JP2004355847A - 電磁継電器 - Google Patents
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Abstract
【課題】リレースイッチの開閉時の衝撃音を防止する。
【解決手段】一対の固定接点25、25に接離する一対の可動接点59、59を具備した可動片58を進退させるプランジャアッシー40は、コイル線材41が捲線されたコイルボビン42と、コイルボビン42を囲むヨーク43、44と、コイルボビンの捲線部42a内に軸方向に進退自在に配置されて可動片58を支持したプランジャ53と、プランジャ53を可動片58が固定接点25から離反する方向に常時付勢するスプリング54と、プランジャ53とヨーク44との間に介設された防音リング57と、プランジャ53とコイルボビン42との間に介設された防音リング46とを備えている。
【効果】プランジャのスプリングによる復帰時の衝撃音は防音リング57で防止でき、プランジャの励磁時の衝撃音は防音リング46で減衰できる。
【選択図】 図7
【解決手段】一対の固定接点25、25に接離する一対の可動接点59、59を具備した可動片58を進退させるプランジャアッシー40は、コイル線材41が捲線されたコイルボビン42と、コイルボビン42を囲むヨーク43、44と、コイルボビンの捲線部42a内に軸方向に進退自在に配置されて可動片58を支持したプランジャ53と、プランジャ53を可動片58が固定接点25から離反する方向に常時付勢するスプリング54と、プランジャ53とヨーク44との間に介設された防音リング57と、プランジャ53とコイルボビン42との間に介設された防音リング46とを備えている。
【効果】プランジャのスプリングによる復帰時の衝撃音は防音リング57で防止でき、プランジャの励磁時の衝撃音は防音リング46で減衰できる。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁継電器に関し、特に、高電圧大電流用のものに係り、例えば、ハイブリッド車や電気自動車において電源と駆動用電動モータとの間の開閉制御に利用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッド車や電気自動車の電源は電池(燃料電池を含む。)になるため、ハイブリッド車や電気自動車に搭載される駆動用電動モータ(以下、モータという。)は直流式になる。しかも、大きな出力を発揮する必要があるため、そのモータの駆動電力は例えば100V・100A等の高電圧大電流に設定される。この高電圧大電流のモータの駆動電気回路において、モータの不使用時に回路を自動的に開くことによってモータを電源から切り離して安全性を高めようとした場合には、電磁継電器が介設されることになる。
【0003】
従来の高電圧大電流用電磁継電器としては、リレーコイルによって一直線上を進退される一本のプランジャの先端にリレースイッチの一対の可動接点のそれぞれが固定されたプランジャ式電磁継電器が、知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなプランジャ式電磁継電器においては、プランジャの進退距離を大きく設定することにより、リレースイッチの絶縁耐圧を規定するエアギャップ(可動接点と固定接点との間隔)を大きく設定することができるため、高電圧大電流に容易に対応することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−42625号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した電磁継電器においては、リレースイッチの開閉時にプランジャから衝撃音が発生するという問題がある。このような電磁継電器がハイブリッド車や電気自動車の車室内に設置された場合には、この衝撃音によって車室内の静穏性能の低下を余儀なくされる。
【0006】
本発明の目的は、リレースイッチの開閉時の衝撃音を防止することができる電磁継電器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第一の手段は、一対の固定接点と、この一対の固定接点に接触および離間する一対の可動接点を具備した可動片と、この可動片を進退させるプランジャアッシーと、このプランジャアッシーを収納するハウジングとを備えている電磁継電器であって、前記プランジャアッシーは、コイル線材が捲線されたコイルボビンと、このコイルボビンを囲むヨークと、前記コイルボビンの捲線部内に軸方向に進退自在に配置されて前記可動片を支持したプランジャと、このプランジャを前記可動片が前記固定接点から離反する方向に常時付勢するスプリングと、前記プランジャと前記ヨークとの間に介設された防音リングとを備えていることを特徴とする。
この電磁継電器においては、プランジャのスプリングによる復帰時の衝撃音の発生をプランジャとヨークとの間に介設された防音リングによって防止することができる。
【0008】
前記課題を解決するための第二の手段は、一対の固定接点と、この一対の固定接点に接触および離間する一対の可動接点を具備した可動片と、この可動片を進退させるプランジャアッシーと、このプランジャアッシーを収納するハウジングとを備えている電磁継電器であって、前記プランジャアッシーは、コイル線材が捲線されたコイルボビンと、このコイルボビンを囲むヨークと、前記コイルボビンの捲線部内に軸方向に進退自在に配置されて前記可動片を支持したプランジャと、このプランジャを前記可動片が前記固定接点から離反する方向に常時付勢するスプリングと、前記プランジャと前記コイルボビンとの間に介設された防音リングとを備えていることを特徴とする。
この電磁継電器においては、プランジャのコイル線材の励磁時の衝撃音をプランジャとコイルボビンとの間に介設された防音リングによって減衰させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0010】
本実施の形態に係る電磁継電器は、ハイブリッド車や電気自動車のモータの駆動電気回路に使用されるものとして構成されており、例えば、100V・100A以上が定格の高電圧大電流用電磁継電器(以下、電磁継電器という。)として、図1に示されているように構成されている。すなわち、図1に示されているように、ハイブリッド車や電気自動車の電源1とモータ2との駆動電気回路3に介設された電磁継電器4は、リレースイッチ5を備えており、リレースイッチ5はリレーコイル(以下、コイルという。)6によって開閉を制御されるように構成されている。コイル6は12V・0.4A等の通常の自動車用バッテリー7によって駆動されるようになっており、コントローラ8によって励消磁を制御されるようになっている。
【0011】
図2に示されているように、電磁継電器4は密閉した立方体の箱形状に形成されたハウジング9を備えており、ハウジング9はいずれも絶縁性を有する樹脂が使用されて成形されたベース10とケース70とを最中合わせに組み付けられて形成されている。図3〜図5に示されているように、ベース10は一側壁(以下、前面壁とする。)が開口された略立方体の箱形状に形成されている。ベース10の一主面(以下、上面とする。)には略正方形の穴形状に形成された左右で一対の保持穴11、12が、前後方向に延在する中心線の前後両端部において左右脇にそれぞれ配置されて没設されており、両保持穴11、12には略正方形の平盤形状に形成されたナット13、14がそれぞれ回り止め状態に嵌入されている。ベース10の前面の上端部における左端部と右端部とには左側保持溝15と右側保持溝16とがそれぞれ前後方向に延在するように形成されている。左側保持溝15は右端が開口し左端が閉塞した一定幅一定深さのガイド溝形状に形成されており、右側保持溝16は左端が開口し右端が閉塞した一定幅一定深さのガイド溝形状に形成されている。左側保持溝15および右側保持溝16にはリレースイッチ5の一対の固定接点用ターミナルプレート17、18がそれぞれ嵌入されて保持されている。
【0012】
図4および図8に示されているように、左右で一対の固定接点用ターミナルプレート17、18の構成は同一であり、ベース10に回転対称形に取り付けられているので、その構成および取付構造は一方の固定接点用ターミナルプレート(以下、ここではターミナルプレートという。)17を代表にして説明する。ターミナルプレート17は銅板等の導電性の良好な一定厚さの板体が使用されて一体的にプレス加工されている。矩形の板形状に形成された被保持部20を備えており、被保持部20の前端部および後端部には一対の固定孔21、21がそれぞれ開設されている。被保持部20の厚さおよび大きさは保持溝15に前端の開口から圧入するように設定されており、被保持部20が保持溝15に圧入した状態において両固定孔21、21にベース10の樹脂部が食い込むことにより、ターミナルプレート17は保持溝15に固定されている。被保持部20の右辺の前端部にはアングル(L字)形状の接続部片22が、水平部が上側に配置されて右方に突設されており、接続部片22の水平部の中央には挿通孔23が開設されている。被保持部20が保持溝15に圧入した状態において、接続部片22は保持穴11に嵌入されたナット13を上側から被覆して抜け止めした状態になっており、挿通孔23はナット13の雌ねじ孔13aと同心になっている。被保持部20の右辺の後端部にはアングル(L字)形状の固定部片24が、水平部が下側に配置されて右方に突設されており、固定部片24の水平部の中央にはリレースイッチ5の固定接点25が垂直方向下向きに突設されている。
【0013】
そして、左側保持溝15および右側保持溝16に保持された状態において、左右の固定接点用ターミナルプレート17、18の固定接点25、25は左右方向に延在する中心線上に位置している。左右の固定接点用ターミナルプレート17、18にはモータ駆動電気回路3の両端がそれぞれ電気的に接続されることになる。この接続に際しては、モータ駆動電気回路3に接続されたワイヤハーネスの一対のジョイント端子部片(図示せず)がターミナルプレート17、18の接続部片22、22にそれぞれ当接され、ボルト(図示せず)が挿通孔23を挿通してナット13の雌ねじ孔13aにねじ込まれることにより、ジョイント端子部片と接続部片22が電気的に接続される。左側保持溝15および右側保持溝16に嵌入されて保持されたターミナルプレート17、18はベース10に被せ付けられるケース70によって前後方向の移動を規制されるようになっている。このようにジョイント端子部片がねじ止めされる接続部片22は被保持部20の固定部片24と反対側端部に配置されているので、万一、接続部片22が変形しても固定部片24が変形するのを回避することができる。したがって、固定部片24に固定された固定接点25は可動接点に対するエアギャップを常に維持することができる。
【0014】
ベース10における左側保持溝15と右側保持溝16との間の下側の部分には、マグネット26を保持する保持室27が前後方向に延在した長方形の筒形状に形成されており、保持室27には長方形の棒形状に形成されたマグネット26が前側開口から圧入されて保持されている。ベース10が絶縁性を有する樹脂によって形成されているために、マグネット保持室27の側壁は左右の固定接点25、25同士を仕切る仕切壁28を形成している。マグネット保持室27の高さにおけるベース10の左端部および右端部には一対の保持溝29、29が前後方向に延在した長方形の縦溝形状に形成されており、両保持溝29、29には長方形の平板形状に形成された一対の磁性プレート30、30が前側開口から圧入されて保持されている。図8および図12に示されているように、保持室27に保持されたマグネット26はその長手方向が、左右の固定接点25、25同士を結ぶ線分と直交する状態に配置されている。マグネット26の磁力線Hは左側固定接点25、左側ターミナルプレート17、左側磁性プレート30、左側ナット13の循環と、右側固定接点25、右側ターミナルプレート18、右側磁性プレート30、右側ナット14の循環とをそれぞれ形成するように設定されているとともに、マグネット26の磁力線Hの向きは可動片58が左右の固定接点25、25から離れる時のアークFをいずれも吹き消す方向になるように設定されている。
【0015】
ベース10における保持室27の真下の位置にはストッパ32を保持する保持溝31が前後方向に延在するように開設されており、保持溝31にはストッパ32が前側開口から圧入されている。図3に示されているように、ストッパ32は左右の立ち上がり部片33、33が可動片58の左側面および右側面に摺接することにより、可動片58の回転を規制するようになっている。
【0016】
ベース10の左側面の前端部および右側面の前端部には、ケース70を固定するための係止爪34が上下で一対ずつ突設されている。ベース10の略中央高さ位置における左端部および右端部には、一対のケース固定穴35、35が前後方向に延在するように開設されており、図2に示されているように、ケース70はベース10に最中合わせに当接された状態で、両ケース固定穴35、35にボルト36、36をそれぞれねじ込まれることにより、ベース10に固定されている。ベース10の左側面の下端部および右側面の下端部には、電磁継電器4を車体に固定するための一対のブラケット37、37がそれぞれ水平に突設されており、両ブラケット37、37の取付孔には一対のブッシュ38、38がそれぞれ圧入されている。ベース10の下半分にはプランジャアッシー収納室39が大きく形成されており、この収納室39にはプランジャアッシー40が収納されている。次に、プランジャアッシー40を図6〜図8を主に使用して説明する。
【0017】
プランジャアッシー40はコイル線材41が捲線されたコイルボビン(以下、ボビンという。)42と、いずれも鉄等の磁性材料が使用されてプレス加工された上側ヨーク43および下側ヨーク44とを備えている。ボビン42は絶縁性を有する樹脂が使用されて糸巻形状に一体成形されており、ボビン42はベース10のプランジャアッシー収納室39に同心円に収納されて固定されている。上側ヨーク43は中央部に有底円筒形状の逃げ部43aが下向きに膨出された円板形状に形成されており、有底円筒形状の逃げ部43aがボビン42の捲線部42aの中空部の上端部に嵌入された状態で、ボビン42の上面に当接されて下側ヨーク44に固定されている。ボビン42の捲線部42aの内周の上側コーナには保持溝45が環状に形成されており、保持溝45にはゴムまたは樹脂の弾性材料が使用されてOリング形状に形成された防音リング46が嵌入されている。下側ヨーク44は内筒部44aと外筒部44bと底壁部44cとからなる略二重円筒体に形成されている。内筒44aは短尺で小径の円筒形状に形成されており、外筒部44bはボビン42よりも若干だけ長めで内径がボビン42の外径と等しく一部が切り欠かれた円筒形状に形成されている。底壁部44cは円板形状に形成されており、内筒部44aの下端辺と外筒部44bの下端辺とを連結している。すなわち、内筒部44aおよび外筒部44bは底壁部44cの外周縁から立ち上がった状態になっている。内筒部44aがボビン42の捲線部42aの中空部内の下端部に嵌入され、外筒部44bがボビン42の外周に嵌合され、底壁部44cがボビン42の下面に当接された状態で、下側ヨーク44と上側ヨーク43とがボビン42を挟み込んで固定されている。下側ヨーク44の底壁部44cには複数個の位置決め凹部47が開設されており、各位置決め凹部47にはボビン42の下面に突設された各位置決め凸部48が嵌入されている。この位置決め凹部47と位置決め凸部48との嵌合によって下側ヨーク44とボビン42との周方向の位置決めが確保されている。
【0018】
上側ヨーク43の逃げ部43aの底壁の中心には固定孔43bが開設されており、固定孔43bにはコア50が固定されている。コア50は鉄等の磁性材料が使用されて円錐台形状に形成されており、コア50の中心線上には挿通孔50aが開設されている。下側ヨーク44の内筒部44aにはアーマチュア51が上下方向に摺動自在に嵌入されている。アーマチュア51は鉄等の磁性材料が使用されて下側が小径で上側が大径の二段円柱形状に形成されており、下側の小径部外周が内筒部44aに摺動自在に嵌入されている。小径部と大径部との段差部には保持溝51aが形成されており、保持溝51aにはゴムまたは樹脂の弾性材料が使用されてOリング形状に形成された防音リング57が嵌着されている。防音リング57は下側ヨーク44の内筒部44aの上端面に接衝することにより、アーマチュア51の復帰時の衝突音の発生を防止するようになっている。アーマチュア51の中心線上の下端部には取付孔51bが開設されており、取付孔51bにはプランジャ53が挿通されてナット52によって締結されている。アーマチュア51の取付孔51bの上側にはスプリング収容室51cが形成されており、スプリング収容室51cにはスプリング54が収容されている。スプリング54はコア50の挿通孔50aの肩部とスプリング収容室51cの底面との間に圧縮状態で介設されることにより、プランジャ53を常時下方に付勢している。アーマチュア51のスプリング収容室51cの上側には雌テーパ部51dが形成されており、雌テーパ部51dはコア50の錐面と対向した状態になっている。
【0019】
プランジャ53の中間部にはスプリングシート部53aと位置決め部53bとが隣接して突設されており、スプリングシート部53aは外形が六角形の平板形状に形成され、位置決め部53bは円板形状に形成されている。スプリングシート部53aと位置決め部53bとは圧造(プレス加工)によりプランジャ53に一体的に形成されている。プランジャ53とアーマチュア51とを締結するに際しては、スプリングシート部53aの六角形の外周に締結工具を係合することにより、プランジャ53とアーマチュア51とをナット52によって締結することができる。なお、スプリングシート部53aの六角形の外周に締結工具を係合してプランジャ53を回転させることにより、ナットを使用せずにプランジャ53をアーマチュア51に直接的にねじ結合することもできる。プランジャ53の位置決め部53bの上側にはガイド部53cが形成されており、ガイド部53cにはリレースイッチ5の可動片58が直交するように配されて軸方向に摺動自在に嵌合されている。ガイド部53cの上端部には可動片58を抜け止めするストッパリング55が係止されている。スプリングシート部53aと可動片58との間にはスプリング56が圧縮状態で介設されており、スプリング56は可動片58をストッパリング55に押接させる方向に常時付勢している。スプリング56は位置決め部53bによって径方向の位置を規制されている。
【0020】
可動片58は銅材料(銅または銅合金)が使用されて正面視がクランク形の板体に形成されている。すなわち、可動片58は中央の水平の被支持部58aと、被支持部58aの左端と右端とに垂直に屈曲された左右の連結部58b、58bと、左右の連結部58b、58bの上端に外向きに水平に屈曲された左右の取付部58c、58cとを備えている。被支持部58aの中央部に開設されたガイド孔58dにプランジャ53のガイド部53cが摺動自在に嵌入されることにより、可動片58はプランジャ53に直交して摺動自在に取り付けられている。可動片58の左右の取付部58c、58cにはリレースイッチ5の一対の可動接点59、59が垂直方向上向きに突設されている。図3に示されているように、プランジャアッシー40がベース10のプランジャアッシー収納室39に収納された状態において、可動片58の左右の可動接点59、59はマグネット保持室27の左右両脇において左右のターミナルプレート17、18の固定接点25、25にそれぞれ対向した状態になっており、可動片58の左右の連結部58b、58bの左側面および右側面にはストッパ32の左右の立ち上がり部片33、33が摺接した状態になっている。
【0021】
図2、図4および図5に示されているように、ベース10の後側側面における左端部にはダイレクトカプラ60が一体的に組み付けられている。ダイレクトカプラ60は相手側カプラ(図示せず)がカップリングされることにより、モータ2を制御するためのコントローラ8に電気的に接続されるように構成されている。ダイレクトカプラ60はワイヤハーネスのカプラが差し込まれる差込み口部61を備えており、差込み口部61は上面が開口し下面が閉塞した平面視が凸字形の角筒形状にベース10に一体的に突設されている。図9に示されているように、差込み口部61の底壁には上下方向に貫通する細長い孔形状の取付孔62が一対、左右方向に一直線上に並んで開設されており、両取付孔62、62には左右で一対のコイル用ターミナルプレート63、63がそれぞれ下方から圧入されている。左右のコイル用ターミナルプレート63、63は係止爪63aを取付孔62の上端開口縁辺にかしめ付けられることによって、両取付孔62、62にそれぞれ固定されている。左右のコイル用ターミナルプレート63、63の下端部には各連結部63b、63bがそれぞれ前方に直角に屈曲されて突設されており、両連結部63b、63bの先端部には略B字形状の各係合部63c、63cがそれぞれ彎曲形成されている。左右のコイル用ターミナルプレート63、63の連結部63b、63bの外側には、サブ差込み口部64が両連結部63b、63bを取り囲んで底壁および前壁が開口した直方体の箱形状に形成されており、図9(b)に示されているように、サブ差込み口部64の底壁開口にはキャップ65が装着されている。
【0022】
一方、図6(a)に示されているように、ボビン42の下側フランジにおけるサブ差込み口部64に対向する後側部位には、差込み部66が水平方向後ろ向きに突設されている。図9に示されているように、差込み部66の左側面および右側面には一対の保持溝67、67が前後方向に延在するように細長く形成されており、両保持溝67、67には一対のサブターミナルプレート68、68がそれぞれ側方から圧入されている。左右のサブターミナルプレート68、68は係止爪68aが保持溝67の壁面に食い込むことにより、両保持溝67、67に固定されている。左右のサブターミナルプレート68、68の後端部は両保持溝67、67に保持された状態において後方に突出した状態になっており、この突出端部によって各連結部68b、68bがそれぞれ構成されている。図9(b)に示されているように、差込み部66がサブ差込み口部64に差し込まれた状態において、左右のサブターミナルプレート68、68の各連結部68b、68bは左右のコイル用ターミナルプレート63、63の各係合部63c、63cに係合して各連結部63b、63bに連結した状態になっており、この連結により、左右のコイル用ターミナルプレート63、63と左右のサブターミナルプレート68、68とは電気的に接続された状態になっている。左右のサブターミナルプレート68、68の外側端辺の後端部にはヒュージング爪部68c、68cがそれぞれ突設されており、図6(a)に示されているように、両ヒュージング爪部68c、68cにはコイル線材41の一対の端末41a、41bがそれぞれヒュージングされている。サブ差込み口部64の左側面には巻き絡げ部69が突設されており、巻き絡げ部69には一方の端末41aが巻き絡げられている。なお、ターミナルプレート63の連結部63bおよびサブターミナルプレート68の連結部68bは、図9(c)に示されているように、互いに十字形状に噛合する噛合部63d、68dによって電気的に接続するように構成してもよい。
【0023】
図10および図11に示されているように、ケース70は一側壁(以下、後面壁とする。)が開口された略直方体の箱形状に形成されており、ベース10の前面に最中合わせに組み付けられて密閉したハウジング9を構成するようになっている。ベース10に最中合わせに組み付けられて密閉した状態において、ケース70はベース10の左側保持溝15と右側保持溝16とに嵌入された一対の固定接点用ターミナルプレート17、18を抜け止めしている。ケース70における上端部の前後方向に延在する中心線上には、保持室71が前後方向に延在した長方形の筒形状に形成されており、保持室71にはベース10の保持室27に保持されたマグネット26の前端部を後側開口から圧入されて保持している。ケース70が絶縁性を有する樹脂によって形成されているため、マグネット保持室71の側壁は左右の固定接点25、25同士を仕切る仕切壁72を形成している。マグネット保持室71の高さにおけるケース70の右端部には保持溝73が前後方向に延在した長方形の縦溝形状に形成されており、保持溝73にはベース10の右側保持溝29に保持された磁性プレート30の前端部が後側開口から圧入されている。ケース70の左右側面には長方形の枠形状に形成された係止部片74が上下で一対ずつ後方にそれぞれ突設されており、各係止部片74はベース10の左右の側面に突設された係止爪34に係止することにより、ケース70とベース10とを固定している。ケース70の略中央高さ位置における左端部および右端部には一対のベース固定孔75、75が前後方向に貫通するように開設されており、ケース70はベース10に最中合わせに当接された状態で両ベース固定孔75、75にボルト36、36を挿通されてベース10側の両ケース固定穴35、35にボルト36、36をそれぞれねじ込まれることにより、ベース10に固定されている。ケース70の下半分にはプランジャアッシー収納室76が大きく形成されており、この収納室76にはプランジャアッシー40の前側部分が収納されている。
【0024】
次に、作用および効果を説明する。
ノーマル(通常)の状態において、電磁継電器4のリレースイッチ5は図1に示されているように開成(オフ)の状態になっており、リレーコイル6は消磁した状態になっている。
【0025】
電磁継電器4のダイレクトカプラ60に装着された相手側カプラを通じてモータ2を制御するためのコントローラ8から、電圧が一対のコイル用ターミナルプレート63、63に印加されると、コイル線材41が励磁されてコア50によってアーマチュア51が磁気的に吸引されるため、アーマチュア51に固定されたプランジャ53がコア50の方向に吸引される。プランジャ53がコア50の方向に吸引されると、プランジャ53に固定された可動片58の左右の可動接点59、59は左右の固定接点25、25の方向へ上昇し、同時に接触するため、左右の固定接点25、25間は左右の可動接点59、59および可動片58によって電気的に接続される。つまり、図1に示されたモータ駆動電気回路3のリレースイッチ5は閉じ(オン)の状態になる。
【0026】
以上の閉じ作動に際しては、可動片58の可動接点59、59が固定接点25、25に衝突した後にもアーマチュア51がコア50に吸引されてプランジャ53が上昇すると、固定接点25、25に位置規制された可動片58に対してプランジャ53が相対的に上昇してスプリング56を圧縮変形させるために、可動接点59、59は固定接点25、25にスプリング56の弾発力によって押接された状態になる。その結果、可動接点59、59と固定接点25、25との間の接触抵抗が小さくなるために、発熱等の障害の発生を防止することができ、リレースイッチ5の閉じ作動の信頼性の向上を図ることができる。つまり、高電圧大電流の被制御電流であっても発熱等の障害を引き起こすことなく良好に通電することができる。また、スプリング56は可動片58の可動接点59、59が固定接点25、25に衝突する時の衝撃を緩和するので、衝突音を小さく抑制することができる。さらに、上側ヨーク43とボビン42との間に防音リング46が嵌着されていることにより、可動接点59、59と固定接点25、25との衝突音やアーマチュア51とコア50との衝突音を防音リング46によって減衰することができるので、騒音をより一層低減することができる。
【0027】
両コイル用ターミナルプレート63、63への電圧の印加が停止されると、コイル線材41およびコア50が消磁されるため、プランジャ53がスプリング54の弾性力によって復帰することによってコア50から離反する。すると、プランジャ53に固定された可動片58が固定接点25、25から離反する方向へ下降するために、可動片58の可動接点59、59は固定接点25、25から同時に離れ、固定接点25、25間の可動接点59、59および可動片58による電気的に接続は解除される。つまり、図1に示されたモータ駆動電気回路3のリレースイッチ5は開成(オフ)の状態になる。
【0028】
以上の開き作動に際しては、アーマチュア51は防音リング57を挟んで下側ヨーク44の内筒部44aの上端面に衝突するので、開き作動時の衝突音の発生を確実に防止することができる。また、開き作動時の可動片58の下降に際して、可動片58はストッパ32の左右の立ち上がり壁33、33によって回り止めされていることにより、垂直に下降するので、可動接点59、59の固定接点25、25に対する位置を正確に維持することができる。
【0029】
ところで、被制御電流として高電圧大電流を取り扱う場合には、可動接点59が固定接点25から離れる瞬間にアークが飛ぶ。しかし、本実施の形態においては、図12(a)に示されているように、マグネット26が左右の可動接点59、59および左右の固定接点25、25の間に配置され、かつ、その磁力線Hの方向が可動接点59が固定接点25から離れる時の電流Iに対してのアークFを互いに離れる方向に消弧(伸長)させるように設定されているために、アークFが左右の可動接点59、59および左右の固定接点25、25に及ぼす悪影響を防止することができる。また、マグネット26が左右の可動接点59、59および左右の固定接点25、25の間に配置され、ジョイント端子部片を接続するための一対のナット13、14がマグネット26の左右両脇に配置され、一対の磁性プレート30、30が左方および右方に配置されているので、アークFを吹き消す磁力線Hの方向は適正になり、磁力線Hの磁束密度を増加することができる。また、マグネット26を保持した保持室27の仕切壁28が左側の可動接点59および左側の固定接点25と右側の可動接点59および右側の固定接点25との間を仕切るので、アークFの火花や摩耗粉等が反対側の可動接点59および固定接点25に飛び散るのを遮断することができる。さらに、マグネット26を左右の可動接点59、59および左右の固定接点25、25の間に配置することにより、マグネット26の使用個数を一個で済ますことができるので、部品点数および組付工数を低減することができ、製造コストを低減させることができる。
【0030】
ちなみに、図12(a)に示された電流Iの方向および磁力線Hの方向によれば、左右のアークFの方向は図12(a)の通りになるが、図12(b)に示された電流Iの方向および磁力線Hの方向においても、左右のアークFの方向は図12(b)の通りになる。(a)および(b)のいずれの場合もアークFの方向は離反する方向になるため、一対の固定接点用ターミナルプレート17、18の接続に極性を持たせない構造になる。したがって、ターミナルプレートの接続について逆に接続した場合や、マグネットを逆に組み付けた場合においても、アークが互いに離反する方向に絶えず発生するため、確実に消弧させることができる。その結果、一対の接点間を確実に隔離することができ、電磁継電器の信頼性を向上させることができる。
【0031】
図13は本発明の他の実施の形態におけるプランジャアッシーを示している。本実施の形態が前記実施の形態と異なる点は、アーマチュア51の上端部に上側防音リング57Aが上側ヨーク43の逃げ部43aの下面に接衝するように嵌着されており、上側ヨーク43側の防音リング46が省略されている点、である。本実施の形態においては、アーマチュア51の往行(閉じ)作動時に上側防音リング57Aが上側ヨーク43の逃げ部43aの下面に接衝することにより、アーマチュア51の往行時の衝突音の発生が防止され、アーマチュア51の復帰(開き)作動時に下側の防音リング57が下側ヨーク44の内筒部44aの上端面に接衝することにより、アーマチュア51の復帰時の衝突音の発生が防止される。
【0032】
図14は本発明の別の他の実施の形態におけるプランジャアッシーを示している。本実施の形態が前記実施の形態と異なる点は、ボビン42の捲線部42aの内周の下側コーナにも保持溝45Bが環状に形成されているとともに、この下側の保持溝45Bには下側防音リング46Bが嵌入されており、アーマチュア51側の防音リング57が省略されている点、である。本実施の形態においては、アーマチュア51の往行(閉じ)作動時の可動接点59と固定接点25との衝突音やアーマチュア51とコア50との衝突音は上側の防音リング46によって減衰され、アーマチュア51の復帰(開き)作動時のアーマチュア51と下側ヨーク44の内筒部44aの上端面との衝突音は下側防音リング46Bによって減衰される。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、プランジャのスプリングによる復帰時の衝撃音の発生はプランジャとヨークとの間に介設された防音リングによって防止することができ、プランジャのコイル線材の励磁時の衝撃音はプランジャとコイルボビンとの間に介設された防音リングによって減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である高電圧大電流用電磁継電器が使用されたモータ駆動電気回路を示す回路図である。
【図2】その高電圧大電流用電磁継電器を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図3】ケースを取った状態を示す正面図である。
【図4】ベースアッシーを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図5】同じくベースアッシーを示しており、(a)は側面断面図、(b)は一部切断背面図である。
【図6】プランジャアッシーを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図である。
【図7】同じくプランジャアッシーを分解して示す一部切断正面図である。
【図8】主要部のレイアウトを示す分解斜視図である。
【図9】ダイレクトカプラを示しており、(a)は分解斜視図、(b)は組立断面図、(c)は連結部の他の実施の形態を示す一部省略分解斜視図である。
【図10】ケースを示しており、(a)は背面図、(b)は底面図である。
【図11】同じくケースを示しており、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
【図12】アーク防止作用を説明する各説明図である。
【図13】本発明の他の実施の形態におけるプランジャアッシーを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図である。
【図14】本発明の別の他の実施の形態におけるプランジャアッシーを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図である。
【符号の説明】
1…ハイブリッド車や電気自動車の電源、2…モータ、3…モータ駆動電気回路、4…電磁継電器、5…リレースイッチ、6…リレーコイル(コイル)、7…通常の自動車用バッテリー、8…コントローラ、9…ハウジング、10…ベース、11、12…保持穴、13、14…ナット、13a、14a…雌ねじ孔、15…左側保持溝、16…右側保持溝、17、18…固定接点用ターミナルプレート、20…被保持部、21…固定孔、22…接続部片、23…挿通孔、24…固定部片、25…固定接点、26…マグネット、27…保持室、28…仕切壁、29…保持溝、30…磁性プレート、31…保持溝、32…ストッパ、33…立ち上がり部片、34…係止爪、35…ケース固定穴、36…ボルト、37…ブラケット部、38…ブッシュ、39…プランジャアッシー収納室、40…プランジャアッシー、41…コイル線材、41a、41b…コイル端末、42…コイルボビン(ボビン)、42a…捲線部、43…上側ヨーク、43a…逃げ部、43b…固定孔、44…下側ヨーク、44a…内筒部、44b…外筒部、44c…底壁部、45…保持溝、45B…保持溝、46…防音リング、46B…下側防音リング、47…位置決め凹部、48…位置決め凸部、50…コア、50a…挿通孔、51…アーマチュア、51a…保持溝、51b…取付孔、51c…スプリング収容室、51d…雌テーパ部、52…ナット、53…プランジャ、53a…スプリングシート部、53b…位置決め部、53c…ガイド部、54…スプリング、55…ストッパリング、56…スプリング、57…防音リング、57A…上側防音リング、58…可動片、58a…被支持部、58b…連結部、58c…取付部、58d…ガイド孔、59…可動接点、60…ダイレクトカプラ、61…差込み口部、62…取付孔、63…コイル用ターミナルプレート、63a…係止爪、63b…連結部、63c…係合部、63d…噛合部、64…サブ差込み口部、65…キャップ、66…差込み部、67…保持溝、68…サブターミナルプレート、68a…係止爪、68b…連結部、68c…ヒュージング爪部、68d…噛合部、69…巻き絡げ部、70…ケース、71…保持室、72…仕切壁、73…保持溝、74…係止部片、75…ベース固定孔、76…プランジャアッシー収納室。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁継電器に関し、特に、高電圧大電流用のものに係り、例えば、ハイブリッド車や電気自動車において電源と駆動用電動モータとの間の開閉制御に利用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッド車や電気自動車の電源は電池(燃料電池を含む。)になるため、ハイブリッド車や電気自動車に搭載される駆動用電動モータ(以下、モータという。)は直流式になる。しかも、大きな出力を発揮する必要があるため、そのモータの駆動電力は例えば100V・100A等の高電圧大電流に設定される。この高電圧大電流のモータの駆動電気回路において、モータの不使用時に回路を自動的に開くことによってモータを電源から切り離して安全性を高めようとした場合には、電磁継電器が介設されることになる。
【0003】
従来の高電圧大電流用電磁継電器としては、リレーコイルによって一直線上を進退される一本のプランジャの先端にリレースイッチの一対の可動接点のそれぞれが固定されたプランジャ式電磁継電器が、知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなプランジャ式電磁継電器においては、プランジャの進退距離を大きく設定することにより、リレースイッチの絶縁耐圧を規定するエアギャップ(可動接点と固定接点との間隔)を大きく設定することができるため、高電圧大電流に容易に対応することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−42625号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した電磁継電器においては、リレースイッチの開閉時にプランジャから衝撃音が発生するという問題がある。このような電磁継電器がハイブリッド車や電気自動車の車室内に設置された場合には、この衝撃音によって車室内の静穏性能の低下を余儀なくされる。
【0006】
本発明の目的は、リレースイッチの開閉時の衝撃音を防止することができる電磁継電器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第一の手段は、一対の固定接点と、この一対の固定接点に接触および離間する一対の可動接点を具備した可動片と、この可動片を進退させるプランジャアッシーと、このプランジャアッシーを収納するハウジングとを備えている電磁継電器であって、前記プランジャアッシーは、コイル線材が捲線されたコイルボビンと、このコイルボビンを囲むヨークと、前記コイルボビンの捲線部内に軸方向に進退自在に配置されて前記可動片を支持したプランジャと、このプランジャを前記可動片が前記固定接点から離反する方向に常時付勢するスプリングと、前記プランジャと前記ヨークとの間に介設された防音リングとを備えていることを特徴とする。
この電磁継電器においては、プランジャのスプリングによる復帰時の衝撃音の発生をプランジャとヨークとの間に介設された防音リングによって防止することができる。
【0008】
前記課題を解決するための第二の手段は、一対の固定接点と、この一対の固定接点に接触および離間する一対の可動接点を具備した可動片と、この可動片を進退させるプランジャアッシーと、このプランジャアッシーを収納するハウジングとを備えている電磁継電器であって、前記プランジャアッシーは、コイル線材が捲線されたコイルボビンと、このコイルボビンを囲むヨークと、前記コイルボビンの捲線部内に軸方向に進退自在に配置されて前記可動片を支持したプランジャと、このプランジャを前記可動片が前記固定接点から離反する方向に常時付勢するスプリングと、前記プランジャと前記コイルボビンとの間に介設された防音リングとを備えていることを特徴とする。
この電磁継電器においては、プランジャのコイル線材の励磁時の衝撃音をプランジャとコイルボビンとの間に介設された防音リングによって減衰させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0010】
本実施の形態に係る電磁継電器は、ハイブリッド車や電気自動車のモータの駆動電気回路に使用されるものとして構成されており、例えば、100V・100A以上が定格の高電圧大電流用電磁継電器(以下、電磁継電器という。)として、図1に示されているように構成されている。すなわち、図1に示されているように、ハイブリッド車や電気自動車の電源1とモータ2との駆動電気回路3に介設された電磁継電器4は、リレースイッチ5を備えており、リレースイッチ5はリレーコイル(以下、コイルという。)6によって開閉を制御されるように構成されている。コイル6は12V・0.4A等の通常の自動車用バッテリー7によって駆動されるようになっており、コントローラ8によって励消磁を制御されるようになっている。
【0011】
図2に示されているように、電磁継電器4は密閉した立方体の箱形状に形成されたハウジング9を備えており、ハウジング9はいずれも絶縁性を有する樹脂が使用されて成形されたベース10とケース70とを最中合わせに組み付けられて形成されている。図3〜図5に示されているように、ベース10は一側壁(以下、前面壁とする。)が開口された略立方体の箱形状に形成されている。ベース10の一主面(以下、上面とする。)には略正方形の穴形状に形成された左右で一対の保持穴11、12が、前後方向に延在する中心線の前後両端部において左右脇にそれぞれ配置されて没設されており、両保持穴11、12には略正方形の平盤形状に形成されたナット13、14がそれぞれ回り止め状態に嵌入されている。ベース10の前面の上端部における左端部と右端部とには左側保持溝15と右側保持溝16とがそれぞれ前後方向に延在するように形成されている。左側保持溝15は右端が開口し左端が閉塞した一定幅一定深さのガイド溝形状に形成されており、右側保持溝16は左端が開口し右端が閉塞した一定幅一定深さのガイド溝形状に形成されている。左側保持溝15および右側保持溝16にはリレースイッチ5の一対の固定接点用ターミナルプレート17、18がそれぞれ嵌入されて保持されている。
【0012】
図4および図8に示されているように、左右で一対の固定接点用ターミナルプレート17、18の構成は同一であり、ベース10に回転対称形に取り付けられているので、その構成および取付構造は一方の固定接点用ターミナルプレート(以下、ここではターミナルプレートという。)17を代表にして説明する。ターミナルプレート17は銅板等の導電性の良好な一定厚さの板体が使用されて一体的にプレス加工されている。矩形の板形状に形成された被保持部20を備えており、被保持部20の前端部および後端部には一対の固定孔21、21がそれぞれ開設されている。被保持部20の厚さおよび大きさは保持溝15に前端の開口から圧入するように設定されており、被保持部20が保持溝15に圧入した状態において両固定孔21、21にベース10の樹脂部が食い込むことにより、ターミナルプレート17は保持溝15に固定されている。被保持部20の右辺の前端部にはアングル(L字)形状の接続部片22が、水平部が上側に配置されて右方に突設されており、接続部片22の水平部の中央には挿通孔23が開設されている。被保持部20が保持溝15に圧入した状態において、接続部片22は保持穴11に嵌入されたナット13を上側から被覆して抜け止めした状態になっており、挿通孔23はナット13の雌ねじ孔13aと同心になっている。被保持部20の右辺の後端部にはアングル(L字)形状の固定部片24が、水平部が下側に配置されて右方に突設されており、固定部片24の水平部の中央にはリレースイッチ5の固定接点25が垂直方向下向きに突設されている。
【0013】
そして、左側保持溝15および右側保持溝16に保持された状態において、左右の固定接点用ターミナルプレート17、18の固定接点25、25は左右方向に延在する中心線上に位置している。左右の固定接点用ターミナルプレート17、18にはモータ駆動電気回路3の両端がそれぞれ電気的に接続されることになる。この接続に際しては、モータ駆動電気回路3に接続されたワイヤハーネスの一対のジョイント端子部片(図示せず)がターミナルプレート17、18の接続部片22、22にそれぞれ当接され、ボルト(図示せず)が挿通孔23を挿通してナット13の雌ねじ孔13aにねじ込まれることにより、ジョイント端子部片と接続部片22が電気的に接続される。左側保持溝15および右側保持溝16に嵌入されて保持されたターミナルプレート17、18はベース10に被せ付けられるケース70によって前後方向の移動を規制されるようになっている。このようにジョイント端子部片がねじ止めされる接続部片22は被保持部20の固定部片24と反対側端部に配置されているので、万一、接続部片22が変形しても固定部片24が変形するのを回避することができる。したがって、固定部片24に固定された固定接点25は可動接点に対するエアギャップを常に維持することができる。
【0014】
ベース10における左側保持溝15と右側保持溝16との間の下側の部分には、マグネット26を保持する保持室27が前後方向に延在した長方形の筒形状に形成されており、保持室27には長方形の棒形状に形成されたマグネット26が前側開口から圧入されて保持されている。ベース10が絶縁性を有する樹脂によって形成されているために、マグネット保持室27の側壁は左右の固定接点25、25同士を仕切る仕切壁28を形成している。マグネット保持室27の高さにおけるベース10の左端部および右端部には一対の保持溝29、29が前後方向に延在した長方形の縦溝形状に形成されており、両保持溝29、29には長方形の平板形状に形成された一対の磁性プレート30、30が前側開口から圧入されて保持されている。図8および図12に示されているように、保持室27に保持されたマグネット26はその長手方向が、左右の固定接点25、25同士を結ぶ線分と直交する状態に配置されている。マグネット26の磁力線Hは左側固定接点25、左側ターミナルプレート17、左側磁性プレート30、左側ナット13の循環と、右側固定接点25、右側ターミナルプレート18、右側磁性プレート30、右側ナット14の循環とをそれぞれ形成するように設定されているとともに、マグネット26の磁力線Hの向きは可動片58が左右の固定接点25、25から離れる時のアークFをいずれも吹き消す方向になるように設定されている。
【0015】
ベース10における保持室27の真下の位置にはストッパ32を保持する保持溝31が前後方向に延在するように開設されており、保持溝31にはストッパ32が前側開口から圧入されている。図3に示されているように、ストッパ32は左右の立ち上がり部片33、33が可動片58の左側面および右側面に摺接することにより、可動片58の回転を規制するようになっている。
【0016】
ベース10の左側面の前端部および右側面の前端部には、ケース70を固定するための係止爪34が上下で一対ずつ突設されている。ベース10の略中央高さ位置における左端部および右端部には、一対のケース固定穴35、35が前後方向に延在するように開設されており、図2に示されているように、ケース70はベース10に最中合わせに当接された状態で、両ケース固定穴35、35にボルト36、36をそれぞれねじ込まれることにより、ベース10に固定されている。ベース10の左側面の下端部および右側面の下端部には、電磁継電器4を車体に固定するための一対のブラケット37、37がそれぞれ水平に突設されており、両ブラケット37、37の取付孔には一対のブッシュ38、38がそれぞれ圧入されている。ベース10の下半分にはプランジャアッシー収納室39が大きく形成されており、この収納室39にはプランジャアッシー40が収納されている。次に、プランジャアッシー40を図6〜図8を主に使用して説明する。
【0017】
プランジャアッシー40はコイル線材41が捲線されたコイルボビン(以下、ボビンという。)42と、いずれも鉄等の磁性材料が使用されてプレス加工された上側ヨーク43および下側ヨーク44とを備えている。ボビン42は絶縁性を有する樹脂が使用されて糸巻形状に一体成形されており、ボビン42はベース10のプランジャアッシー収納室39に同心円に収納されて固定されている。上側ヨーク43は中央部に有底円筒形状の逃げ部43aが下向きに膨出された円板形状に形成されており、有底円筒形状の逃げ部43aがボビン42の捲線部42aの中空部の上端部に嵌入された状態で、ボビン42の上面に当接されて下側ヨーク44に固定されている。ボビン42の捲線部42aの内周の上側コーナには保持溝45が環状に形成されており、保持溝45にはゴムまたは樹脂の弾性材料が使用されてOリング形状に形成された防音リング46が嵌入されている。下側ヨーク44は内筒部44aと外筒部44bと底壁部44cとからなる略二重円筒体に形成されている。内筒44aは短尺で小径の円筒形状に形成されており、外筒部44bはボビン42よりも若干だけ長めで内径がボビン42の外径と等しく一部が切り欠かれた円筒形状に形成されている。底壁部44cは円板形状に形成されており、内筒部44aの下端辺と外筒部44bの下端辺とを連結している。すなわち、内筒部44aおよび外筒部44bは底壁部44cの外周縁から立ち上がった状態になっている。内筒部44aがボビン42の捲線部42aの中空部内の下端部に嵌入され、外筒部44bがボビン42の外周に嵌合され、底壁部44cがボビン42の下面に当接された状態で、下側ヨーク44と上側ヨーク43とがボビン42を挟み込んで固定されている。下側ヨーク44の底壁部44cには複数個の位置決め凹部47が開設されており、各位置決め凹部47にはボビン42の下面に突設された各位置決め凸部48が嵌入されている。この位置決め凹部47と位置決め凸部48との嵌合によって下側ヨーク44とボビン42との周方向の位置決めが確保されている。
【0018】
上側ヨーク43の逃げ部43aの底壁の中心には固定孔43bが開設されており、固定孔43bにはコア50が固定されている。コア50は鉄等の磁性材料が使用されて円錐台形状に形成されており、コア50の中心線上には挿通孔50aが開設されている。下側ヨーク44の内筒部44aにはアーマチュア51が上下方向に摺動自在に嵌入されている。アーマチュア51は鉄等の磁性材料が使用されて下側が小径で上側が大径の二段円柱形状に形成されており、下側の小径部外周が内筒部44aに摺動自在に嵌入されている。小径部と大径部との段差部には保持溝51aが形成されており、保持溝51aにはゴムまたは樹脂の弾性材料が使用されてOリング形状に形成された防音リング57が嵌着されている。防音リング57は下側ヨーク44の内筒部44aの上端面に接衝することにより、アーマチュア51の復帰時の衝突音の発生を防止するようになっている。アーマチュア51の中心線上の下端部には取付孔51bが開設されており、取付孔51bにはプランジャ53が挿通されてナット52によって締結されている。アーマチュア51の取付孔51bの上側にはスプリング収容室51cが形成されており、スプリング収容室51cにはスプリング54が収容されている。スプリング54はコア50の挿通孔50aの肩部とスプリング収容室51cの底面との間に圧縮状態で介設されることにより、プランジャ53を常時下方に付勢している。アーマチュア51のスプリング収容室51cの上側には雌テーパ部51dが形成されており、雌テーパ部51dはコア50の錐面と対向した状態になっている。
【0019】
プランジャ53の中間部にはスプリングシート部53aと位置決め部53bとが隣接して突設されており、スプリングシート部53aは外形が六角形の平板形状に形成され、位置決め部53bは円板形状に形成されている。スプリングシート部53aと位置決め部53bとは圧造(プレス加工)によりプランジャ53に一体的に形成されている。プランジャ53とアーマチュア51とを締結するに際しては、スプリングシート部53aの六角形の外周に締結工具を係合することにより、プランジャ53とアーマチュア51とをナット52によって締結することができる。なお、スプリングシート部53aの六角形の外周に締結工具を係合してプランジャ53を回転させることにより、ナットを使用せずにプランジャ53をアーマチュア51に直接的にねじ結合することもできる。プランジャ53の位置決め部53bの上側にはガイド部53cが形成されており、ガイド部53cにはリレースイッチ5の可動片58が直交するように配されて軸方向に摺動自在に嵌合されている。ガイド部53cの上端部には可動片58を抜け止めするストッパリング55が係止されている。スプリングシート部53aと可動片58との間にはスプリング56が圧縮状態で介設されており、スプリング56は可動片58をストッパリング55に押接させる方向に常時付勢している。スプリング56は位置決め部53bによって径方向の位置を規制されている。
【0020】
可動片58は銅材料(銅または銅合金)が使用されて正面視がクランク形の板体に形成されている。すなわち、可動片58は中央の水平の被支持部58aと、被支持部58aの左端と右端とに垂直に屈曲された左右の連結部58b、58bと、左右の連結部58b、58bの上端に外向きに水平に屈曲された左右の取付部58c、58cとを備えている。被支持部58aの中央部に開設されたガイド孔58dにプランジャ53のガイド部53cが摺動自在に嵌入されることにより、可動片58はプランジャ53に直交して摺動自在に取り付けられている。可動片58の左右の取付部58c、58cにはリレースイッチ5の一対の可動接点59、59が垂直方向上向きに突設されている。図3に示されているように、プランジャアッシー40がベース10のプランジャアッシー収納室39に収納された状態において、可動片58の左右の可動接点59、59はマグネット保持室27の左右両脇において左右のターミナルプレート17、18の固定接点25、25にそれぞれ対向した状態になっており、可動片58の左右の連結部58b、58bの左側面および右側面にはストッパ32の左右の立ち上がり部片33、33が摺接した状態になっている。
【0021】
図2、図4および図5に示されているように、ベース10の後側側面における左端部にはダイレクトカプラ60が一体的に組み付けられている。ダイレクトカプラ60は相手側カプラ(図示せず)がカップリングされることにより、モータ2を制御するためのコントローラ8に電気的に接続されるように構成されている。ダイレクトカプラ60はワイヤハーネスのカプラが差し込まれる差込み口部61を備えており、差込み口部61は上面が開口し下面が閉塞した平面視が凸字形の角筒形状にベース10に一体的に突設されている。図9に示されているように、差込み口部61の底壁には上下方向に貫通する細長い孔形状の取付孔62が一対、左右方向に一直線上に並んで開設されており、両取付孔62、62には左右で一対のコイル用ターミナルプレート63、63がそれぞれ下方から圧入されている。左右のコイル用ターミナルプレート63、63は係止爪63aを取付孔62の上端開口縁辺にかしめ付けられることによって、両取付孔62、62にそれぞれ固定されている。左右のコイル用ターミナルプレート63、63の下端部には各連結部63b、63bがそれぞれ前方に直角に屈曲されて突設されており、両連結部63b、63bの先端部には略B字形状の各係合部63c、63cがそれぞれ彎曲形成されている。左右のコイル用ターミナルプレート63、63の連結部63b、63bの外側には、サブ差込み口部64が両連結部63b、63bを取り囲んで底壁および前壁が開口した直方体の箱形状に形成されており、図9(b)に示されているように、サブ差込み口部64の底壁開口にはキャップ65が装着されている。
【0022】
一方、図6(a)に示されているように、ボビン42の下側フランジにおけるサブ差込み口部64に対向する後側部位には、差込み部66が水平方向後ろ向きに突設されている。図9に示されているように、差込み部66の左側面および右側面には一対の保持溝67、67が前後方向に延在するように細長く形成されており、両保持溝67、67には一対のサブターミナルプレート68、68がそれぞれ側方から圧入されている。左右のサブターミナルプレート68、68は係止爪68aが保持溝67の壁面に食い込むことにより、両保持溝67、67に固定されている。左右のサブターミナルプレート68、68の後端部は両保持溝67、67に保持された状態において後方に突出した状態になっており、この突出端部によって各連結部68b、68bがそれぞれ構成されている。図9(b)に示されているように、差込み部66がサブ差込み口部64に差し込まれた状態において、左右のサブターミナルプレート68、68の各連結部68b、68bは左右のコイル用ターミナルプレート63、63の各係合部63c、63cに係合して各連結部63b、63bに連結した状態になっており、この連結により、左右のコイル用ターミナルプレート63、63と左右のサブターミナルプレート68、68とは電気的に接続された状態になっている。左右のサブターミナルプレート68、68の外側端辺の後端部にはヒュージング爪部68c、68cがそれぞれ突設されており、図6(a)に示されているように、両ヒュージング爪部68c、68cにはコイル線材41の一対の端末41a、41bがそれぞれヒュージングされている。サブ差込み口部64の左側面には巻き絡げ部69が突設されており、巻き絡げ部69には一方の端末41aが巻き絡げられている。なお、ターミナルプレート63の連結部63bおよびサブターミナルプレート68の連結部68bは、図9(c)に示されているように、互いに十字形状に噛合する噛合部63d、68dによって電気的に接続するように構成してもよい。
【0023】
図10および図11に示されているように、ケース70は一側壁(以下、後面壁とする。)が開口された略直方体の箱形状に形成されており、ベース10の前面に最中合わせに組み付けられて密閉したハウジング9を構成するようになっている。ベース10に最中合わせに組み付けられて密閉した状態において、ケース70はベース10の左側保持溝15と右側保持溝16とに嵌入された一対の固定接点用ターミナルプレート17、18を抜け止めしている。ケース70における上端部の前後方向に延在する中心線上には、保持室71が前後方向に延在した長方形の筒形状に形成されており、保持室71にはベース10の保持室27に保持されたマグネット26の前端部を後側開口から圧入されて保持している。ケース70が絶縁性を有する樹脂によって形成されているため、マグネット保持室71の側壁は左右の固定接点25、25同士を仕切る仕切壁72を形成している。マグネット保持室71の高さにおけるケース70の右端部には保持溝73が前後方向に延在した長方形の縦溝形状に形成されており、保持溝73にはベース10の右側保持溝29に保持された磁性プレート30の前端部が後側開口から圧入されている。ケース70の左右側面には長方形の枠形状に形成された係止部片74が上下で一対ずつ後方にそれぞれ突設されており、各係止部片74はベース10の左右の側面に突設された係止爪34に係止することにより、ケース70とベース10とを固定している。ケース70の略中央高さ位置における左端部および右端部には一対のベース固定孔75、75が前後方向に貫通するように開設されており、ケース70はベース10に最中合わせに当接された状態で両ベース固定孔75、75にボルト36、36を挿通されてベース10側の両ケース固定穴35、35にボルト36、36をそれぞれねじ込まれることにより、ベース10に固定されている。ケース70の下半分にはプランジャアッシー収納室76が大きく形成されており、この収納室76にはプランジャアッシー40の前側部分が収納されている。
【0024】
次に、作用および効果を説明する。
ノーマル(通常)の状態において、電磁継電器4のリレースイッチ5は図1に示されているように開成(オフ)の状態になっており、リレーコイル6は消磁した状態になっている。
【0025】
電磁継電器4のダイレクトカプラ60に装着された相手側カプラを通じてモータ2を制御するためのコントローラ8から、電圧が一対のコイル用ターミナルプレート63、63に印加されると、コイル線材41が励磁されてコア50によってアーマチュア51が磁気的に吸引されるため、アーマチュア51に固定されたプランジャ53がコア50の方向に吸引される。プランジャ53がコア50の方向に吸引されると、プランジャ53に固定された可動片58の左右の可動接点59、59は左右の固定接点25、25の方向へ上昇し、同時に接触するため、左右の固定接点25、25間は左右の可動接点59、59および可動片58によって電気的に接続される。つまり、図1に示されたモータ駆動電気回路3のリレースイッチ5は閉じ(オン)の状態になる。
【0026】
以上の閉じ作動に際しては、可動片58の可動接点59、59が固定接点25、25に衝突した後にもアーマチュア51がコア50に吸引されてプランジャ53が上昇すると、固定接点25、25に位置規制された可動片58に対してプランジャ53が相対的に上昇してスプリング56を圧縮変形させるために、可動接点59、59は固定接点25、25にスプリング56の弾発力によって押接された状態になる。その結果、可動接点59、59と固定接点25、25との間の接触抵抗が小さくなるために、発熱等の障害の発生を防止することができ、リレースイッチ5の閉じ作動の信頼性の向上を図ることができる。つまり、高電圧大電流の被制御電流であっても発熱等の障害を引き起こすことなく良好に通電することができる。また、スプリング56は可動片58の可動接点59、59が固定接点25、25に衝突する時の衝撃を緩和するので、衝突音を小さく抑制することができる。さらに、上側ヨーク43とボビン42との間に防音リング46が嵌着されていることにより、可動接点59、59と固定接点25、25との衝突音やアーマチュア51とコア50との衝突音を防音リング46によって減衰することができるので、騒音をより一層低減することができる。
【0027】
両コイル用ターミナルプレート63、63への電圧の印加が停止されると、コイル線材41およびコア50が消磁されるため、プランジャ53がスプリング54の弾性力によって復帰することによってコア50から離反する。すると、プランジャ53に固定された可動片58が固定接点25、25から離反する方向へ下降するために、可動片58の可動接点59、59は固定接点25、25から同時に離れ、固定接点25、25間の可動接点59、59および可動片58による電気的に接続は解除される。つまり、図1に示されたモータ駆動電気回路3のリレースイッチ5は開成(オフ)の状態になる。
【0028】
以上の開き作動に際しては、アーマチュア51は防音リング57を挟んで下側ヨーク44の内筒部44aの上端面に衝突するので、開き作動時の衝突音の発生を確実に防止することができる。また、開き作動時の可動片58の下降に際して、可動片58はストッパ32の左右の立ち上がり壁33、33によって回り止めされていることにより、垂直に下降するので、可動接点59、59の固定接点25、25に対する位置を正確に維持することができる。
【0029】
ところで、被制御電流として高電圧大電流を取り扱う場合には、可動接点59が固定接点25から離れる瞬間にアークが飛ぶ。しかし、本実施の形態においては、図12(a)に示されているように、マグネット26が左右の可動接点59、59および左右の固定接点25、25の間に配置され、かつ、その磁力線Hの方向が可動接点59が固定接点25から離れる時の電流Iに対してのアークFを互いに離れる方向に消弧(伸長)させるように設定されているために、アークFが左右の可動接点59、59および左右の固定接点25、25に及ぼす悪影響を防止することができる。また、マグネット26が左右の可動接点59、59および左右の固定接点25、25の間に配置され、ジョイント端子部片を接続するための一対のナット13、14がマグネット26の左右両脇に配置され、一対の磁性プレート30、30が左方および右方に配置されているので、アークFを吹き消す磁力線Hの方向は適正になり、磁力線Hの磁束密度を増加することができる。また、マグネット26を保持した保持室27の仕切壁28が左側の可動接点59および左側の固定接点25と右側の可動接点59および右側の固定接点25との間を仕切るので、アークFの火花や摩耗粉等が反対側の可動接点59および固定接点25に飛び散るのを遮断することができる。さらに、マグネット26を左右の可動接点59、59および左右の固定接点25、25の間に配置することにより、マグネット26の使用個数を一個で済ますことができるので、部品点数および組付工数を低減することができ、製造コストを低減させることができる。
【0030】
ちなみに、図12(a)に示された電流Iの方向および磁力線Hの方向によれば、左右のアークFの方向は図12(a)の通りになるが、図12(b)に示された電流Iの方向および磁力線Hの方向においても、左右のアークFの方向は図12(b)の通りになる。(a)および(b)のいずれの場合もアークFの方向は離反する方向になるため、一対の固定接点用ターミナルプレート17、18の接続に極性を持たせない構造になる。したがって、ターミナルプレートの接続について逆に接続した場合や、マグネットを逆に組み付けた場合においても、アークが互いに離反する方向に絶えず発生するため、確実に消弧させることができる。その結果、一対の接点間を確実に隔離することができ、電磁継電器の信頼性を向上させることができる。
【0031】
図13は本発明の他の実施の形態におけるプランジャアッシーを示している。本実施の形態が前記実施の形態と異なる点は、アーマチュア51の上端部に上側防音リング57Aが上側ヨーク43の逃げ部43aの下面に接衝するように嵌着されており、上側ヨーク43側の防音リング46が省略されている点、である。本実施の形態においては、アーマチュア51の往行(閉じ)作動時に上側防音リング57Aが上側ヨーク43の逃げ部43aの下面に接衝することにより、アーマチュア51の往行時の衝突音の発生が防止され、アーマチュア51の復帰(開き)作動時に下側の防音リング57が下側ヨーク44の内筒部44aの上端面に接衝することにより、アーマチュア51の復帰時の衝突音の発生が防止される。
【0032】
図14は本発明の別の他の実施の形態におけるプランジャアッシーを示している。本実施の形態が前記実施の形態と異なる点は、ボビン42の捲線部42aの内周の下側コーナにも保持溝45Bが環状に形成されているとともに、この下側の保持溝45Bには下側防音リング46Bが嵌入されており、アーマチュア51側の防音リング57が省略されている点、である。本実施の形態においては、アーマチュア51の往行(閉じ)作動時の可動接点59と固定接点25との衝突音やアーマチュア51とコア50との衝突音は上側の防音リング46によって減衰され、アーマチュア51の復帰(開き)作動時のアーマチュア51と下側ヨーク44の内筒部44aの上端面との衝突音は下側防音リング46Bによって減衰される。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、プランジャのスプリングによる復帰時の衝撃音の発生はプランジャとヨークとの間に介設された防音リングによって防止することができ、プランジャのコイル線材の励磁時の衝撃音はプランジャとコイルボビンとの間に介設された防音リングによって減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である高電圧大電流用電磁継電器が使用されたモータ駆動電気回路を示す回路図である。
【図2】その高電圧大電流用電磁継電器を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図3】ケースを取った状態を示す正面図である。
【図4】ベースアッシーを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図5】同じくベースアッシーを示しており、(a)は側面断面図、(b)は一部切断背面図である。
【図6】プランジャアッシーを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図である。
【図7】同じくプランジャアッシーを分解して示す一部切断正面図である。
【図8】主要部のレイアウトを示す分解斜視図である。
【図9】ダイレクトカプラを示しており、(a)は分解斜視図、(b)は組立断面図、(c)は連結部の他の実施の形態を示す一部省略分解斜視図である。
【図10】ケースを示しており、(a)は背面図、(b)は底面図である。
【図11】同じくケースを示しており、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
【図12】アーク防止作用を説明する各説明図である。
【図13】本発明の他の実施の形態におけるプランジャアッシーを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図である。
【図14】本発明の別の他の実施の形態におけるプランジャアッシーを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図である。
【符号の説明】
1…ハイブリッド車や電気自動車の電源、2…モータ、3…モータ駆動電気回路、4…電磁継電器、5…リレースイッチ、6…リレーコイル(コイル)、7…通常の自動車用バッテリー、8…コントローラ、9…ハウジング、10…ベース、11、12…保持穴、13、14…ナット、13a、14a…雌ねじ孔、15…左側保持溝、16…右側保持溝、17、18…固定接点用ターミナルプレート、20…被保持部、21…固定孔、22…接続部片、23…挿通孔、24…固定部片、25…固定接点、26…マグネット、27…保持室、28…仕切壁、29…保持溝、30…磁性プレート、31…保持溝、32…ストッパ、33…立ち上がり部片、34…係止爪、35…ケース固定穴、36…ボルト、37…ブラケット部、38…ブッシュ、39…プランジャアッシー収納室、40…プランジャアッシー、41…コイル線材、41a、41b…コイル端末、42…コイルボビン(ボビン)、42a…捲線部、43…上側ヨーク、43a…逃げ部、43b…固定孔、44…下側ヨーク、44a…内筒部、44b…外筒部、44c…底壁部、45…保持溝、45B…保持溝、46…防音リング、46B…下側防音リング、47…位置決め凹部、48…位置決め凸部、50…コア、50a…挿通孔、51…アーマチュア、51a…保持溝、51b…取付孔、51c…スプリング収容室、51d…雌テーパ部、52…ナット、53…プランジャ、53a…スプリングシート部、53b…位置決め部、53c…ガイド部、54…スプリング、55…ストッパリング、56…スプリング、57…防音リング、57A…上側防音リング、58…可動片、58a…被支持部、58b…連結部、58c…取付部、58d…ガイド孔、59…可動接点、60…ダイレクトカプラ、61…差込み口部、62…取付孔、63…コイル用ターミナルプレート、63a…係止爪、63b…連結部、63c…係合部、63d…噛合部、64…サブ差込み口部、65…キャップ、66…差込み部、67…保持溝、68…サブターミナルプレート、68a…係止爪、68b…連結部、68c…ヒュージング爪部、68d…噛合部、69…巻き絡げ部、70…ケース、71…保持室、72…仕切壁、73…保持溝、74…係止部片、75…ベース固定孔、76…プランジャアッシー収納室。
Claims (2)
- 一対の固定接点と、この一対の固定接点に接触および離間する一対の可動接点を具備した可動片と、この可動片を進退させるプランジャアッシーと、このプランジャアッシーを収納するハウジングとを備えている電磁継電器であって、前記プランジャアッシーは、コイル線材が捲線されたコイルボビンと、このコイルボビンを囲むヨークと、前記コイルボビンの捲線部内に軸方向に進退自在に配置されて前記可動片を支持したプランジャと、このプランジャを前記可動片が前記固定接点から離反する方向に常時付勢するスプリングと、前記プランジャと前記ヨークとの間に介設された防音リングとを備えていることを特徴とする電磁継電器。
- 一対の固定接点と、この一対の固定接点に接触および離間する一対の可動接点を具備した可動片と、この可動片を進退させるプランジャアッシーと、このプランジャアッシーを収納するハウジングとを備えている電磁継電器であって、前記プランジャアッシーは、コイル線材が捲線されたコイルボビンと、このコイルボビンを囲むヨークと、前記コイルボビンの捲線部内に軸方向に進退自在に配置されて前記可動片を支持したプランジャと、このプランジャを前記可動片が前記固定接点から離反する方向に常時付勢するスプリングと、前記プランジャと前記コイルボビンとの間に介設された防音リングとを備えていることを特徴とする電磁継電器。
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