JP2004361288A

JP2004361288A - 放射線遮蔽機能を具備した椅子

Info

Publication number: JP2004361288A
Application number: JP2003161163A
Authority: JP
Inventors: Masaaki Sato; 正明佐藤; Hiroyo Wakui; 広世和久井; Koichi Yoshida; 浩一吉田; Atsushi Kimura; 敦木村
Original assignee: Itoki Co Ltd; Chiyoda Technol Corp
Current assignee: Itoki Co Ltd; Chiyoda Technol Corp
Priority date: 2003-06-05
Filing date: 2003-06-05
Publication date: 2004-12-24

Abstract

【課題】ＰＥＴ診断のように放射性物質が体内に投与されて、放射線が放出されている被験者を、被験者同士で、或は、被験者と第三者の間で放出される放射線からできるだけ遮蔽し、その放射線による被曝量を低減させることができる機能を具備した、診療機関などの待合室向けの椅子を提供すること。
【解決手段】座面１と着座者の頭部の後面までを支持できる高さの背もたれ２を具備した椅子ＣＨにおいて、前記座面１と背もたれ２の左右側に、当該椅子ＣＨの着座者の少なくとも頭部と腹部を側面から覆う形態のサイドパネル５，６を設けると共に、前記座面１と背もたれ２とサイドパネル５，６に、鉛板などによる放射線遮蔽材７〜１０をほぼ全面的に配設したこと。
【選択図】図２

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ＰＥＴ（ＰｏｓｉｔｒｏｎＥｍｉｓｓｉｏｎＴｏｍｏｇｒａｐｈｙ）と称される陽電子放出断面層撮影装置などのように、放射性薬剤や放射性核種を体内に投与して行われる診断や放射性同位元素を刺入，投与する治療などを受ける被験者などが座るのに適した椅子に関する。
【０００２】
【従来の技術】
上記ＰＥＴ診断では、例えばガン検診の場合、被験者にブドウ糖を陽電子放出核種で標識した放射性薬剤を投与し、これを追跡することで病変の位置や大きさなどを画像表示するものであるが、投与した放射性薬剤が体内の目的臓器に集積してＰＥＴで追跡できるまでに４０〜５０分程度、安静にして待機する必要がある。
【０００３】
この待機では、放射性薬剤が既に被験者に投与されているため、前記薬剤による放射線が体内から放射されているとき待機することになるため、被験者同士、或は、被験者とそうでない者の間で放射線被曝の問題が生じる。
【０００４】
この問題を回避するには上記被験者を、放射線遮蔽性の壁と天井と床で形成された遮蔽室に隔離することが考えられるが、そのような施設の設置は、そのための設備スペースを必要とするほか、多大な設備コストを要するため、導入設置することは困難なことが多い。
【０００５】
また、被験者を上記のような完全に遮蔽された部屋に入れて待機させることは、被験者にとっても圧迫感を覚え、大きな心理的苦痛を伴うことが考えられる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような点に鑑み、上記のＰＥＴ診断のように放射性物質が体内に投与されて、放射線が放出されている被験者を、被験者同士で、或は、被験者と第三者の間で放出される放射線からできるだけ遮蔽し、その放射線による被曝量を低減させることができる機能を具備した、診療機関などの待合室向けの椅子を提供することを課題とするものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明椅子の構成は、座面と着座者の頭部の後面までを支持できる高さの背もたれを具備した椅子において、前記座面と背もたれの左右側に、当該椅子の着座者の少なくとも頭部と腹部を側面から覆う形態のサイドパネルを設けると共に、前記座面と背もたれとサイドパネルに、鉛板などによる放射線遮蔽材をほぼ全面的に配設したことを特徴とするものである。
【０００８】
上記の放射線遮蔽材としては、鉛のほかタングステンや鉄などのような高比重金属材、或は、これらの金属粉末を合成樹脂に均一乃至ほぼ均一に練込んだ金属−合成樹脂系シートなどの材料などがある。
【０００９】
また、上記本発明椅子の上張り材（外皮）は、除染作業や清浄作業などが行い易く水が浸透しにくい材料（例えば人造皮革のような非織物地）や非織成，非編成系のシート材、若しくは、防水性シート材を着脱しやすい構造で用いることが好ましい。
【００１０】
【発明の実施の形態】
次に本発明放射線遮蔽機能椅子の実施の形態例について、図を参照して説明する。図１は本発明椅子の一例を内部構造を表わして示した正面図、図２は図１の椅子に被験者（人）が座った状態を模式的に示した側面図、図３は図２の本発明椅子の平面図である。
【００１１】
図１〜図３において、ＣＨは従来より公知の一人用ソファタイプと同様の座面１と背もたれ２を具備した椅子であるが、この椅子ＣＨは、本発明の課題を解決する目的で、以下に説明する固有の構成を具備したものであるから、次にこの点について述べる。
【００１２】
図示した椅子ＣＨは、上記座面と背もたれ２に加え左右の肘かけ３，４を具備していると共に、背もたれ２が、着座者Ｍの頭部Ｈｅより高いいわゆるハイバック仕様である点も、既に公知の構成のものと同様である。
【００１３】
しかし、図示した本発明椅子ＣＨは、上記各部材１〜３の公知構成に加え、左右の肘かけ３，４の後半部から背もたれ２の左右側にかけて、着座者Ｍの頭部Ｈｅから上半身を側面から覆う左右のサイドパネル５，６を設けると共に、前述した構成の座面１と背もたれ２、並びに、肘かけ３，４の側面を含むサイドパネル５，６に対し、夫々に、放射線遮蔽作用をする放射線遮蔽パネル７，８，９，１０を設けたものである。
【００１４】
本発明椅子ＣＨの図示した例では、座面１と背もたれ２とを設けた当該椅子ＣＨのフレームＦｃにおいて、座面１の下面側と背もたれ２の背面側に、放射線遮蔽作用のある鉛板製の座面遮蔽パネル７と背もたれ遮蔽パネル８を設けたが、これらのパネル７，８の配置位置は、図示した例に限られるものではなく、例えば、座面１や背もたれ２の厚さの中間部に挿入した形式としてもよい。
【００１５】
また、左右の肘かけ３，４のほぼ全面に対応すると共に、これらの肘かけ３，４と一体をなすサイドパネル５，６に対し、前記パネル７，８と同機能を有するサイド遮蔽パネル９，１０を設けた。
【００１６】
図示した本発明椅子ＣＨでは、座面遮蔽パネル７の前端部寄りに垂下して設けた補助遮蔽パネル７１と、背もたれ遮蔽パネル８の上端部近くに略水平姿勢で後方に向けた補助遮蔽パネル８１とが設けられている。
【００１７】
各遮蔽パネル７〜１０，７１，８１が座面１、背もたれ２、肘かけ３，４とサイドパネル５，６に対して夫々に全面的に設けられることにより、本発明椅子ＣＨに着座した着座者Ｍは、図２に例示するように、その者Ｍの前面と、肘かけ３，４の上と床ＦＬの上に露出した両手の腕Ａｍの一部と、両脚の脛Ｌｇより下方の部位以外は、前記遮蔽パネル７〜１０，７１，８１によって、下方，側方，後方のいずれもが、放射線から遮蔽されることになる。
【００１８】
本発明椅子ＣＨでは、設けた遮蔽パネル７〜１０，７１，８１によって上記の各面に関して放射線遮蔽機能を有するので、体内に放射性薬剤を投与された被験者Ｍがこの椅子ＣＨに着座した場合、その体内から放出される放射線は、前記の各遮蔽パネル７〜１０，７１，８１に遮蔽されるので、この椅子ＣＨの下面，後面，両側面から外部へ放射線が漏洩するのを抑制することができる。
【００１９】
本発明椅子に通常の者Ｍが着座した場合、その者Ｍはその椅子ＣＨの背面，下面，両側面の外から来る放射線を遮蔽することができる。因みに、一例として厚さ５ｍｍ程度の鉛板を上記の遮蔽パネル７〜１０，７１，８１として使用すると、γ線に対して約１２ｃｍ厚のコンクリート壁の遮蔽能力と同等の放射線遮蔽効果が得られるので、遮蔽パネル７〜１０，７１，８１の厚さは、使用する遮蔽材について遮蔽したい放射線の種類やそれらに対する遮蔽能に鑑みて、所望厚さの遮蔽性パネル体を用いればよい。
【００２０】
本発明椅子ＣＨにおいて、その座面１、背もたれ２、肘かけ３，４、サイドパネル５，６の外皮（上張り材或は表面材）は、除染や清浄などの作業をするため、耐アルコール性の抗菌，防汚性能に優れる人造皮革のような非織成或は非編成のシート地を用いることが望ましいが、織物地などを用いることができない訳ではない。更に、座面１と背もたれ２のクッション材は、修理や交換のため、椅子のフレームＦｃなどに対し嵌込み式で着脱できる構造のものが望ましい。
【００２１】
以上に説明した本発明椅子ＣＨでは、サイドパネル５，６を、着座者Ｍの頭部Ｈｅより下方の左，右側面が全面的に覆われる形状，大きさとしたが、先に述べたＰＥＴ診断で使用される放射性薬剤は被験者の頭部と下腹部に集中する傾向があるので、サイドパネル５，６はこの点に鑑み着座者Ｍの頭部Ｈｅと下腹部を側面から覆うことができる形状，大きさとすることができる。また、本発明椅子ＣＨでは、左右のサイドパネル５，６の上面を遮蔽パネル７などと同機能の遮蔽パネル（図示せず）により塞ぐこともある。
【００２２】
本発明椅子ＣＨでは、着座者Ｍがリラックスできるようにするため、背もたれ２やサイドパネル５，６の内部、更に必要であれば座面１の内部に、スピーカ（図示せず）を仕組み、このスピーカの動作コントロールスイッチなどを肘かけ３又は４の内側面などに設け、着座者Ｍが好みの音楽などを前記スピーカから聴くことができるような構成を採ることができる。また、背もたれ２などに待ち時間タイマーの装備をしたり、マッサージ機能を持たせることも任意である。但し、放射性薬剤を注入してＰＥＴ診断などの待機のため着座する場合には、着座者Ｍの視覚や聴覚などを刺激することのない安静な待機が望ましい。
【００２３】
また、本発明椅子ＣＨでは、背もたれ２に、その遮蔽パネル８と一体にフレームＦｃと座面１に対して数段階乃至無段階にリクライニングできる機構を具備させ、着座者Ｍに好みの着座姿勢を任意に選択させるようにしてもよい。リクライニング機構としては、図２において、座面１の上面後端と背もたれ２用の遮蔽パネル８の交点Ｐを軸にして、背もたれ２とこの部分で上下に分割された遮蔽パネル８の上部側とが、後方（図２の右方）へ何段階か或は連続的に傾斜でき、かつ、傾斜させた位置を固定できると共に、これらの逆動作ができるものであれば足りる。
【００２４】
【発明の効果】
本発明椅子は以上の通りであって、ＰＥＴ診断のように放射性物質がトレーサーとして体内に投与されて、それから放射線が放出される被験者を、被験者同士で、或は、被験者と第三者の間で放射線をできるだけ遮蔽し、その放射線被曝を低減させることができる機能を具備した、診療機関などの待合室向けの椅子を提供するため、座面と着座者の頭部の後面までを支持できる高さの背もたれを具備した椅子において、前記座面と背もたれの左右側に、当該椅子の着座者の少なくとも頭部と腹部を側面から覆う形態のサイドパネルを設けると共に、前記座面と背もたれとサイドパネルにも、鉛などの放射線遮蔽機能を有する材料をほぼ全面的に配設して待合室用の椅子としたので、放射性薬剤を投与された被験者が待機時間に座る椅子、或は、近くに放射線源がある場所で座る椅子などとして、放射線被曝を回避，抑制できる椅子としてきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明椅子の一例を内部構造を表わして示した正面図。
【図２】図１の椅子に被験者（人）が座った状態を模式的に示した側面図。
【図３】図２の本発明椅子の平面図。
【符号の説明】
１座面
２背もたれ
３，４肘かけ
５，６左右のサイドパネル
７，８，９，１０放射線遮蔽パネル
７１，８１補助遮蔽パネル
ＣＨ椅子

Claims

座面と着座者の頭部の後面までを支持できる高さの背もたれを具備した椅子において、前記座面と背もたれの左右側に、当該椅子の着座者の少なくとも頭部と腹部を側面から覆う形態のサイドパネルを設けると共に、前記座面と背もたれとサイドパネルに、鉛板などによる放射線遮蔽材をほぼ全面的に配設したことを特徴とする放射線遮蔽機能を具備した椅子。
放射線遮蔽材を、座面と背もたれとサイドパネルの内部に配設した請求項１の放射線遮蔽機能を具備した椅子。
放射線遮蔽材としては、鉛のほかタングステンなどのように密度が大きい金属材、或は、これらの粉末を合成樹脂にほぼ均一に練込んだ金属−樹脂系の材料などを使用した請求項１又は２の放射線遮蔽機能を具備した椅子。
上張り材（外皮）を、除染や清浄などの作業が行い易い人造皮革のような非織物地、或は、非編物地系のシート材により形成した請求項１〜３のいずれかの放射線遮蔽機能を具備した椅子。