されるとともに、車を一時的に空中に発射することができるように且つロープと干渉したりロープによって規制されることなく車を短時間自由落下させることができるように、トラックの発射領域に対して所定の高さに位置されている。車が落下すると、ロープは、支持ワイヤと共にピンと張り、車の自由落下を終わらせる。その後、車は、所定の傾斜に沿って支持ワイヤを滑り降り、乗物の端部にある横方向に離間するツインタワーへと向う。各支持ワイヤは、各タワーに接続されている。したがって、この娯楽乗物によれば、1または複数の人は、車に乗って傾斜したトラックを下降して、上側に向けて曲げられた発射部へと向い、この発射部から、車は、スキージャンパーの軌道と類似する軌道で空中へと発射される。短い自由落下の後、車がつながれた支持ワイヤが自由落下を終わらせ、これにより、自動車は、支持ワイヤを滑り降りて乗物の端部へと向う。トラックからの車の発射時、車は、十分な程度の水平運動を有さない。すなわち、その後、短い自由落下を行なう。しかしながら、その期間の最後に、車は支持ワイヤを滑り降りる。無論、乗物は乗客を興奮させるが、バンジージャンプで得られるような十分な興奮要素はない。特に、バンジージャンプのような十分な自由落下時間が無い。バンジージャンプのような自由落下の終端での十分な上下の跳ね返りが無い。また、車が発射部で十分な程度の水平運動を有していたとしても、その運動は、車の乗客に揺動の興奮を与えるために使用されない。
【0009】
【発明の概要】
本発明の目的は、バンジージャンプの形態を成す自由落下であって、乗客の垂直な跳ね返りと揺動との組み合わせによって終了する自由落下を含む、スリルを求める人のための新規な娯楽用乗物を提供することである。
【0010】
第1の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
乗客を放出点から水平成分の運動をもって放出させるようにトラックに沿って推進させ、放出点から自由落下させる推進手段と、
第1の固定端と、乗客に接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗客の自由落下および乗客に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗客を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0011】
本発明のこの態様の範囲に含まれる一実施形態によれば、トラックは滑降斜面または滑り台を備えており、乗客は、乗客自身の服、マット、クッション、小型そり、スキー板に乗ったまま滑走することができる。マットまたはクッションが使用される場合、マットまたはクッションは、乗客に固定されても良く、あるいは、トラックの放出点から自由落下でき、その後に回収されても良い。マットまたはクッションが比較的柔らかい場合、それをトラックからそのまま自由落下させても害はない。また、紐(乗客に接続される弾性紐以外)は、マットまたはクッションをトラックまたはトラックに隣接する何らかの部分に接続しても良く、これにより、使用後にマットまたはクッションをトラックまで引き戻すことができる。小型そりが使用される場合、小型そりは、軽量であることが好ましく、また、乗客に取り付けられることが好ましい。スキー板は、通常、従来の方法で乗客に取り付けられる。小型そり或はスキー板を乗客に取り付けると、これらが別個に自由落下することが防止され、したがって、これらが自由落下する乗客と衝突する危険を完全に防止できる。
【0012】
第2の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
乗客のための乗車体であって、トラックに沿って搬送可能であり、放出点から水平成分の運動をもって放出されて放出点から自由落下できる乗車体と、
乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
乗車体をトラックに沿って推進させて、放出点から放出させる推進手段と、
第1の固定端と、乗車体に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗車体の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗車体を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0013】
本発明のこの態様によれば、装置の少なくとも使用時に、乗客が乗車体に固定され、弾性紐の自由端が乗車体に固定される。この場合も、乗車体は、マットまたはクッションであっても良く、また、マットまたはクッションに対する乗客および弾性紐の取り付けは、自由落下の終端で課せられる力と、結果として起こる乗車体および乗客の跳ね返り、揺動に伴う力とに十分耐えられるように強くなければならない。
【0014】
好ましい乗車体は、マットやクッションよりも頑丈である。例えば、乗車体は、トラックに沿って滑走するように形成された小型そりを構成していても良い。この場合、トラックは、滑降斜面または滑り台であっても良い。トラックに沿う小型そりの動作を安定させるため、トラックは、小型そりのランナーが走行して小型そりをトラックに位置合わせする溝を有していても良い。また、これは、小型そりがスライド可能に係合する1または複数のレールの形態をトラックが成すことにより達成される。
【0015】
乗車体は、1または複数の乗客を乗せることができる車輪付きの車を備えていることが更に好ましい。この場合、乗客は、車に固定的に保持される。また、この場合、トラックには、車の車輪が係合して車をトラックに位置合わせするレールが設けられていることが好ましい。
【0016】
本発明のこの態様の実施形態の考えられる欠点は、乗車体が頑丈であり、したがって、乗車体が1または複数の乗客と共にトラックから放出される重い車である場合、1または複数の乗客の重量に伴う力と車の重量に伴う力とに弾性紐が耐えなければならないという点である。このことは、車の重量を無視できる場合よりも頑丈な弾性紐を使用しなければならないことを意味する。本発明のこの実施形態および他の実施形態においては、弾性紐が1または複数のバンジーコードを構成しても良い。必要に応じて、任意の弾性紐の端部を非弾性紐の端部と連結することにより、紐の伸び度合いを大きくすることなく紐の長さを長くしても良い。このことは、紐が完全に伸びきった状態で1または複数の乗客および乗車体が地面に突っ込むような紐の過度の伸びを防止する状況においては、必要となるかもしれない。用語「弾性紐」は、このような紐の組み合わせを含むものとする。
【0017】
第3の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
トラックの放出点に向けてトラックに沿って搬送可能な車両と、
車両を放出点に向けてトラックに沿って推進させる推進手段と、
車両が放出点でトラックから放出されないように車両を停止させるストッパと、
乗客のための乗車体であって、車両に装着可能で且つ車両から分離可能であり、これにより、車両に乗せたままトラックに沿って搬送可能であり、車両がストッパによって停止された際には、車両から分離され且つ水平成分の運動をもってトラックの放出点から放出されて放出点から自由落下する乗車体と、
乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
第1の固定端と、乗車体に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗車体の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗車体を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0018】
本発明のこの態様によれば、乗客用の比較的軽量な車である乗車体は、車両に装着可能であるが、車両から分離することもできる。弾性紐は乗車体に取り付けられ、1または複数の乗客は乗車体に固定される。例えば前述した小型そり或は車輪付きの車であっても良い車両は、トラックから離脱しない。トラックの放出点で車両が比較的急に停止され、1または複数の乗客が乗った乗車体は、車両から前方に投げ出されて、自由落下を始める。この実施形態において、弾性紐は、1または複数の乗客および乗車体の重量によって課される力を受けなければならないが、車両の重量は、弾性紐に全く力を課さない。弾性紐の固定端が車両に固定され、これにより、車両から乗車体が放出されるまで、弾性紐の全体が車両上に支持されることが好ましい。また、紐は、トラックを支持する構造体に固定され、あるいは、トラックに隣接する何らかの他の固定部に固定される。
【0019】
第4の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
トラックの放出点に向けてトラックに沿って搬送可能な車両と、
車両を放出点に向けてトラックに沿って推進させる推進手段と、
車両が放出点でトラックから放出されることを防止する手段と、
放出点または放出点の直前で車両に水平な減速成分を与える減速手段と、
乗客のための乗車体であって、車両に装着可能で且つ車両から分離可能であり、これにより、車両に乗せたままトラックに沿って搬送可能であり、減速手段によって充分に迅速に水平な減速成分が車両に与えられると、車両から分離され且つ水平成分の運動をもってトラックの放出点から放出されて放出点から自由落下する乗車体と、
乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
第1の固定端と、乗車体に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗車体の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗車体を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0020】
本発明のこの態様は、その範囲内に、前述した本発明の第3の態様を含んでいる。その場合、放出点または放出点の直前で車両に水平な減速成分を与える減速手段は、ストッパである。しかしながら、ストッパは、車両を不意に減速させる一方、他の減速手段は、車両からの乗車体の放出を危うくすることなく、車両を急激に減速させないように使用されても良い。車両を急激に減速させなければ、車両に対するダメージを少なくでき、車両の寿命を延ばすことができる。
【0021】
前述した本発明の、他の態様の幾つかにおいて、トラックは、滑降斜面または滑り台を備えており、乗車体および乗客を支持する車両は、滑降斜面または滑り台に沿って滑走することができても良い。この場合、車両が小型そりでも良く、トラックは、小型そりのランナが走行して小型そりをトラックに位置合わせする溝を有していることが好ましい。しかしながら、車両は、車輪付きの車を構成していることが好ましく、トラックは、車の車輪が係合して車をトラックに位置合わせする1または複数のレールを備えていることが好ましい。トラックは平行な2つのレールを備えていることが好ましい。
【0022】
本発明のこの態様によれば、乗車体は、シート材料、マット、クッションであっても良いが、車両に乗ったまま滑走もしくは転走するように形成された小型そり状の乗車体またはカプセルであることが好ましい。車両は、乗車体のランナーもしくは車輪が走行して乗車体を車両に位置合わせさせる溝であって、乗車体が車両から分離してトラックから放出される際にトラックと位置合わせされる溝を有している。その意図する放出前に車両から乗車体がうっかり引き離されないようにする手段が設けられていることが好ましい。
【0023】
放出点の直前において、トラックは、車両したがって乗車体および乗車体上の乗客に十分な程度の水平運動を与える角度をもって配置されている。トラックは、放出点の直前で、略水平であり、あるいは、スキージャンプの様式で若干上方に曲げられていることが好ましい。
【0024】
本発明の第3の態様においては、前述したように、減速手段はストッパであっても良い。しかしながら、更に好ましい減速手段は、充分に急な下向きのカーブをトラックの放出点に備え、これにより、車両がカーブの周りを通過する時に、その急激な方向変化によって、十分に水平な減速成分が乗車体を放出させることができる。この実施形態において、トラックのカーブは、トラックの戻し部分に向って連続的に周回していることが好ましい。これにより、車両は、カーブの周りを通過した後、トラックの戻し部において、少なくとも初期に反転姿勢となる。したがって、トラックの戻し部は、車両を再反転して元の姿勢に戻す車両立て直し手段を有していても良い。車両立て直し手段は、例えば、トラックの戻し部に捩じれセクションを備え、これにより、車両は、捩じれセクションを通過する時に、再び元の姿勢に戻される。
【0025】
トラックの戻し部に乗車体回収手段が関連付けられていても良く、これにより、放出されて落下した乗車体をトラックの戻し部へと引き上げて車両に再び装着することができる。
【0026】
本発明の少なくともこの態様によれば、装置は、トラックに関連付けられた駆動手段を更に備え、これにより、駆動手段は、車両と相互に作用して、車両を制御可能な方法でトラックの少なくとも一部に沿って移動させることができる。複数の駆動手段がトラックの異なる部分に関連付けられていても良い。例えば、トラックのスタート部分には、トラックに沿う車両の移動を開始する開始駆動手段が設けられていても良い。この開始駆動手段は、推進手段の全部あるいは一部を備えていても良い。また、トラックの放出点の領域には減速駆動手段が設けられ、この減速駆動手段は、前記減速手段を形成し或は前記減速手段の一部を成して、乗車体を乗車体から即ちトラックから放出させることができるようになっていても良い。すなわち、減速手段は、減速駆動手段によって設けられても良く、あるいは、前述したトラックの放出点の急な下向きのカーブによって設けられても良い。また、車両をトラックのスタート領域に戻す回収駆動手段が設けられても良い。
【0027】
特に、トラックは、車輪付きの車両用のレールを備えている場合、連続するループを備えていることが好ましい。これにより、複数の車両を同時に使用してループトラックの周りで1方向にうまく移動させることができる。
【0028】
第5の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
トラックの放出点に向けてトラックに沿って搬送可能な車両と、
車両を放出点に向けてトラックに沿って推進させる推進手段と、
車両が放出点でトラックから放出されることを防止する手段と、
放出点または放出点の直前で車両に水平な減速成分を与える減速手段と、
乗客のための乗車体であって、車両に装着可能で且つ車両から分離可能であり、これにより、車両に乗せたままトラックに沿って搬送可能であり、減速手段によって充分に迅速に水平な減速成分が車両に与えられると、乗客と共に車両から分離され且つ水平成分の運動をもってトラックの放出点から放出されて放出点から自由落下する乗車体と、
任意に、乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
第1の固定端と、乗客に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗客の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗客を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0029】
本発明のこの態様は、第4の態様と類似しているが、紐が乗車体ではなく乗客に直接に接続され或は接続可能である点が異なる。このことは、乗車体および乗客が車両から放出される際に、乗車体が自由落下することを意味している。したがって、乗車体は、乗車体および乗客が別個に自由落下して互いに比較的接近する際に乗客を傷付ける危険を最小限に抑えられるような1または複数の材料によって形成されなければならない。
【0030】
乗車体、特に乗客が固定される乗車体を使用する本発明の任意の形態において、乗車体は、走行中および自由落下の全体にわたって、また、自由落下の終端での跳ね返りおよび揺動中であっても、上体をほぼ起こした姿勢の乗客を支持しても良い。
【0031】
本発明のいずれかの態様において、トラックの放出点下の落下は、十分な落下、例えば少なくとも40mの落下であることが好ましい。落下は少なくても良いが、多いほうが好ましい。
【0032】
本発明のいずれかの態様において、トラックの少なくとも1つのセクションは、トラックの放出点に向って下方に傾斜する傾斜面を有していることが好ましい。この場合、傾斜したセクションが推進手段を形成しても良い。装置が開始駆動手段を有している場合、この開始駆動手段およびトラックの下方に傾斜したセクションは、協働して、推進手段を形成しても良い。トラックが傾斜面もしくは推進手段を形成できる十分傾斜したセクションを有していない場合には、開始駆動手段だけが推進手段を形成しても良い。
【0033】
前述したように、トラックの放出点は、略水平であっても良く、あるいは、トラックの端部から放出される乗客または乗車体に所定の度合いの水平運動を与えることができる他の角度で配置されても良い。全体として、トラックは、米国特許第5,853,331号のそれと類似する形態のスキージャンプのトラックに似ていても良い。
【0034】
更なるスリル効果のため、トラックは、少なくとも1つの略垂直なループを有し、あるいは、少なくとも1つの略横方向のループを有していても良い。トラックの少なくとも1つのセクションがトンネルを貫通していても良い。この場合、トンネルがトラックの放出点の直前に配置されていることが好ましい。
【0035】
【図示の実施形態の説明】
以下、図面を参照しながら、本発明の幾つかの実施形態を説明する。
【0036】
図1は、崖14の縁の中腹12に建てられたトラック10を示している。トラックは、水平な上側部分16と、下方に傾斜した長い中間部分18と、トラックの放出点20に達する他の略水平な部分19とを有している。トラックは、ポール24と支柱24とによって支持されており、そのうちの幾つかだけが概略図に示されている。中腹や崖といった自然の地形を何とかして利用することにより、トラックの建造が容易になる。中腹および崖に代えて高層建物を使用することもできる。
【0037】
地面の高さに同様のトラックを建造する場合には、バンジージャンブ型の落下のためにトラックの放出点よりも下側に適当な落差を与えるべく、地面よりもかなり上側の高さにトラックを建てる必要があることは想像できる。
【0038】
図1に示されるトラック10は2つの追加機能を有している。第1に、トラックは、トラックの傾斜した部分18の下端に向う略垂直なループ26を有している。第2に、トラックは、トラックの放出点に、1つのトンネル28を有している。しかし、このトンネルまたは他の複数のトンネルがトラックに沿う他の場所に配置されていても良い。
【0039】
この実施形態において、トラック10は、一対の平行なレール30を備えている。そのうちの一方のレールが図2に示されている。装置は、トラックに沿って走行するように設計された車両32を有している。車両の両側にはそれぞれ、一対のフランジ付きの車輪34が設けられている。これらの車輪34は、各レールと係合するとともに、各レールに沿って走行する。車両がトラックから誤って離脱してはならない。そのため、車両がトラックと係合していても良く、特に、ジェットコースターの車両がそのトラックに係合する方法と同様な方法で、車両の車輪をレールに係合させることにより、車両がそのレールから飛び上がってトラックから落下することを防止しても良い。1つの可能性は、レールが装着されるデッキの上側に離間して外側に向う横方向フランジを各レールが長手方向に沿って有し、かつ、内側に向けられた対応するL形状ブラケットを車両がその両側に有し、ブラケットの自由端フランジが各レールの横方向フランジに接続されることなくこの横方向フランジの下側に位置されることにより、車両がトラックから飛び上がらないようにすることである。
【0040】
車両は、その前端に、バンパ36を有している。車両がトラックの放出点20に達すると、バンパは、トラックの放出点に装着されたショックアブソーバ(緩衝器)40の形態を成すストッパのパッド38と衝突する。ショックアブソーバは、好ましくは車両にダメージを与えることなく、車両を素早く停止させる。
【0041】
車両32の上には、乗車体42が着脱自在に装着されている。図2の概略図において、乗車体は、ベース44と、ベースの一端に設けられたフットレスト(足載せ台)46と、ベースの他端に設けられたバックレスト(背もたれ)48と、ヘッドレスト50とを有する略そり状のリクライニングチェアとして形成されている。乗客52は、上体を起こした略真直ぐな姿勢で座って示されている。乗客は、胸ストラップ54によって乗車体に固定される。また、乗客は、任意に、腰ストラップ56および足首ストラップ58によって乗車体に固定される。別の安全に関する特徴的構成として、図示の乗客はヘルメット60をかぶっている。
【0042】
乗車体42は、通常、乗車体を誤って車両から分離させることができないように、車両32に装着されている。例えば、車両は、乗車体のベース44と係合する1または複数の留め具(図示せず)を有していても良い。しかしながら、車両がトラックの放出点20でショックアブソーバ40と衝突して比較的急に停止する際には、乗車体42およびその乗客52が車両の前方に投げ出されるとともにトラックの放出点から放出されて自由落下を始めるようになっている。図2において、レール30同士の間からは、乗車体解放部材62が上方に突出しており、この乗車体解放部材62は、車両がショックアブソーバと衝突する直前に、車両の裏面に設けられたトリガ64に突き当たる。トリガが作動すると、乗車体を車両に対して保持している1または複数の留め具が解放される。これにより、車両が急に停止した際には、乗車体および乗客の勢い(運動量)によって、乗車体および乗客が車両の前方に投げ出されてトラックの端部を越える。車両上での乗車体の移動は、車両のデッキのレール上或は溝内に置かれた小さな車輪を有する乗車体あるいはその逆の形態によって容易となる。
【0043】
車両の後部には、リール68を支持するブラケット66が設けられている。リール上には、バンジーコード等の適当な長さの弾性紐70が巻回されている。バンジーコードの一端はリールに固定され、バンジーコードの自由端は乗車体42の後部のブラケット72に固定されている。乗客の体重に適した長さのバンジーコードを有するリールを乗車開始前に車両に嵌め付けることができるように、リールは交換できても良い。乗車体および乗客が自由落下してバンジーコードがリールから繰り出される時にリールが過回転しないよう、リールに若干ブレーキをかけても良い。また、リールには、取り外し可能なハンドル(図示せず)または適当なモータ(図示せず)が設けられ、これにより、乗車後にバンジーコードをリールに巻き戻すことができるようになっていても良い。
【0044】
乗車は、トラックの水平な上側部分16で行なわれる。車両は、誤って走り去ることができなように、制動がかけられ或は保持されている。乗客はその体重が量られ、適した長さのバンジーコードを有するリールが、車両のブラケット66に装着されるとともに、乗車体42に接続される。また、乗客は、乗車体に乗り込んで、所定の位置にしっかりとストラップで固定される。準備が全て整うと、ブレーキが解除され、車両は、トラックを下方に向けて走行し始めるように押出される。車両、乗車体、乗客がトラックの傾斜した中間部分18を下方に向けて走行する際にこれらに作用する重力により、所定の速度まで車両が推進する。図1に示される実施形態では、トンネル28に入る前に略垂直なループ26の周りを車両が走り抜けることができる速度まで、車両が推進する。ショックアブソーバ40はトンネルの出口に配置されており、これにより、乗客は、自由落下が始まる前に、銃身から空間へと発射された感覚を持つ。乗車体および乗客は急に停止された車両を残して水平に移動するため、自由落下は放物線の軌道を辿る。バンジーコードが完全にリールから繰り出されると、バンジーコードは、伸び始めて、最初の自由落下を徐々に終了させる。しかしながら、その後、乗車体および乗客がバンジーコードの端部で上下に跳ね返る周期がある。更に、乗車体および乗客は、トラックから水平に移動して放出されるため、上下の跳ね返りと同時にバンジーコードの端部で揺動する。無論、乗車体およびその乗客が物体と全くぶつかることなく揺動を行なうことができるように、崖のふもとに、すなわち、何があろうともトラックの放出点の下側に、十分なクリアランスがなければならない。また、乗車体および乗客が揺動して崖に突き当たらないように、崖のふもとに弾性コードまたは安全ネットがあっても良い。
【0045】
図2に示されるように乗車体にブラケット72が配置されているため、自由落下の終端でバンジーコードがピンと張ると、跳ね返って揺動する段階中に乗客はうつむけになる。好ましい実施形態において、ブラケットは、ヘッドレストに向った乗車体のより上側の高い位置に配置されており、あるいは、ヘッドレストに取り付けられており、これにより、乗客は、最初の自由落下の終端で跳ね返って揺動する間であっても、略直立姿勢で方向付けられたままとなる。
【0046】
バンジーコードの端部における乗車体および乗客の跳ねかえり及び揺動の大きさが十分に軽減されると、リール68上のバンジーコードの固定端に接続されたケーブルが繰り出され、これにより、乗客を解放することができる地面に向けて乗車体及びその乗客を徐々に降下させても良い。その後、ケーブルおよびバンジーコードを再びリールに巻回して、乗車体をトラックへと引き戻すことにより、乗車体を再び車両上に装着できるようにしても良い。また、乗客が乗車体と共に引き戻されて、トラックの放出点の真下のプラットフォームで乗客を解放しても良い。他の実施形態においては、バンジーコードがリールに巻回される前に乗車体を取り外して、車両の上に他の乗車体を配置し、その後再び最初の乗車体を引き上げることもできる。最後に、車両は、トラックの上側の水平部分16に戻される。その目的のため、ケーブルおよびウインチを使用することができる。この場合、ケーブルの自由端は、車両の後部のコネクタ74に取り外し可能に連結される。
【0047】
以上、本発明の1つの可能な実施形態を説明するとともに、他の実施形態として幾つかの可能な変形例を示してきた。しかしながら、本発明の多数の他の実施形態を提供することができるとともに、広義に規定された本発明の範囲から逸脱することなく、各実施形態に多数の他の変形を成すことができる。
【0048】
トラックは、一般に、地面の高さに建造することができるが、適度な落下を与える高さに建造することができる。適度な落下のための高さは、建物の上部にトラックを建造することによって得られる。この場合、建物の側面を越えて落下が行なわれる。
【0049】
トラックの上端は水平である必要はない。1または複数の乗客を定位置に着かせた状態で、車両または乗車体を傾斜面上に保持することができる。
【0050】
トラックは、略垂直なループを複数有していても良い。トラックには、1または複数の略垂直なループが設けられているか否かにかかわらず、1または複数の略横方向のループが設けられていても良い。トラックは、任意のループの前後に配置された複数のトンネルを貫通していても良い。また、トラックの自由端にトンネルが設けられている必要はない。また、トラックがループまたはトンネルを有していなくても良い。複数のトラックを並べて配置することもできる。
【0051】
図2に示される車両32および乗車体42は、車両がトラックの放出点で急に停止する時に車両から乗車体が分離されるという点で、前述した本発明の第3の態様に対応している。この態様の1つの利点は、バンジーコードを車両に支持させることができるという点である。これは、車両それ自体がトラックから離れない場合に有益である。車両のリール上にバンジーコードを巻回する代わりに、車両上あるいは乗車体の後部にバンジーコードが巻かれても良く、あるいは、バンジーコードを放置してトラックの側方に垂れ下げても良い
【0052】
他の実施形態において、車両は、乗車体と一体を成してトラックから離れるように形成されていても良い。この場合、トラックの放出点にショックアブソーバ40はいらない。無論、この実施形態において、バンジーコードを全体として車両/乗車体によって支持することができない。バンジーコードに伴う同じ問題は、車両が無く且つ乗客もしくは乗客が固定される乗車体に対してバンジーコードが直接に接続される実施形態において当てはまる。これらの場合、バンジーコードは、その固定端が例えばトラックの放出点に固定された状態で、トラックに並行して配置されても良く、または、トラックの側方に垂れ下げられても良い。
【0053】
本発明の他の実施形態において、トラックは、基本的に、水平なトラックであっても良い。この場合、バネまたは圧縮空気またはバンジーコードを使用して、乗客だけを推進させることができる。例えば、米国特許第5,522,321号に開示されたドラッグレース用娯楽自動車と同様な弾性コード推進システムを使用することができる。他の考えられる推進システムでは、水平なトラックだけが使用され或は傾斜したトラックに伴う重力と組み合わせて使用されているかにかかわらず、トラックに電磁誘導を使用することができる。車両それ自体がトラックから落下しない実施形態においては、電磁手段を使用して、トラックの放出点で車両を減速して制動することができる。この場合、物理的なショックアブソーバ40は必要ないが、バックアップ用の安全機能としてショックアブソーバを設けることができる。車両または乗車体が車輪または滑材を有しておらず且つ磁場作用によってトラックの上側に浮き上がる実施形態では、磁気または電磁気を使用しても良い。
【0054】
図2に示される車両32、乗車体42、ブラケット66、リール68、ショクアブソーバ42のデザインおよび構成は、他の多くの形態をとることができる。乗車体42は強固且つ丈夫であるが比較的軽量であることが望ましい。乗車体は、乗客が固定される籠(ケージ)の形態を成していても良く、あるいは、カプセルであっても良い。車両および乗車体は、複数の乗客、例えば2人の乗客を横に並べて或は前後に並べて乗せることができる寸法および形状を有していても良い。乗車体は、3人以上の乗客を乗せることができるように設計されていても良い。無論、乗客の数が多くなればなるほど、それらを合わせた重量も大きくなり、自由落下の終端でバンジーコードが受ける力も大きくなる。
【0055】
本発明の好ましい実施形態が図3から図10に示されている。この実施形態は、図1および図2に示された実施形態と共通する多くの特徴を有している。したがって、同様の部位を示すために、同じ参照符号が使用されている。しかしながら、好ましい実施形態は、多くの改良部分および追加機能を有しており、以下、これらについて詳細に説明する。
【0056】
好ましい実施形態の特定の構成は、トラックが連続するループの形態を成していることである。このことは、全ての車両が同じ方向に走行するため、十分大きなループによって複数の車両32をトラック上で同時に動作させることができるという点で有益である。このことは、トラックの異なる部分にある異なる車両が静止している場合であっても、あるいは、2つの車両が衝突しないようにシステムが制御されるのであれば、トラックの異なる部分にある異なる車両が異なる速度で動いている場合であっても当てはまる。「平坦な地面」または「下り坂」での発射においてもシステムは同様であり、主な相違点は、平坦な地面におけるシステムでは、乗車体42および乗客52を運ぶ車両32を加速させるために最初に大きな力が必要であり、また、車両の加速時の速度を監視するために更に複雑な制御が必要であるという点である。図3から図10に示される好ましい実施形態は、下り坂の形態である。
【0057】
好ましい実施形態では、トラックのために、二重レールシステム、すなわち、車両の4つのフランジ付き車輪34が係合する2つの平行なレール30が使用される。特に、乗車体を解放した後に車両を反転させ、車両をひっくり返したままで移動させ続けた後、再び車両を元の姿勢に戻す必要がある場合には、必要に応じて変形を加えても良い。この特定の変形については後ほど詳細に説明する。
【0058】
ループトラックによって形成された回路は、制御の視点から、3つのセクションに分割されると考えるのが都合良い。これらの部分は、「スタート」セクション11と、略して「解放」セクションと呼ばれる「減速/解放/反転」セクション13と、「回収」セクション15とからなる。スタートセクションは、まずスタート位置まで車両の初期の動作を制御し、その後、必要に応じて推進力を与える。また、スタートセクションは、トラックの任意の下方傾斜部分18を有していると考えることもできる。解放セクションは、乗車体および乗客が車両から放出される放出点20へと車両が近づいている時に、車両の速度を監視、制御する。その後、解放セクションは、車両が反転し且つ抑制されていたバンジーコード70の力が徐々に加えられている時の車両の遅い動作を制御する。その後、車両は、再反転スパイラルを備えたトラックの捩じれ部分55を通って駆動され、これにより、車両は、再び元の姿勢に戻され、回収部分への引渡しを待つ。回収セクションは、回収ステーション53に向う車両の動きを管理する。回収ステーション53では、車両が停止されるとともに、乗車体が回収されて車両の上に再び装着される。これが行なわれると、車両および装着された乗車体がスタートセクションへと再び駆動される。これらの3つのセクションを有することにより、良好な制御および安全性を確保することができ、同時に、他のセクションが忙しくても各セクションを動作させることができる。図4から図7は、これらのセクションを更に詳細に示している。
【0059】
スタートセクション11は、トラック10の上側水平部分16に配置されており、スタートステーション25を有している。スタートステーションは、トラックに隣接し且つ乗車希望者のための待機場所として機能するプラットフォーム27を有している。操作コンソール(操作卓)31を備えたシニアオペレータ位置もプラットフォームに設けられている。操作コンソールは、システム全体の状態を表示するとともに、オペレータ制御を可能にする。スタートステーションは、プラットフォームの手前に、次の車両のためのパーキング領域29を有している。
【0060】
スタートステーションで車両および装着された乗車体の準備が整うと、乗客は、固定された車両に足を踏み入れて、パッド付きの乗車体に乗り込み、拘束装具を着用して、任意の安全装置を閉じることができる。乗車体は、複数の乗客、例えば2人の乗客を運ぶことができるように形成されていても良いが、以下では、1人の乗客を運ぶことに関して説明する。乗客は、シニアオペレータの点検後、自分の準備ができていることを知らせるとともに、スタートボタンまたはレバーを作動させて車両を動かすように設定することができる。安全機能として、システムは、シニアオペレータおよび乗客の両者がスタートボタンまたはレバーを同時に作動させることにより、車両が作動状態に設定されるようになっていても良い。他の全ての制御が損なわれる時、例えば電源障害時に、危険防止装置(二重安全装置)として機能する機械ブレーキ33が、スタート位置でトラック10を横切るように配置されていることが好ましい。これにより、適切な制御無くして車両が飛び出してしまうことを防止できる。適切なブレーキは、トラックから立ち上がって車両が通り過ぎることを防止し且つ適当な制御シーケンスにより下降して車両の走行を可能にするバリアを備えている。
【0061】
システムは、トラックの周囲の多数の場所に配置され且つ車両の状態、位置、速度を特定することができるセンサ35により電子的に監視されることが好ましい。この情報は、必要な時にいつでも制御して安全性および適切な操作を確保するために、業務用コンピュータ(プログラマブル論理制御装置すなわちPLC)によって使用される。情報は、システムのサイズや複雑度合いにもよるが、トラックの周囲の2つのステーション、できれば3つのステーションで表示されるとともに、各ステーションで必要に応じてオペレータが入力、制御できる。スタートステーション25のシニアオペレータは、通常、「マスター」になり、全体の操作および安全性に責任を持つ。そのため、シニアオペレータは、全ての操作制御装置およびシステム状態ディスプレイにアクセスできる。各ステーションのオペレータは、車両からの乗車体の放出時におけるスムーズなバンジーコードの導出を制御する場合に重要となるバンジーコードの正確な積み込みを含む、安全機能の最終チェックに責任を持つ。
【0062】
スタートステーション11、放出ステーション13、回収ステーション15はそれぞれ、それ自身の駆動手段を有し、それによって、セクションにわたる車両の移動を制御できることが好ましい。各駆動手段は、駆動チェーンおよびモータ制御システムを含む電動式のチェーン牽引システム37を備えていることが好ましい。より詳細には、各駆動手段牽引システムは、ギアボックス43によって駆動チェーン41を駆動する電動機39を有している。各駆動チェーンは、車両の動作制御が必要なトラックの中心を下方に走行する長いループのチェーンを備えている。車両がチェーンドライブから駆動力または制動力を受けることができるように、互いに結合される一対の連結器74,75(特に図10を参照)が使用される。一方の連結器74は車両の下面に装着されている。他方の連結器75は、所定の間隔で、通常は一定の間隔で、各駆動チェーン41上に装着されている。車両の連結器74が駆動チェーンの連結器75に突き当たると、2つの連結器は、結合するとともに、チェーンが辿る経路がチェーンの下端に達することにより結合が解除されて駆動チェーンと車両との係合状態が解除されるまで、結合状態が維持される。このことは、それが移動している車両であるかチェーンであるかにかかわらず、当てはまる。チェーンドライブを車両に連結すると、加速、減速、等速にかかわらず、駆動チェーンの速度を対応する電動機39を用いて制御することにより、車両の動きを完全に制御することができる。また、これらの電動機は、制御システムやオペレータによって制御される。電動機は、3相可変速度ドライブ(VSD)であることが好ましい。
【0063】
必要である場合には、スタートセクション11に関連付けられた駆動手段37により初期加速推進力を車両に与えて、車両を所定の速度まで加速させることができる。これは、車両がトラックの水平部分でスタートする場合に必要である。また、主な加速器が重力の作用であっても良い。重力は、非常に予測できる速度の増大を車両に与える。したがって、そのような駆動手段または重力作用のいずれか或は両方が推進手段を形成し、これによって、車両は、車両に支持された乗車体が解放されて車両から放出されるトラックの放出点20に向けて推進される。図3に示されるように、この好ましい実施形態においても、トラックの傾斜部分18により、重力作用が利用される。乗車体および乗客を支持する車両は、傾斜部分18を降下しながら加速した後、トラックの水平部分19に達して、放出点20へと近づいていく。これがトラックの放出セクション13のスタートである。
【0064】
車両が放出点20に達する前、前述した駆動手段と同様に、トラックの放出点に関連付けられた駆動手段45は、移動する車両と係合し、乗車体の解放、放出段階、車両の反転、再反転段階へと至るその後の動作を制御する。トラックの放出セクションに関連付けられた駆動手段の駆動チェーン41の先頭に車両が達し、車両の連結部74がチェーンの連結部75に結合する場合、チェーンは、正確な速度で走行し、車両を過度にガタつかせることなく結合を果たす。その後、チェーンしたがって車両が減速されても良い。2つの機構を使用して、乗車体を解放して車両から放出できるようにすることが好ましい。まず、車両を監視する制御システムにより、正確な速度および安全な連結が所定の位置で実現されなければならない。これにより、トラックの下方から解放カム49を立ち上げることができる。このカムは、車両の解放機構を動作させて、一般に乗車体を車両に対して固定するラッチ77を解放する。解放機構76は、図8および図9に示されており、後に詳しく説明する。
【0065】
車両が衝突した際に車両を急に停止させることにより、解放された乗車体を車両から放出させることができるショックアブソーバ40を使用する図1および図2の実施形態とは異なり、この好ましい実施形態では、異なる方法で放出が行なわれる。図3および図5に示されるように、トラックの解放セクション13において、トラックは略U字形の鼻部21を有している。この鼻部21では、トラックがその下側に回り込むように下方に湾曲している。トラックのこのような下方への湾曲により、トラックに沿って走行する車両は、放出点20の領域で方向が急激に変化し始める。このようにして、車両は、事実上、水平方向で急激に減速する。しかしながら、車両から解放された乗車体は、当初の方向で移動し続け、したがって、車両から放出されてそれ自身の軌道を辿り続ける。エアラム(air−ram)等を使用して、エアラムと車両との衝突時に車両を水平方向で急速に減速させる場合と比較して、この好ましい構成では、車両に応力が殆ど作用せず、したがって、寿命が延びると考えられる。他の利点は、車両を直ちに解放セクションから立ち退かせて次の乗車体放出に備えることができるという点である。
【0066】
乗車体の解放前に制御システムが何らかの危険な状態を検出すると、解放動作が行なわれず、車両が直ちに停止される。
【0067】
乗車体42の後部には、バンジーコード70が巻回される複数のペグ51が設けられている。バンジーコードの端部は、乗車体の下側を通って、車両のデッキのチャンネル92内を貫通し、車両の前端に取り付けられている。バンジーコードは、完全に伸びきった状態で乗車体が地面と衝突しないように、落下時に乗車体を拘束するように寸法付けられている。乗車体が車両から離れると、バンジーコードが絡まることなく迅速に展開できるようにペグ51が十分に潰れる。その後、コードは、自由に繰り出され、乗車体と乗客とを合わせた重量により伸び始めると、円滑にピンと張る。このバンジーコードの導出および取り込み中、車両は、逆さまにひっくり返ってトラックの下側にくるまで、トラックの鼻部21の周りでゆっくりと移動される。この移動は、トラックのこの部分に関連付けられた制御システムと駆動手段との組み合わせによって制御される。放出される乗車体が外側下方に移動して、乗車体の跳ね返り、揺動段階が終了した後、乗車体が再び垂直状態に置かれ、その静荷重によってバンジーコードが伸長した状態になるまで、車両のバンジーコード固定部を、この固定部に作用する力の方向に向けることが好ましい。この段階中、車両は、ゆっくりと「反転」して進み、トラックの戻し部分23の下側の反転位置で停止する。乗車体の動きが止まると、車両は、回収セクション15へと駆動される。
【0068】
車両は、トラックの戻し部23上にいる間、回収セクション15に達する前に、トラックの捩じれセクション55を横切る。この捩じれセクション55は、車両を再反転させる、すなわち、車両を元の姿勢に再び戻す、レールのスパイラル(螺旋)セクションを構成する。
【0069】
回収ステーションの開始点には、回収ステーション53がある。この回収ステーションは、オペレータが居る有人ステーションであり、オペレータは、乗車体の回収を支援し、乗客の任意的な退去を許容し、乗車体を車両に再び装着する。
【0070】
回収ステーション53は、オペレータのコンソール(操作卓)31およびダビット装着型電動ウインチ59を有するプラットフォーム57を備えている。ウインチケーブル61の端部にあるフックは、乗車体まで下ろされて、乗車体のバンジー係留索63に取り付けられた後、乗客付きで乗車体をプラットフォームまで引き上げるために使用される。ダビット65により、乗車体を車両の周囲で揺動させて車両に再び取り付けることができる。
【0071】
乗車体が車両に再び取り付けられると、乗客は、装具を取り外し、乗車体から降りて、階段67によりスタートステーション11に戻ることができる。しかしながら、他の選択として、乗客は、車両および乗車体が回収ステーションの残りの部分を通じてスタートセクションへと戻る間、乗車体内に留まることができる。
【0072】
バンジーコード70は、回収ステーション53で再び積み込まれても良く、あるいは、車両および取り付けられた乗車体がバンジーコードを積み込むことができるスタートセクションへと再び到着するまで、一時的に巻き付けられても良い。いずれの場合においても、バンジーコードを正しい張力でペグ51およびペグ「テンショナ」リセットに再び装填しなければならない。これは、乗車体を車両に再装着する前または後に行なっても良い。
【0073】
乗車体が車両に再び取り付けられた後、バンジーコードは、場合に応じて、一時的または完全に再装填され、また、乗客が降ろされ、それが決定されたことであれば、車両および取り付けられた乗車体は、駆動手段73により、回収ステーションの端部にあるトラックの部分69に向って上側に移動され、トラックのスタートセクション11に戻される。トラックのこれらの2つセクション間には、略U字形の部分71がある。この部分71は、水平面内に位置しており、車両を180°だけ逆行させることができる。これにより、車両は、スタートステーション25に達する時に、正しい方向に再び向くことができる。
【0074】
スタートステーション25に到達する手前には、車両、乗車体、バンジーコードの状態をチェックして安全性を確保するとともに清掃して再使用の準備を行なう別個の準備、チェックステーションがあっても良い。また、このステーションで行なわれる機能がスタートステーション25で行なわれても良い。
【0075】
前述したように、制御システムは、PLCを使用することが好ましい。システムの操作に必要な情報の全ては、トラック10の周囲の戦略的な場所およびオペレータコンソール31上に配置された必要な数のセンサ35から集められる。この情報は、任意の必要なセーフティ・インターロックを含む、車両の動作および安全性のためにPLCにプログラムされたロジックを制御するために使用される。車両および一般的な装置状態に関する情報は、必要に応じて、PLCを中継してモニタに送られ、例えばオペレータコンソール31に送られる。そして、このオペレータコンソール31において、情報は、スクリーン上に表示されても良く、あるいは、視覚信号や音響信号を発しても良い。オペレータは、設けられたプッシュボタン、レバー、キーボードにより、「車両番号1をスタート可能」等の入力をPLCに与えることができる。その後、PLCは、モータ39の速度、したがって、加速、制動、駆動手段が設けられたトラック回路の周囲の全ての場所における車両の配置(例えば、停止部、スタート部)等を制御する。PLCのためのプログラムは、システムの全てのパラメータが分かって且つその操作方法が決定されると直ぐに設計されてインストールされる。
【0076】
情報を表示し且つオペレータから制御命令を受ける少なくとも3つのコンソール(操作卓)31があることが好ましい。例えば、コンソール(操作卓)31は、スタートステーション25に1つ、回収ステーション53に1つあり、また、多くの場合、3つ目がマネージャのオフィスにある。各コンソールは、ステーションの機能に必要な制御装置だけを有しているが、システムの他の場所の動きを監視できることが好ましい。マネージャのコンソールは、制御装置を有していなくても良いが、1日に乗る乗客の数、特定の使用期間中の乗客の数といった統計的な別の情報が与えられても良い。
【0077】
乗車体を車両に固定し且つ作動時に乗車体を解放可能にするために使用される乗車体解放機構76が、図8および図9に概略的に示されている。乗車体のベース44からの延出部は、乗車体の前端のベースフレーム42aと係合する回動ラッチ77により、車両のデッキのチャンネル78および車両の後部の溝79に固定されている。ラッチは、解放レバー接続アーム89を介して、回動解放レバー80に接続されている。解放レバーの自由端は、車両の下側に配置されている。これらの構成部品の構成および配置並びに車両とラッチとの間に接続された解放機構バネ90の作用により、ラッチ77はオーバーセンターロッキング機構として動作し、これにより、ラッチは、固定位置(図9に実線で示される位置)へと積極的に移動され、あるいは、解放レバー80の位置に応じて解放位置(図9に破線で示される位置)へと移動される。解放レバーが動作されると、ラッチと乗車体との係合が解除され、乗車体は、車両から自由に離脱することができるが、車両に対して前方および上方にのみ離脱できる。この方向は、放出時における乗車体の望ましい移動方向である。機械的な解放機構76の代わりに、ソレノイド91を設けて、ラッチ77を移動させることができる。車両のデッキのチャンネル78に固定される乗車体のベース44からの延在部を、延在部またはチャンネルに装着された車輪もしくはローラ上に載せることができる。
【0078】
放出点20のトラックのレール間には、カム49が装着されている。すなわち、カムは、正確な時間で解放を行ない、車両が大きな水平な減衰成分を受けた正にその時に、乗車体を車両から分離できるように配置されている。これは、少なくとも部分的には、トラックの湾曲部21上を車両が周回する結果として生じる。また、トラックのこの部分に関連付けられた駆動手段は、車両を減速させるために使用されても良い。1つのカム49の代わりに、放出点20の近傍に、トラックに沿って離間した一連のカムが設けられていても良い。これらのカムのうちの任意の1つは、必要に応じて制御システムにより立ち上げられても良く、あるいは、問題が生じて乗車体を安全に放出することができない場合には全く立ち上げられなくても良い。
【0079】
乗車体72は、丈夫で且つ軽量であることが望ましい。乗車体は、1人または2人の乗客を乗せることができるように形成されていても良く、設計に見合った乗客の数に適するように形成され且つパッドが付けられている。乗客を拘束して乗客が抜け落ちないようにするために、乗車体内の装具が使用される。乗車体は、カプセルのように実質的に閉じられていても良い。あるいは、乗車体は、特に乗客の上半身の辺りで比較的開放されていても良い。乗車体がその飛行の全体にわたって同じ姿勢を維持できるように、特に、任意の乗客が自分の頭を略垂直な姿勢にすることができるように、バンジーコード17は、係留索63に取り付けられても良い。
【0080】
車両32は、一般に、より頑丈に構成される。本発明の好ましい実施形態において、車両は、垂直に曲げられたトラックのセクション21の周りを通って、トラックの下側で逆さまにひっくリ返って配置された後、再び反転されるため、車両をトラックと係合させ続けるには、適した車輪およびトラックの組み合わせを有している必要がある。2つの好ましい車輪とトラックとの組み合わせがある。第1の組み合わせは、車輪が殆ど一対のレールの上に乗る4輪車両である。車両が反転されるという事実を受け入れるべく、車輪の「上端」側に他のレールセット82を設けて、車両を反転姿勢で維持する。これは、「4重トラック」セクションであると考えても良い。第2の組み合わせは、車両における8個の車輪構成の使用を含んでいる。この場合、8個の車輪は4つの対を成して配置され、これらの車輪対は、レールの上下に乗るようにセットされる。このような構成により、車両は、直立姿勢であるか反転姿勢であるかにかかわらず、レール上に保持される。これは、トラックの同じ側でレール対の各レールが各車輪対の2つの車輪間に挟まれているからである。このような構成は、トラックのレールの構成を簡単にするが、その一方で、車両を複雑且つ重くしてしまう。車輪を含む車両およびトラックの設計および構成に、既知のジェットコースター技術を使用しても良い。
【0081】
この好ましい実施形態の変形例において、弾性紐は、乗車体に取り付けられず、乗客に取り付けられる。この場合、乗客は、放出点への走行中、車両上の乗車体に座っていても良いが、乗車体は小さく且つ軽量にすることができる。乗車体は、車両が放出点で大きな水平方向の減速成分を受けた際に車両から前方にスライドすることができるマット、クッション、または、小型そり状のトレイを構成していても良い。乗車体は、放出されて自由落下することができる。そのため、乗車体は、乗車体と乗客とが接触しても別個に落下する乗客を傷付ける危険性を最小限に抑えることができる材料によって形成されていなければならない。また、乗車体を乗客に取り付けることもできる。また、乗車体を全く使用することなく、車両の好ましくは滑らかなデッキから乗客を放出することもできる。これらの実施形態のいずれかにおいては、バンジーコードの固定端を車両ではなく例えばトラックの側面または放出点の下側に取り付けることができる。
【0082】
図11には、本発明の他の実施形態の簡単な図面が示されている。この実施形態において、トラック10はケーブルから成る。図示のように、ケーブルは、その両端が支柱22に取り付けられるとともに、渓谷83を横切って吊るされており、これにより、ケーブルは一端から他端に向って傾斜している。あるいは、ケーブルの一端または両端を、他の支持体、例えば橋、建物、木、崖に取り付けることもできる。トラベラ84は、ケーブルの下端の手前に取り付けられたストッパ85まで、ケーブルに沿って自由に移動することができる。乗客87が固定される椅子86は、着脱自在な留め金88により、トラベラの下側に吊るされている。バンジーコード70は、トラベラと椅子の上端との間に取り付けられている。トラベラがケーブルの上端からストッパ85まで移動すると、トラベラは、したがって、椅子および乗客は、大きな水平方向の運動成分を有する。トラベラがストッパに衝突すると、留め金は、椅子および乗客を解放して落下させる。前述した本発明の他の実施形態と同様に、乗客は、跳ね返り動作と揺動動作との組み合わせを体感する。ウインチ94およびウインチライン93を使用して、トラベラを開始点まで戻しても良い。他のウインチおよびウイチライン(図示せず)を使用して、椅子を回収しても良い。この第2のウインチをトラベラに装着することができる。変形例においては、ケーブルをレールまたはトラベラのためのレールを支持するビーム(梁)に取って代えることもできる。
【0083】
本発明の装置は、少なくとも好ましい実施形態においては、ジェットコースターの要素とバンジージャンプの要素とを組み合わせて、高揚させるという点で、スリルのある走行を与えるように設計されている。より詳細には、自由落下の終端で、少なくとも1人の乗客は、跳ね返り動作と揺動動作の組み合わせを体感する。走行は、従来のバンジージャンプほど急速ではなく、バンジージャンプによって体感されるアドレナリン「スリル(buzz)」以上のものを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】考えられるトラックの概略側面図を示している。
【図2】トラックの放出点に達する乗客を支持する考えられる車両および乗車体の側面図を示している。
【図3】トラックが連続するループを備えている場合における、本発明の好ましい実施形態の一般的な概念を図示した側面図を示している。
【図4】図3に示される好ましい実施形態のスタートセクションであって、乗客が乗り込む場所であるスタートセクションの拡大側面図を示している。
【図5】図3に示される好ましい実施形態のトラックの放出点の領域であって、車両の減速、乗車体の解放、車両の反転および立て直しが行なわれる領域の拡大側面図を示している。
【図6】図3の好ましい実施形態の回収、再装填、戻しステーションの拡大側面図を示している。
【図7】図3の好ましい実施形態の戻し、準備、チェックステーションの拡大側面図を示している。
【図8】図3の実施形態の使用に適した車両および乗車体の側面図であって、好ましい乗車体解放機構を示している。
【図9】好ましい乗車体解放機構を詳細に図示した拡大側面図を示している。
【図10】図8に示された車両および乗車体の背面図を示している。
【図11】本発明の他の実施形態の概略側面図を示している。
【符号の説明】
10 トラック
20 放出点
32 車両
42 乗車体
70 弾性紐
【発明の分野】
本発明は、乗車して落下する娯楽用装置を提供する。装置は、放出点を有するトラックを備えている。放出点は、トラックの端部にあっても良い。トラックは、落下を与えるように、好ましくは、放出点下で十分な落下を与えるように位置されている。装置の使用時、スリルを求める乗客は、最初に、トラックに沿って放出点に向けて推進されることにより乗物走行を体感する。乗客は、水平方向の運動成分をもって、トラックの放出点から放出される。その後、乗客は、自由落下を体感する。第1の固定端と乗客に対して直接的に或は間接的に接続される第2の自由端とを有する弾性紐は、自由落下および乗客に与えられる水平方向の運動成分を制限し、自由落下の終端のある時間、乗客を跳ね返らせて揺動させる。乗物走行および自由落下の終端で、乗客は安全に開放される。したがって、本発明は、高揚をもってバンジージャンプのスリルと同様のスリルを与える。
【0002】
【背景技術】
バンジージャンプは、良く知られた運動活動である。一般的なバンジージャンプ装置は、高架プラットフォームと、弾性バンジーコードとを備えている。バンジーコードの一端または一端側は、プラットフォームに取り付けられている。バンジーコードの自由端は、通常、ジャンパーの足首の上に固定されるカラーにより、ジャンパーに取り付けられる。プラットフォームに対するバンジーコードの取り付け部とバンジーコードの自由端との間のバンジーコードの長さは、バンジーコードの特性、プラットフォーム下の落下距離、ジャンパーの体重にしたがって選択される。ジャンパーは、プラットフォームからステップ、ジャンプまたはダイビングし、バンジーコードの作用によって最初の自由落下が終わるまで自由落下する。これにより、ジャンパーは、逆さまにひっくり返った姿勢で所定時間上下に跳ね返る。そして、その終端で、通常、バンジーコードをプラットフォームから繰り出して、ジャンパーが解放される地面へとジャンパーを徐々に下降させる。バンジージャンプ装置の例は、米国特許第5,094,448号に記載されている。
【0003】
プラットフォームからのジャンパーの自由落下は、殆どの場合、垂直な落下である。落下においては、水平方向の運動成分によるものが殆どない。水平方向の運動成分は、通常、落下の開始点でプラットフォームから外側にジャンプし或は飛び込むジャンパーによって与えられる。最初の自由落下において水平方向の運動成分が含まれている場合には、その後、ジャンパーは、落下の終端で跳ね返りを体感する他、揺動動作も体感する。現在のバンジージャンプ装置では、ジャンパーが体感できる揺動動作の度合いは比較的小さい。
【0004】
バンジーコードは、スリルを求める他のタイプの娯楽装置で使用される。米国特許第5,421,783号は人間パチンコ(human slingshot)装置を開示している。この装置は、2つの高架タワーと、タワー間に設けられたキャリアと、2つのバンジーコードとから成る。各バンジーコードは、キャリアを各タワーの上端に接続する。キャリアが地面に固定され且つバンジーコードがテンション機構を用いて引き伸ばされている時に、乗客は、キャリア内に入ってストラップで縛られる。キャリアが解放されると、キャリアは、その中で縛られた乗客と共に、空中に飛び上げられ、その後、数回上下に跳ね返った後、乗客を解放するために地面へと下降される。同様の装置が米国特許第5,810,671号に記載されている。ただし、装置がガイドレールを有している点が異なる。ガイドレールは、キャリアまたは椅子アセンブリと協働することにより、椅子アセンブリがその解放位置から解放される時に、ガイドレールから空中に投げ上げられる前の少なくとも短い時間だけ椅子アセンブリを所定の経路に沿って案内する。
【0005】
米国特許第5,649,866号は、乗客のための椅子アセンブリと、互いに離間して三角形を成した状態で地面に取り付けられた3つのタワーとを有する娯楽乗物システムを開示している。バンジーコードは、椅子アセンブリから第1および第2のタワーに向けて延びている。バンジーコードを伸長姿勢まで伸ばしてテンションをかける手段が設けられている。牽引ケーブルは、第3のタワーの上端から、椅子アセンブリの後部に着脱自在に接続される。
【0006】
バンジーコードが伸長されると、椅子アセンブリが地面から持ち上げられ、牽引ケーブルは、第3のタワーの上端に隣接する位置へと椅子アセンブリを牽引する。牽引ケーブルの解放時、バンジーコードは、第3のタワーから延び且つ第1のタワーと第2のタワーとの間を通る略水平な経路に沿って、椅子アセンブリを投げる。したがって、乗客は、殆どの場合、前後の水平運動を体感する。
【0007】
また、米国特許第5,522,321号に記載された娯楽乗物において、バンジーコードは、基本的に水平な動作を与えるために使用される。一対の並行するトラックアセンブリが設けられ、各トラックアセンブリは、乗客用の車輪付きの車を有している。その車は、ドラッグレース用自動車をまねており、トラックに沿って移動できるように装着されている。バンジーコードは、各車をそのトラックに沿って加速するために使用される。トラックの他端において、バンジーコードは、車を減速するためにも使用され、また、車を加速させてトラックの第1の端部へと戻すために使用されても良い。
【0008】
米国特許第5,853,331号は、上方に曲がった発射部を有する傾斜したトラックを降下するようになっている乗客用の車輪付き車を備えた娯楽乗物を開示している。前記発射部からは、スキージャンパーの軌道と類似した軌道で、一時的に空中に車が発射される。車は、ロープにより、一対の支持ワイヤにローリング可能に接続されている。支持ワイヤは、トラックの両側に位置されるとともに、車を一時的に空中に発射することができるように且つロープと干渉したりロープによって規制されることなく車を短時間自由落下させることができるように、トラックの発射領域に対して所定の高さに位置されている。車が落下すると、ロープは、支持ワイヤと共にピンと張り、車の自由落下を終わらせる。その後、車は、所定の傾斜に沿って支持ワイヤを滑り降り、乗物の端部にある横方向に離間するツインタワーへと向う。各支持ワイヤは、各タワーに接続されている。したがって、この娯楽乗物によれば、1または複数の人は、車に乗って傾斜したトラックを下降して、上側に向けて曲げられた発射部へと向い、この発射部から、車は、スキージャンパーの軌道と類似する軌道で空中へと発射される。短い自由落下の後、車がつながれた支持ワイヤが自由落下を終わらせ、これにより、自動車は、支持ワイヤを滑り降りて乗物の端部へと向う。トラックからの車の発射時、車は、十分な程度の水平運動を有さない。すなわち、その後、短い自由落下を行なう。しかしながら、その期間の最後に、車は支持ワイヤを滑り降りる。無論、乗物は乗客を興奮させるが、バンジージャンプで得られるような十分な興奮要素はない。特に、バンジージャンプのような十分な自由落下時間が無い。バンジージャンプのような自由落下の終端での十分な上下の跳ね返りが無い。また、車が発射部で十分な程度の水平運動を有していたとしても、その運動は、車の乗客に揺動の興奮を与えるために使用されない。
【0009】
【発明の概要】
本発明の目的は、バンジージャンプの形態を成す自由落下であって、乗客の垂直な跳ね返りと揺動との組み合わせによって終了する自由落下を含む、スリルを求める人のための新規な娯楽用乗物を提供することである。
【0010】
第1の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
乗客を放出点から水平成分の運動をもって放出させるようにトラックに沿って推進させ、放出点から自由落下させる推進手段と、
第1の固定端と、乗客に接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗客の自由落下および乗客に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗客を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0011】
本発明のこの態様の範囲に含まれる一実施形態によれば、トラックは滑降斜面または滑り台を備えており、乗客は、乗客自身の服、マット、クッション、小型そり、スキー板に乗ったまま滑走することができる。マットまたはクッションが使用される場合、マットまたはクッションは、乗客に固定されても良く、あるいは、トラックの放出点から自由落下でき、その後に回収されても良い。マットまたはクッションが比較的柔らかい場合、それをトラックからそのまま自由落下させても害はない。また、紐(乗客に接続される弾性紐以外)は、マットまたはクッションをトラックまたはトラックに隣接する何らかの部分に接続しても良く、これにより、使用後にマットまたはクッションをトラックまで引き戻すことができる。小型そりが使用される場合、小型そりは、軽量であることが好ましく、また、乗客に取り付けられることが好ましい。スキー板は、通常、従来の方法で乗客に取り付けられる。小型そり或はスキー板を乗客に取り付けると、これらが別個に自由落下することが防止され、したがって、これらが自由落下する乗客と衝突する危険を完全に防止できる。
【0012】
第2の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
乗客のための乗車体であって、トラックに沿って搬送可能であり、放出点から水平成分の運動をもって放出されて放出点から自由落下できる乗車体と、
乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
乗車体をトラックに沿って推進させて、放出点から放出させる推進手段と、
第1の固定端と、乗車体に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗車体の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗車体を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0013】
本発明のこの態様によれば、装置の少なくとも使用時に、乗客が乗車体に固定され、弾性紐の自由端が乗車体に固定される。この場合も、乗車体は、マットまたはクッションであっても良く、また、マットまたはクッションに対する乗客および弾性紐の取り付けは、自由落下の終端で課せられる力と、結果として起こる乗車体および乗客の跳ね返り、揺動に伴う力とに十分耐えられるように強くなければならない。
【0014】
好ましい乗車体は、マットやクッションよりも頑丈である。例えば、乗車体は、トラックに沿って滑走するように形成された小型そりを構成していても良い。この場合、トラックは、滑降斜面または滑り台であっても良い。トラックに沿う小型そりの動作を安定させるため、トラックは、小型そりのランナーが走行して小型そりをトラックに位置合わせする溝を有していても良い。また、これは、小型そりがスライド可能に係合する1または複数のレールの形態をトラックが成すことにより達成される。
【0015】
乗車体は、1または複数の乗客を乗せることができる車輪付きの車を備えていることが更に好ましい。この場合、乗客は、車に固定的に保持される。また、この場合、トラックには、車の車輪が係合して車をトラックに位置合わせするレールが設けられていることが好ましい。
【0016】
本発明のこの態様の実施形態の考えられる欠点は、乗車体が頑丈であり、したがって、乗車体が1または複数の乗客と共にトラックから放出される重い車である場合、1または複数の乗客の重量に伴う力と車の重量に伴う力とに弾性紐が耐えなければならないという点である。このことは、車の重量を無視できる場合よりも頑丈な弾性紐を使用しなければならないことを意味する。本発明のこの実施形態および他の実施形態においては、弾性紐が1または複数のバンジーコードを構成しても良い。必要に応じて、任意の弾性紐の端部を非弾性紐の端部と連結することにより、紐の伸び度合いを大きくすることなく紐の長さを長くしても良い。このことは、紐が完全に伸びきった状態で1または複数の乗客および乗車体が地面に突っ込むような紐の過度の伸びを防止する状況においては、必要となるかもしれない。用語「弾性紐」は、このような紐の組み合わせを含むものとする。
【0017】
第3の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
トラックの放出点に向けてトラックに沿って搬送可能な車両と、
車両を放出点に向けてトラックに沿って推進させる推進手段と、
車両が放出点でトラックから放出されないように車両を停止させるストッパと、
乗客のための乗車体であって、車両に装着可能で且つ車両から分離可能であり、これにより、車両に乗せたままトラックに沿って搬送可能であり、車両がストッパによって停止された際には、車両から分離され且つ水平成分の運動をもってトラックの放出点から放出されて放出点から自由落下する乗車体と、
乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
第1の固定端と、乗車体に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗車体の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗車体を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0018】
本発明のこの態様によれば、乗客用の比較的軽量な車である乗車体は、車両に装着可能であるが、車両から分離することもできる。弾性紐は乗車体に取り付けられ、1または複数の乗客は乗車体に固定される。例えば前述した小型そり或は車輪付きの車であっても良い車両は、トラックから離脱しない。トラックの放出点で車両が比較的急に停止され、1または複数の乗客が乗った乗車体は、車両から前方に投げ出されて、自由落下を始める。この実施形態において、弾性紐は、1または複数の乗客および乗車体の重量によって課される力を受けなければならないが、車両の重量は、弾性紐に全く力を課さない。弾性紐の固定端が車両に固定され、これにより、車両から乗車体が放出されるまで、弾性紐の全体が車両上に支持されることが好ましい。また、紐は、トラックを支持する構造体に固定され、あるいは、トラックに隣接する何らかの他の固定部に固定される。
【0019】
第4の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
トラックの放出点に向けてトラックに沿って搬送可能な車両と、
車両を放出点に向けてトラックに沿って推進させる推進手段と、
車両が放出点でトラックから放出されることを防止する手段と、
放出点または放出点の直前で車両に水平な減速成分を与える減速手段と、
乗客のための乗車体であって、車両に装着可能で且つ車両から分離可能であり、これにより、車両に乗せたままトラックに沿って搬送可能であり、減速手段によって充分に迅速に水平な減速成分が車両に与えられると、車両から分離され且つ水平成分の運動をもってトラックの放出点から放出されて放出点から自由落下する乗車体と、
乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
第1の固定端と、乗車体に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗車体の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗車体を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0020】
本発明のこの態様は、その範囲内に、前述した本発明の第3の態様を含んでいる。その場合、放出点または放出点の直前で車両に水平な減速成分を与える減速手段は、ストッパである。しかしながら、ストッパは、車両を不意に減速させる一方、他の減速手段は、車両からの乗車体の放出を危うくすることなく、車両を急激に減速させないように使用されても良い。車両を急激に減速させなければ、車両に対するダメージを少なくでき、車両の寿命を延ばすことができる。
【0021】
前述した本発明の、他の態様の幾つかにおいて、トラックは、滑降斜面または滑り台を備えており、乗車体および乗客を支持する車両は、滑降斜面または滑り台に沿って滑走することができても良い。この場合、車両が小型そりでも良く、トラックは、小型そりのランナが走行して小型そりをトラックに位置合わせする溝を有していることが好ましい。しかしながら、車両は、車輪付きの車を構成していることが好ましく、トラックは、車の車輪が係合して車をトラックに位置合わせする1または複数のレールを備えていることが好ましい。トラックは平行な2つのレールを備えていることが好ましい。
【0022】
本発明のこの態様によれば、乗車体は、シート材料、マット、クッションであっても良いが、車両に乗ったまま滑走もしくは転走するように形成された小型そり状の乗車体またはカプセルであることが好ましい。車両は、乗車体のランナーもしくは車輪が走行して乗車体を車両に位置合わせさせる溝であって、乗車体が車両から分離してトラックから放出される際にトラックと位置合わせされる溝を有している。その意図する放出前に車両から乗車体がうっかり引き離されないようにする手段が設けられていることが好ましい。
【0023】
放出点の直前において、トラックは、車両したがって乗車体および乗車体上の乗客に十分な程度の水平運動を与える角度をもって配置されている。トラックは、放出点の直前で、略水平であり、あるいは、スキージャンプの様式で若干上方に曲げられていることが好ましい。
【0024】
本発明の第3の態様においては、前述したように、減速手段はストッパであっても良い。しかしながら、更に好ましい減速手段は、充分に急な下向きのカーブをトラックの放出点に備え、これにより、車両がカーブの周りを通過する時に、その急激な方向変化によって、十分に水平な減速成分が乗車体を放出させることができる。この実施形態において、トラックのカーブは、トラックの戻し部分に向って連続的に周回していることが好ましい。これにより、車両は、カーブの周りを通過した後、トラックの戻し部において、少なくとも初期に反転姿勢となる。したがって、トラックの戻し部は、車両を再反転して元の姿勢に戻す車両立て直し手段を有していても良い。車両立て直し手段は、例えば、トラックの戻し部に捩じれセクションを備え、これにより、車両は、捩じれセクションを通過する時に、再び元の姿勢に戻される。
【0025】
トラックの戻し部に乗車体回収手段が関連付けられていても良く、これにより、放出されて落下した乗車体をトラックの戻し部へと引き上げて車両に再び装着することができる。
【0026】
本発明の少なくともこの態様によれば、装置は、トラックに関連付けられた駆動手段を更に備え、これにより、駆動手段は、車両と相互に作用して、車両を制御可能な方法でトラックの少なくとも一部に沿って移動させることができる。複数の駆動手段がトラックの異なる部分に関連付けられていても良い。例えば、トラックのスタート部分には、トラックに沿う車両の移動を開始する開始駆動手段が設けられていても良い。この開始駆動手段は、推進手段の全部あるいは一部を備えていても良い。また、トラックの放出点の領域には減速駆動手段が設けられ、この減速駆動手段は、前記減速手段を形成し或は前記減速手段の一部を成して、乗車体を乗車体から即ちトラックから放出させることができるようになっていても良い。すなわち、減速手段は、減速駆動手段によって設けられても良く、あるいは、前述したトラックの放出点の急な下向きのカーブによって設けられても良い。また、車両をトラックのスタート領域に戻す回収駆動手段が設けられても良い。
【0027】
特に、トラックは、車輪付きの車両用のレールを備えている場合、連続するループを備えていることが好ましい。これにより、複数の車両を同時に使用してループトラックの周りで1方向にうまく移動させることができる。
【0028】
第5の態様において、本発明は、広義に、乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
トラックの放出点に向けてトラックに沿って搬送可能な車両と、
車両を放出点に向けてトラックに沿って推進させる推進手段と、
車両が放出点でトラックから放出されることを防止する手段と、
放出点または放出点の直前で車両に水平な減速成分を与える減速手段と、
乗客のための乗車体であって、車両に装着可能で且つ車両から分離可能であり、これにより、車両に乗せたままトラックに沿って搬送可能であり、減速手段によって充分に迅速に水平な減速成分が車両に与えられると、乗客と共に車両から分離され且つ水平成分の運動をもってトラックの放出点から放出されて放出点から自由落下する乗車体と、
任意に、乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
第1の固定端と、乗客に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗客の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗客を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置に内在する。
【0029】
本発明のこの態様は、第4の態様と類似しているが、紐が乗車体ではなく乗客に直接に接続され或は接続可能である点が異なる。このことは、乗車体および乗客が車両から放出される際に、乗車体が自由落下することを意味している。したがって、乗車体は、乗車体および乗客が別個に自由落下して互いに比較的接近する際に乗客を傷付ける危険を最小限に抑えられるような1または複数の材料によって形成されなければならない。
【0030】
乗車体、特に乗客が固定される乗車体を使用する本発明の任意の形態において、乗車体は、走行中および自由落下の全体にわたって、また、自由落下の終端での跳ね返りおよび揺動中であっても、上体をほぼ起こした姿勢の乗客を支持しても良い。
【0031】
本発明のいずれかの態様において、トラックの放出点下の落下は、十分な落下、例えば少なくとも40mの落下であることが好ましい。落下は少なくても良いが、多いほうが好ましい。
【0032】
本発明のいずれかの態様において、トラックの少なくとも1つのセクションは、トラックの放出点に向って下方に傾斜する傾斜面を有していることが好ましい。この場合、傾斜したセクションが推進手段を形成しても良い。装置が開始駆動手段を有している場合、この開始駆動手段およびトラックの下方に傾斜したセクションは、協働して、推進手段を形成しても良い。トラックが傾斜面もしくは推進手段を形成できる十分傾斜したセクションを有していない場合には、開始駆動手段だけが推進手段を形成しても良い。
【0033】
前述したように、トラックの放出点は、略水平であっても良く、あるいは、トラックの端部から放出される乗客または乗車体に所定の度合いの水平運動を与えることができる他の角度で配置されても良い。全体として、トラックは、米国特許第5,853,331号のそれと類似する形態のスキージャンプのトラックに似ていても良い。
【0034】
更なるスリル効果のため、トラックは、少なくとも1つの略垂直なループを有し、あるいは、少なくとも1つの略横方向のループを有していても良い。トラックの少なくとも1つのセクションがトンネルを貫通していても良い。この場合、トンネルがトラックの放出点の直前に配置されていることが好ましい。
【0035】
【図示の実施形態の説明】
以下、図面を参照しながら、本発明の幾つかの実施形態を説明する。
【0036】
図1は、崖14の縁の中腹12に建てられたトラック10を示している。トラックは、水平な上側部分16と、下方に傾斜した長い中間部分18と、トラックの放出点20に達する他の略水平な部分19とを有している。トラックは、ポール24と支柱24とによって支持されており、そのうちの幾つかだけが概略図に示されている。中腹や崖といった自然の地形を何とかして利用することにより、トラックの建造が容易になる。中腹および崖に代えて高層建物を使用することもできる。
【0037】
地面の高さに同様のトラックを建造する場合には、バンジージャンブ型の落下のためにトラックの放出点よりも下側に適当な落差を与えるべく、地面よりもかなり上側の高さにトラックを建てる必要があることは想像できる。
【0038】
図1に示されるトラック10は2つの追加機能を有している。第1に、トラックは、トラックの傾斜した部分18の下端に向う略垂直なループ26を有している。第2に、トラックは、トラックの放出点に、1つのトンネル28を有している。しかし、このトンネルまたは他の複数のトンネルがトラックに沿う他の場所に配置されていても良い。
【0039】
この実施形態において、トラック10は、一対の平行なレール30を備えている。そのうちの一方のレールが図2に示されている。装置は、トラックに沿って走行するように設計された車両32を有している。車両の両側にはそれぞれ、一対のフランジ付きの車輪34が設けられている。これらの車輪34は、各レールと係合するとともに、各レールに沿って走行する。車両がトラックから誤って離脱してはならない。そのため、車両がトラックと係合していても良く、特に、ジェットコースターの車両がそのトラックに係合する方法と同様な方法で、車両の車輪をレールに係合させることにより、車両がそのレールから飛び上がってトラックから落下することを防止しても良い。1つの可能性は、レールが装着されるデッキの上側に離間して外側に向う横方向フランジを各レールが長手方向に沿って有し、かつ、内側に向けられた対応するL形状ブラケットを車両がその両側に有し、ブラケットの自由端フランジが各レールの横方向フランジに接続されることなくこの横方向フランジの下側に位置されることにより、車両がトラックから飛び上がらないようにすることである。
【0040】
車両は、その前端に、バンパ36を有している。車両がトラックの放出点20に達すると、バンパは、トラックの放出点に装着されたショックアブソーバ(緩衝器)40の形態を成すストッパのパッド38と衝突する。ショックアブソーバは、好ましくは車両にダメージを与えることなく、車両を素早く停止させる。
【0041】
車両32の上には、乗車体42が着脱自在に装着されている。図2の概略図において、乗車体は、ベース44と、ベースの一端に設けられたフットレスト(足載せ台)46と、ベースの他端に設けられたバックレスト(背もたれ)48と、ヘッドレスト50とを有する略そり状のリクライニングチェアとして形成されている。乗客52は、上体を起こした略真直ぐな姿勢で座って示されている。乗客は、胸ストラップ54によって乗車体に固定される。また、乗客は、任意に、腰ストラップ56および足首ストラップ58によって乗車体に固定される。別の安全に関する特徴的構成として、図示の乗客はヘルメット60をかぶっている。
【0042】
乗車体42は、通常、乗車体を誤って車両から分離させることができないように、車両32に装着されている。例えば、車両は、乗車体のベース44と係合する1または複数の留め具(図示せず)を有していても良い。しかしながら、車両がトラックの放出点20でショックアブソーバ40と衝突して比較的急に停止する際には、乗車体42およびその乗客52が車両の前方に投げ出されるとともにトラックの放出点から放出されて自由落下を始めるようになっている。図2において、レール30同士の間からは、乗車体解放部材62が上方に突出しており、この乗車体解放部材62は、車両がショックアブソーバと衝突する直前に、車両の裏面に設けられたトリガ64に突き当たる。トリガが作動すると、乗車体を車両に対して保持している1または複数の留め具が解放される。これにより、車両が急に停止した際には、乗車体および乗客の勢い(運動量)によって、乗車体および乗客が車両の前方に投げ出されてトラックの端部を越える。車両上での乗車体の移動は、車両のデッキのレール上或は溝内に置かれた小さな車輪を有する乗車体あるいはその逆の形態によって容易となる。
【0043】
車両の後部には、リール68を支持するブラケット66が設けられている。リール上には、バンジーコード等の適当な長さの弾性紐70が巻回されている。バンジーコードの一端はリールに固定され、バンジーコードの自由端は乗車体42の後部のブラケット72に固定されている。乗客の体重に適した長さのバンジーコードを有するリールを乗車開始前に車両に嵌め付けることができるように、リールは交換できても良い。乗車体および乗客が自由落下してバンジーコードがリールから繰り出される時にリールが過回転しないよう、リールに若干ブレーキをかけても良い。また、リールには、取り外し可能なハンドル(図示せず)または適当なモータ(図示せず)が設けられ、これにより、乗車後にバンジーコードをリールに巻き戻すことができるようになっていても良い。
【0044】
乗車は、トラックの水平な上側部分16で行なわれる。車両は、誤って走り去ることができなように、制動がかけられ或は保持されている。乗客はその体重が量られ、適した長さのバンジーコードを有するリールが、車両のブラケット66に装着されるとともに、乗車体42に接続される。また、乗客は、乗車体に乗り込んで、所定の位置にしっかりとストラップで固定される。準備が全て整うと、ブレーキが解除され、車両は、トラックを下方に向けて走行し始めるように押出される。車両、乗車体、乗客がトラックの傾斜した中間部分18を下方に向けて走行する際にこれらに作用する重力により、所定の速度まで車両が推進する。図1に示される実施形態では、トンネル28に入る前に略垂直なループ26の周りを車両が走り抜けることができる速度まで、車両が推進する。ショックアブソーバ40はトンネルの出口に配置されており、これにより、乗客は、自由落下が始まる前に、銃身から空間へと発射された感覚を持つ。乗車体および乗客は急に停止された車両を残して水平に移動するため、自由落下は放物線の軌道を辿る。バンジーコードが完全にリールから繰り出されると、バンジーコードは、伸び始めて、最初の自由落下を徐々に終了させる。しかしながら、その後、乗車体および乗客がバンジーコードの端部で上下に跳ね返る周期がある。更に、乗車体および乗客は、トラックから水平に移動して放出されるため、上下の跳ね返りと同時にバンジーコードの端部で揺動する。無論、乗車体およびその乗客が物体と全くぶつかることなく揺動を行なうことができるように、崖のふもとに、すなわち、何があろうともトラックの放出点の下側に、十分なクリアランスがなければならない。また、乗車体および乗客が揺動して崖に突き当たらないように、崖のふもとに弾性コードまたは安全ネットがあっても良い。
【0045】
図2に示されるように乗車体にブラケット72が配置されているため、自由落下の終端でバンジーコードがピンと張ると、跳ね返って揺動する段階中に乗客はうつむけになる。好ましい実施形態において、ブラケットは、ヘッドレストに向った乗車体のより上側の高い位置に配置されており、あるいは、ヘッドレストに取り付けられており、これにより、乗客は、最初の自由落下の終端で跳ね返って揺動する間であっても、略直立姿勢で方向付けられたままとなる。
【0046】
バンジーコードの端部における乗車体および乗客の跳ねかえり及び揺動の大きさが十分に軽減されると、リール68上のバンジーコードの固定端に接続されたケーブルが繰り出され、これにより、乗客を解放することができる地面に向けて乗車体及びその乗客を徐々に降下させても良い。その後、ケーブルおよびバンジーコードを再びリールに巻回して、乗車体をトラックへと引き戻すことにより、乗車体を再び車両上に装着できるようにしても良い。また、乗客が乗車体と共に引き戻されて、トラックの放出点の真下のプラットフォームで乗客を解放しても良い。他の実施形態においては、バンジーコードがリールに巻回される前に乗車体を取り外して、車両の上に他の乗車体を配置し、その後再び最初の乗車体を引き上げることもできる。最後に、車両は、トラックの上側の水平部分16に戻される。その目的のため、ケーブルおよびウインチを使用することができる。この場合、ケーブルの自由端は、車両の後部のコネクタ74に取り外し可能に連結される。
【0047】
以上、本発明の1つの可能な実施形態を説明するとともに、他の実施形態として幾つかの可能な変形例を示してきた。しかしながら、本発明の多数の他の実施形態を提供することができるとともに、広義に規定された本発明の範囲から逸脱することなく、各実施形態に多数の他の変形を成すことができる。
【0048】
トラックは、一般に、地面の高さに建造することができるが、適度な落下を与える高さに建造することができる。適度な落下のための高さは、建物の上部にトラックを建造することによって得られる。この場合、建物の側面を越えて落下が行なわれる。
【0049】
トラックの上端は水平である必要はない。1または複数の乗客を定位置に着かせた状態で、車両または乗車体を傾斜面上に保持することができる。
【0050】
トラックは、略垂直なループを複数有していても良い。トラックには、1または複数の略垂直なループが設けられているか否かにかかわらず、1または複数の略横方向のループが設けられていても良い。トラックは、任意のループの前後に配置された複数のトンネルを貫通していても良い。また、トラックの自由端にトンネルが設けられている必要はない。また、トラックがループまたはトンネルを有していなくても良い。複数のトラックを並べて配置することもできる。
【0051】
図2に示される車両32および乗車体42は、車両がトラックの放出点で急に停止する時に車両から乗車体が分離されるという点で、前述した本発明の第3の態様に対応している。この態様の1つの利点は、バンジーコードを車両に支持させることができるという点である。これは、車両それ自体がトラックから離れない場合に有益である。車両のリール上にバンジーコードを巻回する代わりに、車両上あるいは乗車体の後部にバンジーコードが巻かれても良く、あるいは、バンジーコードを放置してトラックの側方に垂れ下げても良い
【0052】
他の実施形態において、車両は、乗車体と一体を成してトラックから離れるように形成されていても良い。この場合、トラックの放出点にショックアブソーバ40はいらない。無論、この実施形態において、バンジーコードを全体として車両/乗車体によって支持することができない。バンジーコードに伴う同じ問題は、車両が無く且つ乗客もしくは乗客が固定される乗車体に対してバンジーコードが直接に接続される実施形態において当てはまる。これらの場合、バンジーコードは、その固定端が例えばトラックの放出点に固定された状態で、トラックに並行して配置されても良く、または、トラックの側方に垂れ下げられても良い。
【0053】
本発明の他の実施形態において、トラックは、基本的に、水平なトラックであっても良い。この場合、バネまたは圧縮空気またはバンジーコードを使用して、乗客だけを推進させることができる。例えば、米国特許第5,522,321号に開示されたドラッグレース用娯楽自動車と同様な弾性コード推進システムを使用することができる。他の考えられる推進システムでは、水平なトラックだけが使用され或は傾斜したトラックに伴う重力と組み合わせて使用されているかにかかわらず、トラックに電磁誘導を使用することができる。車両それ自体がトラックから落下しない実施形態においては、電磁手段を使用して、トラックの放出点で車両を減速して制動することができる。この場合、物理的なショックアブソーバ40は必要ないが、バックアップ用の安全機能としてショックアブソーバを設けることができる。車両または乗車体が車輪または滑材を有しておらず且つ磁場作用によってトラックの上側に浮き上がる実施形態では、磁気または電磁気を使用しても良い。
【0054】
図2に示される車両32、乗車体42、ブラケット66、リール68、ショクアブソーバ42のデザインおよび構成は、他の多くの形態をとることができる。乗車体42は強固且つ丈夫であるが比較的軽量であることが望ましい。乗車体は、乗客が固定される籠(ケージ)の形態を成していても良く、あるいは、カプセルであっても良い。車両および乗車体は、複数の乗客、例えば2人の乗客を横に並べて或は前後に並べて乗せることができる寸法および形状を有していても良い。乗車体は、3人以上の乗客を乗せることができるように設計されていても良い。無論、乗客の数が多くなればなるほど、それらを合わせた重量も大きくなり、自由落下の終端でバンジーコードが受ける力も大きくなる。
【0055】
本発明の好ましい実施形態が図3から図10に示されている。この実施形態は、図1および図2に示された実施形態と共通する多くの特徴を有している。したがって、同様の部位を示すために、同じ参照符号が使用されている。しかしながら、好ましい実施形態は、多くの改良部分および追加機能を有しており、以下、これらについて詳細に説明する。
【0056】
好ましい実施形態の特定の構成は、トラックが連続するループの形態を成していることである。このことは、全ての車両が同じ方向に走行するため、十分大きなループによって複数の車両32をトラック上で同時に動作させることができるという点で有益である。このことは、トラックの異なる部分にある異なる車両が静止している場合であっても、あるいは、2つの車両が衝突しないようにシステムが制御されるのであれば、トラックの異なる部分にある異なる車両が異なる速度で動いている場合であっても当てはまる。「平坦な地面」または「下り坂」での発射においてもシステムは同様であり、主な相違点は、平坦な地面におけるシステムでは、乗車体42および乗客52を運ぶ車両32を加速させるために最初に大きな力が必要であり、また、車両の加速時の速度を監視するために更に複雑な制御が必要であるという点である。図3から図10に示される好ましい実施形態は、下り坂の形態である。
【0057】
好ましい実施形態では、トラックのために、二重レールシステム、すなわち、車両の4つのフランジ付き車輪34が係合する2つの平行なレール30が使用される。特に、乗車体を解放した後に車両を反転させ、車両をひっくり返したままで移動させ続けた後、再び車両を元の姿勢に戻す必要がある場合には、必要に応じて変形を加えても良い。この特定の変形については後ほど詳細に説明する。
【0058】
ループトラックによって形成された回路は、制御の視点から、3つのセクションに分割されると考えるのが都合良い。これらの部分は、「スタート」セクション11と、略して「解放」セクションと呼ばれる「減速/解放/反転」セクション13と、「回収」セクション15とからなる。スタートセクションは、まずスタート位置まで車両の初期の動作を制御し、その後、必要に応じて推進力を与える。また、スタートセクションは、トラックの任意の下方傾斜部分18を有していると考えることもできる。解放セクションは、乗車体および乗客が車両から放出される放出点20へと車両が近づいている時に、車両の速度を監視、制御する。その後、解放セクションは、車両が反転し且つ抑制されていたバンジーコード70の力が徐々に加えられている時の車両の遅い動作を制御する。その後、車両は、再反転スパイラルを備えたトラックの捩じれ部分55を通って駆動され、これにより、車両は、再び元の姿勢に戻され、回収部分への引渡しを待つ。回収セクションは、回収ステーション53に向う車両の動きを管理する。回収ステーション53では、車両が停止されるとともに、乗車体が回収されて車両の上に再び装着される。これが行なわれると、車両および装着された乗車体がスタートセクションへと再び駆動される。これらの3つのセクションを有することにより、良好な制御および安全性を確保することができ、同時に、他のセクションが忙しくても各セクションを動作させることができる。図4から図7は、これらのセクションを更に詳細に示している。
【0059】
スタートセクション11は、トラック10の上側水平部分16に配置されており、スタートステーション25を有している。スタートステーションは、トラックに隣接し且つ乗車希望者のための待機場所として機能するプラットフォーム27を有している。操作コンソール(操作卓)31を備えたシニアオペレータ位置もプラットフォームに設けられている。操作コンソールは、システム全体の状態を表示するとともに、オペレータ制御を可能にする。スタートステーションは、プラットフォームの手前に、次の車両のためのパーキング領域29を有している。
【0060】
スタートステーションで車両および装着された乗車体の準備が整うと、乗客は、固定された車両に足を踏み入れて、パッド付きの乗車体に乗り込み、拘束装具を着用して、任意の安全装置を閉じることができる。乗車体は、複数の乗客、例えば2人の乗客を運ぶことができるように形成されていても良いが、以下では、1人の乗客を運ぶことに関して説明する。乗客は、シニアオペレータの点検後、自分の準備ができていることを知らせるとともに、スタートボタンまたはレバーを作動させて車両を動かすように設定することができる。安全機能として、システムは、シニアオペレータおよび乗客の両者がスタートボタンまたはレバーを同時に作動させることにより、車両が作動状態に設定されるようになっていても良い。他の全ての制御が損なわれる時、例えば電源障害時に、危険防止装置(二重安全装置)として機能する機械ブレーキ33が、スタート位置でトラック10を横切るように配置されていることが好ましい。これにより、適切な制御無くして車両が飛び出してしまうことを防止できる。適切なブレーキは、トラックから立ち上がって車両が通り過ぎることを防止し且つ適当な制御シーケンスにより下降して車両の走行を可能にするバリアを備えている。
【0061】
システムは、トラックの周囲の多数の場所に配置され且つ車両の状態、位置、速度を特定することができるセンサ35により電子的に監視されることが好ましい。この情報は、必要な時にいつでも制御して安全性および適切な操作を確保するために、業務用コンピュータ(プログラマブル論理制御装置すなわちPLC)によって使用される。情報は、システムのサイズや複雑度合いにもよるが、トラックの周囲の2つのステーション、できれば3つのステーションで表示されるとともに、各ステーションで必要に応じてオペレータが入力、制御できる。スタートステーション25のシニアオペレータは、通常、「マスター」になり、全体の操作および安全性に責任を持つ。そのため、シニアオペレータは、全ての操作制御装置およびシステム状態ディスプレイにアクセスできる。各ステーションのオペレータは、車両からの乗車体の放出時におけるスムーズなバンジーコードの導出を制御する場合に重要となるバンジーコードの正確な積み込みを含む、安全機能の最終チェックに責任を持つ。
【0062】
スタートステーション11、放出ステーション13、回収ステーション15はそれぞれ、それ自身の駆動手段を有し、それによって、セクションにわたる車両の移動を制御できることが好ましい。各駆動手段は、駆動チェーンおよびモータ制御システムを含む電動式のチェーン牽引システム37を備えていることが好ましい。より詳細には、各駆動手段牽引システムは、ギアボックス43によって駆動チェーン41を駆動する電動機39を有している。各駆動チェーンは、車両の動作制御が必要なトラックの中心を下方に走行する長いループのチェーンを備えている。車両がチェーンドライブから駆動力または制動力を受けることができるように、互いに結合される一対の連結器74,75(特に図10を参照)が使用される。一方の連結器74は車両の下面に装着されている。他方の連結器75は、所定の間隔で、通常は一定の間隔で、各駆動チェーン41上に装着されている。車両の連結器74が駆動チェーンの連結器75に突き当たると、2つの連結器は、結合するとともに、チェーンが辿る経路がチェーンの下端に達することにより結合が解除されて駆動チェーンと車両との係合状態が解除されるまで、結合状態が維持される。このことは、それが移動している車両であるかチェーンであるかにかかわらず、当てはまる。チェーンドライブを車両に連結すると、加速、減速、等速にかかわらず、駆動チェーンの速度を対応する電動機39を用いて制御することにより、車両の動きを完全に制御することができる。また、これらの電動機は、制御システムやオペレータによって制御される。電動機は、3相可変速度ドライブ(VSD)であることが好ましい。
【0063】
必要である場合には、スタートセクション11に関連付けられた駆動手段37により初期加速推進力を車両に与えて、車両を所定の速度まで加速させることができる。これは、車両がトラックの水平部分でスタートする場合に必要である。また、主な加速器が重力の作用であっても良い。重力は、非常に予測できる速度の増大を車両に与える。したがって、そのような駆動手段または重力作用のいずれか或は両方が推進手段を形成し、これによって、車両は、車両に支持された乗車体が解放されて車両から放出されるトラックの放出点20に向けて推進される。図3に示されるように、この好ましい実施形態においても、トラックの傾斜部分18により、重力作用が利用される。乗車体および乗客を支持する車両は、傾斜部分18を降下しながら加速した後、トラックの水平部分19に達して、放出点20へと近づいていく。これがトラックの放出セクション13のスタートである。
【0064】
車両が放出点20に達する前、前述した駆動手段と同様に、トラックの放出点に関連付けられた駆動手段45は、移動する車両と係合し、乗車体の解放、放出段階、車両の反転、再反転段階へと至るその後の動作を制御する。トラックの放出セクションに関連付けられた駆動手段の駆動チェーン41の先頭に車両が達し、車両の連結部74がチェーンの連結部75に結合する場合、チェーンは、正確な速度で走行し、車両を過度にガタつかせることなく結合を果たす。その後、チェーンしたがって車両が減速されても良い。2つの機構を使用して、乗車体を解放して車両から放出できるようにすることが好ましい。まず、車両を監視する制御システムにより、正確な速度および安全な連結が所定の位置で実現されなければならない。これにより、トラックの下方から解放カム49を立ち上げることができる。このカムは、車両の解放機構を動作させて、一般に乗車体を車両に対して固定するラッチ77を解放する。解放機構76は、図8および図9に示されており、後に詳しく説明する。
【0065】
車両が衝突した際に車両を急に停止させることにより、解放された乗車体を車両から放出させることができるショックアブソーバ40を使用する図1および図2の実施形態とは異なり、この好ましい実施形態では、異なる方法で放出が行なわれる。図3および図5に示されるように、トラックの解放セクション13において、トラックは略U字形の鼻部21を有している。この鼻部21では、トラックがその下側に回り込むように下方に湾曲している。トラックのこのような下方への湾曲により、トラックに沿って走行する車両は、放出点20の領域で方向が急激に変化し始める。このようにして、車両は、事実上、水平方向で急激に減速する。しかしながら、車両から解放された乗車体は、当初の方向で移動し続け、したがって、車両から放出されてそれ自身の軌道を辿り続ける。エアラム(air−ram)等を使用して、エアラムと車両との衝突時に車両を水平方向で急速に減速させる場合と比較して、この好ましい構成では、車両に応力が殆ど作用せず、したがって、寿命が延びると考えられる。他の利点は、車両を直ちに解放セクションから立ち退かせて次の乗車体放出に備えることができるという点である。
【0066】
乗車体の解放前に制御システムが何らかの危険な状態を検出すると、解放動作が行なわれず、車両が直ちに停止される。
【0067】
乗車体42の後部には、バンジーコード70が巻回される複数のペグ51が設けられている。バンジーコードの端部は、乗車体の下側を通って、車両のデッキのチャンネル92内を貫通し、車両の前端に取り付けられている。バンジーコードは、完全に伸びきった状態で乗車体が地面と衝突しないように、落下時に乗車体を拘束するように寸法付けられている。乗車体が車両から離れると、バンジーコードが絡まることなく迅速に展開できるようにペグ51が十分に潰れる。その後、コードは、自由に繰り出され、乗車体と乗客とを合わせた重量により伸び始めると、円滑にピンと張る。このバンジーコードの導出および取り込み中、車両は、逆さまにひっくり返ってトラックの下側にくるまで、トラックの鼻部21の周りでゆっくりと移動される。この移動は、トラックのこの部分に関連付けられた制御システムと駆動手段との組み合わせによって制御される。放出される乗車体が外側下方に移動して、乗車体の跳ね返り、揺動段階が終了した後、乗車体が再び垂直状態に置かれ、その静荷重によってバンジーコードが伸長した状態になるまで、車両のバンジーコード固定部を、この固定部に作用する力の方向に向けることが好ましい。この段階中、車両は、ゆっくりと「反転」して進み、トラックの戻し部分23の下側の反転位置で停止する。乗車体の動きが止まると、車両は、回収セクション15へと駆動される。
【0068】
車両は、トラックの戻し部23上にいる間、回収セクション15に達する前に、トラックの捩じれセクション55を横切る。この捩じれセクション55は、車両を再反転させる、すなわち、車両を元の姿勢に再び戻す、レールのスパイラル(螺旋)セクションを構成する。
【0069】
回収ステーションの開始点には、回収ステーション53がある。この回収ステーションは、オペレータが居る有人ステーションであり、オペレータは、乗車体の回収を支援し、乗客の任意的な退去を許容し、乗車体を車両に再び装着する。
【0070】
回収ステーション53は、オペレータのコンソール(操作卓)31およびダビット装着型電動ウインチ59を有するプラットフォーム57を備えている。ウインチケーブル61の端部にあるフックは、乗車体まで下ろされて、乗車体のバンジー係留索63に取り付けられた後、乗客付きで乗車体をプラットフォームまで引き上げるために使用される。ダビット65により、乗車体を車両の周囲で揺動させて車両に再び取り付けることができる。
【0071】
乗車体が車両に再び取り付けられると、乗客は、装具を取り外し、乗車体から降りて、階段67によりスタートステーション11に戻ることができる。しかしながら、他の選択として、乗客は、車両および乗車体が回収ステーションの残りの部分を通じてスタートセクションへと戻る間、乗車体内に留まることができる。
【0072】
バンジーコード70は、回収ステーション53で再び積み込まれても良く、あるいは、車両および取り付けられた乗車体がバンジーコードを積み込むことができるスタートセクションへと再び到着するまで、一時的に巻き付けられても良い。いずれの場合においても、バンジーコードを正しい張力でペグ51およびペグ「テンショナ」リセットに再び装填しなければならない。これは、乗車体を車両に再装着する前または後に行なっても良い。
【0073】
乗車体が車両に再び取り付けられた後、バンジーコードは、場合に応じて、一時的または完全に再装填され、また、乗客が降ろされ、それが決定されたことであれば、車両および取り付けられた乗車体は、駆動手段73により、回収ステーションの端部にあるトラックの部分69に向って上側に移動され、トラックのスタートセクション11に戻される。トラックのこれらの2つセクション間には、略U字形の部分71がある。この部分71は、水平面内に位置しており、車両を180°だけ逆行させることができる。これにより、車両は、スタートステーション25に達する時に、正しい方向に再び向くことができる。
【0074】
スタートステーション25に到達する手前には、車両、乗車体、バンジーコードの状態をチェックして安全性を確保するとともに清掃して再使用の準備を行なう別個の準備、チェックステーションがあっても良い。また、このステーションで行なわれる機能がスタートステーション25で行なわれても良い。
【0075】
前述したように、制御システムは、PLCを使用することが好ましい。システムの操作に必要な情報の全ては、トラック10の周囲の戦略的な場所およびオペレータコンソール31上に配置された必要な数のセンサ35から集められる。この情報は、任意の必要なセーフティ・インターロックを含む、車両の動作および安全性のためにPLCにプログラムされたロジックを制御するために使用される。車両および一般的な装置状態に関する情報は、必要に応じて、PLCを中継してモニタに送られ、例えばオペレータコンソール31に送られる。そして、このオペレータコンソール31において、情報は、スクリーン上に表示されても良く、あるいは、視覚信号や音響信号を発しても良い。オペレータは、設けられたプッシュボタン、レバー、キーボードにより、「車両番号1をスタート可能」等の入力をPLCに与えることができる。その後、PLCは、モータ39の速度、したがって、加速、制動、駆動手段が設けられたトラック回路の周囲の全ての場所における車両の配置(例えば、停止部、スタート部)等を制御する。PLCのためのプログラムは、システムの全てのパラメータが分かって且つその操作方法が決定されると直ぐに設計されてインストールされる。
【0076】
情報を表示し且つオペレータから制御命令を受ける少なくとも3つのコンソール(操作卓)31があることが好ましい。例えば、コンソール(操作卓)31は、スタートステーション25に1つ、回収ステーション53に1つあり、また、多くの場合、3つ目がマネージャのオフィスにある。各コンソールは、ステーションの機能に必要な制御装置だけを有しているが、システムの他の場所の動きを監視できることが好ましい。マネージャのコンソールは、制御装置を有していなくても良いが、1日に乗る乗客の数、特定の使用期間中の乗客の数といった統計的な別の情報が与えられても良い。
【0077】
乗車体を車両に固定し且つ作動時に乗車体を解放可能にするために使用される乗車体解放機構76が、図8および図9に概略的に示されている。乗車体のベース44からの延出部は、乗車体の前端のベースフレーム42aと係合する回動ラッチ77により、車両のデッキのチャンネル78および車両の後部の溝79に固定されている。ラッチは、解放レバー接続アーム89を介して、回動解放レバー80に接続されている。解放レバーの自由端は、車両の下側に配置されている。これらの構成部品の構成および配置並びに車両とラッチとの間に接続された解放機構バネ90の作用により、ラッチ77はオーバーセンターロッキング機構として動作し、これにより、ラッチは、固定位置(図9に実線で示される位置)へと積極的に移動され、あるいは、解放レバー80の位置に応じて解放位置(図9に破線で示される位置)へと移動される。解放レバーが動作されると、ラッチと乗車体との係合が解除され、乗車体は、車両から自由に離脱することができるが、車両に対して前方および上方にのみ離脱できる。この方向は、放出時における乗車体の望ましい移動方向である。機械的な解放機構76の代わりに、ソレノイド91を設けて、ラッチ77を移動させることができる。車両のデッキのチャンネル78に固定される乗車体のベース44からの延在部を、延在部またはチャンネルに装着された車輪もしくはローラ上に載せることができる。
【0078】
放出点20のトラックのレール間には、カム49が装着されている。すなわち、カムは、正確な時間で解放を行ない、車両が大きな水平な減衰成分を受けた正にその時に、乗車体を車両から分離できるように配置されている。これは、少なくとも部分的には、トラックの湾曲部21上を車両が周回する結果として生じる。また、トラックのこの部分に関連付けられた駆動手段は、車両を減速させるために使用されても良い。1つのカム49の代わりに、放出点20の近傍に、トラックに沿って離間した一連のカムが設けられていても良い。これらのカムのうちの任意の1つは、必要に応じて制御システムにより立ち上げられても良く、あるいは、問題が生じて乗車体を安全に放出することができない場合には全く立ち上げられなくても良い。
【0079】
乗車体72は、丈夫で且つ軽量であることが望ましい。乗車体は、1人または2人の乗客を乗せることができるように形成されていても良く、設計に見合った乗客の数に適するように形成され且つパッドが付けられている。乗客を拘束して乗客が抜け落ちないようにするために、乗車体内の装具が使用される。乗車体は、カプセルのように実質的に閉じられていても良い。あるいは、乗車体は、特に乗客の上半身の辺りで比較的開放されていても良い。乗車体がその飛行の全体にわたって同じ姿勢を維持できるように、特に、任意の乗客が自分の頭を略垂直な姿勢にすることができるように、バンジーコード17は、係留索63に取り付けられても良い。
【0080】
車両32は、一般に、より頑丈に構成される。本発明の好ましい実施形態において、車両は、垂直に曲げられたトラックのセクション21の周りを通って、トラックの下側で逆さまにひっくリ返って配置された後、再び反転されるため、車両をトラックと係合させ続けるには、適した車輪およびトラックの組み合わせを有している必要がある。2つの好ましい車輪とトラックとの組み合わせがある。第1の組み合わせは、車輪が殆ど一対のレールの上に乗る4輪車両である。車両が反転されるという事実を受け入れるべく、車輪の「上端」側に他のレールセット82を設けて、車両を反転姿勢で維持する。これは、「4重トラック」セクションであると考えても良い。第2の組み合わせは、車両における8個の車輪構成の使用を含んでいる。この場合、8個の車輪は4つの対を成して配置され、これらの車輪対は、レールの上下に乗るようにセットされる。このような構成により、車両は、直立姿勢であるか反転姿勢であるかにかかわらず、レール上に保持される。これは、トラックの同じ側でレール対の各レールが各車輪対の2つの車輪間に挟まれているからである。このような構成は、トラックのレールの構成を簡単にするが、その一方で、車両を複雑且つ重くしてしまう。車輪を含む車両およびトラックの設計および構成に、既知のジェットコースター技術を使用しても良い。
【0081】
この好ましい実施形態の変形例において、弾性紐は、乗車体に取り付けられず、乗客に取り付けられる。この場合、乗客は、放出点への走行中、車両上の乗車体に座っていても良いが、乗車体は小さく且つ軽量にすることができる。乗車体は、車両が放出点で大きな水平方向の減速成分を受けた際に車両から前方にスライドすることができるマット、クッション、または、小型そり状のトレイを構成していても良い。乗車体は、放出されて自由落下することができる。そのため、乗車体は、乗車体と乗客とが接触しても別個に落下する乗客を傷付ける危険性を最小限に抑えることができる材料によって形成されていなければならない。また、乗車体を乗客に取り付けることもできる。また、乗車体を全く使用することなく、車両の好ましくは滑らかなデッキから乗客を放出することもできる。これらの実施形態のいずれかにおいては、バンジーコードの固定端を車両ではなく例えばトラックの側面または放出点の下側に取り付けることができる。
【0082】
図11には、本発明の他の実施形態の簡単な図面が示されている。この実施形態において、トラック10はケーブルから成る。図示のように、ケーブルは、その両端が支柱22に取り付けられるとともに、渓谷83を横切って吊るされており、これにより、ケーブルは一端から他端に向って傾斜している。あるいは、ケーブルの一端または両端を、他の支持体、例えば橋、建物、木、崖に取り付けることもできる。トラベラ84は、ケーブルの下端の手前に取り付けられたストッパ85まで、ケーブルに沿って自由に移動することができる。乗客87が固定される椅子86は、着脱自在な留め金88により、トラベラの下側に吊るされている。バンジーコード70は、トラベラと椅子の上端との間に取り付けられている。トラベラがケーブルの上端からストッパ85まで移動すると、トラベラは、したがって、椅子および乗客は、大きな水平方向の運動成分を有する。トラベラがストッパに衝突すると、留め金は、椅子および乗客を解放して落下させる。前述した本発明の他の実施形態と同様に、乗客は、跳ね返り動作と揺動動作との組み合わせを体感する。ウインチ94およびウインチライン93を使用して、トラベラを開始点まで戻しても良い。他のウインチおよびウイチライン(図示せず)を使用して、椅子を回収しても良い。この第2のウインチをトラベラに装着することができる。変形例においては、ケーブルをレールまたはトラベラのためのレールを支持するビーム(梁)に取って代えることもできる。
【0083】
本発明の装置は、少なくとも好ましい実施形態においては、ジェットコースターの要素とバンジージャンプの要素とを組み合わせて、高揚させるという点で、スリルのある走行を与えるように設計されている。より詳細には、自由落下の終端で、少なくとも1人の乗客は、跳ね返り動作と揺動動作の組み合わせを体感する。走行は、従来のバンジージャンプほど急速ではなく、バンジージャンプによって体感されるアドレナリン「スリル(buzz)」以上のものを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】考えられるトラックの概略側面図を示している。
【図2】トラックの放出点に達する乗客を支持する考えられる車両および乗車体の側面図を示している。
【図3】トラックが連続するループを備えている場合における、本発明の好ましい実施形態の一般的な概念を図示した側面図を示している。
【図4】図3に示される好ましい実施形態のスタートセクションであって、乗客が乗り込む場所であるスタートセクションの拡大側面図を示している。
【図5】図3に示される好ましい実施形態のトラックの放出点の領域であって、車両の減速、乗車体の解放、車両の反転および立て直しが行なわれる領域の拡大側面図を示している。
【図6】図3の好ましい実施形態の回収、再装填、戻しステーションの拡大側面図を示している。
【図7】図3の好ましい実施形態の戻し、準備、チェックステーションの拡大側面図を示している。
【図8】図3の実施形態の使用に適した車両および乗車体の側面図であって、好ましい乗車体解放機構を示している。
【図9】好ましい乗車体解放機構を詳細に図示した拡大側面図を示している。
【図10】図8に示された車両および乗車体の背面図を示している。
【図11】本発明の他の実施形態の概略側面図を示している。
【符号の説明】
10 トラック
20 放出点
32 車両
42 乗車体
70 弾性紐
Claims (55)
- 乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
乗客を放出点から水平成分の運動をもって放出させるようにトラックに沿って推進させ、放出点から自由落下させる推進手段と、
第1の固定端と、乗客に接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗客の自由落下および乗客に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗客を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置。 - トラックは滑降斜面または滑り台を備えており、乗客は、滑降斜面または滑り台に沿って、乗車体に乗ったまま滑走できる請求項1に記載の装置。
- 乗車体は、乗客自身の服、シート材料、マット、クッション、小型そり、及びスキー板から成るグループから選択される請求項2に記載の装置。
- 乗車体が乗客に固定されている請求項2または請求項3に記載の装置。
- 乗車体は、シート材料、マット、クッションから成るグループから選択されるとともに、乗客に固定されず、
トラックの放出点から自由に落下できる請求項2に記載の装置。 - 乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
乗客のための乗車体であって、トラックに沿って搬送可能であり、放出点から水平成分の運動をもって放出されて放出点から自由落下できる乗車体と、
乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
乗車体をトラックに沿って推進させて、放出点から放出させる推進手段と、
第1の固定端と、乗車体に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗車体の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗車体を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置。 - トラックは、滑降斜面または滑り台を備えており、乗客は、滑降斜面または滑り台に沿って、乗車体に乗ったまま滑走できる請求項6に記載の装置。
- 乗車体は、シート材料、マット、クッション、小型そりから成るグループから選択される請求項7に記載の装置。
- 乗車体は、トラックに沿って滑走するように形成された小型そりを備え、トラックは、小型そりのランナーが走行して小型そりをトラックに位置合わせする溝を有している請求項7に記載の装置。
- 乗車体は、少なくとも1人の乗客が乗ることができる車輪付きの車両を備えている請求項6に記載の装置。
- トラックは、車両の車輪が係合して車両をトラックに位置合わせするレールを備えている請求項10に記載の装置。
- 乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
トラックの放出点に向けてトラックに沿って搬送可能な車両と、
車両を放出点に向けてトラックに沿って推進させる推進手段と、
車両が放出点でトラックから放出されないように車両を停止させるストッパと、
乗客のための乗車体であって、車両に装着可能で且つ車両から分離可能であり、これにより、車両に乗せたままトラックに沿って搬送可能であり、車両がストッパによって停止された際には、車両から分離され且つ水平成分の運動をもってトラックの放出点から放出されて放出点から自由落下する乗車体と、
乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
第1の固定端と、乗車体に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗車体の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗車体を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置。 - トラックは、滑降斜面または滑り台を備えており、乗客は、滑降斜面または滑り台に沿って、車両に装着された乗車体に乗ったまま滑走できる請求項12に記載の装置。
- 乗車体は、トラックに沿って滑走するように形成された小型そりを備え、トラックは、小型そりのランナーが走行して小型そりをトラックに位置合わせする溝を有している請求項13に記載の装置。
- 車両は、車輪付きの車を構成している請求項12に記載の装置。
- トラックは、車の車輪が係合して車をトラックに位置合わせするレールを備えている請求項15に記載の装置。
- 乗車体は、シート材料、マット、クッション、小型そり状の乗車体から成るグループから選択される請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の装置。
- 乗車体は、車両に乗ったまま滑走もしくは転走するように形成された小型そり状の乗車体であり、車両は、小型そり状の乗車体のランナーもしくは車輪が走行して乗車体を車両に位置合わせさせる溝であって、乗車体が車両から分離してトラックから放出される際にトラックと位置合わせされる溝を有している請求項17に記載の装置。
- 弾性紐の固定端が車両に固定されている請求項12から請求項18のいずれか1項に記載の装置。
- 放出点がトラックの端部にある請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の装置。
- 推進手段は、トラックの放出点に向けて下側に傾斜する傾斜面を有するトラックの少なくとも1つのセクションから成る請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の装置。
- 放出点において、トラックは、放出点でトラックから放出される乗客もしくは乗車体に十分な程度の水平運動を与える角度をもって配置されている請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の装置。
- トラックは、放出点で、略水平である請求項22に記載の装置。
- トラックは、少なくとも1つの略垂直なループを有し、あるいは、少なくとも1つの略横方向のループを有している請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の装置。
- トラックの少なくとも1つのセクションがトンネルを貫通している請求項1から請求項24のいずれか1項に記載の装置。
- トンネルがトラックの放出点に配置されている請求項25に記載の装置。
- 乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
トラックの放出点に向けてトラックに沿って搬送可能な車両と、
車両を放出点に向けてトラックに沿って推進させる推進手段と、
車両が放出点でトラックから放出されることを防止する手段と、
放出点または放出点の直前で車両に水平な減速成分を与える減速手段と、
乗客のための乗車体であって、車両に装着可能で且つ車両から分離可能であり、これにより、車両に乗せたままトラックに沿って搬送可能であり、減速手段によって充分に迅速に水平な減速成分が車両に与えられると、車両から分離され且つ水平成分の運動をもってトラックの放出点から放出されて放出点から自由落下する乗車体と、
乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
第1の固定端と、乗車体に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗車体の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗車体を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置。 - 乗車して落下する娯楽用装置であって、
放出点を有するとともに、この放出点下に落下するように位置されたトラックと、
トラックの放出点に向けてトラックに沿って搬送可能な車両と、
車両を放出点に向けてトラックに沿って推進させる推進手段と、
車両が放出点でトラックから放出されることを防止する手段と、
放出点または放出点の直前で、車両に水平な減速成分を与える減速手段と、
乗客のための乗車体であって、車両に装着可能で且つ車両から分離可能であり、これにより、車両に乗せたままトラックに沿って搬送可能であり、減速手段によって充分に迅速に水平な減速成分が車両に与えられると、乗客と共に車両から分離され且つ水平成分の運動をもってトラックの放出点から放出されて放出点から自由落下する乗車体と、
任意に、乗客を乗車体に固定するための固定手段と、
第1の固定端と、乗客に接続され或は接続可能な第2の自由端とを有する弾性紐であって、接続された乗客の自由落下および乗車体に与えられる水平成分運動を制限し、自由落下の終了時期に、乗客を跳ね返し及び揺動させる弾性紐と、
を備えている装置。 - トラックは滑降斜面または滑り台を備えており、乗客は、滑降斜面または滑り台に沿って、車両に装着された乗車体に乗ったまま滑走できる請求項27または請求項28に記載の装置。
- 車両は、トラックに沿って滑走するように形成された小型そりを備え、トラックは、小型そりのランナーが走行して小型そりをトラックに位置合わせする溝を有している請求項29に記載の装置。
- 車両は、車輪付きの車を構成している請求項27または請求項28に記載の装置。
- トラックは、車の車輪が係合して車をトラックに位置合わせするレールを備えている請求項31に記載の装置。
- 乗車体は、シート材料、マット、クッション、小型そり状の乗車体、およびカプセルから成るグループから選択される請求項27から請求項32のいずれか1項に記載の装置。
- 乗車体は、車両に乗ったまま滑走もしくは転走するように形成された小型そり状の乗車体またはカプセルであり、車両は、乗車体のランナーもしくは車輪が走行して乗車体を車両に位置合わせさせる溝であって、乗車体が車両から分離してトラックから放出される際にトラックと位置合わせされる溝を有している請求項33に記載の装置。
- 弾性紐の固定端が車両に固定されている請求項27から請求項34のいずれか1項に記載の装置。
- 放出点の直前において、トラックは、放出点でトラックから放出される乗客もしくは乗車体に十分な程度の水平運動を与える角度をもって配置されている請求項27,28,31,32のいずれか1項に記載の装置。
- トラックは、放出点の直前で、略水平である請求項36に記載の装置。
- 減速手段は、充分に急な下向きのカーブをトラックの放出点に備え、これにより、車両がカーブの周りを通過する時に、その急激な方向変化によって、十分に水平な減速成分が乗車体を車両から即ちトラックから放出させることができる請求項36または請求項37に記載の装置。
- トラックのカーブは、トラックの戻し部分に向って連続的に周回し、これにより、車両は、カーブの周りを通過した後、トラックの戻し部において、少なくとも初期に反転姿勢となる請求項38に記載の装置。
- トラックの戻し部は、車両を再反転して元の姿勢に戻す車両立て直し手段を有している請求項39に記載の装置。
- 車両立て直し手段は、トラックの戻し部に捩じれセクションを備え、これにより、車両は、捩じれセクションを通過する時に、再び元の姿勢に戻される請求項40に記載の装置。
- トラックの戻し部に乗車体回収手段が関連付けられ、これにより、放出されて落下した乗車体をトラックの戻し部へと引き上げて車両に再び装着することができる請求項39から請求項41のいずれか1項に記載の装置。
- トラックに関連付けられた駆動手段を更に備え、これにより、駆動手段は、車両と相互に作用して、車両を制御可能な方法でトラックの少なくとも一部に沿って移動させることができる請求項27または請求項36から請求項42のいずれか1項に記載の装置。
- 複数の駆動手段がトラックに関連付けられ、各駆動手段は、トラックの異なる部分に沿う車両の移動を制御する請求項43に記載の装置。
- トラックのスタート部分には、トラックに沿う車両の移動を開始する開始駆動手段がある請求項43または請求項44に記載の装置。
- 開始駆動手段が推進手段を備えている請求項45に記載の装置。
- トラックの放出点の領域には減速駆動手段が設けられ、この減速駆動手段は、減速手段を形成し或は減速手段の一部を成して、乗車体を乗車体から即ちトラックから放出させることができるようにする請求項43から請求項46のいずれか1項に記載の装置。
- トラックの戻し部分に関連付けられ且つ車両をスタート位置もしくはその近傍に戻す戻し駆動手段が設けられている請求項43から請求項47のいずれか1項に記載の装置。
- トラックが連続ループを備えている請求項27から請求項48のいずれか1項に記載の装置。
- 推進手段は、トラックの放出点に向って下方に傾斜する傾斜面を有するトラックの少なくとも1つのセクションから成る請求項27から請求項49のいずれか1項に記載の装置。
- トラックは、少なくとも1つの略垂直なループを有し、あるいは、少なくとも1つの略横方向のループを有している請求項27から請求項50のいずれか1項に記載の装置。
- トラックの少なくとも1つのセクションがトンネルを貫通している請求項27から請求項51のいずれか1項に記載の装置。
- トンネルがトラックの放出点に配置されている請求項52に記載の装置。
- 放出点がトラックの端部にある請求項27から請求項38のいずれか1項に記載の装置。
- 弾性紐の全体は、車両からの乗車体の放出まで、車両上および任意に乗車体上に支持されている請求項19または請求項35に記載の装置。
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