JP2004360871A - ダンパー機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダンパー機構において捩り特性の1段目及び2段目の両方において、所定の摩擦抵抗を発生させつつ、微少捩り振動に対しては所定の摩擦抵抗を発生させないことにより、捩り振動減衰機能を向上させる。
【解決手段】ダンパー機構6は、トルクを伝達するとともに捩り振動を吸収・減衰するための機構である。小コイルスプリング45は、回転部材同士が圧縮されると、捩り特性の小捩り角度領域において低剛性の特性を実現する。コイルスプリング33は、回転部材同士が相対回転すると圧縮されて、捩り特性の大捩り角度領域において高剛性の特性を実現する。摩擦抵抗発生機構7は、各スプリングが圧縮されている間に摩擦抵抗を発生する。回転方向隙間79によって、捩り特性の2段目のみならず1段目であっても所定角度範囲内では摩擦抵抗発生機構7は作動しない。
【選択図】 図20

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダンパー機構、特に、トルクを伝達するとともに捩り振動を吸収・減衰するためのダンパー機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌に用いられるクラッチディスク組立体は、フライホイールに連結・切断されるクラッチ機能と、フライホイールからの捩じり振動を吸収・減衰するためのダンパー機能とを有している。一般に車両の振動には、アイドル時異音(ガラ音)、走行時異音(加速・減速ラトル,こもり音)及びティップイン・ティップアウト(低周波振動)がある。これらの異音や振動を取り除くことがクラッチディスク組立体のダンパーとしての機能である。
【0003】
アイドル時異音とは、信号待ち等でシフトをニュートラルに入れ、クラッチペダルを放したときにトランスミッションから発生する「ガラガラ」と聞こえる音である。この異音が生じる原因は、エンジンアイドリング回転付近ではエンジントルクが低く、エンジン爆発時のトルク変動が大きいことにある。このときにトランスミッションのインプットギアとカウンターギアとが歯打ち現象を起こしている。
【0004】
ティップイン・ティップアウト(低周波振動)とは、アクセルペダルを急に踏んだり放したりしたときに生じる車体の前後の大きな振れである。駆動伝達系の剛性が低いと、タイヤに伝達されたトルクが逆にタイヤ側から駆動伝達系に伝わり、その揺り返しとしてタイヤに過大トルクが発生し、その結果車体を過渡的に前後に大きく振らす前後振動となる。
【0005】
アイドリング時異音に対しては、クラッチディスク組立体の捩じり特性においてゼロトルク付近が問題となり、そこでの捩じり剛性は低い方が良い。一方、ティップイン・ティップアウトの前後振動に対しては、クラッチディスク組立体の捩じり特性をできるだけソリッドにすることが必要である。
以上の問題を解決するために、2種類のばね部材を用いることにより2段特性を実現したクラッチディスク組立体が提供されている。そこでは、捩じり特性における1段目(低捩じり角度領域)における捩じり剛性及びヒステリシストルクを低く抑えているために、アイドリング時の異音防止効果がある。また、捩じり特性における2段目(高捩じり角度領域)では捩じり剛性及びヒステリシストルクを高く設定しているため、ティップイン・ティップアウトの前後振動を十分に減衰できる。
【0006】
さらに、捩じり特性2段目においてたとえばエンジンの燃焼変動に起因する微小捩じり振動が入力されたときに、2段目の大摩擦機構を作動させないことで、微小捩じり振動を効果的に吸収するダンパー機構も知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記ダンパー機構は、具体的には、以下の構造を有する摩擦抵抗発生機構を有することによって実現される。この摩擦抵抗発生機構は、高剛性のばね部材と回転方向に並列に作用するように全体が配置され、摩擦抵抗発生部と、それに対して回転方向に直列に作用するように配置された回転方向係合部とを有している。回転方向係合部は2つの部材の微少回転方向隙間を有している。
【0008】
従来の技術では、微少捩り振動に対する回転方向隙間は捩り特性の2段目(大捩り角度領域)にのみ機能するように構成されている。
しかし、捩り特性の1段目(小捩り角度領域)においても、所定角度範囲以上動作する際には大摩擦抵抗を発生させず、微少捩り振動に対しては大摩擦抵抗を発生させないようにした方が震動減衰製のを向上させる場合がある。
【0009】
本発明の課題は、ダンパー機構において捩り特性の1段目及び2段目の両方において、所定の摩擦抵抗を発生させつつ、微少捩り振動に対しては所定の摩擦抵抗を発生させないことにより、捩り振動減衰機能を向上させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のダンパー機構は、トルクを伝達するとともに捩り振動を吸収・減衰するためのダンパー機構であって、第1回転部材と第2回転部材と第1弾性部材と第2弾性部材と摩擦抵抗発生機構と摩擦抵抗抑制機構とを備えている。第2回転部材は、第1回転部材に相対回転可能に配置されている。第1弾性部材は、第1回転部材と第2回転部材とが相対回転すると圧縮されて、捩り特性の小捩り角度領域において低剛性の特性を実現する。第2弾性部材は、第1回転部材と第2回転部材が相対回転すると圧縮されて、捩り特性の大捩り角度領域において高剛性の特性を実現する。摩擦抵抗発生機構は、第1弾性部材が圧縮されている間、および第2弾性部材が圧縮されている間に摩擦抵抗を発生する。摩擦抵抗抑制機構は、所定角度範囲内では摩擦抵抗発生機構を作動させないための回転方向隙間を有する。
【0011】
このダンパー機構では、第1回転部材と第2回転部材が相対回転すると、第1弾性部材と第2弾性部材が圧縮され、摩擦抵抗発生機構が摩擦抵抗を発生する。この結果、捩り振動が速やかに吸収・減衰される。小捩り角度領域では、第1弾性部材が圧縮されて低剛性の特性を実現する。大捩り角度領域では、第2弾性部材が圧縮されて高剛性の特性を実現する。摩擦抵抗発生機構はいずれの領域においても作動して摩擦抵抗を発生する。しかし、微少捩り振動に対しては、いずれの領域においても摩擦抵抗抑制機構の回転方向隙間によって、その角度範囲内では摩擦抵抗発生機構は作動しない。つまり、捩り特性1段目における微少捩り振動に対しても大きな摩擦抵抗は発生せず、捩り振動減衰機能が向上する。
【0012】
請求項2に記載のダンパー機構では、請求項1において、摩擦抵抗発生機構及び摩擦抵抗抑制機構は、第1弾性部材及び第2弾性部材に対して回転方向に並列に作用するように配置されている。
このダンパー機構では、摩擦抵抗発生機構と摩擦抵抗抑制機構は、第1弾性部材及び第2弾性部材に対して回転方向に並列に作用するように配置されているため、第1弾性部材作動時及び第2弾性部材作動時にそれぞれ機能することができる。
【0013】
請求項3に記載のダンパー機構では、請求項2において、第1弾性部材と第2弾性部材は回転方向に直列に作用するように配置されている。
このダンパー機構では、第1弾性部材と第2弾性部材は回転方向に直列に作用するように配置されているが、第1弾性部材が圧縮されるときは第2弾性部材はほとんど圧縮されない。
【0014】
請求項4に記載のダンパー機構では、請求項1〜3のいずれかにおいて、摩擦抵抗発生機構は、所定角度の両側において摩擦抵抗が段階的に大きくなる第1領域と、摩擦抵抗が一定の第2領域とを実現する。
このダンパー機構では、第2領域で大きな摩擦抵抗を発生する前に、第1領域で摩擦抵抗が段階的に大きくなっていく。つまり、大摩擦抵抗発生時の高ヒステリシストルクの壁が存在しない。そのため、ダンパー機構において高ヒステリシストルク発生時のツメのたたき音が減少する。
【0015】
請求項5に記載のダンパー機構では、請求項4において、摩擦抵抗発生機構は、第1領域において中間摩擦抵抗を発生する。
このダンパー機構では、第2領域で大きな摩擦抵抗を発生する前に、第1領域で中間摩擦抵抗が発生する。つまり、大摩擦抵抗発生時の高ヒステリシストルクの壁が存在しない。そのため、ダンパー機構において高ヒステリシストルク発生時のツメのたたき音が減少する。
【0016】
請求項6に記載のダンパー機構では、請求項4において、摩擦抵抗発生機構は、第1領域において滑らかに大きくなる摩擦抵抗を発生する。
このダンパー機構では、第2領域で大きな摩擦抵抗を発生する前に、第1領域で滑らかに大きくなる摩擦抵抗が発生する。つまり、大摩擦抵抗発生時の高ヒステリシストルクの壁が存在しない。そのため、ダンパー機構において高ヒステリシストルク発生時のツメのたたき音が減少する。
【0017】
【発明の実施の形態】
1.第1実施形態
(1)構成
▲1▼全体構造
図1及び図2に示す本発明の一実施形態としてのクラッチ装置1は、エンジン側のクランクシャフト2とトランスミッション側の入力シャフト3との間でトルクを断続するための装置である。クラッチ装置1は、主に、第1フライホイール組立体4と、第2フライホイール組立体5と、クラッチカバー組立体8と、クラッチディスク組立体9と、レリーズ装置10とから構成されている。なお、第1フライホイール組立体4と第2フライホイール組立体5との組み合わせによって、ダンパー機構6を含むフライホイールダンパー11(後述)が構成されている。
【0018】
なお、図1及び図2のO−Oがクラッチ装置1の回転軸線であり、図1及び図2の左側にはエンジン(図示せず)が配置されており、右側にはトランスミッション(図示せず)が配置されている。以後、図1及び図2において左側を軸方向エンジン側といい、右側を軸方向トランスミッション側という。また、図3において矢印R1の向きが駆動側(回転方向正側)であり、矢印R2の向きが反駆動側(回転方向負側)である。
【0019】
▲2▼第1フライホイール組立体
第1フライホイール組立体4は、クランクシャフト2の先端に固定されている。第1フライホイール組立体4は、クランクシャフト2側に大きな慣性モーメントを確保するための部材である。第1フライホイール組立体4は、主に、円板状部材13と、環状部材14と、支持プレート39(後述)とから構成されている。円板状部材13は内周端が複数のボルト15によってクランクシャフト2の先端に固定されている。円板状部材13には、ボルト15に対応する位置にボルト貫通孔13aが形成されている。ボルト15はクランクシャフト2に対して軸方向トランスミッション側から取り付けられている。環状部材14は、厚肉ブロック状の部材であり、円板状部材13の外周端の軸方向トランスミッション側に固定されている。円板状部材13の外周端は溶接等によって環状部材14に固定されている。さらに、環状部材14の外周面にはエンジン始動用リングギア17が固定されている。なお、第1フライホイール組立体4は一体の部材から構成されていてもよい。
【0020】
円板状部材13の外周部の構造について詳細に説明する。図5に示すように、円板状部材13の外周部は平坦な形状であり、その軸方向トランスミッション側には摩擦材19が貼られている。摩擦材19は、複数の弧状部材から構成されており、全体で環状になっている。摩擦材19は、相対回転抑制機構24(後述)において、第1フライホイール組立体4と第2フライホイール組立体5が連結するときのショックを緩和する部材として機能しており、さらに連結時の相対回転の早期停止に貢献している。なお、摩擦材19は円板状プレート22(後述)に固定されていてもよい。
【0021】
さらに、円板状部材13の外周縁には、図5に示すように、軸方向トランスミッション側に延びる筒状部20が形成されている。筒状部20は、環状部材14の内周面に支持されており、その先端に複数の切り欠き20aが形成されている。切り欠き20aは、所定角度だけ回転方向に延びている。また、切り欠き20aは筒状部20において軸方向に突出する部分によって構成されていると考えてもよい。
【0022】
▲3▼第2フライホイール組立体
第2フライホイール組立体5は、主に、摩擦面付きフライホイール21と、円板状プレート22とから構成されている。摩擦面付きフライホイール21は、環状かつ円板状の部材であり、第1フライホイール組立体4の外周側部分の軸方向トランスミッション側に配置されている。摩擦面付きフライホイール21には、軸方向トランスミッション側に第1摩擦面21aが形成されている。第1摩擦面21aは、環状かつ平坦な面であり、後述するクラッチディスク組立体9が連結される部分である。摩擦面付きフライホイール21には、さらに、軸方向エンジン側に第2摩擦面21bが形成されている。第2摩擦面21bは、環状かつ平坦な面であり、後述する摩擦抵抗発生機構7の摩擦摺動面として機能している。第2摩擦面21bは、第1摩擦面21aに比べて、外径はわずかに小さいものの、内径は大幅に大きい。したがって、第2摩擦面21bの有効半径は第1摩擦面21aの有効半径より大きい。なお、第2摩擦面21bは、摩擦材19に対して軸方向に対向している。
【0023】
円板状プレート22について説明する。円板状プレート22は、第1フライホイール組立体4と摩擦面付きフライホイール21との軸方向間に配置された部材である。円板状プレート22は、外周部が複数のリベット23によって摩擦面付きフライホイール21の外周部に固定されており、摩擦面付きフライホイール21と一体回転する部材として機能する。具体的に説明すると、円板状プレート22は、外周縁側から、外周固定部25と、外周側筒状部26と、当接部27と、内周側筒状部28の順番で構成されている。外周固定部25は、摩擦面付きフライホイール21の外周部の軸方向エンジン側面に当接した平板状部分であり、前述のリベット23によって摩擦面付きフライホイール21の外周部に固定されている。筒状部26は、外周固定部25の内周縁から軸方向エンジン側に延びる部分であり、円板状部材13の筒状部20の内周側に位置している。筒状部26には、複数の切り欠き26aが形成されている。切り欠き26aは、筒状部20の切り欠き20aに対応して形成されている。当接部27は、円板状かつ平板状の部分であり、摩擦材19に対応している。当接部27は、摩擦面付きフライホイール21の第2摩擦面21bに対して軸方向に空間を介して対向している。この空間内に、後述する摩擦抵抗発生機構7の各部材が配置されている。このように摩擦抵抗発生機構7は第2フライホイール組立体5の円板状プレート22の当接部27と摩擦面付きフライホイール21との間に配置されているため、省スペースの構造が実現される。内周側筒状部28は、軸方向トランスミッション側に延びており、先端が摩擦面付きフライホイール21に近接している。内周側筒状部28の根元側外周面28aは先端側外周面28bより径が大きくなっており、両者の境界には段差部が形成されている。
【0024】
第1フライホイール組立体4の支持プレート39は、第2フライホイール組立体5を第1フライホイール組立体4に対して半径方向に支持するための部材である。支持プレート39は、円板状部39aと、その内周縁から軸方向トランスミッション側に延びる筒状部39bとから構成されている。円板状部39aは、クランクシャフト2の先端面と円板状部材13との軸方向間に配置されている。円板状部39aには、ボルト貫通孔13aに対応してボルト貫通孔39cが形成されている。以上の構造により、支持プレート39は、円板状部材13及び入力側円板状プレート32とともに、ボルト15によってクランクシャフト2に固定されている。
【0025】
摩擦面付きフライホイール21の内周面は、ブッシュ47を介して、支持プレート39の筒状部39bの外周面に支持されている。このようにして、摩擦面付きフライホイール21は支持プレート39によって第1フライホイール組立体4及びクランクシャフと2に対して芯出しされている。
▲4▼ダンパー機構
ダンパー機構6について説明する。ダンパー機構6は、クランクシャフト2と摩擦面付きフライホイール21とを回転方向に弾性的に連結するための機構であり、複数のコイルスプリング33を含む高剛性ダンパー38と、摩擦抵抗発生機構7とから構成されている。ダンパー機構6は、さらに、捩り角度の小さな領域で低剛性の特性を発揮するための低剛性ダンパー37を含んでいる。なお、図20に示すように、低剛性ダンパー37と高剛性ダンパー38とはトルク伝達系において回転方向に直列に作用するように、さらには摩擦抵抗発生機構7に対して回転方向に並列に作用するように配置されている。
【0026】
一対の出力側円板状プレート30,31は、軸方向エンジン側の第1プレート30と、軸方向トランスミッション側の第2プレート31とから構成されている。両プレート30,31は、円板状部材であり、軸方向に所定の間隔を空けて配置されている。各プレート30,31には、円周方向に並んだ複数の窓部30a,31aがそれぞれ形成されている。窓部30a,31aは、後述するコイルスプリング33を軸方向及び回転方向に支持するための構造であり、コイルスプリング33を軸方向に保持しかつその円周方向両端に当接する切り起こし部を有している。窓部30a,31aは、図9に示すように、一対の回転方向端面94と、外周側支持部95と、内周側支持部96とから構成されている。回転方向端面94と内周側支持部96はそれぞれ概ね半径方向及び回転方向にストレートに延びており、外周側支持部95は回転方向に沿って弧状に延びている。
【0027】
第2プレート31の構造についてさらに詳細に説明する。第2プレート31の円板状本体には、円周方向に並んだ4個の窓部31aが形成されており、各窓部31aの円周方向間には後述するリベット68用の孔69が形成されている。第2プレート31の円板状本体の外周縁には、図3及び図4に示すように、軸方向エンジン側すなわち第1プレート30側に延びる複数のプレート連結部40が一体に形成されている。プレート連結部40は、軸方向延長部41と、その先端から半径方向内側に延びる固定部42とから構成されている。延長部41の先端は概ね第1プレート30の外周側まで軸方向に延びている。延長部41は、主面が半径方向両側を向いており、すなわち、半径方向幅がプレートの板厚と一致している。固定部42は第1プレート30の軸方向トランスミッション側面に当接しており、さらにリベット68によって固定されている。このようにして、プレート30,31は、一体回転するように互いに固定され、また軸方向の距離も維持されている。
【0028】
入力側円板状プレート32は、プレート30,31の間に配置された円板状の部材である。入力側円板状プレート32は円周方向に延びる複数の窓孔32aを有しており、その窓孔32a内にコイルスプリング33及び小コイルスプリング45が配置されている。窓孔32aは、図8に示すように、一対の回転方向端面91と、外周側支持部92と、内周側支持部93とから構成されている。回転方向端面91は概ね半径方向にストレートに延びており、外周側支持部92及び内周側支持部93は回転方向に沿って弧状に延びている。入力側円板状プレート32において窓孔32aの円周方向間部分には、後述するリベット68が軸方向に通過可能な切り欠き32bが形成されている。また、入力側円板状プレート32の外周縁には、図3及び図4に示すように、延長部41から回転方向に離れているが当接可能な当接部32cが形成されている。以上より、この実施形態ではプレート連結部40と当接部32cによって、ダンパー機構6のストッパー機構が構成されている。ただし、他の部分によってストッパー機構を構成していてもよい。
【0029】
各コイルスプリング33は、大小のばねが組み合わせられた親子ばねである。各コイルスプリング33は、各窓孔32a及び窓部30a,31a内に収容され、半径方向両側と回転方向両側とを支持されているまた、各コイルスプリング33は、窓部30a,31aによって軸方向両側も支持されている。
次に、出力側円板状プレート30,31と摩擦面付きフライホイール21とを連結する連結構造34について説明する。連結構造34はボルト35とナット36とから構成されている。第2プレート31の内周縁には、図3及び図4に示すように、軸方向トランスミッション側に切り起こされた複数の固定部31bが形成されている。第2プレート31の円板状本体は摩擦面付きフライホイール21の軸方向エンジン側の面からわずかに離れて配置されているが、固定部31bは摩擦面付きフライホイール21の軸方向エンジン側の面に当接している。各固定部31bには、軸方向トランスミッション側に突出するボルト35が溶接によって固定されている。摩擦面付きフライホイール21において固定部31b及びボルト35に対応する位置には、凹部21cと孔21dとが形成されている。凹部21cは摩擦面付きフライホイール21の軸方向トランスミッション側に形成されており、孔21dは凹部21cの中心を軸方向に貫通している。前述のボルト35は孔21d内に軸方向エンジン側から挿入されている。ナット36は、凹部21c及び孔21dに対して軸方向トランスミッション側から配置されており、ボルト35に螺合し、さらに凹部21cの底面に着座している。
【0030】
▲4▼−2低剛性ダンパー
低剛性ダンパー37は、主に小コイルスプリング45から構成されている。小コイルスプリング45は、コイルスプリング33に比べて、自由長、線径およびコイル径が大幅に小さく、剛性も極端に小さい。小コイルスプリング45は、図3に示すように、4つの窓孔32aのうち半径方向に対向する2つの(図3の上下)窓孔32a内において、コイルスプリング33の回転方向両側に配置されている。小コイルスプリング45の回転方向外側端は、窓孔32aおよび窓部30a,31aによって回転方向に支持されている。したがって、小コイルスプリング45は、コイルスプリング33と直列に作用するようになっている。なお、4つの窓孔32aのうち半径方向に対向する2つの(図3の左右)窓孔32a内において、コイルスプリング33の回転方向両端と窓孔32aの回転方向端との間には、所定角度の回転方向隙間79が確保されている。
【0031】
さらに詳細に説明すると、図8及び図9に示すように、小コイルスプリング45とコイルスプリング33との間には、第1スプリングシート70が配置されている。第1スプリングシート70は、図14〜図17に詳細に示すように、円板形状の支持部81と、第1突起82と、第2突起83とから構成されている。支持部81は、コイルスプリング33の大スプリング33aの回転方向端面が当接する環状の第1支持面81aを有している。第1突起82は、第1支持面81aから突出しており、コイルスプリング33の小スプリング33bの回転方向端面が当接する環状の第2支持面82aと、大スプリング33aの内周面が当接する第1外周面82bとを有している。第2突起83は、第1突起82の第2支持面82aから突出しており、平坦な先端面83aと、小スプリング33bの内周面が当接する第2外周面83bとを有している。なお、支持部81において第1支持面81aと反対側には、第2支持面81bが形成されている。第2支持面81bは、入力側円板状プレート32の窓孔32aの回転方向端面91から回転方向に離れている(図8)が、第1プレート30及び第2プレート31の窓部30a,31aの回転方向端面94に当接又は近接している。
【0032】
第1スプリングシート70は、さらに、第1及び第2突起82,83と反対側の面に、小コイルスプリング45が挿入されるための凹部85を有している。凹部85は、図16及び図17に示すように、主に、第1部分86と、第2部分87とから構成されている。凹部85の第1部分86は、回転方向に見て円形の凹部であり、第2突起83に相当する部分に形成されている。凹部85の第2部分87は、第1部分86につながる開口部分であり、第1部分86から開口側に向かって徐々に半径方向両側に広がっていく半径方向面89,90を有している。また、半径方向面89,90と開口部との間には半径方向に延びる直線面89a,90aが確保されている。小コイルスプリング45の一端は、図22に示すように、第1スプリングシート70の凹部85内に配置され、さらにその先端部は凹部85の第1部分86内に挿入されている。第1スプリングシート70の先端は、トルク伝達可能となるように、凹部85の第1部分86の底面に当接している。また、第1スプリングシート70の先端部の外周面は、凹部85の第1部分の外周面に当接又は近接して嵌合している。以上に述べた状態において、図22に示すように、小コイルスプリング45と半径方向内側の半径方向面88との間には半径方向に小さな隙間が確保され、小コイルスプリング45と半径方向外側の半径方向面89との間には半径方向に大きな隙間が確保されている。
【0033】
第2スプリングシート71は、図10〜図13に示すように、本体部72と、一対の係合用突起73,74とから構成されている。本体部72は、軸方向に延びる概ね円柱形状の部分であり、図12及び図13に示すように、小コイルスプリング45側の側面に第1凹部77を有し、反対側の側面に第2凹部74を有している。第2凹部74は、半径方向両側が開放された切り欠き形状であり、回転方向を向く第1面74aと、軸方向に互いに向く第2及び第3面74b,74cとを有している。また、言い換えると、半径方向に延びる上下一対の突起75,76によって第2凹部74が形成されていると考えてもよい。図18に示すように、入力側円板状プレート32の窓孔32aにおいて、回転方向端面91は、さらに回転方向外側に凹んだ凹み部97を有している。凹み部97は、回転方向を向く直線状の第1面97aと、その両側の第2面97bとを有している。第2スプリングシート71は、図18に示すように、回転方向端面91に対して、回転方向には着脱可能であるが、係合状態では半径方向及び軸方向に移動不能となっている。詳細に説明すると、凹み部97の第1面97aが第2スプリングシート71の第2凹部74の第1面74aに当接しており、そのため、第2スプリングシート71から回転方向端面91にトルクが伝達されるようになっている。また、第1面97aの近辺部分が、突起75,76の軸方向間に配置されているため、第2スプリングシート71が入力側円板状プレート32から軸方向に離れることがない。さらに、第2スプリングシート71の本体部72の外周面が凹み部97の第2面97bに当接しているため、第2スプリングシート71が入力側円板状プレート32から半径方向に離れることがない。
【0034】
第1凹部77は、図13に示すように、半径方向に見ると円形の凹部であり、底面77aと、周面77bとを有している。第1凹部77内には、小コイルスプリング45の一端が挿入されている。小コイルスプリング45の一端の回転方向端面は第1凹部77の底面77aに当接しており、トルク伝達可能となっている。また、小コイルスプリング45の一端の外周面は第1凹部77の周面77bに当接又は近接することで嵌合しており、第2スプリングシート71から脱落不能となっている。
【0035】
図19に示すように、第1プレート30及び第2プレート31の窓部30a,31aの回転方向端面94には、さらに回転方向外側に凹んだ凹み部98が形成されている。凹み部98は半円形状を有している。第2スプリングシート71は、図19に示すように、回転方向端面94に対して、回転方向には着脱可能であるが、係合状態では半径方向及び軸方向に移動不能となっている。詳細に説明すると、第1及び第2突起73,74の面73a,74aが凹み部98に対して回転方向から係合している。そのため、第2スプリングシート71から回転方向端面94にトルクが伝達されるようになっており、また、第2スプリングシート71が第1プレート30及び第2プレート31から半径方向に離れることがない。。また、凹み部98の近辺部分が、本体部72の軸方向両側面72aに軸方向両側から近接して配置されているため、第2スプリングシート71が第1プレート30及び第2プレート31から軸方向に離れることがない。
【0036】
以上に述べた構造において、低剛性ダンパー37がコイルスプリング33同士の回転方向間に配置されているため、ダンパー機構6の径が必要以上に大きくならない。特に小コイルスプリング45は、軸方向に見た場合に、コイルスプリング33の最内周縁と最外周縁によって規定される環状領域内に完全に入っているため、ダンパー機構6の径が必要以上に大きくならない。
【0037】
さらに、小コイルスプリング45は、コイルスプリング33の回転方向両側に隣接して配置され、さらに具体的には窓孔32a等内に配置されているため、ダンパー機構6全体の小型化・省スペース化を実現できる。
▲4▼−3摩擦抵抗発生機構
摩擦抵抗発生機構7は、クランクシャフト2と摩擦面付きフライホイール21との回転方向間でコイルスプリング33と並列に機能する機構であり、クランクシャフト2と摩擦面付きフライホイール21が相対回転すると所定の摩擦抵抗(ヒステリシストルク)を発生する。摩擦抵抗発生機構7は、摩擦面付きフライホイール21の第2摩擦面21bと円板状プレート22の当接部27との間に配置され互いに当接する複数のワッシャによって構成されている。摩擦抵抗発生機構7は、図5及び図6に示すように、当接部27から摩擦面付きフライホイール21に向かって順番に、コーンスプリング43、出力側フリクションプレート44、入力側フリクションプレート63及びフリクションワッシャ61を有している。このように円板状プレート22は摩擦抵抗発生機構7を摩擦面付きフライホイール21側に保持する機能も有しているため、部品点数が少なくなり、構造が簡単になる。
【0038】
コーンスプリング43は、各摩擦面に対して軸方向に荷重を付与するための部材であり、当接部27と出力側フリクションプレート44との間に挟まれて圧縮されており、そのため両部材に対して軸方向に一定の付勢力を与えている。出力側フリクションプレート44は外周縁に形成された爪部44aが円板状プレート22の切り欠き26aに係合しており、この係合によって出力側フリクションプレート44は、円板状プレート22及び摩擦面付きフライホイール21に対して、相対回転は不能であるが軸方向に移動可能となっている。なお、出力側フリクションプレート44は内周面が円板状プレート22の内周側筒状部28の根元側外周面28aに当接して、半径方向に位置決めされている。
【0039】
フリクションワッシャ61は、図7に示すように、回転方向に並んで配置された複数の部材であり、それぞれが弧状に延びている。各フリクションワッシャ61は、出力側フリクションプレート44と摩擦面付きフライホイール21の第2摩擦面21bとの間に挟まれている。つまり、フリクションワッシャ61の軸方向エンジン側面61aは出力側フリクションプレート44に摺動可能に当接しており、フリクションワッシャ61の軸方向トランスミッション側面61bは摩擦面付きフライホイール21の第2摩擦面21bに摺動可能に当接している。図24に示すように、フリクションワッシャ61の外周面61cには、凹部62が形成されている。凹部62は、概ね回転方向中心に形成され、具体的には、回転方向に延びる底面62aと、その両端から回転方向外側に向かって斜めに延びる傾斜面62bとを有している。傾斜部62b、回転方向外側にいくにしたがって徐々に浅くなるように(凹部の半径方向寸法が短くなるように)形成されている。なお、フリクションワッシャ61の内周面61dは、回転方向中心部が内周側筒状部28の先端側外周面28bに近接しているが、回転方向両端は外側にいくに従って徐々に外周面28bから離れるようになっている。つまり、フリクションワッシャ61は、筒状部28に対して回転方向両端が揺動可能になっている。
【0040】
入力側フリクションプレート63は、フリクションワッシャ61の外周側に配置された円板状部分63aを有している。入力側フリクションプレート63の外周縁には、複数の突起63bが形成されている。
突起63bは、切り欠き26aに対応して形成されており、半径方向外側に延びる突起部63cと、その先端から軸方向エンジン側に延びる爪部63dとから構成されている。突起部63cは切り欠き26a内を半径方向に貫通しており、爪部63dは、筒状部26の外周側に位置しており、円板状部材13の筒状部20の切り欠き20a内に軸方向トランスミッション側から延びている。爪部63dの回転方向幅は切り欠き20aの回転方向幅と等しく、そのため爪部63dは切り欠き20a内を回転方向に移動不能である。
【0041】
入力側フリクションプレート63の円板状部分63aには、フリクションワッシャ61の外周面61cにわずかな隙間を空けて対向する内周面64と、そこから半径方向内側に延び凹部62内にそれぞれ配置された複数の凸部65とが設けられている。凸部65と凹部62とによって、摩擦抵抗発生機構7における係合部分78が形成されている。以下、係合部分78について詳細に説明する。凸部65は、概ね四角形状であり、角部65aが丸くなっている。凸部65は、凹部62の底面62aに近接しており、角部65aと傾斜面62bのそれぞれとの間には、所定角度(例えば、4°ずつ)の回転方向隙間79が確保されている。両角度の合計が、フリクションワッシャ61が入力側フリクションプレート63に対して相対回転可能な所定角度の大きさとなる。なお、この実施形態では、前記合計の捩り角度は8°であり(図21を参照)、この角度はエンジンの燃焼変動に起因する微少捩り振動により生じるダンパー作動角に等しい又はわずかに越える範囲にあることが好ましい。
【0042】
以上に述べたように、フリクションワッシャ61は、出力側の部材である摩擦面付きフライホイール21及び出力側フリクションプレート44に摩擦係合し、入力側の部材である入力側フリクションプレート63に対して係合部分78の回転方向隙間79を介してトルク伝達可能に係合している。
ここでは、摩擦面付きフライホイール21の第2摩擦面21bが摩擦抵抗発生機構7の摩擦面を構成しているため、部品点数が少なくなり、構造が簡単になる。
【0043】
▲5▼クラッチカバー組立体
クラッチカバー組立体8は、弾性力によってクラッチディスク組立体9の摩擦フェーシング54を摩擦面付きフライホイール21の第1摩擦面21aに付勢するための機構である。クラッチカバー組立体8は、主に、クラッチカバー48と、プレッシャープレート49と、ダイヤフラムスプリング50とから構成されている。
【0044】
クラッチカバー48は、板金製の円盤状部材であり、外周部がボルト51によって摩擦面付きフライホイール21の外周部に固定されている。
プレッシャープレート49は、例えば鋳鉄製の部材であり、クラッチカバー48の内周側において摩擦面付きフライホイール21の軸方向トランスミッション側に配置されている。プレッシャープレート49は、摩擦面付きフライホイール21の第1摩擦面21a対向する押圧面49aを有している。また、プレッシャープレート49において押圧面49aと反対側の面にはトランスミッション側に突出する複数の弧状突出部49bが形成されている。プレッシャープレート49は、弧状に延びる複数のストラッププレート53によってクラッチカバー48に相対回転不能にかつ軸方向に移動可能に連結されている。なお、クラッチ連結状態ではプレッシャープレート49に対してストラッププレート53が摩擦面付きフライホイール21から離れる方向への荷重を付与している。
【0045】
ダイヤフラムスプリング50は、プレッシャープレート49とクラッチカバー48との間に配置された円板状部材であり、環状の弾性部50aと、弾性部50aから内周側に延びる複数のレバー部50bとから構成されている。弾性部50aの外周縁部はプレッシャープレート49の突出部49bに軸方向トランスミッション側から当接している。
【0046】
クラッチカバー48の内周縁には、軸方向エンジン側に延びさらに外周側に折り曲げられたタブ48aが複数形成されている。タブ48aは、ダイヤフラムスプリング50の孔を貫通してプレッシャープレート49側に延びている。このタブ48aによって支持された2個のワイヤリング52が、ダイヤフラムスプリング50の弾性部50aの内周部の軸方向両側を支持している。この状態で、弾性部50aは、軸方向に圧縮されており、プレッシャープレート49とクラッチカバー48とに軸方向に弾性力を付与している。
【0047】
▲6▼クラッチディスク組立体
クラッチディスク組立体9は、摩擦面付きフライホイール21の第1摩擦面21aとプレッシャープレート49の押圧面49aとの間に配置される摩擦フェーシング54を有している。摩擦フェーシング54は、円板状かつ環状のプレート55を介してハブ56に固定されている。ハブ56の中心孔には、トランスミッション入力シャフト3がスプライン係合している。
【0048】
▲7▼レリーズ装置
レリーズ装置10は、クラッチカバー組立体8のダイヤフラムスプリング50を駆動することでクラッチディスク組立体9に対してクラッチレリーズ動作を行うための機構である。レリーズ装置10は、主に、レリーズベアリング58と、図示しない油圧シリンダ装置とから構成されている。レリーズベアリング58は、主にインナーレースとアウターレースとその間に配置された複数の転動体とからなり、ラジアル荷重及びスラスト荷重を受けることが可能となっている。レリーズベアリング58のアウターレースには、筒状のリティーナ59が装着されている。リティーナ59は、アウターレースの外周面に当接する筒状部と、筒状部の軸方向エンジン側端から半径方向内側に延びアウターレースの軸方向トランスミッション側面に当接する第1フランジと、筒状部の軸方向エンジン側端から半径方向外側に延びる第2フランジとを有している。第2フランジには、ダイヤフラムスプリング50のレバー部50bの半径方向内側端に軸方向エンジン側から当接する環状の支持部が形成されている。
【0049】
油圧室シリンダ装置は、油圧室構成部材と、ピストン60とから主に構成されている。油圧室構成部材はその内周側に配置された筒状のピストン60との間に油圧室を構成している。油圧室内には油圧回路から油圧が供給可能となっている。ピストン60は、概ね筒状の部材であり、レリーズベアリング58のインナーレースに対して軸方向トランスミッション側から当接するフランジを有している。この状態で、油圧回路から油圧室に作動油が供給されると、ピストン60はレリーズベアリング58を軸方向エンジン側に移動させる。
【0050】
▲8▼第1フライホイール組立体と第2フライホイール組立体との連結
以上に述べたように、第1フライホイール組立体4と第2フライホイール組立体5は、それぞれ別個独立の組立体を構成しており、軸方向に着脱自在に組み付けられている。具体的には、第1フライホイール組立体4と第2フライホイール組立体5は、外周側から、筒状部20と入力側フリクションプレート63との係合、円板状部材13と当接部27との係合(相対回転抑制機構24)、第2プレート31と摩擦面付きフライホイール21との係合(連結構造34)、及び支持プレート39と摩擦面付きフライホイール21との係合(ブッシュ47)によって、互いに係合している。また、両者は所定範囲であれば軸方向に移動可能となっており、具体的には、第2フライホイール組立体5は第1フライホイール組立体4に対して、当接部27が摩擦材19に対してわずかに離反する位置と当接する位置との間で軸方向に移動可能である
(2)動作
▲1▼トルク伝達
このクラッチ装置1では、エンジンのクランクシャフト2からのトルクは、フライホイールダンパー11に入力され、第1フライホイール組立体4から第2フライホイール組立体5に対してダンパー機構6を介して伝達される。ダンパー機構6では、トルクは、入力側円板状プレート32、小コイルスプリング45、コイルスプリング33、出力側円板状プレート30,31の順番で伝達される。さらに、トルクは、フライホイールダンパー11から、クラッチ連結状態でクラッチディスク組立体9に伝達され、最後に入力シャフト3に出力される。
【0051】
▲2▼捩り振動の吸収・減衰
クラッチ装置1にエンジンからの燃焼変動が入力されると、ダンパー機構6において入力側円板状プレート32と出力側円板状プレート30,31とが相対回転し、その間で小コイルスプリング45及びコイルスプリング33が圧縮される。さらに、摩擦抵抗発生機構7が所定のヒステリシストルクを発生する。以上の作用により捩じり振動が吸収・減衰される。
【0052】
小コイルスプリング45及びコイルスプリング33の圧縮は、具体的には、入力側円板状プレート32の窓孔32aの回転方向端面91と出力側円板状プレート30,31の窓部30a,31aの回転方向端面94との間で行われる。さらに具体的には、捩り角度の小さな領域では、小コイルスプリング45(2個)が圧縮され、低剛性の特性が得られる(このとき、コイルスプリング33はほとんど圧縮されない)。さらに詳細に説明すると、図22の中立状態から入力側円板状プレート32が第1プレート30及び第2プレート31に対して例えば回転方向R1側に捩れると、コイルスプリング33の回転方向R2側の小コイルスプリング45が、第1スプリングシート70と第2スプリングシート71との間で回転方向に圧縮されていく。このとき、トルクは、入力側円板状プレート32の窓孔32aの回転方向R2側の回転方向端面91から、回転方向R2側の第2スプリングシート71,小コイルスプリング45及び第1スプリングシート70を介してコイルスプリング33に伝達され、さらに回転方向R1側の第1スプリングシート70からプレート30,31の窓部30a,31aの回転方向R2側の回転方向端面94に伝達される。やがて、図23に示すように、窓孔32aの回転方向端面91が第1スプリングシート70の支持部81の第2支持面81bに当接すると同時に、第2スプリングシート71の本体部72の一部が、第1スプリングシート70の凹部85の半径方向外側の半径方向面89に当接する。この当接により、小コイルスプリング45の圧縮が停止する。以上に述べたように、小コイルスプリング45が入力側円板状プレート32の窓穴32a内においてコイルスプリング33の回転方向側に配置されているため、省スペース化及び構造の簡略化という効果が得られる。また、第1スプリングシート70の半径方向外側の半径方向面89(小コイルスプリング側の半径方向外側)が小コイルスプリング45から離れるように傾斜しているため、小コイルスプリング45が圧縮されるときに、第1スプリングシート70による姿勢の拘束が生じない。この結果、小コイルスプリング45が第1スプリングシート70に摺動せず、摩耗が発生しにくい。さらに小コイルスプリング45の圧縮姿勢が正しく維持されて、所望の荷重が得られる。
【0053】
続いて捩り角度の大きな領域では、コイルスプリング33が圧縮され、高剛性の特性が得られる。より正確には、4個のコイルスプリング33が並列に圧縮される。
摩擦抵抗発生機構7では、フリクションワッシャ61は、入力側フリクションプレート63と一体回転し、出力側フリクションプレート44及び摩擦面付きフライホイール21と相対回転する。この結果、フリクションワッシャ61が出力側フリクションプレート44と摩擦面付きフライホイール21に摺動して比較的大きな摩擦抵抗を発生する。
【0054】
▲2▼−1微少捩り振動
次に、エンジンの燃焼変動に起因する微小捩り振動がクラッチ装置1に入力されたときのダンパー機構6の動作を、図20の機械回路図と図21及び図27〜図29の捩り特性線図を用いて説明する。なお、図20においては、第1スプリングシート70及び第2スプリングシート71は省略されている。
【0055】
微少捩り振動が入力されると、摩擦抵抗発生機構7の入力側フリクションプレート63は、凸部65と凹部62との間の微少回転方向隙間において、フリクションワッシャ61に対して相対回転する。つまり、フリクションワッシャ61は入力側フリクションプレート63によって駆動されず、したがってフリクションワッシャ61は摩擦面付きフライホイール21等に対して回転しない。この結果、微小捩じり振動に対しては高ヒステリシストルクが発生しない。すなわち図21の捩り特性線図において例えば「AC2HYS」ではコイルスプリング33が作動するが、摩擦抵抗発生機構7では滑りが生じない。つまり、所定の捩り角度範囲では、通常のヒステリシストルクよりはるかに小さなヒステリシストルクしか得られない。このように、捩じり特性において摩擦抵抗発生機構7を所定角度範囲内では作動させない微少回転方向隙間を設けたため、振動・騒音レベルを大幅に低くすることができる。
【0056】
次に、フリクションワッシャ61が入力側フリクションプレート63によって駆動されるときの動作を、初期の過渡状態と通常状態とに分けて説明する。図24の中立状態から、入力側フリクションプレート63がフリクションワッシャ61に対して回転方向R1側に捩れていく動作を説明する。なお、図24においては、フリクションワッシャ61の内周面61dは、回転方向中心部を除いて、筒状部28の外周面28bからわずかに離れている。
【0057】
捩り角度が大きくなると、やがて、図25に示すように、凸部65が凹部62の壁面に当接する。具体的には、凸部65の角部65aが凹部62の傾斜面62bに当接する。このとき、凸部65から凹部62に作用する力の分力として、フリクションワッシャ61を半径方向に(半径方向内側に)移動させる力が発生する。図25の状態から捩り角度が大きくなっていくと、フリクションワッシャ61の回転方向R1側部分が半径方向内側に移動し、回転方向R2側部分が半径方向外側に移動する。つまり、図26に示すように、フリクションワッシャ61の回転方向R1側の内周面61dは筒状部28の外周面28bに接近し、回転方向R2側の内周面61dは筒状部28の外周面28bから離れていく。この間、前述のフリクションワッシャ61を半径方向に(半径方向内側に)移動させる力が大きくなっていく。つまり、フリクションワッシャ61の摩擦面の有効半径が徐々に大きくなっていき、それに伴い摩擦抵抗が徐々に大きくなっていく。図26に示すようにフリクションワッシャ61の回転方向R1側の内周面61dが筒状部28の外周面28bに当接すると、それ以降はフリクションワッシャ61は回転方向のみに移動する。
【0058】
以上の説明をまとめると、フリクションワッシャ61が入力側フリクションプレート63によって駆動される時には、摩擦面の有効半径が徐々に大きくなり摩擦抵抗も徐々に大きくなる第1領域と、摩擦面の有効半径が一定になり摩擦抵抗も一定になる第2領域とに分かれる。この実施形態では第1領域の大きさは例えば2°である。
【0059】
以上をまとめると、入力側フリクションプレート63とフリクションワッシャ61の係合部分78(具体的には、凸部65と凹部62)は、フリクションワッシャ61の摩擦面の有効半径が徐々に大きくなる第1領域と、フリクションワッシャ61の摩擦面の有効半径が一定になる第2領域とが確保されるように、形成されていることになる。
【0060】
この結果、捩り特性2段目において、捩り振動の動作角度が係合部分78の所定角(例えば、8°)以内である場合は、図27のように大摩擦抵抗(高ヒステリシストルク)は一切発生せず、低摩擦抵抗の領域Aのみが得られる。また、捩り振動の動作角度が係合部分78の回転方向隙間79の角度(例えば、8°)以上であるがそれに摩擦抵抗変化角度(例えば、2°)をプラスした角度(例えば10°)以内である場合は、図28のように低摩擦抵抗の領域Aの端に徐々に摩擦抵抗が大きくなる領域Bが発生する。そして、捩り振動の動作角度が係合部分78の所定角度に摩擦抵抗変化角度をプラスした角度以上である場合は、図29のように低摩擦抵抗の領域Aの両端に、徐々に摩擦抵抗が大きくなる領域Bと、一定の大摩擦抵抗が発生する領域Cとがそれぞれ得られる。
【0061】
▲2▼−2広角度捩り振動
先に述べたように、捩り振動の捩り角度が大きい場合は、フリクションワッシャ61が摩擦面付きフライホイール21及び円板状プレート22に摺動する。その結果、一定の大きさの摩擦抵抗が捩り特性の1段目と2段目の全体にわたって得られる。
【0062】
ここで、捩り角度の端部(振動の向きが変わる位置)での動作について説明する。図21の捩り特性線図の右側端では、フリクションワッシャ61は入力側フリクションプレート63に対して最も回転方向R2側にずれている。この状態から円板状部材13が摩擦面付きフライホイール21に対して、回転方向R2側にねじれていくと、凸部65と凹部62の回転方向隙間79の全角度にわたって、フリクションワッシャ61が入力側フリクションプレート63に対して相対回転する。この間では、フリクションワッシャ61は出力側の部材に対して摺動しないため、低摩擦抵抗の領域A(例えば、8°)が得られる。続いて、係合部分78の回転方向隙間79がなくなると、次に入力側フリクションプレート63がフリクションワッシャ61を駆動する。すると、フリクションワッシャ61が出力側フリクションプレート44及び摩擦面付きフライホイール21に、さらには円板状プレート22に対して相対回転する。この結果、先に述べたように、摩擦抵抗が徐々に(滑らかに)大きくなる領域B(例えば、2°)が発生し、続いて一定の大きさの大摩擦抵抗の領域Cが得られる。
【0063】
以上に述べたように、大きな摩擦抵抗が発生する初期の段階には、徐々に摩擦抵抗が大きくなっていく領域Bが設けられている。このように大摩擦抵抗の立ち上がりを滑らかにしているため、大摩擦抵抗発生時の高ヒステリシストルクの壁が存在しない。そのため、微少捩り振動を吸収するために微少回転方向隙間を設けた摩擦抵抗発生機構において、高ヒステリシストルク発生時のツメのたたき音が減少する。
【0064】
特に、本発明において、中間の摩擦抵抗を発生させるのに単一種類のフリクションワッシャ61を用いているため、摩擦部材の種類を少なく抑えることができる。また、フリクションワッシャ61は弧状に延びる簡単な構造であるため、製造コストを低く抑えることができる。
▲3▼クラッチ連結・レリーズ動作
図示しない油圧回路によって油圧シリンダの油圧室内に作動油が供給されると、ピストン60は軸方向エンジン側に移動する。これにより、レリーズベアリング58はダイヤフラムスプリング50の内周端を軸方向エンジン側に移動させる。この結果ダイヤフラムスプリング50の弾性部50aはプレッシャープレート49から離れる。これによりプレッシャープレート49はストラッププレート53の付勢力によってクラッチディスク組立体9の摩擦フェーシング54から離れ、クラッチ連結が解除される。
【0065】
このクラッチレリーズ動作において、レリーズベアリング58からクラッチカバー組立体8に対して軸方向エンジン側に作用する荷重によって、第2フライホイール組立体5が軸方向エンジン側に付勢されて移動する。これにより、相対回転抑制機構24において、円板状プレート22の当接部27が摩擦材19に押し付けられて円板状部材13に摩擦係合する。すなわち、第2フライホイール組立体5が第1フライホイール組立体4に対して相対回転不能になる。さらに言い換えると、第2フライホイール組立体5がクランクシャフト2に対してロックされた状態となり、ダンパー機構6が作動しない。したがって、エンジン始動又は停止時の低回転数領域(例えば回転数0〜500rpm)での共振点通過時には、クラッチをレリーズすることで、共振によるダンパー機構6の破損や音/振動を生じにくくしている。
【0066】
ここでは、ダンパー機構6のロックがクラッチレリーズ時におけるレリーズ装置10からの荷重を利用しているため、構造が簡単になる。特に、相対回転抑制機構24が円板状部材13や円板状プレート22といった単純な形状の部材からなるため、特別な構造を設ける必要がない。
2.第2実施形態
図30〜図45を用いて、本願発明の第2実施形態について説明する。なお、クラッチ装置全体及びダンパー機構全体については基本的な構造は前記実施形態と同様である。そこで、以下、摩擦抵抗発生機構107について説明する。
【0067】
摩擦抵抗発生機構107は、クランクシャフト102と摩擦面付きフライホイール121との回転方向間でコイルスプリング133と並列に機能する機構であり、クランクシャフト102と摩擦面付きフライホイール121が相対回転すると所定の摩擦抵抗(ヒステリシストルク)を発生する。摩擦抵抗発生機構107は、摩擦面付きフライホイール121の第2摩擦面121bと円板状プレート122の当接部127との間に配置され互いに当接する複数のワッシャによって構成されている。摩擦抵抗発生機構107は、図30及び図31に示すように、当接部127から摩擦面付きフライホイール121に向かって順番に、コーンスプリング143、出力側フリクションプレート144、第1高摩擦係数フリクションワッシャ161、第1低摩擦係数フリクションワッシャ162、入力側フリクションプレート163、第2低摩擦係数フリクションワッシャ164及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ165を有している。このように円板状プレート122は摩擦抵抗発生機構107を摩擦面付きフライホイール121側に保持する機能も有しているため、部品点数が少なくなり、構造が簡単になる。
【0068】
コーンスプリング143は、各摩擦面に対して軸方向に荷重を付与するための部材であり、当接部127と出力側フリクションプレート144との間に挟まれて圧縮されており、そのため両部材に対して軸方向に付勢力を与えている。出力側フリクションプレート144は外周縁に形成された爪部144aが円板状プレート122の切り欠き126aに係合しており、この係合によって出力側フリクションプレート144は、円板状プレート122及び摩擦面付きフライホイール121に対して、相対回転は不能であるが軸方向に移動可能となっている。なお、出力側フリクションプレート144は内周面が円板状プレート122の外周側筒状部128の根元側外周面128aに当接して、半径方向に位置決めされている。
【0069】
第1高摩擦係数フリクションワッシャ161は、図32及び図33に示すように環状の部材であり、出力側フリクションプレート144と第1低摩擦係数フリクションワッシャ162との間に挟まれている。第1高摩擦係数フリクションワッシャ161は、芯板171と、それに貼られた摩擦フェーシング172とから構成されている。芯板171は環状の部材である。摩擦フェーシング172は、芯板171の軸方向エンジン側に貼られた複数の弧状の部材であり、出力側フリクションプレート144に当接している。芯板171の内径と摩擦フェーシング172の内径はほぼ等しく、芯板171の外径も摩擦フェーシング172の外径にほぼ等しくなっている。芯板171の外周縁には、軸方向トランスミッション側に延びる軸方向突出部171aが形成されている。また、芯板171の本体部分には、複数の孔171bが形成されている。さらに、芯板171の内周縁には、半径方向内側に延びる複数の突起171cが形成されている。なお、摩擦フェーシング172には、孔171bに対応して孔172aが形成されている。
【0070】
第1低摩擦係数フリクションワッシャ162は、図34に示すように複数の弧状部材であり、第1高摩擦係数フリクションワッシャ161と入力側フリクションプレート163との間に挟まれている。第1低摩擦係数フリクションワッシャ162は樹脂製である。第1低摩擦係数フリクションワッシャ162は、軸方向エンジン側に複数の突出部162aを有している。突出部162aは第1高摩擦係数フリクションワッシャ161の孔171b,172a内に挿入・係合している。この係合によって、第1高摩擦係数フリクションワッシャ161と第1低摩擦係数フリクションワッシャ162とは一体回転するようになっている。また、第1低摩擦係数フリクションワッシャ162の内周縁には、半径方向内側に延びる複数の突起62bが形成されている。
【0071】
入力側フリクションプレート163は、第1低摩擦係数フリクションワッシャ162と第2低摩擦係数フリクションワッシャ164との軸方向間に挟まれた円板状部分163aを有している。入力側フリクションプレート163の外周縁には、図35に示すように、複数の突起163bが形成されている。突起163bは、切り欠き126aに対応して形成されており、半径方向外側に延びる突起部163cと、その先端から軸方向エンジン側に延びる爪部163dとから構成されている。突起部163cは切り欠き126a内を半径方向に貫通しており、爪部163dは、筒状部126の外周側に位置しており、円板状部材113の筒状部120の切り欠き120a内に軸方向トランスミッション側から延びている。このように爪部163dと切り欠き120aとによって、図39及び図40に示すように、円板状部材113と出力側フリクションプレート144との間に第1回転方向係合部181が形成されている。なお、入力側フリクションプレート163の円板状部分163aの外周縁には複数の切り欠き163eが形成され、内周縁に半径方向内側に延びる複数の突起163fが形成されている。
【0072】
第1回転方向係合部181において、爪部163dの回転方向幅は切り欠き120aの回転方向幅より短く、そのため爪部163dは切り欠き120a内を所定角度の範囲で移動可能である。これは、入力側フリクションプレート163は円板状部材113に対して、所定角度範囲内では移動可能であることを意味する。より詳細には、図40に示すように、爪部163dの回転方向R2側には捩り角度θ1の回転方向隙間146が確保され、回転方向R1側には捩り角度θ2の回転方向隙間147が形成されている。この結果、捩り角度θ1と捩り角度θ2の合計の捩り角度が、入力側フリクションプレート163が円板状部材113に対して相対回転可能な所定角度の大きさとなる。なお、この実施形態では、前記合計の捩り角度は8°であるが(図42を参照)、この角度はエンジンの燃焼変動に起因する微少捩り振動により生じるダンパー作動角をわずかに越える範囲にあることが好ましい。
【0073】
第2低摩擦係数フリクションワッシャ164は、第1低摩擦係数フリクションワッシャ162と同様に複数の弧状部材であり、入力側フリクションプレート163と第2高摩擦係数フリクションワッシャ165との間に挟まれている。第2低摩擦係数フリクションワッシャ164は樹脂製である。第2低摩擦係数フリクションワッシャ164は、軸方向トランスミッション側に複数の突出部164aを有している。
【0074】
第2高摩擦係数フリクションワッシャ165は、図36及び図37に示すように環状の部材であり、第2低摩擦係数フリクションワッシャ164と摩擦面付きフライホイール121の第2摩擦面121bとの間に挟まれている。第2高摩擦係数フリクションワッシャ165は、芯板173と、それに貼られた摩擦フェーシング174とから構成されている。芯板173は環状の部材である。摩擦フェーシング174は、芯板173の軸方向エンジン側に貼られた複数の弧状の部材であり、摩擦面付きフライホイール121の第2摩擦面121bに当接している。芯板173の内径と摩擦フェーシング174の内径はほぼ等しいが、芯板173の内径は摩擦フェーシング174の内径より大きくなっている。芯板173の本体部分には、複数の孔173aが形成されている。芯板173の本体部分の内周縁には、半径方向内側に延びる複数の突起173cが形成されている。なお、摩擦フェーシング174には、孔173aに対応して孔174aが形成されている。これら孔171b,172a内には、第2低摩擦係数フリクションワッシャ164の突出部164aが挿入・係合している。この係合によって、第2高摩擦係数フリクションワッシャ165と第2低摩擦係数フリクションワッシャ164とは一体回転するようになっている。
【0075】
芯板173の外周縁には、円周方向の複数箇所に切り欠き173bが形成されている。切り欠き173b内には前述の軸方向突出部171aが挿入・係合しており、この係合によって、第1高摩擦係数フリクションワッシャ161と第2高摩擦係数フリクションワッシャ165とは一体回転するようになっている。また、軸方向突出部171aは入力側フリクションプレート163の円板状部分163aの外周縁に形成された切り欠き163e内に挿入されている。このように軸方向突出部171aと切り欠き163eとによって、入力側フリクションプレート163と、フリクションワッシャ161,162,164,165との間に、図41に示すように、第2回転方向係合部182が形成されている。
【0076】
第2回転方向係合部182において、軸方向突出部171aの回転方向幅は切り欠き163eの回転方向幅より短く、そのため軸方向突出部171aは切り欠き163e内を所定角度の範囲で移動可能である。これは、入力側フリクションプレート163はフリクションワッシャ161,162,164,165に対して、所定角度範囲内では移動可能であることを意味する。より詳細には、図40に示すように、軸方向突出部171aの回転方向R1側には捩り角度θ3の回転方向隙間185が確保され、回転方向R2側には捩り角度θ4の回転方向隙間186が形成されている。この結果、捩り角度θ3と捩り角度θ4の合計の捩り角度が、入力側フリクションプレート163がフリクションワッシャ161,162,164,165に対して相対回転可能な所定角度の大きさとなる。なお、この実施形態では、前記合計の捩り角度は2°である(図42を参照)。
【0077】
摩擦抵抗発生機構107は、さらに、ブッシュ166を備えている。ブッシュ166は、各ワッシャを内周側筒状部128に対して回転方向に自在に支持するための複数の部材であり、各ワッシャの内周側と内周側筒状部128との半径方向間に配置されている。ブッシュ166は、軸方向に所定の長さを有し、しかも平面視で弧状になっている。ブッシュ166の内周面は、滑らかな周面であり、内周側筒状部128の先端側外周面128bによって回転自在に支持されている。内周側筒状部128の外周面には、複数の凹部166aが形成されている。凹部166aは半径方向内側にへこんでおり、さらに軸方向全体に延びている。この凹部166a内に、第1高摩擦係数フリクションワッシャ161の突起171c、第1低摩擦係数フリクションワッシャ162の突起162b、第2低摩擦係数フリクションワッシャ164の突起164b、第2高摩擦係数フリクションワッシャ165の突起173c等が挿入され、係合している。なお、各ワッシャとブッシュ166との回転方向の係合部分は比較的大きな回転方向隙間を確保しており、したがって前述の第2回転方向係合部182の機能を阻害しないようになっている。
【0078】
以上に述べた摩擦抵抗発生機構107において、入力側フリクションプレート163の円板状部分163aと第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ162,164との係合によって、第1摩擦抵抗発生部188が形成されている。さらに、第1高摩擦係数フリクションワッシャ161と出力側フリクションプレート144との係合、及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ165と摩擦面付きフライホイール121との係合によって、第2摩擦抵抗発生部189が形成されている。
【0079】
なお、ここでは、摩擦面付きフライホイール121の第2摩擦面121bが摩擦抵抗発生機構107の摩擦面を構成しているため、部品点数が少なくなり、構造が簡単になる。
(2)動作
クラッチ装置101にエンジンからの燃焼変動が入力されると、ダンパー機構106において入力側円板状プレート132と出力側円板状プレート130,131とが相対回転し、その間で複数のコイルスプリング133等が圧縮される。さらに、摩擦抵抗発生機構107が所定のヒステリシストルクを発生する。以上の作用により捩じり振動が吸収・減衰される。コイルスプリング133の圧縮は、具体的には、入力側円板状プレート132の窓孔132aの回転方向端部と出力側円板状プレート130,131の窓部130a,131aの回転方向端部との間で行われる。
【0080】
摩擦抵抗発生機構107では、第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ161,165は入力側フリクションプレート163を介して円板状部材113と一体回転し、出力側フリクションプレート144及び摩擦面付きフライホイール121と相対回転する。この結果、出力側フリクションプレート144と第1高摩擦係数フリクションワッシャ161とが摺動し、さらに第2高摩擦係数フリクションワッシャ165と摩擦面付きフライホイール121とが摺動する。つまり、第2摩擦抵抗発生部189が作動し、比較的大きな摩擦抵抗を発生する。
【0081】
次に、エンジンの燃焼変動に起因する微小捩り振動がクラッチ装置101に入力されたときのダンパー機構106の動作を、図41の機械回路図と図42の捩り特性線図を用いて説明する。ダンパー機構106のコイルスプリング133が圧縮されているときに微少捩り振動が入力されると、摩擦抵抗発生機構107の入力側フリクションプレート163は、円板状部材113の筒状部120の切り欠き120aと爪部163dとの間の微少回転方向隙間(146,147)において、円板状部材13に対して相対回転する。つまり、入力側フリクションプレート163及びフリクションワッシャ161,162,164,165は、円板状部材113に駆動されず、したがって第1摩擦抵抗発生部188及び第2摩擦抵抗発生部189の双方で摩擦抵抗は発生しない(図43を参照)。この結果、微小捩じり振動に対しては高ヒステリシストルクが発生しない。すなわち図42の捩り特性線図において例えば「AC2HYS」ではコイルスプリング133が作動するが、摩擦抵抗発生機構107では滑りが生じないい。つまり、所定の捩り角度範囲では、通常のヒステリシストルクよりはるかに小さなヒステリシストルクしか得られない。このように、捩じり特性において摩擦抵抗発生機構107を所定角度範囲内では作動させない微少回転方向隙間(146,147)を設けたため、振動・騒音レベルを大幅に低くすることができる。
【0082】
微少捩り振動の捩り角度が第1回転方向係合部181より大きくなると、第1回転方向係合部181での回転方向隙間(146,147)がなくなり、次に円板状部材113が入力側フリクションプレート163を回転方向に駆動する。この結果、入力側フリクションプレート163は第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ162,164に対して相対回転する。つまり、第1摩擦抵抗発生部188が作動し、比較的小さな摩擦抵抗を発生する(図44を参照)。
【0083】
捩り振動の捩り角度がさらに大きくなると、第2回転方向係合部182での回転方向隙間(185,186)がなくなり、次に入力側フリクションプレート163がフリクションワッシャ161,162,164,164,165を回転方向に駆動する。この結果、フリクションワッシャ161,162,164,165は出力側フリクションプレート144及び摩擦面付きフライホイール121に対して相対回転する。つまり、第2摩擦抵抗発生部189が作動し、比較的大きな摩擦抵抗を発生する(図45を参照)。
【0084】
▲2▼−2広角度捩り振動
先に述べたように、捩り振動の捩り角度が大きい場合は、出力側フリクションプレート144と第1高摩擦係数フリクションワッシャ161が摺動し、さらに第2高摩擦係数フリクションワッシャ165と摩擦面付きフライホイール121とが摺動する。
【0085】
ここで、捩り角度の端部(振動の向きが変わる位置)での動作について説明する。図42のねじり特性線図の右側端では、入力側フリクションプレート163は円板状部材113に対して最も回転方向R2側にずれており、フリクションワッシャ161,162,164,165は入力側フリクションプレート163に対して最も回転方向R2側にずれている。この状態から円板状部材113が摩擦面付きフライホイール121に対して、回転方向R2側にねじれていくと、第1回転方向係合部181の回転方向隙間(146,147)の全角度にわたって、円板状部材13が入力側フリクションプレート163に対して相対回転する。この間では、第1摩擦係合発生部188も第2摩擦係合発生部189も摩擦抵抗を発生しない。第1回転方向係合部181の回転方向隙間(146,147)がなくなると、次に円板状部材113が入力側フリクションプレート163を駆動する。すると、第2回転方向係合部182の回転方向隙間(185,186)の全角度にわたって、入力側フリクションプレート163は第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ162,164に対して相対回転する。この間では第1摩擦抵抗発生部188が作動し、比較的小さな摩擦抵抗を発生する。
【0086】
第2回転方向係合部182の回転方向隙間(185,186)がなくなると、次に入力側フリクションプレート163がフリクションワッシャ161,162,164,165を駆動する。すると、フリクションワッシャ161,162,164,165は出力側フリクションプレート144及び摩擦面付きフライホイール121に相対回転する。この結果、第2摩擦抵抗発生部189が作動し、大きな摩擦抵抗を発生する。
【0087】
以上に述べたように、第2摩擦抵抗発生部189が作動して大きな摩擦抵抗を発生する前に、第2回転方向係合部182の回転方向隙間(185,186)の捩り角度範囲で第1摩擦抵抗発生部188が中間の大きさの摩擦抵抗を発生する。このように大摩擦抵抗の立ち上がりを多段化しているため、大摩擦抵抗発生時の高ヒステリシストルクの壁が存在しない。そのため、微少捩り振動を吸収するために微少回転方向隙間を設けた摩擦抵抗発生機構において、高ヒステリシストルク発生時のツメのたたき音が減少する。
【0088】
なお、従来であれば摩擦抵抗発生機構107は第2回転方向係合部182と第1摩擦抵抗発生部188とを有しておらず、第1回転方向係合部181において爪部163dが円板状部材113の切り欠き120aに当接したときに第2摩擦抵抗発生部189の作動が開始し、高ヒステリシストルクが急激に発生しており、その壁にツメが衝突することで、たたき音が発生していた。
【0089】
3.第3実施形態
(1)摩擦抵抗発生機構の構成
本発明の第2実施形態に係る摩擦抵抗発生機構207について説明する。この摩擦抵抗発生機構207と前記実施形態における摩擦抵抗発生機構107との相違点は、前記実施形態では第1回転方向係合部が軸方向に重なったワッシャ類の外側に設けられていたが、本実施形態では第1回転方向係合部が軸方向に重なったワッシャ類の内部に設けられている点である。
【0090】
以下の説明では、摩擦抵抗発生機構207を中心に説明し、クラッチ装置の他の部分については説明を省略する。また、前記実施形態に対応する部品には二百番台の符号を付している。
摩擦抵抗発生機構207は、クランクシャフト202と摩擦面付きフライホイール221との回転方向間でコイルスプリング233と並列に機能する機構であり、クランクシャフト202と摩擦面付きフライホイール221が相対回転すると所定の摩擦抵抗(ヒステリシストルク)を発生する。摩擦抵抗発生機構207は、摩擦面付きフライホイール221の第2摩擦面221bと円板状プレート222の当接部227との間に配置され互いに当接する複数のワッシャによって構成されている。摩擦抵抗発生機構207は、図46及び図47に示すように、当接部227から摩擦面付きフライホイール221に向かって順番に、コーンスプリング243、出力側フリクションプレート244、第1高摩擦係数フリクションワッシャ261、第1低摩擦係数フリクションワッシャ262、入力側フリクションプレート263、第2低摩擦係数フリクションワッシャ264及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ265を有している。
【0091】
コーンスプリング243は、各摩擦面に対して軸方向に荷重を付与するための部材であり、当接部227と出力側フリクションプレート244との間に挟まれて圧縮されており、そのため両部材に対して軸方向に付勢力を与えている。出力側フリクションプレート244は外周縁に形成された爪部244aが円板状プレート222の切り欠き226aに係合しており、この係合によって、出力側フリクションプレート244は、円板状プレート222及び摩擦面付きフライホイール221に対して、相対回転は不能であるが軸方向に移動可能となっている。なお、出力側フリクションプレート244は内周面が円板状プレート222の外周側筒状部228の根元側外周面228aに当接して、半径方向に位置決めされている。
【0092】
第1高摩擦係数フリクションワッシャ261は、環状の部材であり、出力側フリクションプレート244と第1低摩擦係数フリクションワッシャ262との間に挟まれている。第1高摩擦係数フリクションワッシャ261は、芯板271と、それに貼られた摩擦フェーシング272とから構成されている。芯板271は環状の部材である。摩擦フェーシング272は、芯板271の軸方向エンジン側に貼られた複数の弧状の部材であり、出力側フリクションプレート244に当接している。芯板271には、回転方向に延びる複数の孔271aが形成されている。
【0093】
第1低摩擦係数フリクションワッシャ262は、複数の弧状部材であり、第1高摩擦係数フリクションワッシャ261と入力側フリクションプレート263との間に挟まれている。第1低摩擦係数フリクションワッシャ262は樹脂製である。第1低摩擦係数フリクションワッシャ262は、孔271aに対応する孔262aを有している。孔271aは、孔262aに対して回転方向に長く、両端が孔262aの回転方向外側に位置している。
【0094】
入力側フリクションプレート263は、第1低摩擦係数フリクションワッシャ262と第2低摩擦係数フリクションワッシャ264との軸方向間に挟まれた円板状部分263aを有している。入力側フリクションプレート263の外周縁には、図に示すように、複数の突起263bが形成されている。突起263bは、切り欠き226aに対応して形成されており、半径方向外側に延びる突起部263cと、その先端から軸方向エンジン側に延びる爪部263dとから構成されている。突起部263cは切り欠き226a内を半径方向に貫通しており、爪部263dは、筒状部226の外周側に位置しており、円板状部材213の筒状部220の切り欠き220a内に軸方向トランスミッション側から延びている。前記実施形態とは異なり、爪部263dと切り欠き220aは回転方向に隙間なく当接している。
【0095】
入力側フリクションプレート263の円板状部分263aには、孔262aに対応して孔263eが形成されている。
第2低摩擦係数フリクションワッシャ264は、第1低摩擦係数フリクションワッシャ262と同様に複数の弧状部材であり、入力側フリクションプレート263と第2高摩擦係数フリクションワッシャ265との間に挟まれている。第2低摩擦係数フリクションワッシャ264は樹脂製である。第2低摩擦係数フリクションワッシャ264は、軸方向トランスミッション側に複数の第1突出部264aを有している。第1突出部264aは円周方向に長く両端が丸みを帯びている。第1突出部264aは円板状部分263aaの孔263e内に挿入され、その先端は第1低摩擦係数フリクションワッシャ262に当接している。第2低摩擦家数フリクションワッシャ264は、第1突出部264aからさらに軸方向とランスミッション側に延びる第2突出部264bを有している。第2突出部264bは円周方向に長く両端が丸みを帯びている。第2突出部264bは、第1突出部264aより半径方向及び回転方向に小さい。第2突出部264bは、第1低摩擦係数フリクションワッシャ262の孔262a内に挿入され、回転方向に係合している。この係合によって、第1低摩擦係数フリクションワッシャ262と第2低摩擦係数フリクションワッシャ264は一体回転するようになっている。さらに、第2突出部264bは、第1高摩擦係数フリクションワッシャ261の孔271a内に挿入されている。
【0096】
第2高摩擦係数フリクションワッシャ265は、環状の部材であり、第2低摩擦係数フリクションワッシャ264と摩擦面付きフライホイール221の第2摩擦面221bとの間に挟まれている。第2高摩擦係数フリクションワッシャ265は、芯板273と、それに貼られた摩擦フェーシング274とから構成されている。芯板273は環状の部材である。摩擦フェーシング274は、芯板273の軸方向エンジン側に貼られた複数の弧状の部材であり、摩擦面付きフライホイール221の第2摩擦面221bに当接している。芯板273の本体部分には、軸方向トランスミッション側に延びる突出部273aが形成されている。突出部273aは、第2低摩擦係数フリクションワッシャ264の凹部264c内に挿入されている。
【0097】
図48に示すように、第2低摩擦係数フリクションワッシャ264の第1突出部264aと入力側フリクションプレート263の孔263eとによって、第1回転方向係合部281が形成されている。第1回転方向係合部281において、第1突出部264aの回転方向幅は孔263eの回転方向幅より短く、そのため第1突出部264aは孔263e内を所定角度の範囲で移動可能である。これは、第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264は入力側フリクションプレート263に対して、所定角度範囲内では移動可能であることを意味する。より詳細には、第1突出部264aの回転方向R2側には捩り角度θ1の回転方向隙間246が確保され、回転方向R1側には捩り角度θ2の回転方向隙間247が形成されている。この結果、捩り角度θ1と捩り角度θ2の合計の捩り角度が、第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264が入力側フリクションプレート263に対して相対回転可能な所定角度の大きさとなる。なお、この実施形態では、前記合計の捩り角度は8°であるが(図42を参照)、この角度はエンジンの燃焼変動に起因する微少捩り振動により生じるダンパー作動角をわずかに越える範囲にあることが好ましい。
【0098】
第2低摩擦係数フリクションワッシャ264の第2突出部264bと第1高摩擦係数フリクションワッシャ261の孔271aとの係合、さらには第2高摩擦係数フリクションワッシャ265の突出部273aと第2低摩擦係数フリクションワッシャ264の凹部264cとの係合によって、第2回転方向係合部282が形成されている。なお、両係合部において突出部と孔又は凹部の関係は同一であるので、以下は説明の便宜のために、図49を用いて、第2低摩擦係数フリクションワッシャ264の第2突出部264bと第1高摩擦係数フリクションワッシャ261の孔271aとの係合についてのみ説明する。
【0099】
第2回転方向係合部282において、第2突出部264bの回転方向幅は孔271aの回転方向幅より短く、そのため第2突出部264bは孔271a内を所定角度の範囲で移動可能である。これは、第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264は第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265に対して、所定角度範囲内では移動可能であることを意味する。より詳細には、第2突出部264bの回転方向R2側には捩り角度θ3の回転方向隙間285が確保され、回転方向R1側には捩り角度θ4の回転方向隙間286が形成されている。この結果、捩り角度θ3と捩り角度θ4の合計の捩り角度が、第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264が第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265に対して相対回転可能な所定角度の大きさとなる。なお、この実施形態では、前記合計の捩り角度は2°である(図42を参照)。
【0100】
摩擦抵抗発生機構207は、さらに、ブッシュ266を備えている。ブッシュ266は、各ワッシャを内周側筒状部228に対して回転方向に自在に支持するための複数の部材であり、各ワッシャの内周側と内周側筒状部228との半径方向間に配置されている。ブッシュ266は、軸方向に所定の長さを有し、しかも平面視で弧状になっている。ブッシュ266の内周面は、滑らかな周面であり、内周側筒状部128の先端側外周面128bによって回転自在に支持されている。
【0101】
以上に述べた摩擦抵抗発生機構207において、第1低摩擦係数フリクションワッシャ262と第1高摩擦係数フリクションワッシャ261の芯板271との係合によって、さらには第2低摩擦係数フリクションワッシャ264と第2高摩擦係数フリクションワッシャ265の芯板273との係合によって、第1摩擦抵抗発生部288が形成されている。さらに、第1高摩擦係数フリクションワッシャ261と出力側フリクションプレート244との係合、及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ265と摩擦面付きフライホイール221との係合によって、第2摩擦抵抗発生部289が形成されている。
【0102】
(2)摩擦抵抗発生機構の動作
クラッチ装置1にエンジンからの燃焼変動が入力されると、ダンパー機構206において入力側円板状プレート232と出力側円板状プレート230,231とが相対回転し、その間で複数のコイルスプリング233等が圧縮される。さらに、摩擦抵抗発生機構207が所定のヒステリシストルクを発生する。以上の作用により捩じり振動が吸収・減衰される。コイルスプリング233の圧縮は、具体的には、入力側円板状プレート232の窓孔232aの回転方向端部と出力側円板状プレート230,231の窓部230a,231aの回転方向端部との間で行われる。
【0103】
摩擦抵抗発生機構207では、第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265は第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264を介して入力側フリクションプレート263と一体回転し、出力側フリクションプレート244及び摩擦面付きフライホイール221と相対回転する。この結果、出力側フリクションプレート244と第1高摩擦係数フリクションワッシャ261が摺動し、さらに第2高摩擦係数フリクションワッシャ265と摩擦面付きフライホイール21とが摺動する。つまり、第2摩擦抵抗発生部289が作動し、比較的大きな摩擦抵抗を発生する。
【0104】
▲1▼微少捩り振動
次に、エンジンの燃焼変動に起因する微小捩り振動がクラッチ装置1に入力されたときのダンパー機構206の動作を、図51の機械回路図と図42の捩り特性線図を用いて説明する。ダンパー機構206のコイルスプリング233が圧縮されているときに微少捩り振動が入力されると、摩擦抵抗発生機構207の第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264は、入力側フリクションプレート263の孔263eと第2低摩擦係数フリクションワッシャ264の第1突出部264aの間の微少回転方向隙間(246,247)において、入力側フリクションプレート263に対して相対回転する。つまり、第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264は、入力側フリクションプレート263に駆動されず、したがって第1摩擦抵抗発生部288及び第2摩擦抵抗発生部289の双方で摩擦抵抗は発生しない(図43を参照)。この結果、微小捩じり振動に対しては高ヒステリシストルクが発生しない。すなわち図42の捩り特性線図において例えば「AC2HYS」ではコイルスプリング233が作動するが、摩擦抵抗発生機構207では滑りが生じないい。つまり、所定の捩り角度範囲では、通常のヒステリシストルクよりはるかに小さなヒステリシストルクしか得られない。このように、捩じり特性において摩擦抵抗発生機構207を所定角度範囲内では作動させない微少回転方向隙間(246,247)を設けたため、振動・騒音レベルを大幅に低くすることができる。
【0105】
微少捩り振動の捩り角度が第1回転方向係合部281の回転方向隙間(246,247)より大きくなると、第1回転方向係合部281での回転方向隙間(246,247)がなくなり、次に入力側フリクションプレート263が第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264を回転方向に駆動する。この結果、第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264は第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265に対して相対回転する。つまり、第1摩擦抵抗発生部288が作動し、比較的小さな摩擦抵抗を発生する(図44を参照)。
【0106】
捩り振動の捩り角度がさらに大きくなると、第2回転方向係合部282での回転方向隙間(285,286)がなくなり、次に第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264が第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265を回転方向に駆動する。この結果、第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265は出力側フリクションプレート244及び摩擦面付きフライホイール21に対して相対回転する。つまり、第2摩擦抵抗発生部289が作動し、比較的大きな摩擦抵抗を発生する(図45を参照)。
【0107】
▲2▼広角度捩り振動
先に述べたように、捩り振動の捩り角度が大きい場合は、出力側フリクションプレート244と第1高摩擦係数フリクションワッシャ261が摺動し、さらに第2高摩擦係数フリクションワッシャ265と摩擦面付きフライホイール221とが摺動する。
【0108】
ここで、捩り角度の端部(振動の向きが変わる位置)での動作について説明する。図42の捩り特性線図の右側端では、第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264は入力側フリクションプレート263に対して最も回転方向R2側にずれており、第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265は第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264に対して最も回転方向R2側にずれている。この状態から入力側フリクションプレート263が摩擦面付きフライホイール221に対して、回転方向R2側に捩れていくと、第1回転方向係合部281の回転方向隙間(246,247)の全角度にわたって、入力側フリクションプレート263が第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264に対して相対回転する。この間では、第1摩擦係合発生部288も第2摩擦係合発生部289も摩擦抵抗を発生しない。第1回転方向係合部281の回転方向隙間(246,247)がなくなると、次に第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264が第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265を駆動する。すると、第2回転方向係合部282の回転方向隙間(285,286)の全角度にわたって、第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264は第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265に対して相対回転する。この間では第1摩擦抵抗発生部288が作動し、比較的小さな摩擦抵抗を発生する。
【0109】
第2回転方向係合部282の回転方向隙間(285,286)がなくなると、次に第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264が第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265を駆動する。すると、第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265は出力側フリクションプレート244及び摩擦面付きフライホイール221に相対回転する。この結果、第2摩擦抵抗発生部289が作動し、大きな摩擦抵抗を発生する。
【0110】
以上に述べたように、第2摩擦抵抗発生部289が作動して大きな摩擦抵抗を発生する前に、第2回転方向係合部282の回転方向隙間(285,286)の捩り角度範囲で第1摩擦抵抗発生部288が中間の大きさの摩擦抵抗を発生する。このように大摩擦抵抗の立ち上がりを多段化しているため、大摩擦抵抗発生時の高ヒステリシストルクの壁が存在しない。そのため、微少捩り振動を吸収するために微少回転方向隙間を設けた摩擦抵抗発生機構において、高ヒステリシストルク発生時のツメのたたき音が減少する。
【0111】
この摩擦抵抗発生機構207では、第1回転方向係合部281の回転方向隙間(246,247)の半径位置が第1及び第2低摩擦係数フリクションワッシャ262,264と第1及び第2高摩擦係数フリクションワッシャ261,265の軸方向に重なった部分から外側にでていないため、小型化が実現される。
この摩擦抵抗発生機構207では、第1回転方向係合部281の回転方向隙間(246,247)が第2低摩擦係数フリクションワッシャ264と入力側フリクションプレート263の円板状部分263aとの間に形成されている。そのため、回転方向隙間(246,247)の構造を簡単にできる。したがって、回転方向隙間の精度が向上する。
【0112】
4.第4実施形態
図52の機械回路図を用いて、第4実施形態における摩擦抵抗発生機構307について説明する。
摩擦抵抗発生機構307は、第1回転部材363と、第2回転部材330と、第1中間部材362と、第2中間部材372とを備えている。第1回転部材363と第2回転部材330は、相対回転可能であり、図示しない弾性部材によって回転方向に連結されている。第1中間部材362と第2中間部材372は、第1回転部材363と第2回転部材330との回転方向間で互いに回転方向に直列に作用するように配置されている。第1中間部材362は、第1回転方向隙間構成部381を介して第1回転部材363に対して係合し、第2回転方向隙間構成部382を介して第2中間部材272に係合している。第1中間部材362は、第1摩擦発生部388を介して第2回転部材330に摩擦係合している。第2中間部材272は、第2摩擦発生部389を介して第2回転部材330に摩擦係合している。以上に説明したように、第1摩擦発生部388と第2摩擦発生部389は、第1回転部材363と第2回転部材330との回転方向間で、互いに並列に作動するように配置されている。
【0113】
この摩擦抵抗発生機構307において、図52の機械回路図及び図53の捩り特性線図を用いて、第1回転部材363が第2回転部材330に対して捩れたときの動作について説明する。
捩り角度の初期段階では、第1回転方向隙間構成部381の回転方向隙間によって、第1摩擦発生部388及び第2摩擦発生部389はともに作動しない。したがって、ほとんどヒステリシストルクが発生しない領域が得られる。
【0114】
第1回転方向隙間構成部381の回転方向隙間がなくなると、次に第1回転部材363が第1中間部材362を回転方向に駆動する。このときに第1摩擦発生部388が作動し、所定の摩擦抵抗(図53におけるDC1)を発生する。このとき、第2摩擦発生部389は、第2回転方向隙間構成部382よって作動しない。
【0115】
第2回転方向隙間構成部382の回転方向隙間がなくなると、次に第1中間部材362が第2中間部材272を回転方向に駆動する。このときに第2摩擦発生部389が作動し、所定の摩擦抵抗(図53におけるDC2)を発生する。このとき、第1摩擦発生部388も作動しているため、第1摩擦発生部388のみが作動しているときより大きな摩擦抵抗が得られる。
【0116】
このように大摩擦抵抗の立ち上がりを多段化しているため、大摩擦抵抗発生時の高ヒステリシストルクの壁が存在しない。そのため、摩擦抵抗発生機構において高ヒステリシストルク発生時のツメのたたき音が減少する。
4.第4実施形態
図54の機械回路図を用いて、第4実施形態における摩擦抵抗発生機構307’について説明する。
【0117】
摩擦抵抗発生機構307’は、第1回転部材363と、第2回転部材330と、第1中間部材362と、第2中間部材372’と、第3中間部材385とを備えている。第1回転部材363と第2回転部材330は、相対回転可能であり、図示しない弾性部材によって回転方向に連結されている。第1中間部材362と第2中間部材372’と第3中間部材385は、第1回転部材363と第2回転部材330との回転方向間で互いに回転方向に直列に作用するように配置されている。第1中間部材362は、第1回転方向隙間構成部381を介して第1回転部材363に対して係合し、第2回転方向隙間構成部382を介して第2中間部材372’に係合している。第2中間部材372’は、さらに第3中間部材385に対して第3回転方向隙間構成部383を介して係合している。第1中間部材362は、第1摩擦発生部388を介して第2回転部材330に摩擦係合している。第2中間部材372’は、第2摩擦発生部389を介して第2回転部材330に摩擦係合している。第3中間部材385は、第3摩擦発生部390を介して第2回転部材330に摩擦係合している。以上に説明したように、第1摩擦発生部388と第2摩擦発生部389と第3摩擦発生部390は第1回転部材363と第2回転部材330との回転方向間で互いに並列に作動するように配置されている。
【0118】
この摩擦抵抗発生機構207’において、図54の機械回路図及び図55の捩り特性線図を用いて、第1回転部材363が第2回転部材330に対して捩れたときの動作について説明する。
捩り角度の初期段階では、第1回転方向隙間構成部381の回転方向隙間によって、第1摩擦発生部388、第2摩擦発生部389及び第3摩擦発生部390はともに作動しない。したがって、ほとんどヒステリシストルクが発生しない領域が得られる。
【0119】
第1回転方向隙間構成部381の回転方向隙間がなくなると、次に第1回転部材363が第1中間部材362を回転方向に駆動する。このときに第1摩擦発生部388が作動し、所定の摩擦抵抗(図55におけるDC1)を発生する。このとき、第2摩擦発生部389は第2回転方向隙間構成部382よって作動せず、第3摩擦発生部390は第3回転方向隙間構成部383によって作動しない。
【0120】
第2回転方向隙間構成部382の回転方向隙間がなくなると、次に第1中間部材362が第2中間部材372’を回転方向に駆動する。このときに第2摩擦発生部389が作動し、所定の摩擦抵抗(図55におけるDC2)を発生する。このとき、第1摩擦発生部388も作動しているため、両者の摩擦抵抗によって、第1摩擦発生部388のみが作動しているときより大きな摩擦抵抗を発生する。なお、このとき、第3摩擦発生部390は第3回転方向隙間構成部383によって作動しない。
【0121】
第3回転方向隙間構成部383の回転方向隙間がなくなると、次に第2中間部材372’が第3中間部材385を回転方向に駆動する。このときに第3摩擦発生部390が作動し、所定の摩擦抵抗(図55におけるDC3)を発生する。このとき、第1摩擦発生部388及び第2摩擦発生部389も作動しているため、第1摩擦発生部388及び第2摩擦発生部389のみが作動しているときより大きな摩擦抵抗が得られる。
【0122】
この実施形態では、大摩擦抵抗の発生を3段としたたため、大摩擦抵抗発生時の高ヒステリシストルクの壁がさらに小さくなり、摩擦抵抗発生機構において高ヒステリシストルク発生時のツメのたたき音がさらに減少する。
なお、大摩擦抵抗の立ち上がり4段以上にしてもよい。
5.第5実施形態
図56に示すように、大摩擦抵抗の立ち上がりを複数の段によって構成するのではなく滑らかにしてもよい。言い換えると、大摩擦抵抗の立ち上がりの中間摩擦抵抗は徐々に大きくなるようにしてもよい。図56では、中間摩擦抵抗がリニアに変化する例を実線で表している。さらに、図56では、角度に対するトルクの増加割合が小さくなっていく場合と大きくなっていく場合とを破線で表している。
【0123】
6.他の実施形態
以上、本発明に従うクラッチ装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0124】
【発明の効果】
本発明に係るダンパー機構では、微少捩り振動に対しては、捩り角度の小さな領域でも捩り角度の大きな領域でも、摩擦抵抗抑制機構の回転方向隙間によって、その角度範囲内では摩擦抵抗発生機構は作動しない。つまり、捩り特性1段目における微少捩り振動に対しても大きな摩擦抵抗は発生せず、捩り振動減衰機能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのクラッチ装置の縦断面概略図。
【図2】本発明の一実施形態としてのクラッチ装置の縦断面概略図。
【図3】フライホイールダンパーの平面図。
【図4】プレート連結部を説明するための図面であり、図1の部分拡大図。
【図5】摩擦抵抗発生機構を説明するための図面であり、図1の部分拡大図。
【図6】摩擦抵抗発生機構を説明するための図面であり、図2の部分拡大図。
【図7】摩擦抵抗発生機構を説明するための図面であり、フライホイールダンパーの背面図。
【図8】ハブフランジにおけるダンパー機構の平面図。
【図9】クラッチプレート、リティーニングプレートにおけるダンパー機構の平面図。
【図10】第2スプリングシートの平面図。
【図11】第2スプリングシートの側面図であり、図10のXI矢視図。
【図12】第2スプリングシートの正面図であり、図10のXII矢視図。
【図13】第2スプリングシートの背面図であり、図10のXIII矢視図。
【図14】第1スプリングシートの正面図。
【図15】第1スプリングシートの側面図であり、図14のXV矢視図。
【図16】第1スプリングシートの背面図であり、図15のXVI矢視図。
【図17】第1スプリングシートの縦断面図であり、図16のXVII−XVIIに沿った断面図。
【図18】第2スプリングシートとハブフランジとの係合を説明するための部分平面図。
【図19】第2スプリングシートとクラッチプレート及びリティーニングプレートとの係合を説明するための部分平面図。
【図20】ダンパー機構の機械回路図。
【図21】ダンパー機構の捩り特性線図。
【図22】小コイルスプリングの動作を説明するための部分平面図。
【図23】小コイルスプリングの動作を説明するための部分平面図。
【図24】摩擦抵抗発生機構の動作を説明するための図。
【図25】摩擦抵抗発生機構の動作を説明するための図。
【図26】摩擦抵抗発生機構の動作を説明するための図。
【図27】ダンパー機構の捩り特性線図。
【図28】ダンパー機構の捩り特性線図。
【図29】ダンパー機構の捩り特性線図。
【図30】第2実施形態における摩擦抵抗発生機構を説明するための図面。
【図31】第2実施形態における摩擦抵抗発生機構を説明するための図面。
【図32】第1高摩擦係数フリクションワッシャの平面図(第2実施形態)。
【図33】第1高摩擦係数フリクションワッシャの背面図(第2実施形態)。
【図34】第2高摩擦係数フリクションワッシャの平面図(第2実施形態)。
【図35】第2高摩擦係数フリクションワッシャの背面図(第2実施形態)。
【図36】入力側フリクションプレートの平面図。(第2実施形態)
【図37】ブッシュの平面図(第2実施形態)。
【図38】第1低摩擦係数フリクションワッシャの平面図(第2実施形態)。
【図39】第1回転方向係合部の構成を説明するための部分側面図(第2実施形態)。
【図40】第1回転方向係合部と第2回転方向係合部の構成を説明するための部分平面図(第2実施形態)。
【図41】ダンパー機構の機械回路図(第2実施形態)。
【図42】ダンパー機構の捩り特性線図(第2実施形態)。
【図43】ダンパー機構の捩り特性線図(第2実施形態)。
【図44】ダンパー機構の捩り特性線図(第2実施形態)。
【図45】ダンパー機構の捩り特性線図(第2実施形態)。
【図46】第2実施形態における摩擦抵抗発生機構の縦断面概略図(第2実施形態)。
【図47】第2実施形態における摩擦抵抗発生機構の縦断面概略図(第2実施形態)。
【図48】第1回転方向係合部を説明するための平面図(第3実施形態)。
【図49】第2回転方向係合部を説明するための平面図(第3実施形態)。
【図50】摩擦抵抗発生機構の組立を説明するための縦断面概略図(第3実施形態)。
【図51】ダンパー機構の機械回路図(第3実施形態)。
【図52】第4実施形態におけるダンパー機構の機械回路図。
【図53】ダンパー機構の捩り特性線図(第4実施形態)。
【図54】第5実施形態におけるダンパー機構の機械回路図。
【図55】ダンパー機構の捩り特性線図(第5実施形態)。
【図56】ダンパー機構の捩り特性線図(第5実施形態)。
【符号の説明】
6 ダンパー機構
7 摩擦抵抗発生機構
30,31 出力側円板状プレート(第2回転部材)
32 入力側円板状プレート(第1回転部材)
33 コイルスプリング(第2弾性部材)
45 小コイルスプリング(第1弾性部材)
79 回転方向隙間

Claims (6)

  1. トルクを伝達するとともに捩り振動を吸収・減衰するためのダンパー機構であって、
    第1回転部材と、
    前記第1回転部材に相対回転可能に配置された第2回転部材と、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材とが相対回転すると圧縮されて、捩り特性の小捩り角度領域において低剛性の特性を実現する第1弾性部材と、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材が相対回転すると圧縮されて、捩り特性の大捩り角度領域において高剛性の特性を実現する第2弾性部材と、
    前記第1弾性部材が圧縮されている間、および前記第2弾性部材が圧縮されている間に摩擦抵抗を発生する摩擦抵抗発生機構と、
    所定角度範囲内では前記摩擦抵抗発生機構を作動させないための回転方向隙間を有する摩擦抵抗抑制機構と、
    を備えたダンパー機構。
  2. 前記摩擦抵抗発生機構及び前記摩擦抵抗抑制機構は、前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材に対して回転方向に並列に作用するように配置されている、請求項1に記載のダンパー機構。
  3. 前記第1弾性部材と前記第2弾性部材は回転方向に直列に作用するように配置されている、請求項2に記載のダンパー機構。
  4. 前記摩擦抵抗発生機構は、前記所定角度の両側において摩擦抵抗が段階的に大きくなる第1領域と、摩擦抵抗が一定の第2領域とを実現する、請求項1〜3のいずれかに記載のダンパー機構。
  5. 前記摩擦抵抗発生機構は、前記第1領域において中間摩擦抵抗を発生する、請求項4に記載のダンパー機構。
  6. 前記摩擦抵抗発生機構は、前記第1領域において滑らかに大きくなる摩擦抵抗を発生する、請求項4に記載のダンパー機構。
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