JP2004363680A - 表示装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表示装置(1)は、観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段(11、12)と、(i)複数の表示手段間に設定される複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)複数の表示対象物の夫々のコンテンツ内容の両者に応じて、複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定手段(21)と、複数の表示対象物を表示するための入力画像信号を、出力レベル指定手段が指定する出力輝度レベルを有する出力画像信号として、複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配手段(22)とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複数の表示手段を観察者の視線方向に相前後して配置し、夫々の表示手段に重ねて表示する画像中における物体像の輝度をその奥行位置に応じて表示手段間で変えることにより当該物体を立体的に表示する、輝度変調型などの立体表示方式の表示装置及び表示方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、立体視することが可能な装置として種々の形態のものが提案され、実用化がなされている。例えば、動画の立体表示を可能とする装置として、液晶シャッタ眼鏡方式等が良く知られている。この液晶シャッタ眼鏡はカメラで3次元物体を異なる方向から撮影し、得られた視差情報を含む画像データを合成して1つの画像信号に合成し、2次元表示装置に入力し表示する。観察者は液晶シャッタ眼鏡をかけ、表示される画像と同期を取って右目、左目の液晶シャッタを切り替えることで、両眼の視差に応じた画像を立体的に見ることができるものである。
【0003】
最近では、観察者の視線上に相前後して二つの2次元表示装置を設け、それらに表示される画像を重ねて見ることによって、奥行方向には離散的であるが、立体的な画像として視覚される3次元表示装置がある。また、その離散的な状態を改善するために、2次元表示装置の夫々に表示される各物体像の輝度に、奥行位置に応じた差或いは変化をつけることによって、離散的な位置の中間位置に物体があるかの様な立体画像を表示可能であり、より立体感が自然となるように改良された3次元表示装置或いは立体表示装置がある。例えば、複数のハーフミラーを用いて複数の表示装置からの物体像を重ねて表示することで、半透明な物体や後ろの物体が透けて見えるような表示を可能ならしめる、輝度変調型の立体表示方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−115812号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した輝度変調型の立体表示方式においては、例えばその画像の内容によっては、観察者が満足のいく立体感を得ることができないという技術的な問題点がある。例えば、相対的に小さな人、即ち視線に沿った奥行方向に小さい幅を有する表示対象物と、相対的に大きな山、即ち奥行方向に大きい幅を有する表示対象物とを示す画像を表示する際には、山に係る画像部分が有する立体感に対して、人に係る画像部分が有する立体感が相対的に弱くなってしまう。このため、人に係る画像部分に対して十分な立体感を得ることができない。この場合、例えば人に係る画像部分は、山に係る画像部分と比較して、概ね平面画像と同等程度にしか表示することができないという技術的な問題点を有している。或いは、ある画像の中に示されている複数の表示対象物のうち、所望の表示対象物の立体感を強調して表示させることができないという技術的な問題点を有している。
【0006】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、例えば表示する画像の内容によることなく、適切な立体感を有する画像を表示することを可能とならしめる表示装置及び方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載の表示装置は、観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段と、(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記複数の表示対象物の夫々のコンテンツ内容の両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定手段と、前記複数の表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記指定された前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配手段とを備え入力画像信号出力画像信号る。
【0008】
上記課題を解決するために請求項5に記載の表示装置は、観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物の夫々に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段と、前記複数の表示対象物が配置されている空間上における仮想観察者が、前記複数の表示対象物を観察する際の観察条件を示す条件パラメータを取得するパラメータ取得手段と、(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記取得された条件パラメータの両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定手段と、前記表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記出力レベル指定手段が指定する前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配手段とを備える。
【0009】
上記課題を解決するために請求項14に記載の表示装置は、複数の表示対象物から構成される立体表示画像の奥行方向の幅である奥行幅を、夫々所望の幅を有する複数の幅部分に分割する分割手段と、前記複数の幅部分のうち一つ内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物のコンテンツ内容と、該少なくとも一つの表示対象物の奥行位置との両者に応じて、前記少なくとも一つの表示対象物に対して発生させる前記奥行方向の立体感の強弱の度合を示す立体感パラメータを、前記幅部分毎に付与するパラメータ付与手段と、前記立体感パラメータに応じた強弱の度合に係る立体感を有するように、前記少なくとも一つの表示対象物を立体表示する表示手段とを備える。
【0010】
上記課題を解決するために請求項17に記載の表示方法は、観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段を備えた表示装置における表示方法であって、 (i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記複数の表示対象物の夫々のコンテンツ内容の両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定工程と、前記複数の表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記出力レベル指定手段が指定する前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配工程とを備える。
【0011】
上記課題を解決するために請求項18に記載の表示方法は、観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物の夫々に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段を備えた表示装置における表示方法であって、前記複数の表示対象物が配置されている空間上における仮想観察者が、前記複数の表示対象物を観察する際の観察条件を示す条件パラメータを取得するパラメータ取得工程と、(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記取得された条件パラメータの両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定工程と、前記表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記出力レベル指定手段が指定する前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配工程とを備える。
【0012】
上記課題を解決するために請求項19に記載の表示方法は、複数の表示対象物から構成される立体表示画像の奥行方向の幅である奥行幅を、夫々所望の幅を有する複数の幅部分に分割する分割工程と、前記複数の幅部分のうち一つ内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物のコンテンツ内容と、該少なくとも一つの表示対象物の前記奥行位置との両者に応じて、前記少なくとも一つの表示対象物に対して発生させる前記奥行方向の立体感の強弱の度合を示す立体感パラメータを、前記幅部分毎に付与するパラメータ付与工程と、前記立体感パラメータに応じた強弱の度合に係る立体感を有するように、前記少なくとも一つの表示対象物を立体表示する表示工程とを備える。
【0013】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0015】
本発明の表示装置に係る第1実施形態は、観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段と、(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記複数の表示対象物の夫々のコンテンツ内容の両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定手段と、前記複数の表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記指定された前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配手段とを備える。
【0016】
本発明の表示装置に係る第1実施形態によれば、その動作時には、観察者の視線上に相前後して配置された複数の表示手段によって、観察者の側から見て立体表示用の画像たる複数の画像を重ねて表示すれば、立体表示或いは3次元表示を行うことが可能となる。即ち、観察者は立体的な画像を視覚することが可能となる。ここに、本発明に係る「観察者の視線上において重ねて表示」とは、文字通り均一に重なる場合の他、観察者が立体的な画像を視覚しうる程度に表示される重なりの程度で足りる趣旨である。又、本発明に係る「表示対象物に係る複数の画像」とは、同一の表示対象物に係る複数の画像に限らず、例えばカーナビゲーションシステムの表示装置において、道路画像と、該道路画像に重ねて表示される進行方向等を示す矢印の画像のように、異なる表示対象物に係る複数の画像をも含んだ趣旨である。
【0017】
そして、例えば二つの表示手段で表示される同一画像部分についての輝度の割振によって、該二つの表示手段間におけるいずれかの奥行位置に画像が存在するように見える、連続的な立体表示が可能となる。或いは、画像部分が、二つの表示手段のいずれかに表示されている離散的な立体表示が可能となる。更に、三つ以上の表示手段間のいずれかの位置に画像が存在するように見える、連続的又は離散的な立体表示も可能となる。
【0018】
第1実施形態では特に、輝度の割振の際には、出力レベル指定手段が、表示対象物の奥行位置及び該表示対象物のコンテンツ内容(例えば、表示対象物の種類、立体感の強弱等)の両者に応じて、複数の画像の出力輝度レベルを指定する。例えば表示対象物の立体感を強調したい場合には、該表示対象物の立体感が強調されるように出力輝度レベルを指定してもよい。或いは、例えば表示対象物の立体感を強調したくない場合には、該表示対象物の立体感が強調されないように出力輝度レベルを指定してもよい。いずれにせよ、表示対象物の奥行位置とコンテンツ内容との両者に応じて所定の或いは所望の出力輝度レベルが指定される。
【0019】
そして、出力レベル分配手段により、例えば複数の表示対象物を表示するための元画像を示す入力画像信号が、出力レベル指定手段により指定された出力輝度レベルを有する複数の画像を示す出力画像信号に変換され、該出力画像信号は複数の表示手段の夫々へ分配される。
【0020】
そして、この出力画像信号が分配された複数の表示手段によって、立体表示用の画像たる複数の画像が観察者の視線上において重ねて表示されることで、観察者は立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0021】
ここに、伝統的な輝度変調方式では、出力輝度レベルは、複数の表示手段間に設定される複数の表示対象物の夫々の奥行位置のみに応じて、指定される。即ち、出力輝度レベルは、表示対象物の存否やコンテンツ内容によらずに、奥行位置に対してリニアに変化するように指定される。これに対して、本実施形態によれば、出力輝度レベルは、奥行位置のみならず、表示対象物のコンテンツ内容にも応じて、指定される。従って基本的には、表示対象物が視線上に不均一に存在していれば或いはコンテンツ内容が不均一であれば、出力輝度レベルは、基本的に、奥行位置に対してノンリニアに変化するように指定されることになる。ここに本願において出力輝度レベルが「ノンリニア」に変化するとは、奥行位置の変化率に対して、出力輝度レベルの変化率が一定でないように変化することを示す。これに対し、本願において出力輝度レベルが「リニア」に変化するとは、奥行位置の変化率に対して、該奥行位置に対応する出力輝度レベルの変化率が一定であるように変化することを示す。
【0022】
従って、所定の或いは所望の出力輝度レベルを有する複数の画像によって実現される立体的な画像の立体感を、表示対象物のコンテンツ内容或いは奥行位置に応じて比較的容易に調整することが可能となる。即ち、立体的な画像内において表示される表示対象物の立体感を強調したり、強調しなかったり、或いは表示対象物のコンテンツ内容に応じた適切な立体感を実現することが可能となる。
【0023】
以上の結果、本発明の表示装置に係る第1実施形態によれば、表示対象物のコンテンツ内容及び奥行位置の両者に応じて、所定の或いは所望の出力輝度レベルを指定することが可能となる。従って、表示対象物の内容によらず所定の或いは所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。従って、観察者は、最適な或いは適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0024】
加えて、複数の画像の夫々の大きさ、明るさ、色合い或いはフォーカス感等を変化させることで、立体的な画像の遠近感を強調したり或いは影を付与する等の表示処理を行ってもよい。これにより、立体的な画像の立体感の強弱を更に調整することが可能となる。
【0025】
本発明の表示装置に係る第1実施形態の一の態様では、前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物のうち立体感を強調する表示対象物に係る出力画像信号に対して、前記出力輝度レベルとして利用可能な輝度範囲を大きく割り当てるように前記出力輝度レベルを指定する。
【0026】
この態様によれば、例えば複数の表示対象物のうち所定の表示対象物の立体感が強調された立体的な画像を表示することが可能となる。即ち、例えば同一表示対象物に係る輝度の割振において、利用可能な輝度の範囲を大きくすれば(即ち、相前後する表示手段への輝度分配の変化率を大きくすれば)、観察者の側から見た場合、より手前側からより奥側まで広がっているかのように表示可能となる。即ち、表示対象物の奥行方向の立体感を強調することが可能となる。
【0027】
これにより、立体感を強調したい表示対象物を選択して、輝度分配の変化率を大きくすれば、該表示対象物の立体感を強調して表示することが可能となる。
【0028】
本発明の表示装置に係る第1実施形態の他の態様では、前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物のうち立体感を弱くする表示対象物に係る出力画像信号に対して、前記出力輝度レベルとして利用可能な輝度範囲を小さく割り当てるように前記出力輝度レベルを指定する。
【0029】
この態様によれば、例えば複数の表示対象物のうち所定の表示対象物の立体感が弱められた立体的な画像を表示することが可能となる。即ち、例えば同一表示対象物に係る輝度の割振において、利用可能な輝度の範囲を小さくすれば(即ち、相前後する表示手段への輝度分配の変化率を小さくすれば)、輝度の範囲が小さくなった分、その表示対象物の奥行方向の広がりが小さくなる。即ち、表示対象物の奥行方向の立体感を弱くすることが可能となる。加えて、例えば輝度の割振を行わないような出力輝度レベルを指定することで、所定の表示対象物を背景画像(即ち、平面的な画像)として表示することも可能となる。
【0030】
これにより、立体感を弱くしたい、或いは強調したくない表示対象物を選択して、該表示対象物の立体感を弱くして表示することが可能となる。このため、例えば、該立体感を弱くして表示された表示対象物以外の表示対象物の立体感を、相対的に強調する場合と同様の効果を得ることが可能となる。
【0031】
本発明の表示装置に係る第1実施形態の他の態様では、前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つのコンテンツ内容を示す表示内容パラメータを取得するパラメータ取得手段を更に備えており、前記出力レベル指定手段は、前記取得した表示内容パラメータに応じて前記出力輝度レベルを指定する。
【0032】
この態様によれば、例えば表示内容パラメータの値に応じて、より適切な立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。係る表示内容パラメータは、複数の表示対象物の夫々の立体感の強弱の度合いを示していてもよいし、或いはそれ以外の表示態様を示していてもよい。
【0033】
そして例えば、表示内容パラメータが、ある表示対象物の立体感を強調して表示すべき旨を示していれば、出力レベル指定手段は、該表示対象物の立体感が強調されるようにその出力輝度レベルを指定する。一方、表示内容パラメータが、ある表示対象物の立体感を弱くして表示すべき旨を示していれば、出力レベル指定手段は、該表示対象物の立体感が弱くなるようにその出力輝度レベルを指定する。
【0034】
従って、表示内容パラメータを参照することで、比較的容易に表示対象物の立体感の強弱を調整することが可能となる。
【0035】
この表示内容パラメータは、例えば入力画像信号に予め付加されていてもよいし、入力画像信号とは別系統で本実施形態に係る表示装置に入力してもよい。又、例えば立体表示用の入力画像信号を作成するオーサ側で作成するものであってもよいし、或いは当該表示装置のユーザ(或いは、観察者)が独自に作成するものであってもよい。
【0036】
本発明の表示装置に係る第2実施形態は、観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物の夫々に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段と、前記複数の表示対象物が配置されている空間上における仮想観察者が、前記複数の表示対象物を観察する際の観察条件を示す条件パラメータを取得するパラメータ取得手段と、(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記取得された条件パラメータの両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定手段と、前記表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記指定された前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配手段とを備える。
【0037】
本発明の表示装置に係る第2実施形態によれば、第1実施形態に係る表示装置と概ね同様に、出力レベル分配手段は、出力レベル指定手段により指定された出力輝度レベルを有する出力画像信号を分配することで、立体的な画像を表示することが可能となる。
【0038】
第2実施形態に係る表示装置では特に、表示対象物を観察する仮想観察者の観察条件を示す条件パラメータを取得可能なパラメータ取得手段を備えている。ここに、本発明における「仮想観察者」とは、表示対象物が配置されている空間上において、仮想的に該表示対象物を視覚する者を示す。対して、本発明に係る「観察者」とは、視線上で重ねて表示される複数の画像により実現される立体的な画像を視覚する者を示す趣旨である。即ち、例えば仮想観察者の視点から見た(或いは、撮影等した)表示対象物を立体的に表示し、観察者が係る立体的に表示された表示対象物を視覚することとなる。尚、「仮想観察者」と「観察者」とは一般には、表示対象物を基準として同一位置に存在しないが、理想的な「観察者」であれば、両者は同一位置に存在してもよく、この場合には両者を同一物扱いしてもよい。そして、条件パラメータは後述の如く、例えば仮想観察者の観察位置、視線、視野(或いは、視野角)、観察者と表示対象物との距離、或いは表示対象物の立体感の強弱等に関する情報を含んでなる。
【0039】
そして、出力レベル指定手段は、パラメータ取得手段により取得された条件パラメータの内容と、複数の表示手段間に設定される表示対象物の奥行位置との両者に基づいて、より好ましい出力輝度レベルを指定することが可能となる。
【0040】
従って、伝統的な輝度変調方式の如く表示対象物の奥行位置のみに応じた出力輝度レベルではなく、例えば仮想観察者(或いは、該仮想観察者と同一物扱い可能な場合の観察者)の観察条件をも考慮した出力輝度レベルを指定することが可能となる。このため、観察条件に応じた所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。或いは、観察条件に応じて、最適な或いはより適切な立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。これにより、例えば観察者の遠近感等を考慮した上で、より適切な立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。
【0041】
以上の結果、本発明の表示装置に係る第2実施形態によれば、例えば仮想観察者の観察条件及び表示対象物の奥行位置に応じて、例えば観察者の遠近感等が考慮された所定の或いは所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。従って、観察者は、表示対象物の内容によらず、最適な或いは適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0042】
尚、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、複数の画像の夫々の大きさ、明るさ、色合い或いはフォーカス感等を変化させることで、立体的な画像の遠近感を強調する等の表示処理を行ってもよい。
【0043】
本発明の表示装置に係る第2実施形態の一の態様では、前記条件パラメータは、前記仮想観察者の観察位置に関する情報、前記仮想観察者と前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つとの距離に関する情報、及び前記仮想観察者の視野に関する情報のうち少なくとも一つを含んでなる。
【0044】
この態様によれば、パラメータ取得手段は、表示対象物を観察する仮想観察者の観察位置に関する情報を取得可能となる。そして、出力レベル指定手段は、該取得した観察位置に応じた適切な出力輝度レベルを指定可能である。これにより、仮想観察者の位置に基づいて、所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。即ち、観察者が認識する立体感を変化させることが可能となる。
【0045】
又、この態様によれば、パラメータ取得手段は、表示対象物を観察する仮想観察者と、複数の表示対象物のうち少なくとも一つとの間の距離に関する情報を取得可能となる。そして、出力レベル指定手段は、該取得した距離に応じた適切な出力輝度レベルを指定可能である。これにより、例えば仮想観察者と表示対象物との距離に基づいて、所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。
【0046】
又、この態様によれば、パラメータ取得手段は、表示対象物を観察する仮想観察者の視野に関する情報を取得可能となる。そして、出力レベル指定手段は、該取得した視野に応じた適切出力輝度レベルを指定可能である。これにより、例えば仮想観察者の視野に基づいて、所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。
【0047】
本発明の表示装置に係る第2実施形態の他の態様では、前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物のうち立体感を強調する表示対象物に係る出力画像信号に対して、前記出力輝度レベルとして利用可能な輝度範囲を大きく割り当てるように前記出力輝度レベルを指定し、前記複数の表示対象物のうち立体感を弱くする表示対象物に係る出力画像信号に対して、前記出力輝度レベルとして利用可能な輝度範囲を小さく割り当てるように前記出力輝度レベルを指定する。
【0048】
この態様によれば、条件パラメータ及び表示対象物の奥行位置に応じて、表示対象物の立体感を強調する場合には、利用可能な輝度の範囲を大きく割り当てて、その輝度の割振を行う。具体的には、例えば相前後する二つの表示手段において、割振の割合(即ち、二つの表示手段における輝度レベルの前後比)の変化率が大きくなるように、輝度の割振を行う。又、条件パラメータ及び表示対象物の奥行位置に応じて表示対象物の立体感を弱くする場合には、利用可能な輝度範囲を小さく割り当てて、その輝度の割振を行う。具体的には、例えば相前後する二つの表示手段において、割振の割合(即ち、二つの表示手段における輝度レベルの前後比)の変化率が小さくなるように、輝度の割振を行う。
【0049】
ここで、本願発明者らの研究によれば、輝度の割振の変化率が大きければ、より立体的な(即ち、奥行方向に広がった)画像を表示することが可能となることが判明している。従って、例えば仮想観察者の観察条件(即ち、観察パラメータ)に基づいて、観察者はより適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0050】
本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様では、前記出力レベル指定手段は、前記奥行位置に対して前記出力輝度レベルがノンリニアに変化するように、前記出力輝度レベルを指定する。
【0051】
この態様によれば、ノンリニアの度合いに応じて、表示対象物の立体感を強調するか否かを調整することが可能となる。即ち、ノンリニアの変化率が大きければ、輝度の割振の変化率が大きくなるため、立体感を強調することができる。一方、ノンリニアの変化率が小さければ、輝度の割振の変化率が小さくなるため、立体感を弱くすることができる。或いは、複数の表示対象物が、視線上において不均一に存在している場合であっても、ノンリニアに変化するような出力輝度レベルを指定することで、適切な立体感を実現することが可能となる。
【0052】
本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様では、前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物が存在する前記視線に沿った奥行方向の幅である奥行幅のうち、前記複数の表示対象物のうち一つが存在する幅部分内では、該一つの表示対象物についての前記複数の画像に係る出力輝度レベルが前記奥行位置に対してリニアに変化するように、前記出力輝度レベルを指定する。
【0053】
この態様によれば、例えば幅部分毎に一定の立体感を有するように、その立体感を調整することが可能となる。即ち、幅部分内に存在する個々の表示対象物については、奥行方向に歪ませることを回避しつつ、複数の表示対象物の間で相対的に、立体感を強調するか否かを調整できる。
【0054】
本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様では、前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物が存在する前記視線に沿った奥行方向の幅である奥行幅のうち一の幅部分内では、該一の幅部分内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物についての前記複数の画像に係る出力輝度レベルが前記奥行位置に対してリニアに変化するように、且つ、前記奥行幅のうち他の幅部分内では、該他の幅部分内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも他の一つの表示対象物についての前記複数の画像に係る出力輝度レベルが前記奥行位置に対してノンリニアに変化するように、前記出力輝度レベルを指定する。
【0055】
この態様によれば、リニアな変化とノンリニアな変化とを組み合わせることで、例えば幅部分毎に、該幅部分内に存在する表示対象物の立体感を強調したり、或いはしないように立体表示することが可能となる。従って、より一層、適切な立体感を有する立体表示をすることが可能となる。
【0056】
本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様では、前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物のうち前記観察者から見て手前側に表示されるべきものについては、前記奥行位置の増加に応じて前記出力輝度レベルが単調減少するように、且つ、前記複数の表示対象物のうち前記観察者から見て遠方側に表示されるべきものについては、前記奥行位置の増加に応じて前記出力輝度レベルが単調増加するように、前記出力輝度レベルを指定する。
【0057】
この態様によれば、複数の表示対象物の間で、奥行方向の相対的な順序関係が本来の関係を基準として逆転することを回避しつつ、立体感を強調するか否かを調整できる。即ち、自然な立体表示画像の中で特定の表示対象物について立体感を強調することが可能となる。
【0058】
本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様では、前記入力画像信号は、前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物に係る前記奥行位置を示す奥行情報が付加されている。
【0059】
この態様によれば、例えば出力レベル指定手段は、奥行情報を参照して、比較的容易に出力輝度レベルを指定することが可能となる。即ち、表示対象物の奥行位置に応じた位置に画像が存在するように、複数の画像に係る輝度の割振(即ち、出力輝度レベルの指定)を行うことが可能となる。
【0060】
尚、奥行情報は、入力画像信号に含まれていなくとも、例えば入力画像信号とは別個に独立の信号として表示装置に入力される構成であってもよい。
【0061】
本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様では、前記出力レベル指定手段は、予め設定された関数に基づいて前記出力輝度レベルを指定する。
【0062】
この態様によれば、出力レベル指定手段は、予め定められた関数による演算を行うことで、比較的容易に出力輝度レベルの指定をすることが可能である。例えば、表示対象物の奥行位置を入力として、出力輝度レベルを出力とする関数を用いてもよい。
【0063】
本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様では、前記出力レベル指定手段は、予め設定されたテーブルに基づいて前記出力輝度レベルを指定する。
【0064】
この態様によれば、出力レベル指定手段は、予め定められたテーブルによって指定された対応付けに基づいて、比較的容易に出力輝度レベルの指定をすることが可能である。例えば、表示対象物の奥行位置と出力輝度レベルとの対応付けを示したテーブルを用いてもよい。
【0065】
本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様では、前記出力輝度レベルを外部より指定するための外部パラメータを入力可能な外部入力手段を備えており、前記出力レベル指定手段は、前記外部パラメータに基づいて、前記出力輝度レベルを指定する。
【0066】
この態様によれば、観察者が所望の輝度レベルを指定することが可能となる。従って、観察者の所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。
【0067】
尚、この態様では、例えば上述の表示内容パラメータ及び条件パラメータのうち少なくとも一方を入力可能に構成されていてもよい。このように構成すれば、表示内容パラメータ或いは条件パラメータを入力しても、観察者の所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。
【0068】
本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様では、前記複数の表示手段は夫々、画素毎に表示可能であり、前記出力レベル指定手段は、前記画素毎に前記出力輝度レベルを指定し、前記出力レベル分配手段は、前記画素毎に前記出力画像信号を分配する。
【0069】
この態様によれば、画素毎に出力輝度レベルの指定をすることが可能となる。そして、画素毎に出力輝度レベルの指定がされた出力画像信号として複数の表示手段の夫々に分配することが可能となる。従って、より高精度に立体感が調整された立体的な画像を表示することが可能となる。
【0070】
尚、複数の画素が集合してなる画素ブロック毎に出力輝度レベルの指定をし、該画素ブロック毎に出力輝度レベルの指定がされた出力画像信号として複数の表示手段の夫々に分配してもよい。この場合でも、相応に高精度に立体感が調整された立体的な画像を表示することが可能となる。
【0071】
本発明の表示装置に係る第3実施形態は、複数の表示対象物から構成される立体表示画像の奥行方向の幅である奥行幅を、夫々所望の幅を有する複数の幅部分に分割する分割手段と、前記複数の幅部分のうち一つ内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物のコンテンツ内容と、該少なくとも一つの表示対象物の奥行位置との両者に応じて、前記少なくとも一つの表示対象物に対して発生させる前記奥行方向の立体感の強弱の度合を示す立体感パラメータを、前記幅部分毎に付与するパラメータ付与手段と、前記立体感パラメータに応じた強弱の度合に係る立体感を有するように、前記少なくとも一つの表示対象物を立体表示する表示手段とを備える。
【0072】
本発明の表示装置に係る第3実施形態によれば、複数の表示対象物の夫々に対して、所望の或いは所定の立体感を付与して、該表示対象物を表示することが可能となる。
【0073】
より具体的には、分割手段は、複数の表示対象物が存在する全奥行幅を、所望の幅を有する複数の幅部分に分割する。該分割する幅部分は、夫々同一の幅の大きさを有していてもよいし、夫々相異なる幅の大きさを有していてもよい。
【0074】
そして、パラメータ付与手段は、分割手段により分割された幅部分毎に、該幅部分内に存在する少なくとも一つの表示対象物に対して、その立体感の強弱の度合を示す立体感パラメータを付与する。ここで、パラメータ付与手段は、この少なくとも一つの表示対象物の奥行位置及びコンテンツ内容に応じて立体感の強弱の度合を示すパラメータを付与することが好ましい。尚、パラメータ付与手段が付与する立体感パラメータは、例えばどの程度立体感を強調させるか(例えば、全奥行幅のうち、どれだけの奥行幅において表示対象物の立体感が得られるか等)を示す情報を含んでいてもよいし、或いは、立体感を発生させることなく平面表示する旨の指示を示す情報を含んでいてもよい。
【0075】
その後、パラメータ付与手段により付与された立体感パラメータに応じて、表示手段は、選択された幅部分内に存在する少なくとも一つの表示対象物を立体表示する。ここで、表示手段は、パラメータ付与手段により付与される立体感パラメータに応じて定まる立体感の強弱の度合を実現するように、該少なくとも一つの表示対象物を立体表示することが好ましい。そして、立体表示される少なくとも一つの表示対象物は、例えば表示対象物の明るさ、色合い或いはフォーカス感等を変化させることで、立体感の強弱を調整してもよい。
【0076】
従って、所望の幅を有する幅部分毎に、立体感パラメータにより特定される所定の立体感を有する表示対象物が立体表示されることとなる。即ち、例えば表示対象物のコンテンツ内容に応じて、より適切な立体感を付与することが可能となる。従って、限られた奥行幅を効率的に利用して、立体表示が望まれる表示対象物については立体表示を顕著に行うこと、或いは、立体表示が望まれる表示対象物を優先して立体表示を行うことが可能となる。
【0077】
以上の結果、本発明の表示装置に係る第3実施形態によれば、分割された複数の幅部分毎に、該幅部分内に存在する少なくとも一つの表示対象物の立体感を強調して、或いは強調しないで立体的に表示することが可能となる。即ち、例えば表示対象物の奥行位置及びその表示対象物のコンテンツ内容に応じて、例えば所望の幅を有する幅部分毎に、より適切な立体感を有する立体的な画像として表示することが可能となる。従って、観察者は、表示対象物の内容によらず、最適な或いは適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0078】
尚、上述の第2実施形態に係る表示装置の如く、パラメータ付与手段が、前記複数の幅部分のうち一つ内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物の奥行位置と、前記仮想観察者が該少なくとも一つの表示対象物を観察する際の観察条件との両者に応じて、前記少なくとも一つの表示対象物に対して発生させる前記奥行方向の立体感の強弱の度合を示す立体感パラメータを、前記幅部分毎に付与するような構成であってもよい。
【0079】
このように構成しても、観察条件に応じた適切な立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。
【0080】
本発明の表示装置に係る第3実施形態の一の態様では、前記表示手段は、前記奥行方向に沿って観察者の視線上に相前後して配置されており且つ前記複数の表示対象物の夫々に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示することで前記立体表示画像の全体を表示し、前記パラメータ付与手段は、(i)前記奥行位置及び前記コンテンツ内容に応じて定まる前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定すること及び(ii)前記少なくとも一つの表示対象物について前記指定された出力輝度レベルを有する出力画像信号を前記複数の表示手段の夫々へ分配することで、前記少なくとも一つの表示対象物に対して前記パラメータを付与する。
【0081】
この態様によれば、パラメータ付与手段が、立体表示用の複数の画像毎の出力輝度レベルを指定し、出力画像信号を分配することで、特に輝度変調型の立体表示方式において、適切に立体表示することが可能となる。即ち、適切に輝度の割振がなされた立体表示用の複数の画像の夫々を、複数の表示手段のうち対応する表示手段に表示することで、観察者は、より適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0082】
尚、上述した本発明の表示装置に係る第1又は第2実施形態の各種態様に対応して、この態様においても各種態様を採ることが可能である。
【0083】
本発明の表示装置に係る第1、第2及び第3実施形態のうち少なくとも一つの他の態様では、前記複数の表示手段のうち、少なくとも前記観察者から見て最も後方に配置された表示手段を除く表示手段は、半透明な表示デバイスからなる。
【0084】
この態様によれば、観察者の側から見て前方に配置された表示手段を通して、該前方に配置された表示手段の後方に配置された表示手段に表示された画像を視覚することが可能となり、観察者の視線上に直接、その表示手段を配置することが可能となる。
【0085】
上述の如く半透明な表示デバイスを含んでなる表示装置の態様では、前記半透明の表示デバイスは、液晶表示デバイス又はエレクトロルミネッセンス表示デバイスであるように構成してもよい。
【0086】
このように構成すれば、液晶表示デバイスやエレクトロルミネッセンス表示デバイスといった、半透明のパネル状の表示手段を用いて、立体的な画像を表示することが可能となる。
【0087】
本発明の表示装置に係る第1、第2及び第3実施形態のうち少なくとも一つの他の態様では、前記複数の表示手段は、ハーフミラーにより合成される表示手段を含む。
【0088】
この態様によれば、複数の表示手段のうち少なくとも一つの表示手段は観察者の視線上に直接配置されることはなく、ハーフミラーを介して画像が合成される。従って表示手段として光透過性を有しないものも用いることが可能となり、例えばブラウン管表示デバイス、プラズマ表示デバイス或いは電界電子放出表示デバイス等を利用することが可能となる。
【0089】
尚、ハーフミラーにより合成される表示手段は、当該表示手段が観察者の視線上において視覚される像面を、観察者の視線上に配置される表示手段とみなして、上述の実施の形態の各種態様を採用してもよい。
【0090】
本発明の表示方法に係る第1実施形態は、観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段を備えた表示装置における表示方法であって、(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記複数の表示対象物の夫々のコンテンツ内容の両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定工程と、前記複数の表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記出力レベル指定手段が指定する前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配工程とを備える。
【0091】
本発明の表示方法に係る第1実施形態によれば、上述した本発明の表示装置に係る第1実施形態と同様に、出力レベル指定工程において、表示対象物のコンテンツ内容に応じた出力輝度レベルが指定され、出力レベル分配工程において、指定された出力輝度レベルを有する出力画像信号として複数の表示手段の夫々へ分配される。これにより、表示対象物のコンテンツ内容に応じて、所定の或いは所望の出力輝度レベルを指定することが可能となる。従って、表示対象物の内容によらず所定の或いは所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。従って、観察者は、最適な或いは適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0092】
尚、上述した本発明の表示装置に係る第1実施形態の各種態様に対応して、本発明の表示方法に係る第1実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0093】
本発明の表示方法に係る第2実施形態は、観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物の夫々に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段を備えた表示装置における表示方法であって、前記複数の表示対象物が配置されている空間上における仮想観察者が、前記複数の表示対象物を観察する際の観察条件を示す条件パラメータを取得するパラメータ取得工程と、(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記取得された条件パラメータの両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定工程と、前記表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記出力レベル指定手段が指定する前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配工程とを備える。
【0094】
本発明の表示方法に係る第2実施形態によれば、上述した本発明の表示装置に係る第2実施形態と同様に、パラメータ取得工程において条件パラメータが取得される。そして該条件パラメータに応じて出力レベル指定工程において出力輝度レベルが指定され、出力レベル分配工程において指定された出力輝度レベルを有する出力画像信号として複数の表示手段の夫々に分配される。これにより、例えば仮想的な観察者の観察条件に応じて、例えば観察者の遠近感等が考慮された所定の或いは所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。従って、観察者は、表示対象物の内容によらず最適な或いは適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0095】
尚、上述した本発明の表示装置に係る第2実施形態の各種態様に対応して、本発明の表示方法に係る第2実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0096】
本発明の表示方法に係る第3実施形態は、複数の表示対象物から構成される立体表示画像の奥行方向の幅である奥行幅を、夫々所望の幅を有する複数の幅部分に分割する分割工程と、前記複数の幅部分のうち一つ内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物のコンテンツ内容と、該少なくとも一つの表示対象物の前記奥行位置との両者に応じて、前記少なくとも一つの表示対象物に対して発生させる前記奥行方向の立体感の強弱の度合を示す立体感パラメータを、前記幅部分毎に付与するパラメータ付与工程と、前記立体感パラメータに応じた強弱の度合に係る立体感を有するように、前記少なくとも一つの表示対象物を立体表示する表示工程とを備える。
【0097】
本発明の表示方法に係る第3実施形態によれば、上述した本発明の表示装置に係る第3実施形態と同様に、分割工程において、全奥行幅が複数の幅部分に分割され、パラメータ付与工程において、該分割された幅部分毎に立体感パラメータが付与される。そして、表示工程において、該立体感パラメータにより示される所定の強弱の度合を有する立体感を有するように、表示対象物が立体表示される。これにより、例えば表示対象物の奥行位置及びその表示対象物のコンテンツ内容に応じて、例えば所望の幅を有する幅部分毎に、より適切な立体感を有する立体的な画像として表示することが可能となる。従って、観察者は、表示対象物の内容によらず、最適な或いは適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0098】
尚、上述した本発明の表示装置に係る第3実施形態の各種態様に対応して、本発明の表示方法に係る第3実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0099】
本発明の実施形態における、このような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされよう。
【0100】
以上、本発明の表示装置に係る第1実施形態によれば、出力レベル指定手段及び出力レベル分配手段を備えている。又、本発明の表示装置に係る第2実施形態によれば、パラメータ取得手段、出力レベル指定手段及び出力レベル分配手段を備えている。又、本発明の表示装置に係る第3実施形態によれば、分割手段、パラメータ付与手段及び表示手段を備えている。又、本発明の表示方法に係る第1実施形態によれば、出力レベル指定工程及び出力レベル分配工程を備えている。又、本発明の表示方法に係る第2実施形態によれば、パラメータ取得工程、出力レベル決定工程及び出力レベル分配工程を備えている。又、本発明の表示方法に係る第3実施形態によれば、分割工程、パラメータ付与工程及び表示工程を備えている。
【0101】
これにより、表示対象物の内容或いは仮想観察者の観察条件(或いは、該仮想観察者と同一物扱い可能な場合の観察者の観察条件や遠近感等)に応じて、所定の或いは所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。従って、観察者は、表示対象物の内容によらず最適な或いは適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0102】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の表示装置に係る実施例について説明する。
【0103】
(第1実施例)
以下、図1から図17を参照して、本発明の表示装置に係る実施例について説明する。
【0104】
(第1実施例の基本構成)
先ず、図1を参照して、本発明の表示装置に係る第1実施例の基本構成について説明する。ここに、図1は、本発明の表示装置に係る第1実施例の基本構成を示すブロック図であり、図2は、本発明の表示装置に係る第1実施例の画像表示部の他の構成について示した光学系の図式的な断面図である。
【0105】
図1に示すように、表示装置1は、前画面11、後画面12、第一駆動部15、第二駆動部16、制御部17、出力レベル指定部21及び出力画像信号分配部22を備えて構成されている。
【0106】
前画面11及び前画面12は、表示装置1の画像表示部を形成し、観察者からの視線Lに対して、所定の間隔を有して相前後して配置されている。前画面11は、前方に配置され、後画面12は後方に配置されている。前画面11は、後方にある後画面12の画像を透過して観察者が視覚することが可能となるために、光透過性の表示装置、例えば液晶表示デバイスやエレクトロルミネッセンス(EL)表示デバイスが用いられる。他方、後方に配置される後画面12は、液晶表示デバイスやEL表示デバイスであっても良く、又、光透過性の必要はないのでブラウン管表示デバイスやプラズマ表示デバイスであってもよい。
【0107】
これら前画面11及び後画面12の夫々にその輝度を調整(例えば、増減)した画像を表示することで、前画面11及び後画面12の間に画像があるかのごとく、立体的な画像を表示することが可能である。即ち、輝度変調型の立体表示が可能である。
【0108】
尚、前画面11として液晶表示デバイスやEL表示デバイスを用いる他に、光透過性のないブラウン管表示デバイスやプラズマ表示デバイスを用いる構成を採ることも可能である。即ち、図2に示すように、前画面11を後画面12に対して視線Lを遮らないように配置し、観察者の視線上にハーフミラー13を設け、このハーフミラー13の角度を前画面11に表示される画像が後画面12に表示される画像に重なるように定めることで、光透過性のない表示装置を画像表示部に導入することが可能となる。
【0109】
再び図1において、第一駆動部15及び第二駆動部16は、前画面11及び後画面12を夫々表示駆動するためのものであり、出力画像信号分配部22により分配された前画面11又は後画面12用の画像信号に基づいて表示駆動する。制御部17の制御に基づいて、表示のタイミングや点滅等の装飾的で効果的な駆動を行う機能を持たせても良い。
【0110】
制御部17は、表示装置1の全体的な制御を行う。立体的な画像の表示に関しては、前画面11及び後画面12の表示形態、例えば輝度や大きさ等を設定することも可能である。又、第一駆動部15及び第二駆動部16の動作を制御する。加えて、出力レベル指定部21及び出力画像信号分配部22の動作も制御可能である。
【0111】
出力レベル指定部21は、入力画像信号が示す画像(以下、適宜“入力画像”と称する)の内容に応じて、その出力輝度レベルを指定する。より具体的には、例えば後述の如く輝度の分配率カーブを指定する。
【0112】
更に、出力レベル指定部21は、入力画像の奥行位置に応じて所定の分配率を指定可能であることが好ましい。加えて、前画面11及び後画面12の夫々の画素毎に分配率を指定可能であることが好ましい。
【0113】
出力画像信号分配部22は、入力画像信号を、出力レベル指定部21により指定された出力輝度レベルにて、前画面11用の画像信号と、後画面12用の画像信号とに分配して、夫々第一駆動部15及び第二駆動部16へ出力する。
【0114】
以上説明した表示装置1により、例えば画像の表示内容に応じて、所望の或いは所定の立体感を有する立体的な画像が、前画面11及び後画面12の間に存在しているかのような表示が可能となる。尚、これらの詳細な動作については、以下に説明する(図3等参照)。
【0115】
(第1実施例の動作例)
続いて、図3から図15を参照して、本発明の表示装置に係る第1実施例の動作例について説明する。
【0116】
先ず、図3から図5を参照して、本発明の表示装置に係る実施例の基本動作について説明する。ここに、図3は、本発明の表示装置に係る第1実施例の動作を示すフローチャートであり、図4は、表示装置に表示される画像の具体例を概念的に示す模式図であり、図5は、図4に示す画像の奥行(%)を概念的に示す模式図である。
【0117】
尚、ここに、「奥行(%)」とは画像の立体感が得られる位置であり、奥行0%とは、前画面11に立体感の位置がある場合であり、一方、奥行100%とは後画面12に立体感の位置がある場合である。そして、奥行50%とは、前画面11と後画面12との中間位置に、立体感の位置がある場合である。
【0118】
図3に示すように、出力レベル指定部21は、立体表示すべき画像を示す入力画像信号を取得する(ステップS11)。係る入力画像信号は、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク或いはフロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体から読み込んで取得してもよいし、インターネット等のネットワークを介してダウンロードすることで取得してもよい。
【0119】
具体的には、例えば、図4に示すような画像(即ち、入力画像)を示す入力画像信号を取得する。図4に示すように、入力画像は、表示対象物たる人と家と山とを表示する画像であり、手前側(即ち、観察者の側)から見て、人、家、山の順に表示されている。そして、例えば該入力画像が立体表示される前画面11或いは後画面12の画素毎に、その奥行方向の位置を示す奥行情報(例えば、奥行(%))を含んでいることが好ましい。
【0120】
そして、図4に示す入力画像が具体的には、例えば図5に示すような奥行情報(奥行(%))を含んでいるとする。即ち、入力画像のうち、人に係る画像部分は奥行0%から20%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体感が得られる奥行情報を有しており、家に係る画像部分は奥行20%から50%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体感が得られる奥行情報を有しており、山に係る画像部分は奥行50%から100%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体感が得られる奥行情報を有している。尚、係る奥行情報は、例えば奥行方向の座標値を示すものであってもよい。
【0121】
再び図3において、出力レベル指定部21は、ステップS11にて取得した入力画像信号に対応する、所定の分配率カーブを指定する(ステップS12)。ここに、「分配率カーブ」とは、表示対象物に係る画像部分に対する、前画面11及び後画面12の夫々への出力輝度レベルの割振の度合い(即ち、輝度分配の度合い)と、入力画像信号に係る所定の奥行情報との対応付けを示す曲線(或いは、直線又はそれらの組み合わせ等)を示すものである。そして、この「分配率カーブ」は、奥行情報を入力とし、分配率を出力とする所定の関数により示されていてもよい。ここに、「分配率」とは、前画面11或いは後画面12に表示される立体表示用の画像の出力輝度レベルの、例えば入力画像信号(或いは、立体表示用の画像作成の元となる画像信号)の輝度レベルに対する割合を示す趣旨である。
【0122】
ここで、出力レベル指定部21は、後に詳述するように例えば表示対象物のコンテンツ内容に応じて図6に示す分配率カーブを指定し、その旨を出力画像信号分配部22へ出力する。出力画像信号分配部22では、ステップS12にて指定された分配率カーブに基づき、前画面11及び後画面12に表示する立体表示用の画像を作成する。即ち、ステップS12にて指定された分配率により特定される出力輝度レベルを有する前画面11用の立体表示用の画像と後画面12用の立体表示用の画像を示す出力画像信号を作成する(ステップS13)。
【0123】
そして、出力画像信号分配部22は、ステップS13にて作成された出力画像信号を、夫々対応する第一駆動部15及び第二駆動部16へ出力する。(ステップS14)。
【0124】
これにより、前画面11及び後画面12に適切に輝度調整された画像が表示され、観察者は立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0125】
続いて、図6を参照して、ステップS12で指定した分配率カーブについて説明する。ここに、図6は、奥行(%)と分配率(%)との関係の一の具体例を示すグラフであって、該グラフと図4に示す画像との関係を示すものである。
【0126】
図6に示すように、分配率カーブは、入力画像の奥行(%)に対応する分配率(%)を示している。そして、係る分配率カーブは、前画面11に表示される画像の分配率を示す分配率カーブと、後画面12に表示される画像の分配率を示す分配率カーブとが示されている。
【0127】
例えば、前画面11に表示される立体表示用の画像の作成時には、0%から20%の奥行を有する「人に係る画像部分」については、その奥行位置に応じて入力画像信号の輝度レベルに対して100%から50%の出力輝度レベルが割り振られる(即ち、分配される)。例えば20%から50%の奥行を有する「家に係る画像部分」については、その奥行位置に応じて50%から15%の出力輝度レベルが割り振られる。例えば50%から100%の奥行を有する「山に係る画像部分」については、その奥行位置に応じて15%から0%の出力輝度レベルが割り振られる。いずれも、奥行が大きくなるほど(即ち、より奥側に画像部分が存在する程)分配率は小さくなるため、出力輝度レベルは小さくなる。
【0128】
従って、その奥行位置に応じて適切に輝度調整された前画面11に表示される立体表示用の画像が作成される。即ち、相対的に大きな分配率が割り振られた入力画像の部分は、その輝度の変化の幅が大きい状態で表示される。一方、相対的に小さな分配率が割り振られた入力画像の部分は、その輝度の変化の幅が小さい状態で表示される。
【0129】
他方、後画面12に表示される立体表示用の画像の作成時には、0%から20%の奥行を有する「人に係る画像部分」については、その奥行位置に応じて入力画像信号の輝度レベルに対して0%から50%の出力輝度レベルが割り振られる(即ち、分配される)。例えば20%から50%の奥行を有する「家に係る画像部分」については、その奥行位置に応じて50%から85%の出力輝度レベルが割り振られる。例えば50%から100%の奥行を有する「山に係る画像部分」については、その奥行位置に応じて85%から100%の出力輝度レベルが割り振られる。いずれも、奥行が大きくなるほど(即ち、より奥側に画像部分が存在する程)分配率は大きくなるため、割り振られる出力輝度レベルは大きくなる。従って、その奥行位置に応じて適切に輝度調整された画像部分を含んだ、後画面12に表示される立体表示用の画像が作成される。
【0130】
そして、前画面11及び後画面12の夫々に、対応する立体表示用の画像を表示することで、観察者は立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0131】
ここで特に、図6に示す分配率カーブにより立体表示用の画像を作成すれば、人に係る画像部分の輝度の変化の幅が大きく(即ち、分配率の変化が大きく)、且つ山に係る画像部分の輝度の変化の幅が小さい(即ち、分配率の変化が小さい)立体表示用の画像が作成される。ここに、分配率の変化が大きければ、その画像はより手前側からより奥側に存在するかのように表示される。従って、観察者は、人に係る画像部分については、その奥行幅が大きな(即ち、立体感の強調された)画像として視覚することとなる。具体的には、輝度の変化(即ち、分配率の変化)に合わせて、おおよそ0%から50%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体感が得られる。即ち、本来であれば0%から20%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体感が得られる人に係る画像部分について、図6に示す分配率カーブに基づいて適切に輝度の割振を行うことで、その奥行方向の立体感を強調することが可能となる。
【0132】
一方、観察者は、山に係る画像部分については、その奥行の幅が小さな(即ち、立体感が弱められた)画像として視覚することとなる。具体的には、分配率の変化に合わせて、おおよそ85%から100%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体感が得られる。即ち、本来であれば50%から100%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体感が得られる山に係る画像部分について、図6に示す分配率カーブに基づいて適切に輝度の割振を行うことで、その奥行方向の立体感を弱めることが可能となる。
【0133】
ここで、図6に示す分配率カーブに代えて、例えば図7に示す分配率カーブを指定した場合について、比較例として説明する。ここに、図7は、奥行(%)と分配率(%)との関係の比較例を示すグラフであって、該グラフと図4に示す画像との関係を示すものである。
【0134】
図7に示すように、比較例では、奥行(%)と分配率(%)とがリニアな関係にある分配率カーブが指定され、該分配率カーブに基づいて立体表示用の画像が作成される。
【0135】
このため、入力画像に示される人、家及び山に係る奥行の関係が変化することなく、立体的な画像として表示される。従って、観察者は、山に係る画像部分については、その奥行方向の立体感が大きく、逆に人に係る画像部分については、その奥行方向の立体感が小さな画像として視覚することとなる。具体的には、人に係る画像部分は、0%から20%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体感が得ることができ、一方、山に係る画像部分は、50%から100%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体感が得ることができる。従って、観察者は、山に係る画像部分と比較して、人に係る画像部分に十分な立体感を感じることのない立体的な画像として視覚することとなる。言い換えれば、山に係る画像部分に対して、過剰ともいえる立体感を有する立体的な画像として視覚することとなる。
【0136】
しかるに図6に示す分配率カーブを指定することで、例えば入力画像の内容に応じて、適切に立体感を有する立体的な画像を表示することが可能となる。即ち、人に係る画像部分に対しても適切な立体感を付与し、観察者により適切な立体感を有する立体的な画像として視覚させることが可能という大きな利点を有することとなる。
【0137】
尚、出力レベル指定部21が所望の分配率カーブを指定するために、入力画像信号は、表示内容パラメータを有していてもよい。係る表示内容パラメータは、例えば図3に示す画像に係る入力画像信号が有する表示内容パラメータであれば、例えば人に係る画像部分の立体感を強調し、山に係る画像部分の立体感を弱める旨の内容を示していてもよい。即ち、表示内容パラメータは、入力画像に係る立体感を特定可能な情報(例えば、所定の画像部分の立体感の強調等)を含んでいることが好ましい。或いは、例えば分配率カーブを直接的に又は間接的に指定可能な出力レベルパラメータであってもよい。即ち、出力輝度レベルを指定するための分配率カーブを特定可能な情報を含んでいることが好ましい。
【0138】
これらの表示内容パラメータ或いは出力レベルパラメータは、入力画像信号に付加されていてもよいし、或いは入力画像信号とは別系統で表示装置1に入力されてもよい。そして、表示内容パラメータ或いは出力レベルパラメータは、入力画像のオーサが予め作成するものであってもよいし、或いは表示装置1のユーザが作成するものであってもよい。加えて、ユーザが例えばリモコン、キーボード、マウス、タッチパネル或いは操作ボタン等の外部入力部を使用して外部より入力可能であってもよい。
【0139】
そして、この場合、出力レベル指定部21は、表示内容パラメータ或いは出力輝度パラメータを取得可能に構成されていることが好ましい。これにより、出力レベル指定部21は、表示内容パラメータ或いは出力レベルパラメータの内容に応じて、所定の分配率カーブを指定することが可能となる。
【0140】
但し、このような表示内容パラメータ及び出力レベルパラメータを有していなくとも、例えばデフォルトの分配率カーブを指定することで、相応に立体感を有する立体的な画像を表示することが可能である。或いは、例えば観察者が直接分配率カーブを指定可能な外部入力部を備えていれば、該観察者自身が分配率カーブを指定してもよい。
【0141】
続いて、図8から図15を参照して、出力レベル指定部21が指定する分配率カーブのうち、他の具体例について説明する。ここに、図8から図15は、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフである。
【0142】
例えば図8に示すように、人に係る画像部分の立体感をより強調することが可能な分配率カーブを指定してもよい。このとき、奥行0%から20%の奥行幅内における任意の奥行位置において存在する人に係る画像部分に対して、分配率の変化は0%から約70%(或いは、100%から約30%)が割り当てられている。このため、表示装置1に表示される立体画像としては、人に係る画像が奥行0%から70%の奥行幅内における任意の奥行位置において立体的に表示されることとなる。一方、山に係る画像部分においては、分配率の変化が殆どないため、表示装置1に表示される立体画像としては、山がほぼ背景と同様に表示されることとなる。
【0143】
又、例えば図9に示すように、山に係る画像部分の立体感を強調することが可能な分配率カーブを指定してもよい。この場合、人に係る画像部分は、前画面11に平面的に表示されているかのように表示される。
【0144】
又、例えば図10に示すように、その変化率が一定の直線でなくとも、相異なる変化率を有する2つの直線を任意に組み合わせた分配率カーブを指定してもよい。即ち、図10中、鎖線にて示す奥行(%)を境界として、該境界の両側における変化率(即ち、傾き)を異なるものとしている分配率カーブを指定してもよい。この場合、例えば奥行(%)が小さい範囲(即ち、観察者から見てより近い側)の立体感を相対的に強調し、奥行(%)が大きい範囲(即ち、観察者から見てより遠い側)の立体感を相対的に弱くすることが可能となる。
【0145】
或いは、図11に示すように、変化率が相異なる3つ(或いは、それ以上の)直線を組み合わせた分配率カーブを指定してもよい。即ち、図11中、二つの鎖線にて示す奥行(%)を境界として、該境界の両側における変化率を異なるものとしている分配率カーブを指定してもよい。
【0146】
このように、所定の奥行幅毎に分配率カーブの奥行に対する変化率を変えることで、該奥行幅において立体感が得られる表示対象物の立体感を歪ませることなく、且つ表示対象物毎に所望の立体感を付与することが可能となる。
【0147】
又、図12に示すように、奥行によっては、一部が直線(即ち、リニアな関係)で、他の一部が曲線(即ち、ノンリニアな関係)である分配率カーブを指定してもよい。即ち、図12中のグラフにおいて、鎖線にて示す奥行(%)における点を変曲点として、該変曲点より手前側は所定の直線を示し且つ該変曲点より奥側は所定の曲線を示す分配率カーブを指定してもよい。
【0148】
或いは、図13に示すように、直線部分と曲線部分とが夫々組み合わされた分配率カーブを指定してもよい。この場合も、図13中のグラフにおいて、2つの鎖線にて示す奥行(%)における夫々の点を変曲点とする分配率カーブを指定してもよい。
【0149】
このように、リニアな分配率カーブと、ノンリニアな分配率カーブとを組み合わせた分配率カーブにより、例えば表示対象物毎により一層適切な立体感を付与することが可能となる。
【0150】
又、図14に示すように、前画面11と後画面12との分配率の和が100%でなく、例えば分配率の和が100%未満となるような分配率カーブを指定してもよい。或いは、図15に示すように、前画面11と後画面12との分配率の和が100%でなく、例えば分配率の和が100%を超過するような分配率カーブを指定してもよい。尚、このような分配率カーブは、例えば前画面11及び後画面12のガンマ特性を考慮した場合に指定されることが好ましい。但し、ガンマ特性を考慮した場合に限らずとも、該分配率カーブを指定することで相応の立体感を得ることも可能である。
【0151】
或いは、これらの分配率カーブに限らずとも、奥行と分配率の対応付けが可能な分配率カーブ(例えば、所定の関数或いはテーブルにより表現されるものを含む)を指定してもよい。
【0152】
以上説明したように、本発明の表示装置に係る第1実施例によれば、入力される画像(表示すべき画像)のコンテンツ内容に応じて、所定の或いは所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能である。従って、観察者は、表示される画像の内容によらず、最適な或いは適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0153】
(第2実施例)
続いて、図16及び図17を参照して、本発明の表示装置に係る第2実施例について説明する。尚、第2実施例に係る表示装置において、第1実施例と同様の構成には、第1実施例と同様の参照番号及びステップ番号を付するものとし、その説明を省略する。
【0154】
(第2実施例の基本構成)
先ず、図16を参照して、本発明の表示装置に係る第2実施例の基本構成について説明する。ここに、図16は、本発明の表示装置に係る第2実施例の基本構成を示すブロック図である。
【0155】
図16に示すように、表示装置2は、前画面11、後画面12、第一駆動部15、第二駆動部16、制御部17、出力レベル指定部21、出力画像信号分配部22及びパラメータ取得部24を備えて構成されている。
【0156】
第2実施例では特に、パラメータ取得部24は、前画面11及び後画面12に表示される画像を観察する仮想的な観察者の観察条件を示す観察パラメータを取得可能である。そして、該取得した観察パラメータを出力レベル指定部21へ出力し、出力レベル指定部21は、該観察パラメータに基づき、所定の分配率カーブを指定する。
【0157】
尚、該観察パラメータは、例えば現実の観察者の観察条件を監視する監視装置から取得するように構成してもよいし、或いは、例えばリモコン、タッチパネル、マウス、キーボード或いは操作ボタン等の外部入力部を備えていれば、例えば観察者が指定したパラメータ(即ち、仮想的な観察者の観察条件を示すパラメータ)を取得するように構成してもよい。
【0158】
(第2実施例の動作例)
続いて、図17を参照して、本発明の表示装置に係る第2実施例の動作例について説明する。ここに、図17は、本発明の表示装置に係る第2実施例の動作を示すフローチャートである。
【0159】
図17に示すように、出力レベル指定部21が入力画像信号を取得する(ステップS11)。そして、パラメータ取得部24は観察パラメータを取得する(ステップS21)。
【0160】
この観察パラメータは、例えば仮想的な観察者の観察位置(或いは、視点)、視線、視野(或いは、視野角)、或いは仮想的な観察者と表示装置2に表示される表示対象物との間の距離等を特定可能な情報を含んでいることが好ましい。即ち、例えば、「仮想的な観察者は表示対象物の真正面の位置に、且つ表示対象物より2mの位置にて観察している」等の情報を含んでいることが好ましい。
【0161】
その後、出力レベル指定部21は、分配率カーブを指定する(ステップS22)。係る分配率カーブは、第1実施例と同様に、所望の分配率カーブを指定することが可能である。そして第2実施例では特に、出力レベル指定部21は、ステップS21でパラメータ取得部24が取得した観察パラメータに基づいて、分配率カーブを指定することが好ましい。
【0162】
即ち、観察パラメータにより特定される、例えば仮想的な観察者と表示対象物との距離や、仮想的な観察者の視線、視野(或いは、視野角)、観察位置等に応じて、例えば観察者に最適な或いはより適切な立体感を与えることの可能な分配率カーブが指定されることが好ましい。例えば、仮想的な観察者の視野が魚眼レンズの如く広角的なものである場合は、例えば視野の中心部に存在する表示対象物の立体感を強調するような分配率カーブ(或いは、出力輝度レベル)が指定されることが好ましい。
【0163】
或いは、観察者が観察者自身で設定する観察パラメータの値に応じて、適切な分配率カーブを指定してもよい。即ち、観察者が希望する観察条件に合わせて、適切な分配率カーブを指定してもよい。この場合、例えば観察者が表示装置2から相対的に遠ざかった位置より観察している場合には、観察者と表示装置2との距離に比較して、人に係る画像部分の奥行方向の大きさが小さくなる。このため、人に係る画像部分に対して観察者が得る立体感が弱くなる。従って、観察者が観察者自身の係る観察条件を考慮して入力する観察パラメータに応じて、出力レベル指定部21は、人に係る画像部分の輝度の変化の幅が大きくなるように、適切な分配率カーブを指定することが好ましい。これにより、仮に観察者が表示装置2から遠ざかっても、観察者は人に係る画像部分に対して、適切な立体感を得ることが可能となる。
【0164】
そして、出力画像信号分配部22では、ステップS22で指定された分配率カーブに基づいて、出力画像信号を作成する(ステップS13)。そして、出力画像信号分配部22は、ステップS13にて作成された出力画像信号を、夫々対応する第一駆動部15及び第二駆動部16へ出力する(ステップS15)。
【0165】
これにより、前画面11及び後画面12に適切に輝度調整された画像が表示され、観察者は立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0166】
以上説明したように、本発明の表示装置に係る第2実施例によれば、仮想的な観察者の観察条件に応じて、例えば観察者の遠近感等が考慮された所定の或いは所望の立体感を有する立体的な画像を表示することが可能である。従って、観察者は、表示される画像の内容によらず、最適な或いは適切な立体感を有する立体的な画像を視覚することが可能となる。
【0167】
尚、第2実施例においても、第1実施例と同様に、画像の表示内容(即ち、表示内容パラメータ)も更に考慮してより適切な分配率カーブを指定してもよい。
【0168】
尚、上述した第1及び第2実施例は、前後に置かれた二つの表示手段により立体画像が表示される形態であるが、更に複数の表示手段を相前後して配置するものであっても良く、一層、滑らかな立体画像が得られる。
【0169】
更に、上述の如く、具体的な分配率或いは出力輝度レベルを指定して立体表示を行うことに限らず、例えば選択した幅部分に存在する表示対象物の明るさ、色合い或いはフォーカス感等を変化させてもよい。
【0170】
加えて、例えば輝度変調型の立体表示方式に限らず、任意の立体表示方式或いは3次元表示方式においても、相応に本実施例における利益を享受することが可能となる。
【0171】
本発明は、上述した実施形態或いは実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う表示装置及び方法もまた本発明の技術思想に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置に係る第1実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の表示装置に係る第1実施例の表示部の他の構成について示す光学系の図式的断面図である。
【図3】本発明の表示装置に係る第1実施例の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の表示装置に係る第1実施例において表示される画像の具体例を概念的に示す模式図である。
【図5】本発明の表示装置に係る第1実施例において、図4に示す画像の奥行(%)を概念的に示す模式図である。
【図6】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の一の具体例を示すグラフであって、該グラフに対応する図4に示す画像の具体例を示す模式図である。
【図7】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフであって、該グラフに対応する図4に示す画像の具体例を示す模式図である。
【図8】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフである。
【図9】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフである。
【図10】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフである。
【図11】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフである。
【図12】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフである。
【図13】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフである。
【図14】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフである。
【図15】本発明の表示装置に係る第1実施例における、奥行(%)と分配率(%)との関係の他の具体例を示すグラフである。
【図16】本発明の表示装置に係る第2実施例の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の表示装置に係る第2実施例の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1、2・・・表示装置
11・・・前画面
12・・・後画面
13・・・ハーフミラー
15・・・第一駆動部
16・・・第二駆動部
17・・・制御部
21・・・出力レベル指定部
22・・・出力画像信号分配部
24・・・パラメータ取得部
Claims (19)
- 観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段と、
(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記複数の表示対象物の夫々のコンテンツ内容の両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定手段と、
前記複数の表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記指定された前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。 - 前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物のうち立体感を強調する表示対象物に係る出力画像信号に対して、前記出力輝度レベルとして利用可能な輝度範囲を大きく割り当てるように前記出力輝度レベルを指定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物のうち立体感を弱くする表示対象物に係る出力画像信号に対して、前記出力輝度レベルとして利用可能な輝度範囲を小さく割り当てるように前記出力輝度レベルを指定することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
- 前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つのコンテンツ内容を示す表示内容パラメータを取得するパラメータ取得手段を更に備えており、
前記出力レベル指定手段は、前記取得した表示内容パラメータに基づいて、前記出力輝度レベルを指定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。 - 観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物の夫々に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段と、
前記複数の表示対象物が配置されている空間上における仮想観察者が、前記複数の表示対象物を観察する際の観察条件を示す条件パラメータを取得するパラメータ取得手段と、
(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記取得された条件パラメータの両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定手段と、
前記表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記指定された前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。 - 前記条件パラメータは、前記仮想観察者の観察位置に関する情報、前記仮想観察者と前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つとの距離に関する情報、及び前記仮想観察者の視野に関する情報のうち少なくとも一つの情報を含んでなることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
- 前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物のうち立体感を強調する表示対象物に係る出力画像信号に対して、前記出力輝度レベルとして利用可能な輝度範囲を大きく割り当てるように前記出力輝度レベルを指定し、前記複数の表示対象物のうち立体感を弱くする表示対象物に係る出力画像信号に対して、前記出力輝度レベルとして利用可能な輝度範囲を小さく割り当てるように前記出力輝度レベルを指定することを特徴とする請求項5又は6に記載の表示装置。
- 前記出力レベル指定手段は、前記奥行位置に対して前記出力輝度レベルがノンリニアに変化するように、前記出力輝度レベルを指定することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の表示装置。
- 前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物が存在する前記視線に沿った奥行方向の幅である奥行幅のうち、前記複数の表示対象物のうち一つが存在する幅部分内では、該一つの表示対象物についての前記複数の画像に係る出力輝度レベルが前記奥行位置に対してリニアに変化するように、前記出力輝度レベルを指定することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の表示装置。
- 前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物が存在する前記視線に沿った奥行方向の幅である奥行幅のうち一の幅部分内では、該一の幅部分内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物についての前記複数の画像に係る出力輝度レベルが前記奥行位置に対してリニアに変化するように、且つ、前記奥行幅のうち他の幅部分内では、該他の幅部分内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも他の一つの表示対象物についての前記複数の画像に係る出力輝度レベルが前記奥行位置に対してノンリニアに変化するように、前記出力輝度レベルを指定することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の表示装置。
- 前記出力レベル指定手段は、前記複数の表示対象物のうち前記観察者から見て手前側に表示されるべきものについては、前記奥行位置の増加に応じて前記出力輝度レベルが単調減少するように、且つ、前記複数の表示対象物のうち前記観察者から見て遠方側に表示されるべきものについては、前記奥行位置の増加に応じて前記出力輝度レベルが単調増加するように、前記出力輝度レベルを指定することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の表示装置。
- 前記入力画像信号は、前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物に係る前記奥行位置を示す奥行情報が付加されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の表示装置。
- 前記複数の表示手段は夫々、画素毎に表示可能であり、
前記出力レベル指定手段は、前記画素毎に前記出力輝度レベルを指定し、
前記出力レベル分配手段は、前記画素毎に前記出力画像信号を分配することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の表示装置。 - 複数の表示対象物から構成される立体表示画像の奥行方向の幅である奥行幅を、夫々所望の幅を有する複数の幅部分に分割する分割手段と、
前記複数の幅部分のうち一つ内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物のコンテンツ内容と、該少なくとも一つの表示対象物の奥行位置との両者に応じて、前記少なくとも一つの表示対象物に対して発生させる前記奥行方向の立体感の強弱の度合を示す立体感パラメータを、前記幅部分毎に付与するパラメータ付与手段と、
前記立体感パラメータに応じた強弱の度合に係る立体感を有するように、前記少なくとも一つの表示対象物を立体表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。 - 前記表示手段は、前記奥行方向に沿って観察者の視線上に相前後して配置されており且つ前記複数の表示対象物の夫々に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示することで前記立体表示画像の全体を表示し、
前記パラメータ付与手段は、(i)前記奥行位置及び前記コンテンツ内容に応じて定まる前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定すること及び(ii)前記少なくとも一つの表示対象物について前記指定された出力輝度レベルを有する出力画像信号を前記複数の表示手段の夫々へ分配することで、前記少なくとも一つの表示対象物に対して前記パラメータを付与することを特徴とする請求項14に記載の表示装置。 - 前記複数の表示手段のうち、少なくとも前記観察者から見て最も後方に配置された表示手段を除く表示手段は、半透明な表示デバイスからなることを特徴とする請求項1から13及び15のいずれか一項に記載の表示装置。
- 観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段を備えた表示装置における表示方法であって、
(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記複数の表示対象物の夫々のコンテンツ内容の両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定工程と、
前記複数の表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記出力レベル指定手段が指定する前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配工程と
を備えたことを特徴とする表示方法。 - 観察者の視線上に相前後して配置されており且つ複数の表示対象物の夫々に係る複数の画像を前記視線上において重ねて表示するための複数の表示手段を備えた表示装置における表示方法であって、
前記複数の表示対象物が配置されている空間上における仮想観察者が、前記複数の表示対象物を観察する際の観察条件を示す条件パラメータを取得するパラメータ取得工程と、
(i)前記複数の表示手段間に設定される前記複数の表示対象物の夫々の奥行位置及び(ii)前記取得された条件パラメータの両者に応じて、前記複数の画像の夫々の出力輝度レベルを指定する出力レベル指定工程と、
前記表示対象物を表示するための入力画像信号を、前記出力レベル指定手段が指定する前記出力輝度レベルを有する出力画像信号として、前記複数の表示手段の夫々に分配する出力レベル分配工程と
を備えたことを特徴とする表示方法。 - 複数の表示対象物から構成される立体表示画像の奥行方向の幅である奥行幅を、夫々所望の幅を有する複数の幅部分に分割する分割工程と、
前記複数の幅部分のうち一つ内に存在する前記複数の表示対象物のうち少なくとも一つの表示対象物のコンテンツ内容と、該少なくとも一つの表示対象物の前記奥行位置との両者に応じて、前記少なくとも一つの表示対象物に対して発生させる前記奥行方向の立体感の強弱の度合を示す立体感パラメータを、前記幅部分毎に付与するパラメータ付与工程と、
前記立体感パラメータに応じた強弱の度合に係る立体感を有するように、前記少なくとも一つの表示対象物を立体表示する表示工程と
を備えたことを特徴とする表示方法。
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