JP2004504267A - 植物性ナトリウム利尿ペプチドを含有する植物抽出物を活性成分として含有する痩身美容用組成物 - Google Patents

Abstract

美容用組成物、とくに痩身美容用組成物を提供する。活性成分としてＰＮＰ、より詳しくはＰＮＰ含有植物抽出物を含有することを特徴とする美容用、とくに痩身美容用組成物。

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ＡＮＰ、より詳しくはＡＮＰを含有する植物起源の抽出物（以下「ＰＮＰ」または「植物性ナトリウム利尿ペプチド」ともいう）を、脂肪分解の促進のために、とりわけ痩身美容用組成物の調製のために利用することに関する。
【０００２】
【従来の技術】
皮下組織または脂肪組織は、人体を完全に包み込む貯蔵脂肪の層を構成し、その厚みはさまざまである。男性の場合、腰部の上、とくに腹部の領域において優勢であり、女性の場合には、腰部の下、臀部、腿および下腹部の領域に集中している。脂肪組織は体重の１５〜２０％を占め、これは５００億個の脂肪細胞に相当する。脂肪細胞は、脂質をトリグリセリド（ＴＧ）の形で貯蔵することができ、あるいは逆に、生体の重要なエネルギー源であるトリグリセリドを速やかに可動化することができる。これら二つの過程の制御・調節は、ホルモン因子および細胞シグナルに依存している。絶食中は、脂肪細胞が、脂肪分解という名で知られている過程に従って、生体の機能に必要なエネルギーを供給する。その過程の間に、トリグリセリドが加水分解されて、脂肪酸とグリセリンになる。
【０００３】
脂肪分解は、トリグリセリドリパーゼ（ＴＧ−リパーゼ）と呼ばれる主要酵素によって制御されている。ＴＧ−リパーゼは、サイクリックＡＭＰ（ｃＡＭＰ）によって直接刺激される。ｃＡＭＰの濃度は、一方では、それの活性化がｃＡＭＰを生ぜしめることとなるアデニル酸シクラーゼによって、他方では、それの活性化がｃＡＭＰの分解を惹起するところのｃＡＭＰホスホジエステラーゼによって、制御されている。脂肪細胞中のアデニル酸シクラーゼの活性は、つぎの二つのタイプの受容体に固定されるカテコールアミン、とりわけアドレナリンによって調節される：
―　アデニル酸シクラーゼを活性化し、従ってｃＡＭＰの活性化を介して脂肪細胞を刺激するベータアドレナリン受容体、
―　アデニル酸シクラーゼを阻害し、従って脂肪分解をも阻害するアルファアドレナリン受容体。
【０００４】
それゆえ、従来技術において、アルファおよび／またはベータアドレナリン受容体と相互作用することのできる多数の物質を利用して、脂肪分解を刺激することが提案されてきた。たとえば、カフェインが、美容術において、痩身組成物、とりわけ痩身クリームに多く使用されている。
【０００５】
一方、ＧｉｌｍａｎとＲｏｄｂｅｌｌによって発見されたプロテインＧが知られており、これは、細胞外ホルモンをｃＡＭＰへ輸送する系に関与している。プロテインＧは、ＧＴＰに結合し、いくつかの酵素を活性化するが、それらの酵素には、先に述べたようにＴＧ−リパーゼを刺激し、従ってｃＡＭＰの生成を促進するアデニル酸シクラーゼが含まれる。かくして、脂肪分解増進のために、プロテインＧを活性化させることのできる物質を利用することが、先行技術において提案されている。美容術領域では、たとえば、カン・ジュ（Ｃａｎｇ　Ｚｈｕ）なる名称で知られている中国原産の植物ホソバオケラ（Ａｔｒａｃｔｙｌｄｅｓ　Ｌａｎｃｅａ）（根）の抽出物が知られており、これは、痩身組成物調製のためにカフェインと組合せて使用される。
【０００６】
ＧＴＰを、リパーゼ、とりわけＴＧ−リパーゼを刺激し、従って脂肪分解を促進するｃＧＭＰに変換するグアニル酸シクラーゼの役割も知られている。
【０００７】
心房の細胞によって、ＡＮＰまたは「心房性ナトリウム利尿ペプチド」が、これが血液量の増大によって希薄となったときに、遊離される。血液はＡＮＰを腎臓まで運び、そこでＡＮＰは集合管の細胞のグアニル酸シクラーゼを活性化し、これによりｃＧＭＰの生成が促進され、ナトリウムの腎排泄が増加し、その結果、水の排泄が増加し、血液量の減少がもたらされる。
【０００８】
今や、脂肪細胞レベルでのＡＮＰ受容体の存在が証明されており、これにより、前記の機構に従って、グアニル酸シクラーゼを、従ってｃＧＭＰの生成を刺激し、ＴＧ−リパーゼを介して脂肪分解を促進することが可能である。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
今回、本出願人は、ＡＮＰの役割を利用して、ＡＮＰ、より詳しくはＡＮＰ含有植物抽出物を有効成分として含有する、それらの痩身性のゆえに美容術領域で有用な新規な脂肪分解促進組成物を開発した。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
ところで、美容術領域では、植物抽出物を使用することがとくに好まれる。それゆえ、本発明は、痩身組成物の調製のために、脂肪分解を促進する美容剤として、ＡＮＰ含有植物抽出物を利用することに関するものである。
【００１１】
実際に、植物界において、フロリダビューティ（Ｆｌｏｒｉｄａ　ｂｅａｕｔｙ）、ブッディスト・パイン（ｂｕｄｈｉｓｔ　ｐｉｎｅ）、ボストンタマシダ、バラ、ゼラニウム、テマリカタヒバもしくはヒゲノカズラ、ムラサキオモト、フロリダソテツなどの植物の茎、葉、花弁に存在する、ＡＮＰ「様」とも呼ばれる多くのＡＮＰ（以下、「植物のナトリウム利尿ペプチド」をＰＮＰともいう）が記載されている（Ｄａｖｉｄ　Ｌ．ＶｅｓｅｌｙとＡｍｙ　Ｔ．Ｇｉｏｒｄａｎｏ，Ｂｉｏｃｈｅｍｉｃａｌ　ａｎｄ　Ｂｉｏｐｈｙｓｉｃａｌ　Ｒｅｓｅａｒｃｈ　Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎｓ，１９９１年８月３０日、第１７９巻第１号第６９５−７００頁；Ｊ．Ｏ．Ａｄｅｂｏｙｅら、１９９７年、Ｐｈｙｔｏｔｈｅｒａｐｙ　Ｒｅｓｅａｒｃｈ，第１１巻第４５４−４５６頁、Ｐｕｌｏｃｋ　Ｋ；Ｍｕｋｈｅｒｊｅｅら、Ｐｈｙｔｏｔｈｅｒａｐｙ　Ｒｅｓｅａｒｃｈ，１９９６年、第１０巻第４２４−４２５頁）。とくにつぎの植物が重要である：ヴェルモニア・シネレア（Ｖｅｒｍｏｎｉａ　Ｃｉｎｅｒｅａ）、ハス（Ｎｅｌｕｍｂｏ　ｎｕｃｉｆｅｒａ）、ニンニク（Ａｌｌｉｕｍ　ｓａｔｉｖｕｍ）、ホシセンネンボク（Ｄｒａｃｅｎａ　ｇｏｄｓｅｆｆｉａｎａ）、メタセコイア（Ｍｅｔａｓｅｑｕｏｉａ　ｇｌｙｐｔｏｓｔｒｏｂｏｉｄｅｓ）、セイヨウキヅタ（Ｈｅｄｅｒａ　ｈｅｌｉｘ）。
【００１２】
すなわち、本発明の美容用組成物は、少なくとも、ヒメフウロ（Ｇｅｒａｎｉｕｍ　Ｒｏｂｅｒｔｉａｎｕｍ）、ヴェルモニア・シネレア（Ｖｅｒｍｏｎｉａ　Ｃｉｎｅｒｅａ）、ハス（Ｎｅｌｕｍｂｏ　ｎｕｃｉｆｅｒａ）、ニンニク（Ａｌｌｉｕｍ　ｓａｔｉｖｕｍ）、ホシセンネンボク（Ｄｒａｃｅｎａ　ｇｏｄｓｅｆｆｉａｎａ）、メタセコイア（Ｍｅｔａｓｅｑｕｏｉａ　ｇｌｙｐｔｏｓｔｒｏｂｏｉｄｅｓ）、セイヨウキヅタ（Ｈｅｄｅｒａ　ｈｅｌｉｘ）からなる群から選ばれた植物の抽出物を含有する。
【００１３】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物は、従って、肥満の処置に、より詳しくは、美容術領域における痩身組成物として、有用である。
【００１４】
人体、とくに女性の身体が、やがては、個人ごとに相違しうるいくつもの因子に関連した、とりわけ脂肪組織の、美的でない変化を受けるのは、確かである。加齢はもちろんであるが、食餌または病的な因子も重要である。それゆえ、従来技術において、植物抽出物に基いた多くの痩身美容用組成物が提案されている。より詳しくは、第２７２９８５６号として公告された本出願人のフランス特許中に記載されている痩身美容用組成物を挙げることができる。この特許は、可溶性有機物質もしくは酵素を媒介として、肌をきめ細かくし、皮膚に有効成分を受け入れる準備をさせ、脂質排泄を促進し、これら脂質の貯蔵を阻害するというそれら有効成分の効果を増強することのできる痩身美容用組成物を提案している。
【００１５】
さて、本発明の痩身美容用組成物は、脂肪分解を刺激し、脂肪細胞量の増大に対抗するための因子としてのＰＮＰ、好ましくはＰＮＰ含有植物抽出物の形のＰＮＰを、活性成分として含有することを特徴とする。
【００１６】
ＰＮＰ含有植物抽出物に加えて、本発明の組成物は、脂肪の生合成を阻害し、または脂肪分解を促進するのに、さらには皮膚表面をきめ細かくし、引き締め、しわをとり、またはそれに水分を補給するのに有用な他の活性成分を含有することができる。より詳しくは、ガルシニア・カンボジャ（Ｇａｒｃｉｎｉａ　Ｃａｍｂｏｄｇｉａ）の果皮の抽出物などのヒドロキシクエン酸に富む植物の抽出物を挙げることができる。ガルシニア・カンボジャは、インド原産で、脂肪の生合成を阻害し、従って脂肪の貯蔵を阻害するヒドロキシクエン酸に富む植物である。かかるガルシニア・カンボジャの果皮の抽出物は、カンジダ・リポリティカ（Ｃａｎｄｉｄａ　Ｌｉｐｏｌｙｔｉｃａ）のバイオ濾液と組合せて、カルシノール（Ｇａｒｃｉｎｏｌ）なる名称のもとに市販されている。カンジダ・リポリティカのバイオ濾液は、この菌株を特定の培地で醗酵させることによって得られ、それは脂肪分解を、より詳しくはトリグリセリドの加水分解を刺激し、従って脂肪の貯蔵減少を促進することができる。
【００１７】
ガルシノール以外に、本発明の痩身美容用組成物は、脂肪分解作用を呈し、ガルシノールの作用を増強するカフェイン、さらには下記抽出物の一種以上を含有することができる：
―　カルシウム、カリウムなどの無機質、サポノシド類およびサポゲニン類に富むフラゴン（Ｆｒａｇｏｎ；ナギイカダ属ユリ科の草状小低木；またはプチ・ウー（Ｐｅｔｉｔ　Ｈｏｕｘ）あるいはルスクス（Ｒｕｓｃｕｓ））の抽出物。サポノシド類の存在がこの抽出物につぎの諸性質を付与している：
・抗炎症、鎮痛、鎮静作用、
・潮紅に対する保護のための明色化効果、
・微小循環を促進し、従って毛細血管の緊張度を改善する、
・皮膚のうっ血を除去する。
―　シラノールなどの珪素誘導体の一種以上、これらはつぎの性質を示す：
・水分を補給し、水濃度の調整を可能にする、
・阻害および再生、とりわけ、膜脂質の再編成を可能ならしめ、膜を遊離基（フリーラジカル）の攻撃に対してより抵抗性とする抗遊離基活性、
・血管拡張を減退させ、アラキドン酸の作用を打ち消す抗炎症作用。
―　インドグリ（Ｍａｒｒｏｎ　ｄ’Ｉｎｄｅ）の抽出物、これはつぎの性質を示す：
・毛細血管の抵抗性を高め、透過性を低下させることのできるビタミンＰ作用（血管保護作用）、
・炎症に対するうっ血除去および鎮痛作用。インドグリのサポノシン誘導体は「オレンジピール」の効果を処置できるからである。
―　イチョウ（Ｇｉｎｋｇｏ　Ｂｉｌｏｂａ）の抽出物、乾燥したイチョウの葉は、フラボノイド類を含有するために、静脈強壮剤として医療に利用されている。
―　赤ブドウの抽出物。赤ブドウの葉は、フラボノイド類に富み、血管壁および静脈の張力を補強できる。それゆえ、かかる抽出物は微小循環に対して作用する。
―　紅藻類の抽出物。結合組織を保護し、毛細血管の脆弱さを緩和できる。
【００１８】
本発明の組成物中、ＡＮＰ含有植物抽出物の割合は、０．５〜１０％の範囲内であり、好ましくは１〜５％程度である。
【００１９】
さらに、本発明の痩身美容用組成物は、本発明の組成物に鎮静性または強壮性を付与できる一種以上の剤を含有することができる。従って、本発明は、日光浴後、髭剃り後、特別な敏感肌などに有効な痩身・鎮静用美容組成物をも意図している。ここに、鎮静有効成分は、たとえば、アラントイン、１８β―グリチルレチン酸、ビサボロール、シナノキ（ボダイジュ）やカミツレなどの鎮静性植物の抽出物である。
【００２０】
それゆえ、本発明は、痩身・強壮用美容組成物をも意図しており、強壮活性成分は、たとえば、ウコギ（ｅｌｅｕｔｅｒｏｃｏｑｕｅ）、レモン、オレンジ、ラタニア（ｒａｔｈａｎｉａ）などである。
【００２１】
本発明の組成物は、美容の領域で当業者に既知のあらゆる形態、たとえば、クリーム、乳液、ローション、ゲル、パックなどの形態をとることができ、皮膚適用用であること以外に何らの特別な製剤上の制限も受けない。

Claims (9)

1. 活性成分としてＰＮＰを含有することを特徴とする美容用、とくに痩身美容用組成物。
2. 該ＰＮＰが植物抽出物中に含有されていることを特徴とする請求項１に記載の組成物。
3. 該ＰＮＰ含有植物抽出物が、ヒメフウロ（Ｇｅｒａｎｉｕｍ　Ｒｏｂｅｒｔｉａｎｕｍ）、ヴェルモニア・シネレア（Ｖｅｒｍｏｎｉａ　Ｃｉｎｅｒｅａ）、ニンニク（Ａｌｌｉｕｍ　ｓａｔｉｖｕｍ）、ホシセンネンボク（Ｄｒａｃｅｎａ　ｇｏｄｓｅｆｆｉａｎａ）およびメタセコイア（Ｍｅｔａｓｅｑｕｏｉａ　ｇｌｙｐｔｏｓｔｒｏｂｏｉｄｅｓ）からなる群から選ばれた植物の抽出物の少なくとも一種であることを特徴とする請求項２に記載の美容用組成物。
4. さらに、少なくとも一種の、脂肪の生合成を阻害するかまたは脂肪分解を促進するかあるいは皮膚表面のきめを細かくし、ひき締め、しわをとり、またはそれに水分を補給するのに有効な活性成分を含有することを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の美容用組成物。
5. ガルシニア・カンボジャ（Ｇａｒｃｉｎｉａ　Ｃａｍｂｏｄｇｉａ）の果皮の抽出物などのヒドロキシクエン酸に富む植物の抽出物を含有することを特徴とする請求項４に記載の美容用組成物。
6. カフェインを含有することを特徴とする請求項４または５のいずれかに記載の美容用組成物。
7. 下記を含有することを特徴とする請求項４〜６のいずれかに記載の美容用組成物：
   ―　ナギイカダ（Ｆｒａｇｏｎ）の抽出物、
   ―　珪素の誘導体の一種以上、
   ―　インドグリの抽出物、
   ―　イチョウの抽出物、
   ―　赤ブドウの抽出物、
   ―　紅藻類の抽出物。
8. 当該組成物中のＰＮＰ含有植物抽出物の割合が０．５〜１０％の間、好ましくは１〜５％程度であることを特徴とする請求項１〜７のいずれかに記載の美容用組成物。
9. 脂肪分解を刺激する美容用成分としてＰＮＰを含有する植物抽出物の痩身用組成物調製のための使用。