JP2004502790A - コーク沈積物の緩和およびガス化 - Google Patents
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Abstract
反応体ガス、好ましくは水蒸気および触媒を用いた製油所反応器装置におけるコーク沈積物の除去または減少方法を提供する。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
【0001】
発明の分野
本発明の好ましい実施態様は、フルードコーカーのサイクロンの中、および/またはそれに付随する表面、例えばストリッパーシェッド上へのコーク沈積物を除去または減少させるための接触ガス化方法に関する。
【0002】
発明の背景
流動床コーキング(フルードコーキング)は、重質石油留分の混合物、典型的には分留装置からの蒸留不能な残渣(残油)が、高い反応温度、一般的には約900〜1,100°F(約480〜590℃)における熱分解(コーキング)によって、より軽質かつ有用な生成物に転化される石油精製プロセスである。コーク粒子が反応温度に維持されている大型容器は、水蒸気で流動化される。原料は、ポンプ移送可能な温度まで加熱され、噴霧水蒸気と混合され、複数の供給ノズルから流動床反応器に供給される。コーキング反応の軽質炭化水素生成物は、気化され、流動化水蒸気と混合され、上向きに流動床を通って、コーク粒子の濃厚流動床より上の希薄相域中に入る。生成物蒸気が実質的に固体粒子から分離される、濃厚床(濃厚相域)と希薄相との間の転移は、以後、相転移域と呼ばれる。原料液体の残りの部分は、コーク粒子を被覆し、その後、固体コーク層と、ガスまたは気化液体として放出する軽質な生成物の層とに分解される。この固体コークは、主として炭素から構成されており、より少量の水素、硫黄、窒素、およびごく僅かな量のバナジウム、ニッケル、鉄、およびその他の元素を有する。流動化されたコークは、バーナーを通って循環され、ここでコークの一部が空気と共に燃焼され、温度を約900°Fから約1300°F(約480〜704℃)まで上昇させ、流動床反応域まで戻る。
【0003】
気化炭化水素生成物と水蒸気との混合物は、希薄相を通って1秒あたり約3〜6フィート(1秒あたり約1〜2メートル)の空塔速度で、いくらかの細かい固体粒子を同伴しつつ上向きに流れ続ける。同伴された固体の大部分は、1つ以上のサイクロン分離器において遠心力によって気相から分離され、重力によって濃厚流動床に戻される。気相は、サイクロン分離器を通過する時、主として速度が増加する入口および出口通路において、圧力降下および冷却を受ける。圧力減少を伴う冷却は、サイクロンの入口および出口の表面に沈積するいくらかの液体の濃縮を引き起こす。このようにして濃縮されて沈積した液体の温度は、約900°F(約480℃)よりも高く、そこでコーキング反応が発生し、コークの固体沈積物が残される。コーク沈積物は、反応器ストリッパーシェッドおよびフルードコーカー反応器の他の表面上にも形成される。
【0004】
水蒸気と炭化水素蒸気との混合物は、その後サイクロン出口から排出され、接触を容易にするために内部シェッドを備えたフルードコーカーのスクラバー容器セクションにおける下降流液体との接触によって、約750°F(約400℃)まで急冷される。パンパラウンドループは、濃縮液体を外部冷却手段に循環し、スクラバーシェッドの最上列に戻して、液体生成物の最も重質な留分を急冷および濃縮するために冷却させる。この重質留分は、典型的には流動床反応域へ戻すことによって再循環されて消滅するが、スクラバー容器底部のプールの中およびパンパラウンドループに数時間存在し、高温でコークがシェッド表面上に形成して沈積する時間を許してもよい。
【0005】
原料は、ノズルを通って噴霧水蒸気と共に流動床反応器の中に注入される。直ちに気化されなかった原料成分は、コーク粒子を被覆し、その後固体コーク層およびガスまたは気化液体として放出する軽質生成物の層に分解される。この転化プロセスの間に、いくらかのコーク粒子は、不均一に、あるいはあまりにも過度に原料で被覆されるようになり、ほかのコーク粒子との衝突中に互いに粘着することがある。集塊して今やさらに重くなったこれらのコーク粒子は、ストリッパーセクションの底部に注入された水蒸気によって効率的に流動化されず、その後反応器セクションから下のストリッパーセクションへ運ばれ、ストリッパーセクション内のシェッドの最上列に接着し、その上に沈積する。ストリッパーシェッド上への沈積物の形成は、隣接シェッド上への沈積物の重なり合いによって、前記反応器セクションにおけるコークの流動化を制限し、ついには装置を停止させるほど非常に過酷になる。
【0006】
フルードコーカーにおけるサイクロン出口およびストリッパーシェッドの汚れは、結果として処理量の減少、ついには装置の運転停止を生じる。どちらの結果であっても製油所にとって非常に費用がかかる。沈積物は時々、金属ロッドおよび高圧での水噴射を用いてサイクロンの出口から除去され、サイクロンの出口区域を機械的に清浄化し、装置の運転が続行される。この方法の効果は、一時的であり予測不可能である。コークの厚い断片は、サイクロン本体の中に再び落ちて、サイクロンの運転を妨げることがある。コーク沈積物は、反応器ストリッパーシェッドおよび汚れを生じるフルードコーカーの他の区域からも除去されなければならない。
【0007】
この技術において必要とされるものは、フルードコーカーサイクロンおよびそれに付随する表面における有害なコーク沈積物を除去または減少させて、処理量の減少および費用のかかる運転停止を防ぐための、効率的で予測可能な効果的方法である。
【0008】
発明の概要
本発明の好ましい実施態様は、フルードコーカー装置において、該装置の運転中に形成されたコーク沈積物の接触除去または減少に関する。この方法は、フルードコーカー装置に特に有用であるが、コーク沈積が発生するあらゆる装置、例えば流動接触分解装置(FCCU)にも広く用いることができる。必要なことは、コーク沈積物が反応体ガスに接近可能であること、およびこの系の冶金学的性質(metallurgy)が、接触ガス化温度と適合することだけである。
【0009】
本発明の実施態様は、製油所反応器装置におけるコーク沈積物を除去または減少させる方法であって、(a)前記装置への炭化水素供給を任意に停止すること、(b)コークを水素と一酸化炭素とを含む気体生成物へ転化するのに効果的な触媒で、前記コーク沈積物を被覆するか、含浸させること、(c)前記コーク沈積物と実質的に水蒸気を含む反応体ガスとを、実質的に酸素の不存在下に少なくとも約500℃の温度において、前記コーク沈積物の一部分を、実質的に一酸化炭素と水素からなる気体生成物に転化するのに十分な時間接触させることによって、前記コーク沈積物を接触的にガス化することを含む方法に関する。
【0010】
流動化製油所装置において、コークの流動化は、前記接触ガス化の間維持されてもよい。原料および/または流動化水蒸気の流量を一時的に減少させる必要もありうる。当業者なら、この装置の運転条件に基づいて、この流量が減少するのであれば、どれくらい減少されるべきかを容易に決定することができる。本プロセスにおいて用いられている水蒸気に加えて、実質的に水蒸気を含んでいる反応体ガスが、この装置を流動化させるために添加されてもよい。この流動化水蒸気は、十分に高い温度でなければコーク沈積物を減少または除去することはできない。流動化水蒸気の温度を、ここに記載されている温度(少なくとも約500℃)まで高めることができるならば、その場合には流動化水蒸気が、ガス化蒸気として用いられてもよい。
【0011】
ここで、実質的に水蒸気を含んでいるとは、少なくとも99容量%の水蒸気を意味する。実質的に酸素の不存在下とは、1容量%未満の酸素を意味する。実質的に一酸化炭素と水素からなるとは、燃焼からの水蒸気、二酸化炭素、および酸素を除く気体生成物を意味しており、コークから分解された軽質炭化水素生成物は、少なくとも90容量%の組合わされた一酸化炭素と水素とを含むであろう。
【0012】
発明の詳細な説明
フルードコーカーの運転中、コークは、サイクロンのいくつかの区域およびストリッパーやスクラバーシェッドの上にも置き去られる。例えば、サイクロンの出口およびストリッパーおよびスクラバーシェッドのような区域は、ストリッパーシェッド上に沈積したコークが流れを制限して、反応器セクションにおける流動化の損失および系の運転停止を引き起こすことがあるので、特に心配である。同様にサイクロン出口も塞がれ、運転停止が必要になることがある。
【0013】
本方法は、反応体ガスおよび触媒に接近可能な装置の区域すべてにおいて、沈積したコークのレベルを低下させる方法を提供する。触媒は、水溶液または炭化水素溶液として導入されてもよい。水または炭化水素の蒸発の時、触媒がコーク上に沈積されるか、その中に含浸される。触媒溶液は、注入口を備え、ランシング装置、ノズル等を通って導入されうる。注入口、またはコーク沈積物を有する区域に反応体ガスを運ぶための手段を備えたサイクロンについては、反応体ガスは、コーク沈積物の接触除去を行う所望の温度において、これら入口、または反応体ガスをコーク沈積物に運ぶ手段の中に注入されるだけでよい。あるいは反応体ガスは、1つの管をサイクロン筒口の中に挿入し、この管から反応体ガスを導入して注入されてもよい。実質的に一酸化炭素と水素からなる気体生成物に転化されたガス化コークは、ついでガス掃引によって除去される。ガス化コーク生成物を掃引して除去するためには、フルードコーカープロセスに悪い影響を与えないあらゆる掃引ガスを用いることができる。好ましくは水蒸気が用いられる。このようなガスには、窒素、アルゴン、または他の不活性ガス、一酸化炭素、天然ガス、およびこれらの混合物が含まれ、これらは当業者によって容易に選択される。
【0014】
この方法の実施態様は、より長い運転時間を容易に得るため、および処理量を維持するために、フルードコーカーに形成されるコークス沈積物を減少させる費用効果の高い効率的な方法を提供する。反応体ガスが注入されて、コークス沈積物と接触しうるコーカーのあらゆる区域であって、サイクロン本体、サイクロン入口、ガス出口管、ストリッパーシェッド、スクラバーシェッド、および閉塞が発生する区域を含むすべての区域において、コークス沈積物の効果的減少が達成される。例えばサイクロン出口および反応器ストリッパーシェッドのような区域は、有意なコークス減少が得られる。これらのコークス沈積物は、ここに記載されている接触ガス化方法を用いて、フルードコーカー装置のあらゆる表面から減少させるか除去することができる。必要なことは、その上に触媒が被覆されているか、その中に含浸されている沈積物と反応体ガスを接触しうること、および反応体ガスの温度が、処理されているこの装置および装置要素の冶金学的性質と適合しうることだけである。当業者なら、コークスの除去とは対照的にコークスを減少させる時には、適合性によって、ガス化の間に異なる温度の反応体ガスを適応させうることが容易に理解できるであろう。これは、コークス沈積物の減少中に、コークスの表面層がガス化されつつある間、下部層が処理されている金属表面の絶縁体として作用するからである。したがって、コークス沈積物の外側層が除去されつつあれば、コークス沈積物を完全にガス化する場合よりも高い温度の反応体ガスを用いることができるであろう。当業者なら、コークス沈積物を除去するために処理されている表面の冶金学的性質と適合し、かつ所望のコークス沈積物のガス化を達成する反応体ガスの温度を容易に決定することができる。必要なことは、反応体ガスの温度が、この系の冶金学的性質と適合する温度において接触ガス化反応を発生させるのに十分なことだけである。
【0015】
コーク沈積物の接触除去または減少を実施する前に、これらの沈積物は、コーク除去または減少を促すのに効果的な触媒で被覆または含浸される。このような触媒には、アルコキシル化および非アルコキシル化セリウム、チタンおよびジルコニウム酸化物;鉛、コバルト、バナジウム、および銀酸化物;アルカリおよびアルカリ土類金属炭酸塩および水酸化物;第VIII族遷移金属酸化物;混合セシウムおよびバナジウム酸化物−塩化カリウム(CsVO3+KCl)、カリウムバナジウム酸化物−塩化カリウム(KVO+KCl)、Cu−K−V−Cl触媒、およびこれらの混合物が含まれる。ここで、コーク減少とは、存在するコーク量の減少を意味しており、コークが化学的に還元されることを意味するわけではない。
【0016】
用いられる触媒の濃度は、コークの表面積に応じ、したがってコークの量を基準にして0.01〜100重量%、好ましくは約0.01〜10重量%、より好ましくは約0.01〜5重量%、最も好ましくは約0.01〜1重量%であってもよい。コークの接触除去または減少が進行するにつれて、追加の表面積がつくり出されるであろう。
【0017】
ここで教示されている接触ガス化は、反応体ガスを、少なくとも約500℃〜約700℃、好ましくは少なくとも約510℃〜600℃、最も好ましくは少なくとも約530℃〜600℃の温度でコーク沈積物と接触させるように装置の中に単に注入することを含んでいる。このような温度において、水蒸気は、コーク沈積物を一酸化炭素と水素とに容易に転化する。少量の二酸化炭素および水も同様に、反応の間に酸素が存在するならば、燃焼メカニズムを介して生成されることがある。さらには、このような低い温度において、接触除去または減少方法は、あらゆる種類の製油所装置の冶金学的性質と適合性がある方がよい。当業者なら、コーク沈積物の表面は、ガス化が発生するためには前記温度まで加熱されなければならないことが分かるであろう。ガス化が起こる速度は、コークの密度および表面積、および活性部位の数に依るであろう。しかしながら、ガス化によるコーク減少は、この装置およびサイクロンが所望のレベルで作動しうるレベルにコーク沈積物が減少されるまで続行されてもよい。このことは当業者なら、コーク沈積物がむき出しの金属表面になるまで除去されなくてもよいことが分かるであろう。好ましくは、ガス化は、サイクロンの処理量がもとの状態に回復され、ストリッパーシェッドの上部列上のコーク沈積物がガス化されるまで続行される。接触除去または減少の間、大気圧を用いることが好ましい。しかしながら圧力は、運転の容易さ、例えば流動化を維持するのに必要とされる水蒸気圧、沈積物の位置等に依るであろう。
【0018】
ここで用いられている反応体ガスは、実質的には水蒸気から構成されているが、少量の酸素、空気、二酸化炭素、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。ほんの僅かな酸素を使用すれば、吸熱ガス化プロセスのために、局部的な熱を与え、コークの一部を消費し、これによってガス化を加速する。酸素の量は、0〜1容量%、好ましくは1容量%未満であり、最も好ましくは、この反応は酸素の不存在下に実施される。特に酸素が存在する時、コーク沈積物の急速すぎる除去、およびホットスポットまたは無制御反応の発生を避けるように注意を払わなければならない。酸素含有ガスは、ほかの不活性ガスと混合された空気から選択されてもよい。不活性とは、製油所反応器において不活性なガス、例えば窒素を意味する。
【0019】
当業者なら、サイクロンを出た炭化水素ガスを洗浄するスクラバーから、フルードコーカー生成物を急冷するために用いられる炭化水素液体が排出されてもよいことが分かるであろう。これが望ましいのは、いかなる炭化水素液体の残留も、コーク含有触媒と反応体ガスとの接触を妨げることがあるためである。
【0020】
ストリッパーシェッド上のコークをガス化する前に、この装置から流動コークを排出することが好ましいであろう。
【0021】
本発明の利用において、ガス化は、好ましくはサイクロンの処理量を維持または回復するのに必要な時間および温度で実施される。有利には、反応体ガスは、2〜4ヶ月毎に約2〜4時間の短時期間注入されてもよい。反応体ガスが、沈積されたコークのレベル、および望まれるサイクロンの処理量に応じて、より長い時間またはより短い時間注入されてもよい。一般的には大気圧が用いられる。しかしながら特別な圧力が要求されるわけではない。ガス化は、流動化、循環、圧力、および温度が正常な運転条件に維持されている間に実施できる。しかしながら所望であれば、コーカー運転は、ガス化を実施している間停止させることもできる。
【0022】
コーク沈積物が一般的には水噴射でランスされる既存の装置においては、ガス化用の反応体ガスが、ランス口から注入されてもよい。既存装置は、床の流動化用の水蒸気口も備えているので、既存口は、ガス化を実施するために、ここに記載されている適切な温度の反応体ガスにも用いることができる。あるいは、新しい入口を既存装置に付加してもよい。新たに建設された装置の場合、反応体ガス口は、反応体ガスが一般的にコーク沈積を受ける表面、特にサイクロンおよび反応器ストリッパーシェッドと接触する時に注入されうるように、これらの装置の中に設計されてもよい。さらには新たに設計された装置の冶金学的性質は、より高温の反応体ガスを適応させるように選択しうる。
【0023】
望ましくは、90%の非制限圧力降下が得られるであろう。熟練した実務家なら、装置を望ましいレベルで運転させるのに十分なほどにコークが、いつガス化されたかを容易に決定することができる。
【0024】
下記の実施例は、例証的なものであり、まったく限定的なものではない。
【0025】
実施例1
等量のK2CO3とフルードコーカー装置ストリッパーシェッド沈積物とを混合して、サンプルを調製した。このサンプルを、熱重量分析(TGA)装置のサンプルホルダーの中に入れた。窒素流中において1気圧の圧力で、サンプル温度を、1分あたり10℃の加熱速度で、室温から表1に示された反応温度まで上昇させた。このガス流が、1気圧で反応温度に達した時に空気と切替える。サンプル温度を一定に保持し、減量を時間の関数として記録した。表に示されているように、500℃においてフルードコーカー沈積物サンプルの約44重量%が、5分後に失われた。ついで同じ実施例を、水蒸気および1容積%の酸素を含む水蒸気を用いて繰返した。
【0026】
【表1】
【0027】
表から分かるように、触媒と組合わされた水蒸気、および触媒と共に少量の酸素を含む水蒸気が、コークのガス化を達成する。これによって、コーク沈積物の空気または酸素燃焼を上回る利点が得られるが、それは、追加量の酸素の存在が、無制御反応を引き起こすことがあり、貴重な水素と一酸化炭素が、二酸化炭素および水に代わる生成物として生成されるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、典型的な流体コーキング装置を示している。Aはスクラバーシェッドであり、Bはサイクロン出口であり、C、D、およびEは、それぞれ濃厚相反応域、相転移域、および希薄相反応域である。E1、E2、E3、E4は、原料注入口であり、Fはストリッパーシェッドである。
【図2】
図2は、典型的なFCCUを示している。A=煙道ガス出口、B=再生器、C=空気注入、D=再生された触媒立て管、E=使用済み触媒立て管、F=原料、G=ストリッパー、H=サイクロン分離器、I=プレナム、J=生成物蒸気出口、K=希薄相域、およびL=濃厚相反応域である。
発明の分野
本発明の好ましい実施態様は、フルードコーカーのサイクロンの中、および/またはそれに付随する表面、例えばストリッパーシェッド上へのコーク沈積物を除去または減少させるための接触ガス化方法に関する。
【0002】
発明の背景
流動床コーキング(フルードコーキング)は、重質石油留分の混合物、典型的には分留装置からの蒸留不能な残渣(残油)が、高い反応温度、一般的には約900〜1,100°F(約480〜590℃)における熱分解(コーキング)によって、より軽質かつ有用な生成物に転化される石油精製プロセスである。コーク粒子が反応温度に維持されている大型容器は、水蒸気で流動化される。原料は、ポンプ移送可能な温度まで加熱され、噴霧水蒸気と混合され、複数の供給ノズルから流動床反応器に供給される。コーキング反応の軽質炭化水素生成物は、気化され、流動化水蒸気と混合され、上向きに流動床を通って、コーク粒子の濃厚流動床より上の希薄相域中に入る。生成物蒸気が実質的に固体粒子から分離される、濃厚床(濃厚相域)と希薄相との間の転移は、以後、相転移域と呼ばれる。原料液体の残りの部分は、コーク粒子を被覆し、その後、固体コーク層と、ガスまたは気化液体として放出する軽質な生成物の層とに分解される。この固体コークは、主として炭素から構成されており、より少量の水素、硫黄、窒素、およびごく僅かな量のバナジウム、ニッケル、鉄、およびその他の元素を有する。流動化されたコークは、バーナーを通って循環され、ここでコークの一部が空気と共に燃焼され、温度を約900°Fから約1300°F(約480〜704℃)まで上昇させ、流動床反応域まで戻る。
【0003】
気化炭化水素生成物と水蒸気との混合物は、希薄相を通って1秒あたり約3〜6フィート(1秒あたり約1〜2メートル)の空塔速度で、いくらかの細かい固体粒子を同伴しつつ上向きに流れ続ける。同伴された固体の大部分は、1つ以上のサイクロン分離器において遠心力によって気相から分離され、重力によって濃厚流動床に戻される。気相は、サイクロン分離器を通過する時、主として速度が増加する入口および出口通路において、圧力降下および冷却を受ける。圧力減少を伴う冷却は、サイクロンの入口および出口の表面に沈積するいくらかの液体の濃縮を引き起こす。このようにして濃縮されて沈積した液体の温度は、約900°F(約480℃)よりも高く、そこでコーキング反応が発生し、コークの固体沈積物が残される。コーク沈積物は、反応器ストリッパーシェッドおよびフルードコーカー反応器の他の表面上にも形成される。
【0004】
水蒸気と炭化水素蒸気との混合物は、その後サイクロン出口から排出され、接触を容易にするために内部シェッドを備えたフルードコーカーのスクラバー容器セクションにおける下降流液体との接触によって、約750°F(約400℃)まで急冷される。パンパラウンドループは、濃縮液体を外部冷却手段に循環し、スクラバーシェッドの最上列に戻して、液体生成物の最も重質な留分を急冷および濃縮するために冷却させる。この重質留分は、典型的には流動床反応域へ戻すことによって再循環されて消滅するが、スクラバー容器底部のプールの中およびパンパラウンドループに数時間存在し、高温でコークがシェッド表面上に形成して沈積する時間を許してもよい。
【0005】
原料は、ノズルを通って噴霧水蒸気と共に流動床反応器の中に注入される。直ちに気化されなかった原料成分は、コーク粒子を被覆し、その後固体コーク層およびガスまたは気化液体として放出する軽質生成物の層に分解される。この転化プロセスの間に、いくらかのコーク粒子は、不均一に、あるいはあまりにも過度に原料で被覆されるようになり、ほかのコーク粒子との衝突中に互いに粘着することがある。集塊して今やさらに重くなったこれらのコーク粒子は、ストリッパーセクションの底部に注入された水蒸気によって効率的に流動化されず、その後反応器セクションから下のストリッパーセクションへ運ばれ、ストリッパーセクション内のシェッドの最上列に接着し、その上に沈積する。ストリッパーシェッド上への沈積物の形成は、隣接シェッド上への沈積物の重なり合いによって、前記反応器セクションにおけるコークの流動化を制限し、ついには装置を停止させるほど非常に過酷になる。
【0006】
フルードコーカーにおけるサイクロン出口およびストリッパーシェッドの汚れは、結果として処理量の減少、ついには装置の運転停止を生じる。どちらの結果であっても製油所にとって非常に費用がかかる。沈積物は時々、金属ロッドおよび高圧での水噴射を用いてサイクロンの出口から除去され、サイクロンの出口区域を機械的に清浄化し、装置の運転が続行される。この方法の効果は、一時的であり予測不可能である。コークの厚い断片は、サイクロン本体の中に再び落ちて、サイクロンの運転を妨げることがある。コーク沈積物は、反応器ストリッパーシェッドおよび汚れを生じるフルードコーカーの他の区域からも除去されなければならない。
【0007】
この技術において必要とされるものは、フルードコーカーサイクロンおよびそれに付随する表面における有害なコーク沈積物を除去または減少させて、処理量の減少および費用のかかる運転停止を防ぐための、効率的で予測可能な効果的方法である。
【0008】
発明の概要
本発明の好ましい実施態様は、フルードコーカー装置において、該装置の運転中に形成されたコーク沈積物の接触除去または減少に関する。この方法は、フルードコーカー装置に特に有用であるが、コーク沈積が発生するあらゆる装置、例えば流動接触分解装置(FCCU)にも広く用いることができる。必要なことは、コーク沈積物が反応体ガスに接近可能であること、およびこの系の冶金学的性質(metallurgy)が、接触ガス化温度と適合することだけである。
【0009】
本発明の実施態様は、製油所反応器装置におけるコーク沈積物を除去または減少させる方法であって、(a)前記装置への炭化水素供給を任意に停止すること、(b)コークを水素と一酸化炭素とを含む気体生成物へ転化するのに効果的な触媒で、前記コーク沈積物を被覆するか、含浸させること、(c)前記コーク沈積物と実質的に水蒸気を含む反応体ガスとを、実質的に酸素の不存在下に少なくとも約500℃の温度において、前記コーク沈積物の一部分を、実質的に一酸化炭素と水素からなる気体生成物に転化するのに十分な時間接触させることによって、前記コーク沈積物を接触的にガス化することを含む方法に関する。
【0010】
流動化製油所装置において、コークの流動化は、前記接触ガス化の間維持されてもよい。原料および/または流動化水蒸気の流量を一時的に減少させる必要もありうる。当業者なら、この装置の運転条件に基づいて、この流量が減少するのであれば、どれくらい減少されるべきかを容易に決定することができる。本プロセスにおいて用いられている水蒸気に加えて、実質的に水蒸気を含んでいる反応体ガスが、この装置を流動化させるために添加されてもよい。この流動化水蒸気は、十分に高い温度でなければコーク沈積物を減少または除去することはできない。流動化水蒸気の温度を、ここに記載されている温度(少なくとも約500℃)まで高めることができるならば、その場合には流動化水蒸気が、ガス化蒸気として用いられてもよい。
【0011】
ここで、実質的に水蒸気を含んでいるとは、少なくとも99容量%の水蒸気を意味する。実質的に酸素の不存在下とは、1容量%未満の酸素を意味する。実質的に一酸化炭素と水素からなるとは、燃焼からの水蒸気、二酸化炭素、および酸素を除く気体生成物を意味しており、コークから分解された軽質炭化水素生成物は、少なくとも90容量%の組合わされた一酸化炭素と水素とを含むであろう。
【0012】
発明の詳細な説明
フルードコーカーの運転中、コークは、サイクロンのいくつかの区域およびストリッパーやスクラバーシェッドの上にも置き去られる。例えば、サイクロンの出口およびストリッパーおよびスクラバーシェッドのような区域は、ストリッパーシェッド上に沈積したコークが流れを制限して、反応器セクションにおける流動化の損失および系の運転停止を引き起こすことがあるので、特に心配である。同様にサイクロン出口も塞がれ、運転停止が必要になることがある。
【0013】
本方法は、反応体ガスおよび触媒に接近可能な装置の区域すべてにおいて、沈積したコークのレベルを低下させる方法を提供する。触媒は、水溶液または炭化水素溶液として導入されてもよい。水または炭化水素の蒸発の時、触媒がコーク上に沈積されるか、その中に含浸される。触媒溶液は、注入口を備え、ランシング装置、ノズル等を通って導入されうる。注入口、またはコーク沈積物を有する区域に反応体ガスを運ぶための手段を備えたサイクロンについては、反応体ガスは、コーク沈積物の接触除去を行う所望の温度において、これら入口、または反応体ガスをコーク沈積物に運ぶ手段の中に注入されるだけでよい。あるいは反応体ガスは、1つの管をサイクロン筒口の中に挿入し、この管から反応体ガスを導入して注入されてもよい。実質的に一酸化炭素と水素からなる気体生成物に転化されたガス化コークは、ついでガス掃引によって除去される。ガス化コーク生成物を掃引して除去するためには、フルードコーカープロセスに悪い影響を与えないあらゆる掃引ガスを用いることができる。好ましくは水蒸気が用いられる。このようなガスには、窒素、アルゴン、または他の不活性ガス、一酸化炭素、天然ガス、およびこれらの混合物が含まれ、これらは当業者によって容易に選択される。
【0014】
この方法の実施態様は、より長い運転時間を容易に得るため、および処理量を維持するために、フルードコーカーに形成されるコークス沈積物を減少させる費用効果の高い効率的な方法を提供する。反応体ガスが注入されて、コークス沈積物と接触しうるコーカーのあらゆる区域であって、サイクロン本体、サイクロン入口、ガス出口管、ストリッパーシェッド、スクラバーシェッド、および閉塞が発生する区域を含むすべての区域において、コークス沈積物の効果的減少が達成される。例えばサイクロン出口および反応器ストリッパーシェッドのような区域は、有意なコークス減少が得られる。これらのコークス沈積物は、ここに記載されている接触ガス化方法を用いて、フルードコーカー装置のあらゆる表面から減少させるか除去することができる。必要なことは、その上に触媒が被覆されているか、その中に含浸されている沈積物と反応体ガスを接触しうること、および反応体ガスの温度が、処理されているこの装置および装置要素の冶金学的性質と適合しうることだけである。当業者なら、コークスの除去とは対照的にコークスを減少させる時には、適合性によって、ガス化の間に異なる温度の反応体ガスを適応させうることが容易に理解できるであろう。これは、コークス沈積物の減少中に、コークスの表面層がガス化されつつある間、下部層が処理されている金属表面の絶縁体として作用するからである。したがって、コークス沈積物の外側層が除去されつつあれば、コークス沈積物を完全にガス化する場合よりも高い温度の反応体ガスを用いることができるであろう。当業者なら、コークス沈積物を除去するために処理されている表面の冶金学的性質と適合し、かつ所望のコークス沈積物のガス化を達成する反応体ガスの温度を容易に決定することができる。必要なことは、反応体ガスの温度が、この系の冶金学的性質と適合する温度において接触ガス化反応を発生させるのに十分なことだけである。
【0015】
コーク沈積物の接触除去または減少を実施する前に、これらの沈積物は、コーク除去または減少を促すのに効果的な触媒で被覆または含浸される。このような触媒には、アルコキシル化および非アルコキシル化セリウム、チタンおよびジルコニウム酸化物;鉛、コバルト、バナジウム、および銀酸化物;アルカリおよびアルカリ土類金属炭酸塩および水酸化物;第VIII族遷移金属酸化物;混合セシウムおよびバナジウム酸化物−塩化カリウム(CsVO3+KCl)、カリウムバナジウム酸化物−塩化カリウム(KVO+KCl)、Cu−K−V−Cl触媒、およびこれらの混合物が含まれる。ここで、コーク減少とは、存在するコーク量の減少を意味しており、コークが化学的に還元されることを意味するわけではない。
【0016】
用いられる触媒の濃度は、コークの表面積に応じ、したがってコークの量を基準にして0.01〜100重量%、好ましくは約0.01〜10重量%、より好ましくは約0.01〜5重量%、最も好ましくは約0.01〜1重量%であってもよい。コークの接触除去または減少が進行するにつれて、追加の表面積がつくり出されるであろう。
【0017】
ここで教示されている接触ガス化は、反応体ガスを、少なくとも約500℃〜約700℃、好ましくは少なくとも約510℃〜600℃、最も好ましくは少なくとも約530℃〜600℃の温度でコーク沈積物と接触させるように装置の中に単に注入することを含んでいる。このような温度において、水蒸気は、コーク沈積物を一酸化炭素と水素とに容易に転化する。少量の二酸化炭素および水も同様に、反応の間に酸素が存在するならば、燃焼メカニズムを介して生成されることがある。さらには、このような低い温度において、接触除去または減少方法は、あらゆる種類の製油所装置の冶金学的性質と適合性がある方がよい。当業者なら、コーク沈積物の表面は、ガス化が発生するためには前記温度まで加熱されなければならないことが分かるであろう。ガス化が起こる速度は、コークの密度および表面積、および活性部位の数に依るであろう。しかしながら、ガス化によるコーク減少は、この装置およびサイクロンが所望のレベルで作動しうるレベルにコーク沈積物が減少されるまで続行されてもよい。このことは当業者なら、コーク沈積物がむき出しの金属表面になるまで除去されなくてもよいことが分かるであろう。好ましくは、ガス化は、サイクロンの処理量がもとの状態に回復され、ストリッパーシェッドの上部列上のコーク沈積物がガス化されるまで続行される。接触除去または減少の間、大気圧を用いることが好ましい。しかしながら圧力は、運転の容易さ、例えば流動化を維持するのに必要とされる水蒸気圧、沈積物の位置等に依るであろう。
【0018】
ここで用いられている反応体ガスは、実質的には水蒸気から構成されているが、少量の酸素、空気、二酸化炭素、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。ほんの僅かな酸素を使用すれば、吸熱ガス化プロセスのために、局部的な熱を与え、コークの一部を消費し、これによってガス化を加速する。酸素の量は、0〜1容量%、好ましくは1容量%未満であり、最も好ましくは、この反応は酸素の不存在下に実施される。特に酸素が存在する時、コーク沈積物の急速すぎる除去、およびホットスポットまたは無制御反応の発生を避けるように注意を払わなければならない。酸素含有ガスは、ほかの不活性ガスと混合された空気から選択されてもよい。不活性とは、製油所反応器において不活性なガス、例えば窒素を意味する。
【0019】
当業者なら、サイクロンを出た炭化水素ガスを洗浄するスクラバーから、フルードコーカー生成物を急冷するために用いられる炭化水素液体が排出されてもよいことが分かるであろう。これが望ましいのは、いかなる炭化水素液体の残留も、コーク含有触媒と反応体ガスとの接触を妨げることがあるためである。
【0020】
ストリッパーシェッド上のコークをガス化する前に、この装置から流動コークを排出することが好ましいであろう。
【0021】
本発明の利用において、ガス化は、好ましくはサイクロンの処理量を維持または回復するのに必要な時間および温度で実施される。有利には、反応体ガスは、2〜4ヶ月毎に約2〜4時間の短時期間注入されてもよい。反応体ガスが、沈積されたコークのレベル、および望まれるサイクロンの処理量に応じて、より長い時間またはより短い時間注入されてもよい。一般的には大気圧が用いられる。しかしながら特別な圧力が要求されるわけではない。ガス化は、流動化、循環、圧力、および温度が正常な運転条件に維持されている間に実施できる。しかしながら所望であれば、コーカー運転は、ガス化を実施している間停止させることもできる。
【0022】
コーク沈積物が一般的には水噴射でランスされる既存の装置においては、ガス化用の反応体ガスが、ランス口から注入されてもよい。既存装置は、床の流動化用の水蒸気口も備えているので、既存口は、ガス化を実施するために、ここに記載されている適切な温度の反応体ガスにも用いることができる。あるいは、新しい入口を既存装置に付加してもよい。新たに建設された装置の場合、反応体ガス口は、反応体ガスが一般的にコーク沈積を受ける表面、特にサイクロンおよび反応器ストリッパーシェッドと接触する時に注入されうるように、これらの装置の中に設計されてもよい。さらには新たに設計された装置の冶金学的性質は、より高温の反応体ガスを適応させるように選択しうる。
【0023】
望ましくは、90%の非制限圧力降下が得られるであろう。熟練した実務家なら、装置を望ましいレベルで運転させるのに十分なほどにコークが、いつガス化されたかを容易に決定することができる。
【0024】
下記の実施例は、例証的なものであり、まったく限定的なものではない。
【0025】
実施例1
等量のK2CO3とフルードコーカー装置ストリッパーシェッド沈積物とを混合して、サンプルを調製した。このサンプルを、熱重量分析(TGA)装置のサンプルホルダーの中に入れた。窒素流中において1気圧の圧力で、サンプル温度を、1分あたり10℃の加熱速度で、室温から表1に示された反応温度まで上昇させた。このガス流が、1気圧で反応温度に達した時に空気と切替える。サンプル温度を一定に保持し、減量を時間の関数として記録した。表に示されているように、500℃においてフルードコーカー沈積物サンプルの約44重量%が、5分後に失われた。ついで同じ実施例を、水蒸気および1容積%の酸素を含む水蒸気を用いて繰返した。
【0026】
【表1】
【0027】
表から分かるように、触媒と組合わされた水蒸気、および触媒と共に少量の酸素を含む水蒸気が、コークのガス化を達成する。これによって、コーク沈積物の空気または酸素燃焼を上回る利点が得られるが、それは、追加量の酸素の存在が、無制御反応を引き起こすことがあり、貴重な水素と一酸化炭素が、二酸化炭素および水に代わる生成物として生成されるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、典型的な流体コーキング装置を示している。Aはスクラバーシェッドであり、Bはサイクロン出口であり、C、D、およびEは、それぞれ濃厚相反応域、相転移域、および希薄相反応域である。E1、E2、E3、E4は、原料注入口であり、Fはストリッパーシェッドである。
【図2】
図2は、典型的なFCCUを示している。A=煙道ガス出口、B=再生器、C=空気注入、D=再生された触媒立て管、E=使用済み触媒立て管、F=原料、G=ストリッパー、H=サイクロン分離器、I=プレナム、J=生成物蒸気出口、K=希薄相域、およびL=濃厚相反応域である。
Claims (12)
- 製油所反応器装置におけるコーク沈積物を除去または減少させる方法であって、(a)前記装置への炭化水素供給を任意に停止すること、(b)コークを水素と一酸化炭素とを含む気体生成物へ転化するのに効果的な触媒で、前記コーク沈積物を被覆するか含浸させること、(c)前記コーク沈積物と実質的に水蒸気からなる反応体ガスとを、実質的に酸素の不存在下に少なくとも約500℃の温度において、前記コーク沈積物の一部分を、実質的に一酸化炭素と水素からなる気体生成物に転化するのに十分な時間接触させることによって、前記コーク沈積物を接触的にガス化することを含む方法。
- 前記反応体ガスが、約500℃〜約700℃の温度で前記製油所反応器に注入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記反応体ガスが、1容量%未満の酸素を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、酸素の不存在下に実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記反応体ガスが、少なくとも99容量%の水蒸気であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記製油所装置が、前記接触除去または減少の間に流動化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記接触除去または減少は、前記装置の非制限圧力降下が90%に回復されるまで実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記接触除去または減少は、前記製油所装置の処理量がもとの処理量に回復されるまで続行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記触媒は、アルコキシル化および非アルコキシル化セリウム、チタンおよびジルコニウム酸化物;鉛、コバルト、バナジウム、および銀酸化物;アルカリおよびアルカリ土類金属炭酸塩および水酸化物;第VIII族遷移金属酸化物;混合セシウムおよびバナジウム酸化物−塩化カリウム(CsVO3+KCl)、カリウムバナジウム酸化物−塩化カリウム(KVO+KCl)、Cu−K−V−Cl触媒、およびこれらの混合物から成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記製油所装置は、流動接触分解装置(FCCU)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記製油所装置は、フルードコーカーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記製油所装置は、フレキシコーカーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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