JP2004501664A - 標的化薬剤送達のための腫瘍組織を浸潤する細胞特異的な内部移行ペプチドの単離 - Google Patents

標的化薬剤送達のための腫瘍組織を浸潤する細胞特異的な内部移行ペプチドの単離 Download PDF

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Abstract

本発明は、当該分野における制限を克服する。本発明者らは、ヒト頭頚部扁平上皮癌細胞によって特異的に内在化されたペプチド(HN−1)の単離を、本明細書中に記載している。本発明の特定の実施形態において、このHN−1ペプチドはまた、乳癌のような固形腫瘍組織細胞に特異的である。本発明者らはまた、HN−1に結合された抗癌剤の腫瘍組織への特異的な送達を可能にする方法も記載している。さらに、本発明者らは、検出可能な標識とHN−1を結合させ、そして患者にこの結合体を送達することによってか、またはインビトロでこの結合体を腫瘍組織と接触させることによって、癌細胞を画像化および診断するための方法を記載している。

Description

【0001】
(発明の背景)
政府は、National Institutes of Healthからの助成金番号5R29DE11689−04およびNational Institutes of Dental and Craniofacial Researchからの助成金番号5P50DE11906−03に従う本発明における権利を有する。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、一般的に、細胞生物学および分子生物学の分野に関する。より具体的には、本発明は、腫瘍組織を標的化するペプチドの使用に関わり、そしてこのペプチドを使用する抗癌剤の標的化された送達を達成するための方法を記載する。本発明はまた、癌の診断および画像化のためのペプチドの使用方法を企図する。
【0003】
(2.関連技術の説明)
(A.癌)
癌は、各年のおける米国の526,000人の死亡について原因となる疾患の主要な原因の1つである。1998年において、American Cancer Societyは、60,000人のアメリカ人が頭頚部癌であると診断されると見積った。頭頚部癌は、以下の頭頚部の領域において生じ得る種々の悪性腫瘍に対して与えられた用語である:口腔(舌、歯肉、頬および唇の内側、口の底部、硬口蓋、軟口蓋ならびに臼歯三錐(retromolar trigone)のような口唇部の組織を含む);咽頭(下咽頭、鼻咽頭および口腔咽頭部を含み、これらはまた咽喉と呼称される);副鼻腔(鼻の上部の前頭洞、上顎骨のいずれかの側の上部分にある上顎洞、鼻の上部のいずれかの側の裏側の篩骨洞、ならびに頭蓋骨の中央にある篩骨洞の後ろの蝶形骨洞を含む)および鼻腔;喉頭(larynx)(これはまた、喉頭(voice box)と呼称される));甲状腺(乳頭状の、小胞の、髄質の、および未分化の甲状腺の癌を含む);上皮小体;唾液腺(舌下、耳の直ぐ前の顔面側、および下顎骨の下に見出される唾液腺の主要なクラスターを含む);顔面および頚部の皮膚ならびに頚部リンパ節の外傷;ならびに潜在的な原発性を伴った(occult primary)転移性扁平上皮頚部癌。
【0004】
米国における口腔癌ならびに頭頚部癌の患者の割合は、診断された全癌の約5%のみであるが、この疾患の重要性は、機能的な問題および審美的な問題が、この型の癌およびその治療に一般に関連するという事実によって高まる。推定によって、今日、在米の口腔癌ならびに頭頚部癌の500,000を超える生存者が存在することが示されている。この型の癌の対処は、極めて困難であり得る。この疾患は生命を脅かし得るのみでなく、多くの患者が、顔面および頚部の外観の変化、ならびに発語、視界、嗅覚、咀嚼、嚥下、および味の認識における変化の苦痛に耐えなければならない。
【0005】
頭頚部癌は、皮膚癌の2番目に最も一般的な形態である扁平上皮細胞(SCC)から生じ得る。これらは、女性より男性において多く生じ、そして主に、用量依存的な様式で日光に曝露された皮膚に由来する。SCCは、皮膚表面近傍に位置するケラチノサイトに由来するようである。異数性が、この型の癌において一般的であって、p53変異の存在も一般的である。SCCは皮膚の任意に場所で生じ得るが、これは、口、鼻、唇、喉、眼瞼の粘膜、呼吸管、肛門、頚部の内層などで生じ得る。
【0006】
乳癌は、西側諸国の女性の間の悪性疾患の最も一般的な形態である。米国において、これは、40歳〜55歳の間の女性における最も一般な死因である。American Cancer Societyは、2000年において侵襲性乳癌の183,000人を超える新症例が存在し、40,000人を超える死亡者が存在すると予測している。乳癌の発生率は、特に老齢な女性において上昇しているが、この上昇の原因は不明である。いくつかの型の乳癌は、上皮内腺癌腫(DCIS)、浸潤性(侵襲性)腺癌腫(IDC)、上皮内小葉癌(LCIS)および浸潤性(侵襲性)小葉癌(ILC)を含む。この疾患に関連する危険因子は、喫煙、年齢、家系、人種(白人はより感受性である)および月経歴(早期の開始および50歳以後の閉経は、この危険を上昇する)。
【0007】
癌のなおより致命的な形態は、脳の癌である。毎年、100,000人を超える人々が、原発性脳腫瘍または転移性脳腫瘍であると診断され、これは15歳未満の子供における癌による死亡および34歳までの若年成人の癌における死亡の第2の主要な原因である。思考機能、感情機能および身体機能の中心に位置する脳腫瘍の性質は、これらの処置を困難をにし、そして治癒率は、ほとんどの他の型の癌より有意に低い。脳腫瘍は1つの細胞に由来しそして、他の型の癌で生じるときと同様に他の器官に移動する代りに、他の脳細胞に転移し得る。脳腫瘍は、脳自体(例えば、星状細胞腫、神経膠芽細胞腫、乏突起神経膠腫、および脳室上衣細胞腫)、その被層(髄膜腫、下垂体腫瘍、松果体腫瘍)、脳の基底にある神経(聴神経腫、神経鞘腫)に由来し有し得るか、または脳の外(転移性脳腫瘍)に由来する。脳腫瘍の最も一般的な形態は、悪性星状細胞腫および多形神経膠芽細胞腫である。脳腫腫瘍は転移しないので、処置は通常は脳に限定される。さらに、正確な腫瘍の縁は存在しないので、従って局部治療(例えば、外科手術、放射線照射、加熱、冷却など)による完全な除去は、禁止される。脳全体についての処置が好ましい。これは、脳腫瘍細胞が、脳内で転移するからである、さらに、脳腫瘍は、悪性の塊に複数の腫瘍を含むポリクローン性であり得る。
【0008】
癌のための多くの治療(例えば、化学療法の種々の形態を含む)が開発されてきたが、腫瘍特異的組織のみを標的化し、そして他の正常な組織には危害を加えない処置の必要性がなお存在する。このような処置は、既存の癌治療剤に関連する副作用の原因となる。
【0009】
(B.腫瘍治療)
腫瘍特異性の欠如は、化学療法の主要な問題である。なぜならば、有害な副作用は、腫瘍を除去するために必要とされる薬物の用量の送達を阻止するからであある(Hoekman,1999;LowenthalおよびEaton,1996;Wada,1999;Shinら,1998)。90%を超えるヒトの癌を含む固形癌について、腫瘍特異的抗原を認識する抗体は、薬物送達についてほとんど有用性を提供しない。なぜならば、この免疫結合体は、腫瘍組織に浸透することができず(Dvorakら,1991;Shockleyら,1991;PieterszおよびMcKenzie,1992)、血液中に高レベルの細胞傷害性薬物および用量限定骨髄毒性を生じる。
【0010】
過去において、腫瘍特異的抗原を認識する抗体を使用して、細胞傷害性薬物を腫瘍に送達した。しかし、このような免疫結合体は、これらの腫瘍組織の内部に浸透できないことに起因して、固形癌に対する限定された効果を示した。
【0011】
いくつかの研究が、特定の細胞/組織型に対して特異的に局在するペプチドの単離を示したが、癌特異的細胞に対するこれらの局在は実証されず、これによって、癌治療における有用性を限定した。例えば、Barryら(1996)は、ランダムペプチドと比較して、マウス線維芽細胞に対するより高い親和性を示すいくつかのペプチドの単離を記載した。この著者は、fdファージに基づくランダムペプチドディスプレイライブラリーをスクリーニングのために使用したが、非特異的相互作用ファージを除去する差し引き工程の不在は、複数の型の細胞に結合したペプチド(線維芽細胞に加え、肝細胞癌細胞、筋芽細胞、および肥満細胞腫細胞を含む)の単離を生じる。従って、Barryおよびその同僚によって単離されたペプチドは、任意の特定組織に対する特異性を欠いており、それによって、これらの有用性に限界がある。
【0012】
別の関連する研究において、Pasqualiniら(1996)は、ランダムペプチドディスプレイライブラリーのインビボスクリーニングを実施し、そして、これらの器官に特異的な内皮細胞との相互作用を通してマウスの脳および腎臓に局在するいくつかのペプチドを単離した。これらの器官に対するペプチドの結合が特異的であるように見えても、これらの相互作用は、特定の競合物の存在下で消失され、これらのペプチドは、非ヒト起源の正常な器官を標的化し、そして癌処置のための有用性を実証していない。
【0013】
最後に、Arapら(1998)による研究は、新脈管形成を阻害することによって間接的に腫瘍増殖をブロックする試みを記載した。ランダムペプチドディスプレイライブラリーのインビボスクリーニングを通して、ヒト乳癌腫異種移植片に関連する内皮細胞に局在するペプチドが単離された。これらのペプチドのいくつかは、Arg−Gly−Asp配列を含み、これはインテグリンの部分集団に結合するモチーフである。細胞傷害性薬物のドキソルビシンをこのペプチドに結合されることによって、腫瘍に関連する血管の選択的な破壊が観察された。これは、順番に、腫瘍の壊死および腫瘍保持マウスの生存率の上昇を生じた。Pasqualiniら(2000)は、このペプチドがアミノペプチダーゼNと相互作用するが、このタンパク質は複数の組織で産生されることを示した。
【0014】
さらに、ドキソルビシン−ペプチド結合体が細胞に侵入する機構は、描き出されていない。例えば、この研究は、ペプチドが内在されるか否かを解決しない。また、このペプチドが腫瘍細胞よりむしろ内皮細胞を直接標的化するので、これは、直接的な腫瘍特異的薬剤ではない。
【0015】
従って、腫瘍関連細胞(例えば、腫瘍関連内皮細胞)とは対照的に、特定のヒト腫瘍細胞に対して化学療法を指向させ、これによって、正常な非癌腫細胞に対するこれらの薬物の送達を防止し、次いで、全身性の細胞の損傷および関連する副作用を防止する薬剤の開発の必要性が存在する。
【0016】
(発明の要旨)
本発明は、当該分野における制限を克服する。本発明者らは、ヒト頭頚部扁平上皮癌細胞によって特異的に内在化されたペプチド(HN−1)の単離を、本明細書中に記載している。本発明の特定の実施形態において、このHN−1ペプチドはまた、乳癌のような固形腫瘍組織細胞に特異的である。本発明者らはまた、HN−1に結合された抗癌剤の腫瘍組織への特異的な送達を可能にする方法も記載している。さらに、本発明者らは、検出可能な標識とHN−1を結合させ、そして患者にこの結合体を送達することによってか、またはインビトロでこの結合体を腫瘍組織と接触させることによって、癌細胞を画像化および診断するための方法を記載している。本発明者らは、さらに、腫瘍に関して内在化しているペプチドを単離するための方法を提供する。さらに、本発明者らは、内在化しているペプチドを単離し、そして患者に投与するための薬物または遺伝子治療組成物に結合させることによって、癌細胞を検出するための方法をさらに記載している。
【0017】
本発明者らが単離したHN−1ペプチドは、腫瘍関連内皮細胞よりもむしろ腫瘍細胞に特異的であるという点において、Arapら(1998)の研究において記載されたペプチドとは異なっている。本発明者らは、直接的かつ特異的な腫瘍細胞の殺傷を達成するために、あらゆる種類の抗癌剤の、このペプチドへの結合を想定する。このペプチドの腫瘍細胞に侵入する本来の能力は、機構レベルでこのプロセスを促進する。
【0018】
本発明の1つの実施形態において、腫瘍細胞を標的化するペプチドが存在し、ここで、このペプチドは、上記腫瘍細胞によって内在化される。特定の実施形態において、このペプチドは、配列番号1を含む。さらなる実施形態において、このペプチドは、配列番号1からなる。本発明の別の実施形態において、配列番号1をコードするDNAセグメントが存在する。特定の実施形態において、このDNAセグメントは、配列番号1をコードする核酸を含む。さらなる特定の実施形態において、このDNAセグメントは、組換えベクターとしてさらに定義される。
【0019】
本発明の別の実施形態において、薬物;および腫瘍細胞を標的化するペプチドを含む組成物が提供され、ここで、このペプチドは、上記腫瘍細胞によって内在化される。特定の実施形態において、このペプチドは、配列番号1を含む。特定の実施形態において、このペプチドは、配列番号1からなる。さらに特定の実施形態において、この薬物は化学療法剤である。別の特定の実施形態において、この薬物は細胞毒性剤である。さらなる特定の実施形態において、この薬物はアポトーシス薬剤である。さらに特定の実施形態において、この薬物はDNA損傷剤である。別の特定の実施形態において、この薬物はタキソールである。さらなる特定の実施形態において、この薬物は、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン(bisulfan)、ニトロスレア(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、トランスプラチウム(transplatinum)、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、またはメトトレキセートである。
【0020】
本発明の目的に従って、腫瘍細胞を殺すための方法が提供され、この方法は、腫瘍細胞を薬学的に受容可能な組成物(薬物;およびこの腫瘍細胞を標的化するペプチドを含む)と接触させる工程を包含し、ここで、このペプチドは、この腫瘍細胞によって内在化される。特定の実施形態において、このペプチドは、配列番号1を含む。別の特定の実施形態において、薬物がこのペプチドに結合される。さらに特定の実施形態において、腫瘍細胞は、扁平上皮細胞癌、頭頚部癌、乳癌、膠芽細胞腫および星状細胞腫からなる群より選択される。特定の実施形態において、この腫瘍細胞は、ヒト頭頚部癌細胞である。特定の実施形態において、このヒト頭頚部癌細胞は、口腔細胞、咽頭細胞、咽喉細胞、副鼻腔細胞、鼻腔細胞、喉頭細胞、甲状腺細胞、甲状腺傍細胞、唾液腺細胞、顔の皮膚細胞、頸部(neck)皮膚細胞または頸部(cervical)リンパ節細胞である。別の特定の実施形態において、この腫瘍細胞は固形腫瘍細胞である。さらに特定の実施形態において、この固形腫瘍細胞は、乳癌細胞を含む。特定の実施形態において、接触工程は、静脈内投与、腫瘍内投与、皮下投与、腹腔内投与または局所投与による。さらなる特定の実施形態において、この接触工程は、局所(local)投与、局所(regional)投与または全身投与による。別の特定の実施形態において、この腫瘍細胞は、患者中にある。
【0021】
本発明の別の局面に従って、癌を検出するための方法が提供され、この方法は、配列番号1を含むペプチド(ここで、このペプチドは腫瘍細胞を標的化する)を得る工程;検出可能な標識をこのペプチドに結合させる工程;この結合したペプチドおよび標識を患者に投与する工程;ならびに、適切な検出手段によって、この結合体の腫瘍細胞への結合を検出する工程、を包含する。特定の実施形態において、この結合工程は、上記腫瘍細胞による取り込みをさらに含む。別の特定の実施形態において、標識は放射性ヌクレオチド標識、蛍光標識またはスピン標識である。さらなる特定の実施形態において、投与工程は、静脈内注射、腫瘍内注射、皮下注射、腹腔内注射または局所投与による。特定の実施形態において、この投与工程は、局所(local)投与、局所(regional)投与または全身投与による。さらなる実施形態において、検出は、磁気共鳴画像法、X線画像法またはコンピューター化エミッション断層撮影法による。
【0022】
本発明の他の目的に従って、インビトロで腫瘍を検出するための方法が提供され、この方法は、配列番号1を含むペプチド(ここで、このペプチドは、腫瘍を標識化する)を得る工程;検出可能な標識をこのペプチドに結合させる工程;この結合したペプチドおよび標識を腫瘍含有サンプルに接触させる工程;ならびに、適切な検出手段によって、この結合体の腫瘍への結合を検出する工程、を包含する。特定の実施形態において、この結合工程は、腫瘍の細胞による取り込みをさらに含む。特定の実施形態において、標識は放射性ヌクレオチド標識、蛍光標識またはスピン標識である。別の実施形態において、検出は、核磁気共鳴画像法、X線画像法、コンピューター化エミッション断層撮影法、または陽子射出断層撮影法による。
【0023】
本発明の他の目的に従って、腫瘍検出キットが提供され、このキットは、適切な容器手段において、配列番号1を含むペプチドの薬学的組成物を含む。さらに特定の実施形態において、腫瘍検出キットが提供され、このキットは、適切な容器手段において、検出可能な標識に結合された配列番号1を含むペプチドの薬学的組成物を含み、ここで、上記ペプチドは、腫瘍細胞を標的化する。別の特定の実施形態において、腫瘍検出キットが提供され、このキットは、適切な容器手段において、検出可能な標識に結合された配列番号1を含むペプチド(ここで、このペプチドは、腫瘍細胞を標的化する)の薬学的組成物;および検出に適切な手段を含む。特定の実施形態において、この検出可能な標識は、非侵襲性手段により検出可能である。別の特定の実施形態において、この検出可能な標識は、スピン標識分子である。さらなる特定の実施形態において、この検出可能な標識は、放射性同位元素である。さらなる特定の実施形態において、検出手段は、核磁気共鳴画像法、X線画像法、コンピューター化エミッション断層撮影法または陽子射出断層撮影法による。
【0024】
本発明の別の目的に従って、腫瘍画像化キットが提供され、このキットは、適切な容器手段において、配列番号1を含むペプチドを含む、薬学的に受容可能な処方物の有効量を含み、ここで、上記ペプチドは、腫瘍細胞を標的化する。特定の実施形態において、この腫瘍画像化キットは、適切な容器手段において、配列番号1を含むペプチドを含む、薬学的に受容可能な処方物の有効量を含み、ここで、上記ペプチドは、腫瘍細胞を標的化し、そしてこのペプチドは、検出可能な標識に結合される。さらに特定の実施形態において、この腫瘍画像化キットは、適切な容器手段において、配列番号1を含むペプチド(ここで、このペプチドは、腫瘍細胞を標的化し、そしてこのペプチドは、検出可能な標識にさらに結合される)を含む、薬学的に受容可能な処方物の有効量;および上記検出可能な標識を検出するのに適切な手段、を含む。特定の実施形態において、この検出可能な標識は、非侵襲性手段により画像化される。別の特定の実施形態において、この検出可能な標識は、スピン標識分子である。さらに特定の実施形態において、この検出可能な標識は、放射性同位元素である。特定の実施形態において、この検出手段は、核磁気共鳴画像法、X線画像法、コンピューター化エミッション断層撮影法または陽子射出断層撮影法による。
【0025】
本発明の他の目的に従って、腫瘍細胞を殺すための方法が提供され、この方法は、患者に放射線治療を施す工程;および上記腫瘍細胞を標的化するペプチドに結合された抗腫瘍化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物を投与する工程、を包含し、ここで、上記ペプチドは、上記腫瘍細胞によって内在化される。特定の実施形態において、このペプチドは、配列番号1を含む。さらなる実施形態において、放射線治療は、全身、局所(local)または局所(regional)に施される。さらなる特定の実施形態において、この放射線治療は、放射性同位元素照射、γ照射、X線照射、UV照射、マイクロ波照射または電子的照射である。特定の実施形態において、患者は、約40〜約100Gyの放射線を投与される。別の特定の実施形態において、患者は、約55〜約65Gyの放射線を投与される。さらなる特定の実施形態において、患者は、62Gyの放射線を投与される。特定の実施形態において、腫瘍細胞は、扁平上皮細胞癌、頭頚部癌および乳癌からなる群より選択される。
【0026】
本発明の目的に従って、腫瘍細胞を殺すための方法が提供され、この方法は、患者に化学療法を施す工程;および上記腫瘍細胞を標的化するペプチドに結合された抗腫瘍化合物を含む薬学的に受容可能な組成物、を投与する工程を包含し、ここで、上記ペプチドは、上記腫瘍細胞によって内在化される。
【0027】
本発明の目的に従って、腫瘍細胞を殺すための方法が提供され、この方法は、患者に化学療法を施す工程;および上記腫瘍細胞を標的化するペプチドに連結されたリポソームを含有する薬学的に受容可能な組成物、を投与する工程を包含し、ここで、上記リポソームは、抗腫瘍化合物を含み、そして上記ペプチドは、上記腫瘍細胞によって内在化される。
【0028】
本発明の別の目的に従って、腫瘍細胞を殺すための方法が提供され、この方法は、患者に外科手術を施す工程;および上記腫瘍細胞を標的化するペプチドに結合された抗腫瘍化合物を含む、薬学的に受容可能な組成物を投与する工程、を包含し、ここで、上記ペプチドは、上記腫瘍細胞によって内在化される。
【0029】
本発明の別の目的に従って、腫瘍細胞を殺傷するための方法が存在し、この方法は、患者に遺伝子治療;およびこの腫瘍細胞を標的化するペプチドに結合体化された抗腫瘍化合物を含む薬学的に受容可能な組成物を投与する工程を包含し、ここで、このペプチドは、この腫瘍細胞によって内部移行される。特定の実施形態において、遺伝子治療は、以下からなる群より選択される核酸配列に対して指向される:ras;myc、raf、erb、src、fms、jun、trk、ret、gsp、hst、bcl、abl、Rb、CFTR、p16、p21、p27、p53、p57、p73、C−CAM、APC、CTS−1、zac1、scFV ras、DCC、NF−1、NF−2、WT−1、MEN−I、MEN−II、BRCA1、VHL、MMAC1、FCC、MCC、BRCA2、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、GM−CSF、G−CSFおよびチミジンキナーゼ。
【0030】
本発明のさらなる目的に従って、配列番号1を含むペプチド(このペプチドは、腫瘍細胞を標的化する)を含む薬学的に受容可能な処方物の治療的有効量を含む、適切な容器手段中の腫瘍処置キットが存在する。特定の実施形態において、適切な容器手段中の腫瘍処置キットは、配列番号1を含むペプチド(このペプチドは、腫瘍細胞を標的化する)および抗腫瘍化合物を含む薬学的に受容可能な処方物の、治療的有効量を含む。特定の実施形態において、この抗腫瘍化合物は、タキソールである。別の特定の実施形態において、この抗腫瘍化合物は、以下からなる群より選択される:シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン(bisulfan)、ニトロソ尿素類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、トランスプラチナ、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびメトトレキサート。
【0031】
本発明の別の目的に従って、配列番号1を含むペプチド(このペプチドは、腫瘍細胞を標的化する);および遺伝子治療のための組成物を含むベクターを含む組成物が存在する。特定の実施形態において、このベクターは、タンパク質、ペプチド、リポソーム、脂質、核酸およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、遺伝子治療のための組成物は、核酸を含む。さらに特定の実施形態において、遺伝子治療のための組成物は、p53核酸を含む。さらに特定の実施形態において、遺伝子治療のための組成物は、以下からなる群より選択される核酸を含む:ras、myc、raf、erb、src、fms、jun、trk、ret、gsp、hst、bcl、abl、Rb、CFTR、p16、p21、p27、p53、p57、p73、C−CAM、APC、CTS−1、zac1、scFV ras、DCC、NF−1、NF−2、WT−1、MEN−I、MEN−II、BRCA1、VHL、MMAC1、FCC、MCC、BRCA2、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、GM−CSF、G−CSFおよびチミジンキナーゼ。
【0032】
本発明の別の目的に従って、癌について生体を処置するための方法が提供され、この方法は、配列番号1を含むペプチド(このペプチドは、腫瘍細胞を標的化する);および抗腫瘍化合物を含む薬学的に受容可能な組成物の治療的有効量を、この生体に接触させる工程を包含する。特定の実施形態において、この抗腫瘍組成物は、このペプチドに結合体化される。別の特定の実施形態において、この抗腫瘍化合物は、タキソールである。さらに特定の実施形態において、この抗腫瘍化合物は、以下からなる群より選択される:シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン、ニトロソ尿素類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、トランスプラチナ、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびメトトレキサート。特定の実施形態において、この癌は、扁平上皮癌、頭頸部の癌および乳癌からなる群より選択される。
【0033】
本発明のさらなる目的に従って、内部移行ペプチドの単離のための方法が提供され、この方法は、ペプチドライブラリーを得る工程;このライブラリーのペプチドを、細胞集団のメンバーと個々に接触させる工程;およびこの細胞集団のメンバーによるこのペプチドのエンドサイトーシスをアッセイする工程、を包含する。特定の実施形態において、このペプチドライブラリーは、ランダムペプチドディスプレイライブラリーである。特定の実施形態において、このペプチドライブラリーは、M13一本鎖バクテリオファージベースのランダムペプチドディスプレイライブラリーである。特定の実施形態において、この細胞は、癌細胞である。
【0034】
本発明の別の実施形態において、癌を検出するための方法が存在し、この方法は、内部移行ペプチドを得る工程;このペプチドに検出可能な標識を結合体化させる工程;生体に、結合体化されたペプチドおよび標識を投与する工程;ならびに適切な検出手段によって、癌細胞に対するこれらの結合体の結合を検出する工程、を包含する。
【0035】
本発明のさらなる実施形態において、癌を検出するための方法が存在し、この方法は、ペプチドライブラリーを得る工程;このライブラリーのペプチドを、細胞集団のメンバーと個々に接触させる工程;この細胞集団のメンバーによるこのペプチドのエンドサイトーシスをアッセイして内部移行ペプチドを同定する工程;このペプチドに検出可能な標識を結合体化させる工程;生体に、結合体化されたペプチドおよび標識を投与する工程;ならびに適切な検出手段によって、細胞に対するこれらの結合体の結合を検出する工程、を包含する。
【0036】
本発明者らは、これが、他の細胞に対する有害な副作用の発生によって制限されることなく、腫瘍を破壊するために必要な薬物用量を提供することを可能にすると考える。薬物送達のためのシャトルとしてのHN−1の可能性は、これが、非毒性、非免疫原性、インビボで安定(注射24時間後の血中のインタクトなペプチドを検出することによって示される)であり、輸送の間にその積荷を保護し、そして48時間以内に腫瘍中に十分に蓄積するという事実によって、さらに強化される。
【0037】
添付の図面は、本明細書の一部をなし、本発明の特定の局面をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書中に示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1以上を参照することによって、より良く理解され得る。
【0038】
(例示的な実施形態の説明)
本発明は、腫瘍に対する結合体化複合体の送達のために化合物に結合体化されたアミノ酸配列番号1の利用に関する。このペプチドの能力は、腫瘍(例えば、頭頸部の扁平上皮癌および乳癌)に対して抗癌薬物を標的化することを可能にする。他の特定の実施形態において、このペプチドは、検出可能な標識への結合体化そして引き続いて患者の腫瘍組織への送達を介して、癌細胞の画像化および診断を容易にする。
【0039】
以下の定義を提供する:
本明細書中で使用される場合、用語「アポトーシス薬剤」は、アポトーシス、すなわちプログラム細胞死を細胞に付与する薬物、毒素、化合物、組成物または生物学的実体として定義される。特定の実施形態において、この細胞は、腫瘍細胞である。別の実施形態において、この腫瘍細胞は、頭頸部の癌細胞、扁平上皮癌、脳腫瘍細胞または乳癌細胞である。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「癌」は、細胞増殖(growthまたはproliferation)が制御されない組織(例えば、腫瘍)として定義される。特定の実施形態において、この腫瘍は、局所的浸潤および転移を生じる。
【0041】
本明細書中で使用される場合、用語「化学療法剤」は、癌の処置として使用される薬物、毒素、化合物、組成物または生物学的実体として定義される。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「結合体化」は、別の実体(例えば、薬物、組成物、化合物または検出可能な標識)との、HN−1ペプチドの連結または結合として定義される。結合体化は、例えば、HN−1ペプチドのチオール基またはアミン基および対応する薬物の活性基と関係する化学反応によって、特定の実施形態において実行される。当業者は、この化学反応が、HN−1またはその誘導体にどのような官能基が存在するか、そしてどのような対応する官能基が薬物に存在するかに依存することを知っている。
【0043】
用語「細胞毒性剤」は、本明細書中で用いられる場合、細胞を殺傷するために用いられる薬物、毒素、化合物、組成物、または生物学的物体として規定される。特定の実施形態において、細胞は腫瘍細胞である。別の実施形態において、腫瘍細胞は、頭頚部癌細胞、扁平上皮細胞癌、または乳癌細胞である。
【0044】
用語「送達」は、本明細書中で用いられる場合、HN−1のペプチドまたはフラグメントにより提供される、腫瘍または腫瘍細胞に結合(bound)または結合(conjugated)する化合物の分子的運搬として規定される。標的化は、投与の場合に腫瘍または腫瘍細胞に対して直接的であり得るか、または間接的な手段もしくは機構により得る。HN−1/化合物を含む結合体が、腫瘍または腫瘍細胞を最終的に標的化する(非治療的目的で他の生物学的物体に結合することを含む)ための間接的な経路に従うことを許容することは、この用語の範囲内である。用語「送達」は、本明細書中で用いられる場合、用語「標的化」と交換可能に用いられ得る。
【0045】
用語「DNA損傷剤」は、本明細書中で用いられる場合、核酸に損傷を与える薬物、毒素、化合物、組成物、または生物学的物体である。損傷は、核酸に対する任意の種類の損傷(例えば、DNA二重らせん分子の一方または両方の鎖の分解または1つ以上のヌクレオチドの変異の誘発)であり得る。
【0046】
用語「薬物」は、本明細書中で用いられる場合、医学的状態または疾患の治療的処置のために使用される医薬(medicament)または医薬(medicine)として規定される。薬物は、別の薬物または別の治療の型と組み合わせて使用され得、そして好ましい実施形態において、癌の処置に効果的である。
【0047】
用語「頭頚部癌」は、本明細書中で用いられる場合、頭頚部領域:口腔(唇または口の組織(例えば、舌、歯ぐき、頬および唇の裏層、口の底部、硬口蓋および軟口蓋、ならびに臼後三角(retromolar trigone));咽頭(下咽頭、鼻咽頭、および口腔咽頭を含む)(咽喉とも呼ばれる);副鼻腔(鼻の上の前頭洞、上顎骨のいずれかの側の上部分の上顎洞、上鼻のいずれかの側の真後ろの篩骨洞、および頭蓋骨の中央の篩骨洞の後ろの蝶形骨洞を含む)および鼻腔;喉頭(またはボイスボックス);甲状腺(乳頭状癌、小胞状癌、髄様癌、および未分化癌である甲状の癌を含む);上皮小体;唾液腺(舌の下、耳の真前の顔の側、および顎骨の下で見出される唾液腺の主要クラスターを含む);顔面および頚部の皮膚の病巣および頚部リンパ節;ならびに潜在的な原発性を有する転移性扁平上皮頚部癌、に生じ得る任意の種々の悪性腫瘍として規定される。
【0048】
用語「内部移行」は、本明細書中で用いられる場合、HN−1ペプチドまたは本明細書で記載されるような同様の手段により単離された別のペプチドの少なくとも一部の、腫瘍または腫瘍細胞への取り込みとして規定される。腫瘍細胞への内部移行は、ペプチド(例えば、HN−1)の一部または全てが細胞中に取り込まれることを意味し、細胞膜における、または細胞膜中へのペプチドの一部または全ての保持を含む。内部移行は、一過性であっても永久的であってもよい。
【0049】
用語「標識」は、本明細書中で用いられる場合、直接的にかまたは間接的にかのいずれかでHN−1ペプチドに結合(bound)または結合(conjugated)した、このペプチドの検出を可能にする物体として規定される。標識は、フルオロフォア、クロモフォア、放射活性標識、またはこのペプチドの検出を容易にする任意の手段であり得る。
【0050】
用語「口腔癌」は、本明細書中で用いられる場合、口腔の癌として規定される。
【0051】
用語「口腔」は、本明細書中で用いられる場合、唇または口の任意の組織(例えば、舌、歯ぐき、頬および唇の裏層、口の底部、硬口蓋および軟口蓋、ならびに臼後三角(智歯の後ろの領域))として規定される。
【0052】
用語「ペプチド」は、本明細書中で用いられる場合、約50アミノ酸までの鎖として規定される。
【0053】
用語「薬学的または薬理学的に受容可能」は、本明細書中で用いられる場合、動物またはヒトに投与された場合に、有害な反応、アレルギー性の反応、または他の都合の悪い反応を生じない分子的物体または組成物をいう。
【0054】
用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、本明細書中で用いられる場合、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。
【0055】
用語「組換えベクター」は、本明細書中で用いられる場合、HN−1または別の内部移行ペプチドをコードする核酸を含む配列を細胞内に移行する手段として規定される。特定の実施形態において、ベクターは、核酸、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、脂質、リポソーム、炭水化物、糖、脂肪酸、またはそれらの組み合わせである。
【0056】
用語「特異的」は、本明細書中で用いられる場合、1つの実施形態において、抗腫瘍化合物に結合したHN−1ペプチドまたは別の内部移行ペプチドによる癌組織への送達または標的化として規定される。別の実施形態において、用語、特異的は、HN−1ペプチドまたは別の内部移行ペプチドが、抗腫瘍化合物を優先的に癌組織に送達または標的化することを意味する。さらに別の実施形態において、この用語は、HN−1ペプチドまたは別の内部移行ペプチドを含む結合体が癌組織以外に結合しない場合、抗腫瘍化合物についての癌組織の送達または標的化をいう。これらの実施形態の1つの局面において、本明細書に記載される結合体は、この結合体の腫瘍への送達のプロセスまたは行程の間に他の生物学的物体と接触し得る。
【0057】
用語「標的」は、本明細書中で用いられる場合、HN−1ペプチドまたはそのフラグメントにより提供される、腫瘍または腫瘍細胞に結合(bound)または結合(conjugated)される化合物についての分子的な方向付けとして規定される。標的化は、投与の場合に腫瘍または腫瘍細胞に対して直接的であり得るか、または間接的な手段または機構により得る。HN−1/化合物を含む結合体が、腫瘍または腫瘍細胞を最終的に標的化する(非治療的目的で他の生物学的物質に結合することを含む)ための間接的な経路に従うことを許容することは、この用語の範囲内である。
【0058】
用語「処置する」は、本明細書中で用いられる場合、医学的状態または疾患に対して処置を適用することの実践として規定される。この処置は、完全な治癒を提供する必要はなく、少なくとも1つの徴候が改善または根絶される場合に効果的であるとみなされる。さらに、処置は、疾患状態または医学的状態の永久的な改善を提供する必要はないが、それが好ましい。
【0059】
用語「腫瘍細胞」は、本明細書中で使用される場合、悪性塊(例えば、腫瘍または癌)の細胞として規定される。この細胞は、腫瘍内、腫瘍の表面に位置し得るか、または腫瘍に結合され得る。
【0060】
本発明は、ヒト頭頚部扁平上皮癌細胞または特定の他の固形腫瘍組織細胞(例えば、乳癌細胞)により特異的に内部移行される、配列番号1を有するペプチド(HN−1)の同定について記載する。本発明は、診断薬および抗癌薬の癌組織への腫瘍組織特異的送達を達成するためのHN−1ペプチドの使用を想定している。従って、本発明の特定の実施形態において、本発明者らは、抗癌薬とHN−1ペプチドとを結合するために開発された方法およびこのペプチドの結合した薬物の特定の腫瘍組織への送達を可能にする方法について記載する。他の実施形態において、本発明者らは、癌患者において、HN−1ペプチドおよび薬物結合体の薬学的に受容可能な組成物と腫瘍とを接触させることにより、癌および/または腫瘍細胞の選択的な殺傷を達成するために使用され得る方法について記載する。さらに他の実施形態において、HN−1ペプチドが結合した標識を用いて癌を画像化するための方法が、インビトロ適用およびインビボ適用の両方について記載される。従って、癌治療キットおよび癌診断キットの開発が記載される。
【0061】
過去に、細胞毒性剤を腫瘍に送達するために、抗体認識腫瘍特異的抗原が使用されていた。しかし、これらの免疫結合体は、腫瘍組織に浸透することができないそれらの能力に起因して、固形腫瘍に対する限られた有効性を示した。対照的に、本発明者らが単離した12マーのペプチド(HN−1)は、代表的な抗体と比較される場合、質量において1/100であり、そして腫瘍(例えば、ヌードマウスにおいて形成されたヒト頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)異種移植片)に浸透し得る。従って、HN−1ペプチドを薬物に結合することにより、本発明者らは、癌細胞の全身的蓄積における薬物の腫瘍特異的送達系を開発した。
【0062】
本発明者らは、>10のランダムペプチドを含む、ランダムペプチド提示ライブラリー(実施例に記載される)をスクリーニングし、そしてヒト頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)に特異的なHN−1ペプチドを単離した。蛍光顕微鏡を通して、蛍光色素結合HN−1ペプチドのHNSCC細胞への内部移行を、インビトロで証明した。このペプチドは、進入後に細胞質に局在した。このことをさらに、ペプチドインキュベート細胞溶解物の非細胞画分の電気泳動分析により確認した。HN−1ペプチドの限定的な取り込みが、ヒト口ケラチノサイトで生じた(不朽化したHPV)。まとめると、このことは、このペプチドが、特定の癌に特異的であることを実証する。さらに、HN−1ペプチドは、初代細胞レベルの正常な細胞と比較して、HNSCC細胞に優先的に結合した。インビボでは、静脈内注入したHN−1ペプチドが、ヌードマウスにおいて形成されたHNSCC異種移植片に局在した。このペプチドは、腫瘍を通して細胞質に蓄積した。このことは、腫瘍塊の内部に浸透する能力を実証する。
【0063】
薬物送達を模倣するために、HN−1を、Taxolの約44%の分子量を有する複雑な有機分子、フルオレセインに結合させた。静脈内投与後、FITC結合HN−1は、ヒト頭頚部癌細胞由来の異種移植片に局在した。このペプチドは、腫瘍全体にわたって見出された。このことは、結合した化合物を有する腫瘍組織に浸透する能力を実証する。
【0064】
本発明の好ましい実施形態において、HN−1ペプチドは、抗腫瘍薬(例えば、Taxol)に結合(conjugated)または結合(bound)される。抗腫瘍薬は、一般的に、腫瘍細胞膜を通した分散を許容するのに十分疎水性であるが、HN−1ペプチドが薬物を腫瘍細胞に標的化させ、そして他の手段により抗腫瘍薬の転座または内部移行させることは、本発明の範囲内である。
【0065】
細胞傷害性薬剤を固形腫瘍に送達するために以前に使用されていた特定のペプチドが当該分野において記載されるが、いずれのペプチドも腫瘍特異的ではない。一つの型としては、ポリ−L−リジンのような高分子量カチオン性ポリマー(Wuら、1987)(これは、漏出性の腫瘍脈管構造に起因する腫瘍によって選択的に保持される)が挙げられ、そして他の型としては、腫瘍脈管構造に選択的に結合し、それによって、腫瘍増殖に必要な脈管形成性内皮脈管の破壊を可能するペプチドが挙げられる。しかし、直径1mmより小さい腫瘍が隣接する正常な脈管から得られる栄養を介して持続し得る(Folkman、1990)ので、これらのより小さな腫瘍を除く仕事が依然として残る。本発明は、腫瘍特異的ペプチドHN−1(これは、固形腫瘍を浸透し得るかまたは固形腫瘍によって取り込まれ得る)を提供することによってこれらの問題を解決する。本発明は、抗癌剤へのHN−1ペプチドの結合に関し、これは、動物に投与される場合、抗癌剤の腫瘍特異性を提供し、従って、効果的な抗癌治療を提供する。
【0066】
本発明は、これによって、他の細胞に対する有害な副作用の発生によって制限されることなく、腫瘍を破壊するのに必要な用量の薬物を提供し得ることを想定する。薬物送達のためのシャトル(shuttle)としてのHN−1の可能性は、それが非毒性であり、非免疫原性であり、インビボで安定(注射の24時間後に、血液中でインタクトなペプチドを検出することによって示される)であり、輸送の間、その積荷(cargo)を保護し、そして48時間以内に腫瘍内に十分に蓄積するという事実によってさらに強調される。
【0067】
(1.ペプチド)
(A.HN1)
本発明者らは、頭頚部癌の診断および処置のためのHN−1の使用を意図する。HN−1が、乳癌および脳腫瘍のような他の固形腫瘍の処置のために使用され得ることもまた意図する。
【0068】
従って、一つの実施形態において、本発明者らは、タキソール(HNSCC(Shinら、1988)および乳癌を処置するための最も強力な化学療法)をHN−1に結合する。他の実施形態において、HN−1は、他の化学療法剤に結合される。
【0069】
他の実施形態において、腫瘍画像化、腫瘍診断における使用、および遺伝子移入アプローチ(Claymanら、1995)に対する腫瘍特異性の提供を含むがこれらに限定されないHN−1のいくつかの使用が存在する。
【0070】
本発明の1つの実施形態において、腫瘍細胞を標的化するペプチドが存在し、そして特定の実施形態において、腫瘍細胞によって内部移行される。本発明の目的は、配列番号1を含むかまたは配列番号1からなるペプチドである。本発明の好ましい実施形態において、ペプチドの内部移行が存在するが、直接的または間接的な手段または機構によって、抗癌剤を腫瘍に標的化するためにHN−1ペプチドまたは別の内部移行ペプチドを使用することが本発明の範囲内にある。
【0071】
本発明の目的において、腫瘍細胞を標的化する薬物およびHN−1ペプチドを含む組成物が存在し、特定の実施形態において、この腫瘍細胞によって内部移行される。特定の実施形態において、薬物は、化学療法剤、細胞傷害性剤、アポトーシス薬剤、DNA損傷剤、またはタキソールである。特定の実施形態において、薬物は、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン(bisulfan)、ニトロソウレア(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビジン、ブレオマイシン、プリコマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、トランスプラチン(transplatinum)、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはメトトレキサートである。
【0072】
(B.HN−1の改変体)
HN−1のアミノ酸配列改変体もまた、本発明によって包含される。ポリペプチドノアミノ酸配列改変体は、置換改変体または挿入改変体であり得る。
【0073】
挿入変異体は、代表的に、ペプチドの非末端位置での物質の付加を包含する。これは、少しの残基;免疫反応性エピトープ;または単に、単一の残基の挿入を包含し得る。追加される物質は、例えば、メチル化、アセチル化などによって改変され得る。あるいは、さらなる残基が、ペプチドのN末端またはC末端に付加され得る。
【0074】
置換改変体は、代表的に、ペプチド内の一つ以上の部位において、1つのアミノ酸を別のものに交換することを包含し、ペプチドの1つ以上の性質(例えば、他の機能または性質の損失がない、タンパク質分解性切断に対する安定性)を調節するように設計され得る。この種の置換は、好ましくは、保存的である(すなわち、1つのアミノ酸が、類似の形状および電荷を有するアミノ酸で置換される)。保存的置換は、当該分野において周知であり、そして例えば、以下の変化を含む:アラニンからセリン;アルギニンからリジン;アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジン;アスパラギン酸からグルタミン酸;システインからセリン;グルタミンからアスパラギン;グルタミン酸からアスパラギン酸;グリシンからプロリン;ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミン;イソロイシンからロイシンまたはバリン;ロイシンからバリンまたはイソロイシン;リジンからアルギニン;メチオニンからロイシンまたはイソロイシン;フェニルアラニンからチロシン、ロイシンまたはメチオニン;セリンからトレオニン;トレオニンからセリン;トリプトファンからチロシン;チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニン;およびバリンからイソロイシンまたはロイシン。
【0075】
以下は、等価な、または改善さえした第2世代の分子を作製するための、ペプチドのアミノ酸の変化に基づく議論である。例えば、特定のアミノ酸は、例えば、基質分子または抗体の抗原結合領域の結合部位のような構造との相互作用的な結合能力の明らかな損失なしに、ペプチド/タンパク質構造中の他のアミノ酸と置換され得る。ペプチド/タンパク質の生物学的機能的活性を規定するのは、ペプチド/タンパク質の相互作用的能力および性質であるので、特定のアミノ酸置換は、ペプチド/タンパク質配列、そしてそのもとにあるDNAコード配列においてなされ得、そしてそれにも関わらず、類似の性質を有するタンパク質を得る。このように、以下に議論されるように、生物学的有用性または活性の明らかな損失なしに、遺伝子のDNA配列において種々の変化がなされ得ることが意図される。さらに、本発明のアミノ酸は、メチル化、アセチル化、ミリスチル化などのような変更を含み得る。
【0076】
このような変化を作製する際、アミノ酸の疎水性親水性指標が考慮され得る。ペプチド/タンパク質に相互作用的生物学的機能を与える際の、疎水性親水性アミノ酸指標の重要性は、一般的に、当該分野において理解されている(KyteおよびDoolittle、1982)。アミノ酸の相対的な疎水性親水性の特徴が得られるペプチド/タンパク質の二次構造に寄与し、次いでこれは、ペプチド/タンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定することが受け入れられている。
【0077】
各アミノ酸が、それらの疎水性および電荷特徴に基づいて疎水性親水性指数を割り当てられており(KyteおよびDoolittle、1982)、これらは、以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0078】
特定のアミノ酸が、類似の疎水性親水性指数またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換され得、依然として類似の生物学的活性を有するペプチド/タンパク質を生じる(すなわち、生物学的に機能的に等価なペプチド/タンパク質を得る)ことが当該分野において公知である。このような変化を作製する際、疎水性親水性指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そして±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおさらに好ましい。
【0079】
類似のアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的になされ得ることがまた当該分野において理解される。米国特許第4,554,101号(本明細書中において参考として援用される)は、隣接するアミノ酸の親水性によって支配される、タンパク質の最大の局所的平均親水性(local average hydrophilicity)が、タンパク質の生物学的性質と相関することを記述する。米国特許第4,554,101号に詳細されるように、以下の親水性値が、アミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。
【0080】
アミノ酸は、類似の親水性を有する別のアミノ酸を置換され得、依然として生物学的に等価で免疫学的に等価なタンパク質を得ることができることが理解されている。このような変化において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換がこのましく、±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そして±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおさらに特に好ましい。
【0081】
上で概説したように、アミノ酸置換は、一般的に、アミノ酸側鎖置換の相対的類似性(例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、大きさなど)に基づく。種々の上記特徴を考慮する例示的な置換は、当業者に周知であり、そして以下が挙げられる:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびトレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシンおよびイソロイシン。しかし、本発明のアミノ酸への変更は、保存的でなくあり得、そのペプチドが腫瘍細胞を標的化するための機能を依然として保持する限り、依然として本発明の範囲内である。
【0082】
本発明に従うペプチドの調製のための別の実施形態は、ペプチド模倣物の使用である。模倣物は、タンパク質の2次構造のエレメントを模倣するペプチド含有分子である。例えば、Johnsonら、1993を参照のこと。ペプチド模倣物の使用の背景にある根本的な原理は、タンパク質のペプチド骨格が、主に、分子の相互作用(例えば、抗体および抗原の相互作用)を容易にするような方法でアミノ酸側鎖を指向するために存在する。ペプチド模倣物は、天然の分子と類似した分子の相互作用を可能にすると予想される。これらの原理は、上記の原理的概略と組み合わせて使用され、HN−1の多くの天然の特性を有するが、変更された特性およびさらに改善された特性を有する、第2世代分子を操作し得る。例えば、腫瘍細胞へのより強力な結合を有するか、または異なる型の腫瘍細胞と結合するように特異的に適合がなされ得るモチーフを生成するためのアミノ酸の置換は、より多くのHN−1関連ペプチド(各々は、異なる腫瘍型に対して異なる)の生成を可能にし得る。
【0083】
本発明の実施形態において、HN−1を含むペプチドまたはそのフラグメントもしくは誘導体に関連するさらなる手段が存在し、これらは、ペプチド−抗腫瘍組成物結合体の腫瘍細胞への形質導入または内在化を容易にする。特定の実施形態において、タンパク質形質導入ドメインはまた、HN−1/抗−腫瘍組成物結合体と結合、結合体化、またはそうでなければ会合する。別の特定の実施形態において、タンパク質形質導入ドメインは、HIV TATタンパク質(Schwarzeら、1999)であり、そしてこのタンパク質形質導入ドメインの添加は、腫瘍細胞(このドメインが血液脳関門を通過し得るような脳腫瘍細胞を含む)への送達を容易にする。従って、本発明のこの実施形態において、このタンパク質形質導入ドメインは、任意の組織への送達を容易にするが、本発明のHN−1ペプチドは、全複合体を腫瘍細胞(頭頚部癌細胞、乳癌細胞または脳癌細胞)に特異的に指向し、そしてこのタンパク質形質導入ドメインは、抗腫瘍薬物複合体の送達および形質導入を容易にするための主に補助的な手段である。他のタンパク質形質導入ドメインは、本発明の範囲内であり、そして当該分野で公知である。
【0084】
当業者は、改変体が腫瘍標的化特性をさらに保持するかどうかを決定するために、改変体を容易にスクリーニングまたは試験し得ることを認識している。すなわち、本明細書において、例えば、実施例に提供される方法に従って、HN−1ペプチド改変体または他の内在化ペプチド改変体を、検出可能な標識に結合体化し、細胞に導入し、そして細胞による内在化についてアッセイし得る。好ましい実施形態におけるアッセイ方法は、蛍光顕微鏡であるが、当業者は、このアッセイ方法が使用される標識の型に従って使用されるべきことを認識する。インビトロにおけるこの方法に加えて、またはこの方法の代わりに、インビボでの内在化アッセイが使用され得る。例えば、検出可能な標識に結合体化された改変体を、動物(例えば、腫瘍組織または癌組織を有するヌードマウス)に導入し、この動物の腫瘍組織を、この標識の検出のためにアッセイする。当業者は、当該分野で公知の他の方法またはこれらの方法の変形を使用して、内在化ペプチド(例えば、HN−1)の細胞への標的化について試験し得る。
【0085】
(C.合成ペプチド)
本発明は、本発明の種々の実施形態における使用のための、NH−1、HN−1関連ペプチド、および他の癌−細胞特異的ペプチドを記載する。これらのペプチドは、癌/腫瘍細胞によって特異的に取り込まれ、通常の細胞によって取り込まれない能力を有する。このHN−1ペプチドは、12マーである。しかし、この12マーペプチドに別の配列を添加し得る。他の改変体およびNH−1関連ペプチドもまた意図され、これらは、腫瘍細胞膜を介して転座する能力をさらに保持する。このようなペプチドは、一般に、全HN−1配列、またはそれらの一部を含み得、少なくとも、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個のアミノ酸残基長であり、そして5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45、またはさらに55〜50個の残基程度の長さであり得る。
【0086】
これらの相対的に小さいサイズのために、本発明のペプチドはまた、従来の技術に従って、溶液中または固体支持体上で合成され得る。種々の自動合成器が、市販されており、そして公知のプロトコルに従って使用され得る。例えば、StewartおよびYoung(1984);Tamら(1983);Merrifield(1986);およびBaranyおよびMerrifield(1979)(これらの各々は、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。短いペプチド配列、または重複するペプチドのライブラリー(通常、約6個から約35〜50個までのアミノ酸)(このアミノ酸は、本明細書中に記載される選択領域に対応する)は、容易に合成され得、次いで、反応性ペプチドを同定するために設計されたスクリーニングアッセイにおいてスクリーニングされ得る。
【0087】
(D.結合体化方法)
本発明の実施形態において、抗腫瘍化合物を、腫瘍細胞を殺傷する方法のために、HN−1ペプチドに結合体化する。本発明の別の実施形態において、検出可能な標識を、癌細胞に対する診断方法および画像化方法のために、HN−1ペプチドに結合体化する。特定の実施形態において、この標識を、直接的に可視化し得る。別の実施形態において、この標識を、第2の手段によって可視化する(例えば、この標識を検出する第2の生物学的実体の可視化)。
【0088】
本発明の目的において、HN−1ペプチドを、抗癌薬物または組成物に結合体化する。特定の実施形態において、このペプチドを、抗癌薬物または組成物を含むリポソームに結合体化する。結合体化手段(例えば、BaumingerおよびWilchek(1980)またはNagyら(1996)により教示される手段(この両方は、本明細書中で参考として援用される))は、当該分野で周知である。本発明の実施形態において、抗癌薬物または組成物を、カルボジイミドによって結合体化する。本発明の特定の実施形態において、デキソルビシンのような抗癌剤を、例えば、Arapら(1999)のような参考文献中に教示されているように、1−エチル−3−(3−ジメチル−アミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)によって、結合体化する。あるいは、HN−1ペプチドを、オキソンおよびモノペルオキシフタル酸のような酸化剤の存在下で、トリペプチドHN−Gly−Gly−His−COOH(配列番号2)のNi(II)錯体を利用するBrownら(1995)の方法を使用して抗癌剤に結合体化する。
【0089】
(E.結合体)
癌細胞を検出または画像化する目的でNH−1ペプチドを標識するための結合体としては、放射性標識、核磁気スピン共鳴同位体、蛍光標識、および適切な基質との接触により着色した生成物を生成し得る酵素タグが挙げられる。特定の実施形態において、フルオロフォア(例えば、FITC蛍光色素またはTexas Red蛍光色素)を、本発明の方法に利用する。他のフルオロフォアとしては、以下が挙げられる:フルオレセイン、フルオレセインジアセテート、5−カルボキシフルオレセインと6−カルボキシフルオレセインとの混合異性体、5−カルボキシフルオレセインの単一異性体、6−カルボキシフルオレセインの単一異性体、5−カルボキシフルオレセインジアセテートと6−カルボキシフルオレセインジアセテートとの混合異性体、5−カルボキシフルオレセインジアセテートの単一異性体、6−カルボキシフルオレセインジアセテートの単一異性体、5−カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルと6−カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルとの混合異性体、5−カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルの単一異性体、6−カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルの単一異性体、5−カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステルと6−カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステルとの混合異性体、5−カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステルの単一異性体、6−カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステルの単一異性体、5−カルボキシ−テトラエチルローダミンと6−カルボキシ−テトラエチルローダミンとの混合異性体、5−カルボキシ−テトラエチルローダミンの単一異性体、5−カルボキシテトラエチルローダミンスクシンイミジルエステルと6−カルボキシテトラエチルローダミンスクシンイミジルエステルとの混合異性体、5−カルボキシテトラエチルローダミンスクシンイミジルエステルの単一異性体、6−カルボキシテトラエチルローダミンスクシンイミジルエステルの単一異性体、5−カルボキシ−2i−7i−ジクロロフルオレセインと6−カルボキシ−2i−7i−ジクロロフルオレセインの混合異性体、5−カルボキシ−2i−7i−ジクロロフルオレセインジアセテート(カルボキシ−DCFDA)と6−カルボキシ−2i−7i−ジクロロフルオレセインジアセテートの混合異性体、5−カルボキシ−2i−7i−ジクロロフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステルと6−カルボキシ−2i−7i−ジクロロフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステルとの混合異性体、スクシンイミジルエステルの混合異性体、Alexa蛍光488色素、Oregonグリーン488色素、ローダミンの緑色Alexa蛍光色素、橙色Alexa蛍光色素、および赤色Alexa蛍光色素、テトラメチルローダミン、リサミンローダミンB、ローダミンred−X色素、X−ローダミン、Texas Red−X色素、ナフトフルオレセイン、LaserPro IR790、QSY−7色素、非蛍光性マラカイトグリーンおよび非蛍光性イソスルファンブルー、カスケードブルー色素、クマリン誘導体、ナフタレン、ピレン、カスケードイエロー色素、ダポキシル色素、フルオレサミン、ジアルデヒド(例えば、OPAおよびNDA)、ATTO−TAG試薬、7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD)誘導体、ダンシルクロリドおよび他のスルホニルクロリド、スクシンイミジルエステルならびにカルボン酸。当該分野で公知の他の結合体もまた、利用され得る。
【0090】
(2.核酸)
本発明の別の実施形態において、配列番号1をコードするDNAセグメント、または配列番号1をコードする核酸を含むDNAセグメントが存在する。当業者は、標準的な遺伝コードにおける複数のコドン(当該分野で公知の任意の標準的な生化学または分子生物学のテキストにおいて利用可能である)は、ペプチドの特定のアミノ酸をコードし得ることを理解している。しかし、コドンの第3の「ゆらぎ」位置は、コドンに依存して、核酸の2〜4のヌクレオチドであり得、そしてなお特定のアミノ酸をコードし得る。比較的短い長さのHN−1ペプチド(12マーである)、およびHN−1のアミノ酸についてのコドンの最初の2つのコドン位置の一貫性は、HN−1ペプチドをコードするDNAセグメントの数が比較的小さいことを示す。
【0091】
別の実施形態において、HN−1ペプチドをコードするDNAセグメントを含む組換えベクターが存在する。用語「ベクター」は、核酸配列が複製され得る細胞への導入のために核酸配列が挿入されるキャリア核酸分子を言及するために使用される。核酸配列は、「外来性」であり得、これは、この核酸配列が、ベクターが導入されている細胞に対して異種であること、またはこの配列が、この配列が本来見出されない宿主細胞核酸内の位置ではなく、細胞中の配列に対して相同であることを意味する。ベクターは、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、および人工染色体(例えば、YAC)を含む。当業者は、標準的な組換え技術によりベクターを構築するための十分な能力を有し、この技術は、Sambrookら、1988およびAusubelら、1994(これらの両方は本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0092】
用語「発現ベクター」とは、転写され得る遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含むベクターをいう。いくつかの場合において、RNA分子は、次いで、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳される。他の場合において、これらの配列は、例えば、アンチセンス分子またはリボザイムの産生において、翻訳されない。発現ベクターは、種々の「制御配列」を含み得、この「制御配列」とは、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の転写およびおそらく翻訳に必要な核酸配列をいう。転写および翻訳を支配する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、同様に他の機能を働き、そして前に記載される核酸配列を含み得る。
【0093】
(A.プロモーターおよびエンハンサー)
「プロモーター」は、転写の開始および速度が制御される核酸配列の領域である制御配列である。これは、調節タンパク質および分子が結合し得る遺伝エレメント(例えば、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子)を含み得る。成句「作動可能に配置された」、「操作的に連結された」、「制御下」および「転写制御下」とは、プロモーターが、この配列の転写の開始および/または発現を制御する核酸配列に関して正確な機能的位置および/または配向にあることを意味する。プロモーターは、「エンハンサー」と組み合わされて使用されても使用されなくてもよく、この「エンハンサー」とは、核酸配列の転写活性に関与するシス作用調節配列をいう。
【0094】
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエキソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することによって得られ得るような遺伝子または配列と天然で会合し得るプロモーターであり得る。このようなプロモーターは、「内在性」と称され得る。同様に、エンハンサーは、この配列の下流または上流のいずれかに位置する核酸配列と、天然で会合し得るエンハンサーである。あるいは、特定の利点は、コード核酸セグメントを組換えプロモーターまたは異種プロモーターの制御下に配置することによって得られ、この組換えプロモーターまたは異種プロモーターとは、天然の環境において核酸配列と通常は会合しないプロモーターをいう。組換えエンハンサーまたは異種エンハンサーとはまた、天然の環境に置いて核酸配列と通常は会合しないエンハンサーをいう。このようなプロモーターまたはエンハンサーとしては、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、および任意の他の原核生物、ウイルスまたは真核生物の細胞から単離されるプロモーターまたはエンハンサー、および「天然に存在」しないプロモーターまたはエンハンサー(すなわち、異なる転写調節領域の異なるエレメント、および/または発現を変更する変異を含む)が挙げられる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に生成することに加えて、配列は、組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術(PCRTMを含む)を、本明細書中で開示される組成物と共に使用して生成され得る(米国特許第4,683,202号、米国特許第5,928,906号(この各々は本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。さらに、非核小器官(例えば、ミトコンドリア、葉緑体など)内の配列の転写および/または発現を指向する制御配列が同様に用いられ得ることが意図される。
【0095】
当然、細胞型、小器官および発現のために選択される生物におけるDNAセグメントの発現を効率的に指向するプロモーターおよび/またはエンハンサーを用いることが重要である。分子生物学の当業者は、一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサーおよび細胞型の組み合わせの使用に精通している(例えば、本明細書中で参考として援用されるSambrookら(1989)を参照のこと)。用いられるプロモーターは、誘導されるDNAセグメントの高レベルの発現を指向するのに適切な条件下で、構成的、組織特異的、誘導性および/または有用であり得、その結果、組換えタンパク質および/またはペプチドの大スケールの生成において有利である。プロモーターは、異種または内在性であり得る。
【0096】
組織特異的プロモーターまたはエレメントの同一性、ならびにそれらの活性を特徴付けするためのアッセイは、当業者に周知である。このような領域の例としては、ヒトLIMK2遺伝子(Nomotoら、1999)、ソマトスタチンレセプター2遺伝子(Krausら、1998)、マウス精巣上体レチノイン酸結合遺伝子(Lareyreら、1999)、ヒトCD4(Zhao−Emonetら、1998)、マウスα2(XI)コラーゲン(Tsumakiら、1998)、D1Aドーパミンレセプター遺伝子(Leeら、1997)、インシュリン様増殖因子II(Wuら、1997)、ヒト血小板内皮細胞接着分子−1(Almendroら、1996)が挙げられる。
【0097】
(B.開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位)
特定の開始シグナルはまた、コード配列の効率的な翻訳に必要であり得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンまたは隣接配列を含む。外来性翻訳制御シグナル(ATG開始コドンを含む)は、提供される必要があり得る。当業者は、容易にこれを決定し、そして必要なシグナルを提供し得る。開始コドンは、挿入物全体の翻訳を保証する所望のコード配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことが周知である。外来性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然または合成のいずれかであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメントを含めることによって増大され得る。
【0098】
本発明の特定の実施形態において、内部リボソーム侵入部位(IRES)エレメントは、多重遺伝子、すなわちポリシストロニックメッセージを作製するために使用される。IRESエレメントは、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャンモデルをバイパスし、そして内部位置で翻訳を開始し得る(PelletierおよびSonenberg、1988)。ピコルナウイルスファミリーの2つのメンバー由来のIRESエレメント(ポリオおよび脳心筋炎)は、哺乳動物メッセージ由来のIRES(MacejakおよびSarnow,1991)と同様に、記載されている(PelletierおよびSonenberg、1988)。IRESエレメントは、異種オープンリーディングフレームに連結され得る。複数のオープンリーディングフレームは、一緒に転写され得、IRESによって分離された各々は、ポリシストロニックメッセージを作製する。IRESエレメントによって、各オープンリーディングフレームは、効果的な翻訳のためのリボソームに接近可能である。複数の遺伝子は、単一のプロモーター/エンハンサーを使用して効果的に発現されて、単一のメッセージを転写し得る(米国特許第5,925,565号および同第5,935,819号を参照のこと)。
【0099】
(C.多クローニング部位)
ベクターは、多クローニング部位(MCS)を含み得、この多クローニング部位は、複数の制限酵素部位を含む核酸領域であり、これらの制限酵素部位のいずれかは、ベクターを消化するための標準的な組換え技術と共に使用され得る(Carbonelliら、1999、Levensonら、1998、およびCocea、1997を参照のこと)。「制限酵素消化」とは、核酸分子中の特定の位置においてのみ機能する酵素による、核酸分子の触媒的切断をいう。これらの制限酵素の多くは、市販されている。このような酵素の使用は、当業者に幅広く理解されている。しばしば、ベクターは、MCS内で切れて外来性配列がこのベクターに連結することを可能にする制限酵素を使用して、直線化または断片化される。「連結」とは、2つの核酸フラグメント(これらは互いに連続的であってもなくてもよい)の間にホスホジエステル結合を形成するプロセスをいう。制限酵素および連結反応を含む技術は、組換え技術の当業者に周知である。
【0100】
(D.スプライシング部位)
大部分の転写された真核生物RNA分子は、RNAスプライシングを受けて、一次転写物からイントロンを除去する。ゲノム真核生物配列を含むベクターは、タンパク質発現のための転写物の適切なプロセシングを確実にするために、ドナースプライシング部位および/またはアクセプタースプライシング部位を必要とし得る(Chandlerら、1997を参照のこと)。
【0101】
(E.ポリアデニル化シグナル)
発現において、転写物の適切なポリアデニル化を生じるために、代表的に、ポリアデニル化シグナルを含める。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の首尾よい実施のために重大ではないと考えられ、そして/または任意のこのような配列が使用され得る。好ましい実施形態は、SV40ポリアデニル化シグナルおよび/またはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含み、これらは種々の標的細胞において好都合であり、そして/または良好に機能することが公知である。発現カセットのエレメントとしてはまた、転写終結部位が意図される。これらのエレメントは、メッセージレベルを増強し、そして/またはカセットから他の配列への読み過しを最小にするよう働き得る。
【0102】
(F.複製起点)
宿主細胞においてベクターを伝播するために、このベクターは、1つ以上の複製起点部位(しばしば「ori」と称される)を含み得、この複製起点部位は、複製が開始する、特定の核酸配列である。あるいは、宿主細胞が酵母である場合には、自律複製配列(ARS)が使用され得る。
【0103】
(G.選択マーカーおよびスクリーニングマーカー)
本発明の特定の実施形態において、細胞は、本発明の核酸構築物を含み、細胞は、発現ベクターにマーカーを含むことによって、インビトロまたはインビボにおいて同定され得る。このようなマーカーは、同定可能な変化を細胞に与え、発現ベクターを含む細胞の容易な同定を可能にする。一般に、選択マーカーとは、選択を可能にする特性を与えるマーカーである。陽性選択マーカーとは、マーカーの存在がその選択を可能にするマーカーであり、一方で陰性選択マーカーとは、その存在がその選択を防ぐマーカーである。陽性選択マーカーの例は、薬物耐性マーカーである。
【0104】
通常、薬物選択マーカーを含めることは、形質転換体のクローニングおよび同定において補助となる。例えば、ネオマイシン、プロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン(zeocin)およびヒスチジノールに対する抵抗性を与える遺伝子は、有用な選択マーカーである。条件の実施に基づいて形質転換の識別を可能にする表現型を与えるマーカーに加えて、GFP(これの基礎は、比色定量分析である)のようなスクリーニングマーカーを含む他の型のマーカーもまた意図される。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のようなスクリーニング酵素が利用され得る。当業者はまた、恐らくFACS分析と組み合わせた、免疫学的マーカーを使用する方法を知っている。使用されるマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現され得る限り、重要であるとは考えられない。選択マーカーおよびスクリーニングマーカーのさらなる例は、当業者に周知である。
【0105】
(H.宿主細胞)
本明細書中において使用される場合、用語「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」は、互換可能に使用され得る。これらの用語の全てはまた、それらの子孫を含み、これは、引き続く世代のいずれかおよび全てである。故意の変異またはまちがいの変異に起因して、全ての子孫が同一であるわけではないかもしれないことが、理解される。異種核酸配列の発現に関連して、「宿主細胞」とは、原核生物細胞または真核生物細胞をいい、そしてこの用語は、ベクターを複製し得、そして/またはベクターによってコードされる異種遺伝子を発現し得る、任意の形質転換可能な生物を含む。宿主細胞は、ベクターのためのレシピエントとして使用され得、そして使用されてきた。宿主細胞は、「トランスフェクト」または「形質転換」され得、これは、外因性核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスをいう。形質転換された細胞とは、始原被験体細胞およびその子孫を含む。
【0106】
宿主細胞は、所望の結果が、ベクターの複製であるか、ベクターによってコードされる核酸配列の部分または全ての発現であるかに依存して、原核生物由来または真核生物由来であり得る。多数の細胞株および培養物が、宿主細胞として使用するために利用可能であり、そしてこれらは、American Type Culture Collection(ATCC)(これは、生存培養物および遺伝物質のための保管所として働く機関である(www.atcc.org))から入手され得る。適切な宿主は、ベクターの骨格および所望の結果に基づいて、当業者によって決定され得る。例えば、プラスミドまたはコスミドは、多くのベクターの複製のために、原核生物宿主細胞に導入され得る。ベクターの複製および/または発現のための宿主細胞として使用される細菌細胞としては、DH5α、JM109、およびKC8、ならびに多数の市販の細菌宿主(例えば、SURE(登録商標) Competent CellおよびSOLPACKTM Gold Cells(STRATAGENE(登録商標)、La Jolla、CA))が挙げられる。あるいは、E.coli LE392のような細菌細胞は、ファージウイルスのための宿主細胞として使用され得る。
【0107】
ベクターの複製および/または発現のための真核生物宿主細胞の例としては、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293、Cos、CHO、Saos、およびPC12が挙げられる。種々の細胞型および生物由来の多くの宿主細胞は、利用可能であり、そして当業者に公知である。同様に、ウイルスベクターが、真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞のいずれか(特に、ベクターの複製または発現に対して寛大なもの)と組み合わせて使用され得る。
【0108】
いくらかのベクターは、原核生物細胞と真核生物細胞との両方において、このベクターの複製および/また発現を可能にする制御配列を使用し得る。当業者は、上記宿主細胞を維持し、そしてベクターの複製を可能にするための、上記宿主細胞の全てをインキュベートする条件を、さらに理解する。ベクターの大規模な生成、ならびにベクターによってコードされる核酸およびその同種ポリペプチド、タンパク質、またはペプチドの生成を可能にする技術ならびに条件もまた、理解され、そして公知である。
【0109】
(I.発現系)
上で議論した成分の少なくとも一部または全てを含む、多数の発現系が存在する。原核生物に基づく系および/または真核生物に基づく系が、本発明と共に使用されるために利用されて、核酸配列、またはその同種ポリペプチド、タンパク質およびペプチドを生成し得る。多くのこのような系は、市販で広範に入手可能である。
【0110】
昆虫細胞/バキュロウイルス系は、米国特許第5,871,986号、同第4,879,236号(これらの両方が、本明細書中に参考として援用される)に記載されるような、異種核酸セグメントの高レベルのタンパク質発現を生じ得、そしてこれらは例えば、MAXBAC(登録商標)2.0の名称でINVITROGEN(登録商標)から、そしてBACPACKTM BACULOVIRUS EXPRESSION SYSTEMの名称でCLONTECH(登録商標)から購入され得る。
【0111】
発現系の他の例としては、STRATAGENE(登録商標)のCOMPLETE CONTROLTM Inducible Mammalian Expression System(これは、合成エクジソン誘導性レセプターを含む)、またはその会社のpET Expression System(E.coli発現系)が挙げられる。誘導性発現系の別の例は、INVITROGEN(登録商標)から入手可能であり、T−RExTM(テトラサイクリンにより調節される発現)System(全長CMVプロモーターを使用する誘導性哺乳動物発現系を含む)を有する。INVITROGEN(登録商標)はまた、Pichia methanolica Expression Systemと称される酵母発現系を提供し、これは、メチロトロフィック酵母Pichia methanolicaにおける組換えタンパク質の高レベルの生成のために設計されている。当業者は、ベクター(例えば、発現構築物)を発現させて核酸配列またはその同種ポリペプチド、タンパク質、もしくはペプチドを産生する方法を知っている。
【0112】
あるいは、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列が発現ベクターに挿入され、適切な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトされ、そして発現に適した条件下で培養される、組換えDNA技術が使用され得る。当業者は、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら.(編))またはMolecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら)(発現ベクターからのペプチドの発現を含む分子生物学に関する慣用的な実施に関する情報について、本明細書中に参考として援用される)のような多くの参考文献を利用可能である。発現ベクターのヌクレオチド配列によってコードされるペプチドは、E.coliのような原核生物において、またはバキュロウイルスベクターを使用して昆虫細胞のような真核生物において、哺乳動物細胞において、もしくはワクシニアウイルスベクターを使用して哺乳動物細胞において、周知の方法によって発現され得る。E.coliにおける発現は、通常使用されるT7 RNAポリメラーゼ/プロモーター系を使用し得るか、またはファージλ調節配列を含むベクターを用い得る。当業者がペプチドの特徴(例えば、翻訳後修飾)を保持すること、多量のペプチド(特に、毒性であり得るもの)を生成することを考慮する実施形態において、バキュロウイルスベクターを使用する昆虫細胞系が好ましい。同様に、当業者は、哺乳動物細胞において、任意の翻訳後プロセシング能力を維持し、そして多量のタンパク質を産生する、固有の利点を有するペプチドHN−1の発現を利用し得る。当業者は、例えばCOS細胞において一時的なタンパク質の発現を利用し得ること、または例えばCHO細胞で適切にトランスフェクトされ得ることを知っている。最後に、ワクシニアウイルスを利用して、HN−1ペプチドを発現し得るが、この発現系は、HN−1またはその誘導体のために必要とされるよりも大きなフラグメントをクローニングするために有用なウイルスを利用する。発現ベクターによるHN−1ペプチドの産生のための公知の系のいずれかを用いて、当該分野において周知の、テトラサイクリン系またはガラクトース系のような、誘導性の系が使用され得る。
【0113】
(3.インビボ画像化)
本発明はまた、HN−1および他の癌特異的タンパク質結合体を使用する癌を画像化するインビボの方法を提供する。用語「インビボ画像化」は、動物またはヒト被験体の身体に位置する癌細胞に特異的に結合するペプチドまたはそのフラグメントの検出を可能にする任意の非侵襲性方法をいう。本発明において、ペプチドまたはそのフラグメントが癌細胞に特異的に取り込まれるように、本発明者らは、適切な検出因子にペプチドまたはそのフラグメントを結合体化することによって、ペプチドの取り込みを検出することを想定する。
【0114】
本発明の方法による内部移行ペプチドの単離および癌の検出に従って、当業者は、内部移行ペプチドが腫瘍細胞を画像化または診断するように利用されることに気付いている。当業者は、HN−1に関する実施例において本明細書中に記載される方法によって教示されるように、内部移行する内部移行ペプチドを単離し得るか、または特定の癌細胞型を同定もしくは検出し得る。実施例は、頭頚部癌(例えば、扁平上皮細胞癌を有する)に指向するが、任意の癌細胞型が、その癌細胞型について特定の内部移行ペプチドを同定する同一の方法によって利用され得る。この特異的実施形態に従って、当業者は、脳の癌、肺癌、膵臓癌、肝臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、前立腺癌などを含むがこれらに限定されない、他の腫瘍または癌性組織に内部移行する他のペプチドを同定するための、本明細書中に記載される方法を使用し得る。
【0115】
画像化方法は、一般的に、薬学的に有効なキャリアで、HN−1ペプチドまたはそのフラグメントに結合体化された画像化有効量の検出可能な標識を、動物または被験体に投与する工程、および癌性組織による標識されたHN−1ペプチド標識結合体の取り込みを検出する工程を包含する。検出可能な標識は、好ましくは、非侵襲性方法によって検出可能である、スピン標識分子または放射性同位体である。
【0116】
「画像化有効量」は、投与される場合、標識されたペプチドまたはフラグメントの癌細胞への取り込みを後の検出を可能にするのに十分である、検出可能に標識されたHN−1タンパク質またはそのフラグメントの量である。有効量のペプチド標識結合体は、十分な時間、患者の組織内に存在する癌組織と接触され、次いで、この患者は、検出可能な標識を同定する検出デバイスに曝露される。
【0117】
従って、本発明の1つの実施形態は、例えば、磁気共鳴画像法、X線画像化、コンピューター発光連動断層撮影を介して、腫瘍の画像を提供する能力を有する画像化のためのHN−1色素結合体または構築物を提供する。磁気共鳴画像法(「MRI」)において特に有用な元素としては、核磁気スピン共鳴同位体の157Gd、55Mn、162Dy、52Cr、および56Feが挙げられ、ガドリニウムがしばしば好まれる。γシンチレーションカメラまたは検出器を使用して検出され得る放射活性物質(例えば、テクネチウム99mまたはインジウム111)が、使用され得る。本発明における使用に適した金属イオンのさらなる例は、123I、131I、131I、97Ru、67Cu、67Ga、125I、68Ga、72As、89Zr、および201Tlである。
【0118】
インビボ診断のための放射性核種を選択する際に考える要因は、核種の半減期が、標的による最大の取り込みの時点でなお検出可能であるように十分に長いが、宿主に対する有害な放射ならびにバックグラウンドが最小化されるように十分に短いことである。理想的には、インビボ画像化のために使用される放射性核種は、粒子性放射を欠くが、140〜2000keVの範囲で多数の光子を生成し、これは、従来のγカメラで容易に検出可能であり得る。
【0119】
放射性核種は、中間官能基を使用することによって、直接的または間接的のいずれかでHN−1ペプチドまたはそのフラグメントに結合され得る。抗体に対する金属イオンとして存在する放射性同位体を結合するようにしばしば使用される中間官能基は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
【0120】
標識されたHN−1ペプチドまたはそのフラグメントの投与は、局所的または全身的であり得、そして髄液などを介して、静脈内、動脈内で達成され得る。投与はまた、試験下の身体の部位に依存して、皮内投与または腔内投与であり得る。標識されたHN−1ペプチドまたはそのフラグメントが疾患組織(この場合、癌組織中の)に結合するのに十分な時間(例えば、30分〜48時間)が経過した後、次いで調査下の被験体の領域は、画像化技術によって調査される。MRI、SPECT、プラナーシンチレーション画像化技術および他の新生の画像化技術が全て使用され得る。複数の画像化技術が、検出を明らかにするかまたは確認するために利用され得る。
【0121】
結合された放射活性同位体の分布、ならびに時間に伴うその増加または減少がモニターされそして記録される。臨床的に正常な個体の研究から得られたデータと結果を比較することによって、疾患組織の存在および程度が決定され得る。
【0122】
正確な画像化プロトコルは、患者に特異的な要因に依存して必然的に変化し、そして、調査下の身体の部位、投与方法、使用される標識の型などに依存し得る。しかし、特定の手順の決定は、当業者に慣用的である。画像化実施形態についての投薬量は、患者の年齢および体重に依存し、患者1人当り、約0.1〜約20mg、より好ましくは約1.0〜約2.0mgの単回用量の標識されたHN−1ペプチドまたはそのフラグメントが、有用であると意図される。
【0123】
(4.内部移行ペプチドの単離)
本発明の実施形態において、内部移行ペプチドを単離するための方法が本明細書中に提供される。当業者は、これらの方法が、一般的に、腫瘍組織または癌性組織に内部移行する内部移行ペプチドを同定することに指向していること、特定のサンプルが、扁平上皮細胞癌を検出、画像化または同定する際の使用のためのHN−1ペプチドの同定に指向される実施例において、提供されることに気付いている。特定の実施形態に従って、当業者は、脳の癌、肺癌、膵臓癌、肝臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、前立腺癌などを含むがこれらに限定されない、他の腫瘍または癌性組織に内部移行する他のペプチドを同定するための、本明細書中に記載される方法を使用し得る。
【0124】
(5.本発明の方法による癌の検出)
本発明の実施形態において、癌を検出するための方法が存在する。本明細書中に提供される方法の説明は、当業者が一般的に、内部移行ペプチドを単離しそしてこのペプチドを癌細胞を検出するために利用する仕方を教示することに従うが、具体的な例は、HN−1ペプチドの内部移行ペプチドとしての単離、および扁平上皮細胞癌の検出のためのその利用に関する実施例に記載される。特定の方法の工程としては、内部移行ペプチドを得る工程;検出可能な標識をペプチドに結合体化する工程;結合体化されたペプチドおよび標識を生物に投与する工程;ならびに適切な検出手段によって、癌細胞への結合体の結合を検出する工程を包含し得る。
【0125】
さらなる実施形態において、癌を検出するための方法は、ペプチドライブラリーを得る工程;ライブラリーのペプチドを細胞集団のメンバーと個々に接触させる工程;内部移行ペプチドを同定するために細胞集団のメンバーによるペプチドのエンドサイトーシスをアッセイする工程;上記ペプチドに検出可能な標識を結合体化する工程;結合体化されたペプチドおよび標識を生物に投与する工程;ならびに適切な検出手段によって、細胞への結合体の結合を検出する工程を包含する。細胞は、頭頚部癌細胞を含む扁平上皮細胞の癌細胞であり得るが、あるいは、これは、乳癌、脳の癌、肺癌、膵臓癌、肝臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、前立腺癌などに由来する細胞であり得る。
【0126】
(6.癌療法)
本発明の1つの実施形態において、配列番号1のペプチドまたはフラグメントを利用する癌のための処置が存在する。処置される患者は、胎児、子供、青年または成人であり得、そして好ましい実施形態において、腫瘍サイズにおける減少を含む、少なくとも1つの疾患の症状における改善を示す。
【0127】
当業者に公知の広範な種々の癌療法が、本発明の腫瘍細胞特異的ペプチドと組み合わせて使用され得る。本発明者らは、本発明の腫瘍細胞特異的ペプチドを使用して、癌細胞および/または腫瘍細胞への当該分野で公知の種々の化学療法剤の特異的送達および標的化送達を達成することを意図する。他の実施例は、当該分野で公知の他の癌療法に加えて、抗癌薬物を標的化するための本発明の腫瘍細胞特異的ペプチドの使用を意図する。既存の癌療法および化学療法剤のいくつかが以下に記載される。当業者は、本発明の腫瘍細胞特異的ペプチドと組み合わせて使用され得る他の抗癌療法の存在および開発を認識し、そして本発明の腫瘍細胞特異的ペプチドの使用が、以下に記載される薬剤に制限されないことをさらに理解する。
【0128】
(A.放射線療法剤)
放射線療法剤および要因としては、DNA損傷を誘導する放射線および波(例えば、γ線照射、X線、UV照射、マイクロ波、電子放射、放射線同位体など)が挙げられる。治療は、上記の形態の照射を用いて、局在した腫瘍部位を照射することによって達成され得る。これらの要因の全ては、DNAの前駆体の広範な損傷DNA、DNAの複製および修復、ならびに染色体のアセンブリおよび維持に最も影響するようである。
【0129】
X線の投薬範囲は、延長した期間(3〜4週)の間の日毎用量の50〜200レントゲンから単回用量の2000〜6000レントゲンまでの範囲である。放射線同位体の投薬用量は、広範に変化し、そして同位体の半減期、放射される放射線の強さおよび型、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。
【0130】
本発明の文脈において、細胞特異的癌治療を達成するために、本発明の腫瘍細胞特異的ペプチドを用いることに加えて、放射線療法が、用いられ得る。
【0131】
(B.手術)
癌性増殖の除去のための手術処置は一般に、腫瘍または癌の処置のための標準的手順である。これによって全体的な癌増殖を排除することを企図する。しかし、手術は、なんらかの残存する新生物細胞または悪性細胞の破壊を確実にするために、一般的に化学療法、および/または放射線療法と併用される。従って、本発明の文脈において、細胞特異的癌治療を達成するために、本発明の腫瘍細胞特異的ペプチドを用いることに加えて、手術が用いられ得る。
【0132】
(C.化学療法剤)
これらは、例えば、直接的にDNAを架橋する薬剤、DNAにインターカレートする薬剤、および核酸合成に影響することによって、染色体異常および分裂異常をもたらす薬剤であり得る。
【0133】
核酸、特にDNAを直接架橋する薬剤は、DNA損傷に結びつき相乗的な抗新生物性の組み合わせをもたらすことが、本明細書において認識され、そして示される。シスプラチンのような薬剤、および他のDNAアルキル化剤が用いられ得る。
【0134】
DNAを損傷する薬剤はまた、DNA複製、分裂、および染色体分離を妨害する化合物を含む。これらの化合物の例としては、アドリアマイシン(ドキソルビシンとしても公知)、VP−16(エトポシドとしても公知)、ベラパミル、ポドフィロトキシン、などが挙げられる。新生物の処置のための臨床状況下で広範に用いられる、これらの化合物は、アドリアマイシンについて、21日間隔で、25〜75mg/mから、エトポシド(静脈内または経口)について、35〜100mg/mの範囲の用量で静脈内にボーラス注射によって投与される。
【0135】
(抗生物質)
(ドキソルビシン)
塩酸ドキソルビシン、5,12−ナフタアセネジオン,(8s−cis)−10((3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−a−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−ヒドロクロライド(塩酸ヒドロキシダウノルビシン、アドリアマイシン)は、広い抗新生物スペクトルで用いられる。これは、DNAに結合し、そして核酸合成を阻害し、分裂を阻害し、そして染色体異常を促進する。
【0136】
単独で投与される場合、これは、甲状腺腺腫および原発性肝細胞癌腫の処置のための第一選択薬である。これは、卵巣、子宮内膜および乳房の腫瘍、気管支原性燕麦細胞癌、非小細胞肺癌腫、胃の腺癌、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、菌状息肉腫、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、骨髄腫、汎発生性組織球性リンパ腫、ウィルムス腫瘍、ホジキン病、副腎腫瘍、骨原性肉腫、軟部組織肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫および急性リンパ急性白血病の処置のための31の第一選択の組み合わせ(併用)の成分である。これは、島細胞、子宮頸部、精巣、および副腎皮質の癌の処置のための代替薬である。
【0137】
ドキソルビシンは、吸収がわずかであり、そして静脈内投与しなければならない。この薬物動態は、マルチコンパートメント性である。分布相は、12分および3.3時間の半減期を有する。排泄半減期は約30時間である。40〜50%が胆汁中に分泌される。残りのほとんどは肝臓で、部分的には、活性な代謝物(ドキソルビシノール)に代謝されるが、数%は尿中に排出される。肝障害がある場合、用量を減らさなければならない。
【0138】
適切な用量は、静脈内で、成人で、21日間隔で60〜75mg/m、または、3もしくは4週間間隔で繰り返して2日もしくは3日連続する日に毎日25〜30mg/m、または週1回20mg/mである。高齢者では、以前の化学療法または新生物骨髄侵入によって生じた、先行する骨髄抑制が存在する場合、またはこの薬物を他の骨髄造血抑制薬と併用する場合、最小用量を用なければならない。血清ビリルビンが、1.2〜3mg/dLの間にある場合、50%まで、そして3mg/dL以上である場合、75%まで、用量を低下しなければならない。生涯総用量は、正常な心機能の患者では550mg/mを、そして縦隔照射を受けているヒトでは、400mg/mを超えてはならない。あるいは、3連続する日に毎日30mg/mを、4週ごとに繰り返す。代表的な用量は、10mg/m、20mg/m、30mg/m、50mg/m、100mg/m、150mg/m、175mg/m、200mg/m、225mg/m、250mg/m、275mg/m、300mg/m、350mg/m、400mg/m、425mg/m、450mg/m、475mg/m、500mg/mである。当然ながら、これらの投薬量の全ては例示的なものであり、そしてこれらの数値の間の任意の用量がまた、本発明において有用であることが予期される。
【0139】
(ダウノルビシン)
塩酸ダウノルビシン、5,12−ナフタアセネジオン,(8S−cis)−8−アセチル−10−((3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−a−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−10−メトキシ−,ヒドロクロライド;(セルビジン(cerubidine)と名付けられ、そしてWyethから入手可能)。ダウノルビシンは、DNAにインターカレートし、DNA指向性RNAポリメラーゼをブロックし、そしてDNA合成を阻害する。これは、核酸合成を妨害しない用量で細胞分裂を妨げる。
【0140】
他の薬物と組み合わせて(併用して)、これは、成人における急性骨髄球性白血病(緩解の誘導のため)、急性リンパ球性白血病、および慢性骨髄球性白血病の急性期の化学療法の第一選択に含まれる。経口吸収がわずかであり、そして静脈内投与すべきである。この分布の半減期は、45分であり、排泄半減期は約19時間である。その活性な代謝物であるダウノルビシノールの半減期は約27時間である。ダウノルビシンは、肝臓中でほとんど代謝され、そして胆汁中にも分泌される(約40%)。肝臓機能不全または腎臓機能不全の場合、投薬量を減じなければならない。
【0141】
適切な用量(等価基準)は、静脈内で成人では、60歳未満の場合、3もしくは4週間ごとに、1、2、もしくは3日間、45mg/m/日(60歳より高齢の患者では30mg/m)、または、3もしくは4週間ごとに3〜6日間、0.8mg/kg/日であり;生涯に550mg/mまでしか投与してはならない(ただし胸部照射があった場合は450mg/mまでのみ);小児では、2歳未満であるか、または体表面が0.5m未満であるかでなければ、1週に1回25mg/mである(この場合、体重ベースの成人スケジュールを用いる)。注射可能な投薬形態(等価基準)で20mg(21.4mgの塩酸塩に対する等価基準として)が利用可能である。代表的な用量は、10mg/m、20mg/m、30mg/m、50mg/m、100mg/m、150mg/m、175mg/m、200mg/m、225mg/m、250mg/m、275mg/m、300mg/m、350mg/m、400mg/m、425mg/m、450mg/m、475mg/m、500mg/mであり得る。当然ながら、これらの投薬量の全ては例示的なものであり、そしてこれらの数値の間の任意の用量がまた、本発明において有用であることが予期される。
【0142】
(マイトマイシン)
マイトマイシン(ムタマイシン(mutamycin)および/またはマイトマイシン−Cとしても公知)は、抗腫瘍活性を有することが示されているStreptomyces caespitosusのブロスから単離された抗生物質である。この化合物は、熱安定性であり、高い融点を有し、そして有機溶媒中で溶解しやすい。
【0143】
マイトマイシンは、デオキシリボ核酸(DNA)の合成を選択的に阻害する。グアニンおよびシステイン含量は、マイトマイシン誘導架橋の程度と相関している。この薬物は高濃度で、また細胞のRNA合成およびタンパク質合成を抑制する。
【0144】
ヒトにおいて、マイトマイシンは、静脈投与後、血清から迅速に排出される。30mgのボーラス注射後、50%まで血清濃度が低下するのに要する時間は17分である。30mg、20mg、または10mgのI.V.の注射後、最大血清濃度は、それぞれ2.4mg/mL、1.7mg/mL、および0.52mg/mLであった。クリアランスは、主に肝臓における代謝によって影響されるが、代謝は他の組織でも同様に起こる。クリアランスの速度は、最大血清濃度に反比例しており、これは分解経路の飽和が理由であると考えられる。
【0145】
マイトマイシンの用量の約10%が、未変化で尿中に排泄される。代謝経路は比較的低レベルで飽和しているので、尿中に排泄された用量のパーセントは、用量が増加するにつれて増大する。小児において、静脈内に投与されたマイトマイシンの排泄は同様である。
【0146】
(アクチノマイシンD)
アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)(50−76−0);C62861216(1255.43)は、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する抗新生物薬である。これは、絨毛癌、胚性横紋筋肉腫、精巣腫瘍およびウィルムス腫瘍の処置のための第一選択の組み合わせ(併用)の成分である。全身的処置に応答不能である腫瘍は時々、局所灌流に応答する。ダクチノマイシンは、放射線療法を増強する。これは、二次的な(遠心性の)免疫抑制性である。
【0147】
アクチノマイシンDは、一時的な手術、放射線療法、および他の薬物(特にビンクリスチンおよびシクロホスファミド)と併用して用いられる。抗新生物活性はまた、ユーイング腫瘍、カポージ肉腫、および軟部組織肉腫において言及されている。ダクチノマイシンは、進行した病状の絨毛癌を有する女性において有効であり得る。ダクチノマイシンはまた、転移性精巣癌を有する患者において、クロラムブシルおよびメトトレキセートと組み合わせて一貫した応答を生じる。ホジキン病および非ホジキンリンパ腫を有する患者においてときどき応答が観察され得る。ダクチノマイシンはまた、免疫学的応答、特に腎移植の拒絶を阻害するために用いられている。
【0148】
用量の半分がそのまま胆汁中に、そして10%が尿中に排泄される;半減期は約36時間である。この薬物は、血液脳関門を通過しない。アクチノマイシンDは、凍結乾燥粉末(各バイアルにおいて0/5mg)として供給される。通常の1日用量は、10〜15mg/kgであり;これが5日間静脈内に投与される;毒性の兆候が現われない場合、3〜4週間の間隔でさらなるコースを与え得る。100〜400mgの1日注射を、10〜14日間小児に投与した;他のレジメンでは、総量で125mg/kgのために3〜6mg/kg、および毎週の維持用量として7.5mg/kgを用いた。静脈注入のチューブへこの薬物を投与することはさらに安全であるが、直接静脈内注射が与えられる。この時、皮下反応を回避するために、バイアルからこの薬物を吸引するのに用いた針を廃棄する予防策をとること。代表的な用量は、100mg/m、150mg/m、175mg/m、200mg/m、225mg/m、250mg/m、275mg/m、300mg/m、350mg/m、400mg/m、425mg/m、450mg/m、475mg/m、500mg/mであり得る。当然ながら、これらの投薬量の全ては例示的なものであり、そしてこれらの数値の間の任意の用量がまた、本発明において有用であることが予期される。
【0149】
(ブレオマイシン)
ブレオマイシンは、Streptomyces verticillusの菌株から単離された細胞障害性グリコペプチド抗生物質の混合物であり、それは、水中で自由に可溶である。
【0150】
ブレオマイシンの作用の正確な機構は、知られていないが、入手可能な証拠は、作用の主な様式が、RNA合成およびタンパク質合成のより低い阻害のいくらかの証拠を伴うDNA合成の阻害であることを示すように思われる。
【0151】
マウスにおいて、ブレオマイシンの高濃度は、皮膚、肺、腎臓、腹膜およびリンパにおいて見出される。皮膚および肺の腫瘍細胞は、造血性組織に見出される低濃度と対照的にブレオマイシンの高濃度を有することが、見出されてきた。骨髄において見出されるブレオマイシンの低濃度は、その組織において見出されるブレオマイシン分解酵素の高レベルに関し得る。
【0152】
1分あたり>35mLのクレアチニン浄化を有する患者において、ブレオマイシンの血清または血漿末端排除半減期は、およそ115分である。1分あたり<35mLのクレアチニン浄化を有する患者において、血漿または血清末端排除半減期は、クレアチニン浄化が減少するにつれて指数関数的に増加する。ヒトにおいて、60〜70%の投与された用量は、活性なブレオマイシンとして尿中に回復される。
【0153】
ブレオマイシンは、待期療法と考慮されるべきである。以下の新生物の対応において、それは、単一薬剤としてかまたは扁平上皮細胞腫(例えば、頭頚部(口、舌、扁桃、鼻咽頭、口腔咽頭部、洞、口蓋、唇、頬粘膜、歯肉、喉頭蓋、喉頭を含む)、皮膚、陰茎、頸および陰門)における他の承認された化学療法剤と承認された組み合わせのいずれかで有用であると示された。それはまた、リンパ腫および精巣癌の処置においても有用であった。
【0154】
アナフィラキシー反応の可能性という理由で、リンパ腫患者は、最初の2用量に対して2単位以下で処置されるべきである。急性反応が生じなければ、定期的な投薬スケジュールが続き得る。
【0155】
ホジキン病および精巣腫瘍の改善は迅速であり、そして2週間以内に示される。この時までに改善が見られない場合、改善の見込みはない。扁平上皮細胞癌は、よりゆっくりと反応し、いくらかの改善が示されるまでに、3週間もの間をしばしば必要とする。
【0156】
ブレオマイシンは、筋肉内経路、静脈内経路、または皮下経路により与えられ得る。
【0157】
(その他の薬剤)
(シスプラチン)
シスプラチンは、癌(例えば、転移性の精巣癌または卵巣癌、進行型膀胱癌、頭頚部の癌、子宮癌、肺癌または他の腫瘍)を処置するために広く使用されている。シスプラチンは、全部で3つのコースについて三週間毎に5日間、15〜20mg/mの臨床的な適用において使用される有効量で、単独または他の薬剤と組み合わせて使用され得る。例示的な用量は、0.50mg/m、1.0mg/m、1.50mg/m、1.75mg/m、2.0mg/m、3.0mg/m、4.0mg/m、5.0mg/m、10mg/mであり得る。当然のことながら、これらの投与量の全ては、例示的であり、そしてこれらの点の間の任意の投与量もまた、本発明における使用の投与量であることが予想される。
【0158】
シスプラチンは、経口的には吸収されず、従って、静脈内、皮下、腫瘍内または腹腔内の注射を介して送達されるべきである。
【0159】
本発明の特定の局面では、シスプラチンは、非小細胞肺癌の処置におけるエモジンもしくはエモジン様化合物と組合せて用いられる。しかし、シスプラチンとエモジンもしくはエモジン様化合物との組合せは、他のneu−媒介性の癌のいずれかの処置に用いられ得ることが明らかである。
【0160】
(VP16)
VP16はまた、エトポシドとして公知であり、そしてブレオマイシンおよびシスプラチンと組み合わせて、および肺の小細胞癌に対するシスプラチンと組み合わせて精巣腫瘍の処置のために主に使用される。それはまた、非ホジキンリンパ腫、急性非リンパ性白血病、乳癌、および後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連するカポージ肉腫に対して活性である。
【0161】
VP16は、静脈投与のための溶液(20mg/ml)および経口使用のための液体充填カプセル(50mg)として利用可能である。肺の小細胞癌に対して、静脈内用量(併用療法において)は、100mg/mと同じ量または2mg/m程度の少ない量、慣用的には35mg/mを毎日4日間であり得、また50mg/mまで、毎日5日間使用される。経口的に与えられる場合、用量は、2倍にされるべきである。従って、小細胞肺癌のための用量は、200〜250mg/mと同じぐらいの高用量であり得る。精巣癌に対する静脈内用量(併用療法において)は、50〜100mg/mを毎日5日間または1日おきに100mg/m(3用量)である。治療のサイクルは通常、3〜4週間毎に反復される。薬物は、低血圧症および気管支痙攣(これらはおそらく、処方に使用される溶媒に起因する)を避けるために30分〜60分間の注入の間、ゆっくりと投与されるべきである。
【0162】
(腫瘍壊死因子)
腫瘍壊死因子(TNF;カケクチン)は、いくつかの種類の癌細胞を殺す糖タンパク質であり、サイトカイン産生を活性化し、マクロファージおよび内皮細胞を活性化し、コラーゲンおよびコラーゲナーゼの産生を促進し、炎症性媒介因子であり、そしてまた敗血症性ショックの媒介因子であり、そして異化、熱および睡眠を促進する。いくつかの感染性薬剤は、TNF産生の刺激を介して腫瘍後退を引き起こす。TNFは、有効用量で単独で使用される場合、非常に毒性であり得、その結果、おそらく、最適なレジメンが、他の薬物と組み合わせてより低い用量で、それを使用する。その免疫抑制作用は、γ−インターフェロンによって増強され、その結果、組み合わせは、潜在的に危険である。TNFとインターフェロン−αとのハイブリッドはまた、抗癌活性を有することが見出されている。
【0163】
(植物アルカロイド)
(タキソール)
タキソールは、実験的な抗有糸分裂剤であり、これはアッシュ木(ash tree)(Taxus brevifolia)の樹皮から単離される。それは、チューブリンに結合し(ビンカアルカロイドにより使用されるものとは異なる部位において)、そして微小管の構築を促進する。タキソールは、現在臨床的に評価されており;それは悪性黒色腫および卵巣癌に対する活性を有する。最大用量は、5日間の間1日当たり30mg/mであるか、3週間置きに210〜250mg/mが与えられる。当然ながら、これらの投薬量の全ては例示的なものであり、そしてまた、これらのポイントの間における任意の投薬量が、本発明における使用であるということが予期される。
【0164】
(ビンクリスチン)
ビンクリスチンは、有糸分裂をブロックし、そして分裂中期停止を生じる。おそらく、この薬物のほとんどの生物学的活性が、チューブリンに特異的に結合し、そして微小管に重合化するタンパク質の能力をブロックするその能力によって説明され得るようである。有糸分裂装置(apparatus)の微小管の破壊によって、細胞分裂が、分裂中期において阻止される。おそらく、有糸分裂の間に染色体を正確に分離することができないことが細胞死を導く。
【0165】
正常な骨髄細胞および上皮細胞に対するビンクリスチンの比較的低い毒性は、抗腫瘍剤の中で、この薬剤を異常なものとし、そしてそれは他の骨髄抑制剤と組み合わせてしばしば含まれる。
【0166】
予測不可能な吸収は、ビンブラスチンまたはビンクリスチンの経口投与後に報告された。通常の臨床用量において、各薬物の血漿中のピーク濃度は、およそ0.4mMである。
【0167】
ビンブラスチンおよびビンクリスチンは、血漿タンパク質と結合する。それらは、広範囲にわたって血小板において濃縮され、そしてより少ない程度まで白血球および赤血球において濃縮される。
【0168】
ビンクリスチンは、血漿由来のクリアランスの多相パターンを有し;末期の半減期は約24時間である。この薬物は、肝臓において代謝されるが、生物学的に活性でない誘導体が同定された。用量は、肝機能障害を有する患者において減少されるべきである。投薬量の少なくとも50%の減少は、血漿中のビリルビンの濃度が3mg/dl(約50mM)よりも大きい場合に示される。
【0169】
硫酸ビンクリスチンは、静脈内注射のための溶液として利用可能である(1mg/ml)。コルチコステロイドと共に使用されるビンクリスチンは、現在、小児期白血病における寛解を誘導するような選り抜きの処置である;これらの薬物の最適投薬量は、ビンクリスチンは、静脈内で、毎週2mg/m体表面領域であり、そしてプレドニゾンは、経口的に毎日40mg/mであるようである。ホジキン病または非ホジキンリンパ腫を有する成人患者は、通常、ビンクリスチンを複合プロトコルの一部として受ける。MOPPレジメンにおいて使用される場合、ビンクリスチンの推奨される用量は、1.4mg/mである。ビンクリスチンの高い用量は、成人(重篤(sever)な神経学的毒性を経験し得る)よりも白血病を有する子供によってより良く許容されるようである。7日毎よりも頻繁な薬物投与またはより高い用量における薬物投与は、応答速度に比例する改善を伴わずに毒性症状を増加させるようである。また、ビンクリスチンの静脈内投与の間の血管外遊出を避けるように注意すべきである。ビンクリスチン(およびビンブラスチン)は、同等の毒性を有して静脈内に投与され得るそれらよりも何倍の多くの用量において腫瘍の動脈血供給に注入され得る。
【0170】
ビンクリスチンは、ホジキン病および他のリンパ腫において有効である。ホジキン病において単独で使用される場合、ビンブラスチンよりも幾分有益でないように思われるが、メクロレタミン、プレドニゾロンおよびプロカルバジンと共に使用される場合(MOPPレジメンと言われる)、それは、この疾患の発達した段階(IIIおよびIV)に対する好ましい処置である。非ホジキンリンパ腫において、ビンクリスチンは、特に、シクロホスファミド、ブレオマイシン、ドキソルビシンおよびプレドニゾロンと共に使用される場合、重要な薬剤である。ビンクリスチンは、リンパ球性白血病においてビンブラスチンよりも有用である。有益な応答が、種々の他の新生物(特に、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、脳腫瘍、横紋筋肉腫ならびに乳癌、膀胱癌および男性および女性の生殖器系の癌)を有する患者において報告されている。
【0171】
使用のためのビンクリスチンの用量は、個々の患者の必要に従って、臨床医によって決定される。0.01〜0.03mg/kgまたは0.4〜1.4mg/mが投与され得るか、または1.5〜2mg/mが投与され得る。あるいは、0.02mg/m、0.05mg/m、0.06mg/m、0.07mg/m、0.08mg/m、0.1mg/m、0.12mg/m、0.14mg/m、0.15mg/m、0.2mg/m、0.25mg/mが、一定の静脈内注射として与えられ得る。当然ながら、これらの投薬量の全ては、例示的なものであり、そしてこれらのポイントの間における任意の投薬量が、本発明における使用であるということも予期される。
【0172】
(ビンブラスチン)
細胞がビンブラスチンと共にインキュベートされる場合、微小管の分解が生じる。予測不可能な吸収は、ビンブラスチンまたはビンクリスチンの経口投与後に報告された。通常の臨床用量において、血漿中の各薬物ピーク濃度は、およそ0.4mMである。ビンブラスチンおよびビンクリスチンは、血漿タンパク質に結合する。それらは、広範囲にわたって血小板において濃縮され、そしてより少ない程度まで白血球および赤血球において濃縮される。
【0173】
静脈内注射の後、ビンブラスチンは、血漿由来のクリアランスの多相パターンを有し;分配後、薬物は、およそ1時間および20時間の半減期で血漿から消失する。
【0174】
ビンブラスチンは、誘導体デスアセチルビンブラスチン(desacetylvinblastine)を生物学的に活性化するように肝臓で代謝される。投与される用量のおよそ15%は、尿中でインタクトで検出され、そして胆汁中排泄後、約10%が糞便中に回収される。用量は、肝機能障害を有する患者において減少されるべきである。血漿中のビリルビンの濃度が3mg/dl(約50mM)よりも大きくなる場合、投薬量における少なくとも50%の減少が示される。
【0175】
硫酸ビンブラスチンが注射のための調製において利用可能である。この薬物は、静脈内に与えられ;特別な注意が皮下管外遊出に対して払われなければならない。なぜなら、これは有痛性刺激作用および潰瘍形成を引き起こし得るからである。この薬物は、障害性循環の窮地に注射されるべきではない。0.3mg/kg体重の単回用量の後、骨髄抑制(myelosuppression)は、7〜10日間でその最大に達する。中程度のレベルの白血球減少症(およそ3000細胞/mm)が達成されない場合、毎週用量は、0.05mg/kg体重の増分により徐々に増加され得る。精巣癌を治療するために設計されたレジメンにおいて、ビンブラスチンが、血球数または毒性に無関係に3週間毎に0.3mg/kgの用量で使用される。
【0176】
ビンブラスチンの最も重要な臨床的使用は、転移性精巣腫瘍の治癒的治療におけるブレオマイシンおよびシスプラチンとの併用である。有益な応答が、種々のリンパ腫(特に、ホジキン病)において報告され、ここで、有意な改善が、50〜90%の症例で示され得る。高い割合のリンパ腫におけるビンブラスチンの有効性は、疾患がアルキル化剤に難治性である場合に、減少されない。ビンブラスチンはまた、カポージ肉腫、神経芽細胞腫、およびレットレル・ジーベ病(組織球増殖症X)、ならびに女性の胸部癌腫および絨毛癌においても活性である。
【0177】
使用のためのビンブラスチンの用量は、必要とする個々の患者に従って医師によって決定される。0.1〜0.3mg/kgが投与され得るか、または1.5〜2mg/mがまた、投与され得る。あるいは、0.1mg/m、0.12mg/m、0.14mg/m、0.15mg/m、0.2mg/m、0.25mg/m、0.5mg/m、1.0mg/m、1.2mg/m、1.4mg/m、1.5mg/m、2.0mg/m、2.5mg/m、5.0mg/m、6mg/m、8mg/m、9mg/m、10mg/m、20mg/mが提供され得る。当然、これらの投薬量の全ては、例示であり、そしてこれらの点の間の任意の投薬量もまた、本発明における使用が予想される。
【0178】
(アルキル化剤)
(カルムスチン)
カルムスチン(滅菌カルムスチン)は、特定の腫瘍性疾患の処置に使用されるニトロソ尿素の1つである。カルムスチンは、1,3ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ尿素である。カルムスチンは、淡黄色フレークに凍結乾燥されるか、214.06の分子量を有する塊に凝固される。カルムスチンは、アルコールおよび脂質に非常に可溶性であり、そして水においては可溶性が乏しい。カルムスチンは、推奨されるように再構成した後、静脈内中注射によって投与される。滅菌カルムスチンは、一般的に、凍結乾燥した材料の100mg単回用量バイアルで市販されている。
【0179】
カルムスチンがDNAおよびRNAをアルキル化するということが一般的に認められているが、カルムスチンは、他のアルキレーター(alkylator)に対して交叉耐性でない。他のニトロソ尿素についてと同様に、カルムスチンはまた、タンパク質におけるアミノ酸のカルバモイル化によるいくつかの重要な酵素プロセスを阻害し得る。
【0180】
カルムスチンは、単一薬剤としての待期療法としてか、または脳腫瘍(例えば、神経膠芽細胞腫、脳幹神経膠腫、髄芽細胞腫(medullobladyoma)、星状細胞腫、脳室上衣細胞腫、および転移性脳腫瘍)において、承認された他の化学療法剤を用いる確立された併用療法において示される。また、カルムスチンは、多発性骨髄腫を処置するためにプレドニゾロンと組み合わせて使用されてきた。カルムスチンは、一次療法で治療している間に再発した患者または一次療法に対して反応し損ねた患者において、承認された他の薬物と組み合わせた二次療法として、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫の処置において有用であることを証明した。
【0181】
これまで未処置の患者において単一薬剤としてのカルムスチンの推奨用量は、静脈内に6週間毎に150〜200mg/mである。これは、単回用量または毎日の注射に分割されて(例えば、2日連続で75〜100mg/m)与えられ得る。カルムスチンが他の骨髄抑制薬物と組み合わせて使用されるか、または骨髄余量(reserve)が枯渇している患者において使用される場合、その用量は、それに従って、調節されるべきである。初期の用量に引き続く用量は、前の用量に対する患者の血液学的応答に従って調節されるべきである。当然ながら、他の用量(例えば、10mg/m、20mg/m、30mg/m、40mg/m、50mg/m、60mg/m、70mg/m、80mg/m、90mg/m、100mg/m)が本発明において使用され得るということが理解される。当業者は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第15版、61章を指向する。処置される被験体の状態に依存して投薬量におけるいくつかのバリエーションが必然的に生じる。投与について責任のある人間は、いずれにしても、個々の被験体に対する適切な用量を決定する。
【0182】
(メルファラン)
メルファラン(アルケランとしても知られる)、L−フェニルアラニンマスタード、フェニルアラニンマスタード、L−PAMまたはL−サルコリシンは、ナイトロジェンマスタードのフェニルアラニン誘導体である。メルファランは、二官能性アルキル化剤であり、このアルキル化剤は、選択的ヒト腫瘍性疾患に対して活性である。メルファランは、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−L−フェニルアラニンとして化学的に公知である。
【0183】
メルファランは、この化合物の活性なL異性体であり、そしてBergelおよびStockによって1953年に最初に合成された;メドファランとしてしられるD異性体は、特定の動物の腫瘍に対してより活性が低く、そして染色体にに関する効果を生じるために必要とされる用量は、L異性体に必要とされる用量よりも多い。ラセミ(DL−)形態は、メルファラン(merphalan)またはサルコリシンとして知られる。メルファランは、水に不溶性であり、そして約2.1のpKaを有する。メルファランは、経口投与について錠剤の形態で利用可能であり、そして多発性骨髄腫を処置するために使用されてきた。
【0184】
利用可能な証拠は、多発性骨髄腫を有する患者の約1/3〜1/2が、この薬物の経口投与に対する有利な応答を示すことを示唆する。
【0185】
メルファランは、上皮卵巣癌腫の処置に使用されてきた。卵巣癌の処置のための1つの一般に使用されたレジメンは、単一クールとして0.2mg/kgの日用量で5日間メルファランを投与することである。このクールは、血液学的耐性に依存して4週から5週毎に繰り返される(SmithおよびRutledge,1975;Youngら、1978)。あるいは、使用されるメルファランの用量は、0.05mg/kg/日ほど低くあり得るかまたは3mg/kg/日ほど高くあり得るか、あるいはこれらの用量の間または上記のこれらの用量を超える任意の用量であり得る。投薬における幾らかの変更は、処置される被験体の状態に依存して必然的に起こる。投与に責任を負う人は、いずれの場合も、個々の被験体について適切な用量を決定する。
【0186】
(シクロホスファミド)
シクロホスファミドは、2H−1,3,2−オキサザホスホリン−2−アミン、N,N−ビス(2−クロロエチル)テトラヒドロ−、2−オキシド、モノヒドレートであり;Cytoxan(Mead Johnsonから入手可能)と称され、そしてNeosar(Adriaから入手可能)と称される。シクロホスファミドは、3−アミノ−1−プロパノールとN,N−ビス(2−クロロエチル)ホスホルラミジックジクロリド(N,N−bis(2−chlorethyl)phosphoramidic dichloride)[(ClCHCHN−−POCl]のジオキサン溶液とのトリエチルアミンの触媒影響下において縮合することによって調製される。この縮合は、二重(ヒドロキシル基およびアミノ基の両方を含む)であり、従って、環化をもたらす。
【0187】
他のβ−クロロエチルアミノアルキレーターと異なり、肝性酵素によって活性化されるまで、活性なエチレンイモニウム(ethyleneimonium)形態に容易に環化しない。従って、この物質は、胃腸管において安定であり、良好に耐性であり、かつ経口経路および非経口経路により有効であり、そして局所水疱発生、壊死、静脈炎または疼痛さえ引き起こさない。
【0188】
成人のために適切な用量としては、以下が挙げられる:経口的に、胃腸管耐性に依存して、1〜5mg/kg/日(たいてい組み合わせる)、または1〜2mg/kg/日;静脈内に、2〜5日の期間にわたって分割用量で最初に40〜50mg/kg、または7〜10日毎に10〜15mg/kg、または1週間に2回あたり3〜5mg/kg、または1日あたり1.5〜3mg/kg。
【0189】
250mg/kg/日の用量が、抗腫瘍薬として投与され得る。胃腸管の悪影響の理由に起因して、静脈内経路が負荷のために好ましい。維持の間、3000〜4000/mmの白血球数が、通常所望される。この薬物はまた、時折、浸潤によって筋肉内にかまたは体腔に投与される。それは、100、200および500mgの注射ならびに25および50mgの錠剤の投薬形態で利用可能であり、当業者は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第15編、61章(本明細書中で参考として援用される)を、投与の用量に関して詳細に参照する。
【0190】
(クロラムブシル)
クロラムブシル(ロイケラン(leukeran)としても公知である)は、ナイトロジェンマスタードタイプの二官能性アルキル化剤であり、このタイプは、選択されたヒト新生物疾患に対する活性が見出されている。クロラムブシルは、化学的には、4−[ビス−(2−クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸(benzenbutanoic acid)として公知である。
【0191】
クロラムブシルは、経口投与について錠剤形態で利用可能である。クロラムブシルは、胃腸管から迅速かつ完全に吸収される。0.6〜1.2mg/kgの単回経口投与後、血漿クロラムブシルレベルのピークは、1時間以内に達成され、そして親薬物の最終的な半減期は、1.5時間と見積もられる。0.1〜0.2mg/kg/日または3〜6mg/m/日、あるいは0.4mg/kgが、抗腫瘍性処置のために使用され得る。処置レジメンは、当業者に周知であり、そして本明細書中で参照される、「Physicians Desk Reference」および「Remington’s Pharmaceutical Sciences」において見出され得る。
【0192】
クロラムブシルは、慢性リンパ性(リンパ球性)白血病、悪性リンパ腫(リンパ肉腫が挙げられる)、巨大濾胞性リンパ球腫およびホジキン病の処置において示される。クロラムブシルは、これらの障害のいずれにおいても治療的ではないが、臨床的に有用な寛解を生じ得る。
【0193】
(ブスルファン)
ブスルファン(マイレラン(myleran)としても公知である)は、二官能性アルキル化剤である。ブスルファンは、化学的に1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートとして公知である。
【0194】
ブスルファンは、ナイトロジェンマスタードの構造アナログではない。ブスルファンは、経口投与について、錠剤形態で利用可能である。各スコア付けされた錠剤は、2mgのブスルファンおよび不活性成分(ステアリン酸マグネシウムおよび塩化ナトリウム)を含む。
【0195】
ブスルファンは、慢性骨髄性(骨髄性、骨髄球性、顆粒球性)白血病の待期療法のために示される。治療的ではないが、ブスルファンは、総顆粒球集団を減少し、疾患の症状を和らげ、そして患者の臨床状態を改善する。以前に未処置の慢性骨髄性白血病を有する成人の約90%が、ブスルファンの使用後に、臓器巨大症の後退または安定化を伴う血液学的な寛解を得る。生存時間およびヘモグロビンレベルの維持に関して、脾臓照射より優れていること、および巨脾腫症の制御における照射に相当することが示されている。
【0196】
(ロムスチン)
ロムスチンは、特定の腫瘍性疾患の処置において使用されるニトロソ尿素の1つである。それは、1−(2−クロロ−エチル)−3−シクロヘキシル−1ニトロソ尿素である。ロムスチンは、C16ClNの実験式および233.71の分子量を有する黄色の粉末である。ロムスチンは、10%エタノール(0.05mg/mL)および無水アルコール(70mg/mL)中に可溶性である。ロムスチンは、相対的に水に不溶性である(<0.05mg/mL)。それは、生理学なpHにおいて相対的に非イオン化される。ロムスチンカプセル内の非活性成分は、ステアリン酸マグネシウムおよびマンニトールである。
【0197】
ロムスチンがDNAおよびRNAをアルキル化することは一般に同意されているが、これらは他のアルキル化剤に対して交差耐性(cross resistant)ではない。他のニトロソ尿素を用いる場合と同様に、これらはまた、タンパク質中のアミノ酸のカルバモイル化によって、いくつかの重要な酵素プロセスを阻害し得る。
【0198】
ロムスチンは、経口的に与えられ得る。30mg/m〜100mg/mの範囲の用量での放射活性ロムスチンの経口投与後、与えられる放射能の約半分が、24時間以内に分解産物の形態で排出された。
【0199】
代謝産物の血清半減期は、16時間〜2日にわたる。組織レベルは、静脈内投与の15分後で、血漿レベルと同等である。
【0200】
ロムスチンは、適切な外科的および/または放射線医学的手順を既に受けた患者における原発性の脳腫瘍および転移性の脳腫瘍の両方において、他の処置様式に加えて単一薬剤として、または他の承認された化学療法剤を用いる確立された組み合わせ治療において、有用であることが示されている。一次治療での処置の間に再発した患者、または一次治療に応答しない患者において、他の承認された薬物と組み合わせてホジキン病に対する二次治療において有効であることもまた、判明している。
【0201】
以前に処置されていない患者における単一薬剤としての、成人および子供におけるロムスチンの推奨される用量は、6週間毎に単一経口用量として130mg/mである。骨髄機能が損なわれた個体において、用量は、6週間毎に100mg/mまで減少されるべきである。ロムスチンが他の骨髄抑制剤と組み合わせて使用される場合、この用量は従って調整されるべきである。他の用量は、処置される個体に必要であると臨床医によって決定されるように、例えば、20mg/m、30mg/m、40mg/m、50mg/m、60mg/m、70mg/m、80mg/m、90mg/m、100mg/m、120mg/mまたはこれらの数字の間の任意の用量が使用され得ることが理解される。
【0202】
(D.遺伝子治療投与)
本発明の1つの実施形態において、抗腫瘍組成物に結合体化したHN−1ペプチドを利用するアプローチは、遺伝子治療と関連して投与される。遺伝子治療について、当業者は、利用されるベクターが、プロモーターに作動可能に連結された(limited)目的の遺伝子を含まなければならないことを認識している。アンチセンス遺伝子治療について、目的の遺伝子のアンチセンス配列は、プロモーターに作動可能に連結される。当業者は、特定の場合において、他の配列(例えば、3’UTR制御配列)が、目的の遺伝子の発現において有用であることを認識する。適切な場合、遺伝子治療ベクターは、そのそれぞれの投与経路において公知の方法で、固体、半固体、液体または気体の形態の調製物へと処方され得る。当該分野で公知の手段が、組成物が標的器官に達するまでこの組成物の放出および吸収を妨げるために、またはこの組成物の時限放出を保証するために利用され得る。本発明の組成物を無効にしない薬学的に受容可能な形態が利用されるべきである。薬学的投薬形態において、この組成物は、単独で、または適切に関連して、ならびに他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて、使用され得る。薬理学的に有効な用量の遺伝子産物を提供するために、治療的核酸配列を含む十分量のベクターが投与されなければならない。
【0203】
当業者は、細胞にベクターを投与するために異なる送達方法が利用され得ることを認識する。その例としては、以下が挙げられる:(1)物理的手段(例えば、エレクトロポレーション(電気)、遺伝子銃(物理的力)または大量の液体の適用(圧力))を利用する方法;および(2)このベクターが別の物質(例えば、リポソームまたはトランスポーター)と複合体化する方法。
【0204】
従って、本発明は、宿主に治療遺伝子を輸送する方法を提供し、この方法は、上記の投与経路のいずれかまたは当業者に公知かつ特定の適用に適切な代替経路を使用して、本発明のベクターを、好ましくは組成物の一部としてベクターに投与する工程を包含する。本発明に従う、宿主細胞へのベクターの有効な遺伝子輸送は、治療効果(例えば、処置される特定の疾患に関連するいくつかの症状の緩和)の点で、あるいはさらに、移入された遺伝子の証拠または宿主内の遺伝子の発現(例えば、配列決定、ノーザンハイブリダイゼーションもしくはサザンハイブリダイゼーション、または宿主細胞中の核酸を検出するためのアッセイと共にポリメラーゼ連鎖反応を使用して、あるいは免疫ブロット分析、抗体媒介検出、mRNAもしくはタンパク質の半減期研究、または移入された核酸によってコードされるタンパク質もしくはポリペプチド、またはこのような移入に起因して影響されたレベルまたは機能を検出するための特定化されたアッセイを使用して)によって、モニターされ得る。
【0205】
本明細書中に記載されるこれらの方法は、決して包括的ではなく、そしてさらに、特定の適用に適応させるための方法は、当業者に明らかである。さらに、有効量の組成物は、所望の効果を及ぼすことが公知の化合物との類似性を介してさらに近似され得る。
【0206】
さらに、実際の用量および計画は、この組成物が他の薬学的組成物と組み合わせて投与されるか否かに依存して、または薬物動力学、薬物の処分、および代謝における個体間の差異に依存して、変化し得る。同様に、量は、利用される特定の細胞株に依存して、インビトロ適用において変化し得る(例えば、細胞表面に存在するベクターレセプターの数、または遺伝子移入のために利用される特定のベクターがこの細胞株中で複製する能力に基づいて)。さらに、1細胞あたりに添加されるべきベクターの量は、おそらく、このベクターに挿入される治療遺伝子の長さおよび安定性、そしてまた、この配列の性質と共に変化し、そしてこの量は特に、経験的に決定されることを必要とするパラメーターであり、そして本発明の方法に固有ではない要因に起因して変化し得る(例えば、合成に関する費用)。当業者は、特定の状況の急場に従って任意の必要な調整を容易に行い得る。
【0207】
治療遺伝子を含む細胞がまた、自殺遺伝子(すなわち、細胞を破壊するために使用され得る産物をコードする遺伝子、例えば、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ)を含み得ることも可能である。遺伝子治療の多くの状況において、宿主細胞において治療目的のための遺伝子の発現が可能であることが所望されるが、また、一旦この治療が完了すると、宿主細胞を破壊し、制御不可能にするか、または予測可能もしくは所望の結果を導かない能力を有することが所望される。従って、宿主細胞中の治療遺伝子の発現は、プロモーターによって駆動され得るが、この自殺遺伝子の産物は、プロドラッグの非存在下で無害のままである。一旦、治療が完了するかまたはもはや所望されないか必要とされなくなると、プロドラッグの投与によって、自殺遺伝子産物が細胞に致死的になる。使用され得る自殺遺伝子/産物の組み合わせの例は、単純疱疹ウイルス−チミジンキナーゼ(HSV tk)およびガンシクロビル、アシクロビルまたはFIAU;オキシドレダクターゼおよびシクロヘキシミド;シトシンデアミナーゼおよび5−フルオロシトシン;チミジンキナーゼチミジレート(thymidilate)キナーゼ(Tdk::Tmk)およびAZT;ならびにデオキシシチジンキナーゼおよびシトシンアラビノシドである。
【0208】
細胞治療の方法は、当該分野で公知の方法によって利用され得、ここで、癌の治療のための核酸配列またはアミノ酸配列のコピーを含む培養された細胞が導入される。
【0209】
本発明の特定の実施形態において、配列番号1を含むHN−1のペプチドは、直接的または間接的のいずれかで、遺伝子治療のための核酸配列を含むかまたはこれらの核酸配列からなるベクターと関連する。特定の実施形態において、治療のための核酸はp53であり、これは、しばしば頭頸部の扁平上皮癌において変異される。あるいは、Fosterら、1999(本明細書中で参考として援用される)によって教示されるように、活性なコンホメーションでp53のDNA結合ドメインを安定化するための化合物は、腫瘍細胞中の変異体p53が転写を活性化し、そして腫瘍増殖を遅延することを可能にする本発明のHN−1ペプチドを介して送達される。特定の実施形態において、安定化のための化合物は、リンカーによってイオン化可能な基(例えば、アミン)に結合された少なくとも1つの環状の基を含む疎水性基を含む。本発明のHN−1ペプチドは、直接的または間接的な手段によって、このようなp53安定化のための活性な化合物に結合され得る。
【0210】
本発明の別の特定の実施形態において、Mandellら(1999)またはLazarら(1999)(この両方は本明細書中に参考として援用される)に記載されるような、ナトリウム/ヨウ化物共輸送体遺伝子を用いる遺伝子治療を利用する、甲状腺癌、頭頸部癌のための処置がある。NISは、甲状細胞の表面上にタンパク質をコードすることによって、ヨウ化物の取り込みを制御する。放射活性ヨウ化物(例えば、123Iまたは131I)は、いくつかの手段によってベクターNIS含有核酸に結合されたHN−1ペプチドの投与と共に、またはこの投与に続いて患者に投与され、そしてこのヨウ化物は、癌性甲状腺腫瘍細胞によって取り込まれ、そして殺傷する。
【0211】
(E.組み合わせ)
しばしば、記載される種々の癌治療の組み合わせが、より効果的な腫瘍細胞殺傷のために使用される。従って、患者に1つ以上の化学療法剤に結合体化したHN−1ペプチドを投与することが意図される。これらは、同時に、互いに6〜12時間以内に、各々約12〜24時間以内にのいずれかで投与され得る。いくつかの状況において、有意に処置の期間を延長することが所望であり得るが、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6または7日)〜数週間(1、2、3、4、5、6、7または8週間)が経過する。さらに、処置はまた、放射線医学的処置と組み合わされ得る。
【0212】
抗癌剤の1つ以上と共に放射線療法および/またHN−1ペプチドまたはそのフラグメントの1より多くの投与が必要とされ得ることもまた考えられる。種々の組み合わせが利用され得、ここで、1つの化学療法剤または放射線療法剤に結合体化したHN−1ペプチドは「A」と表され、そして別の化学療法剤または放射線療法剤に結合体化したHN−1ペプチドは「B」と表されるか、あるいは、1つの化学療法剤または放射線療法剤に結合体化したHN−1ペプチドは「A」と表され、そして化学療法剤または放射線療法剤は「B」と表され、以下に例示される:
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B B/A/A
A/B/B B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B
A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/A
B/A/A/B B/B/B/A A/A/A/B B/A/A/A
A/B/A/A A/A/B/A A/B/B/B B/A/B/B
B/B/A/B。
【0213】
他の組み合わせおよびHN−1ペプチド結合体化化学療法剤の2より多くの使用もまた、意図される。
【0214】
さらに、腫瘍特異的抗癌レジメンは、外科的手順(例えば、腫瘍の切除)と共に、ならびに/あるいは免疫療法、遺伝子治療、放射線治療、化学療法、および/または局所熱治療と共に、患者に施行され得る。本発明者らは、放射線治療のための照射の線量および/または化学療法のための化合物の投薬量が、本発明の治療と共に使用される場合には非常に低いことを意図する。これは、次に、標準的な抗癌治療の副作用を低減し、そして同時に良好かつより効果的な抗癌治療を達成する。正確な投薬量およびレジメンは、適切に決定され得、そして当業者によって変更され得る。
【0215】
(F.患者への投与のための処方物および経路)
臨床適用が意図される場合、HN−1ペプチドおよびその結合体化した薬剤の薬学的組成物、または意図される適用に適切な形態の標識を調製することが必要である。一般に、これは、発熱物質、ならびにヒトまたは動物に有害であり得る他の不純物を実質的に含まない組成物を調製することを必要とする。
【0216】
句「薬学的または薬理学的に受容可能」とは、動物またはヒトに投与される場合に、有害な、アレルギー性の、または他の不都合な反応を生じない分子的実態および組成物をいう。本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」は、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。補助的な活性成分もまた、この組成物中に組み込まれ得る。
【0217】
本発明の活性組成物は、伝統的な薬学的調製物を含み得る。本発明に従うこれらの組成物の投与は、この標的組織がその経路を介して利用可能である限り、任意の通常の経路を介してであり得る。静脈内経路が好ましい実施形態であるが、他の投与経路が意図される。これらとしては、経口、経鼻、口内、直腸、膣内、または局所が挙げられる。あるいは、投与は、同所性(orthotopic)、皮内、皮下、筋内、腹腔内、または静脈内注射によってであり得る。このような組成物は、通常、前出に記載の薬学的に受容可能な組成物として投与される。
【0218】
この活性化合物はまた、非経口的または腹腔内に投与され得る。遊離塩基または薬学的に受容可能な塩としてのこの活性化合物の溶液は、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と共に適切に混合された水中で調製され得る。分散体もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で、ならびに油中で調製され得る。微生物の増殖を妨げるために、貯蔵および使用の通常の条件下で、これらの調製物は保存剤を含む。
【0219】
注入用途のために適切な薬学的形態として、滅菌水性液剤または分散物および滅菌注射用液剤または分散物の即時調製のための滅菌散剤が挙げられる。全ての場合において、その形態は、滅菌でなければならず、そして容易に注射することができる程度に、流動性でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対して保存されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、そして界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン(paraben)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって促進され得る。多くの場合において、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含めることが、好ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、組成物中での吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によって、もたらされ得る。
【0220】
滅菌注射溶液は、上に列挙された種々の他の成分を含む適切な溶媒中に要求された量で活性な化合物を組み込み、必要ならば、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般に、分散物は、基本分散媒体、および上に列挙されたものに由来する要求された他の成分を含む滅菌ビヒクルに種々の滅菌活性成分を組み込むことによって、調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合において、調製の好ましい方法は、活性成分の粉末、および以前に滅菌ろ過したその溶液から任意のさらなる所望の成分を生じる減圧乾燥技術および凍結乾燥技術である。
【0221】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」は、任意および全ての溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と不適合である場合を除いては、治療組成物におけるその使用が、企図される。補助的活性成分もまた、これらの組成物に組み込まれ得る。
【0222】
キャリアはまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および/または液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および/もしくは植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、そして/または界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および/または抗真菌剤(例えば、パラベン(paraben)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって促進され得る。多くの場合において、等張剤(例えば、糖および/または塩化ナトリウム)を含めることが、望ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、組成物中での吸収遅延剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよび/またはゼラチン)の使用によって、もたらされ得る。
【0223】
滅菌注射溶液は、上に列挙された種々の他の成分を含む適切な溶媒中に要求された量で活性な化合物を組み込み、必要ならば、続いてろか滅菌することによって調製される。一般に、分散物は、基本分散媒体、および/または上に列挙されたものに由来する要求された他の成分を含む滅菌ビヒクルに種々の滅菌活性成分を組み込むことによって、調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合において、調製の好ましい方法は、活性成分の粉末、および以前に滅菌ろ過したその溶液から任意のさらなる所望の成分を生じる減圧乾燥技術および/または凍結乾燥技術である。直接的注入のためのより濃縮された溶液および/または高度に濃縮された溶液の調製もまた意図され、ここで、非常に迅速な浸透、高濃度の活性剤の小さい腫瘍領域への送達を生じるための、溶媒としてのDMSOの使用が想定される。
【0224】
処方の際に、溶液は、投薬処方物と適合する様式で、そして/または治療的に有効な量で投与される。これらの処方物は、上記の注射溶液の形態のような種々の投薬形態で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなどもまた使用され得る。
【0225】
例えば、水溶液での非経口投与のために、必要ならばその溶液は、適切に緩衝化されるべきであり、そして/または液体希釈剤が、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与および/または腹腔内投与に適切である。これに関連して、使用され得る滅菌水性媒体は、本開示の観点から当業者に公知である。例えば、一投与量は、1mlの等張性NaCl溶液に溶解され得、そして/または1000mlの皮下注入流体に添加され得るか、そして/または注入予定部位で注入され得るかのいずれかである(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035〜1038頁および/または1570〜1580頁を参照のこと)。投薬量におけるいくらかの変化が、処置される被験体の状態に依存して必然的に生じる。投与に責任のあるヒトは、任意の事象において、個々の被験体について適切な用量を決定する。
【0226】
HN−1ペプチドは、抗癌薬物に結合体化され得、そして用量当り、約0.0001〜1.0ミリグラム、および/または約0.001〜0.1ミリグラム、および/または0.1〜1.0ミリグラム、および/または約10ミリグラムなどでさえも含む治療混合物中で処方され得る。複数用量もまた投与され得る。
【0227】
経口投与(例えば、静脈内注射および/または筋肉内注射)のために処方された化合物に加えて、他の薬学的に受容可能な形態としては、例えば、錠剤および/または経口投与のための他の固体;リポソーム処方物;時間放出カプセル;および/または現在使用される任意の他の形態(クリームを含む)が挙げられる。
【0228】
本発明において、経鼻溶液および/またはスプレー、エアロゾルおよび/または吸入剤もまた使用し得る。経鼻溶液は、通常、滴下および/またはスプレーで、経鼻通路に投与されるように設計された水溶液である。経鼻溶液は、経鼻分泌に多数の点で類似するように調製され、その結果、毛様体作用が維持される。従って、経鼻水溶液は、通常、等張性であり、そして/またはわずかにpH5.5〜6.5を維持するようにわずかに緩衝化される。さらに、眼用処方物中に使用されるものと同様な抗菌防腐剤、および/または必要であれば、適切な薬物安定剤が、処方物中に含まれ得る。種々の商業的な経鼻処方物が公知であり、そして/または、例えば、抗生物質および/または抗ヒスタミン薬は、喘息予防に使用される。
【0229】
投与の他の様式に適切なさらなる処方物は、膣坐剤および/またはペッサリーが挙げられる。直腸ペッサリーおよび/または坐剤もまた使用され得る。坐剤は、直腸、膣および/または尿道中への挿入のための、種々の重量および/または形状の固体投薬形態である。挿入後、坐薬は、腔の体液中で軟化し、溶け、そして/または溶解する。一般的に、坐剤については、伝統的な結合剤および/またはキャリアとしては、例えば、ポリアルキレングリコールおよび/またはトリグリセリドが挙げられ得る;このような坐剤は、0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で活性成分を含む混合物から形成され得る。
【0230】
経口処方物は、例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常使用される賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性処方物および/または粉末の形態を取り得る。特定の規定された実施形態において、薬学的経口組成物は、不活性の希釈剤および/または吸収可能な食用キャリアを含み、そして/あるいはこれらの組成物は、硬質および/または軟質殻ゼラチンカプセルに入れられ得るか、そして/あるいはこれらの組成物は錠剤に圧縮され得るか、そして/あるいはこれらの組成物は食餌の食品に直接組み込まれ得る。経口治療投与のために、活性化合物は、賦形剤に組み込まれ得、そして/または経口摂取錠剤、経頬粘膜錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤などの形態で使用される。このような組成物および/または調製物は、少なくとも約0.1%の活性化合物を含み得る。組成物および/または調製物の割合は、もちろん、変化し得、そして/あるいは好都合に、単位重量の約2と約75%との間、そして/または好ましくは約25%と60%との間であり得る。このような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、適切な投薬量が得られるように存在する。
【0231】
錠剤、トローチ、丸剤、カプセル剤などはまた、以下を含み得る:結合因子(例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチおよび/またはゼラチン);賦形剤(例えば、リン酸二カルシウム);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ポテトデンプン、アルギン酸など);潤沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);および/または甘味料(例えば、スクロース、ラクトースおよび/またはサッカリン)および/または香料(例えば、ペパーミント、ウインターグリーン油、および/またはチェリー香料)が添加され得る。投薬単位形態がカプセルである場合、これは上記の形態の材料に加えて液体キャリアを含み得る。様々な他の材料が、コーティングとして存在し得るか、そして/またはそうでなければ物理的形態の投薬単位を改変し得る。例えば、錠剤、丸剤および/またはカプセル剤は、セラック、糖および/またはその両方でコーティングされ得る。エリキシルのシロップは、香味料メチルとして活性なスクロース化合物、および/または防腐剤としてプロピルパラベン、チェリー香料および/またはオレンジ香料のような染料および/または香料を含み得る。
【0232】
経口投与について、本発明の組成物は、うがい薬および歯みがき剤の形態で、1つ以上の賦形剤と混合され得る。例えば、適切な溶媒(例えば、ホウ酸ナトリウム溶液(Dobell溶液))中に必要な量で活性成分を組み込むうがい薬が、調製され得る。あるいは、活性成分は、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび炭酸水素カリウムを含む防腐洗剤に組み込まれ得る。活性成分はまた、以下を含む歯みがき剤に分散され得る:ゲル、ペースト、粉末およびスラリー。活性成分は、以下を含むペースト歯みがき剤に対して治療的有効量で、添加され得る:水、結合因子、研磨剤、香料、発泡剤、および湿潤剤。
【0233】
本発明の組成物は、中性形態または塩形態で処方され得る。薬学的に受容可能な塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)が挙げられ、そしてこれらの塩は、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成される塩もまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄)、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導され得る。
【0234】
処方の際に、溶液は、投薬処方物と適合する様式でかつ治療的に有効な量で投与される。これらの処方物は、注射溶液、薬物放出カプセルなどのような種々の投薬形態で容易に投与される。例えば、水溶液での非経口投与のために、必要ならばその溶液は、適切に緩衝化されるべきであり、そして液体希釈剤が、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与および腹腔内投与に適切である。これに関連して、使用され得る滅菌水性媒体は、本開示の観点から当業者に公知である。例えば、一投与量は、1mlの等張性NaCl溶液に溶解され得、そして1000mlの皮下注入流体に添加され得るか、または注入予定部位で注入され得るかのいずれかである(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。投薬量におけるいくらかの変化が、処置される被験体の状態に依存して必然的に生じる。投与に責任のあるヒトは、任意の事象において、個々の被験体について適切な用量を決定する。さらに、ヒト投与について、調製物は、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるような、無菌性、発熱性、ならびに一般的な安全性標準および純度標準を満たさなければならない。
【0235】
(G.キット)
さらなる実施形態において、本発明は、癌治療キット、癌検出キット、ならびに/またはインビボ(例えば、患者中)およびインビトロ(例えば、生物学的サンプル中)の両方で癌および腫瘍細胞および腫瘍組織を検出および画像化する際の使用のための癌画像化キットを提供する。このようなキットは、一般に、適切な検出可能な標識に結合された、腫瘍細胞を標的化するペプチド(例えば、HN−1)またはそのフラグメントを含む薬学的に受容可能な組成物を含む。標識に結合体化されたペプチドについての適切な検出手段もまた含まれる。検出可能な標識は、それがインビトロ適用のための非侵襲性手段によって同定され得るように存在する。
【0236】
ペプチドは、HN−1ペプチドまたはそのフラグメントを含み得るので、これらのペプチドは、キット中に提供され得る。キットはさらに、腫瘍細胞を標的化し得る適切にアリコートされた量のペプチドを含み得、そして標準曲線が検出アッセイのために調製され得る。
【0237】
特定の実施形態において、HN−1ペプチドまたはそのフラグメントのいずれかは、検出可能な標識に結合し、そして、カラムマトリックスまたはマイクロタイタープレートのウェルのような固体支持体にさらに結合し得る。
【0238】
多くの例示的な標識が、当該分野で公知であり、そして、全てのこのような標識は、本発明に関連して使用され得る。放射標識、核磁気スピン共鳴同位体、蛍光標識、および適切な基質と接触する際に有色産物を生成し得る酵素タグが、適切な例である。第二の結合リガンドに関連するかまたは結合する検出可能な標識もまた、意図される。
【0239】
本発明のキットは、一般に、1つ以上の容器を含み、この容器中には、生物学的な因子が配置され、そして好ましくは、適切に等分されている。このキットの成分は、水性媒体中または凍結乾燥形態のいずれかでパッケージされ得る。
【0240】
このキットの容器手段は、一般に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ビン、または、シリンジもしくは他の容器手段さえも含み、この中に、標識に結合体化したペプチドが配置され得、そして好ましくは、適切に等分されている。第二もしくは第三の検出可能な標識、結合リガンド、またはさらなる成分が提供される場合、このキットはまた、一般に、第二、第三、または他のさらなる容器を含み、この中に、この標識、リガンドもしくは成分が配置され得る。
【0241】
本発明のキットはまた、代表的に、市販のために非常に限定して、標識に結合体化したペプチド、さらなる標識、および他の任意の試薬容器を含むための手段を含む。このような容器は、射出成形またはブロー成形されたプラスチック容器を含み得、この中に、所望のバイアルが保持される。
【0242】
(6.実施例)
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例において開示される技術は、本発明の実施において十分に機能するために、本発明者らによって発見された技術を表し、そして従って、その実施のための好ましい様式を構成するとみなされ得ることが当業者に理解されるはずである。しかし、当業者は、本開示に鑑みて、開示される特定の実施形態において、多くの変化が、本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされ得、そして類似または同様の結果をなお得ることを理解するはずである。
【0243】
(実施例1)
(材料および方法)
(細胞株)
全てのHNSCC細胞株を、M.D.Anderson Cancer Centerで樹立した。DU148およびSW480細胞株を、American Type Culture Collection(Bethesda,MD)から得、そして正常ヒト線維芽細胞AG04354を、Coriell Cell Culture Facility(Bethesda,MD)から得た。上記の細胞株を、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび抗体を有するDMEM/F−12培地中で、5%CO環境下、37℃で維持した。HOK16Bを、EGFおよびウシ下垂体抽出物を補充したケラチノサイト−SFM培地17005−042(Gibco−BRL;Bethesda,MD)中で維持した。
【0244】
(ペプチド−ディスプレイライブラリースクリーニング)
ランダムな12マーペプチドを示すM13ファージペプチドライブラリーPhD−12を、New England BioLabs(Beverly,MA)から得た。2.5×1012のプラーク形成単位を、増殖培地中で、5%CO環境下で37℃で3時間、5×10 MDA167Tu細胞と一緒にインキュベートした。ファージの非特異的な内部移行を、増殖培地中でインキュベートすることによってブロックし、このことはまた、単離されたペプチドが、薬物送達の間、血清の存在において分解されないことを確実にする。内部移行したファージを、TX−100(1%)で、30分間37℃で溶解することによって回収し、そしてE.coli株ER2537を使用して増幅した。TX−100は、核を溶解しないが、核膜を破壊し得るイオン性界面活性剤を、これらはファージを不活化するので避けた。構成的に発現される分子と相互作用した後に内部移行するファージを除去するために、上記の単離されたファージを、正常ヒト線維芽細胞(NHF)とインキュベートし、そして、結合していないファージを含む上清を回収し、そしてこのファージを増幅させた。最後に、回収されたファージを、5回のMDA167Tu選択、および3回のNHF減算(subtraction)に供した。12個のランダムにピックアップされたファージのDNA配列決定によって、これらは同一の、新規なペプチド、すなわちTSPLNIHNGQKL(配列番号1)をコードすることが明らかになった。ペプチドコード領域に隣接するベクター配列の存在、および(操作されるような)このペプチドコード領域内の各コドンの3塩基ごとの、T/Gヌクレオチド独占的な存在は、ファージがライブラリーから誘導されることを確認する。配列アラインメントを、NCBIベースのBLASTまたはFASTAを使用して実行した。MDA167Tu細胞は、NHFよりも、TSPLNIHNGQKLファージについて、10.3倍大きい内部移行の潜在性を示した。BLAST検索は、以前に決定された配列とは相同性がないことを明らかにした。
【0245】
(ゲル電気泳動)
サンプル緩衝液(0.12M Tris(pH6.8)、2% SDS、20% グリセロールおよび10% b−メルカプトエタノール)中に懸濁した細胞溶解物を、17.5% SDS−PAGE(Henseyら、1994)によって分離し、そしてUV光を使用して調査した。この画像を、Kodak Digital Science 1Dソフトウェアを使用してデジタル形式で取り込んだ。
【0246】
(ペプチド合成)
ペプチドを合成し、そして逆相HPLCによって、>95%の純度まで精製した(Research Genetics,Huntsville,AL)。蛍光標識をN末端に付加し、そしてカルボキシル末端を、アミド基でキャップした。質量分析法で、予想される質量を確認した。ペプチドをさらにゲル電気泳動によって精製し、切り出し、透析し、(暗所で)凍結乾燥(lyophylize)し、PBSに再懸濁し、そしてフィルター滅菌した。
【0247】
(蛍光顕微鏡検査)
細胞を、3% N−ホルミルパラホルムアルデヒドで固定し、抗−Fade(Molecular Probe;Eugene,OR)を使用して標本にし、そしてNikon蛍光顕微鏡Eclipse E400を使用して調査した。画像を、デジタル形式で取り込み、そしてMetamorphバージョン3.6aソフトウェアを使用して分析した。蛍光強度を決定するために、自己蛍光の程度を、得られた強度から減算した。
【0248】
(細胞下分画の研究)
細胞下分画を、記載されるように(Leeら、1987)実行した。核、細胞質、および細胞膜画分の単離を、それぞれヒト網膜芽細胞腫タンパク質、グルタチオントランスフェラーゼ、およびGLUT−1グルコーストランスポータータンパク質について特異的な抗体を使用して、ウェスタンブロット分析によって確認した。個々の画分を電気泳動し、そして調査した。等量の各画分をロードした。
【0249】
(プロテアーゼ保護アッセイ)
ペプチドでインキュベートした細胞(peptide−incubated cell)を、PBSでリンスし、こすり取り、2000rpmで遠心分離することによってペレット化し、そして100μlのPBS中に再懸濁した。溶解するために、細胞を、ドライアイスを使用して10回凍結−融解した。キモトリプシン(10単位)を用いて5分間25℃で処理した後、SDS(1%)で酵素を不活化した。サンプルを、サンプル緩衝液中に懸濁し、電気泳動し、そして調査した。キモトリプシン処理前のペプチドでインキュベートした場合、細胞抽出物中にいずれのペプチドも検出されなかったことに注意した。
【0250】
(一次組織分析)
ヒトの侵襲性扁平上皮細胞癌の生検を、OCTブロック中で素早く凍結し、そして4ミクロンの厚さのクリオスタット切片を調製した。定着性材料または包埋材料を使用せずに、HN−1と相互作用し得る分子を改変することを避けた。H&E色素が、フルオレセインを見るために使用する波長下で蛍光を発するので、未処理の隣接する切片を、FITC−HN−1と一緒にインキュベートした。PBS−GLY(10mM グリシンおよび0.01% BSAを含有するPBS)中のFITC−HN−1(2.6μM)と一緒に、25℃で12時間、密封環境下でインキュベートした後、スライドを、PBS−GLY中で48時間、頻繁に取り換えながらリンスした。サンプルを、本明細書中に記載されるように標本にし、そして調査した。
【0251】
(動物実験)
Parke−Davis(Morris Plains,NJ)から購入した5週齢のヌードマウス(Harlan Sprague−Dawley)に、PBSに懸濁した5×10腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍(直径約0.5cm)を有するマウスを、別々の群(1グループあたり5匹)に無作為化し、そして100μlのPBS中に懸濁されたペプチドまたは他の示される因子(2.6×10−8モル)を、尾静脈に注射した。全てのマウスを、同一の条件下で維持した。48時間後、マウスを安楽死させ、そしてその組織を回収してクリオスタット切片を調製した。自己蛍光を、Eriochrome Black T(1.3%)で抑制した。ペプチド抽出のために、等質量の標本(PBSで灌流した後に収集した)を、液体窒素中で凍結し、微粉砕し、そして溶解緩衝液(50mM Tris(pH7.4)、250mM NaCl、5mM EDTA、0.5% NP40およびプロテアーゼインヒビター)中に再懸濁した。遠心分離して核および他の細胞破片を除去した後、この上清を電気泳動し、そして上記に記載されるように調査した。抽出分析のために、マウスを、2.6×10−7モルのFITC−HN−1を注射した。全ての動物プロトコルを再検討し、そしてAnimal CareおよびUse Committee制度によって承認された。
【0252】
(インビトロ内部移行アッセイ)
調査するために、HN−1ペプチドを、FITCまたはTexas Red蛍光色素に結合体化した。蛍光顕微鏡検査のために、細胞を、8チャンバ−スライド中で増殖させ、そしてペプチドと一緒にインキュベーターの中で48時間インキュベートし、固定化し、そしてNikon蛍光顕微鏡を使用して調査した。画像を、デジタル形式で取り込み、Microsoft PowerPointソフトウェアを使用して調査した。ペプチドでインキュベートした細胞の溶解物を、変性ポリアクリルアミドゲルを通して電気泳動し、内部移行したペプチドを調査した。細胞下分画アッセイを、以下のように行った:ペプチドでインキュベートした細胞の細胞膜を、Dounceホモジナイザーを使用して低張液中で崩壊させた。2000rpmで遠心分離することによって核を単離した後、残りを35,000rpmで90分間、37℃で超遠心分離することによって、細胞膜画分を単離した。この上清を、凍結乾燥し、そしてPBS中に再懸濁した。個々の画分を、変性ゲルを介して分離し、そしてLTV(短波長)光を使用して調査した。
【0253】
(一次HNSCC組織分析)
正常ヒト扁平上皮およびHNSCC細胞の両方を含む組織学的な切片を、グリシン(IOMM)を含有するPBS中で、12時間25℃でペプチドと一緒にインキュベートした。48時間、PBS中で4℃で洗浄した後、サンプルを標本にし、そして上記に記載されるように調査した。
【0254】
(インビトロ内部移行アッセイ)
ペプチドを、ヒトHNSCC異種移植片を保有するヌードマウスの尾に静脈内注射した。48時間後、このマウスをCOを使用して安楽死させ、そして腫瘍および他の組織を切除し、そしてOCT中で凍結した。サンプルの組織学的切片を調製し、そして上記に記載されるように、蛍光顕微鏡を使用して調査した。
【0255】
(実施例2)
(ペプチドの単離およびスクリーニング)
本発明のペプチドの単離を、ランダムペプチド−ディスプレイライブラリーをスクリーニングすることによって実行した。細胞膜を横切って転位置する能力が、薬物送達のために重要であるので、本発明者らは、細胞によって内部移行され得るペプチドを探求した。さらに、本発明者らは、正常な非癌性組織ではなく、癌およびまたは腫瘍細胞によって内部移行され得るペプチドを探求した。
【0256】
本発明者らは、ヒトの頭頚部の扁平上皮細胞癌(HNSCC)細胞株(MDA167Tu)を使用して、M13単鎖バクテリオファージベースのランダムペプチド−ディスプレイライブラリーをスクリーニングした。このスクリーニング方法は、37℃でエンドサイトーシスによってペプチドを取り込むHNSCC細胞の能力に基づいた。
【0257】
ライブラリーのスクリーニングを、増殖培地において実行し、単離されたペプチドが、薬物送達の間に血清の存在下で分解しないことを確実にした。配列Thr−Ser−Pro−Leu−Asn−Ile−His−Asn−Gly−Gln−Lys−Leu(TSPLNIHNGQKL)(配列番号1)を保有する新規なペプチドを単離した。このペプチドはまた、本明細書中でHN−1ペプチドと称される。MDA167Tu細胞は、減算のために使用される正常ヒト線維芽細胞(NHF)よりも、TSPLNIHNGQKLファージについて約10倍大きい内部移行潜在性を示した。
【0258】
本発明において単離されるペプチドに含まれるAsn−Gly−Gln配列、Thr−Ser−Pro−Leu−Asn−Ile−His−Asn−Gly−Gln−Lys−Leuは、Asn−Gly−Arg(NGR)細胞接着モチーフに似ているが、この2つのモチーフが通常のレセプターと相互作用する可能性は、単一の保存的置換がRGDモチーフの場合(RGD→RGE)における結合特性を無効にすることを考慮すると、ありそうにない(Arapら、1998;Pasqualiniら、2000;Chernyら、1993)。
【0259】
HN−1ペプチドの内部移行を、合成ペプチドを使用して直接的に試験する。薬物送達を模倣するために、HN−1を、フルオレセイン(約44%のモル質量のパクリタキセル(Taxol)を有し、複数の環状構造およびカルボン酸基から構成される複合有機分子)に結合体化した(Nicolaouら、1994)。FITC−HN−1と一緒に48時間インキュベートした後、試験した6つのヒトHNSCC細胞株(MDA138Tu、MAD159Tu、MDA167Tu、MDA686Tu、MDA1986Tu、MDA177Tu)のうち5つが、内部蛍光を示したが、同様にインキュベートしたヒトパピローマウイルスで不死化した正常なヒト口腔ケラチノサイト(HOK)で、蛍光はほとんど観察されなかった(図1A、1B)。蛍光強度は、時間依存性かつ用量依存性であった。
【0260】
各細胞株に対する蛍光強度についての細胞の分布は、図1bに示される。細胞が固定されない場合に、内部蛍光もまた観察された(ペプチドが固定の間に人為現象的に取りこまれる可能性がないものとする)。蛍光を発する細胞の生存度を、トリパンブルーの排除によって確認した。細胞株は、どれも自家蛍光を発しなかった(未処置のMDA177Tu細胞についての図1aを参照)。インキュベートされたFITC−HN−1 MDA177Tu細胞の溶解物を、電気泳動で分離して、UV光下で観察したときに、インタクトなペプチドを検出した(図1Dのレーン4;図1Eのレーン3)。外部から添加したプロテアーゼによる分解を、細胞を溶解する前にのみ行って、FITC−HN−1の取り込みを確認した(図1D)。フルオレセインが取りこまれなかったという事実(図1a)、インキュベートされたFITC−HN−1細胞の培地を分析したとき、ペプチドからのフルオレセインの解離がほとんど検出されなかった(開示していない)という事実、およびフルオレセインとHN−1を別々にインキュベートした後には、ほとんど標識されていないという事実(図1a)によって、観察される蛍光が、解離したフルオレセインの取り込みによるものではないものとみられる可能性が示唆される。
【0261】
蛍光顕微鏡のデータ(図1A〜C)と細胞成分画分のデータ(図1E)の両方は、取りこまれたHN−1が、主に細胞質に存在することを示し、このことは、HN−1を提示するファージが細胞質から、スクリーニング中に単離されたという事実に一致する。高倍率下で、まばらな(punctate)蛍光パターンが観察され、このことは、HN−1が、細胞内に進入した後に、区画化され得ることを示す(図1C)。まばらなパターンは、以前に観察された、取りこまれた上皮増殖因子(EGF)(EGFは、レセプター媒介性エンドサイトーシスを介して進入する)についてのパターンと同様である(Beguinotら、1986)。
【0262】
HN−1の取り込みをまた、テキサスレッドと結合させた後に観察した(図1A)。フルオレセイン(図1A)およびテキサスレッドは、不浸透性であり、これらの色素自体は、HN−1の取り込みを媒介し得なかった。HN−1の相対的位置をペプチドGGGTSPLNIHNGQKLGGGS(HN−2)(配列番号3)またはGSRRASVTSPLNIHNGQKL(HN−3)(配列番号4)に関してシフトさせることは、この取り込みを阻害しなかったが、配列を飛ばすことは、阻害した(NQHSKNTLLIGP(HN−J)(配列番号5))(図1A、パネル3)。これらは、HN−1の取り込みが、「位置非依存的」であるが、「配列依存的」であることを示唆する。FITC結合HN−2またはHN−3の取り込みは、HN−1が細胞に入る能力はフルオレセインとの近位を通じて必要とされる特性である可能性を排除する。
【0263】
HN−1の取り込みが特異的に生じるか否かを決定するために、競合アッセイを実施した。非標識HN−1を過剰に提供した場合に、FITC−HN−1の取り込みが非標識HN−1によって阻害されたが、無関係なペプチドでは、このような阻害は生じなかった(図1F)。このことは、HN−1の取り込みが、異種の分子との特異的な相互作用を必要とし得ることを示し、この異種の分子は、細胞に結合した分子または成長培地中に存在する分子であり得る。
【0264】
興味あることに、FITC−HN−1とインキュベートしたDU147ヒト前立腺癌細胞またはSW480ヒト結腸癌細胞は、延長したインキュベーション(96時間)の後でさえ、ほとんど蛍光を示さなかった(48時間のものを開示する;図1B)。このことは、HN−1の取り込みは、偏在性には生じず、HN−1の取り込みは、構成的に発現される分子によっては媒介され得ないことを示す。本発明者らはまた、HN−1の取り込みの欠如は、培地中におけるペプチドの分解によるものではないことを確認した。しかし、後者の可能性は、HN−1の取り込みがまた、PBS中で生じるという規定の事実に合わないようにみえる。
【0265】
興味あることに、DU145ヒト前立腺細胞、SW480ヒト結腸細胞またはU373MGヒト星状腫細胞は、FITC−HN−1との延長したインキュベーション(96〜120時間)の後でさえ、ほとんど蛍光を示さなかった(図1b)。このことは、HN−1の取り込みが偏在的には生じないことを示す。これらの取り込みの欠如は、培地中でのペプチドの分解によるものでなかったことを個別に確認した(示していない)。これらの結果はまた、活発に分裂する細胞の全てがHN−1を取り込み得るわけではないことを示唆する。
【0266】
インサイチュペプチド結合アッセイを、ヒト侵襲性HNSCC(侵襲性の悪性細胞および隣接する悪性でない扁平上皮を含む)の生検試料から調製したクリオスタット切片で実施し、FITC−HN−1の侵襲性癌細胞への優先的な結合を示した(図2)。フルオレセインまたはFITC−HN−Jの結合不能性(図2)は、FITC−HN−1の結合が、HN−1によって媒介されたことを示唆する。
【0267】
HN−1の取り込みが特定の癌細胞型に限定され、HN−1の取り込みが分裂している全ての細胞の特性でないので、本発明者らは、HN−1を特定の癌細胞に対して標的化した薬物送達に使用することを想定する。HN−1の特性は、現在最も使用されている、分裂している細胞を無差別に標的化する化学療法剤(例えば、シスプラチンのようなDNA架橋剤またはmethoxtrexateのようなDNA代謝インヒビター)に重要である。これは、化学療法剤の多くの種々の副作用を生じる。
【0268】
(実施例3)
(HN−1の局在化)
インビボでの実験を実施して、静脈内投与されたHN−1が,腫瘍組織に局在するか否かを決定した。皮下に確立されたMDA177Tuに由来する異種移植腫瘍を有するヌードマウスに、FITC−HN−1を静脈内投与した(図3Aおよび4B)。インビトロにおけるように、核の標識は、インビボでほとんど観察されなかった。未処置の腫瘍細胞は、自家蛍光を有さなかった(図3A)。インタクトなペプチドの存在を、腫瘍抽出物の電気泳動分析によって確認した(図3B)。後者をFITC−HN−1を注射した、MDA167Tuに由来する異種移植片を有するマウスから調製した場合、HN−1は、複数のHNSCC細胞株に由来する異種移植片によって取りこまれ得ることが示唆された。等モル量の濃度のフルオレセイン、FITC−HN−Jまたはフルオレセインおよび未標識のHN−1を別々に、大きさの同じ腫瘍を有するマウスに注射した後に、腫瘍細胞の標識はほとんど観察されなかった(図3A)。
【0269】
FITC−HN−1は、前立腺癌細胞株であるDU145(DU145細胞は、インビトロでペプチドをほとんど取りこまない(図1B))細胞に由来する異種移植片の標識ができなかった(図3A)。重要なことに、FITC−HN−1を注射した、腫瘍を有するマウスに由来する脳、心臓、肺、腎臓および肝臓は、ほとんど標識を示さなかった(図3B、3C)。同様の結果がまた、FITC−HN−1を注射した、腫瘍を有さないマウスでも観察され、このことから非効率的な標識は、ペプチドが腫瘍により消費されたことによるものでなかったことが示唆される。これが、これらの組織でのペプチドの急速な分解に起因するか、またはペプチドが同族のレセプターのマウスにおけるホモログを認識不能である事に起因するかという別の可能性は、排除できない。
【0270】
HN−1が腫瘍組織に浸透したか否かを決定するために、FITC−HN−1を注射したマウスの異種組織片の中心から調製した組織切片(図3Aのパネル6に示す)を検査した。ヘマトキシリン−エオシン(H&E)染色によって、半分以下が、分散した腫瘍細胞を含み、一方その残りは、区画化された腫瘍細胞を含むことを示された(図4B)。処置したマウスに由来する隣接する区画は、蛍光を発する腫瘍細胞を示した(図4B)。この蛍光は、腫瘍細胞に起因し、ケラチンによるものでなかったことが注目された(図4Bのパネル2および3を比較すること)。蛍光は、腫瘍細胞が中枢および末梢に局在したように、広範囲に見られた(図4B)。内部に局在する腫瘍細胞が標識化されることは、FITC−HN−1が浸腫瘍組織に浸透可能であることを示唆する。処置したマウスの腫瘍全体にわたる他の位置から調製した組織切片もまた、蛍光を発する腫瘍細胞を示した。
【0271】
(実施例4)
(HN−1の腫瘍細胞への標的化の特異性)
以前に、腫瘍血管に特異的なペプチドに結合した薬物が、血管内皮を破壊することによって、腫瘍を間接的に除去し得ることが示された。しかし、1mmより小さい腫瘍が、隣接する正常な血管から得た栄養によって存続し得る場合、残存する腫瘍を除去する課題がなお残されている(Folkman、1990)。HN−1の単離は、ヘルスケア提供者らに、他の細胞に対する有害な副作用の発生に制限されることなく腫瘍を破壊するのに必要な薬物の用量を、提供することを可能にする。HN−1がシャトルとして使用される可能性は、これが非毒性(器官傷害性の組織学的証拠は、HN−1注射マウスにおいて観察されなかった)であり、インビボで安定であり、移送の間にその「荷物」を保護し、そして腫瘍に48時間で効率よく集積するといった事実によって、さらに強化される。取りこまれたHN−1がエンドソームに区画化される場合、結合した薬物の細胞質ゾルへの放出は、ペプチドのエンドソームでの分解に依存する必要があり得る(Ryserら、1988)。本明細書中で考察される、HN−1の他の可能性のある使用は、腫瘍の診断、画像化またはラジオアブレーション(radioablation)を含む。これはまた、遺伝子送達アプローチに、腫瘍特異性を提供し得る12;このことは、HN−1がリポソーム−DNA複合体のHNSCC細胞への移行を増大させ得ることが観察されることから支持される。
【0272】
*******************
本明細書において開示され、特許請求の範囲にある全ての組成物および方法は、本開示を考慮することにより、過度の実験をすることなく、作製および実行され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態によって記載されるが、これらの組成物および方法、ならびに本明細書中で記載される工程および方法の工程の順序において、本発明の概念、趣旨および範囲を逸脱することなく、改変が適用され得ることは、当業者にとって明らかである。より詳細には、化学的かつ生理学的の両方に関する、特定の薬物が、本明細書中で記載される薬物に置き換えられ得て、同じまたは同様の結果が達成されることは、明らかである。当業者にとって明らかである全ての同様の置換および改変は、添付される特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨、範囲および概念に含まれるとみなされる。
【0273】
(参考文献)
以下の参考文献は、見本となる手順または本明細書中に示される詳細を捕捉する他の詳細を提供する範囲において、本明細書において参考として特に援用される。
【0274】
【表1】
Figure 2004501664
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【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、HN−1の内部移行を示す。図1A〜1Cおよび1Fは、蛍光顕微鏡像を示し、対応する視野のノマルスキー光学顕微鏡像を、1A、1Bおよび1Fに示す。図1Aは、MDA177Tu細胞が、示された薬剤と共にインキュベートされたことを示す。図1B〜1Fにおいて、ペプチドインキュベーションを、図1Aのように実施した。図1Bは、FITC−HN−1と共にインキュベートされた、示された細胞を示す。図1Cは、示された薬剤と共にインキュベートされたMDA177Tu細胞を示す。図1Dは、プロテアーゼ保護アッセイを例示する。FITC−HN−1をインキュベートしたMDA177Tu細胞(レーン4〜7)を、示されるように処理し、実施例に記載のように電気泳動し、そして観察した。図1Eは、細胞成分分画を例示する。FITC−HN−1と共にインキュベートしたMDA177Tu細胞を、核分画(レーン2)、細胞質分画(レーン3)および細胞膜分画(レーン4)に分離し、電気泳動し、そして観察した。各々、等量の分画をロードした。図1Fは、競合アッセイを示す。MDA177Tu細胞を、過剰の非標識特異的競合因子(SP)または非特異的競合因子(NSP)の存在下で、FITC−HN−1と共にインキュベートした。(棒線の大きさ、58μm(図1A);38μm(図1B);14μm(図1C);29μm(図1F))。
【図2】
図2は、一次HNSCCに対する、HN−1の結合を示す。ヒト頭頸部の扁平上皮癌生検サンプルの組織学的切片(腫瘍および対応する正常組織を含む)を、示された薬剤と共にインキュベートし、そして実施例に記載のように蛍光顕微鏡によって観察した。示されるデータは、3回の独立した実験の結果を示す。挿入画は、腫瘍細胞の拡大された視野を示す(棒線=21μm)。
【図3】
図3は、HN−1が、インビボでHNSCC細胞由来の異種移植片に局在することを示す。図3A、示された薬剤で処理されたマウスから切除されたMDA177Tu由来異種移植片またはDU145由来異種移植片のクリオスタット切片。代表的な腫瘍のヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色を示す。図3Bは、電気泳動分析を示す。電気泳動分析。示されるように処理されたMDA167Tu由来の異種移植片を有するマウスからの腫瘍組織抽出物および正常組織抽出物。図3Cは、FITC−HN−1で処理されたMDA177Tu由来異種移植片を有するマウス由来の種々の正常組織の蛍光顕微鏡像を示す。対応する視野のH&E染色を示す。全ての実験において、動物を、示された薬剤で48時間処理した。(棒線(μm)=92(a)、48(c))。
【図4】
図4は、HN−1が、インビボで腫瘍組織を浸潤することを示す。組織学的切片を、図3Aに記載のようにFITC−HN−1で処理したマウスから切除された、MDA177Tu由来のHNSCC異種移植片の中央部分から調製した。図4Aは、図4Bに示される領域の模式図を示す。示された腫瘍は、図3Aにおいて示された腫瘍(パネル6)と同一である。図4Bは、H&E染色(パネル1、2、13(モンタージュ))を示す。蛍光顕微鏡像を、パネル3〜12に示す。パネル2は、パネル1で四角く囲んだ領域の拡大された視野である。パネル3は、パネル2に対応する隣接切片の蛍光顕微鏡像である。(棒線(μm)=78(パネル1);48(パネル2〜12);240(パネル13))。

Claims (85)

  1. 腫瘍細胞を標的化するペプチドであって、ここで該ペプチドが、該腫瘍細胞によって内部移行される、ペプチド。
  2. 配列番号1を含む、請求項1に記載のペプチド。
  3. 配列番号1からなる、請求項1に記載のペプチド。
  4. 配列番号1をコードする、DNAセグメント。
  5. 配列番号1をコードする核酸を含む、請求項4に記載のDNAセグメント。
  6. 組換えベクターとして、さらに規定される、請求項4に記載のDNAセグメント。
  7. 組成物であって、以下:
    a)薬剤;および
    b)腫瘍細胞を標的化するペプチドであって、ここで該ペプチドが、該腫瘍細胞によって内部移行される、ペプチド、
    を含む、組成物。
  8. 前記ペプチドが、配列番号1を含む、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記ペプチドが、配列番号1からなる、請求項7に記載の組成物。
  10. 前記薬剤が、化学治療剤である、請求項7に記載の組成物。
  11. 前記薬剤が、細胞毒性剤である、請求項7に記載の組成物。
  12. 前記薬剤が、アポトーシス薬剤である、請求項7に記載の組成物。
  13. 前記薬剤が、DNA損傷剤である、請求項7に記載の組成物。
  14. 前記薬剤が、Taxolである、請求項7に記載の組成物。
  15. 請求項7に記載の組成物であって、該薬剤が、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン、ニトロソ尿素類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブロマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、トランスプラチウム、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたはメトトレキサートである、組成物。
  16. 腫瘍細胞を殺傷するための方法であって、該方法は、該腫瘍細胞を、以下:
    a)薬剤;および
    b)該腫瘍細胞を標的化するペプチドであって、ここで該ペプチドは、該腫瘍細胞によって内部移行される、ペプチド
    を含む薬学的に受容可能な組成物と接触させる工程を、包含する、方法。
  17. 前記ペプチドが、配列番号1を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記薬剤が、前記ペプチドに結合する、請求項16に記載の方法。
  19. 前記腫瘍細胞が、扁平上皮癌、頭頚部癌および乳癌からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  20. 前記腫瘍細胞が、ヒトの頭頚部の癌細胞である、請求項16に記載の方法。
  21. 請求項16に記載の方法であって、前記ヒトの頭頚部の癌細胞が、口腔細胞、咽頭細胞、咽喉細胞、副鼻腔細胞、鼻腔細胞、喉頭細胞、甲状腺細胞、甲状腺傍細胞、唾液線細胞、顔の皮膚細胞、頚部の皮膚細胞または頸部リンパ節細胞である、方法。
  22. 前記腫瘍細胞が、固形腫瘍細胞である、請求項16に記載の方法。
  23. 前記固形腫瘍細胞が、乳癌細胞を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記接触させる工程が、静脈内投与、腫瘍内投与、皮下投与、腹腔内投与または局所投与によるものである、請求項16に記載の方法。
  25. 前記接触させる工程が、局所投与、領域的投与、または全身的投与である、請求項16に記載の方法。
  26. 前記腫瘍細胞が、患者内にある、請求項16に記載の方法。
  27. 癌を検出するための方法であって、以下:
    a)配列番号1を含むペプチドを得る工程であって、ここで該ペプチドが、腫瘍細胞を標的化する、工程;
    b)検出可能な標識を、該ペプチドに結合体化する工程;
    c)該結合体化したペプチドおよび標識を、患者に投与する工程;ならびに
    d)適切な検出手段によって腫瘍細胞と該結合体との結合を検出する工程
    を包含する、方法。
  28. 前記結合が、前記腫瘍細胞による取り込みをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記標識が、放射性ヌクレオチド標識、蛍光標識またはスピン標識である、請求項27に記載の方法。
  30. 前記投与が、静脈内注射、腫瘍内注射、皮下注射、腹腔内注射または局所投与によるものである、請求項27に記載の方法。
  31. 前記投与する工程が、局所投与、領域的投与、または全身的投与である、請求項27に記載の方法。
  32. 前記検出が、磁気共鳴像、X線像またはコンピューター化エミッション断層撮影によるものである、請求項27に記載の方法。
  33. インビトロで腫瘍を検出するための方法であって、以下:
    a)配列番号1を含むペプチドを得る工程であって、ここで、該ペプチドは、腫瘍を標的化する、工程;
    b)検出可能な標識を、該ペプチドに結合体化させる工程;
    c)該結合体化したペプチドおよび標識を腫瘍含有サンプルと接触させる工程;ならびに
    d)適切な検出手段によって該腫瘍と該結合体との結合を検出する工程
    を包含する、方法。
  34. 前記結合が、前記腫瘍の細胞による取り込みをさらに含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記標識が、放射性ヌクレオチド標識、蛍光標識またはスピン標識である、請求項33に記載の方法。
  36. 前記検出が、核磁気共鳴像、X線像、コンピューター化エミッション断層撮影または陽子射出断層撮影によるものである、請求項33に記載の方法。
  37. 腫瘍検出キットであって、配列番号1を含むペプチドの薬学的組成物を適切な容器手段中に含む、キット。
  38. 腫瘍検出キットであって、検出可能な標識に結合される配列番号1を含むペプチドの薬学的組成物を適切な容器手段中に含み、ここで該ペプチドは、腫瘍細胞を標的化する、キット。
  39. 腫瘍検出キットであって、以下:
    a)検出可能な標識に結合される配列番号1を含むペプチドの薬学的組成物であって、ここで該ペプチドが、腫瘍細胞を標的化する、薬学的組成物;および
    b)検出のための適切な手段
    を適切な容器手段中に含む、キット。
  40. 前記検出可能な標識が、非浸潤手段によって検出可能である、請求項38に記載のキット。
  41. 前記検出可能な標識が、スピン標識された分子である、請求項38に記載のキット。
  42. 前記検出可能な標識が、放射性同位元素である、請求項38に記載のキット。
  43. 前記検出手段が、核磁気共鳴像、X線像、コンピューター化エミッション断層撮影または陽子射出断層撮影によるものである、請求項39に記載のキット。
  44. 腫瘍画像化キットであって、配列番号1を含むペプチドを含む有効量の薬学的に受容可能な処方物を適切な容器手段中に含み、ここで該ペプチドは、腫瘍細胞を標的化する、キット。
  45. 腫瘍画像化キットであって、配列番号1を含むペプチドを含む有効量の薬学的に受容可能な処方物を適切な容器手段中に含み、ここで該ペプチドが、腫瘍細胞を標的化し、そして該ペプチドが、検出可能な標識に結合する、キット。
  46. 腫瘍画像化キットであって、以下:
    a)配列番号1を含むペプチドであって、ここで、該ペプチドが、腫瘍細胞を標的化し、そして該ペプチドが、検出可能な標識にさらに結合する、ペプチド;および
    b)該検出可能な標識を検出するための適切な手段
    を含む有効量の薬学的に受容可能な処方物を適切な容器手段中に含む、キット。
  47. 前記検出可能な標識が、非浸潤手段によって画像化される、請求項45に記載のキット。
  48. 前記検出可能な標識が、スピン標識された分子である、請求項45に記載のキット。
  49. 前記検出可能な標識が、放射性同位元素である、請求項45に記載のキット。
  50. 前記検出手段が、核磁気共鳴像、X線像、コンピューター化エミッション断層撮影または陽子射出断層撮影によるものである、請求項46に記載のキット。
  51. 腫瘍細胞を殺傷するための方法であって、該方法は、以下:
    a)放射線治療;および
    b)該腫瘍細胞を標的化するペプチドに結合体化する抗腫瘍化合物を含む薬学的に受容可能な組成物であって、ここで、該ペプチドが、該腫瘍細胞によって内部移行される、組成物
    を、患者に施す工程を包含する、方法。
  52. 前記ペプチドが、配列番号1を含む、請求項51に記載の方法。
  53. 前記放射線治療が、全身、局所または領域に施される、請求項51に記載の方法。
  54. 前記放射線治療が、放射性同位元素照射、γ照射、X線照射、UV照射、マイクロ波照射または電子照射である、請求項51に記載の方法。
  55. 前記患者が、約40〜約100Gyの照射を施される、請求項51に記載の方法。
  56. 前記患者が、約55〜約65Gyの照射を施される、請求項51の方法。
  57. 前記患者が、約62Gy放射を施される、請求項51に記載の方法。
  58. 前記腫瘍細胞が、扁平上皮癌、頭頚部癌および乳癌からなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
  59. 腫瘍細胞を殺傷するための方法であって、該方法は、以下:
    a)化学療法;および
    b)該腫瘍細胞を標的化するペプチドに結合体化する抗腫瘍化合物を含む薬学的に受容可能な組成物であって、ここで、該ペプチドが、該腫瘍細胞によって内部移行される、組成物
    を、患者に施す工程を包含する、方法。
  60. 腫瘍細胞を殺傷するための方法であって、該方法は、以下:
    a)化学療法;および
    b)該腫瘍細胞を標的化するペプチドに結合するリポソームを含む薬学的に受容可能な組成物であって、ここで、前記リポソームは、抗腫瘍化合物を含み、そしてここで該ペプチドは、該腫瘍細胞によって内部移行される、組成物
    を、患者に施す工程を包含する、方法。
  61. 腫瘍細胞を殺傷するための方法であって、該方法は、以下:
    a)外科手術;および
    b)該腫瘍細胞を標的化するペプチドに結合体化する抗腫瘍化合物を含む薬学的に受容可能な組成物であって、ここで、該ペプチドが、該腫瘍細胞によって内部移行される、組成物
    を、患者に施す工程を包含する、方法。
  62. 腫瘍細胞を殺傷するための方法であって、該方法は、以下:
    a)遺伝子治療;および
    b)該腫瘍細胞を標的化するペプチドに結合体化する抗腫瘍化合物を含む薬学的に受容可能な組成物であって、ここで、該ペプチドが、該腫瘍細胞によって内部移行される、組成物
    を、患者に施す工程を包含する、方法。
  63. 前記遺伝子治療が、ras;myc、raf、erb、src、fms、jun、trk、ret、gsp、hst、bcl、abl、Rb、CFTR、p16、p21、p27、p53、p57、p73、C−CAM、APC、CTS−1、zac1、scFV、ras、DCC、NF−1、NF−2、WT−1、MEN−I、MEN−II、BRCA1、VHL、MMAC1、FCC、MCC、BRCA2、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、GM−CSF、G−CSFおよびチミジンキナーゼからなる群から選択される核酸配列に指向される、請求項62に記載の方法。
  64. 腫瘍処置キットであって、該キットは、配列番号1を含むペプチドを含む治療有効量の薬学的に受容可能な処方物を適切な容器手段中に含む、キットであって、ここで、該ペプチドが、腫瘍細胞を標的化する、キット。
  65. 腫瘍処置キットであって、該キットが、以下:
    a)配列番号1を含むペプチドであって、ここで、該ペプチドが、腫瘍細胞を標的化する、ペプチド;
    b)抗腫瘍化合物
    を含む、治療有効量の薬学的に受容可能な処方物を適切な容器手段中に含む、キット。
  66. 前記抗腫瘍化合物が、Taxolである、請求項65に記載の腫瘍処置キット。
  67. 前記抗腫瘍化合物が、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン、ニトロソ尿素類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブロマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、トランスプラチウム、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびメトトレキサートからなる群から選択される、請求項65に記載の腫瘍処置キット。
  68. 組成物であって、該組成物が、
    a)配列番号1を含むペプチドであって、ここで、該ペプチドが、腫瘍細胞を標的化する、ペプチド;および
    b)遺伝子治療のための組成物を含む、ベクター
    を含む、組成物。
  69. 前記ベクターが、タンパク質、ペプチド、リポソーム、脂質、核酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項68に記載の組成物。
  70. 前記遺伝子治療のための組成物が、核酸を含む、請求項68に記載の組成物。
  71. 前記遺伝子治療のための組成物が、p53核酸を含む、請求項68に記載の組成物。
  72. 前記遺伝子治療のための組成物が、ras、myc、raf、erb、src、fms、jun、trk、ret、gsp、hst、bcl、abl、Rb、CFTR、p16、p21、p27、p53、p57、p73、C−CAM、APC、CTS−1、zac1、scFV、ras、DCC、NF−1、NF−2、WT−1、MEN−I、MEN−II、BRCA1、VHL、MMAC1、FCC、MCC、BRCA2、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、GM−CSF、G−CSFおよびチミジンキナーゼからなる群から選択される核酸を含む、請求項68に記載の組成物。
  73. 癌について生物体を処置するための方法であって、該方法は、該生物体を、以下
    a)配列番号1を含むペプチドであって、ここで該ペプチドが、腫瘍細胞を標的化する、ペプチド;および
    b)抗腫瘍化合物
    を含む治療有効量の薬学的に受容可能な組成物と接触させる工程を包含する、方法。
  74. 前記抗腫瘍化合物が、前記ペプチドに結合体化される、請求項73に記載の方法。
  75. 前記抗腫瘍化合物が、Taxolである、請求項73に記載の方法。
  76. 前記抗腫瘍化合物が、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン、ニトロソ尿素類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブロマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、トランスプラチウム、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびメトトレキサートからなる群から選択される、請求項73に記載の方法。
  77. 前記癌が、扁平上皮癌、頭頚部癌および乳癌からなる群から選択される、請求項73に記載の方法。
  78. 内部移行したペプチドの単離のための方法であって、該方法は、以下の工程:
    (1)ペプチドライブラリーを得る工程;
    (2)独立的に該ライブラリーのペプチドを、細胞集団のメンバーと接触させる工程;および
    (3)該細胞集団の該メンバーによる該ペプチドのエンドサイトーシスをアッセイする工程
    を包含する、方法。
  79. 前記ペプチドライブラリーが、ランダムペプチドディスプレイライブラリーである、請求項78に記載の方法。
  80. 前記ペプチドライブラリーが、M13一本鎖バクテリオファージベースのランダムペプチドディスプレイライブラリーである、請求項79に記載の方法。
  81. 前記細胞が、癌細胞である、請求項78に記載の方法。
  82. 癌を検出するための方法であって、該方法は、以下:
    (1)内部移行するペプチドを得る工程;
    (2)検出可能な標識を、該ペプチドに結合体化させる工程;
    (3)結合体化したペプチドおよび標識を生物体に投与する工程;ならびに
    (4)適切な検出手段によって癌細胞への該結合体の結合を検出する工程、
    を包含する、方法。
  83. 癌を検出するための方法であって、該方法は、以下:
    (1)ペプチドライブラリーを得る工程;
    (2)独立的に該ライブラリーのペプチドを、細胞集団のメンバーと接触させる工程;
    (3)該細胞集団の該メンバーによる該ペプチドのエンドサイトーシスをアッセイして、内部移行したペプチドを同定する、工程;
    (4)検出可能な標識を、該ペプチドに結合体化させる工程;
    (5)該結合体化したペプチドおよび標識を生物体に投与する工程;ならびに (6)適切な検出手段によって細胞への該結合体の結合を検出する工程
    を包含する、方法。
  84. 癌細胞を殺傷するための方法であって、該方法は、以下の工程;
    (1)ペプチドライブラリーを得る工程;
    (2)独立的に該ライブラリーのペプチドを細胞集団のメンバーと接触させる工程;
    (3)該細胞集団の該メンバーによる該ペプチドのエンドサイトーシスをアッセイして、内部移行したペプチドを同定する、工程;
    (4)薬剤を、該ペプチドに結合体化させる工程;ならびに
    (5)該結合体化したペプチドおよび薬剤を生物体に投与する工程
    を包含する、方法。
  85. 癌細胞を殺傷するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    (1)ペプチドライブラリーを得る工程;
    (2)独立して該ライブラリーのペプチドを細胞集団のメンバーと接触させる工程;
    (3)該細胞集団の該メンバーによる該ペプチドのエンドサイトーシスをアッセイして、内部移行したペプチドを同定する工程;
    (4)遺伝子治療のための組成物を、該ペプチドに結合体化させる工程;ならびに
    (5)該結合体化したペプチドおよび遺伝子治療組成物を生物体に投与する工程
    を包含する、方法。
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