JP2004359754A - 抗菌性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い抗菌性を付与しつつも透明性と耐変色性に優れた抗菌性樹脂組成物と、その成形品を提供する。
【解決手段】アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、銀を含有せず、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 25〜55mol%
(かつ、ZnOが25〜55mol%)
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加する。
【選択図】 なし
【解決手段】アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、銀を含有せず、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 25〜55mol%
(かつ、ZnOが25〜55mol%)
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌性樹脂組成物およびその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリロニトリルおよびスチレンを成分として含有する樹脂には、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(透明ABS樹脂)など、光透過率が高く、透明性に優れた樹脂がある。これらの樹脂は、耐熱性、成形性、実用強度に優れることから、電気製品、自動車部品、文具、家具、日用品などに幅広く使用されている。
【0003】
ところで昨今は、抗菌性が付与された樹脂製品が多く用いられるようになっている。特に、食品製造設備、薬品製造設備、医療設備には、抗菌性を有する樹脂材料が当然のように使われている。AS樹脂や透明ABS樹脂などの透明樹脂についても、抗菌性を付与したものが多くあるが、抗菌剤を添加することにより、これらの樹脂の有意な特性の1つである透明性が低下するという問題も出てくる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−109296
【特許文献2】
特開平8−231811
【0005】
そこで、抗菌性を付与しつつも、透明性の低下を抑制した抗菌性樹脂組成物が、上記文献に記載されている。上記文献に記載された抗菌性樹脂組成物は、例えば銀イオンを抗菌成分として含むものである。銀イオンを担持させた抗菌剤は高い抗菌性を付与するが、樹脂と複合すると変色しやすい。また、抗菌剤と樹脂との、透明性や屈折率の違いから、十分な透明性が得られない場合が多い。そのため、抗菌剤と樹脂の改良によって、より変色しにくく、透明性に優れた抗菌性樹脂組成物が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い抗菌性を付与しつつも透明性と耐変色性に優れた抗菌性樹脂組成物と、その成形品を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、銀を含有せず、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 25〜55mol%
(かつ、ZnOが25〜55mol%)
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%、
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 5.01〜30mol%
(かつ、Al2O3、SiO2の合計は5〜12mol%、かつLi2O、Na2O、K2Oの合計は、0.01〜5mol%)
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含み、かつ屈折率が1.50〜1.56である樹脂に、銀を含有せず、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 25〜55mol%
(かつ、ZnOが25〜55mol%)
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%
からなり、かつ該樹脂との屈折率差を0.02以下に調整した抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含み、かつ屈折率が1.50〜1.56である樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%、
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなり、かつ該樹脂との屈折率差を0.02以下に調整した抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含み、かつ屈折率が1.50〜1.56である樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 5.01〜30mol%
(かつ、Al2O3、SiO2の合計は5〜12mol%、かつLi2O、Na2O、K2Oの合計は、0.01〜5mol%)
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなり、かつ該樹脂との屈折率差を0.02以下に調整した抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0013】
また、上記の抗菌性ガラス組成物は、平均粒径が0.5〜20μmに調整されたものであり、本発明の抗菌性樹脂組成物は、このような抗菌性ガラス組成物を上記の樹脂に添加することを特徴とする。
【0014】
また、上記の抗菌性ガラス組成物の、抗菌性樹脂組成物中の含有率は、0.01〜30重量%であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の抗菌性樹脂成形品は、上記の抗菌性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。抗菌性樹脂組成物の、透明性の基準としては、JIS K 7136:2000で定めるヘイズが20以下であることが望ましい。このような基準を満たすためには、樹脂の屈折率に近い屈折率の抗菌剤を配合する必要がある。前記構成の抗菌性ガラス組成物は、屈折率を1.50〜1.56の間で調整することができる。樹脂の屈折率が1.50〜1.56の間であるとき、抗菌性ガラス組成物と樹脂の屈折率の差を0.02以下に調整し、それを粉末にして樹脂に配合すれば、良好な透明性を保つことができる。抗菌性ガラス組成物と、樹脂の屈折率の差が、上記の範囲を大きく逸脱するような場合には、樹脂の透明性が大きく損なわれる。なお、屈折率の差を0.01以下、さらには0.006以下に調整することがより望ましい。
【0017】
前記構成の抗菌性ガラス組成物は、抗菌性を付与する溶解性ガラスであって、ガラス組成中に含まれるAg2OまたはZnOに基づくAgまたはZn成分が任意の期間にわたって定められた一定速度で溶出され、抗菌性ガラス組成物は高い抗菌性を備えるものとなる。表1に、前記抗菌性ガラス組成物の組成をまとめる。
【0018】
【表1】
【0019】
次に、本発明の抗菌性ガラス組成物に含有される、各成分の臨界的意味(限定効果)を以下に説明する。
【0020】
抗菌成分が銀を含まず、亜鉛のみとしたときは、ガラス組成中に亜鉛成分をZnO換算で25〜55mol%とするとよい。ZnOが25mol%以下では、抗菌性が生じない場合があり好ましくない。55mol%以上ではガラス化が困難となり、非晶質でなくなるため透明性が認められなくなる。
【0021】
抗菌成分に銀を含む場合は、ガラス組成中にP2O5が40〜60mol%、かつMgO、CaO、ZnOから選択される1種または2種以上の合計が20〜55mol%、かつB2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される1種または2種以上の合計が1〜30mol%、かつAg2Oが0.1〜5.0重量%とすることが好ましい。
【0022】
P2O5はガラス組成の骨格となる成分で、抗菌成分である銀または亜鉛の溶出量を制御する成分である。ガラス組成が、水に溶けると同時に、銀イオンまたは亜鉛イオンを放出する。P2O5の含有率は、40〜60mol%とするのがよい。40mol%以下ではガラスになり難い場合がある。60mol%以上では、抗菌成分の溶出量が少なすぎ好ましくない。
【0023】
MgO、CaO、ZnOは屈折率を調整し、特に高めるために添加される成分である。この成分は単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。この成分の合計が20mol%以下ではガラス組成の屈折率を調整できなくなる。55mol%以上ではガラス化が困難になる。ZnOは抗菌成分としても用いる成分である。前述したように抗菌成分が銀を含まず、亜鉛のみとしたときはZnO換算で25〜55mol%とするとよいので、この場合はMgO、CaO、ZnOの好ましい合計は25〜55mol%となる。また、抗菌成分が銀を含む場合はMgO、CaO、ZnOの合計は20〜55mol%とすることが望ましい。
【0024】
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oは抗菌成分である銀、亜鉛の溶出量を制御する成分である。また、屈折率、ガラス化の調節をするのに使用できる。この成分は単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。この成分の合計は、1〜30mol%が好ましい。
【0025】
上記組成中、Li2O、Na2O、K2Oはガラス化を促進するとともに、屈折率を下げるのに有効な成分である。この成分の合計は、0.01〜5mol%が好ましい。
【0026】
Al2O3、SiO2は屈折率を下げるのに特に有効な成分である。この成分の合計は、5〜12mol%が好ましい。
【0027】
Al2O3とSiO2の合計を5〜12mol%とし、かつLi2O、Na2O、K2Oの合計を0.01〜5mol%とした場合は、前述したB2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oの好ましい合計は5.01〜30mol%となる。
【0028】
抗菌成分として銀を使用する場合は、Ag2O含有率が0.1〜5重量%となることが好ましい。0.1重量%以下では抗菌性が十分に得られない場合がある。5重量%以上では、樹脂と複合したときの変色が大きくなる場合がある。より好ましくは0.1〜3.0重量%、さらに好ましくは1.0〜2.6重量%である。
【0029】
抗菌性ガラス組成物の平均粒径は、0.5〜20μmであるのがよい。0.5μm以下では、樹脂中の分散性が悪化し、透明性の低下が顕著となる。また、抗菌性ガラス組成物の生産性の低下や、コスト高となることも懸念される。20μm以上では樹脂の表面が荒れたようになり、外観上好ましくない。より好ましい平均粒径は、2〜15μmである。なお、99体積%の粒径では、4μm以上100μm以下とするのがよい。
【0030】
アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂としては、屈折率が1.50〜1.56の間で調整されたものが好ましい。このような樹脂としては、例えばアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ゴム変性アクリロニトリル−スチレン共重合体(例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(透明ABS樹脂))がある。また、透明性を確保できる範囲内で、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート、低密度ポリエチレン、塩化ビニールなどの他の樹脂を混ぜ合わせたポリマーアロイとすることもできる。なお、ここで言う透明性の基準は、ヘイズ20以下である。
【0031】
樹脂に対する抗菌性ガラス組成物の添加率は、0.01〜30重量%が好ましい。0.01重量%以下では抗菌性が生じない場合がある。透明性を確保するには、0.8重量%が好ましい上限だが、マスターバッチの分散性を考慮すると、その上限は30重量%とすることができる。30重量%を超えると、分散性が悪くなる場合がある。
【0032】
また、抗菌性樹脂組成物の成形品を得るための成形方法としては、射出成形、圧縮成形、トランスファ成形、押出成形、ブロー成形、カレンダ成形、積層成形、シートフォーミングなどの公知の方法を採用するとよい。その際、必要に応じて、透明性を損ねない程度に、消色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の、他の添加剤を加えてもよい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、屈折率が1.51と1.54の樹脂を用いた。この場合、透明性を損なわず抗菌性を付与するためには、樹脂に添加する抗菌剤の屈折率を各樹脂の屈折率に近接させるとよい。例えば樹脂の屈折率が1.51の場合、抗菌性ガラス組成物の屈折率を1.49以上1.53以下の範囲内に調整すれば、良好な透明性を保つことができる。なお、この場合抗菌性ガラス組成物の屈折率は、1.50以上1.52以下、さらには1.504以上1.516以下に調整することがより好ましい。
【0034】
樹脂に添加する抗菌性ガラス組成物を、次のようにして作成した。まず、表2に示す組成比となるように各原料を調合、混合し、これを1250℃〜1350℃に調節した電気炉で1時間溶融した。その後、原料の融液を電気炉から取り出し、カーボン板上に流し出して放冷し、表2に記すA、B、Cの各抗菌性ガラス組成物(抗菌剤)を得た。
【0035】
【表2】
【0036】
これらの抗菌性ガラス組成物について、屈折率を測定したところ、表2に記すとおりであった。屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ光学器械製作所製)を使用して測定した。
【0037】
次に、抗菌性ガラス組成物を、ロールクラッシャー、ボールミルを用いて微粉砕化し、表3に示す平均粒径に調整して抗菌性ガラス組成物粉末とした。このようにして得られた各抗菌性ガラス組成物粉末を、透明ABS樹脂に、表3に記す添加量で添加、混錬した。樹脂は、表3に記すDとして東レ株式会社製 トヨラック900を用い、Eとして電気化学工業株式会社製 デンカ透明ABS CLを用いた。その後、射出成形機にて長さ50mm、幅50mm、厚さ2mmとし、本発明に属する抗菌性樹脂(実施例1、2、3)および、本発明外としてのサンプル(比較例1)を得た。平均粒径は、マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)にて測定した。
【0038】
【表3】
【0039】
抗菌性の評価試験は、JIS Z 2801:2000に基づいて行った。大腸菌を含む菌液と、黄色ブドウ球菌を含む菌液をそれぞれシート状の試料に載せ、液上部をフィルムで覆って菌液を活性化した後、フィルムを剥がして洗浄し、35℃48時間培養した。上記抗菌性サンプルの、培養後の生菌数の対数値と、抗菌加工を施していないサンプルの、培養後の生菌数の対数値との差をとり、抗菌活性値とした。抗菌活性値が2.0以上の場合を○、抗菌活性値が2.0未満の場合を×で表した。
【0040】
曇価(ヘイズ)は、JIS K 7136:2000に基づいて、NDH−2000(日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。
【0041】
表3に示すように、本発明に属する実施例1、2、3については、高い抗菌性を示しながらも低い曇価を示し、透明性は十分であった。他方、樹脂との屈折率差が0.02を超える比較例1は、抗菌性は十分であるものの、曇価が20以上となり、透明性は不十分であった。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の抗菌性樹脂組成物は、抗菌性を付与するために添加する抗菌性ガラス組成物の屈折率が、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂の屈折率に近接しているので、高い透明性を維持したものとなっている。添加する抗菌性ガラス組成物の適切な平均粒径も、抗菌性樹脂組成物の透明性の低下抑制に寄与している。ガラス組成を調整することで、比較的簡単に屈折率の調整も行える。ガラス組成中に含まれる銀または亜鉛の作用で、高い抗菌性を示すことができる。また、銀の溶出量が適切なので、樹脂の耐変色性に優れている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌性樹脂組成物およびその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリロニトリルおよびスチレンを成分として含有する樹脂には、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(透明ABS樹脂)など、光透過率が高く、透明性に優れた樹脂がある。これらの樹脂は、耐熱性、成形性、実用強度に優れることから、電気製品、自動車部品、文具、家具、日用品などに幅広く使用されている。
【0003】
ところで昨今は、抗菌性が付与された樹脂製品が多く用いられるようになっている。特に、食品製造設備、薬品製造設備、医療設備には、抗菌性を有する樹脂材料が当然のように使われている。AS樹脂や透明ABS樹脂などの透明樹脂についても、抗菌性を付与したものが多くあるが、抗菌剤を添加することにより、これらの樹脂の有意な特性の1つである透明性が低下するという問題も出てくる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−109296
【特許文献2】
特開平8−231811
【0005】
そこで、抗菌性を付与しつつも、透明性の低下を抑制した抗菌性樹脂組成物が、上記文献に記載されている。上記文献に記載された抗菌性樹脂組成物は、例えば銀イオンを抗菌成分として含むものである。銀イオンを担持させた抗菌剤は高い抗菌性を付与するが、樹脂と複合すると変色しやすい。また、抗菌剤と樹脂との、透明性や屈折率の違いから、十分な透明性が得られない場合が多い。そのため、抗菌剤と樹脂の改良によって、より変色しにくく、透明性に優れた抗菌性樹脂組成物が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い抗菌性を付与しつつも透明性と耐変色性に優れた抗菌性樹脂組成物と、その成形品を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、銀を含有せず、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 25〜55mol%
(かつ、ZnOが25〜55mol%)
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%、
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 5.01〜30mol%
(かつ、Al2O3、SiO2の合計は5〜12mol%、かつLi2O、Na2O、K2Oの合計は、0.01〜5mol%)
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含み、かつ屈折率が1.50〜1.56である樹脂に、銀を含有せず、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 25〜55mol%
(かつ、ZnOが25〜55mol%)
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%
からなり、かつ該樹脂との屈折率差を0.02以下に調整した抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含み、かつ屈折率が1.50〜1.56である樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%、
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなり、かつ該樹脂との屈折率差を0.02以下に調整した抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の抗菌性樹脂組成物は、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含み、かつ屈折率が1.50〜1.56である樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 5.01〜30mol%
(かつ、Al2O3、SiO2の合計は5〜12mol%、かつLi2O、Na2O、K2Oの合計は、0.01〜5mol%)
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなり、かつ該樹脂との屈折率差を0.02以下に調整した抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする。
【0013】
また、上記の抗菌性ガラス組成物は、平均粒径が0.5〜20μmに調整されたものであり、本発明の抗菌性樹脂組成物は、このような抗菌性ガラス組成物を上記の樹脂に添加することを特徴とする。
【0014】
また、上記の抗菌性ガラス組成物の、抗菌性樹脂組成物中の含有率は、0.01〜30重量%であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の抗菌性樹脂成形品は、上記の抗菌性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。抗菌性樹脂組成物の、透明性の基準としては、JIS K 7136:2000で定めるヘイズが20以下であることが望ましい。このような基準を満たすためには、樹脂の屈折率に近い屈折率の抗菌剤を配合する必要がある。前記構成の抗菌性ガラス組成物は、屈折率を1.50〜1.56の間で調整することができる。樹脂の屈折率が1.50〜1.56の間であるとき、抗菌性ガラス組成物と樹脂の屈折率の差を0.02以下に調整し、それを粉末にして樹脂に配合すれば、良好な透明性を保つことができる。抗菌性ガラス組成物と、樹脂の屈折率の差が、上記の範囲を大きく逸脱するような場合には、樹脂の透明性が大きく損なわれる。なお、屈折率の差を0.01以下、さらには0.006以下に調整することがより望ましい。
【0017】
前記構成の抗菌性ガラス組成物は、抗菌性を付与する溶解性ガラスであって、ガラス組成中に含まれるAg2OまたはZnOに基づくAgまたはZn成分が任意の期間にわたって定められた一定速度で溶出され、抗菌性ガラス組成物は高い抗菌性を備えるものとなる。表1に、前記抗菌性ガラス組成物の組成をまとめる。
【0018】
【表1】
【0019】
次に、本発明の抗菌性ガラス組成物に含有される、各成分の臨界的意味(限定効果)を以下に説明する。
【0020】
抗菌成分が銀を含まず、亜鉛のみとしたときは、ガラス組成中に亜鉛成分をZnO換算で25〜55mol%とするとよい。ZnOが25mol%以下では、抗菌性が生じない場合があり好ましくない。55mol%以上ではガラス化が困難となり、非晶質でなくなるため透明性が認められなくなる。
【0021】
抗菌成分に銀を含む場合は、ガラス組成中にP2O5が40〜60mol%、かつMgO、CaO、ZnOから選択される1種または2種以上の合計が20〜55mol%、かつB2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される1種または2種以上の合計が1〜30mol%、かつAg2Oが0.1〜5.0重量%とすることが好ましい。
【0022】
P2O5はガラス組成の骨格となる成分で、抗菌成分である銀または亜鉛の溶出量を制御する成分である。ガラス組成が、水に溶けると同時に、銀イオンまたは亜鉛イオンを放出する。P2O5の含有率は、40〜60mol%とするのがよい。40mol%以下ではガラスになり難い場合がある。60mol%以上では、抗菌成分の溶出量が少なすぎ好ましくない。
【0023】
MgO、CaO、ZnOは屈折率を調整し、特に高めるために添加される成分である。この成分は単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。この成分の合計が20mol%以下ではガラス組成の屈折率を調整できなくなる。55mol%以上ではガラス化が困難になる。ZnOは抗菌成分としても用いる成分である。前述したように抗菌成分が銀を含まず、亜鉛のみとしたときはZnO換算で25〜55mol%とするとよいので、この場合はMgO、CaO、ZnOの好ましい合計は25〜55mol%となる。また、抗菌成分が銀を含む場合はMgO、CaO、ZnOの合計は20〜55mol%とすることが望ましい。
【0024】
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oは抗菌成分である銀、亜鉛の溶出量を制御する成分である。また、屈折率、ガラス化の調節をするのに使用できる。この成分は単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。この成分の合計は、1〜30mol%が好ましい。
【0025】
上記組成中、Li2O、Na2O、K2Oはガラス化を促進するとともに、屈折率を下げるのに有効な成分である。この成分の合計は、0.01〜5mol%が好ましい。
【0026】
Al2O3、SiO2は屈折率を下げるのに特に有効な成分である。この成分の合計は、5〜12mol%が好ましい。
【0027】
Al2O3とSiO2の合計を5〜12mol%とし、かつLi2O、Na2O、K2Oの合計を0.01〜5mol%とした場合は、前述したB2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oの好ましい合計は5.01〜30mol%となる。
【0028】
抗菌成分として銀を使用する場合は、Ag2O含有率が0.1〜5重量%となることが好ましい。0.1重量%以下では抗菌性が十分に得られない場合がある。5重量%以上では、樹脂と複合したときの変色が大きくなる場合がある。より好ましくは0.1〜3.0重量%、さらに好ましくは1.0〜2.6重量%である。
【0029】
抗菌性ガラス組成物の平均粒径は、0.5〜20μmであるのがよい。0.5μm以下では、樹脂中の分散性が悪化し、透明性の低下が顕著となる。また、抗菌性ガラス組成物の生産性の低下や、コスト高となることも懸念される。20μm以上では樹脂の表面が荒れたようになり、外観上好ましくない。より好ましい平均粒径は、2〜15μmである。なお、99体積%の粒径では、4μm以上100μm以下とするのがよい。
【0030】
アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂としては、屈折率が1.50〜1.56の間で調整されたものが好ましい。このような樹脂としては、例えばアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ゴム変性アクリロニトリル−スチレン共重合体(例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(透明ABS樹脂))がある。また、透明性を確保できる範囲内で、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート、低密度ポリエチレン、塩化ビニールなどの他の樹脂を混ぜ合わせたポリマーアロイとすることもできる。なお、ここで言う透明性の基準は、ヘイズ20以下である。
【0031】
樹脂に対する抗菌性ガラス組成物の添加率は、0.01〜30重量%が好ましい。0.01重量%以下では抗菌性が生じない場合がある。透明性を確保するには、0.8重量%が好ましい上限だが、マスターバッチの分散性を考慮すると、その上限は30重量%とすることができる。30重量%を超えると、分散性が悪くなる場合がある。
【0032】
また、抗菌性樹脂組成物の成形品を得るための成形方法としては、射出成形、圧縮成形、トランスファ成形、押出成形、ブロー成形、カレンダ成形、積層成形、シートフォーミングなどの公知の方法を採用するとよい。その際、必要に応じて、透明性を損ねない程度に、消色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の、他の添加剤を加えてもよい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、屈折率が1.51と1.54の樹脂を用いた。この場合、透明性を損なわず抗菌性を付与するためには、樹脂に添加する抗菌剤の屈折率を各樹脂の屈折率に近接させるとよい。例えば樹脂の屈折率が1.51の場合、抗菌性ガラス組成物の屈折率を1.49以上1.53以下の範囲内に調整すれば、良好な透明性を保つことができる。なお、この場合抗菌性ガラス組成物の屈折率は、1.50以上1.52以下、さらには1.504以上1.516以下に調整することがより好ましい。
【0034】
樹脂に添加する抗菌性ガラス組成物を、次のようにして作成した。まず、表2に示す組成比となるように各原料を調合、混合し、これを1250℃〜1350℃に調節した電気炉で1時間溶融した。その後、原料の融液を電気炉から取り出し、カーボン板上に流し出して放冷し、表2に記すA、B、Cの各抗菌性ガラス組成物(抗菌剤)を得た。
【0035】
【表2】
【0036】
これらの抗菌性ガラス組成物について、屈折率を測定したところ、表2に記すとおりであった。屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ光学器械製作所製)を使用して測定した。
【0037】
次に、抗菌性ガラス組成物を、ロールクラッシャー、ボールミルを用いて微粉砕化し、表3に示す平均粒径に調整して抗菌性ガラス組成物粉末とした。このようにして得られた各抗菌性ガラス組成物粉末を、透明ABS樹脂に、表3に記す添加量で添加、混錬した。樹脂は、表3に記すDとして東レ株式会社製 トヨラック900を用い、Eとして電気化学工業株式会社製 デンカ透明ABS CLを用いた。その後、射出成形機にて長さ50mm、幅50mm、厚さ2mmとし、本発明に属する抗菌性樹脂(実施例1、2、3)および、本発明外としてのサンプル(比較例1)を得た。平均粒径は、マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)にて測定した。
【0038】
【表3】
【0039】
抗菌性の評価試験は、JIS Z 2801:2000に基づいて行った。大腸菌を含む菌液と、黄色ブドウ球菌を含む菌液をそれぞれシート状の試料に載せ、液上部をフィルムで覆って菌液を活性化した後、フィルムを剥がして洗浄し、35℃48時間培養した。上記抗菌性サンプルの、培養後の生菌数の対数値と、抗菌加工を施していないサンプルの、培養後の生菌数の対数値との差をとり、抗菌活性値とした。抗菌活性値が2.0以上の場合を○、抗菌活性値が2.0未満の場合を×で表した。
【0040】
曇価(ヘイズ)は、JIS K 7136:2000に基づいて、NDH−2000(日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。
【0041】
表3に示すように、本発明に属する実施例1、2、3については、高い抗菌性を示しながらも低い曇価を示し、透明性は十分であった。他方、樹脂との屈折率差が0.02を超える比較例1は、抗菌性は十分であるものの、曇価が20以上となり、透明性は不十分であった。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の抗菌性樹脂組成物は、抗菌性を付与するために添加する抗菌性ガラス組成物の屈折率が、アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂の屈折率に近接しているので、高い透明性を維持したものとなっている。添加する抗菌性ガラス組成物の適切な平均粒径も、抗菌性樹脂組成物の透明性の低下抑制に寄与している。ガラス組成を調整することで、比較的簡単に屈折率の調整も行える。ガラス組成中に含まれる銀または亜鉛の作用で、高い抗菌性を示すことができる。また、銀の溶出量が適切なので、樹脂の耐変色性に優れている。
Claims (9)
- アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、銀を含有せず、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 25〜55mol%
(かつ、ZnOが25〜55mol%)
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。 - アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%、
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。 - アクリロニトリルおよびスチレン成分を含む樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 5.01〜30mol%
(かつ、Al2O3、SiO2の合計は5〜12mol%、かつLi2O、Na2O、K2Oの合計は、0.01〜5mol%)
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなる抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。 - アクリロニトリルおよびスチレン成分を含み、かつ屈折率が1.50〜1.56である樹脂に、銀を含有せず、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 25〜55mol%
(かつ、ZnOが25〜55mol%)
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%
からなり、かつ該樹脂との屈折率差を0.02以下に調整した抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。 - アクリロニトリルおよびスチレン成分を含み、かつ屈折率が1.50〜1.56である樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 1〜30mol%、
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなり、かつ該樹脂との屈折率差を0.02以下に調整した抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。 - アクリロニトリルおよびスチレン成分を含み、かつ屈折率が1.50〜1.56である樹脂に、
P2O5 40〜60mol%
MgO、CaO、ZnOから選択される、1種または2種以上 20〜55mol%
B2O3、Al2O3、SiO2、Li2O、Na2O、K2Oから選択される、1種または2種以上 5.01〜30mol%
(かつ、Al2O3、SiO2の合計は5〜12mol%、かつLi2O、Na2O、K2Oの合計は、0.01〜5mol%)
Ag2O 0.1〜5.0重量%
からなり、かつ該樹脂との屈折率差を0.02以下に調整した抗菌性ガラス組成物を添加することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。 - 前記抗菌性ガラス組成物は、平均粒径が0.5〜20μmに調整されたものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
- 前記抗菌性ガラス組成物の、前記抗菌性樹脂組成物中の含有率は、0.01〜30重量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする抗菌性樹脂成形品。
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