以下、図面を参照しながら本願発明について詳細に説明する。まず、図1を用いて説明する。一般的な静電複写装置においては、コピーされる原稿の光画像が感光部材上に静電潜像の形で記録され、次いでこの潜像は一般にトナーと呼ばれる熱可塑性樹脂粒子の付与によって可視化される。具体的には、電源11からチャージャ12に電圧が供給され、チャージャ12によって感光体(受光体)10の表面が帯電される。次に、感光体は、レーザや発光ダイオードなどの光学系、即ち画像入力装置13からの光によって像様に露光され、感光体上に静電潜像が形成される。一般に、静電潜像は、現像剤部(developer station)14からの現像剤混合物と接触することにより現像される。現像は、磁気ブラシ、パウダークラウド、又は他の公知の現像方法を用いることにより行うことができる。通常、乾式現像剤混合物は、トナー粒子が摩擦電気によって付着したキャリヤ粒子を含む。トナー粒子はキャリヤ粒子から潜像に引き寄せられ、潜像上にトナー粉末画像を形成する。あるいは、トナー粒子が分散した液体キャリヤを含む現像液材料を用いてもよい。現像液材料を静電潜像に接触させると、トナー粒子がその上に像様に付着する。
トナー粒子は、光導電面に像様に付着された後、圧力転写又は静電転写が可能な転写手段15によってコピーシート16に転写される。あるいは、現像された画像を中間転写部材に転写し、次いでコピーシートに転写することもできる。
現像画像の転写が完了すると、コピーシート16はフューザロール及び圧力ロールとして図1に示されるフュージング部(融解部、fusing station)19に進む。ここで、コピーシート16をフューザ部材と圧力部材との間に通すことによって現像画像はコピーシート16に融着され、これにより永久画像が形成される。感光体10は転写後クリーニング部17に進み、感光体10上に残ったトナーは、(図1に示される)ブレード、ブラシ、又は他のクリーニング装置を用いて除去される。
図2は、本発明の1つの実施の形態であるフューザ装置19の一例の断面図である。図2において、無端ベルト状の耐熱性フィルム、即ち画像定着フィルム24が、3つの平行な部材、即ち、駆動ローラ25、金属製の従動ローラ26、及び駆動ローラ25と従動ローラ26との間に配置される低熱容量の線形ヒータ20、の周りに配置される(trained)か又は含まれる。
従動ローラ26は、定着フィルム24のテンションローラとしても機能する。定着フィルムは、駆動ローラ25の時計回りの回転により、所定の周速で時計回り方向に回転する。フィルムが折れてしわになったり、歪んだり、遅れたりしないように、周速は画像を有するシートの搬送速度と同じである。
プレスローラ28は、シリコーンゴムのような分離特性をもつゴムの弾性層を有し、加圧状態でヒータ20と接触し、定着フィルム24の下部移動部がその間に位置する。プレスローラは、付勢手段(図示せず)によって4乃至7kgの全圧力でヒータに抗するように加圧される。圧力ローラは定着フィルム24と同方向に、即ち反時計回り方向に回転する。
ヒータ20は低熱容量線形ヒータの形態をとり、フィルム24表面の移動方向を横切る方向(フィルムの幅方向)に延びている。ヒータ20は、熱伝導率の高いヒータベース27と、電力の供給時に熱を発生する熱発生抵抗器22と、温度センサ23とを含み、熱伝導率の高いヒータ支持体21に装着されている。
ヒータ支持体21は、画像定着装置から断熱するようにヒータ20を支持し、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PAI(ポリアミドイミド)、PI(ポリイミド)、ポリアラミド、ポリフタルアミド、ポリケトン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)あるいは液晶性ポリマー材料などの高耐熱性樹脂、又はこのような樹脂材料とセラミック、金属、もしくはガラスのような材料との複合材からなる。
ヒータベース27の一例は、厚さ1.0mm、幅10mm及び長さ240mmで高導電率のセラミック材料からなるアルミナプレート状のものである。
熱発生抵抗器材料22は、スクリーン印刷などにより、ベース27の下面のほぼ中央にある長手方向の線に沿って形成される。熱発生材料22は、例えば、厚さ約10μm、幅1乃至3mmのAg/Pd(銀パラジウム)、Ta2N、又は他の電気抵抗器材料である。これは、表面保護層として機能する厚さ約10μmの耐熱性ガラス21aでコーティングされている。温度センサ23は、スクリーン印刷などにより、ベース27の上面(熱発生材料22のある側と反対の側)のほぼ中央に形成される。センサは、熱容量の小さいPtフィルムからなる。温度センサの他の例としては、ベース27に接触する低熱容量サーミスタがある。
線形又はストリップ状ヒータ22は、熱がヒータに沿って均一に生じるように、長手方向の両端部において電源に接続されている。この例において、電源はAC100Vを供給し、供給される電力の位相角は、温度検出要素23によって検出される温度に従って制御回路により制御される。
光結合器の形をとるフィルム位置センサ42が、フィルム42の外側端に隣接して配置されている。センサの出力に応答して、ローラ26はソレノイド(図示せず)の形態をとる駆動手段によって移動され、フィルムの位置が所定の側方範囲内に保たれる。
画像形成開始信号を受けると、画像形成部において未定着のトナー画像が記録材料上に形成される。未定着のトナー画像Taを載せたコピーシート16はガイド29により導かれて定着フィルム24とプレスローラ28との間に入り、ヒータ20及びプレスローラ28によって作られるニップNに入る。コピーシート16が、表面のずれ、折りしわ又は側方移動を生じることなく、定着フィルム24と共にヒータ20とプレスローラ28との間のニップを通過する一方で、トナー画像保持面はコピーシート16と同じ速度で移動する定着フィルムの下面と接触する。画像形成開始信号の生成後に電力が所定のタイミングでヒータ20に供給され、これにより、トナー画像がニップにおいて加熱され、軟化及び融解されて軟化又は融解画像Tbが形成される。
定着フィルム24は、エッジS(曲率半径は約2mm)、即ちヒータ支持体21において大きな曲率を有するエッジで、例えば約45°の角度θで急に曲がっている。従って、フィルム24と共にニップ内を進んだシートは、この曲率により、エッジSにおいて定着フィルム24から分離される。コピーシート16は続いてシート排出トレイに排出される。コピーシート16が排出されるまでに、トナーは十分冷却して固化しており、よって完全に定着されている(トナー画像Tc)。
本実施の形態において、ヒータ20の熱発生要素22及びベース27の熱容量は小さい。また、ヒータ要素22は支持体21上に断熱されて支持されている。ニップ内でのヒータ20の表面温度は、トナーを融解するために必要な高温に迅速に達する。また、ヒータ20の温度を所定のレベルまで上昇させるために待機温度制御が用いられる。これにより、消費電力を削減するとともに温度上昇を防ぐことができる。
定着フィルムはヒータと接触している。定着フィルムの外層とヒータとの間の距離は、約0.5mm乃至約5.0mmが好ましい。同様に、定着フィルムと接地ローラ25及び26との間の距離は約5mm以上であり、例えば約5乃至約25mmである。これらの距離は、画像形成部によってコピーシート16に付与された電荷がコピーシート16を介して接地に漏出するのを防止する。これにより、不適切な画像転写によって生じうる画像品質の低下を避けるか又は最小にすることができる。
本発明の他の実施の形態では、定着フィルムをシート状にすることができる。例えば、有端フィルムを供給軸に巻き付けておき、これを取り出してヒータとプレスローラとの間のニップに通し、巻取軸に巻き付けることができる。これにより、フィルムを転写材料の速度に等しい速度で供給軸から巻取軸に送ることができる(米国特許第5,157,446号を参照)。
更に別の実施の形態が図3に示されている。ここで、フューザ部材はフュージングローラ37の形態をとり、内部ヒータ38がフューザ部材の中に配置されている。別の態様としては、加熱部材38をフューザ部材の外側に配置することもできる。圧力ベルト39がローラ25、26及び40の周りを循環する。この代替の構成において、トナー又は他のマーキング材料はフュージングローラ37によってコピー基体16に融解される。パッド41にかかる負荷は約1.7kgfである。フルオロカーボン外層を、フューザ部材及び/又は圧力ベルト上に配置することができる。ひとつの実施の形態では、フルオロカーボン外層は圧力ベルト上に配置される。
本発明のフューザ部材は、少なくとも3つの異なる構成をとることが可能である。本発明の1つの実施の形態では、フューザ部材は図4に示されるような2層構成である。図4は、圧力ベルト39としてのフューザ部材を示しているが、この構成及び本明細書中に示される他の構成はいずれのフューザ部材にも使用できるものである。圧力ベルト39は、任意に充填剤31を分散させた、又はこれを含んだ基体30を含む。基体上には、任意に充填剤35を分散させた、又はこれを含んだフルオロカーボンの外層32が設けられている。
図5は、圧力ベルト39の他の実施の形態を示しており、これは3層構成である。図5は、任意に充填剤31を分散させた、又はこれを含んだ基体30を示している。基体30の上には、任意に充填剤35を分散させた、又はこれを含んだフルオロカーボン外層32が設けられている。フルオロカーボン外層32の上には、任意に充填剤36を分散させた、又はこれを含んだ外側剥離層33が設けられている。
接着層又は他の中間層(単数又は複数)を、基体とフルオロカーボン外層との間、及び/又はフルオロカーボン外層と最も外側にある剥離層との間に配置することができる。この実施の形態の一例が図6に示されており、ここでは任意の中間層又は接着層43が基体30の上に配置されている。任意の中間層又は接着層43は充填剤44を含んでもよい。任意の層43の上にはフルオロカーボン外層32が配置されている。
充填剤31、35、36及び44は任意であり、存在する場合は同一のものでもよいし互いに異なっていてもよい。
好適な基体材料の例としては、ローラ又はフィルム状の基体の場合、アルミニウム、ステンレススチール、スチール、及びニッケルなどの金属類が挙げられる。フィルム状の基体の場合、好適な基体は高温プラスチックを含む。これらのプラスチックは高温の作動温度(即ち、約80℃を上回り、好ましくは200℃を上回る温度)を可能にするのに好適であり、高い機械的強度を示すことができる。実施の形態において、プラスチックの曲げ強さは約2,000,000乃至約3,000,000psiであり、曲げ係数は約25,000乃至約55,000psiである。上記の特性を備え、フューザ部材の基体としての使用に好適なプラスチックは、エポキシ;ヘキストセラネーズ(Hoechst Celanese)社からFORTRON(R)という商品名で販売されているもの、フィリップスペトロリアム(Phillips Petroleum)社のRYTON R−4(R)、ゼネラルエレクトリック社のSUPEC(R)などのポリフェニレンスルフィド;アモコ(Amoco)社からTORLON(R)7130という商品名で販売されているポリアミドイミドなどのポリイミド;アモコ社からKADEL(R)E1230という商品名で販売されているもの、ビクトレックス(Victrex)社からPEEK 450GL30という商品名で販売されているポリエーテルエーテルケトン、及びポリアリールエーテルケトンなどのポリケトン;アモコ社からAMODEL(R)という商品名で販売されているポリフタルアミドなどのポリアミド;ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、及びポリアリールエーテルケトンなどのポリエーテル;ポリパラバン酸;液晶性樹脂(アモコ社のXYDAR(R));ゼネラルエレクトリック社のULTEM(R);BASF社のULTRAPEK(R);並びにこれらの混合物を含む。他の好適な基体材料は、デュポン社からVITON(R)という商品名で販売されているものなどのフルオロエラストマー;シリコーンゴム;及び他のエラストマー材料を含む。基体は、上記材料のうち任意の材料の混合物を含むこともできる。
フィルム、シート、又はベルトとしての基体の厚さは約25乃至約250μm、又は約60乃至約100μmである。
実施の形態では、ポリイミド又はポリアミドの充填剤がフルオロカーボン外層と組み合わせて用いられる。
ポリイミド又はポリアミドは、高温の作動温度(即ち、約80℃を上回り、好ましくは200℃を上回る温度で、より具体的には約150乃至約250℃)を可能にするのに好適であり、高い機械的強度を示し、必要に応じて、調整された電気的性質を持つことができる。
ポリイミド又はポリアミドとしては、導電性粒子を添加すると導電性フィルムを形成することができる任意の好適な高耐久性ポリイミド又はポリアミドが可能である。ポリイミド又はポリアミドは、現像液又はトナー添加物に対する化学的安定度、転写定着(transfix)の実施及び改良された上塗りの製造に対する熱的安定性、転写要素のフィルムに用いられる公知材料と比較して改良された耐溶剤性、及び所望の範囲内での均一な抵抗率等の改良された電気的性質、といった利点を有する。
好適なポリイミドとしては、ポリアミドイミド(例えば、BPアモコポリマーズ社(BP Amoco Polymers Inc.、ジョージア州アルファレッタ(Alpharetta))のAmaco Al−10(R));ポリエーテルイミド;及び、例えばゼネラルエレクトリック社(マサチューセッツ州ピッツフィールドのSILTEM(R)STM−1300のようなシロキサンポリエーテルイミドブロックコポリマーなど、種々のジアミン及び二無水物から形成されるものが挙げられる。ポリイミドの他の例としては、デュポン社からKAPTON(R)−type−HNという商品名で販売される、ピロメリト酸及びジアミノジフェニルエーテルを反応させて形成されたものなどの芳香族ポリイミドが挙げられる。デュポン社から入手可能でKAPTON(R)−type−FPC−Eとして販売されている他の好適なポリイミドとしては、p−フェニレンジアミン及びジアミノジフェニルエーテルなどの2つの芳香族ジアミンによるビフェニルテトラカルボン酸及びピロメリト酸のイミド化によって製造される。他の好適なポリイミドとしては、エチル社(Ethyl Corporation、ルイジアナ州バトンルージュ)のEYMYD type L−20Nとして入手可能な、2,2−ビス[4−(8−アミノフェノキシ)フェノキシ]−ヘキサフルオロプロパンと反応させたピロメリト酸二無水物及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の共重合酸が挙げられる。他の好適な芳香族ポリイミドとしては、ユニグローブキスコ社(Uniglobe Kisco, Inc.、ニューヨーク州ホワイトプレーンズ)のUPILEX(R)−Sのような、1,2,1’,2’−ビフェニルテトラカルボキシイミドとパラフェニレン基とを含有するもの、及びユニグローブキスコ社のUPILEX(R)−Rのような、ジフェニルエーテル末端スペーサ特性を備え、ビフェニルテトラカルボキシイミド官能性を有するものが挙げられる。ポリイミドの混合物を用いてもよい。
好適なポリアミドとしては、アモコ社のAMODEL(R)という商品名で販売されているポリフタルアミドが挙げられる。
好適なフルオロカーボンの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ポリフルオロアルコキシ(PFA)、パーフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFA TEFLON(R))、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)及びポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルコポリマー(MFA)などのフルオロカーボンのモノマー及びポリマー、及びその混合物;PTFE粉末、FEP粉末、PFA粉末、PFA TEFLON(R)粉末、ECTFE粉末、ETFE粉末、及びMFA粉末などのフルオロカーボン充填剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
ポリイミド又はポリアミドは、全固形分の約1乃至約39容量%、約5乃至約30容量%、又は約9乃至約20容量%の量でフューザ部材の外層中に存在する。本明細書中に使用される「容量%」は、ポリマー、導電性充填剤、低表面エネルギー充填剤、耐摩耗性充填剤、着色充填剤、及び層内のあらゆる添加物を含む固形物の全容量パーセントを含む。
フルオロカーボンは、全固形分の約61乃至約99容量%、約70乃至約95容量%、又は約80乃至約91容量%の量で外層中に存在する。
低表面エネルギー充填剤、導電性充填剤、及び/又は化学反応性充填剤を、フルオロカーボン外層中に存在させてもよい。また、低表面エネルギー充填剤及び/又は導電性充填剤を、基体及び/又は接着層もしくは中間層中に存在させてもよい。同様に、低表面エネルギー充填剤及び/又は導電性充填剤を外側剥離層中に存在させることができる。充填剤が最外層中に存在する場合、充填剤は、存在する任意の剥離剤中の任意の官能基と反応することによって剥離を促すことができる。導電性充填剤は、フューザ部材上の電荷の制御を促して、目に見えないオフセットやニップ前のトナーの乱れなどの性能を高め、転写定着部材又は転写フューザ部材としての使用を可能にする。
好適な充填剤の例としては、炭素充填剤、金属、酸化金属、ドープ酸化金属、セラミックス、ポリマー充填剤、及びこれらの混合物が挙げられる。粒子サイズが約5乃至約350nm、又は約20乃至約100nmのものを含むナノ充填剤も本明細書中での使用に好適である。好適な炭素充填剤の例としては、カーボンブラック(例えば、ジョージア州アルファレッタのケイボット(Cabot)社のN330(R))、黒鉛、フッ化カーボンブラック(例えばACCUFLUOR(R)又はCARBOFLUOR(R))、及びこれらの混合物が挙げられる。金属充填剤の例としては、アルミニウム、銅、銀、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な無機物/セラミックスの例としては、炭化珪素、窒化シリコーン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、炭化タングステン、硫酸バリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な酸化金属の例としては、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、及びこれらの混合物が挙げられる。好適なドープ酸化金属の例としては、アンチモンをドープした酸化錫(デュポンケミカルズジャクソンラボラトリーズ(DuPont Chemicals Jackson Laboratories、ニュージャージー州ディープウォーター)の登録商標であるZELEC(R)など)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモンをドープした二酸化チタン、同様のドープ酸化物、及びこれらの混合物が挙げられる。好適なポリマー充填剤の例としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアニリン、ポリテトラフルオロエチレン粉末、パーフルオロアルコキシ粉末、エチレンクロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルコポリマー、フッ化エチレンプロピレン粉末、及びこれらの混合物が挙げられる。
フルオロカーボン外層、並びに/又は他の基体、接着層もしくは中間層、及び/もしくは外側剥離層のいずれかの中に1種類よりも多くの充填剤を存在させる態様をとることもできる。炭素充填剤、酸化金属充填剤、及び/又はポリマー充填剤がフルオロカーボン外層中に存在する態様をとることもできる。炭素充填剤は全固形分の約0乃至約20容量%、又は約0乃至約10容量%の量で存在する態様をとることもできる。カーボンブラックが炭素充填剤である態様をとることもできる。酸化金属又は無機/セラミックス充填剤は、全固形分の約0乃至約20容量%、又は約0乃至約10容量%の量で存在する態様をとることもできる。酸化銅が酸化金属充填剤である態様をとることもできる。ポリマー充填剤は全固形分の約0乃至約50容量%、又は約5乃至約40容量%の量で存在する態様をとることもできる。硫酸バリウムは全固形分の約1乃至約15容量%、又は約2乃至約8容量%の量で外層中に存在する態様をとることもできる。
充填剤は、全固形分の約0乃至約60容量%、約0乃至約40容量%、又は約0乃至約10容量%の量でフルオロカーボン層中に存在することができる。充填剤は、全固形分の約0乃至約45容量%、約0.01乃至約15容量%、又は約1乃至約5容量%の量で基体中に存在することができる。また、充填剤は、全固形分の約0乃至約55容量%、約10乃至約40容量%、又は約30容量%の量で外側剥離層中に存在することができる。更に、充填剤は、全固形分の約0乃至約40容量%、又は約0.01乃至約5容量%の量で接着層及び/又は中間層中に存在することができる。
本明細書に記載のフュージング部品を、ポリイミド又はポリアミドの調製によって製造することができる。ポリイミドは、例えば、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶媒に溶解した二無水物とジアミンとの反応生成物を用いることにより調製することができる。次に、適量のフルオロカーボンを添加し、混合する。ローラミル、磨砕機(attritor)又はサンドミル内で、この混合物を細かく粉砕する(pebble milled)。ポリ(アミド酸)及びフルオロカーボンの混合物を表面上に流し、蒸発によって溶媒を除去し、加熱してポリ(アミド酸)をポリイミドに変える。
任意の好適な公知の方法を用いて、フルオロカーボン外層を基体にコーティングすることができる。このような材料を補強材の上にコーティングする一般的な技術は、液体及び乾燥粉末スプレーコーティング、浸漬コーティング、巻線ロッドコーティング、流動層コーティング、パウダーコーティング、静電スプレー、ソニックスプレー、ブレードコーティングなどを含む。フルオロカーボン層はスプレーコーティング又はフローコーティングによって基体にコーティングされる態様をとることもできる。
1つの実施の形態として、研摩、つや出し、研削、ブラスチング、又はコーティングなどの任意の公知の技術によってフルオロカーボン外層を改質することができる。フルオロカーボン外層の表面粗さは約0.02乃至約1.5μm、又は約0.3乃至約0.8μmである態様をとることができる。任意の剥離層がフルオロカーボン外層の上に設けられる3層の実施の形態において、外側剥離層を、前述の通りに又はこれに類似した方法で粗面化することもできる。
1つの実施の形態としては、(2層構成の)フルオロカーボン外層又は(3層構成の)外側剥離層のガードナー光沢(gardiner gloss)は約30乃至約100gguであり、これによって両面印刷用コピー基体の第1の面と第2の面との差が約10ggu未満、又は約0.1乃至約5gguとなる。
好適な中間層の例としては、外側剥離層に好適であるとして列挙したポリマーなど、コンフォーマブルな(形状にならう)層を形成することのできる任意の材料が挙げられる。好適な接着層の例は下記に列挙する。
外側剥離層が存在する場合、外側剥離層は低表面エネルギー材料を含むことができ、例えばシリコーンゴム、フルオロポリマー、ウレタン、アクリル、タイタマー(titamer)、セラマー(ceramer)、容積グラフトフルオロエラストマーなどのヒドロフルオロエラストマー、又はこれらの混合物、コポリマー、もしくはポリマー、を含むことができる。
好適なフルオロポリマーの例としては、ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン及びテトラフルオロエチレンのコポリマー及びターポリマーなどのフルオロエラストマーが挙げられ、これらはVITON A(R)、VITON E(R)、VITON E60C(R)、VITON E45(R)、VITON E430(R)、VITON 910(R)、VITON GH(R)、VITON B50(R)、及びVITON GF(R)として、種々の名称で市販されている。VITON(R)という名称は、デュポン社(E.I. DuPont de Nemours, Inc.)の登録商標である。他の市販の材料としては、FLUOREL 2170(R)、FLUOREL 2174(R)、FLUOREL 2176(R)、FLUOREL 2177(R)及びFLUOREL LVS 76(R)が挙げられ、FLUOREL(R)はスリーエム社の登録商標である。更なる市販の材料としては、ポリ(ポリプロピレン−テトラフルオロエチレン)であるAFLAS(商標名)及びポリ(ポリプロピレン−テトラフルオロエチレンビニリデンフルオリド)であるFLUOREL II(R)(LII900)(共にスリーエム社)、並びにモンテディソンスペシャルティケミカル社(Montedison Specialty Chemical Company)から入手可能なFOR−60KIR(R)、FOR−LHF(R)、NM(R)、FOR−THF(R)、FOR−TFS(R)、TH(R)、及びTN505(R)として識別されるテクノフロン(Tecnoflons)が挙げられる。
2つの具体的な公知のフルオロエラストマーは、(1)VITON A(R)として商業的に公知である、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンのうち1つ以上を含むか又は任意の組み合わせのコポリマーの類、並びに(2)VITON B(R)として商業的に公知である、ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、及びテトラフルオロエチレンのターポリマーの類である。VITON A(R)、VITON B(R)、及び他のVITON(R)の名称は、デュポン社の登録商標である。
他の実施の形態において、フルオロエラストマーは比較的低品質のビニリデンフルオリドを有するテトラポリマーであり、ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン及び硬化部位モノマー(cure site monomer)を含有する。その一例は、デュポン社のVITON GF(R)である。VITON GF(R)は、ビニリデンフルオリド35重量%、ヘキサフルオロプロピレン34重量%、テトラフルオロエチレン29重量%、及び硬化部位モノマー2重量%を有する。硬化部位モノマーとしては、4−ブロモパーフルオロブテン−1、1,1−ジヒドロ−4−ブロモパーフルオロブテン−1、3−ブロモパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロ−3−ブロモパーフルオロプロペン−1などデュポン社の製品、又はあらゆる他の好適な公知で市販の硬化部位モノマーを用いることができる。
フルオロエラストマーは体積グラフトエラストマーである態様をとることもできる。体積グラフトエラストマーはヒドロフルオロエラストマーの特殊な形であり、フルオロエラストマー及びポリオルガノシロキサンからなるハイブリッド組成物の、ほぼ均一な一体型の相互貫入網目構造である。体積グラフトは、求核性脱フッ化水素処理剤によりフルオロエラストマーを脱フッ化水素処理し、次いでアルケン又はアルキン機能停止ポリオルガノシロキサン及び重合開始剤の添加により付加重合を行うことによって形成される。
体積グラフトは、実施の形態において、ハイブリッド組成物のほぼ均一な一体型の相互貫入網目構造を指し、フルオロエラストマー及びポリオルガノシロキサンの構造及び組成は共に、フューザ部材を異なるスライスに切り取った際にほぼ均一である。体積グラフトエラストマーは、求核性脱フッ化水素処理剤によりフルオロエラストマーを脱フッ化水素処理し、次いでアルケン又はアルキン機能停止ポリオルガノシロキサン及び重合開始剤の添加により付加重合を行うことによって形成される、フルオロエラストマー及びポリオルガノシロキサンのハイブリッド組成物である。特定の体積グラフトエラストマーの例が、米国特許第5,166,031号、第5,281,506号、第5,366,772号、及び第5,370,931号に開示されている。
外側剥離層として有用な他のポリマーとしては、フルオロシリコーン、フェニルシリコーン、シリコーン混合物などを含むシリコーンゴムが挙げられる。外側剥離層として有用なポリマーとしては更に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ポリフルオロアルコキシ(PFA)、パーフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFA TEFLON(R))、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、及びポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルコポリマー(MFA)が挙げられる。これらのポリマーを接着剤と共に中間層として含むこともできる。
任意の公知の好適な技術を用いて、外側剥離層をフルオロカーボン外層にコーティングすることができる。1つの実施の形態において、外側剥離層はスプレーコーティング又はフローコーティングによってフルオロカーボン外層上にコーティングされる。外側剥離層を、約1乃至約50μm、又は約5乃至約30μmの厚さでフルオロカーボン外層上にコーティングすることができる。
基体又は接着/中間層上の外層のコート紙に対する静止摩擦を約0.45未満、約0.01乃至約0.45、約0.24未満、又は約0.1乃至約0.24とすることができる。このような数値範囲の静止摩擦であれば、すべての波状欠陥を取り除くのに十分である。
本発明に用いられるフュージング部品は、いずれの好適な形状からなっていてもよい。好適な形状の例としては、シート、フィルム、ウェブ、ホイル、ストリップ、コイル、シリンダ、ドラム、ローラ、無端ストリップ、円形ディスク、並びに、無端ベルト、無端継目可撓性ベルト、無端継目なし可撓性ベルト、及びパズルカット継目を有する無端ベルトを含むベルトが挙げられる。
必要に応じて、公知で利用可能である好適な任意の接着層を、フルオロカーボン外層と基体との間、及び/又はフルオロカーボン外層と外側剥離層との間に配置することができる。好適な接着剤の例としては、アミノシラン(例えば、OSIスペシャルティーズ(ウェストバージニア州フレンドリー)のA1100)などのシラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、アルミン酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる。約0.001乃至約10%溶液中の接着剤をワイピングによって基体上にコーティングする態様をとることができる。接着層は、約2乃至約2000nm、又は約2乃至約500nmの厚さで基体又はフルオロカーボン外層上にコーティング可能である。スプレーコーティング又はワイピングを含む任意の好適な公知の技術によって接着剤をコーティングすることができる。