JP2016218013A - 光学測定装置 - Google Patents

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奥野 俊明
Toshiaki Okuno
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Abstract

【課題】近赤外光を用いた測定対象物に係る定量分析を行うための測定感度を確保可能とする。【解決手段】光学測定装置1は、測定対象物3に対して近赤外光を照射する光源部10と、測定対象物3を挟んで配置され、光源部10からの近赤外光L1を反射させることで測定対象物3に対して当該近赤外光を3回以上透過させる一対の反射部材41,42と、反射部材41,42によって測定対象物3を3回以上透過した透過光L2を受光して検出する撮像部20と、撮像部20において検出された透過光に基づいて測定対象物3に係る定量分析を行う分析部30と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、光学測定装置に関する。
従来から、フィルムのような薄層又は透明な材料である測定対象物に対して近赤外光を照射して評価を行う場合、測定対象物を透過した光を受光する測定が知られている。例えば、特許文献1では、透過反射光を用いて測定対象物の吸収スペクトルを得ることが示されている。
特開2009−287922号公報
上記のような近赤外光による光学測定を用いて、測定対象物に含まれる特定の成分の定量分析を行う場合、近赤外光は測定対象物における吸収が非常に小さいため、十分な測定感度が得られない場合がある。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、近赤外光を用いた測定対象物に係る定量分析を行うための測定感度を確保可能な光学測定装置を提供することを目的とする。
本願発明は、
測定対象物に対して近赤外光を照射する光源部と、
前記測定対象物を挟んで配置され、前記光源部からの近赤外光を反射させることで前記測定対象物に対して当該近赤外光を3回以上透過させる一対の反射部材と、
前記反射部材によって前記測定対象物を3回以上透過した透過光を受光して検出する検出手段と、
前記検出手段において検出された前記透過光に基づいて前記測定対象物に係る定量分析を行う分析手段と、を備える光学測定装置
である。
本発明によれば、近赤外光を用いた測定対象物に係る定量分析を行うための測定感度を確保可能な光学測定装置が提供される。
本実施形態に係る光学測定装置の概略構成図である。 図2(A)は光源部の構成を説明する図であり、図2(B)は出射面を説明する図である。 ハイパースペクトル画像についてその概略を説明する図である。 反射部材の構成を模式的に説明する図である。 変形例に係る反射部材の構成を模式的に説明する図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
本願の光学測定装置は、測定対象物に対して近赤外光を照射する光源部と、前記測定対象物を挟んで配置され、前記光源部からの近赤外光を反射させることで前記測定対象物に対して当該近赤外光を3回以上透過させる一対の反射部材と、前記反射部材によって前記測定対象物を3回以上透過した透過光を受光して検出する検出手段と、前記検出手段において検出された前記透過光に基づいて前記測定対象物に係る定量分析を行う分析手段と、を備えることを特徴とする。
上記の光学測定装置によれば、一対の反射部材により近赤外光が反射されることで、測定対象物を3回以上透過した透過光を検出手段により検出することができる。したがって、検出手段において検出される透過光は、近赤外光が測定対象物を透過した実効長を長くすることができるため、近赤外光を用いた測定対象物に係る定量分析を行うための測定感度を確保可能となり、定量分析を行うことが可能となる。
また、前記反射部材は、前記測定対象物を透過する前記光源からの近赤外光が、前記測定対象物を透過する度に互いに異なる位置を透過するように配置されている態様とすることができる。
上記のように測定対象物を透過する近赤外光が、測定対象物を透過する度に互いに異なる位置を透過するように反射部材が配置されていることにより、3回以上透過した透過光を容易に分離して検出することができる。
また、前記検出手段は、ライン状の視野領域からの透過光を受光し、前記光源部は、前記視野領域の延在方向と同一の方向に延びるライン状の近赤外光を出射する態様とすることができる。
上記のように、視野領域がライン状である場合に、光源部もライン状の近赤外光を出射する態様とすることで、撮像手段において受光する光の強度に関して、視野領域の延在方向に沿ったバラつきを小さい装置を実現することができる。
また、本発明の光学測定装置は、ライン状の視野領域からの透過光を受光し、当該透過光を分光した後に2次元配置された複数の画素で受光することで前記測定対象物上のスペクトルデータを取得する態様とすることができる。
上記のように、透過光を受光し、当該透過光を分光した後に2次元配置された複数の画素で受光する構成を有する光学測定装置に対して反射部材を適用した場合、近赤外光を用いた測定対象物に係る定量分析を行うための測定感度の向上効果がより高く得られる。
また、前記一対の反射部材は、前記光源からの近赤外光の光路を変更可能である態様とすることができる。
一対の反射部材が光源からの近赤外光の光路を変更可能な構成を備えることで、例えば測定対象物に応じて光路や反射部材に依る反射回数等を変更することが可能となるので、種々の測定対象物に対して柔軟に対応することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明に係る光学測定装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本実施形態に係る光学測定装置1について図1を用いて説明する。光学測定装置1は、測定台2上に載置されて、所定の方向に搬送される測定対象物3を撮像する装置とすることができる。このような光学測定装置1は、例えば、測定対象物3の検査等に用いられる。光学測定装置1の測定対象物3は特に限定されないが、近赤外光の吸収率が小さなものが対象である。このような測定対象物3は、厚さが薄いか又は透明度が高い場合が多く、例えば、フィルム等が対象となる。
光学測定装置1は、近赤外光である測定光を搬送手段により搬送される測定対象物3に対して照射することにより得られる透過光のスペクトルを測定し、そのスペクトルに基づいて測定対象物3に係る定量分析を行う。このため、光学測定装置1は、光源部10、撮像部20(検出手段)、分析部30(分析手段)、及び、測定対象物3を挟んで対向して設けられる一対の反射部材41,42を備える。定量分析の対象となる量は特に限定されず、測定対象物が紫外線硬化樹脂からなるフィルムである場合、定量分析の対象として、例えば、フィルムの硬化度、組成分布、構成物の含有量等が挙げられる。
本実施形態で説明する光学測定装置1では、測定台2が例えばコンベア、シューター、リフト等の搬送手段により構成され、測定台2上の測定対象物3が搬送方向(y軸方向)に移動する場合に、搬送方向に対して垂直な方向(x軸方向)に視野領域20sを有する撮像部20により、撮像を行う。なお、搬送手段の構成は上記実施形態に限定されない。
光源部10は、近赤外光である測定光を、測定台2上における所定の照射領域R1へ向けて照射する。光源部10が照射する測定光の波長範囲は、測定対象物3によって適宜選択される。測定光としては、具体的には、波長範囲が800nm〜2500nmの近赤外光が好適に用いられ、特に1000nm〜2300nmの光が好適に用いられる。なお、本実施形態では、ハロゲンランプからなる光源11を含む光源部10について説明する。
照射領域R1とは、測定対象物3を載置する測定台2の表面の一部の領域である。この照射領域R1は、測定台2の一の方向(図1のx軸方向)に広がるライン状に延びる領域である。
光源部10は、光源11と、光源11から出射された光を導波して出力する光ファイバ12と、ヘッド部13と、を備える。本実施形態に係る光学測定装置1では、光源部10から出射する近赤外光がライン状とされる。
図2を参照しながら、光源部10についてさらに説明する。図2(A)は光源部10の構成を説明する図であり、図2(B)はヘッド部13の出射面13aを説明する図である。光源部10の光源11は、近赤外光を発生させる。光源11により発生された近赤外光は、複数の光ファイバ12の一方の端面へ入射される。光ファイバ12としては、例えば石英ガラスファイバを利用することができる。この近赤外光は、光ファイバ12のコア領域を導波する。石英ガラスファイバを使用する場合、光ファイバ12の曲げ強度を確保するために、ガラス径が2mm以下のものが好適に用いられる。
ヘッド部13は、複数の光ファイバ12の端面が一列に配列された出射面13aを有する。これにより、出射面13aからライン状の近赤外光を出射することができる。光源部10は、出射面13aから出射する近赤外光をコリメートするためのコリメートレンズ等の光学系をさらに備えていることが好ましい。その場合、よりビーム径が制御された近赤外光L1を照射領域R1に対して照射することができると共に、光源部10からの近赤外光L1の光路の制御が容易となり、近赤外光L1の利用効率を高めることができる。なお、光源部10の構成は、上記の構成に限定されるものではない。より単純な構成としては、1点から近赤外光を出射する点光源としてもよい。また、複数のハロゲンランプを並べて配置してライン状の光を出射する構成としてもよい。
光源部10から出力されたライン状の近赤外光L1は、照射領域R1上に載置された測定対象物3に入射する。その後、一対の反射部材41,42により反射されながら測定対象物3内を導波する。反射部材41,42については、後述する。
反射部材41,42により反射されながら測定対象物3内を導波した近赤外光のうち、視野領域20sを通過した光は、撮像部20に入射し、撮像部20により撮像される。
撮像部20は、2次元に配置された受光素子によってハイパースペクトル画像を取得する所謂ハイパースペクトルセンサとしての機能を有する。受光素子としては、InGaAs、MCT、PbS、又はInGaAs/GaAsSbタイプの量子井戸型センサ等を用いることができる。
ここで、本実施形態におけるハイパースペクトル画像について図3を用いて説明する。図3は、ハイパースペクトル画像についてその概略を説明する図である。図3に示すように、ハイパースペクトル画像とは、N個の画素P〜Pにより構成されている画像である。図3ではそのうちの一例として2個の画素P及びPについて具体的に示している。画素P及びPには、それぞれ複数の強度データからなるスペクトル情報S及びSが含まれている。この強度データとは、特定の波長(又は波長帯域)におけるスペクトル強度を示すデータであり、図3では、15個の強度データがスペクトル情報S及びSとして保持されていて、これらを重ね合わせた状態で示している。このように、ハイパースペクトル画像Hは、画像を構成する画素毎に、それぞれ複数の強度データを持つという特徴から、画像としての二次元的要素と、スペクトルデータとしての要素をあわせ持った三次元的構成のデータである。なお、本実施形態では、ハイパースペクトル画像Hとは、1画素あたり少なくとも5つの波長帯域における強度データを保有している画像のことをいう。
図3では円形の測定対象物3もあわせて示している。すなわち、図3においてPは測定対象物3を撮像した測定対象物上の画素であり、Pは背景(例えば、測定台2)上の画素である。このように、撮像部20では、測定対象物3だけでなく背景を撮像した画像も取得される。
図1に戻り、光学測定装置1における撮像部20は、カメラレンズ24と、スリット21と、分光器22と、受光部23と、を備える。この撮像部20の視野領域20s(撮像領域)は、測定台2上で照射領域R1と同じ方向(x軸方向)が長手方向となるように延びている。視野領域20sは、測定台2上の照射領域R1に含まれるライン状の領域であって、ここからの測定対象物3を透過した透過光L2がスリット21を通過して受光部23上に像を結ぶ領域である。
スリット21は、照射領域R1の延在方向(x軸方向)と平行な方向に開口が設けられる。撮像部20のスリット21に入射した透過光L2は、分光器22へ入射する。
分光器22は、スリット21の長手方向、すなわち照射領域R1の延在方向に垂直な方向(y軸方向)に透過光L2を分光する。分光器22により分光された光は、受光部23によって受光される。
受光部23は、複数の受光素子が2次元に配列された受光面を備え、各受光素子が光を受光する。これにより、受光部23が測定台2上の照射領域R1の延在方向(x軸方向)に沿った各画素で反射した透過光L2の各波長の光をそれぞれ受光することとなる。このように、撮像部20は所謂ライン型のハイパースペクトルカメラにおける撮像手段(検出手段)として機能する。
各受光素子は、受光した光の強度に応じた信号を位置と波長とからなる二次元平面状の一点に関する情報として出力する。この受光部23の受光素子から出力される信号が、ハイパースペクトル画像に係る画素毎のスペクトルデータとして、撮像部20から分析部30に送られる。
分析部30は、画素毎のスペクトルデータを取得して、これに基づいて、ハイパースペクトル画像Hを形成して出力する機能を有する。すなわち、ハイパースペクトルカメラにおける画像形成手段として機能する。
また、分析部30は、測定対象物3に係る定量分析を行う機能も備えている。すなわち、ハイパースペクトル画像Hに含まれているスペクトルデータに基づいて、測定対象物3に係る特定のパラメータを定量分析する機能を備えている。この場合、定量対象のパラメータが既知のサンプルを予め測定して検量線を作成した後に、パラメータが未知の測定対象物3に係る測定を行い、検量線との比較により定量分析を行う方法を用いることができるが、定量分析に係る具体的な方法は上記に限定されるものではなく、公知の方法を利用することができる。
分析部30は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、撮像部20等の他の機器との間の通信を行う通信モジュール、並びにハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、分析部30としての機能が発揮される。
上記の光学測定装置1は、一度の撮像によって(1フレームごとに)、視野領域20sの延在方向(x軸方向)に沿って所謂1次元のスペクトル画像を取得することができる。撮像した画像1フレームには、視野幅方向の位置情報に加えて、分光器22により各位置の分光スペクトルが格納される。
次に、反射部材41,42について、図4を参照しながら説明する。図4は、光学測定装置1のうち、反射部材41,42の周辺のみを拡大し、さらに説明のために測定対象物3と反射部材41,42とを離間して示した模式図である。
本実施形態に係る光学測定装置1では、照射領域R1に入射した近赤外光が、反射部材41,42のそれぞれにおいて少なくとも1度以上反射された後に撮像部20による視野領域20sに到達するように設計されている。光学測定装置1では、反射部材41により2度反射され、反射部材42により3度反射されるように設計されている。
反射部材41は、スリット21の延在方向に延びる4枚のミラー41a〜41dにより構成されている。また、反射部材42は、6枚のミラー42a〜42fにより構成されている。これらのミラーは、例えば透明樹脂等によって一体化されていてもよいし、それぞれが個別に固定されていてもよい。また本実施形態では、反射部材42は、測定台2とは別体とされているが、測定台2が移動しない構成の場合には、測定台2に対して埋め込まれる構成であってもよい。測定対象物3は搬送手段により移動しながら撮像されるが、反射部材41,42は、光源部10及び撮像部20と同様に固定された状態で用いられる。
図4に示すように、反射部材41のミラー41a〜41d及び反射部材42のミラー42a〜42fは、照射領域R1に入射された近赤外光が、測定対象物3内を透過しながら移動して、視野領域20sに到達するように配置されている。すなわち、近赤外光L1は、ミラー42a,42b,41a,41b,42c,42d,41c,41d,42e,42fによりそれぞれ反射されながら、測定対象物3を6回通過した後に視野領域20sに到達し、透過光L2が撮像部20に入射する。各ミラー41a〜41d,42a〜42fは、上記の光路を構成するようにそれぞれ傾斜して配置されている。この場合、測定対象物3を透過する透過光は、測定対象物3を透過する度に互いに異なる位置を透過する。
上記のような反射部材41,42を用いることで、近赤外光L1が測定対象物3を通過する実効長を長くすることができるため、定量分析の精度の向上につながる。測定対象物3の厚さをdとした場合、透過光を測定しようとすると、測定対象物3を挟んで光源部10と撮像部20とを配置するため、撮像部20において受光される光に基づく測定対象物3の吸光度αは、測定対象物3による光の吸収度合を示す濃度係数Cを用いて以下の数式(1)で表すことができる。
α=C×d …(1)
しかしながら、本実施形態に係る光学測定装置1のように、測定対象物3内を近赤外光L1が6回通過する構成とした場合、測定対象物3の実効長d’は6×dとなる。したがって、撮像部20において受光される光に基づく測定対象物3の吸光度α’は6×αとなる。これは、撮像部20における検出感度を6倍にすることができたことを意味する。検出感度が向上することで、定量分析を行うための検量線の作成精度も向上すると共に、測定対象物3から得られる感度も向上する。すなわち、光学測定装置1によれば、近赤外光を用いた測定対象物に係る定量分析を行うための測定感度を確保することが可能となり、従来は感度が低いために実施されていなかった、より高い精度が求められる定量分析も可能となる。
また、測定対象物3を透過する透過光は、測定対象物3を透過する度に互いに異なる位置を透過するため、同じ位置を何度も通過する場合と比較して3回以上透過した透過光を容易に分離して検出することができる。
なお、本実施形態に係る光学測定装置1の撮像部20のように、スリット21を設けてライン状の光を入射して分光測定を行う装置の場合、光源部10のようにスリット21の延在方向(x軸方向)と同一の方向に延び、その長さがスリット21よりも長いライン状の近赤外光L1を照射領域R1に対して出射する構成とすることが好ましい。この場合、近赤外光L1に係る光路の制御についてy軸方向のみ考慮すればよく、x軸方向の移動の制御を考慮しなくてもよくなる。したがって、ミラー41a〜41d,42a〜42fのように、それぞれスリット21の延在方向に延びるミラーを利用して、光源部10の出射面13aから出射される近赤外光L1の光路を制御することができるため、反射部材41,42をより簡単な構成で実現することができる。
本実施形態に係る光学測定装置1の光源部10のように、複数の光ファイバ12を用いてライン状の光を構成した場合、各光ファイバ12の出射端を各々点光源と見立てて、複数の微小点光源から構成されたライン状の光源ということができる。撮像部20において2次元に配置される受光素子として、一辺30μmの正方形の画素が配列されているとした場合、スリット21としてはy軸方向の幅が30μmでありx軸方向の長さが9.6mmのものが用いられ、1×320画素によって視野領域20sからの光を受光する。このとき、視野幅が200mmであるとすると、1画素あたりが撮像する領域、すなわち分解能は625μmとなる。
上記の分解能を考慮した場合、光源部10に用いる光ファイバ12として石英ガラスファイバを好適に用いることができる。これは、600μmのコア径を有する石英ガラスファイバはエネルギー伝送等の用途で広く用いられているからである。この広く用いられている石英ガラスファイバを光ファイバ12として利用する場合、光源部10の出射面13aに設けられた光ファイバ12の出射端から出射される近赤外光のビーム径が600μm程度となり、光源部10の近赤外光が全て視野領域20sに到達するように光源部10、反射部材41,42及び撮像部20を配置すると、光源部10からの近赤外光を撮像部20で効率よく受光することができる。また、撮像部20における受光する光の強度に関して、スリット21の延在方向(すなわち、視野領域20sの延在方向)に沿ったバラつきを小さい装置を実現することができる。
なお、ライン状の近赤外光を出射する光源部10ではなく所謂点光源を用いてもよい。その場合、撮像部20における受光する光の強度に関して、スリット21の延在方向に沿ってバラつきが生じる。したがって、事前にバラつき具合を測定しておき、撮像部20で受光した光の光量に対してバラつきに基づいた補正を行う等の何らかの処理を行うことが望ましい。
なお、ミラー41a〜41d,42a〜42fに代えて、例えば表面上に凹凸を形成した反射板等を利用してもよい。また、石英ガラス等に光路に対応した傾斜を設けた後、反射面に金成膜等を行うことで形成したミラーを用いることもできる。すなわち、上述した近赤外光の光路を形成可能な構成であれば、その形状等は特に限定されない。また、各ミラー41a〜41d,42a〜42fの傾斜を変更可能な構成としてもよい。このようなミラー41a〜41d,42a〜42fを実現する方法としては、例えば、MEMS又は液晶ミラー等を用いる方法が挙げられる。ミラーの傾斜、すなわち、反射角を変更可能とすることで、近赤外光の光路を変更することができる。例えば、測定対象物3の形状が特殊であり、透過させる位置を調整する必要がある場合や、測定対象物3を通過させる回数を減らしたい場合等に、近赤外光の光路を変更することが可能となり、柔軟な対応が可能となる。
また、光源部10及び撮像部20の配置を考慮することで、一対の反射部材をより単純な構成とすることもできる。
図5では、反射部材43,44がそれぞれ1枚のミラー43a,44aにより構成されている例を示す。図3に示す反射部材41,42と同様に、図5に示す反射部材43,44を用いた場合でも、反射部材43により2度反射され、反射部材44により3度反射されるように設計されている。なお、図5に示す反射部材43,44の場合、光源部10のようにライン状にコリメートされた光を出射する光源部を用いることが好ましい。近赤外光L1としてライン状にコリメートされた光を用いる場合には、より単純な構成の反射部材であっても近赤外光L1の光路を制御できる。しかしながら、近赤外光L1としてライン状にコリメートされていない光を用いる場合、例えば、測定対象物3の表面で反射した光等、設計上の光路とは異なる光路を進んだ光が視野領域20sに到達する可能性がある。このような光は、設計上の反射回数よりも多い反射を繰り返した多重反射光である場合が多く、定量分析においてはノイズとなり得る。このようにノイズ成分となる光が視野領域20sに到達して、撮像部20に入射した場合、定量分析の精度に影響を与える。
したがって、本実施形態に係る反射部材43,44では、ミラー43a,44aの反射面から突起する遮蔽板43b,44bを設けて、多重反射光が視野領域20sに到達しないような構成を備えることで、設計された光路を進む近赤外光L1が視野領域20sに到達するような構成を備えることが好ましい。
なお、本発明に係る光学測定装置は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態のように光学測定装置1が光源部10、撮像部20及び分析部30の配置は特に限定されない。例えば、上記実施形態では、光源部10と撮像部20とが測定対象物3に対して同じ側(上方)に配置されている例を示したが、光源部10と撮像部20とが測定対象物3に対して互いに異なる側に配置されていてもよい。
また、上記実施形態では、ライン状の視野領域20sからの透過光L2を分光して2次元配置された受光素子で受光するハイパースペクトルカメラを用いた定量分析について説明したが、撮像部20の構成は上記に限定されない。例えば、所定の単一波長の近赤外光を用いた定量分析においても、上記実施形態に説明した反射部材を適用することができる。少なくとも近赤外光を用いた定量分析を行う構成であれば、本発明に係る反射部材を用いることができ、反射部材を用いることによって測定感度を確保することが可能となり、従来は感度が低いために実施されていなかった、より高い精度が求められる定量分析も可能となる。ただし、ハイパースペクトルカメラのように受光素子が2次元配置されている場合、光源部10から出射する光の強度に比べて各受光素子で受光する光の強度が小さくなるため、本発明に係る反射部材を備えることによる測定感度の向上効果が高くなると考えらえる。
また、光源部10と撮像部20との間の光の進路に対応させて反射部材の形状は適宜変更することができる。例えば、反射部材の一部に開口を設けて、光源部10からの近赤外光L1又は視野領域20sを通る透過光L2を通過させる構成とすることもできる。
1…光学測定装置、2…測定台、3…測定対象物、10…光源部、20…撮像部、30…分析部、41〜44…反射部材。

Claims (5)

  1. 測定対象物に対して近赤外光を照射する光源部と、
    前記測定対象物を挟んで配置され、前記光源部からの近赤外光を反射させることで前記測定対象物に対して当該近赤外光を3回以上透過させる一対の反射部材と、
    前記反射部材によって前記測定対象物を3回以上透過した透過光を受光して検出する検出手段と、
    前記検出手段において検出された前記透過光に基づいて前記測定対象物に係る定量分析を行う分析手段と、を備える光学測定装置。
  2. 前記反射部材は、前記測定対象物を透過する前記光源からの近赤外光が、前記測定対象物を透過する度に互いに異なる位置を透過するように配置されている請求項1記載の光学測定装置。
  3. 前記検出手段は、ライン状の視野領域からの透過光を受光し、
    前記光源部は、前記視野領域の延在方向と同一の方向に延びるライン状の近赤外光を出射する請求項1又は2に記載の光学測定装置。
  4. 前記検出手段は、ライン状の視野領域からの透過光を受光し、当該透過光を分光した後に2次元配置された複数の画素で受光することで前記測定対象物上のスペクトルデータを取得する請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学測定装置。
  5. 前記一対の反射部材は、前記光源からの近赤外光の光路を変更可能である請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020193928A (ja) * 2019-05-30 2020-12-03 株式会社分光応用技術研究所 2次元分光測定システム及びデータの処理方法
JP2022020340A (ja) * 2020-07-20 2022-02-01 アンリツ株式会社 物品検査装置

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