JP2004503478A - 歯および/または骨組織の処置用組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、リン酸カルシウム、フッ化カルシウムまたはフルオロリン酸カルシウム(これら全ては、低水溶性である)および高分子電解質を含有する、歯および/または骨組織を処置するための組成物に関する。該組成物は硬化することができ、歯および骨組織の平滑化、再構築および再石灰化処置のため、特に微小なざらつきを除去するために適している。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は、低水溶性であるカルシウム塩および高分子電解質を含んでなる組成物に関し、歯および骨組織の平滑化、修復および再石灰化処置のために適している。
【0002】
(背景技術)
歯のエナメル質、および骨の支持組織は、優勢的に無機質のヒドロキシアパタイトからなる。生物学的発達過程においてヒドロキシアパタイトは、骨または歯中における優勢的にコラーゲンからなるタンパク質マトリックス上に、規則正しい方法で付着する。さらに、コラーゲンに付着して、構造無機質化過程(これは、生体無機質化とも称される。)をもたらす、コラーゲン以外のタンパク質により形成される、いわゆるマトリックスタンパク質により、硬質および荷重可能な無機質構造の形成は制御される。
【0003】
オーラルおよびデンタルケアにおいてカルシウムのリン酸塩は、以前から歯のエナメル質の再石灰化を促進するために、歯磨き剤およびデンタルケア用組成物の製剤に添加されている。しかしながら、これらの製剤暴露の短い時間および生体無機質化過程の遅さの故に、カルシウム塩の使用を頻繁に繰り返す必要があり、しばしば不充分な再石灰化効果しか達成できない。
【0004】
自然の生体無機質化過程を誘導または促進する、いわゆる骨の代用物は、歯および骨材料の処置または修復において重要な役割を果たす。ヒドロキシアパタイトは、様々な種類のインプラントを製造するために使用されている。しかしながら文献に記載のプラズマ溶射法による製造では、ヒドロキシアパタイトが分解してリン酸三カルシウムを形成する高温に、ヒドロキシアパタイト粉末をさらす(S. Zhang および K.E. Gonsalves, J. Mater, Sci. Mater. Med. 8 (1997年), 25)。自然の歯および骨組織に類似し、アパタイトをベースとし、室温に近い温度で製造および加工することができ、例えば歯の検査室または歯の診療の作業条件下で使用することができる代用物は、該分野において従来開示されていない。
【0005】
歯の材料を修復するために通常の手段は、本質的に、歯への適用後に重合が誘導される合成モノマーからなる。即ち、例えば WO 99/17716 は、歯の材料を記載しており、この中で、ナノ粒状フィラー、例えばガラス、ゼオライトまたは金属酸化物が、ポリマーマトリックス中に埋め込まれ、重合により硬化された歯の材料に向上した耐摩耗性および強度を与える。
この方法および類似の方法により得られるポリマーは、歯の材料と基本的に相違し、自然の生体無機質化過程による自然の歯材料と統合することができない非天然物質からなる。さらに残留モノマーは、望ましくない毒物学的危険性を表す。
【0006】
(発明の開示)
(発明が解決しようとする技術的課題)
カルシウム塩および高分子電解質を含有する或る組成物が、先行技術の上記欠点を克服するために適していることを見出した。
【0007】
(その解決方法)
本発明は、
(a)リン酸塩、フッ化物およびフルオロリン酸塩から選ばれ、任意にヒドロキシルおよび/またはカーボネート基をさらに有していても良い、5〜300nmの範囲の平均粒径を有するナノ粒状一次粒子の形態である、低水溶性のカルシウム塩、および
(b)高分子電解質
を含んでなる、歯および/または骨組織を処置するための組成物に関する。
該組成物が、本発明の目的のために、複数のカルシウム塩および/または複数の高分子電解質も含み得ることは明らかである。
【0008】
(発明を実施するための形態)
低水溶性の塩とは、20℃において1g/L未満、特に1mg/L未満の溶解性を有する塩を意味する。
好適なカルシウム塩は、アパタイト、ヒドロキシリン酸カルシウム(Ca5[OH(PO4)3])またはヒドロキシアパタイト、フルオロリン酸カルシウム(Ca5[F(PO4)3])またはフルオロアパタイト、一般組成:Ca5(PO4)3(OH,F)で示されるフッ素ドープヒドロキシアパタイト、およびフッ化カルシウム(CaF2)またはフルオライト(蛍石)である。
【0009】
一次粒子とは、該カルシウム塩の結晶子、即ち個々の結晶を意味する。これに関して粒径とは、最大の縦寸法の方向における粒子の直径を意味する。平均粒径とは、カルシウム塩全量に対して平均した値を意味する。粒径を、当業者に良く知られている方法、例えば動的光散乱法により測定することができる。
ナノ粒状一次粒子の平均粒径は、好ましくは10〜150nmの範囲であり、それらは、特に好ましくは、5〜50nmの範囲の厚みおよび10〜150nmの範囲の長さを有する棒状粒子の形態である。これに関して厚みとは、棒の最小の直径を意味し、長さとは、その最大の直径を意味する。
【0010】
本発明の目的のために適当な高分子電解質は、多酸および多塩基であり、高分子電解質は、バイオポリマーまたは合成ポリマーであり得る。従って本発明の組成物は、例えば以下のものから選ばれる、1種またはそれ以上の高分子電解質を含む:
・アルギン酸、
・ペクチン、
・カラゲナン、
・ポリガラクツロン酸、
・アルギニン酸、ペクチン、カラゲナンおよびポリガラクツロン酸のアミノおよびアミノ酸誘導体、
・ポリアミノ酸、例えばポリアスパラギン酸、
・ポリアスパルタミド、
・核酸、例えばDNAおよびRNA、
・リグニンスルホネート、
・カルボキシメチルセルロース、
・アミノおよび/またはカルボキシル基含有シクロデキストリン、セルロースまたはデキストラン誘導体、
・ポリアクリル酸、
・ポリメタクリル酸、
・ポリマレエート、
・ポリビニルスルホン酸、
・ポリビニルホスホン酸、
・ポリエチレンイミン、
・ポリビニルアミン、
並びに上記物質の誘導体、特にアミノおよび/またはカルボキシル誘導体。本発明の目的のために好ましく使用される高分子電解質は、二価カチオンとの塩形成のために適当な基を有するものである。カルボキシレート基を有するポリマーが、特に適している。
【0011】
本発明の目的のために特に好ましい高分子電解質は、ポリアスパラギン酸、アルギン酸、ペクチン、デオキシリボ核酸、リボ核酸、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸である。
約500〜10000ダルトン、特に100〜5000ダルトンの間の範囲の分子量を有するポリアスパラギン酸が、まさに好ましい。
本発明の組成物中に存在する高分子電解質は、一部はカルシウム塩ナノ粒子の被覆として、また一部は組成物中においてナノ粒子とは無関係に自由に存在し得る。
【0012】
カルシウム塩を、組成物の全質量を基準に、通常1〜40質量%、好ましくは5〜25質量%に達する濃度で使用する。
高分子電解質を、組成物の全質量を基準に、通常0.1〜40質量%、好ましくは5〜20質量%に達する濃度で使用する。
組成物は、カルシウム塩および高分子電解質の全質量を基準に、好ましくは2〜50質量%、特に好ましくは5〜10質量%の高分子電解質を含有する。本発明の目的のために、1種の高分子電解質を、異なる高分子電解質の混合物により取り換え得ることも明らかである。
本発明の組成物は、組成物の全質量を基準に、通常10〜95質量%の間、好ましくは50〜80質量%の間の水を含有する。
組成物は、特に好ましくは、ペーストまたはゲルの形態である。
【0013】
本発明の組成物を、例えば水溶性カルシウム塩の水溶液、並びに水溶性リン酸塩および/またはフッ化物塩の水溶液からの沈殿反応により製造することができる。この沈殿は、高分子電解質の存在下で行う。この沈殿は、通常pHの変化を通じて、特に5〜10の間の範囲でのpHの上昇または低下を通じて生ずる。
これを、例えば、純粋な溶解またはコロイド形態の高分子電解質を、沈殿反応の前に、アルカリ性リン酸塩および/またはフッ化物塩水溶液、あるいはカルシウム塩のアルカリ性溶液に添加することにより行うことができる。代わりの可能な手段は、高分子電解質を、まず純粋な溶解またはコロイド形態にし、次いでアルカリ性カルシウム塩溶液並びにアルカリ性リン酸塩および/またはフッ化物塩溶液を、あらゆる順序で連続的に、または同時に添加することである。各溶液の添加順序は、この場合重要ではない。即ち例えば、高分子電解質をまず導入し、次いでリン酸塩および/またはフッ化物塩溶液並びにカルシウム塩溶液を添加し得る。アンモニアを、好ましくは、塩基性化剤として使用する。
【0014】
該方法のさらなる変法は、pH5未満の、水溶性カルシウム塩と化学量論量の水溶性リン酸塩および/またはフッ化物塩との酸性溶液から、あるいはヒドロキシアパタイトの酸性溶液から、好ましくはpH3未満で、高分子電解質の存在下で水性アルカリまたはアンモニアでpHを上昇させて沈殿を行うことからなる。
該方法のさらなる変法は、水溶性カルシウム塩の水溶液並びに水溶性リン酸塩および/またはフッ化物塩の水溶液からの沈殿反応により製造した、純粋若しくは分散形態または分散液中のナノ粒状塩に、高分子電解質の溶液または分散液を添加することからなる。ここでも添加順序は、重要ではない。
【0015】
このようにして製造したナノ粒状カルシウム塩懸濁液を、反応媒体中に存在する水を、好ましくはなお存在する溶解無機塩の部分または完全取出し後に、部分除去することにより濃縮し、好ましくはペースト状またはゼラチン状粘稠度に転換する。ペーストとは、もはや流動することができない混合物として定義され、これは、混合物の固有重量が、その降伏点より大きいことを意味する。
なお存在する溶解塩の取出しを、例えば以下に記載するような、透析または遠心分離により行い得る。
【0016】
アパタイト懸濁液のペースト状またはゼラチン状粘稠度への水分の削減による転換は、例えば以下の手段により行い得る:
・蒸留による、好ましくは減圧下での水の削減。この場合、沈殿に用いられた塩のカウンターアニオンを含む反応混合物の全ての不揮発性成分は、カルシウム塩組成物中に残る。
・遠心分離、好ましくは3000〜5000回転/分の速度範囲。ナノ粒子は沈降してペースト状含水沈殿物を形成する。この沈殿物は、まさに蒸留による水の除去によって得られるようなゲルを形成し得る。溶解塩を充分に取り出すべきである場合、または望ましい粘稠度に達する必要がある場合、上澄み溶液の遠心分離、デカンテーションおよび新しい洗浄水による置換えを、数回繰り返すことができる。
【0017】
沈殿反応から残っている溶解塩を、好ましくは、透析水または遠心分離からの上澄み液が1000μS/cmを超えない導電率を有するような程度まで取り出す。塩の全含有量は、好ましくは1g/L未満である。
ペーストまたはゲル中の水分を、上記のように除去する水の量により調節し得る。代わりの可能な手段は、まずより高い固形分に濃縮し、次いで水を添加することによりペースト中の望ましい最終濃度を調節することである。
ペーストは、さらなる水の除去および/または数時間から数日間の貯蔵を通じて、ゲルを形成し得る。これは、粒子の可逆凝集による、高度に多孔質な一時的網状組織の形成を含み、これにより、混合物自体は、薄切りすることができる粘稠度を獲得し得る。この網状組織の元への分解は、剪断力の影響下で可能である。
【0018】
従って本発明はさらに、
(a)高分子電解質の存在下でのカルシウム塩水溶液の沈殿、
(b)ペースト状またはゼラチン状粘稠度に達するまでの水分の削減
の工程からなる、本発明の組成物の製造方法に関する。
好ましい実施態様において本発明の工程(a)を、水溶性カルシウム塩および化学量論量の水溶性リン酸塩および/またはフッ化物塩の、3未満のpHを有する酸性溶液から、水性アルカリまたはアンモニアでpHを上昇させることによって、沈殿が生じるように行う。
工程(b)を、好ましくは、蒸留または遠心分離により水分を削減するような方法で行う。
【0019】
驚くべきことに、本発明の組成物は、水の除去により硬化して、例えば歯および骨組織の表面に存在するようなアパタイト表面に対する高親和性により区別される、硬質セラミック状基材を与えることを見出した。これは、乾燥および硬化プロセス中にアパタイト表面に不可逆に付着する。
例えば本発明の組成物を、薄膜で表面(例えば歯の表面)に空気中で適用する場合、乾燥および硬化は、数秒ないし数分の範囲の時間中に起こる。硬化のために必要な時間は、本質的に膜厚、周囲温度および組成物の成分、特にその水分に依存し、この時間は、これらパラメーターの相応な選択により本質的に影響を受け得る。このようにして、硬化が完了するまでの組成物の加工時間を、その使用の望ましい形式および継続時間に応じて、幅広い範囲内で変化させることができる。
【0020】
従って本発明は、硬質基材の製造方法にも関し、この方法は、上記の本発明の組成物から、水を除去することを特徴とする。
基材は、特に歯および/または骨組織に適用されるアパタイト含有被膜である。
水の除去による本発明の組成物の硬化を、例えば0〜100℃の間、好ましくは20〜40℃の間の温度で行う。
【0021】
水の除去を、様々な方法で行い得る。水の除去を、好ましくは本発明の組成物を空気中で等温乾燥することにより行う。しかしながら水の除去、従って硬化を、熱の作用、例えば熱空気、赤外線またはマイクロ波の作用、それにより促進される水の気化または蒸発によって、引き起こすか、または促進することもできる。さらなる可能手段は、所望により熱の作用と共に、例えば減圧を適用することによる水の除去である。
好ましい実施態様において水の除去を、空気中、特に好ましくは20〜40℃の間の温度で乾燥することにより行う。
【0022】
本発明に従い水の除去により形成された硬質基材は、歯および/または骨組織に対する高い親和性を有する。
従って本発明の組成物は、骨および歯組織の処置および/または修復のために特に適している。
【0023】
本発明の組成物中に存在する高分子電解質は、微粒子カルシウム塩の表面に物理的に接着するが、それに伴う化学反応は存在しないことが好ましい。表面に吸着される各分子は、本質的に相互の分子間結合が無い。高分子電解質は一方で,ナノ粒状カルシウム塩の一次粒子を安定化させ、その凝集を妨げる仕事を有する。さらに、高分子電解質は、異なる一次粒子を架橋様式で一緒に連結し、このカルシウム塩粒子の架橋は、組成物の硬化の際に重要な役割を果たすと想定される。特にポリアスパラギン酸が表面活性物質である場合、本発明の硬質基材の歯および骨材料に対する特に堅固な接着および特に良好な生体親和性が、自然の生体無機質化過程に含まれるタンパク質に対するその構造類似性から、派生することが想定される。
【0024】
本発明の組成物は、さらに、歯および骨組織の表面を滑らかにし、損傷および不整を除去するため、そうして特に歯の欠陥をケアおよび補修するために適している。平滑化は、例えば本発明の組成物を歯に適用し、次いで磨くことにより生ずる。ウシの歯での実験において、微小なざらつきが約10分の1に減少することが観察された。この平滑化効果は、組成物中に存在するカルシウム塩の研磨性と、これと共同して、これらナノ粒子のアパタイト表面に付着し、そうして微視的に小さな空洞および亀裂を充填する傾向とに帰されると考えられる。歯表面のざらつきの減少は、不純物の接着を減少させ、プラーク形成を阻害する。こうして同時に、歯への細菌攻撃の予防が達成される。
従って本発明はさらに、歯および/または骨の表面を滑らかにするための、本発明の組成物の使用に関する。
【0025】
本発明の組成物、特にアパタイト、ヒドロキシアパタイトおよびフルオロアパタイトの組成物は、歯および骨組織中の生体無機質化を促進および/または誘導する。それゆえ本発明の組成物は、単独でまたは調剤中の成分として、歯および骨組織、例えば歯のエナメル質および象牙質の修復または再生のために適している。
従って本発明はさらに、歯および/または骨組織の再石灰化処置のための、本発明の組成物の使用に関する。
【0026】
本発明は、硬質基材、特に歯および/または骨組織上にアパタイト含有被膜を製造するための、本発明の組成物の使用にも関する。
本発明の組成物は、歯および骨の欠陥および欠損の処置のため、インプラントの製造のため、およびインプラントの取込み促進のために適している。さらに本発明の組成物は、歯科用セメントおよび歯科用セメント添加物として、並びに歯および骨組織のひびおよび他の欠陥の充填または補修のために適している。
【0027】
これに関して特に有利には、本発明の組成物は、
・容易に計量供給することができ、
・容易に、例えばスパチュラ、スワブ、ブラシ、スポンジまたは皮下注射により適用することができ、
・滴をたらさずに、容易に分配することができ、むらのあるまたは平坦な垂直面に接着させることができ、
歯または骨表面に適用した組成物の効果時間を、適用に対して適切に調節することができる。
これらの利点は、特に、患者の歯の処置中に組成物を使用する際に生ずる。
【0028】
本発明の1つの実施態様において、本発明の組成物を、歯の洗浄およびケア用調剤を製造するための再石灰化および/または研磨成分として使用する。該調剤は、例えばペースト、ゲル、マウスウォッシュまたは液状クリームの形態であり得る。好ましい実施態様は、シリカ、磨き剤、湿潤剤、結合剤およびフレーバーを含有し、調剤の全質量を基準に0.5〜10質量%の本発明の組成物を含有する練り歯磨きを含む。歯の洗浄およびケア用の調剤は、さらに、そのような調剤に通例の成分および助剤を、この目的のために通常の量で含み得る。
【0029】
本発明の組成物は、使用目的に応じて、例えば以下のようなさらなる成分を含み得る:
・溶媒、例えばアセトンまたは1〜4個の炭素原子を有する一価アルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール、
・2〜6個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有する多価アルコール、例えばグリセロール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、
・結合剤および粘稠度調整剤、例えば天然および合成の水溶性ポリマー、並びに天然生成物の誘導体、例えばセルロースエーテルまたは微粒子シリカ(エーロゲルシリカ、熱分解法シリカ)、
・フレーバー、例えばハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、アニス油、ウイキョウ油、キャラウェーオイル、酢酸メチル、シンナムアルデヒド、アネトール、バニリン、チモールおよびこれらの混合物、並びに他の天然および合成フレーバー、
・甘味料、例えばサッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、アスパルターム、アセスルファンK(Acesulfan K)、ステビオシド(Steviosid)、モネリン(Monellin)、グリシルリチン(Glycyrrhicin)、ズルチン、ラクトース、マルトースまたはフルクトース、
・保存料および抗菌物質、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エステル、ソルビン酸ナトリウム、トリクロサン、ヘキサクロロフェン、フェニルサリチル酸エステル、チモール、
・顔料、例えば二酸化チタン、
・創傷治癒剤および抗炎症剤、例えばアラントイン、尿素、アズレン、パンテノール、アセチルサリチル酸誘導体、植物抽出物、ビタミン、例えばレチノールまたはトコフェロール、
・再石灰化促進剤、例えばセチルアミンヒドロフルオリド。
【0030】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の主題をより詳細に説明することを目的とする。
実施例1a:ヒドロキシアパタイトおよびポリアスパラギン酸からのペーストの製造
まず溶液AおよびBを、別に製造する。
溶液A:硝酸カルシウム四水和物25.4gおよびリン酸水素ジアンモニウム8.50gをそれぞれ、脱イオン水100gに溶解させた。この2つの溶液を混合して、白色沈殿物を形成させた。37質量%のHCl 10mlを添加した結果、pH2の透明溶液が生じた。
溶液B:脱イオン水200ml、25質量%のアンモニア水溶液200mlおよび分子量2000ダルトンを有するポリアスパラギン酸20gを混合し、その透明溶液を、氷浴で0℃に冷却した。溶液Aを、激しく攪拌しながら溶液Bに添加し、乳白色の分散液を形成させた。過剰のアンモニアをストリッピングした後、溶解塩を、このようにして形成した分散液から透析により取り出した。次いで該分散液を、ロータリーエバポレーター内で、水の降下量を測定することにより分散液中の固形分(ヒドロキシアパタイトとして計算)が35質量%になるまで濃縮した。2日以内で、混合物はペーストに凝結し、そのペーストの粘稠度は、その後のさらなる1年間の貯蔵中に変化しなかった。ペーストを、表面(例えばガラス、セラミックまたは歯の表面)に適用した後、該ペーストは空気中および室温で約30分以内で硬化し、硬質透明膜を形成した。
【0031】
実施例1b:ヒドロキシアパタイトおよびポリアスパラギン酸からのペーストの製造
製造方法の別の変法において分散液をまず、実施例1aに記載したように溶液AおよびBを混合することにより調製し、次いで分散液を、10000rpmで遠心分離した。上澄み液を流し出した結果、空気中で硬化するペーストが生じた。該ペーストの粘稠度および水分を、遠心分離時間の相応な選択により、幅広い範囲で調節することができた。
【0032】
実施例2:歯の表面に対する平滑化効果
実施例1aのように製造したペーストを、ウシの歯の研磨片にスワブを用いて薄膜で適用し、次いでこの直後に、柔らかい布切れで磨き、次いで歯片を、流水下で歯ブラシを用いてブラシがけした。
歯の表面を、この処置の前後でラスター動力(Raster−Kraft)顕微鏡(AFM)を使用して調べた。この測定から、表面は、はっきりと、処置によってより滑らかになり、その微小なざらつきは、約10分の1程減少したことが明らかになった。
(技術分野)
本発明は、低水溶性であるカルシウム塩および高分子電解質を含んでなる組成物に関し、歯および骨組織の平滑化、修復および再石灰化処置のために適している。
【0002】
(背景技術)
歯のエナメル質、および骨の支持組織は、優勢的に無機質のヒドロキシアパタイトからなる。生物学的発達過程においてヒドロキシアパタイトは、骨または歯中における優勢的にコラーゲンからなるタンパク質マトリックス上に、規則正しい方法で付着する。さらに、コラーゲンに付着して、構造無機質化過程(これは、生体無機質化とも称される。)をもたらす、コラーゲン以外のタンパク質により形成される、いわゆるマトリックスタンパク質により、硬質および荷重可能な無機質構造の形成は制御される。
【0003】
オーラルおよびデンタルケアにおいてカルシウムのリン酸塩は、以前から歯のエナメル質の再石灰化を促進するために、歯磨き剤およびデンタルケア用組成物の製剤に添加されている。しかしながら、これらの製剤暴露の短い時間および生体無機質化過程の遅さの故に、カルシウム塩の使用を頻繁に繰り返す必要があり、しばしば不充分な再石灰化効果しか達成できない。
【0004】
自然の生体無機質化過程を誘導または促進する、いわゆる骨の代用物は、歯および骨材料の処置または修復において重要な役割を果たす。ヒドロキシアパタイトは、様々な種類のインプラントを製造するために使用されている。しかしながら文献に記載のプラズマ溶射法による製造では、ヒドロキシアパタイトが分解してリン酸三カルシウムを形成する高温に、ヒドロキシアパタイト粉末をさらす(S. Zhang および K.E. Gonsalves, J. Mater, Sci. Mater. Med. 8 (1997年), 25)。自然の歯および骨組織に類似し、アパタイトをベースとし、室温に近い温度で製造および加工することができ、例えば歯の検査室または歯の診療の作業条件下で使用することができる代用物は、該分野において従来開示されていない。
【0005】
歯の材料を修復するために通常の手段は、本質的に、歯への適用後に重合が誘導される合成モノマーからなる。即ち、例えば WO 99/17716 は、歯の材料を記載しており、この中で、ナノ粒状フィラー、例えばガラス、ゼオライトまたは金属酸化物が、ポリマーマトリックス中に埋め込まれ、重合により硬化された歯の材料に向上した耐摩耗性および強度を与える。
この方法および類似の方法により得られるポリマーは、歯の材料と基本的に相違し、自然の生体無機質化過程による自然の歯材料と統合することができない非天然物質からなる。さらに残留モノマーは、望ましくない毒物学的危険性を表す。
【0006】
(発明の開示)
(発明が解決しようとする技術的課題)
カルシウム塩および高分子電解質を含有する或る組成物が、先行技術の上記欠点を克服するために適していることを見出した。
【0007】
(その解決方法)
本発明は、
(a)リン酸塩、フッ化物およびフルオロリン酸塩から選ばれ、任意にヒドロキシルおよび/またはカーボネート基をさらに有していても良い、5〜300nmの範囲の平均粒径を有するナノ粒状一次粒子の形態である、低水溶性のカルシウム塩、および
(b)高分子電解質
を含んでなる、歯および/または骨組織を処置するための組成物に関する。
該組成物が、本発明の目的のために、複数のカルシウム塩および/または複数の高分子電解質も含み得ることは明らかである。
【0008】
(発明を実施するための形態)
低水溶性の塩とは、20℃において1g/L未満、特に1mg/L未満の溶解性を有する塩を意味する。
好適なカルシウム塩は、アパタイト、ヒドロキシリン酸カルシウム(Ca5[OH(PO4)3])またはヒドロキシアパタイト、フルオロリン酸カルシウム(Ca5[F(PO4)3])またはフルオロアパタイト、一般組成:Ca5(PO4)3(OH,F)で示されるフッ素ドープヒドロキシアパタイト、およびフッ化カルシウム(CaF2)またはフルオライト(蛍石)である。
【0009】
一次粒子とは、該カルシウム塩の結晶子、即ち個々の結晶を意味する。これに関して粒径とは、最大の縦寸法の方向における粒子の直径を意味する。平均粒径とは、カルシウム塩全量に対して平均した値を意味する。粒径を、当業者に良く知られている方法、例えば動的光散乱法により測定することができる。
ナノ粒状一次粒子の平均粒径は、好ましくは10〜150nmの範囲であり、それらは、特に好ましくは、5〜50nmの範囲の厚みおよび10〜150nmの範囲の長さを有する棒状粒子の形態である。これに関して厚みとは、棒の最小の直径を意味し、長さとは、その最大の直径を意味する。
【0010】
本発明の目的のために適当な高分子電解質は、多酸および多塩基であり、高分子電解質は、バイオポリマーまたは合成ポリマーであり得る。従って本発明の組成物は、例えば以下のものから選ばれる、1種またはそれ以上の高分子電解質を含む:
・アルギン酸、
・ペクチン、
・カラゲナン、
・ポリガラクツロン酸、
・アルギニン酸、ペクチン、カラゲナンおよびポリガラクツロン酸のアミノおよびアミノ酸誘導体、
・ポリアミノ酸、例えばポリアスパラギン酸、
・ポリアスパルタミド、
・核酸、例えばDNAおよびRNA、
・リグニンスルホネート、
・カルボキシメチルセルロース、
・アミノおよび/またはカルボキシル基含有シクロデキストリン、セルロースまたはデキストラン誘導体、
・ポリアクリル酸、
・ポリメタクリル酸、
・ポリマレエート、
・ポリビニルスルホン酸、
・ポリビニルホスホン酸、
・ポリエチレンイミン、
・ポリビニルアミン、
並びに上記物質の誘導体、特にアミノおよび/またはカルボキシル誘導体。本発明の目的のために好ましく使用される高分子電解質は、二価カチオンとの塩形成のために適当な基を有するものである。カルボキシレート基を有するポリマーが、特に適している。
【0011】
本発明の目的のために特に好ましい高分子電解質は、ポリアスパラギン酸、アルギン酸、ペクチン、デオキシリボ核酸、リボ核酸、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸である。
約500〜10000ダルトン、特に100〜5000ダルトンの間の範囲の分子量を有するポリアスパラギン酸が、まさに好ましい。
本発明の組成物中に存在する高分子電解質は、一部はカルシウム塩ナノ粒子の被覆として、また一部は組成物中においてナノ粒子とは無関係に自由に存在し得る。
【0012】
カルシウム塩を、組成物の全質量を基準に、通常1〜40質量%、好ましくは5〜25質量%に達する濃度で使用する。
高分子電解質を、組成物の全質量を基準に、通常0.1〜40質量%、好ましくは5〜20質量%に達する濃度で使用する。
組成物は、カルシウム塩および高分子電解質の全質量を基準に、好ましくは2〜50質量%、特に好ましくは5〜10質量%の高分子電解質を含有する。本発明の目的のために、1種の高分子電解質を、異なる高分子電解質の混合物により取り換え得ることも明らかである。
本発明の組成物は、組成物の全質量を基準に、通常10〜95質量%の間、好ましくは50〜80質量%の間の水を含有する。
組成物は、特に好ましくは、ペーストまたはゲルの形態である。
【0013】
本発明の組成物を、例えば水溶性カルシウム塩の水溶液、並びに水溶性リン酸塩および/またはフッ化物塩の水溶液からの沈殿反応により製造することができる。この沈殿は、高分子電解質の存在下で行う。この沈殿は、通常pHの変化を通じて、特に5〜10の間の範囲でのpHの上昇または低下を通じて生ずる。
これを、例えば、純粋な溶解またはコロイド形態の高分子電解質を、沈殿反応の前に、アルカリ性リン酸塩および/またはフッ化物塩水溶液、あるいはカルシウム塩のアルカリ性溶液に添加することにより行うことができる。代わりの可能な手段は、高分子電解質を、まず純粋な溶解またはコロイド形態にし、次いでアルカリ性カルシウム塩溶液並びにアルカリ性リン酸塩および/またはフッ化物塩溶液を、あらゆる順序で連続的に、または同時に添加することである。各溶液の添加順序は、この場合重要ではない。即ち例えば、高分子電解質をまず導入し、次いでリン酸塩および/またはフッ化物塩溶液並びにカルシウム塩溶液を添加し得る。アンモニアを、好ましくは、塩基性化剤として使用する。
【0014】
該方法のさらなる変法は、pH5未満の、水溶性カルシウム塩と化学量論量の水溶性リン酸塩および/またはフッ化物塩との酸性溶液から、あるいはヒドロキシアパタイトの酸性溶液から、好ましくはpH3未満で、高分子電解質の存在下で水性アルカリまたはアンモニアでpHを上昇させて沈殿を行うことからなる。
該方法のさらなる変法は、水溶性カルシウム塩の水溶液並びに水溶性リン酸塩および/またはフッ化物塩の水溶液からの沈殿反応により製造した、純粋若しくは分散形態または分散液中のナノ粒状塩に、高分子電解質の溶液または分散液を添加することからなる。ここでも添加順序は、重要ではない。
【0015】
このようにして製造したナノ粒状カルシウム塩懸濁液を、反応媒体中に存在する水を、好ましくはなお存在する溶解無機塩の部分または完全取出し後に、部分除去することにより濃縮し、好ましくはペースト状またはゼラチン状粘稠度に転換する。ペーストとは、もはや流動することができない混合物として定義され、これは、混合物の固有重量が、その降伏点より大きいことを意味する。
なお存在する溶解塩の取出しを、例えば以下に記載するような、透析または遠心分離により行い得る。
【0016】
アパタイト懸濁液のペースト状またはゼラチン状粘稠度への水分の削減による転換は、例えば以下の手段により行い得る:
・蒸留による、好ましくは減圧下での水の削減。この場合、沈殿に用いられた塩のカウンターアニオンを含む反応混合物の全ての不揮発性成分は、カルシウム塩組成物中に残る。
・遠心分離、好ましくは3000〜5000回転/分の速度範囲。ナノ粒子は沈降してペースト状含水沈殿物を形成する。この沈殿物は、まさに蒸留による水の除去によって得られるようなゲルを形成し得る。溶解塩を充分に取り出すべきである場合、または望ましい粘稠度に達する必要がある場合、上澄み溶液の遠心分離、デカンテーションおよび新しい洗浄水による置換えを、数回繰り返すことができる。
【0017】
沈殿反応から残っている溶解塩を、好ましくは、透析水または遠心分離からの上澄み液が1000μS/cmを超えない導電率を有するような程度まで取り出す。塩の全含有量は、好ましくは1g/L未満である。
ペーストまたはゲル中の水分を、上記のように除去する水の量により調節し得る。代わりの可能な手段は、まずより高い固形分に濃縮し、次いで水を添加することによりペースト中の望ましい最終濃度を調節することである。
ペーストは、さらなる水の除去および/または数時間から数日間の貯蔵を通じて、ゲルを形成し得る。これは、粒子の可逆凝集による、高度に多孔質な一時的網状組織の形成を含み、これにより、混合物自体は、薄切りすることができる粘稠度を獲得し得る。この網状組織の元への分解は、剪断力の影響下で可能である。
【0018】
従って本発明はさらに、
(a)高分子電解質の存在下でのカルシウム塩水溶液の沈殿、
(b)ペースト状またはゼラチン状粘稠度に達するまでの水分の削減
の工程からなる、本発明の組成物の製造方法に関する。
好ましい実施態様において本発明の工程(a)を、水溶性カルシウム塩および化学量論量の水溶性リン酸塩および/またはフッ化物塩の、3未満のpHを有する酸性溶液から、水性アルカリまたはアンモニアでpHを上昇させることによって、沈殿が生じるように行う。
工程(b)を、好ましくは、蒸留または遠心分離により水分を削減するような方法で行う。
【0019】
驚くべきことに、本発明の組成物は、水の除去により硬化して、例えば歯および骨組織の表面に存在するようなアパタイト表面に対する高親和性により区別される、硬質セラミック状基材を与えることを見出した。これは、乾燥および硬化プロセス中にアパタイト表面に不可逆に付着する。
例えば本発明の組成物を、薄膜で表面(例えば歯の表面)に空気中で適用する場合、乾燥および硬化は、数秒ないし数分の範囲の時間中に起こる。硬化のために必要な時間は、本質的に膜厚、周囲温度および組成物の成分、特にその水分に依存し、この時間は、これらパラメーターの相応な選択により本質的に影響を受け得る。このようにして、硬化が完了するまでの組成物の加工時間を、その使用の望ましい形式および継続時間に応じて、幅広い範囲内で変化させることができる。
【0020】
従って本発明は、硬質基材の製造方法にも関し、この方法は、上記の本発明の組成物から、水を除去することを特徴とする。
基材は、特に歯および/または骨組織に適用されるアパタイト含有被膜である。
水の除去による本発明の組成物の硬化を、例えば0〜100℃の間、好ましくは20〜40℃の間の温度で行う。
【0021】
水の除去を、様々な方法で行い得る。水の除去を、好ましくは本発明の組成物を空気中で等温乾燥することにより行う。しかしながら水の除去、従って硬化を、熱の作用、例えば熱空気、赤外線またはマイクロ波の作用、それにより促進される水の気化または蒸発によって、引き起こすか、または促進することもできる。さらなる可能手段は、所望により熱の作用と共に、例えば減圧を適用することによる水の除去である。
好ましい実施態様において水の除去を、空気中、特に好ましくは20〜40℃の間の温度で乾燥することにより行う。
【0022】
本発明に従い水の除去により形成された硬質基材は、歯および/または骨組織に対する高い親和性を有する。
従って本発明の組成物は、骨および歯組織の処置および/または修復のために特に適している。
【0023】
本発明の組成物中に存在する高分子電解質は、微粒子カルシウム塩の表面に物理的に接着するが、それに伴う化学反応は存在しないことが好ましい。表面に吸着される各分子は、本質的に相互の分子間結合が無い。高分子電解質は一方で,ナノ粒状カルシウム塩の一次粒子を安定化させ、その凝集を妨げる仕事を有する。さらに、高分子電解質は、異なる一次粒子を架橋様式で一緒に連結し、このカルシウム塩粒子の架橋は、組成物の硬化の際に重要な役割を果たすと想定される。特にポリアスパラギン酸が表面活性物質である場合、本発明の硬質基材の歯および骨材料に対する特に堅固な接着および特に良好な生体親和性が、自然の生体無機質化過程に含まれるタンパク質に対するその構造類似性から、派生することが想定される。
【0024】
本発明の組成物は、さらに、歯および骨組織の表面を滑らかにし、損傷および不整を除去するため、そうして特に歯の欠陥をケアおよび補修するために適している。平滑化は、例えば本発明の組成物を歯に適用し、次いで磨くことにより生ずる。ウシの歯での実験において、微小なざらつきが約10分の1に減少することが観察された。この平滑化効果は、組成物中に存在するカルシウム塩の研磨性と、これと共同して、これらナノ粒子のアパタイト表面に付着し、そうして微視的に小さな空洞および亀裂を充填する傾向とに帰されると考えられる。歯表面のざらつきの減少は、不純物の接着を減少させ、プラーク形成を阻害する。こうして同時に、歯への細菌攻撃の予防が達成される。
従って本発明はさらに、歯および/または骨の表面を滑らかにするための、本発明の組成物の使用に関する。
【0025】
本発明の組成物、特にアパタイト、ヒドロキシアパタイトおよびフルオロアパタイトの組成物は、歯および骨組織中の生体無機質化を促進および/または誘導する。それゆえ本発明の組成物は、単独でまたは調剤中の成分として、歯および骨組織、例えば歯のエナメル質および象牙質の修復または再生のために適している。
従って本発明はさらに、歯および/または骨組織の再石灰化処置のための、本発明の組成物の使用に関する。
【0026】
本発明は、硬質基材、特に歯および/または骨組織上にアパタイト含有被膜を製造するための、本発明の組成物の使用にも関する。
本発明の組成物は、歯および骨の欠陥および欠損の処置のため、インプラントの製造のため、およびインプラントの取込み促進のために適している。さらに本発明の組成物は、歯科用セメントおよび歯科用セメント添加物として、並びに歯および骨組織のひびおよび他の欠陥の充填または補修のために適している。
【0027】
これに関して特に有利には、本発明の組成物は、
・容易に計量供給することができ、
・容易に、例えばスパチュラ、スワブ、ブラシ、スポンジまたは皮下注射により適用することができ、
・滴をたらさずに、容易に分配することができ、むらのあるまたは平坦な垂直面に接着させることができ、
歯または骨表面に適用した組成物の効果時間を、適用に対して適切に調節することができる。
これらの利点は、特に、患者の歯の処置中に組成物を使用する際に生ずる。
【0028】
本発明の1つの実施態様において、本発明の組成物を、歯の洗浄およびケア用調剤を製造するための再石灰化および/または研磨成分として使用する。該調剤は、例えばペースト、ゲル、マウスウォッシュまたは液状クリームの形態であり得る。好ましい実施態様は、シリカ、磨き剤、湿潤剤、結合剤およびフレーバーを含有し、調剤の全質量を基準に0.5〜10質量%の本発明の組成物を含有する練り歯磨きを含む。歯の洗浄およびケア用の調剤は、さらに、そのような調剤に通例の成分および助剤を、この目的のために通常の量で含み得る。
【0029】
本発明の組成物は、使用目的に応じて、例えば以下のようなさらなる成分を含み得る:
・溶媒、例えばアセトンまたは1〜4個の炭素原子を有する一価アルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール、
・2〜6個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有する多価アルコール、例えばグリセロール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、
・結合剤および粘稠度調整剤、例えば天然および合成の水溶性ポリマー、並びに天然生成物の誘導体、例えばセルロースエーテルまたは微粒子シリカ(エーロゲルシリカ、熱分解法シリカ)、
・フレーバー、例えばハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、アニス油、ウイキョウ油、キャラウェーオイル、酢酸メチル、シンナムアルデヒド、アネトール、バニリン、チモールおよびこれらの混合物、並びに他の天然および合成フレーバー、
・甘味料、例えばサッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、アスパルターム、アセスルファンK(Acesulfan K)、ステビオシド(Steviosid)、モネリン(Monellin)、グリシルリチン(Glycyrrhicin)、ズルチン、ラクトース、マルトースまたはフルクトース、
・保存料および抗菌物質、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エステル、ソルビン酸ナトリウム、トリクロサン、ヘキサクロロフェン、フェニルサリチル酸エステル、チモール、
・顔料、例えば二酸化チタン、
・創傷治癒剤および抗炎症剤、例えばアラントイン、尿素、アズレン、パンテノール、アセチルサリチル酸誘導体、植物抽出物、ビタミン、例えばレチノールまたはトコフェロール、
・再石灰化促進剤、例えばセチルアミンヒドロフルオリド。
【0030】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の主題をより詳細に説明することを目的とする。
実施例1a:ヒドロキシアパタイトおよびポリアスパラギン酸からのペーストの製造
まず溶液AおよびBを、別に製造する。
溶液A:硝酸カルシウム四水和物25.4gおよびリン酸水素ジアンモニウム8.50gをそれぞれ、脱イオン水100gに溶解させた。この2つの溶液を混合して、白色沈殿物を形成させた。37質量%のHCl 10mlを添加した結果、pH2の透明溶液が生じた。
溶液B:脱イオン水200ml、25質量%のアンモニア水溶液200mlおよび分子量2000ダルトンを有するポリアスパラギン酸20gを混合し、その透明溶液を、氷浴で0℃に冷却した。溶液Aを、激しく攪拌しながら溶液Bに添加し、乳白色の分散液を形成させた。過剰のアンモニアをストリッピングした後、溶解塩を、このようにして形成した分散液から透析により取り出した。次いで該分散液を、ロータリーエバポレーター内で、水の降下量を測定することにより分散液中の固形分(ヒドロキシアパタイトとして計算)が35質量%になるまで濃縮した。2日以内で、混合物はペーストに凝結し、そのペーストの粘稠度は、その後のさらなる1年間の貯蔵中に変化しなかった。ペーストを、表面(例えばガラス、セラミックまたは歯の表面)に適用した後、該ペーストは空気中および室温で約30分以内で硬化し、硬質透明膜を形成した。
【0031】
実施例1b:ヒドロキシアパタイトおよびポリアスパラギン酸からのペーストの製造
製造方法の別の変法において分散液をまず、実施例1aに記載したように溶液AおよびBを混合することにより調製し、次いで分散液を、10000rpmで遠心分離した。上澄み液を流し出した結果、空気中で硬化するペーストが生じた。該ペーストの粘稠度および水分を、遠心分離時間の相応な選択により、幅広い範囲で調節することができた。
【0032】
実施例2:歯の表面に対する平滑化効果
実施例1aのように製造したペーストを、ウシの歯の研磨片にスワブを用いて薄膜で適用し、次いでこの直後に、柔らかい布切れで磨き、次いで歯片を、流水下で歯ブラシを用いてブラシがけした。
歯の表面を、この処置の前後でラスター動力(Raster−Kraft)顕微鏡(AFM)を使用して調べた。この測定から、表面は、はっきりと、処置によってより滑らかになり、その微小なざらつきは、約10分の1程減少したことが明らかになった。
Claims (19)
- (a)リン酸塩、フッ化物およびフルオロリン酸塩から選ばれ、任意にヒドロキシルおよび/またはカーボネート基をさらに有していても良い、5〜300nmの範囲の平均粒径を有するナノ粒状一次粒子の形態である、低水溶性のカルシウム塩、および
(b)高分子電解質
を含んでなる、歯および/または骨組織を処置するための組成物。 - カルシウム塩が、アパタイト、ヒドロキシアパタイトおよびフルオロアパタイトから選ばれていることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
- 高分子電解質が、ポリアスパラギン酸、アルギン酸、ペクチン、デオキシリボ核酸、リボ核酸、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸により形成される群から選ばれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
- 組成物中のカルシウム塩の割合が、組成物の全質量を基準に1〜40質量%の間、好ましくは5〜25質量%の間であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 組成物中の高分子電解質の割合が、組成物の全質量を基準に0.1〜40質量%の間、好ましくは5〜20質量%の間であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 組成物中の高分子電解質の割合が、カルシウム塩および高分子電解質の全質量を基準に2〜50質量%の間、好ましくは5〜10質量%の間であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 組成物が、組成物の全質量を基準に、10〜95質量%の間、好ましくは50〜80質量%の間の水を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
- ペーストまたはゲルの形態であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
- (a)高分子電解質の存在下でのカルシウム塩水溶液の沈殿、
(b)ペースト状またはゼラチン状粘稠度に達するまでの水分の削減
の工程からなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の製造方法。 - 沈殿を、水溶性カルシウム塩および化学量論量の水溶性リン酸塩および/またはフッ化物塩の、3未満のpHを有する酸性溶液から、水性アルカリまたはアンモニアでpHを上昇させることにより生じさせることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
- 水分を、蒸留または遠心分離により削減することを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
- 硬質基材を製造する方法であって、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物から、水を除去することを特徴とする方法。
- 基材が、歯および/または骨組織に適用されるアパタイト含有被膜であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
- 水の除去を、0〜100℃、好ましくは20〜40℃の温度範囲で行うことを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
- 水の除去を、空気中の乾燥で行うことを特徴とする、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
- 組成物から水を除去することにより形成された硬質基材が、歯および/または骨組織に対する高親和性を有することを特徴とする、請求項12〜15のいずれかに記載の方法。
- 歯および/または骨の表面を滑らかにするための、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の使用。
- 歯および/または骨組織の再石灰化処置のための、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の使用。
- 硬質基材、特に歯および/または骨組織上にアパタイト含有被膜を製造するための、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の使用。
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