JP2004505643A - 改良された殺虫細菌ならびにその製造および使用方法 - Google Patents

改良された殺虫細菌ならびにその製造および使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、BtIもしくはBtIIプロモーターまたはBtIおよびBtIIプロモーターの組合わせ、少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列、およびバチルス・スフェリカス(「Bs」)二成分毒素の41.9kDタンパク質に対して少なくとも80%の配列一致率を持ちかつ天然41.9kDタンパク質の毒性の少なくとも50%を持つポリペプチドをコードする配列を含む核酸配列に関する。この配列は、所望により、さらに、Bs二成分毒素の51.4kDタンパク質に対して少なくとも80%の配列一致率を持ちかつBs 41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能することができる第2ポリペプチドをコードする。この核酸配列をバチルス・チュリンゲンシス(「Bt」)細胞またはBs細胞中で発現させると、Bs二成分毒素の産生量が、非形質転換Bs細胞と比較して、少なくとも10倍になる。本発明は、核酸配列、発現ベクター、宿主細胞、および本発明の核酸配列で細菌を形質転換することによってその殺虫細菌の毒性を増加させる方法を提供する。さらに本発明は、Bt亜種イスラエレンシス(「Bti」)のCyt1Aa1タンパク質がBs抵抗性蚊の幼虫におけるBs二成分毒素に対する抵抗性を逆転させるという発見に関する。本発明は、Bti Cyt1Aa1タンパク質を発現させるBs細胞、およびCyt1Aa1タンパク質をBs二成分毒素と同時適用することによってBs二成分毒素に対する抵抗性を低下させる方法を提供する。

Description

【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2000年8月14日に出願された米国特許出願第09/639,576号に基づく優先権を主張し、前記特許出願の内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
(連邦政府の資金提供を受けた研究および開発においてなされた発明に対する権利に関する陳述)
該当なし。
【0003】
(発明の背景)
医学および新薬の進歩にも関わらず、マラリア、フィラリア症、デング熱およびウイルス性脳炎は今なお重大なヒトの疾患であり、これらの疾患を風土病とする地域に住む人々は世界中で20億人と見積もられている(「世界保健レポート(The World Health Report)1999年版」,世界保健機関,スイス・ジェノバ(1999))。これらの疾患の病原体は蚊によって伝達されるので、疫病管理方法は広スペクトル化学殺虫剤による蚊個体群の減少に大きく依存してきた。しかし、蚊個体群に殺虫剤抵抗性が発生するため、化学殺虫剤の使用は多くの国で徐々に削減されつつある。さらに、環境に対する影響、特に標的でない益虫ならびに食品および上水道の汚染を介した脊椎動物に対する影響が懸念されるので、多くの政府はこれらの化学製品の使用を制限している。
【0004】
これらの問題があることから、世界保健機関は、細菌型殺虫剤の登録および使用に関する基準を策定して、化学製品から細菌型殺虫剤への転換を促進している(公衆衛生用細菌型殺幼虫剤の基準仕様(Guideline specifications for bacterial larvicides for public health use),WHO文書WHO/CDS/CPC/WHOPES/99.2,世界保健機関,スイス・ジェノバ(1999))。細菌に基づく製品の一部は蚊幼虫の防除用である。なかでも、Vectobac(登録商標)およびTeknar(登録商標)は、最も広く使用されている2製品であり、これらはどちらもバチルス・チュリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)亜種イスラエレンシス(israelensis)に基づいている。また、バチルス・スフェリカス(B.sphaericus)に基づく新製品Vectolex(登録商標)も、フィラリア症およびウイルス性疾患の蚊媒介体の防除用として、最近、販売されるようになった。これらの製品は商業的にはまずまずの成功を収めているが、多くの化学農薬と比較するとコストが高く効率も低いことが、多くの開発途上国における使用規模の拡大を妨げている。さらに、インド、ブラジルおよびフランスではイエカ(Culex)属の蚊の野外個体群でバチルス・スフェリカスに対する抵抗性が既に報告されているので、長期有用性に関する懸念も生じている(Sinegreら「南仏におけるバチルス・スフェリカスに対するアカイエカ抵抗性の初めての野外出現」(First field occurrence of Culex pipiens resistance to Bacillus sphaericus in southern France)」媒介動物生態学会(Society for Vector Ecology),第7回ヨーロッパ集会,1994年9月5−8日,スペイン・バルセロナ;Raoら,J.Am.Mosq.Control Assoc.11: 1−5(1995);Silva−Filhaら,J.Econ.Entomot 88:525−530(1995))。
【0005】
これらの細菌の殺虫特性は、主として、芽胞形成時に産生される殺虫性タンパク質によっている。バチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシス(Bti)におけるキータンパク質がCyt1A(27kDa)、Cry11A(72kDa)、Cry4A(128kDa)およびCry4B(134kDa)であるのに対して、バチルス・スフェリカス(Bs)は、単一の二成分毒素のそれぞれ毒素ドメインおよび結合ドメインとして働く41kDaおよび52kDaタンパク質を産生する(de BarjacおよびSutherland,D.J.編「Bacterial Control of Mosquitoes and Blackflies」(ラトガーズ大学印刷部,ニュージャージー州ブランズウィック)の11−44頁に掲載されているFedericiらの論文(1990);Baumannら,Microbiot Rev.55:425−436(1991))。
【0006】
Bti毒素とBs毒素とが生化学的にも毒物学的にも相違することから、これらの毒素を組み合わせて単一の細菌に導入すれば、改良された細菌を構築することが可能かもしれないと考えられた。このアプローチを使って所望の毒性を持つ遺伝子組換え細菌を作出する試みは、この十年間に数多く行なわれた。例えばいくつかのグループがBti毒素遺伝子をBsに導入している。例えばBarら,J.Invertebrate Pathol.57:149−158(1991)ではBti内毒素遺伝子がBs2362にクローニングされたが、組換え生物の生物学的活性はBtiの生物学的活性よりも低いことが明らかになった。Poncetら,FEMS Microbiol Lett.117:91−96(1994)ではBtiのcry4Bおよびcry11A遺伝子がBs2297に導入され、Poncetら,Appl.Environ.Microbiol.63:4413−4420(1997)では同じ株にcry11A遺伝子が相同組換えによって導入された。Thieryら,Appl.Environ.Microbiol.64:3910−3916(1998)では、Bt cyt1Ab1遺伝子がBsに導入されたが、cyt1Ab1遺伝子の発現レベルはおそらく低すぎて毒性に有意な影響はないと報告されている。Servantら,Appl.Environ.Microbiol.65:3021−3026(1999)ではCry11AおよびCry11Ba Bt毒素が生体内組換えによってBs2297に導入され、それによって宿主域を拡大しうることが明らかになった。。Bourguinら,Appl.Environ Microbiol.56:340−344(1990)では、BtiにBs毒素が導入されたが、蚊幼虫に対して毒素間の相乗的または相加的効果は見いだされなかった。Bsの利点とBtの利点とを他の方法で組み合わせる試みも商業的に有用という証拠は得られていないようである。例えば、単にBsの培養とBtの培養とを生育し、次にこれらの2生物を混合しただけでは有効でない。なぜなら、得られる混合物のうち、2生物の芽胞によって占められる割合が、毒素の重量に比して大きくなりすぎて、十分な毒性が得られないと考えられるからである。
【0007】
新しいバイオ農薬の商業的開発は、一つにはEPAの規則によって包括的な試験が要求されることもあって、多大の費用を要し、マージンは例えば医薬品に比べると低い。この十年間に報告された組換え生物はいずれも、現在市販されているBti株またはBs株と比べて、蚊防除における商業的使用に向けた開発に見合うほど十分な改善を示してはいないようである。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、Bs二成分毒素の高レベル発現を、特にバチルス(Bacillus)属の細胞、とりわけBs細胞およびBt細胞中で達成するためのヌクレオチド配列、発現ベクター、宿主細胞および方法を提供する。
【0009】
特に本発明は、BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシス(B.thuringiensis)プロモーター、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチド、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kD毒素タンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列を提供する。より好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、最も好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9の配列を持つ。第1ポリペプチドをコードする配列はさらに、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能する第2ポリペプチドをコードする配列を含むことができる。好ましい態様では第2ポリペプチドは配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、最も好ましい態様では配列番号8の配列を持つ。一部の態様では、前記核酸はさらに、少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列を含む。特に好ましい態様では、少なくとも6ヌクレオチドのそれら2つの配列は、どちらも9マー細菌STAB−SD配列であり、とりわけ好ましい態様では、それらSTAB−SD配列は30〜40ヌクレオチド離れている。
【0010】
細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチドは、9ヌクレオチド細菌STAB−SDの6、7または8連続ヌクレオチドであることができる。好ましい態様では、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチドは9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である。一部の好ましい態様では、細菌STAB−SD配列は、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される。バチルス・チュリンゲンシスプロモーターはcryプロモーターであり、特にcry1プロモーターであることができる。さらに、バチルス・チュリンゲンシスプロモーターは、cry1Aa1、cry1Aa2、cry1Aa3、cry1Aa4、cry1Aa5、cry1Aa6、cry1Ba1、cry1Ba2、cry1Ca1、cry1Ca2、cry1Ca3、cry1Ca4、cry1Ca5、cry1Ca6、cry1Ca7、cry1Fa1、cry1Fa2、cyt1Aa1、cyt1Aa2、cyt1Aa3、またはcyt1Aa4であることができる。一部の好ましい態様では、前記バチルス・チュリンゲンシスプロモーターはcyt1Aa1プロモーターである。前記核酸はBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの両方を含むことができ、それら2つのプロモーターはオーバーラップしていてもよい。
【0011】
さらに本発明は上記の核酸を含む発現ベクターおよびその発現ベクターを含む宿主細胞も提供する。宿主細胞はさらにBti cry11Aオペロンがコードする20kDタンパク質を含むことができる。好ましい態様では、宿主細胞はバチルス・チュリンゲンシス細胞またはバチルス・スフェリカス細胞である。
【0012】
さらに本発明は、シグマ因子Aタンパク質を結合するバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチド、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kD毒素タンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列も提供する。より好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、最も好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9の配列を持つ。第1ポリペプチドをコードする配列はさらに、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能する第2ポリペプチドをコードする配列を含むことができる。好ましい態様では第2ポリペプチドは配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、最も好ましい態様では配列番号8の配列を持つ。細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチドは、9ヌクレオチド細菌STAB−SDの6、7または8連続ヌクレオチドであることができる。好ましい態様では、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチドは9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である。一部の好ましい態様では、細菌STAB−SD配列は、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される。一部の態様では、前記核酸はさらに、少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列を含む。特に好ましい態様では、それら2つの配列はどちらも9マー細菌STAB−SD配列であり、とりわけ好ましい態様では、それらSTAB−SD配列は30〜40ヌクレオチド離れている。
【0013】
さらに本発明は、宿主細菌細胞におけるバチルス・スフェリカス二成分毒素の産生量を増加させる方法であって、(a)BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチド、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列で、宿主細胞を形質転換すること、および(b)前記核酸配列を宿主細胞中で発現させることを含み、前記核酸配列の発現により、バチルス・スフェリカス二成分毒素の産生量が、前記核酸配列で形質転換されていない野生型バチルス・スフェリカス細胞におけるバチルス・スフェリカス二成分毒素の産生量と比較して増加する方法を提供する。好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9に対して少なくとも90%の配列一致率を示す。特に好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9の配列を持つ。一部の態様では、第1ポリペプチドをコードする配列はさらに、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能する第2ポリペプチドをコードする。好ましい態様では、第2ポリペプチドは配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、特に好ましい態様では、第2ポリペプチドは配列番号8の配列を持つ。一部の態様では、前記核酸はさらに少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列を含む。特に好ましい態様では、それら2つの配列はどちらも9マー細菌STAB−SD配列であり、とりわけ好ましい態様では、それらSTAB−SD配列は30〜40ヌクレオチド離れている。
【0014】
好ましい態様では、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチドは9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である。特に好ましい態様では、細菌STAB−SD配列は、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される。好ましくは、宿主細胞はバチルス・チュリンゲンシス細胞またはバチルス・スフェリカス細胞である。好ましい態様では、宿主細菌細胞はさらにcry11A遺伝子の20kD産物を発現させる。
【0015】
もう一群の態様として、本発明は、遺伝子組換え細菌を作出する方法であって、(a)BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチド、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列で、遺伝子組換え細菌を形質転換する工程、および(b)宿主細胞中で前記核酸配列を発現させる工程を含む方法を提供する。好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、特に好ましい態様では、配列番号9の配列を持つ。第1ポリペプチドをコードする配列はさらに、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能することができる第2ポリペプチドをコードする配列を含むことができる。好ましい態様では、第2ポリペプチドは配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、特に好ましい態様では、配列番号8の配列を持つ。一部の態様では、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチドは9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である。より好ましい態様では、細菌STAB−SD配列は、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される。一部の態様では、前記核酸はさらに少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列を含む。特に好ましい態様では、それら2つの配列はどちらも9マー細菌STAB−SD配列であり、とりわけ好ましい態様では、それらSTAB−SD配列は30〜40ヌクレオチド離れている。好ましい態様では、遺伝子組換え細菌は、バチルス・チュリンゲンシス、バチルス・スフェリカス、およびBtiまたはBs以外のバチルス属のメンバーからなる群より選択される。
【0016】
さらにもう一群の態様として、本発明は、蚊の幼虫に対するバチルス・チュリンゲンシス細菌の毒性を増加させる方法であって、(a)BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチド、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列で、前記細菌を形質転換する工程、および(b)細菌中で前記核酸配列を発現させる工程を含み、前記核酸配列の発現により、前記幼虫に対する前記細菌の毒性が、前記核酸配列で形質転換されていない野生型バチルス・スフェリカス細胞よりも強くなる方法を提供する。好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9に対して少なくとも90%の配列一致率を示す。特に好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9の配列を持つ。一部の態様では、前記核酸はさらに少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列を含む。特に好ましい態様では、それら2つの配列はどちらも9マー細菌STAB−SD配列であり、とりわけ好ましい態様では、それらSTAB−SD配列は30〜40ヌクレオチド離れている。
【0017】
好ましい態様では、第1ポリペプチドをコードする配列はさらに、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能することができる第2ポリペプチドをコードする配列を含む。より好ましい態様では、第2ポリペプチドは配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、特に好ましい態様では、第2ポリペプチドは配列番号8の配列を持つ。さらに、好ましい態様では、細菌STAB−SD配列の前記6以上の連続ヌクレオチドは9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列であり、特に好ましい態様では、その9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列は、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される。とりわけ好ましい態様では、細菌はさらにcry11A遺伝子の20kD産物を含む。
【0018】
さらにもう一群の態様として、本発明は、BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチド、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列を含むバチルス・スフェリカスの遺伝子組換え細胞を提供する。好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号9に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、特に好ましい態様では、配列番号9の配列を持つ。一部の態様では、前記核酸はさらに少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列を含む。特に好ましい態様では、それら2つの少なくとも6ヌクレオチド配列はどちらも9マー細菌STAB−SD配列であり、とりわけ好ましい態様では、それらSTAB−SD配列は30〜40ヌクレオチド離れている。
【0019】
好ましい態様では、第1ポリペプチドをコードする配列はさらに、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能することができる第2ポリペプチドをコードする配列を含む。より好ましい態様では、第2ポリペプチドは配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、特に好ましい態様では、第2ポリペプチドは配列番号8の配列を持つ。一部の態様では、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチドは9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列であり、好ましい態様では、その9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列は、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される。一部の好ましい態様では、バチルス・チュリンゲンシスプロモーターはcryプロモーターである。より好ましい態様では、バチルス・チュリンゲンシスプロモーターは、cry1Aa1、cry1Aa2、cry1Aa3、cry1Aa4、cry1Aa5、cry1Aa6、cry1Ba1、cry1Ba2、cry1Ca1、cry1Ca2、cry1Ca3、cry1Ca4、cry1Ca5、cry1Ca6、cry1Ca7、cry1Fa1、cry1Fa2、cyt1Aa1、cyt1Aa2、cyt1Aa3、およびcyt1Aa4からなる群より選択され、特に好ましい態様では、cyt1Aa1プロモーターである。特に好ましい態様では、細胞はさらにcry11Aオペロンの20kD産物を発現させる。
【0020】
さらに本発明は、バチルス・スフェリカス細胞の毒性を増加させる方法であって、(a)BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列で、前記細胞を形質転換すること、および(b)宿主細菌中で前記核酸配列を発現させることを含み、前記核酸配列の発現により、前記細菌の毒性が、前記核酸配列で形質転換されていない野生型バチルス・スフェリカス細胞と比較して増加する方法を提供する。好ましい態様では、第1ポリペプチドは配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、特に好ましい態様では、配列番号9の配列を持つ。好ましい態様では、前記第1ポリペプチドをコードする配列はさらに、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能することができる第2ポリペプチドをコードする配列を含む。より好ましい態様では、第2ポリペプチドは配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示し、特に好ましい態様では、第2ポリペプチドは配列番号8の配列を持つ。一部の態様では、前記核酸はさらに少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列を含む。特に好ましい態様では、それら2つの少なくとも6ヌクレオチド配列はどちらも9マー細菌STAB−SD配列であり、とりわけ好ましい態様では、それらSTAB−SD配列は30〜40ヌクレオチド離れている。
【0021】
好ましい態様では、細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチドは9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列であり、特に好ましい態様では、その9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列は、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される。本方法の好ましい態様では、バチルス・チュリンゲンシスプロモーターはcryプロモーターである。より好ましい方法では、バチルス・チュリンゲンシスプロモーターは、cry1Aa1、cry1Aa2、cry1Aa3、cry1Aa4、cry1Aa5、cry1Aa6、cry1Ba1、cry1Ba2、cry1Ca1、cry1Ca2、cry1Ca3、cry1Ca4、cry1Ca5、cry1Ca6、cry1Ca7、cry1Fa1、cry1Fa2、cyt1Aa1、cyt1Aa2、cyt1Aa3、およびcyt1Aa4からなる群より選択される。最も好ましい方法では、バチルス・チュリンゲンシスプロモーターはcyt1Aa1プロモーターである。
【0022】
さらにもう一群の態様として、本発明は、バチルス・スフェリカス二成分毒素に対する抵抗性を低下させる方法であって、バチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシス(「Bti」)Cyt1Aa1タンパク質を、前記二成分毒素を発現させるバチルス・スフェリカス細胞中で発現させることを含む方法を提供する。
【0023】
また本発明は、バチルス・スフェリカス二成分毒素に対する抵抗性を低下させる方法であって、前記二成分毒素を発現させるバチルス・チュリンゲンシス細胞中でBti Cyt1Aa1タンパク質を発現させることを含む方法、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素に対する抵抗性を低下させる方法であって、Bti Cyt1Aa1タンパク質を前記二成分毒素と共に適用することを含む方法も提供する。Bti Cyt1Aa1タンパク質は溶解凍結乾燥Bti細胞の粉末の形をとることができ、また、精製タンパク質であってもよい。Bti Cyt1Aa1タンパク質は、約1:2〜約1:50から選択されるCyt1Aa1タンパク質対Bs比で適用することができる。好ましくはBti Cyt1Aa1タンパク質を約1:10のCyt1Aa1タンパク質対Bs比で適用する。
【0024】
(詳細な説明)
I.序論
本発明は、遺伝子組換え細菌細胞中でバチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)(「Bs」)の二成分毒素を高レベルに合成させるための核酸配列、ベクター、宿主細胞および方法を提供する。Bs毒素は極めて強力であるが、野生型Bs細胞は低レベルのBs毒素しか産生しない。これは、Bs毒素が単一の毒素に過ぎないこと(これに対し、例えばBtは毒素の複合体を産生する)と相まって、昆虫がこの毒素に対する抵抗性を迅速に発生させることを可能にする。細胞あたりの毒素産生量を増加させると、その結果生じるバイオ農薬製剤の殺傷力は増加し、そのバイオ農薬を摂取する幼虫が生き残る可能性は低下する。さらに、細胞あたりの毒素量の増加は、細菌毒素発酵生産プロセスの効率を著しく増加させ、昆虫防除を達成するために適用しなければならない細菌製品の量を低下させる。したがって本発明は、製造および使用コストを著しく低下させ、有効ではあるが環境に対する有害性が高くなりがちな化学農薬に対するバイオ農薬の競争力を増加させる。
【0025】
本発明の核酸は、Bt遺伝子由来の強力なプロモーターとリボソーム結合部位との間にSTAB−SD核酸配列を挿入し、そのコンストラクトをBs毒素の結合タンパク質もしくは毒素タンパク質またはその両方をコードする核酸配列と組み合わせることによって作製される異種配列である。好ましい態様では両方のタンパク質が存在する。驚いたことに、強力なBtプロモーターをSTAB−SD核酸配列と連結すると、Bs毒素の産生量が、非改変(野生型)バチルス・スフェリカスの標準株が産生するタンパク質量の少なくとも10倍、通常は15〜20倍に、劇的に増加する。そしてまた、Bs二成分毒素の存在は、遺伝子組換え細胞の毒性を驚くほど増加させる。例えば、イエカ属の蚊の幼虫に対する遺伝子組換え細胞の毒性は、非遺伝子組換え細胞と比較して10倍以上増加する。
【0026】
所望により、遺伝子組換え細胞はさらにcry11Aオペロンの20kDシャペロン様産物を含む。驚いたことに、このタンパク質の存在は上記核酸配列からのBsタンパク質の合成をさらに50%〜100%増加させるので、Bs毒素の産生量はBsの標準株による産生量のおよそ20〜30倍に増加することになる。
【0027】
新しい農薬には規制当局の承認を得る費用などがかかるので、投資を正当なものとするには、細菌細胞の毒性が目的とする生物に対して少なくとも約5倍は増加していることが一般に望ましい。Bs中およびバチルス・チュリンゲンシス(「Bt」)中でBs毒素を産生させようと過去十年以上にわたって他の研究者らが行なってきた努力によって増加した毒素産生量は2、3または4倍であり、商業的製造または野外使用を目指すには低すぎた。したがって、本発明により、Bs毒素の産生量を、Bsの標準株中で産生される量の少なくとも10倍、より一般的には15倍、20倍、25倍、さらには30倍にも増加させうることは、有意義かつ驚くべき技術的進歩である。同じく驚いたことに、ヒト疾患の重要な媒介体であるイエカ属の蚊に対する試験では、本発明の核酸で形質転換されたBt細胞の毒性には少なくとも10倍の改善が認められ、他の属の蚊に対する当該細胞の毒性が低下することもなかった。
【0028】
Btなどのバイオ農薬はバイオリアクターで商業生産される。本発明により、BtまたはBsなどの細菌細胞の毒性を増加させることができるということは、単位培養培地あたりの毒素生産量が増加するので、培養量を小さくすることができ、培養培地に使用される原料も相応に減らすことができるということを意味する。したがって本発明はバイオ農薬の製造コストを低下させることになり、これは、化学農薬の代わりにバイオ農薬を使用することが経済的になるような状況を増やすだろう。さらに本発明により、通常は毒性を持たない細菌種、特に昆虫の幼虫に対して通常は毒性を持たない細菌種に、Bs毒素に基づく毒性を付与することもできるようになる。これら他の細菌種の特定環境における残留性などといった属性は、これまでバイオ農薬として役立ってきたBtおよびBsの属性とはおそらく異なるので、本発明は、現在利用可能なものとは異なる範囲の属性を持つバイオ農薬も提供する。それにより、本発明は、害虫の駆除に際して公衆衛生当局者および農学者がとりうる選択肢の範囲を拡大する。
【0029】
高レベルのBs毒素を産生する能力は、Bt亜種、例えば蚊およびブユ幼虫などの双翅目害虫の防除に有用な亜種イスラエレンシス(Btのこの株を以下「Bti」という)、オオタバコガ幼虫(Heliothis zia)、イラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)およびヨトウムシ(fall army worm)(Spodoptera frugiperda)などを含む毛虫害虫の防除に広く有用な亜種クルスタキ(kurstaki)、例えばコロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)およびポプラハムシ(cottonwood leaf beetle)(Chrysomela scripta)などの鞘翅目害虫に対して活性な亜種モリソニ(morrisoni)、ならびに亜種テネブリオニス(tenebrionis)および亜種アイザワイ(aizawai)の毒性を増加させるのに、とりわけ役立つ。
【0030】
さらに本発明はバイオ農薬の宿主域の拡大を可能にする(すなわち本発明はバイオ農薬が毒性を発揮する対象生物の範囲を拡大する)。Bs毒素は主にイエカ属およびハマダラカ(Anopheles)属の幼虫に対して毒性を示し、一方、Btiはイエカ属およびヤブカ(Aedes)属に対してより活性である。したがって、Bti細胞中で高レベルのBs毒素を発現させると、イエカ属に対する毒性が増加するだけでなく、その細胞はハマダラカ属にもより有効な薬剤になる。ハマダラカ属はマラリアの主要媒介体であるので、この宿主域の増加だけでも、本発明は公衆衛生にとって大きな戦力になる。
【0031】
さらに本発明は、BtiのCyt1Aa1(「Cyt1A」とも呼ばれる)タンパク質が、Bs毒性に対して高い抵抗性を持つ蚊に対するBsの毒性を、回復させることができるという発見に関する。他のグループにより、Bsに対する抵抗性の機序は昆虫中腸における受容体への結合の喪失であることが、先に明らかにされている。理論に縛られることは望まないが、Cyt1Aa1は中腸微絨毛膜へのBs毒素の挿入を可能にして、毒性を回復させるようであるう。
【0032】
市販のバイオ農薬製剤に使用されるバチルス・スフェリカス2362株に対して少なくとも30,000倍の抵抗性を持つネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus)個体群を使った研究で、Bti Cyt1Aa1をバチルス・スフェリカスと併用したところ、抵抗性は完全に抑制された。先に、バチルス・チュリンゲンシス亜種メデリン(medellin)(「Btm」)由来の異なるCytタンパク質Cyt1Abによって、抵抗性の抑制が多少は起こることが示されている(Thieryら,Appl.Environ.Microbiol.64:3910−3916(1998))。しかし驚いたことに、Bti Cyt1Aによる抵抗性の抑制は、Btm Cyt1Abを使って達成された抑制より数倍大きい。さらに、Bs2362は商業的に使用されている株であり、しかも標的蚊個体群が既にかなりの抵抗性を発生させている株なので、この株に対する抵抗性を抑制することはとりわけ重要である。したがって、Bti Cyt1Aa1タンパク質がBs2362に対する毒性を回復させるという発見により、バイオ農薬としてのBsの継続使用を妨げてきた大きな課題の解決策が提供される。
【0033】
この発見は、Bs毒素を産生する細菌細胞、例えばBs細胞、またはBs毒素を産生するように組換え的に改変されたBt細胞などでBti Cyt1Aa1を産生させることによって、利用することができる。Bti Cyt1Aa1を発現させるように組換え的に改変されたBs細胞中でBs毒素が産生される場合は、さらに、cry11Aオペロンがコードする20kDシャペロン様タンパク質を発現させるように細胞を形質転換することが好ましい。cyt1Aa1の配列はGenBankからアクセッション番号X03182として入手することができ、Waalwijkら,Nucl.Acids Res.13:8207−8217(1985)によって公表されている。cry11Aオペロンとそこにコードされている20kDタンパク質については後述する。
【0034】
もう一つの選択肢として、Bti Cyt1Aaタンパク質またはCyt1Aaを産生するBti細胞(またはBti Cyt1Aaを産生するように組換え的に改変された他のバチルス属の細胞)を、Bsから製造された細胞、顆粒または粉末に加えて、その顆粒が本来なら抵抗性である生物に対して毒性を持つようにすることもできる。
【0035】
下記の実施例に示すように、Cyt1Aa1タンパク質は比較的わずかな量でも、抵抗性を劇的に抑制することができ、または抵抗性を排除することさえできる。好ましい態様として、Cyt1Aa1タンパク質は1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9または1:10から選択される比で、Bs混合物に加えることができ、比較的少ない添加物量で抵抗性の顕著な逆転が起こるので1:10が最も好ましい。また、例えば比率を下げると抵抗性の抑制にある程度の低下が起こるかも知れないことを理解した上で、CytAa1タンパク質を添加するコストを下げることが望まれる場合などには、さらに高い比、例えば1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、または1:70なども使用することができる。実施例5に記載のアッセイを使って特定の比を試験することにより、その特定の比が抵抗性の逆転を所望する程度にもたらすかどうかを判別することができる。1:100に満たないCyt1Aa1対Bs比は好ましくない。
【0036】
Cyt1Aaタンパク質は精製顆粒として添加することができるが、通常はCyt1Aa産生Bti細胞の形でCyt1Aaを添加する方が容易である。Bsと混合する前にBti細胞を溶解し凍結乾燥して粉末にしておくと便利である。好ましい態様では、Bsは2362株である。
【0037】
本発明者らの結果によれば、Btiに由来する他のCyt1タンパク質も、同じように作用して、Bs二成分毒素に対する抵抗性を逆転させるだろう。
【0038】
一般にBs細胞とBt細胞とが一緒には適用されないことは当業者に知られている。理論に縛られることは望まないが、これは、それぞれの種によって産生される芽胞の重量が毒素と比較して大きくなり、標的幼虫が摂取できる毒素の有効量を減少させることが懸念されるためだろう。しかし、抵抗性の抑制を達成するために添加する必要があるBtiの量はあまり大きくないので、この懸念材料は取り除かれる。実施例に記載する研究は、Bti細胞をBsと混合しても十分な毒性が得られることを示している。
【0039】
Btはバイオ農薬として約20年間商業的に使用され、Bsは約5年間商業的に使用されてきた。野外におけるBtiおよびBsの使用は、例えばH.de BarjacおよびD.J.Sutherland編「Bacterial Control of Mosquitoes and Blackflies」ラトガーズ大学印刷部(ニュージャージー州ブランズウィック、1990)のMulla,M.S.「蚊に対するバチルス・チュリンゲンシス・イスラエレンシスの活性、野外効力および使用(Activity,field efficacy,and use of Bacillus thuringiensis israelensis against mosquitoes)」p.134−160およびYap,H.−H.「蚊防除用バチルス・スフェリカスの野外試験(Field trials of Bacillus sphaericus for mosquito control)」p.307−320などに概説されている。したがって、大量のBtおよびBs生物を培養すること、これらの生物からバイオ農薬を製剤すること、およびその製剤を野外で適用することは、当業者にはよく知られている。本明細書に記載する組換え生物および方法は、当技術分野で知られるBtおよびBs細胞からバイオ農薬を製剤する方法のいずれにも使用することができる。
【0040】
本発明の組換えBs細胞は、Bsバイオ農薬が現在使用されている方法のいずれにも使用することができるが、現在商業的に使用されている株と比較した場合の毒性の増加に見合った低い適用率で適用することができる。例えば、組換えBsが現行株の10倍の毒性を持つとすると、現在使用されている物質量の10分の1の適用で同じ殺傷力を得ることができる。さらに、Cyt1Aa1を発現させる遺伝子組換え細胞は、野生型Bs二成分毒素に対して抵抗性になっている蚊個体群に対して使用することができる。
【0041】
Bs二成分毒素を産生する本発明の組換えBt細胞は、一般にBtによって防除される生物の防除に使用することができると共に、ハマダラカ属に対して使用することもできる。組換えBsに関して上で述べたように、高レベルのBs毒素を発現させる組換えBtは、現在商業的に使用されている株と比較した場合の毒性の増加に見合った低い適用率で適用することができる。したがって、本発明により、物質の使用量を減らすことができる。BtまたはBsの量を減らすと、培養する必要があるBtまたはBsの量が減ることになるので、同量の殺傷力を製造するために必要な原料が減少し、したがって、与えられた面積を処置するのに十分な物質を製造するための純費用が減少する。
【0042】
以下の項では本明細書で使用する用語を定義する。次に、BtおよびBs細菌ならびにそれらの毒素、本発明での使用に適したBtプロモーター、STAB−SD配列、本発明の核酸配列の構築、および20kDシャペロン様タンパク質、ならびに本発明の核酸、ベクター、宿主細胞および細菌の製造および使用について述べる。
【0043】
II.定義
別段の定義をしない限り、本明細書で使用する技術用語およ科学用語は全て、本発明の属する技術分野の当業者が一般に理解している意味を持つ。本発明で使用する用語の多くは、その一般的定義を、以下の文献に見いだすことができる:Singletonら「Dictionary of Microbiology and Molecular Biology」(第2版、1994)、Walker編「The Cambridge Dictionary of Science and Technology」(1988)、HaleおよびMarham「The Harper Collins Dictionary of Biology」(1991)。本発明を実施または試験するにあたって、本明細書に記載する方法および物質と類似するまたは等価な方法および物質はいずれも使用することができるが、好ましい方法および物質を説明する。本明細書において下記の用語は、別段の明示がない限り、それぞれに与えられた意味を持つ。
【0044】
「バチルス・チュリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)」、「B・チュリンゲンシス(B.thuringiensis)」および「Bt」は、芽胞形成時に結晶性封入体を産生する能力を持つことを特徴とするグラム陽性土壌細菌を表す。封入体には殺虫性内毒素が含まれている。封入体は、プラスミド上の遺伝子によってコードされる殺虫性タンパク質(「結晶性タンパク質」という場合もある)を含む。この細菌は、高温で培養することにより、プラスミドを「除去」して、結晶性タンパク質を産生しない細胞にすることができる。そのような細菌を「非結晶(acrystalliferous)」細胞または「結晶陰性(crystal minus)」細胞という。
【0045】
「バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)」または「Bs」は、同様にある種の昆虫にとって有毒なタンパク質のパラ胞子結晶を産生するグラム陽性土壌細菌を表す。
【0046】
「二成分毒素(binary toxin)」はBsが産生する毒素を表す。この毒素は2つのタンパク質から構成され、そのうちの一方は結合部分として働き、他方は毒素として働く。これら2つのタンパク質は溶液中で会合して機能的毒素を形成することができる。これらのタンパク質のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、Baumannら,J.Bacteriol.170:2045−2050(1988)に報告されている。51.4kDタンパク質(配列番号8)は結合ドメインとして機能し、41.9kDタンパク質(配列番号9)は毒素ドメインとして機能する。本明細書でこれらのタンパク質のどちらかに言及する場合は、天然の変異体、および(a)41.9kD毒素タンパク質の場合はタンパク質の毒性が、または(b)51.4kD結合タンパク質の場合は毒素タンパク質の結合を可能にする当該タンパク質の能力が、50%を超える減少を起こしていないような合成変異体を包含するものとする。具体的には、例えばグルタミン酸によるアスパラギン酸の置換またはその逆などといった保存的置換が施されている合成変異体が考えられる。
【0047】
「Cry」および「Cyt」は、バチルス・チュリンゲンシスが産生する2つのタンパク質ファミリーのメンバーを表す。最近、当技術分野では、種々のCryタンパク質をローマ数字(当該タンパク質が毒性を示す生物の見かけの範囲を表そうとしたもの)で記載する方法から、アラビア数字で記載する方法に命名法が変更され、Cytタンパク質も名称が見直された。約130のCryおよびCytタンパク質について旧名称および現行名称の命名法を対比した包括的一覧表が、Crickmoreら,Microbiol.Mol.Biol.Rev.62:807−813(1998)に記載されている。
【0048】
現在「Cyt1Aa1」と呼ばれているタンパク質は、以前は「CytA」または「Cyt1A」と呼ばれることがあった。本明細書でCytAまたはCyt1Aという場合はCyt1Aa1を表す。
【0049】
当技術分野における標準的な用法に従って、本明細書における「Cry」または「Cyt」という用語の使用はタンパク質を表し、イタリック体の用語「cry」または「cyt」は遺伝子を表す。
【0050】
「プロモーター」は、関連ポリヌクレオチドの転写を指示する一連の核酸制御配列、例えばバチルス・チュリンゲンシス由来のcry1Ac1プロモーターであり、異種ポリヌクレオチドであっても固有のポリヌクレオチドであってもよい。プロモーターは、転写開始部位近くの核酸配列、例えばポリメラーゼ結合部位などを含む。プロモーターは、所望により、転写開始部位から数千塩基対もの距離に位置する場合もある遠位エンハンサーまたはリプレッサー要素も含む。
【0051】
「シグマ因子」は、DNA中の特定配列を認識することが知られているタンパク質であって、RNAポリメラーゼによるそのDNAの転写の開始を促進するタンパク質複合体の一部を形成するタンパク質を表す。当技術分野では知られているように、シグマ因子タンパク質の配列は枯草菌(B.subtilis)での研究によって決定された。バチルス属の他の種で同じ機能を果たすタンパク質は枯草菌のシグマ因子に対して約80〜95%の配列相同性を持つ。したがって、Btにおいて枯草菌のシグマ因子と同じ役割を果たす因子は、枯草菌の典型タンパク質の配列とはわずかに異なる配列を持つ。本明細書で使用する「シグマ因子」という用語は、Btにおいて枯草菌のシグマ因子と同じ機能を果たし、枯草菌のシグマ因子タンパク質に対して約80〜95%またはそれ以上の配列相同性を持つタンパク質を表す。これらのタンパク質は枯草菌タンパク質に対応するが、その配列は必ずしも枯草菌タンパク質と同一ではないことを強調するために、本明細書では、これらを「シグマ様」因子またはタンパク質と呼ぶ場合もある。
【0052】
「BtIプロモーター」はシグマ因子Eによって認識されるプロモーターを表す。「BtIIプロモーター」はシグマ因子Kによって認識されるプロモーターを表す。
【0053】
「強力なBtIまたはBtIIプロモーター」は、あるタンパク質をコードする核酸に作動可能に連結して、Bt細胞中で発現させた場合に、細胞の乾燥重量の少なくとも5%、より好ましくは10%、最も好ましくは15%以上を占めるタンパク質をもたらすプロモーターを表す。
【0054】
「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、リン酸ジエステル結合、関連する天然構造変異体およびその合成非天然類似体によって連結されたヌクレオチド単位(リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、関連する天然構造変異体、およびその合成非天然類似体)から構成されるポリマーを表す。したがって、この用語は、ヌクレオチドおよびヌクレオチド間の結合に非天然合成類似体が含まれるヌクレオチドポリマーを包含する。文脈上必要であれば、ヌクレオチド配列をDNA配列(すなわちA、T、G、C)で表した場合に、これが「T」を「U」で置き換えたRNA配列(すなわちA、U、G、C)も包含することは理解されるだろう。
【0055】
「組換え」は、インビトロで合成されたまたは他の方法で操作されたポリヌクレオチド(「組換えポリヌクレオチド」)と、組換えポリヌクレオチドを使ってそれらのポリヌクレオチドがコードする遺伝子産物を細胞内または他の生物学的系内で産生させる方法とを表す。例えばクローン化ポリヌクレオチドを適当な発現ベクター、例えば細菌プラスミドなどに挿入し、そのプラスミドを使って適当な宿主細胞を形質転換することができる。組換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞を「遺伝子組換え宿主細胞」または「遺伝子組換え細菌」という。次に、遺伝子組換え宿主細胞内で遺伝子を発現させて、例えば「組換えタンパク質」を産生させる。組換えポリヌクレオチドは非コード機能(例えばプロモーター、複製起点、リボソーム結合部位など)を果たしてもよい。
【0056】
「異種ポリヌクレオチド配列」または「異種核酸」は、もう一つのポリヌクレオチドに、それら2つのポリヌクレオチド配列が自然界にある場合と同じ関係では配置されていないような形で、機能的に関係しているポリヌクレオチド、例えばプロモーター配列を表す相対語である。異種ポリヌクレオチド配列としては、例えば、異種核酸に作動可能に連結されたプロモーター、および遺伝子組換え宿主細胞に導入するための異種ベクターに挿入された固有のプロモーターを含むポリヌクレオチドなどが挙げられる。異種ポリヌクレオチド配列は、形質転換技術によって宿主細胞に導入されるので、「外因性」であると見なされる。しかし異種ポリヌクレオチドは、外部供給源に由来してもよいし、同じ供給源に由来してもよい。異種ポリヌクレオチド配列の改変は、例えばポリヌクレオチドを制限酵素で処理して、調節要素に作動可能に連結することができるポリヌクレオチド配列を生成させることなどによって行なうことができる。改変は部位特異的突然変異誘発法などの技術によって行なうこともできる。
【0057】
「内因性に発現」という用語は、宿主細胞中で天然に発現される、宿主細胞にとって固有のポリヌクレオチドを表す。
【0058】
「発現カセット」は、宿主細胞における遺伝子の転写を可能にする一連のポリヌクレオチド要素を表す。通例、発現カセットはプロモーターおよび転写される異種または固有のポリヌクレオチド配列を含む。発現カセットは、例えば転写終結シグナル、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサー要素などをさらに含んでもよい。
【0059】
「作動可能に連結」という用語は、一方の部分の活性(例えば転写を調節する能力)が他方の部分に対する作用(例えば配列の転写)をもたらすような2つの部分間の機能的関係を表す。したがって、あるポリヌクレオチド発現制御配列(例えばプロモーターまたは他の転写調節配列)と第2のポリヌクレオチド配列(例えば固有のまたは異種のポリヌクレオチド)とが機能的に連結されていて、発現制御配列がポリヌクレオチドの転写を指示する場合、ポリヌクレオチドは「プロモーターに作動可能に連結」されている。
【0060】
「殺虫性内毒素」は、結晶性タンパク質とも呼ばれるCry2A、Cry3A、Cry1B、Cry1CおよびBs二成分毒素などの殺虫活性を示す内毒素タンパク質をコードする遺伝子のファミリーを表す(HofteおよびWhiteley,Microbiol.Rev.53:242−255(1989)参照)。そのような殺虫性内毒素はバチルス・チュリンゲンシスによって産生され、昆虫、特に昆虫の幼虫にとって有毒である。
【0061】
殺虫性内毒素の「殺虫有効量」は、植物、土壌または他の「位置」、例えば部位もしくは場所に適用したときに殺虫活性を与える単位用量である。
【0062】
「cry11Aオペロン20kDaタンパク質をコードする遺伝子」(20kDaタンパク質遺伝子)は、約20kDaのタンパク質をコードするcry11Aオペロン中の遺伝子を表す(Frutosら,Biochem.Sys.and Ecol.19:599−609(1991)に記載されているもの;ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列についてはFrutosらの文献の図4を参照されたい)。
【0063】
「産生量を増加させる」とは、第1のタンパク質、例えばcry11Aオペロン20kDaタンパク質などの、宿主細胞における第2のタンパク質、例えば殺虫性内毒素などの正味の量を増加させる活性を表す。
【0064】
「発現させるのに適格な」とは、内因性および/または外因性ポリヌクレオチドの発現にとって十分な細胞環境を提供する宿主細胞を表す。
【0065】
2以上の核酸またはポリペプチド配列に関して、「同一」または「一致」率という用語は、下記の配列比較アルゴリズムの一つを使用するかまたは目視検査による評価で最大限一致するように比較し整列した場合に、同じである2以上の配列または部分配列、または同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの百分率が指定した値である2以上の配列または部分配列を表す。
【0066】
2つの核酸またはポリペプチドに関して、「実質的に同一」という表現は、下記の配列比較アルゴリズムの一つを使用するかまたは目視検査による評価で最大限一致するように比較し整列した場合に、少なくとも60%、好ましくは80%、最も好ましくは90〜95%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基一致率を示す2以上の配列または部分配列を表す。
【0067】
配列を比較するには、通例、ある配列を基準配列とし、試験配列をその基準配列と比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合は、試験配列および基準配列をコンピューターに入力し、必要であれば部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。次に、配列比較アルゴリズムが、指定したプログラムパラメーターに基づいて、基準配列に対する試験配列の配列一致率を計算する。
【0068】
比較のための配列の最適な整列は、例えばSmithおよびWaterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所ホモロジーアルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)のホモロジー整列アルゴリズム、PearsonおよびLipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピュータ実装(Genetics Computer Group(ウィスコンシン州マディソン、サイエンス・ドライブ575)のウィスコンシン・ジェネティクス・ソフトウェア・パッケージのGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、または目視検査によって行なうことができる(概要については、F.M.Ausubelら編「Current Protocols in Molecular Biology」Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.の合弁事業(1995年増補版)(以下「Ausubel」)を参照されたい)。
【0069】
配列一致率および配列類似率の決定に適したアルゴリズムの例は、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410およびAltschuelら(1977)Nucleic Acids Res.25:3389−3402にそれぞれ記載されているBLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLAST解析を行なうためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により、公的に利用することができる。このアルゴリズムでは、まず、データベース配列中の同じ長さの文字列と整列させた時にある正の値を持つ限界スコアTに一致するかスコアTを満足する問い合せ配列中の長さWの短い文字列を同定することによって、高スコア配列ペア(high scoring sequence pair:HSP)が決定される。Tは近傍文字列スコア閾値(neighborhood word score threshold)と呼ばれる(Altschulら,前掲)。ヒットしたこれらの初期近傍文字列を元にして、それらを含む、より長いHSPを見つけるための検索を開始する。次に、累積アラインメントスコアを増加させることができる限り、ヒットした文字列を各配列に沿って両側に延長する。ヌクレオチド配列の場合、累積スコアはパラメーターM(一致する残基対に対する報奨(reward)スコア;常に>0)およびN(一致しない残基対に対する禁則(penalty)スコア;常に<0)を使って計算される。アミノ酸配列の場合は、スコア行列を使って累積スコアを計算する。ヒットした文字列の各方向への延長は、累積アラインメントスコアが最大達成値より量Xだけ低下した時に中止する。累積スコアは1または複数の負スコア残基の並びが蓄積するために0以下になるか、または各配列の末端に到達する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)では、デフォルトとして、文字列の長さ(wordlength:W)11、期待値(expectation:E)10、M=5、N=−4、および両鎖の比較が使用される。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムでは、文字列の長さ(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコア行列が使用される(HenikoffおよびHenikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)参照)。
【0070】
配列一致率の計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計解析も行なう(例えばKarlinおよびAltschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873−5787(1993)を参照されたい)。BLASTによって得られる類似性の尺度の一つは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然に起こる確率の指標となる最低和確率(smallest sum probability)(P(N))である。例えば、試験核酸と基準核酸との比較における最低和確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満であるなら、その核酸は基準配列に類似しているとみなされる。
【0071】
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であることのさらにもう一つの指標は、後述するように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応することである。したがって、例えばあるポリペプチドともう一つのポリペプチドとの相違点が保存的置換だけである場合、それら2つのポリペプチドは、通例、実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることのもう一つの指標は、後述するように、2つの分子がストリンジェントな条件で互いにハイブリダイズすることである。
【0072】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」という用語は、ある核酸配列がその相補鎖にはハイブリダイズするが、他の配列にはほとんどハイブリダイズしないような条件を表す。核酸ハイブリダイゼーションに関してストリンジェントな条件は配列依存的であり、環境パラメーターが異なると変化する。長い配列ほど高温で特異的にハイブリダイズする。核酸ハイブリダイゼーションの詳細な指針はTijssen「Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Acid Probes」パートIの第2章「ハイブリダイゼーションの原理の概観および核酸プローブアッセイの戦略(Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays)」Elsevier,ニューヨーク(1993)に記載されている(このTijssenの文献は全文、参照により本明細書に組み込まれる)。極めてストリンジェントな条件は、特定プローブのT点に等しくなるように選択される。これに対し、ストリンジェンシーが低下した条件は、核酸配列が不完全に一致した配列に結合するような条件である。ストリンジェンシーは、温度、塩濃度、ホルムアミドもしくはDMSOなどの有機化合物の存在、またはこれらの全てによって制御することができる。これらのパラメーターの変更による影響は当技術分野ではよく知られている。例えば、ホルムアミド濃度の変化がTに及ぼす影響は、次の等式にまとめられる:T=81.5+16.6(logNa)+0.41(%G+C)−(600/オリゴ長)−0.63(%ホルムアミド)。TMACによるTの低下および塩濃度の変更による影響もよく知られている。温度の変更は、便利で、制御が容易で、可逆性があることから、一般に好ましいストリンジェンシー制御手段である。
【0073】
「保存的置換」は、ポリペプチドにおける、あるアミノ酸の、機能的に類似するアミノ酸による置換を表す。以下の6群はそれぞれに、互いに保存的置換であるアミノ酸を含んでいる:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
Creighton「PROTEINS」W.H.Freeman and Company,ニューヨーク(1984)も参照されたい。
【0074】
III.BtiおよびBs毒素
BtiおよびBsは、芽胞形成時にタンパク質結晶性封入体を産生する好気性グラム陽性有芽胞土壌生物である。Bt亜種の結晶は、広範囲にわたる多様な鱗翅目、鞘翅目および双翅目の種の幼虫に対して毒性を示す。序論では、その防除に様々なBt亜種が現在使用されている昆虫の一部を挙げた。Btは使用されている全バイオ農薬の約90%を占める(AgaisseおよびLereclus,J.Bacteriol.177:6027−6033(1995))。
【0075】
cry遺伝子およびcyt遺伝子は、Btが産生する様々な殺虫性タンパク質をコードしている。これらの遺伝子は数多く同定され配列決定されており、当技術分野ではよく知られている。例えばCrickmoreら,Microbiol Mol Biol Rev.62:807−813(1998)(このCrickmoreらの文献は全文、参照により本明細書に組み込まれる)には、120個を超える同定されたBt cry遺伝子および9個のBt cyt遺伝子の配列について、GenBankアクセッション番号を記した表が記載されている。
【0076】
その名称から予想されるように、Bsの二成分毒素は、それぞれ51.4kDと41.9kDの2つのタンパク質から構成されている。これらのタンパク質のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は10年以上前から知られており、Baumannら,J.Bacteriol.170:2045−2050(1988)に報告されている。51.4kDタンパク質(配列番号8)は結合ドメインとして機能し、41.9kDタンパク質(配列番号9)は毒素ドメインとして機能するので、最大限の毒素機能を発揮するには、通常は等モル量の両タンパク質が存在すべきである。これは、両タンパク質が同時にほぼ同じ量で発現されるように、本発明のプロモーター−STAB−SDコンストラクトの下流に、両方のタンパク質をコードする核酸配列を置くことによって、都合よく達成することができる。2つのBs毒素タンパク質のうち一方だけの核酸配列を本発明のプロモーター−STAB−SD配列の制御下に置く場合は、2つのタンパク質が等モル量またはほぼ等モル量に産生されるように、他方のBs毒素タンパク質をコードする配列を類似するプロモーターコンストラクトの転写制御下に置くことが望ましい。
【0077】
定型的な遺伝子操作技術を使って配列番号8および9の配列を改変し、なおかつBs毒素と同じように機能するタンパク質を得ることができることは、当業者には理解されるだろう。例えば、Bs二成分毒素タンパク質(配列番号9)の配列にアミノ酸の保存的置換を施して、高い配列一致度を持ち天然タンパク質の毒性の少なくとも一部を保っているタンパク質またはポリペプチドを得ることができる。また、同様の改変をBs二成分毒素結合ドメイン(配列番号8)に施して、それでもなお、そのタンパク質が毒素タンパク質の結合タンパク質として機能できるようにすることもできる。好ましくは、そのようなタンパク質またはポリペプチドは、天然Bs 41.9kDまたは51.4kDタンパク質に対して少なくとも約75%の一致率、より好ましくは配列番号8または配列番号9に対して80%、さらに好ましくは85%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは95%以上の一致率を持つ。天然Bs毒素の代わりを務める特定ポリペプチドの機能は、本明細書で説明する当技術分野で知られるアッセイによって、容易に試験することができる。天然41.9kD毒素タンパク質(配列番号9)の代わりを務めるポリペプチドは天然Bs毒素の毒性の少なくとも50%、より好ましくは天然Bs毒素の毒性の60%、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは約80%以上、さらに好ましくは90%以上を持っていることが好ましい。Bs二成分毒素の天然51.4kD結合タンパク質(配列番号8)の代わりを務めるポリペプチドは、当該結合タンパク質に対する昆虫受容体に結合できることが好ましい。そのような結合は、例えば免疫組織化学(定性的)または刷子縁膜結合アッセイ(「刷子縁膜小胞結合アッセイ」とも呼ばれるこれらのアッセイにより、相対的結合能力の定量的評価が得られる)などによって決定することができる。そのようなアッセイは当技術分野ではよく知られている。
【0078】
驚いたことに、本発明者らは、Bt由来のCyt1Aタンパク質が、Bs二成分毒素の結合タンパク質の受容体を失っている幼虫に対する上記毒素の毒性を、回復させることができることを見いだした。したがって、所望により、Bs二成分毒素の41.9kD毒素タンパク質を発現させる細胞において、51.4kD結合ドメインタンパク質の一部または全部の代わりに、Cyt1Aタンパク質を同時発現させることができ、それらのタンパク質は、その細胞またはその細胞から製造されたバイオ農薬を摂取した標的幼虫に対して毒性を示すだろう。したがって例えば、Bs 41.9kDタンパク質の量とおおむね類似する量を発現させるプロモーターと共にCyt1Aタンパク質をコードする核酸配列を導入することによって、BtiなどのBt細胞を形質転換することができる。あるいは、Cyt1Aタンパク質とBs二成分毒素とを個別に製造し、それらを混合して、Bs毒素抵抗性の蚊をその毒素に対して感受性にすることもできる。この使用法の変形として、Cyt1Aタンパク質を41.9kD Bs毒素タンパク質(例えば組換え発現させたもの)に添加して、その混合物を、Bs毒素に抵抗性を示す蚊個体群に対して使用することができる。51.4kD結合ドメインタンパク質の作用機序とは作用機序が異なりうるので、完全な毒作用を達成するために、51.4kD Bs結合タンパク質の場合にそうであるほどには、Cyt1Aタンパク質の量を、毒素タンパク質の量とぴったり一致させる必要はないようである。
【0079】
IV.Btプロモーター
本発明では、Bt cryまたはcyt遺伝子由来のプロモーターを使ってBs毒素を発現させる。これらの遺伝子は、Btが産生する種々の殺虫性タンパク質をコードする。上述したように、Crickmoreら,Microbiol Mol Biol Rev.,62:807−813(1998)の表1に、120個のBt cry遺伝子および9個のBt cyt遺伝子の配列に関して、名称およびGenBankアクセッション番号の便利な表が記載されている。これらの各遺伝子について上記の表に記載されているコード領域の開始コドンの前にある5’配列がプロモーター領域を含むことは、当業者には理解されるだろう。
【0080】
当業者には知られているように、CryおよびCytタンパク質の遺伝子転写は、シグマ因子と呼ばれるタンパク質が結合する配列の存在によって、時間的に調節される。シグマ因子は他のタンパク質を動員し、それが複合体を形成して、RNAポリメラーゼによるDNAの転写を開始させる。cryまたはcyt遺伝子のプロモーターは一般に、そこに結合するシグマ因子に基づいて、3つのカテゴリー、すなわちシグマEプロモーター、シグマKプロモーターおよびシグマAプロモーターに分類される。
【0081】
シグマEプロモーターはBtIプロモーターとも呼ばれ、シグマKプロモーターはBtIIプロモーターとも呼ばれる(本明細書におけるプロモーターの説明では、「シグマE」および「BtI」という用語を可換的に使用し、同様に「シグマK」および「BtII」という用語も可換的に使用する)。多くのcry遺伝子は芽胞形成時に活性であって、一般にBtIまたはBtIIプロモーターによって駆動され、芽胞形成時にBtIプロモーターが活性である時期はBtIIプロモーターより早い。概要については、AgaisseおよびLereclus,J.Bacteriol.177:6027−6032(1995)(以下「AgaisseおよびLereclus 1995」)を参照されたい。ほとんどのcry遺伝子を認識するシグマ因子が知られている。例えばAgaisseおよびLereclus 1995参照。例えば、cry4AおよびBは、BtIプロモーターによって認識される。
【0082】
多くのcry遺伝子は2つのプロモーター、すなわち1つのBtIと1つのBtIIを持っている。これらの二重プロモーターの組合わせは、芽胞形成過程における遺伝子の発現期間を延長する働きをする。2つのプロモーターはオーバーラップする場合もある。非芽胞形成依存的cry遺伝子は、さらに別のシグマ因子、すなわちシグマAによって認識されるさらに別のプロモーターセットを持つ。例えばAgaisseおよびLereclus 1995を参照されたい。
【0083】
本発明の核酸配列および方法には、任意の強力なBtIまたはBtIIプロモーターを使用することができる。二重BtIおよびBtIIプロモーター、特にオーバーラップしたBtIおよびBtIIプロモーターは、タンパク質発現の強力なプロモーターになる傾向があり、本発明の核酸を構築するためのプロモーターの好ましい形態である。二重プロモーターを持つ以下のグループに属する遺伝子のメンバーはとりわけ好ましい:cry1A、cry1B、cry11A、およびcyt1Aa。
【0084】
本発明では、非結晶Bti細胞の乾燥重量の少なくとも5%、より好ましくは10%、最も好ましくは15%以上を占めるまでCyt1Aa1タンパク質を発現させることができるBtIまたはBtIIプロモーターは、いずれも強力なプロモーターであるとみなされ、本発明の目的に適したBtIまたはBtIIプロモーターである。二重BtIおよびBtIIプロモーターまたはプロモーター領域は好ましい。
【0085】
好ましい態様では、BtIまたはBtIIプロモーターはcry1プロモーターまたはcyt1Aa1(Cyt1Aとも呼ばれる)プロモーターである。cry1プロモーターは系統学的に近い関係にあり配列一致度も高いので(Crickmoreら,Microbiol.Mol.Biol.Rev.62:807−813(1998)参照)、Crickmoreらの文献でcry1遺伝子と呼ばれている遺伝子のプロモーターはいずれも、Bs二成分毒素を高レベルに発現させることができると考えられる。特に好ましい態様は、cry1Aa1(かつてはcry1A(a)と呼ばれていた)、cry1Ba1(かつてはcry1Bと呼ばれていた)、cry1Ca1(かつてはcry1Cと呼ばれていた)、cry1Fa1(かつてはcry1Fと呼ばれていた)である。これらの各遺伝子には他にも近縁遺伝子があることに注意すべきである。例えばcry1Fa1はcry1Fa2と近縁関係にある。同じ大文字および同じ小文字で指定される上記cry1遺伝子群の他のメンバーは、その遺伝子群の最初に挙げた遺伝子とほぼ同等に好ましいと考えられる(すなわちcry1Fa2はcry1Fa1とほぼ同等に好ましい)。
【0086】
もう一つの特に好ましい態様として、プロモーターはcyt1Aa1由来のプロモーターであることができる。このプロモーターは、BtIプロモーターとBtIIプロモーターの両方を含み、それゆえに二重プロモーターと呼ばれることもある。プロモーター領域に2つのプロモーターが含まれているので、この遺伝子のプロモーター領域は「cyt1Aプロモーター群」とも呼ばれる。系統学的解析および配列一致度によれば、他のcyt1Aa遺伝子のプロモーターも、本発明の組成物および方法に使用できる十分に強いBtIもしくはBtIIプロモーターまたは複合BtIおよびBtIIプロモーターである。
【0087】
非芽胞形成依存性cry遺伝子プロモーターはシグマAプロモーターであり、条件を変更しなければ、一般的には満足できるプロモーターではない。非芽胞形成型のBtは当然ながら代謝資源を芽胞産生に転用することがなく、芽胞形成型よりも長期間にわたって毒素を蓄積することができる。ゆえに、非芽胞形成型では、シグマAプロモーターを使って高レベルの毒素を蓄積させることができる。したがって、BtIおよびBtIIプロモーターは、BtおよびBsを含むバチルスでの使用に好ましい。非芽胞形成型のバチルスでは、シグマAプロモーターを使用することができる。
【0088】
V.STAB−SD配列
バチルス・チュリンゲンシスの結晶性タンパク質mRNAは芽胞形成時に10分の平均半減期を持つ。これに対して、他のmRNAの平均半減期は1〜2分である。この長い半減期は、芽胞形成細胞の乾燥重量の20〜30%にも達しうる結晶性タンパク質の極めて高い産生量の一因だろう。
【0089】
これらのタンパク質の長い半減期は、その遺伝子の2つの非翻訳領域に関係している。第1に、5’非翻訳領域には、翻訳開始には関与しないがmRNAの安定性の決定因子である配列が、通常はプロモーターとコード領域との間に見いだされる。この配列はシャイン・ダルガーノ(「SD」)様コンセンサス配列である。第2に、cry1Aaなどのcry遺伝子の3’末端断片は、mRNA転写物の半減期を2〜3倍増加させる(AgaisseおよびLereclus,Mol.Microbiol.20:633−643(1996)(以下「Agaisse 1996」))。
【0090】
5’SD様配列はタンパク質産生の安定化に関与するようである。したがって、これは「STAB−SD」配列と名付けられている(Agaisse 1996)。Agaisse 1996では、STAB−SDは16SリボソームRNAの3’末端との相互作用に関与することが示唆され、相補性を失わせると予想されるSTAB−SD配列の突然変異は付与される安定性に影響を及ぼすことが見いだされた。興味深いことに、当時cryIIIAと呼ばれていたタンパク質(現在はcry3Aと呼ばれている)のSTAB−SD配列は、枯草菌16S rRNAの3’末端との相互作用と推定される作用を示した。理論に縛られることは望まないが、STAB−SD配列のポリプリン(GおよびA)ヌクレオチドは、リボソームの16S rRNAの3’末端のピリミジンヌクレオチドの相補的配列と塩基対を形成するらしく、この塩基対形成がmRNAの5’末端への5’エンドリボヌクレアーゼの接近を阻害し、メッセージの半減期を増加させ、よってコードされているタンパク質の産生量を増加させるようである。したがって、STAB−SD配列は特定の細菌種に特異的なものではなく、他のバチルス属および他の属の細菌のSTAB−SD配列を使って、ビー・チューリギエンシスおよびバチルス・スフェリカスにおけるタンパク質の産生を安定化することができると思われる。
【0091】
Agaisse 1996では、データベースが再検討され、例えばBt由来の4つのcry遺伝子、ビー・ブレビス(B.brevis)のcwp遺伝子座、およびリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)のinIAB遺伝子座などの5’非翻訳領域(「UTR」)に、STAB−SD配列と推定される配列が数多く同定された。これらのSTAB−SD配列はいずれも、強力なバチルスプロモーターとリボソーム結合部位との間に置けば、バチルス中で高レベルのBs毒素を産生させるために使用することができる。同定されたSTAB−SD配列は互いにかなり高い相同性を持っている。
【0092】
好ましい態様では、STAB−SD配列は、GAAAGGAGG(cry3A配列、配列番号1)、GAAGGGGGG(cry3B配列、配列番号2)、GAGGGGGGG(cry3B2配列、配列番号3)、GAAAGGGGG(cry3D配列、配列番号4)、GAAAGGAGG(ビー・ブレビスのcwp、配列番号5)およびGAAAGGGGT(エル・モノサイトゲネス(L.monocytogenes)のinlAB、配列番号6)からなる群より選択される。cry3A、cry3B、cry3B2およびcry3D配列は特に好ましい。cry3Aは最も好ましい態様である。所望により、2以上のSTAB−SD配列をタンデムに使用することができる。複数のSTAB−SD配列を使用する場合は、STAB−SD配列が複数の30Sリボソームサブユニットと相互作用できるように、配列は約30〜40ヌクレオチド離れていることが好ましい。リボソームサブユニットのさしわたしは約30ヌクレオチドである。使用する多重STAB−SD配列の数は、STAB−SD配列と枯草菌16SrRNA3’の3’末端との相互作用を妨害するほど多くてはならない。存在するSTAB−SD配列が多すぎるかどうかは、STAB−SD配列の数が一つ少ないコンストラクトと比較したタンパク質産生量の減少に注目することによって決定することができる。1〜2つのSTAB−SD配列が最も好ましい。同様に、2つのSTAB−SD配列の間には適宜任意の距離(通例、3〜300ヌクレオチド)を置くことができるが、分離の効果は、分離距離が33〜40ヌクレオチドである類似のコンストラクトとの比較で、調べようとする分離距離を持つコンストラクトによるタンパク質の産生量を決定することによって調べることができる。
【0093】
上記STAB−SD配列の一つと高い配列一致度を持ちSTAB−SD配列として機能することができる他の配列は、本発明の核酸および方法に使用することができる。この配列は上記STAB−SD配列の一つに対して少なくとも85%の配列一致率を示すべきであり、タンパク質産生量を向上させるように機能すべきである。好ましい形態として、この配列は少なくとも約90%の配列一致率を示し、より好ましくは約95%以上の配列一致率を示す。さらに、Agaisse 1996には、安定性に有害な影響を及ぼしうる推定STAB−SD配列への改変に関する指針が記載されいている。一般に、STAB−SD配列と枯草菌16SrRNA3’の3’末端との相互作用を消滅させるようなヌクレオチドの変化は、タンパク質産生量を減少させると思われ、好ましくない。
【0094】
驚いたことに、タンパク質産生量を増加させるには、完全なSTAB−SD配列を使用する必要はないこともわかった。STAB−SD配列のうち、わずか6連続ヌクレオチドでも、安定性を向上させる機能を果たすことができる。完全な9ヌクレオチドSTAB−SD配列ほど強力にはタンパク質の産生を安定化しないものの、この6マー(ある数のヌクレオチドまたはアミノ酸からなる配列は、当技術分野では、その数および接尾語「マー」で呼ぶことができる)なしでタンパク質を産生させるよりは良い結果が得られる。したがって、所望により、これらのSTAB−SB部分配列の一つを完全STAB−SD配列の代わりに使用することができる。しかし、長い配列ほど16S rRNAリボソームサブユニットの対応するピリミジン配列に強く結合するので、より好ましくはSTAB−SD配列の7連続ヌクレオチドを使用し、さらに好ましくはSTAB−SD配列の8連続ヌクレオチドを使用する。完全長9ヌクレオチドSTAB−SD配列を使用することが最も好ましい。これらのコンストラクトのうちの2つ、例えば2つの6マーをタンデムに使用することによって、より良い結果を得ることもできる。本明細書の他の項での説明が容易なように、「STAB−SD配列」という用語は、文脈上別段の必要がない限り、STAB−SD配列の6、7または8連続ヌクレオチド部分配列を包含するものとする。
【0095】
推定される核酸配列または既知のSTAB−SD配列への所望の改変は、いずれも、Agaisse 1996に記載のアッセイおよびその他の方法に従ってガラクトシダーゼコード配列を含むプラスミドにその配列を入れるか、または下記実施例に記載する方法でSTAB−SD配列を検討中の配列で置き換え、その結果得られるタンパク質産生量を、本明細書に記載のSTAB−SD配列を使ったコンストラクトからの同じタンパク質の産生量と比較することによって、STAB−SDタンパク質としてのその機能について、便利に試験することができる。クーマシーブルー染色SDS−PAGEゲルのデンシトメトリー解析による測定で、Bs二成分毒素の産生量を野生型Bs細胞の8倍未満に減少させる配列は、あまり好ましくない。
【0096】
VI.本発明の核酸配列の構築
当技術分野ではプロモーターの構築に関してかなりの情報が明らかになっている。これに関連して、以下の説明を行なうことにより、強力なBtプロモーターのシグマ因子結合部位とリボソーム結合部位との間にSTAB−SD配列を最適に設置するために当業者が必要とするかもしれない具体的情報を提供する。
【0097】
図1は核酸配列の典型的な構築例を示している。この態様では、cyt1Aプロモーターはヌクレオチド1〜537を含む(cyt1A遺伝子は2つのプロモーター、すなわち一つはBtIプロモーター、もう一つはBtIIプロモーターを含むので、この遺伝子のプロモーター領域を当技術分野では「cyt1Aプロモーター群」と呼ぶ場合もある)。シグマE様因子およびシグマK様因子の結合部位をそれぞれ適当な領域の上に置いた「Sigma E」および「Sigma K」という表示で示し、「−35」および「−10」という数字ならびに下線付きの配列は特異的結合部位を表す。ヌクレオチド726〜730およびヌクレオチド2246〜2249の「RBS」という文字を付した下線付きのヌクレオチドはリボソーム結合部位を表す。
【0098】
538〜659の下線付きヌクレオチドは、cry3Aプロモーターからクローニングした配列を表す。この配列は9ヌクレオチドSTAB−SD配列を導入するためにクローニングしたものであるが、9ヌクレオチド配列をクローニングする方が相対的に難しいので、それより長いcry3Aプロモーター由来の配列を使用した。660位から始まる配列は、コード領域の上流にある二成分毒素の配列の一部であり、その後にコード領域が続いている(Baumannら,J.Bacteriol.170:2045−2050(1988)に公表されているとおり))。「+1」と記した位置の開始コドンの上流にあるこの部分は、単に、好都合な制限部位が存在するという理由だけで選択した。これより短いまたは長い部分を使用することもでき、実際、所望により、二成分毒素遺伝子の全プロモーター領域を使用することもできる。しかし一般的には、操作が容易であるという理由だけでなく、偶然に存在するかもしれないリプレッサー配列などが偶発的に含まれてしまうのを避けるためにも、短い配列を使用する方が好ましい。さらに、STAB−SD配列の後ろに異なる配列を使用する場合は、リボソーム結合部位をSTAB−SD配列と開始コドンの間に置くべきである。好ましくは、リボソーム結合部位を、開始コドンの約6〜約10ヌクレオチド上流に置く。51.4kDおよび41.9kD Bs二成分毒素タンパク質の開始部位および停止部位も図示してある。
【0099】
この典型例の要素のつなげ合わせ方は、大きく変更しても、なおBs二成分毒素の高レベル産生に有効に働く配列を得ることができる。この配列では、STAB−SD配列をクローニングするために、cry3A配列由来のおよそ121ヌクレオチドを使用した。これは単にクローニングが容易だから行なったに過ぎず、9ヌクレオチドSTAB−SD配列(または前項で説明したように、その6、7または8連続ヌクレオチド部分配列)だけを導入することもできる。しかしクローニングの容易さを考えて、STAB−SD配列を包含する約20〜約130ヌクレオチド長の配列を使用することが、通常は好ましい。STAB−SD配列そのものはシグマ因子結合部位の約10塩基下流からRBS配列の直前までのどこにおいてもよく、一方、RBS配列は、開始コドンの約6〜約10塩基上流に位置するべきである。すなわち、プロモーターのRBSが削除される場合は別のRBS、例えばBs二成分毒素由来のRBSを開始コドンの約6〜約10塩基上流に置くべきであるということを理解した上で、シグマ因子結合部位の下流に位置するプロモーターの全部または一部を削除することができる。上述のように、図1に示す配列では、660位以降の配列は天然Bs二成分毒素遺伝子に由来する。どの特定配列でも、実施例10に記載のアッセイで、その配列を用いることにより、それが毒素産生に対して有害な影響または有利な影響を持つかどうかを決定するための試験を、容易に行なうことができる。
【0100】
VII.20kDシャペロン様タンパク質
本発明の方法では、Bs二成分毒素の産生量を増加させるために、既知タンパク質(Frutosら,前掲;VisickおよびWhitely,前掲)をコードする20kDaタンパク質遺伝子をコードする遺伝子で、宿主細胞を形質転換する。この20kDaタンパク質遺伝子は、例えばバチルス・チュリンゲンシスの2つの亜種から単離し、配列決定することができる(Frutosら,Biochem.Syst.and Ecol.19:599−609(1991))。20kDaタンパク質遺伝子で形質転換された細胞で、20kDaタンパク質の発現レベルが特徴付けられている。当業者は、本明細書および国際特許出願公開番号WO97/39623に記載の方法および配列情報を使って20kDaタンパク質を単離し、それを使って、宿主細胞を形質転換するための組換え発現ベクターを構築することができる。
【0101】
20kDタンパク質遺伝子で形質転換される宿主細胞は、Bs二成分毒素を発現させるのに適格な宿主細胞であるべきである。それらの細胞はBs二成分毒素を発現させるものであってもよいし、それらの細胞を外因性二成分毒素発現ベクターで形質転換してもよい。上述のように、Bs二成分毒素の両タンパク質の配列は知られている。当業者は、この配列情報を本明細書に記載の方法と共に利用することにより、20kDタンパク質をコードする遺伝子で宿主細胞、例えばBs細胞を形質転換するための組換えベクターを構築することができる。好都合なことに、20kDタンパク質の遺伝子は、高レベルのBs毒素を発現させるための核酸配列と同じプラスミド上に置くことができる。
【0102】
VIII.核酸配列およびベクター
宿主細胞を形質転換するための組換え発現ベクターは、まず、本明細書に記載する構成ポリヌクレオチド配列を単離することによって製造される。次に、それらのポリヌクレオチド配列、例えば上述のプロモーターによって駆動されるBs二成分毒素をコードする配列を連結して、宿主細胞の形質転換に適した組換え発現ベクターを作製する。組換えポリヌクレオチドの単離および製造方法は当業者にはよく知られている。Sambrookら「Molecular Cloning A Laboratory Manual」第2版(1989)、Ausubelら「Current Protocols in Molecular Biology」(1995)には、多くのクローニング課題によって当業者を導くのに十分な情報が記載されている。
【0103】
特定のポリヌクレオチドを得るための好ましい一方法では、合成オリゴヌクレオチドプライマーを、mRNAまたはDNAテンプレート上でのポリメラーゼ伸長またはライゲーションと組み合わせて使用する。そのような方法、例えばRT、PCRまたはLCRでは、所望のヌクレオチド配列が増幅される(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号参照)。制限エンドヌクレアーゼ部位をプライマー中に組み込むことができる。増幅されたポリヌクレオチドを精製し、連結して、発現カセットを形成させる。天然遺伝子配列には、インビトロ突然変異誘発法および適当な突然変異が組み込まれるように設計されたプライマーを使ったPCRなどの技術によって、変異を導入することができる。もう一つの好ましいポリヌクレオチド配列単離方法では、既知の制限エンドヌクレアーゼ部位を使って、プラスミドから核酸断片を単離する。当業者は、既知の遺伝子配列に基づくプライマーを使って、興味ある遺伝子を単離することもできる。
【0104】
選択した単離ポリヌクレオチド配列、例えば上述のプロモーター配列によって駆動されるBs二成分毒素を、「発現ベクター」、「クローニングベクター」または「ベクター」(これらの用語は通常、選択した宿主細胞中で複製することができるプラスミドまたは他の核酸分子を表す)に挿入する。発現ベクターは自律的に複製することができるか、または宿主細胞のゲノム中に挿入されることによって複製することができる。多くの場合、2以上の宿主細胞中で使用できること、例えばクローニングおよび構築用の大腸菌(E.coli)と発現用のバチルス・チュリンゲンシスとで使用できることが、ベクターにとって望ましい。ベクターの追加要素としては、例えば、所望のポリヌクレオチド配列で形質転換された細胞の検出および/または選択を可能にするテトラサイクリン耐性またはハイグロマイシン耐性などの選択マーカーを挙げることができる(例えば米国特許第4,704,362号参照)。細胞への遺伝情報の輸送に使用されるベクターも特に重要なわけではない。宿主細胞における組換えタンパク質の発現に使用される適当なベクターはどれでも使用することができる。好ましいベクターはpHT3101であり、これは大腸菌−バチルス・チュリンゲンシスシャトルベクターである(Lereclusら,FEMS Microbiol.Lett.60:211−218(1989))。
【0105】
発現ベクターは通例、選択したポリヌクレオチドの宿主細胞における発現に必要な要素を全て含む発現カセットを持つ。典型的発現カセットは、選択したポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む。Bs二成分毒素の発現を指示するために使用されるプロモーターは上述のとおりであり、Bs二成分毒素タンパク質の一方または両方をコードする配列に作動可能に連結される。異種転写開始部位からプロモーターまでの距離は、好ましくは、そのプロモーターが自然環境にある場合の転写開始部位から距離とほぼ同じ距離にする。しかし、当業者には知られているように、この距離を多少変化させてもプロモーター機能の損失は起こらない。cry11Aオペロンがコードする20kDタンパク質の発現には、標準的発現カセットに典型的に使用されているもの、例えばβ−ガラクトシダーゼプロモーターなどを含めて、異種遺伝子を宿主細胞で発現させるのに適した他のプロモーターを使用することができる。本発明の一態様では、20kDタンパク質遺伝子をcryIAc遺伝子のBtIおよびBtIIプロモーター(「cryIAcプロモーター」)に作動可能に連結して、プロモーターに作動可能に連結した異種核酸を生成させる。cryIAcプロモーターは、芽胞形成を誘導する生育条件で高度に活性である。
【0106】
IX.タンパク質の発現
組換え発現ベクターを構築し単離した後、それを使って、Bs二成分毒素を発現させるための宿主細胞を形質転換することができる。タンパク質発現用の宿主細胞に遺伝物質を導入するために使用する具体的手法は特に重要なわけではない。外来ポリヌクレオチド配列を宿主細胞中に導入するための周知の手法はいずれも使用することができる。宿主細胞のタイプによって異なる形質転換法には、エレクトロポレーシス;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、または他の物質を利用するトランスフェクション;パーティクルガン法;リポフェクション;感染(ベクターが感染性物質である場合)、および他の方法がある(概要については前掲のSambrookらの文献およびAusubelらの文献を参照されたい)。一部の態様では、Poncetら,Appl Environ Microbiol.63:4413−4420(1997)に記載されているように、相同組換えによって宿主細胞を形質転換することができる。バチルス・チュリンゲンシスの好ましい形質転換法は、Wuら,Mol.Microbiol.13:965−972(1994)に記載されているエレクトロポレーションである。
【0107】
Bs二成分毒素遺伝子で形質転換するための宿主としては、タンパク質を発現させるのに適格な任意の適切な宿主細菌細胞、特にバチルス属のメンバーが挙げられる。特に好ましい態様では、それらの細胞はBsまたはBt細胞である。Bs二成分毒素で形質転換された宿主は、殺虫剤として有用な遺伝子組換え細菌である。バチルス・チュリンゲンシスの好ましい亜種には、例えばバチルス・チュリンゲンシス亜種クルスタキ、バチルス・チュリンゲンシス亜種アイザワイ、バチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシス、およびバチルス・チュリンゲンシス亜種テネブリオニスなどがある。好ましい株はBti IPS82である。
【0108】
宿主細胞をBs二成分毒素遺伝子で形質転換した後、その宿主細胞を毒素の発現に適した条件下で培養する。通例、芽胞形成および殺虫性内毒素遺伝子の発現が促進されるような条件下で、宿主を生育する。当業者に知られている標準的培地で接種物を発酵させることにより、必要な任意の量の宿主細胞を調製することができる。培地は、例えば一般的には、窒素源およびグルコースなどの炭水化物源を含むだろう。適切な培養条件としては、15〜45℃の範囲の温度、好ましくは30℃の温度と、ほぼ中性のpHが挙げられる。培養はバッチ式に、通例3〜5日間行なうと好都合だろう。
【0109】
当技術分野では種々のBtおよびBs細胞用成長培地が知られている。一部の好ましい態様では、実施例で説明するように、濃度25μg/mlのエリスロマイシンを含む栄養寒天(BBL Microbiology Systems)またはペプトン化ミルク(1%ペプトン化ミルク[BBL Microbiology Systems]、1%デキストロース、0.2%酵母エキス、1.216mM MgSO、0.072mM FeSO、0.139mM ZnSO、0.118mM MnSO)で、宿主細胞保存培養から得た接種物を生育する。
【0110】
Bs二成分毒素の産生量の増加は、Bs二成分毒素遺伝子を発現させるのに適格な宿主細胞をその遺伝子で形質転換し、その細胞を適当な条件下で生育した後に観察される。Bs二成分毒素の産生量の増加は、当業者に知られる標準的方法によって観察することができる。例えば、殺虫性内毒素のパラ胞子封入体を精製したり(WuおよびFederici,Appl.Microbiol.Biotechnol.42:697−702(1995)(以下「WuおよびFederici 1995」)参照)、溶解した培養物から遠心分離によって収集したり、顕微鏡で調べたり(前掲のWuおよびFederici 1995)することができる。遠心分離によって収集されたパラ胞子封入体または精製されたパラ胞子封入体は、当技術分野で知られている標準的な方法、例えばクロマトグラフィー、免疫沈降、ELISA、バイオアッセイ、ウェスタン解析、またはゲル電気泳動などを使って分離することができる(前掲のWuおよびFederici 1995ならびに前掲のAusubelを参照されたい)。タンパク質の量は、例えば染色したバンドの幅および強度、デンシトメトリー、生物活性および蛍光などの適当な手段によって定量することができる。非形質転換状態でBs二成分毒素を合成しないことが知られているBt細胞または他の細胞の形質転換体の場合は、Bs二成分毒素の産生量は全て本発明の方法による増加分に相当する考えられる。Bs細胞を本発明の核酸で形質転換した場合は、形質転換細胞によって産生される正味の毒素量を、類似する非形質転換細胞と比較することができる。正味の毒素量とは、パラ胞子体または結晶中のBs二成分毒素の量を表す。対照宿主はその他の点では形質転換宿主と遺伝的に同一であり、比較培地で生育する。増加はBs二成分毒素産生量の統計的に有意な増加である。好ましい態様では、溶解した培養物から遠心分離によってパラ胞子体を単離し、クーマシーブルーで染色したSDS−PAGEゲルによってそのパラ胞子体を調べる。
【0111】
(実施例)
実施例1:Btiプロモーター、STAB−SD配列および毒素のコード配列を使ってBti中で産生されるBs二成分毒素の発現レベル
プラスミドpHT3101に入れたcyt1AプロモーターおよびSTAB−SD配列を使って、バチルス・スフェリカス2362二成分毒素遺伝子を、バチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシス(Bti)の非結晶株(4Q7)に導入した。ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で得たゲルのデンシトメトリー走査によって評価したところ、このコンストラクトにより、同じ培地で生育した親(野生型)バチルス・スフェリカス株で得られる産生量と比較して単位培養培地あたり15倍以上と思われる二成分毒素の産生が起こった。
【0112】
【表1】
Figure 2004505643
実施例2:Bs二成分毒素を発現させるように操作された無毒性Btiの毒性 Bs 2362二成分毒素を産生するように形質転換した非結晶性4Q7 Bti株の毒性をネッタイイエカの4齢幼虫(「L」)で試験し、同じ培地で生育した野生型Bs 2362株と比較した(Bti 4Q7株は常態ではBsまたはBti毒素を産生しない)。LC50は試験時に試料中に存在する幼虫の50%を殺すのに必要な毒素量である。
【0113】
下記表2に示すように、イエカ属の蚊の4齢幼虫の50%を殺すのに必要な野生型Bs2362の量(「LC50」)は15.0ng/mlだった。本発明の核酸によってBs毒素を発現させるように形質転換された4Q7 Bti株は1.4のLC50、すなわち無改変Bsより約10倍優れた毒性を持っていた。
【0114】
実施例3:Bs二成分毒素を発現させるように操作されたBtiの毒性
Bs2362二成分毒素を産生させる実施例1に記載のプラスミドでバチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシスを形質転換すると、親株(BsまたはBti)のどちらと比較しても、イエカ属に対して毒性が少なくとも10倍増加した。
【0115】
Bti IPS82は市販のバイオ農薬として使用されているBtiの株である。表2からわかるように、イエカ属の蚊の4齢幼虫(「L」)の50%を殺すのに必要なこの株の量(「LC50」)は19.5ng/mlだった。野生型Bs 2362株は15ng/mlのLC50を持っていた。本発明の核酸によってBs毒素を発現させるように形質転換されたBti IPS82株は1.5のLC50、すなわち無改変Bsより約13倍優れた毒性を持っていた。
【0116】
【表2】
Figure 2004505643
実施例4:実施例1〜3で使用した材料および方法
A.細菌株、遺伝子、プラスミドおよび形質転換
バチルス・スフェリカス2362株はAbbott Laboratories(イリノイ州ノースシカゴ)の厚意によって提供された粉末調製品から得た。大腸菌(Escherichia coli)−バチルス・チュリンゲンシスシャトル発現ベクター pHT3103(Lereclusら,FEMS Microbiol.Lett.51:211−7(1989))を利用して、大腸菌DH5α中でプラスミドコンストラクト(pPHSP−1)を作製および増幅した。そのpPHSP−1コンストラクトを、オハイオ州立大学のバチルス保存センター(Bacillus Stock Center)(オハイオ州コロンバス)から入手したバチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシスの非結晶株4Q7中、またはバチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシスIPS82(Abbott Laboratories)中で発現させた。cyt1Aプロモーター群およびSTAB−SD配列(AgaisseおよびLereclus,Mol.Microbiol.,20:633−643(1996))を持つ660bp断片を含む改変pHT3101系ベクター(pSTAB−SD)は、以前に記載されている(Parkら,FEMS Mcirobiol Lett 181:319−327(1999))。プラスミドはQIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen Inc.)を使って精製した。バチルス株はParkら,App Environ.Microbiol 64:3932−3938(1998)に記載のエレクトロポレーションによって形質転換した。
【0117】
B.バチルス・スフェリカス殺昆虫性タンパク質をコードする遺伝子のPCR増幅
アルカリ溶解法(Sambrookら,1989)を使ってバチルス・スフェリカス2362から粗製プラスミド調製物を調製した。Vent(Exo+)DNAポリメラーゼ(Biolabs)とプライマーBSP−1(5’aactgcagCTTGTCAACATGTGAAGATTAAAGGTAACTTTCAG−3’(配列番号10))およびBSP−2(5’−aactgcagCCAAACAACAACAGTTTACATTCGAGTGTAAAAGTTC−3’(配列番号11))(Genosys)とを用いるPCRによって、バチルス・スフェリカスの54.1kDaタンパク質および41.9kDa殺昆虫性タンパク質をコードする遺伝子(Baumannら,J.Bacteriol.170:2045−2050(1988)、GenBank M20390)を得た。3.4kbp PCR産物をPstIで消化し、pHT3101の同じ部位にクローニグして、pHBSを得た。pHBS中の3.0kbp HpaI−PstI断片を、pSTAB−SDの平滑末端化したXbaIおよびPstI部位にクローニングして、pPHSP−1を得た。
【0118】
C.細菌株の生育
バチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシス4Q7/pPHSP−1株およびバチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシスIPS82/pPHSP−1株は、濃度25μg/mlのエリスロマイシンを含む栄養寒天(BBL Microbiology Systems)またはペプトン化ミルク(1%ペプトン化ミルク[BBL Microbiology Systems]、1%デキストロース、0.2%酵母エキス、1.216mM MgSO、0.072mM FeSO、0.139mM ZnSO、0.118mM MnSO)で生育した。昆虫バイオアッセイ用には、28℃、250rpm/分に設定した振盪培養器にて、エリスロマイシン(25μg/ml)を含む25mlのペプトン化ミルク中で、バチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシスIPS82/pPHSP−1を6日間生育し、溶解した(6日間で細胞の>98%が芽胞を形成した)。芽胞および結晶を4℃、6,000×gで15分間の遠心分離によって収集した。得られたペレットを水で2回洗浄し、真空槽で乾燥した。
【0119】
D.ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)
ペプトン化ミルク中で6日間生育した後、溶解した培養物1mlを収集し、10,000×gで5分間遠心分離した。培地を捨て、150μlのTE緩衝液(10mM Tris−Cl、pH7.5、1mM EDTA)および150の2×サンプルバッファー(Laemmli,1970)を加えた。タンパク質をSDS−PAGE(Laemmli,1970)で分画した。
【0120】
E.バイオアッセイ
バイオアッセイでは、4齢初期幼虫20匹の群を、237mlプラスチックカップに入れた100mlの脱イオン水中で、ある範囲の濃度の凍結乾燥芽胞/結晶粉末にばく露した。7〜9種類の粉末濃度について、5日に分けて反復試験した。
【0121】
F.顕微鏡検査
Zeiss Photomicroscope IIIを用いる光学顕微鏡検査法により、100倍油浸対物レンズを使って、芽胞形成培養物をモニターした。透過電子顕微鏡検査には、ペプトン化ミルク培養物から芽胞形成細胞を溶解直前に収集し、3%リン酸緩衝化グルタルアルデヒドおよび0.25%ショ糖中で2時間固定し、1%OsO中で後固定し、エタノール−プロピレンオキシドで脱水し、エポン−アラルダイト(Epon−Araldite)に包埋した(IbarraおよびFederici,J.Bacteriol.165:527−533(1986))。加速電圧75kVの日立600電子顕微鏡で芽胞形成細胞の超薄切片を調べ、撮影した。
【0122】
実施例5:Cyt1Aタンパク質は、Bs毒素に高い抵抗性を示す蚊に、Bs毒素に対する感受性を回復させる
A.材料および方法
細菌株および毒素
この研究で使用した毒素調製品は、バチルス・スフェリカス2362およびCyt1Aaだけを産生するバチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシスの組換え株の溶解した培養物の凍結粉末である(WuおよびFederici,J.Bacteriol.175:5276−5280(1993))。これらの粉末には、芽胞および結晶(すなわちパラ胞子体)が、細胞片および凍結乾燥によって生じた培地固形分と共に含まれていた。試験した具体的粉末は以下のとおりである:(1)バチルス・スフェリカス2362、Abbott Laboratories(イリノイ州ノースシカゴ)から野生型の工業用粉末として入手したもの、(2)Cyt1Aa、上記BTIの組換え株、および(3)BTI 4Q7、内毒素を何も産生しないこの亜種の非結晶株。この株はオハイオ州立大学バチルス保存センター(オハイオ州コロンバス)から入手し、対照の一つとして使用した。精製Cyt1A結晶の凍結乾燥粉末(WuおよびFederici,前掲)も使用した。
【0123】
毒素粉末の製造および貯蔵
種々の毒素を産生する細菌株を、先に記載されているように、固体培地または液体培地で生育した(Wirthら,Proc Natl.Acad.Sci USA,94:10536−10540(1997)、Parkら,Appl Environ Microbiol.64:3932−3938(1998))。芽胞形成細胞を蒸留水で洗浄し、沈降させ、得られたペレットを凍結乾燥した。蚊の選択およびバイオアッセイを行なうために、粉末の懸濁原液を蒸留水中に調製し、約25個のガラスビーズを使ってホモジナイズした。原液は毎月調製し、10倍段階希釈液は毎週調製した。不用時は全ての原液および希釈液を−20℃で凍結しておいた。
【0124】
蚊株
ネッタイイエカ(Cx.quinquefasciatus)の2つの株、すなわちバチルス・スフェリカス2362に抵抗性の株であるBS−Rと、無選択非抵抗性株であるSyn−Pとを使用した。BS−Rは1992年以来バチルス・スフェリカス2362で選択されてきた株であり、感受性参考株Syn−Pの50%を殺す濃度の149,000倍の高濃度である1000μg/mlへの48時間のばく露に、常に生残する。Syn−Pは、南カリフォルニアの3つの異なる地理的区域から1995年に収集された幼虫個体群に由来するネッタイイエカの「合成」個体群である。このコロニーはバチルス・スフェリカスにばく露することなく実験室で維持されてきた。
【0125】
選択およびバイオアッセイ法
上述のように、BS−R株は1992年以来、バチルス・スフェリカス2362による選択圧の下で維持されてきた。選択は、ほうろう引きの金属皿で、4齢初期幼虫約1,000匹の群を、約1Lの脱イオン水中、濃度範囲100〜120μg/mlのバチルス・スフェリカスに48〜96時間ばく露することからなった。選択下における幼虫の平均死亡率は1選択あたり10%未満であり、生残した幼虫を使ってコロニーを継続させた。
【0126】
バイオアッセイでは、4齢初期幼虫20匹の群を、237mlプラスチックカップに入れた100mlの脱イオン水中で、ある範囲の濃度の凍結乾燥芽胞/結晶粉末にばく露した。48時間後に2〜98%の死亡率をもたらす7〜9種類の粉末濃度について、5日に分けて反復試験した。異なる組合わせのCyt1Aとバチルス・スフェリカス2362とを試験したバイオアッセイでは、細菌株の凍結乾燥粉末の重量に基づいて、これらの毒素を様々な比率にした。
【0127】
精製Cyt1A結晶の量には限りがあったので、この粉末を使ったバイオアッセイでは、10mlの脱イオン水に入れた4齢初期幼虫10匹を、30mlプラスチックカップで使用し、2〜3日に分けて反復試験した。バチルス・スフェリカス2362工業用粉末とCyt1A精製結晶とを10:1の比(10部のバチルス・スフェリカス2362:1部のCyt1結晶)で混合するバイオアッセイは、バチルス・スフェリカス2362およびCyt1の凍結乾燥粉末の重量に基づいて行なった。
【0128】
PC用プログラムを使って全データをプロビット法にかけた。信頼限界がオーバーラップする用量反応値は有意差があるとはみなさなかった。抵抗性比はBS−R株に関する各致死濃度値をSyn−P株の値で割ることによって計算した。数字1を含む信頼限界を持つ抵抗性比は有意であるとはみなさなかった。
【0129】
相乗作用の評価
Tabashnik,Appl Environ Entomol 58:3343−3346(1992)の方法を使って、バチルス・スフェリカス2362とCyt1Aの間の相乗的相互作用を評価した。Cyt1Aとバチルス・スフェリカス2362の様々な混合物について、これらの毒素の個々の値の加重調和平均から理論致死濃度値を計算した。バチルス・スフェリカス2362粉末は試験したどの濃度でもBS−R株に対して毒性を持たなかったので、この株については、Cyt1Aとバチルス・スフェリカス2362の組合わせの理論毒性を、Cyt1A単独の毒性および比率に基づいて計算した。理論致死濃度値と実測された致死濃度値との比と定義される相乗作用指数(SF)を、バチルス・スフェリカス2362とCyt1A株との組合わせおよびバチルス・スフェリカス2362と精製Cyt1A結晶との組合わせについて決定した。比が1より大きかった場合は、毒性が個々の相加的毒性から予想される値を超えたので、毒素相互作用は相乗的であると見なした。比が1より小さかった場合、相互作用は拮抗的であるとみなし、比が1であれば、値は相加的であったことになる。
【0130】
B.結果
標準的条件下で抵抗性蚊株および感受性蚊株に対する毒素ベースライン値を決定するためのバイオアッセイでは、1000μg/mlのバチルス・スフェリカス2362にネッタイイエカのBS−R株をばく露しても死亡は起こらなかった。これは感受性株Syn−Pで得られるLC50(0.0067μg/ml)よりも149,000倍高い濃度だった。水100mlに20匹の幼虫ではなく10mlの水に1カップあたり10匹の幼虫を使ってバイオアッセイを行なったところ、BS−Rでは死亡が起こらなかったが、Syn−Pに対するBS 2362の毒性は低下した(LC50,0.032μg/ml)。幼虫密度を増加させると、低密度で観察される死亡率と同レベルの死亡率を誘導するのに必要なBti毒素の量が低下することは、以前に明らかにされている(Alyら,1988)。小バイオアッセイ系を使って見積もったBS−RおよびSyn−Pの感受性の相違は31,000倍だった。
【0131】
Cyt1A細菌株は、標準バイオアッセイ系で、Syn−P(LC50,11.7μg/ml)よりもBS−R株(LC50,32.5μg/ml)に対してわずかに低い毒性を示した。しかし、小バイオアッセイ系でCyt1A結晶を使って行なった試験では、BS−RとSyn−Pの間に感受性の相違は認められなかった(LC50,約20μg/ml)。
【0132】
バチルス・スフェリカス2362調製品にCyt1Aを添加したところ、BS−R抵抗性ネッタイイエカ株に対するその毒性の大部分が回復した。バチルス・スフェリカス2362とCyt1Aの比を10:1にすると、抵抗性蚊株にも感受性蚊株にも高い毒性を示した。この組合わせの毒性レベルはSyn−Pを対象とする場合の方がBS−Rを対象とする場合より高く、LC95値はそれぞれ0.442および36.6μg/ml、BS−Rの抵抗性比(LC50)は82.9だった。5:1の比はSyn−PおよびBS−Rに対してさらに毒性が強く、LC95レベルでの抵抗性比は34.4倍に低下した。3:1のバチルス・スフェリカス2362:Cyt1A比でも、この混合物はBS−R(LC50,1.99μg)に対して有意に増加した毒性を示し、抵抗性比はLC95レベルで15.4倍に低下した。比を1:1にした場合のBS−Rに対する毒性は、比が3:1の場合と有意に異ならなかった。総合すると、バチルス・スフェリカス2362対Cyt1Aの比率が増加するにつれて、抵抗性蚊株と感受性蚊株のどちらに対する毒性も増加した。しかし、LC95値でのBS−Rの抵抗性比は、Cyt1Aを主成分とする1:3、1:5および1:10の比では、有意でないレベルまで低下した。
【0133】
これらの組合わせについてSFを計算したところ、Cyt1Aとバチルス・スフェリカス2362の間には、BS−R株に対して有意な相乗作用が見いだされたが、Syn−Pに対する有意な相乗作用は認めなかった。SF値はBS−Rに関してLC95レベルで10〜137の範囲にあった。最も高レベルの相乗作用は、Cyt1Aが最低の比率で存在する組合わせ(10:1、5:1、3:1)に観察された。これらの組合わせは、1:10、1:5および1:3の比では、LC95レベルでSyn−Pに対して拮抗的であり、1:1、3:1、5:1、および10:1の比(すなわちバチルス・スフェリカスが主成分になった場合)では相加的または弱く相乗的だった。
【0134】
バチルス・スフェリカス2362を精製Cyt1A結晶と10:1の比で混合してバイオアッセイを行なったところ、この組合わせはBS−R(LC95,4.96μg/ml)にもSyn−P(LC95,2.37μg/ml)にも強い毒性を示すことがわかった。この混合物に対する感受性はBS−R株の方がわずかに低いが、毒性値に有意差はなかった。重要なことに、この組合わせの場合、BS−R株に抵抗性は検出されず、278という高いSF値を持っていた。
【0135】
C.考察
Cyt1AをBS 2362と併用すると、ネッタイイエカの高抵抗性株に対する後者の毒性が回復した。さらに、本発明者らは、亜致死濃度のCyt1A結晶を使って毒性を完全に回復させて、BS−R蚊株におけるバチルス・スフェリカスに対する抵抗性を抑制することもできた。抵抗性蚊個体群に対して高レベルの活性が観察されたのとは対照的に、これらと同じ混合物を使っても、非抵抗性参考株Syn−Pに対する活性は、ほとんどまたは全く増加しなかった。
【0136】
抵抗性蚊に対する高い毒性を低濃度でバチルス・スフェリカス2362に回復させるというCyt1Aの能力はイエカ個体群の防除にとって実用的な意味があり、その作用様式に対する洞察を与える。バチルス・スフェリカスに基づく細菌殺幼虫剤はいくつかの国で使用されており、ネッタイイエカの野外個体群における抵抗性は既にフランス、ブラジルおよびインドで報告されている。本発明者らの研究結果は、Cyt1Aをわずか1:10の比でバチルス・スフェリカス幼虫に添加すれば、ネッタイイエカの高抵抗性個体群に対してさえ、毒性の大部分が回復することを示している。したがってCyt1Aは実用的なバチルス・スフェリカス抵抗性管理ツールになる。さらにまた、少量のCyt1Aをバチルス・スフェリカス調製品に添加すると、蚊個体群において、まだ発生していない抵抗性を遅らせることもできる。
【0137】
バチルス・チュリンゲンシス亜種メデリン由来の異なるCytタンパク質Cyt1Abが、大きな毒素結晶を産生するバチルス・スフェリカスの殺蚊性株2297に対するアカイエカ(Cx.pipiens)の抵抗性を抑制できることは、他のグループによって明らかにされている(Thieryら,1998)。しかし、バチルス・スフェリカス2297に対する抵抗性のCyt1Abによる抑制は、バチルス・スフェリカスに対する抵抗性のCyt1Aによる抑制よりも有効性がはるかに低かった。バチルス・スフェリカス2297に対する抵抗性を抑制するCyt1Abの能力が低いのは、アカイエカに対するこのCyt毒素の毒性がCyt1Aと比較して5分の1しかないことによるのかもしれない(Thieryら,Appl Environ Microbiol 63:468−473(1997))。
【0138】
Cyt1Aがバチルス・スフェリカス2362の毒性を回復させる正確な方法はわからない。しかし、本発明者らのネッタイイエカBS−R株における抵抗性の機序およびCyt1Aの結合特性に関するこれまでの研究から、Cyt1Aは微絨毛膜への毒素の結合および挿入を助けることが示唆される。本発明者らのネッタイイエカの抵抗性株は、バチルス・スフェリカス2362毒素に対する機能的な受容体を持たないので、毒素は中腸微絨毛膜に結合することができない。Cyt1Aの研究により、Cyt1Aは脂質部分への結合によって膜を混乱させること、またCyt1AはCry毒素へも結合することが明らかになっている。さらに、BTI Cry毒素の存在下で、Cyt1Aは蚊幼虫の胃盲嚢および後部中腸の細胞の微絨毛に結合する。これらの知見からバチルス・スフェリカス毒性を回復させる機序がいくつか示唆される。Cyt1Aおよびバチルス・スフェリカス毒素は溶解後に一つに結合し、次いでCyt1Aの親油性ゆえに複合体として膜に挿入されるのかもしれない。もう一つの可能性として、まずCyt1Aが膜に結合した後、バチルス・スフェリカス毒素がCyt1Aに結合し、膜に挿入されるのかもしれない。さらには、Cyt1Aが膜に浸透して、バチルス・スフェリカス毒素が本来の標的に接近できるようにする損傷を引き起こすのかもしれない。
【0139】
本発明者らがCyt1Aとバチルス・スフェリカス2362の組合わせで得た相乗作用も、Cyt1Aが他のタンパク質毒素の蚊微絨毛膜への結合、とりわけ、効率よく結合しない微絨毛膜への結合を助けることによって毒性を増加させることを示すもう一つの証拠になる。先の研究で、本発明者らは、Cyt1Aが、バチルス・チュリンゲンシスの殺蚊性株由来のCry4およびCry11毒素と、抵抗性蚊に対して相乗作用することを明らかにした。しかし、非抵抗性蚊における相乗作用は、BTIのCry4およびCry11A毒素でのみ観察され、Cry11Aよりはるかに毒性の高いバチルス・チュリンゲンシス亜種エガセサン(jegathesan)由来のCry11B毒素では観察されなかった。本研究でも同様の相同作用パターンが観察され、Cyt1Aは抵抗性BS−R株に対してバチルス・スフェリカス2362の毒性と相乗作用するが、感受性Syn−P株に対しては相乗作用しなかった。これらの結果が上述した先の研究で得られた結果と共に意味するところは、高い毒性または高い結合親和性を持つCry11Bまたはバチルス・スフェリカス2362二成分毒素などの毒素にとって、Cyt1Aによる結合の補助は、ほとんどまたは全く価値がないということである。しかし、抵抗性によって毒素受容体が改変されまたは失われている場合は、微絨毛膜に結合し微絨毛膜を混乱させるというCyt1Aの能力が、膜に進入して毒性を発揮するというこれらの毒素の能力を回復させる。Cyt1Aとバチルス・スフェリカス毒素はどちらも蚊中腸管内腔で溶解するので、これらは管腔および微絨毛膜表面での溶解後直ちに会合するのかもしれない。これらの結果が意味するところは、Cyt1Aが、そしてもしかすると他のCytタンパク質も、非Cytタンパク質毒素の殺虫スペクトルを他の昆虫種まで拡大しうるということである。
【0140】
【表3】
Figure 2004505643
SF=相乗作用指数
括弧内の比は、バチルス・スフェリカス工業用粉末とCyt1A芽胞/結晶粉末の相対比(BS:CytA)を表す。比は全て各粉末の重量に基づく。
【0141】
実施例6:6マー・ポリプリン配列およびタンデムSTAB−SD配列の使用 完全長STAB−SD配列より短いポリプリン配列がタンパク質産生量を増加させる能力を調べた。STAB−SD配列に関する上記の項で述べたように、遺伝子の非翻訳部分にあるSTAB−SD配列は、mRNAを5’エンドリボヌクレアーゼの作用から保護することによって、その遺伝子がコードするタンパク質の産生量を増加させると考えられる。さらに、STAB−SD配列を特徴づけるのに役立つポリプリン配列は、16S rRNAの3’末端にあるポリピリミジン配列と塩基対を形成すると考えられる。
【0142】
cry3Aの完全長9マーSTAB−SD配列GAAAGGAGG(配列番号1)から出発して、2つの6マー部分配列、すなわちAGGAGG(配列番号12。STAB−SD配列の最後の6ヌクレオチドからなる。これは「ポリプリン配列I(polypurine sequence−I)」の略でPPS−Iと名付けた)およびGAAAGG(配列番号13。STAB−SD配列の最初の6ヌクレオチドからなる。これはPPS−IIIと名付けた)を作製した。各PPSを、cyt1A遺伝子のBtプロモーターと共にコンストラクトに入れ、5’安定化因子としての各PPSの効率を、リポーターとしてcry3Aタンパク質を用いて決定した。二重STAB−SD配列も試験した。
【0143】
PPS−I、PPS−III、一部のプリンをピリミジンに変化させるポリプリン配列の改変がタンパク質産生に及ぼす効果、複数のSTAB−SD配列があることの効果、複数のSTAB−SD配列の間隔を様々な距離に設定した場合の効果を調べるために、一連のコンストラクトを作製した。他の全ての成分(すなわち上流領域、UTR領域、ステム−ループ構造、およびコード領域)は全てのコンストラクトで同じとした。
【0144】
pCI−10はBtIプロモーターだけを含み、ポリプリン配列も他の安定化配列も含まない。pCI−20はBtIプロモーターおよびPPS−Iを含む。pCI−21では、PPS−Iが5’−AGGAGG−3’から5’−ATTATT−3’という配列に改変されているので、もはやポリプリン配列を含まない。pCI−30では、6マーが天然STAB−SD配列に戻るように、PPS−Iの3上流ヌクレオチドが5’−TTT−3’から5’−GAA−3’に改変されている。したがって、pCI−20中のPPS−I(5’−TTTAGGAGG−3’)はpCI−30ではSTAB−SD(5’−GAAAGGAGG−3’)に変化している。pCIII−10は二重Btプロモーターを含むがPPS配列は含まず、pCIII−20は二重BtプロモーターとPPS−IIIとを含む。pCI−50は8ヌクレオチド離れた2つのSTAB−SD配列を含む。pCI−60も2つのSTAB−SD配列を含むが、このコンストラクトでは、それらは33ヌクレオチド離れている。
【0145】
試験したコンストラクトの一部のCry3Aタンパク質の相対的産生量を以下に記載する。
【0146】
pCI−10(BtIプロモーター):10%
pCI−20(BtIプロモーター+PPS−I):100%(基準として使用)
pCI−21(BtIプロモーター+ポリプリン配列を持たないPPS−I):7%
pCIII−10(二重Btプロモーター、PPSなし):14%
pCIII−20(二重Btプロモーター+PPS−III):37%
pCI−30(BtIプロモーター+STAB−SD):162%
pCI−50(BtIプロモーター+8ヌクレオチド離れた二重STAB−SD):198%
pCI−60(BtIプロモーター+33ヌクレオチド離れた二重STAB−SD):334%。
【0147】
PPS−IとPPS−III(9マーSTAB−SD配列の最初の6ヌクレオチドおよび同じ配列の最後の6ヌクレオチドである連続6マー)は、これらの配列を含まないコンストラクトよりも多くのタンパク質発現をもたらした。完全長STAB−SD配列は著しく優れた結果を与えた。また、二重STAB−SD配列はどちらもさらに高レベルのタンパク質産生をもたらし、33ヌクレオチド離した二重STAB−SD配列では、単一のSTAB−SD配列を持つコンストラクトのタンパク質産生量のほぼ2倍になった。理論に縛られることは望まないが、pCI−50コンストラクトとpCI−60コンストラクトが示す発現量が異なるのは、30Sリボソームサブユニットのさしわたしが約30ヌクレオチドであるという事実によるのかもしれない。そのため、約30ヌクレオチド以上離れたSTAB−SD配列は、2つの30Sサブユニットと同時に相互作用することができるのかもしれない。
【0148】
本明細書で引用した刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願について参照により本明細書に組み込まれる旨を個別に明示した場合と同様に、全て参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0149】
明解に理解されるように実例を挙げて本発明をいくらか詳細に説明したが、本願特許請求の範囲の精神から逸脱することなく一定の改変および変更を加えうることは、本発明の教示するところに照らして当業者には明らかだろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】Bs二成分毒素をプラスミドにクローニングするために使用した断片のヌクレオチド配列(配列番号7)およびそこにコードされているアミノ酸配列を表す。「SIGMA E」および「SIGMA K」はそれぞれシグマ因子EおよびKの結合部位を表す。ヌクレオチド537とヌクレオチド660の間の下線付き配列は、下線部分中に大文字かつ「STAB−SD」という上付き文字で示すSTAB−SD配列を導入するためにPCRによって配列中にクローニングされた部分を表す。Bs二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)および41.9kDタンパク質(配列番号9)の開始コドンおよび停止コドンを、アミノ酸配列の下に記す。「RBS」という記号を付けたヌクレオチド725とヌクレオチド730の間およびヌクレオチド2245とヌクレオチド2250の間の下線部分はリボゾーム結合部位を表す。

Claims (100)

  1. (a)BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシス(B.thuringiensis)プロモーター、
    (b)細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチド、
    (c)リボソーム結合部位、および
    (d)バチルス・スフェリカス(B.sphaericus)二成分毒素の41.9kD毒素タンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列、
    を上記の順に含む核酸配列。
  2. 前記第1ポリペプチドが配列番号9に対して少なくとも90%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ、請求項1の核酸配列。
  3. 前記第1ポリペプチドが配列番号9の配列を持つ、請求項1の核酸配列。
  4. さらに要素(d)の配列が、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能する第2ポリペプチドをコードする、請求項1の核酸配列。
  5. 前記第2ポリペプチドが配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項4の核酸配列。
  6. 前記第2ポリペプチドが配列番号8の配列を持つ、請求項4の核酸配列。
  7. 細菌STAB−SD配列の前記6以上の連続ヌクレオチドが9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である、請求項1の核酸配列。
  8. 前記9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列が、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される、請求項7の核酸配列。
  9. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターがcryプロモーターである、請求項1の核酸。
  10. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターがcry1プロモーターである、請求項1の核酸。
  11. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターが、cry1Aa1、cry1Aa2、cry1Aa3、cry1Aa4、cry1Aa5、cry1Aa6、cry1Ba1、cry1Ba2、cry1Ca1、cry1Ca2、cry1Ca3、cry1Ca4、cry1Ca5、cry1Ca6、cry1Ca7、cry1Fa1、cry1Fa2、cyt1Aa1、cyt1Aa2、cyt1Aa3、およびcyt1Aa4からなる群より選択される、請求項1の核酸。
  12. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターがcyt1Aa1プロモーターである、請求項11の核酸。
  13. BtIプロモーターとBtIIプロモーターとを持ち、該BtIプロモーターと該BtIIプロモーターとがオーバーラップしている、請求項1の核酸。
  14. 請求項1の核酸を含む発現ベクター。
  15. 請求項2の核酸を含む発現ベクター。
  16. 請求項3の核酸を含む発現ベクター。
  17. 請求項4の核酸を含む発現ベクター。
  18. 請求項5の核酸を含む発現ベクター。
  19. 請求項6の核酸を含む発現ベクター。
  20. 請求項7の核酸を含む発現ベクター。
  21. 請求項8の核酸を含む発現ベクター。
  22. 請求項9〜13のいずれかの核酸を含む発現ベクター。
  23. 請求項14の発現ベクターを含む宿主細胞。
  24. 請求項15の発現ベクターを含む宿主細胞。
  25. 請求項16の発現ベクターを含む宿主細胞。
  26. 請求項17の発現ベクターを含む宿主細胞。
  27. 請求項18の発現ベクターを含む宿主細胞。
  28. 請求項19の発現ベクターを含む宿主細胞。
  29. 請求項20〜22のいずれかの発現ベクターを含む宿主細胞。
  30. さらにcry11A 20kDタンパク質を含む請求項23の宿主細胞。
  31. さらにcry11A 20kDタンパク質を含む請求項29の宿主細胞。
  32. 細胞がバチルス・チュリンゲンシス細胞である、請求項23の宿主細胞。
  33. 細胞がバチルス・チュリンゲンシス細胞である、請求項24の宿主細胞。
  34. 細胞がバチルス・チュリンゲンシス細胞である、請求項25の宿主細胞。
  35. 細胞がバチルス・チュリンゲンシス細胞である、請求項26の宿主細胞。
  36. 細胞がバチルス・チュリンゲンシス細胞である、請求項27の宿主細胞。
  37. 細胞がバチルス・チュリンゲンシス細胞である、請求項28〜29のいずれかの宿主細胞。
  38. シグマ因子Aタンパク質を結合するバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列。
  39. 宿主細菌細胞におけるバチルス・スフェリカス二成分毒素の産生量を増加させる方法であって、
    (a)BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列で、宿主細胞を形質転換すること、および
    (b)前記核酸配列を宿主細胞中で発現させること
    を含み、前記核酸配列の発現により、バチルス・スフェリカス二成分毒素の産生量が、前記核酸配列で形質転換されていない野生型バチルス・スフェリカス細胞におけるバチルス・スフェリカス二成分毒素の産生量と比較して増加する方法。
  40. 前記第1ポリペプチドが配列番号9に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項39の方法。
  41. 前記第1ポリペプチドが配列番号9の配列を持つ、請求項39の方法。
  42. さらに前記第1ポリペプチドをコードする配列が、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能する第2ポリペプチドをもコードする、請求項39の方法。
  43. 前記第2ポリペプチドが配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項42の方法。
  44. 前記第2ポリペプチドが配列番号8の配列を持つ、請求項42の方法。
  45. 細菌STAB−SD配列の前記6以上の連続ヌクレオチドが9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である、請求項39の方法。
  46. 細菌STAB−SD配列が、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される、請求項45の方法。
  47. 前記宿主細胞がバチルス・チュリンゲンシス細胞である、請求項39の方法。
  48. 前記宿主細胞がバチルス・スフェリカス細胞である、請求項39の方法。
  49. 前記宿主細菌細胞がさらにcry11A遺伝子の20kD産物を発現させる、請求項39の方法。
  50. 遺伝子組換え細菌を作出する方法であって、
    (a)BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、
    少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列、
    リボソーム結合部位、および
    バチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列
    を上記の順に含む核酸配列で、遺伝子組換え細菌を形質転換する工程、および
    (b)宿主細胞中で前記核酸配列を発現させる工程
    を含む方法。
  51. 前記第1ポリペプチドが配列番号9に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項50の方法。
  52. 前記第1ポリペプチドが配列番号9の配列を持つ、請求項50の方法。
  53. さらに前記第1ポリペプチドをコードする配列が、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能することができる第2ポリペプチドをコードする配列をも含む、請求項50の方法。
  54. 前記第2ポリペプチドが配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項53の方法。
  55. 前記第2ポリペプチドが配列番号8の配列を持つ、請求項53の方法。
  56. 細菌STAB−SD配列の前記6以上の連続ヌクレオチドが9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である、請求項50の方法。
  57. 前記細菌STAB−SD配列が、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される、請求項50の方法。
  58. 遺伝子組換え細菌が、バチルス・チュリンゲンシス、バチルス・スフェリカス、およびBtiまたはBs以外のバチルス(Bacillus)属の種からなる群より選択される、請求項50の方法。
  59. 蚊の幼虫に対するバチルス・チュリンゲンシス細菌の毒性を増加させる方法であって、
    (a)BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、
    細菌STAB−SD配列の6以上の連続ヌクレオチド、
    リボソーム結合部位、および
    バチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列
    を上記の順に含む核酸配列で、前記細菌を形質転換する工程、および
    (b)細菌中で前記核酸配列を発現させる工程
    を含み、前記核酸配列の発現により、前記幼虫に対する前記細菌の毒性が、前記核酸配列で形質転換されていない野生型バチルス・スフェリカス細胞よりも強くなる方法。
  60. 前記細菌がさらにcry11A遺伝子の20kD産物を含む、請求項59の方法。
  61. 前記第1ポリペプチドが配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項59の方法。
  62. 前記第1ポリペプチドが配列番号9の配列を持つ、請求項59の方法。
  63. さらに前記第1ポリペプチドをコードする配列が、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能することができる第2ポリペプチドをコードする配列をも含む、請求項59の方法。
  64. 前記第2ポリペプチドが配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項63の方法。
  65. 前記第2ポリペプチドが配列番号8を持つ、請求項63の方法。
  66. 細菌STAB−SD配列の前記6以上の連続ヌクレオチドが9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である、請求項59の方法。
  67. 前記9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列が、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される、請求項66の方法。
  68. BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列を含むバチルス・スフェリカスの遺伝子組換え細胞。
  69. 前記第1ポリペプチドが配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  70. 前記第1ポリペプチドが配列番号9の配列を持つ、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  71. さらに前記第1ポリペプチドをコードする配列が、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能することができる第2ポリペプチドをコードする配列をも含む、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  72. 前記第2ポリペプチドが配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  73. 前記第2ポリペプチドが配列番号8を持つ、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  74. 細菌STAB−SD配列の前記6以上の連続ヌクレオチドが9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  75. 前記9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列が、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される、請求項42の遺伝子組換え細胞。
  76. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターがcryプロモーターである、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  77. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターが、cry1Aa1、cry1Aa2、cry1Aa3、cry1Aa4、cry1Aa5、cry1Aa6、cry1Ba1、cry1Ba2、cry1Ca1、cry1Ca2、cry1Ca3、cry1Ca4、cry1Ca5、cry1Ca6、cry1Ca7、cry1Fa1、cry1Fa2、cyt1Aa1、cyt1Aa2、cyt1Aa3、およびcyt1Aa4からなる群より選択される、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  78. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターがcyt1Aa1プロモーターである、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  79. 前記細胞がさらにcry11Aオペロンの20kD産物を発現させる、請求項68の遺伝子組換え細胞。
  80. バチルス・スフェリカス細胞の毒性を増加させる方法であって、
    (a)BtIプロモーター、BtIIプロモーター、およびBtIプロモーターとBtIIプロモーターとの組合わせからなる群より選択されるバチルス・チュリンゲンシスプロモーター、少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列、リボソーム結合部位、およびバチルス・スフェリカス二成分毒素の41.9kDタンパク質(配列番号9)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の毒性の少なくとも50%に相当する毒性を持つ第1ポリペプチドをコードする配列を上記の順に含む核酸配列で、前記細胞を形質転換すること、および
    (b)宿主細菌中で前記核酸配列を発現させること
    を含み、前記核酸配列の発現により、前記細菌の毒性が、前記核酸配列で形質転換されていない野生型バチルス・スフェリカス細胞と比較して増加する方法。
  81. 前記第1ポリペプチドが配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項80の方法。
  82. 前記第1ポリペプチドが配列番号9の配列を持つ、請求項80の方法。
  83. さらに前記第1ポリペプチドをコードする配列が、バチルス・スフェリカス二成分毒素の51.4kDタンパク質(配列番号8)に対して少なくとも80%の配列一致率を示しかつ配列番号9の41.9kD毒素タンパク質の結合ドメインとして機能することができる第2ポリペプチドをコードする配列をも含む、請求項80の方法。
  84. 前記第2ポリペプチドが配列番号8に対して少なくとも90%の配列一致率を示す、請求項80の方法。
  85. 前記第2ポリペプチドが配列番号8を持つ、請求項80の方法。
  86. 細菌STAB−SD配列の前記6以上の連続ヌクレオチドが9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列である、請求項80の方法。
  87. 前記9ヌクレオチド細菌STAB−SD配列が、GAAAGGAGG(配列番号1)、GAAGGGGGG(配列番号2)、GAGGGGGGG(配列番号3)、GAAAGGGGG(配列番号4)、GAAAGGAGG(配列番号5)、およびGAAAGGGGT(配列番号6)からなる群より選択される、請求項80の方法。
  88. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターがcryプロモーターである、請求項80の方法。
  89. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターが、cry1Aa1、cry1Aa2、cry1Aa3、cry1Aa4、cry1Aa5、cry1Aa6、cry1Ba1、cry1Ba2、cry1Ca1、cry1Ca2、cry1Ca3、cry1Ca4、cry1Ca5、cry1Ca6、cry1Ca7、cry1Fa1、cry1Fa2、cyt1Aa1、cyt1Aa2、cyt1Aa3、およびcyt1Aa4からなる群より選択される、請求項80の方法。
  90. バチルス・チュリンゲンシスプロモーターがcyt1Aa1プロモーターである、請求項89の方法。
  91. バチルス・スフェリカス二成分毒素に対する抵抗性を低下させる方法であって、バチルス・チュリンゲンシス亜種イスラエレンシス(israelensis)(「Bti」)Cyt1Aa1タンパク質を、前記二成分毒素を発現させるバチルス・スフェリカス細胞中で発現させることを含む方法。
  92. バチルス・スフェリカス二成分毒素に対する抵抗性を低下させる方法であって、前記二成分毒素を発現させるバチルス・チュリンゲンシス細胞中でBti Cyt1Aa1タンパク質を発現させることを含む方法。
  93. バチルス・スフェリカス二成分毒素に対する抵抗性を低下させる方法であって、Bti Cyt1Aa1タンパク質を前記二成分毒素と共に適用することを含む方法。
  94. 前記Bti Cyt1Aa1タンパク質が溶解凍結乾燥Bti細胞の粉末の形をしている、請求項93の方法。
  95. 前記Bti Cyt1Aa1タンパク質が精製タンパク質である、請求項93の方法。
  96. 前記Bti Cyt1Aa1タンパク質が、約1:2〜約1:50のCyt1Aa1タンパク質対Bs比で適用される、請求項93の方法。
  97. 前記Bti Cyt1Aa1タンパク質が、約1:10のCyt1Aa1タンパク質対Bs比で適用される、請求項96の方法。
  98. 少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列をさらに含む請求項1〜38の核酸。
  99. 少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列をさらに含む、請求項39、50、59または80のいずれかの方法。
  100. 少なくとも6連続ヌクレオチドを含む細菌STAB−SD配列の第2配列をさらに含む請求項68の遺伝子組換え細胞。
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