JP2004357520A - 小動物撃退方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小動物の公害、とくにはハトの糞、カラスの生ゴミ食い散らし、スズメの農作物食い散らし、魚市場近くでのカモメや海鳥の食い散らし等の鳥類による公害は、大きな社会問題である。人が感じないレベルの低い電圧の電気パルスを小動物に印加して小動物を撃退する方法、およびそのための装置を提供する。
【解決手段】小動物は人よりも電気に対して非常に敏感である。3ボルト以上で15ボルト以下の電圧で、100msec以上で2sec以下のオンタイムで、10〜50%オンとなる繰り返し周期で小動物に印加し、小動物に電気を感じさせて怯えさせ、これを殺すことなく撃退する。
【選択図】 図1
【解決手段】小動物は人よりも電気に対して非常に敏感である。3ボルト以上で15ボルト以下の電圧で、100msec以上で2sec以下のオンタイムで、10〜50%オンとなる繰り返し周期で小動物に印加し、小動物に電気を感じさせて怯えさせ、これを殺すことなく撃退する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は小動物による公害、とくにはハトの糞、カラスの生ゴミ食い散らかし、スズメ等の農作物食い散らし、魚市場近くでのカモメや海鳥による食い散らし等々の鳥類による公害の防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハトの糞、カラスの生ゴミ食い散らかし、スズメの農作物食い散らし、魚市場近くでのカモメや海鳥による食い散らし、等々は大きな社会問題になっている。これらの問題を解決するために、従来、(イ)鳥類の視覚に訴えて、大きな風船、大きな目玉、あるいは昔からよく知られているカカシの類のものを用いて威嚇し撃退する方法、(ロ)鳥類の聴覚に訴えて、爆発音等を発生させて威嚇し撃退する方法、(ハ)鳥類の嗅覚に訴えて、鳥類が嫌がる臭いを発する芳香剤等を配して撃退する方法、(ニ)鳥類が近づく場所に磁石を配置して鳥類の磁気感覚を錯乱することで威嚇し撃退する方法等の対策が従来からなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの小動物撃退方法および撃退装置では、一時的な効果は得られても持続的な効果は得られていない。野生動物は一般的に雰囲気の変化にきわめて敏感であって警戒心が強く、これらの装置を用いて試験を行い効果が得られたように思えても、その効果はその装置によるものではなく、装置が設置されたことで野生動物が雰囲気の変化に警戒して近づかなくなり、数日後または一週間後には慣れてまたもとに戻るということが普通である。また、鳥類は学習効果を有する小動物であり、このような従来法で威嚇されてもすぐに慣れて、威嚇の効果は得られない。
上記(ニ)の鳥類の磁気撹乱による方法は鳥類の生理学において確認されてはいるものの、磁石による磁気強度は磁石からの距離の3乗に反比例して減少するため、通常は、磁石の近傍においてだけ、具体的には、通常の磁石では数cmまでの距離の範囲においてだけ効果があり、それより離れた位置では威嚇するために必要な磁場を得ることが困難で、充分な効果は得られていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の威嚇方法ではなく、パルス状の電気を小動物に印加して、これにより小動物を怯えさせて威嚇し撃退しようとするもので、その効果は後述の実施例に多く記載するように、我々の実験では、小動物は電気に対してヒトよりも格段に敏感であり、威嚇撃退には電気パルスがきわめて効果的であることが分かった。
【0005】
本発明は、小動物がパルス状電気に対してきわめて敏感に反応し怯えることを利用して、小動物の撃退を図り、とくには、ハトの糞、カラスの生ゴミ食い散らかし、スズメの農作物食い散らし、魚市場近くでのカモメや海鳥による食い散らし、等々の鳥類による公害の防止することを意図するものである。
【0006】
請求項1は、人から嫌われる小動物を撃退する方法において、電気パルスを小動物に与えて、小動物を殺すことなく瞬間的な電気パルスによるショックで怯えさせ威嚇し、小動物を撃退することを特徴とする小動物撃退方法である。本発明の実施例1乃至3ではハトに対する実験結果を述べるが、実施例4のミミズに対する実験結果から分かるように、他の小動物に対しても、たとえば、ネズミ、モグラ、ゴキブリ、ヤモリ、トカゲ、ヘビ、イヌ、ネコ等々に対しても小動物生体への電気パルスによるショックによる威嚇は有効であり、従って、本請求項はハト、カラス、スズメ、カモメ、海鳥等の鳥類に限定されるものではなく、これらの他の小動物にも適用されるものである。
【0007】
請求項2においては、安全を確保するため、小動物に印加する電気パルスが一般のヒトが触っても危害を受けないレベルとするものである。
【0008】
請求項3および4は、後述の実施例に基づくものである。実験によれば、小動物に印加する電気パルスの電圧が1ボルト以上で、電気パルスのオンとなる時間が1msec以上あれば、すぐに反応が見られる。印加する電気パルスの電圧が高いほど大きな反応が見られる。しかし、15ボルトを超える場合、ヒトによって個人差もあるが、不快感を感じる人もいる。電気パルスの電圧が3ボルトよりも小さい場合、小動物に反応は現れるが、逃避行動を取らないことがある。しかし、3ボルト以上あればどの小動物も反応して逃避行動を取る。従って、3ボルト以上で15ボルト以下の範囲の印加電圧が適切である。
小動物に印加する電圧は直流でもよく、パルス状でもよい。パルス状の場合、オンタイムは長い方がよい。100msec以上あれば確実であり、2secもあれば充分で、電源の消費電力節減を考慮すれば、電気パルスがオンとなる時間が繰り返し周期の50%以下であることが良い。
【0009】
請求項5においては、小動物の個体差によるが学習効果が見られることがあり、とくに印加する電気パルスの電圧が低い場合、印加する電気パルスに慣れて、エサを取るまで電気パルスを我慢したり、あるいは一度逃避しても再度戻って来ることがあるため、印加する電気パルスの電圧、電気パルスのオンとなる時間、および繰り返し周波数を不規則的に変化させて印加し、威嚇効率を高めるものである。また、群れをなす習性を持つ鳥類では、1羽が何かに怯えて飛び立つと周りの鳥もいっしょに飛び出す。従って、1羽が電気パルスを感じて飛び立てば周りの鳥も飛び立ち、再び戻って来るまで時間がかかり、その間は電気パルスを印加する必要はない。このような場合は、例えば10分間オフにして10秒間だけ連続パルスを印加するというように、間欠的に印加してもよい。不規則的に変化させて印加するということは、この間欠的な印加も含むものである。
【0010】
請求項6は、上述の小動物撃退方法を実現するため電極および電源を備えた小動物撃退装置である。
【0011】
請求項7は、上述の小動物撃退方法において、撃退対象の小動物がハト、からす、すずめ、カモメ、海鳥等の鳥類に対する場合である。
【0012】
請求項8は、撃退対象小動物の体の一部に電流を引き起こすことで小動物を怯えさせ威嚇するものであり、これはプラスとマイナスの電圧が同時に小動物の足に印加することでなされる。従って、撃退装置の電極間隔が小動物の足のサイズ以下であることが必要である。また、小動物の両足が電極に接触する場合は、一方の足がプラス電極にそして他方の足がマイナス電極に接触すればよいため、電極間隔は足のサイズより大きく略両足の間隔でもよい。本請求項は、電極間隔をこのようにして撃退効果を高めるためのものである。ハトに対しては約40mm以下、カラスに対しては約60mm以下、そしてスズメに対しては約20mm以下であれば充分である。請求項9はこのことに配慮した装置である。
【0013】
請求項10および請求項11は電極の構成に関するものである。目的は、撃退対象の小動物にプラスとマイナスの電極に同時に接触させることであり、このためには、2つの電極の一方をプラスまたはマイナスの電極で構成し、他方の電極をアース電位にある大地または建造物等の導電体で形成してもよい。あるいは、2つの電極がプラスとマイナスの電極として電気パルスを供給してもよい。後者の場合、2つの電極の一方あるいは両方が、アース電位にある大地または建造物等の導電体から電気的に絶縁されていることが必要である。
【0014】
請求項12は電極の配置に関するもので、2つの電極のうちの一方の電極と、他方の電極を交互に、図1のように櫛型状に、または図2のようにレール状に配置すればよい。図2ではプラス電極とマイナス電極を1本づつとなっているが、もちろん複数本にして交互にプラスとマイナスに結線してもよい。両電極が交叉して接触することがないようにすべきである。
【0015】
請求項13は、小動物の接近を防ぐために電極を網(ネット)状にして、保護したいものを覆うためのものであり、このためには網のひとつの方向にプラスとマイナスの電極の導線を交互に配し、網のもうひとつの方向に絶縁物からなる糸または紐で網を編むことでできる。網に柔軟性を持たせれば、容易に考えられるように、その取り扱いは簡便になる。とくに、ゴミ集積場における集積ゴミに、この網をかぶせることで小動物の撃退が可能で、例えば、カラスによるゴミ食い散らしを防ぐことができる。
【0016】
請求項14は、電気パルスを供給する電源に関するものであり、消費電力を考慮すれば、とくに屋外において、自然光をエネルギー源とする太陽電池を利用するのが良い。本発明の小動物撃退法における装置の電力消費は、小動物が電極に触れたときに小動物の体内に流れる電流と電極を含む電気回路の微小の漏れ電流からなり、基本的に消費電力は小さい。太陽電池を利用する場合、蓄電回路を組み込めば、自然光による発電が得られない夜間でも日中の充電で充分に電源を作動させることができ、夜間の小動物撃退も可能である。短時間だけの小動物撃退の場合、たとえばゴミ回収場でゴミが回収されるまでの数時間だけ小動物を撃退する装置の電源として、乾電池を用いることも容易に考えられる。請求項15は、これらの電源で駆動される電気パルス発生回路を備えた装置に関するものである。
【0017】
請求項16および17は、以上に述べて来た電極および電極支持部材の素材に関するものであり、屋外に放置して作動させ続けることを目的とするため、電極は錆び難い素材、たとえばステンレススチール等の金属からなる場合、また電極支持部材の絶縁物は太陽光紫外線等で劣化し難い材料からなる場合、長期間、たとえば数年間以上にわたって健全な小動物撃退の持続が期待される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の要点を実証するために、我々は、まず電気パルス発生回路を特別に発注して準備した。このパルス発生回路は、図4に示す矩形波の電圧を出力2端子からアウトプットするもので、その仕様は、
(ア) 出力パルス電圧 = 0ボルト〜20ボルト
(イ) 出力パルス幅 = 3msec〜300msec
(ウ) パルス繰り返し周波数 = 0.1Hz〜60Hz
である。なお、後述の小動物撃退用電極がアンテナとなって電波妨害を起こす要因とならないように、急峻なスパイク電圧を抑制するCR積分回路を出力部に配置し、その時定数を約1msecとした。電力供給電源は、商用60Hzの100ボルト電源である。
この電源は短い電気パルスを発生させる回路で、以下の実施例の実験で、この電源のパルスより長い1sec以上のオンタイムのパルスを印加する実験では9Vの乾電池と3Vの乾電池を直列に結線し、オンオフを手動で行った。
【0019】
つぎに、図1に示す櫛型状電極を作製した。横幅600mm、縦幅1200mm、厚さ5mmの木製合板に、540mm長のステンレススチール製針金を20mm間隔で37本を配置しこれらを一端で直交方向の790mm長の針金に接触固定させて一方の櫛型状電極を構成した。さらに、この櫛型状電極の間に、同様に、20mm間隔で37本を配置しこれらを他端で直交方向の790mm長の針金に接触固定させて他方の櫛型状電極を構成した。両電極の横方向位置は約40mmずらした。計2×37本の針金および両端の針金は、いずれも木製合板に又釘で固定した。この電極を上述の電源につなぐ結線には、インピーダンスを略同一とするため、テレビ配線用平行2線ケーブルを約16mつないで結線した。電源の出力端子におけるパルス電圧波形と電極上におけるパルス電圧波形は、ほぼ完全に同じであることはオシロスコープで確認した。
さらに、図2に示すレール状電極を作製した。幅60mm、長さ4,500mm、厚さ約1mmのビニールシートを2枚準備し、その1枚の上に4,100mmのステンレススチール製針金を25mm間隔で2本配置し、ビニールシートに穴を空けて釣り糸を用い固定した。針金を図2のように結線して、約16m長のテレビ配線用平行2線ケーブルを介して上述の電源につないだ。
【0020】
【実施例1】
上述した櫛型状電極に小鳥ペット用ケージ(寸法はおおよそ横700mm×縦1000mm×高さ700mm)をかぶせ、中にハトを1羽入れて、上述電気パルス発生器をONにして、電極に電気パルスを印加し、ハトの電気パルスに対する反応と挙動を観察した。なお、本実施例で用いたハトは伝書バトである。電極中央部にハトのエサを置き、ハトがこのエサを食べているときに、電気パルスを電圧10ボルト、パルス幅約100msec、繰り返し周波数1Hzで印加し、その電気波形パルスはオシロスコープでモニターした。電気パルスがONとなった瞬間、ハトはびっくりして飛び上がり、電極のないところへ逃避した。電極中央部に戻させたが、すぐに再び電極のないところへ逃げて、電極上には戻って来なかった。約1時間のこの実験で、ハトは明らかに電気パルスに威嚇され逃避したことが充分に確認できた。
【0021】
【実施例2】
ハトの糞による公害に悩まされている畜産農家の協力を得て、上述の電源と櫛型状電極を用いてハト撃退の効果をみる実験を行った。電極をこの農家の屋外に置きエサをその上に置いたが、ハトは通常と異なった雰囲気を感じて警戒し、まったく近づかなかった。その後、電源はオフにして、電極にハトが近づくようにエサを毎朝毎夕おいたら4日目ころからときどき1〜2羽が飛来し、1週間後になって電極に乗りきれないほどに多くのハトが集まった。この状態で電圧10ボルト、オンタイム200msec、繰り返し2Hzの電気パルスを印加したら、印加と同時に約30羽のハトが全部いっせいに飛び上がり逃げて行った。このとき電極に乗ってなくてその周りにいたハトもいっしょに飛んで逃げた。これはハトが群れをなす習性のためである。本発明の効果は充分に確認できた。
【0022】
【実施例3】
マンション住まいの家庭の協力を得て、ハトの糞の被害を受けているベランダの手すりに前述の図2に示すレール状電極をひもで縛って取り付け、ハト撃退の実験を行った。このベランダへは、それまで早朝5時半ないし8時の間にハトの飛来がとくに多かった。電気パルス発生器は、電圧を10ボルト、オンタイムを1sec、繰り返しを5Hzの電気パルス出力として、常時ONとした。ベランダの床を清掃して、このハト撃退装置を放置し、その後のハトの糞の状態を毎日観測した。2週間にわたってこの実験を継続したが、新たに落とされたハトの糞はまったく見られなかった。本発明の方法は充分な効果があることが確認された。
【0023】
【実施例4】
本発明の方法がハト等の鳥類に限らず他の小動物に対しても有効であることを確認するため、ミミズに対して電気パルスを印加する実験を行った。角型ペットボトル容器を底から高さ10cm位で切り、容器内部の一つの内壁面とこれに対抗する内壁面にアルミフォイルを容器底部まで貼り、両方のアルミフォイルを電極とし、釣り具屋で買い求めたミミズを泥ごと容器底部5cm位まで入れた。まず9ボルト乾電池を使って9ボルトの直流電圧を2つのアルミフォリル電極間に印加した。ミミズは泥の中に隠れていたが、この9ボルトを印加すると同時に泥の表面がムクムクと動きはじめ、ミミズが表面に出て来た。結線をはずして電気をオフにすると、ミミズはまた泥の中にもぐった。再度結線すると、再び表面に出て来て、ミミズはアルミフォイルのない内壁面を登り始めた。この実施例から、本発明の方法は、鳥類に限らず他の小動物にも効果があることが確認された。
【0024】
【発明の効果】
本発明の小動物撃退法およびその装置は、電気パルスによって小動物の体内に電気ショックを瞬間的に引き起こして、小動物を殺すことなく威嚇し撃退するもので、その効果は上述の実施例に示す実験で明瞭に確認された。
【0025】
請求項1乃至4は、上述の実施例で、その効果は充分に確認された。印加電圧が10ボルト以下の場合、これに触って電気を感じる人はほぼ皆無であり、敏感な人は15ボルトで感じ、感じにくい人で20ボルト位から感じ始める。子供や乳幼児は感じやすいので、安全のため印加電圧は15ボルト以下であることがよい。
【0026】
請求項5は、小動物が有する学習効果に対抗するもので、とくに印加する電気パルスの電圧が低い場合、印加する電気パルスが同じであれば小動物はこれに慣れて来て再度近づき、効果が弱くなることがある。印加する電気パルスの電圧、電気パルスのオンとなる時間、および繰り返し周波数を不規則的に変化させて威嚇の効果を高めるものである。
【0027】
請求項6記載の小動物撃退装置は上述の実施例でその効果が確認された。
【0028】
請求項7は、撃退対象の小動物をハト、からす、すずめ、カモメ、海鳥等の鳥類としているが、本発明は実施例4で述べたように他の小動物にも適用されるものであり、請求項1に記載するように、電気パルスを小動物に与えて、瞬間的な電気パルスによるショックで怯えさせて威嚇し、小動物を撃退するもので、鳥類だけに限定されるものではなく、他の小動物に対しても、たとえば、ネズミ、モグラ、ゴキブリ、ヤモリ、トカゲ、ヘビ、イヌ、ネコ等々に対しても小動物生体への電気パルスによるショックは有効であり、従って、これらの他の小動物にも適用されるものである。
【0029】
請求項8および9は、プラスとマイナスの電極の間隔に関するものである。小動物は両電極うち一方だけに触れても電気は感じない。動物が電気に反応するのは、高電位によるためではなく、電位差によって動物体内に電流が流れるためである。このことは、絶縁物である畳の上で人が屋内商用2相交流電源の一方だけに触っても何も感じないが、両方に触れば強い電気ショックを受けることで分かる。従って、プラスとマイナスの両電極を同時に触れるときに撃退の効果がある。
【0030】
請求項10および11は、本発明の方法を効果的に実現するための電極構成に関するものである。
【0031】
請求項12の効果は、上述の実施例3で充分に確認された。
【0032】
請求項13は、小動物の接近を防ぐために電極を網(ネット)状にして、これに柔軟性を持たせて、保護したいものを覆うことでその効果を高めるものである。とくに、ゴミ集積場における集積ゴミに、この網をかぶせることでカラスによるゴミ食い散らし等を防ぐ効果が得られる。
【0033】
請求項14は、電気パルス発生回路の電源に関するものである。商用電源が近くにあるところでは、それを用いて電気パルス発生回路を作動させ、本発明の方法の効果を得ることができる。本発明の電気パルス印加では、もともと消費電力が小さいため、自然光をエネルギー源とする太陽電池を電源としても大きい効果が得られる。この場合、蓄電回路を組み込めば、自然光による発電が得られない夜間でも日中の充電で充分に電気パルス発生回路を作動させることができ、本発明の方法の効果を得ることができる。短時間だけの小動物撃退の場合、たとえばゴミ回収場でゴミが回収されるまでの数時間だけ小動物を撃退する装置の電源として、乾電池を用いることも容易に考えられる。
【0034】
請求項16および17は、本発明の装置を構成する電極および電極支持絶縁物の素材に関するもので、その装置は屋外または屋外に近いところに設置することが多いため、電極は錆び難い金属、例えばステンレススチール等の金属からなり、電極支持絶縁物は太陽光紫外線等によって劣化し難い素材であれば、長期間にわたって使用することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小動物撃退用櫛型状電極を示す図である。
【図2】本発明の小動物撃退用レール型状電極を示す図である。
【図3】本発明の小動物撃退用電極を示す図である。(a)は櫛型状電極で、(b)はレール状電極である。点々で示す部分は建造物の導電体、またはアース電位の大地であり、これらは櫛型状電極およびレール状電極からは電気的に絶縁され、他方の電極を構成している。
【図4】本発明の方法および装置に用いる電気パルスの波形を説明する図である。
【符号の説明】
1. 櫛型状電極のプラス極
2. 櫛型状電極のマイナス極
3. レール状電極のプラス極
4. レール状電極のマイナス極
5. 櫛型状電極のプラス極
6. 建造物の導電体またはアース電位の大地からなる櫛型状電極のマイナス極
7. レール状電極のプラス極
8. 建造物の導電体またはアース電位の大地からなるレール状電極のマイナス極
【発明の属する技術分野】
本発明は小動物による公害、とくにはハトの糞、カラスの生ゴミ食い散らかし、スズメ等の農作物食い散らし、魚市場近くでのカモメや海鳥による食い散らし等々の鳥類による公害の防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハトの糞、カラスの生ゴミ食い散らかし、スズメの農作物食い散らし、魚市場近くでのカモメや海鳥による食い散らし、等々は大きな社会問題になっている。これらの問題を解決するために、従来、(イ)鳥類の視覚に訴えて、大きな風船、大きな目玉、あるいは昔からよく知られているカカシの類のものを用いて威嚇し撃退する方法、(ロ)鳥類の聴覚に訴えて、爆発音等を発生させて威嚇し撃退する方法、(ハ)鳥類の嗅覚に訴えて、鳥類が嫌がる臭いを発する芳香剤等を配して撃退する方法、(ニ)鳥類が近づく場所に磁石を配置して鳥類の磁気感覚を錯乱することで威嚇し撃退する方法等の対策が従来からなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの小動物撃退方法および撃退装置では、一時的な効果は得られても持続的な効果は得られていない。野生動物は一般的に雰囲気の変化にきわめて敏感であって警戒心が強く、これらの装置を用いて試験を行い効果が得られたように思えても、その効果はその装置によるものではなく、装置が設置されたことで野生動物が雰囲気の変化に警戒して近づかなくなり、数日後または一週間後には慣れてまたもとに戻るということが普通である。また、鳥類は学習効果を有する小動物であり、このような従来法で威嚇されてもすぐに慣れて、威嚇の効果は得られない。
上記(ニ)の鳥類の磁気撹乱による方法は鳥類の生理学において確認されてはいるものの、磁石による磁気強度は磁石からの距離の3乗に反比例して減少するため、通常は、磁石の近傍においてだけ、具体的には、通常の磁石では数cmまでの距離の範囲においてだけ効果があり、それより離れた位置では威嚇するために必要な磁場を得ることが困難で、充分な効果は得られていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の威嚇方法ではなく、パルス状の電気を小動物に印加して、これにより小動物を怯えさせて威嚇し撃退しようとするもので、その効果は後述の実施例に多く記載するように、我々の実験では、小動物は電気に対してヒトよりも格段に敏感であり、威嚇撃退には電気パルスがきわめて効果的であることが分かった。
【0005】
本発明は、小動物がパルス状電気に対してきわめて敏感に反応し怯えることを利用して、小動物の撃退を図り、とくには、ハトの糞、カラスの生ゴミ食い散らかし、スズメの農作物食い散らし、魚市場近くでのカモメや海鳥による食い散らし、等々の鳥類による公害の防止することを意図するものである。
【0006】
請求項1は、人から嫌われる小動物を撃退する方法において、電気パルスを小動物に与えて、小動物を殺すことなく瞬間的な電気パルスによるショックで怯えさせ威嚇し、小動物を撃退することを特徴とする小動物撃退方法である。本発明の実施例1乃至3ではハトに対する実験結果を述べるが、実施例4のミミズに対する実験結果から分かるように、他の小動物に対しても、たとえば、ネズミ、モグラ、ゴキブリ、ヤモリ、トカゲ、ヘビ、イヌ、ネコ等々に対しても小動物生体への電気パルスによるショックによる威嚇は有効であり、従って、本請求項はハト、カラス、スズメ、カモメ、海鳥等の鳥類に限定されるものではなく、これらの他の小動物にも適用されるものである。
【0007】
請求項2においては、安全を確保するため、小動物に印加する電気パルスが一般のヒトが触っても危害を受けないレベルとするものである。
【0008】
請求項3および4は、後述の実施例に基づくものである。実験によれば、小動物に印加する電気パルスの電圧が1ボルト以上で、電気パルスのオンとなる時間が1msec以上あれば、すぐに反応が見られる。印加する電気パルスの電圧が高いほど大きな反応が見られる。しかし、15ボルトを超える場合、ヒトによって個人差もあるが、不快感を感じる人もいる。電気パルスの電圧が3ボルトよりも小さい場合、小動物に反応は現れるが、逃避行動を取らないことがある。しかし、3ボルト以上あればどの小動物も反応して逃避行動を取る。従って、3ボルト以上で15ボルト以下の範囲の印加電圧が適切である。
小動物に印加する電圧は直流でもよく、パルス状でもよい。パルス状の場合、オンタイムは長い方がよい。100msec以上あれば確実であり、2secもあれば充分で、電源の消費電力節減を考慮すれば、電気パルスがオンとなる時間が繰り返し周期の50%以下であることが良い。
【0009】
請求項5においては、小動物の個体差によるが学習効果が見られることがあり、とくに印加する電気パルスの電圧が低い場合、印加する電気パルスに慣れて、エサを取るまで電気パルスを我慢したり、あるいは一度逃避しても再度戻って来ることがあるため、印加する電気パルスの電圧、電気パルスのオンとなる時間、および繰り返し周波数を不規則的に変化させて印加し、威嚇効率を高めるものである。また、群れをなす習性を持つ鳥類では、1羽が何かに怯えて飛び立つと周りの鳥もいっしょに飛び出す。従って、1羽が電気パルスを感じて飛び立てば周りの鳥も飛び立ち、再び戻って来るまで時間がかかり、その間は電気パルスを印加する必要はない。このような場合は、例えば10分間オフにして10秒間だけ連続パルスを印加するというように、間欠的に印加してもよい。不規則的に変化させて印加するということは、この間欠的な印加も含むものである。
【0010】
請求項6は、上述の小動物撃退方法を実現するため電極および電源を備えた小動物撃退装置である。
【0011】
請求項7は、上述の小動物撃退方法において、撃退対象の小動物がハト、からす、すずめ、カモメ、海鳥等の鳥類に対する場合である。
【0012】
請求項8は、撃退対象小動物の体の一部に電流を引き起こすことで小動物を怯えさせ威嚇するものであり、これはプラスとマイナスの電圧が同時に小動物の足に印加することでなされる。従って、撃退装置の電極間隔が小動物の足のサイズ以下であることが必要である。また、小動物の両足が電極に接触する場合は、一方の足がプラス電極にそして他方の足がマイナス電極に接触すればよいため、電極間隔は足のサイズより大きく略両足の間隔でもよい。本請求項は、電極間隔をこのようにして撃退効果を高めるためのものである。ハトに対しては約40mm以下、カラスに対しては約60mm以下、そしてスズメに対しては約20mm以下であれば充分である。請求項9はこのことに配慮した装置である。
【0013】
請求項10および請求項11は電極の構成に関するものである。目的は、撃退対象の小動物にプラスとマイナスの電極に同時に接触させることであり、このためには、2つの電極の一方をプラスまたはマイナスの電極で構成し、他方の電極をアース電位にある大地または建造物等の導電体で形成してもよい。あるいは、2つの電極がプラスとマイナスの電極として電気パルスを供給してもよい。後者の場合、2つの電極の一方あるいは両方が、アース電位にある大地または建造物等の導電体から電気的に絶縁されていることが必要である。
【0014】
請求項12は電極の配置に関するもので、2つの電極のうちの一方の電極と、他方の電極を交互に、図1のように櫛型状に、または図2のようにレール状に配置すればよい。図2ではプラス電極とマイナス電極を1本づつとなっているが、もちろん複数本にして交互にプラスとマイナスに結線してもよい。両電極が交叉して接触することがないようにすべきである。
【0015】
請求項13は、小動物の接近を防ぐために電極を網(ネット)状にして、保護したいものを覆うためのものであり、このためには網のひとつの方向にプラスとマイナスの電極の導線を交互に配し、網のもうひとつの方向に絶縁物からなる糸または紐で網を編むことでできる。網に柔軟性を持たせれば、容易に考えられるように、その取り扱いは簡便になる。とくに、ゴミ集積場における集積ゴミに、この網をかぶせることで小動物の撃退が可能で、例えば、カラスによるゴミ食い散らしを防ぐことができる。
【0016】
請求項14は、電気パルスを供給する電源に関するものであり、消費電力を考慮すれば、とくに屋外において、自然光をエネルギー源とする太陽電池を利用するのが良い。本発明の小動物撃退法における装置の電力消費は、小動物が電極に触れたときに小動物の体内に流れる電流と電極を含む電気回路の微小の漏れ電流からなり、基本的に消費電力は小さい。太陽電池を利用する場合、蓄電回路を組み込めば、自然光による発電が得られない夜間でも日中の充電で充分に電源を作動させることができ、夜間の小動物撃退も可能である。短時間だけの小動物撃退の場合、たとえばゴミ回収場でゴミが回収されるまでの数時間だけ小動物を撃退する装置の電源として、乾電池を用いることも容易に考えられる。請求項15は、これらの電源で駆動される電気パルス発生回路を備えた装置に関するものである。
【0017】
請求項16および17は、以上に述べて来た電極および電極支持部材の素材に関するものであり、屋外に放置して作動させ続けることを目的とするため、電極は錆び難い素材、たとえばステンレススチール等の金属からなる場合、また電極支持部材の絶縁物は太陽光紫外線等で劣化し難い材料からなる場合、長期間、たとえば数年間以上にわたって健全な小動物撃退の持続が期待される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の要点を実証するために、我々は、まず電気パルス発生回路を特別に発注して準備した。このパルス発生回路は、図4に示す矩形波の電圧を出力2端子からアウトプットするもので、その仕様は、
(ア) 出力パルス電圧 = 0ボルト〜20ボルト
(イ) 出力パルス幅 = 3msec〜300msec
(ウ) パルス繰り返し周波数 = 0.1Hz〜60Hz
である。なお、後述の小動物撃退用電極がアンテナとなって電波妨害を起こす要因とならないように、急峻なスパイク電圧を抑制するCR積分回路を出力部に配置し、その時定数を約1msecとした。電力供給電源は、商用60Hzの100ボルト電源である。
この電源は短い電気パルスを発生させる回路で、以下の実施例の実験で、この電源のパルスより長い1sec以上のオンタイムのパルスを印加する実験では9Vの乾電池と3Vの乾電池を直列に結線し、オンオフを手動で行った。
【0019】
つぎに、図1に示す櫛型状電極を作製した。横幅600mm、縦幅1200mm、厚さ5mmの木製合板に、540mm長のステンレススチール製針金を20mm間隔で37本を配置しこれらを一端で直交方向の790mm長の針金に接触固定させて一方の櫛型状電極を構成した。さらに、この櫛型状電極の間に、同様に、20mm間隔で37本を配置しこれらを他端で直交方向の790mm長の針金に接触固定させて他方の櫛型状電極を構成した。両電極の横方向位置は約40mmずらした。計2×37本の針金および両端の針金は、いずれも木製合板に又釘で固定した。この電極を上述の電源につなぐ結線には、インピーダンスを略同一とするため、テレビ配線用平行2線ケーブルを約16mつないで結線した。電源の出力端子におけるパルス電圧波形と電極上におけるパルス電圧波形は、ほぼ完全に同じであることはオシロスコープで確認した。
さらに、図2に示すレール状電極を作製した。幅60mm、長さ4,500mm、厚さ約1mmのビニールシートを2枚準備し、その1枚の上に4,100mmのステンレススチール製針金を25mm間隔で2本配置し、ビニールシートに穴を空けて釣り糸を用い固定した。針金を図2のように結線して、約16m長のテレビ配線用平行2線ケーブルを介して上述の電源につないだ。
【0020】
【実施例1】
上述した櫛型状電極に小鳥ペット用ケージ(寸法はおおよそ横700mm×縦1000mm×高さ700mm)をかぶせ、中にハトを1羽入れて、上述電気パルス発生器をONにして、電極に電気パルスを印加し、ハトの電気パルスに対する反応と挙動を観察した。なお、本実施例で用いたハトは伝書バトである。電極中央部にハトのエサを置き、ハトがこのエサを食べているときに、電気パルスを電圧10ボルト、パルス幅約100msec、繰り返し周波数1Hzで印加し、その電気波形パルスはオシロスコープでモニターした。電気パルスがONとなった瞬間、ハトはびっくりして飛び上がり、電極のないところへ逃避した。電極中央部に戻させたが、すぐに再び電極のないところへ逃げて、電極上には戻って来なかった。約1時間のこの実験で、ハトは明らかに電気パルスに威嚇され逃避したことが充分に確認できた。
【0021】
【実施例2】
ハトの糞による公害に悩まされている畜産農家の協力を得て、上述の電源と櫛型状電極を用いてハト撃退の効果をみる実験を行った。電極をこの農家の屋外に置きエサをその上に置いたが、ハトは通常と異なった雰囲気を感じて警戒し、まったく近づかなかった。その後、電源はオフにして、電極にハトが近づくようにエサを毎朝毎夕おいたら4日目ころからときどき1〜2羽が飛来し、1週間後になって電極に乗りきれないほどに多くのハトが集まった。この状態で電圧10ボルト、オンタイム200msec、繰り返し2Hzの電気パルスを印加したら、印加と同時に約30羽のハトが全部いっせいに飛び上がり逃げて行った。このとき電極に乗ってなくてその周りにいたハトもいっしょに飛んで逃げた。これはハトが群れをなす習性のためである。本発明の効果は充分に確認できた。
【0022】
【実施例3】
マンション住まいの家庭の協力を得て、ハトの糞の被害を受けているベランダの手すりに前述の図2に示すレール状電極をひもで縛って取り付け、ハト撃退の実験を行った。このベランダへは、それまで早朝5時半ないし8時の間にハトの飛来がとくに多かった。電気パルス発生器は、電圧を10ボルト、オンタイムを1sec、繰り返しを5Hzの電気パルス出力として、常時ONとした。ベランダの床を清掃して、このハト撃退装置を放置し、その後のハトの糞の状態を毎日観測した。2週間にわたってこの実験を継続したが、新たに落とされたハトの糞はまったく見られなかった。本発明の方法は充分な効果があることが確認された。
【0023】
【実施例4】
本発明の方法がハト等の鳥類に限らず他の小動物に対しても有効であることを確認するため、ミミズに対して電気パルスを印加する実験を行った。角型ペットボトル容器を底から高さ10cm位で切り、容器内部の一つの内壁面とこれに対抗する内壁面にアルミフォイルを容器底部まで貼り、両方のアルミフォイルを電極とし、釣り具屋で買い求めたミミズを泥ごと容器底部5cm位まで入れた。まず9ボルト乾電池を使って9ボルトの直流電圧を2つのアルミフォリル電極間に印加した。ミミズは泥の中に隠れていたが、この9ボルトを印加すると同時に泥の表面がムクムクと動きはじめ、ミミズが表面に出て来た。結線をはずして電気をオフにすると、ミミズはまた泥の中にもぐった。再度結線すると、再び表面に出て来て、ミミズはアルミフォイルのない内壁面を登り始めた。この実施例から、本発明の方法は、鳥類に限らず他の小動物にも効果があることが確認された。
【0024】
【発明の効果】
本発明の小動物撃退法およびその装置は、電気パルスによって小動物の体内に電気ショックを瞬間的に引き起こして、小動物を殺すことなく威嚇し撃退するもので、その効果は上述の実施例に示す実験で明瞭に確認された。
【0025】
請求項1乃至4は、上述の実施例で、その効果は充分に確認された。印加電圧が10ボルト以下の場合、これに触って電気を感じる人はほぼ皆無であり、敏感な人は15ボルトで感じ、感じにくい人で20ボルト位から感じ始める。子供や乳幼児は感じやすいので、安全のため印加電圧は15ボルト以下であることがよい。
【0026】
請求項5は、小動物が有する学習効果に対抗するもので、とくに印加する電気パルスの電圧が低い場合、印加する電気パルスが同じであれば小動物はこれに慣れて来て再度近づき、効果が弱くなることがある。印加する電気パルスの電圧、電気パルスのオンとなる時間、および繰り返し周波数を不規則的に変化させて威嚇の効果を高めるものである。
【0027】
請求項6記載の小動物撃退装置は上述の実施例でその効果が確認された。
【0028】
請求項7は、撃退対象の小動物をハト、からす、すずめ、カモメ、海鳥等の鳥類としているが、本発明は実施例4で述べたように他の小動物にも適用されるものであり、請求項1に記載するように、電気パルスを小動物に与えて、瞬間的な電気パルスによるショックで怯えさせて威嚇し、小動物を撃退するもので、鳥類だけに限定されるものではなく、他の小動物に対しても、たとえば、ネズミ、モグラ、ゴキブリ、ヤモリ、トカゲ、ヘビ、イヌ、ネコ等々に対しても小動物生体への電気パルスによるショックは有効であり、従って、これらの他の小動物にも適用されるものである。
【0029】
請求項8および9は、プラスとマイナスの電極の間隔に関するものである。小動物は両電極うち一方だけに触れても電気は感じない。動物が電気に反応するのは、高電位によるためではなく、電位差によって動物体内に電流が流れるためである。このことは、絶縁物である畳の上で人が屋内商用2相交流電源の一方だけに触っても何も感じないが、両方に触れば強い電気ショックを受けることで分かる。従って、プラスとマイナスの両電極を同時に触れるときに撃退の効果がある。
【0030】
請求項10および11は、本発明の方法を効果的に実現するための電極構成に関するものである。
【0031】
請求項12の効果は、上述の実施例3で充分に確認された。
【0032】
請求項13は、小動物の接近を防ぐために電極を網(ネット)状にして、これに柔軟性を持たせて、保護したいものを覆うことでその効果を高めるものである。とくに、ゴミ集積場における集積ゴミに、この網をかぶせることでカラスによるゴミ食い散らし等を防ぐ効果が得られる。
【0033】
請求項14は、電気パルス発生回路の電源に関するものである。商用電源が近くにあるところでは、それを用いて電気パルス発生回路を作動させ、本発明の方法の効果を得ることができる。本発明の電気パルス印加では、もともと消費電力が小さいため、自然光をエネルギー源とする太陽電池を電源としても大きい効果が得られる。この場合、蓄電回路を組み込めば、自然光による発電が得られない夜間でも日中の充電で充分に電気パルス発生回路を作動させることができ、本発明の方法の効果を得ることができる。短時間だけの小動物撃退の場合、たとえばゴミ回収場でゴミが回収されるまでの数時間だけ小動物を撃退する装置の電源として、乾電池を用いることも容易に考えられる。
【0034】
請求項16および17は、本発明の装置を構成する電極および電極支持絶縁物の素材に関するもので、その装置は屋外または屋外に近いところに設置することが多いため、電極は錆び難い金属、例えばステンレススチール等の金属からなり、電極支持絶縁物は太陽光紫外線等によって劣化し難い素材であれば、長期間にわたって使用することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小動物撃退用櫛型状電極を示す図である。
【図2】本発明の小動物撃退用レール型状電極を示す図である。
【図3】本発明の小動物撃退用電極を示す図である。(a)は櫛型状電極で、(b)はレール状電極である。点々で示す部分は建造物の導電体、またはアース電位の大地であり、これらは櫛型状電極およびレール状電極からは電気的に絶縁され、他方の電極を構成している。
【図4】本発明の方法および装置に用いる電気パルスの波形を説明する図である。
【符号の説明】
1. 櫛型状電極のプラス極
2. 櫛型状電極のマイナス極
3. レール状電極のプラス極
4. レール状電極のマイナス極
5. 櫛型状電極のプラス極
6. 建造物の導電体またはアース電位の大地からなる櫛型状電極のマイナス極
7. レール状電極のプラス極
8. 建造物の導電体またはアース電位の大地からなるレール状電極のマイナス極
Claims (17)
- 人から嫌われる小動物を撃退する方法において、電気パルスを該小動物に与えて、小動物を殺すことなく瞬間的な電気ショックで威嚇し、該小動物を撃退することを特徴とする小動物撃退方法。
- 請求項1において、印加する電気パルスが一般の人に危害を与えないレベルであることを特徴とする請求項1記載の小動物撃退方法。
- 請求項1および請求項2のいずれかに記載される小動物撃退方法において、小動物に印加する電圧が3ボルト乃至15ボルトの範囲にあり、連続してオンとなる直流または100msec以上のパルス状であることを特徴とする小動物撃退方法。
- 請求項1および請求項2のいずれかに記載される小動物撃退方法において、小動物に印加する電圧が3ボルト乃至15ボルトの範囲にあり、電気パルスのオンとなる時間が100msec乃至2secの範囲にあり、かつ電気パルスがオンとなる時間がその繰り返し周期の10乃至50%の範囲にある繰り返し周期を有することを特徴とする小動物撃退方法。
- 請求項3および請求項4のいずれかに記載される小動物撃退方法において、小動物に印加する電圧、電気パルスがオンとなる時間、および繰り返し周波数を不規則的に印加することを特徴とする小動物撃退方法。
- 請求項1乃至請求項5記載のいずれかの小動物撃退方法を具備してなる電極および電源を有する小動物撃退装置。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載される小動物撃退方法において、撃退対象の小動物がハト、からす、すずめ、カモメ、海鳥等の鳥類であることを特徴とする小動物撃退方法。
- 請求項7記載の小動物撃退方法において、印加する電圧のプラスとマイナスの電極の間隔が、撃退対象である鳥類の足のサイズ以下または両足の間隔と略同一であることを特徴とする請求項7記載の小動物撃退方法。
- 請求項8記載の小動物撃退方法を具備してなる小動物撃退装置。
- 請求項6および請求項9のいずれかに記載される小動物撃退装置において、撃退対象である小動物に印加する電気パルスを供給する2つの電極の一方がプラスまたはマイナスの電極で構成され、他方の電極がアース電位にある大地または建造物等の導電体で形成することを特徴とする小動物撃退装置。
- 請求項6および請求項9のいずれかに記載される小動物撃退装置において、撃退対象である小動物に印加する電気パルスを供給する2つの電極がそれぞれプラスおよびマイナスの電極を構成し、一方の電極または両方の電極が、アース電位にある大地または建造物等の導電体から電気的に絶縁されていることを特徴とする小動物撃退装置。
- 請求項10および請求項11のいずれかに記載される小動物撃退装置の2つの電極において、一方の電極と他方の電極を交互に櫛型状またはレール状に配置することを特徴とする小動物撃退装置。
- 請求項11記載の2つの電極において、一方の電極と他方の電極を交互に配し、該両電極と略直交する方向に配した複数の糸状または線状の絶縁物と組み合わせて網状に構成することを特徴とする請求項11記載の小動物撃退装置。
- 請求項3乃至請求項5のいずれかに記載される小動物撃退方法のための、電気パルスを供給する電源において、自然光をエネルギー源とする太陽電池を電源として電気パルス発生回路を作動させることを特徴とする小動物撃退方法。
- 請求項14に記載される方法のための電気パルス発生回路を具備してなる小動物撃退装置。
- 請求項10および請求項13のいずれかに記載される装置の電極が、ステンレススチール等の錆び難い金属からなることを特徴とする小動物撃退装置。
- 請求項10乃至13記載のいずれかに記載される装置において、電極を支持する構成物が、太陽光紫外線等によって劣化し難い素材からなることを特徴とする小動物撃退装置。
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JP2007274954A (ja) * | 2006-04-05 | 2007-10-25 | Yamaguchi Univ | シロアリ等の防除撃退装置及び方法 |
CN104054693A (zh) * | 2014-03-20 | 2014-09-24 | 刘光永 | 一种猪圈防虫防鼠装置 |
-
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- 2003-06-02 JP JP2003156742A patent/JP2004357520A/ja active Pending
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