JP2004505388A - 改良された認識手法を有する通信ステーションおよびデータキャリア - Google Patents
改良された認識手法を有する通信ステーションおよびデータキャリア Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004505388A JP2004505388A JP2002516699A JP2002516699A JP2004505388A JP 2004505388 A JP2004505388 A JP 2004505388A JP 2002516699 A JP2002516699 A JP 2002516699A JP 2002516699 A JP2002516699 A JP 2002516699A JP 2004505388 A JP2004505388 A JP 2004505388A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- signal
- data carrier
- communication station
- response
- recognition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G06—COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
- G06K—GRAPHICAL DATA READING; PRESENTATION OF DATA; RECORD CARRIERS; HANDLING RECORD CARRIERS
- G06K7/00—Methods or arrangements for sensing record carriers, e.g. for reading patterns
- G06K7/0008—General problems related to the reading of electronic memory record carriers, independent of its reading method, e.g. power transfer
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Artificial Intelligence (AREA)
- Computer Vision & Pattern Recognition (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Theoretical Computer Science (AREA)
- Near-Field Transmission Systems (AREA)
- Communication Control (AREA)
- Mobile Radio Communication Systems (AREA)
Abstract
通信ステーション(1)と複数のデータキャリア(2)との間での通信方法において、問い合わせサイクル(IPER)を開始するために、問い合わせ信号形成手段(7)によって問い合わせ信号(IDB)が形成され、この問い合わせ信号は全てのデータキャリア(2)に供給され、応答信号形成手段(63)によって、各データキャリア(2)は応答信号(RDB)を形成し、応答信号(RDB)のうちの幾つかの応答信号(RDB)は別個に受信され、また、幾つかの応答信号は別個ではなく受信され、通信ステーション(1)は、それぞれ別個に受信した応答信号(RDB)を検出し、その結果、関連するデータキャリア(2)を識別し、認識信号(QDB)は、応答信号(RDB)が通信ステージョン(1)によって別個に受信されて識別された各データキャリア(2)に対して供給され、この識別信号(QDB)は、各データキャリア(2)の識別信号検出手段(59)によって検出され、したがって、識別された各データキャリア(2)をアイドル状態に設定し、通信ステーション(1)は、各認識信号(QDB)を、拡張された問い合わせ信号(IDB+QDB)の成分として、有利に形成する。
Description
【0001】
本発明は、通信ステーションとデータキャリアとの間で通信する方法と、通信ステーションと、データキャリアとに関する。これらは全て既に知られており、通信ステーションと複数のそのようなデータキャリアとの間での通信中においては、通信ステーションは、問い合わせサイクル中に、まず第1に、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに対して問い合わせ信号を供給する。その後、応答する各データキャリアは、応答信号を通信ステーションに供給する。データキャリアによって形成された応答信号においては、これらの幾つかの応答信号間で、いわゆる衝突、すなわち、少なくとも2つの応答信号がこれらを互いに区別することができない態様で現われるといった場合が生じる。その結果、通信ステーションは、少なくても部分的に見分けがつかない応答信号を形成するそれらのデータキャリアを明確に識別することができない。その後、そのようなデータキャリアには、認識信号が供給されず、あるいは、否定的な認識信号が供給される。しかしながら、データキャリアによって形成される応答信号のうち、幾つかの応答信号は、別箇に現れる。すなわち、これらの応答信号のそれぞれを互いに明確に区別することができ、これらの応答信号のそれぞれを通信ステーションによって明確に識別することができる。その後、通信ステーションは、明確に識別された応答信号に関し、この明確に識別された応答信号を供給したデータキャリアに対して認識信号を供給する。その結果、関連するデータキャリアが通信ステーションによって明確に識別されたという情報がデータキャリアに受信され、その後、この情報をデータキャリアで利用できる。
【0002】
既知の方法、既知の通信ステーション、既知のデータキャリアの場合、通信ステーションは、まず最初に、問い合わせサイクル中において、問い合わせ信号を形成して、これを、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに送信する。その後、通信ステーションが送信に設定され、データキャリアが受信に設定される。その後、通信ステーションが送信から受信に切換えられ、データキャリアが受信から送信に切換えられた後、データキャリアは、先に受信した問い合わせ信号に応答して、応答信号を通信ステーションに送信する。この時、データキャリアから通信ステーションへの応答信号の送信は、いわゆる時間帯で行なわれる。所定数の時間帯が選択され、各データキャリアは、各データキャリアの連続番号に基づいて、1つの時間帯に割り当てられる。
【0003】
そのような時間帯内で、1または複数のデータキャリアは、まず第1に、応答信号を通信ステーションに送信する。その後、この時間帯において、通信が受信から送信に切換えられ、同時に、1または複数のデータキャリアが送信から受信に切換えられる。時間帯内におけるこの最初の切換え動作は、所定の切換え時間を必要とする。その後、通信ステーションは認識信号を送信する。この認識信号は、1つのデータキャリアだけが対応する時間帯に通信ステーションに応答信号を送信した場合には、肯定的な認識信号となり、複数のデータキャリアが対応する時間帯に通信ステーションに応答信号を送信した場合には、否定的な認識信号となる。認識信号の送信後、他の切換え動作が行なわれる。すなわち、ここで、通信ステーションが送信から受信に切換えられ、1または複数のデータキャリアが受信から送信に切換えられる。また、この切換え動作は、1つの時間帯内で所定の切換え時間を必要とする。このように、既知の方法においては、各時間帯毎に2つの切換え時間が生じ、これは、問い合わせサイクルの長さが比較的大きくなり、その結果、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアを複数の問い合わせサイクルによって明確に識別するために必要な時間が比較的長くなるという点で不都合である。
【0004】
更に、既知の解決策では、任意の安全策を講じることなく、1ビットもしくは複数のビットを有するビット・スリングを示すデジタル信号である認識信号が、通信ステーションからデータキャリアに送信される。これは、混信を最小限に抑える、すなわち、混信を最大限に防止するという点では好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、前述した問題を防止して、低コストで簡単な方法により、改良された方法、改良された通信ステーション、改良されたデータキャリアを実現することである。
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る方法は、本発明に係る特徴的な構成を有している。そのような態様において、本発明に係る方法は、以下に規定される態様で特徴付けることができる。すなわち、
通信ステーションと、通信ステーションの通信範囲内に存在するデータキャリアとの間の通信方法において、問い合わせサイクルの開始において、通信ステーションは、通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに対して問い合わせ信号を供給し、問い合わせサイクル中において、通信範囲内に存在する全てのデータキャリアは、問い合わせ信号を受信するとともに、それぞれが問い合わせ信号に応じて応答信号を供給し、通信ステーションは、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号を、個々に、したがって、別個に受信し、また、通信ステーションは、少なくとも2つの幾つかの応答信号を、同時に、したがって、別個にではなく受信し、通信ステーションは、応答信号が通信ステーションによって別個に受信された任意のデータキャリアに対して認識信号を供給し、応答信号が通信ステーションによって別個に受信されたデータキャリアは、認識信号を受信して評価し、認識信号の評価の結果、応答信号が通信ステーションによって別個に受信された各データキャリアは、通信ステーションによって次に供給される問い合わせ信号において無効にされ、問い合わせサイクルの終了後、通信ステーションは、次の問い合わせサイクルを開始するために、問い合わせ信号を供給し、通信ステーションは、各認識信号を、拡張された問い合わせ信号の成分として形成する。
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る通信ステーションは、本発明に係る特徴的構成を有している。そのような態様において、本発明に係る通信ステーションは、以下に規定される態様で特徴付けることができる。すなわち、
その通信範囲内に存在するデータキャリアと通信するための通信ステーションにおいて、問い合わせ信号形成手段が設けられ、この問い合わせ信号形成手段によって、問い合わせサイクルの開始のために問い合わせ信号を形成することができ、また、転送手段が設けられ、この転送手段によって、形成された問い合わせ信号を通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに供給することができ、これによって、問い合わせ信号を通信範囲内に存在する全てのデータキャリアによって受信することができ、ステーション受信手段が設けられ、このステーション受信手段によって、受信された問い合わせ信号に応じて全てのデータキャリアによって供給された応答信号を受信することができ、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号を、個々に、したがって、別個に受信することができ、また、少なくとも2つの幾つかの応答信号を、同時に、したがって、別個にではなく受信することができ、認識信号形成手段が設けられ、この認識信号形成手段によって、応答信号が別個に受信された各データキャリアのための認識信号を形成することができ、この認識信号をステーション転送手段によって関連するデータキャリアに供給することができ、認識信号形成手段および問い合わせ信号形成手段は、互いに協働して、認識信号を、拡張された問い合わせ信号の成分として形成することができるようになっている。
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るデータキャリアは、本発明に係る特徴的構成を有している。そのような態様において、本発明に係るデータキャリアは、以下に規定される態様で特徴付けることができる。すなわち、
通信範囲を有する通信ステーションと通信するためのデータキャリアであって、そのようなデータキャリアは通信範囲内に存在し、データキャリア受信手段が設けられ、このデータキャリア受信手段によって、通信ステーションによって供給された問い合わせ信号を受信することができ、応答信号形成手段が設けられ、この応答信号形成手段によって、受信した問い合わせ信号に応じて応答信号を形成することができ、データキャリア転送手段が設けられ、このデータキャリア転送手段によって、形成された応答信号を通信ステーションに供給することができ、認識信号検出手段が設けられ、この認識信号検出手段によって、通信ステーションからデータキャリアに供給され且つデータキャリア受信手段によって受信された認識信号を検出することができ、認識信号検出手段は、拡張された問い合わせ信号の成分としてデータキャリアに供給され且つデータキャリア受信手段によって受信された認識信号を抽出するようになっている。
【0009】
本発明に係る手段を提供することによって、低コストで簡単な方法により以下のことが達成できる。すなわち、問い合わせサイクルが実行される時に、通信ステーションによって形成することができる問い合わせ信号だけが、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに送信され、その後、データキャリアによって形成することができる応答信号が通信ステーションに送信され、その結果、問い合わせサイクル中に、通信ステーションが送信から受信に切換えられ、同時に、問い合わせ信号の送信後で且つ応答信号の送信前にデータキャリアが受信から送信に切換えられるが、その後は、認識信号が通信ステーションによって有利に形成されるとともに、次に作動されて実行される問い合わせサイクルでのみ前記認識信号がデータキャリアに送信されるため、問い合わせサイクル中において更なる切換え動作は不要であり、そのため、先に行なわれた問い合わせサイクルの終了後で且つ次に行なわれる問い合わせサイクルの始めに受信から送信に通信ステーションを切換えるとともに、データキャリアを送信から受信に切換えることが当然に必要となる。すなわち、これは、通信ステーションによるその後の問い合わせ信号の送信およびデータキャリアによる問い合わせ信号の受信において、いずれにしても必要となる。しかしながら、本発明に係る手段によれば、問い合わせサイクルに必要な時間を明確に減らすことができる。その結果、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのレコードキャリアを複数の問い合わせサイクルによって明確に識別するために必要な時間は、比較的短く、序文で述べたような従来技術よりも明らかに短くなる。本発明に係る手段を提供することにより、他の利点が得られる。すなわち、前述した従来技術よりも実質的に混信を大きく低減しつつ、問い合わせ信号の成分を形成する認識信号の送信が行なわれるからである。その理由は、安全性の目的で、問い合わせ信号の送信が安全に送信されるからである。この場合、例えば、問い合わせ信号の送信は、所謂CRCチェックサムによって保護される。すなわち、いずれにしても存在する安全な特徴的構成は、問い合わせ信号に含まれる認識信号の送信のために別に使用される。
【0010】
本発明に係る方法、本発明に係る通信ステーション、本発明に係るデータキャリアにおいては、請求項2、請求項6、請求項10に規定された手段を別に採用することが有益であることが分かる。実際に、これらの実施例は、これらの実施例を用いて問い合わせサイクルの時間を短くすることができ、また、これらの実施例を用いて通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアの識別を非常に迅速に行なうことができるため、特に有益であることが分かる。
【0011】
また、前述した方法、前述した通信ステーション、前述したデータキャリアにおいては、請求項3,4,7,8,11,12に規定された手段をそれぞれ採用することが非常に有益であることが分かる。したがって、認識信号に結び付けられた別箇の情報を、本発明に係る通信ステーションから本発明に係るデータキャリアに対して簡単な方法で且つ簡単な形態で送信することができる。
【0012】
本発明の前述した形態および更なる別の形態は、後述する実施例から明らかとなり、また、この例に基づいて説明する。
【0013】
以下、一例として図面に示され且つ本発明を限定するものではない実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1は、データキャリア(データ記憶媒体)2と通信するための通信ステーション1を示している。このうち、データキャリア2は図2に示されている。通信シテーション1とデータキャリア2との間の通信は、データキャリア2が通信ステーションの通信範囲内に位置している時、すなわち、データキャリア2がこのこの通信範囲内に存在している時に可能である。通信ステーション1およびデータキャリア2は、連続する時間帯TSにおいて通信するようになっている。図3は、これらの時間帯のうち、時間帯TS1’,TS2’,TS3’,TS4’,..........TS8’およびTS1”,TS2”,TS3”,........を示している。
【0015】
通信ステーション1は、電力供給を受ける通信ステーションの全ての部分に電力を供給するための電源3を有している。
【0016】
通信ステーション1はマイクロコンピュータ4を更に有している。マイクロコンピュータ4は、バス通信5を介して、図1に示されていない所謂ホストコンピュータに接続されている。マイクロコンピュータ4は、プロセス制御手段6と、問い合わせ信号形成手段7と、認識信号形成手段8と、エンコード手段9と、デコード手段10と、衝突検出手段11と、信号強度検出手段12とを有している。プロセス制御手段6は、各導電接続部13,14,15,16,17を介して、それぞれの手段7,8,10,11,12に接続されている。また、導電接続部18が認識信号形成手段8と問い合わせ信号形成手段7との間に設けられ、導電接続部19が問い合わせ信号形成手段7とエンコード手段9との間に設けられ、導電接続部20がデコード手段10と衝突検出手段11との間に設けられ、導電接続部21がデコード手段10と信号強度検出手段12との間に設けられている。
【0017】
この場合、プロセス制御手段6はモード切換手段6Aを有している。このモード切換手段6Aによって、「送信」モードと「受信」モードとの間で切り換えることができる。図示しない方法で、モード切換手段6Aは、切り換え、すなわち、「送信」モードと「受信」モードとの間で切り換えるために切り換えられるべき通信ステーション1の全ての部分の制御を行なう。そのようなモード切換手段6Aは必ずしも設けられる必要はない。なぜなら、いずれにしても、見かけの時間に関する正確な情報と送信状態および受信状態の時間系列に関する情報とが通信ステーションにおいて利用できるからである。プロセス制御手段6は、応答信号識別手段6Bを更に有している。この応答信号識別手段6Bにより、データキャリア2によって供給され且つ通信ステーション1によって個別に受けられる各応答信号RDBを識別することができ、その結果、各データキャリア2を識別することができる。また、応答信号識別手段6Bは、デコード手段10とプロセス制御手段6との間に設けられた1つのユニットの形態を成している。
【0018】
問い合わせ信号形成手段7は、問い合わせ信号IDBを形成するようになっている。しかしながら、問い合わせ信号形成手段7は、問い合わせ信号IDBだけでなく、他のコマンド信号、例えば書き込みコマンド信号または読み込みコマンド信号あるいは消去信号および他の信号を形成することもできる。各問い合わせ信号IDBによって、問い合わせプロセスの問い合わせサイクルIPERを開始することができる。問い合わせサイクルのうち、2つの問い合わせサイクルIPER1,IPER2が図3に示されている。また、7つの問い合わせサイクルIPER1,IPER2,IPER3,IPER4,IPER5,IPER6,IPER7が図4に示されている。各問い合わせ信号IDBはデジタル信号の形態を成しており、このデジタル信号は、所定の数のビットからなるビット・ストリングである。この場合、問い合わせ信号IDBは、全部で10×8ビット、すなわち、80ビットからなる。ビット毎の信号持続時間は、40μsに対応しており、その結果、問い合わせ信号IDBの信号持続時間は、3200μs=3.2msの値を有している。
【0019】
認識信号形成手段8は、認識信号QDBを形成するようになっている。認識信号形成手段8により、各データキャリア2に関して認識信号QDBを形成することができる。以下において詳細に述べるように、データキャリア2は、応答信号RDBを形成して供給するようになっており、そのような応答信号RDBは、データキャリアから通信ステーション1によって個別に受けられ、したがって、通信ステーション1によってはっきりと識別される。後述するステーション出力手段によって、認識信号QDBを、関連する識別されたデータキャリア2に供給することができる。
【0020】
この場合、通信ステーション1は、認識信号形成手段8および問い合わせ信号形成手段7が互いに協働するように有利に構成されている。このような協働は、導電接続部18が手段7と手段8との間に設けられているために可能となる。認識信号形成手段8によって形成された各認識信号QDBは、接続部18を介して、問い合わせ信号形成手段7に与えることができる。問い合わせ信号形成手段7は、受けた認識信号QDBを、形成される問い合わせ信号IDB内に組み込み或は埋め込む。その結果、各認識信号QDBを、拡張された問い合わせ信号IDB+QDBとして形成することができる。以下、拡張された問い合わせ信号を組み合わせ信号IDB+QDBと称する。
【0021】
認識信号QDBにおいて述べると、この場合、各認識信号QDBは、デジタル信号によって形成される。このデジタル信号は、所定数のメインビットMBからなるビット・ストリングである。この場合、各認識信号は、全部で8メインビットMBからなる。メインビット毎の信号持続時間は40μsであり、その結果、認識信号QDBの全てのメインビットMBの信号持続時間は、320μs=0.32msの値を有している。
【0022】
また、認識信号QDBにおいて述べると、非常に重要で且つ有利な特徴、すなわち、認識信号QDBを形成する各デジタル信号において、各メインビットが時間帯TSに関連付けられ、データキャリア2から応答信号RDBが生じる時間帯にそれぞれ関連付けられるメインビットMBが所定のビット値、すなわち、この場合はビット値「1」を有しているという事実がある。この重要な特徴については、後で詳細に説明する。
【0023】
認識信号QDBに関して述べると、他の重要な特徴、すなわち、認識信号QDBを形成する各デジタル信号において、別個のビットABが各メインビットMBに加えられ、別個のビットABのそれぞれのビット値がデータキャリア2のパラメータ表示を形成し、この場合のデータキャリア2のパラメータは、通信ステーション1がデータキャリア2から応答信号RDBを受けた信号強度によって形成されるという事実がある。この重要な手段についても、後で詳細に説明する。したがって、各認識信号QDBは8つの別個のビットABを有しており、別個のビットAB毎の信号持続時間は40μsであり、その結果、認識信号QDBの別個のビットの全てにおける信号持続時間は、320μs=0.32msの値を有している。
【0024】
このように、認識信号QDBとして形成されるデジタル信号は、全部で2×8=16ビットから成り、これは、認識信号QDBに関する640μs=0.64msの信号持続時間を生じる。その結果、全部で12×8ビットからなる組み合わせ信号IDB+QDBは、3.84msの信号持続時間を有する。
【0025】
エンコード手段9は、組み合わせ信号IDB+QDBをエンコードするようになっている。この場合、エンコード手段9は、所謂マンチェスター・コーディングを行なうようになっている。エンコード手段9は、エンコード後に、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODを供給する。
【0026】
通信ステーション1は、変調器22とキャリア信号発生器23とを更に有している。キャリア信号発生器23は、変調されていないキャリア信号CSを形成することができる。変調器22は、ライン24を介して、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODを受けるとともに、別のライン25を介して、変調されていないキャリア信号CSを受けるように設けられている。変調器22は、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODに基づいて、変調されていないキャリア信号CSの振幅変調を行なうようになっている。変調後、変調器22は、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODに基づいて、振幅変調されたキャリア信号CS(AK)をその出力部で供給する。
【0027】
変調器22による変調されていないキャリア信号CSのそのような振幅変調は、通信ステーション1の「送信」モードで行なわれる。この「送信」モードでは、信号を通信ステーション1からデータキャリア2に供給することができるように、通信ステーションの部品が制御される。既に述べたように、通信ステーション1は、「受信」モードに設定することができる。この「受信」モードにおいて、キャリア信号発生器23は、変調されていないキャリア信号CSを、ライン25を介して、変調器22に供給する。しかし、「受信」モードにおいて、変調器22は、変調されていないキャリア信号CSを振幅変調しない。その結果、変調器は、変調されていないキャリア信号CSを、その出力で供給する。
【0028】
通信ステーション1は、ライン26Aを介して変調器22に接続された電力増幅器26を更に有している。電力増幅器26により、「送信」モードにおいて、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)を増幅することができるとともに、「受信」モードにおいて、変調されていないキャリア信号CSを増幅することができる。増幅時、作動している動作モードに基づいて、2つの信号CS(ASK),CSのうちの一方が、通信ステーション1の転送手段27に与えられる。転送手段27は、ステーション送信手段およびステーション受信手段の両方を形成する。転送手段27は、図1に示される送信コイル28を有している。「送信」モードにおいて、転送手段27は、その後、ステーション送信手段として動作し、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)を、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2に送信することができる。その結果、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア23によって、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)を受けることができる。振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)は、問い合わせ信号IDBおよび認識信号QDBであるエンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODを示すため、形成された各問い合わせ信号IDBおよび形成された各認識信号QDBを、転送手段27によって、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2に送信することができる。その結果、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2によって、形成された各問い合わせ信号IDBおよび形成された各認識信号QDBを受けることができる。
【0029】
問い合わせ信号IDBの受信に応じて、通信ステーション1の通信範囲内に存在する各データキャリア2は、応答信号RDBを形成する。これについては、後に詳細に説明する。各データキャリア2によって形成される応答信号RDBは、通信ステーション1の転送手段27に非変調形式で与えられた変調されていないキャリア信号CSのロード変調によって、関連するデータキャリア2から通信ステーション1に送信される。この場合、無論、通信ステーション1は、「受信」モードである。「受信」モードにおいて、転送手段27は、ステーション受信手段として動作する。「受信」モードにおいて、転送手段27は、受けた問い合わせ信号IDBに応じて、通信ステーションの通信範囲内の全てのデータキャリア2によって供給される全ての応答信号RDBを受けることができる。この点に関しては、図3を参照すると、そのような応答信号RDB、すなわち、応答信号RDB−2A,RDB−2B,RDB−2C,RDB−2D,RDB−2E,RDB−2F,RDB−2G,RDB−2Sが示されている。文字A,B,C,D,E,F,G,Sは、異なるデータキャリア2すなわちデータキャリア2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Sから応答信号が生じていることを示すためのものである。図3から明らかなように、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号RDB−2A,RDB−2G,RDB−2S,RDB−2C,RDB−2Fはそれぞれ、個別に受信されることが可能であり、その結果、時間帯TS1’,TS4’,TSD8’,TS2”,TS3”においてそれぞれ現れる時に別々に単独で受信されることが可能である。他の幾つかの応答信号RDB−2B,RDB−2C,RDB−2D,RDB−2E,RDB−2Fおよび更にRDB−2B,RDB−2Eは、少なくとも対で受信されることが可能であり、その結果、時間帯TS2’,TS3’,TS1”において個別に現れることはなく、少なくとも対で現れる。
【0030】
データキャリア2によって送信され且つ通信ステーションによって受信される各応答信号RDBは、デジタル信号によって形成される。このデジタル信号は、所定数のビットを有するビット・ストリングである。この場合、このビット・ストリングは、8×8=64ビットから成る。ビット毎の信号持続時間は約40μsであり、その結果、応答信号RDBに関する信号持続時間は、2.56msの値を有している。
【0031】
この場合、既に述べたように、先のエンコード後にデータキャリア2によって形成される応答信号RDBは、通信ステーションのキャリア信号発生器23によって形成された変調されていないキャリア信号CSのロード変調によって通信ステーションに送信することができる。その結果、転送手段27は、ライン31を介して通信ステーション1のフィルタ手段30に与えることができるロード変調されたキャリア信号CS(LM)を形成する。ロード変調されたキャリア信号CS(LM)がフィルタに通されると、ライン32を介してロード変調されたキャリア信号CS(LM)を通信ステーション1の復調器33に与えることができる。ロード変調されたキャリア信号CS(LM)を復調器33によって復調することができる。復調後、復調器33は、ライン34を介して、エンコードされた応答信号(RDB)CODを増幅器35に供給する。この増幅器は、増幅されたエンコード応答信号(RDB)CODを、マイクロコンピュータによって実現されたデコード手段10に供給する。
【0032】
デコード手段10は、ここに与えられたエンコードされた応答信号(RDB)CODをデコードするようになっている。デコードが終了した後、デコード手段10は、デコードされた応答信号RDBを供給する。その後、応答信号RDBは、応答信号識別手段6Bに与えられる。この場合、応答信号識別手段6Bは、プロセス制御手段6内に含まれている。応答信号識別手段6Bによって、単独で現れる応答信号RDBを明確に識別することができる。
【0033】
また、応答信号RDBは、衝突検出手段11に与えられる。衝突検出手段11は、1つのデータキャリア2からの1つの応答信号RDBが1つの時間帯TSにおいて現れたか否か、あるいは、2つ以上のデータキャリア2からの複数の応答信号RDBが1つの時間帯TSで現れたか否かを検出するようになっている。1つの応答信号RDBだけが時間帯TSにおいて受信される場合、衝突検出手段11は、導電接続部16を介して、否定的な衝突情報NCOLをプロセス制御手段6に供給する。しかしながら、少なくとも2つの応答信号RDBが1つの時間帯TSにおいて受信された場合には、衝突検出手段11は、肯定的な衝突情報YCOLをプロセス制御手段6に供給する。
【0034】
また、デコード手段10によって供給された応答信号RDBを、導電接続部21を介して、信号強度検出手段12に与えることができる。信号強度検出手段12は、受信後に、データキャリアによって送信され且つ通信ステーションによって受信される応答信号RDBの信号強度が所定の閾値を下回っているか或はこの閾値を上回っているか否かを検出することができるようになっている。信号強度が閾値を下回っている場合には、信号強度検出手段12は、導電接続部17を介して、低レベル情報LLI1をプロセス制御手段6に供給する。逆に、信号強度が閾値を超えている場合には、信号強度検出手段12は、高レベル情報HLI1を作動手段6に供給する。
【0035】
以下、図2に示されるデータキャリア2について説明する。
【0036】
データキャリア2は、データキャリア受信手段およびデータキャリア送信手段の両方を形成する転送手段40を有している。転送手段40は、図2に示される送信コイル41を有している。転送手段40は、送信コイル41とともに共振回路を形成する図示しないキャパシタ・コンフィギュレーションを更に有している。共振回路の共振周波数は、変調されていないキャリア信号TSの周波数に対応している。
【0037】
通信ステーション1によって供給される問い合わせ信号および通信ステーション1によって供給される認識信号QDBは、転送手段40によって受信することができる。また、転送手段40によって、データキャリア2によって形成された応答信号RDBを、通信ステーション1に供給することができる。応答信号IDBおよび認識信号QDBの受信、すなわち、組み合わせ信号IDB+QDBの受信は、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODに対応する振幅変調されたキャリア信号CS(AK)を受信することによって行なわれる。形成された応答信号RDBの供給は、エンコードされた応答信号(RDB)CODに対応し且つ応答信号RDBに対応するロード変調されたキャリア信号CS(LM)によって行なわれる。
【0038】
データキャリア2は電気回路42を有している。電気回路42は、集積回路の形態を成すとともに、ライン44を介して転送手段40に接続される端子43を有している。端子43は、整流手段45と、クロック信号再生手段46と、復調器47と、変調器48とに接続されている。
【0039】
整流手段45は、端子43に現れる信号、すなわち、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)またはロード変調されたキャリア信号CS(LM)の整流を行なって、これらの信号から直流電圧Vを得るようになっている。この直流電圧Vは、供給電圧を必要とするデータキャリア2の回路42の全部品に対して給電するために使用することができる。
【0040】
クロック信号再生手段46によって、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)またはロード変調されたキャリア信号CS(LM)からクロック信号を再生することができる。再生が終了すると、クロック信号再生手段46は、再生されたクロック信号CLKをライン49上に形成する。
【0041】
復調器47は、振幅復調器であり、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)を復調するようになっている。振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)の振幅復調が完了した後、復調器47は、振幅復調された組み合わせ信号(IDB+QDB)CODをライン50に送信する。
【0042】
変調器48は、ロード変調手段によって形成されており、変調されていないキャリア信号CSのロード変調を行なうようになっている。変調される信号をライン51を介して変調器48に与えることができる。すなわち、エンコードされた応答信号(RDB)CODに基づいて、変調されていないキャリア信号CSのロード変調を行なうために、エンコードされた応答信号(RDB)CODを変調器48に与えることができる。変調器48によるロード変調の結果、ロード変調されたキャリア信号CS(LM)が得られる。ロード変調されたキャリア信号CS(LM)は、変調器48の出力部で現れるとともに、端子43を介して転送手段40で利用可能であり、また、転送手段40によって通信ステーション1の転送手段27に転送される。
【0043】
データキャリア2の回路42は、ライン53を介して整流手段45に接続された信号強度検出手段52を更に有している。信号強度検出手段52は、通信ステーション1によって供給される振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)が閾値を下回る信号強度でデータキャリア2により受信されたか或は閾値を上回る信号強度でデータキャリア2により受信されたかを検出するようになっている。この目的のために実行される検出プロセスは、整流手段45によって供給される直流供給電圧Vを使用して実行される。振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)が高い信号強度で受信された場合には、信号強度検出手段は、高レベル情報HLI2をライン54に供給する。逆に、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)が低い信号強度で受信された場合には、信号強度検出手段は、低レベル情報LLI2をライン54に供給する。前記情報HLI2,LLI2は、ライン54を介してマイクロコンピュータ55に与えることができる。マイクロコンピュータ55内においては、導電ライン76を介して前記情報HLI2,LLI2をプロセス制御手段56に与えることができる。
【0044】
データキャリア2の回路42は、マイクロコンピュータ55を有している。マイクロコンピュータ55によってプロセス制御手段56が実現される。プロセス制御手段56は切換手段56Aを有している。切換手段56Aは、「受信」モードと「送信」モードとの間でデータキャリア2を切り換えるようになっている。そのような切換を必要とする回路42の全ての部品を切換手段56によって切り換えることができる。マイクロコンピュータ55は、ライン49を介して、再生されたクロック信号CLKを受信する。このクロック信号CLKは、マイクロコンピュータ55内において通常知られた方法で使用される。
【0045】
なお、マイクロコンピュータ55の代わりに、ハードワイヤード論理回路が設けられても良い。
【0046】
また、マイクロコンピュータ55は、デコード手段57と、問い合わせ信号検出手段58と、認識信号検出手段59と、ユーザデータ記憶部61および連続番号記憶部62を有する記憶手段60と、問い合わせ信号形成手段63と、エンコード手段64と、時間帯決定手段65と、時間帯数記憶手段66とを実現するために使用される。
【0047】
デコード手段57は、ライン50を介して、復調器47に接続されている。デコード手段57によって、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODをデコードすることができる。デコードの終了時、デコード手段57は、組み合わせ信号IDB+QDBを供給する。組み合わせ信号IDB+QDBは、問い合わせ信号検出手段58および認識信号検出手段59の両方に供給される。
【0048】
通信ステーション1からデータキャリア2に送信された問い合わせ信号IDBは、問い合わせ信号検出手段58によって検出して評価することができる。検出された問い合わせ信号IDBは、問い合わせ信号検出手段58で利用できる。検出された問い合わせ信号IDBの評価時、問い合わせ信号検出手段58は、導電接続部67を介して、第1の検出情報RES1をプロセス制御手段56に供給する。
【0049】
通信ステーション1からデータキャリア2に送信されて転送手段40によって受信された認識信号QDBは、認識信号検出手段59によって検出して評価することができる。検出された認識信号QDBは、認識信号検出手段59で利用できる。評価時、認識信号検出手段59は、第2の検出情報RES2をプロセス制御手段56に供給する。
【0050】
この場合、認識信号検出手段59は、組み合わせ信号IDB+QDBの成分としてデータキャリア2に送信され且つ転送手段40によって受信される認識信号QDBを抽出する。認識信号検出手段59は、認識信号QDBとして受信されたデジタル信号を評価するようになっている。このデジタル信号は所定数のメインビットを有するビット・ストリングであり、デジタル信号においては、各メインビットが1つの時間帯TSと関連付けられている。これらのメインビットは1つの時間帯TSに関連付けられており、時間帯TSにおいては、データキャリア2からの1つの応答信号RDBだけが所定のビット値、この場合にはビット値「1」を有して現れる。この重要な特徴については、後に詳しく述べる。
【0051】
認識信号検出手段19について述べると、認識信号検出手段59は、認識信号QDBとして受信された差信号を評価するようになっていることが重要である。このデジタル信号においては、少なくとも1つの別個のビットが各メインビットに加えられ、別個のビットのそれぞれのビット値がデータキャリア2のパラメータ表示を形成する。この場合、データキャリア2の表示パラメータは、通信ステーション1がデータキャリア2から応答信号RDBを受信する信号強度である。
【0052】
記憶手段60は、データキャリア2内で必要で且つデータキャリア2にとって重要なデータおよび情報を記憶するようになっている。ユーザデータ記憶部61は、主に、ユーザデータすなわちデータキャリア2のユーザのデータを記憶するようになっている。例えば、ユーザデータ記憶部61は、クレジットの値、価格の大きさ、型表示、および、多くの他のデータを記憶するようになっている。連続番号記憶部62は、所謂、データキャリア2の特徴である連続番号SNRを記憶するようになっている。特定の連続番号SNRが各データキャリア2に割り当てられて連続番号記憶部62に記憶される。その結果、連続番号SNRによって、各データキャリア2を他の全てのデータキャリア2から区別することができる。記憶手段60は導電接続部69を介してプロセス制御手段56に接続されており、接続部69によって双方向通信(読み出し/書き込み)が可能である。
【0053】
応答信号形成手段63は、導電接続部70を介して、プロセス制御手段56に接続されている。また、応答信号形成手段63は、導電接続部71を介して、連続番号記憶部62に接続されている。応答信号形成手段63は応答信号RDBを形成するようになっており、連続番号記憶部に記憶された連続番号は、応答信号RDB内に反映される。応答信号形成手段63によって形成された応答信号RDBは、導電接続部72を介して、エンコード手段64に与えられる。エンコード手段64は、与えられた応答信号RDBをエンコードするとともに、エンコードされた応答信号(RDB)CODをライン51に供給し、結果として変調器48に供給する。エンコード手段64は、所謂マンチェスターコードにしたがって応答信号RDBをエンコードするようになっている。
【0054】
既に述べたように、データキャリア2は、連続する時間帯TSにおいて通信するようになっている。複数の時間帯TSのうちのどの時間帯TSでデータキャリア2がその応答信号QDBを通信ステーション1に送信するべきかをデータキャリア2に関して決定するために、時間帯数決定手段65が設けられている。この場合、時間帯数決定手段65は、導電接続部73を介して、連続番号記憶部62に接続されている。連続番号SNRの一部が連続番号記憶部62から接続部73を介して時間帯数決定手段65に与えられる度に、結果として、時間帯数決定手段65は、与えられた連続番号SNRの部分に基づいて、いちいち、時間帯数TSNOを決定する。時間帯数TSNOが決定された後、時間帯数TSNOは、導電接続部74を介して、時間帯数記憶手段66に与えられる。既に決定された時間帯数TSNOが時間帯数記憶手段66に記憶される。時間帯数記憶手段66に記憶された時間帯数TSNOは、前記手段から読み取ることが可能であり、また、導電接続部75を介してプロセス制御手段56に与えることができる。
【0055】
なお、時間帯数TSNOの形成および決定は、連続番号SNR以外の方法、例えば乱数発生によって行なっても良い。
【0056】
以下、図1に示された通信ステーション1とデータキャリア2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2K,2L,2M,2N,2P,2S,2U,2V,2W,2X,2Y,2Zとの間での通信方法について説明する。各データキャリア2のユーザデータ記憶部61内にデータを書き込んだり、このユーザデータ記憶部61からデータを読み取ったりすることができる全体の通信プロセスのうち、関連する部分だけ、すなわち、そのような通信プロセスの最初に必要な問い合わせプロセスについてのみ説明する。問い合わせプロセスにおいては、問い合わせプロセスの最初に通信ステーション1の通信範囲内に既に存在する全てのデータキャリア2、および、そのような問い合わせプロセス中に通信ステーション1の通信範囲に新たに入るデータキャリア2が正確に検知されて識別される。以下、この問い合わせプロセスについて、図3および図5を参照しながら説明する。
【0057】
問い合わせプロセスは、開始の瞬間START(図4の項目1参照)で始まる。開始の瞬間STARTにおいて、通信ステーション1は「送信」モードであり、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2は「受信」モードである。開始の瞬間STARTで、第1の問い合わせサイクルIPER1が始まる。
【0058】
開始の直後(図4の項目2参照)、通信ステーション1の問い合わせ信号形成手段7および認識信号形成手段8によって第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1が形成され、この第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1は、通信ステーション1により、このステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2に送信される。この瞬間においては、データキャリア2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Sが通信ステーションの通信範囲内にあると仮定する。第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1内の問い合わせ信号IDBの正確な構造については、本発明に無関係であるため、ここでは詳細に説明しない。第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1内に含まれる第1の認識信号QDB1(図4の項目2.1参照)に関して再び述べると、この認識信号QDB1は、任意の更なる認識信号とともに、8つのメインビットMBおよび8つの別個のビットABから成る。各メインビットMBおよび別個の各ビットABは、ビット対を形成する。各ビット対は、1つの時間帯、すなわち、第1の認識信号QDB1の場合には時間帯TS1’,TS2’,TSD3’,TS4’,TS5’,TSD6’, TS7’,TS8’に関連付けられている。図4の項目2.1から明らかなように、第1の認識信号QDB1の全てのメインビットMBおよび全ての別個のビットABは、値「0」を有している。
【0059】
第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1の送信後、通信ステーション1は、モード切換手段6Aによって、「送信」モードから「受信」モードに切り換えられるとともに、全てのデータキャリア2は、切換手段56Aによって、「受信」モードから「送信」モードに切り換えられる。この第1の切換プロセスは、特定の切換時間STを必要とする。この場合、切換時間STのために302μsの値が選択される。
【0060】
前述したデータキャリアが組み合わせ信号(IDB+QDB)1を受信した後、この信号は、問い合わせ信号検出手段58および認識信号検出手段59によって評価される。第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1内の問い合わせ信号の評価については、この場合、関係がないため、更に詳細に説明しない。第1の認識信号QDB1に関して述べると、全てが値「0」を有する全てのメインビットMBの評価は、存在するデータキャリ2のいずれも受信を認識していないという結果をもたらす。第1の認識信号QDB1における別個のビットABの評価は、これまでのところ、通信ステーション1に応答信号RDBを送信するデータキャリア2がないことを示している。
【0061】
その後、前述した複数のデータキャリアは、個々に、どの時間帯で応答信号RDBを形成するのかについて決定を下す。これは、時間帯数決定手段65によって行なわれる。各時間帯が決定された後、各データキャリア2の応答信号形成手段63が応答信号RDBを形成し、これによって、この場合、応答信号RDB−2A,RDB−2B,RDB−2C,RDB−2D,RDB−2E,RDB−2F,RDB−2G,RDB−2Sが第1の問い合わせサイクルIPER1中に形成され、これらの応答信号は通信ステーション1に送信される。図3および図4(図4の項目3参照)から明らかなように、前述した応答信号は、特定の時間帯に通信ステーション1に送信される。すなわち、TS’ではRDB−2Aが送信され、TS2’ではRDB−2B,RDB−2Cが送信され、TS3’ではRDB−2D,RDB−2E,RDB−2Fが送信され、TS4’ではRDB−2Gが送信され、TS8’ではRDB−2Sが送信される。したがって、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号RDB−2A,RDB−2G,RDB−2Sは、送信ステーション1に個別に受信され、したがって、時間帯TS1’,TS4’,TS8’において個々に単独で現われ、また、他の幾つかの応答信号RDB−2B,RDB−2C,RDB−2D,RDB−2E,RDB−2Fは、単独ではなく2個または3個の組み合わせで通信ステーション1に受信されるといった状態が得られる。
【0062】
通信ステーション1によって受信された応答信号RDBは、デコード手段10から、導電接続部15を介して、プロセス制御手段6と、衝突検出手段11と、信号強度検出手段12とに与えられる。時間帯TS1’における応答信号RDB−2Aの場合、時間帯TS4’における応答信号RDB−2Gの場合、時間帯TS8’における応答信号RDB−2Sの場合、衝突検出手段11は、2つの応答信号RDB間で衝突がないことを検出し、その結果、前記手段は、接続部16を介して否定的な衝突情報NCOLをプロセス制御手段6に送信する。しかしながら、衝突検出手段11が時間帯TS2’および時間帯TS3’において応答信号RDB間の衝突を検出すると、すなわち、応答信号RDB−2Bと応答信号RDB−2Cとの間の衝突、および、RDB−2DとRDB−2EとRDB−2Fとの間の衝突を検出すると、衝突検出手段11は、2つの時間帯TS2’,TS3’のそれぞれにおいて衝突を検出し、接続部6を介して肯定的な衝突情報YCOLをプロセス制御手段6に与える。また、受信された応答信号RDBの信号強度は、信号強度検出手段12によって検出されて決定される。前述した全ての応答信号が高い信号レベルで受信されたと仮定すると、信号強度検出手段12は、受信した各応答信号に関して高レベルを検出し、その結果、接続部17を介して高レベル情報HLI1をプロセス制御手段6に与える。前述した状態において、応答信号RDB−2A,RDB−2G,RDB−2Sは、プロセス制御手段6に含まれる応答信号識別手段6Bによって明確に識別される。その結果、関連するデータキャリア2A,2G,2Sは、明確に識別されたと見なされる。
【0063】
第1の問い合わせサイクルIPER1中に通信ステーション1によって受信された全ての応答信号の評価および処理の後、通信ステーション1において、「受信」モードから「送信」モードへの切換えがモード切換手段6Aによって行なわれるとともに、全てのデータキャリア2において、「送信」モードから「受信」モードへの切換えがモード切換手段56Aによって行なわれる。また、この第2の切換プロセスも、所定の切換時間、すなわち、この場合は302μsの値を有する切換時間STを必要とする。前述した切換プロセスの後、第1の問い合わせサイクルIPER1が終了する。
【0064】
第1の問い合わせサイクルIPER1の後、第2の問い合わせサイクルIPER2が開始される。第2の問い合わせサイクルIPER2の開始直後、通信ステーション1は、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2を形成する(図4の項目4参照)。この第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2は、第2の認識信号QDB2を含んでいる(図4の項目4.1参照)。この第2の認識信号QDB2は、第1の問い合わせサイクルIPER1中において、接続部15を介してデコード手段10により、また、接続部16を介して衝突検出手段11により、また、接続部17を介して信号強度検出手段12により、プロセス制御手段6に与えられる。時間帯TS1’,TS4’,TS8’で1つの応答信号RDB−2A,RDB−2G,RDB−2Sが発生した結果、第1の時間帯、第4の時間帯、第8の時間帯にそれぞれ関連する第2の認識信号QDB2のメインビットMBは値「1」に設定され、一方、第2の時間帯および第3の時間帯に関連するメインビットMBは、第1の問い合わせサイクルIPER1におけるこれらの2つの時間帯のそれぞれにおいて衝突が検出されたため、値「0」に設定されている。第1の問い合わせサイクルIPER1中に受信された全ての応答信号が高い信号強度すなわち高信号レベルで受信されたため、第1、第2、第3、第4、第8の時間帯に関連する第2の認識信号QDB2における全ての別個のビットABは、値「1」に設定されている。
【0065】
前述した第2の認識信号QDB2は、拡張された認識信号の成分として、すなわち、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2の成分として、通信ステーション1の通信範囲内に位置して未だ識別されていない全てのデータキャリア2に送信される。図4(図4の項目5参照)から明らかなように、第2の問い合わせサイクルIPER2中においては、第1の問い合わせサイクルIPER1中に通信ステーション1の通信範囲内に既に存在していた2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Sだけでなく、新たに入ったデータキャリア、すなわち、データキャリア2U,2V,2W,2X,2Y,2Zも通信範囲内に存在している。列挙されたデータキャリアのうち、データキャリア2A,2G,2Sは、第1の問い合わせ時間IPER1中に明確に識別された。
【0066】
各第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2は、前述したデータキャリア2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2S,2U,2V,2W,2X,2Y,2Zに与えられる。その後、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2内の問い合わせ信号は、問い合わせ信号検出手段58によって抽出されて評価される。これについては更に詳細に説明しない。また、第2の認識信号QDB2は、認識信号検出手段59によって、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2から抽出されて評価される。その後、認識信号検出手段59は、第2の検出情報RES2をプロセス制御手段56に供給する。その後、既に明確に識別されているデータキャリア2A,2G,2Sにおいて認識プロセスが行なわれる。この認識プロセスは、第1、第4、第8の時間帯に関連付けられ且つビット値「1」を有するメインビットMBの評価によって行なわれる。すなわち、データキャリア2A,2G,2Sに関して認識が達成される場合、これらの時間帯数記憶手段66に記憶された時間帯数TSNOの情報により、先の第1の問い合わせサイクルIPER1中のどの時間帯でこれらが応答信号を供給したかが分かっているため、これらの3つのデータキャリア2A,2G,2Sは、アイドル状態に設定され、その結果、もはや、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2に含まれる問い合わせ信号にも、任意の他の問い合わせ信号にも応答しない。他のデータキャリア2B,2C,2D,2E,2F,2U,2V,2W,2X,2Y,2Zに関しては認識が行なわれず、したがって、これらは、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2に含まれる問い合わせ信号に応答する。
【0067】
第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2に含まれる問い合わせ信号に対する前述した応答の結果、認識されていないデータキャリアのそれぞれにおいて、時間帯TSが選択される。この時間帯TSにおいて、関連するデータキャリア2は、その次の応答信号RDBを供給する。関連する時間帯TSは、時間帯決定手段65によって再び決定される。
【0068】
第2の問い合わせサイクルIPER2中において、2つのデータキャリア2B,2Eは、共に、第1の時間帯TS1”で、それらの応答信号RDB−2BおよびRDB−2Eを通信ステーション1に送信すると仮定する(図4の項目5参照)。また、データキャリア2Cは、第2の時間帯TS2”で、その応答信号RDB−2Cを通信ステーション1に単独で送信し、データキャリア2Fは、第3の時間帯TS3”で、その応答信号RDB−2Fを単独で送信し、2つのデータキャリア2U,2Vは、第5の時間帯TS5”で、それらの応答信号を送信し、データキャリア2W,2X,2Yは、第6の時間帯TS6”で、それらの応答信号を送信し、データキャリア2Zは、第7の時間帯TS7”で、その応答信号を送信すると仮定する。更に、全てのデータキャリアがその応答信号を通信ステーション1に高い信号強度で送信し、その結果、前記信号が高い信号レベルで通信ステーション1によって受信されると仮定する。
【0069】
前述した仮定の結果、データキャリア2C,2F,2Zは、接続部15を介してデコード手段10によりプロセス制御手段6の応答信号識別手段6Bにそれぞれ供給されるそれらの応答信号に基づいて、応答信号識別手段6Bにより明確に識別される。この場合の他の結果は、次の第3の問い合わせサイクルIPER3において、次の第3の認識信号QDB3の形成中に、第2、第3、第7の時間帯に関連付けられたメインビットMBが値「1」に設定される。
【0070】
第2の問い合わせサイクルIPER2中において、衝突検出手段11は、第1の時間帯、第5の時間帯、第6の時間帯で衝突を検出する。その結果、次の第3の問い合わせサイクルIPER3において、次の第3の認識信号QDB3の形成中に、第1、第5、第6の時間帯に関連するメインビットMBが値「0」に設定される。
【0071】
第2の問い合わせサイクルIPER2中に通信ステーション1によって全ての応答信号RDBが高い信号レベルで受信されるため、第3の認識信号QDB3の全ての別個のビットABは、次の第3の問い合わせサイクルIPER3で、次の第3の認識信号QDB3の形成中に、値「1」に設定される。
【0072】
第2の問い合わせサイクルIPER2中に通信ステーション1によって受信された応答信号RDBの評価の後、第2の問い合わせサイクルIPER2が終了する。この直後、第3の問い合わせサイクルIPER3が開始される。第3の問い合わせサイクルIPER3では、第3の組み合わせ信号(IDB+QDB)3が通信ステーション1からデータキャリア2に送信される(図4の項目6参照)。各データキャリア2によって第3の組み合わせ信号(IDB+QDB)3が受信された後、第3の組み合わせ信号(IDB+QDB)3に含まれる認識信号QDB3は、認識信号検出手段59によって評価される。第2の問い合わせサイクルIPER2中のどの時間帯で応答信号を送信したかが分かっているデータキャリア2C,2F,2Zに関しては、メインビットMBが値「1」に設定されているため、この評価は、前記データキャリアの認識を引き起こす。これは、これらのデータキャリアが、ちょうど開始された第3の問い合わせサイクルIPER3および次の第4の問い合わせサイクルIPER4等において無効とされ、結果としてもはやこれらの問い合わせサイクルに加わらないことを意味している。
【0073】
第3の問い合わせサイクルIPER3において、データキャリア2U,2W,2B,2Yは、第1の時間帯TS1”’、第2の時間帯TS2’”、第3の時間帯TS3’”、第8の時間帯TS8’”でそれぞれ、それらの応答信号を通信ステーション1に個別に送信すると仮定する(図4の項目7参照)。また、データキャリア2E,2V,2Xは、一緒になって、第4の時間帯TS4’”で、それらの応答信号を送信すると仮定する。更に、通信ステーション1の通信範囲内に新たに入ってきた2つのデータキャリア2K,2Lは、共に、第6の時間帯TS6’”で、それらの応答信号を送信すると仮定する。この場合、更に、第3の問い合わせサイクルIPER3に加わるデータキャリア2U,2W,2B,2E,2V,2X,2K,2Lがその応答信号を高い信号強度で送信し、その結果、これらの応答信号が高い信号レベルで通信ステーション1によって受信され、また、第3の問い合わせサイクルIPER3に加わるデータキャリア2Yがその応答信号を小さい信号強度で供給し、この応答信号が通信ステーション1によって低い信号レベルで受信されると仮定する。
【0074】
前述した仮定により、第4の問い合わせサイクルIPER4においてデータキャリア2に送信される認識信号QDB4は、その後、第4の問い合わせサイクルIPER4中に形成される。データキャリア2U,2W,2B,2Yから1つの応答信号が受信される結果、第1、第2、第3、8の時間帯に関連付けられる第4の認識信号QDB4(図4の項目8.1参照)のメインビットMBはそれぞれ値「1」に設定される。第3の問い合わせサイクルIPER3中に衝突が生じた第4の時間帯TS4’”、第6の時間帯TS6’”での衝突により、これらの時間帯に対応する第4の認識信号QDB4のメインビットは、値「0」に設定される。データキャリア2Yからの応答信号の低い信号レベルの結果、第4の認識信号QDB4の第8の時間帯に関連付けられた別個のビットABは値「0」に設定され、他の全ての応答信号が高いレベルで受信された結果、第4の認識信号QDB4の第1、第2、第3、第4、第6の時間帯に関連付けられた別個のビットABは値「1」に設定される。
【0075】
第3の問い合わせサイクルIPER3が終了した後、第4の問い合わせサイクルIPER4が開始される。このサイクルにおいて、通信ステーション1は、通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2U,2W,2B,2E,2V,2X,2K,2L,2Y,2M,2N,2Pに第4の組み合わせ信号(IDB+QDB)4を送信する。これらのデータキャリアのうち、データキャリア2U,2W,2B,2E,2V,2X,2K,2L,2Yは、第3の問い合わせサイクルIPER3中に通信ステーション1の通信範囲内に既に存在していた。一方、データキャリア2M,2N,2Pは、この通信範囲内に新たに入ってきた。第1、第2、第3、第8の時間帯に関連付けられ且つ値「1」を有するメインビットMBにより、データキャリア2U,2W,2B,2Yに関して認識が達成される場合、これらの時間帯数記憶手段66に記憶された時間帯数TSNOにより、第3の問い合わせサイクルIPER3中のどの時間帯でこれらが応答信号を供給したかが分かっているため、これらのデータキャリアはアイドル状態に設定される。他のデータキャリア2K,2V,2M,2N,2P,2E,2X,2Lは、第4の問い合わせサイクルIPER4に加わる。
【0076】
前述したデータキャリアのうち、データキャリア2K,2V,2P,2Lは、第1の時間帯TS1””、第3の時間帯TS3””、第5の時間帯TS5””、第8の時間帯TS8””で、それらの応答信号を個別に送信すると仮定する(図4の項目9参照)。また、2つのデータキャリア2M,2Nは、共に、第4の時間帯TS4””で、それらの応答信号を送信すると仮定する。更に、2つのデータキャリア2E,2Xは、共に、第6の時間帯TS6””で、それらの応答信号を送信すると仮定する。この場合、更に、データキャリア2Xが低い信号強度でその応答信号を送信し、その結果、通信ステーション1によって応答信号が低い信号レベルで受信されると仮定する。他のデータキャリア2K,2V,2M,2N,2P,2E,2Lの応答信号は、高い信号強度を有しており、その結果、通信ステーション1によって高い信号レベルで受信される。
【0077】
前述した仮定の結果、通信ステーション1は、次の第5の問い合わせサイクルIPER5中において、第5の認識信号QDB5を形成する。この場合、データキャリア2K,2V,2P,2Lから応答信号を別個に受信するため、第1、第3、第5、第8の時間帯に関連付けられたメインビットMBはそれぞれ値「1」に設定される。第4の時間帯TS4””においては、衝突のため、第4の時間帯に関連付けられたメインビットMBが第5の認識信号QDB5において値「0」に設定されている。
【0078】
2つのデータキャリア、すなわち、2つのデータキャリア2E,2Xは、第4の問い合わせサイクルIPER4中に第6の時間帯TS6””で通信ステーション1にそれらの応答信号を送信するが、通信ステーション1は、1つの応答信号だけ、すなわち、その応答信号を高い信号強度で送信するデータキャリア2Eからの応答信号だけを検出する。しかしながら、他のデータキャリア2Xは、その応答信号を、通信ステーション1がこの応答信号を受信することができないような小さい信号強度で送信する。実際に、そのような状況は、データキャリア、この場合にはデータキャリア2Xが通信ステーション1から遠く離れて位置している場合に起こる。このような距離でも、データキャリアは比較的低いレベルで組み合わせ信号(IDB+QDB)を受信することができ、この組み合わせ信号は、通信ステーション1によって常に高いレベルで送信されるが、データキャリアによって比較的低いレベルでのみ形成可能な応答信号は、通信ステーション1によって受信するためにはあまりにも弱すぎる。この場合、データキャリア2Xは、応答信号を送信する。すなわち、データキャリア2Xは、第4の問い合わせサイクルIPER4中において時間帯TS6””で応答信号を送信したが、通信ステーション1はこの応答信号を受信しなかった。しかしながら、第6の時間帯TS6””中において、通信ステーション1は、データキャリア2Eからの応答信号を受信する。これは、この応答信号が高い信号レベルで通信シテーション1に到達するからである。この結果、信号強度検出手段12は、第6の時間帯TS6””において高い信号レベルの応答信号を検出し、その結果、高レベル情報HLI1を形成して、これをプロセス制御手段6に接続部17を介して供給する。この結果、第5の認識信号QDB5において、第6の時間帯に関連付けられた別個のビットABが値「1」に設定される。これは、第1の時間体TS1、第3の時間帯TS3、第4の時間帯TS4、第5の時間帯TS5、第8の時間帯TS8に関連付けられた別個のビットABの場合と同じであり、これらの別個のビットも全て値「1」に設定される。
【0079】
第4の問い合わせサイクルIPER4が終了した後、第5の問い合わせサイクルIPER5が開始される。この開始の直後、通信ステーション1は、通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2K,2V,2M,2N,2P,2E,2X,2Lに対して、第5の組み合わせ信号(IDB+QDB)5を送信する。この結果、第5の認識信号QDB5が認識信号検出手段59によって評価され、その結果、データキャリア2K,2V,2P,2Lは、時間帯数記憶手段66に記憶された関連する時間帯数TSNOにより、第4の問い合わせサイクルIPER4中のどの時間帯でこれらが応答信号を供給したかが分かっているため、値「1」を有する各メインビットMBによって破棄され、結果として、アイドル状態に設定される。
【0080】
この状況において、その応答信号が高い信号レベルで受信されたデータキャリア2Eは、第5の認識信号QDB5において第6の時間帯に関連付けられたメインビットMBにより破棄される。このメインビットMBは値「1」に設定されているが、その応答信号がこのデータキャリアによって低い信号強度で送信され且つ通信ステーション1によってもはや受信されなかったデータキャリア2Xは、第6の時間帯に関連付けられたメインビットMBが値「1」を有しているにもかかわらず、破棄されない。これは、通信ステーション1からデータキャリア2Xへの第4の組み合わせ信号(IDB+QDB)4の送信中に、データキャリア2Xの信号強度検出手段52が、弱い信号レベルでのみデータキャリア2Xに組み合わせ信号(IDB+QDB)4が送信されたことを検出したためである。これに応じて、前記信号強度検出手段52は、低レベル情報LLI2を形成して、ライン54および接続部76を介してデータキャリア2Xのプロセス制御手段56に供給する。これは、データキャリア2Xにおいて、それが低い信号レベルでのみ通信ステーション1によって送信される信号を受信することができるデータキャリアであることが分かっていることを意味する。しかしながら、また、これは、通信ステーション1が非常に弱い信号レベルでのみデータキャリア2Xによって形成される信号を受信することができること、あるいは、全く受信することができないことも意味している。したがって、データキャリア2Xのプロセス制御手段56においては、データキャリア2Xが、非常に弱い信号だけを供給するデータキャリアであることが分かっている。しかしながら、第4の問い合わせサイクルIPER4の第6の時間帯TS6””で通信ステーション1が高レベルの応答信号を受信したことは、認識信号検出手段59によって、第5の認識信号QDB5から、すなわち、第6の時間帯に関連付けられ且つ値「1」を有するメインビットMBから決定される。しかしながら、これは、他のデータキャリアからの応答信号、この場合、データキャリア2Eからの応答信号でなければならない。なぜなら、それは、弱い信号を供給するデータキャリアであるデータキャリア2Xの応答信号とはなり得ないからである。したがって、認識信号検出手段59によって、強い信号を供給するデータキャリアを示す高レベル情報を形成する第2の検出情報RES2がプロセス制御手段56に与えられ、一方、プロセス制御手段56は、接続部76を介して低レベル情報LLI2も受信する。この低レベル情報LLI2は、弱い信号を供給するデータキャリアを示している。これらの2つの情報項目、すなわち、この場合、高レベル情報を形成する第2の検出情報RES2および低レベル情報は、互いに相反しており、プロセス制御手段56によって検出される結果として、データキャリア2Xは、認識されず、したがって、次の問い合わせサイクルにおいて認識されないデータキャリアと見なされる。
【0081】
したがって、認識されていない3つのデータキャリア2M,2N,2Xだけが第5の問い合わせサイクルIPER5に加わる(図4の項目11参照)。これらの3つの各データキャリア2M,2N,2Xは、時間帯TS2””、時間帯TS4”” 、時間帯TS6””でそれぞれ、それらの応答信号を別個に通信ステーション1に供給すると仮定する。ここで、2つのデータキャリア2M,2Xは、それらの応答信号を低い信号レベルで供給するとともに、データキャリア2Nは、その応答信号を高い信号レベルで供給し、したがって、3つのデータキャリア2M,2N,2Xからの3つの応答信号が全て通信ステーション1によって受信されると仮定する。この結果、第6の問い合わせサイクルIPER6でその後に形成される第6の認識信号QDB6において、第2、第4、第6の時間帯に関連付けられた3つのメインビットMBは、値「1」に設定されるとともに、第2の時間帯および第6の時間帯に関連付けられた別個のビットABが値「0」に設定され、第4の時間帯に関連付けられた別個のビットABが値「1」に設定される。
【0082】
第5の問い合わせサイクルIPER5が終了した後、第6の問い合わせサイクルIPER6が開始される。このサイクルにおいて、通信ステーション1は、開始直後に、データキャリア2M,2N,2Xに対して、第6の組み合わせ信号(IDB+QDB)6を送信する(図4の項目12参照)。この結果、認識信号検出手段59は、第2、第4、第6の時間帯に関連付けられ且つ値「1」を有するメインビットMBを検出する。その結果、3つのデータキャリア2M,2N,2Xは、時間帯数記憶手段66に記憶された各時間帯数TSNOにより、第5の問い合わせサイクルIPER5中のどの時間帯でこれらが応答信号を供給したかが分かっているため、破棄される。したがって、第6の問い合わせサイクルIPER6中においては、いずれのデータキャリア2も応答信号を形成せず(図4の項目13参照)、したがって、通信ステーション1は、もはや、応答信号を受信しない。このため、通信ステーションは、次の問い合わせサイクルIPER7において、第7の認識信号QDB7を形成する。この信号Iにおいて、全てのメインビットMBおよび全ての別個のビットABは、第1の認識信号QDB1と同様に、値「0」に設定される(図4の項目14および1参照)。
【0083】
第6の問い合わせサイクルIPER6の終了後、第7の問い合わせサイクルIPER7が開始される。この時、通信ステーション1は第7の組み合わせ信号(IDB+QDB)7を供給する(図4の項目14参照)。第7の組み合わせ信号(IDB+QDB)7は第7の認識信号QDB7を含んでいる。もはや、通信ステーション1の通信範囲内には、認識されていないデータキャリア2が全く存在しないため、通信ステーション1の通信範囲内に新たなデータキャリアが入ってこない場合には、第7の問い合わせサイクルIPER7で、全体の問い合わせサイクルが終了する(図4の項目15)。
【0084】
前述した方法は、問い合わせサイクルIPERn中に識別されるデータキャリアの認識が同じ問い合わせサイクルIPERn内で行なわれず、次の問い合わせサイクルIPERn+1になって初めて認識が行なわれるという大きな利点を有している。この認識は、非常に有効で且つ簡単な方法によって行なわれる。なぜなら、問い合わせサイクルIPERn中に識別される全てのデータキャリア2の認識は、好ましくは所定数の別個のビットABによって形成されるたった1つの認識信号QDBによって同時に行なわれるからである。
【0085】
図1に示される通信ステーション1および図2に示されるデータキャリア2によって行なわれる前述した方法においては、認識信号QDBの形成中に、各メインビットMBとともに、1つの別箇のビットABだけが形成される。これは、通信ステーション1の信号強度検出手段12およびデータキャリア2の信号強度検出手段52がたった1つの閾値で動作し、その結果、この1つの閾値にのみ関連して信号強度を決定できるためである。なお、そのような信号強度検出手段は、複数の閾値によって、選択的に動作することができる。この場合、複数の信号強度ステップの振幅によって信号強度を評価して決定することができる。その結果、1つの別箇のビットABだけを使用することがもはや不可能となり、少なくとも2つの別箇のビットABが認識信号QDBの各メインビットに関連付けられる。
【0086】
また、前述した方法に関して述べると、図3から明らかなように、この方法を用いると、時間帯TSのための時間および応答信号RDBのための時間を、それらが実質的に同じ長さとなるように選択することが可能となり、その結果、連続的な応答信号RDB間に時間の空白がなくなり、問い合わせプロセスの全体の所要時間を最小にするという利点がある。しかしながら、時間帯TSのための時間を応答信号RDBのための時間よりも僅かに長く選択することが有利な場合もある。この場合、時間帯TSの時間の長さと応答信号RDBの時間の長さとの間の時間差を大きく選択して、2つの連続する応答信号RDB間に約300μsの時間的マージンを得るようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】
データキャリアと通信する本発明に係る通信ステーションを概略的に示すブロック図である。
【図2】
図1に示される通信ステーションと通信するデータキャリアの図1と同様な図を示している。
【図3】
図1に示される通信ステーションと図2に示されるデータキャリアとの間での通信のための本発明に係る方法において連続して現れる様々な信号の時間系列を示す概略図である。
【図4】
図3に部分的に示される様々な信号の時間系列を示す概略図である。
本発明は、通信ステーションとデータキャリアとの間で通信する方法と、通信ステーションと、データキャリアとに関する。これらは全て既に知られており、通信ステーションと複数のそのようなデータキャリアとの間での通信中においては、通信ステーションは、問い合わせサイクル中に、まず第1に、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに対して問い合わせ信号を供給する。その後、応答する各データキャリアは、応答信号を通信ステーションに供給する。データキャリアによって形成された応答信号においては、これらの幾つかの応答信号間で、いわゆる衝突、すなわち、少なくとも2つの応答信号がこれらを互いに区別することができない態様で現われるといった場合が生じる。その結果、通信ステーションは、少なくても部分的に見分けがつかない応答信号を形成するそれらのデータキャリアを明確に識別することができない。その後、そのようなデータキャリアには、認識信号が供給されず、あるいは、否定的な認識信号が供給される。しかしながら、データキャリアによって形成される応答信号のうち、幾つかの応答信号は、別箇に現れる。すなわち、これらの応答信号のそれぞれを互いに明確に区別することができ、これらの応答信号のそれぞれを通信ステーションによって明確に識別することができる。その後、通信ステーションは、明確に識別された応答信号に関し、この明確に識別された応答信号を供給したデータキャリアに対して認識信号を供給する。その結果、関連するデータキャリアが通信ステーションによって明確に識別されたという情報がデータキャリアに受信され、その後、この情報をデータキャリアで利用できる。
【0002】
既知の方法、既知の通信ステーション、既知のデータキャリアの場合、通信ステーションは、まず最初に、問い合わせサイクル中において、問い合わせ信号を形成して、これを、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに送信する。その後、通信ステーションが送信に設定され、データキャリアが受信に設定される。その後、通信ステーションが送信から受信に切換えられ、データキャリアが受信から送信に切換えられた後、データキャリアは、先に受信した問い合わせ信号に応答して、応答信号を通信ステーションに送信する。この時、データキャリアから通信ステーションへの応答信号の送信は、いわゆる時間帯で行なわれる。所定数の時間帯が選択され、各データキャリアは、各データキャリアの連続番号に基づいて、1つの時間帯に割り当てられる。
【0003】
そのような時間帯内で、1または複数のデータキャリアは、まず第1に、応答信号を通信ステーションに送信する。その後、この時間帯において、通信が受信から送信に切換えられ、同時に、1または複数のデータキャリアが送信から受信に切換えられる。時間帯内におけるこの最初の切換え動作は、所定の切換え時間を必要とする。その後、通信ステーションは認識信号を送信する。この認識信号は、1つのデータキャリアだけが対応する時間帯に通信ステーションに応答信号を送信した場合には、肯定的な認識信号となり、複数のデータキャリアが対応する時間帯に通信ステーションに応答信号を送信した場合には、否定的な認識信号となる。認識信号の送信後、他の切換え動作が行なわれる。すなわち、ここで、通信ステーションが送信から受信に切換えられ、1または複数のデータキャリアが受信から送信に切換えられる。また、この切換え動作は、1つの時間帯内で所定の切換え時間を必要とする。このように、既知の方法においては、各時間帯毎に2つの切換え時間が生じ、これは、問い合わせサイクルの長さが比較的大きくなり、その結果、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアを複数の問い合わせサイクルによって明確に識別するために必要な時間が比較的長くなるという点で不都合である。
【0004】
更に、既知の解決策では、任意の安全策を講じることなく、1ビットもしくは複数のビットを有するビット・スリングを示すデジタル信号である認識信号が、通信ステーションからデータキャリアに送信される。これは、混信を最小限に抑える、すなわち、混信を最大限に防止するという点では好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、前述した問題を防止して、低コストで簡単な方法により、改良された方法、改良された通信ステーション、改良されたデータキャリアを実現することである。
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る方法は、本発明に係る特徴的な構成を有している。そのような態様において、本発明に係る方法は、以下に規定される態様で特徴付けることができる。すなわち、
通信ステーションと、通信ステーションの通信範囲内に存在するデータキャリアとの間の通信方法において、問い合わせサイクルの開始において、通信ステーションは、通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに対して問い合わせ信号を供給し、問い合わせサイクル中において、通信範囲内に存在する全てのデータキャリアは、問い合わせ信号を受信するとともに、それぞれが問い合わせ信号に応じて応答信号を供給し、通信ステーションは、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号を、個々に、したがって、別個に受信し、また、通信ステーションは、少なくとも2つの幾つかの応答信号を、同時に、したがって、別個にではなく受信し、通信ステーションは、応答信号が通信ステーションによって別個に受信された任意のデータキャリアに対して認識信号を供給し、応答信号が通信ステーションによって別個に受信されたデータキャリアは、認識信号を受信して評価し、認識信号の評価の結果、応答信号が通信ステーションによって別個に受信された各データキャリアは、通信ステーションによって次に供給される問い合わせ信号において無効にされ、問い合わせサイクルの終了後、通信ステーションは、次の問い合わせサイクルを開始するために、問い合わせ信号を供給し、通信ステーションは、各認識信号を、拡張された問い合わせ信号の成分として形成する。
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る通信ステーションは、本発明に係る特徴的構成を有している。そのような態様において、本発明に係る通信ステーションは、以下に規定される態様で特徴付けることができる。すなわち、
その通信範囲内に存在するデータキャリアと通信するための通信ステーションにおいて、問い合わせ信号形成手段が設けられ、この問い合わせ信号形成手段によって、問い合わせサイクルの開始のために問い合わせ信号を形成することができ、また、転送手段が設けられ、この転送手段によって、形成された問い合わせ信号を通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに供給することができ、これによって、問い合わせ信号を通信範囲内に存在する全てのデータキャリアによって受信することができ、ステーション受信手段が設けられ、このステーション受信手段によって、受信された問い合わせ信号に応じて全てのデータキャリアによって供給された応答信号を受信することができ、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号を、個々に、したがって、別個に受信することができ、また、少なくとも2つの幾つかの応答信号を、同時に、したがって、別個にではなく受信することができ、認識信号形成手段が設けられ、この認識信号形成手段によって、応答信号が別個に受信された各データキャリアのための認識信号を形成することができ、この認識信号をステーション転送手段によって関連するデータキャリアに供給することができ、認識信号形成手段および問い合わせ信号形成手段は、互いに協働して、認識信号を、拡張された問い合わせ信号の成分として形成することができるようになっている。
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るデータキャリアは、本発明に係る特徴的構成を有している。そのような態様において、本発明に係るデータキャリアは、以下に規定される態様で特徴付けることができる。すなわち、
通信範囲を有する通信ステーションと通信するためのデータキャリアであって、そのようなデータキャリアは通信範囲内に存在し、データキャリア受信手段が設けられ、このデータキャリア受信手段によって、通信ステーションによって供給された問い合わせ信号を受信することができ、応答信号形成手段が設けられ、この応答信号形成手段によって、受信した問い合わせ信号に応じて応答信号を形成することができ、データキャリア転送手段が設けられ、このデータキャリア転送手段によって、形成された応答信号を通信ステーションに供給することができ、認識信号検出手段が設けられ、この認識信号検出手段によって、通信ステーションからデータキャリアに供給され且つデータキャリア受信手段によって受信された認識信号を検出することができ、認識信号検出手段は、拡張された問い合わせ信号の成分としてデータキャリアに供給され且つデータキャリア受信手段によって受信された認識信号を抽出するようになっている。
【0009】
本発明に係る手段を提供することによって、低コストで簡単な方法により以下のことが達成できる。すなわち、問い合わせサイクルが実行される時に、通信ステーションによって形成することができる問い合わせ信号だけが、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに送信され、その後、データキャリアによって形成することができる応答信号が通信ステーションに送信され、その結果、問い合わせサイクル中に、通信ステーションが送信から受信に切換えられ、同時に、問い合わせ信号の送信後で且つ応答信号の送信前にデータキャリアが受信から送信に切換えられるが、その後は、認識信号が通信ステーションによって有利に形成されるとともに、次に作動されて実行される問い合わせサイクルでのみ前記認識信号がデータキャリアに送信されるため、問い合わせサイクル中において更なる切換え動作は不要であり、そのため、先に行なわれた問い合わせサイクルの終了後で且つ次に行なわれる問い合わせサイクルの始めに受信から送信に通信ステーションを切換えるとともに、データキャリアを送信から受信に切換えることが当然に必要となる。すなわち、これは、通信ステーションによるその後の問い合わせ信号の送信およびデータキャリアによる問い合わせ信号の受信において、いずれにしても必要となる。しかしながら、本発明に係る手段によれば、問い合わせサイクルに必要な時間を明確に減らすことができる。その結果、通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのレコードキャリアを複数の問い合わせサイクルによって明確に識別するために必要な時間は、比較的短く、序文で述べたような従来技術よりも明らかに短くなる。本発明に係る手段を提供することにより、他の利点が得られる。すなわち、前述した従来技術よりも実質的に混信を大きく低減しつつ、問い合わせ信号の成分を形成する認識信号の送信が行なわれるからである。その理由は、安全性の目的で、問い合わせ信号の送信が安全に送信されるからである。この場合、例えば、問い合わせ信号の送信は、所謂CRCチェックサムによって保護される。すなわち、いずれにしても存在する安全な特徴的構成は、問い合わせ信号に含まれる認識信号の送信のために別に使用される。
【0010】
本発明に係る方法、本発明に係る通信ステーション、本発明に係るデータキャリアにおいては、請求項2、請求項6、請求項10に規定された手段を別に採用することが有益であることが分かる。実際に、これらの実施例は、これらの実施例を用いて問い合わせサイクルの時間を短くすることができ、また、これらの実施例を用いて通信ステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリアの識別を非常に迅速に行なうことができるため、特に有益であることが分かる。
【0011】
また、前述した方法、前述した通信ステーション、前述したデータキャリアにおいては、請求項3,4,7,8,11,12に規定された手段をそれぞれ採用することが非常に有益であることが分かる。したがって、認識信号に結び付けられた別箇の情報を、本発明に係る通信ステーションから本発明に係るデータキャリアに対して簡単な方法で且つ簡単な形態で送信することができる。
【0012】
本発明の前述した形態および更なる別の形態は、後述する実施例から明らかとなり、また、この例に基づいて説明する。
【0013】
以下、一例として図面に示され且つ本発明を限定するものではない実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1は、データキャリア(データ記憶媒体)2と通信するための通信ステーション1を示している。このうち、データキャリア2は図2に示されている。通信シテーション1とデータキャリア2との間の通信は、データキャリア2が通信ステーションの通信範囲内に位置している時、すなわち、データキャリア2がこのこの通信範囲内に存在している時に可能である。通信ステーション1およびデータキャリア2は、連続する時間帯TSにおいて通信するようになっている。図3は、これらの時間帯のうち、時間帯TS1’,TS2’,TS3’,TS4’,..........TS8’およびTS1”,TS2”,TS3”,........を示している。
【0015】
通信ステーション1は、電力供給を受ける通信ステーションの全ての部分に電力を供給するための電源3を有している。
【0016】
通信ステーション1はマイクロコンピュータ4を更に有している。マイクロコンピュータ4は、バス通信5を介して、図1に示されていない所謂ホストコンピュータに接続されている。マイクロコンピュータ4は、プロセス制御手段6と、問い合わせ信号形成手段7と、認識信号形成手段8と、エンコード手段9と、デコード手段10と、衝突検出手段11と、信号強度検出手段12とを有している。プロセス制御手段6は、各導電接続部13,14,15,16,17を介して、それぞれの手段7,8,10,11,12に接続されている。また、導電接続部18が認識信号形成手段8と問い合わせ信号形成手段7との間に設けられ、導電接続部19が問い合わせ信号形成手段7とエンコード手段9との間に設けられ、導電接続部20がデコード手段10と衝突検出手段11との間に設けられ、導電接続部21がデコード手段10と信号強度検出手段12との間に設けられている。
【0017】
この場合、プロセス制御手段6はモード切換手段6Aを有している。このモード切換手段6Aによって、「送信」モードと「受信」モードとの間で切り換えることができる。図示しない方法で、モード切換手段6Aは、切り換え、すなわち、「送信」モードと「受信」モードとの間で切り換えるために切り換えられるべき通信ステーション1の全ての部分の制御を行なう。そのようなモード切換手段6Aは必ずしも設けられる必要はない。なぜなら、いずれにしても、見かけの時間に関する正確な情報と送信状態および受信状態の時間系列に関する情報とが通信ステーションにおいて利用できるからである。プロセス制御手段6は、応答信号識別手段6Bを更に有している。この応答信号識別手段6Bにより、データキャリア2によって供給され且つ通信ステーション1によって個別に受けられる各応答信号RDBを識別することができ、その結果、各データキャリア2を識別することができる。また、応答信号識別手段6Bは、デコード手段10とプロセス制御手段6との間に設けられた1つのユニットの形態を成している。
【0018】
問い合わせ信号形成手段7は、問い合わせ信号IDBを形成するようになっている。しかしながら、問い合わせ信号形成手段7は、問い合わせ信号IDBだけでなく、他のコマンド信号、例えば書き込みコマンド信号または読み込みコマンド信号あるいは消去信号および他の信号を形成することもできる。各問い合わせ信号IDBによって、問い合わせプロセスの問い合わせサイクルIPERを開始することができる。問い合わせサイクルのうち、2つの問い合わせサイクルIPER1,IPER2が図3に示されている。また、7つの問い合わせサイクルIPER1,IPER2,IPER3,IPER4,IPER5,IPER6,IPER7が図4に示されている。各問い合わせ信号IDBはデジタル信号の形態を成しており、このデジタル信号は、所定の数のビットからなるビット・ストリングである。この場合、問い合わせ信号IDBは、全部で10×8ビット、すなわち、80ビットからなる。ビット毎の信号持続時間は、40μsに対応しており、その結果、問い合わせ信号IDBの信号持続時間は、3200μs=3.2msの値を有している。
【0019】
認識信号形成手段8は、認識信号QDBを形成するようになっている。認識信号形成手段8により、各データキャリア2に関して認識信号QDBを形成することができる。以下において詳細に述べるように、データキャリア2は、応答信号RDBを形成して供給するようになっており、そのような応答信号RDBは、データキャリアから通信ステーション1によって個別に受けられ、したがって、通信ステーション1によってはっきりと識別される。後述するステーション出力手段によって、認識信号QDBを、関連する識別されたデータキャリア2に供給することができる。
【0020】
この場合、通信ステーション1は、認識信号形成手段8および問い合わせ信号形成手段7が互いに協働するように有利に構成されている。このような協働は、導電接続部18が手段7と手段8との間に設けられているために可能となる。認識信号形成手段8によって形成された各認識信号QDBは、接続部18を介して、問い合わせ信号形成手段7に与えることができる。問い合わせ信号形成手段7は、受けた認識信号QDBを、形成される問い合わせ信号IDB内に組み込み或は埋め込む。その結果、各認識信号QDBを、拡張された問い合わせ信号IDB+QDBとして形成することができる。以下、拡張された問い合わせ信号を組み合わせ信号IDB+QDBと称する。
【0021】
認識信号QDBにおいて述べると、この場合、各認識信号QDBは、デジタル信号によって形成される。このデジタル信号は、所定数のメインビットMBからなるビット・ストリングである。この場合、各認識信号は、全部で8メインビットMBからなる。メインビット毎の信号持続時間は40μsであり、その結果、認識信号QDBの全てのメインビットMBの信号持続時間は、320μs=0.32msの値を有している。
【0022】
また、認識信号QDBにおいて述べると、非常に重要で且つ有利な特徴、すなわち、認識信号QDBを形成する各デジタル信号において、各メインビットが時間帯TSに関連付けられ、データキャリア2から応答信号RDBが生じる時間帯にそれぞれ関連付けられるメインビットMBが所定のビット値、すなわち、この場合はビット値「1」を有しているという事実がある。この重要な特徴については、後で詳細に説明する。
【0023】
認識信号QDBに関して述べると、他の重要な特徴、すなわち、認識信号QDBを形成する各デジタル信号において、別個のビットABが各メインビットMBに加えられ、別個のビットABのそれぞれのビット値がデータキャリア2のパラメータ表示を形成し、この場合のデータキャリア2のパラメータは、通信ステーション1がデータキャリア2から応答信号RDBを受けた信号強度によって形成されるという事実がある。この重要な手段についても、後で詳細に説明する。したがって、各認識信号QDBは8つの別個のビットABを有しており、別個のビットAB毎の信号持続時間は40μsであり、その結果、認識信号QDBの別個のビットの全てにおける信号持続時間は、320μs=0.32msの値を有している。
【0024】
このように、認識信号QDBとして形成されるデジタル信号は、全部で2×8=16ビットから成り、これは、認識信号QDBに関する640μs=0.64msの信号持続時間を生じる。その結果、全部で12×8ビットからなる組み合わせ信号IDB+QDBは、3.84msの信号持続時間を有する。
【0025】
エンコード手段9は、組み合わせ信号IDB+QDBをエンコードするようになっている。この場合、エンコード手段9は、所謂マンチェスター・コーディングを行なうようになっている。エンコード手段9は、エンコード後に、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODを供給する。
【0026】
通信ステーション1は、変調器22とキャリア信号発生器23とを更に有している。キャリア信号発生器23は、変調されていないキャリア信号CSを形成することができる。変調器22は、ライン24を介して、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODを受けるとともに、別のライン25を介して、変調されていないキャリア信号CSを受けるように設けられている。変調器22は、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODに基づいて、変調されていないキャリア信号CSの振幅変調を行なうようになっている。変調後、変調器22は、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODに基づいて、振幅変調されたキャリア信号CS(AK)をその出力部で供給する。
【0027】
変調器22による変調されていないキャリア信号CSのそのような振幅変調は、通信ステーション1の「送信」モードで行なわれる。この「送信」モードでは、信号を通信ステーション1からデータキャリア2に供給することができるように、通信ステーションの部品が制御される。既に述べたように、通信ステーション1は、「受信」モードに設定することができる。この「受信」モードにおいて、キャリア信号発生器23は、変調されていないキャリア信号CSを、ライン25を介して、変調器22に供給する。しかし、「受信」モードにおいて、変調器22は、変調されていないキャリア信号CSを振幅変調しない。その結果、変調器は、変調されていないキャリア信号CSを、その出力で供給する。
【0028】
通信ステーション1は、ライン26Aを介して変調器22に接続された電力増幅器26を更に有している。電力増幅器26により、「送信」モードにおいて、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)を増幅することができるとともに、「受信」モードにおいて、変調されていないキャリア信号CSを増幅することができる。増幅時、作動している動作モードに基づいて、2つの信号CS(ASK),CSのうちの一方が、通信ステーション1の転送手段27に与えられる。転送手段27は、ステーション送信手段およびステーション受信手段の両方を形成する。転送手段27は、図1に示される送信コイル28を有している。「送信」モードにおいて、転送手段27は、その後、ステーション送信手段として動作し、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)を、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2に送信することができる。その結果、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア23によって、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)を受けることができる。振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)は、問い合わせ信号IDBおよび認識信号QDBであるエンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODを示すため、形成された各問い合わせ信号IDBおよび形成された各認識信号QDBを、転送手段27によって、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2に送信することができる。その結果、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2によって、形成された各問い合わせ信号IDBおよび形成された各認識信号QDBを受けることができる。
【0029】
問い合わせ信号IDBの受信に応じて、通信ステーション1の通信範囲内に存在する各データキャリア2は、応答信号RDBを形成する。これについては、後に詳細に説明する。各データキャリア2によって形成される応答信号RDBは、通信ステーション1の転送手段27に非変調形式で与えられた変調されていないキャリア信号CSのロード変調によって、関連するデータキャリア2から通信ステーション1に送信される。この場合、無論、通信ステーション1は、「受信」モードである。「受信」モードにおいて、転送手段27は、ステーション受信手段として動作する。「受信」モードにおいて、転送手段27は、受けた問い合わせ信号IDBに応じて、通信ステーションの通信範囲内の全てのデータキャリア2によって供給される全ての応答信号RDBを受けることができる。この点に関しては、図3を参照すると、そのような応答信号RDB、すなわち、応答信号RDB−2A,RDB−2B,RDB−2C,RDB−2D,RDB−2E,RDB−2F,RDB−2G,RDB−2Sが示されている。文字A,B,C,D,E,F,G,Sは、異なるデータキャリア2すなわちデータキャリア2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Sから応答信号が生じていることを示すためのものである。図3から明らかなように、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号RDB−2A,RDB−2G,RDB−2S,RDB−2C,RDB−2Fはそれぞれ、個別に受信されることが可能であり、その結果、時間帯TS1’,TS4’,TSD8’,TS2”,TS3”においてそれぞれ現れる時に別々に単独で受信されることが可能である。他の幾つかの応答信号RDB−2B,RDB−2C,RDB−2D,RDB−2E,RDB−2Fおよび更にRDB−2B,RDB−2Eは、少なくとも対で受信されることが可能であり、その結果、時間帯TS2’,TS3’,TS1”において個別に現れることはなく、少なくとも対で現れる。
【0030】
データキャリア2によって送信され且つ通信ステーションによって受信される各応答信号RDBは、デジタル信号によって形成される。このデジタル信号は、所定数のビットを有するビット・ストリングである。この場合、このビット・ストリングは、8×8=64ビットから成る。ビット毎の信号持続時間は約40μsであり、その結果、応答信号RDBに関する信号持続時間は、2.56msの値を有している。
【0031】
この場合、既に述べたように、先のエンコード後にデータキャリア2によって形成される応答信号RDBは、通信ステーションのキャリア信号発生器23によって形成された変調されていないキャリア信号CSのロード変調によって通信ステーションに送信することができる。その結果、転送手段27は、ライン31を介して通信ステーション1のフィルタ手段30に与えることができるロード変調されたキャリア信号CS(LM)を形成する。ロード変調されたキャリア信号CS(LM)がフィルタに通されると、ライン32を介してロード変調されたキャリア信号CS(LM)を通信ステーション1の復調器33に与えることができる。ロード変調されたキャリア信号CS(LM)を復調器33によって復調することができる。復調後、復調器33は、ライン34を介して、エンコードされた応答信号(RDB)CODを増幅器35に供給する。この増幅器は、増幅されたエンコード応答信号(RDB)CODを、マイクロコンピュータによって実現されたデコード手段10に供給する。
【0032】
デコード手段10は、ここに与えられたエンコードされた応答信号(RDB)CODをデコードするようになっている。デコードが終了した後、デコード手段10は、デコードされた応答信号RDBを供給する。その後、応答信号RDBは、応答信号識別手段6Bに与えられる。この場合、応答信号識別手段6Bは、プロセス制御手段6内に含まれている。応答信号識別手段6Bによって、単独で現れる応答信号RDBを明確に識別することができる。
【0033】
また、応答信号RDBは、衝突検出手段11に与えられる。衝突検出手段11は、1つのデータキャリア2からの1つの応答信号RDBが1つの時間帯TSにおいて現れたか否か、あるいは、2つ以上のデータキャリア2からの複数の応答信号RDBが1つの時間帯TSで現れたか否かを検出するようになっている。1つの応答信号RDBだけが時間帯TSにおいて受信される場合、衝突検出手段11は、導電接続部16を介して、否定的な衝突情報NCOLをプロセス制御手段6に供給する。しかしながら、少なくとも2つの応答信号RDBが1つの時間帯TSにおいて受信された場合には、衝突検出手段11は、肯定的な衝突情報YCOLをプロセス制御手段6に供給する。
【0034】
また、デコード手段10によって供給された応答信号RDBを、導電接続部21を介して、信号強度検出手段12に与えることができる。信号強度検出手段12は、受信後に、データキャリアによって送信され且つ通信ステーションによって受信される応答信号RDBの信号強度が所定の閾値を下回っているか或はこの閾値を上回っているか否かを検出することができるようになっている。信号強度が閾値を下回っている場合には、信号強度検出手段12は、導電接続部17を介して、低レベル情報LLI1をプロセス制御手段6に供給する。逆に、信号強度が閾値を超えている場合には、信号強度検出手段12は、高レベル情報HLI1を作動手段6に供給する。
【0035】
以下、図2に示されるデータキャリア2について説明する。
【0036】
データキャリア2は、データキャリア受信手段およびデータキャリア送信手段の両方を形成する転送手段40を有している。転送手段40は、図2に示される送信コイル41を有している。転送手段40は、送信コイル41とともに共振回路を形成する図示しないキャパシタ・コンフィギュレーションを更に有している。共振回路の共振周波数は、変調されていないキャリア信号TSの周波数に対応している。
【0037】
通信ステーション1によって供給される問い合わせ信号および通信ステーション1によって供給される認識信号QDBは、転送手段40によって受信することができる。また、転送手段40によって、データキャリア2によって形成された応答信号RDBを、通信ステーション1に供給することができる。応答信号IDBおよび認識信号QDBの受信、すなわち、組み合わせ信号IDB+QDBの受信は、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODに対応する振幅変調されたキャリア信号CS(AK)を受信することによって行なわれる。形成された応答信号RDBの供給は、エンコードされた応答信号(RDB)CODに対応し且つ応答信号RDBに対応するロード変調されたキャリア信号CS(LM)によって行なわれる。
【0038】
データキャリア2は電気回路42を有している。電気回路42は、集積回路の形態を成すとともに、ライン44を介して転送手段40に接続される端子43を有している。端子43は、整流手段45と、クロック信号再生手段46と、復調器47と、変調器48とに接続されている。
【0039】
整流手段45は、端子43に現れる信号、すなわち、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)またはロード変調されたキャリア信号CS(LM)の整流を行なって、これらの信号から直流電圧Vを得るようになっている。この直流電圧Vは、供給電圧を必要とするデータキャリア2の回路42の全部品に対して給電するために使用することができる。
【0040】
クロック信号再生手段46によって、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)またはロード変調されたキャリア信号CS(LM)からクロック信号を再生することができる。再生が終了すると、クロック信号再生手段46は、再生されたクロック信号CLKをライン49上に形成する。
【0041】
復調器47は、振幅復調器であり、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)を復調するようになっている。振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)の振幅復調が完了した後、復調器47は、振幅復調された組み合わせ信号(IDB+QDB)CODをライン50に送信する。
【0042】
変調器48は、ロード変調手段によって形成されており、変調されていないキャリア信号CSのロード変調を行なうようになっている。変調される信号をライン51を介して変調器48に与えることができる。すなわち、エンコードされた応答信号(RDB)CODに基づいて、変調されていないキャリア信号CSのロード変調を行なうために、エンコードされた応答信号(RDB)CODを変調器48に与えることができる。変調器48によるロード変調の結果、ロード変調されたキャリア信号CS(LM)が得られる。ロード変調されたキャリア信号CS(LM)は、変調器48の出力部で現れるとともに、端子43を介して転送手段40で利用可能であり、また、転送手段40によって通信ステーション1の転送手段27に転送される。
【0043】
データキャリア2の回路42は、ライン53を介して整流手段45に接続された信号強度検出手段52を更に有している。信号強度検出手段52は、通信ステーション1によって供給される振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)が閾値を下回る信号強度でデータキャリア2により受信されたか或は閾値を上回る信号強度でデータキャリア2により受信されたかを検出するようになっている。この目的のために実行される検出プロセスは、整流手段45によって供給される直流供給電圧Vを使用して実行される。振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)が高い信号強度で受信された場合には、信号強度検出手段は、高レベル情報HLI2をライン54に供給する。逆に、振幅変調されたキャリア信号CS(ASK)が低い信号強度で受信された場合には、信号強度検出手段は、低レベル情報LLI2をライン54に供給する。前記情報HLI2,LLI2は、ライン54を介してマイクロコンピュータ55に与えることができる。マイクロコンピュータ55内においては、導電ライン76を介して前記情報HLI2,LLI2をプロセス制御手段56に与えることができる。
【0044】
データキャリア2の回路42は、マイクロコンピュータ55を有している。マイクロコンピュータ55によってプロセス制御手段56が実現される。プロセス制御手段56は切換手段56Aを有している。切換手段56Aは、「受信」モードと「送信」モードとの間でデータキャリア2を切り換えるようになっている。そのような切換を必要とする回路42の全ての部品を切換手段56によって切り換えることができる。マイクロコンピュータ55は、ライン49を介して、再生されたクロック信号CLKを受信する。このクロック信号CLKは、マイクロコンピュータ55内において通常知られた方法で使用される。
【0045】
なお、マイクロコンピュータ55の代わりに、ハードワイヤード論理回路が設けられても良い。
【0046】
また、マイクロコンピュータ55は、デコード手段57と、問い合わせ信号検出手段58と、認識信号検出手段59と、ユーザデータ記憶部61および連続番号記憶部62を有する記憶手段60と、問い合わせ信号形成手段63と、エンコード手段64と、時間帯決定手段65と、時間帯数記憶手段66とを実現するために使用される。
【0047】
デコード手段57は、ライン50を介して、復調器47に接続されている。デコード手段57によって、エンコードされた組み合わせ信号(IDB+QDB)CODをデコードすることができる。デコードの終了時、デコード手段57は、組み合わせ信号IDB+QDBを供給する。組み合わせ信号IDB+QDBは、問い合わせ信号検出手段58および認識信号検出手段59の両方に供給される。
【0048】
通信ステーション1からデータキャリア2に送信された問い合わせ信号IDBは、問い合わせ信号検出手段58によって検出して評価することができる。検出された問い合わせ信号IDBは、問い合わせ信号検出手段58で利用できる。検出された問い合わせ信号IDBの評価時、問い合わせ信号検出手段58は、導電接続部67を介して、第1の検出情報RES1をプロセス制御手段56に供給する。
【0049】
通信ステーション1からデータキャリア2に送信されて転送手段40によって受信された認識信号QDBは、認識信号検出手段59によって検出して評価することができる。検出された認識信号QDBは、認識信号検出手段59で利用できる。評価時、認識信号検出手段59は、第2の検出情報RES2をプロセス制御手段56に供給する。
【0050】
この場合、認識信号検出手段59は、組み合わせ信号IDB+QDBの成分としてデータキャリア2に送信され且つ転送手段40によって受信される認識信号QDBを抽出する。認識信号検出手段59は、認識信号QDBとして受信されたデジタル信号を評価するようになっている。このデジタル信号は所定数のメインビットを有するビット・ストリングであり、デジタル信号においては、各メインビットが1つの時間帯TSと関連付けられている。これらのメインビットは1つの時間帯TSに関連付けられており、時間帯TSにおいては、データキャリア2からの1つの応答信号RDBだけが所定のビット値、この場合にはビット値「1」を有して現れる。この重要な特徴については、後に詳しく述べる。
【0051】
認識信号検出手段19について述べると、認識信号検出手段59は、認識信号QDBとして受信された差信号を評価するようになっていることが重要である。このデジタル信号においては、少なくとも1つの別個のビットが各メインビットに加えられ、別個のビットのそれぞれのビット値がデータキャリア2のパラメータ表示を形成する。この場合、データキャリア2の表示パラメータは、通信ステーション1がデータキャリア2から応答信号RDBを受信する信号強度である。
【0052】
記憶手段60は、データキャリア2内で必要で且つデータキャリア2にとって重要なデータおよび情報を記憶するようになっている。ユーザデータ記憶部61は、主に、ユーザデータすなわちデータキャリア2のユーザのデータを記憶するようになっている。例えば、ユーザデータ記憶部61は、クレジットの値、価格の大きさ、型表示、および、多くの他のデータを記憶するようになっている。連続番号記憶部62は、所謂、データキャリア2の特徴である連続番号SNRを記憶するようになっている。特定の連続番号SNRが各データキャリア2に割り当てられて連続番号記憶部62に記憶される。その結果、連続番号SNRによって、各データキャリア2を他の全てのデータキャリア2から区別することができる。記憶手段60は導電接続部69を介してプロセス制御手段56に接続されており、接続部69によって双方向通信(読み出し/書き込み)が可能である。
【0053】
応答信号形成手段63は、導電接続部70を介して、プロセス制御手段56に接続されている。また、応答信号形成手段63は、導電接続部71を介して、連続番号記憶部62に接続されている。応答信号形成手段63は応答信号RDBを形成するようになっており、連続番号記憶部に記憶された連続番号は、応答信号RDB内に反映される。応答信号形成手段63によって形成された応答信号RDBは、導電接続部72を介して、エンコード手段64に与えられる。エンコード手段64は、与えられた応答信号RDBをエンコードするとともに、エンコードされた応答信号(RDB)CODをライン51に供給し、結果として変調器48に供給する。エンコード手段64は、所謂マンチェスターコードにしたがって応答信号RDBをエンコードするようになっている。
【0054】
既に述べたように、データキャリア2は、連続する時間帯TSにおいて通信するようになっている。複数の時間帯TSのうちのどの時間帯TSでデータキャリア2がその応答信号QDBを通信ステーション1に送信するべきかをデータキャリア2に関して決定するために、時間帯数決定手段65が設けられている。この場合、時間帯数決定手段65は、導電接続部73を介して、連続番号記憶部62に接続されている。連続番号SNRの一部が連続番号記憶部62から接続部73を介して時間帯数決定手段65に与えられる度に、結果として、時間帯数決定手段65は、与えられた連続番号SNRの部分に基づいて、いちいち、時間帯数TSNOを決定する。時間帯数TSNOが決定された後、時間帯数TSNOは、導電接続部74を介して、時間帯数記憶手段66に与えられる。既に決定された時間帯数TSNOが時間帯数記憶手段66に記憶される。時間帯数記憶手段66に記憶された時間帯数TSNOは、前記手段から読み取ることが可能であり、また、導電接続部75を介してプロセス制御手段56に与えることができる。
【0055】
なお、時間帯数TSNOの形成および決定は、連続番号SNR以外の方法、例えば乱数発生によって行なっても良い。
【0056】
以下、図1に示された通信ステーション1とデータキャリア2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2K,2L,2M,2N,2P,2S,2U,2V,2W,2X,2Y,2Zとの間での通信方法について説明する。各データキャリア2のユーザデータ記憶部61内にデータを書き込んだり、このユーザデータ記憶部61からデータを読み取ったりすることができる全体の通信プロセスのうち、関連する部分だけ、すなわち、そのような通信プロセスの最初に必要な問い合わせプロセスについてのみ説明する。問い合わせプロセスにおいては、問い合わせプロセスの最初に通信ステーション1の通信範囲内に既に存在する全てのデータキャリア2、および、そのような問い合わせプロセス中に通信ステーション1の通信範囲に新たに入るデータキャリア2が正確に検知されて識別される。以下、この問い合わせプロセスについて、図3および図5を参照しながら説明する。
【0057】
問い合わせプロセスは、開始の瞬間START(図4の項目1参照)で始まる。開始の瞬間STARTにおいて、通信ステーション1は「送信」モードであり、通信ステーション1の通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2は「受信」モードである。開始の瞬間STARTで、第1の問い合わせサイクルIPER1が始まる。
【0058】
開始の直後(図4の項目2参照)、通信ステーション1の問い合わせ信号形成手段7および認識信号形成手段8によって第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1が形成され、この第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1は、通信ステーション1により、このステーションの通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2に送信される。この瞬間においては、データキャリア2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Sが通信ステーションの通信範囲内にあると仮定する。第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1内の問い合わせ信号IDBの正確な構造については、本発明に無関係であるため、ここでは詳細に説明しない。第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1内に含まれる第1の認識信号QDB1(図4の項目2.1参照)に関して再び述べると、この認識信号QDB1は、任意の更なる認識信号とともに、8つのメインビットMBおよび8つの別個のビットABから成る。各メインビットMBおよび別個の各ビットABは、ビット対を形成する。各ビット対は、1つの時間帯、すなわち、第1の認識信号QDB1の場合には時間帯TS1’,TS2’,TSD3’,TS4’,TS5’,TSD6’, TS7’,TS8’に関連付けられている。図4の項目2.1から明らかなように、第1の認識信号QDB1の全てのメインビットMBおよび全ての別個のビットABは、値「0」を有している。
【0059】
第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1の送信後、通信ステーション1は、モード切換手段6Aによって、「送信」モードから「受信」モードに切り換えられるとともに、全てのデータキャリア2は、切換手段56Aによって、「受信」モードから「送信」モードに切り換えられる。この第1の切換プロセスは、特定の切換時間STを必要とする。この場合、切換時間STのために302μsの値が選択される。
【0060】
前述したデータキャリアが組み合わせ信号(IDB+QDB)1を受信した後、この信号は、問い合わせ信号検出手段58および認識信号検出手段59によって評価される。第1の組み合わせ信号(IDB+QDB)1内の問い合わせ信号の評価については、この場合、関係がないため、更に詳細に説明しない。第1の認識信号QDB1に関して述べると、全てが値「0」を有する全てのメインビットMBの評価は、存在するデータキャリ2のいずれも受信を認識していないという結果をもたらす。第1の認識信号QDB1における別個のビットABの評価は、これまでのところ、通信ステーション1に応答信号RDBを送信するデータキャリア2がないことを示している。
【0061】
その後、前述した複数のデータキャリアは、個々に、どの時間帯で応答信号RDBを形成するのかについて決定を下す。これは、時間帯数決定手段65によって行なわれる。各時間帯が決定された後、各データキャリア2の応答信号形成手段63が応答信号RDBを形成し、これによって、この場合、応答信号RDB−2A,RDB−2B,RDB−2C,RDB−2D,RDB−2E,RDB−2F,RDB−2G,RDB−2Sが第1の問い合わせサイクルIPER1中に形成され、これらの応答信号は通信ステーション1に送信される。図3および図4(図4の項目3参照)から明らかなように、前述した応答信号は、特定の時間帯に通信ステーション1に送信される。すなわち、TS’ではRDB−2Aが送信され、TS2’ではRDB−2B,RDB−2Cが送信され、TS3’ではRDB−2D,RDB−2E,RDB−2Fが送信され、TS4’ではRDB−2Gが送信され、TS8’ではRDB−2Sが送信される。したがって、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号RDB−2A,RDB−2G,RDB−2Sは、送信ステーション1に個別に受信され、したがって、時間帯TS1’,TS4’,TS8’において個々に単独で現われ、また、他の幾つかの応答信号RDB−2B,RDB−2C,RDB−2D,RDB−2E,RDB−2Fは、単独ではなく2個または3個の組み合わせで通信ステーション1に受信されるといった状態が得られる。
【0062】
通信ステーション1によって受信された応答信号RDBは、デコード手段10から、導電接続部15を介して、プロセス制御手段6と、衝突検出手段11と、信号強度検出手段12とに与えられる。時間帯TS1’における応答信号RDB−2Aの場合、時間帯TS4’における応答信号RDB−2Gの場合、時間帯TS8’における応答信号RDB−2Sの場合、衝突検出手段11は、2つの応答信号RDB間で衝突がないことを検出し、その結果、前記手段は、接続部16を介して否定的な衝突情報NCOLをプロセス制御手段6に送信する。しかしながら、衝突検出手段11が時間帯TS2’および時間帯TS3’において応答信号RDB間の衝突を検出すると、すなわち、応答信号RDB−2Bと応答信号RDB−2Cとの間の衝突、および、RDB−2DとRDB−2EとRDB−2Fとの間の衝突を検出すると、衝突検出手段11は、2つの時間帯TS2’,TS3’のそれぞれにおいて衝突を検出し、接続部6を介して肯定的な衝突情報YCOLをプロセス制御手段6に与える。また、受信された応答信号RDBの信号強度は、信号強度検出手段12によって検出されて決定される。前述した全ての応答信号が高い信号レベルで受信されたと仮定すると、信号強度検出手段12は、受信した各応答信号に関して高レベルを検出し、その結果、接続部17を介して高レベル情報HLI1をプロセス制御手段6に与える。前述した状態において、応答信号RDB−2A,RDB−2G,RDB−2Sは、プロセス制御手段6に含まれる応答信号識別手段6Bによって明確に識別される。その結果、関連するデータキャリア2A,2G,2Sは、明確に識別されたと見なされる。
【0063】
第1の問い合わせサイクルIPER1中に通信ステーション1によって受信された全ての応答信号の評価および処理の後、通信ステーション1において、「受信」モードから「送信」モードへの切換えがモード切換手段6Aによって行なわれるとともに、全てのデータキャリア2において、「送信」モードから「受信」モードへの切換えがモード切換手段56Aによって行なわれる。また、この第2の切換プロセスも、所定の切換時間、すなわち、この場合は302μsの値を有する切換時間STを必要とする。前述した切換プロセスの後、第1の問い合わせサイクルIPER1が終了する。
【0064】
第1の問い合わせサイクルIPER1の後、第2の問い合わせサイクルIPER2が開始される。第2の問い合わせサイクルIPER2の開始直後、通信ステーション1は、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2を形成する(図4の項目4参照)。この第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2は、第2の認識信号QDB2を含んでいる(図4の項目4.1参照)。この第2の認識信号QDB2は、第1の問い合わせサイクルIPER1中において、接続部15を介してデコード手段10により、また、接続部16を介して衝突検出手段11により、また、接続部17を介して信号強度検出手段12により、プロセス制御手段6に与えられる。時間帯TS1’,TS4’,TS8’で1つの応答信号RDB−2A,RDB−2G,RDB−2Sが発生した結果、第1の時間帯、第4の時間帯、第8の時間帯にそれぞれ関連する第2の認識信号QDB2のメインビットMBは値「1」に設定され、一方、第2の時間帯および第3の時間帯に関連するメインビットMBは、第1の問い合わせサイクルIPER1におけるこれらの2つの時間帯のそれぞれにおいて衝突が検出されたため、値「0」に設定されている。第1の問い合わせサイクルIPER1中に受信された全ての応答信号が高い信号強度すなわち高信号レベルで受信されたため、第1、第2、第3、第4、第8の時間帯に関連する第2の認識信号QDB2における全ての別個のビットABは、値「1」に設定されている。
【0065】
前述した第2の認識信号QDB2は、拡張された認識信号の成分として、すなわち、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2の成分として、通信ステーション1の通信範囲内に位置して未だ識別されていない全てのデータキャリア2に送信される。図4(図4の項目5参照)から明らかなように、第2の問い合わせサイクルIPER2中においては、第1の問い合わせサイクルIPER1中に通信ステーション1の通信範囲内に既に存在していた2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Sだけでなく、新たに入ったデータキャリア、すなわち、データキャリア2U,2V,2W,2X,2Y,2Zも通信範囲内に存在している。列挙されたデータキャリアのうち、データキャリア2A,2G,2Sは、第1の問い合わせ時間IPER1中に明確に識別された。
【0066】
各第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2は、前述したデータキャリア2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2S,2U,2V,2W,2X,2Y,2Zに与えられる。その後、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2内の問い合わせ信号は、問い合わせ信号検出手段58によって抽出されて評価される。これについては更に詳細に説明しない。また、第2の認識信号QDB2は、認識信号検出手段59によって、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2から抽出されて評価される。その後、認識信号検出手段59は、第2の検出情報RES2をプロセス制御手段56に供給する。その後、既に明確に識別されているデータキャリア2A,2G,2Sにおいて認識プロセスが行なわれる。この認識プロセスは、第1、第4、第8の時間帯に関連付けられ且つビット値「1」を有するメインビットMBの評価によって行なわれる。すなわち、データキャリア2A,2G,2Sに関して認識が達成される場合、これらの時間帯数記憶手段66に記憶された時間帯数TSNOの情報により、先の第1の問い合わせサイクルIPER1中のどの時間帯でこれらが応答信号を供給したかが分かっているため、これらの3つのデータキャリア2A,2G,2Sは、アイドル状態に設定され、その結果、もはや、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2に含まれる問い合わせ信号にも、任意の他の問い合わせ信号にも応答しない。他のデータキャリア2B,2C,2D,2E,2F,2U,2V,2W,2X,2Y,2Zに関しては認識が行なわれず、したがって、これらは、第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2に含まれる問い合わせ信号に応答する。
【0067】
第2の組み合わせ信号(IDB+QDB)2に含まれる問い合わせ信号に対する前述した応答の結果、認識されていないデータキャリアのそれぞれにおいて、時間帯TSが選択される。この時間帯TSにおいて、関連するデータキャリア2は、その次の応答信号RDBを供給する。関連する時間帯TSは、時間帯決定手段65によって再び決定される。
【0068】
第2の問い合わせサイクルIPER2中において、2つのデータキャリア2B,2Eは、共に、第1の時間帯TS1”で、それらの応答信号RDB−2BおよびRDB−2Eを通信ステーション1に送信すると仮定する(図4の項目5参照)。また、データキャリア2Cは、第2の時間帯TS2”で、その応答信号RDB−2Cを通信ステーション1に単独で送信し、データキャリア2Fは、第3の時間帯TS3”で、その応答信号RDB−2Fを単独で送信し、2つのデータキャリア2U,2Vは、第5の時間帯TS5”で、それらの応答信号を送信し、データキャリア2W,2X,2Yは、第6の時間帯TS6”で、それらの応答信号を送信し、データキャリア2Zは、第7の時間帯TS7”で、その応答信号を送信すると仮定する。更に、全てのデータキャリアがその応答信号を通信ステーション1に高い信号強度で送信し、その結果、前記信号が高い信号レベルで通信ステーション1によって受信されると仮定する。
【0069】
前述した仮定の結果、データキャリア2C,2F,2Zは、接続部15を介してデコード手段10によりプロセス制御手段6の応答信号識別手段6Bにそれぞれ供給されるそれらの応答信号に基づいて、応答信号識別手段6Bにより明確に識別される。この場合の他の結果は、次の第3の問い合わせサイクルIPER3において、次の第3の認識信号QDB3の形成中に、第2、第3、第7の時間帯に関連付けられたメインビットMBが値「1」に設定される。
【0070】
第2の問い合わせサイクルIPER2中において、衝突検出手段11は、第1の時間帯、第5の時間帯、第6の時間帯で衝突を検出する。その結果、次の第3の問い合わせサイクルIPER3において、次の第3の認識信号QDB3の形成中に、第1、第5、第6の時間帯に関連するメインビットMBが値「0」に設定される。
【0071】
第2の問い合わせサイクルIPER2中に通信ステーション1によって全ての応答信号RDBが高い信号レベルで受信されるため、第3の認識信号QDB3の全ての別個のビットABは、次の第3の問い合わせサイクルIPER3で、次の第3の認識信号QDB3の形成中に、値「1」に設定される。
【0072】
第2の問い合わせサイクルIPER2中に通信ステーション1によって受信された応答信号RDBの評価の後、第2の問い合わせサイクルIPER2が終了する。この直後、第3の問い合わせサイクルIPER3が開始される。第3の問い合わせサイクルIPER3では、第3の組み合わせ信号(IDB+QDB)3が通信ステーション1からデータキャリア2に送信される(図4の項目6参照)。各データキャリア2によって第3の組み合わせ信号(IDB+QDB)3が受信された後、第3の組み合わせ信号(IDB+QDB)3に含まれる認識信号QDB3は、認識信号検出手段59によって評価される。第2の問い合わせサイクルIPER2中のどの時間帯で応答信号を送信したかが分かっているデータキャリア2C,2F,2Zに関しては、メインビットMBが値「1」に設定されているため、この評価は、前記データキャリアの認識を引き起こす。これは、これらのデータキャリアが、ちょうど開始された第3の問い合わせサイクルIPER3および次の第4の問い合わせサイクルIPER4等において無効とされ、結果としてもはやこれらの問い合わせサイクルに加わらないことを意味している。
【0073】
第3の問い合わせサイクルIPER3において、データキャリア2U,2W,2B,2Yは、第1の時間帯TS1”’、第2の時間帯TS2’”、第3の時間帯TS3’”、第8の時間帯TS8’”でそれぞれ、それらの応答信号を通信ステーション1に個別に送信すると仮定する(図4の項目7参照)。また、データキャリア2E,2V,2Xは、一緒になって、第4の時間帯TS4’”で、それらの応答信号を送信すると仮定する。更に、通信ステーション1の通信範囲内に新たに入ってきた2つのデータキャリア2K,2Lは、共に、第6の時間帯TS6’”で、それらの応答信号を送信すると仮定する。この場合、更に、第3の問い合わせサイクルIPER3に加わるデータキャリア2U,2W,2B,2E,2V,2X,2K,2Lがその応答信号を高い信号強度で送信し、その結果、これらの応答信号が高い信号レベルで通信ステーション1によって受信され、また、第3の問い合わせサイクルIPER3に加わるデータキャリア2Yがその応答信号を小さい信号強度で供給し、この応答信号が通信ステーション1によって低い信号レベルで受信されると仮定する。
【0074】
前述した仮定により、第4の問い合わせサイクルIPER4においてデータキャリア2に送信される認識信号QDB4は、その後、第4の問い合わせサイクルIPER4中に形成される。データキャリア2U,2W,2B,2Yから1つの応答信号が受信される結果、第1、第2、第3、8の時間帯に関連付けられる第4の認識信号QDB4(図4の項目8.1参照)のメインビットMBはそれぞれ値「1」に設定される。第3の問い合わせサイクルIPER3中に衝突が生じた第4の時間帯TS4’”、第6の時間帯TS6’”での衝突により、これらの時間帯に対応する第4の認識信号QDB4のメインビットは、値「0」に設定される。データキャリア2Yからの応答信号の低い信号レベルの結果、第4の認識信号QDB4の第8の時間帯に関連付けられた別個のビットABは値「0」に設定され、他の全ての応答信号が高いレベルで受信された結果、第4の認識信号QDB4の第1、第2、第3、第4、第6の時間帯に関連付けられた別個のビットABは値「1」に設定される。
【0075】
第3の問い合わせサイクルIPER3が終了した後、第4の問い合わせサイクルIPER4が開始される。このサイクルにおいて、通信ステーション1は、通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2U,2W,2B,2E,2V,2X,2K,2L,2Y,2M,2N,2Pに第4の組み合わせ信号(IDB+QDB)4を送信する。これらのデータキャリアのうち、データキャリア2U,2W,2B,2E,2V,2X,2K,2L,2Yは、第3の問い合わせサイクルIPER3中に通信ステーション1の通信範囲内に既に存在していた。一方、データキャリア2M,2N,2Pは、この通信範囲内に新たに入ってきた。第1、第2、第3、第8の時間帯に関連付けられ且つ値「1」を有するメインビットMBにより、データキャリア2U,2W,2B,2Yに関して認識が達成される場合、これらの時間帯数記憶手段66に記憶された時間帯数TSNOにより、第3の問い合わせサイクルIPER3中のどの時間帯でこれらが応答信号を供給したかが分かっているため、これらのデータキャリアはアイドル状態に設定される。他のデータキャリア2K,2V,2M,2N,2P,2E,2X,2Lは、第4の問い合わせサイクルIPER4に加わる。
【0076】
前述したデータキャリアのうち、データキャリア2K,2V,2P,2Lは、第1の時間帯TS1””、第3の時間帯TS3””、第5の時間帯TS5””、第8の時間帯TS8””で、それらの応答信号を個別に送信すると仮定する(図4の項目9参照)。また、2つのデータキャリア2M,2Nは、共に、第4の時間帯TS4””で、それらの応答信号を送信すると仮定する。更に、2つのデータキャリア2E,2Xは、共に、第6の時間帯TS6””で、それらの応答信号を送信すると仮定する。この場合、更に、データキャリア2Xが低い信号強度でその応答信号を送信し、その結果、通信ステーション1によって応答信号が低い信号レベルで受信されると仮定する。他のデータキャリア2K,2V,2M,2N,2P,2E,2Lの応答信号は、高い信号強度を有しており、その結果、通信ステーション1によって高い信号レベルで受信される。
【0077】
前述した仮定の結果、通信ステーション1は、次の第5の問い合わせサイクルIPER5中において、第5の認識信号QDB5を形成する。この場合、データキャリア2K,2V,2P,2Lから応答信号を別個に受信するため、第1、第3、第5、第8の時間帯に関連付けられたメインビットMBはそれぞれ値「1」に設定される。第4の時間帯TS4””においては、衝突のため、第4の時間帯に関連付けられたメインビットMBが第5の認識信号QDB5において値「0」に設定されている。
【0078】
2つのデータキャリア、すなわち、2つのデータキャリア2E,2Xは、第4の問い合わせサイクルIPER4中に第6の時間帯TS6””で通信ステーション1にそれらの応答信号を送信するが、通信ステーション1は、1つの応答信号だけ、すなわち、その応答信号を高い信号強度で送信するデータキャリア2Eからの応答信号だけを検出する。しかしながら、他のデータキャリア2Xは、その応答信号を、通信ステーション1がこの応答信号を受信することができないような小さい信号強度で送信する。実際に、そのような状況は、データキャリア、この場合にはデータキャリア2Xが通信ステーション1から遠く離れて位置している場合に起こる。このような距離でも、データキャリアは比較的低いレベルで組み合わせ信号(IDB+QDB)を受信することができ、この組み合わせ信号は、通信ステーション1によって常に高いレベルで送信されるが、データキャリアによって比較的低いレベルでのみ形成可能な応答信号は、通信ステーション1によって受信するためにはあまりにも弱すぎる。この場合、データキャリア2Xは、応答信号を送信する。すなわち、データキャリア2Xは、第4の問い合わせサイクルIPER4中において時間帯TS6””で応答信号を送信したが、通信ステーション1はこの応答信号を受信しなかった。しかしながら、第6の時間帯TS6””中において、通信ステーション1は、データキャリア2Eからの応答信号を受信する。これは、この応答信号が高い信号レベルで通信シテーション1に到達するからである。この結果、信号強度検出手段12は、第6の時間帯TS6””において高い信号レベルの応答信号を検出し、その結果、高レベル情報HLI1を形成して、これをプロセス制御手段6に接続部17を介して供給する。この結果、第5の認識信号QDB5において、第6の時間帯に関連付けられた別個のビットABが値「1」に設定される。これは、第1の時間体TS1、第3の時間帯TS3、第4の時間帯TS4、第5の時間帯TS5、第8の時間帯TS8に関連付けられた別個のビットABの場合と同じであり、これらの別個のビットも全て値「1」に設定される。
【0079】
第4の問い合わせサイクルIPER4が終了した後、第5の問い合わせサイクルIPER5が開始される。この開始の直後、通信ステーション1は、通信範囲内に存在する全てのデータキャリア2K,2V,2M,2N,2P,2E,2X,2Lに対して、第5の組み合わせ信号(IDB+QDB)5を送信する。この結果、第5の認識信号QDB5が認識信号検出手段59によって評価され、その結果、データキャリア2K,2V,2P,2Lは、時間帯数記憶手段66に記憶された関連する時間帯数TSNOにより、第4の問い合わせサイクルIPER4中のどの時間帯でこれらが応答信号を供給したかが分かっているため、値「1」を有する各メインビットMBによって破棄され、結果として、アイドル状態に設定される。
【0080】
この状況において、その応答信号が高い信号レベルで受信されたデータキャリア2Eは、第5の認識信号QDB5において第6の時間帯に関連付けられたメインビットMBにより破棄される。このメインビットMBは値「1」に設定されているが、その応答信号がこのデータキャリアによって低い信号強度で送信され且つ通信ステーション1によってもはや受信されなかったデータキャリア2Xは、第6の時間帯に関連付けられたメインビットMBが値「1」を有しているにもかかわらず、破棄されない。これは、通信ステーション1からデータキャリア2Xへの第4の組み合わせ信号(IDB+QDB)4の送信中に、データキャリア2Xの信号強度検出手段52が、弱い信号レベルでのみデータキャリア2Xに組み合わせ信号(IDB+QDB)4が送信されたことを検出したためである。これに応じて、前記信号強度検出手段52は、低レベル情報LLI2を形成して、ライン54および接続部76を介してデータキャリア2Xのプロセス制御手段56に供給する。これは、データキャリア2Xにおいて、それが低い信号レベルでのみ通信ステーション1によって送信される信号を受信することができるデータキャリアであることが分かっていることを意味する。しかしながら、また、これは、通信ステーション1が非常に弱い信号レベルでのみデータキャリア2Xによって形成される信号を受信することができること、あるいは、全く受信することができないことも意味している。したがって、データキャリア2Xのプロセス制御手段56においては、データキャリア2Xが、非常に弱い信号だけを供給するデータキャリアであることが分かっている。しかしながら、第4の問い合わせサイクルIPER4の第6の時間帯TS6””で通信ステーション1が高レベルの応答信号を受信したことは、認識信号検出手段59によって、第5の認識信号QDB5から、すなわち、第6の時間帯に関連付けられ且つ値「1」を有するメインビットMBから決定される。しかしながら、これは、他のデータキャリアからの応答信号、この場合、データキャリア2Eからの応答信号でなければならない。なぜなら、それは、弱い信号を供給するデータキャリアであるデータキャリア2Xの応答信号とはなり得ないからである。したがって、認識信号検出手段59によって、強い信号を供給するデータキャリアを示す高レベル情報を形成する第2の検出情報RES2がプロセス制御手段56に与えられ、一方、プロセス制御手段56は、接続部76を介して低レベル情報LLI2も受信する。この低レベル情報LLI2は、弱い信号を供給するデータキャリアを示している。これらの2つの情報項目、すなわち、この場合、高レベル情報を形成する第2の検出情報RES2および低レベル情報は、互いに相反しており、プロセス制御手段56によって検出される結果として、データキャリア2Xは、認識されず、したがって、次の問い合わせサイクルにおいて認識されないデータキャリアと見なされる。
【0081】
したがって、認識されていない3つのデータキャリア2M,2N,2Xだけが第5の問い合わせサイクルIPER5に加わる(図4の項目11参照)。これらの3つの各データキャリア2M,2N,2Xは、時間帯TS2””、時間帯TS4”” 、時間帯TS6””でそれぞれ、それらの応答信号を別個に通信ステーション1に供給すると仮定する。ここで、2つのデータキャリア2M,2Xは、それらの応答信号を低い信号レベルで供給するとともに、データキャリア2Nは、その応答信号を高い信号レベルで供給し、したがって、3つのデータキャリア2M,2N,2Xからの3つの応答信号が全て通信ステーション1によって受信されると仮定する。この結果、第6の問い合わせサイクルIPER6でその後に形成される第6の認識信号QDB6において、第2、第4、第6の時間帯に関連付けられた3つのメインビットMBは、値「1」に設定されるとともに、第2の時間帯および第6の時間帯に関連付けられた別個のビットABが値「0」に設定され、第4の時間帯に関連付けられた別個のビットABが値「1」に設定される。
【0082】
第5の問い合わせサイクルIPER5が終了した後、第6の問い合わせサイクルIPER6が開始される。このサイクルにおいて、通信ステーション1は、開始直後に、データキャリア2M,2N,2Xに対して、第6の組み合わせ信号(IDB+QDB)6を送信する(図4の項目12参照)。この結果、認識信号検出手段59は、第2、第4、第6の時間帯に関連付けられ且つ値「1」を有するメインビットMBを検出する。その結果、3つのデータキャリア2M,2N,2Xは、時間帯数記憶手段66に記憶された各時間帯数TSNOにより、第5の問い合わせサイクルIPER5中のどの時間帯でこれらが応答信号を供給したかが分かっているため、破棄される。したがって、第6の問い合わせサイクルIPER6中においては、いずれのデータキャリア2も応答信号を形成せず(図4の項目13参照)、したがって、通信ステーション1は、もはや、応答信号を受信しない。このため、通信ステーションは、次の問い合わせサイクルIPER7において、第7の認識信号QDB7を形成する。この信号Iにおいて、全てのメインビットMBおよび全ての別個のビットABは、第1の認識信号QDB1と同様に、値「0」に設定される(図4の項目14および1参照)。
【0083】
第6の問い合わせサイクルIPER6の終了後、第7の問い合わせサイクルIPER7が開始される。この時、通信ステーション1は第7の組み合わせ信号(IDB+QDB)7を供給する(図4の項目14参照)。第7の組み合わせ信号(IDB+QDB)7は第7の認識信号QDB7を含んでいる。もはや、通信ステーション1の通信範囲内には、認識されていないデータキャリア2が全く存在しないため、通信ステーション1の通信範囲内に新たなデータキャリアが入ってこない場合には、第7の問い合わせサイクルIPER7で、全体の問い合わせサイクルが終了する(図4の項目15)。
【0084】
前述した方法は、問い合わせサイクルIPERn中に識別されるデータキャリアの認識が同じ問い合わせサイクルIPERn内で行なわれず、次の問い合わせサイクルIPERn+1になって初めて認識が行なわれるという大きな利点を有している。この認識は、非常に有効で且つ簡単な方法によって行なわれる。なぜなら、問い合わせサイクルIPERn中に識別される全てのデータキャリア2の認識は、好ましくは所定数の別個のビットABによって形成されるたった1つの認識信号QDBによって同時に行なわれるからである。
【0085】
図1に示される通信ステーション1および図2に示されるデータキャリア2によって行なわれる前述した方法においては、認識信号QDBの形成中に、各メインビットMBとともに、1つの別箇のビットABだけが形成される。これは、通信ステーション1の信号強度検出手段12およびデータキャリア2の信号強度検出手段52がたった1つの閾値で動作し、その結果、この1つの閾値にのみ関連して信号強度を決定できるためである。なお、そのような信号強度検出手段は、複数の閾値によって、選択的に動作することができる。この場合、複数の信号強度ステップの振幅によって信号強度を評価して決定することができる。その結果、1つの別箇のビットABだけを使用することがもはや不可能となり、少なくとも2つの別箇のビットABが認識信号QDBの各メインビットに関連付けられる。
【0086】
また、前述した方法に関して述べると、図3から明らかなように、この方法を用いると、時間帯TSのための時間および応答信号RDBのための時間を、それらが実質的に同じ長さとなるように選択することが可能となり、その結果、連続的な応答信号RDB間に時間の空白がなくなり、問い合わせプロセスの全体の所要時間を最小にするという利点がある。しかしながら、時間帯TSのための時間を応答信号RDBのための時間よりも僅かに長く選択することが有利な場合もある。この場合、時間帯TSの時間の長さと応答信号RDBの時間の長さとの間の時間差を大きく選択して、2つの連続する応答信号RDB間に約300μsの時間的マージンを得るようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】
データキャリアと通信する本発明に係る通信ステーションを概略的に示すブロック図である。
【図2】
図1に示される通信ステーションと通信するデータキャリアの図1と同様な図を示している。
【図3】
図1に示される通信ステーションと図2に示されるデータキャリアとの間での通信のための本発明に係る方法において連続して現れる様々な信号の時間系列を示す概略図である。
【図4】
図3に部分的に示される様々な信号の時間系列を示す概略図である。
Claims (12)
- 通信ステーションと、通信ステーションの通信範囲内に存在するデータキャリアとの間の通信方法において、
問い合わせサイクルの開始に際して、通信ステーションは、通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに対して問い合わせ信号を供給し、
問い合わせサイクル中において、通信範囲内に存在する全てのデータキャリアは、問い合わせ信号を受信するとともに、それぞれが問い合わせ信号に応じて応答信号を供給し、
通信ステーションは、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号を、個々に、したがって、別個に受信し、また、通信ステーションは、少なくとも2つの幾つかの応答信号を、同時に、したがって、別個にではなく受信し、
通信ステーションは、応答信号が通信ステーションによって別個に受信された任意のデータキャリアに対して認識信号を供給し、
応答信号が通信ステーションによって別個に受信されたデータキャリアは、認識信号を受信して評価し、認識信号の評価の結果、応答信号が通信ステーションによって別個に受信された各データキャリアは、通信ステーションによって次に供給される問い合わせ信号において無効にされ、
問い合わせサイクルの終了後、通信ステーションは、次の問い合わせサイクルを開始するために、問い合わせ信号を供給し、
通信ステーションは、各認識信号を、拡張された問い合わせ信号の成分として形成する方法。 - 通信ステーションとデータキャリアとの間の通信が連続する時間帯で行なわれ、
データキャリアは、連続する時間帯において応答信号を供給し、
通信ステーションは、全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号を、個々に、したがって、別個に受信し、各応答信号が1つの時間帯において単独で現れ、
デジタル信号の形態を成す認識信号が通信ステーションによって形成され、このデジタル信号は、所定数のメインビットを有するビット・ストリングであり、デジタル信号の各メインビットは、1つの時間帯に関連付けられ、データキャリアからの応答信号が単独で現れる1つの時間帯に関連付けられたこれらのメインビットは、所定のビット値に設定される請求項1に記載の方法。 - デジタル信号によって示される各メインビットには、デジタル信号によって示される少なくとも1つの別個のビットが加えられ、
各別個のビットのビット値は、データキャリアのパラメータとして形成される請求項2に記載の方法。 - 各別個のビットのビット値は、信号強度の表示として形成され、この信号強度によって、通信ステーションは、データキャリアから応答信号を受信する請求項3に記載の方法。
- その通信範囲内に存在するデータキャリアと通信するための通信ステーションにおいて、
問い合わせ信号形成手段が設けられ、この問い合わせ信号形成手段によって、問い合わせサイクルの開始のために問い合わせ信号を形成することができ、また、転送手段が設けられ、この転送手段によって、形成された問い合わせ信号を通信範囲内に存在する全てのデータキャリアに供給することができ、これによって、問い合わせ信号を通信範囲内に存在する全てのデータキャリアによって受信することができ、
ステーション受信手段が設けられ、このステーション受信手段によって、受信された問い合わせ信号に応じて全てのデータキャリアによって供給された応答信号を受信することができ、
全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号を、個々に、したがって、別個に受信することができ、また、少なくとも2つの幾つかの応答信号を、同時に、したがって、別個にではなく受信することができ、
認識信号形成手段が設けられ、この認識信号形成手段によって、応答信号が別個に受信された各データキャリアのための認識信号を形成することができ、この認識信号をステーション転送手段によって関連するデータキャリアに供給することができ、
認識信号形成手段および問い合わせ信号形成手段は、互いに協働して、認識信号を、拡張された問い合わせ信号の成分として形成することができるようになっている通信ステーション。 - 通信ステーションは、連続する時間帯で通信するようになっており、
データキャリアは、連続する時間帯において応答信号を供給し、
全ての応答信号のうちの幾つかの応答信号を、個々に、したがって、別個に受信することができ、各応答信号が1つの時間帯において単独で現れ、
認識信号形成手段は、デジタル信号の形態を成す認識信号を形成するようになっており、このデジタル信号は、所定数のメインビットを有するビット・ストリングであり、デジタル信号の各メインビットは、1つの時間帯に関連付けられ、データキャリアからの応答信号が単独で現れる1つの時間帯に関連付けられたこれらのメインビットは、所定のビット値に設定される請求項5に記載の通信ステーション。 - 認識信号形成手段は、デジタル信号の形態を成す認識信号を形成するようになっており、デジタル信号には各メインビットに1つの別個のビットが加えられ、各別個のビットのビット値は、データキャリアのパラメータの表示を形成する請求項6に記載の通信ステーション。
- 認識信号形成手段は、デジタル信号の形態を成す認識信号を形成するようになっており、デジタル信号における各別個のビットのビット値は、信号強度の表示を形成し、この信号強度によって、通信ステーションは、データキャリアから応答信号を受信する請求項7に記載の通信ステーション。
- 通信範囲を有する通信ステーションと通信するためのデータキャリアであって、そのようなデータキャリアは通信範囲内に存在し、
データキャリア受信手段が設けられ、このデータキャリア受信手段によって、通信ステーションによって供給された問い合わせ信号を受信することができ、
応答信号形成手段が設けられ、この応答信号形成手段によって、受信した問い合わせ信号に応じて応答信号を形成することができ、
データキャリア転送手段が設けられ、このデータキャリア転送手段によって、形成された応答信号を通信ステーションに供給することができ、
認識信号検出手段が設けられ、この認識信号検出手段によって、通信ステーションからデータキャリアに供給され且つデータキャリア受信手段によって受信された認識信号を検出することができ、認識信号検出手段は、拡張された問い合わせ信号の成分としてデータキャリアに供給され且つデータキャリア受信手段によって受信された認識信号を抽出するようになっているデータキャリア。 - データキャリアは、連続する時間帯で通信するようになっており、
認識信号検出手段は、認識信号として受信したデジタル信号を検出するようになっており、このデジタル信号は、所定数のメインビットを有するビット・ストリングであり、デジタル信号の各メインビットは、1つの時間帯に関連付けられ、データキャリアからの応答信号が単独で現れる1つの時間帯に関連付けられたこれらのメインビットは、所定のビット値に設定される請求項9に記載のデータキャリア。 - 認識信号検出手段は、認識信号として受信されたデジタル信号を検出するようになっており、このデジタル信号には、少なくとも1つの別個のビットが各メインビットに加えられ、各別個のビットのビット値は、データキャリアのパラメータの表示を形成する請求項10に記載のデータキャリア。
- 認識信号検出手段は、認識信号として受信されたデジタル信号を検出するようになっており、デジタル信号において、各別個のビットのビット値は、信号強度の表示を形成し、この信号強度によって、通信ステーションは、データキャリアから応答信号を受信する請求項11に記載のデータキャリア。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP00890238 | 2000-07-31 | ||
PCT/EP2001/008403 WO2002011054A1 (en) | 2000-07-31 | 2001-07-19 | Communication station and data carrier with improved acknowledgement measures |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004505388A true JP2004505388A (ja) | 2004-02-19 |
Family
ID=8175955
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002516699A Withdrawn JP2004505388A (ja) | 2000-07-31 | 2001-07-19 | 改良された認識手法を有する通信ステーションおよびデータキャリア |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7126994B2 (ja) |
EP (1) | EP1307852B1 (ja) |
JP (1) | JP2004505388A (ja) |
CN (1) | CN1214338C (ja) |
AT (1) | ATE293268T1 (ja) |
DE (1) | DE60110088T2 (ja) |
WO (1) | WO2002011054A1 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6551929B1 (en) * | 2000-06-28 | 2003-04-22 | Applied Materials, Inc. | Bifurcated deposition process for depositing refractory metal layers employing atomic layer deposition and chemical vapor deposition techniques |
CN1647096B (zh) * | 2002-04-23 | 2010-05-26 | Nxp股份有限公司 | 对多个数据载体进行编目的方法 |
US7881711B2 (en) * | 2002-07-08 | 2011-02-01 | Qualcomm Incorporated | Feedback system using dynamic decoding |
EP1540569B1 (en) * | 2002-09-11 | 2008-02-13 | Nxp B.V. | Method of reading a plurality of non-contact data carriers, including an anti-collision scheme |
JP4023308B2 (ja) | 2002-12-17 | 2007-12-19 | ソニー株式会社 | 通信装置および通信方法 |
JP2004220433A (ja) * | 2003-01-16 | 2004-08-05 | Komatsu Ltd | 移動機械の管理システム |
EP1700253B1 (en) | 2003-12-23 | 2008-11-19 | Nxp B.V. | Method and circuit for generating power supply interruption time information in a contactless data carrier |
EP1851675A1 (en) * | 2005-01-31 | 2007-11-07 | Nxp B.V. | Improved communication between a communication station and data carriers |
US7426190B2 (en) * | 2005-09-30 | 2008-09-16 | Robert Bosch Gmbh | System and method for a communication protocol for wireless sensor systems including systems with high priority asynchronous message and low priority synchronous message |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5668803A (en) * | 1989-06-29 | 1997-09-16 | Symbol Technologies, Inc. | Protocol for packet data communication system |
US5142694A (en) * | 1989-07-24 | 1992-08-25 | Motorola, Inc. | Reporting unit |
US5640151A (en) * | 1990-06-15 | 1997-06-17 | Texas Instruments Incorporated | Communication system for communicating with tags |
DE69116946T2 (de) * | 1990-06-15 | 1996-06-20 | Savi Techn Inc | Verfahren und Gerät zur Radioidentifizierung und Zielverfolgung |
US5539394A (en) * | 1994-03-16 | 1996-07-23 | International Business Machines Corporation | Time division multiplexed batch mode item identification system |
US5602538A (en) * | 1994-07-27 | 1997-02-11 | Texas Instruments Incorporated | Apparatus and method for identifying multiple transponders |
GB9520010D0 (en) * | 1995-09-30 | 1995-12-06 | Rural Radio Systems Ltd | Distributed circuit switched telecommunication networks |
GB9611146D0 (en) * | 1996-05-29 | 1996-07-31 | Philips Electronics Nv | Method of, and system for, transmitting messages |
US5990806A (en) * | 1997-10-08 | 1999-11-23 | Motorola | Method and apparatus for efficient reverse channel utilization in a two-way messaging system |
-
2001
- 2001-07-19 AT AT01962864T patent/ATE293268T1/de not_active IP Right Cessation
- 2001-07-19 WO PCT/EP2001/008403 patent/WO2002011054A1/en active IP Right Grant
- 2001-07-19 CN CNB018029779A patent/CN1214338C/zh not_active Expired - Fee Related
- 2001-07-19 EP EP01962864A patent/EP1307852B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2001-07-19 JP JP2002516699A patent/JP2004505388A/ja not_active Withdrawn
- 2001-07-19 DE DE60110088T patent/DE60110088T2/de not_active Expired - Fee Related
- 2001-08-24 US US09/938,381 patent/US7126994B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
ATE293268T1 (de) | 2005-04-15 |
US20020011921A1 (en) | 2002-01-31 |
EP1307852A1 (en) | 2003-05-07 |
CN1214338C (zh) | 2005-08-10 |
CN1392996A (zh) | 2003-01-22 |
EP1307852B1 (en) | 2005-04-13 |
DE60110088T2 (de) | 2006-03-02 |
US7126994B2 (en) | 2006-10-24 |
WO2002011054A1 (en) | 2002-02-07 |
DE60110088D1 (de) | 2005-05-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20150110226A1 (en) | Data carrier provided with at least two decoding stages | |
JP4775375B2 (ja) | 電磁トランスポンダのチャージ変調方法 | |
CN209994396U (zh) | 用于解码由调制信号承载的数据流的集成电路 | |
JP3531477B2 (ja) | 非接触カードの通信方法及び該通信に用いる集積回路 | |
JP2004505388A (ja) | 改良された認識手法を有する通信ステーションおよびデータキャリア | |
KR100701715B1 (ko) | 데이터를 재생하고 처리하는 데이터 캐리어 및 회로 | |
EP1038257B1 (en) | System for the transmission of data from a data carrier to a station by means of at least one other auxiliary carrier signal | |
US6775323B1 (en) | Data coding system | |
JP3584335B2 (ja) | データキャリア及びリーダ | |
JP2008035104A (ja) | 通信装置及び信号処理方法 | |
US20060226245A1 (en) | Encoding format for passive radio frequency identification (RFID) system | |
JP4336969B2 (ja) | Rfidリーダ/ライタ装置 | |
JP3487004B2 (ja) | 移動体識別装置 | |
JP3584332B2 (ja) | 非接触識別システム | |
US7257092B2 (en) | Method of communicating between a communication station and at least one data carrier | |
JP3620273B2 (ja) | 識別システム及びヘッド装置 | |
JP2001005923A (ja) | データ通信装置 | |
US20100045434A1 (en) | Communication between a communication station and data carriers | |
JPH05120497A (ja) | 識別システム | |
JPH08331023A (ja) | 識別システム | |
JPH05135219A (ja) | 非接触型icカードシステム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20080515 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080717 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090917 |