JP2004503203A - INVIVOでのssDNAの産生 - Google Patents
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Abstract
真核の宿主細胞内でフランキング配列無しで(もしくは最少でもって)その配列を発現するベクターシステムに関する。次いで、ss−cDNAを修飾し、ss−cDNAがそれ自身の上に折り返をさせる逆方向縦反復の包含の結果形成されたss−cDNAの“ステム−ループ”構造の利点により、全てのフランキングベクター配列を除去し、目的の配列の二本鎖DNAステムを形成させる。二本鎖ステムは、制限エンドヌクレアーゼ認識部位のような1個またはそれ以上の機能的遺伝子要素を含み、ss−DNAとして残るループは任意の所望のヌクレオチド配列を含む。この設計は、ステムにおける部位に特異的な対応する所望の制限エンドヌクレアーゼにより開裂されるステム−ループ中間体を可能にし、ループ部分、または目的の配列を、次いで直線化、一本鎖DNAの断片として放出する。この放出(または開裂)ss−DNA断片は、もしあれば最小の配列情報を、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む先の二本鎖ステム部分から上流5’または3’下流に含む。本明細書に記載のDNAベクターシステムを使用したin vitro形質転換は、宿主細胞内にss−DNAを産生するためのこのシステムの使用を証明する。
Description
本発明は、その中に核酸配列が組み入れられて、原核もしくは真核の宿主細胞中でその配列を引き続き産生するための鋳型として使用するところの便宜上カセットという、安定なDNA構成体、ならびに、真核の宿主細胞内でフランキング配列無しで(もしくは最少でもって)その配列を発現するベクターシステムに関する。このカセットは逆方向縦列型反復配列を含み、それは、関心ある配列という、一本鎖DNA(ssDNA)配列としての配列の発現を引き起こすようにin vivoで機能するステム−ループ中間体のステムを形成する。本発明のベクターシステムは、ステム−ループ形成とこれに続く、ステムによる逆方向転写反応の終結によるか、もしくはステム−ループ中間体の切断かのどちらかにより興味あるssDNA配列から隣接したプラスミド(もしくは他のベクター配列)を取り除く。この方法により産生されるssDNAは、どんな内因性の核酸配列標的にも相補的であるようにデザインされ得る。
【0002】
これまで知られている限り、一本鎖デオキシリボ核酸(ssDNA)種を介在および/もしくはフランキングベクター配列を含有しない真核細胞中で産生する方法は無い。科学及び特許の文献はcDNA産生ベクターの開示を含むが(A. Ohshima等、89 Proc. Natl. Acd. Sci. USA (1992);S. Inoue等、3 Current Opin. Develop. 713−718 (1993);O. Mirochnitchenko等、269 J. Biol. Chem. 2380−2383 (1994);J.−R. Mao等、270 J. Biol. Chem. 19684−19687 (1995);ならびに米国特許第5,436,141号および5,714,323号を参照)、しかしこれらの参考文献に開示されたシステムは、ssDNA産物の意図する機能と干渉できるベクター配列を介在しないでssDNAを真核細胞中で産生する能力を実証しているようには見えない。
【0003】
それゆえに、本発明の目的は、方法を提供することによりこの制限を克服するところの、酵母、原核および/もしくは真核の細胞中で一本鎖核酸を産生する方法、ならびに、望ましくない介在および/もしくはフランキング核酸塩基無しに、どんな望ましい核酸配列のssDNAのin vivoでの合成を指示するDNA構成体を提供することである。このssDNAはアンチセンス配列のような阻害性核酸であり得る(しかし、それに限定されない)が、アンチセンス様式でmRNAに結合して興味ある遺伝子産物もしくはウイルス性遺伝子産物を下方調節するかまたは二重らせん(未変性DNA)に結合して、正常な転写および調節と干渉し得る三重らせん構造を形成するためである。このようにして産生されるssDNAはまた、一つもしくはそれ以上の多くの高度に調節された機能を混乱させるように機能し得る。例えば、テロメア反復配列のssDNAテールは、テロメア反復配列もしくは他の調節配列中の未変性DNAの配列に同一もしくは相補的な核酸塩基組成を有するssDNAの産生によって変質されるであろう。
【0004】
この目的、および、この発明のいくつかの態様の以下の説明により当業者に明らかにされる多くの他の目的は、逆方向縦列型反復配列、RNA依存性RNAポリメラーゼをコード化する遺伝子および制限エンドヌクレアーゼをコード化する遺伝子によってフランキングされた興味ある配列より成るところの核酸配列より成るカセット、すなわちDNA構成体、を提供することにより達成される。このカセットはまた、RNA依存性RNAポリメラーゼおよび制限エンドヌクレアーゼに対してRNase Hならびに構成性もしくは誘導性のどちらかの真核プロモーター(類)/エンハンサー(類)のどちらかをコード化する遺伝子を含むことが好ましい。この発明はまた、このカセットがプラスミドに取り込まれることおよびこのプラスミドが適切な宿主細胞に取り込まれることを意図する。
【0005】
もう一つの見地において、本発明は、一本鎖DNAをin vivoで産生する方法より成るが、この方法は、真核細胞中においてRNA依存性RNAポリメラーゼおよび興味ある配列より成るカセットの転写および翻訳の工程より成り、かつ、この興味ある配列のmRNA転写体を、RNA依存性RNAポリメラーゼ遺伝子により、mRNA成分鋳型をRNase発現酵素で同時消化して産生するポリメラーゼを有するcDNAに転換する。この興味ある配列はまた、逆方向縦列型反復配列を含む。このカセットはまた、制限エンドヌクレアーゼ遺伝子を含むが、これは、転写および翻訳されるときに、逆方向縦列型反復配列が転写体にステム−ループ中間体を形成させるときに形成する制限エンドヌクレアーゼ部位においてssDNAをカットすることにより興味ある配列の転写体を線状化するところの制限エンドヌクレアーゼを産生する。
【0006】
もう一つの見地において、本発明は、標的細胞中で一本鎖オリゴヌクレオチドを産生する方法より成る。一つの態様において、この方法はアンチセンス配列を送達することを意図する。他の態様において、この方法は、三重らせん形成配列または特異的DNA結合タンパク質により認識されそして結合されるところの配列、または細胞の代謝および/もしくは複製において機能する他の核酸および/もしくはタンパク質を送達するために使用される。
【0007】
この方法は、好ましくはRNase Hおよびポリメラーゼ/RNase Hに適切な、誘導性もしくは構成性の真核プロモーター/エンハンサーをふくむRNA依存性RNAポリメラーゼをコード化する遺伝子を含むところのカセットにおいて、興味ある相補的配列中にオリゴヌクレオチドをコード化することより成る。このカセットは制限エンドヌクレアーゼ(RE)コード化する遺伝子および、好ましい態様において、RE遺伝子のためのプロモーター/エンハンサーを含む。このカセットは更に、逆方向縦列型反復配列より成りそして、標的細胞中に同化されるとき、このカセット(興味ある配列および逆方向縦列型反復配列を含む)はプロモーター(類)/エンハンサー(類)の制御下に細胞により転写される。標的細胞の正常な機能は、ポリメラーゼおよびRE遺伝子のここで得たmRNA転写体を翻訳されるようにして、興味ある配列のmRNA転写体からssDNAの産生に必要な全てのものを提供する。具体的には、このカセットから産生されるRNA依存性RNAポリメラーゼは興味ある配列のmRNA転写体および逆方向縦列型反復配列をss−cDNAに変換し、このssDNAは逆方向縦列型反復配列対より成るヌクレオチド塩基としてステム−ループ中間体を形成し、そしてこのカセット中でRE遺伝子から産生される制限エンドヌクレアーゼはステム−ループ中間体の二本鎖部分を消化してステム−ループ中間体のループ部分から一本鎖DNAオリゴヌクレオチドを“遊離する”。
【0008】
このカセットを標的細胞に送達して細胞内でssDNAの合成を指示するために多重システムを使用することができるが、プラスミドもしくはプラスミドに基づくベクターシステムもしくはウイルスに基づくベクターシステムを含み、そしてこれらのシステムは、熟練した専門家に現在知られている標準的な送達技術にしたがってその目的に適合されている。これらのシステムは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス性ベクターおよび二本鎖プラズマDNAに基づくトランスフェクションシステムを用いる共役ベクターのようなウイルスに基づくシステムを含むがこれらに限定されない。一旦細胞中に入ると、カセットは細胞代謝の正常のコースで転写されて興味ある配列のmRNA転写体を産生するが、これはそれから、このカセットに含有されている逆転写酵素/RNase H遺伝子から細胞により同様に産生されるところの逆転写酵素によってプロモーターの制御下にcDNAに転換される。
【0009】
本発明に従って、逆方向縦列型反復配列、逆方向縦列型反復配列に関して3’位に位置する逆転写酵素のためのプライマー結合部位、ならびに逆方向縦列型反復配列の間か逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間かのどちらかに位置する興味ある配列より成るところの核酸構成体が提供される。
【0010】
本発明の核酸構成体は一本鎖核酸配列を確実にかつ安定して標的細胞中に産生させる。特に、逆方向縦列型反復配列は核酸ステム−ループ中間体を作成するのに用いて、減少もしくは削除された隣接した核酸配列とともに、in vivoでssDNAの産生を引き起こしおよび/もしくは制御し得る。
【0011】
核酸構成体をプライマー結合部位とともに興味ある配列に対して3’である位置に配置しているために、本発明の核酸構成体を使って産生し得る興味ある配列のサイズおよびタイプに制限は無く、そしてこの構成体はどんな所望のルートによっても標的細胞に送達するためにベクター中に容易に取り込まれ得る。
【0012】
興味ある配列が逆方向縦列型反復配列の間に位置する場合には、この逆方向縦列型反復配列は,ループ中の興味ある該配列およびステムを形成する該逆方向縦列型反復配列とともに、ステム−ループ中間体を形成する能力があることが好ましい。
【0013】
このステム−ループ構造の利点は、ループをステムが結合するところでカットすることにより、減少もしくは削除されたフランキングおよび/もしくは干渉ベクター配列を持つ一本鎖DNAとしてループから興味ある配列が放出され得ることである。よって、得られたssDNAは、ssDNA生成物の意図する機能と干渉するかもしれないところの、例えばベクター核酸配列のようなどんな干渉および/もしくはフランキング核酸配列を含まないかもしくは実質的に含まない。
【0014】
興味ある配列が逆方向縦列型反復配列の間に位置する場合には、第二の興味ある配列がこの逆方向縦列型反復配列と3’プライマー結合部位の間に更に提供され得る。
【0015】
この発明の態様は、逆方向縦列型反復配列が異なった安定性のステム−ループを産生するために選択することができる利点を有し、これによりmRNA転写体の読み過ごしの可変量もしくは転写の初期停止が達成されることができるので、中間のmRNA転写体の二次折りたたみにより二つもしくはそれ以上の興味ある配列の産生を調節する方法を提供する。
【0016】
好ましくは、この逆方向縦列型反復配列は一つもしくはそれ以上の特異的酵素認識配列(類)より成る。
【0017】
更に好ましくは、この特異的酵素認識配列は制限エンドヌクレアーゼ部位より成る。この制限エンドヌクレアーゼ部位は、内在性制限エンドヌクレアーゼにより認識されてもよく、もしくは本発明の核酸構成体が制限エンドヌクレアーゼ部位のために制限エンドヌクレアーゼをコード化する遺伝子より更に成ってもよい。この核酸構成体が制限エンドヌクレアーゼ遺伝子より更に成る場合には、この制限エンドヌクレアーゼ遺伝子は逆方向縦列型反復配列に関して5’位に位置するのが望ましい。
【0018】
この特異的酵素認識配列は、例えば、HindIIIとNotI、HindIIIもしくはNotIの制限部位のどれかを含有してもよい。事実、この特異的酵素認識配列は、制限エンドヌクレアーゼI型、エンドヌクレアーゼII型、エンドヌクレアーゼIII型、真核受容体認識、原核受容体認識、プロモーター、プロモーター/エンハンサーおよびT−懸垂PCR部位、もしくはそれらの組み合わせのどれか一つであってもよい。
【0019】
興味ある配列が逆方向縦列型反復配列と3’プライマー結合部位の間に位置する場合には、または第一の興味ある配列がこの逆方向縦列型反復配列との間に位置しかつ第二の興味ある配列が逆方向縦列型反復配列と3’プライマー結合部位の間に位置する場合には、この逆方向縦列型反復配列は,安定なステム−ループ、不安定なステム−ループ、もしくは中間的安定を持つステム−ループを形成する能力があることが好ましい。
【0020】
逆方向縦列型反復配列は、逆転写の未成熟停止を引き起こす手段としてmRNA転写体中で安定なステム−ループを形成するように選択されるので、もし興味ある配列がmRNA転写体中で逆転写の開始部位とステム−ループ構造の間に位置するならば、実質的に隣接するベクター配列の無いssDNAを再び産生することができる。
【0021】
本発明の逆方向縦列型反復配列(類)は、例えば、mRNA転写体から逆転写の未成熟停止を引き起こすことによるかもしくは逆方向縦列型反復配列中で制限エンドヌクレアーゼ部位を経由してcDNAから望ましくない配列をカットすることによるかのどちらかにより、望ましくない隣接するヌクレオチド配列を除去するための媒体としてステム−ループ構造の使用を可能にする。
【0022】
本発明のもう一つの態様に従って、逆方向縦列型反復配列は一つもしくはそれ以上の真核性、原核性、および/もしくはウイルス性のタンパク質DNA結合部位より成ってもよい。よって、本発明のステム−ループ構造は,例えば、ループ中でssDNAを細胞内ヌクレアーゼによる分解を防ぐためにもしくは逆方向縦列型反復配列中で機能性要素(例えば、タンパク質結合部位)を経由する若干の応用を実施するために、それ自身で機能性実体としてもまた役立つことができる更なる利点を有する。
【0023】
好ましくは、逆方向縦列型反復配列はシス−配位様式で作用する。
プライマー結合部位は内因性逆転写酵素に対して特異的であり得る(例えば、ヒト免疫不全症ウイルスもしくはサル免疫不全症ウイルスで感染された細胞の場合に)。
【0024】
代わりに、核酸構成体は更に逆転写酵素をコード化する遺伝子より成ってもよい。この逆転写酵素遺伝子は逆方向縦列型反復配列に関して5’位に位置するのが望ましい。
【0025】
代わりに、核酸構成体は更に逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子より成ってもよい。この逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質遺伝子は逆方向縦列型反復配列に関して5’位に位置するのが望ましい。この逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質遺伝子はモロニーマウス白血病ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルスもしくはサル免疫不全症ウイルスから誘導し得る。
【0026】
本発明の核酸構成体が逆転写酵素もしくは逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質遺伝子で供給される場合には、プライマー結合部位はそれぞれの遺伝子によりコード化される逆転写酵素もしくは逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質に対して特異的であることが好ましい。
【0027】
好ましくは、本発明の核酸構成体は更に、プロモーターならびに、オプションとして、該第1もしくは第二の興味ある配列、該制限エンドヌクレアーゼ、該逆転写酵素および/もしくは該逆転写酵素/RNase H遺伝子の各々に対するエンハンサーよりなる。
【0028】
更に好ましくは、プロモーター/エンハンサーは真核のプロモーター/エンハンサーである。
このプロモーターは構成的、誘導的な広範囲もしくは組織特異的プロモーターであってもよい。
【0029】
好ましくは、本発明の核酸構成体は更に、3’プライマー結合部位に関して3’位に位置するポリアデニル化テール配列より成る。このポリAテールはmRNA転写体の安定化を付与する。
【0030】
好ましくは、第1もしくは第二の興味ある配列は,酵素活性を有する一本鎖DNAをコード化する配列を含む。そのような酵素活性を有する一本鎖DNAの一例は、RNAse活性を有する配列5’−GGCTAGCTACAACGA−3’より成る。この配列は,例えば、h−ras、c−rafキナーゼ、血管新生因子プレイオトロフィンにアンチセンスな配列、もしくはサル免疫不全症ウイルスのtat領域のような、標的mRNA種に相補的である一つもしくはそれ以上の配列(類)により5’および3’方向の両方にフランキングされている。
【0031】
好ましくは、このプライマー結合部位は転移RNA(tRNA)に相補的である。
好ましくは、核酸構成体はDNAである。
【0032】
それで、本発明の核酸構成体は、in vivoおよびin vitroの両方において、安定な一本鎖核酸配列の合成を指示するための能率的なシステムを提供する。この一本鎖核酸配列は細胞、組織、生物において望ましい効果を提供するために使用し得る。興味ある一本鎖核酸配列の産生は細胞内で起こるので、一本鎖核酸配列の細胞への送達に起因する先行技術的問題は克服されるか、もしくは少なくとも軽減される。
【0033】
本発明の核酸構成体のmRNA転写体もまた提供される。
本発明の見地に従って、逆方向縦列型反復配列によりフランキングされた興味ある配列より成り、かつ更に逆方向縦列型反復配列に対して3’に位置するプライマー結合部位より成るmRNA転写体が提供される。
【0034】
本発明のこの見地に従って、逆方向縦列型反復配列および逆方向縦列型反復配列に対して3’に位置するプライマー結合部位ならびに逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間に位置する興味ある配列より成るmRNA転写体もまた提供される。
【0035】
本発明の見地に従って、逆方向縦列型反復配列にフランキングされた第一の興味ある配列、逆方向縦列型反復配列に関して3’に位置するプライマー結合部位ならびに逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間の第二の興味ある配列より成るmRNA転写体もまた提供される。
【0036】
本発明のmRNAの一本鎖DNA転写体も更に提供される。
本発明に従う核酸構成体より成るベクターもまた提供される。
【0037】
本発明の核酸構成体は、哺乳類およびヒトの治療目的のための市販の送達ベクター中に取り込まれ、そして、標的細胞に応じて、任意の適したルートで投与されるであろうようなものである。
【0038】
本発明に従って、逆方向縦列型反復配列、逆方向縦列型反復配列に関して3’位に位置する逆転写酵素のためのプライマー結合部位、ならびに興味ある配列を逆方向縦列型反復配列の間、もしくは逆方向縦列型反復配列およびプライマー結合部位の間に挿入する部位より成るベクターもまた提供される。
【0039】
好ましくは、このベクターは、逆方向縦列型反復配列の間の第一の挿入部位ならびに逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間の第二の挿入部位より成る。これにより使用者はどんな望ましい興味ある配列も、どちらかの、もしくは両方の挿入部位に挿入することができる。核酸構成体をプライマーに対して3’である位置にあるプライマー結合部位とともに配置しているために、挿入部位に挿入し得る興味ある配列のサイズおよびタイプに制限は無い。
【0040】
好ましくは、このベクターは更に、逆転写酵素をコード化する遺伝子もしくは逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子より成る。この逆転写酵素もしくは逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質遺伝子は逆方向縦列型反復配列に関して5’位に位置するのが望ましい。
【0041】
本発明に従って、本発明による第一ベクター(すなわち、逆方向縦列型反復配列、逆方向縦列型反復配列に関して3’位に位置する逆転写酵素のためのプライマー結合部位、ならびに興味ある配列を逆方向縦列型反復配列の間に、もしくは逆方向縦列型反復配列およびプライマー結合部位の間に挿入する部位より成るベクター)ならびに逆転写酵素、逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質、もしくはプロリンに富むリンカーを経由して制限エンドヌクレアーゼに連鎖する逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子より成る第二ベクターより成るところのベクターシステムもまた提供される。
【0042】
本発明のベクターもしくはベクターシステムはまた、プライマー結合部位を取り除いたり交換したりするようにデザインし得るので、使用者の要件および使用される逆転写酵素の特異性に応じて、異なるプライマー結合部位を使用することができる。
【0043】
好ましくは、本発明のベクターもしくはベクターシステムはプラスミドもしくは修飾したウイルス構成体である。
好ましくは、逆転写酵素、逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質、もしくは逆転写酵素/RNase H/制限エンドヌクレアーゼ遺伝子は発現制御配列に操作的に連鎖する。
【0044】
本発明のベクターもしくはベクターシステムは好都合に使用して、興味ある配列をベクター中にスプライシングするべき既知の消化および連結技術を使い、アンチセンス、センス、三重らせん、もしくはどんな他の興味ある一本鎖ヌクレオチド配列を細胞中に送達し得る。ここで記載したベクターもしくはベクターシステムは全ての必要なシグナリング指示および酵素機能を提供して、宿主細胞に望ましい配列を有する一本鎖核酸分子を産生させる。
【0045】
本発明に従うベクターもしくはベクターシステムで安定に形質転換するかトランスフェクションした宿主細胞もまた提供される。特に、宿主細胞は真核もしくは原核細胞であってもよい。真核細胞は酵母、植物および哺乳類の細胞を含む。原核細胞は細菌細胞を含む。
【0046】
本発明に従って、一本鎖核酸配列を産生するためのキットが提供されるが、このキットは本発明に従うベクターもしくはベクターシステムおよび各々の挿入部位に対する制限エンドヌクレアーゼより成る。
【0047】
本発明のもう一つの見地に従って、一本鎖核酸配列を産生するためのキットが提供されるが、このキットは本発明に従うベクターもしくはベクターシステム、このベクター/ベクターシステム用の容器およびこのベクター/ベクターシステムを使用する指図書より成る。
【0048】
本発明に従って、興味ある一本鎖核酸配列を産生するin vivoもしくはin vitroでの方法が更に提供されるが、この方法は本発明に従う核酸構成体を標的細胞中に導入し、この核酸構成体をmRNA中に転写し、およびこのmRNAをcDNA中に逆転写する工程より成る。
【0049】
好ましくは、この方法は更に、mRNAの逆転写により生成するmRNA/cDNAヘテロ二重らせんからmRNA転写体を除去する工程よりなる。
【0050】
逆転写は、標的細胞に内因性である逆転写酵素により実施してもよく、または本発明の方法が更に、逆転写酵素をコード化する遺伝子もしくは逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子を標的細胞中に導入する工程より成ってもよい。
【0051】
好ましくは、本発明の方法は更に、ループ構造がステムに結合するところで逆方向縦列型反復配列により生成するcDNAステム−ループ構造をカットすることにより興味ある配列のcDNA転写体を線状化する工程より成る。
【0052】
本発明のこの後者の態様に従って、この方法は更に、逆転写酵素をコード化する遺伝子を標的細胞中に導入する工程より成る。逆方向縦列型反復配列中に一つもしくはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼ部位を提供することにより、制限エンドヌクレアーゼ遺伝子により発現された制限エンドヌクレアーゼは、それから、cDNAステム−ループ構造をカットすることに使用できる。代わりに、cDNAステム−ループ構造のカットは標的細胞に内因性である制限エンドヌクレアーゼに頼ってもよい。
【0053】
この制限エンドヌクレアーゼはまた、プロリンに富むリンカーを経由して標的細胞中に制限エンドヌクレアーゼと連鎖する逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子を導入する工程によって提供されてもよい。
【0054】
一本鎖核酸配列が本発明のin vitro方法により作成される場合には、この方法は更に、mRNA転写体、mRNA/cDNAヘテロ二本らせんおよび/もしくは一本鎖cDNAを標的細胞から単離する工程より成ってもよい。
【0055】
また提供されるものは、一本鎖cDNA転写体、阻害性核酸分子(例えば、アンチセンス配列もしくはアプタマー)、酵素活性(例えば、RNAse活性)を有する一本鎖DNA、mRNA転写体および/もしくは本発明の方法によって産生されるヘテロ二本らせん分子である。
【0056】
阻害性核酸分子は、mRNA転写体から合成される一本鎖DNA、もしくは相補的核酸配列に特異的に結合できるmRNA転写体自身でもよい。そのような阻害性核酸分子は、“センス”もしくは“アンチセンス”配列であってもよく、そして遺伝子機能を調節するために特に有用である。阻害性核酸分子はまた、RNAもしくはDNA−結合タンパク質に特異的に結合するオリゴヌクレオチド、または、正常にはRNAもしくはDNAに結合しないところの、例えばトロンビン、ブラジキニンもしくはPGF2αのような生体分子に結合するオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0057】
本発明のもう一つの見地に従って、薬理学的に許容されるアジュバント、賦形剤もしくは担体と共に、本発明に従う核酸構成体、ベクターもしくはベクターシステム、または宿主細胞より成るところの医薬組成物が提供される。
【0058】
本発明に従って、治療に使用するために、特に阻害性核酸分子を標的細胞に送達するのに使用するために、本発明に従う核酸構成体、ベクターもしくはベクターシステム、または宿主細胞が提供される。この本発明に従う核酸構成体、ベクターもしくはベクターシステム、または宿主細胞は遺伝子発現を調節することにより病的状態を軽減するのに特に有用である。
【0059】
本発明のもう一つの見地に従って、遺伝子発現を調節することにより病的状態を軽減するための、特に阻害性核酸分子を標的細胞に送達することにより病的状態を軽減するための薬剤の製造に本発明に従う核酸構成体、ベクターもしくはベクターシステム、または宿主細胞を使用することが更に提供される。その他の使用もまた開示される。
【0060】
本発明の遺伝子要素、ベクター、ベクターシステム、および宿主細胞のセットは、広範囲の病態もしくは病気、特に異常なもしくは変容した遺伝子発現により引き起こされる病態もしくは病気、または遺伝子発現を調節することにより軽減され得る病態もしくは病気の予防的もしくは治療的処置のために使用し得る。
【0061】
本発明の遺伝子要素、ベクター、宿主細胞、キットおよび方法のセットは、一本鎖核酸分子もしくは実質上どんな事前設定のもしくは望ましいヌクレオチド塩基組成物を産生するために使用され得るが、また、どんなin vivoもしくはin vitroシステムに適応可能でかつ適用可能である。
【0062】
好ましい態様に従って、本発明の核酸構成体は,人工的に合成される、組換え型の、キメラな、および/もしくは異種の産生体であり、そして興味ある配列は,それがその中で産生される細胞に異質であってもよい。
【0063】
この発明の幾らかな態様は図によって図示されているが、ここで図1は、本発明に従って宿主細胞中でのssc−DNAの産生の概略図である。
【0064】
図2は、図1に図示された方法によって生成するステム−ループ中間体の概略図である。
【0065】
図3Aは、本発明に従って産生されるアンチセンス配列の結合の概念図であるが、これは“10−23DNA酵素”の標的mRNAへの結合およびその標的mRNAの引き続く切断を包含している。図3Bは、図3Aのアンチセンス配列の標的mRNAへの結合の拡大図であり、10−23DNA酵素(一般化した阻害性核酸配列に含まれる)と標的mRNAの切断部位との相互作用を示している。
【0066】
図4は、本発明に従って構築されたプラスミドpssDNA―エクスプレス−Aの概略地図である。
【0067】
図5A、5B,および5Cは、本発明に従って構築されたプラスミドpssDNA―エクスプレス−Bの概略地図、プラスミドpssDNA―エクスプレス−Bの拡大部分、プラスミドpssDNA―エクスプレス−Bの挿入領域の配列をそれぞれ表わす。
【0068】
図6Aおよび6Bは、本発明に従ってpssDNA―エクスプレス−Bから構築されたプラスミドpTestおよびpTeloのApa IおよびNhe I部位の間の挿入領域配列を表わす。
【0069】
図7Aは、本発明に従ってpssDNA―エクスプレス−Bから構築されたプラスミドpcDNA3.1Zeo+/NM−link2−gag/pssDNA―エクスプレス−4Bのための開始プラスミドpcDNA3.1Zeo+(Invitrogen社)の概略地図である。図7Bは、pcDNA3.1Zeo+/NM−link2−gag(またpssDNA―エクスプレス−4Bと称す)の概略地図である。図7Cは、pcDNA3.1Zeo+/NM−link2−gag/pssDNA―エクスプレス−4Bのためのクローン化部位、逆方向反復配列、およびPBS領域(矢印)の概念図である。図7Dは、pcDNA3.1Zeo+/NM−link2−gag/pssDNA―エクスプレス−4Bのためのクローン化部位、逆方向反復配列、およびPBS領域(矢印)の概略地図である。
【0070】
図8Aは、本発明に従って構築されたプラスミドpssDNA―エクスプレス−Aの概略地図である。図8Bは、Xma IおよびSac IIで消化することによりMbo II遺伝子を欠失した後のプラスミドpssDNA―エクスプレス−Aの概略地図である。
【0071】
図9Aは、本発明に従って構築されたプラスミドpssDNA―エクスプレス−Cの概略地図である。図9Bは、pssDNA―エクスプレス−Cのためのクローン化部位、逆方向反復配列、およびPBS領域(矢印)の概念図である。図9Cは、pssDNA―エクスプレス−Cのためのクローン化部位、逆方向反復配列、およびPBS領域(矢印)の概略地図である。
【0072】
図10Aは、5’および3’相補配列の間に挿入された10−23DNA酵素配列を有するh−rasアンチセンス結合配列の第23番コドンの部分配列を示す。図10Bは、5’および3’相補配列の間に挿入された10−23DNA酵素配列を有するc−rafキナーゼアンチセンス結合配列の部分配列を示す。図10Cは、5’および3’相補配列の間に挿入された10−23DNA酵素配列を有する多面的アンチセンス結合配列の部分配列を示す。図10Dは、5’および3’相補配列の間に挿入された10−23DNA酵素配列を有するSIV配列のアンチセンス結合領域の部分配列を示す。
【0073】
図11Aおよび11Bは、本発明に従って構築されたプラスミドpTestで形質転換したHeLa細胞系からのRNA/ssDNA抽出物についてのPCR逆転写酵素アッセイ(J. Silver等、21 Nucleic Acids Res. 3593−3594 (1993)))の結果を示すゲルである。図11Aのレーン:(1)サイズマーカー、(2)形質転換していないHeLa細胞、(3)pcDNA3.1Zeo+ベクターで形質転換したHeLa細胞、(4)pssXAで形質転換したHeLa細胞、(5)MoMuLV逆転写酵素の2ミリ単位を含有する陽性コントロール、(6)タンパク質抽出物を含有しない陰性コントロール。矢印は150bp増幅産物を示す。図11Bのレーン:(1)クローンA12、(2)B8、(3)B12、(4)D7、(5)MoMuLV逆転写酵素の2ミリ単位を含有する陽性コントロール、(6)タンパク質抽出物を含有しない陰性コントロール。
【0074】
図12は、本発明に従って構築されたプラスミドpTestで形質転換したHeLa細胞系の抽出物からの一本鎖DNAのPCR増幅を示すゲルである。予期したssDNA産物に特異的なプライマーを用いるPCR反応における鋳型としてRNA/ssDNA標本を用いた。左パネル、レーン1−3:安定に形質転換したコロニーA12から単離した全RNA/ssDNA PCR鋳型(プラスミドpssDNA―エクスプレス−Aで安定にトランスフェクションしたHeLa細胞系)(1)前処理無しで使用、(2)S1ヌクレアーゼで処理、(3)RNAse Aで処理。レーン(4)pcDNA3.1Zeo+ベクター単独で安定に形質転換したコロニーからの全RNA/ssDNA。右パネル、レーン1−3:安定に形質転換したコロニーB12から単離した全RNA/ssDNA PCR鋳型(プラスミドpssDNA―エクスプレス−Aで安定にトランスフェクションしたHeLa細胞系)(1)前処理無しで使用、(2)S1ヌクレアーゼで処理、(3)RNAse Aで処理。レーン(4)pcDNA3.1Zeo+ベクター単独で安定に形質転換したコロニーからの全RNA/ssDNA。レーン(5)、陽性コントロール鋳型、プラスミドpTest。
【0075】
図13は、本発明に従って構築されたプラスミドpTeloで形質転換したHeLa細胞系の抽出物からの一本鎖DNAのPCR増幅を示すゲルである。RNA/ssDNA標本をトランスフェクション後36時間に、トランスフェクションされた細胞培地から収穫し、そして予期したssDNA産物に特異的なプライマーを用いるPCR反応における鋳型として用いた。25bpレーンマーカーを用いた。HeLa細胞系A12からの単離を有すレーン1−5、(1)全RNA/ssDNA画分、(2)S1ヌクレアーゼで処理した全RNA、(3)RNAse Aで処理した全RNA、(4)陰性コントロール、(5)陽性コントロールテロメアRNAプラスミド。レーン6−9:B12細胞系からの単離したRNA、(6)全RNA/ssDNA画分、(7)S1ヌクレアーゼで処理した全RNA、(8)RNAse Aで処理した全RNA、(9)陰性コントロール、(10)陽性コントロールテロメアRNAプラスミド。レーン11−12、反復配列陰性コントロール。45V、20分間における8%アクリルアミドゲル。
【0076】
図14は、sscDNA転写の未成熟トランケイションおよびin vitro逆転写酵素反応による読み過ごし産物を示すゲルである。レーン1−5は、本発明に従って構築したステム−ループ構造を有すプラスミド構築体およびループ領域内でクローン化した種々の興味ある配列を表わす。標準条件下におけるT7RNAポリメラーゼでのin vitro転写によりRNA鋳型を産生した後、DNAseで処理してプラスミド鋳型を除去した。それから、フェノール/クロロホルム抽出したRNAプールをマウスモロニー逆転写酵素で逆転写し、RNAse Aで15分間処理し、そして45V、30分間における6%アクリルアミドゲル上で分離した。境界線に25bpマーカー。(1)本発明に従って構築した原プラスミドpssDNA―エクスプレス−Bからの10μlRT反応、 (2)本発明に従って構築した原プラスミドpTestからの10μlRT反応、(3)本発明に従って構築した原プラスミドpTeloからの10μlRT反応、(4)陰性コントロールプラスミドpcDNA−Zeo(Invitrogen社)、(5)3μl反復配列pssDNA―エクスプレス−B。
【0077】
図15は、本発明に従って構築されたアンチセンス産生ベクターのノーザンブロットを示すが、このベクターはc−rafキナーゼ(図10B)に対するアンチセンス配列を産生しかつその配列を含むプラスミドpssDNA―エクスプレス−C(図9)をin vitroで肺がん細胞系中にトランスフェクションした後の“10−23DNA酵素”含む。
【0078】
本発明の好ましい態様のこの説明において、方法および核酸構成体は、フランキング核酸配列の有無で酵母、原核細胞および/もしくは真核細胞中に、実質上どんな事前設定のもしくは望ましいヌクレオチド塩基組成物の一本鎖デオキシリボ核酸(ss−cDNA)オリゴヌクレオチドをin vivoで産生することに使用するために記述されている。望ましいヌクレオチド塩基組成物のss−cDNAのin vitroもしくは人工的よりむしろ生物学的な合成を使用するところの方法および核酸構成体が記載されている。生物学的な、すなわち、酵素的な反応がこれらの方法で使用されるので、これらはどんなin vivoシステムにも適用し得る。
【0079】
ベクター(ここで用いる限り、用語“ベクター”とは興味のあるDNAセグメントを送達しかつ操作するために使用されるプラスミドもしくは修飾したウイルス構成体をいう)システムは、酵母、原核細胞および/もしくは真核細胞内で、たいていの隣接ベクター配列を含有しない、ss−cDNAとしてのどんなDNA配列も産生するようにデザインされた。このベクターシステムは、全ての必要な酵素機能およびシグナリング指示を含み、ベクターを送達している宿主細胞がss−cDNAを産生することを可能にする。本発明のベクターを送達している細胞は、ちょうど上述の酵素が真核プロモーターにより促進されるように真核プロモーターにより促進されて、RNA転写体(図1)を産生するが、それは、どんな望ましい一本鎖DNA配列(“興味ある配列”)の合成を指示する鋳型として使用される。更に詳しくは、第一のシステムがここで記述されるが、その中でベクターは、酵母もしくはどんな原核もしくは真核細胞であってもよい適切な宿主細胞中にコトランスフェクションして、細胞中に興味ある配列を含むss−cDNAを産生するところの二つのプラスミドより成っている。第二のシステムが記述されるが、その中でベクターシステムは、興味ある配列から、アンチセンス配列のような阻害性核酸の産生のために適切な宿主細胞中にトランスフェクションしているところの興味ある配列を含む単一のプラスミドより成っている。
【0080】
阻害性核酸はmRNA鋳型から合成されるss−cDNAもしくはmRNA鋳型自身であってもよいが、それは相補的核酸配列に特異的に結合できる。適当な標的配列に結合することにより、RNA−RNA,DNA−DNA,もしくはRNA−DNA二重らせんまたは三重らせんが形成される。これらが遺伝子のセンスもしくはコード化鎖に通常相補的であるために、これらの核酸はしばしば“アンチセンス”と名付けられるが、しかしこの“センス”配列はまた、治療目的のために細胞中で利用される。例えば、正常にはRNAもしくはDNAに結合しない生体分子に特異的に結合するところのオリゴヌクレオチドの確認は、サイズ、構造および組成で広く異なる、数多くの生体分子についていまや実証されている。このような分子の例として以下が挙げられる(しかし限定はされない):(1)トロンビン、血餅形成の過程でフィブリノーゲンをフィブリンに変換するところの多機能調節タンパク質;(2)ブラジキニン、血圧調整に関わりかつ高血圧に影響するノナペプチドキニン;(3)PGF2アルファ、ホルモン活性を示すところのプロスタグランジンもしくは脂肪酸誘導体。加えて、オリゴヌクレオチドと生物学的機能は主に細胞外である生体分子との相互作用はいまや実証されている(例えば、米国特許第5,840,867号を参照)。それ故に、用語“阻害性核酸”とは、ここで用いる限り、“センス”および“アンチセンス”核酸の両方をいう。
【0081】
標的核酸に結合することにより、阻害性核酸は標的核酸の機能を阻害する。この阻害効果は、例えば、DNA転写の阻止、mRNAへのプロセシングもしくはポリ(A)付加、DNA複製、翻訳、または細胞の阻害機構の促進(RNA分解の促進のような)に起因する。それ故に、阻害性核酸方法は、遺伝子の発現を変更するための多数のアプローチを包含する。これらの異なるタイプの阻害性核酸は、Helene, C.およびJ. Toulme, 1049 Biochim. Acta. 99−125 (1990)に記載されている。
【0082】
要するに、標的核酸治療アプローチは以下に分類できる:(1)DNA配列を標的にするアプローチ、(2)RNA配列(pre−mRNAおよびmRNAを含む)を標的にするアプローチ、(3)タンパク質を標的にするアプローチ(センス鎖アプローチ)、ならびに(4)ここで記述されるような所謂“10−23酵素”を含む、ssDNA酵素のような標的核酸の切断もしくは化学修飾をもたらすアプローチ。第一のアプローチは幾らかのカテゴリーを包括する。核酸は、二重らせんDNAの主要な溝に結合して三重のらせん状のもしくは“三重らせん”構造を形成するようにデザインされる。代わりに、阻害性核酸は,複製もしくは転写の間に二重らせんDNAのオープニングからできる単一鎖DNAの領域に結合するようにデザインされる。更に共通しては、阻害性核酸はmRNAもしくはmRNA先駆体に結合するようにデザインされる。阻害性核酸はpre−mRNAの成熟化を阻止するために使用される。阻害性核酸はRNAプロセシング、スプライシングもしくは翻訳と干渉するようにデザインされる。第二のアプローチにおいて、阻害性核酸はmRNAに標的される。このアプローチにおいて、阻害性核酸はコード化されたタンパク質の翻訳を選択的に阻止するようにデザインされる。この第二のアプローチを使用して、阻害性核酸は重要タンパク質をコード化するmRNAの翻訳を阻害することにより或る細胞機能を選択的に抑制するために使用される。mRNAを標的にする阻害性核酸は幾つかの異なる機構により作用してコード化されたタンパク質(類)の翻訳を阻害するように示されている。このような阻害性核酸の例は、c−mycmRNAの領域に相補的である配列であるが、それは、c−mycプロトがん遺伝子を過剰発現するところのヒト前骨髄球白血病細胞系、HL60、におけるc−mycタンパク質発現を阻害する。Wickstrom E. L.等、85 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1028−1032 (1988);Harel−Bellan, A.等、168 Exp. Med. 2309−2318 (1988)。
【0083】
細胞中に産生する阻害性核酸はまた、遺伝子もしくはmRNAの“センス”鎖を、mRNA翻訳に関わる酵素もしくは結合タンパク質をトラップするかもしくはそれを得ようと競争するように、デザインする第三のアプローチを利用できる。最後に、阻害性核酸は標的遺伝子もしくはmRNAの化学的不活性化もしくは切断を誘導するために使用される。化学的不活性化は,例えば、細胞内で阻害性核酸および標的核酸の間に架橋の誘導、およびここに包含された方法、すなわち、本発明のカセット中に取り込まれているところのmRNAに対して酵素活性を有する配列により標的mRNAを切断することにより起こる。
【0084】
要するに、最初の見地において、本発明は、細胞中に送達してss−DNAをin vitroもしくはin vivoで産生するように適応させた遺伝子要素のセットより成る。この遺伝子要素のセットは、細胞中への送達のために少なくとも一つのベクター中に取り込まれそして以下を含む:
(a) RNA依存DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)遺伝子、および
(b) (1)逆方向縦列型反復配列(IR)、(2)逆方向反復配列(IR)もしくは逆方向反復配列に3’の間のどちらかに位置する興味ある配列、および(3)逆方向反復配列に3’に位置する逆転写酵素のためのプライマー結合部位(PRS)を含むカセット。
このベクターシステムはまた好ましくは、これらの要素のin vivoでの転写のための機能およびシグナリング指示ならびに逆転写酵素(TR)遺伝子の翻訳のための機能およびシグナリング指示を含む。本発明の遺伝子要素のセットに含めてもよい追加の要素は、下記の目的に含まれてよい制限エンドヌクレアーゼ(RE)遺伝子、および線状化ss−DNAが配列上に酵素活性を授与する二次立体配置に折りたたむとき酵素活性を有する配列を含む。この酵素配列は、興味ある配列が逆方向縦列型反復配列の間にもしくは逆方向反復配列およびPBSの3’側の間に位置するかどうかに無関係に、興味ある配列内に位置するのが好ましい。
【0085】
ここに記述したベクターシステムの最初の態様において、ベクターは二つのプラスミドシステムより成り、かつ、この第一のプラスミドは、ヒスチジン−プロリンリンカーで制限エンドヌクレアーゼ遺伝子に連結した、RNA依存DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)遺伝子およびRNAse H遺伝子を含む。この中にこれらの遺伝子が挿入されたプラスミドは、ポリアデニル化テーリング配列と共にこれらの遺伝子に必要な転写的および翻訳的制御要素を含む。このプラスミドはここでは“A”プラスミドと呼ばれる(ここに記述される好ましい態様の一つにおいて図4に示されたpssDNA―エクスプレス−A)。第二の“B”プラスミドが構築されたが、これは、ここに記述される態様において、三つの上掲の要素、すなわち、逆転写酵素にマッチしたプライマー結合部位(PRS)、興味ある配列、および逆方向縦列型反復配列より成るカセットを含む。ここに記述される二つの態様(pMN−新−リンクおよびpssDNA―エクスプレス−4B、後者は図7Bに示されている)において、興味ある配列は逆方向縦列型反復配列の間もしくはプライマー結合部位(PRS)に対して(mRNA転写体に関して)5’位に位置し、このPBSはmRNA転写体の最も3’側に位置する。換言すれば、興味ある配列は、(1)逆方向反復配列の中間に(2)逆方向縦列型反復配列およびPRSの間に、および/もしくは(3)逆方向反復配列の間にならびに逆方向反復配列およびPRSの中間の両方に位置する。プラスミドAのように、プラスミドBはまた転写的制御要素の組み合わせを含む。しかしながら、ここに記述される好ましい態様の一つにおいて、タンパク質はこの構成体からなにも産生しないので、Bプラスミドは翻訳的制御要素を含む(要求する)ものでない。
【0086】
ここに記述される態様において、本発明のベクターシステムは、プラスミドCと称される単一のプラスミドより成るが、その中で上でリストした遺伝子要素のセットの全ての要素が、以下の議論で明らかにされる理由で含まれないところのRE遺伝子を除いて取り入れられた。加えて、上述の二つのプラスミドシステムのBプラスミドに含まれたカセットの成分、すなわち、プライマー結合部位(PRS)、興味ある配列および逆方向縦列型反復配列、はCプラスミド中で逆転写酵素ポリタンパク質の非翻訳3’部分に存在する。換言すれば、CプラスミドのRT−RNAse H成分が適切なプロモーター(ここに記述される好ましい態様においては、RSVプロモーターが利用された)の制御下に転写されるときに、ここで生じたmRNA転写体は逆転写酵素−RNAse Hをコード化する領域を含みそして、停止シグナルにおける翻訳の終了において、もう一つのmRNA転写体は、RT−RNAse H成分から元のままである、ポリアデニル化シグナルのために更に3’下流のシグナリングイベントを持つBプラスミドからの要素を含む(この翻訳されたタンパク質に対し3’に)。
【0087】
ここで記述した特定のプラスミドベクターシステム(図9に示すpssDNA―エクスプレス−C)は制限エンドヌクレアーゼ遺伝子を含まないで、そしてそのために、逆方向反復配列により形成したステム−ループ中間体のステムを消化する能力を含まない。結果として、興味ある配列(DNA酵素を含む)は、逆方向反復配列について3’位にのみCプラスミド中に挿入され、そして、転写体が比較的安定なステムに出会いそしてmRNA核酸転写体からss−cDNAを転写し続けられないときに、望ましくないベクター配列がss−cDNAの未成熟トランケイションにより除去される。更に具体的には、以下の説明で明らかになるように、興味ある配列の各々はpssDNA―エクスプレス−CプラスミドのBamH I−Pac I制限部位内でのみ挿入された。
【0088】
BおよびCプラスミドの以下の説明で明らかになるように、プラスミドは興味ある配列の挿入のためのクローン化部位を含む。NotI部位(逆方向反復配列の間に位置した)およびPac I/BamH I(逆方向反復配列について3’に、例えば、逆方向反復配列とPBSの間に)部位の両方がここに記述されるBプラスミドの好ましい態様において提供される。ここに記述される好ましいCプラスミドはこの目的のためにPac I/BamH I部位のみを含む。然しながら、この開示の恩恵を受ける当業者は、これらの特定のクローン化部位はここで記述された特定のシステムのために選ばれたことおよび他のクローン化部位も同じ目的のために同等に有用であることを認識するであろう。ここで記述された二つのプラスミドベクターシステムより成る特定のAプラスミドは興味ある配列を含むようには意図しなかったが、この開示の恩恵を受ける当業者は、もし二つのプラスミドベクターシステムが使用されるとすると、本発明の遺伝子要素のセットの要素、および特に興味ある配列は、便利なようにいずれかのプラスミド中に挿入され得ることを認識するであろう。
【0089】
ここでカセットとして言われる核酸配列は標的細胞中でのss−cDNAの合成のための鋳型を提供する。それは、興味ある配列、逆方向縦列型反復配列、およびプライマー結合部位を含むこの要素である。本発明の遺伝子要素のセットの他の要素の場合におけると同様に、この、遺伝子要素は好ましくは、遺伝子要素の上流に位置する、CMVプロモーターもしくはプロモーター/エンハンサーの組み合わせのような、適当な広範囲もしくは組織特異的プロモーター/エンハンサーによって調節される。また、他の遺伝子要素の場合におけると同様に、このプロモーター/エンハンサーは構成的もしくは誘導的プロモーターのどちらでもあってもよい。この開示の恩恵を受ける当業者は、多数の他の真核プロモーターを有利に使って、SV−40、RSV(非−細胞型特異的)もしくは組織特異的神経膠繊維酸性タンパク質(GFAP)を含む興味ある配列の発現を制御し得ることを認識するであろう。
【0090】
図1に示すように、真核細胞の発現には、カセットはまた、下流ポリアデニル化シグナル配列を含むので、興味ある配列により産生されるmRNAはポリ(A)テールを有する。cDNA合成のためのプライミングを開始するプライマー結合部位(PBS)は3’逆方向縦列型反復配列およびポリアデニル化シグナルの間に位置する。このPBSは真核の標的細胞内で居住する転移RNA(tRNA)に相補的であるところの配列である。本発明に関連して利用されるとしてここに記述されるマウスモロニー逆転写酵素の場合には、PBSはプロリンtRNAを利用する。ここに記述される本発明の現在好ましい態様に関係して利用されたPBSは、マウスモロニーウイルスの実際の18ヌクレオチド配列領域から取られる。293 Nature 81を参照。上述のようにまた試験されたヒト免疫不全症ウイルスからの逆転写酵素遺伝子の場合には、用いたPBSはHIVのヌクレオチド配列から取られた。Y. Li等、66 J. Virology 6587−6600 (1992)。手短に言えば、本発明の方法に関係して利用された逆転写酵素にマッチするどんなPBSもこの目的に利用される。
【0091】
本発明のカセットはまた一対の逆方向縦列型反復配列から成る。mRNA−cDNAヘテロ二本らせんからRNAase HによるmRNAの消化およびss−cDNAの送達後に、この逆方向反復配列はこのss−cDNAをそれ自身の上に折り返させてステム−ループ構造のステムを形成し、そのステム構造は二本鎖アンチ−パラレルDNAから成る。産生されるss−cDNAは、このステム(逆方向反復配列より作られた)および興味ある配列を含むループをフランキングするコード化された5’および3’領域で転写される。一つもしくはそれ以上の機能的遺伝子要素は、ステム−ループ中間体のステムを形成する、二本鎖部分、すなわち、逆方向反復配列中にデザインされてもよい。ここに記述する実施例において、機能的遺伝子要素は、上述の制限エンドヌクレアーゼ遺伝子から産生する制限エンドヌクレアーゼによりカットされるところの一つもしくはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼ(類)であるが(RE遺伝子を含むプラスミドの場合には)、しかしこの開示の恩恵を受ける当業者は、逆方向反復配列は、特異的酵素認識配列(制限エンドヌクレアーゼ部位以外)、真核および/もしくは原核受容体認識部位、プロモーター、もしくは標的配列(ステム中に同様にデザインされてもされなくてもよい)の発現を駆り立てるためのプロモーター/エンハンサー部位のような他の遺伝子要素を遊離したシス−配向様式で含むようにデザインされ得ることを認識するだろう。機能的遺伝子要素が制限エンドヌクレアーゼ部位のような特異的酵素認識配列より成る場合には、そのステムはそれから、ステム中にデザインされたカット部位(エンドヌクレアーゼ認識部位は,RE遺伝子が本発明のベクターシステムに含まれなくとも、ステム中にデザインされ得ることに注意)を認識する多数の制限エンドヌクレアーゼ酵素のどれかによりカット(消化または切断とも呼ぶ)されてss−cDNAループを放出する。どんな見かけ上の二重らせんDNAを形成しない、このss−cDNAのループ部分は、制限エンドヌクレアーゼは標的基質として二本鎖DNAのみを認識するので、制限エンドヌクレアーゼ活性に免疫性である。
【0092】
もし本発明の第二の見地が利用されているならば制限エンドヌクレアーゼ部位(類)は、ステム−ループ中間体のステムを形成する逆方向反復配列中にデザインされる必要は無いことは、当業者により認識されるだろう。換言すれば、もしプライマー結合部位および逆方向反復配列の間に位置する第二の興味ある配列から、逆方向反復配列により形成されたステムで終結するカセットの転写でss−cDNAを産生することを望むならば、ステム中に制限エンドヌクレアーゼ部位を必要としない。他の一つのオプションは、選択された細胞性タンパク質を競争的に中和するように作用できるところの真核性、原核性もしくはウイルス性のタンパク質DNA結合部位を含むように逆方向反復配列をデザインすることである。制限部位もしくは配列特異的要素の組み合わせは、ss−cDNAの線状性もしくは正確にカットしたステム−ループ中間体形態が産生するように逆方向反復配列の構築に選ばれた塩基対組成に応じて逆方向縦列型反復配列に含まれてもよい。合成的に構築された機能的遺伝子要素を逆方向縦列型反復配列中で使用することが一般的に好ましいが、その理由は(機能的遺伝子要素が制限エンドヌクレアーゼ部位であるならば)天然由来の逆方向反復配列は適切にアラインした制限部位を持つであろうことはあり得ないからである。
【0093】
上述のように、本発明の遺伝子要素のセットの一つの要素から成るカセットはオプションとしてまた触媒活性を持つDNA配列を含む。カセット中にいわゆる“DNA酵素”を包含するので、そして具体的には、DNA酵素は興味ある配列内に位置すると考えられるので、興味ある配列がアンチセンス配列である阻害性核酸の合成用の鋳型として役立つとき、本発明は特に有利に使用される。その理由のために、ここで詳述する実施例は、図6に詳述するように四つの興味あるアンチセンス配列の産生を記述し、それぞれが,C−rafキナーゼを含む、mRNAに対する酵素活性を有する配列,h−rasアンチセンス配列、血管新生因子プレイオトロフィンへのアンチセンス配列、またはサル免疫不全症ウイルス(SIV)のtat領域を含む。当業者は、然しながら、本発明はアンチセンス配列だけに限定されないことおよび阻害性核酸はまた、上述の他のタイプの阻害性核酸配列のどれであってもよいことを認識するであろう。
【0094】
本発明のカセットより成る酵素活性を有する核酸配列はどのそんな酵素配列であってもよい。望ましい触媒活性を有する配列は、二つの位置、すなわち、(a)逆方向反復配列の間および興味ある配列の内部もしくは(b)逆方向反復配列に3’でかつPBSに5’に位置する第二の興味ある配列の内部、のどちらかもしくは両方にあるカセット中に挿入される。いずれにせよ、ここで得るアプトマーは興味ある配列の標的に特異的でありそして、それ故に、他のDNA配列、mRNA配列、および他のどんな適切な基質を標的化するために使用されて、DNAもしくはmRNAスプライシング機構を阻害もしくは変更するか、またはなお特異的様式で細胞のゲノムを直接に変えることさえする。
【0095】
本発明に関連する使用に適切である、酵素活性を有する核酸配列は以下を含まれるが、それらに限定されない:
いわゆる“10−23”および“8−17酵素”(Santoro, S. W.およびG. F. Joice、前掲書(1997))および他の金属依存性RNAses(Breaker, R. R.およびG. F. Joice、1 Biol. Chem. 223−229 (1994); Breaker, R. R.およびG. F. Joice、2 Biol. Chem. 655−660 (1995))ならびにヒスチジン依存性RNAse(Roth, AおよびR. R. Breaker、95 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 6027−6031 (1998))のようなRNAse活性を持つ配列;
銅依存性RNAse(Carmi, N.等、3 Chem. Biol. 1039−1046 (1996);Carmi, N.等、95 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2233−2237 (1998));Sen, D.およびC. R. Geyer, 2 Curr. Opin. Chem. Biol. 680−687 (1998)ならびにFaulhammer, D.およびM. Famulok (269 J. Molec. Bio. 18−203 (1997))に報告されたように、二価の金属イオンを補助因子として必要としたかもしくは二価の金属イオン独立して基質を加水分解したところのRNAsesのようなRNAse活性を持つ配列;
銅依存性RNAse(Breaker, R. R., Chem. Rev. 371−390 (1997))ならびに亜鉛依存性RNAse E47リガーゼ(Cuenoud, B. およびJ. W. Szostak, 375 Nature 611−613 (1995))のようなRNAリガーゼ活性を持つ配列;
カルシウム依存性DNAキナーゼ(Li, Y.およびR. R. Breaker, 96 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2746−2751 (1999))のようなDNAキナーゼ活性を持つ配列;ならびに
カルシウム依存性DNAキナーゼ(Li, Y.、前掲書(1999))のようなRNAキナーゼ活性を持つ配列。
ここに記述する実施例で利用する、酵素活性を有する特定の核酸配列は“10−23酵素”(Sntoro, S.W. およびG.F. Joyce, 前掲書 (1997))であり、図3Aおよび3Bに概念的に表しているのはこの酵素配列である。然しながら、当業者はこの開示から、上掲の文献に報告されている配列のいずれも本発明のカセットに挿入されるときは、意図する目的のために機能することを認識できするであろう。
【0096】
RNA依存性DNAポリメラーゼ、もしくは上述の如く本発明の遺伝子要素のセットの一つの要素とも成っている逆転写酵素(RT)遺伝子に関して言えば、モロニーマウス白血病ウイルス由来の逆転写酵素/RNAse H遺伝子がここに記述する実施例において好都合に使用された。ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)由来の逆転写酵素/RNAse H遺伝子もまた試験されている。SIV、肝炎ウイルスB,肝炎ウイルスCの各株、細菌のレトロン要素、および諸種の酵母および細菌種より単離されたレトロンのようなレトロウイルスを含む、多くの他のレトロウイルスの逆転写酵素/RNAse H遺伝子が本発明との関連で好都合に使用され得るが、逆転写酵素/RNAse H遺伝子は、有核細胞での発現のためのサイトメガロウイルス(CMV)もしくはラウス肉腫ウイルス(RSV)のプロモーターのような、適切な上流プロモーター/エンハンサーで調節される逆転写酵素/RNAse H遺伝子であることが好ましい。
【0097】
自然界に見出される状態では、これらのRNA依存性DNAポリメラーゼは通常同じコード化転写体内に、付随したRNase H成分酵素を有している。然しながら、本発明は天然由来のRNase H遺伝子を特定の逆転写酵素のために必要としない。換言すれば、当業者は本開示から、本発明との関連で逆転写酵素とRNase Hの種々の組み合わせをスプライシングさせてこの機能を満たすようにすることができること、また意図する通りに機能するこれら二種類の酵素系の修飾物および/もしくはハイブリッド版を入手でき、および/もしくは当業者周知であること、を認識するであろう。当業者はまた、目標細胞自身がこの機能を満たすための十分な内在性RNase Hを有しているであろうことを認識するであろう。同様に、当業者は目標細胞自身がこの機能を満たすに十分な内在性逆転写酵素活性を、例えばレトロウイルス感染前に、有しているであろうことを認識するであろう。
【0098】
逆転写酵素/RNAse H遺伝子はまた、逆転写酵素/RNAse H遺伝子から産生したmRNAがその安定性のために、3’ポリ(A)テールを含むように下流のポリアデニル化シグナル配列を含有しているのが好ましい。当業者に周知のように、多重ポリ(A)テールは発現された有核細胞遺伝子の産生のために入手可能でありそして日常的に使用されている、
【0099】
細胞内で産生した逆転写酵素は、以下に述べる興味ある配列を含む遺伝子要素を鋳型に用いて相補的DNA(cDNA)を合成する。逆転写酵素のRNase H活性は、細胞内の内在性RNase活性と共に、in vivoでRNA/cDNAハイブリッドのmRNA鋳型成分を分解してss−DNAを産生する。
【0100】
制限エンドヌクレアーゼをコード化する遺伝子(二つのプラスミド系でのみ使用し、かつこの系の必要な成分でさえない)は制限エンドヌクレアーゼをコード化するいくつかの遺伝子のいずれでもよく、好ましくは以下に述べる一つもしくはそれ以上の構成的もしくは誘導的、広範囲および/もしくは組織特異的プロモーター/エンハンサーである。ここで特に利用した制限エンドヌクレアーゼはMbo IIおよびFokIであったが、この開示の恩恵を受ける当業者は、どんな制限エンドヌクレアーゼ(タイプ I、II、IIS、もしくはIII)部位でも逆方向縦列型反復配列に含み得ることを認識するであろう。これらの酵素はステム―ループ状の中間体を“刈り取って”、もしくは消化して、興味ある配列を一本鎖DNAに線状化する。
【0101】
RE遺伝子の発現は、ヒト細胞での発現のためのCMVもしくはRSVプロモーターのような、適切な制限エンドヌクレアーゼ遺伝子の上流に位置する構成的もしくは誘導的プロモーター/エンハンサーによって制御され得るが、ここで記載するプラスミドpssDNA−エクスプレス−AではRE遺伝子(MboII)はRT−RNAse Hポリペプチドに連結される。RE遺伝子はまた、好ましくは制限酵素エンドヌクレアーゼ遺伝子からのmRNA転写体が3’ポリ(A)テールを持つであろうように下流のポリアデニル化シグナル配列を含む。
【0102】
この開示の恩恵を受ける当業者はまた、逆転写酵素/RNAse H遺伝子、RE酵素(もし使用するならば)、および興味ある配列を調節するために、多数の組織特異的もしくは広範囲プロモーター/エンハンサー、または上掲以外のプロモーター/エンハンサーの組み合わせをも好都合に使用し得ることを認識するであろう。本発明を例証するために、使用できる全てのプロモーター/エンハンサーのリストは必要でないが、上述のようにプロモーター/エンハンサーは構成的もしくは誘導的でよく、そしてCMVもしくはRSV(非−細胞型特異的)もしくはGFAP(組織特異的)のプロモーター/エンハンサーおよび他の多くのウイルスのもしくは哺乳動物のプロモーターを含んでよい。本発明の要素との関連で使用に適切な代表的なプロモーター/エンハンサーは、HSVtk(S. L. McKnight等、217 Science 316 (1982))、ヒトβ−グロブリンプロモーター(R. Breathnach等、50 Ann. Rev. of Biochem. 349 (1981))、β−アクチン(T. Kawamoto等、8 Mol. Cell Biol. 267 (1988))、ラット成長ホルモン(P. R. Larsen等、83 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 8283 (1986))、MMTV(A. L. Huang等、27 Cell 245 (1981))、アデノウイルス5E2(M. J. Imperiale等、4 Mol. Cell. Bio. 875 (1984))、SV40(P. Angel等、49 Cell 729 (1987))、α2−マクログロブリン(D. Kunz等、17 Nucl. Acids Res. 1121 (1989))、MHCクラスI遺伝子H−2kb(M. A. Blanar等、8 EMBO J. 1139 (1989))、および甲状腺刺激ホルモン(V. K. Chatterjee等、86 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 9114 (1989))を含むが、これらに限定されるものではない。
【0103】
本発明の遺伝子要素のセットを構成する要素をベクターに組み込むときには、ベクターを保有する細胞の確認を容易にするために、および/もしくはカセットの発現レベルを増大させるために、ベクターが他の特化された遺伝子要素を含んでいることが好ましい。特化された遺伝子要素には、ベクターが原核細胞系に形質転換し増幅できるように選択マーカー遺伝子が含まれる。例えば、最も一般的に使用される選択マーカーは、細菌(例、E. coli)にアンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン(ネオマイシン)、もしくはテトラサイクリンのような抗生物質に対する抵抗性を付与する遺伝子である。ベクターが以後の真核細胞へのトランスフェクション、確認および発現のための特化された遺伝子要素を含むこともまた好ましい。真核細胞での発現には、細胞に抗生物質もしくは他の薬剤に対する抵抗性を付与するか、もしくは形態学的変化、接触阻害の消失、または増殖速度増加のような細胞の表現形を変える多重選択ストラテジー(例、チャイニーズ・ハムスター卵母細胞:CHO)を使用してもよい。真核細胞系で使用される選択マーカーは、ゼオシンのための抵抗性マーカー、G418に対する抵抗性、アミドグリコシド抗生物質に対する抵抗性、またはβ−galもしくは緑色蛍光蛋白のような形質選択マーカーを含むが、これらに限定されるものではない。
【0104】
これらの構成成分を適切なベクターに組み込むことにより、ssDNAの産生後に事前設定のベクター配列を除去するための二つの簡便な方法を使うことができる。第一の方法では、産生したssDNAのステム―ループ中間体のループ部分は興味あるヌクレオチド配列より成っていて、制限エンドヌクレアーゼでの消化後、ループは線状の、フランキング配列を有しない一本鎖cDNAとして放出される。第二の興味ある配列が逆方向縦列型反復配列に3’のカセットに含まれる第二の方法では、結果として生じるssDNAがフランキング配列を持たずに産生するように、ステム―ループ構造のステムの部分で逆転写が終結される。もし第二の方法を利用してssDNAを産生することを望むならば、それからssDNAが本発明の第一の見地に従ってステムの消化により産生するところのステム―ループ中間体のステムよりも安定なステムを産生する逆方向縦列型反復配列でカセットをデザインする。本発明の第一の見地に従って容易に変性するステムを産生するところの逆方向縦列型反復配列を有するカセットをデザインすることにより、逆転写は第二の興味ある配列(たとえカセットの中にデザインされていても)を通り過ぎ、逆方向縦列型反復配列の間に位置する興味ある配列に進む。安定性が中間的であるステムは第一および第二の興味ある配列を共に産生させる。
【0105】
逆転写酵素のcDNAの転写体のステム構造の3’側におけるこの“未成熟停止”は、29塩基対を含むベクターをin vitro実験で使用した際に発見されたが、この塩基対は第一および第二の興味ある配列の両方を産生させる追加的な安定性を付与する、ステムに含まれる追加的な塩基対である。第一(逆方向縦列型反復配列間)もしくは第二(逆方向縦列型反復配列の3’側とPBSの間)のいずれかの産生を得るための、望ましい安定性をもつステムを有するステム―ループ中間体のデザインはこの開示で恩恵を受ける当業者の技術の範囲内である。略述すれば、逆向き反復配列の長さ(例、反復配列を形成するヌクレオチドの数)および反復配列を形成する塩基の本質のような因子を操作することにより(例えば、ここで記載したin vitro系を用いて)、第一もしくは第二の興味ある配列もしくは両配列の混合物の産生を得るために望まれるように安定性の低いもしくは高いステムを得ることができる。
【0106】
線状化されたssDNAの形と同様に、未変化のステム―ループ構造が多くの応用において同様に機能できることは、この記述より当業者には明らかであろう。結果として、カセットはまた、制限エンドヌクレアーゼ遺伝子および関連調節要素なしに、および/もしくは相当する制限エンドヌクレアーゼ部位を欠失した興味ある配列とともに、好都合に使用できる。
【0107】
“刈り込んだ”ステム―ループ構造を持つss−cDNAをコード化するカセットを作成することが出来ることも、本発明の好ましい態様の記載から当業者には明らかであろう。興味ある配列にフランキングする逆方向反復配列中にコード化されている制限エンドヌクレアーゼ部位は、ステム部分が(二本らせん形成後)対応する制限エンドヌクレアーゼで消化されて、ステムの一部分および付随するフランキング配列を除去するが充分な二本らせんDNAを残すような具合に、ステムを形成するdsDNAをカットし、転写体が上述のステム―ループ構造を保持するようにデザインされている。このようなss−cDNA構造はssDNAの“両端”を二本鎖の形で保持することにより細胞内ヌクレアーゼに対してより抵抗性であろう。
【0108】
ステム(二本らせんDNA)は事前設定の配列(もしくは配列類)、すなわち特異的DNA結合蛋白に認識されそして結合されるアプタマー、を含むようにデザインできることも当業者には明らかであろう。その他の使用の中で、このようなステム構造は特異的遺伝子機能を制御する選択された蛋白を中和する拮抗物として細胞の中で用いられる。例えば、ss−cDNAのステムーループは、アデノウイルスE1aのような選択された陽性転写因子に対する結合部位を有する細胞中に、本発明に従って産生される。他の発がん遺伝子と同様に、アデノウイルスA1aは、細胞がコード化する転写因子の活性に影響を及ぼすことによりいくつかのアデノウイルスおよび細胞の遺伝子の発現をモジュレーションし、その結果正常細胞を形質転換細胞に変える。Jones等、2 Genes Dev. 267−281 (1988). 本発明にしたがって産生されたステム―ループ中間体の二本らせんステムは、したがってこの転写因子を“縛り上げる”ように機能して、このタンパク質がプロモーターに結合するのを防ぎ、これによって特定の有害遺伝子の発現を阻害するようにデザインされている。二本らせんステム構造は、例えば特定の遺伝子を能動的に制御する種々の転写因子により認識される複数の結合部位をオプションとして含むことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、アデノウイルスE1aは、12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセテート(TPA)による、多数の他の分裂促進因子による、ならびに発がん遺伝子ras、mos、src、およびtrkがん遺伝子による転写誘導に責任あるプロモーター要素であるところのホルボールエステル応答性要素を介してコラゲナーゼ遺伝子の転写を抑制することが見出されている。このメカニズムには転写因子ファミリーAP−1の機能阻害が関係している。Offringa等、62 Cell 527−538 (1990)。 どんな望ましいヌクレオチド配列もステム―ループ中間体の“ループ”部分をコード化する遺伝子要素に挿入し、最終的に例えば、アンチセンス結合、遺伝子の下方調節、およびここで記載したようなその他の望ましい阻害機能を実施させることができる。
【0109】
当業者により認識できるであろうもう一つの見地では、本発明は二次構造の立体的な折りたたみに基づく生物学的反応性をcDNA転写体に付与するところのssDNAの複雑な二次構造を構築するのに用いられる。そのような二次構造はいくつかの機能のいずれをも果たすために設計することができる。例えば、興味ある配列はアデノ随伴ウイルスの長末端反復配列またはレトロトランスポゾンに見出されるようないわゆる“クローバ葉”もしくは“るつぼ”様構造を形成する、一本鎖cDNA転写体のループ部分に組み込まれる配列を含む(がこれらに限定されるものではない)。正しい状況下では、そのような構造は宿主ゲノムに部位特異的に組み込まれる。
【0110】
本発明の遺伝子要素のセットは哺乳動物およびヒトの治療を目的とする複数の市販の送達ベクターに組み込めるように適応できるので、特定の標的細胞に対してその選択したベクターに応じて複数の送達経路を用いることができる。例えば、ウイルスベクターは、患者の細胞を形質転換したりゲノムにDNAを導入するために現在最も頻繁に使用される手段である。間接法では、新規遺伝子情報を運ぶウイルスベクターを身体から取り出された標的細胞に感染させ、次いで感染細胞を再移植する(すなわち、ex vivo)。リポゾームの中に包み込まれたDNA、およびウイルスエンベロープタンパク質を含有するプロテオリポゾームの中に閉じ込められたDNAの製剤について、出生後の動物への直接のin vivo遺伝子移入が報告されている。Nicolau等、80 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1068−1072 (1983); Kaneda等、243 Science 375−378 (1989); Mannino等、6 Biotechniques 682−690 (1988)。陽性の結果がリン酸カルシウムで共沈させたDNAについて記載されている。BenvenistyおよびReshef、83 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 9551−9555 (1986)。好都合に使用される他のシステムとしては静脈、筋肉内および皮下注射、ならびに腫瘍内および腔内直接注射などが含まれる。選択されたベクターに組み込めば、遺伝子要素のセットはまた、局所、経粘膜、直腸、経口、もしくは吸入の送達方法で好都合に投与される。
【0111】
本発明の遺伝子要素のセットを含むベクターは、特定の興味ある配列をカセット(逆方向縦列型反復配列間もしくはPBSと逆方向縦列型反復配列の間)中にスプライシングするために、既知の消化および連結手法を用いて、アンチセンス、三重らせん、またはどれか他の阻害性核酸もしくは一本鎖ヌクレオチドの興味ある配列を送達するのに好都合に使用される。この開示の恩恵を受ける当業者はまた、真核細胞内での発現のために用いる上述のシグナルは、特定の興味ある配列に応じて当技術に既知の方法で修飾できることを認識できるであろう。例えば、考えられる変化としては、興味ある配列を発現させたいと希望するシステムの中のカセット上に好都合な発現特性を付与するように、プロモーターを変化させることである。可能なプロモーターおよび他のシグナルは非常に多く、そしてそれらは興味ある配列を選択する対象となる特定の標的細胞に依存しているため、特定細胞および興味ある配列にとって好ましいであろう全ての潜在的エンハンサー、誘導的および構成的プロモーターシステム、および/もしくはポリ(A)テーリングシステムをリストアップすることはできない。
【0112】
もう一つの態様では、本発明は、上述のRNA依存性DNAポリメラーゼおよびその中にクローニングされた制限エンドヌクレアーゼ遺伝子、ならびにキットの使用者が特定の興味ある配列を挿入する多重クローニング部位(MCS)を有するプラスミドより成るキットの形をとる。興味ある配列(類)を挿入するクローニング部位は上述の逆方向縦列型反復配列の間、例えばプライマー結合部位をコード化する遺伝子要素の上流、に位置する。得られたプラスミドは次いでプラスミドが保持されている細胞培養液から精製し、凍結乾燥もしくはその他の方法により保存し、包装、出荷、および使用者へ発送できるようにする。キットはまた好ましくは、興味ある配列をクローニングするためのクローニング部位に対する制限エンドヌクレアーゼ、興味ある配列をプラスミドに連結するためのリガーゼおよび他の諸酵素ならびに適切な緩衝液、ならびにプラスミド地図および/もしくは使用者へのその他の指図書をも含む。
【0113】
ここで記載する態様では、それぞれ一つもしくはそれ以上の上述の遺伝子要素を含むようにデザインされ構築された、AおよびBと呼称する二つののプラスミドによるコトランスフェクション、もしくは単一の “C” プラスミドにより興味ある配列を宿主細胞に送達する。要約すれば、二つのプラスミドシステムでは、Bプラスミドは、興味ある配列を含み逆方向縦列型反復配列を含むフランキング配列内に入れ子状になっているカセット、およびmRNAの一本鎖DNAへの変換を仲介する転写後プロセシングシグナルを提供する主要結合部位をコード化する。Bプラスミドはまた、発明の第二の見地を利用した場合には、第二の興味ある配列を含む(上述の如く、RE遺伝子が本発明の構築から省かれたときには、例えばここで記載する 単一の“C”プラスミドでは、望ましい活性を有する特定の阻害性核酸をコード化するのはこの第二の興味ある配列である)。Bプラスミドの一次遺伝子産物をプロセシングして、ベクター配列およびプロセシングシグナルを除き一本鎖DNAにするのに必要な活性、特に逆転写酵素/RNAse Hおよび制限ヌクレアーゼは、プラスミドAから発現される。これらの成分の転写生成物のin vivoでの相互作用によって放出する一本鎖DNA配列は、mRNA種およびDNAプロモーターのような細胞内標的と、アンチセンスおよび三重らせんストラテジーにおいて、自由に結合する。
【0114】
上述の通り、ここで記したように、Bプラスミドはクローニング部位(ここでのBプラスミドの一つの態様においてはNotI部位を利用した)を含み、その間に興味あるどんなDNA配列を配置する(上述の通り、ここに記述する実施例では配列は“詰め物”、もしくは被検物、配列、末端反復配列、h−ras、c−rafキナーゼ、血管新生因子プレイオトロフィンをコード化する領域、およびSIV由来のtatコード化領域を含む)。クローニング部位にフランキングするのは、プロモーター(ここに記述する好ましいBプラスミドではCMVプロモーターを利用した)から産生したmRNA一次転写体を、望ましい一本鎖阻害性核酸中にプロセシングすることを指示するするシグナルである。望ましい興味ある配列をBプラスミドにクローニングした後、AおよびBプラスミドをssDNA発現用に選択した細胞株にコトランスフェクションする。同様に、ここに記載する単一(“C”)プラスミドシステムでは、興味ある配列をそのプラスミドにクローニングし、細胞株にトランスフェクションして更なるプロセシングを行う。遺伝子要素の上述のセットの要素が二つのプラスミド(もしくはそれ以上でも)の間にどのように分布しているかに拘わりなく、もしくは、もし要素が全て単一のプラスミドに含まれているならば、このプロセシングは一本鎖DNA領域(すなわち、興味ある配列、逆方向縦列型反復配列、およびPBS)の転写に続いて以下の三つの工程で進行する:
(1)ここに記述する好ましい態様においては、AもしくはCプラスミドで発現される逆転写酵素(ここに記述する好ましい態様では、逆転写酵素はモロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)の逆転写酵素である)であり、図1に示すように、3’に位置するプライマー結合部位から興味ある配列(酵素活性を有する配列を含む)、逆方向縦列型反復配列、およびプライマー結合部位へ進むところの逆転写酵素によるBもしくはCプラスミドのRNA転写体の逆転写。
(2)逆転写酵素ポリ蛋白のRNAse H活性により、もしくは内在性RNAse H活性により、そのRNA相補体から一本鎖DNA前駆体を放出させるための、ここで得たヘテロ二本らせんのRNAse H消化;および
(3)逆方向反復配列より成る塩基のワトソン−クリック塩基対形成で産生したステム―ループ中間体の、ステムの制限エンドヌクレアーゼ消化によるか、もしくは自己相補的逆方向縦列型反復配列に由来するステム―ループ二次構造形成によるcDNA転写体の未成熟停止による、フランキング配列の除去。
当業者は、興味ある配列にフランキングする特定のクローニング部位、特定の逆転写酵素、制限エンドヌクレアーゼ(使用した場合)、プロモーター、プライマー結合部位、および本発明の遺伝子要素のセットの他の全ての要素は、興味ある特定の配列および/もしくはssDNAが発現されるべきシステムに応じて選択されることを、本開示から認識するであろう。
【0115】
別段の記載がない限り、Seabrook等、(1989)(J. Seabrook等、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Ed.), Cold Spring Harbor Press (1989)、以下“Maniatis等、(1989)という”)およびAusubel等、(1987)(F.M. Ausubel等、Current Protocols in Molecular Biology, New York: John Wiley & Sons (1987))に記載されている標準的手法を以下に記述した実施例において利用したが、両文献は全体的にこの特定の参考文献としてそこで組み入れた。他のssDNAを産生する方法も、天然のプロセスにより、および各種の酵素製品もしくはシステムを用いるデザインされた人工的方法により、本発明の方法との関連において共に使用できること、ならびにここで記述した実施例は例証を目的として記述したものであり、ここに記述する本開示もしくはその中に記述されている発明の範囲を限定することを意図したものではないことを、理解すべきである。
【0116】
プラスミドpcDNA3.1/Zeo(+)はInvitrogen社(カリフォルニア州、Carlsbad)より、またプラスミドpBK−RSVはStratagene社(カリフォルニア州、La Jolla)より購入した。オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)はMidland Certified Reagent社(テキサス州、Midland)で合成された。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)はBoehringer Mannheim社(インディアナ州、Indianapolis)より購入したTaq DNAポリメラーゼを用いてRobo−グラディエント・サーマル・サイクラー(Stratagene社)(カリフォルニア州、La Jolla)中で行った。制限エンドヌクレアーゼおよびT4DNAリガーゼはBoehringer Mannheim社(インディアナ州、Indianapolis)より入手した。使用したODN類は添付した配列表にリストした。
【0117】
実施例1.ss−DNAのインビトロ合成
逆方向縦列反復間に興味の対象である配列として挿入されたランダムヌクレオチド配列構成のいわゆる「スタッファー」領域を伴う逆方向縦列反復構造を含むように、4つの合成1本鎖ODN(129、121、111および103塩基長、各々配列番号4、5、15および16)が設計された(表1における配列リスト参照)。逆方向縦列反復は、反復内に一対の制限エンドヌクレアーゼ認識切断部位を有するように(図2)設計された。Not IおよびFok Iに関して設計された切断部位(各々、II型およびIIS型制限エンドヌクレアーゼ認識切断)は、111(配列番号15)および102(配列番号16)塩基長オリゴヌクレオチドであり、Not IおよびMbo IIに関して設計された制限エンドヌクレアーゼ切断部位は、129(配列番号4)および121(配列番号5)塩基長のオリゴヌクレオチドであった。さらに、逆転写酵素のプライマーが認識するtRNAプライマー結合配列(PBS)がこれらのオリゴヌクレオチド中へ設計された。PBSは逆方向縦列反復から3’下流に位置していた。
【0118】
合成オリゴヌクレオチドの各々について、1μl(水中5μg/μl)アリコートを4本の別々の管に加え、5分間70°に加熱し、室温で15分間にわたって自己アニーリングさせた。このプロセスにより、ステム−ループ構造の形成に最適なハイブリッド形成が行われる。相補的配列の伸長部を有していないループ部分は、当然顕著な自己アニーリングは行なわれず、大部分は1本鎖のままである。次いで、標準制限エンドヌクレアーゼ消化は、15μlの総反応体積および適当な反応緩衝液中10単位の酵素によりNot I、Fok I、Mbo II(制限エンドヌクレアーゼ切断部位が存在する各オリゴヌクレオチドに関して適している)およびEcoRI(陰性対照として)で行なわれた。これらの消化は電気泳動ゲル分析により確認された。
【0119】
この実験結果は、逆方向反復を伴う合成ss−cDNAが二重らせんDNAを形成することを示していた。二重らせんDNA、恐らくはステム−ループ構造のステムが、逆方向縦列反復における配列から特異的で認識可能な制限エンドヌクレアーゼ部位を形成し、それらは逆方向縦列反復を含む塩基のワトソン−クリック塩基対合によりNotIおよびFokI制限エンドヌクレアーゼ部位を形成するように設計された。ss−cDNAをNotIおよびFokIとインキュベーションすると、DNAが消化された。EcoRI(陰性対照)とインキュベーションすると、同じDNAでも消化されなかった。
【0120】
実施例2.カセット転写物からのss−DNAのインビトロ形成
2種の試験プラスミドを構築することにより、この実験を行った。pcDNA3.1/Zeo(+)を、標準条件下NheIおよびApaIにより消化した。互いに相補的となるように設計された(添付の配列リスト参照)、2セット(AおよびB)の5’リン酸化オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた。95℃で相補的オリゴヌクレオチドを加熱し、それらを15分間室温に放冷することによりハイブリダイゼーションを行った。適当な付着末端をもつ生成された二重らせんオリゴヌクレオチドリンカーを標準条件下で予め製造しておいたpcDNA3.1/Zeo(+)ベクターに連結させた。
【0121】
アンピシリンプレートにおける陽性クローンの選択は、Maniatisら(1989)および添付の使用説明書の記載に従い形質転換能XL1−ブルーMRF細胞(ストラタジーン)への形質転換後に行われた。陽性クローンを選び取った後、市販のプラスミド分離キット(キアゲン、インコーポレイテッド、サンカイタ、カリフォルニア)を用いてプラスミドDNAを分離した。DNA連結反応の確認はDNA配列決定法により行われた。
【0122】
陽性環状試験プラスミドをPmeI消化により線状化し、標準逆転写反応を次の要領で行った。各管に0.1μgの線状化プラスミドDNA、25単位のT7ポリメラーゼ(すなわち、DNA依存性RNAポリメラーゼ)、2.5ミリモルrNTP(リボヌクレオチド三リン酸rUTP、rCTP、rGTP、rATP)および適当な緩衝液を加えた。反応管を37℃で90分間インキュベーションした。インキュベーション後、10単位のデオキシリボヌクレアーゼを加え、37℃で15分間インキュベーションした。70℃で10分間インキュベーションすることにより、反応を終結させた。
【0123】
標準cDNA合成反応は、上記反応を用いて行なわれた。新しい管に、5μlの上記逆転写酵素反応物、PBS領域(逆方向縦列反復から下流)に相補的な0.2μgのプライマー(配列リスト参照)を加えた。この混合物に、モロニーネズミ白血病ウイルスからの25単位の逆転写酵素、2.5ミリモルのdNTP(デオキシリボヌクレオチド三リン酸dTTP、dCTP、dGTP、dATP)、および適当な反応緩衝液を加えた。反応混合物を37℃で1.5時間インキュベーションした。インキュベーション期間後、100単位のリボヌクレアーゼHを加え、管を15分間37℃でインキュベーションした。反応管を70℃でインキュベーションし、15分間にわたって室温に冷却することによりアニーリングさせた。混合物を4本の管へ均等分割し、制限酵素Not I、Fok I、Mbo IIまたはEcoRIのいずれか10単位を適当な反応緩衝液と一緒に加えた。管を37℃で1時間インキュベーションした。複製反応物をS1ヌクレアーゼ(ssDNAに特異的)で処理した。上記反応からのDNAをゲル電気泳動により分割した。
【0124】
この実験は、T7 RNAポリメラーゼ、逆転写酵素およびリボヌクレアーゼHの逐次酵素活性によるssDNAのインビトロ生産を立証した。リンカーは、制限部位NotI、FokIおよびMboII、「スタッファー」領域(ステム−ループ中間体のループを含む)、およびtRNA PBSを伴う逆方向縦列反復を含んでいた。プラスミドは、リンカー領域のすぐ上流にT7プロモーターを含んでいた。アガロースゲル電気泳動分析は、(1)予測された長さのmRNA中間体、(2)予測された長さのcDNA、および(3)対応する制限エンドヌクレアーゼNotI、FokIおよびMboIIによるssDNAの逐次消化から成る段階的生産を示した。EcoRIが使用されている陰性対照は、ss−cDNAを消化しなかった。
【0125】
実施例3.真核生物細胞におけるss−cDNAのインビボ合成
逆方向縦列反復間に挿入された異なる「スタッファー」領域を含む実施例2で製造されたプラスミドを試験するため、下記のインビボ実験を計画した。これらの実験で使用された組織培養細胞は、真核生物DNA依存的RNAポリメラーゼIIをコード化し、内在発現させたが、これは上記実施例1記載のリンカー/スタッファーセグメントであるクローン化遺伝子エレメントの上流に位置するRSVプロモーターを利用する。当業界に精通した者がこの明細書に目を通す機会があれば、どの真核生物プロモーターでもこの目的に使用され得ることは認めるはずである。かかる者であれば、さらにまたベクターコード化DNA依存性RNAポリメラーゼがこの受容能で機能することを認めるはずである。
【0126】
プラスミド構築物。ODNを、70℃で5分間インキュベーションした4本の別々の管中1μl(水中5μg/μl)においてハイブリダイズさせ、室温で15分間ハイブリダイズさせた。標準制限エンドヌクレアーゼ消化は、15μlの総反応体積および適当な反応緩衝液中10単位の酵素により行なわれた(EcoRIは陰性対照として使用された)。DNAフラグメントをアガロースゲルで分割および分離した。アンピシリンプレートにおける陽性クローンの選択は、Maniatisら(1989)による記載に従い形質転換能XL1−Blue MRF細胞(ストラタジーン)への形質転換後に行なわれた。陽性クローンを選択後、上記キアゲン製プラスミド分離キットを用いてプラスミドDNAを分離した。
【0127】
3種の発現プラスミドの構築について記載する。最初の「B」プラスミドは、多重クローニング部位(MCS)に位置する制限エンドヌクレアーゼNheIおよびApaIで消化することによりpcDNA3.1/Zeo(+)(図7A)から誘導された。合成一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド配列番号4/ODN−PMMV(+)および配列番号5/ODN−PMMV(−)をアニーリングすることにより形成される適合性NheIおよびApaI末端を有する二本鎖オリゴデオキシヌクレオチドを、消化されたpcDNA3.1/Zeo(+)へ連結させると、pPMMVが得られた。この挿入体は、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MoMuLV−RT)プロモーター領域/プライマー結合部位(PBS配列)を含む。またそれは、pMMVに特有な2つのNotI部位およびMboII部位を含む。このプラスミドおよびこの構築物から誘導されたプラスミドにおいて、(+)と称される鎖は、pcDNA3.1/Zeo(+)のサイトメガロウイルスプロモーターからRNAへ転写されるように位置する。Bプラスミド、pssDNA−エクスプレス(エクスプレス)−Bは、ssDNAとしてインビボで発現される興味の対象である配列の挿入に好都合な部位を含んでおり、pMMVのNotI部位間でNotI適合性オーバーハングを有する、ODN−XB(+)およびODN−XB(−)のアニーリングにより形成される二本鎖配列を連結させることにより得られた。
【0128】
pssDNA−エクスプレス−Bの構造は図5に示されている。プラスミドを含む哺乳類細胞は、抗生物質ゼオシンにより選択可能である。挿入体のキー領域の位置および全般的配置は図5Aに示されており、挿入体の配列の具体的配置は図5Bに示されている。構造的特徴を有する正確な位置は図5Cに示されている。挿入領域の転写は、サイトメガロウイルスプロモーターにより駆動され、BGHポリA領域で終結される。RNA転写物は、このプロモーターの幾つかのフランキング領域と一緒にMoMuLVコアプロモーターを含み、それらの位置は図5Bに示されている。逆転写酵素は、コアプロモーターの位置から始まり、プライマーとしてtRNAproを用いて、1コピーの(+)(トップ)鎖を合成する。リボヌクレアーゼHでRNA鎖を消化することにより、相補的逆方向反復IR−LおよびIR−Rを含む1本鎖DNA配列が解離される(図1)。図2に示された、これらの反復による二重らせん形成により、ループに興味の対象である配列を伴うステム−ループが作成される。ステムは、GAAGA認識部位に対し8/7塩基3’を開裂する酵素がフランキングベクター配列から興味の対象である配列を解離するように位置した、MboIIの認識部位GAAGAを含む。
【0129】
対照配列としての役割を果たした興味の対象である配列が発現される、BプラスミドpTestを得るため、適合性NotI末端を有する、アニーリングされた合成一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド配列番号11/ODN−テスト(Test)(+)および配列番号12/ODN−テスト(−)により形成される二本鎖オリゴデオキシヌクレオチドをpMMVのNotI部位間に挿入した。興味の対象である配列としてテロメア反復配列を発現するBプラスミドpTeloも類似方法で得られ、pMMVのNotI部位間にアニーリングされたNotI適合性オリゴデオキシヌクレオチド配列番号13/ODN−テロ(Telo)(+)および配列番号14/ODN−テロ(−)を挿入した(図6A)。後者のリンカー配列は、9反復の脊椎動物テロメア配列5’−AGGGTT−3’を含む(図6B)。Blackburn,E.H.、350Nature569−573(1991)。29塩基対ステムの方が、pMNVの27塩基対ステム部位よりもステム−ループ中間体においてより安定したステム−ループ構造を与えるため、ステムが29塩基対(pMNVの27塩基対ステム部位ではない)により構成された、pMN−ニュー(new)−リンク(link)と称される第3のプラスミドBが構築された。pMN−ニュー−リンクは、pMNV内の2つのNotI部位間において、2つの自己相補的ODN、ODN−NM−ニュー−リンク(+)およびODN−NM−ニュー−リンク(−)を連結させることにより形成された。
【0130】
Aプラスミド、pss−DNA−エクスプレス−A(図4)は、宿主細胞としてXL−1ブルーMRFを用いてpBK−RSV(ストラタジーン)から製造された。モロニーネズミ白血病ウイルスを発現するマウスセルラインは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手された(#CRL−1858)。ウイルスRNAを分離し、逆転写酵素−PCR用に製造した(RT−PCR)。MoMuLV−RTのコーディング配列を含む2.4kbフラグメントを、配列番号1/ODN−RT(−)(ヌクレオチド#2545におけるプライマー位置)および配列番号2/ODN−RT(+)(ヌクレオチド#4908におけるプライマー位置)に示されたプライマーを用いてPCR増幅することにより、5’−SacIおよび3’−HindIII適合性末端を伴うDNAフラグメントを製造した。得られた2.4kb生成物は、2546位および4908位間にMoMuLVゲノムの配列を含む。成熟ウイルス逆転写酵素ペプチドは、2337位および4349位間の配列によりコード化されるが(Petropoulos,C.J.、Retroviral taxonomy, protein structure, sequences and genetic maps、J.M.Coffin(編)、Retroviruses、757、補遺2、ニューヨーク:コールドスプリングハーバー・プレス(1997))、アミノ末端で先端切除されたペプチドは完全な活性を保持している(N.Taneseら、85 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1777−1781(1998))。この構築物によりコード化されるペプチドはインテグラーゼ遺伝子の一部を含んでおり、MoMuLVポリタンパク質における逆転写酵素の次にくるが、ここではそれほど関連性が無いためクローニングに好都合な制限部位が利用可能であることから構築物の長さが選択された。
【0131】
制限エンドヌクレアーゼMboII(Bocklage、H.ら、19 Nucleic Acids Res. 1007−1013(1991))をコード化する細菌モラキセラ・ボヴィス(Moraxella bovis)は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC#10900)から入手された。ゲノムDNAをモラキセラ・ボヴィス(M.bovis)から分離し、PCRにおける鋳型DNAとして使用した。MboII遺伝子を含む1.2kbフラグメントは、配列番号3/ODN−Mbo(+)(ヌクレオチド#887におけるプライマー位置)および配列番号8/ODN−Mbo(−)(ヌクレオチド#2206におけるプライマー位置)をプライマーとして用いるPCRにより増幅された。これらのプライマーは、HindIII部位を5’プライマーへ導入し、XbaI部位を3’下流プライマーへ導入するように設計された誤対合を含む。従って、888位および2206位間のモラキセラ・ボヴィス(M.bovis)ゲノムをコピーする、1.2kbDNA増幅産物は、MboIIタンパク質のコーディング領域を含む。増幅産物はHindIIIおよびXbaIにより消化された。
【0132】
pBK−RSVをXbaIおよびNheIで消化することにより、プロモーター領域を除去した。アニーリングされたオリゴデオキシヌクレオチド配列番号6/ODN−N>S(+)および配列番号7/ODN−N>S(−)により形成されたリンカーを用いてNheI末端をSacI末端に変換した。HindIII部位を通して逆転写酵素およびMboIIアンプリファイアを連結し、それに続いてこの構築物をpBK−RSVのSacIおよびXbaI部位間で連結させると、pBK−RSV−RT/Mboが生成された。
【0133】
逆転写酵素およびポリタンパク質のMboIIドメイン間に可とう性リンカーを挿入し、タンパク質精製に有用な標識を提供するため、別のヒスチジンおよびプロリンアミノ酸をコード化する、オリゴデオキシヌクレオチド配列番号9/ODN−HisPro(+)および配列番号10/ODN−HisPro(−)をアニーリングすることにより形成された二本鎖配列を、HindIII消化によりpBK−RSV−RT/Mboへ挿入した。適合性HindIII末端を伴うhis−proリンカーをHindIII部位に挿入すると、プラスミドpBK−RSV−RT/Mbo−Lが製造され、配向を配列決定により確認した。しかしながら、pBK−RSV−RT/Mbo−Lを配列決定すると、MboIIドメインの5’末端におけるフレームシフト突然変異が示された。MboII遺伝子の5’末端をコード化する、AseIおよびBglII部位間に存するプラスミドのフラグメント、his−proリンカー領域およびインテグラーゼ遺伝子フラグメントを切除し、修飾his−proリンカーおよび5’−MboII遺伝子フラグメントを含む挿入体と置き換えることにより、この突然変異を補正し、MoMuLVのインテグラーゼ遺伝子の外来部分を同時に除去した。修飾his−proリンカーは、ヒスチジンの数を1つだけ、6に増加させ、5’末端に若干の特有な制限部位を含んでいた。MboII遺伝子の5’末端を修飾することにより、PCRプライマーにおける誤対合により導入されたN末端のロイシンをもともとのメチオニンに置き換え、哺乳類細胞において遺伝子のこのセグメントを発現させるためにコドン使用を最適化した。3’末端に16塩基の相補的配列を有する、2つの鋳型ODN−Rep(+)およびODN−Rep(−)からの相互プライマーDNA合成により、修復構築物が得られた。これらのオリゴデオキシヌクレオチドをアニーリングし、修飾SEQUENASE(商標)DNAポリメラーゼ酵素(ユナイテッド・ステーツ・バイオケミカル・コーポレーション)により伸長させた。二本鎖生成物をAseIおよびBglIIで消化し、プラスミドに挿入すると、pssDNA−エクスプレス−A(プラスミドA)が得られた。
【0134】
pssDNA−エクスプレス−Aの構造は図8Aに示されている。上記で示した通り、このプラスミドを構築するため、MoMuLV逆転写酵素およびモラキセラ・ボヴィス(M.bovis)MboII制限酵素の活性フラグメントをコード化する配列を、真核生物発現ベクターpBK−RSVのNheIおよびXmaI部位間にクローン化した。クローン化領域の転写は、RSVプロモーターにより駆動され、形質転換細胞に関する選択は抗生物質G418(ネオマイシン)の存在下で実施される。逆転写酵素およびMboIIは、短いヒスチジンおよびプロリンリンカーにより分離された2つの機能性ドメインを伴う単一の2機能性タンパク質鎖として発現される。
【0135】
組織培養試験。製造会社添付の使用説明書を用いてリポフェクタント(ベーリンガー・マンハイム・コーポレーション)を使用することにより、安定した一時的トランスフェクションを実施した。プラスミド構築物を全てヒーラセルラインへトランスフェクションした。トランスフェクションの24−48時間後PCRおよびドットブロット分析によりssDNAに関する検定を遂行した。pssDNA−エクスプレス−Aプラスミド(図11、パネルA)によるトランスフェクション後、Silver,J.ら(21 Nucleic Acids Res. 3593−3594(1993))により開発されたRT−PCR検定法を用いて逆転写酵素活性を検定した。さらに、安定置換されたヒーラセルライン(A12およびB12)の個々のコロニー分離株をRT活性について検定した(図11B)。48−72時間早くトランスフェクションした細胞からss−cDNAを分離した。上述したところによると、ss−cDNAはRNAと共局在しており、トリゾール試薬(ギブコ・ライフ・テクノロジーズ、ガイザーズバーグ、メリーランド)を用いて実施された。特異的ss−cDNA種に関する検定は、内部フラグメントに関するPCRに基く検定法(pTestについては図12およびpTeloについては図13)および変性一本鎖ゲル電気泳動および後続のナイロンブロッティングおよび内部ビオチン標識プローブによるプロービングの両方法により実施された。
【0136】
この実験は、ヒト組織培養細胞(ヒーラおよびCos−7セルライン)をAおよびBプラスミドと共トランスフェクションすると、予測されたサイズのss−cDNAが生成されることを示した。しかしながら、当業界の熟練者であれば、ステム−ループ中間体のRNA鋳型および逆転写酵素および制限エンドヌクレアーゼの遺伝子を含む単一プラスミドもまた本明細書に示された他の実施例記載の要領でこの目的に使用され得ることを認めるはずである。
【0137】
ベクターpNM−ニュー−リンク(一本鎖変換後さらに安定した29塩基対ステム構造を含む)をインビトロ実験に使用することにより、ステム構造の3’側における逆転写酵素cDNA転写物の未成熟終結が立証された。図14に示されている通り、また、さらにステム構造全体にこの転写物のある程度の「読み過ごし」も存在していた(図14における大きい方のバンド参照)。この未成熟終結から生成された興味の対象である配列は、ここに示された興味の対象である第2の配列である。
【0138】
実施例4.真核生物細胞におけるDNA酵素含有ss−cDNAのインビボ合成
本発明のベクター系を用いることにより、真核生物組織培養細胞でDNA酵素配列を含むssDNAが製造され得るか否かを試験するため、次のインビボ実験を計画した。
【0139】
プラスミド構築物。ODNを製造し、上記実施例3の記載と同じ方法でプラスミドを構築した。
【0140】
Bプラスミドの構築。本発明ベクター系の2プラスミド態様を含む2つのプラスミドの最初の方の第2態様は、「4B」プラスミドである。4Bプラスミドは、実施例3記載のプラスミドpssDNA−エクスプレス−Bと同様、図7Aに示された、pcDNA3.1/Zeo(+)(インビトロゲン・コーポレーション)から誘導された。pssDNA−エクスプレス−4Bは、それぞれ911および978位にある制限エンドヌクレアーゼHindIIIおよびNotIで消化することにより構築された。合成一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドODN−5’−N/M(リンク)2−H/NおよびODN−3’−N/M(リンク)2−H/Nをアニーリングすることにより形成される適合性HindIIIおよびNotI末端を有する二本鎖リンカー領域を、標準条件下、消化されたpcDNA3.1/Zeo(+)へ連結し、シュアII細胞(ストラトジーン、インコーポレイテッド)へ形質転換した。ODNを、70℃で5分間インキュベーションしたエッペンドルフ管中1μl(水中5μg/μl)でハイブリダイズさせ、室温で15分間ハイブリダイズさせた。適当なクローンを選別し、配列決定することにより、リンカー領域の適切な挿入を確実にした。生成したプラスミドをpcDNA3.1/Zeo(+)/NM−リンク2−gagと命名し、pssDNA−エクスプレス−4Bと再命名した。pssDNA−エクスプレス−4Bは図7Bに示されており、興味の対象である配列がクローン化されるプラスミドである。逆方向縦列反復間で興味の対象である配列をクローニングするため、それぞれ935および978位にある2つのNotI部位(図7B参照)を使用した。これら2つの部位は、逆方向縦列反復内に含まれる。逆方向縦列反復およびプライマー結合部位間に興味の対象である配列を挿入するため、それぞれ1004および1021位に位置する2つの好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位PacIおよびBamHIを使用した。
【0141】
Aプラスミドの構築。本発明ベクターのこの第2態様を含む2プラスミド系の第2プラスミドは、図8に示されている、Aプラスミド、pssDNA−エクスプレス−Aであり、実施例3記載の要領で製造された。
【0142】
Cプラスミドの構築。上述した通り、本発明ベクター系はまた単一プラスミド形態をとり得る。単一プラスミドベクター系または「C」プラスミドを製造するため、プラスミドpssDNA−エクスプレス−AをSacI XmaIで消化することによりMboII遺伝子を除去した(図8B)。70℃で15分間アニーリングさせ、ゆっくりと室温に冷却したオリゴヌクレオチド5’−(リンク)2−Hind/Xbaおよび3’−(リンク)2−Hind/Xba(表1)により構成されるリンカー領域を、標準条件下で消化後プラスミドへ連結した。陽性クローンを採取し、配列決定することにより、リンカー置換を立証し、次いでこのプラスミドをXbaおよびHindIIIで消化した。次いで、プラスミドpssDNA−エクスプレス−BをHindIIIおよびXbaで消化し、前述の逆方向縦列反復、多重クローニング部位およびPBSを含む対応する300塩基対DNAフラグメントを、消化されたプラスミドへクローン化することにより、pssDNA−エクスプレス−C(図9A)が得られた。標準連結反応を遂行し、シュアII細胞(ストラタジーン、インコーポレイテッド)へ形質転換した。形質転換陽性コロニーを採取し、陽性クローンを制限分析により同定した。
【0143】
興味の対象である配列を、多重クローニング部位(図9B)におけるBamHIおよびPacI部位を用いることによりpssDNA−エクスプレス−Cの多重クローニング部位へクローン化した。各々アンチセンス配列(図9C)の5’および3’側の間に挿入された「10−23DNA酵素」を含み、図10A−10Dに示されている、表1に列挙された興味の対象である4種の異なる配列は、これれらの構築物用に合成され、類似方法を用いることにより興味の対象である4配列の各々を挿入した。対のオリゴヌクレオチドを70℃で15分間アニーリングさせ、室温に冷却し、次いで標準条件下プラスミドへ連結することにより、各構築物を製造した。シュアII細胞へ形質転換後、適当なコロニーを選別し、個々の挿入体について配列決定することにより確認した。標準条件下リポフェクタント試薬(ベーリンガー・マンハイム)を用いて、各プラスミドを、長さの等しいランダム配列を含むが、アンチセンス挿入体または「10−23DNA酵素」を含まない適当な対照とヒーラ細胞へトランスフェクションすることにより、これらプラスミドの各々のアンチセンス能力を試験した。トリゾール試薬を用いて、細胞およびRNAフラクションを採取し、後続のノーザンブロット分析を遂行することにより、特異的アンチセンス発現を立証した。
【0144】
組織培養試験。製造会社添付の使用説明書を用いてリポフェクタント(ベーリンガー・マンハイム・コーポレーション)を使用することにより、安定した一時的トランスフェクションを実施した。プラスミド構築物を全てヒーラセルラインへトランスフェクションした。トランスフェクションの24−48時間後PCRおよびドットブロット分析によりssDNAに関する検定を遂行した。pssDNA−エクスプレス−Aプラスミドによるトランスフェクション後、Silver,J.ら(前出)により開発されたRT−PCR検定法を用いて逆転写酵素活性を検定した。さらに、安定置換されたヒーラセルライン(A12およびB12)の個々のコロニー分離株をRT活性について検定した。48−72時間早くトリゾール試薬を用いてトランスフェクションした細胞からss−cDNAを分離した。特異的ss−cDNA種に関する検定は、内部フラグメントに関するPCRに基く検定法および変性一本鎖ゲル電気泳動および後続のナイロンブロッティングおよび内部ビオチン標識プローブによるプロービングの両方法により実施された。
【0145】
この実験は、プロセッシングされたss−cDNAを合成するように設計されたプラスミドによりトランスフェクションされたヒト組織培養細胞(ヒーラセルライン)が、予測されたサイズのss−cDNAを生成することを示していた。実施例3に記載されたところによると、本発明方法に従い製造される興味の対象であるssDNA配列は、ステム−ループ中間体のステムの消化後に逆方向反復間の位置から、または逆方向反復およびプライマー結合部位間の位置からステム構造の3’側における逆転写酵素cDNA転写物の未成熟終結により生成される。この未成熟終結から生成される興味の対象である配列は、ここに示された興味の対象である第2配列である。図15は、興味の対象である配列として使用されるc−rafキナーゼに対するアンチセンス配列に含まれる10−23酵素を有するプラスミドpssDNA−エクスプレス−4Bによりトランスフェクションされた細胞が、逆方向縦列反復およびプライマー結合部位間における位置からの10−23DNA酵素を含むc−rafキナーゼに対するアンチセンス配列を生産したことを示す。
【0146】
上記実験は、真核生物逆転写酵素反応および様々なcDNAプライマー反応を用いる多段階反応によるインビボおよびインビトロssDNA製造方法を立証している。この反応の次に、続いて制限エンドヌクレアーゼにより開裂された後、設計された(および形成された)「ステム」から上流5’または下流3’の望ましくない配列があればそれらを排除するのに使用され得る「ステム−ループ」中間体が形成された。
【0147】
興味の対象であるいかなるヌクレオチド配列でも真核生物細胞においてこの方法により生成され得る。興味の対象であるこの配列は、設計された逆方向縦列反復間でクローン化(または合成され)され、ssDNA生成およびそれに続くステム−ループ形成後の「ループ」における配列を表す。配列が安定したステム−ループ中間体のステム形成を妨げない場合、生成される興味の対象である配列は、いかなる塩基(すなわち、A、T、G、C)組成でもあり得、所望により機能的遺伝子エレメント、例えば特異的酵素認識配列、例えば特定制限エンドヌクレアーゼの基質としての役割を果たす部位が含まれ得る。また、その特定制限エンドヌクレアーゼに関する認識部位が逆方向縦列反復へ設計されている場合、いかなる制限エンドヌクレアーゼでも、ステム−ループ中間体のステム部分を消化(または開裂)するのに使用され得る。
【0148】
ここに示された図面および実施例に関して記載したが、当業界の熟練者であれば、ここに示された特異エレメントがそれらの意図された各成果を達成すべく機能する方法を変えること無くそれらのエレメントにある種の変化が加えられ得ることを認めるはずである。例えば、ここに記載されたカセットは3つの遺伝子エレメント、すなわち興味の対象である配列、縦列逆方向反復およびプライマー結合部位により構成される。他の遺伝子エレメントには、所望による制限エンドヌクレアーゼ遺伝子および逆転写酵素遺伝子があり、これらの遺伝子は各々ここに記載された適当なプロモーターと共に提供される。当業界の熟練者であれば、例えば、カセットの逆転写酵素遺伝子として使用するのに記載されたマウスモロニー白血病ウイルス逆転写酵素遺伝子が、他の逆転写酵素遺伝子(ヒト免疫不全症ウイルスからの逆転写酵素遺伝子は上記で示されている一遺伝子であった)により置き換えられ得ること、およびCMVプロモーター以外のプロモーターでも有利に使用され得ることを認めるはずである。さらに、幾つかの制限エンドヌクレアーゼ遺伝子が上記で列挙されているが、当業界の熟練者であれば、この記載内容から上記に示されたリストが全てを網羅しているわけではないこと、および多くの他の制限エンドヌクレアーゼ遺伝子でも本発明に関して有利になるように機能することを認めるはずである。同様に、ここに示された制限エンドヌクレアーゼ遺伝子と関連して使用されるものとして記載されたRSVプロモーターが、有利になるように使用され得る唯一のプロモーターというわけではない。本発明の精神から逸脱しない上記変化および修飾は全て、非限定的な請求の範囲内に含まれるものとする。
【0149】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って宿主細胞中でのssc−DNAの産生の概略図である。
【図2】図1に図示された方法によって生成するステム−ループ中間体の概略図である。
【図3A】本発明に従って産生されるアンチセンス配列の結合の概念図であるが、これは“10−23DNA酵素”の標的mRNAへの結合およびその標的mRNAの引き続く切断を包含している。図3Bは、図3Aのアンチセンス配列の標的mRNAへの結合の拡大図であり、10−23DNA酵素(一般化した阻害性核酸配列に含まれる)と標的mRNAの切断部位との相互作用を示している。
【図4】本発明に従って構築されたプラスミドpssDNA―エクスプレス−Aの概略地図である。
【図5】図5A、5B,および5Cは、本発明に従って構築されたプラスミドpssDNA―エクスプレス−Bの概略地図、プラスミドpssDNA―エクスプレス−Bの拡大部分、プラスミドpssDNA―エクスプレス−Bの挿入領域の配列をそれぞれ表わす。
【図6A】本発明に従ってpssDNA―エクスプレス−Bから構築されたプラスミドpTestおよびpTeloのApa IおよびNhe I部位の間の挿入領域配列を表わす。
【図6B】本発明に従ってpssDNA―エクスプレス−Bから構築されたプラスミドpTestおよびpTeloのApa IおよびNhe I部位の間の挿入領域配列を表わす。
【図7A】本発明に従ってpssDNA―エクスプレス−Bから構築されたプラスミドpcDNA3.1Zeo+/NM−リンク2−gag/pssDNA―エクスプレス−4Bのための開始プラスミドpcDNA3.1Zeo+(Invitrogen社)の概略地図である。
【図7B】pcDNA3.1Zeo+/NM−リンク2−gag(またpssDNA―エクスプレス−4Bと称す)の概略地図である。
【図7C】pcDNA3.1Zeo+/NM−リンク2−gag/pssDNA―エクスプレス−4Bのためのクローン化部位、逆方向反復配列、およびPBS領域(矢印)の概念図である。
【図7D】pcDNA3.1Zeo+/NM−リンク2−gag/pssDNA―エクスプレス−4Bのためのクローン化部位、逆方向反復配列、およびPBS領域(矢印)の概略地図である。
【図8A】本発明に従って構築されたプラスミドpssDNA―エクスプレス−Aの概略地図である。
【図8B】Xma IおよびSac IIで消化することによりMbo II遺伝子を欠失した後のプラスミドpssDNA―エクスプレス−Aの概略地図である。
【図9A】本発明に従って構築されたプラスミドpssDNA―エクスプレス−Cの概略地図である。
【図9B】pssDNA―エクスプレス−Cのためのクローン化部位、逆方向反復配列、およびPBS領域(矢印)の概念図である。図9Cは、pssDNA―エクスプレス−Cのためのクローン化部位、逆方向反復配列、およびPBS領域(矢印)の概略地図である。
【図10A】5’および3’相補配列の間に挿入された10−23DNA酵素配列を有するh−rasアンチセンス結合配列の第23番コドンの部分配列を示す。
【図10B】5’および3’相補配列の間に挿入された10−23DNA酵素配列を有するc−rafキナーゼアンチセンス結合配列の部分配列を示す。
【図10C】5’および3’相補配列の間に挿入された10−23DNA酵素配列を有する多面的アンチセンス結合配列の部分配列を示す。
【図10D】5’および3’相補配列の間に挿入された10−23DNA酵素配列を有するSIV配列のアンチセンス結合領域の部分配列を示す。
【図11A】本発明に従って構築されたプラスミドpTestで形質転換したHeLa細胞系からのRNA/ssDNA抽出物についてのPCR逆転写酵素アッセイ(J. Silver等、21 Nucleic Acids Res. 3593−3594 (1993)))の結果を示すゲルである。図11Aのレーン:(1)サイズマーカー、(2)形質転換していないHeLa細胞、(3)pcDNA3.1Zeo+ベクターで形質転換したHeLa細胞、(4)pssXAで形質転換したHeLa細胞、(5)MoMuLV逆転写酵素の2ミリ単位を含有する陽性コントロール、(6)タンパク質抽出物を含有しない陰性コントロール。矢印は150bp増幅産物を示す。
【図11B】本発明に従って構築されたプラスミドpTestで形質転換したHeLa細胞系からのRNA/ssDNA抽出物についてのPCR逆転写酵素アッセイ(J. Silver等、21 Nucleic Acids Res. 3593−3594 (1993)))の結果を示すゲルである。図11Bのレーン:(1)クローンA12、(2)B8、(3)B12、(4)D7、(5)MoMuLV逆転写酵素の2ミリ単位を含有する陽性コントロール、(6)タンパク質抽出物を含有しない陰性コントロール。
【図12】本発明に従って構築されたプラスミドpTestで形質転換したHeLa細胞系の抽出物からの一本鎖DNAのPCR増幅を示すゲルである。予期したssDNA産物に特異的なプライマーを用いるPCR反応における鋳型としてRNA/ssDNA標本を用いた。左パネル、レーン1−3:安定に形質転換したコロニーA12から単離した全RNA/ssDNA PCR鋳型(プラスミドpssDNA―エクスプレス−Aで安定にトランスフェクションしたHeLa細胞系)(1)前処理無しで使用、(2)S1ヌクレアーゼで処理、(3)RNAse Aで処理。レーン(4)pcDNA3.1Zeo+ベクター単独で安定に形質転換したコロニーからの全RNA/ssDNA。右パネル、レーン1−3:安定に形質転換したコロニーB12から単離した全RNA/ssDNA PCR鋳型(プラスミドpssDNA―エクスプレス−Aで安定にトランスフェクションしたHeLa細胞系)(1)前処理無しで使用、(2)S1ヌクレアーゼで処理、(3)RNAse Aで処理。レーン(4)pcDNA3.1Zeo+ベクター単独で安定に形質転換したコロニーからの全RNA/ssDNA。レーン(5)、陽性コントロール鋳型、プラスミドpTest。
【図13】本発明に従って構築されたプラスミドpTeloで形質転換したHeLa細胞系の抽出物からの一本鎖DNAのPCR増幅を示すゲルである。RNA/ssDNA標本をトランスフェクション後36時間に、トランスフェクションされた細胞培地から収穫し、そして予期したssDNA産物に特異的なプライマーを用いるPCR反応における鋳型として用いた。25bpレーンマーカーを用いた。HeLa細胞系A12からの単離を有すレーン1−5、(1)全RNA/ssDNA画分、(2)S1ヌクレアーゼで処理した全RNA、(3)RNAse Aで処理した全RNA、(4)陰性コントロール、(5)陽性コントロールテロメアRNAプラスミド。レーン6−9:B12細胞系からの単離したRNA、(6)全RNA/ssDNA画分、(7)S1ヌクレアーゼで処理した全RNA、(8)RNAse Aで処理した全RNA、(9)陰性コントロール、(10)陽性コントロールテロメアRNAプラスミド。レーン11−12、反復配列陰性コントロール。45V、20分間における8%アクリルアミドゲル。
【図14】sscDNA転写の未成熟トランケイションおよびin vitro逆転写酵素反応による読み過ごし産物を示すゲルである。レーン1−5は、本発明に従って構築したステム−ループ構造を有すプラスミド構築体およびループ領域内でクローン化した種々の興味ある配列を表わす。標準条件下におけるT7RNAポリメラーゼでのin vitro転写によりRNA鋳型を産生した後、DNAseで処理してプラスミド鋳型を除去した。それから、フェノール/クロロホルム抽出したRNAプールをマウスモロニー逆転写酵素で逆転写し、RNAse Aで15分間処理し、そして45V、30分間における6%アクリルアミドゲル上で分離した。境界線に25bpマーカー。(1)本発明に従って構築した原プラスミドpssDNA―エクスプレス−Bからの10μlRT反応、 (2)本発明に従って構築した原プラスミドpTestからの10μlRT反応、(3)本発明に従って構築した原プラスミドpTeloからの10μlRT反応、(4)陰性コントロールプラスミドpcDNA−Zeo(Invitrogen社)、(5)3μl反復配列pssDNA―エクスプレス−B。
【図15】本発明に従って構築されたアンチセンス産生ベクターのノーザンブロットを示すが、このベクターはc−rafキナーゼ(図10B)に対するアンチセンス配列を産生しかつその配列を含むプラスミドpssDNA―エクスプレス−C(図9)をin vitroで肺がん細胞系中にトランスフェクションした後の“10−23DNA酵素”含む。
Claims (87)
- 細胞へ送達のためベクター中への取り込みに適応させた遺伝子要素のセットであって、
逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位によりフランキングされた興味ある配列より成るカセット;ならびに
逆転写酵素をコード化する遺伝子より成る、セット - 該逆転写酵素/RNAase遺伝子がモロニーマウス白血病ウイルスもしくはヒト免疫不全症ウイルスからの逆転写酵素遺伝子より成る群より選択される、請求項1の遺伝子要素のセット。
- 加えて、該逆転写酵素遺伝子のための真核性プロモーターより成る、請求項1の遺伝子要素のセット。
- 加えて、該興味ある配列のための真核性プロモーターより成る、請求項1の遺伝子要素のセット。
- 該興味ある配列のためのプロモーターが構成的、誘導的、広範囲、もしくは組織特異的プロモーターより成るプロモーターの群より選択される、請求項3もしくは4に従う遺伝子要素のセット。
- 加えて、PBSおよび該カセットの逆方向縦列型反復配列の間で第二の興味ある配列より成る、請求項1〜4のどれかに従う遺伝子要素のセット。
- 細胞の核において逆転写酵素遺伝子および興味ある配列を転写しならびに逆転写酵素遺伝子により産生される逆転写酵素で、興味ある配列のmRNA転写体をcDNAに逆転写する工程より成る、興味ある配列を有する一本鎖DNAを産生する方法。
- 加えて、興味ある配列の転写体を線状化することより成る、請求項7の方法。
- 興味ある配列の転写体が、興味ある配列中において制限エンドヌクレアーゼ部位を規定する逆方向縦列型反復配列を含み、その興味ある配列の転写体が逆方向縦列型反復配列のワトソン−クリック型塩基対によりステム−ループ中間体を形成し、そしてそのステム−ループ中間体を制限エンドヌクレアーゼでカットすることにより線状化される、請求項8の方法。
- 加えて、逆転写酵素遺伝子の転写を誘導的に促進することより成る、請求項7の方法。
- 逆転写酵素遺伝子の転写が真核性プロモーターで促進される、請求項10の方法。
- 興味ある配列、この興味ある配列は逆方向縦列型反復配列によりよりフランキングされ、そして3’下流プライマー結合部位より成る、cDNAを産生するためのmRNA核酸転写体。
- 加えて、逆方向縦列型反復配列の間でDNA酵素より成る、請求項12のmRNA核酸転写体。
- 加えて、プライマー結合部位の間でかつ逆方向縦列型反復配列に3’で第二の興味ある配列より成る、請求項12のmRNA核酸転写体。
- 細胞中に送達のための核酸構成体であって、
逆方向縦列型反復配列、
逆方向縦列型反復配列に関して、3’位に位置する逆転写酵素のためのプライマー結合部位、および
逆方向縦列型反復配列の間、もしくは逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間のどちらかに位置する興味ある配列より成る、核酸構成体。 - 興味ある配列が、逆方向縦列型反復配列の間に位置する、請求項15に従う核酸構成体。
- 逆方向縦列型反復配列が、ループ中での該興味ある配列およびステムを形成する該逆方向縦列型反復配列とともにステム−ループ中間体を形成する能力がある、請求項16に従う核酸配列。
- 逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間に位置する第二の興味ある配列より成る、請求項16もしくは17に従う核酸構成体。
- 逆方向縦列型反復配列が一つもしくはそれ以上の特異的酵素認識配列(類)より成る、請求項16から18のどれか一つに従う核酸構成体。
- この特異的酵素認識配列が制限エンドヌクレアーゼ部位より成る、請求項19に従う核酸構成体。
- 更に、制限エンドヌクレアーゼをコード化する遺伝子より成る、請求項20に従う核酸構成体。
- 制限エンドヌクレアーゼ遺伝子が逆方向縦列型反復配列に関して5’位に位置する、請求項21に従う核酸構成体。
- 特異的酵素認識配列がHindIIIおよびNotI、HindIII、もしくはNotI制限部位のどちらかを含む、請求項19から21のどれかに従う核酸構成体。
- 特異的酵素認識配列が、制限エンドヌクレアーゼI型、エンドヌクレアーゼII型、エンドヌクレアーゼIII型、真核性受容体認識、原核性受容体認識、プロモーター、プロモーター/エンハンサーおよびT−懸垂PCR部位、ならびにそれらの組み合わせより成る群から選択される、請求項19から22のどれか一つに従う核酸構成体。
- 興味ある配列が逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間に位置する、請求項15に従う核酸構成体。
- 逆方向縦列型反復配列が安定ステム−ループ、不安定ステム−ループ、中間的な安定性のステム−ループを形成する能力がある、請求項18もしくは25に従う核酸構成体。
- 逆方向縦列型反復配列が、一つもしくはそれ以上の真核性、原核性、および/もしくはウイルス性タンパク質DNA結合部位より成る、請求項15から26のどれか一つに従う核酸構成体。
- 逆方向縦列型反復配列が、シス−配向様式で作用する、先行請求項のどれか一つに従う核酸構成体。
- プライマー結合部位が、内因性逆転写酵素に特異的である、先行請求項のどれか一つに従う核酸構成体。
- 更に、逆転写酵素をコード化する遺伝子より成る、先行請求項のどれか一つに従う核酸構成体。
- 逆転写酵素遺伝子が逆方向縦列型反復配列に関して5’位に位置する、請求項30に従う核酸構成体。
- 更に、逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子より成る、請求項15から28のどれか一つに従う核酸構成体。
- 逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子が逆方向縦列型反復配列に関して5’位に位置する、請求項32に従う核酸構成体。
- 逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子がモロニーマウス白血病ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス、もしくはサル免疫不全症ウイルスからのものである、請求項32もしくは33に従う核酸構成体。
- プライマー結合部位が逆転写酵素もしくは逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質遺伝子によりコード化される逆転写酵素に特異的である、請求項30から34のどれか一つに従う核酸構成体。
- 更に、プロモーターおよび、オプションとして、該第一もしくは第二の興味ある配列、該制限エンドヌクレアーゼ、該逆転写酵素および/もしくは該逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質遺伝子の各々に対するエンハンサーより成る、先行請求項のどれか一つに従う核酸構成体。
- プロモーター/エンハンサーが真核性プロモーター/エンハンサーである、請求項36に従う核酸構成体。
- プロモーターが構成的、誘導的、広範囲もしくは組織特異的プロモーターである、請求項36もしくは37に従う核酸構成体。
- 更に、3’プライマー結合部位に関して3’位に位置するポリアデニル化テール配列より成る、先行請求項のどれか一つに従う核酸構成体。
- 第一もしくは第二の興味ある配列が酵素活性を有するssDNAをコード化する配列を含む、先行請求項のどれか一つに従う核酸構成体。
- 第一もしくは第二の興味ある配列が、標的mRNA種に相補的な一つもしくはそれ以上の配列(類)により5’および3’方向の両方にフランキングされた、配列5’−GGCTAGCTACAACGA−3’を含む、請求項40に従う核酸構成体。
- 標的mRNA種が、
(i) h−ras、
(ii) c−rafキナーゼ、
(iii) 血管新生因子プレイオトロフィン、もしくは
(iv) サル免疫不全症ウイルス(SIV)のtat領域に対する、請求項41に従う核酸構成体。 - 3’プライマー結合部位が転移RNA(tRNA)に相補的である、先行請求項のどれか一つに従う核酸構成体。
- 核酸がDNAである、先行請求項のどれか一つに従う核酸構成体。
- 請求項44のDNAのmRNA転写体。
- 逆方向縦列型反復配列によりフランキングされた興味ある配列より成り、そして更に逆方向縦列型反復配列の3’に位置するプライマー結合部位より成る、mRNA転写体。
- 逆方向縦列型反復配列、逆方向縦列型反復配列の3’に位置するプライマー結合部位、ならびに逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間に位置する興味ある配列よりより成る、mRNA転写体。
- 逆方向縦列型反復配列によりフランキングされた第一の興味ある配列、逆方向縦列型反復配列に関して3’に位置するプライマー結合部位、ならびに逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間にある第二の興味ある配列よりより成る、mRNA転写体。
- 請求項45から48のどれか一つのmRNAのssDNA転写体。
- 請求項15から44のどれか一つの核酸構成体より成る、ベクター。
- 逆方向縦列型反復配列、
逆方向縦列型反復配列に関して3’に位置する逆転写酵素のためのプライマー結合部位、ならびに
逆方向縦列型反復配列の間、もしくは逆方向縦列型反復配列およびプライマー結合部位の間にある興味ある配列のための挿入部位より成る、ベクター。 - 逆方向縦列型反復配列の間にある第一の挿入部位ならびに逆方向縦列型反復配列および3’プライマー結合部位の間にある第二の挿入部位より成る、請求項51に従うベクター。
- 更に、逆転写酵素をコード化する遺伝子より成る、請求項51もしくは52に従うベクター。
- 更に、逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子より成る、請求項51もしくは52に従うベクター。
- 逆転写酵素もしくは逆転写酵素/RNase Hポリタンパク質遺伝子が逆方向縦列型反復配列に関して5’位に位置する、請求項53もしくは54に従うベクター。
- 請求項51もしくは52に従う第一のベクター、および逆転写酵素をコード化する遺伝子より成る第二のベクターより成る、ベクターシステム。
- ベクターがプラスミドもしくは修飾したウイルス性構成体である、請求項51から56のどれか一つに従うベクターもしくはベクターシステム。
- 遺伝子が発現制御配列に操作的に連結している、請求項51から57のどれか一つに従うベクターもしくはベクターシステム。
- 請求項51から58のどれか一つに従うベクターもしくはベクターシステムで安定に形質転換されるかもしくはトランスフェクションされた宿主。
- 真核細胞である、請求項59に従う宿主。
- 細菌細胞である、請求項59に従う宿主。
- そのキットが請求項51から58のどれか一つに従うベクターもしくはベクターシステムおよび各々の挿入部位のための制限エンドヌクレアーゼより成る、一本鎖核酸配列を産生するキット。
- そのキットが請求項51から58のどれか一つに従うベクターもしくはベクターシステム、そのベクター/ベクターシステムのための容器およびそのベクター/ベクターシステムの使用のための指図書より成る、一本鎖核酸配列を産生するキット。
- その方法が請求項15から44のどれか一つに従う核酸構成体を標的細胞中に導入し、この核酸構成体をmRNA中に転写し、およびこのmRNAをcDNA中に逆転写する工程より成る、興味ある配列を有する一本鎖核酸配列を産生するin vivoもしくはin vitroの方法。
- 更に、mRNAの逆転写により生成するmRNA/cDNAヘテロ二重らせんからmRNA転写体を除去する工程より成る、請求項64に従う方法。
- 逆転写を標的細胞に内因性である逆転写酵素により実施する、請求項64もしくは65に従う方法。
- 更に、逆転写酵素逆転写をコード化する遺伝子を標的細胞中に導入する工程より成る、請求項64もしくは65に従う方法。
- 更に、逆転写酵素逆転写/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子を標的細胞中に導入する工程より成る、請求項64もしくは65に従う方法。
- 更に、逆方向縦列型反復配列により形成するcDNAステム−ループ構造を、ループ構造がステムに結合するところでカットすることにより興味ある配列のcDNA転写体を線状化する工程より成る、請求項64から68のどれか一つに従う方法。
- 更に、制限エンドヌクレアーゼをコード化する遺伝子を標的細胞中に導入する工程より成る、請求項69に従う方法。
- 更に、プロリンに富むリンカーを経由して制限エンドヌクレアーゼに連鎖する逆転写酵素逆転写/RNase Hポリタンパク質をコード化する遺伝子を標的細胞中に導入する工程より成る、請求項69に従う方法。
- 更に、標的細胞のために、mRNAの逆転写、mRNA/cDNAヘテロ二重らせんおよび/もしくは一本鎖cDNAを単離する工程より成る、請求項64から71のどれか一つに従う方法。
- 請求項64から72のどれか一つの方法により産生する一本鎖cDNA。
- 請求項64から72のどれか一つの方法により産生する阻害性核酸。
- アンチセンスもしくはアプタマーである、配列請求項74に従う阻害性核酸分子。
- 請求項64から72のどれか一つの方法により産生する、酵素活性を有する一本鎖cDNA。
- 請求項64から72のどれか一つの方法により産生するmRNA転写体。
- 請求項64から72のどれか一つの方法により産生するヘテロ二重らせん分子。
- 薬理学的に許容されるアジュバント、賦形剤もしくは担体と共に、請求項15から44のどれか一つに従う核酸構成体より成る、医薬組成物。
- 薬理学的に許容されるアジュバント、賦形剤もしくは担体と共に、請求項51から58のどれか一つに従うベクターもしくはベクターシステムより成る、医薬組成物。
- 薬理学的に許容されるアジュバント、賦形剤もしくは担体と共に、請求項59から61のどれか一つに従う宿主細胞より成る、医薬組成物。
- 治療に使用するために、特に阻害性核酸分子を標的細胞に送達するのに使用するために、請求項15から44のどれか一つに従う核酸構成体。
- 治療に使用するために、特に阻害性核酸分子を標的細胞に送達するのに使用するために、請求項51から58のどれか一つに従うベクターもしくはベクターシステム。
- 治療に使用するために、特に阻害性核酸分子を標的細胞に送達するのに使用するために、請求項59から61のどれか一つに従う宿主細胞。
- 遺伝子発現を調節することにより病的状態を軽減するための、特に阻害性核酸分子を標的細胞に送達することにより病的状態を軽減するための薬剤を製造するために、請求項15から44のどれか一つに従う核酸構成体の使用。
- 遺伝子発現を調節することにより病的状態を軽減するための、特に阻害性核酸分子を標的細胞に送達することにより病的状態を軽減するための薬剤を製造するために、請求項51から58のどれか一つに従うベクターもしくはベクターシステムの使用。
- 遺伝子発現を調節することにより病的状態を軽減するための、特に阻害性核酸分子を標的細胞に送達することにより病的状態を軽減するための薬剤を製造するために、請求項59から61のどれか一つに従う宿主細胞の使用。
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