JP2004504006A - プラスミドdnaの大規模化可能な精製方法 - Google Patents

プラスミドdnaの大規模化可能な精製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、臨床等級のプラスミドDNAを細菌細胞から単離するための非クロマトグラフィーに基づく方法に関する。本明細書に記載の例示方法は、珪酸カルシウムに対する不純物の吸着と組合せたCTABに基づくDNA沈殿を含む、臨床等級のプラスミドDNAを大腸菌(E.coli)から精製するための大規模化可能な経済的に有利なプロトコールを概説する。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、臨床等級(clinical grade)のプラスミドDNAを微生物細胞から単離する大規模化可能(scaleable;規模調節可能)な方法に関する。本明細書に記載の例示されている方法は、大腸菌(E.coli)から臨床等級のプラスミドDNAを精製するための大規模化可能で経済的に有利なプロトコールを概説するものであり、これは、プラスミドの製造の下流加工中に、高価なクロマトグラフィー工程に依存しないため、この方法は、大規模な工業的プラスミド精製方法に特になじみやすいものとなる。
【0002】
(発明の背景)
遺伝子治療およびDNAワクチン接種の領域の進展は、臨床等級のプラスミドDNAの大規模な製造および精製の需要を生み出している。最近の総説において指摘されているとおり(Prazeresら,1999,TIBTech 17:169−174)、小規模なプラスミドDNA精製方法に関するこれまでの研究にもかかわらず、臨床等級のプラスミドDNAの製造および精製を大規模化することは依然として困難である。特に問題なのは下流加工工程であり、これは大抵の場合、集められた細胞のアルカリ細胞溶解およびそれに続く酢酸アンモニウム沈殿に基づくものであり、更なる下流加工工程は、サイズ排除、陰イオン交換および逆相クロマトグラフィー工程に大きく依存する。また、複数のクロマトグラフィー工程のための樹脂およびバッファーのような原料の費用が、高い単価および大DNA分子に関する低い容量のため、法外なものとなることに注目すべきである。陽イオン界面活性剤CTABおよび種々の形態のシリカは、小規模なプラスミドDNAの製造に使用されており、臨床等級のプラスミドワクチンの製造を意図していないことが公知である。ある種の不純物に関するこれらの工程の除去能力は確認されておらず、また、大規模化可能な方法の設計のためのそれらの有用性も確認されていない。Del Salら(1989,BioTechniques 7(5):514−519)およびGustincich(1991,BioTechniques 11(3):289−301)は、それぞれ、清澄化された小規模な大腸菌(E.coli)ライセートからプラスミドDNAを沈殿させるために、およびヒト全血の小規模調製物からゲノムDNAを沈殿させるために、CTABを使用している。Ishaqら(1990,Biotechniques 9(1):19−24)は、CTABで沈殿させた小規模なプラスミドDNAをPZ523遠心カラムにアプライして、少なくともサブクローニングおよびジデオキシ配列決定のための鋳型には適した精製された産物を得ることを開示している。この技術は、臨床等級ロットのDNAプラスミドを得るために、界面活性剤に基づく沈殿工程を利用することを何ら開示も示唆もしていない。
【0003】
Vogelstein & Gillespie(1979,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.76(2):615−619)は、DNAの制限酵素消化物をアガロースゲルから分離するための技術を開示しており、この場合、濃ヨウ化ナトリウムの存在下でDNAをガラス(シリカ)に結合させ、エタノールで洗浄し、低い塩濃度で溶出する。Boomら(1990,J.Clin.Microbiol.28(3):495−503)およびCarter & Milton(1993,Nucleic Acids Res.21(4):1044)は、DNA配列決定に適したプラスミドDNAの単離方法を開示している。カオトロピック(chaotropic)剤であるグアニジニウムチオシアナートの存在下でプラスミドDNAを、珪藻土の形態のシリカに結合させる。該固定化プラスミドDNAをエタノールで洗浄し、低い塩濃度で溶出する。この技術の微妙な変法が、(1)PCT公開WO 91/10331;(2)PCT公開WO 98/04730および(3)1999年12月24日付けでLittleに発行された米国特許第5,075,430号(これは、カオトロピック剤の存在下での珪藻土上へのDNAの吸着ならびにそれに続くDNAの分離および溶出に基づくプラスミドDNAの単離方法を開示している);ならびに(4)1998年9月15日付でPadhyeらに発行された米国特許第5,808,041号(これは、カオトロピック剤の存在下でシリカゲルとガラス粒子とを含む組成物を使用する核酸の単離方法を開示している)に開示されている。そのような場合もまた、これらの技術は、ヒトおよび他の潜在的宿主に投与する臨床等級の製剤のためのグラム量のプラスミドDNAを得るための大規模なDNAプラスミド製造方法に巧くは適用されていない。
【0004】
1990年5月8日付けでMcCormickに発行された米国特許第4,923,978号は、タンパク質性物質を優先的に結合させることによるDNAの精製のための、シリカの使用を開示している。
【0005】
1996年11月19日付けでHornらに発行された米国特許第5,576,196号は、RNAを優先的に結合させることによるDNAの精製のための、シリカの使用を開示している。
【0006】
それぞれ1996年6月4日付け及び1996年6月11日付けでWoodardらに発行された米国特許第5,523,392号および第5,525,319号は、DNA精製のための結合表面として用いられうるボロンシリカート、ホスホシリカートおよびアルミニウムシリカートを開示している。
【0007】
PCT国際出願PCT/US96/20034(国際公開第WO 98/01464号)は、血液のような生物学的流体から有機化合物を選択的に分離するための、水和珪酸カルシウムの使用を開示している。
【0008】
ここでもまた、前記で挙げた参照文献はいずれも、宿主細胞タンパク質、宿主細胞内毒素、ゲノムDNA、ゲノムRNAおよびプラスミド分解物(例えば、直鎖状および開環形態)を実質的に含有しない大規模化可能な臨床等級のDNAプラスミドロットを製造するための当業者に対する適当な指針を示していない。この目的には、法外に高価なクロマトグラフィー工程の必要性を排除する一方で、少なくともヒトワクチン接種およびヒト遺伝子治療用途に使用するための臨床等級のグラム量のDNAプラスミド調製物を提供する大規模化可能なプラスミド精製方法を同定することが非常に有用であろう。本発明は、ゲノムDNA、ゲノムRNA、タンパク質、宿主内毒素およびタンパク質分解物(例えば、直鎖状および開環形態)のような残留混入物を除去するために結晶性水和珪酸カルシウム(本発明では「hcCaSiO」と称される)またはいずれかの同様の作用性化合物を使用する下流の大規模バッチ吸着工程と共に、上流工程においてプラスミドDNAを選択的に沈殿させるために好ましくはCTABのような陽イオン界面活性剤を利用する大規模化可能なプラスミド精製方法を開示することにより、これらの要求について検討し、それらを満足させるものである。
【0009】
(発明の概要)
本発明は、大規模な臨床等級のプラスミドDNAの製造および精製のための大規模化可能な経済的な製造方法を代表する方法である、臨床等級のプラスミドDNAを微生物細胞から単離する方法に関する。本発明は更に、該DNAプラスミド精製方法の大規模化可能な経済的な特質に寄与する幾つかの細胞溶解後の中心的(core)方法に関する。より詳しくは、細胞溶解後の工程は、以下のものを含む(それらに限定されるものではない):(1)2つの部分を含む沈殿/溶解工程における、単一または段階的様態での界面活性剤(例えば、CTAB)によるプラスミドDNAの沈殿、ならびにこれと組合せた、該CTAB沈殿プラスミドDNAの濃縮および塩溶液での選択的溶解;(2)同様に単一または段階的様態での水和結晶性珪酸カルシウム(hcCaSiO)上への吸着による内毒素および他の残存不純物の除去;および(3)アルコール沈殿(エタノール、メタノールおよびイソプロパノールを含むが、これらに限定されるものではない)または別の濃縮方法(限外濾過を含むが、これに限定されるものではない)による、該精製プラスミドDNAの濃縮。これらの工程を組合せて用いたり、当技術分野で公知の追加的な精製工程と更に組合せて用いたり、および/または、前記工程の少なくとも1つを省略することが可能であり、好ましくは、DNAプラスミドの精製技術に関連した当技術分野で公知の他の方法と組合せる。
【0010】
本発明の方法は、微生物細胞(細菌細胞、植物細胞、酵母、バキュロウイルスを含むが、これらに限定されるものではなく、大腸菌(E.coli)が好ましい微生物宿主である)からの臨床等級のDNAプラスミドの精製を可能にする。本明細書に記載の方法により精製された臨床等級のプラスミドDNAは、ワクチンまたは遺伝子治療ビヒクルとしてのヒトへの投与に非常に有用である。
【0011】
本発明のプラスミドの精製方法の利点は、1つには、CTABでのDNAの段階的沈殿およびそれと組合せた、hcCaSiO上への吸着による残存不純物の除去が、これまでに認識されていない選択性を有する問題となる不純物(ゲノムDNA、RNAおよびDNA分解物、例えば直鎖状DNAを含む)を除去するという知見によるものである。これらの沈殿/精製工程を含む完全な方法の設計が、本明細書に開示する本発明の核心である。また、開示されている方法は大規模化可能である。
【0012】
本発明の精製方法のもう1つの利点は、大規模なプラスミド製造のための選択的な沈殿および吸着の別のアプローチにより、重合体に基づく高価なクロマトグラフィー樹脂が必要とされないことである。
【0013】
本発明の精製方法のもう1つの利点は、それが、基本的に製造大規模化操作になじみやすいことである。該単位操作は、沈殿、濾過、吸着および乾燥よりなる。珪藻土の使用は、発酵産物にしばしば伴う汚れの問題を回避すると同時に、非圧縮性濾過ケークを与える。
【0014】
本発明の精製方法のもう1つの利点は、それが、該方法中の更なる工程におけるRNAの除去のための高価な酵素である組換えRNアーゼの添加の必要性を回避していることである。
【0015】
本発明の精製方法のもう1つの利点は、CTABのような長鎖界面活性剤での沈殿が、製造規模での溶媒含有廃棄流の処分において重要である下流加工容積の減少をもたらすことである。
【0016】
本発明の精製方法の更にもう1つの利点は、アルコール(例えば、エタノール)沈殿が、膜に基づく濃縮中に生じる予期されるせん断損傷を伴わずに高濃度で再懸濁されうる安定なバルク産物を得るための理想的な方法であることである。
【0017】
本発明の1つの目的は、大腸菌(E.coli)のような原核性宿主からの臨床等級のプラスミドDNAの大規模な精製のための費用効果的な方法を提供することである。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、プラスミドDNAの大規模(すなわち、大規模化可能な)精製のための大規模化可能な経済的な方法を与える細胞溶解後工程を提供することであり、該工程は、(i)単一または段階的様態での界面活性剤(例えば、CTAB)によるプラスミドDNAの沈殿、ならびにこれと組合せた、該CTAB沈殿プラスミドDNAの濃縮および塩溶液での選択的溶解、(ii)単一または段階的様態での水和結晶性珪酸カルシウム(hcCaSiO)上への吸着による内毒素および他の残存不純物の除去、および/または(iii)アルコール(例えば、エタノール沈殿)または他の濃縮方法(限外濾過を含むが、これに限定されるものではない)による該精製プラスミドDNAの濃縮の細胞溶解後工程を含むが、これに限定されるものではない。これらの工程は、組合せて用いたり、当技術分野で公知の追加的な精製工程と更に組合せて用いたり、および/または、前記工程の少なくとも1つを省略することが可能であり、好ましくは、DNAプラスミドの精製技術に関連した当技術分野で公知の他の方法と組合せる。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、原核性宿主からの臨床等級のプラスミドDNAの大規模(すなわち、大規模化可能)な精製のための費用効果的な方法であって、(i)細胞溶解、(ii)珪藻土に補助された濾過によるライセートの清澄化、(iii)セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)を使用するプラスミドDNAの選択的沈殿、ついでプラスミドDNA含有濾過ケークを回収するための濾過、(iv)塩溶液での該プラスミドDNA含有濾過ケークの選択的溶解、(v)珪酸カルシウム水和物上への残留不純物の吸着およびそれに続く濾過、および(vi)アルコール(アルコールを含むがこれに限定されるものではない)を使用する精製プラスミドDNAの沈殿の工程を含んでなる方法を提供する。
【0020】
本発明において互換的に用いる「臨床等級のプラスミド」および「医薬等級のプラスミド」なる語は、遺伝子治療用途およびDNAワクチン接種用途を含む(これらに限定されるものではない)公知の任意の予防的または治療的適応のためのヒトへの投与に関して許容される純度レベルの、原核細胞から単離されたプラスミドDNAの調製物を意味する。
【0021】
本発明で用いる「非スーパーコイルプラスミドDNA」は、スーパーコイルプラスミドDNAではない任意のDNA、例えば、他の任意の形態のプラスミドDNA、例えばニック開環状および直鎖状ならびに宿主ゲノムDNAを意味する。
【0022】
本発明で用いる「CTAB」は、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドまたはセチルトリメチルアンモニウムブロミドを意味する。
【0023】
本発明で用いる「hcCaSiO」は、水和結晶性珪酸カルシウムを意味する。
【0024】
本発明で用いる「STETバッファー」は、50mM Tris−HCl(〜pH7.0−9.0)、約50〜100mM EDTA、約8% スクロースおよび約2% Triton(登録商標)−X100を含むバッファーを意味する。
【0025】
本発明で用いる「IPA」は、イソプロパノールを意味する。
【0026】
本発明で用いる「PEG」は、ポリエチレングリコールを意味する。
【0027】
本発明で用いる「gDNA」は、ゲノムDNAを意味する。
【0028】
本発明で用いる「gRNA」は、ゲノムRNAを意味する。
【0029】
本発明で用いる「LRA(商標)」は、脂質除去剤(lipid removal agent(商標))を意味する。
【0030】
本発明で用いる「EDTA」なる語は、エチレンジアミン四酢酸を意味する。
【0031】
本発明で用いる「SC」は、「スーパーコイル」を意味する。
【0032】
本発明で用いる「OC」は、「開環状」を意味する。
【0033】
本発明で用いる「NTU」は、「正規化濁度単位」を意味する。
【0034】
本発明で用いる「L」は、「リットル」を意味する。
【0035】
本発明で用いる「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを意味する。
【0036】
(図面の簡単な記載)
図1は、清澄化により細胞残渣を除去する中心的な4つの工程プロセスを含むプロセスの流れ図を示す。CTABでの段階的沈殿および珪酸カルシウム吸着は、宿主RNA、DNA、タンパク質および内毒素ならびにプラスミド分解物、開環状および直鎖状DNAを除去する。エタノール沈殿により、安定なバルク粉末が得られる。
【0037】
図2は、CTABでの段階的沈殿中の濃度プロフィールを示す。プラスミドDNAが、小刻みな界面活性剤の増加量に対して沈殿している。該工程は、可溶性のままのタンパク質、RNAおよび内毒素の除去に関して選択的である。
【0038】
図3は、アガロースゲル電気泳動による0.2M NaClによるプラスミドDNAの選択的溶解を示す。宿主、ゲノムDNAは、部分的に可溶性であるに過ぎず、0.2M NaClでの溶解後の濾過により除去される。1.2M NaClで、gDNAは可溶性である。
【0039】
図4A〜Dは、hcCaSiO(LRA(商標))への不純物の吸着による精製を示す。(A).塩化ナトリウム濃度に対するプラスミドDNAの平衡吸着。(B).qPCRにより測定されたゲノムまたは宿主DNAの吸着。LRA(商標)は、1.2M NaClでの5時間の混合接触の後にDNAを選択的に除去する。プラスミド収率は約60%である。(C).1.2M NaCl中のhcCaSiO上へのプラスミド分解物の選択的吸着。hcCaSiO濃度に応じた、hcCaSiOと接触した液相サンプルのアガロースゲル電気泳動(レーン1:32g hcCaSiO/g DNA;レーン2:35g hcCaSiO/g DNA;レーン3:40g hcCaSiO/g DNA;レーン4:42g hcCaSiO/g DNA;レーン5:45g hcCaSiO/g DNA)。直鎖状、弛緩型開環状および多量体(M)が除去される。(D)0.5M NaCl中のhcCaSiO上へのプラスミド分解物の選択的吸着。時間に応じた、全DNA 1g当たり32gのhcCaSiOと接触した液相サンプルのアガロースゲル電気泳動(レーン1:3.3時間、レーン2:6.2時間、レーン3:10.8時間、レーン4:21.5時間)。直鎖状、弛緩型開環状および多量体(M)が除去される。
【0040】
図5は、Lasentec(登録商標)粒径分析器を使用する0.25%〜0.30% w/v CTABによる不純物の沈殿を示す。粒子計数の急激な変化に基づき、STETバッファー中の清澄化ライセートへの40mM NaCl中の1% w/v CTABの添加を100分の時点で停止する。沈殿不純物は濾過により除去する。該スーパーコイルプラスミドを沈殿させるために、追加的なCTABを加える。
【0041】
図6は、実施例1に開示する加工工程からのサンプルのDNA組成物を示す。スーパーコイルプラスミドは最下バンドに可視化されている。それより上方のバンドは、開環状および直鎖状プラスミド、プラスミド多量体ならびにゲノムDNAを含む種々のDNA不純物を表す。示されているのは、珪藻土で清澄化されたライセート(左からレーン1);0.23% w/v CTABにおける低カット(cut)濾液(レーン2);DNAを含有しない0.30% w/v CTABにおける高カット濾液(レーン3);0.4M NaCl中の高カット沈殿物(レーン4);0.475M NaCl中の高カット沈殿物(レーン5);0.5M NaCl中の高カット沈殿物(レーン6);hcCaSiO吸着工程後の0.8ミクロン濾液(レーン7);エタノール沈殿および無菌水中の再溶解に付されたhcCaSiO産物(レーン8)である。
【0042】
(発明の詳細な記載)
本発明は、臨床等級のプラスミドDNAの製造のための経済的な代替的製造方法を代表する大規模化可能な方法に関する。より詳しくは、本発明の核心は、以下を含む幾つかの下流(すなわち、細胞溶解後)工程に関する:(1)2つの部分を含む沈殿/溶解工程における、単一または段階的様態での界面活性剤(例えば、CTAB)によるプラスミドDNAの沈殿、ならびにこれと組合せた、該CTAB沈殿プラスミドDNAの濃縮および塩溶液での選択的溶解;(2)同様に単一または段階的様態での水和結晶性珪酸カルシウム(hcCaSiO)上への吸着による内毒素および他の残存不純物の除去;および(3)アルコール(エタノール、メタノールおよびイソプロパノールを含むが、これらに限定されるものではない)に基づく沈殿または別の濃縮方法(限外濾過を含むが、これに限定されるものではない)による、該精製プラスミドDNAの濃縮。本明細書に例示するとおり、工程(1)および(2)は、該精製方法の対象であるスーパーコイルプラスミドDNAから種々の細胞ライセート不純物を物理的に分離するための後続の濾過工程と結びついている。
【0043】
臨床等級のプラスミドDNAの回収をもたらす全体的な大規模化可能な精製方法を体系化するために、これらの3つの中心的工程に追加または省略を行うことは、本発明の範囲内である。したがって、前記の界面活性剤に基づくプラスミドDNA沈殿工程または該hcCaSiO吸着工程は省略されうると意図される。この簡素化方法は、全体的な精製スキームを補完する追加的な「非中心的」工程を含みうる。例えば、本発明の好ましい方法においては、界面活性剤に基づく初期沈殿工程は、エタノール沈殿により該プラスミドDNAを濃縮する最終工程と合体しうる。ついで、これらの2つの中心的工程を、臨床等級ロットのプラスミドDNAを得るために当技術分野で公知の他の精製工程(例えば、カラムクロマトグラフィー)と組合せることが可能である。しかし、(1)界面活性剤沈殿および選択的塩溶解、(2)hcCaSiOへの吸着、および(3)プラスミドDNA濃縮の中心的工程は、追加的な補完工程を含む全体的な大規模化可能な方法を与える該精製方法を拡張する基礎となる可能性が高いであろう。これらの補完工程は、特定のロットに必要なプラスミドDNAの全量に応じて、当業者の判断で加えることが可能である。この目的において、全体的な大規模化可能な方法の基礎としてこれらの3つの中心的工程を用いる種々の具体例が、本発明を例示するために本明細書に記載されているが、これらは本発明を何ら限定するものではない。当業者は、適当な等級のDNAプラスミド純度をもたらすスキーム(体系)を与える公知プラスミド精製工程を考慮することが可能である。例えば、PCT国際出願番号PCT/US95/09749(WO96/02658)およびPCT/US96/07083(WO96/36706)は、有効な精製プロトコールを得るためにこの段落に記載の中心的精製工程と組合せて使用されうる代替的なクロマトグラフィーに基づく下流工程に関する指針を示している。どちらの開示も、清澄化、DNAおよびタンパク質の除去のためのベンゾナーゼでの限外濾過、更なるタンパク質に関するイオン交換、および内毒素、Lin/OC不純物逆相クロマトグラフィー、および濃縮のための最終的限外濾過を含む下流事象(熱交換工程後)を示している。したがって、CTABを単独で使用する場合には、それは限外濾過およびイオン交換の代わりに使用されうるが、それは、CTABにより除去されていない不純物を除去するために最終的な逆相クロマトグラフィー工程と共に使用されるであろう。一方、hcCaSiOだけを使用する場合には、そのようなプロトコールを、WO96/02658およびWO96/36706に記載の清澄化、限外濾過およびイオン交換クロマトグラフィーの後に行うことが可能であろう。
【0044】
本発明の1つの実施形態は、界面活性剤により誘発される沈殿(すなわち、界面活性剤誘発性沈殿)によりスーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させることを含む、微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製する方法に関する。本発明のこの態様は、界面活性剤セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)の使用に関して例示されているが、これに限定されるものではない。関心のある界面活性剤は、単一または段階的様態で加えることが可能である。該界面活性剤の段階的添加の具体例としては、CTABの段階的添加(この場合、STETバッファー中の清澄化ライセートに1% w/v CTAB溶液を供給する)が挙げられ、この場合、残渣および非スーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させるために約0.25%〜約0.28%の第1CTAB誘発性沈殿を行い、ついで該スーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させるために約0.30%〜約0.33%の第2CTAB誘発性沈殿を行う。これらの範囲は、標準STET細胞溶解バッファー(約50mM Tris−HCl(〜pH7.0−9.0),約50〜1000mM EDTA,約8% スクロースおよび約2% Triton(登録商標)X−100)の使用に最も良く適合する。段階的沈殿範囲を改変して種々のバッファー系の任意の特性に合致させ(Triton(登録商標)に基づく界面活性剤または二価カチオンEDTAを該細胞溶解バッファー中に含有させることを含む(これに限定されるものではない))、それにより、まず、実施可能な不純物量を、スーパーコイルプラスミドDNAを含む残存バッファー溶液から沈殿させ、ついで該DNAを追加的CTAB誘発性沈殿で沈殿させることは、当業者の認識範囲内であろう。標準STETバッファーの使用に関して前記したとおり、プラスミドDNAの沈殿の促進を助けるために種々のバッファーに有用な濃度のEDTAおよび/またはTriton(登録商標)に基づく界面活性剤のような化合物を加えることも有用であろう。この目的には、有効量のTriton(登録商標)およびEDTAを含有させることによる細胞溶解バッファーとして、STETバッファーが有用である。したがって、これらの化合物は、EDTA(これは、EDTAが存在しなければDNアーゼを活性化する二価金属イオンと会合することによりDNアーゼ活性を阻害する)と共に該細胞溶解工程中に存在する。また、Triton(登録商標)は大腸菌(E.coli)細胞膜を溶解する。両成分はCTAB工程に運ばれる。EDTAは、有利な役割を果たし続ける。なぜなら、該二価金属イオンは、プラスミドとCTABとの複合体形成を妨げるからである。より重要なのは、スーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させるための単一または段階的カット(cut)のための有効CTAB濃度の選択におけるTriton(登録商標)の影響である。Triton(登録商標)はCTABと相互作用し、そのため、スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿しうる前に、ある閾値レベル(例えば、STETバッファー中の清澄化ライセートに加える1% CTAB供給溶液に対して0.23%、0.25%、0.30%など)までCTABを添加することが必要となる。したがって、該CTAB濃度範囲は、Triton(登録商標)およびDNA濃度の両方に左右される。この目的には、例えば、0.25%〜.28%および0.28%〜0.33% CTAB(この場合も、1% w/vのCTABの供給に対するものである)の段階的範囲が、以下に基づいて定められる。低カット量は、Triton(登録商標)濃度の関数である。なぜなら、Triton(登録商標)は、Triton(登録商標)ミセル(各ミセルは140個のTriton分子を含有すると考えられる)1個当たり22分子のCTABに結合するからである。一方、高カット量は、DNA濃度の関数である。なぜなら、各プラスミド分子は、DNAヌクレオチド反復単位1個当たり0.9当量のCTABに結合するからである。実施例1に概説するこの特定の場合には、低カット沈殿に関する0.25〜0.28% CTABの列挙範囲は、1% Tritonを含有するライセートSTETバッファーへの1% CTAB溶液の添加に対応する。0.28〜0.33%の高カット範囲は、純度約84%の0.34mg/ml プラスミドDNAを含有していた元の清澄化ライセート溶液に由来する濾過された低カット溶液への1% CTAB溶液の添加に対応する。当業者は、CTABの量(スーパーコイルプラスミドDNAの単一または段階的沈殿の場合)を、実施例1(DNA沈殿の視覚的検査)または実施例2(粒径分析器を使用するDNA沈殿の検査)に記載のとおりに、特定のバッファーに最良に適合させることが可能である。標準STETバッファーを使用する場合の後者の実施例では、当業者は、Lasentec(登録商標)濁度リアルタイムプローブにより沈殿を観察するであろう。そして、バッチごとに一定であるTriton(登録商標)濃度(細胞溶解時に確立されたもの)にこのCTAB濃度を相関させることにより約0.25%で終了することが判明するであろう。ついで、DNAが沈殿するにつれて、Lasentec(登録商標)での同じ方法が完了し、そして、沈殿に要する0.03%の増加量(0.25から0.28の差)に対応する約1mg/mlのDNAが存在することが判明するであろう。NaOH/KOAc細胞溶解アプローチの場合と同様にTriton(登録商標)が存在しない(または、標準STETバッファーとは異なるTriton(登録商標)濃度が存在する)場合、あるいは該発酵が、非常に異なる濃度のプラスミドを与える場合、当業者はこれらの数値を認識するであろう。したがって、前者は低カット量、そして後者は高カット量のCTABに影響を及ぼす。Lasentec(登録商標)粒径分析器のような粒径分析器により、低および高カット範囲を決定するのが好ましい。この方法は、低および高カット範囲をより厳密に定めるために精度を増加させる。なぜなら、プラスミドのCTAB沈殿が、小刻みなCTAB範囲にわたり生じるからである。したがって、これらの範囲を、重要な変数(例えば、Triton(登録商標)およびプラスミドDNA濃度)を測定することにより近似することが可能であり、種々のCTAB濃度の溶液中の粒子の視覚的な又は好ましくは機械により導かれる分析により特異的に同定することも可能である。本発明では、標準STETバッファーおよび1% w/v CTAB溶液(40mM NaCl中)の使用が、約0.25〜0.28% w/v(低)および0.30〜0.33%(高)の最適な低および高CTABカットを与えると例示される。そのような値は、1% w/v CTAB供給溶液を使用してSTETバッファー中の清澄化ライセートにCTABを供給する場合に当てはまると理解されるであろう。単なる例示として挙げると、該CTAB供給溶液の濃度を2倍にし(例えば、2% w/v CTAB供給)、半分の容積(同じCTAB量の場合)を加えることが許容される。この場合、該低カットおよび高カット濃度は、それぞれ約0.29〜0.33%および0.35〜0.40%であろう。これらの数値は、重量/容積比率(% w/v)に基づく数値を、清澄化ライセート1リットル当たりの添加CTAB質量に基づく単純な過程(process)に変換することにより、容易に正規化される。例えば、実施例1(標準STETバッファー)に例示されているのと同様にして、清澄化ライセート1リットル当たり3.3〜3.9gのCTABを加えることにより、低カットCTAB濃度に達するであろう。一方、(該初期低カット添加を超えて)CTABを清澄化ライセート1リットル当たり4.3〜5.0gの最終量まで加えることにより、高カットCTAB濃度に達するであろう。単一または段階的なCTABに基づく界面活性剤工程は、後続の塩溶解のための濾過ケーク沈殿物(スーパーコイルプラスミドDNAを含有)を得るための濾過工程と結び付けられるであろう。また、好ましい下流工程は、エタノール沈殿または限外濾過によりスーパーコイルプラスミドDNAの濃縮を維持する。本明細書に示すとおり、スーパーコイルプラスミドDNAを含有する粉末沈殿物を得るために、エタノール沈殿によりスーパーコイルDNAを最終的に沈殿させ更には濃縮することが可能な点で、アルコール(例えば、エタノール)に基づく沈殿の利用が好ましい。スーパーコイルプラスミドDNAをいずれかの残存不純物から最終的に精製する一方で、該プラスミドDNAを濃縮し、より実施可能なバッファー容積内への再懸濁を可能にするために、この下流工程を、より初期の工程の種々の組合せのいずれかと共に用いうることが明らかであろう。この実施形態はまた、少なくとも、CTABの添加前の該細胞ライセートの清澄化を含む(必ずしもこれに限定されるものではない)工程の追加と組合せたこの段落に記載の方法を含む。この工程を例示するために珪藻土(DE)を用いているが、該細胞ライセートを清澄化するためには、DEの代わりに他の成分(Solka FlocおよびEsosorb(Graver)のようなセルロースに基づく他の濾過助剤を含むがこれらに限定されるものではない)を用いることが可能である。該細胞ライセートを清澄化するために使用するDEまたは他の物質は、濾過および遠心分離を含む(決してこれらに限定されるものではない)当技術分野で公知のいずれかの液体固体分離技術により除去することができる。細胞清澄化工程を含むいずれかの方法は、本明細書に記載のエタノール沈殿または限外濾過を含む(これらに限定されるものではない)本明細書に開示する濃縮工程をも含みうる。
【0045】
本発明のもう1つの実施形態は、微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製する方法であって、中心的工程が該細胞ライセートへの水和結晶性珪酸カルシウム(hcCaSiO)の添加である方法に関する。該細胞ライセートへのhcCaSiOの単一または段階的添加は、該スーパーコイルプラスミドDNAからの残留不純物の吸着を引き起こすことが、本発明で示される。前記のとおり、本発明のこの形態のもう1つの態様は、少なくとも、CTABの添加前の該細胞ライセートの清澄化を含む(必ずしもこれに限定されるものではない)工程の追加と組合される前段落における吸着工程に関する。この場合もまた、DEが例示されているが、これはこの追加的工程を限定するものではない。この段落で言及している加工工程の組合せのいずれかはまた、本明細書に記載のエタノール沈殿または限外濾過を含む(これらに限定されるものではない)、該スーパーコイルプラスミドDNAを濃縮する工程を含みうる。単一吸着工程を用いるのか段階的吸着工程を用いるのかどうかにかかわらず、hcCaSiO吸着工程に加えて、1以上の工程(例えば、ライセートの清澄化および/またはエタノールまたは限外濾過での濃縮工程)の追加を行うことができる。中心的精製方法のこの段階においては、主要な不純物はCTAB、内毒素、ゲノムDNAおよびプラスミド分解物である。他の残留不純物(より低い濃度で存在するもの)は、タンパク質、RNA、そして恐らくはTriton(登録商標)を含む。水和珪酸カルシウムはこれらの不純物のすべてに結合するであろう。添加に要するhcCaSiOの厳密な量は、(1)存在する不純物の量、(2)バッファー条件(すなわち、塩濃度)および(3)恐らくは、該精製方法の全体にわたり用いる温度および塩のタイプを含む他の変数に左右される。存在する不純物の量は、(i)CTABを加えた場合のその添加量、(ii)ゲノムDNA、プラスミド分解物および内毒素の量に影響を及ぼしうる発酵ブロスにおけるロット間の相違、および(iii)同様にゲノムDNA、プラスミド分解物および内毒素の量に影響を及ぼしうる用いる細胞溶解方法に左右されうるが、必ずしもそれらに限定されるものではない。これらの変数を考慮して、特定の実施中に加えるhcCaSiOの量は様々となりうることが明らかであろう。加えるhcCaSiOの量は、前記の条件に応じて、およびその特定の実施中に入手可能となるhcCaSiOのロットによる潜在的な相違に応じて、約200グラム/リットルまでの範囲になると予想される。実施例1は、約25グラム/リットル〜約75グラム/リットルの範囲の指針を与える。しかし、この場合もまた、hcCaSiO吸着のための条件は、前記の条件に関して大規模化または小規模化することが可能であり、したがって、200グラム/リットルまでの該範囲の高い方の末端におけるhcCaSiOの添加が潜在的に必要となる。また、より高濃度のNaClはDNAおよび他の不純物に関するLRA(商標)の容量を増加させることが本発明で示される。プラスミドDNAのみに関するLRA(商標)の効果が図4Aに示されているが、高い塩濃度も、結合性ゲノムDNAおよび他の不純物に関するLRA(商標)の容量を増加させるらしい。したがって、いくつかの場合には、より少量の対応hcCaSiOの使用を可能にするはずである、より高い塩濃度を考慮することが有用であろう。有用な塩濃度は、例えば、NaClでは約5M NaClまでの範囲でありうると予想される。
【0046】
本発明のもう1つの実施形態は、微生物発酵の細胞ライセートからのスーパーコイルプラスミドDNAの精製に関する。これは、3つの異なる加工工程、すなわち、(i)界面活性剤誘発性沈殿により該スーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させ、得られた濾過ケークを塩溶液に再溶解し、(ii)該スーパーコイルプラスミドDNAから残留不純物を吸着除去するために該再溶解スーパーコイルプラスミドに水和結晶性珪酸カルシウムを加えて、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する溶液を得、(iii)該スーパーコイルプラスミドDNAを濃縮する工程の組み込みを含む。この場合も、例示している界面活性剤はCTABであり、これは単一または段階的様態で加えることが可能であり、ここでは一例として、約0.25〜約0.28%の[CTAB]での第1カットおよび約0.30%〜約0.33%の[CTAB]での第2カットを伴うSTETに基づくライセートバッファー中の該界面活性剤(CTAB、1% w/vで供給)の段階的添加により例示される。本明細書中の全体に記載するとおり(ならびに実施例1(視覚的証明)および実施例2に例示されているとおり)、本明細書を参照すれば、段階的沈殿範囲を改変して種々のバッファー系の任意の特性に合致させ、それにより、まず、実施可能な不純物量を、スーパーコイルプラスミドDNAを含む残存バッファー溶液から沈殿させ、ついで該DNAを追加的CTAB誘発性沈殿で沈殿させることは、当業者の認識範囲内である。この場合も、プラスミドDNAの沈殿の促進を助けるために、有用な濃度のバッファー成分、例えばEDTAおよび/またはTritonに基づく界面活性剤を種々のバッファーに加えることが有用であろう。回収された濾過ケーク(スーパーコイルプラスミドDNAを含む)の塩溶解は、最適なイオン強度および組成のバッファー溶液中で行う。塩は、プラスミドを溶解するがゲノムDNAおよび他の不純物を溶解しない最適な濃度にまで加える。この濃度は、種々の塩増加量において溶液中のスーパーコイルプラスミドの濃度を測定することにより測定され、あるいは、該溶液粘度を測定することにより間接的に測定される。前記中心的工程に対する追加的工程(1つまたはいずれかの組合せ)は、本明細書に記載のとおり、ライセート清澄化および/または濃縮工程(エタノールまたは限外濾過によるもの)を含みうるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
もう1つの実施形態は、改善された精製方法を得るために、該中心的方法への追加的工程(すなわち、該細胞ライセートの初期清澄化)の組み込みを含む。本発明のこの特定の実施形態は、(i)好ましくは珪藻土に補助される濾過または遠心分離によるライセートの清澄化、(ii)CTABのような界面活性剤でのプラスミドDNAの単一または段階的沈殿、得られた濾過ケークの塩溶解、(iii)hcCaSiO上への単一または段階的吸着による残存不純物の除去、および(iv)安定なバルク産物(これより、濃縮製剤溶液が容易に製造されうる)を与える、精製されたプラスミドDNAの、後続のアルコール(例えば、エタノール)沈殿を含む下流加工工程を含む。
【0048】
該中心的プロセスに加える追加的工程に基づく本発明のもう1つの実施形態は、細胞溶解の上流工程を含み、これは、当業者に現在利用可能な多数の方法により行うことができる。したがって、プロセス工程の組合せは、例えば、以下のプロセスを含むように、上流細胞溶解工程を含みうる:(i)細胞溶解、(ii)本明細書に記載のライセートの清澄化、(iii)CTABのような界面活性剤でのプラスミドDNAの単一または段階的沈殿、(iv)塩溶液でのプラスミドの選択的溶解、(v)hcCaSiO上への単一または段階的吸着による残存不純物の除去、および(vi)安定なバルク産物(これより、濃縮製剤溶液が容易に製造されうる)を与える、精製されたプラスミドDNAの、後続のアルコール(例えば、エタノール)沈殿。細胞溶解の任意の公知方法が、この上流工程に意図される。好ましい細胞溶解法が本明細書に記載されている。
【0049】
本発明の追加的な実施形態は、ライセートの清澄化の追加的工程が、以下の段階的方法を与えるように該中心的加工工程、細胞溶解および塩溶解工程と組合された方法に関する。該段階的方法は、(i)細胞溶解、(ii)好ましくは珪藻土に補助される濾過または遠心分離によるライセートの清澄化、(iii)CTABのような界面活性剤でのプラスミドDNAの単一または段階的沈殿、(iv)塩溶液での該プラスミドDNAの選択的溶解、(v)hcCaSiO上への残留不純物の吸着、および(vi)アルコール(例えば、エタノール)を使用する、精製されたプラスミドDNAの沈殿の工程を含むが、これらに限定されるものではない。プラスミド沈殿、アルコール沈殿および清澄化物質のためのCTABの使用の代替法が、本明細書に記載されている。
【0050】
本発明の方法は、細菌細胞、植物細胞、酵母、バキュロウイルスを含む(これらに限定されるものではなく、大腸菌(E.coli)が、好ましい微生物宿主である)微生物細胞からの臨床等級のDNAプラスミドの精製を可能にする。本明細書に記載の方法により精製された臨床等級のプラスミドDNAは、ワクチンまたは遺伝子治療ビヒクルとしてのヒトへの投与に非常に有用である。
【0051】
本発明は、臨床等級のプラスミドDNAの製造のための経済的な代替的製造方法を代表する大規模方法に関する。本発明の核心は、(i)CTABでのプラスミドDNAの段階的沈殿、(ii)塩溶液でのプラスミドの選択的溶解、(iii)結晶化珪酸カルシウム上への吸着による残存不純物の除去、およびそれに続く、最終産物の濃縮を含むいくつかの下流加工工程の周辺に集中する。本発明の核心は、ヒトへの投与に適したDNAプラスミド調製物を得るための、大規模化可能な設計プロセス(design process)における前記工程を含む。
【0052】
本発明は、臨床等級のプラスミドDNAを微生物細胞から単離する方法に関する。本発明のプラスミド精製方法は、1つには、(i)細胞溶解、(ii)珪藻土に補助された濾過によるライセートの清澄化、(iii)有用な量の珪藻土の存在下でのCTABでのプラスミドDNAの段階的沈殿、(iv)塩溶液での該CTABペレットの選択的溶解、(v)結晶化珪酸カルシウム上への吸着による残存不純物の除去、および(vi)安定なバルク産物(これより、濃縮製剤溶液が容易に製造されうる)を与える、該精製プラスミドDNAの、後続のアルコール沈殿を含む(これらに限定されるものではない)操作に基づく。
【0053】
本発明の好ましい態様においては、大規模なプラスミドの製造は、(i)CTABでのプラスミドDNAの段階的沈殿、(ii)塩溶液でのプラスミドの選択的溶解、(iii)結晶化珪酸カルシウム上への吸着による残存不純物の除去、および(iv)好ましくは、安定なバルク産物(これより、濃縮製剤溶液が容易に製造されうる)を与える該精製プラスミドDNAの後続のアルコール(例えば、エタノール)沈殿を含む幾つかの下流加工工程を含む。本明細書に開示するとおり、工程(iv)を含む該設計プロセスの態様は互換性があることが、当業者に公知であろう。
【0054】
本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、細胞溶解の後に、該細胞ライセートを有効に清澄化する量の珪藻土で濾過を行う。この初期工程の後、少なくとも、前記の追加的な下流工程、すなわち、(i)CTABでのプラスミドDNAの段階的沈殿、(ii)塩溶液でのプラスミドの選択的溶解、(iii)結晶化珪酸カルシウム上への吸着による残存不純物の除去、および(iv)好ましくは、該精製プラスミドDNAのエタノール沈殿を行う
【0055】
本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、ライセートの清澄化の前の完全な細胞溶解は、PCT国際出願番号PCT/US95/09794(WO96/02658)およびPCT/US96/07083(WO96/36706)に開示されている熱交換装置による、リゾチーム処理を伴う又は伴わない(好ましくは、リゾチーム処理を伴う)、該発酵ブロスから集めた細胞または直接的に該発酵ブロスの移動を含む。この細胞溶解工程の後、以下を含む(それらに限定されるものではない)細胞溶解後工程を加える:(i)陽イオン界面活性剤(好ましくは、CTAB)を使用するプラスミドDNAの選択的な二段階沈殿、(ii)塩溶液でのプラスミドの選択的溶解、(iii)珪酸カルシウム水和物上への残留不純物の吸着、および(iv)臨床等級のプラスミド調製物の最終的な製剤化の前の、アルコール(エタノール、メタノールまたはイソプロパノールを含むが、これらに限定されるものではない)を使用する、精製されたプラスミドDNAの沈殿。この目的において、本発明のこの態様は、微生物発酵からスーパーコイルプラスミドDNAを精製するための方法に関する。該方法は、(a)発酵ブロスから微生物細胞を回収し、(b)該回収細胞を標準STETバッファーに再懸濁し、十分な量の細胞溶解溶液を該回収微生物細胞に加え、(c)フロースルー(flow−through)熱交換器中で工程b)の微生物細胞を約60℃〜約70℃から約100℃までの温度に加熱して、細胞ライセートを形成させ、(d)該細胞ライセートを冷却し、(e)珪藻土での濾過を用いて、該細胞ライセートを清澄化し、(f)第1セチルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿により残留細胞残渣および不純物を沈殿させ、(g)第2セチルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿によりスーパーコイルプラスミドDNAを選択的に沈殿させ、(h)最適化されたイオン強度および塩組成の、十分に規定されたバッファーに、該スーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、(i)工程(h)のバッファー内の珪酸カルシウム上に残留不純物を吸着させ、(j)スーパーコイルプラスミドDNAをエタノールで沈殿させ、(k)該沈殿物を濾取し洗浄し、(l)エタノールを除去するために乾燥し、(m)生理的に許容される製剤化バッファーに、精製されたスーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、(n)0.22μmフィルターで濾過滅菌することを含む。また、工程(j)〜(n)を省略する一方で、工程(i)のバッファーを洗浄し滅菌し、ついでエタノール沈殿によりDNA濃縮して、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する粉末沈殿物を得ることも、本発明のこの形態の範囲内である。本明細書に記載のとおり、該第1および第2CTAB誘発性沈殿工程(標準STETバッファー中の1% w/v CTABの供給による)は、効果的には、第1カットについては約0.25%〜約0.28%および第2カットについては約30%〜約0.33%の範囲となりうる。この場合にも、本明細書を参照すれば、段階的沈殿範囲を改変して種々のバッファー系の任意の特性に合致させ、それにより、まず、実施可能な不純物量を、スーパーコイルプラスミドDNAを含む残存バッファー溶液から沈殿させ、ついで追加的CTAB誘発性沈殿で沈殿させることは、当業者の認識範囲内である。本明細書に記載のEDTAおよび/またはTritonに基づく界面活性剤のような成分を加えることが可能であり、プラスミドDNAの沈殿の促進を助ける種々のバッファー内の生物学的に有効な濃度で有用でありうる。
【0056】
本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、ライセートの清澄化の前の完全な細胞溶解は、PCT国際出願番号PCT/US95/09794(WO96/02658)およびPCT/US96/07083(WO96/36706)に開示されている熱交換装置による、リゾチーム処理を伴う又は伴わない(好ましくは、リゾチームの存在下)、該発酵ブロスから集めた細胞または直接的に該発酵ブロスの移動を含む。この細胞溶解法は、以下を含む(これらに限定されるものではない)プロトコールを開始させる:(i)珪藻土により補助された濾過によるライセートの清澄化、(ii)陽イオン界面活性剤(好ましくはCTAB)を使用するプラスミドDNAの選択的な一工程沈殿、(iii)塩溶液でのプラスミドの選択的溶解、(iv)珪酸カルシウム水和物上への残留不純物の吸着、および(v)臨床等級のプラスミド製剤の最終的な製剤化の前の、アルコールを使用する、精製されたプラスミドDNAの沈殿。この目的において、本発明のこの態様は、大規模な微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製するための方法であって、(a)発酵ブロスから微生物細胞を回収し、(b)該回収細胞を標準STETバッファーに再懸濁し、十分な量の細胞溶解溶液を該回収微生物細胞に加え、(c)フロースルー(flow−through)熱交換器中で工程b)の微生物細胞を60℃〜70℃から約100℃までの温度に加熱して、細胞ライセートを形成させ、(d)該細胞ライセートを冷却し、(e)珪藻土での濾過を用いて、該細胞ライセートを清澄化し、(f)セチルトリメチルアンモニウムで、スーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させ、(g)最適化されたイオン強度および塩組成の、十分に規定されたバッファーに、該スーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、(h)工程(g)のバッファー内の珪酸カルシウム上に残留不純物を吸着させ、(i)スーパーコイルプラスミドDNAをエタノールで沈殿させ、(j)該沈殿物を濾取し洗浄し、(k)エタノールを除去するために乾燥し、(l)生理的に許容される製剤化バッファーに、精製されたスーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、(m)0.22μmフィルターで濾過滅菌することを含む方法に関する。また、工程(j)〜(m)を省略する一方で、工程(h)のバッファーを洗浄し滅菌し、ついでエタノール沈殿によりDNA濃縮して、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する粉末沈殿物を得ることも、本発明のこの形態の範囲内である。工程(b)の好ましい細胞溶解温度は約70℃〜約80℃であり、一方、単一CTABカットは、好ましくは、約0.30〜約0.33%(標準STETバッファー中の1% w/v CTABの供給による)のCTAB濃度におけるものであることが可能であり、この場合も、それは恐らく、バッファー条件により影響される。EDTAおよびTritonのようなバッファー成分は、他の箇所に記載されているとおり、プラスミドDNAの回収を増加させるためのバッファーの添加に利用可能である。
【0057】
さらにもう1つの好ましい実施形態においては、細胞溶解を、Birnboim & Doly(1979,Nucleic Acid Res.7:1513−1523)に記載の技術の変法により行い、該変法においては、希水酸化ナトリウムを使用して細胞を細胞溶解し、ついでKOAcで中和する。ついでこの細胞溶解工程の後、以下を含む(それらに限定されるものではない)細胞溶解後工程を加える:(i)珪藻土により補助された濾過によるライセートの清澄化、(ii)陽イオン界面活性剤(好ましくはCTAB)を使用するプラスミドDNAの選択的な沈殿、(iii)塩溶液でのプラスミドの選択的溶解、(iv)珪酸カルシウム水和物上への残留不純物の吸着、および(v)臨床等級のプラスミド製剤の最終的な製剤化の前の、珪酸カルシウム水和物上への残留不純物の吸着。この目的において、本発明のこの形態の態様は、大規模な微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製するための方法であって、(a)発酵ブロスから微生物細胞を回収し、(b)該回収細胞を標準STETバッファーに再懸濁し、十分な量のリゾチーム/アルカリ/KOAcを該回収微生物細胞に加えて、細胞溶解を促進し、細胞ライセートを形成させ、(c)珪藻土での濾過を用いて、該細胞ライセートを清澄化し、(d)第1セチルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿により残留細胞残渣および不純物を沈殿させ、(e)第2セチルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿によりスーパーコイルプラスミドDNAを選択的に沈殿させ、(f)最適化されたイオン強度および塩組成の、十分に規定されたバッファーに、該スーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、(g)工程(f)のバッファーを伴う珪酸カルシウム上に残留不純物を吸着させ、(h)スーパーコイルプラスミドDNAをエタノールで沈殿させ、(i)該沈殿物を濾取し洗浄し、(j)エタノールを除去するために乾燥し、(k)生理的に許容される製剤化バッファーに、精製されたスーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、(l)0.22μmフィルターで濾過滅菌することを含む方法に関する。また、工程(j)〜(n)を省略する一方で、工程(i)のバッファーを洗浄し滅菌し、ついでエタノール沈殿によりDNA濃縮して、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する粉末沈殿物を得ることも、本発明のこの形態の範囲内である。本明細書に記載のとおり、該第1および第2CTAB誘発性沈殿工程(標準STETバッファー中の1% w/v CTABの供給による)は、効果的には、第1カットについては約0.25%〜約0.28%および第2カットについては約30%〜約0.33%の範囲となりうる。この場合にも、本明細書を参照すれば、段階的沈殿範囲を改変して種々のバッファー系の任意の特性に合致させ、それにより、まず、実施可能な不純物量を、スーパーコイルプラスミドDNAを含む残存バッファー溶液から沈殿させ、ついで該DNAを追加的CTAB誘発性沈殿で沈殿させることは、当業者の認識範囲内である。バッファー成分、例えばEDTAおよび/またはTritonに基づく界面活性剤を加えることが可能であり、そのような成分は、プラスミドDNAの沈殿の促進を助ける種々のバッファー内の生物学的に有効な濃度で有用でありうる。
【0058】
もう1つの好ましい実施形態においては、細胞溶解を、修飾されたBirnboim & Doly法により行い、この場合、前記のとおり、希水酸化ナトリウムを使用して細胞を細胞溶解し、ついでKOAcで中和する。ついでこの細胞溶解工程の後、以下を含む(それらに限定されるものではない)細胞溶解後工程を加える:(i)珪藻土により補助された濾過によるライセートの清澄化、(ii)陽イオン界面活性剤(好ましくはCTAB)を使用するプラスミドDNAの選択的な沈殿、(iii)塩溶液でのプラスミドの選択的溶解、(iv)珪酸カルシウム水和物上への残留不純物の吸着、および(v)臨床等級のプラスミド製剤の最終的な製剤化の前の、エタノールを使用する、精製されたプラスミドDNAの沈殿。本発明のこの形態の態様は、大規模な微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製するための方法であって、(a)大規模な発酵から微生物細胞を回収し、(b)該回収細胞を標準STETバッファーに再懸濁し、十分な量のリゾチーム/アルカリ/KOAcを該回収微生物細胞に加えて細胞溶解を促進し、細胞ライセートを形成させ、(c)珪藻土での濾過を用いて、該細胞ライセートを清澄化し、(d)セチルトリメチルアンモニウムで、スーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させ、(e)最適化されたイオン強度および塩組成の、十分に規定されたバッファーに、該スーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、(f)水和結晶性珪酸カルシウム上に残留不純物を吸着させ、(h)スーパーコイルプラスミドDNAをエタノールで沈殿させ、(i)該沈殿物を濾取し洗浄し、(j)エタノールを除去するために乾燥し、(k)生理的に許容される製剤化バッファーに、精製されたスーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、(l)0.22μmフィルターで濾過滅菌することを含む方法に関する。また、工程(i)〜(m)を省略する一方で、工程(h)のバッファーを洗浄し滅菌し、ついでエタノール沈殿によりDNA濃縮して、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する粉末沈殿物を得ることも、本発明のこの形態の範囲内である。工程(b)の好ましい細胞溶解温度は約70℃〜約80℃であり、一方、単一CTABカット(標準STETバッファー中の1% w/v CTABの供給による)は、好ましくは、約0.30〜約0.33%のCTAB濃度におけるものであることが可能であり、この場合も、それは恐らく、バッファー条件により影響される。EDTAおよびTritonのようなバッファー成分は、他の箇所に記載されているとおり、プラスミドDNAの回収を増加させるためのバッファーの添加に利用可能である。
【0059】
前記のとおり、該回収微生物細胞をSTETバッファーに溶解し、リゾチームを加える。この塩基性バッファー組成の修飾が施されることが可能であり、本発明での使用に適していると当業者に容易に理解される。本方法の結果に実質的に影響を及ぼさず改変もしないこの塩基性バッファー組成に対する修飾は、本発明の方法の範囲内であると意図される。しかし、本発明の好ましい実施形態においては、本明細書の全体にわたり記載されているCTABのプラスミドDNAの選択的沈殿は、Mg++およびCa++のような二価陽イオンを有効に除去するキレート剤を含む生理的に許容されるバッファーの存在下で行う。マグネシウムは、DNAアーゼおよびプラスミドDNAとのカルシウム複合体の必須補因子であり、CTABによる沈殿を妨げる。該キレート剤はEDTAであることが本明細書で例示されており好ましい。しかし、Mg++およびCa++のような二価陽イオンを除去する任意のキレート剤を、本明細書に開示するプラスミドDNA精製方法の実施に使用するバッファーに加えることができる。1mM、5mM、10mMおよび100mMのEDTA濃度がCTAB誘発性プラスミドDNA沈殿の促進に有効であることが、本発明者により示されている。したがって、CTAB誘発性プラスミドDNA沈殿を促進する、EDTAを含む選択されたキレート剤の生理的に許容される任意の濃度を、初期段階的プラスミドDNA沈殿工程の全体にわたり用いることが可能である。
【0060】
珪藻土(DE)は、ほぼすべてが含水珪藻の殻断片から形成される低密着性(loosely coherent)粉末物質である。通常は細やかなテクスチャーであり灰色または白色である珪藻土は、大部分が、純粋な形態の二酸化ケイ素またはシリカから構成され、94%ものシリカ含量を有する。珪藻土は、天然、焼成および融剤焼成の3つの形態で商業的に入手可能である。DEの焼成形態は、高温での焼成により得られ、一方、融剤焼成DEは、ソーダ灰または塩化ナトリウムのような融剤の存在下での焼成により製造される。珪藻土は多数の商業的入手源から入手可能であり、Celpure65、Celpure 100、Celpure300、Celpure 100およびLRA(商標)(すべて、Advanced Mineralsから入手可能)ならびにSolka FlocのようなCellulosic濾過助剤を含む(これらに限定されるものではない)すべての入手可能形態が本発明の方法の実施に使用されると意図される。前記および本明細書に記載のとおり、珪藻土に補助された濾過による該細胞ライセートの清澄化は、好ましい下流加工工程である。なぜなら、この工程は、より大規模化が可能であり、該プラスミドDNAは、大規模な遠心分離のせん断効果を受ける傾向がより低いらしいからである。しかし、宿主細胞残渣およびゲノムDNAを除去するために、遠心分離のような他の代替的手段を用いることも可能である。
【0061】
本発明の特に好ましい実施形態においては、本明細書の全体にわたり記載されているCTABでのプラスミドDNAの選択的沈殿は段階的な様態で達成され、細胞残渣、gDNAおよび幾つかのDNA分解物が低カットCTAB濃度で選択的に沈殿し、ついでプラスミドDNAの第2の高カットCTAB誘発性沈殿が生じる。CTABはプラスミドDNAの段階的選択的沈殿に好ましいが、他の化合物も有用である可能性があり、それらには、C16:セチルトリメチルアンモニウム;C16:セチルジメチルエチルアンモニウムブロミドまたはクロリド;C16:セチルピリジニウムブロミドまたはクロリド;C14:テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミドまたはクロリド;C12:ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドまたはクロリド;C12:ドデシルジメチル−2−フェノキシエチルアンモニウムブロミド;C16:ヘキサデシルアミン:クロリドまたはブロミド塩;C16:ヘキサデシルピリジニウムブロミドまたはクロリド;およびC12ドデシルアミンまたはクロリド塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。種々の細胞ライセート不純物からスーパーコイルプラスミドDNAを有効に沈殿させる化合物を同定するために、本明細書に例示されている界面活性剤の潜在的代替物を試験することは、当業者の認識範囲内であろう。
【0062】
本発明のもう1つの実施形態においては、不純物の下流バッチ吸着を、合成水和珪酸カルシウムLRA(商標)(Advanced Minerals Corporation,Lompoc,CA 93438)のような水和珪酸カルシウム(hcCaSiO)の存在下で行う。該水和珪酸カルシウム(hcCaSiO)吸着工程の代わりにカラム形態の吸着を用いることも可能である。例えば、LRA(商標)を使用する場合には、まず、LRA(商標)細粒を除去するために沈降(settle)デカントを行い、ついで該LRA(商標)をカラム内に充填する。10カラム容積のNaCl(該プラスミド供給溶液と同じNaCl濃度)を該カラムにアプライし、ついで該プラスミド溶液をアプライする。スーパーコイルプラスミドDNAは、流出液内に溶出する最初の形態のDNAである。より後の画分は、プラスミド分解物およびゲノムDNAを含有するであろう。内毒素およびCTABも、該カラムに強固に結合することにより除去される。核酸不純物を含有する画分はプールしない。水和珪酸カルシウム物質はPCT国際出願PCT/US96/20034(WO98/01464)(それを参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。WO 98/01464において指摘されているとおり、hcCaSiO化合物を製造するための多数の方法が当技術分野で公知である(例えば、Taylor,1964,Ed.,The Chemistry of Cements,Academic Pressを参照されたい)。さらにWO 98/01464に記載されているとおり、hcCaSiOの粒径は、x線測定および/または電子顕微鏡検査のような公知方法による測定で約0.01ミクロン〜約0.10ミクロンでありうる。これらの小粒子のなかには、約100ミクロンもの大きさの凝集体が存在しうる。後記のとおり、好ましい実施形態は、約10重量%未満、より好ましくは約8重量%未満の約325メッシュシーブ上での保持率を有するhcCaSiOを示す。好ましい多数の実施形態においては、該hcCaSiOは、約75m/g以上、好ましくは約75m/g〜約200m/gの表面積を有する粉末形態である。本発明で使用する好ましい水和珪酸カルシウム物質は、珪藻土、水和酸化カルシウム(水酸化カルシウム)および水の水熱反応により製造された微粉末である。該最終産物は、約47重量%のケイ素(SiO)、約32重量%の化学量論的量のカルシウム(CaO)、約2.5重量%のアルミニウム(Al)、約1.2重量%のナトリウム(NaO)およびカリウム(KO)複合体、約0.7重量%の鉄(Feと報告されている)、約0.6重量%のマグネシウム(MgO)およびその他(約16.6%のHO)を含む結晶形態である。この好ましい形態は、325メッシュシーブ上での約6重量%の保持率および約120m/g(B.E.T.法を用いて測定した場合)の表面積を有する。CaSiOの前記成分の該重量%範囲は、SiO(45〜95%)、CaO(5〜35%)、HO(1〜20%)、そして幾つかの場合には、約1%〜約10%の種々の不純物、例えば(必ずしも以下に限定されるものではない)Al、アルカリ金属、例えば酸化ナトリウム(NaO)および酸化カリウム(KO)、酸化鉄(Fe)および酸化マグネシウム(MgO)ならびに少量の可溶性アルミニウムを含みうるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。より大きなDNA断片に選択的に結合しうる、該吸着工程に使用する水和カルシウムに基づく物質の代替的形態(LRA(商標)、Matrex(商標)(Amicon)およびヒドロキシアパタイト((二塩基)リン酸カルシウム)で例示される)で代用することは、当業者の認識範囲内であろう。それとは無関係に、LRA(商標)に類似した特性を有する合成水和珪酸カルシウム(PCT/US96/20034に開示されている)は、残留DNA分解物、例えば開環弛緩型および直鎖状形態、宿主DNAおよびRNA、内毒素、タンパク質および界面活性剤添加物(例えばCTAB)を除去するための好ましい吸着物質である。
【0063】
したがって、本明細書に記載の方法は、種々の形態のプラスミド(スーパーコイルプラスミドDNA[DNAワクチンまたは遺伝子治療ビヒクルとしての使用が意図される産物])、開環弛緩型プラスミドDNA、直鎖状プラスミドDNAおよびプラスミドDNAコンカテマー)間の分離の達成、ならびに宿主混入物、例えばLPS(内毒素)、gRNA、gDNAおよび残留タンパク質の除去をもたらす。
【0064】
本発明の方法により単離および精製されるプラスミドは、任意の染色体外DNA分子でありうる。該プラスミドは、高コピー数/細胞または低コピー数/細胞でありうる。該プラスミドはまた、実質的に任意のサイズのものでありうる。該微生物細胞内の実質的に任意のプラスミドが本発明の方法により単離されうると当業者に容易に理解される。
【0065】
本発明の方法は、一般には微生物発酵との併用に適している。細菌細胞、植物細胞、真菌細胞(酵母を含む)およびバキュロウイルスを含む(これらに限定されるものではない)多種多様な微生物細胞が本発明の方法での使用に適していると当業者に容易に理解される。好ましい微生物発酵は、単離および精製するプラスミドを含有する細胞の細菌発酵である。好ましい細菌発酵は、単離および精製するプラスミドを含有する大腸菌(E.coli)の発酵である。大腸菌(E.coli)発酵以外の細菌発酵も本発明での使用に適していると当業者に容易に理解される。本発明の大規模微生物発酵を、使用する細菌の成長に適した任意の液体培地内で成長させることができる。開示している方法は、より小さな発酵容積に適用可能であるが、本発明の特に有用な態様は、大規模な微生物細胞発酵に大規模化されうることである。本発明で用いる「大規模」なる語は、約5リットルを超える全細胞発酵容積、または約5リットルを超える発酵容積から回収された細胞とみなされる。本発明の大規模発酵法は、典型的には約100〜200リットルの発酵である(これに限定されるものではない)臨床規模のロットに適用可能である。
【0066】
これらの前記工程のそれぞれを含む本発明の1つの実施形態は、以下の工程よりなる:(i)プラスミドDNAを含有する細胞を濃縮しダイアフィルトレーションするための発酵ブロスの接線(tangential)流動濾過、(ii)細胞の再懸濁、(iii)組換えリゾチームの存在下での細胞スラリーの37℃でのインキュベーション、(iv)急速加熱による細胞溶解およびそれに続くライセートの冷却、(vi)珪藻土での濾過を用いるライセートの清澄化、(v)CTABの添加による残留細胞残渣および不純物(例えばゲノムDNA)の沈殿、(vi)CTABでのプラスミドDNAの選択的沈殿、(vii)プラスミドDNAの選択的再溶解、(viii)珪酸カルシウム上への残留内毒素およびCTABのバッチ吸着、(ix)珪酸カルシウム上への残留タンパク質、核酸および他の不純物のバッチ吸着、(x)エタノールでのプラスミドDNAの沈殿、(xi)該沈殿物を集め洗浄するための濾過、(xii)エタノールを除去するための真空乾燥、(xii)製剤化バッファー中への、精製されたプラスミドDNAの再溶解、および(xiii)0.22μmの滅菌濾過。
【0067】
本発明のもう1つの実施形態においては、該発酵ブロスからの未回収細胞をリゾチームと共に37℃で約1時間インキュベートし、該細胞スラリーを、75〜80℃の出口温度をもたらす熱交換器を介して送り出す。この後、該ライセートを20〜25℃に冷却するために第2熱交換器を介した送り出しを行う。該ライセート物質を、(i)珪藻土での濾過を用いるライセートの清澄化、(ii)CTABの添加による残留細胞残渣および不純物(例えばゲノムDNA)の沈殿、(iii)CTABでのプラスミドDNAの選択的沈殿、(iv)プラスミドDNAの選択的再溶解、(v)珪酸カルシウム上への残留内毒素およびCTABのバッチ吸着、(vi)珪酸カルシウム上への残留タンパク質、核酸および他の不純物のバッチ吸着、(vii)エタノールでのプラスミドDNAの沈殿、(viii)該沈殿物を集め洗浄するための濾過、(ix)エタノールを除去するための真空乾燥、(x)製剤化バッファー中への、精製されたプラスミドDNAの再溶解、および(xi)0.22μmの滅菌濾過に付す。
【0068】
該プラスミドを含有する微生物細胞を該発酵培地から回収して、細胞ペーストまたはスラリーを得る。遠心分離または精密濾過を含む(これに限定されるものではない)、液体培地から細胞を回収するための通常の任意の手段が適している。細胞ペーストは、該プラスミドDNAを含有する微生物細胞を該発酵ブロスから回収することにより得られる。該回収は、(i)500kDaの公称分子量のA/G Tech膜による接線流動濾過を用いて該細胞を3倍濃縮し、(ii)3倍等価容積の滅菌された120mM 食塩水で該濃縮細胞をダイアフィルトレーションすることよりなる。該回収細胞を、600nmで30の光学濃度に対応する希釈度になるまで、滅菌STETバッファー(8% w/v スクロース,50mM Tris−HCl,100mM EDTA,2% v/v Triton X−100,pH8.5)に再懸濁する。該懸濁液を37℃に加熱し、Epicentre TechnologiesからのReady−Lyse(商標)リゾチームを500kU/Lの濃度になるまで加えた。37℃で45分後、該細胞スラリーを、沸騰水中に沈められた熱伝達コイルを介して送り出して、該コイルから出る際にその温度が70℃に達するようにした。ついで該ライセートを、氷水浴中に沈めた熱伝導コイルを介した流動により約20℃に冷却した。熱交換装置を介する該細胞スラリーの移動を含む細胞溶解工程は、PCT国際出願番号PCT/US95/09749(WO96/02658)およびPCT/US96/07083(WO96/36706)(それらを参照により本明細書に組み入れることとする)に開示されている。簡単に説明すると、前記のとおり、該回収微生物細胞をSTETバッファーに再懸濁し、リゾチームを加える。この塩基性バッファー組成の修飾が施されることが可能であり、本発明での使用に適していると当業者に容易に理解される。本方法の結果に実質的に影響を及ぼさず改変もしないこの塩基性バッファー組成に対する修飾は、本発明の方法の範囲内であると意図される。しかし、この工程は、Mg++およびCa++のような二価陽イオンを有効に除去するキレート剤(例えば、EDTA)を含む生理的に許容されるバッファーの存在下で行うことが特に好ましい。前記のとおり、CTAB誘発性プラスミドDNA沈殿を促進する任意のキレート剤濃度を用いることが可能であり、それは、約1mM〜100mM EDTAを超える広い濃度範囲にわたり例示される。これらのEDTA濃度範囲は、スーパーコイルプラスミドDNAの最適なCTAB誘発性沈殿をもたらす一方、DNアーゼ活性を阻害もする。該バッファーpH範囲は、使用している特定の微生物株に関して得られた最良の結果に従い調節することができる。好ましいpH範囲は約8.0〜8.5である。ついで該懸濁液を約60〜100℃(約70〜80℃が好ましい)にフロースルー熱交換器中で加熱する。この後、第2熱交換器中で20〜25℃に冷却する。BirnboimおよびDoly(1979,Nucleic Acid Res.7:1513−1523)のもう1つの細胞溶解方法も意図される。この方法では、細胞を、希水酸化ナトリウムを使用して細胞溶解し、ついでKOAcで中和する。CTAB誘発性DNA沈殿の妨害を防ぐために、アルカリ工程にSDSは加えない。細胞溶解収率は、SDSの不存在による影響を受けなかった。
【0069】
ついで珪藻土(Celpure(商標);Advanced Minerals)を30g/Lの濃度で該冷却ライセートに加える。該残存スラリーを濾過し、該ケークを洗浄して生成液体を回収する。ついでCelpure(商標)を約10g/Lで該清澄化ライセート内に混合する。40mM NaCl中の1.0% w/v CTABの溶液を0.1〜0.3% w/v CTABの最終濃度にまで加えることにより、残留微粉砕細胞残渣および他の不純物(ゲノムDNAならびに弛緩型環状および直鎖状DNA分解物を含む)を該清澄化ライセートから沈殿させる。該残存スラリーを、その濁度が10 NTU未満になるまで初期再循環を得た後で濾過する。Celpure(商標)を10g/Lのボディ供給(body feed)濃度で該濾液に加える。これは或るマトリックスを与え、40mM NaCl中の1.0% w/v CTABを使用して該CTAB濃度を0.25%〜0.45% w/vに増加させると該マトリックス上でプラスミドDNAが沈殿する。該スラリーを濾過し、該濾液を、その濁度が10NTU未満になるまで再循環させる。実施例1においては、得られたプラスミドDNA含浸濾過ケークを40mM NaCl中の0.30%〜0.33% w/v CTABで洗浄した。該低および高カットCTAB範囲はプラスミドDNA濃度、イオン強度および/または温度の変化に応じて操作されうると当業者は認識するであろう。ついで該濾過ケークを、100mM Tris(pH8.2)を含有する約0.2M〜約2.0M NaClに溶解する。NaClがCTABと置き換わるにつれて、プラスミドDNAが再溶解する。この場合も、当業者は、該濾過ケークを洗浄および/または再溶解するために種々の塩濃度を選択することが可能である。低い濁度を得るために初期再循環を得た後、該懸濁液をステンレス鋼膜上で濾過してCelpure(商標)を除去する。該濾液を、hcCaSiO(例えば、Advanced MineralsからのLRA(商標))を使用する2つのバッチ吸着工程に付す。該第1吸着工程は残留内毒素およびCTABを除去し、該第2吸着工程は残留タンパク質、弛緩型環状および直鎖状DNA分解物ならびに宿主DNAおよびRNAを除去する。該第1吸着工程では、DNA 1グラム当たり45グラムのLRA(商標)を加える。得られたスラリーを20℃で1時間インキュベートし、濾過する。該濾過ケークを1.2M NaClまたは前記の合理的な塩濃度で洗浄する。新鮮なLRA(商標)をDNA 1グラム当たり50グラムで該濾液および洗浄溶液に加え、得られたスラリーを20℃で約5時間インキュベートする。ついで該スラリーを濾過してLRA(商標)を除去し、得られた濾過ケークを1.2M NaClで洗浄する。前記のバッチ吸着工程は、該再構成CTAB沈殿物を含有する溶液中に該珪酸カルシウムがスラリー化されるように行うことが可能であり、あるいは、該バッチ吸着工程は、該溶解CTAB中間体の処理に使用するhcCaSiOカラムの使用に関して前記したとおりにhcCaSiOを含む充填カラムを使用して完了させることが可能であることが当業者に明らかであろう。1等価容積の無水エタノールを、該第2 hcCaSiO工程からの濾液および洗浄液に加えて、該精製プラスミドDNAを沈殿させる。得られた沈殿物を濾過により回収し、直ちに無水エタノールで洗浄する。該洗浄沈殿物を20℃で真空乾燥してエタノールを除去し、ついで、再構成させるまで4℃で保存する。注射に適したバッファー中での再構成に際しては、該精製プラスミドDNA溶液を0.22μm濾過滅菌に付す。あるいは、濾過不可能なペーストを沈殿物が形成する場合には、該バルク産物粉末をエタノール性沈殿物から単離することができる。該沈殿ペーストを遠心分離し、該ペーストを100% EtOHに加え、それをローターステータのような高速ホモジナイザーで混合する。該ペーストの脱水および硬粒子中への湿式粉砕を同時に行う。これらの粒子は濾過および乾燥になじみやすい。
【0070】
前記のとおり、バルク粉末を沈殿させる代わりに、該精製プラスミドDNA調製物を、医薬上許容される担体またはバッファー溶液中に移すことができる。医薬上許容される担体またはバッファー溶液は当技術分野で公知であり、Remington’s Pharmaceutical Sciencesのような種々のテキストに記載されているものを含む。DNAサンプルの濃縮に適した任意の方法が、本発明での使用に適している。そのような方法は、限外濾過、アルコール沈殿、凍結乾燥などを含むが、エタノール沈殿が好ましい。該精製プラスミド調製物は、該DNA産物の有用性に影響を及ぼさない任意の滅菌方法、例えば、十分に小さな孔径(例えば、0.22ミクロン以下)を有する膜に通過させることによる滅菌により滅菌することができる。
【0071】
該最終産物は、hcCaSiO上の緩く結合した状態から放出したカルシウムを含有する。典型的な調製物は、該沈殿産物中で約1.6% w/wを有しうる。臨床製剤の製造では、EDTAを使用する通常の方法により該残留カルシウムを回収することができる。例えば、EDTAの添加によるカルシウムの錯体形成は、限外濾過または沈殿と共に行うことが可能であり、該カルシウム−EDTA錯体は、該沈殿液または限外濾過浸透流で流出しうる。あるいは、EDTAを含有する小さなキレートカラムは、EDTAを該プロセスの流れに導入しなくても、より効率的に該カルシウムを除去するであろう。
【0072】
本発明の方法は、酵母および大腸菌(E.coli)を含む(決してこれらに限定されるものではない)生物からの臨床等級のDNAプラスミド精製を可能にする。本明細書に記載の方法により精製された臨床等級のプラスミドDNAは、ワクチンまたは遺伝子治療ビヒクルとしてのヒトへの投与に非常に有用である。
【0073】
以下の実施例は本発明の方法を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
【0074】
実施例1
プラスミドDNAの精製
大腸菌(E.coli)からのプラスミドDNAの精製のための以下のプロトコールは、約730mgの精製されたスーパーコイルプラスミドDNAの単離をもたらした。本明細書に開示する中心的なプラスミド精製方法の概要を図1に示す。
【0075】
細胞溶解
600mLの細胞ペーストを、温かい水道水を使用して融解し、5.4LのSTETバッファーに再懸濁させた。該10倍希釈は、600nmで30の光学濃度を有するスラリーを与えた。ついで40mcLのReady−Lyse Lysozyme(Epicentre,30kU/mcL)を該細胞スラリーに加えた。該希釈細胞スラリーの温度を約40℃に上昇させた。45分間の混合後、該細胞を、沸騰水浴中に沈めた電解研磨ステンレス鋼コイルにより熱細胞溶解した。該熱交換器を出る流体の温度が約70℃となるように、該流速を調節した。ついで該細胞溶解コイルを、発熱物質を含まない水できれいにし、氷水浴中に沈め、その温かいライセートを30℃に冷却するのに使用した。ライセートは、熱細胞溶解の完了の30分以内に冷却した。全ライセート容積は5.6Lであった。
【0076】
清澄化
該冷却ライセートを清澄化するために、30g/Lのボディ供給濃度のCelpure P300(Advanced Minerals)を使用した。Celpure P300を該ライセート内に混合し、得られたスラリーを4つの部分に分割した。Celpureの量は、操作の最終規模、所望のフィルターサイズおよび形状ならびに製造施設の意図される生産速度に応じて広範囲にわたり様々となりうる。同様の考慮事項により、本明細書に記載の低および高カット濾過工程における珪藻土の量が決定される。各部分を、6インチ径のフィルターケース内に含有される25ミクロンのステンレス鋼メッシュで別々に濾過した。該濾液を、まず、その濁度が約10NTUに減少するまで再循環させた。各濾過後、加圧空気を使用して、該濾過ケーク内の間隙流体を置換した。分析用HPLCアッセイにより測定したスーパーコイルプラスミドDNAの純度および全DNA濃度は、それぞれ、83.6%および0.338g/Lであった。
【0077】
CTABプローブ
迅速(rapid)CTABプローブを使用して、およその低および高カットCTAB濃度を測定した。40mM NaCl中の次第に増加する量の1.0% w/v CTABを、1.5mLガラスバイアル内の清澄化ライセートの500mcL アリコートに加えた。バイアルをボルテックスし、DNA沈殿物の存在に関して視覚的に検査した。該プローブの結果に基づき、それぞれ0.23および0.30%w/vの低および高カットCTAB濃度が割り当てられた。
【0078】
低カットCTAB工程
5.05Lの清澄化ライセートに、40mM NaCl中の1.0% w/v CTABの1.5L 溶液を室温で43分間にわたって加えた。ついて34.2gのCelpure 300を加えた。ついで該スラリーを、6インチ径のフィルターケース内に含まれる25ミクロンのステンレス鋼メッシュで濾過した。濾液を、まず、その濁度が一定になるまで再循環させた。該濾過ケークは洗浄しなかったが、加圧空気を使用して乾燥した。産物含有濾液の最終容積は6.44Lであった。
【0079】
高カットCTAB工程
29.3gのCelpure P300を該低カット濾液に加えた。ついで、攪拌しながら、40mM NaCl中の650mLの1.0% w/v CTABを該スラリーに約30分間にわたって加えた。分析用HPLC分析は、該DNAのすべてが沈殿していることを示した。ついで該高カットスラリーを、6インチ径フィルターケース内に含まれる25ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。一定の濁度が観察されるまで、該濾液を再循環させた。該高カットスラリーの濾過が完了した後、該濾過ケークを12mM NaCl中の0.3% w/v CTABの1L 溶液で洗浄した。2つの500mL洗浄画分を集めた。ついで該洗浄ケークを、加圧空気を使用して部分乾燥し、該フィルターケースから集め、秤量して、該ケーク内の残留液体の質量を測定した。ケークの総質量は113gであった。Celpureおよび沈殿DNAは、それぞれ約29および2gに相当した。このことは、該洗浄ケーク中に約82mLの残留液体が存在したことを示している。図2は、CTABでの段階沈殿中の濃度プロフィールを示している。これらのデータは、プラスミドDNAが、小刻みな界面活性剤の増加量にわたって沈殿することを示している。このCTAB−沈殿工程は、可溶性のままであるタンパク質、RNAおよび内毒素の除去に選択的である。
【0080】
洗浄した高カットケークの選択的再溶解
700mLの無菌水を該洗浄高カットケークに加え、液体の総容積を約782mLとした。約86mLの5M NaClを該スラリーに加えて約0.5MのNaCl濃度を得、該スーパーコイルプラスミドDNAを再溶解した。残留珪藻土を、6インチ径フィルターケース内に含まれる25ミクロンのステンレス鋼メッシュで濾過して、該再溶解スーパーコイルプラスミドDNAから該Celpureを分離した。透明な濾液が観察されるまで、該濾液を再循環させた。該濾過ケークを約1Lの0.5M NaClで洗浄して、産物含有間隙液を回収した。該0.5M NaCl 洗浄液を4つの画分内に集めた。分析用HPLCアッセイを用いて、該産物濾液および前記の4つの洗浄画分を全DNA濃度およびスーパーコイルプラスミドDNA純度に関してアッセイした。該産物濾液および0.5M NaCl洗浄液の容積、全DNA濃度、およびスーパーコイルDNAの組成率は以下のとおりであった:(i)産物濾液:80mL、1.933g/L、93.0%、(ii)洗浄画分1:200mL、0.203g/L、89.1%、(iii)洗浄画分2:200mL、0.047g/L、70.3%、(iv)洗浄画分3:300mL、0.018g/L、61.4%、および(v)洗浄画分4:300mL、0.015g/L、63.3%。該洗浄画分は該産物濾液に加えなかった。なぜなら、その純度および濃度が低かったからである。
【0081】
図3は、アガロースゲル電気泳動による0.2M NaClによるプラスミドDNAの選択的溶解を示している。宿主、ゲノムDNAは部分的に可溶性であるに過ぎず、0.2M NaClでの溶解後に濾過により除去される。1.2M NaClでは、gDNAは可溶性である。少なくとも約0.2M NaCl〜少なくとも約2M NaClの範囲が、該CTAB沈殿物の選択的溶解に有用であろう。
【0082】
増加量のLRA(商標)での該バッチの処理
0.5M NaCl中の735mLの再溶解沈殿物を室温で45gのLRA(商標)(Advanced Minerals)に加えた。500mcLのサンプルを4.8、9.9、19.1および19.6時間の時点で採取した。表1は、分析用HPLCアッセイにより測定した全DNA濃度およびスーパーコイルプラスミドDNAの組成率を示す。
【0083】
定期的に、漸増量の新鮮なLRA(商標)を該スラリーに加え、サンプルを以下の時点で採取した:
(i)4.6gのLRA(商標)を19.9時間の時点で加えた(35g LRA(商標)/g DNAに対して)。サンプルを21.6、23.8および25.4時間の時点で採取した。
【0084】
(ii)6.6gのLRA(商標)を25.8時間の時点で加えた(39.5g LRA(商標)/g DNAに対して)。サンプルを26.8、27.8、28.8および30.9時間の時点で採取した。
【0085】
(iii)3.7gのLRA(商標)を32.2時間の時点で加えた(42g LRA(商標)/g DNAに対して)。サンプルを32.4、34.4および40.8時間の時点で採取した。
【0086】
(iv)3.98gのLRA(商標)を41時間の時点で加えた(45g LRA(商標)/g DNAに対して)。サンプルを41.8および42.6時間の時点で採取した。
【0087】
表1に示すとおり、プラスミド純度の更なる増加(HPLCアッセイにより測定したもの)は、LRA(商標)の定期的添加に対して補正されうる。
【0088】
【表1】
Figure 2004504006
【0089】
図4Aは、珪酸カルシウム上への最適なプラスミド吸着が約0.6MのNaCl濃度で生じることを、より高濃度のNaClとの比較により示している。LRA(商標)がスーパーコイルプラスミドDNAを吸着する能力に影響を及ぼすことなく、この示されている範囲内でNaCl濃度を操作することは、当業者の認識範囲内であろう。この工程の最適化は、水素結合、疎水性および静電的相互作用の基礎となる現象に関する全ての因子の検討を伴うであろう。そのような変数としては、塩濃度、塩のタイプ、温度、pHおよび吸着剤のタイプが挙げられる。例えば、DNAに結合する、カルシウムに基づく他の吸着剤は、前記溶液相変数が関与する最適な設計下で分離をもたらすと予想されうるであろう。
【0090】
LRA(商標)の除去および洗浄
42.9時間後、該LRA(商標)スラリーを19℃で、kRPMで25分間にわたり遠心分離した。得られた400mLの上清を集めた。200mLの新鮮な0.5M NaClをLRA(商標)ペレットに加えた。無菌スパーテルおよび10秒間の激しい攪拌を用いて、該LRA(商標)ペレットを再懸濁した。該再懸濁LRA(商標)を8kRPMで10分間の遠心分離に付した。該上清を集め、このようにしてLRA(商標)ペレットを更に2回洗浄した。該最終上清(400mL)およびそれらの3回の洗浄液(3×200mL)を、全DNA濃度およびスーパーコイルプラスミドDNAの組成に関してアッセイした。結果を表2に示す。洗浄液は該産物上清に加えなかった。ついで該産物上清を0.8ミクロンの使い捨て真空フィルターで滅菌濾過して、残留LRA(商標)を除去した。
【0091】
【表2】
Figure 2004504006
【0092】
図4Bは、時間に対するゲノムまたは宿主DNAの吸着を示している。より詳しくは、このデータは、LRA(商標)が、1.2M NaCl濃度での混合接触の5時間後にDNAを選択的に除去して、約60%のプラスミド収率を与えることを示している。図4Cは、1.2M NaClでのLRA(商標)接触中の液相サンプルのアガロースゲル電気泳動である。このデータは、直鎖状(Lin)、弛緩型開環状(OC)および多量体(M)が除去され、一方、スーパーコイルプラスミドDNA(SC)が残存していることを示している。レーン1〜5は、次第に遅くなる時点を表し、レーン6〜8は、濾過されたLRA(商標)の洗浄液を表す。図4Dは、0.5M NaCl中のhcCaSiO上へのプラスミド分解物の選択的吸着を示す。全DNA 1g当たり32gのhcCaSiOと接触している液相サンプルの、時間の関数としてのアガロースゲル電気泳動が示されている。
【0093】
LRA(商標)製品のエタノール沈殿
400mLの無水エタノールを400mLのLRA(商標)後濾液にゆっくりと加えた。エタノールの添加は2時間で完了して、50% v/vの最終エタノール濃度を得た。該溶液は36〜38% v/vの範囲のエタノールで非常に濁った。この時点で、エタノール添加を30分間停止して、粒子を成長させた。厳密な検査は、細かい濾過されうる粒子を示した。30分間の混合熟成(mixed age)後、該懸濁液を無菌0.22ミクロンフィルター(Millipore,GPエクスプレスメンブレン,50cm)で濾過した。約500mLの無水エタノールを使用して該ケークを洗浄した。ついで該フィルター単位を真空オーブンに移し、27℃、29(Hg)で2時間乾燥した。730mgの乾燥粉末を集め、無菌着色ガラスバイアル中、−20℃で保存した。
【0094】
表3には、該方法の各工程における純度および収率(分析用HPLCアッセイにより測定したもの)が要約されている。低カットCTAB、高カットCTABおよび高カット沈殿物の再溶解にわたり約100%の収率が達成された。
【0095】
表4には、タンパク質および内毒素の除去が要約されている。最終的エタノール沈殿産物を、残留RNA、ゲノムDNA、内毒素、タンパク質、CTAB、リゾチーム、LRA(商標)およびCelpure P300の除去に関してアッセイする。
【0096】
【表3】
Figure 2004504006
【0097】
UCL:未清澄化ライセート。CL:珪藻土清澄化ライセート。LCF:CTAB低カット濾液。HCF:CTAB高カット濾液(予想どおり、DNAは含有しない)。RHCP:0.5M NaCl中の再溶解高カット沈殿物。RHCP:LRA(商標)工程への735mLの供給。約65mLをLRA(商標)プローブ研究において使用した。LRA(商標)後:LRA(商標)吸着工程後の0.8ミクロン濾液。分析用HPLCアッセイを用いてDNA濃度、SC純度およびSC濃度を測定した。
【0098】
【表4】
Figure 2004504006
【0099】
サンプルの表示は表3に列挙されている。LOD:検出限界。NA:アッセイせず。タンパク質含量は、ローリー法を用いて測定した。内毒素含量は、LALアッセイを用いて測定した。RNA濃度は、オルシノールアッセイを用いて測定した。高濃度のプラスミドDNAは該オルシノールアッセイを阻害する。この阻害は、RHCPおよびLRA(商標)後サンプルに関して列挙されているRNA濃度において反映される。最終産物A260/A280比率は1.9であったが、これは、低いRNA含有分率を示している。
【0100】
図6は、実施例に記載の加工工程からのサンプルのDNA組成を示す。スーパーコイルプラスミドは最下バンドにおいて可視化されている。それより上方のバンドは、開環状および直鎖状プラスミド、プラスミド多量体ならびにゲノムDNAを含む種々のDNA不純物を表す。示されているのは、珪藻土で清澄化されたライセート(左からレーン1);0.23% w/v CTABにおける低カット(cut)濾液(レーン2);DNAを含有しない0.30% w/v CTABにおける高カット濾液(レーン3);0.4M NaCl中の高カット沈殿物(レーン4);0.475M NaCl中の高カット沈殿物(レーン5);0.5M NaCl中の高カット沈殿物(レーン6);LRA吸着工程後の0.8ミクロン濾液(レーン7);エタノール沈殿および無菌水中の再溶解に付されたLRA産物(レーン8)。レーン1および8の比較は、DNA分解型不純物においては実質的な減少が存在することを示している。
【0101】
実施例2
CTAB沈殿をモニターするための粒径分析器の使用
CTAB沈殿は、例えばLasentec(登録商標)粒径分析器を使用して厳密にモニターすることができる。40mM NaCl中の1.0% w/v CTABの溶液を0.25〜0.28% w/v CTABの最終濃度にまで加えることにより、残留微細細胞残渣および他の不純物(ゲノムDNAならびに弛緩型環状および直鎖状DNA分解物を含む)を該清澄化ライセートから沈殿させる。該不純物の沈殿を、Lasentec(登録商標)粒径分析器を使用して、リアルタイムでモニターする。該全粒子計数が急激に低下した後、CTABの添加を停止する。これは、該スーパーコイルDNAを溶液中に残す一方で直鎖状および弛緩型環状DNAを沈殿させるのに十分なCTABであるに過ぎない。ついで該バッチを濾過して該沈殿不純物を除去する。CTABを該バッチに0.30〜33% w/v CTABの最終濃度で加えて、該スーパーコイルDNAを沈殿させる。図5は、Lasentec(登録商標)粒径分析器を使用した場合の0.25〜0.30% w/v CTABによる不純物の沈殿を示す。CTAB添加は、粒子計数の急激な変化に基づき、100分の時点で停止する。沈殿不純物を濾過により除去する。追加的なCTABを加えて該スーパーコイルDNAを沈殿させる。
【0102】
本発明の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではない。実際のところ、本明細書に記載のものに加えて本発明の種々の修飾が、前記の説明から当業者に明らかとなるであろう。そのような修飾は特許請求の範囲の範囲内に含まれると意図される。
【0103】
本明細書中には種々の刊行物が引用されているが、それらの開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】清澄化により細胞残渣を除去する中心的な4つの工程プロセスを含むプロセスの流れ図を示す。
【図2】CTABでの段階的沈殿中の濃度プロフィールを示す。
【図3】アガロースゲル電気泳動による0.2M NaClによるプラスミドDNAの選択的溶解を示す。
【図4A】hcCaSiO(LRA(商標))への不純物の吸着による精製を示す。塩化ナトリウム濃度に対するプラスミドDNAの平衡吸着。
【図4B】hcCaSiO(LRA(商標))への不純物の吸着による精製を示す。qPCRにより測定されたゲノムまたは宿主DNAの吸着。
【図4C】hcCaSiO(LRA(商標))への不純物の吸着による精製を示す。1.2M NaCl中のhcCaSiO上へのプラスミド分解物の選択的吸着。
【図4D】hcCaSiO(LRA(商標))への不純物の吸着による精製を示す。を示す。0.5M NaCl中のhcCaSiO上へのプラスミド分解物の選択的吸着。
【図5】Lasentec(登録商標)粒径分析器を使用する0.25%〜0.30% w/v CTABによる不純物の沈殿を示す。
【図6】
実施例1に開示する加工工程からのサンプルのDNA組成物を示す。

Claims (63)

  1. 大規模な微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製する方法であって、
    (a)界面活性剤誘発性沈殿によりスーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させ、
    (b)該沈殿物を塩溶液に再溶解することを含んでなる方法。
  2. 工程(a)の界面活性剤がヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)である、請求項1記載の方法。
  3. ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを2工程法で加え、第1ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿が生じて残渣および非スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿し、第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿が生じて該スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿する、請求項2記載の方法。
  4. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項3記載の方法。
  5. 沈殿したスーパーコイルDNAをバッファー溶液に再懸濁させ、アルコール沈殿および限外濾過よりなる群から選ばれる方法により更に濃縮する、請求項4記載の方法。
  6. 該スーパーコイルDNAをエタノール沈殿により濃縮する、請求項5記載の方法。
  7. 沈殿したスーパーコイルDNAをバッファー溶液に再懸濁させ、アルコール沈殿および限外濾過よりなる群から選ばれる方法により更に濃縮する、請求項3記載の方法。
  8. 該スーパーコイルDNAをエタノール沈殿により濃縮する、請求項7記載の方法。
  9. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項2記載の方法。
  10. 該ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)の添加前に該細胞ライセートを清澄化する、請求項2記載の方法。
  11. 該細胞ライセートを珪藻土の添加により清澄化する、請求項10記載の方法。
  12. 該スーパーコイルDNAを、アルコール沈殿および限外濾過よりなる群から選ばれる方法により更に濃縮する、請求項11記載の方法。
  13. 該スーパーコイルDNAをエタノール沈殿により濃縮する、請求項12記載の方法。
  14. 微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製する方法であって、残留不純物を該スーパーコイルプラスミドDNAから吸着除去するために水和結晶性珪酸カルシウムを該細胞ライセートに加えることを含んでなる方法。
  15. 該水和結晶性珪酸カルシウムの添加前に該細胞ライセートを清澄化する、請求項14記載の方法。
  16. 該細胞ライセートを珪藻土の添加により清澄化する、請求項15記載の方法。
  17. 該スーパーコイルDNAを、アルコール沈殿および限外濾過よりなる群から選ばれる方法により更に濃縮する、請求項16記載の方法。
  18. 該スーパーコイルDNAをエタノール沈殿により濃縮する、請求項17記載の方法。
  19. 該スーパーコイルDNAを、アルコール沈殿および限外濾過よりなる群から選ばれる方法により更に濃縮する、請求項14記載の方法。
  20. 該スーパーコイルDNAをエタノール沈殿により濃縮する、請求項19記載の方法。
  21. 該水和結晶性珪酸カルシウムを段階的に加える、請求項14記載の方法。
  22. 該水和結晶性珪酸カルシウムの添加前に該細胞ライセートを清澄化する、請求項21記載の方法。
  23. 該細胞ライセートを珪藻土の添加により清澄化する、請求項22記載の方法。
  24. 該スーパーコイルDNAを、アルコール沈殿および限外濾過よりなる群から選ばれる方法により更に濃縮する、請求項23記載の方法。
  25. 該スーパーコイルDNAをエタノール沈殿により濃縮する、請求項24記載の方法。
  26. 微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製する方法であって、
    (a)界面活性剤誘発性沈殿により該スーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させ、
    (b)該沈殿物を塩溶液に再溶解し、
    (c)該スーパーコイルプラスミドDNAから残留不純物を吸着除去するために該再懸濁スーパーコイルプラスミドに水和結晶性珪酸カルシウムを加えて、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する溶液を得、
    (d)該スーパーコイルプラスミドDNAを濃縮することを含んでなる方法。
  27. 工程(a)の界面活性剤がヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドである、請求項26記載の方法。
  28. ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを2工程法で加え、第1ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿が生じて残渣および非スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿し、第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿が生じて該スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿する、請求項27記載の方法。
  29. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項28記載の方法。
  30. 工程(d)において、該スーパーコイルDNAを、アルコール沈殿および限外濾過よりなる群から選ばれる方法により濃縮する、請求項29記載の方法。
  31. 該スーパーコイルDNAをエタノール沈殿により濃縮する、請求項30記載の方法。
  32. 該水和結晶性珪酸カルシウムの添加前に該細胞ライセートを清澄化する、請求項28記載の方法。
  33. 該細胞ライセートを珪藻土の添加により清澄化する、請求項32記載の方法。
  34. 該スーパーコイルDNAを、アルコール沈殿および限外濾過よりなる群から選ばれる方法により更に濃縮する、請求項33記載の方法。
  35. 該スーパーコイルDNAをエタノール沈殿により濃縮する、請求項34記載の方法。
  36. 該水和結晶性珪酸カルシウムの添加前に該細胞ライセートを清澄化する、請求項26記載の方法。
  37. 該細胞ライセートを珪藻土の添加により清澄化する、請求項36記載の方法。
  38. 該スーパーコイルDNAを、アルコール沈殿および限外濾過よりなる群から選ばれる方法により更に濃縮する、請求項37記載の方法。
  39. 該スーパーコイルDNAをエタノール沈殿により濃縮する、請求項38記載の方法。
  40. 微生物発酵からスーパーコイルプラスミドDNAを精製するための方法であって、
    (a)発酵ブロスから微生物細胞を回収し、
    (b)十分な量の細胞溶解溶液を該回収微生物細胞に加え、
    (c)フロースルー熱交換器中で工程b)の微生物細胞を70℃〜100℃の温度に加熱して、細胞ライセートを形成させ、
    (d)該細胞ライセートを冷却し、
    (e)珪藻土での濾過を用いて、該細胞ライセートを清澄化し、
    (f)第1ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿により残留細胞残渣および不純物を沈殿させ、
    (g)第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿によりスーパーコイルプラスミドDNAを選択的に沈殿させ、
    (h)最適化されたイオン強度および塩組成の、十分に規定されたバッファーに、該スーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、
    (i)工程(h)のバッファー内の珪酸カルシウム上に残留不純物を吸着させ、
    (j)スーパーコイルプラスミドDNAをエタノールで沈殿させ、
    (k)該沈殿物を濾取し洗浄し、
    (l)エタノールを除去するために乾燥し、
    (m)生理的に許容される製剤化バッファーに、精製されたスーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、
    (n)0.22μmフィルターで濾過滅菌することを含んでなる方法。
  41. 工程(j)〜(n)を省略し、工程(i)のバッファーを洗浄し、滅菌し、該DNAをエタノール沈殿により濃縮して、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する粉末沈殿物を得る、請求項40記載の方法。
  42. 工程(c)において、工程(b)の微生物細胞を約70℃〜約80℃の温度に加熱する、請求項40記載の方法。
  43. ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを2工程法で加え、第1ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿が生じて残渣および非スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿し、第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿が生じて該スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿する、請求項42記載の方法。
  44. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項43記載の方法。
  45. 工程(c)において、工程(b)の微生物細胞を約70℃〜約80℃の温度に加熱する、請求項41記載の方法。
  46. ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを2工程法で加え、第1ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿が生じて残渣および非スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿し、第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿が生じて該スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿する、請求項45記載の方法。
  47. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項46記載の方法。
  48. 大規模な微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製するための方法であって、
    (a)発酵ブロスから微生物細胞を回収し、
    (b)十分な量の細胞溶解溶液を該回収微生物細胞に加え、
    (c)フロースルー熱交換器中で工程b)の微生物細胞を70℃〜100℃の温度に加熱して、細胞ライセートを形成させ、
    (d)該細胞ライセートを冷却し、
    (e)珪藻土での濾過を用いて、該細胞ライセートを清澄化し、
    (f)ヘキサデシルトリメチルアンモニウムでスーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させ、
    (g)最適化されたイオン強度および塩組成の、十分に規定されたバッファーに、該スーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、
    (h)工程(g)のバッファー内の珪酸カルシウム上に残留不純物を吸着させ、
    (i)スーパーコイルプラスミドDNAをエタノールで沈殿させ、
    (j)該沈殿物を濾取し洗浄し、
    (k)エタノールを除去するために乾燥し、
    (l)生理的に許容される製剤化バッファーに、精製されたスーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、
    (m)0.22μmフィルターで濾過滅菌することを含んでなる方法。
  49. 工程(j)〜(n)を省略し、工程(i)のバッファーを洗浄し、滅菌し、該DNAをエタノール沈殿により濃縮して、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する粉末沈殿物を得る、請求項48記載の方法。
  50. 工程(c)において、工程(b)の微生物細胞を約70℃〜約80℃の温度に加熱する、請求項48記載の方法。
  51. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項50記載の方法。
  52. 工程(c)において、工程(b)の微生物細胞を約70℃〜約80℃の温度に加熱する、請求項49記載の方法。
  53. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項52記載の方法。
  54. 大規模な微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製するための方法であって、
    (a)発酵ブロスから微生物細胞を回収し、
    (b)十分な量のリゾチーム/アルカリ/KOAcを該回収微生物細胞に加えて、細胞溶解を促進し、細胞ライセートを形成させ、
    (c)珪藻土での濾過を用いて、該細胞ライセートを清澄化し、
    (d)第1ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿により残留細胞残渣および不純物を沈殿させ、
    (e)第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿によりスーパーコイルプラスミドDNAを選択的に沈殿させ、
    (f)最適化されたイオン強度および塩組成の、十分に規定されたバッファーに、該スーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、
    (g)工程(f)のバッファーを伴う珪酸カルシウム上に残留不純物を吸着させ、
    (h)スーパーコイルプラスミドDNAをエタノールで沈殿させ、
    (i)該沈殿物を濾取し洗浄し、
    (j)エタノールを除去するために乾燥し、
    (k)生理的に許容される製剤化バッファーに、精製されたスーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、
    (l)0.22μmフィルターで濾過滅菌することを含んでなる方法。
  55. 工程(h)〜(l)を省略し、工程(i)の残存バッファーを洗浄し、滅菌し、該スーパーコイルプラスミドDNAをエタノール沈殿により濃縮して、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する粉末沈殿物を得る、請求項54記載の方法。
  56. ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを2工程法で加え、第1ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿が生じて残渣および非スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿し、第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿が生じて該スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿する、請求項53記載の方法。
  57. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項56記載の方法。
  58. ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを2工程法で加え、第1ヘキサデシルトリメチルアンモニウム誘発性沈殿が生じて残渣および非スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿し、第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿が生じて該スーパーコイルプラスミドDNAが沈殿する、請求項55記載の方法。
  59. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項58記載の方法。
  60. 大規模な微生物発酵の細胞ライセートからスーパーコイルプラスミドDNAを精製するための方法であって、
    (a)大規模な発酵から微生物細胞を回収し、
    (b)十分な量のリゾチーム/アルカリ/KOAcを該回収微生物細胞に加えて、細胞溶解を促進し、細胞ライセートを形成させ、
    (c)珪藻土での濾過を用いて、該細胞ライセートを清澄化し、
    (d)ヘキサデシルトリメチルアンモニウムでスーパーコイルプラスミドDNAを沈殿させ、
    (e)最適化されたイオン強度および塩組成の、十分に規定されたバッファーに、該スーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、
    (f)水和結晶性珪酸カルシウム上に残留不純物を吸着させ、
    (h)スーパーコイルプラスミドDNAをエタノールで沈殿させ、
    (i)該沈殿物を濾取し洗浄し、
    (j)エタノールを除去するために乾燥し、
    (k)生理的に許容される製剤化バッファーに、精製されたスーパーコイルプラスミドDNAを再溶解し、
    (l)0.22μmフィルターで濾過滅菌することを含んでなる方法。
  61. 工程(j)〜(n)を省略し、工程(i)のバッファーを洗浄し、滅菌し、該DNAをエタノール沈殿により濃縮して、該スーパーコイルプラスミドDNAを含有する粉末沈殿物を得る、請求項60記載の方法。
  62. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項60記載の方法。
  63. 該第1および該第2ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド誘発性沈殿工程が標準STETバッファー中で生じる、請求項61記載の方法。
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