JP2004501294A - 取付け装置によってヘッドボックス内のベーンの平坦度を保証する方法、そのような取付け装置を備えるヘッドボックス、及びそのための取付け装置 - Google Patents
取付け装置によってヘッドボックス内のベーンの平坦度を保証する方法、そのような取付け装置を備えるヘッドボックス、及びそのための取付け装置 Download PDFInfo
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Abstract
横方向溝(20)の下流支持壁(25)と協働するための係合部材(22)を含む取付け装置によってヘッドボックス内に取付けられるベーン(14)の平坦度を保証する方法であって、ベーン(14)は、作動時に原料からの剪断力と取付け装置からの保持力の影響を受ける。本発明によれば、外側係合ダウエルは、剪断力を受けるために、所定の期間中に唯一の係合ダウエル(22a)として下流支持壁(25)と協働するように、ベーンの側縁部(31、32)に取付けられ、それによってベーンの下流端部(33)内に機械横方向の引張応力が発生することになる。また、本発明は、このような取付け装置を有するヘッドボックス、及びそのための取付け装置に関し、ベーンの上流端部(21)の内側区域(35)内又はその下流側のベーンは、前記期間中に下流支持壁に対して機械方向に自由に移動できるように配置されている。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は、取付け装置によってヘッドボックス内に着脱自在に取付けられるベーンの平坦度を保証する方法に関し、取付け装置は、ベーンの上流端部においてベーンに連結される複数の係合部材と、ベーンの係合部材を収容するための縦溝とを有し、この溝は、係合部材と協働するための係合部材に対向する内側の下流及び上流支持壁を有し、ベーンは、作動時に該ベーンに沿って流れる原料が引き起こす剪断力及び取付け装置がベーンに与える保持力の影響を受けるようになっている。
【0002】
また、本発明は、ファイバーウェブを湿式成型するためのフォーマの成型区域に原料の噴流を供給するためのヘッドボックスに関し、ヘッドボックスは、
チャンバを有するスライスと、
スライスチャンバ内に開口する乱流チャンネルと、乱流チャンネルを区画する少なくとも1つの固定部材とを含む乱流発生器と、
スライスチャンバ内に配置されている少なくとも1つのベーンと、
ベーンを固定部材に着脱自在に取付けるための取付け装置と、
を備え、取付け装置は、
ベーンの上流端部でベーンに連結される複数の係合部材と、
ベーンの係合部材を収容するための縦溝を有する細長い構造部材と、
を含み、この溝は、係合部材と協働するための、係合部材に対向する内側の平行な下流及び上流支持壁を有している。
【0003】
また、本発明は、ファイバーウェブを湿式成型するためのフォーマ内の成型区域に原料の噴流を供給するためのヘッドボックスの乱流発生器の固定部材にベーンを着脱自在に取付けるための取付け装置に関し、
チャンバを有するスライスと、
スライスチャンバ内に配置されている少なくとも1つのベーンと、
を備え、乱流発生器は、スライスチャンバ内に開口する乱流チャンネルと、乱流チャンネルを区画する固定部材とを含み、
取付け装置は、
ベーンの上流端部でベーンに連結される複数の係合部材と、
ベーンの係合部材を収容するための縦溝を有する細長い構造部材と、
を含み、この溝は、前記係合部材と協働するための、係合部材に対向する内側の平行な下流及び上流支持壁を有している。
【0004】
(背景技術)
前述の形式の公知のヘッドボックスは、ベーンの上流端部に一列に配置され、機械横方向に延びる横長の係合本体又は係合ダウエルの形態の係合部材を有する。係合ダウエルはベーンから突出する部分を有し、連結バーの支持壁と協働するようになっている。ベーンは、作動時に、該ベーンに沿う原料流が引き起こす機械方向の剪断力、並びに下流に配置されている支持壁が係合ダウエルに及ぼす機械方向とは逆方向の保持力の両方の影響を受け、作動時に、保持力は、各係合ダウエルの間に均等に分布することが意図されている。しかしながら、実際には、保持力は各係合ダウエルの間に均等に分布しない場合があり、ベーン上の剪断力はベーンの下流端部に機械横方向の局部的な圧縮応力を引き起こす。この圧縮応力はベーンの歪みを引き起こしてその下流端部を平坦でない状態にするが、このことは、原料の良好な層状化は平坦な分離ベーンに依存するので、特に原料の2つの層を分離する分離ベーンにおいては望ましくない。分離ベーンが平坦でないと、例えばペーパーウェブの他の部分とは異なる秤量をもつ線傷が現れる場合もある。
【0005】
前述の圧縮応力は、所定の公差範囲内での係合ダウエルの位置のばらつきの結果として生じる場合がある。公差範囲内での係合ダウエルの位置は、例えば、特定の係合ダウエルが他の係合ダウエルよりも下流側にあるといった、理想的な位置から外れる場合があり、この場合、保持力は各係合ダウエルの間で不制御の様態で分布するので、ベーンの下流端部に圧縮応力が現れ、結果的に歪みが生じる可能性がある。
【0006】
また、圧縮応力は、例えば、グラスファイバー強化エポキシ樹脂等のプラスチック材料で作られ、下流端部が上流端部に比べて相対的に薄くなるように機械方向に次第に厚さが薄くなっているベーンに現れることがある。プラスチック材料で作られたベーンは、取付け前の保管時に外気から水分を吸収し、更に原料から液体を吸収する場合はヘッドボックスに取付けた後に水分を吸収する。厚さが異なる結果として、ベーンの厚さが薄い下流端部は、ベーンの厚さが厚い上流端部よりも早く飽和することになる。下流端部が下流縁部から離れる方向に飽和した状態になると、下流端部は機械横方向に長くなるが、ベーンの厚い未飽和の上流端部の外形寸法はそのままである。下流端部のベーンの伸張は、ベーンの下流縁部を凸形状に、上流縁部を凹形状にしようとする。このように部分的に飽和されたベーンが作動時に原料からの剪断力による影響を受けると、保持力は各係合ダウエルの間で不均一に分布することになりベーンの下流端部が歪んだ状態になる。
【0007】
(発明の開示)
本発明の目的は、前述の種々の問題を本質的に解決してベーンの平坦度を有効に保証する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、作動時にベーンの平坦度を保証するように設計されている取付け装置、及び各々のベーンのための取付け装置を備えるヘッドボックスを提供することである。
【0008】
本発明による方法は、少なくとも1つの外側係合部材又は2つ又はそれ以上の係合部材の1つの外側グループをベーンの各々の側縁部の近傍に取付け、2つの外側係合部材又は各係合部材の2つの外側グループは、作動時に少なくとも1つの所定期間に唯一の係合部材として下流支持壁と協働して前記剪断力を受け、それによってベーンの下流端部には機械横方向の引張応力が発生するようになっていることを特徴とする。
【0009】
本発明によるヘッドボックス及び取付け装置は、複数の係合部材が、少なくとも1つの外側係合部材及び2つ又はそれ以上の係合部材の1つの外側グループをベーンの各々の側縁部の近傍に含み、2つの外側係合部材又は各係合部材の2つの外側グループは、作動時に少なくとも1つの所定期間に唯一の係合部材として、流動原料がベーン内に発生させる剪断力を受けるために下流支持壁25と協働するように配置され、それぞれ2つの外側係合部材及び各係合部材の2つの外側グループによって規定される上流端部の内側区域は、係合部材を有さないか又は少なくともベーンの無負荷状態において前記下流支持壁の上流に配置される内側係合部材を有しており、結果的に、内側区域内及びその下流側のベーンは、前記期間中又はその一部の期間中に前記下流支持壁に対して機械方向に自由に移動できるように配置されていることを特徴とする。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
図1は、ロール型ツインワイヤーフォーマ内の成型領域へ通じる空隙1内へ製紙原料の3層噴流を供給するように設計されているヘッドボックスを概略的に示す。ツインワイヤーフォーマは、内側フォーミングワイヤ2、回転自在なフォーミングロール3、外側フォーミングワイヤ4、及び回転自在なブレストロ−ル5を有する。
【0011】
ヘッドボックスは、乱流チャンネル6のグループと、乱流チャンネル6の下流に配置されているスライス7とを含む乱流発生器を有し、スライス7は、上流端から製紙原料の流れ方向に次第に狭くなり下流端のスライス開口9で終わるチャンバ8を含む。
【0012】
乱流チャンネル6は、例えば3つの異なる原料をスライスチャンバ8へ供給するために3つの部分で構成される。下側部分及び中間部分の各々は、相互に隣接して配置されている2列の乱流チャンネル6を有し、一方で、上側部分は、3列のそのような乱流チャンネル6を有する。乱流チャンネル6の列は、機械横方向に延び、乱流チャンネル6の隣り合う列は、機械横方向に延びる細長い堅固な固定部材10によって区画される。固定部材10は、スライスチャンバ8に対向する側面開口12を備える細長い通し係合溝11を有する(図2参照)。乱流チャンネル6のグループは、上流端において供給装置(図示せず)に連結されており、供給装置は、3つの原料貯蔵部と、関連部分の乱流チャンネル6の列に各々の原料を均等に分配すると共に各々の列内の乱流チャンネル6に原料を均等に分配するための適切なフロースプレッダとを含む。
【0013】
図示の実施形態において、ヘッドボックスは、スライスチャンバ8を、乱流チャンネル6の列に連通する7つの収束チャンバ15に分割する6枚のベーンを有する。ベーン14の2枚は、3つの原料を相互に分離するように配列され、スライス開口9を通り過ぎて所定距離だけ延び、結果的に3層噴流を形成するようになっている原料分離ベーン14aを構成する。また、原料分離ベーン14aは乱流発生機能を有する。他のベーンは、スライス開口9から所定距離だけスライスチャンバの内側に位置する自由端を有する乱流ベーン14bに過ぎない。ベーン14は比較的剛性が高く、通常はチタンである金属材料か、又は通常はグラスファイバー強化エポキシ樹脂又はカーボンファイバー強化エポキシ樹脂であるプラスチック材料で作られている。ベーン14は、原料流の種々の圧力及び速度に耐えるよう十分に硬い。各々のベーン14は、細長い構造部材16と、ベーン14の上流端部21に配置されている係合部材22とを備える取付け装置によって、固定部材10に対して着脱自在に取付けられている。図示の実施形態において、構造部材16は、連結バーと、ベーン14の平面に対して直角に配置された円筒形係合ダウエル(図2参照)の係合部材22とから構成される。例えば、青銅等の金属製の連結バー16は、ベーン14の幅と同じ長さであり、順番に、下流に位置する係合部17、可撓性のあるウエスト部18、及び上流に位置して旋回軸を形成する係合部19を含む。係合部17には、細長い通し溝20が設けられており、ベーン14の上流端部21及び係合ダウエル22を収容して、機械方向に見てベーン14及び連結バー16を相互に固定するようになっている。溝20には、それぞれベーン14の平面に対して直角な下流支持壁25及び上流支持壁26を有する、対向する内側凹部23、24が設けられている。実質的に円形断面を有する係合部19は、固定部材10の係合溝11に収容され、連結バー16を機械方向に旋回自在に固定するようになっている。
【0014】
各々の係合ダウエル22は、ベーン14の平らな両面から反対方向へ突出する自由端部27、28を有する。係合ダウエル22の長さは、内側凹部23、24の各底面の間の距離よりも幾分短い。係合ダウエル22の直径は、凹部23、24の幅よりも幾分小さい。
【0015】
前述の圧縮応力及びこれに関連した歪みがどのように発生するかの原理を説明するために、従来技術の取付け装置に関する前述のベーン14の1枚を概略的に示す図3から図6を参照する。ベーン14は、上流縁部29、上流縁部29に平行な下流縁部30、及びこれらの間に延びる互いに平行な2つの平行側縁部31、32を有する。図2に示す支持壁25、26は、図3及び図4においては、2本の平行な破線で示されている。係合ダウエル22は、ベーン14の上流縁部29から所定距離だけ離れて平行に走る線に対して、予め定められた第1の公差範囲内で可能な限り真っ直ぐである列内に相互に同じ間隔でもって配置される。下流に位置する支持壁25は、予め定められた第2の公差範囲内で端から端まで可能な限り真っ直ぐに形成される。前記一方又は両方の公差範囲によって、下流支持壁25に対する係合ダウエル22の位置は様々である。このことは図3に示されており、係合ダウエル22eは、他の係合ダウエル22よりも下流側、即ち下流支持壁25により接近して配置されている。図4は作動時の金属製ベーン14を示し、作動時、ベーン14に沿って流れる原料によって引き起こされる剪断力は、係合ダウエル22を下流支持壁25に向けて押し付ける。剪断力は、ベーン14の表面に沿って作用し、図4において、Fsで表す下向きの力の矢印によって示される。下流支持壁25によって係合ダウエル22に作用する保持力は、Frで表す上向きの力の矢印によって示される。図4から分るように、係合ダウエル22eの初期の位置は、他の係合ダウエル22よりも下流側にあるので、係合ダウエル22eに作用する保持力Frは、隣接する係合ダウエル22に作用する保持力Frよりも大きい。結果的に発生する負荷の結果として、ベーン14には、図4においてベーン14の両側縁部31、32にMbで表すモーメント矢印によって示される、機械方向の曲げモーメントが加わる。曲げモーメントは、ベーン14の下流端部33において機械横方向の圧縮応力を引き起こす。図4に示すように、圧縮応力はStで表す張力矢印によって示されている。圧縮応力Stは、図4において下流端部33の波線で示すようにベーン14を歪める。
【0016】
前述のように、吸湿性プラスチック材料で作られ、厚さが機械方向に次第に薄くなるようなベーンにおいては、ベーンの薄い下流端部は、厚い上流端部よりも早く飽和するので歪みが発生することがある。そのようなベーン14を図5及び図6を参照して以下に説明するが、ベーン14は、例えば、流れる原料に接触状態にある所定の作動期間の後の無負荷状態で示されている。ベーン14の下流端部33が下流縁部30から離れる方向に飽和されると、下流端部33は機械横方向に伸張されるが、ベーン14の厚い未飽和の上流端部21の外形寸法はそのままである。従って、ベーン14に張力が生じ、ベーンはその平面内で曲がることになり、図5に示すように、ベーンの下流縁部30は凸形状に、上流縁部29は凹形状になろうとする。図4に示すベーンと同様に、作動時には、中間の係合ダウエル22は、ベーン14の側縁部31、32の近くに配置されている係合ダウエル22よりも多くの保持力を受けるので、各係合ダウエル22の間の荷重分布は不均一になる。この場合、合成荷重も同様に、機械方向の曲げモーメント、ベーン14の下流端部33における機械横方向の圧縮応力、及びベーン14の下流端部33の歪みをもたらす。プラスチック材料で作られたベーンは、図3及び図4に関連して説明した公差依存型の歪みが生じる場合があり、湿潤膨張によって引き起こされる前述の歪みを強める結果となることを理解されたい。
【0017】
図7は、本発明の第1の実施形態による取付け装置の各部材を備えるベーン14を無負荷状態で示す。図8は、作動時の図7のベーン14を示す。ベーン14は、機械方向に一致する中心線34に対して左右対称である。外側係合ダウエル22aは、ベーン14に負荷をかける流動原料によって引き起こされる剪断力Fsを受けるために、作動時に下流支持壁25と協働するようにベーン14の各側縁部31、32に隣接して配置されている。2つの外側係合ダウエル22aの間に延びるベーン14の上流端部21の内側区域又は中央部分35には係合ダウエルが存在しないので、ベーン14の内側区域35は、該内側区域35の下流側に位置するベーンの上側部分と同様に、支持壁25に対して機械方向に自由に移動できるように構成されている。この変位は、原料流の速度変化によって生じる場合がある。もしくは、ベーン14がプラスチック材料で作られ、その厚さが機械方向に次第に薄くなる場合は、湿潤膨張が進む結果としてベーン14の張力状態が変化することによって生じる場合がある。保持力Fr及び剪断力Fsは協働して曲げモーメントMbを引き起こすが、この曲げモーメントMbは、ベーン14をその平面内で曲げ、ベーン14の下流縁部30を伸張させ、ベーン14の下流端部33に機械横方向の引張応力を発生させる。これらの引張応力は、図8にSdで表す応力矢印によって示される。変位は、金属ベーンの場合、ヘッドボックスが動き始める瞬間から所定の機械速度に達した瞬間までである、第1の期間中に起こり得る。その後、機械速度が高くなると、第1の機械速度と第2の機械速度との間にわたる第2の期間が始まる。ベーンがプラスチック材料で作られている場合、第1の期間は、原料がヘッドボックス内を流れ始める瞬間からベーンの湿潤膨張が終了する瞬間までであり、ここにおいては、同一の又は変更された機械速度を使用することができる。湿潤膨張が終了した後に、所望の高い機械速度に達する瞬間までの第2の期間を開始できる。中央区域35内には係合ダウエルが無いので、外側係合ダウエル22aの取付け位置におけるベーンの強度、及び原料の層状化に悪影響を与えてはいけない下流縁部30の位置以外の規制を受けることなく、ベーンの中央区域35は自由に前方へ移動することができる。本実施形態では、ベーンの下流端部33には圧縮応力は全く発生しない。
【0018】
図9は、本発明の第2の実施形態による取付け装置の各部材を備える無負荷状態のベーン14を示し、外側グループ36を形成する3つの係合ダウエル22bが、ベーン14の各々の側縁部31、32に近接して配置されている。係合ダウエル22bは、機械横方向に互いに隣接して一列に配置される。ここでも同様に、2つの外側グループ36の間に広がるベーンの上流端部21の内側区域35には係合ダウエルが存在しないので、ベーン14の内側区域35並びにその下流区域は、下流支持壁25に対して機械方向に自由に移動できるように構成されている。保持力Fr及び剪断力Fsは協働して図10に示すような曲げモーメントMbを引き起こす。曲げモーメントMbは、ベーン14をその平面内で曲げて、ベーン14の下流縁部30を伸張させ、ベーン14の下流端部33に機械横方向の引張応力Sdを発生させる。図7によるベーンに関して説明したのと同様の状況下で変位が起こり得る。
【0019】
図11は、本発明の第3の実施形態による取付け装置の各部材を備える無負荷状態のベーン14を示し、本実施形態は、前述の実施形態よりも高速の原料流に適している。ベーン14には、図9及び図10に関連して説明した第2の実施形態と同様に、外側グループ36内に配置されている係合ダウエル22b、並びに2つの内側グループ37内に配置されている係合ダウエル22cを備え、内側グループ37の各々のグループは3つ係合ダウエル22を備える。係合ダウエル22cの内側グループ37は、外側グループ36から所定の間隔をあけて配置されている。係合ダウエル22cの各々の内側グループ37は、下流支持壁25から、例えば約5mmの所定の間隔をあけて配置されている。この場合、係合ダウエル22bの外側グループ36までの距離は約2000mmであってもよい。第1の期間は、原料がヘッドボックスを通って流れ始めると開始し、例えば内側グループ37の係合ダウエル22cが下流支持壁25と接触した場合に終了するが、この期間では、内側区域35は、原料からの剪断力Fsの影響を受けて機械方向に変位し、ここにおいてはベーン14の下流縁部30は伸張されてベーン14の下流端部33に機械横方向の引張応力Sdが発生する。この期間の終了時には、機械の速度は所定値になっている。従って、下流支持壁25及び係合ダウエル22bの外側グループ36に対する各々の内側グループ37の係合ダウエル22cの位置は、各々の原料の流速に関して決定的に重要であることを理解されたい。増大した機械速度が固定される瞬間までの第2の期間中に、内側グループ37の係合ダウエル22cによって規定される内側部分区域35aは、機械方向前方に移動するが、ベーン14の下流端部33に圧縮応力が現れる危険がある場合、この移動は変位した位置によって制限される。ベーンがプラスチック製であり、厚さが次第に薄くなる場合、最大原料流速度又は機械速度を選択して内側グループ37の係合ダウエル22cの位置を決定する際に湿潤膨張現象を考慮する必要がある。内側グループ37の係合ダウエル22cが下流支持壁25に接触状態にある場合は、機械速度を現在の値よりも高める代わりに、ベーンの下流端部33に依然として存在する引張応力を利用して、湿潤膨張に由来する圧縮応力を補償することができる。
【0020】
長さ800mm、幅5500mm、上流端部21での厚さ4mm、及び下流端部33での厚さ0.5mmの寸法を有し、例えば、2000m/分の最大原料流速度を受けることが意図されたプラスチック製のベーン14においては、隣り合う2つの外側グループ36と内側グループ37との間の適切な距離は約2000mmとすることができる。この場合、内側グループ37の係合ダウエル22cは、ベーン14の無負荷状態で見ることができる、下流支持壁25から約5mmの位置に配置できる。各々のグループ36、37の係合ダウエルは、互いに約50mmだけ離して配置することが好ましい。各々のグループ36、37の係合ダウエル22b、22cは、2つの隣り合う係合ダウエルから下流支持壁25までの距離がそれぞれ最も近いベーン14の側縁部31、32から離れるに従って増加するように配置することが好ましい。この距離の適切な増加は、約0.1mmである。
【0021】
本発明は、各々のグループ内の3つの係合ダウエル22に限定されないことを理解されたい。各々のグループ内に2つ又は4つといった、更に多くの又は少ない係合ダウエル22を使用できる。また、本発明は、係合ダウエル22の2つの内側グループ37に限定されるものではない。例えば、外側及び内側グループ36、37の間に、支持壁25から間隔をあけて、追加の係合ダウエル22のグループを配置することもできる。
【0022】
図13は、本発明の第4の実施形態による取付け装置の各部材を備える無負荷状態のベーン14を示し、係合ダウエル22は、側縁部31、32の間に延びる湾曲線に沿って一列に、中心線34に対して左右対称に配置される。図示の実施形態において、係合ダウエル22は等間隔に配置されているが、別の実施形態(図示せず)では、その間隔は異なっていてもよく、例えば、係合ダウエルの複数のグループでは、同一グループ内の各係合ダウエルの間の距離は等しいが、各グループでは距離が異なるような、規則正しいパターンに分布させることができる。図13に示す実施形態において、側縁部31、32に最も近接して配置されている、例えば3個から5個の所定数の係合ダウエルは、係合ダウエルの外側グループに属するとみなすことができるが、他の係合ダウエルは、前述の湾曲線形状及び各係合ダウエルの間の距離に応じて、順次配置された別個の内側係合ダウエルを構成するか、又は係合ダウエルの内側グループ37を形成するとみなすことができる。このようなベーンに対して直ちに最高機械速度が作用する場合、期間は、原料がヘッドボックスを通って流れ始めた瞬間に始まり、原料からの剪断力Fsの影響の結果として、中心線34に最も近い係合ダウエル22が同様に下流支持壁25と接触する状態になる瞬間まで続き、この期間中には、図14に示すように、下流縁部30が伸張され、下流端部33に機械横方向の引張応力Sdが発生する。ベーンがプラスチック製でその厚さが次第に薄くなり、中央区域内ではもはや前方へ移動できない場合は、その期間の終了時にはこのような大きな過剰の引張応力が下流端部に存在することができ、残留湿潤膨張は、この過剰の引張応力よって均衡される圧縮応力を与える。引張応力がゼロまで低下し、ベーンが依然として未飽和の場合、即ち湿潤膨張が進んでいない場合は、それに対応する程度に最大機械速度を下げる必要がある。結果的に機械速度が最大速度よりも低い速度に設定され、ベーンの中心線34から所定距離だけ離れて配置されている少なくとも2つの内側係合ダウエル又は各係合ダウエルの2つの内側グループが下流支持壁25に接触状態にあるような、内側区域の所定の変位に対応する瞬間に終了する、前述の期間よりも短い期間が存在することを理解されたい。
【0023】
図13に示すベーンにおいて、係合ダウエルは、ベーンが無負荷の場合に機械方向に所定の延長部を有する湾曲線に沿って一列に配置される。このようなベーンを、前述の各支持壁の間の距離が機械方向に延びる湾曲線の延長部よりも短い連結バー内に取付けることによって、ベーンを連結バーの溝内に取付けた時点でベーンの下流端部に引張応力を与えることができる。湾曲線に関連して、支持壁を形成する狭い凹溝により、ベーンの側縁部の最も近くに配置されている外側係合ダウエルは、溝内にベーンを挿入する同時に溝の下流に配置されている支持壁と協働するようになり、この支持壁からの支持力を受けることができる。前述の剪断力及び保持力と同様に、支持力は、ベーンをその平面内で曲げ、下流縁部を伸張させ、ベーンの下流端部に機械横方向の引張応力を発生させる。これらの引張応力は、ヘッドボックスの始動段階、即ち原料がベーンに影響を及ぼす期間になる前にベーンが適切に平坦であることを保証する。
【0024】
所定の機械速度、例えば最大速度(圧縮応力が発生しない)において、ベーンの下流縁部が一直線又は実質的に一直線であることを保証するために、原料の流れがその機械速度で一定の剪断力を及ぼすまで、及び/又はベーンがプラスチック製であり厚さが次第に薄くなる場合にベーンが完全に飽和されるまで、下流縁部は、ベーンがとり得る変位に等しい程度まで予備成型することができる。図13及び図14は、係合ダウエル22がそれに沿って配置される湾曲線と同じ曲率でもって予備成型されている前述の凹形下流縁部30を有するベーンを示す。従って、ベーンを取付けると、凹形下流縁部30は伸張されて一直線形状になる。また、側縁部は、中心線34に対して傾斜するように予備形成されている。
【0025】
別の実施形態(図示せず)によれば、内側の係合ダウエルは、外側の係合ダウエル又は外側グループの係合ダウエルが置かれている直線に沿って配置され、この場合、下流支持壁は、小さな凹部を備えるか、又は大きな凹部を有する部分を備えるか、又は円弧形状等の所定の凹形状を備え、結果的にこの鏡像関係であってもベーンの自由な変位が可能になるように設計されている。また、下流端壁に所定の第1の半径を有する凹形状をもたせて、第1の半径よりも大きな所定の第2の半径を有する湾曲線に沿って係合ダウエルを配置することも可能である。
【0026】
本発明によれば、ベーン14の歪みは、実質的に唯一の係合ダウエル22として少なくとも限定された期間中に前記剪断力を受けるが、同時にベーン14の上流端部21の内側区域35が前記限定された期間中又はその一部の期間中に下流支持壁25に対して機械方向に自由に移動させるために、即ち係合ダウエルからの外側保持力の影響を受けることなく移動させるために、下流に置かれている支持壁25と協働するように、ベーン14の側縁部31、32の近傍に1つ又はそれ以上の係合ダウエル22を順序正しく配置することで回避される。前述のように係合ダウエルを配置することにより、係合ダウエルは、作動時にベーン14に作用する剪断力Fs、係合ダウエル22に作用する保持力Fr、及び曲げモーメントMbを引き起こし、曲げモーメントMbは、正常な作動条件下において常にベーン14をその平面内で曲げてベーン14の下流端部33に機械横方向の引張応力Sdを発生させる。本発明の原理に従って係合ダウエル22を配置すると、前述の圧縮応力がベーン14の下流端部33に発生するのを防止できる。従って、本発明の特徴は、ベーンを歪めて原料の層状化に悪影響を与える可能性があるベーンの圧縮応力を防止する。
【0027】
本発明は、係合ダウエル22の形態の係合部材に関連して説明されているが、他の形式の係合部材によって本発明を実施できることを理解されたい。更に、係合部材は、係合ダウエル等の複数の個別の部材として設計されているが、それらは本発明の原理に従って下流支持壁と協働する連続的な係合部材で構成することもできる。
【0028】
また、前述のものとは異なる取付け装置を使用して、本発明を実施できることを理解されたい。ベーン14を、例えば、細長い連結バー16と同じ機能を有すると共に連結バーのものと同様の支持壁を有する溝を有する固定部材10に直接取付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ロール型ツインワイヤーフォーマ内のフォーミング領域へ通じる空隙内に原料の多層噴流を供給するように取付けられている多層ヘッドボックスの機械方向の部分断面図である。
【図2】
図1によるヘッドボックス内の1つのグループの乱流チャンネルと関連する、ヘッドボックスのスライスチャンバ内にベーンの1つを取付けるための装置の断面図である。
【図3】
無負荷状時の金属製ベーンの上面図であり、従来の取付け装置の各部材を示す。
【図4】
作動時の図3によるベーンの上面図である。
【図5】
吸湿性プラスチック材料製のベーンの上面図であり、従来の取付け装置の各部材を示す。
【図6】
図5の線VI−VIに沿った断面図である。
【図7】
無負荷時のベーンの上面図であり、本発明の第1の実施形態による取付け装置の各部材を示す。
【図8】
作動時の図7によるベーンの上面図である。
【図9】
無負荷時のベーンの上面図であり、本発明の第2の実施形態による取付け装置の各部材を示す。
【図10】
作動時の図9によるベーンの上面図である。
【図11】
無負荷時のベーンの上面図であり、本発明の第3の実施形態による取付け装置の各部材を示す。
【図12】
作動時の図11によるベーンの上面図である。
【図13】
無負荷時のベーンの上面図であり、本発明の第4の実施形態による取付け装置の各部材を示す。
【図14】
作動時の図13によるベーンの上面図である。
(技術分野)
本発明は、取付け装置によってヘッドボックス内に着脱自在に取付けられるベーンの平坦度を保証する方法に関し、取付け装置は、ベーンの上流端部においてベーンに連結される複数の係合部材と、ベーンの係合部材を収容するための縦溝とを有し、この溝は、係合部材と協働するための係合部材に対向する内側の下流及び上流支持壁を有し、ベーンは、作動時に該ベーンに沿って流れる原料が引き起こす剪断力及び取付け装置がベーンに与える保持力の影響を受けるようになっている。
【0002】
また、本発明は、ファイバーウェブを湿式成型するためのフォーマの成型区域に原料の噴流を供給するためのヘッドボックスに関し、ヘッドボックスは、
チャンバを有するスライスと、
スライスチャンバ内に開口する乱流チャンネルと、乱流チャンネルを区画する少なくとも1つの固定部材とを含む乱流発生器と、
スライスチャンバ内に配置されている少なくとも1つのベーンと、
ベーンを固定部材に着脱自在に取付けるための取付け装置と、
を備え、取付け装置は、
ベーンの上流端部でベーンに連結される複数の係合部材と、
ベーンの係合部材を収容するための縦溝を有する細長い構造部材と、
を含み、この溝は、係合部材と協働するための、係合部材に対向する内側の平行な下流及び上流支持壁を有している。
【0003】
また、本発明は、ファイバーウェブを湿式成型するためのフォーマ内の成型区域に原料の噴流を供給するためのヘッドボックスの乱流発生器の固定部材にベーンを着脱自在に取付けるための取付け装置に関し、
チャンバを有するスライスと、
スライスチャンバ内に配置されている少なくとも1つのベーンと、
を備え、乱流発生器は、スライスチャンバ内に開口する乱流チャンネルと、乱流チャンネルを区画する固定部材とを含み、
取付け装置は、
ベーンの上流端部でベーンに連結される複数の係合部材と、
ベーンの係合部材を収容するための縦溝を有する細長い構造部材と、
を含み、この溝は、前記係合部材と協働するための、係合部材に対向する内側の平行な下流及び上流支持壁を有している。
【0004】
(背景技術)
前述の形式の公知のヘッドボックスは、ベーンの上流端部に一列に配置され、機械横方向に延びる横長の係合本体又は係合ダウエルの形態の係合部材を有する。係合ダウエルはベーンから突出する部分を有し、連結バーの支持壁と協働するようになっている。ベーンは、作動時に、該ベーンに沿う原料流が引き起こす機械方向の剪断力、並びに下流に配置されている支持壁が係合ダウエルに及ぼす機械方向とは逆方向の保持力の両方の影響を受け、作動時に、保持力は、各係合ダウエルの間に均等に分布することが意図されている。しかしながら、実際には、保持力は各係合ダウエルの間に均等に分布しない場合があり、ベーン上の剪断力はベーンの下流端部に機械横方向の局部的な圧縮応力を引き起こす。この圧縮応力はベーンの歪みを引き起こしてその下流端部を平坦でない状態にするが、このことは、原料の良好な層状化は平坦な分離ベーンに依存するので、特に原料の2つの層を分離する分離ベーンにおいては望ましくない。分離ベーンが平坦でないと、例えばペーパーウェブの他の部分とは異なる秤量をもつ線傷が現れる場合もある。
【0005】
前述の圧縮応力は、所定の公差範囲内での係合ダウエルの位置のばらつきの結果として生じる場合がある。公差範囲内での係合ダウエルの位置は、例えば、特定の係合ダウエルが他の係合ダウエルよりも下流側にあるといった、理想的な位置から外れる場合があり、この場合、保持力は各係合ダウエルの間で不制御の様態で分布するので、ベーンの下流端部に圧縮応力が現れ、結果的に歪みが生じる可能性がある。
【0006】
また、圧縮応力は、例えば、グラスファイバー強化エポキシ樹脂等のプラスチック材料で作られ、下流端部が上流端部に比べて相対的に薄くなるように機械方向に次第に厚さが薄くなっているベーンに現れることがある。プラスチック材料で作られたベーンは、取付け前の保管時に外気から水分を吸収し、更に原料から液体を吸収する場合はヘッドボックスに取付けた後に水分を吸収する。厚さが異なる結果として、ベーンの厚さが薄い下流端部は、ベーンの厚さが厚い上流端部よりも早く飽和することになる。下流端部が下流縁部から離れる方向に飽和した状態になると、下流端部は機械横方向に長くなるが、ベーンの厚い未飽和の上流端部の外形寸法はそのままである。下流端部のベーンの伸張は、ベーンの下流縁部を凸形状に、上流縁部を凹形状にしようとする。このように部分的に飽和されたベーンが作動時に原料からの剪断力による影響を受けると、保持力は各係合ダウエルの間で不均一に分布することになりベーンの下流端部が歪んだ状態になる。
【0007】
(発明の開示)
本発明の目的は、前述の種々の問題を本質的に解決してベーンの平坦度を有効に保証する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、作動時にベーンの平坦度を保証するように設計されている取付け装置、及び各々のベーンのための取付け装置を備えるヘッドボックスを提供することである。
【0008】
本発明による方法は、少なくとも1つの外側係合部材又は2つ又はそれ以上の係合部材の1つの外側グループをベーンの各々の側縁部の近傍に取付け、2つの外側係合部材又は各係合部材の2つの外側グループは、作動時に少なくとも1つの所定期間に唯一の係合部材として下流支持壁と協働して前記剪断力を受け、それによってベーンの下流端部には機械横方向の引張応力が発生するようになっていることを特徴とする。
【0009】
本発明によるヘッドボックス及び取付け装置は、複数の係合部材が、少なくとも1つの外側係合部材及び2つ又はそれ以上の係合部材の1つの外側グループをベーンの各々の側縁部の近傍に含み、2つの外側係合部材又は各係合部材の2つの外側グループは、作動時に少なくとも1つの所定期間に唯一の係合部材として、流動原料がベーン内に発生させる剪断力を受けるために下流支持壁25と協働するように配置され、それぞれ2つの外側係合部材及び各係合部材の2つの外側グループによって規定される上流端部の内側区域は、係合部材を有さないか又は少なくともベーンの無負荷状態において前記下流支持壁の上流に配置される内側係合部材を有しており、結果的に、内側区域内及びその下流側のベーンは、前記期間中又はその一部の期間中に前記下流支持壁に対して機械方向に自由に移動できるように配置されていることを特徴とする。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
図1は、ロール型ツインワイヤーフォーマ内の成型領域へ通じる空隙1内へ製紙原料の3層噴流を供給するように設計されているヘッドボックスを概略的に示す。ツインワイヤーフォーマは、内側フォーミングワイヤ2、回転自在なフォーミングロール3、外側フォーミングワイヤ4、及び回転自在なブレストロ−ル5を有する。
【0011】
ヘッドボックスは、乱流チャンネル6のグループと、乱流チャンネル6の下流に配置されているスライス7とを含む乱流発生器を有し、スライス7は、上流端から製紙原料の流れ方向に次第に狭くなり下流端のスライス開口9で終わるチャンバ8を含む。
【0012】
乱流チャンネル6は、例えば3つの異なる原料をスライスチャンバ8へ供給するために3つの部分で構成される。下側部分及び中間部分の各々は、相互に隣接して配置されている2列の乱流チャンネル6を有し、一方で、上側部分は、3列のそのような乱流チャンネル6を有する。乱流チャンネル6の列は、機械横方向に延び、乱流チャンネル6の隣り合う列は、機械横方向に延びる細長い堅固な固定部材10によって区画される。固定部材10は、スライスチャンバ8に対向する側面開口12を備える細長い通し係合溝11を有する(図2参照)。乱流チャンネル6のグループは、上流端において供給装置(図示せず)に連結されており、供給装置は、3つの原料貯蔵部と、関連部分の乱流チャンネル6の列に各々の原料を均等に分配すると共に各々の列内の乱流チャンネル6に原料を均等に分配するための適切なフロースプレッダとを含む。
【0013】
図示の実施形態において、ヘッドボックスは、スライスチャンバ8を、乱流チャンネル6の列に連通する7つの収束チャンバ15に分割する6枚のベーンを有する。ベーン14の2枚は、3つの原料を相互に分離するように配列され、スライス開口9を通り過ぎて所定距離だけ延び、結果的に3層噴流を形成するようになっている原料分離ベーン14aを構成する。また、原料分離ベーン14aは乱流発生機能を有する。他のベーンは、スライス開口9から所定距離だけスライスチャンバの内側に位置する自由端を有する乱流ベーン14bに過ぎない。ベーン14は比較的剛性が高く、通常はチタンである金属材料か、又は通常はグラスファイバー強化エポキシ樹脂又はカーボンファイバー強化エポキシ樹脂であるプラスチック材料で作られている。ベーン14は、原料流の種々の圧力及び速度に耐えるよう十分に硬い。各々のベーン14は、細長い構造部材16と、ベーン14の上流端部21に配置されている係合部材22とを備える取付け装置によって、固定部材10に対して着脱自在に取付けられている。図示の実施形態において、構造部材16は、連結バーと、ベーン14の平面に対して直角に配置された円筒形係合ダウエル(図2参照)の係合部材22とから構成される。例えば、青銅等の金属製の連結バー16は、ベーン14の幅と同じ長さであり、順番に、下流に位置する係合部17、可撓性のあるウエスト部18、及び上流に位置して旋回軸を形成する係合部19を含む。係合部17には、細長い通し溝20が設けられており、ベーン14の上流端部21及び係合ダウエル22を収容して、機械方向に見てベーン14及び連結バー16を相互に固定するようになっている。溝20には、それぞれベーン14の平面に対して直角な下流支持壁25及び上流支持壁26を有する、対向する内側凹部23、24が設けられている。実質的に円形断面を有する係合部19は、固定部材10の係合溝11に収容され、連結バー16を機械方向に旋回自在に固定するようになっている。
【0014】
各々の係合ダウエル22は、ベーン14の平らな両面から反対方向へ突出する自由端部27、28を有する。係合ダウエル22の長さは、内側凹部23、24の各底面の間の距離よりも幾分短い。係合ダウエル22の直径は、凹部23、24の幅よりも幾分小さい。
【0015】
前述の圧縮応力及びこれに関連した歪みがどのように発生するかの原理を説明するために、従来技術の取付け装置に関する前述のベーン14の1枚を概略的に示す図3から図6を参照する。ベーン14は、上流縁部29、上流縁部29に平行な下流縁部30、及びこれらの間に延びる互いに平行な2つの平行側縁部31、32を有する。図2に示す支持壁25、26は、図3及び図4においては、2本の平行な破線で示されている。係合ダウエル22は、ベーン14の上流縁部29から所定距離だけ離れて平行に走る線に対して、予め定められた第1の公差範囲内で可能な限り真っ直ぐである列内に相互に同じ間隔でもって配置される。下流に位置する支持壁25は、予め定められた第2の公差範囲内で端から端まで可能な限り真っ直ぐに形成される。前記一方又は両方の公差範囲によって、下流支持壁25に対する係合ダウエル22の位置は様々である。このことは図3に示されており、係合ダウエル22eは、他の係合ダウエル22よりも下流側、即ち下流支持壁25により接近して配置されている。図4は作動時の金属製ベーン14を示し、作動時、ベーン14に沿って流れる原料によって引き起こされる剪断力は、係合ダウエル22を下流支持壁25に向けて押し付ける。剪断力は、ベーン14の表面に沿って作用し、図4において、Fsで表す下向きの力の矢印によって示される。下流支持壁25によって係合ダウエル22に作用する保持力は、Frで表す上向きの力の矢印によって示される。図4から分るように、係合ダウエル22eの初期の位置は、他の係合ダウエル22よりも下流側にあるので、係合ダウエル22eに作用する保持力Frは、隣接する係合ダウエル22に作用する保持力Frよりも大きい。結果的に発生する負荷の結果として、ベーン14には、図4においてベーン14の両側縁部31、32にMbで表すモーメント矢印によって示される、機械方向の曲げモーメントが加わる。曲げモーメントは、ベーン14の下流端部33において機械横方向の圧縮応力を引き起こす。図4に示すように、圧縮応力はStで表す張力矢印によって示されている。圧縮応力Stは、図4において下流端部33の波線で示すようにベーン14を歪める。
【0016】
前述のように、吸湿性プラスチック材料で作られ、厚さが機械方向に次第に薄くなるようなベーンにおいては、ベーンの薄い下流端部は、厚い上流端部よりも早く飽和するので歪みが発生することがある。そのようなベーン14を図5及び図6を参照して以下に説明するが、ベーン14は、例えば、流れる原料に接触状態にある所定の作動期間の後の無負荷状態で示されている。ベーン14の下流端部33が下流縁部30から離れる方向に飽和されると、下流端部33は機械横方向に伸張されるが、ベーン14の厚い未飽和の上流端部21の外形寸法はそのままである。従って、ベーン14に張力が生じ、ベーンはその平面内で曲がることになり、図5に示すように、ベーンの下流縁部30は凸形状に、上流縁部29は凹形状になろうとする。図4に示すベーンと同様に、作動時には、中間の係合ダウエル22は、ベーン14の側縁部31、32の近くに配置されている係合ダウエル22よりも多くの保持力を受けるので、各係合ダウエル22の間の荷重分布は不均一になる。この場合、合成荷重も同様に、機械方向の曲げモーメント、ベーン14の下流端部33における機械横方向の圧縮応力、及びベーン14の下流端部33の歪みをもたらす。プラスチック材料で作られたベーンは、図3及び図4に関連して説明した公差依存型の歪みが生じる場合があり、湿潤膨張によって引き起こされる前述の歪みを強める結果となることを理解されたい。
【0017】
図7は、本発明の第1の実施形態による取付け装置の各部材を備えるベーン14を無負荷状態で示す。図8は、作動時の図7のベーン14を示す。ベーン14は、機械方向に一致する中心線34に対して左右対称である。外側係合ダウエル22aは、ベーン14に負荷をかける流動原料によって引き起こされる剪断力Fsを受けるために、作動時に下流支持壁25と協働するようにベーン14の各側縁部31、32に隣接して配置されている。2つの外側係合ダウエル22aの間に延びるベーン14の上流端部21の内側区域又は中央部分35には係合ダウエルが存在しないので、ベーン14の内側区域35は、該内側区域35の下流側に位置するベーンの上側部分と同様に、支持壁25に対して機械方向に自由に移動できるように構成されている。この変位は、原料流の速度変化によって生じる場合がある。もしくは、ベーン14がプラスチック材料で作られ、その厚さが機械方向に次第に薄くなる場合は、湿潤膨張が進む結果としてベーン14の張力状態が変化することによって生じる場合がある。保持力Fr及び剪断力Fsは協働して曲げモーメントMbを引き起こすが、この曲げモーメントMbは、ベーン14をその平面内で曲げ、ベーン14の下流縁部30を伸張させ、ベーン14の下流端部33に機械横方向の引張応力を発生させる。これらの引張応力は、図8にSdで表す応力矢印によって示される。変位は、金属ベーンの場合、ヘッドボックスが動き始める瞬間から所定の機械速度に達した瞬間までである、第1の期間中に起こり得る。その後、機械速度が高くなると、第1の機械速度と第2の機械速度との間にわたる第2の期間が始まる。ベーンがプラスチック材料で作られている場合、第1の期間は、原料がヘッドボックス内を流れ始める瞬間からベーンの湿潤膨張が終了する瞬間までであり、ここにおいては、同一の又は変更された機械速度を使用することができる。湿潤膨張が終了した後に、所望の高い機械速度に達する瞬間までの第2の期間を開始できる。中央区域35内には係合ダウエルが無いので、外側係合ダウエル22aの取付け位置におけるベーンの強度、及び原料の層状化に悪影響を与えてはいけない下流縁部30の位置以外の規制を受けることなく、ベーンの中央区域35は自由に前方へ移動することができる。本実施形態では、ベーンの下流端部33には圧縮応力は全く発生しない。
【0018】
図9は、本発明の第2の実施形態による取付け装置の各部材を備える無負荷状態のベーン14を示し、外側グループ36を形成する3つの係合ダウエル22bが、ベーン14の各々の側縁部31、32に近接して配置されている。係合ダウエル22bは、機械横方向に互いに隣接して一列に配置される。ここでも同様に、2つの外側グループ36の間に広がるベーンの上流端部21の内側区域35には係合ダウエルが存在しないので、ベーン14の内側区域35並びにその下流区域は、下流支持壁25に対して機械方向に自由に移動できるように構成されている。保持力Fr及び剪断力Fsは協働して図10に示すような曲げモーメントMbを引き起こす。曲げモーメントMbは、ベーン14をその平面内で曲げて、ベーン14の下流縁部30を伸張させ、ベーン14の下流端部33に機械横方向の引張応力Sdを発生させる。図7によるベーンに関して説明したのと同様の状況下で変位が起こり得る。
【0019】
図11は、本発明の第3の実施形態による取付け装置の各部材を備える無負荷状態のベーン14を示し、本実施形態は、前述の実施形態よりも高速の原料流に適している。ベーン14には、図9及び図10に関連して説明した第2の実施形態と同様に、外側グループ36内に配置されている係合ダウエル22b、並びに2つの内側グループ37内に配置されている係合ダウエル22cを備え、内側グループ37の各々のグループは3つ係合ダウエル22を備える。係合ダウエル22cの内側グループ37は、外側グループ36から所定の間隔をあけて配置されている。係合ダウエル22cの各々の内側グループ37は、下流支持壁25から、例えば約5mmの所定の間隔をあけて配置されている。この場合、係合ダウエル22bの外側グループ36までの距離は約2000mmであってもよい。第1の期間は、原料がヘッドボックスを通って流れ始めると開始し、例えば内側グループ37の係合ダウエル22cが下流支持壁25と接触した場合に終了するが、この期間では、内側区域35は、原料からの剪断力Fsの影響を受けて機械方向に変位し、ここにおいてはベーン14の下流縁部30は伸張されてベーン14の下流端部33に機械横方向の引張応力Sdが発生する。この期間の終了時には、機械の速度は所定値になっている。従って、下流支持壁25及び係合ダウエル22bの外側グループ36に対する各々の内側グループ37の係合ダウエル22cの位置は、各々の原料の流速に関して決定的に重要であることを理解されたい。増大した機械速度が固定される瞬間までの第2の期間中に、内側グループ37の係合ダウエル22cによって規定される内側部分区域35aは、機械方向前方に移動するが、ベーン14の下流端部33に圧縮応力が現れる危険がある場合、この移動は変位した位置によって制限される。ベーンがプラスチック製であり、厚さが次第に薄くなる場合、最大原料流速度又は機械速度を選択して内側グループ37の係合ダウエル22cの位置を決定する際に湿潤膨張現象を考慮する必要がある。内側グループ37の係合ダウエル22cが下流支持壁25に接触状態にある場合は、機械速度を現在の値よりも高める代わりに、ベーンの下流端部33に依然として存在する引張応力を利用して、湿潤膨張に由来する圧縮応力を補償することができる。
【0020】
長さ800mm、幅5500mm、上流端部21での厚さ4mm、及び下流端部33での厚さ0.5mmの寸法を有し、例えば、2000m/分の最大原料流速度を受けることが意図されたプラスチック製のベーン14においては、隣り合う2つの外側グループ36と内側グループ37との間の適切な距離は約2000mmとすることができる。この場合、内側グループ37の係合ダウエル22cは、ベーン14の無負荷状態で見ることができる、下流支持壁25から約5mmの位置に配置できる。各々のグループ36、37の係合ダウエルは、互いに約50mmだけ離して配置することが好ましい。各々のグループ36、37の係合ダウエル22b、22cは、2つの隣り合う係合ダウエルから下流支持壁25までの距離がそれぞれ最も近いベーン14の側縁部31、32から離れるに従って増加するように配置することが好ましい。この距離の適切な増加は、約0.1mmである。
【0021】
本発明は、各々のグループ内の3つの係合ダウエル22に限定されないことを理解されたい。各々のグループ内に2つ又は4つといった、更に多くの又は少ない係合ダウエル22を使用できる。また、本発明は、係合ダウエル22の2つの内側グループ37に限定されるものではない。例えば、外側及び内側グループ36、37の間に、支持壁25から間隔をあけて、追加の係合ダウエル22のグループを配置することもできる。
【0022】
図13は、本発明の第4の実施形態による取付け装置の各部材を備える無負荷状態のベーン14を示し、係合ダウエル22は、側縁部31、32の間に延びる湾曲線に沿って一列に、中心線34に対して左右対称に配置される。図示の実施形態において、係合ダウエル22は等間隔に配置されているが、別の実施形態(図示せず)では、その間隔は異なっていてもよく、例えば、係合ダウエルの複数のグループでは、同一グループ内の各係合ダウエルの間の距離は等しいが、各グループでは距離が異なるような、規則正しいパターンに分布させることができる。図13に示す実施形態において、側縁部31、32に最も近接して配置されている、例えば3個から5個の所定数の係合ダウエルは、係合ダウエルの外側グループに属するとみなすことができるが、他の係合ダウエルは、前述の湾曲線形状及び各係合ダウエルの間の距離に応じて、順次配置された別個の内側係合ダウエルを構成するか、又は係合ダウエルの内側グループ37を形成するとみなすことができる。このようなベーンに対して直ちに最高機械速度が作用する場合、期間は、原料がヘッドボックスを通って流れ始めた瞬間に始まり、原料からの剪断力Fsの影響の結果として、中心線34に最も近い係合ダウエル22が同様に下流支持壁25と接触する状態になる瞬間まで続き、この期間中には、図14に示すように、下流縁部30が伸張され、下流端部33に機械横方向の引張応力Sdが発生する。ベーンがプラスチック製でその厚さが次第に薄くなり、中央区域内ではもはや前方へ移動できない場合は、その期間の終了時にはこのような大きな過剰の引張応力が下流端部に存在することができ、残留湿潤膨張は、この過剰の引張応力よって均衡される圧縮応力を与える。引張応力がゼロまで低下し、ベーンが依然として未飽和の場合、即ち湿潤膨張が進んでいない場合は、それに対応する程度に最大機械速度を下げる必要がある。結果的に機械速度が最大速度よりも低い速度に設定され、ベーンの中心線34から所定距離だけ離れて配置されている少なくとも2つの内側係合ダウエル又は各係合ダウエルの2つの内側グループが下流支持壁25に接触状態にあるような、内側区域の所定の変位に対応する瞬間に終了する、前述の期間よりも短い期間が存在することを理解されたい。
【0023】
図13に示すベーンにおいて、係合ダウエルは、ベーンが無負荷の場合に機械方向に所定の延長部を有する湾曲線に沿って一列に配置される。このようなベーンを、前述の各支持壁の間の距離が機械方向に延びる湾曲線の延長部よりも短い連結バー内に取付けることによって、ベーンを連結バーの溝内に取付けた時点でベーンの下流端部に引張応力を与えることができる。湾曲線に関連して、支持壁を形成する狭い凹溝により、ベーンの側縁部の最も近くに配置されている外側係合ダウエルは、溝内にベーンを挿入する同時に溝の下流に配置されている支持壁と協働するようになり、この支持壁からの支持力を受けることができる。前述の剪断力及び保持力と同様に、支持力は、ベーンをその平面内で曲げ、下流縁部を伸張させ、ベーンの下流端部に機械横方向の引張応力を発生させる。これらの引張応力は、ヘッドボックスの始動段階、即ち原料がベーンに影響を及ぼす期間になる前にベーンが適切に平坦であることを保証する。
【0024】
所定の機械速度、例えば最大速度(圧縮応力が発生しない)において、ベーンの下流縁部が一直線又は実質的に一直線であることを保証するために、原料の流れがその機械速度で一定の剪断力を及ぼすまで、及び/又はベーンがプラスチック製であり厚さが次第に薄くなる場合にベーンが完全に飽和されるまで、下流縁部は、ベーンがとり得る変位に等しい程度まで予備成型することができる。図13及び図14は、係合ダウエル22がそれに沿って配置される湾曲線と同じ曲率でもって予備成型されている前述の凹形下流縁部30を有するベーンを示す。従って、ベーンを取付けると、凹形下流縁部30は伸張されて一直線形状になる。また、側縁部は、中心線34に対して傾斜するように予備形成されている。
【0025】
別の実施形態(図示せず)によれば、内側の係合ダウエルは、外側の係合ダウエル又は外側グループの係合ダウエルが置かれている直線に沿って配置され、この場合、下流支持壁は、小さな凹部を備えるか、又は大きな凹部を有する部分を備えるか、又は円弧形状等の所定の凹形状を備え、結果的にこの鏡像関係であってもベーンの自由な変位が可能になるように設計されている。また、下流端壁に所定の第1の半径を有する凹形状をもたせて、第1の半径よりも大きな所定の第2の半径を有する湾曲線に沿って係合ダウエルを配置することも可能である。
【0026】
本発明によれば、ベーン14の歪みは、実質的に唯一の係合ダウエル22として少なくとも限定された期間中に前記剪断力を受けるが、同時にベーン14の上流端部21の内側区域35が前記限定された期間中又はその一部の期間中に下流支持壁25に対して機械方向に自由に移動させるために、即ち係合ダウエルからの外側保持力の影響を受けることなく移動させるために、下流に置かれている支持壁25と協働するように、ベーン14の側縁部31、32の近傍に1つ又はそれ以上の係合ダウエル22を順序正しく配置することで回避される。前述のように係合ダウエルを配置することにより、係合ダウエルは、作動時にベーン14に作用する剪断力Fs、係合ダウエル22に作用する保持力Fr、及び曲げモーメントMbを引き起こし、曲げモーメントMbは、正常な作動条件下において常にベーン14をその平面内で曲げてベーン14の下流端部33に機械横方向の引張応力Sdを発生させる。本発明の原理に従って係合ダウエル22を配置すると、前述の圧縮応力がベーン14の下流端部33に発生するのを防止できる。従って、本発明の特徴は、ベーンを歪めて原料の層状化に悪影響を与える可能性があるベーンの圧縮応力を防止する。
【0027】
本発明は、係合ダウエル22の形態の係合部材に関連して説明されているが、他の形式の係合部材によって本発明を実施できることを理解されたい。更に、係合部材は、係合ダウエル等の複数の個別の部材として設計されているが、それらは本発明の原理に従って下流支持壁と協働する連続的な係合部材で構成することもできる。
【0028】
また、前述のものとは異なる取付け装置を使用して、本発明を実施できることを理解されたい。ベーン14を、例えば、細長い連結バー16と同じ機能を有すると共に連結バーのものと同様の支持壁を有する溝を有する固定部材10に直接取付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ロール型ツインワイヤーフォーマ内のフォーミング領域へ通じる空隙内に原料の多層噴流を供給するように取付けられている多層ヘッドボックスの機械方向の部分断面図である。
【図2】
図1によるヘッドボックス内の1つのグループの乱流チャンネルと関連する、ヘッドボックスのスライスチャンバ内にベーンの1つを取付けるための装置の断面図である。
【図3】
無負荷状時の金属製ベーンの上面図であり、従来の取付け装置の各部材を示す。
【図4】
作動時の図3によるベーンの上面図である。
【図5】
吸湿性プラスチック材料製のベーンの上面図であり、従来の取付け装置の各部材を示す。
【図6】
図5の線VI−VIに沿った断面図である。
【図7】
無負荷時のベーンの上面図であり、本発明の第1の実施形態による取付け装置の各部材を示す。
【図8】
作動時の図7によるベーンの上面図である。
【図9】
無負荷時のベーンの上面図であり、本発明の第2の実施形態による取付け装置の各部材を示す。
【図10】
作動時の図9によるベーンの上面図である。
【図11】
無負荷時のベーンの上面図であり、本発明の第3の実施形態による取付け装置の各部材を示す。
【図12】
作動時の図11によるベーンの上面図である。
【図13】
無負荷時のベーンの上面図であり、本発明の第4の実施形態による取付け装置の各部材を示す。
【図14】
作動時の図13によるベーンの上面図である。
Claims (19)
- ベーン(14)の上流端部(21)で前記ベーンに連結されている複数の係合部材(22)と、前記ベーン(14)の前記係合部材(22)を収容するための縦溝(20)とを含む取付け装置であって、前記溝(20)が、前記係合部材(22)と協働するように、前記係合部材に対向する内側の下流及び上流支持壁(25、26)を有し、前記ベーン(14)が、作動時に前記ベーンに沿って流れる原料が引き起こす剪断力及び前記取付け装置が前記ベーン(14)に与える保持力の影響を受ける、前記取付け装置によってヘッドボックス内に着脱自在に取付けられる前記ベーン(14)の平坦度を保証する方法であって、
少なくとも1つの外側係合部材(22a)又は2つ又はそれ以上の係合部材(22b)の1つの外側グループ(36)を前記ベーン(14)の各々の側縁部(31、32)の近傍に取付ける段階を含み、
前記2つの外側係合部材(22a)又は各係合部材(22b)の前記2つの外側グループ(36)は、作動時に少なくとも1つの所定期間中に唯一の係合部材(それぞれ22a又は22b)として、前記下流支持壁(25)と協働して前記剪断力を受け、それによって前記ベーン(14)の前記下流端部(33)には機械横方向の引張応力が発生することを特徴とする方法。 - 前記保持力が前記ベーン(14)の前記側縁部に作用して、前記剪断力の影響の下で、前記側縁部の間の前記ベーン(14)の一部分(35)が機械方向に自由に移動することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記ベーン(14)の前記下流縁部(30)を伸張させて、前記ベーン(14)の前記下流端部(33)に機械横方向の前記引張応力が発生するように、前記剪断力及び前記保持力の影響下で前記ベーン(14)を曲げることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- ファイバーウェブを湿式成型するためのフォーマ内の成型区域に原料の噴流を供給するためのヘッドボックスであって、
チャンバ(8)を有するスライス(7)と、
前記スライスチャンバ(8)内に開口する乱流チャンネル(6)と、前記乱流チャンネル(6)を区画する少なくとも1つの固定部材(10)とを含む乱流発生器と、
前記スライスチャンバ(8)内に配置されている少なくとも1つのベーン(14)と、
前記ベーン(14)に対して前記ベーンの上流端部(21)で連結される複数の係合部材(22)と、前記ベーン(14)の前記係合部材(22)を収容するための縦溝(20)を有する細長い構造部材(16)とを含み、前記溝(20)が、前記係合部材(22)と協働するための前記係合部材に対向する平行な内側の下流及び上流支持壁(25、26)を有する、前記ベーン(14)を前記固定部材(10)に着脱自在に取付けるための取付け装置と、
を備え、
前記複数の係合部材(22)は、少なくとも1つの外側係合部材(22a)又は2つ又はそれ以上の係合部材(22b)の1つの外側グループ(36)を前記ベーン(14)の前記側縁部(31、32)の各々の近傍に含み、前記2つの外側係合部材(22a)又は各係合部材(22b)の前記2つの外側グループ(36)は、作動時の少なくとも1つの所定期間に、唯一の係合部材(それぞれ22a又は22b)として前記下流支持壁(25)と協働して、流動原料が前記ベーン(14)内に引き起こす剪断力を受けるように配置されており、前記2つの外側係合部材(22a)及び各係合部材(22b)の2つの外側グループ(36)のそれぞれによって規定される前記上流端部(21)の内側区域(35)は、係合部材を有さないか又は少なくとも前記ベーン(14)の無負荷状態において前記下流支持壁(25)の上流に配置されている内側係合部材(22c)を有しており、結果的に、前記内側区域(35)内及びその下流側の前記ベーン(14)は、前記期間中又はその一部の期間中に、前記下流支持壁(25)に対して機械方向に自由に移動できるように配置されていることを特徴とするヘッドボックス。 - 前記内側係合部材(22c)は、前記外側係合部材(22a)又は各係合部材(22b)の前記外側グループ(36)から所定距離だけ離れて配置されている少なくとも2つの内側グループ(36)を形成し、前記内側係合部材(22c)の各々は、前記下流支持壁(25)から所定距離だけ離れて配置されていることを特徴とする請求項4に記載のヘッドボックス。
- 各々のグループ(36、37)内の2つの隣り合う係合部材(22b、22c)の前記下流支持壁(25)からの前記所定距離は、前記ベーン(14)の前記側縁部(31、32)から離れるに従って増加することを特徴とする請求項5に記載のヘッドボックス。
- 前記距離の増加は、約0.1mmであることを特徴とする請求項6に記載のヘッドボックス。
- 前記係合部材(22)は、等しい又は等しくない間隔でもって、側縁部(31、32)の間に延びる湾曲線に沿って配置されることを特徴とする請求項4に記載のヘッドボックス。
- 無負荷状態において、前記ベーン(14)は、予備成型された凹形下流縁部(30)を有し、作動時に、前記下流縁部は伸張され、前記外側係合部材(22a)又は各係合部材(22b)の前記外側グループ(36)に関連する前記ベーン(14)の前記変位によって実質的に一直線形状になることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載のヘッドボックス。
- 前記期間の終了時であってもベーンに圧縮応力が生じないことを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載のヘッドボックス。
- 前記構造部材(16)は、前記溝(20)を含む係合部(17)、可撓性ウエスト部(18)、及び前記固定部材(10)の溝内に取付けるための係合部(19)を備える連結バーを含むことを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載のヘッドボックス。
- ファイバーウェブを湿式成型するためのフォーマ内の成型区域に原料の噴流を供給するためのヘッドボックスの乱流発生器の固定部材(10)に、ベーン(14)を着脱自在に取付けるための装置であって、
チャンバ(8)を有するスライス(7)と、
前記乱流発生器であって、前記スライスチャンバ(8)内に開口する乱流チャンネル(6)と、前記乱流チャンネル(6)を区画する前記固定部材(10)とを含む乱流発生器と、
前記スライスチャンバ(8)内に配置されている少なくとも1つのベーン(14)と、
前記取付け装置であって、前記ベーン(14)に対して前記ベーンの上流端部(21)で連結される複数の係合部材(22)と、前記ベーン(14)の前記係合部材(22)を収容するための縦溝(20)を有する細長い構造部材(16)とを含み、前記溝(20)が、前記係合部材(22)と協働するように前記係合部材に対向する内側の平行な下流及び上流支持壁(25、26)を有する、取付け装置と、
を備え、
前記複数の係合部材(22)は、少なくとも1つの外側係合部材(22a)又は2つ又はそれ以上の係合部材(22b)の1つの外側グループ(36)を前記ベーン(14)の前記側縁部(31、32)の各々の近傍に含み、前記2つの外側係合部材(22a)又は各係合部材(22b)の前記2つの外側グループ(36)は、作動時の少なくとも1つの所定期間に、唯一の係合部材(それぞれ22a又は22b)として前記下流支持壁(25)と協働して、流動原料が前記ベーン(14)内に引き起こす剪断力を受けるように配置されており、前記2つの外側係合部材(22a)及び各係合部材(22b)の2つの外側グループ(36)のそれぞれによって規定される前記上流端部(21)の内側区域(35)は、係合部材を有さないか又は少なくとも前記ベーン(14)の無負荷状態において前記下流支持壁(25)の上流に配置されている内側係合部材(22c)を有しており、結果的に、前記内側区域(35)内及びその下流側の前記ベーン(14)は、前記期間中又はその一部の期間中に、前記下流支持壁(25)に対して機械方向に自由に移動できるように配置されていることを特徴とする取付け装置。 - 前記内側係合部材(22c)は、外側係合部材(22a)又は各係合部材(22b)の外側グループ(36)から所定距離だけ離れて配置され、各々の内側係合部材(22c)は、前記下流支持壁(25)から所定の距離だけ離れて配置されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
- 各々のグループ(36、37)内の2つの隣り合う係合部材(22b、22c)の前記下流支持壁(25)からの前記所定距離は、前記ベーン(14)の前記側縁部(31、32)から離れるに従って増加することを特徴とする請求項13に記載の装置。
- 前記距離の増加は、約0.1mmであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
- 前記係合部材(22)は、等しい又は等しくない間隔でもって、側縁部(31、32)の間に延びる湾曲線に沿って配置されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
- 無負荷状態において、前記ベーン(14)は、予備成型された凹形下流縁部(30)を有し、作動時に、前記下流縁部は伸張され、前記外側係合部材(22a)又は各係合部材(22b)の前記外側グループ(36)に関連する前記ベーン(14)の前記変位によって実質的に一直線形状になることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の装置。
- 前記期間の終了時であってもベーンに圧縮応力が生じないことを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の装置。
- 前記構造部材(16)は、前記溝(20)を含む係合部(17)、可撓性ウエスト部(18)、及び前記固定部材(10)の溝内に取付けるための係合部(19)を備える連結バーを含むことを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の装置。
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