JP2004361149A - 含水量測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被測定物の含水量を高精度に測定することが可能な含水量測定装置を提供する。
【解決手段】紙Pにおいて反射した反射光Rの強度を検出するディテクタ4と、紙Pを透過した透過光Tの強度および照射光の強度を検出するディテクタ42とを備え、ディテクタ4において検出された反射光Rの検出結果と、ディテクタ42において検出された透過光Tおよび照射光の検出結果とに基づいて、紙Pの含水量を演算する。透過光Tの強度が無視できないほどに大きな紙Pの含水量を測定する際に、透過光Tの強度を加味せずに反射光Rの強度のみに基づいて含水量を演算する場合と比較して、透過光Tの強度を加味した分だけ紙Pの厚さに対する反射率の依存性が補正されるため、紙Pの厚さの影響が排除され、含水量の演算精度が向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】紙Pにおいて反射した反射光Rの強度を検出するディテクタ4と、紙Pを透過した透過光Tの強度および照射光の強度を検出するディテクタ42とを備え、ディテクタ4において検出された反射光Rの検出結果と、ディテクタ42において検出された透過光Tおよび照射光の検出結果とに基づいて、紙Pの含水量を演算する。透過光Tの強度が無視できないほどに大きな紙Pの含水量を測定する際に、透過光Tの強度を加味せずに反射光Rの強度のみに基づいて含水量を演算する場合と比較して、透過光Tの強度を加味した分だけ紙Pの厚さに対する反射率の依存性が補正されるため、紙Pの厚さの影響が排除され、含水量の演算精度が向上する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば紙などの被測定物の含水量を測定するために使用される含水量測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば紙などの被測定物の含水量を測定するために、含水量測定装置が使用されている。この含水量測定装置としては、例えば、被測定物へ光を照射した際に生じる反射光の強度を検出し、その反射光の強度が含水量に応じて変化することを利用して含水量を演算するものが知られている。
【0003】
具体的には、例えば、光源から被測定物へ2種類の波長域の光、すなわち被水吸収性の高い1μm以上の波長域の光と被水吸収性の低い1μm未満の波長域の光とを照射し、各波長域に検出感度を有する2種類の検出手段を使用して反射光の強度を検出することにより、その反射光に含まれている2種類の波長域の光の強度間の関係に基づいて含水量を演算する含水量測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この含水量測定装置では、光源から照射された光を波長分離するための機構(複数の光学フィルタを有するターレット式のセレクタ)が不要である。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−283916号公報
【0005】
また、例えば、光源から被測定物へ3種類の波長の光、すなわち1つの赤外線吸収波長の光(被水吸収性の高い波長の光)と2つの赤外線比較波長の光(赤外線吸収波長の光よりも短波長側または長波長側に相当する被水吸収性の低い光)とを照射した際に生じる反射光の強度を検出し、その反射光に含まれている3種類の波長の光の強度間の関係に基づいて誤差(水による光吸収以外の要因に起因する誤差)を補正することにより、含水量を演算する含水量測定装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この含水量測定装置では、具体的には、赤外線比較波長の光の反射率を外挿することにより赤外線吸収波長の光の散乱率を演算した上で、赤外線吸収波長の光の散乱率および反射率に基づいて吸収率を演算することにより、その吸収率に基づいて被測定物の含水量を特定している。この含水量測定装置では、外乱(被測定物の表面粗さ等)に起因する誤差が補正される。
【0006】
【特許文献2】
特開平03−115838号公報
【0007】
なお、含水量測定装置としては、上記したように、反射光の検出結果のみに基づいて含水量を演算するものの他に、例えば、被測定物の透過率が無視できない場合には、反射光の検出結果と共に透過光の検出結果に基づいて含水量を演算するものも知られている。この種の含水量測定装置としては、例えば、光源から被測定物へ2種類の波長域の光、すなわち被水吸収性の高い波長域の光と被水吸収性の低い波長域の光とを照射したのち、被測定物を1回透過した透過光(1回透過光)の強度と被測定物において1回反射した反射光(1回反射光)の強度とを検出することにより、これらの1回透過光および1回反射光の強度間の関係に基づいて含水量を演算するものが挙げられる(例えば、特許文献3参照。)。この含水量測定装置では、多重散乱方式の理想的測定状態が再現される。
【0008】
【特許文献3】
特公平05−045137号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、含水量測定装置を使用して被測定物の含水量を高精度に測定するためには、その含水量の測定精度に誤差を及ぼし得る要因を可能な限り取り除き、その誤差を小さくする必要がある。この点に関して、従来の含水量測定装置の中には、反射光の強度と共に透過光の強度も検出し、被測定物の透過率の影響も加味して含水量を演算しているものもあるが、誤差を小さくして含水量の測定精度を向上させるためには、透過光の強度と反射光の強度とを可能な限り高精度に検出する必要があり、特に、反射光については絶対反射率を検出することが望まれるため、未だ改善の余地があると言える。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、被測定物の含水量を高精度に測定することが可能な含水量測定装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る含水量測定装置は、被測定物へ照射光を照射する光源と、被測定物を透過した透過光の強度を検出する透過光強度検出手段と、被測定物において反射した反射光の強度を検出する反射光強度検出手段と、少なくとも透過光強度検出手段の検出結果および反射光強度検出手段の検出結果に基づいて被測定物の含水量を演算する演算手段とを備えるようにしたものである。
【0012】
本発明に係る含水量測定装置では、光源から照射光が照射され、その被測定物において透過光および反射光が生じると、透過光強度検出手段において透過光の強度が検出されると共に、反射光強度検出手段において反射光の強度が検出される。そして、演算手段が、少なくとも透過光強度検出手段の検出結果および反射光強度検出手段の検出結果に基づいて被測定物の含水量を演算する。透過光の強度を加味せずに反射光の強度のみに基づいて含水量を演算する場合と比較して、透過光の強度を加味した分だけ被測定物の厚さに対する反射率の依存性が補正され、含水量の演算精度が向上する。
【0013】
本発明に係る含水量測定装置では、被測定物を透過した光のうちの一部の光を透過光として選択的に透過させることにより透過光強度検出手段へ導く選択的透過手段を備えるようにしてもよい。
【0014】
特に、本発明に係る含水量測定装置では、光源から照射された照射光を反射して散乱させることにより被測定物へ導く反射散乱手段を備えるようにしてもよく、この反射散乱手段は積分球であるのが好ましい。また、光源から照射された照射光の強度を検出する照射光強度検出手段を備え、演算手段が、透過光強度検出手段の検出結果および反射光強度検出手段の検出結果と共に照射光強度検出手段の検出結果に基づいて被測定物の含水量を演算するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る含水量測定装置では、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へ導かれる光のうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる光学フィルタを備えるようにしてもよく、この光学フィルタはゲルマニウムにより構成されているのが好ましい。また、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へ導かれる光を1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する光学的分離手段を備え、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段が、光学的分離手段により分離された1.8μm以上の波長域の光の強度と1.8μm未満の波長域の光の強度とを別個に検出するようにしてもよく、この光学的分離手段はハーフミラーであるのが好ましい。
【0016】
なお、上記した「光学フィルタ」に関する「光のうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる」という表現は、厳密に1.8μm以上の波長域の光のみを透過させる(1.8μm未満の波長域の光は一切透過させない)場合に限らず、全体中において1.8μm以上の波長域の光が占める割合が大きい光を透過させる(1.8μm以上の波長域の光を大部分透過させると共に、1.8μm未満の波長域の光も僅かに透過させる)場合も含む意味である。同様に、上記した「光学的分離手段」に関する「光を1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する」という表現は、1.8μmの波長を基準(境界)として厳密に1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する場合に限らず、全体中において1.8μm以上の波長域の光が占める割合が大きい光(1.8μm以上の波長域の光を大部分含み、1.8μm未満の波長域の光も僅かに含む光)と全体中において1.8μm未満の波長域の光が占める割合が大きい光(1.8μm未満の波長域の光を大部分含み、1.8μm未満の波長域の光も僅かに含む光)とに分離する場合も含む意味である。もちろん、「1.8μm以上の波長域の光の強度と1.8μm未満の波長域の光の強度とを別個に検出する」という表現についても同様の意味である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る含水量測定装置の構成について説明する。図1および図2は、本実施の形態に係る含水量測定装置の断面構成を表しており、図1は反射光強度および透過光強度検出時の状態を示し、図2は照射光強度検出時の状態を示している。
【0019】
この含水量測定装置は、例えば、コピー機やプリンタ等に搭載され、被測定物としての紙Pの含水量Qを測定するために使用されるものであり、非透過性の紙Pの含水量Qだけでなく、透過性(例えば薄厚や低密度)の紙Pの含水量Qも測定するためのものである。この含水量測定装置は、図1および図2に示したように、紙Pへ照射光Iを照射する光源1と、紙Pを挟んで対向配置された2つの積分球2(反射散乱手段),22と、紙Pにおいて反射した反射光Rの強度を検出するディテクタ4(反射光強度検出手段)と、このディテクタ4に対応して配置された集光用のレンズ5および波長分離用のフィルタ6(光学フィルタ)と、紙Pを透過した透過光Tの強度を検出するディテクタ42(透過光強度検出手段)と、このディテクタ42に対応して配置された集光用のレンズ52および波長分離用のフィルタ62(光学フィルタ)とを備えている。この積分球2には、例えば、側方、下方および上方にそれぞれ開口部2KA、2KBおよび2KCが設けられており、その積分球2の内部には、障壁としてのバフル7が設けられている。また、積分球22には、例えば、上方および側方にそれぞれ開口部22KAおよび22KBが設けられている。
【0020】
光源1は、照射光Iとして赤外線光、具体的には1.8μm以上の波長域の光を含む赤外線光を照射するものである。この光源1は、例えば、フィラメント電球により構成されており、積分球2の開口部2KAに配置されている。
【0021】
積分球2は、光源1から照射された照射光Iを閉じ込めて反射散乱させることにより紙Pへ導き、その照射光Iを紙Pへ等方的に照射させるための略球状の器である。この積分球2は、例えば、照射光Iの反射散乱性を高めるために内面(散乱面2M)が微細な凹凸構造(例えば表面粗さが数十μm程度)を有しており、具体的には、金属製の球2Gの内面に、散乱面2Mを構成する高赤外線反射性の散乱膜2Sが設けられた構成を有している。この散乱膜2Sは、例えば、金属のめっき膜(例えば金、銀、銅、クロムまたはニッケル等)や、光散乱用の微細な窪みや空洞(気泡)を有する塗膜(例えば弗素樹脂、ポリエチンレンまたは無機顔料等)や、金属酸化物の蒸着膜(例えば酸化マグネシウム)や、球2G(例えばアルミニウム)の内面が陽極酸化された金属酸化膜(例えばアルマイト)などにより構成されている。この散乱膜2Sが金以外の金属により構成されている場合には、例えば、散乱膜2S上にさらに防食用の金めっき膜が設けられる場合もある。
【0022】
積分球22は、紙Pを透過した透過光Tと共に積分球2を経由して導かれた照射光Iを反射して散乱させることにより開口部22KBを通じてディテクタ42へ導くものであり、例えば、積分球2と同様の構成を有し、すなわち球22Gの内面に散乱面22Mを構成する散乱膜22Sが設けられた構成を有している。この積分球22の寸法(例えば内径)は、例えば、積分球2の寸法とほぼ同様である。
【0023】
ディテクタ4は、赤外線波長域に検出感度を有するものであり、例えば、焦電素子により構成されている。このディテクタ4は、例えば、積分球2の開口部2KCに対応して配置されており、レンズ5およびフィルタ6と共に一直線上に配列されている。
【0024】
レンズ5は、反射光Rを集光してフィルタ6へ導くものであり、例えば、ガラスにより構成されている。このレンズ5は、ディテクタ4の検出視野角が紙Pの露出領域(積分球2の開口部2KBに対応して露出している領域)に含まれるように設計されている。
【0025】
フィルタ6は、反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)を選択的に透過させてディテクタ4へ導くものであり、例えば、主に1.8μm未満の波長域に赤外線吸収特性を有するゲルマニウム(例えばゲルマニウム板)により構成されている。なお、上記した「反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる」という表現は、厳密に1.8μm以上の波長域の光のみを透過させる(1.8μm未満の波長域の光は一切透過させない)場合に限らず、全体中において1.8μm以上の波長域の光が占める割合が大きい光を透過させる(1.8μm以上の波長域の光を大部分透過させると共に、1.8μm未満の波長域の光も僅かに透過させる)場合も含む意味である。この旨は、他のフィルタ62および後述するフィルタ61についても同様である。
【0026】
このフィルタ6において、反射光R1のみを透過させる理由は、以下の通りである。すなわち、被水吸収性の高い赤外線光の波長域としては、一般に、1.4μm近傍と、1.9μm近傍と、3.0μm近傍との3つが知られており、これらの3つの波長域の赤外線光を利用すれば、水による吸収現象に伴う赤外線光の強度変化に基づいて、紙Pの含水量Qを測定することが可能である。この場合には、特に、含水量Qを測定する上で、3つの波長域の赤外線光のうち、1.9μm近傍または3.0μm近傍の波長域の赤外線光を使用するのが好ましい。なぜなら、1.4μm近傍の波長域の赤外線光は、他の2つの波長域の赤外線光と比較して被水吸収性が低いため、ディテクタ4において水吸収に伴う赤外線光の強度変化を検出しにくいからである。この場合には、単色性に優れた光源1やディテクタ4が必要となるため、含水量測定装置の低コスト化を図る上で好ましくない。
【0027】
なお、フィルタ6は、例えば、ゲルマニウム板に代えて、このゲルマニウム板と同様に主に1.8μm未満の波長域において赤外線吸収特性を有する他のフィルタ材、具体的には回折格子、薄膜干渉フィルタまたはバンドパスフィルタなどにより構成されていてもよい。しかしながら、これらの他のフィルタ材は一般に高価である上、特に、光利用効率が十分でない回折格子を使用した場合には高出力型の光源1や高感度型のディテクタ4が必要となり、装置のコストアップを招いてしまうため、装置の低コスト化を図る上では、安価なゲルマニウム板を使用するのが好ましい。このゲルマニウム板をフィルタ6として使用すれば、ゲルマニウム元素のバンド間遷移に基づく赤外線吸収特性を利用して、反射光R1を安定的に透過させることが可能になる。
【0028】
ディテクタ42は、例えば、ディテクタ4と同様の構成を有しており、積分球22の開口部22KBに対応して配置され、特に、レンズ52およびフィルタ62と一直線上に配列されている。このディテクタ42は、透過光Tの強度と共に照射光Iの強度を検出するものである。
【0029】
レンズ52は、透過光Tおよび照射光Iを集光するものであり、例えば、レンズ5と同様の構成を有している。フィルタ62は、透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)を透過させてディテクタ42へ導くと共に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)を透過させてディテクタ42へ導くものであり、例えば、フィルタ6と同様にゲルマニウム(例えばゲルマニウム板)により構成されている。
【0030】
バフル7は、照射光Iが積分球2において反射散乱されることなく紙Pへ直接照射されることを防止すると共に、紙Pへ向けて照射光Iを反射するものであり、例えば、積分球2の開口部2KA,2KB間の位置に配置されている。なお、バフル7を設けるか否かは自由に設定可能である。
【0031】
なお、被測定物としての紙Pは、例えば、コピー機やプリンタ等に含水量測定装置と共に搭載されている搬送ローラなどの搬送機構(図示せず)により支持され、順次搬送されるようになっている。
【0032】
次に、図1〜図3を参照して、含水量測定装置の詳細な構成について説明する。図3は、図1および図2に示した含水量測定装置のブロック構成を表している。
【0033】
この含水量測定装置は、図1および図2に示した光源1およびディテクタ4,42を含む一連の構成要素と共に、各種情報を記憶するメモリ8と、装置全体を制御するコントローラ9(演算手段)と、ディテクタ4,42の出力信号を増幅するアンプ10と、その出力信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログ/デジタル(A/D)変換器11とを備えている。
【0034】
メモリ8は、コントローラ9が含水量Qの演算処理を行うために必要な情報を記憶しており、例えば、レジスタ、RAM(Random Access Memery)、ROM(Read Only Memory)またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory )などの記憶デバイスである。このメモリ8には、例えば、後述する吸収率・散乱率比AD/SDと含水量Qとの相関を表す検量線データCを含む演算用データが定数としてあらかじめ記憶されている。
【0035】
コントローラ9は、メモリ8から必要な演算用データを随時読み出し、ディテクタ4の検出結果に基づいて含水量Qを演算するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit ;中央演算処理装置)などの制御デバイスである。
【0036】
このコントローラ9は、例えば、光源1以外の熱源から発生した不要な赤外線光(背景輻射)に起因して含水量Qの演算結果に誤差が含まれることを防止するために、必要に応じてディテクタ4の検出強度を補正する機能を有している。具体的には、コントローラ9は、例えば、所定の演算間隔ごとに、光源1が稼働していて照射光Iが照射されている場合のディテクタ4の検出結果と、光源1が停止していて照射光Iが照射されていない場合のディテクタ4の検出結果とを比較することにより、これらの2つの検出結果間の差異(反射光R1と背景輻射に起因する光とが混合された混合光の強度と、背景輻射に起因する光の強度との差異)を算出したのち、その算出値を、光源1から照射光Iが照射された際に紙Pにおいて生じた反射光Rがディテクタ4へ導かれたことによる検出結果(すなわち反射光R1の強度)として判断し、その算出値に基づいて含水量Qを補正するようになっている。
【0037】
次に、図1〜図3を参照して、含水量測定装置の動作について説明する。
【0038】
この含水量測定装置では、光源1とディテクタ4,42との間に以下の光学的原理が成立する。すなわち、図1に示したように、積分球2,22間の位置に紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、その照射光Iが積分球2の散乱面2Mにおいて反射散乱されることにより開口部2KBを通じて紙Pへ導かれ、その紙Pへ等方的に照射されることにより反射光Rおよび透過光Tが生じる。この「等方的」とは、紙Pに垂直な軸と照射光Iの照射方向との間の角度の余弦に対して、その照射光Iの強度がほぼ比例するという意味である。反射光Rのうち、レンズ5、フィルタ6およびディテクタ4の配列方向に進行する成分のみが開口部2KCを通じてレンズ5へ導かれ、そのレンズ5において集光されたのち、さらにフィルタ6において波長分離される。これにより、反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がフィルタ6を透過し、ディテクタ4において検出される。また、透過光Tは、開口部22KAを通じて積分球22へ導かれ、その積分球22の散乱面22Mにおいて反射散乱されることにより開口部22KBを通じてフィルタ62へ導かれたのち、そのフィルタ62において波長分離されるため、上記した反射光Rと同様に、透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。一方、図2に示したように、積分球2,22間の位置から紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、その照射光Iが積分球2を経由して積分球22へ導かれるため、上記した透過光Tと同様に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ42において検出される。
【0039】
コントローラ9は、以下の動作手順により、ディテクタ4,42の検出結果に基づいて含水量Qを演算する。すなわち、まず、ディテクタ42において検出された照射光I1の強度とディテクタ4において検出された反射光R1の強度とに基づいて反射率RDを演算する。続いて、照射光Iの強度とディテクタ42において検出された透過光T1の強度とに基づいて透過率TDを演算する。続いて、反射率RDと透過率TDとに基づいて、吸収率・散乱率比AD/SDを演算する。最後に、メモリ8から検量線データCを読み出し、この検量線データCに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDに対応する含水量Qを特定する。これにより、ディテクタ4,42の検出結果に基づいて含水量Qが演算される。
【0040】
ここで、コントローラ9による吸収率・散乱率比AD/SDの演算原理について説明する。すなわち、例えば、紙Pの透過率TDが無視できるほどに小さい場合には、反射率RD、吸収率ADおよび散乱率SDの間にKubelka−Munkの散乱モデルに基づいて下記の式1の関係が成立し、吸収率ADと散乱率SDとの関係が反射率RDの関数として表される。この場合には、Kubelka−Munkの散乱モデルに基づく式1を応用して透過率TDも考慮すれば、反射率RD、吸収率AD、散乱率SDおよび透過率TDの間に下記の式2の関係が成立する。式2中、R∞は紙Pの厚さを無限大としたときの反射率であり、Rgは積分球22に応じた固有の反射率(既知)である。したがって、式2を利用すれば、反射率RDと透過率TDとに基づいて反射率R∞を演算することにより、その反射率R∞に基づいて吸収率・散乱率比AD/SDを算出することが可能になるのである。なお、式2では、反射率RDを簡略化して「R」と示し、透過率TDを簡略化して「T」と示している。
【0041】
【式1】
【0042】
【式2】
【0043】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、反射光R1の強度を検出するディテクタ4に加えて、透過光T1の強度および照射光I1の強度を検出するディテクタ42を備えるようにしたので、ディテクタ4において反射光R1の強度を検出すると共にディテクタ42において透過光T1の強度および照射光Iの強度を検出し、その反射光R1の検出結果と共に透過光T1の検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。この場合には、透過光T1の強度が無視できないほどに大きな紙Pの含水量Qを測定する際に、透過光T1の強度を加味せずに反射光R1の強度のみに基づいて含水量Qを演算する場合と比較して、透過光T1の強度を加味した分だけ紙Pの厚さに対する反射率RDの依存性が補正される。すなわち、上記した式2を利用し、透過率TDを加味して反射率RDを紙Pの厚さが十分に大きい場合に得られる反射率R∞に変換した上で、その反射率R∞に基づいて含水量Qが演算されるため、紙Pの厚さの影響が排除され、含水量Qの演算精度が向上する。したがって、本実施の形態では、非透過性の紙Pの含水量Qに加えて、透過光Tの影響が無視できないほどに大きな透過性の紙Pの含水量Qをより高精度に測定することができる。
【0044】
特に、本実施の形態では、紙Pの含水量Qの測定精度が向上する点に基づき、含水量測定装置を搭載しているコピー機やプリンタ等において、紙Pの含水量Qに応じて印画条件を制御することにより、印画品質の高品質化を図ることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、光源1から照射された照射光Iを反射散乱させることにより紙Pへ導く積分球2を備えるようにしたので、この積分球2の散乱面2Mにおいて反射散乱された照射光Iが紙Pへ等方的に照射される。この場合には、積分球2を備えておらず、照射光Iが紙Pへ等方的に照射されない場合とは異なり、反射光Rの強度がほぼ完全散乱面に基づく角度分布となり、すなわち紙Pに垂直な軸と反射光Rの進行方向との間の角度の余弦に対して、その反射光Rの強度がほぼ比例するため、紙Pの反射率RDとして絶対反射率を演算することが可能になる。したがって、本実施の形態では、反射光Rの強度の角度分布に起因する誤差が小さくなるため、この観点においても含水量Qの測定精度の向上に寄与することができる。この場合には、特に、光源1から照射された照射光Iが積分球2の内部に閉じ込められる結果、紙Pへ照射される照射光Iの照射効率が向上するため、ディテクタ4の検出出力を十分に確保することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、透過光Tを反射散乱させる積分球22を備えるようにしたので、積分球22を備えていない場合と比較して透過光Tの捕捉率が高まり、透過光Tの強度の角度分布に起因する誤差が小さくなる。したがって、この観点においても含水量Qの測定精度の向上に寄与することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、ディテクタ42において照射光I1の強度を検出するようにしたので、反射光R1の強度および透過光T1の強度と共に照射光I1の強度に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。この場合には、照射光Iの強度を不変の定数として含水量Qを演算する場合とは異なり、例えば光源1の劣化等に起因して照射光Iの強度が経時的に変化した場合に、その経時変化後の照射光Iの強度を実測した上で、反射光Rの強度および透過光Tの強度と共に照射光Iの強度変化を加味して含水量Qが演算される。したがって、本実施の形態では、照射光Iの強度変化の観点において含水量Qの測定精度に誤差を及ぼし得る要因が取り除かれ、その誤差が排除されるため、この観点においても含水量Qの測定精度の向上に寄与することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、反射光Rを波長分離するフィルタ6を備えるようにしたので、このフィルタ6による波長分離作用を利用して、反射光Rのうち、含水量Qの測定に有用な1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)が選択的にフィルタ6を通過し、ディテクタ4へ到達する。したがって、ディテクタ4において反射光R1の強度を安定かつ容易に検出することができる。この効果は、透過光Tおよび照射光Iを波長分離するフィルタ62についても同様に得られる。
【0049】
また、本実施の形態では、ガラス製のレンズ5を使用するようにしたので、ガラスの赤外線吸収特性、すなわち4.0μm以上の波長域の赤外線光を吸収する特性を利用して、反射光Rがレンズ5を通過する際に、その反射光Rのうちの4.0μm以上の波長域の赤外線光がレンズ5において吸収される。したがって、熱輻射に起因した演算誤差を誘発する不要な波長域の光を除いた反射光Rがフィルタ6へ導かれるため、この不要な赤外線光の存在に起因して含水量Qの演算結果に誤差が含まれることを防止することができる。この効果は、レンズ52についても同様に得られる。
【0050】
また、本実施の形態では、上記したフィルタ6の波長分離作用およびレンズ5の赤外線吸収特性に基づき、実質的に1.8μm以上4.0μm未満の比較的狭い範囲内の波長域の光(反射光R1)を利用して含水量Qが演算されるため、上記「従来の技術」の項において説明した2種類の波長域の赤外線光(被水吸収性の高い1μm以上の波長域の光および被水吸収性の低い1μm未満の波長域の光)を使用した従来の含水量測定装置と比較して、含水量Qの測定精度がより向上する。なぜなら、1μm以上の比較的広い範囲の波長域の光を利用した従来の場合には、水により吸収される光の波長域に対して全体の波長域が大きすぎるため、全体の波長域の反射光エネルギーに対して被水吸収性の波長域の反射光エネルギーが極めて小さくなり、その反射光強度の変化を検出しにくくなるのに対して、1.8μm以上4.0μm未満の比較的狭い範囲内の波長域の光を利用した本実施の形態の場合には、従来の場合と比較して、全体の波長域の反射光エネルギーに対して被水吸収性の波長域の反射光エネルギーが大きくなり、その反射光強度の変化を検出しやすくなるからである。この効果は、フィルタ62およびレンズ52についても同様に得られる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0052】
図4は、本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表している。なお、図4では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0053】
この含水量測定装置は、上記第1の実施の形態と同様に、反射光Rの検出結果、透過光Tの検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水率Qを演算するものであり、例えば、図4に示したように、新たに積分球2,22間に半透過反射板32(選択的透過手段)を備えている点を除き、上記第1の実施の形態の含水量測定装置(図1〜図3参照)と同様の構成を有している。
【0054】
半透過反射板32は、紙Pを透過した光のうちの一部の光を透過光Tとして選択的に透過させることにより積分球22を経由してディテクタ42へ導くと共に、その紙Pを透過した光のうちの残りの光を反射させることにより積分球2を経由してディテクタ4へ導くものであり、例えば、ポリエチレンやフッ素系プラスチックにより構成されている。この半透過反射板32の表面は粗面仕上げされており、その表面において光が散乱反射するように構成されているのが好ましく、あるいは半透過反射板32が多孔質のプラスチック製であり、その内部で光が散乱反射するように構成されているのが好ましい。この半透過反射板32の散乱率、反射率および厚さは既知である。
【0055】
この含水量測定装置では、半透過反射板32上に紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、紙Pにおいて反射光Rおよび透過光Tが生じる。この透過光Tとは、紙Pを透過した光のうちの一部の光、すなわち半透過反射板32を選択的に透過して積分球22に導かれた光である。また、反射光Rとは、紙Pを透過した光のうちの残りの光、すなわち半透過反射板32において反射されて再び紙Pを経由して積分球2に導かれた光と、紙Pにおいて反射した光との混合光である。この反射光Rは、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づき、フィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出される。一方、透過光Tは、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づき、フィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。なお、図示はしないが、この含水量測定装置では、半透過反射板32上から紙Pが搬送された状態において、上記第1の実施の形態において図2を参照して説明した場合と同様に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ42において検出される。これにより、上記第1の実施の形態と同様の演算手順を経て、図3に示したコントローラ9により、ディテクタ4,42の検出結果に基づいて含水量Qが演算される。
【0056】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、紙Pを透過した光のうちの一部の光を透過光Tとして選択的に透過させる半透過反射板32を備えるようにしたので、ディテクタ42において透過光T1の強度および照射光I1の強度を検出すると共に、ディテクタ4において反射光R1の強度を検出し、反射光R1の検出結果と共に透過光T1の検出結果および照射光I1の検出結果に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。したがって、この場合においても透過光Tの強度を加味して吸収率・散乱率比AD/SDが演算され、この吸収率・散乱率比AD/SDに基づいて含水量Qが演算されるため、上記第1の実施の形態と同様の作用により、紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0057】
なお、本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の詳細な作用、動作および効果等は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0058】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0059】
図5および図6は本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表しており、図5は紙Pの搬送前の状態を示し、図6は紙Pの搬送後の状態を示している。なお、図5および図6では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0060】
この含水量測定装置は、紙Pの表裏面に関して反射光Rの強度および透過光Tの強度を検出し、上記第1の実施の形態と同様に、反射光Rの検出結果、透過光Tの検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水量Qを演算するものである。この含水量測定装置は、例えば、図5および図6に示したように、上記第1の実施の形態において説明した含水量測定装置(図1〜図3参照)により構成された2つの含水量測定部100A,100Bを備え、これらの2つの含水量測定部100A,100Bが互いに上下反転された状態で紙Pの進行方向(矢印Y)に沿って配列された構成を有している。
【0061】
紙Pは、対向する一対の面PX(表面),PY(裏面)を有しており、例えば、裏面PYに印画面Gを有している。この印画面Gは、例えば、コピー機やプリンタ等によりトナー等を使用して形成された文字や画像などである。この紙Pは、図示しない搬送機構を利用して、含水量測定部100Aに対応する位置TAから含水量測定部100Bに対応する位置TBまで搬送されるようになっている。
【0062】
この含水量測定装置に、印画面Gを有する裏面PYが下方を向くように紙Pが投入された場合、位置TAにおいて、含水量測定部100Aのディテクタ4は、紙Pの裏面PYに関する反射光Rの強度を検出する機能を担い、ディテクタ42は、紙Pの表面PX側に位置して透過光Tの強度を検出する機能を担う。一方、位置TBにおいて、含水量測定部100Bのディテクタ4は、紙Pの表面PXに関する反射光Rの強度を検出する機能を担い、ディテクタ42は、紙Pの裏面PY側に位置して透過光Tの強度を検出する機能を担う。
【0063】
この含水量測定装置では、まず、図5に示したように、位置TAに紙Pが搬送された状態において、含水量測定部100Aの光源1から照射光Iが照射されると、紙Pの裏面PYにおいて生じた反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、紙Pを透過した透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。続いて、図6に示したように、位置TAから位置TBまで紙Pが搬送された状態において、含水量測定部100Bの光源1から照射光が照射されると、紙Pの表面PXにおいて生じた反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、紙Pを透過した透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。なお、図示はしないが、この含水量測定装置では、位置TAから紙Pが搬送された状態において、上記第1の実施の形態において図2を参照して説明した場合と同様に、含水量測定部100Aのディテクタ42において照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)が検出されると共に、位置TBから紙が搬送された状態においても同様に、含水量測定部100Bのディテクタ42において照射光I1が検出される。
【0064】
この場合には、図3に示したコントローラ9は、例えば、含水量測定部100Aにおいて検出したデータ、すなわち紙Pの裏面PYに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度、透過光T1の強度および照射光Iの強度と、含水量測定部100Bにおいて検出したデータ、すなわち紙Pの表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度、透過光T1の強度および照射光Iの強度とに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDを演算したのち、この吸収率・散乱率比AD/SDに基づいて検量線データCを利用して含水量Qを特定する。
【0065】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、紙Pの裏面PY(印画面G)に関する反射特性を考慮した反射光R1の強度を検出する含水量測定部100Aと、紙Pの表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度を検出する含水量測定部100Bとを備えるようにしたので、以下の理由により、裏面PYに印画面Gを有する紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0066】
すなわち、近年のコピー機やプリンタ等の使用状況を考慮すると、未印画の紙に限らず、印画済みの紙を使用する場合も多い。これは、印画済みの紙を処分せずに再利用し、未印画面(印画面と反対側の面)に新たに印画することを目的としたものである。しかしながら、紙の一面に画像形成用のトナー等が存在すると、このトナー等の存在に起因して紙の散乱率や吸収率が変化し得るため、含水量を高精度に測定しにくくなる。
【0067】
この点に関して、本実施の形態では、上記したように、含水量測定部100Aにおいて、紙Pの裏面PY(印画面G)に関する反射特性を考慮した反射光R1の強度を検出すると共に、含水量測定部100Bにおいて、紙Pの表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度を検出し、これらの2つの反射光R1の強度を含んで含水量Qを演算するようにしたので、単に紙Pの一方の面(PXまたはPY)のみに関して含水量Qを演算する場合とは異なり、印画面Gの存在に起因する光の散乱率や吸収率の差異に起因する光学的誤差が補正され、含水量Qの演算精度が向上する。したがって、本実施の形態では、裏面PYに印画面Gを有する紙Pの含水量Qを高精度に測定することが可能になるのである。
【0068】
なお、上記では、裏面PYに印画面Gを有する紙Pの含水量Qを測定するために本実施の形態の含水量測定装置を使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、いずれの面PX,PYにも印画面Gを有しない紙P(未使用の紙)の含水量Qを測定するために本実施の形態の含水量測定装置を使用するようにしてもよい。この場合においても、紙Pの各面PX,PYに関する反射特性の差異を考慮して、含水量Qを高精度に測定することができる。
【0069】
本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の作用、動作、効果および変形は上記第1,第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0071】
図7および図8は本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表しており、図7は紙Pの反転前の状態を示し、図8は紙Pの反転後の状態を示している。なお、図7および図8では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0072】
この含水量測定装置は、上記第3の実施の形態と同様に、紙Pの表裏面に関して反射光Rの強度および透過光Tの強度を検出し、反射光Rの検出結果、透過光Tの検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水量Qを演算するものであり、例えば、図7および図8に示したように、紙Pの表裏を反転させる反転機構34を新たに備えている点を除き、上記第1の実施の形態の含水量測定装置(図1〜図3参照)と同様の構成を有している。この反転機構34は、例えば、紙Pを搬送するための搬送用ローラや反転させるための反転用ローラなどを含んで構成されている。
【0073】
この含水量測定装置では、図7に示したように、印画面Gを有する裏面PYが上方を向くように紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づいて、紙Pの裏面PYにおいて生じた反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、紙Pを透過した透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。続いて、図8に示したように、反転機構34により紙Pの表裏が反転され、印画面Gを有する裏面PYが下方を向いた状態において光源1から照射光Iが照射されると、紙Pの表面PXにおいて生じた反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、紙Pを透過した透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。なお、図示はしないが、この含水量測定装置では、積分球2,22間の位置から紙がの搬送された状態において、上記第1の実施の形態において図2を参照して説明した場合と同様に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ42において検出される。
【0074】
この場合には、図2に示したコントローラ9は、例えば、紙Pの反転前にディテクタ4,42において検出したデータ、すなわち紙Pの裏面PYに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度、透過光T1の強度および照射光Iの強度と、紙Pの反転後に検出したデータ、すなわち紙Pの表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度、透過光T1の強度および照射光Iの強度とに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDを演算したのち、この吸収率・散乱率比AD/SDに基づいて検量線データCを利用して含水量Qを特定する。
【0075】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、紙Pの表裏を反転させる反転機構34を備えるようにしたので、この反転機構34を利用して、紙Pの裏面PYに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度と表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度とを検出し、これらの2つの反射光R1の強度を含んで含水量Qを演算することが可能になる。したがって、上記第3の実施の形態と同様の作用により含水量Qの演算精度が向上するため、裏面PYに印画面Gを有する紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0076】
特に、本実施の形態では、反転機構34による紙Pの反転機構を利用することにより、上記第3の実施の形態において説明したように実質的に2つの含水量測定装置(含水量測定部100A,100B)を組み合わせて使用せずに、1つの含水量測定装置のみを使用して含水量Qを演算することが可能になる。したがって、上記第3の実施の形態と比較して、装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0077】
なお、本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の詳細な作用、動作および効果等は、上記第1〜第3の実施の形態と同様である。
【0078】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0079】
図9および図10は本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表しており、図9は反射光強度検出時の状態を示し、図10は照射光強度検出時の状態を示している。なお、図9および図10では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0080】
この含水量測定装置は、反射光Rの検出結果、透過光Tの検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水量Qを演算していた上記第1の実施の形態とは異なり、透過光Tの検出結果を考慮せず、反射光Rの検出結果および照射光Iの検出結果のみに基づいて含水量Qを演算するものであり、透過光Tの強度が無視できるほどに小さな紙Pの含水量Qを測定するために使用されるものである。この含水量測定装置は、例えば、図9および図10に示したように、照射光Iを反射させる反射板20(反射手段)を新たに備え、積分球22、レンズ52、フィルタ62およびディテクタ42を備えていない点を除き、上記第1の実施の形態の含水量測定装置(図1〜図3参照)と同様の構成を有している。
【0081】
反射板20は、光源1から照射された照射光Iを反射光R0としてディテクタ4へ向けて反射させるものであり、例えば、弗素樹脂や、グラファイトが分散された弗素樹脂などにより構成されている。この反射板20は、積分球2の開口部2KBに対応して配置されており、その反射率は既知である。
【0082】
ディテクタ4は、特に、反射光Rの強度を検出する機能と共に反射光R0の強度(すなわち照射光I0の強度)を検出する機能も兼ねており(照射光強度検出手段)、反射板20を介して照射光Iの強度を間接的に検出するものである。ここでいう「間接的」とは、光源1から照射された照射光Iを、反射板20において反射させることなく検出するのではなく、反射板20において反射させたのちに検出するという意味である。
【0083】
この含水量測定装置では、図9に示したように、反射板20上に紙Pが搬送された状態において光源1から照射光Iが照射されると、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づき、反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出される。一方、図10に示したように、反射板20上から矢印Yに沿って紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、照射光Iが反射板20において反射光R0として反射されたのちにレンズ5を経由してフィルタ6へ導かれるため、反射光Rの場合と同様に、フィルタ6の波長分離作用を利用して、反射光R0のうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R01)がディテクタ4において検出される。
【0084】
なお、上記したディテクタ4による反射光R01の検出処理と、反射光R1,R01の強度とに基づく含水量Qの演算処理とは、例えば、含水量Qの測定時ごとに毎回行われるようにしてもよいし、あるいは所定の測定間隔ごと(例えば10回測定ごと)に行われるようにしてもよい。後者の場合には、通常時は反射光R1の強度と以前に検出された反射光R01の強度(あるいは光源1の劣化状況を反映した演算式を利用して反射光R01に基づいて演算された強度)とに基づいて含水量Qが演算されることとなる。
【0085】
この場合には、コントローラ9は、以下の動作手順により、ディテクタ4の検出結果に基づいて含水量Qを演算する。すなわち、まず、ディテクタ4において検出された反射光R1,R01の強度とに基づいて反射率RDを演算する。続いて、上記したKubelka−Munkの散乱モデルに基づく式1を利用して、反射率RDに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDを演算する。最後に、メモリ8から検量線データCを読み出し、この検量線データCに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDに対応する含水量Qを特定する。これにより、ディテクタ4の検出結果に基づいて含水量Qが演算される。
【0086】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、照射光Iを反射光R01としてディテクタ4へ向けて反射させる反射板20を備え、ディテクタ4が反射光Rの強度と共に反射光R0の強度を検出する機能も兼ねるようにしたので、ディテクタ4において反射光R1,R01の強度を検出し、その反射光R1,R01の検出結果に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。したがって、上記第1の実施の形態と同様の作用により、照射光Iの強度変化の観点において含水量Qの測定精度に誤差を及ぼし得る要因が取り除かれるため、透過光Tの強度が無視できるほどに小さな紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0087】
なお、本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の詳細な作用、動作および効果等は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0088】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0089】
図11は、本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表している。なお、図11では、上記第5の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0090】
この含水量測定装置は、上記第5の実施の形態と同様に、反射光Rの検出結果および照射光Iの検出結果のみに基づいて含水量Qを演算するものであり、例えば、図11に示したように、反射板20を備えていない上、積分球2の側方に開口部2KAと対向するように開口部2KDが設けられ、この開口部2KDに対応して照射光強度検出用のレンズ51、フィルタ61およびディテクタ41(照射光強度検出手段)が配置されていると共に、積分球2に開口部2KAを通じて他の積分球21が連結され、その積分球21内に光源1が配置されている点を除き、上記第5の実施の形態と同様の構成(図9、図10および図2参照)を有している。
【0091】
積分球21は、照射光Iを反射して散乱させることにより開口部2KAを通じて積分球2へ導くものであり、例えば、積分球2と同様の構成を有し、すなわち球21Gの内面に散乱面21Mを構成する散乱膜21Sが設けられた構成を有している。この積分球21の寸法(例えば内径)は、例えば、積分球2の寸法よりも小さくなっている。この積分球21の内部には、光源1と開口部2KAとの間の位置にバフル71が配置されている。
【0092】
レンズ51は、照射光Iを集光するものであり、例えば、レンズ5と同様の構成を有している。なお、レンズ51を設けるか否かは自由に設定可能である。フィルタ61は、照射光Iを波長分離するものであり、例えば、フィルタ6と同様の構成を有している。ディテクタ41は、照射光Iの強度を検出するものであり、すなわち光源1から照射された照射光Iの強度を開口部2KDを通じて直接的に検出するようになっている。このディテクタ41は、例えば、ディテクタ4と同様の構成を有している。ここでいう「直接的」とは、光源1から照射された照射光Iを反射板20において反射光R0として反射させたのちに検出していた上記第5の実施の形態とは異なり、反射板20において反射した反射光R0以外の光を検出する(照射光Iをそのまま検出する)という意味である。
【0093】
この含水量測定装置では、紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されて反射光Rが生じると、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づいて、フィルタ6の波長分離作用を利用して反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、照射光Iが開口部2KDを通じてレンズ51を経由してフィルタ61へ導かれることにより、上記した反射光Rと同様に、フィルタ61の波長分離作用を利用して照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ41において検出される。これにより、上記第5の実施の形態と同様の演算手順を経て、図3に示したコントローラ9により、ディテクタ4,41の検出結果に基づいて含水量Qが演算される。
【0094】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、反射光R1の強度を検出するディテクタ4に加えて、照射光I1の強度を検出するディテクタ41を備えるようにしたので、ディテクタ4において反射光R1の強度を検出すると共にディテクタ41において照射光I1の強度を検出し、その反射光R1の検出結果と共に照射光I1の検出結果に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。したがって、上記第5の実施の形態と同様の作用により、透過光Tの強度が無視できるほどに小さな紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0095】
特に、本実施の形態では、積分球2に連結された積分球21内に光源1を配置するようにしたので、積分球2に積分球21を連結させずに、その積分球2内に光源1を配設した場合とは異なり、照射光Iの大部分が積分球2,21において反射散乱されたのちにディテクタ41へ入射する。したがって、照射光Iの強度の角度分布に起因する誤差を小さくすることが可能になるため、この観点においても含水量Qの測定精度の向上に寄与することができる。
【0096】
なお、本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の詳細な作用、動作および効果等は、上記第5の実施の形態と同様である。
【0097】
以上、第1〜第6の実施の形態としていくつかの含水量測定装置について説明したが、含水量Qの測定精度を向上させることが可能な限り、各含水量測定装置の構成は自由に変更可能である。
【0098】
具体的には、上記各実施の形態では、光源1として、1.8μm以上の波長域の赤外線光を含む照射光Iを照射するものを使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、その1.8μm以上の波長域の赤外線光のみを照射光Iとして照射するものを使用するようにしてもよい。この種の光源1としては、例えば、1.9μm近傍の波長域の赤外線光のみを照射可能なLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode )などが挙げられる。この場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
また、上記第1の実施の形態(図1および図2参照)では、反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)を検出するディテクタ4および透過光Tおよび照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1,照射光I1)を検出するディテクタ42のみを備え、そのディテクタ4,42の検出結果に基づいて含水量Qを演算するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図12および図13に示したように、ディテクタ4に加えて、1.8μm未満の波長域の光(反射光R2)を検出するディテクタ43と、ディテクタ42に加えて、1.8μm未満の波長域の光(透過光T2,照射光I2)を検出するディテクタ45と、ディテクタ4,42,43,45へ導かれる光(反射光R,透過光T,照射光I)を1.8μm以上の波長域の光(反射光R1,透過光T1,照射光I1)と1.8μm未満の波長域の光(反射光R2,透過光T2,照射光I2)とに分離する光学的分離手段と備え、ディテクタ4,42,43,45の検出結果に基づいて含水量Qを演算するようにしてもよい。なお、上記した「反射光R,透過光T,照射光Iを1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する」という表現は、1.8μmの波長を基準(境界)として厳密に1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する場合に限らず、全体中において1.8μm以上の波長域の光が占める割合が大きい光(1.8μm以上の波長域の光を大部分含み、1.8μm未満の波長域の光も僅かに含む光)と全体中において1.8μm未満の波長域の光が占める割合が大きい光(1.8μm未満の波長域の光を大部分含み、1.8μm未満の波長域の光も僅かに含む光)とに分離する場合も含む意味である。この旨は、後述する反射光R0(R01,R02)についても同様である。このディテクタ43,45は、例えば、シリコンフォトダイオード、ゲルマニウムフォトダイオード、インジウムガリウムヒ素合金フォトダイオードまたは熱起電力型素子などにより構成されている。また、光学的分離手段は、例えば、フィルタ6,62を傾けてハーフミラーとして使用したものである。なお、必要に応じて、ディテクタ43,45と共に、例えば薄膜干渉フィルタ、バンドパスフィルタまたは回折格子などの波長制限用の分光手段を組み合わせて使用してもよい。
【0100】
この含水量測定装置では、図12に示したように、積分球2,22間の位置に紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離され、その反射光Rのうちの被水吸収性の高い1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出され、かつ被水吸収性の低い1.8μm未満の波長域の光(反射光R2)がディテクタ43において検出されると共に、反射光Rと同様に透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離され、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出され、かつ1.8μm未満の波長域の光(透過光T2)がディテクタ45において検出される。一方、図13に示したように、積分球2,22間の位置から紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ42において検出されると共に、1.8μm未満の波長域の光(照射光I2)がディテクタ45において検出される。なお、例えば、ディテクタ43,45の分光感度特性によっては、そのディテクタ43,45において1.8μm以上の波長域の光も検出され得るが、その場合には、ディテクタ4,42,43,45の検出結果に基づいて、ディテクタ43,45に対する1.8μm以上の波長域の光の強度の寄与分が演算されることにより、その演算結果に基づいてディテクタ43,45の検出値が補正される。
【0101】
この場合には、以下の演算原理に基づき、散乱率SDが既知でない場合においても紙Pの含水量を演算することが可能である。すなわち、上記したKubelka−Munkの散乱モデルに基づく式1が、1.8μm以上の波長域の光(反射光R1,照射光I1)に関してf(RD1)=AD1/SD1と表され、一方、1.8μm未満の波長域の光(反射光R2,照射光I2)に関してf(RD2)=AD2/SD2と表されるとする。これらのRD2、AD2およびSD2は、それぞれ紙P自体(水を除く)の反射率、吸収率および散乱率に相当する。この場合には、反射光R1,R2の双方に関して散乱率が等しく(SD1=SD2)、かつ吸収率AD2が既知であれば、上記した式1,2を利用してf(RD1)/f(RD2)=AD1/AD2の関係に基づいて吸収率比AD1/AD2を演算した上、この吸収率比AD1/AD2に基づいて紙Pの含水量Qを特定することが可能になる。この場合には、被水吸収性の高い反射光R1,照射光I1,透過光T1の強度と被水吸収性の低い反射光R2,照射光I2,透過光T2の強度との間の差異に基づいて散乱率SDの変動による影響が排除されるため、その吸収率比AD1/AD2の演算精度が向上する。したがって、紙Pの含水量Qを極めて高精度に測定することができる。なお、図12および図13に示した含水量測定装置に関する上記以外の特徴は、図1および図2に示した含水量測定装置と同様である。
【0102】
特に、図12および図13に示した含水量測定装置に関して、上記したように、1.8μm以上の波長域の赤外線光のみを照射光Iとして照射する光源1を使用した場合には、例えば、この光源1とは別個に、1.8μm未満の波長域の赤外線光のみを照射光Iとして照射する他の光源を使用するようにしてもよい。この「他の光源」としては、例えば、1.8μm未満の波長域の赤外線光のみを選択的に照射可能なLD(Laser Diode )などが挙げられる。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
【0103】
なお、図12および図13に示した変形例は、上記第1の実施の形態に限らず、他の第2〜第6の実施の形態にも適用可能である。
【0104】
具体的には、上記第2の実施の形態に適用した場合には、図14に示したように、透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出されると共に、1.8μm未満の波長域の光(透過光T2)がディテクタ45において検出されるため、図12および図13に示した場合と同様の作用により、紙Pの含水量Qを極めて高精度に測定することができる。
【0105】
また、上記第5の実施の形態に適用した場合には、図15に示したように、反射光Rの検出時に、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出され、かつ1.8μm未満の波長域の光(反射光R2)がディテクタ43において検出されると共に、図16に示したように、反射光R0の検出時に、その反射光R0のうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R01)がディテクタ4において検出されると共に、1.8μm未満の波長域の光(反射光R02)がディテクタ43において検出される。したがって、図12および図13を参照して説明した場合と同様の作用により、被水吸収性の高い反射光R1,R01の強度と被水吸収性の低い反射光R2,R02の強度との間の差異に基づいて散乱率SDの変動による影響が排除され、吸収率比AD1/AD2の演算精度が向上するため、紙Pの含水量Qを極めて高精度に測定することができる。
【0106】
また、上記第6の実施の形態に適用した場合には、図17に示したように、反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出され、かつ1.8μm未満の波長域の光(反射光R2)がディテクタ43において検出されると共に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ41において検出されると共に、1.8μm未満の波長域の光(照射光I2)がディテクタ44において検出されるため、図15および図16に示した場合と同様の作用により、紙Pの含水量Qを極めて高精度に測定することができる。
【0107】
また、図示はしないが、上記第3および第4の実施の形態に適用すれば、上記第1,第2,第5,第6の実施の形態に適用した場合と同様に、含水量Qの測定精度を向上させることができる。
【0108】
また、上記第5の実施の形態(図9および図10参照)では、紙Pの含水量Qを測定する上で、紙Pが反射板20上を搬送されるため、その反射板20を固定するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、紙Pが反射板20上を搬送されない場合、例えば紙Pがコピー機やプリンタ等のトレー内に保管されるものである場合には、紙Pに代えて、反射板20を測定位置(図9および図10に示した反射板20の位置)とその測定位置から離れた退避位置との間で移動させるようにしてもよい。この場合においても、必要に応じて反射板20において照射光Iをディテクタ4へ向けて反射させることが可能になるため、同様の効果を得ることができる。
【0109】
また、上記第5の実施の形態では、光源1から照射された照射光Iを反射光R0としてディテクタ4へ向けて反射させる部材として反射板20を使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、反射板20と同様に照射光Iを反射し得る限り、その反射板20を他の部材に置き換えてもよい。この「他の部材」としては、例えば、積分球2の開口部2KBに対応した位置に開口部を有する他の積分球などが挙げられる。
【0110】
また、上記第6の実施の形態(図11参照)では、上記第5の実施の形態において説明した反射板20を設けないようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、反射板20を設けるようにしてもよい。この場合の反射板20は、照射光Iを反射光R0として反射させる機能を担っていた上記第5の実施の形態とは異なり、僅かながらでも紙Pが透過性を有する場合に、その紙Pを透過した光をディテクタ4へ向けて反射させる機能を担うものである。この場合には、紙Pの透過性の有無に関わらずに、ディテクタ4へ導かれる光の割合がほぼ一定に維持されるため、含水量Qの演算精度をより向上させることができる。
【0111】
また、上記第6の実施の形態では、積分球2のうち、開口部2KAに対向する位置に開口部2KDを設け、この開口部2KDに対応してレンズ51、フィルタ61およびディテクタ41を配置させるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図18に示したように、開口部2KAに対向しない位置に開口部2KDを設け、この開口部2KDに対応してレンズ51、フィルタ61およびディテクタ41を配置させるようにしてもよい。この場合には、積分球2において反射された照射光Iに加えて、バフル71において反射された照射光Iもディテクタ41において検出し得る上記第6の実施の形態とは異なり、バフル71において反射された割合を少なくし、積分球2において反射散乱された割合を多くした状態で照射光Iをディテクタ41において検出することが可能になるため、含水量Qの演算精度をより向上させることができる。なお、図18では、含水量測定装置の平面構成を模式的に表しており、図11に示した一連の構成要素のうちの光源1、積分球2,21(開口部2KA,2KD)、ディテクタ41、レンズ51、フィルタ61およびバフル71のみを示している。
【0112】
また、上記第1〜第6の実施の形態において説明した含水量測定装置の構成および図12〜図18に示した変形例は、上記したようにそれぞれ単独で含水量測定装置に適用されるようにしてもよいし、あるいは適宜組み合わされて含水量測定装置に適用されるようにしてもよい。具体的には、例えば、図19に示したように、第1の実施の形態において説明した構成(図1参照)と第6の実施の形態において説明した構成(図11参照)とを組み合わせるようにしてもよい。この場合においても、上記各実施の形態および各変形例と同様の効果を得ることができる。
【0113】
また、上記各実施の形態および各変形例では、本発明の含水量測定装置を使用して紙の含水量を測定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、本発明の含水量測定装置を使用すれば、紙以外の他の被測定物の含水量を測定することも可能である。この「他の被測定物」としては、例えば、布や、土や、パンまたは麺などの生地や、海苔または茶などの食品等が挙げられる。この場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る含水量測定装置によれば、被測定物を透過した透過光の強度を検出する透過光強度検出手段を備え、透過光強度の検出結果および反射光強度検出手段の検出結果に基づいて含水量を演算するようにしたので、その透過光の強度を加味した分だけ被測定物の厚さに対する反射率の依存性が補正され、含水量の演算精度が向上するため、透過光の影響が無視できないほどに大きな被測定物の含水量をより高精度に測定することができる。
【0115】
また、上記の他、本発明に係る含水量測定装置では、光源から照射された照射光を反射して散乱させることにより被測定物へ導く反射散乱手段を備えるようにすれば、反射光の強度の角度分布の観点において含水量の測定精度に誤差を及ぼし得る要因が取り除かれ、その誤差が小さくなるため、被測定物の含水量をより高精度に測定することができる。
【0116】
また、本発明に係る含水量測定装置では、光源から照射された照射光の強度を検出する照射光強度検出手段を備え、透過光強度検出手段の検出結果および反射光強度検出手段の結果と共に照射光強度検出手段の検出結果に基づいて被測定物の含水量を演算するようにすれば、例えば光源の劣化等に起因する照射光の強度変化を加味して含水量が演算される。したがって、反射光の強度と共に、照射光の強度変化も加味して被測定物の反射率が演算されるため、被測定物の含水量を高精度に測定することができる。
【0117】
また、本発明に係る含水量測定装置では、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へ導かれる光のうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる光学フィルタを備えるようにすれば、この光学フィルタによる波長分離作用を利用して、透過光、反射光および照射光のうちの含水量の測定に有用な1.8μm以上の波長域の光が透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へそれぞれ導かれるため、透過光、反射光および照射光の強度を安定かつ容易に検出することができる。
【0118】
また、本発明に係る含水量測定装置では、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へ導かれる光を1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する光学的分離手段を備え、これらの透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段が、それぞれ1.8μm以上の波長域の光の強度と1.8μm未満の波長域の光の強度とを別個に検出するようにすれば、被水吸収性の高い1.8μm以上の波長域の光の強度と被水吸収性の低い1.8μm未満の波長域の光の強度との間の差異に基づいて散乱率の変動による影響が補正されることにより演算精度が向上するため、被測定物の含水量を極めて高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る含水量測定装置の反射光強度および透過光強度検出時の概略構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した含水量測定装置の照射光強度検出時の概略構成を表す断面図である。
【図3】図1および図2に示した含水量測定装置のブロック構成を表すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る含水量測定装置の紙搬送前の概略構成を表す断面図である。
【図6】図5に示した含水量測定装置の紙搬送後の概略構成を表す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る含水量測定装置の紙反転前の概略構成を表す断面図である。
【図8】図7に示した含水量測定装置の紙反転後の概略構成を表す断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る含水量測定装置の反射光強度検出時の概略構成を表す断面図である。
【図10】図9に示した含水量測定装置の照射光強度検出時の概略構成を表す断面図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表す断面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る含水量測定装置に関する変形例(反射光強度および透過光強度検出時)を説明するための断面図である。
【図13】図12に示した含水量測定装置(照射光強度検出時)を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る含水量測定装置の変形例を説明するための断面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る含水量測定装置に関する変形例(反射光強度検出時)を説明するための断面図である。
【図16】図15に示した含水量測定装置(照射光強度検出時)を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係る含水量測定装置に関する変形例を説明するための断面図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態に係る含水量測定装置に関する他の変形例を説明するための平面図である。
【図19】本発明の含水量測定装置に関する他の変形例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1…光源、2,21,22…積分球、2KA〜2KD,22KA,22KB…開口部、2G,21G,22G…球、2M,21M,22M…散乱面、2S,21S,22S…散乱膜、4,41〜45…ディテクタ、5…レンズ、6,61,62…フィルタ、7,71…バフル、8…メモリ、9…コントローラ、10…アンプ、11…A/D変換器、20…反射板、32…半透過反射板、34…反転機構、100A,100B…含水量測定部、AD…吸収率、AD/SD…吸収率・散乱率比C…検量線データ、I(I1,I2)…照射光、G…印画面、P…紙、PX…表面、PY…裏面、R0(R01,R02),R(R1,R2)…反射光、RD…反射率、SD…散乱率、T(T1,T2)…透過光、Q…含水量。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば紙などの被測定物の含水量を測定するために使用される含水量測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば紙などの被測定物の含水量を測定するために、含水量測定装置が使用されている。この含水量測定装置としては、例えば、被測定物へ光を照射した際に生じる反射光の強度を検出し、その反射光の強度が含水量に応じて変化することを利用して含水量を演算するものが知られている。
【0003】
具体的には、例えば、光源から被測定物へ2種類の波長域の光、すなわち被水吸収性の高い1μm以上の波長域の光と被水吸収性の低い1μm未満の波長域の光とを照射し、各波長域に検出感度を有する2種類の検出手段を使用して反射光の強度を検出することにより、その反射光に含まれている2種類の波長域の光の強度間の関係に基づいて含水量を演算する含水量測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この含水量測定装置では、光源から照射された光を波長分離するための機構(複数の光学フィルタを有するターレット式のセレクタ)が不要である。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−283916号公報
【0005】
また、例えば、光源から被測定物へ3種類の波長の光、すなわち1つの赤外線吸収波長の光(被水吸収性の高い波長の光)と2つの赤外線比較波長の光(赤外線吸収波長の光よりも短波長側または長波長側に相当する被水吸収性の低い光)とを照射した際に生じる反射光の強度を検出し、その反射光に含まれている3種類の波長の光の強度間の関係に基づいて誤差(水による光吸収以外の要因に起因する誤差)を補正することにより、含水量を演算する含水量測定装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この含水量測定装置では、具体的には、赤外線比較波長の光の反射率を外挿することにより赤外線吸収波長の光の散乱率を演算した上で、赤外線吸収波長の光の散乱率および反射率に基づいて吸収率を演算することにより、その吸収率に基づいて被測定物の含水量を特定している。この含水量測定装置では、外乱(被測定物の表面粗さ等)に起因する誤差が補正される。
【0006】
【特許文献2】
特開平03−115838号公報
【0007】
なお、含水量測定装置としては、上記したように、反射光の検出結果のみに基づいて含水量を演算するものの他に、例えば、被測定物の透過率が無視できない場合には、反射光の検出結果と共に透過光の検出結果に基づいて含水量を演算するものも知られている。この種の含水量測定装置としては、例えば、光源から被測定物へ2種類の波長域の光、すなわち被水吸収性の高い波長域の光と被水吸収性の低い波長域の光とを照射したのち、被測定物を1回透過した透過光(1回透過光)の強度と被測定物において1回反射した反射光(1回反射光)の強度とを検出することにより、これらの1回透過光および1回反射光の強度間の関係に基づいて含水量を演算するものが挙げられる(例えば、特許文献3参照。)。この含水量測定装置では、多重散乱方式の理想的測定状態が再現される。
【0008】
【特許文献3】
特公平05−045137号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、含水量測定装置を使用して被測定物の含水量を高精度に測定するためには、その含水量の測定精度に誤差を及ぼし得る要因を可能な限り取り除き、その誤差を小さくする必要がある。この点に関して、従来の含水量測定装置の中には、反射光の強度と共に透過光の強度も検出し、被測定物の透過率の影響も加味して含水量を演算しているものもあるが、誤差を小さくして含水量の測定精度を向上させるためには、透過光の強度と反射光の強度とを可能な限り高精度に検出する必要があり、特に、反射光については絶対反射率を検出することが望まれるため、未だ改善の余地があると言える。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、被測定物の含水量を高精度に測定することが可能な含水量測定装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る含水量測定装置は、被測定物へ照射光を照射する光源と、被測定物を透過した透過光の強度を検出する透過光強度検出手段と、被測定物において反射した反射光の強度を検出する反射光強度検出手段と、少なくとも透過光強度検出手段の検出結果および反射光強度検出手段の検出結果に基づいて被測定物の含水量を演算する演算手段とを備えるようにしたものである。
【0012】
本発明に係る含水量測定装置では、光源から照射光が照射され、その被測定物において透過光および反射光が生じると、透過光強度検出手段において透過光の強度が検出されると共に、反射光強度検出手段において反射光の強度が検出される。そして、演算手段が、少なくとも透過光強度検出手段の検出結果および反射光強度検出手段の検出結果に基づいて被測定物の含水量を演算する。透過光の強度を加味せずに反射光の強度のみに基づいて含水量を演算する場合と比較して、透過光の強度を加味した分だけ被測定物の厚さに対する反射率の依存性が補正され、含水量の演算精度が向上する。
【0013】
本発明に係る含水量測定装置では、被測定物を透過した光のうちの一部の光を透過光として選択的に透過させることにより透過光強度検出手段へ導く選択的透過手段を備えるようにしてもよい。
【0014】
特に、本発明に係る含水量測定装置では、光源から照射された照射光を反射して散乱させることにより被測定物へ導く反射散乱手段を備えるようにしてもよく、この反射散乱手段は積分球であるのが好ましい。また、光源から照射された照射光の強度を検出する照射光強度検出手段を備え、演算手段が、透過光強度検出手段の検出結果および反射光強度検出手段の検出結果と共に照射光強度検出手段の検出結果に基づいて被測定物の含水量を演算するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る含水量測定装置では、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へ導かれる光のうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる光学フィルタを備えるようにしてもよく、この光学フィルタはゲルマニウムにより構成されているのが好ましい。また、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へ導かれる光を1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する光学的分離手段を備え、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段が、光学的分離手段により分離された1.8μm以上の波長域の光の強度と1.8μm未満の波長域の光の強度とを別個に検出するようにしてもよく、この光学的分離手段はハーフミラーであるのが好ましい。
【0016】
なお、上記した「光学フィルタ」に関する「光のうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる」という表現は、厳密に1.8μm以上の波長域の光のみを透過させる(1.8μm未満の波長域の光は一切透過させない)場合に限らず、全体中において1.8μm以上の波長域の光が占める割合が大きい光を透過させる(1.8μm以上の波長域の光を大部分透過させると共に、1.8μm未満の波長域の光も僅かに透過させる)場合も含む意味である。同様に、上記した「光学的分離手段」に関する「光を1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する」という表現は、1.8μmの波長を基準(境界)として厳密に1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する場合に限らず、全体中において1.8μm以上の波長域の光が占める割合が大きい光(1.8μm以上の波長域の光を大部分含み、1.8μm未満の波長域の光も僅かに含む光)と全体中において1.8μm未満の波長域の光が占める割合が大きい光(1.8μm未満の波長域の光を大部分含み、1.8μm未満の波長域の光も僅かに含む光)とに分離する場合も含む意味である。もちろん、「1.8μm以上の波長域の光の強度と1.8μm未満の波長域の光の強度とを別個に検出する」という表現についても同様の意味である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る含水量測定装置の構成について説明する。図1および図2は、本実施の形態に係る含水量測定装置の断面構成を表しており、図1は反射光強度および透過光強度検出時の状態を示し、図2は照射光強度検出時の状態を示している。
【0019】
この含水量測定装置は、例えば、コピー機やプリンタ等に搭載され、被測定物としての紙Pの含水量Qを測定するために使用されるものであり、非透過性の紙Pの含水量Qだけでなく、透過性(例えば薄厚や低密度)の紙Pの含水量Qも測定するためのものである。この含水量測定装置は、図1および図2に示したように、紙Pへ照射光Iを照射する光源1と、紙Pを挟んで対向配置された2つの積分球2(反射散乱手段),22と、紙Pにおいて反射した反射光Rの強度を検出するディテクタ4(反射光強度検出手段)と、このディテクタ4に対応して配置された集光用のレンズ5および波長分離用のフィルタ6(光学フィルタ)と、紙Pを透過した透過光Tの強度を検出するディテクタ42(透過光強度検出手段)と、このディテクタ42に対応して配置された集光用のレンズ52および波長分離用のフィルタ62(光学フィルタ)とを備えている。この積分球2には、例えば、側方、下方および上方にそれぞれ開口部2KA、2KBおよび2KCが設けられており、その積分球2の内部には、障壁としてのバフル7が設けられている。また、積分球22には、例えば、上方および側方にそれぞれ開口部22KAおよび22KBが設けられている。
【0020】
光源1は、照射光Iとして赤外線光、具体的には1.8μm以上の波長域の光を含む赤外線光を照射するものである。この光源1は、例えば、フィラメント電球により構成されており、積分球2の開口部2KAに配置されている。
【0021】
積分球2は、光源1から照射された照射光Iを閉じ込めて反射散乱させることにより紙Pへ導き、その照射光Iを紙Pへ等方的に照射させるための略球状の器である。この積分球2は、例えば、照射光Iの反射散乱性を高めるために内面(散乱面2M)が微細な凹凸構造(例えば表面粗さが数十μm程度)を有しており、具体的には、金属製の球2Gの内面に、散乱面2Mを構成する高赤外線反射性の散乱膜2Sが設けられた構成を有している。この散乱膜2Sは、例えば、金属のめっき膜(例えば金、銀、銅、クロムまたはニッケル等)や、光散乱用の微細な窪みや空洞(気泡)を有する塗膜(例えば弗素樹脂、ポリエチンレンまたは無機顔料等)や、金属酸化物の蒸着膜(例えば酸化マグネシウム)や、球2G(例えばアルミニウム)の内面が陽極酸化された金属酸化膜(例えばアルマイト)などにより構成されている。この散乱膜2Sが金以外の金属により構成されている場合には、例えば、散乱膜2S上にさらに防食用の金めっき膜が設けられる場合もある。
【0022】
積分球22は、紙Pを透過した透過光Tと共に積分球2を経由して導かれた照射光Iを反射して散乱させることにより開口部22KBを通じてディテクタ42へ導くものであり、例えば、積分球2と同様の構成を有し、すなわち球22Gの内面に散乱面22Mを構成する散乱膜22Sが設けられた構成を有している。この積分球22の寸法(例えば内径)は、例えば、積分球2の寸法とほぼ同様である。
【0023】
ディテクタ4は、赤外線波長域に検出感度を有するものであり、例えば、焦電素子により構成されている。このディテクタ4は、例えば、積分球2の開口部2KCに対応して配置されており、レンズ5およびフィルタ6と共に一直線上に配列されている。
【0024】
レンズ5は、反射光Rを集光してフィルタ6へ導くものであり、例えば、ガラスにより構成されている。このレンズ5は、ディテクタ4の検出視野角が紙Pの露出領域(積分球2の開口部2KBに対応して露出している領域)に含まれるように設計されている。
【0025】
フィルタ6は、反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)を選択的に透過させてディテクタ4へ導くものであり、例えば、主に1.8μm未満の波長域に赤外線吸収特性を有するゲルマニウム(例えばゲルマニウム板)により構成されている。なお、上記した「反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる」という表現は、厳密に1.8μm以上の波長域の光のみを透過させる(1.8μm未満の波長域の光は一切透過させない)場合に限らず、全体中において1.8μm以上の波長域の光が占める割合が大きい光を透過させる(1.8μm以上の波長域の光を大部分透過させると共に、1.8μm未満の波長域の光も僅かに透過させる)場合も含む意味である。この旨は、他のフィルタ62および後述するフィルタ61についても同様である。
【0026】
このフィルタ6において、反射光R1のみを透過させる理由は、以下の通りである。すなわち、被水吸収性の高い赤外線光の波長域としては、一般に、1.4μm近傍と、1.9μm近傍と、3.0μm近傍との3つが知られており、これらの3つの波長域の赤外線光を利用すれば、水による吸収現象に伴う赤外線光の強度変化に基づいて、紙Pの含水量Qを測定することが可能である。この場合には、特に、含水量Qを測定する上で、3つの波長域の赤外線光のうち、1.9μm近傍または3.0μm近傍の波長域の赤外線光を使用するのが好ましい。なぜなら、1.4μm近傍の波長域の赤外線光は、他の2つの波長域の赤外線光と比較して被水吸収性が低いため、ディテクタ4において水吸収に伴う赤外線光の強度変化を検出しにくいからである。この場合には、単色性に優れた光源1やディテクタ4が必要となるため、含水量測定装置の低コスト化を図る上で好ましくない。
【0027】
なお、フィルタ6は、例えば、ゲルマニウム板に代えて、このゲルマニウム板と同様に主に1.8μm未満の波長域において赤外線吸収特性を有する他のフィルタ材、具体的には回折格子、薄膜干渉フィルタまたはバンドパスフィルタなどにより構成されていてもよい。しかしながら、これらの他のフィルタ材は一般に高価である上、特に、光利用効率が十分でない回折格子を使用した場合には高出力型の光源1や高感度型のディテクタ4が必要となり、装置のコストアップを招いてしまうため、装置の低コスト化を図る上では、安価なゲルマニウム板を使用するのが好ましい。このゲルマニウム板をフィルタ6として使用すれば、ゲルマニウム元素のバンド間遷移に基づく赤外線吸収特性を利用して、反射光R1を安定的に透過させることが可能になる。
【0028】
ディテクタ42は、例えば、ディテクタ4と同様の構成を有しており、積分球22の開口部22KBに対応して配置され、特に、レンズ52およびフィルタ62と一直線上に配列されている。このディテクタ42は、透過光Tの強度と共に照射光Iの強度を検出するものである。
【0029】
レンズ52は、透過光Tおよび照射光Iを集光するものであり、例えば、レンズ5と同様の構成を有している。フィルタ62は、透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)を透過させてディテクタ42へ導くと共に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)を透過させてディテクタ42へ導くものであり、例えば、フィルタ6と同様にゲルマニウム(例えばゲルマニウム板)により構成されている。
【0030】
バフル7は、照射光Iが積分球2において反射散乱されることなく紙Pへ直接照射されることを防止すると共に、紙Pへ向けて照射光Iを反射するものであり、例えば、積分球2の開口部2KA,2KB間の位置に配置されている。なお、バフル7を設けるか否かは自由に設定可能である。
【0031】
なお、被測定物としての紙Pは、例えば、コピー機やプリンタ等に含水量測定装置と共に搭載されている搬送ローラなどの搬送機構(図示せず)により支持され、順次搬送されるようになっている。
【0032】
次に、図1〜図3を参照して、含水量測定装置の詳細な構成について説明する。図3は、図1および図2に示した含水量測定装置のブロック構成を表している。
【0033】
この含水量測定装置は、図1および図2に示した光源1およびディテクタ4,42を含む一連の構成要素と共に、各種情報を記憶するメモリ8と、装置全体を制御するコントローラ9(演算手段)と、ディテクタ4,42の出力信号を増幅するアンプ10と、その出力信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログ/デジタル(A/D)変換器11とを備えている。
【0034】
メモリ8は、コントローラ9が含水量Qの演算処理を行うために必要な情報を記憶しており、例えば、レジスタ、RAM(Random Access Memery)、ROM(Read Only Memory)またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory )などの記憶デバイスである。このメモリ8には、例えば、後述する吸収率・散乱率比AD/SDと含水量Qとの相関を表す検量線データCを含む演算用データが定数としてあらかじめ記憶されている。
【0035】
コントローラ9は、メモリ8から必要な演算用データを随時読み出し、ディテクタ4の検出結果に基づいて含水量Qを演算するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit ;中央演算処理装置)などの制御デバイスである。
【0036】
このコントローラ9は、例えば、光源1以外の熱源から発生した不要な赤外線光(背景輻射)に起因して含水量Qの演算結果に誤差が含まれることを防止するために、必要に応じてディテクタ4の検出強度を補正する機能を有している。具体的には、コントローラ9は、例えば、所定の演算間隔ごとに、光源1が稼働していて照射光Iが照射されている場合のディテクタ4の検出結果と、光源1が停止していて照射光Iが照射されていない場合のディテクタ4の検出結果とを比較することにより、これらの2つの検出結果間の差異(反射光R1と背景輻射に起因する光とが混合された混合光の強度と、背景輻射に起因する光の強度との差異)を算出したのち、その算出値を、光源1から照射光Iが照射された際に紙Pにおいて生じた反射光Rがディテクタ4へ導かれたことによる検出結果(すなわち反射光R1の強度)として判断し、その算出値に基づいて含水量Qを補正するようになっている。
【0037】
次に、図1〜図3を参照して、含水量測定装置の動作について説明する。
【0038】
この含水量測定装置では、光源1とディテクタ4,42との間に以下の光学的原理が成立する。すなわち、図1に示したように、積分球2,22間の位置に紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、その照射光Iが積分球2の散乱面2Mにおいて反射散乱されることにより開口部2KBを通じて紙Pへ導かれ、その紙Pへ等方的に照射されることにより反射光Rおよび透過光Tが生じる。この「等方的」とは、紙Pに垂直な軸と照射光Iの照射方向との間の角度の余弦に対して、その照射光Iの強度がほぼ比例するという意味である。反射光Rのうち、レンズ5、フィルタ6およびディテクタ4の配列方向に進行する成分のみが開口部2KCを通じてレンズ5へ導かれ、そのレンズ5において集光されたのち、さらにフィルタ6において波長分離される。これにより、反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がフィルタ6を透過し、ディテクタ4において検出される。また、透過光Tは、開口部22KAを通じて積分球22へ導かれ、その積分球22の散乱面22Mにおいて反射散乱されることにより開口部22KBを通じてフィルタ62へ導かれたのち、そのフィルタ62において波長分離されるため、上記した反射光Rと同様に、透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。一方、図2に示したように、積分球2,22間の位置から紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、その照射光Iが積分球2を経由して積分球22へ導かれるため、上記した透過光Tと同様に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ42において検出される。
【0039】
コントローラ9は、以下の動作手順により、ディテクタ4,42の検出結果に基づいて含水量Qを演算する。すなわち、まず、ディテクタ42において検出された照射光I1の強度とディテクタ4において検出された反射光R1の強度とに基づいて反射率RDを演算する。続いて、照射光Iの強度とディテクタ42において検出された透過光T1の強度とに基づいて透過率TDを演算する。続いて、反射率RDと透過率TDとに基づいて、吸収率・散乱率比AD/SDを演算する。最後に、メモリ8から検量線データCを読み出し、この検量線データCに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDに対応する含水量Qを特定する。これにより、ディテクタ4,42の検出結果に基づいて含水量Qが演算される。
【0040】
ここで、コントローラ9による吸収率・散乱率比AD/SDの演算原理について説明する。すなわち、例えば、紙Pの透過率TDが無視できるほどに小さい場合には、反射率RD、吸収率ADおよび散乱率SDの間にKubelka−Munkの散乱モデルに基づいて下記の式1の関係が成立し、吸収率ADと散乱率SDとの関係が反射率RDの関数として表される。この場合には、Kubelka−Munkの散乱モデルに基づく式1を応用して透過率TDも考慮すれば、反射率RD、吸収率AD、散乱率SDおよび透過率TDの間に下記の式2の関係が成立する。式2中、R∞は紙Pの厚さを無限大としたときの反射率であり、Rgは積分球22に応じた固有の反射率(既知)である。したがって、式2を利用すれば、反射率RDと透過率TDとに基づいて反射率R∞を演算することにより、その反射率R∞に基づいて吸収率・散乱率比AD/SDを算出することが可能になるのである。なお、式2では、反射率RDを簡略化して「R」と示し、透過率TDを簡略化して「T」と示している。
【0041】
【式1】
【0042】
【式2】
【0043】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、反射光R1の強度を検出するディテクタ4に加えて、透過光T1の強度および照射光I1の強度を検出するディテクタ42を備えるようにしたので、ディテクタ4において反射光R1の強度を検出すると共にディテクタ42において透過光T1の強度および照射光Iの強度を検出し、その反射光R1の検出結果と共に透過光T1の検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。この場合には、透過光T1の強度が無視できないほどに大きな紙Pの含水量Qを測定する際に、透過光T1の強度を加味せずに反射光R1の強度のみに基づいて含水量Qを演算する場合と比較して、透過光T1の強度を加味した分だけ紙Pの厚さに対する反射率RDの依存性が補正される。すなわち、上記した式2を利用し、透過率TDを加味して反射率RDを紙Pの厚さが十分に大きい場合に得られる反射率R∞に変換した上で、その反射率R∞に基づいて含水量Qが演算されるため、紙Pの厚さの影響が排除され、含水量Qの演算精度が向上する。したがって、本実施の形態では、非透過性の紙Pの含水量Qに加えて、透過光Tの影響が無視できないほどに大きな透過性の紙Pの含水量Qをより高精度に測定することができる。
【0044】
特に、本実施の形態では、紙Pの含水量Qの測定精度が向上する点に基づき、含水量測定装置を搭載しているコピー機やプリンタ等において、紙Pの含水量Qに応じて印画条件を制御することにより、印画品質の高品質化を図ることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、光源1から照射された照射光Iを反射散乱させることにより紙Pへ導く積分球2を備えるようにしたので、この積分球2の散乱面2Mにおいて反射散乱された照射光Iが紙Pへ等方的に照射される。この場合には、積分球2を備えておらず、照射光Iが紙Pへ等方的に照射されない場合とは異なり、反射光Rの強度がほぼ完全散乱面に基づく角度分布となり、すなわち紙Pに垂直な軸と反射光Rの進行方向との間の角度の余弦に対して、その反射光Rの強度がほぼ比例するため、紙Pの反射率RDとして絶対反射率を演算することが可能になる。したがって、本実施の形態では、反射光Rの強度の角度分布に起因する誤差が小さくなるため、この観点においても含水量Qの測定精度の向上に寄与することができる。この場合には、特に、光源1から照射された照射光Iが積分球2の内部に閉じ込められる結果、紙Pへ照射される照射光Iの照射効率が向上するため、ディテクタ4の検出出力を十分に確保することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、透過光Tを反射散乱させる積分球22を備えるようにしたので、積分球22を備えていない場合と比較して透過光Tの捕捉率が高まり、透過光Tの強度の角度分布に起因する誤差が小さくなる。したがって、この観点においても含水量Qの測定精度の向上に寄与することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、ディテクタ42において照射光I1の強度を検出するようにしたので、反射光R1の強度および透過光T1の強度と共に照射光I1の強度に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。この場合には、照射光Iの強度を不変の定数として含水量Qを演算する場合とは異なり、例えば光源1の劣化等に起因して照射光Iの強度が経時的に変化した場合に、その経時変化後の照射光Iの強度を実測した上で、反射光Rの強度および透過光Tの強度と共に照射光Iの強度変化を加味して含水量Qが演算される。したがって、本実施の形態では、照射光Iの強度変化の観点において含水量Qの測定精度に誤差を及ぼし得る要因が取り除かれ、その誤差が排除されるため、この観点においても含水量Qの測定精度の向上に寄与することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、反射光Rを波長分離するフィルタ6を備えるようにしたので、このフィルタ6による波長分離作用を利用して、反射光Rのうち、含水量Qの測定に有用な1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)が選択的にフィルタ6を通過し、ディテクタ4へ到達する。したがって、ディテクタ4において反射光R1の強度を安定かつ容易に検出することができる。この効果は、透過光Tおよび照射光Iを波長分離するフィルタ62についても同様に得られる。
【0049】
また、本実施の形態では、ガラス製のレンズ5を使用するようにしたので、ガラスの赤外線吸収特性、すなわち4.0μm以上の波長域の赤外線光を吸収する特性を利用して、反射光Rがレンズ5を通過する際に、その反射光Rのうちの4.0μm以上の波長域の赤外線光がレンズ5において吸収される。したがって、熱輻射に起因した演算誤差を誘発する不要な波長域の光を除いた反射光Rがフィルタ6へ導かれるため、この不要な赤外線光の存在に起因して含水量Qの演算結果に誤差が含まれることを防止することができる。この効果は、レンズ52についても同様に得られる。
【0050】
また、本実施の形態では、上記したフィルタ6の波長分離作用およびレンズ5の赤外線吸収特性に基づき、実質的に1.8μm以上4.0μm未満の比較的狭い範囲内の波長域の光(反射光R1)を利用して含水量Qが演算されるため、上記「従来の技術」の項において説明した2種類の波長域の赤外線光(被水吸収性の高い1μm以上の波長域の光および被水吸収性の低い1μm未満の波長域の光)を使用した従来の含水量測定装置と比較して、含水量Qの測定精度がより向上する。なぜなら、1μm以上の比較的広い範囲の波長域の光を利用した従来の場合には、水により吸収される光の波長域に対して全体の波長域が大きすぎるため、全体の波長域の反射光エネルギーに対して被水吸収性の波長域の反射光エネルギーが極めて小さくなり、その反射光強度の変化を検出しにくくなるのに対して、1.8μm以上4.0μm未満の比較的狭い範囲内の波長域の光を利用した本実施の形態の場合には、従来の場合と比較して、全体の波長域の反射光エネルギーに対して被水吸収性の波長域の反射光エネルギーが大きくなり、その反射光強度の変化を検出しやすくなるからである。この効果は、フィルタ62およびレンズ52についても同様に得られる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0052】
図4は、本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表している。なお、図4では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0053】
この含水量測定装置は、上記第1の実施の形態と同様に、反射光Rの検出結果、透過光Tの検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水率Qを演算するものであり、例えば、図4に示したように、新たに積分球2,22間に半透過反射板32(選択的透過手段)を備えている点を除き、上記第1の実施の形態の含水量測定装置(図1〜図3参照)と同様の構成を有している。
【0054】
半透過反射板32は、紙Pを透過した光のうちの一部の光を透過光Tとして選択的に透過させることにより積分球22を経由してディテクタ42へ導くと共に、その紙Pを透過した光のうちの残りの光を反射させることにより積分球2を経由してディテクタ4へ導くものであり、例えば、ポリエチレンやフッ素系プラスチックにより構成されている。この半透過反射板32の表面は粗面仕上げされており、その表面において光が散乱反射するように構成されているのが好ましく、あるいは半透過反射板32が多孔質のプラスチック製であり、その内部で光が散乱反射するように構成されているのが好ましい。この半透過反射板32の散乱率、反射率および厚さは既知である。
【0055】
この含水量測定装置では、半透過反射板32上に紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、紙Pにおいて反射光Rおよび透過光Tが生じる。この透過光Tとは、紙Pを透過した光のうちの一部の光、すなわち半透過反射板32を選択的に透過して積分球22に導かれた光である。また、反射光Rとは、紙Pを透過した光のうちの残りの光、すなわち半透過反射板32において反射されて再び紙Pを経由して積分球2に導かれた光と、紙Pにおいて反射した光との混合光である。この反射光Rは、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づき、フィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出される。一方、透過光Tは、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づき、フィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。なお、図示はしないが、この含水量測定装置では、半透過反射板32上から紙Pが搬送された状態において、上記第1の実施の形態において図2を参照して説明した場合と同様に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ42において検出される。これにより、上記第1の実施の形態と同様の演算手順を経て、図3に示したコントローラ9により、ディテクタ4,42の検出結果に基づいて含水量Qが演算される。
【0056】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、紙Pを透過した光のうちの一部の光を透過光Tとして選択的に透過させる半透過反射板32を備えるようにしたので、ディテクタ42において透過光T1の強度および照射光I1の強度を検出すると共に、ディテクタ4において反射光R1の強度を検出し、反射光R1の検出結果と共に透過光T1の検出結果および照射光I1の検出結果に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。したがって、この場合においても透過光Tの強度を加味して吸収率・散乱率比AD/SDが演算され、この吸収率・散乱率比AD/SDに基づいて含水量Qが演算されるため、上記第1の実施の形態と同様の作用により、紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0057】
なお、本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の詳細な作用、動作および効果等は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0058】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0059】
図5および図6は本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表しており、図5は紙Pの搬送前の状態を示し、図6は紙Pの搬送後の状態を示している。なお、図5および図6では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0060】
この含水量測定装置は、紙Pの表裏面に関して反射光Rの強度および透過光Tの強度を検出し、上記第1の実施の形態と同様に、反射光Rの検出結果、透過光Tの検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水量Qを演算するものである。この含水量測定装置は、例えば、図5および図6に示したように、上記第1の実施の形態において説明した含水量測定装置(図1〜図3参照)により構成された2つの含水量測定部100A,100Bを備え、これらの2つの含水量測定部100A,100Bが互いに上下反転された状態で紙Pの進行方向(矢印Y)に沿って配列された構成を有している。
【0061】
紙Pは、対向する一対の面PX(表面),PY(裏面)を有しており、例えば、裏面PYに印画面Gを有している。この印画面Gは、例えば、コピー機やプリンタ等によりトナー等を使用して形成された文字や画像などである。この紙Pは、図示しない搬送機構を利用して、含水量測定部100Aに対応する位置TAから含水量測定部100Bに対応する位置TBまで搬送されるようになっている。
【0062】
この含水量測定装置に、印画面Gを有する裏面PYが下方を向くように紙Pが投入された場合、位置TAにおいて、含水量測定部100Aのディテクタ4は、紙Pの裏面PYに関する反射光Rの強度を検出する機能を担い、ディテクタ42は、紙Pの表面PX側に位置して透過光Tの強度を検出する機能を担う。一方、位置TBにおいて、含水量測定部100Bのディテクタ4は、紙Pの表面PXに関する反射光Rの強度を検出する機能を担い、ディテクタ42は、紙Pの裏面PY側に位置して透過光Tの強度を検出する機能を担う。
【0063】
この含水量測定装置では、まず、図5に示したように、位置TAに紙Pが搬送された状態において、含水量測定部100Aの光源1から照射光Iが照射されると、紙Pの裏面PYにおいて生じた反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、紙Pを透過した透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。続いて、図6に示したように、位置TAから位置TBまで紙Pが搬送された状態において、含水量測定部100Bの光源1から照射光が照射されると、紙Pの表面PXにおいて生じた反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、紙Pを透過した透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。なお、図示はしないが、この含水量測定装置では、位置TAから紙Pが搬送された状態において、上記第1の実施の形態において図2を参照して説明した場合と同様に、含水量測定部100Aのディテクタ42において照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)が検出されると共に、位置TBから紙が搬送された状態においても同様に、含水量測定部100Bのディテクタ42において照射光I1が検出される。
【0064】
この場合には、図3に示したコントローラ9は、例えば、含水量測定部100Aにおいて検出したデータ、すなわち紙Pの裏面PYに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度、透過光T1の強度および照射光Iの強度と、含水量測定部100Bにおいて検出したデータ、すなわち紙Pの表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度、透過光T1の強度および照射光Iの強度とに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDを演算したのち、この吸収率・散乱率比AD/SDに基づいて検量線データCを利用して含水量Qを特定する。
【0065】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、紙Pの裏面PY(印画面G)に関する反射特性を考慮した反射光R1の強度を検出する含水量測定部100Aと、紙Pの表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度を検出する含水量測定部100Bとを備えるようにしたので、以下の理由により、裏面PYに印画面Gを有する紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0066】
すなわち、近年のコピー機やプリンタ等の使用状況を考慮すると、未印画の紙に限らず、印画済みの紙を使用する場合も多い。これは、印画済みの紙を処分せずに再利用し、未印画面(印画面と反対側の面)に新たに印画することを目的としたものである。しかしながら、紙の一面に画像形成用のトナー等が存在すると、このトナー等の存在に起因して紙の散乱率や吸収率が変化し得るため、含水量を高精度に測定しにくくなる。
【0067】
この点に関して、本実施の形態では、上記したように、含水量測定部100Aにおいて、紙Pの裏面PY(印画面G)に関する反射特性を考慮した反射光R1の強度を検出すると共に、含水量測定部100Bにおいて、紙Pの表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度を検出し、これらの2つの反射光R1の強度を含んで含水量Qを演算するようにしたので、単に紙Pの一方の面(PXまたはPY)のみに関して含水量Qを演算する場合とは異なり、印画面Gの存在に起因する光の散乱率や吸収率の差異に起因する光学的誤差が補正され、含水量Qの演算精度が向上する。したがって、本実施の形態では、裏面PYに印画面Gを有する紙Pの含水量Qを高精度に測定することが可能になるのである。
【0068】
なお、上記では、裏面PYに印画面Gを有する紙Pの含水量Qを測定するために本実施の形態の含水量測定装置を使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、いずれの面PX,PYにも印画面Gを有しない紙P(未使用の紙)の含水量Qを測定するために本実施の形態の含水量測定装置を使用するようにしてもよい。この場合においても、紙Pの各面PX,PYに関する反射特性の差異を考慮して、含水量Qを高精度に測定することができる。
【0069】
本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の作用、動作、効果および変形は上記第1,第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0071】
図7および図8は本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表しており、図7は紙Pの反転前の状態を示し、図8は紙Pの反転後の状態を示している。なお、図7および図8では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0072】
この含水量測定装置は、上記第3の実施の形態と同様に、紙Pの表裏面に関して反射光Rの強度および透過光Tの強度を検出し、反射光Rの検出結果、透過光Tの検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水量Qを演算するものであり、例えば、図7および図8に示したように、紙Pの表裏を反転させる反転機構34を新たに備えている点を除き、上記第1の実施の形態の含水量測定装置(図1〜図3参照)と同様の構成を有している。この反転機構34は、例えば、紙Pを搬送するための搬送用ローラや反転させるための反転用ローラなどを含んで構成されている。
【0073】
この含水量測定装置では、図7に示したように、印画面Gを有する裏面PYが上方を向くように紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づいて、紙Pの裏面PYにおいて生じた反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、紙Pを透過した透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。続いて、図8に示したように、反転機構34により紙Pの表裏が反転され、印画面Gを有する裏面PYが下方を向いた状態において光源1から照射光Iが照射されると、紙Pの表面PXにおいて生じた反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、紙Pを透過した透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離されるため、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出される。なお、図示はしないが、この含水量測定装置では、積分球2,22間の位置から紙がの搬送された状態において、上記第1の実施の形態において図2を参照して説明した場合と同様に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ42において検出される。
【0074】
この場合には、図2に示したコントローラ9は、例えば、紙Pの反転前にディテクタ4,42において検出したデータ、すなわち紙Pの裏面PYに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度、透過光T1の強度および照射光Iの強度と、紙Pの反転後に検出したデータ、すなわち紙Pの表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度、透過光T1の強度および照射光Iの強度とに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDを演算したのち、この吸収率・散乱率比AD/SDに基づいて検量線データCを利用して含水量Qを特定する。
【0075】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、紙Pの表裏を反転させる反転機構34を備えるようにしたので、この反転機構34を利用して、紙Pの裏面PYに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度と表面PXに関する反射特性を考慮した反射光R1の強度とを検出し、これらの2つの反射光R1の強度を含んで含水量Qを演算することが可能になる。したがって、上記第3の実施の形態と同様の作用により含水量Qの演算精度が向上するため、裏面PYに印画面Gを有する紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0076】
特に、本実施の形態では、反転機構34による紙Pの反転機構を利用することにより、上記第3の実施の形態において説明したように実質的に2つの含水量測定装置(含水量測定部100A,100B)を組み合わせて使用せずに、1つの含水量測定装置のみを使用して含水量Qを演算することが可能になる。したがって、上記第3の実施の形態と比較して、装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0077】
なお、本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の詳細な作用、動作および効果等は、上記第1〜第3の実施の形態と同様である。
【0078】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0079】
図9および図10は本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表しており、図9は反射光強度検出時の状態を示し、図10は照射光強度検出時の状態を示している。なお、図9および図10では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0080】
この含水量測定装置は、反射光Rの検出結果、透過光Tの検出結果および照射光Iの検出結果に基づいて含水量Qを演算していた上記第1の実施の形態とは異なり、透過光Tの検出結果を考慮せず、反射光Rの検出結果および照射光Iの検出結果のみに基づいて含水量Qを演算するものであり、透過光Tの強度が無視できるほどに小さな紙Pの含水量Qを測定するために使用されるものである。この含水量測定装置は、例えば、図9および図10に示したように、照射光Iを反射させる反射板20(反射手段)を新たに備え、積分球22、レンズ52、フィルタ62およびディテクタ42を備えていない点を除き、上記第1の実施の形態の含水量測定装置(図1〜図3参照)と同様の構成を有している。
【0081】
反射板20は、光源1から照射された照射光Iを反射光R0としてディテクタ4へ向けて反射させるものであり、例えば、弗素樹脂や、グラファイトが分散された弗素樹脂などにより構成されている。この反射板20は、積分球2の開口部2KBに対応して配置されており、その反射率は既知である。
【0082】
ディテクタ4は、特に、反射光Rの強度を検出する機能と共に反射光R0の強度(すなわち照射光I0の強度)を検出する機能も兼ねており(照射光強度検出手段)、反射板20を介して照射光Iの強度を間接的に検出するものである。ここでいう「間接的」とは、光源1から照射された照射光Iを、反射板20において反射させることなく検出するのではなく、反射板20において反射させたのちに検出するという意味である。
【0083】
この含水量測定装置では、図9に示したように、反射板20上に紙Pが搬送された状態において光源1から照射光Iが照射されると、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づき、反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離されるため、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出される。一方、図10に示したように、反射板20上から矢印Yに沿って紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、照射光Iが反射板20において反射光R0として反射されたのちにレンズ5を経由してフィルタ6へ導かれるため、反射光Rの場合と同様に、フィルタ6の波長分離作用を利用して、反射光R0のうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R01)がディテクタ4において検出される。
【0084】
なお、上記したディテクタ4による反射光R01の検出処理と、反射光R1,R01の強度とに基づく含水量Qの演算処理とは、例えば、含水量Qの測定時ごとに毎回行われるようにしてもよいし、あるいは所定の測定間隔ごと(例えば10回測定ごと)に行われるようにしてもよい。後者の場合には、通常時は反射光R1の強度と以前に検出された反射光R01の強度(あるいは光源1の劣化状況を反映した演算式を利用して反射光R01に基づいて演算された強度)とに基づいて含水量Qが演算されることとなる。
【0085】
この場合には、コントローラ9は、以下の動作手順により、ディテクタ4の検出結果に基づいて含水量Qを演算する。すなわち、まず、ディテクタ4において検出された反射光R1,R01の強度とに基づいて反射率RDを演算する。続いて、上記したKubelka−Munkの散乱モデルに基づく式1を利用して、反射率RDに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDを演算する。最後に、メモリ8から検量線データCを読み出し、この検量線データCに基づいて吸収率・散乱率比AD/SDに対応する含水量Qを特定する。これにより、ディテクタ4の検出結果に基づいて含水量Qが演算される。
【0086】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、照射光Iを反射光R01としてディテクタ4へ向けて反射させる反射板20を備え、ディテクタ4が反射光Rの強度と共に反射光R0の強度を検出する機能も兼ねるようにしたので、ディテクタ4において反射光R1,R01の強度を検出し、その反射光R1,R01の検出結果に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。したがって、上記第1の実施の形態と同様の作用により、照射光Iの強度変化の観点において含水量Qの測定精度に誤差を及ぼし得る要因が取り除かれるため、透過光Tの強度が無視できるほどに小さな紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0087】
なお、本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の詳細な作用、動作および効果等は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0088】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0089】
図11は、本実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表している。なお、図11では、上記第5の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0090】
この含水量測定装置は、上記第5の実施の形態と同様に、反射光Rの検出結果および照射光Iの検出結果のみに基づいて含水量Qを演算するものであり、例えば、図11に示したように、反射板20を備えていない上、積分球2の側方に開口部2KAと対向するように開口部2KDが設けられ、この開口部2KDに対応して照射光強度検出用のレンズ51、フィルタ61およびディテクタ41(照射光強度検出手段)が配置されていると共に、積分球2に開口部2KAを通じて他の積分球21が連結され、その積分球21内に光源1が配置されている点を除き、上記第5の実施の形態と同様の構成(図9、図10および図2参照)を有している。
【0091】
積分球21は、照射光Iを反射して散乱させることにより開口部2KAを通じて積分球2へ導くものであり、例えば、積分球2と同様の構成を有し、すなわち球21Gの内面に散乱面21Mを構成する散乱膜21Sが設けられた構成を有している。この積分球21の寸法(例えば内径)は、例えば、積分球2の寸法よりも小さくなっている。この積分球21の内部には、光源1と開口部2KAとの間の位置にバフル71が配置されている。
【0092】
レンズ51は、照射光Iを集光するものであり、例えば、レンズ5と同様の構成を有している。なお、レンズ51を設けるか否かは自由に設定可能である。フィルタ61は、照射光Iを波長分離するものであり、例えば、フィルタ6と同様の構成を有している。ディテクタ41は、照射光Iの強度を検出するものであり、すなわち光源1から照射された照射光Iの強度を開口部2KDを通じて直接的に検出するようになっている。このディテクタ41は、例えば、ディテクタ4と同様の構成を有している。ここでいう「直接的」とは、光源1から照射された照射光Iを反射板20において反射光R0として反射させたのちに検出していた上記第5の実施の形態とは異なり、反射板20において反射した反射光R0以外の光を検出する(照射光Iをそのまま検出する)という意味である。
【0093】
この含水量測定装置では、紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されて反射光Rが生じると、上記第1の実施の形態において説明した光学的原理に基づいて、フィルタ6の波長分離作用を利用して反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出されると共に、照射光Iが開口部2KDを通じてレンズ51を経由してフィルタ61へ導かれることにより、上記した反射光Rと同様に、フィルタ61の波長分離作用を利用して照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ41において検出される。これにより、上記第5の実施の形態と同様の演算手順を経て、図3に示したコントローラ9により、ディテクタ4,41の検出結果に基づいて含水量Qが演算される。
【0094】
本実施の形態に係る含水量測定装置では、反射光R1の強度を検出するディテクタ4に加えて、照射光I1の強度を検出するディテクタ41を備えるようにしたので、ディテクタ4において反射光R1の強度を検出すると共にディテクタ41において照射光I1の強度を検出し、その反射光R1の検出結果と共に照射光I1の検出結果に基づいて含水量Qを演算することが可能になる。したがって、上記第5の実施の形態と同様の作用により、透過光Tの強度が無視できるほどに小さな紙Pの含水量Qを高精度に測定することができる。
【0095】
特に、本実施の形態では、積分球2に連結された積分球21内に光源1を配置するようにしたので、積分球2に積分球21を連結させずに、その積分球2内に光源1を配設した場合とは異なり、照射光Iの大部分が積分球2,21において反射散乱されたのちにディテクタ41へ入射する。したがって、照射光Iの強度の角度分布に起因する誤差を小さくすることが可能になるため、この観点においても含水量Qの測定精度の向上に寄与することができる。
【0096】
なお、本実施の形態に係る含水量測定装置に関する上記以外の詳細な作用、動作および効果等は、上記第5の実施の形態と同様である。
【0097】
以上、第1〜第6の実施の形態としていくつかの含水量測定装置について説明したが、含水量Qの測定精度を向上させることが可能な限り、各含水量測定装置の構成は自由に変更可能である。
【0098】
具体的には、上記各実施の形態では、光源1として、1.8μm以上の波長域の赤外線光を含む照射光Iを照射するものを使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、その1.8μm以上の波長域の赤外線光のみを照射光Iとして照射するものを使用するようにしてもよい。この種の光源1としては、例えば、1.9μm近傍の波長域の赤外線光のみを照射可能なLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode )などが挙げられる。この場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
また、上記第1の実施の形態(図1および図2参照)では、反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)を検出するディテクタ4および透過光Tおよび照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1,照射光I1)を検出するディテクタ42のみを備え、そのディテクタ4,42の検出結果に基づいて含水量Qを演算するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図12および図13に示したように、ディテクタ4に加えて、1.8μm未満の波長域の光(反射光R2)を検出するディテクタ43と、ディテクタ42に加えて、1.8μm未満の波長域の光(透過光T2,照射光I2)を検出するディテクタ45と、ディテクタ4,42,43,45へ導かれる光(反射光R,透過光T,照射光I)を1.8μm以上の波長域の光(反射光R1,透過光T1,照射光I1)と1.8μm未満の波長域の光(反射光R2,透過光T2,照射光I2)とに分離する光学的分離手段と備え、ディテクタ4,42,43,45の検出結果に基づいて含水量Qを演算するようにしてもよい。なお、上記した「反射光R,透過光T,照射光Iを1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する」という表現は、1.8μmの波長を基準(境界)として厳密に1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する場合に限らず、全体中において1.8μm以上の波長域の光が占める割合が大きい光(1.8μm以上の波長域の光を大部分含み、1.8μm未満の波長域の光も僅かに含む光)と全体中において1.8μm未満の波長域の光が占める割合が大きい光(1.8μm未満の波長域の光を大部分含み、1.8μm未満の波長域の光も僅かに含む光)とに分離する場合も含む意味である。この旨は、後述する反射光R0(R01,R02)についても同様である。このディテクタ43,45は、例えば、シリコンフォトダイオード、ゲルマニウムフォトダイオード、インジウムガリウムヒ素合金フォトダイオードまたは熱起電力型素子などにより構成されている。また、光学的分離手段は、例えば、フィルタ6,62を傾けてハーフミラーとして使用したものである。なお、必要に応じて、ディテクタ43,45と共に、例えば薄膜干渉フィルタ、バンドパスフィルタまたは回折格子などの波長制限用の分光手段を組み合わせて使用してもよい。
【0100】
この含水量測定装置では、図12に示したように、積分球2,22間の位置に紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、反射光Rがフィルタ6へ導かれて波長分離され、その反射光Rのうちの被水吸収性の高い1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出され、かつ被水吸収性の低い1.8μm未満の波長域の光(反射光R2)がディテクタ43において検出されると共に、反射光Rと同様に透過光Tがフィルタ62へ導かれて波長分離され、その透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出され、かつ1.8μm未満の波長域の光(透過光T2)がディテクタ45において検出される。一方、図13に示したように、積分球2,22間の位置から紙Pが搬送された状態において、光源1から照射光Iが照射されると、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ42において検出されると共に、1.8μm未満の波長域の光(照射光I2)がディテクタ45において検出される。なお、例えば、ディテクタ43,45の分光感度特性によっては、そのディテクタ43,45において1.8μm以上の波長域の光も検出され得るが、その場合には、ディテクタ4,42,43,45の検出結果に基づいて、ディテクタ43,45に対する1.8μm以上の波長域の光の強度の寄与分が演算されることにより、その演算結果に基づいてディテクタ43,45の検出値が補正される。
【0101】
この場合には、以下の演算原理に基づき、散乱率SDが既知でない場合においても紙Pの含水量を演算することが可能である。すなわち、上記したKubelka−Munkの散乱モデルに基づく式1が、1.8μm以上の波長域の光(反射光R1,照射光I1)に関してf(RD1)=AD1/SD1と表され、一方、1.8μm未満の波長域の光(反射光R2,照射光I2)に関してf(RD2)=AD2/SD2と表されるとする。これらのRD2、AD2およびSD2は、それぞれ紙P自体(水を除く)の反射率、吸収率および散乱率に相当する。この場合には、反射光R1,R2の双方に関して散乱率が等しく(SD1=SD2)、かつ吸収率AD2が既知であれば、上記した式1,2を利用してf(RD1)/f(RD2)=AD1/AD2の関係に基づいて吸収率比AD1/AD2を演算した上、この吸収率比AD1/AD2に基づいて紙Pの含水量Qを特定することが可能になる。この場合には、被水吸収性の高い反射光R1,照射光I1,透過光T1の強度と被水吸収性の低い反射光R2,照射光I2,透過光T2の強度との間の差異に基づいて散乱率SDの変動による影響が排除されるため、その吸収率比AD1/AD2の演算精度が向上する。したがって、紙Pの含水量Qを極めて高精度に測定することができる。なお、図12および図13に示した含水量測定装置に関する上記以外の特徴は、図1および図2に示した含水量測定装置と同様である。
【0102】
特に、図12および図13に示した含水量測定装置に関して、上記したように、1.8μm以上の波長域の赤外線光のみを照射光Iとして照射する光源1を使用した場合には、例えば、この光源1とは別個に、1.8μm未満の波長域の赤外線光のみを照射光Iとして照射する他の光源を使用するようにしてもよい。この「他の光源」としては、例えば、1.8μm未満の波長域の赤外線光のみを選択的に照射可能なLD(Laser Diode )などが挙げられる。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
【0103】
なお、図12および図13に示した変形例は、上記第1の実施の形態に限らず、他の第2〜第6の実施の形態にも適用可能である。
【0104】
具体的には、上記第2の実施の形態に適用した場合には、図14に示したように、透過光Tのうちの1.8μm以上の波長域の光(透過光T1)がディテクタ42において検出されると共に、1.8μm未満の波長域の光(透過光T2)がディテクタ45において検出されるため、図12および図13に示した場合と同様の作用により、紙Pの含水量Qを極めて高精度に測定することができる。
【0105】
また、上記第5の実施の形態に適用した場合には、図15に示したように、反射光Rの検出時に、その反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出され、かつ1.8μm未満の波長域の光(反射光R2)がディテクタ43において検出されると共に、図16に示したように、反射光R0の検出時に、その反射光R0のうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R01)がディテクタ4において検出されると共に、1.8μm未満の波長域の光(反射光R02)がディテクタ43において検出される。したがって、図12および図13を参照して説明した場合と同様の作用により、被水吸収性の高い反射光R1,R01の強度と被水吸収性の低い反射光R2,R02の強度との間の差異に基づいて散乱率SDの変動による影響が排除され、吸収率比AD1/AD2の演算精度が向上するため、紙Pの含水量Qを極めて高精度に測定することができる。
【0106】
また、上記第6の実施の形態に適用した場合には、図17に示したように、反射光Rのうちの1.8μm以上の波長域の光(反射光R1)がディテクタ4において検出され、かつ1.8μm未満の波長域の光(反射光R2)がディテクタ43において検出されると共に、照射光Iのうちの1.8μm以上の波長域の光(照射光I1)がディテクタ41において検出されると共に、1.8μm未満の波長域の光(照射光I2)がディテクタ44において検出されるため、図15および図16に示した場合と同様の作用により、紙Pの含水量Qを極めて高精度に測定することができる。
【0107】
また、図示はしないが、上記第3および第4の実施の形態に適用すれば、上記第1,第2,第5,第6の実施の形態に適用した場合と同様に、含水量Qの測定精度を向上させることができる。
【0108】
また、上記第5の実施の形態(図9および図10参照)では、紙Pの含水量Qを測定する上で、紙Pが反射板20上を搬送されるため、その反射板20を固定するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、紙Pが反射板20上を搬送されない場合、例えば紙Pがコピー機やプリンタ等のトレー内に保管されるものである場合には、紙Pに代えて、反射板20を測定位置(図9および図10に示した反射板20の位置)とその測定位置から離れた退避位置との間で移動させるようにしてもよい。この場合においても、必要に応じて反射板20において照射光Iをディテクタ4へ向けて反射させることが可能になるため、同様の効果を得ることができる。
【0109】
また、上記第5の実施の形態では、光源1から照射された照射光Iを反射光R0としてディテクタ4へ向けて反射させる部材として反射板20を使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、反射板20と同様に照射光Iを反射し得る限り、その反射板20を他の部材に置き換えてもよい。この「他の部材」としては、例えば、積分球2の開口部2KBに対応した位置に開口部を有する他の積分球などが挙げられる。
【0110】
また、上記第6の実施の形態(図11参照)では、上記第5の実施の形態において説明した反射板20を設けないようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、反射板20を設けるようにしてもよい。この場合の反射板20は、照射光Iを反射光R0として反射させる機能を担っていた上記第5の実施の形態とは異なり、僅かながらでも紙Pが透過性を有する場合に、その紙Pを透過した光をディテクタ4へ向けて反射させる機能を担うものである。この場合には、紙Pの透過性の有無に関わらずに、ディテクタ4へ導かれる光の割合がほぼ一定に維持されるため、含水量Qの演算精度をより向上させることができる。
【0111】
また、上記第6の実施の形態では、積分球2のうち、開口部2KAに対向する位置に開口部2KDを設け、この開口部2KDに対応してレンズ51、フィルタ61およびディテクタ41を配置させるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図18に示したように、開口部2KAに対向しない位置に開口部2KDを設け、この開口部2KDに対応してレンズ51、フィルタ61およびディテクタ41を配置させるようにしてもよい。この場合には、積分球2において反射された照射光Iに加えて、バフル71において反射された照射光Iもディテクタ41において検出し得る上記第6の実施の形態とは異なり、バフル71において反射された割合を少なくし、積分球2において反射散乱された割合を多くした状態で照射光Iをディテクタ41において検出することが可能になるため、含水量Qの演算精度をより向上させることができる。なお、図18では、含水量測定装置の平面構成を模式的に表しており、図11に示した一連の構成要素のうちの光源1、積分球2,21(開口部2KA,2KD)、ディテクタ41、レンズ51、フィルタ61およびバフル71のみを示している。
【0112】
また、上記第1〜第6の実施の形態において説明した含水量測定装置の構成および図12〜図18に示した変形例は、上記したようにそれぞれ単独で含水量測定装置に適用されるようにしてもよいし、あるいは適宜組み合わされて含水量測定装置に適用されるようにしてもよい。具体的には、例えば、図19に示したように、第1の実施の形態において説明した構成(図1参照)と第6の実施の形態において説明した構成(図11参照)とを組み合わせるようにしてもよい。この場合においても、上記各実施の形態および各変形例と同様の効果を得ることができる。
【0113】
また、上記各実施の形態および各変形例では、本発明の含水量測定装置を使用して紙の含水量を測定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、本発明の含水量測定装置を使用すれば、紙以外の他の被測定物の含水量を測定することも可能である。この「他の被測定物」としては、例えば、布や、土や、パンまたは麺などの生地や、海苔または茶などの食品等が挙げられる。この場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る含水量測定装置によれば、被測定物を透過した透過光の強度を検出する透過光強度検出手段を備え、透過光強度の検出結果および反射光強度検出手段の検出結果に基づいて含水量を演算するようにしたので、その透過光の強度を加味した分だけ被測定物の厚さに対する反射率の依存性が補正され、含水量の演算精度が向上するため、透過光の影響が無視できないほどに大きな被測定物の含水量をより高精度に測定することができる。
【0115】
また、上記の他、本発明に係る含水量測定装置では、光源から照射された照射光を反射して散乱させることにより被測定物へ導く反射散乱手段を備えるようにすれば、反射光の強度の角度分布の観点において含水量の測定精度に誤差を及ぼし得る要因が取り除かれ、その誤差が小さくなるため、被測定物の含水量をより高精度に測定することができる。
【0116】
また、本発明に係る含水量測定装置では、光源から照射された照射光の強度を検出する照射光強度検出手段を備え、透過光強度検出手段の検出結果および反射光強度検出手段の結果と共に照射光強度検出手段の検出結果に基づいて被測定物の含水量を演算するようにすれば、例えば光源の劣化等に起因する照射光の強度変化を加味して含水量が演算される。したがって、反射光の強度と共に、照射光の強度変化も加味して被測定物の反射率が演算されるため、被測定物の含水量を高精度に測定することができる。
【0117】
また、本発明に係る含水量測定装置では、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へ導かれる光のうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる光学フィルタを備えるようにすれば、この光学フィルタによる波長分離作用を利用して、透過光、反射光および照射光のうちの含水量の測定に有用な1.8μm以上の波長域の光が透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へそれぞれ導かれるため、透過光、反射光および照射光の強度を安定かつ容易に検出することができる。
【0118】
また、本発明に係る含水量測定装置では、透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段へ導かれる光を1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する光学的分離手段を備え、これらの透過光強度検出手段、反射光強度検出手段および照射光強度検出手段が、それぞれ1.8μm以上の波長域の光の強度と1.8μm未満の波長域の光の強度とを別個に検出するようにすれば、被水吸収性の高い1.8μm以上の波長域の光の強度と被水吸収性の低い1.8μm未満の波長域の光の強度との間の差異に基づいて散乱率の変動による影響が補正されることにより演算精度が向上するため、被測定物の含水量を極めて高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る含水量測定装置の反射光強度および透過光強度検出時の概略構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した含水量測定装置の照射光強度検出時の概略構成を表す断面図である。
【図3】図1および図2に示した含水量測定装置のブロック構成を表すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る含水量測定装置の紙搬送前の概略構成を表す断面図である。
【図6】図5に示した含水量測定装置の紙搬送後の概略構成を表す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る含水量測定装置の紙反転前の概略構成を表す断面図である。
【図8】図7に示した含水量測定装置の紙反転後の概略構成を表す断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る含水量測定装置の反射光強度検出時の概略構成を表す断面図である。
【図10】図9に示した含水量測定装置の照射光強度検出時の概略構成を表す断面図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態に係る含水量測定装置の概略構成を表す断面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る含水量測定装置に関する変形例(反射光強度および透過光強度検出時)を説明するための断面図である。
【図13】図12に示した含水量測定装置(照射光強度検出時)を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る含水量測定装置の変形例を説明するための断面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る含水量測定装置に関する変形例(反射光強度検出時)を説明するための断面図である。
【図16】図15に示した含水量測定装置(照射光強度検出時)を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係る含水量測定装置に関する変形例を説明するための断面図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態に係る含水量測定装置に関する他の変形例を説明するための平面図である。
【図19】本発明の含水量測定装置に関する他の変形例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1…光源、2,21,22…積分球、2KA〜2KD,22KA,22KB…開口部、2G,21G,22G…球、2M,21M,22M…散乱面、2S,21S,22S…散乱膜、4,41〜45…ディテクタ、5…レンズ、6,61,62…フィルタ、7,71…バフル、8…メモリ、9…コントローラ、10…アンプ、11…A/D変換器、20…反射板、32…半透過反射板、34…反転機構、100A,100B…含水量測定部、AD…吸収率、AD/SD…吸収率・散乱率比C…検量線データ、I(I1,I2)…照射光、G…印画面、P…紙、PX…表面、PY…裏面、R0(R01,R02),R(R1,R2)…反射光、RD…反射率、SD…散乱率、T(T1,T2)…透過光、Q…含水量。
Claims (13)
- 被測定物へ照射光を照射する光源と、
前記被測定物を透過した透過光の強度を検出する透過光強度検出手段と、
前記被測定物において反射した反射光の強度を検出する反射光強度検出手段と、
少なくとも前記透過光強度検出手段の検出結果および前記反射光強度検出手段の検出結果に基づいて、前記被測定物の含水量を演算する演算手段と
を備えたことを特徴とする含水量測定装置。 - さらに、前記被測定物を透過した光のうちの一部の光を透過光として選択的に透過させることにより前記透過光強度検出手段へ導く選択的透過手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の含水量測定装置。 - さらに、前記光源から照射された照射光を反射して散乱させることにより前記被測定物へ導く反射散乱手段を備えた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の含水量測定装置。 - 前記反射散乱手段が、積分球である
ことを特徴とする請求項3記載の含水量測定装置。 - さらに、前記光源から照射された照射光の強度を検出する照射光強度検出手段を備え、
前記演算手段が、前記透過光強度検出手段の検出結果および前記反射光強度検出手段の検出結果と共に、前記照射光強度検出手段の検出結果に基づいて、前記被測定物の含水量を演算する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の含水量測定装置。 - 前記照射光強度検出手段が、前記反射光強度検出手段と異なるものであり、照射光の強度を直接的に検出する
ことを特徴とする請求項5記載の含水量測定装置。 - さらに、照射光を前記反射光強度検出手段へ向けて反射させる反射手段を備え、
前記反射光強度検出手段が、前記照射光強度検出手段としての機能も兼ね、前記反射手段を介して照射光の強度を間接的に検出する
ことを特徴とする請求項5記載の含水量測定装置。 - さらに、前記透過光強度検出手段および前記反射光強度検出手段へ導かれる光のうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる光学フィルタを備えた
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の含水量測定装置。 - さらに、前記照射光強度検出手段へ導かれる光のうちの1.8μm以上の波長域の光を選択的に透過させる光学フィルタを備えた
ことを特徴とする請求項8記載の含水量測定装置。 - 前記光学フィルタが、ゲルマニウムにより構成されている
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の含水量測定装置。 - 前記透過光強度検出手段および前記反射光強度検出手段へ導かれる光を1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する光学的分離手段をさらに備え、
前記透過光強度検出手段および前記反射光強度検出手段が、前記光学的分離手段により分離された1.8μm以上の波長域の光の強度と1.8μm未満の波長域の光の強度とを別個に検出する
ことを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の含水量測定装置。 - 前記照射光強度検出手段へ導かれる光を1.8μm以上の波長域の光と1.8μm未満の波長域の光とに分離する光学的分離手段をさらに備え、
前記照射光強度検出手段が、前記光学的分離手段により分離された1.8μm以上の波長域の光の強度と1.8μm未満の波長域の光の強度とを別個に検出する
ことを特徴とする請求項11記載の含水量測定装置。 - 前記光学的分離手段が、ハーフミラーである
ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の含水量測定装置。
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