JP2004505082A - テロメラーゼを抑制することが可能な薬品を製造するための多環芳香族化合物の使用 - Google Patents

テロメラーゼを抑制することが可能な薬品を製造するための多環芳香族化合物の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗テロメラーゼ効果を有する薬品を製造するために、G−四重鎖構造に結合できる芳香族化合物の使用を目的とするものである。そのような化合物は式(I)に対応するものであり、該式において、互いに同一、あるいは異なるR、RおよびRが示すのは、水素原子、または−CH−NH−(CH−Xの基であり、該基において、nは2から4の整数で、Xは−NH基、−N(CH基、ピペリジル基、イミダゾリル基、モルホリニル基のような複素環基、またはインドール型の縮合した複素環基から選ばれたものであり、−Zが示すのは、CHまたはNで、各化合物は、位置「Z」で二個の窒素を有する。抗癌剤の製造への応用。

Description

【0001】
本発明は、テロメラーゼ抑制特性を有し、また特に癌の治療に使用可能な薬品を製造するために、多環芳香族化合物を使用することを目的とするものである。
【0002】
ヒトにおけるテロメアのDNAは、基本的には一つの二本鎖で構成されており、その中にTTAGGG/CCCTAAの反復モチーフが含まれる。その一方、その末端は、モチーフGが多い3’領域を有する一本鎖である。この一本鎖DNAは、図1に示したようなG−カルテットを伴う4重鎖構造をとってもよいし、Tループを形成するものであってもよい。
【0003】
生物学的に見ると、テロメラーゼは、細胞分裂の際に、テロメアの末端にこの反復DNA配列を付加することができる。この働きにより、テロメラーゼは細胞を不死化させる。事実、この酵素活性がないと、細胞は分裂するごとに100から150個の塩基を失い、その結果、該細胞は急速に老化する。急速に分裂する癌細胞が発生する場合には、これら細胞には、その細胞分裂を通じて安定した長さを維持されるテロメアが存在することが認められる。これら癌細胞においては、テロメラーゼは強い活性を有しており、それによりテロメアの末端にテロメア配列の反復モチーフを付加することが可能になり、その結果、癌細胞のテロメアの長さを保存することが可能になることが判明している。癌細胞の85%を越えるものが、テロメラーゼの存在に陽性の試験結果を示す一方で、ほとんどの体細胞はこのような特徴を示さない。
【0004】
そういうわけで、テロメラーゼは、癌細胞を治療する為に非常に求められる対象なのである。テロメラーゼを阻害する為の明らかなの第一のアプローチは、ヌクレオチドの構造を利用することからなる(Chen.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1996,93(7),2635−2639)。先行技術で用いられた非ヌクレオチド化合物の中で取り上げるのは、ジアミノアントラキノン(Sun et al.J.Med.Chem.40(14),2113−6)、あるいは、ジエチルオキサジカルボシアニン(Wheelhouse R.T.et al.J.Am.Chem.Soc.1998(120)3261−2)である。国際特許出願WO99/40087号明細書には、上記のG−四重鎖構造と相互作用できる化合物の使用について記載されている。それはつまり、ペリレン化合物、および、二つが複素環の、少なくとも七つの環を含むカルボシアニンである。
【0005】
本発明者等が研究した結果、明らかになったのは、意外なことに、三日月形の平面構造の芳香族化合物、つまり、幾つかが三重鎖を安定させる効果をもつものとして周知のジベンゾフェナントロリンが、化学的な見地からは遥かに単純な構造のものと、少なくとも同等の結果をもたらし得るということである。
【0006】
このような研究を展開することにより、それ自体がG−四重鎖構造に固定することができ、またそのことによりテロメラーゼを抑制する活性を示すタイプの、新しい芳香族化合物を合成することも可能になった。
【0007】
様々な局面の一つによると、本発明は、したがって、抗テロメラーゼ効果を有する薬品を製造するために、ジベンゾフェナントロリン化合物を使用することを目的とする。
【0008】
本発明はまた、もう一つの別の局面では、新しいジベンゾフェナントロリンを提供すること、および該ジベンゾフェナントロリンを薬品の有効成分として使用することを目的としている。
【0009】
本発明による抗テロメラーゼ効果を有する薬品を製造するための、G−四重鎖構造に結合可能な芳香族化合物の使用は、前記化合物が以下の式(I)に対応していることを特徴としており:
【式11】
Figure 2004505082
該式において、
−互いに同一か、あるいは異なるR、RおよびRが示すのは、水素原子、または−CH−NH−(CH−Xの基であり、該基において、nは2から4の整数で、Xは−NH基、−N(CH基、ピペリジル基、イミダゾリル基、モルホリニル基のような複素環基、または、インドール型の縮合した複素環基から選ばれたものであり、
−Zが示すのは、CHまたはNで、各化合物は4つの位置「Z」で二個の窒素を有する。
【0010】
本発明が特に目的とするのは、以下の式(II)の化合物の使用、
【式12】
Figure 2004505082
または以下の式(III)の化合物の使用、
【式13】
Figure 2004505082
または以下の式(IV)の化合物の使用、
【式14】
Figure 2004505082
または以下の式(V)の化合物の使用、
【式15】
Figure 2004505082
または以下の式(VI)の化合物の使用、
【式16】
Figure 2004505082
または以下の式(VII)の化合物の使用、
【式17】
Figure 2004505082
または以下の式(VIII)の化合物の使用、
【式18】
Figure 2004505082
または以下の式(IX)の化合物
【式19】
Figure 2004505082
の使用である。
【0011】
本発明による、薬品の有効成分として用いられる式(I)の化合物は、G−四重鎖構造の融解温度(Tm)を、1μMの濃度で2から20℃に、特に式(IV)から(IX)の化合物については7から20℃に上昇させることができることを特徴とする。このTmの上昇は、インビトロでのそれらの抗テロメラーゼ効果の上昇と相関関係にあった。
【0012】
興味深いことに、それら化合物のIC50値は、1μMから3μM未満で、好適であるということが明らかになった。
【0013】
目的とする治療への適用を考慮に入れると、興味深く注目すべきは、式(I)の化合物は、さらに10−8M程度の解離定数を示し、それによりG−四重鎖構造と強く結合する一方で、今日周知の四重鎖構造リガンドの解離定数は、10−6から10−5M程度であるということである。
【0014】
別の局面によると、本発明が新規な生成物としてさらに目的とするのは、以下の式(X)の多環式の芳香族化合物であり、
【式20】
Figure 2004505082
該式において、
− 互いに同一、あるいは異なるR、RおよびRが示すのは、水素原子、または−CH−NH−(CH−Xの基であり、該基において、nは2から4の整数で、Xは−NH基、−N(CH基、ピペリジル基、イミダゾリル基、モルホリニル基のような複素環基、またはインドール型の縮合した複素環基から選ばれたものである。
【0015】
実施例において報告されている試験によって、これらの生成物を研究したところ、明らかになったのは、該生成物は、テロメアの四重鎖構造を安定化させる能力を有し、およびその結果、抗テロメラーゼ効果を有する薬品、特に抗腫瘍薬品の合成に用いることができるということである。
【0016】
それゆえ本発明はまた、薬学的に不活性な賦形剤と一体にして、これら新しい化合物の少なくとも一つを治療効果のある量で含む薬学的組成物をも目的とする。
【0017】
本発明による薬品または本発明により製造された薬品には、癌を治療する上で、他には全く見られない利点がある。該薬品は、このタイプの治療で望まれる投与法に適切な形態に合成される。最も一般的なものは、経口投与、経鼻投与、口腔内投与、注射投与、非経口投与、直腸投与、膣投与または局所投与による投与のための形態である。
【0018】
経口投与を行うために、従来の方法で、錠剤、糖衣錠、丸薬、ゼラチンカプセル、カプセルおよびそれらと類似のものが得られるように、薬品組成物を製剤する。服用単位ごとの薬量は、所望の治療効果が得られるように、当業者によって適合されるべきである。
【0019】
注射投与については、皮下投与、静脈投与、皮内投与、筋肉内投与または非経口投与によって投与可能な、滅菌溶液または滅菌可能な溶液を調製する。これらの溶液には、所望の効果を得るのに必要な量の有効成分が含まれる。
【0020】
これら投与は、1回あるいは複数回行われてもよい。
【0021】
他の投与形態については、通常の生薬の製剤法によって調製されるのが好適である。
【0022】
本発明の他の特徴と利点は、以下の実施例で明らかになり、ここにおいて、それぞれ、示されている図1から3を参照する:
・図1Aは、G−カルテット、図1Bは、分子間の四重鎖構造を示し、
・図2Aは、G−カルテットリガンドとして試験したジベンゾフェナントロリンの化学式を、図2Bは、本発明によるジベンゾフェナントロリン誘導体を、J.O.C.,1997,62,5448におけるBaudoinらのプロトコルに従って合成した概略図であり、
・図3Aは、本発明によるジフェナントロリンによるテロメラーゼの抑制を、図3Bは、この抑制とG−カルテットの安定化との相関関係を示す。
【0023】
材料及び方法
オリゴヌクレオチド
修飾された、もしくは修飾しない、オリゴヌクレオチドは全て、ベルギーのスランにある、Eurogentec S.A.により合成されたものである。蛍光性の研究には、使用するオリゴヌクレオチドの5’末端にフルオレセイン一分子を、3’末端にテトラメチルローダミン一分子を連結する。サンプルの濃度測定は、分光光度法により、そこでは、220と700nmの間の吸収スペクトルを記録し、供給元から通知されたモル吸光係数を用いる。
【0024】
ジベンゾフェナントロリン
1から6の化合物の合成を、BaudoinらによってChemistry:a European Journal 4,1504−1508(1998)に記載された方法で行った。化合物7、つまり6−[(2−(ピペリジン−1−イル)エチル)アミノメチル]ジベンゾ[b,j][4,7]フェナントロリンは、Baudoin et al.,J.Org.Chem.62,5458−5470(1997)によって、化合物2および3について記載されたプロトコルに従って合成した。化合物8から12の合成もまた、このプロトコルに従って行った(図2Bの合成概略図参照)。
【0025】
緩衝液
全ての実験は、0.1Mの塩化リチウム(または塩化ナトリウム)を含む、10mM、pH7.6のカコジル酸ナトリウム緩衝液中で行った。緩衝液に蛍光性のコンタミネーションがないことは、予め点検済である。蛍光標識したオリゴヌクレオチドを添加し、最終濃度を0.2μMとする。
【0026】
FRET法
G−カルテットリガンドは、FRET(蛍光エネルギー移動)法により蛍光性で識別したが、該方法は、互いに近い二つの分子間の双極子共鳴相互作用に対応するものであり、そのうちの一分子であるドナーは、その励起エネルギーを、他方の分子、ないしアクセプターに移動させる。分子内のG−カルテット構造の形成は、2つの発色団を十分に近づけることになり、それにより、エネルギー移動を観察できるようになる。
【0027】
蛍光性の研究
蛍光性の測定はすべて、Spex Fluorolog DM1B装置で行い、幅1.8nmの励起光と幅4.5nmの発光を用いた。サンプルを、0.2×1cmの小さな石英セルの中に置く。サンプルの温度は、外部からの湯浴によって制御する。オリゴヌクレオチドのみの分析を、20、30、40、50、60、70および80℃で行った。発光スペクトルを、470nmの励起波長を用いて記録した。励起スペクトルの記録には、515nmまたは588nmの発光波長を用いた。スペクトルは、標準曲線で、機器の感度について補正した。室温において、フルオレセインの蛍光の大幅な消光(80−90%)が観察されるが、それはG−四重鎖構造の形に基づく、20℃でのオリゴヌクレオチドの分子内フォールディングと合致し、そこでは、フルオレセイン、およびテトラメチルローダミン(略称tamra)にそれぞれ結合した、5’および3’末端が並置する。この並置の結果、既に述べたFRETによるドナーの蛍光性の消光という現象、および、アクセプターの、感光による発光が引き起こされる。
【0028】
蛍光性のTm
pH7.6の、0.1M LiCl、10mMカコジル酸塩の緩衝液中の、鎖の濃度が0.2μMのオリゴヌクレオチドのストック溶液を予め調製しておき、90℃まで短時間加熱して20℃までゆっくりと冷却した後に、蛍光槽に600μlずつ分け入れる。つぎに、3μlの水(コントロール)または試験対象の生成物3μl(200μMのストック、最終濃度1μM)を、そこに加えて混ぜる。サンプルは、それから、各測定の前に、20℃で最低1時間培養した。更に長い時間(24時間まで)培養しても、得られる結果に影響はない。
【0029】
各実験で、サンプルは一つしか測定できなかった。これをまず、最初の温度20℃で培養し、40分で80℃に上げ、80℃で5分間放置し、次に20℃まで62分間冷却する。この間に、蛍光性の測定を、470nmの励起波長を用いて、二つの発光波長(515nmおよび588nm)で同時に行った。測定は30秒ごとに行う。湯浴の温度を並行して記録し、そして、温度に応じた蛍光特性を、それらの測定値に基づいて再構成する。次に、その蛍光特性を20℃と80℃の間で正規化し、515nmの発光強度が、高温と低温での発光強度の平均となる温度を、Tmと呼ぶ。このような条件下で、生成物を添加しない標準サンプルのTmは、塩化リチウム緩衝液において44℃である。この温度を、塩化ナトリウム緩衝液において55℃を越えるようにする。G−四重鎖構造を安定化させる化合物を添加すると、Tmが上昇する。この上昇が3℃を越えると、上昇は有意なものと判断される。
【0030】
抗テロメラーゼ生体活性を以下の実験プロトコロルによって測定する。
【0031】
ヒトテロメラーゼ活性を高めた抽出物の調製
白血病HL60の細胞株を、ATCC(American Type Culture Collection,Rockville USA)から入手する。細胞を懸濁状態で培養するが、それは2mMのL−グルタミン、ペニシリン200U/ml、ストレプトマイシン200μg/ml、ゲンタマイシン50μg/mlを含むRPMI1640培地において行い、熱で不活性化した10%ウシ胎児血清を添加した。
【0032】
10個の細胞に等分したものを、3000×Gで遠心分離し、上澄みを分離する。細胞の沈渣物を、何度か続けてピペッティングによって、CHAPS 0.5%、Tris−HCl pH7.5 10mM、MgCl 1mM、EGTA 1mM、β−メルカプトエタノール 5mM、PMSF 0.1mM、およびグリセロール10%を含む200μlの溶菌用緩衝液に再懸濁し、それを30分間、氷中に維持する。その溶菌液を4℃で20分間、16000×Gで遠心分離器し、160μlの上澄みを回収する。抽出物の蛋白質の定量を、Bradford法により行った。抽出物は−80℃で保存する。
【0033】
テロメラーゼ活性の定量
テロメラーゼ活性の抑制を、オリゴヌクレオチドTS(5’AATCGTTCGAGCAGAGTT3’)を伸長するプロトコルにより測定するが、それはテロメラーゼ活性を高めた細胞抽出物、および様々な濃度(10、1、0.1ならびに0.1μg/ml)で添加した化合物の存在下で行う。伸長反応の後に、オリゴヌクレオチドTSおよびCXext(5’GTGCCCTTACCCTTACCCTTACCCTAA3’)を用いて、伸長産物のPCR増幅を行った。
【0034】
反応環境は、以下の組成により調製する。
TrisHC1 pH8.3を、20mM、
MgClを、1.5mM、
Tween20を、0.005%(P/V)、
EGTAを、1mM、
dATPを、50μM、
dGTPを、50μM、
dCTPを、50μM、
dTTPを、50μM、
オリゴヌクレオチドTSを、2μg/ml、
オリゴヌクレオチドCXextを、2μg/ml、
牛アルブミン血清を、0.1mg/ml、
Taq DNAポリメラーゼを、1U/ml、
アルファ32P dCTP(3000 Ci/mモル)を、0.5μl、
テロメラーゼ抽出物を、体積10μlで200ng、
試験対象の生成物または溶媒を、体積5μlで、
二回蒸留水QDを50μl
【0035】
オリゴヌクレオチドは、Eurogentec(ベルギー)から入手したもので、蒸留水中に1mg/mlのストック濃度で、−20℃で保存する。
【0036】
反応サンプルを、0.2mlのPCRチューブに集め、一滴のパラフィン油を、各実験反応物上に落とし、チューブを閉じる。
【0037】
それらの反応サンプルをつぎに、以下の温度条件に従ってCetus4800型のPCR装置で培養する:
30℃で15分間、
90℃で1分間、
その後
94℃で30秒間、
50℃で30秒間、
そして72℃で1分30秒間、
を30サイクル、
その後、72℃で2分間を最後に一回行う。
【0038】
各サンプルにつき、10μlに等分したものをその油層の下でピペッティングし、以下を含む沈着用緩衝液5μlと混ぜ合わせる:
TBEを、3X、
グリセロールを、32%(P/V)、
ブロモフェノールブルーを、0.03%、
キシレンシアノールを、0.03%。
【0039】
それらのサンプルをつぎに、電気泳動システムNovexを用いて、200ボルトの電圧の下で1時間、TBE 1X緩衝液中の12%アクリルアミドゲルで電気泳動して分析する。
【0040】
アクリルアミドゲルをつぎに、一枚のワットマン3MM紙の上で80℃で1時間乾燥させ、分析し、そして定量する。
【0041】
試験対象の化合物の各濃度について、実験結果を、反応の抑制のパーセンテージで表し、また次の式により、未処理の酵素コントロール、および酵素無しのサンプル(ブランク)から計算する:
(化合物の値−ブランクの値/酵素コントロールの値−ブランクの値)×100。
【0042】
テロメラーゼ反応を50%抑制する化合物の濃度(IC50)を、試験対象の化合物の各濃度に応じて得られた抑制値を片対数グラフに表すことにより、決定する。
【0043】
化合物が抗テロメラーゼ剤として活性なのは、テロメラーゼ反応の50%を抑制する量が、特に5μM未満の場合であると考える。
【0044】
特異的G−4リガンド
以下に示す結果が得られた分析において用いたのは、配列SEQ ID No.1およびSEQ ID No.2の二つのオリゴヌクレオチドであり、それは5’をフルオレセイン(略称fluo)の基で、また3’をtamraの基で置換しており、
fluo−GGGTTAGGGTTAGGGTTAGGG−tamra、
fluo−TTGGGTTAGGGTTAGGGTTAGGG−tamra、
という配列に対応している。
【0045】
ジベンゾフェナントロリンの13の化合物を試験した。それらの化学式は,図2Aに示す通りである。
【0046】
色素濃度1μMで,1から7の化合物を比較する。その結果を表1にまとめる。
【表1】
Figure 2004505082
【0047】
これらの結果は、ジベンゾフェナントロリン化合物が、DNA四重鎖に結合していることを裏付けるものである。
【0048】
同一条件において、テトラ[N−メチルピリジル]ポルフィリンおよび2,6−二置換ジアントラキノンは、約4℃で安定化させる。
【0049】
ΔTmのこれらの値は、ジベンゾフェナントロリンリガンドの大部分で得られる値よりも有意に小さい。特に注目することは、リガンド5のΔTmは+12.5℃であり、リガンド13のそれは+19.7℃であることである。
【0050】
ΔTmの効果を、テロメラーゼ抑制効率と比較した。
【0051】
Krupp et al.、Nucleic Acids Res.25,919−921(1997)に従って作業し、同一条件下で、化合物1から7について、TRAP(Telomerase Repeat Amplification Protocol)分析を行った。テロメラーゼの由来源として、HL60細胞の溶解物を用いた。TRAP反応混合物を、化合物およびテロメラーゼ抽出物の混合物に直接添加した。
【0052】
つぎに、前述したPCRによる増幅を行った。
【0053】
テロメラーゼ伸長産物を、非変性条件下で、12%ポリアクリルアミドゲル上で泳動した。
【0054】
図3Aは、化合物1および2によってテロメラーゼをインビトロで抑制することに関するものであり、そこでBは、核抽出物なしでの試験に対応しており、またEは、テロメラーゼ活性を有する核抽出物が存在する試験に対応している。化合物1と2についての試験を、3つの異なる濃度で行った(右から左に向かって0.1、1および10μM)。
【0055】
図3Bが示すのは、インビトロでのテロメラーゼ活性の抑制(Y軸、標準的なTRAP試験においてテロメラーゼ活性の50%を抑制するために必要な濃度で表される)および、G4の安定化(X軸、SEQ ID No.1のオリゴヌクレオチドのΔTmで表す)の間の相関関係である。結果は、個別の少なくとも二つの実験の平均に対応している。
【0056】
特に化合物1に関して、図3Aを検討することで明らかになるのは、濃度が上がると、テロメラーゼ伸長産物に対応する、移動距離の小さいバンドが消失することである。化合物2もまたテロメラーゼを抑制することが確認された。表1に示された結果を図3Bに図示しており、該図3Bでは、テロメラーゼの抑制効率とΔTmとの関係を示している。インビトロでテロメラーゼを効率的に抑制する化合物、特に化合物1、3、4、5、6および13はすべて、9℃より高い温度でのG−カルテット構造を安定化させることが確認された。化合物2および7は、それぞれ1.4および2μMのIC50値を示す。
【0057】
ジベンゾフェナントロリン化合物の抗増殖効果
癌細胞株を、様々な濃度の化合物1の存在下で3日間培養する。
【0058】
テロメラーゼに対して最も活性のある化合物1の細胞毒性を、ヒト腫瘍株ヒトHeLaについて試験した。
【0059】
これらの細胞はMEM培地(Life technologies)で培養したが、該培地には、補体を欠いた10%ウシ胎児血清、グルタミン、非必須アミノ酸(1%)、および抗生物質(ペニシリンならびにストレプトマイシン)が含まれる。96ウェルプレートに細胞を付着させた(一ウェルあたり2500個の細胞)後、リガンドを培養培地で希釈する。細胞数は、Promegaの「Cell titer 96 Aqueous One Solution Cell proliferation Assay」キットで測定する。各測定は、四回ずつ行った。それら細胞を、化合物の存在下で1から4日間放置し、その後、計数した。
【0060】
化合物1について測定したIC50は、24時間化合物1が存在する状態で、HeLa細胞では0.5マイクロモル濃度である。5マイクロモル濃度以上の濃度では、100%の死亡率が観察される。96時間、生成物の存在下で細胞を培養すると、該生成物の毒性は高まる(0.5マイクロモルで死亡率100%)。
【図面の簡単な説明】
【図1】G−カルテット構造と、分子間の四重鎖構造を示した図。
【図2A】G−カルテットリガンドとして試験したジベンゾフェナントロリンの化学式。
【図2】G−カルテットリガンドとして試験したジベンゾフェナントロリンの化学式。
【図2B】本発明によるジベンゾフェナントロリンの誘導体合成の概略図。
【図3A】本発明によるジフェナントロリンによるテロメラーゼの抑制を示した写真。
【図3B】テロメラーゼ抑制とG−カルテットの安定化との相関関係を示したグラフ。

Claims (5)

  1. 抗テロメラーゼ効果を有する薬品を製造するための、G−四重鎖構造に結合可能な芳香族化合物の使用であって、前記化合物が以下の式(I)に対応しており、
    【式1】
    Figure 2004505082
    該式において、
    −互いに同一か、あるいは異なるR、RおよびRが示すのは、水素原子、または−CH−NH−(CH−Xの基であり、該基において、nは2から4の整数で、Xは−NH基、−N(CH基、ピペリジル基、イミダゾリル基、モルホリニル基のような複素環基、またはインドール型の縮合した複素環基から選ばれたものであり、
    −Zが示すのは、CHまたはNで、各化合物が位置「Z」で二個の窒素を有することを特徴とする、G−四重鎖構造に結合可能な芳香族化合物の使用。
  2. 以下の式(II)の誘導体
    【式2】
    Figure 2004505082
    以下の式(III)の誘導体
    【式3】
    Figure 2004505082
    または以下の式(IV)の誘導体
    【式4】
    Figure 2004505082
    または以下の式(V)の誘導体
    【式5】
    Figure 2004505082
    または以下の式(VI)の誘導体
    【式6】
    Figure 2004505082
    または以下の式(VII)の誘導体
    【式7】
    Figure 2004505082
    または以下の式(VIII)の誘導体
    【式8】
    Figure 2004505082
    または以下の式(IX)の誘導体
    【式9】
    Figure 2004505082
    の、請求項1に記載の使用。
  3. 新規なジベンゾフェナントロリンであって、該ジベンゾフェナントロリンが、式(IV)に対応しており、
    【式10】
    Figure 2004505082
    該式において、RおよびRは同一で、−CH−NH−(CH)n−Xの基を示し、該基において、nは2から4の整数で、Xは−NH基、N(CH基、ピペリジル基、イミダゾリル基のような複素環基、またはインドール型の縮合した複素環基から選ばれたものであることを特徴とする、新規なジベンゾフェナントロリン。
  4. 薬学的に不活性な賦形剤と一体にして、請求項3に記載の化合物の少なくとも一つを治療効果的のある量で含むことを特徴とする、薬学的組成物。
  5. 経口投与、経鼻投与、口腔内投与、注射投与、非経口投与、直腸投与、膣投与または局所投与のための薬品を製造するための、請求項1に記載の化学式Iの化合物の使用。
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